約 758,184 件
https://w.atwiki.jp/tetegogakkyoku/pages/421.html
病棟305号室 びょうとう305ごうしつ【登録タグ ひ ハチ リッパー 初音ミク 大人数サウンド 復讐者 断罪狩人 道化師】 nana-music.com 楽曲データ 作詞 ハチ? 作曲 ハチ? 編曲 ハチ? 唄 初音ミク? 歌唱キャラクター 復讐者 道化師 断罪狩人 リッパー 歌詞 (復讐者)患者が一人 花弁を剥いで 病棟汚し ケラケラ言う 道化師「全部アタシの宝物よ綺麗でしょう?」 (断罪狩人)患者が一人 踊躍って 風船揺らし 肺の内より (リッパー)体温さえも目を逸らす様な愛を歌っている (道化師)閑静に歌って 透明な手 曖昧に伝って その名前 (断罪狩人)嚢胞さえも チョコレート 甘い血を (リッパー)匿い聴診にアンプルの音 心音逃避 注射器の目 (復讐者)血清抜いたチューブの先 (全員)見て!ここに! (全員)雨が降る街に悪魔の声がランバラ ランバラ ランバラ (断罪狩人)落とし物 (復讐者)探してる (全員)微かに鳴るのは君の寝息さロゥジラ ロゥジラ ロゥジラ (道化師)気づかない (リッパー)気づかない
https://w.atwiki.jp/fancytwon/pages/15.html
氷涼祭とは 毎年この時期に行われる”死者を迎えるお祭り”で、通称フーセン祭とも呼ばれる。 この時期、空想の街には 「”銀氷”と呼ばれる”雲もないのに降ってきて地上に着く前に大気中で溶けて消えてしまう氷”が空から降ってくる現象」が起こる。 死者たちはそれを見に帰ってくるのだと言われている。 銀氷が降る前日は、この時期だけ街に渡ってくる”白鴉”が街にやってくることが、前兆として広く知られている。 白鴉が渡ってきた日(毎年夏の頭には観測部によってその日付が予測される)の夜に死者たちは風船を使って死の国から戻ってくるとされる。 そのため、生きている者たちは家の扉に風船をひとつ付けて、死者が自分の帰る場所を見つけられるようにしなくてはならない。 死者が帰ってきた日(すなわち白鴉が渡って来た日)の翌日が氷涼祭であり、人々は死者と生者の区別がつかないようにするため、死者が心置きなく生の世界を楽しめるようにするために、風船を一つ持って生活しなければならない。 ちなみに、この風船は自作のものや色々な店で売っているものでも大丈夫だが、夏に入ると時計塔広場で毎日役所が無料で配布もしている。 古い言い伝えでは、死者の区別をさらに失くすために和装をするべき、と言われている。 強制ではないのだが、そのため住民のほとんどは思い思いの”和装”をする。 ここで言われる和装は着物や浴衣だけでなく、着物風ドレスだったり着流しだったり改造してあったりとかなり自由である。 銀氷が降った翌日の夕方に、白鴉は街からまた別の場所へと渡ってゆく。そのワタリに合わせて時計塔で風船を飛ばす風船放し、という行事が行われている。風船を放した後、死者たちは死の国へ帰ってゆく。 風船を放すのは死者を帰すために必要な行動ではあるが、場所が時計塔広場である必然性はないため、自宅や他の場所でワタリに合わせて風船放しをする人もいる。 白鴉が渡っても風船を手放さずに死者を帰さなかった場合、死者は死の国に帰れない代わりに生の国に長く存在もしていられないと言われている。 引き留めた死者は次の年にはもう帰ってこない。 白鴉のワタリ・風船放しから一時間後に、毎年必ずぱらぱらと雨が降る。この雨のことを「涙雨」と呼ぶ人も多い。 去年、街役所が発表したスケジュールは 7月1日 午前中に白鴉のワタリが観測される 夕に入ってからどの家も風船を付けること(アナウンス予定) 夜が更けてから死者が帰ってくるとされているため、外出は推奨されない 7月2日 氷涼祭の始まり 住民は風船を各自一つ持って生活を始め、和装をするものも多い 夕方から時計塔広場を中心に出店が出始める 夕方の15時~16時頃に銀氷が降ると予測される 本祭は22時まで 7月3日 17時頃、白鴉がまた別の場所へ渡る(アナウンス)のに合わせて、時計塔広場で一斉に風船を放す 風船を放した後、死者はそれぞれ死の国に帰ると言われている 18時頃、涙雨が降る
https://w.atwiki.jp/arcadia19th/pages/12.html
お借りしているキャラセットです。 霧雨降る街 作者:きりのれいん 様 URL:http //misty-rain.sakura.ne.jp/fall0rain/ 霧雨降る街 -BIG version- 作者:きりのれいん 様 URL:http //misty-rain.sakura.ne.jp/fall0rain/ 宝石箱《Jewel Box》 作者:宝石箱制作委員会 様 URL:http //misty-rain.sakura.ne.jp/jewel/faq.html 演奏会 作者:ゆひろ 様 URL:http //yuhiroiro.web.fc2.com/ensou_set.html
https://w.atwiki.jp/dangerousssig/pages/88.html
トレエとニアヴのいる渋谷のスクランブル交差点は見るも無残な有様になっていた。 道路に面したビルの窓ガラスは割られ、看板も叩き壊されている。 それは戦いの余波によるものではない。 渋谷の代表的なエリアである交差点を破壊している犯人は、外から見て一番目立つビルの、一番目立つ喫茶店内にいた。 「あぁははは! 魔人警察も来ないとは素晴らしい!(破壊音)たまらないね! ホットのドリップコーヒーとアイスのマキアートを同時に飲むとこんな味がするのか!(機械の配線がはじけ飛ぶ音) クライムアクションゲームの百倍は楽しい!(耳障りな引き裂く音)」 悪魔、ニアヴ・E・ブレインは、せっかくだからと現実世界では中々できない悪魔的行為に励んでいた。 対してニアヴの相方である天使、トレエ・A・ハートは仏頂面で、近くにある信号機の上に座り込んでいた。 余り物な彼女たちが最初にとった行動は、派手に暴れて、〈運命の機織り達(フェイトウィーバーズ)〉をおびき寄せるという待ちの姿勢だった。 その間、暇だからという理由でニアヴは暴れ始めてしまったので、トレエが警戒している形である。 (鏡の世界だから外に影響はない。誰かに迷惑をかけるような罪悪ではないけど……やっぱり理解できないわ) 意味のない破壊行為の何が面白いのか。熱心に周囲を警戒しつつもトレエはそう思っていた。 そこでようやく、糸霧竜也と白詰ゆきが遠くから現れた。 しかめっ面をしていたトレエは、道路の向こうからやってくる敵チームを発見すると、青いスマートフォンの通話口に話しかけた。 『報告(レポート)、来たわ』 ニアヴの破壊が止まる。 やっと静かになった交差点で、トレエは近づいてきた竜也とゆきに言った。 『ごめんなさい。私は止めたのよ? でもスクランブルをごちゃ混ぜ(スクランブル)にするって聞かなくて……』 開口一番、気の抜けた謝罪をするトレエ。 しかしゆきはトレエへ応えず、竜也に言った。 「信号機の上に天使が見えます。竜也さんは?」 「……やっぱりか。見えない」 竜也は必要とあらば無辜の人を殺せる。殺さなければトラブルが拡大するなら殺す。 ゆきに関しても、必要がなかったから殺さずに済んだだけで、必要があったなら殺していた。 もちろんこれは悪の行為ではないが、善行でもないだろう。余裕があれば人助けぐらいはするが、なければしない。 善いことも悪いこともする自分はいいとこ中立で――内面も加味されるなら悪と判定されるだろう、と竜也は考えていた。 比べてゆきは善人だ。 あの日の研究所。 さんざんぱら痛め付けられ、続いて現れた正体不明の竜也へ、真っ先に”逃げて”と言うようなお人好しが善人でなかったらなんだという話だ。 暮らしていく中でも、良い子だった記憶はあっても悪い子だった記憶はない。 だから自分に天使が見えないのも、ゆきには見えるのも、竜也の予想通りだった。 逆にゆきにとっては、自分は天使が見える自信はなく、竜也は見えて当然と感じていたので、この結果は結構な驚きだったのだが。 善人にしか聞こえない天使の声とは違い、今度は竜也にもゆきにも聞こえる声がした。 「第一問。通常、悪魔が生まれるにはどのような処理が行われるか」 ニアヴはビルの上階から窓ガラスを割って飛び出し、路面へと降り立った。 片手には紙製のコーヒーカップを持ち、ワイシャツの胸ポケットには、黄色いスマートフォンが入っていた。 「第二問。お前たちは天使が見える善人か否か」 信号機の上にいたトレエは背中の鞘から【弔悪】を引き抜くと投擲した。白銀の剣が竜也へ向かう。 「天使が剣を投げました!」 「問題なし」 竜也に【弔悪】は見えなかったが、伸びてくる不運の糸はいつも通り視認できた。 糸霧竜也の魔人能力【運命の糸切り鋏(シザーズ・オブ・モイライ)】は不運の糸を視認し、切断できる。 何が飛んできたのかさえ竜也自身はわかっていなかったが、正面から伸びてきた不運の糸なら対処は容易だ。 彼は左手に持った短剣で不運の糸を断ち切った。 【弔悪】は不可視の壁で弾かれたようにコンクリートへ転がった。 竜也はトレエへ攻撃ができない。【弔悪】の刃と己の剣を交わすこともできないだろう。 だが変わらず”不運”は切れる。知れたのは大きな収穫だった。 善人以外に観測不能・干渉不可能、それでいて悪への攻撃は可能な【観善】【弔悪】の天使へ竜也は何もできないが、彼が切るのは天使ではない。 現実世界に起こる”不運”だ。そのロジックを以て、彼は天使からさえも身を守れる。 希望を見出した竜也に、ニアヴは笑いながら言った。 「第三問。天使と悪魔と同時に戦ったことはあるかい。あーは」 <現世からの余り物>タッグと<運命の機織り達(フェイトウィーバーズ)>タッグは対峙した。 奇妙な問いを畳みかけてきたニアヴに、竜也は簡潔に回答する。 「一、知らん。二、答えない。三、ない。これじゃ不服かい」 そう言いつつ、彼は空いた右手を背中に隠して、指を後ろへ向ける。ゆきは小さく頷いた。 ニアヴはコーヒーを一口飲んで、カップを背中に回してから言う。 「第一問の答えは、蛆虫に似たリサイクル装置に罪人の魂を大量に食わせて製造される、だ。私は違うが」 ニアヴは腰を低くしてクラウチングスタートに似た態勢をとった。 「第二問は糸霧の目線が、いま飛び上がったはずのハートに向いていないのに、白詰が注意を向けている点から明らかだ」 ゆきの視界にしか映っていないが、トレエは【弔悪】を回収し、ニアヴの言う通り上へ上へと飛んで行っていた。 ニアヴはチーターのように前へ跳んだ。 応ずる竜也は前に出て、ゆきは逆に後ろへ下がる。 竜也は不運の糸を切った。結果、ニアヴが伸ばした手は不可視の≪壁≫にぶつかる。 竜也は左腰の長剣を引き抜き、ニアヴが前に出していた片腕と両脚の関節をなぞるように斬った。 「そして第三問! その勇敢な目! 戦ったことはないが――勝ち筋があり、それを切り開こうとしている、だ!」 ニアヴは後ろに回していた手を振りぬいた。カップに入っていたコーヒーが竜也の顔面に至近距離でぶちまけられる。 「生温い」 だがコーヒーがかかるよりも竜也が短剣で不運の糸を切る方が早かった。 ショートレンジだが、不意打ちでもなんでもない。 黒い液体は空中で弾かれたように散る。