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作 F世界猿 場所 分家板・SSスレ 第1章 SS 001-020 1 SS 001-020 1あとがき SS 001-020 2 SS 001-020 2あとがき SS 001-020 3 SS 001-020 3あとがき SS 001-020 4 SS 001-020 4あとがき SS 001-020 5 SS 001-020 5あとがき SS 001-020 6 SS 001-020 6あとがき SS 001-020 7 SS 001-020 7あとがき SS 001-020 外伝 SS 001-020 外伝あとがき SS 001-020 8 SS 001-020 8あとがき SS 001-020 9 SS 001-020 9あとがき SS 001-020 10 SS 001-020 10あとがき SS 001-020 11 SS 001-020 11あとがき SS 001-020 12 SS 001-020 12あとがき SS 001-020 13 SS 001-020 13あとがき SS 001-020 14 SS 001-020 14あとがき SS 001-020 15 SS 001-020 15あとがき SS 001-020 16 SS 001-020 16あとがき SS 001-020 17 SS 001-020 17あとがき SS 001-020 18 SS 001-020 18あとがき SS 001-020 19 SS 001-020 19あとがき SS 001-020 20 SS 001-020 20あとがき SS 001-020 21 SS 001-020 21あとがき SS 001-020 22 SS 001-020 22あとがき 第2章 SS 001-020 23 SS 001-020 23あとがき SS 001-020 24 SS 001-020 24あとがき SS 001-020 25 SS 001-020 25あとがき SS 001-020 25(修正版) SS 001-020 25(修正版)あとがき SS 001-020 26 SS 001-020 26あとがき SS 001-020 27 SS 001-020 27あとがき SS 001-020 28 SS 001-020 28あとがき SS 001-020 29 SS 001-020 29あとがき SS 001-020 30 SS 001-020 30あとがき SS 001-020 31 SS 001-020 31あとがき SS 001-020 32 SS 001-020 32あとがき SS 001-020 33 SS 001-020 33あとがき SS 001-020 34 SS 001-020 34あとがき SS 001-020 35 SS 001-020 35あとがき SS 001-020 36 SS 001-020 36あとがき SS 001-020 37 SS 001-020 37あとがき SS 001-020 38 SS 001-020 38あとがき SS 001-020 39 SS 001-020 39あとがき SS 001-020 40 SS 001-020 40あとがき SS 001-020 41 SS 001-020 41あとがき 第2.5章 SS 001-020 42 SS 001-020 42あとがき SS 001-020 43 SS 001-020 43あとがき SS 001-020 44 SS 001-020 44あとがき SS 001-020 45 SS 001-020 45あとがき SS 001-020 46 SS 001-020 46あとがき SS 001-020 47 SS 001-020 47あとがき SS 001-020 48 SS 001-020 48あとがき
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■諏訪勝さんの質問Rock![001-020] ■001. スカイラブハリケーンが一番好きですねー。001 10 28 PM May 20th ■002. アンバランスな子です。例えばやたら背が高いとか、逆に低いとか、顔が小さいのに下半身が大きいとか。そーいうのに萌えます。 10 30 PM May 20th ■003. そうです!フライングラルクアタックやってました。よく作家笑いでわかったね! 03 10 50 PM May 20th ■004. メガネはいくつか持ってますが、全部度入りですよ。めっちゃ目が悪いです。0.03とかだったような。宮川大輔と同じメガネを持ってますがまったく使ってません。 基本は3つぐらいを使いまわしてます。 #suwatch696969 11 02 PM May 20th ■005. じつはそれはガセねたです。西川さんのANNは石川君という天才を絵にかいたような作家さんです。僕はその前後のそうぐちさんの番組を担当していました。 #suwatch696969 11 04 PM May 20th ■006. 作家以外になるとしたら、今は不動産屋か建築家になりたいです。インテリア好きが度を過ぎて、今じゃドアノブとかドアとか便座とかそういう建具すら好きになってますから。 #suwatch696969 11 06 PM May 20th ■007. 仕事でミスをしたときは、心の中で人のせいにするといいよ(笑) 必要以上に自分を責めて、自分がつぶれるぐらいなら、その方がいい!! と僕はよくそうしてます。 #suwatch696969 11 08 PM May 20th ■008. 身長は163.98375センチです。 #suwatch696969 11 08 PM May 20th ■009. BLEACHなら断然市丸ギン。