約 1,953,714 件
https://w.atwiki.jp/pazdra/pages/14572.html
図鑑のトップページへ戻る No. 通常入手系 レアガチャ限定系 コラボ系 期間限定D系 レーダー その他 タグ検索 覚醒 スキル No.001-No.051-No.101-No.151-No.201-No.251-No.301-No.351-No.401-No.451- No.501-No.551-No.601-No.651-No.701-No.751-No.801-No.851-No.901-No.951- No.1001-No.1051-No.1101-No.1151-No.1201-No.1251-No.1301-No.1351-No.1401-No.1451- No.1501-No.1551-No.1601-No.1651-No.1701-No.1751-No.1801-No.1851-No.1901-No.1951- No.2001-No.2051-No.2101-No.2151-No.2201-No.2251-No.2301-No.2351-No.2401-No.2451- No.2501-No.2551-No.2601-No.2651-No.2701-No.2751-No.2801-No.2851-No.2901-No.2951- No.3001-No.3051-No.3101-No.3151-No.3201-No.3251-No.3301-No.3351-No.3401-No.3451- No.3501-No.3551-No.3601-No.3651-No.3701-No.3751-No.3801-No.3851-No.3901-No.3951- No.4001-No.4051-No.4101-No.4151-No.4201-No.4251-No.4301-No.4351-No.4401-No.4451- No.4501-No.4551-No.4601-No.4651-No.4701-No.4751-No.4801-No.4851-No.4901-No.4951- No.5001-No.5051-No.5101-No.5151-No.5201-No.5251-No.5301-No.5351-No.5401-No.5451- No.5501-No.5551-No.5601-No.5651-No.5701-No.5751-No.5801-No.5851-No.5901-No.5951- 御三家カラードラゴン○○りんカーバンクルゴブリンオーガ・修験鬼ファイター・ナイトデビルキメラ忍び精霊ゴーレム魔剣士女の子(回復娘)玩具龍攻撃態勢(英雄)スキルLvアップ用モンスター幻獣枠メタドラペンドラムギドラノエルドラゴン進化用たまドラ潜在たまドラ○○ピィぷれドラ○○タン元スペダン龍魔石龍ナンバードラゴン常設Dボス降臨ボス晩成型ドラゴン精霊族フルーツドラゴン童話龍剣士旧特典モンスター分類不能希石レア希石:火レア希石:水レア希石:木レア希石:光レア希石:闇 ゴッドフェス限定・元ゴッドフェス限定 一覧 オーディンメタトロンソニアカーリー時女神龍契士獣魔和龍喚士鋼星神フェンリル龍神魔爵アテン日本由来クトゥルフ系ネイコットン争女神大魔女フェス限化降臨モンスター龍刀士クロノマギアメノア シリーズ神 西洋神新西洋神西洋神第3弾和神新和神インド神新インド神北欧神話エジプト神話新エジプト神天使新天使悪魔四獣の神英雄神三国の神新三国の神戦国の神新戦国の神戦国の神第3弾星機の神新星機神明王の神ケルトの神メソポタミアの神 その他 ドラゴンライダー忍者色違いヴァルキリーパズドラZマジシャン鎧騎士魔導書勇士新勇士幻獣ライダー機導龍機導獣パズバトコラボ大賢龍宝石姫伝説の英雄元フェス限定 コラボガチャあり CDコラボ神羅万象チョココラボエヴァコラボアイルーコラボバットマンコラボHUNTER×HUNTERコラボハローキティコラボパズバトコラボドラゴンボールコラボ聖闘士星矢コラボビックリマンコラボDCコミックスコラボぷぎゅコレコラボ北斗の拳コラボB-side Labelコラボファイナルファンタジーコラボデュエル・マスターズコラボ進撃の巨人コラボサンデーオールスターズコラボクローズコラボBLEACHコラボるろうに剣心コラボキン肉マンコラボマガジンオールスターズコラボモンスターハンターコラボ鋼の錬金術師コラボKOFコラボ幽☆遊☆白書コラボペルソナコラボマジック:ザ・ギャザリングコラボパワプロコラボガンホーコラボガチャ銀魂コラボソードアート・オンラインコラボ仮面ライダーコラボ妖怪ウォッチWコラボFate/stay night[HF]コラボストリートファイターV AEコラボシャーマンキングコラボサンリオキャラクターズコラボチャンピオンオールスターズコラボサムライスピリッツコラボ コラボガチャなし ROコラボ太鼓の達人コラボECOコラボぐんまコラボケリ姫コラボガンホーコラボカピバラさんコラボCoCコラボグルーヴコースターコラボラグオデAコラボドラゴンズドグマコラボ高岡市コラボサーティワンコラボアングリーバードコラボパズドラZコラボ三国テンカトリガーコラボパズドラクロスコラボ逆転裁判6コラボPepperコラボマクドナルドコラボ 季節もの+α お正月バレンタインパズドラ学園ジューンブライド夏休みハロウィンクリスマスフェス限ヒロイン龍契士 龍喚士龍楽士神器龍物語 降臨イベント 一覧 15MP級20MP級25MP級50MP級99MP級 スペダン龍 元スペダン龍 華龍蟲龍丼龍猫龍機甲龍犬龍古代龍鉄星龍契約龍転界龍護神龍宝珠龍戦武龍伴神龍 その他 プレゼント モンスターメダル ヌエ・双角トロール古老色違いガチャキャラ色違い降臨キャラその他 トレジャー レーダードラゴンレーダー龍喚士精霊王オルファリオンパーツその他 ステッカーコレクション書籍特典イラストコンテストモンスター購入専用パズドラレーダー連動モンスター交換所専用 リーダースキル:【7×6マス】リーダースキル:【追い打ち】リーダースキル:【コンボ加算】リーダースキル:【覚醒無効状態】 モンスター名で検索 して、 「図鑑/×××」の部分をクリック すると個別ページに飛べます。 タグ検索 ※リンク先は【覚醒スキル】を持つモンスターの一覧です HP強化攻撃強化回復強化火ダメージ軽減水ダメージ軽減木ダメージ軽減光ダメージ軽減闇ダメージ軽減自動回復バインド耐性暗闇耐性お邪魔耐性毒耐性火ドロップ強化水ドロップ強化木ドロップ強化光ドロップ強化闇ドロップ強化回復ドロップ強化操作時間延長バインド回復スキルブースト火属性強化水属性強化木属性強化光属性強化闇属性強化2体攻撃スキル封印耐性マルチブースト神キラーマシンキラー悪魔キラードラゴンキラー回復キラー攻撃キラー体力キラーコンボ強化ガードブレイク追加攻撃チームHP強化チーム回復強化ダメージ無効貫通覚醒アシスト超追加攻撃スキルチャージバインド耐性+操作時間延長+雲耐性操作不可耐性スキルブースト+HP80%以上強化HP50%以下強化L字消し軽減L字消し攻撃超コンボ強化コンボドロップスキルボイスダンジョンボーナス ■攻撃系 ダメージダメージ+吸収ダメージ+自傷割合ダメージ固定ダメージ ■回復系 体力回復バインド回復覚醒無効状態回復 ■デバフ系 ターン遅延防御減少毒属性変化 ■盤面変化系 目覚めドロップロックドロップロック解除 ■強化系 ドロップ強化全体攻撃コンボ加算 ■ギミック無効化系 ダメージ吸収無効化属性吸収無効化ダメージ無効貫通消せないドロップ回復 ■パラメータ強化系 属性エンハンスタイプエンハンス回復力エンハンス覚醒数エンハンス ■防御系 ダメージ軽減 ■操作補助系 操作時間延長時間停止 ■ドロップ変化系 シングル変換ダブル変換列変換ランダム変換全ドロップ変換ドロップリフレッシュ特定型ドロップ生成 ■変換先ドロップ 火ドロップ水ドロップ木ドロップ光ドロップ闇ドロップ回復ドロップお邪魔ドロップ毒ドロップ ■その他 4ターン以下のスキル反撃ランダム効果ヘイストリーダーチェンジ落ちコン無効ルート表示 ↑カテゴリを選んでください モンスター図鑑 No.3590 想鎌の星機神・ハマル 想鎌の星機神・ハマル No.3590 レア度 7 レベル 1 最大Lv99 スキル メテオチャージ・ダーク 進化素材 コスト 35 HP 970 2425 ターン(最短) 14(9) タイプ マシン/悪魔 攻撃力 722 2005 Lスキル 白羊の月機星 主属性 闇 回復力 139 348 進化元 夢鎌の星機神・ハマル 編集 副属性 木 EXP 400万 4,000,000 進化先 夢鎌の星機神・ハマル(退化) 覚醒 闇ドロップ強化 / 闇ドロップ強化 / スキルブースト / スキル封印耐性 / スキル封印耐性 / 闇属性強化 / 闇属性強化 / 闇属性強化 生息地・入手方法 進化のみ 進化・合成情報 進化:ハマル 夢鎌の星機神・ハマル 究極進化(想鎌の星機神・ハマル / 夢鋏の星機神・ハマル) 同スキルモンスターハマル・夢鎌の星機神・ハマル・夢鋏の星機神・ハマル 白羊の鉄星龍・アリエス 覚醒スキル スキル・Lスキル スキル: メテオチャージ・ダーク 光、回復、毒ドロップを闇ドロップに変化。自分以外の味方スキルが1ターン溜まる。 Lスキル: 白羊の月機星 回復の4個消しで回復力が2.5倍。強化ドロップを含めて5個消した属性の攻撃力が5倍。 備考 来歴 2017年5月29日、実装。( 公式告知 ) コメント 今の環境ならむしろ追加覚醒は全部ドロ強でも良かった。 -- 2017-06-01 19 34 42 列パ全盛期ならかなりの高評価で今頃コメントもそれなりに盛り上がってたろうに。現実はこの空気っぷりよ…。 -- 2017-06-02 00 29 08 闇アテナで全色必要な時ギリ出番アリ。でもホントそれぐらい -- 2017-06-05 14 01 00 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/pazdra/pages/21260.html
図鑑のトップページへ戻る No. 通常入手系 レアガチャ限定系 コラボ系 期間限定D系 レーダー その他 タグ検索 覚醒 スキル No.001-No.051-No.101-No.151-No.201-No.251-No.301-No.351-No.401-No.451- No.501-No.551-No.601-No.651-No.701-No.751-No.801-No.851-No.901-No.951- No.1001-No.1051-No.1101-No.1151-No.1201-No.1251-No.1301-No.1351-No.1401-No.1451- No.1501-No.1551-No.1601-No.1651-No.1701-No.1751-No.1801-No.1851-No.1901-No.1951- No.2001-No.2051-No.2101-No.2151-No.2201-No.2251-No.2301-No.2351-No.2401-No.2451- No.2501-No.2551-No.2601-No.2651-No.2701-No.2751-No.2801-No.2851-No.2901-No.2951- No.3001-No.3051-No.3101-No.3151-No.3201-No.3251-No.3301-No.3351-No.3401-No.3451- No.3501-No.3551-No.3601-No.3651-No.3701-No.3751-No.3801-No.3851-No.3901-No.3951- No.4001-No.4051-No.4101-No.4151-No.4201-No.4251-No.4301-No.4351-No.4401-No.4451- No.4501-No.4551-No.4601-No.4651-No.4701-No.4751-No.4801-No.4851-No.4901-No.4951- No.5001-No.5051-No.5101-No.5151-No.5201-No.5251-No.5301-No.5351-No.5401-No.5451- No.5501-No.5551-No.5601-No.5651-No.5701-No.5751-No.5801-No.5851-No.5901-No.5951- 御三家カラードラゴン○○りんカーバンクルゴブリンオーガ・修験鬼ファイター・ナイトデビルキメラ忍び精霊ゴーレム魔剣士女の子(回復娘)玩具龍攻撃態勢(英雄)スキルLvアップ用モンスター幻獣枠メタドラペンドラムギドラノエルドラゴン進化用たまドラ潜在たまドラ○○ピィぷれドラ○○タン元スペダン龍魔石龍ナンバードラゴン常設Dボス降臨ボス晩成型ドラゴン精霊族フルーツドラゴン童話龍剣士旧特典モンスター分類不能希石レア希石:火レア希石:水レア希石:木レア希石:光レア希石:闇 ゴッドフェス限定・元ゴッドフェス限定 一覧 オーディンメタトロンソニアカーリー時女神龍契士獣魔和龍喚士鋼星神フェンリル龍神魔爵アテン日本由来クトゥルフ系ネイコットン争女神大魔女フェス限化降臨モンスター龍刀士クロノマギアメノア シリーズ神 西洋神新西洋神西洋神第3弾和神新和神インド神新インド神北欧神話エジプト神話新エジプト神天使新天使悪魔四獣の神英雄神三国の神新三国の神戦国の神新戦国の神戦国の神第3弾星機の神新星機神明王の神ケルトの神メソポタミアの神 その他 ドラゴンライダー忍者色違いヴァルキリーパズドラZマジシャン鎧騎士魔導書勇士新勇士幻獣ライダー機導龍機導獣パズバトコラボ大賢龍宝石姫伝説の英雄元フェス限定 コラボガチャあり CDコラボ神羅万象チョココラボエヴァコラボアイルーコラボバットマンコラボHUNTER×HUNTERコラボハローキティコラボパズバトコラボドラゴンボールコラボ聖闘士星矢コラボビックリマンコラボDCコミックスコラボぷぎゅコレコラボ北斗の拳コラボB-side Labelコラボファイナルファンタジーコラボデュエル・マスターズコラボ進撃の巨人コラボサンデーオールスターズコラボクローズコラボBLEACHコラボるろうに剣心コラボキン肉マンコラボマガジンオールスターズコラボモンスターハンターコラボ鋼の錬金術師コラボKOFコラボ幽☆遊☆白書コラボペルソナコラボマジック:ザ・ギャザリングコラボパワプロコラボガンホーコラボガチャ銀魂コラボソードアート・オンラインコラボ仮面ライダーコラボ妖怪ウォッチWコラボFate/stay night[HF]コラボストリートファイターV AEコラボシャーマンキングコラボサンリオキャラクターズコラボチャンピオンオールスターズコラボサムライスピリッツコラボ コラボガチャなし ROコラボ太鼓の達人コラボECOコラボぐんまコラボケリ姫コラボガンホーコラボカピバラさんコラボCoCコラボグルーヴコースターコラボラグオデAコラボドラゴンズドグマコラボ高岡市コラボサーティワンコラボアングリーバードコラボパズドラZコラボ三国テンカトリガーコラボパズドラクロスコラボ逆転裁判6コラボPepperコラボマクドナルドコラボ 季節もの+α お正月バレンタインパズドラ学園ジューンブライド夏休みハロウィンクリスマスフェス限ヒロイン龍契士 龍喚士龍楽士神器龍物語 降臨イベント 一覧 15MP級20MP級25MP級50MP級99MP級 スペダン龍 元スペダン龍 華龍蟲龍丼龍猫龍機甲龍犬龍古代龍鉄星龍契約龍転界龍護神龍宝珠龍戦武龍伴神龍 その他 プレゼント モンスターメダル ヌエ・双角トロール古老色違いガチャキャラ色違い降臨キャラその他 トレジャー レーダードラゴンレーダー龍喚士精霊王オルファリオンパーツその他 ステッカーコレクション書籍特典イラストコンテストモンスター購入専用パズドラレーダー連動モンスター交換所専用 リーダースキル:【7×6マス】リーダースキル:【追い打ち】リーダースキル:【コンボ加算】リーダースキル:【覚醒無効状態】 モンスター名で検索 して、 「図鑑/×××」の部分をクリック すると個別ページに飛べます。 タグ検索 ※リンク先は【覚醒スキル】を持つモンスターの一覧です HP強化攻撃強化回復強化火ダメージ軽減水ダメージ軽減木ダメージ軽減光ダメージ軽減闇ダメージ軽減自動回復バインド耐性暗闇耐性お邪魔耐性毒耐性火ドロップ強化水ドロップ強化木ドロップ強化光ドロップ強化闇ドロップ強化回復ドロップ強化操作時間延長バインド回復スキルブースト火属性強化水属性強化木属性強化光属性強化闇属性強化2体攻撃スキル封印耐性マルチブースト神キラーマシンキラー悪魔キラードラゴンキラー回復キラー攻撃キラー体力キラーコンボ強化ガードブレイク追加攻撃チームHP強化チーム回復強化ダメージ無効貫通覚醒アシスト超追加攻撃スキルチャージバインド耐性+操作時間延長+雲耐性操作不可耐性スキルブースト+HP80%以上強化HP50%以下強化L字消し軽減L字消し攻撃超コンボ強化コンボドロップスキルボイスダンジョンボーナス ■攻撃系 ダメージダメージ+吸収ダメージ+自傷割合ダメージ固定ダメージ ■回復系 体力回復バインド回復覚醒無効状態回復 ■デバフ系 ターン遅延防御減少毒属性変化 ■盤面変化系 目覚めドロップロックドロップロック解除 ■強化系 ドロップ強化全体攻撃コンボ加算 ■ギミック無効化系 ダメージ吸収無効化属性吸収無効化ダメージ無効貫通消せないドロップ回復 ■パラメータ強化系 属性エンハンスタイプエンハンス回復力エンハンス覚醒数エンハンス ■防御系 ダメージ軽減 ■操作補助系 操作時間延長時間停止 ■ドロップ変化系 シングル変換ダブル変換列変換ランダム変換全ドロップ変換ドロップリフレッシュ特定型ドロップ生成 ■変換先ドロップ 火ドロップ水ドロップ木ドロップ光ドロップ闇ドロップ回復ドロップお邪魔ドロップ毒ドロップ ■その他 4ターン以下のスキル反撃ランダム効果ヘイストリーダーチェンジ落ちコン無効ルート表示 ↑カテゴリを選んでください モンスター図鑑 No.5590 リムルル【2Pカラー】 リムルル【2Pカラー】 No.5590 レア度 5 レベル 1 最大Lv99 スキル ウプン オプ 進化素材 コスト 20 HP 4,005 ターン(最短) (2) タイプ 体力/回復 攻撃力 1,695 Lスキル えへへ…遊ぼう? 主属性 水 回復力 443 進化元 リムルル 編集 副属性 光 EXP 400万 4,000,000 進化先 リムルル(退化) 覚醒 水ドロップ強化 / 水ドロップ強化 / 水ドロップ強化 / 水ドロップ強化 / 水ドロップ強化 / スキルブースト+ / スキルブースト / ダンジョンボーナス / スキルボイス 超覚醒 回復キラー / ダメージ無効貫通 / 操作時間延長+ 生息地・入手方法 進化のみ(進化素材:水の番人、光の番人、蒼色の鬼神面、ダブサファリット、ミスリット) 進化・合成情報 進化:リムルル 究極進化(リムルル【2Pカラー】)アシスト進化:リムルル (ハハクル) 同スキルモンスターリムルル 覚醒スキル 超覚醒(ランダムで1つ、効果はソロプレイ時のみ) スキル・Lスキル スキル:ウプン オプ毒ドロップを水ドロップに変化。1ターンの間、ドロップ操作を2秒延長。 Lスキル:えへへ…遊ぼう?水属性の全パラメータが2倍。スキル使用時、攻撃力が2倍。ドロップを5個以上つなげて消すと、攻撃力が3.5倍。 備考 レベル限界突破、超覚醒可能。 来歴 2019年10月14日実装。( 公式告知 ) コメント スキブ3かつ2ターンスキルかつダンボ持ち、しかも星5で出やすいからヴェロアパが捗るかと思ったが着せ替え枠か… -- 2019-10-13 23 06 39 アシストにジュリ入れれば十分戦力になる -- 2019-10-14 21 34 42 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/mario-sunshine/pages/56.html
