約 14,822 件
https://w.atwiki.jp/mobage_index/pages/50.html
空いているデータの補完をコメントまたは編集お願いします。 例:探索(第1~5話) 第16話「反逆への鍵」 第17話「望まぬ戦い」 第18話「偽りの仮面」 第19話「解析の行方」 第20話「計画の一端」 第16話「反逆への鍵」 消費体力-9、経験値+9、CP+62~135 ステージ カード 戦利品 エリアクリアに必要な体力 16-1 [体育教師]黄泉川愛穂 [刀使い]神裂火織 [オイルパステル]シェリー 土産 16-2 [不良少年]浜面仕上 [マイペース]オルソラ [オイルパステル]シェリー 文書 16-3 [マイペース]オルソラ [オイルパステル]シェリー [脚力操作]一方通行 土産 16-4 [刀使い]神裂火織 [余計な一言]初春飾利 [体育教師]黄泉川愛穂 文書 16-5 [体育教師]黄泉川愛穂 [脚力操作]一方通行 [オイルパステル]シェリー 土産 ボス:オリアナ=トムソン 報酬: 第17話「望まぬ戦い」 消費体力-10、経験値+10、CP+70~150 ステージ カード 戦利品 エリアクリアに必要な体力 17-1 [刀使い]神裂火織 [不良少年]浜面仕上 [余計な一言]初春飾利 文書 17-2 [メイド]土御門舞夏 [臨戦態勢]神裂火織 [オイルパステル]シェリー 土産 17-3 [余計な一言]初春飾利 [マイペース]オルソラ [メイド]土御門舞夏 文書 17-4 [オイルパステル]シェリー [不良少年]浜面仕上 [余計な一言]初春飾利 土産 17-5 [体育教師]黄泉川愛穂 [臨戦態勢]神裂火織 [メイド]土御門舞夏 文書 ボス:白井黒子 報酬: 第18話「偽りの仮面」 消費体力-10、経験値+10、CP+70~150 ステージ カード 戦利品 エリアクリアに必要な体力 18-1 [10031号]ミサカ [天草式十字凄教徒]五和 [愛煙家]ステイル 土産 18-2 [愛煙家]ステイル [オロオロ]アンジェレネ [余計な一言]初春飾利 文書 18-3 [ステッキ]姫神秋沙 [10031号]ミサカ [天草式十字凄教徒]五和 土産 18-4 [体育教師]黄泉川愛穂 [天草式十字凄教徒]五和 [10031号]ミサカ 文書 18-5 [実験中止]一方通行 [オロオロ]アンジェレネ [ステッキ]姫神秋沙 土産 ボス:海原光貴 報酬: 第19話「解析の行方」 消費体力-10、経験値+10、CP+70~150 ステージ カード 戦利品 エリアクリアに必要な体力 19-1 [妄想中]御坂美琴 [身柄確保]ルチア [不良撃退]御坂美琴 文書 19-2 [臨戦態勢]神裂火織 [実験中止]一方通行 [囮作戦]結標淡希 土産 19-3 [不良少年]浜面仕上 [天草式十字凄教徒]五和 [妄想中]御坂美琴 文書 19-4 [実験中止]一方通行 [身柄確保]ルチア [不良少年]浜面仕上 土産 19-5 [天草式十字凄教徒]五和 [不良撃退]御坂美琴 [実験中止一方通行 文書 ボス:土御門元春 報酬: 第20話「計画の一端」 消費体力-10、経験値+10、CP+70~150 ステージ カード 戦利品 エリアクリアに必要な体力 20-1 [天草式十字凄教徒]五和 [風紀委員]白井黒子 [ニセモノ]海原光貴 土産 20-2 [風紀委員]白井黒子 [ステッキ]姫神秋沙 [身柄確保]ルチア 文書 20-3 [不良撃退]御坂美琴 [ニセモノ]海原光貴 [余計な一言]初春飾利 d 20-4 [ステッキ]姫神秋沙 [暗号解読]オルソラ [ニセモノ]海原光貴 d 20-5 [暗号解読]オルソラ [刀使い]神裂火織 [敵対心]駒場利徳 土産 ボス:上条当麻 報酬: 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/1140.html
【種別】 施設名 【初出】 十二巻(黄泉川の住居として登場。) 正式名称が出たのは一五巻 【解説】 第七学区にある、教員用に建てられた4LDKの高級マンション。 建築方面の実地試験を兼ねた施設である為、自動ドアが耐爆仕様になっていたり、定期的にセキュリティが大幅に変更されたりする。 その分高級マンションとしては家賃は幾らか安いらしい。 黄泉川はここの二号棟の一三階に入居している。 人材派遣もここの二号棟三階に入居していた。
https://w.atwiki.jp/deruta_sanbaka/pages/71.html
「「風紀委員です!!」」 「アアン。風紀委員だァ?俺が誰だか分かってんのかァ」 「とりあえず戦闘をやめてくださいっ!!」 そこには復活した初春飾利が立っていた。 しかしそんなことでやめる上条と一方通行ではない。 再び戦闘を開始する。 「風紀委員の言うことを聞きなさいってミサカはミサカは大きな声を出してみる」 流石に上条と一方通行も手を止めた。 声の方向を見ると風紀委員の腕章をつけた打ち止めが立っていた。 「なんでテメェが風紀委員なンだよ」 するとそこへ黄泉川がやってきた。 どうもジャッジメントの手に負えないと判断し、アンチスキルも出動しているようだ。 数多くの車両が戦場を囲み、ライトで昼間の様である。 戦いに熱中していた二人は気付かなかったが。 黄泉川は言う。 「効果はてきめんじゃん。んじゃ打ち止め、それ返すじゃんよ。」 「やだーっ、ってミサカはミサカはあの人ですら止められるこの腕章を死守ってうわーっ!!」 黄泉川の同僚が彼女を抱え上げ、腕章をはずして持ち主=個法美偉にかえす。 それを見た一方通行は言う。 「こいつらと遊んでたのは認めるけどよォ、何か悪いことしたかァ?」 黄泉川はやれやれと何も分かってない一方通行に告げる。 「周りをよく見てみるじゃん。」 一方通行たちが(一方通行が言うには)遊んでいた場所は怪物の爪跡が何箇所もある様にみえた。 「こんな事よくあるもんだぞォ?」 「「「「「「「「「「「よくあってたまるか!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」 風紀委員と警備委員達に怒鳴り返された。 「とにかく!!あなたもパパとママも今すぐやめなさい!!ってミサカはミサカはお願いしてみたり!!」 「アホ毛ちゃん、パパとママっていうのは誰かな?」少々嫌な予感がした初春が聞いてみる。 「それはねゴーグル付けてない常盤台の制服を着ている女の子と、ツンツン頭の高校生だよ、ってミサカはミサカは教えてみたり。 しかもあの二人は一緒に布団やら混浴に入る仲であり、あつ~いディープキスまでしちゃってるバカップルなのだ!! ってミサカはミサカは付け足してみたり♪」 「「「「「「「「「「「ブハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!???」」」」」」」」」」」 風紀委員と警備委員達は思わず吹いてしまった。 「御坂さんって、大胆なんですね…」こんな時に一生懸命今のアホ毛の証言を佐天にメールで送っている初春。 「混浴って…」衝撃の事実に何もいえない個法… 「このバカップルが…」いつもこういう状況には笑って話している黄泉川もあきれている。 そのほかは「常盤台のお嬢様と!?」「あの超電磁砲を射止めたのか…」とかいろいろ言ってる。 「ちょっと打ち止め!!なんでディープキスのことまで知ってるのよ!!」 「「「「「「「「「「「ブハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!???」」」」」」」」」」」 「本当かよ!?」と驚いている風紀委員と警備委員達… 「打ち止め絶対こうなるって分かってて言ったろ!!確かに背中流しっことかしましたけどね…」 「不純性行為で確保じゃん!!」上条の言葉を無視して確保命令した黄泉川。 「「不幸だあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」」 この後上琴カップルが追い回され、一妹達がその隙に逃げたのは言うまでもない…。 その後、上琴カップルは上条宅に、逃げ込んだ。 「打ち止めめ~いつかぎゃふんと言わせてやる!!(もしかしたら一方通行より厄介かもしれない…)」 「まあまあ、落ち着いて落ち着いて♪」 「なんかお前ずいぶん元気あるな…」 「当麻の家に泊まるからに決まってんじゃん♪」 「オイ!!明日は金曜…ってお泊りセット持ってきてたんかい!!」 「だって…」 「だって…何だ?」 「当麻と一緒にいる時間が少しでも長くなる様にと思って…」 「美琴…」 「当麻…」 二人はお決まりの大人のキスをするのであった…。 二人が逃げ回っていたころ下流では 「元春、大丈夫?」 「大丈夫だにゃー。それより月夜は?」言って彼女に振りむこうとする土御門。 「見るなっ!!!」ボフッ! 「そげふっ!」土御門、現状を考えろ。ぬれぬれのすけすけだぞ。 ぬれぬれのすけすけの二人がその後偶然に(?)現れた茜川が偶然(?)持っていたタオルを渡すまで、たがいにそっぽを向いて一言も口を利かなかったのは言うまでもない。
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/619.html
青い馬が追ってくる…… 白い髪の女を乗せた、青い馬が…… ……い…… 女の首が転がってくる…… ……い! ……さか…… 肉の無い、ドクロが笑って……青い……血が…… ……おい! ……御坂! ……! 馬が……女が……青い血……ドクロ…… おい! 起きろ御坂!! いつまで寝ているつもりだ!! ………… …… その声に目を覚ました。 仰向けになった自分の顔を、妙齢の女性が覗き込んでいる。 美琴「寮監……ここは?」 寮監「……少しばかり散らかっているがお前の部屋だ。馬鹿者」 【第十話・再来! ブラッククロス四天王!!】 上体を起こし、頭を振る。 まるで、一日ベッドの中で寝て過ごしたときのように頭が痛い。 部屋の中を見回す。 時計によると、あれから三十分も経っていないようだ。 ベッドのシーツは焼け焦げ、机やらの家具は吹き飛ばされてシッチャカメッチャカだ。 窓側の壁に大きな穴が開いて、外から雨が吹き込んでいる。 美琴「……やりすぎたかな?」 寮監「やはり貴様の仕業か……まったく」 記憶を辿る。 あの時、鈴科百合子から人外の気配を感じ取った。 今まで何度も相対してきたブラッククロスの怪人達、そして―――― あの得体のしれない『馬』。 あれを見たとたん、意識が消えそうになって、とっさに電撃を放った。 それで意識を保てなくても、相打ちにできるかもしれない。 もしそれさえ叶わなくても、この異変を誰かに知らせることができる。 美琴「……! 寮監! 鈴科は!?」 寮監「やはり鈴科か……」 寮監は眼鏡の位置を直し、横目に壁の方を見た。 いや、正確には壁ではなく、そこに開いた大穴の外の景色を。 美琴「逃げられたか……」 寮監「どうかな?」 美琴「え?」 寮監「御坂美琴。貴様、ここをどこだと思っているのだ?」 土砂降りの雨の中を、白い影が駆けていた。 ビルからビルへ飛び移っていく。およそ、人間の運動能力を凌駕していた。 髪も肌も真っ白な少女。 全身から流れているのは人ならざるものの証。青い血しぶき。 美琴を襲った謎の転入生。 鈴科百合子だ。 鈴科「……っくそ! あのガキ何てことをするのよ!?」 鈴科は、美琴からの予想外の反撃に手傷を負い、ほうほうの体で逃げ出した。 本来なら、そのまま美琴を連れて学生寮を脱走。 待ち合わせた仲間と合流する予定だった。 それが、美琴の拉致どころかいまや―――― 鈴科「……!?」 空中に飛び出した鈴科の左側から、巨大な物体が高速で吹き飛んできた。 それは、ビルの屋上に設置されている貯水タンク。 悪天候とはいえ、この程度の雨風で飛ばされるものではない。 鈴科「このっ!!」 突然のことに驚いた鈴科は、左掌をかざし電撃を放った。 貯水タンクは爆散し、内包した水を辺りに撒き散らした。 その反動を利用して、すぐそばのビルの屋上に着地する。 「おーっほっほっほっほ!!」 向かいの屋上から、甲高い声が響いた。 声の主らしき少女は、扇子を開き口元を隠した。 トレードマークの長い黒髪が雨風に揺られ、街の明かりにキラキラと照らし出されている。 「そんな様で逃げおおせようだなんて……この私を常盤台の婚后光子と知っての狼藉ですの?」 鈴科は、美琴の部屋から逃げ出してすぐに、常盤台の生徒たちによって捕捉されてしまった。 彼女の失敗は、御坂美琴をただの一個人と侮ったこと。 「常盤台の超電磁砲」の異名の通り、御坂美琴は―――― 婚后「泡浮さん! 湾内さん!」 掛け声ののちに、鈴科の背後の物陰から、二人の少女が現れる。 そうして、三人が鈴科を逃がさない様に取り囲んだ。 泡浮万彬(あわつき まあや)と湾内絹保(わんない きぬほ)。 そして婚后光子(こんごうみつこ)の三人は常盤台中学に通う、美琴とも交友のある少女たちだ。 当然、常盤台中学の生徒ということは三人とも能力者。 泡浮と湾内はレベル3の水流操作『ハイドロハンド』。 そして婚后はレベル4の空力使い『エアロハンド』。 湾内「この雨なら……!」 泡浮「ええ! 私たちの独壇場です!!」 本来、婚后たちは美琴とは別の寮に住んでいる。 それがこの騒ぎを聞き、急いで駆けつけたのだ。 彼女達だけではない。 常盤台中学の多くの生徒たちが、「御坂美琴が何者かに襲われた」という話を聞きつけ動き出した。 そう、御坂美琴は、常盤台中学の多くの生徒から慕われている。 彼女たちが、日々派閥を作って争っているような関係であっても、それは変わらない。 そんな枠に収まりきらないのが、レベル5の第三位・御坂美琴という人間だ。 その大スターを相手にした時点で、それは常盤台中学全体を敵に回したのと変わらないのだ。 鈴科「ちぃっ……!!」 鈴科は慌てて逃げ出そうと踵を返す。 しかし―――― 鈴科「何!? これは……水が!!?」 鈴科の足が、水溜りに拘束されて動かなかった。 泡浮と湾内、二人の水流操作能力者によって操られた雨水が、鈴科を取り囲むように渦巻いた。 降り注ぐ雨を演算に含むことは難しいが、ビルの屋上にできた大量の水溜りなら自在に操れる。 湾内「動きを止めます!」 湾内が手をかざすと、水の流れは鈴科の手足にまとわり付き、その動きを封じた。 泡浮「これで……!」 泡浮の操る水流は鈴科の顔を覆い、呼吸を止めた。 そして―――― 婚后「お安心なさい。