遊佐さんですし。実は僕が司令官役を遊佐さんにお願いしたいと思ったきっかけは、1番最初にBLEACHのラジオゲストで遊佐さんがいらしたときにトークの感じにシンパシーを感じたことが根底にあります。 #suwatch696969 11 12 PM May 20th ■010. 最近買ったモテグッズは、寸足らずのTシャツですな。 #suwatch696969 11 16 PM May 20th ■011. 役者ではないのですが、やっぱりコミックスのDGS響はキャラクターとはいえ当て書きの要素もあるので、キャラでありつつ本人がいいそうなセリフは書いてて楽しいです。 #suwatch696969 11 18 PM May 20th ■012. 実は本は全く読まないんです。映画もテレビも仕事の資料以外みません。なのでアイディアのもとは何かと聞かれると自分でもよくわからないんですな。これが。でもラジオはそこにリスナーがいるのでゼロから物を作り出すという感覚ではないです。 #suwatch696969 11 22 PM May 20th ■013. 僕のラジオ限定かもですが、「マイブームは?」と質問しても、ほかでさんざん聞かれているだろうなぁと思うので、なるべくその人にしか質問出来ないことや番組で起っていることを踏まえて、メッセージを書くとお便りは読まれやすいよ。 #suwatch696969 11 25 PM May 20th ■014. 堀江さんの武道館ライブの台本は、打ち合わせが半年前で、そこからコツコツと書いて、打ち合わせ&リハの中で変更があって、1番最後に追加で文章を書いたのは前日とかです。本当にいいライブだと思うので、ぜひ映像を見て!(笑) #suwatch696969 11 30 PM May 20th ■015. 神谷さんも小野さんもどちらも僕から見るといじりやすいですよ。 #suwatch696969 11 35 PM May 20th ■016. 作家になるにあたって勉強したことは、先輩作家が書いてゴミ箱に捨ててあった台本を持って帰って、マネして担当してない番組の台本を1人で勝手に書いてました。それかな? #suwatch696969 11 37 PM May 20th ■017. 今やってるラジオは、アニスパ・てんたま・DGS・おおふり・荒川・アニコム・ときメモ・BLEACH・SOL(月曜火曜・Perfume・栗山・桜庭)です。 #suwatch696969 11 39 PM May 20th ■018. コーナーや企画を考えるときに思うことは、もしあんまりはねなかったり、パーソナリティが乗らない場合に、最低限オチがついて形になるように、見えない保険をかけることかな。聞いている人は全く分からない部分だと思いますが。 #suwatch696969 11 42 PM May 20th ■019. 今まで1番やばかった仕事は、若い頃都内で泳げるスポットを探せ!といわれて深夜の日比谷公園の池で携帯片手に泳いで中継したことです。しかも中継終了後、何か取引をしていたコワモテの2人組に遭遇し、すごまれた(笑)死ぬかと思った15年前。 #suwatch696969 11 45 PM May 20th ■020. 基本ほとんどの人がラジオ好きそうにしゃべっているように見えます。 ま、たまにいるけどね。ゲストで来たラジオとかどーでもいいって人(笑) 誰かとかは聞かないでね。 #suwatch696969 11 51 PM May 20th PR
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作:ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ 01 02 03 04 05 06 07 08 08 修正版 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 40 修正版 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 55 番外編 56 57 58 59 60 61 62 62 修正版 63 64 65 66 67 67 番外編 68 69 70 71 72 外伝01 72 外伝02 72 外伝03 72 外伝04 72 外伝05 72 外伝06 72 外伝07 72 外伝08 72 外伝09 72 外伝10 72 外伝11 72 外伝12 72 外伝13 72 外伝14 72 外伝15 72 外伝16 ページ新規作成 名前 コメント
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55 名前:F猿 投稿日: 2004/06/22(火) 21 01 [ qUq6iUEM ] 「冗談は程ほどにして下さりませんか?」 狩野は思わずそう口に出していた。 「冗談?頭の固い奴らにしてはなかなか的確な判断ではないか。」 「……。まあ、そう仮定しましょう。どちらにしろそれに似た状況であることには変わりは無い。」 狩野は頭痛がしてきた頭を抑えながら答えた。 「それで、政府の対策は?」 向こうの声が急にまじめな口調に戻る。 「ああ、食料はこれから休耕田を必死に復帰させるらしい。今が冬だったのが幸いしたな、比較的うまくいきそうだ。 問題は…資源。特に石油だな、これは君達にかかっている。」 「では、我々の任務は…。」 「ああ、続行だ。一秒でも早く施設を完成させてくれ。」 どんなに急ピッチで作ったとしても尖閣の石油の供給体制が整うまでには最低でも一年はかかる。 そして備蓄石油はもって6ヶ月。残りの分は備蓄石油が持っている間に石炭を使った人口石油で食いつなぐ。 とのことだった。 