約 431,342 件
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/312.html
655 名前:バレンタインギフト【SS】[sage] 投稿日:2011/02/14(月) 17 24 54 ID EKgf+chSO [7/11] 「……ところでおにいちゃんは、バレンタインデーではキリノに何をプレゼントするの?」 国際電話の向こうから、リアが突拍子もないことを言い出す。 「バレンタイン?バレンタインは女の子から男にチョコを渡す日だろ?」 「ホントーのバレンタインは男の子も女の子にプレゼントする日なの! だからおにいちゃんもキリノにプレゼントしないとねーっ リア、キリノにおにいちゃんが何をプレゼントしたかあとで聞くからね! ちゃんとプレゼントしないとダメだよー じゃあねーっ」 返答する間も与えずに電話を切るリア。 確かに女子から男子へチョコ渡す習慣が日本オリジナルってのは知ってたが 桐乃にプレゼントするつもりなんて全くなかった。 だが、リアが桐乃に確認してくるって言うんじゃ、何か考えないとな…… ※※※ と言うわけで俺は千葉そそうに向かった。 流石に近くの店じゃご近所さんの目も気になるからな。 ところがそそうに着いた瞬間、俺は思わぬ人物に遭遇してしまった。 「あんた、なんでここにいるのよ??」 おいおい、桐乃。それはこっちのセリフだろう 「別に、買い物くらいしたっていいだろ。お前だって何か買い物する為にここにきたんだろ」 「うっさい、あんたのことだからどうせランジェリー売場でも見に来たんじゃないの!キモッ!」 「お前なあ、言っていいことと悪いことがあるぞ!とにかく、買い物あるから、じゃあな」 「フンッ」 ともあれ俺は桐乃と離れる。 (しかし、桐乃は何を買いに来たんだ? やはり誰かにやるチョコを買いに来たんだろうか?) 特設会場には、いろんなチョコが並んでた。 (桐乃は、どんなチョコなら喜ぶんだろうか?) 考えながら会場内をああでもないこうでもないと、結構な時間歩き回ってしまった。 もしかして、桐乃とチョコ売場で鉢合わせするんじゃないか気掛かりだったが、 結局あの後店内で桐乃と会うことはなく、俺は無事に買いものを終えた。 ※※※ 「おい、桐乃。プレゼントだ」 「へっ、なんで、あんたが??」 「…こないだの電話でリアから、お前にちゃんとバレンタインのプレゼントをしろって 言われたからな。」 「でも、リアからはバレンタインのメッセージカード貰ってるけど」 「…俺からのチョコだ。いいだろ別に。日頃の感謝って奴だ。じゃあな」 俺が告白する乙女みたいに恥ずかしがってどうすんだ、と思いながらも、 とにかく桐乃にバレンタインの贈り物をするリアとの約束は果たせた。 その夜遅く、俺は桐乃に呼び出された。 「昼間は…チョコありがとう。兄貴にしては、センスいいもの選んだじゃん」 (まあな、大枚はたいて高級チョコ買った甲斐があったぜ) 「で、これは、あたしからのバレンタイン…」 そう言って桐乃は小さな包みをよこす。 「兄貴の……は世話になってるから……借りてた分も返さないといけないし」 急に小声になる桐乃、どうしたんだ? 「サンキューな。ここで開けていいか?」 「ダ、ダメっ!その、恥ずかしいから自分の部屋で開けて、じゃあお休み兄貴!」 俺は半ば追い出される形で自室に戻る。 包みを開けてみる。食べ物じゃないみたいだな。 これはミッキーマウスがプリントされたハンカチ……じゃなくてトランクスか。 そういえば紳士洋品売場で男性下着もバレンタイン向けとして売られてたな。 でも、なんでトランクスなんだ??? -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1801.html
913 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/01(火) 04 58 24.37 ID TBuf2/OxO 恋人になってから約半年。 すっかり主導権にぎられっぱなし、あしらわれまくり、ツンツンされ放題のきりりん。 京介「おはようのツンツン」 桐乃「!あ、アンタまた!?」 京介「なんだよ?いやなのか?」 桐乃「…い、いやではないけどさ…でも」 京介「じゃ、いいじゃん」ツンツン 桐乃「ぐっ。どうしてこうなった…」
