約 1,718,667 件
https://w.atwiki.jp/orirowa2014/pages/330.html
多くの人々の運命を捻じ曲げた激動の一日の終わりを告げるように、太陽が地平に沈んでゆく。 人々が生活するために作られた町並みは死に絶え、平穏だった面影どこにも見当たらなかった。 空爆を受けた紛争地のように全てが等しく平らに均されており、凹凸をなくした街並みに傾く影はない。 ただ山のように積みあがった瓦礫の頂点は、廃墟に聳える王座のようでもあった。 その王座に一人の男が鎮座していた。 それは王と呼ぶにはあまりにも不釣り合いな、人混みにいれば紛れてしまう、どこにでもいるような特徴のない平凡な男である。 少年は死にゆく世界を謡いながら、終わった世界の頂点に座す。 終わりを愛でるように。 「さて、そろそろお話も終盤だ。分不相応な役者は退場している頃合いだろう」 平凡でありながら、何故かどこまでも通る不思議な声が響く。 見ていた映画の感想でも述べるような、日常と変わらぬ平坦な声はこの地獄において異常であり異物だ。 日常に溶け込むような平凡さは、この非日常とは相容れない。 少年は誰よりも当事者でありながら、他人事のように舞台を見つめる傍観者のようでもある。 世界に沸いた染みのような少年は血のように赤く染まった空を見つめる。 そして日差しが眩しかったのか目深に被ったパーカーをさらに深く被りなおした。 「誰が最後まで残ると思う?」 どこか跳ねるような声で未来の展望でも語るように問いかける。 だが、少年の目の前には誰もいない。 ただ荒廃した街並みが広がるばかりである。 「…………ッ!」 返事代わりの呻きは彼の足元から漏れ聞こえた。 正確には足元ではなく彼が腰かける尻の下からである。 そこには女がいた。 男は地面にひれ伏す妙齢の美女を、椅子のように文字通り尻に敷いていた。 女は何もできず、悔しげに歯を噛み締め、噛み切った唇から赤い血を流す。 「ねぇ――――どう思う、オデット?」 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 時は僅かに遡る。 日はまだ沈んではおらず、街並みは健在、とまでいかずともしっかりと原形をとどめていた。 悪党と戦乙女、そして怪物。 主催者は魑魅魍魎が跋扈する地獄と化した戦場の中心に飛び込み、激化する嵐を一言で収めた。 そして人払いをすると笑みを浮かべたままひらひらと手を振って、立ち去る悪党と元殺し屋を送り出す。 邪魔者が完全に去ったことを確認すると、ようやく件の相手へと振り返った。 「さあ、それじゃあお話ししようかオデット。これからの君の処遇について……ってあれ?」 振り返ったところで、らしからぬ間の抜けた声を上げる。 オデットの姿が影も形もなく、忽然と消え失せていたのだ。 現在『未来確定・変わる世界』により、この世界では戦闘行為は禁止されている。 だが、戦闘行為でなければ禁止はされていない。 どうやらワールドオーダーが二人を見送っている隙をついて瞬間移動で逃走したようだ。 「まいったなぁ」 ため息と共に呟いて、やれやれと困ったように頭を掻く。 敵を前にして逃げるような性質の相手だとは思わなかったのだが、また追いかけるとなると少々面倒だ。 さてどうしたものかと、ワールドオーダーが考え込むように口に手を当て空を見上げた。 瞬間、ブンと、空が震えた。 ゴロゴロと雷のような崩壊音が響き渡る。 空が歪み、世界そのものが震撼していく。 神の見えざる手に押しつぶされて行くように、背の高い建造物から次々と崩れ落ちていった。 それは戦闘禁止の世界であってはならない破壊行為だった。 見えない破壊の圧が天空から地上へと迫り、ついにワールドオーダーの体を押しつぶさんとした所で。 「『魔法』など『存在しない』」 気泡が弾けるように一帯を包んでいた圧力は消滅した。 だが魔法は消えても、魔法によって生み出された破壊までが消える訳ではない。 ここまでに崩れ落ちた建造物の破片が雨となって降り注ぎ、粉塵と小石が辺りに巻き上がった。 そんな豪雨をワールドオーダーは直立不動のまま避けるでもなく、運命にでも守られているようにやり過ごす。 「小賢しいやり口だ。茜ヶ久保辺りか」 余裕の笑みでその手腕を褒めたたえる。 オデットは敵前逃亡した訳ではない、戦闘禁止の世界から逃れたのだ。 ひとまず離れて、自らの戦闘欲が復活した地点、つまりワールドオーダーの能力の範囲外から攻撃を仕掛けた。 遠距離からの魔法攻撃を防ぐために、世界は魔法が存在しない世界に成った。 それはつまり、先ほどまで敷かれていた戦闘禁止の世界ではなくなったということだ。 世界は既に戦闘可能になっている。 再度、戦闘を禁じた世界にしてたところで、先ほどの大規模攻撃を繰り返されるだけだろう。 これで迎え撃つしかない状況となったという事だ。 ワールドオーダーが周囲を見る。 舞い上がった粉塵で先は見えず、敵の姿は取られられない。 初期位置から動いていないワールドオーダーの位置情報は割れている。 今から移動したところでワールドオーダーの身体能力では、移動できる範囲などたかが知れているだろう。 現在のアドバンテージは圧倒的にオデットにある。 魔法が使えなくともオデットの身体能力は並ではない。 瞬間移動が封じられた世界でも距離を詰めるのはあっという間だろう。 「まいったね、このままじゃ嬲り殺しだ」 視界を封じられ、いつ襲撃者が襲い掛かってくるのか分からない。 そんな絶対的不利な状況にもかかわらず、恐れなんて微塵も含まれていない楽しげな声を放つ。 ゆったりとした動作で自らの頬に指をやると、一つ息を吐いて、仕方ないと頭を振る。 「では少し、この能力の本来の使い方をお見せしようか」 そう言って、邪悪に口元を釣り上げた。 「『重量』は『制御』できる」 ふわりと月にでもいるように、ゆったりとしたスローモーションのような動きでワールドオーダーが跳んだ。 重力操作。自らにかかる重力をほぼゼロにして跳躍したのである。 だが、重力ならオデットにだって操ることは可能だ。 故に重力制御の力をワールドオーダーが手に入れたとしても、オデットにとって大した脅威ではないのだが。 これは少し、趣が違う。 能力の一般化。 『未来確定・変わる世界』は世界を変える能力だ。 ワールドオーダーではなく世界の方が変わった。 直接的な干渉など二の次である。 この瞬間、神の奇跡は一般化し、誰にでも再現可能な行為へと堕としめられたのだ。 「見つけた」 遥か高みから地上を見下ろし、砂埃の向こうに大通りを駆ける敵影を捉えた。 だが敵を捕捉したのは相手も同じである。 空高くに浮かぶワールドオーダーの姿をその瞳に見据え、オデットが急ブレーキをかけ足を止めた。 「シィ――――――ッ!」 オデットが宙に浮かぶ標的目がけて手刀を振り抜いた。 その先から空間を断絶させるような不可視の刃が放たれ、宙にゆっくりと浮かぶワールドオーダーに迫る。 これに対し、ワールドオーダーは回避を選択しなかった。 「『物質』は『創造』できる」 世界を革命させる。 突き出した腕の先に枯葉色の歪な壁が生まれる。 それは鉄でも木でもない、不可思議な何かで編み上げられた盾だった。 盾の召喚。否、創造である。 一見すれば行為が現象を生み出す神の奇跡と似ているがその本質はまるで違う。 それは質量保存という世界の法則を無視した新世界の法則だ。 障壁は斬撃を受け止める。 これにより盾は両断されたが斬撃から身を護ることに成功した。 だが、世界は変わり重力制御の法則は失われた。 その身は天高くから滑落するしかない。 ワールドオーダーは落下しながら宙に足を踏み出した。 コンという音。踏み出した何もないはずの足元に、濁った泥沼のような色をした霜柱が連なる。 そうしてそのまま階段を下りるように一歩一歩、地面を生み出しながらオデットの前まで踏み出してゆく。 「落ち着けよオデット。僕に君と争うつもりはない、話をしに来ただけだと言っただろう?」 「知るかよ、死ね」 問答を求める言葉は問答無用と切って捨てられた。 殺し合いに乗った乗らないに関わらず、主催者である彼は参加者全員の敵である。 大人しく聞く理由がない。 オデットは近づいてきたワールドオーダーを爆殺すべく、握り拳を振りかぶった。 だが、その拳が振り抜かれる前に、ねじ曲がった歪な柱が組みあがり、肘の関節を固定して拳の動きを差し止める。 そして次々と体の隙間を埋めるように柱が生まれ、気づけば神を取り囲む檻が完成していた。 可動範囲をすべて埋め尽くし、完全に動きを封じた。 神の動作が奇跡を生むのならば、そもそも動作などさせなければいい。 「ッ、のぉおおおお……ッ!」 オデットが苛立ちを露にした鬼の形相で敵を睨む。 その視線の先に変化が生じる。 ワールドオーダーの頭上に漆黒の巨大な棘の塊が生まれたのだ。 物質創造は世界の法則である。 それは誰にでも、当然、オデットにも扱える。 「おっと」 重力に従い落下する黒棘を飛び退いて躱す。 その隙にオデットは全身に力を籠める。 細腕の筋肉が膨み、何かが折れるような音と共に拘束がはじけ飛ぶように破壊された。 「やだねぇ、こういうなんでも筋力で物事を解決する輩は」 ワールドオーダーは後方に下がりながら、空を撫でるように右腕を振るう。 その軌跡に沿うように、空一面を埋め尽くすように雨雲が浮かんだ。 それは小さな石の集合体だった。 一瞬の間の後、礫の豪雨が落ちる。 いかにオデットとはいえ空から降り注ぐ雨粒をすべてを回避することは不可能だろう。 だが、それがどうしたというのか。 自由落下する小石など、当たったところでオデットどころか子供ですら殺せない。 そんなものは無視したところで何の差支えもない。 オデットが攻撃に移ろうとする、ところで。 「『一撃』で『死に絶える』」 世界が一変する。 何事もない俄か雨は触らば死する即死の雨に変貌した。 世界の法則は平等だ。 当たれば即死という条件はワールドオーダー自身にも当てはまる。 とはいえ、攻撃の当たる直前にルールを定義するのは後出しジャンケンもいいところだ。 ワールドオーダーは事前に生み出していた毒々しいお化けキノコみたいな傘で余裕顔のまま死の雨をやり過ごしていた。 一面に落ちる雨を回避すべく、オデットは全力で跳んだ。 その方向は前後左右ではなく、落ちる雨粒に立ち向かうように上へ。 ぶつかるかと思われたその身が掻き消え豪雨をすり抜けるように空中へ瞬間移動した。 そしてそのまま空で静止すると、両手を天に上げる。 「テメェがぁ、死ね!」 振り上げた両手を勢いよく振り下ろす。 一撃死の世界。 それを利用し威力よりも当てることを目的とした面による範囲攻撃を行う。 回避不能な絶対の死。 そう来るのを最初から分かっていたようにワールドオーダーは慌てるでもなく一言。 「『魔法』は『消滅』する」 攻撃が霧散する。 同時に飛行魔法を打ち消されオデットの体が落下した。 魔法を奪われたオデットは何とか空中で身を捻り体制を立て直そうとするが。 「『落下』は『加速』する」 そこに追撃するように世界が変わる。 落下速度が急激に加速し、オデットの体が地面に突き刺さるような勢いで叩き付けられた。 落下音とは思えない耳を劈く破砕音が響く。 目ざとい小手先の技術も、殺気を読むなどという能力も、神の奇跡すらまるで通用しない。 能力の規模が、強さの次元が、戦っている舞台が、見ている世界が、何もかもが違う。 こんなのは反則もいいところだ。 世界の法則(ルール)そのものを塗り替えるゲームマスターにプレイヤーが勝てる筈がない。 ワールドオーダーは変わる世界に対して、事前に応用、対策まで練っている。 それどころか次の、そのまた次の世界の法則までもが自由自在だ。 一撃死の世界すら行動を誘導するためのブラフだろう。 新しい世界の法則にいちいち振り回されているようでは話にならない。 「ぐ、ぎ…………この…………っ!」 人体などバラバラになってもおかしくない墜落事故のようなダメージを受けながらも、すぐさま立ち上がった。 タフネスも人外の域である。 「丈夫だねぇ、これは面倒だ」 その様子を見て、関心と呆れが混ざったような感想を漏らす。 動けない程度に痛めつけるつもりだったのだが、ここまでタフだと加減が難しい。 能力を使って一発で制圧しようにも、残念ながらワールドオーダーの力は使用者の認識に大きく依る力である。 ワールドオーダーにとって目の前の相手は神様などではない。 彼にとっての神様とはもっと別の概念だ。 能力の対象は個人ではなく世界の定義である。 目の前の対象が定義できない以上、対象にはできない。 「お遊びはこの辺で手打ちにして、少しはお話を聞く気にならないかい? さっきも言ったけど、僕はあくまで君とお話しに来たんだ。君にとってもそこまで悪い話でもないと思うのだけれど、」 ワールドオーダーが言葉を言い終わる前にオデットの体が掻き消えた。 「『攻撃』は『跳ね返る』」 死角へと瞬間移動を果たした相手を振り返ることなく、背後に迫りくる灼熱の劫火を跳ね返した。 オデットは自らに跳ね返って来た炎の渦を、超反応で瞬間移動することで躱した。 「ま、そう来るよねぇ。となると、残念だが強制的に動けなくするしかなさそうだ」 面倒そうに肩をすくめる。 自身が勝つと微塵も疑っていないその態度に、オデットがピクリとこめかみをヒクつかせた。 「はっ! 調子に乗んなよクソが。 さっきだって今のだって、一瞬遅けりゃテメェは丸焦げだっただろうが」 純粋な移動速度や反応速度はオデットが圧倒的に上回る。 瞬間移動からの攻撃に対して能力の発動が一瞬でも遅れていたらワールドオーダーは死んでいた。 何度か繰り返せばその内決まってもおかしくはないほどの紙一重の差でしかない。 だが、ワールドオーダーは自身の健在を主張するように両手を広げる。 「その通り。だが僕は今もこうして無傷で生きている。 それはつまり、今ここで僕は君に負ける運命ではない、という事だ」 「運命ィ?」 余りも場違いな言葉にオデットが思わず状況も忘れ怪訝な声を上げた。 「そんなもん信じてんのかぁ? 思春期のガキかよぉテメェは!?」 「いいや、信じているんじゃない。あるんだよ神様の決めた運命という筋書きは」 嘲笑を全く意に介さずワールドオーダーは告げる。 冗談でも何でもなく、その声色は真剣な色を帯びてた。 ともすれば狂気のような熱を含みながら。 「だから無駄なのさ。君に僕は殺せない。君にはもうその資格はないようだ」 「笑わせんなよ、殺しに資格がいるかよ!」 ありとあらゆるを殺しつくした少女の中の殺し屋が叫ぶ。 だが、少年は違う違うと指を振る。 「――――世界を革命する資格だよ」 相手の正気を伺うようにオデットが目を細める。 「ふざけてんのか?」 「大真面目だよ僕は」 もう真面目に聞く気がないのかオデットはコキリと首を鳴らす。 「ああそうかイカれてんだなテメェ。 運命だの、資格だの、そんなウザってぇもんなくともな、人は殺しゃ死ぬんだよ」 「そう思うなら続けるといい。君が定められた運命を覆せると言うのなら、その可能性を僕に見せてくれ」 期待と失望が鍋の中でぐちゃぐちゃに入り混じった。 そんな声だった。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 日が落ちる。 積み重なった瓦礫の山の上にオデットがひれ伏し、ワールドオーダーがその頂点に鎮座していた。 これは『踏まれる』と『何もできない』世界。 オデットは抵抗することができなかった。 重力などに貼り付けにされているのとは違う。 力技でどうこうできる次元の技ではなかった。 世界の法則に基づく絶対命令により神が下僕のようにひれ伏し動けずにいる。 「まあ想像よりは大したことなかったかな。想定の範囲内といったところか」 ワールドオーダーは別段、落胆するでも安心するでもなく、淡々とオデットの戦力をそう評した。 言葉の通り、さしたる傷もなくワールドオーダーの完勝だった。 「全盛期の僕が創った代物だから警戒はしていたんだけど、ま、一部取り込んだ程度ではこんなものか」 ぽつりと漏れた言葉の意味がオデットには分からなかった。 そんなオデットの疑問を感じ取ったのか、ワールドオーダーは説明を始める。 「僕はその昔、ある目的のためにいくつか世界を創ってね。 勢い余っていろいろ作ってみたけれど、少し作りすぎてしまったんだよ」 さらりと、世界を創ったなどと妄言のような言葉を吐いた。 「管理するのも手間だし、中には見込みがないような失敗作も生まれるわけだ。 そこでどうするかと考えて。見込みのない失敗作を破壊するための破壊(リセット)装置を作ったわけさ」 それが邪神リヴェイラ。 世界を破壊するために生み出された破壊神。 この話が事実ならば、神を生み出したというこの男は何なのか。 「いやしかし、世界によってはまさか二柱として同列に語られるとは思わなかったけれど、いやはや宗教というのは面白いねぇ」 予想外の出来事を思い返すように、くつくつと喉を鳴らして嗤う。 オデットは理解できず、唖然とすることしかできなかった。 仮に理解できたとして何ができる訳でもなかったのだろうけれど。 「おっと、少し話がそれてしまったか。 ともかくこれで落ち着いて話ができるようになった訳だし話をしよう、オデット。 まあ君は喋れないから、僕が一方的に話すだけなんだけどね。 視線は暮れ行く空に向けたまま、尻に敷いた相手へと話しかける。 何も出来ないオデットは一方的に話を聞くしかない。 「まずは僕が君に接触した理由から説明しようか。 この殺し合いにもいろいろと順序というモノがあってね。君はそれを乱す可能性があった。 僕らが警戒したのは君の殺傷力ではなく機動力だ。 その機動力でピョンピョン飛び回られたんじゃ簡単に会場を巡られてしまう。 いろんな手順が片付く前に皆殺しにされて終わらされては困るんだよねぇ」 ぼやく様に呟いた。 順序を乱す存在。 そもそも順序とは何を指示しているのか。 「と言っても、もう大分段階は進行しているようだ。 その辺は想定よりもいくらか早く段階を進めてくれた音ノ宮亜理子や、君を差し止めた森茂のお手柄だね。 