「そしてもう一つ任務がある、この世界の情報を任務の途中、出来うる限りでかまわない、収集してくれ。」 「了解しました。」 「成功を期待する。」 ずいぶんと大変な任務になってしまったな、狩野は苦笑が癖になってしまったようだった。 56 名前:F猿 投稿日: 2004/06/22(火) 21 01 [ qUq6iUEM ] 「青島二等海尉。」 次の日の朝、青島は寝所から起きだすとすぐに声がかけられた。 「ん?天野二曹、どうしたんですか、こんな早くに。」 「いえ、昨日、二尉の近くから離れてしまったので、」 「ああ、そのことですか。」 天野二等海曹はベテラン中のベテラン隊員で、佐藤など若い隊員が多い中、青島部隊の要となっていた。 その身にも色々噂が多く、イラクで人を殺したことがあるとか、海外の外人傭兵部隊にいたことがあるなど、 しかし彼の身にまとう武士的な雰囲気はそれらの噂を肯定こそすれ、否定するものではなかった。 そして昨日彼は混乱する現場において、何人もの幹部に代わって指揮を執っていたのだ。 「天野さんは、昨日現場で混乱を収めていたじゃないですか。」 そして青島は彼に、普通の任務だけではなく、もう一つの任務が課されている事に薄々感づいていた。 「いえ、混乱した現場だからこそ、二尉の傍にいるべきでした。」 そして青島はそれに少なからずコンプレックスを抱いていた。 「……。」 「……。」 57 名前:F猿 投稿日: 2004/06/22(火) 21 07 [ qUq6iUEM ] 「あっ!二人とも!」 気まずい沈黙を破ったのは横から入ってきた佐藤であった。 「どうした佐藤、大声を出すな。」 「あ、天野さん、聞いて下さい!」 余談だが、ここまでの性格の違いがあるにもかかわらず佐藤は天野を慕い、天野は佐藤を可愛がっていた。 佐世保基地七不思議の一つに数えられているとかいないとか。 「漂流者が見つかったんです!」 「…。」 「…。」 「…。」 再び沈黙が流れる、多少先程と意味合いが違うが。 こいつはバカかと、アホかと、と小一時間問い詰めたい、といった顔をして二人は佐藤を見た。 「いや、漂流者くらい普通だろう。今度の混乱で沈んだ船もあるだろうし。」 青島の突っ込みに佐藤はもう一度叫んだ。 「いや、それが漂流者の耳が長いんです!」 ナ・・・ナンダッテー(AA略)
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44 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/18(金) 21 08 [ qUq6iUEM ] それから何時間たったであろうか、数日とも、数年とも感じられるような時間であった。 しかし時計は星が消えたその瞬間から時間が一秒もたっていないことを表していた。 残酷にも人間の文明においてありえないことを文明の粋が証明したのだ。 45 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/18(金) 21 09 [ qUq6iUEM ] この事故に自衛隊員達は実戦を経験していない危機に弱い部隊と散々馬鹿にされてきた自衛隊の今までの風評を覆し、比較的おちついて対処した。 しかしそれも自衛隊史上、いや、人類史上初めての経験に疲れ切った彼らにはどうでも良いことであった。 空には星が戻り、狩野の元にもレーダーの復帰などの明るい報告が次々と飛び込んできた。 先ほど宮野も隊員達の労をねぎらうために艦橋から出て行った。 「レーダー類回復しました。」 「僚艦、全艦健在!死傷者はなし!」 狩野は安堵のため息をついた、仲間が無事、これほど喜ばしいことはあるまい。 まあ福地だけが極度の興奮と恐怖で失神してしまったが。 46 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/18(金) 21 09 [ qUq6iUEM ] 「まだ衛星は回復しないのか?」 「はい、というよりもまったく反応がありません。」 もう慣れてしまったのかまったく事務的に言うCIC。 「と言うことは当然GPSも―――」 「使えません。」 狩野が言い終えるよりも早く言われ狩野は苦笑し、艦橋内には笑いが起こった。 しかしそう笑ってばかりもいられない、GPSが使えないのだ。 47 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/18(金) 21 10 [ qUq6iUEM ] 「とりあえず本国に連絡する―――」 「司令、本国、佐世保基地から通信です。」 ―今日はずいぶんと先手を取られる日だな― と思いつつも本国が無事なことに安堵する。嵐で片付けるには大規模だが何かの間違いだったのだろう。 「はい、イージス艦「こんごう」艦長、狩野海将補です。」 「狩野海将補か、そちらは無事か!?」 「はい、日本でも何かあったのですか?」 「いや、それが―――」 基地からの通信を要約するとこうであった。 ・本土でも艦隊と同じように真っ暗闇に閉ざされた。 ・戻ったは良いが急に海外との連絡が取れなくなった。 ・日本領空内の飛行機は向こうの管制官の応答も無いのでとりあえず戻した。 ・海上保安庁に見回らせているが日本領海内は特に異変は無い。 ・衛星の反応が無い(こちらも知っている) ・急に大規模な核戦争でも起こったのかと思ったが、放射能の反応も無い。 ・そして 48 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/18(金) 21 10 [ qUq6iUEM ] 「そして?」 「そちらでも分かるはずだ、空を見てみたまえ。」 「は?」 空に星は戻ってきた、とい報告を受けている、何を今更、と言うものなのだが。 「し、司令!」 沈黙の巨獣、と一部部下の間で呼ばれてさえいる宮野が慌てたような声を上げる。 