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■ ハンター 粥満の施設説明でも触れましたが、ハンターとはいわゆる「何でも屋」的職業で、その仕事内容は情報収集、 探し物等から事件や遺跡の調査、魔物退治、違法組織の取締りなど多肢にわたります。 そのハンター達を取り纏め、全ての捜査権を握っているのが各都市に存在するハンターギルドです。 その中で王都である粥満に存在するものが総本部とされています。 ハンターには実力に応じて階級があり、神風学園の生徒はGクラスハンターとしてハンターギルドに登録されます。 ハンターには単独行動を好む者も中にはいますが、昨今の事件の凶悪化や規模の拡大に応じて、 4~6名での行動が主流になって来ています。 昇級するには昇級試験に合格するというのが一般的な昇給方法ですが、 上のハンターランクを目指すにはそれ以外にも必要な内容があるようです。 ハンターランクはS・A・B・C・D・E・F・Gの8種類です。 ランクが高くなる毎に、色々と特典がつきます。 またFへの昇格にはハンターポイントを溜めると自動的になることが可能ですが、 Eへの昇格時には申請および申請費がかかります。 さらに上位ランクへの昇格時には申請に加えて昇格試験があり、それを達成しなければ昇格はできません。 申請はこちらまで PC名: 名簿ID: 現在のハンターランクとハンターポイント: を入力してGM宛にメールしてください。 Fへの昇格時(30):特別報酬3000円・煌石1個追加 Eへの昇格時(50):特別報酬5000円・煌石1個追加・依頼時に武器を所持可能(武器の作成可能)/昇格に3000円必要 Dへの昇格時(150):煌石5個追加・覚えている魔術を一つ、得意魔術へと変化可能/昇格に5000円必要 Cへの昇格時(300):武器、もしくは装備品を魔導具へ強化 /昇格に10000円必要 Bへの昇格時:(NPC専用) Aへの昇格時:(NPC専用) Sへの昇格時:(NPC専用) 等々、ハンターギルドも段階によって色々な特典を解放していきます。 Sクラスハンターは名誉的な存在であり、特にギルドから特典はありませんが、 大和国内だけではなく飛鳥や出雲、それ以外の外国から広く知られる存在なのは間違いないでしょう。 また銃器や刃物、その他一般の法律で携帯及び使用が禁止されている物についてはギルドに申請して認可・登録をもらわない限り、 携帯・使用することは出来ません。 依頼で得た報酬は、ギルドの運営費、依頼時に怪我をした場合の保険を差し引き、 ハンターの生活費とギルド内で使用可能なお金に振り分けられます。 名簿、および依頼仲介所の依頼内容に記載されている金額はギルド内で使用可能なお金で、訓練やアイテム購入等に当てる事が出来ます。 ギルドではハンターの生活水準を保持する為に、生活費をギルド内で使用可能なお金に回すことを認めていません。 また、保険や依頼による現地までの交通費、 宿泊費やその他請求金額(後の調査で正当と認められる内容のみ)等はギルド側で助成しています。 ハンターカード ハンター全員に配布される電子カード型の身分証で、このカードを介して所持者の魔力を増幅させることができます。 また、パートナーシステムを利用する為にはパートナー同士でカードを接触させる必要があります。 電子化はされていますが、特殊加工が施されており磁石や耐火性がある為、通常の取り扱いに注意は不要です。 しかし、過度な力を加えると壊れる場合もあるので気をつけましょう。 持ち主の魔力にのみ反応する為、他人が使用することは不可能です。 また、作成には特殊な加工と素材を用いる為、非常に高価なものとなっています。 万が一不手際で紛失、破損した場合はハンター資格が剥奪される可能性もあります。
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8月18日、午後22時20分。 一人、イーステン美術館についた甚目寺禅次郎は、東十常司と会っていた。 彼はまだ16歳だというのに既にこのイーステン美術館を任されており(と言っても、元々彼の父親である東十常剣の名義だった美術館を引き継いだだけで、名義は祖父の東十常一となっている)、 その日は次の日からある絵画展のための準備日で、夜遅くまで残っていた。 「ん?貴方は…」 「司ちゃん…話を聞きたいんだ」 全力で走ったせいで、切れた息を整えながら禅次郎は司に尋ね始めた。 ☆☆☆ 8月18日、午後22時20分。 福良練と藤八沙耶は、教会へと来ていた。 以前鍵を借りたおじさんにもう一度鍵を借りに行き、それを使い中に入る。 そこは以前来た事がある教会のままだ。 特に何も気配は感じないし、沙耶の霊感を頼りにしても、特に異変は感じられない。 「うう…~何も見つかりませんね。はーちゃ、大丈夫でしょうかっ…」 「やっぱり教会の方が怪しそうですね。確か、教会と時計塔は繋がっているはず。行ってみましょう!」 と、時計塔へと向かおうとした二人の前に、巨大な女性が姿を現した。 突然だ。沙耶の霊感の感知には引っかからなかったが、出現した後からはびんびんに気配を感じている。 魔物とも違う、不思議な雰囲気の気配だ。 「鈴鳴様…」 『ぼぼぼぼぼぼっぼぼぼぼぼっぼ』 「あ、待ってっ!」 そして、すぐにすうっと消えてしまった。 だが、今度は先ほどと違い気配を残している。 何かを伝えたがっている。 たった僅かの時間、それも初めて会った人ではないモノではあったが、沙耶には鈴鳴様が子供を攫っているようには、とてもではないが思えなかった。 「沙耶せんぱ…!」 「わかっています、追いましょう!」 沙耶はメールで、鈴鳴様と会ったこと、そして危険そうには見えなかった事を行成ハナへと伝えると、練と同じく気配を見失わないように急ぎ時計塔へと向かった。 ☆☆☆ 8月18日、午後22時20分。 祠堂統は時計塔へと来ていた。 実はこの時計塔は直接入る事はできず、教会経由でなければ内側からの鍵のため、開くことはない。 「…にも関わらず、ここに来てしまったのだね」 「やれやれ…我が孫娘を心配してくれるのは嬉しいが、単独行動はあまり感心できんの?」 「伍代さん…それに国木田さんも」 時計塔の造りを説明していた土御門伍代だったが、彼からは強い魔力が漏れるように出ている事に統は気づいた。 そして見透かすように伍代は笑って見せた。 軽く息を吐くと、統は時計塔の上の方を眺める。 「鈴鳴様や五大神ってなんなんですか?既に二人は知っているんでしょ?」 その言葉に、伍代と国木田明夫は顔を見合わせる。 国木田が頷くと、伍代はまず「詳しい事は知らないのだが」と前置きをし。 「鈴鳴様が五大神の一つという事は知っているね? 五大神というのは、遥か昔に大災厄に備えるための人柱となった場所や人の事らしい。 粥満は女性、蒼は少女。紅と茜は施設とお地蔵様だが、それらは全て迫る大災厄に備えて人柱となった者がいた場所らしい」 「それ、どっかで聞いた事あります。でも、葵だけなんでわかってないんですか?」 「…それは宮廷にある文献にすら書いてはいなかった。だからこそ、もしかしたら葵には人柱となった者がいなかったのかもしれない」 「でも大災厄についての記述も無いんでしょう?」 その通り、と苦笑しながら話す伍代を見て、この話題についてはここまでだなと思考を切り替える統。 その時、時計塔へ感じ覚えのあるふたつの気配を見つける。 「…おそらく、藤八君と福良君か。行ってあげたまえ。