約 431,299 件
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/725.html
571 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/05/22(日) 23 10 08.80 ID 7hdm3Jki0 【SS】佳乃さんの日記 1巻前: 5月×日 天気:晴れ 夕食:ポークカレー 相変わらず、京介と桐乃は仲が悪い。 京介はいっつも桐乃から目を逸らすし、桐乃はあからさまに京介を遠ざけているみたい。 ただ桐乃の方はいつも京介にキレイな姿を見せようとしているし、良い意味で意識しているのは間違いないわね。 大介さんは気にするなと言っているけど、なんとか昔みたいに仲良くできないかしら。 1巻中: 6月△日 天気:晴れのち雨 夕食:野菜カレー 最近桐乃が前にも増して明るくなった。 携帯で話している会話から、あの趣味に関して話し合えるお友達ができたみたいね。 京介をあからさまに遠ざけることも少なくなったし、京介がお兄ちゃんとして頑張ったのかしら。 ただ、話せる相手ができた分、油断が大きくなっているみたい。 大介さんにバレなければいいんだけれど。 1巻後: 6月▲日 天気:晴れ 夕食:シーフードカレー 京介はお兄ちゃんとして良く頑張りました。 いざとなったら私がお酒を使ったり色々動いたりして大介さんを止めるつもりだったけど、どうやら必要なかったみたいね。 桐乃の為に怒っている大介さんに向かっていけるなんて、知らないうちに成長していたのね。お母さん嬉しいわ。 京介のあんな姿を見るのは初めてだけど、やっぱり大介さんの血を受け継いでるってことなのかしら。 大介さんもお酒を飲みながら「これからは桐乃を京介に任せても大丈夫か」なんて、嬉しそうに語っちゃってほんと親馬鹿ね。 2巻中: 9月○日 天気:雨 夕食:キーマカレー 京介にまたカレー?と言われた。 さすがに作りすぎかしら。 大介さんにそれとなく聞いてみたけど、大介さんは満足そう。 それなら問題ないわね。 最近桐乃の元気がない。 京介も気にしているらしく、ちらちら桐乃のほうを見かけたり、桐乃の調子なんかをそれとなく聞いてくる。 本当に良いお兄ちゃんになってきたわね。 新垣さんの娘さんと一緒にいるところを見ないし、喧嘩でもしているのかしら。 2巻後: 10月▲日 天気:晴れ 夕食:クリームシチュー 久しぶりにクリームシチューにしてみたけれど、大介さんには不評みたい。 やっぱりカレーがいいのかしら。 桐乃が元気になりました。 と思ったら今度は桐乃が京介のほうをちらちらと見たりして、ずいぶん気にしているみたい。 また京介が頑張ったのかしら? このまま前みたいに仲良くなって欲しいわね。 3巻中: 1月×日 天気:曇り 夕食:カレーうどん 最近桐乃の調子が悪い。 風邪のひきはじめ見たいなんだけど、気にしないで携帯ばっかりいじくってる。 携帯小説っていうのを書いているみたいだけど、根を詰めすぎてはいないかしら。 注意しようかと思ったんだけど、大介さんが「京介に任せておけば問題ないだろう」って。 がんばれ、お兄ちゃん! ところで、イヴに京介と桐乃が一緒にどこかに出かけたのは問い詰めるべきなのかしら。 3巻後: 2月▲日 天気:晴れ 夕食:外食 今日は桐乃の小説発売を記念して、みんなで外食に行った。 大介さんはカレー、私はクラブサンド、京介はハンバークセット、桐乃はカルボナーラのパスタを注文した。 大介さんの呟き、聞き逃しませんでしたからね。 今度は何のカレーにしようかしら♪ 桐乃の小説は読んだけれど、少し過激じゃないかしら。 大介さんは顔をしかめながら何処が良いのかまるでわからんって呟いていたけど、私も同感。 イヴに二人でどこに行っていたのかと思っていたけど、渋谷に取材に行っていたのね。 あの日から桐乃は同じピアスばかりつけてるし、 指輪を貰った時よりピアスを貰ったときのリノの描写が詳しかったから、まず間違いないわね。 ずいぶんと仲良くなたのは嬉しいけど、まさか一緒にラブホテルまでは入っていないわよね・・・ あとがきを見る限り、今回もお兄ちゃんは頑張ったのね。 それにしてもあのあとがき、京介が読む可能性をまったく考えてないわね。 4巻中: 2月●日 天気:晴れ 夕食:カレイのカレーかけ もう少しで桐乃が海外に行ってしまう。 大介さんも二人の前だといつもどおりに振舞っているけど、お酒を飲むといつも桐乃の自慢と愚痴ばかり吐き出す。 その言葉を桐乃に直接伝えたらあの子も考え直すでしょうに。 そう言うと「桐乃が希望して、俺は条件を出した。桐乃はその条件をクリアした。俺はもう何も言えん」だなんて、 あの人の頑固は相変わらずね。 あの二人もそんなところばかり似なくても良いのに。 とりあえず録音しておいたから、桐乃の結婚式にでも流しましょうか。 それにしても桐乃は、ちゃんと京介に伝えられるかしら・・・ 4巻後: 3月▲日 天気:曇りのち雨 夕食:カレー鍋 京介の機嫌が悪い。 桐乃の友達が様子を見に来ても、そのときは元気になっても帰ると前よりも落ち込んでいるみたい。 桐乃のことを気にしているくせに、桐乃の話をしようとするとすぐに逃げる。 桐乃が何も伝えずに行ってしまったのがずいぶん答えているみたいね。 桐乃からしか近況を聞きたくないみたい。 桐乃も桐乃。複雑な気持ちはわかるけど、もう少しお兄ちゃんに優しくなれないのかしら。 けどそれ以上に大介さんの様子がひどい。 お酒も飲まなくなったし、休みの日も日がな一日ボーっとしてる。 カレーを食べているときだけ元気になるので、最近はほとんど毎日カレー。 桐乃、早く帰ってこないかしら・・・ 5巻中: 4月×日 天気:晴れ 夕食:カレーピラフ 桐乃のお友達が京介の後輩になりました。 京介もまんざらじゃないみたい。 最近はずいぶん明るくなってきた。 それにしても黒猫さん、あれは京介に気があるわね。 桐乃と同じくらい京介のことが好き、といった感じかしら。 桐乃が向こうで体調を崩しているみたい。 電話越しの声は元気だけど、あれは虚勢ね。 京介のことを話すとちょっと元気になるけど、自分から聞こうとはしない。 向こうに行って少しした時に京介が怒っていないか聞いてきたけど、あれが最初で最後だったわね。 ほんと、二人とも意地っ張りなんだから。 けど桐乃、意地を張るのは良いけど、つらかったらちゃんと言ってね? 大介さんなんて、桐乃が助けを求めたらその日中にアメリカまで行っちゃうわよ。 最近あの人は毎日毎日アメリカに行く用意をしているんだから。 5巻後: 6月×日 天気:晴れ 夕食:ポークカレー お帰り桐乃! さすがお兄ちゃん、大介さんでも無理だと思っていたのに、見事桐乃を説得してきました! 桐乃の身体が心配だったけど、思っていたより元気みたい。 いや、あれは元気になって帰ってきたのかしらね。 それにしても気になるのは桐乃の京介を見るあの目。 まさかとは思うけど京介、あの時の大介さんみたいに桐乃に迫ったんじゃないでしょうね。 確かに京介は大介さんの血を引いてるし、桐乃は私の血を引いてるわけだから、あんな風にされたら間違いなく落ちるわね。 もっとも、大介さんにあんな風に迫られて篭絡されない女の子はいないでしょうけど。 とにかく、京介が今桐乃に迫ったら間違いなく桐乃は受け入れちゃうから、京介が桐乃に手を出さないように見張っていなくちゃ。 とりあえず、もう無理はしないでね。 6巻中: 7月×日 天気:晴れ 夕食:カレー茶漬け 帰ってきた桐乃は前と同じように京介に接しようとしている。 