約 572,351 件
https://w.atwiki.jp/anime_wiki/pages/18348.html
Blu-ray 魔法戦争 第1巻 Blu-ray発売日:4月18日 1.原作・スズキヒサシ書き下ろし小説《上巻》(約150P) 2.原作イラスト・瑠奈璃亜描き下ろし特製スリーブ 3.すばる魔法学院スペシャルラジオCD1 4.アニメ設定資料掲載ブックレット 5.エンドカードイラスト使用ポストカード2種 6.イベントチケット優先購入応募券(1次抽選) 2014年放送。 http //www.tbs.co.jp/anime/mahosen/ 監督 佐藤雄三 原作 スズキヒサシ シリーズ構成 ふでやすかずゆき 原作イラスト 瑠奈璃亜 キャラクターデザイン・総作画監督 江畑諒真 メインアニメーター 小島崇史 プロップデザイン 堀内博之、山口仁七 モンスターデザイン 東亮太 美術監督 河野次郎 色彩設計 濱岡幸治 撮影監督 荒幡和也 3DCGディレクター さいとうつかさ CGプロデューサー 根本繁樹 編集 塚常真理子 編集助手 木村佳史子、米谷良美 音響監督 菅原輝明 音響プロデューサー 野崎圭一 音響効果 高梨絵美 録音 中野陽子 録音助手 今沢尚樹 音楽 甲田雅人 設定制作・予告アニメーション 三浦慧 アニメーション制作 マッドハウス 脚本 ふでやすかずゆき 村上桃子 ハラダサヤカ 石野敦夫 絵コンテ 佐藤雄三 田所修 工藤利春 川口敬一郎 伊藤達文 小島正士 伊藤尚往 坂本一也 演出 真野玲 箕ノ口克己 八谷賢一 澤井幸次 政木伸一 村山靖 伊藤尚往 八田洋介 佐藤雄三 間島崇寛 作画監督 江畑諒真 Lee Jaemin Kim Jeongwoo Huh Gi dong 星野真澄 服部憲知 永山恵 山口仁七 王國年 青山まさのり 鈴木奈都子 東島久志 緒方歩惟 高田晴仁 河田泉 前田義宏 岡郁美 山崎愛 垪和等 Park I Nam Nam Hyun Sik Kim Hyun Ok YU HYUN JIN KIM BONG DEOK 谷口宏美 ■関連タイトル Blu-ray 魔法戦争 第1巻 魔法戦争 オリジナルサウンドトラック 原作小説 魔法戦争 1 四条桃花 1/8スケール PVC製 塗装済み完成品フィギュア 魔法戦争 文庫 1-10巻セット
https://w.atwiki.jp/jikkyomin/pages/110.html
解説 2014年の1月から3月までTBSで放送されていたアニメである。 放送前から最新刊は原作信者が裸足で逃げ出すレベルと言うレスも有り、さらにラノベが原作、中身の内容から実況民からはまったく期待されていなかった。 そして放送後、ある意味期待通りというか内容はとても賞賛できるものではなく、他局アニメとの被りもあり実況スレはまったく活気がなかった。 しかし糞アニメを好む実況民や、実況しないと見てられないと想った実況民がなんだかんだで結構いてそれなりに実況はされていた。 ある意味で期待通りの展開だったとも言える。 このアニメをさらにネタにしてしまったのが最終回。 主人公「武」は弟である宿敵の「月光」との戦いに挑むのだがそのさなか、両人が所属する陣営の「すばる魔法学院」と「ゴーストトレイラー」が加勢にきて その戦闘の衝突で生じた爆発により二人は行方不明になってしまう。 そして武が気が付くとなぜか魔法学院におり、そこでは死んだ母、魔法学院での担任教師、トレイラーに所属している敵が仲良く談笑して歩いているところを見かける。 数話前に武は過去彼らが同期であり仲が良かったことを話で聞いていたのでそこで過去へ飛ばされてしまったことに気付く。 しかし次の瞬間、なぜか彼らの中に宿敵である「月光」が馴染んで一緒に談笑していたのである。 いったいどういうことなのか、わけがわからない武は両手で顔を覆いながら「…んだよ 意味が分かんねえ」とつぶやく。 それを言いたいのはこっちのほうだと言いたいところだが結局最後までその部分はまったく解決されないまま終わってしまう。 そのとんでもない投げやりっぷりからすっかり実況民にネタにされ、実況スレではたびたび「魔法戦争」という言葉がレスがされることになる。 「幕末義人伝 浪漫」の最終回のめでたし めでたしとの合成画像が作られたりもしている。 原作はラノベでありまだ続いている作品であるということで多少なりとも中途半端な終わり方になってしまうことは 仕方ないことではあると思うのだがもうちょっと何とかならなかったのであろうか。 余談だがツイッターにて最終回の担当脚本である「村上桃子」が放送前は、 「明日深夜TBSアニメ「魔法戦争」 最終回第12話「世界からの消失」脚本担当させていただいております。 いよいよ最終回、あっという間すぎますね。ついについに、魔法戦争してます!予想の斜め上行く結末が!? 観終わったら魔法にかけられた気分になることでしょう、きっと☆ 是非観て下さい♪」 とツイートしているのだが放送後には、 「え…!? 魔法戦争…ラスト…あれ!? え!? ん? え…?」 「え…?ん…??なんでラスト…???軽くパニックだ……」 とツイートしている。 いったいどういうことなのか、こっちが聞きたいところだが現在そのツイートは削除されてしまっている。 AA . . . . . . .... .. Λ_Λ . . . . / 彡ミ゛ヽ;)ー、 . . . / / ヽ、ヽ、 i . . . . / /;; ヽ ヽ l . . . .  ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄ ̄ ̄ …んだよ 意味が分かんねえ 剣道が好きなごく普通の高校生、猛と剛。俺達を取り巻く明るい学園生活。だがそれは二人の心に生まれた小さな歪みによって一変してしまう。学園を襲う突然の異変。俺達が目覚めたそこは見知らぬ戦乱の異世界だった。 雑談 MX・tvk・テレ玉・チバ・群馬・とちぎ実況 ★ 40042 http //hayabusa2.2ch.net/test/read.cgi/weekly/1396180311/ 497 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/03/30(日) 22 39 48.70 ID FXEEokJrこの展開は魔法戦争並みに糞だと思ったわ639 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/03/30(日) 22 40 58.69 ID x7f9NDy5 497魔法戦争は原作から改変した事に批判があるかもしれないが、原作まんまだと中途半端に終わってしまうところをアニメオリジナルで綺麗に終わらせたのだから評価していい688 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/03/30(日) 22 41 32.14 ID 8YoX33ci 639あぁ・・・綺麗だったな・・・・・700 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/03/30(日) 22 41 37.03 ID GRosBqFt 639キレイ?798 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/03/30(日) 22 42 46.76 ID 6iIeN5MV 700原作通りだと、そのまま行方不明ENDだから、アニメでその先の展開をほのめかしたところじゃね?712 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/03/30(日) 22 41 46.81 ID 0Bl+K8pq 639全然綺麗じゃないし残便感丸出しだったろ!いい加減にしろ!720 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/03/30(日) 22 41 54.18 ID glxtbJ/N 639綺麗にぶつ切りですね783 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/03/30(日) 22 42 33.37 ID 2lAlU2nQ 639あまりに綺麗すぎて脚本家の頭が真っ白になってしまった785 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/03/30(日) 22 42 34.67 ID ApWN8FoS 639むしろあれは原作通りだからああなったんだろ966 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/03/30(日) 22 44 36.39 ID c8K4+mvf 639トリコよりマシじゃん、ミドラのデレっぷりとかありえんしww 実況ch [番組ch] “[転載禁止] MX・tvk・テレ玉・チバ・群馬・とちぎ実況 ★ 42969(c)2ch.net” http //hayabusa2.2ch.net/test/read.cgi/weekly/1414255888/ 799 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 28 01.07 ID Efxr/Y0p正直、ちゃんと切れる人がうまやらしいと思う瞬間は、ある。807 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 28 56.23 ID f0Q1grUj 799多分トリニティセブン全話見るだろうけど普通の人はもう切ってるんだろうなあって妙な気分になる823 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 30 18.73 ID Uqv755oU 807魔法戦争の奇跡が再び起こるかと思うとなかなか割り切れないアニメではある830 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 31 18.96 ID DgtTsO/+ 823原作は普通に面白いマンガだからな魔法戦争にはなれない837 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 31 46.04 ID OJm0zsep 823直感的には魔法戦争化はしないと思う855 名前:モッコス教徒[moccosage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 33 02.37 ID aDVArnjw 823(´・ω・`)魔法戦争がすごいのは最終回だけじゃないのよ(´・ω・`)まず前回の話と今回の話が繋がってないとか、1話中に「●ヶ月後…」を数回やってる潔さ865 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 34 00.25 ID jyDveSmx 855最終回最期のシーンがネタにされるが冒頭からわけわからんかったからな866 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 34 02.75 ID 4AlgxJfA 855修行回とかなんかすごかった気がする867 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 34 04.47 ID drCBYq0q 855しかも誰が得するのかわからない唐突な展開+ものすごい適当なサービスちょこっと869 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 34 13.45 ID gqiy47Gg 855気がついたら二年生だったからな奴ら毎週みてても話がわからないのはある意味凄い895 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 36 54.69 ID 9X8H4JNW 882 869-870みたいにちゃんと観てるのに話がわからないってのがポイントだよな。