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防衛側の拠点とリスポンが近く、現状ではもっとも防衛側が守りやすいマップ。 侵攻側はとにかく拠点を壊さない限りジリ貧となるので乱戦に強い機体が必要となってくる。 -- (名無しさん) 2009-12-28 14 21 28 防衛側有利のこのマップでは、ただ脳筋で突っ込んでいっては負けるに決まってる。 綿密な作戦、リスボン近くにあるオブジェクト群等を最大限に利用しなければ、攻撃側の勝利はほぼ不可能。 -- (名無しさん) 2009-12-30 21 14 35 マグマオッド以外はクイックスイム部隊を裏から上陸させる事が出来るかも? -- (昼抜き) 2009-12-30 23 43 46
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虚空より来たりて――――巨大な塔の如く大地に突き立った紫電。 身の毛もよだつ轟音を響かせて天より飛来する、あまりにも雄大な幾億ボルトの稲妻は 戦闘状態にあったサーヴァント2体を物のついでのようにあっさりと飲み込んだ。 巻き上がる粉塵、震える大地、大気を走る無数のプラズマ。 濛々と立ち込める熱気と爆炎の残滓の中で、落雷地点の平野には歪で巨大なクレーターが生成されていた。 ミサイルでも打ち込まれたような凄まじい威力を思わせるそれは、半径50mほどを一瞬で灰燼と化した暴威の雷による所業に他ならない。 その場にいた者の命運など―――もはや語るまでも無いだろう。 「―――――、」 ―――――――――と、そう思われた矢先………… 必須の滅びを思わせるクレーターの中央にて佇む影が一つ――― 「―――――、」 纏う鎧はその王気を象徴するかのように潸然と輝いていた。 腕を組んだ不遜な様相もまるで変わらなかった。 自身が定めた不倒不滅の理は、この大破壊の中にあっても折れず朽ちず。 顔を庇うように添えていた手を払い、何事もなかったように――― 英雄王ギルガメッシュが佇む。 「―――――――、……!」 だが、突如、バキンッッッ!!と、甲高い音が場に響く。 彼は、彼だけは敵の脅威などという瑣末な事象に微塵も揺るぐ事のない英霊だ。 だから今―――その場に傅き、苦悶の表情を作る彼の様相は天すらも予想しえぬ事態。 そして男の体を覆っていた不抜の護り。 上半身のアーマーや無数の盾がばらばらと足元に落ちる様を、どうして信じられようか? それぞれが名だたる宝具として銘を遺した一品だ。 それらが役目を終えたかのように地に堕ち果てる。 焦げ付いた異臭を放つそれらからは、もはや些細な力すら感じ取れない。 「王の……鎧にィ―――!!!」 全身から被雷の黒煙をあげながら、それ以上に滾り怒り狂う王。 各々の役目を必死に果たし、場に粉と散る装具に労いの意をかける暇もなく天を仰ぐ。 高町なのはの砲撃すら凌いだ神代のアーティファクトの数々を、あの稲妻は一撃にて貫いたのだ。 間違いない―――― 敵……彼をして「敵」と呼ばしめる存在が――――来る! 不敬にも我を高みから見下す無礼者を決して許さじと断ずる灼眼の双眸。 その視線の先に今…… ――― 大小様々の多数のゲートが開く! ――― 虚空より穿たれた多数の門から、まずは無骨な腕が……次いで堅牢な胴体が次々と這い出て来る! ギチギチと金属を擦らせる音を場に響かせて―――刺客の放った王の討伐部隊が姿を現したのだ。 やがて門より完全に姿を現したる無数の軍勢。 地を踏みしめるモノもいる。 空を駆けるモノもいる。 その手に敵を屠殺する凶器を称えた、彼らに共通するモノ―――それはおおよそ人の意思の通わぬ事を想像させる無機質さ。 場は、金が1分に雑色が9割9分。 サーヴァントの眼前を埋め尽くす、無骨な四肢を称えて出揃う大小無数の傀儡兵。 これこそ、このフィールドにて偉大なる王を討滅するべく遣わされた殺人機兵団 マーダーオートメイル 。 ―――――準備はこれにて整った。 彼を護る堅固な鎧は剥がれ、外界に晒す柔肌はもう人のそれと変わらない。 晒した肉体に槍の一本でも突き入れれば例えサーヴァントとて滅びは免れまい。 サーヴァントにとっては、期せずして訪れた絶体絶命の窮地――― 「我に対して―――――戦を挑むと?」 其を前にして…………しかし暴君は――― かの者共の愚かさを笑わずにはいられなかった。 目の前の無数の門に相対するかのように、ギルガメッシュの後方にも多数のゲートが現れる。 色は赤一色。 もはやその威容、語る必要も無し。 王の財宝――――ゲートオブバビロン アーチャーとの激闘で相当数の消費をしているにも関わらず、其の宝具の貯蔵は未だ十全に過ぎた。 「雑種を屠るにはこの十分の一でも事足りるであろう……だが喜べ。 王の体に傷をつけた罪―――文字通りの万死を以って償わせてやろう!」 ギルガメッシュと謎の敵との開戦はこうして静かに、ただ無造作に――― 鋼鉄の歩兵の一体目と宝具が衝突した炸裂音を鬨の声として――― 開始の火蓋が切られたのである。 ―――――― ??? ――― 「分かった……健闘を祈る。 キミの手腕に期待しているよ……フフフ」 先方との通信を終えて―――――― ジェイルスカリエッティは黒衣の神父の待つソファの対面へと戻ってきていた。 「いよいよ彼女がキングの駒と交戦を開始するようだ」 「そうか」 「どうかね? あらためて彼女を見た感想は?」 白衣の男の探るような視線。 それはこの異郷の友人の目に「彼女」がどう映ったか――興味津々といった風体であった。 「見たところ壊れてはいるが―――先天的では無いな。 さして珍しいモノには見えん。 少なくとも、お前や私の如き汚泥とは比べるべくもない」 「確かに……彼女は元はそこいらにいる凡百の存在に過ぎなかった。 だが、とある出来事を境に彼女は別のモノへと変容する。 感情のふり幅を大きく超える事によって、元の素養など見る影も無い傑物へと進化を遂げたのだよ」 それこそが「揺らぎ」を命題とする、この科学者が考える、ヒトのヒトたる所以。 感情の、生命の揺らぎこそ深遠たる謎にして、其より生まれ出ずるモノこそ男の永遠の研究対象である。 「それはそうと―――勿体つけずに話したらどうだ?」 綺礼が博士に促した事は言うまでもない。 件の話題に出ていた女とギルガメッシュを当てると言ったスカリエッティの意図である。 ミッドチルダ世界のトップクラス魔導士ですら歯が立たなかった存在を、彼は屠ると豪語した。 揺ぎ無き自身と共に。 その根拠―――サーヴァントに、或いは英雄王そのものに対し圧倒的優位に立てる何かを、あの女は有しているという事だろうか? 例えばアーチャーの「無限の剣製」のようなものを。 「気になるかね? キミの元サーヴァントの末路がそんなにも?」 「気にして欲しいのだろうが。 相手の聞いて欲しい事を予め引き出してやるのも優れた聞き手の役割というものだ」 「弁えたものだねぇ。 ならば教えよう! 彼女が無敵の英雄王に対し、絶対的優位に立てる要素は………」 大仰に手を広げ、相手の反応を楽しむスカリエッティ。 神父の顔を覗き込み、ニタァ、と粘つくような笑みを灯し………そして――――― 「無い」 一言―――――静まり返る応接室……… 「…………」 ――――――言峰綺礼の発した溜息だけが、ただっ広い応接室の空気を空しく震わせた。 ―――――― ―――――― (アーチャーは――――?) 先の先まで楯突いてきたサーヴァントの所在が掴めない。 あの一撃で討ち果たされたか、無様に逃げ延びたか――― 「ふん……どちらでも構わぬ。 あれしきで野垂れ死んだならそれまでよ。 わざわざ我が手を下すまでも無かったという事だ」 多少は気になったにせよ、今の彼には些細な事だった。 先程より始まった、冬木の地では望むべくも無い大規模かつ広範囲に渡る戦闘行為。 それは紛う事なき 「戦争」 と呼ばれる人類最悪の殺し合いに他ならず 開かれた戦端は、蹂躙・征服者としての男の側面を存分に刺激して余りあるものだった。 「我が玉座の対面に立とうなどと思い上がった愚か者が! 身の程を知るが良い! 雑種どもッ!!!」 開始数秒の邂逅で、敵の先陣を薙ぐように発したゲートオブバビロン。 目の前に展開された数10機を見事、打ち落とした王が吼え滾る。 彼の意思のままに、まるで豪雨のように降り注ぎ、噴水のように打ち上げられ、あらゆる角度から飛来する刃、刃、刃! ターゲットであるサーヴァントの頭上を取って有利な位置にいる筈の大軍勢であったが それはこの英霊を相手にしての思惟の無意味さを痛感させられるのみ。 ポジションなど何の意味も為さない。 各々、思考の術は持たずともA~AAランクのスペックを持つ兵たち。 それが塵芥のように砕かれる光景は、豪放にしてどこか現実から乖離したものだった。 まるで勇壮な壁画にて綴られた一風景のように――――王は伝説の力を場に描き示す。 無数の宝具、その一つ一つが地を割り、空を裂き、神魔を討ち果たし、一国に名を遺した一品の原典と言うべきものだ。 それらが惜しむ事なく弾奏に篭められ、一発一発の弾丸として戦場に降り注ぐ。 最強の魔弾の射手―――アーチャーとして冬木の地に顕現した人類最古の魔人。 彼の紡ぎ出す宝具斉射の威容は破りようの無い無双の宝具。 数多の英霊を含めて、未だかつて誰も踏破した事のない無敵の弾幕である。 「そら、せいぜい足掻けよ! お次はこれだ!」 二の足を踏めない鉄機達を嘲笑いながら、王の手に握られたのは怪しげに霞がかった陽炎の鎌―――? 間髪入れずに其を振るわば、柄の先が虚空に溶けて消え、間合いを無視して翻る。 そしてその凶刃は遥か後方に位置する狙撃兵を真っ二つにした。 お次は重力を変動させる大槌だ。 巨大な漆黒の断面が大気を叩くと、羽持つ急襲兵が為す術も無く落ちて砕け散った。 王の喉に剣を突き立てる大命を果たす事なく、ひしゃげるボディ。 それはまるで神の手によって落とされたリンゴの実のように呆気なく無情。 生半可な質量の弾では宝具の弾丸に拮抗出来ず、射撃兵は悉く打ち負ける。 突撃兵は歩を進める事すら許されない。 重厚な鎧と耐久力を持つ装甲騎兵は10の宝具をその身に受けて原型を留めず微塵にされた。 「久方ぶりに我自らが矛を取ったというのに――――これでは余興にもならぬぞ! ゼンマイ仕掛けのブリキの木こりの方が、まだ物の機微を弁えているというものだ!」 地に根を張る黄金の具足。 その足元にゴロゴロと無残に転がり落ちる、心無き兵の頭部。 それをグシャリ!と無造作に踏み潰し、王は敵の不甲斐なさを嘲り笑う。 屍の上に屍を重ね、残骸の山を築き、それが常の光景だと断じて憚らぬ傲岸不遜――― これがもし命ある軍勢だったらと思うとゾッとする。 垂れ落ちた潤滑油は血潮、せり出したモーターは臓器、メタリックな骨格は白骨…… この世の地獄のような光景が展開されていたであろう。 そう、軍を以って英雄王と相対するほど愚かな事はないのだ。 どれほどの軍勢を揃えようと、かの王に対して質、量で優位を握る事など叶わないのだから。 無尽蔵に蓄えられた財宝こそ彼の軍―――その総量は現存するあらゆる軍の威容を凌ぐ。 王の目利きに叶った宝具の数々こそ死をも恐れぬ彼の精兵―――その質は錬兵された騎士を一蹴して余りある。 故に機動兵達がなす術もなく打ち落とされていくのも道理。 巨大な砲撃兵がハリネズミのようにされて、朽ち果てるのも道理。 全ては――――当然の成り行きである。 「ハハハハハハ! ハ、ハハハハハハハハッ!!!!」 暴君の狂笑が場を振わせる。 もはや馳せ参じた軍の群れは彼の強大さを彩る装飾でしかなく―――― ――――――――――悪夢のような光景が果て度も無く、続く………… ―――――― ??? ――― 「どうしたのかね綺礼? 質問が止まってしまったが、まさか拗ねてしまったのかい?」 「拗ねるも何も、貴様が無いと言うのなら無いのだろう。 私としても、別にあの女がくびり殺されようが興味はない」 「まあ待ち給え。 少し問答をしようじゃないか」 くるくると場にステップを刻みながら、神父の正面に座り直す白衣の男。 いつもよりも幾分、高揚しているようだ。 それは、この一戦に想い馳せるスカリエッティの心情を如実に感じさせる。 「私なりに今までの魔導士とサーヴァントの戦いを見て、考察を続けていたのだよ。 此度の戦いはその重要なターニングポイントとなる。 そこで綺礼、質問がある。 英霊というのは第97管理外世界における最強無比の戦力と見て相違ないのかね?」 「語弊があるな―――星の息吹が紡ぎ出す守護者に分類される護り手としては、最上位の存在ではある」 「ふむ、そこの所は今一つ理解が及ばぬが……質問を変えよう。 ならば、あの星の人間の現行兵器と比べてはどうか? 人間の持つ戦力は英霊に到底、太刀打ち出来ないものなのかね?」 スカリエッティが独自に調査したところ、闘争に限って言えばあの星の技術、向上心は見るものがある。 ことに質量兵器のカテゴリーにおいては管理局も無視できないレベルまで、あと一歩だろう。 地球人がもし星の海へ進出するとなれば―――ミッドチルダも彼らを非管理対象として無視出来なくなると推測される。 「私の見る限り、少なくとも性能面では彼らの戦力が英霊に大きく劣っているようには見えない」 確かに一撃で家屋を吹き飛ばし、音を超えて駆け、千軍を薙ぎ払う英霊は恐るべき戦力だ。 だが性能だけを取ってみれば、もはや人の手でそれを再現出来ないわけではない。 世に出ている近代兵器は人間を一瞬で血煙と化し、既に音速の翼を持つに至り、空爆は瞬く間に都市を焼き払う。 戦車の装甲は鋼鉄の弾丸を弾き返し、対物ライフルはその戦車を一撃で貫き、熟練した狙撃兵の最大射程距離は2㎞を超える。 そして大陸すらも一瞬で蒸発させる滅びの火をヒトは持つに至った。 その総戦力は決して――――英霊達に見劣りするものではないのだ。 「意外とサーヴァントなどより、あの星の軍隊を招聘した方が強いかも知れない。 なのに何故、遊戯盤は彼らを星の最強戦力として迎えたのだろうね?」 「愚問だな。 英霊の強さは性能面に寄るものにあらず。 例え火力で勝ろうと、それだけでサーヴァントは貫けん」 「それだ! 彼らは決して圧倒的なスペックを有しているのではない……そこまで不抜の戦力では無いのだ。 ましてや地球の技術力を遥かに超えるミッドチルダ管理局が派遣した魔導士達が相手となれば 一惑星の土着の英雄などに遅れを取る筈がないのだよ!」 そう……だが一回戦から二回戦の頭を見るに、最強を誇る管理局武装隊はサーヴァントに圧倒された。 スペックで勝る筈の彼らが、まるで不可解な壁に当たって膝を折るかのように敗走した有様は 英霊の強大さを演出するに余りあるものだった―――そう、本来のスペック差以上に。 「既存の兵器では神秘を犯せない………英霊はヒトに打破されるようなモノではない…… キミは初めにそう言ったね? ならば神秘を犯すとは? 神を殺すとは何か?」 どんなに優れた兵器を持ったとしても人は英霊には勝てない。 それは謂わば、ヒトに対する絶対的優位性の保持に他ならず、「人よりも優れている」という概念の力が英霊には働いているのではないか? 他ならぬ、人間の最強を具現化した存在だからこそ―― 人が強いと思い描く幻想が形となった存在だからこそ―― 英霊はヒトよりも強い。 ヒトがそう決めてしまったから――― 「ところで言峰神父…………神は、いると思うかね?」 「さてな」 「キミの立場上、そこは即答する所ではないのかい?」 「お前がどのような神を指して言っているのか不明だったのでな」 人が都合よく作り出した創作物であるところの神など男の与り知るものではない。 そも、世界の管理者である絶対の存在を、余人如きが知覚出来る筈が無いと彼は考える。 そのかざはしに手をかけられる人間など、もはやニンゲンを辞めた存在以外に無いだろう。 「フハハ! 聖職者なのか無神論者なのか分からない発言だねぇ! 私はね、綺礼……神とは人の心に住まうものだと思っているのだよ。 あくまで仮説に過ぎないが、定款と啓畏の入り混じった、神や魔に対する人の持つ原初の感情…… それは人が設計される段階にて生じる、生まれながらに持つ回路ではないだろうか?」 神や、魔に裁かれる――人知を超えたモノを前にした人間の抱く恐怖。 それは銃口を向けられた時の死の恐怖などとはある種、一線を隔すものだ。 死や滅びに際し、頭を垂れて祈り、赦しを乞わずにはいられないあの感覚は、単純な言葉で言い表せるものではない。 その人の肥大した感情、思考が、神をより雄大に形成していく。 そして人は神を、魔を、超えられないと断じ、自ら膝を折り、己を律する。 「それこそが人に対して英霊が不抜としている要素だと私は仮定した。 人は、神や魔を前にした時、知らず己にリミッターがかかってしまう。 