「どうしたのかね宮野副長。」 「それが甲板に出たところ…」 動揺を抑えきれないと言った調子で宮野は続けた。 「月が、血のように赤いのです、そして自分は天体観測が趣味なのですが…。」 月が紅いことよりもこの巨体が天体観測が趣味と言うほうが意外なのだが。…と思わず声に出しそうになる。 「星座が一つも一致しないどころか北極星すらありません!」 「そうか。」 立て続けに起こる信じられない事態に対し急に冷静になってきた自分を感じる狩野であった 49 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/18(金) 21 10 [ qUq6iUEM ] 「そちらでも見たようだな。」 「はい。それでこの事態に対する政府の結論は?」 夜で民衆の間で大規模な騒ぎになっていないのが唯一の救いだが、と前置きして次の言葉は紡がれた。 「内閣は、この日本は地球以外のどこかに転移した。と言う結論を出した。」
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106 名前:F猿 投稿日: 2004/07/03(土) 20 19 [ qUq6iUEM ] 「怪我人だ!早く医務室へ!」 何でこんなことになってしまったのか。 俺の手は血で真っ赤に染まっていた。目の前の部下の身体を今さっきまで流れていた血で。 かすかに震えているこの手。 なぜ、あんなことをしたのか。 目の前の船から真っ赤な炎の玉がこちらに飛び込んでくる。 「魔法」 イッタイナンナンダコレハ。 俺は慌てて身を伏せ、甲板で激しい火柱が巻き起こった。 107 名前:F猿 投稿日: 2004/07/03(土) 20 19 [ qUq6iUEM ] 「つまり、あの船はアジェント王国所有の・・・」 「はい、奴隷商船です。といっても実際はラーヴィナ候が管理されてますが。」 思わず宮野と顔を見合わせる、まさか奴隷を国家が売買しているとは。 確かに木造船などの文明レベルを見れば理性では分からなくも無いのだが。 「どうしました?別に何の変哲も無い奴隷商船です。多少、いや、かなりの武装が施されていますが。」 「いや、そうではなくてね・・・。」 「私達の国では奴隷は認められていないのですよ。」 「え?」 狩野の言葉にセフェティナは目を丸くする。 「じゃあどうやって国家が成り立っているのですか?」 「私達を含め全ての国民が平等に人権を持ち、平等に勤労の義務を負っています。 そして彼らの納める税によって国が運営されているのです。」 108 名前:F猿 投稿日: 2004/07/03(土) 20 20 [ qUq6iUEM ] 「・・・よく分からないのですが、国民全てが平等なんて・・・きっと素晴らしい王によって治められているのでしょうね。」 「いやいや、我が国の王・・・天皇と言いますが、は政治に関わる事を禁止されているのですよ。」 「は?」 間の抜けた声を出すセフェティナを狩野は娘を見るような目で見つめた。 彼女は元気だろうか、大学生活を謳歌していて最近会う暇も無かったが、もし帰ったらこの話をたっぷりと聞かせてやろう。 そう思う。 「さ、この話は又今度にしましょう。そろそろこちらも交渉の準備に入らなければなりません。 あなたも漂流している時に来ていた服を乾かしておいたので着替えて下さい。」 「あ、はい。わかりました。」 隊員に誘導されていくセフェティナの背中を見ながら狩野は基地と通信をつなげた。 109 名前:F猿 投稿日: 2004/07/03(土) 20 24 [ qUq6iUEM ] 「・・・今、なんとおっしゃいました?」 「交渉の正使として福地殿を任命する、と言ったのだ。…気持ちは分かる。奴の傲慢さは有名だからな。だが、我慢してくれ。」 狩野は先ほどの暖かい空気から突然氷の張った湖に叩き落された気分であった。 「…はい、それがご命令ならば従います。」 「すまないな、軍人が政治的交渉をするわけにはいかないのだよ、この国ではな・・・。」 狩野が振り返るとやっと健康状態も回復しかと思われる福地が立っていた。 通信を福地に渡す。 「・・・ウム、どうした?・・・ああ、そうか。ああ、任せておけ。」 そう短く済ますと福地は通信を切った。 「狩野君はもう聞いているようだな、まあ、そういうことだ。補佐を頼むよ、…まぁ、いらないとは思うがね。」 いつもの人を見下した、嫌味ったらしい顔でこちらを見る。 もし自衛隊員ならば宮野から鉄拳が飛んでいるところなのだが、そういうわけには行かない。相手は文民様である。 「どうした、不満そうな顔をしているが?・・・軍人などに外交を任せられるわけが無いだろう、少なくとも君よりはこの仕事に精通しているつもりだが?」 「はい。」 狩野は答え、不満を顔にあらわにしていた隊員をチラリと見た。隊員はあわてて顔を取り繕う。狩野は申し訳なさそうに笑った。 「それで、遭遇は何分後だ?」 「はい、早くて5分前後と思われます。」 「そうか、では早めに段取りを決めておくとするかな。」 仮にも補佐役である自分に相談もせずにさっさと行ってしまう福地を狩野は不安な面持ちで見つめていた。
