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とある魔術の禁書目録 作品情報 公式HP http //www.project-index.net/ 24枚 上条当麻 インデックス 御坂美琴 ステイル=マグヌス 白井黒子 神裂火織 月詠小萌 アウレオルス=イザード 姫神秋沙 アクセラレータ 土御門元春 土御門舞夏 風斬氷華 青髪ピアス ラストオーダー ラストオーダー(ぃえーい) 御坂妹a 御坂妹b 御坂妹c ミーシャ=クロイツェフ ミーシャ=クロイツェフ(目隠れ) とある魔術の禁書目録Ⅱ オリアナ=トムソン 吹寄制理 アンジェレネ
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小ネタ ミジカミコト2 ――傷でドキッ――「さーて、今日も疲れましたね、お疲れ様です上条さんいいこいいこ」悲しいひとり言を垂れ流すのは上条。補習帰りのようである。そんなとき、聞き覚えのある声が聞こえた。「あちゃー、唇痛そうですね」佐天の声だ。目の前を4人の女子が歩いている。「うん、噛んじゃってさ、痛くて食欲もあんまり湧かないのよね」美琴が唇を切ったようだ。彼女たちは上条に気付いていない。「食欲も無くなるのは大変ですね、パフェの幸せも半分ですよ」会話しながら歩く4人との距離は、少しずつなくなっていく。「あぁ、不憫なお姉様。代われるものなら代わって差し上げたい!!」ここにきて、彼女たちに追い付いた上条は、傷の程度に興味を持った。だから、「どれどれ?」急に声をかけられ驚く4人をほっといて、上条は美琴の顎に手を添えて、クイッと上を向かせた上で、唇を凝視したのだった。――糸でドキッ――「なにこれ?」美琴は、木に引っ掛かっている糸を見つけた。糸は少し先の曲り角を左に曲がった先まで続いている。「…………」何気なく手に取り、何とはなしに曲がり角に向かう。曲がろうとした瞬間に声が聞こえた。「カミやん、左手左手」「左手……? ぎゃー!! 袖がほつれていらっしゃるぅぅぅぅううう!!」――赤い糸の先にはアイツがいた。――メールでドキッ――to 青髪ピアス 21 26おい、まさか本当に小萌先生の補習をうけるために、わざと課題を忘れる気か?〉答えどころか問題がわからんわ。全部学校に置いてきたんやto 美琴 21 28なんだ? この前から毎日メールしてるけど、また用事ないの?〉なんか話題ない?to 姫神 21 31明日もおかず交換するか?〉今日はありがとう。美味しかった。to 青髪ピアス 21 31小萌先生泣くぞ!!(`Δ´)〉当然やろ? なにいっとるん?to 美琴 21 32いや、大好きですよ♪(´ε`*)〉なによ、わたしが鬱陶しいとでもいうの!!?to 姫神 22 35え? だから好きですよ?〉返事がないから。もう一度。梅干しは。嫌い?
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とある10人のハロウィンパーティ 2 The_secret_meeting. 1 10月も2週目となった、とある放課後。 柵川中学校の近くにあるファーストフード店に、珍しいメンバーが集っていた。「本日はこんな所までわざわざお集まりいただき、ありがとうございます!」 集まった面々に、佐天がにっこり笑い掛ける。「気にすることないぜい」 初めに答えたのは今日集まったメンバー唯一の男子、土御門。「礼には及びませんわ」 続いて答えるのは、相変わらず豪奢な扇子を手放さない婚后。その両脇では、湾内と泡浮が微笑んでいる。「いやーそう言ってもらえると嬉しいです。ターゲットと絶対に鉢合わせない店を考えたら、ここしか思いつかなくて」 と、ここで佐天がキョロキョロと辺りを見回す。 周りの客は皆、佐天と同じ柵川中の制服か、他の平凡な学生服に身を包んでいる。 常盤台やとある高校の制服を身に付けた学生は、婚后たちや土御門の他に誰も見当たらない。「一応“見張り”もいるので、鉢合わせの心配はないはずなんですけどね」「カミやんなら青ピと一緒に小萌先生の補習を受けてるんだにゃー」「御坂さんもいつものファミレスで、初春と白井さんと一緒にいるはずです。 私は補習ってことになってますし、怪しまれることもないと思います」「手回しも完璧なのですね」「素晴らしいチームワークですわ」「もちろんです。やる限りは徹底的にやりますよ! それでは」 コホン、とわざとらしい咳払いを一つして、佐天は高らかに宣言する。「ここに第一回、『御坂さん応援隊による秘密会議』を始めたいと思いますっ!」 話は先週、セブンスミストでハロウィンパーティを開くことを決めた日まで遡る。 あれから数分後に、美琴は目覚めた。 目覚めた瞬間、上条に膝枕されていることに気付いた美琴が再び漏電したのは無理もないだろう。(幸いにも気絶はせずに済んだ。) 茹でダコのような美琴に合同でのパーティが決まったと告げ、各々の連絡先を交換してから、その日はそれで解散ということになった。 そして、それはみんなでセブンスミストを出た直後に起こった。「カミやん」 寮に向かって歩き出そうとした上条を、土御門が呼び止めた。「ん? なんだよ?」「御坂さんを常盤台の寮まで送って欲しいんだにゃー」「……はい?」「だーかーらー。御坂さんを送って来いって言ってるんだにゃー」 流れる一瞬の沈黙。そして、(ふぇ!? 何!? 何が起こってるの!?)(GJ! GJですよ土御門さんっッッ!!)(まぁなんと素晴らしい提案をなさるのかしらこの殿方は!) 各々が心の中で思い思いのことを叫ぶ。「いや、だから何でそうなんだよ?」「よく見てみるんだにゃーカミやん。御坂さんはまだ顔が赤いぜい。熱があるのかもしれない子を一人で帰らしていいと思うのかにゃー?」「まぁ、言われてみれば……てかお前も一緒に行くだろ? どうせ一緒に帰るんだし」「いや、俺はちょっと寄る所があるから行けないぜい」 にやりと笑う土御門。サングラスのせいで、その真意を読み取るのは難しい。「そうなのか?」「そうなんだにゃー」土御門の言葉に何も疑問を抱かぬまま、上条は美琴の方へと顔を向ける。