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結果から言おう。 姉上は強い。 だがこのゲーム上で動く参加者達はその大半が力を制限されている。 その一例が武器と能力の没収だ。 没収されたそれらはランダムに支給されて、後は持ち前の知恵や腕っ節で何とかしていくしかない。 しかし姉上は――――蒼龍一号機エヴァは自分の武器を自分で引き当てた。 それは詰まり、このゲームにおける最大のハンデを完全に無視できる事に繋がる。 「あ……ぐっ」 自分が床に叩きつけられ、剣の切っ先を突きつけられている理由はまだある。 自分の知っている『彼女』はのらりくらりとしていて、その場をノリだけで生きているかのような適当な人だった。 少なくとも当時はそういう立場じゃなかった筈なのに何時の間にかツッコミ担当になっていたのだからきっとそうなのだろう。 しかし目の前にいるこの人は、 (強いし、冷たい……!) 鍛錬を怠ったつもりは無い。 騎士として守る物を見失わない為に。 そして暴走しがちな自分を押さえ込むという意味でも鍛錬には取り組んできた。 心も、身体も鍛え上げてきたつもりだった。 しかしそれでも覆らないのは、 (圧倒的な、力の差……!) その事実を確認したと同時、レイチェルは歯を噛み締めた。 死への恐怖から逃げるためじゃない。 何も出来ずに負ける自分への腹立たしさと、姉の『暴』に呆気なく屈してしまう事への怒り。 それを向けただけだ。 ○ 「レイチェル」 妹に呼びかける。 しかし当の本人はボロボロで、まともに立ち上がれそうにはなかった。 だが死んではいない。 「そのままでいいから聞きなさい。――――何故武器を使わないのです?」 「!!!!!!!!!!!!」 その言葉を聞いたその瞬間。 レイチェルの身体がびくり、と震えた。 まるで何かに怯えるようにして顔色が青くなる。 「そ、それは……まともな武器を引き当てれなかったからで――――」 「嘘ですね。それでも何かしらの抵抗をする事は出来るはずです」 センライによる説明は当然エヴァとレイチェルの姉妹も聞いていた。 各個人が持っている能力は何かしらの道具に付加される。 故に武器を引き当てることが出来なくても『使える』能力を手に入れることが出来るのを知っている。 「ですが、何故素手で立ち向かったのです?」 「それは……使い方を知らないからで」 それも嘘。 本当は『触れた』瞬間に使い方には気付いている。 だけどもしソレを使ってしまったら。 (それだけは、絶対に駄目だ!) 心の中で首をぶんぶんと横に振る。 しかも今の姉上に『アレ』の存在を知られたら、 (きっともっと酷いことになる! それだけは――――!) 騎士として最も許されるべきではない行為。 それは『やっちゃいけない事をやること』なのだと思う。 暴走する自分が言えたことではないが、姉上は明らかにそれを無視しようとしていた。 もしそんな奴が『アレ』を使ってしまえば、 (皆、死んじゃうよ……) 参加名簿に目を通す余裕は無かった。 しかしエヴァがこの場にいると言う事はエリシャ達他の姉妹や、アステリアのような知人も巻き込まれている可能性は十分に考えられた。 例えエヴァがどう扱うつもりでも、それをコントロールするのは自分だ。 少しでも『中てられたら』直ぐに暴走してしまう自分が、よりにもよって『アレ』を引き当ててしまった。 見境の無い殺戮が始まろうとしている。 それ故に、判断は迫られる。 その殺戮を本能の赴くままに行うか。 この場で姉上を倒すか。 (もし、私がここで負けたら……!) その場合の事は安易に想像できる。 否、既にその想像は現実の一歩手前にまで迫ってきている。 何故ならエヴァがこちらに装備を聞いてきているから。 支給品は必ず参加者に一つは渡される。 それ故に誤魔化すことはできない。 「何を黙ってるんですか、レイチェル?」 だが其処まで考えた直後。 自分の足に強烈な熱と痛みが走った。 「あ、――――?」 「まだ私のお仕置きは終わってないんですよ?」 痛みの発生源は見たら直ぐに判る。 エヴァが剣を振るい、自分の足を刻んだから。 リメイカーを殺した時のように深く切り裂かれた訳ではないが、それでも血が出るのは剣を突き刺された以上は必然な訳で。 自分の血は流れ出てくるって事はつまり、今まで以上に『衝撃』が襲い掛かってくる訳で。 「い、嫌だ……止めろよ姉上! 止めろよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 「どうしてです?」 平然とした顔で問われる。 本当にわからない、と言った顔で、だ。 「私のお仕置きはまだ終わってないと言った筈ですよ? 聞き分けの無い悪い妹はちゃんと教育しないと」 良くも悪くもエヴァは純粋に『姉』だった。 だからこそこの状況でレイチェルをどうすれば追い詰めることが出来るのかを熟知している。 肉体的にではなく、精神的にだが。 (駄目だ! 駄目だよ姉上! それ以上やられたら、やられちゃったら本当に中てられる!) 姉上を、コロシチャウヨ―――― その瞬間。 レイチェルの中で何かが弾けた。 「……い」 「?」 俯いた状態のまま、レイチェルが呟く。 だが上手く聞き取れない。 しかしエヴァのそんな疑問視に無理矢理答えるかのようにして、レイチェルは吼えた。 「こおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい! たいてえええええええええええええええええええええええい!!」 「なっ――――!?」 咆哮が轟いた後に聞こえてきたのは信じられない単語だった。 大帝。 参加者に支給されるにしては余りにも大きすぎる『巨大ロボ』の名前を、天に向かって呼んだのである。 「は、ははははははは!!」 自分の血に中てられたレイチェルが狂ったように笑い出す。 そしてその笑い声に受け答えするかのようにして、『ソイツ』は何も無かった筈の外に突然現れた。 ○ 「たい、てい――――!」 最初の脱落者、リレッドがゲームを無茶苦茶にしようとして呼び出そうとした巨大兵器。 彼女は頭が良い事はエヴァも知っている。 それ故に、彼女が呼び出そうとしたこのロボも(直接戦ったことが無いが)相当な破壊力を持っているであろうことは簡単に予想できた。 「潰れちまえよ、姉上」 「!」 その対処法を考えるよりも前に、目の前に倒れている妹が冷徹な言葉を投げかけてきた。 普段の彼女の暴走状態を一言で例えると『熱(ヒート)』。 しかし自分の血に中てられ、既に心身ともに満身創痍状態の彼女はとてもクールだった。 「レイチェル……自分の血に中てられ、おかしくなりましたか?」 大帝の拳がエヴァ目掛けて振り下ろされる。 展望台と言う場所に居る以上、この足場を破壊されたらその場でゲーム終了になるであろう事くらい目に見えている。 それならあの拳を受け止めるしかない。 そう判断すると彼女は剣を十字に構え、ガードの姿勢を取る。 その直後、 「――――っぐ!」 全身に未だ嘗て感じたことの無い凄まじい圧力が圧し掛かってきた。 その一撃を受けた瞬間、龍輝と龍詩の刃に亀裂が走る。 剣を持っていた腕から身体に目掛けて、何者も逆らうことの出来ない『力』が襲い掛かってくる。 「レイチェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエル!!」 この先、自分が『どうなるか』はエヴァには直ぐに理解できた。 だからその場に居る妹に伝えておく。 今更考え方や主張を変えるつもりは無い。 恐らく、今のレイチェルに自分の考えを理解しろといったら直ぐには無理だろう。 それが出来るくらいならこんな事にはなってない。 お仕置きなんてする必要も無かった。 それならせめて、蒼龍騎士団としての最大の役目を彼女には担って貰おう。 きっと自分とレイチェルがすれ違いつつも、『コレ』だけは同じ願いだと思うから。 ――――何時までもダダを捏ねないで、ちゃんと主の下に帰るんですよ? ○ 「う……ん?」 朝日が顔を覗かせつつある時刻。 夜風の肌寒さを感じたレイチェルは目を覚ました。 どうやら自分は気絶していたらしい。 (え? 何で寝てたんだ……?) それに、周囲を軽く見回してみるとあるのは瓦礫の山ばかり。 際ほどまで展望台に居たはずなのに、なんでこんなコンクリートの上で寝てるのだろう? (……いたっ!?) 取りあえず起き上がろうとしたら、背中にずきり、と痛みが走った。 どうやら思いっきり地面に叩きつけられたらしく、暫くマトモに走れそうにも無い。 それに足も何か刃物で刻まれたような痕が残っている。 其処から流れ出る血に『中てられそう』になりながらも、レイチェルは状況把握に努めていた。 「…………あ」 そこで思い出す。 ついさっきまでこの瓦礫の山となる前の展望台の上で何があったのかを。 自分が『姉上』に何をしたのかを。 「あね、うえ――――?」 しかしその後の事は覚えていない。 大帝の拳が展望台を砕いて、足場を無くした自分がそのまま大地に叩きつけられたのまでは理解できた。 でも姉上は? 大帝の拳を真正面から受け止めようとした姉上はどうなった? 「あ――――」 だが見た。 見つけてしまった。 「あ、ああああああああああああ……」 瀧上の双龍。 エヴァの引き当てた、彼女自身の武器。 しかし自分の真正面に転がっているソレには柄しかなくて、 「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 その柄には手首とその先しかついていなかった。 他の肉体は何処にもない。 エヴァの形成するべき他の部分は、何処にもなかった。 全部、押し潰されてしまった。 「あ、ああ……あああああああああ」 レイチェルの頭の中が沸騰する。 目の前に転がる姉の『成れの果て』の姿を見て中てられつつありながらも、胸の奥からこみ上げて来るどうしようもない何かは留まることを知らずに流れ出てくる。 「あねうええええええええええええええええええええええ!!」 それ以上は言葉に出来なかった。 どうしてあんなことしたんだよ、と恨み言を叫ぶことは出来ない。 ごめんなさい、と謝ることもできない。 言うべき対象はもう何処にも居ない。 何を言おうにも、届かない。 ただ、虚無の中に取り残されてしまうだけ。 【エヴァ@T.C UnionRiver 死亡】 【展望台跡 レイチェル@T.C UnionRiver】 [状態]:全身打撲、足に切り傷、精神的に錯乱状態(大) [装備]:大帝@リレッド(だれかや!) [道具]:展望台が破壊された際失う(自分の道具を使って名簿等を確認するのは不可能) [思考・状況] 基本:本能を抑えつつ、ゲームには乗りたくない 1、半ば不可抗力でエヴァを失い、混乱 2、身体のダメージは深く、激しい運動は制限される 3、他の姉妹と合流したいが、合わせる顔が無い 4、殺戮衝動を抑えきる自信を失う (備考) 大帝は普段は消えていて、レイチェルが呼び出すと何処からとも無く出現する。 レイチェルの意識がなくなると大帝は消えるので、ずっとその場で出続けているわけではない。 殺戮衝動が起きていると彼女の本能と比例するようにして暴れまわるが、コントロールしている張本人であるレイチェルに危害が加えられることはほぼ無い。 Back 情報収集、そして合流へ Next 哀しみの向こうへと辿り着けるのなら