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60 名前:F猿 投稿日: 2004/06/24(木) 06 41 [ qUq6iUEM ] 日本転移頃、キャラベル船「シャンク」船長室。 ラーヴィナの領主の部下、ジファンは我が世の栄華を味わっていた。 与えられた任務は「奴隷の収穫」 5年前に召還した島から奴隷をまた再び収穫してくるのが彼の任務であった。 しかしこんな任務など子供でも出来るような任務であった、何しろ召還された島―奴隷島と呼んでいるのだが、 には魔法が無いのだ、魔法が無い以上、使えるものはせいぜい弓矢のみなのだ、 今までもファイアーボールあたりを遠距離から連発してやればあっという間に降伏してきた。 何よりも一度制圧した島達は我が国の圧倒的な力に怯えきっている。すぐに奴隷を差し出すだろう。 61 名前:F猿 投稿日: 2004/06/24(木) 06 41 [ qUq6iUEM ] いままで6回の召還を行ったのか、マナの存在しない世界の島を呼び出すこれは、いずれも程度の差こそあれ成功していた。 一度大規模な鉄山が見つかって王家の連中が大喜びしていた事もあったし、 最後まで必死に抵抗する連中共で、結局ほとんど皆殺しにしてあまり奴隷も取れないことがあったか。 しかしそれも即物的、刹那的人生を送る彼にとってはどうでも良いことだった。 62 名前:F猿 投稿日: 2004/06/24(木) 06 41 [ qUq6iUEM ] 「魔法が使えないと言うのは不便なものだなぁ?」 「あぐっ・・・。」 隣にいた奴隷の女を無理やり抱き寄せる。 最初は抵抗した女ももはや抵抗する気も失せたようだった。 その態度が気に入らずジファンは女の長い耳を千切らんばかりにつねりあげた。 「うぐぅっ!」 さすがに浮かべる苦痛の表情、それがジファンの心を満たした。 この女の種族の特徴は外見がエルフ、そうあの忌々しい高慢なエルフ共にそっくりなのだ。 同盟などという、訳の分からないもののため、エルフ達への手出しは禁止されている。 ジファンはエルフ達への憎しみをこの女にぶつける事で晴らしていた。 「恨むんだったら、奴らにそっくりな自分達を恨むんだな?」 思い切りナイフを振り上げる、女の身が強張った。 63 名前:F猿 投稿日: 2004/06/24(木) 06 42 [ qUq6iUEM ] 「待ってください。」 ジファンがナイフを女の胸に目掛け突き刺すその寸前、掛けられた声にジファンは顔を上げた。 見るとちょうどその忌々しいエルフ、「セフェティナ」とか言ったか? が強張った顔をしてこちらを睨みつけていた、大方自分達にそっくりなこの奴隷が嬲られているのを見て我慢ならなかったのだろう。 「どうしました?セフェティナ魔術士官殿。」 ジファンの出す猫撫で声にセフェティナは嫌悪感をあらわにした。 64 名前:F猿 投稿日: 2004/06/24(木) 06 42 [ qUq6iUEM ] 「奴隷への虐待は程々にして置かれたらどうですか?兵への士気に響きます。」 「ほう?セフェティナ殿には私の行動に意見する権利は無かったはずですが? 船の上では食料が自由には行かないのです、女くらい自由にしても良いでしょう?」 なるべく凛とした口調で話そうとするセフェティナに対し、ジファンは気味の悪い厭味ったらしい声を出した。 「いえ、クーディビッヒ大神官様と、エスフィリーナ魔術大臣補佐様に極度の虐待が有った場合止める様に、 とのご命令を受けましたので。」 65 名前:F猿 投稿日: 2004/06/24(木) 06 43 [ qUq6iUEM ] ジファンは片眉をピクン!と上げ女を苦々しげに床にほうり捨てた、ドスッ、という鈍い音が響く。 弱き者への慈愛を説くアシェナ聖教にとって奴隷への虐待はあまり推奨できるものではなかった。 そしてまたジファンも、いやアジェント王国国民のほとんどはアシェナ聖教の教徒である。 その大神官の命令となれば、聞かないわけにはいかなかった。 「はん、これでいいのか?さっさと行け!」 「・・・、それでは。」 船長室から出て行くセフェティナをジファンは苦々しげに見つめていた。 66 名前:F猿 投稿日: 2004/06/24(木) 06 43 [ qUq6iUEM ] 「ふぅ・・・。」 甲板に出たセフェティナは潮風にその金の髪を任せながら月を眺めていた。 真紅の月は海面に美しい像を映し、またセフェティナはこの月がなによりも好きだった。 この月がストレスも何もかも洗い流してくれる。そう思えさえした。 「なぜ・・・あんなことができるのだろう。」 ふと口をついて出る言葉、子供のころからアシェナ聖教を教え込まれながら(同族には)優しいエルフの中で育ってきた彼女には、 ジファンのするようなことは信じられないことだった。 セフェティナが魔術士官として森を出てから大して時間は経っていなかったが、 彼女は自分がいかに恵まれた環境に生きてきたかを痛感していた。 国中いたるところで劣悪な条件で働かされる奴隷達、どれもアシェナの教えに反するものではないのか、 とりとめもなく物思いが続いてしまう。 67 名前:F猿 投稿日: 2004/06/24(木) 06 43 [ qUq6iUEM ] 「エルフも、人間も、奴隷も、ダークエルフもドワーフも、皆幸せに暮らすことは出来ないのかな・・・。」 多種族を嫌うエルフの中ではセフェティナのこの考えは異端であり幼い考えであった。 「きっとその内アシェナの神様が私達に天使様を遣わしてくれるはず・・・。」 この世界では世間知らずの貴族のお嬢様くらいしか言わないようなアシェナの神話を呟いた時、 不意に後ろに気配を感じセフェティナは後ろを振り返ろうとした、が。 68 名前:F猿 投稿日: 2004/06/24(木) 06 44 [ qUq6iUEM ] ドン! 「え…っ?」 強い衝撃を背中に受け、セフェティナの身体は宙に踊り、そのまま海へと叩きつけられていた。 「あうぐっ!」 盛大な水しぶきがあがり体中に強い痛みが走る。 「・・・何故?」 最後に見えたものはニヤニヤした薄気味悪い笑顔、ジファンの腰巾着である船員の一人であった。