サポートはしてあげよう」 ほぼ同時に気配を感じた伍代に、分かりました。とだけ伝え、二人に挨拶をする統。 彼は、直後魔力のワイヤーでまるでアクション映画さながら、塔を登り始めたのだった。 ☆☆☆ 8月18日午後23時。 「お邪魔しまーす…」 再び最初目覚めた部屋に戻ってきた行成ハナ。 扉を開けた際に入る僅かな光しかこの部屋には入らないが、サードアイズの力で増幅された魔力により、徐々に視界が馴れる。 あの時はカサカサする何かに即座に逃げだしたが、よく見れば映画とかでよくありそうな、拷問器具などがそろっている部屋だった。 「ぴぇぇ…だ、誰かいませんかー…?」 こそこそと小さく声を出すハナ。 返事をするように、そのタイミングで彼女の携帯が鳴りだし、言葉にならない悲鳴をあげてしまった。 『行成、今大丈夫?』 「じ、ジジ先輩…っ!」 電話の向こうの声は、禅次郎だった。 知り合いに安堵しつつ、まずはハナが現状を伝えた。 『拷問器具…やっぱり。 今、司ちゃんと会って話を聞いたんだけど、時計塔の殺人鬼は、時計塔のかつての管理人だった男のようなんだ。 だから…もしかすると、今回の事件や今までの失踪した原因は、鈴鳴様じゃないのかもしれない』 「そういえば、沙耶先輩もそんな事をメールで言ってました!でも、だとしたらその殺人鬼さんが管理人さんで、えっと…神父さんの夜逃げも関係してたりしちゃうんですかっ…?」 混乱してきたハナは、一つにつながらないかなという想いも込めて禅次郎に尋ねてみる。 すると、電話口からは『そうかもしれない』と意外な答えが返ってきた。 『行成、思い出せる?今まで鈴鳴様が追ってきた時、何か攻撃されたりはした?』 「え?ええっと…」 そういえば、ここで目が覚めるきっかけになった、いつの間にか背後に立っていた時もハナは気絶してしまっただけで、鈴鳴様が攻撃してきたわけではなかった。 その事を伝えると『え?』と禅次郎が驚きの声をあげる。 『ちょっと待って、行成は今どこにいるの?』 「えーっとですねぇ、目が覚めたーっていう部屋に戻ってきたんですっ。なんだか、痛そうな物がいっぱいありますー…」 『地下の拷問部屋は、教会を立てた時に埋め立てられているそうだよ。行成、本当にどこにいるの…!』 え。 呟いた彼女の前からは、目が覚めた時に見た、カサカサという音。 今度ははっきりとその姿が見える。 全身に返り血を浴びた、男の姿が。 その男の両足は斬られて無く、その足から無数の虫がカサカサと動いている。 「ぴぇぇぇぇぇっ!!!!」 男よりも無数の虫に嫌悪感を抱いたハナは、一目散に逃げだした。 場所は時計塔最上階。 一気に、駆け抜けるように。 しかし、気づくとすぐ背後にその男はいた。 凄いスピードでやってきたのだ! 否。違う、そうじゃない。 ハナは進んでいると思っていたら、いつの間にか戻っていたのだ。 魔力ではないため、はっきりとはわからないが、空間がゆがむような感覚をハナの第三の眼は感じ取った。 捕まる! 目を強く閉じたハナだったが、男は突如うめき声をあげて苦しみ、逃げるように去っていった。 「あれ…?」 そこには、ハナを守るように、最上階であったカラスが持ってきたエリクシルが転がっていた。 エリクシルは役目を果たしたと言わんばかりに、蒸発し消えてしまった。 「い、今のうちに!」 逃げていったとはいえ、既に守ってくれたエリクシルは無い。 また次に襲われてはかなわないと思ったハナは、再び全力で時計塔最上階へ向かうのだった。 ☆☆☆ 8月19日午前0時。 「はあっ、はあっ…」 息を切らしながら、最上階へと登ってくるハナ。 最上階からの夜景は綺麗だったが、今にして思えばなぜ気づかなかったのだろうか。 ハナの祖父、国木田の家が無い。 その隣も、離れた所にある家も。 サードアイズではっきりと見えているハナに、ここは現実ではない事を気が付かせてくれた。 「どうしたらいいのかなぁ…」 今でこそ何も来てはいないが、ここでずっとこうしているしかないのだろうか。 色々試すが、現実への戻り方がわからないのだ。 「おじいちゃん…」 小さく呟いた声は、カサ、という音に消される。 背後に、もうあの男が戻ってきていたのだ。 「ぴぇぇ…」 怯えながら後ずさるハナ。 それを追い詰める返り血の男。 男の手には、巨大なナタが握りしめられている。 先ほどから試しているが、この男にはサーチアイ系の拘束術などは通用していないのだ。 攻撃魔術もないハナには打つ手がない。 一歩ずつ、一歩ずつ近づく男。 一歩ずつ、一歩ずつ後ずさるハナ。 一歩ずつ、一歩ずつ近づく男。 一歩ずつ、一歩ずつ近づくハナ。 「ま、またっ!」 徐々に近づいていく自分と男の距離に、首を振って拒む。 『グゥグゥゥ…』 『ハナ、捕まれ!』 間を割るように、空間が突如割ける。 そこから聞こえる、練のような声と共に伸びる見知った手。 「ねりちゃ…フェルゼちゃん!」 『よく頑張ったな、ハナ』 練の体を借り、空間をこじ開けこちら側(現世)へと引き戻す。 成功したと思いきや、ハナの体は抜け出る寸前で返り血の男に掴まれていた。 「は、離してっ…!」 「行成、動くなよ!」 「コクール!」 魔力のワイヤーが行成をがんじがらめにする。 そして岩の蛇が返り血の男にあたり、返り血の男はハナの体を離した。 「フェルゼちゃん、お願い!」 『わかっている!』 練と彼女の中に宿る悪魔、フェルゼは開けた空間を元に戻した。 全てが終わり、沈黙が流れる中。最初に「さすが霊感巫女」と統が沙耶へと声をかけた。 「ねりちゃあん!」 「はーちゃんよかったよぅ…!」 抱き合う二人だったが、すぐにハナは男の子の事を思い出す。 「ねぇ知らないかな?男の子なんだけど…」 こんな帽子の、と安心からかつたない説明をしていると、統が少し離れた所に寝ている男の子を指さす。 それを見て、ハナの顔も明るくなった。 「甚目寺さんが電話してきて、時計塔の地下を調べてくれって。 ちょうど俺も時計塔にいたし、地下に行けばすぐいる場所がわかったよ」 「もっとも、埋め立てられた地下の道を何とかするのに、多少の時間はかかったが、ね」 肩を竦めつつも、ハナの顔を見るとまずは笑みを向ける伍代。 そのすぐ後ろから、国木田がその姿を見るが早く、すぐにハナに抱き着いた。 「よかった!よかった無事で…!本当によかった…!」 「お、おじいちゃん苦しいよ…!」 こうして、男の子も無事みつけたハナ達は、教会から外に出た。 すると、教会の鐘が一つ大きく鳴る。 だがそれは今までのように、失踪者を伝える鐘の音ではなく、事件が終わったことを報せる合図だというのを、なぜかハナだけでなくここにいる全員が感じていた。 そして最後にぼぼぼ、という音が聞こえると、ハナと沙耶には時計塔の最上階にいる巨大な女性の姿が、一瞬だけ見えた気がした――。