人間が己の身を踏み外さぬように、己の身分を越えないように」 決して超えられない存在を自らの深奥に住まわせる。 言うなれば人という種がその身に生じさせているリミッターとでも言うべきか…… ならばどれほどの装備に身を包もうと、人が英霊に勝てないのは当然の摂理だ。 「なるほど……フラスコ越しに世界を覗く人種の言いそうな事だ」 神父は頷く。 彼の考察は現代において、人間が神という存在を定義づけるのに最もポピュラーで合理的な切り口の一つ。 神が人を作ったのではなく、人が神を――という、究極の無神論である。 神代から古代、中世、近代と時を経て、人間の心に浸透していったその理論。 不確かなモノを確か足らしめてきたそれは、進化の歩みを止めなかった人間の力の源であり、魔的な物を切開するメスだ。 故にその力に神秘が宿る事はもはや無い。 無いが……その力の基盤となっている思想――― ――― 神、何するものぞ ――― その徹底した不信神もまた、神秘と相対するカタチで成り立つ強大な概念なのだ。 「合点がいった。 貴様らの魔法とやらは、つまりはそういう事か」 ならば、そんな強烈な人の意思……否、ニンゲンの毒を浴びながらに生み出された力が 神秘を覆す事になったとしても不思議ではない。 英霊をも弄ぶ、この遊戯盤の存在にも合点がいく。 優れた科学は魔法と変わらないとはよく言ったものだ。 地球の科学力がまだ未熟で幼いが故に、その土壌において人の与り知らぬモノが芽吹き続けられる理――― だが地球よりも果て無き先を行くミッドチルダのそれは文字通り、神魔にまで及ぶ人の魔手。 「不遜極まりない人間の業の行き着く先こそが、神秘を穿つ切り札だっだとは盲点だな。 なるほど、確たる力の後押しさえあれば、人は神を殺す存在になれるかも知れん」 未だ神聖なるモノに縋り付く未熟な星の住人である言峰綺礼としては その事実が業腹なのか、人の可能性に祝福を送るべきなのか判断に迷うところであった。 「実際はそう容易い事ではなかったがね。 だから私は初戦で大層、驚かされたものだよ。 ミッドの技術によって武装された魔導士のあの体たらく…… この星の出身ですら無い、闇の書の守護騎士ですら、英霊に飲み込まれる始末だ。 ふむ……………こうなってくると、騎士や魔導士ではダメなのかも知れないと私は思ったのだ」 騎士、魔導士という類では彼らに対してアドバンテージを得られない――― 彼らには明確に信奉する神はいないが、武を目指す者特有の信仰がある。 自身が思い描く理想の武、究極の技。 そういったものを夢想し、彼らは己の肉体を苛め抜いているのだ。 「肉体の鍛錬のみで力を求めるなどという非効率な行為……信仰無くして為せる狂気とは思えないからねぇ。 だからこそ、究極の体現である英霊の威容に引きずられ、同じ土俵にまんまと乗せられてしまうわけだ。 一個の人間、一個の駒としてアレらと相対する事が、そもそもの間違いなのかも知れない」 「随分と色々考え抜いたものだ……まったく科学者という人種は99%の無駄の中から1%の真理を探り当てるというが お前を見ていると納得せざるを得んな」 素直に感心する神父だった。 魔術や神秘に全く触れてこなかった類の異世界の人間が、独力でよくここまでの仮説に行き着いたものだ。 その理論の幾つかは確実に真理のかざはしに切り口を入れているのだから本当に大したものである。 特に人と英霊を結ぶ「<」の考察については興味深かった。 人が英霊に対し、神聖なるモノに対し、「勝てない」という因子を埋め込まれているという理屈は面白い。 とある獣が持つ「霊長類に対する絶対殺害権」と同種の力が英霊にも働いていると、この男は知らず言い放ったのだから。 「そこで綺礼、最後の質問だ。 人の持つリミッター………即ち 神 を踏破し、禁断の域を常に冒してきた人種を何という?」 「…………」 「その科学者さ」 スカリエッティの口元が歪に釣り上がり、双眸が大きく見開かれる。 神殺し―――人と神魔を隔てる壁を次々に撤去してきた人種。 遺伝子に組み込まれた枷を物ともしない、神を恐れず、最も冒涜してきたモノ共の総称こそ「科学者」。 「もう一度いうが、彼女に英霊と相対するだけの魔的な要素は何も無い。 私はただ、神秘という毒に犯されず、ミッドチルダの技術力、戦力を余さず使いこなせる人材を求めただけさ。 そして私の眼鏡に最も適ったのが彼女だった」 神代の時より長い年月を経て増え続けてきた人類が 鉄と火を持って大地を犯し、神を汚し、追いやってきたように――― どれほどの威容を目にしても、全てを試験管のフラスコの中の出来事と断じ、高みから物事を観測できる者。 幻想の入り込む余地の無い生粋のオカルト殺しとは、神秘を殺しつくす知識の探求者に他ならない。 戦って勝つのではない。 英霊などという現象は、あくまで処理するもの……消し去るモノだ。 化けの皮を剥いでしまえば良い。 「神秘」というベールを剥がれれば、あれは兵器を超えるものでも何でもないのだから。 「故に覚悟しておいてくれよ綺礼……キミのサーヴァントはあっさりと五体を裂かれるかも知れない。 ピンセットで摘まれる虫けらのように、惨めに、呆気なく」 「……………」 「彼女は生きながらにして、私のいる高みに手をかけた逸材さ。 凶器と死の狭間で私の研究の残滓を拾い上げ、一つの奇跡を成し遂げた。 まあ、その成果は彼女の満足には程遠かったようだが……」 どうやって生き延びてきたのか―――? その不可能に等しい探求を虚数空間にて延々と、頭の中で巡り巡らせて来たであろう彼女――― 「unknown! unknown!! unknown!!! 久しぶりに脳髄に痺れが走るッッ! どのようなモノに変容を遂げているのか……ああ……あの頭を切り開いて存分に観察してみたいッ!」 天を仰いで狂笑に咽ぶ科学者ジェイルスカリエッティ。 こうなってしまったら、暫く会話にならない。 幾度目になるか分からない溜息をつき―――言峰綺礼は今一度、終わり無き血みどろの闘争を求める盤に目をやった。 期せずして、高町なのはが異世界の魔法使いの助言から 英霊という存在の端に手をかけたのと――― 一人の科学者が、盤に降り立ったのは――――それは同日の出来事。 天秤が再び、揺れる。 果たしてどちらに……? その答えは盤だけが――― ―――――― Emptiness ――― 降臨したその姿を――――まず初めに見た彼が思わず漏らした歓喜の叫び。 それこそ、この狂気の科学者でさえ予想のつかないモノになって現れた「彼女」に対する 男の最大級の賛辞に他ならない。 「ああ、プレシア……キミの頭の中は今、どうなっているのか……」 男の探究心を刺激せずにはいられないほどに―――今の「彼女」は反則だった。 かつて一流の魔導士でありながら、優れた科学者でもあった「彼女」。 幻想の入り込む余地のないほどにロジックを収めた彼女が――― とある理由から不可能の領域に、不可能と知りつつ、不可能を可能にするために奇跡を求めた。 その果てに非業の死を遂げた筈の彼女が、今わの際に望んだ事――それを与り知る者はいない。 分かっている事は、ミッドの技術・戦力を満遍なく学び担える逸材でありながら 晩年の「彼女」の在り様は、まるで魔術師に近い位置にあったという事。 狂気と絶望の果てに、死の海へと投げ出された彼女の瞳は―――その後、何を映していたのだろうか? 最古の英雄―――神秘の具現を犯すものの名は……… いや、よそう。 もはや「彼女」自身、己が名に微塵の意味すら感じていない。 かつて俗世に生み遺した雛鳥が自身の元に迫ってくる事など露知らず――― 全てを虚へと置いて来た筈の親鳥は再び………届かぬ奇跡を求めて羽ばたいた。 ―――――― ―――――― 「……………むう、」 王の総身に痺れにも似た感覚が走った。 それはすぐに消えてしまったが――― 彼の思考を余さず向けさせるに足る凄まじいモノだった事は確かだ。 「何と卑賤な――――飢えたケダモノですら、もう少し品位というものを心得ているぞ」 どこよりか無遠慮に纏わり付く視線を感じる。 また無礼者どもが覗いているのかと思ったが―――すぐに違うと思い至った。 いつもの奴腹とは明らかに違う、粘り、絡みつくような視線……何と卑しく、直情的に対象を射抜く感情だろう。 舌打ちを漏らすサーヴァントの相貌に、これ以上無いほどの不快感が灯る。 「それにしても――――――飽いてきたわ」 依然、代わり映えのしない破壊の渦の只中に立つ黄金の王。 凄絶の一語に尽きる光景も、数時間と繰り返されれば趣を失うのも無理からぬ事。 無様に四肢を?がれ、地を転がり這う鋼鉄の兵の残骸が、足の踏み場も無いほどに積み上がっている。 既に一刻を過ぎた辺りで、王の狂笑はピタリと止まっていた。 何時まで―――何時までこの茶番を続けるつもりか? もはやどれほど繰り返そうと王の威容は崩せぬというのに。 相も変らぬ戦の趨勢。 既に討ち果たした傀儡の数は200を超える。 舞台の中央で指揮棒を振るうかのように佇む奏者であったが、彼を中心に滅びの舞いを踊る演者は一向にその数を減らさない。 エルフの森に伝えられし破魔の矢が、弓を要さずに宝庫より打ち出される。 フィールドを抜いて敵陣を真っ二つに切り裂く妖精郷の神器。 だが、せっかくの宝具のお披露目も、その豪壮さに驚き震え、かしづく心すら持たぬ輩が相手では郷が乗らない。 討ち果たされた、その上から次々と沸いて出る傀儡兵はまるで穴倉から這い出る虫の類だ。 男の口から今一度、舌打ちと共に嫌悪の呻きが漏れる。 「頭数だけか………我と相対するに足るものは―――小賢しい」 ゲート反応は未だ衰えず、次々とフォールドアウトしてくる敵。 このような物をいくら並べ立てようと王にとって脅威にはなり得ない。 蹂躙掃射が始まってより数分間―――形だけは未だ崩れない拮抗に、男も苛立ちを感じていた。 これは千日手の兆候か? いや、無限の戦力などというものがそう有り得るはずが無い。 やがてどちらかが所持する戦力を吐き尽くし、場に屍を晒す事になるだろう。 王はその点、自身が遅れを取る事など微塵も思ってはいない。 その蔵には古今あらゆる宝具が眠っており、世界を席巻した最古の宝物庫の総量は、そのまま世界中の宝具の総数と同意。 かの蔵こそまさに、星の財産がそのまま眠りし巨大な揺り篭に他ならないのだ。 だが――――だが、問題が一つ……… 「どこにいる……我の目に届く範囲にはいないようだが」 王が雑兵に詰まされる事など間違っても有り得ない。 だが、そもそもこれは序盤の配置からしておかしかったのだ。 敵は……片方は―――――― ――― そも、盤に詰むべき王将を並べていない…… ――― ―――――― これがゲーム盤であるならば、それは反則などというレベルの話ではない。 片方に勝利条件が伴わないゲームなど、ゲームとして成り立たない。 先ほどから世界を統べからく見通す王の目を以ってしても、敵の位置を掴めない。 これではいかにギルガメッシュとてどうしようもない。 双方、決して詰まされる事のないゲーム―――即ち千日手。 だが、いかに鉄壁を誇ろうと戦場に首を晒していれば万が一、という事がある。 対して自身の位置すら相手に示さぬプレイヤー。 どちらが有利か不利かなど論ずるまでも無いだろう。 彼が揺ぎ無い事を考慮に入れてなお――――このままではいずれ天秤は傾く。 「我を見下し―――頭上より次々とゴミを投げ捨てるかのような振る舞い…… 赦さぬ…………赦す道理が見つからぬ!」 倦怠が再び怒りとなって王の双眸を灯し、天を仰ぐ。 ギリギリと歯を噛み鳴らす男。 もはや彼とて感じずにはいられない。 敵の尽きせぬ不遜を。 偉大なる王を啓蒙せぬ無礼極まりない悪行を。 その微かに乱れた思考の隙に―――― 「―――――、ええいッ」 全身をなますにされながらも、数体の傀儡が王の頭上に辿り着いていた。 第何十陣になるかという敵の攻勢がついに報われた瞬間である。 「……無駄だというのが分からぬか!」 だが、それまでだ。 攻防一体の宝具は揺ぎ無い。 弾幕と共に鉄壁の防壁が王の周囲に張り巡らされる。 常に闊歩蹂躙してきた彼がこのように守りを固めるのは珍しい。 久方ぶりの戦場故、慎重になっているのだろうか? 何にせよ、こうなったギルガメッシュはまさにバビロニアの黄金要塞―――付け入る隙が無い。 手足を、胴を串刺しにされながらも敵を直下に迎えた物言わぬ兵士達。 彼らに許された攻撃は、その手に携える得物をギルガメッシュに向かって1投するのみ。 それだけで、時を置かずに放たれたバビロンの斉射によって彼らは粉微塵と化す。 「―――、ハ」 あまりにも無力に過ぎる相手に、かの非情な王とて哀れみを感じずにはいられない。 放たれた数本の槍、斧、大剣が王の直下に降り注ぐも、あんなものは引いてかわすまでも無い。 瑣末な投擲は、彼にとって流れ弾ほどの脅威も無く、張り巡らされた盾に容易く阻まれて惨めにその役目を終えるのみだ。 ……………………、、、そこで王は、一瞬―――弛緩した ――― そして、その時……… ――― 「な、にィッッッ!!!!?」 サーヴァントの、その瞳が盛大に歪み―――― 保たれていた均衡があっさりと崩れ落ちる兆候が、場を支配したのである。 ―――――― 余裕にして優雅さすら感じさせていた英雄王の相貌が、驚愕を称えて歪む。 「貴様っ………アー………チャーッ!!!」 地の底から響くような怨嗟の声を紡いだ英雄王。 その視線の遥か、遥か先にて――― ギリ、ギリ、と両腕の筋肉を軋ませて弓矢を構える、あの英霊の姿があった! 標的は――――もはや言うまでも無い。 時間の流れが圧縮される――― 秒が分に、刹那が永劫に感じられる――― 近代兵器のライフルを精度、威力で遥かに上回る、弓のサーヴァントの狙撃。 伏して待った好機を不意にするような愚鈍ならば彼は弓兵などとは名乗っていない。 手向けの言葉すら発する事無く、既に中つ事を約束された宝具の矢が今―――― アーチャーの手から放たれたのだ! ―――――― 緩やかに、緩やかに、時という名の壁を切り裂いて王の下に飛来する矢。 ゆっくりと、ゆっくりと、引き伸ばされた時間の波を泳ぐように――― だが引き伸ばされたのはあくまで体感時間のみ。 ギルガメッシュが新たなる宝具を取り出す暇などある筈が無い! 既に展開した防護陣―――堅牢鉄壁なのは言うまでもなかったが 其が元々、別々の宝具を寄り合わせて形成された防壁である以上、継ぎ目は隠しようも無い。 ならば防御と防御の隙間を穿つは弓兵の得意分野。 弓矢の威力の常識を超えた 「壊れた幻想」 ブロークンファンタズムによる一撃が――― 「がァッッッ!!!??」 ギルガメッシュの防壁の隙間を穿ち、数個の盾をまとめて散り散りに吹き飛ばしたのだ! 弓兵とは、敵の鎧と鎧の継ぎ目をすら狙い打つ化け物の総称だ。 そんな針の穴を通す一射を宝具の弓でやられたのだからたまらない! 破壊の飛沫が王の尊顔を犯し、傷つける。 辛うじて踏み止まりはしたが、膨大な魔力を持つ複製された宝具の爆発により爆ぜた上半身はバランスを崩し 展開したバビロニアの城塞防壁が余さず吹き飛ばされ、手甲が粉々になるに留まらず、王の腕の付け根が抉り取られる! 苦痛よりも勝る憤怒に顔を歪ませる英雄王。 この世で最も尊い肉体の流血―――認められる筈が無い。 怒声はくぐもって声にならず、横槍を入れた贋作を憎しげに睨みつける。 その視線の先……弓兵がニヤリと嗤い――――指先をスッと天に向ける。 攻防共に愚昧を寄せ付けぬからこそ王。 だが圧倒的であるが故に―――――― ――― 玉座とは一度、傾けば脆い ――― 「っ!? しまっ………!?」 それが天の裁可だ、といわんばかりの弓兵の表情に臍を噛んだ時にはもう遅い。 やがて凝縮された時の流れが元の速さを取り戻し――― 彼の直下、完全無防備となった肉体に、傀儡兵より投擲された数本の刃が降り注ぐ。 ――― ズド、ガッ、グシャ、 ――― ――――――――千日手は………いとも簡単に覆された。 戦場を彩ってきた豪壮なそれとはあまりにも相反する呆気なさ。 あっさりと………場に、肉体を肉隗へと変える音が響き渡ったのだった。 ―――――― ARCHER,s view ――― 「………………」 敢え無く決着を見た戦場―――そこから四里ほど離れた藪の中に私はいた。 「………呆気ないな、英雄王。 キミは一体、何度同じような終わりを迎えれば気が済むのか?」 弓を番えたままに乾いた笑いが漏れる――――― この身は人類最古などと比べるべくもない、今より先の時代より遣わされたサーヴァント。 人々から崇拝はおろか、理解もされぬままに英霊となったが故に至った境地がある。 その心の有り様もまた、奴とは一線を隔すもの。 現代においては―――英霊などというモノは思うほどに磐石でも絶対でもないのだ。 それを理解しているが故に、宝具の相性以前に私は奴など敵ではないと断言出来る。 未だに最強無比の夢に惑い、呆けた王の寝首を掻くなど造作も無い。 