約 1,265,202 件
https://w.atwiki.jp/okieroparo/pages/39.html
4-295-328 アベチヨ 「ね、あべくん、しよーよ?」 しよーよ。 じゃないだろ、と阿部は声に出すつもりだったが 喉が枯れて思うように声が出ず、心の中で突っ込みを入れた。 そんな阿部の様子に気づかないのか 目の前にいる篠岡は制服のボタンをプチプチと外していく。 ブラウスから覗かせる淡い色のブラジャーに、阿部の理性が崩れていく。 「私、阿部君の事ずっと…」 目の前で下着姿になった篠岡の肌の白さと、女性特有の丸みのある身体。 反比例するように真っ赤な顔。 しなやかな白い躯体とのアンバランスさに、阿部は目が離せない。 「ずっと…」 ずっと…?その先は? ピピピ…ピピピ… 無機質な音が部屋に響き渡り、新しい朝を知らせてくる。 阿部は寝ぼけながらそれを止めた。 「…なんつう夢…」 とんでもない夢を見てしまった。 昨日の練習はいつも以上に厳しくて、辛かった。 家に帰ったら晩御飯をたらふく食べて、風呂に入って即ベッドに入った。 ドロドロに疲れた身体では自慰をする体力も気力もなく、 寝る前に何かを考える時間もなく、ましてや夢を見る余裕なんてなかったはずだ。 なのに。 こんなことなら、昨日の夜オナっときゃ良かったと後悔した。 夢精くらい青春まっさかりの高校生なら誰だってするだろう。 田島なんか毎日してそうだ。いや、あいつは自慰で十分か…。 クッと笑って、すぐに俺、人のこと言えねー…と考えを改めた。 腹の辺りにある、特有の感触に眉が寄る。 なんだって篠岡なんだよ。 あいつは野球部のマネージャーで、 同じクラスメイトで、ただの友達だ。 俺達の為に一生懸命なあいつを、そういう目で見たことはない。 好きとか嫌いとかじゃなくて、そういう対象であいつを見たくない。 今日も朝からあいつと顔合わせるのに俺最低だな、 と阿部は1人ごちた。 こんな自分は最低だと思いながらも、 あそこで起きなきゃ篠岡の身体見られたよな、 と考えてしまった自分にまた、自嘲した。 複雑な胸中を整理する時間はないようだ。 朝練の時間はすぐそこまで来ていた。 鬱屈な気分を振り切るように、阿部は素早く支度をし、階下に足を運んだ。 遅刻したくない、と思っている日に限って寝坊してしまう。 宿題を忘れてしまい授業で当たりたくない、と思うと当てられる。 会いたくないと思っている人に程、よく会う。 一生の内にこういった経験が何度かあると思う。 阿部は今まさにその状況下にいた。 「おはよー、阿部君!」 シャーと軽快に自転車を漕ぎながら声を掛ける篠岡と遭遇した阿部は、 それはもう驚いた。 何で今日に限って、登校中に会うんだよ! だいたい篠岡って俺達と違って少し遅れてくるはずだろ。 2列になって自転車を漕ぎながら、 今日は暑いねーと呑気に話を投げてくる篠岡にため息をつきたくなる。 「お前今日なんでこんな早いの?」 「早く目が覚めちゃって。 どうせだから、グラウンドの草取りでもしようかなあって」 実に頭が下がる発言だ、と阿部は思った。 ニコニコと笑いながら言うから気がつかないが、 マネジの仕事は半端なく重労働だ。 篠岡がいなきゃスムーズに水分補給も出来ない。 飯も食べられない。 データだって自分達でまとめなきゃいけない。 阿部はそんな篠岡の行動に敬意を払っている。 だからこそ朝のあの事件を後悔したのだ。 「まあ、無理すんなよ」 「あはは、大丈夫大丈夫!皆頑張ってるからね。 阿部君、やっぱり優しいね」 「はあ?」 「でも、そういう所が、好きなんだけど」 「…っ!」 「なんてね。じゃ、私更衣室こっちだから行くね!またねー」 あまりに自然すぎる告白に足が止まった。 篠岡からの告白は、初めてではない。 一週間前、阿部は篠岡に告白をされていた。 その日は練習後たまたま二人でスコアの片付けをしていた。 1人でやるからいいよと断る篠岡にいいから遠慮するなと制した。 暗い部室で黙々と作業をしながら、 時々今日の投球や打撃や守備練習について会話が弾んでいった。 阿部は、篠岡とはあまり野球部以外で話す事がなかったが、 部活について、野球のデータについて話すのは楽しいと素直に感じた。 会話が盛り上がり、落ち着いて静寂が訪れたその時。 