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1035.html
687 名前:【SS】音か匂いか繋がりか[sage] 投稿日:2011/08/20(土) 17 29 39.58 ID VS5GHR+/0 [2/6] 桐乃「今日は蚊の日」 京介「桐乃の言いたい事はわかってるぜ。 ・・・蚊の日だからといって、 この憎き蚊の野郎をぶちのめすのを止める理由にはならないって言いたいんだろう?」 桐乃「そういうこと。 むしろ、日ごろの恨みを込めて全力で片付けるべきよね」 京介(蚊の野郎、桐乃の血を吸いやがって・・・ 桐乃にちゅーちゅーするなんて羨ま―けしからんヤツだぜ) 桐乃(京介の血なんて不味そうなのに何で吸うんだろ。 つぶした後に確かめてみなくちゃ) 京介「いたか?」キョロキョロ 桐乃「う~ん」キョロキョロ 桐乃「!」ピキーン 桐乃「ハッ!そこね!」 パシン! 桐乃「つぶした!」 桐乃「・・・・・・」クンクン 桐乃「・・・・・・」ペロ 桐乃「・・・兄貴を吸ったやつみたいだね」 京介「そうか。 でも、なんであんな所にいたのにわかったんだ?」 桐乃「え、えーと」 京介「まあいいか。後一匹は・・・ !」ピキーン 京介「ハッ!そこか!」 パシン! 京介「やったぞ! こっちが桐乃を吸ったやつか?」 桐乃「これで全滅したかな? でも、あんたこそどうしてあんなところにいた蚊に気がついたの?」 京介「そ、それはだな・・・」 京介(『桐乃の匂いかなにかを感じた気がした』なんて、口が裂けても言えねえ) 京介「おまえこそさっきはどうしてわかったんだよ」 桐乃「~~! そんなのどうでもいいでしょ!」 桐乃(『なんとなくあんたの気配を感じた』なんて言える筈ないでしょ!) 桐乃「向こうに行こ。 刺されたところにキンカン塗ってあげるからさ」 京介「そうだな。 おまえが刺されたのって肩甲骨の辺りととうなじだっけ? 塗りにくいだろうから俺が塗ってやるよ」 桐乃「お願いね」 京介「痕になったら困るからな。 ・・・ヘンなところ触ったりしねえから安心しろよ」 京介(ちょっとくらいは触りたいんだがな) 桐乃「わかってるって。 それくらいは信用してるからさ」 桐乃(ちょっとくらいなら触ってもいいんだけどね) 蚊「うへぇ」ボソ 京桐「「まだいる!」」 蚊(しまった!) ----------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/617.html
622 名前:SS[sage] 投稿日:2011/04/25(月) 23 24 30.80 ID +6Ee+G8v0 [1/2] 夕食時に桐乃とおふくろがこんな話をしていた。 「今度雑誌で春のメガネ特集をやるんだけど、あたしがモデルやることになっちゃてさ」 「へー、まぁ桐乃なら何でも似合いそうよねー」 「そりゃあたしくらいになると合わせらんないものなんてないけどね」 なんてことのない会話だが、俺はメガネの一言が少し気にかかっていた。 桐乃に…メガネ…!?うえっダメだ、想像しただけで気持ちわりぃ。 夕食後、どうも勉強する気が起きないので ゲームでもやろうと思い桐乃の部屋にPCを借りに行った。 コンコン 「桐乃ー、ちょっとノーパソ貸してもらえねー?」 ガチャ 「何、あんたまたエロゲーやりたいわけ?」 !? そこにはメガネをかけた桐乃がいた。 「貸してやってもいいけどまたエロサイトとか見たら殺すからね」 「………」 「ああこれ?今借りてきたメガネをいろいろと試してみてんだけど」 「………」 「普段かけないからあんま似合ってる気がしなくてさー」 「………」 「ちょっと、聞いてんの?」 「え?ああスマン」 「何ボーっとしてんの、キモッ」 「わりーわりー。でもそれ、なかなか似合ってると思うぜ」 「な!?…あったりまえじゃん?」 「それじゃ借りてくぜ、今夜中には返すわ」 「前に勧めたエロゲーもやっときなさいよね」 「わかったわかった」 そう言って俺は桐乃の部屋を後にした。 そして自室に戻った後、俺はもだえ苦しんでいた。 (妹に見とれるとかありえねええええ) (だって桐乃だぞ?だがしかし、さっきのあれは間違いなく天使…) (ってうわあああああ何考えてんだ俺ええええええ) ガタガタ 「うっさいなぁ、何やってんのよあいつ」 「でも、へへっ…そっかぁ似合うかぁ」 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1778.html