だから君出会う目的は、君に出会う前の時点で8割がた果たしているといってもいい」 殆ど目的を果たしているというのならば、わざわざここまで手間をかけて、何の話をしに来たのか。 「君にはね、二つお願いがあるんだ」 怪しく嗤い、彼ではない彼がどこかで誰かにしたように指を立てる。 「一つは動くのは次の放送が終わってからにしてほしいという事。 さっきの話の続きだ。君は暫定のボスキャラという奴だから、段階的に最終章に動くのが好ましい。 それまではその辺にでも隠れていてくれ、君が本気で隠れたなら見つけられる参加者なんていないだろう? と言ってもこれは殆どあってないような話だけど」 次の放送まであと1時間もない。 その程度活動を自粛したところで何の問題もないだろう。 「それともう一つ。君は西側から北へ、時計回りに会場を巡ってできる限り参加者の相手をしてほしい。 何故かって? それは僕が逆側から回るからさ、つまり君と僕で参加者を掃討していくという訳だね」 参加者を皆殺しにすると言うのはもとよりそのつもりだ。 移動する方向だって特に目的がある訳ではない、従ったところで何か問題があるという訳でもないだろう。 確かに従ったところで何の損がある話でもない。 だがしかし、至極単純な問題として。 言いなりになるのが気に喰わない。 「まあただではそうだろうね。だから従ってくれれば条件を緩めてあげよう。 二人とも順調に会場を回っていけば、ちょうど会場の北、時計で言う12時の辺りで合流できるはずだ。 その時にちゃんと仕事してくれていたら君は上がりにしてあげるよ。それだけで君は生還できる」 それはつまり、ワールドオーダーに勝利せずとも生き残れる目を上げようと言う話だった。 それは暗にお前は自分には勝てないと言っているようなものである。 自尊心の高い彼らが果たしてこの条件を飲むだろうか。 「そうだなぁ。それ加えて手付としてこの場で首輪を外してあげよう」 言って、ワールドオーダーはオデットの首元に手をやった。 すると、パキンという音と共にあっさりと首輪が外れて地面に落ちる。 生還条件の緩和に首輪の解除。 実質、移動方向を誘導するだけの話で、その報酬は幾らなんでも破格すぎる。 その疑惑を見て取れたのか、ワールドオーダーはああとつまらなそうに呟いた。 「気にしなくていいよ。どうせ君は不合格だ。 そんな奴が生きようが死のうが帰ろうが、正直どっちだっていいのさ。 君の首輪は普通のやつだしねぇ」 目の前の相手から興味すら失いながら、利用できるから利用する。 ただそれだけの話だった。 残酷で利己的な非人間。 「それと最後に、面倒なのを解いておこうか。『呪い』など『存在しない』」 世界が変わり、オデットの中から人喰いの呪いが解呪される。 同時に『何もできない』常態が解除され、上に乗るワールドオーダーを振り払い小動物の様に機敏な動きで離れた。 僅かに離れた距離から警戒するような体制のまま、呪い殺すような怨嗟を込めて相手を睨み付ける。 「そう睨むなよオデット。怖いじゃないか」 薄く笑いながら、肩をすくめる。 オデットは自らの首元を確認する。 そこには本当に何もなくなっていた。 「……いいのかよ俺の首輪を外しちまって。そのまま会場外に逃げちまうかもよ」 「それは無理だよ」 ハッキリと言い切る。 お前には無理だ、と言うよりも。 最初から可能性なんてない、そんな言い方だった。 「だって、会場の外には何もないから」 「何も…………ない?」 「そのままの意味さ。まあ確認してもらっても構わないけど、あんまり意味はないと思うよ?」 どういう意味なのか理解しかねるオデット。 言葉の通りだとするならば、この世界は何なのか。 「まあともかく、僕からの話は以上だ。あとは君の返答しだいなんだがどうする?」 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 一仕事終えたワールドオーダーは鼻歌交じりに廃墟を練り歩いていた。 あの後、素直にとはいかなかったものの、オデットは条件を飲んだ。 最終戦の回避という条件を突っぱねて、必ず殺すと捨て台詞を残して去っていった。 「順調だ、実に順調だ」 気が遠くなるほど願い続けた悲願の達成は近い。 そう思えば、足取りも軽くなると言う物。 「ん?」 だが、ふと何かに気付き、その足が取りが止まる。 ワールドオーダーは遠方の空を見上げた。 そこに小さな光が見えた。 それは暮れ始めた空に輝く一番星ではない。 見る者を呪うような漆黒の光。 それは虚空を裂きながらミサイルのような勢いで降り注いできた 「ッお!?」 遥か天空からワールドオーダー目がけて一直線に落ちてきたのは、鳥でも飛行機でもなく人間である。 ワールドオーダーは咄嗟に体を庇うように両腕をクロスしその流星を受け止めた。 だが、その勢いは止められず地面へと叩き付けられる。 「ぐッ……! ぉぉお!?」 背中にロケットエンジンでもついているのではないかという推進力で流星は止まらない。 荒廃した市街地をサーフィンでもするかのようにワールドオーダーの体を踏みつけにして瓦礫を吹き飛ばしながら地面を削ってゆく。 「『生、物』は……『触れ合えない』…………ッ!」 世界が変わり、蹴り続けていた体がようやく離れた。 ワールドオーダーの体は慣性のまま無様に地面を滑り。 襲撃者は空中でくるりと回転すると華麗に地面に着地した。 「ッ…………まったく。面倒なお方が来たね」 汚れを払いながら苦笑を浮かべつつ立ち上がる。 目の前に起立するのは存在感のない男とは対照的な、見るものすべてを圧倒する絶対的な存在感の男だった。 闘争其の物であるかのような強さの化身。 大日本帝国の皇、魔人皇――――船坂弘。 「余が貴様の前に来た理由は言わずともわかるな?」 深く染み入るような重さの声。 威風堂々という佇まいから放たれた問いの裏には聞くだけで身もすくむような、荒々しい海のような怒りの波が隠れている。 個の武力で一国を統べる魔人皇の怒り。 その大波を前にしながら、ワールドオーダーはとぼけるように首をかしげる。 「さてねぇ? なにしろ心当たりが多すぎてなんとも……。 よろしければその理由とやらを聞かせてもらえるかい?」 その言葉は挑発なのか本気で言っているのか判断がつかない。 魔人皇は苛立ちと怒りを腹の底に飲み込み、その問いに応じる。 「貴様はこの俺に、日本国民を手にかけさせたな」 「そうだけど、何をいまさら。全員が殺しあうって旨は最初に説明したはずだけど?」 今更目の色変えて抗議をされるような話ではない。 危険にさらしたというのならともかく、手にかけさせようとしたというのは言いがかりだ。 殺したくないというのなら勝手に殺さなければいい。 「そうではない。俺の知らぬ日本国民を連れてきたことだ。 皇国の守護者たる俺によもや国の未来を担う宝を手にかけさせようなどという蛮行。万死に値する」 違う世界で有ろうとなんだろうと日本人は彼にとって庇護すべき対象である。 それを朝霧舞歌という未来を担う筈の若者を殺させ、多くの者を手に仕掛けかけた。 「そっちが勝手に勘違いしただけだろう。その責任を押し付けられてもねぇ」 「確かに俺にも責はある。その責はいずれ担おう。だが貴様の始めたことだろう。その責任を貴様が取らずにだれがとる?」 一歩、前へと魔人が踏み出す。 既にやると決めている。 こうなるともう、どれほど言葉を尽くそうとも、納得して引くことはない。 これまでの相手のように戦力差を見せつけたところで退くこともないだろう。 何せほどんど私怨のようなものだ、その手の輩はどうあっても向かってくる。 しかも相手は魔人皇、逃げるのも手間だ。 「まいいさ。君は運がいいよ、いや悪いのか。 ちょうど一仕事終えたところだ、少し早い気もするが僕も次の段階に移行しよう」 支配者が両手を広げ、歩を踏み出す。 ワールドオーダーのこの場における役割はゲームバランスの調整と一定の流れになるための情報の流布だ。 その段階は終わり次の段階に移行する。 それは即ち、参加者の直接的な脅威となる事だ。 世界の支配者(ワールドオーダー)は高らかに宣言する。 「――――さあ、ラスボスの時間だよ」 開戦の火蓋が落ちる。 先手を切ったのは挑戦者である魔人皇である。 「――――――――墳ッ!」 なんも奇も衒わない真正面からの正拳突き。 だがそれは武を極限まで突き詰めた漆黒の波動を纏った亜音速の砲弾である。 直接触れ合えずとも纏った闘気で殴り抜ける。 「『攻撃』は『跳ね返る』」 拳がくしゃりと果実のように破裂する。 砲弾の如き威力がそのまま跳ね返れば当然の帰結だ。 だが、そんなことは知るかとばかりに船坂は間髪入れず首を刈り取るような上段蹴りを放った。 その蹴りも届かず、枯れた枝木のように右足が脛からポキリと折れる。 船坂は続けて掌打、前蹴り、裏拳、踵落としと連撃を見舞った。 止まらぬ嵐のような猛攻はしかし、その全てが跳ね返り、船坂の手足が玩具のようにひしゃげていく。 その壊れた四肢に向かって飛び散った血液が巻き戻しのように戻っていった。 船坂弘は時の呪いを病んでいる。 時間逆行による肉体再生。 手足が元の形へと直り、再生された四肢で再び殴る蹴るを繰り返す。 だが、直るからと言って痛みがないわけではない。 破損に見合う、見た目通りの激痛を感じている。 にもかかわらず表情に変化はなく、攻撃の手に鈍りもない。 慣れもあるが、そもそも痛みに対する覚悟が違う。 「そうきたか」 足元を見る。 ワールドオーダーの体にゆっくりと黒い靄が巻き付いていた。 それは視覚化できるほどの呪いの束だ。 ジワリと浸食された足が重くなるのを感じる。 直接的な攻撃ではなく呪術による干渉が本命という事だろう。 届かぬ攻撃の繰り返しは愚策に見えるがその実、ワールドオーダーの動きを封じていた。 こうも休みない猛攻に晒されていては下手に世界を改変できない。 船坂は自壊を恐れず、すべての攻撃に敵を一撃で殴り殺す力を込めている。 呪いに対処して世界を下手に変えてしまえば、その直撃を受けることになる。 「だったら逆に強めようか」 決して当たらぬ攻撃と身を蝕む呪いを前にしながら、悠然とした態度は崩さない。 条件を変えるのではなく強める。 「『攻撃』する者は『死ぬ』」 「…………かッ!?」 決して止まらぬはずの連撃が止まった。 死に絶えた街に死が転がる。 先ほどのオデットは殺害が目的ではなかったため、生かさず殺さずで時間がかかったが、単純に殺すだけなら実に簡単だ。 だが一つ誤算があった。 それは相手が船坂弘であった、という一点だ。 この船坂弘と言う男は、死んでからが本番である。 ずっしりと重々しく踏み出された足。 死に体で倒れこむはずの体が踏みとどまる。 「ぐ……るるるる……ギぃ…………ッ!」 喰い縛った口から涎をまき散らしながら、不死の王が死に乍ら迫る。 正気を失った単純な動き、咄嗟にワールドオーダーは身を躱そうとしたが、呪いにより足が動かなかった。 そこに鞭のように上からローが振り下ろされた。 空気が破裂するような炸裂音。 ワールドオーダーの腿肉が弾け、へし折れた図太い大腿骨が肉の間がから覗いた。 片足が折れたことにより、体勢が崩れ頭部が下がる。 そこに合わせるようにして、大振りのフックが死神の鎌の如く放たれた。 骨のひしゃげる音が響く。 ワールドオーダーの体が回転しながら飛んで行く。 「ッ…………かぁ………………ッ!!」 魔人皇が声にならない声を上げる。 喉の奥の詰まりを吐き出すように息を吐き、死の淵から黄泉返る。 その目に正気の色を取り戻すと、いつの間にか溢れていた涙と涎を手の甲で拭って口を開く。 「…………二度とその口開けぬよう顎骨を狙ったのだがな」 畏れとも呆れとも取れる声。 ワールドオーダーはあの状況で、魔人皇の拳に対して自ら頭蓋を差したのだ。 最も分厚い骨で受けるという思惑もあったのだろうが、それ以上に能力発動のキーである言葉を奪われることを恐れたのか。 合理的はあるが正気ではない。 倒れこむワールドオーダーは頭蓋を拳大にへこませ、意識があるもかわからない。完全なる死に体だ。 死に体どころか死んでいた船坂は相手よりも先に完全に復活を果たし、既にある程度の冷静さを取り戻している。 警戒を怠らず、確実にとどめを刺すべく動く。 力なく地面にひれ伏すワールドオーダー。 唯一護った口が僅かに動き、ポツリと呟かれる。 「――――――『時』は『巻き戻る』」 時という決して逆流することのない川の水が逆流する。 倒れていたワールドオーダーの体が不自然な形で起き上がり、傷があり得ない形で修復されてゆく。 傷も死も、勝ちも負けも、有利も不利も。 この時間、この世界において起きた出来事の全てが、なかったことになってゆく。 世界の全てが巻き戻っていった。 ただ一つを除いて。 全てが逆行する世界の中で、タッと地面を蹴って何かが駆ける。 ――――船坂弘は時の呪いを病んでいる。 船坂の時は凍り付いたように静止しており、あらゆる時の概念は船坂に干渉することは不可能だ。 故に、巻き戻り始めた世界の中で船坂だけがただ一人、正しき時を歩んでいた。 「――――――――疾ッ!」 鳩尾を正確に貫く痛烈なボディーブロー。 時間逆行が解かれワールドオーダーの体がボールみたいに吹き飛んだ。 派手な音を立てながら、強風に飛ばされる紙屑みたいに地面を転がる。 「何をしようと無駄だ。お前はここで去ね」 拳を振り抜いた体制のまま船坂は最後通告を突きつけた。 言葉の通り、船坂にはどのような世界においても喰らいつく実力と覚悟があった。 「――――いいね、すごく”いい”よ。魔人皇」 がばりと、不死ではないはずのただの男が起き上がる。 片足は解放骨折し、もう片足は呪われている。 頭部は歪にへこみ洪水のように赤い血を垂れ流していた。 腹部は体を貫通しなかったのが不思議なくらいである。 顔面は真っ赤に染まってもはやどのような造形か分からなくなっていた。 真っ赤に染まった顔面に三日月のような亀裂が走る。 男の顔に張り付くのは、痛みに歓喜するマゾヒストというよりもサディスティックな笑み。 この男は何時だって世界に対する絶対的加害者だ。 「変動する世界で個の意思を貫き通すのは強靭の一言だ。これまで出会った中で君が近い」 変動する外側(せかい)に合わせるのではなく、確固たる自分(せかい)を貫く。 それこその船坂の強さ、ここまでワールドオーダーを追いつめられた理由だ。 「だが、それだけに残念だ。君の攻略法は見えた」 その目はもう船坂を見ていなかった。 ただ自分の中で完結した出来事として独り言のように呟いて、垂れ落ちる血を舌ですくって怪しく嗤う。 その笑みを見て船坂の中で何か怖気のような感覚が奔る。 この相手はこれまで船坂の戦ってきたどの相手とも違う。 船坂はこれまで戦場で立ち会った相手にはどのような形であれ尊敬や敬意を払ってきた。 だが、この男にそんなものはない。 私怨以上の不安と畏れのような義務感が膨れ上がる。 放置すれば船坂を、彼の国民を、世界を祟る害悪となるという確信がある。 一刻も早くこの世から排除せねばならないという焦燥に駆られ船坂が駆ける。 「『呪い』など『存在しない』」 それは先ほどオデットに向けた言葉と同じ言葉だった。 世界から呪いが排除されワールドオーダーの足を冒していた呪いが解呪される。 同時に、船坂は自分の中で何かが消えていくのを感じた。 まずは船坂を不死たらしめる厄介な『凍れる時の呪い』を解呪する。 確かに、これで先ほどのまでのような無茶な戦法は使えなくなる。 だがしかし、船坂を最強たらしめるのはいうなれば船坂が船坂である事だ。 不死身を前提とした戦略は練っても、不死身に胡坐をかいたような戦い方はしたことがない。 現にこうしてこの拳を打ち込めば、勝利はすぐにでも手に入る。 「それはどうかな? さぁ時の重さを知れ――――――魔人皇」 「!?」 ワールドオーダーにたどり着くよりも早く、船坂が唐突に膝から崩れた。 攻撃を受けたわけではない。 変化は船坂の内から生じた物だった。 凍っていた時が動き出したのだ。 100年に近い時間の奔流が船坂の身へと一斉に襲い掛かる。 逞しく鍛え上げられた筋肉が急速に萎んでゆき、肌は皺枯れて皮が弛む。 顔には深く皺が刻まれ、髪は白く斑に染まる。 薹の立った老兵は力なくその場に膝から崩れ、 「―――――――嘗めるな、戯け」 倒れこむと思われた体が台風のように旋回した。 脚部が跳ね見惚れるほど美しい後ろ回し蹴りがワールドオーダーの顎の付け根に突き刺さる。 振り抜いた足から投げ飛ばされるようにワールドオーダーの体が飛んだ。 「老いたりといえどもこの船坂弘、貴様如きに遅れは取らん」 突き付けるように拳骨を握りしめる。 日々重ねた適度な運動、健康な食事、十分な睡眠。 この船坂、100手前で往生する程、不健康な生活は送っていない。 ここにいるのは地上最強の老兵である。 一撃は顎の付け根に直撃したし、手応えもあった。 もう喋るどころか、口を閉じることすらできないだろう。 あるいは即死している可能性すらある一撃だった。 だが、 「あーあ。痛ったいなぁもう」 悪夢の中の怪物のように凶悪な何かがぬるりと立ち上がる。 確かに船坂の一撃はワールドオーダーを捕えたはずだ。 なのに何故、立ち上がれる。 どころか、平然としゃべっていられるのか。 「……何をした? どうやって躱した?」 「別に、僕はなにもしちゃいないよ、君が外したんだ」 感覚のズレ、全盛期とは威力も間合いも違う。 例え直撃しようとも、殺しきるには足りなかった。 如何に最強の老兵とは言え、全盛期には遠く及ばない。 「それでもまだ僕なんかよりは圧倒的に強いさ。だからまあ、こうする――――」 すっと、自らの掌で相手を掴むように手を伸ばす。 底意地の悪い、邪悪な笑みをたたえながら。 「さあ、根競べといこう――――――『時』は『加速』する」 突風のように世界の景色が流れた。 点滅する様に空が変わり夜と昼を繰り返す。 周囲の風景が急速に変わり続け、足元に転がる瓦礫が風化して砂へと変わる。 意識だけが取り残されたように変わる世界を網膜に焼き付け続けた。 ワールドオーダーの狙いに気づき、焦る様に船坂は動いた。 加速する世界の中で自分だけが遅く、まるで水の中を進んでいるようだ。 