理解しようとしても理解できないから最後のセリフが映えるわけで(´・ω・`)870 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 34 27.01 ID F/Drb0WP 855ょぅι゛ょ化スルーしたのは記憶に強く残っている871 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 34 39.29 ID Uqv755oU 855ヤンジャンアニメと五角くらいの酷さw875 名前:オキロコラー[sage tvk+MX] 投稿日:2014/10/26(日) 02 34 59.93 ID c2U+W83o 855唯一話のつながり的にまともに見えたお兄様とのバトルも結局厨二病全開で爆笑という859 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 33 14.61 ID PYlXhUZ7 807あれは1話からそこかしこ突っ込みどころしかなくてなかなかすごいな828 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 31 12.93 ID igPiTVby切るじゃなくて別の言葉があればいいのにホビロン的な834 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 31 40.57 ID jwDvf9oc全アニメ見てる時点で相当な暇人なんだから別に時間を気にすることもないだろ841 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 32 09.59 ID M1yQ6pSd 834非情に耳が痛いです872 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 34 58.85 ID f0Q1grUj魔法戦争で数少ない評価したいところはコンパスを武器のモチーフにしたとこ873 名前:モッコス教徒[moccosage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 34 58.97 ID aDVArnjw(´・ω・`)バレンタインの話でラスト3分くらいでホワイトデーになったのはさすがのらんらん氏もびびった 882 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 35 34.05 ID psQ+4wwQただの糞アニメを表すのに「魔法戦争」って言葉を使うのに怒ってる人いるよなそこらのただの糞アニメと一緒にするなって892 名前:LIVEの名無しさん[] 投稿日:2014/10/26(日) 02 36 39.02 ID rehHlb4R 882そこら辺のクソアニメなんて遠く及ばないほどだと?895 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 36 54.69 ID 9X8H4JNW 882 869-870みたいにちゃんと観てるのに話がわからないってのがポイントだよな。理解しようとしても理解できないから最後のセリフが映えるわけで(´・ω・`)896 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 37 05.47 ID f0Q1grUj 882何か一線を超えてるクソアニメを全話見てしまうと家の子はもっと駄目なんです!みたいな歪んだ愛情がわく907 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 38 41.26 ID t+RaFMpR 896ワロタ899 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 37 10.21 ID 4AlgxJfA 882わざわざそういう表現として持ち出さなくてもいいし、ただクソアニメと言えばいいと思うし、もうちょっとオリジナリティのある言葉がほしい929 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 41 22.38 ID Xn6cML4F 882たまに魔法戦争だってレスあるけど違うだろと思いながら眺めてたけどクソアニメって言いたかっただけなのか、納得947 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 43 07.54 ID drCBYq0q 929あーそういうことなのねって思うけど実際の魔法戦争の糞度考えると軽々しく使われるとどうしても違和感でるなw 901 名前:小江戸川越[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 37 46.27 ID BsrbGy05魔法戦争は初っ端から木刀最強だったり気がつくと戦乱の異世界だったりラストレクイエムだったり購買に伝説の魔剣売ってたり兄はタケシなのに弟が月光だったり話つながってなかったりソウウフードズンダだったり魔女っ子マホ子だったり女キャラは可愛かったりでネタ分満載で実況民の心をつかんだ上でのさらに斜め上に分投げるという最終回だったからな908 名前:LIVEの名無しさん[] 投稿日:2014/10/26(日) 02 38 58.93 ID rehHlb4R 901二行でお腹いっぱいだわwww912 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 39 32.83 ID drCBYq0q 901うんうんそうそう、展開や設定から誰得だよとしか言いようがなくて困る923 名前:オキロコラー[sage tvk+MX] 投稿日:2014/10/26(日) 02 40 50.72 ID c2U+W83o 912そういう作品を得とするのが俺達なんだよきっと915 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 40 13.31 ID gqiy47Gg 901久しぶりにタケシと月光の対比を見て笑っちまった928 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 41 20.89 ID JgGDxDvk 901とてつもなくカオス化した実況雑談のログをアニメ化したりすると近い感じかなぁ913 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 39 45.97 ID f0Q1grUj魔法世界は当たり前みたいに記憶改竄魔法があるのが地味に凄いクソこれだけに限らないけど何でもありになるからな 917 名前:モッコス教徒[moccosage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 40 23.56 ID aDVArnjw(´・ω・`)そんな魔法戦争、最終話どうなったのかなとらんらんふと気になってサイト見たら『魔法戦争』Blu-ray&DVD第6巻 発売日再度変更のご案内この度、2014年10月29日(水)に発売を予定しておりました『魔法戦争』Blu-ray&DVD第6巻につきまして、制作上の都合により、発売日を2014年12月24日(水)に再度変更させていただく事となりました。度重なる発売延期となり大変申し訳ございませんが、何卒ご理解賜りたくお願い申し上げると共に、心よりお詫び申し上げます。尚、商品仕様・価格等の変更はございません。今後とも、宜しくお願いいたします。(´・ω・`)あっ…(察し922 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 40 49.09 ID jyDveSmx 917わーお930 名前:オキロコラー[sage tvk+MX] 投稿日:2014/10/26(日) 02 41 23.07 ID c2U+W83o 917発売中止→BOX形式で販売よりはまだ・・・931 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 41 30.51 ID Uqv755oU 917放送されなかった本当の最終回を期待しちゃうじゃないか・・・!932 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 41 33.01 ID gqiy47Gg 917どう変えてくるか地味に気になる938 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 42 00.44 ID drCBYq0q 917えっええーw修正されるのかなwwwwwww950 名前:LIVEの名無しさん[] 投稿日:2014/10/26(日) 02 43 25.28 ID djumvegZ 938エヴァみたいに真最終回が作られるんだよw941 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 42 13.30 ID tJehRr8h 918まあ大抵の2chブラウザではメ蘭も表示されるしなーんで妙に名前+メ蘭の行が横に長いから目立つw 917おうふ・・・963 名前:TOKYOなんとか ◆1ec7sEDUsY [普通の33が【ろこどる】やってみた。 ミッドサマーズナイツ1人目] 投稿日:2014/10/26(日) 02 44 41.95 ID FKvZa+sk 941本当はsage入れたいけどメ欄長すぎって言われてさ…ろこどるは前期で一番良かったアニメだから称号入れたいのとキャプアスは1番を時間ジャストで取れたから愛着湧いてな919 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 40 38.46 ID Uqv755oU魔法戦争を全話視聴&実況した人てなんか特別な称号持ってそうでかっこいいですぅ920 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 40 39.97 ID M1yQ6pSdそういや先週のグリザイアまだ消化してないや見ないと 933 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 41 35.40 ID M1yQ6pSd魔法戦争は最終話だけ実況できなかったから悔しいよ958 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 43 53.80 ID FXj2TzLP 933BSの最終回は噂を聞きつけて来たやつらが結構いた記憶が971 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 45 23.22 ID HPEoiLNO 958あれは今までの積み重ねからのあの最終回だから最高なのに(´・ω・`)934 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 41 38.68 ID FXj2TzLPおまえら本当は魔法戦争好きだろ948 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 43 08.27 ID psQ+4wwQ 934実況民は出来の悪い子ほど愛する傾向あるから954 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 43 42.64 ID a+jc2omy 948平凡な子は名前も出されないからな959 名前:LIVEの名無しさん[] 投稿日:2014/10/26(日) 02 44 23.26 ID rehHlb4R 954語ることあんま無いからねそういう子は967 名前:オキロコラー[sage tvk+MX] 投稿日:2014/10/26(日) 02 44 57.39 ID c2U+W83o 959よくも悪くもインパクトは大事、とても大事979 名前:LIVEの名無しさん[] 投稿日:2014/10/26(日) 02 46 26.59 ID djumvegZ 959毎クール20本以上出てるからなさっぱり忘れさられる子が出ないわけがない952 名前:オキロコラー[sage tvk+MX] 投稿日:2014/10/26(日) 02 43 41.65 ID c2U+W83o 934実際くるみのグッズが発売したら買う955 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 43 46.96 ID Uqv755oU 934年末一挙再放送するとしたら何を置いても実況に駆けつけたいと思わせるアニメではある964 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 44 45.23 ID f0Q1grUj 955メガネブと違って実況してれば楽しいアニメではあるからな975 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 45 51.60 ID drCBYq0q 955少年ハリウッドとかマジそう思う983 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 46 33.37 ID 9X8H4JNW 955そんなあなたにAT-X!