約 489,308 件
https://w.atwiki.jp/churuyakofu/pages/188.html
次の話へ 【趣味が高じて……】 魔法の森に店舗を構える香霖堂。 大抵の客は商品の代価を払わないこの店にも、まともな客がこないわけではない。 この日香霖堂に訪れたのは、そんなまともな客の一人、アリス=マーガトロイドだった。 「いらっしゃい」 相も変わらず来客に一言だけ発して手元に目を落とす霖之助。 「毎回思うんだけど、もう少し丁寧に応対したら? お客さんとして言わせてもらえば、品揃えが同じでも店員の態度がいい店を選びたいものよ」 「僕はそうした応対が苦手でね。この店は半ば僕の趣味であり、趣味とは楽しむものだ。 ここに苦手なことを無理やり組み込めば、店を続けること自体が苦痛になっていくかもしれない。 その結果店を閉めることになれば、それこそお客さんに迷惑だろう。 よって僕は僕の思うがままに応対させてもらう」 何を言っても無駄か……。そう思ったアリスがふと霖之助の手元に目をやると 「霖之助さん……裁縫できたの?」 普段本を読んでばかりいる店主の手元には、珍しく針と糸が握られていた。 霖之助といえば家事か商品の仕入れか読書しかしないものだと思っていたアリスにとって、これはかなり意外だった。 実際のところ霖之助は裁縫もするしマジックアイテムも作れるなかなか多芸な男であり、 まれにしか店に訪れないアリスが今日までそれを目にすることがなかっただけなのだが。 「魔理沙や霊夢が弾幕ごっこで破れた服の修繕を押し付けてくるからね……。 霊夢の服を一から仕上げることも度々あるし、今ではそれなりの腕だと自負しているよ」 対価をもらったことは一度としてないけどね……と愚痴る霖之助に苦笑いで応えるアリス。 ここでふと思い当たる。洋服の仕立てに必要な事を。 「霖之助さん……霊夢の採寸したの?」 「……」 アリスの頭では早くも霊夢の服を脱がせてサイズを測る霖之助の図が展開されている。 視線から軽く軽蔑の念を感じた霖之助は、いらぬ誤解を避けるために口を開くことにした。 「君は洋裁を基準として考えているようだが、霊夢の服は和服を基本とした物だ。 そして、和服は基本的に着る者に合わせてサイズを変えることはほとんどないんだよ。 和服には基本的に子供用、女性用、男性用があるだけ。細かい調節は着付けの段階でやることなんだ。 だから霊夢の身長さえわかっていればあとは何とでもなる」 「随分いい加減ね……。服を作るなら着る人に最適なものを作るのが誠意というものだと思うけど」 「確かにそうかもしれないが、そうすると本人しか着れなくなるだろう? 特に女性は出産で体型が変わることもあるし、この方法なら親から子に高価な服を受け継いでいくこともできる。 君に言わせれば、大切な人間に送る服は相手に合わせて仕立てるべきなんだろうが、日本人は金に任せて新しく作った ものよりも、自分が長い間大事にしていたものを与えることにより大きな意義を見出している。 自分がそれほど大事にしてきたものを授けるくらいに、相手を愛しているということだからね」 そう言われると、アリスも否定する気にはならない。 むしろ和裁というものに俄然興味が湧いてきた。 今までの自分とは異なる発想。その発想に基づいて積み重ねられた技術なら、何か人形作りに活かせるかもしれない。 それに、この店主は他にもいろいろ知っていそうだ。 「霖之助さん、和服と洋服の違いについてもう少し聞かせてくれる?」 霖之助としては正直めんどうくさいのだが、この少女は上客だし、機嫌を損ねるのは得策ではない。 それに和服に興味を持ってくれれば、さらに売り上げが期待できるかもしれない。リスクがタダ話なら安いものだ。 「いいだろう。まず……」 これが全ての始まりだった。 次の話へ
https://w.atwiki.jp/churuyakofu/pages/292.html
第一種接近遭遇 「ということはあのやたらと長い夜は月の民によるものだったのか」 秋も暮れ、冬妖怪の対策もそろそろ気になり始めた幻想郷。魔理沙は香霖堂を訪れていた。これは別段珍しい光景でもなく、これからの季節はことさら多く見られるであろう日常のひとコマである。 霖之助があの異変についてやっと口を割らせたのはつい先ほどのこと。代償にたんまりとたかられたが大して痛手を負っていなかった。差し出したのは彼にしてみればいつ「勝手に死ぬまで借りられ」たり「店主に無断で返る当てのないツケにされ」たりするかわからない品ばかりだったからだ。悲しいことに、その危険性があるのはこの店の用法がわかっている商品ほぼ全てなのだが。 しかし得た情報はそれらをはるかに上回る価値があった。霖之助は道具屋のはしくれであると同時に――もしかしたらそれ以上に――熱心な蒐集家である。風に聞く彼らの持つ高い技術力はさぞかし霖之助の蒐集欲を刺激したことだろう。その月の民が幻想郷内にいる、この情報に価値がなくてどんな情報に価値があるだろうか。おまけに出奔したとはいえ元は地位ある人物というから期待もできる。 魔理沙に約ひと月もの後れをとったがなにせ相手は魔理沙だ、ろくな交渉もしていないだろう。まだまだ価値あるものがごまんと残っているはずと霖之助は睨んでいた。 「人間の里で襲ってきたやつが半妖だったらしくてな。誰かを守るとかなんとか言って角生やして襲ってきたんだ、ただ肝試しに行っただけなのにひどい話だぜ。それに奥にいたのも不死の人間だったしな」 霖之助が自分の考えに夢中になっている間も魔理沙は話し続けていたらしい、後になって肝試しの話はごく最近のことだと知った。 正直どうでもいいと思っていたがある単語が霖之助の耳に引っかかった。 「半妖?」 「ん? ああ、半妖だ。しっぽも生やしてたから半獣の方かもしれないな」 「弾幕勝負をしたとなると女性か。