一瞬が永遠のように引き伸ばされいつまでも辿り着けない、そんな錯覚に陥りそうになる。 移り行く世界の中。 時の積み重ねに少年は青年となった。 青年は大人に。 そして老兵は、 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 風景は正しく流れはじめ、時の流れは正常に還った。 完全に朽ち果て緑すら生まれ始めた廃墟に、老人が一人立ち尽くしていた。 「いや、まさかあそこから50年以上粘るだなんて、恐ろしねぇ」 呟く老人。長く伸びた白味がかった前髪でその表情はうかがえない。 それは加速した50年を過ごしたワールドオーダーである。 少年を老人にする歳月により、致命に近かった傷口は自然治癒で修復した。 その足元には干からびたミイラが転がっている。 同じ50年でも100歳の老人と、10代そこいらの若者ではそもそもスタートが違う。 公平などありえない。 勝利は最初から必然だった。 「…………き……さま」 「おや、しぶとい。御年150を超えてまだ息があるとは驚きだね」 枯れ果てたミイラが枝木のような指先で悔し気に地面を掻いた。 何とか生きてはいるが、完全に息の虫だ。 生きているのが不思議なくらいである、いつ朽ち果ててもおかしくはない。 戦場の申し子たる船坂は、どのような形であれ己は戦いの中で朽ち果てる確信していた。 畳の上で死ぬなど想像すらできない、そんな苛烈の極みのような人生だった。 それは彼の誇りであり矜持だ。 だが、ワールドオーダーはその矜持を否定した。 戦う事を放棄し、戦いの末に果てるという終りすら奪い取った。 まさか老いという時に殺される事になろうとは想像だにしなかった。 己の行った行為の残酷さをまるで気にするでもなく。 ワールドオーダーは悠然とミイラを見下ろして何かに納得したように一つ頷く。 「うん。これまで相手にした中では一番いい線いってたと思うよ。 ――――けれどまだ届かない。僕に負ける程度ではまだまだとても」 強さで言うのならば確実に船坂の方が強かった。 だが、直接的な戦闘力では届かない。 戦っている世界が違う。 生きている世界が違う。 見ている世界が違う。 価値観が違う。 何もかもが違う。 「お休み魔人皇。畳の上とはいかないけれど、穏やかに眠るといい」 そう優しく穏やかな声で、最大限の侮辱を持って魔人皇の最期を見送った。 【船坂弘 死亡】 【I-8 市街地跡/夕方】 【主催者(ワールドオーダー)】 [状態]:初老 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、携帯電話、ランダムアイテム0 #65374;1(確認済み) [思考・行動] 基本方針 参加者の脅威となる 1:東側の殲滅 ※『登場人物A』としての『認識』が残っています。人格や自我ではありません。 【オデット】 状態:首にダメージ。神格化。疲労(中)、ダメージ(大)、首輪解除 装備:なし 道具:リヴェイラの首輪 [思考・状況] 基本思考:気ままに嬲る壊す喰う殺す 1 西側の殲滅? ※ヴァイザーの名前を知りません。 ※ヴァイザー、詩仁恵莉、茜ヶ久保一、スケアクロウ、尾関夏実、リヴェイラを捕食しました。 ※現出している人格は『茜ヶ久保一』です。他に現出できる人格はオデット、ヴァイザーです。 人格を入れ替えても記憶は共有されます。 ※人格と能力が統合されつつあります。 137.Lunar Eclipse 投下順で読む 139.探偵物語 時系列順で読む A bargain s a bargain. 主催者 祭りの終り オデット とある殺し屋の死について 第八次世界大戦を越えて 舩坂弘 GAME OVER
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5819.html
前ページ次ページラスボスだった使い魔 いずことも知れぬ、造られた空間……。 その空間を造り出した者と、そしてその彼が招いた者たちの戦いは熾烈を極めていた。 取り込んだ光の巨人の力は、同じ光の巨人たちの捨て身の行動によって相殺され、その大部分を失ってしまっている。 そして彼の前に立ちはだかる者たち。 機械でありながら人の心を持った兄弟、 兄と師との死別を乗り越え、最愛の女性と共に戦うキング・オブ・ハート、 任務という枷を振り払い、自らの意思で戦うことを選んだ少年たち、 一体どこから紛れ込んだのか、因果律を操るこの自分ですら全容を把握しきれないイレギュラーである日本一の男、 赤と青、そしてかつての友である白銀の宇宙刑事、 一歩でも間違えば諸刃の剣となりえる禁断の人型機動兵器に搭乗し、かの東方不敗をして『持てる力を全て引き出した時、その眼前に敵は存在せん』と言わしめたサイコドライバー、 そして最後にもう一人、 「貴様が……貴様さえいなければ……!!」 「ようやく俺の存在を認めたか! 俺は貴様の複製でもなければ、影でもない!!」 「私に何かあれば、貴様もただでは済まんぞ!!」 「この身が共に消えようとも、俺は……俺は一人の人間として、地球人としてお前を倒す! 忘れるな、俺の名前はイングラム・プリスケンだ!」 自らの最も優れた手駒として造り出した筈の彼自身の複製でありながら、超人機の魂と共に、愚かにも創造主たる自分に楯突いた者。 …………否、愚かなのは、果たしてどちらであったか? 「デン・ジ・エンド!!」 「石破っ! 天驚けぇええええええええんっ!!」 「ズバットアターーック!!」 「ギャバンダイナミック!!」 銀色の身体が傷付いていく。 神をも超えた存在―――超神形態である筈の自分が、追い詰められている。 「……トロニウムエンジン、オーバードライブ!」 「ウラヌス・システム、強制発動!」 「みんな……すまない!」 「う……うおおおおおっ!! 行くぞ!!天上天下っっ!!」 「撃て! リュウセイ!!」 「一撃必殺砲ぉぉぉぉっ!!!」 放つ方の砲身がねじ曲がる程のエネルギーが叩きつけられる。 崩壊していく超神の身体。 光の巨人―――ウルトラマンの力を得て、DG細胞によって構成され、時の流れや因果律をも操るそれが、打ち破られる。 「ぐ……ぅ、ぬぅう……」 残されたのは元々の自分の身体のみ。 更に、本来を顔を失った為に与えられた偽りの素顔―――イングラム・プリスケンと同じ顔を隠す仮面も砕けてしまった。 「……フ、フフ……私も、ユーゼス・ゴッツォの影……40年前のユーゼスの邪念に縛られた偽りの存在に過ぎないのかも知れん……」 自嘲の笑みが漏れる。……そして、何のためにここまでして力を求めていたのだったかを思い出す。 銀河連邦政府の科学アカデミーの科学者だった自分が、未開の辺境と呼ばれ、危険と判断された地球圏へとやって来たのは、 「思い出したよ……ギャバン。私もお前と同じく……あの美しい星……あの青く美しい地球を、愛していたのだ……。 だからこそ……自ら志願して地球へ来たのだ、お前と一緒に……」 あの美しい惑星に惹かれた。 最初は、ただそれだけだった。 しかしそこで人間を超える存在であるウルトラマンを知り、自分自身もまた愚かな人間であることを嫌悪した。だが、 「イングラム……お前が言う通り、この世界に超絶的な力は不要だ。何故なら、そんなものがなくても……人々は生きている。そして、世界は存在し続けている……。 この宇宙に神など不要なのだ。だからこそ……ウルトラマンたちは……人に近い存在であり続ける……。 彼らもまた、我々と同じ存在……銀河の同胞なのだ」 「……そうだ。特別な力は使い方を誤れば……必ず不幸を生む。所詮、この宇宙に生きる者はみな弱い存在なのだ。そして……己の心の弱さに屈した者は、悪に染まる……。 誰もが自分の心の弱さに打ち勝つことが出来れば……戦いはなくなり、力ある存在もこの宇宙には必要なくなる。 それが単なる理想であっても……甘い考えであっても……俺はそれを信じたい……」 「フフ……私は、お前に自分が失ってしまったものを……与えたのかも知れんな。 そして私はお前に……自分自身に負けた……40年前と同じく……。 今の私には分かる……お前は……お前は私の良心だったのかも知れん……」 「………」 自分自身との戦い。それにユーゼス・ゴッツォは負けたのだ。そしてその歪んだ野望もまた、彼自身の鏡像によって阻まれた。 「本当のユーゼス・ゴッツォはどちらの方だったのか……今となっては……もう……どうでもいい。 お前は……イングラム・プリスケンという……一人の地球人だ」 「………」 「私は……お前が……うらやましい。地球人に受け入れられた……お前がな……」 「ユーゼス……」 存在が消えていく。 ……自分が消えることで、間もなく自分が創造したこの空間、そしてクロスゲート・パラダイム・システムによって造り出された『異なる時間と空間が混在した世界』も消えるだろう。 そして、イングラム・プリスケンも。 だがこの世界の存在は無駄ではない筈だ。 それぞれの世界に、必ず何らかの結果を生み出しているだろう。 (ともあれ、消える私には関係のないことか……) やがてユーゼス・ゴッツォの意識は消え、因果地平の彼方へと――――― (……む?) 何も無い。 光も闇も混沌も、本当に何も無い空間。 そこに意識だけが存在している。 (私は……消えたのではなかったのか? いや、しかし……) よくよく考えれば、自分は因果律の鎖を超えることは出来なかったが、それに迫ることは出来た。 ならば、ここが本当に『因果地平の彼方』だとしたら、このような場所に自分の意識が流れ着いても不思議ではない。 (……しかし完全な『無』というのも味気の無いものだな……) ユーゼスがそのように考えていると、 <…………ふむ、『私』か> (何?) 唐突に自分以外の存在の思考が干渉してきた。 ユーゼスは瞬時にその存在の正体を悟る。 (……並行世界の『私』―――ユーゼス・ゴッツォだな) <理解が早いな。さすがは『私』なだけはある> (似たような存在と接触したことがあるだけだ) かつてユーゼスはクロスゲート・パラダイム・システムを完成させるために、次元を超え、並行宇宙を超え、自分と因果律で結ばれた者―――ラオデキヤ・ジュデッカ・ゴッツォと接触した経験がある。 確かその時の会話は、 (……あの時の『別の宇宙に存在する者の存在を確立することになる』とは……お前のことか) <そうだ。お前が因果律への干渉に成功したことで、並行世界の同一存在であるこの私もまた、因果律への干渉が可能になった。 そういう意味では、お前は私の『産みの親』と言えるのかも知れないが……> (……そんな話をするために私に干渉したわけではあるまい?) ユーゼス・ゴッツォ同士の会話は続いていく。 <無論だ。……お前の持っている有用なデータを私に提供してもらう> (いいだろう。ならば一応、お前の持っているデータも渡してもらうぞ) <……『一応』か。『私』にしては随分と謙虚なものだな?> (……私はバード星人のユーゼス・ゴッツォだ。バルマー人であるお前と相違点があるのは当然と言える) 時空間のゲートを検出する方法を解明することに行き詰っていた時、並行世界より自分を与えに来たラオデキヤ。 因果律のある程度の操作が可能になった時点で、あの時に自分に接触してきた存在、およびそれが属する世界について調べた事があるため、そこにいる『自分以外のユーゼス・ゴッツォ』についても知識はあった。 <確かにな。私はゼ・バルマリィ帝国の在り方と真の霊帝ケイサル・エフェスの存在に絶望したことが因果律の操作を目指したきっかけだったが……> (私は光の巨人の存在を目にし、人を超えた存在に憧れたことがきっかけだった) <それ以外にも相違点を挙げればキリが無い> (しかし我々がユーゼス・ゴッツォであることは確かだ) <……お前とは色々と話をしてみたくもあるが、私も多忙な身でね。色々と動かねばならない> (分かっている。では互いの情報を交換するとしよう) ―――互いの記憶、価値観、倫理観、感情などの全てが交錯する。 それ自体は一瞬で終了した。 そして、 <ウルトラマン、そしてデビルガンダムか……。……クロスゲート・パラダイム・システムの理論も、私とは食い違いがあるな> (……ラプラスコンピューターの存在は興味深いが……。……システムの大部分をサイコドライバーに依存している感があるぞ) <だがそれによってより効率よく因果律へ干渉が出来る。 ではこの情報は有効に活用させてもらうが……。……お前はこれからどうする? 私と同化するか?> (やめておこう。先程も言ったが、私とお前ではメンタリティに食い違いが多々ある。 おそらくお前が存在の主導権を握るのだろうが、私という異物を取り込むことで存在に不安定さが生じる危険性が高い) <……確かにな。そんな不安要素を自分から抱え込む気はない> (私はしばらくここに留まるつもりだ。……何かの拍子に抜け出すこともあるかも知れないがな……) <そうか。……ではさらばだ、地球を愛したユーゼス・ゴッツォ> (取りあえず『健闘を祈る』と言っておこう、貪欲なるユーゼス・ゴッツォ) <フ……> 自分以外の自分との邂逅が終了する。 有意義な時間であったが、さてこれ以降、何をすればよいものか。 (……暇潰しと情報収集も兼ねて、並行世界の情報でも集めてみるか) そして世界を覗き見る作業を開始する。 とりあえずは自分の世界と似たような世界を見てみるが、 (……意外に多いものだな) 帝王ダイダス、ゾヴォーク、ゼ・バルマリィ帝国、アンセスター、ガンエデン、霊帝ケイサル・エフェス、アインスト、シャドウミラー、デュミナス、ルイーナ、フューリー、知の記録者、修羅、AI1、アル・イー・クイス、ダークブレイン……。 とにかく自分の手の届く範囲の世界には、やたらと驚異的な存在が多いらしい。 例外としてラ・ギアスの軍勢やヴォルクルス、惑星エルピスという世界における『アポロン』とやらも存在するらしいが。 ……比較的新しく誕生した世界ではジ・エーデルという存在も現れたようだが、これはどうも愉快犯に近いようだ。 また、それらを呼び水や軸、あるいは核として多種多様な時空間から強大な力を持つ存在が引き寄せられているが、これがまた把握するのも一苦労なほど多い。 これらの行動や世界に与える影響などは見ていて飽きないものだが、何より興味深いのはこれだけの存在がいて地球の征服、ないし世界の破滅に成功するパターンがほとんど無い、という点である(中には成功しているものもあるが)。 自分と自分が作った組織であるバディムやネオバディム―――それに対するイングラムとガイアセイバーズのようなものが、どうしても立ち塞がるのである。 (やはり抑止力―――いや、歪んだ世界に対しての修正力のようなものが働いているのだな) とは言え自分には、再び因果律を支配して……などという気は起きない。 彼の戦いは、既に彼自身の敗北という結果によって終わっている。 どの世界で誰が戦って、誰が敗れようが―――それこそ先程の『ユーゼス・ゴッツォ』が敗れようが、大して心も動かない。 モチベーションもほとんど上がらない。 言うなれば燃え尽きてしまったのである。 (……このまま消えるのも悪くはないか) あの世界でやれる事は、全てやり尽くしたつもりだ。今更、未練はない。 いっその事、このまま本当に――― 『――――――――――我の運命に従いし、使い魔を召喚せよ!!』 (何!?) 消えてしまおうか、と思った矢先に、何者かの声が聞こえた。 (これは……!? ぬぅ、私という存在が引き寄せられる―――いや、どこかへと引きずり出されようとしているのか!? この因果地平の彼方から!?) 強制的に『自分』が引っ張られる感覚。 ……おそらく、よほど強力な存在が自分を必要としているに違いない。 (しかし私を必要とするだと? 一体、何が目的で……) かつて因果律を操る……神の領域まであと一歩という地点まで迫った自分。そのような存在を呼び出すとは、それこそ神か悪魔かという領域に手が届くモノであるかもしれない。 (……さんざん他者を利用してきた私が今度は利用される立場となる、か。これも因果と言うのだろうな……) ……どうせ消えるはずだった存在である。それならば神なり悪魔なりの姿を見るのも悪くはない―――と、ユーゼス・ゴッツォは呼ばれるままに自分を呼ぶ存在とやらを確認するべく、そのゲートをくぐったのだった。 前ページ次ページラスボスだった使い魔
https://w.atwiki.jp/wiki7_will/pages/85.html
