約 5,735 件
https://w.atwiki.jp/p_ss/pages/1011.html
side.N 「あ〜ちゃん、帰っちゃったね…」 「うん…」 あたしの体の右側だけ、やたらと熱を持っている。 じんわりとした暑さだけじゃない、熱。 彼女の肩が微かに触れているだけなのに、なんだか眩暈を覚えた。 どこかでひぐらしが鳴いてる声だけが、やけにリアルに伝わる。 「…のっち」 「な、なに?」 「………やっぱりなんでもない」 「へ?あ…そ、そう…」 さっきから胸の奥は痛いくらい高鳴ってるくせに、あたしはただ怯えていた。 …怖いんだ。ゆかちゃんに触れるのも、触れられるのも。 好き過ぎて、臆病になる。 ゆかちゃんの全てに触れたら、あたしはきっとあたしじゃなくなってしまう。 きっと、何かが外れてしまう。 …ゆかちゃんの全部を、支配したくなる。 だからあたしはまだ、彼女を抱いていない。 あ〜ちゃんが来る一ヶ月前にそういう雰囲気になったけど、やっぱり怖くなって途中で彼女の体から離れた。 ゆかちゃんは、いつまでも待つからって、のっちが抱きたいって言うまで待ってるからって言ってくれたけど、でも。 「のっち…」 「ん…?」 「…あの……—す、……ぃ…」 「なに?」 右隣の彼女は、あたしの服の裾をもじもじと弄りながら、ぽそぽそと何か言っている。 「ごめんゆかちゃん。もうちょっと大きい声で言って?」 「だ、だか…ら………—す」 「…す?」 「き、す…した、ぃ…」 「……」 …まいったなぁ。 どうしよう、可愛すぎる。 絶対、今顔赤い。 「えーと……ほんとにいい、の?」 「ん。…だめ?」 「だめ、じゃない…よ」 …でも、ごめんねゆかちゃん。 「…ん」 「……」 ちゅ、と唇が小さく重なった。 しかしそれはほんの数秒。 「……っ」 「くふふ…のっち顔真っ赤…」 「みっ、見なくていいから…!」 「なーんでよ、隠さんくてもいいじゃん」 「あー!あー!やだよ恥ずいよ!」 「にへへっ、のっちかわいー」 「うあー!!」 …ごめん、ごめんねゆかちゃん。 今のあたしには、これが精一杯なんだ。 これ以上はもう…飛び越えられないよ。 ぎゅうっと腕が首に廻されて、甘い匂いに包まれる。 …ああ、だめだ。胸の奥が甘い痛みに蝕まれる。 狂ってしまいそうになるから逃げたいけど、逃げられなくて、逃げたくない。 まるで甘い蜘蛛の糸。 「ゆかちゃん…」 「なに…?」 「好き過ぎて、どうしようもないよ…」 あたしはそんな彼女から、もうずっと抜け出せないでいる。 続-
https://w.atwiki.jp/6hss5nu9gc/pages/154.html
トップページ システム タイムテーブル 現在の状況 過去ログ 現行スレ 【R-18】 悪夢の旅行を繰り返すようです part3 【安価】 過去スレ 【R-18】 最悪の一日を繰り返すようです 【安価】(前作スレ 今作7045~) 【R-18】 悪夢の旅行を繰り返すようです part2 【安価】 現在の状況 3スレ目1573時点 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 携帯電話の耐久力 暗視機能 060 140 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【フラグ】 オン: クトゥルフ神話知識 頼ってはいけない知識 オン: シュテルへの愛情 シュテルにベタ惚れ。 オン: 博麗神社のお守り .霊夢からもらった災厄退散のお守り。 オン: 歌声の忌避 .鏡音は歌うことに忌避を持っている オフ: 気づいてはいけない恋心 .リンの想いに気づいているが知らないフリをしている。 