半獣で少女でおそらくは後天性、何人かいるな……」 興味のないことにはとことん興味を持たない霖之助だが自身の関係もあって里の半妖については少しだけ覚えていた。そもそも彼らの時間は永いので耳にする機会が多くなるだけともいう。 「歴史がどうだの堅っ苦しいことばっか言ってたぜ」 「上白沢の娘さんか」 ちょうど喉につかえた魚の小骨がとれたような感覚を覚えると同時にこの話題に対しての興味を失くした。霖之助の興味の対象はあくまでも人知れず人里を守る半妖の正体であり、上白沢慧音と名付けられた半獣ではない。 霖之助は魔理沙の語る武勇伝に耳を傾けることにした、どうでもよくとも代価を払っている以上、聞くに値する話までも聞き逃すのはどことなく癪に障る。願わくば少しでも有益な情報を得られることを祈りつつ、魔理沙の話で暇つぶしをする。 「くしゅんっ! しまった、風邪でも引いたか」 上白沢慧音は頭を抱えていた。六日前の月に一度しかない満月の日に仕事をほっぽり出して迷いの竹林に行ってしまったことだ。それだけならまだしもそこで勝負した見知らぬ娘達には惨敗、聞くところによると妹紅も敗れたらしい。おかげでかなりの量の仕事が未消化になってしまっている。 生活必需品以外何もない質素な部屋にごろりと横になる。歴史の編纂は満月の日でなければならない、それまでは特にすることもない退屈な日が続く。 慧音は整理された引き出しからある帳簿を取り出した。その帳簿にはびっしりと何かが書かれている、どうやら人名のようだ。その人名にはひとつひとつチェックが付けられている。 ええとまだ顔を合わせてない人は、と。もう里にはいないか。慶事も弔事もなし。 彼女は里の人間に挨拶をしてまわっている。良い人間関係は気持ちの良い挨拶から、と数十年前から始めたことだが人里は端から端までもうとっくに回ってしまった。人口もそう多いわけでもないので最近はもっぱら身よりのない人に声をかけるだけになっていた、日々の糧を得る必要のない半獣故にできることである。しかし今日 は少し考えることがあった。 異変のとき出会ったあの二人組、人型妖怪だろうか? しかし片方は人間のようなことを言っていたような……。もしそうだとしたら大変失礼な真似をした。確認したいがどこの誰なのだろうか? 里の人間ではないとすると……。 頁をめくりある箇所を見る。そこには「里外の人間及び半妖。里に近い妖怪」と銘打たれている。チェックはまだほとんど付けられていない。 日を改めて香霖堂。暖かい陽気に恵まれているにも関わらずいつも通り客はいない、加えて今日は魔理沙の姿も霊夢の姿もない。しかし誰もいなかろうが店主の日常に変化はない、少し読書がはかどるだけ。それに特別騒がしくなったのはここ最近の十年程度のことだ、あと六十年もすればあっさりと入れ替わる。あの子らがそれを 素直に受け入れるかどうかまでは霖之助にはわからなかったが。 本人は気づいてないが、霖之助がらしくない妄想をしているとふと渇きを覚えた。そういえば昨日の朝から何も口にしてないなと独り言を浮かべながら茶を淹れるために奥へ下がる。 幻想郷はそろそろ申の刻を迎える。 時は少し巻き戻る。 上白沢慧音が魔法の森方面に向けて歩いていた。その足取りはしっかりしたもので、お嬢様然とした外見とミスマッチを起こしている。晴れているが日傘は差さず、機能性という言葉を真っ向から否定するようななんとも珍妙な形をした帽子を頭に乗せているばかりである。しかし、たとえ夏真っ盛りのカンカン照りであろうとも彼 女が熱中症に倒れることなどありえないのでなんら問題はない。 慧音は人探しをするにあたってまずは所在の知れている者から尋ねることにした。もしあの少女がわざわざ里から離れて暮している人間だとしたらそう簡単には見つけられないだろう、ならば里外の者から情報を集めながらの方が結果的に早くなると判断した。 帳簿によると里に最も近い里外在住者は半妖である。以前は里に住んでいたが里を出てからからは街での目撃談はあまりない。森の間近に住居兼店舗の一軒家を構えて商店を営んでいる。名前は森近霖之助。 「森近霖之助、か」 たかだか三十年も経っていないことを思い出すなど、彼女にとってはなんの労苦でもない。 そのころ霧雨店で修業していた優男がいたはずだ。霧雨の旦那さんが彼が人間ではなく、私の側の存在だと笑って言っていたのをはっきりと覚えている。 「ふふっ」 若かりしころの霧雨店店主を思い浮かべて慧音が微笑みを浮かべる。あのころは旦那さんもまだまだ若かった。 「おおい、慧音ちゃぁぁぁぁん」「こんにちわ、上白沢さん」「おっ、慧音ちゃんご機嫌だね。なんかいいことでもあったんかい?」 こうして歩いてる間にもすれ違う里の人間から次々と声がかかる。慧音も律儀に返しているものだから目的地に着いたのは彼女が想定していた時間より遅れ、太陽の傾きから推測するにそろそろ未の刻が終わろうとしているころになっていた。 慧音の知っている常識では商店とは訪れた客と店員が顔を合わせ、互いに挨拶を済ませてから商談を始めるものだと決まっていた。しかしここ香霖堂は里の外にあるだけあって一風変わった営業法をしているようだった。 彼女が入店したのは霖之助が茶を淹れに奥に引っ込んだ直後だった。慧音がごめん下さいと口を開く前に、霖之助が魔理沙か霊夢が来たと早とちりをして「適当に掛けてくれ」と言ったがために今の状況になっている。 彼女は不快な生温かさが残る椅子に座っていた。 「やあ、お待た……、誰?」 ややあって盆に急須と三つの湯呑を乗せた霖之助が見知らぬ後ろ姿を見ての第一声がこれだった。営業口調でもなければ親しい相手への口調でももちろんない。すぐに客が来たという発想に行きつけないあたりでこの店の経営状態が推察できて物悲しい。 