約 431,391 件
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/121.html
323 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/03(月) 11 57 34 ID 2gcxWSsq0 きりりんと京介が突き合うのでも妄想するか 325 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/03(月) 12 32 17 ID cEPexMTZ0 [2/6] 323 桐乃「あんたと突き合うとかキモ」 京介「しょうがねえだろ、餅つきなんだから。一人でできるかよ」 桐乃「チッ…仕方ない。ほら、あたしがこねるから、あんたしっかり突いてよね」 京介「おう任せとけ」 桐乃「はい」 京介「よっ」 桐乃「はい」 京介「よっ」 桐乃「へー、結構サマになってるじゃん」 京介「そういうお前も手際いいよな」 桐乃「まあね。ところで次あたしも突いてみたいんだケド?」 京介「お前が?これって結構力が要るぞ」 桐乃「大丈夫だって。…じゃあ行くよ」 京介「おっし。いいぞ」 桐乃「ぬ」 京介「はい」 桐乃「ぬぬ」 京介「次!」 桐乃「ぬぬぬっ」 会長「お、高坂さんとこの兄妹かい?いやあ、息ぴったりでまるで恋人みたいだねえ」 桐乃「!?」 京介「うおおおっ!?バカ、いきなり軌道をずらすな!」 桐乃「ううう、うっさい!」 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/232.html
276 名前:【SS】【1巻4章 桐乃視点1/2】[sage] 投稿日:2011/01/25(火) 08 34 36 ID CnI26fZr0 [1/2] お父さんに私の趣味がバレた。もう最悪、そう京介に見つかった時とは全然違う絶望感。 「化粧品だの、派手な服だの、バックだのには文句は言わん、お前が稼いで買ったものだからな、だが、これは別だ。おまえがくだらん 趣味にうつつを抜かしているのならダメになる前に道を正してやらねばならん。」 京介との体験があったせいで、ほんの少しだけ期待してしまった答えとは真逆の言葉をお父さんから浴びせられた。 京介は認めてくれた、馬鹿にしないって誓ってくれたのに…。 なのにっ、何でっ、お父さんは分ってくれないのっ!! それで、何も反論できずに家を飛び出したあたしは、汗だくになった京介に見つかって、懇願するもんだから、しょーがなく帰路につい たワケ。 「桐乃、俺に任せろ!」 あんなセリフを吐いていたけどサ、マジ切れのお父さんに超ビビッて「すいまえんでした」なんて撤退してきたらマジぶっ殺しよ! でも、大丈夫、きっと上手くいく、あの時の京介は私の『兄貴』だったから。京介は最低の屑でも、『兄貴』は妹にとって絶対の守護者 ッて、何考えてんのよ、あたしは! 今、思い浮かべたエロゲーのテンプレの超かっこいい『兄貴』であって、京介とは全然関係ないから!! そんな非常にウザい事を考えて悶々としていたら、いつの間にか自宅前に着いていたワケ。 「………。」 恐る恐る玄関の扉を開けて、あたしは音を立てないように忍び足で自室を目指した。 あっ、リビングが騒がしい。まさか本当に!? 「超大好きだ、愛しているといってもいいね。こいつを捨てられたら俺は俺じゃ無くなっちまうんだよ。エロゲーは俺の魂なんだよ、分 かったかぁぁぁぁぁぁーーー!」 バチコーン、ドッカーン、ガッシャーン、そんな効果音が扉越しに聞こえたきがした。 「俺はもう知らん!」 続けてお父さんの怒鳴る声と、地響きがする位に強く床を踏みつける音。 その音が近づいてきたらか、あたしは慌てて玄関まで戻り身をひそめた。 ガチャーンと乱暴にリビングの扉が開いて、その後、別の場所から同じように乱暴に扉を開閉する音が聞こえた。 277 名前:【SS】【1巻4章 桐乃視点2/2】[sage] 投稿日:2011/01/25(火) 08 38 45 ID CnI26fZr0 [2/2] その後、恐る恐るリビングに入ると、無様に仰向けに倒れ鼻血を出して完全に意識を失っている京介がいた。 あたしの大切なものを守るために、こんな姿になっちゃたワケ? 信じらんない、何でそこまでやれんの?まるでサ、あ…。 「あらあら、ずいぶん派手にやったみたいね」 「お母さん!?」 突然の声にびっくりして振り返ると、お母さんがいて、手に持つ買い物袋にはお酒とツマミらしきものが入っていた。 「買い物に行ってたんだ?」 「ええ、荒れると思ってね」 「桐乃、ちょっと手伝って」 あたしとお母さんで腕を片方ずつ掴んで、リビングのソファーまで京介を引き摺って何とか寝かせる。 このまま、自室に戻るのも気が引けたから、仕方なくお母さん主導でコイツの介抱をしてやった。 本当は気持ち悪くて触りたくもないんだケド、今回だけは特別。 感謝しなさい、超カワユイこのあたしが治療してやってるんだからサ。 「お母さん、お願い、兄貴の介抱はお母さんだけがしたことにして。」 「はいはい、あんたは本当にお父さんにそっくりね。」 「ちょ、それって…。」 「それじゃ、もうあんたは寝なさい。母さんは、これからもう一人の負傷者を介抱しにいくから。」 お母さんがあたしの返答を遮り、リビングを出た。 あたしのせいで…、てか私のせいじゃないよね!アイツが勝手に暴走して自爆しただけじゃん!! でもさ、あたし、キッカケは、さ…。 ウザ、何でこいつの為に後ろめたい気持ちになってんの。 別にイイじゃん。ずっとあたしを無視してきた報いじゃん、 …ちょ!だから違う、全然違う、それとこれとは全く!! 「あ“あ“あ“、ウザ、キモッ、もうエロゲして寝よ。」 あたしは自分のなかに渦巻く、とても気持ち悪くて、懐かしくて、辛いものが出てくるのを必死で抑えながら、 そう自分に無理やり言い聞かせて3時過ぎにようやく眠れた。 「おっ…、おう。」 翌朝、あんまり眠れずに不機嫌だった私は一睨みしてやった。 アンタのせいであたしは超寝不足なんですケド。 「…。」 キモッ、アイツ、私の態度が全く変わってなくて挙動不審になってる。 まさか、『お兄ちゃん、大好き』なんてエロゲのテンプレ妹になるとでも思ってんの? ホント、バカ、マジ変態!! たった1回私を助けただけで、今までのアンタの罪が解消されると思ってんの? まぁ、でもね、アイツへ初めに伝える言葉は決まってるんだけどサ。 でも、今はダメ、お父さんとお母さんがいるし、それに少しくらい焦らしてやんないと。 そうだ、今日は部活を早く切り上げよう。 仕事もないし、アイツより早く家に帰って待っていてやろうカナ。 END -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/477.html
350 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/03/27(日) 20 41 41.97 ID nGqTnLLX0 [2/3] SS『簡単なお仕事』 「やべぇーーーーっ!金っ!金がねぇっ!」 ある日の朝、俺は財布の中身を見て愕然とする。 「た、たった592円かよ………」 一昨日、桐乃に連れられて行ったアキバで、 『かみぱに!』と『ココロの住処』と『美乳淫妹 遥』を買ってしまったのがいけないのか!? ………い、いや、あれだ。 別に、俺が買いたくて買ったわけじゃなくてな? 桐乃に「コレ絶対オススメだから!」とか「あんた買わないつもり?死んだ方がいいよ」 とか脅迫されてな!買わざるを得なかったんだよっ! ………だから、まだ2つしかクリアしてねーぜ?本当だって! そ、そんなことは兎も角だな? ああっ!後ほぼ一ヶ月、無一文で生活しなけりゃならないのか……… まあ確かにバイトもしてねー俺が、こんな金遣いすりゃ当然だよな。 でもなー、さすがにこの時期にバイトとか無理だしなー プルルル………プルルル……… 「っと、メールか?差出人は………ふぇ、フェイトさん!? 件名は………『短時間で終わる簡単なお仕事をしませんか?』!!!」 後になって考えれば、差出人の事をよくよく考えりゃー良かったんだよ。 そんなに甘い話はないだろうってな! だが、その時の俺は、金の匂いに誘われて簡単にOKの返事を送ってしまったんだ……… だってよ?2時間で10万円だぜ!?ありえねえだろう? えーと?ここか? 指定された場所に着いた俺は、早速自分の選択を後悔するはめになった。 ここって、いつぞやのレンタルルームじゃん? ………ぜ、ぜってーマトモな仕事じゃねーよな!? か………帰ろっかなー プルルル………プルルル……… 「うぉっ!?メ、メールか………!?」 『逃げちゃダメよ!逃げちゃダメよ!逃げちゃダメよ!』 ふぇ、フェイトさん!? 俺、監視されてんじゃねーだろうな? と、とりあえず受付のお姉さんに部屋を……… 「すみません、高坂京介といいます。フェイトさんが部屋を取ってると思うんですが。」 「プッ………フェ、フェイトさまですか?ええと………」 笑った!?今、この人俺を笑ったよね!?お、俺が何をしたって……… てか、よくよく見ると、前来た時のお姉さんじゃねーかっ! わ、笑われるわけだよなっ!ぐ、ぐぉぉぉぉぉっ!思い出したくねー過去がっ! 「お待たせしました。伊織・フェイト・刹那さまの事ですね。 高坂さまの事は伺っております。301番のお部屋になります。」 「………うぃっす。」 俺はお姉さんに力なく頷いて、301番の部屋の前に立った。 幸いにも目前の扉には、他の扉と同様、鈴はくっついていない。 だが………。