約 1,917,169 件
https://w.atwiki.jp/th_izime/pages/963.html
目覚めたとき、魔理沙はベッドの上で倒れこむようにうつ伏せになっていた。ひどい気 だるさと頭痛、不快感に顔をしかめる。どうにか上体を起こして辺りを見回す。光源は窓 からの月明かりだけで薄暗いが、それでも見慣れた我が家の輪郭が浮かび上がっていた。 それを頼りにテーブルへたどり着き、オイルランプに火を灯す。 ぼんやりとしか見えなかった家の中の様子が照らし出された。魔導書やら魔道具やらが 散乱し、最低限の足の踏み場しか確保されていない。相変わらずの散らかりぶりに、魔理 沙は起床してから初めて安堵を覚えた。 「……?」 だが同時に、拭い去れない違和感が付きまとう。家の様子にこれといって変わりは無く、 静かな夜だ。窓から見える三日月もいつものように白々と輝いている。こんな時は神社の 縁側で酒を飲んだら気分が良いだろう、と魔理沙は思った。しかし、魔法使いとしての直 感が何かを告げている。それも、あまり良くない何かを。 首をひねりつつ、改めて自分の身なりを確認する。白黒のエプロンドレス、魔法使いの 帽子。魔理沙の定番の服装だった。寝巻きにも着替えず眠っていたのか、と胸中で呟く。 それに前後の記憶があやふやだった。普段着のまま寝ていたということはよほど疲れてい たのだろうが、どうしてもそこへ至る経緯が思い出せなかった。 妙に目が冴えてしまって、今夜はもう眠れそうにない。ミニ八卦炉と箒を手に、戸口へ 向かう。だが思い直し、ウエストポーチを腰に巻いてそこに球状の物体を詰め込んだ。採 取したキノコで作った魔法燃料である。道具としては失敗作で、弾幕ごっこの役には立た なかった。だが強い衝撃を与えれば爆発するため、いざという時の護身に使えそうなので 取って置いたのだ。 何を警戒しているのだろう、と自嘲する。幻想郷には妖怪がいる。夜道に危険が伴うの はいつものことだ。魔理沙はそれをものともせず、今日まで生き延びている。なのに今回 に限って嫌な予感が頭から消えなかった。こんな日もあるさ、と自分を半ば強引に納得さ せて、魔理沙は家を後にした。 玄関を出ると、夏半ばにしては冷たく湿った空気が肌にまとわりついた。そこでようや く違和感の正体に気づく。静か過ぎる。この季節なら様々な虫の音や鳥の鳴き声が森中に 反響しているはずだった。だが今はそれが無い。不気味なほどに静まり返っていた。まる で、魔法の森から生命という生命全てが絶えてしまったかのように。 「さて、どうしたものか。……アリスのところにでも行ってみるか」 魔理沙は努めて明るい声で、思考を口に出した。そうしないと、心細さに押しつぶされ そうな気がしたのである。そうと決めると、箒にまたがって夜空へ飛び出していった。 ……つもりだった。飛べない。いつもの要領でやっているはずなのに、身体はピクリと も浮き上がらなかった。まだ寝ぼけているのかと思い、手順を頭の中で再確認してからも う一度試みるが、やはり何も起こらない。 「……」 嫌な予感がして、小さな星屑を発生させようとしてみた。何も起こらない。何度やって も同じ事だった。本格的に焦燥がこみ上げてくる。魔法が使えない。それが意味するとこ ろは明白、今の魔理沙はただの少女だ。ただの少女が妖怪に襲われれば――そこから先は 想像するのがはばかられた。 どうする、と自問する。今の魔理沙は極めて危険な状況下にある。家に立てこもったと しても、結界を発生させられないのでは意味がない。魔理沙の家は要塞ではないので妖怪 に襲撃されればそれまでだ。 結局、最初に口にした言葉を実行することにした。アリスの家に行って守ってもらいつ つ、原因の究明を行う。魔理沙にはそれが最善に思えた。夜の森を歩くことは危険だが、 しかしもうここも安全ではない。結論を出すと、魔理沙はやや早足で蒐集家仲間の家を目 指した。 こうして改めて歩いていると、魔法の森は不気味だった。頼りになるのは木々の隙間か ら漏れる月明かりのみ。そして今はうっすらと靄がかかっている。耳が痛くなりそうな静 寂の中、自分の靴音だけが妙に反響していた。その音で、あるいは臭いで、妖怪に嗅ぎつ けられないかと心配になる。 足元で何かが折れる音がした。ハッとして視線を向けると、半ばで割れた小枝が転がっ ている。安堵したのも束の間、辺りを騒々しい物音が覆った。慌てて見渡すと、空を埋め 尽くすようにカラスの群れが飛び交っている。生物の気配は乏しかったのだが、まだ残っ ているものもいたらしい。 カラスの群れは何かから逃れるかのように、一様に同じ方向を目指して飛んでいる。耳 鳴りのような羽音を聞いていると、言い知れぬ不安が湧き上がってきた。 「くそっ、なんだって私がこんな……」 普段の自己イメージとはかけ離れた心境に魔理沙は苛立った。自分は霧雨魔理沙、傲岸 不遜なまでの自信に満ちた魔法使い。それなのに今は『ただの女の子』のように怯えてい る。それが気に入らなかった。同時に魔法が使えないというのはこんなにも心細いことな のか、と改めて思う。 現状を打開するすべは早くアリスの家にたどり着き、原因を調べて解決すること。自ら に言い聞かせると、魔理沙はさらに足を早めた。 「おーいアリス、来たぜー」 目的地にたどり着くと、魔理沙は平静を装ってノックした。返事はない。留守なのかも う眠ってしまったのか、窓からは明かりが漏れていなかった。無事に到着したという安堵 が崩れ、再び不安が首をもたげてくる。アリスは留守じゃない、眠っているだけだ、と魔 理沙は自分に言い聞かせた。 「いないのかー、せっかく来てやったんだから、出迎えくらいしたってバチは当たらない だろ?」 わざとらしく傲慢に振舞いつつ、ノブを廻した。鍵がかかっていない。軋んだ音を立て て、ドアが手前に開いた。隙間から見える屋内は暗い。ただ、漏れ出た空気が鼻についた。 はっきりと思い出せないが、この場にはそぐわないものに思える。 「……おい、アリス」 声をかけつつ、家の中に踏み込む。濃密な闇の中、わずかな輪郭を頼りに歩いていく。 魔導書のカビ臭さや人形用の生地の匂いに混じって、何か異臭がした。怪訝に思いながら も、あえて無視して探索を続ける。 本棚に囲まれた書斎に踏み込む。ここでは明かりが灯っている。窓が無いので外からは わからなかったのだろう。 そして目当ての人物はあっさりと見つかった。魔理沙の位置からは机が陰になって、腰 から下しか見えないが。アリスは苦しいのか、床にうずくまっている。そして先程から水 音のような何かが絶えなかった。 「どうしたアリス、大丈夫か――」 駆け寄った魔理沙は絶句した。彼女の意識は目の前の光景を拒絶しようとしている。し かし身体機能は無情にも正確に働き、視覚情報を脳へ伝えた。 パチュリーが仰向けに倒れていた。端正な顔を苦痛と驚愕に歪め、血で汚している。見 開いた目がもはや何も映していないのは見ただけでわかった。魔理沙が感じた異臭、それ は血の臭いだったのだろう。 彼女は腹部を食い破られていた。ランプに照らされて、極色彩の臓物がはっきりと見え る。そしてアリスは――パチュリーの腸を素手で引きずり出し、麺類をすするように食っ ていた。 「なっ……!」 信じがたく、凄惨な光景を前に魔理沙は思わず後ずさった。本棚にぶつかってしまい、 降ってきた本が頭に当たるが、今はそんなことは気にならない。物音に反応したのか、ア リスが首を捻るようにしてゆっくりとこちらを振り向いた。 それは魔理沙の知っているアリスではなかった。皮膚は青黒く変色し、ところどころで 組織が欠損して筋肉が露出している。特に顔は酷いもので、左頬の肉がごっそりと削げ落 ち、骨と口腔内が覗いていた。こうしている間にも血で赤黒く汚れた腸をクチャクチャと 噛み締めており、その様子が頬の孔からはっきりと見える。 濁りきった虚ろな双眸が魔理沙を捕捉した。ノロノロと起き上がる。彼女はこちらへ向 き直ると、大口を開けて獣のようなうめき声を上げた。そのまま突進してくる。 「アリスッ……! やめろ、何するんだ!?」 魔理沙は悲鳴に近い声を上げた。掴みかかられ、背中から壁に激突する。アリスは歯を むき出しにして首筋に噛み付いてきた。魔理沙は顎を押さえ、必死でそれを阻止する。今 にも押し負けそうなほど、物凄い力だった。アリスの華奢な体のどこにこんな力があった のか。そして鼻が曲がるような腐臭にむせ返りそうになる。 「やめろって……言ってるだろ!」 叫びを気合の掛け声に、振り払うようにアリスを突き飛ばす。よろめきながら後退した 彼女はしばしバランスを崩したが、やがて再び魔理沙の方へ向かってきた。 「来るな……それ以上近づいたらただじゃ済ませないぞ!」 箒を握り締め、魔理沙は怒鳴りつけた。元々はただの箒だったが、魔力で強化され極め て丈夫になっている。その硬度は楼観剣の一撃を受け止めるほどのものだ。そんなもので 思い切り殴りつければ、相手は無事では済まないだろう。 だがアリスには警告の声など届いていないようだった。両腕を突き出し、まっすぐ突っ 込んでくる。 「……警告はしたぜ!」 魔理沙はヤケクソな思いでアリスに躍りかかった。箒で左の脇腹を殴りつける。あばら の軋む音がはっきりと聞こえた。そのまま柄を返し、体重を乗せた突進と共に相手のみぞ おちを先端で突く。アリスの体が冗談のように吹っ飛び、本棚に叩き付けられて倒れた。 大量の蔵書が降り注ぎ、彼女を埋めていく。 箒を構え直し、距離を取って相手の様子を窺う。少なくともすぐには動けない程度のダ メージは与えたつもりだった。だが、アリスは本の山など意に介さぬ様でのっそりと起き 上がる。そして何事も無かったように、足を引きずるようにして歩き始めた。 「……嘘だろ」 信じがたい思いで呟く。だが獣の如きうめき声で我に返り、再度反撃を試みる。振り回 してきた腕をかわし、右膝へ前蹴りを叩き込んだ。膝蓋骨の砕ける感触が靴越しにはっき りと伝わってくる。一瞬バランスを崩し、アリスが前かがみになった。その顔面を膝で蹴 り上げる。打ち上げられたようにアリスの体が宙を舞い、床に墜落した。 今度こそ、という思いで相手を見つめる。だが結果は同じだった。アリスは起き上がり、 右脚をおかしな方向へ曲げながら向かってくる。 魔理沙ははっきりと恐怖を感じた。今、目の前にいる『モノ』は何なのだ。痛みなど感 じないのか、骨が砕けてもお構いなし。そして生肉と臓腑をむさぼり、新鮮な肉を求めて 何度でも向かってくる。話に聞いたことのある『ゾンビ』とはこういうものの事を言うの か。 「なんだよ……、なんなんだよぉぉぉ!!」 半狂乱で絶叫し、魔理沙は箒を振り回しながら突進した。叩きつける度に骨の折れる音 が聞こえるが、アリスの活動は停止しない。 そして彼女が獣のように呻き、大口を開けた時だった。滅茶苦茶に振り回していた箒が アリスの側頭部にめり込む。その勢いで彼女の頭部が回転し、乾いた音を立てた。頭部を 捻じ曲げたまま、その場に崩れ落ちる。どうやら頚椎がへし折れたらしい。 「……」 肩で息をしながら、魔理沙は成り行きを見守った。やけにゆっくりと時間が流れていく。 先程までならとっくに起き上がっているはずだが、その気配は無かった。首をありえない 方向へ曲げたまま、アリスは沈黙している。その身体は微動だにしなかった。 ようやく彼女はその生命活動を停止――つまり死んだらしい。当面の危機が去ったこと を魔理沙は悟った。 「死んだ、か……。死んだ? 死んだ……殺した、私が、アリスを……?」 一瞬の安堵の後、たまらない嫌悪感がこみ上げてきた。身を守るためとはいえ、この手 でアリスを殺した事実に変わりはない。今、彼女の前には二つの死体が横たわっている。 一つはパチュリー、ここへ来た時には死んでいた。そしてもう一つはアリス――たった今、 魔理沙によって殺されたのである。 「うぐ……うげ、げえええええ!」 血の臭いと露出した臓物、転がる死体、そしてアリスを殺したという事実。それらがも たらす嫌悪に耐え切れず、魔理沙はその場で嘔吐した。胃はからっぽだったらしく固形物 は出なかったが、酸っぱい胃液が喉を焼くような感触はたまらなく不快だった。生理的な 反応で涙がこみ上げてくる。 吐くだけ吐いて、しばらくすると魔理沙はいくらか落ち着きを取り戻した。なるべく死 体の方を見ないようにしながら、今起こった出来事の分析を試みる。 ここでいったい何があったのか。どうしてパチュリーはここにいたのか。後者の答えは 容易に想像できる、恐らくは魔導書絡みの用件で訪れていたのだろう。問題は前者だ。状 況から察するにアリスがパチュリーを殺害し――食っていた。そして魔理沙に気づき、標 的を変え、今に至る。流れとしてはこんなものだろう。 解せないのはアリスの異常な有様だった。あろうことかパチュリーの身体を食い、そし て魔理沙を見つけると飢えた獣のように襲い掛かってきた。腐乱死体のような容貌といい、 分からないことだらけだった。 「異変……なのか……?」 ポツリと呟く。確かに異変には違いないが、今まで見てきたものと比べてあまりに血な まぐさい。すでに二人も死んでしまった。……一人は魔理沙が殺したのだが。 また気分が悪くなってきたが、魔理沙の脳裏をよぎるものがあった。異変――異変が起 こればそれを解決しようとする者が現れる。それはたいてい、自分か霊夢だった。 「そうだ、霊夢……霊夢はどうしているんだ?」 博麗の巫女の名を口にしたとき、魔理沙の行動の指針は決まっていた。目指すは霊夢の 居所、博麗神社である。 逃げるようにアリスの家を出ると、魔理沙は夜の森を駆け抜けた。幸いな事に、妖怪に 遭遇せずに済んだ。いや、今の状況がすでに幸いじゃないさ、と魔理沙は胸中で自嘲する。 脚の筋肉が悲鳴を上げ、息も上がり始めたころ、ようやく鎮守の杜と石段が見えてきた。 いったん立ち止まり、両膝に手を置いて呼吸を整える。日頃は空を飛んでいるため、走る ことには身体が慣れていなかった。 休憩もそこそこに、魔理沙は石段を登っていった。鳥居をくぐり、境内へ足を踏み入れ る。外観は普段の博麗神社と何も変わりなかった。しかし、ここも奇妙なほどに静まり返 っている。相変わらず靄は晴れず、湿った冷気が不快だった。 本殿を避け、住居を兼ねた社務所へと向かう。不在で無いなら、今の時間は眠っている はずだろう。万一に備えて靴のまま縁側に登り、障子越しに寝室の前に立つ。 「霊夢……いるのか?」 抑え気味の声で問いかける。大声を出すと何かを呼び寄せてしまいそうで怖かった。し かし、返事は無い。つい先程、アリス宅での出来事が脳裏によみがえった。不吉な予感を 追い払い、そっと障子を開ける。 とりあえず異臭がしないことに魔理沙は感謝した。そして改めて室内を見渡す。薄暗い 寝室は無人で、畳の上には布団が敷きっぱなしだった。掛け布団は乱雑にはねられている。 霊夢の体重で出来たであろう跡に手を触れてみると、ほんのりと温かかった。どうやら少 し前まではここで眠っていたらしい。 とりあえず霊夢はまだ無事である可能性が高い。魔理沙はそのことに安堵したが、一方 で途方に暮れてしまった。これからいったいどうすればいいのか。霊夢なら持ち前の勘で 何か手がかりを掴んでいるかもしれないと思ってやってきたのだが、その期待は空振りに 終わってしまった。行き先の心当たりも無い。 魔理沙が立ち上がろうとしたとき、障子が大きな音を立ててぶち破られた。素早く、黒 い影が飛び込んでくる。慌てて飛び退き、魔理沙は箒を握り締めた。目の前の黒い物体は 低いうなり声を上げている。 「犬……!?」 後ずさる魔理沙にゆっくりと迫るそれは、大型の野犬のようだった。しかし格子から注 ぎ込む月光に浮かび上がったそれを見て、思わず絶句する。あちこちの体毛が抜け落ち皮 膚は爛れ、骨や筋肉も露出していた。あのアリスがゾンビだと言うなら、これはゾンビ犬 といったところか。 背後でも障子が破られた。ハッとして振り返ると、似たようなシルエットがこちらめが けて飛び掛ってくる。軌道から察するに狙いは喉笛、そして今からでは回避が間に合わな い。 魔理沙はとっさに左腕を顔の前にかざした。直後、前腕部に焼け付くような痛みが走る。 鋭い牙と強靭な顎で食いついたゾンビ犬は、腕を振り回してもなかなか離れようとしなか った。 「このっ……離せよッ!」 苦痛に顔を歪めながら、魔理沙は箒を逆手に持った。そのままゾンビ犬の左眼球に振り 下ろす。ぐにゃりとした感触が柄を通じて伝わり、相手の左目が潰れる。甲高い悲鳴を聞 きながら腕を振り回すと、ゾンビ犬は奥の壁に叩きつけられた。 もう一方の動く気配がする。魔理沙は勘を頼りに振り向きざま、身体をひねって箒を水 平に振った。狙いに違わず、飛び掛ってきたゾンビ犬の顔面に直撃した。空中で叩き落さ れ、床に倒れこむ。 しかしアリス宅での経験から、こいつらはまだ動くだろうと魔理沙は考えた。動きの速 さを考えると、下手に逃げるのは追われて危険かもしれない。 ふと、腰のポーチ、その中身の存在を思い出す。キノコで作った『失敗作』だ。だが、 固形爆弾としては充分な性能を持っている。取り出す間にも二匹のゾンビ犬はうなりなが ら身体を起こしていた。考えている時間は無いらしい。 魔理沙は意を決して、固形爆弾を壁めがけて思い切り投げつけた。同時に屋外へ身体を 投げ出す。直後、小爆発が発生し寝室から爆風が吹き出した。障子という障子をなぎ倒し、 格子からは物凄い勢いで炎が噴き出している。 地べたにうつ伏せで倒れこむ魔理沙は、轟音でやられた耳の痛みに顔をしかめた。軋む 身体を起こして振り返ると、寝室から上がった火の手は広がりつつあり、神社全体が炎上 するのも時間の問題に思えた。 「悪いな、霊夢。修理の時には手伝うぜ」 そう口にしながらも修復できるのだろうか、という不安が魔理沙の頭をよぎった。が、 今は考えないことにしておく。この事態を生き延びることができたなら、その時にゆっく り考えればいいだろう。 燃え盛る神社を後にした魔理沙は、人里を目指して林道を走っていた。ここから一番近 い場所で頼れそうなのが慧音だったためである。彼女なら、今の事態について何か知って いるかもしれない。 足が地面を蹴るたびに左腕の噛み傷に響き、魔理沙は顔を歪める。おそらく骨にまで達 しているだろう。 「この傷……出血が止まらないな……」 主要な血管は破られずに済んだようだが、そのわりに治まる気配が感じられない。それ だけ深い傷ということなのか、それとも他に理由があるのか。だが、今の魔理沙には知り ようもないし、知ったところでどうにかできるものでもなかった。 視界が開け、人里の入り口が見えたとき――魔理沙は呆然とその場に立ち尽くした。ど うしようもない絶望と無力感が胸を埋め尽くす。両の瞳に映るその光景を前に、魔理沙は 乾いた笑いを漏らすことしかできなかった。 「は、はは……。何の冗談だ、こりゃ……」 人里のあちこちから火の手が上がっていた。そのために崩れかけた家々も少なくない。 そして里を舐める炎の舌は、闇の中を蠢く者たちの姿をも浮かび上がらせていた。 遠目にも分かる、目に付く人間という人間の全てがアリスのようにゾンビと化している。 彼らは呻き声を上げながら、生肉を求めて彷徨い歩いていた。