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94 名前:F猿 投稿日: 2004/06/30(水) 19 55 [ qUq6iUEM ] 「木造船・・・?」 「はい、おそらく木造船団と思われます。技術レベルは13~15世紀、形状、大きさから排水量は50トン前後かと。」 観測員の言葉に狩野は又起き始めた頭痛に頭を抑えながら、いい加減これは現実なんだと自分に言い聞かせた。 「何隻だ?」 「・・・4隻、ですねまあ標準な数でしょうか。この距離からでは分かりませんが、武装もしているのではないでしょうか。」 狩野はいたって冷静な観測員をすこし奇異の目で見た。もしかしたらとっくのとうに慣れきっているのかもしれないが。 「宮野副長、どう思う?」 「は。なんにせよ、接触をとってみるべきだと思われますが。」 まあ、やれることはそれしかないのだ。情報収集も任務の一つとなっているし、あの少女と関係のある船かもしれない。 「向こうが敵意を示さないことを祈るばかりだな・・・。」 95 名前:F猿 投稿日: 2004/06/30(水) 19 56 [ qUq6iUEM ] 「司令、漂流者の女性を連れてきました。」 「ああ、ご苦労。」 「・・・ほぅ。」 誰とも無く簡単のため息が漏れる。それだけこの少女は美しかった。 特に女性を見ること自体ほとんど無いこの状況では。数人女性自衛官がいないことも無いのだが、 それは少々女性としては・・・、いや、止めておこう。 狩野は目の前に立つ少女を眺めた。 流れる水のような金の髪に白い肌、碧の瞳、顔の作りはまるで神が全力で作り上げた石造のように端整だった。 どちらかと言うと顔のつくりは色素に反してモンゴロイド系のようだ。 そして嫌でも目に付くその長い耳がその少女が自分達とは違う存在であることをはっきりと示していた。 見た目では18かそこら。 病人服では少々分かりにくかったが胸の辺りの膨らみははっきりと女性のものであった。 外見としてはこのくらいだろうか。 96 名前:F猿 投稿日: 2004/06/30(水) 19 56 [ qUq6iUEM ] 医務室から連れていかれた所は「カンキョウ」というところだった。 船長室の様な物だろうか。しかしそれにしてもここは広い、彼らは船だというが絶対に嘘だろう。 そこに居たのはオークのような男、そしてそれの隣に座っている大人しそうな小柄な老人だった。 オークのような男がきっと艦長で、老人のほうは執事だろうか。 しかし、艦長にしてはずいぶんと普通の服を着ている。 様子からして彼らは軍人らしいがそれにしては誇りを示す勲章も、序列を表すマントも付けては居ない。 「どうも、私がこの船の艦長、そしてこの艦隊の司令官の狩野海将補です。」 最初に口を開いたのは老人のほうであった。・・・って艦長!? 「は、はぁ・・・。」 この上なく間抜けな声が出てしまう。本当にこのひ弱そうな男が?さすがに疑ってしまう。 「・・・どうしました?」 「い、いえ!私はアジェント王国魔術仕官、セフェティナ・バロウです。お目にかかれて光栄です、狩野閣下。」 とりあえず知っている限りの礼を尽くして対応する。 こんなことなら士官学校でもっと礼儀の授業を聞いておくべきだったと深く後悔するがそんなことを言ってもしょうがない。 「どうも救助いただき有難うございました。」 「いえ、それが自衛隊の任務ですから。」 ジエイタイとはなんなのか、気になるが聞くのも無礼かもしれず、うかつな事はしゃべれなかった。 97 名前:F猿 投稿日: 2004/06/30(水) 19 56 [ qUq6iUEM ] しかし、この船は一体何なのか? 今まで召還されて来た島々はほとんど文明といった文明も持っておらずせいぜい弓矢で襲い掛かってくる程度。 しかし今自分の目の前に居る彼らは違う。アジェントの船の何倍もの大きさの船を持ち、トイレ、ベッドなど高度な文明が発達している。 特にベッドに掛けられていた布は今までに無い手触りと美しい光沢を持っていた。 もしこれが国内に流入したら信じられないほどの高値で売れるだろう。 特に驚いたのは鉄をふんだんに使用していること。 鉄はマナを遮る性質を持つのでアジェントではあまり使われていないのだが、この船は良く見ると鉄そのもので出来ているではないか。 魔法も使わず何故沈まないのか、なぜ魔法も無いのにこれほどの文明を持つのか。 なによりもアジェントはこんな船を大量に持つ国にもうすぐ攻め込むのだ。 いくら魔法があるとはいえ、魔法はそこまで万能ではない、魔法に精通するものほどそのことを良く知っている、 逆に知らないものほど魔法の力を過信しているのだ、あのジファンのように。 もし攻め込もうものなら勝敗は目に見えている。 背筋に冷たいものが走った。脂汗が流れるのが自分でも分かった。 98 名前:F猿 投稿日: 2004/06/30(水) 19 57 [ qUq6iUEM ] 相手はひどく緊張している様子だった。 無理も無い、まったく知らない軍人達に囲まれているのだ。しかしそうしてばかりいる訳にもいかない。 「それで、まず聞きたいことがあるのですが、よろしいでしょうか。」 「は、はい!」 飛び上がるような声を出す少女。 なぜか出会ったばかりの時の妻を思い出してしまった。 こんな風に可愛らしく初々しかったのは始めの一週間だけ、すぐに自分を尻に敷いてしまった人だったが、元気だろうか? 「まず、我々は日本国、という国に属しています。日本国をご存知ですか?」 「ニホンコク・・・?すみませんが知りません。」 少女は首をかしげる。一筋の期待はあったのだが、予想通りの答えであった。 本当はこれから日本の状況を事細かに説明したいところだが、この少女の国が敵に回る可能性もある為、そううかつな行動は出来ない。 さらにもう三十分もしないうちに未確認木造船団とぶつかるだろう。あまり時間も無い。 「詳しい説明は後でしますが、今この船の進路上に船団があるのです。心当たりはありませんか?」 少女はしばらく考え込んだ後、少し目を背けて言った。 「・・・あります。」 99 名前:F猿 投稿日: 2004/06/30(水) 19 57 [ qUq6iUEM ] 少女からあの船団に関する全ての事情――自分がつき落とされた可能性がある――も含めて、を聞いた時には、 未確認船団はあと、10分という距離に迫っていた。