現在絶賛放送中(´・ω・`)969 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2014/10/26(日) 02 45 17.54 ID +fXXkAnU 934魔女っ娘まほこ好きだった 実況ch [番組ch] “MX・tvk・テレ玉・チバ・群馬・とちぎ実況 ★ 55893 ” http //himawari.2ch.net/test/read.cgi/weekly/1506848614/ 625 名前:LIVEの名無しさん[] 投稿日:2017/10/01(日) 22 21 01.51 ID 2+XZ3AIJ [3/10]まあ正直言って売れそうにないアニメだと思います(´・ω・`)668 名前:LIVEの名無しさん[] 投稿日:2017/10/01(日) 22 21 34.95 ID 3dPwTmXA 625ここは魔法戦争のスレじゃない()768 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/10/01(日) 22 23 01.20 ID 1J1aMgWL 668https //i.imgur.com/fu3s7o3.jpgネギま2https //i.imgur.com/RasGtzm.jpg魔法戦争この既視感…ヤベエ812 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/10/01(日) 22 24 15.62 ID g9POp24X 768魔法戦争といえば、MXの時間で最遊記の後枠のアニメが魔法戦争臭がやばいw 宮野主演だし856名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/10/01(日) 22 25 26.54 ID JxAqoGts 768ネタにもならないクソアニメになりそうUQ691 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/10/01(日) 22 21 52.21 ID drobBIYY 625日本で売れない分を支那で売り出す為に宣伝に行ってんやぞ
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/9209.html
魔法戦争 トレイラー コメント スズキヒサシによる日本のライトノベル。イラストは瑠奈璃亜が担当。MF文庫Jから2011年より刊行。 トレイラー アズマオウ:竜泉寺和馬 名前ネタ コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 登場人物とだけ書かれた荒らしコメントを削除 -- (名無しさん) 2019-11-01 07 36 29
https://w.atwiki.jp/tpc-document/pages/290.html
Chapter10「第一次魔法戦争」 雲に包まれた空間に燃え盛る岩石が飛び交う。それはまるで隕石のように炎と破壊と衝撃波をもって、その攻撃を行った魔道士を止めるべく集まってきた火竜たちをいともたやすく蹂躙する。 その男、金魔将ヴィドフニル。血に塗れたように赤いローブを身にまとう、トロウが差し向けた刺客。 「なんだ。竜というからどれほど手強い相手かと思えば、大したことないではないか。ドローミの開発したグレイプニルだかなんだか知らないが、そんなものに頼らずとも私一人で制圧できそうなものだが」 周囲の火竜を一掃すると、空中に浮遊した状態でヴィドフニルは遠方へ走り抜けていくフレイたちの姿に視線を移す。 「フレイの血さえ手に入れば生死は問わない。邪魔になる前に王子様ご一行には死んでもらおうか」 まだこちらの存在には気付かれていない。狙うには絶好のタイミングだ。ヴィドフニルは両手をフレイたちのほうにかざして呪文の詠唱を始めた。 さすがに焼き殺してしまっては、血も蒸発してしまうだろう。それではトロウ様に叱られてしまう。ならば炎はいけない。岩石だけ飛ばして圧死させるか。 そう考えて、魔法で持ち上げた溶岩を固めて岩石を形成する。黒い炎をまとわせない代わりに、フレイたち三人をまとめて押し潰せるほどの特大の岩石だ。 「おまえたちは何が起こったのかもわからずに死んでいくのだ。くらえッ!!」 力いっぱいありったけの魔力をこめて岩石を射出する。 こんなものをまともに食らっては、たとえ防御魔法を展開したとしても普通の人間では太刀打ちできないだろう。 しかし、その射線上に大きな影が飛び出してきて、身を呈して岩石を弾き飛ばした。たしかに普通の人間なら手も足もでなかっただろう。 だが竜であるなら話は別だ。 「一体おまえが何者かは知らないが、我が友を背後から狙うような卑劣極まりない行為は見過ごせんな」 飛び出したのはセルシウスだった。ユミルとムスペルスの関係を考えて、到着したフレイたちにはあえて一切干渉せずにいたが、それでも心配に思って密かに様子を窺っていたのだ。 岩石が黒い炎をまとっていなかったことも幸いした。ムスペルスは火山に溶岩、マグマに囲まれた国で噴火も日常茶飯事。本来、火竜はその熱を遮断する鱗も相まって炎には強い耐性を持つ。 だがあの黒い炎は普通ではない。炎に強い火竜でさえも焼き尽くしてしまう特殊な闇の炎で、熱とはまた別の仕組みで対象を燃やす。火竜たちがあっさりと打ち負けたのもそのためだ。 ヴィドフニルはおそらくトロウから何らかの力を授かっている。黒い炎、すなわち黒の力を。黒い魔力を。 炎に強い火竜に対してわざわざ炎の使い手をよこすだけあって、余程の自信があるのだろう。下手に氷の使い手を送って熱気で力が弱体化してしまうよりは、あえて環境も利用して攻める算段なのだ。 事実、ムスペルスの高い外気温と周囲の溶岩やマグマがヴィドフニルの攻撃をより強力なものとしている。 両手に黒い炎を燃え上がらせながら、ヴィドフニルは冷徹な様子で言った。 「私の邪魔をするなら死ね。ただそれだけだ」 こんどは黒い炎をまとわせた岩石を放つ。それも中央、弧を描いて左右から、さらにそれらの岩石に気を取られている隙に下方にも一発打ち出し、背後からの不意打ちも狙う。 するとセルシウスは炎を吐きながら急旋回。黒くとも炎は炎。そして炎とは燃えるという現象。ぶつかり合った炎は融合しより大きな炎へと変わる性質を持つ。ゆえに炎は炎で飲み込んでしまえばいい。 黒い炎がセルシウスの炎のブレスに埋もれて消えてしまえば、あとは扱い慣れた自分の炎と岩石が残るのみである。拳を突き出し、あるいは尾で打ち払い、これを破壊する。 「ほう? おまえは他の火竜とは一味違うようだな」 「なめるな。これでも将来この国を背負って立つ身。力無くして未来の王は名乗れぬ」 「王族か。だが関係ないことだ。おまえが王族を名乗れるのも、火竜がこの国を治めているからに過ぎない」 「それはどういう意味だ」 「果たして火竜王が倒れればどうなるかな」 ヴィドフニルが言うと同時に火山のほうから爆発音が聞こえてきた。城のほうからだ。あの音は噴火ではない。 「貴様、一体何を!?」 「始まったようだな。まさか私一人だけだとでも思ったか?」 「くッ……父上!!」 わき目も振らず王城へ急行しようとするセルシウスの背中をヴィドフニルが捉えた。 「竜族は戦術を知らないのか。敵の目の前で背後を晒すことがいかに愚かな行為か知らないと見える……」 一方その頃、セルシウスの陰の活躍によって難を逃れたフレイたちは、クルスの待つ魔導船グリンブルスティのもとへとたどり着いた。 雨のように降る岩石、あちこちで起こる爆発、それに伴って荒れ狂うマグマの川から吹き上げるのは火柱と熱風。ただでさえ人間にとっては過酷な環境が、今ではまるで地獄のような有様だ。 「まずいっす! 何が起こってるのか知らないっすけど、温度が上がりすぎてるっすよ! 耐熱魔法が破れるのも時間の問題。そうなったら、おれたち一瞬で燃え尽きて消し炭っすよ!!」 「誰がこんなことをやっているのか、不意打ちがどうとか火竜たちが言っていたのが気になる。まさかもうトロウが……」 「いえ王子。このままでは危険すぎます! 今は撤退しましょう! トロウを止めることはもちろん重要ですが、我々が倒れてしまっては、それもかなわなくなります!」 早く船に乗り込めとクルスも手で合図している。 耐熱障壁が環境の急激な変化に耐え切れず破損し始めている。それによって船がダメージを受けている。船を失えばここから出る手段も失ってしまう。そうなれば普段のムスペルスでさえ人間にとっては長くはもたない環境だというのに、今の状況ではセッテの言うように命に関わる問題だ。 「くっ……僕にもっと力があれば……!」 悔しさに奥歯を噛み締めながらフレイは船に飛び乗る。全員が乗り込んだことを確認すると、クルスは大急ぎでブリンブルスティを発進させた。 遠ざかっていくムスペルスの大地。その中央の火山で歴史的な事件が起こっていることをフレイたちはまだ知らない。 ちょうどその頃、ムスペルス王城では突然湧いて現れた数多くの魔道士たちに火竜たちが手を焼いていた。 いつの間に侵入を許したのか、魔の軍勢が列挙して玉座の間を目指して突撃をかける。外でのヴィドフニルの騒ぎはあくまで陽動に過ぎず、本来の狙いはこちらだったのだ。 気付いたときにはもう遅く、駆けつけた火竜が応戦するも、中庭の攻防はあっさりと突破され、城内でもすでに数の暴力に押され始めている。 「おのれ、ニンゲンどもめ。奴ら一体どこから」 「強力な転移魔法の使い手がいるらしい」 「馬鹿な!? 俺は船など見なかったぞ。まさか大樹から直接送り込まれて来たとでも言うのか。そんな長距離の転移なんて竜の魔力をもってしても不可能だ! ましてニンゲン如きにそんな芸当ができるわけがない」 「詳細はわからん。だが侵入を許したのは事実だ。領内に入られた以上、そこから玉座の間まで再転移するのは造作のないことかもしれん。火竜王様が危ない! 我々もすぐに向かい、お守りするのだ!」 「だがこの敵の数……。くそッ、なかなか前に進めん」 ある魔道士の隊は耐熱防壁を展開する。これによりムスペルス特有の強力な熱気を遮断。これで氷の魔法が弱体化することなく力を発揮できる。 そこで別の部隊が火竜の弱点でもある氷結魔法で攻め立てる。さらに別の部隊は雷の魔法を操り火竜たちを痺れさせる。動きを封じた後、弱点を突いて確実に一体ずつ潰していく戦術だ。 次々と膝をつき、倒れていく火竜たちの間を漆黒の影が通り抜けていく。 「おやおや……これは大変、大変ですねぇ。必死に抵抗する赤いトカゲ。しかし敵は自分たちの苦手な魔法で襲ってくる。炎しか扱えないのは不便でしょう。そこで私から提案があります。我々に降伏しなさい。軍門に下ると誓うなら、あなたたちの嫌いなニヴルの氷竜も簡単に殺せるような魔法を教えてあげますよ」 トロウは甘い声で誘惑する。しかし、誇り高い火竜たちはニンゲンの誘いになど決して乗らない。当然この提案は退けられる。それはトロウも承知の上で言ったことだ。そして想定通り火竜がこれを断ると、待っていたと言わんばかりにトロウが叫ぶ。 「くはははは、馬鹿め! 大人しく従っていれば苦しい思いをすることもなかったものを。ならば力でねじ伏せるしかありませんねぇ。おまえたち、やれッ!」 号令とともにさらに増援の魔道士たちが転移魔法で現れて火竜たちを苦しめる。しかも現れた増援の中には例のドローミの失敗作、竜くずれの姿もあった。まさにドラゴンゾンビともいえるその姿を見て火竜たちは戦慄した。 「な、なんなのだあれは……」 「同胞か……!? だとすればなんて惨い……」 操られた竜くずれはためらうことなく火竜に攻撃を仕掛ける。一方で火竜側は敵だとわかっていながらも、同胞である竜くずれに攻撃するのをどうしてもためらってしまう。