ぞくっと奇妙な既視感を覚えながら扉を開く。 ガチャッ――― 「あ、兄貴。」 ええと?………俺は見なかったことにして扉を閉めた。 「………………………な、なんだいまのは………?」 両手で扉を固く押さえつけながら、呟く。 桐乃の幻影が見えたような気がするが、気のせいに違いない。俺の見間違いだよね? い、いや………自分が見たものを信じたくないというか………その………。 ごくっ………。生唾を飲み込む。額の汗をぬぐう。 すうはあと深呼吸してから、恐る恐る、再び扉を開ける。 ガチャッ――― 「あ、あんたっ!何扉を閉めてんのよ!」 扉を開けた瞬間、俺を出迎えた(?)桐乃は唐突にプッツンした。 「つか、何であたしがこんなことっ!」 「き、桐乃ちゃん落ち着いてね。だってほら、『契約』したもんね。」 「くっ………くぅっ!」 フェイトさんは、桐乃の前で紙をひらひらさせながら、余裕の表情だ。 つーか、『契約』?また盗作でもしようとしてんのかよ? 「フェイトさん。また悪い事しようとしてるんですか? さすがに犯罪行為には俺も荷担できませんし、桐乃も連れて帰りますよ。」 「ま、待って………犯罪じゃないし、桐乃ちゃんにも変な事するわけじゃないわ。」 「うーん………なんとなく、桐乃の嫌がりようからは納得できないですが……… 桐乃?お前も嫌なんだったら断れよ。さすがに以前の件で懲りてるだろ?」 「べっ、別に嫌なワケじゃないし……… それに、もう仕事するって契約しちゃったし………。」 「お、おまえなぁ!仕事を持ちかけてきたのフェイトさんだろ?少しは疑えよ!」 「お金に釣られてきたあんたに、そんなこと言う資格ないし。」 ぐっ………まったく正論だ。 「高坂くん、ごめんね。私の説明が足りなかったわ。 私も実は雇われで、あなたたちに仕事の紹介をするのがお仕事よ。 それで、このお仕事は高坂くんと桐乃ちゃんだけで出来るお仕事ね。」 ん?俺と桐乃だけ?………そんなら、とりあえず桐乃は安全か。 最悪、フェイトさんが犠牲になるだけで何とかなるよな? 「それでね。途中でお仕事やーめたっ!って言われないように、 契約書を書いてもらうようにって言われてるのよ。」 「あー、さっきの紙っすか。」 「そう!おねがい~京介くん~。私の生活を援助してくれるつもりで『契約』して~」 「うわ、うっざ!大体あたしの貸したお金も返してないんだから、 まず、きちんとした定職に就くべきじゃないんですか?」 「うっ………」 フェイトさんの胸に、深々とトゲが刺さったのが見えるようだ。 「ま、まあ、仕方ないっすね………。」 「あ、兄貴………ほんとに………いいの?」 「ん?だって、お前一人だけだとさすがにしん………えーと、仕事ができないんだろ?」 「そっ、そうだけど………」 なんだ?こいつ、なにをそわそわしてやがんだ? 俺は、桐乃の態度に釈然としないものを感じたものの、契約書に名前を書き終えた。 「さて、これで契約完了ね! それじゃあ、この封筒に入った紙に仕事が書いてあるから、後はヨロシクねっ!」 「ちょ、ちょっと、フェイトさんは!?」 「言ったでしょ?私は二人に仕事を紹介することが仕事だって。 だから、契約書が取れれば、私の仕事は終わりなのよ♪ あ~、これで明日からダンボールで眠らなくて済むわ~~~♪」 ………よ、予想以上に酷い生活をしていたらしい……… あっけにとられる俺たちを尻目に、フェイトさんはさっさと部屋を出て行ってしまった。 「と、とりあえず、仕事の内容を確認するか?」 「ん?あたしはもう、仕事の内容分かってるし………」 「マジかよっ!?」 もう知ってたのかよ……… 知ってて嫌なわけじゃないって?それなら特に問題無い仕事なんだろうな。 ………桐乃が少し躊躇する程度の………なんか、不安になってきたな? 俺は封筒を開け、中身を確認する。 『高坂兄へ ~桐乃スレ住人より愛をこめて~』 って、またあいつらかよっ!? もうこの時点で、俺の心は不安で一杯だ。 フェイトさん以上に関わっちゃいけないやつらじゃねーか!? 『可愛い妹をぎゅっと抱きしめるだけの簡単なお仕事です。 2時間10万円分、しっかり抱きしめてね(はぁと』 ぎゅっと抱きしめるだけの簡単なお仕事。じゃねーよ!? そんなことしたら、殺されるっつーの! ふと、桐乃への指示がどう書いてあったのか興味が湧いてくる。 「な、なあ、桐乃?お、おまえの紙にはなんて?」 「あ、あ、兄貴に、だ、だ、抱きしめられるだけのっ、か、簡単なお仕事っ!」 「お、おまっ、顔真っ赤じゃねーか!」 「うっ、うるさいっ!」 こんな仕事だってんならちゃんと注意してくれよ! ………あれ?桐乃は仕事の内容わかってたんだよな?えーと………? 「とっ、とにかくっ、し、仕事なんだからね。」 「ま、待て、おまえいくらなんでも―――」 「仕事は仕事っ!い、嫌な事でも絶対やんなきゃだめに決まってんでしょっ!?」 「だ、だって、おまえ、俺に抱きしめられるって………」 「うっさい!さっさとするっ!」 「わ、わかった」 い、勢いにつられて分かったって言っちまった………ど、どうするよ!? 俺の目の前で、桐乃は目をつぶって顔を真っ赤にしている……… ―――ちくしょう………可愛すぎすんだよっ! そ、そうだっ!この仕事やんねーとフェイトさん行き倒れだしなっ! ―――ホントに?ホントに抱きしめていいの? それに仕事っ、仕事なんだしな! 俺は桐乃の背中に手を回し……… ―――やわらけー………こんなにやせてんのに、なんでこんなにやわらけーんだよ……… 桐乃を強く抱きしめた……… ―――桐乃のおっぱいが当たってる………ましゅまろみてーだ……… あ、あれ?なんで俺、こんなにしっかり抱きしめてんだよ? ―――離したくねえ………ずっとこのままでいいよな……… 桐乃も………俺を抱きしめている……… 4時間後、レンタルの終了時間を知らせる電話のベルが鳴るまで、 一言も会話することなく、俺たちはずっと抱きしめ合っていた。 帰りの電車の中でも、俺たちは一言も喋らず……… でも、繋がった手の温かみだけで想いが通じ合っていた。 End. -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1340.html
39 名前:【SS】大逆転[sage] 投稿日:2011/12/29(木) 01 22 02.84 ID 83avQkZz0 【SS】大逆転 (原作第9巻『俺の妹はこんなに可愛い』&『突撃・乙女ロード!』続き、桐乃視点) 「ふーん。結構キレイな学校じゃん?」 フェンス越しに見える校舎にあたしは呟く。 校庭では野球部、サッカー部、陸上部などが練習をしていた。 ここは弁展高校。そう、黒猫やせなちー、京介の通う学校だ。 あたしがこんな所にいる理由、知りたい?別に黒いのとかせなちーに用があって来たわけじゃないよ? ……あっ、だからって京介に会いに来たんでもないんだかんね! 実は……今日せなちーのお兄さんに会いに来たんだ。なんでせなちーのお兄さんかって? 前にせなちーから聞いた「京介ホモ疑惑」あったじゃん?アレ、京介に問い詰めてみたんだケド………… 『あんた、せなちーのお兄さんと付き合ってんの?』 『何を突然意味のわからん事を……。』 『だ~か~ら、せなちーのお兄さんのこと好きなのかって聞いてんの。』 『んなわけねーだろ!!あいつか!?あの腐った眼鏡だな!?くそ!人様の妹になんて事吹き込んでくれる! いいか桐乃、俺が赤城のこと好きとかありえねぇ!男同士だぞ!?常識で考えろ!!』 ……って、否定してたケド、あんなにムキになられると逆にアヤシイって思っちゃうよね。 実際、ホントに京介がホモだとは思わないケド、 京介の親友でライバルで、シスコンでガチホモってどんだけだよ!? そんなせなちーのお兄さんにちょっと興味が湧いたんで会ってみたいなって思ったワケ。 そんで、せなちーに………… 『せなちーのお兄さんに会わせてくんない?』 『ダメです。』 『なんで速答!?そういう時は理由とか聞くもんでしょ?』 『とにかくダメです。それにお兄ちゃん受験で忙しいですし。』 『そっか、京介と同じ三年生だもんね。じゃあやっぱ図書館とかで勉強してんの?』 『いえ、推薦で体育大に行くみたいなので、むしろ体力とか筋肉が衰えないよう 部活引退した今でも毎日学校でサッカー部に混ぜてもらってるみたいです。冬休み入ってるのにですよ? やっぱり一人でトレーニングするより筋肉質の男達にまみれてヤった方がいいんですかね?デュフフ。』 『……ふーん。』 『もちろん勉強もしてますよ。でも図書館でするより瀬菜ちゃんがいる家で勉強した方がはかどる。 とか言うんですよ?気持ち悪いですよね?』 『…………ふーん。』 ……てな感じで軽くイラっとしたケド、せなちーにしてみたら、あたしのこと見て一目惚れしちゃったら困るよね。 あたしもあやせ達が家に来た時、気が気じゃなかったもん。 優しそうなお兄さんだね。とか言われたときなんか、フラグ立たないようにするのに必死だったもんね。 …………ハッ!やだ何言ってんのあたし!?あわわわわ……。今のは忘れて!! あたしがそんな事するワケないじゃん?あはっ、あはは!冗談だから!冗談……。 と、に、か、く!せなちーのお兄さん、冬休みだけど学校にいるって分かったんで来てみたってワケ! ……ふぅ。……さてと、どうしたものか……。 来てみたはいいケド、あたしせなちーのお兄さんの顔、例の携帯の写真でしか見たことないんだよね……。 しかもちょっと遠目だったし、なんか変な顔してたし……。 それに……、会ったところでなんて言えばいいんだろ? 『あなたはホモですか?』……………………無いな。 ……う~ん……。 