しずく一滴すら竜也に触れなかった。 「飲んでないのに温度がわかるのか。ならしょうがない。もっと熱い拳を――」 けれど、ニアヴが傷を回復させる数秒の間に、竜也とゆきは後方へとどんどんと距離をとっていった。 「連れないな。誘っているのか?」 ニアヴは一歩踏み出したが、二歩目は踏み出せなかった。 彼女は、ありえない飛び散り方をした道路のコーヒーを踏み、ありえない摩擦係数のなさに滑って転んだのだ。 当然の帰結として、悪魔は猛烈な勢いで後頭部を道路へ打ち付けた。 倒れたニアヴはしばらく無言だったが、胸ポケットからスマートフォンを取り出して通話した。 「報告(レポート)。【無限葉の白詰草(インフィニット・クローバー)】はこっちから攻撃しなくても発動する」 『本当? 作戦が最初から練り直しじゃない』 「別に。そんなものだろう」 ニアヴは拗ねたように言った。 試合前に渡された<運命の機織り達(フェイトウィーバーズ)>のプロフィールを見て、最初に思い付いた作戦は失敗した。 ”害を与えようとした者に不運を押し付ける? なら害を与えようとしなければいいじゃない!” で白詰ゆきをスルーし、糸霧竜也だけを狙うのは、思い返せば安直な発想だったと言える。 むしろまだ幸運な部類だ。トレエをあそこで下げなかったら、トレエもまた不運に巻き込まれただろう。 天使が一回や二回のアンラッキーで死ぬとも思えないが、一つの傷が勝負を分けるかもしれないのだ。 ニアヴは肩で身体を支えて倒立すると、全身の力をバネのように使い起き上がった。 「今どこにいる?」 『南に百メートル。犬の銅像を通り過ぎたわ。あ、あの犬、天国で見覚えがある。 やっぱり! 善き者はちゃんと現世でも評価されるのね』 トレエの天国トークを聞き流しながらニアヴは思考する。 (百メートル? 近いな。魔人の身体能力なら倍以上は行けてもおかしくないはずだが――効果範囲か? いや、それなら接触する前の、私かハートに不運の兆候が出ていないと妙だ) 遠くでかすかに雷が轟く。ニアヴは舌打ちした。 ここは鏡の世界の渋谷だ。急な天候の変化は発生しない。 空を見上げれば、半分が白い雲で覆われていた。 「流れが悪いな」 渋谷駅近く、ハチ公像の前でジリジリと警戒しながらも達也とゆきは渋谷のスクランブル交差点から距離をとっていた。 「竜也さん。本当に天使を探さなくていいんですか?」 「構わない。能力を発動しながら探すのは難しいだろ」 ゆきの目元には一筋の涙の跡があった。 ゆきが何を考えてゆき自身に精神的ストレスをかけているか、竜也は知らなかった。 問うつもりもない。ゆきの覚悟の侮辱になる。だが、それが何であろうと思考であり、想像だ。 天使を探しながら心の中の想いに集中するのは難しいし、中途半端になるだろう。なら専念してもらった方がいい 白詰ゆきの魔人能力、不運を周囲に押し付ける【無限葉の白詰草(インフィニット・クローバー)】は、想像だけで発動が可能だ。 今のところは作戦通りだ。 渋谷に入った瞬間からゆきは能力の発動に集中しつつ、広い渋谷の中を移動して<現世からの余り物>タッグに接触。 能力と相性を確認して、一当てしたら離脱。 あとは竜也が不運を断ち切り、ゆきを守り。そして悪魔から距離を取り続ける。 ニアヴは追いかけざるおえない。 【無限葉の白詰草(インフィニット・クローバー)】が天使を効果範囲に捉えたら敗北につながるからだ。 追いかけて来ないならそれも良い。 竜也はニアヴに一太刀入れたのに対しこちらは本当の意味で無傷だ。判定勝ちどんと来いである。 まぁ見た感じの性格上これはないだろうし、竜也もそこまで粘るつもりはない。 加えて接触してわかったこともある。 「天使の攻撃でも糸が切れるってわかったからな。遠くからの攻撃なら防げるし……目の前まで来ればゆきが気づけるだろう」 「それは任せてください」 (ま、天使がどこにいるかってのはもうわかってるんだが) 頭上だ。 竜也がトレエ・A・ハートと組んでいるならそうする。 飛行というアドバンテージとアタッカーを組ませるなら、基本はそれだ。位置を常時把握でき、情報的に優位に立てる。 【無限葉の白詰草(インフィニット・クローバー)】が任意発動できるのはすでにバレている以上、効果が届かなさそうな遥か上空にいるだろう。 だがゆきには伝えない。天使が読唇術を使えたら――というのは流石にパラノイア気味の懸念だが、 ゆきがとっさに上空を見たら”真上に天使がいるのに気づいていること”に気づかれてしまう。 この状態がベストなのだ。後はこちらが右往左往する様子をしばらく見せた後、適当な高層ビルに入って登れば――天使を不運に捉えられる。 だが戦略的に必要とはいえ、ゆきに己の考えを黙っている心苦しさからか、竜也は言った。 「あいつらは思ったよりも頭脳派みたいだ。俺から離れるなよ」 「はい!」 「そう言われるとぉ!」 遠くからニアヴが走りながら叫ぶ。 だがその道中、渋谷に腐るほど設置された看板の一つが突風にあおられてニアヴへと飛んでくる。 ニアヴはその看板を片腕で弾いたが、衝撃に耐えきれず彼女の腕は根本から千切れた。 けれど、片腕になってもニアヴは動揺を知らない。 彼女は前方へ飛びこみ、アスファルトに片手をつくと、身体を半前転させ、竜也とゆき二人ともへ両足のキックを放った。 正面からの曲芸じみた攻撃。竜也はゆきを抱えつつ最低限の動きで避ける。 ニアヴは反対側の路面に危なげなく着地した。 続いて千切れた部分から出ていた血液が蠢き、腕を作り、そして完全に回復する。 「引き離したくなるな。――原案(ドラフト)! 白詰を追跡してマウントを取れ。糸霧とは私がやる」 「なんだ?」 と竜也は訝しむが、ニアヴの言葉に返答が来る。 『マウント? というかいいの? 逆じゃなくて』 トレエの声だった。ここに来るまでに胸ポケットのスマートフォンのスピーカー機能をオンにしたのだ これで手に携帯を持たなくても会話できる。相手にも筒抜けになるのが欠点だが、仕方がない。 ニアヴはつらつらと答える。 「ああ、ああ、だいたいわかった。【無限葉の白詰草(インフィニット・クローバー)】は倍々ゲームで”距離”と”威力”が上昇してる。 加えて白詰ゆきは善人だ。覿面にハートへ刺さってる。放置厳禁」 最初は転んだだけだったが、次は身体の一部分を持っていかれるレベルの不運が起こった。 明らかに不運のグレードが上がっている。 ゆきに近づかれたのに不運が起こらず、離れてから不運に見舞われたことから効果範囲が持続的に広がっているのも推理可能だ。 加えてニアヴには見えて(・・・)いた。 ゆきはニアヴに視線を向けているが心あらずと言った様子で、瞳は潤んでいる。 「そして涙だ。ポイントは感情! だからお前の出番だ。覿面に心(ハート)へ刺してやれ」 『……決定案(プロポーザル)。私はゆきを追いかけてお話。あなたは竜也を食い止める。一区切りついたら合流。いいかしら?』 「オーキードーキー。ファッキンエンジェル」 『しれっと私を侮辱してもわかるのよ?』 「頭脳派……?」 ゆきは困惑したように呟いた。 天使と悪魔は、敵の目の前で聞こえるように作戦を議論して決めていた。 ……これがトレエとニアヴの武器。密接なコミュニケーションである。 その場で案を提示し、評価し修正し、決定する一連の手順。 蓄積がないから現場でなんとかするの理想論。 彼女たちは連携や戦いに必要なことを、その場で全部、やるつもりである。 対して竜也ははっきりと顔を顰めていた。 まさか、一番ありえないと思っていたソレをするのか? 「ゆきに、天使を突っ込ませるつもりか?」 『3、2、1、今!』 トレエの掛け声と同時にニアヴはまるで威嚇する熊のごとく、予想外に戸惑う竜也へ覆いかぶさろうとした。 見え見えの攻撃ゆえ、竜也の短剣により不運の糸が断ち切られる。 当然のようにニアヴは弾かれた――が一切気にせずに前へと進み続ける。 不運でなくなったのだから不運を通すはずもない概念的な≪壁≫を、ニアヴは力任せに抱きしめる。 竜也はゆきを庇うように前へ出て、そんな隙だらけのニアヴを脳天から腰のあたりまで真っ二つに断ち切るが、彼女は死なない。 ニアヴは二つの歪んだ笑顔で喋る。 「「ああ、太くてウマナミなのね。真っ二つになっちゃいそう! ――馬刺しにしてやる」」 「やめとけよ。馬は食うより賭けた方がいい。おっと、ちょっとおっさんぽかったか?」 (ふざけんな、なんだこの化け物) 竜也は軽口とは裏腹に冷や汗を垂らした。相手の能力や最初の動きは想定内だったが、以後の有り様は予想以上にイカレていた。 こんなのに付き合ってられるか。こんな奴らの作戦に乗ってたまるかと、竜也は後ろにいるはずの白詰へ、逃げるぞ、と告げようとして。 竜也が口を開く前に、ヘルメットの直下、彼の眉間に強烈な一撃が入った。 「な、はっ――!?」 揺れる竜也の視界に映ったのは、落ちていくのは。 「……スマー、トフォン?」 「今度の不意打ちは当たったか?」 ニアヴが胸ポケットに差し込んでいるのとは別の、予備のスマートフォンだった。 ニアヴのズボンのポケットには二台の黄色いスマートフォンが入っていて、いま一台消費したのである。 悪魔は嘯く。 「スマホは投擲武器、みんな知っているぞ」 真っ二つにされた身体を繋ぎ合わせたニアヴは、脳が揺れたダメージによってふらつく竜也の腕を掴んで地面に引き倒した。 「っ――」 倒れた竜也の胸にめがけて、ニアヴの貫手が迫り、防刃仕様のチョッキの中に仕込まれた金属板をひん曲げた。 が、人体を貫くには至らなかった。 「ぐっ!?」 防具が働いたとはいえ、突きの衝撃は竜也へダメージを与える。 彼はたまらず吐血するが、正気を取り戻し、ニアヴを蹴り飛ばしてからゴロゴロと道路を転がり、立ち上がった。 竜也は口元の血をコートの袖で拭いつつ、あたりを見回す。 ゆきがいなくなっていた。いるのは対峙するニアヴのみ。 「まんまと分断されたか。……だが、そんなに相方を信じているのか、お前」 天使の命さえ取られなければ不滅だというのに、まさかトレエの命を奪い得るゆきを追跡させるとは――と。 そんな竜也の言葉にニアヴはスマートフォンのスピーカー機能をOFFにして、胸ポケットにしまってから言った。 「んー、や。ぜんぜん信じてない」 『ゆき、待って』 ゆきは、空を飛ぶトレエに追いかけられていた。 竜也がニアヴと戦っている間に、急降下してきた天使に近づかれたゆきは、その場から逃げ出したのだ。 最後に見たのはニアヴに腕を掴まれる竜也だったが、ゆきは信じた。竜也は負けないと。 そして、まだ試合は続いている以上、その信頼は裏切られなかった。 あとは竜也が来るまで逃げ切ればいい。 ゆきは渋谷駅の高架下、車道をひたすら南に走るが、トレエは低空飛行を軽やかに行い追跡を続ける。 このままでは追いつかれると思ったゆきは攪乱するような動きで右折した。 彼女は、渋谷中央街、と書かれたアーケードがある歩道へ向かう。 『待ってちょうだい。……あら?』 高いビルと高いビルの間に挟まれた場所へトレエが差し掛かった頃、いきなり突風が吹いた。 そのせいか、道を挟む両方のビルの窓ガラスが割れ、鋭い破片がトレエへ降り注ぐ。 天使は空を制する鳥のように軌道を自由に変えて避けた。 続いて、どこぞの遊興施設から飛んできたのだろうか。 カラオケだのゲームだの書かれた巨大な看板が、前方から飛んできたが、トレエはそれを【弔悪】で斬り裂いた。 『モノが斬れる……』 善も悪もないただのモノであれば【弔悪】では斬れず、トレエの身体も通り抜けるはずだ。 