オン: 二人の女性客 < 獣耳の幻想生物 オン: 一つ目の幻想生物 <シュマゴラスさん <銀髪長髪巨乳が好み オン: 白い小動物の幻想生物 <インキュベーター オン: 星降丁呉尊 < 名を忘れ去られた神 < 神を騙る異形 オン: 汚い朽ちた社 < 朽ちた社 オン: 郷土史の本 < 読後:郷土史の本 オン: 救えぬ母 < 心を震わす歌姫 オン: 長門への代償┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ オン: 壊れた手すり < 柵を修理している少女 オン: 遊技場の盗撮犯 < 盗撮犯を通報 オン: 足湯の強姦犯 オン: ナナリーのメール < メールの真意 オン: 陰陽師の巫女 < 虚言の巫女┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【フラグ】 オフ: シュテルの喪失 オン: 長門の恋心 オフ: ナナリーの恋慕 オン: 一方的な契約 オフ: ヴィヴィオのお誘い オフ: 私(マミ)の騎士様 オフ: ハクの勘違い オフ: ディアーチェのチケット┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ オフ: えるの奮起┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【動画】 リンが写っているトイレ盗撮動画 見たら後悔する動画、 アンゼロットの青姦動画 ヴィヴィオの温泉盗撮動画 ナナリーの誘惑動画 ナナリーのオナニー動画 マミの獣輪姦動画 カレンの事後動画 シャルロットの盗撮動画 モブの盗撮動画) ディアーチェの願い.mp3┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 盗撮犯が女子トイレから出てくる動画┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫
https://w.atwiki.jp/p_ss/pages/1017.html
side.N じわじわ蒸し暑い日、あたしは読書感想文のための本選びに、町外れの図書館へと来ていた。 「えーと…どれにしよっかなー…」 …なんだって、夏休みに読書感想文なんか出さなきゃいけないんだ。 なんて、ぶつぶつ言いながら適当に本を手に取ってみる。 「……難しそうだからパス」 こうやってぶつぶつ言ってても誰にも何も言われないのは、単純に周りに人がいないから。 この図書館はあたしが知ってる限り結構大きい方で、しかも来る客も町外れだから基本的にいないし、司書の人って言っても受付カウンターで本読んだり何か弄ってたりするだけだから、あたしとしては有り難い。 「ぁ……—…っ」 …ん? 眉間に皺を寄せて見つめる、難しそうなタイトルの本ばかり並ぶ本棚の向こう。 衣擦れみたいな音と、話し声のようなものが聞こえてきた。 …もしかして…どっかのカップルが………なんちゅー所でしとるんよ、まったく。 とはいえ、気にならないと言えば嘘になる。 やっぱり好奇心は働くわけで…。 …よし。 意を決して、あたしは好奇心と緊張とでドクドク動く心臓を抑えながら、少し近付いてみた。 「…っ、ゃ…ま…ってぇ」 「待てない」 「ひゃぅ…ぁ、だめ…っ」 …え。嘘、でしょ。そんなわけない、じゃん。 目を擦って、夢なんじゃないかって思う。 でも、何度瞬きしたって飛び込んでくる光景は、夢なんかじゃないと現実を突き付けてくる。 「は…ぁ、…〜ちゃぁ…あ〜、ちゃん…っ」 「ゆかちゃん、気持ちい…?」 真っ赤に染まった頬、目尻に溜まる涙、しがみつく指先、ほんのり赤みがかった体。 それは、あたしが見たくて、でも見たくなかった彼女の姿。 「…っ!」 ガタガタと震える体を抑えられない。 足が笑ってしまって、思うように立てなくてズルズルと座り込んだ。 …嘘だ嘘だ嘘だ。こんなの、全部悪い夢、なんだ…。 ただひたすら目を閉じて、耳を両手で固く塞いだ。 …見たくない、聞きたくない。 彼女が、あたし以外の人に…あ〜ちゃん相手に乱れる姿なんて。 …ゆかちゃん…。 あ〜ちゃん…なんで…。 閉じた目から涙が零れた。 信じてた何かが、壊れた瞬間だった。 続-