「そういうことで御坂、2人で帰るぞー」「ふふふ2人!?」「ほら、持ってる鞄を寄こしなさい。それでは皆様、上条さんたちはお先に失礼します」「ええっ!? ちょ、ちょっと待ちなさいってば!」美琴の学生鞄を取り上げて、さっさと歩き出す上条。真っ赤になって固まっていた美琴だが、鞄を取られてしまったので慌てて追いかける。「ちょっと待ってやカミやん! ボクも……」 慌てて後を追おうとする青髪ピアス。 しかし、その肩を土御門がガッシリと掴んだ。「何すんのつっちー! ボクも途中まで同じ方向って知ってるやろ!」「まぁまぁ落ち着くんだにゃー」 そして、青ピの肩を掴んだまま振り返る。「そちらのお嬢さんが俺たちに話あるみたいだぜい?」「へ?」 土御門の言葉につられて、青髪ピアスも一緒に振り向いた。 その視界に飛び込んできたのは、「ほほう。よくお分かりで♪」 ニヤニヤと笑う少女、佐天涙子の姿であった。 上条と美琴の姿が見えなくなるまで見送った6人は、解散はせずにセブンスミスト近くのファーストフード店に入った。「それでは、みなさん。いきなりですが本題に入りますね」 話を切り出したのは、もちろん佐天である。「まぁ、すでに土御門さんはお気付きのようですけど」 左隣に座る土御門に向かって問いかければ、ニヤリとした笑みが返ってきた。 それを肯定と捉え、佐天は話を進める。「私が言いたいこと、それは、御坂さんと上条さんについてです。 もう誰が見たって明らかですが、御坂さんは間違いなく上条さんに恋してます。なのに!」 佐天はクワっと目を見開いて、言葉に力を込める。「に、も、か、か、わ、ら、ず! 上条さんは全くそのことに気付いてないと思われます! これは大問題です!!」 そこまで言い切った佐天は、ぐっと握った拳を顔の前に持ってくる。「だから私、佐天涙子は御坂さんの友達として、御坂さんの恋を全力で応援したいと思いますっ!」「素敵ですわ佐天さん」「さすがですわ」 小さな歓声と共に、湾内と泡浮が拍手する。「もちろん私も同じ気持ちですわよ」 佐天の対面に座る婚后も負けてはいない。「私、婚后光子も悩める友の為に一肌脱がせていただきますわ!」 そして拳の代わりに、豪奢な扇子を勢いよく開いた。 その様子に満足げな笑みを浮かべた佐天は、土御門と青髪ピアスの方を見据える。「ということで、お二人にも是非協力していただきたいんです。どうかお願いしますっ!!」 その言葉と同時、強い思いを乗せた女子全員の熱い視線が、2人の男子高校生に注がれた。 しばしの沈黙を挟んだ後、青髪ピアスは降参とでも言うように、手のひらを上に向けて肩をすくめた。「こんな可愛いコたちに頼まれて断れるわけないやんね」 そして右隣に座る土御門を見る。「そうやろ、つっちー?」「そうなんだにゃー。男土御門、喜んで協力させてもらうぜよ」 青髪ピアスと土御門が即答出来なかったのには理由がある。 青髪は姫神、土御門はインデックスやその他大勢といった、美琴同様に上条当麻に想いを寄せる少女たちを知っているからだ。 それでも2人はこの恋を応援することに決めた。なぜなら、「カミやんに彼女できたら、失恋した女のコがボクのとこ来てくれるかもやしねー」「そうだにゃー。まぁ俺は舞夏がいてくれればそれでいいんだぜい」……とは表面上の答えで。 ステイルの想いを知り、美琴が上条のために戦地へ赴くような少女であることを知る土御門としては、 この2人が結ばれるのが一番いいように思ったのだ。偽海原の想いも知ってはいるが、あれにはあれの「妹」がいるらしいから問題ないだろう。 ちなみに、青髪ピアスは割と本気でそう答えているようだ。「ありがとうございます! すごく頼りにしますね」 土御門と青髪ピアスの返答に満足した佐天が笑う。「お2人の協力も得られるとわかりましたし、初春は間違いなく乗ってくれるだろうし。 あとは白井さんを説得するのみですけど、まぁこれは初春と私で何とかします。だから」 佐天はテーブル中央に向かって右手を出す。それを見た5人が、次々と佐天の上に手を重ねていく。「みなさん! ハロウィンパーティ、張り切っていきましょう!!」 直後、3種類の制服に身を包んだ6人の男女が、一斉に声を上げて団結した。 そういう経緯で先週、佐天涙子率いる『御坂さん応援隊』なるものが発足されたのである。 そして今日は、その記念すべき1回目の秘密会議なのだ。「それにしても、あの白井さんが協力するとは思いませんでしたわ。佐天さん、あなた一体どのようにして説得なさったの?」 婚后が扇子をパタパタと扇ぎながら佐天に問う。 佐天は白井を説得した時のことを思い起こし、苦笑しながら一言だけ告げた。「あれは初春の功績です」「あら、初春さんの?」 そう、白井を説得出来たのは初春のおかげである。 『白井さん。隠し集めていた秘蔵画像集やパソコン部品がありますよね。 御坂さんにバラされた上にデリートされたくなければ、私たちに快く協力して下さい』 『な、何のことかさっぱりわかりませんの』 『ネタは上がってます。もしも協力して下さるなら秘密は守ります。 でも協力して下さらないならパーティには招待しませんから、仮装した御坂さんに会えなくなりますよ? きっと可愛いのに見れないなんて残念ですねー』 『くっ!? 卑怯な!!』 訂正。 活躍したのは、初春改め、黒春である。「まぁ、それは置いといて! 話を進めましょう」 記憶の中で微笑む黒春の姿を頭の隅に追いやって、佐天は言葉を続ける。「問題は上条さんが全く御坂さんを意識していないってことだと思うんです。どうやって上条さんに御坂さんを意識させるか、そこがポイントです」「そうですわね。意識してさえいただければ何か変わるはずですわ」 「照れ隠しでついつい攻撃的になってしまう御坂さんの性格をどうにか出来ればいいんですけどねー」 「けれど性格を変えることが最も難しいのではなくて?」 「私たちが普段目にするような御坂様のお優しい一面を、上条さんにも知っていただければ……」 自らの考えを口にしては黙り込んでしまう少女たち。 早速手詰まりかと思われた矢先、ただ一人黙っていた少年が口を開いた。