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つかさ「こなちゃんって、笑ってること多いよね。」 とある冬の放課後、学校の帰り道をいつものメンバーで歩いていると、不意につかさがそんなことを言い出した。 みゆき「言われてみれば、そうですね。」 こなた「いや~、そうでもないよ。かがみの鋭い突っ込みに何度涙を流したことか。うぅ、ホロリ。」 かがみ「ほぉ、その涙とやらを見せていただきましょうか?」 かがみはこなたを見下げながら(身長的な意味で)こぶしをボキバキと鳴らした。いち早く危険を察知したこなたはみゆきの後ろに素早く隠れた。 こなた「も~、かがみったら、冗談に決まってるじゃん。」 かがみ「まったく・・・。」 こなた「あはははは、・・・・・・ふぅ・・・。」 つかさ「どうしたの、こなちゃん?」 こなた「え?あ、いや、・・・ちょっと、昔のこと思い出しちゃって。」 みゆき「昔のこと、ですか?」 かがみ「どうせ、くだらないことなんでしょ。」 こなた「う、うん、まぁ・・・ね・・・。」 いつもと様子の違うこなたにかがみたちは一瞬戸惑った。 かがみ「ど、どうしたのよ、あんたらしくないじゃない。」 つかさ「こなちゃん?」 みゆき「あまり思い出したくないことでもあったのですか?」 こなたの様子が変わったのは、“昔のことを思い出した”というあとである。そのことから、みゆきのような結論に達するのは至極当然であろう。 こなた「あ、いや、えと・・・。」 かがみ「言いたくないことなの?」 こなた「・・・」 つかさ「こなちゃん・・・」 みゆき「泉さん・・・」 かがみ「・・・」 こなた「まぁ、べつに隠さなきゃいけないことでもないし、話しちゃうよ。」 こなたたちは近くの公園のベンチに座わった。こなたの左にかがみ、右につかさとみゆきがそれぞれ座っている。手には途中で買ったらしい紙パックの飲み物がある。こなたとみゆきはココア、つかさはオレンジジュース、かがみはお茶が入っていた。中身から察するに、かがみはダイエット中のようだ。 こなた「4年前の中学2年生の時にね、約束したんだ。笑ってるって・・・」 こなたと魔法使いの約束 こなた「さぁ、帰ろうか、魔法使いくん。」 魔法使いくん「おぅ!」 とある中学校に仲の良い男女がいた。女の方はこなたである。そして、男の方は魔法使いと呼ばれていた。 魔法使いくん「ところでこなた。」 こなた「何、魔法使いくん?」 魔法使いくん「その魔法使いくんって言うのやめてくんない?かなり恥ずいんだけど・・・。」 こなた「え~、だってこの間の授業参観の時に将来の夢は魔法使いですって言ったじゃん。」 魔法使いくん「た、たしかにそう言ったけど・・・。」 こなた「だから、君は魔法使いくん!あなたに拒否権はありません!以上!!」 こなたは魔法使いと呼ぶ男に“ビシッ”と指を突き立てて言い放った。 魔法使いくん「なんじゃそりゃ・・・。」 魔法使いと呼ばれる男も少々呆れぎみだった。 魔法使いくん「まぁ、いいや。とっとと帰るか。」 こなた「うん!」 そう言うとこなたは、魔法使いと呼ぶ男の腕にしがみついた。そして、二人はそのまま教室を出て行った。 (((((お熱いことで・・・))))) 教室に残っていたクラスメイトはそんなことを考えるのであった。 魔法使いくん「ふぁ~」 こなた「どうしたの、そんな大きな欠伸しちゃって。」 魔法使いくん「いや、昨日お前に付き合わされてずっとネトゲやってたから。」 こなた「ふ~~ん。」 魔法使いくん「しかし、よくお前は平気だな。俺と一緒にネトゲやってたのに。」 こなた「大丈夫、その辺のところは鍛えてあるから。」 魔法使いくん「もうちょっと有意義なことしろよ。」 こなた「えっへん!」 魔法使いくん「ほめてないから・・・」 極小な胸を突き出して威張っているこなたに、呆れて溜息を吐く魔法使いくん。 魔法使いくん「時々お前の将来が心配になるよ・・・。」 こなた「うん?」 魔法使いくん「そういや、お前、この間の授業参観の時に将来の夢、なんつったっけ?」 こなた「私?私はねぇ・・・誰かに寄生して生きたい、だよ。」 魔法使いくん「なんじゃそりゃ。」 こなた「え~、誰だって憧れるでしょう、そういう生活。」 魔法使いくん「憧れねぇよ。て言うか、寄生された方はものすごく迷惑だ。」 こなた「やっぱり、料理ができる人がいいよね。それともお医者さんがいいかな。」 魔法使いくん「待て待て、誰もそんなこと聞いてないから。」 こなた「それとも・・・弁護士がいいかな。」 魔法使いくん「いやいやいやいや、ちょっっと待て。お前、なんかやらかす気満々か!?」 こなた「さぁ、どうだろうねぇ。」 魔法使いくん「・・・」 ニマニマと笑うこなたに、魔法使いくんはかなり引き気味になってしまった。 こなた「冗談だよ、冗談。いくら私でも、警察のお世話になるようなことはしないよ。」 魔法使いくん「そうであってほしいな・・・。」 こなた「で、君の将来の夢は魔法使いだったね。」 魔法使いくん「いや、あれはうけねらいで・・・」 こなた「そっか。じゃ、将来は“ピー○カ・ピリ○ラ・○ポリナ・ペー○ルト”とか言うわけだ。」 魔法使いくん「おい!それ、魔法使いじゃなくて魔女だし!!しかも見習いの!!!」 こなた「ん?それとも“汝のある○き姿に戻れ”?」 魔法使いくん「それも魔法使いとは少し違うって!まぁ、さっきのよりはメジャーだろうけど・・・。」 こなた「“テクマ○マヤコン”?」 魔法使いくん「古い!!」 こなたに対する突っ込みの連続のせいか、魔法使いくんは疲れだしたようであった。 魔法使いくん「はぁ~」 こなた「くすくすくす・・・」 魔法使いくん「な、なんだよ、なに笑ってんだよ。」 こなた「ん~ん?いやぁ、なんだかんだ言っても魔法使いくんは私にあわせてくれてるなぁ、と思ってね。」 魔法使いくん「へ?」 こなた「こうやって私の言うことに突っ込んでくれるし、買い物にも一緒に行ってくれるし、ネトゲもそうだしね。」 魔法使いくん「そ、それは・・・」 こなた「まぁ、だから好きなんだけどね、魔法使いくんのこと。」 いきなり、なんのためらいもなく“好き”と言われて魔法使いくんの顔が赤くなる。確かに、二人は付き合っている、という仲なのだが、不意にそんなことを言われれば顔が赤くなるのも当然かもしれない。 魔法使いくん「や、べ、別に、お、お前にあわせてるわけじゃなくて、ち、違うものを違うと言ってるだけで、買い物だって、お、俺が行きたい所がたまたま一緒なだけで、その、えと・・・」 こなた「ニヤニヤ。」 魔法使いくん「こ、こなた?」 こなた「男のツンデレっていうのもけっこう乙だね。」 魔法使いくん「こ・な・た~!!」 こなた「いや~ん、魔法使いくんにおっそわれる~ん。」 こぶしを握って怒りを表している魔法使いくんに対して、キャハキャハとはしゃぐこなたなのであった。 魔法使いくん「まったく、お前は。」 こなた「にゃははは、怒らない怒らない。あ、そうだ、今日もネトゲしよ。一緒に森の怪物を倒しにさ。」 魔法使いくん「は?いや、今日は無理だろ。」 こなた「え?なんで?」 魔法使いくん「だって今日、英語の宿題出ただろ。明日提出の。ネトゲしてる時間ないって。」 こなた「そっか・・・。じゃ、明日、写させて。」 魔法使いくん「自分でしようという選択はないんかい。」 