つまり不運にも(・・・・)飛来してきたこの看板は、ゆきの影響下にある。 トレエが手元を見てみれば、先ほど降ってきたガラスの破片が掠ったのだろうか。 手の甲に一筋の傷ができていた。出血もしている。 ……善人が能力で起こした不運だ。 天使に無力なはずの竜也が”不運”という事象を切って、天使からの攻撃を防御可能なことと、反対のことが起こっている。 この不運こそが善人(ゆき)の能力だから、トレエは不運な物理現象をすべて喰らってしまうのだ。 (やっぱりこの分担は間違っているんじゃ――いえ、提案はニアヴでも決めたのは私ね) トレエは追いかけているゆきへ言う。 『少し聞きたいのだけれど』 「……」 『曇ってきたわ。あなたの力?』 「……」 空の大部分は白い雲で覆われていた。 ゆきはトレエの問いに答えない。 向こうのやりたいことはわかっている。 ゆきの感情を乱して、【無限葉の白詰草(インフィニット・クローバー)】を防ぐ、ないし軽減するつもりだ。 敵の思惑に乗ってやる必要はない。 ゆきは天使から逃げつつ想像する。 竜也に置いて行かれる未来を。見捨てられる状況を。 ここで負けてしまったら、ああ、本当にそうなってしまう。 それが怖くて恐ろしくてだから勝たなきゃいけなくて――。 天使は優しい声で言った。 『ねぇ、あなたは善い人よ? なのにどうして悪人の竜也と組んだの?』 「……はぁ?」 ゆきは足を止めて振り返って――正気に戻る。 (なにやってるの私は!) しかしトレエはゆきに白銀の剣を振るわなかった。 むしろ天使は、ゆきとある程度離れた場所に降り立つ。 少女と天使は向かい合った。 (近づいてこない……?) ゆきは試しにトレエへ一歩近づいてみた トレエは同じく一歩後ろへ下がった。 ゆきはにっこりと笑った。 「あなたは”話す”としか言ってませんでしたよね。そうでした」 『……』 「前提を間違えてました。逃げるのは私じゃなくて、あなたでしたね」 ゆきはトレエに向かって走り出した。 トレエは羽ばたくとゆきから離れる。 しかし、離れ過ぎはしない。愚直に話せる距離を保つつもりのようだった。 そのトレエに、優勢となったゆきは言った。 「さっきは、なんでしたっけ。誰が、悪人ですって?」 『竜也よ。糸霧竜也――ほかにいないでしょ』 悪びれることなくトレエは言った。 渋谷中央街の歩道でぐるぐると追いかけまわされているのに、恐怖一つ感じさせない表情だった。 元から逃げようと思えばどこまでも逃げられる余裕がそうさせるのだろうか、とゆきは考える。 正直イラッとした。喋っている内容もイラッとする。 悪魔と組んでいる天使に言われたくないが、それ以上に。 「取り消して。竜也さんは悪い人なんかじゃないです」 『でも私が見えていないわ。……ああ、もしかして騙されているの? 竜也は善人に偽装するのが上手いとか』 「あああああああああ」 『……違ったらごめんなさい。侮辱するつもりはないのよ? ただ――知りたくて』 「侮辱するつもりはない? その口で??」 なお、本当にトレエには竜也を侮辱するつもりはない。 彼女は見たままを言っているに過ぎない。 なぜか竜也にはトレエは見えていないし、ゆきには見えている。 それが奇妙に思えるのだ。 自分だって悪魔と組むにはかなりの葛藤があったというのに――。 善と悪は相容れないはずだ。であれば竜也とゆきを繋ぐものは何であろうか。 ゆきはトレエを睨みつける。 不安と悲しみで一杯にしていたはずの精神が、見当違いの天使によって義憤に満ちていく。 自分の痛みなら我慢できる――とは言わない。 痛めつけられるのは苦しい、悲しい、耐えられない。 白詰ゆきは知っている。 その上で、トレエの言葉もまた我慢できない。したくない。 「私は! 彼に助けられたのよ! 助けられ続けているのよ! 私たちのことも知らないで――勝手なことを言わないでください!」 『助ける?』 トレエは心底理解できないという顔をした。 『悪が?』 「あぁははははは!!」 ニアヴは両手を左右に大きく広げた。 「不運が止まったぞ!」 空は雲で隙間なく覆い隠されているが、薄灰色の小康状態で安定していた。 渋谷に張り巡らされた不運の糸は格段に減少した。 ゆきの【無限葉の白詰草(インフィニット・クローバー)】が軽減された証だった。 不利な要素ばかりだが、竜也は冷静だ。 正確には冷静さを取り戻した。 このハードなシチュエーション自体が、仕事人としての彼をベストな状態にしたのだ。 笑うニアヴを後目に、竜也は短剣で、ひしゃげたチョッキの肩の部分を切り離す。ゴミのような有様になった防刃チョッキは地面へ落ちた。 もう役に立たない。歪んで動きづらいし、防具としての機能は死んだも同然だ。 なら捨てる。 タンクトップの上から、前を開いたコートを着た状態になった竜也は左手に短剣を、右手に長剣を構えて焦らずニアヴを待ち受ける。 そんな竜也へニアヴは言う。 「さっきはああ言ったが、あれでも私のパートナーだし、天使だし、名前にハートってついてるしうまくやるに決まって……。 いやダメだな。いつシクるかわからん。ここでお前を殺した方が良い気がしてきた」 悪魔は、対峙する竜也に向かって歩き出した。 続いておもむろにニアヴは加速し――彼女と竜也は今度こそ、真正面から戦闘を開始した。 ニアヴはヒット&アウェイで彼を翻弄する。 蹴り主体で攻撃し、不運(ぼうりょく)の糸を切られたと判断すれば深追いはせず距離を取り、竜也の死角死角へと移動する。 それでいていきなり自分の身を剣に断ち切らせて、その状態のまま蹴りを放ってくるのだから始末が悪い。 竜也はニアヴと戦いつつも、逃げる隙をうかがう。 ニアヴとの戦いは完全に罰ゲームだ。 彼女はただの障害に過ぎない。 いくら殺しても意味がなく、殺されるから価値がない。 この悪魔をどう避けて、どうトレエを捕まえるか、ゆきを守るか。 要点はそれだけ。 目の前の女は、ただの邪魔者だ。 「私は楽しいぞ?」 ニアヴは竜也の考えを読んだのか、そんなことを言った。 その目はギラギラと金色に輝いている。 「とてもとても楽しい。殺し合うのは楽しい。戦うのは楽しい。闘争は喜びだ」 悪魔は首を大きく傾けた。道化のように。あるいは化け物のように。 「お前もそう思うだろう? 思わない? そう。――なら思い知らせてやろうか!!」 至近距離でのサマーソルトキックを短剣の柄で逸らしつつ、竜也は眉を顰めた。 攻勢は苛烈になるばかり。 やすやすと逃がしてくれる気はなさそうだ。 (仕方ない、別の方法を取ろう) もともと自分はどちらかというと喋る方だし――と竜也は口を開いた。 「もしかしたら逆かもしれないぞ」 「あーは?」 「ゆきが、トレエを追い詰めているから不運をまき散らさなくなったってのはどうだ」 「……」 ギリギリの命のやり取りを続けつつ竜也は揺さぶりをかける。 ニアヴはあいまいな様子で唸った。 効果があると見た竜也はさらに続けて言った。 「お前はまったく天使を信じてないんだろ? 俺はゆきを信じてるぞ、どうするんだ」 ニアヴは邪悪に喉で笑った。 「信じてるぅ? どうするぅ? ……ふん、糸霧竜也。お前、相方の参戦理由を知ってるか?」 竜也は少し迷ったが、隙を作りだすため会話を続けた。 「恩返し……とか言ってたかな」 ニアヴは即答した。 「違うね。お前はああいう少女の熱情をわかっていない」 「むしろお前にゆきの何がわかっているんだ」 言い返した竜也に新米悪魔は含み笑いをする。 「あーは。これでは負けるわけにはいかないな? ……そうそう、トレエがなんだとか言ってたが、 私はハートの参戦理由を知っているぞ。クソみたいな理由さ。だが私は知っている――」 ニアヴはだらりと、両腕を下げた。 天使を信じていないのに、なぜトレエにゆきを任せたのか。 竜也への回答ともなる言葉を、ニアヴは皮肉げに言った。 「―――いまこのときだけは、信頼できなくても相棒だからだ」 同じ頃、トレエは真摯にゆきへ言った。 『あなたが恩義で彼と参加したというのは理解したわ。なら、白詰ゆき。あなた、竜也の動機を知っているかしら?』 「動機……?」 悪が人助けをしたという話に戸惑っていたトレエが、次に発した問いへゆきは答えた。 「恩を返したい、と言った私に付き合ってくれているからです、よ!!」 ゆきはトレエを捕まえようとするが、するりと天使はゆきの手から逃れた。今のは惜しかった。 羽ばたくトレエはゆきの言葉を否定する。 『違うわ。あの人は悪い人だから、きっとあなたが泣くような理由よ。それがどれだけ優しいものでもね』 そして"そこ"が、所業も魂も善寄りの中立である竜也を、判定:悪に傾けている原因である。 だがトレエはその状況を正確に把握していない。そうなのだろう、と感じているだけだ。 天使の極めて感覚的な言い草に、ゆきは声を荒げる。 「まだ言うの――!!」 『言うわ。私は天使だもの。善に報い、使命を果たさないと。ああ、私が悪魔と組んでいる理由も言わないと不公平? ……私はニアヴの動機を知っているの。彼女は欲望でしか動いていない。でもそこに冒涜や企みはなくて。だから――』 トレエは祈るように剣を持った両手を胸の前に合わせた。 『―――いまこのときだけは、わかりあえなくても友達なの』 糸霧竜也と白詰ゆきは運命的な出会いと、五年もの時をかけて信頼を育んでいる。 二人の本当の参戦理由だって、互いを思いやったあたたかい代物だ。 でも、二人は思い合ってはいても、通じ合ってはいない。 それはニアヴ・E・ブレインとトレエ・A・ハートのタッグには、致命的な隙だった。 あえて言葉にしない綺麗だが不完全な<運命の機織り達(フェイトウィーバーズ)>に対するは、不格好だが完全な<現世の余り物>。 あえて言葉にしたからこそ、天使と悪魔は手を組めたのだ(・・・・・・・)。 「っ?」 竜也は不思議に思いつつ、無防備になったニアヴの首を断ち切った。 続いて、落ちていく悪魔の頭を長剣で切り刻む。 頭を念入りに潰した。 回復するまで数秒しかないが、数秒もあれば十分だ。 竜也はハチ公像前から離脱した。 ……走る竜也の背後から肉が吹き飛んだような音がした。 彼は振り向く。 彼の視線の先では、首のないニアヴが己の胸を貫いていた。 身体を貫通している手の上には鼓動する臓器があり――彼女は、己の心臓を握りつぶした。 ニアヴの構成物が、髪も肌も服もスマートフォンですら、血液に変わる。 飛沫を上げて道路に落ちて広がる血だまり。竜也は顔をひきつらせた。 「……しまった。それがあった」 戦いはトレエとゆきが走り回っていた渋谷中央街に収束する。 トレエを追いかけていたゆきの肩に手が乗せられた。 ゆきが驚いて振り向く前に。 「boo(ばあ)」 渋谷中央街の路地裏の影から現れた、悪魔の蹴りがゆきの腹へ叩き込まれた。 「かはっ」と声を出してゆきは吹き飛び、道路へと転がった。 『ニアヴ!』とトレエはスマートフォンを取り出して、携帯越しに悪魔へ声を掛けるが、ニアヴは反応しなかった。 ニアヴはスマホのスピーカー機能を切ったままだった。 ニアヴ・E・ブレインの能力【死に損ないの契約者(バッドコープス)】はただ不滅であるだけの能力ではない。 悪魔は契約者を逃さないために、契約した相手の傍にリスポーンできるのだ。 自殺で発動するこの能力が、ニアヴがトレエとゆきの傍に現れたカラクリである。 だが、そのままゆきを簡単に殺せるかというと、そうでもない。 ゆきもまた強力な魔人である。