近くで見ているとすごく京介を意識しているのがわかるのにね。 けど京介はそんなことに気がつかないで戸惑っているみたい。 詳しくは聞けなかったけど、無理やり連れ帰ってきたって言ってたし、嫌われたはずだとと思っているのかしら。 本当はその逆なのに。 最近大介さんの機嫌がすごく良い。 毎日毎日お酒を飲んで、京介と桐乃のことを褒めちぎっている。 「やはり最低でも京介位の男でなければ桐乃は任せらん」って、どれだけ京介と桐乃のことが好きなのかしら。 ちょっと妬けちゃう。 7巻中: 8月×日 天気:曇り 夕食:カレーチャーハン 桐乃が動き始めた。 京介をデートに誘ったみたい。 映画館行ってご飯食べて、ゲームセンターに行って、それだけなら普通の兄妹でいいんだけど・・・ 京介の新しいコレクション置き場にあったあのプリクラは何かしら? 百歩譲ってあのプリクラはいいとして、その隠し場所にある意味って・・・何かしら? 桐乃のコレクションの奥、その奥のさらに奥に12枚のトランクスを見つけた。 匂いからするとこれは京介のね。大介さんのじゃないから最低限の安心ではあるんだけど。 スカトロ*シスターズや無くなったはずのアルバムを見つけたとき以上の衝撃ね。 あの子だって年頃だから異性の下着に興味があるのはわかるんだけど・・・本当にそれだけかしら。 まさかくんかなんて・・・してないわよね。 とりあえず京介のトランクスを買い足して、桐乃にそれとなく注意しておかないと。 それにしても、使用済み下着コレクションってあんなに気持ち悪いのね。 大介さんのを洗濯して返しておきましょう。 8巻中: 天気:晴れ 夕食:カレーおにぎり 京介に彼女が出来た。 相手は京介の後輩で桐乃の友人の黒猫さん。 桐乃に負けないくらい京介のことを好きだとは思っていたけど、黒猫さんから告白するのは意外だったわ。 部屋で京介と楽しそうにしているところは何度か見たけど、桐乃のこともすごく気に掛けているみたい。 その桐乃だけど、最近はほとんど趣味のゲームもやらないでボーっとしている。 部屋の前を通ったときに泣き声も聞こえてきたし・・・ 京介に彼女が出来たこと納得はしているみたいだけど、体調崩したりしないかしら。 酷だけど、このまま普通の兄妹に戻ってくれると良いんだけれど。 黒猫さんは大介さんに気に入られているみたい。 この間京介と入れ違いで黒猫さんが来たとき、一時間くらい大介さんと話してたけど、そこで打ち解けたみたい。 話の内容がほとんど桐乃のことだったのが気になるけど。 「あの子は桐乃のことを良く考えてくれているようだな」って、やっぱり桐乃中心なのね、あの人は。 それにしても黒猫さんが時々見せる寂しそうな顔が気になる。 何を考えているのかしら。 8巻後: 天気:雨のち晴れ 夕食:カレー風クリームシチュー 京介が振られました。 最近元気がなかったのはそれが原因みたい。 黒猫さんが引っ越したからだって聞いたけど、あれは嘘ね。 桐乃と温泉に行ってから立ち直ったみたいでまた元気になった。 ついでに今まで恥ずかしがってた桐乃がずいぶんと素直になった。 温泉に行ったのは黒猫さんに会うためよね。 見ていて不安になるくらい京介と桐乃の仲が良い。 温泉に行ったのは黒猫さんに会うためよね。それ以上はないわよね。 まぁそれはともかく、桐乃の態度だけど前は「京介が好き」と「兄貴が好き」で揺れ動いていたみたいだけど、 今は「兄貴が好き」で落ち着いたみたいね。 まずは一安心かしら。 けど京介も桐乃もまだまだ自分の気持ちに整理がついていないみたいだし、 もうしばらくはキチンと見張っておかなくちゃ。 冷蔵庫のプリクラを見てから時々大介さんが何か言いたそうにしている。 あのプリクラについては「ずいぶんと仲が良くなったんだな」って的外れなことを言っていたけど。 今度大介さんと二人で温泉に行って、そこで一緒にプリクラをとりましょうか。 私は筆を置いて一息ついた。 一年前と比べ、二人について書く事が増えてきた。 それは二人が仲良くなった証拠なんだけど、その仲のよさを考えると少し複雑かしら。 昔も仲が良かったけど、それでも仲の良い兄妹以上ではなかったと思う。 京介も桐乃も、ずいぶんとお互いを無視し合っていたから、お互いの距離の取り方が解らなくなっているみたい。 あの日から桐乃が頑張るようになって、そのせいで京介と距離が出来て、今ではまた話すようになったけど、 お互いをどう扱っていいかわからず、戸惑いっぱなしなのね。 この夏休み二人で沢山の事を経験して、前よりも、ずっと前よりも解り合える様になったけど、 自分がどう考えているのか、どう想っているのか、どう扱って欲しいのかの整理がまだついていないんじゃないかしら。 早く自分に素直になって欲しいけど、兄妹として間違ってしまわないかちょっと不安。 私は日記を机にしまい鍵を掛けると、そっと部屋を出た。 目的地は二人の部屋。最近のこの時間帯は、どちらかがどちらかの部屋に遊びに行っている事が多い。 京介は受験勉強で忙しいので遠慮しているみたいだけど、何かをするわけでなくても二人で一緒にいたいのね。 今日は京介の部屋に桐乃が遊びに来ているみたい。 少しだけ開いた京介の部屋のドアから明かりが漏れているのが解る。 私はいつものようにドアにそっと近づき、中を覗いた。 京介は机に向かって勉強していて、桐乃は京介のベッドの上で横になっている。 ちょうどあそこは黒猫さんがよく転がっていた場所じゃないかしら。 桐乃はパソコンで何かをしているようだけど・・・あれは多分桐乃の最近のお気に入り『シスシス猛将伝』ね。 二人は何を話すでもなくお互いの作業に集中しているように見えるけど・・・やっぱり意識しているみたい。 ギスギスしているわけでも、桃色な雰囲気でもなく―ただそこにいるのを気にしているって感じ。 何もしないのに部屋に入り浸る。仲の良い兄妹ならギリギリセーフなのかしら。 しばらく観察し、何事も起こらないようなので引き返そうとしたとき、京介が口を開いた。 「なあ、桐乃」 桐乃はパソコンから目をそらさずに答える。 「なに?」 再びの静寂。私は息を殺しながらドアに密着して中を覗きこむ。 「―俺、お前に会えてよかった」 続く言葉に、喉から言葉が漏れそうになった。 部屋の空気に緊張感が漂い始める。 「・・・・・・」 桐乃は何も言わずにパソコンを見つめ続ける。 でも指はまったく動いていないし、後ろから見てもわかるくらいに耳が朱に染まっているのが解る。 ―変な事を言うようなら、すぐにでも飛び込まないといけないわね・・・ 「俺たち二人はさ、ずっと前に別れちまって、同じ家の中にいてもすれ違ってばかりで、お互いさえも見ないで、 ずっとこのままなんだと思ってた」 言葉を続ける京介の耳も、ここから見てもわかるくらいに染まっている。 「けど、一年と三ヶ月前、俺たち兄妹はようやく再会できたんだ」 去年の六月、桐乃は京介にあの趣味のことを知られてしまった。 その後色々とあって、兄妹はお互いを見るようになって、二人は長いときを経て、ようやく『出会った』。 清清しい京介の顔も、嬉しそうに、そして照れくさそうに京介の顔を見るの桐乃の姿も、昨日の事のように覚えている。 出会いをやり直して、ケンカをやり直して、すれ違いをやり直して、思いやりをやり直して、今兄妹はここにいる。 「前はお前のことなんか大嫌いで、どうでもいいって思ってたし、今だってお前のことは大嫌いだけど― ―今はもう、お前のことをどうでもいいとは思えない。 お前がいないと寂しいし、お前と―お前のおかげで出会えた奴らと一緒にいると楽しい。 