今までの仕事に比べればラクなものだ。 いい加減、次があるなら学んでおけよ英雄王―――いらぬ誇りや慢心など、蛇にでも食わせてしまえ。 「しかし………私を囮に英雄王を釘付けにし、鳥篭に囲って安全な場所から敵を殲滅。 惚れ惚れするほどに見事な手際だな」 どのような状況であれ、奴を生かしておいて好転する事態など絶無。 ここで倒せるならばそれに越した事はない故、馬の骨とも知らぬ輩の手管に乗ってやった。 この結果に唱える異など持ち合わせてはいない。 さて、通例ならばこれで終わりの筈だが…… 出来る事なら、このまま永久に黄泉平良坂へ堕ちて欲しいものだ。 散り際を弁えぬ英霊ほど無様なモノもあるまい。 義理は果たした――― この私を囮に使い、あまつさえ共に討ち抜こうとした輩。 話せば案外、気が合ったかも知れんが……… ともあれ、あとは野となれ山となれだ―――好きにするが良い。 ―――――― こうしてマスターでもない「司令者」に最低限の義理を果たした後、弓兵は闇に消える。 その背中を追う黒衣の燕尾の影に――――気づかないままに。 舞台は再び、決着を見た戦場へ――― ―――――― 「酷いなぁ………みんなして寄ってたかって」 場に、緊張感の欠片も無い間延びした子供の声が紡がれた。 「一応これ、ゲームなんでしょう? やり過ぎは白けますよ? まあ日頃の行いがアレなので、報いを受けているのは理解してるんですけどね」 決着はついた筈だ。 盤に沸いたバグ―――英雄王ギルガメッシュの掃討はここに果たされた。 ――― では、ならば……………この子供は何なのか? ――― 先に斃れた英雄王と数分違わぬ金の髪に灼眼の双眸。 その表情は比べようも無い、穏やかで慈愛すら感じさせるもの。 「いや、散り際云々と言われても困るんですよ。 何せ、ここでの 死 は本当に不味い。 ついうっかりで死ぬわけにはいかないじゃないですか? 大人の僕でも流石にその辺は弁えているようで……ねえ?」 だが同時に、子供の纏う威圧感は彼らが同一人物であることを微塵も疑わせなかった。 いずれは神すら脅かす最古の暴君となる―――その前の、見違えるほどに尺の縮んだ彼。 縮んだが故に、額を、心臓を、肩を、袈裟架けに裂く筈だった刃は素通りし 一歩も動かなかった少年の肉体を、刃が自ずと素通りしたかのような異様な光景を場に映し出した。 まるで天意が味方し、ここに少年を討つ事を拒否したかのような――― 「あたた……ちょっと体が削られていますね……」 彼の両の瞳が、自身に迫る無機の兵団を―――その先にある敵の姿を見据えて射抜く。 既に制空権は敵のものだ。 数百を超える鉄騎兵が空を埋め尽くし、蒼を鋼色に染め上げていた。 その直下にて、ギルガメッシュ少年は先ほどの気配。 虚空を超えた先にある存在感を今一度、確かに感じ取る。 「まったく大人の僕にも困ったものです。 コレしかないと分かっていても、気にいらない相手には使えないだなんて…… まあ本来、今の僕には到底扱えない代物ですけど――― 今回はパラメーターUP使い放題だというし、何とかなるのかな?」 紡がれた盤上が興奮に身悶えし、更なる闘争と血肉を求める中で――― 少年は、小さな手には不釣合いな円柱の剣を構えて笑う。 朗らかに、人懐っこく哂う。 決して翻弄されぬ神秘を背負いし少年王が――― 「さあ行きますよ、エア―――恐い人を引きずり出しちゃって下さい」 ―――――――――――――今、虚なる者に逆王手をかける。 前 目次 次
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??? ――― 次元の狭間にたゆたい、禍々しい全容を横たえる聖王の揺り篭レプリカ。 かつて古代ベルカにおいて最強を誇った偉大なる王をまるで敬畏せぬ偽りの玉座。 今、その内部の広間の薄暗い一室にて――― ――― パンパン、パン、!!!――― ―――と、クラッカーの弾ける音が鳴り響いていた。 ―――――― 「「……………」」 クラッカーの洗礼を受けたのは二体のサーヴァントであった。 色彩彩の紙屑が彼らの頭にファサリと落ちる。 まるでワカメを被っているようだ。 小学校の学芸会を思わせる趣。 生体ポット部分にかけられたさもしい垂れ幕には「おいでやす」という手書きの文字が。 紙ふぶきが宙を舞い、蒼躯の男と紫紺の女の頭上に降り注いだ後……再び部屋を静寂が支配する。 「「「「……………」」」」 熱烈な歓迎を受けた者達は只々、無表情。 歓迎の意を表した者達もまた同様に次のアクションを起こさない。 場は再び膠着状態へと移行する。 (おい、大丈夫なんだろうなチンク? これは俗に言う、ドン引きというやつではないのか?) (問題ない……私を信じろ。 短い期間だったが局の人間と接触を持った身。 人を歓迎し、迎え入れるとはこういう事だと学んでいる) 英霊の眼前には、理想的なフォームで対象にクラッカーを撃ち込んだトーレ。 さながら敵陣にアサルトライフルをぶっ放す突撃兵のような身のこなしは見事の一言。 そして剣の英霊の時のような失敗は二度としないと意気込むチンクは意味不明などや顔。 隅では苦笑する長女ウーノと――――「くっだらない…」と一言、タンバリンを放り捨てるクアットロの姿があった。 「―――――――――何だ、こりゃ?」 「私が知るわけないでしょう」 長髪を湛えた頭を犬猫のようにぶんぶんと振るライダー。 被った紙葛が床に落ちる。 「だろうな……おい!」 機人に手を引かれるままに付いてきたサーヴァント2体―――ランサーとライダーは呆気に取られたままだ。 だが決してこのような茶番の舞台に上げられるために来たわけではない。 槍兵が口を開く。 「まずは説明してもらおうか……」 「はい。 では私から」 「いや、他の奴は取りあえず引っ込んでてくれねえか……なあ!」 長女ウーノが一歩前に出てランサーの問いに答えようとするも、男はそれを切って捨てる。 常時は享楽的な槍の英霊だが、今は瞳に冷徹な光を宿している。 周囲に気を許さずに前方を睨み据える双眸は、まさに臨戦態勢のそれに相違ない。 「暫く見ねえうちに女に囲まれて大層な身分じゃねえか――――なあ、言峰よ」 そして長椅子に悠々と腰掛けているカソックの男に吐き捨てるような言葉を投げかける。 その姿を認めるなり、男は湧き上がった敵意を微塵も隠さなかった。 得体の知れない者達の歓迎など頭から吹き飛んでいたのだ。 「暫く、か………その様子では時間の概念を語るほどに己を掴めているかも怪しいな。 痴呆と語るゆとりは私には無いぞ、ランサー」 「………クソが」 意味深々な言葉をちらつかせて相手を弄ぶ男の様は相変わらずだ。 ランサーの苛付きは増すばかり。 記憶の混在、自身すらあやふやな現状の把握を、と付いてきた槍兵と騎兵。 てっきり冬木の教会辺りにでも搬送されるのかと思っていた二人だったが、いざ連れて来られた場所は彼らの予想の範疇を遥かに超えていた。 この冗談みたいな空間は何だ? 明らかに「世界」そのものが違うと、英霊二人は即座に理解した。 雑多に並べられた計器の数々。 モニターに映るのは―――今まで自分らが歩を構えていた地球であった。 「もはや誰でも構いません。 どういう事か説明して貰えないでしょうか? 私に理解、納得出来るようにハッキリと」 「宜しい! ならば私から説明しよう!」 大仰に一歩、前に出たのは言峰綺礼の隣に座していた男。 神父とは対照的な白衣に身を包み、明らかに正気と一線を隔す眼光を彼らに向ける。 今やこの世界の創造主にして神である―――ゲームマスター・ジェイルスカリエッティが初めてサーヴァントと邂逅した瞬間だった。 男が立ち上がった瞬間、周囲の壁面だと思われていた部分に映像が投写される。 360度モニターが彼らを囲み、様々な3D映像を場に映し出す中で――― 「ようこそ英霊諸君! ここが世界の心臓だ!」 無限の欲望と呼ばれた男が歪な笑みを浮かべるのだった。 ―――――― 神々の遊戯盤――― 次元を犯し、融合させて世界を創り、双方の名だたる闘士を招聘して闘わせる、ただそれだけのロストロギア。 誰が何のために造ったのか分からない。 それは、あるいは本当に神に等しい存在が遊戯に耽るためだけに生み出した戯れの品なのかも知れない。 歪なまでに巨大なゲームデッキとも言えるそれ。 このゲームを行うにあたって今回、遊戯盤によって招聘された 駒 の役目を果たすのがサーヴァントだった。 彼らは第五次聖杯戦争という一つの事象における様々な可能性、様々な結果を元にして ロストロギアがデータ化して作り上げた勇猛なる兵士たちである。 このゲームを勝ち抜くためにまず必要な事が、彼らを使役し使いこなす事だ。 その方法は幾つかあるが、そのうちの一つとして―――― ―――――― 目まぐるしく写っては消える左右上下の映像をまじまじと見せ付けられるサーヴァント達。 「ありゃ……俺じゃねえか」 ややもして口を開いたランサーの第一声がこれだった。 ライダーの隠された双眸も驚愕に染まっている。 そこには彼ら……否、彼らだけではない第五次聖杯戦争のサーヴァント達が死力を尽くして相争っている様が映し出されていた。 槍兵は見据える―――セイバーとの初戦、アーチャーのアイアスと激突するゲイボルク、一昼夜にも及ぶ黄金の王との戦い 騎兵は見上げる―――エクスカリバーに焼かれる自分、アサシンとの邂逅、相見える黒き騎士王との闘い だが……だが、おかしい? もはやその違和感は確固たる矛盾となって英霊達の頭を苛む。 「ちょい待て! ちょい………少し整理させろ!」 豪胆な英霊をして浮き足立つのも無理は無い。 ただでさえ、場違いな空間にて居心地の悪い思いをしているのだ。 俗に言う、映画やアニメなどで見る近未来SFを模した舞台装置。 そんなモノが実際に起動しているだけでもおかしいし、古き神話の英霊達を囲う鳥篭としてこれほど似合わぬものも無い。 「体中がムズムズしやがる……紅茶に納豆ブチ込まれるくらい、肌に合わねえ」 「田舎者は辺境の島国で槍でも振っている方がお似合いだという事でしょう。」 「お前、変なとこでスレてるよね……」 どれだけ都会慣れしているかの指標は即ち、ハイテクに対する垢抜け方で決まる。 その点、彼女は衛宮家においてただ一人、ウォシュレットの直撃に眉一つ動かさなかった女傑である。 「何にせよ話を続けましょう。 私達サーヴァントを顕現させたのは聖杯ではなく、そのロストロギアとかいう代物――― この身を召喚したのはマスターではない……貴方の言う事を総括するとこうなりますが?」 「そう、取りあえずはコレがキミ達の知っている聖杯戦争ではない事を頭に入れて欲しい。 細かいルールはおいおい説明するが…… 正規の召喚に基づいた物でない証の一つとして、キミ達の令呪……機能していないだろう?」 言われて確かめるまでも無い……今やはっきりと知覚出来る。 自分達が冬木の奇跡によって招聘されたサーヴァントではないという事実が。 「とんでもねえ事をサラリと言いやがったな……通例として、こういうのは少し勿体付けるもんだと思ってたが」 「これ以上待たせてキミの槍が我慢出来るとも思えなかったのでねぇ。 我ながら賢明な判断だと思うよ……フフ」 サーヴァントは令呪という首輪を付けられる事によってマスターに使役される。 これが聖杯戦争の不文律となるルールだったが、スカリエッティはその大前提をあっさりひっくり返した。 だが、そうならばシグナムとフェイトに対してランサーが全力で戦えたのも説明できる。 彼は本来、主である言峰によって「初見の相手と全力で戦うな」という縛りを設けられていたのだから。 質問を続けるサーヴァント達。 「様々な次元だとか言ったが……そりゃまさか…」 それはつまり「並行世界」という事なのだろうか? その概念を曲がりなりにも犯しているなどと、聞き流せるものではない。 「恐らくはパラレルワールドと言っても良いだろう。 キミらの記憶の混雑はそのためだよ。 一つの器に、多岐に渡る異なる自己を容れたとあっては当然、混乱を招くだろう。 まあ、これは展開・状況によって天と地ほどもパラメーターの異なるサーヴァントに対する救済措置とでも思ってくれて構わない」 状況、状態によってはまるで力を発揮出来ないサーヴァントもいるだろう。 ライダーが鮮血神殿、キュベレイの魔眼、騎英の手綱と紛う事ない全開を出せたのもこのためだ。 間桐慎二がマスターではきっとこの半分の力も出せていなかったに違いない。 全てはバトルを公平に規すための措置だと博士は言うが――― 「それって―――場合によってはとんでもない事にならねえか?」 「現世において並行世界の運営は魔法の域だと聞いています……それをこうも容易く」 「ふむ……良いんじゃないかな。 人ならざる神の手による逸物だからねぇ、コレは。 運命の行き着く先もまた神のみぞ知る! 実に面白い!」 「適当な話だなオイ」 それはみだりに踏み込んで良い域ではない……ましてやこのような戯言で。 魔術協会が聞いたらダース単位で殺し屋を差し向けてくるような発言だったが、博士の口調に緊張感は全く無かった。 得もすれば根源に抵触する事態であろうとも、この男にはさして興味が無いのだと一目で分かる。 「冗談じゃねえぞ……意識したら余計に頭がイカれて来やがった」 「要するに私達はお遊びのために作成されたゲームキャラクターに過ぎないと? 急場凌ぎで作られた器に記憶と力を詰め込まれただけの」 「有り体に言えばそうなる。 理解が早くて助かるよ」 いけしゃあしゃあとのたまう博士だった。 英霊に対する敬いも畏れも微塵もありはしない。 神聖なる彼らの身を冒し尽くしているという罪悪感も同様に。 ランサーもライダーも別に自らが尊敬されたいと願う気性の持ち主ではない故に気にも留めないが――― この男と英雄王辺りをかち合わせたら、それはもう最悪だっただろう。 気だるげに頭を振るランサーに、腕を組み何かと考えているライダー。 取りあえずこの世界についてこれ以上聞いても今は整理がつかないだろう。 他に気になる事もある。 「ところで俺らと戦ったあの嬢ちゃん達だが……」 「彼女達は何者ですか? アレもどこかから集めてきたデータだと?」 「あれはキミ達の対戦相手にして、私達の対局相手。 駒にして指し手。 この次元犯罪者ジェイルスカリエッティを追ってきた時空管理局の魔導士。 それも個々の力が一軍に匹敵すると言われるSランク魔導士たちさ」 「ジクウカンリキョク? ああ、そういやそんな名前出してたな奴ら」 「サーヴァントでも魔術師でも無い、全く別の勢力だったというわけですか……道理で会話が成立しなかったわけです」 「その力はキミ達の味わった通り。 英霊諸君と相争うに不足の無い駒だと思うのだがどうかね?」 「どうも何も―――」 冷笑を返す騎兵。 そんなモノと何の意味も解さぬまま、息も絶え絶えに戦わされていたのだ。 間抜けな話であり、本来なら文句の一つも言ってやりたいところだが―――実りある出会いもあった事だし、ここは大目に見よう。 「しかし………妙ですね。 駒である我々と対戦すると共に、貴方がたとの対局も兼ねると仰いましたが?」 ライダーの疑問は真っ当なものだ。 サーヴァントが駒であり、盤上で敵の駒を倒す兵隊だというのは分かった。 しかし、故に彼らには指し手としてゲームを動かす権限は与えられていない。 というのに魔導士たちは、駒と指し手の両面から戦わなくてはいけないとでも言うのか? それが有利なのか不利なのかすらランサーとライダーには分からないが、取りあえず妙な話ではある。 「元々、管理局とまともな勝負をしようだなんて思っていませんの、私達は。 奴らをこの虚偽空間に引き入れ、一方的にゲームに巻き込んで 敵が状況を把握する前に叩き潰してしまおうというのが当方の魂胆ですわ♪」 その疑問に、タンバリンを足で弄びつつ答えたのは4女クアットロ。 そう、これは互角の勝負では断じてないのだ。 互いに顔を突き合わせての対局ではなく、いわば詰め将棋。 盤面に配置した敵を、味方の駒でどう詰めるかという戦いなのだと機人の少女は言う。 「なるほどな…………要はお前ら卑怯者か」 「そう言われても仕方の無い所だがな……残りのガジェットも含めた我々と時空管理局の相対戦力比は、もはや語るまでも無い。 これに勝ったとて次、次に勝ってもそのまた次、恐らく敵は途切れる事なくやってくるだろう」 「だけど揺り篭という切り札を失った私達には、もはやこんなゲリラ戦法でしか局と戦う術は残っていません」 「展望は正直言って厳しいけれど、それでも希望はゼロじゃない。 このゲームで回を重ねる毎に、掬い取った駒を戦力に引き入れ、徐々に管理局に相対する無敵の兵団を作り上げる。 貴方たちをリアル空間に顕現させる術も八割方、完成している今……… 当初は雲を掴むようだった話が、決して夢物語では無いところまで来ているの」 「要は実益を兼ねたゲーム……いや、レジャーという名の博打ですわね。 