丘の上で溺死だなんて惨めな死に方はさせませんわ」 婚后が、屋上に並べられていたコンテナの一つに触れた。 そうして物体に噴射点を作り出し、そこから空気を噴出させることでミサイルのように物を飛ばす。 「トンデモ発射場ガール」の異名を持つ婚后光子の得意技。 三連携――『ハイドロハイドロガール』 真正面から鉄製のコンテナを叩きつけられ、鈴科は悲鳴をあげる暇もなく瓦礫に沈んだ。 婚后「怪人相手に手加減はしませんことよ! 御坂さんの弔い合戦ですもの!!」 湾内「と、弔い!?」 泡浮「み、御坂様は、別に亡くなってはいませんよね……!?」 婚后「ともかく! これでこの怪人は一歩も動けませんわ!!」 湾内「……と、いうか……これ、死んでしまってませんか……?」 婚后「それならそれもまた良しですわ! 当然の報いです!」 そう言って、婚后は能力を使い体を浮かすと、湾内たちのいるビルへ渡った。 三人は鈴科の埋まった残骸に近寄る。 ひしゃげたコンテナが、コンクリートの屋上に突き刺さっている。 人間なら即死。 怪人でも、ただではすまないはずだ。 泡浮「今警備員に連絡をいれました。すぐに来てくれるそうです」 婚后「そう。お疲れ様でした。泡浮さんも湾内さんも、もう寮に戻っても宜しくてよ」 湾内「婚后さんはどうなさるんですか?」 婚后「私はこの騒ぎの顛末を見届けますわ。この方のおかげで、この私が濡れ鼠になったのですから」 いいえ……三人とも帰ることは出来ないわ…… 婚后「!?」 湾内と泡浮の顔から血の気が引いた。 コンテナに背を向けていた婚后が、二人の顔を見て振り返ると―――― 『ブレードネットッ!!!』 コンテナに幾筋もの閃光が疾り、「鉄の輪切り」になった。 その下から、すっかり青く染まった白い少女が立ち上がる。 鈴科「……クッ! クキキャキャキャキャキャ!! これっぽっちで殺したつもりだったの……?」 その背中から、黒く、長く、禍々しい蜘蛛の足が伸びている。 鈴科「このブラッククロス四天王……妖魔アラクーネをっ!!!」 同時刻。学園都市第七学区、廃墟群上空。 鮮烈な、紅い光が空を駆けた。 佐天『シャイニングキック!!!』 アルカイザーとなった佐天涙子は、仇敵を貫こうと死力を尽くす。 その仇敵、シュウザーはシャイニングキックを受け止めようと鉛色の左腕を突き出した。 無駄だ! ブライトナックルでも破壊できた程度の強度なら、その数段上の威力を持つシャイニングキックを防げるはずが無い。 佐天「ここまでだ! シュウザぁあああ!!!」 しかし―――― 佐天「……!? 腕の先が……無い!!?」 シュウザーの左腕は、ひじの部分までしか存在しなかった。 その二の腕は筒状になっており、大砲のような勢いで火炎が放射された。 火炎自体は、炎に耐性のあるアルカイザーにはそれほどの脅威ではない。 だが、逆方向からの衝撃にシャイニングキックの勢いが殺された。 シュウザー「技は何度も見せるものではない!!」 勢いの衰えたキックを、シュウザーが肩のアーマーで受ける。 衝撃は分散され、装甲を貫くことは出来なかった。 シュウザー「奥の手とは、隠し続け、最高のタイミングで使うものだ!!」 佐天「っ!?」 背後から、何かが勢いよく迫って来る。 それは、いつの間にか無くなっていた、シュウザーの左腕だった――! 佐天「……づッ!!?」 間一髪。 強引に身を捻り、飛来した爪に貫かれるのを回避した。 しかし完全にかわすことは出来ず、佐天の背には三本線の深い傷が刻まれていた。 佐天「……ハァ……ハァ……!」 背に感じる熱が、あの死の恐怖を呼び覚ました。 命が終わろうとする絶望感。 あんなものを、大切な友人達に味わわせるわけにはいかない……! シュウザー「どうしたアルカイザー? 息切れか?」 佐天「……うるさい!」 シュウザー「くっく! 所詮は小娘だ……無理をするなよ?」 佐天「うるさい!!」 何故この男はこうも人の神経を逆撫ですのか……! いや、そもそも、いまの私は気が立っている。 こうなることを避けるために、私は姿を隠すはずだったのに……! 佐天「初春…………!」 どうして私を探したりしたの? 私なんか放っておけば良かったのに。 私が姿を消せば、これは私個人の問題でしかなかった。 少なくとも、そうなる可能性は十分にあったはずだ。 それは数日前のこと。 夜道を歩く佐天の前に、アルカールが現れた。 佐天『いつもいつも突然ですね』 アルカール『すまないと思っているさ。これでも忙しい身でね』 佐天『四天王。三人まで倒しましたよ』 それは嫌味であり、ちょっとした期待だった。 ひょっとしたら、褒めてもらえるかもしれない。 この人は、厳しそうに見えてその実、本当に甘い人なのだ。 だが、その想像はアッサリと打ち破られる。 彼は、衝撃的で絶望的な事実を佐天に突きつけるため、ここに現れたのだ。 アルカール『姿を隠せ。アルカイザー』 佐天『……え?』 アルカール『君の正体がばれた。ブラッククロスは、変身前の君個人を敵視している』 メタルブラックに知られた素性。 彼を倒した時点でその心配は無くなったものだと思っていたのだ。 アルカール『それに、四天王はいまだ健在だ。誰一人欠けることなくな』 佐天『そんな……!? どうして!!?』 アルカール『今はそのことよりも、君は自分と、自分の周囲を心配しなければならない』 アルカイザーは、いまやブラッククロス最大の障害だ。 それゆえに、その正体がただの小娘だとわかれば彼らは容赦なくその周囲を巻き込もうとする。 拉致され、人質になるか、拷問されるか…… それ以上のことも容易に想像できる。 特に、あの男はそういったことを率先して行うサディストだ―――― 佐天「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」 雲の切れ間から差し込む僅かな月明かりに照らし出された廃ビルの屋上。 佐天は気合の咆哮と共に駆け出した。 右拳が光り輝いた。 心臓から生まれた熱いエネルギーが、佐天の全身を駆け巡る。 彼女の体に触れた雨粒が、蒸発して湯気になり宙に消えた。 シュウザー『クロービット!!!』 シュウザーの体を離れ、追尾ミサイルのように飛び回る左腕が佐天を襲う。 視界に捕らえたそれをかわすが、攻撃のタイミングは失ってしまう。 上下左右。 360度全方位どこから飛んでくるか分からないその攻撃に、佐天は思うように動くことが出来ない。 とはいえシュウザーの攻撃によって致命傷を受けることも無い。 ただひたすら、お互いに距離をとりつつチャンスを伺いながら、屋上から屋上へ移動する。 気付けば、もう随分長いことそうしていた。 佐天「シュウザー! まともに戦う気がないの!?」 シュウザー「メタルブラックでさえ貴様を倒すことは出来なかった!」 飛び回っていた左腕が、主の下に帰ってきた。 あるべき位置に戻った鋼の爪が、チャキチャキと耳障りな金属音を鳴らす。 シュウザー「そんな相手と、正面切って戦うというのは俺の流儀に反するな……」 佐天「女の子相手に、後ろからしか斬りかかれないのがアンタの流儀?」 シュウザー「くっくっく! 良く分かっているじゃないか! だが――――」 シュウザー「自分のしでかした『ミス』は、分かっていなかったらしいなぁ?」 コンテナを破壊し、鈴科百合子は立ち上がった。 だが、その姿はおぞましく変貌し、彼女の本性を白日の下にさらけ出した。 婚后「四天王……?」 ブラッククロス四天王・妖魔アラクーネ。 彼女はそう名乗った。 鈴科「こんなに短期間で体を交換するのは久しぶりだわ……クキャッ!」 鈴科の体はすでに動ける状態ではない。 腕は捻じ曲がり、額が割れ、止め処なく青い血が噴出している。 その姿に、自分達がやったとはいえ、婚后たち三人は同情さえ覚えた。 だが、鈴科百合子は歩みを進める。 頬まで裂け上がった口を歪ませるように笑い、婚后らが怯えているのを楽しむように。 婚后「と、止まりなさい! それ以上近づけば……こ、今度こそ容赦なく――――」 鈴科「ケキャキャ! 意地を張るのはお止めなさいな……みっともなくってよ?」 茶化すように言い、鈴科は背中から伸びた黒い足を婚后たちに向ける。 鈴科「震えているじゃない……可愛い子。そういう素直な態度の方が好きよ?」 一歩、また一歩とにじり寄り、黒い足を振り上げ―――― 鈴科「素直になるように、三人とも……手足を斬ってしまいましょう……!!」 その鋭い爪を振り下ろそうとした―――― 「体罰はPTAに通報されちゃうからお勧めしないじゃん!!」 突如現れた、武装した女は鈴科に目掛けて引き金を引いた。 彼女の機関銃から放たれた弾丸が、鈴科の体を削り取りながら、数メートル吹き飛ばした。 その正体は、特徴的な口調の警備員。 黄泉川愛穂。 黄泉川「通報を受けて最速で駆けつけたじゃん。なんせ、『足』は空間移動じゃん!」 「ジャッジメントですの!」 いつもの決め台詞を言い放ち、白井黒子もまた、この騒ぎに駆けつけた。 黒子「本調子で無いと言っても。人二人を送り届けるくらいは朝飯前ですの」 そう、黒子が届けたのは二人。 一人は黄泉川。そしてもう一人は―――― 「今夜はいい天気ね……」 厚く黒い雲が、雷鳴を轟かせる。 まるで、自分達の主を出迎えるように。 「これだけ水気があれば……それはもう良く通るんでしょうよ!!!」 雷の主は、その全身から高圧の電流を解き放った。 呼応するように、天空から落雷が迫る。 全身をずぶ濡れにした鈴科の体は、その電撃の槍に抵抗する術もなく貫かれた。 「借りは返すわ。蜘蛛女!」 鈴科百合子。否、アラクーネの最大の失敗。 それはやはり、「御坂美琴」を敵に回したことだった。 美琴「しっかし……本当に往生際の悪い奴ね」 それを見た美琴は、呆れを通り越して感心していた。 黄泉川「まったくじゃん。何であれで意識があるじゃん?」 落雷の直撃を受けたというのに、アラクーネはまだ意識を保っていた。 とはいえ、その体はもう使い物にならないだろう。 全身が焼け焦げ、おそらく神経も筋肉も焼き切れている。 その上、湾内、泡浮の能力によって再び拘束されているのだ。 もはや、抵抗は叶わない。 美琴「それじゃあ聞かせてもらおうかしら。あんたは、本当にあのアラクーネなのね?」 キャンベルカンパニーの社長。シンディ・キャンベルとして美琴たちの前に姿を現した怪人。 ブラッククロス四天王の一人。妖魔アラクーネ。 彼女はたしかにあの日、あの場所でアルカイザーの光の弾丸によって撃ち殺された。 それが、今度は常盤台の生徒として、学生寮にまで住み着いていた。 黄泉川「私からも聞きたいじゃん。お前は、シンディ・キャンベルと同一人物なのか?」 鈴科はニヤニヤと笑っている。 だが、もう自分に選択権がないことは悟っているのだろう。 やがて嘲るように笑いながらも答え始めた。 鈴科「ええ、そうよ。私はシンディ・キャンベルであり鈴科百合子であり、そしてアラクーネでもある」 黄泉川「ブラッククロスはいつから学園都市で活動している?」 鈴科「ず~っと前からよ」 黄泉川「ふざけるな。お前個人がブラッククロスと繋がっていたのか? それとも会社ごとか?」 鈴科「……どこまで調べたのかしら?」 黄泉川は、鈴科の額に銃口を突きつけたまま語りだした。 黄泉川「まず、例の巨人のパーツ。あれ自体に大した技術は使われてないじゃん」 黄泉川「重要だったのは、おそらくあれの原材料の方。『能力者の協力を得て作られた特殊合金』……!」 調査してみたところ。キャンベルカンパニーにとって、ロボット技術は末端の事業でしかなかった。 ブラッククロスの怪人はどいつもこいつも、精密機械の塊みたいな連中だ。 それなのに、その一味であるキャンベルの会社では、それが重要視されていなかった。 資金集めとして企業を利用するなら、その技術の一部を売り出すだけで大儲けできただろうに。 初めは隠れ蓑かと思ったが、それならまったくの無関係を装ったほうが良い。 わざわざ、わずかな儲けしか得られないような事業展開をする必要は無い。 あの「合金」も、数年前には開発が始まっていたものの、「利益が見込めない」という理由で 計画自体が凍結されている。 それが数ヶ月前に突然再会。一気に開発が進められた……! 潤沢な資金を当てられ、キャンベルカンパニーという大企業が持つコネクションをフルに活用。 ついに、高位の能力者の協力を得ることに成功。 出来上がった合金を加工して、「何かの試作品」を作るところまで漕ぎ着けていた。 何故だ? どうして突然、キャンベル社長はそんな心変わりを? もしキャンベルが初めからブラッククロスの関係者なら、もっと早い段階で、もっと上手い方法を取れたはずだ。 黄泉川「そこで……こういう仮説を立ててみた」 鈴科はその様子をニヤニヤと楽しそうに眺めている。 その顔が癇に障ったのか、黄泉川は逆に不機嫌そうに眉を顰めた。 黄泉川「お前。シンディ・キャンベルとも鈴科百合子とも、入れ替わったじゃん?」 鈴科「……ふふ……まあ、及第点かしら」 黄泉川「そうか……合金の存在を知って、それを入手するために社長の座を奪ったのか……」 美琴「待って! 入れ替わったって言うのなら、二人はどうなったの!?」 鈴科「目の前にいるでしょ?」 美琴「……ふざけてると、後悔するわよ?」 美琴の体が帯電する。 うっかり感電しないように、黒子たちは身を引いた。 鈴科「だから……この体がまさしく正真正銘の鈴科百合子よ」 黄泉川「……やっぱりか」 美琴「それって……まさか!?」 アラクーネ「体を貰ったのよ。外側だけだけどね。……中身はぶっ壊しちゃったから」 美琴「お前ぇええええええええええ!!!」 美琴から電流が放たれ、鈴科の体がのたうつ。 が、それを意に介さずアラクーネは嗤っている。 黒子「お止めになってくださいましお姉さま!!」 美琴「けど……!?」 黒子「気持ちは分かりますの! けど! それは鈴科百合子さんの体ですのよ!?」 美琴「……っ!!」 美琴の電撃が止み、みな沈黙した。 雨の中に響くのは、アラクーネの耳障りな笑い声だけだった。 黄泉川「なら、シンディ・キャンベルも、もう……?」 アラクーネ「そうよ。居心地のいい体だったわ。燃え尽きちゃったから抜け出したけど……」 黄泉川「……目的は、能力を利用した物質の入手で間違いないじゃん?」 アラクーネ「ええ。私たちが学園都市にいる理由は『能力』の存在だけだもの」 黄泉川「なるほど。誘拐する能力者がレベル3以上なのも、手っ取り早く能力を手に入れるためじゃん」 アラクーネ「そう。それ以外の科学技術なんていらないわ。私達からしたら、こんなの石器時代みたいなものよ」 それはつまり。 