こなた「ない!」 魔法使いくん「即答かい・・・。でも、それも無理だぜ。提出は明日の1時限目だから写してる時間はないと思うぞ。」 それを聞いたこなたはピタリと歩くのが止まった。魔法使いくんが振り返ると、そこにはなにやらごそごそと自分のかばんを漁っているこなたがいた。 魔法使いくん「こなた、もしかして英語の教科書置いてきたのか?」 こなた「英語に限らず全部置いてってるけどね。」 魔法使いくん「おいおい・・・。」 こなた「ごめん、一回教室に戻って取ってくる。」 そう言うとこなたは、来た道を戻り始めた。 悲劇はその時に起きた。 こなたが戻り始めた道の先の交差点はあまり見通しの良い所ではなかった。 それゆえにこなたは自分に近づいてくる車に気が付かなかった。 車の方もこなたに気が付いていないようだった。 車はスピードを緩めずこなたも交差点を飛び出す形となってしまった。 結果・・・ キーーーーー、ドン!! こなたは突き飛ばされてしまった。 しかし、痛みはほとんどなかった。 車に撥ねられたような感覚はなく、どちらといえば人に押し飛ばされたような感じであった。 こなた「あ・・・あれ?」 こなたは自分の置かれている状況がつかめずにいた。自分は車に轢かれたのではないのか、と考えていたが、そうではないのだとすぐに分かった。こなたは後ろを振り返った。 こなた「え?」 そこには先ほど走っていた車があった。そして、その先には、 こなた「そ、そん・・・」 こなたを車に突き飛ばされるのを助けた、ついさっきまで一緒に話していた魔法使いくんの姿があった。 こなた「いやぁぁぁあああぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」 黒い制服の一部を赤くして・・・。 ピーポーピーポーピーポー・・・ こなたと魔法使いくんを乗せた救急車が病院に向かって走っていた。魔法使いくんの体には脈を計るためにコードが付けられている。魔法使いくんはまだ、意識がなかった。 こなた「ねぇ、起きて・・・お願い、死なないで・・・」 救急隊員「患者を揺すらないでください、脳震盪を起こしている可能性があります。」 泣きながら魔法使いくんの揺すっているこなたを救急隊員が止めた。 魔法使いくん「う・・・あ・・・」 魔法使いくんが意識を取り戻したようだ。 こなた「あ!起きたの!!」 魔法使いくんはその声のする方、つまりこなたのに向かってゆったりと顔を向けた。 魔法使いくん「ひでぇ顔してんな、こなた。」 魔法使いくんはクスリと笑いながらそう言った。 こなた「え?」 魔法使いくん「すっげぇ泣き顔だぜ。」 魔法使いくんは弱々しい声になっていた。 こなた「だって、だって・・・」 こなたはその先何も言わなかった。否、言えなかった。それは、魔法使いくんがゆっくりと手を伸ばして、こなたの頬に触れたからである。そして、触れている手の人差し指で優しく涙を拭き取った。 魔法使いくん「笑え。」 こなた「え・・・?」 魔法使いくん「こなたに泣き顔なんか似合わない。」 こなた「・・・」 魔法使いくん「だから、笑ってくれ。こなたに一番似合ってるのは笑ってる顔だから。」 こなた「・・・うん!」 こなたは笑顔で答えた。さっきまで泣いていたのだからうまく笑えなかったが、それでも精一杯の笑顔を見せた。そして、頬に触れている魔法使いくんの手をそっと両手で掴みながら言った。 こなた「私、笑っているよ。だから、だから・・・」 魔法使いくん「こなた、俺少し寝るわ。」 こなた「え!?だ、だめだよ、寝ちゃ。もし寝ちゃったら・・・」 魔法使いくん「おやすみ、こな、た・・・」 魔法使いくんは再び意識を失った。こなたが掴んでいた手が滑り落ち、ベッドの下に落ちた。と、同時に脈を計っている機械から“ピー”という無情な音が響いた。 こなた「・・・うそ、だよね?ねぇ、ねぇ・・・う、わああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」 こなたの泣き声が救急車の中を支配したのであった。 こなた「それでねその後、」 つかさ「もういいよ、こなちゃん!!」 かがみ「こなた!!」 こなたの隣で話を聞いていたかがみとつかさはこなたに抱きついた。二人とも泣いているようだ。みゆきもハンカチを取り出して涙を拭っている。 つかさ「辛かったよね、こなちゃん。好きな人が目の前で死んじゃって。私だったらたぶん立ち直れないよ。」 こなた「あの、つかさ・・・」 かがみ「あんたはいつも楽しく笑ってるんだから、きっと天国の魔法使いって人も安心して見守ってるわよ。」 こなた「えと、かがみ・・・」 みゆき「私たちはその方の変わりにはなれません。しかし、泉さんのことを親友だと思っています。ですから、泉さんを悲しませるようなことはしません。私たちも泉さんには笑っていてもらいたいですから。」 こなた「み、みゆきさん?」 かがみ「そうよ、私たちはこなたを悲しませるようなことは絶対にしないわ!」 つかさ「そうだよ、こなちゃん!」 こなた「ああ・・・えっとぉ・・・」 つかさやみゆきだけでなく、いつもは突っ込みをいれるかがみまでもこなたの話しに感傷的になっていた。こなたはなにか言いたいようだが、言うタイミングを逃してしまっているようだった。 “しばらく連絡とってないけど、今何してんのかな” かがみ(あれ?) かがみは前にこなたがそんなことを言っていたのを思い出した。先ほどの話しの流れからいくとそのようなセリフはおかしいのではないか、と疑問を持ち始めた。 かがみ「ねぇ、こな」 ?????「あれ、こなたじゃねえか?」 不意に同学年くらいの男子がこなたに話しかけて来た。 ?????「やっぱりこなただ。ひさしぶりだな!」 こなた「あ、魔法使いくん!ひさしぶり。」 かがみ「・・・は?」 みゆき「・・・」 こなたのセリフに呆けているかがみとみゆき。つかさはなぜか怯えていた。 みゆき「つかささん、どうなされたのですか?」 我に返ったみゆきが様子のおかしいつかさに話しかけた。 つかさ「だ、だって、魔法使いくんって車に跳ねられて死んじゃった人でしょ?と、ということは、ゆ、ゆ、ゆうれぇぇぇぇぇ!?」 かがみ「違うわよ!ていうか、こなた、あんたさっきの話し、うそ!?言っていいうそと悪いうそがあるでしょ!なに考えてるのよあんたは!!」 こなた「ちょ、ちょっと待ってかがみ、落ち着いてよ。」 怒っているかがみをこなたはどうにか宥めようとした。かがみはうそを言ったことよりも人を勝手に死なせたことを怒っているようだった。ちなみに、「え?ゆうれいじゃないの?」「はい、違います、そもそもゆうれいというのは(中略)ということなのです。」「どんだけ~」という会話がつかさとみゆきの間で交わされていたが、ここでは割愛させてもらう。 魔法使いくん「えっと・・・」 話しについていけずに置いてきぼりを食らってしまっている魔法使いくん。 かがみ「あんたもなんか言ってやんなさい。こいつ、あんたのこと交通事故で勝手に死なせてるのよ。」 そんな魔法使いくんの様子に気づいたのか、それとも無意識か、かがみは魔法使いくんに話しを振った。 魔法使いくん「交通事故?もしかして4年前のことか?」 かがみ「え?え、えぇぇぇ?」 かがみは話しが分からずにこなたと魔法使いくんを交互に見ていた。 