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千葉紀梨乃と坊屋春道の二人は、氷川村を目指して歩いていた。 「トイレって言ってたんで、またお腹痛くなったのかと思っちゃいましたよ~」 「ああ、腹はもう大丈夫だ。キリノちゃんのくれた薬のおかげだな」 口の端を「んっ」と持ち上げ、猫の口のような形にさせながらそう言う紀梨乃に対し、 春道は腹をポンポンと叩いて答え、「はっはっはっ」と笑う。 正午に行われた放送の内容は二人に大きな動揺を与えたが、 春道がトイレだと言って紀梨乃と離れていた間に二人とも持ち直したようで、 今では、そんな風に他愛の無いやり取りが出来るようになっていた。 「…………」 それでも、ふと会話が途切れると紀梨乃の頭には剣道部の仲間達のことが浮かんできて、 言いようの無い不安が心を支配する。 (サヤ、タマちゃん、ミヤミヤ、ダンくん) 今回のプログラム、室江高校からは明らかに剣道部のメンバーが選ばれている。 そして、今回室江高から選ばれた全員の入部届けを書いた、又は書かせたのは紀梨乃だった。 (……サヤ、あたし、どうすればいいのかな?) 中でも、サヤこと桑原鞘子と紀梨乃は小学校以来の親友だ。 紀梨乃は心の中で親友に語りかけ、彼女ならどう返すか想像してみた。 (当たって砕けろだって、やるっきゃないよ!キリノ) そんな抽象的な、勢い任せの一言が返ってくる気がした。 「お、村が見えてきたぜ」 春道が、いつの間にかうつむいて黙り込んでしまった紀梨乃の気を紛らわせようと、 努めて明るい口調で、村が近い事を告げた。 「あそこにキリノちゃんの友達がいるといーな」 「ん~、そうですねぇ。早くみんなに会いたいっす」 笑顔を作って春道に答える紀梨乃だったが、心の中では先ほどの続き。 鞘子に言われた(気がする)言葉への返答を考えていた。 (そうだよね、やるっきゃないよね!) 一つ決心をして、紀梨乃は顔を上げた。その目に迷いは無い。 紀梨乃は「すぅぅ」と大きく息を吸い込み、剣道のかけ声の要領で大声を出した。 「サヤー! タマちゃーん!」 「おお!?」 突然の大声に驚く春道をよそに、紀梨乃は声を出し続ける。 「ミヤミヤー! ダンくーん! 聞こえたら返事してー!」 ■ ■ ■ 川田章吾の眠りは、本当につかの間のものとなった。 周防美琴が出て行ってからそれほどしない内に、女の声によって起こされたのだ。 「うっ……何だ?」 頭の痛みを堪えて、川田は耳を澄ます。 「ミヤミヤー! ダンくーん! 聞こえたら返事してー!」 聞こえてきた声は、周防美琴のものではない。 そしてその声は、段々大きくなってきている。 どうやら、川田のいる診療所に近付いて来るようだ。 (くっ、どうする?) 川田は、つかの間の睡眠によってほんの少しだけ戻って来た冷静な部分をフルに使って考えた。 (今はプログラムの最中、こいつは間違いない) 記憶が混乱していて前後がハッキリとは思い出せないが、 ここがプログラムの会場、殺し合いの舞台であることには違いない。 (近づいて来ているのは、女か。誰かを探しているみたいだが……) 近づいて来ているのは女の声だ。 声の様子から誰かを探しているようだが、殺し合いに乗っているかどうかは不明。 (くっ、頭が……こんな状態では……もし女が殺し合いに乗っていたら) 頭の痛みが強まった気がした。 今の自分はおそらく脳震盪を起こしている。本来なら、数日は安静が必要な状態だろう。 もし、声の主が殺し合いに乗っていた場合、今の自分では大した抵抗も出来ずに殺されてしまう。 (せ、接触は……避けるべき、か) 川田は、痛む頭で何とかそう判断するとデイバッグ他、荷物をまとめて裏口から診療所を出た。 「ぐっ……」 しかし、川田は診療所を出たところですぐに尻餅をついてしまい、裏口のドア付近の壁に寄り掛かって動けなくなってしまった。 安全を期すならもっと離れなければと思うのだが、もう体が言う事を聞かない。 やはり、安静にしていなければ駄目のようだ。 「みんなー、いないのー?」 そうしている内に、声の女が診療所に入って来た。 川田は何とかやり過ごそうと、壁に寄り掛かった状態で息をひそめる。 「あれ~?誰もいないの?」 女の足音が診療所内を移動する。 それに続いてもう一つ、別の足音が診療所内に入って来た。 「誰もいねーのか?」 「う~ん、こんな風に地図に載ってる場所だし、誰かいると思ったんですけどねぇ」 どうやら、男女の二人組だったようだ。 その後しばらく、二つの足音が探し人を求めて診療所内を動いていたが、 やがて、誰もいない事が分かったのだろう。足音が出入り口の方へ移動し始めた。 「やっぱ、ここには誰もいねーみてーだな」 「ですねぇ」 (そうだ、このままどっかに行っちまえ) しかし、そのまま立ち去るかに思えた足音の一つが、川田の思いに反して診療所を出る前に止まった。 「あ~、でも一応、裏の方も確認しときますね」 「そーか」 (な、なに?) 例の男女がそんなやり取りをしたかと思うと、足音(多分、女の方だ)がどんどん川田のいる裏口へ迫って来た。 (くっ、くそ……) 運を天に任せるのは川田の趣味ではないが、こうなってしまうと川田には足音の主が殺し合いに乗っていない事を祈る他なかった。 女がドアノブに手をかけたのだろう、裏口のドアがカチャリと音を立てた。 「おーい、紀梨乃ちゃん」 その瞬間、川田とは反対側、診療所の出入り口付近から男の声がした。 「ん? はーい、なんですか~」 開きかけた裏口のドアが戻され、パタパタと足音が遠ざかっていく。 そして、バタンと出入り口のドアが閉まる音がしたのを最後に診療所内から人の気配が消えた。 (……行ったか) 川田は大きくため息をついた。 ■ ■ ■ 「なんすか~?」 「なーキリノちゃん。あれ、使えそうじゃねーか?」 紀梨乃が診療所から出てくると、春道がやや興奮気味に診療所の向かいにある民家を指していたが、しかし紀梨乃にはそれが普通の民家にしか見えなかった。 「ん~?」 「向こうから来た時は気がつかなかったぜ」 どう反応していいか分からない様子の紀梨乃をだったが、春道はそんな事を言って民家へ駆けて行った。 「ちょっ…………ああ」 春道はその民家の前へ駆け寄ると、家の前に停まっていた原付スクーターをいじり始めた。 どうやら、春道が指差していたのはこちらだったようだ。 (そっか、乗り物があれば……でも、やっぱりカギが無いと動かないよねぇ。 あ、春道くんが家のドアの方に……そっか、家の中ならバイクのカギあるかな? でもドアの鍵が閉まってるみたいだねぇ。って、ドアを蹴破った!?) 春道のそんな行動を見た紀梨乃が唖然としていると、春道はすぐに民家の中から出てきた。 どうやら原付のキーは、玄関を入ってすぐの所にあったようだ。 そして春道が原付に差し込んだキーを捻ると、ブロロロと原付のエンジンが回り始めた 「おし! キリノちゃん、これに乗っていこーぜ!」 「え~、でも……」 原付に跨り、紀梨乃にも後ろに乗るように勧める春道だったが、紀梨乃は躊躇していた。 人の原付、ノーヘル、二人乗りなどに関しては、灯台で色々と物色した物を持ってきている時点で今更だが……。 「荷物も多いし、二人乗りは危なくないですか?」 もう少し荷物が少なければ問題ないだろうが、紀梨乃の言う通り、今は荷物が多く二人乗りは危険そうだ。 「ムムッ、そーか」 紀梨乃との二人乗りを断られた春道は少し残念そうだったが、 すぐに顔を上げてキョロキョロと辺りを見渡すと、エンジンのかかった原付をそのままに、 他の家の方へ走り出した。 「あ、また……ん~、まさか」 その家の横にも原付が止まっているのが見えた時点で、春道が何を考えているのか察しのついた紀梨乃はその場で待つ事にした。 案の定、しばらく待っていると春道が原付をもう一台調達して紀梨乃の所へ戻って来た。 「紀梨乃ちゃんの分、持って来たぜ」 「は、はぁ」 意気揚々と戻って来た春道の気持ちはありがたい紀梨乃だったが、一つ問題がある。 「でも、あたしスクーターとか乗ったことないですよ~」 無免許などはこの際置いておくとして、紀梨乃は今まで原付を運転したことが無かった。 「大丈夫だって、チャリと全然変わらねーからよ。チャリには乗れるだろ?」 「まあ、いつも通学で乗ってますけど」 「ならへーきだって。ちょっと乗ってみよーぜ」 「ん~分かりました、乗ってみるっす!」 軽いノリで勧めて来る春道に、紀梨乃の方が折れた。 それに、紀梨乃の方もまんざら興味が無いわけではない。 「ブレーキはチャリと同じな。で、右のグリップが……」 簡単に原付の乗り方を春道から教えてもらい、いよいよ紀梨乃は原付に跨った。 