それは突然だった。 『…私ね、阿部君が好き』 言われた直後、驚きや感動もなく、は?と口から出た。 篠岡は慌ててごめん、言いたくなっちゃってと返した。 顔を赤くして、胸の前で手を振っている。 篠岡の事は、マネジとしては尊敬していた。 クラス内で、男が篠岡って可愛いよなと噂しているのも知ってる。 それでも阿部は興味がなかった。 興味がないと言うよりは、恋愛がらみで部内の雰囲気を悪くさせない為に 無意識で意識しないようにしていたのかもしれない。 『…わりいけど、俺今は野球しかねえから』 自分でも冷たいと思った。 だが不器用な自分にはこれ以上上手く断る事が出来なかった。 そんな阿部の答えにも篠岡は笑って答える。 『うん、わかってるよ。野球する阿部君が好きだから』 そこで会話は途切れ、遅いし帰ろうと言う事になった。 その日は別々に帰った。 送るよ、と言った阿部の親切心に 篠岡は嬉しいけど今はそういうのも辛いから、 ごめんね、ありがとうと断った。 たったそれだけ。 勿論多少の動揺したが、その突然の告白はそこで一つの終わりを迎えたはずだった。 それが、今日の夢によって改めて意識せざるを得なくなってしまった。 フった相手に対してああいう夢見るってどうよ。 俺、意識してんのか?篠岡の事を…。 チ、と舌打ちをして自転車置き場へと急いだ。 これ以上は考えないようにしよう、そう誓って。 「阿部さあ、篠岡となんかあったのか?」 突然振られた話題に、阿部は飲み物を噴出した。 「うわあ!阿部キタネー」 ゴホゴホと下を向いて咽ながら、阿部は水谷を軽く睨んだ。 「…ッうる、せェぞクソレフト」 「なんだよー!その名前で呼ぶなよ!」 「うっせえ」 「あーほら、やめろよ阿部も水谷も」 花井は怯える水谷にフォローをいれつつ、阿部を制した。 「お前のせいだろうが、花井」 「んだよ、おまえらなんかおかしいじゃん。 いや、篠岡じゃねーな。お前がおかしい」 「なんでだよ」 ギっと花井を睨む。 「今日だって朝練にも力入ってねーし、打撃練習でも全然当たらねーし。 しまいにゃモモカンに握られてただろ」 「なんでそれと篠岡が関係あんだよ」 「お前がモモカンに怒られてた時に、篠岡が私のせいかなって つぶやいてたぞ。俺聞こえちまった」 「そーだよ、それに阿部、なんか篠岡に冷たいし!」 「はあ!?」 「さっき篠岡が気にしてたぞ。 データ渡した時もそっけなかったし、 飲み物渡した時もお礼も言わなかったじゃん!」 お前ら、どんだけ観察してんだよ、キモチワリイな…。 友人の観察眼に背筋が凍った。 フと周りを見回したが篠岡はどこかに行っているのか、クラス内にはいなかった。 この会話聞かれたらマズイよなぁと思いながら、いない事にほっとする。 標準より大きいサイズの弁当を広げ、オカズをつまむ。 モグモグと咀嚼して、飲み物で喉を潤すと頭の中が冷静になっていくのを感じた。 「別に何もねーって。ちっと体調悪かっただけだ。 篠岡となんかあるわけないだろ」 「それならちゃんと篠岡に軽く謝っておけよ。 手伝ってもらって礼も言えないなんて情けねーぞ。 今日練習後にでも言えよ」 「わかってるよ」 「あー篠岡かわいそう!阿部みたいな奴に冷たくされて それでもマネジ業頑張ってくれてさ。俺がマネジだったら阿部にはドリンクやんねー!」 「お前がマネジなんてキモチワルイんだよ! あとオレみたいなは余計なんだよ!クソレフト!」 阿部はバシっと小気味良い音を鳴らして、水谷の頭をはたいた。 いってええ!と騒ぎ立てる水谷に軽くため息を吐き、 横目で後ろのドアを見やると、篠岡がこちらを見ながら立っているのが視界に入った。 その力に吸い寄せられるように、顔全体がドアに向かった。 篠岡は何かを伺うように、大きな瞳を見開き、阿部の目を見据えていた。 目が合い、すぐに反らす。露骨だったと少し後悔した。 そのすぐ後に、篠岡は阿部の机の横を通り過ぎ 阿部の斜め前の自分の席に座り、携帯をいじりだした。 前に座っているのに、篠岡には後ろに目が付いていて、 自分を見つめているような気がした。 篠岡が視界に入ると静まらない鼓動。自意識過剰なのか。 これは何なんだと自問自答するが、ただただ脈拍が速くなるばかりだった。 