つかさ「や、やっぱり、ゆうれぇぇぇぇぇ!?」 こなた「つかさも落ち着いてよ。みんな話し、最後まで聞かないんだから。」 かがみ「ど、どういうことよ。」 こなた「この話しには続きがあってね、」 こなた「あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 “バコッ!!” こなた「ふが!?」 突然、泣いているこなたの頭に衝撃が来て、間抜けな声を出してしまった。なにが起こったのか分からずにキョトンとしていると、魔法使いくんは上半身を起こした。 魔法使いくん「うるさいぞこなた、おやすみって言ったのが聞こえなかったのか!?あいててて・・・」 魔法使いくんは体を抑えて再びベッドに倒れ込んだ。 こなた「え?え?ええ??」 状況が掴めずこなたはオロオロしていた。 魔法使いくん「昨日はお前に付き合わされてずっとネトゲしてて寝みぃんだ。寝かせてくれ。」 こなた「え?いや、だって、いま、ピーって・・・」 救急隊員「すいません、抜けたコード付け直したいので少し退いていただけますか?」 こなた」「・・・はい?」 救急隊員が魔法使いくんの手に引っかかっているコードを機械に付け直すと、魔法使いくんの脈が正常であることを示し始めた。こなたはそれを引きつった顔で見ていた。 魔法使いくん「頼むからうるさいしないでくれよ、マジで寝むいから。」 魔法使いくんは欠伸をしながら言った。 “ブチッ!!” そんな音が聞こえてこなたの方を見ると、ものすごい顔でこちらを睨みつけていた。 魔法使いくん「こな・・・た?」 こなた「そっかそっか、寝たいのか。OK、OKぐっすり寝かしてあげるよ。」 こなたはこぶしをバキボキと鳴らしながら表情を変えずにそう言った。 魔法使いくん「こ、こなた?こなたさん??こなた様???」 こなた「おやすみ・・・」 そう言うとこなたはこぶしを振り落とした。 “ドスッ!!” 魔法使いくん「ぐえ!?」 救急隊員「あ・・・」 小さい頃合気道をしていて、運動神経も良いこなたのこぶしは強力だった。しかも、振り下ろした所は・・・ 魔法使いくん「こなた、どう、して・・・」 こなた「私を心配させたバツです!」 魔法使いくん「ぐ・・・、ガクッ、チ~ン・・・」 救急隊員「えっと・・・死因は“キン打撲”でいいでしょうか?」 こなた「はい、いいと思います。」 こなたはハンカチで手を拭きながら答えた。 こなたと魔法使いくんを乗せて走っている救急車のサイレンが、さみしく響いていたそうな。 かがみ「・・・」 つかさ「・・・」 みゆき「・・・」 魔法使いくん「・・・」 こなた「・・・あは。」 かがみ「あは、じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 こなたはその場の雰囲気を変えようとかわいらしく言ってみたが、どうやら逆効果だったようだ。 かがみ「なんじゃそりゃ、どういうオチだ!どこの漫画ネタだそれは!!」 こなた「オチって・・・別にネタとかじゃなくて、全部本当の話しだよ、ねぇ?」 魔法使いくん「あ?ああ、全部本当の話しだが。」 こなた「ほらね。」 かがみ「なによそれ。隠すほどの話しでも思い出したくないほどの話しでもないじゃないの。」 こなた「隠してはなかったけど・・・思い出したくないことではあったけどね。」 かがみ「なんでよ。」 こなた「私のせいでさ、魔法使いくんけがさせちゃったわけだしさ。」 かがみ「あ・・・」 こなたは毒舌ではあるが、とても友達思いである。そんなこなたにとって、自分のせいでけがをさせてしまった、ということはあまり良い思い出ではないようだ。 魔法使いくん「気にすることないって。大したケガでもなかったし、跡が残ったわけでもないんだから。」 こなた「それは、そうなんだけど・・・」 こなたはうつむいてしまった。表情はよく見えないが暗くなっているように見える。 魔法使いくん「こなた・・・」 かがみ「こな、た?」 こなた「そうだよねぇ、気にする必要ないよねぇ。」 顔を上げたこなたはいつもの猫口に糸目でニヤニヤとしていた。 つかさ「わ、こなちゃん立ち直り早!!」 こなた「いつまでもうじうじしてちゃダメなのだよ、皆の衆。」 みゆき「それは、そうですが・・・」 こなた「むふふ。あ、そうだ、魔法使いくん。」 魔法使いくん「ん?」 こなた「君はちゃんと魔法の修行してるかね?」 魔法使いくん「するか!てか、どうやってするんだよ!!」 こなた「え~、してないの?“ファンファ○ファイン・ラン○ンレイン”とか。」 魔法使いくん「しません!しかもマイナーすぎだろ。」 こなた「じゃ、“魔法変身マー○・マジ・マ○ーロ”とかは?」 魔法使いくん「意外と古いぞ、それ!まぁ、俺は“ボ○ケンジャーVSマ○レンジャー”を見てみたかったがな。」 こなた「“メタモ○フォーゼ!!”」 魔法使いくん「猫ですか?蝶ですか?」 こなた「いえ、薔薇です。」 魔法使いくん「蝶と変わんないから!てか、魔法関係なくなってるし!!」 こなたと魔法使いくんのそんなやり取りをかがみとつかさは意味が分からないような感じで呆けていた。みゆきはニコニコしながらおもしろそうに聞いていたようだが。 つかさ「えっと・・・こなちゃんと魔法使いくんって仲良いね。今でも付き合ってたりするの?」 魔法使いくんがこなたへの突っ込みに疲れてゼェゼェいい始またところにつかさが話しかけてきた。 魔法使いくん「え?あぁ・・・それは」 こなた「いえ、もう別れました。」 つかさ「ほぇ?な、なんで?」 こなた「あんな紛らわしい寝方する人とは付き合ってられません。」 かがみ「なによそれ・・・」 こなた「ん~、まぁそういうもんだよ。あ、もうみんな飲み終わってるね。私捨ててくるよ。」 そう言うとこなたはかがみたちからコップを(ほぼ強引に)受け取り、自販機横のゴミ箱へ捨てにいった。 かがみ「無理しちゃって・・・。」 つかさ「え?」 みゆき「かがみさん?」 かがみ「わざと明るく振舞って心配させないようにしてさ、別れた理由だってたぶん違うんでしょ?」 かがみは魔法使いくんを横目で見ながら言った。 魔法使いくん「ああ、たぶん、負い目があるんだろうな。気にする必要もないのにさ。」 かがみ「こなたはあんなのだからね。」 魔法使いくん「そうだな。毒舌で、」 かがみ「人のことおちょくって、」 魔法使いくん「楽天的で、」 かがみ「セクハラまがいのことして、でも、」 魔法使いくん「元気で、」 かがみ「友達思いで、」 魔法使いくん「少し寂しがりなとこがあって、」 かがみ「ちょっと甘えん坊なところがある。それが、」 魔法使いくん「そう、それが、」 「「すごくかわいらしい。」」 かがみと魔法使いくんはクスリと笑った。ここまで同じ考えの人はめずらしいだろう。 かがみ「まぁ、振られちゃったのは残念だけどね。」 魔法使いくん「そうだな。でも、まだ諦めてないけどな。」 かがみ「え?」 魔法使いくん「いつかもう一度振り向かせてやるよ。こなたは俺の嫁だからな。」 魔法使いくんは親指を自分に向けて言った。その言葉にかがみはムッとした。 かがみ「残念だけど、それは無理ね。」 魔法使いくん「ん?なんでだ?」 かがみ「私がこなたの嫁だからよ。」 魔法使いくんは一瞬呆気にとられたが、すぐにその意味に気付いた。 魔法使いくん「なるほど、こなたがそう言ってわけだ。」 かがみ「ええ、そうよ。」 