「だったらまずは見た目で勝負なんだにゃー」 にやりと笑った土御門は、軽い調子で言葉を続ける。 「お嬢さん方。俺たちが開くのが何のパーティか、そこがヒントだぜい?」 「何の、と申しますと、ハロウィン……ああ!」 「ハロウィン“仮装”パーティですわ!」 「まぁ! つまり、御坂さんのコスプレ姿で上条さんを攻め落とす作戦ですのねっ!!」 目を輝かせて土御門の名案に賛同する少女たちに、土御門は肩を少しだけすくめた。「攻め落とせるかは別として、少なくとも意識させることは出来ると思うぜい」「そうと決まれば早速行動です! 初春たちにも連絡を」 携帯電話を取り出した佐天は、指先を忙しく動かし始めた。 「衣装買いに行くの、今週土曜でいいですよね?」 しかし、そんな佐天の携帯電話を、土御門がヒョイと取り上げる。「いや、連絡するのは御坂さんだけだぜい」「え? どうしてですか?」「こうするんだにゃー」 少女たちが見守る中、土御門は何食わぬ顔で文面を打ち直した。 そして、その文面を見た佐天は言う。「……ほほう。お主もなかなかの策士ですのぉ」「いやいや、佐天さんほどじゃないぜい」「では、キューピッドメール送信っ♪」 それは、御坂さん応援隊の作戦1号が実行に移された瞬間であった。
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名言 森尾の森尾による森尾の為の言霊 こいつ・・・死にたいのか・・・!? ポリシー
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名言 あうあうあうあう とわとわとわ つぬ さにむ らを ちはむる ジォレネーシコオ ニヌムリル
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そんなわけで、酔っ払いの美琴さんはえらく上条さんの事が気に入ってるようで、離れてくれません。 ベンチに座ってからもピッタリ横にくっ付き、ガッチリと腕を取られてて離す事もできない状態です。 まあ、当然美琴の胸が上条の腕に押し付けられてる状態になっているわけで、上条さん的には天国と地獄です。 しかし、離れないだけならまだしも、この酔っ払いは何かにつけてキスしようとしてきます。 なんとかそれを阻止しようとするのだが、どんなに頑張っても最終的にはキスされてしまう。 また、キス以外にもいろいろやってきます……。 「はむ~♪」 「ぬぉっ!? み、耳ー! 耳朶噛むなー!」 上条さんの耳朶を軽く甘噛みする美琴さん。 「えーっ、じゃあ~♪」 ペロ~♪ 「ひぐっ!? な、舐めるのもダメです……」 「にゃははは~♪ とうみゃのはんにょうおもしりょ~い♪ もっとしゅる~♪」 「ちょ、ちょ、待て、待て待て! やめてー! あ、そ、そこ、く、首筋……首筋やめてー……!」 やってる事がだだ甘バカップルです。 こんな果てしなく恥ずかしい事を、白昼堂々青空の下おもいっきりやってます。 「(何か方法はないのか!? この酔っぱらいをどうにかする方法は!?)」 この状況を打破するには、やはり美琴の酔いを醒まさなければならないのだが、打開策が思い浮かばない。 「(右手でどうにかなってくれたりしねぇかな……)」 困った時の『幻想殺し』。 『幻想殺し』で酔いを消せないかなと、試しに美琴の頭に右手を当ててみたりしたのだが、 ポスッ…… 「うにゅ?」 「……」 まるで効果はないようだ。(まあ当然か) それどころか、 「とうみゃ~♪ 頭なでなでしてくれるにょ~♪」 と勘違いをされて、期待の眼差しを向けられる事になった。 「なでなでして、にゃでにゃでしてよ~♪」 「いや、あの、その……これはだな……」 『違うんだよ』と言いたいのだが、そんな小動物チックな目で見つめられるとダメです。 そんな目で見ないでください、やらざるを得なくなるじゃありませんか。 結局上条さんは折れるのだった。 わしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃ…… 「ふにゃー……」 どう表現したものか、とりあえず喜んではもらえているようです。 心地いいのか、脱力して上条さんの膝の上に頭を乗せると、膝の上の子猫状態でごろごろにゃーにゃーしてます。 「もっと~♪ もっと、にゃでにゃでして~♪ ふにゃー……」 「あー、はいはい……」 頭をなでなでしながら、いつまでこんなことが続くのだろうと考えていた。 しかし、これはもしかしたらチャンスなのではとも思った。 頭を撫でられている美琴は幸せそうに上条の膝の上で脱力して眠りそうなので、このまま眠ってくれればこの状況を打破できるのではないかと。 だが、上条の不幸がそんな簡単に終わってくれるはずがなかった……。 「ん? あれ、カミやんやないか?」 「おーい、カミやん、何してるぜい?」 今、最も会いたくなかった人物上位に位置する野郎の声が聞こえてきた。 なでなでしていた手がピタリと止まると、ギギギギギっとロボットのように声のした方に顔を向ける。 上条の背後から少し離れたところに二人の男の姿、とある高校の1年7組のクラスの三バカ(デルタフォース)の二人、土御門元春と青髪ピアス(本名不明)だ。 まずい、まずいです、ピンチ、ピンチです! よりにもよってこんな状況であの二人と出くわすとは。 彼らのいる位置からは美琴の姿が見えていないようだが、こちらに近付いて来たらバレます。 「(やばい! こんなところあいつらに見られたら……!)」 考えただけでも恐ろしいです。 なんとかこの場をやり過ごさなければ……! 「(……しかし、どうする!?)」 あの二人がこのままこちらに来る事なくどこかへ行ってくれる事がベストだが、そんな都合のいい展開は期待できないだろう。 少しずつこちらに歩を進めてくる。 「……とうみゃ?」 上条の手が止まったので、美琴が上条の膝の上に頭を乗せたまま顔を見上げつつ声をかけるが、いつものようにスルーされる。 上条は余所見したまま固まっていた。 まあ、現在上条さんは二人に気付かれないようにする事で頭がいっぱいだったのだから、美琴の声に答えるだけの余裕がないのも仕方がないのだが、この状況下では何にも優先して美琴に気を配るべきだっただろう。 