その栄えある一回目の相手が、あの憎き機動6課の面々というのは何の因果か…… こちらも説明書片手にプレイしているようなものですし、初めはもうちょっと弱っちい相手とやりたかったというのがホンネなのだけれど♪」 博士に続いて次々と言葉を重ねていくナンバーズの姉妹たち。 並行世界? 神秘の具現たる聖杯戦争を模して作られた遊戯盤? ほとんど冗談のような話だ……一体どこまで信じれば良いのか。 顔を見合わせる両サーヴァント達だったが、続けて男が思い出したように口を開く。 「さし当たって聞きたいことは山ほどあるんだけどよ…… 取りあえず―――――――何でソイツがそこで踏ん反り返ってんだ?」 顎で指して黒衣の神父を見据えるランサーである。 「仮にもマスターに対して、その口の利きよう。 不快に過ぎるな。 不忠のサーヴァントここに極まれりと言ったところか、ランサーよ」 「こいつらの話が本当なら既にマスターじゃねえだろうが、てめえは」 「彼は我々の説明書、とでも言えば良いのか……案内役であり私の話相手だよ。 場が聖杯戦争という事で最も相応しい人物を盤に求めた結果が彼だった。 しかしまあ、呼んでみるとなかなかに面白い男でね。 未だ数ヶ月弱の付き合いだが良い友人になれそうだよ……フフフ」 「物好きなこった…………………ところで言峰よ―――改めてお前に聞きたい事があるんだが」 「何だ? 私に答えられる事などそうはないぞ」 「俺のこの身が聖杯戦争の様々な可能性の集合体と言ったな? ならば当然、俺が勝利した未来もある筈だな?」 「無きにしも非ず。 よほど上手く立ち回ったのならば有り得たかも知れん」 周囲のスクリーンを一望して、槍兵は大仰に問う。 取りあえずこの世界の諸所諸々の情報は得たが―――言峰綺礼を前にした槍兵にとって、そんな事は二の次だった。 ランサーが神父に叩き付けたい言葉は今、一つしかない。 「さっきから必死に記憶を探ってるんだがよ………お前に騙し打ちにあった俺の元マスターだ。 あいつと共に戦い、勝利した記憶が欠片も引っかかって来ねえのはどういうわけかな、こりゃ………?」 そうだ……この男はランサーにとって主の仇に他ならない。 英霊の言葉の裏に潜んだ物騒な殺気に機人達が息を呑む。 客人がこのサーヴァントの主であると聞いて安心していたのだが………実際引き合わせて見るととんでもない。 「ク………クックックックック……」 これは―――この二人は、間違っても主従の契りに結ばれた間柄などには見えない。 くぐもった笑いを返す言峰綺礼。 ランサーはまるで噴火寸前の火山のようだ。 「それは簡単な事だランサー………あの女はな、ありとあらゆる事象で私に令呪を剥ぎ取られ 早々に野垂れる運命にあったのだろうよ。 ただの一度の例外なく、私を疑わなかった愚かな女というだけの事だ」 「――――――――――て、めえ………ッッ!!!!!」 猛犬が歯を噛み鳴らす音が場に響いた。 もはや令呪による縛りもない。 彼の槍が神父を貫くのに何の障害もありはしない。 一触即発の空気……言峰綺礼の前に壁となって立つナンバーズの3と5と7。 彼は博士の客人だ。 殺させるわけにはいかない。 「…………女の尻に隠れやがって………」 後ろ手に構えた槍を下ろすランサーである。 あれは百回殺しても飽き足らないモノだったが、今はまだ暴れる場面では無いと踏んだのだろう。 胸を撫で下ろす機人達であった。 「よりによってソイツを自陣に引き入れるとは馬鹿な奴らだぜ。 お前ら全員、内蔵から腐れて死ぬぞ………断言する」 「何にせよ私には関係の無い話ですね。 お遊戯でも何でも好きにすると良い」 「待てっ!」 踵を返そうとするライダーに対し、3女トーレが立ち塞がった。 首を傾げる騎兵を戦闘機人の鋭い眼が射抜く。 「言った筈だ。 もはやお前達に選択権は無い……帰る場所もな」 「怒りはもっともだが、もはや私達はお前らの力に縋るしかないんだ……力を貸してはくれないか?」 それぞれ異なる態度で接して来る少女たち。 当のスカリエッティとかいう首魁よりも彼女達の方が積極的に見えるのは気のせいか? どうしたものかと肩を竦めるライダーだったが――― 「…………サクラは」 ともあれ、初めて彼女らに自発的に口を開く騎兵。 倦怠に塗れた様相が、その名を口にした時だけ様子が変わる。 「我がマスターはこの件に関わっているのですか?」 「いや………基本的にマスターと呼ばれる人間は呼ばない。 呼ぶメリットがないし、お前たちサーヴァントを我々が使役する邪魔にしかならない」 「―――――そうですか」 取り合えず彼女が考える第一はそれだった。 間桐桜までもが、この怪しげな空間に囚われたとあってはのんびりと構えている余裕は無くなる。 「で? 俺たちに何をしろってんだ?」 「取りあえずランサーには姉妹達が動く際の手助けを。 ライダーには同じく輸送・運搬をお願いしたいのだが」 「俺がパシリで―――」 「―――私がアシですか」 「不満かね? これは綺礼の助言を元に適材適所を見越して当てた役割なのだが……」 「不満を垂れる道理などなかろう。 どの道、それ以外の役には立たぬ奴らだ」 「「殺す」」 ハモるサーヴァント2体。 再び、なだめるナンバーズ達の苦労と心労が涙を誘う。 巨頭と巨狂の板ばさみ……円形脱毛症になる姉妹が出ても不思議ではないと思われる。 「で、その申し出―――俺らが断ったらどうするよ?」 「どうもしないさ」 「ああん?」 「それもまた一つの選択……私の構築したゲームをNPCとして存分に楽しんでくれ給え」 「泳がせようってのか? ここまで大仰な仕掛けを打っておきながら……信じられねえな」 「私は私の手足に制約をつける事を好まないというだけの話だよ。 助力が欲しい時はキミ達に依頼するが、それを受けるも断るも自由。 フフフ、自身の駒があるいは自分に刃を向けてくる埒外もまた……命の揺らぎが齎す必然というわけさ」 魔犬の双眸がスカリエッティを射抜くが、白衣の男はどこまで行っても掴み所が無かった。 言って愉悦と狂気を孕んだ笑みを向けるジェイルスカリエッティ。 奇妙に歪むランサーの相貌に写す感情は――― ――― ワケの分かんねえのが二人に増えやがった… ――― で、ある。 ―――――― 一通りの問答を経た後、二人は艦内の割り振られた部屋に連れていかれる。 「意外でした。 貴方があの監視役を殺さなかったのは」 「奴など何時でも殺れる……正直、そんなどころじゃねえってのが感想だ。 それに―――」 ランサーにはセッテが、ライダーにはトーレがそれぞれ傍に付いていた。 目付け役、見張りと言ったところだろう。 「あの用心深い根暗野郎が何の策も無しに俺の前に立っている、というのがどうにも解せなくてな。 取りあえずは様子を見る事にした」 「…………」 「で? 正直、ありとあらゆる状況にまだピンと来ないわけだが……どうするんだ、お前は?」 「愚問です。 サーヴァントは己がマスターにのみ仕える。 あのような輩に飼われてやる義理はありません」 「そのマスターがいないんだとよ………俺はいるけど」 「おや? この者達の世迷言を鵜呑みにするのですか?」 「「………」」 見張りの前だというのに今後の方針を平気で語り合う英霊たち。 こちらに聞かれても一向に構わないという事だろうが、豪気な話である。 顔には出さないにせよ後ろに付く機人たちの心胆も決して休まることはない。 「まあ、それはそれで―――私はしばらくここに身を置こうかと思います」 「言ってる事が違うじゃねえか」 「暫くは状況の推移を見るために潜伏します。 傷も治りきっていませんし、ここにいれば何かと不自由しなさそうですからね。 彼らが私を制御するためにサクラに気概を加える可能性もまだ捨てきれない」 「なら俺は白衣野郎の言葉通り、好きにさせて貰うかね。 おい、外には出れるのかい?」 「……………可能です。 但し監視と制限は付けさせて貰いますが」 「そうか――――ま、ヨロシクな」 「ヨロシク」 ニィ、と不敵な笑みを向ける英霊2体。 「「……………」」 友好的とは程遠い笑みだったが、無言で答えるトーレとセッテ。 得体の知れない状況に置かれているというのに何という堂々たる態度だろう。 というより…………ず太いのか……色々と。 様々な思惑の元、こうして2体のサーヴァントが機動6課の宿敵ジェイルスカリエッティの食客として招かれた。 顔を突き合わせる4者4様。 表面上は平静を取り繕っている機人であったが、このじゃじゃ馬を乗りこなせるか否かによって自身らの命運が決まるのだ。 今、彼らには令呪の縛りが無い。 だが――――その先をスカリエッティは敢えて口には出さなかった。 ――― 未知なるルールにはサーヴァントの「令呪」をも復活させる方法がある ――― これこそサーヴァントを使役するための攻略法に他ならない。 モノにしなければ………英霊を従属させる事など夢のまた夢であろう。 果たして彼らは心強い駒となるのか、それとも自身らを滅ぼす災厄の札となるのか――― 決して易くは無い手綱を握るであろう両の手を今、しかと握り締めるトーレとセッテなのであった。 偽りの玉座が虚空に浮かぶ。 刻は開戦より1月と13日。 盤上では新たなる戦の火蓋が切って落とされる―――――― ―――――― ―――――― 渡り鳥は幼い頃に生まれ育った町並みを決して忘れない―――― 彼女が雛鳥だった頃、それはとてもとても大きな巣として常に彼女の眼前にそびえ立っていた。 そこでの暮らしは決して良い事ばかりではなかったけれど、それでも雛鳥にとってはかけがえの無い思い出の場所。 だから―――――――頭の中が真っ白になった………… 病み上がりの体が火がついたように熱い。 ビルの谷間を一心不乱にひた走る黒衣の背中を美しい金髪が叩く。 まさか――――――まさか――――― 形だけを似せた同型のものなどいくらでもある。 だけど、他ならぬ自身が生まれ育った庭園……幼い脳裏に焼きついた郷愁。 景観、色彩、破損している箇所までもが彼女の脳裏に焼きついたものと同一であるならば? それは間違いなく自身の知るあの庭園であると、彼女を確信させるに余りあった事だろう。 眼前に広がる災厄の嵐。 本能が――――あれが他人事ではないと告げる。 かつて雛鳥だった彼女は走る。 ひたすらに走る。 この先に待ち受けている、身を引き裂かれかん程の過酷な運命を知らずに―――― ―――――― 遮二無二、疾走するフェイト。 目指す先にて広がる崩壊の亀裂。 時は、その一刻ほど前に遡り――― ガィィィィンッッ!!!!!!!、と――――幾度目かになる爆光が周囲を奮わせた。 sword dancing ――― そこは適度に茂った草木以外、地平の果てまで視界を遮るもののない寂れた郊外だった。 見晴らしの良い平野部にて、分にして10を数えぬうちに起こった力と力の激突。 邂逅は既に百を超え、辺りには「彼ら」の牙である剣が地に突き立つ。 対峙するは黄金の鎧に身を纏ったあの暴君である。 金色の王気を纏いて立つその姿は変わらず万夫不倒。 高町なのはとセイバーを同時に相手取り、退けるというバケモノじみた所業を示した魔人―――ギルガメッシュ。 全ての事象が我のためにあると言って憚らない偉大なる英雄王がそこにいた。 「――――――贋作者(フェイカー)」 そして―――忌々しげに呟かれた彼の視線の先で佇むのは……… 赤い外袴を身に纏う一人の騎士だった――――――― ―――――― GILGAMESH,s view ――― この茶番を偶然によるものと考えるほど我は暢気では無い。 我が身はかの箱庭における猛毒に他ならぬ。 自浄作用としての抗体が働き出すのもそろそろだと思っていたが――― まったく我が御前に立つ者として「コレ」を選ぶとは、なるほど愚物も少々の知恵を働かせてきたという事か。 「相変わらずだな英雄王。 万物を見透かしたような素振りだが―――ひとまず、私にも状況を説明してくれないか?」 「貴様に賜ってやる言葉など無い。 失せろ」 虫を払うかのように右手を払う。 10を超える宝具が奴に向かう。 それを小賢しくも相殺してのける奴。 忌々しい………相変わらず姑息に立ち回る下郎よな。 「ふむ、まあ私とお前がこうして出会ったならば談笑に花を咲かせる意味も必要性も皆無――重々、理解している。 こちらとて敵をむざむざ逃がす気は無い。 すぐに決着をつけるのも吝かでは無いが 趣を尊ぶ英雄の王らしからぬ振舞いには少々、違和感を感じている。 さて……」 「薄汚い贋作を相手どっての趣などに興味は無い。 だが、そうだな……一つだけ教えてやろう。 それはな――――貴様の道化ぶりがついに神域に達したという事だ」 肩慣らし程度に並べた宝具を悉く打ち返す贋作。 不愉快に過ぎる光景ではあるが―――ク……… 「その嘲笑のままに、また道化に屠られるか英雄王? 茶飲み話も出来ぬとあらば、面を突き合せるのも不愉快であるのはお互い様。 挨拶はこの程度にして―――貴様を早々に屠ってしまっても構わないかね?」 雑兵がほざく。 既に自己を喪失した人形である事を自覚出来ない駒の分際で。 見るも無残、聞くも無価値な残骸風情が、この我の手を煩わせるというのか? セイバーの時と違い、このような手合いに今更感じる因縁など無いが…… 「ふん……まあ、この王を阻むべく用意した駒であるならば致し方無い」 英雄王に踏破される覇道の第一歩を―――― この不埒物の血で染め上げるとしようか。 ―――――― ―――――― 錬鉄の騎士アーチャーと英雄王ギルガメッシュの戦いは突然にして始まった。 既に双方、相手に語って聞かせる事もなく、出会えば互いに滅ぼし合うしか無い間柄。 邪魔者も制止するマスターもいない以上、出会いと同時に己が刃をぶつけ合う以外の選択肢が彼らにあっただろうか? 「ゲートオブバビロン」 それが例え――――片方にとって最悪の相性となる戦いであったとしても。 「I am bone of――」 アーチャーが己が内に埋没する。 その度に投影されていく無数の剣。 それらが数分の狂いもなく英雄王の宝具を迎撃する。 徐々に徐々に激しさを増していく投射においても、その光景は揺ぎ無い。 互いに手の内を知り尽くした者同士、拮抗は易く―――其が破綻するのもまた一瞬だろう。 空間に浮かぶ赤き射出口から吐き出される魔弾を、既にそこにある剣で迎撃し続けるアーチャー。 己が内にある世界、丘に突き立つ剣を引き抜き、投げ放ち…… 放つままに双方――― ――― 王は無造作に、弓兵は豪壮にゆっくりと敵の方に向かい歩き出す ――― 手にはそれぞれ新たに抜き放たれた一刀。 ぶつかり合う宝具により、連鎖爆発を起こす周囲。 その爆炎の只中で、まるで無人の野を往くかのように二人は距離を詰め――― 「ハッ、!!!!!!」 「応ッッッ!!!!!」 ――――手に持つ牙を力任せに叩き付けたのだ! ―――――― 一際大きな力場の衝突が大地を震わせた! 英霊同士の戦いの壮絶さを今更言葉で揶揄するまでもない。 そして神代の兵器とも言える宝具を使い捨てにする彼らの激突の苛烈さも同様に。 不遜の行進を不退の背中が迎え撃つ。 衝撃で双方が後ろに弾かれる。 だが何事も無かったように二人はまた歩き、そして刃を交わす! 技も術も無い、それは原始を思わせる荒々しい闘争のカタチ。 互いに負ける事など頭の片隅にもない、敵に劣っている事など有り得ないと断ずる そんな確固たる意思が彼らの歩から後退の意を外す。 「ふんッッ!!!」 「ぬあッ!!!!」 二合、三合、四合、五合――――!! 天帝を守護した大蛇矛が、雷帝の力を封じ込めたヴァジュラが、氷山の深奥にて眠る槍が、魔竜の腹を破って生まれし魔剣が次々と場に具現し、消える。 大地が煎餅菓子のように容易く裂けていく様は圧巻の一言。 周囲にて踊り狂う射撃はそのままに、爆炎の中心地にてぶつかり合う二人のアーチャー。 これは当然、紅き弓兵にとって望むべき形。 黄金の弓兵の宝具に対し、自分が勝ちを収めるにはこうした乱戦に持ち込むしかなく、また最善でもあるのだ。 (………………ぬうっ!?) だが…………だが、おかしい? 王とてそれは承知の筈。 ゲートオブバビロンと無限の剣製―――アンリミテッドブレイドワークスでは、その性質上、後者の方が一歩速い。 英雄王にのみ有利に働くカードを持つが故に、唯一ギルガメッシュと互角以上の戦いが出来るのがこの錬鉄の英霊。 「どうしたアーチャー? 何やら当てが外れたという顔だが?」 である筈なのに―――王の口の端が歪む。 そう……今、この剣戟において英雄王の挙動が弓兵に遅れる事はなかった。 ジャンケンにおけるグーとパー。 こんな事は有り得ないというのに何故? (英雄王………………よもやッ!) その異変にいち早く気づくアーチャーが舌打ちする。 蔵の中より引き出す王の財宝よりも、既にある物を振るう自身の方が先に届く。 これがアーチャーが有利な理由。 単純だがそれ故に絶対の理。 ……ならばその理を潰すには? (――――簡単な事だ。 技の優位で遅れるならば単純な肉体の優位で補えば良い……) こちらが先に取り出せるなら、向こうは腕の振りを2倍にすれば事足りる。 破顔するギルガメッシュの表情が雄弁に物語る。 この男にはその手のフォローをする手段などいくらでもある。 奴は―――その蔵の中にてパラメーター上昇の宝具を無数に機動させているのだ! 「パンが無ければ菓子……キミはマリーアンワネットか?」 「たわけ! ただ栄華を与えられ、与えられるがままの生に沈んだ唾棄者と我を同列に語るか! 有り余る財も、権も、自身の手で掌握してこそよ――――そら、挫けよフェイカーッ!」 一閃! 翻るは北欧の巨人の手によって振るわれた巨大な槌! 偉大なる王の渾身の一撃に、今――― 拮抗を崩されたアーチャーが、轟音と共に吹き飛ばされた! ―――――― 真紅の礼装を纏った体が宙を舞う。 宝具の衝撃を打ち返せずにその身に受けた。 幾ばくかの相殺が成った故、致命の一打にはならなかったものの―――決して遅れの取らぬ筈の初太刀にて、まさかの不覚。 自身の一振りを手から弾かれ、5m後方に吹き飛ばされるアーチャー。 膝を付きこそしなかったものの、こめかみからの流血が頬を濡らす。 「ち……」 「ク、……どうしたアーチャー? 我に対する絶対の自信の程を見せるのではなかったか? まさかこれで終わりではあるまいな? 猿真似が化けの皮を剥がされたにせよ 仮にも英霊の末席を暖める身。 少しは意地を見せてみよ!」 「空元気が過ぎるぞ英雄王。 我が剣製の極致……こんなものではない。 それは他ならぬお前が一番良く知っている筈だが?」 優位の一つを敢え無く砕かれたというのに相変わらずの自信を崩さぬアーチャーも流石であった。 舌打ちするギルガメッシュだったが、弓兵の言葉はまだ続く。 「しかしながら――――ギルガメッシュよ。 このままでは程なく雌雄は決せられる。 故に一つ聞いておきたいのだが……キミは本当に本物の英雄王ギルガメッシュなのだろうな?」 よりにもよって王の眼前、のたまった言葉である。 これにはさしもの黄金のサーヴァントの緋の目も怒りに燃える。 「戯言を聞いてやろう――――貴様の命と引き換えにな」 声色は悠然なれど心胆は憤怒に震えている。 しかしてそんな王の眼前、臆する事無く弓兵は佇む。 「何、お前があまりにも必死だったものでな……私の感じる違和感に更に拍車が掛かったまでの事だ。 私の剣製に対し、対策を講じたとしか思えない先の在り様。 本来の英雄王ならば相手に対応する事、それ即ち弱者の証と吐き捨てる筈だが?」 自分のような「雑種」は素の力のみで蹂躙してこそ王。 そんな輩に対策を講じるなど屈辱の極み、と言い放つ。 それが英雄王ギルガメッシュではなかったか? モノの本質を見抜く目………属性は全く違えど、彼もまた王に負けない選球眼、というよりも解析眼を持っている。 だからこそアーチャーはこの世界において、ギルガメッシュと同様の異を抱いた……否、抱けたのだろう。 「今のお前には 王気 がない。 王としてのあり方を損なっているが故に強壮であっても偉大ではない。 上辺の強さと引き換えに何をどこに置いてきたのかは知らんが、王で無い貴様になどもはや何の脅威も感じぬ。 眠っているのなら今すぐ起きておけよギルガメッシュ―――またもうっかり命を落とす羽目になっては流石に気の毒だ」 「吼えたな…………雑種!!!!」 ギリっと王の口の端が釣り上がる。 顔に映すは果てない憤怒。 やはりこの弓兵は彼にとって特別カンに障る存在だった。 それはどんなに世界を違えても決して変わらぬ事実らしい。 「その言い様―――我の事のみならず、自身の在り様にも思い至るところがあるのであろうな!?」 「……………」 しかし王より返されたその言葉には、真紅の弓兵の口からも余裕の笑みが消える。 「何にせよ履き違えるなよ贋作……仮に我が策を講じたとして、だ。 この我が貴様如きに渾身を期すとでも思っているのか? 我が相対するは無礼にして不遜なるこの世界そのもの―――貴様の背後に座す存在に他ならぬ」 対して弓兵のその後ろを指すように手を翳し、雄大に語る王。 「戯言ついでに語って聞かせよアーチャー。 何時の世も走狗としてしか己の価値を示せぬ下郎よ。 此度は誰の尻拭いをするためにここに足を運んだか?」 「……………」 沈黙を余儀なくされるアーチャー。 その相貌は果てしなく険しい。 ――― 遠坂凛……… ――― 第五次聖杯戦争において彼を使役する事になる魔術師の少女である。 この弓兵とは並々ならぬ絆を示した紅き主従。 今もなお、彼の胸中には少女の面影が消えてなくなる事は無い (凛…………) しかし、そのマスターの存在をこの地に感じる事は無かった。 自身に通っているパスも、令呪の存在も全て不明瞭。 霞掛かった思考には、ただ一つの命令――― ――― 目の前のバグを消去せよ ――― という――――強迫観念めいた思考のみ。 自分を、この弓兵のサーヴァントをここに配置したのは断じて遠坂凛ではなかった。 恐らくは英雄王ギルガメッシュに対し、唯一拮抗出来る存在としてこの身を選んだに過ぎない。 「ハ! つくづく走狗とはお前のためにあるような言葉よな! 自己を喪失して首輪をつけられ、のた打ち回る様に疑念を抱けたまでは褒めてやる。 だが、その腑抜けぶりでは何も為す事は叶うまい!」 ―――敵を打破、若しくは足止めせよと自分に命じたのは……… 王の言葉に沈黙を通すアーチャー。 自己に埋没し、深く深く、その内に―――やがて辿り着いたのは…… 「それにしても揃いも揃って情けない事よ。 英霊と呼ばれし者共が、たかが器に2、3、余分に容れられただけでこうも自己を喪失するとは。 所詮、貴様らと我とでは平時より背負いしモノが違うのだ」 その影は………漆黒を纏った、亡霊のような――――女? 「アーチャー。 貴様にはセイバーのような猶予は与えぬ。 穢れた贋作はこの場で打ち捨てるに限る。 朽ち果てよ………永久に!」 埋没するアーチャーに対し手を翳し、再び王の蔵を起動させるギルガメッシュ。 弓兵の眼前に広がる真紅の射出口。 見据える一面を覆い尽くす宝具という名の凶器の群れ。 「……………」 だが――――吹き飛ばされて一歩引いたその地点から見据える弓兵の双眸。 鷹の目が映し出したのは目の前のゲートオブバビロンの脅威ではなかった。 それに気づけたのは深い深い思慮がアーチャーに齎した懐疑故。 英雄王が立つ場よりも更に、更に後方――――ギルガメッシュの死角。 全くの逆方向に突然にして発生する時空の歪み! その歪みが巨大な孔となり――――同時、アーチャーの経験が特大の危険を彼に報せたのだ!! 「ちぃっ!!!!!」 その場を飛び退る弓兵。 「口ほどにも無いとはお前の事だぞアーチャー! 今更臆したところで―――」 ――――王は気づかない。 普段であればその視野は全てを見透かす神の眼であろう。 だが、いかに王とて宿敵の弓兵相手では全霊にならざるを得なかったのだ。 ギルガメッシュが敵の後退を嘲笑い、赤き背中に宝具を降らせようと翻った、その時―――! 「――――――、!??」 気づいて振り向いた時には…………………もはや手遅れだった。 ―――、、、、――― 英霊二人による殲滅戦は神域だった。 手に持つ戦力=「戦争」とまで比喩されたギルガメッシュと同等の手数を持つアーチャー。 王の財宝と無限の剣製の激突はもはや余人の手出しを許す域には無かった筈。 だが………だが、そんな英霊の戦いを嘲笑うかのように、天空よりも遥か彼方――― 虚空の狭間より降り注ぐ、巨大な、あまりにも巨大な………… ――― 落 雷 ! ――― 闇を纏ったような黒ずんだ紫色の稲妻―――― 次元跳躍砲――――――THUNDER RAGE 赤と金色のサーヴァント二体を敢え無くあっさりと飲み込んだ暴威の雷が 審判の塔のような威容を以って…………フィールドに突き刺さったのである―――― 前 目次 後
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――― 虚の空 ――― そこには何も無い―――――― 物質という物質が等しく無に帰すディラックの海。 色彩もなく光も闇も指さないそこでは個は個として存在する事を許されない。 そこへ堕ちた者は生きる事はおろか、人として持ち得る最低にして最後の権利―――安寧の死すらをも失う。 かつて肉体だったそれは溶けて腐り落ち、分解される事も出来ず 物言わぬ、生物とも鉱物とも無機物とも有機物とも言えない「塊」となって永遠に宙を彷徨うのだ。 まさに生物としての死すら超えた、完全なる死…… 「彼女」もまたそうなる筈だった。 ―――――― Desire ――― 故にこれは、死する時まで抱き続けた唯一つの想いが――――9つのジュエルシードに宿ったとでもいうのだろうか? 堕ち行く「彼女」が最期に抱いた想いとは、純然にして明瞭――――「まだ死ねない」 願いを叶える石はそのあまりにも愚直な想いに反応した。 膨大過ぎる力ゆえ、それは人の明瞭な思考を汲み取る事しか出来ない出来損ないの願望機。 そんな石が「彼女」の「命を繋ぐ」という願いだけを愚直に、忠実に聞き届け―――そして叶えた。 ―――絶望と苦痛はそのままに。 ―――袋小路に陥った身はそのままに。 本来ならば留めて置けない肉体は渇望という名の檻の中で自壊せずに残り 無間の闇に堕ちながら、虚数の海を漂いながら、五感は抱いた願いを決して忘却せずに稼動を続けた。 呼吸も出来ず、発狂するほどの恐怖と焦燥に苛まれながら、それらを切なる願いで塗り潰し 思考の限界から解き放たれた思考が、ただ一つの目的を達するための可能性を模索し続け 時間の概念すら忘れ去られた空間で―――――永劫の時を「彼女」はそうして彷徨った。 堕ち行く「彼女」がただ一つ、抱えていたモノ――― ………■リ■■ その手に遺った感触だけが――――――「彼女」を「彼女」として繋ぎ止めていた糧。 もはや幾度めの夢か現か、定かではないが…… ここがきっとそう………次こそがきっとそう…… 此処こそが焦がれ求めた伝説の都アルハザード。 失われた秘法の数々が眠り、死者すらも蘇らせるという――― 眼前に広がる神秘の数々を求めて―――「彼女」は幽鬼のように盤に降り立った。 ―――――― ???,s view ――― 「………………」 薬液に満たされた水槽の中で、私は「再び」目を覚ました―――― 視界を覆う薄翠の景色。 自身が何者であり、どのような役目を担って生まれたかを反芻する。 主人とのリンクは正常に働いている。 魔力の供給も正常だ。 生成時、プログラムレベルで遺伝子に組み込まれた様々な情報回路を洗い直し―――ただ一つのあり得ないイレギュラー。 この身に…………既に在る記憶に思い至る。 「……………プレシア」 こうして生み出されたのはこれで二度目だった。 間違いない…………全て思い出せる。 水槽より液が徐々に抜かれていき、意識が鮮明になればなるほど、その記憶もまた夢や幻ではないと確信する。 私はかつて一人の少女を立派な魔導士として育て上げるために生を受けた。 他ならぬ主人の娘である彼女に、自分の持てる全ての技術を教え授ける事を旨に生成された使い魔だ。 その過程で彼女達……悲しい親子の背負った宿命を知りつつも、何も出来ず せめて彼女達が幸せな未来に辿り着けるよう祈りながら―――役目を終えて消えた筈。 ならば今ここに居る自分は何なのか? これは一体どういう………? 「プレシア……?」 かつてと同じ、主人である彼女の背中が見える。 覚醒した私の視界に一番初めに飛び込んできた、黒い長髪を称えた背中。 細くしなびやかで頼りない後姿は記憶と何ら変わらない。 10間ほどもある実験設備の中で、手を伸ばすには遠い彼女に向かって二度、名前を呼んだ。 知りたい事がある。 聞きたい事がある。 貴方は……? 私は……? そして―――フェイトは? 次々と湧き出す疑問を口に出そうとする前に………彼女、プレシアテスタロッサがゆっくりと振り返る。 ……………… ……………… …………………………… …………………………………………!!!!!!!!!??????? 「………………あ」 …………待って…… 待って、下さい………ねえ… 「ああ………あああああああ………」 脊椎に氷柱を差し込まれた―――― そんな絶望と共に――― 私は主人の顔を垣間見―――――そして悟った。 私が抱いたささやかな願いは……………果たされなかったのだ、と。 ―――――― ―――――― 自身が思い描けないほどの最悪の結末を迎えたのだ――― 主人の貌を見て、その答えに行き着くしか無かった使い魔リニス。 「今度の夢は長いのかしら……?」 長い時を経て久しぶりに聞いた声は、かつて鼓膜を揺らしたそれとはどこか違っていて…… リニスの両の瞳からは止め処無い涙が溢れ出す。 「夢でも現でも漕ぎ出せばどうせ瞬き一つ分。 リニス……私のためにまた働いて頂戴」 主人の「顔」をこれ以上見たくないと下を向く使い魔。 その感情が届いたか否か、主の女は棚の上にあった虚の仮面を顔に被せる。 めくられる事を忘れた、壁に吊るしたカレンダー。 記された最後の暦から―――実に10年の刻を刻んだ今日 「彼女」はかつての使い魔と共に決して報われない航海の始まりを告げる―――― ―――――― 心優しい山猫の使い魔リニス――― 彼女に悲嘆に暮れる時間など与えられはしなかった。 激動の数週間―――― 以前の記憶とはあまりにも懸け離れた世界。 以前に与えられたものとはあまりにも懸け離れた役目。 主に対する疑問も心配も二の次だった。 彼女は己が身に与えられた役割――― マスターと時の庭園を稼動させる「部品」としての様々な機能を、短時間で無理やりに、その細い体に詰め込まされた。 強引なインストール。 肌に焼きゴテを押し付けられるような苦痛の嵐にただ耐え続ける。 大魔導士と称されるほどの主人を持つリニスの個体スペックは総じて高い水準を誇っていたが その彼女をしてオーバーフローを起こすほどの過負荷。 絶え間無い苦痛の中で、彼女はかつて暮らしたなつかしい住処を眺めていた。 あらゆる部分が戦闘用に改築されて見る影もない。 あくまで護衛として所持していた機動兵が大きくその数を増やし、格納庫を埋め尽くしている。 肉体改造に等しいアップデートの日々で、艦内のすえた異臭が渦巻く中で、朦朧とした意識の隅でリニスは思う。 ここはまるで……還らぬ旅路に向かう冥界の方舟のようだと………… ―――――― 一体、主人は何をしようというのか―――その答えはすぐに目にする事となった。 機動兵数100機を一瞬で灰塵にする、ヒトの形をした怪物を目の前にして。 今までの準備は、あんなモノを敵として迎える旅路に備えたものだったのだと理解した。 身体が猛烈な拒否反応を起こす。 人類最古の英雄王。 その偉業をミッド生まれの彼女が理解する事はなかったが しかし野生の本能がアレと敵対する事の愚行さを如実に教えてくれる。 場は英雄王ギルガメッシュ討伐作戦の真っ最中。 金髪灼眼の少年がソレを一振りした瞬間、割れた世界。 それを目の当たりにした彼女が――― ――― 夢? ――― 今一度、願望交じりに己が正気に問うたとしても……誰も彼女を責められる筈も無い。 ―――――― KING VS ・・・ ――― この世に有り得てはいけない現世と隔世を繋ぐ狭間の世界。 空間の裂け目から覗くものはまさしくそれだった。 創世の、滅びと再生を司る原初の河。 日本で言う三途の河とは、人が死の狭間に見たあれを指して言ったものに違いない。 「きっついなぁ、コレ」 もはや場は紅風渦巻く嵐の渦中。 空を埋め尽くしていた傀儡兵は悉く機能を停止し、敵に魔弾の一つも放てずに裂け目に飲み込まれていく。 円柱の剣を振り抜いた少年は渋い表情で顔をしかめる。 その顔から決して宝具の本来の力を出し切っているとは言い難い。 だが、それこそ兵達にとってはあまりにも些事だろう。 天と地に切り分けられた世界の、橙の断面に飲み込まれた彼らを待つ結末など、どう足掻いたって一つしか無いのだから。 「そろそろ出てきてくれないかなぁ……この歳でドーピングって結構キツイんですよね」 盤上にて暴虐の限りを尽くす原初の剣。 其を振り上げながら少年は太陽のような笑顔を裂け目に向ける。 (通常空間に出なさい) リニスの脳裏に念話による声が飛ぶ。 初めの一言以降、主人は使い魔に対しての意思疎通を念話で行っていた。 抑揚は無いが、聞き間違いようのない女性の声に対してリニスが真っ青になって叫ぶ。 (そんな!? いくら庭園が強化されてるからってあの現象に巻き込まれたら持ちませんよ!) (早くしなさい。 あの剣は世界をその基盤ごと切り裂くわ。 ミッドの魔法と名のつくものは全て効力を失う) リニスも気づき、蒼い顔から更に血の気が引く。 その言葉の意味する所は一つ。 