「それじゃ、行きますよ~……っとと、お、おおぉぉぉ」 紀梨乃が原付のスロットルを捻るとエンジン音が高まり、紀梨乃を乗せた原付が走りだした。 走り出すときだけ少しふらついた紀梨乃だったが、スピードが上がってくるとバランスを取り戻し、そのまま50メートルほど走った後Uターンして春道の所へ戻って来た。 「ウマイウマイ。な、簡単だろー」 「あはは、これなら何とか乗れそうですね」 少し走っただけだが、紀梨乃は春道に笑顔でそう答えた。 「それじゃ、紀梨乃ちゃんの友達探しに行こーか。まずは村ん中探してみるんだろ?」 「そうですね~。あ、でも南側はもうすぐ禁止エリアになるんで、探すなら北側ですね」 「よし」 そうして、二人は原付に乗って村の中を探索するのだった。 (二人乗りは駄目だったが、女の子とツーリングってのも悪くねーな。ムフフ) などと春道が考えていたかどうかは、神のみぞ知る。 十数分後。 「結局、誰も見つかりませんでしたねぇ」 村の北側を一通り回った紀梨乃と春道だったが、収穫はゼロ。 紀梨乃の室江高メンバーはもちろん、春道の鈴蘭高校の生徒も、他の学校の参加者とも、 誰とも出会わなかった。 「この村には誰もいねーのかもな」 「むぅ、仕方ないですね。それじゃあ、次の村に行ってみましょうか」 そう言って紀梨乃が地図を広げ、春道もその地図を覗き込んだ。 「次っつーと、この平瀬村か」 「はい。あ、でもここ、H-3が禁止エリアになるんですね。時間はまだありますけど」 今、紀梨乃達がいる氷川村と平瀬村とを最短距離でつなぐ道は、これから約二時間後に禁止エリアになる。 時間的には余裕があるが、もしもその場で何かあって動けなくなったらと考えると、その道を通るのは危険かもしれない。 「……ちょっと怖いし、まずこっちの鷹野神社に行って、それから回り込みませんか?」 「フム、紀梨乃ちゃんがそう言うなら、オレは構わねーぞ」 こうして二人は、鷹野神社を目指して原付を走らせるのだった。 【I-5 道/1日目 午後】 【千葉紀梨乃 @BAMBOO BLADE】 [状態]: 健康 [装備]: 短刀 、原付スクーター [道具]:デイバッグ、支給品一式、チャッカマンなどの雑貨数点、常備薬 [思考] 基本:殺し合いはしない。 1:室江高校のみんなを探す 2:そのために島を一周する。次は鷹野神社経由で平瀬村へ 3:春道は、信用できそうだと思っている [備考] ※春道から、加東秀吉以外の鈴蘭高校出身者の特徴を聞きました。 【坊屋春道@クローズ】 [状態]:健康 [装備]: ワルサーPPK、改造ライター(燃料:90%)、原付スクーター [道具]:デイバッグ、支給品一式、救急箱、缶詰、私物のタバコ、ワルサーPPKのマガジン [思考] 基本:キリノと仲を深める 1:キリノを守る 2:電話番号をもらう 3:できれば、その先も…… [備考] ※紀梨乃から、室江高校出身者の特徴を聞きました。 ■ ■ ■ 原付に乗って走り去る二人を、物陰から見ている男がいた。 彼の名は花澤三郎。 鈴蘭高校一年生で、春道の後輩だ。 「坊屋さん……」 花澤は春道が他の学校の生徒と行動を共にしているのを見て、やっぱりなと思った。 そんな気はしていた。 春道の性格なら、こんな殺し合いに乗ったりはしないだろうと、分かっていた。 だから、出来れば殺し合いに乗っている自分を見られたくなかった。 そして花澤は、春道に話しかける事も出来ず物陰に隠れてしまったのだ。 (また、殺せなかった……) せっかく伊藤真司を禁止エリアに置き去りにして覚悟を決めた花澤だったが、 あこがれの先輩である春道の連れを殺すことは出来なかった。 (……坊屋さん、オレはあなたとは別の道を行きます) 春道達が見えなくなると、花澤は春道が走り去った道をあえて反対側へ歩き出した。 (次こそは、次こそは殺す!) 心の中で自らを叱咤し、花澤は歩き続けた。 【H-7 焼場付近/1日目 午後】 【花澤三郎@クローズ】 [状態]:喧嘩のダメージ(中度) 疲労 [装備]:ショットガン(SPAS12) アーミーナイフ [道具]: デイパック・支給品一式、単車のキー、ランダムアイテム1(武器ではない) 結束バンドの束 [思考] 基本:仲間を生かして帰す 1:次こそは殺す、殺せる、ころせる……! 2:最低の男になってでも、仲間と生き残る 3:坊屋さん…… ■ ■ ■ 「くぅ、取れない!」 氷川村、J-6エリア。 木の根元で、周防美琴は伊藤真司の指に巻き付いた拘束を何とか解こうと悪戦苦闘していた。 この場所が禁止エリアになるまで残り数分。 しかし、伊藤をこの場に拘束している結束バンドは一向に外れない。 焦りばかりが募っていく、そんな時だった。 「なあ周防、何か聞こえないか?」 「何かって?……あ!」 バイクのエンジン音のような音が聞こえた気がして、伊藤が発した言葉に美琴が顔を上げ、そして気がついた。 確かにエンジン音は美琴も聞こえたが、今はそれどころではない。 美琴が気付いたのは、すぐ近くに民家が一軒建っているということだった。 「ちょっと待ってろ!すぐ戻る!!」 「あ、ああ」 そう言い残し、その民家へダッシュする美琴。 そして民家にたどり着くと、すぐさま中を物色した。 「何か、何か無いか!?……あった!」 そして美琴はごく普通のハサミを見つけると、すぐにそれを持って伊藤のもとに戻った。 ハサミを入れると、素手ではあれだけ苦労しても外れなかった悪魔の拘束がパチンと音を立ててあっけなく外れた。 「よし、伊藤、走れ!」 「え?」 伊藤の拘束を解いた美琴は、伊藤に肩を貸して立ち上がらせると、 戸惑う伊藤に、今まであえて言わずにいた事実を告げた。 「いいから走れ!ここはもうすぐ禁止エリアになるんだよ!」 「なに!?」 そうして二人は全力で走った。 「はぁ、はぁ、はぁ……」 「ハァ、ハァ、ハァ……」 花澤三郎と殴り合った伊藤はもちろん、美琴も水を持って走ったりして疲れていたが、 二人とも、悲鳴を上げる体に鞭打って走った。 途中、美琴が一度見た口の開いたデイバッグが落ちていたが、 その場所がJ-6の外である保証は無かったため、それには構わず走った。 やがて、氷川村のもっとも南側にある道にたどり着くと、二人はそこに倒れ込んだ。 「はぁ、はぁ……、よし……ここまで来れば、大丈夫だ」 地図にあるエリアの境界には、実際に線が引いてあるわけではないので、 どこからが禁止エリアになるのか参加者には分からない。 しかし、美琴の記憶では道路にさえ出れば、そこはJ-6エリアではなかったはずだ。 「ハァ、ハァ、周防……俺を助けるために、危険を……」 禁止エリアの中に拘束されていた自分を、周防は命がけで助けてくれた。 伊藤はその事に感動し、尊敬の念を込めた視線を美琴に送っていた。 「そ、そんな、改まって言われると……照れるじゃねーか! ま、まあ気にすんな!!」 美琴は、照れ隠しに伊藤の背中をバンバンと叩いた。 「イテテテ」 それが花澤にやられた傷に触り、顔をしかめた伊藤を見て美琴は診療所へ伊藤を連れていくことにした。 残してきた川田の事も気がかりだ。 「悪い、大丈夫か?この先に診療所があるから、とにかくそこへ」 「ああ、分かった」 美琴は立ちあがると、再び伊藤に肩を貸して診療所へ向け歩き出した。 あのエンジン音はもう聞こえなくなっていた。 「ところで、さ。一体、誰にやられたんだ?」 少し歩いたところで、美琴がそれまで聞き辛かった話を切り出した。 美琴も遠目には犯人を見ている。伊藤を引きずっていたあの男。 伊藤とあの男は戦い、そして伊藤が敗れたのであろう事は、美琴にも想像がつく。 そのことで、伊藤のプライドは少なからず傷ついたはず。 しかし、今後の事も考えると聞かないわけにはいかない。 そして、聞くなら早い方がいい。 「……花澤とか言ったな」 「…そいつ、殺し合いに乗ってるんだよな」 「……だろうな。やり合ってた時には、そんな風に思えなかったんだが」 負けた喧嘩の事を女に話すのは気が引けた伊藤だが、美琴は命の恩人だし、 相手が殺し合いに乗っているとなれば、知っている情報は話しておくべきだろう。 そう考えた伊藤は、自分が分かる限りの事を美琴に話した。 「でも、なんで禁止エリアに置いて行くなんで方法を……」 「分からねーけど、大方、直接手を汚すのを嫌ったんじゃねーか?」 「くっそ……と、あそこだ、診療所」 花澤についての話が一通り終わったところで、二人は診療所にたどり着いた。 「あれ?川田?」 中に入ると、川田章吾の寝ていたはずのベッドが空だった。 「川田って?」 「ああ、話してなかったな。川田ってヤツをここに寝かせておいたんだ。 そいつ、怪我しててさ。動ける状態じゃなかったはずなんだけど……」 そう言って、美琴達が診療所の中を見渡していると、裏手の方から声がした。 「こ、こっちだ……」 「……川田?」 美琴が診療所の裏口を開けると、外に川田がデイバッグを抱えて座り込んでいた 「川田、どうして?」 「……他の、誰かが、来て……隠れた」 「そうか、分かった。とにかくベッドへ行こうな。これからはアタシが見張ってるから」 「ぐっ」 美琴は川田に肩を貸して元のベッドへ連れて行くと、まだ調子の悪そうな川田を寝かせた。 ベッドに横になると川田は目を閉じ、間もなく寝息をたて始めた。 やはり、まだ起きていられる状態ではなかったようだ。 「そいつが川田か」 「ああ、頭を強く打ってるみたいなんだ」 「そうか、可哀相に」 まさか、自分の投げたバットが命中したとは露ほどにも思わない伊藤がそんな事を言う。 「さてと、伊藤の方も手当てしないとな。ここなら包帯とかもあるし」 そんな伊藤に対し、診療所内にある薬などを確かめながら美琴が言った。 「それじゃあ伊藤、服脱いでくれ」 「え?」 【I-7 診療所/1日目 午後】 【川田章吾@バトル・ロワイアル】 【状態】後頭部に強い打撲 発熱 眠っている 【装備】金属バット 【道具】デイパック、支給品一式 タバコ コンドーム一箱 鍋のふた 【思考】 基本:自分の記憶の破綻に気づき、混乱している 1:頭が痛い痛い痛い 2:おれはだれなんだ 3:けいこ 補足: 川田は放送のため、自分の記憶の破綻に気づきました。そのため、自分が何者なのか、 ここがどこなのか、わからなくなっていますが、少なくともプログラムに参加している事は理解しています。 今は若干落ち着いて眠っていますが、次に目覚めたときに元の川田に戻れるかどうかは わかりません。 【周防美琴@スクールランブル】 【装備】: 【所持品】 支給品一式、ロープ 【状態】:拳に軽症、疲労 【思考・行動】 基本:仲間を探す。襲ってくるものに容赦はしないが殺しはしない 1:伊藤の手当てをする 2:川田の様子が気になる 3:同じ学校の仲間を全員探したい 【伊藤真司@今日から俺は!】 【装備】: 【所持品】 【状態】:全身打撲(右腕の打撲は特に重傷)、拳に軽傷 【思考・行動】 基本:全員助ける。手段等は人を探しつつ考える。 1:脱ぐの……? 2:人は絶対に殺さない 3:マーダーに会っても根性で説得