ただ存在するだけで、明らかにそれは火竜たちの戦意を削いでいた。 次第に火竜たちは次々に倒れていき、とうとうトロウの目の前に立ち塞がる者はいなくなった。 トロウが合図すると、配下の魔道士たちは用意していた鎖を解き放つ。ドローミが研究していたあのリングを繋ぎ合わせて鎖状にしたものだ。 鎖は蛇のようにうねり、まるでそれ自体が意思を持つかのように倒れた火竜たちに襲いかかる。そして抵抗する力を失った火竜たちは次々と拘束されてトロウの手に落ちていった。 そしてこの魔鎖グレイプニルに縛られ、手も足も出なかったのは彼も例外ではない。 「くッ……貴様らァ! ニンゲン如きの分際で、よくも!」 玉座の間。トロウの軍勢は火竜王ファーレンハイトでさえもあっさりと打ち倒してしまった。 「やはりそうか。それこそが貴様らニンゲンの本性なのだな。竜との共存だと? 笑わせるな! 体よく取り繕って我らから魔法の技術を盗みながら、腹の底ではいつかこの空の世界を支配してやろうと企んでいたのだろう。他の竜の目は誤魔化せても、我が目は欺けんぞ。王の座を継いだときよりずっと、我は貴様らが怪しいとにらんでおったのだ。そして見ろ、この有様を。とうとう本性を表したな、卑劣なニンゲン共め!」 力強く咆えて見せるも、身体にはまるで力が入らず思うように動けない。鎖に囚われたファーレンハイトはトロウの前に無様にも這いつくばっている。王としての威厳はすでにそこにはなかった。 そんな火竜王をトロウは満足そうに見下ろした。 「ふふふ、おしゃべりが過ぎますねぇ。あなたは私の計画の邪魔なんですよ。もう御託はいりません。とっとと死んでください。滅びゆく国の哀れな王として相応しい最期を迎えさせてあげましょう」 「おのれ、覚えておれ! 我がムスペルス王国は永遠に不滅! このファーレンハイト敗れようとも、いつか必ず我が息子セルシウスが……そして我が同胞たちがこの恨みを晴らしてくれようぞ! それまで恐怖に震えながら、せいぜい偽りの平穏でも貪るがいい――」 そのとき、トロウの両手から漆黒の瘴気が放たれる。闇が瞬く間に火竜王を呑み込んだ。そして彼を包んでいた闇が晴れた頃にはすでにファーレンハイトは息絶えており、そこに残るのは物言わぬ火竜の白骨だけだった。 「さようなら、火竜王様。今まで散々邪魔をしてくれたお礼に、最後の餞別として教えておいてあげましょう……。貴様の同胞はすべて我が手中に収めた! 貴様の国はすでに我が手に落ちた! そして貴様の愛する王子も我が部下の手にかかって今頃はおそらくもう……。くっくっく。はっはっははははぁ!!」 静まり返ったムスペルスの王城に漆黒の魔道士の高笑いが響く。 後に『第一次魔法戦争』と呼ばれることになるユミルとムスペルスの戦いは、火竜王ファーレンハイトの死とムスペルスの陥落によって幕を閉じた。 Chapter10 END 魔法戦争11
https://w.atwiki.jp/tpc-document/pages/326.html
Chapter46「地竜族の追憶1:最長老フェギオン」 かつてそれは火竜の国ムスペルスと氷竜の国ニヴルヘイムのちょうど境界線にあたる場所に在った。 炎と氷の交わる混沌とした大地、ギンヌンガが淵。それは大地に含まれる特殊な成分が磁力の影響を受けて浮かぶ、空の第三の大陸だった。 その時代の空の世界にあるものといえば、北にニヴルの大氷塊。西にムスペの大火山。その間にあるギンヌンガが淵。そして東に大樹ユグドラシル。 混沌の地ギンヌンガは、熱気と冷気に挟まれて常に嵐の吹き荒れる厳しい土地だったが、その雷と雨は大陸に豊かな自然を生んだ。 森が誕生し、湖が出来、やがて何百年にもわたる嵐が治まった頃には、ギンヌンガは美しい大地へと変わっていた。 その新たな大地に移り住んだ一部の竜たちが土地に適応していった結果、誕生したのが我々地竜族の祖先だ。彼らはそこに王国を築いた。 それこそが地竜族の祖国、ギンヌンガガプだった。 私はその国を治める王族の娘として生まれた。今から約千年ほど前のことだ。 ムスペやニヴルに比べると歴史の浅い国ではあったが、ここにはそのどちらの国にもない木々の緑がある。森でさえずる鳥の歌声がある。川のせせらぎがある。 そんな美しい景色が私は大好きだった。 ギンヌンガの山の麓には、木漏れ日の差す穏やかな湖畔があった。そこが私のお気に入りの場所であり、そして私の大好きなお爺ちゃんの暮らす場所でもあった。 最長老フェギオン。このギンヌンガガプの建国者の一人であり、初代国王だった老竜。そして血の繋がる私の実のお爺ちゃんだ。 既に引退して王座を私の父カペレイオンに譲っていたお爺ちゃんはこの湖畔に隠居しており、幼かった私は時折そこへ遊びに行っては、お爺ちゃんからこの空の世界の昔話をよく聞かせてもらっていた。 「お爺ちゃん! 遊びに来た!」 「おお、ジオクルスか。よく来たのう。さあ、ここに座りなさい」 促されて私は、身を寄せてお爺ちゃんの隣に座る。 「さて、今日は何を話してやろうかのう」 「あれがいい。流れ星のやつ!」 「そうかそうか。おまえはその話が本当に好きじゃな。良いとも、何度でも話してやろう。あれはまだ私が今のジオクルスよりももっと幼かった頃じゃ……」 仔竜フェギオンは流れ星を見た。 夜空から舞い降りる赤く光る大きな流星を。 しかし星を見るのに夢中になり過ぎた仔竜は、誤って空から転落してしまった。 フェギオンが空の底で見たのは、どこまでも続く広大な大地と、果てしなく続く巨大な湖だった。それは空の上にはない、自然を超えた自然、大自然だった。 地上に落ちて困っていたフェギオンは、そこで人間という生き物に会った。 人間は落ちてきた星を探して旅をしている途中だといい、地上の世界にはなかった魔法を使って彼を手助けしたことから、フェギオンは彼の相棒として地上の旅に同行することになった。 そして旅の行く先で流れ星を見つけた彼らはひとまわり成長し、ひとまずはその人間の住む村へと帰った。 しかし冒険はまだ始まったばかり。やがて彼らは次の旅に出発した。 流れ星はひとつだけじゃない。世界中にいくつも散らばっている。 だから探しに行こう。世界の果てまで、どこまでも。 彼らは地上の広い世界を旅して回った。その旅の中でフェギオンは天まで届く巨大な樹を見つけた。 「これを登れば、自分が住んでいた空の世界へ帰れるかもしれない」 しかしそれは旅の相棒との別れを意味する。 人間は空では暮らせない。この大地こそが自分の生きる場所なのだ、と。 「これが最後の旅になるな」 旅の相棒はフェギオンを大樹の上まで送ってくれた。 彼らが大樹の頂上で見つけたのは、樹の幹に突き刺さる最後の流れ星だった。 「そうか。きっと星の力を得てこの樹はこれほどまでに成長したんだな。これはただの大樹じゃない。特別な樹だ。ここを俺たちの特別な場所にしよう」 「特別な場所?」 「そうだ。俺は地上へ帰るけど、いつかきっとまた会いに来る。この樹は遠くからでもよく目立つからいい目印になる。だからまた、いつかここで会おう。約束だ」 「うん、約束。いつの日か、また大樹で」 さようなら、またあた会うその日まで。 フェギオンは大樹の上から相棒を見送った。 やがて成長してギンヌンガガプの王となったフェギオンは、大樹ユグドラシルを大地の精霊が宿る神聖な場所として保護するように決めた。それ以来、ユグドラシルはフェギオンだけでなく、地竜たち皆にとっての特別な場所になった。 あれからずいぶん長い年月が過ぎた。とうとう相棒は現れなかった。 それでも、今でもかつての仔竜は待ち続けている。約束が果たされる日が来ることを。いつの日か、あの人間が再び現れることを。 その人間の名はフリード。 地竜族の間に語られる数多くの伝説に登場する唯一の人間。 そう、あの蒼き勇者フリードの名前の元になった伝説。それがフェギオンの語った昔話。最長老フェギオンは、ギンヌンガガプの建国者にして初代国王であり、私の大好きなお爺ちゃんであり、そして生きる伝説であった。 この国には豊かな自然がある。生きる伝説もいる。そしてそれはこの私の実のお爺ちゃんなのだ。それが私の誇りであったし、自慢だった。 歴史は浅いけど、ムスペにもニヴルにも負けない、偉大で立派な、そして素敵で平和な国。それが祖国ギンヌンガガプだった。 この平和がずっと続くと思っていた。 私には兄弟がいないので、やがて私がお爺ちゃんの作ったこの国を継ぐのだろうとなんとなく思っていた。 私が王様になったら、地上を調査して伝説のフリードの子孫を探そう。そしていつの日かお爺ちゃんに会わせてあげよう。そんなことを思っていた。 だが、その思いはどれも潰されてしまった。 ある日突然現れた、あの漆黒の竜の手によって―― Chapter46 END 魔法戦争47
https://w.atwiki.jp/tpc-document/pages/320.html
Chapter40「地竜潜入作戦1:ラタトスクはハラワタの中に」 資材収集をある程度終えたオットーたちはひとまずアルヴへと戻った。 トロウの配下である竜将たちには、その行動を監視するための魔法の媒体になるラタトスクという石が埋め込まれている。それを取り除かない限りは、竜将たちの動きはもちろん、その周囲の会話や状況までもがトロウに筒抜けの状態だった。 「まったく、気持ち悪くてしょうがねェぜ。変な石コロが体内に入ってるって考えるだけで背筋がぞわぞわしてくる。なァ、おまえらの仲間でこれをなんとかできるやつはいねェのかよ」 苛立った様子でヴァルトは身を震わせた。 魔法によって埋め込まれているため、身体のどこにその石があるのかはわからないという。魔法でやったことならば、魔法で取り出すことも可能なはずだが、それがどういう魔法によるものなのかもわからないので、ヴァルトにはどうしようもなかった。 「ふむ。とにかくその石コロをなんとかすればいいんじゃろう。石コロならば、私でなんとかできるかもしれんぞ」 正しい取り出し方ではないので少し荒療治にはなるかもしれないが、石コロも大地の一部であるので、大地の魔法で解決できるかもしれない。とクルスは胸を叩いてみせた。 アルヴにいる限りはラタトスクは効力を発揮しないのでトロウに情報が漏れる心配はなかったが、その気味の悪いものをいつまでも持っていたくないと、ヴァルトはクルスに石コロの処理を任せることにした。 「よかろう。ならば少しじっとしておれ。少々痛みがあるかもしれんが、絶対に動くでないぞ。失敗しても知らんからな」 「痛みぐらいどうってことねェぜ。さっさと始めてくれ」 そういうことなら、とクルスはすぐに念じ始めた。 意識を集中させていくと、微かにヴァルトの身体からたしかに小さな石のようなものの気配が感じられる。それが具体的にどこの部分なのか、というのはクルスにもはっきりとはわからなかったが、しかしそれがどこであるとはっきり特定する必要はない。重要なのはその気配を把握し、意識のうちでしっかりと捉えることだ。 「見つけた。ではさっそく取り出す。覚悟は良いな?」 「二言はねェ。ひと思いにやってくれ」 「よし……行くぞ。はぁぁぁっ!!」 クルスは石コロの気配に向かって強く念を送った。 石コロはヴァルトの体内でぐらぐらと揺れ始める。それをヴァルトもしっかりと感じ取っていた。 さあ、この石がこれからどうやって出てくるのか。 体内にあるのだから、肉を突き破って飛び出してくるのだろうか。それとも粉々になって糞便と一緒になって出てくるのか。あるいは勢いよく口から飛び出してくるのかもしれない。 どれにしたってたしかに痛そうだ。 ヴァルトは焦燥感を覚えながらも、不安と恐怖に耐えてその時を待った。 「う……!」 すると突然、ヴァルトは倒れこんでうずくまってしまった。 そしてしきりに腹が痛いと訴えた。 「我慢せい、男じゃろう! もう少しの辛抱じゃ」 「い、息が……く、苦しい……」 「耐えろ! そうじゃ、ユミルにいた頃に人間から腹痛に効く呼吸法を聞いたことがある。私がやるのを真似てみよ。せーのっ、ひっひっふー。ひっひっふー」 「そ、それ、違うやつ、だろ……!」 苦しむヴァルトの姿をオットーはただ見ていることしかできない。心配そうな面持ちで、ただヴァルトの無事だけを祈った。 少し前までは敵対心しかなかったというのに、今では本当の仲間のように心配している。そうだ、ヴァルトはもう敵ではない。それがわかった今では、素直にこの風竜を心配することができる。 そうやって見守っていると、ヴァルトの腹が……いや、下腹部が膨らんできたようにも見える。 もうすぐラタトスクが出てくる。ただし石は尻から出る。 まさかそういうことなのだろうか。 嫌な予感をありありと感じながらも、オットーは静かに見守った。 「む。この手ごたえ! 出る、出るぞ! 踏ん張れ! 耐えるんじゃヴァルト!」 