中には身体が炎上している 者もいたが、お構い無しに歩き回っている。魔理沙は地獄を見たことがない。しかしこれ を地獄と呼ばずして、何と呼ぶのだろうと彼女は思った。 時折、生きた人間のものと思われる悲鳴も聞こえてきた。しかしゾンビの呻き声が圧倒 的なのに対し、逃げ惑う人々の声はあまりに少ない。この里はもう死んでいる、魔理沙は 確信に近いものを感じた。だがそれでも、彼女は里へ向かう足を止めようとはしない。 「慧音……あいつはどうしてる!?」 炎を避けゾンビを避け、死の支配する人里を魔理沙は駆けた。行く手を阻むゾンビは殴 り倒し、転ばせ、突き飛ばし、あるいはかわしてやり過ごしていく。彼らの力は強いが、 動きが鈍いのが幸いだった。煙を極力吸わないようにしつつ、先を急ぐ。 だが嫌というほど見慣れた建物の前にやってきたとき、魔理沙は思わず立ち止まってし まった。炎に飲み込まれつつある家の入り口には『霧雨店』の看板が見える。そう、彼女 の実家だ。勘当されてから数年、目の前に立つのは実に久しぶりのことである。しかし彼 女が立ち止まったのは、単に懐かしさや感傷のためではなかった。 「親父……」 周囲にゾンビは少ないが、店の前で一人、ゾンビと化した中年男が人間の腕をかじって いた。彼はこちらに気づくと腕を捨てて、呻き声と共にゆっくり立ち上がる。やはり新鮮 な肉を好むのだろう。こちらへ迫る醜悪なゾンビ――魔理沙の実の父親だった。 娘の生肉を求めて、彼はフラフラと向かってくる。魔理沙は後ずさり、悲痛な思いで叫 んだ。 「やめろ……やめてくれ親父!」 箒を握り締める手に、うまく力が入らない。仲違いしたとはいえ、実の父親だ。肉親の 情は簡単に断ち切れるものではないのだろう。ごく普通の娘がそうするように、父として 慕っていた時期もあったのだ。 それがこんな姿に成り下がり……自分を食おうとして迫ってくる。これほど酷い話があ るか、と彼女は思った。 躊躇しているうちに、父は目の前まで接近していた。両腕を伸ばし、掴みかかってくる。 魔理沙は辛うじて箒の柄で止めたが、体格差もあって今にも押し倒されそうだった。 白目をむいて歯をむき出しにする父を見ていると、恐怖や嫌悪を感じると同時に、魔理 沙は悲しくなった。魂を失くした抜け殻となり、本能に突き動かされるだけの怪物として 人を襲う。父をこのままにしておくのは――彼の人格に対する侮辱のように思えた。 意を決して、魔理沙は父の腹を蹴り飛ばした。彼はよろめき、上体が大きく後ろへのけ ぞるが、転倒には至らない。そして体勢を直すと再び向かってきた。 「うわああああああああああああ!!」 絶叫しながら飛び掛り、魔理沙は箒をフルスイングした。狙いはアリスの時と同じ、頭 部。物凄い音がして父の首が捻じ曲がった。頚椎の折れる音がやけに非現実的に響く。彼 はようやく動きを止めて、その場で崩れ落ちた。 それを見届けると、魔理沙はその場にへたり込んだ。勘当されて以来、父とは一度も顔 を合わせていない。最後に交わした言葉は魔理沙が出て行く時の捨て台詞、そしてそれが 本当に最後のものとなってしまった。 娘と離れて過ごす日々、彼は何を思ってきたのだろうか。魔理沙は周囲の状況も省みず、 ただ泣きじゃくった。 「父さん……父さん……」 頬を伝って涙が零れる。それは焦げかけた父の衣服に吸い込まれ、消えていった。 ゾンビたちは父の死を悼む暇も与えてはくれなかった。囲まれそうになった魔理沙は包 囲の一角を破り、まっすぐに寺子屋を目指す。慧音がいるとすればあそこだ。背後からは 無数の殺意がうねり、迫ってくる。魔理沙はそれを感じながら、ようやく寺子屋の前にた どり着いた。 「おい慧音、いるのか!?」 怒鳴りながら扉を開けようとするが、びくともしない。向こう側からかんぬきを差し込 み、さらにバリケードを築いているのかもしれない。そうこうするうちにもゾンビの群れ は距離を縮めてきた。これでは引き返すこともできない。突破するにはあまりに数が多す ぎた。 「くそっ! これまでなのかよ……!!」 「……理沙……魔理沙、なのか?」 「!?」 寺子屋の中から慧音の声が聞こえる。ただ、その響きがひどく弱々しいのが気になった。 ともかく魔理沙は大声で叫んだ。 「ああ、そうだ! 死体野郎に囲まれてる、中に入れてくれ!!」 「裏だ、裏口に……」 声に従い、魔理沙はゾンビの腕をかわして寺子屋の裏へと回った。そこに木製の引き戸 がある。戸は何の抵抗も無く開いた。魔理沙は急いで中へ飛び込む。引き戸を閉めると、 名前を呼ばれた。 「魔理沙!」 同時に、戸をロックするためのつっかえ棒が回転しながら飛んでくる。魔理沙は器用に 受け取ると、引き戸を閉ざした。 寺子屋の中はまるで台風が通った後のように滅茶苦茶だった。物という物が散乱し、破 壊され、そして無数の血糊があちこちを汚している。魔理沙の想像通り、正面入り口には 机や椅子が積み上げられ、バリケードになっていた。ゾンビたちが外から叩いているよう だが、とりあえず破られる気配は無い。 「魔理沙……お前も無事だったのか」 壁にもたれかかるようにして座る慧音が力なく笑った。右脇腹、右前腕、左肩口に包帯 を巻いており、どの部位も染み出した血液で真っ赤になっている。出血のせいか、肌は紙 のように白かった。 「なんとかな。……ひどい怪我じゃないか」 魔理沙も腰を下ろし、慧音を気遣った。そして遅まきながら、彼女の周りに横たわる子 供たちの姿に気づく。皆、どこかしらに傷を負っていて、そして息をしていなかった。魔 理沙の視線に気づいた慧音が、悲しげに顔を歪める。 「……守ってやれなかった。それどころか、私は……私は……」 その先は聞かなくとも魔理沙には想像がついた。子供たちからもゾンビ化する者が現れ、 慧音はその手にかけざるをえなかったのだろう。 しかし感傷に浸っている時間は無さそうだった。正面入り口を叩く音が先程から少しず つ激しくなっている。バリケードも揺らぎ始めていた。生肉と血の臭いをかぎつけて大勢 集まっているのだろう。 「慧音、これはどういうことなんだ? お前がいながら、なんで里はこんなことになっ た?」 「そうか、お前は知らないんだな。そういえばしばらく里に姿を見せなかったからな… …」 言いながら慧音は救急箱を持ち出し、魔理沙の左腕の治療を始めた。そして同時進行で 事の成り行きを語る。 「この一ヶ月ほどだろうか、里におかしな噂が流れ始めた。深夜、妖怪とは違う、見たこ ともない化物が現れたという話だ」 「化物?」 「ああ……私も調査してみたが、それらしい痕跡だけで実物は確認できなかった。そして 噂がささやかれるようになったのとちょうど同じ頃、里で奇妙な病が流行り始めた」 消毒薬が傷口にしみる。魔理沙は顔をしかめつつも、病と聞いてピンと来るものがあっ た。それを裏付けるような慧音の言葉が続く。 「始めは皮膚病のようなもので、痒みを訴える者が現れ始めた。症状が進行すると体組織 が壊死し、腐り落ちる。やがて定期的に意識混濁を引き起こし、最後には人間としての理 性を失う。……後は、お前が外で見てきたとおりだ」 「……」 「それでも最初は発症者が少数だったから対処できた。だが、数日前に奴らが爆発的に増 えた。もう私の手にも負えなくなった。力も使えなくなってしまったしな……」 「ちょっと待て、お前も力が使えない? ひょっとして空も飛べないのか?」 「そのとおりだ。……お前も? なら、魔理沙……」 「ああ、魔法は使えないし空も飛べない。私だけじゃなかったんだな、くそっ……!」 魔理沙は思わず舌打ちした。これはどういうことだ、自分だけでなく慧音まで、なら他 の連中も……。彼女がそんなことを考えていると、左腕の手当てが完了した。しっかりと 包帯が巻かれ、いくらか楽になった気がする。 「力が使えなくなったのは……ちょうど奴らが一気に増えたのとほぼ同じ時期だ。何か関 係があるのかもしれないが……」 「奴ら、話に聞くゾンビにそっくりだ。ゾンビ……紅魔館の仕業か?」 レミリアは吸血鬼、吸血鬼は不死者の王。この異変と関わりがあってもおかしくない。 だが魔理沙は途中で思い直した。それならどうしてパチュリーは殺されたのか。魔理沙の 認識が正しければ、彼女とレミリアは親友だったはずだ。そんな疑念を裏付けるように、 慧音がかぶりを振った。 「いや、それは無いだろう。まず、皮膚病の説明がつかない。そして何よりあのお嬢様は 『スカーレットデビル』だからな……」 幾ばくかの嘲りもこめて、慧音が言った。血を吸いきれずに服を汚し、眷属を増やせな い。それゆえの二つ名だ。そんな彼女にこれほどの事態を引き起こせるとは考えにくい。 「紅魔館がどうなっているのかはわからん。湖上の要塞であるあの館なら、あるいは防ぎ きれるかもしれないが……」 「じゃあ、いったいなんだってこんな……」 「……魔理沙、少し前に霊夢が来たぞ」 「本当か!?」 最初に探し求めていた人物の名を聞いて、魔理沙は思わず声を上げた。その無事を安堵 すると共に、彼女なら核心に迫れるのではという期待が高まる。 「霊夢もやはり力を失っていたが、それでも勘だけはまだ働くらしい。ここでしばらく話 をした後、永遠亭に――」 今までゾンビの猛攻を防いでいた正面入り口、その限界がとうとう訪れたらしい。大き な音がして扉が破られ、バリケードの机や椅子が崩れ落ちた。そして燃える里を背にした ゾンビの大群が腕を突き出し、こちらへ向かってくる――その新鮮な肉にありつくために。 「ちっ、おいでなすったぜ!」 「魔理沙、逃げろ! ここは私が食い止める!」 「無茶を言うな、お前も来るんだよ!」 古びた刀剣を手にゾンビの前に立ちはだかる慧音。魔理沙はそんな彼女の腕を引くが、 振り払われてしまった。 「永遠亭、永遠亭に行くんだ! 霊夢が向かった行き先だ、きっと何かある! だから、 お前は――」 こちらを振り向いていた慧音の首筋に、ゾンビが勢い良く噛み付いた。慧音の悲鳴が狭 い寺子屋に反響する。それでも彼女はゾンビを振りほどき、古刀で生ける屍の首をはねた。 しかしゾンビの数はあまりに多く、一斉に群がってくる。 「慧音!」 「行け……私に構うな……ああああああああっ!!」 全身を食いちぎられ、絶叫して倒れる慧音。すでにゾンビの群れに遮られ、彼女の姿は 見えなくなっていた。こうなってはもうどうしようもないことくらい、魔理沙にも理解で きる。彼女は己の無力を呪いながら、裏の引き戸から脱出した。 辛くも人里を脱した魔理沙は、迷いの竹林を走っていた。人里から流れてきたと思われ るゾンビがうろついていたが、数が少ないので無視して先を急ぐ。しかし魔理沙は内心の 焦りを抑えられなかった。この竹林を迷わずに突破し、永遠亭にたどり着けるのか。神が かり的な勘を持つ霊夢ならともかく、自分にできるのか、自信がなかった。 だがしばらく進むうちに、ゾンビ化した因幡の姿を見かけるようになった。どうやら永 遠亭も災厄からは逃れられなかったらしい。理性を失い、生肉を求めてこちらまで彷徨い 出てきたのだろう。 「待てよ、だったら……」 あることに気づき、魔理沙は思わず呟いた。因幡は永遠亭に住んでいる、ゾンビ化した 者は基本的にあそこから流れてきたと考えていいだろう。ならば、ゾンビ因幡をたどって いけば、やがて永遠亭にたどり着けるのではないか。数秒の検討の後、魔理沙はこの案を 採用した。何の手がかりもなく、やみくもに進むよりはマシだろう。彼女は自分の思い付 きを信じてさらに足を速めた。 彼女の目論見は見事に的中し、永遠亭にたどり着くことに成功した。門前をうろついて いた数体のゾンビ因幡を殴り倒し、邸内へと侵入する。 久しぶりだな、と思いながら魔理沙は廊下を歩いた。おぼろげながら、間取りは覚えて いる。彼女が目指すのは輝夜の間だった。何か知っているとしたら、彼女か永琳だろう。 大多数が外へ流れてしまったのか、ゾンビ因幡の数は少なかった。この程度ならば脅威 にはならない。それでも油断はせずに、先へ進んでいく。記憶は正しかったようで、さほ ど労せずして輝夜の部屋にたどり着いた。しかし、薄暗く広大なこの部屋には誰の姿も見 当たらない。 「さて……どうしたものかな」 当てが外れ、魔理沙は肩をすくめた。その時、首筋に水滴が落ちる。魔理沙は思わず飛 び上がって悲鳴を上げそうになったが、辛うじて自制した。直後、違和感を覚える。 「……水滴?」 どうしてこんな室内で、という疑問がわいてくる。答えを求めて天井を見上げたとき、 魔理沙は言葉を失った。 天井に張り付いていたのは異形の怪物だった。全身の皮を剥いだように筋肉組織が露出 した四足歩行の存在で、前足には鋭く巨大な爪が伸びている。だが何よりも魔理沙の目を 引いたのは剥き出しの脳と眼球の無い顔、そして異常なまでに長い舌だった。今の水滴は 怪物の唾液だったのだ。 怪物は金切り声を上げ、魔理沙の目の前に降り立った。思わず後ずさり、箒を強く握り 締める。 何の前触れもなく怪物が飛び掛ってきた。巨大な爪の生えた腕を振り上げている。魔理 沙は反射的に身体を投げ出していた。鋭い一撃が身体をかすめていく。攻撃をやり過ごし、 飛び込み前転の要領で体勢を立て直す。 その時、怪物の長い舌が鞭のようにしなった。脇腹を打ち据えられ、魔理沙の身体が吹 き飛ぶ。襖に激突し、そのまま襖と一緒に畳へ倒れこんだ。打たれた左脇が酷く痛む。肋 骨をやられたのかもしれなかった。 どうする、と魔理沙は自問した。怪物はゾンビとは比べ物にならないほど素早く、強い。 相手には鋭い爪と、リーチの長い舌がある。半端な攻撃ではこちらが先に殺されるだろう。 固形爆弾なら見込みもあるが、霊夢と合流する前に永遠亭を炎上させるのは躊躇われた。 ふと、いつまでたっても怪物がこちらへ向かってこないことに気づく。そういえば怪物 には眼球が無い。音を頼りに行動しているのかもしれない。そして床の間に飾られた大小 の日本刀が目に付いた。 意を決して、音を立てぬようそっと床の間に近寄る。箒は畳に置いて、大小を静かに鞘 から抜いて手に取った。怪物はまだこちらに気づいていない。魔理沙はポケットからコイ ンを取り出すと、少し離れた位置へ放り投げた。 途端に物凄い勢いで怪物がその辺りに飛び掛った。振り下ろされた爪が畳に突き刺さる。 魔理沙は怪物へ――正確には怪物の舌へ跳んだ。逆手に握った長刀で伸びきった舌を刺し 貫く。怪物の金切り声が耳障りだが、構わず長刀をそのまま畳に押し込んだ。怪物は長刀 で釘付けにされた格好になる。 そして脇差を思い切り振り下ろした。露出した脳の重要部位――脳幹に刀身が突き刺さ る。怪物は激しく痙攣し、やがて全身が弛緩した。どうやら死んだらしい。 「……いったいどうなってるんだ、この屋敷は」 魔理沙は安堵のため息と共に呟く。そして箒を拾い上げたとき、掛け軸のズレが目に付 いた。気になってめくってみると、壁に小さなボタンが隠されている。少し考えた後、ど うせ手がかりも無いのだからと魔理沙はボタンを押してみた。 地鳴りのような音がする。書棚が横にスライドし、隠されていた部屋が露になった。小 さな部屋だが、地下へ降りる梯子がかかっている。これはいよいよ怪しい、と思いつつ魔 理沙は梯子を降りていった。 梯子を降りた先はまるで別世界だった。つるつるした床、塗装された石造りの壁、剥き 出しの配管や通気孔、そして近づくと機械的な作動音を立てて開く金属の扉。純和風の永 遠亭とは正反対の空間だった。 そしてここにもゾンビの姿はあった。人間や因幡をベースにしたと思われるもので、外 にいたものとは異なり、全身の皮膚が失われていて筋肉が剥き出しだった。数は多くない が、見ていて気分のいいものではない。魔理沙はゾンビをかわし、あるいは排除しながら 探索を進めた。 あちこちで様々な書類を発見したが、それらの記述は今回の異変に永遠亭が関わってい ることを匂わせるものばかりだった。ただ、この事態は彼らにも予想外だったようで、報 告書などからはその追い詰められた心理がうかがい知れる。 やがて魔理沙は広い部屋にたどり着いた。中には大きなテーブルがあって、他の部屋で も見かけたものだが『コンピュータ』と呼ばれる式が置いてある。香霖堂で見かけたこと があるが、ここにあるのはそれよりも新しいもののようだった。 そして奥の壁には大きな掛け軸のようなものが垂れ下がっている。しかし不可解なこと に何も描かれておらず、一面真っ白だった。 魔理沙が一歩踏み出したとき、何かで口を押さえられ、いきなり物陰に引きずり込まれ た。 「!?」 「魔理沙さん、私です、鈴仙です」 そう言うと、鈴仙は魔理沙の口から手を離した。心臓が飛び出すような思いだったが、 どうにか落ち着きを取り戻す。それと同時に苛立ち、怒りがこみ上げてくる。目の前に災 厄の元凶、その一人がいるのだ。 「お前らのせいだろ、こんなことになったのは!」 「それは……否定しません。怪物を生み出すウイルス兵器を作ったのは私の師匠――八意 永琳です」 「兵器? ……まあ、そんなことだろうと思ったぜ。で、お前はその助手か?」 「……信じてもらえないでしょうが、私は関わっていません。私は何も知らされていなく て、今まで必死で逃げ回っていたんです」 魔理沙が反論する前に鈴仙はコンピュータのもとへ行き、何かを操作した。すると先程 まで真っ白だった掛け軸に文字や画像が浮かび上がる。それはにわかには信じがたい内容 だった。 「あのスクリーンを見てください。これが師匠の考案した兵器の産物です。……姫と師匠 は、幻想郷を我が物とする野望をいつからか抱いていたようです。そのために二つのもの を考案しました。一つはこれらの怪物を生み出すウイルスです。各地で発生したゾンビは 感染した者の成れの果てです……」 スクリーンには次々に色々なものが映し出されていく。ゾンビ犬や舌の長い怪物、それ に魔理沙が遭遇していない奇怪な生物などだった。最後に『E-001』とだけ書かれ、詳細 のはっきりしないデータが映し出される。 「ですが、師匠はそれだけでは不十分だと考えたようです。幻想郷の住人には強い力を持 った者が少なからず存在します。そこで製作したのが『マジックジャマー』――あらゆる 魔力や霊力を無力化する装置です。その有効範囲は幻想郷の全土に及びます。幻想郷の強 者の力を封じ込め、強力な兵器と怪物で圧倒する――それがあの人たちの計画だったよう です」 「そうか、それで魔法が……」 自分が飛べなくなっていたのも、慧音が力を失っていたのも、鈴仙の言葉が真実ならつ じつまが合う。 「ただ、実験中の事故でウイルスが大量流出し、汚染が外にまで及んでしまったようです。 事態の収拾が不可能と判断し、マジックジャマーを起動して自分たちは地下で研究を最終 段階まで進めた――これが、私が調べた限りで知っている事実です」 突拍子も無い話に、魔理沙はどうしたものかと思った。鈴仙が一味でないという保証は 無い。 だがそれなら最初に魔理沙の口を押さえた時点で殺していたはずだ。それによく見ると 鈴仙の服はボロボロで、顔には疲弊が色濃く現れている。信じてもいいのではないか、と 魔理沙は思った。 「そう、それと霊夢さんがこの施設に監禁されています」 「なんだって!?」 「師匠たちを止めようとして、逆に捕らわれたようです。