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ドラクエモンスターズ テリー3Dすれ違い告知 小田原近郊で小生とすれ違いしたい方は足跡に書込み願います。 ↓の告知すれ違いは終了しました。お越し頂いた皆様ありがとうございました! 配布日:2012年07月22日(日)13 00~13 30目途 場所 :小田原駅中央通路 アークロード市民窓口横 出し物:1)エグチキ エリスSP配信データの再配信(前半20分位) 1stロムよりエッグラチキーラSP配信データを添付します。 2ndロムよりエリスグールSP配信データを添付します。 2)ローカル配信(予告より追加しました!!後半10分位) 配布モンス…配布可能数 わたぼう…3 ワルぼう…3 じげんりゅう…1 欲しい方は声かけ願います。こちらは特に欲しいモンスありませんので気軽に声かけ下さい。 ↓の告知すれ違いは終了しました。お越し頂いた皆様ありがとうございました! 配布日:2012年07月15日(日)13 00~13 30目途 場所 :小田原駅中央通路 アークロード市民窓口横 1)ローカル通信配布(先着です!!前半15分位を予定) 配布モンス…配布可能数 わたぼう…5 ワルぼう…5 スペクテット…2 キラースコップ…2 ヘルビースト…1 ルール ・基本は声かけでお願い致します(こちらは何が欲しいか分からない為)。先着で声かけ優先致します。 ・声をかける方がいらっしゃらなければ、こちらからローカル募集をします。 その際はわたぼう・ワルぼう(配布可能数が越えていれば片側だけ)を送ります。 2)すれ違い通信(後半15分位を予定) 1ロム目…エビルチャリオット・スペクテット・キラースコップ・ヘルビーストですれ違います。 2ロム目…スラ忍4色ですれ違います。 ↓の告知すれ違いは終了しました。お越し頂いた皆様ありがとうございました! 配布日:2012年06月11日(月)19 00~19 30 場所 :小田原駅中央通路 アークロード市民窓口横 すれ違いモンスター:地方配信スラ忍各種・Akiヨドマジンガー ・小生1ロムの為、下記の通りスラ忍をすれ違い致します。 1)06月09日秋葉原配信の他人様のすれ違いデータにて忍者 橙・緑・黒・桃を添付します。 2)その他の色(黄・赤・茶・青)は小生のデータより配布いたします。 ・上記1)・2)を15分位流した後、Akiヨドマジンガーに切り替えます。 なお基本はすれ違いの為、開始・終了告知は致しません。
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すれ違いし意思よ! ◆ncfd/lUROU 遊園地。本来ならば大衆が集い様々な娯楽に興じる夢の園だ。 しかしながら、この殺し合いの中では夢の園などそれこそ夢物語。 賑やかな音楽も動き続けるアトラクションも、殺し合いの最中とあってはただ見るものに場違いだという印象を与えるだけだ。 そんな場に、一人の少女がいた。 その身に纏いし黒は夜の闇のように深く、その身を染めし白は日の光のように眩しい。 まさに陰と陽、闇と光。 そのような相反する二つの要素を統べる魂は、混沌すらも魅了し従える。 瞳に映るは地獄の業火。髪に宿るは無慈悲なる銀光。 少女を構成する様々な要素が、まるで少女が常世とはかけ離れた存在であるかのような印象を周囲に与えている。 それでも、少女は普通の女の子だった。 そう、殺し合いに苦悩し目に涙を浮かべる、普通の女の子。 その名を、神崎蘭子といった。 ★ 「光無き世界よ!(どうしよう……!)」 私は、どうしたらいいんだろう。 ベンチに座り込んだ私は、ただそれだけを考えていました。 「殺戮の宴に躍り狂うか(殺し合いに乗るべきなのかな……)」 私はプロデューサーを助けたい。 プロデューサーと一緒にいたい。 そのためには、殺し合いに乗って、優勝しなくちゃダメで。 だって、そうしなきゃプロデューサーが殺されちゃうから。 プロデューサーに死んでほしくない。 もっとずっと、私を見守っていてほしい。 それに、私だって死ぬのは怖い。死にたくなんて、ないんです。 「望まれざる鮮血の結末(でも、誰も殺したくなんてないよぉ……)」 私はプロデューサーの期待に答えたい。 そのためにも、なおさら誰かを殺すなんてできなくて。 だって、プロデューサーは優しいから。 自分のために私が誰かを殺すことを、誰が殺されることを、プロデューサーはきっと望まない。 それに、誰かを殺すなんて人として、アイドルとして間違ってるって、そう思うんです。 殺し合いに乗らなくちゃいけないと思う私も、誰かを殺すなんてできないと思う私も、どっちも本当の私です。 だから、どっちか一つだけなんて選べなくて。 「明日見えぬ我が旅路よ……(プロデューサー、私、どうしたら……)」 ぽつりと漏れた呟きは、この場にいないプロデューサーに頼ろうとしているもので。 プロデューサーの助けになれるアイドルになってみせると誓ったのに、結局プロデューサーを頼っている自分が情けなくて。 気がつくと、頬を涙が伝っていました。 「大罪抱きし我が身に戒めを……(ダメ……こんなことじゃまたプロデューサーに迷惑かけちゃう……)」 そう思うけれど、拭っても拭っても涙は止まってくれなくて。 「ううぅ……ごめんなさい……ごめんなさい……」 私は泣き続けることしか、できませんでした。 ★ 赤城みりあはじっと息を潜めていた。 幼いみりあにとって、暗闇とはすなわち恐怖そのものだった。 だから、見えた明かりに向かって必死で走った。 そうしてたどり着いたのは、遊園地。 普段のみりあならばおおはしゃぎするであろう場所だ。 しかし、彼女ははしゃがなかった。声さえ上げなかった。 何故なら、先客がいたから。 みりあに背を向けベンチに座る、ひらひらとした黒い服を着た少女。 アトラクションの影から顔を出して様子を伺うみりあは、その少女を知っていた。 (あれって……蘭子ちゃんだよね?) 神崎蘭子。何を言ってるのかよくわからないから会話したことはあまりなかったが、間違いなく知り合いだ。 声をかけようと足を踏み出したところで、みりあの脳裏にある光景がフラッシュバックする。 それは誰かのプロデューサーの首が爆発して、その体が血溜まりの中に倒れ込む、そんな光景。 人が死ぬ瞬間。頭のない死体。断続的に溢れ出る大量の血。 どれもこれも、みりあにトラウマを刻み込むには十分すぎる出来事だった。 もし蘭子が殺し合いに乗っていたら、みりあ自身もあのような目に合わされるかもしれない。 そう考えると、声をかけるなんてできない。 だからみりあは、何をするでもなくただじっと息を潜めているのだった。 「殺戮の…………狂うか」 そのとき、蘭子が呟いた。 賑やかな音楽に一部がかき消された言葉は、なんとも物騒な意味を持っていて。 幼く、蘭子との交流も少ないみりあには、その言葉の真の意味などわかるはずもなくて。 だからそれらは、怯えるみりあにさらなる恐怖と、蘭子が殺し合いに乗っているのだという誤解を与えるには、十分すぎた。 「……ざる鮮血の結末」 そしてそれは続けて呟かれた言葉も同様で。 だからみりあは、その場から逃げ出した。 足音は音楽に紛れて蘭子には届かない。 遊園地を出て、再び夜の闇の中へ。 先ほど恐れた夜の闇も、殺されるかもしれないということに比べれば大したことなんて、なかった。 【F-4/一日目 深夜】 【神崎蘭子】 【装備:なし】 【所持品:基本支給品一式×1、不明支給品x0~2】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:どうしよう…… 【赤城みりあ】 【装備:なし】 【所持品:基本支給品一式×1、不明支給品x0~2】 【状態:健康、恐慌】 【思考・行動】 基本方針:逃げる ※蘭子が殺し合いに乗っていると思っています 前:彼女たちのためのファーストレッスン 投下順に読む 次:それぞれの本分 前:彼女たちのためのファーストレッスン 時系列順に読む 次:それぞれの本分 神崎蘭子 次:ドロリ濃厚ミックスフルーツ味~期間限定:銀のアイドル100%~ 前:~~さんといっしょ 赤城みりあ 次:Ciranda, Cirandinha ▲上へ戻る
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今日プレイ時間400時間越えのやつとすれ違ったんだけど 日時: 2010/10/05 22 41 名前: ああ 発売して18日で日で割ったら1日22時間イッシュで過ごしてることになるんだが 日時: 2010/10/05 22 46 名前: ああ 家の中でつけっぱにしといても結構人とすれ違うから基本つけっぱにしてる 日時: 2010/10/05 22 48 名前: ああ どんな家だwwww 日時: 2010/10/05 22 53 名前: ああ 家でやってたら隣に住んでる2つ下のJKっぽいログに入ってた。 俺はキャラ女でアイコン幼女でプレイ時間200時間超えててセリフが「おねがい おにいさん! ドキドキ して!」なんだけど 明日からどうしよう… 死にたい… .