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74 名前:F猿 投稿日: 2004/06/26(土) 18 51 [ qUq6iUEM ] 甲板にはすさまじい人だかりが出来ていた。 「なんだよもう漂流者はいないのかよ、すっげぇ美人だって聞いてきたのに。」 「なんでもこんな大きな宝石を着けた篭手みたいなのを右手に付けてたらしいぜ?」 「中国人とかじゃないのか?偶然密入国してたとか。」 「それはないだろ、だって耳がすっげー長いんだろ?」 「あのメルヘン国家中国だったらありえるんじゃね?」 甲板では若い野次馬隊員たちが口々に勝手なうわさを立てている。 そんな気楽な彼らに対し狩野、宮野、福地など上層部が願った彼女が中国人や韓国人なのではないか、という考えは 彼女の長い耳と、その妙な服装にいとも容易く打ち砕かれていた。 75 名前:F猿 投稿日: 2004/06/26(土) 18 53 [ qUq6iUEM ] 青島たちが甲板に着いた時には、もう漂流者は医務室に運ばれた、とのことで、甲板にはもうまばらにしか人はいなかった。 「もう漂流者は運ばれたみたいだな。」 「そのようです、青島二尉。」 青島は手で前髪を掻きあげる、それは青島が考え事をする時の、いつもの癖であったのだが。 「天野さん、どう思う。この漂流者。」 「どうもこうも見てみない事には分かりませんが、ただ昨夜全艦放送であったようにこの世界が今までと別の世界なら」 「その世界の人間と見たほうが妥当、ってことか。」 「はい。」 「・・・これでいよいよ疑いようも無くなったな。この世界は俺達の世界じゃない。」 76 名前:F猿 投稿日: 2004/06/26(土) 18 54 [ qUq6iUEM ] 「こんごう」内医務室 「ここ・・・は?」 セフェティナが目を覚ますとそこはベッドの上であった。 見知らぬ天井、それらは見たこともない素材で出来ていた。 生きていたことに安堵し、何よりも早く、自分の右腕を確認する。 あった。 マナをコントロールするための制御石を埋め込んだガントレット。 もちろんエルフ製でこれさえあれば多少のことがあっても何とかなるだろう。 というよりもこれが無くては高度な魔法は扱えない。 腕が千切れでもしない限り外れないようにしておいたのは正解だった様だ。 元々はジファンに奪われないための処置だったのだが。 77 名前:F猿 投稿日: 2004/06/26(土) 18 54 [ qUq6iUEM ] 「おや、目が覚めたようだね。」 「えっ?」 白衣の男に突然声を掛けられセフェティナは飛び起きた。 「いや、別に驚く必要はない、ここは日本自衛隊護衛艦隊旗艦「こんごう」の医務室だ。」 ジエイタイとかゴエイカンとか良く分からない言葉が出るが、ここは船の中のようだ。 しかし船にしては全然揺れが無い、もしかしたら艦と呼ばれる屋敷の中かもしれない。 「と、言葉は通じているのかな?」 そしてもう一つのことが分かった。 「はい、通じています。」 言葉が通じる、これはあることを表していた。 この人たちは、召還されたんだ。 よく分かっていない天変地異の力を利用する召還だが、なぜか召還されたものたちは皆言葉がこちらと通じるのだ。 そしてそれはすなわち遅かれ早かれ奴隷となる人々、と言うこと。 ジファンに虐待されていた奴隷の女性を思い出し胸が痛む。 罪も無いのに殺されそうになっていた人、彼女は無事なのだろうか? 78 名前:F猿 投稿日: 2004/06/26(土) 18 55 [ qUq6iUEM ] 「良かった。何で言葉が通じるのかは置いておいて、少し質問したいことがあるんだけど、いいかな?」 セフェティナがそれに答える前に黒い箱が鳴いた。 「!!!?」 「はい、こちら医務室、沙良田ですが。」 それを白衣の男が手に取ると箱は鳴くのを止め、男は朗々と一人芝居をはじめた。 「(びっくりした・・・。)」 「はい、はい。」 「???」 何に返事をしているのか見当がつかない、が男は何かと会話しているようだった。 魔法ということはありえない、 魔法の素となるマナの無い世界から来た彼らにはマナを操る術が無いのだから。 79 名前:F猿 投稿日: 2004/06/26(土) 18 56 [ qUq6iUEM ] セフェティナが不思議がっている間にも男の一人芝居は続いていた。 「え?レーダーに艦隊が映った?」 「ーーー!!!」 艦隊 セフェティナの脳裏にはっきりとジファンの顔が映った。あの気味の悪い蛙の様な笑顔。 「けど・・・木造船だって?一体なんで・・・で、はい、彼女の元いた船の可能性もありますね」 男の話している言葉はもはやセフェティナの耳には届いていなかった。
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507 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/10/02(土) 12 54 [ imAIk9NE ] アジェント、いやこの世界には狂犬と呼ばれる存在がいる。 魔法というものは多少の金がある、もしくは才能があれば簡単に学べる物である。 それは簡単に個人がこちらの世界における銃や手榴弾程の暴力を手に出来るということでもある。 そして力を持てば人間はその力に酔う、試したくなる。 教育が十分には成されないこの世界では余計であった。 そして魔術で強盗や大量殺人に走る、そういった人物が狂犬と呼ばれていた。 しかし今となっては一時期横行した狂犬も厳しい取締りによりその多くが捕まっていた。 しかし狂犬の数は全く減ってはいなかった。何故か。 それは新たな種類の狂犬が現れた為であった。 新たな種類の狂犬、それは文字通りの貴族、金持ちの犬であった。 