770 名無しさん@お腹いっぱい。:2013/08/25(日) 22 38 03.39 ID mYtI4gMGO 768 桐乃「ばっかじゃないの!?」 京介「よし。そんじゃ明日九時に駅前で待ち合わせな」 桐乃「ばっかじゃないの!?」 京介「え?…ああ、明日新作エロゲの発売日か。いいよ」 桐乃「ばっかじゃないの!?」 京介「ん?ああ、頭撫でてほしいのか。お前好きだよな~」ナデナデ 桐乃「京介…キスしてほしい」 京介「ど、どーした桐乃!?」 桐乃「どーせなに言ったってアンタに翻訳されるんでしょーが!」 京介「自暴自棄になるなよ!」 ----
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/434.html
530 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/03/18(金) 22 48 03.38 ID LMy5gHpJ0 [2/2] 今朝、アメリカより電話があった。 娘の桐乃が、留学先で体調を崩しがちらしい。 もとより、桐乃の留学には反対していた。 言葉も食事も習慣も異なる異国の地。 日本人よりも体躯・身体能力に恵まれた外国人のライバル達。 それらの問題に相対するには、桐乃はまだ幼すぎる。 案の定、心配した事になってしまったではないか。 即刻、署の同僚に連絡し 急だが暫く有給休暇を取る事を告げると、桐乃の勧めで購入したパソコンにて、航空会社のホームページを開く。 幸いにして、今日の最終便の席を確保する事ができた。 (この時ばかりは、”インターネット”なる物の存在に感謝した。) 桐乃がアメリカに発ってから、少しずつ旅行の準備も進めていた。 このような事態に陥らずとも、娘の様子を見に行くのは親としては当然であるしな。 よって、最低限の身支度を整えるだけで、全てが事足りた。 あとは、時間を見て空港へ向かうだけ、なのだが――― 「 ただいま〜 ……って、なんで親父がいるんだ!? 」 時刻は四時を少し回った処。 そうか、もう京介が帰ってくる時間か。 確かに、驚くのも無理はなかろう。 平日のこのような時間に、家に俺がいるのだからな。 だが、京介に詳しく事情を話すほどの時間は――― 「 まあ、それなら丁度いい。 親父、大事な話があるんだ。 ……桐乃のことで。 」 「 …………どういう事だ。 」 まさか、ここで桐乃の名前が出てくるとはな。 だが、京介の目は将に真剣そのものだ。 その眼差しは、一年前に、桐乃のいかがわしい(と思い込んでいた)趣味の件で俺に詰め寄ってきた あの時を思い起こさせる。 いいだろう。お前の話を聞こうではないか。 「 ……まずは、このメールを見てくれないか。 」 差出人は、当然ながら桐乃で、着信時刻は…… ほんの一時間前ではないか。 それで、肝心の内容は………… 「 ………………………どういう事だ、これは。 」 「 それを聞きたいのは俺のほうだよ、親父。 そもそも、親父にだって分かってるはずだろ? 桐乃が、どれほどあの趣味を大事にしているのかは。 」 それについては、言うまでもない事だ。 一年前、このようないかがわしい趣味は即刻止めろと命じた時、桐乃は泣きながら俺に掴みかかってきた。 京介に諌められ、渋々ながら認めた後もずっと俺なりに あの趣味に関わる桐乃を見続けてきた。 そうして得た結論は―――― あの時、京介の言葉を聞き入れなかったら 俺は、桐乃の掛替えのない物を踏み躙る処だったのだ、という事だ。 「 あのオタクグッズのコレクションは、桐乃にとっては命よりも大切なものなんだよ。 ましてや、あの中には、俺と黒猫と沙織とあやせとであいつにあげたプレゼントだって含まれてるんだ。 