今の美琴はいつもの彼女以上に危険なのだから。 「……とうみゃ」 膝枕された状態から手を伸ばし、美琴の手が上条の頬に触れる。 「……へっ?」 頬を触れられた事でようやく美琴が呼んでいた事に気付いた上条だったが、次の瞬間一気に美琴に引き寄せられ、 チュッ~♪ 膝枕していた美琴にキスされるのだった。 「ん……」 「んん……!?」 「んん……ちゅば……ん……れろ……」 「ん……んん……!? ぷはぁっ……!?」 また強引に上条は唇を離すが、今度のキスはえらく強烈だったらしく、顔が前にも増して赤い。 離した唇と唇の間を涎の糸がつーっと伸びていた。 「んふふふふ、とうみゃのあじがしゅる~♪」 「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……な、なんつーキスをしやがりますか!?」 「うにゅ? でぃーぷきすってやつ? ちたとちたをきゃらましぇる……」 「説明せんでいいー!」 律儀に説明しようとする美琴をおもいっきり静止する。 「だって、とうみゃがむししゅるんだもん~♪ いちゃじゅらくらいしたくにゃるもん~♪」 「え、あ、う、うん……そ、その…それは悪かった。ちょっと考え事……」 と言いかけて、今の状況を思い出す。 その瞬間、背後から発せられる凄まじいまでの殺気に身を震わせ、背筋が凍りつきそうなほどゾクっとする凄まじいまでの悪寒を感じた。 「「カミやん……」」 悪寒の原因の主はこの二人、土御門と青髪ピアス。 当然、上条さんと美琴のキスの現場はこの二人に見られてたわけで……。 「……カミやん、遺言もしくは辞世の句はありますか? 一応聞いてやるでぇ……」 「カミやん……短い付き合いやったけど、いろいろ楽しかったぜい……」 怖くて後ろを振り向けませんが、どうやら二人は殺る気満々のようです。 殺意の濃度がいつものふざけ合いと比べて、明らかに段違いです。 これはもう少しでも行動を間違えるとデッドエンド直行、慎重に言葉を選ばなくては上条さんの生命はありません。 「いや、まあ、その……ちょっと落ち着こうよ……」 「カミやん、それが最後の言葉でええのんか?」 「それじゃあカミやん……さらばだぜい!」 弁明の余地は残されていなかったようだ。 「えー!? ちょ、ちょっと待てー! 弁明の余地なし!? なしですか!? もう上条さんにはデッドエンド直行の道しか残されていないのですかー!? ちょ、マジですか!?」 「いくぜい! 青ピー!」 「了解やー!」 「「死にさらせ―!!!」」 もはや問答無用、上条さん生命の危機! かと思われたが、 「うるちゃい」 ビリビリガッシャーン! 美琴さんが一言、そう言い放った瞬間全てが終わった。 上条に向かって制裁を課そうとした二人は、美琴の発した電撃の餌食となった。 「にゃ、にゃぁ……ガクッ」 「こ、こういうのはカミやんのポジション……ガクッ」 まさに瞬殺、二人は一瞬にして黒焦げにされました。 流石はレベル5の超能力者、酔っ払ってもその実力に陰りはない。 上条は最強の矛であり盾ともなる存在を手に入れた(?)。 「……えっと……」 「とうみゃ、とうみゃ~♪ うるちゃいのやっちゅけたよ~♪ ほめてほめて~♪」 この状況に戸惑っている上条さんとは裏腹に、美琴さんはまた頭をなでなでして欲しいのか、上条に抱きつき頭を突き出して来る。 美琴に助けられたので何もしてやらないわけにもいかず、まあキスしてと言われるよりは遥かにマシと考え、上条は求められるままに頭を撫でてやった。 わしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃ…… 「ふにゃー……」 相変わらず訳のわからん反応だが、とりあえず喜んでいるのはたしかだ。 「とうみゃ~♪」 「……ん?」 「だいちゅき~♪」 チュッ~♪ 頭なでなでしてやっても、結局またキスされるのだった。 「なんやこのいちゃいちゃ空間はー! こんな光景を目の前で見せ付けられて黙っとけるかー!!!」 「男の……男の…男の嫉妬の執念ー、甘く見るんじゃないぜいー!!!」 今し方瞬殺された二人が、ガバっと再び立ち上がった。 電撃のダメージなどまるで無いかの如くスピーディに。 まあ、立ったと同時に激しくよろけている。 やっぱりダメージはあるようだ。 しかし、あの状態から立ち上がるとは、モテない男の執念恐るべし。 とはいえ、本当に大丈夫か? 「ふっふっふ……お、オレたちを…甘く見ちゃいかんぜい……」 「まだや……まだ終われへんのやー!」 なんかそれなりにかっこよさげな事を口にしてはいるが、彼らが立ち上がる理由は単なる嫉妬なので……。 「もー、うるさいー!」 ドガガガガッシャーン!!! まだ二人のそれなりにかっこよさげなセリフの途中だったのだが、再び美琴の電撃炸裂。 「ちょ…ちょっと……まだ……喋ってる……途中…なんやけど……(がくっ)」 「こ…この仕打ちは……酷過ぎるにゃ……(がくっ)」 また二人は黒焦げとなってその場に倒れる。 「あー……」 「とうみゃ、とうみゃ~♪ またうるちゃいのやっちゅけたよ~♪ またにゃでにゃでして~♪ にゃでにゃでして~♪」 上条に抱きつき無邪気になでなでを要求してくる美琴。 土御門と青髪ピアスは再び上条に制裁を加えようと立ち上がったわけなので、迎撃してくれた事は感謝すべきなのだろうが、頭を撫でてやるべきなのか正直悩む。 悩むのだが、今は美琴の機嫌を損ねるのはあまりに危険なわけで、結局頭を撫でてやるのだった。 わしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃ…… 「ふにゃー……」 相変わらずの訳のわからん反応をした後、 「とうみゃ~♪ だいちゅき~♪」 チュッ~♪ またキスされるのだった。 まあ、またこうなるのだろうなとは予想していた。 だから頭をなでなでするべきか悩んでいた。 そしてもう一つ、 「ええかげんにせいー……!!! まだ見せ付けるかー!!!」 「嫌がらせか!? 嫌がらせやな!!!このバカップルがー!!!」 