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男は疾走する。 長い髪をなびかせ。 男は徘徊する。 男は目を閉ざす事は無い。 目を見開いたその先に。 鈍い眼光を乗せた視線を向けた先に。 一体何が待っているのだろうか。 リッター=シュナイドは、疾走していた。 ◆ ◆ ◆ 男が走り去った後、木の陰からガタガタと震える小さな影が姿を現した。 正式名称、マイクロマスター・ケット・シー・タイプフサルク。 呼称、シィル。ネコミミをしているが、コスプレでは無い。 木に手を付き、体重を預けていた地面からヨロリと立ち上がる。 「行った・・・ッスか・・・?」 シィルは気付くと、北東の森と市街地の間あたりに飛ばされていた。 ここが殺し合いの場だという事など、もしあの『デモンストレーション』が無ければ、信じることも無かっただろう。 あの「ですわ」口調のリレッドが目の前で殺されてしまった事に、恐怖を頂いた。 動揺で身体が動かない状況から脱した所で、周りを見渡しつつ、バッグの中身を検めようとした、その時。 森の奥深くから、湿った落ち葉や枯れ木を踏みしめ、こちらへ近づく物音が聞こえた。 あくまで物音が聞こえたのは偶然。 沼地をドロを跳ね上げながら、速度を緩めずこちらの方向へと進んでくるではないか。 隠れようとは思った。が、身体が硬直して、動く事叶わず、その場で縮こまるだけに留まる。 まるで悪戯がバレてしまった子供のように。抗う事の出来ない運命をただ享受せざるをえない状況―――。 バッグを掴んでいた手がひたすら汗ばむ。喉が緊張でカラカラになる。 バシャバシャ・・・。 その足音は木の向こうの方向へと進んでいった。気付かれなかったらしい。 月明かりが偶然にもシィルの座り込んでいた場所以外を照らしていたことも幸いした。 「は・・・あぁああぁ・・・・」 よ、良かったッス・・・。 溜息をつく。心の底から、安堵した。今自分に訪れた不幸よりも、不幸中の幸いを喜んだ。シィルはそういう子である。 頭のミミをぴょこんと垂直に立たせながらも、気を取り直して手元のバッグの中身を取り出す。 先程森から出てきた髪の長い男は、自分には気付いていなかったようだが、いつ別の危険人物――明確な確証は無いが、シィルの本能は先程の足音の主に警戒のシグナルを出していた――が近づいてくるかは分からない。 武器があるなら、早く手元に置いておきたい。もしかすれば、失われていたナノマシン変身能力が戻るかもしれない。そうすれば物陰に隠れたり、最悪威嚇することだって出来る。 そして、シィルが引き当てたのは。 ◆ ◆ ◆ この、肌を焦がすような独特の緊張と感覚は――――戦場。 間違いない、ここは戦場だ。 背筋にゾクゾクと鳥肌が立ち、周りの暗闇が一層空気を重くする。 山の中。近くには住宅街が見下ろせる、木の上。 葉が周りを覆い、小柄な姿は周囲からは視認する事が出来ない。 ヒメルは木の枝に腰をかけながら、息を潜めていた。 本来ならば、彼女は護るべきもののために戦場を奔走するだろう。 Vudratis banis隊長 ヒメルならば、そうする。 ――二度と腐るな。お前は『騎士』だ。騎士として気高くあれ! 頭の中にある最も新しい出来事。その幕中で言われた強いメッセージ。 騎士として、護るもののために戦場を駆る。それが、彼女がすべき事。 しかし、木から下りようとしたところで、足元近くの沼地を駆ける人影が見えたので、彼女はすぐさま行動する事をやめた。 「・・・」 一目見て、どんな人間かを把握して――― 「・・・・!?」 暗く、足元の跳ね上がる泥が邪魔をし、シルエットしか見えなかった。黒く、長い髪。体格は、男だろう。 (なに、この感じ・・・!?) 頭を抑える。違う、コレは。誰かに、似ている。似ている? 誰に。 苗字を―――くれる・・・? 違う、アレは。 誰だろう。 誰だったのだろう。 灰楼の刺客と、戦ったとき。 助けてくれた―――リュースではない、誰か。 私が騎士として、次に会ったときに、しっかり皆の道標になりうる騎士になっていたのなら。 ひどく混乱する。 あの人と対峙して、話していた時。私は確かにあの人を認識していた。彼は私の記憶の中にいた。その人に、似ている? 知っているはハズなのにまったく知らないコト。私はこの事実に恐怖すら覚えたこともある。 思考の中の混乱の度合いが大きくなり、頭を侵食していく。 バシャシャ・・・。 右手で頭を抑えていた間。ほんの数秒だったが、既に男の後姿は見えなくなってしまっていた。 誰だったのだろう、アレは。 普通なら接触して、目的を問い、殺し合いに乗っているのなら止めなくてはならない。 それがヒメルが自身に負った責務のはずだったのだが、思考している少しの時間で彼はこの場から去ってしまった。もし、今の彼が人殺しだったら自分の落ち度だ。 「・・・・く」 だが、反省している場合ではない。 かぶりを振り、体重を預けていた木から飛び降りる。 と、先程の男が走り去った沼地の近く。飛び降りている間、ほんの少しの時間だったが、何か―――獣の耳のようなモノが見えた気がした。 ◆ ◆ ◆ ガシャンッ。 また近くで音がした。金属音だった。 再び身体が強張る。シィルはもう嫌だった。 人が死ぬのも、人に殺されそうになる不幸も、この暗闇も、嫌で嫌で仕方が無かった。 カシャン・・・カシャン。 見つかったのだろうか。その馴染み深くない音は、彼女に死を齎そうという死神の足音に聞こえた。 あと数秒で、木の茂みの向こうから、暗闇の向こうから、自分を襲いに来る何かが姿を現すだろう。 先刻とは違う。明確に自分の場所を分かっている。 怖い。 怖い怖い怖い。 来るな。 来るな来るな来るな。 姿を、現した。 もう駄目だ。私は、死ぬ。 死ぬ? こんな所で―――? 思考が恐怖で、完全に塗りつぶされた。 「大丈夫です、心配しないで―――」 「来るなあぁああぁーーーーッ!!!」 参加者名簿の裏に、筆箱から取り出したサインペンで描く。描いた物は、円状の、魔法陣。 次の瞬間、シィルを中心に半径3メートル。光が満ち、周りを照らした。 「!?」 これに驚愕したのは声を心配させないように声をかけたヒメルである。 木から下りる際に見えた姿は、恐らくシィル。直接の面識は無いに等しいが、報告書を通して知っている。 『この殺し合いに乗るような人間ではない』という事は、チラリと見ただけでもよく分かった。 ヒメルが木から下りた後、怯えた様子の人影の方向へと向かうと、いきなり目の前の視界が光で包まれた。 あまりにも明暗に落差があったため、とっさに腕で光をカバーする。もう目くらましにうろたえるのは遠慮したい。 光に目が慣れ、再び前を向くと、地面には魔法陣が描かれていた。 ヒメル自身がソレを使えるわけではないが、『魔法』やそれに順ずる現象には馴染みが深い。そして、それ以上に、この現象は、良く知っていた。 「デンダイン領域・・・!?」 描いた物を具現化、実現するヨミの能力。 が、この先に居る人間は、先程空中から見下げた限りでは、シィルの特徴と一致していた。確実に、ヨミのような黒髪をしてはいなかった。 眩しいが、その光源にいる人物を凝視する。 ネコミミが見えた。次いで、緑色の髪。そして、こちらを恐怖の目で見てくる、錯乱した視線が眼鏡の向こうに伺えた。 「来るな・・・来るなッス!!」 やはり―――シィル。だが、向こうはこちらの事を知らない。そして何より、恐怖し、憔悴し、威嚇している。 彼女の手が震えながらも、魔法陣内に絵を描いていく。 ヒメルは知っている。 デンダイン領域とは、魔法陣内に描かれた事柄を具現化していくモノである、と。 ヒメルは知っている。 それは一度発動したのならば、物理法則や質量保存の法則だろうと、具現化に伴ってそれらに縛られる事は無い、と。 ヒメルは知っている。 そしてその反面、解除すると領域内に起こった事柄は無かった事にされ『全て元に戻る』、と。 しかし。 ソレはヨミからの説明によるものだ。 ヨミは一度も悪意を以ってこの能力を使った事が無い。 ヨミの場合は、自分の欲求を満たすためではなく、どちらかといえば、その現象で遊ぶことがメインではなかっただろうか、とヒメルはそんな印象を受けていた。 これが本当にデンダイン領域で、普段と同じ能力だとするならば、恐れるに足らない。 何故ならば領域を解除する際に『全て元に戻る』からだ。 が―――ここで再び思考する。このデンダイン領域について、だ。 例えば。 銃を描き、陣内からその銃で外へ発砲した場合。 それは魔法陣を出た段階で鉛弾は消えうせる。 が、陣内で人が撃たれたら、領域解除時にそれも無かった事になるのだろうか。 例えば。 何でも耐えられる盾を具現化し、そこに外からバズーカでダメージを与えようとしても、恐らくその盾はキズひとつ付かないだろう。 が、領域解除時に盾が無かった事になるのなら『防いだという事実』もまた無くなるのだろうか。 答えは、『分からない』だ。 何故ならその事象に遭遇した事が無いし、それを試すことは術者の危険も伴うからだ。 何度かヨミの無計画ぶりに振り回され、領域内で別の生物に書き換えられた事もあったが、あくまでソレは遊びだ。 ヒメルには試すことは出来ない。 半狂乱になりながら、恐怖で身体を震わせているシィルを危険に及ばせる事など。 ヒメルが考察を続ける一方、シィルはこちらを恐怖の目で見ている。 ヒメルは甲冑を除けば、そんな目で見られる事など無いような容姿をしている。 多少ドレスが似合わないだけで、涙目になりながら睨んでくる程怖い顔をしているつもりもない。