- return ■にこにこんぺサンシャイン版3 Task1 場所:ビアンコヒルズ ストーリー:8 測定開始:暗転が開け始めた瞬間 測定終了:ホバーノズルを取得した瞬間 条件1.チェックポイントを3か所以上通過する 条件2.壁キックを5回以上する 条件3.黄色コインを5枚以上取得する 条件4.サンボヘッドを3体以上倒す Stage Bianco Hills Episode 8 Start The moment fade out begins to open End The moment of getting Hover Nozzle. Condition 1 3 checkpoints are passed. Condition 2 5 or more wall jumps are done. Condition 3 Collect 5 yellow coins Condition 4 Kill 3 Pokey Sprouts. チェックポイント checkpoints 結果 Result Video Name Time Point 1st ヤマた 0 28"53 10+2pt 2nd Pyroshade 0 28"83 9+2pt 運営 大福 0 29"66 3rd AverageTrey 0 30"03 8pt 4th りぃす 0 30"06 7pt 5th ポッキー 0 31"33 6pt 6th BatedUrGonnaDie 0 32"06 5pt 7th Paperario 0 32"29 4pt 8th PowderedMilk 0 32"53 3pt 9th TAKEN 0 33"29 2pt 10th 黄泉ガエル 0 33"36 1pt 11th THEチキン 0 34"03 1pt 12th JKB 0 34"33 1pt 13th yossy 0 35"06 1pt 14th Kaffelon 0 35"29 1pt 15th Nkitten 0 35"40 1pt 16th ゆーくん 0 36"20 1pt 17thT pipipipipi 0 36"40 1pt 17thT HiddenPower13 0 36"40 1pt 運営 ひろ 0 36"86 19th 冷や奴 0 36"90 1pt 20th 61 0 37"36 1pt 21st ちむ 0 39"13 1pt 22nd bt.yamato 0 39"73 1pt 23rd やきとり 0 47"90 1pt 提示:14/09/14(日) 締め切り:14/09/20(土) 19 00
https://w.atwiki.jp/mirage-tactics/pages/33.html
データ入力テンプレート 記入例1 記入例2 1400 - シグナム 1401 - ソウルゲイン 1402 - アンジュルグ 1403 - ヴァイサーガ 1404 - アシュセイヴァー 1405 - ヴァイスセイヴァー 1406 - ラーズアングリフ 1407 - ツヴァイザーゲイン 1408 - オーグバリュー 1409 - ビュードリファー 1410 - ゼイドラム 1411 - ヒルドルブ(モビル形態) 1412 - ディズィー 1413 - 岡崎夢美 1414 - ダブルオークアンタ 1415 - ダブルオークアンタ フルセイバー 1416 - ガンダムサバーニャ 1417 - ガンダムハルート 1418 - ガンダムハルート(MA) 1419 - ラファエルガンダム 1420 - セラヴィーガンダムII 1421 - ラファエルガンダム ドミニオンズ 1422 - ジンクスIV 1423 - ブレイヴ一般用試験機 1424 - ブレイヴ一般用試験機(MA) 1425 - ブレイヴ指揮官用試験機 1426 - ブレイヴ指揮官用試験機(MA) 1427 - ガデラーザ(巡航形態) 1428 - ガデラーザ(戦闘形態) 1429 - LED.ミラージュ・インフェルノ・ナパーム装備 1430 - LED.ミラージュ・ブーメラン・ユニット装備 1431 - リボーンズガンダム 1432 - リボーンズキャノン 1433 - ガデッサ(ヒリング・ケア機) 1434 - ガラッゾ(ヒリング・ケア機) 1435 - シェリル・ノーム 1436 - カテジナ・ルース 1437 - 御剣冥夜 1438 - 撃震 1439 - 陽炎 1440 - 撃震(207戦術機甲小隊仕様) 1441 - 不知火 1442 - 不知火(富士教導隊仕様) 1443 - 不知火 壱型丙 1444 - 不知火 弐型(1番機) 1445 - 不知火 弐型(2番機) 1446 - 不知火 弐型(伊隅戦乙女中隊所属機) 1447 - 吹雪 1448 - 吹雪(帝国機) 1449 - 武御雷(御剣冥夜機) 1450 - 武御雷(月詠真那機) 1451 - 武御雷(帝国近衛軍親衛隊機) 1452 - 武御雷(一般衛士仕様) 1453 - 凄乃皇・四型 1454 - F-4ファントム 1455 - F-14トムキャット 1456 - F-14トムキャット(ジョリー・ロジャース仕様機) 1457 - F-15E ストライクイーグル 1458 - F-15ACTV アクティブイーグル 1459 - F-16 ファイティングファルコン 1460 - F-22A ラプター 1461 - YF22 N22YX 1462 - YF22 N22YF 1463 - YF-23 ブラックウィドウⅡ“スパイダー” 1464 - YF-23 ブラックウィドウⅡ“グレイゴースト” 1465 - 博麗霊夢 1466 - 霧雨魔理沙 1467 - ルーミア 1468 - チルノ 1469 - 紅美鈴 1470 - パチュリー・ノーレッジ 1471 - 十六夜咲夜 1472 - レミリア・スカーレット 1473 - フランドール・スカーレット 1474 - 橙 1475 - アリス・マーガトロイド 1476 - 魂魄妖夢 1477 - 西行寺幽々子 1478 - 八雲藍 1479 - 八雲紫 1480 - イエッタ 1481 - 京 1482 - クリスティン・V 1483 - インデックス 1484 - 武御雷(篁唯依機) 1485 - ケンシロウ 1486 - ラオウ 1487 - トキ 1488 - ジャギ 1489 - シン 1490 - レイ 1491 - アミバ 1492 - ハート様 1493 - ユダ 1494 - ラオウ&黒王号 1495 - マジンガーZ 1496 - マジンガーZ(ジェットスクランダー装備) 1497 - グレートマジンガー 1498 - ボスボロット 1499 - サウザー 1500 - マジンカイザー 1501 - メガエラ 1502 - ベルクト 1503 - 静 1504 - コンコード 1505 - ゲッター1 1506 - ゲッター2 1507 - ゲッター3 1508 - ゲッタードラゴン 1509 - ゲッターライガー 1510 - ゲッターポセイドン 1511 - ゲッターチーム 1512 - ゲッター1(OVA版) 1513 - ブラックゲッター 1514 - ブラックドラゴン 1515 - 真ゲッター1 1516 - 真ゲッター2 1517 - 真ゲッター3 1518 - Aトール・スクリティ 1519 - 鹿目まどか 1520 - 暁美ほむら 1521 - コンパチブルカイザー 1522 - Gサンダーゲート 1523 - Gコンパチブルカイザー 1524 - ヨーツンヘイム 1525 - ヨルムンガンド 1526 - シャア専用ヅダ 1527 - SRX(合体途中) 1528 - フェニックスガンダム 1529 - ハガネ 1530 - ヒリュウ改 1531 - クロガネ 1532 - シロガネ 1533 - サイバスター 1534 - ガルガウ 1535 - ガンレオン 1536 - バルゴラ 1537 - アストラナガン(鹵獲Ver) 1538 - エスト 1539 - クーン 1540 - ラキシス(バカンススーツVer) 1541 - フル・フロンタル専用クシャトリヤ 1542 - 御坂美琴 1543 - 白井黒子 1544 - ガニメデ 1545 - グラスゴー 1546 - グラスゴー(カレン機) 1547 - サザーランド 1548 - サザーランド(純血派仕様) 1549 - サザーランド可翔式 1550 - サザーランド・エア 1551 - グロースター(グラストンナイツ機) 1552 - グロースター(指揮官機) 1553 - グロースター(コーネリア機) 1554 - ランスロット・クラブ 1555 - ランスロット・クラブ・エアキャバルリー 1556 - ランスロット 1557 - ランスロット・エアキャバルリー 1558 - 無頼 1559 - 無頼(ゼロ専用機) 1560 - 無頼改 1561 - 月下(先行試作型) 1562 - 月下 1563 - 月下(藤堂機) 1564 - ガウェイン 1565 - 紅蓮弐式 1566 - ジークフリート 1567 - ランスロット・コンクエスター 1568 - ヴィンセント 1569 - ヴィンセント(ロロ機) 1570 - ヴィンセント(指揮官機) 1571 - ヴィンセント(ヴァルキリエ隊機) 1572 - ヴィンセント(ロイヤルガード機) 1573 - ヴィンセント・ウォード 1574 - 暁 1575 - 暁 直参仕様 1576 - 暁 直参仕様(C.C.機) 1577 - 斬月 1578 - 蜃気楼 1579 - 紅蓮可翔式 1580 - 紅蓮聖天八極式 1581 - ギャラハッド 1582 - トリスタン 1583 - トリスタン(フォートレスモード) 1584 - トリスタン・ディバイダー 1585 - トリスタン・ディバイダー(フォートレスモード) 1586 - モルドレッド 1587 - パーシヴァル 1588 - 蜃気楼(フォートレスモード) 1589 - 御坂妹 1590 - 打ち止め(ラストオーダー) 1591 - 一方通行(アクセラレーター) 1592 - 佐天涙子 1593 - 初春飾利 1594 - スカルハート 1595 - 黒騎士専用シナンジュ 1596 - ランスロット・アルビオン 1597 - ランスロット・フロンティア 1598 - サザーランド・ジーク 1599 - 神虎
https://w.atwiki.jp/suka-dqgaesi/pages/4234.html
590 名無しさん@HOME [sage] 2010/02/12(金) 17 45 00 0 ID Be トメが熱出して寝込んだので、お粥とか作りに行った トメは良だがウトはセクハラウト 台所に立ってると後から抱きついて胸を揉んできたり腰あたりを触ってきたりする 風呂に関してはどういう考えか突撃してこようとした その度に旦那や良トメと絞め上げていたのだがいっこうに懲りない 旦那やプッチンプリンと共に飛んでった義弟から教えて貰ったことを参考にしたDQN返し。多分 台所で洗い物してたら後に人が立つ気配がして、そのまま勢い良く服の中に手を突っ込んできたから慌てず騒がず全力で足の指を踏みつけた 素足で踏んだからかただ硬直してたウトに振り向いて、膝蹴りで股間を強めに攻撃 そのまま崩れるように倒れたウトの襟首を掴んで、耳元で「大概にしとけよ色ボケジジイ」って囁いたらあわあわ行って洗面所まで這って行った これを4回繰り返した結果、ウトは何もしなくなってきたどころか訪ねると即効で逃げ出すようになった 2回目以降は色々とアレンジ加えていって、4回目に至っては包丁を構えてた 文章力無いから読みにくかったらごめん 591 名無しさん@HOME [sage] 2010/02/12(金) 17 47 11 0 ID Be 590 GJ。 だが「旦那やプッチンプリンと共に飛んでった義弟」のくだりがよくわからない。 594 名無しさん@HOME [sage] 2010/02/12(金) 17 51 05 0 ID Be 説明しようと思って忘れてたw ウトが背後に立ったと思って裏拳をかましたら義弟で、当然ながら予想外で綺麗に倒れた その際に義弟が買ってきたプッチンプリンもスポーンと綺麗に飛んでった 義弟はプリンを冷蔵庫に入れようと思って背後を通っただけ で、義弟から何でこんなことしたのかって聞かれたから素直に↑のことを説明したら、股間を強打とかウトが実は脅しに弱い、というかじゃチキンという情報を貰えた 595 名無しさん@HOME [sage] 2010/02/12(金) 17 51 29 0 ID Be 4回やらなきゃわかんないのか… 596 名無しさん@HOME [sage] 2010/02/12(金) 17 51 52 0 ID Be 面白く書こうとするなと何度言ったらry 597 名無しさん@HOME [sage] 2010/02/12(金) 17 53 00 0 ID Be いや、面白く書こうと思ったわけじゃなくて頭のなかで整理しながら書いてたら抜けてしまってたみたい ごめん 義弟は2人居ることを明記するのを忘れてた 598 名無しさん@HOME [sage] 2010/02/12(金) 17 53 10 0 ID Be 義弟涙目ww しかし、 これを4回繰り返した結果 4回も繰り返したのか・・・懲りないウト 599 名無しさん@HOME [sage] 2010/02/12(金) 17 54 17 0 ID Be そら一回で懲りるヤツなら、トメと旦那が締め上げたらそこでやめてただろうさ。 600 名無しさん@HOME [sage] 2010/02/12(金) 17 58 32 0 ID Be 一応 2回目 足を踏まずに踵で脛を強打、踞ったのでそのままウトの禿げ散らかした頭頂部に肘打ち その後襟首つかんで引きずりながら「生ゴミの回収日っていつだったかな?」と言ったりした 3回目 裏拳を当てて倒れたところを全力で蹴ってから「老後楽しみにしとれよ」と囁く 4回目 後に向かって頭突きの後、押し倒して包丁を首筋に当てて、略 601 名無しさん@HOME [sage] 2010/02/12(金) 18 02 19 0 ID Be …ウト、バカじゃねーの? 乙でした。 次のお話→632
https://w.atwiki.jp/mario-sunshine/pages/52.html
- return ■にこにこんぺサンシャイン版2 Task13 (Final) 場所:ドルピックタウン 測定開始:メインの7ステージのどれかから戻ってきた際の暗転開けの瞬間 測定終了:出てきたステージに入った瞬間 条件1.灯台の上のブロックに乗る 条件2.離れ小島のヤシの木に掴まる (アルバイトがある方) 条件3.木箱を一つ壊す 補足1.ヨッシーの使用禁止 Stage Delfino Plaza Start Moment of opening dim when I came back from one of the 7 main stage Finish The moment I entered the stage that came out (Noki Bay The moment the screen became pure white) (Other The moment of changing to the short movie which cannot be operated) Conditions1 get on the block on the lighthouse. Conditions2 Hold on to the palm trees of the island and away. (Island there is a part-time job) Conditions3 Break one wooden box. Cautions1 Yoshi use of prohibited. 条件1 Condition 1 条件2 Condition 2 結果 Result Name Time Point 1st 0 49"40 THEチキン 8+2pt 2nd 0 49"67 冷や奴 7+2pt 3rd 0 50"93 大福 6+2pt 4th 0 52"70 JKB 5+2pt 運営 0 53"34 ヤマた 5th 0 53"51 HiddenPower13 4pt 6th 0 55"52 皆川 3pt 7th 0 58"24 りぃす 2pt 8th 1 02"59 TAKEN 1pt 9th 1 02"83 Nkiller 1pt ゲスト賞:大福 ユニーク賞:大福・TAKEN 提示:13/12/15(日) 締め切り:13/12/21(土) 21 00
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/552.html
・それなりに長いです。 「…はあ、お前のれいむがゲスになったかもしれない、と」 とあるファミレスの中。飲み放題のコーラを啜りながら目の前の友人に呆れた目を向けるのは、 普通より少しゆっくりに詳しいお兄さん。友人の方は、いかにもといった化粧に流行の服を着た若い女性。 彼女はお兄さんの言葉を聞くと、むくれた様に野菜ジュースの入ったコップを ダン と音を立てながら置いた。 「そう! 最近態度が悪いし、散歩から帰ってきたと思ったら餡子が下の方にいっぱいついてるし! コイツはゲスかなー、って。 でもほら、ゲスってあれじゃない? …やっぱり、自分から言い出せなくて」 「まあ、ゲスの勢いは普通に相手するには辛いよな。 …それで俺に散歩中の撮影を頼んできた訳か。 で、対価は何のつもりなんだ?」 「銘鈴本舗のスイーツ食べ放題でどう?」 「…いや、それなら瑛夢湾堂のスペシャルケーキも追加で頼む」 「う…あれ、かなり高いのに…。 いいわよ、いいわよ! 私も一緒に食べるんだからね!」 「OKOK、取引成立って奴だな。 明日の2時に散歩に出掛けるれいむを尾行すればいいんだよな」 「うん、ゲスじゃなければいいんだけど…よろしくね!」 ──悪い奴じゃないんだけどな。 会計分を置いてバイトに急ぐ友人を見送ると、コーラのおかわりを持ってきて今回の要項を纏め始める。 今回俺にゆっくり尾行の依頼をしてきた友人は、小学生の頃からの所謂腐れ縁だ。 相談事を親身になって聞いてくれる様ないい奴ではあるのだが、少々ミーハーな所があって流行に目が無い所が玉にきず。 今回の依頼も、流行に乗って安価なれいむを購入したはいいが、躾はしているのに段々調子づいてきた上、 (ゲス因子の多い個体の場合、通常の躾に加えて暴力的手段に出ないとあっさりゲス化するものも多い) 最近は散歩から帰ってくると毎回毎回明らかな返り餡らしい餡子が大量に跳ねて付いていて 不安になってきた、という所が彼女の訴えである。 簡単に言うなら、ゲス化が進んで野良ゆっくりを殺しているんじゃないかという不安といった所か。 彼女が直接れいむに言及しない理由も理解できている。ゲスの言動の酷さはゆっくりを知る人ならば 必ず知っているレベルで浸透している。『死ね・殺してやる・さっさと消えろ』等、 インターネットで書きこんだら明らかに逮捕されかねない様な言動。 余程慣れている人間かゆっくりを知っている人間でもなければかなり精神的に来る物なのである。 だからこそ、彼女はどんな趣味を持ってるか知っている俺にれいむの白黒判断の依頼をしてきたのだろう。 銘鈴本舗のスイーツ食べ放題と瑛夢湾堂のスペシャルケーキを食べられるならば、 れいむが白だったとしても尾行の時間は圧倒的にプラスになる。 れいむが黒であるならば(この時点でほぼ決まっている様なものだが)、れいむには俺の趣味に付き合って貰おう。 実に楽しみだ。 ────────────────────────────────── 午後2時。俺は彼女の自宅の傍にある角で待機していた。…相手はゆっくりなので、特に扮装も何も必要がない。 たとえ真後ろをずっと尾けていたとしても、銅バッジの飼いれいむは気付きもしないだろう。 恐らく、警戒心なんてものも無いにも等しいようなものだ。 ぼうっと考え事をしながら家の方を見ていると、でむでむとれいむが跳ねて出てきた。 顔つき、その下膨れの大きさ。第一印象、見紛う事なきまでのでいぶだ。 ゲスゆっくりの教科書があれば、その表紙にはこんなでいぶが映っているだろう。 「このくそどれいいい! いつもあまあまもっててとうぜんでしょぉぉぉお?!」 一旦跳ねるのをやめると、家の方をふりかえって大声で喚いた。 …いやいや、ボロを出すのが早すぎるだろう。 既にこの時点でゲス認定が可能なので捕えても構わないのだが、どうせなので散歩中の行動も見てからにしよう。 いつでもとっさの事態に対応できるように手に持った動画撮影用のカメラを構え、 でいぶに見つからない様多少距離を取りながら尾行を開始する。 でいぶは、3m程跳ねる度に休憩を取りながら小さな林に向かって散歩を開始した。 ───────────────── 「やめて、まりさにひどいことしないで!!! このいなかもの!!!」 「ゆふん、このばっじさんがみえないの? れいむはにんげんをどれいにしてるいだいなゆっくりなんだよ? さからってただですむとおもってるの? ばかなの? しぬの?」 「ゆぎぎ…ありす、まりさはいいからにげるのぜ…」 「まりさをおいてにげるなんてとかいはじゃないわ!」 「ゆっふ、ゆっふ、ならそこでれいむのゆうしをゆっくりみていってね!!! しこってもいいのよ?」 手にビデオカメラを構えたまま、草叢の先で行われている行動を映し続ける。 小さな林の中に入るなり、れいむはゆっくりの巣らしき場所を物色して現在れいむに暴行を受けている まりさとありすの番を発見し、おもむろに体当りをしかけてありすを木に叩きつけ、 まりさに体を押し付けて無理矢理すっきりをし始めたのだ。 予想通り、このれいむは"でいぶ"、所謂ゲスのれいむである。ねっちょねっちょと気食悪い音を立てて 事に及ぶれいむとまりさの横で、まりさの番であるありすが大きく口を開いて泣いていた。 子供がいない辺り、恐らく初すっきりー!もまだ行っていなかったのだろう。 愛しのまりさが目の前でれいぽぅされるという事態を、ただ悔しそうに見詰めている。 「ゆっふ、ゆっふ、なかなかいいしめつけのまりさだね!!! れいむさまにすっきりしてもらえることをよろこんでね!!!」」 「やべで、やべでぇぇぇ!!! まりざずっぎりじだぐないでずぅぅぅ!!!」 「ゆっふ、れいむにはまりさのきもちなんてかんけいないんだよ? ゆっくりりかいしてね!!!」 「やだぁぁぁ!!! やべで、まりざにはありずがいるんでずぅぅぅ!!!」 「そこのへたれありすなんかよりれいむのほうがかわいいでしょぉぉぉ!!!」 「まりさぁぁぁぁ!!! やめてあげて! まりさ、とってもいやがってるわ!」 「しつこいのらだね!!! だからそれはれいむにはかんけいないでしょぉぉぉ?」 …論争しながら事に及ぶというのは、なんとも器用な生物である。 そうこうしている内に、まりさの顔色が赤くなってきた。 「ゆっ、ゆっ…やだぁぁぁ!!! まりさすっきりしたくないぃぃぃ!!!」 「ゆふっ、ゆふっ、れいむのてくにっくによいしれてもいいのよぉぉぉ!!!」 「やめてぇぇぇ!!! まりさ、まりさぁぁぁぁ!!!」 「ゆっ、ゆっ、ゆっ…や、やべで………すっきりぃぃぃぃ!!!」 「ゆふーん、すっきりーーー!!!」 にょきにょきと、まりさの頭から緑色の茎が生えてくる。 ありすは怒りと悔しさが混じった表情で、まりさは放心に悲しみと初めての子供が生えてきたという複雑な感情で、 すっかり伸びて、下に丸々とした実を膨らませる茎を見つめていた。 べきっ 『………ゆ?』 そんな二匹の目の前で、でいぶは茎ごと生えた肌色の実を舌で巻き取ってぱっくりと食べた。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!! うっめ、これめっちゃうっめ!!! すっきりのあとのあまあまうっめ、ぱねぇ!!!!!」」 「………なにやってるのよぉぉぉぉ!!!!!!!! このくそれいむぅぅぅぅ!!!!!」 放心しているまりさの横から、目の前の行動にあまりにも腹を立てたありすがでいぶめがけて思い切り跳ねてかかる。 ぼよん、と、ありすはれいむのふくよかな腹に弾かれた。 「ゆあぁぁぁ?!! いたいでしょぉぉぉ!!! なにれいむさまのしょくじのじゃましてるんだこのげすぅぅぅ!!!」 茎と餡子の混ざった何かのカスを口から噴出させながら、れいむはありすに向かって体当りした。 渾身の体当りをあっさり受け止められたありすは、れいむの体当りを受けて数十センチ程吹っ飛んだ上、 頬を擦り剥いてしまった様子でカスタードを漏らしていた。 …当然の結果だろう。片や低級の餌とは言え毎日たらふく喰らっている、 その上で野良の餡子も口にしているでいぶ。片や、草や虫を食べてやっと生活している亜成体サイズの野良である。 ありすは擦り剥いた顔が痛い様子で、相当な涙目になりながらもでいぶを睨みつけている。 まりさも、漸く放心状態から抜け出せた様子で折れた茎を額から生やしながらもありすに向かって跳ねようとする。 「まりさはまだつづきがあるでしょおおおぉぉぉ!!!」 が、でいぶの体当りによって木に思い切り顔面からぶつかり、「ゆ"っ」と小さく呻いた。 「このくそありす!!! くそありすはれいむさまのすっきりぷれいをゆっくりみとどけてろぉぉぉ!!!」 まりさを木に押し付けたれいむは、ありすの元へと跳ね、思い切り跳ぶと体当りでありすを横にした。 そして、ありすの底部を思い切り噛み千切った。 「ゆぎゃあああああ!!! ありずのとがいはなあんよがぁぁぁぁ!!!」 「ありすぅぅぅ!!!」 「ゆふん、これでもううごけないね!!! くそありすはそこでゆっくりしこっていってね~!!!」 「ゆぎゅ、いだい…まりさ…まりさぁ…!」 ぼろぼろとカスタードの混じった涙を落とすありす。 横に向けられたまま起き上がれないありすを見て納得したように「ゆふん」と溜息を一回すると、 でいぶはまりさの方へと跳ねて戻った。…まりさは、もう反抗する気力もなく泣いていた。 そこからは、でいぶの一ゆ芝居だった。 まりさをれいぽぅしては生えた実を喰らい続け、まりさが黒ずんで永遠にゆっくりすると 大泣きしているありすの底部からデザートと言わんばかりにカスタードを吸い取ってこちらも永遠にゆっくりさせてしまった。 ───────────────── でいぶが同じ道を通って家に戻ると、飼い主の友人が家から出てきた。 「どうだった? 今日はカスタードが付いてたみたいだけど、もしかして………」 「見紛う事なき黒だな、番を殺して遊んでたよ。 詳細は聞く?」 「…いや、いいわ………。 ああ、このれいむは捨てたり保健所に引き取って貰ったりしないと駄目よね?」 「俺が引き取ろうか? お前が新しいゆっくりを飼いたいと言うなら指南もするが、どうする?」 「ううん、いい。 私にはゆっくりは飼えないみたいだし、もうゆー物園で我慢する事にする。 れいむは…好きにしていい、そこまでしてくれるならお礼ももう少し多めに考えるわね」 「別にいいよ。 ここから先は俺の趣味だし」 「うん…ありがとうね。 れいむは、いつ引き取りに来るの?」 「数日は歓迎の準備の時間が欲しいな。れいむがどんな事をしていたのか、もう少し知りたい」 「…じゃあ、明々後日辺りでいい? れいむは、また散歩とかさせていればいいのかな」 「そうしてくれると助かるよ。それじゃあ、また」 こうして、数日後にこのでいぶは俺の所有物となる事になった。 その間、でいぶは"いつも"の様にあの小さな林に出掛けては野良のゆっくりを惨殺して楽しんだ。 しんぐるまざーのぱちゅりーが居ればれいぽぅした上、がばまむに腹を立てたという理由でまむまむに木を突き刺して抉り、 ちぇんが居ればお飾りを滅茶苦茶に壊し、ぐちゃぐちゃに噛み潰した上で吐き捨てた。 「ゆっくり」としか言えないれいむが居れば、髪を引き千切っては毟り、大きな悲鳴を楽しんだ。 そうして3日後、友人から透明な箱に入れ、ラムネで眠らせてあるれいむを譲り受けた。 家にでいぶを持ち帰ると更にラムネを半箱分口に放り込んでより深い眠りへと誘い、 でいぶを専用の部屋へと連れ帰った。 ────────────────────────────────── れいむが目を覚ますと、いつもと違う部屋に居た。 部屋にある筈の家具が一つもなく、どこを向いても白い壁がそのまま見える。 がらんどうの部屋には遊び道具も見当たらず、つまらなさそうな場所だった。 「ここはどこなの、くそどれい!!!」 ・・・・・ 「くそどれいぃぃぃ!!! へんじしろぉぉぉ!!!」 『やあ、れいむくん』 「…ゆん?!」 部屋の壁の一方に、黒い服を着た人間の姿が見える。 声は、れいむの"どれい"とは似ても似つかない低い声だ。 「れいむさまでしょぉぉぉ!!! くそにんげん、れいむのどれいはどこなの?!」 『ああ、君の昔の奴隷だね。 それなら、私が壊してやったよ』 「はぁぁぁぁ??!! なにいってるのぉぉぉ?! ふざけんなぁぁぁぁぁぁ!!!」 『まあまあ、落ち着いてくれ。 その代わり、君に相応しい"奴隷"を用意した』 「ゆん? そいつはまえのどれいよりつかえるの? だったらゆるしてあげてもいいよ!!! でもつかえなかったらわかってるだろうなぁぁぁ?!」 『ははは、大丈夫だよ。 こいつは使えるぞ。 それでは、また会おう』 「もうにどとかおをみせなくていいよ!!! めいれいだよ!!!」 当然、前の奴隷の友人は壊しても殺してもいないのだが、やはり友人を殺したというのも気が引けるので れいむには"壊した"とマイルドに伝えてやった。 …どうやら、れいむは環境の変化自体は然程気にしていないようだ。 新たな家に新たな"奴隷"を与えるというだけですっかりご機嫌が立て直りかけている。 ───────────────── 壁のローブの人間が消えると同時に、下にある押し戸をぎぃ、と開いて何かが部屋に入って来た。 「ゆ………ゆっくり、していってね………?」 「ゆっくりしていってね!!! …ゆん? おまえがあたらしいどれい?」 その頭に被る帽子は深い深い漆黒で、鍔の折れ具合も完璧。肌の色艶はよく、きらきらと輝く髪。 それに、髪と同じ金色の瞳は深く濡れている。 おどおどしながら現れた新しいれいむのどれいは、美しいゆっくりまりさだった。 「ゆ、うん………れいむが、まりさのだいじなれいむ、なんだね…?」 「ゆふん、まりさじゃなくてせかいにとってもだいじなだいじなれいむだよ!」 「ゆ、ゆん…そうなんだ、れいむは…すごいね…」 「ゆっへん、よくわかってるどれいだね!!! きにいったよ!!!」 れいむは満足だった。れいむの新しいどれいは、やたらおどおどしている点を除けば 昔のどれいより遥かに"物事"をわかっているどれいだ。おまけに、外見も悪くない。 「ゆっ、ま…まりさ、れいむのごはんさん…もってきたよ」 「ゆん、どれいはきがきくね!!! ゆっくりはやくたべさせてね!!!」 「わ、わかったよ…」 まりさは部屋に置かれている大きな皿の上に行くと、漆黒のお帽子を脱いで中に入っているものをばらばらと皿に撒く。 ドライフルーツ入りの鮮やかなゆっくりフード。帽子を振ってばらばらとフードを落としていくと、 最後の方は茶色の粒が落ちてきて、食事の準備が整った。 れいむはというと、まりさの帽子から粒が落ちなくなった途端にまりさを押し退けて皿の上に乗った。 まりさの方はというと、涙目になりながらも帽子を被りなおし、部屋の隅へと這って行った。 「むーしゃ、むーしゃ…?! はふっはふっ、がつがつっ! うっめ! これぱねぇ! めっちゃうめぇ!」 早速粒に喰らい付いたれいむは、そのフードの美味さに思わずしーしーを漏らしながら餌を撒き散らし、 凄まじい勢いで食べてゆく。 そして満腹になった辺りで、茶色の粒に手を付けた。 「がっつ、がっ…? まっず! これまっずい! おいどれい!!!」 「ゆ、ゆぅっ…!?」 「このまずいやつをかたづけておいてね!!! れいむはおなかいっぱいだよ!!! それとすーやすーやのじゅんびをしてね! れいむさまはおねむだよ!!!」 希望を大声で叫ぶれいむ。まりさは涙目でこくこくと頷くと、入って来た戸をきぃ、と押して何処かへ行った。 一方れいむは、美味しい方の食べカスを舐めている。 小刻程経って餌の残りが茶色の粒だけになった頃、まりさはれいむの居る部屋へと戻って来た。 「ゆっ、ゆっ、おふとんさん…もってきたよ」 「もっとはやくきてねえええぇぇぇ? れいむさまはかんだいだからこんかいだけはゆるしてあげるよ!!! ゆっくりはやくじゅんびしてね!!!」 「ゆ、れいむ、どこですーやすーやするの?」 「れいむさまだよ!!! そうだね、むこうのはじっこがいいよ!」 まりさに聞かれたれいむは、木の板が置かれた部屋の隅の方をもみあげで指す。 まりさはその方に跳ねて行くと、帽子から綿を取り出し始めた。 そして板の上に綿をゆっくり大の円状に敷いていくと、ぽふぽふと三つ編みで馴らしていく。 「できたよ、れ…れいむ。 ゆ、ゆっくりおやすみ…なさい?」 「ゆふん、てぎわはわるくないね! でもこんどはもっとはやくもってきてね!!!」 れいむはまりさの準備したおふとんの上に乗ると、ふかふかの乗り心地に思わず顔を綻ばせて顔を擦りつけた。 「ゆ、ゆっくり…たべるよ…」 「………ゆん?」 れいむが布団の感触に慣れた頃、まりさの食事がやけに静かな事に気が付いた。 れいむがどれいの方を見ると、れいむがわざわざどれいの為に用意してやった飯を、 なんとも美味しくなさそうな表情でもそもそと食べているではないか! 「ゆゆぅぅぅ?! おいどれい! れいむさまがわざわざよういしてやったごはんがおいしくないの?!」 「ゆ、ゆぅ…!? れいむのごはん…お…おいしいよ…?」 「だったらなんでむーしゃむーしゃもしあわせもしていないのぉぉぉ??! ばかなのぉぉぉ?!」 「!? ま…まりさ、むーしゃむーしゃ…しても、いいの…?」 「ゆん?! れいむのよういしてやったごはんだからおいしくたべるのはとうぜんでしょぉぉぉ?! さっさとむーしゃむーしゃしてねぇぇぇぇぇ?!」 「ゆ、ゆ、ゆあぁぁぁ…! れ…れいむ、ありがとう…まりさ、むーしゃむーしゃしていいんだね…?」 「ゆふん、わかったならさっさとやってね!!! ぐずはきらいだよ!!!」 まりさはれいむが命令した言葉を聞くと、ひどく目を丸くして数秒停止した後、れいむから表情が見えない方向を向くと 「…ゆぐっ、ゆ、ゆっぐ…」 と小さな声で嗚咽を漏らした。れいむはなんとも動作のとろいまりさにいーらいーらしながらも、 綿のお布団から出たくなくてじっとその姿を見つめていた。 …ちっ、と、れいむは小さく舌打ちをした。 むーしゃむーしゃしろと言っただけであれだけ泣くなんて、なんて打たれ弱いどれいなんだ。 前のどれいは、命令を守らない事はあっても命令で泣く事なんて一度もなかったのに。 手際は悪くないのに、なんとも扱いにくい。 まりさはひとしきり泣き終えると、ふやかされて緩くなった頬を餌の方に向け、それをじっと見つめる。 そして、ぎゅっと目を瞑ってぱくりと茶色の粒を口に放り込むと、少しの間溜めてから 「む、むーしゃ…むーしゃ………」 粒を噛みながら、むーしゃむーしゃを始める。ぼろぼろと涙を零しながら、むーしゃむーしゃとよく噛む。 そして、たくさん咀嚼した上でごっくんと餌を飲み込んで、 「し、ししし、しあわせぇぇぇ!!!!!」 涙に濡れてくしゃくしゃになった顔をぱぁっ、と輝かせた。 …なんだ、こいつは。あんなにまずいご飯をあんなに喜んで食べるなんて、変なゆっくりだ。 そう思うと同時に、れいむは優越感を感じていた。 自分の用意したものをあんなに幸せそうに食べるのだ。そう悪い気分にはならないのだろう。 「む、むーしゃ…むーしゃ、むーしゃ! むっ…! げほっ、ごほっ!!! ………しあわせー!!! …えっほ…げほっ!」 あまりにもたくさんむーしゃむーしゃするからか、まりさは噎せてしまったようだ。 れいむは先に眠りに着くつもりだったのだが、その食事の様子が面白くてずっと見つめてしまい、 結局、まりさの食事が終わるまでれいむが眠りにつくことはなかった。 「ぺーろ、ぺーろ…」 まりさは、自分の食べカスとれいむの残したカスを丁寧に舐めて取ると、 皿の横に置かれた給水機から水をごーく、ごーくと飲んだ。 その表情から食事前の緊張感はすっかり抜けきっており、固かった表情は柔らかくなっていた。 「…ゆん? れいむ、さきにすーやすーや…しなかったの…? おふとん、ゆっくりできない…?」 水をたらふく飲んだまりさがれいむの方を向くと、れいむは目線を横に逸らしてむくれる。 「ゆん、どれいがきたないたべかたしてるからおうちがきたなくなるでしょおおお!? だかられいむさまはみまもってあげたんだよおおお?! ゆっくりりかいしてねぇぇぇ!!!」 「ゆ、ゆゆぅ!? ご、ごめんね…ごめんねれいむ、ま、まりさおそうじしてくるね…?」 「もういいよ!!! まったくあきれたどれいだね!!!」 「…ゆ、ゆぅ………ごめんれいむ………」 まりさはれいむにしこたま怒られて先程の表情から一転、すっかりしょげきってしまい、れいむと違う木の板の方に行くと 帽子を深く被って眠りについた。…奴隷という立場からか、まりさの下に綿の類が敷かれる事はなかった。 れいむの方も、まりさにたっぷるい感情をぶつけてすっきりしたのか、綿に顔を潜り込ませて 「すーや、すーや…」 と、たっぷりと寝息ではなく効果音を言いながら眠り始めた。 初日の様子は、なかなか上々のようだ。 ───────────────── 次の朝、れいむは目を覚ましていつものおうちと違う事に気が付いた。 「どぼぢでじらないおうぢにいるのぉぉぉ?!」 と大声で叫んだところで、向こうの方で丸くなっていたまりさが目を覚ました。 「ゆ、ゆっ…れいむ? ゆん、ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 れいむはまりさの挨拶を聞き、そちらの方を向いてその姿を目に捉えた所で漸く状況を思い出した。 んそうだ、ここは新しいおうちだ。そしてれいむは新しいどれいを手に入れたのだ。 もみあげで背中をぼりぼりと掻くと、れいむは早速空腹になってきた。 「れいむはおなかがぺーこぺーこだよ!!! どれいはさっさとごはんをもってきてね!!!」 「ゆ、ゆっ…わかったよ、れいむ」 「れいむさまでしょおおおぉぉぉぉ!」 思い切り叫ぶれいむを尻目に、まりさは例の扉から出て行った。…そういえば、れいむはあの扉の先に何があるかを知らない。 だからといって後を追って出掛けるのも面倒なので、れいむはゆっくりと綿に顔をうずめて待っている事にした。 少し経つと、またまりさはれいむの居る部屋に戻って来た。帽子が膨らんでいる辺り、その中には食事が入っているのだろう。 「ゆ、れいむ、ゆっくり……もどったよ」 「ゆん、れいむはおなかがへったよ!!! むーしゃむーしゃするよ!!! さっさとよういしてね!!! ぐずはきらいだよ!!!」 「ゆ…ゆ、ゆっくりわかったよ…」 まりさはぱたぱたと跳ねると、部屋の中心にある皿に餌を撒いていく。 中身は昨日の物とは違う匂いを出している…昨日の食事とは、風味が異なるようだ。 まりさが帽子を振ってぱらぱらと最後の餌を落とすと、さっと身を避ける。 れいむは、ゆふんと鳴くとまりさの居た場所に向かって跳ね寄り、 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!! おやさいのあじがするよぉぉぉ、うっめぇ!!!」 食事を開始した。 れいむが食事を終えると、まりさが残った餌と食べカスを丁寧に舐め取る。かなりつっかえながらむーしゃむーしゃと 喋っていた昨日に比べればいくらかスムーズな食事を摂る事が出来た様子で、目を細めながら皿を綺麗に舐めきった。 その後、れいむはのんびり昼寝をしたりごろごろと転がってみたりしながら時間を潰した。 が、とても暇なのでどれいの話を聞いてみる事にした。 「おいどれい、どれいはどんなおうちにいたの?」 「ゆ…? ま、まりさは…ぺっとしょっぷさんにいたよ…」 「ゆふん、れいむさまといっしょなんだね! こうえいにおもってね!!!」 「ゆ、ゆん…。 ま、まりさは…」 「なんなのぉぉぉ? どもってないでさっさとしゃべってねぇぇぇ?」 「な、なんでもないよ…」 「なんにもないならもったいぶらないでね!!! きたいしてそんしたよ!!!」 「…ゆぅ」 といった感じに、どれいに色々な事を聞いてみたがあまり良い話は聞けなかったようだ。 消化不良気味な表情をしながらも、外が暗くなってきた事に気付いたれいむはお腹が空いてきたので 「れいむはおなかがへっ(以下略) ───────────────── 数時間も時間を潰すのは、何もなければ難しい。 れいむはすぐに部屋に飽きてしまった。 「おいどれい! れいむがつまんないんだよ!!! なにかもってきてね!!!」 「ゆん、わかったよ」 ぎぃ ぽむぽむ、と情けない足音を立ててまりさは扉の先に消えてゆく。 れいむは壁とおしくらまんじゅうをして暇を潰そうとするものの、そう時間が潰せる遊びではない。 つまらなさげにぐいぐいと壁に体を押し付けた。 「ゆ、ゆっくり…もってきたよ」 まりさが、ぐいぐいと顔の真ん中まである大きな玉を押してきた。 黒と白の二色が組み合わさる模様。れいむ用玩具の筆頭であるおんみょうだまだ。 「…ゆっ」 まりさは、れいむの前までそれを運んでくると、ごろん、とそれをれいむの方に押しやった。 