https://w.atwiki.jp/eigo0493/pages/143.html
競艇予想新聞 EIG 開催場 津 G1つつじ賞王座決定戦開設57周年記念競走 21.12.12 9R 場外締切 14 35 4日目 1号艇 2号艇 3号艇 4号艇 5号艇 6号艇 新田雄史 中野次郎 吉田俊彦 安達裕樹 重野哲之 石塚久也 登録番号 4344 4075 4055 4227 3995 4144 出身 三重 東京 兵庫 三重 静岡 埼玉 事故。F、L 0 F1 0 0 F1 0 勝率 7.81 6.80 8.15 7.12 7.53 6.36 複勝率 67.5 41.5 70 .2 55.0 60.3 49.0 モータ複勝率 48.0 38.6 38.9 30.5 23.0 33.9 ボート複勝率 32.7 34.8 36.0 36.3 30.0 37.1 前期勝率 7.20 7.01 6.63 7.21 7.11 6.33 前期複勝率 55.8 49.1 43.8 57.4 55.5 44.1 前日展示 52 51 50 49 53 50 当日展示 0 0 0 0 0 0 進入平均ST 11 12 17 17 22 19 今節平均ST 21 19.6 24 17.2 13 17.7 進入勝率 941 944 70.8 66.7 41.7 42.1 今節勝率 4.40 5.20 6.00 6.50 3.25 3.00 上りタイム 479 467 476 445 473 477 能力指数 70037 71110 56770 59844 35960 39952 順位 2 1 4 3 本命 2連単 2=1 3連単 2=1-43 2=4 2=4-13 穴 2連単 1=4 3連単 1=4-23 1=3 1=3-24 結果 進入 1.2.3.4.5.6 0 2連単 1-2 \490 結果 拡大連複 0 2連複 1=2 \340 0 1=2 \220 0 3連単 1-2-4 \1,190 0 1=4 \210 0 3連複 1=2=4 \400 0 2=4 \290
https://w.atwiki.jp/deadend/pages/613.html
case-1 キーワード:巡回 case-1ではいわゆる巡回MOBに対してのヘイトダウンについて検証してみましょう。 上記のケースでは移動ルートの観察が重要になってきます。 でもなかなか初めて遭遇して、すぐにルートを調べるなんてできませんね。 少なくとも今回のケースはマトックで壊す壁があるのでここを通るルートはないものと推測できます。 さて、壁を壊すとブルーナイト(赤スライムのときもある)が通過していきます。 その移動ルートが白線。 壊した壁は壊した場所のみ索敵範囲とされ、壁の両端に関しては索敵範囲外となっています。 図中のギルの描いている位置が最短ヘイトダウン有効エリアです。 赤でXと書かれている場所はヘイトダウン無効ブロックです。 より詳細にわかるように壊した壁のあるブロックを9分割してみます。 中央の2ブロックは索敵範囲内となりヘイトダウンをかけても、その場にとどまり攻撃をしてくるか、一時は戻りすぐに索敵で向かってくるエリアです。 基本的に塔MOBの索敵範囲は1ブロックです。 ただし、23Fの0.5ブロック、15F塔のクオックスは1.5ブロックとMOBの種類や階によって異なります。 ここでは、索敵範囲1ブロックという条件のもとで検証を行っています。 図中のオレンジの四角が索敵エリアとすると、下記のようになります さらに拡大すると のようになります。 つまりルート外で 且つ、索敵範囲外に移動してヘイトダウンを使えば捨てることができます。