そんな物を捨てろだなんて、そんな馬鹿なコトをあいつが言うなんて、絶対にありえねえんだ。」 「 ………………………… 」 「 思うに、コイツは桐乃からのサインなんだ。 あいつは、こんなトチ狂ったことをほざいちまう位に 向こうで追い詰められているんだよ! 」 「 ………………………… 」 「 あいつはアメリカに発ってから、誰とも一切連絡を絶っていた! あやせや黒猫や沙織とも!! なのにあいつは、あやせでも黒猫でも沙織でもなく、この俺に話を持ちかけてきた!! あやせは、桐乃の力になってあげてくれ、と言ってくれた!! 黒猫は、ぐずぐずしないで早く妹を助けに行け、と俺の尻を引っ叩いてくれた!! ――――だから、頼む親父!!!! オレをアメリカに、桐乃の元に行かせてくれ!! これはあいつからの人生相談なんだ! だから、俺はあいつの話を聞いてやらなきゃなんねぇんだよ!! 」 「 ………………………… 」 ………………そういう事か。 今、桐乃は助けを必要としている。 それだけは確かな事だ。 だが、その助けになってやれるのは――― 俺でも学校の友人でもなく、京介だけだ、という事か。 ならば、俺が言える事はただ一つだ。 『 よし! 行ってこい! 』 京介は、中学の時の修学旅行でパスポートを作っていた筈だ。 旅行のための準備は、既に済ませてある。 『 必要なものはすべてその中に入っている。 遠慮なく持っていけ。 』 …………ふっ。 京介の奴、何を呆けた顔をしているのだ。 まあ、確かに色々と俺に尋ねたい気持ちは分かる。 何故、このような時間に俺が家にいるのか。 何故、旅行の準備が万全なのか。 だが、そのような事は瑣末な事だ。 今のお前は、ただ一つ、桐乃の事だけを考えていればいい。 だから――――― 『 ―――京介。 すべておまえに任せる。 頼むぞ。 』 ………5巻P266に続く。 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1179.html
819 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/10/02(日) 21 14 21.49 ID EdF6tdNU0 [11/14] タイトル:『秋の祭典2011』に行こう その夜、俺は自分の部屋で受験勉強をしていた。ベッドには桐乃がうつ伏せで寝転がり携 帯を弄っている。最近、俺のベッドは桐乃に領空侵犯・・・いや完全に威力占領されてい る。 「ねぇ、あんたさ、明日暇だよね」 桐乃が突然そんなことを言い出す。 俺はシャーペンを置いて、桐乃のほうを向く。 「んっ?勉強はそこそこ順調だし、暇っちゃ暇だが・・・」 「そっか、そんじゃ明日はあたしに付き合いなさい」 「買い物か?」 「いやいや、そんなんじゃなくて、これ」 桐乃は弄っていた携帯の画面を俺に向ける。そこには・・・ 『雷撃文庫秋の祭典2011』 と、どでかく書かれていた。 「何だ、これは・・・・・」 「はぁ?マジ信じらんない。あんたが前好きなラノベがあるって言ってたじゃん。これは、 その出版社がやる公式イベント」 そういや、前にそんなこと言った覚えがあるな・・・・・ 「なるほど・・・てかラノベのイベントって、小説でどんなイベントやるんだ」 「んとね、これ見ると挿絵の展示とか作者のトークショーとか公式グッズの販売とかいろ いろ・・・・・」 「面白そうではあるな・・・それじゃ付き合ってやるか、場所はどこだ」 「アキバ・・・てか付き合ってあげるのは、あたし。そこんとこ間違いないでよね」 「おい、言い出したのはおまえだろ」 「うっさい、明日は朝から行くからちゃんと起きなさいよね」 そう言うと、桐乃は布団をかぶった。 「待て、そこで寝る気か。俺のベッドだぞ」 「あんたの寝る場所は空けといてあげる。シスコンのあんたはこんな可愛い妹と添い寝で きるんだから、感謝しなさいよね」 「おまえ、いつもそうやって・・・・・俺に襲われるかもとか考えないのかよ」 「変態、もし襲ったら、あんたは一生あたしの奴隷だかんね。それじゃおやすみ」 そう言い残すと、桐乃はそのまま寝てしまった。 翌朝、俺たちはアキバに行った。 