花井にも水谷にも、まさか篠岡に告白されたなどと言えない。 ましてや、篠岡でエロい夢見てしまって冷静でいられないなんて 相談をしたら間違いなく変態扱いされるだろう。 花井辺りには最低だな、と冷たい目線を向けられそうだ。 水谷は、他の奴に話しそうだ。絶対ダメだダメだ。 この1週間は篠岡と対峙しても平静を保てたのに。 今日の夢の所為だと阿部は心の中で舌打ちをした。 その日の放課後、阿部は練習前に篠岡に声を掛け、 練習後に自分達のクラス、つまり7組の教室に来るように言った。 部室で話しても良かったが、他の連中に邪魔されそうだったのでやめた。 練習後、真っ先に制服に着替え、仲間達に挨拶もそこそこ 阿部は誰よりも早く部室を出た。 仲間には急用があると嘘をついた。 7組の教室へと足を走らせる。 走りながら、俺は何を言うつもりなんだろう、と阿部は考えた。 そっけない態度でごめん? 告白はなかった事にしてくれ? でも気になって仕方ない? 言っている事が滅茶苦茶だが、どれもこれも、本当の阿部の気持ちだ。 教室のドアを開けると、まだ篠岡は来ていなかった。 早すぎたかとつぶやき、自分の机へと足を向けた。 座りなれたその席に腰を下ろし、早まる鼓動を落ち着かせる。 とりあえず、今日は謝ろう。そっけない態度で悪かったって言おう。 それ以上の事を考えても、仕方ない。 そう思い、篠岡を待つがなかなか現れない。 その内に、練習で疲れた身体に睡魔が訪れた。 我慢していたが、だんだん舟を漕ぎ始め、数分後には眠りについてしまった。 何分、何十分経ったのか。 阿部は眠りから覚醒し顔を上げた。 タレ目がよりいっそうたれている。 目の前で、あの大きな瞳がじっと顔を見ている。 「おはよ、阿部君」 「はよ…」 まだ覚醒しきらない頭で返事をしたがすぐに、違ェ!!と頭を振った。 「わりい篠岡!俺、寝てたか!?」 「うん、気持ち良さそうに寝てたよ」 くすくすと口元に手をやり、阿部君寝顔はかわいね、と言った。 窓から月の光が射し込み、篠岡の横顔を照らしている。 目尻を下げて笑うその姿は可愛いと、阿部は素直に感じた。 落ち着いたはずの鼓動がまた煩くなっていった。 「それで、話って何かな?」 篠岡は阿部の前の席に腰を降ろして、阿部の方に身体を向けた。 掌だけを阿部の机に置いている。 「あー…。今日さ、何か俺酷い態度だったじゃん。それ謝ろうと思って」 阿部は篠岡の顔をまっすぐに見ることが出来ず、 フイと軽く斜めを向きながら言った。 「あ、そんなこと?」 「そんなことって。花井も水谷も気にしてたぞ」 「え?」 「花井がお前がつぶやいてたの聞いたらしいぞ」 篠岡は、あ、聞かれてたんだと顔を赤くして俯いた。 「何か水谷にもすげえ責められるし、篠岡に謝れよって言われて」 「…阿部君、二人に言われたから私に謝ってくれたんだ…」 篠岡はそのまま俯き、周りは静寂に包まれた。 「篠岡?」 動かなくなった篠岡に訝しみ、恐る恐る声を掛けるが返事がない。 「…なんか傷、つけたか?」 「…阿部君って本当に、バカ…」 阿部は、なんだよ、と反論しようとしたが顔を上げた篠岡の瞳に 涙が溜まっていたのを見て、思わず硬直してしまった。 「な、おい、なんで泣いてんだよ」 「わかんないの!?もう、バカぁ!」 くしゃっと顔に力を入れると、溢れそうだった涙がポロっと零れた。 「ちょっ!お前…」 ひっくひっくと盛大に泣き出した篠岡に、 阿部はどうする事も出来ずに途方に暮れた。 阿部は、自分の発言で篠岡を傷つけたとは考えなかった。 思った事をそのまま口に出してしまうのは阿部の悪いクセだった。 数分経って、落ち着きを取り戻した篠岡はぽつりとつぶやく。 「…阿部君に呼び出されてちょっと期待しちゃったのに」 「はあ?」 「だってそうじゃない。告白してる相手に話があるって言われたら。 なんだろうって思っちゃうじゃない」 「そうか、そういうもんか?」 「そうなの!阿部君は女心分かってなさすぎるよ!」 「そりゃ、悪かったよ…」 篠岡は大きな瞳でジっと睨むように見上げてくる。 その瞳には魔力があると阿部はボンヤリと思った。 「悪かった、から。もう泣くなよ、な」 そう言って、阿部は手を差し出し、 篠岡の目尻に溜まっている涙に親指で触れた。 その瞬間、周りの音が聞こえなくなった。 