今、霊夢さんは――」 耳慣れない乾いた音が室内に反響し、鼓膜を貫く。そして火薬の臭いがほんのりと漂っ た。鈴仙は胸を押さえ、その場で崩れ落ちる。魔理沙には何が起きたのか理解できなかっ た。 「裏切り者が余計なことをベラベラと……。鈴仙も馬鹿だなあ、姫たちに従っていればこ んなところで死なずに済んだのに」 「お前……!?」 妙に明るい口調と共に姿を見せたのは妖怪兎のリーダー、因幡てゐだった。その手には 黒い金属の塊が握られている。魔理沙はそれに見覚えがあった。香霖堂で見かけた外の武 器、自動拳銃と呼ばれる代物だ。火薬の力で金属の弾丸を発射し、相手を殺傷する。香霖 堂には一つしか無かったが、ここ永遠亭ならゴロゴロしているのだろう。 「なるほど、お前はあっち側か……」 「そういうこと。……妙な事は考えないほうがいいよ。弾丸より速く動ける人間なんて存 在しないから」 銃口を向けられ、振り上げかけた箒を下ろす。鈴仙が撃たれた時の事を考えると、てゐ の言葉は事実だろう。どうしたものか、と思案する。この距離ではどの手を選んでも、先 に撃たれるのは明白だった。 確かに永遠亭の技術は強力だ。しかし、それだけで本当に様々な人妖を相手にできるの かという疑問もある。魔理沙は隙を窺う時間稼ぎも兼ねて問いかけてみた。 「幻想郷を支配するつもりらしいな。本気でそんなことができると思ってるのか?」 「できるよ。魔理沙だって外の様子は見てきたでしょ? それに、私たちの手には最高の 研究成果があるんだから」 「研究成果?」 「……いいよ、見せてあげる。どうせ死ぬなら、いいものを見てからのほうがいいでし ょ?」 完全に優位に立っていると確信しているのか、てゐは小馬鹿にしたように笑った。そし て奥の扉を示して言う。 「あのエレベーターに乗って。その先にあるから」 「……そりゃ楽しみだ」 鈴仙も研究が最終段階に進んだと言っていた。てゐの言うものはそれと同一なのか、と いう疑問がわいてくる。そして、魔理沙には従う以外に選択の余地は無かった。 エレベーターはどんどん下降して行き、やがて秘密研究所の最下層へとたどり着いた。 てゐに促されるままに先を歩く。魔理沙には理解できないものばかりだったが、恐らくと ても高度であろう機器が大量に設置されている。いくつもの大型水槽が並び、得体の知れ ない物体が浮かんでいた。 「見てよ魔理沙、あれがそうだよ」 「……!?」 一番奥、円筒状の水槽に『それ』はいた。それは禍々しいまでに美しい女体、一糸纏わ ぬ白い裸身が魔理沙の前に晒されている。その姿にはどこか見覚えがあるように思えた。 「輝夜……いや、永琳……か?」 輝夜と永琳を足して二で割ったような容貌のそれを前に、魔理沙は思わず口に出してい た。腰まで伸びた長い髪は輝夜のもの、だがその色は銀。顔立ちは輝夜とも永琳とも言え るようなものだった。 「まあ正解、かな。正式にはE-001『永夜』、あの二人が融合した存在だよ」 「融合だと!?」 「月人であり蓬莱人である二人を掛け合わせることでその力は増大、そして地上の妖怪を 取り込むことで究極の存在へ進化するんだよ……」 顔中に暗い愉悦の笑みを貼り付けながら、てゐは手元の機器を操作した。液体が抜け、 次いで水槽のガラスが降り『永夜』が解き放たれる。それは目を開くと、ぞっとするよう な笑みを浮かべた。 『てゐ、よくやったわね』 輝夜と永琳の声が重なったような、奇妙な響きだった。労いの言葉にてゐは満足げな笑 みを浮かべている。その彼女を、長い銀髪の一部が蛇のように鋭い動きで襲った。触手の ような髪がてゐの胸に突き刺さる。自動拳銃が音を立てて床に転がり落ちた。 「ああ……姫、永琳様……」 てゐはまるで抵抗の素振りを見せず、それどころか恍惚とした笑みを浮かべていた。そ の身体がどんどん萎れていく。永夜はてゐを『吸収』しているらしい。異様な光景を前に、 魔理沙は立ち尽くすことしかできなかった。やがててゐの身体は完全に消滅し、衣服だけ が床に残された。 そして永夜。見た目ではよく分からないが、てゐの言葉が事実ならその力は強大化して いるのだろう。いくらか身体が大柄になったようにも見えた。その永夜がこちらを向く。 射抜くような異形の眼差しに、魔理沙は思わずすくみあがりそうになった。 『魔理沙、光栄に思いなさい。究極の生命体に進化した私たちの、最初の餌食になれるの だから』 「冗談じゃない、そう簡単にやられてたまるかよ!」 魔理沙は絶望的な心境で、それでも自らを鼓舞するように叫んだ。そして腰のポーチに 手を伸ばす。今は火災がどうのと気にしている場合ではない、とにかく目の前の化物を殺 して生き延びることが最優先だった。 「!?」 だが固形爆弾を取り出すよりも速く、永夜が目の前まで踏み込んできた。いつの間に、 と思った次の瞬間、永夜の膝がみぞおちにめり込む。爆発のような衝撃が体内を突き抜け た。部屋の反対側まで吹き飛ばされ、背中から壁に激突する。息が止まり、そのまま床に ずり落ちる。 軽い脳震盪を起こしたのか指先まで痺れていたが、それでも起き上がろうとする。だが その時、魔理沙は強い吐き気に見舞われた。耐え切れずに嘔吐すると、床が真っ赤に汚れ る。今の一撃で内臓をやられたらしい。酷いめまいがして体は鉛のように重く、時おり視 界が霞む。 永夜の圧倒的な力を前に、魔理沙は逃げ回ることしか出来なかった。枝分かれする無数 の髪が鞭のように振り回され、室内の機器が徹底的に破壊されていく。水槽が割れて液体 が流れ出し、壁や天井の配線が剥き出しになっていく。魔理沙は必死で走り、ギリギリの タイミングで攻撃を避け続けていた。どうやら向こうはこちらを弄って遊んでいるらしい。 このままでは埒が明かないと、魔理沙は床に転がっている自動拳銃に飛びついた。てゐ が使っていたものだ。基本的な扱い方は霖之助から教わっている。照準を合わせ、引き金 を引き絞り、二連射。発砲音が立て続けに耳を劈き、反動が肘まで伝わってくる。永夜の 胸の辺りから血が噴き出していた。二つの空薬莢が床に転がって澄んだ音を立てる。 『こんなもので私たちを殺せると思ったの?』 永夜が嘲笑うように言った。その言葉を裏付けるように、胸の傷が瞬く間に塞がってい く。確かに究極を名乗るだけあって、尋常ならざる再生能力だった。 「マジかよ……」 『そろそろ飽きてきたわね。知り合いのよしみよ、せめて楽に死なせてあげるわ』 つまらなそうに言うと永夜の手、その五指の爪が伸びて長大な剣のようになった。あん なものをまともに食らえばひとたまりもないだろう。何か、何か手は無いのかと魔理沙は 必死で考えた。思いつかなければ死あるのみである。 永夜はゆっくりとこちらへ歩み寄ってくる。ひたひたとした足音が、水音に変わった。 破壊された水槽からあふれ出た液体である。魔理沙はハッとして辺りを見渡した。足元に は切断され、剥き出しになった高圧電流のケーブルが転がっている。その先端は音を立て て放電していた。 「悪いな、やっぱり私は往生際が悪いらしい」 魔理沙はケーブルを放り投げながら告げる。ちょうど永夜の足元の水溜りに落下した。 放電しているケーブルと水の接触、その結果として当然の現象が発生した。 『ウガアアアアアアアアァァァァァッ!!!!!』 全身を高圧電流が駆け巡り、永夜はすさまじい絶叫を上げた。激しく痙攣し、体中から 煙が上がっている。それでもなおこちらへ向かってこようとしていたが、やがて前のめり に倒れた。奇妙な静寂で室内が満たされる。 魔理沙はしばらく放心状態で永夜を眺めていた。うつ伏せになったまま、永夜はピクリ とも動かない。危機が去ったことを理解するのに、しばらく時間がかかった。やがて魔理 沙は心からの安堵のため息をつく。 「……そのザマじゃ、幻想郷は取れなかっただろうな」 エレベーターで上へ戻ると、建物中に警報音が鳴り響いた。機械的な音声が施設を爆破 する旨を伝え、すみやかな避難を勧告している。魔理沙は湧き上がる焦燥を抑えられなか った。まだ霊夢を見つけていないというのに、ここを爆破されてはたまらない。 「魔理沙さん!」 「鈴仙!? お前、無事だったのか」 駆け寄ってきた鈴仙を見て、魔理沙は目を丸くした。彼女はてゐに胸を撃たれて倒れた はずである。そんな魔理沙の疑問に答えるように、鈴仙はブレザーを軽くめくった。内側 には黒いチョッキのような物を身に着けている。 「これは良い防弾ベストですよ。もっとも、頭を撃たれてたらそれまでだったんですけど ね」 魔理沙にはいまいち理解できず、そういうものかと思うしかできなかった。それに今は そんな事は些細な問題である。鈴仙はすでに事態を把握しているらしく、早口で告げた。 「魔理沙さんが師匠たちを倒したみたいですね。『あれ』は施設のシステムと連動してい たようで、活動停止に反応して起爆装置が作動するようです」 「細かいことはどうでもいい、霊夢はどこだ!?」 「ここの地下牢です。詳細な位置とロックの解除コードをメモしておきました、急いでく ださい!」 そう言って鈴仙は地図と数字の羅列の記された紙切れを押し付ける。これを見る限り、 霊夢の位置はそう遠くない。 「それでお前はどうするんだ?」 「私はマジックジャマーをシャットダウンしてきます、力さえ使えれば空を飛んで安全に 逃げられますから! 中庭で待っててください!」 「よし、そっちは頼んだぜ!」 やかましい警報が鳴り響く中、魔理沙は廊下を大急ぎで駆けていた。行く手には数体の ゾンビが待ち受けている。彼女は動きを止めず、むしろ加速させながら箒を振り回した。 「邪魔だああ!!」 勢いに任せてゾンビをなぎ払い、頭に叩き込んだルートどおりに進んでいく。やがて見 るからに頑丈そうな鋼鉄の扉の前にたどり着いた。地図が正しければ、ここに霊夢が閉じ 込められている。 扉の脇の入力装置で、メモの通りの数字を打ち込んだ。程なくして、重い音を立てて扉 が開く。 「霊夢、生きてるか!?」 「魔理沙!? なんであんたがここに……」 「話はあとだ、早く脱出するぞ! 急がないとここが吹っ飛んじまうぜ!」 霊夢も警報で事態は把握していたようで、駆け出した魔理沙の後に続く。今、考えるべ きことは急いでここを出ること。それ以外には何もなかった。 秘密研究所を抜け、降りてきた梯子を昇って永遠亭の地上部分へと出る。魔理沙と霊夢 はそのまま中庭へと脱出した。後は鈴仙を待つのみである。日の出は近く、すでに空は白 みかけていた。生きて朝日を拝みたいものだ、と魔理沙は心の底から思った。同時に例の 音声が爆破まであと三分であることを告げる。 「鈴仙、急げよ……!」 この状況下で待つというのは辛いもので、魔理沙はいてもたってもいられなかった。そ れは霊夢も同じだったようで、いつになくそわそわしている。その時、警報に混じって異 様な物音が聞こえた。どうやら地面から聞こえているらしい。 「何の音かしら……?」 霊夢が不安げに呟く。その直後、中庭の中央が異様な盛り上がりを見せた。二人は思わ ず後ずさり、距離を取る。魔理沙はポーチから残る全ての固形爆弾を取り出した。いつで も投げられる体勢を取っていると、やがて地面が勢いよくぶち抜かれ、下から何かが飛び 出してきた。 それは霊夢には得体の知れないもので、魔理沙にとっては二度とお目にかかりたくない ものだった。 「なんなの、これ……!」 「チッ、しつこい奴らだな!!」 現れたそれを見て、魔理沙は吐き捨てるように言った。永夜だ。体のあちこちが焦げた ようになっているが、まだ動くには十分らしい。永夜はこちらを向くと、先程の余裕とは 打って変わって怒りをあらわにした。 『魔理沙、やってくれたわね! これで計画は台無しよ!』 「ああ、そうかい!」 魔理沙は相手が動き出すのを待ってやるつもりなど毛頭無かった。怒鳴り返すのと同時 に全ての固形爆弾を投げつける。その全てが命中し、永夜の姿は爆炎に飲み込まれた。そ れでも油断せず、自動拳銃を構えて警戒態勢を取る。 黒煙を切り裂き、永夜が飛び出してきた。魔理沙は銃を連射するが、動きが止まる気配 は無い。そして永夜は魔理沙ではなく、霊夢へと向かった。 「まずい、逃げろ霊夢!」 『もう遅い!』 魔理沙が叫ぶや否や、霊夢が殴り倒された。地面と水平に吹き飛び、落下すると何度も 転がっていき、庭木に激突してようやく止まる。意識を失ったのか死んだのか、霊夢は微 動だにしなかった。 「くそっ、この化物め!」 魔理沙はヤケクソになりながら拳銃を撃ち続けた。だが永夜はまるで意に介さない。や がて全弾を撃ちつくし、スライドはホールドオープン状態になった。予備弾倉など持って いない。 ここまでか、と思いながら銃を捨て、箒を握り締める。永夜の両手の爪が再び剣のよう に長大になった。ここで仕留めるつもりらしい。それに対し、こちらに残された武器は箒 のみ。どうにも分の悪い勝負だった。 猛烈な勢いで永夜が突進してくる。力はもちろん、速さも圧倒的にあちらが上だ。見て からでは遅いので、魔理沙は先読みで動く。 心臓を狙った一突きを横に跳んでかわす。次に来るのは首へのなぎ払い。腕が動くのと ほぼ同時に魔理沙はその場で屈んだ。帽子が引き裂かれ、布切れと化したそれが爪にさら われていく。そして足首を狙って斬り払ってきた。それをバク転で避け、後方へ飛び退く。 魔理沙が箒を握りなおすと、永夜は忌々しげに言う。 『チョロチョロと逃げ回って……! おとなしく殺されなさい!!』 「言ったろ、私は往生際が悪いんだ」 魔理沙は不敵に笑うが、このままではいずれやられるのはわかっている。その時、邸内 から弾丸状の光が飛来し、永夜の背に直撃した。背中での小爆発にふらつき、永夜は後ろ を振り向いた。魔理沙もそちらに視線を向ける。縁側にはいつの間にか鈴仙の姿があった。 右手を拳銃のような形にして構え、指先を永夜に向けている。 「魔理沙さん! ジャマーはシャットダウンしました、もう魔法が使えます!!」 『ウドンゲェェェェッ!!』 「姫、師匠……お別れです」 憤怒の永夜に対し、鈴仙はどこか寂しげに呟いた。その双眸が真紅に輝く。途端に永夜 の動きが止まった。狂気の瞳をまともに見てしまったらしい。 「今です、魔理沙さん!」 縁側から鈴仙が駆け寄ってくる。魔理沙はその意図を察すると、懐からミニ八卦炉を取 り出した。持てる魔力を魔道具に集中し、この一撃に全てをかける。射線上に永夜を捉え、 魔理沙は腹の底から叫んだ。 「マスタースパァァァァァクッ!!!」 膨大な熱量を持った極太のレーザーがミニ八卦炉から噴き出した。信じられないと言い たげな永夜が、光の中に消えていく。魔理沙が放った全力の一撃は永遠亭を半壊させ、遥 か彼方の山にぶつかってようやく止まった。木々や土砂が飛び散っているのが遠目にも見 える。そして初めからそこに存在などしていなかったかのように、永夜の姿は消えうせて いた。 傷ついた霊夢を箒の後ろに乗せ、魔理沙は大急ぎで飛び立った。鈴仙もそれに続く。直 後、永遠亭は地下から噴出する爆炎に飲み込まれた。大爆発によって何もかもが吹き飛び、 辺りに無数の残骸が飛散している。それを見て、ようやく終わったんだ、と魔理沙は実感 することができた。 魔理沙たちはゆっくりと空を飛んでいた。東の地平線からは太陽が顔を覗かせている。 既に空は明るくなっており、見渡す限り雲ひとつ無い。今日は快晴で暑くなるだろう。ご く当たり前の景色だが、惨劇の後に見るそれはとても素晴らしいものに思えた。 「……とりあえず生き延びたのはいいけど、これからどうすんの?」 魔理沙の背にもたれかかりながら、霊夢が気だるげに言う。鈴仙も何も言わないが、そ の表情は同じことを問いかけていた。少し考えて、魔理沙は答える。 「そうだな、白玉楼にでも行ってのんびりやるか。あそこならウイルスの影響も無いだろ うしな」 「でも、幻想郷はどうなっちゃうんでしょうね。それに師匠たちは蓬莱人、またよみがえ ってしまうと思うんですが……」 「さあ。でも、どうせ紫がなんとかするんでしょ。私たちが考えてもしょうがないわ」 なんとも投げやりな霊夢の言葉だが、魔理沙も同感だった。あのスキマ妖怪には底知れ ないところがある。彼女なら本当にどうにかしてしまうように思えた。それにマジックジ ャマーが失われた今、輝夜たちにできることなど限られているだろう。 「ま、そういうことだ。私らはのんびりやろうぜ」 考えても仕方が無いことはどうしようもないのだ。魔理沙はそう決め込むと、言葉とは 裏腹に飛翔速度を上げる。三人の少女たちは太陽が昇る地平線の彼方へと、飛び去ってい った。 「……ふう、ぎりぎりだったかな。最後は間に合わないかと思ったわよ」 ホッと一息ついて、長い黒髪の少女が呟いた。ゲームパッドを手にしているこの娘は永 遠と須臾を操る月の姫君、蓬莱山輝夜である。彼女の前にあるモニターには、飛び去って いく魔理沙たちの姿が映し出されていた。 やがて画面が暗転し、スタッフロールとエンディングテーマが流れ始める。出てくる名 前はどれも『Eirin Yagokoro』ばかりだった。しかし輝夜はそんな事は気に留める様子も 無く、座椅子に寄りかかりながらぼんやりと画面を眺めている。やがて最後に白玉楼の部 屋でくつろぐ魔理沙の映像が現れ、『06 32』という数字とCというアルファベットが表示 された。 「6時間半、ランクCかぁ。ま、初回プレイならこんなものかしら」 パッドを畳に置き、それなりの達成感と共に輝夜は呟いた。その時、背後の襖が開いて 誰かが入ってくる。彼女は振り向くまでも無く、それが永琳であると分かっていた。 「お気に召しましたか、姫」 「うん、いいんじゃないかな。細かいところまでそれなりに作りこんであったし」 「そうですか、それなら私も作った甲斐があるというものです」 輝夜の反応に、永琳は満足げに微笑む。試行錯誤の末に完成させた作品が評価されると いうのは嬉しいものだ。それは月の頭脳と呼ばれる永琳も例外ではないらしい。輝夜は永 琳のそんな一面を垣間見ることが出来て良かったと思う一方、気がかりなこともあった。 「でもさぁ、こんなことしちゃって本当に大丈夫なの?」 そう言って輝夜は視線を部屋の隅に這わせる。そこには醜悪なまでに大量のケーブルに 繋がれた大型の機器が設置されていた。数あるケーブルのうちの一つは、輝夜が使ってい たUSBゲームパッドのものだった。 機器の中央には永琳の作品中に登場したものに酷似した、円筒形の水槽がある。液体で 満たされたその中には、人間の脳が浮かんでいた。これが誰のものであるのか、そしてそ もそもその存在を知っているのはこの部屋にいる二人――輝夜と永琳だけである。 計画はずっと前の段階から周到に準備されてきた。そして全てが整ってからしばらく経 った頃、風邪をこじらせたと言って魔理沙が永遠亭を訪れたのである。この発病も計画通 りだった。その前回に魔理沙がやってきた際、彼女が滞在した部屋には大量のインフルエ ンザウイルスが散布されていたのだから。 後は簡単だった。診察室で全身麻酔をかけ、魔理沙を拘束する。そして永琳が執刀し、 魔理沙の脳を無傷で摘出した。今、この部屋の水槽に浮かんでいる脳、それは紛れも無く 霧雨魔理沙本人のものだった。そして永琳が手を加えてこんな姿――つまり、生体コンピ ュータにしたのである。 