ニアヴの蹴り一撃では殺せなかったし、条件は揃った(・・・・・・)。 ニアヴはゆきへ害を与えた。もはや精神のストレスなど関係ない。 ゆきの頭、帽子の下に隠されたクローバーから、不可視にして不運の糸束が一斉にニアヴへ纏わりつく。 ニアヴが一歩踏み出したと同時、突風に飛ばされてきた電飾看板がニアヴの身体に衝突する。 骨と肉がひしゃげるが、ニアヴは笑ったまま、ゆきへ一歩進む。 まだ無事だったビルの窓ガラスがいっせいに割れ、ニアヴに降り注ぐが、彼女はさらに一歩進む。 重力加速度でガラスの破片はニアヴの肉体を切り裂く。 しかし血を噴き出しながらも、ニアヴは一歩進む。 腹部への一撃でゆきは呼吸困難に陥りながら、這うようにニアヴから離れる。 だが、ニアヴの歩みの方が早い。これではすぐに追いつかれてしまう。 (怖い、痛い、嫌だ、負けたくない――足手まといになりたくない) 強烈なストレスが、【無限葉の白詰草(インフィニット・クローバー)】を成長させる。 範囲を倍に、威力を倍に。 空は曇天となり、落雷をニアヴへ落とす。 ドンッ! と渋谷中央街のただ一点に稲妻が落ち、トレエはたまらず飛行し、ニアヴとゆきから距離を取った 落雷を受けてもニアヴは笑う。 「あーーはーーー」 口から内臓が焼けた白い煙を一息で吐き出し、進む。 (もう……ダメ……?) 「ゆきぃ!!」 「竜也さ、……」 竜也の声にゆきは顔を上げる。急速に曇り、雷さえ落ちたのだ。どこにゆきがいるかは竜也にもすぐわかった。 全速力で彼はゆきの姿が見えるところまで来たがしかし――距離が遠い。竜也がいるのは車道であり、ゆきとニアヴがいるのは奥まった歩道だった。 この位置関係では、竜也は間に合わない。 (二人で幸せに……どんな手を使っても……私がやらないと……) そしてゆきは思い出す。天使トレエの発言を。 ――――違うわ。あの人は悪い人だから、きっとあなたが泣くような理由よ。それがどれだけ優しいものでもね―――― 「竜也、さん!!」 ゆきは這いながら叫ぶ。息が苦しくてたまらない。 「私、本当はあなたに恩を返したいなんて、綺麗な理由で参加したんじゃないんです。 本当は見捨てられたくなくて、置いていかれたくなくて! こ、この大会ならきっと……! 力になれるって!」 ニアヴはここで初めて眉を顰めた。妙だ。この展開は妙だ。 だがニアヴの疑問など気づかず、竜也はゆきに走りながら叫び返す。 「見捨てたりなんてしない! 置いていくなんてそんな――いや。そういうことか(・・・・・・・)!」 突然のゆきの告解を聞いて、糸霧は理解した。 ―――――違うね。お前はああいう少女の熱情をわかっていない―――――― 白詰ゆきの起死回生の一手を。そして覚悟を。 だから竜也も、イグニッション・ユニオンへ参加した本当の動機を告白した。 「そうだ。違う。嘘を言った。本当は、万が一俺が死んだときにゆきへ賞金を、遺産を残すためだ。 黙っていてすまない!」 竜也の告白は、ゆきの想像以上に優しく、哀しいものだった。 遺産?死ぬ? 竜也さんが、シヌ? それは見捨てられるよりも恐ろしい未来だった。 この、追い詰められている状況すら吹っ飛ぶほどの悪夢だった。 置いて行かれる、この世界にたった一人で。 そうだ。彼は危険な仕事をしているのだ。 出会いが鮮明で、あまりに爽快で、幸せで、だから想像できていなかった。 彼はいつ死んでもおかしくないのだ。 ここで負けたらどうなるのだろう。 ゆきのためと言って、この大会とは比較にもならない、危険な仕事をするのだろうか。 それはなんて、恐ろしい。 だから白詰ゆきは恐怖する。白詰草は絶望する。 帽子の中のクローバーは七つ生えそろい、いのちが輝くように大きくなった。 続いて曇天の空は、この世のモノとは思えぬ漆黒の渦巻きへと変化した。 バケツをひっくり返したような豪雨、そして―――。 「そんなことあるか?」 ―――呆然と呟いたニアヴへ、空は七回連続で雷を落とした。 ☘ クローバーの葉が増える理由を知っているだろうか。 傷だ。 葉の基となる部分が傷つくことで葉が分かれ、葉が増える。 だから、私は私を傷つける。クローバーは葉が増えるごとに良い意味と価値を持つようになるから。 三つ葉より四つ葉、四つ葉より五つ葉。五つ葉よりも、さらによりも……七つ葉。 彼と二人で幸せになるために。 私は私を絶望させよう。 🍀 まるで渋谷全体が洗濯機の中に放り込まれたような有様だった。 ニアヴがスクランブル交差点でやっていた破壊行為など比較にならない。 ゆき以外に三人も生き物がいるだろう? なら不運の中に叩き込まないと。 そう言わんばかりの暴風雨にして大災害だった。 道路は捲れ、強風によって瓦礫や破片が舞う。 未来的で、雑然としながらも人が暮らす街だった渋谷は、その雑然ささえも吹き飛ばされていた。 そんな大荒れ模様の空に、トレエはいた。 ニアヴに落ちた雷から距離を取っているうちに、風で飛ばされてしまった。 いきなりの天候の変化に彼女は戸惑う。台風のごとき雷雨に視界がきかない。 『これは……』 トレエは自分の両手を見た。濡れている。 トレエ・A・ハートは雨粒をすべて受けている。 『……っ!!』 ぞわっ、とトレエは鳥肌が立った。 突風にあおられる、どうにかバランスをとる。 飛来物が迫ってくる。どうにか剣で切り伏せる。 ガラスの破片が飛んでくる。どうにか羽根と腕で急所は庇う。 そして雷が飛んでくる。 もはや一寸先も見えない中で、トレエはスマートフォンで電話を掛ける。 『出て、出て……』 そして……電話が通じる。 『ニアヴ!』 「ハートォオオオ!! 相手が善人だからってヒント与えてるんじゃない!」 開口一番怒鳴られて、トレエは驚いた。 『ええええ? 私が何かした??』 「何かしたじゃ、ああもう いや私もしたな! 言っちゃった! いやまてどうするマジで嘘だろこんなことある? 噛み合わないにもほどがあって噛み合って何事?」 ニアヴは、己とトレエの不協和音が最悪の形で噴出した結果こうなったと考えていた。 しかし存外、ニアヴとトレエのミスというわけでもない。 きっかけは天使と悪魔かもしれないが、この逆転はゆきと竜也が自らの意志で作り出したものだ。 人間は不完全であるゆえに、想いはすれ違い、ゆえに育まれ――こうして爆発力を発揮する。 モンスターはたいてい、こんな筋書きで人間に敗北するのかもしれない。 だがここにいるのは名無しのモンスターではなく、ニアヴ・E・ブレインとトレエ・A・ハートだ。 狡猾な悪魔と、使命に燃える天使は諦めずに言葉を尽くす。 『いい、聞いてニアヴ。報告(レポート)。この雨一粒一粒が私を濡らしている』 「なんだと? 濡れるのが不運? 私が電気分解されて吹き飛んでる横でずいぶんと優しげな――」 『これは涙よ。ゆきの涙』 「涙……能力と連動……可視化された不運か! はっ、さしずめ≪クローバーの涙≫といったところか?」 『涙は不運の象徴だから、濡れすぎると手遅れになる。涙に溶けてしまうわ。……くっ』 ピシャーンと雷の音がする。 「おい?」 『ごめんなさい。真横(・・)から雷が来たから。 ビルの避雷針にぶつけて避けてるけどそう何度もやりすごせなさそう。 雲の上に避難するわ』 そろそろ不運も、理不尽さを当然の権利のように行使し始めたらしい。 びくともしていなかったビル群へ次々と罅が入り、倒壊し始めてきた。 建物を利用するのも限界だ、というトレエをニアヴは制止した。 「いや待て、それはだめだ。どうせ雲から上に向かって雷が昇る(・・)だけだ。建物がなくなるから詰むぞ。 上も下もダメ……とりあえず合流するぞ」 竜也は豪雨の中、両手の短剣で怒涛のように襲ってくる不運の糸を切りながら進んでいた。 長剣は捨てた。長物だと取り回しがきかないし、腰に備え付け直す余裕もない。 かつて七枚すべて生えた【無限葉の白詰草(インフィニット・クローバー)】の中を進んだことがあったが…… 規模も不運の数もそして威力も、完全に前回を上回っていた。 竜也が日々対処し、ゆきも制御できるようになっていたから気づいていなかったが。 【無限葉の白詰草(インフィニット・クローバー)】は、”成長”していた。 苗木から大木へ至る、植物のように。 不運の糸を切る、切る、切る、切る。 「全力で切らないと処理しきれないな」 ……ゆきの覚悟に竜也も応えた。起こったのはそれだけだ。 これは合理的な作戦でもある。 トレエを捕まえられるか捕まえられないか。この試合は結局、そこに帰結する。 であれば、自由自在に空を飛び回る天使を斃す最善は、渋谷全域を覆う不運の糸雨だ。 竜也には不運が見える。竜也は不運を断ち切れる。向こうにはできない。 だから不運の糸を切り続けて、待てば勝てるはず―――。 竜也は降り注ぐ雨の中で座り込むゆきの元までたどり着いた。 目に光がない。心を完全に”絶望”でいっぱいにしているようだった。 直前までゆきに迫っていたニアヴの姿もない。 全身が黒焦げになった彼女は暴風によって吹き飛ばされた。 そう、ここで、絶望し続けているゆきの傍で不運を切り続ければ勝てる。 デメリットと言えば。 「俺が情けなくて甲斐性なしな程度か。今更だな」 土砂降りのような雨が、ゆきと竜也を濡らしている。 ……竜也だってわかっていた。 これは涙だ。 痛みの涙。不幸の涙。絶望の涙。 白詰ゆきは泣いている。 ならば止めるか? いいや、止めない。止めてなるものか。 彼女は自分のために泣いている。竜也のために泣いている。 二人の幸福のために泣いている。 ――だから止めない。止めさせない。 糸霧竜也はゆきの前に立ち、彼女に背を向けると黙々と不運の糸を切り続けた。 トレエが降り立ち、ニアヴがリスポーンして合流した場所はスクランブル交差点だった。 道路の範囲が広く、ニアヴがすでに破壊の限りを尽くしていたので、何かが理不尽に壊れて襲い掛かってくることも比較的少ない場所だ。 そこでトレエとニアヴはスマートフォンを持ち、通話しながら背中合わせに立つ。 上下左右どこから不運がやってくるかわかったものではないからだ。 暴力的な不運を避けて、耐えて、必死に話し合い――光明となる”ソレ”を言ったのはトレエだった。 『――原案(ドラフト)。思い出して、あなたが言ったことよ。これは三対一じゃなくて二対二』 スマートフォンの向こう側から聞こえてきたトレエの声に、ニアヴは記憶を掘り返す。 呆れかえるほどに二人で重ねた言葉のうちの一つを思い出し、ニアヴは目を大きく開いた。 「三対一じゃ身体が持たない。なるほど」 『この嵐の中じゃ、彼らはきっと動いていない。最初があなたで、決め手が私』 「決定案(プロポーザル)。女三人寄れば姦しく、エンゲージ(・・・・・)は一回で充分!」 『承知したわ。……不運を乗り越える方法をヴァルハラにいる英雄に聞いておけばよかった』 「何を言っている? 方法も何も、今やってるだろ」 雨の中にいるゆき、その傍に立ち、切る竜也。 淡々と不運を処理し続ける終わりのない作業。 そこに変化が訪れる。 ピンッ、と糸霧の頭上に今までとは違う不運の糸が張り詰めた。 彼は即座に、糸の先を見上げる。 空から雨と一緒に、悪魔が降ってきていた。 「フォオオオリングダウゥウウウウンンン!! エンゲェェェェジィ―――」 竜也は冷静に、ニアヴから伸びる不運の糸を切った。 上空で透明な天井に弾かれたニアヴは、五体を衝撃でバラバラにしながら道路に飛び散った。 「竜也さん!」 直後、絶望しきって脱力していたはずのゆきが叫ぶ。