魔法使いくん「つまり、俺たちは一種のライバル、というわけだ。」 かがみ「そういうことね。」 二人はお互いの目を離さずにいた。表情こそ穏やかに見えるがその裏では一歩も譲ることのない戦いが繰り広げられているようだ。 つかさ「ゆ、ゆきちゃん、お姉ちゃんたち、どうしたんだろう?」 みゆき「さ、さぁ、よく、分かりませんね・・・。」 そんな二人をつかさとみゆきは半ばおびえるように見ていた。 こなた「お~い、みんな、そろそろ帰ろ。」 こなたがカップを捨てて戻ってきた。しかし、戻ってみると、かがみと魔法使いくんの様子がおかしいことに気が付いた。 こなた「どうしたの、かがみ?」 かがみ「なんでもないわよ、こなた。」 かがみはこなたの方を向いてそう答えた。だが、目はチラチラと魔法使いくんの方に向けられていた。 こなた「そう?それならいいんだけど・・・。」 こなたは少々納得できないようだった。 魔法使いくん「それじゃ俺、もう帰るわ。」 こなた「え?あ、そう。じゃあね。」 こなたは軽く手を振った。魔法使いくんも片手を軽くあげてそれに答え、そのまま後ろを向いて歩きだした。 かがみ「待ちなさい。」 魔法使いくんはその言葉に足をピタリと止めた。しかし、振り向くことはしなかった。 こなた「か、かがみ?」 つかさ「・・・」 みゆき「・・・」 つかさとみゆきは無言で見守っていた。 かがみ「私の名前は柊かがみ。あなたの名前も教えてもらえるかしら?」 魔法使いくんはクルリと振り返った。そこには不敵に笑うかがみがいた。魔法使いくんも相応の表情で返した。 魔法使いくん「宣戦布告、というわけだ。いいぜ、教えてやるよ。」 こなたをめぐる二人の戦いが静かに始まろうとしていた。 魔法使いくん「俺の名は・・・・・・ ~おわり~
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こなた「シンー、ちょっと頼みたいことがあるんだけどいいかなー?」 シン「あー? まぁ無理なもんじゃなけりゃ」 こなた「恋人になって?」 シン「ぶっ!?」 こなた「ちょwwwカルピス吹いたwww」 シン「それは俺のセリフだっ!!」 シン「……つまり、文化祭の演劇で主役の恋人の役をやることになったから その練習として付き合うふりをしてほしい、と」 こなた「いやー、現実じゃ経験なくてさぁ。かがみたちやみゆきさんも彼氏とかいないし。 シンなら家に帰っても一緒にいる時間作れるしね」 シン「まぁそういうことならいいけどさ……(しかし誰だコイツをヒロインに選んだ奴)」 こなた「ダーリンって呼んでみる?」 シン「鳥肌立つからやめてくれ」 こなた「ちぇー。ま、いいか」 こなた「あなたと私は恋人になるの! 文化祭の日までに!」 シン「教室の中で㌧でもないことを大声で叫ぶなぁーーー!!」 前 戻る 次
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あなたはどう思う? 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 許さない 1654 (31%) 2 絶対にだ 1359 (26%) 3 ゆりしーかわいそうです(´;ω;`) 356 (7%) 4 詐欺だと思う 306 (6%) 5 佐藤利奈にゴスロリを着せたい 235 (4%) 6 アンユーファッス 171 (3%) 7 複乳板から来ました 163 (3%) 8 ロレンス、これはヤバイ取引だぜ 157 (3%) 9 詐欺は許さないけど小清水は許す 145 (3%) 10 小清水は俺の嫁 59 (1%) 11 植田は? ねぇ植田は? 47 (1%) 12 三瓶は小清水の嫁 31 (1%) 13 お気になさらず! 27 (1%) 14 (´・ω・`)らんらん♪ 26 (0%) 15 それでクリスマスにさかな君となにしてたの? 24 (0%) 16 アスミスはゴスロリが似合うと思う 23 (0%) 17 「こんにちは、ナージャです。」 22 (0%) 18 ぐっさーん!早く来てくれーっ! 21 (0%) 19 そんなオカルトありえません 20 (0%) 20 ゆりしーとユニットを組むべき 20 (0%) 21 あうあうあー 18 (0%) 22 伊藤かな恵のゴスロリが見たい 18 (0%) 23 許されざる声優 18 (0%) 24 賢狼ならなんとかするだろ 18 (0%) 25 小清水も騙された側 16 (0%) 26 ナージャの受難再び 15 (0%) 27 バオバブ仕事しろよ! 14 (0%) 28 野中藍にメガネは反則 14 (0%) 29 いいとも! 13 (0%) 30 全員出張遊牧民 13 (0%) 31 枢木スザクはもう許した 12 (0%) 32 もう許してやれよ 11 (0%) 33 よりにもよってなぜ小清水 11 (0%) 34 小清水は許さないけど詐欺は許す 11 (0%) 35 みのりん!みのりん! 10 (0%) 36 わっちが馬鹿だった。ヌシよ、傍に居て欲しい。 10 (0%) 37 照井君!ワイも恋愛サーキュレーション聴きまくってるで! 10 (0%) 38 絶対に許さないよ メモったからな 10 (0%) 39 賢狼を馬鹿にするな。わっちは騙されてはおらん! 10 (0%) 40 ゆかりんかと思ったら天使だった 9 (0%) 41 お腹空いた(´・ω・`) 8 (0%) 42 ルイズ!ルイズ!ルイズ!ルイズぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!! 8 (0%) 43 どう見てもマルチまがいです、本当にありがとうございました 7 (0%) 44 福山潤は許す 7 (0%) 45 許す 7 (0%) 46 ほっちゃんこんばんてん 6 (0%) 47 ウチにも来た 6 (0%) 48 キンタマー 6 (0%) 49 ホロは俺の嫁 6 (0%) 50 ラモスが悪い 6 (0%) 51 福山潤のゴスロリが見たい 6 (0%) 52 通販刑事に相談しよう 6 (0%) 53 どうも中居正広です 5 (0%) 54 仏陀爆誕 5 (0%) 55 真中中央 5 (0%) 56 くぎゅうううううううう 4 (0%) 57 わっちは無実でありんす、許してくりゃれ。 4 (0%) 58 ワシが育てた 4 (0%) 59 いい加減理解れよな 3 (0%) 60 しーんぱーいないさぁぁぁぁ 3 (0%) 61 まぁおっぱいしだいということで 3 (0%) 62 代打、俺 3 (0%) 63 小清水は早くエロゲデビューしてくれ 3 (0%) 64 /( ^o^ )\ 3 (0%) 65 そもそも御坂がババァ声(ry 2 (0%) 66 どちらともいえない 2 (0%) 67 もう許してやれよ・・ 2 (0%) 68 りょーこがいるからだいじょーぶ 2 (0%) 69 スネーク!スネーーーーーク!! 2 (0%) 70 七未かわいいよ七未 2 (0%) 71 小早川大尉殿、愛しておりました… 2 (0%) 72 小清水になら騙されてもいい 2 (0%) 73 終わったんだから消せよ 2 (0%) 74 詐欺とは思えない 2 (0%) 75 ガッ 2 (0%) 76 3連単はオートレース 1 (0%) 77 あっはい 1 (0%) 78 あれ 1 (0%) 79 あれはノイズ 1 (0%) 80 いい勉強になったろう 1 (0%) 81 うポつ@ウンババー(゚∀゚) 1 (0%) 82 てへぺろ(・ω ) 1 (0%) 83 ぬるぽ 1 (0%) 84 ねひょん 1 (0%) 85 アネモネは俺の嫁 1 (0%) 86 ギギギ・・・ 1 (0%) 87 ホルディンの戦士たちよ! 1 (0%) 88 メロメロ メロウ! 1 (0%) 89 内職商法? 1 (0%) 90 前園さんのいう通り 1 (0%) 91 粗塩ラヂヲ聞こえます。 1 (0%) 92 許すギアス 1 (0%) その他 投票総数 5290 最終更新日時:0000-00-00 00 00 00