「………ゆ? ゆん、いいものもってくるね!!! ゆっくりつかわせてもらうよ!!!」 れいむはというと、その球に思わず見とれていた。 白と黒の織りなす不思議な模様は、れいむの心底にある何かをしっかり掴んで離さない。 ふとそれがまりさの手から離れた事に気づくと、れいむはもみあげを器用に使ってその球を 自分の寝床まで運んで、隅々までじっくりと見続けた。 その日は、それだけで時間が過ぎて行った。 その後も、数日の間はボールを投げるだけでも、まりさにぶつけても、何をしても楽しめた。 …まりさは、そんなれいむの姿を見ながら、にこにこと嬉しそうに微笑んでいた。 ───────────────── そんな日々が何日も続いたある日、れいむはまりさの出て行く扉の事がふと気になった。 いつもあの扉から遊び道具やご飯を持ってくるまりさ。 その先に何があるのか、興味を抱かない方が珍しい位だろう。 「おい、どれいのまりさ!」 「…ゆ、な、なあに、れいむ?」 「あそこのとびらさんはどこにつながってるの?」 「…れ、れいむ、きいたら…び、びっくりするよ…?」 「ゆん、だめなどれいだね!!! れいむがそんなにびっくりするとおもってるの? ばかなの?」 「…ゆぅ、ゆっくりきいてね… れみりゃの、おうちだよ…」 「ゆぅぅぅぅ?! れみりゃこぁいぃぃぃぃいいいぃぃぃ!!! ゆんやぁぁぁぁあああ!!!」 まりさの台詞を聞いた途端、れいむはぶりぶりと尻を振って寝床にしている綿の上まで跳ねて逃げてしまった。 まりさはその姿を見て、なんとも言えない表情になり、 「………ゆ、ゆぷっ…ゆぷぷっ…」 「ゆぅぅぅぅぅ………ゆん? なんでわらってるのこのどれいは!?」 「…ゆぷ、ごめ、れいむ………ここには、れみりゃはいないよ、ゆぷぷ………」 「ゆうううぅぅぅ!!! このどれいぃぃぃ!!! れいむをばかにするなぁぁぁ!!!」 部屋の隅に戻っていたれいむは、まりさの言葉を聞くなり顔を真っ赤にして部屋の真ん中に跳ね寄り、 まりさに向かって思い切り体当りをした。 「ゆぷ………ゆ、ゆぅぅ!!! ごめん、ごめんねれいむ、ごめんなさい、おこらないでぇぇぇ!!!」 「ゆ、あやまってもゆるさないよ!!! このっ!!! どれいっ!!!!!」 れいむはまりさに思い切り最初の一撃を当て、その後べしべしともみあげでまりさをはたく。 まりさは、れいむの攻撃を避けようとはしないが非常に恐れている様子でぶるぶると震えている。 「ゆぅっ、ゆぅっ!!! まいったか、このどれい!!!」 「ごめんなさい、れいむ、ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい………!」 「ゆふん、それだけあやまるならゆるしてあげるよ!!! すっきりしたからね!!!」 「ごめんなさい………ごめんなさい……………れいむ………ごめんなさい…」 「…ゆん? もうゆるしたよ?」 「…ごめんなさい………」 「しつこいよ? あんまりしつこいとれいむおこるよ?」 「…ごめんなさい、れいむ…」 「ゆぅぅぅ! しつこいっていってるでしょぉぉぉ!!!」 すっかり怯えきってれいむへの謝罪の言葉を連呼するまりさに苛立ったのか、まりさの顔の正面にれいむが立つ。 まりさは、れいむの怒った表情を見て真っ青な顔からぼろぼろと涙を流す。 「しつこいまりさはこうしてやるよおおおぉぉぉ!!!」 れいむは、思い切り顔を後ろに反らせると、まりさに向かって額を叩きつけた。 部屋にぼよん、という間の抜けた音が響く。 「ゆ"ぅぅぅ!!! いたいよぉぉぉ!!! いだいぃぃぃ!!!」 「!? …ご、ごめんね、れいむ? だいじょうぶ…?」 思い切りぶつかってきた大きな頭にまりさは一瞬戸惑うと、 自分からぶつかったにも関わらずごろごろと転がって喚くれいむに近づいておろおろとしながら謝る。 「…いだいぃぃぃ…! いだいぃぃぃ!」 まりさの言葉も気にしない様子でしばらく転がり続け、たっぷり5分程経つとようやく落ち着いてまりさの方に向き直った。 「…ゆん、やっとなきやんだねこのくそどれい! あんまりれいむさまをこまらせるんじゃないよ!!!」 そして、ぽよんとまりさに跳ねてくっつくと、軽くすーり、すーりと頬を擦り合わせた。 「…ゆっ?! れ、れい、れいむ…まりさのために…?」 「すーり、すーり! ほら、もうなくんじゃないよ、だめどれい!!!」 「ゆっ、…ゆゆぅ、れいっ…れいむっ…まりさ、まりさ…ゆわぁぁぁぁん!!!」 れいむのすーりすーりに応えるどころか、余計に泣きだしてしまうまりさ。 れいむは困惑しながらも、もみあげで頭を撫でてやる。 まったく、駄目などれいを持った主人は大変だ。 すぐに泣くわ、れいむ様の姿を見て笑うわ。 しっかりしつけてやらないと。 ───────────────── 数日が経った。 結局、れいむはまりさの通る扉の先の事を知る事はなかったが、 どれいの様子からして何かゆっくりできない気がしたのでその先へ進もうという気分にはなれなかった。 れいむは大きな窓から外を見る。…木は葉を茂らせ、花は小さくも綺麗な姿をしている。 「…ゆふぅ」 れいむは、溜息をついた。 単刀直入に言えば、この住居に飽きたのである。 美味しいご飯はある。頼めば、どれいが何でも持ってきてはくれる。が、この殺風景な白い壁は見あきた。 れいむは、土や木、葉といったものに触れたくなってきていた。 これは野良のゆっくりからすれば阿呆らしい考えだ、と言われるだろう。 美味しいご飯。 雨風の心配のないおうち。 温かいお布団。 何もかも、野に生きていれば約束された物とはならないのだ。 れいむは、それを知らない。 「…れいむ、どうしたの…?」 まりさが、れいむの様子を見て声をかける。おどおどとした喋りも、日が経つにつれて改善されていた。 「どれい、このおうちはひまだよ…れいむはおそとにいきたいよ…」 「…ゆぅ、そうなの、れいむ…まりさも、どうやったらおそとにでられるかかんがえてみるよ」 「どれい、ゆっくりいそいでね。れいむはこのおうちにはあきたよ」 ぱたん、と扉の下りる音。まりさはまた何処かへと跳ねて行った。 れいむは、なんとなくこのどれいなら現状を解決する事ができるような気がしていた。 …れいむの部屋に帰って来たまりさは、良策思いつかずといった様子で頭を捻っていた。 流石に、突然の解決は難しいようだ。 れいむはそんなまりさの様子を見ても、今までのまりさのとろさからそこまで早くの解決は できないだろうと踏んでいた様子で、ゆふんと馬鹿にした様子の溜息をついて、小さな山となった綿に跳ねて潜っていった。 まりさは、れいむの後ろ姿を見て不安げな表情を浮かばせていた。 ───────────────── れいむは目が覚めた。 流石に飽きる程長い間の時間を過ごした住居、住み始めの頃のような驚きの表情は見られない。 しかし、その顔には明らかな程に飽きた様子の表情があった。 「…ゆふぅ」 思わず、れいむは溜息を吐く。 まりさは既に食事を探しに行った様子で、部屋には居ない。 暇を持て余したれいむは部屋に無造作に置かれたボールを転がす。 黒と白の二色が組み合わさる模様。おんみょうだま、と呼ばれるそれはれいむの大のお気に入りだ。 壁に向かって蹴ると跳ねて帰ってくる。それをまた蹴っては壁とのキャッチボール。 相手の居ない遊びは、すぐに飽きてしまった。 ぼんやりと透明な窓の外を見ると、土、そして緑の葉っぱが茂る広い場所。 そして、部屋に目を向け直すと白い壁。無機質な色が目をちかちかさせる。 「…つまんないよ」 ぼそり、と呟く。…奴隷の居ない今、それを聞いているのはおんみょうだま位なのだが。 ぎぃ 扉が開く音がする。 待ってました、とばかりにれいむが跳ねると、まりさがずーりずーりと這って現れた。 「ゆっくりもってきたよ…おはよう、れいむ」 「ゆっ、おそいよどれい! れいむさまはもうあきあきだよ! ゆっくりはやくおそとのいきかたをおもいついてね!!!」 「れいむ、そのおはなしはごはんさんをたべてからしようね」 「どれいがれいむにめいれいしないでね!!! でもれいむはおなかぺこぺこだからさっそくごはんをたべようね!!!」 「わかったよ、むーしゃむーしゃしようね」 れいむとどれいのまりさは、早速ご飯を食べ始めた。 …食事の味はよく変わる。今日はれいむの餌は三色ベジタブル風味でまりさは安物の野菜風味だが、そんな事も知らないまま 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー」 「うっめ、これめっちゃうっめ!!!」 二匹は、食事を平らげた。 …いつの間にか、どれいまりさの食事タイミングはれいむと一緒になっていた。 それは単なるれいむの暇つぶしだったが、自分の食事とれいむの食事をきっちり偽りなく分けるどれいの姿は れいむのその白玉の瞳にはどう映っていたのだろうか。 まりさがぺーろぺーろと舐めて食後の皿の掃除を終えると、れいむは満足そうに休憩を始めたが、 数刻も経たないうちにむくりと起き上がった。 「ゆん、どれい! なにかおもいついた? そろそろれいむおこるよ?」 「ゆっ、それだけどね、…そっちのおっきなまどさんがなんだかいつもとちがうきがするよ」 まりさは、れいむの言葉を聞くと何か思いついた様に部屋に唯一ある、大きな窓に跳ね寄った。 「れいむのおんみょうだまさんをつかってもいい?」 「ゆ?! これはれいむのだいじなおんみょうだまだよ!!! どれいのものじゃないよ!!!」 「…わかってるよ、だからすこしつかったられいむにかえすね」 「………ゆん、まったく、だめどれいだね!!! すぐにかえしてね!!! すぐだからね!!! すぐ!!!」 れいむにとっては非常に大事な事なのだろう、何度も繰り返してすぐ返す様に言いながらも、 れいむは大切なおんみょうだまをまりさに貸した。 「…ゆんっ!」 まりさは、れいむに借りたおんみょうだまを窓のロックに向けて頭突きで飛ばすと、がたり と跳ね返された。 それを何度か繰り返した後、まりさはれいむの方に向き直すとおんみょうだまをれいむに転がして渡し、 「…ゆっ、これででられると…おもうよ、れいむ」 窓の端、開閉を行う場所まで跳ねて行く。れいむもそれについていくと、まりさはみつあみで窓を動かそうと ゆんゆん唸るがなかなか動かない。 「…とろいどれいだね、れいむならいっぱつであけてみせるよ!!!」 業を煮やしたれいむがどれいまりさの元まで跳ね寄り、ぐいっとまりさを押しやると 両方のもみあげを使って窓の枠を思い切り引っ張った。 がたがたがたっ と軋む音を出しながらも、今までれいむを散々悩ませたにっくき窓は漸くその出口を開いた。 れいむはゆふん、と勝ち誇った表情でまりさに見せつけると、 まりさもれいむを心底から祝福する表情でぱたぱたとみつあみを振った。 それを見て、れいむはやはり悪い気はしないのであった。 ────────────────────────────────── れいむは感激していた。 久しぶりと言うには長らくぶりの土の感覚。温かな色彩溢れる緑の葉。 そして、その上でそれを踏みしめる自分は、なんて特別な存在なんだろうと。 空を見ては感動し、丸い石を見つけては感激し。 …一昔前のれいむだったならば、特に感慨もないだろう。 しかし、しばらく自然に触れていなければ新鮮味を感じるのは人間も同じ。 命の短いゆっくりならば、尚更である。 そして、このれいむは昔の自分の事をまるで忘れてしまっていたのだから、より一層。 ふと、前を跳ねていたまりさが足を止めた。 ふかふかの金髪におもむろにぶつかってしまったれいむは、 顔をしたたかに打ちつけてごろごろと土の上を転がって痛がった。 どれいのまりさは、そんなれいむの姿を愛おしそうに見つめてしかし止める事もなく、 れいむが転がるのをやめるとやっと足を止めた理由を話した。 「れいむ、あたらしいおうちをみつけたよ…!」 「ゆぅ? おうち?」 「ゆっくりできそうなおうちだよ、れいむ、ゆっくりきてね」 「ゆっくりできる? ゆふん、れいむのどれいはゆうしゅうだね!」 ぽてぽてとれいむとまりさがその『おうち』の前に辿り着く。 すると、その『おうち』は大きな岩の下にあった。 少し体を平たくする必要のある入口からぐいぐいと這って進んでいくと、中はその入り口からは 予想できない程度の広さがあり、れいむとどれいが一緒に住んだとしてもゆっくりできそうな印象を受けた。 また、その部屋は入り口よりも高めの位置になっているので雨の心配も必要がなさそうだ。 前の住人がこしらえたのだろうか。大きな部屋の奥には小さな小さな部屋があり、その部屋は食糧庫に適した姿をしている。 まさに、ゆっくりのためのおうちがそこにはあった。 「…ゆ"ぅっ!?」 突然、まりさが驚く。 当然だろう。…思わず、れいむがまりさの頭をもみあげで打ち付けたのだ。 「たまにはやくにたつんだね、こんなどれいでも!!! ほめてあげるよ!!!」 「…ゆっ?」 まりさは驚愕の表情から数秒動かなかった。 突然の事態に餡子が追い付いていない様子で、やっとその言葉の意味に追いついた途端、 表情がぱあっと明るくなっていった。 「ゆ、ゆゆっ…れ、れいむ…まりさのこと……ゆ、ゆっくり…ありがとう………!」 こらえようともせずに泣きだすまりさ。れいむは、このどれいの情けない光景は見飽きる程に見ているが、 こうも正直に嬉しがる姿を見るとやはり気分の高揚を感じられて悪い気はしないのだった。 この日から、れいむとどれいのまりさの野生生活が始まった。 ───────────────── …野生生活。そう一口に言っても、その実態は家での生活と殆ど変らなかった。 れいむのどれいのまりさは狩りに出かければいつもの美味しいご飯を持って帰るし、 れいむはその時間はお外に出て日光浴をしたり、おんみょうだまと追いかけっこしたりして楽しんでいた。 不思議な事に…そう、とても不思議な事に、れいむはまりさの帰りを待つのがいつの間にか楽しみになっていた。 だからこそ、れいむはあまり遠出をしたい気分にはならなかった。 それはきっと、今日のご飯が何だろうかという事が楽しみでならないのだろうとれいむは思う。 ただ、ほんの少しだけ。 少しだけ、れいむがどれいまりさの安否を気にする様になっていた事には、れいむはまるで気が付いていなかった。 ───────────────── 夜はゆっくりとした眠りの時間だが、このおうちはあまり防寒には優れていない。 夜が寒いという事実に気が付くと、れいむは翌日まりさに追加の綿を持ってくる様に言いつけて、 その綿をれいむの布団の追加にした後、余った分をれいむの布団の横に置いてどれいまりさの出方を見た。 当然、どれいまりさはれいむの思惑に気付く事もなく、綿の無い、葉っぱを敷いただけの地面で眠りに着こうとしたが、 れいむは眠りかけたその横ヅラを思い切りもみあげではたいた。 「…ゆ"ぅっ?! ………れいむ、なあに…?」 びくん、と大きく体を跳ねあげたどれいまりさの泣きそうな顔を見てれいむはにやついた笑みを隠せないながらも、 「どれい! れいむさまがさむいからよこですりすりしてね!!! めいれいだよ!!!」 と、どれいをはたいたそのもみあげで布団の方向を指した。 …どれいのまりさは、また暫くの間何が何だかわからないような表情をし、 そして、またいつもの様に目を潤ませ始めた。 「ゆ、れい、れいむ…ゆ、っぐ…」 「うざったいからなかないでね!!! とりあえずさむいよ! どれいはゆっくりいそいでこっちにきてね!!!」 「いだだ、いだいっ、れ、れいむ、いだいっ!」 目を潤ませる姿がどういった意味であるかをこの生活の中で悟ったれいむは、 なんだかそれが至上の快感であり、それとともにお顔がむず痒くなる感覚に襲われるのが苦手で、 しっかりとまりさの三つ編みをもみあげで握って、思い切り引っ張った。 家の中を引きずられたどれいまりさは、すっかり三つ編みの痛みの方で涙目である。 三つ編みがもげそうな痛みで涙目なまま、どれいまりさはいつの間にかれいむの横の綿に乗っかっていた。 そのふかふかとした感覚はとっても、とってもゆっくりできる感覚で、その隣に大事なれいむが居るという事実が、 れいむのどれいであるまりさの心の中を、その芯から温かい気持ちにさせた。 きっと、まりさはゆん生の中で一番幸福なのだと思った。 「ゆふん、すーり、すーり…」 「ゆ、ゆゆっ、ゆぐっ…すーり、すーり…し、しあわせぇ…!」 「ゆゆん? まったくなさけないどれいだね! ぷんぷん!」 結局、その晩れいむは泣きじゃくるどれいにすりすりしては頭をもみあげで撫でてやる作業に追われた。 それでも、やはりなんだかそれは悪くないのだ、とれいむは思う。 雨の日には、前日にまりさが多めに取って来た食糧を分け合って食べた。当然、どれいまりさの配当は美味しくない方の粒だ。 しかしどれいのまりさはそれを気にせず、れいむと一緒になって「しあわせー」が出来る事を嬉しがっていた。 そして食事が終わると、透明な天窓に跳ねる雨粒を見ながら二人きりで頬を寄せ合いながらゆっくりするのであった。 そう、それは幸福な時間。 「でいぶ」「どれいまりさ」、そんな立場の二匹には過ぎた程の幸せの時間。 そんな、まさにゆっくりとした時間が流れて行った。 ────────────────────────────────── そんなある日、いつものように狩りに出かけたどれいまりさが、ひどく疲れ切った様子でれいむの元へと帰って来た。 「…ゆっくり、ただ、いま…れいむ…」 「ゆん? なんだかあおいどれいがかえってきたよ!!! なんだかゆっくりしてないね!!!」 「…ゆぅ………」 「ゆ、ゆ?! いきなりたおれないでね!!! むーしゃむーしゃすればげんきになるでしょおおお!?」 「…ゆ…」 れいむは驚いた。 帰ってくるなり、なんとか布団まで這って行ってぐったりと体を綿に沈めて倒れこんでしまったどれい。 こんな事は初めてなのだ。れいむは軽くテンパったが、食事は何よりも体力回復をさせてくれると思いだしたので まりさの帽子を脱がせて(まりさは「ゆ…」と言ったが反発はしなかった)、 中にあるフードをばらばらと撒き散らした。 フードの種類なんか気にしないままに適当な餌をかき集めると、どれいのまりさの前へと並べた。 まりさは、もそもそとそれを口へと運んでいったが遅々として進まない。 疲れ切った状態だからか、どうにも食欲が湧かない様だ。 れいむはあっさりと痺れを切らし、自分の口へとご飯を放り込んで、 「むーしゃ、むーしゃ! むーしゃ、むーしゃ、むーしゃ」 と何度も咀嚼をしてからまりさの口へとそれを運んだ。 一瞬、ふぁーすとちゅっちゅだとかそんな事が頭をよぎったがそんな事を気にする気もない。 ちゅっ、と口を合わせてからフードをまりさの方へと舌を使って押し出す。 まりさは、受け取ったフードをもぐもぐと飲み込んでいく。 れいむが口に含んだ分が終わると、まりさがゆっくりと顔を上げて行く。 「ゆ…ゆ、れいむ、ありがとう…ありがとう…ごめんね」 「ゆふん、げんきになったね!!! またごはんもってきてね!!!」 「…わ…わかったよ…れいむ」 「ゆん?」 「…ありがとうね」 「れいむのいだいさにひれふすといいよ!!! もっとゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくり…していってね」 れいむとまりさの間に微妙な空気が漂う。 れいむは、残りの餌を集めて、皿まで持っていかずにその場でどれいまりさと一緒にむーしゃむーしゃと食べて行った。 そして、その日はれいむとどれいまりさの生活にとっての最後の夜となった。 ───────────────── ──タタッ、タタッ… 遠くから獣の走る音が聞こえる。 その不審な音に気付かず、れいむは涎を垂らして眠っていた。 一方、まりさは寝つけずといった様子で天窓から空を眺めている。 真っ暗な空に、薄白い雲が流れて行く。 それを眺める表情は、とても暗い。 足音が、おうちに近づいてくる。 『ガゥ! ガゥ、ガゥ!』 おうちの入口から、突然大声を上げながら訪問者が現れた。 いぬさん。 れいむとどれいのまりさにとって、それはとても大きな口。 『ガゥ!!! グルル………』 犬の声が入口から離れると、どすん、と音を鳴らしてれいむとどれいのおうちが揺れる。 「ゆわああああ!!! いぬさんだああああ!!! どれいいいいぃぃぃ!!! なんとかしろぉぉぉ!!!」 「ゆっくり…わかったよ!」 れいむが怯えながら体をおうちの奥へと押し付けて恐怖から逃れようとすると、 まりさは顔を青く染めてぶるぶると体を震わせながらも、ダッと外に向かって跳ねた。 「ゆっくりできないいぬさんはれいむのおうちからでていってね!!! ぷくうううぅぅぅ!!!」 