「ぬ……ぐぐぐ…………ぬおォォォォォォッ!!」 力のこもった雄叫び。風竜の咆哮。 あまり見たくないような気もするが、今まさにヴァルトの肛門を引き裂くかのようにその狭い道をこじ開けて、栗色の石コロが転がり出て―― ――――来ない? 思わず閉じかけそうになった、しかしそれでも薄っすらと開けていた目をさらに細めてオットーは何が起こったのかと様子を窺った。すると、 『――コロン』 オットーの背後で何かが転がった。 「え?」 振り返るとそこに栗色の玉が転がっている。 見覚えがある玉だ。フレイが以前アリアスに手渡されたものとそっくりの玉だ。 これこそまさしく監視の石ラタトスクそのもの。それは物言わず、ただ静かに冷たくそこにひとつ、ころりと転がっているのだった。 「ヴァルトとは全然関係ない場所に出てきたぞ。俺はてっきり……」 「ふふん。得てして魔法とはそういうものじゃ。さーて、こんないかがわしい代物に用はあるまい。こんなもの、こうじゃ!」 クルスは地竜の大きな脚でラタトスクを粉々に踏み潰してしまった。 その様子をオットーはあっけにとられた様子で眺め、そして一方ヴァルトはうずくまったまま、白目を剥いて悶絶していた。 「ふぅ。監視の石とは厄介な代物じゃのう」 「まったくだ。しかし、これと同じものをフレイ様は持たされていた。それをくれたのは、ユミルを出るときに我々を助けてくれた男だ。名はたしかアリアス……」 「ふむ。そやつもトロウの息がかかっていると見て間違いないじゃろうな」 「なんということだ。我々を介抱してくれた恩人だと思っていたんだが」 「安心させるための演技じゃろうな。少なくともヴァルトよりも厄介な相手なのは間違いない。もしまた会うようなことがあれば気をつけることじゃ」 「くそっ! 俺があのとき、もっとしっかりしていれば……」 「過ぎたことじゃ。次に気をつければ良い。しかし……ラタトスクか……」 悔しがるオットーの隣で、クルスは粉々になった石の破片を眺めながら、一抹の不安を胸に抱いていた。 ヴァルトは言っていた。竜将はすべてラタトスクを体内に埋め込まれていると。 竜将はすべてトロウの監視下にあるのだ。それはヴァルト以外の竜将すべてに言えること。そして、その竜将の周囲の状況はすべてトロウに筒抜けなのだ。 (ファフニール……。あやつ、大丈夫なんじゃろうか) クルスは地竜の友のことを想っていた。 第四竜将ファフニール。トロウに金で雇われていた黄金の竜。 フリードによって雇い直されてこちら側の味方になった経緯を持つが、そのファフニールにもラタトスクが仕込まれていたということは、すでにその事情もトロウに知られている可能性が高い。 今、ファフニールは”寝返ったことを知らないはずの”トロウの元へと向かっている。まだトロウの仲間であるふりをして、敵側の情報を盗む作戦のためだ。 しかし、その作戦がすでにトロウにばれているとしたら? 任務に失敗したヴァルトをトロウは消そうとした。 ならば裏切り者の処遇がどうなるのかは想像に難くない。 幾度と無く殺し合った仲ではあったが、それでもファフニールはクルスにとって大切な友だった。殺し合うほど仲が良い関係だった。 その友が危険な状況にある。クルスは心配せずにはいられなかった。 (いつかお主を殺すのはこの私じゃぞ。それ以外の誰にもそれは許さん。だからファフニール……頼むから無事であってほしい――) 思わずユミルのバルハラ城の方角へ目をやったが、アルヴから見えるのは分厚い雷雲の層が広がる灰色の景色だけだった。 Chapter40 END 魔法戦争41
https://w.atwiki.jp/tpc-document/pages/283.html
Chapter03「その男、アリアス」 アリアスと名乗る男はどうやら洪水の魔法に襲われたフレイたちを救ってくれた恩人らしい。しかし、なぜかアリアスはフレイの素性を知っていた。この男は一体何者なのか。 「助けてくれたことは感謝する。だが貴様、なぜ彼をフレイ王子だと思う? 返答次第ではこちらにも考えがある」 オットーがかばうようにフレイの前に出る。 その様子を見て、アリアスはふっと笑った。 「おいおい。落ち着けって。何怖い顔をしてるんだ。そっちの赤いやつが寝言のように言ってたんだよ。フレイ王子、フレイ王子って」 言ってまだ気を失ったままのセッテを指差す。 たしかにセッテはうなされるように何かを呟いていた。 「そ、そうか。それは失礼した」 身構えていたオットーは拳をすっと下ろす。 「それにだ。緑のあんたのその態度。見てればわかる。騎士さんか何か? よっぽどその後ろの人が大事と見える。そんな様子じゃ、誰だってそこの兄ちゃんは王族とまではいかなくても、ああ身分の高い人なんだろうなってわかっちまうよ」 「うっ…」 言葉を詰まらせたオットーの顔には、迂闊だったと書いてある。 「なかなかの洞察力だ。知られてしまったのなら隠しても意味がない。改めて名乗ろう。僕はフレイ、ユミル国の王子だ。こっちはオットー。赤いのはセッテだ。助けてくれてありがとう。感謝する」 「礼ならさっきも聞いた。構うことないって」 「ところで僕たちをどこで? 記憶が曖昧なんだ」 「んん。夜明け頃のことだったかな…」 城下街の至るところには、大樹の枝をくり抜いた水路が通っている。かつては物の運搬に使われていたというし、今でも下水の通り道になっている。まだ太陽が顔出す前の薄暗い頃、水路を流れてきた三人を見かけて、慌てて近くにあった小屋に運び込んだのだという。 「ということは、ここはバルハラの城下街か」 「中心街からはけっこう離れた外れのほうだけどな」 おそらくトロウの洪水に流されて、そのまま下水道へと流れ落ちたのだろう。あとはそのまま水路を伝って城下街のほうまで流れてきたというわけだ。 「失礼を承知でお聞きする。アリアス殿は、そんな夜明け前の時間に何をされていたんだ?」 「オットー。彼は僕らを助けてくれたんだぞ」 「もちろんそれは感謝している。しかし王子をお守りするという立場上、どんな相手でも警戒は怠れません」 まだ疑いを捨てきれないでいるオットーに対して、アリアスは素直に答えた。 「いいだろう。俺だけそっちの素性を知っているというのもズルい話だからな。仕事上、俺は人目を避けて行動することが多くってね。そう、俺は密偵をやっているのさ」 「密偵……つまり、貴様スパイか!!」 オットーの表情が再び険しくなる。 「おおっと。待った待った。言っとくが俺はあんたたちの敵じゃないぜ。こう見えてもユミル王家に仕えてるんだ。ニョルズ王の命令で、城下の治安を陰から支えたり、ムスペやニヴルの情勢を探ってるってわけ。わかる?」 「知らなかった。父上がそんなことを?」 「俺の情報収集力を侮るなよ。フレイ王子。あんた、戦争の噂を気にしてるらしいな。それなら面白い話がある」 アリアスの話では、ニョルズ王が軍備を増強して戦争に備えているのと同様に、火竜の国ムスペルスや氷竜の国ニヴルヘイムでも緊張が高まっているのだという。 ムスペルスの火竜はもとからあまり人間に友好的ではなく、争いそこ起こらなかったもののあまりいい関係を築けてきたとはいえない。一方ニヴルヘイムの氷竜は人間に対してはほとんど無関心であり、ユミルとの国交はないに等しい。 竜族とは人間が地上からこの空の世界へやってくるよりも遥か昔から、その空の世界を支配してきた存在。それをあとからやってきて大樹に住み着いた人間をあまりよく思っていないのも仕方がない話ではある。 しかしその中でも地竜族だけは友好的であり、地上からやってきた人間に快く大樹の一部を土地として与えてくれた。これは地竜族が大地の精霊を神聖視しており、地上もまた大地の精霊のものだと考えているからだ。つまり大地の精霊のものである地上で生まれた人間もまた大地の精霊のものであり、ゆえにそれを大切にしなければならないという考え方だ。 他にも特定の縄張りをもっての定住はしない風竜や、氷竜の亜種の水竜などが存在する。 「噂じゃ火竜王のファーレンハイトは常にユミルやニヴルの動向に目を光らせていて、隙あらばすぐにでも攻め込む準備ができているという話だぜ。火竜は誇り高いが頭が固いからなぁ。自分たちが一番じゃないと気が済まないのさ」 「そういえば聞いたことがある。ムスペとニヴルは昔から何度も対立してきて、これまでも何度か戦争になったことがあると。まさかユミルにまで狙いを定めていただなんて…」 これはまずいことになった。もしアリアスの話が本当なら、ユミルの軍備増強の噂がファーレンハイトの耳にでも入れば、相手に攻め入る口実を与えてしまいかねない。ユミルは大樹の上に築かれた国だ。炎の息や火の魔法を大の得意とする火竜に攻め込まれれば、国土はあっという間に火の海と化すだろう。相手として分が悪すぎる。 「一方で氷の女王ヘルは鎖国政策を打ち出したそうだぜ。氷竜か水竜以外は一切国に入れないし、口も利かないんだと。理由もなく近づこうものなら問答無用で排除するらしい。まったく冷徹な氷竜は考えることが恐ろしいや」 以上がアリアスの語った三国の情勢だ。 まとめると、ユミルは軍備を増強して戦争に備えている様子。 ムスペはいつでも攻め込めると言わんばかりに目を光らせている。 そしてニヴルは誰も入れぬ近づけぬ、だ。 「王子、いかがいたしますか」 オットーがフレイの顔を覗きこむ。 フレイは悩むことなく言った。 「ムスペルスへ向かう。直接、火竜王と会って話をつける」 王城を飛び出したときからもとよりそのつもりだった。 トロウの影響でニョルズ王がおかしくなったのだとフレイは考えている。軍備の増強だってあいつの入れ知恵に違いない。あの不気味な魔道士を父上の傍に置いておいてはいけない。そう考えていた。 だが自分の力だけではあの漆黒の魔道士にはとても敵わない。それは地下迷宮で対峙してみてよくわかった。 だから外に協力を仰ぐつもりで城を飛び出してきたのだ。 「ニヴルヘイムには近づくことさえ難しいのだろう。だったら行き先はひとつしかない。火竜の国ムスペルスだ」 「しかし王子。やつらは我々にあまり友好的ではありませんし、さっきも攻め込む機会を窺っているのだと聞いたばかりです。そんなところへ乗り込んでいくのはあまりに危険ではありませんか」 「かもしれないが、他に頼れるところがないのも事実だ。城の兵士たちは父上の命令には逆らえない。王宮魔道士も同様だ。父上の背後にトロウがいる以上、彼らの協力を得るのは難しい。かといってトロウに匹敵するほどの実力を持った魔道士を僕は知らない。となれば、頼りになるのは強大な力を持つという竜族だけだ。なんとか彼らを説得して味方につけるしかない」 「それにしてもよりによって火竜などとは。それだったらまだ我らに友好的な地竜に頼んだほうがまだ確実というものです」 「じゃあ聞くがオットー。君には地竜の知り合いはいるか?」 「そ、それは……いませんが」 地竜はたしかに人間に友好的である。しかし、その姿を見かけることは滅多にない。風竜のように方々へ散ってしまったのか、あるいは今でも大樹のどこかに彼らの暮らす集落があるのか、それはわからないが、今となっては地竜はほとんど幻のような存在になってしまっている。代々ユミル王に仕える地竜の一族がいるという話をフレイは聞いたことがあったが、これまでにニョルズ王が地竜と会っているのを見たことは一度もなかった。 「風竜は気まぐれでどこに住んでいるかもわからない掴みどころのない連中だと聞く。だから今は、ムスペルスへ行って火竜たちに話を聞くのが最も確実だと思うんだ」 「そうですか。王子がそこまでいうのなら…」 「それにセッテがいるだろう?」 フレイがまだ気を失ったままのセッテのほうを見る。するとオットーも納得したような様子で、 「ああ、なるほど。たしかにあいつなら火竜を説得できるかもしれない」 と深く頷いた。 ちょうどそのとき、ようやくセッテが意識を取り戻したようだった。 「う、ううん……。あれっ。おれ、どうしたんすか。ここは一体…」 「おっと、ようやくお目覚めのようだな」 まだ朦朧とした様子のセッテの目の前に最初に現れたのはアリアスの顔だった。 突然の見知らぬ顔に驚いたセッテは、とっさに両手から火球を放った。 「あ、怪しい奴!! これでも食らえっ!」 ほとんど零距離からの攻撃。 しかしアリアスは、落ち着いた様子でふたつの火球をそれぞれ手で受け止めると、握りつぶして消滅させてしまった。 「おい。火事になったらどうする。危ない奴だな」 あっさりとセッテの魔法を無効化してしまうアリアスの様子にフレイとオットーは顔を見合わせた。 ああ見えても、セッテは火の魔法に関してはバルハラ王城の中でも指折りの存在なのだ。それをこうも簡単に受けて止めてしまうとは、やはりこのアリアスという男、只者ではない。 