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ストーリー概要 海上(チェックポイントA) ○先行隊調査メンバー:桐石登也・祠堂統・東雲直・日野守桜 海竜に対抗するべく、美澄は大砲に魔力を込めて撃つという操作の仕方を指示する。 海竜との距離は3キロ以上、魔術では届かないのだ。 直達のチームは、いざ魔力を込め始めたが、海竜の起こした津波により直と桜が。 次に登也も船から流されたが、統の踏ん張りによりなんとか大砲に魔力を込めて発射ができた。 そしてそれを合図に次々とほかのチームの大砲も発射され、海竜は逃げ出した。 貴方達は安心したのも束の間、背後から無数のバルガという大海獣に襲われ、貴方達の乗る船は沈没するのだった…。 ※チャレンジ:一度も救助されずに大砲発射(煌石+1) ラピス海前半(チェックポイントB) ○先行隊調査メンバー:桐石登也・祠堂統・東雲直・日野守桜 無人島へ流され付いた4人と、響ルナリア中佐。 彼女は四人を回復してくれると、ここで待つことを決めた。 中佐の彼女がいないのだから、誰か来てくれるだろうという考えだ。 しかし、ここは海の墓場と呼ばれるラピス海。 他に誰か来るのを待つよりも、おそらくあの時投げ出された他の仲間との合流を果たすべく、そして海竜と邂逅し暴れるのを止めるべく貴方達は先に進むことを決意する。 残る響を置いて、四人はラピス海へ。 海竜ウロボロスが背後から迫り、四人を追跡してくるが、なんとか振り切り仲間の気配を感じる方向へと、統が率先して向かったのだった。 ※チャレンジ:海竜逃走にて合計数値1200以上(煌石+1) 無人島(チェックポイントC) ○先行隊調査メンバー:烏月揚羽・鬼ヶ原空・白神凪・月宮香蓮・藤八沙耶・福良練・深海将己・柳茜 流され付いた8人が目覚めると、そこは無人島だった。 船から投げ出された時、他のメンバーともはぐれたようだ。 しかも、遠くから船を破壊した張本人であるバルガが2体迫ってくる! 貴方達は応戦し、辛くも手負いだったバルガ2体を撃破すると、そのままラピス海へと入って先へ進むのだった。 ※チャレンジ:バルガどちらか1体をワンターンキル(未達成) ラピス海後半(チェックポイントD) ○先行隊調査メンバー:烏月揚羽・鬼ヶ原空・白神凪・月宮香蓮・藤八沙耶・福良練・深海将己・柳茜 海に入り、そのまま進む8名。 しかし、魚一匹いない海の中、突如東海竜ウロボロスが襲ってくる! バルガとの戦いで消耗しており、更に海の中ということで満足に動けず、貴方達は逃亡を決意。 なんとか逃げ切り、仲間の気配がする方へと向かって泳いでいくのだった。 ※チャレンジ:100面ダイスで40回(8人×5回)中クリティカル10回出す(未達成) 深海(チェックポイントE~F) ○先行隊調査メンバー:鬼ヶ原空・桐石登也・祠堂統・東雲直・日野守桜 深海で合流した貴方達は、ある神殿の前にいた。 そこは門が閉ざされて、攻撃しても何をしても開かなかったが、そのうち魔力で開くことに気付いた。 しかし膨大な魔力が必要で、この海域には魔力に反応して襲ってくる魔物もいたため、空・登也・統・直・桜の5名は、門を開くための魔力蓄積を他のメンバーに任せ、魔物を引き付けるための相談を始める。 だが数十分過ぎたころ、クジラ型の魔物、混合ホエールに気付かれ吸い込まれ戦闘を余儀なくされる。 一部属性を反射し、ダメージも通らない相手に苦戦する面々だったが、統の裏死線の一撃により呆気なく金剛ホエールは消滅した。 その矢先、血の匂いを嗅ぎつけたサメ型魔物のギンバルザメが続けて貴方帯に襲い掛かる。 体勢も立て直していなかった貴方達だったが、登也のスパイナルジャッカ―での弱体化により、ギンバルザメの無力化に成功。 そのまま倒し、被害を出さずに撃破に成功した。 これで安全は確保されたが、このままでは血の匂いで第二第三のギンバルザメが来るのは容易に想像できる。 そのため全員、神殿の門の所へと戻ると他のメンバーが門を解放していたようで、全員合流して神殿内部へと入るのだった…。 ※チャレンジ1:金剛ホエールをワンターンキル(未達成) ※チャレンジ2:ギンバルザメ戦において、戦闘不能者0(ギンバルザメ戦に入る前から戦闘不能の者は除く)(煌石+1) 海底神殿上層(チェックポイントG~H) ○先行隊調査メンバー:天瀬麻衣・向坂維胡琉・志島武生・甚目寺禅次郎・月宮香蓮・藤八沙耶・行成ハナ・幸村カヤ 背後を残りのメンバーに任せ、先遣隊として貴方達は海底神殿を進んでいく。 魔物は特にいなかったが、水滴の描かれた大きなレリーフがあり、それに水属性の魔術を当てると先へ進む道(縦穴になっており、そこに張っていた水が引いただけだが)ができる。 レリーフに魔術を当てつつ、水を増したり減らしたりしながら、トラップをかいくぐり進む貴方達。 途中何人も戦闘不能者を出しながらも、辛くもトラップ地帯を突破したのだった。 トラップ地帯を抜けた貴方達の前に、鍵穴もなにもない扉がある。 そして左右に水滴のレリーフと髑髏のレリーフが描いてあり、今度は水属性と闇属性の魔術を当てると、扉が開いた。 扉が開くと真っ暗闇で、足下も真っ黒の水たまりが張っている。 先へ進む道などを探していると、突如貴方達をすり抜け、男女6人組みがどこからか出現した。 女はカーネリア、それ以外を粥満、葵、茜、紅、蒼と呼ばれていたようで、竜の試練を受けにきたことを話していたが、目の前にいるのに肝心の貴方達に気づいた様子もなく、構わず話をしている6名。 すると貴方達に気づいたのか、女が武器を構え、それに続き他の者も構えた。 男5人のうち2人は、ほかの男と女を先に行かせ、ここで食い止めるべく貴方達と対峙するのだった。 貴方達はなんとか勝利すると、男達はどこからか現れた鎧の騎士のような者の槍に貫かれ絶命する。 その瞬間、貴方達は元の部屋へと戻った。 正確には、暗闇は晴れ左右に明かりがついており、足下の黒い水溜りも消えて、先に進む扉が現れていたのだ。 不可思議な減少に混乱しつつ、ひとまず空気があるここで休憩を取り、後続のメンバーを待つことにしたのだった…。 ※チャレンジ1:2つ目のエリアを戦闘不能者0で突破(未達成) ※チャレンジ2:男Dをワンターンキル(煌石+1) 海底神殿中層(チェックポイントI~J) ○先行隊調査メンバー:烏月揚羽・向坂維胡琉・甚目寺禅次郎・白神凪・深海将己・柳茜・行成ハナ・幸村カヤ 背後を残りのメンバーに任せ、先遣隊として貴方達は海底神殿中層を進んでいく。 魔物は特にいなかったが、水滴、髑髏、太陽、植物、電球、そして北風の描かれた大きなレリーフがあり、「それは全ての生命の源」といった謎解きのようなトラップになっていた。 レリーフに魔術を当てつつ、時には戦闘不能になったりしながらなんとかトラップ地帯を抜けるのだった。 最後のトラップ地帯を抜けた貴方達の前の扉が開くと真っ暗闇で、足下も真っ黒の水たまりが張っている。 先へ進む道などを探していると、突如宇宙空間のような場所へと出た。 そこは将己と揚羽には見覚えのある場所だったが、気配を感じて振り返ると知らない女の姿が。 女の姿は浮浪者、廃人のようにボロボロで目の焦点があってはいなかったが、貴方達に向けて明確な殺意を向け襲ってくる。 貴方達は彼女を倒すと、貴方達の体をすり抜け、槍が彼女の心臓を貫き彼女は絶命した。 その瞬間、貴方達は元の部屋へと戻った。 正確には、暗闇は晴れ左右に明かりがついており、足下の黒い水溜りも消えて、先に進む道が現れていたのだ。 不可思議な減少に混乱ていると、鉤爪をつけた男が現れ、約束は果たしただの次の竜で待っているなどを伝え去っていく。 最後に、将己と揚羽を見てユグドラシルの大樹の一角に行ったようだ、と言う言葉を残して…。 ※チャレンジ1:トラップ地帯をミス2回以内で突破(未達成) ※チャレンジ2:女をワンターンキル(煌石+1) 海底神殿下層~歪みの道(チェックポイントK~L) ○先行隊調査メンバー:天瀬麻衣・鬼ヶ原空・桐石登也・甚目寺禅次郎・志島武生・白神凪・六角屋灼・柳茜 背後を残りのメンバーに任せ、先遣隊として貴方達は海底神殿下層を進んでいく。 魔物は特にいなかったが、水滴のレリーフがあり、それを起動すると下へと落ちていく道が現れた。 