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【検索用 100ねんこのあなたへ 登録タグ VOCALOID その他の文字 なっとくP 初音ミク 曲 曲他】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:なっとくP 作曲:なっとくP 編曲:なっとくP 絵:なっとくP 唄:初音ミク 曲紹介 曲名:『100年後のあなたへ』(100ねんごのあなたへ) 歌詞 今 何年ですか どこに住んでますか 森は何色ですか 空は何色ですか 今日は2025年の 12月の10日です ここは京都の海沿いの 北の北の端です いつもの冷凍食品は 50年分あるけど ひとの手料理が恋しくて 2年ぶりに外へ出ました 家はつぶれてました 学校も壊れてました 森は焼けてました 空も燃えてました 明日もう1日だけ 外に出てみます 父とよく行った海へ このテープを流します 今 何年ですか どこに住んでますか 森は何色ですか 空は何色ですか 家族はいますか 友達はいますか 笑ってますか 笑ってますか コメント ボカロで泣いたのは2作目だ・・・ -- 名無しさん (2009-11-14 17 24 38) コメも泣けた… -- 名無しさん (2010-02-26 20 25 13) KAITOが歌ってるのもありますよね。これは泣けました…。 -- 名無しさん (2011-01-13 18 10 47) これは久々に泣いた -- 名無しさん (2011-07-31 05 59 04) え、これ殿堂入りしてないの?こんなにいい曲なのに? -- 名無しさん (2011-07-31 07 37 06) 今まで聞いたボカロ曲の中でもこれ程本気で泣かされた事はなかなかないです… -- 名無しさん (2011-08-10 02 38 54) 話がリアルすぎて怖くなったのは私だけ? -- 名無しさん (2011-08-10 08 10 59) Cold Sleep?的な世紀末の情景が・・・。でも西洋建築なら築1000年は珍しくないし、案外建物だけは残っているかも。画像とテーマが暗いけど、シビアさではかなり真面目な歌詞。 -- nyoho (2012-03-09 02 41 28) 100年後なんてww自分生きてねぇよww コメント少なすぎワラタww -- 名無しさん (2012-03-22 16 52 06) やばい、泣ける。マジすごい。 -- 名無しさん (2012-08-14 21 26 48) まだ聞いてないけどタイトルからしてネ申曲!! -- アリス スクリュー? (2012-11-29 17 58 47) 2か月ぐらい前にこの歌聞いてリアルすぎてマジ泣きして家族が「病院!救急車よんで!」っていっていたの今でも思い出します。 -- 竜堂ルナ (2016-03-17 21 11 22) 名前 コメント
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あなたへの手紙◆yvUxRPre9c ここはG-7の駅、電車をホームから続く通路は何者かによって破壊されている。 何か戦闘があったのか、それとも心無い破壊者によって破壊されたのか 4人はその真実がどんなものかを知らないがまだいるかもしれない破壊者に警戒 しながらホームから駅舎の方へと向かっていった。 夜が明ける前に、電車に乗り遅れそうになった橘あすかがホームまでショートカットするために 破壊したなど4人は知る由も無い。 駅舎についた4人はまずこの駅を簡単に探索してみようと沙都子が提案をしたので 4人は簡単に駅構内を探索することにした。 人の気配はしないものの戦った痕跡はあるので、誰が破壊したのかという事が分かれば御の字 と考えており他の3人も快諾してくれた。 所々に誰かが調べた跡が見つかったものの1階の駅員室や倉庫を調べてもめぼしい物は見つからない そして一行はまだ見ていない2階へと向かい階段の前にある部屋の扉を開けた。 一番手に入ったグラハムは扉の中を見るや否や 「来るな!!!」 突然のグラハムの警告に気を取られながらもすぐ後ろにいた沙都子は部屋の中に目を向けてしまった。 「一体なにがありまし……ひっっ!!」 部屋の中は他の部屋とは比べ物にならないほど荒れ果てており場所によっては抉り取られたような痕跡すら伺える。 もっとも、グラハムが警告した一番の理由、それは誰のものとも知らない上半身を失い大量の血が湧き出ていた。 亡骸が地べたに転がっていたからである。 「悲しい…とても悲しい話をしよう、扉を開けたら何者かの死体が見るも無残なな状態で放置されていた。 流石の俺も引いてしまうほどに悲惨な状態で、それを年端のいかない子どもの目の前に出してしまった。 こんなもの、子どもに見せるもんじゃない命の恩人Aの友達だからとかそれ以前の問題だろ!! いくら俺にもそれくらいの常識ってもんがあるだろう。。。それなのに俺はなんてことをああ悲しい、悲しい だからおっさん!せめてそこのアルルゥって子どもに部屋の様子をみせるな!」 すると、いわれるまでもないといった態度でアルルゥに部屋の中を見せまいとライダーはアルルゥを 連れてまだ探索をしていない3階へと向かっていった。 もっとも例え死体を見なくとも血の匂い、死体や血の匂いといった不快感は目に見なくても現場の不快感を想像するのは難しいことではないだろう。 実際に後ろに沙都子がいながら、血の臭いがする迂闊に扉を開けてしまったグラハムの失態なのかもしれない ただこんな殺し合いの舞台であってもあそこまで酷い状態になることは滅多に無いといっていいだろう。 一方の沙都子は最初に見た吉良吉影の死体に驚いて顔を歪めていたが一緒に転がっている小さな人形の足に気付いて ふと我に返る。足しか見つからないがどこかで見覚えのある足に沙都子はある可能性に気づいていた。それはこの殺し合いの会場につれて来られてすぐにであった 翠星石の双子の姉妹である蒼星石の亡骸であることを。 「これって」 翠星石の話に出てきたローゼンメイデンの名前は4人、によるとこの会場に来ているローゼンメイデンは翠星石さんを含めて4体連れて来られて うち、真紅と水銀燈の名前は呼ばれていない以上は蒼星石の足だというのは容易に想像できることかもしれないが、 もっとも前回の放送から少し時間が空いてしまったため真紅か水銀燈のどちらかが既に殺されている可能性やどちらかがこの死体だった人物と共に行動しており かろうじて助かった可能性もあるのだが既に放送で名前が呼ばれている蒼星石の足と見ていいだろう。沙都子はそう直感した。 「翠星石さんの大切な人がここで……」 ここに飛ばされて錯乱していた沙都子を何だかんだいいいつつも励ましてくれた翠星石にとっての大切な家族の亡骸の一部がここにある、 沙都子は手を合わせて祈るような格好をして心のどこかで願っていた、せめて天国で二人が仲良くしてくれるように そっと神様に願っていた。 ○ 「ふむ、変なものは特に無い……か。」 ライダーとアルルゥは3階の探索を始めていた、ただ待ち呆けている必要もないと言うことであったが とくにめぼしい発見は得られなかった。 強いて目に付いたことといえばこの建物の避難経路図といったところか、 やれやれと思いふとアルルゥの方を見てみると窓から外の様子を覗いていた。 ここから北へ向かれた窓から見えるものといえば湖、あるいはキャンプ場といったところか…… 「フム、ハクオロの言っていた最後の家族か……。」 名前も聞いたことの無い国、トゥスクルの王であるハクオロの家族、ハクオロの話によるとここに連れてこられた家族は アルルゥを除き既に皆放送で呼ばれているらしい。そしてもし見つけたら保護をしてほしいと頼まれていた。 だが、そのハクオロも先程の放送で既に名前を呼ばれている。そして何の縁か今は自分の目の前にいる。 まぁよいわ、他の仲間と同様に見極めるとするか、この子どもにも何かあるやもしれん、 何よりハクオロとの約束もあるし後で同盟に勧誘するのもいいだろう、 無論北条沙都子にしても同じことが言える。 サーヴァントの神秘のような特異な力は無いにしても この惨劇の中を生き抜くだけの力があるのだから。 そんなことを考えてるとアルルゥの目の前に何か小さな影が通り過ぎた。 小さな、影の主が3階の窓のすぐそばにやってきた。 ○ 「悲しい、悲しい話をしよう、俺は不自然な扉を見つけたんだ、だから何かあるんじゃないかと 決して見つけた手柄を自慢したかったわけじゃない、ただ、調べてきただけだ、 そしたら地面の下にも駅があるのではないか、だがそれだけだ、電車も来やしないし なによりただ開いていた扉に入っただけで自分の活躍にしようとしてたんだ、どんな小さな人間なんだ 結局なんの発見も出来てないのと同じだああ悲しい」 「そんなこと無いですわ、地図には載ってないこの地下鉄を見つけたことだけでも 大発見ですのに行き先まで分かってしまったのですから」 部屋を出た二人は開いていた扉から地下への階段を見つけて降りて行き地下鉄のホームを見つけたのであった。 しかしだからどうしたと鬱になんとかグラハムをなだめたところで沙都子は周囲を見回す [廃坑 ← G-7駅 →D-4駅] とかかれた駅の看板があり、地図と照らし合わせて だいたいのトンネルの位置は見当が付いた。 元の地図に載ってないこの地下鉄はこの殺し合いの参加者には知られてはいないであろう。 つまり他の参加者には無いアドバンテージを手に入れたのかもしれないのだ。 ひょっとしたら何かしらの逃げ道にでも仕えるかもしれないのだから十分大発見といって良いだろう。 そんな説得をしてグラハムを宥めた沙都子であったが地図にも無い秘密の地下鉄など 何か意味があるのかと考えていた、きっと何かしらの理由があるはずである。 そうでなければこんな大掛かりなトンネルを地図に載せない理由など無いのだから 何故かは分からないがわざわざ隠す何かしらの理由があることをトラップマスターとしての勘がそう告げていた。 「あと、気になるとしたら、こちらの看板でしょうか」 「どうしたんだ命の恩人Aの友人?」 妙な名前を付けられてガクッっと来たが沙都子は説明を続ける 「この看板一体何を言いたいのかさっぱり分かりませんわ」 ホームのベンチのすぐ横にある看板にはガッチリした体格の男性の絵で 『おとなはうそつきではないのです。まちがいをするだけなのです…。』 と書かれていた、何かのヒントにも見えないし広告や宣伝の類にも見えない。 ただ、男性が遊園地で出会った東方仗助とどこか雰囲気が似ているような気もするのだが… 「そう言われればそうかもしれないな、確かに看板ならば誰かに伝えなければ 意味が無いはずだそれなのにこんなものをどうして作ったのか それなのにどうして俺はそんなことに気づかなかったのだろうか ああ、悲しい、悲しいではないか」 そういって両手を看板にたたきつけようとしたが、グラハムの腕は当たるはずの看板をするりとすり抜けて しまった。その様子を二人は見逃さなかった。もっともグラハムは腕が当たるの思っていたせいか バランスを崩して看板の方に体を持っていかれて全身が看板の中に入り込んでしまった。 「グ、グラハムさん!!」 慌てて追いかけるように看板に飛び込む沙都子、本来ならばすぐに飛び込むべきではなかったのかもしれない ライダーさんとアルルゥさんを呼んだうえで飛び込むべきだったのかもしれない しかし後悔先に立たずとはよく言ったものだ、グラハムを追いかけて看板の中に飛び込んでしまった。 看板を抜けた先には薄暗い小さな部屋があった。 どういう仕組みだかは分からないが単純に隠し部屋と見ていいだろう。 「グラハムさん……ここって…」 「おお命の恩人Aの友人よお前も来たのか、だが俺も判らない物は分からない そんなものを答えられるか、分かることはただひとーつ!!部屋の中心の台座に 何か不思議なものが置いてあることのみだそれしか分からん」 とにかく台座においてあるものを確認してみようと台座を覗く、 そこに置いてあったもの 「これは……フィルム?」 沙都子自身映画に詳しいとは言えないであろう。 雛見沢に映画館はないしそもそも映画館の映写室など 簡単には入れる所ではないのだから 『始まり。』ただそう書かれていた不思議な円盤形の黒い物体 この形から沙都子が連想したもの、それは 「これ、映画を見るためのフィルムでは無いでしょうか?」 沙都子は映画用のフイルムなどTVで見たことは無いが他に心当たりが無かったのだ そしてもう一つ、この駅が映画館と目と鼻の先にあるので連想したのかもしれない ついさっきまで地図で地下鉄のルートを推測してすぐ近くにある映画館を 意識してしまったのかもしれないがこれを映画館にもって行けば何かしらの 中身が見えるかもしれないと考えてこの『フィルム』を持っていくことにした。 どっちにしても今のままだと映画館に向かう予定もあるのでそのときに調べればいいだろう もともとこんなところに置きっぱなしにしてても意味の無いことであろうし 沙都子は置いてあった『フィルム』をディパックに入れて元のホームに出た地上へと引き返していった。 ○ 「クルックー」 「鳥?…」 謎の鳴き声が聞こえて2人は階段から外を覗き込むと 「あっ、ねーねー」 「おお、お主たちそんなところにおったのか」 丁度2階から降りてくるライダーとアルルゥそしてアルルゥの肩に泊まる白い鳥の姿あった。 「あ、アルルゥさんその鳥は一体何なんですの?」 沙都子がそっとたずねる 「ん~とね、飛んできた」 「はっ?」 飛んできたことは飛んで来たで間違いは無いだろうが一体何故鳥がアルルゥの所に いるのか、そっちのが二人は気になっていた。 「いやいや、嘘ではないぞ、 アルルゥの奴が窓から外を見上げてると突然こいつがやってきたんだがのう。」 「おっさんお前には聞いてない」 何で飛んできたのかは分からないがまあアルルゥに危険を感じなかった、 ということで2人は納得した、アルルゥになついたことよりも 他に動物のいないこんな所に白い鳩がいたことの方が気になる問題であった。 「ところでお主たち下には何があったんじゃ?」 そういわれて沙都子は下にあった地下鉄そして映画館で使うフィルムのようなものを 取り出し、地下鉄の行き先とともに自分なりの説明を二人に説明した。 「えい…が?」 「ええ、おそらくは、ギラーミンが置いた意図が何かあるはずですわ おそらくは映画館に行けば中身が見えるはずです。」 「それと地下鉄なんですけれども、D-4方面と廃坑方面に進んでいるみたいでしたわ」 「川の……近く…?」 「そうか」 そう言われてライダーは地図と照らし合わせながら地下鉄の位置を確認する。 廃坑、もしレナ達が順調にすすんでいたのなら丁度この辺りだろうか そしてここの地下駅には炭鉱への1本道があり アルルゥにはなついた鳩が一羽いる。 「のう、アルルゥ、余にその鳩を貸してもらえんか?」 「えっ?」 今であったばかりの鳩を貸してほしいとライダーに頼まれたことに驚く 「ライダーさん、一体鳩をどうするつもりなんですの?」 