■潰せ!:ラスボス攻略-カオス・ルーラー:ボスを知る編 □はじめに シリーズ最凶と名高いラスボス、その名もカオス・ルーラー。どういった種類のボスなのかはゲーム中で多く語られないが、まぁそこはどうでもいい。問題はその強さ。なんたってLPが最大で計79もあるのだからやってられない。 が、勝てないはずはない。 勝て! 潰せ! のめせ! さぁ、いってみよう! □概要 まず、ラスボスであるカオス・ルーラー戦の前に、それぞれのシナリオごとのボスと戦うことになります。ボス戦からカオス・ルーラー戦は連戦となり、ボス戦後にHPとLPの半分切り捨てが回復しますが、逆を言えばLPは半分しか回復しません。また、武器・防具の耐久力をボス戦で0にしてしまうとカオス・ルーラー戦では武器・防具は壊れています。 なのでこの前哨戦+最期の七大驚異の難易度がボス戦の難易度にからんでくるわけですが、これはまたの機会に解説することにします。 さて、カオス・ルーラーですが、4形態にわかれており、第1形態のLPを0にすると第2形態へ、その次は第3形態へとなり最期の第4形態のLPを0にすれば勝利となります。 それぞれの形態には別個のステータス・LPが設定されています。基本的には最初の形態ほど攻撃力<防御力で、形態が進むにつれ攻撃力>防御力とステータスが推移していきます。 形態ごとに使用する技も異なり、やはり形態が進むほどに強力な技を放ってくるようになります。 また、前哨戦ボスが使用した固有技が1つ、カオス・ルーラーに受け継がれ使用してくるようになります。このためこの技が強力な前哨戦ボスを持つ主人公はちょっと辛いです。 □まずは敵を知れ! カオス・ルーラーの凶悪無比な技をざっと見ていきましょう。 【魔剣】 基本的な技。成長度とHP攻撃力がそこそこあるため、HPを奪われる。第4形態では使用してこない。防御アクションで防げる。 【ソードダンシング】 第1~第3形態が使用。LP攻撃力と攻撃回数に優れるため、HPが減っている所に撃たれるとLPをごっそり持って行かれる。実際、序盤でLPが減るのは6・7割方これのせい。やはり防御アクションが可能。 【混沌の吐息】 全ての形態が使用。HP攻撃力こそないものの【※LP攻撃力は雀の涙ほどあるので、たまにLPにはくる】、恐怖の追加効果「気絶」を付与するやっかいな技。 気絶を主とする行動不能系ステータス異常に共通することだが、行動不能になると行動回数が1減ってしまう上に画面外へ自律待避ができないため、みるみるLPが減ってしまう。そのためレスキューが必須となり大分調子を狂わされてしまう。そのキャラがアンザンなどの重たいやつだった場合本気でレスキューしなけりゃいけないため悲惨。 この技を撃ってくるか、撃たれたとして気絶するか、これがカオス・ルーラーの鬼門といっても過言ではあるまい。 対応策は、「体」の能力値が高ければ気絶しにくい、くらいしか。 【カオスウェイブ】 第1形態のみが使用。そのためあまり見ない。 成長度・攻撃力・攻撃回数が高いためあっさりLPにくることも。さらに悪夢【眠り+画面外でのHP回復量半減。行動不能】を誘発。あまり連続で受けたい技ではないので第1形態はさっさと倒したい。 一応、炎の盾・水の盾で回避可能。 【異界の風】 第1・3・4形態が使用。全体攻撃で、成長度がかなり高く、HP攻撃力もそこそこある。第1形態時点ではあまり驚異でないが、成長度の高さのために第3と第4形態が放つこの技は凄まじい威力。この技の後にLP攻撃力の高い技を繰り出されると本気でマズイ。 属性は斬撃+電撃なのでこれらを防げる盾か土術のイージスの盾で回避可能。 この技があるため大人数での戦闘はオススメしない。 【滅殺剣】 第3形態から使い始める悪夢の技。全てにおいて強力な数値を誇り、「お願いLPだけは許して」と祈りながらモーションを見つめるプレイヤー多数。 しかもステータス異常の恐怖【リールに恐怖マスが現れ、そこでリールを止めると技は強制的にレベル1に、術などは威力が落ちる】を追加で誘発するため厄介極まりない。 恐怖しようが根性と気合いでリールを止めてみせる! という気概があれば問題ないけどネ。 防御アクション可能。極端な話、これを防御アクションで防ぎまくれたなら勝てる。 【オーバーキル】 まさにオーバー。数値上、おかしな値を示す全体攻撃。第4形態のみが使用。 全体攻撃で、最大HP以上をあっさり持っていきLPもフツーに3奪っていく。滅殺剣よりひどく、「お願いだから撃たないでェェェェ」とプレイヤーは叫んでいる。でも撃たないわけないわけで。 熱+冷気+電撃属性。一部の盾【要するに竜鱗の盾、ロードスター、ビルキース・・・】と炎の盾・水の盾・イージスの盾で回避可能。とりあえず炎の盾なら行けるわけで、これに頼らない手はない。 【炎の矢】 プレイヤーの術と同じ。第1・第2形態が使用。 とりたてて驚異ではないが、きっちりHPにきます。水の盾があるのなら使っておきましょう。 【バブルブロー】 プレイヤーの術と同じ。第1・第2形態が使用。 炎の矢とたいして変わらない。 属性が打撃なため炎の盾では防げない。 【アイスニードル】 プレイヤーの術と同じ。第1・第2形態が使用。 全体攻撃で、HP攻撃力・LP攻撃力がそれなりにあるため場合によっては異界の風よりやっかい。 炎の盾で防ぐといい気分になれる。 【スポイル】 プレイヤーの術と同じなのか? 第1・第2形態が使用。 ダメージ+毒の効果。ダメージはともかく、毒に犯されてしまうと画面外でのHP回復がしなくなってしまうばかりかターン終了時にHPが減少するのでローテーションが崩れてしまう。序盤の攻防では重要な位置にある技。 毒になったキャラクターはすみやかにピュリファイかリフレッシュで治療したい。 【ブラスター】 プレイヤーの術と同じ。第1・第2形態が使用。 LPダメージのみを与える技。LP攻撃力が高い。が、命中率が低く攻撃回数が1なために大抵なにも起こらない。万が一食らってもLPが1減るだけなので撃ってくれるとラッキー。 【クリムゾンフレア】 プレイヤーの術と同じ。第1・第2形態が使用。 あまり使ってくることがない気がする。ただ、アーミック編では多用してくるような・・・? さすがというか凄まじい数値の術。初期段階の形態しか使ってこないのは幸いである。撃たれたらびっくりするとともに犬にでも噛まれたと思って諦めましょう。 【封殺】 第1・2形態が使用してくる特殊な技。 五行リールをほとんど禁にしてしまう。カオス・ルーラーの禁術を強力にするとともにこちらのピュリファイなどの威力ががくっと落ちてしまう。 しかし、それだけ。 以下前哨戦ボスから吸収する攻撃。これら全て、すべての形態が使用してくる。 【シャドーブレス】 ローラ編でダグル・ボースとの1対1戦闘に勝った場合、前哨戦ボスがバジル・ゲイオスになるために使用してくる技。 全数値が恐ろしく、おまけに毒、暗闇、気絶、体ダウンを誘発する。見た目とは裏腹に防御アクションによる回避が可能なのが救いだ。 はっきり言うと、ダグル・ボースには負けるべきだと思う。 勝つと難易度がぐっと上がり、ラスボスの難易度は上位に。 【天・地・犬】 ローラ編でダグル・ボースとの1対1戦闘に負けた場合、前哨戦ボスがダグル・ボースになるために使用してくる技。 数値はシャドーブレス以上なのだが、追加で気絶が発生しないのが非常に大きい。シャドーブレスと比べてかなり楽である。 【下僕たち】 ヴェント編で使用してくる技。 コウモリを使った全体攻撃で、暗闇を誘発するが、数値はショボい。 かなり安心して受けられる技。 【虚空陣】 ジュディ編で使用してくる技。 全体攻撃で、異界の風より成長度が低く、LP攻撃力が高い。あらゆる方法で回避不能であり混乱【精神的ステータス異常。各行動が66%でキャンセルされてしまう】を誘発までしてくる。混乱してしまうとそのキャラは使い物にならない。 混乱を治療するにはリムーブフィア、リフレッシュ、レストレーションが必要。マリーが初期からリムーブフィアを修得しているが、マリーを最終戦闘に参加させてよいものか悩ましい。 【プラズマシャワー】 キャッシュ編で使用してくる技。 全体攻撃だが攻撃力・LP攻撃力ともに低く、成長度もそれなり。攻撃回数も1、防御アクションも可能なのでダメージの点では問題ない技。 ただし追加効果マヒ【行動不能! さらに画面外でのHP回復賞半減】を与えてくる。 食らったあとはすみやかにピュリファイ・リフレッシュでの治療を! 【百花繚乱】 ルビィ編で使用してくる技。 HP攻撃力のない単体攻撃。LP攻撃力・攻撃回数・命中率ともに凶悪。ダメージを与えない技なのでそこが差し引かれるが、すでにダメージを負っている状態で受けるとLPに3食らうことは必死。 打撃であり防御アクション・すべての盾で防げるのでそれに賭けたい。 【トリプルゼロ】 マイス編で使用してくる技。 百花繚乱ほどでないもののLP攻撃力・攻撃回数・命中率の高さはLP1~2を期待値で奪える値。しかも百花繚乱とは違い、HP攻撃力を持ち、成長度もそこそこあるためにこれを加味しなければならない。 しかもしかもステータス異常の石化【基本的には気絶と同じ。+画面外でのHP回復がなくなり、レスキューの成功率が下がってしまう】を発生させるというイカレポンコツ。 リフレッシュがない場合、本気で手詰まりになる可能性さえある。一応、すべてのステータス異常にいえることだが放っておけばいずれ回復するものの・・・。 ドラゴンハートが存在するヴェント編とかならまだセーフだったろうに、LPが低すぎるマイス編では核爆弾級の兵器だ。 防御アクション、すべての盾、イージスの盾で回避が可能なので、神頼みでもなんでもして避けてください。 【ロストスペル】 アーミック編で使用してくる技。 全体攻撃で、HP攻撃力・LP攻撃力をともにもたないノーダメージ技。毒、しびれ、恐怖【+石化?】を発生させてくる。 リフレッシュがあれば怖くないが、ピュリファイだけでは治療しきれないので少々厄介。が、他の前哨戦ボス吸収技と比べればたいして怖くない。 □技から見るカオス・ルーラー戦 第1形態ではカオスウェイブ・異界の風・混沌の吐息に注意。 また、成長度が低いがHP攻撃力は高いという特性を持つ術も、ステータスが低めな第1形態では他の技と比較してダメージが大きい。 第2形態では、青の仮面と赤の仮面どちらかが壊れどちらかが残るのだが、この残った仮面によってLPが変わり【赤16に対して青26と10も違う】、使用してくる術も異なる。 ま・術に関しては五十歩百歩。 異界の風を使用してこない唯一の形態なので、全体攻撃のないローラ編、ルビィ編、マイス編なら多人数戦を仕掛けられるチャンス。 第3形態からは術を一切使用してこない。魔剣・ソードダンシング・混沌の吐息・異界の風・滅殺剣・そして前哨戦ボス技のみを使用してくためぐっと技のバリエーションが少なくなるわけだが、要するにこれは遊び球の少ない豪腕ピッチャーというわけで。 魔剣がかなりマシ、混沌の吐息は気絶しなければラッキー、これくらいであとは全て辛い。 第4形態は恐怖のオーバーキル。 これ以外には混沌の吐息・異界の風・滅殺剣・前哨戦ボス技のみ。 こんな状態で気絶させられると本気で耐えられないし、これはマシという技が存在しない。下僕たちくらい。 BACK
https://w.atwiki.jp/dbrpalpha/pages/1022.html
キャラ名 作者 体力 TYPE LIFE 勝利数 運で倒せ! BOSS 5 能力重視 1 7 @y おたま(本人) 10 攻防強化 1 0 Riot of color 味餡 25 バランス 1 0 松本人志 DT 40 守備重視 1 0 第669回D-BR杯がスタートです! 現在運で倒せ!がタイトルを6回防衛しています! 挑戦者がタイトルを奪取するのか、チャンピオンが防衛記録を伸ばすのか!? 運で倒せ!の攻撃!(命中率95%/会心率5%)運で倒せ! 「耐えてみよう!」@yに4のダメージをあたえた!! @y 「おおおおおっ、刻むぞ血液のビート!」 残り体力( 運で倒せ! 5 , @y 6 , Riot of color 25 , 松本人志 40 ) Riot of colorの攻撃!(POOR率95%/発狂率5%)Riot of color 「ででっでんっ ででっでん ででっでん でんでんでんでん」 @yはギリギリかわした。@y 「燃え尽きるほどヒート!」 残り体力( 運で倒せ! 5 , @y 6 , Riot of color 25 , 松本人志 40 ) @yの攻撃!(命中率55%/会心率6%)@y 「ふるえるぞハート!」 Riot of colorはギリギリかわした。Riot of color 「POOR」 残り体力( 運で倒せ! 5 , @y 6 , Riot of color 25 , 松本人志 40 ) 松本人志の攻撃!(命中率56%/会心率5%)松本人志 「くらえ、松本人志流星拳!!」Riot of colorに2のダメージをあたえた!! Riot of color 「PERFECT」 残り体力( 運で倒せ! 5 , @y 6 , Riot of color 23 , 松本人志 40 ) 運で倒せ!の攻撃!(命中率95%/会心率10%)運で倒せ!、連続攻撃!!!運で倒せ! 「耐えてみよう!」松本人志に2のダメージをあたえた!!松本人志に1のダメージをあたえた!! 松本人志 「なにい!」 残り体力( 運で倒せ! 5 , @y 6 , Riot of color 23 , 松本人志 37 ) Riot of colorの攻撃!(POOR率10%/発狂率6%)Riot of color 「ででっでんっ ででっでん ででっでん でんでんでんでん」 運で倒せ!はギリギリかわした。運で倒せ! 「チャンスはありますよ!」 残り体力( 運で倒せ! 5 , @y 6 , Riot of color 23 , 松本人志 37 ) @yの攻撃!(命中率11%/会心率14%)@y、運がよかったです!!!@y 「運で倒せ!がッ!泣くまで!殴るのをやめないッ!!」運で倒せ!に44のダメージをあたえた!! 残り体力( 運で倒せ! -39 , @y 6 , Riot of color 23 , 松本人志 37 )運で倒せ!のLIFEは0になった!運で倒せ!をついに@yが撃墜!運で倒せ! 「素晴らしい!@y!」 まさかの一抜け、撃破者は俺ではないけどねwww。 松本人志の攻撃!(命中率95%/会心率8%)松本人志、手柄横取り攻撃!!!松本人志 「オレの中の小宇宙よ…奇跡を起こせ!!」@yに12のダメージをあたえた!! 残り体力( @y -6 , Riot of color 23 , 松本人志 37 )@yのLIFEは0になった!@yは手柄横取り食らった・・・@y 「ドッッギャアアアアンン!!」 Riot of colorの攻撃!(POOR率95%/発狂率9%)Riot of color、連続攻撃!!!Riot of color 「ででっでんっ ででっでん ででっでん でんでんでんでん」松本人志に1のダメージをあたえた!!松本人志に1のダメージをあたえた!! 松本人志 「なにい!」 残り体力( Riot of color 23 , 松本人志 35 ) 松本人志の攻撃!(命中率62%/会心率10%)松本人志 「くらえ、松本人志流星拳!!」 Riot of colorはギリギリかわした。Riot of color 「POOR」 残り体力( Riot of color 23 , 松本人志 35 ) Riot of colorの攻撃!(命中率95%/会心率11%)Riot of color 「ででっでんっ ででっでん ででっでん でんでんでんでん」松本人志に2のダメージをあたえた!! 松本人志 「なにい!」 残り体力( Riot of color 23 , 松本人志 33 ) 松本人志の攻撃!(命中率64%/会心率12%)松本人志 「くらえ、松本人志流星拳!!」 Riot of colorはギリギリかわした。Riot of color 「POOR」 残り体力( Riot of color 23 , 松本人志 33 ) Riot of colorの攻撃!(命中率95%/会心率13%)Riot of color 「ででっでんっ ででっでん ででっでん でんでんでんでん」松本人志に1のダメージをあたえた!! 松本人志 「なにい!」 残り体力( Riot of color 23 , 松本人志 32 ) 松本人志の攻撃!(命中率66%/会心率14%)松本人志 「くらえ、松本人志流星拳!!」Riot of colorに2のダメージをあたえた!! Riot of color 「PERFECT」 残り体力( Riot of color 21 , 松本人志 32 ) Riot of colorの攻撃!(命中率95%/会心率14%)Riot of color 「ででっでんっ ででっでん ででっでん でんでんでんでん」 松本人志はギリギリかわした。松本人志 「こうも簡単に後ろをとられるとはRiot of colorもたいしたことないな!」 残り体力( Riot of color 21 , 松本人志 32 ) 松本人志の攻撃!(命中率68%/会心率15%)松本人志 「くらえ、松本人志流星拳!!」Riot of colorに1のダメージをあたえた!! Riot of color 「PERFECT」 残り体力( Riot of color 20 , 松本人志 32 ) Riot of colorの攻撃!(命中率95%/会心率15%)Riot of color 「ででっでんっ ででっでん ででっでん でんでんでんでん」松本人志に1のダメージをあたえた!! 松本人志 「なにい!」 残り体力( Riot of color 20 , 松本人志 31 ) 松本人志の攻撃!(命中率68%/会心率15%)松本人志 「くらえ、松本人志流星拳!!」 Riot of colorは素早くかわした。Riot of color 「POOR」 残り体力( Riot of color 20 , 松本人志 31 ) Riot of colorの攻撃!(命中率95%/会心率15%)Riot of color 「ででっでんっ ででっでん ででっでん でんでんでんでん」松本人志に2のダメージをあたえた!! 松本人志 「なにい!」 残り体力( Riot of color 20 , 松本人志 29 ) 松本人志の攻撃!(命中率68%/会心率15%)松本人志 「くらえ、松本人志流星拳!!」 Riot of colorは素早くかわした。Riot of color 「POOR」 残り体力( Riot of color 20 , 松本人志 29 ) Riot of colorの攻撃!(命中率95%/会心率15%)Riot of color 「ででっでんっ ででっでん ででっでん でんでんでんでん」松本人志に2のダメージをあたえた!! 松本人志 「なにい!」 残り体力( Riot of color 20 , 松本人志 27 ) 松本人志の攻撃!(命中率68%/会心率15%)松本人志 「くらえ、松本人志流星拳!!」Riot of colorに2のダメージをあたえた!! Riot of color 「PERFECT」 残り体力( Riot of color 18 , 松本人志 27 ) Riot of colorの攻撃!(命中率95%/会心率15%)Riot of color 「ででっでんっ ででっでん ででっでん でんでんでんでん」松本人志に2のダメージをあたえた!! 松本人志 「なにい!」 残り体力( Riot of color 18 , 松本人志 25 ) 松本人志の攻撃!(命中率68%/会心率15%)松本人志 「くらえ、松本人志流星拳!!」Riot of colorに1のダメージをあたえた!! Riot of color 「PERFECT」 残り体力( Riot of color 17 , 松本人志 25 ) Riot of colorの攻撃!(POOR率95%/発狂率15%)Riot of color、発狂地帯強制突入!!!Riot of color 「でれれんでれれんでれれれんでれれれん(24分音符48連打ラッシュ)」松本人志に36のダメージをあたえた!! 残り体力( Riot of color 17 , 松本人志 -11 )松本人志のLIFEは0になった!松本人志はFAILED REATING D松本人志 「お、おそるべきヤツよRiot of color・・・」勝ち残ったのはRiot of colorです!Riot of colorが見事にラスボスの座を制覇しました!Riot of color「FAILED RATING D」 次のボスお願いします! 人類滅亡の前に最新のチャレンジトラックが挑戦することになる