「ブラッククロスの科学技術は学園都市のそれを凌駕している」ということか……? この世界のどこに、そんな組織があったというのか…… アラクーネ「おもしろいわねぇ、超能力。この体で少し試したけど、『術』とも違うようだし……」 美琴「術……あの馬のこと……?」 アラクーネ「失われた『幻術』使いとこんな形で会えるなんてね」 「幻術使い『イリュージョニスト』」。 確かに、それは学園都市で確認されている能力の一つだ。 おそらく、鈴科百合子の本来の能力。 だが、失われたとはどういうことか? アラクーネ「と言っても、所詮はまやかしね。本物の術には程遠かったわ」 美琴「『術』ってのは何? それに、どうやって体を入れ替えたの?」 もし、脳移植なんて方法なら、自分だけの現実『パーソナルリアリティ』まで入れ替えることになる。 ということは、そんな単純な方法ではない…… アラクーネ「そうね。じゃあちょっとお見せしようかしら」 美琴「……!?」 空気が変わる―― 肌が粟立つような、気味の悪い風が、鈴科百合子の体を中心に吹き上がった。 アラクーネ『邪霊憑依ッ!!!』 その掛け声と共に、鈴科の体から、巨大な半透明の蜘蛛が抜け出してくる。 あの幻の馬と同じ。この世ならざる者の気配。 おそらく、これがアラクーネの本体……! 黄泉川「これは……!?」 婚后「ゆ、幽霊……?」 アラクーネ『その体! もらったぁ!!』 美琴「う、うわぁぁ!!?」 蜘蛛が飛び掛り、美琴の体に入り込んできた。 意識が混濁する…… 美琴「う……うあ……あ!?」 黒子「お姉さま!?」 美琴は膝をつき、頭を抱え苦しみ出した……! くくく……クキキャキャキャキャ!!! やったぞ! ついに! レベル5の体を手に入れた!! これで……能力の解析も一気に進む……!! 我々ブラッククロスの悲願も近い!! シュウザーの奴め! 調子に乗って私をアゴで使ったりするから足元をすくわれる!! 四天王のトップに立つのは私だ!!! ………… ? 何だ? ………………へぇ? !? 貴様!? 何故……!!? なるほどね……こうやって心の中に入り込んで、内側から乗っ取っていたわけだ…… 信じられないけど。これが『術』って奴? や、止めろ!! 逆流する!!? これっぽっちのちっぽけな意識で……この私の―――― レベル5の『パーソナルリアリティ』に勝てると思ってんの!!!!? やめ……! やめろ……!! 消える……消え…………っ!!!?? 人間の心を、舐めてんじゃないわよぉぉぉ!!!!!! ――――――― ―――― ―― アラクーネ『ぎゃあああああああああああああああ!!!??』 美琴「うあああああああああああ!!!!!」 悲鳴と共に、美琴の体から半透明の蜘蛛が飛び出してきた。 無防備に跳ね上がった蜘蛛は、床に叩き付けられると、足をバタバタさせてもがき出した。 その体がボロボロと崩れていく…… アラクーネ『馬鹿な……馬鹿な……!? 私が消滅する!?』 美琴「また私の勝ちみたいね……蜘蛛女!」 アラクーネ『嘘だ……上級妖魔でもない人間に!? 私が消滅させられるなんて……!!?』 蜘蛛はしばらく苦しむようにもがいた。 そして、やがて動かなくなる。 アラクーネ『……くく……クキャキャキャ……!』 美琴「可哀想だとは思わないわよ……あんたがやってきたことを考えたらね……!」 アラクーネ『そうね……報いだわ…………じゃあ、最期に罪滅ぼしでもしようかしら?』 蜘蛛は、半分以上その体を消滅させながらも、余裕を取り戻したように語った。 アラクーネ『私の本来の目的はね……貴女を、御坂美琴を足止めすること』 美琴「私を?」 アラクーネ『そうよ……今頃、別の場所でアルカイザーを倒すための作戦が進んでいるわ……』 美琴「!!?」 アラクーネ『間に合うかしら……お友達が、まだ無事だといいわね?』 そして、蜘蛛は甲高い笑い声を上げながら、完全に消滅した…… 佐天「……」 シュウザーは逃げた。 突如現れたヘリに取り付き、そのまま逃げおおせた。 そのさい、佐天に向かって一枚のデータチップを投げてよこした。 シュウザー『その中に、我が城の位置情報が入っている。来たければ来るがいい』 シュウザーからの呼び出し。 行く必要がある。 絶対に。 シュウザーは、確かに言ったのだ。 シュウザー『いま、別の場所ではアラクーネとメタルブラックが動いている』 シュウザー『貴様のおかげだよ。いまや俺は四天王のトップだ。いいコマが出来て作戦もスムーズだ』 シュウザー『貴様が俺を追っている間にな、コマに命じて拉致させた……!』 シュウザー『初春飾利をな……!!!』 落ちこぼれのヒーローは、友達を守ることさえ出来なかった。 【次回予告】 すべてはアルカイザーを倒すため!! 蘇ったメタルブラックは、その手を悪に染めたのか!? 覚悟を決めろ! 友のために!! 再会したアルカイザーと美琴は、初春の為に再び手を組む!! 次回! 第十一話!! 【激震! シュウザー城の戦い!!】!! ご期待ください!! 【補足】 ・邪霊憑依について。 原作では、霊を相手にぶつけて攻撃する術です。 なお、原作では完全にアラクーネ=キャンベルです。取り付かれていたわけではありません。 ・ナイトメアについて。 失われた術系統、幻術の一つです。 原作ではアラクーネも普通に使うことが出来ますが、このSSでは鈴科の能力を利用して使用しています。 禁書に登場する能力の一覧に「幻術使い」があったので絡ませてみました。 ・妖魔について。 「人間」「妖魔」「モンスター」「メカ」が、サガフロに登場する種族です。 妖魔は不老不死ですが、自分よりも上級の妖魔によってのみ消滅させられます。 ・以前の補足でのミスについて。 調べたところ、会社はキャンベル貿易という貿易会社だそうです。 キャンベル自身の名前についても「シンディ」が名前だということを完全に忘れていました。 ミスに関しては気付きしだい訂正と謝罪をさせていただきます。すみません。
https://w.atwiki.jp/meteor089/pages/255.html
ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.2_PSI-Crystal 04 暴走する能力 前へ 戻る 次へ [19764] ep.2_PSI-Crystal 04 暴走する能力 Name nubewo◆7cd982ae ID f1514200 Date 2011/05/16 11 43 低く、うめくようにざわめく待合室。 佐天はそこに一人座っていた。 「夕方からまた通院なんて、ついて無いわね」 見上げると、そこにテレスティーナがいた。 朝一番に、声をかけてくれた相手だった。 再び会った理由はこれまた単純だ。 数日前に佐天が怪我をしたのがポルターガイスト事件で、今回も同じ。 そして救助の先鋒を担うのがテレスティーナ率いる先進状況救助隊、そういうことだ。 「あまり気にしないことよ。あなたはポルターガイストに巻き込まれただけ。あなたを加害者にカウントするなら、あそこにいた学生の全員が容疑者で、そのうち何割かは実行犯。そんなこと、考えるだけ馬鹿らしいでしょ」 「……」 実際、ここにいる怪我人の大半は地震による転倒や落下物による傷害ばかりだ。 佐天が種を作った竜巻はたぶん、きっと、誰かを怪我させたことはないと思う。 だけど。 佐天は、あの阿鼻叫喚の図を描いた側の一人だった。 「ショックで能力のコントロールを失う学生って結構いるのよ。もし自分の能力に不安があるなら、いつでもいらっしゃい。ここの医者が相談に乗るわ」 「はい。……すみません」 「お大事にね。貴女のお友達も、もう面会できるはずよ」 超能力を使えるようになって、佐天は初めてその孤独を感じていた。 自分を取り巻く世界をどう観測するか、それが人と異なる人間を超能力者という。 佐天の持つ「自分だけの現実」は、文字通り他人には理解されないものだ。 そしてそれが歪んでしまった今、それをどう直せばいいのか、正しい答えを知る人はいない。 目の前がまた、ゆらりとなる。 それが佐天には怖い。 能力を使おうと思っていないのに、いつの間にか渦を作ってしまいそうで。 それで誰かを、傷つけそうで。 「初春……」 診察室から出ると初春はいなかった。 外傷もなく意識もはっきりした佐天より、春上の元に向かうのは変なことではない。 自分も行こうかと、腰を上げたところで、病院に入ってきた美琴と白井、そしてもう一人の教職員に気がついた。 街で見かけたこともある、たしか警備員の先生だっただろう。 「佐天さん! 大丈夫だった?」 「お怪我は大丈夫でしたの?」 顔を見るなり、美琴と白井が駆け寄って、佐天を心配してくれた。 慰めてくれる人がいると、やっぱりほっとした。 「はい。私は怪我とかなんにもなしですから。初春もちょっとの擦り傷だけです」 「春上さんは」 「……あの、またこないだみたいに」 それだけで二人は察したのだろう。 その意味を考えるように、沈黙した。 「その春上って子には面会できるのか?」 「え? はい。もうできるみたいです」 「そうか、じゃああたしも話し聞かせてもらうじゃんよ。ああ、自己紹介もまだだな。あたしは警備員の黄泉川だ。ポルターガイストの件のとりまとめをやってる」 ざっとそれだけ説明すると、黄泉川は春上の病室へと、先陣を切って歩き出した。 「ん……」 「あ、春上さんっ!」 「初春、さん?」 日の長い夏の太陽が真っ赤に染めた、春上の病室。 検査中も覚醒しなかった春上がようやく意識を取り戻してくれたことに、初春はほっとした。 こないだの花火大会のときにも、こんなに長く意識を失っていることはなかった。 「大丈夫ですか? どこか痛い所とか、無いですか?」 「え? うん、別になんともないの。それより私、どうしてたんだろ」 「また地震があったんですよ。それで春上さん、気を失っちゃって」 その説明は、正確ではなかった。 春上がおかしくなったのは、ポルターガイストが起こるより数秒は前だった。 だから地震は、春上の意識の混濁とは別の話だろう。 「そうなの。私、また――――あっ、ない!」 また、呼ばれて意識を失ったのかと続けようとして、春上は習慣となった仕草、胸元のペンダントを確かめようとした。 そしてそこが寂しいことに気づく。 「大丈夫、検査の前に私が預かってただけですから」 「あ……」 それで春上はほっとした。 初春が手のひらにジャラリと出してくれたそれを、両手で受け取る。 付けようかと思ったところで、コンコンとくっきりとしたノック音が響いた。 「はいなの」 「失礼します――って春上さん。目が覚めたんだ」 「あ、佐天さん。それに白井さんと御坂さんも。あと――」 「悪いな。あたしは事情聴取に来た警備員の黄泉川だ。元気そうなら話が聞きたくてね」 「私も失礼するわね。一応、所長さんだし」 愛想のない黄泉川と、病人を気遣うスマイルなのか、柔らかい笑みのテレスティーナが後から入ってきた。 「春上さん、あなたが意識を失っている間にやった検査の結果なんだけれど、健康に害がありそうな病気などは見当たらないわ。急に意識を失ったその原因さえハッキリすれば、別に退院してもらっても構わないんだけれど」 「テレスティーナさん、それじゃここで質問をしても構わないのか?」 「はい。春上さんが構わないようでしたら。あまり負担をかけない範囲でお願いします」 「わかってるじゃんよ」 話をするために、黄泉川はカラカラと椅子を引っ張ってきて、春上の隣に置いた。 友人の一人、初春が警戒するように春上と黄泉川の間に収まっていた。 それに苦笑する。 「春上さん。起きてすぐに警備員に迫られて不安は有ると思うが、ちょっと話を聞かせてもらってもいいか? もちろん春上さんが悪いことをしたとか、捕まるとかそんな話じゃないから安心するじゃんよ」 「はい。だいじょうぶなの」 春上は初春を安心させるように微笑んで、黄泉川に向き合った。 「春上さん、今日、意識を失ったのは何でだったか、覚えてるじゃんよ?」 「えっと……覚えてないけど。たぶん、また呼ばれたからなの」 「呼ばれた?」 「うん。……昔の、お友達に」 「もうちょっと詳しく教えて欲しいじゃん」 意識を失った後に、この話を医者にしたことならある。 だけど、警備員に話したことはなかった。 警備員に目をつけられるのは学生にとっては面倒ごとでしかない。 春上は不安げに髪を揺らした。 それでも、聞かれたことには答えていく。 自分がチャイルドエラーであること。 施設時代に親友がいたこと。 その子が引き取られてからほとんど交信していないこと。 ひと通り話すと、納得したように黄泉川が頷き、初春が小言をもらした。 「どうしてそんなこと聞くんですか?」 「白井に聞いたんだよ。春上さんが、地震発生より前に不安定になったってな」 「白井さん?! なんで!」 「な、なんでって。……私おかしいことをしたとは思っていませんわ」 白井が春上を黄泉川に売った、と言わんばかりの表情だった。 ただ白井にだって言い分はある。 このポルターガイスト現象はRSPK症候群の同時多発によるものだ。 つまり、何らかの理由で能力者が同時に複数人暴走するのである。 偶然ではありえず、それならば原因、あるいは基点となっている人間を探すというのが筋だろう。 事件の犯人というものに悪意があるとは限らない。 それに犯人でなくとも、ポルターガイスト発生より先んじて自失する春上に、何の注目もしないことのほうが不自然だ。 「今回だって、怪我人を70人も出してるじゃんよ。このまま放置ってわけには行かない。手がかりが欲しいところなんだ。友達に疑惑がかかるのは気持ちのいいことじゃないかもしれないが、これ以上被害を出さないためだと思って、わかって欲しいじゃんよ」 初春は納得いかないという目で黄泉川を見つめ返し、後ろで春上が気にしていないという風に黄泉川に首を振った。 「にしても、春上さんの友達って、どこに行ったんだろうね」 話を変えるように、美琴が春上の傍で呟いた。 初春が黄泉川に食って掛かっても止められるようにと傍にいたのだが、杞憂に終わってほっとした。 思い出を反芻するように、春上が笑った。 「置き去りの子たちは施設から出ると、中々連絡が取れなくなっちゃうの。だから仕方ないかなって。でも元気にやってると良いなあって、思うの」 病院の個室で、黄泉川は思わず煙草を探してしまった。 胸糞の悪くなるような話だった。 ……なぜ施設を出た置き去りの子供の足取りをたどるのが難しいのか、黄泉川は知っていた。 テレスティーナと目が合う。煙草を探したことを悟られたのだろう。 目で謝ると、ニッコリと微笑まれた。 そしてそんな大人たちの仕草に気づかず、春上はペンダントに触れて、友達の写真を美琴と初春に見せた。 