それは精一杯の反抗。ゆっくりにとって、最大の防御手段。 体を大きく見せる事で相手を威嚇し、身に被害を及ぼす事なく巣を攻撃から遠ざける為の唯一の手段。 あんよの高さがまりさと同じくらいの大きな犬に向かって、大きく息を吸って膨らんだ。 『ウゥゥゥゥゥ………ガウゥゥゥ!!!』 まりさの体が飛んだ。 …まさしくその言葉の通り、飛んだのだ。 犬の大きな腕の一撃によって、まりさは宙に一瞬浮いた。 …後、傍にあった尖った石に運悪く頬が引っかかり体重がかかった結果、その肌を大きく裂いた。 「ゆぎゅっ…ゆぐ、ゆっ…ぅぅ…っ!!!」 まりさは即座に起き上がろうと力を入れたが、びくりと体を震わせてすぐに止まった。 力を入れると、まりさの頬からぼろりと大きな餡子の塊が零れて落ちる。 それは、ゆっくりにとっての命の源。 まりさは、ガタガタと震えて止まった。…止まってしまった。 まりさは、ここでいぬさんをとめないといけないんだ。 なのに。…なのに。 歯を食い縛り、再度体を起こそうとした所で、まりさは違和感に気付いた。 犬がまりさの方を向いていないのだ。 どうして? そう思って体を一生懸命捻ろうとした所で、まりさは巣の方向で起きている事を把握した。 どうして、 れいむが、でてるの…? ───────────────── 「ごのぐぞい"ぬ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!!! だれ"に"ごどわっでどれい"をい"じめでるの"ぉぉぉ!!?」 れいむとどれいのおうちの前で、れいむが顔を真っ赤に染めて大きく膨れあがっていた。 犬はその勢いに気圧されたのか、ぴたりと止まって動かない。 「わがっだらざっざどでていっでねぇぇぇぇ??! もうゆるざないげどごんがいはとくべつにゆるじであげるよぉぉぉ!!?」 犬はその姿を見て困った様に尾を上げたままゆっくりと振る。 しばらく膠着状態が続くと、しびれを切らしたのかとうとう犬がぱたり、と耳を下げて 遠くへと走り去ってしまった。 その姿を見たれいむはというと、自分の偉大さに感動しながらも、 おそろしーしーで足元から湯気が立っている程に怯え、震えが止まらなかった。 れいむも、本当は恐ろしかったのだ。 しかし、石に叩きつけられて大きな怪我をしているまりさの姿を見ると、 その頭から冷静さが消え去り、激昂に任せて犬の前へと出て行ったのである。 本当に冷静さがその餡子に刻まれていたかどうかはとにかくとして、 れいむは恐怖の存在に、見事に勝利したのだった。 少しの間ほどその余韻を楽しんでいると、ふとどれいの姿が見当たらない事に気が付いた。 そこまで気が付いてから、ようやくれいむはどれいのまりさが怪我をした事実を思い出した。 急いでどれいの元へと向かうと、その袈裟切りの様な傷跡はどれいの目の傍の辺りから口の下付近まで、 その頬を大きく切り裂いており、漏れ出る餡子の量も尋常ではない。 ぱちゅりーの吐瀉物をも思わせる量。 そして、 「…ゆ"……、ゆ"………れい………む………? さむ…いよ…」 「ゆ、ゆゆゆっ!? どれいはだまっててね!!! すぐになおしてやるからだまっててね!!! めいれいだよ!!!」 このままでは、どれいの命が危ういかもしれない。 そう思ったれいむは、なりふり構わず走り出していた。 ───────────────── れいむは知っていた。 人間は、色々と使えないがゆっくりの治療に関する技術は莫大であると。 その治療の為には、真っ暗な夜でもこうこうと光を点けたままで働いていると。 「…ゆぴっ!!! いだっ…ゆっぐりじでないいじざんはじねぇぇぇ!!!」 あんよに大き目な石が引っかかって転んだれいむは、したたかに顔を打ちつけながらもその石を咥え上げた。 そして、また走り続ける。 有能な、れいむのどれいのために。 しばらく全力で跳ねると、白い壁が見えてくる。 懐かしい、あの家だった。 玄関まで急いで跳ねると、れいむは思い切り石を投げ始めた。 …『ゆっくり用のピンポンさん』、所謂ゆっくり用チャイムが無い家庭のチャイムは、非常に高い位置にある。 当然、れいむの遠投は精々その半分といった所で止まってしまうが、何度も、何度もれいむは投げ続けた。 そして、自分の力が及ばないと知ると、実力行使(笑)に出る。 ──ガッ!ガツッ!ゴッ! 玄関を、口に咥えた石で思い切り叩く。 その表情は、一切のゆっくりを捨て去っていた。 まるで鬼瓦の様な形相で、一心不乱に叩き続ける。 「くそにんげん!!! くそにんげん!!! でてこい!!! でてきてどれいをたすけろっ!!!」 そんな事を大声で叫びながら。 「でてこいくそに…ゆびゃっ?!! ──バタン。 大きな扉が開いて、そこから人間が出てくる。暗くてその表情は知れない。 「あー、なんだよ、こんな夜に」 「にんげん!!! れいむのどれいがけがしたんだよ!!! ゆっくりはやくなおしてね!!!」 突然開いた扉に跳ね飛ばされたれいむがぼてぼてと跳ねてきて、どうやらお兄さんらしきの足に向かって叫ぶ。 「…あー、なんだ。 わかったよ。 案内しな、糞でいぶ」 「でいぶはでいぶでもくそでもないよこのくそにんげん!!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 赤いリボンが夜の林を跳ねていく。 その速度はあまりにもゆっくりなので、青年は擦り歩きでのんびりとついていっているが、 当のれいむは本気も本気で走っているつもりらしい。 さて、15分程歩いたろうか。 大きな岩のあるおうちに辿り着いた。 「こっちだよ!!! くそにんげん、はやくどれいをなおしてね!!!」 「はいはいゆっくりゆっくり」 れいむの案内を受けてか、れいむより早くまりさの元へとたどり着いた青年は、 地面に開いている餡子の花を大体まりさの中へと手際良く戻していった。 まりさは、痛みに唸りながらも大きく動く事なく涙を流している。 「…とりあえず応急処置は終わったぞ、治療をしてやるからついてこい」 「ゆん、れいむにめいれいしないでねこのくそにんげん!!!」 「じゃあまりさとはおさらばだな」 「…ゆ"べぇ"っ」 青年は、れいむの言葉を受けて掴みあげたまりさをぼとんと落とした。 丁度傷の部分が上になる様に落ちたまりさは、その傷をぱっくりと開かせてしまって中の餡子が少し跳ねる。 れいむは、目を大きく見開いて驚いていたが少し時間が経つとショックから回復したようで、 「なにじでるのぉぉぉ?! ばかなの!? しぬのぉぉぉ!?」 「いや、だってお前ついて来ないんだろ? だからこいつ殺していいって事だと思ったんだが」 「このぐぞにんげん!!! ついていけばいいんでしょおぉぉぉ!? だからさっさとどれいをなおぜ!!!」 「あいよ、ゆっくりゆっくり」 あっさり折れたれいむの台詞を聞くと、青年は再度まりさを掴みあげて傷口が開かない様につまむと、 ざかざかと草を踏んで歩き始めた。 れいむも、仕方なしに青年に従ってついていく。 非常に苛々するが、仕方ない。どれいが死んだら、れいむは困るのだから。 新しいどれいを見つけるという方法は、もうれいむの餡子の中にはまるで見当たらない選択肢。 ────────────────────────────────── バタン、と扉が閉まる。 小さな電気が灯ったその部屋はちょっと前にれいむがどれいと住んでいた部屋だったが、 そんな事はれいむはとうの昔に忘れていた。 青年は机の上にどれいのまりさを乗せると、傷口の付近をアルコールで軽く除菌する。 いくら不思議生物とはいえ、弱っている所に菌が入ってくるとあっという間にカビの温床になってしまう為だ。 そして、用意してある餡子袋を開いてその中に少々ばかり白い粉末を混ぜ込むと、 まりさの体の中の泥が多く混ざった部分を取り捨てて、その中へと詰めてゆく。 そして、まりさの餡子が漏れて肌が余った体が大体元の大きさに戻ると、オレンジジュースに小麦粉を溶かしこんだ ものを刷毛で丁寧に塗りこんでゆく。 すると、あっさり過ぎる程にどれいのまりさは元の姿を取り戻した。 傷口の跡も、少し膨れ上がってる程度で殆ど区別が付かない程度まで戻っている。 そうして、まりさの処置を終えた青年は下でうろうろしているれいむの方を向くと、 「さて、れいむ。 まりさはすっかり良くなったけど、少し寝る必要があるんだ。 君は奴隷になっているまりさの昔の話が知りたくないかい?」 と優しく声をかけた。 れいむはというと、まりさが治ったという話を聞いて安堵したのか、 「ゆん、さっさとかけてね!!! ぐずはきらいだよ!!!」 と、いつもの調子で青年に"命令"した。 青年は苦笑しつつも、手元にあるリモコンのスイッチを入れる。 すると、映写機で壁に大きな画面が映し出された。 亜成体サイズの、どれいまりさの姿だった。 「…………ゆっ…」 「おいまりさ、聞いてるか?」 「…ゆっ…き、きいて…ます…」 「おし、それなら良い。よく聞けよ。 さてまりさ、これからお前にはそこに居る"れいむ"と一緒に暮らしてもらう。 それと同時に、俺と"契約"をして貰おうか」 「…け、けいやくさん…?」 「お前らに解る言葉でいえば、お約束って奴だな。拘束力にかなりの差があるが」 画面のまりさは、既におぼうしも髪の毛も綺麗に整えられていた。 青年の方をじっと見て小さく震えるまりさ。 れいむ、という言葉を聞けば、画面の切れ端にちらりと映る眠り込んだれいむの姿を見つめてから、 青年の方を向き直した。 「お、おやくそく…?」 「そうだ。まずお前は、そのれいむの"奴隷"になる。仲良くしてやれよ。 他のゆっくりとの波を立てない付き合い方は知ってるだろうから、悪い関係にならない様に気をつけな」 「ゆ、ゆっくり…りかいしたよ」 「良い。次。お前には、れいむの世話をして貰う。当然だが、自分の世話もな。 その為には色々な物が必要になるだろう。そういった物の狩り方だな。 …お前は狩りの仕方を知らないし、もし知っていたとしても、 あのれいむの舌は安物とは言えフードに慣れているから通じない。 どうすれば良いか? …簡単だ。 お前が俺に "虐待" されれば、食物も玩具も与えよう」 「…ゆ"っ!?」 「虐待だ。お前が俺に痛い目に遭わされれば、飯も住居も完全に与えよう」 「…ゆ"っ………い…いたいの……? また、まりさ…いたいの…?」 「ああ、痛いだろうな。辛いだろうな。 その代わり、もうお前は独りではなくなるんだぞ? あのれいむと、上手に付き合えればな」 「………ほんとう?」 「試してみればわかるさ」 「…ゆ…ゆっくり、わかったよ………」 ぼろぼろと涙を流すまりさ。 ここで画面は一旦切れる。暗転した所で、青年が画面を一時停止した。 「どうい"うごどなのおおおおおぉぉぉ!!? ゆっぐりぜづめいじろおぉぉぉ!!!」 れいむは、あらん限りの大声で叫んだ。 れいむのどれいを、人間が苛めるというのだ。許せる筈もない。 「お前を生かす為に、あいつは俺と約束を交わした。 …お前、あいつが普通のゆっくりの飯を持ってきたら食えたのか? 気持ちの悪い芋虫を、苦い味のする雑草を、アブラムシの付いた花を? そこらに転がる石ころを玩具として持ってきたら、満足できたのか?」 「…ゆっ……あんなくそのらのたべるものなんてどれいがもってくるわけないでしょ?! ばかなの!? しぬの!?」 「野良の生活を知ってるなら尚更だ。生ゴミを御馳走として食うんだぞ? そこらに捨ててある賞味期限切れの弁当を涙を流して喰らうんだぞ? ゆっくりに取る事が出来る物なんて限られてるんだ。 同じものをあいつが狩ってきたら、お前は喰ったのか?」 「………でも、どれいは」 「まあ、続きでも見ながらゆっくりしろよ」 涙を浮かばせながら、れいむは叫んでいた。 こんなにどれいを擁護する理由なんて知らないまま、れいむはどれいを庇った。 それは、この自分だけが存在していた"れいむの世界"に別の存在が現れている事を示した。 映像は続く。 ───────────────── 「…ゆっぐ…ぃ…」 そこには、全身からポンポンの様に先端の丸い針を突き出したまりさが居た。 …初日という事で、虐待は実に簡素なものだった。 針を、体に刺すだけ。 「はい、次。何本目かわかるかな?」 「…ゆ、ぎっ……き、きゅう…ほんさん…? …ゆぎゃあああ!!!」 「まあ、惜しいな。頭に刺してるんでカウントがずれてるのかもしれないが、これで8本目だ。 あと2本だな、まあ頑張れよ。終わったら、先に部屋に置いてきたれいむの所に連れて行ってやる」 「ゆっ…ゆ、がんばる、よ……ゆああああっ!!!」 抵抗もなく、まりさの肌は針を吸い込んでゆく。 針が触れる瞬間、まりさはびくりと震える。 針が沈んでゆく時、まりさは唸り声を上げながら我慢する。 針が沈みきった時、まりさは体を貫く異物の痛みに苦しむ。 最後の一本。 青年は、たっぷり時間をかけてまりさにまち針を沈めていく。 そうして、ゆっくり型のまち針刺しが出来た所で、青年はぱしゃりと写メを撮った。 「俺が100まで数えたら、針を抜いてやるよ。 0~~~、1~~~、2~~~~~」 「ゆ"っ………ゆ、ゆ"う"っ!」 実にゆっくりとカウントをしながら、たまにまち針の丸い頭を弄ってやるとまりさが鳴く。 そうして100までカウントが進むと、 「終わったぞ」 と一言まりさに言ってから、青年はまりさに刺さる10本のまち針を引き抜いた。 まりさは、体の所々に小さな黒い穴を開けつつも息を吐く。 青年がその穴にオレンジジュースを小さな刷毛で塗ると、たちまちに穴は塞がった。 へにゃりと机に座り込むまりさの帽子を取ると、青年はその帽子の中に2種類のゆっくりフードをばらばらと放り込む。 片方はやや高級なフード。もう片方は、前にれいむが食べていた物よりワンランク低い安物。 「いいか、まりさ。この餌は、先にれいむに喰わせろ。安心しろ、あのれいむは全部は食べないからな。 部屋の中央にある皿で食えよ?」 「ゆ、ゆっくり………りかいしたよ」 フードの入ったおぼうしをまりさの頭にそっと乗せると、青年はまりさに注意した。 まりさは、おぼうしからフードが落ちない様に気をつけながらこくこくと頷く。 しかし先程の痛みよりもれいむに嫌われないかの方が気になるらしく、緊張してひどく線が角ばっていた。 そうして、まりさは廊下に出て行った。 画面が切り替わると、まりさとれいむの初見挨拶の場面が現れ、まりさが餌をばら撒いた時点で止まった。 男が停止ボタンを押すと、れいむはおそろちーちーを流していた。 この針責めは虐めとしては初歩の初歩の様なものだが、それを知らなければ惨い拷問である。 れいむは、画面が止まると机の上で眠るまりさの方を向いた。 姿は見えないが、今は眠るまりさがどうしてあんな事をされたのか、れいむは理由の形を捉えつつあった。 「……どれいは、いつもあんなふうにごはんをとってきたの?」 「ああ、そうだ。『れいむのために』、な」 「………」 「お前の為に、ああいう風に餌を取っていたんだ。 …もうひとつ見せようか」 カチリ、と青年が再生ボタンを押す。 ───────────────── あの映像の知らない部屋に、まりさの姿が現れた。 「…れいむが、つまんないっていったよ。…でも、まりさはなにをもってけばわからないよ…」 「ほう、そうかそうか。俺は何を持っていけばれいむが喜ぶのか知ってるぞ」 「…ゆん?! お、おにいさん…まほうつかいさん…?」 「それはない。という事で、今度の要求はれいむの玩具だな。 対価は…そうだな、こうしよう」 「づ…づぶれる"………っ!!! まりざ、づぶれる…っ!!! やめっ…やめ、…ないでぐだざいぃ………っ!!」 準備するもの。 透明な箱、まりさ、透明なプラ板。 透明な箱を用意する。 透明な箱にまりさを入れる。 透明な箱にプラ板を乗せる。 透明な箱の上のプラ板を圧迫する。 これだけ。 最初は、?といった様子で不安げに上の方に目線を向けていたまりさだが、途中から何をされるのか理解したのか、 壁に頬を押し付けて逃げようとし始めた。 それが叶わないと気付いても、しかし回避する手段がまりさには見当たらない。 天井は順調に圧迫されていき、おぼうしが潰れる辺りになると、まりさが平らになり始める。 これは圧迫されてではなく、回避行動として取った手段。 まりさは、天井の重さが来る前に自分から屈んでそれを遅らせようとしたようだ。 さて、天井のプラ板はまりさの重みの上に乗っているという事はご理解頂けるだろう。 という事で、まりさが平たくなればなる程、潰れるのが早まるのだ。 その結果が、今の(映像の)まりさである。 平たい頭から重圧がかかり、まりさは下方に押し付けられながら圧迫される。 箱の形に体が伸びると同時に、 「ゆげぇ…っ!」 吐餡を開始した。 …当然ではあるが、殺すつもりはない。 だからといって、まりさがあまり苦しまないままにブツを持ち帰る事は俺の気分的に許されない。 だからこそ、死の縁のぎりぎりでまりさを留めてから解放する為に、まだ力を入れてゆく。 吐き出された餡子は、底部と箱の角のスキマを埋める様に広がっていく。 ぐっとプラ板に乗せた腕に力を入れると、更に吐く。 おまけに、大漁に吐いては危ないと気付いているのだろうか、一瞬だけ噴く様に吐くのだ。 ぐっ、びゅっ と、 良い具合にリズムに乗りながら押してゆくと、苦悶の表情のまりさの目が飛び出してきた。 底部から3cm程は、既に餡子の海に埋まっている。 もう一度、大きく板を押すとまりさは先程よりも多めに餡子を吐いた。 この状態で、しばらく力を入れ続ける。 目の半分程度を飛びださせたまりさは、顔を真っ赤にしてぶるぶると箱を震わせながらも我慢していた。 口を開けば餡が出る、これ以上の吐餡は安全ではないとまりさは判断した。 結果、普通に吐餡するよりも体内から圧迫される苦しみが強くなっていた。 「おーいまりさ、大丈夫かい?」 青年が呑気な声をかける。 しかし、まりさは目線を横に数回動かしたばかりで顔を横に振る事もできない。 そんな呑気なやりとりを数回繰り返した所で、まりさの目の涙に餡子が混ざり始めた。 そろそろか、といった所で青年は手を離す。 解放されたというのに、暫くまりさは餡子の海に沈んだままだった。 数十秒経ち、青年がやり過ぎたか…?と不安になってきた頃にまりさはゆっくりと起き上った。 口の周辺は餡子まみれ、目は充餡で真っ赤になっている。 この姿をれいむに見せたらドン引きレベルの状態で、合わぬ焦点で青年の方を見つめる。 「……お疲れさん、れいむの喜ぶプレゼントを持ち帰らせてやろう」 「……ゆ、ぐぃ…ありがど…おに、ざん………」 ぼろぼろ姿のまりさは青年を恨むでなく、口を横に伸ばして目を細めた。 …感謝しているのだ。 自分の体を痛めつける代わりとはいえ、れいむと一緒にまりさをゆっくりさせてくれる青年に。 その痛みは、まりさにとっては喜びに変わるものだったのだ。 そうしてシャワーで綺麗に餡子を流され、目に砂糖水の点滴を落として元の美ゆっくりになった所で、 まりさはあるものを青年から手渡され、それを押してれいむの居る部屋へと戻る。 そうして、あのおんみょうだまをれいむに渡した。 れいむがおんみょうだまに見とれる様子の後ろから撮ったその画面には、 れいむに向かってにっこりと笑みかけるまりさが居た。 「どうだい? れいむ。感想を聞かせてくれよ」 「…ゆ、あ…あ……、ぁ………っ…」 れいむは泣いていた。 途中までは、驚いた様な、まりさの様子を案ずるかの様な表情を浮かべていたが、 まりさにおんみょうだまを手渡した辺りかられいむは涙を流し始めた。 そうしてまりさがれいむに笑みかけた所で、ぼろぼろと驚愕の瞳から大粒の涙が溢れて止まらなくなったのだ。 れいむは知らなかった、知る由もなかった。 まりさは、どこかでたくさんフードの取れるスポットを見つけたか何かしたのだろうと思っていたし、 玩具はどこからか拾って来たのだと思っていた。 そんな適当な想像しか出来なかったからこそ、自分をどれだけ酷い目に遭いながらも、 あの、ぬるいような優しい瞳を、苦しみで真っ赤に染めながらも、 れいむに向かって微笑んでいた姿を見た衝撃が、れいむにとってとてつもなく大きいのだ。 あんなに、いつも嬉しそうな顔をして。 ───────────────── 「…ど、して………」 「うん?」 「どうして………こんなことするの………!!?」 大きく涙を零す瞳で、とても大きな声を上げて、れいむは訴えた。 「どれいだって、いきてるんだよ………!?」 「お前の為だって言ってるだろ? 俺は契約をしただけだ。無理矢理、お前の玩具を取りに来させた訳じゃない」 「だからって…!!! こんな…!!! れいむのどれいっ………!!!」 「お前の奴隷だから、だよ。