https://w.atwiki.jp/p_ss/pages/1038.html
side.K 「はぁ…はぁ…」 のっちは、立ち上がろうとしたゆかの手を引いた。 のっちが荒い呼吸を抑えて体を起こすのを、慌てて手伝う。 …熱だってまだあるのに、無理してまで何かをゆかに伝えようとしてる。 「ゆか、ちゃん…昨日…かな…?覚えてなくて、昨日なのか分かんないけど…」 「昨日…?」 …まさか。ううん、のっちがいたっていう証拠は……でも…昨日、は…。 昨日は。 「あ〜ちゃんと…外れの所の図書館に、いた…よね…?」 ドクン、と心臓が音を立てた。 背中に何かヒヤリとしたものが通った気がした。 「み、…みた、の…?」 「…うん。…その後の事は、覚えてなくて…気がついたら、家で倒れてた…」 「……」 …見られたんだ、のっちに…知られたんだ、全部…。 目の前に暗い何かが横たわったみたい。 でも、どうしようもない。何もできない。 …悪いのは、全部ゆか。 なんて馬鹿な事をしちゃったんだろう…。 のっちの気持ちも考えずに、一人で勝手に思い込んで動いて、結果あ〜ちゃんにも馬鹿みたいに甘えて…。 そうぐるぐる考えてると、のっちは突然ゆかを畳に押し倒した。 「の、のっち!?」 「—っ」 ぷちぷちとシャツのボタンが外されていく。 荒くなった呼吸と手つきが、普段ののっちをどこかへ連れていったのが分かる。 「のっち待って!ねぇ、お願いだから!」 「待てないよ。待てない…」 必死に懇願しても、のっちは熱い体をゆかに伝えてくる。 触れる掌も汗ばんで、簡単にゆかの体に吸い付く。 「まっ、待って、やだ…のっち…!」 「はぁ…はぁ…っ…な、んで…」 「……の、っち…?」 「はぁ……なんで…なんで、手…震えるんだろ…」 カタカタと震える熱い掌。 のっちの頬には涙の筋がいくつもある。 「……好きなのに…こんなにも、すきなのに…っ」 「のっち…」 「なんで…こんなに、怖いんよ…!なんで…っ…」 ゆかの胸にのっちの頭がカクン、と乗った。 「のっち…?」 「はぁ…はぁ…」 再び、のっちは気を失った。 額に手を宛てると、先程より更に熱が上がっている。 「……のっち…ごめん…ごめんね…」 震える手で、のっちの頭をそっと撫でた。 それから、頬に残る涙の跡を指先で拭う。 「ゆか…行かなきゃ…」 一度目を閉じて、のっちの匂いを感じる。 …静かに決意して、目を開いた。 のっち。こんなゆかを好きになってくれて、ホントにありがとう。 たった今、ゆかがするべき事を考えて出した答えがあるよ。 …それは、後悔しない選択をするって事。 その為にゆかは、今のっちの傍を離れてでも、あ〜ちゃんの所へ行かなきゃいけないんだ。 続-
https://w.atwiki.jp/p_ss/pages/1030.html