「おい、何だこの人の数は・・・・・」 「はぁ?人気があるイベントなんだから当たり前でしょ。てかあんたがさっさと起きてれ ば、もっと早く来れたのに」 「おまえが俺に抱きついてなかなか起きないのが、そもそもの原因だろ」 「うっさいな、あたしたちも並ぶよ」 「どこに並ぶんだよ」 「まずは物販からに決まってるじゃない。急がないとなくなっちゃうよ。ちゃんと付いて 来なさいよね」 そう言うと桐乃はさっさと物販列に向かって歩き始める。俺はそのあとを追った。 『雷撃SHOP本店最後尾、100分待ち』 物販列の最後尾に着くと、そんな看板が立っていた。 「おい桐乃、どうすんだよこれ」 「別にいいじゃん。昔の人も『何故、列に並ぶのか。そこに欲しいものがあるから』って 言ってるじゃん」 「おまえ、それ絶対違うから・・・・・」 「いいから、あんたも並べ」 そうして俺と桐乃は列に並んだ。 「あーもう、いつまで並べばいいのよ」 「おい、おまえさっきなんて言った。てかまだ30分経ってないぞ」 「いちいちうっさいな、てか喉渇いた、あんたジュース買ってきなさい」 「へいへい・・・・・」 逆らうと何されるかわからないので、俺は素直に従った。 「これでいいか」 「へへっ、サンキュ~」 桐乃はジュースを受け取って飲んだ。 このまま大人しくしてくれればいいんだけどな・・・・・ しかし、20分くらいすると桐乃はそわそわし始める。 「おい、また飽きてきたのか」 「バカ、そんなんじゃない。ちょっと、あんたこれ持ってて」 と言って俺に荷物を渡す。 「どっか行くのか」 「いいから、すぐ戻ってくるから」 「あー、トイ・・・・・ぐふぉ」 俺の鳩尾に桐乃の拳がめり込む。 「変態、いちいちそんなこと口に出すな」 そう言い残して桐乃は列を離れた。 桐乃が戻ってきてから30分くらいすると、俺たちはやっと物販ブースに入ることができ た。中にはラノベのオフィシャルグッズが並んでいる。 「結構、いろいろあるんだな・・・・・」 「どれを買おうかな、迷っちゃうな」 桐乃は既に羊小屋に放された狼のような目をしている。そして手当たり次第にグッズを物 色する。 「おいおい、そんなに買って持って帰れるのかよ」 「何言ってんの、あんた。あんたが持つに決まってるじゃない」 「やっぱりそうきたか・・・・・」 俺はもう諦めた。というか達観した。 俺は桐乃から荷物を受け取ると、二人で外に出る。出口の脇では、トークショーが行われ ていた。 「あっ、くららちゃんがいる。ねぇねぇ、見ていこうよ」 「いいけど、立ち見になるぞ」 「別にいいよ、そんなの」 桐乃は俺の手を引いて立ち見席に行く・・・・・・・ 「んー、楽しかった」 「おまえは、こういうイベント来るとほんと周りと変わんないよな」 「いいじゃん別に、周りと一緒に楽しまないとソンだよ」 「はいはい、次はどうする」 桐乃は会場で渡されたパンフレットを眺める。 「うんとね、別の会場でラノベの挿絵とかの展示してるみたい」 「それじゃ、そっちを見てみるか」 そう言って、俺たちは別の会場の地下にある展示会場へ行った。 「ラノベだと小さい挿絵だが、このサイズで見ると結構迫力あるな」 「そうだね・・・」 俺は入り口近くにあった、黒いドレスに蝶の羽を纏ったヒロインのイラストを見ながらそ う言う。桐乃はその向かいにある一枚の絵をずっと眺めている。 それは、ウエディングドレスを着たヒロインが主人公にお姫様抱っこされているといった、 ちょっと恥ずかしい構図の絵であった。 「何だ、そんなに興味あるのか」 「えっ、いや少し憧れるというか・・・・・」 「お姫様抱っこされたいのか?」 「このシスコン、誰があんたなんかに・・・・」 「いや、俺がするって言ってないだろ」 「うっさい」 桐乃は少しむくれてしまった。会場を出てもずっとその調子である。 「おい、何怒ってるんだよ」 「しんない」 まったくこのお姫様は・・・・・ 俺は何とか桐乃の機嫌を直そうと考える。 ふと見ると、会場の入り口のところに会場特製おみくじをやっているのが見えた。 「桐乃、おみくじ奢ってやるから機嫌直せ」 「・・・キモ、そんなんであたしの機嫌とれると思わないでよね」 「いいから、一回やってみろよ」 「あんたがそこまで言うんだったら、一回やってあげる」 桐乃はそう言って、おみくじ売り場でおみくじを引いた。 