「うむ、余の仲間が今廃坑のあたりにいるはずなんだが、 こうして御主達がここにいることを知らせておきたいからな」 「ん?」 アルルゥが首をかしげる 「それでその鳩を伝書鳩代わりに遣えるとおもってだな。 レナにしても沙都子が余と共に行動していることを教えておいたほうが 向こうも何かと気が楽になるとおもってな」 確かにそのとおりである。ライダーやグラハムもレナが仲間に会いたがっていたのは よく分かっているしそれは劇場で再会をした古手梨花にとっても同じだろう。 沙都子にしてもレナ達との合流の話は既にライダーから聞いているし なにより心配している友達と連絡を取れるのならば一刻も早く連絡を取り再会したい気持ちがあった。 伝書鳩、そのための連絡手段としてライダーが考え付いた方法である。 「なにより獣医師であればこやつと会話も出来るやもしれんしな」 「アルルゥさん私からもお願いしますわ勝手なことかも知れませんが 梨花達に私が無事であることを伝えたいんです。」 「わかった………出来る?」 鳩のほうを向いてアルルゥと目を向き合う出来るかどうかを問いただすために 鳩と目を向き合いながら何かを伝えようとしているのか 目を向けている。 鳩は何かを納得したように頷く アルルゥの様子からも恐らくはこっちの願いは通じたのだろうか 笑顔からその様子が伺える。 「これでよし!っですわね」 鳩の足に小さな手紙を結わえ付けて4人は地下鉄のホームへ向かう。 手紙には“征服王とレンチの男、命の恩人Aの友人と仮面の男の探し人と共に行かん”と 書かれていた。これならばレナ達に沙都子がいること、そしてグラハムと無事に合流できたことが わかるだろう、それに劇場で仮面の男ことハクオロがアルルゥを探していることは既に言ってある。 ハクオロ曰く他の家族もここに連れてこられたらしい、だが、ハクオロを含めてアルルゥ以外は 全員死んでしまったが、だがその仲間の意思を継いだ者がいたらどうだろうか こんなところにいるのなら仲間に子どもであるアルルゥを守ってほしいと託すことが多くなるのではないか、 だからこそ4人がいることを手紙に乗せることにした。 「それじゃあ、お願い」 そうアルルゥが頼むと鳩は羽ばたき暗闇へと進んでいった。 「でもライダーさん、確か伝書鳩というのは帰巣本能を利用したものだと聞いたことがありますわ それにトンネル内は暗くなっているので鳥目には厳しいものがあるのではありませんか?」 階段を昇る沙都子がふと思い出すように質問する。 確かに伝書鳩など一朝一夕で出来るものでは無い、でもアルルゥは 「大丈夫、あのこなら大丈夫だからねーねーも信じる」 自信を持って声を上げる。出会ったばっかりだけど信じたい かつて村を襲ったムティカパをおと~さん達が退治した時にその子どもを村人を 襲わないと信じたように今回も信じたい。 「確かにあの鳩に出した注文は無茶苦茶かもしれない、ああそうだ、それは間違いない だがそれだけの期待があるということだ、俺も信じる俺も信じるぞ 信じればいつかきっと願いがかなう、いやそんなにうまくはいかない 調子に乗るときっとどっかで失敗して……だめだだめだ弱気な発言なんかして はいけないのに何て事を言ってるんだああ、悲しい…悲しい」 「まあやってみないと分からんよ、でもまあ だいじょうぶであろう、心配などいらんわい」 「確かにもう行ってしまった以上はくよくよしてても仕方ないですわね そんなことより、早く映画館まで行きましょう、このフィルムの中身が 分かるかもしれませんから」 そういい残して4人は駅を後にして再び進みだした 果たして4人の出した手紙は無事にレナ達に届くのか そして無事に再会することは出来るのか 今はまだ分からないが……。 【G-7駅前 /一日目 夜】 【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に】 [状態]:健康、L3、深い悲しみ [装備]:レッドのニョロ@ポケットモンスターSPECIAL、 [道具]:支給品一式×2<沙都子、翠星石>、グラン・メテオ@ポケットモンスターSPECIAL、 翠星石のローザミスティカ@ローゼンメイデン、翠星石の亡骸首輪つき、 蒼星石の足@ローゼンメイデン 雛苺のローザミスティカ@ローゼンメイデン、オープニングの映像資料@○ロワオリジナル カビゴンのモンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL、ゴローニャのモンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL [思考・状況] 1:絶対にアルルゥを守り抜く。 2:ライダーとグラハムについていって、部活メンバーの生き残りと合流する。 3:真紅にローザミスティカを届ける。水銀燈には渡さない。 4:鳩に付けた手紙が無事に梨花達に届きますように。 ※参戦時期は具体的には不定。ただし、詩音を『ねーねー』と呼ぶほどに和解しています。『皆殺し編』の救出以降ではありません。 ※名簿は確認したようです。 ※雛見沢症候群の進度は具体的には不明。L5まで進行した場合、極度の疑心暗鬼と曲解傾向、事実を間違って認識し続ける、などの症状が現れます。 説得による鎮静は難しいですが不可能ではありません。治療薬があれば鎮静は可能ですが、この場にあるかどうかは不明です。 ※真紅、蒼星石、水銀燈に関しては名前しか知りません。 ※アルルゥの名を仗助から聞きましたが、アルルゥの家族の詳細についてはまだ把握していません(エルルゥ=姉のみ把握しました) ※ゼロと情報交換しましたが、どこまで教えられたかは不明です。 ※映画館に行けばDISCの中身を見ることが出来ると思っています。 ※地下道には何かがあるのではと考えています。 【アルルゥ@うたわれるもの】 [状態]睡眠、深い悲しみ、ダメージ(小) [装備]無し [道具]支給品×2<アルルゥ、仗助>、 不明支給品(0~1)<仗助> 、ひらりマント、トウカの刀@うたわれるもの [思考・状況] 1:もう誰とも別れたくない 2:鳩……… ※ここが危険な場所である事はなんとなく理解しましたがまだ正確な事態は掴めていません。 ※放送の内容を理解しました。エルルゥ達の死も認識しています。 ※鳩が飛んできてアルルゥに懐いています。 【チーム名:○同盟ライダー組】 1:主催者の打倒。 2:E-2駅からG-7駅に向かい、映画館、消防署、モールを訪れ21時までにB-4民家へ向かう。禁止エリアの場合H-4、G-4へ。 2:サカキ、ミュウツー、片目の男(カズマ)、赤髪の男(クレア)、リヴィオ、ラッド、電気の少女(美琴)を警戒。 クレアという女性、佐山、小鳥遊、アルルゥ、ヴァッシュを信用。アーチャーはやや信用。 ハクオロも一応信用。 真紅は情報不足で保留。 【ライダー(征服王イスカンダル)@Fate/Zero】 [状態]:魔力消費(中)、疲労(中)、腹部にダメージ(大)、全身に傷(小)および火傷(小) 腕に○印 [装備]:包帯、象剣ファンクフリード@ONE PIECE、 [道具]:基本支給品一式×3 、無毀なる湖光@Fate/Zero イリアス英語版、各作品世界の地図、ウシウシの実・野牛(モデル・バイソン)@ワンピース、 探知機、エレンディラのスーツケース(残弾90%)@トライガン・マキシマム ヤマハV-MAX@Fate/zero [思考・状況] 0:ここから予定通り進むか地下鉄で廃坑に行くか判断。 1:アーチャーより先にバトルロワイアルで自らの軍勢で優勝。 2:首輪を外すための手段を模索する。 3:北条沙都子とアルルゥを守る。 4:サーヴァントの宝具を集めて戦力にする。 5:有望な強者がいたら部下に勧誘する。 【備考】 ※原作ギルガメッシュ戦後よりの参戦です。 ※臣下を引きつれ優勝しギラーミンと戦い勝利しようと考えています。 本当にライダーと臣下達のみ残った場合ギラーミンがそれを認めるかは不明です。 ※レッド・レナ・チョッパー・グラハムの力を見極め改めて臣下にしようとしています。 ※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。 ※自分は既に受肉させられているのではと考えています。 ※ブケファラス召喚には制限でいつもより魔力を消費します ※北条沙都子、アルルゥもまずは同盟に勧誘して、見極めようとしています。 ※現在の魔力残量では『王の軍勢』をあと一度しか発動できません ※別世界から呼ばれたということを信じました。 ※会場のループを知りました。 【グラハム・スペクター@BACCANO!】 [状態] 疲労(中) ダメージ(中) 青いツナギ姿(いくらか傷) 腕に○印 [装備] 包帯 小型レンチ スモーカー大佐の十手@ONE PIECE [道具] 支給品一式、(一食分、水1/10消費。うち磁石は破損)、スペアポケット@ドラえもん、かぁいい服 海楼石の網@ONEPIECE、クリストファー・シャルドレードのデイパック [思考・状況] 1 当面は他のメンバーとの合流を目指す。 2 北条沙都子とアルルゥは守り抜く。 3 ウソップやレッドを殺した者を壊す。 4 イスカンダルに敵意。 5 殺し合い自体壊す 6 ラッドの兄貴と合流、交渉。兄貴がギラーミンを決定的に壊す! 7 イスカンダルの勧誘は断固拒否。 ※レッドたちがクレアを信用していることを知りません。 ※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。 ※ライダーからの伝聞により劇場での顛末を知りました。 ※クリストファー・シャルドレードのデイパックは、便宜的にグラハムが預かっています。 中身……大きめの首輪<ドラえもん>、基本支給品一式<エルルゥ>、マスケット銃用の弾丸50発 アミウダケ@ワンピース 、サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL 庭師の如雨露@ローゼンメイデン、グロック17@BLACK LAGOON(残弾0/17、予備弾薬15) 悟史の金属バット@ひぐらしのなく頃に 【支給品解説】 鳩@ワンピース 蒼星石が天候棒の練習中にファイン・テンポで飛び出した2羽の鳩のうちの1羽 なぜかアルルゥになついています。 現在地下鉄のトンネルを通り廃坑へ向けて飛んでいます。 オープニングの映像資料@○ロワオリジナル 今回開かれている惨劇の開始時に 参加者の集まったホールの映像が入ったフィルムで 映画館に行けば見ることが出来ます。 どこから撮っているか、誰が撮っているかは不明 またミュウツーとギラーミンの取引の所は 何らかの細工がされている可能性もあります。 時系列順で読む Back 忘れてはならないもう一人 Next 罪と罰(前編) 投下順で読む Back 裏表トリーズナーズ(前編) Next 三つの湖 Side-A Back Next 歩くような速さで グラハム・スペクター すくわれぬもの(You can not save me) 歩くような速さで ライダー(征服王イスカンダル) すくわれぬもの(You can not save me) 歩くような速さで 北条沙都子 すくわれぬもの(You can not save me) 歩くような速さで アルルゥ すくわれぬもの(You can not save me)
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No シナリオ名 内容 142 あなたのおかげです I 町で出会った商人は、英雄妖精を見て感謝してくる。よくわからないままの英雄妖精に、商人はアイテムをくれる。 ▼噂話 「商人見習いに恩を売るのは、いわゆる先物買いってやつさ。」 「武器や防具とかの名前の最後に+1とかついているのは、魔法によって威力や耐久度を高められた、印みたいなものなんだぜ。」 「才能というのは、ある日誰かの助言で一気に開花することもあるのじゃ。」 ▼イベント発生 発生エリア:I、II、III、IV(全エリア) 発生レベル:6、11 イベント276「どっち?」から派生 『ユニコーンの角』を所持している 町に入ると発生 【占い師】旅を安全にするには、魔法や道具を上手く利用することじゃ。 ▼イベント詳細 1.町に入ると商人にいきなり礼を言われ『メイジワンド』を貰う。 『ユニコーンの角』は無くなりイベント終了。
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あなたのまちのBDA【登録タグ MEIKO あ ナモナキP 初音ミク 曲】 作詞:ナモナキP 作曲:ナモナキP 編曲:ナモナキP 唄:長澤よしえ(MEIKO)・初音ミク(ネギ係) 曲紹介 BDA生誕1周年オメイコー! ナモナキPと絵師のトランプリン氏のユニット「BDA」結成1周年記念作品。 PVは絵師のトランプリン氏が手掛ける。 現在、ニコニコ動画では聴けなくなってしまっているので、聴きたい人はこちら。 歌詞 (muzieより耳コピ) (ネギネギネギネギネギ)×4 (バコーン!) アイツらがやって来たわ うひょうひょー ズルリ! その穴を隠したぜ! ハハハ ハレンチな二人組だよ でもね 綺麗には生きられる そんなつもりないけどね ※ dickに入ろうぜ!ピンクのアレを持って! メチャクチャな刺激で騒いで踊る 何も恥ずかしがる事などないよ常連! ズリズリしたなら アイツらが喜ぶ (間奏) ※くりかえし コメント 間奏がすっごくカッコいい!そして歌詞が酷い。(褒め言葉) -- 竜奇 (2013-06-15 19 34 55) 名前 コメント