慧音から椅子を返してもらいひとつに茶を注ぎ、迷うことなく自分で飲む。霖之助は今日もマイペースだ。 「いらっしゃいませ、何をお探しでしょうか?」 「ああ、いや。すまないんだが今日は冷やかしなんだ」 冷やかし自体は珍しいことではない。香霖堂の利益の大半は冷やかしの客を煙に巻いてよくわからない品を押し付けることによって発生している。数少ないビジネスチャンスだと喜ぶ方が正しいくらいである。 ただし、この店の商品は基本的に店主である霖之助の言い値が売買価格となる。霖之助が客のことを気に入れば真っ当な価格で――あくまでも幻想郷での真っ当ではあるが――購入できる、そうでなければその客は香霖堂の売り上げに大いに貢献できる、という素晴らしいシステムである。 立ち尽くしている慧音をちらりと流し見て霖之助は確信する。この少女はこちら側だ、なら今回はこういう手口で行ってみよう。 「へぇ、客でもないのにひとのテリトリーにずかずか入って来たのか。僕のことを知らないのかい?」 霖之助は自分でも白々しいと感じながら、できる限り敵意というものを演出する。 「森近さんが半妖だということは伺ってます」 若干緊張していることが窺える慧音に対して、霖之助は第一関門は可とした。いくら作り物でも気付けぬような愚鈍なら可能なかぎり毟ってさようなら、だ。 「そう、君と同じでね。じゃあなんで来たのかな? 妖怪同士なら互いのテリトリーを守るのが鉄則ってことくらいわかるだろう? 生まれつきじゃないとそこら辺鈍いのかもしれないけどそこまで半妖歴が浅いわけじゃないらしいし……。やはり妖怪と違って妖獣さんは躾がいるのかな?」 もし空気が個体だとしたら、壊れるときはこんな音がするであろう音を、霖之助は、確かに。 「森近……さん。私にも自身への誇りというものがあってですね、既にこれは私の一部なんです。ですから、そこまで言ったからには……もう後には引かせないぞ?」 腫れた頬を押さえながら霖之助が必死に弁解をしている。曰く、これは一種の商人の職業病だとか、自分の悪い癖でそのせいで客が付かないだとか、あなたみたいな人はかっこいいと思いますよだとか。 「お詫びに大特価でお売りしますよ、ここにあるものは全て貴重で高価な品物なんですが」 霖之助の言葉はもちろん真赤な嘘だ。皮肉のひとつも返せないようなつまらない人間なら用はない。せいぜい売り上げに協力してもらおう。それにもしかしたら本当に貴重ながらくたが混じっているかもしれないから完璧に嘘というわけではない。 自分のはしたない行為の自覚と霖之助の言い訳でようやくいつもの落ち着いた雰囲気に戻った慧音――それでも十分不機嫌だった――はここを訪れた本来の目的を思い出す。 「いや、冷やかしといってもそういう冷やかしでもないんですよ。ちょっと人探しをしていまして、昔人里で暮していらっしゃった森近さんを訪ねさせていただいたんです。このくらいの背丈の、こう言ってはなんですが絵本に出てくる魔女のような格好をした女の子と前々回の満月前に人間の里と、前回の満月の晩に迷いの竹林で会ったんです。そこでのことを少し確認して必要なら謝罪したいんです。ご存じではありませんか?」 霖之助は少し考え込むふりをすると何かを思い出したかのように。 「心当たりがないわけではありません。すいませんがあなたのお名前をいただけますか?」 「これは失礼、上白沢慧音と申します」 ビンゴ。間違い様がない。それにしてもまさか魔理沙に……。 「クッ、クックックックック」 霖之助は必死にこらえようとしたがつい笑いがこぼれてしまった。目の前の人間はあの魔理沙に謝ろうというのだ! こらえきれなかった笑いをもらし終えると慧音と向き合う。 「いやぁあなたは実につまらない、しかし奇特な人だ。それを先に言ってくれればお互い不快な目に合わずに済んだというものを! いやいやあのステップがあったからこそか。うん、そうだそうに違いない」 一体何がおかしいのかわからずに戸惑っている慧音を無視してぶつぶつ言い続ける霖之助。ひとしきり楽しんだ後にあっさりと魔理沙のことと彼女のねぐらを教えてしまう。家出中の霧雨店の娘と聞いて慧音も合点がいったようだ。 「もし家にいなかったら神社かここだ。さらにそのどちらにもいなければ森の中か物を借りに行ってるかだから出直すといい。ついでにもしよかったら魔理沙と会ってどういう話に展開していったか教えてくれると嬉しい」 最後に、予想はついてるんだけどね、と付け加える。 日はだんだんと短くなっており、窓の外はもうオレンジに染まり始めていた。 「ああ、もうこんな時間だ。済まないが私はそろそろお暇させていただくとしよう」 そのままなし崩しに突入した霖之助の独演会から逃れるチャンスができたことを慧音は本気で感謝していた。 もし今が夏だったらと思うと背筋が凍りそうだ。 「もう日暮れか、これからが面白いところなのに残念だな」 慧音はこれからの人生で決して天道虫だけは殺さないことを誓い、店主の気が変わらない内にとそそくさと帰り支度をする。そして逃げるように、というより香霖堂から逃げ出す。 「あ」 ドアに手がかかったところで不吉な声が聞こえた。 本人の意思とは別に礼儀として振り返る。かわいそうなことに首のあたりのネジに油を差す必要があるんじゃなかろうかと思われるほどに動きがぎこちない。 そこにはついぞ中身が客人に振る舞われることのなかった空の急須を持ち上げる霖之助の姿があった。 「次はお茶をごちそうするよ。祖茶でよければ」 やっと帰路に就けた慧音は自問していた。 (私の記憶にある森近霖之助はもう少しまともだったはずだが、あそこまで変容するものなのだろうか? 住所録に間違いでもあったんじゃないだろうか。あの好青年は一体どこへ……) 堅物の少女の混乱する様を想像していた。 (そういえば霧雨店で世話になっているときは半妖の客がいたら片っ端から挨拶させられたな。霧雨店の名前を背負っている以上変な真似をしないようしていたから記憶と食い違いがあるだろう。それにしても堅物もあそこまでいくと逆に見ていて面白いものだ。弾幕勝負は基本的に両者の合意があった場合に行われるものだからどちらが挑んだか、なんてほとんど関係ないのに) 霖之助の抑えた笑い声と頁をめくる音は実に気味が悪い。 つづけーね