竜也は動こうとしたがすでに遅かった。 ズン、と背後から鋭いナニカが突き入れられた。竜也の胸の中心に穴が開いている。 だが、竜也には穴しか見えない。ゆえにそれは天使の剣、【弔悪】だった。 『――――協力必殺技(エンゲージ)、聖魔涙突槍(ティア―ランス)』 ずるずると復元し始めているニアヴの身体の一部、ワイシャツの胸ポケットからトレエの声が竜也に届く。 これこそ、密接なコミュニケーションを武器とする<現世の余り物>最後の秘策だった。 天使と悪魔はひたすらコミュニケーションを取り――付け焼刃の協力必殺技を行使する。 付け焼刃ゆえにしたことは単純だ。 トレエは必死の思いで竜也とゆきの頭上にたどり着いた後、ニアヴに通話する。 続いてニアヴはトレエの傍にリスポーンし、そのまま落下。 トレエは落ちていく長身のニアヴの背中に隠れ――直前に離脱。 ニアヴの不運の糸が切られたと同時に、羽ばたき、竜也の背後に回り込んで背中から【弔悪】を槍のように突く。 十全の環境なら竜也はなんなく対処できただろうが――怒涛のように襲い来る不運の糸雨が、彼の処理能力を大きく奪っていた。 そう、糸霧竜也は白詰ゆきの不運(すべて)を受け止められるが……それ以上は、無理があったのだ。 『あなたたちは凄かったわ。でも今回は言葉一つ分、私たちの勝ち』 服も髪も濡れて薄汚れ、傷だらけの天使は【弔悪】を竜也から引き抜いた。 バタリと竜也は倒れる。 その倒れた竜也にゆきは近寄る。 「竜也……さん」 「ああ、ゆき……悪いな」 ゆきは首を左右に振って否定した。 「悪くなんかない、です」 「そう、でもない……」 竜也は苦笑する。 自分が本心を告げたら、ゆきは世界をこんなにも涙で濡らした。 糸霧竜也は、一番大事にしているお人好しの女の子に傷つけることでしか報いられない。 他ならぬ竜也自身が、己を悪い男だと思っていたのだ。誰よりも。 当然、天秤は悪に振り切れる。自分の手でそちらに引っ張っていたのだから。 だが……もうやめだ。 ゆきには別の報い方を考えよう――と竜也はちらりとトレエがいるあたりへ視線をやってから、自分を見つめるゆきへ微笑んだ。 「今度は不運を切る前にお前の涙を切るよ。 それは、必要だ……」 竜也は力のない動きで、ゆきの帽子の中に軽く手を差し込んで撫でるように動かした。 プチリと、七つ葉のクローバーの根本が千切れた音がしたあと、竜也は目を閉じ、完全に脱力した。 <運命の機織り達(フェイトウィーバーズ)>、糸霧竜也は戦闘不能になった。 決着はついた。 雨は嘘のように止んだ。 ゆきは顔を上げて立ち上がる。 雲の切れ目から光が複数差し込んできた。 不運の豪雨によって渋谷は半壊していたが、所々から光の筋が差し込む廃墟の街は、どこか神話のようでいて、鮮やかだった。 クローバーの涙は止まったのだ。 ようやっと五体満足に回復したニアヴとボロボロのトレエに、ゆきは言った。 「今度は!! こうはいきません!」 少女の強い決意を感じさせる目に、ニアヴは笑って言った。 「おう」 「今度は、善いとか、悪いとか! 関係なく、私はっ……私の! 好きな人を守って見せます!!幸福にしてみせます!」 もう竜也の仕事にだってついていってしまおう、それがいい。 天使に言われて、こうなって、本当の気持ちを伝えあって、ゆきは気づいた。 善人とか悪人以前に……あの人はしょうがない人だ。 そんなしょうがない人が、白詰ゆきが大好きな人だった。 ゆきの宣言に、ニアヴは片眉をぴくりと反応させ、トレエは手を叩いた。 『そういうことだったのね、愛! やっと竜也とゆきの関係が腑に落ちたわ!』 戦闘終了に伴い、敗北したゆきの姿が消え始めたころにニアヴは頬を指で掻いた。 「あー……白詰、忘れてるかもしれないが。これ、全国中継されてるぞ?」 「……?……!!!!!!」 指摘されてゆきは初めて自分がしでかしたポカに気づいた。 白詰ゆきは全世界に向けて公開告白をぶちかましていた。 いや、竜也に置いて行かれるのが怖いと本心を告げた時点でもはや告白同然だったが。 今度は完全に、言い訳できないほどに、恋愛的な意味での告白だった。 夏休み明け、希望崎学園でどんな目に合うか、いやそもそも明日から竜也にどんな顔をして会えばいいのか―――。 「―――――!!!」 白詰ゆきは声にならない悲鳴を上げながら鏡の中の世界から現実世界へと戻っていった。 『ねぇ、ニアヴ。なんで最後にゆきはあんな悲鳴を上げたの?』 「さぁね。人間風に言うなら、言葉にするだけ野暮ってものじゃないか?」
https://w.atwiki.jp/anchorlegendscenario/pages/198.html
最近、あるニュースが世間を騒がせている。 その内容は、「原因不明の無気力症の患者が急増している」というものだ。 それと同時期にある掲示板で「原因不明の無気力症患者の多くは近日中にあるゲームをオンラインでプレイしていた」という書き込みがなされ、憶測が憶測を呼びネット上で話題になっている。 そのゲームには名前がなく、「通称・legend(レジェンド)」と呼ばれていた。 そんなある日、ニコニコ生放送中にこのゲームのプレイヤーの公開募集が行われることとなり、話題を呼んでいる。 その夜、多くの「わこつ」のコメントが流れ、盛り上がっている放送中、幸か不幸か君たちはこのゲームのプレイヤーとして抽選に受かった。 シナリオ名「悪魔との契約」 さぁ、君の命を賭けたゲームが始まる。 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/anime_wiki/pages/17117.html
ここを編集 ■TERRAFORMARS 作画監督 11(箕・原・吉・栗・中・門・山・八・松・上・田・今・臼・徳・横) 12(木・高・小・栗・原・吉・中・門・服・清・鳥・八) 13(木・箕・横・小・栗・吉・中・原・門・八・服・金・坂・上) ■山田くんと7人の魔女 作画監督 8(飯・板・野) 11(門・鳥・池・松・八・西) ■銀魂゜ 作画監督 287(松・石) ■TERRAFORMARS REVENGE 作画監督 10(山・門・菊・八・橋・山・大・西・菊・北) ■うどんの国の金色毛鞠 #8・10 ガオガオちゃんと青い空 え・はいけい(ますだしゅんすけ名義) 作画監督 12(阿・河・吉・田・西) 作画監督補佐 11(西・陣・石・石・鳥) ■デュエル・マスターズ VSRF 作画監督 47(松・小・西) ■恋と嘘 作画監督補佐 5(西・藤) 7(岸・倉・西) 9(西) ■寄宿学校のジュリエット 作画監督補佐 8(西) ■真夜中のオカルト公務員 作画監督 11(星・井・嘉・横・藤) 12(佐・石・鈴・西・江・森) 作画監督補佐 3 6 ■無限の住人 IMMORTAL 作画監督 16(岡・前・門・北・小・山・加・鎌・黒・南・古・吉・中) ■さよなら私のクラマー 作画監督 ED 12(江・石・冨・露・梅・柑・木・武・大・M・Y) ■映画 さよなら私のクラマー First Touch サッカー作画監督 作画監督(江上夏樹、林志保、関本光夏、冨田郁子、露木愛里、青野厚司、大原大、小川一郎、柑原豆真、木下裕孝、小島彰、佐々木彩香、清水勝祐、鈴木彩子、園田高明、冨谷美香、富永拓生、前田義宏、丸山修二、三橋桜子、三好和也、Kim Jeong Lim、Min Hyeon Sookと共同) ■最遊記RELOAD ZEROIN 作画監督 13(小・佐・江・西・西・石・小・阿・高) ■組長娘と世話係 メインアニメーター(枡田邦彰、佐藤元昭と共同) 作画監督 2 3(田・村) 5(大・酒) 11(大・江・酒・枡・佐) ■愚かな天使は悪魔と踊る 総作画監督 作画監督 1 5(H・H) 7(C・H・H・S) 8(南・玄) 9(永・玄) 12(南) 総作画監督 2 3 4 5 7 8 9 10 ■グレンダイザーU 作画監督 4(南・を・吉・岩・S・H・E・J) ■関連タイトル Blu-ray 愚かな天使は悪魔と踊る 第1巻 Blu-ray 映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ rakuten_design= slide ;rakuten_affiliateId= 053df7e0.7c451bd1.0c852203.190c5695 ;rakuten_items= ctsmatch ;rakuten_genreId=0;rakuten_size= 468x160 ;rakuten_target= _blank ;rakuten_theme= gray ;rakuten_border= on ;rakuten_auto_mode= on ;rakuten_genre_title= off ;rakuten_recommend= on ; 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Switch ゼルダの伝説 Tears of the Kingdom Switch 世界樹の迷宮Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ HD REMASTER Switch ピクミン 4 大友克洋 Animation AKIRA Layouts Key Frames 2 小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女 1 ONE PIECE FILM REDデラックス・リミテッド・エディション 4K ULTRA HD Blu-ray Blu-ray 劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ 完全生産限定版 Blu-ray 映画『ゆるキャン△』 Blu-ray 【コレクターズ版】 Blu-ray ウマ娘 プリティーダービー 4th EVENT SPECIAL DREAMERS!! Blu-ray 天地無用!GXP パラダイス始動編 Blu-ray第1巻 特装版 天地無用!魎皇鬼 第伍期 Blu-ray SET 「GS美神」全話いっき見ブルーレイ Blu-ray ソードアート・オンライン -フルダイブ- メーカー特典:「イベントビジュアル使用A3クリアポスター」付 ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 5th Live! 虹が咲く場所 Blu-ray Memorial BOX 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち Blu-ray BOX 特装限定版 地球へ… Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 神風怪盗ジャンヌ Complete Blu-ray BOX HUNTER×HUNTER ハンター試験編・ゾルディック家編Blu-ray BOX BLEACH Blu-ray Disc BOX 破面篇セレクション1+過去篇 完全生産限定版 MAZINGER THE MOVIE 1973-1976 4Kリマスター版 アニメ・ゲームのロゴデザイン シン・仮面ライダー 音楽集 テレビマガジン特別編集 仮面ライダー 完全版 EPISODE No.1~No.98 MOVIE リスアニ!Vol.50.5 ぼっち・ざ・ろっく!