つうか、傷つく。 ヒメルはデンダイン領域には足を踏み入れず、しかしシィルに近づく事が出来るギリギリのラインまで踏み込む。 なんとかシィルをなだめないと、話も聞けないし保護も出来ない。なにより――― 「お、落ち着いてください。私は貴女に何かをするなんて事は無いですから!」 「信用なんて・・・出来ないッス・・・! はぁ・・・・はぁ・・・・こ・・・こっちに来るなら・・・ボクも容赦はしないッス・・・!」 明らかに虚勢であり、何よりも無理をしている。 能力が使えるようになるとはいえ、普通は魔力や精神力を糧に術式は発動する。 つまり、一般人に成り下がっているシィルが能力を発動するには明らかにスペックが足りていないのだ。 元々魔力などは無く。 精神は疲弊した状態。 残りカスになった精神を強引に使い、体力まで減らして彼女は領域というバリケードに立てこもる。 ガリガリッ。 そして震える手で地面に描かれた絵柄は―――巨大なクマ。 襲い掛かる脅威に恐怖しながらも、アーニャの事を心のどこかで心配していたことから脳裏に浮かんだ自分を護ってくれるモノ。 若干可愛らしくは描かれているが、敵を粉砕する目的で作られたそのキャラクターは何処と無くグ○ーミーを髣髴させる、愛くるしさと凶暴性を内包したものだった。 発現したクマに込めた願いは、敵の排除。排除排除排除!! 「グルルルルルルァアアァアーーッ!」 巨大グマが地面から発現、そしてヒメルに威嚇。さらに足元の岩を、半分埋まっていた状態から強引に力で引き抜いた。 ミシミシッ、という音共に、シィルとクマの頭上に岩が持ち上げられる。 「う、嘘ッ!」 「や・・・やっちゃえ・・・容赦無しッス!!」 「グルアァーッ!!」 咆哮。そして岩が発射される。デンダイン領域を超え、光を超えて、岩は消滅―――しない! ヒメルは身体を半身から逸らし、岩を回避する。当たらなければどうと言う事は無い――が、当たればダメージは必至の高質量の攻撃! ステップを踏んで、足に力を溜める。これ以上長引かせればシィルは能力に押しつぶされる。何より、彼女の表情が見ていて辛かった。 「ごめんなさい」 「・・・え?」 ぽつり。 呟いた直後、今までヒメルの足があった地面は見事にえぐれ、デンダイン領域中心部へ真っ直ぐ土ぼこりが立った。 そして、シィルの首元にトン、と手刀を当て、気絶させた。 規格外の身体能力を行使しての超スピードによる跳躍。シィルは視認する事で精一杯だっただろう。 同時に音も無く、領域が解除され、再び回りは暗闇に覆われた。巨大なクマも消滅していたことに若干の安堵を覚えながらも、ヒメルはシィルの身に大事が無かった事にほっと胸を撫で下ろす。 ぐたりと脱力し、地面に顔をぶつけそうになるシィルを慌てて抱える。 (・・・軽い) 予想よりも軽い体重が手にかかる。 こんな、殺し合いとは無縁な人間を戦場に放り込む等と、許される事ではない。 主催者―――灰楼に対する憤りを隠すことは出来ない。これ以上『正しい姿でない世界』など存在しないことは明確だ。 ヒメルはシィルを、バッグを枕にして介抱しようとする。 瞬間。 右肩に衝撃が走った。 「く!?」 「シィル殿を―――放すでござる!」 ヒメルが振り返ると、ビーダマンのような銃を構えた女の子がこちらを睨んでいた。 何と言うことだろうか。恐らく、不運にもシィルに手刀をかました瞬間のみを見られたのだろう。 距離は5m程離れている。先程の攻撃は、銃によるものとヒメルは推測したが、それどころではない。 「ちょっ、ちょっと待ってください!」 「む・・・?」 ◆ ◆ ◆ 「本当に申し訳ないでござる! 拙者、一生の不覚でござる!!」 「いえ、こんな状況ですし、仕方ないですよ」 「いやいや、まさかシィル殿を介抱した心優しい方を疑うなどと・・・ しかも威嚇射撃をと思ったのに見事に命中させてしまう始末!」 (え、誤射だったの・・・?) ヒメルの背後に、突如として現れたのは蒼龍騎士団が1人、ジーナだった。 開始から10分も経過していなかったが、街を目指していた彼女は、森の木々の間で光が見えたので、急遽そちらに向かった。 そして、草木の間からひょっこり覗くと、手刀を見事に決めるヒメルの姿が目に入り、慌てて止めようと威嚇射撃をしようとした。 が、不慣れな銃という武器なので、照準がままならず、ヒメルの右肩に当たってしまったのである。 「これからジーナちゃんはどうしますか?」 「拙者は自分の刀を探しながら、蒼龍騎士団の姉妹と合流するつもりでござる」 「そう、ですか」 なるほど。 確かに自分1人でこの殺し合いの中、正義の味方をやるのもいいが、それよりも頼れる仲間と合流するのも悪くは無い。 ヒメルは顎に手をあて、思考する。能力を取り上げられた今、身体能力のみの闘いではヒメルに追随する者は多くないだろう。 そういう意味では、1人で悪人に後れを取ることは無いとは自負しているが―――。 「ヒメル殿は」 「あ、はい?」 「ヒメル殿は、このゲームについてどう思うでござろうか」 「? といいますと―――?」 「このゲームに乗る、以外の事態の収拾の付け方でござる」 「・・・・そうですね。正規ルートだと優勝者1名が助かりますが、脱出に成功すれば、成功した人数だけ助かります。ただそれには・・・」 トントン、とヒメルは首輪を指で軽く叩く。 「コレを何とかしないといけないのと、どうやって会場に連れてこられたかを把握する必要があります」 「で、ござるな」 2人して、俯く。 首輪の解除、弱者の救済、武器の調達、とやるべき事が多い。 横で寝息を立てているシィルの事も心配である。 ヒメルは仲間との合流について、思考していた。 仲間、とはVudratis banisに所属する人間と定義して構わない。 の、だが―――先程見た男の後姿が妙に脳裏に張り付いている。 ――かつて、強力な力を誇った対戦争・対犯罪組織。 この組織の隊長を務めるヒメル。 果たして彼女がリッター=シュナイドという名を思い出すことが出来るのだろうか。 不運にも、彼女が呼び出されたのは、シュナイドという姓を貰う前。 ヒメルが、最も頼れるであろう人間を知らず。 そして、その最も頼れるであろう人間は―――人の救済を目的にせず、街を疾走していた。 運命の悪戯。 【北東―住宅街と森の境目手前/1日目/深夜】 【ヒメル@Vulneris draco equitis・basii virginis】 [状態]:右肩に小ダメージ(30分程度で完治) [装備]:不明 & 騎士甲冑 [道具]:支給品一式(中身はまだ見ていません) [思考・状況] 基本:弱者を護る、ゲームには乗らない 1:ジーナと情報交換 2:シィルが目覚めるまで待つ 3:殺し合いに乗った人間の無力化 4:弱者の保護をする 5:仲間と合流したい 6:首輪の解除・ゲームからの脱出案を練る (備考) 参戦時期:『BRAVE DRAGON』後、『Get Your NAME』前 ヒメル=シュナイドではなく、ヒメル。 【ジーナ@T.C UnionRiver】 [状態]:健康 刀不所持による不安 [装備]:白騎(びゃっき)・夜皇(やこう)@T.C UnionRiver(クロード) [道具]:支給品一式 [思考・状況] 1:ヒメルと情報交換 2:刀を探す 3:姉妹達との合流 4:他人と接触し、情報を集める 5:主催者に天誅! 6:・・・ほんの少し他の参加者と手合わせしたいでござる・・・ 【シィル@T.C UnionRiver】 [状態]:恐慌・混乱・体力消費(中)・精神疲労(大)・気絶 [装備]:筆箱@ヨミ(Vulneris draco equitis・basii virginis) [道具]:支給品一式 [思考・状況] 基本:助かりたい 1:気絶 2:アーニャ・カティを心配 3:不明 【北東 街~学校/一日目/深夜】 【リット@Vulneris draco equitis・basii virginis】 [状態]健康 [装備]不明 [道具]支給品一式 [思考・状況] 基本:目的の男を狙って走り回り、神出鬼没 1:目的の男を見つけ、正面から力を持って殺す 2:理性的思考力低下、ひどく感情的 3:邪魔者には容赦なし、売られた喧嘩は買う 4:情報収集のために他人を襲撃する場合有り (備考)移動速度が速かった事と、身体の向きが街の方向だった事から、 デンダイン領域が発した光や音には気付いていません Back 思考 Next 閃光の襲撃