https://w.atwiki.jp/toho/pages/6694.html
秘封倶楽部と外の世界の香霖堂 サークル だんだん組 Number Track Name 01 1幕 香霖堂と二人の少女 02 2幕 テレビと月旅行 03 3幕 香霖堂のお店番 04 4幕 二つ目のお願い 05 5幕 外で生まれた幻想 06 6幕 秘封倶楽部と霖之助 07 7幕 消えた香霖堂 08 8幕 帰る幻想二つ 09 9幕 月にいけるということ あらすじ 秘封倶楽部のメリーと蓮子、なぜか外の世界にある香霖堂にあしげに通う毎日。 ある日、香霖堂に訪れたメリーは、八雲紫を名乗る女性から「猿の手のミイラ」という不思議な骨董品を渡される・・・。 だんだん組がおくる秘封倶楽部ドラマCD第二弾は秘封霖!! 詳細 東方ボイスドラマCD ジャケットイラスト:おいもとじろう キャスト 森近霖之助福田純 マエリベリー・ハーン鈴湯 宇佐見蓮子渡会ななせ 八雲紫蒼紗 作・演出・編集・製作:山本 ダン 博麗神社例大祭10(2013/05/26)にて頒布 イベント価格:1,000円 ショップ価格:1,400円(税込:1,470円) レビュー 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kourin_rpg/
東方霖探記 攻略wiki ここは牛乳帝国が下記掲示板で製作しているRPG「東方霖探記」の攻略ページです。 作成掲示板→http //jbbs.livedoor.jp/otaku/13114/ 東方霖探記って? 森近霖之助が主人公のRPGツクールVX製のRPG(無料)です。 体験版DL PASS kourin ※体験版のデータは製品版には引き継げない可能性があることをご了承ください。 ※このゲームをプレイするにはRTP(ランタイムパッケージ)が必要です。 下記ページよりDLできます。 http //www.famitsu.com/freegame/rtp/vx_rtp.html 今日の来客数 - 人 昨日の来客数 - 人 合計来客数 - 人 原作 ZUN・上海アリス幻樂団 東方香霖堂〜 Curiosities of Lotus Asia.
https://w.atwiki.jp/tsubaki/pages/188.html
《森近 霖之助/Morichika Rinnosuke》 リバース効果モンスター 星3/地属性/半妖族/ATK1000/DEF1000 このカードは攻撃宣言を行うことが出来ない。 このカードが反転召喚に成功した時、次の効果から選んで発動することが出来る。 ●自分の墓地に存在する魔法・罠カードを1枚相手に見せずに手札に戻すことが出来る。 ●相手フィールド上に存在する魔法・罠カード1枚のコントロールを自分のフィールド上に移すことが出来る。 このカードは1ターンに1度裏守備表示にすることが出来る。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/thvision/pages/1678.html
《森近 霖之助》 No.1031 Character <第十二弾> GRAZE(1)/NODE(2)/COST(1) 種族:人間/妖怪 (常時)(1)(S): 〔あなたの手札にあるコマンドカード1枚〕を破棄しても良い。破棄した場合、〔あなたのデッキ〕を全て見て、コマンドカード1枚を抜き出し、相手プレイヤーに見せてから手札に加えても良い。その後、デッキをシャッフルする。 攻撃力(3)/耐久力(2) 「君達は大きな勘違いをしている様だね」 Illustration:鶴亀 コメント 非常に軽くなって帰って来た香霖堂店主。 起動効果は所謂手札のコマンドカードを別のコマンドカードに入れ替えるという物。手札で腐っているマナの生成等を強引な取引等に交換できる。 また、この効果はコストが1掛かるものの、捨てるコマンドカードの対象に制限が無い。よって銀ナイフと組み合わせれば毎ターン好きなカードを手札に加える事が出来るのだ。このカードが低ノードなのを活かして序盤からマナの生成で加速するのも良し。強引な取引でさらに手札を増やしても良し。是非曲直庁の威令や陰謀論、緑眼のジェラシーなどを手札に溜め込んで相手の行動を次々妨害するのも良し。手札にまだ無い銀ナイフを加えても良し。状況に合ったコマンドカードを選んでいこう。 逆にこのカードを相手にする場合、放っておくとカウンターを大量に握られる等して手が付けられなくなる場合もあるので優先的に除去して行きたい所。 地味にグレイズ1の3/2と平均以上の戦闘力まで持っている。目ぼしいコマンドカードがデッキから無くなった場合でも十分戦列に並ぶ事が出来るだろう。人間/妖怪と、サポートを受けやすい種族であることも好材料といえる。 相手の強引な取引に干渉してハートフェルトファンシー、エンパシーなどにはラストリモート、ワンショットされそうなときに雲外蒼天などが後出しできるため、(自動β)を持つコマンドカードとの相性が良い。 関連 第十二弾 スターターデッキ風 森近 霖之助/1弾 森近 霖之助/7弾
https://w.atwiki.jp/churuyakofu/pages/174.html