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ある寒い日、私は学校から帰る途中だった。 「あ、猫ちゃん!」 黒い猫が目の前を通る。 「かわいい~。何だかセクシーだよ」 毛並みもつやつやしていて綺麗だ。見とれていたら、軽く尻尾を振って塀に飛び乗って行っちゃった。 「あ、行っちゃった……」 遊びたかったのに……。 「ん? 何これ?」 道に何か光るものが落ちている。拾ってみると、ギターのキーホルダーだった。 「へぇ、こんなのがあるんだ」 ギー太とデザインが違うけど、メタルレッドでかっこいい! 「あ、早く帰ってギー太の練習しなきゃ!」 キーホルダーをポケットに入れて私は急いで家に帰った。 「……ふぅ、そろそろ寝ようかな」 ギー太の練習もひと段落ついたので、私はベッドに入ろうとした。 ……んだけど、 「お、猫ちゃん!?」 ギー太をしまおうとしたら、部屋にあの黒猫がいた。 何で私の部屋に? 何だかわからないけど、改めてみるとかわいいなぁ。 「あなた、平沢唯ですね?」 「え……?」 見つめていると、目の前の黒猫が喋った! 「嘘!? 猫さん喋れるの!?」 「あ、いや、そんなにくっつかないで……あっ!」 「すごいねぇ! ねぇ、他には何しゃべれるの?」 「あああぁ、もう! 初仕事がこれなんて……」 猫さんは私の腕からするりと抜け出すと、軽く咳払いをした。 「死神王の命令により、あなたの命をいただきます」 「……?」 「あの……もっと驚いてもいいんじゃ?」 「いや、何だかかわいくて」 「むぅ……、そう言っていられるのも今のうちです!」 黒猫が一鳴きすると、体が光り出した。 「う……、何?」 光が収まると、黒髪でツインテールの女の子が現れた。 「おぉ……。天使みたい!」 「天使じゃないです! 死神です! し・に・が・み!」 「そうなの? こんなにかわいいのに」 「か、かわいいって……。そんなこといってもだめですからね!」 何だかよくわからないけど、ピンチなのかな? 「いでよむったん!」 ばっ! と勢いよく手を伸ばす死神さん。でも、何も起きない。 「……あ、あれ? いでよむったん!」 ……やっぱり何も起きない。 「あ、あれ?」 死神さんがすごく慌てている。やっぱりかわいい……。 「い、いでよむったん!」 私も何となく叫んでみた。 「何言って……、あれ?」 死神さんが私の腰当たりを見て驚いてる。 「何? どうし……、ってうわぁ!」 ギターのキーホルダーを入れておいたポケットから光が溢れている。 「む、むったん!」 「これが!?」 ポケットから取り出してみると、キーホルダーが大きくなって、本物のギターになった。 「おぉ! このギターすごくかっこいい!」 「か、返して!」 「えぇ? ちょっと弾かせてよ~」 「ふん! 人間なんかにむったんは弾けません!」 「む、私だってギタリストだからこれぐらい!」 ちょっとカチンと来た私は、むったんを掻き鳴らした。 「だから、無理だっ……、あれ?」 最初は雑音ばかり流れていたのに、少しずつ綺麗な音色が流れだした。 「そ、そんな……むったんが!」 「おおおぉ! 何だか気持ちいい……。もっといくよ!」 それからしばらく私はむったんを掻きならした。 「じゃーん……。はっ! ご、ごめん」 気がついたらかなり時間が経っていた。 死神さんが何だか落ち込んでいる。 「……」 「あ、あの、大丈夫?」 「……むったんが、弾けるなんて」 「あ、ごめん……。返すね?」 「むったんが弾けるなんて、それじゃあ死なないじゃないですか!!」 「はい!?」 死神さんが少し涙目で説明してくれた。 「このむったんで死のメロディーを聞かせて、そのまま命のエネルギーをもらうはずだったのに……」 「それなのに、この音を聞いても死なないし挙句の果てに演奏までしちゃって!」 「ご、ごめんなさい!」 何だか死神さんの都合の悪いことになったみたい。 「むったんは自分で選んだ奏者にしか音を出しません。そして、その者の望むものを与える……」 「何だかすごいギターだね」 「むったんが私より、あんな人間の思いに反応するなんて……なんたる屈辱!」 死神さんがすごく怒っている。どうしよう……。 「あの……私、何かまずいことをしたのでしょうか?」 「……むったんが弾ける人間ですから、話してもいいでしょう」 死神さんはムッとした表情で話してくれた。 「死神には命のエネルギーを奪う道具が1人に1つ与えられます。ある者は鎌、ある者は毒薬、ある者はノート……」 「で、死神さんのはこのむったんというわけだね」 「そうです。そして、その道具はみんな意思を持っていて扱う者を選びます」 「へぇ~、死神さんにもいろいろあるんだね」 「普通、道具は死神に仕えるものですが、稀に人間を選ぶ時があります」 「それが、私……」 「はい……。人間に道具を奪われた場合、死神はその者から道具を取り戻さなくてはいけません」 「で、どうするの?」 「もう一度道具に認められるか、選ばれた者が死ねば、自然とその所有権は奪われます」 「じゃあ……私を殺すの……?」 「いえ、死神は与えられた道具以外で命のエネルギーを奪うことは禁じられています」 「何だ……よかった」 「ですから、しばらくあなたのそばに居させてもらいます」 ……え? 「……本当?」 「私も不本意ですが、仕方ないです」 もじもじしながら死神さんが言う。っていうかこんなかわいい子としばらく一緒なの!? 「で、でも、私がむったんに認められればそこであなたの命のエネルギーをいただきます!」 「それは勘弁してほしいなぁ」 「だめです! それが私の使命ですから」 「じゃあ、私もむったんが奪われないようにがんばらなきゃ!」 「がんばらなくていいです!」 これからこの子とずっと一緒か……。何だか照れくさいな。 「そうだ、名前聞いてなかったね。なんて言うの?」 「……アズサです」 「アズサちゃんか……。さっきの猫の姿と合わせたらあずにゃんだね!」 「何で合わせるんですか!」 「だってそっちの方がかわいいよ?」 「か、かわいいって///。からかわないでください!」 もう、顔を真っ赤にしちゃってさ。本当にかわいいなぁ。 こうして、私は死神と一緒に暮らすことになりました。 「ふああぁ……」 夜に色んな事がありすぎて寝不足だよ……。 「あれ、あずにゃん?」 起きると、部屋にあずにゃんがいなかった。 「私はここです」 私の膝の上にぴょんと黒猫が乗った。 「猫さんになっちゃったの?」 「下手にあの姿でいると目立つので。あと、あずにゃんって呼ぶのやめてくれませんか?」 「いいじゃん。だってどう見たって猫さんだし」 「わっ! ちょっと、撫でないでください!」 「ほれほれ、いい子いい子~」 「はぅ……、うぅ……」 最初は抵抗していたけど、気持ちいいのか次第に喉まで鳴らし始めた。 「よしよし、この姿でいてくれるなら大丈夫かな」 「……飼いならされている気がする」 「大丈夫だよ。これからしばらく付き合っていくんだから」 「そ、そんな恋人みたいに言わないでください!」 「あれ? 死神さんは意外と初心なのね」 「なっ///。そ、そんなことないですよ!?」 こんなに動揺して、説得力無いよ。 「お姉ちゃん、休みの日だからってそろそろ起きないと……」 「あっ、憂」 「その猫どうしたの?」 しまった、憂はあずにゃんのこと知らないんだった。 「こ、これは昨日拾ってきたんだよ! ほら、外寒いしかわいそうだったから……」 「もう、勝手に連れてきちゃあメッ! だよ?」 「ゆ、許してつかぁさい……」 「お姉ちゃんらしいけどね」 憂は笑って許してくれた。よかった……。 「じゃあ、猫ちゃんにもご飯あげないとね」 「ごめんね。急に連れて帰ってきたのに」 「大丈夫だよ。さぁ、猫さんどうぞ」 魚の缶詰を開けて、あずにゃんの前に出した。 そう言えば、死神って何を食べるのかな? リンゴとかかな? 「あ、よかった。食べてる」 「そうだね」 魚、食べられるのか……。新たな発見だよ。 「しばらく家にいるんだったら、名前があったほうがいいよね?」 「大丈夫、もう決めたから」 「なんて名前にしたの?」 「うん、あずにゃんって名前にした」 その瞬間、あずにゃんがフーッ! って唸った。 「わ、ご、ごめん!」 「気に入ってないみたいだよ?」 「何でかな。かわいいのに」 あずにゃんはそっぽを向いてしまった。 「あ、そうだ。私今から買い物に行くからお留守番お願いしていい?」 「うん、任せてよ!」 正直あずにゃんを1人にして行けないし。 「じゃあ、行ってくるね」 「いってらっしゃ~い」 バタン……。 「ふぅ、この格好でいるのも楽じゃないです」 憂が出て行った途端に、あずにゃんは元の姿に戻った。 「そういえば、あずにゃんって誰にでも見えるの?」 「姿を消す能力は私には無いです。代わりに猫に変身できますけど。そ・れ・と!」 あずにゃんがずいずいと私に寄る。 「あずにゃんって呼ばないでください!」 「ご、ごめんね、あずにゃん……。はっ! これは、その……」 「……もう、いいです」 私のせいでいじけちゃった。ツンとしているのもかわいいなぁ。 「いじけないでよ~。悪いって思ってるよ」 「……全く、何でこんな人間がむったんに選ばれたのかわかりません」 「それは私も同じだよ」 「そうだ、唯、むったんを出してください」 「何で?」 「むったんに認められるように演奏するんです! 第一、もともと私のものです!」 「わ、わかったよ。いでよむったん!」 高々とキーホルダーを掲げて叫ぶと、光が溢れてむったんが現れた。 「さぁ、どうぞ」 「……行くよ、むったん!」 あずにゃんがむったんを下げて、軽く深呼吸をした。 そして─── 「おりゃああぁ!」 あずにゃんが必死にむったんを掻き鳴らすが、金属が軋むような音しか出てこない。 「まだまだぁ!」 それでもあきらめずに弾くあずにゃん。それでもむったんからは音色らしきものは奏でられていない。 それからしばらく、あずにゃんはむったんにしがみつく様に掻き鳴らしていた。 「はぁ……、はぁ……」 「……少し休んだら?」 あれからどれくらい経っただろうか。あずにゃんはもう疲れ切っていた。 でも、まだやめようとしない。まだ、その手を休めない。 「ま、まだ……」 「だめだよ、無理しちゃ」 もうむったんを持っているのもやっとという感じだ。 私はむったんを下ろし、あずにゃんを休ませた。 「あぁ……」 「もう、こんなになって……」 濡れたタオルで顔を拭ってあげると、少し楽になった表情をした。 「人間に……人間なんかに……」 「そういうのは言いっこなしでしょ?」 ソファまで連れて来て、寝かせてあげた。 「……何でこんなことしてくれるんです?」 「何でって……」 「私はあなたの命をもらいに来たんですよ?」 「そうだけど、でもあずにゃん苦しそうじゃない」 そう言って、また濡れたタオルで顔を拭いてあげた。 「目の前で苦しんでいるのを放ってはおけないよ」 「……人間って、おかしな生き物です」 「素直じゃないね」 「……死神ですから」 そんなことを言っても、あずにゃんはそれからおとなしく休んでいてくれた。 あずにゃんとの生活はそれからしばらく続いた。 あずにゃんは暇があればむったんを必死に掻き鳴らし続けた。 けど、むったんはあずにゃんに帰ることは無かった。 「何で……、何がいけないの……?」 「あずにゃん、まだ時間があるから焦っちゃだめだよ」 「これが焦らずにいられますか! こんなに弾いているのに、むったんは……」 俯いて肩を震わせるあずにゃん。 「私も、できるだけ協力するからまた頑張ろう?」 「……どこの世界に人間に同情される死神がいるんですか」 「でも、私……」 「私は、死神です。あなたとは……いわば敵同士です」 敵……? 「命を奪うものと、奪われるもの。それが慣れ合うなんて、おかしいです……」 「慣れ合いじゃないよ。だって、私はあずにゃんの事……」 「それ以上言わないでください!」 あずにゃんの叫びで、私の思いは切られた。 そして、空気が重く、静かになっていく。 「それ以上……言わないで……」 「あずにゃん……」 あずにゃんは、猫に変身して部屋を出て行ってしまった。 「お姉ちゃん、そろそろお昼ご飯だよ?」 「うん、わかった」 はぁ、あずにゃんあんなに落ち込んで……。何かしてあげられないかな。 かなり落ち込んでいるようだし、好きなものぐらい食べさせてあげたいな。 確か、前にたい焼きが好きって言っていたっけ? 後で買いに行こう。 「あずにゃ~ん、お昼だよ?」 あずにゃんを呼びに行ったけど、私の部屋にはいなかった。 「あれ? どこ行ったんだろう?」 一通り探してみたけど、どこにもいない。 「お姉ちゃん、あずにゃんは?」 「それが、どこにもいないの」 「う~ん、猫だから外に出て行ったのかも」 「私、探してくるよ!」 私は居ても立っても居られなくなって、家を飛び出した。 あんなに落ち込んでいるのに、一体どこに行ったんだろう。 「……いないなぁ」 とりあえず黒猫を探して、町じゅうを走り回った。 けど、黒猫どころか猫すらいない。 「もう、どこに行ったのかな……」 かれこれ1時間は探したと思うけど、あずにゃんは見当たらなかった。 「はぁ……、さすがに疲れた」 そういえば、お昼も食べずに出て来ちゃったなぁ。 「どこかで休もうかな」 そう思って、ふらふらと歩いていると聞き覚えのある音がしてきた。 「この音は……、むったん!」 このどこか悲しい旋律、苦しんでいるような悲しんでいるような音……。 「……あっちだ!」 音がだんだん近づいてくる。 「川だ……」 音のする方に行くと、河川敷に出た。 そして、その河川敷に小さな背中があった。 「ふん! ふん! ふん!」 必死になってむったんを掻き鳴らすあずにゃん。もう、どれだけここで練習していたのかな。 「あずにゃん」 「……唯。何ですか?」 「急に出て行くから探しちゃったよ」 「別に探してなんて言ってないです」 もう、本当に素直じゃないなぁ、この子は。 「さぁ、帰ろう?」 「……嫌です」 「そんなこと言わずにさ?」 手を引いていこうとしたら、急に離された。 「あずにゃん……?」 「……どうして、どうしてそんなに優しくするんですか!」 そう叫ぶあずにゃんの目には涙が浮かんでいた。 「私は、あなたの命を奪いに来た……死神なんですよ!?」 「そうだけど、何だか放っておけなくて……」 「そんなに、優しくしないでください……。お願いだから……」 そう言うけど、私にはあずにゃんを放っておくことができなかった。 「死神とかそんなのは関係ないよ。あずにゃんだから、私は優しくしているんだよ」 「……やめてください」 「やめない。だって、私は!」 「やめてぇ!」 大きく叫んだあずにゃんはそのまま走り出した。 「待って、あずにゃん!」 私も必死に追いかける。 「来ないで……、 来ないで……!」 あずにゃん……。何としても、つかまえてみせる! 私は必死で走った。そして、もう少しで追い付きそうになった時、 「え……?」 私の意識は衝撃と共に闇に飛んで行った。 「……み、君! 大丈夫か!?」 「おい、救急車を呼べ!」 あれ……? 私どうなったの……? 何だか体か重い……。 「もしもし、救急です! 人が車に撥ねられて……」 車に撥ねられて……? 誰が撥ねられたの……? 「おい、しっかりしろ!」 あぁ、そうか……。私か……。 だからこんなに体が重いのか……。 「ゆ、唯……」 あ、あずにゃん……。戻って来てくれたんだね……。 「私、私……」 「これで、むったんはあずにゃんに帰るね……?」 「え……?」 「私が死ねば、むったんは……」 「そんなこと……!」 また、目を涙でいっぱいにして……。泣かないで……。 「あずにゃん……。今まで、楽しかったよ?」 「待ってください、そんなこと言わないで……」 「むったん、今までごめんね……?」 「お願いだから……」 私の手を必死に握るあずにゃん……。私、とてもうれしいよ……。 最期なら、言わなきゃ……。ちゃんと言わなきゃ……。 「あずにゃん……」 「……何ですか?」 「……好きだよ」 「!!」 あぁ……。もう、ダメみたい……。 答え、聞きたかったな……。 「……」 「……唯。私は……!」 私は何で泣いているのだろう。ただ1人の人間が死んだだけじゃないか。 私のむったんも戻ってくるし、いいことじゃないか。 でも……。 この苦しさは何だろう? この胸の喪失感は何だろう? 何で、涙が流れているんだろう……。 私は、唯の亡骸を見つめて思った。 「死神の私に……、好きだよって……!」 本当に、人間って生き物は……! 「アズサ……」 「死神王……」 私の目の前に、死神王が現れた。 「ようやく、この人間が死んだか」 「……」 「むったんに選ばれし者は、再びお前になったわけだ」 私はもう答えたくなかった。