「ううん……? あ、フレイ様。おはようございます」 「馬鹿。あ、フレイ様じゃないだろう。まったくおまえは心配をかけさせて…」 「あ、兄貴も。これ誰?」 言ってまだ寝惚けた顔をしながらアリアスを指差す。 呆れた様子でオットーはこれまでの経緯を説明するのだった。 「すんません、ご迷惑をおかけしまして……。そ、そうだ、思い出したっすよ! トロウの奴め、前からアヤシイとは思ってたけど、まさか待ち伏せして襲ってくるなんて卑怯な奴! くそぅ、仕返しっす! 正義と憤怒の鉄鎚を下してやるっすよ!! さぁ、どこっすかトロウは!?」 先に手を出したのは自分のほうなのだが、そんなことはすっかり忘れてセッテは憤っている。とりあえず元気そうなので、馬鹿は放っておいてフレイたちは話を進めることにした。 「セッテはたしかムスペで火の魔法の修行をしていたことがあるんだったな。多少はムスペに顔見知りもいるだろう。そこを足がかりに火竜の信頼を得て、なんとか味方につけたいところだね。うまくいけば、ムスペとの戦争だって回避できるかもしれない」 「そうですね。それにトロウが我々の無事を知れば、息の根を止めるために追っ手を差し向けるかもしれません。何せ我々は奴の本性を知ってしまったのですから。それを考えれば、このままユミルに留まっているよりは、たとえムスペルスでも国外へ出たほうがむしろ安全だということも考えられます」 「よし。これで行き先は決まったな。そうと決まれば、次は船が必要だ。港へ向かおうか」 バルハラ城下街は王城を中心に放射状に広がっている円形の街だ。 それは複数の区域から構成されており、市民街の他には魔法研究特区ルーンや、錬金術研究特区シレスティアル、そして港地区のヘイムダルなどに分かれている。 港からは魔力で空を飛ぶ船、魔導船が発着している。竜のように飛行能力を持たない人間たちは、それに乗ることによってこの空の世界を自由に行き来することができる。 「へぇ。あんたたち、ムスペルスへ行くのかい」 黙って話に聞き耳を立てていたアリアスが声をかけた。 「アリアス殿。我々を助けてくれたこと、重ねてお礼申し上げる。ただし、今聞いた話はできれば忘れて欲しい。他言無用でお願いする。これは心ばかりだが……」 と、オットーは懐から口止め料も兼ねて金貨を取り出そうとするが、アリアスはそれを制止した。 「いや、ほんと構わないでくれ。その代わりと言っちゃあナンだが、ここで俺に会ったことも黙っててもらえないか。俺のほうとしても密偵という仕事をやっている都合上、なるべく他人に存在を知られるわけにはいかないんでね。それでお互い様ってことで」 そういうことなら、とオットーは手を引っ込めた。 それから、とアリアスは小さな栗色の石をフレイに手渡した。 「これは…?」 綺麗な色をしているが、それ以外は何の変哲もないただの石ころに見える。 「ラタトスクという名の石だ。お守りみたいなもんさ。高価なものじゃないから、気にせず持ってってくれ。これからムスペルスに行くんだろ。道中気をつけてな」 「何から何までありがとう。大したお礼ができなくてすまない。その代わり、この国の平和は必ず僕が守ってみせると約束する。それじゃあ、僕たちはそろそろ出発するよ」 「恩に着る。また何か困ったことがあったら、いつでも王城を訪ねて……っと、その王城で仕えているんだったな。ともかくまた機会があればいずれ、ちゃんとしたお礼はさせてもらうつもりだ。それでは我々はこれで。ほら、セッテ。行くぞ」 まだ頭から火の粉を飛ばしているセッテを引きずりながら、フレイ王子一行は古びた小屋から出て行った。 そんな様子をアリアスは小屋の前でその後ろ姿が見えなくなるまで、笑顔でじっと見送っていた。 ……が、その姿が見えなくなると、すっと表情が変わり鋭い眼光がフレイの消えた先を睨みつけた。 「ふん。まったくお人好しの甘っちょろい王子だぜ。おまえはもう少し他人を疑うということを覚えたほうがいい。そういう意味じゃ、あの緑の奴のほうが少しはマシだったが……まあ、せいぜい頑張るがいいさ。もしも俺の計画に役立ちそうなら考えてやってもいい。だが邪魔になるようならそのときは……。ともかくあいつに命じられた任務は果たした。帰るか」 アリアスの姿が闇に染まると、その背中からは大きな翼が飛び出した。次の瞬間には、アリアスは漆黒の竜に姿を変えており、風を切るように勢いよく飛び上がると、バルハラ王城のほうへと飛び去ったのだった。 Chapter03 END 魔法戦争4
https://w.atwiki.jp/tpc-document/pages/333.html
Chapter53「フレイ倒れる1:王子は呪われてしまった!」 これはクエリアから猫だらけの隠れ家を見せてもらうよりも数日前のお話。 例のメタルドラゴンを発明した機械技師グリムとともにアルヴへ帰ってきたおれたちは、まず大神殿のアルバスに彼のことを報告した。アルバスはすぐに彼に理解を示してくれて、グリムがアルヴに研究拠点を置くことを許可してくれた。 それからおれたちは大神殿を後にした。グリムは以前から目星をつけていた場所があるといって、アルヴァニアの街のはずれにある雲の森のほうへ歩いていったので彼とはそこで別れた。 陽も暮れてきていたので、おれたちも一度拠点のグリンブルスティに戻って休もうかと提案してみた。 「初めて外の世界を見たんで、わたし疲れちゃったなぁ」 「そうだね……。僕もちょっと疲れたみたいだ。今日はもう休むよ……」 ゲルダとフレイ様はそう言ってうなづくと、おれと一緒にグリンブルスティに戻ることに賛成したが、クルスはまだやることがあると首を振った。 「帰ってきたばかりなのに、もう出かけるんすか?」 そう問うと、クルスはこれからファフニールと会ってくるのだと説明した。 今、ファフニールはトロウに従うふりをして敵の懐に潜入している。二重逆スパイとかいうちょっとややこしい立場らしいけど、いまいちおれにはよく理解できなかったので、とにかくトロウの仲間のふりをして情報を集めているというふうに考えておくことにしている。 そのファフニールからの定期連絡があるので、そのためにクルスは会いに出かけるということらしい。 「あやつもテレパシーのひとつでも使えれば話が早いんじゃがのぅ。まあ、トロウに傍受される心配があるから、念波を使うよりは直接会ったほうが安全ではあるがな。そういうわけなのでちょっと行ってくる」 飛び立つクルスを見送って、それじゃあおれたちは帰るとするっすか! と隣に目をやったそのときに問題は起こった。 「うっ……な、なんだか。これは、ちょっと……まずい、かも、しれな、い……」 どさり。と音を立てて、なんとフレイ様がその場に倒れこんでしまったのだ。 突然のことにゲルダは慌てているし、おれも一瞬何が起こったのか理解が追いつかずに呆然としてしまった。 が、はっとして急いで倒れたフレイ様を揺り起こして声をかける。 「ちょ、大丈夫っすか!? 一体どうしたんすか! おれがわかりますか?」 しかしいくら声をかけても、はっきりとした返事はない。 フレイ様はただうめき声を上げて苦しそうな表情をするだけだ。 「な、なんなの? ねぇセッテ、フレイはどうしたの?」 心配そうにフレイ様の顔を覗きこむゲルダ。 聞かれてもおれにはわからない。そして当のフレイ様は意識もうろうとした様子で、話せそうな状態ではなかった。 もしかしてと思いフレイ様の額に手を当ててみると、じんわりとした感覚が手のひらに返ってくる。 「すごい熱だ……。原因はわかんないっすけど、これは何かヤバイっす!」 「そんな! フレイ死んじゃうの!? わたしはそんなの嫌!!」 「落ち着くっすよ! とにかくまずは原因を突き止めるのが大事っす。もしかしたら何かの病気かもしれない。この街に病院とかはないんすか?」 「お医者さんは……いない。竜人は基本的に病気はしないし、ちょっとした怪我なら魔法で治しちゃうし……。こんなの、わたしも初めて見るもん」 フレイ様は苦しそうに肩で息をしている。そして時折、むせるように連続して大きな咳を繰り返した。顔色もどんどん悪くなっていっているような気がする。 「これは困ったっすね。こういうときは物知りのクルスが頼りっすけど、一歩遅かったって感じっす……。兄貴やフリードたちも出かけてていないし……」 「他に誰か治療の魔法に詳しいひとはいないの?」 「プラッシュがセッちゃんの石化を治してくれたことがあったっすけど、今はクエリアと一緒にどこか行ってるみたいっす。こんなとき一体誰に相談したら……」 自分たちだけではどうすることもできない。何が原因なのかさえもわからない。 しかしあまりぐずぐずしてはいられなさそうだ。というのも、フレイ様の状態は見る見るうちに悪化していったからだ。こんどはぶるぶると身体を震わせながら、うわ言のように「寒い、寒い」とつぶやいている。 「うう……。マジでヤバイっす。まさか何か呪いでもかけられたんじゃ……」 そもそもフレイ様がアルヴの外に出たのは、ファフニールの作戦のためだ。 トロウの仲間のふりをするために、ファフニールはトロウに怪しまれないように振る舞わなくてはならない。そのために、フレイをアルヴの外に誘き出すようにと命令されていたファフニールは、たまにはアルヴの外での活動も行ってほしいと協力を申し出てきた。 ラタトスクの石さえ持たなければ、トロウにフレイ様の居場所を特定される心配はなく、危害も及ばないはずだとファフニールは言っていたけれど……。 フレイ様をメタルドラゴン探しに誘ったのはおれ自身だった。アルヴの外へフレイ様を連れ出したのはつまりおれということになる。もしかしたら、そのときに何らかの方法でトロウはフレイ様に呪いをかけたのかもしれない。 だとしたら、これはおれの責任だ。 「厄介っすね……。もし呪いだとしたら、ちゃんとした手順がわからないと呪いを解くことができないっすよ。もちろん自然治癒もしないし……」 自分のせいでフレイ様が苦しんでいる。しかもそれでもしものことがあったら、家臣としてはこれ以上ない重大な失態だ。つまり非常にヤバイ。 冷や汗を垂れ流しながら頭を抱えていると、ゲルダが思い出したように言った。 「そうだ! そういえば街の外円部に錬金術を研究してるひとがいるよ!」 「錬金術ってあのよく薬とか調合してるアレっすか?」 「そのアレだよ。呪術にも詳しいし、もしかしたらフレイを治せる薬を持ってるかも!」 錬金術というのは、機械と同じく古代の地上由来の技術のひとつだと聞いたことがある。今でこそ魔法が世の中の基本として存在しているけれど、それ以前は科学が人間の文明の中心だったらしい。 そして、その科学はさらにその前の時代に誕生したカラクリと錬金術のふたつが合わさって生まれたそうだ。 魔法の発展により機械技術は廃れていったという話だが、錬金術のほうは魔法との相性が良いらしく、今でも残っている一般的な技術だ。あまり詳しくはないけれど、回復の魔法を込めた錠剤を作ったり、様々な効果を発揮するポーションを調合したりできるらしい。もしかしたら解呪の薬というものもあるかもしれない。 錬金術師は医者ではないけれど、言うなれば魔道士と薬剤師を足したような存在だ。少なくとも自分たちだけで悩んでいるよりはずっといい意見をくれるはず。 「よし。それじゃあ、その錬金術師に会いに行くっすよ! 案内頼むっす」 「任せて! でも病人を連れまわすわけにはいかないよ。まずはフレイをどこかに休ませてあげよ? それから錬金術の先生を呼んでこようよ」 「ラジャっす」 まずは二人でフレイ様の肩を支えてグリンブルスティまで連れて行き、船内にあるベッドにフレイ様を寝かせた。 船内にはいつものようにクエリアの姿を捜しておろおろしているフィンブルがいたので、氷枕を作ってもらってフレイ様の様子を見ててもらうように頼んだ。 まだ全然大丈夫じゃないけど、とりあえずは安心だ。 「フレイさん、病気なんですか?」 「これから錬金術の先生に相談に行ってくるんだ。だからフレイを看てて。言っておくけど、フレイに何かあったらわたし怒るどころじゃすまないから」 「はわわ……。そ、そんな。私どうしたらいいんですか~」 フィンブルはますます、おろおろした様子になった。小柄とはいえ氷竜なのに、クエリアやクルスとかとは全然違うタイプの竜もいるもんだなぁと思う。 ……なんて今は関心を払っている場合じゃない。 「ゲルダ、もうそのへんにしとくっすよ。早くフレイ様を助けてあげないと」 「そうだった。じゃあフレイのこと頼んだからね! くれぐれも頼んだからね!」 あとをフィンブルに任せて、おれたちは薄暗い空の中を街の外円部へと走った。 先を行くのはゲルダ。そしてその案内を受けておれが後に続く。 (待ってるっすよ、フレイ様。絶対にぜったいに助けるっすから! だから、おれたちが戻るまで絶対に死んじゃだめっすからね……!) Chapter53 END 魔法戦争54