篠岡はじっと阿部の目を見つめ、 阿部は篠岡の瞳から目が離せなくなった。 二人の距離はわずか、顔一個分だけだ。 阿部は自分がとても恥ずかしい事をしていると気が付き、 手を離そうとしたが、篠岡の瞳に縫い止められた。 声を出したいのに、喉が焼けたように痛い。 それに、何か発したら、全てが崩れてしまうような。 そんな危うさが今の二人の間にはあった。 先に動いたのは篠岡だった。 自分の目尻と頬に触れている阿部の手に、 自分の手を重ねた。 温かくて小さな掌。マネジ業に精を出している所為か、 少しかさついている部分がある。 「…どうしてこんなこと、するの?」 「え…」 「期待しちゃうよ、阿部君…」 また篠岡の大きな瞳から涙が一筋零れた。 その液体は阿部の指を濡らした。 その生温い涙の感触に阿部は我に返った。 どう考えても、この状況は野球部員とマネジのそれじゃない。 ただのクラスメイト同士でもない。 慌てて手を引こうとした瞬間、逆に篠岡は阿部の手を勢いよく引っ張った。 バランスが崩れ、前のめりになりかけた阿部は、 目の前にある篠岡の顔に驚いて顔を背けようとした。 その瞬間、篠岡は両手で阿部の顔を包み、その唇で阿部のソレを塞いだ。 突然過ぎるその行為に、目を閉じる事を忘れていた。 身体が動かない。声を発する事も、身を捩る事も。唇を離す事も。 本当は簡単に出来るはずなのに、阿部は抵抗という単語を忘れたように ただ篠岡の唇を受け止めた。 阿部は薄く開けた目でぼんやりと、篠岡の伏せられた瞳を見た。 長い睫と、少し苦しそうに寄せる眉、通った鼻筋。 ただ触れているだけの篠岡の唇から、彼女の気持ちが痛いほどに伝わってきた。 唇がかすかに震えているのを感じた。 その柔らかさから伝わる自分への強い愛情は、 これ以上ないくらいに溢れかえっていて、 そのままその愛情の波に溺れていくような錯覚に陥った。。 篠岡はそっと唇を離すと、自分の犯した行為に気恥ずかしさを感じたのか そっと目を伏せた。 阿部はただただ目の前で縮こまっている篠岡を目で追った。 「…なんでこんなこと、すんの?」 先程篠岡がした質問を、阿部は繰り返した。 篠岡は目を見開いて阿部を見つめた。 「好き、だから。阿部君の事…」 「好きだからって、いきなりキスされても困るんだけど…」 阿部の発した言葉には感情がなく、 その絶対零度の態度に篠岡は少し恐怖した。 「ごめ、んなさ…」 涙を浮かべて謝る篠岡の言葉を吸い込むように、 阿部は篠岡の後頭部に手をやり、引き寄せ、思いっきり口付けた。 「…!…んんっ」 唇をぴたりと密着させて、隙間なく塞ぐ。 乱暴に舌を捻じ込み、篠岡の舌を掬い取って絡めると 苦しそうに声を上げた。 そのまま舌を引っ張り出し、吸い上げる。 上唇を甘噛みすると、篠岡の身体が震えるのを感じた。 んぅ、と時々苦しさに鼻に掛かった声をあげる。 その様子に、阿部は篠岡の唇を解放した。 篠岡の頬は赤く蒸気して、肩で息をしていた。 ハアと苦しそうにしている。 目尻は涙に濡れて、赤い唇は唾液に濡れている。 「じゃあ、俺もお前の事好きかもしれない」 「え…?」 「俺も篠岡にキスしたいと思った。 こういう気持ちが好きって言うなら、俺も好きかも」 篠岡は心底傷ついた、と言う顔をして阿部を見た。 「それは…違うよ…阿部君は私のこと好きじゃないよ…」 泣きそうな声で、責める様な声質で阿部に反論する。 篠岡の大きな目に留まる涙は、今にも零れそうに溢れている。 「私、は!阿部君の事がずっと好きで。 好きで好きで好きで! 本当はずっと阿部君の事見てた。 それでも本当は言うつもりなんかなかった。 片思いで良かったの。 でも、あの時阿部君と喋ってて、言いたいって思ったの…」 強烈な告白を、阿部は自分でも気持ち悪い位に冷静な気持ちで聞いていた。 「振られて、でも気持ち伝えたって事に満足したの。 でも今度は阿部君とこれまでみたいに何も知らない時には 戻れないって怖くなって…。 この1週間、毎日辛かった」 篠岡の瞳は、もう涙を堪えようとはしなかった。 大粒の涙がポロポロと零れ、机の上に染みを作り、色を変えていく。 「でも、私が辛い以上に、阿部君も平静を保とうとしてるんだって 気が付いて、それが私、嫌で…。 