考えたくなかった。 「さぁ、戻るぞ」 「……」 私はその時、ある考えが浮かんだ。 「どうした、戻るぞ?」 それは死神にしたら愚かとしか言いようのない行為だ。 でも……、それでも……! 「……!」 私は決心した。 「いでよむったん!」 人の目なんて気にしている余裕は無かった。 私は高らかにむったんを呼び寄せた。 「……来た!」 むったんは私の声に反応してくれた。光と共に、私の腕に収まる。 「何をする気だ、アズサ!」 「……唯!」 そして、むったんを掻き鳴らした。でも、相変わらず金属の軋むような音しか出ない。 「お願い、むったん……。力を貸して……!」 命を奪うためじゃない。 私の……、私の……! 私は必死でむったんを掻き鳴らした。 これまでにないくらいに精一杯、一生懸命にやった。 「まさか……。アズサ! それがどういうことかわかっているのか!? 死神であるお前が!」 「いいの、これで! だって……、だって唯は……私の好きな人だから!」 「……アズサ。ならば、お前は死神失格だ」 「……それが何よ! 私は……!」 そこまで言って、私は自分の体の異変に気がついた。 「な、何……!?」 体が光り出していた。 「そのまま消えるがいい。この娘の命と引き換えにな」 「……!」 それでも私はむったんを弾くのをやめなかった。 唯を救いたい。 ただそれだけが私を動かす。 たとえ私が消えても、後悔は無い。 私のことを好きだって言ってくれたんだから。 「唯……、私も、好きだよ……」 そして、私は光の中に飲み込まれた……。 「……」 うぅ……、あずにゃん……。 「さようなら、唯……」 待ってよ、あずにゃん。行かないで……! 「ごめんね……?」 待って……! あずにゃん! ま……って……。 「……」 耳鳴りがしている。うるさい……。 「……っ!」 あまりにもうるさい耳鳴りで、私は重い瞼を開けた。 「ゆ、唯!」 「大丈夫か!」 目に光が感じられる。そして、耳には音が感じられる。体は、自分が横たわっている事を感じられる。 ……私は、どうなったの……? 「よかった……、心配したんだぞ?」 「お父さん……? お母さん……?」 目には、両親と憂、そして学校の友達が見えた。 「……生きている?」 私は、奇跡的に一命を取り留めた。 それからしばらくして、私は退院したけど何か心に引っかかるものがある。 何か、大事なものを忘れてきたような、そんな喪失感。 「何だろう、何か忘れている気がする……!」 どうしても思い出せないけど、とても大事なことのような気がする。 「どうしたの、お姉ちゃん?」 「憂、私ね何か忘れている気がするんだよ……」 「何って、何を?」 「何か、こう……大事な……」 結局、私は思い出せなかった。 「……ふぅ、そろそろ寝ようかな」 ギー太の練習もひと段落ついたので、私はベッドに入ろうとした。 ……んだけど、 「……?」 何か、心で引っかかった。 えっと、何だっけ? しゃぶしゃぶじゃなくて、シャンプーじゃなくて……。 「……あ! デジャブ!」 前にもこんなことがあった気がする。でも、それが思い出せない。 「えっと……何だっけ?」 忘れちゃいけないようなことがあった気がする……。 集中しようと部屋を見回すと、ギー太が目にとまった。 「……!」 その時、私の頭の中に記憶が一気によみがえった。 ……あずにゃん! 「そうだ……、あずにゃん!」 そして、病院での夢も思い出した。 「……私を置いて、行っちゃうなんて!」 私は、あずにゃんを探しに家を飛び出した。 「あずにゃん……! あずにゃん……!」」 私は夜なのも構わずに街中を探し回った。でも、見当たらなかった。 街を探し回って、私はある考えを持った。 あずにゃんが私の為に消えてしまった。 「……多分、いや、絶対そうだ!」 あずにゃん、私の為にいなくなったなんて……! 「そんなの、悲しいよ……!」 私は、また街中を走り回った。 「……はぁ」 いつしか、空が明るくなり始めていた。私はあの河川敷に腰をおろしていた。 「あずにゃん……」 どうしたら会えるのかな。 どうしたら、あの子を救えるのかな……。 一生懸命に考える。 「……そうだ!」 私はある考えに達した。 「いでよむったん!」 空に向かって手を伸ばし、大きく叫んだ。 ……しかし、何も起きない。 「いでよむったん!」 お願い、来て……! 何度も叫んでみたけど、むったんは現れなかった。 「はぁ……はぁ……!」 それでもあきらめなかった。私は叫び続けた。 「いでよむったん!」 また、私の声は虚空に消えた。 「お願いだから……、あずにゃんのために!」 私は、ありったけの気持ちを込めて叫んだ! 「いでよむったあああぁん!」 時間はどんどん過ぎて行って、夕方の空に星が瞬きはじめた。 「……くっ!」 あきらめない! あずにゃんを助けるまでは! 「……あ、あれは!」 空を見上げると、流れ星が走った……。 厳密に言うと、流れ星のようなものが走った。 「む、むったん!」 それは、光の奔流から現れたむったんだった。 「よし、これで!」 私はむったんを掻き鳴らした。あずにゃんに会いたい一心で……。 「むったん、お願い! あずにゃんを!」 私は一心不乱にむったんの弦を弾き、弾き、弾きまくった。 「じゃーん……」 そして、一通り弾き終わり、あたりは一気に静かになった。 「……」 何も起きなかった。やっぱり、無理なのかな……。 「あずにゃん……!」 その時、目の前にまたもや光が溢れた。 「うっ! ……」 光が収まって行くと、そこには1人の女の子がいた……。 「あ、あぁ……!」 「ここは……?」 毛並みの良い黒髪のツインテール、緋色の瞳……。 あれは、間違いない……! 「あずにゃ~ん!」 「わっ! ゆ、唯!?」 「あずにゃあああぁん! 会いたかったよぉ!」 私は一目散に駆け寄り、あずにゃんを抱きしめた! 幻じゃない! こうしであずにゃんを抱きしめられる! 本当に、本物のあずにゃんだ! 「あずにゃん! あずにゃん!」 「……もう、唯ったら……」 「よかった……! よかったよ……!」 「唯も、無事だったんだね」 「あずにゃんのおかげだよ」 もう、涙であずにゃんの顔が見にくいよ……! 「本当によかった……」 「うん、むったんが力を貸してくれたからね」 むったんはまたキーホルダーに戻った。 「ねぇ、唯」 「何?」 「また、そばにいていいかな?」 あずにゃんがもじもじしながら言った。 「……もちろんだよ!」 私は、もう2度と離れないようにあずにゃんに抱きついた。 「あずにゃん、大好きだよ!」 「……私も!」 「ずっと一緒にいようね?」 「うん!」 こうして、私と死神さんとの生活がまた始まった。 今度は、恋人として……。 END なんでむったんが帰ってきたか、その描写さえあれば良かった -- (名無しさん) 2011-01-03 20 54 07 要するに梓が消されたからむったんの持主が唯に戻って来た、って事か…改めて読んでやっと納得。 -- (名無しさん) 2011-02-26 03 42 18 フツウ、この手の話だと死神王から罰として称されながら天使か人間に転生するのがオチだろう?なんで死神のままなんだか……納得できない -- (名無し) 2011-09-03 13 31 08 なんかいいな -- (名無しさん) 2012-10-05 22 02 08 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
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発言者:アヤ・キリガクレ 対象者:アシュレイ・ホライゾン ―――愛する男に告げるアヤ・キリガクレの偽りなき本心。 激戦の末についにギルベルトを討ち果たしたアッシュは駆け寄ってきた愛しい恋人に問いかける 「俺は、君の英雄になれたかな?」 ずっと馬鹿みたいに繰り返してきた英雄になりたいという言葉、でも自分の真実を知って絶望して それでも支えてくれた愛する女性に応えたいと想い、彼女だけの英雄へとなることを誓ったアッシュの問いに、アヤもまた答える 「ええ、もちろん……あの日恋した男の子は、こうして強く逞しくなられました」 「けれど私は何度でも申しましょう。あなたと巡り会えたことだけで、とうに私は救われていたのです」 「愛しています。愛しています。あなたのことを、ああ永久に」 そう答えた言葉と表情には、嘘偽りなど微塵もなく、その瞳の中にはいつだって彼女の英雄が映っていた。 そんな彼女の微笑みを見ているだけで、温もりを感じているだけで……アッシュもまた自らの枯れていく命にも意味があったと思えるのだった。 そうして仲むつまじい二人の様子を見て、あの日優しい時間を共有したもう二人の幼馴染達も声をかける 「どうか、幸せに。アッシュ、アヤ……私の事を忘れないでね」 「この町で、もう一度会えて良かった……大好きよ、二人とも」 そんな祝福を聞いて、あの日四人で過ごした奏の庭を思い浮かべながら、アヤの腕に抱かれアッシュは眠りに落ちていくのだった。 そしてエンディング後に映る墓 -- 名無しさん (2017-02-13 18 47 33) そして墓になる -- 名無しさん (2017-02-13 18 48 30) クソが…!なんでどうしてハッピーエンドを寄越さねぇ…!糞眼鏡も言ってたろ。信賞必罰、苦労したアッシュはそれに見合った幸福を得るべきだろ… -- 名無しさん (2017-02-13 18 53 42) ↑つグランド√ -- 名無しさん (2017-02-13 18 54 20) え?あと一巡できるかどうかって?あのシズルの残した研究成果とかそういうのでなんとかなるんじゃないの?あの?ってなったとこらでの墓である -- 名無しさん (2017-02-13 18 55 58) なお東部戦線はさらに激化した模様 -- 名無しさん (2017-02-13 19 28 21) でもミステル√と違って糞眼鏡一号が死んでるだけマシに見えるって意見は笑うと同時に共感してしまった -- 名無しさん (2017-02-13 19 54 49) 墓もきついが、ナギサの「私の事を忘れないでね」という発言が、彼女の結末を知ってしまうと二重の意味できつい -- 名無しさん (2017-02-13 19 57 10) 東部戦線激化ってことでエンディング後のヒロインや仲間たちの安全もかなり不安になるのがまた辛い -- 名無しさん (2017-02-13 19 58 39) 「今お傍に参ります……アッシュ様」って微笑みながら死ぬアヤちゃんの姿が容易に浮かぶのが -- 名無しさん (2017-02-13 20 01 17) そして、タルタロスに堕ちるレインに商国の激しい自爆攻撃と龍に襲われて散るミステルと最悪な結末が容易に想像できるな -- 名無しさん (2017-02-13 20 05 52) この√でアヤとミステルが立場上の問題で殺し合いになりそ腕怖い -- 名無しさん (2017-02-13 20 23 45) このセリフで全然関係ないけどゼロインのアレクサンドルを思い出した -- 名無しさん (2017-02-13 20 30 35) おじさんがヒャッハーしてるし、ミステル√と同様に帝国と皇国が手を組みそうなエンディング後。それでもあのホモドラゴンをどうにか出来るって思えないのが辛い -- 名無しさん (2017-02-13 20 31 55) まあ帝国にもチトセネキがいるし… -- 名無しさん (2017-02-13 20 40 12) 糞眼鏡が死んでいるから、東部に行く大義名分がないから参戦は無理じゃね -- 名無しさん (2017-02-13 20 41 42) いや、天秤は必要とあらば侵攻部隊として前線に赴いたりもしているぞ。ヴェンデッタの序盤を見るに -- 名無しさん (2017-02-13 20 59 01) グランドルート後に各ルートのハッピーエンドが解放されても良かったと思う。 -- 名無しさん (2017-02-13 21 27 35) 軍人を辞めて2人で幸せに暮らすアッシュとアヤ、聖教皇国で子供達に自分の恋人だとミステルに紹介されるアッシュ、2人で笑顔を見せる町娘になったナギサとその恋人のアッシュ...そんな光景見たかったなあ... -- 名無しさん (2017-02-14 00 31 52) ↑CS版に期待しよう -- 名無しさん (2017-02-14 00 52 30) アヤはあれだけ肉食系なのに子供出きんかったのかな。エスぺランドって出生率低いんかね。 -- 名無しさん (2017-02-14 04 46 28) 個別だとアッシュの生命力がもうほとんど残っていないから… -- 名無しさん (2017-02-14 07 34 27) ゼファーさんは一発必中だったというのに… -- 名無しさん (2017-02-14 20 15 32) ミリィ√のエンディングでも子供産んでたし、ゼファーさんの精子濃いなって -- 名無しさん (2017-02-14 20 18 02) アッシュは実験で擦り切れていたうえ、糞眼鏡との戦いで死力を尽くしたからな。生命力なんてこの時点ではもう幾夜もなかったんだろう -- 名無しさん (2017-02-14 20 24 06) ゼファーさんって本当精力凄いよな。スラム出身なら録なもん食えないだろうし、それで一発懐妊とか生物として見るならメッチャ優秀だわ -- 名無しさん (2017-02-15 13 30 21) さすがコールレイン少佐!逆レイプされて宇宙を救う男はちげーわ! -- 名無しさん (2017-02-15 13 33 15) 今更ながら思うんだが、逆レされて救われる世界ってどうなのよ -- 名無しさん (2017-04-16 16 39 17) というか逆レしたマイナ姉ちゃんが宇宙崩壊を食い止めて、弟のゼファーさんがケリ付けた感じ -- 名無しさん (2017-04-16 16 44 35) あれ?各ルートでヒロイン妊娠してないって描写あった?まだお腹膨らんでないだけかもしれんぞ? -- 名無しさん (2018-01-17 20 05 52) 少なくともアヤは違うと思う。アッシュが無くなったのが半年後、で出産したい描写がない中で戦線復帰したとしたら、妊婦を戦線に出すのは情勢や倫理観ではなく『合理性』を考えればあり得ない。だからアヤは孕んでいない。 -- 名無しさん (2018-12-05 17 46 58) 哀しいなぁ…可哀想に -- 名無しさん (2020-05-21 10 02 49) 名前 コメント
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依頼主 オオゲツヒメ 出現条件 オオゲツヒメ最終進化 クリア条件 以下の神様の親密度をあげるオオゲツヒメ:親密度60 成功報酬 ラムネのセット 依頼時 ヒメ、あなたのこととっても大事にしてるの!だから、あなたにもヒメを大事にしてほしいな。 クリア時 わぁい!ありがとう!これでヒメとあなたはずっとずーっと一緒にいられるね!じゃぁ、今日は何して遊ぶ?