https://w.atwiki.jp/tpc-document/pages/335.html
Chapter55「フレイ倒れる3:機械竜ゴライアス発進」 フレイ様を救うための解呪薬に必要な材料は三つ。 ゲルダは心当たりがあると言ってキュアル草を探しに行った。どうやらそっちはアルヴの中でも手に入るようだ。 一方、おれが集めるのはメーの体液と風竜の鱗。どちらもアルヴの外の空にあるから、外に詳しくないゲルダよりはおれのほうが適任のはずだ。 「さてと、まずは移動手段をどうするかっすねぇ。仲間の竜はみんな出かけてる。そろそろヴァルちゃんか、あるいはクルスが帰ってきてるといいんすけど……」 ヴァルトは兄貴とともに今日も資材集めだ。最近ではドローミの島以外にも足を伸ばしているらしく、日に日に帰りが遅くなっている。 風竜の鱗ならヴァルトのをもらえばいいし、飛行速度も速いからまとまった数のメーを捕まえるのも難しくないはず。だからヴァルトが戻ってきてくれていれば一番良かったのだけど、あいにくその日は兄貴たちが帰ってくることはなかった。 他に考えられる移動手段は大神殿に行って神竜様に転移魔法で飛ばしてもらう方法もあるが、それだと帰りの手段に困る。 あるいはグリンブルスティに戻って氷竜フィンブルに乗せてもらうことも可能だったが、それだと病床のフレイ様を看ている者がいなくなってしまう。もしフレイ様に万が一のことがあっては大変なので、できれば誰かついていてほしい。 船を動かせれば一番いいが、風の魔法が使えないおれにはグリンブルスティを飛ばすことはできなかった。 「他に空を飛べるものは何か…………そうだ! あれがあった」 先日の経験は無駄じゃなかった。そう思っておれが向かったのはアルヴァニアのはずれにある雲の森。そこには例の金属の竜が静かに鎮座していた。 ロマンの塊、みんなの憧れメタルドラゴン。そのオーナーの姿はすぐ近くにあった。グリムはいつも一人で研究と称して機械弄りだ。 おれはそのメタルドラゴンを借りようと思って、事情をグリムに説明した。 「――そういうわけでフレイ様のために薬の材料を集めなきゃならないんすけど、おれ一人じゃアルヴを出られないんで、あんたの力を貸して欲しいんすよ」 しかしグリムはこちらを振り向きもせずに答えた。 「前にも言ったがワタシは他人には興味がない。ここなら誰にも研究の邪魔をされないし、そのために必要な竜人の観察も気軽にできるというからワタシはアルヴへとやって来たのだ。おまえたちの世話を焼くために来たのではないぞ」 冷たい反応だな……と思ったが、そういう返事をされるだろうということはある意味想定内だった。グリムは研究さえできれば他はどうでもいい、というようなタイプの人間だ。だからこそ、おれにはある考えがあった。 「もちろん研究の邪魔はしないっすよ。ただ、あんたの発明品を少し貸して欲しいだけっす。そのメタルドラゴンは空飛べるっすよね?」 「メタルドラゴンではない。ちゃんとした名前がある」 「そりゃすまねっす。えーっと、ゴ……ゴ……ゴリラ? っぽい感じの、たしか」 「ゴライアス」 「そうそう、それ。そのゴリちゃんを貸してくれるだけでいいんすよ。そしたらあとはお邪魔にならないよう、すぐに退散しますんで」 とはいえ機械竜(ゴライアス)はグリムの半生をかけた研究の積み重ねによる努力の結晶のような存在だ。そう簡単には貸してくれないかもしれない。 しかしこっちもフレイ様の命がかかっているのだ。いざとなったら土下座してでも食い下がる覚悟でやってきた。 さて、何と言って貸し渋られるかと息を呑んで身を引き締めていると、意外にもグリムはあっさりと返事をよこした。 「それなら問題ない。勝手にもっていけ」 「……えっ、いいんすか!?」 「なんだ。自分から頼んでおいて、なぜそんな不思議そうな声を出す?」 ずいぶん拍子抜けした気分だった。何度断られようと絶対に諦めないつもりで、長期戦も覚悟していたというのに、さすがにあっけなさすぎる。 こうもあっさりと貸してくれるとは、本当に自分の研究以外にはまるで関心がないらしい。しかしそういうことなら、ありがたくお言葉に甘えておくまでだ。 「それじゃあ、ありがたく借りさせてもらうっす。あ、心配いらないっすよ。前に乗せてもらったときに操作方法はだいたいわかったし、どこかにぶつけたりしないでちゃんと無事に返すと誓いますんで!」 「別にかまわん。材料さえあればその程度のものはすぐに作れる。設計図ならワタシの頭の中に入っている。もし壊れたら適当に処分しておいてくれ」 「え……。処分しとけって、そんな日用品かなんかじゃないんすから、こんなでかい機械。おれが言うのもナンっすけど、自分の発明品に愛着とかないんすか?」 「重要なのはそれを作るためのノウハウだ。モノ自体は大して意味を為さない」 「そ、そっすか……。でも、おれはちゃんと返すつもりっすからね!」 「わかったから、さっさと持っていけ。ワタシにはとにかく時間がないのだ。こうして話している時間さえも惜しい」 そうやってゴライアスを押し付けられるようにして、グリムに追い返されてしまった。 「ヘンな人っすねぇ……。でもいいや。これで材料を探しに行ける」 研究者というのは変人が多いものだ。そう納得しておくことにしよう。 気を取り直して、さっそくゴライアスに乗り込み出発しようとしていると、突然後ろから誰かに呼び止められた。 「すみません。さっきのお話、聞こえてしまったのですが、フレイ王子が苦しんでいるというのは本当なのですか?」 振り返るとそこに立っていたのは、フードを深めに被った蛇っぽい姿のお姉さんだった。こう見えても彼女は人間で、ユミル王家の王宮魔道士の一人。おれや兄貴にとって先輩にあたる立場のひとだ。名前はたしか…… 「サーモン先輩!」 「あ、あはは……。ワタシはそんなおいしそうな名前じゃないわ。ワタシは灼熱の魔道士サーモスです」 サーモスは苦笑してみせた。 蛇のような顔は少し恐いが、こうして笑ってみせると意外と可愛らしい。 たしかトロウに呪われて蛇のような姿に変わってしまったとかいう話だ。そういえば、彼女も呪いを解く研究のためにこの森に隠れ住んでいるんだっけ。 「こりゃ失礼しました。ええと、その通りなんすよ! フレイ様が急に苦しんで倒れてしまって、もしかしたら敵に呪いをかけられたのかもしれないっす。それで、錬金術の先生に解呪の薬を作ってもらうために、材料を取りに行くところっす」 「なるほど……。王家に仕える者として、王子の一大事に黙って見ているわけにはいきません。どうかワタシにも手伝わせてもらえませんか?」 サーモスは協力を申し出てくれた。たしかに一人で探すよりは、少しでも人手が多いほうがいい。それに彼女には、他にも手伝う理由があるという。 「解呪の薬というものがあるなんて。アルヴに暮らしてしばらく経つけど、そういうものは初めて聞きました。もしかしたらこのワタシにかけられた呪いも、それさえあれば解けるかもしれない……!」 そういうことなら、なおさら断る理由はない。 おれはありがたく協力を受けることにした。 「それじゃあ、さっそく発進するっすよ。ちょっと揺れますんで、しっかりつかまっててくださいね、サモ先輩!」 「さ、サモ先輩?」 二人でゴライアスに乗り込み、慣れた手つきでいくつかのスイッチを入れる。 先日の経験が今こそ活かされるとき。動かし方は、前にクルスたちと浮遊岩石群に行ったときに覚えてしまった。 燃料良し、計器良し、メインエンジン点火、動作良好。 「いざ、機械竜ゴライアス発進!!」 今おれの脳内にはドラムロールが鳴り響き、そしてシンバルが力強く打たれた。 夢と希望とロマンを乗せて、どこまでも行くよ機械竜。 我らが主君を救うため、さらばアルヴよ、しばしの別れ。 大空を舞い、我らが目指すは、運命繋ぐ奇跡の薬。 使命を帯びて飛び立つ船は、その名は機械竜ゴライアス。 作詞:おれ 作曲:募集中 そしてゴライアスはおれたちを乗せてアルヴを飛び立つ。 さあ、待ってるっすよフレイ様。すぐに薬の材料見つけてくるっすからね! Chapter55 END 魔法戦争56
https://w.atwiki.jp/tpc-document/pages/287.html
Chapter07「それぞれの向かう先」 火竜は自らをムスペルスの王子だと名乗った。 ムスペルスといえば火竜の国なので、目の前の竜がそこから来たのは間違いないだろうが、しかしヴァルトを追い払ってくれたとはいえ、一国の王子である身がなぜこんな場所にいるのだろうか。偶然にしてはできすぎている。 船はたしかにムスペルスに向かっていたが、ここはまだ大樹を発って少し進んだ程度の場所であるので、まだユミルのほうが距離としては近い。ということはこの火竜、わざわざ自分からこちらへ向かってきたということになる。 そういう理由でさっそくオットーはこの火竜を警戒したが、それならばお互い様だろうと相手は返した。 「貴殿はユミル国のフレイ王子だな。なぜこんなところに一国の王子が? という意味では我々は同じ立場だ」 まただ。こういった展開は前にも見た。身分を隠すように扮装しているはずなのに、なぜかフレイはすぐに王子だと見抜かれてしまう。そしてその言葉に対してオットーが警戒をさらに強めるのも同じ展開だ。そしてその警戒を解かせるきっかけを作るのは今回もまたセッテなのだった。 「そりゃ王子ってわかって当然っすよ。セッちゃんはおれの知り合いっすからね。そのおれがお慕いしている相手といえば、フレイ様しかいませんから」 「……おい、セッテ。まさかおまえは他所で王子のことをべらべらしゃべって回っているのか。無用心にも程がある!」 「えぇーっ。そんな誰彼かまわず、見境なしにしゃべり倒してるわけじゃないっすよぉ」 「まあいい。それで……セルシウス殿、と仰いましたか。ヴァルトとかいう風竜を追い払っていただいたことは感謝します。しかし偶然通りかかったわけではありませんよね。王子に声をかけたということは、何か我々にご用があるのですか」 オットーはセルシウスに対して必要以上に警戒することはやめたが、それでもまだ心を許してはいない様子だ。 返答次第ではたとえ王子だろうと容赦するつもりはない、とでもいいたげなオットーの目がセルシウスを睨む。対してセルシウスは臆することもなく答えた。 「ふむ。たいへん忠実な従者をお連れのようで、うらやましい限りだ。私にはここまで我が身を案じてくれるほどの従者はいない。……いや、小うるさい年寄りはいたかな。まあ、ともかくまずこれだけははっきりさせておこう。私は貴殿らを害するつもりは一切ない。見てのとおり、私ひとりだ。それだけは理解してほしい」 そう言ってセルシウスは深く頭を下げた。人間を見下している節のある火竜が、その人間に対して頭を下げるようなことは滅多にないことだ。その様子を見て、クルスも「信用してやってはどうじゃ」とオットーをなだめた。 「クルス殿がそういうなら。先の発言は失礼致しました、セルシウス殿。ご無礼をお許しください」 「いや、構わん。ユミル国では戦の気運が高まっていると聞く。となれば私は敵国の者ということにもなり得る。警戒されるのも仕方がないこと」 場が落ち着くと、今度はフレイが口を開いた。 「せっかく我々を助けてくれたというのに、失礼を言ってすみません。突然の敵襲に合って気が張り詰めていたもので。ところでセルシウス王子はどうしてここに? バルハラではなくここへ来たということは、僕に何かご用でしょうか」 「先に言うが、これはあくまでムスペルス国の見解ではない。あくまで私の意向であるとして聞いてほしい。私は説得に来たのだ。私はユミルと我が国が戦争状態になることを望んでいない」 「ふむ。戦争を回避したいのは僕も同じです。しかしなぜその話を僕に? そういう権限は父上が持っている。同じく王子のあなたならよくご存知のはずですが」 「それは承知の上だ。ただ……率直に言おう。我が父、火竜王ファーレンハイトは私とはまるで正反対なのだ」 セルシウスはムスペルスの意向を話し始めた。 火竜王ファーレンハイトはユミル国を、いや人間というものをあまり良く思っていない。 ユミルから宣戦布告か、あるいは攻撃とみなす行為でもあろうものなら、これはいい機会だとして、そのままユミルに攻め込んで人間を滅ぼしてしまおうと考えている。そんな噂がムスペルスでは流れているのだという。 「ムスペルスの歴史は戦争の歴史だ。太古より、氷竜の国ニヴルヘイムと我が国は互いを認めず争い合ってきた。そして父上は最近になって力をつけてきたユミルも認めたくない様子でな。そんな父上をすぐ近くで見てきたからこそ、私はこれ以上の戦争は起こしたくないのだ。