阿部君の重荷になりたくない…っ! だから、だから…ごめんなさい…」 目の前で泣きながら懺悔をする篠岡へのこの気持ちはなんだろうと 阿部は考えていた。 確実に篠岡を好きではないのに、この痛い位に強烈な愛情を 愛しいと思う自分はなんなのだろう。 零れ落ちる涙が月明かりに反射して、キラキラと輝いている。 綺麗だ。 阿部は素直にそう思った。 湧き上がる感情の理由なんて知らない。 篠岡を好きかどうかもわからない。 しかし阿部は目の前の少女を確実に愛しいと思った。 それ以上の理由なんて要らない。 「ごめん」 きょとんとこちらを伺う篠岡に、阿部は何故か笑いたくなった。 「俺、お前に告白されてから、なんかいらついてたみたいだ」 「いらついて…って…」 また泣きそうな顔をして落ち込む篠岡に阿部はすぐさまにフォローをいれる。 「いや、いらつくっていうか、俺の感情を掻き乱した篠岡にやられたっていうか。 最近の俺の中、暴風雨みたいに吹き荒れててさ」 「…それって褒めてるの?嬉しいの?迷惑なの?」 「わからねーよ。でも、全部かもしれねェ」 「お前さ、これから俺が言う事に引くなよな」 「?」 「俺さ、今日お前の夢見たんだ」 「どういう夢?」 「お前が俺に迫って、しようよっつって服脱ぎだす夢」 「…!!!!!」 ぽかーんと口を開けていた篠岡は、 意味が分かると同時に絶句して、真っ赤になった。 「な…っなに…なにそれっ!!」 「だから引くなっつったじゃん」 阿部はククっと笑った。 「どういう意味、それ…なんでそんな事私に言うの?」 「…わかんねえ。けど、お前の事意識してんのは間違いないみてえだ」 その言葉に、篠岡は曖昧に、だが一瞬嬉しそうな顔を向けた。 阿部は、その表情に満足感を覚える。 しかし、その後放たれた篠岡の一言に、夢の内容を話した事を後悔した。 「…じゃあ、本当に、しようよ」 考えてもみなかったセリフに、阿部は椅子から落ちそうになった。 「はあっ!?」 「私の事意識してくれてるなら、しよーよ。したら何か変わるかも」 何でそうなるんだ、篠岡の突拍子もない提案に頭痛がする。 阿部はキリキリと痛むこめかみを押さえた。 「お前自分が何言ってるのか分かってんの?」 「分かってるよ。私の告白が無駄じゃなかったって、 阿部君の心を乱すくらい意識させたって、分かったよ… だから…」 「ちょ、篠岡」 「ね、あべくん、しよーよ?」 しよーよ。 じゃないだろ、と阿部は声に出すつもりだったが 喉が枯れて思うように声が出ず、心の中で突っ込みを入れた。 そんな阿部の様子に気づかないのか 目の前にいる篠岡は制服のボタンをプチプチと外していく。 ブラウスから覗かせる淡い色のブラジャーに、阿部の理性が崩れていく。 「私、阿部君の事ずっと…」 目の前で下着姿になった篠岡の肌の白さと、女性特有の丸みのある身体。 反比例するように真っ赤な顔。 しなやかな白い躯体とのアンバランスさに、阿部は目が離せない。 「ずっと…」 篠岡は阿部の目の前で膝立ちになると、阿部の手を取り 自分の胸に触れさせた。 触れた胸は柔らかく、そして心臓が高鳴っているのを感じた。 篠岡の目は相変わらず大きく輝いて、阿部の目をじいっと見つめている。 阿部は、この目が苦手だ、と思った。 見つめられると、どうしようもなく心を乱される。 どうなってるんだ。これじゃ本当に夢の続きじゃないか。 「ずっと好き。阿部君と、したい、よ…」 ダメだと思った。 意識しないでいようとする事は、結局意識しているのと同じ事だと。 篠岡に告白されて、嬉しくなくはなかった。 人から好意を寄せられる事は、純粋に嬉しかった。 ただこの好意を受ける事が自分の為、ひいては部員の為にならないんだと そう自分に言い聞かせてきたんじゃないのか。 阿部は自分の「本当」が分からなくなる。 俺は…。 「お願い、嫌いにならないで…」 そう言って篠岡は、弱弱しい力で阿部に抱きついた。 そして、自分の唇を阿部の唇に押し付けた。 今度は触れるだけじゃなく、舌を侵入させる。 口内を自由に這い回る篠岡の舌を感じながら、阿部はぼんやりと思う。 嫌いなんかじゃないよ。 でもお前を好きかどうか、わからないんだ。 お前がオレを好きな位、オレはお前を好きかわからない。 阿部は篠岡の舌の追跡を振り切り、唇を離した。 「それでもいいなら…」 「え?」 