データに相違が無ければアレは魔法を全てキャンセルする広範囲兵器。 当然、魔力を動力とするユニットにも有効に働く。 魔導エンジンすらその例外ではない。 このままでは時の庭園は異空間に取り残されて漂流する! (だ、だけど……!) 使い魔としての知性と野性の本能の双方が、ここでワープアウトを非とする。 あのサーヴァントに対し、この異空間こそが自身らの安全を確保する絶対の城壁だった。 それを取っ払われて、あんな……あんなモノの眼前にノコノコと飛び込めば……紛う事なき自殺だ。 だが、だがこの状況が一刻の猶予も無い事もまた分かる。 一瞬の判断の迷いで、自分たちは次元の藻屑と消えるのだ。 (信じます、プレシア! 通常空間にフォールドアウト、よろし!) オペレーターの紡ぐ言葉はもはや悲鳴に近かった。 火中に飛び込む巨大要塞。 通常空間に展開すると同時にシールド出力をマックスへと設定。 無駄だと知りつつも、艦の周囲に数層の対艦用フィールドを張り巡らし 時の要塞は少年王の待つ通常空間へとフォールドアウトを開始する! 半ば、死を覚悟するリニス。 だが―――――プレシアが動く! 「!?」 使い魔が絶句するその前で、彼女の黒衣に隠された背が盛り上がり 否、何かが生成され―――広がり、はためいたのだ。 ―――――― 「……へぇ…?」 少年の感嘆の声。 それは目前の予想外の結果に対するもの。 乖離剣の紡ぎ出す倶風。 紅一色に染まりつつあった世界に新たなる力が流れ込んできたのだ。 宙空に穿たれた地割れをまるで外から押さえ込むように、ほつれ破けた布を縫い、修復せんと翻る膨大な力。 それは漆黒を帯びた紫紺の魔力によるものだ。 「プ、プレシア……それは?」 リニスが、プレシアテスタロッサの背に抱えたモノを見て絶句する。 悪魔…………否、堕天使を思わせる漆黒の翼。 主人の醸し出す退廃的な雰囲気から、その光景は彼女がまるで人を脱した存在に脱皮し、昇華したかのようだった。 だがよく見るとそれは魔力で生成された擬似的なギミックに過ぎない。 かつてリンディハラオウンが似たようなフォルムを、暴走したジュエルシードを押さえ込む際に展開したがそれと同種の御業だ。 艦のバックアップを得た黒衣の大魔導士がした事。 それは膨大な量のデータを世界という名の図面に上書きする事。 確たる滅びの概念を更なる概念をぶつけて相殺する、相手のルールに乗っ取った方法ではない。 あくまでミッド式魔法の真髄。 修正液で塗り潰すかのように、天空に空いた亀裂を問答無用で消し去る魔力の渦。 それを少年はただ黙って見守っていた。 「器用だなぁ……それが裂かれた世界の修復の仕方ですか?」 航空戦技等とは違う分野だが、これもまた高位の魔導士のみが為し得る魔法の一つ。 動力源によっては天変地異すら押さえ込むレベルで発動できる次元修復術式。 それがエヌマエリシュによって断ち切られた空間―――断層面をみるみるうちに塞いでしまったのだ。 少年はただ事実のみを受け止める。 やはり基盤が向こうのものである以上、これくらいの芸当はしてくるのだろう。 世界の構造を熟知した向こうの方が、事全てにおいて有利な位置にいるのは言うまでもない。 それに地球史最強最悪の宝具と言えど、こんな細腕で撃ったのではたかが知れている。 これの全開出力を氾濫した大河に例えるならば、今のはせいぜい氷層に生じたちっぽけなクレヴァス程度のもの。 もし全力で撃っていたのなら、それでも果たして敵は同じ芸当が出来たのだろうか? 興味は色々と尽きないが――― そう、だが今はいい。 フィールド上の大気を雄大に押しのけて、場に巨大な質量が現出しようとしていたからだ。 ゴゴゴゴ、と鈍い音をなびかせて、透明化が溶けた山のように。 蜃気楼の幻であったものが突如、具現化したように。 敵はその威容を今、ギルガメッシュの元に現したのである。 あまりにも巨大な――――歪な黒薔薇を思わせる機動要塞。 無数の傀儡兵を送り込んできたであろう、あれが敵の拠点に違いない。 これほどの質量を大気圏内で飛ばすなど少年の住まう星の技術ではまだ叶わない。 「始めまして―――異郷の星を渡る人達。 面白いものを見せて貰いました。 まずは挨拶を」 切り札を返されたにも関わらず少年は柔和に微笑み頭を下げる。 まるで口惜しさを感じさせない、はにかむように紡がれた口調。 それは今この場で殺し合いを演じている者には到底そぐわない。 「ともあれ、こうして対面した以上、顔くらい見せてもバチは当たらないと思いますよ?」 相対と呼ぶにはあまりにもサイズの違う両者。 何せ巨大要塞と小さな少年だ。 その光景は言うまでもなく歪。 だがサイズ差に反比例して、力の天秤は信じられないほどに拮抗していた。 挑発ともごく自然な提案とも取れる彼の言葉。 艦内―――黒衣の女が動く。 「なっ!? 駄目ですプレシア! 危険すぎる!」 リニスが悲鳴をあげる。 コンソロールに映し出されたデータと格闘していた手を止め、主人のローブに手を伸ばそうとするが その姿はまるで幽鬼の様にリニスの手をスルリと避けて立ち消える。 挑発に乗って敵の前に、あんなバケモノの前に姿を現すなど言語道断だ。 既に転送を終えてしまった彼女を追おうとも思ったが、ここを離れるわけには行かない。 ここで出来る限りのフォローをするしかない、と思い立つ使い魔。 そんなリニスが見上げる先にて――――虚の女は王と相対した。 ――――――その日、全てを塗り潰す漆黒と、世界を統べる黄金が出会う。 ―――――― 「恐いなぁ……」 少年が見上げた先。 要塞の艦橋にて白い無貌の仮面を被った女が佇んでいた。 纏うは黒衣。 髪も漆黒。 溢れるように全身から発する紫の魔力光はおぞましい瘴気のよう。 それは英雄王の王気とは対極に位置する力にも感じられ、ギルガメッシュは居心地が悪そうに鼻を鳴らす。 「大人の僕は切って捨てていましたが―――前に戦った白いお姉さんのアプローチは決して間違いではないんです。 神秘を打破するために、より強い神秘を以って相対するというのが僕らの世界のルールですけれど でも、そのルールでは人間が神秘の結晶たる英霊に勝てる道理が無い。 全くズルっこい話ですよね」 わざとらしく顔をしかめる少年。 肩を竦める仕草が人懐っこくて憎めない。 「ならば人がそれに並ぶには結局、人の叡智を積み上げていくしかない。 ―――――そこの所、貴方はよく分かっている……強敵ですね。 僕らを 僕ら として全く畏れず、かと言って甘く見ているわけでもない。 全ての事象を正しく理解し、なお揺ぎ無くサーヴァントの前に立っている」 エアの起こした空間断裂に躊躇い無く手を突っ込む行為を見て、流石に驚いた。 この女性には乖離現象でさえも、水路の決壊くらいにしか見えていなかったのではなかろうか? 「うーん……だけど、ただ叡智の粋を極めただけでそこまでイッてしまうものですか? 貴方にはもっとこう、根本的に壊れた要因がある筈です。 心の在り様はどこか僕らの世界の魔術師に近いモノがありますし。 ひょっとして―――なにかの間違いで 至っ ちゃいましたか?」 「坊や」 「何でしょう?」 「蘇生の宝具を渡しなさい」 ギルガメッシュの言葉を遮り、違和感のある肉声で女は言った。 「それが貴方の願い――望むものですか?」 慈愛すら感じさせる声で少年は返す。 「無理ですよ。 サーヴァントの宝具は基本、本人にしか使えない。 更に、アレは大人の僕が僕のためだけに財と粋を集めて生成した秘法らしいですから。 反魂なんて代物はそれこそゲームみたいに、呪文唱えて、はい生き返った!なんてやれるものではないんです」 反魂――――― その魂に合った、その魂だけの処置を、膨大な時間と叡智をかけて積み上げる。 地脈と霊脈を考慮に入れた一等の霊地を儀式の場に選び、厳しい条件をクリアして初めて為せると言われる奇跡。 まさに神の御業。 人の手で成し遂げる事は摂理に反する、神に対する反逆行為に他ならない。 そして―――――それだけ。 会話はそれだけ――――――― 少年が言葉を終える事は無かった。 彼に二の句を上げさせる事なく―――― 「―――――、」 巨大な要塞が突如、動き出し、少年へと迫る!!!!! 大気に響く低音は、そのまま世の終わりを思わせる冥界の調べを思わせ――― ―――――――、ズズ、―――――ン…………! ―――――― 地殻を鳴動させる音と共に、庭園は大地に体当たりし、地表に突き刺さり――――― ――――――――少年をゴミのように押し潰した。 ―――――― 「な、何て………無茶を……!」 要塞を何の迷いも無く大地に叩き付けた!? あんな小さな少年を潰すためだけに!? その所業に声を上げる暇もない。 リニスは艦内を襲う衝撃に身を投げ出され、しこたま壁に叩きつけられる。 人一人を押し潰すにはあまりに巨大な質量の、ほとんど墜落といってもよい着陸だ。 その衝撃たるや並大抵のものではない。 「キ、キングは……!?」 反撃は………………来ない。 コンソロール共に何の反応もなく、状況に新たな動きも無い。 さしものサーヴァントもまさかあのタイミングで要塞が特攻してくるとは思わなかったのか? もっとも、あれでは剣の雨を展開しても止められない。 無残に跡形もなく擦り潰される以外の選択肢はなかったであろうが。 「勝った……?」 一時の静寂の後、ふうっと溜息一つ。 極度の緊張から解放されて、ひとまずは旨を撫で下ろすリニスである。 (それにしても………) 艦のコアに接続されているジュエルシードというロストロギアを含め、戦闘用に改築された庭園を顔色一つ変えずに手足のように扱う主人。 一目見た時から感じていた―――あの英霊という存在から滲み出る以上の「反則」をプレシアテスタロッサからは感じる。 病魔に冒された陽炎のような儚さと、悪魔そのもののような威圧感を同居させている今の彼女。 ――― 恐い………………… ――― 忠誠心よりも恐怖が先走ってしまう。 目を伏せるリニスの心胆はいかばかりのものか。 「ク、―――フハハハハハハハ」 「なっ!!?」 だが、端末が拾った音声に使い魔は再び息を呑む! 物思いに耽る暇など無かった! それは押し潰された要塞の下ではなく――― 「上!?」 上空―――天照らす陽光のように黄金に輝く光。 諸共に響き渡るのは、かの耳障りな高笑い。 眩いばかりの光に目を焼かれつつも凝視する先―――それは小型の飛行船。 その上に腕を組んで佇む、少年の姿から再び立ち戻った英雄王の姿があった! 「異邦の民よ―――」 男が言葉を紡ぐ。 「我との謁見を自ら放棄するとは馬鹿な奴腹よ。 ならば已む無し―――今一度、己が心臓を命の秤にかけよ!」 まずい―――上を取られた! 唇を噛むオペレーター。 他ならぬ自分が注意力を切らしたせいで……今に至るまでの異常とも言える入念な準備を考えれば あんなもので大人しく潰れてくれる相手じゃない事は分かっていた。 それなのに! 「開け――――!!!!」 王の号令の下、上空に穿たれた穴から顔を出す原初の宝具たち。 あれは極悪な性能を秘めた質量兵器そのものだ。 剣の雨は地に這う者全てに等しく死を齎す。 その威容、使い魔として生きた半生を以って走馬灯を感じずにはいられない―――ッ! (弓兵は?) (今……追わせています!) (そう) プレシアの短い問いに答えるリニスの声は半ば絶望に染まっている。 早々に消えてしまった弓のサーヴァントに舌を打つも後の祭だ。 あれはシールドでは防ぎきれない。 かと言って生半可な弾幕では相殺も出来ない。 主人に許可を取るまでも無く、今こそ、あれを使う時なのだが――― コンソロールを汗で滲む手が滑る。 ぶっつけ本番、果たして成功するのだろうか? とリニスが思慮に及ぶと同時―――― 要塞の甲板に身の毛もよだつほどの魔力光が立ち昇り、プレシアを中心に巨大な魔方陣が形成される。 彼女の背まで垂らした長髪が虚空に翻り、紡ぐ呪文は電子音のような無機質さを以って大気を揺らす。 そして、やがて漆黒の女の周囲に無数の、大量の魔力スフィアが生成されていく。 「……………ファランクス」 リニスが呟く。 あれこそかつて、プレシアから創られたリニスによってフェイトに受け継がれた魔法。 雷を主武装とするテスタロッサの魔法の中でも手数において最大規模を誇る広域殲滅術式。 天空を埋め尽くす紅い孔に相対するかのように、要塞を守護すべく遣わされた紫電のフォトンスフィア。 言うまでも無い。 プレシアが艦橋から出たのはこのため―――彼女はやる気だ! 迎え撃つつもりなのだ! あの英霊の殲滅兵器を! 相手の切った札を見下ろし、ニィ、と哂う英雄王。 表情に灯るは無駄な抵抗に勤しむ雑種に対する侮蔑か、哀れみか。 「ゲートオブ――――――バビロン!!!」 今、天の裁可をここに問う! 英雄王の殲滅掃射宝具が―――唸りを上げて、地上に降り注いだのだ!!!! ―――――― Rinis,s view ――― 「来たッッ!!!」 敵の大量殺戮兵器が火を噴いた! 私とプレシアの頭上で! 管理局のSランク魔導士ですら、アレの前には為す術もなく敗れ去ってしまったと聞く。 あんなものの前に身を晒す事の不運を嘆くと共に、我が主を立たせている不明を呪わずにはいられない! こんな事、容認できる筈もないけれど……でもやるしかない! 「対空砲火! バックアップします! アイ・ハブ・コントロールッ!」 艦の中枢と繋がるプレシアのリンカーコアに膨大な、人に受け止め切れないレベルの情報がダウンロードされる! そして程なく、彼女から処理されたデータの解答が矢継ぎ早にこちらに流れてくる! 凄い! 普通の人間なら脳が焼き切れてもおかしくないのに……! 「ユー・ハブ・コントロールッ! A・S・G始動!!!」 プレシアが上空、無量大数の刃に向かって手を翳す! 「セーフティロック解除!! 全行程オールグリーン!!!!」 互いの処理に一片の不備でもあれば、プレシアと私は庭園ごと打ち抜かれてお終い…… だけど見直している時間も余裕も無い! あとは全てを主に任せ―――私は掛け声と共に安全装置を解除した! ―――――― 飛行船ヴィマーナと時の庭園を挟んだ空間に――― 今―――幾百、幾千の花火が轟音と共に咲き乱れた。 押し潰さんと上空から降り注ぐ宝具の嵐。 押し返さんと打ち上げられる対空砲。 王の財宝―――盤に降り立ってより常に無敵を謳われた宝具が……今、完全に受け止められた瞬間だった。 ―――――― 「や、やった………! 成功です!」 無意識に呟いた途端、リニスの全身から汗がドッと噴き出す。 身の毛もよだつ光景とはこの事だ。 一対一とはいえ近年、質量兵器の撤廃が進んだミッド世界において、これほどの実弾兵器に晒された艦があっただろうか? ファランクス アンチ・ソードガトリンク ―――― あの不抜の兵器に対抗するためにプレシアテスタロッサとジェイルスカリエッティが共同で立案、開発した 魔導士専用・付加思考ルーチン・バックアッププログラム A・S・G 。 膨大な時間と手間を要して二人の天才の合作によって齎された対英雄王決戦兵器だ。 ゲートオブバビロンは無敵の兵器。 その特性はあらゆる属性を秘めた、宝具と呼ばれるアーティファクトによるつるべ打ち。 内包する属性は多種多様にして無数無限。 土金木火水に光闇、対神対魔に因果逆転虚数と何でもござれだ。 火を克服しても水、風を使役出来ても土と、敵のあらゆる弱点に対応したチート兵器。 単純な威力で見てもそれは他の追随を許さない。 一撃が爆裂撤甲貫通弾並の高威力砲弾を湯水のように発射してくる仕様。 そして、弾切れナシ………スペックを並べれば並べるほど冗談のような性能に泣きたくなる。 おおよそ考えられる、個人で展開出来る最強レベルの武装。 それを前に、同じく最大規模の弾幕を誇るSランク砲撃魔導士の敗北を以って ミッド式魔法でこれに相対する事―――魔導士の弾丸でアレを打ち落とす事は不可能との結論が一度は出た。 しかしながら、その宝具が一度でも拮抗、破られた例が存在するのなら どんな夢想じみた仮説であれ、対応策を講じる事は可能なのだ。 夢物語を現実のものとしてしまう、天才と呼ばれる人種がこちらには二人もいるのだから。 ゲートオブバビロンを相手にし、個人でもそれに届いた記録。 投影魔術というモノを用い、敵の武装と全く同じものをぶつけて相殺に至ったという…… サーヴァントでもない一人の魔術師が、あの不抜の兵器に相対して見せたのだから驚きだ。 だが、ならばこちらの技術の粋を結集して似たような状況を作る事は出来ないか? 出来ないと断ずる理由はない。 人間業で可能な事ならば、技術の粋を集めて出来ない事など無いのだ。 もし仮にあの一発一発の刃の全てに対し、こちらも同等……否、匹敵するものをぶつけられれば 属性で優位に立つ魔弾を、その一つ一つにぶつける事が出来れば、打破とまではいかなくても計算上、4 6以上の拮抗は保てる。 あの惑星の伝承の全てを網羅しているのが敵の兵器の特徴ならば こちらもまた、その全ての伝承を網羅してしまえばいいだけの話だ。 