だから私はこうして来た」 その話を聞いてフレイは思った。同じだ。セルシウスも自分と同じなのだ。 フレイは昔の優しかった頃の父上を知っている。だが今のニョルズ王はまるで別人だ。それでも父親は父親。平和な時代をなんとか送ってこれたユミル国の歴史を父上の手で壊してほしくはない。だからこそ戦争は絶対に起こさせたくない。 「腑に落ちたような表情をしているな。やはり王というのはどこも同じなのだろうか。もちろん私は父上を説得しようと試みた。だが無駄だった。私の言葉など聞き入れてくださらぬ」 「そうか……。実は僕も同じなんだ。戦の気運の件で父上を問い詰めたが聞き入れていただけなかった」 「そうであろう。だから王子である我々が動かなければならない。ゆえにユミル王ではなく、貴殿に会いに来たというわけだ」 お互いに事情は把握できた。状況が整ったことで、両者はようやく談義に入ることができる。 さっそくセルシウスが本題を切り出した。 「我が国ムスペルスと貴殿の国ユミルの間で同盟を結んでもらいたい。もちろん、今の我々にそういう権限はない。これは非公式の同盟ということになる。だがいずれ我々が国を継いだとき、それは活きてくる。それに両国の王子が互いに手を取り合ったと民が知れば、あるいは意識を変えられるぐらいの効果は得られるかもしれない」 戦争というのは王が起こすのではない。兵士がいて、それが戦闘行為を開始するから戦争になるのだ。そして兵士とは民である。その民の心に呼びかけることができれば、あるいは戦争を防げるかもしれない。民衆の総意にただ一人反対する王は王ではない。ただの暴君なのである。 「なるほど。悪くない考えだと思います」 「では同意してくださるか」 「それが両国の未来につながるのであれば、よろこんで」 ムスペルス、ユミル間の非公式の同盟は二人の王子によって締結された。 もちろん非公式であるので調印などの手続きを踏むことはない。物がないので誓いの杯を交わすようなこともしなかった。だが、友好の証にとセルシウスは自分の鱗を一枚フレイに差し出した。 「これが我らの誓いとなろう。受け取ってくれ」 「ではこちらからも」 代わりにフレイは腰に差していた短剣を手渡した。大樹をモチーフにしたユミル王国の紋章が入っている。大地の魔法を得意とするフレイだが、王子のたしなみとして剣術も学んでおり、護身用として提げていたものだ。 「いいんすか、フレイ様。丸腰になっちゃいましたけど」 「僕たちは戦いに行くわけじゃないしね。必要ないほうがいい。それに僕にはこれがある」 といってかざした手のひらからは、小さな花が咲いた。たとえ王子とはいえ、魔法の腕前に関してはそこらの魔道士に劣っているつもりはなかった。 それからセッテは、難しい話が終わったことを確認すると、セルシウスに懐かしそうに話しかけた。 「いやぁ。それにしても久しぶりっすねぇ。何年ぶりっすか」 「10年程になるか。私からすれば10年などつい最近だが、やはりセッテにとっては長い時間か。それにしても人間は成長が早いな。見ない間にずいぶん背が伸びた」 「セッちゃんは全然変わらないっすね。あ、好き嫌いは直ったっすか」 「う、うむ……まぁ。努力はした」 「あーっ。それ絶対直ってない反応っすよね。ダメっすよ、肉ばかり食べてちゃ」 「いやでも、私は竜なので……」 「言い訳しないっす」 二人の仲のよさそうなやりとりにオットーは、 (ああ、またこいつはフレイ王子に飽き足らず他国に王子にまで無礼な態度を。まったく兄として恥ずかしい) などと考えたり、一方クルスは、 (こやつ、私のときもそうだったが、人間にしては竜相手にも変わらぬ態度で接することができるのじゃな。そこは好感がもてる) と密かに見直したりしていた。 しばらく旧友との再会を楽しんだセルシウスは、あまり長く離れているとこっそり抜け出してきたのが爺やにばれるからと言ってムスペルスに帰ることを告げた。 「ところでフレイ王子よ。貴殿はこの後どうするおつもりなのだ?」 「実は我々はムスペルスに向かうところだったんです。火竜の協力を得たい事情があったもので」 フレイはニョルズ王を影で操っているトロウに対抗するために、火竜の力を借りたいと説明した。 セッテの知り合いがまさかのムスペルスの王子で、さらには非公式とはいえ同盟も組むことができたのだから、これで話は良いほうに進むだろう。セルシウスを通せば火竜たちもすんなりと話を聞いてくれるはずだ。 そう安心していたが、セルシウスの表情は明るくない。 そして冷たく言い放った。 「引き返せ」 予想していなかった返事にフレイたちは驚いたが、それは拒絶とはまた違う雰囲気で、少し力ない様子でもあり、どこか諦観めいたものさえ感じられる。 「ど、どういうことっすか? セッちゃんから頼んでくれれば大丈夫っすよ。おれがムスペに修行に行ったときだって、セッちゃんのおかげで他の火竜たちも差別したりしないで、おれのこと受け入れてくれたじゃないっすか!」 セルシウスは申し訳なさそうな顔で言った。 「すまぬ。しかしこれはセッテだけのときとは話が違いすぎる。トロウを倒すために力を貸せとは言うが、それが火竜たちにとって何のメリットがある? それも人間のためにわざわざ力を貸してくれるような火竜は見つけるのさえ難しいだろう。私としては友であるセッテの力になってやるのは構わないが、私のような考えの者はむしろ我が国では異端扱いでな……。来るな、とまでは言わないが期待はできんと思うぞ。悪いことは言わないが、引き返したほうがいやな思いをしなくて済む」 修行当時のセッテはまだ幼い子どもだったというのもあるのだろう。たとえ竜でも鬼ではない。ニンゲンを嫌っていたとしても、子どもに手をかけるようなことはしない。なぜなら火竜は誇り高いからだ。ゆえに他種族の子どもを襲うような卑怯な真似はしないが、だからこそ他の種族よりも優位に立たねばならないという考えに至ってもいる。 それに今のムスペルスとユミルの間はいつ戦争が起こってもおかしくない緊張状態だ。うかつに王子であるフレイが顔を出そうものなら、大きな問題に発展する恐れもある。 そういった理由を並べてセルシウスは、ムスペルスに向かうことに遠まわしに反対していたが、それでもフレイは首を横に振った。 「あなたが自国を大切に想う気持ちはよくわかります。しかし、それは僕のほうも同じです。トロウを野放しにしておいては、ユミル国は取り返しのつかない過ちを犯してしまいます。それを阻止するためなら、僕は何だってします!」 フレイの強い意志に根負けして、セルシウスはもう引き返すようには言わなかった。しかし少しでも問題になることを防ぐために、ムスペルス王城で会ってもこちらからは声をかけないし、何かあっても助けてはやれないと代わりに付け加えた。 「そういう理由で道案内もしてやれない。申し訳ないがトロウの件に関しては、少なくとも戦争の危険性がなくなるまでは、私は不干渉の立場を取らせてもらう。冷たいようだが、これも戦争を回避するためだ。わかってほしい」 「こちらも無理を言うつもりはありません。ただ国の未来が懸かっている以上、やる前から諦めてしまうわけにもいかないので、僕なりにやれるだけのことはやってみるつもりです。それと同盟の件、ありがとうございました」 「いや、それに関してはこちらからも礼を言う。ありがとう」 あとは社交辞令的なあいさつだけだ。話を終えると、セルシウスはセッテのほうを少し見たが、しかしそれ以上は何も言わずにムスペルスへと帰っていった。 飛び去っていく火竜の背中を見送ると、これまであえて黙っていたクルスがようやく話し始めた。これはムスペルス国とユミル国の問題なので、余計な口出しはしないようにしていたのだ。 「話のわかる火竜もおるもんじゃな。しかしあやつの言うように、火竜の説得はちと骨が折れるかもしれん。……だが、それでもお主は行くというのじゃろう?」 フレイは黙って首を縦に振った。 「ならば私も何も言わん。では少し邪魔も入ったが、改めてムスペに向けて出発じゃな」 再び魔導船グリンブルスティに魔法を施して、一向は火竜の国ムスペルスへと舵を取った。 一方その頃、ユミル国バルハラ城のとある一室での出来事。 トロウが鏡に向かって手をかざすと、その像が徐々に歪み始めて別の場所の光景を映し出した。 鏡に映っているのは薄汚れた部屋と並んだ檻の数々。そして檻の中には異形の姿の者たち。その奥から一人の男が歩いてくると、鏡の外のトロウに向かい合って立ち止まる。トロウはその男に鏡越しに声をかけた。 「ドローミ。新しい研究のほうは順調ですか?」 するとこちらの声が鏡に映し出された向こうの空間にも届いているのだろう。ドローミと呼ばれた男が返事をする。 「これはこれはぁ、我が主。理論の構築のほうはすでに完成しておりますよぉ。しかし、あくまで理論は理論。実際に試してみなければ、それは机上の空論でしかありませんからねぇ。ひっひっひ……」 「以前捕らえたサンプルがいるでしょう。あれを使いなさい」 「ええ、ええ。もちろん、すでに行っておりますともぉ。ですが、あれ一匹だけでは十分なデータが取れませんからねぇ。サンプルの数は多いに越したことはありませんのでぇ。わかりますよね、トロウ様ぁ?」 「ふむ。数が足りないのはわかりました。しかしその点については心配しなくてよろしい。もうすぐ活きのいいのがたくさん手に入りますよ……」 にやりと不気味な笑みを浮かべながらトロウは自分の背後に立っている魔道士に目配せする。血に塗れたような赤黒いローブに身を包んだその魔道士は静かに頷くと、「では作戦通りに」と告げて転移魔法を使ってどこかへと姿を消した。 再びドローミのほうに視線を戻すとトロウは問いかけた。 「それで例のサンプルは今どうなっていますか?」 するとドローミは部屋の片隅に目をやり、その問いに答える。 「例の装置で力を無効化して、逃げられないように繋いでありますよぉ。少し前までは家に帰せだのなんだのとわめいてましたけど、今は泣き疲れて眠っています。くひひ……かわいい寝顔だなぁ」 ドローミが目をやった先には青い髪の少女が台の上で横にされている。少女の両の手首、足首、そして首には表面に奇妙な紋様が浮かぶリングがはめられており、さらに逃げ出せないようにと、首のリングは鎖で壁につながれている。 「しかし竜とはいえ、こう幼い少女の姿をしているとぉ……うひひひ。こう、ムラムラくるものがありますなぁ」 「貴重なサンプルです。どう使うかはお任せしますが、勝手に孕ませたりはしないでくださいよ。それはニヴル攻略の際に交渉の上で重要なキーになるのですから」 「うひょほほ! ト、トロウ様ぁ。孕ませるだなんて、そんなド直球にぃ。うひ、うひひひ」 「やめろ! ……今は仕事の話をしているのです。余計な妄想は謹んでいただきましょうか?」 不気味な笑みを浮かべたままトロウが忠言するが、目は全く笑っていない。しかし、まるで爬虫類のような眼で刺すようににらまれても、ドローミは全く気にすることなくトロウとはまた別の意味で気味の悪い笑みを浮かべている。 「いやぁ、惜しいなぁ。このサンプルを孕ませれば、謎多き竜人族の生体調査もできるかと思うのですけどねぇ」 「いい加減にしておきなさい! ああ、汚らわしい。竜人族などもっての他です。それよりも、その装置について聞かせなさい。それの有効範囲はどの程度まで拡張できますか?」 「そうですねぇ。この個体にしか使用していないので他の種にも有効とは断言できませんがぁ、完全に無力化させるためには五つの装置を直接取り付けて使用する必要がありますねぇ」 「ふむ。直接取り付けずに使用することは可能ですか? 壁に埋め込むなどして、知らずに有効範囲内に入った者を無力化させるような使い方ができると好ましい」 「魔封結界は展開できますよぉ。しかしそれで展開フィールド内の全てを無力化するのは厳しいかとぉ。対象が増えるほど効果も分散しますし、一体だけだったとしても完全に無力化とまではいかないかもしれませんねぇ」 「無力化とまではいかなくてもいい。それでも力を弱体化させる程度のことはできますね?」 「まぁ、装置の数を増やせばできなくはないですよぉ。対象を立体的に囲い込むように設置すればあるいは可能かと……」 「結構。それで聞けて安心しました。さてドローミよ。その新しい装置、さっそく実地試験をやってみたくはありませんか? さっき言った新しいサンプルにも関係があることなんですがねぇ」 暗い部屋で不穏な計画を話す二人の男たち。その不気味な、気味の悪い笑い声が闇の底から這い出してくるかのように響く。 青い竜の少女はこの後、自らに降りかかる運命をまだ知る由もなく、拘束されたままその目を開くこともなかった。 Chapter07 END 魔法戦争8