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♪あなたへ 作曲 作詞
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初美「大変なのですよ」 春「いきなりなに?」 初美「近々大掃除の予定ありだとか」 春「はぁ、年末にやったような気がするけど」 初美「その時は上手く隠しおおせたんですけどねー、霞ちゃんに見つかったらマズいあれやこれや」 春「ガサ入れ?」 初美「そうなのですよ! 卒業したから……とか色々理由をつけて強行する気満々なのですよ!」 春「そう……(無関心)」 初美「むむっ、一大事なのははるるも一緒かもしれないのですよ?」 春「見つかって困るものは特にないから」 初美「……先日、霞ちゃんと戒能さんの密会があったとか」 春「まさか……」 初美「ええ、その可能性も十分あり得るのですよ」 春「くっ……!」 春「わかった、協力する」 初美「その言葉を待っていたのですよ」ガシッ 春「背に腹は変えられない」ガシッ 初美(まぁ、実際は霞ちゃんを連れ回してただけみたいですけどねー) 初美(その時にはるるの黒糖について触れたかもしれませんし) 初美(ウソはついてないのですよ、うん) 春「それで、具体的にどうするの?」 初美「とにもかくにも隠し場所ですねー」 春「山のどこかに埋める?」 初美「まるでサスペンスの一場面なのですよ」 春「共犯」 初美「だけど、土の中となると漫画の類は湿気っちゃいそうですねー」 春「じゃあ、だれかに預けるとか」 初美「ふーむ、それも一つの手ですかね?」 「というわけで、うちで預かることになったから、受け取りに行ってくれない?」 京太郎「バカじゃねぇの?」 「ひどいっ、実の母親に向かってバカだなんて!」 京太郎「いや、ダンボール箱抱えて山を下れって方がひどいだろ」 「大丈夫よ、お父さんも協力してくれるらしいし。ね?」 京太郎「そうなの?」 「いや、初耳」 京太郎「って言ってるけど」 「ダメ……?」 「……しょうがないなぁ」 京太郎(うわー、母さんに甘いなぁ) 「というわけだ。二人で行くぞ」 京太郎「はぁ……わかったよ。それで、いつ取りに行けばいいのさ」 「これからね」 京太郎「ちょっと急すぎない!?」 「こりゃ、断られることは想定してなかったな」 「もちろんよ。だって、二人のこと信じてたもの!」 京太郎「……バカじゃねぇの?」 「ひどいっ」 初美「んしょ……ふぅ、ここまで来たら後は一人でも大丈夫なのですよ」 春「私が行ってもいいけど」 初美「いえいえ、厳正なジャンケンの結果なのですよ」 春「どうしてもと言うなら代わってもいい」 初美「そもそも代わってほしいとは言ってないですねー」 春「私も行きたい」 初美「キレイさっぱり諦めるのですよ」 春「くっ……」グヌヌ 春「……わかった。陽動は任せて」 初美「お願いするのですよ。ブツを運び終わる前に感づかれたら厄介ですからねー」 春「そっちも、黒糖は任せたから」 初美「まさかダンボール箱二つ分も備蓄があるとは……」 春「買い出しに行く前でよかった」 初美「買い足す必要性がまったく見当たらないのですよ」 京太郎「うおっと……まだまだ山は雪あるな」 「気をつけろよ? 荷物受け取る前にダウンなんてカッコつかないからな」 京太郎「わかってるってば」 「案外近くまで車で登ってこられたのはラッキーだったな」 京太郎「というか、俺一人で来てたらどんなことになってたんだよ……」 「面白いことになってたんじゃないか?」 京太郎「笑えないっての」 初美「あ、やっと来た! こっちですよ、こっちー!」 京太郎「待たせたか?」 初美「んーと、五分ぐらいですかね?」 京太郎「具体的な時間指定もなかったのにジャストだな」 初美「ですねー」 「運ぶのはそこのダンボールでいいのかな?」 初美「あ、お久しぶりなのですよ」 「こっちこそね。さ、冷えるから早く運び込んじゃおうか」 初美「お願いするのですよ」 京太郎「ふぅ……一個だけやたら重かったな」 初美「私のやつですねー。漫画類がぎっしりなのですよ」 京太郎「どうりで……」 「あとの二つは他の人の分かな?」 初美「はるるのですね。主に黒糖」 京太郎「……二箱分も?」 初美「近いうちに買い足す予定だったとか」 京太郎「尋常じゃねーな」 「ははは、よっぽど好きなんだな」 京太郎「本当だよな……黒糖を隠すってことは、戒能さんとなんかあったのか?」 初美「さぁ、どうでしょうねー」 京太郎「まぁ、それはいつものことか」 京太郎「そんで、お前はすぐ戻るのか?」 初美「おやおや? そっちからお誘いとは珍しいのですよ」 京太郎「別に誘ってるわけじゃないから。いつもはなにかと理由つけて押しかけてくるだろ」 初美「あまり長く不在にしてると怪しまれちゃいますから」 京太郎「そうか? じゃ、気をつけて帰れよ」 初美「むぅ、素っ気なさすぎなのですよ」 京太郎「なんだ、高い高いでもしてやろうか?」 初美「蹴られたいのならやってみるといいのですよ」 京太郎「ははっ、冗談だって」 初美「もうっ、ちょっとこっちに来るのですよ!」グイグイ 「どこ行くんだー? って、聞こえてないか」 「仕方ないな、俺も一服するか」シュボッ 初美「……えいっ」ギュッ 京太郎「相変わらず軽いなー」 初美「年頃の女の子に抱きつかれてその反応はなんですかっ」 京太郎「色々と物足りないんじゃないか?」 初美「どういう意味ですかっ!」 京太郎「さぁてね」 初美「こうなったら……んっ」チュッ 初美「こ、これで……参りましたかー?」 京太郎「ぎゃふん……って言えばいいのか?」 初美「バカにしてるのが見え見えなのですよ!」 京太郎「まぁ、ほっぺたぐらいで参ったとは言えないよな」 初美「じゃあ、今度は……」グイッ 初美「……」 京太郎「……」ジー 初美「うぅ……」モジモジ 京太郎「なんだ、なにもしないのか?」 初美「ど、どうしてジッと見てるですか」 京太郎「なにされるか気になるからな」 初美「気になってできないのですよ……」 京太郎「この前は馬乗りになってしてきたくせにな」 初美「あれは! ……ヤケになってたというかですね」 京太郎「それとも――こっちからしようか?」クイッ 初美「ひゃわ!」 初美「な、なんのつもりなのですか?」 京太郎「お前もしようとしてただろ」 初美「……本気なのですか?」 京太郎「良い機会だから言っておくけど――」 「うわっ」ズシャ 京太郎「……親父?」 