「良いお酒が手に入りましたの。一献いかが?」 「だからスキマを使って入ってくるんじゃないと何度も言ってるだろう」 【酒を呑むときは御注意】 恒例行事を済ませる2人。 「もうこのやり取りがないとしっくり来なくて」 「……ふむ。まあ僕もそれは否定しないが」 「え、本当に!?」 「そんなわけないだろう……」 あまりにあっさりと引っかかったのが情けなくて危うく涙ぐみそうになる紫。 「そもそもなぜ僕のところに?折角の酒なら式にでも振舞ってやればいい物を」 言えない。すでに誘ってみたところ、 「私に気を使う必要なんかありませんよ紫様。愛しの店主殿と呑みたくて仕方ないんでしょう?」 とニヤニヤ笑いながら追い出されたことなど。ましてや図星を衝かれて反論もできなかったなどと。 「あ~、えっと。あの子は呑まないわけじゃないけど、一番の好みが油揚げをつけたお酒だから。 こういうお酒は普通じゃない趣味を持った自分には勿体無いってあまり飲んでくれないの」 咄嗟に嘘をつく。許せ藍。なにやら変な設定を付け加えてしまった。 「……まあ、ヒレ酒みたいなもの……かな?君の式だけあって変わり者だね」 「え、ちょっ、私の式だけあってってどういうこと!?」 「それで、他には心当たりはいないのかい?」 「華麗に流さないでよ! うう……霊夢や魔理沙じゃあ、じっくり味わうなんてことはしないじゃない。 風情を感じながらのんびり呑みたかったのよ。 それとも……霖之助さんは私と酒を飲むのは嫌……?」 軽く涙目で上目遣いに伺ってくる。 少しやりすぎたか?と思った霖之助は肯定の返事を返す。 「……ふぅ、仕方ないな。まあ付き合うのは吝かじゃないよ。今晩が満月というのも見越して言ってるんだろう?」 紫の顔がパアッっと明るくなる。 「ええ、よくわかってるじゃない。それじゃあまた後ほど来るわね」 さっき泣いたカラスがもう笑っている。 口調もやや変わっているのはおそらく大人の女性らしいところを見せたいんだろうが、ちょくちょくボロが出ているのは気付かないんだろうか。 とにかく紫はスキマに戻っていった。 「……何も昼のうちに来る必要はなかったんじゃないのかな」 「やっっったあああーーー」 自室に戻り、滂沱の涙と共にガッツポーズを決める紫。 苦節3年。何度も何度も断られてやっと2人きりで酒を呑む所までこぎつけた。 このチャンスを逃がすものか。今日は飲ませまくって一気に…… 一気に……? ボンッと、想像しただけで真っ赤になる大妖怪。 頬に両手を当ててなにやらつぶやいている。 「どうしよう……想像しただけでこれじゃ本当に一気に行くなんて……。 でも今日を逃したら次は2人で呑むことだっていつになるか…… うーんと、えーっとぉ……」 「プッ」 「!? ……ら……藍……? いつからそこに……?」 「『やっっったあああーーー』のあたりからですかね」 「最初っからじゃないの!?いるならいるって言って頂戴!」 「まさか。こんな微笑ましい紫様を見ずにいろなんて。 何のために式になったと思ってるんですか?」 「むしろ何のために式になったって言うのよぉぉぉぉーーーー!?」 「そんなことより紫様」 「何この流しっぷり!?『紫の叫びを華麗にスルーする会』でもできたの!?」 「……気付いて……しまわれましたか……」 「冗談に聞こえないからやめてくれない!?」 「話が進まないのでこの辺にしておきましょう。 紫様は3年もお預けくらってもう辛抱たまらない。 しかし事を起こそうにも情けないことに恥ずかしくてどうにもならないと」 「くぅ……話が進まないと言いつつこの言い草……!腕を上げたわね藍!」 「お褒めに預かり光栄です。 さて、それはさておき対策を考えねばなりません。 まずは今日どうするかですが、紫様は何もせずに済ませるつもりはないんでしょう?」 「う……それはまあそうだけど」 「では境界を操る力でご自身の羞恥心の境界を操ってしまわれるというのは」 「試したことがないと思うの……?」 「思いませんが、結果を存じませんので」 「霖之助さんが目の前にいなくても歯止めが利かなくなりそうになったのよ……」 「……うわぁ」 「言えといった以上は引かないで聞きなさい!」 「では紫さまではなく、店主殿から手を出すよう仕向けるとか」 「また流す……。 色仕掛けでもしろというの?」 「誘ったところで店主殿にその気がかけらもないなら意味がありません。 というわけで、こんなこともあろうかと永琳殿に頼んで調合してもらったこの薬を飲ませては?」 「いつからこの事態を予測してたのかとか、そもそも私の誘惑じゃ無理という前提で話を進めているのはともかく、そんなものに頼りたくはないわよ」 「では正攻法しかありませんね。紫様も店主殿もしこたま飲んでもらうしか」 「やっぱりそれしかないのね……」 日が落ちて、真円を描く月が夜空に映える時間。 紫は珍しく着物に着替え、香霖堂を訪れた。 「いい月ね、霖之助さん」 「いらっしゃい。待っていたよ紫」 「あら、嬉しいわね。それじゃあ早速お注ぎしますわ」 「ああ、ありがとう。それじゃあお返し、と」 杯を傾ける2人。 「おや、これは本当にいい酒だね。君には感謝しないといけないな」 「ふふ、ありがとう」 「ぶはぁぁーーーーっ」 「あ、あの~、霖之助さん?」 3時間ほどが経過し、霖之助は1升瓶を3本ほど開けている。 紫が持ってきた酒で火がついたか、香霖堂に置いてあった酒を持ってきたり、紫がスキマを使って補充したりで呑み続けた。 まだまだ飲む気なのだろう、封が開いていない酒瓶も10本以上ある。 飲ませる気できたのは確かだが、どうにもすでに酔っ払っているようだ。 これ以上飲ませては体に障るのでは?と紫が心配していると、 「紫!」 霖之助が紫の名を呼んだ。 「は、はい」 「君は一体どういうつもりだ!毎回毎回思わせぶりな態度をとって。少なくとも見た目は若い女性がそんなことをしてどうする!?」 怒り上戸だったのか。 