号デラックスエディション ヤマノススメ Next Summit アニメガイド おもいでビヨリ アニメ「魔入りました!入間くん」オフィシャルファンブック 『超時空要塞マクロス』パッケージアート集 CLAMP PREMIUM COLLECTION X 1 トーマの心臓 プレミアムエディション パズル ドラゴンズ 10th Anniversary Art Works はんざわかおり こみっくがーるず画集 ~あばばーさりー!~ あすぱら画集 すいみゃ Art Works trim polka-トリムポルカ- つぐもも裏 超!限界突破イラスト&激!すじ供養漫画集 開田裕治ウルトラマンシリーズ画集 井澤詩織1st写真集 mascotte 鬼頭明里写真集 my pace 内田真礼 1st photobook 「まあやドキ」 進藤あまね1st写真集 翠~Midori~ 声優 宮村優子 対談集 アスカライソジ 三石琴乃 ことのは 亀田祥倫アートワークス 100% 庵野秀明責任編集 仮面ライダー 資料写真集 1971-1973 金子雄司アニメーション背景美術画集 タローマン・クロニクル ラブライブ!サンシャイン!! Find Our 沼津~Aqoursのいる風景~ 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会[復刻版] 梅津泰臣 KISS AND CRY 資料集 安彦良和 マイ・バック・ページズ 『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』編 氷川竜介 日本アニメの革新 歴史の転換点となった変化の構造分析 Blu-ray THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th Anniversary Celebration Animation ETERNITY MEMORIES Blu-ray おいら宇宙の探鉱夫 ブルーレイ版 Blu-ray 映画 バクテン!! 完全生産限定版 アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~ Blu-ray BOX 初回生産限定版 はたらく細胞 Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 Blu-ray 長靴をはいた猫 3作品収録 Blu-ray わんぱく王子の大蛇退治 Blu-ray 魔道祖師 完結編 完全生産限定版 魔道祖師Q Blu-ray Disc BOX 完全生産限定盤 にじよん あにめーしょん Blu-ray BOX 【特装限定版】 Blu-ray 鋼の錬金術師 完結編 プレミアム・エディション Blu-ray付き やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。完 限定版【同梱物】オリジナルアニメ Blu-ray「だから、思春期は終わらずに、青春は続いていく。」
https://w.atwiki.jp/anime_wiki/pages/21815.html
球野貴裕とも。 ここを編集 ■orange 演出 12(富) ■ベイブレードバースト神 ゴッド 演出 19 ■戦姫絶唱シンフォギアAXZ 演出 4 8 12 ■ナナマル サンバツ 演出 9 ■セントールの悩み 演出(4話は鵠沼ひろたか名義、9話以降は球野たかひろ名義) 4(鈴) 9 12(中) ■citrus 演出(珠野たかひろ名義) 11(中) ■ベイブレードバースト 超ゼツ 演出(同上) 4 ■重神機パンドーラ 演出(同上) 9 12 15 18 23 25(玉) ■魔法少女サイト 演出(同上) 9 11(浅・徐) ■Caligula 演出(同上) 11 ■千銃士 演出 OP ■宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 演出 20 ■ピアノの森 (第2シリーズ) 演出 20 23 ■ぼくたちは勉強ができない 演出 10 ■劇場版 誰ガ為のアルケミスト 演出(高橋正典、ヤマトナオミチ、永野孝明、玉田博と共同) ■女子高生の無駄づかい 演出補佐 5 ■戦姫絶唱シンフォギアXV 演出 6 10 ■ライフル・イズ・ビューティフル 演出 6 演出協力 2(鈴・三) 10 ■ネコぱら 演出 4 10 ■この素晴らしい世界に祝福を!ファンタスティックデイズ 公式ゲームオープニングムービー 演出 ■球詠 絵コンテ 6 演出 1 ■BNA ビー・エヌ・エー 演出 10(中) ■いわかける! -Sport Climbing Girls- 絵コンテ・演出 6 10 演出 2 ■A3! (SEASON AUTUMN WINTER) 演出 22(三) ■無職転生 異世界行ったら本気だす 演出 6(山・安・平) 9(平) ■異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω 演出 2 ■魔入りました!入間くん (第2シリーズ) 演出 12 ■境界戦機 演出 2 6 ■ヴァニタスの手記 (ジェヴォーダン編) 演出 17 ■キャップ革命 ボトルマンDX 助監督 演出 1 2 3 14 15 ■境界戦機 (第二部) 絵コンテ 23(も) 演出 15 23 ■新テニスの王子様 U-17 WORLD CUP 絵コンテ 12(川) 演出 2 12(高) ■風都探偵 演出 4 ■愚かな天使は悪魔と踊る エンディングアニメーション(絵コンテ・演出) 演出 1 2 4 8 11 ■グレンダイザーU 演出 4(金) ■関連タイトル Blu-ray 愚かな天使は悪魔と踊る 第1巻 rakuten_design= slide ;rakuten_affiliateId= 053df7e0.7c451bd1.0c852203.190c5695 ;rakuten_items= ctsmatch ;rakuten_genreId=0;rakuten_size= 468x160 ;rakuten_target= _blank ;rakuten_theme= gray ;rakuten_border= on ;rakuten_auto_mode= on ;rakuten_genre_title= off ;rakuten_recommend= on ; 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Switch ゼルダの伝説 Tears of the Kingdom Switch 世界樹の迷宮Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ HD REMASTER Switch ピクミン 4 大友克洋 Animation AKIRA Layouts Key Frames 2 小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女 1 ONE PIECE FILM REDデラックス・リミテッド・エディション 4K ULTRA HD Blu-ray Blu-ray 劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ 完全生産限定版 Blu-ray 映画『ゆるキャン△』 Blu-ray 【コレクターズ版】 Blu-ray ウマ娘 プリティーダービー 4th EVENT SPECIAL DREAMERS!! Blu-ray 天地無用!GXP パラダイス始動編 Blu-ray第1巻 特装版 天地無用!魎皇鬼 第伍期 Blu-ray SET 「GS美神」全話いっき見ブルーレイ Blu-ray ソードアート・オンライン -フルダイブ- メーカー特典:「イベントビジュアル使用A3クリアポスター」付 ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 5th Live! 虹が咲く場所 Blu-ray Memorial BOX 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち Blu-ray BOX 特装限定版 地球へ… Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 神風怪盗ジャンヌ Complete Blu-ray BOX HUNTER×HUNTER ハンター試験編・ゾルディック家編Blu-ray BOX BLEACH Blu-ray Disc BOX 破面篇セレクション1+過去篇 完全生産限定版 MAZINGER THE MOVIE 1973-1976 4Kリマスター版 アニメ・ゲームのロゴデザイン シン・仮面ライダー 音楽集 テレビマガジン特別編集 仮面ライダー 完全版 EPISODE No.1~No.98 MOVIE リスアニ!Vol.50.5 ぼっち・ざ・ろっく!号デラックスエディション ヤマノススメ Next Summit アニメガイド おもいでビヨリ アニメ「魔入りました!入間くん」オフィシャルファンブック 『超時空要塞マクロス』パッケージアート集 CLAMP PREMIUM COLLECTION X 1 トーマの心臓 プレミアムエディション パズル ドラゴンズ 10th Anniversary Art Works はんざわかおり こみっくがーるず画集 ~あばばーさりー!~ あすぱら画集 すいみゃ Art Works trim polka-トリムポルカ- つぐもも裏 超!限界突破イラスト&激!すじ供養漫画集 開田裕治ウルトラマンシリーズ画集 井澤詩織1st写真集 mascotte 鬼頭明里写真集 my pace 内田真礼 1st photobook 「まあやドキ」 進藤あまね1st写真集 翠~Midori~ 声優 宮村優子 対談集 アスカライソジ 三石琴乃 ことのは 亀田祥倫アートワークス 100% 庵野秀明責任編集 仮面ライダー 資料写真集 1971-1973 金子雄司アニメーション背景美術画集 タローマン・クロニクル ラブライブ!サンシャイン!! Find Our 沼津~Aqoursのいる風景~ 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会[復刻版] 梅津泰臣 KISS AND CRY 資料集 安彦良和 マイ・バック・ページズ 『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』編 氷川竜介 日本アニメの革新 歴史の転換点となった変化の構造分析 Blu-ray THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th Anniversary Celebration Animation ETERNITY MEMORIES Blu-ray おいら宇宙の探鉱夫 ブルーレイ版 Blu-ray 映画 バクテン!! 完全生産限定版 アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~ Blu-ray BOX 初回生産限定版 はたらく細胞 Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 Blu-ray 長靴をはいた猫 3作品収録 Blu-ray わんぱく王子の大蛇退治 Blu-ray 魔道祖師 完結編 完全生産限定版 魔道祖師Q Blu-ray Disc BOX 完全生産限定盤 にじよん あにめーしょん Blu-ray BOX 【特装限定版】 Blu-ray 鋼の錬金術師 完結編 プレミアム・エディション Blu-ray付き やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。完 限定版【同梱物】オリジナルアニメ Blu-ray「だから、思春期は終わらずに、青春は続いていく。」