こいつは確かに生きてるな。お前にゾッコンなゆん生だ。 お前がどう思おうと、こいつのゆん生にはお前の渡す幸福と俺の渡す痛みが必要なんだよ。 それがあるから、こいつは生きている…逆に言えば、どちらかが欠けてもこいつは生きられないだろうな」 「いたいいたいはなくてもいきていけるでしょぉ!? ばかなの!? しぬの!?」 「本当に、奴隷の痛みのない生活でお前が満足したか? …お前は、奴隷が優秀だと言っていたな。こいつが野良の食物を持ってきたら優秀だと言えたか? その野良の食物で満足したとしよう、野良の世界では、今の状態よりももっと命は危険に晒される事を知っているか?」 「のらせいかつなんてかんたんにきまってるでしょ? れいむとどれいならゆっくりしていけるよ? …ばかなの?」 「…そうか。野良はな、人間と、自然と、もうひとつ。 その命を奪う奴が居るんだよ」 「ゆんっ、のらはよわいからにんげんにくじょされるんだよね!!! おお、おろかおろか」 「そうだな、"ゆっくり"は弱い。だから──」 『………ゅ…う?』 青年とれいむが問答をしていると、当のどれいまりさが目を覚ました。 周囲をきょろきょろと見回し、部屋の中や青年の姿を見て、 まだラムネの影響が抜けきっていないのか、呆とした様子で机の上に座っている。 「…ゆ、おに…さん」 「どれい? どれい!? だいじょうぶなの!? どうしてあんなことをしたの!? ゆっくりしてる!? へんなことされてない!?」 「ゆ、れい…ゆ"っ!? ど、どうしてれいむがこのおへやにいるの…?」 「どうしてもなにもないよ!!! どれいがたおれたられいむがたいへんだからこのじじいになおさせ──」 「さて、まりさ。話がある。…とても大事な、お話の時間だ」 「……ゆ」 どれいのまりさが目を覚ましたのだとその声で気付いたれいむが矢継ぎ早に質問を口にすると、 まりさはれいむの方を見、瞳を丸くして驚いた。 まりさにとって、れいむはこの部屋に居ない、居てはいけないのだ。 …そんなまりさを見ながら、れいむよりもどれいまりさの近くに居る青年が、冷たい声をかけた。 「さあ、まりさ。これかられいむが今までにやった事を君に教えよう。 君に出会うまでの、素晴らしいれいむの生活を」 「ゆっくりりかいしたよ、でも…どうして、れいむもいっしょなの?」 「ゆん? …なんなの? じじいもうつくしいれいむにみとれたいの?」 「…れいむ、きっとお前はこの生活で忘れているだろうな。 ゆっくりと、まりさに見せつけてやるよ。お前が、一体どんなゆっくりだったのかを。 どんな罪を背負っているかを、お前に思い出させてやろう。」 「かわいいのがつみなんだよね! かわいくってごめんね~!」 「ゆっ…」 青年の話を聞いて調子づくれいむと対照的に、罪という言葉やその語調から何かを読みとったのか顔を暗くするまりさ。 そんなゆっくり達の姿を見ながら、青年は映写機へゆっくりとリモコンを向けた。 画面に、映像が映る。 ──それは、れいむにとって捨てた餡子の遥か彼方。 忘れて久しい、真実の姿。 ────────────────────────────────── 小さな林に、れいむが居た。 そしてその横には、まりさが居た。 まりさと言ってもどれいのまりさではなく、底部は小汚く土に汚れ、お帽子はくしゃくしゃな、野良のまりさ。 『しこってもいいのよ?』 そう言って、れいむは野良のまりさのまむまむに、れいむの口の下に生えたモノを押しこんだ。 『ゆっふ、ゆっふ、なかなかいいしめ「やべろおおおおおぉぉぉ!!! へんなものうづざないでね!!! ごのぐず!!! せいっさいじでやるぅぅぅ!!!」 青年が大声に気付いて足元を見ると、れいむが机の下で跳ねていた。 青年の座る椅子に向かって何度も体当りを繰り返し、映像を停止させようと試みていた。 映るものが何だか、わかったのだろう。 記憶の奥底まで隠して消していたその行為を、思い出したのだろう。 どれいのまりさに"それ"を見せまいと、跳ねていた。 その行動を見た青年は、口の端を大きく吊り上げた。 "自覚"を持っている。 このでいぶの世界に、別の存在が入り込んでいる証拠だった。 それは、同時に青年の予想よりも大きな収穫であった。 どれいまりさは、ただ目を丸くして見つめる事しかできなかった。 そのお飾りも、その声も、その顔も、 隅から隅まで、どう見ても"まりさの大事なれいむ"の姿。 どれいであるまりさを優しく撫でたそのもみあげは、野良まりさの体を押さえつける。 どれいであるまりさを厳しくも褒めたその声は、嬌声を上げる。 どれいであるまりさとすりすりと寄せた肌は、ぬらぬらと粘液に濡れている。 その行為は、禁忌。 その昔に勉強した、飼いゆっくりの、飼いゆっくり故に犯す罪。 人間の力を自分の威光だと信じ、その威を借りてより弱い立場のものを虐めるその姿。 れいむが、野良まりさに生えた茎を圧し折り────映像が止まる。 「どうじでぐぞにんげんがごんなものもっでるの!!! いまずぐでいぶにあやまっでね!!! どれい!!! いまのはすぐにわすれでねぇぇl!!!」 「…まりさ。感想は?」 「………れいむ、まりさの、だいじなれいむ」 「ゆん、わすれてねっ…わすれてね!!! いまのはなかったことに──」 「れいむ、わるいことをしたらね… 『償わないといけない』んだよ…」 机の下を向いて、悲しそうな表情をするどれいまりさ。 その言葉に、青年が同じ言葉を被せた。 「ゆっがぁ、どれいまでぇぇ!!! のらがよわいのがわるいんだよ!!! れいむはえらいゆっくりなんだよ!!! つよいんだよ!!!」 「…弱い事が、悪いんだな?」 どむ 鈍い音がした。 青年が軽く、れいむを1メートル程蹴り転がした音だった。 れいむは数秒程時間が止まった様に動かなかった。 何が起こったのか考えて、 理解した瞬間、顔を真っ赤にして青年の足に飛び込んだ。 「ふざけんなぁぁぁぁ!!! れいぶを、でいぶさまをよわいのらなんかといっしょにずるなぁぁぁぁ!!!」 さっきまでも何度も同じ所に突っ込んでいたというのに、 意味もなかったというのに。 ぼむ、ぼむ と青年の足とれいむが音を立てる。 痛ましげな表情でそれを見続けるまりさと、氷のような目線でそれを見続ける青年。 れいむが疲れきるまで、それは続いた。 ───────────────── 「…ゆはっ、ゆはぁ、ゆはっ…ぞろぞろ…ぐぞにんげんは、ゆはっ…あぎらべでね…」 れいむが青年の足元で息を荒くしていると、不意に青年が立ちあがってれいむを捕らえる。 「ゆがっ、おぞらを…ゆべぇっ!!!」 腕にれいむを抱えあげて立ち上がると、机の上より数十センチ程高くれいむを持ち上げ、 両手を振り上げると机の上にれいむを叩きつけた。 まりさの目の前に ずんっ とれいむが落ちてくると、どれいまりさは泣きそうな表情でそれを見つめる。 れいむが痛い痛いと言って震えている姿を見て、それは懐かしそうな表情をして。 「さあれいむ、償いの時間だ。 弱いお前は、今まで自分のしてきた事を体験して、その意味を知るといい」 「れいむは…、れいむはっ!!!」 青年の腕が、再度れいむへと伸びる。 れいむはというと、どれいまりさを背にしてぶるぶる震えながら大きく頬を膨らませている。 青年との対峙で、自分の強さがどの程度か理解したのか「強い」とは言わなくなったが、 どれいまりさを背に虚勢を崩しきれない様子で、顔を白いとも青いともわからぬ色に染めて。 そんなれいむの視界が、金色に染まった。 「おにいさん、ゆ…ゆっくりきいてね…!」 れいむのどれいのまりさが、れいむと青年の間に立ちはだかったのだ。 「…どれい? なにしてるの? どれいはやすまないと、」 「れいむは…しずかにしててね…!」 「…ゆ"ぅ"!?」 「…ほう、れいむの奴隷か。何か用があるなら早めにしてくれよ、これからやる事はわかるだろう?」 「…まりさは、れいむのどれいだよ」 「そうだな」 「……れいむは、まりさにとってだいじなれいむだよ」 「…そうか」 「おにいさん、おねがいがあるの」 「…なんだ」 「れいむのどれいのまりさに、…あのこたちが、どれぐらいつらかったのかおしえてね」 「…それは、どういう意味だ?」 「まりさはれいむのものだから、まりさが、ま…まりさが、つぐなうよ…!」 「…ゆん? …どれい…なに、いってるの? あれはれいむだよ、なんでどれいが!!!」 「ほう、奴隷のまりさ…つまりお前はれいむの資産…モノだ。 だから、お前から償わせてもいいだろうか、と?」 "れいむの奴隷のまりさ"が嘆願した内容は、 "直接れいむから償うのではなく、れいむのモノであるまりさが償う" といった内容だ。 …れいむが以前と変わらぬままならばすぐに奴隷に同意しただろう。 だからこそ、青年は。 「…わかった。ただしこいつはその間動けない状態にさせて貰うぞ。 "自分のモノに手を出すなー"とか言われて邪魔されたら堪らないからな」 「…ゆっくり、りかいしたよ」 「なにいってるのこのばかどれい!!! これはれいむとくそにんげんのおはなしでしょ!?」 「だから、お前の"どれい"だからこいつは身代わりを買って出たんだよ、りきゃいできりゅ?」 「わかるわけないだろ、ぐぞにんげん!!!」 「…ゆぅ、おねがいだよ、れいむ…まりさは、れいむのやくにたちたいよ…」 「…、……」 「決まりだな」 れいむが奴隷と会話して何も言わなくなると、青年はその体を持ち上げ、やや余裕のある大きさの箱に入れた。 蓋を閉めると、れいむが「ゆっ…」と何かを言いたげで実に不安そうな表情をしていたが、 青年は特に気にしないでまりさの方に取りかかった。 まりさかれいむがその表情を見る余裕があったならば、青年の顔に浮かぶ半月状の口はどう見えただろう。 ────────────────────────────────── まりさを治療したその広い机の端に、れいむが置かれる。 どれいは悪くないだとか、何か呟きながら下の方を向いているが、とりあえず放置された。 そうして、青年に向かい合う形でまりさが机の上に置かれた。 その周囲には、明らかにゆっくりできない類の器具が準備されている。 「ゆ、れいむ…まりさの、だいじなれいむ…ゆっくりしてね」 「……どれい、れいむの」 「だいじょうぶだよ、れいむ。まりさ、りっぱにつぐなうから」 「…どれいはわるくないんだよ!?」 「ゆふふ、へんなれいむだね。まりさはれいむのものだから、かわりになるのはとうぜんだよ」 「…どれいは、れいむの…どれいだよ」 「どうしたの? いけないことのおおきさぶんつぐなったら、ゆっくりできるよ」 「…ゆん」 まりさは視界の端に居るれいむのゆっくりしていない様子を見て声をかけるが、 れいむはどうにも不安げな様子でおろおろしている。 「…そろそろ良いか?」 微妙な空気の二匹の横から、青年の声が入る。 「ゆっくり、だいじょうぶだよ」 「…ゆ」 れいむは折りの悪い様な声を上げるが、青年は返答として受け取り、 手元のリモコンのスイッチを押した。 ───────────────── 『おにいさん、まりさをきれいきれいしてくれてありがとう、 れいむがまりさをきらいにならないでくれて、まりさとってもうれしいの』 スクリーンには、笑顔で青年に言葉をかけるまりさが居た。 その亜成体に近いサイズからして、恐らくここに来た当初の映像だろう。 綺麗に整えられた髪、皺のひとつも許さない漆黒のおぼうし。 それはまさしく、れいむが気に入った"どれい"の姿。 画面が切り替わる。 『ゆぐっ…ゆっぎゅり、じようよ"…ゆぎゅぅ、ゆっぎゅりできないよぉぉ…ゆっぐりぃぃ!!』 ひたすらに、髪を毟る姿があった。 やたら語呂が少なく、ふてぶてしい表情をあまり変えずに悲鳴をあげるゆっくりれいむから、 髪を引き千切っては投げたり、それを食べたりしてれいむが遊んでいた。 ぶちり、ぶちり。 音を立てて、ゆっくりれいむの髪が房単位で抜ける。 画面のれいむは、真っ黒な笑みを浮かべて愉しんでいた。 ゆっくりれいむの頭にざんばらな髪しか見当たらなくなると、再生が止まる。 「まりさ。最初は、今の映像の通りだ。れいむに言いたい事はあるか?」 「……れいむ、まりさがいたくなるから、あのこがどれくらいいたかったのかおもいだしてあげてね。 まりさのだいじなれいむなら、できるよね」 「どれいの…かみのけさん…にんげんさん、やめ」 「"やめて"…か? お前はそう言った野良にどうしたか覚えているか?」 「れいむは、れいむは…」 青年が、そっとまりさの頭を左手で抑えて右手でおさげを掴む。 まりさはぎゅっと目を瞑って、耐えようとする。 れいむは、目を大きく見開いてその光景を見つめていた。 「これが、お前の罪だ。れいむ」 ぐっ、と青年が右手を強く上に向かって引くと、一瞬おさげの生え際の肌が右腕の方向に大きく伸びた後、 ぶちぃっ と音を立てて三つ編みのおさげが引き抜かれた。 「ゆ"ぁ"っ!」 強く引っ張り過ぎたのか、おさげの生え際の饅頭肌ごとごっそり付いてきてしまい、 まりさの左こめかみの辺りからぼろぼろと餡子が零れ落ちた。 …青年はそれを見ると、すぐにオレンジジュースで練った即席治療薬で千切れた饅頭肌を修復し、 まりさとれいむの表情を知りたいと思い彼女たちの顔を見る。 まりさは、歯を食い縛っていた。そして、瞑った目からはぽろぽろと涙を流している。 れいむは、大きく目を見開いて泣いていた。 「おざげっ…どれいのおざげっ…!!! やべでね!!! どれいが、どれいがいたがってるよぉ!!!」 少々ばかり呆れながら青年がまりさの背中に視線を戻すと、頭にかぶっているおぼうしを外し、 頭頂部の髪をひと房掴み取って、おさげの失敗を受けてかそれよりもやや力を抜いて引っ張った。 ぶちっ、と音が鳴る。すると、まりさが小さく「ゆびっ」と鳴いてれいむがなにごとかを呟きながら泣く。 何度もそれを繰り返すと、まりさの頭はざんばらに、なんとも無残な髪が見えるだけになった。 「…ひとつめの償いは終わったぞ、まりさ」 「とってもいたかったけど、これでれいむのつみさんがすくなくなったんだね…! ゆへへ、ごめんねれいむ。まりさ、ちょっとかみのけさんなくなっちゃったよ…」 青年がまりさに向かって語りかける。 …まりさは大きく震え、しかしきりっとした顔をしてみせた。 残念な事は、ざんばらに生えた髪のおかげで非常に滑稽な姿に見える事か。 れいむは、ぽろぽろと泣いていた。 「…どれい、かみのけさんがすくなくてもどれいはれいむのどれいだよ! れいむのためにはたらいてね!!!」 「ゆっ、れいむありがとう…!」 「さあ、次だ」 れいむとまりさの会話が適当に進んだ所で、青年の手がリモコンを持つ。 饅頭肌の所々に髪を残すばかりのまりさの表情に勇気の火が灯っているのと対照的に、れいむは悲しそうな表情をしている。 そして、画面が映る。 ───────────────── 『おにいさん、れいむのためにごはんをもっていけるのってすっごくしあわせーだね。 まりさね…まりさね、まいにちとってもたのしいの…!』 嬉しそうな様子でまりさが青年に報告している。…様子から察するに、同居開始からある程度経った頃だろうか。 ぴょんぴょんと跳ねて、体の全体を使って精一杯、どれ位自分が幸せなのかを表しながら笑顔で話している。 そんなまりさの顔が消えて、画面が一瞬暗くなると、前回の画面と同じ林に切り替わった。 『くそありすはれいむさまのすっきりぷれいをゆっくりみとどけてろぉぉぉ!!!』 林の中で、れいむはありすの元へと跳ねて思い切り跳ぶと、体当りでありすを横に倒した。 そうして、再度ありすの元へと跳ね寄ると、ありすの底部を思い切り噛み千切ったのだ。 『ありずのとがいはなあんよがぁぁぁぁ!!!』 『ありすぅぅぅ!!!』 ありすの悲鳴と、今回の映像には出ていないがありすの番であるまりさの悲鳴が聞こえる。 ありすが体を起そうともがけば、カスタードがぼろりと漏れ出ていく。 そうして画面が暗転し、止まった。 「…これが二つ目の罪だな、れいむ」 「くそにんげん、やめてね! どれいのあんよがなくなったら、れいむがごはんたべれなくなるんだよ!」 「そんなん知った事か。お前がやった事だろ?」 「…そうだよ、れいむがやったよ! …だから、れいむのごはんがたべれなくなるなら、れいむの──」 「れいむ、やめてね」 静かに語りかけた青年に口論を仕掛けたれいむが何かを言いかけると、まりさがそれを制した。 「れいむ、れいむはまりさのだいじなれいむだよ。 まりさ、れいむがたっくさんはねてあそぶすがたがみたいよ。 …それに、まりさのあんよがつかえなくてもごはんのじゅんびはできるから、れいむがもってけばいいよ」 「このばかどれい!!! どれいはいまいたいいたいしてるでしょ!? れいむさまはじぶんでごはんくらいじゅんびできるよ!!! でもどれいのもってきたごはんのほうがいいんだよ!!! だからどれいじゃなくて、れいむのあ── 「だめだよ!!!」 「ゆぐっ!?」 どれいのまりさが声を荒げる姿を初めて見たれいむは思わずびくっと体をすくめて動きが停止する。 まりさの方は、れいむが体をすくめる様子を見てそんな強気の態度を一瞬で崩し、おどおどした様子になった。 「れ、れいむが…げんきにはねてるすがたがみられれば、まりさはしあわせー、なんだよ。 れいむが…う、うごけなくなったら…まりさはしあわせー、じゃないんだよ。 れいむは…ゆっくり、りかいしてくれる? まりさにとって、だいじなのはれいむなんだよ」 「……どれい、れいむだって、どれいは……ゆん、きらいじゃないよ」 「れいむ、ありがとう」 「…そろそろ良いか? 始めるぞ」 れいむとどれいのまりさが会話し始めてからの間、青年は机の1/3を占領するサイズのホットプレートを最高温に温めていた。 …映像の様に底部に大きな穴を開けるのも悪くはないのだが、問題はその場合予想以上に消耗してしまう事である。 それに対して、足焼きは便利なものだ。中の餡子が流れ出ない分余計な消耗は防げる上、炭化するまで焦がしてしまえば その後二度とゆっくりのあんよが復活する事はなくなるのだ。 ぎゅっと目を瞑るまりさを青年が両手で持ち上げると、その体は震えていた。 そういえば、青年は今までまりさを虐待しながらも後遺症の残る怪我をさせた事が無い。 …今回ばかりはそうでないと既にまりさも気付いているのだろう。我慢する様に小さく刻まれた息が、青年の手にかかる。 …特に感慨も抱かずに、何かがこびり付いて凹凸ができている鉄板にまりさを乗せる。 ジュウ、と音を鳴らして、まりさの底部が焼ける音がする。 「ぐぎゅっ…あ、づい…」 やはりまりさは涙を流す。しかし、それは熱されたプレートの上に落ちると一瞬で蒸発する。 抑えつけるまでもなく、ジウジウと饅頭を焼く良い匂いを漂わせながらまりさの足は固く焼けてゆく。 「い"、い"ぁっ…へんだよ、…あんよが…いだぐ、ないの…? すっごく、あづいのに…っ」 暫く焼いていると、まりさがこんな事を訴えてきた。 …ヘラでプレートに焼きついた底部をバリバリとこそぎ落として持ち上げると、既に炭化が始まっている。 と同時に、パリパリに焼けた表皮が零れ落ちる。 まりさは、あんよの違和感に何かを感じたのか瞑っていた目を開いて、…その様子を見てしまった。 「…ゆ、あ…ぁ…あ、あぁぁぁ…っ」 ガクガクと上半身が大きく震える。 幾ら腹をくくったとは言っても饅頭だ。ふるふると震えて、止まらない。 「どれい、どれいぃっ!!! がえっだらぺーろぺーろしてあげるよ!!! たくざん、ぺーろぺーろずるよっ!!! だがら、だがら…どれいぃぃ!!! うあぁぁぁ!!!」 不意に、れいむが大声で叫んだ。そちらを向くと、もう頬がふやけきって柔らかくなっている。 しかし、それでもれいむは泣いていた。ぼろぼろと涙を流して、大きな声で叫んだのだ。 「…ゆ、ぅっ………れい、む………っ! れいむ…っ」 …驚いた事に、まりさの体の震えがぴたりと止まった。 れいむの声が届いたからだろうか? 今までガクガクと震えていたのが嘘の様に動きが止まったのだ。 青年は思わずまりさがショックで死んだのではないかと焦りそうになったが、声を出している上にまだ涙を流している。 それを確認すると、まりさのざんばらな頭をヘラでぐりぐりと押し付けた。 ──たっぷりと時間をかけて、まりさのあんよは完全なまでに無能化されていった。 底部から数センチ程に渡って真っ黒に焦げ目が付くと、ようやく青年はまりさをプレートから解放しようと動いた。 そのプレートにへばりついた焦げをガリガリ、ガリガリと削っていくと、 ばりん 、と底が剥がれた。 れいむの位置からその姿を見れば、底部が完璧なまでに二度と扱えないまでに炭化した事がわかるだろう。 プレートには、真っ黒に焦げた饅頭皮が多量にこびりついていた。 