なんて切り出すか思案してたらフェンスの向こうから声をかけられた。 「あれ?桐乃…ちゃん?」 「ふぇ?」 あたしは声のする方へ振り返る。 ヤバ、いきなり声かけられたんで変な声出ちゃった……。てゆーかなんであたしのこと知ってんの? ……もしかしてこの人が…………。 「やっぱり桐乃ちゃんだ。」 「赤城……さん?」 「俺のこと知ってるんだ。」 「……えっと、京…兄の携帯で見たので……。」 「あっ!アレ見たんだ。くそ~高坂のヤツ、俺には見せてくれないし転送もしてくれないのに……。 あのさ、桐乃ちゃんからもお願いしてくれないかな?あの写真、俺に転送するようにって。」 「……はぁ……。」 あの写真、京介が撮ったんだ……。 転送してもらえないってだけでこの悔しがりよう。 さすが京介とシスコン頂上決戦するだけのことはあるね。 でも転送のお願いはしないケドね。むしろ京介GJって感じ? なぜか心の中で京介に賛辞を送っていた。 「ところで、誰か待ってるの?もしかして瀬菜ちゃん?瀬菜ちゃんなら今日部活無いから家にいると思うよ。」 「はい。知ってます。」 京介も地味子と図書館行くらしいし、黒いのは冬コミの準備で忙しそうだし。 あたしの知り合いが今日この学校にいないことは調査済みだもんね。 知られると後々めんどいし? 「……実は今日、せなちーのお兄さんに聞きたい事があって来ました。」 「えっ?俺?」 「はい……。えっと……、ですね…………、」 ……ええい!グダグダ考えても仕方ない。ここは直球勝負で! 「あの!うちの兄貴と付き合ってるってホントですか?」 「……………………桐乃ちゃんの聞きたい事って……それ?」 あたしはコクリと頷く。するとせなちーのお兄さんは苦笑いをしながら否定した。 「そんなわけないでしょ。」 だよね。まぁ分かってた事だけど。 あたしが安堵の色を見せると、せなちーのお兄さんは急に微笑んで、とんでもない事を言い出した。 「そっか……。それでわざわざこんな所まで聞きに来たんだ……。 桐乃ちゃんてさ……、“お兄ちゃん”のこと大好きなんだね。」 「へ?そ、そ、そんなワケないじゃないですか!! せなちーですね?こないだお兄ちゃんに言い付けてやるとか言ってたケド、 あの会話、どこをどうしたらそんな話になるワケ?意味わかんない! いいですか赤城さん、あたしが京介のこと大好きとかありえないですし?兄妹ですよ?常識で考えてください!」 「……そっか。そうだよね。ごめんね変な事言っちゃって。」 「あっ……、すみません取り乱しちゃって……。でも……あいつには最近、 色々してもらってるというか……助けてもらってるというか……、感謝してるところはあるんです……。 それで……せなちーのお兄さんに聞きたい事があるんですケド……、」 「……あのさ桐乃ちゃん、ここじゃなんでしょ?俺、もう部活上がるから少し待っててもらえるかな?」 「……わかりました。でも……いいんですか?トレーニング中だったんじゃ……。」 「大丈夫、大丈夫。俺、もう引退してて遊びで参加させてもらってるだけだから。じゃあすぐに着替えてくるね。」 と、ダッシュで部室棟に向かって行った。 ……あれがせなちーのお兄さんか……。 結構イケメンじゃん?京介を除けば、あたしの知ってる限りじゃ一番かもね。 でも……ホモなんだよね……?確かに筋肉質で背も高いし?ホモの素質は十分かも。 ……って、最近せなちーのせいで、「筋肉=ホモ」みたいな思考になっちゃった。 ヤバいヤバい。気を付けよう。 なんて事を考えてるうちに、せなちーのお兄さんが戻ってきた。 「ごめんね。待たせちゃって。」 「いえ、あたしこそいきなり来ちゃってすみません。」 「いいって、いいって。気にしないでいいからね?」 あたし達は帰路を歩きながら話すことにした。 「……………………。」 「……………………。」 ……ううっ、気まずい…………。 さっきいきなりあんな事言っちゃったし……、やっぱ失礼だったよね……? それにあの質問、もう一回なんて聞けないよぅ。 でも先に沈黙を破ったのはせなちーのお兄さんの方だった。 「あのさ、いつも瀬菜ちゃんと遊んでくれてありがとね。 ところでさっきの……俺と高坂が付き合ってるとかって話なんだけど……、あれ瀬菜ちゃんから聞いたの?」 「……はい。」 せなちーのお兄さんは最初少し落ち込んだ様子だったケド、気持ちを切り替えて話し始めた。 「『してもらって嬉しかった事』って話だったよね?」 「はい……。あの……その前に、今日の事は兄には内緒にしてもらえますか?」 「いいよ。わかった。ん~そうだな……、してもらって嬉しかったって言うかさ、 もう瀬菜ちゃんの存在自体が嬉しいんだよね。俺の“妹”ってだけで十分なんだ。だから高坂も一緒だと思うよ。」 うわ……、しれっとそういう台詞よく言えるな……。こりゃ京介も苦戦する訳だ。 「……それは……そうなんですケド、そういう抽象的じゃなくて、なんてゆーかこう具体的に……えっと、 してあげて嬉しかった事とか、一緒にして楽しかった事とかでもいいです。」 「う~ん……、じゃあ一緒に買い物とか?」 「それはした事あります。そういう普通のじゃなくて、 もっとこう……兄のシスコンのライバルとして凄いヤツないですか?」 「ぐ……。じゃあコミケで荷物持ちさせられた事。兄妹でコミケとか中々ないでしょ?」 「それもあります。荷物持ちもさせましたし?」 「うぐ……。じゃあここからは本気でいくからね。えっと……瀬菜ちゃんにビンタしてもらった事!」 「それもあります。」 「マジで!?なんだよあのヤロ~、俺が得意げに自慢したのがバカみたいじゃんかよ……。」 へ~、ビンタされるって嬉しいもんなんだ……。 あの時の事、ちょっと引っ掛かってたんだよね。 そっか、嬉しかったんだ……。ふーん……。エヘヘ。 「他にはないですか?」 「瀬菜ちゃんに抱きつかれた事……。」 「あたしも……抱きついた事あります……。」 「……じゃ…じゃあ……………瀬菜ちゃんの……胸……触っちゃった……事……とか……?」 「それもあります。てゆーか妹押し倒して胸触るとかありえなくないですか?」 「ぐはっ!……高坂の野郎、うらやま……けしからん!」 あれも嬉しかったんだ……。ま、トーゼンだけどね。あたしの胸触って嬉しくないはずないし? ホント男ってしょーもない生き物だよね。 「他には?」 「……じゃあ桐乃ちゃんも見たって言ってた、ほっぺにちゅーしてもらった事……。」 ……やっぱきたか……。 「…………それは……してません……。」 「あっ、そうなんだ~。あれは最高だったよ!桐乃ちゃんもしてあげればきっと高坂も喜ぶと思うよ。」 ぐぬぬ……。なにそのドヤ顔……。 「で、できるワケないじゃないですか!……なんであたしが……。」 「高坂、最近ずっと元気ないんだよね。俺達『どっちの妹が世界一可愛いか勝負』したんだけど、 俺に負けたのが悔しかったんだと思うんだ。」 は?負けてないつーの。そもそもどっちが可愛いかでしょ?そんなのやる前からあたしの勝ちに決まってるし。 「俺、高坂が心配でしょうがないんだ!毎日高坂のことで頭がいっぱいなんだよ! ……だから……ほっぺにちゅーしてあげてくれないかな?引き分けになっても構わないからさ……。」 ……なんか雲行きが怪しくなってきたな……。やっぱホモなんだ……。 ……………………。 ほっぺにちゅー……か。 ……………………。 無理!ムリムリムリ!! 「絶っ対しません!!……だってあんなヤツ……す…好きじゃ……ない……し……。」 「…………………じゃあさ……俺が……しても……いいかな?」 「へ?」 「本当は俺、高坂と付き合ってるんだ。」 「な、な、な、なに言ってんですか!?そんなワケない! だって……あいつ……『あたしに彼氏できるまで彼女作らない』って言ったもん!」 「『彼女は』でしょ?彼氏作らないとは言ってないじゃない?」 ま、マジで!?ウソ!?そういう意味なの!?……そんなの――― 「ダメ!!!!やだ……やだ……やだよぅ…………。 京介を取らないで…………。うっ…うぅ……ぅぅ…………。 もっと優しくするから……、もうわがままとか言わないから……。素直になるから…………。 だから……だから…京介を…返…して…………。」 あたしは涙が溢れて止まらなかった。 もうあんな思いはしたくない。 「ご、ごめんね……。まさか泣いちゃうとは思わなかったんだ……。 だけど、高坂がうらやましいよ。そこまで想われてるなんてさ。 ……やっぱり……桐乃ちゃんはそのままでいいと思うよ。高坂もさ、桐乃ちゃんの気持ち、きっと分かってる。」 「……でも……、二人は……付き合ってるんですよね……?」 「ごめん……あれ嘘なんだ……。瀬菜ちゃんに何て言われたか分からないけど、常識で考えたら……ないよね。」 「本当に……本当ですか?」 「もちろん!だって俺、瀬菜ちゃんが生まれた時からずっと瀬菜ちゃん一筋だからさ!」 せなちーのお兄さんと別れ、なんだか得体の知れない疲労感というか敗北感に襲われながら家路を辿る。 うー……さむっ。さすがに夕方になると冷え込むね。 まだ5時過ぎだというのに空は紅く染まっていた。 …………ほっぺにちゅー……か……。 してあげても……いいかな……? な~んて考えながら歩いていたら、家の門の前でウロウロする怪しいシスコンの姿が見えた。 「あんた、なにやってんの?」 「おお!待ってたぜ!」 ま、待ってたって?ま、まさかここでちゅーしろとか?無理無理無理無理!! こんな近所の人が見てるかもしれない場所で出来るワケないじゃん!? 「親父とおふくろが今日帰り遅い事忘れてて、鍵持って出なかったんだ。」 なんだ。そゆこと。 「マヌケ。」 「うっせ。」 「で、どれくらい待ってたワケ?」 