「わー、アリスちゃんだ可愛い~」 「よかったな、で何て書いてあるんだ」 桐乃はおみくじに目を通している。 「・・・・・」 「どうした、何て書いてあった」 「秘密」 桐乃はそう言って、バッグにおみくじをしまう。しかしその顔からはさっきの不機嫌な様 子は消えていた。 俺は『何だ、機嫌直ったじゃないか』と言いたかったが、混ぜっかいしてもしょうがない ので言わなかった。 「一通り、見たけど後はどうする」 「ご飯食べて、アキバ見物しよう~」 桐乃の機嫌は、完全に直っていた。 「飯くらいは奢ってやるよ」 「あんたにしては、いいこと言うじゃん。しょうがない、この可愛いあたしがシスコンの あんたにエスコートされてあげる」 と言いながら、満面の笑みを浮かべて俺の腕に抱きついてきた。 完 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/595.html
788 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/18(月) 23 02 31.69 ID i7BVfpMA0 赤い糸を題材にちょっとしたSS書いてみました。。 思ったより時間かかった・・。 あと、その間に書きこまれた他の方々の素晴らしいSSの出来の良さに嫉妬;; 「赤い糸」を題材にしたSS ――コンコン 「あーい。どうぞー。」 ガチャ っと音がして、俺の部屋に入ってきたのは言うまでもなく桐乃だった。 「めずらしくさー、勉強であんたに聞きたいことがあってさ。当然教えてくれるよねー?」 有無を言わさず俺の横にきて、テキストを無造作に机におく我が妹。 時刻は夜10時30分だというのに、桐乃から甘ったるい香水の匂いがする。 こいつ、四六時中、香水つけてんのな。へっ、最近の中学生ってマセてやがるぜ。 まー、いい匂いだから文句はねーんだけどな。 「英語でさー、これを和訳してほしいんだよねー。」 「おう?なんだ言ってみろ」 なんて得意気になる俺。ふふん、ちょうどいい機会だ。年長者としての威厳を見せてやるぜ。 桐乃が指を指した文章は、 ...I had met kirino by chance in the world. We are meant to be together. なるほどな。桐乃とは言え、これはちょいと中学生には難しい問題かもな。 「ここは熟語の構文を意識することだな。まずは、by chanceっつーのは、偶然出会うって意味だ。」 「へー。やるじゃん。」 ふふん、ちょろいちょろい。このまま俺の威厳を高めてやるぜ。 「その後の文はだな、お互い一緒になるために出会ったって意味の熟語だ。つまり訳すとだな―」 ついに、俺はキリノとこの世界で偶然にも出会うことができた。 私たちはもう運命の赤い糸で結ばれている。 「という和訳にな――え?!」 「―う、ううううんめいの、赤い糸!?」 なんじゃこの文章はあああああああああ! つーか、どこの教科書で「キリノ」っつー単語が出てくるんだよ!? ねーよ?ねーよ! 「ご、誤解だ桐乃!これはあくまで素直に、すなーーおに和訳しただけだ!」 「す、素直に思いを伝えただけ!?あ、あ、あんたあたしのことそんなにす、すすすすす」 「だああああああああああ!全然ちげぇ、ちげぇよ?!曲解するな!」 「け、、結婚する、、、、結婚す、、、」 「おま、曲解を結婚と聞き違えるとかねーよ、お前!とりあえず落ち着け、な!!」 と混乱している桐乃の両肩に手をかけて、とりあえず落ち着かせようとした。 「あ、、、あに、、、、あたし、、、、あ、、、」 こ、この体勢はやばい!顔が、桐乃の顔が近い。かえって逆効果だった! 「あ、、あのね、、、こ、、、、この文章も、、、訳して」 「お、、おう。」 先程のテキストにある文章を、震える指で指した。 I m not much good at anything, but please be kind to me. 「お、、、おう、これを訳せばいいんだな。これはだな―」 不束者ですが、よろしくお願いします。 「――!!」 「もう好きにしてくれええええ!!!!」