何より桐乃が世界でたった一人の、掛け替えのない大切な妹だってわかったから― ―桐乃と再会できて、本当に良かったと思ってる。 桐乃のために頑張れて、本当に良かったと思ってる」 喉から言葉が漏れそうになった。けれど言葉が出なかった。 出せる言葉が思いつかなかった。 京介は、私が思った以上に正しいお兄ちゃんとして頑張っている。 それが、とても嬉しい。 「あんたさぁ、妹にいきなりそんなこと言い出して、恥ずかしくないの? このシスコンマジキモーい!」 桐乃が顔をパソコンに向けたまま、そう言う。 私たちの前では見せないくらい、嬉しそうにそう言う。 相変わらず、本当に素直なくらいに素直じゃないわね。 「シスコンはお互い様だろ?お前はそれに加えてブラコンじゃねーか」 「あたしはいいの!妹だから」 「妹だからいい、か。ブラコンってことは否定しねーんだな」 京介は相変わらず参考書に向かいながら、からかうようにそう言う。 「―しないよ。あたしも、その、あんたに会えてよかったから」 部屋の空気は穏やかなまま変わらない。 「・・・・・・」 京介は何も言わずに参考書に向かっている。 しばらく前からページをめくる音は聞こえてこない。 ここから見える二人の耳はもう赤くはなくて、その表情は柔らかなものだろうと感じさせる。 「あの時あんたに会えたから、あたしはずっとあたしのままでいられた。 あんたがいなかったら、あたしはたぶんどこかでダメになってたと思う」 京介はずっと桐乃のため頑張っていた。 いやなことも、つらいことも、認めたくないこともあったと思う。 本当に、母親として誇らしくなるくらいに、京介は頑張っていた。 そしてたぶん、その中で京介は妹を見つめなおして、桐乃は兄を見つめなおして、少しずつ兄妹に戻っていったのね。 「前はあんたのことなんか大嫌いで、あんたのことなんか知らないって思ってたし、今もあんたのことは大嫌いだけど― ―今はもう、あんたのことを無視できない。 あんたが悲しいとあたしも悲しいし、何とかしてあげたいと思う。 あたしの兄貴はあんたしかいないし、あたしは京介が大事だって気づけたから― ―京介と再会できて、本当に良かったと思ってる。 京介の一番で、本当に良かったと思ってる」 真っ直ぐではなくても、少し捩れていても、桐乃は京介のことを兄として慕っている。 たとえそれ以外の感情があったとしても、それは間違いなく本物だろう。 「これからも何度も喧嘩するし、すれ違うし、 もしかしたらあたしと京介にお互いに認められる彼氏彼女が出来るかも知れないし、 あたしがどっか遠くに行っちゃうかも知れない」 桐乃はパソコンから顔を離し、京介のほうを見て、 「でもどれだけ離れても、もう京介とは別れたくない」 そう口にした。 真剣そうな、心配そうな顔で京介を見つめる。 「そうか」 いつの間にか、京介も桐乃のほうを向いており、 「じゃあ俺と桐乃は、ずっと一緒だな」 嬉しそうに微笑んだ。 その言葉に桐乃は幸せそうに顔を染めると、京介の視線から逃れるようにパソコンへと向き直る。 「―ん。まぁ、そういうコト」 桐乃は猫が機嫌よく尻尾を振るように、足をばたばたとする。 京介は嬉しそうにそれを見ていたけど、しばらくして参考書に目線を戻した。 時間がたち、京介が参考書をめくる音と、桐乃がパソコンを操作する音が聞こえ始める。 まだお互いに意識しあっているけど、前よりも空気が和んでいるみたい。 私はゆっくりとドアから離れると、京介の部屋を後にした。 部屋に戻り一息つく。 まだ心臓は早鐘を打っているし、顔の赤さも取れていないと思う。 ―ずいぶんとまぁ、仲が良いところを見てしまったわね。 本当に仲が良すぎて心配してしまう。 でも、それでも 「どうした。ずいぶんと嬉しそうだな」 いつの間にかリビングから部屋に戻っていた大介さんにかけられた。 「あら、わかる?」 ―顔がにやけるのが止められない。 「ちょっと京介と桐乃が仲良さそうに話しているのを見ちゃって、 やっぱり兄妹っていいわねって思っていたのよ」 「そうか」 大介さんはそれだけ言うと視線を新聞に戻す。 大介さん。うまく隠したつもりなんでしょうけど、口元が嬉しそうなのは見逃しませんでしたからね。 二人が仲良くなりすぎるのは心配だけど、二人が仲良くなるのは嬉しい。 ―もともと、こうなってしまったのは私のせいなのだ。 二人が小さいとき、二人がどうにかするだろうと、二人が離れていくのを止めなかった。 二人が大きくなったとき、二人が仲良くなろうとしているのが嬉しくて、近づきすぎるのを止めなかった。 今まで、私は何もしなかった。 だからもう少し、そう―二人が再会するまで必要だった時間と同じ時間が過ぎるまで、静かに二人を見守ろうと思う。 それに、ひとつ考えがある。 「ねぇ、大介さん」 もっと嬉しく、楽しく、幸せになるための考え。 「なんだ?」 二人にとってお互いが掛け替えのないただ一人の兄妹なら― 大介さんにとって掛け替えのないたった一人の一番だった私が、掛け替えのない「三人」の一番の中の一人となってしまったように― 「もう一人、欲しくない?」 悩みも増えるだろうけど、きっともっとずっと楽しくなる。 -END- -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1213.html
484 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/10/17(月) 16 29 46.57 ID l3vntX4M0 [2/9] 480 親バレを考えたらこうなった。 京介(俺はもしかして、桐乃を女として愛しちまってるのか? 桐乃も満更じゃねえみたいだし…… ……桐乃と二人で生きていくのも、それはそれでいいかも知れねえな。 けどよ、親父たちになんて言えばいいんだ?) 大介「おい、京介。 俺の部屋に来い。話がある」 京介「話?」 大介「………………」 京介(親父、滅茶苦茶怒ってるんだが……一体どうしたんだ?) 大介「……京介、お前とうとう桐乃に手を出したそうだな」 京介「は?」 大介「惚けるな。お母さんに聞いたぞ。 街中で腕を組んで歩いたり、抱き合ったり、人目も憚らずキスしたり、 ウェディングドレスを着せて連れまわしたり、ラブホテルに行ったり、 二泊三日の泊りがけで熱海に行ったりしたらしいな」 京介「親父!それは―」 バキッ 大介「言い訳をするな!見苦しいぞ、京介!」 京介(駄目だこの親父!頭に血が上って人の話を聞きやしねえ! そもそも、泊りがけの旅行なんてしてないって親父も知ってるはずだろ!) 大介「……おい、京介。 桐乃のことは好きか?」 京介「ああ。世界中の誰よりも大好きだ」 京介(まだ、この気持ちがただの兄妹愛なのかはわからねえんだけどな) 大介「そうか……そこまで言うのなら仕方がない。 お前たちの関係を認めてやる」 京介「え?」 大介「血が繋がっていないとはいえ、お前は俺の自慢の息子だ。 お前になら桐乃を任せられる」 京介(え?血が繋がってないって?桐乃を任せられるって? あれ?あれ?) 大介「孫か……桐乃に似て可愛いのだろうな…… 顔を見るのが楽しみだ」フフフ 京介(えー?) 桐乃「お父さん、なんだって? って、どうしたのその顔! すごい腫れてるよ!?」 京介「親父に殴られた」 桐乃「あんた、何かお父さんに怒られるようなことしたの? ほら、こっち来て。手当てしてあげるから」 京介「悪いな」 桐乃「それで、何があったの?」 京介「よくわからんが…… 俺と親父は血が繋がってなくて、桐乃を任せるから早く孫の顔が見たいらしい」 桐乃「なにそれ……わけわかんない」 京介「俺だってわけわからんぞ。 ……だが、桐乃を任せると言われて、悪い気分じゃないな」 桐乃「……シスコン」カァァァ 京介(確かに俺はシスコンなのかも知れねえけどな、それだけじゃなくて……) 京介「……なぁ桐乃、一つお前に言いたいことがあるんだ」 桐乃「なに?」 京介「俺は、おまえを―」 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/275.html