青年がプレートを下げると、俯くれいむとれいむの方を向いて悲しそうな顔をするまりさの姿があった。 れいむの方は小さくなにごとかを呟いているが、あまりにもその声は小さすぎて聞き取れない。 「…れいむ……かってなこといってごめんね… もうごはんもってこれないよね、まりさ…どれいしっかくだよね」 まりさが、れいむの方に向かって語りかけた。 れいむは顔をまりさの方に向けて上げると、少し時間を置いて、 「ばかどれい、そんなことないよ。れいむさまがたくさんぺーろぺーろしてあげるからよろこんでね、たくさんでいいよ こんなおばかなどれいは、れいむさまいがいにはつかえないよ。だかられいむさまがめんどうみてあげるよ」 「…ありがとう、れいむ」 目を細めて、小さな声でまりさに応えた。 まりさはその姿を見て、呟くと器用に舌を使って目元を隠す。 …その帽子の下からは、ふたすじの水の流れができていた。 ───────────────── 「…休憩にしよう。そろそろお前らも疲れただろう、俺も疲れてきた。 もう今の時間も遅い。続きは、明日の朝だ」 青年からそう提案されたのは、まりさがおぼうしを深く被ってから少し経った後だった。 れいむもどれいのまりさも、それに対して殆ど反応を示さなかったが、 青年は特に気にする様子もなくまりさを防音の透明な箱に入れ、 れいむとまりさに僅かなオレンジジュースを与えてその場を去った。 甘味であるのにも関わらず、れいむからも、どれいのまりさからも『幸せ』という言葉は一切洩れなかった。 …青年は布団の中に潜って、あのゆっくり達の事を考えた。 れいむもまりさもお互いに依存している。青年がそう導いた。 だからこそ、青年の作った道筋が正常に機能し続けているのだ。 それは、れいむの所業を自覚させる為の道筋。 ────────────────────────────────── れいむを引き取るに当たって、青年は今までやってみたいと思っていた事を試す為に丹念な準備をしていった。 「…ええ、売れないレベルで引っ込み思案なゆっくりは居ますか?」 彼が最初に探したものは、"従順な奴隷"だった。 従順な奴隷として必要なゆっくりは、自己評価が非常に低くまたその所為で他人を恐れるようなゆっくりが望ましい。 そして、そういった性格のゆっくりは需要もずば抜けて低く、 愛でるにも人を恐れる。だから売れない。 虐待するにもそれを受け入れてしまって普通のゆっくりに比べて非常につまらない。だから売れない。 そんな、ペットショップのお荷物になるタイプのゆっくり。 …捜索は難航した。 やはり、そういった売れない性格のゆっくりは店頭に出す前にミンチもしくは廃棄にしてしまう店舗が多いのだ。 7店のペットショップで断られて青年が方法を変えざるを得ないか検討し始めた頃に、そのゆっくりは見つかった。 『…ええ、気弱な性格が祟ったのか、集団飼いの頃に苛められてしまったんです。ただ銀バッジランクの知能があるので、 なんとか売れないかと思って店頭に出してはいるんですがやはり怯えてしまっていて困ってた所なんですよー』 どうやら、青年が求める奴隷像に非常に近い性格の様だ。 青年は、時計を見て散歩の時間に間に合うか確認し、手早く鞄に持ち物を纏めると家を出た。 ガーッ 自動扉をくぐり、青年はゆっくり展示コーナーを目指す。 すると、銀バッジゆっくりの入ったガラスが並ぶ一角にその姿を見つけた。…一目で、それと判る個体だった。 店内に繋がるガラスの反対側の隅に体を寄せ、細く開いた目で店内側を見ている。その表情には、明らかな怯えが映っていた。 「あの、すみません。電話で気弱なゆっくりを予約した者ですが」 青年はゆっくりコーナーの傍にいる女性の店員に声をかける。 アルバイト風の若い店員は、「あ、はい」と短く返事をすると店員扉に消えていった。 それから数十秒後、同じ店員扉から中年前後といった様子の男性の店員が現れた。 「予約の……様ですね、お待ちしていました」 店員は笑顔で話しかけると、そのゆっくりの前まで歩いていく。 店員に連れられた青年がガラスの目の前で止まると、そのゆっくりは怯えた目線を青年に向ける。 黒い山高帽を深く被った、ゆっくりまりさ。 店員が、これまでの彼女の経緯をおおまかに青年に話す。 まりさはいつの間にか苛められていた。 店員のひとりが気付くまで、まりさに体当りしていじめるゆっくりが居たり、 他のゆっくりに完全に無視されていた事さえ誰も気付けなかった。 餌の時間、躾の時間、静かにしているまりさに話しかけていた個体も居たのだから。 …ゆっくりの話を聞けば、体当りしたりまりさのおぼうしを奪って遊んでいた主犯ゆっくりを割り出すのは簡単だった。 人間の前で、まりさにいつも話しかけていたゆっくり達だった。 そのゆっくり達は、まるで悪びれずに「楽しかった」と語った。 その日から、そのゆっくり達は捕食種用ゆっくりを生む道具の為のゆん生を約束された。 その後も、まりさは他のゆっくりにも人間にも心を許さない様になってしまった。 しかし、まりさは数字が10まで数えられた。そして人間と住む為の知識も、豊富に蓄えた。 だからこそ、そんな性格でも売りに出されたのだ。 『育てやすい』という売り文句まで付けられて。 「…そうですか。…それで、その苛めたゆっくりは今も?」 「ええ、大量に喰わせれば成体化が早まりますから、そろそろ子供を作らせる事ができると思います」 「そのゆっくりは、売って頂けたりできませんか?」 「…はい? …ああ、ええ、お譲りする事はできますが…」 「では、1体このまりさと一緒に買って行ってもよろしいですか?」 「ありがとうございます。それでは、ケージ等のご用意はお済みでしょうか?」 「ええ、飼う為の準備は出来てますので大丈夫ですよ」 「…あ、そうですか。それではゆっくりをお持ちしますね」 「よろしくお願いします」 店員が店の奥に消えると、ガラスの中のまりさが店員に抱えあげられる。 店員の腕がまりさに触れると、まりさは大きくびくん、と一度跳ね上がってからその腕に抱えあげられた。 十分後、青年は透明な箱が二箱入ったケースを車に乗せて家路についた。 ───────────────── 家に着き、青年は家の部屋のひとつに積み上げた二箱を持っていくと、まりさの入った箱を先に開く。 すると、もう片方の箱に入ったまりさの二周りは大きいちぇんがそれを見てなにごとかを喚いた。 が、しかし防音の箱に阻まれて青年までその声は届かなかった。 箱から出され、そっと床に置かれたまりさは、落ち着かない様子できょろきょろとあたりを見回す。 とても質素なその部屋には、まりさとちぇんと青年、あとは大きな家具程度しか置かれていない。 「ゆっくりしてけ」 不意に、そんなまりさに声がかかる。 まりさは、その場には青年とまりさしか居ない(箱に入ったちぇんも居るが)にも関わらず、 更に困った顔できょろきょろと周囲を見渡す。 「馬鹿。お前だ、お前」 青年の指がまりさの背中をつつくと、まりさはびくんと飛びあがる。 ぶるぶると震えながら後ろの青年を振りかえると、困ったような顔をしてその顔を見つめた。 「ゆっくりしていけよ、まりさ」 「ゆ、ゆっくり…して、いってね…?」 再度声がかけられると、まりさは戸惑った様子で返事を返した。 青年はそんなまりさの頭に手をかざす、するとまりさは体を強張らせてぎゅっと目を瞑った。 そして、かざされた手がまりさの頭にそっと降りると、青年の手にぶるぶると震えるまりさの感覚が触れた。 そうして、青年は手を何度も横に動かす。…くしゃくしゃと、髪をかきまぜるように。 しばらくの間ぶるぶると真っ青な顔で震えていたまりさだが、数十秒も青年の手が頭を撫でていると、 段々と、ゆっくりと体の震えは収まっていった。 そうして体の震えが止まるとともに、まりさは青年の手に体を擦り寄せた。 青年の手に、まりさの温かさが伝わる。…それは青年の手の温かさがまりさに伝わっている事と同意だった。 「…ゆ、おに…さん、まりさの…か、かいぬしさん…なの?」 青年の手に体を寄せたまま、ようやく落ち着いた様子になったまりさが問う。 青年は、まりさに乗せた手と反対の手を顎に当てて少刻の間、考え込む。 そのタイムラグをどんな意味にとったものか、まりさが再び小さく震えだした頃に青年が口を開いた。 「いや、俺はお前の飼い主じゃないな。とりあえずはお前より偉い人だと思えばいい」 「…ゆ、ゆっくり…り、りかいしたよ…」 「で、だ。まりさ、お前苛められていたんだってな?」 「…!!!」 半分きょとんとした様子のまりさに、青年が続けざまに問いかける。 すると、まりさは眼を見開き、驚愕の表情を浮かべて、青年の手の下で大きく一度痙攣した。 …どうして知っているの、といった様子で。 ペットショップのガラスは、大きな声は伝えるが小さな声は届かない。 まりさは、自分の目の前でされていた会話の内容を聞き取れなかったのだろう。 「…お、おに…さん、まりさ…まりさ」 「あー、そうだな。どうしてあのデブちょこを一緒に買ってきたか、わかるか?」 「…いじ、めるの? おにいさん…ま、まりさを、いじめるの…?」 「いやー、よくわかったな。その通り」 「!!! …ゅ、ゅわ、あ、あ…っ」 青年がいやらしい笑みを浮かべて返答すると、まりさは絶望的な表情で目に涙を浮かべ出した。 青年の手から抜け出して、後ずさりをする。 優しいと思った青年が、敵だと知ったのが恐ろしいのだろうか。 顔を左右にぶるぶると振りながら、青年から離れてゆく。 「…嘘だよ、馬鹿まりさ」 青年が離れていく帽子饅頭を両手で手繰り寄せる。 …手繰り寄せられると顔を横に振りながらその腕から逃げようとするもので、 青年はまたその饅頭をぐりぐりと撫でまわして落ちつけなければならなかった。 「だから嘘だって…ちょっとしたジョークだよ。悪かった」 「…ほ、ほんと…? じゃ…じゃあ、どうして」 「…罪、って言葉は知ってるか?」 「ゆ?」 にやにやと笑みながら両手で押さえたまりさを見ていた青年の顔が、一瞬で真面目な表情に変わる。 まりさは、その表情の変化から大事な話である事は理解した様だが"罪"という言葉はその餡子には刻まれていなかった。 「…ゆぅ、わ…わからないよ…」 「お前は、どんな事が悪い事だと思う?」 「…ゆ? に、にんげんさんのおうちをぐちゃぐちゃにしたり、かってにごはんをたべたり…すること?」 「まあ、それも悪い事だな。…お前は、お前を苛めた奴の事をどう思う?」 「…それは、ま…まりさが、わるいんだよ…」 「どういう風に悪かった?」 「まりさは、おしゃべりがへただったよ」 「今、俺と普通に喋ってるな」 「まりさは、からだがちっちゃかったよ」 「子供は皆体が小さいな」 「まりさは、びくびくしててきもちがわるいって」 「そりゃお前、苛められたらびびるよ。俺だってびびる」 「…まりさは、まりさは」 青年に問われ、自分のどこが悪いのかを言う度に否定されたまりさは、それでもどこかが悪いと探し続ける。 おおよそ、答えが出たとしてもすぐに青年によって否定されてしまうだろう。 堂々巡りなので、青年はひとつの手段を提案する。 「本ゆんにでも聞いてみるか?」 「…ゆ、…ちぇん?」 「そういう事だ」 「………こわいよ…」 「お前、ここに居る俺は何だと思うよ」 「…おにいさん?」 「そうそう、俺はゆっくりか?」 「…にんげんさん」 「じゃあお前、俺とちぇんどっちが強いよ」 「……にんげんさんの、おにいさんのほうがつよいよ」 「じゃあ平気だろ」 「…ゆ、ゆっくり…りかいしたよ」 これまでの時間でかなり青年に気を許したのか、まりさは膝立ちで方向転換をして ちぇんを出そうとする青年の足の横にぴったりと張り付いて離れようとしなかった。 余程、このちぇんが恐ろしいのだろう。 『……!! …!!! 「…やっとだしたんだねー、ちぇんはきがみじかいんだよー!」 箱の中から出された瞬間、尻尾を立てて頬を膨らませて青年に威嚇するデブちぇん。 青年はというと、まりさを膝の上に退避させた上でちぇんに冷たい目線を送っていた。 「にんげんさんはちぇんにそのくずまりさをわたしてねー、わかれよー!!」 「こいつの何が屑なんだ?」 「ぜんぶだよー、ゆっくりわかってねー」 「俺にはこいつの方がお前より良いんだが」 「ゆぅ?! にんげんさんなにいってるの? そいつはゆっくりしていってねもすぐにいわないへんなこなんだよー? ごはんのときもたべかたがくらいからいっしょにたべてもたのしくないんだよー? いっつもおうちのはじっこでうごかないばかなんだよー? どこがちぇんよりいいっていうのー?! ちぇんのほうがずっとかわいいんだよ?! わかれよー!!!」 「…へえ、そんな理由で苛めたのか」 「そうだよー!!! にんげんさんはさっさとていせいしてちぇんにおわビ"ァ"っ?!」 まりさが、青年の膝の上から横に転がった。 青年が、膝立ちのまま突然ちぇんを殴り飛ばしたのだ。 青年の体勢の変化で転がったまりさは、実際に人間の強さを実感したのは初めてらしく、横になったまま呆然としていた。 「まりさ、お前が挨拶をすぐに言わない理由を当てて見せようか」 「…ゆっ」 「その挨拶が自分以外の誰かに向かったものだと思うからだろ? さっきも、その相手を何度も探して挨拶を返すタイミングを逸した」 「…どうして」 「俺はお前と比べ物にならない位長く生きてる。お前みたいな人間も沢山居るんだよ」 「………」 「わがらないよ"ー!!! ぢぇんにでをだしていきてかえれるとおもうなよー!!!」 張り飛ばされたちぇんが思い切り青年に向かって走る。 人間なら早歩き程度だろう、ゆっくりにしては速い速度で、青年に跳ね寄るちぇん。 「いだだだだだっ!!! いだいよ"!!! わぎゃり"ゃに"ゃいッ!!!」 跳ね寄ったちぇんの尾を、青年が掴み上げた。 その青年の横で、まりさは歯を食い縛ってしーしーを我慢している。 …が、その口の下からはちょろちょろと小さな水の筋が漏れている。 「まりさ、お前が苛められた理由だと思っていた悪い所は、全部悪くなかったな?」 「…ゆん」 「こいつは、普通のゆっくりだったお前を苛めた。お前は、何もしていなかったな」 「うるざいよ"ー!!! さっさどはなじでねー!!!」 「それが、こいつの"罪"だ」 「…りかいしたよ」 「罪は、償わなければならないんだ」 「つ、つぐないさんって…なあに?」 「ん? …そうだな、自分の罪の分をそのまま返してやる事だ」 「…かえす?」 「こいつは、お前に何をした?」 「…ごはんさん、たべられないように…まりさの…じ、じゃま………したよ…」 「そうか」 青年は、まりさを青年の足元から斜め後ろ側に置き直すと ちぇんを足元に置いて踏みつけて動けなくした上、机から流動体の入った瓶とペンチ、刷毛を取り出す。 それらを足元のちぇんの横に置くと、ちぇんの上に乗ったまま器用に座りなおした。 「まりさ、目を見開いてよく見てな。償いっていうのはこういうものだからな」 「…ゆ、ゆっく、り…りかいしたよ」 「うに"ゃあ"あ"あ"ぁぁぁ!!! はなぜ!!! わがれ、わがれよーーー!!!」 「ちぇん、このまりさはお前らの所為で飯を食えなかったんだってな」 「そんなのどうでもいいよぉぉぉ!!! わがっでねぇぇぇえええ!!!」 「謝るとか、そういった事をするつもりは」 「ないにきまっでるでしょぉぉぉ!!! じじいがなにいっでるがわがらないよーーー!!!」 「そうか。…それでは、ちぇん。"償え"」 「!?」 青年の腕に抑えつけられて暴れるちぇんの口を、青年が大きく開いた。 両手を使って、普段の顔の大きさまで開いた口を左手と右肘で固定すると、ペンチを取り出す。 ちぇんは、あがあが言うばかりで動く事も何かを言う事もままならない。 そんな様子を、まりさは隣でじっと見ていた。 ペンチが、ちぇんの奥歯にあてがわれる。 ここまで来て、ようやく何をされるのか悟った様子のちぇんは、尾をぶんぶんと振り回して抵抗する。 ずぶっ 「お"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あああ!!! うぁぁぁぁ"あ"あ"!!!」 体の動かせる部分を思い切り動かしてちぇんが唸る。 しかし、青年ががっちりとホールドしている為にまるで効果はないのだ。 …まりさは、青年に言われた通りに目を見開いて、驚愕していた。 あっさりと恐ろしい事をやってみせた青年に。 そして、自分がされていた苛めの罪の重さに。 そうして、ちぇんの歯はあっと言う間になくなった。 青年がちぇんの口から手と肘を離すと、ちぇんは口を開けては閉じてを繰り返してほごほご言っているが、 何を言っているかさっぱり理解できなくなっていた。 「…お、おにい、さん…その、ちぇんは…どうするの…?」 ぶるぶると震えが止まらないまま、まりさは青年に質問した。 もう歯が使えないちぇんを、青年がどうしてしまうのかが知りたくて、恐ろしくて。 「ああ、まだ終わってない。これから口を塞がないといけないんだ」 「…ゆ"っ!?」 …震えるまりさに向かって青年がそう言い放ち、刷毛を取り出すと、まりさの返答と同時にちぇんの体が跳ねた。 その底部がうごうごと大きくうねる。その一切が無駄な抵抗である事を、その場においてちぇんだけが理解できていなかった。 青年が、ちぇんの口の端を左の手で閉じる。当然、ちぇんは口を開こうとするが、 手の力に完全に負けてしまって、口の反対側を開ける程度しかできない。 青年は腕でちぇんの体を抑えながら、右手に刷毛を持って微橙色の小麦粉の流動体に浸け、 それをちぇんの閉じた方の口に当てて何度も塗り付けた。 刷毛が口の端を通ると、閉じられていない隙間からちぇんの口の中に甘い汁が入り込んでいく。 すると、ちぇんは今までの苦痛の表情から一変、表情を緩ませて幸福感に浸っていく。 今一何が起きているのか理解できていない、非当事者のまりさだけは、きょとんとした表情でしかし目を大きく開き、 その不可思議な光景をじっと見つめていた。 …それは、チャックを閉めるよう。 青年が閉じ始めた口の端から、段々とちぇんの口から動かせる領域が減ってゆく。 結局、ちぇんがそれに気付いたのは、口がまるまる塞がれて流動体が入らなくなってからだった。 「どうだ、まりさ。こいつはこれで飯を食えない。それが、こいつの償いだ」 これから、こいつにはこの箱に入ってしばらく罰を受けて貰う。 罪と償いについて、理解できたか?」 「…ゆ、ゆっくり…り、りかいしたよ…」 「よし。こいつは別の部屋に移す。これからまりさ、お前には教えないといけない事がたくさんあるからな」 そう言って青年が部屋を出ると、まりさはでろりと下半身の力を抜いてその場にへたりこんだ。 …あまりに緊張しすぎたのか、青年が戻ってきてからも 少しの間あんよがへたってしまい、その場からまりさは動く事ができなかった。 ───────────────── それかられいむが引き取られる日まで、おぼうしや髪を綺麗に整えられたまりさは色々な事を教わった。 れいむはまりさの生きる為に必要な存在である事。 まりさがれいむの為にやらなくてはならない事。 何かあったら青年に相談する事。 おおまかに言えばその3点が、まりさの覚えるべき事だった。 青年は、まりさの仕込みを終えるとれいむを迎える為の準備に取り掛かる。 れいむを飼う部屋に監視カメラ(イヤホン付き)を取り付け、 廊下にはれいむが出たがらない様、ゆっくりの死臭のする粉を僅かに水に混ぜた物をスプレーで吹き付けた。 また、青年の自宅の周辺は小さな林になっており、その範囲に住むゆっくりを殲滅してから、 その小さな林を丸ごとプラスチックの柵で覆った。 …そんなに長い期間でなければ、これで他のゆっくりは入り込めないだろう。 徹底的に、れいむとその奴隷となるまりさの2匹を他のゆっくりが居る環境から隔離する。 それこそが、今回の作戦の肝となる。 …そうして、青年とまりさは、まりさの主人となるれいむを迎えた。 おおよそ、青年の思う通りにれいむとどれいまりさは動いていた。 れいむは現状に満足してまりさの行く扉の先へ行こうとしなかったし、 まりさに対しても悪い感情を持つような言動はしていない。 まりさも、れいむに嫌われていないとわかってから、幸せそうにれいむの元へと物を持ち運ぶ。 …青年としては、虐待されても幸せそうな表情を浮かべるまりさを見て、実は複雑な気分にならなくもないのだが。 れいむが外に行きたいといった言動を取る様になったら、柵からゆっくりが入り込んでいない事を確認した上、 外飼い用の岩型巣箱を準備して、その中にも監視用のミニカメラを設置してから 例によって虐待されに来たまりさを家から出し、 れいむが寝ている間に窓の外からの道筋を覚えさせた上で窓のロックを外した。 