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/2855.html
この小説は紺珠伝ネタバレを含みます。 「幾千年も月の民と戦ってきた私も今回ばかりは驚きました。」 「まさか月の賢者が私の元にこんなモノを送り込んでくるなんて…。」 _,,....,,_ -''" `''-、 // ヽ, ヽ ヽ ,.└''"´ ̄ ̄ `ヽ、 | ;ノ´ ̄\ \_,. -‐ァ __ _____ ______ ,. '´ 、、 ヽ ヽ | ノ ヽ、ヽr-r'"´ (.__ ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、 ノ , lヽ j /、lヽ ト、_,,.', _,.!イ_ _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7 'r ´ ヽ、ン、 r'´ r'"イ .ノ\| .レ (◯)'レ' { } _..,,-" rー''7コ-‐'"´ ; ', `ヽ/`7 ,'==─- -─==', i { !、 l (◯) / `'''l. ‐ .、"-..,,_r-'ァ'"´/ /! ハ ハ ! iヾ_ノ i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i | レヽ.,ト' ー=‐' / l 、,,_,,ノ `!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ ,' ,ゝ レリイi (ヒ_] ヒ_ン ).| .|、i .|| { ,}' ', /ヘ, /レ' ,/ ‐、 `! !/レi' (ヒ_] ヒ_ン レ'i ノ !Y!"" ,___, "" 「 !ノ i | .7'´レ1 ヽ 人ル'レ' 'i、_ ノ ,' ノ !'" ,___, "' i .レ' .L.',. ヽ _ン L」 ノ| .| ,-‐'、 レ~i` ヽ 、_ ( " ノノ ( ,ハ. ヽ _ン 人! | ||ヽ、 ,イ| ||イ| / ( ,.ヘ ,)、 )>,、 _____, ,.イ ハ レ ル` ー--─ ´ルレ レ´ ,.‐‐、 ,.--、 く__,.ヘヽ. / ,ー、 〉 \ ', !-─‐-i // / `ー' ー' ヽ / /, /| , , ', イ //-‐/ i L_ ハ ヽ! i レ ヘハi ( ゚ ) ( ゚ ) ト、!| | !, |7"" .. "" 、ソ | ∬ | 从 'ー=三=-' 从 | _ レ'| i> .,,_ __ イ/ .i =|л=・ レ'| | / k_7_/レ'\i |, ( E) | |/i 〈|/ iヽ ヽ_// 「ゆっくり」 「していってね!!!」 「いやぁ、コイツが今回のラスボスでっかぁ。」 「おぉ、どう見てもきつねきつね。」 「予想が付きませんでしたっていうか何これ!」 ゆっくりとーくショー 紺珠伝ラスボス編 「お前がラスボスだな!いざレイムと勝負勝負!」 「いやちょっと待ってください、アナタ達誰です。っていうか何なんですか。」 「おや、まさか我々の事を知らないと?」 「ええ、気の遠くなるほどの時を生きて来ましたが、 このような生命体がいることは始めてしりました。」 「おぉ、これは意外意外。」 「まぁまりさ達に関してはゆっくりっていう謎の何かだと覚えておけば大体OKだぜ。」 「自分で謎の何か言うんはどうなんやまりさはん。」 「ゆっくりを始めて幾数年、今だに自分が何なのか考えてしまうことも多いから、 問題無いんだぜきもんげ。」 「…月の賢者もこんな訳の解らない連中を送り込むとは…もう少し ちゃんとした奴を送り込め無かったんですか。」 「いや~ほんまはわてらじゃ無くて、巫女さんとか魔法使いとか現人神とか地上の兎さんとかが来る予定だったんやけどなぁ。」 『異変解決に行くのは良いけど、この永琳が持ってきた紺珠の薬って奴どうする?』 『今度の敵と戦うにはこの薬を飲む必要があるって言ってましたけど。』 『でもこんな怪しい薬を飲むのもなぁ、副作用でチ○コ生えそうだぜ。』 『っていうか絶対生えますよ、師匠の薬はチ○コを生やすためのものですから!』 『異変解決のためとは言え、チ○コなんて生やしたくないわねぇ。一少女として。』 『そうだ!私達の代わりにゆっくり達に飲ませて異変解決にいって貰おうぜ!』 「…と、言う訳でんねん。」 「地上の人達は月の賢者を何だと思っているのだ!」 「薄い本ご用達の便利キャラです。」 「…月の民と同じ事言ってるようで気分が悪いが… 汚れているな、最近の地上の民は。」 「イヤハヤ。」 「頬を染めるな、お前の事を言ってる訳じゃないし、 言ってたとしても決して褒めておらん!」 「まぁ、そんな訳でまりさ達は、巫女さん達に変わってチ○コの薬を飲んで 此処まで来た訳だぜ。」 「チ○コの薬とか言うな!そんなの生えて来ないから!」 「何でそんな事が言い切れるんだぜ。」 「月の賢者が月の都を救う為の薬が、 チ○コが生える薬なんて事があって溜まるかぁ!」 「…ねぇねぇまりさ、きれーなおねーさんがさっきからチ○コなんて単語連呼してるよ。」 「これぞ風紀の乱れって奴だぜレイム。」 「乱してるのはお前らだろうがぁ!」 「まぁまぁ、そんなカッカしないでこれでもお飲み下さいな。」 「え。」 「何ですか純狐さんその反応は。」 「いや、突然差し出されたものだから…。」 「で、飲むんですか、飲まないんですか?」 「…貰おう、叫びすぎて喉が渇いた。」 「ではどうぞ。」 グビグビグビグビグビ。 「不思議な味がするな、柑橘系のような、乳酸菌系のような…。」 「ほう、そんな味がするんですね、紺珠の薬って。」 「…今何と言った?」 「紺珠の薬と言いました。」 「げぇええええええええっ!」 「おぉ、見事な戻しっぷりですな。」 「おばさん、ちょっと汚いんだぜ…。」 「お、お前なぁ~!何を飲ませてくれるんだ!」 「何って、一応安全性は取れてますよ?一瓶飲み干して平気なゆっくり達が居ますから。」 「おい、それじゃあまりさ達がまるでモルモットみたいな言い方じゃないか!」 「永琳から見たら皆等しくモルモットやと思うけどな。」 「そういう問題じゃない!お前、そもそも紺珠の薬がどんな薬なのか解っているのか!?」 『チン○を生やす薬?』 「何の迷いも無く言い切るな!先に言っとくけどそんなものは生えないからな!」 「え、じゃあ何のための薬なんだぜ?」 「この薬を飲むとな、ありとあらゆる汚れを取り除くことが出来るのだ!」 「ありとあらゆる汚れ…。」 「なんや、永琳特製の薬と聞いてどんな凄い薬なのかと思ったら、 ただの汚れ落としかいこれ…。」 「頑固な汚れもスッキリ綺麗って奴?」 「物理的な汚れだけではない、過去の汚点とか生きた証とか。 そんな抽象的なモノもスッキリ落とすことが出来るのだ!」 「おぉ、それは何とも凄い薬ですな。」 「でも、お高いんでっしゃろ?」 「とんでもない!この紺珠の薬、今ならもう一本お付きになりまして お値段たったの………って、なんでテレビ通販になってるんじゃあ!」 「おぉ、ノリツッコミノリツッコミ。」 「意外とノリが良いおねーさんだね!」 「くっ、いつの間にかコイツらのペースに乗せられてる! 調我め、こんな面倒な刺客を送りおって!」 「オイオイ、調蛾って誰なんだぜ?」 「全く関係の無い人の名前を出されても、こっちが困惑するだけなんですが。」 「ええと、調蛾というのはだな…ああもうめんどい! コイツらに説明するのもメンドクサイぐらいめんどい!そして憎い!」 「そっかそっか…結局何が言いたいのかよく解らなかったけど、 おねーさんも色々苦労して来たんだねぇ。」 「まぁそれはそれとして、結局貴女が紺珠の薬を飲むとどうなるんですか?」 「…まぁ、ありていに言えば死ぬ事になるな。」 『……えぇええええええええええええええ!』 「私はもはや蝶我への憎しみ怨み辛みだけで生きてるようなモノだからな、 そういったモノを綺麗さっぱり消してしまう薬を飲んだらどうなるのか想像に固くないだろう?」 「そ、そうだったのか…。」 「何と言うことでしょう…。」 「つまり純狐おねーさんは…。」 「紺珠の薬を飲んでチ○コを生やすことが出来ない…!」 「何でそういう話になった!?チ○コは何処から出てきた! それと紺珠の薬ってそういう薬じゃ無いってさっき説明したよね!聞いてた!?」 「これはまずいですよ、チ○コが生やせないとなれば、薄い本の需要が減ります。」 「そうだな、チ○コを生やせるかどうかで、薄い本業界で生き残れるかどうかが 決まるからな…。」 「折角の新キャラなのに、此処で命運尽きるなんて勿体ないよ…。」 「薄い本ってなんだ貴様ら!そんなのどうでもいい! つーか何この流れ、コイツら私を倒しに来たんじゃ無かったの!?」 「いやぁ、一応表面上はそうなんだけど。」 「正直此処までこれただけで何とも言えない達成感に包まれてるんだぜ。」 「と、言うかあんさんも本当はこれ以上の戦いは無意味やと思っとるんやろ?」 「…まぁ、紺珠の薬を飲んだお前達がここに来た時点で私の負けが決まったようなモノだが…。」 「やっぱりだぜ!」 「れいむ達ゆっくりはこういう事には敏感だよね!」 「そんなどうでも良くなった戦いより、純狐さんがチ○ポ生やせない事の方が 大問題やとうちらは思うでぇ!」 「そうなのか!?そういう問題なのか!? いや私がチ○コ生やせないのは対して問題じゃないだろいい加減にしろー!」 「そうだね、確かにそれはたいした問題じゃない。」 「…!その声は!」 , ------- 、 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\ /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;', i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i .i ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄i .i i i_________i / j \ / / | ヽ \ ヽ / / | ゙; ヽ ヽ 、 / / j | l Y . / / / /{ | l | l l i / / /{ ―-|、 | l | l l // l 乂,,_V ‐从 ―-| ;_ j } l / / { /]{~斧气 ヽ |\―| メ | l { 八 {八 { しリ =云竺x,,_} / l l 人 { { \ `'''" {i以リ )ア l l 人 { ̄` `'''".ノ / / | } / ̄ ̄ヽ 乂 \ 、 _/ / ̄ ̄\/ } j i i ミ 个 ...  ̄ > / ノ ', ノ / i i∞∞∞-、个ー-‐ヒ, ∞∞i ==i (ヽ__ノ / [ [] ].  ̄`', ..................i \ / /________ ヽ___ノ l {イ/  ̄ ̄ { / 〔,l |./__j  ̄ い / ト V ∧\ /| |┘ { └Lj / ∧__r" { j | 八 ヽ {i;;,(⌒⌒)/ / / 〉 「…なんだか静かの海が騒がしいと思ったら 何を敵と言い争ってるんだい純狐!」 「お、お前はヘカー「うわ、変なTシャツやろー!」私の言葉に失礼な言葉を 被せてくるな!!」 「す、スマン、つい思ったことが口に出ちまったぜ。」 「…まさかTシャツすら着れない奴らにまで変なTシャツヤローと言われるとは 思わなかったよ…。」 「こ、この位で地獄の女神が凹むんじゃない!それよりヘカーティア、 さっきの言葉の意味はどういう意味なんだ!?」 「言葉通りの意味さ、アンタがチ○ポを生やす必要性はない。」 「な、なんだってーーー!」 「いや、何故ショックを受けているのだ貴様!」 「おいおい変なTシャツさん、純狐に対してチ○ポなんて要らないなんて 乱暴過ぎるんじゃないのぜ!」 「いや、私としてはヘカーティアの言ってる事は正論にしか聞こえないのだが。」 「いいや、本当に純狐にそんなモノは必要ないのさ、何故なら… あたしが既に付けている。」 「…は?」 「なるほど!この純狐さんは攻めではなくて総受けだったんだね!」 「完全に盲点だったぜ…。」 「何にせよ、これで薄い本界隈は救われましたね。」 「正に万事解決とはこの事を言うんやな!」 「ちょ、ちょっと待て、話が全く見えて来ない…。」 「さぁ、行こうか純狐。」 「い、行くって何処にだ!?」 「強いて言うなら遥かなる高み?」 「もうちょっと解りやすく言えあと股間を押し付けるなあたってるぞー!」 「純狐!薄い本ではこう返すのがお約束よ!『当ててるのよ。』」 「おのれぇ!これも嬢蛾の策略かぁ!許さんぞ!嬢蛾ぁああああ!」 「これで悪は滅びたぜ…。」 「あ、結局生えなかったね、チ○コ。」 「まぁ、これ本来は人間用の薬みたいですし、私達ゆっくりには最初から 効果が無かったのかと。」 「なるほどね!ゆっくり納得したよ!」 「あ、ようやく見つけたー!」 '⌒Y /ノ乂_ノ \ /. . ./ . \ 〈ノ >―<. ○. / /_ノ. . ,.-、. . /< ___/ . . /.  ̄ ̄. \. 乂\_, --. 、 /. 丶-'/ ○. . . . ○. . . ○. . . ', . ○ . \ /. ○ /. >' ¨¨  ̄ ̄ ¨¨ 丶 . . /}. . . . . ○ 、 /). . . . ./{ / \. Y. . , -、. . . = / . . /  ̄ / / ∨-=¨⌒\. = - . __ ⌒Y / / .// ノイ | v \⌒Y__ . - - - 丶 乂_,ノ- . ノイ | /‐- 、/ ム-‐ | \ .- 乂_,ノ 、` `、 `丶ノ 人 'Tテkミ / /ィ示¨ミ ∧ `~ 、 、` ` 、 // ヽ.ハ Vりヽ/ノ Vソ / / 八 \ 、` ` 、 / / 八 ' // ‐ \ 丶 、` 丶 ( / _ -(⌒\ ` '’ ィ--Y 八ミ ヾ 丶 ヽ / ∨) Y ⌒≧≦⌒)( 八_ノ ☆\ \ \. ` ノ / \\;;圦 ノ八 ノ ( / )(_人 ☆x Y i / 八ー‐‐く T 乂)_人__人 __ノ-イヽ >‐ / 丿 丿 { /l \/ ‐八_____|了 / /.☆. ./\ ( ( 乂( /(¨¨¨ ノ l;;;;;;;;;;;;;;;| ☆/ ( \イ、\ ヽ 丶 \ ( | T T⌒)∧__.N / /⌒)‐┘\ ノノ ⌒ ) ./ / l |ーく 、 \;;;;;;;|ヘ >z┘ \ ∨ / ((. { { l 、 \ __| / ☆ l ☆ 八( \ 乂ヽ 、 \ \ ;;;;;;;;| / / / ) ) 、 \ \ ___| ☆ / \ ..、 ヽ ;;;;;;;;;;;;;;;| ☆ / \ ` ..、、___| / / ☆=- | ,. <三ム 乂_ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 乂zノ 「おや、こっちに向かってくるのはあの人を狂わせるタイツを持つ クラウンピースとか言う妖精さんではないですか。」 「タイツじゃ無くて能力じゃなかったっけ?」 「どっちも似たようなモノだから構いませんよ。」 「言いたい放題言ってる所悪いけどさ、あたいの話を聞いてくれない?」 「ああ、そうやったな。」 「既に倒された立場である五面ボスが一体何の用ですか?」 「何かアンタ達にそっくりな奴が居たからここに連れて来たんだけど。」 「へぇ?」 「一体どんな奴なんだぜ。」 「えっと、こんなの。」 r-、_,「 V´|-─‐- ..,,_ r' 、 ! /_,,...,,___ 、 ; "´ ` ''ー- 、`フ / y' / / ! ,! `ヽ. ,' / / /! ./| / ! ,! i i ', ! |___! ./ _|,/,.ノ-' l.、'_| |. !. | . | | レ| (ヒ_] ヒ_ン、| | | | | |'" ,___, "' ハ_,.ハ__」 ! i .! !、 ヽ _ン ノ | | `ヽレヘ. |7>,、 _____, ,.イ ! | \! \ハ__」 「月で自分の出番があるような気がしてやって来たみょん!」 「…………。」 「…………。」 「れいむさん、まりささん、お願いします。」 「あ、うん。」 「言われ無くても何をするかは理解できるぜ。」 『奈無阿弥陀仏!』 「みょぉおおおおおおおん!」 終われ。 みょんかわいい -- 名無しさん (2016-10-30 12 28 25) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/lanove/pages/264.html
刊行一覧 原作最強のラスボスが主人公の仲間になったら?