その道はかなり深く、ブレード3連続に空以外の面々がやられ、更にその後にあったピラニア3連続に空もクリアできずにそのまま全員奈落のように続く底へと落ちていった…。 気づくと、真っ暗闇で足下が黒い水溜りのエリアだった。 そこで、それぞれはウロボロスが見せた、過去、現在、そして未来の映像を見ることになる。 各々違うようで、またその映像は人の「死」に関係する映像のようだった。 麻衣と空と登也と禅次郎と武生は未来、凪と茜は過去、そして灼は現在の幻覚を魅せられ、徐々に死のイメージに取り込まれていく。 全員死のイメージに引きずりこまれる中、茜と凪だけは幻覚を打ち破り、そのエリアからの脱出に成功。 その先にある竜との決戦の間とおぼしき巨大なゲート前にある、回復装置に全員を移動させ、回復してから竜へと挑むのだった。 ※チャレンジ1:一人以上最新部に辿り着く(未達成/チェックポイントも同じのため失敗) ※チャレンジ2:全員戦闘不能にならないで突破(未達成) 東海竜ウロボロス戦(チェックポイントM) ○先行隊調査メンバー:天瀬麻衣・鬼ヶ原空・桐石登也・甚目寺禅次郎・志島武生・白神凪・六角屋灼・柳茜 ゲートをくぐり、孤島のような地へ移動する貴方達。 見た目は最初のラピス海の孤島に似ているが、他の生物・魔物は一切おらず、ウロボロスの領域なのだと実感させられた。 語りかける声(といっても頭に直接響く音だが)は、人間に対して明確な敵意をもっており話し合いは通じず、戦闘になった。 最初の形態は、ラピス海前に飛鳥の軍船であった蒼き鱗を纏う蛇のような竜。 また雷雨を操り、長期決戦は不利。そう判断した貴方達は、茜のABBAで即効で撃破した。 ※チャレンジ:なし 水銀竜ウロボロス戦(チェックポイントM) ○先行隊調査メンバーA:天瀬麻衣・鬼ヶ原空・桐石登也・甚目寺禅次郎・志島武生・白神凪・六角屋灼・柳茜 ○先行隊調査メンバーB:烏月揚羽・鬼ヶ原空・向坂維胡琉・志島武生・白神凪・日野守桜・藤八沙耶・福良練・深海将己・六角屋灼・柳茜・幸村カヤ 辺りに雷雨の代わりに銀の雨が降り注ぎ、ウロボロスの体も銀色へと変色していく。 どうやら銀色のものは液体金属のようで、貴方達の体に刺さるように雨は降り注ぐ。 ウロボロス自身も液体金属を操り数多の攻撃を放ち、東海竜の時の消耗もあり貴方達は倒れた。 今回は試練とは違い、ゲート前の転送はなかった。 絶体絶命の時、飛鳥の軍人の一人が駆けつけ、彼らの窮地を救う。 しかし一人はあまりにも無謀で無茶。 やがて彼も押され、ウロボロスの一撃により体を貫かれそうな時、麻衣の叫びに呼応するように部下を連れた美澄少尉により貴方達は助けられたのだった。 後続も駆けつけ、応戦していた美澄達と交代で戦闘に入る貴方達。 ウロボロスの液体金属で再度壊滅しかけたが、順に回復を繋いでいき先に倒れていたメンバーも復活させ、なんとか戦線を立て直す。 その後は茜を軸とした攻撃特化の一撃で、ウロボロスを落とすことに成功した。 ※チャレンジ:なし 冥海竜ウロボロス戦(チェックポイントM) ○先行隊調査メンバーA:烏月揚羽・鬼ヶ原空・向坂維胡琉・志島武生・白神凪・日野守桜・藤八沙耶・福良練・深海将己・六角屋灼・柳茜・幸村カヤ ○先行隊調査メンバーB:鬼ヶ原空・桐石登也・向坂維胡琉・志島武生・白神凪・日野守桜・藤八沙耶・福良練・柳茜・幸村カヤ ウロボロスが倒れると、メンバーを入れ替え万全の状態で挑む貴方達。 ウロボロスは倒れ腐食し、辺りの海を黒く染め上げる。 また、孤島も腐り沈んで貴方達は海中へと潜らされる事になる。 黒き水による攻撃以外にも、水中から手を伸ばし、動けば動くほど闇の底へと引きずり込む技をしてくるウロボロス。 更に水中戦のため、茜の火属性技は使えず、登也の雷系の技は味方全体にも効果が及ぶため使えない。 そのため攻撃メンバーを変え、維胡琉、沙耶の2人を主軸に、弱点無しのウロボロスを攻める貴方達。 補助も完璧に揃ってはいたが、それでも苦戦しつつなんとか撃破に成功したのだった。 ウロボロス撃破後、貴方達は彼?が作り出した水鏡の映像を見ることになる。 まず、ラウム山脈、エクスハティオ大聖堂跡、そしてこの場の海底神殿が映された。 それから宇宙空間のようなところにある大樹。月へと変わり、月には鉤爪の男が立っていた。 おそらく、これは竜の棲家を示すものだろう。 次に変わった映像は、大和の各地に大雪、津波、地震などの災害が起こっている景色。 大和に起こる大災厄。竜達が言っている事はこれのことなのだろうか。 そしてラウム山脈麓へと映像は切り替わり、グレイシアが山頂の方を見た瞬間に神殿のような場所へと更に切り替わる。 そこには精密そうな巨大装置の前に、一人の人物が見えた瞬間で映像は消えた。 ウロボロスが言うには、これは未来に必ず起きる映像らしい。 それを変えて行けるかは貴方達次第。 最後にそう言い残し、貴方達に力を与えるとウロボロスは眠りについた。 その後、消えたウロボロスのいた場所に小さな小瓶があり、魔を払う力を有していたようだったが、誰も使わずそのうちその小瓶は消えてしまったようだ。 ※チャレンジ:なし 戻る
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12月中旬、午後13時(1日目)。 甚目寺禅次郎は、村長である橋加賀の家でまずは瞬芽と唐草に話を聞いた。 「…では、探せるところは全て探したんですね?」 「はい、でも真奈はどこにも…!」 「橋加賀さん、やはりパンドラも調べた方が…」 「じゃがのぅ、あそこは二階の窓しかないんじゃよ?そこから入るには、ハシゴか脚立は絶対にいる。村を駆け回ってたこの二人が気づかないはずないと思うがの~」 橋加賀孝蔵は、あまり禅次郎の提案に乗り気ではない。 それどころか、瞬芽と唐草もその話題には触れたがらない。 禅次郎はあからさまな3人の態度に目を細めると、意を決して尋ねた。 「あの、言いたくない事かもしれませんが、あの場所で何があったんですか?」 「じゃからそれはワシが説明して――」 「橋加賀さんに聞いたわけではないです、俺は唐草さんに聞いたんです」 唐草は、ドキッとした表情で禅次郎を睨む。 しまった、と橋加賀も表情を歪ませた。 『先程も言った唐草なら、色々知っているはずじゃ。パンドラを調べるために外部から来た変人じゃからの』 「そう、橋加賀さんは言ってました。唐草さん、教えてください。わざわざパンドラを調べに来た貴方でなければ、真奈ちゃん達は救えない」 暫く沈黙が流れた。 橋加賀も隠しているのは分かるが、おそらく彼を突くよりは、唐草の方がやりやすいはず。 禅次郎はまっすぐに彼を見続けると、彼はため息をついた。 「わかった、話せばいいんだろ」 「唐草!」 「村長、この人はハンターなんでしょう?だったら解決してくれるかもしれないじゃないですか」 「じゃがのう…」 渋る橋加賀を横目に、唐草は話を切り出す。 「ええと…」 「甚目寺です」 「甚目寺さん、貴方はパンドラをどんなものだと思ってます?」 「どんなもの…ですか?」 「はい。ぱっと思いついたものを言ってみてください。貴方は詳しく調べてなくても、見たんでしょう?」 ここに来る時に見た、村外れにある一軒の家。 その家は入る扉はなく、二階に窓が一つあるだけの不思議な一軒家。 「正確には、家ではありません。 例えば神様を祀るために神社があるように、あれは家ではなく祀るためのものなのです。 ですから、子どもが悪戯しないように、いつもは人が入れないように入口も塞がれています。 