https://w.atwiki.jp/wiz-fo/pages/337.html
アクセス制御 NINJA TOOLS 航空券 データ復旧 悪魔と少女と異端審判* - アンケートページ このページは、ユーザーシナリオ「*悪魔と少女と異端審判*」のアンケート用ページです。 このシナリオに対するコメントがあれば、こちらから。ただし、シナリオの内容そのものに関わらない内容の書き込み、シナリオ作者氏や、シナリオそのものへの誹謗中傷を目的とした内容の書き込みは禁止とします。シナリオについての雑談をしたり、攻略情報の質問・返答を書き込みたい場合は、外部掲示板をご利用下さい。 名前 コメント フレーバーにクセがあり、そこで人を選ぶと感じたシナリオ。 ダンジョンの構造が降りれば降りるほど濃密な構造になっていて、途中から手描きマッピングをしないと厳しいレベル。 基本的にマップを埋めれば良いだけではなく、隠されたアイテムを探さなければいけないのでイベントアイテムをしっかり集めること。 経験値が全体的にとても少なく、それに合わせてレベルアップに必要な経験値テーブルがいじってある。 また、呪文の大半が効果が変更されていて、グループ攻撃呪文や全体攻撃呪文が序盤から憶えられるので戦闘が楽しい。 リドルあり、手応えのあるマップ構造あり、初見殺しトラップありとかなり楽しいシナリオだった。 気になったのはB5Fのボス戦でエクストラシナリオが終わりなのか判断できなかったこと。 もしも終わりだとするならば、終わりだと示す暗示がもっとあれば良かったなぁと思う。 ヘビーなダンジョンが好きだーと言う人にお勧めしたいシナリオである。 -- 名無しさん (2014-05-11 14 20 16)
https://w.atwiki.jp/49895050/pages/66.html
オリジナル 悪魔1 【どれ程の血、あるいは涙】 約束をした。 誰よりも強くなったら。 おまえを迎えに行こうと。 たとえどれだけ時間がかかっても。 おまえを見つけだそうと。 たとえ煉獄に落とされ、互いの姿を見失っても。 おまえの輝ける魂を見つけだすと。 約束を、した。 「どれほどの血が、どれほどの涙が流されたというのでしょう」 祭壇に叩きつけられた神父は乱れた髪の下からそんなことを囁いた。 「あなたの苦しみから」 「…知らない」 猛禽の爪を持ち、蝙蝠の翼を生やした男は、まさしく悪魔と呼ぶに相応しい。もっとも悪魔は悪魔でも、彼はとても階級の低い、人間で言うなら平民ほどの地位しかもたない悪魔ではあったけれど。 「私を堕落させるのですか」 それとも喰らうのでしょうか。 銀の十字架をいただいた祭壇はすでに悪魔が放った禍々しい風で腐り傾いていた。祈りの力の薄い教会の、それでも聖なる源である十字架を手折れたなら、悪魔でも教会の中に入りこむことができた。 「俺はもっと強くならなければならない。今より、誰より」 聖職者を正しい道から堕落させるのは悪魔の信条。けれどそれは上級の連中が好むこと。 下位の悪魔はむしろその清らかな体に根づく力を取りこむことで己の力を高めることのほうが多い。 悪魔は力を求めていた。誰よりも強く、ひれふすような力を。 「それが今の、俺が生きる理由」 約束をした。遠い昔に。 もう顔も思い出せない、覚えているのは魂の匂い。天上に咲く花ですら劣る、愛しい者だけが放つ甘美と幸せを込めた匂いだけを悪魔は覚えていた。 「あなたは、これからも血と涙を流してゆくのでしょうね」 神の愛を、と十字を切った神父の喉笛を悪魔はかき切った。 悪魔が悪魔王のひとしずくの気まぐれと力を注がれて『生まれた』時から、悪魔の両目に光はなく、閉じた瞼からは絶えることなく血が流れている。 それはやがてそこそこに整っていた悪魔の両頬を赤く両断する模様となっていた。 彼は血涙の悪魔と呼ばれている。 悲哀により狂った者を司る悪魔として。 「……」 神父の肉を喰らい、血を啜った悪魔は翼がひとまわり大きく、禍々しくなったのを感じる。 悪魔は己の頬をなぞった。 未だ濡れつづける涙は、いつか、あの魂と同じ匂いのする者が現れたのなら止まるのだろうかと。 そんなとりとめもないことを、考えた。
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2310.html
悪魔とテロリスト 夜の暗さに拍車をかける鬱蒼と茂る林の中で、 一人の少女の瞳には誰にも負けない意思の輝きが放っていた。 許さない。 意思の輝きと共に発せられるのは、炎のように燃え滾った感情。 それが彼女の心を支配する絶対的な気持ちだった。 人一人を簡単に、それも惨たらしく殺し、 それでも尚飽き足らず娘のフェイトを含めた大勢の人たちに殺し合いをしろという。 その言動は高町なのはが信ずる正義の中に当然納まるはずもなく、 自然とこの殺し合いに対する強烈な叛意を内に養わせていった。 そしてそんな気持ちと共になのははプレシアについて幾つかの疑問を感じていた。 何故プレシアが生きているのだろうか。 なのはが最後にプレシアを見たのは、彼女がジュエルシードと共に 虚数空間に落ちいていくさまだった。 虚数空間では魔法は使えない。 よってどんな魔導師でもそこに落ちたら、帰り着くことは不可能だ。 つまり、それは魔導師にとって死を意味することになる。 普通ならそれで終わりだ。 だけど、たった一つだけなのはには帰ることができる可能性に思い当たることがあった。 それはアルハザードへ到着。 リンディ提督も何となしに呟いていたのをなのはは覚えていた。 プレシアほどの大魔導師ならアルハザードへの道のりを知っていたのではないか、と。 そしてそこに辿り着いたのなら、かつて次元世界を席巻していたというその技術によって 帰還が可能となるだろう。 しかし、それでもなのには不思議な事があった。 「アルハザードの技術でもアリシアちゃんを蘇らせることが不可能だったのかな」 プレシアが何故アルハザードを目指したのかといえば、 娘のアリシアを蘇らすことにあった。 そしてそこに無事に到着したのなら、アリシアを蘇生すればいい。 だけど実際にプレシアがしていることといえば、酔狂ともいえるこんな殺し合いだ。 当然、なのはには納得がいかないことだった。 「それともこれがアリシアちゃんを蘇らすことに繋がるのかな」 なのはは幼い脳で考える。 だけど、この殺し合いによって誰かが蘇るというのには、どうにも想像が及ばなかった。 尤もアルハザードの技術自体知らないなのはには、確実なことは言えない。 「それともこれがアルハザードへ行くための道のりなのかな?」 アルハザードへ到達したという可能性を捨て、また別の考えを抱く。 アルハザードに似た世界に落着し、そこにアルハザードへ道のりが記されていた。 何となく気持ち的にこちら方が正しいような気もしたなのはだけど、 人が殺しあうことによって生じる道というのも、やっぱり想像がつかなかった。 「やっぱりちゃんとお話したいよ」 なのははプレシアに話しかけるように、呟いた。 しばらくプレシアについて思いを巡らしていたなのはだったが、 やがて今がどういう状況にあるか再度認識するに至る。 そして今までの時間を取り戻すかのように慌ててバッグの中身を確認。 なのはは辺りの気配を窺いながら、手早く名簿を確認した。 自分の知り合いである人たちがたくさん呼ばれていることになのはは胸を痛めた。 そして先の会場でも気になったことだが、自分を含め、フェイトとはやての名前が二つあった。 今より大人の自分に、今より大人のアリサちゃんにフェイトちゃん。 それを確かに彼女は見た。 それもプレシア同様に幼いなのはを悩ませる問題だった。 あれを本当の自分だと仮定し、未来の自分だと考えてみる。 彼女があそこいるということは、今の自分は死ぬことはないということだが、 それはつまりこの殺し合いをから抜け出してたということになり プレシアを逮捕するに至ったということになるだろう。 だけど、それならば今、自分が経験していることは起こらないはずだ。 いや、過去のプレシアが行ったことだから、覆すことができないのだろうか。 それとただも単純にプレシアを取り逃がしただけなのだろうか。 だけど、この殺し合いが行われる場所が分かっているのだから、 そこを張り込んでいれば、防げるような気が……。 いや、でも……。 一つの答えを出し、一つの疑問を生み出し、 それに対する答えを導き出したところに、また新たな疑問が浮かぶ。 その絶え間ない連鎖にやがてなのはの脳は限界を迎えた。 「あぁ~、もう訳分かんないよ~」 なのはは頭を掻き毟りながら、その幼い顔を少し歪めた。 そしてそれを嘲笑うかのように夜風がなのはの顔を吹き付けていた。 しばらく風を受け、佇むなのは。 そこで思考の海に埋没して、自分の道を見失っていることに再び気がついた。 そしてそこで心機一転とばかりに、支給品の武器に目を向けた。 宛がわれたのはデバイスらしきカードだった。 「これは……インテリジェント・デバイスかな?あなたのお名前は何ていうの?」 沈黙。なのははほんの少しいたたまれない気持ちを味わった。 「そう、ストレージ・デバイスだね!」 そう言うやいなやなのはは左手に持ったカードを天高く掲げる。 そして自身に内に沸き起こった恥ずかしさを振り払うかのように叫ぶ。 「それじゃあ、お願い!セーット、アーップ!」 そう言ってなのはが言葉を発した途端、暗い夜に柔らかい光が煌々と放たれた。 彼女の服は瞬時に分解され、露になったその裸体にバリアジャケットが身に付けられていった。 そうして白い服を纏ったなのはの手に現れたのが、一本の杖だった。 「これはクロノ君の……デバイス?」 そう言いながらデバイスを仔細に見つめるなのは。 これが執務官クロノ・ハラオウンの持つデバイスなら文句はないだろう。 だが、何分初めて手に持つデバイスだ。 どういった役割を持ち、どういった距離で戦うことを前提にして作られているか そしてこのデバイスはどれほどの性能を有しているかを確かめてみなければならない。 いつ戦闘が始まるともしれないこんな状況では そういった確認を早急に行うのは当然のことだろう。 そして彼女は魔法の発動に準備を整える。 唱えるのは、ディバインシューター。 大した魔力消費もなく、使い慣れた魔法だ。 それ故にデバイスがどういったものであるかを知るのにはうってつけだった。 澱みなく魔力は流れ、魔法はついに形を成す。 「シューートッ!」 ピンク色に輝く10にも及ぶ光弾は、木々の間を縫うように進み 50メートルほど先の木にぶつかり、弾けた。 