116 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 17 16 19 ID 817A9waY0 [4/7] 114を見て…なぜかこの超展開がっ! 大介「京介、桐乃。お前たちに一つ言わなければならない事がある。」 京介「な、なんだよ…親父…改まって」 桐乃「………(も、もしかして…!)」 大介「実はな…京介、お前の妹についての大事な話だ。」 京介「な、な…(ま、マジかよ!?)」 桐乃「………(うそっ!?ホ、ホント!?あ、あたし兄貴と結婚でき―――)」 大介「お前の妹は………桐乃だけじゃない」 京介・桐乃「「………は?」」 大介「いや、若いときの過ちだがな?市内に住む五更瑠璃という娘も俺の子なんだな、これが」 京介・桐乃「「な、なんだってーーー(AA略」」 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1003.html
261 名前:【SS】影送り 1/2[sage] 投稿日:2011/08/06(土) 16 01 18.10 ID VNV1NBp70 [1/3] 「京介、起きて」 身体を揺さぶられる感覚に目を覚ませば、何時かのように桐乃が俺に馬乗りになっていた。 ビンタで起こされなかっただけマシだよな、と思いつつ、ふと違和感を覚えた。 違和感の対象は桐乃の表情。あの時のような不機嫌そうな顔ではあるが、一点だけ違っている。 「おまえ、泣いてるのか?」 少しだけ、目じりに水滴が見えたような― 「~~~~!」 俺の言葉に、桐乃は慌てたように腕で顔をぬぐう。 「平気か?」 身体を起こしながら桐乃に尋ねる。 「うっさい!とにかく早く起きて」 桐乃はそう言うと俺の上から降りた。 俺に見られたくないだろう顔を見られたっていうのに、桐乃はあまり怒っていないようだ。 一体どうしたっていうんだ。 俺は桐乃に言われた通りにベッドから起き上がる。 それと同時に、桐乃が部屋のカーテンを開けた。 今日は晴天だ。青い空が寝起きの目に眩しい。 「ちょっとこっち来て」 桐乃に促され、窓際に立つ。 温かな陽光に体が包まれる。それ自体は気持ちがいいんだが、桐乃の様子がおかしいので気分は良くならない。 「・・・・・・ちゃんと影はある」 影?影がどうかしのか? 「おい桐乃、何のことだか説明してくれ」 「黙ってて」 桐乃はピシリとそう言うと、俺の体を触り始めた。 頭、顔、首、肩、腕、胸、腰、足・・・ そして最後に俺の手を強く握った。 「触れる」 そう言うと、桐乃はふぅと一息ついた。 桐乃が俺の手を握って安心してくれるのは嬉しいんだけどよ、何を心配していたのかわからなきゃ俺のほうが安心できねえじゃねえ か。 「一人で納得してないで俺にも説明しろ」 俺の言葉に、桐乃は言い辛そうに目をそらす。 「・・・・・・言いたくねえなら、無理には聞かねえけどよ。 でもな、俺はおまえの兄貴なんだから、おまえの力になってやりてえんだよ」 俺の言葉に、桐乃はおずおずと視線を俺に返した。 「・・・・・・変な夢を見たの」 桐乃がポツリと話し始める。 「変な夢?」 「うん。あたしと兄貴が公園で遊んでるんだけど、空がピカッと光ったと思ったら、兄貴が影だけ残して消えちゃったの」 「俺が影だけ残して消えた?」 「それでね、あたしはワケが分かんなくてずっと残った影を見てたんだけど、ふと空を見たらその影が空に浮かんでいっちゃったの 」 「・・・・・・」 「怖くなって家に帰ったんだけど、家に帰ってもお父さんとお母さんどころか家も無くなってるし・・・・・・ 寂しくなって一人で泣いてたら目が覚めたの」 それで不安になって俺のところに来て、俺の体と影を確認したのか。 子供っぽいと言っちゃそうなんだけどよ、夢の事を気にして俺を確かめに来るなんて、意外と可愛いと思ってやらなくもないな。 262 名前:【SS】影送り 2/2[sage] 投稿日:2011/08/06(土) 16 01 51.49 ID VNV1NBp70 [2/3] それにしても、今の話どっかで― 『桐乃、いっしょに十まで数えるんだぞ』 晴天の空の下。他に誰もいない公園で。 そこで俺と桐乃は二人で手をつないで地面を見ていた。 『うん! いーち、にーい、さーん』 『しーい、ごーお、ろーく』 『しーち、はーち、きゅーう』 『『じゅう!』』 空を見上げると、空には仲良く手をつないだ二人の影が空に映し出されている。 『お兄ちゃん、すごーい!』 『桐乃、これは『影送り』って言ってな―』 そうか。今日は八月六日だから、そんな夢を見ちまったのか。 「ねえ京介。 京介は黙っていなくなったりしないよね」 桐乃は俯き、俺の手の感触を確かめるように、握ったままの手に少しだけ力を込めた。 「桐乃・・・・・・」 俺たちはずっと無視しあって来たけれど、俺たちはよく喧嘩するけれど、それでもこいつを不必要に思ったことは一度もない。 昔は煩わしく思ったこともあったけど、今はもう離れたいとは思わない。 そう、なにがあっても。 俺の手を握る桐乃の手。その手を握り返す。 「京介?」 「桐乃、俺は黙っていなくなったりしねえから。 もしどこかに行っちまっても、絶対におまえのところに帰ってくるから」 だから、おまえはそんな顔すんな」 もう一度、桐乃の手を握る手に力を込める。 「・・・・・・わかった。 あんたが帰ってくるって言うなら、あたしもずっと待ってるから」 桐乃も、握る手に力を込める。 あの戦争で、一体どれだけの恋人が、親子が、兄妹が、こんな約束を立てたんだろうか。 そして、一体どれだけの約束が果たされたんだろうか。 俺たちは、この約束を生涯守りきれるだろうか。 そんなことを考えながら、握る手に力を込めた。 「京介ー、桐乃ー、ご飯よー」 下からお袋が呼ぶ声が聞こえる。 「それじゃあ下に行くか」 「うん」 桐乃の手を握る手から力を抜く。 でも、握り合う手は放さない。 ご飯を食べたら、二人であの公園に行ってみよう。 そして、あの日のことを話しながら、あの日のように影送りをしてみよう。 空にはあの時のように、仲のいい兄妹が映るだろうか。 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/928.html