「お前がオレを好きな位、オレがお前を好きかどうかがわからない。 それでも構わないのか?それでも良いなら、お前を抱きたい」 篠岡が、大きく目を見開き阿部を見据えた。 少なくとも、自分の好意を嫌がってるんじゃない事は分かった。 でも阿部は自分を好きではない。 それでも良いの?と自問自答する。 だけど触れたい。触れたい。触れたい。 心が全て貰えなくても、繋がりが欲しい。ずっと好きだった人。 「私、は…それでも構わない。だから、して」 「…わかった」 阿部は篠岡の身体を抱え、床にそっと寝かせる。 そのまま、何か言いたげな篠岡の唇を塞ぐ。 最初は触れるだけ。そして角度を変えて深く口内に舌を侵入させる。 「んんッ…はぁ…」 篠岡が空気を求めて口を開ける。熱い息が阿部の頬に当たった。 その瞬間にまた、塞ぐ。 阿部は篠岡が発したかった言葉は何だろうと考えた。 このまま篠岡を抱いていいのだろうか。 自分の気持ちが不透明なまま、篠岡の気持ちを受け止めていいのか。 自分の本当に気がつかないまま。 しかし躊躇していると怪しまれると思った阿部は 下着の上から篠岡の胸に触れた。 「あ、ん」 小ぶりだが、白くて柔らかい胸。 篠岡の背中に手をやり、ブラジャーのホックを取る。 晒された篠岡のほっそりとした上半身。 鎖骨の辺りは薄くて、胸のラインはなだらかな丘を描く。 その胸の先端の蕾はすでに固く、主張していた。 「かわいい」 素直にそう思った。 親指と人差し指で摘んで弾くと、篠岡の口から喘ぎが漏れた。 「ん、う、やぁ」 下から持ち上げるように揉んで、乳首に舌を寄せる。 チロリと舐めあげると篠岡の身体が跳ねた。 そのまま口内に含んで転がす。 「んんッ!や、だ、阿部、くん…」 「ヤダはナシ、だろ?」 「んあ、ああ…やぁ」 執拗に口内で舐ると篠岡が喉を仰け反らせる。 目をやると、白くて細い喉元が見える。 阿部はその喉元に噛み付くようにキスをした。 そのまま喉に舌を這わせたまま、手を下に降ろして行き、 下着の上から篠岡の秘所を撫でた。 胸への愛撫の所為か、篠岡のソコはすでに蜜を湛えている。 割れ目に沿って指をなぞる。上から下から。 我慢出来ない、と言うように篠岡は太腿で阿部の手を挟んでしまった。 「どうした?」 「阿部く、ん。触って…直接して…」 熱に浮かされたように顔を真っ赤にして、瞳を潤ませて、阿部の目を射抜く。 その目で何度見つめられただろう。 その度に、心臓が破裂しそうに高鳴って、動揺させる。 阿部は篠岡の下着をするすると降ろし、膝を掴むと、足を大きく広げた。 教室は暗いが、月明かりの所為で秘所は丸見えになった。 「はず、かし…いよぉ…」 そこは濡れて光って、今にも零れそうに溢れていた。 阿部はまるで篠岡の大きな瞳のようだと思った。 何度も自分を射抜き、見つめてきたその瞳。 目の縁に涙を溜めて、零さないように我慢するその瞳。 熱く濡れた蜜壷に指を一本挿入する。 軽くつぽ、と入れて動かす。 「ああ…ッ!うあ、ん」 浅い所でくちゅくちゅと卑猥な音を立てながら出し入れをしていると、 コポと蜜が溢れた。 内腿を伝うソレを目にした阿部は、篠岡の太腿を持ち上げると そのまま秘所に口を寄せた。 舌を突き出して、蜜を湛える割れ目の中に侵入する。 「ああぁ!いやあ、やだぁ、あべ、くん」 熱い粘膜は舐めとっても舐めとっても、湧いて来る。 音を立ててちゅう、っと吸いながら、敏感な突起に歯を立てた。 「ひゃ、あ、あ、あんあ、あ、」 そのまま貪りついて、指で突起を弄ると、篠岡は高い声をあげて達した。 ハアハアと肩で息をして、呼吸を整える篠岡を阿部は上からじいっと見つめた。 前髪は汗で張り付き、頬がピンク色をしている。 一度達した所為か、秘所からはトロトロと愛液が流れていた。 「気持ち良かったか?」 「…う、ん」 「凄い、濡れてる」 太腿を濡らす愛液を指でなぞる。 「だって、あ、阿部君に、触られてるから…あ、は、はあ…」 「…オレに?」 「うん、阿部君、だから。特別…」 オレだから…。 「あのね、女の子って、例えばレイプとかされても、本能で濡れるんだって。 でも、本当に好きな人とした時は、身体の反応が全然違うんだよ」 なんて、友達の受け売りだけどねー、と篠岡は軽く笑った。 