「んー、30分位か?」 「さ…30分って……、今日結構寒いのに風邪でも引いたらどうすんの!?」 「お?心配してくれんのか?」 「な!ば、バカじゃん!?あたしを待ってて風邪引いたとか、 あたし関係ないのにあたしのせいみたいじゃんって思っただけだっつーの。」 「へいへい。それより早く中入ろうぜ。寒くてかなわねーよ。」 「なにその態度?誰のおかげで家に入れると思ってんの?」 「桐乃様のおかげです!!」 「わかればよろしい。」 あたしは鍵を開け中に入る。続けて京介が入り、扉が閉まると京介に背中を向けたままこう言った。 「…………んとさ、こういう時は連絡くらいしなさいよね。 あたしだってあやせとかと出かけてたりしてたら、もっと遅くなる可能性だってあったワケだし……。」 うん。そう。優しくするって言っちゃったし、このくらい普通だよね? 「……桐乃……。なんかおまえ今日優しいな。どうしたんだ?」 「べっつに~。てゆーかあたしが優しくしちゃおかしいワケ?」 「あ、いや、おかしくねーよ。……なんつーか……ありがとな。」 「……うん……。」 「……………………。」 「……………………。」 や…やだ、なに?この雰囲気?やめてよもうっ! シスコン極めたこいつの前でこんな空気かもしだしたら襲われかねないし! ま、まだ心の準備が…………。 「…………桐乃。」 うぎゃー!!キタ!!どうしよう、ドウシヨウ……。 「……………………。」 「……………………。」 …………あれ?なにもしてこないな……。てゆーか……なんか背筋に悪寒が……。 あたしは恐る恐る後ろを振り返ると―――。 「……………………。」 やっぱり!またその目!?いい加減にしてよ!! 「だ~か~ら!し・ま・せ・ん!」 ハッキリ断言してやると京介は、この世の終わりを見た様な顔をしてガックリと肩を落とした。 つーか、ガッカリしすぎ!しないかんねっていつも言ってんじゃん……。 何回言わせるつもりなワケ? してほしいなら口に出して言えっつーの! …………とは言ったものの……今日はしてあげようって決めたんだったっけ……。 ………………………………しゃーない。 「……あのさ、ちょっと目、つむって。」 「はい!!」 「……………………。」 キモ……。なにその嬉しそうな元気な返事と、少し突き出された左のほっぺは……。 誰もせなちーと同じ事してあげるなんて言ってないし……。 ……なんかムカつく……。 ビシッ! あたしはその固く閉じられたまぶたの少し上のおでこに、おもいっきりデコピンをかましてやった。 「イテっ!!なにしやがる!!」 「あんた、なに期待しちゃってるワケ?ほっぺにちゅーするとでも思った?」 「……だって……よ……。だ、だからってデコピンすることねーだろ!赤くなったらどーすんだ!」 「どれどれ……、あ、少し赤くなってるカモ。ちょっと見してみ?」 京介は涙目になったその顔をあたしに見せる。 すかさずあたしはもう一度デコピンの構えを目の前に突き付けた。 超ビビって目を閉じ、怯む京介。 ……あたしはその唇に―――。 えいっ! 「……ん……っ。」 ……1……2……はいっ、終わり! …………あ~あ、顔真っ赤で口パクパクしちゃって、おまえは金魚かっつーの。 こんなアホ面いつまでも見てられないんで、シスコン金魚を玄関に残し、 あたしは階段を駆け上がり部屋へ戻った。 ……えっと……勘違いして貰っちゃ困るんで一応言っておくケド、 これは……いわゆる……その……キ、キ…スなんかじゃ無いんだかんね! 日本には3秒ルールってのがあって、3秒以内ならセーフだし? それに、あたしのファーストキスは、あい……手の方からして貰うって決まってんの! でもまぁこれで京介も、せなちーのお兄さんには勝ったっしょ? あんなバカ兄貴でも、あたし絡みでの勝負に負けるなんて、まるで自分がせなちーに負けたみたいで気分悪いしね。 「ふーっ。」 ボフッ 「……………………。」 あたしはベッドに倒れ込む。 そして勝利の余韻で熱くなった顔を枕にうずめた。 ~終~ -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1817.html
730 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/10/31(木) 06 15 22.90 ID 85VwMeAj0 京介「お菓子くれないと悪戯しちゃうぞ~」 桐乃「い、妹に悪戯ってナニ考えてんの!キモッ、キモッ、超キモイ。」 京介「…え゛…、キモイって、お前何想像してんの?」 桐乃「…あ…、な、なんだっていいでしょ!」 742 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/10/31(木) 11 39 52.25 ID SSu5crfS0 桐乃「トリック アンド トリート!」 京介「選択肢は!?」 743 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/10/31(木) 14 21 06.35 ID KPk4w5OzP 桐乃「お菓子くれないとイタズラしないよってことだケド?」 京介「何?(ゴソゴソ)ほれお菓子だ」 741 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/10/31(木) 10 30 12.61 ID FOAqsxJkO 桐乃、お兄さんに変なイタズラされなかった? 744 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/10/31(木) 14 40 07.83 ID NtK1AzbXO 741 桐乃「されてないよ?」 京介「してないよ?」 京介(な~んて!昨日寝てるとき首筋に付けたキスマーク桐乃気付いてねーのw) 桐乃(な~んてね!昨日寝てるときにほっぺたに付けたキスマーク京介全然気付いてないしwwこいつバカじゃん?w) 桐京「ふひひひひw」 あやせ「…」 ----
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1701.html
674 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2013/05/13(月) 14 35 14.08 ID 4xiwtoG8O 桐乃「今日はナースの日なんだって。だからあんたのこと診察してあげんね」 京介「話が唐突過ぎるが、それはナースで無く医者だよな?」 桐乃「はい、高坂京介さーん。一体どこが悪いんですかー?」 京介「早速始めるのかよ。悪いトコなんかいっこもねーよ」 桐乃「ふむふむ頭が悪い。あーそれはどうしようもないですねー」 京介「ほっとけ!今はそれほどでもねーよ!!」 桐乃「あとはー…ふむふむ、シスコンを患ってると」 京介「はあ!?」 桐乃「それも極めて重度であると。あーこれは深刻ですねー」 京介「おい桐乃。なに勝手なことを…」 桐乃「これには明確な治療法はないので対処療法しかありませんねー。じゃ、はい」 京介「…いきなり手を広げて何してんだお前?」 桐乃「はい、ぎゅーってしてくださーい」 京介「…」 桐乃「はい、ぎゅー」 京介「…(ぎゅ)」 桐乃「はいじゃそのまま、ちゅーってしてくださーい」 京介「…」 桐乃「はい、ちゅー」 京介「…(ちゅう)」 桐乃「…んは。はいよくできましたー。ふひひひ」 佳乃「…お父さん」 大介「わかった。俺も後でやってやるから」 ----------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1157.html
266 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 15 50 07.84 ID Dv+DbQFa0 [1/2] SS彼女が髪を黒く染めたら3-SIDE??? 時間軸設定は原作6巻辺りのイメージでお楽しみください。 3本立てとなっていますが、 彼女が髪を黒く染めたら1-SIDE京介 彼女が髪を黒く染めたら2-SIDE桐乃 彼女が髪を黒く染めたら3-SIDE??? の順に読まれると面白いかと思います。 「いつもあやせにデレーっとしちゃってさ。キモいったらないっての!」 『………』 わたしの側から小声で愚痴る桐乃の声が聞こえてくる。 桐乃が愚痴っている相手を思い浮かべ、心の中で蹴りをお見舞いする。 桐乃は何かしら考えながら、部屋の中を歩き回っているようだ。 時折止まってはブツブツと言いながらあちこち動いている。 ──と、その足がタンスの前で止まった。 暫くすると何かを振りかける音が聞こえる。たぶん香水だろう。 なんで深夜の部屋の中で、香水を…?思い至った考えに拳を握り締めてしまう。 ふと我に返ると桐乃は─たしか鏡があったはずの場所で何か支度をしている様だった。 ここからだと何をしているのか分からない。 …こんな時間から一体何を? は……まさか!? あってはならない答えに行きついたわたしは、行動の正体を探るべく少し前に出る。 だが、その為に体の一部を壁に当ててしまい─ゴトン…と言う小さな音が聞こえた。 ──しまった! 思わず唇をかむ。ここで気付かれてはならない。 桐乃の気配が近づいてくる…わたしは息を殺し、気配が止まるのを待つ。 その直後だった。 コンコンと扉から音がして、ドアがゆっくりと開くのが見える。 ──そこには誰かが立っていた。 「きり…の、って。おわ!? あ、あやせ……さん?」 入ってきた誰か─は考えなくても分かった。 