脱走の際は一応後ろから尾行し、れいむがいちいち止まるものでたっぷりと時間をかけながらではあるが、 『おうち』を発見した(事になっている)まりさをれいむが張り飛ばす所までついていった所で自宅に戻った。 余談ではあるが、例のちぇんはこの数日前まで透明な箱の中で飢えで苦しみ、黒ずんで萎びた。 ───────────────── 『…ゆふふ、そろそろいっぱいはたらいてるどれいになにやしてやるのもわるくないね! すっきりー、しておちびちゃんをつくってやったら、どれいはしょっくでしんじゃうかもね!!!』 れいむのそんな言葉を聞いたのは、れいむとどれいまりさが脱走してから数日経ったある日。 まりさが餌を取る為に青年の家へと向かっている最中だった。 青年は、れいむのどれいまりさへの感情がかなり変化した事を察し、 れいむとまりさの生活を終わらせ、最後の仕上げに取りかかる事にした。 「…いぬさん?」 「ああ、そうだ。れいむにお前の格好良い所を見せてやろうと思ってな」 「…ゆっ、おにいさん、まりさのかっこいいところ…?」 「お前、いつも大変な思いをしてまであいつに尽くしてるからな。 たまにはこれ位してやらないと悪いと思ってなー」 「ほ、ほんとう? …それでまりさ、なにすればいいの?」 「簡単だよ。こいつに張り飛ばされながら最後まで戦って、適当な所で引き揚げさせるんだ」 「ゆっ、まりさにできるかな…」 「大丈夫だって。な、プチ」 『ワウッ!』 その日、まりさと青年がいつも落ち合う部屋にはもう一匹、犬が居た。 レトリーバー系の雑種で、垂れ耳と斑模様が特徴的であり、 プチと言う名前が似合うかどうか問われれば飼い主が苦笑するような、大きな犬。 プチが小さく吠えると、まりさが体を竦ませる。 気弱なまりさにとっては、隣に居るだけでも勇気を試されるような存在かもしれない。 ──ドガッ プチが、尾を横に振りながらその前足でまりさを蹴飛ばす。 壁に当たって止まると、まりさは立ちあがって再度プチの方へと突進をして、 べしっ 蹴飛ばされる。 何度もこれを繰り返すと、まりさの突進によってプチが後ずさり、飼い主である青年の元へと戻っていった。 「そうだ、上手いぞまりさ」 「…ゆふぁ、ゆはぁ…ゆ、ゆげぇっ」 体中を痣で黒く染めたまりさが、安堵の表情を浮かべた瞬間に餡子を吐いた。 青年はその餡子をまりさに戻すと、オレンジジュースをふりかける。 「…ゆ、はっ…これで、れいむにかっこよく…みえるかな…」 「ああ、大丈夫だよ。絶対に格好良い所を見せられる。まりさ、れいむを外に出させるなよ」 「…ゆっくり、りかいしたよ」 ───────────────── そんなやりとりをした夜、青年はプチの耳に小さなイヤホンと、首元に小さなカメラを取り付ける。 今日のために、れいむの臭いがたっぷり染み込んだ綿を利用して "れいむには攻撃しない"という命令を青年はプチに覚えさせたのだ。 ──餡子を噴出させたまりさが映る。 まりさは気付かなかっただろう。自分の『おうち』の周辺にとげとげしい石が多くなっていた事に。 そして、まりさが大怪我を負ったら攻撃しないようにプチが躾けられていた事に。 『戻れ、プチ』 犬の耳についたイヤホンに声が響く。 れいむで遊べずに困っていた様子のプチが、尾をぱたりと降ろして家へと走って帰る── そうして、今に至るのだ。 ────────────────────────────────── 「お早うれいむ、それにまりさ」 「………」 「…おにいさん、おはよう」 青年が朝食を終わらせて部屋に入ると、れいむは青年を一瞥して目を逸らし、 髪がざんばらであんよは真っ黒のまりさは悲しげな表情で挨拶を返した。 そのどちらの目も、真っ赤に染まっていた。 青年はそんなゆっくり達を横目に見ながら、無言で鋏等の器具を準備する。 れいむも、まりさも無言のまま青年を見つめる。 …微妙な空気が室内を支配する。 そんな時間も長くは続かず、青年は器具を揃えてまりさを箱から取り出した。 真っ黒なあんよは水気を吸っても固いまま、ぴくりとも動かない。 「…準備はいいか?」 青年がまりさに声をかけると、まりさは無言のまま頷く。 それを確認してから、青年は映像を流す為のリモコンに手をかけた。 ───────────────── 『ゆふん、まりさのおぼうしはわるくないね、ごはんがたっくさんはいるしとんがりさんがぴっちりしてるよ!』 真っ暗な画面に、れいむの声がした。…その後、まりさが画面に映る。 サイズは成体程度なので、いつの頃のまりさかの予想はつかない。 『おにいさん、まりさはとってもしあわせー! だよ。 あのね、れいむがまりさのおぼうしのことほめてくれたんだよ!』 スクリーンに映るまりさが、嬉しそうに笑う。 (実はそのれいむの発言の後には『ただし、れいむのおりぼんさんにはまけるけどね!!!』 というおまけが付いているのだがそれは放映されなかった。) 満面の笑みのまりさ。 そして、画面が変わる。 背景には、あの林。 『うに"ゃあ"あ"あ"ぁ"ぁ"!!! わがら"な"い"よ"ぉぉぉ!!! やべでぇ"ぇ"ーーー!!!』 『げらげらげらげら!!! どんどんさけんでいいよ!!! たっくさんでいいよ!!!』 れいむが、ちぇんの帽子を噛み切っていた。 眉を吊り上げて、底部で帽子を押さえては歯でそれを噛み切る。 何度も、何度も繰り返していくと、どんどん緑色の帽子が細切れになっていく。 れいむは、げらげらと笑いながら。 ちぇんは、わからないと叫びながら、たくさん涙を流して。 そうして、大き目の破片と小さなたくさんの破片になってちぇんが絶望的な目をしている所で、映像は切れた。 「…やめてね、おにいさん どれいはわるくないよ どれいのおぼうしはすてきだよ まっくろでぴんとしてて だからね、れいむのおりぼん…おりぼん…おりぼんに、どれいはわるくないから、れいむの…おりぼんに… …おりぼん、おぼうし…いやだよ…とってもだいじな…」 「れいむ、ありがとう。…まりさね、れいむがほめてくれてすっごくうれしいから、もういいんだよ? まりさ、れいむのまっかなおりぼんがだいすきだよ? たいようさんみたいですっごくきらきらしてるの」 「でも、どれい、どれいのおぼうし、だって、あれはどれいじゃないのに」 「れいむ、まりさはれいむのものでしょ? れいむがまりさをみて、たくさんおぼえてね、 れいむがね、あのこたちのつらさわかってくれたらすっごくうれしいよ」 「もうわかったよ!!! ばかどれい、たくさんいたいでしょ!? たくさんつらいでしょ?! わかったから、わかったから…!!!」 「つぐなわなきゃ。れいむのぶんのつみさんがなくなったら、いっぱいゆっくりしようよ」 「…ゆぐっ、どれい……ゆ、あっ」 「…おにい、さん」 青年が、無言でまりさのおぼうしを手に持った。 この家に来た当初は、少ししなしなでちょっとぱさぱさしていたとんがり帽子。 青年が、蜂蜜に浸けたり洗ったり低温のアイロンを掛けたり、色々と試行錯誤して綺麗に整えた、とんがり帽子。 ゆっくりの飾りを綺麗にした事なんて初めてだった。…この為に、綺麗に整えた。 「よくやったよな」 青年は小さく、小さく呟いて 鋏を手に取った。 じゃき 丁度とんがりの中央辺りに、鋏が入る。 …れいむが泣いている。まりさは、口を横一文字に閉じて、ぼろぼろと涙を零す。 青年は、目を細めて鋏を進めた。 真っ二つになったおぼうし。 きっと、まりさは今すぐにでもぺろぺろと舐めてやりたいだろう。…いや、れいむも同じ気持ちだろうか? 段々と、破片が小さくなってゆく。 そうして、元は黒いとんがり帽子だったものは完全に小さな布片になった。 「…終わったぞ」 「…ッ、っ!!!」 元帽子の欠片を見つめるまりさは、横一文字に閉じた口を開こうとしない。 青年が首を傾げて何かを聞こうとすると、 「おにいざんっ!!!」 れいむが割りこんだ。 「どれいに、どれいにおぼうじざんぺろぺろざぜであげでねっ!!! おねがい、おねがいだよっ!!!」 「…嗚呼、成程な」 その言葉を聞いて、漸く青年はまりさが口を開かない理由を理解した。 口を、開けないのだ。 それは己の償いをしたちぇんの様な意味ではなく、口を開けたら耐えられなくなるのだろう。 だから自分からは言えなかったのか、と。 青年が布を一つ残らず纏めてまりさの目の前に置くと、まりさは口を開いて、それを舐めた。 「お、ぼうじっ………!!! ごべんね、ごべんね、おぼうじざんっ…!!! ゆああああぁぁぁ、ゆあぁぁ"ぁ"ぁ"!!!!」 そして、大きく泣いて、叫んだ。 れいむも、それを見てぼろぼろと泣いていた。 …青年はその様子を見ながら顎に手を当てて、れいむの様子の変化や奴隷まりさの感情の事を考える。 改めて、ゆっくりの飾りの重要さを深く感じていた。 まりさのおぼうしがころころとした塊になった頃、 漸くまりさは泣きやんだ様子で帽子の塊を頬元に寄せて置き、きゅっと目元を大きく開いた。 「…れいむ、まりさは…まりさ?」 今にもまた泣きだしそうな声で、まりさはれいむに問いかける。 「…どれいは、れいむのどれいだよ。おぼうしがなくても、せかいいちおばかでせかいいちつかえるどれいだよ」 「…れいむ、まりさはれいむのどれいでとってもうれしいよ おぼうしがなくっても、まりさはれいむのものなんだね」 「……ばかどれい」 れいむもまた、今にも泣き出しそうに口元を震わせながら返事をする。 「続けるぞ」 青年は、淡々と執行の続きを宣言するとリモコンのボタンを押す。 ───────────────── …今までと違い、今回は直接あの林の画面になった。 『むぎゅ、やべ、ぎゅうぅぅ、むぎゅうううぅぅぅ!!!』 れいむが、一心不乱にぱちゅりーのまむまむに棒を突き刺していた。 クリームで真っ白に染まった木の棒で、がすがすと突いては刺しを繰り返し続ける。 ぱちゅりーが嘔吐すればそれを木の棒で口に戻し、まむまむから出るクリームも一緒に ぱちゅりーの口の中へと収めながら、殺さない様に刺し続ける。 その少し遠くでは、赤ん坊サイズの小さなぱちゅりーとみょんが体を寄せ合って泣いていた。 そして、まむまむがズタズタになったぱちゅりーの前で、れいむが笑いながら、画面が暗くなった。 「…おにいさん きいてね」 声を出したのは、まりさではなくれいむだった。 ひどく落ち着いた様子で、今までの声が嘘かの様にひどく透き通った声で。 「…もうどれいを、いじめないで こんなことをしたのは、れいむだから」 「…れいむ!!! だめだよ、れいむ!!! まりさにとってだいじなのはれいむだよ!!! まりさは、れいむのおちびちゃんがみてみたいんだよっ!!!」 悟ったかのように透き通った声のれいむと、大声で叫ぶまりさ。 先程までの調子がまるで逆になっている。 「…まりさ、お前が言いだした事だ。お前が決めろ」 「まりさの…まむまむ、つ…つぶして、ね」 青年が、感情を込めない声で言った。 ──ぶるぶると震えながら、まりさがすぐに青年に返答を返す。 れいむは、驚愕の表情を浮かべてまりさの方を見た。 「ばがどれいぃぃぃぃ!!!! ばが、ばがぁぁっ、ばがぁぁあぁあぁぁぁ!!!」 「…はやくしてね、おにいさん…」 大声で叫ぶれいむと、ひどくか細い声で呟くまりさ。 すぐに、彼らの調子は元に戻った。 「…すぐに終わらせてやる」 青年は、器具を持たなかった。まりさの横に薄橙色の流動体の入った大きな瓶を置いて、反対側に大きな皿を置いて、 まりさの目の前に両手を添える。 …まりさは、目線を下に向けた。 「お前は見ない方がいいぞ、まりさ」 まりさの下腹部に手を添えた青年は、まりさに忠告をした。 すると、まりさは目線の位置はそのままに目を強く、強く瞑った。 青年の手が、まりさの中に沈み込んだ。 ぶちぃ 、と嫌な音がした。 …瞬間、まりさは瞑っていた目を見開いて絶叫した。 「あ、あぁぁ"ぁ"あ"っ!!! ゆ"あ"ぁ"ぁ"!!! あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!」 まりさの口の下、生殖機能が、周囲の饅頭肌と餡子ごと抉り取られていた。 青年は手をまりさから引き抜くと皿の上に小さな穴の開いた饅頭肌から周囲の餡子をべちゃりと落とし、 手の餡子を軽く振り落とすとまりさを上向きに置き直す。 そして反対側にある薄橙色の流動体の入った瓶を手に取って、 瓶を傾けてどろりと掌の上に液体を落とすと、それを大きく痙攣するまりさにぽっかりと開いた穴に素早く塗り込んだ。 まりさの焦げた足を、頬を、小麦粉とオレンジジュースを混ぜた液体がどろりと零れ落ちる。 液体をしっかりと塗り込んでから数分程経つと、まりさの痙攣が止まる。 息は荒いが、体力は多少回復したようだ。 青年が、まりさを机の奥側に向かう様に起こす。 「どれい!!! どれい、どれいいぃぃっ!!! いきてるのっ!? へんじしてね!!! いますぐでいいよ!!!」 「…ゆ」 「いぎでだんだねっ!!! よがっだよぉぉぉ!!! ばが、ばかどれい!!!」 「…ごめんね、れいむ、まりさ、ほんとはね…れいむの…おちびちゃん、ほしかったな」 「!!!!!」 「…ゆ"っ、へんな、こといってごめんね」 「ばか、ばか、ばか、このばかどれい!!! もっとはやくいえば!!! れいむがあんなごどぉぉ!!!」 『まりさ…ありすの、まりさ…ごべん、ね… もっと まりさといっしょに…ゆっくり した かった…』 れいむも、まりさも、その声を聞いて画面に目を向けた。 何も言わないまま青年が再生したその画面の中で、 カスタードを吸いながら、 『しあわせぇぇぇぇ!!!!』 そう叫ぶれいむの姿と、断末魔を言い終えて永遠に喋らぬ饅頭となったありすが居た。 「やべでぇぇぇぇ、もうやべでぇぇぇぇぇ!!! おにいざんはでいぶをごろじでよ!!!! でいぶが、ぜんぶでいぶがわるいのにぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!!! どれいは、どれいはかんけいないよぉぉぉ!!! でいぶが、でいぶがわるいんだぁ"ぁ"ぁ"l!!!! おでがいだがら、でいぶをごろじで!!!! おにいざん!!!! でいぶを、でいぶをごろじでぇ"ぇ"ぇ"ぇ"!!!!!」 映像が止まるのも待たず、れいむは大声で叫んだ。 何度も何度も、大きく叫んだ。 青年は、そんなれいむを抱えあげて、透明な箱から解放した。 その頬も、その底部も、れいむの涙でふやけていた。 そっと、青年はまりさの前にれいむを置く。 「ごべんね、どれい、ごべんねぇぇぇ!!! でいぶがっ、でいぶのぜいで!!!!!」 「…れいむ」 「どれい、どれいぃぃぃ!!!」 「ゆっくりしていってね」 「ゆっぐりぃぃぃ!!! ゆっぐりじでいっでね!!! ゆっぐりじでいっでね!!!!」 「まりさ、さよならの時間だ」 青年が、まりさの後ろに立っていた。 どこで買ったのか、とても大きな金槌を持って。 そして、その金槌は、れいむではなくまりさの真上にあった。 「やべで!!! やべでぇぇぇ!!!!! どれい、どれいぃぃ… …まりさぁぁぁ!!!! れいむの、れいむのだいじなまりさぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!」 「…れい、む…まりさ、いま、まりさのこと、まりさって」 「まりさぁぁぁ!!!! まりさがこんなくぞでいぶのためにしぬなんでゆるざないよ!!!! れいむは、まりさが…おばかなまりさがすきなんだよ!!!!」 「…れいむ、ほんとに? まりさは、れいむのどれいで」 「もうどれいじゃなくていいんだよぉぉぉ!!! まりさはれいむのまりさだよ!!!!」 「…れいむ、れいむ… まりさも、れいむのこと ──ぐしゃり れいむの目の前が、餡子色に染まった。 ────────────────────────────────── 「ごめんなさい のらのみんな ごめんなさい まりさ まりさ れいむのだいじなまりさ ごめんなさい れいむのせいで つらかったよね まりさ のらのこ みんな ごめんなさい ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」 数日が経った。 あれかられいむは食事を一切口にせず、頬を千切っても反応を見せず、ただ謝罪を繰り返すのみとなってしまった。 本当ならば、れいむに謝罪を言わせながらあの後にれいむに同じ事をする筈だった。 だが、青年の計画は成功した。 成功しすぎた。 れいむの尊大な口調からは読みとれなかったが、れいむはまりさの事を本当に好きになっていた、 まりさは、れいむの"モノ"でなく れいむ"の"まりさになっていたのだった。 青年は冷やかな目で机の上のれいむを見やる。 結局、机の掃除も未だできないでいる。 こうなってしまっては、もうこれ以上このれいむがここに居る意味はない。 青年は、れいむの頭に手を差し込むと、中枢餡を一息で握り潰した。 ──最後の瞬間まで、れいむが謝罪を止める事はなかった。 ───────────────── 「なあ…れいむ、まりさ」 青年は、庭に埋めた"おぼうしだったもの"と"おりぼんだったもの"に向かって語りかける。 土の上には、十字に組まれた棒が立っている──所謂、墓に向かって。 「次があるなら…その時は、こんな事になるなよ」 そう一言言い残すと、手に持ったオレンジジュースを土に振りかけて、青年は家へと帰って行った。 歪な主人と奴隷は、今は同じ墓の下に眠り続ける。 ────────────────────────────────── ────────────────────────────────── ・己を傷つけられるより、深くて辛い傷がある。
https://w.atwiki.jp/emp3037/pages/865.html
J-590 サーレー J-590 U キャラ 黄金の風 風 P(2) S2 T2 ☆☆☆ ●これで安心して、おまえをブチのめせる距離まで近づけるってもんだ…え? このキャラは、「特殊能力/スタンド能力/イベントカード」の効果では「破棄/ゲームから除外」されない。 風○ サーレー 人間 出典: J-700 クラフト・ワークを付けて風デッキの強固な防御壁となるキャラ。 各種、風デッキには欠かせない存在となっている。 「ヒーロー/ステージ」の効果では「破棄/ゲームから除外」されてしまうが、 スタンドを付けてしまえばJ-199 吉良吉影、J-331 広瀬康一、J-432 ヴァニラ・アイスからは効果対象外になり、 当たり前だが、J-188 南中国海、J-522 ジョースター邸からはレベルを下げられなければ効果を受けない。 山札や手札に戻る効果は受ける点に注意。 時が一巡しても、どうやら彼は置いていかれるようだ。
https://w.atwiki.jp/evergreenforest/pages/133.html
山科勝成、紅村頼成、安南に漂着し殺さる 1592年(H1592a) 文禄元(1592)年、蒲生氏郷、戦艦を製し朝鮮に渡らんと欲し、其の臣、山科勝成、紅村頼成を西洋に遣わし船工を求めしむ。船長崎を発し風に逢い安南に漂着し土人のために殺さる。 参考文献 外務省記録局編, 1884. 外交志稿. 外務省.
https://w.atwiki.jp/konashin/pages/1882.html
窓の外の夕日も沈みかけている。学校の廊下は薄暗い闇に包まれていた。 その中を歩く二人の男女。シン・アスカと柊つかさだ。 「ごめんね、私のせいで…」 「いいっていいって。貸したノートを返し忘れてた…そんな事気にするな、俺は気にしないから。」 「うん…」 「しかし…本当に学校か?ってくらい昼間とは雰囲気が違うな。」 シンの言うとおり、昼間は活気のある長い廊下も今は何の気配もしない。 どこか寂しく、物悲しい雰囲気すら漂っている。 …不意に、シンは制服の袖を何かに掴まれたのを感じた。 「つかさ?」 「…。」 つかさの小さい手は無言でシンの左腕を掴んでいる。 「…もしかして怖いのか?」 「……うん」 少しの間をおいて答える。その手は微かに震えていた。 「その…あたし怖いのとかってあんまり得意じゃないから…」 確かに、人間誰しも苦手なものはある。 シンだって、どこぞの教祖様や、補正の係りまくっているスーパーコーディネーターを見るといい気分ではない。 「まあ、そういうもんか」 「うん、ごめんね…」 「…。」 シンは無言でつかさの手をとり握る。 「シンちゃん…?」 「ちょっと恥ずかしい気もするけど…これでも良いだろ?」 「えへへ、そうだね」 純粋にうれしかった。あの人の暖かく大きな手。 前よりもずっと頼りがいのあるあの人の手。 この人がいてくれれば、自分はもっと強くなれる。 (シンちゃん…大好きだよ、シンちゃん) 前 戻る 次へ