「まいったな、気をつけろって言った俺が雪に足を取られるなんてな」 初美「はわわ……」カァァ 「お構いなくって雰囲気でもないな……写真撮ったけど見るか?」 京太郎「写真?」 「ほら、見つめあった二人の」 京太郎「あっ、いつの間に撮ったんだよ!」 「呼びに来たらいい雰囲気だったから、記念だな」 京太郎「今すぐ消してくれ」 「お、そうだ。初美ちゃん、一枚いるかい?」 京太郎「聞けよっ」 初美「あ、欲しいのですよ」 京太郎「もらうのかよ!」 「じゃあ、コンビニに寄りがてらお茶でもどうかな? 一息入れるぐらいだったら、時間も大丈夫だと思うよ」 初美「うーん、そういうことならお言葉に甘えちゃいますねー」 京太郎「あーもう、勝手にしてくれ……」 「さて、見送りも終わったし俺らも帰るか?」 京太郎「だな」 「ところで、言わなくて良かったのか?」 京太郎「何の話さ」 「神境の子達の中じゃ、初美ちゃんが一番母さんに似てるよな、性格的に」 京太郎「だから何の話だっての」 「お前って意外とマザコンだったのかって話」 京太郎「親父」 「なんだ?」 京太郎「叩いていいかな?」 「ダメだ」 京太郎「……まぁ、伝えたいことはあったけど、やっぱり俺が向こう行くときでいいかなって」 「そういうことならいいんだけどな。出発は週末だったな」 京太郎「気ままに楽しんでくるよ」 「お土産に期待しておこうか」 京太郎「んじゃ、蜂の子でも買って帰ってくる」 「そこに売ってるのじゃないか」 京太郎「じゃあおやきで」 「せめて県外の物にしろよ」 京太郎「逆にさ、お土産に買うようなものって普段は食べなくない?」 「たしかにな」 京太郎「というわけで、信州そばでも」 「やっぱり県外の買ってこい」 初美「さ、大掃除なのですよ♪」 霞「……なんだか楽しそうね」 春「うん」 霞「いつもは多少面倒そうにしているのに」 春「たしかに」ポリポリ 春(マズい、つい二袋目を食べてしまった) 春(霞さんと姉さんは結託してる) 春(このままじゃ、取り上げられちゃう……!) 霞「それじゃあ、私は上から埃を落としていくから、窓拭きをお願いね」 春「……あれ?」 霞「どうしたの?」 春「姉さんに頼まれてたんじゃ……」 霞「戒能さんに? たしかにこの前、連れ回され……じゃなくて、一緒にお買い物はしたけれど」 春「それだけなの?」 霞「それだけね。戒能さんに用事でもあった?」 春「……はっちゃんに騙された」 初美「ふんふふーん♪」 霞「初美ちゃん、ちょっとお話があるのだけど」 初美「なんですかー? 私には隠してるものなんてないのですよ」 霞「ここには、でしょ?」 初美「ちょっとなんのことかわかりませんねー」 霞「春ちゃんから事情は聞かせてもらったわ」 初美「まさか……」 春「よくも騙してくれた」 初美「はるる、裏切ったのですか!」 春「お互い様」 霞「なにを誰に預けたのか、全部聞いたわ」 初美「くっ……だ、大体、霞ちゃんが取り上げようとするのがいけないのですよ!」 霞「あんな……は、破廉恥な漫画を隠し持っているのが問題なのよ!」 初美「なにが破廉恥ですか! あんなの少女漫画じゃ普通なのですよ!」 霞「……とにかく、小蒔ちゃんに悪い影響があるといけないわ」 初美「……」 初美(今でも時々貸してるなんて言ったら、もっと怒られちゃいますかね?) 初美「と、とりあえず、ここはお掃除の方を優先して……」ソロー 霞「待ちなさいっ」ガシッ 初美「あっ」ポロッ 春「写真?」 霞「……これは、どういうこと?」 初美「見られちゃいましたか……」 霞「初美ちゃん、答えて」 初美「……見ての通りなのですよ」 霞「これが許されると思っているの? 私たちは――」 初美「それは、霞ちゃんの考えなのですよ」 初美「たしかに私たちは姫様に仕える六女仙……」 初美「でも、その前に私たちは私たちなのですよ」 初美「自分の気持ちを偽り続けて、そんなの耐え切れなくなるに決まっているのですよ……!」 春「はっちゃん……」 霞「……」グッ 初美「あ……」 初美(マジギレの予兆ですねー) 初美(……私もついつい熱くなっちゃいましたか) 初美(しかし、どうしましょうか) 初美(正直、逃げたいのですよ) 初美(でも、確実に禍根は残っちゃいますねー) 初美(うーん……) 『とにかく、逃げたきゃ逃げればいいさ』 『それで首が回らなくなったら、俺がなんとかしてやるよ』 初美(……なんとかしてもらっちゃいますか) 初美(責任、取ってもらうのですよ) 初美「というわけで、今から修行に行ってくるのですよ」ダッ 霞「――っ、待ちなさい!」 京太郎「いい朝……ってほど早くもないか」 京太郎「まぁ、とりあえず晴れて良かったよ」 京太郎「さっさと山抜けて……えっと、どこ向かってんだっけ?」 京太郎「……地図見るか」 京太郎「現在地は……ここら辺か?」 京太郎「うーん、ナビでも付けときゃよかったな」 京太郎「このまま進んでったら……」 ――ガサガサッ 京太郎「あん?」 初美「わ、わっ、どけるのですよっ」ガサッ 京太郎「うおっ」ガシッ 京太郎「っと、危ないな。いきなり飛び出してくるなんて野生のポケモンかよ」 初美「う~……って、あれ? どうしてあなたが……」 京太郎「今度はなんだよ。鬼ごっこでもしてんのか?」 初美「そうなのですよっ、鬼が来るのですよ!」 京太郎「はぁ?」 初美「わ、私は隠れるからなんとかお願いするのですよっ」ソソクサ 京太郎「おい、まったく話が――」 霞「初美ちゃん、今日という今日は……! あら?」 京太郎「よう、久しぶり。鬼ごっこか?」 霞「ど、どうしてあなたがここに……」 京太郎「そりゃこっちのセリフだ。まぁ、俺はただの通りすがりだけどな」 霞「そう……初美ちゃんを見なかった?」 京太郎「さあ、見てないな」 霞「ごめんなさいね、煩わせてしまって。それじゃあ――」 京太郎「ちょっと待て。どこ行く気だ?」ガシッ 霞「初美ちゃんを探しに行くわ」 京太郎「お前ら、まさかとは思うけど、神境から追いかけっこしてるんじゃないだろうな?」 霞「……初美ちゃんが逃げるからよ」 京太郎「……まぁいいや。とりあえずお前は戻れよ」 霞「いいえ、初美ちゃんを捕まえるまでは――」 京太郎「ていっ」ビシッ 霞「いたっ……ちょっと、どういうつもりなのかしら?」 京太郎「頭冷やせって言ってるんだよ。何があったかは知らんけど、自分が冷静じゃないってのはわかってるよな?」 霞「……」 京太郎「あいつは俺が見つけておく。ちゃんと帰すから安心しろ」 霞「そう、ね……お願いしてもいいかしら?」 京太郎「任せとけ」 初美「……終わりましたかー?」ソロー 京太郎「とりあえずは帰ったみたいだな」 初美「ふぅ、今日という今日はダメかと思ったのですよ」 京太郎「というか、お前らけっこう私用でワープしてくるな」 初美「使わないともったいないのですよ」 京太郎「それもそうだ。で、またトラブルか?」 初美「それは……私が熱くなって、つい霞ちゃんの逆鱗に触れちゃった感じですねー」 京太郎「逆鱗、ねぇ」 『あなたにそれを言われたら、私は……』 京太郎「それで逃げてきたってところか」 初美「マジギレの予兆があったのですよ……今戻ったらどうなるか」 京太郎「……しょうがないな、一回うちに戻るか」 「あら、いらっしゃい初美ちゃん」 初美「お久しぶりなのですよ」 京太郎「母さん、ちょっとの間でいいから泊めてやってくれないかな」 「なになに、駆け落ち?」 