オレは篠岡にとって特別なのか。 そうだよな、好きだって言われたんだ…。 でもオレは? オレの本当はどこにあるんだ。 阿部はじっと床を見つめたまま、身動き一つとらない。 篠岡はそんな阿部の様子に気づき、身体を起こした。 「阿部君…?どうしたの…?」 下を向いて動かない阿部の傍に近づき、顔を覗く。 そして阿部の顔を見た篠岡は、驚いて思わず後ろに仰け反ってしまった。 阿部は泣いていた。 「阿部君、ど、どうしたの…?」 「わりい、オレ…やっぱりお前とは出来ない」 「あべ、く…」 「ここでお前と最後までしたら、オレ、本当に最低な奴だ…」 「だって、私が良いって言ったんだもん!」 「オレがダメなんだよ!!」 篠岡は突然上がった大きな声に、ビクっと身体を振るわせた。 「自分でも最低な事言ってるってわかってる。 でも、オレ、お前がオレを好きなみてえにお前の事、まだ、好きじゃない」 「……」 「そういうのから入る関係でも、いいのかもしれねえけど。 たぶん、感情抜きにだって、お前の事このまま抱けると思う。 でもオレは自分で責任が負えない事は、したくねえ、だから」 ごめん、と一言ぽつりと謝る。 篠岡は、泣きたかった。 阿部に触られた箇所を、指でなぞる。 まだ熱を持った身体は熱く、気持ちは治まらない。 だけど。阿部をここまで追い詰めたのは自分の我侭な感情だ。 大好きな人を、泣かせた。あんなに歩み寄ってくれたのに。 涙が零れそうになり、ぐっと我慢をする。 顔を上にあげてやりすごす。 制服を手繰り寄せてここに来た時と同じように、 元通りに着替えた。 すうっと深呼吸を一度。 「阿部君」 「…」 「私、阿部君を好きになって良かった」 「は、…あ?」 「阿部君はやっぱり優しいね。 …もし阿部君が今日最後までしてたら、やめてくれなかったら。 …私達お互いに大事な何かを失くしたかもしれないね」 だから、ありがとう。 とびっきりの笑顔を向けて阿部の目を見つめた。 「そうだな…」 阿部は目尻に溜まった涙を袖でグイっと拭った。 「本当に、私の事好きになってくれたら、今度は続き、してね?」 「本当に、好きになったら、な」 「絶対振り向かせるからね、阿部君」 「…お前さぁ、その目で見んの禁止な」 阿部は立ち上がって、言いながら横に顔を背けた。 「え?なんで??」 「…なんかお前にじっと見られると動揺する」 「…!…ねえ、それってどういう意味、阿部君?」 「しらねー」 オレの本当を理解しないまま、失くす所だった。 後悔しなくて良かった。 篠岡が後悔しなくて良かった。自分は間違っていない。 阿部は心の中で安堵した。 そして二人は見慣れた教室を後にした。
https://w.atwiki.jp/rsfrta/pages/361.html
←327日目 328日目 329日目→ 本編 実施日 2022年10月17日 トークテーマ 百合 BGM 題名 フリーBGM 作曲者 トーマス大森音楽工房 リンク https //youtube.com/c/FreeMusicThomasOomori 統計 項目 詳細 記録 試行回数 累計 160700回 今回分 800回 前日比 ±0回 平均 489.9390回 週平均 800.0000回 経過時間 累計 538 03 40 今回分 2 00 58 前日比 +0 04 21 平均 1 38 26 週平均 1 52 33 平均試行時間 今回分 9.072秒 前日比 +0.326秒 平均 12.054秒 週平均 8.441秒 達成率 累計 24.7330% 今回分 0.1231% 100%まで残り 611.3000日 近況 10/3(月)夜9 30~から夜の連続マイクラジオ「無職のマイ日クラくら」始まってます。 備考 主な役・テンパイ スーパーチャット 時間 金額 内容 総額 -- -- ¥----- ----- ¥------
https://w.atwiki.jp/rob3285/pages/14.html