ただの無差別殺人に見せかけて、邪魔な人物を暗殺する。 そして捕まってもただの無差別殺人として処刑され、 たとえ自分の名を言ったとしても狂言として済まされる狂犬は貴族達には非常に都合の良い存在であった。 508 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/10/02(土) 12 57 [ imAIk9NE ] この決闘、アルクアイは数号打ち合ったら他の貴族達の制止に応じてすぐに止める気であった。 そもそも音に聞こえた剣豪であるイルマヤ候に魔術に没頭してきた彼が勝てるわけが無い。 しかし、彼がこの後の会議を有利に進めるためには他の貴族達に この決闘は「主君を侮辱され怒りに燃える忠実な好青年」 と「権威を傘に着た傲慢な貴族」の戦いである。 というイメージを植えつける必要があった。 そのために彼は危険を冒してでも積極的に攻める必要があった。 口火を切ったのはアルクアイ殿の一撃だった。 横一文字の鋭い一撃をイルマヤ候は容易く受け止める。 「筋はいいようだが、甘いな小僧。」 そしてその剣を弾くとイルマヤ候は思い切り立て一文字に切りかかる。 一撃必殺を狙った剛剣である。 アルクアイはそれを剣の腹で辛うじて受け止め、その代償に剣に小さなヒビが入る 彼は剣の勢いに数歩後ろに下がると慌ててイルマヤ候と距離をとった。 「(予想以上だったか・・・?)」 アルクアイの頬に一筋の冷や汗が流れた。 509 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/10/02(土) 12 57 [ imAIk9NE ] 距離をとったアルクアイに勝算があるやり方とすれば一つであった。 それは魔法戦に持ち込むこと、しかしこれはできることではない。 この戦いは良いイメージを勝ち取るための勝負。 卑怯などというイメージを持たれるのは言語道断であった。 ならば守りの剣でしばらく耐え忍ぶしかない。 アルクアイはイルマヤ候を見た。何をしているのか、左手から小石のような物を上に投げている。 しかし、これはチャンスである。アルクアイは再びイルマヤ候に向かい走った。 そして観客達も息を呑む。 そしてその一人が何者かに突き飛ばされた。 「な、なんだ・・・?」 座り込んだ彼が見たのは観客の間をすり抜け、決闘する二人に向かう一つの影であった。 そして一瞬の間、彼は事が起こった瞬間を見ることが出来なかった。 「があああっ!」 「狂犬だっ!」「狂犬だ!」 そしてそれから間も無くその耳に届いたのは叫び声と観客の叫び声。 飛び起きた彼が見たのは肩を撃ち抜かれ、膝をつくアルクアイであった。 510 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/10/02(土) 12 59 [ imAIk9NE ] 同時刻、バルト、オズイン国境。 ここでもまた鮮血が舞っていた。 三国に名高いオズイン重装歩兵が長槍を突き、 手にリボルバーのような形をした魔道兵器を持つバルト騎鉄団が駆ける。 そしてその騎鉄団の先頭に立って長い黒髪を揺らし駆ける一人の少女がいた。 手に持つ特別なフォルムの銃を持ち、華やかな鎧に身を包んだ彼女は その銃口から放たれる黒い閃光が次々と兵を打ち倒していった。 彼女の名はエグベルト8世 神帝を親に持つバルト帝国の皇帝であった。 そして魔道兵器の不足によって下がった士気を引き上げるため、 女神とまで呼ばれ兵達の人気も非常に高い彼女が最前線へと出てきているのであった。 511 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/10/02(土) 12 59 [ imAIk9NE ] 士気の上昇に、兵器の相性もあり、戦局は圧倒的にバルトの有利であった。 「帝、あまり前に出過ぎないで下さい。」 しかし、その中で余りに前進しすぎるエグベルトを見かねた将の一人が声をかける。 「ええ、有難う。だけど父と違って私にはこれくらいしかできないから・・・。あっ、そこっ!」 他の兵器と違い、機械が魔法をサポートするタイプの彼女の銃が将の後ろに立つ兵を撃ち抜いた。 「あ、ありがとうございます。けれど私が今言ったことを覚えておいてください。」 「ええ、もちろん。有難う。」 「くれぐれもご無理をなさらぬように・・・。」 駆けていく彼女の後姿を見て、将は言い知れぬ不安を覚え、呟いた。 512 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/10/02(土) 13 01 [ imAIk9NE ] 「キヒヒ・・・。」 狂犬は比較的綺麗な身なりをしていた、その狂気を映した顔をのぞけば貴族と言っても通用するだろう。 そしてその服装こそがこの狂犬を何者かがこの城に招きいれたことを示していた。 「狂犬とは運が悪い・・・、番兵はどうしたのですかな?」 狂犬とお互い剣も魔法も届く場所に立っているにも関わらず、 ユラユラと揺れながら立っている狂犬を見ながらイルマヤ候はしらじらしく呟いた。 「狂犬・・・だと?ふざけるな・・・!」 アルクアイは肩を押さえイルマヤ候を睨んだ。 その言葉に他の貴族達もようやく狂犬とイルマヤ候の関係に気がつく。 そしてまたこの目の前の男は、自分と反対意見を出す者を始末するつもりであったことに気が付き、戦慄した。 「イルマヤ候、どういうことです!?」 貴族の一人が叫ぶ、するとイルマヤ候は穏やかな笑みを浮かべながら言った。 「どういうこと、とはどういうことです?まさかこの狂犬を私が雇ったとでも言うのですか?」 「っ!?」 貴族は慌てて狂犬のほうを見た、しかしもはやその姿はない。 狂犬を捕まえれば証拠も出る可能性がある。だが、もはや証拠の出る可能性は無い。 「決闘、続行ですかな。」 イルマヤ候はアルクアイの鼻先に剣を突きつけた。