「枝先絆理(えださきばんり)ちゃんって言うの」 「この子……!」 「え?」 驚く美琴に、周囲が不思議そうな表情をした。 あわてて取り繕う。 「な、なんでもないって。ちょっと知り合いに似てただけ」 そんなことはなかった。 いつか見た、木山春生の記憶。 彼女の教え子であり、人体実験の被験者にされ、今も目を覚まさない子たち。 春上が胸に下げたペンダントに映るその顔は、紛れもなくその子達の一人だった。 負担になるからと、短い時間で面会は終わらせた。 初春、佐天、白井、美琴、そして黄泉川とテレスティーナ。 帳が落ちて電灯の光が明るく照らす廊下を歩きながら、美琴はさっき見たものを報告する。 「つまり、春上が茫然自失となるきっかけはその親友の枝先からのテレパシーだと」 「そして、その枝先さんって子は、幻想御手(レベルアッパー)事件の主犯、木山春生の人体実験によって植物状態へと陥っている」 黄泉川とテレスティーナは、考え込むようにうつむく。 「いやあの、関係があるとは限りませんけど……」 「まあ、な。春上が枝先からテレパシーを受信することとRSPK症候群を同時多発させること、この二つの相関が全く取れてないからな」 「そうですね。ただ……木山の携わったその『暴走能力の法則解析用誘爆実験』というのが気になりますね。名前で全ては分かりませんが、その実験結果を手にしている木山は、能力者を暴走させるための条件を知っているのかもしれませんね」 「……」 大脳生理学の新進気鋭の研究者にして、AIM拡散力場のコントロールによる複数能力者の演算能力を纏め上げるという、倫理的な面に目をつぶれば革新的としか言いようの無い成果を出している木山だ。 ポルターガイストを起こさせることは、彼女の才能なら可能だろうとは、黄泉川も思っていた。 「木山はあの子たちを救う為になら、なんでもするって」 木山のやったことではないが、美琴は自分の体細胞クローンを作られかけた被害者だ。 学園都市は、それが利益になるなら平気で人倫の道を踏み外す連中の集まりだと肌で理解していた。 木山の行動には美琴でも納得できるだけの理由がある。 未だ死者を出さないポルターガイスト現象。 きっとこれくらいなら、木山は許容範囲内だと思っていることだろう。 「……拘置所の面会時間は終わりだな。明日でも様子を見に行くか」 黄泉川が独り言をもらす。 「初春。なるべく春上の傍にいてやれ。あたしらが疑うのをお前は善しとしていないが、どっちに転んでも風紀委員が傍にいることはマイナスにはならない」 「言われなくてもやります」 詰まらなさそうに、黄泉川から露骨に目線を外して初春は返事をする。 その態度に気を悪くした様子も見せず、黄泉川は続ける。 「あたしは『風紀委員』のお前に言ってるんだ。警備員もそうだがな、身内だからってのは理由にならない。犯人が分からない今、手がかりを探すのは当然のことだ。友達想いで風紀委員の本分から外れるようなら、今だけでもその腕章は外しておけ」 「大丈夫です。言われなくても、やりますから」 「そうか」 ハラハラと見守る周囲をよそに、初春は態度を買えず、黄泉川も怒りを見せずにやり取りを終わらせた。 黄泉川は時計を見ながら、この後のことを考える。 家に帰るのはまだ先になりそうだ。 新しい同居人のインデックスのおかげでまちがいなく上条が食事を用意してくれているので、最近残業が楽になった黄泉川なのだった。 「婚后の顔だけ見て帰るか。テレスティーナさん、春上は、今日は?」 「今日というか当分、こちらで経過を見てみたらどうかと思っています」 「なぜ?」 短く、黄泉川は聞き返した。 二人の視線が交錯する。 テレスティーナの瞳は戸惑いに揺れた。 善意の人が疑われたときの狼狽のように、誰の目にも、そう見えた。 「私の学位論文のテーマが近いこともあって、この病院はAIM拡散力場の測定装置が充実しています。ここなら春上さんのことを細かく調べられますし、それにここは普通の病院と違って人があまりいません。仮に春上さんを中心に被害があったとしても、ここなら怪我人を少なく出来ますから」 「……そうか、わかった。協力に感謝します、テレスティーナさん」 「ええ、早急に原因を突き止めましょう」 真摯な目で、テレスティーナが黄泉川を見つめ返した。 「さて、それじゃあ婚后さん、またね」 「ええ。御坂さんも、それに皆さんもお元気で。お手数をかけてすみません、黄泉川先生」 「いいじゃんよ」 春上の病室から出た後、テレスティーナを除いたメンバーで光子の病室を訪ねた。 暇を持て余していたのがありありと分かる態度だった。 いつもより饒舌な光子に白井が辟易していた。 ここから帰宅するとそれなりの時間になるため皆で帰ろうとする中、佐天は一人、ここに残ったのだった。 「元気ありませんわね、佐天さん」 「……ちょっと」 それは春上の病室にいたときと、立場が逆になったせいだった。 負担をかけまいと、さっきは平静を保っていた。 だけど。 「ちょっと婚后さんに、相談に乗って欲しくて」 「あら。なんですの?」 病室に押しかけて病人にすがるというのはおかしな話だが、それでも光子の優しい微笑みに、ほっと佐天は息をついた。 「あの、婚后さんもたしかポルターガイストで、ここにいるんですよね」 「ええそうですわ。本当、私を巻き込んでこんなことをするなんて、どなたか存じ上げませんけれどいい迷惑ですわ。せっかくまたエカテリーナちゃんのお世話を出来ると思ったのにまた人に頼む始末ですし」 想像を絶するサイズのニシキヘビを飼う光子だ。 エサやり代理はどんな気持ちなのだろう。 「怖く、ないですか?」 「えっ?」 「……私も今日、巻き込まれて。それで、今までちゃんと見えてたはずのものが、急に歪んで見えて」 「そう。佐天さんもポルターガイストの被害にあわれたのね」 「はい……」 光子はベッドから体を起こして、シーツから出た。 そして佐天にベッドに座るよう促した。 「えっと、失礼します」 「ええどうぞ。能力は勝手に暴走しますの?」 「え? いえ、そんなことはないですよ。でも」 「時々見えてるはずの世界が歪む?」 「はい。なんていうか、渦を作る気が無いのに、空気がゆらってなるんです」 「そうですの。……あまり気になさらないことですわ」 「え?」 「そういう不調って、起こす人は起こすものですわよ。事件とは関係なく」 「そうなんですか?」 「ええ。自転車に乗っていてこけるのと、何か違いまして?」 その比喩の意図を、佐天は探る。 出来なかったことが出来るようになるという意味で、自転車に乗ることと超能力を使うことは似ている。 それは何度か光子が比喩として説明したことだった。 そして、補助輪を外した後、小さい頃に自転車にこけた後というのは、確かに乗るのが少し怖いものだった。 またこけてしまうのではないかと思うから。 まあ、予想に反し慣れればそうこけるものではないのだが。 むしろ包丁の扱いのほうが佐天にはしっくり来た。 手を切ったって調理を止めるわけにはいかないし、また手を切りそうだと不安に思う反面、そうそうそんなことは起こらない。 「心配しなくても、使ってみれば案外大丈夫ってことですか?」 「ええ。だって私、今強がっているように見えて?」 「いえ、別に」 「でしょう? お恥ずかしい話ですけれど、コントロール失敗をきっかけに不調になったことなんて、何度もありますもの。今更一度の暴走でくよくよなんてしていられませんわ」 「え? 何度もあるんですか?」 「よ、四回くらいですわ」 失敗ばかりしているようにとられてちょっと恥ずかしくなって虚勢を光子は張ってしまった。 まあ、正直に言うと年に一回くらいのペースだった。 特に人より早熟で初潮がきた時など、自分の体の激変によって能力がまるで使えなくなって、能力者としての自分は終わったなどと本気で悲観したものだ。 「どうやって、復活したんですか?」 「どうもこうも、落ち着いた頃に能力を使ってみればまた普通に使えますわよ。思いつめたほうが後々酷くなりますから、気にしないことですわ」 「はあ……」 「不安ならここで、荒療治してしまいましょうか」 「え、ええっ?」 随分と、光子は師としての振る舞いに慣れ始めていた。 佐天がどういう弟子かも分かってきていたし、たぶん、すぐに治せるだろう。 ベッドに乗り上げて、佐天を後ろから抱きしめる。 「ちょ、ちょっと婚后さん! その、シャワーとか浴びてませんし」 「……そんな色っぽいことはしませんわよ?」 「い、色っぽいって、そそそんな別に、私は」 当麻のせいで耐性が出来たのか、ついそんな冗談を飛ばしてしまった。 まあなんにせよ、汗の匂いが気になることは無かった。 そのまま髪を撫でる。 「ほら、まずは落ち着いてもらいませんと」 「はあ。そう言われても……」 そう言いながら、光子に撫でられるのは気持ちが良かった。 お姉さんって良いなと、やっぱり思う。 髪の手入れの話や、ファッションの話、そんな他愛も無いことで時間を使うと、意外なほどに佐天のささくれ立っていた気が治まった。 疲れで眠かったのも、あるかもしれない。 「さて、それじゃあ渦を作ってみましょうか」 「えっ」 「ほら、指を突き出して」 佐天の右手を握って、光子は手を広げさせた。 そして佐天の目の高さへと持っていく。 手のひらに上にはまだ、渦は無い。 「発動させなくてよろしいから、手の上に渦を思い描いて御覧なさい。一つ一つ手順を私に説明しながら」 「はい。えっと……。手のひらの上の空気を、粒に見立てます」 「そうね、それが佐天さんの原点ね。どんな粒なの?」 「球体です。スケールはマイクロオーダー。……今思うとこの粗視化粒子、分子よりはるかに大きいですよね」 空気は分子という粒で出来ている、という解釈から始まった佐天の能力だったが、佐天も自身の描く粒が空気の分子とはサイズが桁違いなことに気づいていた。 人の扱うモノの大きさと比べて、分子は9桁くらい世界が違うのだ。 分子を直接操れば、例えばサッカーボールの軌道演算よりも9桁大きな計算時間がかかることになる。 粗視化は当然のことだ。 「分子よりは百万倍くらい大きいのね。粒、見えました?」 「はい」 「どんなのか説明して頂戴」 「えっと、特定の方向は持ってなくて、普通にブラウン運動しています」 「ブラウン運動って言ってしまうと完全にコロイドですわね」 空気中、あるいは水中で粒子が酔歩、つまりランダムウォークすること。 ブラウン運動とはそういうものだ。 レーザーを当てれば光の散乱によりその粒子の動く行程が見える、いわゆるティンダル現象の元になる。 何気なく呟いた単語だったが、佐天はまだ学校では習ったことの無い知識だった。 もう学校のカリキュラムより、佐天の知識はずっと先んじている。 「こうやって見立てておくと埃とかのエアロゾルが混じっても把握が楽で良いですよ」 「成る程、確かにそうですわね。さて、それじゃあ渦を回す前に、どうやって回すのかを説明して頂戴」 光子は抱きしめて囁きながら、よし、と心の中で呟いた。 目の前の佐天が視界を揺らさなくなった。 集中を失っていた佐天が、目の前の一つの渦に、ちゃんと集中している。 「粒の一つ一つに、ある一点へと向けて収束する力と、ばらばらに乱れる力を持たせると、自然と巻きます」 「そう。今把握している領域を渦にしたら、どれ位の規模になりますの?」 「中心圧力が2気圧、サイズは直径8センチくらいです」 それなら暴走してもどうということはない。 それに光子とて空力使い。押さえ込むことは難しくはない。 「わかりました。では作って頂戴」 「はい」 佐天は失敗の恐怖に冷たい汗をかきつつ、粒に意志を通していく。 無秩序にバラバラな動きをしていた空気の粒が、ある一点を中心に、ゆらりと回転運動を始める。 手のひらの上の小宇宙。 星雲の如く粒は一つの塊を作り始めた。 結果は、なんてことはなかった。 尻込みしていたのが無駄だったといわんばかりに、ごく普通に渦が巻いた。 「あ、できた……」 「でしょう?」 渦が予告どおりの規模であるのを見届けて、光子はさっと抱擁を解いた。 佐天は独力で克服したのだと伝えるために。 案ずるより生むが易し。そういうことだった。 佐天がこちらを振り向いて、嬉しそうな顔をした。 褒めて欲しそうにしているのが分かったので、髪をまた撫でてやった。 「失敗なんてこんなものですわ。落ち着いて、自分の原点にちゃんと立ち戻れば、それで回復します。だって佐天さんにはレベル0からここまで、ちゃんと歩いてきた道がありますもの」 「ありがとうございます! あは」 佐天はもう一度、渦を巻いてみた。 なんともない。なんだ、心配して損した。 やっぱり持つべきものは先達だと、佐天は思った。 自分の苦労をまるで自分しかしたことの無いもののように捉えていたけれど、そんなはずはない。 同じ悩みを抱え、克服した人は必ずいるのだった。 「ほら、そろそろ完全下校時刻までに帰れなくなりますわよ?」 「あ、ほんとだ。あのっ、なんかドタバタですみません。婚后さん、ありがとうございました!」 「佐天さんの元気な顔が見られて何よりですわ。それじゃあ、また」 「はい!」 さっきまでよりずっと足取り軽く帰路につけることを嬉しく想いながら、佐天は病室を後にした。 当麻に電話をするのは何時にしようかと思案しながら、光子は佐天に手を振った。 前へ 戻る 次へ
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/240.html