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5997.html
前ページ次ページラスボスだった使い魔 ブルドンネ街から少し外れた、不衛生と言うにも少々生ぬるい路地裏。 そこにある武器屋の中で、ルイズとユーゼスは剣の見定めを行っていた。 「アンタ、この剣を使える?」 「無理だな」 『店主のお勧め』である、1.5メイルほどの大きさの頑丈そうな大剣を見て、ユーゼスは即座にそう判断する。 「ま、そうでしょうね。重そうだし」 「ふむ、これで『私にちょうど良い剣だ』などと言われたら、お前に対する評価を改めなければならないところだったぞ、御主人様」 「……それはどうも」 どのように改められるかは、今更考えるまでもない。 「やっぱり、こっちのレイピアの方が良いんじゃない?」 ルイズが片手で、細身の剣を差し出す。 それを見たユーゼスはアゴに手を当てて考えた後、否定の言葉を口にした。 「悪くはないが、細すぎる。攻撃方法が突きに限定されるし、つばぜり合いにでもなったら確実に折れるぞ」 「う~ん……」 そう言われると、確かにその通りのような気がしてくる。 (それ以前に、つばぜり合いになったら、まず負けちゃうんじゃ……) ユーゼスの腕力から判断した、ほとんど確信に近い予想ではあったが、あえて口には出さないことにした。 ……仮にも自分から『剣を買ってあげる』などと言い出した手前、今更『やめましょう』とは言えないのだ。 では何を買えば良いのだろう、と二人で首をひねっていると、 「開いているか?」 凛とした女性の声が、狭い店内に響く。 ルイズとユーゼスがそれにつられて入り口の方を見ると、そこには毅然とした態度の年若い女性が立っていた。 杖もマントもないことから、少なくとも貴族ではないことがうかがえる。 年は大体だが20歳を過ぎたあたり、短めの金髪、先程会ったエレオノールとは違った意味で気の強そうな青い瞳。 下手をすると男にも見えてしまいかねないような顔だが、女性独特の線の柔らかさは確かに確認が出来る。 また、その歩き方には『油断のなさ』がにじみ出ていた。 (……軍人か?) あのタイプの人間に遭遇したことがあっただろうか、とユーゼスは脳内で検索をかけてみる。 ……確か、トレーズ・クシュリナーダの側近に女性がいたような気がするが、雰囲気としてはアレが一番近いだろうか。 「何だ、アニエスか」 「『何だ』とは失礼だな、客に向かって」 「……今、ちょうど貴族のお嬢様が、従者に使わせる剣を選んでらっしゃるんだよ。何を買うつもりかは分かんねぇが、邪魔だけはするんじゃねぇぞ」 「分かった、分かった」 店主とのやりとりの後、金髪の女性は店の隅へと歩いていく。 そしてそこにある乱雑に剣が押し込まれているタルの前に立ち、ガチャガチャと剣の束の中をかき回し始めた。 「……何やってんのかしら、あの平民」 「あの中から『それなりに良い剣』を選んでいるのではないか?」 そもそも『剣を購入する』という行為自体が初めてなので、ルイズとユーゼスは『手本』とするべく、しばらく金髪の女性の様子を見ることにした。 ……当然ながら、店主は良い顔をしていないが。 そうして観察すること、しばし。 「これを貰おう」 『お勧め』として出された剣ほど太くもないが、余計な装飾も、作った人間の遊び心も見当たらない『質実剛健』を体現したような剣を手に取る金髪の女性。 『ふむ、あのような物が良いのか』というユーゼスの呟きを耳にして、店主は顔をしかめた。 「……また、味も素っ気もねぇ剣を選びやがるな、お前は」 「何か問題でもあるのか?」 「ねぇよ。……ったく、せっかくのカモが……」 ぶつくさ言いながらも、店主は金髪の女性が差し出した剣を鞘に入れる。 「それと、例のモノを」 「あいよ。お前も変わってるよな、わざわざ銃を改造して欲しいなんざ……」 「実用性と扱いやすさを重視しているだけだ」 店主はげんなりした様子で店の奥に引っ込み、1分もしない内に布に包まれた棒状の物を持って来た。 「ふむ……」 金髪の女性が布を解くと、中から木と鉄が組み合わさって出来た50サントほどの長さの銃が現れる。 (……アレがこの世界の『兵器』のレベルか) ユーゼスにしてみれば、『クラシカル』や『骨董品』を通り越して、『貴重な文化財』のレベルである。 見たところ、火薬を使った単発式のようだが……。 (剣も『錬金』で鍛えて、魔法もかけたと言っていたな。魔法で大抵のことが出来てしまうから、工業技術が発達しにくいのだろうな) 仮に、人間が本当にその身一つで出来る範囲を、1~10と定義する(扱う事象自体は何でも良い)。 魔法を使えば、その範囲が1~100にまで広がるとする。 ……察するにハルケギニアの人間たちは、その『100』までで満足してしまっているのだろう。 実際、科学技術で再現するにはかなり困難な事象も、割合あっさりと魔法でこなしてしまう。 仮に範囲を超える事態が起きたとしても、『120』や『200』程度の範囲であれば、使い方を工夫するなり、人員を増やすなりすれば解決が出来る。 しかし、どう工夫を凝らそうが、完全に魔法の範囲を超えてしまう事態には、全く対応が出来ずに終わるだろう。 例えば『1000』や『10000』の規模であったとしても、まず間違いなく最初に魔法を使った解決策を模索するはずだ。 ハルケギニアでは前提と言うか、根底に『魔法』があるため、魔法以外の解決方法が極めて見つかりにくい。 そもそも、『魔法』が発達しすぎているせいで、その解決方法になりえる『魔法以外の解決方法』の手段が発達しないのである。 ……部屋が暗かったとして、ランプでは心もとない。 地球人は、これをどうすれば解決出来るのだろうと考え、試行錯誤の末に電球や蛍光灯が発明された。 しかし、このハルケギニアでは『魔法なりマジックアイテムなりを使えば良い』で解決してしまう。 魔法技術もそれなりに発達の余地はあるのだろうが、国が出来てから6000年も経過しているのに、今だ文明が中世レベルであることを考えると、どうも魔法にはエネルギー的にも応用範囲的にも『限界』があるようだ。 (……とは言え、無節操な産業の発達は私も好まないがな) 産業が発達すれば、必然的に自然が汚染される。 科学技術がほとんどないということは、このハルケギニアは美しい自然を美しいまま保っていられるということでもある。 この世界は、下手に加速させるよりも、このままでいるのが一番良いのかもしれないな―――などと、ユーゼスは珍しく感傷的に思うのだった。 「ねえ、銃はどうなの?」 「……? どう、とは何だ?」 「アンタが銃を使えるのか、ってことよ」 しんみりしていると、横にいたルイズから声をかけられる。 ユーゼスは主人の問いについて、ふむ、と軽く考えると、 「難しいな」 と答えた。 「……もうちょっと詳しく答えなさい」 「あのような『扱う者の技量が反映されすぎる』武器は、私に向いていない。 ただ『使うだけ』ならともかく『動き回りながら撃つ』となると、かなりの技量と習熟と実戦経験が必要になるだろうな」 「ふーん」 使うのならば、やはり剣のような単純な武器だろう。 何しろ『斬る』と『突く』くらいしか攻撃方法がないので、扱いが単純なのである。それこそ『使い方』だけを感覚として得て、多少の身体能力の向上を得たユーゼスでも使えるほどに。 「じゃあ、取りあえず剣を選びましょうか。レイピア以上で、あの『お勧め』以下のサイズのを」 「そうだな」 結局ルイズとユーゼスも、金髪の女性にならってタルに押し込まれている剣の中から選ぶことにした。 「う~んと、コレなんてどうかしら?」 「形状が独特すぎるな。斬る時に引っかかる。……これはどうだ?」 「細工の趣味が悪すぎ! アンタは仮にもわたしの使い魔なんだから、そんなの持ってたらわたしの品格まで疑われちゃうでしょ!」 「そんなものか」 「そんなものよ! ……じゃあ、コレ!」 「短すぎる。それでは対人戦闘で動脈をかき切るか、刺すことくらいにしか使えないぞ」 「……それじゃ『貴族の従者』ってよりは『暗殺者』ね……」 アレでもないコレでもないソレでもない、と次々に刃物を手に取りながら言い合う主人と使い魔。 (……どうでもいいのだが、いちいち武器を手に取るたびに『使い方』が頭に流れ込んでくるのは、何とかならないのだろうか……) 『頭に浮かぶ』だけならまだ良いのだが、身体の方が勝手に『その武器に最適な身体の動かし方』を実行しようとするのだ。しかも無意識レベルで。 握り方、構え方、重心の取り方、体重移動のやり方、振るい方、身体のねじり方、刃の角度の付け方、果ては持ち運び方や歩き方まで、である。 ……一つや二つ程度ならば許容も出来るのだが、こう取っ替え引っ替えしていては、ハッキリ言って疲れる。 ルーンの機能のオン・オフが自在に出来ればいいのだが、そんな便利な機能はないし、構造をいじるには『精神制御』の部分と同じく、固着する前に操作する必要がある。 (……諦めるしかないか) これほどの剣に触れる機会など、そうそうあるものでもないだろう。 これも貴重な体験、と割り切って、ユーゼスは剣の物色を再会した。 そして、手違いで錆びだらけの剣を掴み上げてしまう。 「コレは―――駄目だな」 「ダメね」 さすがにこれは意見が一致した。 さっさと戻そう、とタルの中に錆びた剣を押し込もうとすると、 「おうおう! 手に取って見るなり『駄目だ』とは、言ってくれるじゃねえか!」 いきなり剣が大声で抗議を始めたのだった。 「剣が喋っただと?」 この魔法の世界では、このようなこともあるのだろうか。 ユーゼスが物珍しそうに錆びた剣を見ていると、店の主人から怒鳴り声が上がる。 「やい、デル公! お客様に失礼なことを言うんじゃねえ!」 「デルコー?」 改めて、その剣を観察してみる。 『店主のお勧め』と比べて、長さ自体はそれほど変わらない。違うのは刀身が折れなさそうな程度には細いことだ。 ―――錆びさえ浮いていなければ、そこそこに良い剣だったと言えるだろう。 「『お客様』ぁ? こんな剣もマトモに振れねえようなヒョロヒョロした兄ちゃんが『お客様』だぁ? ふざけんじゃねえよ! 耳をちょんぎってやらあ! 顔を出せ!」 「……それって、インテリジェンスソード?」 戸惑いながら、ルイズが店主に問う。 「そうでさ、若奥さま。意思を持つ魔剣、インテリジェンスソードでさ。いったい、どこの魔術師が始めたんでしょうかねえ、剣を喋らせるなんて……」 『おめえは黙ってろ』だの『溶かすぞ』だの『やってもらおうじゃねえか』だの、口汚い口論を始める店主とインテリジェンスソード。 店主のかたわらでは、自分たちの事の成り行きを見物していたのか、まだカウンター近くにいた金髪の女性が『ほう、あんなものもあったのか』などと言っている。 ユーゼスは試しに錆びたインテリジェンスソードを二、三度振ってみた。 (……重さ自体は少し重い程度か。この『喋る剣』も興味深いのだが) やはり、錆びているのが致命的だ。 そのままじっと錆びたインテリジェンスソードを眺めていると、その剣が何かに気付いたように声を上げる。 「……おでれーた。見損なってた。てめ、『使い手』か」 「『使い手』?」 言い得て妙な表現である。 確かに、自分のルーンの能力ならば武器をある程度は『使う』ことが出来る。 ……自在かつ巧みに『操る』、武器を手にして『戦う』のは、自分の領分ではないが。 「ふん、自分の実力も知らんのか。まあいい。てめ、俺を買え」 「……ふむ」 数秒ほど考え、ユーゼスは店主に気になることを尋ねてみる。 「……これと同じインテリジェンスソードで、もう少し理知的で、物静かで、主人に忠実そうなものはないか?」 「おい、そりゃどういう意味だ!?」 錆びたインテリジェンスソードの抗議を無視して、店主はユーゼスの質問に答える。 「はあ、すんません。あいにくウチにあるインテリジェンスソードは、そのデル公の一本だけでして……」 「他の店に行けばあるのか?」 「いや、インテリジェンスソードを扱ってる店ってのは、なかなか見当たらないと思いますぜ」 「……………」 「あ、あの、ちょっと、兄ちゃん―――いや、お兄さん? お兄さんの実力を見抜けるインテリジェンスソードなんて、ハルケギニア広しと言えど、このデルフリンガー様くらいのもんで……」 「……そうだな、買おう」 「お、おお! 買ってくれるか、兄ちゃん! そう来なくっちゃな!」 ユーゼスが下した決断に、デルフリンガーという名前の剣は鍔をガチャガチャと鳴らしながら喜んだ。 ルイズはそれを聞いて、露骨に不満そうな声を上げる。 「え~? そんなのにするの? もっと綺麗で、喋らないのにしなさいよ」 「……誰がこんな錆びた剣を『実際に使う』などと言った?」 「……………え?」 困惑の声を上げたのは、デルフリンガーである。 「インテリジェンスソード……なかなか面白い研究材料だ。持って帰って色々と調査をしてみる。 さて、改めて『実際に使う』ための剣を選ぶぞ、御主人様」 「え、ええええええええええ!!?」 絶叫が、武器屋の中に響き渡った。 「な、なあ、嘘だよな? もう、兄ちゃんったら、冗談なんか言わなさそうな顔してサラッとキツいジョークを言ったりするんだから。……ねぇ?」 そんなデルフリンガーの呼びかけを無視して、二人は相変わらず剣を選ぶ。 「う~~~ん……。……なんか、こう、『コレだ!』ってのが無いわね」 「そうだな、細すぎず太すぎず、長すぎず短すぎず、形や装飾も華美すぎず……」 首をひねるルイズとユーゼス。 もう、こうなったら本格的に別の店に行った方が良いか、と思い始めていると。 「……はあ、見ていられんな」 呆れた様子で、金髪の女性がカウンター脇からこちらへと歩いてきた。 「な、何よ、アンタ?」 「……貴族のお嬢様、今あなたの手元にある予算は?」 「え? ……えっと、1000エキュー持ってきて、ユーゼスの白衣とか水の秘薬とかで使ったから……820エキューくらい?」 唐突に質問されたので、思わず素直に答えてしまうルイズ。 「この錆びた剣の値段は?」 金髪の女性は、次に店主へと質問する。 「あー、それなら100でいい」 「安いな。……では、残りは720エキューほどか……」 ふぅむ、と呟いた後、剣が押し込まれたタルから視線を外す。 そして壁にかけてある剣を検分し始めた。 「あれ、このタルの中から選ぶんじゃないの?」 「その中にあるのは、全て500エキュー以下の投げ売り品だ。……あいにく私は金のない平民だからな、その中から比較的良い品を選ばせてもらったのだが」 数秒ほど壁に並べられた剣を眺めた後、金髪の女性は一本の剣を手に取った。 「これなどはどうだ?」 女性から剣を手渡される。 長さは若干短め、太さはデルフリンガーと同程度、装飾もほとんどない。 端的に言うと、特徴らしい特徴のない剣である。 「ふむ、悪くないな」 「……少なくとも、このボロ剣よりはマシね。値段はいくらになるのかしら?」 「…………650エキューになりまさ」 いかにも不服そうに言う店主だったが、金髪の女性は構わずに決断を促した。 「では、これで決まりだな」 「ああ」 「ま、良いか」 「い、いやいや、そんなどこにでもあるような剣じゃなくて、この長い年月を経て幾多の経験を蓄積した……」 そんな購入者の様子を見て、何とか自分の『剣』としてのポジションをキープしたいデルフリンガーだったが、 「あ、どうしても煩(ウルサ)いと思ったら、こうやって鞘に入れれば大人しくなりまさあ」 「ちょ、ちょっと待っ」 ガシャン、と鞘に収められて沈黙してしまった。 「じゃあ、二つで750エキューで良いわね?」 「へい、毎度」 やはり不満そうな様子ではあったが、客は客なので淡々と仕事をこなす店主。 そして、剣2本がユーゼスに渡されたのだが、 「……重い」 軽々と振り回されるイメージがあるが、剣はなかなか重量がある。それが2本なのだから、鍛えてある人間であってもそこそこの負担になってしまう。 加えて、エレオノールから受け取った分厚い魔法の本が3冊。 ……剣は、鞘から抜かないとルーンの効力は発揮されないので、身体能力の向上は望めない。 要約すると、荷物だらけで凄く重い。 ぬぅ、と声を上げながら剣2本を背負い、肩の鞄に入れてある本の重さを実感するユーゼスだった。 「そう言やお前、城勤めになったんだって?」 「まあな、ここに来るのもこれが最後かも知れん。何しろ支給品があるようだからな」 「……既製品でお前が満足するとは思えねえけどな」 そんな店主と金髪の女性の雑談を聞きつつ、武器屋を後にする。 そして魔法学院への帰り道にて。 「くっ、剣と本の重さで、バランス、がっ……! ぐあっ!?」 「また落馬!? ……ああもう、こんなヤツを屈服させようって決意したわたしって、間違ってるのかしら……」 なお、帰りには5時間ほどかかったことを追記しておく。 前ページ次ページラスボスだった使い魔
https://w.atwiki.jp/itan_seihaisensou/pages/80.html