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さぁ、これからあなたを心地よい催眠の世界へと誘います。 緊張したり、怖がらなくっていいんですよ。あなたがいやだと思ったら、すぐに催眠から戻ってくることができます。ですから、安心して私の指示を聞いてくださいね。 それでは、あなたの世界へ入る準備をしましょう。 まずは体の緊張をほぐします。肩や首を回したり、ストレッチしてみてもいいかもしれません。では、やってみてください。 (60秒) 体の緊張はほぐれましたか?では、次は心の緊張をほぐしましょう。 椅子に座ったり横になったり、あなたの楽な姿勢になってください。 ゆっくり目を閉じて、まずは深呼吸をしましょう。私の合図に合わせてやってみてください。 始めます。 吸って、吐いて×4回 あなたの楽な呼吸に戻してください。 どうですか?リラックスしてきましたか? 次は応用編です。 私の言ったことを心の中で唱えてみてください。もっと砕けた表現にしてもかまいません。 では、やってみましょう。 吸って、私の心は落ち着いている。 吐いて、落ち着いているのは心地よいこと。 吸って、心が落ち着く 吐いて、なんだか心地よい 吸って、心が落ち着く 吐いて、とっても心地よい 吸って、心が落ち着くと 吐いて、体も落ち着いてくる。 吸って、体が落ち着くと 吐いて、体から力が抜けていく 吸って、体の真ん中から 吐いて、だんだん力が押し出されていく 吸って、押し出された力が 吐いて、手足から抜け出ていく 吸って、力が抜けて 吐いて、ぐったりしてくる 吸って、力が抜けて 吐いて、動くのがいや 吸って、力が抜けて 吐いて、体がふにゃふにゃになっていく 吸って、力が抜けて 吐いて、心もふにゃふにゃになっていく 吸って、力が抜けて 吐いて、自分の形が分からない 吸って、力が抜けて 吐いて、自分がなんだかわからない ・・・、でも、それが ・・・、とってもしあわせ (15秒あける) あなたは、あなたの心のまどろみの世界にやってきました。今は真っ暗、何も見えないかもしれません。でも、やがて見えるようになります。ここはあなたの思いの世界。ここでは、あなたの決まった形はありません。あなたは、あなたの思った通りの姿になれます。たとえばかわいい動物、たとえば幼い子供、たとえば好きなお話の登場人物。ここはあなたの世界なのです。あなたの思いがこの世界を作ります。 さぁ、あなたは何を望みますか?
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tvN金土ドラマ『明日あなたと DVD』(ホ・ソンヘ脚本、ユ・ジェウォン演出)14話では、難攻不落に見えるキム・ヨンジン(ペク・ヒョンジン扮)の悪行にユ・ソジュン(イ・ジェフン扮)とソン・マリン(シン・ミナ扮)の未来がさらに不透明になった。 キム・ヨンジンは地下鉄で自分が手でつかんでいたのに消えたユ・ソジュンの正体に対して強い疑問を抱き始め、さらにはユ・ソジュンとソン・マリンの家に盗聴器を設置した。イ・ゴンスク(キム・イェウォン扮)は、獄中花 DVD夫キム・ヨンジンの車から車載カメラのメモリを取り出してソン・マリンに任せた。自分のすべての悪行が明らかになる危機に瀕しているキム・ヨンジンは理性を失って後始末に乗り出した。 一方、ユ・ソジュンは、これまで自分の周りにいた別の時間旅行者ドゥシク(チョ・ハンチョル扮)がソン・マリンの父であることを知るようになった。オクニョ運命の女 DVDソン・マリンも母を介して、父の写真を受け取り、ドゥシクを見て一目で父であることに気付いた。この3人はキム・ヨンジンがこれ以上暴走しないように防がなければならず、彼らの運命も変えなくてはいけない。 来週の予告映像では、ユ・ソジュンがキム・ヨンジンに刺されたような姿と、明日あなたと DVDキム・ヨンジンに拉致されたソン・マリン、誰かに泣き叫ぶソン・マリンの姿が公開され、彼らの状況が果たしてどのように流れていくのか、関心を集めている。
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215 未来のあなたへ10.5 sage 2009/08/06(木) 01 00 10 ID 055kfvnu 人には誰しも触れられたくない過去がある。 それは熱意に任せた過ちだったり、若き日の考え方だったり、かつて受けた屈辱だったりする。 過去のことは変えようがなく、それを現在に対するバネにする人間もいるが、大多数は記憶の底に封印することで処理している。 けして忘れているわけではなく、ただ考えないようにしているだけのそれは、時々脳裏をよぎっては所有者を苦しめる。 そんなことばかり経験してきた彼女の、最大の黒歴史は、夫と結婚したことそのものだった。 榊太郎子の黒歴史な人生 さかき、たろうこ、と読む。 女性の名前である。 名前が既に黒歴史だった。 この奇天烈な名前を名付けたのは紛れもなく彼女の両親だが、そこにはちょっとした経緯がある。 太郎子を両親が授かったのは晩年になってからだった。母親が四十を超えていたのだから、立派な高齢出産である。 とはいえ、子供がいなかったわけではない。既に二人の娘がおり、当時既に中学生と小学生だった。 いや、だからこそ両親は喜んだ。二人はずっと息子を欲しがっており、そのことを口には出さないにも残念に思っていたのだ。 加えて、この時父親は胃ガンを患っていた。後年これが原因で命を落とすことになるが、どちらにしろこれ以上子供は望むべくもなかった。 だから三人目の娘が生まれた時、つい未練で、男っぽい名前を付けてしまったのだ。 聞くも涙、語るも涙である。 他人事なら笑い話で済むが、本人にとってはたまったものではない。 それでも幼稚園や小学校低学年の間は問題も少なかった。なにしろ漢字もわからない年代である。 精々が、経緯を知る身内から生暖かい目で見られたり、名前を知った教師にぎょっとされる程度だった。 太郎子が自分の名前の異常に気付いたのは小学三年生の時である。 「ねえねえちいねえちゃん。あたしの名前って、へんなの? だんしなの?」 「ぷ、気付くの遅すぎ、プギャー! どう見てもおかしいだろ、ゲラゲラ」 「うあーん!」 翌日から彼女のあだ名は『タロウ』に大決定した。ウルトラな兄弟の末っ子的ニュアンス。 「おーいタロウ」「タロウの奴どうしたんだ?」「タロウちゃん、給食係だよ」「タロウ、タロウ、タロウ~♪」 イジメというよりはナチュラルに定着しただけで、そもそも以前からタロウ呼ばわりは頻繁にされていたので、単に受け取る側の問題とも言えた。 とはいえ、気付いてしまえば太郎子という名前は女子にはあまりにも酷である。 彼女はいじけて、へそを曲げた。 『タロウ』と自分を呼ぶ相手を全て無視すると決めて、三日間誰とも話せなくて半泣きになったりした。 元々彼女はお転婆な少女で、日々を元気いっぱいに生きていた。人生の通過儀礼とも言える最初のワンパンチを食らっただけなのだが、それが思わぬ方向からのブローでどうすればいいのかさっぱりわからないのだった。名前は変えれない。 「セルフ無視乙。名前に合わせて男装キャラとして生きていけばいいんじゃね? ブプー!」 次女はさておき。 216 未来のあなたへ10.5 sage 2009/08/06(木) 01 00 46 ID 055kfvnu そんなある日、太郎子がとぼとぼと家に帰ってくると、玄関に見慣れない靴が大小一セットずつあった。居間を覗くと両親と見知らぬ女性が何かを話してる、客らしい。 そうっと居間を避けて自分の部屋に向かう。見つかって名前を紹介されるのは避けたかったのだ。しかし何故だか自室は次女と見知らぬ少年に占拠されていた。 「おー、帰ってきたか。この美少年は薫(かおる)。ウチの遠縁らしい。このちびっこいのは太郎子。ここ、笑うところな。うひゃひゃひゃひゃ」 「むきー!」 ぽかぽかと両手をぐるぐる回して殴りかかる太郎子だったが、次女は妹の頭を押しのけることで全ての攻撃を空転させた。小学生と高校生のリーチ差は絶望的だ。 この次女は、温厚誠実が基本路線の榊家に於いて血の繋がりを疑う程に意地と口が悪かった。太郎子にとっては天敵も良いところである。 しかし見知らぬ少年は、太郎子の名前に驚くでも馬鹿にするでもなく、ただ淡々としていた。 「岡本薫です。よろしくお願いします。今日は母の付き添いできました」 カーペットの上に正座し、まっすぐ背筋を伸ばして自己紹介する少年。その様は、太郎子のベッドに寝転がる次女よりも下手したら大人びて見えた。 太郎子よりも一つか二つは年上だろう。次女が美少年と評したように、顔立ちと体付きはスラリと整っていた。居間にいた女性の面影がある。カオルという名前もあり、黙っていたら少女でも通じる容姿だった。 そのまま薫はここにいる経緯を述べる。最近こちらに越してきたこと、親戚の家に挨拶に来たこと、居間で座っていたら次女に引きずられてきたこと、母親の話が終わったら暇すること。 そんな少年を前にして、太郎子はぽかんと口を半開きにしていた。戸惑っているのだ。 彼女の知る男子というのは、もっと短絡的で馬鹿で乱暴な口調だった。上級生となれば、体が大きくて怖いというイメージが付くぐらいだ。 なのだが、まるで様子が違う。これはいったい何なんだ、という感じである。 太郎子は知る由もないが、この年齢の男子ならば無理をしてしゃちほこばり、礼儀正しく振る舞うこともできる。 が、薫の態度には何一つとして不自然な部分はなかった。礼儀作法を習ってきたわけではない。子供特有の、有り余る元気というものが根こそぎ枯渇しているような落ち着き方なのだ。 太郎子が本能でうっすらと感じていたのは、そんな些細な違和感であり、彼を毛嫌いすることになる最初の種でもあった。 ともあれ、それが、榊太郎子の人生で最悪の出会いだった。 217 未来のあなたへ10.5 sage 2009/08/06(木) 01 01 20 ID 055kfvnu 時は流れる。 彼女は結局、自分のあだ名を別のものにしてもらうように周囲に徹底し、若干の実力行使はあったものの、その提案は受け入れられた。 ちなみに次のあだ名はタロウコ→『タラコ』になった。彼女の唇は別に厚くなく、次女に腹を抱えて爆笑された太郎子は両手両足を振り回して床を転がったが、後の祭りである。 薫はちょくちょく榊家を訪ねるようになっていた。どうも両親や次女が何かと理由をつけては呼んでいるのだと、太郎子が知ったのは割と後のことである。 ちなみにこの時期、長女は東京の大学に上京している。榊家は両親と娘二人の四人暮らし。 岡本家は母子の二人暮らしで、住居も一軒家ではなくアパートのようだった。薫の母が若い頃に街を出ていき、子供を産んだ後に戻ってきたのだ。 太郎子と薫は年齢も近いので遊び相手として引き合わされることも多く、カードゲームやボードゲーム、テレビゲームや庭での遊びをよく一緒にやったが、それはまさしく一緒にやるだけだった。 太郎子も相当、付き合わされている感だったが。薫の作業的なところはある意味見事なものだった。しかもほぼ全戦全勝で、勝っても負けても嬉しそうでも悔しそうでもない。太郎子でなくても嫌になる。 ふたつもとしうえなのにずるいじゃない! と幾度も文句を垂れたが、その大人げないというところこそが少年の本質なのだと思い知るようになるのはずっと後でのことだった。 さて、そうして太郎子が小学校を卒業して中学生になった頃、幾つか事件が起きる。 一つ目は、次女が大学進学を期に一人暮らしを始めたこと。長女は大学卒業後、現地で就職しているので家にいる娘は太郎子だけになった。 地元に近い大学なので次女は良く帰ってくるが、それでも天敵が去ったことに太郎子はこの上ない開放感を覚えていた。が、以後続く事件でそれも台無しになる。 二つ目は、中学進学を期にイジメを食らったこと。 発端は言うまでもなく本名の件で、本人が頑強に抵抗したので更に延焼した。 というか、タラコ呼ばわりも端から見れば普通にイジメであるので周囲も勘違いした面もある。 紆余曲折を経た結果、複数女子による髪の引っ張り合いが発生。教師にも双方注意され、太郎子は腫れ物のような扱いになる。 唯一喜ぶべきことは、タラコも廃止されて呼び名は名字で統一されたことだろうか。 ともあれ彼女の中学生活は、教室で一人ぽつんと過ごすことになる。 事件の三つ目は、岡本薫の母親が首を吊ったこと。 頸椎骨折、即死である。現場はアパートの自室。第一発見者は息子。動機は生活苦と見なされた。 息子の体には度重なる虐待の痕跡有り、習慣的なノイローゼに陥っていた模様。 多少の揉め事はあったものの、岡本薫は榊家に引き取られた。他にめぼしい血縁はいなかったし、榊家の夫妻がそれを強く望んだからだ。 それは同情と言うより、ずっと息子を欲しがっていたことの方が強いかもしれない。 ちなみに夫妻は副業で親の代から継いだ不動産を幾つか営んでおり、収入に問題はなかった。娘全員を大学に行かせるぐらいなのだから。 部屋は次女の使っていた部屋を片づけて使うことになり、それについては本人もわざわざ帰ってきて許可を出した。弟ができたと喜んでいたぐらいである。 寝耳に水なのは末っ子だった。 以前から反りの合わなかった相手が、今度は一緒に住むことになったのだから、快諾などできるわけがない。 学校で安らげる場所がなく、更に家での安らぎも奪われるとあっては、最近内弁慶外地蔵傾向にある彼女にとってはたまったものではなかった。 じたばたと暴れ、わめき、それでも両親と次女が断固として頷かないのを見て、とうとう太郎子は家出した。 もちろん行く当てなどあるわけがない。結局、彼女は身も心も子供だったのだ。黒歴史の一つである。 218 未来のあなたへ10.5 sage 2009/08/06(木) 01 02 03 ID 055kfvnu リュックにありったけのお菓子を詰めた太郎子は、とりあえず近くの公園に行くことにした。一人で遊ぶための道具は幾つも持っている。季節は春、時刻は夕方。 春の天気は変わりやすい。日暮れと共に天気は夕焼けから一転、豪雨になった。 傘や合羽の類をさっぱり忘れた彼女は、びしょびしょになって公衆トイレに逃げ込んだ。濡れるし寒いし臭いしでもう最悪である。 あまりに雨が強くて、帰るに帰れない。水をふんだんに含んだリュックと服はひどく重く、鍵をかけて閉じこもった個室の便器からは鼻の曲がりそうな悪臭が漂ってくる。お腹が減ったが、お菓子を食べる気にもなれない。 みじめだった。 みじめ、ということを認めそうになっていた。 