65 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/07/12(火) 02 39 12.54 ID yQreNWvv0 [2/2] 【SS】特効薬 風邪を引いた。 暑いからといって、窓全開、扇風機強、タオルケットもかけずに寝たのが悪かったらしい。 そしてこういう日に限って親父もお袋も朝早くから家を留守にしてるし、 昨日の夜桐乃も用事があるとかで帰りが遅いと言っていた。 とりあえず薬と水を枕元におき、布団を用意、学校と両親、あと一応桐乃にも連絡を入れたところで力尽きた。 『ねぇお兄ちゃん。あたまがいたい』 『平気か?桐乃』 目が覚めたのは何時間後だっただろうか。 上体を起こされ、タオルで体中を拭いてもらっていた。 「ありがとうな」 朦朧とした意識の中で、誰とも知らぬ相手にお礼を言った。 「お礼なんていいから、あんたは寝てなさい」 身体を起こされてるのに寝るのなんて無理だろう。 そう考えたが、体を拭く優しい感触が心地よく、俺はすぐに眠りについた。 『体をふいてやるからな』 『きもちちいいよ、お兄ちゃん』 次に目が覚めたのは三時くらいだった気がする。 いつかどこかで見たヨーグルトが置いてあった。 その隣には「食べたら薬を飲むこと」という書き置きがあった。 お腹がすいていたからその心遣いに感謝しつつ、ヨーグルトを平らげた。 薬を飲みそのヨーグルトをどこで見たのか考えていたら、いつの間にか眠りについていた。 『えへへーこのヨーグルトだいすきー』 『ほら、しゃべらないでちゃんと口をあけろ。 食べさせられないだろ?』 六時に目が覚めると服装がジャージになっていた。 前に目が覚めたときも服が変わっていた気がするが、二着あった予備のパジャマも全滅したんだろうか。 下着も変わっているが、あまり頭が働かない。 しばらくぼーっとしてると、桐乃がお盆に茶碗を乗せて入ってきた。 「あ、起きてたんだ。 調子はどう?おかゆ食べれる?」 「・・・頭が痛い。体が重い。 おかゆは食べれると思う」 「そう。じゃあ食べて」 桐乃はスプーンを俺に渡そうとするが、俺は体がだるくて取る気になれない。 しばらく桐乃はスプーンを突き出していたが、 「ちっ。 ほら、あたしが食べさせてあげるから」 俺が動かないのを確認すると、桐乃はスプーンでおかゆをすくい、息を吹きかけて冷ますと俺の口元に持ってきた。 「ほ、ほら。 ・・・あ~ん」 「あ~ん」 桐乃に言われたとおりに口を開く。 何か恥ずかしい事をしている気がするが、頭が働かない。 「・・・うまいな」 どこかで食べた事がある気がした。 「・・・・・・まなちゃんに手伝ってもらったの」 そうか。昔麻奈実が作ってくれたのか。 美味しかったので、催促するように口をあける。 「こら、がっつくな。 ちゃんとよく噛んで食べること」 俺はコクリと頷いた。 「どう?少しは楽になった?」 おかゆを食べ終わり薬を飲むと、俺は再度横になった。 「全然駄目」 先ほど桐乃に体温を測ってもらったが、39度近くあった。 朝からあんまり良くなってない。 「もうすぐウィルスが全滅するだろうから、そしたら熱が下がると思う」 「・・・・・・」 もうしばらく続くのか。 「・・・つらいの?」 桐乃が俺の顔を覗き込んで尋ねる。 俺は頷く。 「・・・そう」 桐乃は何か逡巡しているようだった。 しばらく迷ったあと、桐乃が口を開いた。 「あとで、特効薬をあげる。 それですぐに良くなるから。 だから今は眠って」 特効薬か。 ちょっと胡散臭いが、桐乃が言うなら信じていいだろう。 俺はコクリと頷くと、すぐに眠りに落ちた。 『お兄ちゃん、チューして』 『何言ってんだよ、桐乃!』 『チューしてくれたらげんきになるから・・・』 目が覚めると夜中だった。 今までのことが嘘に思えるくらい身体の調子が良い。 「桐乃の『特効薬』が効いたのか?」 身体を起こそうとして、誰かが手を握っている事に気がついた。 「桐乃・・・」 見ると、桐乃が俺の手を握り、ベッドに寄りかかりながら寝ている。 ずっと俺の隣にいてくれたのか・・・ 「ありがとうな」 桐乃の頭を撫でてやる。 「う~ん」 よく眠ってるみたいだ。 このままここにいられるのはまずいし、起こすのも悪いな。 俺は桐乃を抱き上げると、ゆっくりと桐乃の部屋に運ぶ。 幸い、桐乃は目を覚ます様子は無い。 やさしく桐乃をベッドに横たえ、ブランケットをかけてやる。 「お休み、桐乃」 もう一度頭をなで、部屋を出ようとすると、服の袖をつかまれた。 「早く、元気になって」 起こしてしまったのかと桐乃の様子を伺うが、どうやら寝言らしい。 ずいぶん心配をかけちまったようだな。 服の裾をつかむ指を少しずつはずし、手をブランケットの中に戻してやる。 ゆっくりとベッドから離れるが、今度は服をつかまれなかった。 自分の部屋に戻り横になると、すぐに睡魔に襲われる。 俺の身体は、どれだけ寝りゃ気が済むんだろうな・・・ 『えへへ~なおった!』 『良かったな、桐乃』 『うん! こんどお兄ちゃんがびょうきになったら、きりのがおにいちゃんに『とっこーやく』をあげるね!』 起きると朝になっていた。 ・・・・・・何か、昔の夢を見た気がする。 病気のときにはどうしてこう、実際にあったのかなかったのか微妙な夢を見るんだ。 伸びをしながら、何故か枕元においてあった携帯に手を伸ばす。 赤城や麻奈実から看病メールが届いている。 とりあえず麻奈実からの返信メールを空けてみる。 『ちゃんと桐乃ちゃんにお礼を言うこと! 麻奈実』 ?なんで麻奈実が、桐乃が看病してくれたことを知ってるんだ? そもそも、返信メールだけどよ、何に対しての返信なんだ。 送信箱にはなんも残ってねーぞ? 不思議に思いながらも着替えて一階に下りると、桐乃と鉢合わせた。 「おはよ。昨日はありがとうな。 おかげで完全に快復したぜ」 麻奈実にも言われたことだし、素直にお礼を言ってみる。 「・・・・・・」 桐乃は顔を赤らめてそっぽを向いた。 なんなんだいったい。 それにしても、桐乃の顔が赤いのって、まさか熱があるのか? 「ちょっとおでこ貸せ」 桐乃の肩をつかむと、無理やりおでこを合わせた。 「ちょっ!あんたなにやってんの!?」 桐乃が暴れるが、抱きすくめて熱を測る。 熱い。 少なくても平熱ということはないだろう。 「おまえ熱あるぞ。 まさか、俺の風邪が移ったのか?」 桐乃は俺の手を振り払うと、俺から距離をとった。 「熱があるなら無理しねぇ方がいいぞ。 薬飲んでゆっくり休め」 それに対し桐乃は先ほどよりも顔を赤らめながらもにこりと笑い― 「あたしは大丈夫だよ! 昨日特効薬貰ったから!」 -END- -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/572.html
134 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/13(水) 18 39 43.53 ID ixDYnp2N0 [1/8] 桐「ちょっと、どこよここ!」 京「細かい話はなしwいいからちょっと来い!」 オリジナルサイズ 136 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/13(水) 18 53 12.00 ID ixDYnp2N0 [2/8] オリジナルサイズ 桐「わぁ~桜!あんた何?妹をこんなとこに連れ出してー」 京「別に深い意味はねぇよ。ただ、まだ余震とか緊張した日が続いてるだろ?」 桐「うん・・・」 京「少しでも気分転換になればと思ってな。」 桐「うん・・・」(ありがと・・・) 137 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/13(水) 19 04 30.73 ID ixDYnp2N0 [3/8] 京「確かにドンチャン騒ぎの花見には、賛否両論あると思うが・・・」 京「ほら、お前最近・・・元気なかっただろ?ちょっとな心配になって・・・」 桐「ちょっと兄貴!何ぶつぶつ言ってんの!ほらほら、満開じゃん~」 オリジナルサイズ 141 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/13(水) 19 16 37.17 ID ixDYnp2N0 [4/8] 京「はぁはぁ、ふぅー」 桐「何バテてんの?自分からここ登れって言ったくせに。ったくもうー」 京「ふぅ~仕方ないだろ。