まあ、換気しなければ偉いことになるので、たまに大人がハシゴで窓だけ開けるそうですがね」 「成程…では時間も無いので、もう一つだけ。」 先程からそわそわしている瞬芽さんを見つつ、今聞けるのはもう一つくらいだろうと判断した禅次郎は、唐草に尋ねた。 「そこで、何を祀っているんですか?」 ――。 ☆☆☆ 禅次郎がハシゴを使い、2階の窓を外して中へと入る。 「気を付けるんじゃぞー!」 村長の橋加賀、唐草、瞬芽も不安そうに見ている中、禅次郎は彼らに手を振って応えると、中へと入った。 2階は何もない、強いて言うなら長年誰も入っていないせいか、埃がかなり溜まったただの部屋だった。 「何も無いな…」 禅次郎は部屋から出ると、2階はどうやらその一部屋しかなかったようなので、隣接する階段を降りて1階へとやってきた。 その間、後輩3人の電話を思い返していた。 『ぜんじろ先輩、大丈夫ですか…?何かわかればよかったのですけど…』 紅の商店街で聞き込みをしている福良練からの情報の収穫は、何もなかった。 場所が悪かったのか、蒼くらいなら情報くらいは聞けただろうが…。 『収穫無しです…』 『ジジ先輩、ごめんなさい…』 そう切り出したのは粥満の市民図書館で調べている藤八沙耶と、茜の久馬堂で調べていた行成ハナだった。 得た情報は、パンドラという都市伝説について。 『結構古くからある噂のようで、その内容は蒼のある村で、決して立ち入ってはならない家があるという。 その家に入って鏡台の引き出しを開けてしまうと…』 それしか書かれておらず、その先は不明。 練もパンドラ自体を知っている、という人物はいたものの、沙耶が調べたような情報までは詳しくなかった。 ホラー好きなら知っている、程度でしかないのだ。 練もそうだが、この怪異については情報が少なすぎるのだ。 おそらく、橋加賀の姉は鏡台にある引き出しを開けたに違いない。 そしてそのせいで狂ってしまったのだろう。 だが、一体何があった? 果たして、それは今もあり、自分がそれを調べることで同じようになってしまうのではないか。 ともかく、今禅次郎がいる村までの道のりは、練、ハナ、沙耶へと伝えてある。 彼女達が更に調べ物をするか、現地に来てくれるかはわからないが、少なくとも他都市で調べるよりは効率は上がるだろう。 『実は、彼女は俺の父さんが看護してたんだよ』 唐草から聞いた話は、橋加賀の離婚した母親と姉が既に亡くなっている事。 彼女達は蒼の大都市に移り住んだ後、結局姉は衰弱死、母親もその後に自殺しているらしい。 そして唐草の父親は、その蒼の大都市の病院の看護師で、橋加賀の姉の担当だったということくらいか。 話を整理する。 まず、橋加賀の姉は友人達とパンドラに忍び込んだ。 そこで、おそらく鏡台の引き出しを開けてしまい、廃人になってしまったのだろう。 おそらく沙耶やハナが調べたパンドラの都市伝説は、廃人になった橋加賀の姉の友人の手によって流された噂なのだろうと考えてしまうのは早計だろうか。 それで辻褄はあう。 なぜなら、禅次郎が降りてきた1階にも、部屋が1つ。 どこからか人の気配を感じつつも、一先ず一つしかない部屋へと入る禅次郎。 「これは…」 さすがの禅次郎も言葉を失う。 鏡台があり、その鏡台を見るようにコートなどをかけるコートかけが置いてあるのだ。 もちろんコートがかかっているわけではなく、コートかけの帽子を掛けるところにあるのは、カツラ。 女の長い髪の毛のカツラなのだ。 それは果たして本当にカツラなのか? 嫌な気配をひしひしと感じた禅次郎は、それを警戒しながら、近寄らないように鏡台まで近づく。 まるで、鏡台を見ているかのような女の髪のカツラ。 鏡台と女の髪のちょうど真ん中に禅次郎が立つ形となる。 気味の悪さを感じながら、鏡台の引き出しを開けた。 そこには名前が書かれている。 ハナコ、サダコ、ヨシミ、ミサキ。 「ミサキ…?橋加賀…岬?」 橋加賀の姉、橋加賀岬。 その名前が確かにあったのだ。 どういう事かと考えようとした瞬間、鏡の中でコート掛けの髪のカツラが、禅次郎へと迫ってきている! 「なっ…!?」 咄嗟にスピードワールドで時間を止め、鏡台から離れる禅次郎。 カツラは動きを止め、禅次郎は鏡台から離れて急いで二階へと戻り、窓から外へ出た。 「おお、戻ったか!一体中に何があったんじゃ!?」 「はぁ、はぁ…」 心配をして尋ねる橋加賀や、何も言わないが何があったのか聞きたそうな瞬芽や唐草を見て、まず首を横に振る禅次郎。 その二人は特に、落胆の色を隠せなかった。 「結局ここにもいないのか…」 「どこに行ったのかしら…」 「いえ、違います。おそらく真奈ちゃん達達は中にいます」 「どういう事じゃ!?」 禅次郎が1階で感じた人の気配。 部屋には、鏡台とカツラしかなかった。 では、あの気配は? 禅次郎はパンドラの裏手に回ると、小さな子供ならやっと入れるくらいの穴を見つけた。 それは、パンドラの中につながっている。 「ここか…」 橋加賀から懐中電灯を借りて中を照らすと、そこには倒れている二人の少女が。 瞬芽真奈と、そういえば名前を聞いていなかったが、唐草の娘に違いない。 「おお!お手柄じゃ!!」 「よかった!今すぐ壁を壊そう!」 救出された二人は、静かな寝息を立てて眠ってしまっているようだ。 どうやら入ったのは簡単だが、出る時は体をそらせないと出れないような穴の形だから、そのままそこで眠ってしまったのだろう。 これで一件落着。 そう言ったのは橋加賀だ。 本当にそうか? あの鏡の中で禅次郎に向かってきた髪はなんだったのか。 それを突き止めるまでは、まだ終われない――。
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■ 魔術 魔力を使用してさまざまな効果を生み出す技術を総称して魔術と呼びます。 ただし、魔術=魔法ではありません。 魔法は伝承としてしか語り継がれていないもので、魔法を目にした事がある者は一人もいません。 魔術にはさまざまな種類がありますが神風学園およびハンターギルドでは神術・黒魔術・錬金術・白魔術の4つを教えており、その数は全部で48種類です。 魔術習得には、ギルド内で使えるお金で習得まで目指し、覚える事が可能です。 各魔術には1~3のレベルが存在し、習得者の能力上昇に伴ってレベルも上がります。 多くの魔術はレベルが上がることで威力が上がったり、特殊な効果が付いたりしますが、消費MPは基本的に増えます。 魔術レベル上昇による変化は個々の魔術によって異なります。 魔術は基本的にレベルの使い分けが可能で、レベル3に達した魔術でも任意でレベル1~2を使用することが出来ます。 魔術と深いかかわりのある存在として魔導と魔導具が存在します。 訓練次第で誰でも使える魔術と違い、魔導は生まれ持った素質がある者にしか使う事が出来ません。 その条件とは「精霊の声が聞ける」という事です。 これは魔導の本質とも関わるのですが、魔導とは自らの魔力と精霊の魔力を合わせて様々な効果を生み出すもので、 その威力は魔術とは天と地ほどの差があるとされており、 事実大和では過去に魔導使いにより世界そのものが消滅しかけた経緯もあります。 それ故に魔導使いは宮廷から危険視されており、監視が付くなど生活に何らかの制限がかかっています。 一方魔導具は一言で表すと「成長する装備品」で、所持者が魔術を使用する際の媒介となるものです。 魔導具は魔導とは違い、物的条件が揃っている者全員が使う事が出来ます。 条件は原則として4つで 一定レベル以上の魔術の知識がある事 ベースとなる装備品を所持している事 魔導具生成に必要な施設を使う料金を所持している事 一定ランクのハンタークラスを所持している事(Bクラスハンター以上) この4つの条件が揃っている者は全員魔導具を持つ資格があります。 犯罪者等は3・4の項目が困難なため、滅多に所持している事はありません。 ですが中には裏ルートで取引された魔導具や人から奪った魔導具を、使用したりしている者もいるので注意が必要です。 上記の理由によりハンタークラスがBまで上げる事ができない神風学園の生徒は、使う事ができません。