ケェーゴー=インドラハイム(第三次・ラスボス) 【名前】 ケェーゴー=インドラハイム (Kiego=Indraheim) 【サーヴァント】ルーラー 【性別】男 【性格】 常に自分を客観視して行動に移る。 我が強く、自分の才能を絶対だと考えている。 【出典】オリジナル(Fate/strangeFake) 【属性】混沌・善 【ステータス】 筋力 E 耐久 C+ 敏捷 D+ 魔力 A 幸運 E 供給 A 【詳細】 旧名は一瀬蛍梧(いちのせ けいご)。 第一次聖杯戦争にバーサーカーのマスターとして参戦し、死亡した一瀬ほたるの実の兄。 第一次の時点で錬金術に精通し、神童と謳われた天才児であり、類稀な三重属性の素養を持つ人格者だった。 だが彼は極端なまでに妹を偏愛しており、一時は肉体関係を迫った事まである。 15年前(第一次終戦後)、ほたるが家出をしてそのまま無惨な銃殺死体として発見されて発狂。 それがきっかけで両親も気が狂って一家無理心中を強行したが1人だけ生き残った。 その後、両親の心中によって魔術師としての一瀬家は没落。 一瀬家を見限った蛍梧は、時計塔で妹を生き返らせるべく人体錬成の実験を重ねるようになる。 しかし人体錬成は不可能であり、絶望した彼は死徒の技術を用いる事を視野に入れる。 そして時計塔を離れて元魔術師の死徒ラングドフ=インドラハイムに師事。 その高い素養あってか僅か数日で死徒になる。 この時点で名前をケェーゴー=インドラハイムに改めた。 その後も死徒として研究を続けたが人体錬成は不可能と判断。 やがて妹の命を奪った根源たる聖杯を利用するしか他ないと考え、『聖杯』に関連するデータをヴェサリウス・アーガス・ロクスロート神父に譲渡。 『第一次と同等の精度を誇る聖杯』を創り上げるため、デモンストレーションを行うべくヴェサリウス神父・ウェルキンゲトリクス博士・逢廻時臣を唆して第二次聖杯戦争を開催させる。 第二次聖杯戦争の終戦後、そのデータを基に『第一次と同等の精度を誇る聖杯』を完成させる為の基礎理論の構築に至り、優勝者として聖杯を奪取すべくデータを聖堂教会に引き渡して第三次聖杯戦争に臨んだ。 しかし、正規のマスターとしては参戦せずに『聖杯』の内部情報を改竄して『規格外の第8のサーヴァント』であるルーラーを召喚して暗躍(この改竄行為が影響し、第三次では第一次・第二次とは異なるクラスのサーヴァントが召喚される事態に発展した)。 聖杯を我が物にするべく比良教会のセバスティアン神父を殺害した。 『三連変装』の異名を持つ死徒。胸に刻まれた紅い紋様『概念核』をリボルバーの弾倉のように回転させることで入れ替え、姿形どころか魂さえも異なる全くの別人へと変貌する(三種類の肉体を使い分けることが出来る)。 表出させている体が致命傷を負うなどした場合は概念核も黒く変色し、その魂は二度と使い物にならなくなる。 たとえ致命傷を負ったとしても前述リボルバーの切り替えで回復する事が可能。 死徒であるがゆえに当然吸血能力を持ち、死体たちを赤い影で呑み込み、骨だけを残してその肉体を喰らい尽くす事や、マスターを喰らって令呪を奪うことも可能。 彼の願い。それは『妹の復活』ではなく『妹の死の直接的な原因となった聖杯戦争自体を無かった事にする(=過去を改変する)』事にある。 それは多世界理論・エヴェレットの多世界解釈に基くと、『過去を改変する事によってその起点となる過去以降の未来を否定する事』に繋がり、過去改変の原因となる舞台の世界は消滅する(それだけでなく、起点となる過去から分岐した無限に広がる平行世界も消滅する事になる)。 そのリスクを承知の上でケェーゴーは聖杯を使って自分の願いを成就させようとしている。
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/4873.html
618 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 14 29 39 ID ??? ちょっと前のコンベのBoA3でデクストラ×3でPCを作った時の事。 ボスのマローダーがディアボロス×グラディウス×クレアータの魔剣使い だったんで、∵爆破∵×3で魔剣を潰したんだ。 そうしたらGMがやる気を無くして「こいつは【軽武器】しか攻撃方法がないから 君たちの勝ちでいいよ。さっさと聖痕の解放して終わろうか」とか言い出した。 セッションが終わった後も「せっかくコンボとか色々考えてきたのに台無しだ」 とかぐちぐち言うから、「∵爆破∵を3回できるPCが居てマーテルが2人居る 時点で魔剣が壊されるのはほぼ確定なんだから、普通の剣を予備で持っておけば 良かったしクレアータが入ってるなら格闘でもそれなりに戦えたはずなのに」 と言ったら、「マンチはこれだから・・・」とかマンチ扱いされた。 619 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 14 34 47 ID ??? BoAでサブ武器を用意するのはPCでも当たり前のことなのに…… 620 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 14 35 48 ID ??? 烈海王のブンブンパンチを見習ってほしいものだ。そのボスには 621 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 14 41 13 ID ??? つーか奇跡3発程度防げない殺戮者って…… ∵魔器∵∵天真∵∵模造∵で耐え切れそうなもんだが 622 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 14 42 34 ID ??? って言うか真デクストラで組んでるヤツのどこがマンチなんだ。 623 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 14 44 57 ID ??? 622 何だろう すっごいマンチしか作らない組み合わせに見えるw 624 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 14 45 24 ID ??? 321 マーテルも居たみたいだし諦めたんじゃない? 625 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 14 46 11 ID ??? 619 どうせ殺戮者ならコンボが自由に組めるんだし武器の性能は余り変わらないだろ というか、ナイフやショートソードすら持たずに生活できるのか?その殺戮者 626 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 14 49 02 ID ??? 625 きっと光の刃とか武器魔器専用の技能にかたよっていたんじゃにゃい? 627 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 14 49 06 ID ??? マーテルがいようが、破壊できるかどうかとは関係なくないか? フルキフェルやアングルスがいるならともかく。 628 名前: 624 [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 14 52 58 ID ??? 627 報告者がマーテルなんて書くから素で間違えていたorz 報告者も文脈からしてマーテルとアングルスを間違えたのか? 629 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 14 53 07 ID ??? 624 そりゃまあガチでPCを全滅させるのはどうかと思うけど、 実際にマーテルに奇跡を使わせる前に諦めるのはそれはそれでダメじゃね? 「∵再生∵使わせる前に死んだ」とかなら仕方ないんだけどね 625 ディアボロスの特技が結構死ぬから、魔剣が無いとかなりスペックは落ちるんじゃないかな その上で十分脅威を与えることはできるとは思うが 殺戮者の∵戦鬼∵とかマジやばいし 630 名前: 618 [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 14 56 45 ID ??? 628 素でマーテルとフルキフェルを間違えてしまっていた。 632 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 14 59 43 ID ??? まあマーテルはフルキかアングルスの書き間違いで確定として、 GMはただのおばかさんだな。それだと【軽武器】使用不可にされても詰むし。 終了後に愚痴ってのが決定的にアウトだし。 見通しの甘さを素直に謝るか、PC側の快勝を褒め称えるかだろ? 623 いや、ルールを熟知した上でのロマン派だろ多分。 マローダーが魔法使い系だと涙しか出てこない。 633 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 15 02 34 ID ??? ブレカナを知らない俺でもクラス関係なくGMがバカだということはよく解る 636 名前: 632 [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 15 07 17 ID ??? おおう、遅レスだった。すまん。 ついで。 「ディアボロス」→魔器(魔剣)使い。使用に魔器が必要な特技が多い。 「デクストラの∵爆破∵」→アイテム一つを破壊する能力。魔器も当然破壊対象。 デクストラ×3ということは3回爆破できる。 「フルキフェル」→∵模造∵で他人が使った奇跡をコピーすることが出来る。 これが二人いるので、実質パーティーで5回爆破できる。 637 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 15 18 15 ID ??? 632 愚痴る以前にクライマックスを思惑通りに行かなかったからって飛ばす時点で困だろ。 638 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 15 28 18 ID ??? ディアボロスだ、やべえ で∵爆破∵ そうしたら、結果防御力は落ちたけれど、攻撃力を高い剣を取り出す 位はやってもいいよな。 639 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 15 37 38 ID ??? 普通に想定できそうな組み合わせ→コンボだもんなあ。 いや想定して無くても、キャラメイク終わった時点で、 「ふ~ん、デクストラ×3ね。こりゃマローダーがディアボロスだったらウケルよねえw さて、開始前にトイレに行っておこうかな」 で便所で必死にボスデータ修正するなあ、オレなら。 640 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 16 04 06 ID ??? 展開ステージで∵爆破∵を消費するようなシチュエーションを追加する、とかな。 やっぱキャラメイク終了時点で対策練るとかなにもしてないGMのミスだよなぁ 641 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 16 04 41 ID ??? 素知らぬ顔で∵天真∵、∵模造∵を2つ増やすか、他の奇跡と差し替えれば良かったのに。 そもそもブレカナの殺戮者の奇跡数はPC側の奇跡総数+1が想定、 これは「PCが奇跡でゴリ押しできない構成」にするための指針なんだよね。 642 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 16 09 48 ID ??? "トイレ"の為にキャラシー確認 ええ、勿論心がけてますとも 643 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 16 12 42 ID ??? そもそもトイレ行かずに 「ちょ、真デクストラとかふざけんなw ちょっと待ってね、やんごとなき事情からボスのデータが変化するから」 とか言ってその場でデータ変えるな 自分ルール的にはシナリオ始める前ならデータ変更はあり 644 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 16 14 55 ID ??? そのぶっちゃけ、嫌いじゃないw 645 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 16 21 24 ID ??? 643 その涙目な真デクストラも組み替えありでつか? 646 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 16 23 53 ID ??? 645 なぜ涙目? 647 名前: 643 [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 16 25 46 ID ??? 別にいいんじゃね? データ変えるといっても別に奇跡の差し替えとかその程度だから、涙目にはならんと思うけど ……ディアボロス「じゃない」近接殺戮者の場合はディアボロスに変えるかもな 全く対抗できない可能性が高いから 648 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 16 26 52 ID ??? 646 つまりメタられたって事だろ? 戦士系から魔術士系に変わられたら涙目にならない? 649 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 16 27 17 ID ??? 645 デクストラだからって「敵の武器を壊して完封したい!」なんて極端なコト考えてる奴はそういないだろw 基本的には「活躍したい」んであって、俺ツエーするだけが活躍ではないことも解ってるはず 報告でいうなら、ミドルに爆破を使うシチュを用意してあればみんなニッコリだったと思う 650 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 16 29 15 ID ??? 647 盾と鎧を∵爆破∵されたアダマスメインのマローダーほど憐れなマローダーも珍しいしなw 651 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 16 30 50 ID ??? 648 その程度で涙目になる奴は真デクストラなんてやらない トレーラーで殺戮者が剣士だとか分かってるならともかく、最初っから魔術師の可能性もあるんだぞ 652 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 16 31 20 ID ??? ぶっちゃけまでしてPLを涙目にするような変更をするわけがないだろw 653 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 16 33 25 ID ??? 650 武器はサブの大剣に変えるとかアリかもしれないけど、「サブのフルプレートメイルを装着!」はなあw 678 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 19 54 44 ID ??? 遅レスですまんが・・・ 殺戮者がディアボルスなら∵爆破∵&∵模造∵を3発全て奇跡で防がることは覚悟すべきだと思う 魔器使いにとって武器はそのキャラの象徴だから、軽々しくサブ武器てのは美しくない。 685 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 21 01 06 ID ??? たまたまお題がブレカナなだけで、 「能力&キャラ印象の大きな部分を装備が占めるキャラの扱いについて」 これは割と普遍的なネタじゃね? SWでも高レベルなライダーが乗騎を封じられたら困るだろ だからって、予備の乗騎を連れ歩くのかっていうと・・・ 686 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 21 06 00 ID ??? 685 普遍的に話してねーじゃねえか ブレカナ分からん俺にはさっぱりだ 689 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/06/05(金) 21 14 54 ID ??? 似たようなことになったことがある。 DXで、素手格闘のボスに対して PL「素手を捕縛します。行動潰さないと素手使えないよ。」 GM「え!?捕縛から回復してもまた捕縛するよね?」 PL「うん」 GM「攻撃が完封されました……。勝ちでいいです……」 何が重要ってPCたちのデータをちゃんと見ておくことだな! スレ225
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5820.html