side.N あれからあたしはどうやって家まで帰ってきたのか、何も覚えていなかった。 重たい目を開けると、アパートの鍵が少し離れた所に放ってあって、畳の上に俯せに倒れているのに気付いた。 …頭が痛い。背中がゾクゾクする。体がやたら熱い。 夏風邪、かな…。やっぱり馬鹿しかひかないっての、ホントだったんだ…。 あたしは、今まで二人の何を見てたんだろう。 今まで、ゆかちゃんの何を見てたんだろう。 ゆかちゃんと微笑みあって、キスして、抱きしめあって。 …何も。 何にも気付いてなかった。 …ホント…馬鹿みたい、だ。 「………のっち…?」 ぼんやりとする視界に映るのは、びっくりした顔のゆかちゃん。 …夢? 夢なら、いいのに…。 でも、それは現実だと気付く。 「すごい熱…。のっち、お布団まで歩ける?」 心配そうにゆかちゃんが見つめている。 ひんやりとした手が、あたしの体に触れている。 …ゆかちゃん。もう、あたしに構わなくていいよ。 あ〜ちゃんの傍にいる方が、きっとゆかちゃんは幸せなんだから。 好きな人を抱いてあげられない臆病なあたしより、情熱的にゆかちゃんを抱いてあげられるあ〜ちゃんといる方が、きっと…きっ、と…。 それから、あたしは気を失ったみたい。 気がついたら、いつの間にか布団に入っているあたしの手を、ゆかちゃんの手がぎゅっと握っていた。 「…のっち…」 「ゆかちゃん…?」 「大丈夫…?まだ熱あるみたいじゃけぇ、お薬飲まなきゃいけんし…今おかゆ作る、」 「いいよ…ゆかちゃん…」 立ち上がろうとするゆかちゃんの手を引く。 …今はそれよりも、ゆかちゃんに言わなきゃいけない事があるんだ。 続-
https://w.atwiki.jp/p_ss/pages/1010.html
「ただいまー」 「おかえり」 汗だくになったのっちは、「あっつー」なんて言いながら服をパタパタ扇いでいる。 「…あれ?ゆかちゃんは?」 「お手洗い行っとるよ」 「そっか。あ、あ〜ちゃんバニラで良かったっけ?」 「うん、ありがと」 ひんやりとしたカップアイスが、さっきの情事の熱を冷ましてくれる。 そこへ、ゆかちゃんがお手洗いから帰ってきた。 「あ…のっち、帰ってたんじゃね」 「うん、ついさっきね。ゆかちゃんは旨ミルクで良かったよね?」 「ん。ありがと、のっち」 何も知らないのっちは、にこにこしながらゆかちゃんにアイスを渡す。 …でも、知らない方がのっちは幸せなんだ。 それに、少なくとも今の時点でのっちに知られたくない。 「やっぱりアイス最高じゃね」 「のっち、それ一口ちょーだい」 「…しょ、しょうがないなぁ、もぉ…」 ゆかちゃんの上目遣いに、のっちは頬を紅くしてぶつぶつ言いながらアイスをゆかちゃんの口に運ぶ。 …あ、紅い舌が見えた。 それはのっちにも見えたようで、視線がそっと外れたのが分かった。 …のっちは今、何を考えているのだろう。 彼女も今、ゆかちゃんに欲情したのだろうか。 「…はぁ、終わったー」 「はい、お疲れ様」 シャーペンをほっぽり出して、のっちは畳に大の字に寝転んだ。もう勉強はいりません、と顔に出して。 そんな様子にくすくす笑うゆかちゃんを見て、あたしは鞄に手をかけた。 「さてと…じゃあ、あ〜ちゃん帰るね」 「じゃあ、のっちも帰ろっかな…ってちょ、な、何?」 むっくりと体を起こすのっちを押し戻す。 「あんたは残りんさいや。…ゆかちゃんと二人っきりになりたいじゃろ?」 「なっ!」 …あら、顔真っ赤じゃ。 きっとのっちの中で、予想外の展開に驚きと喜びが混じってるんだろう。 純粋に可愛いと思った。 「あとは若い二人でごゆっくり…。じゃあね」 「ば、ばいばい…あ〜ちゃん」 二人は照れながらあたしに手を振った。 …今は、これでいい。 これでいいんだ。 あたしのせいで壊れてしまう前に、のっちに幸せな時間を…。 黒い、黒い感情は、あたしを包み込んで離さない。 ゆらゆら揺れる胸の奥は、依然変わらない勢力のまま存在している。 …逃げられない。戻れない。 そう。 あたしはもう、戻れない。 「二人とも、ごめんね…」 この夏が終わるまでは。 続-
https://w.atwiki.jp/p_ss/pages/1027.html