俺は平凡な高校生だwそれより桐乃、後ろ見てみ」 オリジナルサイズ 142 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/13(水) 19 33 23.13 ID ixDYnp2N0 [5/8] オリジナルサイズ 桐「すごい綺麗!」 京「だろ?」 京「どうだ?少しは気分転換になったか?あやせ達と行ったほうが楽しかったかもしれんが・・・」 桐「うん・・・あやせとはいつでも行けるしーあんたが来いって言ったから付いて行ってあげただけ」 147 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/13(水) 19 55 15.28 ID ixDYnp2N0 [6/8] 京「さて、そろそろ行くか!」 桐「・・・うん!」 オリジナルサイズ 京「最後に1カ所だけ寄りたいとこあるんだが・・・」 桐「えーまた歩くの!」 京「ちょっとだけな。もう帰るか?」 桐「帰りたいなんて行ってないでしょ!」 京「へいへい。少し我慢してくれな」 149 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/13(水) 20 10 45.79 ID ixDYnp2N0 [7/8] オリジナルサイズ 桐「もう暗くなってんじゃん!どこ連れて行く気よ!キ、キモ!」 京「す、すまん、あれーこの辺なんだが・・・」 桐「な、何がよ!」 京「この辺に噴水があるんだが、決まった時間にライトアップされるんだよ。」 桐「キ、キモ!ライトアップ?い、妹と夜景なんてこ、こんなの、デ、デートじゃん!」 京「な、なに言ってんだ!他意はねぇ!せっかく来たんだから、見ても損はないだろ!」 桐「ふん!どうだか!」 京「あー・・・やっぱ時間終わったか、自重してるんかなー」 桐「それなら仕方ないよね。もう帰ろ?ライトアップはま、また、見にくればい、いいじゃん?」 京「お、おう!」 兄貴ときりりんのぶらり旅 「終」 ロケ地:滋賀県大津市 琵琶湖疎水 撮影者:高坂京介 おまけ:大津港周辺/琵琶湖疎水 オリジナルサイズ オリジナルサイズ オリジナルサイズ
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1077.html
270 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/09/07(水) 01 03 39.40 ID s/mCYEpiP [1/6] 「はあ、どうしたもんかね」 ある秋の夕暮れ。俺は一人頭を抱えながら帰り道を歩いていた。 頭を抱えながらって言っても、頭が痛いとかそういうんじゃねえからな? あ、いや、ある意味それも間違っちゃいないかもしれえけど。 俺が何で頭を抱えているかといえば、ある事情があるわけで。 何でも今日、9月6日は妹の日なんだと。 妹の成長を祝い祈願する日らしい。 まあつまるところ、父の日や母の日の妹バージョンって考えるといいだろう。 朝からやけにテンションの高い赤城からそんなことを聞いた。 ちなみに、弟の日や姉の日、兄の日というものもあるらしい。 「ムフフ、今日は瀬菜ちゃんに目一杯構ってやるんだ。 今日は妹の日だし、兄貴は何やっても問題ないしな!」 なんてことも言ってたがそれなんかちがくね? 妹に何してもいい日じゃなくて妹に何かしてあげる日なんじゃねえの? そう突っ込もうとしたところでチャイムがなり、結局突っ込むことが出来ずじまいだった。 瀬菜も大変だな。あんな兄貴を持っちまってよ。・・・・・・なんて今更か。 でもまあ、ある意味あそこまではっちゃけられる赤城を羨ましく思わないでもない。 「しかし、妹の日か・・・・・・」 俺が妹といわれて真っ先に思い浮かぶのは、当然ウチの妹である桐乃のことだ。 「桐乃に何かをしてやる、ねぇ・・・・・・」 ぶっちゃけ何も思い浮かばん。 普段からやれアキバにつれてけだの買い物に付き合えだのエロゲ買ってきてだのとこき使われてる俺が、なんでそんな妹のために何かし てやらくちゃならんのかと。 むしろ俺をもっと労ってほしいぐらいなんだけど。 ああ、でも最近は付き合わされた後に「今日はありがとね」とか、買い物ついでに何か買ってやったときに「これ、大事にするね」と薄 くはにかむ桐乃は可愛いと思わなくもないな。 いっつもすぐに顔逸らしちまうけど。 減るもんでもないだろうに、もっと見せてくれてもいいのによ。 ふむ、そう考えると桐乃に何かやってあげようかという気分になるから不思議だな。 ・・・・・・別に照れる桐乃を見たいとかそんなんじゃねえからな? 勘違いしないように。 「とはいえなあ・・・・・・あいつのしてほしいことって、何だ?」 そう、それが冒頭で俺が頭を抱えていた原因であった。 よくよく考えてみれば、俺はいつも桐乃にこうして欲しいああしてほしいって言うのを実行したことはあれど、自分から率先して桐乃が やってほしいと思うようなことをしたことがない、と思う。 あいつの趣味を守るために親父に殴られたり、あやせを説得したり御鏡にムチャクチャなことを言ったのは自分のためだから含まれない だろうしな。 「俺が桐乃のためにできることか・・・・・・」 一番手っ取り早いのはさっきも言った通り、桐乃に何をしてほしいか聞くことだろう。 でもできればそれはしたくないってのがあるんだよな。 だってそれだと俺は「あの夏」から何も進歩しないことになっちまうし。 「う~む・・・・・・何か贈り物って言うのは時間的に無理があるしな。今からアキバ行く時間なんてねえし。 最近は特にこれって言うほどほしいって言ってたものもなかったしな。となると・・・・・・どうすりゃいいんだ?」 まいった。いきなり躓いちまったぞ。これはマズイ。 うむむむむ・・・・・・よし、考え方を変えよう。 「俺が桐乃に対してできること」じゃなくて「俺が桐乃にしてやりたいこと」にしよう。 これなら俺の意思だけで決定できるし、桐乃に文句言われてもしゃーないですむしな。 「我ながらいい考えだ。後は俺が桐乃に何をしてやりたいか、だけど・・・・・・」 あーでもないこーでもないと考えながら、俺は家へと歩を進めていった。 そんなこんなで夕飯も終わってフリータイム。 今こそ考えていたことを実行に移す時! コンコン 「誰?」 「桐乃、俺だ」 ガチャリと開いたドアの間から桐乃が顔を出した。 以前までは、まるで俺を狙うかのように勢いよく飛んできたドアも今ではそんなことはほとんどない。 桐乃の機嫌が悪い時はその限りじゃないが。 「なに?」 「すまん、ちょっとな。今時間いいか?」 「別にいいけど・・・・・・珍しいじゃん。あんたからあたしの部屋に来るなんて」 「まあな」 「なんのつもりか知らないけど、早くしてよね。あたしやりたいことあるし」 「エロゲか?」 「なんだっていいじゃん。とりあえず入ったら?」 「おお」 桐乃に促されて部屋に入る。 いつも通り明るい調子に整えられている部屋はきれいにまとまっていた。 PCもついてないところを見ると、特にこれといったことをやってなかったのかもしれない。 「はいこれ」と手渡されたクッションを敷いて床に座った。 桐乃はベッド、俺は床。いつも通りのポジションである。 「で、何?」 「ん?」 「だから、あたしに用があってきたんでしょ? さっさと言いなさいよ」 「そうだな。別に隠すもんでもねえし。桐乃、お前今日が何の日か知ってるか?」 「妹の日に決まってんじゃん」 即答だった。 よくよく考えてみれば妹に眼がない桐乃が今日という日を知らないわけがない。 