コンピュータなので、当然のことながらソフトウェアをインストールすることができる。 たとえば輝夜がたった今クリアしたゲームなどがそうだった。魔理沙の脳は生きている。 『彼女』はプログラムされた擬似的な世界を体感するが、彼女自身は――つまり彼女の脳 はそれを現実に起こっている出来事と認識し、苦痛や恐怖も感じる。つまりダメージを受 ければ痛いし、怪物に追われれば恐怖もするのだ。そしてゲームオーバーになれば、擬似 的なものとはいえ『死』を体験する。 だから先程のゲームは魔理沙にとっては紛れも無く本人に降りかかった災厄なのだ。自 分がゲームパッドで操作されているなどとは、夢にも思わない。プレイヤーである輝夜は、 モニターやヘッドセットを通じてそんな魔理沙の様々な感情や感覚を知ることができる。 暇を持て余した輝夜のために永琳が用意した、実に悪趣味な遊具だった。 輝夜の危惧は魔理沙が失踪したことで騒ぎになり、疑われないかということである。良 くも悪くも幻想郷において、魔理沙は有名人なのだ。しかし、永琳の余裕の表情は少しも 崩れなかった。 「その点は抜かりありませんよ。一ヶ月で培養したクローン魔理沙に所持品を持たせ、外 に放っておきましたから。クローンと言っても急ごしらえの出来損ないで、プログラムど おりの行動しか出来ません。しかし、今回の目的を果たすには十分です」 クローン魔理沙はプログラムどおりのルートを通過し、竹林をねぐらとする妖怪のテリ トリーに侵入した。そして形ばかりの抵抗をした後、その妖怪に惨殺されたのだ。今頃は 死体が発見されていることだろう。 「目撃者も用意しておきました。『魔理沙』が永遠亭を出たことは、何も知らない妹紅が 証言してくれるでしょう。彼女が『魔理沙』の姿を見かけるようなルートを設定したので すから。……これで安心できましたか?」 「さすがね、永琳。心配して損しちゃったわ」 輝夜は永琳の回答に満足した。そしてここは輝夜と永琳しか知らない秘密の遊戯部屋、 発覚の危険は無い。 「ところで姫、水槽は剥き出しのままでよろしいのですか? 筐体でそれらしい体裁を整 えることもできますが」 「ううん、このままでいいわ。脳がはっきり見えている方が『魔理沙』で遊んでいる実感 が持てるもの」 そう言って輝夜は狂気じみた笑みを浮かべる。やはり彼女も月の民、地上の者とは感覚 が違う。掃いて捨てるほどいる人間の命に対して、重みなど感じていないのだ。 「さてと、今日はこの辺りでお開きね。明日はもっと良いランクを取って見せるわ。それ にルート分岐とか隠し要素もあるんでしょ?」 「ええ、もちろんです」 「しばらくはこれで退屈がしのげそうね。……でもさあ、ラスボスが私たちってのがちょ っと微妙よね。なんとかならない?」 輝夜が少し口を尖らせた。ゲームとはいえ、やはり自分たちを吹き飛ばすのはあまり良 い気分がしないらしい。 「別のゲームを作ってインストールすれば、そちらをプレイすることもできますよ。私と しても、次はもっと面白いものを作ってみたいと思いますね」 「そう、じゃあ楽しみにしてるわね。それまではこれを極めることにするわ」 輝夜は嬉しそうに笑う。そう、彼女が飽きるまで魔理沙は永遠に『ゲーム』の中で苦し み続けるのだ。永遠を生きる輝夜がいつになったら飽きるのか――それは神のみぞ知る。
https://w.atwiki.jp/loli-syota-rowa/pages/125.html
魔法少女?マジカルアリサ ◆1sC7CjNPu2 とある、海に近い一軒の民家の中。 魔法少女……の友人であるアリサ・バニングスはそこにいた。 「……大丈夫よ、なのはとフェイトがいるんだから。 二人ならあの時みたいに助けてくれる。私は足を引っ張らないようにしないと」 そう呟くアリサの表情に不安は無い。むしろすずかがいなくて安心したくらいだ。 なのは達は大丈夫。自分の知らないところで戦い続けていた親友ならきっとなんとかしてくれる。 なんとか合流して、足を引っ張らないように注意すればいいだけだ。 そう信じて、ランドセルの中の物を探っていた。自分の身くらいは自分で守るために。 最初に出てきたのは。 「……刀」 おもちゃではない、本物の刃物。おもわずアリサは息を呑んでいた。 綺麗な刃は、ここが殺し合いの場だという事を思い出させるのには十分だ。 だが、小学三年生のアリサが振り回すには大きすぎるし重過ぎる。護身用にさえなるかどうか。 説明書も見てみたが、自在法だのフレイムヘイズだのアリサには分からない言葉ばかり。 なのはなら知ってるかな、と考えて次を探る。 次に出てきたのは、袋。 「魔法少女マジカルアンバー特製マジカルアンバーミサイル」と可愛らしい文字で書いてある。 「もしかして……これで私も魔法少女に!?」 どこか間違った期待と共に袋を開けたアリサの目に飛び込んだのは、袋一杯の瓶。 首を傾げながら説明書を取り出して、絶句した。 ……この瓶、全てが火炎瓶。 「あ、危ないわね…… 下手したら今ここで死んでたかも……」 背筋に冷や汗が走る。取り扱いを間違って着火してしまっていたら…… というかこれのどこが魔法だなどとツッコミを入れながら慎重にしまい込んだ。 そして、最後に取り出したのは…… 『これはこれは、可愛らしいお嬢さんですね~』 割烹着が似合いそうな声で喋る、ファンシーな意匠の杖だった。 □□□□□□□□ アリサの顔は喜びに染まっていた。 彼女の三つ目の支給品、その名前はカレイドステッキ。 人工精霊マジカルルビーが宿る、正真正銘の魔法の杖である。 これで私も晴れて魔法少女、なのは達の足を引っ張りはしない。彼女はそう考えたのだ。 ……最初こそは。 「よくわかんないわよ……もっと分かりやすく」 頭を抱えながら唸るアリサ。表情は苦々しいにも程がある顔だ。 全く魔法を知らないアリサに、カレイドステッキからの説明は難解すぎた。 ……もっとも、「第二魔法」だの「魔術礼装」だの専門用語を連発されれば例えなのはでも理解できないだろう。 『うーん、ではもっと簡単に。 並行世界のアリサさんができることと同じことを今ここにいるアリサさんができるようにする。 それが私の能力です』 「だから、その並行世界ってのがよく分かんないのよ」 『そこからですか。 単純に言えば、ちょっとした違いからその後のことが大きく変わってしまった世界ですね。 例えばアリサさんがこの殺し合いに巻き込まれず、普通に暮らす世界もあるわけです』 「……運のいい私ね、それ」 『世の中には、選択肢がいっぱいあるわけです。 そしてその数によって生み出される分岐の数だけ、並行世界もあるんですよ。それこそ無限に。 言うならば、「イフ」の世界ですね』 「ふーん」 カレイドステッキからの解説に、納得したような納得しないような顔で頷くアリサ。 そのまま考え込むこと、数秒。突如彼女は閃いた。 「ちょっと、私が魔法少女になった世界って無いの!?」 『あると思いますけど』 「ってことは、その世界の私と同じ能力が得られれば!」 『はい、魔法少女になれますね~』 その言葉に、思わずアリサはガッツポーズをしていた。満面の笑みを浮かべて。 彼女にだって、魔法少女に憧れる気持ちはあるのだ。 いきなり現れて、目の前でバリアを展開するなのはとフェイトの姿はしっかりと覚えている。 それになにより、もし彼女達のようなことが自分にもできるのなら…… なのはが隠さず自分に相談してくれるように、頼りがいのある友人になれたなら。 そう、本気で願っていたこともあるのだから。 「乗った、契約してやろうじゃない! なるのはもちろん、魔法少女!」 『お話が早い。では早速行きますよ~。 Ja, meine Meisterin……! Offnunug des Kaleidoscops gatter――!』 「きゃ!?」 周辺が、光に包まれる。思わずアリサは目を瞑っていた。 しばらくして発光が収まり、アリサは目を開いたが……同時に、呟いていた。 「どうも……実感沸かないわね」 『そのうち分かります。あ、服装もお付けしましたよ~』 「え、ほんと!? どれどれ……」 そう言われて、慌てて洗面所へ走るアリサ。自分の姿を確認するためだ。 魔法少女としてのコスチュームに、期待を込めながらアリサが鏡の中に見たものは。 「な、なにこれ」 紺色のフードを目深に羽織った、凄く不審人物な格好だった。 「これ、魔法少女って言うより魔女なんだけど」 『何を言ってるんですか。これは魔法少女マジカルアンバーが着る由緒正しい姿です』 「誰よそれ?」 『合言葉はケミカル!マジカル!メディカル! 愛とか夢とか白い粉で周りの人々に笑顔を振りまく魔法少女マジカルアンバーですよ~?』 「それのどこが魔法少女よ!? ……って、まさかあの火炎瓶は!」 『アンバーミサイルですか? それもあったんですか、ちょうどいいですね~。 是非二代目マジカルアンバーを襲名しましょう、アリs』 期待を裏切られてご機嫌斜めなアリサは問題無用でカレイドステッキを壁に投げ付けた、が。 無駄に頑丈なステッキには傷一つない。 「じゃあこの服いらないわ! 服だけ元に戻してよ!」 『多元転身した場合にはそれに相応しい服装になる、というのが決まりです』 「……その世界の私はこんな服を着てるわけ?」 『いいえ、私の趣味ですよ~』 「……あんたねえ!」 今度はアリサにぐりぐりと踏みつけられるカレイドステッキ。 言うまでもなく、アリサが思い描く魔法少女の姿はなのはもしくはフェイトの様なである。 こんな格好なんて少しも思いつかないし、したくもない。 それゆえの攻撃だが、カレイドステッキに堪えた様子はやはり無い。 盛大に目尻を吊り上げながらも、アリサはランドセルから最初に取り出した刀を掴み取った。 「……じゃあ魔法少女じゃなくていいわよ。 この刀を使いこなせるようにして」 別に自棄になったわけではない。ちゃんと考えてある。 刀なら着せ替えられるのは多分着物だろう、そっちの方がまだマシだ……そう踏んだのだ。 だが、それを聞いたカレイドステッキは急に黙り込んでしまっていた。 苛立ったアリサは急かすために口を開いて。 「さっさとやりなさいよ」 『じ、実はですね…… この世界においては、私の力は制限されてまして…… 私に関係ある能力しかダウンロードできないんです』 「……は?」 その口はあんぐりと開いたまま止まった。 そんなアリサを知ってか知らずか、カレイドステッキは続ける。 救いはあると言わんばかりに。 『でも安心して下さいな。私は仕込み箒も使っていました。 刀を扱う能力は仕込み箒を扱う能力で代用できますよ~』 「……その時は、どんな格好をさせられるのよ」 『和風メイd』 カレイドステッキの言葉が紡がれる前に、アリサが振り下ろした贄殿遮那がカレイドステッキに直撃した。 【H-4 民家 1日目 朝】 【アリサ・バニングス@魔法少女リリカルなのは】 [状態] 支給品をクーリング・オフしたい衝動 [装備] 贄殿遮那@灼眼のシャナ カレイドステッキ(無傷)@Fate/stay night [道具] 支給品一式、マジカルアンバーミサイル×10@メルティブラッド [思考・状況] カレイドステッキぶっ壊す 【贄殿遮那@灼眼のシャナ】 シャナが持つ大太刀。 大太刀そのものに加えられる力や敵意による干渉、自在法を無効化する能力を持つ。 魔法やそれに類するものなら全て無効化できるか? 【カレイドステッキ@Fate/stay night(Fate/hollow ataraxia)+メルティブラッド】 女性限定の愉快型魔術礼装で、契約した術者に莫大な魔力を供給するマジックブースターのようなもの。 能力は多元転身(プリズムトランス)で、使用者に並行世界の使用者のスキルをダウンロードすることができる。 例えば紅茶を上手く淹れたいなら、どこかの並行世界にいる「紅茶を淹れるのが上手いアリサ」と同じ能力を得ることができる。 だが決まりごとがあり、多元転身した場合にはそれに相応しい服装になる。例えば、紅茶を淹れるならメイド服。 制限で、メルティブラッドの琥珀さんが関わりを持たないスキルはダウンロードできない。 できることも琥珀さんと同レベルまでが限界。 割烹着が似合いそうな人工天然精霊マジカルルビーが人工知能として搭載されている。 根底に刻まれた命令は『愛と正義(ラブアンドパワー)』。 マジカルルビーにとっての正義とは世の中を等しく、 (自分にとって)面白おかしくすることで、悪とは彼女に逆らうもの。 某ロワで大活躍中のカレイドルビーを作り出した張本人。 本来これと契約すると洗脳されるが、制限により無効。 これとの契約は呪いとまで言われており、契約解除は死ぬまでできない。 【マジカルアンバーミサイル@メルティブラッド】 ケミカル!マジカル!メディカル!が合言葉な、 愛とか夢とか白い粉で周りの人々に笑顔を振りまく魔法少女マジカルアンバーが振りまく火炎瓶。 ≪020 うつろな魂 時系列順に読む 022 闇と黒≫ ≪020 うつろな魂 投下順に読む 022 闇と黒≫ GAME START アリサの登場SSを読む 054 Alisa in Wonderland≫
https://w.atwiki.jp/nenrei/pages/590.html
【作品名】東方project 【ジャンル】弾幕STG、格闘ゲーム、漫画、小説etc 【名前】霧雨魔理沙 【属性】普通の魔法使い 【年齢】16歳 【長所】普通なのであんまりない 【短所】しっかり年月経過の設定があるのに作者はサザエさん時空だと言っててわけがわからない 【備考】魔理沙というか東方の人間の少女は基本的に全員十代前半(10歳~14歳)という設定。 魔理沙を最低値として10歳だとして 「いつの間にかフランドールも500歳越えてるじゃないか。」という作者発言がツイッターにあるので 500歳は越えてるので501歳とし、作中でフランドールは495歳から6年の時を経たとする。 つまり紅魔郷から今だと6年経ってるので魔理沙は16歳。 vol.1
https://w.atwiki.jp/houkaiyaruo/pages/46.html
, ´ ̄ ̄ ̄` 、 / / ヽ. /\ />< ` < / > 、 /. ´ / >= ニ二_三>、 { /  ̄∨ ∧ { / ∠斗<广,.へ. .ヽ. .l /. ∨ ∧ 八 / / /-ノ- / ィ ヒハ .}. ./. i ノ >イ ,ヘィfち.′ li/ ,i レ { /// ヘ. / , ルイ l l ヽ ー=≠ イ/./ /、 r- /厶l l ` ー=≦ ー=彡'′ /. .>‐-r. 彡 ! !. ` ー==≦. . . . . ./|. . . . . ./!ハ__圦 j\ _ /l. /.. . . . . . . ./.人. ./. . | Lノo ヽ} /| 八. /⌒'ー==≠彡/ ノ厶斗<_ ヘ.,j∠ l |、 /. / / /. ´ /. / . /米 / l |ハ /. { / . ´ /. /. ヽ イ ! | ∧ /. ヽ , ´ /. ′ l l .∨. / ,/. ∧ ! l ! | ヽ,_ ´ { / ∨ l l ∧ l | ヽ / ´ ∨ ! l l i . | ノ / ∨ j !_l | }―仁フ ヽ二ト. ` </  ̄ ̄ ̄ /厶 '′| r ´,レ ´_r 、○r‐升=/7―- _ /7l | l> ィf´_ .二. _ ノ./ / > 、|`'く | ノ | < , rくヽ ,つ./ ハ/ | /  ̄ ̄ ̄ヽfヽヽ.ヽ} し′ / / `l/. /ヽ). `^ / / |. / / / し′ ∧┏━━━━━┓┃ステータス┣━━━━━┻━┳━━━━━┳━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━┓┃名:アリサ .┃Lv:51 ..┃属性:N-N ..┃HP441/441 MP:241/241┣━━━━━━━┻━━━━━┻━━━━━━╋━━━━━━━━━━━━━━┫┃力:42 魔:42 体:42 速:46 運:50 ┃仲魔:1/8 (3/8)┣━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━┫┃耐性: ...│装備┠────────────┼──────────────────────┨┃【物理】50% 【電撃】50% | 【武器】 SPAS12┃【銃撃】50% 【疾風】50% | 【防具】 ガードベスト┃【火炎】50% 【破魔】無効 . | 【アクセサリ】 お守り(使い捨て)┃【氷結】50% 【呪殺】無効 . |┣━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫┃スキル┠──────┬─────┬──────────────────────┨┃ウィークショット.| 消費MP25 ..│敵単体に強力な銃撃属性攻撃(武器スキル)┠──────┴─────┴──────────────────────┨┃固有スキル┠───────────────────────────────────┨┃【強靭な生命力】…【強運(生命)】から発展┃ 自身の運がより強力に作用した事により身体能力が強化され┃ 全ての能力が成長。全ての属性耐性を得る new!┃┃【デビルサマナー】…悪魔使いとなった者、悪魔を従える事ができる┠───────────────────────────────────┨┃秘匿スキル┠────────┬──────────────────────────┨┃妊娠 │このキャラは妊娠している┃ │また、生まれてくる子供は親の力を色濃く受け継いでいる┃ │┃丈夫な体 │【強靭な生命力】から発展した秘匿スキル┃ │このキャラは普通の人間とは違い、悪魔と同じ様なレベルまで┃ │赤ちゃんを孕み、産むことが出来る new!┗━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 現時点(作中時間7/13)での総評 安価が取られた事により出番が決まり、中盤からやる夫達と一緒に行動しているキャラ ただ放置気味で影が薄くなってるので、地味に離脱フラグが進行している 立ち位置としては便利なので何となく一緒に居ると言う程度、本人的には何時抜けてもいい感じ 本人アライメントがN-Nなのも相まって結構自由である 戦闘面に関して言えば典型的なサマナーで 戦闘に関しては仲間に任せ自分は後方で指揮兼アイテム係 但し仲魔を含め相当脳筋なので割とハッチャケ気味 勿論強化フラグもあるのだが、放置気味なので表に出てこない・・・ これは純粋に仲間が多いことによる弊害である 勿論人が多ければ多いほど出来る行動は広がるので良いし 固有スキルの【強運(生命)】も合わせて別働隊を任せる分には優秀である それで攻略だが、ノリやら直感で動いてるのでとにかくコミュを取ってあげよう 放置から解放されれば勝手に離脱フラグは解除されるので 下乳さんは、強化フラグや何やらも全てコミュから始まるのである 多分エロは好感度的にノリノリでしてくれるんじゃないかな? 何はともあれ、放置はやめてあげよう!