side.K あたしは、一体どちらを好きなんだろう。 あ〜ちゃんとのっち。 二人とも、ゆかにとって大切で大好きな人。 あ〜ちゃんといると、体が熱くなってドキドキする。 のっちといると、優しい気持ちになって胸がキュンとする。 あ〜ちゃんに抱きしめられると、匂いと温度が濃密になって頭の中があ〜ちゃんでいっぱいになる。 のっちに抱きしめられると、柔らかい温かい気持ちで満たされて頭の中がのっち一色になる。 …二人とも、大切で大好きな人。 布団に横たわって、あたしはずっと二人の事を考えていた。 生温い風が頬を撫でていく。 目を閉じると浮かぶのは、二人の事だけ。 ゆかの体は、際限なくあ〜ちゃんを求めてる。 ゆかの心は、際限なくのっちを求めてる。 あたしは一体どっちが…。 「ゆかー?」 「はーい…」 障子の向こうにお母さんが立っている。 布団から体を起こして障子を開けた。 「あんたどこか具合でも悪いの?」 「ううん、ちょっと考え事…」 「そう…。余計な事かもしれないけど、もし何かに悩んでるなら…ゆか自身が本当に後悔しない選択をしなさいね…」 「……うん。ありがと」 お母さん…ごめんね…。 ゆか、まだちゃんと選べないよ。 だって二人とも大切で大好きだから…。 …いつかは来る最後が分かっていても。 続-
https://w.atwiki.jp/p_ss/pages/1044.html
「ごめんなさい」 そう、彼女が口にするのを静かに聞いた。 …来て欲しくない終わりが、訪れようとしてるのは誰の目にも明らか。 「…で?」 「え…」 「だから、何?」 でもね、ゆかちゃん。 あたしはもう戻れないんだよ。 大切な何かを失って尚、あたしはゆかちゃんを手に入れたい。 …もう、後悔したくないんだ。 「あ〜ちゃんにごめんなさいして…満足した?」 「あ〜ちゃん…」 「それで、のっちに許してもらうの?あ〜ちゃんにごめんなさいって言ったって」 「ちが、ゆかは…!」 反論する唇を手で塞ぐ。 …黙ってよ。 黙ってあたしのものになってよ。 「…逃がさない」 「んー!」 「誘ったのは、ゆかちゃんでしょ?」 「っぷは…!悪いのはゆかだって分かってる、でもっ」 細い両手を掴む。 黒いあたしが彼女に牙を剥いた。 「…謝って済む場所に、もういない…いれないんだよ」 「あ〜ちゃん!」 「黙って」 白い首筋に唇を落とす。 身をよじって逃げようとするのを阻止して、無理矢理紅い印を付けた。 「…あ〜ちゃんのものになって」 「ゆか、は…っ、ゆかは、“もの”にはならないよ…!お願いだから目を覚まして!」 「…っ」 悔しくて、歯痒くて、下唇を噛んだ。 …どうして?どうしてそんなに拒むの? あ〜ちゃんが好きだったって言ってくれたじゃん。 なのに何で…? 「……なんで…」 「あ〜ちゃん…」 「もう後悔したくないよ…あんな想いしたくないんよ…っく、…なのに、なんでぇ…っ?」 視界が滲む。 生温かい雫が止め処なく溢れてくる。 「あ〜ちゃん…」 ふわりと甘い声と匂いが、あたしを柔らかく包み込む。 胸の奥が、軋んだ気がした。 「…ごめんなさい…ゆかが軽率な事したから、苦しい想いさせたんだよね…ごめんなさい…」 「ひっく…、っく…」 「だから、もうあ〜ちゃんが縛られる事ないよ…全部ゆかが悪いんだから…」 あたしの胸の奥の、そのまた奥にある温かい気持ち。 忘れようとしてた気持ち。 でも、その気持ちが、あたしの心のゆらゆらを止めていく。 …あたしは…。 …馬鹿、だ。 「あ〜ちゃんにも、のっちにも…自分勝手な事して迷惑かけちゃったゆかが、一番悪いんよ…」 「……」 「…だからもう、二人に甘えていくのは…止めるって、決めた」 真っ直ぐな声が耳元に響いて、それから甘い匂いが遠ざかった。 「あ〜ちゃんに甘えるの、もうおしまいにする…」 それはずっと聞きたくなかった、終わりを告げる言葉だった。 続-