網羅し、理解し―――敵の弾質を秒単位で解析し、例えば火属性には水属性と言った具合に 最適な属性を付けた魔弾を用意してぶつける事が出来れば……魔弾と宝具の威力の差を属性で勝る事によって差は埋まり、相殺は可能。 ゲートオブバビロンは――――――破れる! 膨大なデータ、膨大な逸話、その中に出てくる全ての宝具のデータを今、この艦は有している。 それだけのデータを現地から吸い上げ、一つ一つインプットしたのだ。 これらにより、膨大な情報を余さず使いこなし、本来ならば雷属性のみであるファランクスのスフィアにあらゆる属性を付加させて プレシアテスタロッサは魔導士単体では到底無理な魔法行使を可能にした。 そして今―――王の財宝は庭園の主に受け止められた。 要塞の周囲に張り巡らされたフォトンスフィア。 通常、術者の魔力光一色であるそれらが、艦より送られてくるデータに応じて様々な色へと変化する。 敵の宝具に勝る属性へと変化し、打ち出されていく。 その様はまるで聖夜の木々に飾られる色彩彩のライトのよう。 ダインスレブ、ハルバート、あらゆる宝具のデータが術者であるプレシアの脳に送り込まれ 庭園のメインコンピュ-ターとの間で幾百幾千のデータが行き来する! その速度、もはやTbでは換算出来ないほどだ! 「――――健気なものよ……誉めてつかわす」 流石は王自身が敵と見初めただけの事はあるという事か。 財宝の初撃を見事、受け止めた事にまずは惜しみない賛辞を現すギルガメッシュ。 神秘に頼るでもなく、根源に至るでもない。 これは全て人の御業による所業。 細めた緋の目に今、彼はどのような感情を写すのか――― ―――――かつて受肉した際、男は再び世を席巻し、治めよという天恵を聞いた そして王は現代に生きる有象無象との、世の覇権をかけた戦いに思いを馳せた。 彼は不遜だが、決して不明では無い。 現世の戦力を平らげる聖戦が決して容易ではない事を十分に理解していた。 そう、恐らくは――――――雑種どもはこうやって抵抗するのだろう。 自らの叡智を結集し、策を弄して我が力に相対して来るに違いない。 今のこの相手がやっているように。 見下ろす先、仮面の女が全身で、最古にして最強の蹂躙を一身に受けている。 容易く手折れそうな細腕で我に相対してくる健気さ。 やがて、再びほくそ笑む黄金の王。 興が乗った――――ならばこの粗大ゴミは世界征服への予行練習の相手に相違ない。 「知恵の実を喰らって幾星霜……ニンゲンも大層、小道具の扱いには長けるようになったのだな。 だが我が財は無限にして不滅である―――その悪足掻きがどこまで続くか」 上空の英雄王。 見上げる要塞。 刃の爆撃に対空防御。 凄まじい魔弾の打ち合いは空間を削り、大地を震わせながらに続く。 嘲笑の英雄王に無貌のプレシア。 その対峙を、全身を覆う冷たい汗と共に見つめるリニス。 常識も道理も通用しない滅茶苦茶な相手との交戦を開始して、もはや時間の感覚は麻痺している。 空間を世界ごと切り裂き、飛んだり、大人になったり子供になったり―――頭を抱えるオペレーター。 本当に気が変になりそうだ。 最新鋭の装備と技術を以って次元すら超える手段を持つ自分達と 辺境の惑星の古代人如きが同じ天秤の上に乗る事自体、有り得ない筈なのに。 大丈夫だ……こちらの方が強い……メッキはすぐに剥がれる! もはやリニスの独り言には祈りの如き響きすらある。 「これで押し返せれば……お願い!」 「――――無駄だ」 「っ!?」 まるで自分の、焦燥に駆られた思考、呟きを見透かして返答したとしか思えない王の言葉。 ギョっとする使い魔。 モニターを見ると、灼眼の瞳は確かにこちらを向いていた。 怖気が走る。 山猫のフォルムであったなら迷わず毛を逆立たせていただろう。 「分かっておらぬな……貴様ら雑種は我を―――我が域を犯す事の意味をまるで理解しておらぬ。 そも次元だ時空だとのたまうが、高次元の存在を正しく認識しているかも疑わしい」 男は紡ぐ。 善戦は認めよう、と。 取りあえずは最強最古の力に拮抗してきた叡智も賞賛に値する、と。 だが所詮、雑種は雑種。 その力は拮抗はしても決して英霊の祖を超越する事はない。 時空管理局、多次元国家などと嘯く、我が頭上を狭しなく飛び回る有象無象に王が告ぐ。 この現世が三次元で形成されている事は誰もが知る所だが、二次元の存在が三次元に影響を与える事はできない。 三次から二次に存在を移行させる事は出来る―――三次に居を置く存在が、自身を図面に描けば良いのだ。 「我と貴様らの関係とは即ちそれだ。 それほどの開きが王と雑種の間にはある」 本来の高次の存在である英霊が下の次元に位を下げて 人ならざるものが人の世に降り立つ方法として、クラスを下位にシフトさせて 初めて人と英霊は、その言葉を、意思を交わすに至る。 サーヴァント召喚とはつまりはそういう事だ。 人間の脳に認識できるよう、高き者が低き所へチャンネルを合わせる。 人の世の、人に使役できる域にまで位を落として、人に認識できる器を要して使役させる。 そんな本来の個体をデチューンしたモノがセイバー、アーチャーといったサーヴァントの全容なのだ。 ならば本来の自分達と有象無象の人間達との差など語るのも馬鹿馬鹿しい。 わざわざレベルを下げて相対してやっているこの身に必死に縋り、拮抗したと喜ぶ輩―――何と卑賤で矮小な事か。 「貴様らは何かと神を超えた、踏破した、などと思い上がっているがな。 その最も高位にいる……そうだな。 だいたい9~10次元辺りに在る存在の総称を、神と呼ぶのだ。 我が半身はその神の血を宿し―――」 「宗教に興味は無いわ」 唖然として聞き入るリニスとは対照的に、男の高説をプレシアテスタロッサはまたも一言で切って捨てる。 電子音のような声には変わらず何の感情も乗ってはいない。 轟音と爆発と刃の擦れる音がひしめく中、女は男に対し、静かな排斥の意を示すのみ。 「そんな辺境の小惑星の中でしか通用しない御託を何時まで並べるつもりかしら? 滑稽ね………化石の王様」 静かに吐き捨てた言葉は相手に対する嘲りですら無かった。 言うなれば煩わしいノイズに苛まれ、いらついて口を突いた独り言以上の価値も無い。 「神なんていない……あの子を生き返らせる事も出来ない宝物なんて路傍の石ほどの価値も無い。 だからもういい……消えて頂戴。 あの深い深い、海の底に………」 うわ言のように紡ぐ言葉は夢遊病者のよう――― 「廃棄してあげる」 しかして諸共に放たれたファランクスの一投は凄絶の一言! 数多の刃の雨を抜けて今―――雷の矢が、英雄王の頭部に直撃したのだ! 「や、やったっ!」 思わず席を立つリニス。 サ-ヴァントの右耳の上方を抜けた雷の矢――― 遅れて彼の頭部から鮮血が飛び散る。 打ち抜いた! 「――――――、」 …………いや、浅い! 何事も無かったように振り向くサーヴァント。 ヘッドショット失敗。 どうやら魔弾は敵のこめかみの横を通り過ぎただけだったようだ。 だが兎にも角にも男の体に攻撃が届いたという事実! それはプレシアの力が相手の宝具を徐々に押し返し、凌駕しつつあるという事に他ならない! 終わる……この戦いはもうすぐ終わる! 対して、女にその身を傷つけられて尽きせぬ怒りに身を焦がす………かと思われた王。 だが鬼相に、憤怒に染まっている筈の顔は――― 「解せぬか――――哀れよな」 その相貌に浮かぶは――――悲哀……? それは至った者が、決して至らぬものを見る時の表情。 哀れみ、悲哀、慈悲に満ちた顔だった。 「一つだけ教えてやろう―――かけがえの無いものとは二度と取り戻せぬからこそ尊いのだ」 女の渇望、その先に視ているモノを理解し、だからこそ王は語る。 その理だけは決して覆す事は叶わないと。 天を超え、星の海に至ってなお人はその業から逃れられない。 逃れられずに、あのような浅ましい幽鬼と化す。 最古の王……人間の祖と言うべき英霊は、進化の果てに在るであろう者達の 未だ未熟に過ぎる姿に尽きせぬ哀しみを感じずにはいられなかった。 残されし者が尊き者に報いる方法はただ一つ――――己が、身に抱いた尊さに決して負けぬ事。 悲しみに、喪失感に、己を損なわぬ事こそが逝った者に対する手向け。 彼が原初に示した通り、どれほどの力を有そうと出来る事はそれだけなのだ。 女――――この女は俗世にて、他ならぬ自分の行いによってどれほど己が尊き存在を辱めたのか? これほどの力がありながら、ただ滅びをのみ撒き散らし何も掴む事叶わない。 哀れだ――――これほどに惨めな存在があるものか。 「貴様は醜悪だ。 求め焦がれる者を、自身の手で汚泥に塗れさせる亡者よ。 その渇望を世が聞き届ける事は―――――永遠に無い」 「…………………ッ」 その男の言葉に――――プレシアを取り巻く大気が歪む。 女は盤に降り立ってより初めて自身の感情を灯す。 仮面より覗く蛇香の瞳が怪しく光り、体から溢れる瘴気が倍近くに膨れ上がる。 大地を覆う紫電の雷が世を腐らせる毒のようにフィールド上に迸り――― ―――― AAAAAAAAAAAGHAAAAA ―――― 長い髪を逆立たせ、虚の仮面の女は黒衣をはためかせて―――歪な吼え声を上げた。 その凄まじき怨嗟の声に、使い魔であるリニスは指先一つ動かせない。 ガタガタと身を震わせて主人から流れ出てくる負の感情に耐え忍ぶのみ。 唸り声にも似た咆哮は、しかし実際、彼女から発せられたものではなかった。 プレシアは一言も発してはいない。 変わりに怪物のように鳴動したのは―――彼女と接続された要塞の方。 世を覆うほどに肥大化した未練が怨念と化し、彼女と繋がる庭園の中枢を歪に震わせているのだ。 その姿、災厄となって世界に仇なす怪物に比するおぞましさを場に醸し出す。 「来るが良い雑念――――英雄王が情けをくれてやろう」 ―――あの程度の怨霊、飲み干せずして何が王か。 見るものの魂すら凍らせる怪物の如き女を前にして 眼下を見下す王の瞳もまた絶対者としての自負が揺らぐ事は無い。 全てを手中に収めし王と、ただ一つの願いを求めてさすらう亡霊――― その戦いは激しく、何よりも激しく―――――――ここに佳境を迎える ―――――― ―――――― 紅い外袴をなびかせて戦場から離脱しつつあった彼――― 「…………」 その歩みが今、茂みを抜けた平原にて止まっていた。 「何故、戦線を離れるのですか?」 自身を追ってきた、黒衣の燕尾の法衣を纏う影……一人の少女の姿を認めたからだ。 少女――まさにそうとしか言えない年頃の、金の髪を両サイドで留めた彼女。 追跡者がまさかこんな子供だとは思わず、微かな驚きに目を見張るアーチャー。 「務めは果たした。 これ以上、私があの場に留まる理由は無い筈だが?」 「まだ……敵は健在です」 「ほう―――――だが、それこそ私の知った事では無いな。 最後の雷……私はあの一撃で死んだ身だ。 これ以上、死者からの手向けを期待されても困る」 「貴方はこの作戦の要……配置を違えば、私達の勝ちはなくなってしまう」 「そうか……だがどの道、勝負は見えた。 英雄王がエアを抜き放った以上、もはや勝ち目はない。 何より私はこれでも主持ちでね―――主従の契りも無い者とこれ以上、共闘を続けると彼女の悋気を買ってしまう」 相手の目的も分からぬ以上、この剣に誓うべき信念を見いだせない。 ならば正義の味方がこれ以上、振るうべき剣はこの戦場には無いのだ。 「どんな手を使って私を借り出したのか知らんが、令呪の縛りも無いままにサーヴァントを従属させようとは舐められたものだ。 事情を聞かせろとは言わん。 即刻立ち去り、キミの主に伝えるが良い。 他者の背中を狙うならば、己が背中を他者に打たれる覚悟を忘れるな、と」 「そう………ならば貴方に令呪を施します」 「! なんだと……?」 感情が希薄なのか、皮肉じみた弓兵の言葉にまるで付き合わず自身のペースで話す少女。 要求を突き付けてくる、まだあどけなさを残す表情には何の躊躇いも無い。 体に不釣合いな長物―――金色に輝く刀身を称えた鎌を構えて少女は言った。 「力づくでも従ってもらいます……サーヴァント」 「止めておけ、幼き少女よ。 サーヴァントはポケ○ンでは無いのだぞ?」 「貴方がたはそういうものだと聞いています」 弓兵渾身のボケは華麗にスルーされる。 「どこの情報だ、それは………何にせよ、サーヴァントを甘く見すぎだ。 まだ幼くとも、相手が力づくで従う存在かどうかくらいの思慮分別は―――」 ――――男が最後まで言葉を紡ぐ事は無かった。 (なにっ!!!?) 少女がそれをさせなかったのだ! 放たれた脅速の斬撃を、胸の前で辛うじて受け止めるアーチャー。 凄まじい打ち込みは、年相応の少女のそれでは断じてない! 投影した二刀を以って辛うじて受けたものの、その心胆に冷たい汗が滲み出る。 斬り抜けた少女がそのまま天に舞い、アーチャーを見下ろすように空に佇む。 「貴方を倒して契約する……少し痛いかも、だけど……我慢して下さい」 黒衣の魔導士―――幼き金髪の少女 彼女の名はフェイトテスタロッサ―――― 未だ光を知らぬ、希望に出会う前の少女が――――感情を称えぬ声でサーヴァントに宣戦布告をした。 前 目次 次
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概要 再び脱出ものです。虹村兄弟に捕まってしまったボス。地獄の苦しみから逃れるために、絶頂へと返り咲くために逃走を図るのだぁーッ! 意外にセコムが働いてるので、罠には気をつけてください。 DLは下からどぞ 製作者コメント 三作目です。 一作目は猛攻を掻い潜れ! 二作目はガオンチャンピオン決定戦 無駄に難しいですが、アイテムの使いどころを見極めればそこまで難しくはないかも。 警備の敵たちは起こさないように。 ヒント ↓下記反転↓ エコーズact2は逃げだけではなく、一部の敵を倒すことも出来ます。ただ、5ダメージで倒せる敵といえば? ハイエロファントグリーンの必要性?足元に張って、見えない敵に備える程度の存在です。後は遠くから、動けない敵を倒すため。 ザ・ハンドは色々な使い道があります。逃げるばかりではなく、敵を引き寄せるのにも… 答え合わせ ↓下記反転↓ アイテムを全てとり、ハンド、ハイエロを装備。部屋出口の罠をハンドで削除。 部屋でて左に進み、端まで来たら下方向を削る。(途中で敵と隣接したらミキタカを使用する。) もひとつ下も掘り、下に進む。適当なところに2,3個ハイエロを設置してもよい。下のコーナーには罠があるので削除。罠の横にはマンハッタン、デス+5があるのでとる。マンハッタンは発動。 そのまま右に進み、壁を一つ彫る。すると道が一周する。右に進むとエコーズ2があるのでとる。敵の位置を地図で見ながら、ハイエロ、エンペラー、エコーズ2ですべて倒す。 下の部屋の3匹はエアロスミスなので、射線に入らないように壁を壊して部屋に入る。敵が起きたらすぐさっきの道にもどり、右へ進む。 敵は左に進むので、距離を取りつつ通路内で敵を倒す。 敵を全て倒したら下の部屋内のアイテムを全てとる。 一周している通路に戻り、左下の位置(罠があったところ)から左に掘り進める。水で逆コの字で囲まれたところが階段であるのでその辺りまで掘る。 クリームを取ったら、億安と兄貴にめがけて発動。 階段状の億安はキラークイーン発動で倒す。 安全を確認したらゴールへ! 評価 選択肢 投票 ☆☆☆☆☆ (0) ☆☆☆☆ (0) ☆☆☆ (0) ☆☆ (0) ☆ (0) タグ ザ・ハンド 探索系 離脱系 感想 名前 コメント ランダムです、全体的に運に左右されますね -- 製作者 (2008-11-24 16 07 47) 死んで覚える>ですねぇ、何度も繰り返しますね -- 製作者 (2008-11-24 16 07 16) 敵の動きはランダムだよね? -- 名無しさん (2008-11-24 05 03 55) 死んで覚える系ですね。 -- 名無しさん (2008-11-24 05 03 23)
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作品名 Gの革新 勢力 +... 势力 大名 出典 ガンダムシナリオ 特徴 ガンダムシリーズのキャラクターで構成されている(一部例外あり) シャッフル同盟など、勢力は原作に準拠した設定になっている 武将としては人間以外に、MS(キュベレイ ガンダムetc)が多数登場しており非常にユニークな戦場となっている 戦闘時のボイスをテレビアニメのセリフに差し替えて遊ぶことが出来るなど、雰囲気を楽しめる演出も お勧め 原作の好みで その他・おまけ ノーマルではラスボス候補として北にイデオン勢力が鎮座しているが、長い停戦期間が設けられている。 停戦なし、イデオンなしバージョンも用意されている このターンXすごいよ!さすがターンAのお兄さん! カウンター 今日 - 昨日 - 合計 - 名前 コメント