https://w.atwiki.jp/thpwiki/pages/66.html
基礎値 体力 820 移動 80 射角 15~75 基本ディレイ 540 弾1(魔理沙) 判定 8 爆風 26 ダメージ 310 ディレイ 130 威力重視の単発射撃 標準的な性能で魔理沙の主力となる攻撃 弾1(魔理沙)(設置変化) 判定 6 爆風 55 ダメージ 100 ディレイ 200 星弾が味方の弾に触れると削岩重視の大星弾に変化 爆風は広いが威力が低下する 弾2(魔理沙) 判定 4 爆風 20 ダメージ 105 ディレイ 160 威力重視の3連弾幕 削岩範囲は狭い 弾1(アリス) 判定 4 爆風 46 ダメージ 130 ディレイ 150 威力・爆風共にそれなり 霊夢の陰陽球と同じ爆風だがやや威力が低い 弾1(アリス)(設置変化) 判定 6 爆風 55 ダメージ 100 ディレイ 200 味方の弾に触れると削岩重視の弾に変化 爆風は広いが威力が低下する 弾2(アリス)(人形) 判定 1 爆風 27 ダメージ 85 ディレイ 170 弾2(アリス)(弓) 判定 8 爆風 27 ダメージ 80 ディレイ 170 人形を3体飛ばし、一定時間経過後に弓を射出 弓を撃つ前に着弾すると爆破する 射出前のほうがわずかに威力が高く、射出前の角度が0度以下の時は浮力が働く 弓での攻撃は重力で固定のためマイナス角度は浮力→重力となる 弾3(共通) 判定 0 爆風 0 ダメージ 0 ディレイ 60 魔理沙→アリス アリス→魔理沙 設置弾を2つ置きつつ交代する 設置弾は3ターン経過で消滅 設置弾には攻撃判定はなく、弾幕1を当てることで変化させることができる 連射を使用して撃った場合は、2発目は弾1が発射される(つまり弾3→弾1と発射される) スペルカード スペル名 「マリス砲」 判定 9 爆風 22 ダメージ 100 ディレイ 240 EXP 400/800 3秒間風を無視して壁を破壊し続けるレーザーを発射 キャラに触れると100の固定ダメージ 魔理沙のマスパと同性能だが初期ゲージが低く開幕からは撃てない 総評: 特殊万能タイプ 威力、削岩ともに便利なものは揃っていて位置で困ることは少ない マリス砲もあるためどの距離でも戦えるのが強み 反面魔理沙が威力重視、アリスが削岩重視と偏っているため咄嗟の対応が苦手 HPなど基本性能も低いため接近戦は避けたい 交代をいかに上手く使い分けていくかが重要なキャラ また、設置変化弾は自分の設置弾だけでなく味方の弾に当たっても変化するので注意 4/17修正 修正点 修正内容 弾3 連射使用時、2発目は弾1が出るように
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/1801.html
「おっすシン、今年もよろしくだぜ」 玄関の前でシンは目を白黒とさせてぼけっと突っ立っていた。 一月一日元日の昼前、アリスの手伝いやら里での新年の挨拶やらで疲れて一息ついていたら玄関からノックの音。 誰か挨拶にでも来たのか、それともチビッ子がお年玉でもねだりに来たのかと開けてみたら魔理沙―――おそらく魔理沙からの新年のあいさつ。 普段は窓から侵入してくる彼女にしては珍しく扉から、それもノック付きで普通に入ってきた。 だが、シンが面くらったのはそんなことではなく。 「お、おい、なんか言えよ、不安になってくるだろ」 「あ? ああ、悪い、あけましておめでとう魔理沙………魔理沙だよな?」 服装。普段の帽子をかぶった白と黒の魔法使いらしい服装ではなく正月らしい振袖。 彼女にしては珍しく行事を感じさせるその服装に思わず言葉を失ってしまった。 シンの言葉に案の定魔理沙はぷくぅっと頬を膨らませる。 「どういう意味だよそれは、私がこんな格好しちゃ悪いってのか?」 「あー、いや、すまん。そういうつもりじゃなかったんだけどな………」 「じゃどういうつもりだよ」 「新鮮だったからな、すこし驚いただけだよ………つーか珍しいな、お前がこういう行事に乗っかった服着るのって」 「不満か?」 「いや、似合ってるよ」 さらりと言われた言葉に魔理沙はならいいんだよと言いつつ嬉しそうに頬を染める。 やっぱりこの男から褒められると嬉しさでくすぐったくて仕方がない。 むず痒くて何ともいえず胸が苦しくなってしまうが、それは決して不快なものではなくて。 「アリスなら部屋で休んでるぞ、呼ぼうか?」 「あー、いやいいぜ。疲れてるんなら無理に呼ばなくても」 そう言いながら魔理沙はぼんやりと今日起きてからのことを思い出していた。 昨日は霊夢も早苗も正月の準備で忙しそうだったから一人で夜更かしして初日の出でも見ようかと思っていたのだが途中で寝落ち。 起きたらもうとっくに日が昇っていてこのまま寝正月でもいいかーと考えたのだが。 直後にシンの顔が脳裏をよぎり、同時に今日博麗神社で何が行われているのかに気付いて。 慌てて箪笥の奥にしまってあった振袖を引っ張り出して悪戦苦闘しながらどうにか着て今に至る。 要するに、今日、新年で魔理沙が初めて言葉を交わしたのが目の前にいるシン・アスカなのである。 そのことに気づいて嬉しさと気恥かしさで口元が緩んでしまいそうになるがどうにかこらえる。 まだこの振袖を着た目的を果たしてはいないのだ、このぐらいで満足しているわけにはいかない。 「それよりさ、シン。その、えーと。ああと………あ、あけましておめでとう!」 「あ、うん、おめでとう。今年もよろしく」 「えーと、だからさ、その、あの………あ、あけおめなんだぜ!」 「そうだな、もう三回目だぞ?」 「あう。だから、そのぅ………は、初詣。いかないか?」 言った。どうにか勇気を振り絞り誘えた。このために普段着ないような振袖に腕を通したのだ。 どきどきと心臓を鳴らしながらシンの返事を待つ、ほんの僅かなはずの時間がとても長く感じられて。 そんな魔理沙の心情を知る由もないシンは一瞬キョトンとした顔を浮かべたが。 「そう言えば行ってないな、初詣。昼飯にはまだ早いし………そうだな、じゃあ今から行くか」 「お、おう」 快諾するシンに魔理沙は身体をカチカチに緊張させてどうにか頷く。 と、シンが奥に向けて声を上げる。 「おーい、アリスー。魔理沙が初詣に行かないかーって」 まあ、魔理沙からしてみれば予想できていたことだしむしろ望むところである。 シンと二人きりで初詣だなんて心臓が止まりかねない、アリスがいてくれた方が心境的に楽だ。 しばらく沈黙が返ってきたが、やがてドタバタとアリスの部屋から音がして。 「あけましておめでとうっ、魔理沙!」 「お、おう、今年もよろしくだぜ、アリス」 息を切らせてアリスが姿を現して挨拶をしてくる。 思わず少しのけ反りながらも魔理沙も挨拶を返した、後はアリスが着替えるのを待つだけだと思っていた。 のだが。アリスから返ってきた言葉は意外なもので。 「ごめんなさいね魔理沙、初詣はまだちょっと忙しくて行けないのよ」 「え、そうなのか? そりゃ残念だぜ」 「だからシンと一緒に行ってね?」 「そういうことなら仕方がな」 きっかり三秒固まり、アリスの言葉の意味が頭に浸透してくると。 「う、うぇい!? な、な、な、なんで」 「忙しいんなら仕方がないか、お前の分まで拝んでおくよ」 魔理沙の動揺に意外そうな目を向けながらもシンはあっさりと納得する。 だが魔理沙からしてみれば想定外もいいところだ、これではシンと二人っきりになってしまうではないか。 あれ、それっていいことなんだっけ悪いことなんだっけと葛藤する魔理沙を仕方がなさそうに苦笑しながらアリスはシンに耳打ちする。 「分かってると思うけど、魔理沙になんかしたらひどいからね」 「はいはい、よーく分かってますよアリスおぜうさまーっと」 「ちなみに何もしなくてもひどいからね」 「俺にどうしろというんだ!?」 そんなこんなでシンと魔理沙は博麗神社についたのだが。 「予想以上に多いな………流石正月だな、魔理沙」 「そ、そ、そ、そうだな。うん、流石は正月だぜ」 何がどう流石なのかは魔理沙にもよくはわかっていない。というより神社までどうやってたどり着いたのかも曖昧だ。 二人っきりでどこかに出かけるということがここまで緊張するものだとは思わなかった。 周囲にはたくさん人がいる、そのことは分かってはいるのだがどうしてもすぐ側にいるシンを強く意識してしまう。 「しっかし、振袖着てきたときには誰かと思ったよ」 「に、似合わなかったか?」 今更になって不安になってきた、シンはああは言ったが本当は自分に気を使ってくれたんじゃないかと思えてくる。 しかし、そんな魔理沙の不安が伝わったわけではないのだろうがシンは笑って首を振った。 「そんなことないって言ったろ、綺麗だと思うけど」 完全な不意打ちに思わず固まってしまった。前々からこういう不意打ちが上手い奴だとは思っていたが、ここまで不意を突かれるとは思わなかった。 立ち止まってしまった魔理沙にシンは不思議そうな顔を浮かべる。 「どうかしたのか?」 「…………な、なんでもないぜ。たださ、なんていうか」 「うん?」 「…………やっぱり、何でもないぜ。なんでもないんだけど、さっ」 心臓がばくばくいっているが、ここで言わなければきっと後悔するだろうという直感があった。 だから、勇気を出さなくては。 「あ、ありがとうな、褒めてくれて」 はにかみながらも、どうにか言えた。ただの感謝の言葉なのにどうしてこうも胸が高鳴ってしまうのか。 始末の悪いことにその胸の高鳴りも決して嫌なものではないと魔理沙は思っていて。 シンの言葉に動作に一喜一憂して、その全てが嬉しくてたまらない。 シンと会う前では考えられなかったことだ、そのこともまた嬉しくて。 魔理沙の言葉にシンはくすりと笑い、どういたしましてと返す。 シンからしてみれば見た感想をそのまま言っただけだ、それでここまで喜んでくれるとこちらまで嬉しくなってくる。 「ところで魔理沙、何お願いするのか決めてるか?」 「お願い………ま、まあ当然決めてるぜ、内緒だけど」 今ちょっと叶ってるけどな。そう小さな声で呟いた言葉はシンの耳には届くことはなかった。 「そっか。俺は………うーん、世界平和かな」 「また大きく出たな、いくらぐらい出すんだ?」 「55円。ご縁がありますようにってさ」 「そんなはした金で叶うのか、世界平和?」 「っていうより、55円でこき使ってやるの、神様をな」 悪戯っぽく笑うシンに思わず魔理沙もつられて笑ってしまう。 55円でこき使われる神様という構図も、そんなことを思いつくシンもなんだかおかしかった。 「お前って、神様信じてるんだか信じてないんだか分かんないな」 「神様に祈って上手くいったら信じる、上手くいかなかったら信じない」 「適当だなあ」 「そんなもんだろ、普通に生きてればその程度だよ」 霊夢と早苗には悪いけどな、と続けてもう一度、今度は屈託なく笑った。 その笑顔に魔理沙は一瞬見惚れるが、すぐに赤くなって目をそらしてしまう。 「と、そろそろか。それじゃ、世界が平和でありますように、っと」 お金を放り投げて賽銭箱に入れると紐を引っ張り鈴を鳴らして手を叩く。 しばらく目を瞑っていたが気がすんだのか目を開けて参拝客の列から抜け出した。 もう参拝が終わってシンの顔を見ていた魔理沙もシンを追うようにして列を抜ける。 「さて、どうする魔理沙、お守りでも買って帰るか?」 「それもいいんだけど、ちょっと疲れたぜ。中入ろうぜ中」 「中って、神社の中か? 流石に不味い気が」 するからやめた方がいい、と言おうとしたのだがそれよりも早く魔理沙は神社の裏に回ろうとしていて。 ため息を一つついて魔理沙の後を追う、中で休むためではなく彼女を止めるために。 「へっへ、思った通り誰もいないな。広々としてこりゃいいや」 ごろん、とだらしなく横になった魔理沙にシンは肩をすくめる。 勝手知ったる他人の家と言わんばかりに上がりこんだ彼女を何度か止めようとはしたのだが。 「罰あたりもいいところだな、というか霊夢に後で怒られるぞ?」 「いいのいいの、ただ休むだけだからばれないって」 「そういう問題じゃないだろ、全く」 そう言いながらもシンもその広さには心惹かれるものがある。 この広い和室に大の字で寝転んだら気持ちいいだろうなという微妙な誘惑を断ち切って縁側に腰掛ける。 「少し休んだら出るぞ、ばれたら霊夢からそりゃもうえらいことされるからな」 「あー、それは確かに………よっし、じゃもう行くぜ」 「早いな、いいのか?」 「十分休んだし平気! じゃ、後はお守り買って………そっからどうする?」 「里で何か入れるか、屋台ならやってそうだしな」 頷き立ち上がる、しかしその振袖は少し乱れてしまっていて。 魔理沙もそのことに気付いたのかしまったと言いたげな顔を浮かべている。 「着つけは一人でできたんだろ?」 「全部脱がないと流石に………」 やれやれと肩をすくめて縁側から立ち上がる。 せっかくの正月なのだからとアリスが上海人形達に振袖を着つける手伝いをしていた。 人形と人間というサイズの違いはあるが、少々乱れた程度ならばシン一人でも直せると判断。 「動くなよ、これ以上崩れると直せないから」 「直せるのか?」 「アリスの手伝いぐらいだけど、まあ何とかなるだろ」 言うが早いか帯に手を伸ばそうとする。シンからしてみればそうしなければ直せないのだから当然なのだが、焦ったのは魔理沙だ。 肌が見えてしまうのではないのかと気が気でない。 「え、えーと。見ちゃやだぜ?」 「………出来るだけ、見えないようにはするよ」 しばらくは外の喧噪に交じって衣擦れの音が聞こえるだけだったが、沈黙に耐えきれず二人とも視線が泳いでしまう。 そう、二人ともだ。魔理沙だけではなくシンもなんとなくの居心地の悪さを感じていた。 その理由は視線を下ろせばすぐに目に入る魔理沙のうなじ。 魔理沙が見ないでと言わなければ気にも留めなかったそれに気を抜くと視線が吸い込まれそうになってしまう。 (何考えてるんだよ、俺は!) そんな風な目で見るのは魔理沙に失礼極まりないこと。それに霖之助もいい気分はしないだろう。 口調こそ素っ気ないが、彼にとって魔理沙がどれだけ大切な妹分かぐらいシンにだってわかる。 そんな魔理沙に、そういう目を向けるなどどうかしている。どうかしているとは思うのだが。 帽子もかぶらずいつもとまるで違う衣装の彼女は、とても可愛らしくて。 「いや違うから」 「うぇ、な、なにが!?」 「あ、いや、何でもないよ」 可愛らしい、というのはまるで人形のような、である。まかり間違っても魔理沙を一人の女性として意識したということではない。 断じてない、ないったらない。特に根拠はないが絶対にないのだ。 その証拠に魔理沙に「かわいいね」と言うことぐらいなんてことは。 (ない。けどまあ、わざわざ言うことではないよな、うん) 人それをヘタレと言う。もっともヘタレ云々は魔理沙にも言えることなのだが。 後ろを見ればシンの苦悩の顔を見ることができるというのに、肝心な魔理沙はと言うと。 (どどどどどど、どうしよ、なんかシンの息が聞こえるー!?) テンパったまま固まっていた。ヘタレなことこの上ない。 しばらくはそうやってヘタレ二人は黙っていたが、沈黙に耐えきれずシンは大きく視線を動かして外を見た。 別に気不味くない疲れただけ疲れただけとヘタレ全開な言い訳を心の中でしながら。 何とはなしに外を眺めていた、その時だ。 キラがいた。心底嬉しそうな満面の笑顔を浮かべて外に。 「…………え?」 が、一瞬瞬きをした瞬間にどこかに消えてしまった。 気のせいなのか、と思うが見間違いとも思えない。 じっくりと見ていたら魔理沙がどうかしたのかと聞いてきた。 「いや、いまキラさんが」 「キラ? いないじゃないか」 きょとんとした顔で魔理沙に言われ、やはり見間違いだったのかと首を傾げる。 一瞬のことだったし、そう言われると自分の勘違いだったような気もしてくる。 「ま、あの人がいたらいたで声ぐらいかけるか」 そして余計なちょっかいも。それがないということはやはり見間違いか。 そう結論付けて振袖の帯を改めて締め直す。 「よし、出来たぞ」 「おう、さんきゅ。で、これからどうするんだっけ?」 「おいおい………お守りを買って、いったん何か食うんだろ。それから守矢神社に行くのもいいかもな」 「早苗んとこか。そだな、行ってもいいなー。でもまずはご飯だぜ」 話がまとまり二人はどこで食べようかと相談しながら靴を履き直す。 靴をはいて立ち上がり、シンは謝罪の意味を込めて神社の中にぺこりと一礼を。 早く早くとせかす魔理沙に苦笑しながら表に出てお守りを販売している列に並ぶ。 さほど並んでおらず、これならすぐにでも買えるな、アリスの分も買おうかと思いぼんやりと列を見ていた。 その先を何となく見ていると、巫女服を着て手伝っている見知った顔を見つけた。 向こうもこちらに気付いたのか、おやという表情を浮かべる。お守りを買っていった参拝客が列から外れていきシン達の晩になり。 「あれ、デスティニーじゃないか、あけおめだぜ」 「うむ。久しぶりだね、ご主人に魔理沙」 「霊夢に地霊殿から引っ張り出されて手伝わされてるのか、デスティニー」 「まあそんなところだね、霊夢はご主人も駆りだそうとしていたらしいがね」 が、とはどういうことなのか。くい、と顎でしゃくるようにしながらシンの背後を指差す。 何かと思い見てみれば、本殿の中で破魔矢やらなにやらを参拝客に手渡している霊夢の姿、そしてその隣で手伝っているのは。 「キラさん?」 「何故かは知らないが、先ほど急に来て手伝うと言いだしてね。何を企んでいるのか」 「企むとかは知らないけど、珍しいな、あの人が働くとは」 「お前らひどいな? いや私もそう思うけど」 キラもこちらに気付いたのかキラッ☆とポーズをとって挨拶をしてくる。 「いらっ★」 「正月早々喧嘩はやめい。ふーん、相変わらず何考えてるのかよう分からんな」 「いつものことだがね。さっきもどこかに行っていたし………それで、お守り。買っていくのだろう?」 「おう、そうだったそうだった、どれにするかな………アリスにはどれがいいと思う、魔理沙?」 そう言われ魔理沙は少し考え込む。勉強関係でもいいのだろうが、アリスは何となくそう言ったものに頼るイメージがない。 色恋沙汰も、まあないだろう。とするとやはりここは無難に。 「やっぱり家内安全とかがいいんじゃないか、それか健康祈願とか」 「出産祈願があるけど」 「刃物持ち出されていいんなら買ってけば? 知らんぜ私は」 「ソダネ………んじゃ家内安全でいいか」 「ならばご主人は健康祈願を買っておきたまえ、身体が資本だろう?」 