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■ 蒼(そう) 大和で最も広い面積を占める都市です。 しかし都市とは言っても他の4都市に比べて中心部というものは無く、いくつかの村や町が点々とある程度で、 大和で最も魔物の発生率が高い地域でもあります。 村や町は主に農業で生計をたて、大和の農産物はほぼ蒼で生産されています。 また蒼には安全区域、危険区域、特別危険区域といった場所が宮廷によって指定され、 危険区域以上は非常に強力な魔物が出没するため、滅多に人が足を踏み入れる事の無い場所となっています。 一方安全区域は農業に従事する人々の他にも、自然を愛する人達がキャンプを行ったり海水浴をしたりするために活用されています。 安全区域の何カ所かには温泉も出るらしく、そういった場所は湯治客で賑わう事も珍しくありません。 危険区域以上の地域には準備無しで入ると迷う程の広大な森、草木が生えない死滅した地など様々な場所があり、 密林の奥には古代の遺跡などが残されているため、ハンターや命知らずの学者が踏み込んでいく事も少なくありません。 蒼への交通手段は主に陸路かリニアモーターで安全地域へと向かうのが基本となっています。 蒼の中で一番大きな町にだけは、各都市へと続くリニアモーターシステムが用意されていますが、 殆どの村や町は車での移動が基本となっています。 【蒼を象徴する建物など】 安全区域 蒼の中でも比較的危険な魔物が少なく、一般人でも生活していく事が可能な区域で、蒼にいくつか点在しています。 大抵は温泉や海水浴場の側といったレジャースポットか、農業或いは漁業場となっています。 一部には金持ち向けの別荘地もありますが、大和でも標高が高いため雪が積もるとされる山岳沿い等は、 魔物も多いためあまり利用されていないのが現状です。 危険区域 魔物の出現率が高く、いつ魔物にあってもおかしくないという場所です。 一応この区域に、村も少なからず存在します。 蒼の魔物退治の依頼がある時は、大抵は危険区域に近い村からの依頼で、 危険区域にある村にはハンターが定期的に巡回したりしているようです。 安全区域にいるような無害な魔物も多数存在しますが、 中には凶暴な魔物も存在するので一般人が危険な魔物にあってしまった場合、生還率はかなり低いと言えるでしょう。 主に森林や山岳地帯等が危険区域へと指定され、 時折危険を承知でハンターや考古学者が森の内部を調べに行く他は、人が立ち入ったりしない場所です。 現在蒼の約3分の2が危険区域に指定されています。 特別危険区域 蒼の中でも危険で強力な魔物が出る事が確認されている区域で、 高レベルのハンターでなければ相手に出来ないような魔物が多数生息している区域です。 凶暴であったり巨大であったり、その区域に棲息している強力な魔物の数は少ないものの、 うっかり入ってしまったら、一般人では確実に命を落としてしまうでしょう。 場所は蒼の西方、地図で言うと黄色い部分が該当します。 またこの区域はなぜ草木が生えないかを調査するため、腕利きハンター数名に学者と言ったチームが組まれて度々調査されています。 草木が生えない理由は此処に棲息する強力な魔物のせいでは、という一説も出ている区域です。 ハンターギルド特別危険区域支部 蒼の街からかなり離れた、危険区域内に設置されているハンターギルドの支部で、特別危険区域に近い危険なエリアです。 その分依頼内容も凶悪な魔物の討伐が多く、此処での依頼の報酬は、どれも高額が約束されています。 土地柄のせいもあって、かなり範囲も人口も少ない集落になっていますが、 ハンターの中でも若手・ベテランと多数のハンターが集まる区域となっているため、店の店員以外の道行く人はほぼハンターです。 支部長も第一線で活躍するハンターです。 柏宮鉄鉱山 遥か昔から採掘されてきた鉄鋼山で、危険区域にあるにも関わらず今も鉱夫が採掘を行っている唯一の国営の鉱山です。 現在は危険区域指定ですが、大和の鉄の3分の1はここで採掘される鉄鉱石なので、日夜葵の陸軍が警備に当たっている場所でもあります。 ちなみによく「かしわのみや」と間違われますが、「はくのみや」鉄鉱山が正しい読み方です。
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コナミコンピュータエンタテインメントスタジオ 本店:東京都千代田区丸の内二丁目4番1号 【商号履歴】 株式会社コナミコンピュータエンタテインメントスタジオ(2003年6月~2005年4月1日コナミ株式会社に合併) 株式会社コナミコンピュータエンタテインメント大阪(2001年6月~2003年6月) 株式会社ケイシーイーオー(2000年8月~2001年6月) 株式会社コナミコンピュータエンタテインメント大阪(1999年6月~2000年8月) 株式会社コナミコンピュータエンタテイメント大阪(1995年4月~1999年6月) 【株式上場履歴】 <ジャスダック>2004年12月13日~2005年3月28日(コナミ株式会社に合併) <店頭>1999年9月9日~2004年12月12日(店頭登録制度廃止) 【合併履歴】 2003年5月 日 株式会社コナミコンピュータエンタテインメントスタジオ 【沿革】 平成7年4月 家庭用ゲーム機用ソフトウェアの制作及び販売を目的としてコナミ株式会社の制作部門の一部を分離し、大阪市北区西天満4丁目15番10号に株式会社コナミコンピュータエンタテイメント大阪を設立。資本金300百万円。 平成9年10月 家庭用ゲーム機用ソフトウェア等の商品化を許諾することに関して、コナミ株式会社と「商品化許諾基本契約書」を締結。 平成11年6月 商号を株式会社コナミコンピュータエンタテインメント大阪に変更。 平成11年9月 日本証券業協会に株式を店頭登録。 平成12年4月 家庭用ゲーム機用ソフトウェア等を販売することに関して、コナミ株式会社と「商品売買基本契約書」を締結。 平成12年7月 本社を大阪市北区梅田2丁目5番25号に移転。 平成12年8月 商号を株式会社ケイシーイーオーに変更。 平成13年6月 商号を株式会社コナミコンピュータエンタテインメント大阪に変更。 平成15年3月 株式会社コナミコンピュータエンタテインメントスタジオの全株式を取得。 平成15年5月 株式会社コナミコンピュータエンタテインメントスタジオを吸収合併。 平成15年6月 商号を株式会社コナミコンピュータエンタテインメントスタジオに変更。本社を東京都港区六本木六丁目10番1号に移転。 平成16年12月 日本証券業協会への店頭登録を取消し、ジャスダック証券取引所に株式を上場。 平成16年12月 コナミ株式会社、株式会社コナミコンピュータエンタテインメント東京及び株式会社コナミコンピュータエンタテインメントジャパンとの間で合併契約書締結(合併期日平成17年4月1日) 平成17年3月 ジャスダック証券取引所上場廃止。 平成17年4月1日 コナミ株式会社、株式会社コナミコンピュータエンタテインメント東京及び株式会社コナミコンピュータエンタテインメントジャパンと合併し、当社は解散。