京太郎「ちがうわっ。なんか向こうでトラブったみたいでさ、そのほとぼりが冷めるまで」 「ふーん、なるほど……ちょっと待っててね」 「はい、これが着替えで、こっちが――」 京太郎「ちょっと待った! なにこの荷物」 「初美ちゃんのよ」 初美「私のですか?」 京太郎「……つまり、俺に送ってけってことか」 「だって、やっぱり一人で卒業旅行なんて寂しいじゃない」 京太郎「そういう問題じゃないだろ……」 「旅は道連れ世は情けって言うじゃない? それに――」 「初美ちゃんを選んだんでしょ?」ボソッ 「せっかくだから楽しんできちゃいなさいよ」 京太郎「はぁ……抵抗しても無駄か」 「はい、これ軍資金ね」 初美「わっ、こんなに……」 京太郎「ほら、行くぞ」 初美「ついていってもいいのですか?」 京太郎「ま、お前とだったら楽しめるんじゃないか?」 初美「まずはどこからですかね?」 京太郎「とりあえず西だな。そうしてりゃそのうち鹿児島だ」 初美「うーん、今更ながら怖いのですよ……」 京太郎「ま、なるようになるってな」 初美「そういえば、あの時はなにを言おうとしてたのですか?」 京太郎「そりゃあ……あれだ、むこう着いたら教える」 初美「ぶぅ、もったいぶっちゃって!」 京太郎「もったいぶりたくもなるっての」 初美「もう……責任、取ってもらうのですよ」 京太郎「そうだな。まぁ、さしあたっては神境に着いた時か」 初美「そう、ですね……」ギュッ 京太郎「……傍にいてやるよ」 初美「え?」 京太郎「前になんとかしてやるって言ったしな」 初美「……やっぱり、あなたの傍にいたいのですよ」 京太郎「好きにしろよ」 初美「あなたは、どうなのですか?」 京太郎「俺はな……これだ」グイッ 初美「んんっ」 京太郎「――いやって言っても、はなしてやらないからな」 初美「……はい」 京太郎「あ、しまった」 初美「どうかしたのですか?」 京太郎「向こうで伝える予定だったのに……悪い、さっきの忘れてくれ」 初美「むぅ、なんですかそれっ!」 京太郎「いてっ、暴れんな!」 初美「ぜったいに、ぜーったいに忘れてなんか上げないのですよ!」 京太郎「わかった、わかったから暴れんなって!」 『エンディング――あなたの傍で』
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Yuri 側面視点ACT 横スク ACTADV 1,499円(税込)281MB→310MB 指のウォーミングアップを行ない、目を閉じて深く深呼吸・・・あなたは今、Yuriの世界の奥深くへと入り込んでいくところです。 Yuriは独特な雰囲気を持つプラットフォーム・ゲームです。 Yuriに障害を乗り越えさせ、その神秘的な旅を成功させるには、器用さ、好奇心、そして、時には少し距離を置くことが必要となります。 たくさんの秘密の通り道や秘められた記憶があふれる、有機的で繊細な世界を冒険してください。 Yuriは6年という長い時間をかけ、アンジュとオレリアンというポティエ兄弟によって愛情を込めて開発された、素晴らしい独立プロジェクトです。 素敵なデッサンや魅惑的なサウンドトラックとともに、詩的でチャレンジングなYuriの独自の世界が広がります。 神秘的な原生林、地球の奥深く、家族の古い家、Yuriが秘めている夢、そして無限の空間を探検する覚悟を決め、この幻想的な旅に出発しましょう・・・ 準備はいいですか? メーカー Fingerlab 配信日 2019年10月31日 対応ハード Nintendo Switch セーブデータお預かり対応 対応コントローラー Nintendo Switch Proコントローラー タッチスクリーン プレイモード TVモード, テーブルモード, 携帯モード プレイ人数× 1 対応言語 日本語, 英語, スペイン語, フランス語, ドイツ語, イタリア語, ロシア語, 韓国語, 中国語 レーティング CERO A 2019年10月30日 23 59 まで割引価格でお買い求めいただけます。 yuri、たわい無いゲームだけど 雰囲気とグラフィックとレスポンスが 物凄くいいな。 -- 名無しさん (2019-11-17 20 44 18) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/puyokei/pages/342.html
※元は「ドラミ ドラえもんズ ロボット学校七不思議!?」の主題歌 眠れない夜はいつだって 瞳を閉じて そっと耳をすませて… 聞こえるでしょう?あなたの優しくて…あのmelodyが… 私はそれを聴くと…いつも涙が流れ落ちてしまうの… 切ない程の…涙が連れてくれるのよ hallelujah いつまでも あなたを忘れないわ もう一度…その胸に抱かれ…眠りたい 「あなたを忘れない…」 あの時… 私は彼にとって大切なものをプレゼントした 今思えば なぜこんなに胸が熱くなったのでしょう… また彼も…私を見て…胸が熱くなっているのであろうか… 桜の散る…あの卒業式で… Wow wow wow hallelujah Wow wow wow hallelujah あなたを忘れない
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とある神社に奉られている霊樹があった。 霊樹に耳を当てて音が聞こえると御利益があるとされ、参拝客が絶えず神社は賑わっていた。 そんな神社に友人と訪れるあなた。 友人と一緒に霊樹に耳を当ててみるが当然何も聞こえず、笑いながら友人に話しかけるあなた。 だが友人の顔は真っ青になっており、手足は震え続けていた。 「涙を流しながらも笑い続けている子供のような老人のような、女性のような声が聞こえた」 友人に対して何があったのかと尋ねるとこう答えるのだ。 もう一度霊樹に耳を当ててもやはり何も聞こえず、友人は体調が悪いのだろうと、家に帰らせるあなた。 だがその次の日、あなたの元へ友人の家族から友人が居なくなったと伝えられる。 どこを探しても友人はいなかった、が深夜のうちにあの神社の近くで見かけたと言う人はいた。 神社の神主に友人が来ていないか尋ねるも、神主は何も知らなかった。 落胆しながら帰ろうとするあなたの耳に、友人の声が聞こえた気がした。 声が聞こえたと思われる方を見ると、そこには霊樹が。 嫌な予感を覚えながら霊樹に耳を当てると… 「あっははははっははははは…」「ふふふっふふっふふふふ…」 「かっかっかっか…」「うぇひひひひ…」「いっひひひひひひっひひ…」 そんなたくさんの笑い声が聞こえた。友人の恐怖に涙しながら笑うような声も。 クトゥルフ神話TRPG シナリオ名『あなたの声は』 「…ははっ、アハハハハハハッハハ!」 最後に聞こえるのは、貴方自身の笑い声。 名前 コメント すべてのコメントを見る