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1461.html
828 :名無しさん@お腹いっぱい。:2012/04/20(金) 23 05 56.30 ID LSbWRHJr0 SS『嘘つき』 ※10巻のラス直前妄想話です 「ごめんなさい、桐乃」 あたしの前で、そう謝るのは、あたしの親友。 「いいって、もう。これで三度目だよ?」 「でも・・・」 まあ、あやせが気にするのも分かる。 今日は、あたしの兄貴の模試の結果が出る日。 その模試の日に起こった事件の事を、あやせは気にしているのだ。 「だってさ、結局時間には間に合ったわけだし。 それに、その程度の事で点数が下がるなら、ちゃんと勉強しなかったあいつが悪い」 「でも・・・」 「それに、あいつだったら、きっと大丈夫だって」 本当はとっても心配。 あいつ、すぐに自分の事が見えなくなっちゃうから・・・ 「うん、ありがと、桐乃」 「うん」 お互いに、無言になる。 いつもなら気にもならない間。 でも、あやせはその間に耐えられないかのように話し出す。 「それにしたって、お兄さん、すごいよね」 「・・・」 「わたしが夕食の準備をしている間も、洗濯をしている間も、一生懸命勉強を続けていたし」 あやせはあたしの事も意識に入らないかのように話し続ける。 「わたしがお料理してても全然気にしないし、わたしが作ったご飯もすぐに食べちゃうし わたしが話し掛けても勉強に集中しつづけるし、わたしのこと・・・全然、気にしてくれて・・・ない・・・」 ああ・・・気づいちゃった。 ううん、気づかないではいられない。 きっと――― 「あやせ・・・あんた、京介の事・・・好き、なの?」 「・・・ううん・・・大嫌い」 そっか。 たぶん―――あやせは、京介の模試の邪魔をしてしまったことだけを謝っていたんじゃないんだ。 あたしに対しても、謝っていたんだ・・・ 「ね、桐乃」 「・・・うん」 あやせの目には涙が浮かんでいる。 苦しんで、悩んで、思いつめて。 でも、その眼差しは、決して自棄になった人間のものじゃない。 「桐乃は、お兄さんの事、好き?」 「嫌い・・・だいっ嫌い!」 「嘘つき」 そう言ったあやせの声は、いつかのような冷たい、見放すような声じゃなくて・・・ 「わたしも、桐乃も、お兄さんも嘘つき」 やっぱり―――あやせも京介の事・・・ でも・・・ なんで・・・なんであたしの大切な人ばかり・・・ みんな、京介を取って行こうとするの? あたしは、みんなと仲良くしてたいのに・・・ 本当は、京介の一番で居たいのに・・・ 「でも・・・やだ・・・京介の事、あやせにだって渡したくないよ」 「うん。分かってる。桐乃の嘘も、お兄さんの嘘も、他の誰かを助けるための、優しい・・・嘘」 「ち、違っ!あたしは、ただ―――」 「だからね。わたしも、もっと嘘をつくんだ」 ・・・あやせ、何を言っているの? でも、あやせの言葉からは、これまでに聞いた事の無いくらいの真剣さが込められてる。 「桐乃。わたし、お兄さんに告白します」 あやせの目には、あたしを貫くような強い意思が込められていて あたしは一言も喋ることが出来ない。 「わたし、お兄さんへの嘘を、全部捨て去ってしまいたい。 桐乃やお兄さんのついたような嘘じゃなく、ただ自分を守るだめだけの嘘を」 あやせは、あたしの目をしっかりと見つめ、話し続ける。 「そして、その後に、もっと大きな嘘をつくの。 桐乃やお兄さんのついた嘘より、もっと大きな嘘を。 自分のためだけじゃない・・・嘘を・・・」 あやせ・・・あたし、わかんないよ。 あやせが何をするのか。何をしたいのか・・・ 「だから、桐乃」 「・・・うん」 「桐乃も、一度、桐乃の嘘を捨てて欲しいんだ」 「・・・」 「わたしね。桐乃が本当は如何わしいゲームを大好きな事も、オタクだってことも・・・ それに、お兄さんの事、本当に愛してる事も知ってる」 言われちゃった。 ついに―――それともやっぱり、だろうか――― あたしが本当に隠してきた事まで、全部・・・ 「ね、桐乃。安心して。わたし絶対に、お兄さんの事を桐乃から奪ったりはしないから」 「で、でもっ、あやせは・・・」 なんで?