とりあえず反論すると面倒なことになりそうなので言わせておこう。 冷静な判断を下したつもりだったが、そんな余裕は次の言葉で粉砕された。 「いつもいつも僕がどういう思いで耐えていると思ってるんだ!?僕は半端者だから君には釣り合わないと思っているってのに!」 「……ええ!?」 「やっぱり気付いていなかったんだな?」 ジトッとした目で睨みつけてくる。 が、今はそんなことに怯んでいられない。 「じゃ、じゃあ、霖之助さんは私に誘惑されてドキドキしてたの?」 「当然だ!君みたいに力があって、誰よりも幻想郷のことを考えていて、 それなのにわざと胡散臭そうな態度を取ることでそのことを皆に意識させまいとしている奥ゆかしい女性が、 それも筆舌にしがたいほどの美女が迫って来るんだぞ!?なんとも思わない輩は僕が男として認めない!」 「っ!」 そこまで見ていてくれたのか。他人に興味がないような顔をして。 容姿を褒められたこともそうだが、内面を見てくれていたことが嬉しくて泣きそうになる紫。 「で、どうなんだい?」 「え?」 「僕の気持ちは今言ったとおりだ。今度は君が実際に僕の事をどう思っているのか聞かせてもらおうか。 偏屈な冴えない男をからかっていたのか、それとも本当に僕を憎からず思っているのか」 「き、決まってるじゃない!好きでもない人にこんなことしないわよ!……あ」 売り言葉に買い言葉でつい言ってしまった。 まずいまずいまずい。うなじまで真っ赤なのを自覚する。 「……よくわかった。それなら僕ももう我慢しない」 それでも、続けて発せられた霖之助の言葉は聞き漏らすわけにはいかなかった。 「え?それってどういう……?」 「だから、今まで我慢していた分、思う存分君とイチャイチャさせてもらうということだ。というわけで早速」 そう言いつつ近寄ってきた霖之助は、有無を言わさず紫を抱き上げる。 いわゆるお姫さまだっこというやつだ。 そしてそのまま座りなおす霖之助。 紫は霖之助の膝に横向きに腰掛ける形になる。 フリーズしていた頭が状況を理解する。 これは予想外すぎる。 行くとこまで行く予定だったが、この状態では頭がまともに働かない。 とりあえずスキマに逃げようとしたが、 「釘をさしておくが、スキマを使って逃げたりしたら向こう1年間一切口を利かないよ?」 逃げ道をふさがれた。 霖之助は逃がしてなるものかと紫をぎゅっと抱きしめる。 「ひ、ひぇぇぇぇ」 普段の紫からは考えられない悲鳴が漏れた。 「そういえば、今日は酒を飲むということで集まったんだったね」 キラリ、と霖之助の目が光る。 なにやら嫌な予感を感じる紫。 「ふむ、さっき君を抱き上げたときに杯をどこかへやってしまったようだ」 「そ、それならスキマで新しい杯を……」 「ああ、その必要はないよ。ちょうどいい杯を見つけたから」 「え?それってどういう……ひゃ!?」 あろう事か、先ほど抱き上げた拍子にはだけた紫の鎖骨のくぼみに酒を注ぐ霖之助。 そしてそのまま口をつけ、酒を飲み干す。 霖之助の唇と舌が触れるのを感じ、身じろぎする紫だが、霖之助は容赦しない。 「ほら、動くんじゃない。こぼれて服にかかってしまうじゃないか」 そう言いつつもさらに酒を注ぐ霖之助。 「ふぁっ!」 「んっ!」 「ひぅっ!」 やられる紫はたまったものではないが、霖之助がやめる気配はない。 結局、丸2本そうして呑み干したときには、すでに紫は腰が抜けていた。 「り……霖之助……さん」 「ん?ああ、すまないね。僕ばかり飲んでしまったようだ」 そういうと霖之助は口に酒を含む。 「そ、そうじゃな……んーーーーーっ」 そして紫に口移しで飲ませる霖之助。 「ほらほら、まだ酒はたくさん残ってるんだ。どんどん行くよ」 そういえばまだ開けていない酒瓶がゴロゴロしている。 が、ここで紫は1つのことに気付いた。 1升瓶を3本開ければ前後不覚になるくせに、さらに2本飲み干しても霖之助の呂律が完璧に回っていることを。 「霖之助さん、あなた本当はまだ酔ってないんじゃ!?」 「さあ、どうだろうね? まあでもどっちでもいいじゃないか。とにかく、今ある酒は全部飲んでしまわないとね」 「~~~~~~っ」 紫の長い夜はまだ始まったばかり。 ―蛇足― 「全く……店主殿も人が悪い」 藍はこの前霖之助と語った話を思い出す。 「外の世界にはツンデレと言う概念があるらしい。 何でも最初は気のない振りをしておいて、あるときを境に一気にベタベタするという高等な恋愛技術だそうだ。 それまで相手が得られなかった好意を一挙に与える、そのギャップが作戦の肝らしいね。 僕はこの作戦を自分なりにとりこんで、あることを考えた」 「それで、紫様に3年間も連れなくしておいて、一気に落としにかかるというわけか。なんとも気の長い……」 そう言うと、霖之助はにやりと笑ってこういった。 「あの八雲紫を手玉に取ろうというんだ。これくらいの事はしないとね」
https://w.atwiki.jp/churuyakofu/pages/180.html