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エピローグ~one year later…12~ 茜、裏路地にあるとあるBAR。 そこには貸切の看板がかかっており、中には神崎信が一人でカクテルを飲んでいた。 「…」 「来たか」 入ってきた人物は深海将己。 神崎に呼ばれて来た彼は、神崎に軽い会釈をすると一つ離したカウンター席へ座る。 「どーも」 「指定時刻より僅かに遅れたぞ」 「いや、リニア乗ってこの時間だし普通に無理でしょ」 「冗談だ」 そうですかと鼻で笑って返していると、すぐにバーテンダーが注文を聞いてきたため、適当に注文をする。 本当は桜木有布達と少し会話していたため、リニアに一本乗り遅れたのだが…それを説明するつもりはなく、また神崎も事情までは知らないだろうが、リニアに一本遅れた事は知っている。 大体人をからかう時の神崎信とは、そういう男だ。 「ああ、最初に。今回は私の奢りだから好きなだけ飲むといい」 「じゃあ遠慮なく」 と言っても高額なボトルを一本入れた所で、天下の宮廷魔術師の顔色は変わる筈もなく。 また嫌がらせも兼ねて沢山頼もうかとも思ったが、さすがに飲みきれないのに注文するのは店への迷惑にもなると考えるだけの常識は、社会人として持ち合わせているため、先程頼んだ注文につまみになりそうなものを注文しただけだった。 バーテンダーに注文を終えると、早速神崎が口を開く。 「単刀直入に聞く。深海、お前宮廷に入る気はあるか?」 「…は?」 「宮廷だ。二度も言わせるな」 「本気で言ってます?神崎ティーチャー」 神崎は答えない。 そして、この可能性も将己は予想はしていた。 こんなこと以外で、わざわざ電話をかけてくるならばよっぽどの事態だろうし、依頼ならばギルドに将己指定で出せばいいだけだ。 更に言えば、ハンター業に精を出しているわけでもないため、それ以外の用事ならばわざわざ将己を呼びつける時間よりも、ギルドで暇を持て余している高クラスハンターの方が効率はいい。 突然の言葉に困惑はしたものの、改めて冷静に考えているうちに、神崎は話を続ける。 「宮廷といっても、私の下で数年は働いてもらう。そして、いずれは宮廷魔術師になってもらいたい。返事はそんなにすぐでなくとも構わん」 「…」 「ああ、ちなみに断ってから後で『やっぱりやりたいです』と言っても、もう受け付けないからな」 「まあ、いいですよ。いつから行けば?」 予想以上に早い返答に、これにはさすがの神崎も驚きの表情を見せた。 咳払いをし、神崎は努めて冷静に振る舞う。 「手続きがまだ済んでいないから、来月からだ。もっとも、私には部下が一人もいないからすぐ受理されるとは思うが…」 「何か筆記試験とかあるんすか?実技とかも、宮廷ならなんかありそうなイメージ」 「いや」 そう言って、言葉を切り暫く考えるような素振りを見せる神崎。 直ぐに携帯電話を取り出し、電話をかけ始める。 繋がったと思うと、筆記や実技の試験が宮廷員として採用事項にあるのかを、電話の向こうの相手に問う彼に珍しさすら覚える。 隙が全く無いわけでは無いが、こういう部分で手回しが悪い神崎信を見るのは珍しい。 「そうか、では筆記は免除でお願いします。確か貴方の担当ですよね?人事は」 前言撤回。 改めて確認しつつ、『免除で』というワードを言いたかっただけなのだ、神崎は。 敬語という事は、年上の相手だろうかと思いながら聞いていると、通話を終えた神崎が説明を始めた。 「まず、筆記は免除。実技はあるが、まあ異次元から帰還して弱体化した今の深海でも、問題ないだろう。魔術の操作が主な実技だからな」 「また面倒くさい内容っすね」 「フ、試験は12あり、そのうちの私の所属する部署の試験は結構面倒臭い事で有名だからな」 それぞれの宮廷魔術師の機関に応じて試験内容も変わるという事だろう。 「ちなみに、試験監督は別にいるから、私は実技試験に立ち会わない」 「そういえば面接とかないんですね」 立ち合いが面倒くさい、と即答され、思わず笑った将己。 まあお前がヘマをしなければ、採用は間違いないと続けて言われて、疑問に思ったことを神崎にぶつける事にした。 「じゃあ、ちょっと幾つか聞いても?」 「ああ、私に答えられる事ならばな」 「まず一つ目。12人の宮廷魔術師、全員教えてもらう事は?」 言うと思ったぞ、と言わんばかりに鼻で笑うと、「答えられる範囲だけでだが」と神崎は前置きし。 「まず不名誉な派閥名を使われている神崎派から。私や黒塚宮の事は割愛する。 それ以外で残り二名。炎治陽機(えんじはるき)。主に彼の機関は、人事を担当している。 先程の携帯電話にかけたのがそうだ。宮廷魔術師の一人だ。 …というのは表向きで、裏は宮廷のスパイ等を暗殺する部隊でもある。精々目を付けられないようにしろ。彼の火属性魔術は、大和でトップクラスと言われているからな」 「採用も排除もその人次第ってワケか」 笑えない冗談だな、と鼻で笑い、神崎は煙草を吸い一息つく。 「もう一人は神楽屋織姫(かぐらやおりひめ)。裏の顔は無く、表も裏も宮廷での研究機関を担当している。人を喰ったような態度だが、一々態度に苛々したり嫌悪感を出していたらそれこそ彼女の思う壺だろうな。 黒塚と同じような天才タイプ…というと黒塚に悪いか。クセだらけではあるが、それなりに下手に出ていれば、色々と便利なアイテムを作成してくれるオバさんと思っておけばいい」 「オバさん…」 黒塚宮が最年少での宮廷魔術師と、一時期持てはやされた事があったから、やはりそれなりの歳なんだろう。 年増の相手もしなきゃならないのか、と一瞬考えが過ぎった。 「ちなみに、アイテムを作ってほしかったらギブアンドテイクがモットーな彼女だ。 彼女の部署の書類整理だったり、人体実験だったり、彼女の気分次第で変わるからあまり利用はしない方がいいな」 「ろくでもねーな」 人権とか関係ない世界か、と人体実験のくだりで乾いた笑いをする。 これで神崎派の説明は終わり。 続けて中立ではあるが、国木田明夫の説明を受けたが、元ハンターで目に関する術を得意とする変わった宮廷魔術師という事くらいが収穫か。 神崎派でもなければ、行成ハナの祖父という事をどこかで聞いた事はあったが、メディアなどに露出するタイプではないため、余り情報は出てこない。 メディアへの露出が多い神崎、黒塚は元より、御三家である東十常、姫神、土御門もメディアにこそ出ないが、彼らのお膝元である粥満、紅、葵の邸宅周辺の者なら知らない者はまずいない。 神崎派の炎治、神楽屋は同じ派閥という事で神崎も知っているのだろうが、国木田は別。 行成ハナを通じた所で、国木田自身、ハナに宮廷魔術師の内容をペラペラしゃべるような者ではない。 「後は中立と言えば、八神と呼ばれる帝付きの宮廷魔術師か」 「八神?そんな名前、学園の過去の資料で見たような…」 「ああ、それとは別だ。何十年も仕えていて、表の宮廷魔術師筆頭が東十常なら、裏はその八神といったくらいに表にはまず出てこない。私ですら数度しか見たことがないくらいだ」 「へえ」 相槌を打ちながら、学園に過去に在籍していた人物とは違う事を改めて認識した。 話はまだ続き、続けて宮廷魔術師筆頭であり、御三家筆頭でもある東十常一(はじめ)、の説明が。 