前ページ次ページラスボスだった使い魔 「ぐっ……!?」 けっこうな衝撃と共に、『呼ばれた先』の空間へと抜ける。 ……随分と乱暴な転移であるが、因果地平の彼方からおそらく通常空間へと顕現させるのだ。逆にこれくらいの衝撃があってしかるべきだろう。 そして周辺を見渡せば、 「……む」 抜けるような青空。 豊かな草原。 遠くには地球で言えば中世ヨーロッパを思わせるような石造りの建築物。 ついでに自分を物珍しそうに見ている、外見年齢15~18歳ほどの地球人タイプの人間が多数。 「………」 もっとおどろおどろしいシチュエーションとか、怨念などが渦を巻く異次元空間とか、物凄い力を秘めた超越的な存在とかを考えていたユーゼスにとって、この展開は拍子抜けだった。 とは言え、現状は確認しなくてはなるまい。 呼吸―――普通に出来る。特に息苦しいことはないため、大気成分は一般的な居住可能惑星とほぼ同じと思われる。 重力―――特に重くも軽くもない。約1Gほどだろう。 ついでに足下に生えている草を一本千切り、大雑把にではあるが観察してみる。 ……地球の植物とかなり酷似している。という事は、ここは地球の並行世界か何かだろうか? ……いや、そう判断するには材料が少なすぎるか。 「……ふむ」 そう言えば、ある意味では一番肝心な、自分の状態のチェックをしていなかった。 とりあえず身体全体をぺたぺたと触ってみる―――特に欠損がある訳でも、痛みが走るわけでもない。 そして――― 「……仮面が無いな」 服装は白衣。……地球を含めた数々の惑星の大気を浄化していた際に着込んでいた、バード星の科学者がよく着用するものである。 「……まさか……」 今度は顔をぺたぺたと触る。 ……特に傷跡などはないようだが、そうすると……。 「鏡は―――見当たらないな」 今更『元の顔』に戻られても、それはそれで困る。精神的に。 機会があれば真っ先に確認しよう、と思いつつ、同時に最も大事なことに思い至る。 (……クロスゲート・パラダイム・システムは……?) 脳内に極小サイズのものをナノチップとして埋め込んである筈だが、アレが使えると使えないのとでは自分が呼ばれた意味合いが全く違ってくるのだ。 ユーゼスは目を閉じ、脳内のクロスゲート・パラダイム・システムへとアクセスを開始する。 (……………) ――――――――アクセスは可能。 機能は完璧とは言えない。だが、自分がガイアセイバーズとの最終決戦時において発揮した性能と同等程度の芸当は出来るだろう。 ……そもそもこのシステムが『完璧』であれば、自分に不可能な事はほとんどなくなってしまうのだが。 これで限定的ではあるが因果律の把握や、光の巨人の力を満たしたデビルガンダムを呼び出し、超神形態への変身などが可能になるということである。 ともあれ、余程のことが起きなければ超神形態になどなるつもりはないが。 (……しかし未来予測や時間移動は不可能か) クロスゲート・パラダイム・システムの最大の機能である因果律―――事象における『原因』と『結果』の把握と操作。これにより、世界の過去や未来をある程度ではあるが予測でき、そして限定的ではあるが時間の移動すら可能になる。 しかし時間の移動、と一口に言っても簡単なことではない。 異なる空間、異なる時間への二種類のゲート。この二種類のゲートはクロスしている。 そして未来が無限の可能性を秘めているように、異なる時空間へのゲートも無限に存在するのである。 クロスゲート・パラダイム・システムはこの無限に存在するクロスゲートを『ある程度』ではあるが把握する機能を持っている。 だが、それでも把握できない、となると……。 (この世界周辺の次元交錯線が極度に不安定なのか……。……あるいは、この世界の未来が全く確定していないのか……。 ……いや、それを差し引いてもクロスゲート・パラダイム・システムを使用できる時点で、私にとっては至れり尽くせりだな) やたらと条件が良すぎることに、逆に疑問を抱く。 自分を利用して何をさせたいのかは知らないが、これほどの存在を使って何をさせようと言うのだろうか。 そもそも、クロスゲート・パラダイム・システムの機能は限定的なものであり、決して全能ではないのだが……。 ううむ、とアゴに手を当てて思考に没頭しようとすると、 「ちょっと、アンタ!」 「?」 いきなり甲高い声によって思考を遮られてしまった。 声のした方に振り向いてみると、そこには何か怒ったような顔をした少女がいる。 外見年齢は周辺から遠巻きにこちらを見物している人間たちと、そう変わらない。 桃色がかったブロンドの髪と、鳶色の瞳。 美少女と形容して差し支えない顔立ちをしているが、ともあれそんなことはどうでもいい。 ユーゼスは少女へと歩いていき、まじまじと観察を始めた。 「………」 「……な、何よ?」 「一つ尋ねるが。私を呼んだのはお前か?」 その言葉を聞くや否や、少女はキッとユーゼスを睨みつけ、少し離れた位置にいる頭の禿げ上がった外見年齢40歳ほどの男に抗議のようなものを始めた。 「ミスタ・コルベール! もう一回召喚させてください!」 「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」 (………) 聞き間違いでなければ、今確かにこの少女は『召喚』と口にした。 つまり自分はこの少女に呼び出された、ということである。 見たところ大がかりな装置を使った様子も、多人数で事を成した様子もない。ということは、 (……個人の力で私を呼んだ、だと?) どんな力だというのか、それは。 確率はゼロではないが、しかしこの少女がそこまで強力な存在であるとも思えない。 ……どうでもいいが、遠くからこちらに嘲笑のような笑いと共に投げかけられる『平民』、『ゼロのルイズ』などの言葉は、一体何なのだろうか。 クロスゲート・パラダイム・システムを造る際、『お前ごときに時空間を超えられるわけがない』と異星人連合ETFのメンバーから散々言われてきたため、あざ笑われることには慣れているが、あまり良い気分はしない。 まあ、ああいう手合いは無視するに限る。 「これは何かの間違いです! 第一、平民を使い魔にするなんて聞いたことがありません!」 (……間違い、か) 有り得る話だ。 自分もまた、自分にとっての都合の良い世界を創造する際、それなりに取り込む世界を厳選したつもりだった。 その結果として敵になったのは、ウルトラ兄弟、宇宙刑事、人造人間、ガンダムファイター、ガンダムパイロットの少年たち、SRX、快傑ズバット。 ウルトラ兄弟と宇宙刑事、そしてガンダムファイター―――まあ、これは良い。自分の野望の始発点はそもそもウルトラマンとデビルガンダムであるし、宇宙刑事は元々自分が存在していた世界のものである。 人造人間たち―――おそらくイングラム・プリスケンが自分の支配から脱するためのキーとして用意されたのだろう。善と悪の狭間で苦しんだキカイダーや、友情を結んだメタルダーたちの助けがなければ、イングラムは自分に操られていたはずだ。 ガンダムパイロットの少年たち―――これは彼ら自身と言うよりも、ウルトラ兄弟などのいた世界と、そこから40年後のテクノロジーで造られたデビルガンダムを繋ぐためのクッションのようなものだろう。 実際、地球防衛軍TDFは40年の時を超えて存在していたし、OZもその中にあった。 SRX―――自分の『運命共同体』であるラオデキヤ・ジュデッカ・ゴッツォは彼らと戦っていたらしい。ならば世界を構成する要素として彼らがいても不思議はない。イングラムが駆るアールガン……R-GUNもまた、彼らの世界の産物であるらしいから。 しかし、快傑ズバットこと早川健。これは完全なイレギュラーである。 何しろ自分に対しても、イングラムに対しても、世界に対してもほとんど何の影響も及ぼしていない。極端な話、彼がいなくても自分は負けていた公算が高かった。 だと言うのに、その存在感。その戦闘力。その万能ぶり。 無視をするにはあまりにも異質であり強力。しかし、いなくても特に問題はない。 少なくとも、自分はあのような存在を取り込むつもりはなかった。 ……もしかすると、自分もまたそのような存在であるのかもしれない。 (……いかんな、今の段階では判断材料が少なすぎる) 『これはこのようなものである』という固定観念は、時として取り返しのつかない過ちを生む。 これで地球の環境問題は全て解決する……そう確信していた大気浄化弾が、結果として地球のレーダー網を全滅させてしまったように。 とにかく、もっと詳しい話を聞くべきだ―――と、もう一度少女へと話しかけようとした時、 「あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから」 逆に少女の方から話しかけてきた。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 「?」 よく分からないが長い口上を述べた後、少女が持つ杖がユーゼスの額に置かれる。 そして、 「ん……」 「む、……ぐ」 唇を重ねられた。 ユーゼスが呆気に取られていると、やがて少女が唇を離す。 「終わりました」 「『サモン・サーヴァント』は何回も失敗したが、『コントラクト・サーヴァント』はきちんと出来たね」 少女が禿げた中年に報告する。 『平民だから契約できた』、『高位の幻獣だったら契約できない』などと野次が飛び、その野次に少女が『バカにしないで!』と噛み付いた。 まあ、それはどうでもいい。 『貴族』や『平民』などのキーワードから察するに、どうやらこの世界には随分と厳然な階級制度があるようだが、それもどうでもいい。 問題なのは、先の話に出た『契約』という単語――― 「ぐっ!?」 再び思考に没頭しようとした時、唐突に身体が熱くなった。 しかも、異変は身体が熱くなるだけではない。 (これは……!? 私の存在を呪縛する……!?) 脳内のクロスゲート・パラダイム・システムが、自分に因果の鎖が絡みついてくることを警告する。 不明な点だらけであるが、このまま存在を束縛されてはクロスゲート・パラダイム・システムの機能を十分に発揮できない危険性が高い。 (何だ……? 先程の行為に一体何の意味がある……!?) キーワードはおそらく『契約』。 しかし、口腔粘膜同士の接触に自分を束縛する効果があるとして、『契約』とは解せない表現である。 このような一方的なものを『契約』とは言えまい。双方にとって何らかのメリットがあるからこその『契約』なのだ。 少女の方は自分を使役、ないし隷属させるようなメリットがあるのは当然だろうが、自分の方には何のメリットがあると言うのか。 (……この世界に私を固定するために必要なのか?) そうすると、因果律を操作してこの現象を消してしまうのも躊躇われる。 だが。 (……私の精神を操作しようというのは認められないな……) 今まで多くの人間を利用してきた自分がこういう考えをするとは傲慢もいいところだが、思考を捻じ曲げられるのは断固として抵抗したい。 因果律を操作する存在であるとか、光の巨人の力を手に入れたとか、そういう問題以前……一人の人間ユーゼス・ゴッツォとしての尊厳に関わるのだ。 (……フ、まさか私がこのように考えるとはな) 自分とてイングラム・プリスケンを意のままに操ろうとした。 しかしその行為は――― ―――かつての戦いが、脳裏をよぎる。 ……自らが創造した空間において対峙する、仮面を被った自分と、自分の複製。そしてその仲間である、自分を打ち破る為に集った戦士たち―――ガイアセイバーズ。 自分はガイアセイバーズを始末するために、複製の意志を捻じ曲げ、ガイアセイバーズにぶつけようとした。 「さあ……回れ! 運命の歯車よ!!」 「ぐ……ぐあああああ!!」 もがき苦しむ自分の複製―――イングラム・プリスケン。 「イングラム!!」 「さあ……どうするのだ? ガイアセイバーズよ」 「そんな……ここまで来て……最後の敵が……イングラムだなんて!!」 「イングラムを攻撃出来まい。その甘さが……お前たち人間の愚かな所だ!」 下らない情に流され、時には自らの使命を遂行することすら躊躇する。 故に、人間は不完全で、不安定で、脆弱である。 だが、そこに異議を挟む者がいた。 「うるせえ! お前だって元はその愚かな人間じゃねえか! それが嫌だったからこんなことをしているんだろうが!!」 驚異的な力を秘めたサイコドライバー、リュウセイ・ダテ。 「……何?」 「てめえこそ……弱くて愚かな人間そのものだ! その事実から……てめえは逃げてるだけだ!!」 彼の言葉が突き刺さる。 愚かな人間である、彼の言葉が。 「貴様……何を言うか!!」 頭に血が上り、思わずリュウセイ・ダテに攻撃を加えてしまった。 ……感情的に否定してしまった。 まるで彼が嫌悪した人間のように。 「へっ……どうやら図星だったらしいな……」 「おのれ! イングラム、奴らを始末するのだ!」 「う、ううう……!!」 ……そのように彼らの存在を否定すること自体、自分もまた『愚かな人間』である、という事実の肯定となる―――薄々気付きながらも、しかし自分はもう止まれない。 呪縛を断ち切らせるため、複製に過ぎない存在に彼の仲間たちが叱咤激励の声をかける。 「自分を取り戻せ、イングラム!! 良心回路が不安定な俺は……君や、みんなのおかげでギルの笛の呪縛から逃れることが出来た!!」 「そうだ。人造人間の俺たちに出来て、お前に出来ないはずがない!!」 善悪の狭間で揺れ動きながら、それでも正義の道を歩む人造人間。だからこそ、その言葉には誰よりも重みがある。 「う、うう……」 「自分を取り戻すんだ、イングラム! 君はそんなに弱い人間か!?」 「立て、イングラム!! 貴様もガイアセイバーズの一員なら、立ってユーゼスの呪縛を断ち切れぇぇぇっ!!」 仲間。 自分とは最も遠い存在。 それが、自分の複製の力となっていく。 そして、 「イングラム……」 「ううう……」 帝王と相打ちになり、その身を散らしてしまった超人機。 「君は、僕や仲間たちに人間の素晴らしさを教えてくれた……」 「………」 その魂もまた、自分の複製と強い絆で結ばれている。 「君は、ユーゼスの複製という呪縛を背負いながらも自分の人格を持ち、仲間や地球を守って来た……」 自分も……あの青く美しい惑星を守りたかった。 「僕は君の姿を見て、人間とは、強く温かな存在であることを知った」 だが、その惑星で見た光の巨人の存在。それによって人間の―――自分の卑小さと愚かさを知ってしまった。 「そして、僕は君を見て人間に憧れたんだ……」 そして、自分は……地球人を、何よりも自分自身を見て人間に絶望したのだ……。 「だから……君は強い。君は負けない」 自分は弱かった……。だから自分自身に負けた……。 「必ずユーゼスの呪縛を断ち切ることが出来る……」 自分自身の呪縛すら、断ち切ることも出来ずに。 「!!」 呪縛が断ち切られる。 自分の手を離れ、自らの存在を確立した自分の複製は、自分と対峙する。 「俺は、もう……お前の操り人形ではない!」 「馬鹿な……複製人間のお前が、私の命令に逆らうというのか!?」 「俺は、お前にとって……唯一ままならない存在なのだろう? 今までも……そして、これからも!!」 「!!」 「それに……ユーゼス! お前が言うほど……人間は愚かでもなければ、弱くもない!! 俺はガイアセイバーズのみんなと出会って、それを知った!」 「貴様……」 自分が手に入れることの出来なかった物。それを、自分の複製は持っていた。 「この世界に超絶的な力を持つ存在など必要ない! そんな者がいなくても、俺たちは今まで生きて来た。そして、これからもそうだ! 絶対的な力の支配者が不必要なことを、地球人類はこれから……証明しようとしている!」 だが、自分とて今更、後には引けない。 故に、それを否定する。 「私が地球人にどのような仕打ちを受けてきたか、忘れたか!? 身勝手で凶暴なあの種族は地球だけでなく、宇宙をも滅ぼすぞ!!」 「もう一度言う! お前が言うほど……人間は愚かでもなければ、弱くもない!!」 「ふ……ふははは! やはり、貴様だけはこの手で始末しなければならないようだな!」 その後の結果は…………ここで語るまでもないだろう。 (……そうだな。人間は愚かでもなければ……弱くもない) 自分の複製として造られたはずの存在は、創造主である自分の呪縛を破った。 ならば―――その創造主である自分が、正体不明とは言え、呪縛を破れない道理はないはずだ。 (私に『仲間』はいないが……。……しかし私にも意地がある) 複製が苦労して成し遂げたことが出来ない、などとなれば、さすがに立つ瀬がない。 (……何かを私という存在に刻み込もうとしているな。 その最中であれば、あるいはその行為に干渉できるかも知れん……) クロスゲート・パラダイム・システムを使い、自分に起きている事象の因果を分析する。 時間があれば細部に渡って把握する所だが、そんなことをしている余裕はない。 丸ごと消去してもいいのだが、この行為に重要な意味があった場合、取り返しのつかない事態になりかねない。 精神干渉に関わる部分のみを迅速に抽出し、その部分のみを封印、あるいは消去する必要がある。 (……これか) 数式や図式では表せない、概念的なものではあるが、抽出に成功する。 この部分を消去することにより、全体に与える影響を―――計測や予測をしている暇などない。 しかしその影響は未知数だ。 (……下手に消去や遮断、封印を行えば、この事象全体が変異するかもしれん……。……私自身にもどのような影響が起こるのか分からない……) 全体を残しつつ、しかし精神干渉は防ぐ。 (……これしかないな) 精神干渉を司る部分。それが発揮する力を、可能な限りゼロに近く薄める―――つまり、無力化する。 これにより、事象全体への影響を最小限に収めつつ、自分への精神干渉のみをカット出来るはずだ。 「……………」 事象が終了する。身体の熱は消えた。 自分の精神への影響は―――ほぼゼロだ。完全にゼロには出来ないが、なかなか上出来と言えるだろう。 「どれ」 「……む?」 大きく息を吐き出すユーゼスに、禿げた中年が近寄ってくる。 そして一通りユーゼスの身体を眺めた後、 「おお、あったあった」 「?」 ユーゼスの左手を取り、いつの間にかそこに刻まれていた図形……と言うか、記号の羅列ようなものを確認した。 「ふむ、珍しいルーンだな」 「ルーン?」 何だろうか、それは。 察するに、この記号の羅列のことを指しているのだろうが……。 「一応、念のため……」 禿げた中年は自分の左手の甲にあるルーンとやらをペンを使ってスケッチする。 (……これはこの世界にとっても希少なものなのか) どうにも不明な点や不確定要素が多すぎて、判断のしようがない。 ユーゼスもいい加減に辟易しかけていると、 「さてと、じゃあみんな教室に戻るぞ」 禿げた中年がきびすを返し、宙に浮く。続いて周辺にいた他の少年少女たちも、宙に浮いた。 (……ほう、この世界の人間は飛べるのか) 自分にとっては飛行する存在など、別に珍しくもない。 ウルトラマンも、バルタン星人も、ものによっては宇宙犯罪組織マクーのダブルモンスターも、自分だって『反則』を使えば飛べる。 (……ここは超能力者が当然に存在する世界なのか?) 時空を超えて因果地平の彼方にまで手を伸ばして自分を呼んだことも、先程の精神操作にしても、そういう能力であると解釈すれば一応の辻褄は合う。 考えてもラチが明かないので、一旦思考を打ち切る。 とりあえずこれから自分はどうすれば良いのだろう、と誰もいなくなった草原をぐるりと見回してみると、 「………」 自分を呼び出したらしい少女が、悔しげに空を飛んでいった者たちを眺めていた。 不審に思い、少女に近付いて声をかけてみる。 「……なぜ飛ばないのだ?」 「うるさいわね! 別に飛ばなくたって歩いていけばいいのよ!!」 やたらとムキになって反論してくる少女。どうもこの言動から察するに、 「……飛べないのか」 「っ!!」 怒りどころか軽い憎しみすらこもった目で睨まれた。……どうやら図星だったらしい。 先程からこの少女が『ゼロのルイズ』などと呼ばれていたが、ルイズというのが少女の名前だとすると、ゼロと言うのは0、つまり何も出来ないからゼロなのだろうか。 (……そんな存在が私を呼んだだと?) ますます解せない。 それこそ本当に間違いやイレギュラーであるのかも知れないが……。 「とにかく、行くわよ!」 自分の意向など聞こうともせず、ズンズンと少女は空を飛んでいった者たちと同じ方向―――石造りの建築物へと歩いていく。 軽い混乱を覚えつつも、ユーゼスは少女に随伴して同じ建築物へと入っていった。 そして『こんな使い魔なんか、恥ずかしくって見せられないわ!』と少女のものと思しき部屋の中へと入れられ、『私が戻ってくるまで大人しくしてること、いいわね!?』と言い含められ、放置される。 いい機会だから思考に没頭するか―――などと考えるが、それよりも部屋の中にあった鏡が気になった。 ユーゼスは恐る恐るその鏡を覗き込み……、 そこに映された髪の色が元々の自分のものである銀髪なのは良いとして、何よりも問題である『顔』が、イングラム・プリスケンと同じものであることに、複雑な感情を抱くのであった。 ……もっとも、こちらがオリジナルであって、イングラムにはこの顔を複製したのであるが。 前ページ次ページラスボスだった使い魔