彼が気付かせてくれたものの後日談になります。←を読むのがめんどくせえ! という方はあらすじをどうぞ。 あらすじ 人と関わることを忌避していたアリス。 霧雨の店で修行中の霖之助に会って考えが変わる。 香霖堂を立ち上げた霖之助とこれからもよろしく、と握手を交わした。 【人は変われば変わるもの】 霖之助と握手を交わしたその日から、アリスは人形作りもそこそこに1つの計画を立てていた。 名付けて、『いろいろな人(人外も可)と仲良くなりたいな計画』。 霖之助が気付かせてくれた、友人がいることの素晴らしさをもっと味わいたい。 そのために交友関係を増やそうと、なんのひねりもない名前の計画を遂行すべく頭をひねり続けるアリスだったが、 「……どうしよう……」 今まで人付き合いをまるでしてこなかったため、何をどうしたらいいのかさっぱりわからない。 霧雨の店で聞いてもいいが、あの店の人間は半妖を従業員として雇うような人間だ。 特殊すぎてあまり参考にならないし、霖之助も同様だろう。 そしてもう知り合いがいない。 人里の人間なんぞ問題外だし、そもそも彼らと仲良くなる方法を彼らに聞いてどうする。 本を漁ってもみるものの、魔法使いと人が仲良くする方法など書いてありはしない。 強いて言うなら、絵本などでよくある命を助けるとか人間が一目惚れするなどだろうが、それを待つのはいかにも気が長すぎるし今のところ恋愛は求めていない。 そして、案を出したり否定したりすること2ヶ月。 「……ふふふ、完璧よ。完璧な計画だわ」 目の下に墨でも塗ったような隈を副産物としてアリスの計画が完成した。 内容としては以下のとおり。 1.まずは頻繁に人里に出る。 その際ただ歩くだけではなく、できるだけにこやかに挨拶することで好感度を上げる。 今まで無表情だった分のギャップもあってかなり印象を変える事ができるだろう。 2.さらに魔法の森に迷い込んだ人間を今までのように見殺しにはせず、家に上げて保護する。 紅茶などを振舞って『実は親切で優しい魔法使い』という噂を広める。 3.ある程度評判が良くなったら、自分が人形を人里で売っていることを公表する。 「この人形を作っていたのは彼女だったのか!」ということでさらに評価は鰻登り。 4.ここまで来れば少しくらい話しかけても大丈夫。 話が弾んでいる人間たちに「私も聞かせてもらっていいかしら」などと言って会話に加わる。 気さくな所をアピールし、なおかつ周囲の人間にもその姿を見せることで芋づる式に会話できる相手を増やす。 よく見ればかなり穴だらけの計画な気もするが、一度も人の輪に加わろうとしたことがないアリスにはこれが限界。 計画の第一段階を達成すべく、意気揚々とアリスは人里へと向かった。 寝不足で隈がべったりついた顔のまま。 「……ぐすっ」 完璧な計画は第一段階で躓いたらしく、香霖堂にトボトボと入ってきたかと思えば、隅で膝を抱えてのの字を書くアリス。 なんともいえない顔をしてそれを見る霖之助だが、アリスは現時点では貴重な(この先もずっとそうだが)常連。 それに、自分にとって彼女は明るくなっていく過程を見守った友人でもある。 とにかく話だけでも聞くことにして、アリスに近寄り、しゃがみこんで視線の高さを揃える霖之助。 「……アリス。僕でよかったら、何があったのか話してもらえるかい?」 「……」 「何々?人間と仲良くなろうと思って人里で挨拶して回ったら?」 「……」 「……会う人会う人みんな怯えるばかりだったから、やっぱり嫌われているのかと改めてショックを受け」 「……」 「家に帰って見たら寝不足のひどい顔で出かけていたことに気付いた。 普段家ではこんな顔だと思われたかもしれなくて恥ずかしいやら情けないやら、と。 ……こんなことを言うのもなんだけど、君は意外と思い込んだら周りが見えなくなる性格をしているね」 「……みゅう」 ますます小さくなるアリス。 はあ、と息を吐いた霖之助は、とりあえずアリスを慰めるべく頭を撫でてみることにした。 そっと頭に手を載せ、髪の流れにそって優しく滑らせる。 「まあ失敗したものはもう仕方ないさ。 今日ダメだったら2度とチャンスがこないというわけでもないんだしね。 そもそも、今回人間たちが怖がっていたのは君自身を嫌っていたからじゃないんだし、 今度はちゃんと体調を整えて行ってみればいいじゃないか。」 「……ん」 昔はこうして頭を撫でられたこともあったなあ、と懐かしい気持ちになるアリス。 そうだ、1回や2回の失敗で落ち込んではいられない。 今度はきちんと身だしなみを整えていこう。 何度拒絶されてもいいや。 今までが今までだったわけだし、とにかく誠心誠意頑張っていればいつか結果がついてくるはずだから。 なんとか前向きになることができたアリスだった。 ……どうやら落ち着いたようだ。 そう判断した霖之助がアリスの頭から手を離そうとしたところ、 「……ぁ」 なにやら残念そうな声が聞こえたため、アリスの顔に目をやった。 アリスは一瞬名残惜しそうな顔をしていたが、直後霖之助の視線に気付いたらしい。 しまったぁ! とでも言いたそうな顔で少し見つめあった後、ゆっくり俯いてしまった。 「……やれやれ」 また閉じてしまったアリスの心を開くべく、もう一度頭を撫でる。 またすぐに元気になるだろうと思っていたが、頭を撫でてもらいたがっていた事を知られて意地になるアリス。 僕は何もしていないはずだが……とは思うものの、放っておくのも忍びない。 根競べのつもりで撫で続ける霖之助だったが、当のアリスは連日の疲れが出たようで、いつの間にか寝息を立てていた。 ここに放置するわけにもいかないと判断した霖之助は、アリスを抱きかかえて奥の部屋に運び、布団に寝かせることにした。 「おかあさん……」 横たえたアリスがそんな寝言を漏らす。 どうやら昔母に頭を撫でてもらっていたことを思い出したらしい。 最後にもう一度、アリスの髪に手を滑らせ、霖之助は店に戻っていった。 3日後、アリスは再び人里へ向かったらしい。 「さて、泣き顔でそろそろと入ってくるか、笑顔で飛び込んでくるか……」 どちらであっても面白いことにはなりそうだ、と微笑む霖之助だった。
https://w.atwiki.jp/churuyakofu/pages/224.html