――――警備員 第七三活動支部 取調室 黄泉川「・・・・・・」 一方通行「・・・・・・」 黄泉川「・・・・・・」 一方通行「・・・・・・」 黄泉川「・・・・・・きちんと説明してもらおうじゃん?」 一方通行「・・・・・・」 鉄装「・・・・・・え、えぇとですね」コホン 「とりあえず結果報告書のほうを見てみますと――」 「第七学区の衣服店 セブンスミストは完全に崩壊。店があった場所がグラウンドゼロと化してます」 「セブンスミストの両隣にあったビルには被害なし。 揺れはあったものの、内部にも被害はありませんでした」 「つまりセブンスミストがあった場所だけ、ポッカリと空白が出来てるという状況になってます」 「えーと、お客さんと各スタッフの中に死傷者はいません。ゼロです」 「(どういう能力使ったらこんなに被害を最小限に抑えられるんだろう?)」 黄泉川「お前が救助したのか」 一方通行「・・・・・・あァ」 鉄装「それとお店にいたお客さんの証言や、店の外にいた一般市民の目撃証言によると――」 「翼の生えた金髪の女性が空を飛んでいた、とか・・・・・・水が生き物みたいに動いて、 それが客を店の外に流していた、とか。 ・・・・・・なんですかねこれ?」 黄泉川「これについては?」 一方通行「水は俺がやった。 羽根の生えた女なんて知らねェ」 黄泉川「・・・・・・」 一方通行「何も言うことは無ェよ。 全部俺の仕業だ」 「欲しい服があってよ、それが無ェって言うもンだから潰してやった」 「ついカッとなってやっちまっただけだ。 今では反省してる」 黄泉川「テンプレみたいな言い訳じゃん? 一方通行」 黄泉川「お前がそんなくだらない理由で暴れるとは思えないんだがな」 一方通行「マジで俺がやったンだって」 黄泉川「はぁ・・・・・・」ポリポリ 黄泉川「信じられないことだが、上層部からこの件についてお前は不問に付す、だそうだ」 一方通行「はァ?」 黄泉川「そうとしか言われてないんでね、詳しいことはわからないじゃん」 一方通行「(・・・・・・ビル一つ潰したってェのに不問だァ? まァ『0930』事件で俺がやらかした時に比べりゃァ今回のは小せェ事だがよォ)」 「(アレイスターの野郎がガブリエルに気付いてないってのはあり得ねェ、 でもって今回の件にあの天使も絡んでやがるってェのに不問たァ・・・・・・)」 「(やはり何か狙いが? それとも天使の存在を出来る限り隠しておきたい・・・・・・ そンなとこか)」 (だがアレイスターなら弱体化した天使の一匹くらいどうとでも・・・・・・)」ブツブツ 黄泉川「おい一方通行、聞いてるじゃん?」 一方通行「あ? あァ」 「(まァ、野郎の件についてはあとで考えるか・・・・・・)」 黄泉川「まったく・・・・・・。 鉄装、お前は現場に戻って後処理の手伝いを頼むじゃん」 鉄装「えぇ~、私だけでですかぁ~?」ゲンナリ 黄泉川「私もあとで行くから、ほらダッシュダッシュ!」 鉄装「・・・・・・はぁ~い」トボトボ キィ・・・・・・ バタン 一方通行「・・・・・・で、俺ァもう帰っていいのか」 黄泉川「ま、そうなるじゃん。 ・・・・・・その前に」 一方通行「あンだよ」 黄泉川「ほら、お前の杖。 忘れるか普通」ホイッ 一方通行「あァ、悪ィ」スッ 黄泉川「それと、お前どうしてウチに帰ってこないじゃん? ロシアから戻ったらすぐ来ると思ってたのに」 一方通行「あァー・・・・・・それはだなァ」 黄泉川「打ち止めも心配してるじゃん。 メールのやり取りはちょくちょくしてるみたいだけど」 一方通行「クソガキに心配かけるようなこたァしてねェよ」 黄泉川「ならいいけど・・・・・・あ、打ち止めといえば、ウチに新しい家族が増えたじゃん」 一方通行「番外個体か?」 黄泉川「そうそうワースト、いきなりだからびっくりしたじゃんよ。事前に連絡くらい寄越せっての」 一方通行「俺が言うのもなンだがいいのかよ? あいつも住まわせて」 黄泉川「今更一人や二人増えたことでどうってことないじゃん。 口は悪いけどいい子だし」 一方通行「そォかよ、ンじゃ頼むわ。 ・・・・・・いつもすまねェな」 黄泉川「おや、珍しい」クスッ 一方通行「ちっ・・・・・・」 黄泉川「一方通行」 一方通行「あン?」 黄泉川「お前がどこの誰とほっつき歩いてるかは知らないけど」 黄泉川「早く帰ってくるじゃんよ。 桔梗も打ち止めもワーストも、みんな待ってるじゃん」 黄泉川「もちろん、私もね」 一方通行「・・・・・・あァ」ガチャ (待ってるから帰って来い・・・・・・ねェ) (・・・・・・) ( あの二人 にゃァ帰る場所や、帰りを待ってるやつはいンのかァ・・・・・・?) ――――第七学区三九号線・木の葉通り 風斬「・・・・・・」ズーン ガブリエル「―――――」パラ 風斬「・・・・・・やっちゃいましたね」 ガブリエル「―――――」ジー 風斬「私ったら何やってたんだろ・・・・・・/// 柄にもなく熱くなっちゃって・・・・・・」カァァ ガブリエル「―――――」パラ 風斬「一方通行さんに、大勢の人たちに迷惑かけちゃった・・・・・・ あの状況だと、私は二人を止める立場だったのに・・・・・・」ズーン ガブリエル「―――――」ジー 風斬「・・・・・・で、でも、あなたもあなたですよ! 天使さん」 ガブリエル「―――――」 風斬「確かに一方通行さんの発言もデリカシーが無いといえば無かったですけど・・・・・・」 風斬「だからって店の外まで吹き飛ばさなくてもいいじゃないですか!」 ガブリエル「―――――」 風斬「一方通行さんじゃなかったら死んでましたよ・・・・・・」 ガブリエル「―――――」 風斬「彼を探しましょう。 何とかして警備員の元から連れ戻さないと・・・・・・ 一方通行さんも暴れてしまったとはいえ、これじゃあまりに理不尽です」 ガブリエル「―――――」パラ 風斬「――――っ! もう! 本なんか読んでる場合じゃ――」バッ 『謝り方で女の印象も変わる! 天使でもわかる20001の正しい謝罪方法』 \870- 風斬「あ・・・・・・」 ガブリエル「―――――」グスッ グスッ 風斬「天使さん・・・・・・」 ガブリエル「―――――」パラ ――その10032・謝りつつも胸元などを見せつけ、色気で許しを請え!―― ガブリエル「―――――」パラ ――その18044・メールや電話での謝罪は論外! 誠意を見せるなら矢文で謝罪!―― 風斬「天使さんも、きちんと謝りたいんですね・・・・・・?」 ガブリエル「mwegjl深々fmwqfm反省mflew」ショボン 風斬「(あ、あれ・・・・・・? 彼女の言葉がわからない・・・・・・何で?)」 ガブリエル「,g;ehk反省;fml反省nkf」グスッ 風斬「(でも・・・・・・) 一緒に謝りに行きましょう」 ガブリエル「―――――」 風斬「一方通行さんのところへなんとか会いに行って、謝り倒しましょう」 風斬「あれだけのことをして、許してもらえるとは思えないけど・・・・・・」 風斬「それでも、何もしないよりはいいです!」 ガブリエル「―――――」パラ ――その20001・周りくどいことなんてせずに、素直に謝るのが一番だと思うよってミ(以下略)―― ガブリエル「―――――」コクン 風斬「うん」ニコッ 風斬「セブンスミストの店員さん達にも、今度謝りにいかなきゃですね」 ガブリエル「bkljh同意,gkn」 風斬「あの惨劇を引き起こした私たちがこうして第七学区を歩いていたらマズいかも知れませんけど、 とりあえず行きましょう」 ガブリエル「fmlqgj捜索mgwleg」 風斬「多分第七三支部に連れていかれたと思うので、そこに向かいますか」 ガブリエル「―――――」 風斬「・・・・・・一つ、聞いてもいいですか?」 ガブリエル「―――――」 風斬「どうしてロシアで私たちと再開したあと、学園都市まで着いてきたんですか? いえ、正確にはなぜ一方通行さんに着いていってるのか、です」 風斬「か、彼が・・・・・・好きだから、とか?」 ガブリエル「―――――」 ガブリエル「gwmml彼ffnmlqfl伝fmlgml言葉fmeklgml」 風斬「(・・・・・・ダメだ、やっぱり何を言ってるのかわからなくなっちゃってる。 今までは場の流れや雰囲気でなんとか言いたいことはわかってたけど、どうして?)」 風斬「(ノイズがひどいのもあるけど、やはり人間言語ではないから?)」 風斬「・・・・・・そうですか、ありがとうございます。 変なことを聞いてすみません」 ガブリエル「gmrgh;k私mflgm時間mgwlg無aournc」 風斬「(何か重要なことを言っているのかも知れないのに・・・・・・)」 風斬「・・・・・・悩んでても仕方ありませんね。 とにかく彼のところへ行きま――」 一方通行「よォ。 だァれ探してンだァ?」ヌッ 風斬「ひゃわぁっ!?」ビクッ ガブリエル「―――――」 風斬「よ、よく私たちがここにいるってわかりましたね」 一方通行「この天使が近くにいると、胸に圧迫感が来るンだ」 一方通行「にしてもお前ら、警備員のやつらに捕まンなかったのか」 風斬「実はニ、三人ほどの警備員に出会ってしまったんですけど、なぜか何も言われなかったんですよ」 ガブリエル「―――――」 一方通行「そォか、まァそォだろォな」 風斬「それよりも一方通行さん、どうして外に・・・・・・? 脱走したんですか?」 一方通行「長引きそうならそれも考えたが・・・・・・その必要も無くなっちまったンだよ」 風斬「え?」 一方通行「『不問』、だとよ。 センブンスミストの件」 風斬「えぇ!? 店一つを潰したのにですか!? し、信じられません」 一方通行「だがこォして俺は今ここにいる。 そォいうことなンだろ」 風斬「はぁ・・・・・・でもそれなら、よかったぁ」ホッ ガブリエル「fnkgnkn貴方mfkenk」モジモジ 一方通行「・・・・・・ところでそいつは何でさっきからお前の後ろに隠れてンだ? (全く隠れきれてねェけど)」 風斬「え? あ・・・・・・」 ガブリエル「―――――」オズオズ 風斬「そうですね、ちゃんとはっきり言いましょう」 一方通行「あン?」 風斬「一方通行さん・・・・・・その、ご、ごめんなさい!」ペコッ ガブリエル「gnmwljgm猛烈mklegj謝罪gmelgm」ペコッ ゴツッ 風斬「痛ぁっ!?」 一方通行「なンだァ?」 風斬「あの・・・・・・私、二人を止めなきゃいけない立場だったのに・・・・・・その」サスサス ガブリエル「vmghgf反省fnkqwfn」シュン 一方通行「あァ・・・・・・あれなァ。 お前キャラ変わってたぞ、何だったンだありゃァ」 風斬「あうぅ・・・・・・/// いやあの、あまりにも凄まじい戦闘だったので、こう、なんていうか あぁいうの漫画とかでしか見たことなかったのでつい興奮しちゃって・・・・・・」カァァ 一方通行「(こいつ漫画とか読むのかよ。 見えねェ・・・・・・)」 風斬「それに天使さんも、すっごく反省してるみたいですよ」 ガブリエル「gwegmk謝罪vmlgm謝罪l,;kfoj」ペコペコ 一方通行「あァあァ、いいよもォ」 ガブリエル「mflemgem許fmlk私dfm,;qw,f」 風斬「許して・・・・・・くれるんですか?」 一方通行「許すも何も、俺もあン時は頭に血が上って調子に乗っちまったかンなァ。 俺にも非はある」 一方通行「だからアレだ、・・・・・・俺の方こそ、悪かったよ。 だから頭ァさっさと上げろ、 天使様が人に頭下げるなンてのはさすがに無ェだろ」 ガブリエル「―――――」バッ 風斬「あ、あはは・・・・・・ありがとうございます! 許してくれるって、天使さん」 ガブリエル「mfgwegjm感涙;,; dfngslgm」ムギュー 一方通行「ぐォォォ・・・・・・だ、から、抱きつく・・・・・・なって」ミシミシミシ ガブリエル「fnmefm,感謝mlgjda感謝mvfjo」 風斬「ふふ、よかったですね」 一方通行「ったく・・・・・・」コキ 一方通行「で、お前が手に持ってるその本はどっから持ってきた?」 ガブリエル「hjtdjv,拝借mmirbgasf」 風斬「」 ――第七学区 セブンスミスト跡地の付近 一方通行「しっかし・・・・・・今日は色々ありすぎたぜェ」ゲンナリ 風斬「本当ですね・・・・・・私も疲れちゃいました」 ガブリエル「gnrwkm余裕,f;wekm」 一方通行「やっぱこいつと居ると退屈しねェなァ、悪い意味で」 風斬「なんて言ったって本物の天使ですもんね」 一方通行「・・・・・・もう空も暗くなってきてンな」 風斬「夕方も過ぎちゃってますね。 本屋を探すのに時間かけちゃいました」 ガブリエル「gjorwgl夜lkomvn好m,glew」 一方通行「お前のせいだぞまったく・・・・・・」グゥ~ 一方通行「ンあ?」 風斬「ふふっ、お腹空いてるんですね」クスッ ガブリエル「fmelpgjl可愛mflefk」ガクガクガクガク 一方通行「だからその笑い方やめろっつゥの、端から見ると痙攣起こしてるよォにしか見えねェ」 一方通行「・・・・・・」 風斬「どうしました?」 一方通行「・・・・・・ホント、今日は色々ありすぎてうンざりな一日だったわ」 ガブリエル「―――――」 風斬「?」 一方通行「今日はもう思いっきり飲まなきゃやってられねェ」 風斬「飲まなきゃ・・・・・・ですか?」 ガブリエル「―――――」 一方通行「浴びるように酒飲まなきゃやってらンねェって言ってンだよォ」 風斬「お、お酒ですか!?」 ガブリエル「fmeopwg宴mflem」 一方通行「よし、お前らも付き合え、いや強制連行だ」クカカッ 風斬「え、えぇ~!?」 ガブリエル「,rehkl,dl御意,fd,fkgm」 一方通行「ついでに肉も食わせてやる、今夜はすき焼きだ」 風斬「! す、すき焼き・・・・・・」ゴクリ ガブリエル「fmoeqfgm再fmle肉,fe,fdwslq」 一方通行「地下街行った時なァ、すき焼き屋があったンだよ。 そこ行くぞ」 風斬「すき焼き・・・・・・。 で、でも未成年なのにお酒はダメですよぉ」アセアセ 一方通行「あァ? いいンだよ細けェこたァ、今日はそういう気分なンだ」 風斬「し、しかしですね・・・・・・」 一方通行「俺は第一位、お前はAIM拡散力場の集合体、こいつは天使」 ガブリエル「flwqefl,肯定fm,lwekm」 一方通行「俺達を縛るもンは何も無ェってこった」 風斬「だ、第一位だからお酒を飲んでいいなんてことは」 一方通行「固ェ事言ってンじゃねェよ、お前だってくだらねェ悩みとかをバーッと消し飛ばしたいとか思うだろ」 風斬「――――っ」 『ひょうかー!』ニコー 『よっ、風斬!』ニッ 風斬「・・・・・・」 一方通行「(つっても、無理に飲ませたりはしねェがな。 嫌なら嫌でこいつにゃ肉だけでも―――)」 風斬「・・・・・・そうですね」 一方通行「あ?」 風斬「飲んじゃいましょうか」 一方通行「あ、いや、無理して付き合ってくンなくても」 風斬「いえ、飲みましょう! 今日は浴びるほど飲んじゃいましょう!! ええ飲むんです!! 誰にも邪魔はさせないのです!!!!」ゴォォォォ ガブリエル「jelmglel良fwekgm決意gmwgml」グッ 一方通行「お、おォ・・・・・・(ど、どうしたってンだ急に)」 風斬「そうと決まれば早速!!!」 一方通行「いや待て、とりあえずここで一旦解散だ」 風斬「え?」ガクッ 一方通行「もう少し夜が更けてからでもいいだろ。 俺ァちょいと黄泉川ン家に帰る」 ガブリエル「dgmlegk同行,cssmd.a,」 一方通行「着替えてェのもあるが、そろそろクソガキにも顔見せねェとな・・・・・・ スパムみたいにメールが来やがるンだ」 風斬「そうですか、わかりました」 一方通行「ンでガブリエル、お前は風斬を『隠れ家』まで案内してやれ。 