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「・・・と、いう訳です。」 「・・・そだ・・・」 「え?」 「嘘 だ ッ ッ ! !」 シンの目の前には、泣きながら全身を怒りに震わす中年の男が居た。 泉そうじろうその人である。理由はもちろん・・・ 「こたながッ!こなたにすきなひどがsjftあせふlじこ;@」 「ちょ、ちょっと!落ち着いてください!!」 まったく厄介な依頼を引き受けたものである。 当初のシンの予想通り、こなたの件を聞いたそうじろうはやはり激怒した。 まぁあれだけ溺愛しているのだから仕方ないといえば仕方ないのだが・・・。 それにしてもこの怒り様は異常である。このまま相手を撃滅しそうな勢いだ。 「俺はあくまでもこなたの友達から聞いた話をいっただけですよ! あいつ本人から聞いたわけじゃ・・・」 「いや、かがみちゃんが言うんだから間違いない… ちくしょう…ちくしょぉぉぉおおおおーーーーーー!!」 これはもう駄目かもしれない。シンの瞼には、そうじろうさんにフルボッコされる男子の姿が浮かぶ。 可愛そうに…こなたに好かれた為に・・・。そう思い少しその男子に同情すら覚えた。 「シン!!」 「…はい?」 「君に第二のミッションを与える。その男を突き止め…俺の前につれて来い!!」 「え!俺が、ですか…」 「シンならやってくれる、よね?」 「いやでも…」 「よね?よね?」 「…わ、わかりましたよ。やればいいんでしょ、やれば!」 「戦果を期待する!!」 鉈でも隠してそうなその雰囲気に、嫌という選択肢はシンには残されていなかった。 普段温厚な人ほど、怒ったら怖い。その意味を今深く理解したシンだった。 書斎を出て居間へ。そこにはゲームに興じるこなたとゆたかの姿が。 「あ、シンお兄ちゃん。おじさんと何話してたの?」 愛くるしい笑顔で問いかけてくるゆたかに、シンは苦笑いであいまいな返事をするしかなかった。 「い、いや~、まぁその、色々と。」 「駄目だよゆーちゃん、男が二人で話しこむっていったら…ねぇ?」 ゲームをする手を止め、こなたが目を細めてこちらを見ている。 「なにがだよ、何が。」 「フッフッフー。さぁてねぇ」 「???」 頭上に『?』を浮かべるゆたかと、いやらしい笑い方をするこなた。 誰のせいでこんな面倒なことを背負い込んだのか・・・ 今すぐぶちまけてやりたかったが・・・そこは我慢してため息にすり替えた。 「ッ・・・ハァ~・・・もういい・・・」 それっきりにして自室へ戻ろう。そう思い居間を出ようとした時だった。 「あ、シンお兄ちゃん!」 ゆたかの声にシンは足を止めた。 「ん?何だゆたか?」 「うん、えっとね、明日なんだけど・・・」 なぜか言い出し辛そうなゆたかに変わって青いアホ毛のちんちくりんが続きを語った。 「あたしとゆーちゃんで明日お弁当作るんだけど、シンの分もつくってあげようか?」 「うん、もしシンお兄ちゃんがよかったら、だけど・・・」 「弁当か・・・」 意外な申し出だった。ゆたかもこなたも料理については全く文句のつけようが無いため、味の保障は十二分にある。 さらに、シンの今の財布の中身を考慮すると少しでも昼食など出費は抑えたかった。 (特に断る理由も無いか・・・) シンはその申し出を受け入れることにした。 「ああ、じゃあついでによろしく頼むよ」 ゆたかの嬉しそうな顔と、終始ニヤニヤのこなたが印象的だった。 ―――翌日。 (弁当か・・・) 鞄の中にはこなたとゆたかが早起きして作った弁当が入っている。 長いこと一人での生活だったシンにとって、誰かに弁当を作ってもらう事はある意味で新鮮だった。 不思議な感覚だな。そう思いながら靴箱で靴を履き替える。 「お、あの後姿は?」 紫の長い髪を二つに結んだツインテールが、シンの少し前を歩いていく。 「おーい、かがみ」 「え・・・あ、シン・・・」 振り返ったその顔は、柊かがみその人だった。 が、その顔はいつもと少し違った印象を受けたのはシンの気のせいだろうか。 「オッス。どうした、元気ないな」 「別に・・・そんな事無いわよ」 「そうか?俺はてっきりお菓子の食べすぎかと・・・いや悪い!冗談だ!」 いつもなら、ここで確実に鋭いツッコミが入ってくるところだった。 もちろん、シンもそれに備えて防御の体制をとっていた。しかし。 「そうかもね。それだといいんだけど。」 「え?あ、ああ・・・」 やはりおかしい。ここ最近、かがみに元気が無い。 シンといえど、それぐらいは気づくのだ。 「なぁ、本当にどっか悪いのか?」 「別に。何とも無いわよ」 「そんなわけないだろ、何か変だぞ?」 「何とも無いって」 「いやでも・・・」 「だから!私は何でもないって!!」 昨日の今日で、まだ心の整理も出来ていない。 その状況で好きな男に自分を心配される。かがみにはそれが耐え難いものだった。 そんな中、募った不安や不満が大きな声となって出てしまった。 「なんだよ、なんでそこまで怒るんだよアンタは!?」 売り言葉に買い言葉、シンも声を荒げて答える。 無論、シンにその理由は分からないのだから、シンからしてみれば大声を出されるいわれ等ないのだ。 「ハッ!人が心配してるのにその態度はないだろ!もういい、勝手にしろ!」 そう言ってかがみに背を向け、逆方向に歩いていく。 背中で何か声がしたが、シンは聞こえないことにしてその場から立ち去った。 「クソッ!なんなんだよあいつは・・・あ、これ美味いな」 シンは今朝の出来事に怒りながらもしっかりと弁当は味わっていた。 「おーっすシン、飯食おう…って、なんだ今日は弁当か?」 「白石」 「いいねぇ、愛妻弁当か。かー、俺も作ってもらいたいもんだ」 「そんなんじゃない、ついでに作ってもらったんだよ。」 「ついででそこまで作ってくれるとは、お前の嫁さんは働きものだねぇ」 昼食はいつも売店な白石の冷やかしを受け流しつつ (やっぱりこなたの玉子焼きは美味いな。) そんな事を考えながらこなたとゆたかの弁当をモリモリ食べる。 * 「食った食った。」 白石のしょうもない世間話やバイトの愚痴を聞きながらでも、弁当は美味かった。 (出来ればたまに食べたいな・・・) 弁当を包みながら白石と雑談をしていた時・・・ 「おいウサ眼!」 聞き覚えのあるその声。というかシンをそう呼ぶのはこの学校でも彼女だけだろう。 「みさお・・・と、あやのさん?」 昨日と言い今日といい、どうしてこう白石と話していたら来客があるのだろう。 白石には時報ならぬ呼び鈴のような特性でもあるのか? 「アスカくん。ちょっといいかしら?」 意見するといつものようにニコニコしているが、その眼は・・・笑っていない。 ちなみにみさおはいつものままだ。 「俺はいいですけど、白いs」 そこに既に白石の姿は無かった。相変わらず、奴には厄介ごとから逃げる素晴らしい能力があるのだろう。 「ここじゃあ何だから、ちょっと表で話しましょうか」 「ウサ眼~覚悟しろよ~?」 「みさちゃん」 「・・・悪いあやの…」 なんだ、今度は何が起こるんだ・・・シンの第六感が、この先起こるであろう面倒ごとにビンビンに反応していた。 * 「で、話っていうのは?」 シンの言葉に振り向いたあやのに、先ほどまでの笑顔は無かった。 「あなた、柊ちゃんに何をしたの?」 その眼には怒りの感情が見て取れた。 =続く= 戻る
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元スレURL 【安価】あなた「怖い話?」 概要 安価で語る幼馴染?の怖い話 ……本当に? タグ ^上原歩夢 ^あなた ^短編 ^安価 ^ホラー これ即興で作ったとか信じられん…… -- 名無しさん (2021-01-14 08 06 24) 名前 コメント