こうなるのではないかとも、なんとなく予想していた。 例によって土御門と青髪ピアスが復活、再び立ち上がった。 「(……なんだろうな……なんでこう…嫌な予想に限って…こんなに当たるんだろうな……不幸だ……)」 上条さんが不幸を呪っている間に、ゾンビの如く復活した二人は再び上条に襲い掛かろうとするのだが、 「もー、しちゅこいー!」 ドガガガガッシャーン!!! 美琴の電撃が三度炸裂し、結局瞬殺され二人は地面に倒れ付す。 何かこのまま、 美琴が上条になでなで要求→上条さんなでなでしてやる→美琴喜ぶ→お礼にキスする→土御門&青髪ピアス復活!→いちゃいちゃすんなー!と再び襲撃→美琴が二人を瞬殺!→美琴が上条になでなで要求(最初に戻る) を永遠に繰り返し、どちらかが力尽きるまで無限ループしそうである。 と思われたが、終幕は意外に近いかもしれない。 あまりの二人のしつこさに美琴は相当ご立腹のようで、美琴の周りはバチバチと激しく帯電している。 「み、みこと……?」 そんな美琴の姿を見た上条さんは心底心配です。 案の定、倒れている二人に追い討ちをかけようと、電撃をぶっ放そうと構える。 「うーん……どのくりゃいにょいりょくをぶちゅけれびゃにどとたちあぎゃってこにゃいかな?」 美琴はもう二人の息の根を止める気満々、今までに無いくらいの電撃を放とうとしています。 「いやいやいや、だめだめ! だめだぞ、美琴! 何もそこまでしなくても……!」 それを見た上条さんは慌てて静止します。 右手でバチバチしている美琴に触れると、纏っていた電撃がキャンセルされ、電撃の追い討ちを未然に阻止。 さすがに追い討ちというか、これ以上の攻撃はマズイのではないかと。 下手したら本当に止めになりかねない。 「だって、とうみゃ~……」 止められて少し不服そうな美琴。 「こいちゅらわたちたちのじゃまびゃかりしゅるし……わたちはとうみゃともっちょいっぴゃいきちゅときゃいりょいりょちたいのに……」 上条ともっといちゃつきたい美琴としては、どうもラブラブ(?)空間に割り込んでくる二人が許せないらしい。 「……あー、うーん……えっと…だな……」 返答に困るが、とりあえず危険発言はやめて欲しかった。 何故なら、 「くぉらぁー、カミやんー!!!」 「と、常盤台中学のお嬢様相手に、いろいろって何する気やー!!!」 それはこいつらに復活の呪文という効果をもたらすから。 しつこく四度目の復活を果たす土御門&青髪ピアス。 上条さんは、「ああ、またかよ……」という表情で頭を抱え、そして美琴は四度目の復活にとうとう堪忍袋の緒がキレたようで、 「いいきゃげんにちろー!!!!!」 大絶叫と共に、これでもかというほどの強力な電撃を二人に叩き込もうと、その手を振りかざそうとしたが、 パシッ! 振り下ろされる前に、上条が右手で握って阻止した。 「とうみゃ?」 「とりあえず……ここは逃げる!!!」 と言って上条は美琴の手を引くと、その場を一目散に逃げ出した。 電撃が来ると思い一瞬身構えていた土御門と青髪ピアスだったが、突然の二人の逃走に一瞬ポカンとしてしまう。 しかしすぐに我に返り二人の後を追おうとしたが、さすがに美琴から受けたダメージが大きかったのか追う事が出来なかった。 「カ…カミ…やん……!」 「こ、このままじゃ……このままじゃ…終わらんぜい……!」 ある意味二人は上条に救われたと言ってもいい状況、感謝してもいいくらいなのだが、それ以上に嫉妬の想いの方が強いようだ。 というわけで土御門と青髪ピアスから逃亡した上条さん&美琴さん。 逃走を決めた理由として、あのままあの場にいたら本当に無限ループになりかねないと思ったのと、土御門と青髪ピアスの生命の危険を感じた事も理由の一つなのだが、それとは別の理由がもう一つ。 美琴&土御門と青髪ピアスは気付いていなかったが、あの現場を見ている人影があったのだ。 あれだけ派手に騒いでいたので、騒ぎを聞きつけた人が顔を覗かせたのだろう。 ただ野次馬ならまだいい(よくはないが)が、あれがもし警備員(アンチスキル)やら風紀委員(ジャッジメント)だったり、そうでないにしても警備員や風紀委員に通報しようものなら面倒な事になる。 上条さんとしてもあまり人目に付きたくない状況なので逃走を決めたわけである。 「とうみゃ~♪」 この状況はあまり人目に晒したくない、特に知り合いには……。 「(さっきあそこにいたのって、知り合いとかじゃないよな……?)」 少々気になったが、今となっては確認のしようがない。 あの場にいたのが知り合いでない事を願うばかりだ。 で、その現場を見ていた目撃者と言うのは……。 「ねぇ、初春……今の…御坂さん…だったよね……?」 「えーっと……ちょっと遠目だったから、よくわからなかったですけど……」 初春飾利と佐天涙子。 上条の知り合いではないが、おもいっきり美琴の知り合いだったりした。 しかも、初春は風紀委員だったりする。 「やっぱり御坂さんだって! 常盤台中学の制服着てたし、あれだけ電撃ビリビリやってたんだから! 絶対間違いないよ!」 「…そ…そうなの…かな……?」 佐天はかなり興奮気味で、初春はその勢いに圧倒される。 佐天が興奮するのも仕方のない事だろう。 何故なら、 「あの一緒にいた人は御坂さんの彼氏? 彼氏かな? 初春どう思う?」 恋話に興味深々だからだ。 しかも、ただ恋話ではない。 知り合い、しかもただの知り合いなんてものではなく、お嬢様で名門常盤台中学に通うほどのエリート、そしてこの学園都市で七人しかいないLv5の一人にして第三位の実力者、『超電磁砲』の異名を持つあの御坂美琴である。 御坂美琴の恋話なんて、これはもう興味ありまくりだ。 「彼氏……なんですかね……?」 「絶対間違いないって! だってさあ、ほら…その……キ、キスとかしてたじゃない……」 「あ、あー……う、うん…そ、そうですね……」 思い出して二人揃って顔を赤くする。 自分の事ではないとはいえ、やっぱりこういう話題は恥ずかしいものだ。 「……ねぇ、後つけてみない? まだそんなに遠くに行ってないと思うし」 「ええっー!?」 「初春も気になるでしょ?」 「そ、そりゃ気になりますけど……」 「じゃあ決まり! 善は急げだ! レッツゴー!」 「ああー、ちょっと佐天さん……!」 佐天は初春の手を強引に引くと、二人が走っていった方へと足を向けた。