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こんな時期になると爬虫類は冬眠を始めるというのに、爬虫類の様に、いや爬虫類以上に凶暴な涼宮ハルヒは元気が有り余っているらしく今日も不思議探索で足を軽やかに 運ばせている。 なんで哺乳類は恒温動物になったんだろうね。爬虫類のように変温動物だったらこの寒い外を出歩かず家の中でずっと眠っていられるのに。 それにしても本当にこの時期になると寒くなってくる。ここらへんの地域は時々雪は降るとはいえ積もりはしないため東北地方とかに比べるとまだマシかもしれないが、そ れでも生まれから育ちまでここの俺にとっちゃ沖縄にでも行かない限り寒いと言う感情は捨てきれないだろうね。 軽やかなステップで先を行くハルヒを前に俺ともう一人、柊つかさもさぞ寒そうにポケットからカイロを取り出し手袋越しに寒さを凌いでいるのが見える。 「今日はまた一段と冷えたね~、キョン君」 白い息を空に撒き、その行き先を眺めながら俺にそう言うつかさ。 「そうだな」 と相槌を打ち、俺もつかさの吐いた白い息の行き先を見る。 白い息が完全に消えつかさの方を見ると、つかさはじっと俺の方を見つめていた。 ピンクのボンボン付きのニット帽にマフラーと言う可愛らしい完全防備の服装である。 かくいう俺は帽子もマフラーもしておらず、防寒具といえばコートと手袋、それからポケットに忍ばせてある貼らないカイロぐらいである。 帽子は似合わないしマフラーもあるにはあったのだが、以前シャミによって無残な姿になってしまった為、今はもう使い物にならない。 そんなことよりも俺はさっきからじっと見つめてくるつかさが気になるわけで。 「どうした?」 「はうぅ!な、何でもないよ」 俺が不思議そうに尋ねると急に我に帰り慌てふためくつかさ。 「本当か?」 俺が問いただすと、 「あ、えっと……その」 とつかさは答えを渋らせる。 そして何か次の言葉をつかさが発しようとしたところで、 「何してんのよ。さっさと来なさい!」 といつの間にかはるか五十メートルほど前にいる団長様の号令によりその会話はあえなく終了となった。 次の日の放課後の活動からつかさに変化が表れる。 普段ならかがみや高良、朝比奈さんと会話をしたり、ボーっとしたりしていたのだがここ最近はずっとせっせと指を動かし何かを編んでいる。 必死に本を見ながら作っており、分からない所は所々朝比奈さんに聞いたりして再び編み続けているのだ。 恐らくマフラーかミトンなのだろう。だがつかさは両方持っていたし、誰かに上げる物なのだろうかね。 はて、つかさも一端の恋でもしたのだろうか。 そんなつかさを見て俺もマフラーを買わねばならんなと思った。 以前言ったとおり俺の前のマフラーはシャミの所有物となってしまったわけだし、この時期になるとマフラーがないと首元が寒くてやってられんからな。 「どうしました?」 そんなことを考えていると俺の前方から古泉が声をかける。 「いや、なんでもない」 そう言って古泉から奪い取った飛車を敵陣の中心部に置く。 「王手だ」 そう言いながら俺は天井を仰いだ。 古泉は将棋盤をじっと見つめながら、 「投了ですね」 と微笑みながら言った。 やれやれ、古泉はいつまで経っても強くならんな。 「こう見えても努力はしているのですが」 「その努力は結果となって表れていないがな」 そう言うと古泉は肩をすくめて言った。 「全くです」 また別の日俺は念願のマフラーをようやく購入し、学校へと着けていった。 あの長い長い坂を寒いながらも上りながら校門をくぐり、下駄箱へと向かう。 「あっ、キョン君」 と後ろから声がし、振り向くとそこにはつかさがいた。 「つかさか。おはよう」 「うん。おはよう」 そう言ってつかさは笑顔を見せたかと思うと、今度は少し俺の方をまじまじと見て、 「マフラー買ったんだ」 と訊いてきた。 「ああ、流石にこの時期に無いと厳しいからな」 「そうだよね」 つかさの方を見るとなぜかつかさは悲しそうな表情を浮かべていた。 「どうした?」 そうつかさに尋ねるとつかさは笑顔を作り、 「な、なんでもないよ」 と言って走って下駄箱を抜け教室へと向かっていった。 一体どうしたというのだろうか。 その日の活動から、つかさは編み物をしなくなった。 別に完成したわけでもなく、俺の記憶ではそろそろ仕上げといった所だったのに何故だろうか。 それだけではない。つかさがずっと落ち込んでいるように感じるのだ。 ボーっとする事なら多々あったが、これほどまでに落ち込んでいるのは珍しい。 やはり、何かあったのだろうか。 気にはなるのだが、尋ねようがない。見たところ泉や高良も原因が分かってなさそうだし、もはやお手上げ状態である。 「ちょっとキョン君」 肩をとんとんと叩かれ、かがみが俺に耳打ちをしてくる。 「活動が終わったら少し付き合って」 「何でだ?」 「いいから」 かがみなら何か知っているかもしれない。そう思い俺は快く了承をした。 活動終了後、かがみは泉たちを先に帰らせ部室には俺とかがみだけとなった。 なんか、女子と二人きりで学校にいるというのは朝倉の事やらあの忌々しい事件やらであまり良い思い出がないな。 「で、何のようだ?」 俺は帰り支度を済ませ、泉たちを見送りドアをパタンと閉じたかがみにそう尋ねた。 「うん。つかさの事なんだけど……」 「つかさの事か。最近おかしいと思うんだが、お前は何か知らないのか?」 「私がそれを聞いてるのよ」 「生憎だが、俺にもわからん」 その言葉を聴いたかがみはハァと溜息をつき、 「キョン君でも分からないならお手上げね」 と言った。 どういう意味だそれ。 その後俺とかがみはつかさに元気が無い理由を考えた。 するとかがみは俺を見て、こう言った。 「あんた、マフラー買ったの?」 「ああ。寒いもんでな」 その言葉に対し、かがみはまたしても溜息をつく。 「はあ、ようやく原因が分かったわ」 分かったってどういう意味だ?俺のマフラーが何か関係しているのか? かがみはあきれ返ったように俺に説明を始めた。 「あんた、つかさが前まで何してたか知ってるわよね?」 「何か編み物をしていたな。だがここ最近は編んでいる様子がないが」 「あれはね、マフラーを編んでたのよ」 マフラー? 「それまた何故だ」 かがみはまだ意味を理解できていない俺に対し、本日三度目の溜息をつく。 「これだけ言ってもわからないのね。相当鈍いわよ」 好きで鈍いわけじゃない。分からないものは仕方がないだろう。 「つかさは、あんたのためにマフラーを編んでたの」 俺の中にハテナマークが量産され始める。 「俺のために?何故だ?」 「ちょっとは自分で考えようとしなさいよ」 つかさが俺のためにマフラーを編んでいた。いつ編もうと考えた? この前の不思議探索の時か。 あの時マフラーをしていなかった俺に対してつかさは編もうと考えたわけか。 理由はわかったが、なぜ俺がマフラーをつけてきただけであれ程までに落ち込んだんだ。 そのマフラーを自分用のためにでも作り直せばいいのに。 「そんなの、ちょっと考えればわかるでしょ」 みかねたかがみが話を再開し始める。 「あんたが好きなのよ」 俺のことが……? 「そ、あんたの事が。この前何で編んでるのか訊いてみたのよ。そしたら『キョン君のために』って顔を高潮させながら言うんだもん」 それだけじゃ俺のこと好きと言う事には直結しないぞ。 「あの時のつかさの顔は面白いぐらい乙女だったわ。からかってやろうかとも思ったけど、あんなに真剣なつかさは見たことが無かったから、やめといたわ」 そんなに一生懸命編んでいたのか? 「それぐらいあんたの事本気なのよ」 そういった後かがみは鞄を持ち、 「これを聞いてどうするかはキョン君次第よ。振るのもよし、付き合うのもよし」 ドアの前まで行き振り向きながら、 「けど私としてはつかさを落ち込ませないでほしいけどね」 と言葉を残してかがみは部室を出て行った。 落ち込ませないでほしい、か。そうなったら選択肢は一択じゃないか。 そう思いながら俺は部室の鍵を手に取り、部室を後にした。 次の日の放課後、俺は部室に行く前に教室につかさを呼び出した。 未だに元気が無いつかさに俺は自分の持っていたマフラーを差し出した。 「どうしたの?」 理解できていないつかさに俺は、 「そのマフラー、やるよ」 とだけ答える。 「いいよ、別に自分のあるから」 「だったら、俺はこのマフラーを捨てる」 そう言うとつかさは驚き、 「そ、そんなことしたらキョン君のマフラーが無くなっちゃうよ」 と言った。 「つかさは俺のためにマフラーを編んでくれてたんだってな」 俺がそう言うと慌てていたつかさの表情が一変し、赤くなり、 「うん……」 と縦に頷きながら言った。 「悪かったな。そんなことに気づかずに自分でマフラーを買っちまって」 「そんな事無いよ」 俺は持っているマフラーをグイとつかさに近づける。 「だから俺はこのマフラーをつかさに渡す。それで、つかさは俺にマフラーを編んで欲しいんだ」 少しわがまますぎたか。そう思い、俺はマフラーを自分の方へ戻そうとした瞬間、つかさが俺のマフラーを掴んだ。 「これってプロポーズ?」 上目遣いで尋ねてくるつかさ。 「ま、まあそうなるのかな」 その言葉を聞くと、つかさは朝比奈さん以上のスマイルを放ち、 「こちらこそ、よろしくお願いします」 と言った。 数日後、俺は白いマフラーをつけ、学校に登校する。 つかさから作ってもらったものであり、シャミにボロボロにされないよう大事に保管している。 同じくつかさも、マフラーをつけて登校している。 だが、そのマフラーは俺の渡したマフラーではなく、つかさの手編みマフラーなのだ。 つかさ曰く「お揃いが良い」との事らしい。俺もその方が良いしな。 今は人間が恒温動物であったことを嬉しく思いながら、俺は白いマフラーをつけ急な坂道を上って行く。作品の感想はこちらにどうぞ