インスタグラムプラグイン 人気の画像共有サービス、Instagram(インスタグラム)の画像をアットウィキに貼れるプラグインです。 #ig_user(ユーザー名) と記載することで、特定ユーザーのInstagramのフィードを表示することができます。 例)@dogoftheday #ig_user #ig_tags(タグ名) と記載することで、特定タグのInstagramのフィードを表示することができます。 #dogofthedayjp タグ #ig_tag #ig_popular と記載することで、Instagramのpopularフィードを表示することができます。 詳しい使い方は以下のページを参考にしてください! =>http //www1.atwiki.jp/guide/pages/935.html
https://w.atwiki.jp/1998328/pages/2.html
メニュー トップページ プラグイン紹介 まとめサイト作成支援ツール メニュー メニュー2 リンク @wiki @wikiご利用ガイド 他のサービス 無料ホームページ作成 無料ブログ作成 2ch型掲示板レンタル 無料掲示板レンタル お絵かきレンタル 無料ソーシャルプロフ ここを編集
https://w.atwiki.jp/1998328/pages/3.html
更新履歴 取得中です。 ここを編集
https://w.atwiki.jp/2232800/pages/8.html
@wikiにはいくつかの便利なプラグインがあります。 アーカイブ コメント ニュース 動画(Youtube) 編集履歴 これ以外のプラグインについては@wikiガイドをご覧ください = http //atwiki.jp/guide/
https://w.atwiki.jp/m3280/
ウィキはみんなで気軽にホームページ編集できるツールです。 このページは自由に編集することができます。 メールで送られてきたパスワードを用いてログインすることで、各種変更(サイト名、トップページ、メンバー管理、サイドページ、デザイン、ページ管理、等)することができます ■ 新しいページを作りたい!! ページの下や上に「新規作成」というリンクがあるので、それをクリックしてください。 ■ 表示しているページを編集したい! ページ上の「このページを編集」というリンクや、ページ下の「編集」というリンクを押してください。 ■ ブログサイトの更新情報を自動的に載せたい!! お気に入りのブログのRSSを使っていつでも新しい情報を表示できます。詳しくはこちらをどうぞ。 ■ ニュースサイトの更新情報を自動的に載せたい!! RSSを使うと簡単に情報通になれます、詳しくはこちらをどうぞ。 ■ その他にもいろいろな機能満載!! 詳しくは、FAQ・初心者講座@wikiをみてね☆ 分からないことは? @wikiの詳しい使い方はヘルプ・FAQ・初心者講座@wikiをごらんください。メールでのお問い合わせも受け付けております。 ユーザ同士のコミュニケーションにはたすけあい掲示板をご利用ください
https://w.atwiki.jp/rob3285/pages/6.html
更新履歴 @wikiのwikiモードでは #recent(数字) と入力することで、wikiのページ更新履歴を表示することができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_117_ja.html たとえば、#recent(20)と入力すると以下のように表示されます。 取得中です。
https://w.atwiki.jp/1998328/pages/9.html
@wikiにはいくつかの便利なプラグインがあります。 アーカイブ コメント ニュース 人気商品一覧 動画(Youtube) 編集履歴 関連ブログ これ以外のプラグインについては@wikiガイドをご覧ください = http //atwiki.jp/guide/
https://w.atwiki.jp/3289314/pages/11.html
コメントプラグイン @wikiのwikiモードでは #comment() と入力することでコメントフォームを簡単に作成することができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_60_ja.html たとえば、#comment() と入力すると以下のように表示されます。 名前 コメント