そこで待ってろ」 ガブリエル「kfpwegk渋々,f;qf,darqwr了解wiiqj」 風斬「隠れ家?」 一方通行「俺が使ってるグループの・・・・・・つってもわかンねェか。 まァとにかく部屋があンだよ。 ロシアから帰ってこいつとそこで過ごしてた」 風斬「ど、同居ですか!?」ハワワ ガブリエル「/////」 一方通行「気持ち悪い言い方すンじゃねェ、人類からの『隔離』と言ってくれ。 こいつと一緒に同じ部屋で過ごすのはクソキツイぞ・・・・・・」 風斬「と、言うと?」 一方通行「このアホ天使、俺が寝てる間に勝手にベッドに入り込んできやがってな。 目を開けたらこいつのどアップが視界に広がってるって具合だ」ゾッ 風斬「それは・・・・・・眠気覚ましにはもってこいですね」ゾッ ガブリエル「,glthkoerjh失礼mglrj」ズビシッ 風斬「痛ったぁい! ご、ごめんなさい・・・・・・」ヒリヒリ 一方通行「あと俺が風呂入ろうとしたらこいつ・・・・・・いや、もう止そう。 こンな話してたンじゃねェよ」 風斬「(き、気になる・・・・・・)」 一方通行「とにかく、その部屋に行って待っててくれ。 準備が出来たら迎えに行く」 ガブリエル「mhetjhij御意dmlfj」 風斬「わかりました、それじゃあ待ってますね」 一方通行「あァ」 風斬「じゃあ天使さん、よろしくお願いします」 ガブリエル「korherm案内korewd,l」パキパキパキ 一方通行「飛ぶな飛ぶな、歩いて行けェ」 ――第七学区・ファミリーサイド 黄泉川宅 一方通行「帰ったぞおらァ」ギィ 打ち止め「あー!! おかえりなさいあなたー!! ってミサカはミサカは超久しぶりのあなたにダーイブ!!!」ガシッ 一方通行「だァから抱きつ・・・・・・こいつなら骨がへし折れる心配は無ェか」 番外個体「大声であなたーって・・・・・・お前ら夫婦かっつーの」スタスタ 一方通行「・・・・・・よォ、久々だな」 番外個体「やっほう、第一位。 相変わらずぶち殺したくなる顔してるなぁ、ぶっひゃ」ケラケラ 一方通行「ここでの暮らしはどォだよ」 番外個体「あなたが帰ってくるまでは快適だったよ、あひゃひゃひゃ!」 一方通行「けっ、元気そうで何よりだぜ」 打ち止め「もぉー、喧嘩しないの! ていうか今まであなたはどこに行ってたのって ミサカはミサカは一昨日辺りからメールを無視するあなたに憤慨しながら訪ねてみたり!!」ムスー 一方通行「あァ悪かったな、ちょっと野暮用でよ」 番外個体「野暮用って何? まぁ、あなたの事だからロクな用じゃないんだろうけど」 一方通行「あァ、ロクな用じゃねェな・・・・・・」 打ち止め「でもまぁあなたが帰ってきてくれたからもういいや!って ミサカはミサカは器のデカさを示してみたり!」フンスッ 一方通行「はいはいそりゃどォも」ナデナデ 吉川「あら、その声は一方通行? おかえりなさーい」ネンゴロ 一方通行「ン、おォ。 ・・・・・・吉川は何やってンだ?」 打ち止め「いつも通りゴロゴロ寝っ転がってるだけだよってミサカはミサカは呆れてみる」 番外個体「あの人いつもあぁなんだけど。 ダメな大人の見本だね」 一方通行「戦争が終わっても相変わらずか・・・・・・まァ、らしいっちゃらしいがな」ケケッ 一方通行「黄泉川は?」 番外個体「仕事で遅くなるって。 何か今日第七学区で事件があったらしいよ」 一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ヌギヌギ 打ち止め「ねぇねぇ、ご飯まだ残ってるから食べたらどう? お腹空いてるでしょ? って ミサカはミサカは服を着替えてるあなたにって・・・・・・外着?」 番外個体「・・・・・・ミサカがいるのも気にとめず着替えやがって・・・・・・///」ボソッ 一方通行「いや、必要無ェ。 これからまたすぐに出掛けるしなァ、悪い」 打ち止め「えー!? またどっか行っちゃうのってミサカはミサカは・・・・・・」ションボリ 一方通行「居なくなるわけじゃねェンだからそンなにしょげンなよ。 (まぁ下手打ったら居なくなるかもしれねェがな、この世から)」 吉川「どこに行くのよ?」 一方通行「ン、ちょっとツレとメシ食いに行くことになったンだ」 番外個体「ツレぇ? あなたそんな友達いたんだぁ、あひゃひゃ!」 一方通行「その口塞ぐぞコラ」 打ち止め「そっかぁ・・・・・・じゃあしょうがないねってミサカはミサカは渋々諦めてみる」 一方通行「またすぐ帰ってくるから、おとなしく待ってやがれ」ポン 打ち止め「絶対だよ? メールちゃんと返してねってミサカはミサカは釘を刺しておく!」 番外個体「本当に刺しちゃおうか」アヒャヒャ 一方通行「わァーかったってェの、ったく」 番外個体「ねぇ、誰とご飯食べに行くの? もしかして女とかぁ?」ニヤニヤ 一方通行「まァそうだな、女だな(人間じゃないけどな)」 番外個体「えっ」 一方通行「ンじゃァ、またな」ギィ 吉川「いってらー」 打ち止め「いってらっしゃーい!ってミサカはミサカは笑顔で送ってみたり!」バタン 打ち止め「・・・・・・? どうしたの番外個体? ってミサカはミサカはどことなく不機嫌そうな あなたの顔を見上げてみる」 番外個体「べっつにぃ」 ――― 学園都市の第七学区には、ある建物が存在する。 それを建物と呼称していいものなのかは定かではないが、確かに存在するのだ。 通称『窓のないビル』―――。 このビルは、核兵器の攻撃を受けても耐えることが出来るという噂があり、 実際『0930』事件で一方通行がこのビルに対し、地球の自転のベクトルを利用した砲撃を行ったにも関わらず、 外部には傷一つ負うことはなく、あろうことか内部にも振動がほぼ皆無だったという馬鹿げた設計のビルだ。 このビルにはある人物が座している。 窓のないビル内部で、緑色の手術衣のような服を着ており、培養液に満たされた巨大ビーカーの中に逆さに浮いているその人間は、 男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える。 学園都市総括理事長、アレイスター・クロウリー。 彼は目の前に浮かぶ二つのスクリーンを眺めていた。 アレイスターにしては珍しく、その表情は明らかに苦悶の色に満ちていた。 左側のスクリーンに映っているのは、学園都市最強の超能力者、レベル5序列第一位の『一方通行』。 アレイスターの計画の組み込まれている第一候補(メインプラン)でもある。 スクリーン内に映る彼は、コツコツと杖の先端で地面を叩きながら第七学区を歩いている。 もちろんアレイスターは学園都市中に散布されている滞空回線(アンダーライン)を通して、現在一方通行がどこへ向かっているのか、 それどころか一方通行が『彼女』をロシアから学園都市へ連れてきてからこれまでの経緯まで、全てを把握している。 (実際は一方通行が連れてきたのではなく、『彼女』が一方通行に着いてきたのだが)。 そして右側のスクリーンにはその『彼女』と、AIM拡散力場の集合体であり『人工天使』でもある風斬氷華が映っていた。 何やらマンションの一室で衣服を何種類か並べ、どれを着ようか『彼女』と吟味しているようだ。 アレイスターは左右のスクリーンを凝視し、そして疲労とも焦燥ともとれるような弱々しい声でぼそりと呟いた。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・プランが」 想定外の出来事だった。 水を司る天使、『神の力(ガブリエル)』。またはミーシャ・クロイツェフ。 第三次世界大戦でロシアの空に浮いていた空中要塞『ベツレヘムの星』、 そこに儀式場を作り出した右方のフィアンマが召喚した大天使である。 『彼女』、ガブリエルは召喚されたと同時、学園都市勢に、そしてロシア軍に、天災とも呼べる猛威を振るった。 ここまではいい。ここまではアレイスターも想定の範囲内だった。 アレイスターの予定だと、そこで学園都市製の人工天使『ヒューズ=カザキリ』と一方通行の共闘。 さらに後方のアックアによる封入術式と、上条当麻の幻想殺しによる『門』の破壊。 これらの要素が加わることによってガブリエルを撃破できる、というスケジュールだったのだ。 いや、撃破できる、ではなく撃破『する』、が正しい表現だろうか。 撃破『出来なければおかしい』。 ―――撃破『しなくてはならない』。 プランは崩れた。ガブリエルは健在している。 健在どころか、どういう事が起こればそんなことになるのか、どうやらガブリエルは一方通行に特別な感情を抱いているようだった。 ようだったという曖昧な表現は当てはまらない。明らかに抱いていた。 何の冗談だ。ガブリエルは本物の大天使だ。仮にも人間である一方通行にそのような感情を抱くことなどあり得ない。 天地がひっくり返ろうとも、隕石が地球に衝突しようとも、そんなことは起こりえないはずだ。 だが、現実はどうだ。 アレイスターはスクリーンをもう一つ表示し、再生する。これまでの彼らの行動を写した物のようだ。 ガブリエルが一方通行に抱きついている。ガブリエルが一方通行が寝ているベッドに忍び込み、添い寝を始めている。 ガブリエルがバスルームに入り、シャワー中の一方通行を押し倒そうとしている(この時点で黒翼の出現を確認)。 ガブリエルが無理矢理一方通行の衣服を破っている。ガブリエルが一方通行とファミリーレストランで食事を採っている。 そしてとどめと言わんばかりか、そこに風斬氷華までもが加わり、三人でショッピングを楽しんでいる。 セブンスミストで一方通行がガブリエルと戦闘を開始したときは、一方通行を応援するかどうか本気で迷った。 これを悪夢と言わずして、なんと言うのか。 答えられる者がいるのなら、今すぐにでもこの窓のないビルに招待したいほどだった。 「ふざけている・・・・・・」 もはや言葉も出ないアレイスターだったが、それでもやっとの思いで捻り出した言葉がそれだった。 「もはやプランを『修正』、では追いつかん。 『変更』もやむを得ない状況だ・・・・・・」 だがアレイスターにもプランに対する信念というものがあるのか、『変更』だけは避けたかった。 「何としても、『彼女』には消えてもらわねばならん」 アレイスターの口元が醜く歪む。それは見た者全ての背筋を凍らせるような醜悪な笑みだった。 今後のプランの実行に、本物の大天使なる存在は邪魔でしかないのだ。 この人間がここまで感情的になるのは非常に珍しかった。 「ククク・・・・・・と、なると、早急に『アレ』を発見、及び回収せねばな」 一方通行と風斬氷華、そして大天使ガブリエルに――――― 「『ベツレヘムの星』、あれはまだ存在しているはずだ」 ――――ゆっくりと、しかし確実に『危機』が訪れていた。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/52.html
「「風紀委員です!!」」 「アアン。風紀委員だァ?俺が誰だか分かってんのかァ」 「とりあえず戦闘をやめてくださいっ!!」 そこには復活した初春飾利が立っていた。 しかしそんなことでやめる上条と一方通行ではない。 再び戦闘を開始する。 「風紀委員の言うことを聞きなさいってミサカはミサカは大きな声を出してみる」 流石に上条と一方通行も手を止めた。 声の方向を見ると風紀委員の腕章をつけた打ち止めが立っていた。 「なんでテメェが風紀委員なンだよ」 するとそこへ黄泉川がやってきた。 どうもジャッジメントの手に負えないと判断し、アンチスキルも出動しているようだ。 数多くの車両が戦場を囲み、ライトで昼間の様である。 戦いに熱中していた二人は気付かなかったが。 黄泉川は言う。 「効果はてきめんじゃん。んじゃ打ち止め、それ返すじゃんよ。」 「やだーっ、ってミサカはミサカはあの人ですら止められるこの腕章を死守ってうわーっ!!」 黄泉川の同僚が彼女を抱え上げ、腕章をはずして持ち主=個法美偉にかえす。 それを見た一方通行は言う。 「こいつらと遊んでたのは認めるけどよォ、何か悪いことしたかァ?」 黄泉川はやれやれと何も分かってない一方通行に告げる。 「周りをよく見てみるじゃん。」 一方通行たちが(一方通行が言うには)遊んでいた場所は怪物の爪跡が何箇所もある様にみえた。 「こんな事よくあるもんだぞォ?」 「「「「「「「「「「「よくあってたまるか!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」 風紀委員と警備委員達に怒鳴り返された。 「とにかく!!あなたもパパとママも今すぐやめなさい!!ってミサカはミサカはお願いしてみたり!!」 「アホ毛ちゃん、パパとママっていうのは誰かな?」少々嫌な予感がした初春が聞いてみる。 「それはねゴーグル付けてない常盤台の制服を着ている女の子と、ツンツン頭の高校生だよ、ってミサカはミサカは教えてみたり。 しかもあの二人は一緒に布団やら混浴に入る仲であり、あつ~いディープキスまでしちゃってるバカップルなのだ!! ってミサカはミサカは付け足してみたり♪」 「「「「「「「「「「「ブハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!???」」」」」」」」」」」 風紀委員と警備委員達は思わず吹いてしまった。 「御坂さんって、大胆なんですね…」こんな時に一生懸命今のアホ毛の証言を佐天にメールで送っている初春。 「混浴って…」衝撃の事実に何もいえない個法… 「このバカップルが…」いつもこういう状況には笑って話している黄泉川もあきれている。 そのほかは「常盤台のお嬢様と!?」「あの超電磁砲を射止めたのか…」とかいろいろ言ってる。 「ちょっと打ち止め!!なんでディープキスのことまで知ってるのよ!!」 「「「「「「「「「「「ブハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!???」」」」」」」」」」」 「本当かよ!?」と驚いている風紀委員と警備委員達… 「打ち止め絶対こうなるって分かってて言ったろ!!確かに背中流しっことかしましたけどね…」 「不純性行為で確保じゃん!!」上条の言葉を無視して確保命令した黄泉川。 「「不幸だあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」」 この後上琴カップルが追い回され、一妹達がその隙に逃げたのは言うまでもない…。 その後、上琴カップルは上条宅に、逃げ込んだ。 「打ち止めめ~いつかぎゃふんと言わせてやる!!(もしかしたら一方通行より厄介かもしれない…)」 「まあまあ、落ち着いて落ち着いて♪」 「なんかお前ずいぶん元気あるな…」 「当麻の家に泊まるからに決まってんじゃん♪」 「オイ!!明日は金曜…ってお泊りセット持ってきてたんかい!!」 「だって…」 「だって…何だ?」 「当麻と一緒にいる時間が少しでも長くなる様にと思って…」 「美琴…」 「当麻…」 二人はお決まりの大人のキスをするのであった…。 二人が逃げ回っていたころ下流では 「元春、大丈夫?」 「大丈夫だにゃー。それより月夜は?」言って彼女に振りむこうとする土御門。 「見るなっ!!!」ボフッ! 「そげふっ!」土御門、現状を考えろ。ぬれぬれのすけすけだぞ。 ぬれぬれのすけすけの二人がその後偶然に(?)現れた茜川が偶然(?)持っていたタオルを渡すまで、たがいにそっぽを向いて一言も口を利かなかったのは言うまでもない。