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396 名前:NEPさん[] 投稿日:2010/03/27(土) 11 08 20 ID rC4vxGmL この間出会った困 新しく出来たサークルにプレイヤ-で参加 希望した卓のGMはまだGM2回目の初心者 困は私以外のPL4名 1:GMがセッション歴2回目と先に自己紹介すると「鍛えてやるぜ」とシナリオブレイクを始めるPL 2:優柔不断な地蔵プレイヤー、ルートが二つに分かれたりすると延々と悩み、自分で行動決めておきながら愚痴を述べてプレイの巻き戻しを要求 自分からは一切アクションを起こさなかったのに「僕のやりたいこと一つもできなかった、もっと活躍させろ」プレイ終了後に文句を述べる。 3:人数調整兼初心者GMのサポートとしてスタッフが参加、そのスタッフは終始イラストを書き続け 何もしなかった。試しにスタッフにルールについて話しかけても「それはGMの仕事でしょ、今忙しいんですから話しかけないでください」 と跳ね除けられる。 4;延々と女性プレイヤーにしかアクションを起こさないプレイヤー、気持ち悪いだけだった。 397 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/27(土) 11 16 45 ID ??? 396 PC1の行動をkwsk 398 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/27(土) 11 21 33 ID ??? 1、「鍛えてやる」のは別に構わんだろ。もっと具体的にブレイクさせた箇所がわからんとね 2、他が困なら地蔵化もやむをえん 3、スタッフなのかPLなのかはっきりしろ 4、消去法的に女性ってお前だろ 399 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/27(土) 11 27 08 ID ??? >4、消去法的に女性ってお前だろ 言われてはじめて気が付いたw ホントだwwwwww 400 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/27(土) 11 30 14 ID ??? 私「以外」って書いてなきゃ6人目のPLとかありえたんだが……w 401 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/27(土) 11 33 15 ID ??? しかし想像してみると「これが困ったちゃんプレイヤーの姿だ! 」って図解にできそうな すばらしいメンツだな 402 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/27(土) 11 34 34 ID ??? ここまで来ると実は報告者も困ったちゃんだったというオチが欲しい 403 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/27(土) 11 34 35 ID ??? 396 1と2はいるわ もう何十回も(そいつ抜きで)やってるのに、たまに混ざるとウザい奴 406 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/27(土) 11 43 49 ID ??? 「鍛えてやるぜ」→シナリオブレイク どうだろうこのトンデモ発想。 スレ253
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革新改造入門 有志シナリオをみて「自分も作ってみたい」と思った人へ多少参考になるかもしれない所です。 どれをいじるにしてもあらかじめバックアップをとっておいたほうがいいと思います。 ただしこの通りやって不具合が起きても責任は取れません。ご注意ください。 Soeur Angelique Nobu12Editor ねこまんま param12 BGM変換 音声変換 PK顔グラ変換について とりあえず作ってみたって感じなので修正できる方いたらお願いします。
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63 名前:むしり ◆pVxP50ERZk[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 01 11 31.41 ID YcUzJRo0 せっかくだし来週の週末は安価で行動しようかなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 77に お邪魔する時の挨拶 88に 両親への挨拶。いなかったらしない← 99に なじみの部屋で初めに言うセリフ 100に なにして遊ぶか。ちなみにゲーム機はGCくらいならあるらしい 111に 帰宅時のセリフ セクハラとかは無しにして欲しいんだぜ…… 伸びるかな?wwwwwwww 69 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 01 30 09.48 ID eRusHuIo あいさつとかおはらっきーくらいしk(ry 70 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 01 30 20.65 ID JdqZG5go 上下巻の小説の上巻だけ渡すとかどんな嫌がらせだよ 安価なら「俺と一緒にトゥギャザーしようぜ」 72 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 01 37 36.23 ID zU3.S5oo お邪魔する時の挨拶←「好きだ!!なじみ!!」 両親への挨拶。いなかったらしない←「結婚を前提にお付き合いさせてもらっています」 なじみの部屋で初めに言うセリフ←「愛してるよ」 なにして遊ぶか。ちなみにゲーム機はGCくらいならあるらしい←そっと手を握りキスする 111帰宅時のセリフ←「また君に会いに来るよ!愛してる!!」 ってな感じかな? 73 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 01 43 45.94 ID bHtzShQo 安価なら「なーじーみちゃん、あーそーぼ!」と大声で挨拶 75 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 01 57 39.95 ID eRusHuIo 両親への挨拶は「こんにちは 今日はなるべく見に来ないでください。 なるべく耳もふさいどいてください。 77 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 02 26 59.65 ID C4vxpMAo なじみ~今日はとっても大切な話があるんだ! 79 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 03 03 55.23 ID 6mENohIo ったくまた草こんなに生やして… _, ._ ( ・ω・) ○={=}〇, | \, , ´ 、、、、し 、、、(((.@)wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 81 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 03 13 53.36 ID G47bJ6AO よろしくするので、2時間ほど出掛けててくれませんか? 86 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 03 24 58.34 ID AwHsd6Ao 一週間あるんだから今から焦らなくてもいいだろwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 87 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 03 25 20.91 ID C4vxpMAo フヒヒ 88 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[] 投稿日:2008/10/11(土) 03 25 55.19 ID HJVY0aw0 御父さん、御母さん、娘さんをもらいにきました 89 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 03 25 58.21 ID C4vxpMAo ○○さん(←なしみのなまえ)をお嫁にください っていう 90 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 03 27 41.59 ID C4vxpMAo もう寝るお! 99は なじみにプロポーズでwwwwwwww 91 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 05 41 55.89 ID Vo0ipNI0 夜中に何やってんだお前らwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww むしりwwwwなじみのノリが可愛くて萌え死にそうだぜwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 92 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 09 36 32.36 ID 48.7j2SO なじみちゃんがむしりの嫁になれば、引きこもりだの不登校だの関係ねぇよwwwwwwwwwwww 料理も出来るみたいだし、結婚すれば万事解決wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 98 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 11 47 55.62 ID bHtzShQ0 今日もかわいいね 99 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[] 投稿日:2008/10/11(土) 11 48 32.74 ID c8YGpB20 「俺はお前のことを一生かけて守り通したいと思ってる。今すぐ、とは言わないけど結婚しよう。なじみ」 100 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 11 50 39.42 ID bHtzShQ0 にらめっこ 101 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 11 50 46.12 ID 9TDaL46o 「俺はお前のことを一生かけて守り通したいと思ってる。今すぐ、とは言わないけど結婚しよう。なじみ」 うwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwはwwwwwwwwwwGwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwJwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww kskst 102 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 11 52 58.12 ID bHtzShQ0 プwwwwwwwwwwwwwwwwwwロwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwポwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwーズwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 103 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 11 54 44.12 ID 9TDaL46o にらめっことかwwwwww べろちゅー決定ww 105 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 12 18 22.73 ID G47bJ6AO ちょwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww俺が飯作ってる間にwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 110 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 13 50 16.64 ID uEEStYAO 今夜はなじみの夢が見れそうだよ 111 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 13 52 01.12 ID sOz1nSI0110 今夜はなじみの夢が見れそうだよ 112 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 13 52 05.07 ID 6mENohIo 次に会うときは式場だぜ! 113 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 14 52 36.96 ID eRusHuIo 進みすぎだあwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 114 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 15 25 02.13 ID 4z08Gyoo まとめ。 お邪魔する時の挨拶 なじみ~今日はとっても大切な話があるんだ! 両親への挨拶。いなかったらしない← 御父さん、御母さん、娘さんをもらいにきました なじみの部屋で初めに言うセリフ 「俺はお前のことを一生かけて守り通したいと思ってる。今すぐ、とは言わないけど結婚しよう。なじみ」 なにして遊ぶか。ちなみにゲーム機はGCくらいならあるらしい にらめっこ 帰宅時のセリフ 今夜はなじみの夢が見れそうだよ 見事なまでの包囲網wwwwww 「にらめっこ」だけ浮いてるwwwwwwwwww 115 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 15 43 29.00 ID uEEStYAO やべ、俺の入っちゃった…。 ただなじみには全部「そうですか…。」みたいな感じに流される気がする。 むしりさん、できそうかい? 116 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 16 33 51.10 ID qb3lbtQ0 なんという包囲網ww
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基本情報 攻略情報など マップ エリア詳細S↑ 壷 箱 敵 コメント 基本情報 名称 区分 ランク 戦場時間 敵軍総大将 報酬金 勝利条件敗北条件 勝利報酬 特殊目標 特殊報酬 曹操包囲網 依頼 ★★★ 陳留30分 袁術軍陶謙 800G 陶謙の撃破プレイヤー死亡3回 浄化の札 袁術の撃破 巨大狼の像 攻略情報など マップ エリア詳細 S↑ 壷 No. アイテム 備考 1 アイテム 備考 箱 No. アイテム 備考 1 アイテム 敵 分類 名称 属性 兵種 武器相性 武勲 戦利品 備考 剣 槍 戟 棍 弓 術 分類 名称1 ? 軽兵 ◎ ○ □ □ □ △ ? ? 名称2 ? 重兵 □ △ ◎ ○ △ □ ? ? 名称3 ? 術兵 × ○ △ △ ◎ ○ ? ? 名称4 ? 動物 ○ □ □ × ○ ◎ ? ? 名称5 ? 固定兵器 △ △ ○ ◎ × × ? ? 名称6 ? 軽兵器 ○ □ × △ □ ○ ? ? 名称7 ? 重兵器 △ □ □ ◎ △ △ ? ? コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る