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そんなわけで、酔っ払いの美琴さんはえらく上条さんの事が気に入ってるようで、離れてくれません。 ベンチに座ってからもピッタリ横にくっ付き、ガッチリと腕を取られてて離す事もできない状態です。 まあ、当然美琴の胸が上条の腕に押し付けられてる状態になっているわけで、上条さん的には天国と地獄です。 しかし、離れないだけならまだしも、この酔っ払いは何かにつけてキスしようとしてきます。 なんとかそれを阻止しようとするのだが、どんなに頑張っても最終的にはキスされてしまう。 また、キス以外にもいろいろやってきます……。 「はむ〜♪」 「ぬぉっ!? み、耳ー! 耳朶噛むなー!」 上条さんの耳朶を軽く甘噛みする美琴さん。 「えーっ、じゃあ〜♪」 ペロ〜♪ 「ひぐっ!? な、舐めるのもダメです……」 「にゃははは〜♪ とうみゃのはんにょうおもしりょ〜い♪ もっとしゅる〜♪」 「ちょ、ちょ、待て、待て待て! やめてー! あ、そ、そこ、く、首筋……首筋やめてー……!」 やってる事がだだ甘バカップルです。 こんな果てしなく恥ずかしい事を、白昼堂々青空の下おもいっきりやってます。 「(何か方法はないのか!? この酔っぱらいをどうにかする方法は!?)」 この状況を打破するには、やはり美琴の酔いを醒まさなければならないのだが、打開策が思い浮かばない。 「(右手でどうにかなってくれたりしねぇかな……)」 困った時の『幻想殺し』。 『幻想殺し』で酔いを消せないかなと、試しに美琴の頭に右手を当ててみたりしたのだが、 ポスッ…… 「うにゅ?」 「……」 まるで効果はないようだ。(まあ当然か) それどころか、 「とうみゃ〜♪ 頭なでなでしてくれるにょ〜♪」 と勘違いをされて、期待の眼差しを向けられる事になった。 「なでなでして、にゃでにゃでしてよ〜♪」 「いや、あの、その……これはだな……」 『違うんだよ』と言いたいのだが、そんな小動物チックな目で見つめられるとダメです。 そんな目で見ないでください、やらざるを得なくなるじゃありませんか。 結局上条さんは折れるのだった。 わしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃ…… 「ふにゃー……」 どう表現したものか、とりあえず喜んではもらえているようです。 心地いいのか、脱力して上条さんの膝の上に頭を乗せると、膝の上の子猫状態でごろごろにゃーにゃーしてます。 「もっと〜♪ もっと、にゃでにゃでして〜♪ ふにゃー……」 「あー、はいはい……」 頭をなでなでしながら、いつまでこんなことが続くのだろうと考えていた。 しかし、これはもしかしたらチャンスなのではとも思った。 頭を撫でられている美琴は幸せそうに上条の膝の上で脱力して眠りそうなので、このまま眠ってくれればこの状況を打破できるのではないかと。 だが、上条の不幸がそんな簡単に終わってくれるはずがなかった……。 「ん? あれ、カミやんやないか?」 「おーい、カミやん、何してるぜい?」 今、最も会いたくなかった人物上位に位置する野郎の声が聞こえてきた。 なでなでしていた手がピタリと止まると、ギギギギギっとロボットのように声のした方に顔を向ける。 上条の背後から少し離れたところに二人の男の姿、とある高校の1年7組のクラスの三バカ(デルタフォース)の二人、土御門元春と青髪ピアス(本名不明)だ。 まずい、まずいです、ピンチ、ピンチです! よりにもよってこんな状況であの二人と出くわすとは。 彼らのいる位置からは美琴の姿が見えていないようだが、こちらに近付いて来たらバレます。 「(やばい! こんなところあいつらに見られたら……!)」 考えただけでも恐ろしいです。 なんとかこの場をやり過ごさなければ……! 「(……しかし、どうする!?)」 あの二人がこのままこちらに来る事なくどこかへ行ってくれる事がベストだが、そんな都合のいい展開は期待できないだろう。 少しずつこちらに歩を進めてくる。 「……とうみゃ?」 上条の手が止まったので、美琴が上条の膝の上に頭を乗せたまま顔を見上げつつ声をかけるが、いつものようにスルーされる。 上条は余所見したまま固まっていた。 まあ、現在上条さんは二人に気付かれないようにする事で頭がいっぱいだったのだから、美琴の声に答えるだけの余裕がないのも仕方がないのだが、この状況下では何にも優先して美琴に気を配るべきだっただろう。 今の美琴はいつもの彼女以上に危険なのだから。 「……とうみゃ」 膝枕された状態から手を伸ばし、美琴の手が上条の頬に触れる。 「……へっ?」 頬を触れられた事でようやく美琴が呼んでいた事に気付いた上条だったが、次の瞬間一気に美琴に引き寄せられ、 チュッ〜♪ 膝枕していた美琴にキスされるのだった。 「ん……」 「んん……!?」 「んん……ちゅば……ん……れろ……」 「ん……んん……!? ぷはぁっ……!?」 また強引に上条は唇を離すが、今度のキスはえらく強烈だったらしく、顔が前にも増して赤い。 離した唇と唇の間を涎の糸がつーっと伸びていた。 「んふふふふ、とうみゃのあじがしゅる〜♪」 「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……な、なんつーキスをしやがりますか!?」 「うにゅ? でぃーぷきすってやつ? ちたとちたをきゃらましぇる……」 「説明せんでいいー!」 律儀に説明しようとする美琴をおもいっきり静止する。 「だって、とうみゃがむししゅるんだもん〜♪ いちゃじゅらくらいしたくにゃるもん〜♪」 「え、あ、う、うん……そ、その…それは悪かった。ちょっと考え事……」 と言いかけて、今の状況を思い出す。 その瞬間、背後から発せられる凄まじいまでの殺気に身を震わせ、背筋が凍りつきそうなほどゾクっとする凄まじいまでの悪寒を感じた。 