そうだな、と頷きデスティニーの手からお守りを受け取る。 魔理沙もどれにしようかなと考えていたら、デスティニーがお守りを差し出してきて。 「恋愛成就。これじゃないかね?」 小声でそっと魔理沙に囁いてきた。その顔は悪戯っぽく笑っていて。 デスティニーの気持ちは実のところありがたい、こういった神頼みにも縋りたい心境ではある。 ある、のだが。 「ごめん、せっかくだけどいいよ」 断った。それが意外だったのかデスティニーにしては珍しくぱちくりと目を白黒させている。 一瞬そうしていたが、シンが怪訝な顔を浮かべたのに気付くと軽く咳払いをした。 「………いいのかね?」 「うん。まあなんていうか、願ってばっかりじゃ駄目かなあ、とか、そういう、なんていうか」 後半はしどろもどろになりながらだったが、それでもお守りには頼らないという意思。 そんな魔理沙をデスティニーはしばらく見ていたが、彼女が何を思ってお守りを断ったのかに気付くと静かに微笑んだ。 「なるほど、ね。そういうことか………相変わらず乙女だね、君は」 「いや、別にそんなんじゃなくてだな」 「そんな乙女な君に、はい、お揃い」 健康祈願のお守り。これぐらいはいいだろう、と唇を持ち上げるデスティニーに魔理沙は何度か頷く。 神様には頼らないつもりだが、それでもお揃いというのは何かうれしいものだ。 「へへぇ、ありがとなデスティニー」 「そろそろ詰まってきているな、すまないが」 言われて後ろを向くと列が中々に長くなっていた、後ろに並んでいた人に頭を下げて二人は列から外れる。 健康祈願のお守りをしばらく眺めていた魔理沙だったが、シンの興味深そうな視線を感じて首をかしげた。 「なんだぜ?」 「いや、元気なお前らしいなって。それじゃ、ご飯か。俺が奢ってやるよ」 「お、太っ腹だな。んじゃあ、高級キノコ料理を」 「ベニテングダケとかでいいか?」 冗談交じりに反しながら里に続く階段へと向かう。 と、ふと思い出したようにシンが魔理沙に訪ねてきた。 「そういやさ、お前は何を願ったんだ? 俺だけ言うってのは不公平だろ」 「うぇ? あ、いやー、それは、えーと………ひ、秘密だぜ」 「なんかずるくないかー」 「高級キノコ料理をあきらめてやるからそれで勘弁してくれい」 やれやれ、と肩を竦められたが、とてもじゃないがシンに言うわけにはいかない。 もし言ってしまったら、気づかれてしまったら心臓が爆発する自信がある。 (言えるわけないぜ、あんな――――) シンに、自分からアプローチできますように。 願いではない、誰かからの手助けではなく自分でどうにかしたい。そんな決意を込めたことを祈っていた。 気恥かしくなりながらも何となく思う。 今年も、いい年でありますようにと―――― 278 :シンの嫁774人目:2013/01/14(月) 23 54 23 ID VE2VqMa. 今、ハルヒクロスやったらジョジョネタだらけになるんだろうな。 「ハルヒ、お前の次に吐くセリフは"遅かったじゃない、何してたのよ"だ!」 「遅かったじゃない、何してたのよ…ハッ!?」 「テメーはこの小泉一樹が直々にブチのめす」(オセロ) みたいな感じで。 おまけ・1 「どうにか少しはけたわね………にしてもキラ、あんたが手伝うとは意外だったわ」 「僕がやらなけりゃシンに頼むつもりだったんでしょ?」 「まあね。それがなんだっての?」 「クックックーン、そういう主人公フラグが立ちそうなことをシンにやらすわけにはいかないね、なぜなら主人公はこの僕だから!」 「ふーん」 「何その反応、冷たいね。興奮するよ」 「シンは関係なかったんだ。私はてっきり」 「シンと魔理沙がいい雰囲気だったからそれを壊すのもどうかなーって思って代わりに手伝いをかって出たのかと思ってたけど」 「もももももちろんさあそそんなわけあるわけわけわけ」 「そっかー、違うのかー。私の勘って案外大したことないわね。そう思わないキラ?」 「ソウデスネ、トッテモソウオモイマスデス」 「…………」 「…………」 「あんたは本当にシンのことが好きなのね、若干ウザい程に」 「違うよ!? これはその、そういうアレじゃないよ!?」 「はいはいじゃあそういうことにしとくからチャキチャキ働きなさいな、ほら、参拝客が来たでしょ」 「本当に違うからね、そういうことじゃないんだからね、違うからね!?」 「いいから働け」 「うう………で、どこに」 「あけましておめでとう、キラ(CV.石田彰)」 「あばよ涙!!!」 「よろしく勇気(CV.石田)」 「うあああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 「今年もよろしく(CV.石(ry)」 「はい、よろしくー。キラ、手を止めない」 おまけ・2 「…………なんか今、ツッコまなきゃいけないことがあったような」 「気のせいだろ。そんなことよりあけおめだぜ、早苗」 「いえいえ、こちらこそ今年もよろしくですよ。わざわざ来てくれてありがとうございます」 「なんもなんも。忙しそうだな、いいこと………なのかな。俺にはちょっとよく分からないけど」 「参拝客に妖怪さんが混じってるのが気になりますけどね」 「博麗神社でもそうだったし、幻想郷ではそんなもんだぜ?」 「はあ、なるほど。やはり幻想郷では常識にとらわれてはいけないのですね」 「ブン投げていいわけじゃないと思うけどな。そう言えば諏訪子さんはどうしたんだ、なんか見てないけど」 「諏訪子様なら神奈子様にコキ使われてますよ? なんでも」 「ヒャッハーーーーー男と女はれいぽうだーーーーーーーーーー!!!」 「オンバシラステーク!!」 「メメタァ!?」 「………理由は全く存じ上げないのですが、ええ全く」 「そっかー分かんないならしょうがないなー。にしても、結構見た顔がいるな」 「お、ホントだ。大妖精にうどんげに妹紅に幽香に、ほかにも色々いるぜ、ってどうした早苗、頭抱えて?」 「い、いえ、なんでも。ただなんていうか、地雷原でスキップしてる気分というかなんというか」 「よく分かんないこと言うな、ちょっと俺挨拶してくるよ」 「あ、じゃあ私も行くぜ、直接会う手間が省けたな」 (危機感ーーー!! もっとNTR的な危機感持って下さいよ魔理沙さーーーん!! 危機感の原因の一人が言うのもあれですけどーーーー!!!)
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/534.html
魔理沙20 新ろだ768 「ハハッ、いみわかんねえー」 室内には相変わらず散乱する本とかゴミとかゴミとか。その中から本を一冊拾い上げ、 床に寝っ転がってなんとなく内容を眺めている昼下がり。ちなみにゴミって言うと魔理沙 がえらい怒るので言わない。口に出すときは収集物。これお約束。 読む、のではなく眺める。である。一応活字を読んではいるが、本を読むってのは内容 を飲み込めて初めて成立する気がするし。だから眺めて、相変わらず何書いてあんのかわ かんないなーと思いながらその作業を繰り返す。 まあ要するに暇な訳である。 魔理沙は机に座って何かやっている。時折唸り声やら椅子のぎしぎし鳴る音がするのだ からなんかの研究なんだろう。邪魔するのは不本意なので、こうして意味不明な書物を眺 めつつ暇をつぶすのである。 年頃の男女……というか恋人同士が一つ屋根の下に揃って互いにほぼ不干渉という現状。 一般的には結構おかしな光景なのだろうか。けれども普段というか成就する前からこんな 感じである。 無論会話が無い訳じゃなく、たまにふと思い出した事を呟いたり、それから会話に発展 したり。どっちかが茶を入れたり、外出したり。動きは少ないがある。 淡白ではあるが、俺はこの空気が気にいっているのでそれでよし。まあ甘えて欲しいっ て思いが無いと言えば嘘になるのだけれども、あんまり攻勢されると俺の心臓が持ちませ ん。だから現状不満なし。魔理沙の傍に居る事を許可されているだけで基本満たされるの である。我ながら安い。 「んー……」 魔理沙の唸り声が聞こえる。研究とかで詰まった時にはよく聞こえてくるが、微妙にイ ントネーションが違う。気になったので首をぐいんと向けてみた。 なるほど様子もいつもと違う。普段は椅子に身体を預けてぎいぎい揺らしたり、そのま ませもたれにどっぷり倒れ込んだり、またはペンを齧ったりが魔理沙のパターンである。 日頃からひそかに観察しているのでほぼすべてのパターンは把握している。 だが今日は首と一緒にその金髪をぐらんぐらん左右に揺らしていらっしゃる。 「何をされているので?」 「んー。何かな、耳の中がちょっと」 「虫でも入ったんじゃねいかね。例えばゴ、」 凄い速度で分厚い本が飛んで来た。寝っ転がった上に力を抜いて弛緩した状態だったの で避けられる筈もない。頭の付近にドゴッとか音を立てて本が着地。直撃したらどうなっ ていたか考えると普通に怖い。 「それ以上言ったら今度は当てるぜ」 「マジごめんなさい。でもこれ実話なんですがね。前に俺の友達が」 魔理沙が投擲モーションに入っている。ヤバイ目が本気だ。 普通の羽虫ならば光を当てれば寄ってくるが、奴さんの場合光を当てると奥に逃げ込ん じゃうという重要情報を伝えようとしたのに。 「はい止めます。白旗。降伏。当方に抗戦の意思無し」 そう言って読んでいた本を放り出して地面に大の字。犬の如く完全なる無防備状態にな ってみる。溜息混じりに本が下ろされたのを見てこちらも安堵のため息である。というか さっき投げたのも今投げようとしてたのも紅魔館のじゃないんですか魔理沙さん。 呟きは心中だけにとどめておいて。起き上がり、傍らのソファに身を預ける。このソフ ァ、廃品の山に埋もれていたのを俺が引っ張り出した。マーガトロイド邸で出た廃品を頂 いて来たとは魔理沙の談。出自の所為か普通にいいもので、俺が持ってたのより多分高級 品だコレ。 「それで、結局どうしたのでしょうね」 目線が大体同じになったところで、改めて聞き直す。そうすると魔理沙も思い出したの か再度首を揺らしながら小さく唸る。 「何か耳の調子が悪いんだ。こう中で音がするような……何か転がっているような……」 「本当に何か入ったんじゃねえの? 見せてみ見せてみ」 ちょいちょいと手招きをする。魔理沙がん、と小さく頷いて椅子から立ち上がっててく てく寄って来る。そんでそのまま俺の左横に座った。さてどんな様子かと魔理沙の耳を見 ようとする訳だが、魔理沙がもうワンアクション。身体を90度倒した。魔理沙の頭の先に は俺の膝である。ぼすんと音がした。 ……あれ? いや、普通横に座らね? そんで耳だけ出すんじゃね? 何で自然に膝枕の体勢になっ てんの? つうかポピュラーな認識とは男女の位置逆じゃね? 脳内でビーコンビーコン警鐘が鳴っているというか思考が速過ぎるような凍り付いたよ うな。ともかくそのまま完全に固まった。 「……どうかしたか?」 「――――ああ、ハイ。何でもないですよ、エエ」 「何だ? 見せろっていったのお前だろ?」 「アー、ソウデスネ。ジャアシツレイシマスネー」 情けない話ではあるが、恋人になった現在でも手をつなぐ程度の接触ですら事前に心で 相当の覚悟が居る俺である。だっていうのにいきなりこんなガッツリ接触したらどうなる かってオーバーフローである。いや嬉しいけどね。 ともかく固まっている訳にもいくまい。首を下げる、俺の膝の上に魔理沙の頭があった。 しかも体重の掛かり具合からしてこのお嬢さん完全に預けていらっしゃる。ああやわらか い。あったかい。のうがとけりゅ。 興奮すればいいのか赤面すればいいのか硬直すればいいのか歓喜すればいいのか、どれ かわからん。というか俺は今どんな顔をしているんだろう。 とか無駄なこと考えつつも、魔理沙の耳へのろのろと手を伸ばした。耳たぶをつまんだ 手の先が体温を捉えた事で背筋が何かぞくぞくするのを感じつつ、くいくいと軽く耳たぶ を引っ張る。光が入りやすい位置を探して耳の中を覗き込んだ。 「ふん、ほうほう」 「どうだ?」 「魔理沙、耳掃除する方?」 「それなりに、だな。思いだしたらやる程度か」 「はー。ぽつぽつへばりついてるのがあるやね、入口付近はそこまでじゃないが。とい うか押し込んだのかなコレ」 太ももら辺ががっつり好きな女の子の体温を捉えている。その事実は未だ俺の脳を何か 変な感じに侵してくれるのだが。慣れ親しんだ作業の兆しが見えた所為かちょっと冷静に なれたのは幸いか。そうでなくこんな接触状態続けてたら理性が本当に持たん。えろい事 に突入するまでもなく恥死する。 「違和感あんのは両方で?」 「いやこっちだけ」 「そーかい。じゃあ取っちまいましょう」 「いや取るってお前」 ソファの上に放り投げてあった自前の鞄を引っ張り寄せて、中を漁る。布で巻いた包み を取り出して、鞄をどける。あとちり紙も数枚用意。包み、というより道具入れを広げた。 中には数本の竹の棒……というか何て事は無い。ただの耳かきである。 「おお、用意が良いな」 「ちなみに自前の削り出し」 「マジかよ」 「マジです。好きもんの実力を教えてやろう。ついでにほかのも取っちまうかねー」 開いた道具入れから数本耳かきを引き抜いて傍らに置く。耳たぶをくいくい、次いで耳 全体をほぐす。加減はいつもより弱めで。反応を窺いつつ続行する、手でつかんでいる部 分がほんの少し暖かくなってきた気がする。頃合いだろうか。 「……むう。上手いもんだな」 「好きもんだと言ったでしょうよ」 「で、気持ちいいのはいいんだが、なんかすっごくむずむずしてきた」 「まあ辛抱しなさいな、直ぐに解消して差し上げますからさ」 もういいだろう。 という事で耳を揉むのは終了。横から耳かきを一本取り上げる。普段自分で使うものよ りも先が細いヤツ。改めて間近でまじまじと見た魔理沙の耳は思いのほか小さかった。だ からこれでちょうどいいだろう。 「一応気を付けるけど、魔理沙さんのお耳の加減はわからないので。異常の際はただちに 訴えるよう」 「わ、わかったから……速くしてくれ……お、奥のむずむずが何か半端無い……」 「へいへい。とりあえず動くなよ」 若干震えがちな返答が可愛らしくて思わず口元が綻んだ。とはいえ指先は緩める訳にい くまい。下手をしたら大惨事であるのだから。 そこらを心中で再確認しつつ、魔理沙の耳に耳かきを差し入れた。力加減は少し弱めで、 手近なのに薄く湾曲した匙の先端を向かわせる。 「……っ、く、くすぐったいな……」 耳壁にかるく匙を押し当てて、匙の先端を垢に引っ掛けて、軽く力を入れて剥がす。剥 がれたら匙の上に垢をキープしつつ引き寄せて耳の外へ出して、ちり紙の上へ。 匙が空になったみみかきを再度耳の中へ。次の獲物に向かう前に、さっき取った付近へ 匙を向けて。耳垢がへばりついていた周囲を軽くさりさりと撫でるように掻く。でかいの を取っても細かいカスはまだ残っているので、それを掻き集めるように。 「…………ん……ぅ……あー、これ、いいかも……」 欲張り過ぎるとよくないので、匙の状況を見計らって耳かきを引き上げる。カスを捨て たらもう一回中へ、さりさり撫でて、綺麗になった事を確認して次の垢へ。作業自体は同 様だ。ただ耳の穴ってのは平坦では無いので、場所場所で掻き方に注意する。曲がりくね ったところは死角が多いので慎重に。でも掻き残しが無いように丹念に。 指先に伝わるカリカリした感触を頼りに掘り進める。俺の感として、敏感――迂闊に触 ったら痛みを伴う深度まではもう少しくらいか。そこら辺注意しつつ、耳かいの匙で垢を カリカリ剥がして、壁をさりさり撫で続ける。 「……ぁ、ぅ……ふぁ」 指先に違和感と引っかかり。なかなか頑固にくっついているのがいらっしゃる様だ。固 まっている奴を軽く掻いてみる。それまえと違ってカリカリとした感じが強い。 頑固さんは個人的に濡らしてから攻めたいところではあるが、ローションとかまでは流 石に用意して無い。というかコンビニとか薬局とか無いから用意のしようがない。 ……いや待て。そういえば永遠亭があった。今度頼んでみようか。とすると綿棒代わり の物も用意せねばなるまい。さて綿棒は自作か委託かどちらが安上がりかつ高性能だろう かとか考えつつ、指先の作業を続行する。 何にせよ今は現状の装備で打破するしかあるまい。具体的に言うと耳かき三本。とはい えそれらはあくまで自分用に作ったものなので、このお嬢さんの耳を責め……じゃなかっ た。攻めるのに都合がいいのはいちばん細い一本のみである。 強さが一定を超えないように注意しつつ、かしかしかしと、連続断続的に耳かきをぐら いんど。要は引っかかりさえあればいい。端っこを目安に何度も何度も。 「……ぁー」 勝った。垢の端に匙の先端が食い込んだ。一気に剥ぐと痛いかもしれないので慎重に剥 がす。剥がし終え、耳かきをそろそろりと取り出す。飴色の塊をちり紙の上に投下。なか なか手ごわかった。ぺり、なんて音とかしてたかもしれない。 「魔理沙ー」 「………………んー……?」 これから奥やるから動くなよと注意しようと思い、声をかける。が、いやに返事が鈍い。 何事かと見たら瞼が既に半開きだった。眼もとろんとしていてどう見ても寝る前である。 耳の穴ばっか見ていたので全然気がつかなかった。思いのほかお気に召してくれたらしい。 「あらら。まあいいか、うごくなよー」 その様子に苦笑しつつ、一応声だけかけておいた。んーい、と生返事が返ってきたとこ ろで改めて作業再開といきましょうか。 さて、奥地である。妖怪は知らんが、人間は基本痛みに臆病なので痛いところは本能が 避ける。なもんで耳掃除しても一定以上奥はやらなかったりするものだ。つっても耳には 自浄作用があるんで、耳垢ってぶっちゃけほっといても問題ない。 とはいえ何事にも例外はある。明らかに自浄作用の域を超えるまで育ってしまった輩は 人力で排除せねばなるまい。それにかゆいもんはかゆいのだ。そういう輩にもご退出願お う。それに飴耳の人は固まったのが詰まったりして聞こえにくくなったりする事もあるら しいし。何、上手くかつやりすぎなければ問題ない。たぶんだけど。 さてここら辺からだろうか。さっきよりも柔らかく、匙の先端を耳壁に沿わせる。ほと んど触れるか触れないか位の感じだ。瞬間、膝の上にある魔理沙の身体がぴくんと反応し た。思ったとおりここら辺から敏感になっているらしい。 さて、こっから先は本当に注意しないと快感どころかトラウマレベルの激痛である。何 故解るかって俺は既に二桁を超えるトラウマを経験しているからだ。恋人にそんなトラウ マ負わせてしまったらその事自体が俺のトラウマになってしまう。 