どうしてその程度のことに頭がまわらなかったのか。自分が呪わしい。 「あ、何? もしかしてそれのためにあたしの部屋にまで来たわけ?」 何が嬉しいのか(多分俺をからかうのがだろうが)実に愉快そうにニマニマとする桐乃。 くっ、これはマズイ展開だ。このままでは桐乃に主導権を持っていかれてしまう。 「お、おう。そういうことだ」 「へぇ~。まさかあんたが知ってるなんて思わなかった。それで? 何かしてくれんの? ま、妹の日だし? こ~んな可愛い妹に何もしてあげないっていうのもありえない話だけどね~」 相変わらず一々こっちを煽るような言い方をしやがって。 可愛いのは認めてやるがあんまり調子にのるんじゃねえぞ。 俺の反撃はここからなんだからな! 「そうだな。お前みたいに可愛い妹に何もしないってのも失礼な話だよな」 「え?」 「頭がよくって、運動神経抜群で、その上可愛い。 けどその裏じゃスゴク頑張ってる妹に何もしてあげないっていうのは失礼だよな」 「・・・・・・・・・・・・」 何だよその目は? まるで信じられないものでも見るような目をしやがって。 俺がこんなこというのはそんなにおかしいかよ? 「こんな日だから素直にいうけどさ、俺はお前のこと凄く尊敬してるんだぜ? 何に対しても全力で取り組む姿勢。諦めない心。向上心。 今でこそ俺も頑張ってるけど、それは全部お前から貰ったもんだ」 なかなか素直にいえない本心。俺は今それをさらけ出してる。 「時々無茶のし過ぎで見てられないときもあるけどさ、それもお前の魅力だって思ってる」 俺が桐乃にしてあげたいこと。 それは自分の心のままどこまでも素直に桐乃を褒めてやりたいってことだった。 「い、いきなり何いいだすのあんた。キモいんですけど」 「それは流石にひどくないか」 顔を赤くして睨むようにこちらを見る桐乃。 俺が恥ずかしいのを我慢して言ってるのにこの仕打ち。いつも通り過ぎて涙が出てくるぜ。 しかしここで止まるわけにもいかん。中途半端なところでやめれば余計に恥ずかしいからな! 「だ、だって」 「まあ聞けよ。 俺のために自分の気持ちを殺して俺の背中を押してくれたこと。スッゲー嬉しかった。 あの時自分のことムチャクチャバカだと思ったけど、桐乃の気持ちは本当にうれしかったんだ」 それこそ泣いちまうぐらいにな。 「あの時もいったけどさ、もう一度言うな。ありがとう、桐乃。俺さ、お前が妹でよかったよ」 「俺、お前のこと大好きだわ」 言った。言っちまったよ。 なんかちょっと予定と違うこと言った気もするけど、問題ないよな? やべー。超恥ずかしい。多分俺顔真っ赤なんじゃね? そう思うぐらい顔が暑いんだけど。 それはそうと、桐乃は・・・・・・ 「・・・・・・・・・・・・ばかじゃん」 その言葉に恥ずかしさで逸らしていた顔を桐乃に向けてみれば、さっきよりももっと顔を赤くしてる桐乃がいた。 「別に、あんたのためだけにやってたことじゃないし・・・・・・ あたしだって、あたしだって本当は・・・・・・」 何かを言いたそうに、それでもいえない何かを我慢するように言いよどむ桐乃は、 それから少しだけ間を空けて、意を決するように顔をあげた。 「あのさ、今日は妹の日じゃん?」 「おう」 「だったらさ、妹の言うことの一つぐらい聞いてくれるよね」 「まあ、それぐらいならな」 「あたしさ、あたしも、本当はもっと京介に言いたいことがあるの」 「そう、なのか?」 「うん」 もっと言いたいことね。今まで散々いろんなこといわれてきたわけだが、それでも足りないというんだろうか。 なんだか聞くのが怖いような怖くないような。 「だけど、ちょっと、今はまだ言えそうもないの」 「・・・・・・・・・・・・」 「だから来年、もしかしたらもっと先になるかもしれないけど、 その時にくる「兄の日」に聞いてほしいんだ。今、あんたが言ってくれたみたいにさ」 「・・・・・・わかった。その時は覚悟しとく」 「うん。期待してていいよ」 よし。これで話も終わりだな。桐乃もやることがあるって言ってたし、そろそろ部屋に・・・・・・ 「それでお願いなんだけど」 「は? さっきのがお願いじゃねえの?」 「さっきのは今度の話。今やってほしいことは別」 そうならそうと先に言ってくれよ。まぎらわしいやつだな。 「わかったよ。んで? 俺は何をすればいいんだ?」 「うん。それはね・・・・・・・・・・・・」 その後のことはあえて語るまい。 あえて言うなら、俺は桐乃に「簡単なお仕事」を申し付けられたとだけ言っておこう。 まったく桐乃も何考えてるんだか。簡単じゃねえから。あれ簡単じゃないからね。 しかも妹の日に妹にお願いされたら断れるわけないし。 まあ気持ちよかったりあったかかったりいい匂いしたりで色々あったわけだが。 何だかんだと強烈な思い出を俺に刻んでくれた妹の日。 そんな妹の日を上回る「兄の日」がこようことをこの時の俺は思いもしていなかったのだった。 -おわり- -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1477.html
885:【SS】母の日とプレゼント 1/2:2012/05/12(土) 23 39 04.46 ID mJBekPrc0 桐乃「明日は母の日だね。 京介はなんか用意したの?」 京介「それなんだが……カーネーションってのもつまらねえし、なんかちゃんとしたものを用意したいんだよな」 桐乃「ふうん」 京介「桐乃は何か用意したのか?」 桐乃「あたし? あたしは今からアクセサリを買いにいくつもり。 買いに行くチャンスがなくて直前になっちゃった」 京介「そうなのか」 桐乃「……今日これから予定ないなら、あたしと一緒にプレゼントを選ぶ?」 京介「これなんてどうだ?」 桐乃「はぁ? やっぱりあんたセンスまったくないね」 京介「ぐぬぬ…… それならこれはどうだ?」 桐乃「あたしには似合うと思うけど……お母さんにはもうちょっと落ち着いたのの方が良いと思うよ」 京介「そうか…… っていうか、さっきからおまえダメだしばっかだな。 桐乃もちゃんと選んだらどうなんだ?」 桐乃「だってあたしが選んだらそれで終わっちゃうし。 あんたのことだから、 『センスいいな。 それでいいんじゃないか?』 とか言うでしょ?」 京介「ぐぐっ」 桐乃「母の日のプレゼントなんだから、ちゃんとあんたも選ばなきゃダメでしょ? ほらほら、どんどん選んでいきなよ。 あんたがちゃんとしたやつ選ぶまで、ちゃんとあたしが付き合ってあげるからさ。 それに折角だからあんたのセンスも鍛えてあげる」 京介「というわけで」 桐乃「二人からの母の日のプレゼント!」 佳乃「わあ、ありがとう! 嬉しいわ~♪」 桐乃「ほらほら、空けてみて」 佳乃「どれどれ……」ガサガサ 佳乃「あら、キレイねー。 これ桐乃が選んだんでしょ?」 京介「ちげーよ! 俺が選んだやつだよ!」 桐乃「ほとんど総当りで選んだやつの中から、あたしが最終的に選び出したヤツだけどね。 京介に任せるから半日かかっちゃった」 佳乃「あら、やっぱり桐乃が選んだやつじゃない。 ありがとうね、桐乃」 京介「俺だって頑張ったのに……」 佳乃「はいはい、京介もありがとねー」 886:【SS】母の日とプレゼント 2/2:2012/05/12(土) 23 39 37.93 ID mJBekPrc0 京介「まったく、お袋のヤツ……」ブツブツ 桐乃「しょげないしょげない。 お母さんだってすっごい喜んでたじゃん」 京介「そうか?」 桐乃「そうだって。 多分明日、すごい上機嫌でつけてると思うよ」 京介「そういうもんかね」 桐乃「今日は疲れちゃったね。 