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▼ The Talekeeper s Truth 依頼者: ダイドッグ(Deidogg) / バストゥーク鉱山区・鉱石通り 依頼内容: 英雄視された語り部、ラオグリムの 真実の姿を暴いてやりたい。 まずは奴が倒したと言いながら 持って帰らなかった、 「クゥダフの斑卵」をパルブロ鉱山の 卵部屋を守るクゥダフから奪ってこい。 バストゥーク鉱山区 / 居住区側 Phara 孫に持っていっていただけた ようでございますな。ふむふむ、 そのラグリン様とやらゆかりの品でしたか。 Phara そう言えば、ラリガン様は、 お若い頃からなぜか大人びていらして、 あれはどうしてだったのじゃろうかねえ……。 Phara ガルカの皆様から尊敬されてらして。 そうそう、でもおひとり、なんだかやけに そのラグオン様に反発なさるガルカの方も いらっしゃいましたですじゃ。 Phara 息子ともいさかいを 起こしておりましたので覚えておりますじゃ。 たしかダイドコロとかいう名前じゃったと……。 バストゥーク鉱山区 / 鉱石通り Deidogg なんだおまえは? ん? ダイドコロ? ファラって婆さんが なんだって? 俺には関係ない話だろう!? Deidogg おまえもしつこいな……。 ヒュームの婆さんは知らんが、 ラオグリムなら、確かに私と同い年だった……。 ヤシンの野郎も知ってる。 Deidogg もっとも、奴は語り部様だからな。 俺と同じ年に生を受けた時には、 200年前からの記憶を持っていた。 Deidogg 気にくわねえ野郎だったよ。 身なりはガキのくせに、大人ぶって、 みんなにあがめられて……。 Deidogg その上銃士になんぞなって、 ヒュームの連中にこびへつらうなんざ、 最低だな。しかも、ヒュームの女と怪しい ウワサもあったそうじゃねえか。 Deidogg そうだ……奴が昔、パルブロ鉱山の とんでもなく強いクゥダフを倒したって 話があったのさ。だが、俺は信用できねえな。 Deidogg 奴は、証拠として持ってくるようにと 言われた物を持って帰らなかったんだ。 Deidogg そんな物は持ってなかった、 なんて言ってたが、あれは嘘だな。 自分の名声をあげるために奴は騙り やがったのさ。本当は倒してねえのに……。 Deidogg おまえ、腕前はそれなりにあんだろ? そのクゥダフを倒してみねえか? パルブロ 鉱山の奥の卵部屋を調べりゃ出てくるって話だ。 Deidogg そいつからクゥダフの斑卵を 持ってくりゃ、奴が嘘をついてたって 証明することができらあな。 パルブロ鉱山 (???を調べる) [Your Name]は、Ni Ghu Nestfenderを倒した。 クゥダフの斑卵を手にいれた! クゥダフの斑卵 Rare Ex 斑模様のクゥダフの卵。 この卵から生まれた者は、高位を約束されている。 バストゥーク鉱山区 / 鉱石通り (Deidoggにクゥダフの斑卵をトレード) Deidogg なに? クゥダフの斑卵を持ってきたか! これで奴の嘘は暴かれたって訳だな! Deidogg ふん! 何が語り部だ……ただの嘘つき野郎 だったんじゃねえか……。 Iron Eater お久しぶりです、ダイドッグさん。 Deidogg てめえ! パグダコ……いや、アイアンイーターじゃねえか! ヒュームの犬がこんなところで何を! Iron Eater ちょっと調べごとがありまして。 それよりも、ラオグリム様のことを 話してらしたようですが……。 Deidogg あ、ああ……その通りだ。 あの嘘吐き野郎、自らの名声をあげるために 倒してもないクゥダフを……。 Iron Eater ……どういうことですか? Iron Eater なるほど……。あなたは まだそんなことを言ってるんですね……。 Iron Eater あのお方は国民の利益のために 獣人と戦いつづけてはきました。しかし、 己の利益、名声のためにアイテムを奪うような ことは、決してしませんでした……。 Iron Eater 国からの指令は そのクゥダフを倒せ、でした。 そのアイテムを取ってくることではなかった。 Iron Eater 一方的な国からの指令に 疑問を抱いたことも数多くあったと聞きます。 Deidogg そんなこと、わかるものか! Iron Eater それともうひとつ、 お教えしましょう。そんなラオグリム様が、 一度だけ、自分の意志で、モンスターから アイテムを奪ってきたことがあったと……。 Iron Eater それは、ある友人との 約束を果たすため、ある靴を仕上げるという 目的のためだったそうです。 Deidogg 靴……? まさか……。 Iron Eater オズトロヤ城のリーチからしか 得られない貴重な品パラサイトの皮を使い、 その友人に靴を作ったとのことです。 Iron Eater その友人は 口は悪いが、唯一語り部である自分と 対等に付き合ってくれたと……。 Deidogg ……まさか、奴が自分から オズトロヤ城に行ってリーチを……。 そんなはずはない。そんなアイテムも聞いた ことがないし、そんな高価なものが必要な……。 オズトロヤ城 [Your Name]は、Yagudo Parasiteを倒した。 パラサイトの皮を手にいれた! パラサイトの皮 Rare Ex ヤグードパラサイトのふにゃふにゃした皮。 バストゥーク鉱山区 / 鉱石通り (Deidoggにパラサイトの皮をトレード) Deidogg こ、これは……パラサイトの皮! どうしてこれを……!? Deidogg 本当にオズトロヤ城の リーチから手に入るのか……あいつは…… ガキの頃の約束を守ってあんなところまで……。 Deidogg 確かに俺はこのパラサイトの皮を 使って作られた靴を持っている。 それは……「約束のものだ」とだけ書かれた 手紙と一緒に送られてきた。 Deidogg 約束…… きっとあのときのことだろう……。 ………………………………………………………………………………………… Deidogg ラオグリム! おまえ、走るの遅くないか? Raogrimm すまない。どうも 大人たちがくれるものが体に合わなくてな。 特に靴がどうにも無駄な装飾が多い。 Deidogg けっ! おまえは甘やかされ すぎなんだよ! 語り部だかなんだか知らねえが、 靴ぐらい自分で選んで手にいれろよ! Raogrimm しかし彼らの好意を 無にするわけにはいかないのでな。 Deidogg だあっ、もう、 うっとうしい野郎だな。ほら、これやるよ。 この前2個セットで手にいれた靴だ。 なかなか歩きやすいぞ。 Raogrimm すまない……。 なにか謝礼をしたいのだが……。 Deidogg へっ、なんでも皆からもらえる おまえからもらったってうれしくねえや。 おまえが自分の力でいいもの手にいれられる ようになったら、何倍にもして返せよ! ………………………………………………………………………………………… Deidogg きっと、そのときのことだろう。 ……覚えてるかよ、そんな昔のこと……。 Deidogg とにかく、おまえには世話になった。 そのときの靴も古くなった。このパラサイトの皮で、 今持っている靴を修理するとしよう……。 Deidogg そして、戦場に出なくなって 久しい俺にはもったいない品だ。おまえに 使って欲しい。明日にでも取りに来てくれ ※ヴァナ0時経過後。 Deidogg ほら、例のものが完成したぞ。 ラオグリムの形見みたいなもんだ。 大事に使ってくれ。 ファイターカリガを手にいれた! ファイターカリガ Rare Ex 防14 HP+12 AGI+3 ダブルアタック効果アップ 敵対心+1 Lv52~ 戦 Deidogg よそ者に礼を言うのは気にくわんが……。 ……感謝している。それだけは伝えておくぞ。 ▲ 祖母の心孫知らず 200年のすれ違い 語り部の遺品 ■関連項目 アーティファクト関連クエスト , バストゥーク鉱山区 Copyright (C) 2002-2015 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
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作詞:オセロP 作曲:オセロP 編曲:オセロP 歌:初音ミクAppend 翻譯:唐傘小僧(如有不正請指教) 所有的一切 若都是正確的 那大家 便會開心吧 擦肩而過的 行人們 都只是 低垂著頭 沒有人看得到 那希望的碎片 我要找到它們收集起來 去改變這個世界 少年 仰頭望向天空 邁出腳步 微笑著 冒險 就此宣告開始 世界因此震動著 路途中 有個倒在那裡的 充滿悲傷的 生命 「命運 是可以做出改變的、 讓我們在這世界中 齊步共進吧」 任何人的地圖上 都未曾記錄過的 目的地 將要抵達的或許是 這個世界的盡頭 少年 舉起右手 爽聲 笑起來 冒險 明天也將繼續 道路 逐漸向前開拓 少年 彈奏起吉他 將這條街道破壞掉 轟響 震撼著街道 他踏步奔跑開來 特立獨行 少年 舉起右手 衝破 層層霧靄 冒險 明天也將繼續 世界綻開了笑容
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831 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/05/22(金) 14 20 10 ID ??? ラクス「キラ、今日はお買い物に行きませんか?」 キラ「良いよ。作曲用にキーボードとか買いたかったし。ああ、そだ。アスランに改造させるfigmaのミクも引き取りに行かなきゃ」 ラクス「あの、お洋服を一緒に見て欲しいのですけど……」 キラ「良いよ、ついでだし。まあ、ついでと言えばグッスマのリンレンのフィギュアの発売日も確認しないといけないんだよね」 ラクス「じゃ、じゃあ今日はキラとデートですね!」 キラ「そーだねー(棒読み)。あ、DTMマガジン買わなきゃ」 ラクス「うふふっ♪ キラと一緒のデートですわ……きゃっ♪」 ウッソ「何か、ずれてますよね」 ジュドー「本人は幸せそうだしなぁ」 ガロード「なんとも言えないよな」