なのであくまでそーっとそーっと。さっきまでがほじほじかりかりならば、今度からそ りそりすいすいである。やばい、俺今相当バカっぽいこと考えてる。 「ぁ……ぁ、ぁ……ぅ…………」 奥になると慎重にやらんととまずいってのに、それにしては意外と頑固者が多い。厄介 な事である。垢の表面をさわさわ、かつしつこく撫でて、そして引っかかっても焦らない。 そこから更にゆっくりゆっくり、何度も何度も匙を引いて少しずつ少しずつ剥がす。元々 細い耳かきを使っているので、必然匙も小さくなる。だから欲張らずにこまめに回収物を 投棄に戻る。そんな感じでじっくりじっくり掘り進める。 いい加減視界も利かない深度である。なので頼りになるのは指先の感覚だ。垢に到達し たら、周囲を撫でて形状と状況を把握して的確に攻め剥がす。そんな風に続けていく。 「…………んっ」 魔理沙が声を上げたのと、指先の手応えが今までと違うので手を止めた。なにや格が違 う感じがする。コイツが元凶だろう。たぶん。軽く周囲を探ってみる。思ったとおり、他 に比べて大きい。おまけに形も奇異ときたもんだ。 さてどうするかって、別に今までどおりである。匙から伝わる感覚で全容を把握して、 とっかかりを探して垢の上を匙で撫でるように這い回らせる。 「ぅ……っ……ぅぁ」 ここらかな、と辺りと覚悟を付けて、そろりそろりと匙を引き寄せ始める。ひっかかり の反応は無い。なのであるまで続ける。数十回ほど続けて、ようやく良い反応があった。 この機を逃すまいと攻略開始である。つっても焦ったら負けるのであくまで慎重にだが。 そんな風に数か所ほど同様にへばりついている部分を剥がし終えて、安定する場所を探 す。確保。さてゆっくりゆっくり……引き寄せる、何か今までより大きいものが動いてい る感覚。 「ぅぁー………………」 ざらっとした感覚と共に、今までよりははるかに大きい飴色の塊が引っ張り出された。 光を受けて微妙に煌めいている。しげしげ眺めつつ、こりゃ自然発生というより掃除の時 に奥に押しやられたのが月日を経て固まったりでもしたのだろうか。とか推測だしてみる。 もう一度耳かきを入れて、大物の周囲の残りカスを撫で取った。ここで耳かきを持ち返 る。でも匙の方は使わない。今まで使っていた奴には梵天が付いていないのである。梵天 付きをくるんと逆手に持ち替えて、耳にそっと差し入れた。くるくると緩急を付けながら 回して、奥へ入れて、回して、引き戻す。 最後に耳の中をもう一度じっくり眺める。やり遂げた事を確認して自己満足げにうむ、 とか言ってみたりする。 「魔理沙ー、違和感は消えましたかねー?」 「…………」 反応が無い。 「反対どうするよー?」 ハイ反応なし。微かに上下する身体と、こぼれる小さな吐息。何時の間にか寝入ってら っしゃる。若干散らばった金色の髪に手を当ててくしゃくしゃ撫でてみたりする。 漏れる吐息に僅かな変調はあったが、それでも起きる気配はまるで無し。しょうがない のでそのままにする事にした。それにしても、何というか、ずいぶん間の抜けた寝顔であ る。あえていうならすやすやでなくすかーである。放心しきっているとでも言おうか。ち なみに魔理沙の口元からよだれがでろーんとなっているが、これはご褒美だから問題ない。 頭を撫で続ける。さらさらした手触りが心地いい。これくらいはやらせてもらっても文 句あるまい。魔理沙がちょっとくすぐったそうに身を捩った。動物じみたその挙動が思い のほか可愛くて口元が自然と緩む。 さて暇だから子守唄でも歌ってやろうかとか考えて、一曲も知らない事に気が付いた。 数日後。 ソファーに座っていたら魔理沙がスライディング気味に膝の上に飛び込んできた。何事 かと見下ろして、膝の上に乗った魔理沙と目がバッチリ合った。金色の瞳がくりくり動い てこちらに期待の眼差しを向けている。 「…………ダメー」 「えー!」 「両方この前やったばっかでしょうが。やりすぎると酷い事になるのです。だから当分耳 掃除はなーし」 「なんだよぉ……ケチなやつだぜ」 「はいはい」 口を尖らせてぶーぶー文句を言うお嬢さんに、一度やりすぎがどういう惨状を招くのか じっくり講義してあげたい衝動に駆られる。大変なんだぞ、汁とか血とか。おまけに凄ま じく痒いのに掻いたら目に見えて悪化するというあの地獄のようなジレンマ。 「ちなみに我慢できずに自分でやる子にはしてあげません」 「な、そんな横暴な!!」 「だって頻繁にやるんなら俺が改めてやる意味無いでしょう」 「そりゃまあそうだがー、いいじゃないかちょっとくらいー」 膝の上でぐりぐり頭を押しつけるように転がる。どうにもくすぐったい。しばらくそん な風に抗議を続けていたが、やがて諦めたのか動きを止める。 「ちぇ……わかったよ。じゃあこれだけでいいや」 ぐいぐいと頭を動かした後、満足いく位置を見つけたのか。かかる重さが増した。 「ちょ、寝る気かよ」 「これを拒む理由はないはずだぜー」 「まあそうだけども」 「んー」 髪を撫でると目を細めて声を上げる魔理沙。デレに入った猫っぽい仕草である。それか ら特に会話も無く、時間が流れていった。しばらく頭を撫で続けていたら寝息が聞こえて きた。寝入ったらしい。寝顔を眺めてやわらかな頬をつんつん突いたりして見る。 さて、まあ確かにあまり間を置かずにやると耳によろしくないというのも立派な理由な のだが。 もうちょい言うと道具が揃っていないのである。今持っている掻き棒は自分用なのだ。 魔理沙にやるならもうちょい細いのが数本欲しい。そっちは今ナイフを動かして試行錯誤 中なのだ。依頼したローションとかもまだ手元に無い。 無防備というか可愛らしさを覚える間抜けっぷりで眠る魔理沙を見下ろしつつ、笑う。 たぶん今俺はにやーとかそんな感じで笑っているに違いない。 集め終えたら改めて、徹底的にやってやろう。 ―――――――――――――――――――――― 私もやってやると意気揚々耳かきを振り下ろした魔理沙に鼓膜を貫かれたりもしましたが、 俺は元気です。 新ろだ830 「めっきり寒くなってきたな」 「そうでございますね」 「全く、外出するのが億劫になるぜ」 「その割に昨日無かった筈の本の山が増えているのでせうが」 「あっはっはっは」 たぶん誤魔化しているつもりなのだろう。魔理沙がからからと笑っている。紅魔館の図 書館から”借りて”きた本の山を見やりつつ、それでもその行動に魔理沙らしさを感じて 少々口元が緩む。魔理沙は見てて楽しいから困る。眼が放せやしない。 「時に魔理沙さん」 「ん?」 「この家ってさ。暖房器具とか無いのでしょうか」 「炬燵とストーブは多分あの辺に埋まってると思うぜ」 「……そんなんでよく冬が越せたあねえ」 「何を言ってるんだ。そんなもの使わなくても私にはミニ八卦炉がある」 「ですよねー。じゃあ何でミニ八卦炉を使わないんでしょう」 「そりゃあ勿論使う必要が無いからだろう」 「いや気温的に今こそ働くべきじゃねーでしょーか」 「馬鹿だなあ寒かったら使わなきゃいけないが、現に寒くないんだから使う必要は無いだろう?」 「えー……うん…………ソウナノカナー……?」 何か妙な口調になってしまった。魔理沙の方はこっちを論破したと思ったのだろう、ふ ふんと何やら得意げな呟きが聞こえてくる。 見えないが多分得意げに笑っているのだろう。今の体勢では魔理沙の後ろ頭しか見えな いので表情までは窺い知れないのだ。 前――脚の間に魔理沙が座っていて、それをまるで後ろから抱くというか囲む感じ。そ して毛布に二人まとめてくるまっている状態である。そりゃあ寒くは無い。人間二人が密 着してるんだから。毛布もあるし。 「でもこれ分離したら寒くなるんじゃありません?」 「ん? ずっとこうしていればいいだけだろ?」 軽く振り向いた魔理沙が、金の瞳をくりくりさせながら当たり前のことを的に言ってく る。思わずそうですねーと返事してしまう。しまった、こんな筈じゃなかったのに。 それからしばらくそのまま無音で時間が経過する。魔理沙の方は手元の魔導書を読んで いるらしい。しかしながらこっちはする事が無い。 魔理沙の髪でも弄ろうかと思ったが、手を上げかけて止めた。ただでさえ体温とか匂い とか、こっちの脳を刺激してくる要素が普段より増し増しな現状、それは色々と拙い。 とりあえず円周率を黙々と数え続ける事にした。去れマーラよ。俺は悟りを開く。 「…………お前は普段から色々と奇天烈な事を私に言ったり要求してくるよな」 「紳士的と言ってください」 「でも実際に行動には移さない」 「……………………あー」 「アリスに聞いたぞ」 「お前みたいなのをヘタレと言うらしいな」 あのマーガトロイド、俺の魔理沙になんてワードを吹き込んでくれたんだ。と憤慨しつ つも何かこう胸の中心にブロートソードを突き刺された感じになる。マンガだったら間違 いなくガフッとか言って口から血を吐いているだろう。 どう返答したものかとただでさえ処理速度に何のある脳みそをギュインギュイン回して 思考を働かせる。ふいに魔理沙がさっきよりも身を寄せてくる。髪の毛が顔や首筋に触れ てちょっとくすぐったい、同時に匂いが強くなって脳が一瞬処理落ち仕掛けた。 「こ、ここまでやって、反応なしってのは、な。どうかと思うんだ私は……!」 よく見たら耳が真っ赤だった。顔も赤いんだろうなあ。 「もしかして恥ずかしかったのですかい」 「……あ、ああっ、当たり前、だろう」 これはあれか。いわゆる据え膳食わぬは何とやらなのでしょうか。 「えーと、つまるところ、何だろうな、やっちゃっていいの?」 「………………」 沈黙は肯定。まさか文章でしか見た事の無い光景にでくわそうとは。ともあれもう駄目 だ。これは完全に退けやしない。ならば前進あるのみか。脳――というか理性さんはとう の昔にご臨終ですが何か。 持て余していた両手を魔理沙の脇を通して前に出す。こっちの手が身体に触れた途端に、 えらく大げさに魔理沙の身体がびくんと跳ねた。何だかんだ言って緊張しているらしい。 前に持って行った手をそのまま閉じて、抱き締める。ちょっと強め。それから髪に思い っきり顔を埋める。ばさって音はたぶん魔導書を取り落とした音だろうか。 そのまま腕に込めた力をもうちょっとだけ強める。腕の中にある温もりを更に強く確か に実感できるように。 そして―― 「ご馳走様でした」 体勢はそのままに、それだけ言って腕の力を緩めて、身体の力を抜いてへにゃりと弛緩 する。魔理沙にもたれかかる格好だ。 「…………………………え、ちょっと待て!? それだけか! 普段あれこれ言っておい てそれだけか!?」 「うん」 「爽やかに答えるなあ――!!」 があーと吠えながら勢いよく魔理沙が立ち上がる。当然こっちは体勢を崩して後ろにぶ っ倒れた。 「このっ! このへたれ! ドへたれ!! 私がどんだけ、このこのこの――!!」 何時の間にか持ってきた箒でバッシンバッシン殴って来るので床をごろごろ転がって回 避する。まあそんな物が続く筈もないので、適当な所で本格的に逃走する事にした。 まあ相手が八卦炉出してきたら、そら本気になるよね。そんな訳で最愛の人の温もりと さようならして冬の寒空へと飛び出して行った、とある昼下がり。 「ふぇ――――っぷし!!!!」 「風邪だな。見事に風邪だ」 「さすがに冬季に滝業はマズかったか……」 「何をしてるんだこのバカ」 「最大の敵って、自分の中に居るよね」 「意味が解らん……まあいい、魔理沙さんは優しいからな、すでに薬を調達済みだぜ」 「おお永遠亭印。それならば直ぐ………………あのー」 「ん?」 「それ、」 「残念ながら飲み薬の類は品切れだったらしくてなー? これしかなかったらしくて なー? いやー遺憾何だがなー?」 「ちょっとタンマタンマ待ていや待って下さいお願いします! それどうみても座、」 「乙女の怒りを思い知れー!!!」 危なかった。 新ろだ836 11月11日。ポッキー&プリッツの日。何故そうかと問われれば。それは1がポッキーっぽ く見え、かつそれが四つも並んでいるという至極単純な理由である。 一見すると普通のお菓子の日であるが、ポッキーというモノにはちょいとしたゲーム的 な食い方がある。 ポッキーゲーム。二人が向かい合った状態でポッキーのそれぞれの端を口にし、互いに 食べ進んでいくというお前ほんとうにゲームかというくらいシンプルなゲームである。 ちなみに先に口を離した方が負け。つっても途中で口を離すような相手とは罰ゲームで もない限りやらんだろう。まあ要するにそういうイチャ系のゲームである。 とまあそういう風なモンがあるので、ポッキーの日となるとそういう流れに発展しやす いのである。 というかこれ外の記念日なのに何で幻想郷でこうも広まってるんだろう。まあいいか。 幻想郷は突拍子の無さに定評があるし。深く考えたらキリが無い。あとめんどい。 とまあ色々置いといて、11月11日。 霧雨邸。 スパァァァン! と甲高い音を立ててテーブルの上に箱が二つ叩きつけられる。二つと も件のポッキーの箱である。種類は違うが。顔だけ上げて前を見やると、魔理沙も腕を振 り下ろした姿勢のまま顔を上げていた。魔理沙の目は完全に据わっている。本気と書いて マジと読むとか言いだしそうな雰囲気だった。 「やってきてしまいました」 「そう、今日は11月11日だ」 「――ふ、覚悟はよろしいので」 「当然だぜ」 「では」 「「いざ尋常に、勝負ッッッ!!!!」」 キュバッとか音を立てつつ、俺と魔理沙はそれぞれ一歩後退。右手を後ろに引いて左手 で右手を相手が見えないように覆い隠す。 「私が勝ったら! ポッキーゲームとやらを普通にやってもらう!! それも今日の宴会の席でな!!!」 「馬鹿な!? そんな事をすれば自分も相当恥ずかしいんだぞ!? わかっているのか!?」 「はっはっは! いい加減やられっぱなしは御免なのだぜ!!」 「自らのダメージも度外視した捨て身の特攻も辞さぬとは……霧雨魔理沙嬢、本当に本気 の様だな……!」 魔理沙の覚悟を目の当たりにした事で、不覚にも身体がぐらついた。衆人監修の中でポ ッキーゲームなんて恥ずかしいとかそういうレベルじゃない。思わず額から汗が一筋伝う。 向かいでは魔理沙が不敵に笑っている――様に見えるが、魔理沙もまた一筋滴を垂らして いた。あと顔はまだほんのり赤い程度だが、耳は既に臨界レベルの赤っぷりである。もう 想定しているだけで恥ずかしいらしい。 「ふっふっふ。私は何時だって本気だぜ……? さあ、羞恥に打ち震えて縮こまるがいい。 普段私の乙女心を弄んだ償いをする時が来たようだな……!!」 「一見完璧に見えるその作戦だが、最大にして決定的な穴がある。それは俺が勝てば何も 問題は無いという事だッ!!」 「くっ……!」 「という訳で! 俺が勝ったらこの『つぶつぶりんごヨーグルトポッキー』を食べてもら う! ただし噛む事は許可しない! 延々と舐めてふやかしてべちょべちょになって困り 顔とかそういう方向でお願いします!!!」 「相変わらずわからん! お前の感性は本当にさっぱりわからん! わからんが何か変態 的だという事はわかる!! やってたまるかそんなもの――っ!!」 「フゥハァーハハハ!! 紳士的と言いたまえよ!!」 魔理沙が腕はそのままにそれでも身体だけをぐわーっと捻って天を仰ぎながら絶叫した。 その隙にこちらは体勢を整え直し、呼吸を落ち着ける。ちなみに俺は別に『つぶつぶりん ごヨーグルトポッキー』が好きな訳じゃない。選んだ理由はただ一つ。色が白いから。 「だがこっちもまた私が勝てばいいだけの話……! さあ、いくぜ……!!」 「ああ、そうだな、此処から先は――この拳で決めるのみ」 互いに右拳を後ろへ引き絞る様に回し、そして踏みしめている足に力を込める。じりじ りと間合いとタイミングをはかりつつ、そして二人ほぼ同時に腹の底から声を出して絶叫 する。 「うおおおおお!!!!」 「いくぞおおおおおお!!!」 身体だけではなく心も前へと出るような勢いで、限界まで引き絞った右の拳をいざ相手 へと突き出す! 「「さいしょーはグーッッッ!!!」」 ビシィィィと出された手は互いに堅く堅く握ったグーの拳。そして突き出したのと同時 ――いやそれ以上の速度で再度右拳を後方へと引き絞る。 「じゃああああん――――!!」 「けえええええん――――!!」 魔理沙の活動的な性格からして最初はチョキかいや強かな魔理沙の事だ俺がそれを読ん だことを想定しているかもしれないならばこちらはチョキを出すのか!? いやそれすら 読まれている可能性もある――しかし時は既に勝負の瞬間、決着まではもう一瞬あるかな いかだ。ええいままよ! 俺は自分を信じるぜ!! 三通りの手の中から、咄嗟に脳裏に 浮かんだモノを指で形作り、いざ決着ッ。 「「ぽんッ!!!!!」」 どっちが勝ったかはご想像にお任せします。 新ろだ882 毎度お馴染み博麗神社での宴会。 俺は酒は結構いけるほうだが、妖怪連中にはかなうはずも無い。所詮人間である。 だがどうやら愛しのお姫様はそんなこと気にもせず(考えもせず、か?)煽られるまま……いや、寧ろ煽りながらぐびぐび飲んでいらっしゃった。 今日も酩酊して俺がおんぶして帰ることになるのだろう。まぁ、役得である。 そんな訳で俺は際限なく飲みまくる訳にはいかない。 別にベロベロに酔うこと自体は構わないのだが、そうなると魔理沙を持って帰れない。ただでさえ会場として負担をかけている霊夢に泥酔者二名の世話を押しつけるのは如何なものか。 ……まぁ、放置される気もするが、それはそれで情けない。 ――大広間に酒気が満ちてきた。臭いというのは不思議な物で、自身が匂っていれば全く気にならないのに、そうでなければ妙に気になるのだ。 即ち、自分も飲みたくなってきた。 だが酔う訳にはいかない。俺は酒気から逃れるように自分用のお猪口を持って縁側に移動した。 「……寒っ」 秋も終わりかけ、冬に差し掛かった夜の風は酔いを覚ますのに丁度いいという温度を軽くオーバーしていた。 まぁ、あの酒気空間とどっちがいいかと聞かれると微妙なあたりだが。 「おや、○○君じゃないか」 縁側には先客がいた。俺はその先客の右手に腰掛けた。 「霖之助さん、あなたもあの酒気から逃げてきましたか」 「はは、まぁそんなとこだよ。僕は、あの集団から逃れる為に先手を打ったんだけどね」 「あぁ、あの集団」 少しだけ後ろを振り返り、『あの集団』を確認する。 既に空の瓶が死屍累々と転がり……あ、魔理沙が蹴躓いた。 些細な事であるにも関わらず、会場大爆笑。完全に出来上がっているらしい。 