続けて姫神百合、土御門正宗の説明がされたが、ここら辺は改編前の情報を知る者に聞けば、改めて今特筆すべき事項は無かった。 「東十常は義理の息子である剣(つるぎ)が、改編後の世界でも『死なない』という点以外は役割は同じだったため、殺しきれなかった土御門正宗に捕まったせいで牢獄の中だ。 東十常の孫息子も、祖父のようなカリスマは持ち合わせていないから没落するのも時間の問題だろう」 「メガネ十常っすか」 将己は過去に少しだけ、孫息子に関わったことがある。 だがそれを改めて、今ここで言うつもりはなく。 「問題は姫神と土御門。父である土御門正宗は大和最強ともいわれているが、脳筋で政治に関しては大した頭は回らん。その息子である伍代の狡猾さはお前も何となくは知っていると思う。 そして姫神。ここはノーマークだったが、あの悪魔が人間になり、姫神桜と名乗り姫神家の長子になったという事だけは厄介だな」 「フェルゼって悪魔でしたっけ。そういえば悪魔ってどうなったんすか?」 「悪魔ラウムは、悪魔という概念が無くなった今、神と同等の存在として祀られている。以前のように姿は見せる事はないが、この大和のどこかで我々を見ているかもしれんな。 悪魔ロノウィは元々存在しない悪魔として、改編後は処理されている。 悪魔ウバルは粥満の小さな教会で、神父としてひっそりと暮らしており、こちらからどうこうしない限り、我々と接点を持つことはまず無いだろう」 ラウムの説明が終わった段階で、メモを取り出して書いていく将己。 最初のフェルゼから、これで四人。 「後一人は?なんですっけ、あの鎧だけの」 「悪魔ベレトか。あいつは悪魔のままだ」 「…悪魔という概念自体無くなったって、さっき言ってませんでしたっけ?」 「そう、悪魔という概念は無くなったのにベレトは悪魔のまま。矛盾が生まれている」 「は??」 混乱している将己に、神崎は「これはラウムに改編前最後に聞いた事だが」と前置きをして。 「この世には3つの大きな悪魔が存在しており、今回悪魔という概念が消え去ったのはこの大陸を管理していたアドラメレクという悪魔の管轄だけの話らしい。つまり、アドラメレクの管轄外の残り二つのエリアで悪魔は活動を続けている。此処までは分かるな?」 「何となくは。でも答えになってねーんじゃ?」 「お前も要請を受けたかは知らんが、現在フェルゼや土御門伍代が中心となり、大和に潜む悪魔の残党の処理を行っている。それにより、大和で男爵以上の…高レベルの悪魔は数えるくらいしかいなくなってきた。悪魔には爵位があり、アドラメレクは公爵、ラウム達五大悪魔は伯爵だ。男爵以上の爵位を持つ悪魔は、この世の歴史になんらかの影響を与えた事がある悪魔と言ってもいいだろう。 だが、悪魔という概念が消えた今、その高位の悪魔は何らかの存在として置き換えられている。少なくとも、アドラメレクの管轄だった悪魔については。 ラウムは神と同等の存在に。正確には、ロノウィは大昔に討伐されたという『てい』らしい」 「じゃあ、ベレトは?」 「あの悪魔がそれこそ問題なのだ。悪魔から置き換わった者は、少なからず何らかの影響が出始めている。ロノウィは『現代に存在しない』、ラウムは『神へと昇華し存在自体が我々に触れる事ができなくなった』と。しかし、あの悪魔ベレトはどうか」 目を閉じ、一息つくようにカクテルを神崎は飲み干した。 話が回りくどく長いな、と将己は思ったが、どうやらラストスパートに入ったようなので口にはせずに黙って聞いて。 「ベレトは空間転移を駆使し、悪者退治ごっこをしているらしい。つまり、改編前と変わらず悪魔のままなのだ。 話を最初に戻す。悪魔という概念が消滅したこの地で、悪魔が存在しているという矛盾。 やがてくる『揺り戻し』で突如消えてしまわないよう、『最後の刻』をフェルゼや土御門伍代は与えているにすぎない。 即ち、悪魔ベレトという存在は――」 「やがて、消えてしまう。ってことですよね?」 奥の方から、そう呟くように現れたのは幸村カヤだった。 一瞬、将己も神崎も驚きはしたが、なぜお前がいると言わんばかりの目つきで彼女を見る。 彼女はその視線の意味に気付き、抗議するように聞いてもいない事を喋り始めた。 「ギルド長の依頼で、ここの皿洗いのバイトだったんですよっ…!!やけにまともな依頼だと思ったのに…」 「同情するが、盗み聞きはダメだろ」 「私だってしたくて盗み聞きしてたわけじゃ…!」 「それよりも、よく知っているな。あの双子の悪魔の片割れか?」 話を戻す神崎に、「はい」とカヤは頷いて見せて同意する。 双子の悪魔。二人共、悪魔であることを望んで今を生きるファニー・マッドマンとクレイ・マッドマンの弟のクレイの方の事をここでは指す。 「確かクレイさんは侯爵クラスの力はあるって聞いてますが、力を無理に使わなければ人間よりも長寿で100年くらいは生きるって話で」 「それより格が落ちて、バンバン空間転移をしてる悪魔は」 「その半分以下…いや10年持てばいいところかもしれんな」 それをベレトが知っていても知らなくても、ここの3人にどうする事もできないし、特に神崎にはどうするつもりもなかった。 席を立ち、二人分の会計を済ませるため、カヤに会計を頼み、彼女は奥へと再度引っ込んだ。 「向坂に知らせてやったらどうだ?同じ所属ギルドだろう?」 「…そこまでしてやる義理も無ければ、教えた所で絶望なだけでしょ」 「悪魔の寿命、と言った所か。まあ、私にも関係がない話だ」 「俺にも関係ないですけどね」 お互いにドライな態度に笑いながら、席を立つ。 此処ではこれ以上の話は、よろしくないと判断したからだ。 そんなことを思いながら、二人は共にBARから出て行った。 「…でもまさか、深海さんが宮廷入りするなんて…」 「ああ、幸村。この事は他言無用だ。言ったらお前のギルド長もろとも、蒼の海に沈むと思え」 「ひぃやあ!い、いたんですか!?わ、わかりました!言いません!ぜーったい言いませんから!!!」 出て行ったと思った後に呟いた言葉が、まさか警告に来た神崎に聞かれてるとは思わず、飛び出しそうな心臓を抑えて深呼吸するカヤ。 BARの入口を開けて、今度こそ神崎と、ついでに将己も帰ったことを確認し、彼女はマスターに業務の終了を報告するのだった――。 ◆深海将己 異次元帰還後も変わらず、葵ギルド所属の兼業ハンターで、旧い馴染みと起こした会社の経営を行っている。 非常勤役員という立場で、且つ従業員も雇った事で、ある程度自由が利く身に。 週一で休みをもらう事を条件に、神崎の宮廷への誘いも受諾した。 神崎の部下として、政治だけでなく国の暗部や派閥抗争にも触れる事になる。 ◆神崎信 異次元帰還後、宮廷魔術師として未だ宮廷に所属する。 将己には言っていないが、彼を勧誘する前に一人の宮廷魔術師を失脚させた。 愛国心が強い一方で、大事のために小事を犠牲にするような冷酷な判断も行える男。 彼の身辺警護として、包帯に身を包んだ黒服の男を一人雇っている。 ◆悪魔ベレト 異次元帰還後、悪魔として自分自身の意志でこの世に干渉することを選んだ。 悪魔の力で、犯罪者を懲らしめては逃亡を行っている。 時にやり過ぎる事もあるため、ギルドでは要注意人物(?)として手配されている。
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今日は彫刻の人とオーシマスタジオへ見学に行きました。
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