「…へ? まさか桐乃、お前…か?」 何故か不思議な問いかけをしている。桐乃に何かあったのだろうか。 「あ、ああああんた! なんであたしの部屋に来てんの!?」 当の桐乃も何か焦ったような答え方をしている。 まさか何かを隠そうとして…? でもなぜ最初にあのような事を言ったんだろう。 「いや、ええと…ってなんで俺が慌ててんだよ! お前が今日までにエロゲコンプしとけつってたから さっきまでやってたんじゃねえか。んでついさっき終わったんで返しに来たんだよ。じゃねえ! 桐乃、お前その頭はなんだ? なんでその…黒い髪なんだよ」 桐乃が黒い髪…!? なぜそんな事をしているんだろう。 「こ、これは違うっての! 今度やるモデルの仕事で使うから試してただけ」 そう言う事だったのか。でも、たしかここ一カ月の仕事にそんな内容の物があったろうか。 わたしは桐乃の仕事なら全てを把握しているし、間違いなく無かったはず。 「モデルの仕事でって、わざわざ髪染めさせるってのか?」 まるで心配しているような雰囲気の声が聞こえる。 「大丈夫だって。数時間で落ちるやつだし。それに髪傷めたりしないから」 「そうなのか?」 「うん。そんなキケンなのだったらあたしだってオッケーしないってば。水で洗うとすぐ落ちるし」 「ならいいけどよ。俺の妹にヘンなもん使わせてるんじゃねえかと焦ったぞ」 わたしはその言葉から感じる気持ちに思わず笑みを浮かべていた。 この相手は桐乃をきっと本心で心配しているのだろう。その点については安心できる。 「へー。ふーん。あんたあたしの事がそんなに心配なんだ? チョー焦る位に」 何故か嬉しそうな雰囲気の桐乃に、わたしは動揺する。 「へっ! 心配なんてしてねーよ」 「はいはい。ま、あんたに心配なんてされてもキモいだけだし」 桐乃の言葉にはトゲがあったが、言葉から感じる雰囲気からはトゲが感じられない。 そんなに相手の事を信頼している…それとも。 「それで一体どんな仕事なんだ? 桐乃がわざわざ髪を染めるほどってよっぽどなんだろ?」 「え…ええっと…その」 何故か素直に答えない桐乃。そうだ、わたしもそれが気になる。 間違いなく仕事にそんなものは無かったはずだし、万が一妙なものがあれば、わたしの力で…。 「えっと──そう! 黒髪の妹が実の兄と見つめあってるシーンが撮りたいんだって!」 !! 桐乃はいま何て…!? 「ぶはっ! ちょ、ちょっと待て! なんでそこで実の兄なんだ!」 「そう言う設定なんだからしょうがないじゃん! あ、あたしだってキモすぎて止めてって感じだし。 でも、あんたがそう言うつもりならしょうがないかなって。あんたとんでもないシスコンだし」 「ちょっと待てい!? なんでそこで俺が入ってる! それってモデルの仕事じゃないのか?」 そんな仕事なんて絶対にない! そうだ、誰かがきっと桐乃を陥れようとしているんだ。 根拠は無いけど、ううんきっとそのはず。 「そ、そう仕事の話! そう言うシチュの子撮りたいって話」 「そう言うシチュって…黒髪だったらあやせとかいるだろ。髪染めさせてまで、なんで桐乃なんだ?」 「あやせは一人っ子だから、そう言う表情出すのって難しいみたいでさ。だからあたしがやんの」 「そう言う事かよ」 『……………』 「そう言うワケだから、あんた彼氏やって」 「無茶言うな! 俺が兄貴だからつってもモデル経験なんてねーぞ!」 いまこの場で出ていくことが出来れば…と今の自分の状況を呪う。 「違うっての。実際の仕事はあたしだけ、あんたは表情を作る手伝いしろって事」 「兄妹設定だってのに、1人で撮るのか?」 「当たり前じゃん。相手役なんていたらあたしが受ける訳ないっての」 そう言えば…と桐乃の事に着いてふと考えてみる。なぜか桐乃は男性モデルとのツーショットや 男性が絡む仕事を受けたがらないのだ。これはモデルの契約を行った際に必ず守ると言う事で 仕事を続けていると聞いている。何人もの男性モデルが桐乃と仕事をしたがっている…つまり もっと親密になりたがっているというのはよく耳にするが、桐乃は断固として断っている。 「仕事じゃねえのか? なんで受けないんだよ」 「…うっさいバカ」 2人はベッドに並んで座ったらしい。足の位置からそう特定できる。 「んで、俺はどうすればいいんだ?」 「あんた、あたしに愛をささやいてみて」 …!? わたしの側ではむせるような声が聞こえる。 許せない…こんな事が許されるはずがない。 「ま、待て! さすがにそれはマズイだろ!? 俺たちは兄妹だぞ?」 「か、勘違いすんなっての! あんたの言葉であ、あたしが表情イメージしなきゃなんないの!」 今出ていくことが出来れば、その言葉をささやけるのはわたしのはず! 頭の中から呪いの言葉が相手に向かって流れていくが、さすがに効果は無い。 「じゃ、じゃ行くぞ?」 「かかってこいっての!」 『…………』 「桐乃……お前が好きだ」 「ふぇ!? あ、ああああのそそその」 『…………!』 「今のじゃ駄目か?」 「ま、まだなんか足りない」 『…………』 「俺の瞳には、お前しか映ってないんだぜ?」 「…あんたそれ、今返してくれたエロゲのセリフまんまでしょ」 心の中でガッツポーズを決めるわたし。 「桐乃…」 「あ、あんた何を…」 ベッドの上から衣擦れの音が聞こえてくる。 な…! まさかこんな所で…。ダメ、それは絶対に許せない。 例えばれてしまっても、それだけは絶対に阻止しなければ…! 「お前を……誰よりも愛している」 「……!?」ガタンッ! その言葉に動揺し、思わず手をぶつけてしまう。…さすがにばれたはず。 ──だが2人がこちらを探っている気配は感じられない。 一体どうなっているの!? 「あ、あたしもあんたの事………し、てるから」 『…………!?』 その言葉は…凄く小さいけれどもわたしにははっきりと聞こえてしまった。 そしてこの2人の想いをわたしは知ってしまった。 桐乃と相手の心は…奥底ではきっと繋がっているのだと。 その答えはハッキリ口にされた訳ではない。今のも微かで相手に届いたのか怪しい位だ。 だがそれでも桐乃の気持ちを知ってしまったわたしは、その場で─心で泣くしかなかった。 □ 「…う……ん。なんだろう、あたしのベッドに誰かいる…?」 『ごめんね桐乃。わたしはこういう事でしか気持ちを伝える事が出来ない』 「まさか京介…?でもなんか…」 『桐乃の隣は今は…今だけは私のモノなんだから』 「…まいっか、きっと夢だから…」 『いつか桐乃の本当の気持ちを知った時には、覚悟してて下さいね──お兄さん』 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1648.html
432 名前:SS:2013/02/14(木) 02 05 01.09 ID wouNF66j0 京介「明日はバレンタインか……自分で言うのもなんだが、今年は大量の予感だ」 京介「麻奈実に黒猫にあやせ……加奈子もか」 京介「…………桐乃もくれっかな…」 京介「………」 京介「……ちょっと、桐乃の様子でも見にいってみるかな」 言っておくが、決して妹からのチョコを期待しているわけじゃないぞ? あくまでも、確認のためだ。 そこんとこは勘違いしないようにな。 京介「よし、行くぜ!!」 ―――廊下 コンコン 京介「桐乃ー?」 ガチャガチャ… 京介「あれ、いないのか……」 京介「リビングかな?」 さっそくリビングへ下りてみるとしよう。 トントントン ガチャ ―――高坂家リビング おっ、いたいた。 京介「桐乃ー」 桐乃「わっ!な、なななに勝手に入ってきてんのよっ!?」 京介「そりゃ、リビングくらい勝手に入るだろ」 桐乃「ダメッ!出てって!」 京介「はあ?なんで?」 桐乃「なんでもいいから!」 京介「いや俺、おまえに聞きたいことが……って、あれなんか作ってんのか?」 桐乃「ちょ、見んな!」 433 名前:SS:2013/02/14(木) 02 06 33.94 ID wouNF66j0 ゲシッ 京介「いってぇ!?いきなりなにすんだ!」 桐乃「うっさい!いいから出てけ!!」 京介「うおっ、押すなって」 ガチャ バタン 桐乃『あたしがいいって言うまで入ってこないでよね!』 京介「……閉め出されちまった」 ―――― ったく……なんって可愛くない妹様だ! ………と、言いたいところだが、俺は見た。 桐乃がいま作っていたのは間違いなくチョコ……! あいつが、俺以外の男にチョコを渡す可能性は0%だ。 つまり桐乃は俺のために健気にチョコを作っていたということになる。 ふっ……可愛いところもあるじゃねえか。 去年にもらった石炭のようなチョコは嫌がらせだろうから今年はまともなチョコがもらえるに違いない。 うっし、テンション上がってきたぜ!! ―――京介の部屋 閉め出された俺は、ヒマになって赤城に電話をかけていた―― 妹からのチョコを自慢するためでもある。 京介「―――ということでな、今年も桐乃からチョコをもらえるようだ」 赤城『そりゃ、よかったじゃないか。まあ、俺も瀬菜ちゃんからもらえるから全く羨ましくないがな』 京介「無理するな赤城。俺の妹と瀬菜とじゃ価値が違うからな」 赤城『あん?どういうことだ?』 京介「ふっ、現役モデルの超可愛い俺の桐乃と、普通の女子高生のおまえの妹ではチョコ自体の価値が違うって意味だよ」 赤城『あぁ!?てめえ喧嘩売ってんのか!?』 京介「そう聞こえてしまったか」 赤城『貴様とはもう一度、戦う必要がありそうだな……!!』 京介「望むところだぜ!!」 赤城『まあ、決着はいずれつけるとして、高坂知ってるか?』 京介「なにをだよ?」 赤城『なにやら最近のバレンタインは、友チョコやら、自己チョコ、逆チョコってのまであるらしいぞ』 京介「なんだそりゃ?