・・・なんでなの? あやせも、黒猫も、あいつの事が本当に大好きなのに・・・ 「だから、お願い。約束、しよっ」 「約束?」 「わたしが、嘘を取り消したら・・・ そして、『お兄さん』も嘘を取り消したら・・・ 必ず、桐乃も・・・嘘を・・・取り消すって」 「・・・・・・・・・わかった」 こんなにも、必死で、真剣で、今にも泣き出しそうな親友の願いを あたしは、断る事なんて出来なかった。 でも・・・あたしにそんな事ができるんだろうか? それに、京介の嘘って、なんの事なんだろう・・・ ただ、ひとつだけ確かなことがある。 あやせの告白がうまくいっても、うまくいかなくても たぶん、あたしは、もうすぐ、あたしの本音をさらけ出さなくてはならない。 お姉ちゃん・・・麻奈実さん・・・ 京介の試験が終わった今、あたしは、過去に対峙しなくてはならない。 ほんとはとても怖い。 今まで積み上げてきたこの一年半が、全部音を立てて崩れていくんじゃないかって不安になる。 でも、決めたんだ。 もう二度と離れないようにって。 「それじゃ、いこっか」 「うん。桐乃、髪型変えちゃうんだっけ?」 「そ。あやせは?」 「・・・この前もらったヘアピンと合わせて、今の桐乃に似せてみるね」 「・・・そっか」 あたしの目の前には、たくさんの壁がある。 それを乗り越えられるよう、ここまで頑張ってきた。 「・・・よしっ!」 気合を入れて、その壁を見上げる。 普通に考えれば、とても登れるようなものじゃない。 でも・・・ これが、あたしの決めた、あたしだけの道。 決して諦めたりなんかしない。 End. ----------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1008.html
882 名前:【SS】そば[sage] 投稿日:2011/08/07(日) 23 56 36.75 ID /T/bDLFT0 [6/6] 779 ソバソバ言うから書いてみた。 京介「桐乃ー、今日は親父もお袋もいないけどよ、昼飯どうする?」 桐乃「今日は暑いし、久しぶりに蕎麦食べたい」 京介「蕎麦か。近くに蕎麦屋さんあるし、二人で食いにいくか」 桐乃「あんたと二人で食べに行くのはデートみたいでイヤだけど・・・ 蕎麦も食べたいし我慢してあげる」 京介「へいへい。じゃあデートに行くぞ、桐乃」 桐乃「ちょっと待ってて。 用意してくる」 ガチャ 京介「近所に蕎麦食いに行くのに随分とめかしこんだな。 腹が減ってるのに40分も待たせやがって」 桐乃「仕方ないじゃん。 あんたなんかが相手でも、仮にもデートならちゃんとおめかししないとダメでしょ? そういうあんたこそ服装変わってるじゃん」 京介「汗をかいたから着替えたんだよ」 桐乃「けど、蕎麦か。年越し蕎麦以来だね」 京介「そうだな」 桐乃「ねえ、なんで年越しに蕎麦を食べるのか知ってる?」 京介「『来年も細く長く生きられますように』って願掛けだとさ」 桐乃「細く、長く、か」 京介「ちなみに引越し蕎麦は『側に来ました』ってのとかけてるらしいな」 桐乃「『細く長く側に』・・・・・・ なんだか、兄妹みたいだね」 京介「・・・たしかに、な。 ずっと一緒にいて、これからも側いいるけどよ、結局細いんだよな」 桐乃「うん。細いし、ふとしたことで切れちゃうんだよね」 京介「・・・・・・」 桐乃「・・・・・・」 京介「うどんにするか」 桐乃「うどんにしない?」 京介「・・・・・・」 桐乃「・・・・・・」 京介「・・・くくくく!」 桐乃「・・・あははは!」 京介「このブラコン」 桐乃「このシスコン」 京介「うるせえ。 おい桐乃、うどん屋はこっちだぞ」ギュッ 桐乃「ちょっ! 暑いんだから手を繋ぐな!」 京介「別にいいだろ。 ・・・・・・デートなんだからよ」 桐乃「! そうだね。 でも、デートならこっちのほうが良くない?」ギュッ! 京介「腕組みか・・・まぁ、デートだしありだな」 桐乃「食べた後も付き合ってもらうからね」 京介「へいへい。 ・・・・・・なあ桐乃」 桐乃「なに?」 京介「・・・・・・長く太く、側にいろよ」 桐乃「はいはい。 ・・・・・・ずっと離れてあげないからね」 -------------