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/793.html
禁書キャラの声優一覧 上条 当麻(かみじょう とうま) 声 - 阿部敦 インデックス 声 - 井口裕香 御坂 美琴(みさか みこと) 声 - 佐藤利奈 一方通行(アクセラレータ) 声 - 岡本信彦 土御門 元春(つちみかど もとはる) 声 - 勝杏里 青髪ピアス(あおがみ - ) 声 - 川原慶久 姫神 秋沙(ひめがみ あいさ) 声 - 能登麻美子 吹寄 制理(ふきよせ せいり) 声 - 藤村歩 月詠 小萌(つくよみ こもえ) 声 - こやまきみこ 黄泉川 愛穂(よみかわ あいほ) 声 - 甲斐田裕子 白井 黒子(しらい くろこ) 声 - 新井里美 婚后 光子(こんごう みつこ) 声 - 寿美菜子 薄絹 休味(うすきぬ やすみ) 声 - 升望 寮監(りょうかん) 声 - 尾小平志津香(『禁書目録』)、生天目仁美(『超電磁砲』) 初春 飾利(ういはる かざり) 声 - 豊崎愛生 土御門 舞夏(つちみかど まいか) 声 - 福圓美里 海原 光貴(うなばら みつき) 声 - 岸尾だいすけ 妹達(シスターズ) 声 - ささきのぞみ 打ち止め(ラストオーダー) 声 - 日高里菜 アレイスター=クロウリー 声 - 関俊彦 風斬 氷華(かざきり ひょうか) 声 - 阿澄佳奈 木原 数多(きはら あまた) 声 - 藤原啓治 結標 淡希(むすじめ あわき) 声 - 櫻井浩美 麦野 沈利(むぎの しずり) 声 - 小清水亜美 冥土帰し(ヘヴンキャンセラー) 声 - 仲野裕 芳川 桔梗(よしかわ ききょう) 声 - 冬馬由美 天井 亜雄(あまい あお) 声 - 鈴木達央 ステイル=マグヌス 声 - 谷山紀章 神裂 火織(かんざき かおり) 声 - 伊藤静 シェリー=クロムウェル 声 - 渡辺明乃 ローラ=スチュアート 声 - 川澄綾子 オルソラ=アクィナス 声 - 遠藤綾 建宮 斎字(たてみや さいじ) 声 - 鳥海浩輔 五和(いつわ) 声 - 茅野愛衣 浦上(うらがみ) 声 - 渕上舞 アニェーゼ=サンクティス 声 - 釘宮理恵 ルチア 声 - 伊瀬茉莉也 アンジェレネ 声 - 片岡あづさ アガター 声 - 渕上舞 マタイ=リース 声 - 木村雅史 リドヴィア=ロレンツェッティ 声 - 佐久間レイ ビアージオ=ブゾーニ 声 - 若本規夫 前方のヴェント 声 - 平松晶子 後方のアックア 声 - 東地宏樹 サーシャ=クロイツェフ 声 - 寺崎裕香 アウレオルス=イザード 声 - 杉田智和 闇咲 逢魔(やみさか おうま) 声 - 中田譲治 オリアナ=トムソン 声 - 柚木涼香 テルノア 声 - 石塚さより ラクーシャ 声 - 桑島法子 ハリーシャ 声 - 岡村明美 上条 刀夜(かみじょう とうや) 声 - 乃村健次 上条 詩菜(かみじょう しいな) 声 - 井上喜久子 御坂 美鈴(みさか みすず) 声 - 篠原恵美 スフィンクス 声 - 虎太郎 一一 一(ひとつい はじめ) 声 - 谷山紀章
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/621.html
シュウザー城…… 学園都市の秘境に潜むそれは、無数の廃墟が連なり、折り重なって形成された一つの要塞。 窓と窓、屋上から屋上へと橋が渡され、建物の内と外が交互に入り乱れている。 自分が先に進んでいるのか、それとも、更なる混沌の中へと迷い込んでいるのか。 方向感覚を乱された侵入者は自分の存在を見失い、闇の中に潜む魔物達に葬られることになる…… その魔城へと足を踏み入れたアルカイザー、御坂美琴、そして黄泉川を初めとしたおよそ百人の警備員達。 この夜。 学園都市における、アルカイザーと四天王「最後の聖戦」が始まろうとしていた―― 【第十二話・出現! トワイライトゾーン!!】 黄泉川「第一から第三部隊まではここで待機! 残りはアルカイザー、御坂美琴を先頭に突入開始!!」 黄泉川の檄が飛ぶ。 一部隊の人数は十余名。三部隊・三十人がシュウザー城の出入り口に待機し、突入部隊の援護に回る。 そして、下水道で体力を温存したアルカイザー、御坂美琴両名が先陣を切り、シュウザー城攻略作戦の幕が上がった。 美琴「私は最初っから全開で行くわ……アルカイザー。アンタは何が何でもシュウザーって奴を倒しなさい」 アルカイザー「はい! 行きましょう!」 二人が階段を駆け上り、警備員達が後に続いた。 唯一の出入り口である鉄の扉に向かって、まずは開戦の狼煙をあげる。 キンッ……! 小さな金属音。 そして、ノック代わりの超電磁砲が放たれた。 扉の奥に待機していた戦闘員達が木っ端微塵に砕かれて吹き飛ぶ。 アルカイザー「……これ、建物崩れませんよね?」 美琴「全開で行くって言ったでしょ?」 遂に、いくつものわだかまりを乗り越えた二人のヒロイン。 「悪の組織を倒し、友達を助け出す」 共通の目的を持ち、共に信頼を得たこの二人に、果たして敵があるだろうか? あるとすれば、それは―― 城内は入り組み、扉一つ隔ててまったく別の場所へと通じている。 分かれ道のたび、警備員を一部隊ずつ調査に向かわせ、残った面子で先へと進んだ。 何故こんな大人数の警備員を導入することが出来たのか? 黄泉川「これだけの規模の基地を、余所者の連中がこれ以外に作れるとは思えないじゃん」 鉄装「ということは、ここがブラッククロスの本拠地ですか……?」 黄泉川「かも知れないじゃん!!」 少なくとも、ここを叩けばこれ以上の活動を続けることは出来ないだろう。 つまり警備員達にとって、これは学園都市における事実上の「ブラッククロス殲滅作戦」なのだ。 これで一連の事件に終止符を打つことが出来るかもしれない。 その事実が二百を超える警備員達の心を団結させ、上層部への伺いも立てず即座に出撃するという決断をさせた。 黄泉川「各部隊! 生徒を見つけたらすぐに連絡を入れて脱出しろ!!」 そして、これだけ大規模な基地であれば、おそらくは攫われた学生たちが捕らえられているはず。 彼ら警備員の第一の目的は、被害児童の救出だった。 黄泉川「アルカイザー! 御坂美琴! あんまり離れすぎるな!!」 美琴「大丈夫ですよ! こんなの、全然相手にならないんですから!!」 やれやれ、と呆れつつも、黄泉川は安心していた。 二人は、四天王とかいう化物を一蹴してしまうような実力者なのだ。 余計な心配か。 それに、彼女らが居る限り、自分達は行方不明者の捜索に専念出来るだろう。 黄泉川「アルカイザー! 御坂美琴! あんまり離れすぎるな!!」 美琴「大丈夫ですよ! こんなの、全然相手にならないんですから!!」 美琴は、そう言って前方に電撃を放った。 無数の戦闘員たちが、その一撃で撃破される。 だが、その陰に隠れていた、青い獣の群れが飛び出してきた。 さそりの尾、蝙蝠の羽、そして犬の体。人のような顔で、長い舌を出しニヤニヤ笑っているように見えた。 美琴「ちっ!」 獣の群れは美琴の電撃を察知していたのか、ひらりとかわして迫ってくる。 狭い廃墟の中は、美琴たちには歩き辛く、逆にああいった柔軟な生物には恰好のフィールドだ。 獣の群れは、壁を蹴って立体的に跳び回る。 電撃をことごとく回避し、その爪を突き立てようと、美琴目掛けて飛び掛った。 『カイザーウイング!!』 紅い風が獣の体を真っ二つにした。 上半身と下半身に分けられた獣が空中で爆発し、それに巻き込まれたモノが誘爆した。 アルカイザー「御坂さん!」 美琴「大丈夫よ。ありがとう……ねぇ、今の見た?」 アルカイザー「爆発ですか? 不自然でしたよね……?」 美琴「こいつら、腹ん中に爆弾が入ってるわね……!」 アルカイザー「そんな……!? じゃあ、特攻!?」 もはや、敵は手段を選んでいない……! 通路の奥からは次々に、爆弾つきの獣の群れが現れる…… 美琴「とにかく……敵を接近させないことね……!」 意識を戦いに戻し、美琴が獣達を睨む。 アルカイザーはレイブレードを消し、両手に光の弾を用意した。 美琴「おうりゃぁあ!!」 美琴から放射状に電撃が放たれ、獣の半数を仕留めた。 電撃を回避した獣達は空中に跳びあがる。 アルカイザー『アルブラスター!!』 それを、アルカイザーの光の弾丸が撃ち抜いていく。 爆弾が起動し、美琴の攻撃で一箇所に誘導されていた獣達が大爆発を起こした。 壁が破れ、そこから外の風景が覗ける。 美琴「ここから隣のビルの屋上に出れるわね。 ショートカットかしら? どうする?」 アルカイザー「……たぶんですけど、シュウザーはその先に居ます」 奴の性格を考える。 一言で言えば「卑怯者」。手段を選ばず、危なくなれば迷わず逃げる。 私たちを呼び出しておいて、おそらく自分に危険が迫った時のため脱出の準備をしているはずだ。 この間の戦いでは、突如現れたヘリで逃走した。 空に逃げられては私には追うことが出来ないからだ。 そして今日も、私たちは地上ルートでここに来た。 空の足は用意していない。 アルカイザー「アイツの脱出経路は、たぶん空です」 美琴「オッケー。じゃあ上に進めばいいのね」 そう言って、美琴は大胆にも壁の穴から飛び出した。 危なげなく隣のビルの屋上に着地する。 アルカイザー「ちょ、ちょっと!? そんな無用心に……!」 美琴「ちんたらしてる暇ないでしょ? さっさと来る!!」 ここが敵の根城だと分かっているんだろうか……? しかし、その気持ちも分かる。 ……順調すぎるのだ。 美琴「……何?」 屋上の中心近くまで進んだ美琴が、何か違和感を感じた。 美琴「……!? 来ちゃ駄目!!!」 美琴の足元が膨らんだ。 下から、何かが屋上を押し上げているのだ。 ボゴンッ! ボゴンッ! と、ひび割れて持ち上げられるコンクリートの床。 そしてついに―――― 美琴「うわぁあああ!!?」 屋上のど真ん中を貫通し、緑の巨人が現れた。 額に一本の角を生やし、ベルヴァ以上の巨大を誇るその肉体は、所々に分厚い装甲を装着している。 顔の中心に、一つだけ大きな目が付いていた。 その衝撃で、美琴は天高く打ち上げられた。 屋上の瓦礫に含まれた鉄骨に磁力を流し、何とか体勢を整える。 しかし、着地はどうする? 「グオォォオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」 いや、まずはこの巨大な怪人を何とかしなければ、落下する前にひねり潰されかねない。 緑の巨体が宙高く飛び上がり、打ち上げられた美琴を追撃する。 振りかぶられる拳。 一緒に吹き飛んだ瓦礫を磁力で操り、美琴はそれを防ぐ。 美琴「……ぐ!!」 巨大なコンクリートの塊が、たった一撃で粉砕された。 アルカイザー「御坂さん!」 アルカイザーが美琴を追って飛び上がり、彼女を受け止めて着地した。 単眼の巨人も着地するが、その重量に耐え切れなかった地面が崩壊し、そのままビルの中へ沈んでいった。 美琴「な、何よあれ!?」 アルカイザー「自爆の次は、自分達の基地を壊しながら暴れてる……」 美琴「本当に、もうなりふり構わず倒しに来てるわけね……!!」 黄泉川「おい! お前ら!!」 アルカイザー「こっちは危険です! 来ないで下さい!!」 今にも駆けつけて来そうだった黄泉川をいさめ、二人は次の襲撃に備えた。 まるで巨大なもぐら叩き。 次は、どこから現れる……? 足元に注意する。 さきほどの応酬を見るに、別に能力自体は大したこと無い。 そもそも、四天王であるベルヴァでさえ、今のアルカイザーたちには手も足も出ないのだ。 正攻法で勝てないからこその不意打ち。 なら、その策を破ってやればいい。 アルカイザー「出てくる前に叩き込めば……」 アルカイザーの右手に光が灯った。 気配を感じた瞬間に、渾身のブライトナックルを叩き込む。 静まり返る屋上。 美琴「……」 美琴も、体を帯電させて迎撃態勢に入っている。 美琴「……?」 それが幸いした。 電磁波の流れがおかしいのに、いち早く気付けた。 美琴「アルカイザー!! 後ろよ!!!」 アルカイザー「!?」 背後にそびえる、この屋上よりも背の高いビル。 その壁をブチ破り、単眼の巨人が姿を現した。 アルカイザー「しまっ――――!?」 予想しなかった方角からの攻撃。 反応が遅れ、敵の接近を許してしまった。 美琴「間に合えぇええ!!」 美琴がアルカイザーの前に飛び出し、そして―――― アルカイザー「――――」 黄泉川「どう……なった……?」 そして、美琴と巨人の姿が忽然と消えた。 アルカイザー「御坂……さん……?」 呼んでも、どこにもその影は無い。 消滅。 消失。 何故? アルカイザー「御坂さん!! 返事してください御坂さん!!!」 「無駄だアルカイザー……!」 巨人が飛び出してきた背の高いビル。 その頂点に、満月を背に受けて男が立っていた。 銀の髪を逆立て、鉛色の腕を胸の前で組んでいる。 二メートルを超える巨漢でありながら、真っ向からの戦いを拒否し策を弄する卑劣漢。 アルカイザー「シュウザァァアアア!!!」 ブラッククロス四天王・シュウザーが、ついにその姿を現した。 ………… …… ……ここは? 気が付くと、目の前が真っ暗になっていた。 まさか死んだのか? たったあれだけのことで? …… いや、違う。 体の感覚はある。 自分がどこかに立っていることも分かる。 何かぶよぶよとした足元の感触…… ……あの怪人は? アルカイザーは? 黄泉川さんたちはどうなったの? 『ようこそ御坂美琴……』 どこからともなく声が響く。 誰……!? 『私はブラッククロス。ブラッククロス首領だ』 …………!!? へぇ……首領さんが直々に相手してくれてるってわけ? 首領『そうではない。