自分の名前のおかしさに直面してから、これまで頑として認めようとしなかった事実に、打ちのめされそうになっていた。 だがその時 どんどんどん、と個室の薄っぺらい扉が乱暴に叩かれた。雨の降る夜中の公衆トイレ。人気は極限までない。 太郎子は恐怖と驚愕のあまり、ちびった。 じわりと股間に染みが広がり、湯気と共にちょろちょろと床を濡らす。場所がトイレであることは不幸中の幸いだった。ついでに腰を抜かしてぺたんと座り込む。 そうして、声も上げられない太郎子から見て、扉の上から人の頭が出て覗き込んできた。個室の扉に手をかけてよじ登ったのは、髪をくすんだ金髪に染めた女だった。 高校生前後と思わしき年齢の彼女は、腰を抜かしてちびった太郎子を一瞥して 「あのよお、こっちも漏れそうなんだけど、終わったんなら早く代わってくれねえ?」 運命の出会いだった。 女は割と面倒見が良く、ひょんなことから拾った太郎子を自分のねぐらに連れて行って一晩世話した。友達の家に泊まると連絡をさせてではあるが。 帰りたくないと喚いていた太郎子は、最初こそ怯えていたが生来の能天気さですぐに打ち解け、寝るころには家出した事情を話すようになっていた。 見た目通りレディースの一員でもあった女は、後日彼女を仲間に紹介する。チームの面子も(経過はともあれ)同じような境遇の人間は多く、太郎子を良く可愛がった。 思い思いに髪を染め、ピアスをつけ、二輪を乗り回す彼女等にやはり太郎子はかなりビビっていたが、そこを新たな居場所と見出すのに時間はかからなかった。 こうして太郎子は不良の道を歩んでいく。 髪を茶色に染め、長スカートを履き、はすっぱな言葉遣いになり、舐められないことに心血を注ぎ、外泊が多くなった。 当然、級友からは腫れ物扱いになり夫妻からは非難されたが、どうせ元から無視していた人間とこんな名前をつけた張本人である、聞く由縁もない。 結局「まあ反抗期だろう」ということで片付けられ、夫妻としては生暖かく見守るという方針で落ち着くことになった。岡本薫という新しい住人の世話もあったことだし。 その岡本薫だが、普通に生きていた。 榊家に入る時は一礼し、以後ずっと居候としての分をわきまえて生活している。 趣味も恋人も見当たらず、成績優秀で家事も積極的に手伝っていた。高校へは通っているが、金のかかる大学進学は辞退している。理想的な養子と言えた(実際は養子縁組は結んでいない)。 ただし、榊家の夫妻も薫のことを随分と可愛がったが、彼はただの一度も笑顔を見せることはなかった。 それは首を吊った母親の件が後を引いているのだと、身内は解釈していたが。約一名だけは、そんなものではないと直感していた。 そんなある日。 榊太郎子十五歳、岡本薫十七歳の夏。 219 未来のあなたへ10.5 sage 2009/08/06(木) 01 03 43 ID 055kfvnu その頃太郎子は金に困っていた。 チームの一員として来年、姉御(太郎子を拾った女子高生。現在チームのヘッド)からバイクのお古を譲ってもらえることになったのだが。 誕生日に合わせて二輪免許を取るための金が、どうしても足りないのだった。 彼女たちは万引きやカツアゲをするようなチームではなかったため、仲間内で物のやりとりをするくらいで金はない。かといって両親に無心など不良としては死んでも避けたい。 となれば後は両親以外の身内だが、上の姉はこの時既に東京で結婚しているので無心に出向くのは難がある。次女にはダメ元で頼んでみたが 「不良のくせに姉のすねかじりに来るなんてどんな気持ち? 働きゃ良いじゃないか。ん? 厨房が雇ってくれないならパンツでも売ればいいんじゃね。大体金貯めてないお前が悪いだろ、プギャー!」 マジ喧嘩になった。太郎子はチームでは舎弟兼鉄砲玉のような位置にあり、気性の荒さは有名だ。殴り合いも随分強くなった。特攻隊の狼女と言えば少しは知られている。 別に嘘ばかり付くからではない。周囲には『ロウコ』と呼ばせているのも一因かもしれない。たぬき。 それもまた、後年の彼女にとっては拭いがたい黒歴史ではあるのだが。 さておき太郎子はどうしてもお金が必要であり、恥を忍んで両親に頭を下げたり御法度のカツアゲなどをする前に、もう一人だけ心当たりがあった。 彼女が声をかけたのは、両親は近所の集まりで出かけた夏休みのある日。障子を開け放った居間で薫がノートと教科書を積んで夏休みの課題をしている時だった。 「おい、お前」 「なんですか」 太郎子は薫の名前を呼ばない。用事がある時は常に「おい」で済ませている。対して薫も、家主はともかく年下にさえ常に敬語で接していた。 そのため二人は、親戚であり、同年代であり、同じ屋根の下に住む幼馴染みでありながら、妙な余所余所しさがあった。 薫は美しい少年に成長していた。 背はスラリと高く、野暮ったい黒縁メガネをかけてはいるが顔立ちは女性のように整っている。態度は常に礼儀正しく、こうして一人で書き物をしている時も正座を崩さない。 運動能力は並よりやや上程度だが、学力に於いては中学高校とトップレベルにあった。中学三年生で生徒会長を務めたこともあり、女生徒からの人気はかなりのレベルにある。 それでいて不思議なことに恋人はいない。太郎子はその理由について聞かれると、性格が最悪だからすぐ別れるんだと吹聴していた。 実のところ太郎子が中学入学して即いじめられたのは、当時生徒会長だった薫と同居していることに対するやっかみも含まれていたりする。 しかしそんなこととは全く関係なく、太郎子は薫を毛嫌いしていた。そもそも小さい頃から見知った間柄として、容姿などどうでも良い要素に過ぎないのだ。 それでも、そんな相手にすら頭を下げなければいけないのが今の太郎子の辛いところだった。 「あのよ、金貸してくれねえか?」 「幾らですか」 「十万」 「いいですよ」 あっさりと薫は頷いた。 びり、とノートを一枚綺麗に破き、ボールペンで何かを書き込んでいく。貸付人、借受人、金額、日時、返済期限。それは見る間に契約書の体裁を整えていった。 その様子を、太郎子はイライラとしながら見ていた。がしがしと爪を噛む。姉御にはやめろと言われている癖だった。 これについて紙に残すこと自体は、まあ良い。十万は大金だ。太郎子としても踏み倒すつもりもないが、不安に思うのも仕方ないだろう。 しかし薫は、これが百円だろうと同じことをしただろうという確信が彼女にはある。というか、実際やられたことがある。 ただのケチなら我慢もするが、太郎子が抱いている不快感はそういった物ではない。つまり 岡本薫は、榊家の人間に対して、何一つとして信頼や特別を抱いていないのでは?という疑惑である。 もっと言うならば隣人に対する最低限の思いやりすらなく、路傍の石ころのように見ているのではないのだろうか。 そんな風に感じてしまう以上、家族と言われても反発するのが当然だった。 220 未来のあなたへ10.5 sage 2009/08/06(木) 01 04 16 ID 055kfvnu 「ところで、太郎子さん」 「あたしをその名前で呼ぶんじゃねえ!」 拳が飛んだ、体を倒してかわす薫。 彼はお互いの署名が終わった後、珍しく自分から切り出したのだった。 「進学はするつもりですか」 「ん、ああ、そりゃまあな。姉御の高校に行くつもりだけどな」 「準備はできているのでしょうか」 太郎子が挙げたのは地元にある女子校だった。偏差値は低く、彼女が慕う姉御を含むチーム面子の半数近くが在籍している。 とはいえ、幾ら偏差値が低いとは言っても受験勉強は必要だった。なにしろ太郎子は不良らしく授業サボりの常習犯である。成績は極限の低空飛行を描いている。 しかし身に染みついた勉強蔑視は拭いがたく、受験勉強など冬に入ってからで良いと侮っていた。彼女自身は知る由もないが、このままではまず落ちる。 「んなもんなんとかなるだろ」 「受験勉強は遅くとも既に始める時期に入っていますよ。良ければ僕が教えましょうか?」 「は……?」 間の抜けた声を挙げて、反射的に幼馴染みを睨め付けるヤンキー少女。ぎろりと、それなり以上の年季の入った眼光だったが薫は何処吹く風だった。 たしかに借りを返すのならこのいけ好かない男のために(主に暴力的な面で)一肌脱いでも構わないとは思っていたが、話の順序が逆だ。 「おい、あたしがお前を手伝うならともかく、なんで逆なんだよ」 「君の手助けが必要な事柄はさしあたって存在しませんが」 「ああ、そうかもしれねえな。けどそれなら何でだよ。お前はあたしに借りなんてない、わざわざあたしを手助けする理由もないだろうがよ」 ここで『家族だから』『知人として心配だから』という返答が返ってきたのなら、ツンデレ的な展開もあったかもしれない。 しかし岡本薫という少年に、そういうことを期待するにはあまりにも酷すぎた。 「いえ、ただ叔父さんと叔母さんに頼まれていますから」 「ああん?」 薫が言っているのは太郎子の両親のことである。血縁はもっと遠いが、便宜的に叔父叔母と呼称しているのだ。 直後 太郎子は、居間の真ん中にある低くて広い机を思い切り蹴り上げた。 ぐらり、と机が半ばまで持ち上がり、その後重力に従ってどすんと畳を叩いた。上に乗っていた教科書ノートやコップはばさばさがしゃんとまとめて落下する。 それが収まると太郎子は机の反対側に回って、麦茶で濡れた紙束の中から先刻の契約書を拾い上げてびりりと破り捨てた。 薫は無反応。 そうして、太郎子は激高した。 「っざけんじゃねえ! あのクソ親父どもが、あたしにこんな名前を付けておいて一体今更何様のつもりなんだ! あんまり舐めた真似してると、お前もろともバイクで引きずり回すぞ!」 「いや、君は自動二輪も免許も持っていないから無理でしょう」 ボディに一発。 物理的にうずくまった幼馴染を尻目に、太郎子は怒髪天を突いたままのしのしと居間を後にした。 庭の蝉が五月蠅い、ある夏の出来事だった。 そんな風にして、彼等の中学高校時代は過ぎていった。 結局、免許のための金はあちこちに借りて工面した。返却は高校生になってからのバイトと、腕力沙汰への助っ人行為によって賄った。 親から小遣いはもらっていたが、それを不良としての行動にはできる限り使わない、というのが太郎子の小さな意地だったのだ。 彼女があの時、あれほどまでに激高したのは何故か。 それは薫がはっきりと、両親の側に立っていると明言したからだった。 元々、自分にふざけた名前を付けた両親に反発するために不良をやっているような物なのだ(と、後になって彼女は分析している) そんな身内が敵という状況で、心の何処かで(たとえいがみあう相手だとしても)薫には味方であって欲しいと願っていたのだった。 だから、両親の側だと明言したことで裏切られたと感じ、ヤンキー的に裏切りに対して激高したのだ。勝手な話である。 そうして、二人の間はいっそう疎遠になり。結局、十代の間にはほとんど話すこともなかった。 221 未来のあなたへ10.5 sage 2009/08/06(木) 01 05 26 ID 055kfvnu 日々は過ぎていく。 姉御本人から諭された太郎子は受験勉強に奮起して、なんとか女子校に進学した。半年の鬱憤を晴らすために派手に暴れて補導されたりもした。 高校生になっても、太郎子は不良としての立ち位置を崩すことはなかった。 けれどその間も、彼女の周りの環境は大なり小なりゆっくりと変わっていく。 一つは(中学の時の話だが)上の姉が大学時代から付き合っていた恋人と結婚し、東京の方で新居を構えて子供を産んだこと。 太郎子も何度か、挨拶に来た相手を見たことがある。外見は悪くないが、若干心が捻くれていそうな青年だった。上の姉はほんわかとした母性の塊のような女性なので、相性は悪くなさそうだった。子供は猿みたいだと思った。 一つは、下の姉が地元の大学を卒業し、そのまま院生として留まったこと。 彼女は榊家においては例外的に理系方面で有能だった。それは大学でも貴重なレベルの才能だったらしく、将来は研究員を嘱望されているという。本人も研究というライフワークには乗り気で、滅多に実家に帰ってくることはなくなっていた。 一つは、岡本薫が高校を卒業し、榊家の両親の伝手を辿って隣町の商社に就職したこと。 あの慇懃無礼で営業なんて勤まるのかと太郎子は不審に思っていたが、実際に勤めてみれば飲み込みの異様に早い薫は社会人としてすぐに適応していた。所詮社会は仕事ができるかできないかである。 一つは、太郎子の慕う姉御が卒業を機にすっぱりと不良から足を洗い、チームを後任に任せたこと。 太郎子は現役メンバーでは最古参だが、ヘッドを譲られたのは別の少女だった。それが不満でないとなれば嘘になるし、実際にチームを割りかける騒ぎにすらなった。 そうして、それから。榊太郎子が高校三年生の秋。 両親が死んだ。 深夜の榊家。 夕方から夜にかけてひっきりなしに訪れていた弔問客も、すっかり途絶えた頃だった。その人数は、故人が生前に慕われていたことを示している。 軒先には赤々と提灯がともり、家にはまだ灯りがついているが、人の気配はまるでなかった。窓から路上に照らされる光が、ひどく空しい。 そんな榊家に、髪を染めた少女が玄関から入っていった。がらがらと戸を開け、勝手知ったるとばかりに玄関で靴を脱ぎ捨てて居間に向かう。 居間は調度品や机の類が片づけられ、白木の棺と焼香台、それから大量の座布団がしつらえられていた。棺は顔の部分が開いており、女性の顔が覗いている。 初老にさしかかってはいるが、まだ死ぬような年ではない。彼女は先月、夫の葬式をしたばかりだった。榊家の居間にこういうものが揃えられるのは二ヶ月連続となる。 夫は十年前から胃ガンを患っており、闘病生活の末に先週没した。延命治療は本人の希望で行われず、彼女は夫を支え続けて、最後は喪主を務めた。そうして納骨さえ済ませる前に、風邪を拗らせて後を追うようにあっさり逝ってしまったのだった。 棺から覗く死に顔は、化粧もあってまるで眠っているだけのようだった。 悄然と居間で立ちつくす太郎子に、背後から声が掛かる。 「やっと帰ってきやがったか、一番忙しいところを押しつけやがって。仮でも喪主なんぞやるもんじゃないな。さっさと焼香して私と番を代われよ」 「ちい姉……」 振り向けば、次女がアクビをしながら台所から出てくるところだった。喪服姿で夜食のカップヌードルを手にしている。右手には割り箸。 母が死んでいるのを見つけたのは太郎子だった。 父の葬式が終わってから、長女と次女が子供の世話と研究のために帰った後。母はここ数日、体調が悪いと臥せっていた。 薫も仕事があり、太郎子も(一応)学校がある。そうしてその日、太郎子が帰ってくると母が布団の中で冷たくなっていた。 