義理チョコの一種か?」 434 名前:SS:2013/02/14(木) 02 08 46.79 ID wouNF66j0 赤城『友チョコってのは女友達同士で渡すチョコらしい。自己チョコってのは文字通りだな』 京介「んじゃ、逆チョコってのは、そういうことなのか?」 赤城『そうだ、男から好きな女の子に渡すチョコのことを言うらしいぞ』 京介「………へぇ」 赤城『俺も瀬菜ちゃんになにかプレゼントしたほうがいいよな?』 京介「おまえはいつもプレゼントあげてるだろ……まあ、好きにすりゃいいと思うけどさ」 赤城『おう!さっそく瀬菜ちゃんへのプレゼント買ってくるぜ!!じゃあな高坂』 Pi… 京介「あ、切りやがった…ったく、シスコン兄貴は大変だな」 京介「……さて、俺も買い物に行くか」 まぁ、たまには桐乃のために何かしてやるのも悪くない。 俺は、とある場所へと買出しに向かうのだった。 ―――バレンタイン当日 俺の予想通り、今日はチョコをもらうことができた。 あやせに黒猫に麻奈実に加奈子……全部あとでいただくとしよう。 しかし、まだ桐乃からはもらってないんだよね……早く帰ってきてずっと待ってんだけど。 よし、こうなったら俺から逆チョコを渡してやるか。 あいつもタイミングが分からなくて照れてるんだろう。 ――さっさと渡してくれりゃいいのによ。 京介「よし、できたぞ…会心の出来だ」 京介「喜んでくれるといいんだけど」 京介「よし、行くぜ!」 435 名前:SS:2013/02/14(木) 02 10 21.61 ID wouNF66j0 ―――桐乃の部屋 コンコン ガチャ 桐乃「あ…」 京介「よう!」 桐乃「なに?」 京介「いや、なにしてんのかなーと思ってさ」 桐乃「あんたもしかしてチョコ欲しくてきたんじゃないの~?」 京介「な、なな、ち、ちげー…」 桐乃「ちがうの?」 京介「違わない…」 桐乃「ぷっ…だっさー。誰からももらえなかったからって、妹にチョコおねだりにくるなんてさ~」 京介「ぐぬぬ…」 もらったよ! 今年は結構もらってるから! と、激しく言いたかったがあえて言わないことにする。 まあ、こいつからもらわないと俺のバレンタインは終われないからな。 ……桐乃からのチョコは特別だ。 桐乃「ま、入って」 京介「おう」 436 名前:SS:2013/02/14(木) 02 11 32.69 ID wouNF66j0 桐乃「どうせそんなことだろうと思って、誰からももらえなくて寂しいだろうあんたのために、あたしがチョコ作ってあげたから」 京介「そ、そうか……」 桐乃「はい。……いちおう頑張って作ったんだから、ありがたく思いなさいよ?」 京介「おう……桐乃、ありがとな」 桐乃「ん……食べてみれば?」 京介「その前にさ、俺からもおまえにプレゼントがあるんだ」 桐乃「あんたが?あたしに?」 京介「ああ、逆チョコってやつだ」 桐乃「あ、あんた逆チョコの意味分かってる?」 京介「いや、あんま分かってねぇけど」 桐乃「あ、あっそ……で、何くれるの?」 京介「おう、これだ。コーティングするのがけっこう大変だったんだぜ?……開けてみ」 桐乃「…うん」 ガサガサ… 桐乃「あっ!!これって、中に入ってるの指輪……?」 京介「おう、あん時おまえが欲しがってた指輪があったろ?まぁ、なんだ……受け取れよ」 桐乃「うん……ありがと、京介」 京介「へっ……どういたいまして」 そして、このあと桐乃のチョコを食った俺がどうなったのか……それは言うまでもないことだ―――― ~fin~ ----------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1852.html
SS『休日のラプソディ』 今日はちょっと珍しく、妹と一緒にアキバではない場所に来ている。 というのも、数日前、いつものごとく桐乃が俺の部屋へ突然乗り込んできて、開口一番、こう言い出したからだ。 「来週の日曜日、原宿に行くから!わかった!?」 「な、なんだ?突然どうした?」 と問い返したものの、『いいから!わかった!?』の繰り返し。 「はいはい、わかった、わかった。わかったから。で、何があったんだ?」 しかたなく俺はこう言って桐乃を落ち着かせる。 で、話を聞いてみると、どうやら、みんなでファッション誌を見てた時に、加奈子がこう言っていたらしい。 『そういえば京介ってー、見た目はそんなに悪くねーのに、いっつもカッコはダサいよなーw』 あんのクソガキ、、、ったく、余計なお世話だっつーの! 、、、まあ、それは良い。いや、良くはないが、とりあえず良い、、、のだが。 「で、何でおまえはキレてんの?」 「キ、キレてない!」 ウソつけ、間違いなくキレてんじゃねーか、おまえ。 「だいたい、あんたがいっつもダサいカッコばっか、してるからじゃん!たまにはオシャレなカッコしろっつーの!」 え?俺のせい?なんで?なんで俺、妹の友達に悪口言われたうえに、妹に怒られてんの!?ワケがわからん。 と言うかだな、、、。 「いきなりそう言われてもなぁ。第一、オシャレなカッコってのがよくわかんねぇんだよな。今のカッコって、そんなにダメか?」 『んー、悪くはないんだけど、オシャレ、ってまではいかないかなー。』 ここでこんなふうに言い返してきたら、少しは可愛げがあるってなもんなのだが、俺の妹がそんなことを言うわけがない。 「ダメ。ダサい。」 バッサリこれだ。いいかげん、もう慣れてしまって、いっそ清々しくすらある。 「だから、あたしが直々にレクチャーしてあげるって言ってんの!感謝しなさいよね!」 「はいはい。」 最初からそう言え、バカ。 「なに?その態度?」 「ありがとうございます!感謝してます!」 「よし。」 、、、こんなんだから、御鏡にドMだとか言われるんだろうな。 ------------------------------------------------------ ---ということで、俺たちが今いるのは、原宿の表参道だ。 前にも何度か来たが、やっぱり俺には場違い感が拭えない。 逆に桐乃は、水を得た魚のように、あちこちのショップを見て回っている。 その姿は、アキバのショップめぐりのときと重なって見える。 あっちを裏の桐乃だとすると、こっちが表の桐乃ってとこなんだろう。 結局、どっちもおんなじ桐乃ってことに変わりはないらしい。まあ、あたりまえのことなのだが。 てか、あちこち見て回っているのはいいんだけど、今回の目的は俺の服だったんじゃないのか? ま、桐乃も楽しそうにしてるから、別にいいんだけどよ。 「あれぇ?桐乃さんじゃないですかぁ?」 しばらく、ぶらついていたところで、どこかの店員さん?のような人に桐乃が呼び止められる。 「あ、どうも、こんにちは。お久しぶりです。」 どうやら桐乃の知り合いらしい。どっかで会ったことがあるような気もするが、多分気のせいだろう。 「は~い、お久しぶりですぅ。今日はお買い物ですかぁ?」 「ええ、まあ。」 「へぇ、じゃあ、そっちの人がお兄ちゃんなんですかぁ?」 「えっ!な、なんでですか!?」 突然の質問に、慌てふためく桐乃。 「だってぇ、前に雑誌のプロフィール欄に書いてましたよねぇ~、休日は大好きなお兄ちゃんとお買い物して過ごしてますって?それで、そうなのかなーって。」 「え?や、そ、それは、違くて、、、。ざ、雑誌の取材で聞かれたから、しょうがなく適当に答えただけですってば!」 「ほ、ほう、、、へぇ~、、、。」 「あ、あんたも、ニヤニヤしてんじゃない!バカ!」 「あれぇ?でも、お兄ちゃんとも前にどこかで会ったことがあるような、、、?」 「え?」 原宿なんて、殆ど来たことがないのだが、それで人に覚えられるようなことをした覚えは、、、やべ、この人もしかして、、、。 「あぁ、思い出したぁ!前にパンツかぶってわたしとツーショット撮った男の子だぁ!」 やっぱりか! 途端に妹の目が冷たくなる。 「あの時のパンツくんがぁ、まさか桐乃さんのお兄ちゃんだったなんて、びっくりですぅ!」 俺もびっくりだよ!そしてパンツくんとか言うな! 「あ、あはは、、、その節はどーも、、、。」 どんな挨拶しろってんだよ!ちくしょう、、、。 「んー?ということはぁ、あのパンツは桐乃さんへのプレゼントだったんですかぁ?」 「んなワケないじゃないですか!」 いかん、これ以上、この人のペースで会話を続けると、ここから先、一人で行動する羽目になりそうだ。 「と、ところで、、、、えっと。」 「ん?あたしですかぁ?星野って言いまーす。ほっしーって呼んで下さいねぇ。」 「じゃあ、えと、ほっしー、、、さん。」 「はぁい?」 「俺たち、ちょっと次の予定があるんで、この辺で失礼しますね。」 「はぁい。じゃあ、デートの続き、楽しんでくださいねぇ。」 ------------------------------------------------------ とりあえず、その場を離れたものの。 すたすたと前を歩く桐乃。 「おーい、桐乃さん?」 ぴたっ、と歩みを止めて、身体ごとぐるんとこっちに振り向く。 あー、やっぱりな。怒ってる怒ってる。 「あんたのせいで、すっごい恥かいたじゃん!」 『俺のせいじゃねーだろ!』 と言いたいところだが、元をたどれば昔の俺のせいだから、言い返せない。 「仕方ねーだろ。あんなとこでたまたま出会った人が、おまえの知り合いで、しかも昔の俺を知ってる人だったなんて偶然、あるなんて思わねーし。」 ホント、なんつー偶然だよ。 これでも日ごろの行いは悪くないつもりなんだがな、、、。 「ホント、最悪!」 こりゃ、しばらく収まりそうにねーなー、、、。 「はれ?高坂?」 