「「カミやん……」」 悪寒の原因の主はこの二人、土御門と青髪ピアス。 当然、上条さんと美琴のキスの現場はこの二人に見られてたわけで……。 「……カミやん、遺言もしくは辞世の句はありますか? 一応聞いてやるでぇ……」 「カミやん……短い付き合いやったけど、いろいろ楽しかったぜい……」 怖くて後ろを振り向けませんが、どうやら二人は殺る気満々のようです。 殺意の濃度がいつものふざけ合いと比べて、明らかに段違いです。 これはもう少しでも行動を間違えるとデッドエンド直行、慎重に言葉を選ばなくては上条さんの生命はありません。 「いや、まあ、その……ちょっと落ち着こうよ……」 「カミやん、それが最後の言葉でええのんか?」 「それじゃあカミやん……さらばだぜい!」 弁明の余地は残されていなかったようだ。 「えー!? ちょ、ちょっと待てー! 弁明の余地なし!? なしですか!? もう上条さんにはデッドエンド直行の道しか残されていないのですかー!? ちょ、マジですか!?」 「いくぜい! 青ピー!」 「了解やー!」 「「死にさらせ—!!!」」 もはや問答無用、上条さん生命の危機! かと思われたが、 「うるちゃい」 ビリビリガッシャーン! 美琴さんが一言、そう言い放った瞬間全てが終わった。 上条に向かって制裁を課そうとした二人は、美琴の発した電撃の餌食となった。 「にゃ、にゃぁ……ガクッ」 「こ、こういうのはカミやんのポジション……ガクッ」 まさに瞬殺、二人は一瞬にして黒焦げにされました。 流石はレベル5の超能力者、酔っ払ってもその実力に陰りはない。 上条は最強の矛であり盾ともなる存在を手に入れた(?)。 「……えっと……」 「とうみゃ、とうみゃ〜♪ うるちゃいのやっちゅけたよ〜♪ ほめてほめて〜♪」 この状況に戸惑っている上条さんとは裏腹に、美琴さんはまた頭をなでなでして欲しいのか、上条に抱きつき頭を突き出して来る。 美琴に助けられたので何もしてやらないわけにもいかず、まあキスしてと言われるよりは遥かにマシと考え、上条は求められるままに頭を撫でてやった。 わしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃ…… 「ふにゃー……」 相変わらず訳のわからん反応だが、とりあえず喜んでいるのはたしかだ。 「とうみゃ〜♪」 「……ん?」 「だいちゅき〜♪」 チュッ〜♪ 頭なでなでしてやっても、結局またキスされるのだった。 「なんやこのいちゃいちゃ空間はー! こんな光景を目の前で見せ付けられて黙っとけるかー!!!」 「男の……男の…男の嫉妬の執念ー、甘く見るんじゃないぜいー!!!」 今し方瞬殺された二人が、ガバっと再び立ち上がった。 電撃のダメージなどまるで無いかの如くスピーディに。 まあ、立ったと同時に激しくよろけている。 やっぱりダメージはあるようだ。 しかし、あの状態から立ち上がるとは、モテない男の執念恐るべし。 とはいえ、本当に大丈夫か? 「ふっふっふ……お、オレたちを…甘く見ちゃいかんぜい……」 「まだや……まだ終われへんのやー!」 なんかそれなりにかっこよさげな事を口にしてはいるが、彼らが立ち上がる理由は単なる嫉妬なので……。 「もー、うるさいー!」 ドガガガガッシャーン!!! まだ二人のそれなりにかっこよさげなセリフの途中だったのだが、再び美琴の電撃炸裂。 「ちょ…ちょっと……まだ……喋ってる……途中…なんやけど……(がくっ)」 「こ…この仕打ちは……酷過ぎるにゃ……(がくっ)」 また二人は黒焦げとなってその場に倒れる。 「あー……」 「とうみゃ、とうみゃ〜♪ またうるちゃいのやっちゅけたよ〜♪ またにゃでにゃでして〜♪ にゃでにゃでして〜♪」 上条に抱きつき無邪気になでなでを要求してくる美琴。 土御門と青髪ピアスは再び上条に制裁を加えようと立ち上がったわけなので、迎撃してくれた事は感謝すべきなのだろうが、頭を撫でてやるべきなのか正直悩む。 悩むのだが、今は美琴の機嫌を損ねるのはあまりに危険なわけで、結局頭を撫でてやるのだった。 わしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃ…… 「ふにゃー……」 相変わらずの訳のわからん反応をした後、 「とうみゃ〜♪ だいちゅき〜♪」 チュッ〜♪ またキスされるのだった。 まあ、またこうなるのだろうなとは予想していた。 だから頭をなでなでするべきか悩んでいた。 そしてもう一つ、 「ええかげんにせいー……!!! まだ見せ付けるかー!!!」 「嫌がらせか!? 嫌がらせやな!!!このバカップルがー!!!」 こうなるのではないかとも、なんとなく予想していた。 例によって土御門と青髪ピアスが復活、再び立ち上がった。 「(……なんだろうな……なんでこう…嫌な予想に限って…こんなに当たるんだろうな……不幸だ……)」 上条さんが不幸を呪っている間に、ゾンビの如く復活した二人は再び上条に襲い掛かろうとするのだが、 「もー、しちゅこいー!」 ドガガガガッシャーン!!! 美琴の電撃が三度炸裂し、結局瞬殺され二人は地面に倒れ付す。 何かこのまま、 美琴が上条になでなで要求→上条さんなでなでしてやる→美琴喜ぶ→お礼にキスする→土御門&青髪ピアス復活!→いちゃいちゃすんなー!と再び襲撃→美琴が二人を瞬殺!→美琴が上条になでなで要求(最初に戻る) を永遠に繰り返し、どちらかが力尽きるまで無限ループしそうである。 と思われたが、終幕は意外に近いかもしれない。 あまりの二人のしつこさに美琴は相当ご立腹のようで、美琴の周りはバチバチと激しく帯電している。 「み、みこと……?」 そんな美琴の姿を見た上条さんは心底心配です。 案の定、倒れている二人に追い討ちをかけようと、電撃をぶっ放そうと構える。 「うーん……どのくりゃいにょいりょくをぶちゅけれびゃにどとたちあぎゃってこにゃいかな?」 美琴はもう二人の息の根を止める気満々、今までに無いくらいの電撃を放とうとしています。 「いやいやいや、だめだめ! だめだぞ、美琴! 何もそこまでしなくても……!」 それを見た上条さんは慌てて静止します。 