死に顔は安らかだったと彼女は記憶している。それ以上はわからない。薫に電話してすぐ、逃げ出したからだ。 「薫だったら寝てるぜ。医者に連絡に手続きに業者の手配、全部こなして流石に疲れたみたいだな。姉貴は旦那と一緒に明日の朝には着くとよ」 「んだよ……じゃあちい姉何もしてねえじゃんか」 「ふああ……馬鹿妹、客の相手でどれだけ頭を下げたと思ってるんだ。しかもこっちはレポートの提出で徹夜明けだったんだぞ」 「ああそうかい」 のろのろと正座して、太郎子は香を摘んで香炉に撒く。つんと、線香の臭いが鼻を突いた。 手を合わせて黙祷。 沈黙。 「で、お前は一体何をしたかったんだ?」 「……わりい」 222 未来のあなたへ10.5 sage 2009/08/06(木) 01 06 25 ID 055kfvnu 「ああ、いや、勘違いするんじゃないぞ。別に今日トンズラこいたことじゃあない。私だって母が死んでればビビるだろうさ。 そんな風に親父とお袋に意地を張って、一体何をしたかったんだってことだ。 名前なんて今更だろ。慣れる奴は慣れるし、それを理由に弾圧してくるのは元から下衆なだけだ。それ以上でも以下でもない。 そういう連中に対してDQNになって対抗するってなら、まあ正当防衛かもしれないな。 けど、その責任が本当に、親父やお袋にあると思ってたのか? お前はただ責任を転嫁したかっただけじゃないのか? まあ、お前が何を訴えたかったのかは知らんがな、どっちにしろもう伝わらん。墓に布団は着せられぬ だ。 で、太郎子。お前は一体何がしたかったんだ?」 「……説教かよ」 「説教さ。現状、不本意ながら私に役が回ってきたんでね。それにしても幾らおしどり夫婦でも、仲良く逝かれると本人は良くても残された方は迷惑だな」 ずるずる、と次女が麺を啜った。それを食べ終わるまで、太郎子はじっと手を合わせて黙祷している。 この時、彼女は既に不良から足を洗うことを決めていた。 次女の言う通り、名前に対する劣等感はほぼ消えている。それは気にせず付き合ってくれた、チームの仲間のおかげだった。 そのチームでも、現在の太郎子は外れたところにいた。元々太郎子を可愛がっていたのは姉御を中心とした先代のグループであり、彼女の帰属意識もそちらにあった。チームを割りかけたのもいわゆる派閥の問題だ。 抗争のようなものも当分なさそうで。現状、特攻隊長的な太郎子が必要かと言えば、そうではないのだ。むしろ邪魔ですらある。 223 未来のあなたへ10.5 sage 2009/08/06(木) 01 06 47 ID 055kfvnu ところで次女との姉妹話はもう少し続きがあった。 焼香を終えた太郎子がカップラーメンで軽く食事をとっていると、ふと次女が切り出した。 「ああ、そういえば薫をくれ」 「はあ?」 「親父とお袋が死んで姉貴は嫁入りとなれば、資産の管理は私に来る。相続税で大分減るが、それでも結構なもんだ。 しかし私は研究に専念したいんで、そんな面倒ごとはごめんなんだ。だから管理と運用は奴に丸投げしようと思ってな」 「ああ……まあ、よくわからんがいいんじゃね?」 あまり興味もなさそうに太郎子が生返事を返す。母親が死んだ後に遺産の話をする姉に若干腹が立っていた。 榊家は幾つか不動産を所有しており、両親は副業としてその運用でそれなりの収入を得ていた。生活は標準だが小金持ちの部類に入るだろう。 とはいえ榊家の人間は金銭欲が薄いらしく、遺産を巡って骨肉の争いなどにはならなかった。父親が死んだ時点で、各自相談して権利の大部分は次女が相続している。 長女が他家に嫁入りしたので、次女が婿を取って榊家を継ぐという約束をしていた。資産の運用は当分母が行うはずだったが、それだけは予定がずれている。そこで次女が白羽の矢を立てたのが薫だった。 「ただ、家族同然とは言え奴はただの居候だからな。あまり大金を預けるのも問題がある。大体どこかに婿入りでもされたら、また一から選び直しだ」 「はあ……で?」 「ならば簡単だ。薫を、正式に榊家の人間にしてしまえばいい。幸い、親父と養子縁組は結んでいないからな。結婚は可能だ」 「は……はあっ!? け、結婚て、誰がだよ!」 「当年とって二十五歳。何ら問題のない適齢期だろう」 次女の年齢である。ちなみに長女が三十一、薫が二十、太郎子が十八となる。 その時、太郎子の胸中に沸き上がったものは嫉妬――――などでは、断じてなかった。 何よりも彼女が強く感じたのは『正気か!?』という驚愕である。それだけ、太郎子にとって薫は恋愛対象として有り得なかった。 兄弟同然に過ごしてきたから、ではない。一度たりとて兄と呼んだことも思ったこともない。 単純に女として『いくら顔がよくてもこいつだけはない』と評価しているだけだ。 太郎子とて年頃の女子である。仲間内で少女漫画の回し読みはよくやった。異性に縁などなかったが、恋に憧れる気持ちはある。 それでも太郎子にとって岡本薫は有り得ない。故に姉の言い出したことに正気かと問うたのである。 「お、おいおい正気か? 奴だけは有り得ないだろ。そんなに男に飢えてるのかよ?」 「理系の研究職など男社会の最たるものだ、言い寄ってくる輩などいくらでもいる。お前と一緒にするんじゃない」 「んじゃ、あいつのことが好きなのかよ?」 「んー、それなりの親しみはあるが恋愛感情まではいってないな。まあお互い静かなものだからな、それなりに相性はいいだろう」 「静かっておい、あれはそういうのとは違うんじゃね?」 薫があまり喋らないのは静寂を好むというわけではなく、言うべきことがあるときにしか喋らないだけだと太郎子は見抜いていた。 しかも話す時は結論から口にするから他人にとってはわけがわからなくなる。 ただし偏屈な部分は次女もまたお互い様だ。というか、口を開けば長広毒舌ばかりで太郎子としては『静かとかギャグで言ってんのか』と言いたい。 大体、とてもではないが恋愛沙汰に向いているとは思えない二人だ。割とうまくいくか、即倦怠期のどちらかだろう。 「なんだ嫉妬か? 姉妹から同時に迫られるなんてどんなギャルゲーという感じだが、それならそれで堂々と……」 「んなわけがあるか馬鹿姉が! 勝手に結婚でも何でもしてやがれ!」 224 未来のあなたへ10.5 sage 2009/08/06(木) 01 07 22 ID 055kfvnu この時、本当に 榊太郎子は、岡本薫に一片たりとも恋愛感情はなかったし、嫉妬があるとしたら『幸せになりやがって』という薄暗いものでしかない。 むしろ彼女にとっては姉のほうが好敵手とでも言える存在だったため『おいおい、あんな相手で大丈夫かよ』という妹心的心配のほうが大きかった。 とはいえ本人の自由なのだから、と太郎子は距離を置くことにする。 葬式が終わった後、太郎子はきっぱりと不良から足を洗った。 筋金入りの硬派だった太郎子の変遷にメンバーは戸惑い、いくらか波風は立ったが特に問題もなく抜けることができた。自発的にけじめをつけようとする太郎子の方が止められたぐらいである。 そうしていささか時期は遅かったが彼女は受験勉強に入り、東京の方の短大を受けて合格した。 大してレベルは高くない。上京するためだけのような進学だ。下宿先を引き払って実家に戻ってきた次女に気を利かせたということもあるが、何より過去の自分を知る人間がいない場所で、一から出直したかった。 名前のことは何とか克服した太郎子だったが、両親が死ぬまで突っ張ったことに対する後悔から、今度は不良の過去が触れられたくない黒歴史となったのだ。 上京した彼女は髪を黒く染めなおし、言葉遣いもヤンキー言葉から改めた。家事にはまったく自信がなかったので長女の家庭に居候したが、逆にみっちりと家事を仕込まれた。とはいえ、この経験は主婦となってから生きることになる。 ついでに、喋りがうつった。 「は~い、太郎子ちゃん。今日もご飯の支度手伝ってね~」 「おう、しゃーねえ……じゃない。うん、わかったわ」 榊太郎子という人間は 良く言えば一本気だし、悪く言えば騙されやすい人間だった。何かに影響を受けた時、疑いもせずに染まってしまう性質がある。 だからこそ、後で目が覚めた時にやってきたことに丸ごと後悔するのだが。彼女は黒歴史として封印してしまうので、全く改善されずに繰り返すのだ。 ところで、更生した太郎子だが。短大に通う内に、当たり前のようにまたハマったものがあった。 同人誌である。 225 未来のあなたへ10.5 sage 2009/08/06(木) 01 08 04 ID 055kfvnu 切っ掛けは、短大でできた最初の友人が弱小サークルの同人作家だったことである。運の尽きともいう。 仮に友人Aと呼称しよう。ぐるぐるメガネと野暮ったい三つ編みがチャームポイントの女史は、それなりに仲良くなってから太郎子にアシスタントの要請をし、彼女は快く了承した。 内容がハードなエログロ触手ものだと知ったのは部屋に招かれてからである。悲鳴を上げた。新世界へようこそ。 それまでその手の文化にさっぱり無縁だった太郎子だが、友人Aが頻繁に鑑賞会を開催したりBOXを貸し出され、また女史のサークルアシスタントを繰り返す内に急速に洗脳、もとい理解が進んでいった。 短大二年目に入る頃には正式なサークルメンバーとなり、榊太郎子の同人阿修羅生活が幕を開ける。 もちろん、彼女は絵心など持ち合わせていない。短期集中で仕込まれたのはベタやトーン、せいぜいが背景の書き込みである。請け負ったのは主に雑務で、買い出しや掃除に炊き出し、書類の申請や印刷所への連絡などである。 それからもう一つ。同人誌などよほどの大手でなければ赤字決済が当たり前で、損失を埋めるために太郎子は居酒屋でバイトを始めていた。 もちろん他のメンバーも補填は行っていたが、太郎子が半分近くの貢献をしている。そのことについて、友人Aと少し揉めたこともある。 「太郎子ちゃん……そんなにお金入れてくれなくても……ていうか、悪いよ……」 「大丈夫よ、他に趣味なんてないし。それに私は絵を描いてないんだからその分貢献しないとね」 「でも、太郎子ちゃんが一番後に入ってきたのにどうしてそこまで……えっ、もしかして……好きな人がいる、とか?」 「いやいやいやいや~、サークルメンバー全員女じゃない。レズとかないから、ね? ね?」 「そうなんだ、よかった……」 太郎子の感覚からすれば、それは大しておかしなことでもなかった。 元々彼女は(いくら黒歴史として言葉遣いを改めようと)ヤンキーである。犬の群のように、自分の事情よりも所属する社会を優先する傾向が強かった。 居心地の良い場所というものがどれだけ貴重で心休まるものか思い知っている太郎子にとって、金や労働を納めることは義務ですらあったのだ。実際、彼女は喜んでそうしてきた。 実のところ太郎子は、不良であることや同人活動そのものに対しては、強い思い入れがあるわけではない。それが居場所を提供してくれるルールであるからこそ従事してきたのであり、だから割と簡単に足を洗うこともできるのだ。 太郎子の貢献もあり、サークルは弱小と中堅の境目位までは成り上がった。太郎子が友人Aと揃って留年してしまい、長女に懇々と諭されたりもしたが。 サークル同士の交流が増え、合併という形で規模も拡大した。活動三年目を迎えた頃、太郎子にとってショッキングな出来事が起きる。 友人Aに恋人ができたのだ。 相手は、以前から交流があり、合併相手ともなったサークルの美大生。どうしてこんな世界にいるのかよくわからない好青年だった。 正直、一体いつからアプローチがあったのか、太郎子は全く気付かなかった。それどころか青年に淡い好意を抱いていたぐらいだ。卒業したら結婚するとのことだから、相当進んでいたのは間違いない。 太郎子は不意に、猛烈な危機感を覚えた。はっきり言って友人Aは冴えない女である。外見も性格も、地味という表現がそのまま当てはまる。心の何処かで、自分は彼女よりはマシだと安心していたのは否めない。 それが女として後れをとった。もしかしたら自分はこの先結婚できないのではないのか、こんなことをしていて良いのか、という危機感である。 太郎子が初めて抱く、将来への不安だった。この時二十一歳。焦るにはまだ早すぎたが思いこんだら一直線である。 ちなみに。後日、飲み会の際に件の青年に友人Aを選んだ理由を聞いてみたところ曰く「いやあ、俺ってメガネッ娘萌えなんで」とのことだった。 226 未来のあなたへ10.5 sage 2009/08/06(木) 01 08 36 ID 055kfvnu 短大卒業と同時に太郎子は同人活動からも足を洗った。当初は卒業後も何年かはフリーターをしながらサークル活動を支えるつもりだったが、最早自体は緊急を要する(と思いこんでいた) 友人Aは家庭に入っても同人活動を続けるそうで、既に筋金入りだった。女としての勝ち負けはともあれ、太郎子と友人Aの間には以後長きに渡る友情が続いている。 結婚に向けて行動すると決めた太郎子は、まず身の回りを綺麗にした。具体的には、同人活動の痕跡を全て黒歴史に放り込んだ。その世界で三年生き、一般人にはとても受け入れられない趣味だと理解している故である。 とはいえ、意中の男性がいるわけでもない。さしあたりの行動に困った太郎子は、卒業したことだし一度実家に帰ることにした。長女とその家族に丁寧にお礼をし、三年世話になった家を後にする。 そういえばあれから連絡はなかったが、次女は予定通りに薫をコマしたのだろうか。あいつを義兄さんとか呼ぶのは嫌だなあ。 そんなことを思い出しながら帰省した太郎子を待っていたのは、榊家で一人暮らしをする薫だった。 「へ?」 「お帰りなさい、太郎子ちゃん」 「い、一体どうしたの?」 「貴女が一体どうしたんですか」 上京する前後の太郎子のビフォーアフターぶりは、薫を以てして戸惑わせるのに充分だった。すぐに慣れたが。 対して岡本薫は三年前とほとんど全く変わっていなかった。貫禄というものが着いてきたぐらいである。病は気からというか、この影響されにくい青年は他人よりも老化が遅い傾向にある。 さておき、次女は一体どうしたのかといえば一年前に、どこかにある研究所に勤めるために家を出ていったとのことだった。早速電話をしてみると、例によって毒舌の次女が出た。 『ああ、なんだ誰かと思えば太郎子か。ということはあの話だな』 「わかってるなら話が早いわ。婿入りの話はどうなったのか教えてよ」 『誰だ貴様。というか、姉の喋りがうつってるぞ、気持ち悪いな』 「よけいなお世話よ」 ヤンキーな過去など黒歴史である。 三年ぶりの心温まる姉妹の会話は結局大して実りもなく終わった。婿入り云々の話になると、次女が異常に不機嫌になるのだ。終いには『本人に聞け』と電話を切ってしまった。 