あんたにセンスが無いことは知ってたけど、こんなに時間がかかるとは思ってなかった」 京介「へいへい、すみませんでしたね。 ……なあ桐乃」 桐乃「なに?」 京介「ほらよ」ポイ 桐乃「これ……あのお店の?」 京介「今日一日付き合ってもらったお礼だ。 空けてみろよ」 桐乃「う、うん」ガサガサ 桐乃「これって……」キラリ 桐乃「ふ、ふーん。 京介にしてはセンスあるじゃん」 京介「桐乃が『あたしには似合う』って言ってたやつを買っただけだけどな。 なんか気にしてたみたいだからよ」 桐乃「だと思った。 あたしが選んだようなもんじゃん。 さすがあたし、センスあるね」 京介「この……」 桐乃「~♪~♪~♪」カチャカチャ 桐乃「どう? 似合う?」 京介「……ああ。 すげー似合うんじゃないか?」 桐乃「♪ 当たり前でしょ、あたしが選んだんだから」ニコニコ 京介「はいはい、言ってろ言ってろ」 桐乃「でもさ、今回は良かったけど、あんたもうちょっとセンス磨いた方がいいよ。 だからさ、また今度あたしが徹底的に鍛えてあげるね!」 ----------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1182.html
934 名前:ろりりんとちび介のクリスマス・イブ【SS】[sage] 投稿日:2011/10/03(月) 17 46 59.43 ID hlA+twGwO [1/2] ちょっとクリスマスネタで書いてみたくなった 「ねえおにいちゃん、サンタさんはいまどこにいるのかなあ」 「サンタさん?」 「うん、サンタさん。きりのねえ、サンタさんにいーっぱいおねがいをするんだ」 ニッコリわらってたのしそうに話す桐乃 なのに、どうしてだろう。桐乃の夢をこわすようなこと言っちゃったんだ…… 「サンタクロースなんていないよ」 「えっ!!!」 「サンタなんていないんだよ。プレゼントはみんなお父さんやお母さんが用意してくれるんだぞ」 「うそだよ、サンタさんはほんとうにいるんだもん!!」 「じゃあきりの、サンタクロースを見たことあるのか? ないだろ。だからいないの!」 「……サンタさんはいるもん!! いるんだもん…… おにいちゃんのばかぁ……うぇぇぇんん」 桐乃を泣かせてしまったことで、お父さんとお母さんにはすごく怒られた。 桐乃に謝るように言われたけど、桐乃はあれから顔もあわせてくれない、どうしたらいいんだろう…… とうとう謝ることができないまま、夜中になった。部屋に入ると、桐乃は二段ベッドの下ですやすやと眠っていた。 見ると、桐乃の枕元に赤い靴下が置いてあった。なにやら紙が入っている。そっと見てみると…… 『サンタさんへ おねがいがあります。 あたしは、おにいちゃんとけんかしてしまいました。 でも、あたしは、おにいちゃんのことが大すきだから、とってもさびしいです。 だからサンタさん、どうかおにいちゃんとなかなおりして、またたのしくあそべりようにしてください。 サンタさんへ こうさかきりの』 「桐乃………」 桐乃の気持ちを知って、桐乃にとんでもないことをしてしまったのがわかって、涙がどんどんあふれてきた。 「……おにいちゃん?」 泣き声に気づいたのか、桐乃が目を覚ました。 「桐乃、ごめんな…ごめんな。」 「すごーい!! サンタさん、もうきりののおねがいごときいてくれたんだ!! すごいすごい!!!」 「えっ???」 「きりのね、おにいちゃんとはやくなかなおりできますようにって、サンタさんにおねがいしたんだよ。 そしたら、こうしておにいちゃんがきてくれたんだよ。うわあ…サンタさんほんとうにいたんだ、よかったあ」 「………」 「きりの、しんぱいしてたんだ。だっておにいちゃんがうそつくはずないから、 もしかしたらほんとにほんとにサンタさんはいないかもしれないって……でもやっぱりいたんだよ。よかったあ」 「……桐乃……うっ…うっ……」 まるでサンタクロースがここに自分をつれてきたみたいに思って、それでいて、自分のことを決して責めようとはしない桐乃。 そんな桐乃が、とてもいい子で、桐乃のことがとても可愛らしくて……とても……とても…… 「うわあん…桐乃、ごめんよぉぉ」 思わず桐乃に抱きついた。 「え、おにいちゃん??」 「ごめんよ、本当にごめん桐乃……う、ううっ」 「……もう、おにいちゃんたら泣き虫さんなんだから。だめだよ、いつまでもないてちゃ」 「うん、わかった……」 「よしよし、いい子いい子」 桐乃が小さな手で、頭を撫でてくれた。 「いい子になったおにいちゃんに、きりのからごほうびをあげます。だから、ちょっと目をつぶって」 言われた通りに目をつぶった。 「おにいちゃん、だーいすきぃ」 ちゅっ! 「きりのは大きくなったらおにいちゃんのおよめさんになるやくそくのキスだよ。 じゃあおにいちゃん、おやすみなさい……」 「うん、おやすみ、桐乃……」 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/590.html
626 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/17(日) 12 39 03.46 ID BxWCPz5EP [1/5] そういえば京介の部屋のベッドの下に収納BOXみたいなのいくつかあったな アレのうち何割かは桐乃の服なのか そしてそれが自分の服だと思い込む京介 服を出そうと箱を開ければそこには桐乃の服が そして当然のごとくそのタイミングで入ってくる桐乃 「あ、あ、あんたそれあたしの……!」 「ち、違うぞ! 誤解だ! これは俺も知らなくてだな!?」 「いいわけすんなーーー!」バチーーーン! 「へぶぅ!?」 「まったく……ちょっと待ってなさいよ」 「?」 数分後 「ほ、ほら。好きなの選びなさいよ」 「うえ? いや、選べって、何で?」 「これ以上あんたに服持ち出されても困るし、あたしが実際に着て見せてあげるからそれで我慢しろってこと。 だから早く選んで」 「だからそれは誤解なんだけどよ……はあ、じゃあ、これで……(一応選んどかないと面倒だし適当でいいだろ)」 そして定期的に催されるようになる京介専用ファッションショー 630 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/17(日) 13 22 31.73 ID jgDal46N0 [1/3] 626 ある日、京介がプライベートであやせに偶然遭遇。 「あれ、それ、キャンキャ○の読モが来てた、春カワ特集のやつじゃん。やっぱ似合うなー。」 「ありがとうございます。…しかしすごいですね。何で知ってるんですか?」 「あぁ、なんか桐乃が、何故か自分のファッションショーするようになってさ。」 「…え、ファッションショー?桐乃が?お兄さんに?」 「あぁ・・・。その時にファッション雑誌見せつけられてたら覚えちまったわ」 「……あたし、そんなことされたことないです。」 「そうなのか?あやせだったら親友だし、モデル仲間だし、そういうことやっているもんだと思ってた」 「お兄さん。やっぱりわたしはお兄さんを未来永劫許せそうにありません。今この場でぶち殺したいです。」 「え、え、そ、そんなに大袈裟なことか?」 「だいたい桐乃も桐乃ですよ!な、なんでこんな変態なんかに!」 「ふんふふーん♪今日は何着ようかな~。こっちの好感度アップレディースファッションがいいのかな? あ、でもあいつ変態シスコン兄貴だしー、大人っぽいものよりちょい子どもぽい感じの服がいいのかな? うひひ、どうしよっかな~♪」 というのが頭に浮かびました。