と、そこで背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。 振り返ってみると、そこに見覚えのあるクマさんが立っていた。 いや、正確に言うと、クマの着ぐるみみたいなのを着た女がいた、という意味なんだが、、、。 こんな変テコなカッコで歩き回るやつなんて、俺の知り合いには一人しかいない。 「櫻井か?」 「はっはー。そう!ラブリーユアエンジェルの櫻井秋美ちゃんだよーん。」 「誰が誰のエンジェルだ、ったく。てか、またパジャマで出歩いてんのか?」 「パ!パジャマじゃねーよ!って、コレ、前にも言ったし!」 「パジャマじゃなきゃ、その、ラブリーベアエンジェルとやらの着ぐるみか、コスプレってとこか?」 「そう!愛らしい天使のクマさんをモチーフにした、って、ちがぁーう!ユア!キミの!って、そこじゃなくて!ワンピース!クマさんワンピース!」 相変わらず、ノリのいい奴だ。 てか、どう見ても、向こうで着ぐるみを着てチラシを配ってるアルバイトの人と同じにしか見えんのだが。 「で?おまえはこんなとこでなにしてんだ?」 「原宿に来ている乙女に向かって、なにしてんだ?は、ねーよ!高坂!服!服を見に来てたの!」 「おまえが着てるよーな服って、アキバとかのほうが売ってあんじゃねーの?」 「アキバに売ってあんのは、あたし好みじゃないんだよねー。」 冗談で言ったのに、マジ回答が返って来ちゃったよ。 てか、、、あんの?違いが? 「で?高坂こそ、こんなトコでなにしてんの?」 「おまえと同じだ。服を見に来てたんだよ。」 「お!そーゆーことなら、この秋美ちゃんにお任せあれ!」 「やだよ。」 「即答!?」 「おまえに見繕ってもらうと、残念系ファッションになるからな。」 「な!相変わらずしつれーなやつだな、キミは!しかも、この最先端の秋美ちゃん系ファッションの良さが分からないとは!?」 最先端の残念系だろ。一生分かりたくねーよ。 「でも、あたしも見てみたいかな。楽しそーじゃん。」 さっきまで怒ってたはずなのに、いつの間にか機嫌が良くなってる。 「お、妹ちゃんも一緒に着るかい?」 「や、二人分になると選ぶのに時間が掛かるだろうから、あたしは遠慮しときます。こいつの分だけ選んでやってください。」 おまえ、それって間違いなく、自分は着たくないけど、俺に着せて面白がろうって魂胆だろ。目がニヤけてるし。 、、、ま、いいか。それで機嫌がよくなってくれるんなら、とりあえず着てやんよ。 もちろん買わないけどな。 ------------------------------------- 、、、ってなことを、考えるんじゃなかった、、、。 早くも後悔する俺だった。 「、、、なに?これ?」 「秋美ちゃん超オススメの逸品!その名もズバリ、『こめっとくんスーツ』!」 、、、どう見ても着ぐるみですよね?コレ。しかもあのアニメの。 「きゃはははっ!か、可愛えぇぇ!」 桐乃、おおはしゃぎ。 「ふふん、どうさ、この秋美ちゃんの超審美眼。絶対キミに似合うと思ったんだよねー。」 「なわけねーだろ!」 ゼッタイ似合ってないですから。てか、似合ってると思われたくないですから。 てか、これって、服なのか? 「ねぇ、あんた、『危ない!メルちゃん!まじかるフィールド、展開っ!』って言ってみてくんない?」 「やだよ!」 「えー、なんでー?」 「なんででもだ!」 「けち。」 「そーゆー問題じゃない!」 「ほら、妹ちゃんも気に入ったみたいだしさ。買っとく?買っとく?ってゆーか、むしろ、いつ買うの?今でしょ!」 「買わねーよ!」 どっかの予備校の先生か、おまえは! てか、なんでこんな着るあても無いものを、わざわざ金だして買わなくちゃいけねーんだよ!? 「じゃあ、あたしが買ってあげる。」 「は?」 「あたしがプレゼントしたげるっつってんの。」 「いらねーよ!」 「ふひひ、遠慮なんかしなくってもいいって♪」 「してねーよ!」 「すいませーん、これくださーい♪」 なんで人の話を聞かないかね、この妹様は。 、、、こうして俺は、一生着ることはないであろう、『こめっとくんスーツ』を手に入れた。 「むふふー、高坂、ここで装備していくかね?」 「しねぇーよ!」 はあ。なんで、俺の周りにはこう、つっこみがいのあるやつばっかりしかいないんだろな。 ------------------------------------- 「じゃあ、次は、、、。」 「次があんのかよ!もうこれで十分だよ!」 「な!なにぃ!もうこれで終わり!?」 「ああ。だいたい、おまえが選ぶ最先端のファッションは、俺にはすぐ着こなせそうにねえからな。一着で十分だっつーの。」 「むう、、、。ならばしかたがない。キミにはもーちょっと精進が必要のようだな。」 ああ。あと100年くらいな。 「んじゃー、あたしはこの店の服をもう少し見てみよっかな。キミたちはどーするの?」 「そか。じゃあ、俺たちは別の店を見てみるよ。」 この店に、俺が着られる服は無いしな。 「りょーかい。じゃあ、次に会うときまでに、しっかり精進しておけよー。」 「へいへい。じゃあ、またな。」 「おー。」 てなわけで。 俺たちは、とりあえず櫻井の魔の手から無事に逃れることができた。 とりあえずカフェで一休み。 「だいぶ余計な時間を食っちまったな。で、次はどうする?」 桐乃に聞いてみる。 「んー、じゃあねぇ、、、。」 「あれ?桐乃じゃね?」 声のした方向に振り向くと、後ろのテーブルに加奈子とブリジットちゃんが座っていた。 なんでまた今日に限って、次から次へと、、、。 「こんにちは、マネージャーさん、彼女さん。お久しぶりです!」 「「え?」」 「あー、桐乃、京介、ちょっと耳貸せヨ。」 「?」 不思議そうにこちらを見るブリジットちゃん。 加奈子が俺たちに小声で話しかける。 「あのさー、ブリジットは色々事情を知らないからよー、とりあえずおまえら、ふつーの恋人ってことにしといてくんねー?」 あ、そーゆーことか。 確かに前に会ったときは恋人のフリしてたし、そのあと俺がマネージャーってことがバレたときも、桐乃との関係は説明してなかったしな。 「了解。わかったよ。」 「し、しかたないなー。」 「桐乃ー、顔、ニヤけてんぞ?」 「べっ、別にニヤけてなんかないってば!何言っちゃってんの!?加奈子!」 「へへー、とりあえず、そーゆーことにしといてやんよ。」 「ち、違うってば!ったくもう、、、。へへっ、こんにちは、ブリジットちゃん。」 「はい!あ!この前は、ライブに来てくれて、ありがとうございました!」 それって、桐乃と一緒にライブ会場に戻ったときのことか。あのときも見られてたんだな。 「あ、気付いてくれてたんだ。ごめんね、ステージに間に合わなくって。すっごく見たかったんだけど、用事が長引いちゃって。ホント、ごめんね。」 「はい!また今度ぜひ、見に来てください!」 「もちろん!ゼッタイ行くって約束するよ!」 言われなくても行くだろ、おまえ。 「桐乃って、メルルが好きなわけ?」 「あ、えっと、その、、、。」 「二人がライブに出るってことを俺が話したら、二人の応援に行きたいって、こいつが言い出してな。」 俺はすかさずフォローを入れる。いつものパターンだと、このままほっといたら、こいつが自爆するのは目に見えてるしな。 「そ、そうそう!と、友達が出てるんだから、応援するのは当然じゃん!」 「そっか。さんきゅーな、桐乃。」 「ありがとうございます!」 「へへ、、、えへへ、、、どういたしまして。」 盛大に顔がニヤけまくってるぞ、おまえ。 「あの、、、お二人はデート中なんですよね?」 「へっ?あ、えっと、うん。そう。」 何?その、納得いかない、みたいな顔。たった今見せたニヤケ顔と大違いじゃん。反応おかしくねぇ? 「いいなー。」 そうとは気付かず、素直な反応を見せるブリジットちゃん。 どこぞの妹にも、爪の垢を煎じて飲ませたいくらいだ。 っと、そう言えば。 「そういや、加奈子、俺の悪口を言ってたらしーな。」 「あん?」 「カッコがダサいとかって。」 「あー、あれか。てか、あれってー、悪口じゃなくって、ジジツを言っただけじゃん。」 余計悪いわ。 「でも、あんときの桐乃、チョー面白かったんだゼ?加奈子がそう言ったら、すぐムスッとしちゃってさ。」 「ちょ、加奈子!」 「だけどー、あやせが『でも、お兄さんらしいカッコだよね?』とか言ったら、『そ、そう?』とか言ってニヘッとして。」 さすがあやせ。良く分かってんじゃねーか。 「んで加奈子が『それってフォローじゃなくね?』っつったら、あやせが『う、うーん、、、。』とか言って。そんでまた桐乃が、ムスッとして。」 ちょ、あやせ、、、それって余計、傷つくんですけど。 「だいたい桐乃ってー、普段大人ぶってるくせにー、京介のコトになると、すーぐムキになるんだよねーw」 「う~~~。」 唸るな、おまえも。 「でも、そのせいで加奈子、あやせサマにチョー説教食らっちゃったんだゼ?あのアト。ったく、やってらんねーっての!」 「かなかなちゃん、、、それ、自業自得、、、。」 「?何それ?何語?チョームツカシイんですケドー。」 おい。それは、外国人の小学生に、日本人の中学生が聞くことじゃねーぞ。 「ってゆーか、ひょっとして、おまえらがこんなとこでデートしてるのって、もしかして、それが理由なワケ?」 「う、、、ま、まあ、そんなとこだ。」 たまーに鋭いよな、こいつ。 「ひゃははっ、ダセーな、京介!」 「う、うっせ!」 「うひひ、ま、いーや。んじゃ、今日は京介のオゴリな?」 「なんでだよ!」 「あやせに説教された加奈子に対する医者料ってヤツ?」 「なんで悪口を言われた俺が払わなきゃならんのだ!」 