前の話へ 次の話へ あらすじ 霖之助に勧められたブルマが気に入るあまり、服をたくし上げて霖之助に見せる美鈴。 紅魔館に戻った後も悶え続ける美鈴を不審に思うレミリアと咲夜。 霖之助から事情を聞いたレミリアは美鈴に香霖堂へ行くよう命じることにした。 レミリアの襲撃から2日後、香霖堂の軒前に、深呼吸を繰り返す赤い髪の女性がいた。 名前は紅美鈴。紅魔館の門番である。 本日は休暇のはずだが、主のレミリア=スカーレットに命じられて香霖堂を訪れたのだった。 「うう、流石に店の前まで来ると緊張する……。 霖之助さんは……やっぱりもう起きてるのかなあ」 以前やらかしたことを思い出すといまだに顔が赤くなる。 「と、とりあえず起きているのかどうか確認しよう……」 そうつぶやくと、店の戸に耳を当てる美鈴。 霖之助の動く音を聞こうというのだろうが、店番をしているときの霖之助はほとんど本をめくる以外のことはしない。 それに気がつかないほど緊張しているということなのだろうが、そんな美鈴のもくろみは 「……何をしているんだい?」 「ひぅ……!」 散歩から帰ってきた霖之助の一言によってもろくも崩れ去るのだった。 「ああ、前にレミリアが言っていた件か。 門番の仕事に身が入らなくなってしまったんだって?」 「うう……おっしゃるとおりです」 小さくなる美鈴。 (これは相当気にしているな) 咳払いを一つ。 「あー、その、なんだ。すまなかったね。僕がうかつなものを勧めたばっかりに」 美鈴の方はまさか霖之助に謝られるとは思ってなかったらしく、バッと顔を上げて反論する。 「そんな、霖之助さんは何も悪くないです! ……そりゃあ最初はちょっとびっくりしましたけど。 その、悪いのは調子に乗ってあんなことをした私であって……なんていうか……」 思い出すと恥ずかしいのだろう、声が尻すぼみになっていく。 結局なんと言っていいのかわからない霖之助が自分に歯噛みしていると、美鈴の方から再び話しかけてきた。 「あの……一応弁解しておくとですね…… 別に普段からああいうことをしているっていうわけじゃなくて…… 嬉しさのあまりにっていうか、その……」 そこまで聞いてなんとなく目の前の少女が気にしていることを察する。 なので、また声が小さくなってつぶやいている美鈴に一言言っておくことにした。 「そういうことか…… 大丈夫だよ。君がはしたない女だなんて微塵も思ってないし、 人も妖怪も、後で思い返すと後悔するような行動を思わず取ってしまう事がまれにある。 僕はあのことで君をどうのこうのと思うことはないから、安心したまえ」 その言葉を聞いて安堵の息を漏らす美鈴。 「よ、よかったぁぁ~~。 変な子だと思われてたらどうしようかと思いましたよ~」 その姿に霖之助もついつい口元が緩む。 そうして2人で笑いあうことになった。 「あ、それと、お嬢様から聞いたんですけど」 再び美鈴が口火を切る。 まだ何かあったかな?と思いつつ先を促す霖之助に対し、 なにやら思うとことがあるらしく、美鈴は膝の上で指を弄りながら、上目遣いにポツポツと話し始めた。 「えっと……実はお嬢様が、『あの店主は美鈴が魅力的だって言ってたわよ』って言ってたんです。 聞いたときはまさかと思ったんですけど、ま、前にも言ってくれましたよね? 君が非常に魅力的なことは認める……って。 私は妖怪で、力は強いし、手は拳ダコができてて、咲夜さんやお嬢様みたいにきれいな手じゃないですし、 今はわからないかもしれないんですけど、背中や二の腕なんかも結構筋肉がついてるんです。 だから、男性から見たらきっと、魅力なんて全然ないんだろうなあって思ってたんですけど……」 不安げにこちらをちらちら見ている。 これははっきり言ってやらなければならないな、と霖之助は演説モードに入った。 彼女は自分を過小評価している。物の価値を正確に理解させるのも道具屋の義務だ。 ここは一つ褒めちぎってやるとしよう。 「正直な話、君は自分自身を低く見すぎているね。 力が強いのは妖怪であるから当然で、全くマイナス要素にはならないよ。むしろ頼れる女性を好む男は多い。 それに、筋肉があるといってもあくまで女性の範疇でだ。 むしろ引き締まってみえる上にしなやかさと活力に溢れていて実にすばらしいじゃないか。 手のタコに関しては人それぞれだが、僕個人の意見を言わせてもらえば、 いわゆる白魚のような手なんかより君のような手のほうがずっと好ましい。 その手を見るだけで、君が日々どれだけよく頑張っているのかよくわかるよ。 胸を張りこそすれ、卑屈になる理由なんて微塵もないと断言していい。 そして何より君は優しくて思いやりがある。 僕の知る女性たちは性格的にたくましい代わりに繊細さをどこかに落としてきたような連中ばかりだ。 その中で君の性格はまさしく砂漠のオアシス。一緒にいて癒されることうけあいだ。 さらに……」 「も、もういいです!十分わかりました!わかりましたから!」 褒められ慣れていないのか、あわてて止めにかかる美鈴。 「そうかい?正直まだ半分も語っていないんだが」 「そ、そうですか……」 「ふむ、久しぶりに語ると喉が渇いたな。お茶を入れてくるから待っていたまえ」 そういい残して霖之助が奥に引っ込むと、美鈴は大きく息を吐いて崩れ落ちた。 霖之助のことだからまあ否定はされないだろうくらいに思っていたのだが、とんでもなかった。 まさか、あそこまで立て板に水とばかりにほめ言葉が出てくるとは。もう腰が抜けそうだ。 そしてなにより、 「どうしよう……顔がにやけて戻らなくなっちゃった……」 前の話へ 次の話へ
https://w.atwiki.jp/kourin_rpg/pages/28.html
幻想郷の中央、魔法の森の入口に位置する古道具屋「香霖堂」。 その主、森近霖之助の下へ、霧雨魔理沙と博麗霊夢が遊びにやってくる。 丁度無縁塚へ商品の仕入れに出かけようとした霖之助に、魔理沙は気まぐれで「ボディーガードをしてやる」と提案する。 しぶしぶ付き合うことにした霖之助だったが、通過しようとした魔法の森に入るなり異様な気配に気が付いた。 普段いないはずの妖怪が、今日に限って溢れているのだ・・・。