「確かに、霖之助さんはアレに巻き込まれるのは嫌いそうですね」 「おや、その言い方。君は構わないのかな?」 「騒ぐことは好きですし。ただ、あれに巻き込まれたら死体を持って帰れないでしょう?」 「確かにね。君も死体の仲間入りする訳だし」 そう言って、霖之助さんは柔らかく目を細めた。 外見的に言えば、俺と年齢はそう変わらないはずなのにやたら大人びて見える。重ねた月日が違うと言うことか。 「……どうだい、○○君。たまには男二人で飲まないかい?」 そういいながら霖之助さんは脇の辺りにあった一升瓶を軽く持ち上げた。 霖之助さんは常識人に見える変人ではあるが、節度はちゃんとある。 こちらの事情もわきまえてくれているし、酩酊状態になるほど飲む気は無いだろう。 というより、あの集団を嫌ってこっちに出てきたのに、あの集団みたいな事をしてきたらいろいろとおかしいだろう。 「いいですよ、あんな感じにならない程度なら」 親指を後ろに向けて、どんな感じを示しているのか具体的に示しておく。念の為の確認だ。 「もとよりそのつもりだよ……あぁ、何か容器は」 「持ってます」 「なら、いいね」 俺はお猪口を霖之助さんに差し出し、酒を注いでもらう。 そのまま酒をすっ、と飲む。冷たい風も手伝ったのか、とても澄んだ酒に感じた。 ふぅ、と息を吐く。息は白くなり、夜風に流され霧散した。 「……寒いですね」 「これからもっと寒くなるさ。幻想郷の冬は初めてじゃ無いだろう?」 「わかってますよ。もう二回体験してます」 「二回? そうか、君が来て二年もたったのか」 少し霖之助さんは驚いたように言った。 「厳密には、更に半年ですがね」 「そういえば、そうだったかな。随分たったものだな」 今度はこっちが少し驚いた。 「あれ?妖(あやかし)にとっては、二年なんて短いものじゃあ無いんですか? あぁ、霖之助さんは半分ですが」 「それは、妖怪の数百、数千といった長い寿命で考えた時の話だよ。別に、人と妖で時の流れが違うわけでは無いから、長いものは長いのさ」 そういう考え方もあるか。 それから、今回の冬の越し方とか、今度外界から流れ着いたと思わしき道具の鑑定をお願いしたいだとか、ツケをどうにかして欲しいだとかそんな感じの話を中途中途に酒を交わしながらしていた。 ――夜は深まり、月の輝きが増していく。 後方の馬鹿騒ぎもなりを潜めていき、少しずつお開きに向かいだした。事実、頭数が大分少なくなっている。 霊夢のまた派手に荒らして、というため息混じりの声が聞こえた。 このあとは霊夢と共に片付けを行った後、魔理沙を背負って帰路につくのがお約束だ。 霖之助さんは既に酒を飲み終え、黙って境内をゆっくり見回していた。 ――俺の酒も目の前の一杯が最後だ。俺は一気に残りを飲み干した。 そして深く息を吐き出し、夜空を仰ぐ。星が綺麗な夜空だった。 「――ごちそうさまでした。片付け手伝ってきますね」 そういって縁側を立とうとした時、霖之助さんが口を動かした。 「……魔理沙はねぇ」 「……?」 声が軽く上ずっている。少しだけ、酔っているのだろうか。 「僕にとっては、妹というか、娘というか、そんなんなんだよ」 だからだろうか、脈絡も無く突然そんなことを言い始めた。 「――知ってますよ。霖之助さんのこと話すとき、魔理沙楽しそうですし」 俺は事実で返した。 「そうか、嬉しいね」 霖之助さんは本当に嬉しそうにして少しの間をあけてからまた話しだした。 ――霖之助さんの表情が、一変した。 「だからさ、うん。君のことが好きだって相談受けたときは、かなり驚いた」 「……はい」 その時見た霖之助さんの表情は、酔っていたことが演技に見える程、真剣だった。 「まぁ、本人がそうしたいといったから、僕は止めなかった」 「……」 「○○君、彼女の行こうとした道を、否定してやるのだけはやめてあげて欲しい。わかっているとは思うけど、魔理沙は愚直で、無鉄砲で、その癖いつも何しようか、何が正しいかで迷い続けてる」 「……えぇ」 「彼女が仮に、無謀だと思える選択をしても、君はそれに付き添ってやってくれ。彼女が悩みぬいて、選んだ事なのだから。○○君なら、それが出来ると信じてる」 「……はい」 「……もし、魔理沙に、また、独りを与えたなら、その時は、比喩でなく君を殺すからね」 「……」 「――あの子を、魔理沙を頼む」 「……任されました」 「うん。確かに聞いたよ。……あぁ、今日は僕が片付けを手伝うから。君は魔理沙を連れて帰りなさい」 「――ありがとうございます」 今度こそ俺は縁側を立った。 今は、無性に、魔理沙の顔が見たかった。 ――その感情は、強烈な酒気と、死屍累々の会場と、泥酔した魔理沙で、少し萎えた。 帰路。 「んふふ~、○○の背中広いだぜ~」 「俺はやせ形なんだがな」 「○○以外は全部狭くて○○だと広いんだぜ」 「なんだそりゃ」 俺はいつも通り、泥酔した魔理沙を背負って魔法の森へ向かっていた。 凛とした冷たい空気と、背後から漂う酒気とのコラボレーションが妙だ。 「……任されましたよ」 思わず、そう呟いた。 霖之助さんの言葉の一言一句が頭の中に染み付いている。多分、一生忘れられない言葉だった。 「んぁ? 何が?」 「何でもないんだぜ」 「あーあー! 私の口癖とるなぁー!」 「わかったわかった……なぁ、魔理沙」 「んー?」 「……ずっと、一緒だからな」 「へ? あ、うん。一緒だぜ? なんでそんな当たり前なこと」 「当たり前……うん、そうだな。そうだよな」 あと魔理沙、わかっちゃいるが、かなり酔ってるな。ああいう事いうと、いつもなら恥ずかしがって固まるのに。 「失礼な。酔って言っちゃいないぜ」 「あれ、口に出てたか。……ちなみに、酔ってない根拠は」 「まだ飲めるからだぜ」 「……そうかい」 何となく、空を見上げた。 明るい月と沢山の星の瞬きは、そのうち森の枯れ木の群れに覆われて見えなくなって、酒気だけが残った。 新ろだ924 「………魔理沙、何してるんだ」 「見て分からないか?」 「抱きしめられてる」 「抱きしめてるぜ」 「何で」 「今は冬だ」 「冬だな」 「寒いだろ?」 「あんまり」 「私は寒いぜ」 「そうか」 「それにほら、お前だって嬉しいだろ?」 「悲しくは無いけど」 「けど?」 「胸元が寂しいな」 「………」 「ひたひ、はなへ、ひゅねるな」 「……まだ発展途上なんだ、そのうち高度成長するぜ」 「バブル崩壊しなきゃいいけど」 「………」 「ひたひ、はなへ、ひゅねるな」 「……キスしてくれたらその分増えるぜ」 「初耳だ」 「増えるぜ」 「………」 「………」 「―――増えたか?」 「……もっと」 「………」 「………」 「―――増えた?」 「………もっ、と………」 「………」 「………」 「………」 「………」 「あんたらイチャつくなら家に帰れ」 とある神社の日常風景。
https://w.atwiki.jp/lwetoho/pages/314.html
うふふ魔理沙 東プロ用語 用語集トップへ戻る。 人には、触れてはならない過去の一つや二つ、あるもんだぜ・・・ 第18回大会にて披露した紫コスの魔理沙のことを指す。 このコスを着用することになった背景については、『JUSTICE is MINE』を参照。 +うふふ魔理沙とは 旧作(Windows移行前、東方Project第五弾までを指す)の魔理沙は、今の魔理沙とはほとんど 別人のごとく違っており、紫色のコスチュームに身を包み、「うふふふ」と笑うようなキャラ だった。ちなみに当時の一人称は「あたし」である。また、師匠の魅魔様がいる。 魔理沙は当時のことは忘れたいらしく、ファンもあえてそのことには触れないようにしており、 現在は「黒歴史」として封印されている。 ちなみに、霊夢が腋コントラ腋マッチで負け、腋を封印したコスで登場したが、 あれも旧作時代の「靈夢」の衣装でうわなにをするやめ(ピチューン また、旧作時代の幽香のコスチュームはもんぺだったってぎゃーー(ピチューン このページを編集
https://w.atwiki.jp/yasamasu/pages/204.html
/ /////////////////////,∧ / {///////////////////////} { >-‐ '' 二二二二二二二≧く ヽ ,,..z≦ / ー- .、 ー ´ ̄ ̄ `ヽ ノ´ / \ ´ ̄ `ヽ{ / ./_ ', 、 \ {/` ーイ }ィfハ ア、 _ .i ''ー― .___\ / / 乂 マソ } }`ヽ | ` ̄ ̄ |` ヽ / イ ノ j/} / .j! ー -- ―<´ .| ', >-ミ 〃 { i .∧ _ ! / 、 __ _ \ | ', / / ./{ 、.{ .∧ / / ', /イ ー /、ヽ `''< `ヽ \ j `‐'´ / { 、 \{\ ハ V_ ノ 乂___ / \\ `''< ,' / \ > ` ̄ヽ __ / /} \\ /`''< 。s==ニ/ / / rf ○ / ! \ O/ .。r≦ / / / ⌒ .ハ}、 // / , / / / // | } ヽイ .' / __ ../ / /\ { { ./! >=く \ ! , ', ′ >、{ . , ' ,' , ヾ彡イ /ハ .} | | ', , / ィi〔 。s===s。 ! ', / j__/// \j | | ../\/ -=ニ ィi〔 ○ \八. , /| ./ / i | | ./ /个s。_。s个 / ' ,个s。_/ | i /., | | | ./ ,' , ' ', ! | | |、 ヽ | | ./ ,' / l '; ! ! \\ ! ! .{ ,' ' ○ ○} ノ ', | | . \\ | | .\乂 ' ! / 、 彡' ノ `ー| | `ヽ \ ,' , 〈__───────────────────────────────────────── 【名前】アリサ・イリーニチナ・アエミエーラ 【タイプ】はがね/ノーマル 【特性】まるいそうこう… 自身の「まもる」等の技が貫通(解除)されない。 相手の技が急所に当たらない。 【技x5:スチールソード、なぎはらう、トライアタック、みずのはどう、キングシールド】 こうげき:A ぼうぎょ:B とくこう:A とくぼう:C+ すばやさ:B- 【ポテンシャル】 『荒新兵の装填』… 「まもる」等の技で相手の技を無効化した時、味方と任意交代する事が出来る。 『荒新兵の神機』… 場に出て最初に繰り出す技の威力を強化(1.5倍)する。 『オラクル細胞』… 相手を倒した時、自身の体力を1/4回復する。 『対の先』… 相手の「速」の種族値が自分と同ランクの時、中確率で自身の技の優先度を+1する。 『対闘回避』… 敵陣に「闘」ポケモンがいる時、相手の「闘」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対闘耐性』… 敵陣に「闘」ポケモンがいる時、相手の「闘」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対闘迫撃』… 敵陣に「闘」ポケモンがいる時、低確率で自身の技のダメージが2倍になる。 『戦闘続行』… 低確率で相手の技のダメージを自身の行動後に持ち越す。 [※]『役割』『付随』セット[※] ┌『トップバッター』… 先発で場に出た時、自身の任意の能力値が二段階上昇する。 └『回復薬』… 1/試/自動 「まもる」等の技で相手の技を無効化した時、自身の体力を1/4回復する。 └『万能薬』… 1/試/自動 「まもる」等の技で相手の技を無効化した時、自身の任意の能力値を上げる。 └『スターター』… 『先発』が発動した時、自身の全能力値を強化(1.05倍)する。 ┌『アヴェンジャー』… 死に出しで場に出た時、自身の任意の能力値が二段階上昇する。 └『リベンジヒール』… 死に出しで場に出た時、中確率で自身の体力を1/4回復する。 ┌『エンチャンター』… 場を離れる時、味方の任意の能力値を上げることが出来る。 └『リターンヒール』… 味方と任意交代する時、中確率で味方の体力を1/4回復する。 └『リターンキュア』… 味方と任意交代する時、中確率で味方の状態異常を治癒する。 【技】 名前 タイプ 分類 威力 命中 対象 接触 追加効果 スチールソード はがね 物理 90(135) 100 単体 ○ C+1 「けん」「つるぎ」等の技。 なぎはらう ノーマル 物理 100(150) 100 全体 ○ 通常攻撃。 トライアタック ノーマル 特殊 80(120) 100 単体 × 2割「まひ、やけど、こおり」状態のどれかにする。 みずのはどう みず 特殊 60 100 単体 × 2割「混乱」 キングシールド はがね 変化 - - 自分 × 優先度+4。相手の攻撃技を無効化する。「直接技」の場合「こうげき」を2段階下げる。連続で使うと失敗しやすい。 【タイプ相性】 4倍 格 2倍 炎、地 1/2倍 無、草、氷、飛、超、虫、岩、龍、鋼、妖 1/4倍 0倍 霊、毒 任命:『トップバッター』『アヴェンジャー』『エンチャンター』 【備考】 3レス目5042よりキッサキしんでんの野生のポケモンとして登場 「ゴッドイーター」種 タイプにばらつきがある種族。 ダンジョンアタックによってやる夫に捕獲される。 戻る
https://w.atwiki.jp/nikonemiku/pages/39.html
レッツゴー!陰陽師と同じくニコニコ動画を象徴する動画。 しも氏によって編曲された、ニコニコ動画で知名度の高い楽曲を繋ぎ合わせたメドレーである。 2007年11月28日18時10分頃に管理者削除を受けた状態になったが、20時18分頃には動画は元通り再生が可能になった。 この作品が投稿されて以降、同楽曲を伴奏として歌唱パートを加えた、いわゆる「歌ってみた」動画の投稿が相次いだ。元々このような志向の動画は以前から投稿されていたが、同楽曲を使用したものがこれまで例を見ないほど数多く投稿されたことでも注目を一手に集める要因となった。 その中でも特に多くの視聴者の注目を集めた歌い手には、自然発生的に愛称がつけられたりした。また自らその愛称をハンドルネームのようにして歌を発表する歌い手もいる。さらに歌ではなく、リコーダー、ピアノ、ヴァイオリン、果ては篠笛や箏など多彩な楽器を使って演奏する「演奏してみた」動画も投稿された。また、これらの歌や演奏をミックスして合唱や合奏としたものもあり、オーケストラによる演奏も投稿された。 「らき☆すたRe-Mix002〜『ラキスタノキワミ、アッー』【してやんよ】〜」のトラック6に収録された『組曲「らき☆すた動画」』は『組曲「ニコニコ動画」』をリスペクトしたものであると作曲した神前暁は語っている 組曲『ニコニコ動画』 曲順 楽曲名 出典 1 エージェント夜を往く ゲーム『THE IDOLM@STER』挿入歌 2 ハレ晴レユカイ アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』エンディングテーマ 3 患部で止まってすぐ溶ける~狂気の優曇華院 IOSYSによる、ゲーム『東方永夜抄』BGM「狂気の瞳 ~ Invisible Full Moon」のアレンジ 4 Help me, ERINNNNNN!! ビートまりおらによる、ゲーム『東方永夜抄』BGM「竹取飛翔 ~Lunatic Princess」のアレンジ 5 nowhere アニメ『MADLAX』挿入歌 6 クリティウスの牙 アニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』BGM 7 GONG ゲーム『第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ』オープニングテーマ 8 森のキノコにご用心 ゲーム『スーパーマリオRPG』BGM(歌詞は二次創作) 9 Butter-Fly アニメ『デジモンアドベンチャー』オープニングテーマ 10 真赤な誓い アニメ『武装錬金』オープニングテーマ 11 エアーマンが倒せないせらのオリジナル楽曲(歌詞はゲーム『ロックマン2 Dr.ワイリーの 謎』をテーマにした二次創作) 12 勇気VS意地 『ミュージカル・テニスの王子様』挿入歌 13 アンインストール アニメ『ぼくらの』オープニングテーマ 14 鳥の詩 ゲーム『AIR』オープニングテーマ 15 you ゲーム『ひぐらしのなく頃に解 目明し編』エンディングテーマ 16 魔理沙は大変なものを盗んでいきました IOSYSによる、ゲーム『東方妖々夢』BGM「人形裁判 ~ 人の形弄びし少女」のアレンジ 17 思い出は億千万 ゲーム『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』BGM「ワイリーステージ1 BGM(歌詞は二次創作) 18 God knows... アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』挿入歌 19 もってけ!セーラーふく アニメ『らき☆すた』オープニングテーマ 20 ガチャガチャへるつ・ふぃぎゅ@ラジオ ゲーム『ふぃぎゅ@謝肉祭』オープニングテーマ 21 創聖のアクエリオン アニメ『創聖のアクエリオン』オープニングテーマ 22 ふたりのもじぴったん ゲーム『ことばのパズル もじぴったん』テーマ曲 23 つるぺったん Silver Forestによる「竹取飛翔」「レッツゴー!陰陽師」「ふたりのもじぴったん」のRemix 24 Here we go! ゲーム『スーパーマリオワールド』BGM 25 true my heart ゲーム『Nursery Rhyme -ナーサリィ☆ライム-』オープニングテーマ 26 kiss my lips 佐倉紗織の楽曲 27 RODEO MACHINE HALFBYの楽曲 28 序曲(DRAGON QUEST) ゲーム『ドラゴンクエストシリーズ』テーマ曲 29 FINAL FANTASY ゲーム『ファイナルファンタジーシリーズ』テーマ曲 30 ガチャガチャきゅ~と・ふぃぎゅ@メイト ゲーム『ふぃぎゅ@メイト』オープニングテーマ 31 あいつこそがテニスの王子様 『ミュージカル・テニスの王子様』挿入歌 32 レッツゴー! 陰陽師 ゲーム『新・豪血寺一族 -煩悩解放-』挿入歌 33 さくらさくら Feat.fooさん 日本古謡。ニコニコ動画で、かつて動画が削除された時に流されていた曲