貴様の相手は、その目の前のサイクロップスだ』 サイクロ……? そして、唐突に視界が戻った。 美琴「……!? な、何よこれぇ!!?」 いつの間にか、周囲は暗闇に包まれている。 目の前に立っているのは、おそらく『サイクロップス』という名の単眼の巨人。 どうやらブラッククロス首領の姿は無い。 そして足元には―― 美琴「悪趣味ここに極まれり……って感じね」 巨大な円盤状の眼球が、唯一つ、この暗闇の中に存在する「床」になっていた。 それらの光景が、何重にも「ブレて」折り重なるように見える。 ぶよぶよしてたのはこの目玉の感触ってわけね…… それにしてもこの「ブレ」は……残像ってワケでもないし、世界がゆっくり揺れているような―― うげ……気持ち悪くなってきた…… 首領『ようこそ御坂美琴。不思議空間「トワイライトゾーン」へ』 トワイライトゾーン……? つまり、どこかへ閉じ込められたのか? 冷静さを失わないように、ゆっくりと深呼吸をする。 ……アラクーネの「術」を体験しておいて良かった。 この状況でも、まだ頭の回転は鈍らない。 美琴「つまり、私は『術』か何かでここに閉じ込められてるわけね……?」 首領『そういうことだ。流石に物分りがいいな』 美琴「で? どうやったらここから出られるわけ?」 首領『何、簡単だ。術の核となっているサイクロップスを倒せばいい』 美琴「へぇ……答えてくれるんだ……?」 舐められているのか…… いや、違うな。 美琴「悪いけど。あんなのが相手じゃあ私の足は止まらないわよ?」 時間稼ぎ…… 私を倒すんじゃなく、私とアルカイザーをバラバラに戦わせるのが目的か。 首領『どうかな?』 美琴「私を止めたいなら、四天王クラスを連れてきなさい……!!」 一閃―――― 迷うことなく、初手で超電磁砲を放った。 こんな茶番に付き合うつもりは無い。 あの怪人を瞬殺して、アルカイザーたちに合流する……! 美琴「うそ……?」 しかし、全力の超電磁砲を受けた巨人は平然とそこに立っていた。 美琴「そんな!?」 首領『言い忘れたがな……』 トワイライトゾーン内では、ブラッククロスの怪人の能力は三倍に膨れ上がる……!! 美琴「三倍……?」 それはつまり、単純に「攻撃力」も「防御力」も、さきほどまでの三倍の性能になったということ? ……一体どういう仕組みなのか。 美琴「何でもありなわけ? その『術』っていうのは……!?」 首領『ではな。健闘を祈る』 そして、ブラッククロス首領の声はそれっきり聞こえなくなった。 美琴「いつか引っ張り出してやる……!!」 その言葉がきっかけになったのか。サイクロップスが動き出した。 ビルを粉々にして移動する馬鹿力。その三倍の攻撃力だという。 それだけは、確実に回避しなければならない。 美琴は身をかがめ、慎重に敵の動きを観察した…… 美琴「……っ! 速い!?」 サイクロップスの巨体は尋常でない速度で加速した。 まるでアクセルを全開にした大型トラック。 電磁波で動きを察知していなければ、今ごろ轢死体が一つ出来上がっていただろう。 サイクロップスの突撃を横に飛び退いて回避した美琴は、電撃による攻撃を試みる。 美琴「いくら頑丈ったって!!」 しかし―― 美琴「うわわっ!?」 そんなものを意に介さず、巨人の腕が振るわれた。 美琴の電撃はサイクロップスの皮膚を貫けない。 美琴「超電磁砲も効かない……電撃も効かない……!?」 他に攻撃手段は? 例えば、ここに巨大な鉄塊でもあれば、さっきとは比べ物にならない全力全開の超電磁砲が撃てる。 例えば、ここに大量の砂鉄があれば、それでチェーンソーを作り出してあの皮膚を切り刻める。 だが、ここには何も無い。 無限に続く闇と、ただこちらを見据える巨大な眼球。 美琴「歩きにくいうえに役にも立たない! 人のスカートの中をじろじろ見るな!!」 短パンだけど。 「グゴオォォオオオオオオオオオオオ!!!」 雄たけびを上げ、サイクロップスが天高く飛び上がった。 三倍の脚力による跳躍。 なるほど、先ほどの急加速も頷ける。つまり「機動力」までも3倍なのだ。 普通、あんな風に宙に浮くのは自殺行為だ。 何故なら、空中では身動きが取れない。 地上からの狙い撃ちで、あっさり迎撃されてしまうだろう。 だが――この戦いにおいては別だ。 美琴「くっそぉ!!」 美琴には攻撃手段が無い。 どんなに電撃を浴びせても、超電磁砲で狙い撃ちにしても、あの体を貫けない。 今の美琴には、ただ逃げるしか出来ない。 サイクロップスの『ボディプレス』――! 激しい衝撃が、円盤状の眼球を揺らした。 美琴「うわあぁあ!?」 美琴は、揺れ動く眼球から振り落とされないようにしゃがみ込んだ。 ここから落ちたら、そこに待っているのはおそらく無限の闇…… 宇宙空間に放り出されるようなものである。 踏ん張りの利かない眼球の表面にしがみつこうと両手を付いた。 そこへ、再びサイクロップスが迫る。 美琴「しまった!?」 この体勢では飛び退くこともできない。 叩き潰される……!? サイクロップスの腕が振り上げられる。 その腕には、金属製の分厚い装甲が装着されている。 せめて……あの腕を切り取ることが出切れば、それで渾身の超電磁砲を―― 美琴「……なんだ。いけるじゃない……!!」 攻略法が見えた。 俄然、力が湧いてくる。 そして美琴は、逃げるのではなく、その場に踏みとどまることを選んだ。 美琴「いっけぇ!!」 美琴の額から放たれた放射電撃が、迫り来るサイクロップスの全身に浴びせられた。 しかし、電撃がその皮膚を貫くことは無い。 美琴「まだだぁあああ!!」 それでも、美琴は電撃を浴びせ続ける。 何故なら―――― 「グ、グルォ……?」 サイクロップスの動きが止まった。 美琴の電撃がダメージを与えたのではない。 彼女の放った電流は攻撃のためのものではなく―― 美琴「ラッキー……その装甲、どうやら鉄製みたいね!」 サイクロップスの装甲を磁力で操り、押し返すためだったのだ。 美琴の腕力は女子中学生のそれ。決して強くはない。 だが、能力を使えばこの通り。どんな強靭な筋肉も、その出力を上回ることは出来ない。 それゆえに『レベル5』。それゆえに『第三位』。 例え、その肉体が通常の三倍などという、ふざけた現象を起こしていたとしても。 否―― 「グルォオオオオオオオオオオオ!??」 なればこそ、この状況はまずいのだ。 サイクロップスは、ただ押し返されているだけだというのにも関わらず、体の異常を訴える。 美琴「そもそもおかしいのよ……このトワイライトゾーンっていうのは」 何故、そんな便利なものを今まで使わなかったのか? 例えば、四天王がこのトワイライトゾーンで戦っていたら、おそらくアルカイザーでさえ手も足も出ないだろう。 だがそうしなかった。 美琴「無理やり能力を引き上げれば、必ずその反動がある!」 幻想御手『レベルアッパー』。 その使用者は、一時的にとはいえ数レベル上の能力を身に着けた。 そして、その後昏睡状態に陥った。 美琴「限界を超えて体を酷使している状態で、さらにそれを上回る負荷がかかれば……!」 サイクロップスの腕が、ショートして火花を上げた。 人工筋肉の千切れる音がする。 だが、それでも―― 美琴「っぐ!!」 サイクロップスは尚、美琴を押しつぶそうと肉体を酷使する。 己の生命を何とも思わない機械兵士の戦い方。 ある意味で、命がけの戦いを挑む巨人の圧力に、美琴も怯む。 美琴「上等じゃない……力比べってワケね!!」 戦いは続く。どちらかが力尽きるまで。 恐らく、この力比べに美琴は勝利するだろう。 しかし―― この戦いは美琴を足止めするために仕組まれたものだ。 つまり、サイクロップスを瞬殺できなかった時点で、すでに―― 美琴は敗北していた。 アルカイザー「シュウザァァアアア!!!」 アルカイザーは、姿を現したシュウザーへ飛び掛ろうと地を蹴った。 黄泉川「危ない! 下がれアルカイザー!!」 アルカイザー「!?」 黄泉川の声で、間一髪後ろへ飛び退いた。 さっきまでアルカイザーの立っていた場所に、眩い光線が撃ち込まれる。 それは、赤と青の二重螺旋。 光のドリルが、コンクリートを穿ち爆発を起こした。 土煙が晴れる。 そこには、何一つ残されていなかった。 回避が遅れれば、アルカイザーでさえ骨も残さず掻き消えていただろう。 シュウザー「ふふ……その女のおかげで命拾いしたな……」 シュウザーは、ビルの奥へと消えていった。 アルカイザー「待てっ!」 黄泉川「落ち着けアルカイザー!!」 再び、黄泉川によっていさめられる。 黄泉川「頭に血がのぼってる……それじゃあ、みすみす殺されに行くようなもんじゃん……」 アルカイザー「……」 ……たしかに気が立っている。 あの男が絡むと、どうしても冷静さを失ってしまう。 黄泉川「……今、他のルートに進んだ別働隊から連絡あった。拉致された学生たちが見つかったらしい」 アルカイザー「!! 初春は!?」 黄泉川「残念ながら、彼女は特別扱いじゃん……」 初春の無事はまだ確認できない……だが、それはつまり。 黄泉川「この先に、必ず居る……お前への人質として……!」 黄泉川「私たちは別働隊と合流して学生達の脱出を手伝う。だから――」 初春飾利は、お前の手で助け出せ!! 黄泉川「冷静にな……? 初春飾利も、お前も死んだりしたら許さないじゃん!」 アルカイザー「……はい!」 瓦礫の山を超える。 もう、雑魚の出る幕は無いということか、私の進行を邪魔する敵は現れなかった。 ビルの中を素通りし、シュウザー城で最も高い屋上へ出る。 そこに待っていたのは、意外なことにシュウザーただ一人だった。 アルカイザー「……一対一で正々堂々と戦う……ってつもりじゃないんでしょ?」 シュウザー「くっくっ……そう見えたか?」 初春は……彼女はどこに……? シュウザー「お前は、この俺がいたいけな少女にナイフを突きつけて脅しをかけるような、そんな二流の悪党だと思っていたのか?」 アルカイザー「……どういう意味?」 人質は使わないとでも……? シュウザー「そんなものはな、何の意味も無いのだ。殺せば人質としての価値はなくなってしまう」 男は、ベラベラと聞いてもいない講釈をたれ始めた。 シュウザー「と、いうことはだ。自暴自棄にでもならない限り、人質の安全は保障されているようなものだ」 アルカイザー「いい加減にしろ! 初春は――」 シュウザー「初春飾利はな……俺を殺せば、同時に死ぬことになっている」 別の場所か……? アルカイザー「初春はどこに居るの……?」 シュウザー「ここだ」 シュウザーは自分の「こめかみ」を指差した。 あの鋼の爪でだ。少し動かせば、簡単に貫いてしまいそうに見える。 そこを指差して―――― シュウザー「俺の頭には、初春飾利の脳が埋め込んである……! やれるか、アルカイザー……!!」 落ちこぼれのヒーローは、最悪の再会を果たした。 【次回予告】 初春飾利の脳が、宿敵シュウザーの頭に? 絶望し、なされるがままになるアルカイザー! 美琴もいない! 黄泉川もいない!! ならば、一体誰が彼女を救えるというのか!? 次回! 第十三話!! 【決着! 不死鳥の如く!!】!! ご期待ください!! 【補足】 ・トワイライトゾーンについて。 原作では割と序盤から登場するこの設定。 でも四天王戦ではやっぱり使われなかったんだよね。 なので、「どうして使わなかったのか?」って考えたらやっぱり副作用でもあんのかな……と。
https://w.atwiki.jp/toarumagic/pages/24.html
レア度別封入割合 ・SRカード: 0.7% ・LRカード: 3.0% ・HRカード:11.0% ・ R カード:85.3% レアカード総数:91種 ◆X masガチャ限定カード(4種)◆ [素直になれない]御坂美琴 [ネコ好き]インデックス [救ってやる!]上条当磨 [勝ち組への道]ミサカ ◆SRカード(7種)◆ [吹き飛ばす]麦野沈利 [勝利宣言]垣根帝督 [率直]神裂火織 [黒い翼]一方通行 [私の義務]御坂美琴 [聖人の一撃]神裂火織 [俺の右手]上条当麻 ◆LRカード(24種)◆ [ビリビリ中学生]御坂美琴 [目的のため]姫神秋沙 [わざとらしい]白井黒子 [譲れない]上条当麻 御坂美琴 [上下艦]建宮斎字 [お姉様ぁ…]御坂美琴 白井黒子 [無理難題]上条当麻 [姉妹]御坂美琴 ミサカ [恋人ごっこ]御坂美琴 [呆然とする]一方通行 打ち止め [信用する]神裂火織 [間違い]上条当麻 [コスプレ]風斬氷華 インデックス [禁書目録]インデックス [初対面]上条当麻 [理事長の孫]海原光貴 [魔法使い]姫神秋沙 [教師]黄泉川愛穂 月詠小萌 [ご機嫌ナナメ]御坂美琴 [干される]インデックス [闇噴く十字架]一方通行 [霧ヶ丘女学院]結標淡希 [応援要請]ミサカ [オルソラ争奪戦]アニェーゼ オルソラ ◆HRカード(11種)◆ [覆らない結果]一方通行 [助けるために]ルチア [テレポート戦]白井黒子 [猟犬殲滅]一方通行 [狙撃手]ミサカ [ゴーレム使い]シェリー=クロムウェル [挑発するように]神裂火織 [チームワークゼロ]ステイル=マグヌス [魔滅の声]インデックス [砲弾防御]アンジェレネ [遠慮がち]オルソラ=アクィナス ◆Rカード(45種)◆ [おでこDX]吹寄制理 [痩身テク]ミサカ [ジェット水流風呂] ローラ=スチュアート [轟音の嵐]結標淡希 [包囲網]建宮斎字 [無茶を通す方法]建宮斎字 [アステカの魔術師]海原光貴 [発条包帯]駒場利徳 [梓弓]闇咲逢魔 [座標移動]結標淡希 [アドリア海の女王]ビアージオ=ブゾーニ [いけなし]ローラ=スチュアート [昼休み]姫神秋沙 [消耗戦]結標淡希 [可愛がる]黄泉川愛穂 [悪性の拒絶]ビアージオ=ブゾーニ [御使堕し]ミーシャ=クロイツェフ [最大主教]ローラ=スチュアート [日本語?]ローラ=スチュアート [電撃使い]御坂美琴 [反撃への道]黄泉川愛穂 [教皇代理]建宮斎字 [リーダー]駒場利徳 [自分の意見]アンジェレネ [電撃使い]御坂美琴 [追撃再開]ミサカ [潜伏期間]海原光貴 [追いつめる]上条当麻 [実験開始]ミサカ [吸血殺し]姫神秋沙 [警備員]黄泉川愛穂 [誘導]ルチア [硬貨袋]アンジェレネ [電撃使い]御坂美琴 [こわっ!]白井黒子 [車輪伝説]ルチア [銃剣射出]アウレオルス=イザード [覚悟を言葉に]神裂火織 [不快な声]一方通行 [囚われの身]アニェーゼ=サンクティス [終わらせる]上条当麻 [黄金錬金]アウレオルス=イザード [オゾンの分解]ミサカ [変装野郎]海原光貴 [本題]海原光貴