右手でバチバチしている美琴に触れると、纏っていた電撃がキャンセルされ、電撃の追い討ちを未然に阻止。 さすがに追い討ちというか、これ以上の攻撃はマズイのではないかと。 下手したら本当に止めになりかねない。 「だって、とうみゃ〜……」 止められて少し不服そうな美琴。 「こいちゅらわたちたちのじゃまびゃかりしゅるし……わたちはとうみゃともっちょいっぴゃいきちゅときゃいりょいりょちたいのに……」 上条ともっといちゃつきたい美琴としては、どうもラブラブ(?)空間に割り込んでくる二人が許せないらしい。 「……あー、うーん……えっと…だな……」 返答に困るが、とりあえず危険発言はやめて欲しかった。 何故なら、 「くぉらぁー、カミやんー!!!」 「と、常盤台中学のお嬢様相手に、いろいろって何する気やー!!!」 それはこいつらに復活の呪文という効果をもたらすから。 しつこく四度目の復活を果たす土御門&青髪ピアス。 上条さんは、「ああ、またかよ……」という表情で頭を抱え、そして美琴は四度目の復活にとうとう堪忍袋の緒がキレたようで、 「いいきゃげんにちろー!!!!!」 大絶叫と共に、これでもかというほどの強力な電撃を二人に叩き込もうと、その手を振りかざそうとしたが、 パシッ! 振り下ろされる前に、上条が右手で握って阻止した。 「とうみゃ?」 「とりあえず……ここは逃げる!!!」 と言って上条は美琴の手を引くと、その場を一目散に逃げ出した。 電撃が来ると思い一瞬身構えていた土御門と青髪ピアスだったが、突然の二人の逃走に一瞬ポカンとしてしまう。 しかしすぐに我に返り二人の後を追おうとしたが、さすがに美琴から受けたダメージが大きかったのか追う事が出来なかった。 「カ…カミ…やん……!」 「こ、このままじゃ……このままじゃ…終わらんぜい……!」 ある意味二人は上条に救われたと言ってもいい状況、感謝してもいいくらいなのだが、それ以上に嫉妬の想いの方が強いようだ。 というわけで土御門と青髪ピアスから逃亡した上条さん&美琴さん。 逃走を決めた理由として、あのままあの場にいたら本当に無限ループになりかねないと思ったのと、土御門と青髪ピアスの生命の危険を感じた事も理由の一つなのだが、それとは別の理由がもう一つ。 美琴&土御門と青髪ピアスは気付いていなかったが、あの現場を見ている人影があったのだ。 あれだけ派手に騒いでいたので、騒ぎを聞きつけた人が顔を覗かせたのだろう。 ただ野次馬ならまだいい(よくはないが)が、あれがもし警備員(アンチスキル)やら風紀委員(ジャッジメント)だったり、そうでないにしても警備員や風紀委員に通報しようものなら面倒な事になる。 上条さんとしてもあまり人目に付きたくない状況なので逃走を決めたわけである。 「とうみゃ〜♪」 この状況はあまり人目に晒したくない、特に知り合いには……。 「(さっきあそこにいたのって、知り合いとかじゃないよな……?)」 少々気になったが、今となっては確認のしようがない。 あの場にいたのが知り合いでない事を願うばかりだ。 で、その現場を見ていた目撃者と言うのは……。 「ねぇ、初春……今の…御坂さん…だったよね……?」 「えーっと……ちょっと遠目だったから、よくわからなかったですけど……」 初春飾利と佐天涙子。 上条の知り合いではないが、おもいっきり美琴の知り合いだったりした。 しかも、初春は風紀委員だったりする。 「やっぱり御坂さんだって! 常盤台中学の制服着てたし、あれだけ電撃ビリビリやってたんだから! 絶対間違いないよ!」 「…そ…そうなの…かな……?」 佐天はかなり興奮気味で、初春はその勢いに圧倒される。 佐天が興奮するのも仕方のない事だろう。 何故なら、 「あの一緒にいた人は御坂さんの彼氏? 彼氏かな? 初春どう思う?」 恋話に興味深々だからだ。 しかも、ただ恋話ではない。 知り合い、しかもただの知り合いなんてものではなく、お嬢様で名門常盤台中学に通うほどのエリート、そしてこの学園都市で七人しかいないLv5の一人にして第三位の実力者、『超電磁砲』の異名を持つあの御坂美琴である。 御坂美琴の恋話なんて、これはもう興味ありまくりだ。 「彼氏……なんですかね……?」 「絶対間違いないって! だってさあ、ほら…その……キ、キスとかしてたじゃない……」 「あ、あー……う、うん…そ、そうですね……」 思い出して二人揃って顔を赤くする。 自分の事ではないとはいえ、やっぱりこういう話題は恥ずかしいものだ。 「……ねぇ、後つけてみない? まだそんなに遠くに行ってないと思うし」 「ええっー!?」 「初春も気になるでしょ?」 「そ、そりゃ気になりますけど……」 「じゃあ決まり! 善は急げだ! レッツゴー!」 「ああー、ちょっと佐天さん……!」 佐天は初春の手を強引に引くと、二人が走っていった方へと足を向けた。
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7ページ目 路地裏 ハム太郎「な、なんとか助かったのだ…」 メガネ「パンダくんにタイショーくん、かぶるくんが死んでしまいましたが……」 のっぽ「外がこんなに恐ろしいとは……」 マフラー「早くハムちゃんハウスに帰りましょ!」 一通「そうだ! これ以上ハムちゃん達を危険な目には合わせられン!」 その頃 上条「うわ! ハムスター踏んでる!」 土御門「きったねぇにゃー!」 青髪ピアス「くそ~むかつくわ~」 上条「ハムスターめ……許さんぞ!」 次へ トップへ
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12ページ目 上条「ウラアッ!」 グチャッ!! メガネ「」 上条「お前らはみんなここで死ぬんだよ!」 リボン「そんな……」 ハム太郎「もうおわりなのだ……」 一通「くっ……!」 ゴミ「うきゅーッ!」ダッ 上条「な、なんだ! やる気かチビ!」 ゴミ「うきゅー!」 サッ ガッ ゴミ「うきゅ」 <真空ちびまる破壊拳> 土御門「ぎゃあああ!」バタッ 青髪ピアス「ぐああああ!」バタッ 上条「ちッ、中々やるな……」 ゴミ「うきゅ!」 次へ トップへ