しかしそれだけでも、今の太郎子にはぴんと来た。今の太郎子自身が直面している問題でもある。 つまり次女は振られたのだ。それも他の女性がいるという、極めて屈辱的な理由だろう。なにしろ自分を全否定されたに等しいのだから、それは不機嫌にもなる。 太郎子は心底次女に同情した。今度酒でも一緒に飲もうと心に決める。いがみ合ってばかりの相手だったが、初めて肩を組めそうだった。 同時に、薫が選んだ相手というのも気になった。なにしろ木の股から生まれてきたんじゃないかと(母親を目にしているにも関わらず)思う程に朴念仁な男である。そもそも岡本薫に物理的に可能なのか、という次元だ。 聞いてみる。 「確かに婿入りの申し入れはありましたが、辞退させてもらいました。資産の管理は行わせてもらっています」 「それって、もう決めた人がいるからでしょ?」 「そうですね。約束した人がいますから」 「へえ~。それってどんな人なの?」 「貴女です」 「――――は?」 榊太郎子、生涯最大の衝撃だった。 ショックと黒歴史の繰り返しだった彼女の人生だが、以前にも以後にも、これ以上の衝撃はなかった(黒歴史なら最大がある) 繰り返しになるが、太郎子は薫に一片たりとも恋愛感情など抱いていない。また、薫に物理的にそういったアクションが可能だとも思っていなかった。 それが一体どうして、そういう話になるのか。 続く会話でその疑問は氷解する。 「え、あ、いや、で、でも、だって、や、約束なんて、してない……よね?」 動揺しすぎである。 小さな頃に結婚の約束をしたというのは、少し前まで太郎子のいた世界では鉄板とも言えるパターンだったが、覚えている限りそんな記憶はない。 しかし憶えていないと言うのもパターンの一つである以上、断言できずに不安な言い回しになるのは仕方がなかった。 とはいえ実際のところ、太郎子と薫の仲は出会った当初から全く変わっておらず、そんな約束は交わす余地が存在しない。 「はい。約束をしたのは貴女ではありません」 「え、じゃあ、え、ど、どういうこと?」 「約束したのは叔父さんと叔母さんです。太郎子をよろしく頼む、と」 「ああ~、なるほど~」 三年の封印を破って太郎子アッパーが炸裂した。 227 未来のあなたへ10.5 sage 2009/08/06(木) 01 09 09 ID 055kfvnu 既に夫妻が死んでいる以上、確認すべくもない話だが 岡本薫という少年は榊家に買われてきた、ということなのかもしれない。 衣食住と進学の世話を受ける代わりに、榊家の礎となるという未来を強制させられたのかもしれない。 であれば、引き取りながら養子縁組を結ばなかった理由もつく。そうすれば、榊家の娘とも婚姻が可能なのだから。 そうして、何故夫妻がそこまでしたのかといえば。 彼等が出来心で奇天烈な名前を付けてしまった娘に対する、人生の補償だったのかもしれない。 普通に考えて。太郎子、等という女性は結婚相手として名前の時点ではねられる。ならば手前で用意してしまえば確実だ。 そのために、岡本薫は榊家に買われてきた。 そういう考え方もある。 既に夫妻が死んでいる以上、確認すべくもないことだが 少なくとも、薫本人はそのように判断していた。 揉めた。 これほど揉めたことも、彼女の人生で初めてである。 両親が薫を引き取ったり、不良としての道を邁進したり、同人活動について長女に怒られたり、彼女の人生は身内との揉め事が多かったが。それらのレコードを軽々と塗り替えた。 将来に直接関わる重要事だと言うこともあるが、何よりの原因は太郎子が極度に感情的になり、薫が全く退かないことにあった。 それでいいのか。 いいですよ。 なにがいいのか。 質問の意味がわかりません。 だから、その、それでいいのか。 質問の意味がわかりません。 そんな、そんな人生で良いのか。 構いません。 どうして。 別に。 別に!? いえ。 いい加減、太郎子も気付いていた。 この男は物事を極めて客観的に見ることができるが、それはつまり、自分を含む全てのものに全く価値を見出していないからなのだということを。 石ころを見るような目で見られたとしても、それに腹を立てるのは筋違いだ。 何故なら、薫は自分を含めたあらゆるものに、石ころ以上の価値を見出してはいないのだから。ここまで平等な人間はそうもいない。 端的に言うと頭がおかしい。 どうして薫がそんな人間になったのかは既に知る由もない。元々生まれつきだったのか。母親から虐待を受ける内に自己防衛のためにそういう精神になったのか。 どちらにしろ、この青年は既に石より固まってしまっている。それを溶かす方法など見当も付かない。 それに、理性でのみ判断して結婚を主張すると言うことは、太郎子にはこの先恋人はできないと判断しているに等しい。冗談ではなかった。 (とはいえ実際、太郎子には異性と知り合う繋がりはともかく、積極的にアプローチをかける勇気などなかった。所詮女社会で生きてきた箱入りである) また、この頭のおかしい男を押しつけられてはたまらない、という生臭い気持ちも当然ある。適当な担当先としては次女がいるのだ。気分はババ抜きである。 ただし身勝手な話だが、心揺れる気持ちも確かにあった。薫に対する恋愛感情などでは断じて、ないが。 なんだかんだ言ってもこの青年は美形である。収入も安定しているし将来も有望だ。スペックだけなら太郎子が今まで会った人間の中でも屈指を誇る。 しかし、なにより太郎子を揺さぶったのは。もしかしたらこの機会を逃したら、金輪際結婚などできないのではないのかという思いこみである。その不安が時間を経るにつれ徐々に太郎子を蝕んでいく。 悪いことにこの件については誰にも相談できなかった。長女は「薫ちゃんは太郎子ちゃんのことが好きなのね~」と話にならない誤解をしているし、次女に至っては「知るか、氏ねっ!」と罵倒が帰ってくる。 友人Aはこの件については最大のライバルであり完全結婚肯定派に転向している。結局太郎子が『そんなに焦る必要はなかった』と気付くのは結婚後だった。まさに死ぬ程後悔したが後の祭りである。 228 未来のあなたへ10.5 sage 2009/08/06(木) 01 09 53 ID 055kfvnu 結論から言えば、太郎子は折れた。 トドメとなったのは友人Aの結婚式で。一張羅を着て東京にまで出向き、嫌になる程仲睦まじいところを見せつけられ、ブーケまで頂戴した彼女は独身仲間としこたま呑んだ。 ぐでんぐでんに酔っぱらった太郎子が、タクシーと新幹線を駆使して榊家に帰ってきたのは深夜である。おぼつかない足取りで家に入り、ぐっすりと寝ている薫にエルボードロップをかまして叩き起こした。 開口一番、近所迷惑にも叫ぶ。 「結婚したいーー!」 「はあ。ではしましょうか?」 「仕方ねえな、結婚してやるよ。けど勘違いするなよ、別にお前のことが好きでもなんでもないんだからねっ!」 「そうですか」 薫にツンデレネタなど通じるわけもなかった。 ともあれそんなわけで、榊太郎子二十一歳と岡本薫二十三歳は結婚することと相成る。思いっきり酒の勢いである。 もちろん翌日の太郎子は二日酔いの頭を抱えながら盛大に後悔したが、結局訂正はしなかった。頭痛で気力が沸かなかったせいもあるが、幸せそうな友人Aの姿に心底打ちのめされたのが最大の原因である。 一度決まってしまえば、式の段取りはとんとん拍子に進んだ。この手の段取りにおいてもやはり薫は有能だった。片方の親族が全くいなかったのも話の早かった一因である。 その間、太郎子には全く自覚もなかった。彼女のやっていたことといえば、花嫁修業と称して家事をしながらバイト情報誌をゴロ見するという、それまでとあまり変わらない日々ものだった。未だに処女である。 そうして、結婚式の日取りになった。 式は神前式で行われた。出席は身内のみで、長女夫婦に次女、それから親戚が幾人か。新郎側の親族は一人もいない。 白無垢に身を包んだ太郎子は、この期に及んでぽかーんとしていた。なんで自分がこんなところにいるのか、考え直してみてもさっぱり分からないのだった。実際、必然性も愛もなく、ただの惰性と妥協である。 新婦の魂が抜けていても式は粛々と進み、人生で最大の晴れ舞台ともいえる時間は何の感慨もなくあっさりと終わった。薫は榊家に婿入りし、榊薫となる。 そうして 榊太郎子にとって、それまで黒歴史に放り込んできたツケをまとめて支払わなければならない最悪の時間が幕を開けた。 披露宴である。 229 未来のあなたへ10.5 sage 2009/08/06(木) 01 10 23 ID 055kfvnu 披露宴は婚礼会社のホールを貸しきって行われ、それなりに盛況だった。 まず客層がおかしい。 新郎の勤め先の上司や同僚、姉夫婦に次女と親類、友人Aとその夫はともかく。 妙に貫禄のある女性を筆頭に、目つきの悪い明らかに元レディースと思わしき集団が会場の一角を占拠していた。会場にバイクで乗りつけたのは、中学高校時代の新婦の『友人』である。高校の制服姿を着た少女までいる。現ヘッドらしい。 かと思えば、反対側に固まっている妙に統一感のない同年代の男女は「義理の美形メガネ兄と結婚とかなん乙女ゲー? 兄妹もの?」「幼馴染キャラ隠しておくなんて太郎子ひどいよねー」等と一般人には意味不明な会話をしている。百戦錬磨の同人作家たちである。 浮いた空気が混ざり合い、ひどいことになっている。太郎子の経歴のカオスさを示す良い指針といえた。 友人Aと姉御は別格として、どちらの方々も太郎子にとっては黒歴史に封印したまま二度と出てきてほしくなくなかった人種である。 事前に太郎子は式場案内を用意する薫を殴ってでも止めるべきだったのだが。魂が抜けていたせいでそんなことすら思いつかなかったのだ。後悔先に立たずとはまさにこのことだと新婦は影でのた打ち回った。 そうしていよいよ地獄が幕を開ける。 口火を切ったのは次女だった。両翼を警戒していた新婦にとっては後ろから撃たれたに等しい。最初の一撃がすでに致命傷だった。 何をしたのかといえば、新婦の半生を写真入りで振り返るドキュメンタリーを上映したのだ。結婚式の常套であり普通の人間にとっては気恥ずかしい程度でも、黒歴史の塊である太郎子にとってはそれどころでは済まない。 『両親は男の子のように元気に育って欲しいという願いを込めて、太郎子と名付け――――』 『友達の少なかった新婦ですが、中学に入って流行のイメチェンをしてからはこのようにたくさんのお友達が――――』 『短大では一転して文系活動に取り組み、同人もとい自費出版の様々な創作物を即売会で販売し――――』 爆笑の渦である。 ちなみにナレーションを行っているのは次女本人。自分に恥をかかせた弟妹に復讐するために、実に一年も前から調査編集してきていたのだった。非常に楽しそうである。 会場が程良く暖まったところで、打ち合わせをしていたとしか思えないように来賓が一斉に動き出す。 当時の太郎子の武勇伝を、元レディース達が次々と語ったり(最後は現ヘッドが特攻隊長称えて締め) 友人Aが太郎子をモデルにした同人誌をプレゼントしたり(曰く「大丈夫……触手は浮気じゃないから……」) オタク連中が太郎子のためと称してアニメソングをデュエットで延々と歌ったり(「私の彼~は、パイロット~」) 今はミュージシャンを志しているという姉御が、ギター一本でバラードを唄ってくれたり(これには太郎子も普通に涙ぐんだ) 気が緩んだところで、長女が懇切丁寧に高校当時の思い出を振り返って(無自覚に)閉じかけていた傷口を更に抉ったり。 太郎子は信号機のように赤くなったり青くなったり白くなったりし、終いには拳を振りかざして切れかかったが「お色直しでござる、お色直しでござる」とその度によってたかって押さえつけられては休憩となった。 この日の出来事は、結婚したこと自体も含めて、彼女の中で最大の黒歴史となる。 最悪も良いところだった。 230 未来のあなたへ10.5 sage 2009/08/06(木) 01 11 51 ID 055kfvnu 榊太郎子の最初の二十年はそんな風にして過ぎていき、恐るべきことに後の十数年も似たような調子で過ぎていった。何かの星を背負ってるとしか思えない。 問題が山積みのままで結婚した夫婦であり、それを乗り越えていくための愛すらなかった。 ただしお互いのことは嫌と言う程に理解しており、幻想などは欠片も存在しなかったために現状維持は容易く続いた。元々家族同然の関係だったのだ。 それでも少しずつ変化は訪れていった。 「最初に約束して欲しいことがあるんだけど」 「なんでしょう」 「そう、それよそれ。あのね、身内では敬語はやめて」 「そうですか、わかりました…………いや、わかった」 「(あら、結構新鮮かも)」 「それでは今日はもう寝ようか。明日から旅行だから早く休んだ方がいいだろう」 「新婚初夜よーっ!」 とにかく、彼女の夫は何かが欠落しているとしか思えない朴念仁で、その度に太郎子は躾に忙殺された。 子供の世話などその最たるもので、幸せな子供時代も父親も知らない薫は「子供の世話は君に任せる」とテンプレ通りの発言をしてしばかれたこともある。 愛想が尽きかけたのも一度や二度ではない。というか、尽きたとしても何も変わらない。最初から倦怠期が続いていたようなものだ。 それでも 息子と娘を産み、育てていく内に家庭は紛れもなく彼等の居場所となっていった。 太郎子はいい加減この夫に対して悟りを開いて丸くなっていたし、その性質を発揮して居場所を守るための努力を惜しまなかった。 薫も当初と比べれば段違いにマシになっていき、特に息子に対しては愛情めいたものを示すようになるまで変化していた。 後に娘が、父と自分を同類だと評しているが。太郎子に言わせれば娘の性格など(多少ブラコン気味ではあるが)全然普通の範囲である。麻痺している。 ともあれ 夫の奇行もマシになったし、息子も娘も恋人の影すらないが、非行に走るでもオタク趣味に精を出しているわけでもない。 結婚して十数年。ここ数年は大きな事件もなく、彼女はそれなりに幸せな家庭を手に入れようとしていた。 燃えるような恋は知らないが、夫と家族を含めた居場所というものを愛している。それで良いと納得できていた。諦めとも言う。 だが運命は非情である。少なくとも、榊太郎子の頭上に輝く星はかなり残酷なタチをしている。 ある夜。週に一度、夫婦で外食をする日。レストランで食事をした後の雑談にて 「ところで君に提案したいことがある」 「はいはい、なあに?」 「離婚しないか」 「ぶーーーっ!?」 啜っていた食後のアイスコーヒーを盛大に吹き出す妻。夫の美形が台無しになる。 もう何度目かは忘れたが、榊太郎子の人生は再び風雲急を告げつつあった。