あと、医者料じゃなくって、慰謝料な。どこの病院に行くつもりだ、おまえは。 「しかたねーなー。そんじゃ、桐乃とデートのコージツを作ってやったお礼?ってことでいーや。」 「ぐ、、、。」 確かに結果だけ見ればそうなのかもしれないが、、、。 結局、俺は加奈子とブリジットちゃんの分を奢らされることになった。 、、、納得いかねぇ。 ------------------------------------- カフェを出たあと、俺たちは加奈子たちと別れた。 正確に言えば、加奈子は俺たちについてこようとしたんだけど、ブリジットちゃんに、 『かなかなちゃん!二人の邪魔しちゃダメ!』 と、言われて渋々諦めた、ということなのだが。 「もうだいぶ遅くなっちまったな。俺の服、また今度にするか?」 「はぁ?何言ってんの?せっかくここまで来たんだから、ちゃんとやらなきゃ、来た意味ないじゃん!」 「とは言っても、おまえの門限まで、そんなに時間ねーぞ?」 「んー、しかたない。じゃあ、そこの店で見繕ってみよっか、あんたの服。」 ということで、俺たちは近くにあったブティックに入った。 「で、早速だけど、あんたなら、ここでどれを選ぶ?」 ホントにいきなりだな、おい。 「うーん、、、。」 どれも同じようにしか見えんが。 「、、、これとか?」 とりあえず、適当に選ぶ。 「お、あんたにしては、いいセンいってんじゃん。で、何でそれを選んだの?」 そうくるか。適当に選んだとは言えんな。 「、、、この辺が、普通のヤツとちょっと違っててオシャレかな?って思ったんだが、、、。」 なんか、前に最初にやったエロゲの感想を聞かれたときのような感じだな。 「ふーん、、、。」 ど、どうなんだ、、、いったい? 「、、、ま、服を選ぶセンスはあるみたいじゃん。」 お、正解だったみたいだな。 「ふふ、まあな。」 「いばんな!選ぶセンスはあっても、いつもお母さんが買ってくる服を着てるんじゃ、意味ないでしょ!」 「まあ、確かに、、、。」 自分じゃ服なんてほとんど買わねえしな、俺。 「じゃあ、次。これに合うパンツを選んでみて。」 むう。なんか、ゲームをやってる気分になってきたぜ。 「うーん、、、これ?」 「、、、全然ダメ。何でジャケットがこの色なのに、パンツがその色になんの!?ありえなくない!?」 「いや、、、この辺がオシャレだと思ったんだが、、、。」 「確かに、そこの作りは変わっててオシャレだけど、色の組合せがありえないっつってんの!上下を合わせて着たときのイメージを考えてみろっつーの!」 、、、言われてみれば、確かにちぐはぐで合ってないな。 「組合せをイメージして、服を選ぶってすっごく大事なんだから!今度から、しっかり考えること!」 「ああ。」 「これは、新しい服を選ぶときだけじゃなくって、今の服を選ぶときも同じことだから!わかった!?」 「ああ。」 「じゃあ、次回までに、今の服の中からきちんと組合せを選んでおくこと!いい!?」 「ああ。って、次回?」 「たった1回で何が分かるって?言っとくけど、あんたのオシャレ道は始まったばかりだから。」 前に聞いた、似たような台詞よりも、ずっとサマになる台詞だった。 ま、こっちの道なら、頑張ってみてやらんこともないさ。自分のためにもなるし、なにより、、、いや、なんでもねーや。 「あ、でも、だからと言って、あんたのエロゲ道が終わるわけじゃないから。」 、、、どうやらコッチの道も、まだまだ終わりそうにないようだ。 はぁ。やれやれ、しょーがねーな。 ま、結局、どっちの道も、目的地はおんなじか。 それに、、、なにより、自分で選んだ道なんだからな。 一生かけて歩き続けてやるさ。 このはてしなく遠い妹道をよ、、、。 、、、へっ、カッコいい言い方にしてみても、やっぱ締まらねえな、こりゃ。やれやれだぜ。 「何してんの?今日はもう帰るよ。」 「へいへい。」 先に店の外に出ていた桐乃に追い付き、二人一緒に並んで歩き始めながら。 「、、、待ってろよ、桐乃。」 そう一人、小さくつぶやく。 「、、、なんか言った?」 「な、何でもねえよ。」 「、、、あっそ。」 返ってくる、すげない返事。 そして。 きゅっ。 俺の手を包み込んでくる、柔らかなぬくもり。 「、、、待ってるよ、兄貴。」 かすかに聞こえた、小さなつぶやき。 その言葉に、俺は精一杯、気付かなかったフリをしつつ。 「、、、な、なんか言ったか?」 「、、、な、何でもないよ?」 「そ、そっか。」 繋いだ手に、きゅっと力を込めるのだった---。 ------------------------------------- そして、その数日後。 俺は、一生着ることはないであろう、と思っていた『こめっとくんスーツ』を、いきなり着る羽目になった。 メルルのコスプレに身を包んだ、桐乃と一緒に。 「よっし、ってわけで---着よっか。」 「は?」 「着よう。」 「、、、。」 「着ろ。」 、、、、、。 こうしてまた、俺たちのアルバムに、新たなる黒歴史が刻まれたのだった。 ちなみに、さらにその数日後、桐乃はこのコスプレ姿を親父に見られることになるのだが、それはまた、別のお話である。 Fin
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/574.html
183 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/14(木) 00 18 00.01 ID CC/dlKZP0 [1/3] 「ほら、あの人…あの桐乃の…」 「そうそうお兄さんだよ、桐乃の」 京介「…何か指差してごにょごにょ言われてるよな…俺」 麻奈実「多分、私たちの中学校から来た桐乃ちゃんの先輩じゃないかなぁ?」 京介「あー…そういやあいつ雑誌に兄貴がいるって書いてるんだったな…」 麻奈実「同じ名字だし出身の中学校も同じだからわかるんだよ~」 京介「(ったく…高校でまであいつの名前聞かなきゃなんねぇのかよ…)」 「でもさぁ、何か期待はずれだよねー」 京介「………」 「桐乃のお兄さんなら超イケメンかと思ってたけど何か地味じゃない?」 「だってぇ、桐乃が雑誌には超かっこよくて超優しくて超素敵なお兄ちゃんなんて書いてるからぁ~」 「どんだけすごいお兄さんなのかと思っちゃった~」 「桐乃のお兄さんって感じじゃないよねーあははっ!」 麻奈実「きょ、きょ~ちゃん…?だいじょうぶ?」 京介「…心配すんな、こんなの慣れてらぁ。……ちっ」 京介「(桐乃のやろう…!勝手にハードル上げまくりやがって…!俺が何をしたよ!?何で勝手にがっかりされなきゃなんねーんだ!!)」 京介「(ブラコンキャラ作るのに俺を利用すんのも大概にしとけっつーの!!)」 高坂家リビング 京介「大体、一体どんな風に俺のこと書いてんだ?親父が欠かさず買ってる桐乃の載ってる雑誌を持ってきてはみたが…」 京介「………あぁ、これか。………楽しく、お買い物?クリスマスデート?……おい、どこの世界の高坂兄妹だよ。これ。 どこの世界の俺で、どこの世界の桐乃だこれ?特にこれなんだよ。あたしはおにいちゃんとすごく仲良しって誰だよお前!?」 185 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/14(木) 00 20 01.40 ID CC/dlKZP0 [2/3] 桐乃「あんた何、妹の載ってる雑誌見て騒いでんの?キモ。シスコン」 京介「うおっ!!?お、お前いきなり現れるんじゃねぇよ!」 桐乃「はぁ!?見られたくなけりゃ部屋に引っ込んでなさいよ、意味わかんないんだけど」 京介「お前なぁ!ブラコンキャラつくんのは勝手だけど空想の兄貴をここに書くんじゃねぇよ!!」 桐乃「はぁ?関係ないじゃんあたしが何書こうが。」 京介「お前がここに美化200%の兄貴像なんか書くと現実の俺に負担がかかるんだよ!何で俺が期待はずれとか言われなきゃなんねーんだ!」 桐乃「はぁ…。何?あたしがここに書いてる姿とかけ離れてるって言われて傷ついたわけ?じゃあ、地味で平凡でうざくてシスコン変態兄ですって書けっての?」 京介「そもそもお前にブラコン設定みたいなもん自体無理があんだろうが!」 桐乃「………っ」 京介「な、何だよ?」 桐乃「キャラづけしたほうがウケがいいんだからしょーがないじゃん。だいたい、あんたそれだから駄目なのよ」 京介「…はぁ?」 桐乃「あたしがハードル上げてるって言うんなら、そこで考えるべきはあたしにハードル下げろって言うことじゃなくて、 期待はずれだって言われないくらい自分を磨くことでしょ?情けなくないわけ、あんた?」 京介「ぐっ…。」 桐乃「あたし、何か間違ったこと言ってる?わかったらもっと自分を磨く努力をしろっての。」 京介「……わかったよ、俺が悪かった。」 桐乃「え…な、何?何でそんな素直に認めるわけ?」 京介「お前に努力しろって言われたら何にも言い返せねぇよ、桐乃。」 桐乃「……あんた、週末あけときなさいよ。今週の。」 京介「週末?なんでだよ。」 桐乃「あんたの自分磨き、付き合ってやるってのよ。まずその地味なファッションからどうにかしないといけないし。」 京介「…おい、俺はそんなに金は…。」 桐乃「金かけるのだけがファッションだと思ってんの?安くでキメるのもあたしの腕の見せ所よ!感謝しなさい!」 京介「へいへい、頼もしいよ全く。」 桐乃「それと…嘘じゃないし。」 京介「はぁ?何が。」 桐乃「……だ、だから雑誌の!」 京介「……お前、ブラコンってキャラづくりじゃなかったのかよ…」 桐乃「なっ…!!この…!死んでよバカぁっ!!!」 京介「意味がわかんねぇよお前!!」 -------------