威力は下がっているようにも思えるが、大した問題はないだろう。 結果は良好だった。 魔法の発動に滞りもないミッドチルダ式のデバイス。 レイジングハートみたいに意思のやり取りが出来なくて寂しい思いはするはが これならきっと自分の全力に耐え切ってくれるだろう。 支給品に何が当てられるか不安だったが、どうやらそれは彼女にとって杞憂のようだった。 無論、パートナーのレイジングハートが手に入らなかったのは彼女にとって残念なことではあったが 差し当たっての不都合はない。 これで武器も確認したし この殺し合いにおいて叛意を告げる意気込みも問題ない。 幾つかの疑問がまだなのはの頭に残っていたが、 それも当の本人から話を聞けば問題ないだろう。 そして決意も新たに彼女は足を進めて、 ――木の根に引っかかりこけた。 にゃはは…… 自分のそそっかしさを、そう自嘲しようとしたところで S2Uの警告声が響いた。 「Caution!」 なのはは急いで立ち上がる。 しかし、倒れていたせいか、初動がおくれ 相手の接近を許してしまう結果となった。 なのは緊張した面持ちで相手を睨みつける。 いつでも魔法を発動できるように準備して。 「子供?それも日本人?」 しかし予想と違ってかけられた声に なのはの緊張はほんの少しだけ解けた。 * * 幾つもの戦闘を経験し、幾つもの死を見てきたカレンにとっても 今起こった状況に対しては理解が及ばなかった。 いつの間にか訳の分からないところに呼び出され、 誰とも知らない女の死を見せ付けられ、 その挙句、殺しあえという。 率直に言って意味が分からなかった。 例えばカレンが行う戦いは世間からはテロと誹謗されることはあれど 日本を解放するという目的があった。 そしてカレンが見てきた死というものも その目的のために礎となった意味のあるものであった。 だが、この殺し合いというものにも先の女の死にも意味が見出せない。 このような他を省みない野蛮な行いは侵略者ブリタニアに似通っていて腹が立つ。 おまけにお前は飼い犬だともいうようにつけられている首輪は人としての矜持が許せない。 反骨心が湧かないわけがない。 だが、その一方でいつの間にかつけられた首輪に、今、自分がここにいるという状況は 彼我の戦力差を雄弁に物語っているものであった。 常に戦いに身を置いてきたカレンにはそれが痛いほど分かり、 そのことに思いがいくと自然と気が挫けてしまう彼女がいた。 無論、勝てないと分かっているからといって戦わないという選択肢はない。 ゼロが現れるまで、実際にブリタニアには負け続きだったし、カレンもそれを否定するつもりはない。 だけど、そこには命をかけても成し遂げたいという目的があった。 日本解放。 それこそが至上の美酒であり、戦いの原動力でもあった。 だが、今この場で自分が命より大事と掲げる大儀に繋がるものはない。 カレンにとって自分の命より重いとされるのは日本解放であり、それを導いてくれるゼロだ。 ならば、それがない今は戦力の差に圧倒される現状、 つまりこの強いられた殺し合いを受け入れてしまってもいいような気がする。 幸いなことにここにゼロが呼ばれている様子はない。 名簿にもそれは記されていなかった。 この殺し合いとやらをどうしても躊躇う理由はない。 勿論、名簿に記されていたルルーシュ、シャーリー、スバルといった生徒会メンバーの安否は気になる。 だがそれも彼我の実力差を思えば、しょうがないように思える。 それならば、あいつの言葉通りこの殺し合いにのってみよう。 心の中で大きく呟く。 しかし、カレンにはそれも疑問に思えた。 この殺し合いの目的が分からない以上は、例え勝ち残ったところで自身の身の安全は保証されない。 そしてそれが正解とばかりにプレシアは最後に残った一人の処遇について言及していなかった。 優勝者を元の場所に還してくれるのであれば、カレンにとって言うことはない。 自分がいなくても、ゼロがいれば日本解放をやってくれるという確信はあるが やはり自分がいれば戦力の足しにはなるだろうし、自負かもしれないがゼロも喜ぶと思うからだ。 それに何より亡くなった兄の為にも日本解放をこの目にしたいとカレンは思う。 だが、現状ではそれすらも判断できない。 つまりは、今の段階では殺すという積極的な行動はできないということだ。 するべきはこの殺し合いの目的、及び脱出ための情報の収集。 平行して主催者、参加者の情報も獲得といったところか。 他の参加者と一緒に脱出できるというのなら、別段文句はない。 しかし、それが叶わないとなれば、他の参加者との戦闘という選択肢が生じてしまう。 そうなった場合、有利に事を進めるためにそういった情報が必要なものとなるだろう。 そしてプレシアという名前だったか、あの女の情報があれば、 自分が一人で対峙した時にも足元をすくってやれるかもしれない。 ブリタニアにも似た蛮行をなす女だ。 それこそ情け容赦なく殺してやることが出来る。 当面の行動目標は決まった。情報収集だ。 勿論、既にこの殺し合いに乗った人がいるというのなら、容赦する理由はない。 自分ならそう遅れをとることもないし、黙して語らずといった手合いの遇し方も心得ている。 それに幸いなことに支給された武器の中には物々しい銃が含まれていた。 気に食わない女に支給された武器に頼るのも馬鹿らしく思えたが、 いつ襲われるともしれないこの状況では、文句も言ってられないだろう。 そしてそういった自分の気持ちを励ますかのように 林の中から光が自分の方に届き、人がいることを教えてくれていた。 カレンは警戒をしめしながらも情報を求めて歩いていった。 * * 「それでお前の名前は高町なのはといったか?」 「あ、はい」 「そしてこの殺し合いには乗っていない。確かだな!?」 「はい!間違いありません!」 屈託なく喋るなのはにカレンは警戒を解いた。 こんな子供に殺し合いが出来るはずがない。 そして同じ日本人がこんな所にさらわれているか事を知り、カレンの中には新たに主催者に対して苛立ちが沸いた。 それもこんな年端もいかない子供も攫ったとなれば、その怒りの度合いは計り知れないだろう。 「くそっ!あの女め!」 カレンは忌々しげに言葉を吐き捨てる。 だが一時の感情で目的を見失うほどカレンは未熟ではない。 すぐさま本題に話を移す。 「それでなのは!あのプレシアという女について何か知っているか?」 「あぁ、はい、でも……」 なのはには説明が躊躇われた。 管理局及び魔法の存在は秘匿事項だ。 それを知らない人にはそう簡単に話すべきではない。 だが、こんな差し迫った状況ではそんな暢気なこともいってられないような気もしていた。 「何だ!?知っているのなら話せ!人の命がかかっている状況なんだぞ!」 「……そう、ですよね」 捲くし立てるカレンに怯んだからというわけではないが、 なのは知っていることを話すことにした。 彼女が言ったとおり、今は人の命がかかっているのだ。 自分の悠長な判断によって、それを疎かにしてはならない。 「あのですね……」 そう言ったところで、なのはの口は閉じられた。 新たな参入者が現れたのだ。 奥にある木の陰から現れたのは小柄な女の子だった。 見たところ、10歳より少し上といった程度だろうか。 タイトな青色のスーツを身に纏い、 目を見張るような銀髪が目を引いた。 片目に眼帯をしているのがひどく印象的だった。 そして容姿に似合わない鋭い目つきが剣呑な雰囲気を放っていた。 その参入者を得て、カレンは警戒を示した。 成るほど、確かに目の前の女は高町なのはと同年齢ぐらいの少女だろう。 だが、その身には人を殺したともいえるどこか危なげな雰囲気があった。 カレンは咄嗟に銃を構え、相手を牽制する。 「止まれっ!」 「随分と無粋な挨拶だな」 だが、少女は平然とそれを受け流し、皮肉を交えた挨拶をした。 「悪いけど、こっちも命がかかっているんでね」 「ご覧の通り私は武器をもっていないだろう。それでどうやって人を殺せという。 有利なのはお前であって、不利なのは私だ。それで何故怯えるほどの警戒感を示す? 恐いのならどこぞに隠れていればよかろう」 少女は両手を軽く上に挙げて、殺し合いに乗っていないことをアピールした。 「あの、カレンさん、落ち着いてください」 「その女のほうがよほど立派だな。姉として……いや、年長者として恥ずかしくないのか?」 カレンはそれを明らかな挑発としてとった。 だが、そこでそんな言葉に乗るほどカレンは愚かではなかった。 銃をより力強く構え、質問する。 「では、確認する!お前はこの殺し合いに乗っていないんだな!?」 「ああ、乗っていない。姉が一人、妹が一人参加しているのだ。 どちらも私にとって大切な姉妹だ。彼女たちに危険が及ぶような真似は出来ない。 それに……だ」 そう言いながら、彼女はバッグを開ける。 俄かにカレンの警戒心の度合いは跳ね上がる。 「待て!何をする気だ!?」 「バッグを開けるだけだ」 少女は呆れたように呟く。 「そんなに心配ならそこの女に開けてもらっても構わない」 「なのはっ!」 「あっはいっ!」 なのははバッグを受け取り中を検める。 中から出てきたのは、工具に鍋やフライパンといった調理器具だった。 「私に支給されたものはどれもハズレだ。工具セットに料理セット、そして翠屋のシュークリームだったか? どれも人を殺せるようなものではない」 「ふぇっ?翠屋?」 なのはの呟きを無視してカレンは叫ぶ。 「なのは!一応中身を確認して!」 「はい!」 そして一通り確認して、なのははカレンに告げる。 「どれもその女の子の言ったとおりです」 「そう」 そこでやっとカレンは銃を下ろした。 「全く心配性だな」 「うるさいわねっ!」 そして少女はなのはからバッグを受け取る。 何故か右手にフライパンだけを残して。 「それはしまわないの?」 「何か手に持ってないと不安でな」 「呆れた。あんたも随分と心配性なんじゃないの!」 「違いない」 「それであんた、名前は何ていうの?」 「チンクだ」 「チンク?変わった名前ね。日本人でもブリタニア人でもない。 EUの人?」 「さあな。どこの国で生まれたかというのは知らないんだ」 「ふーん、あんたも苦労してるんだね」 「……それでそちらの女の子の名前は?」 「なのはです。高町なのは」 「高町……なのは、だと?」 その名前を聞き、今まで冷静とも言えたチンクは僅かに狼狽を見せた。 何故なら彼女の知っている高町なのはと目の前のなのはでは様相を異にしていたからだ。 確かにこのなのははチンクの知る高町なのはの面影を深く有していた。 茶色いの長い髪に、大きくてすんだ瞳。 そしてややもすれば同性でも見とれてしまうような愛らしい笑顔。 だが、それとて単なる印象の問題。 それがあの高町なのはであるという証明にはならない。 では、この少女が偽名を用いているということだろうか。 その考えは馬鹿らしく思える。 全次元において勇名、悪名問わずにその名を馳せる彼女の名前を 偽名として持ち出すには余りにデメリットが大きい。 何故なら名前と共にその顔も広まっているからだ。 そんな簡単にばれるような嘘をつくなど、それこそ馬鹿か狂人のすることだろう。 だが、彼女が馬鹿にも狂人にも見えないし、嘘を言っているようにも見えない。 それならば、彼女は一体何者であるか。 ドクター・スカリエッティの元にいるチンクには容易にその答えが思いついた。 この少女も恐らくはプロジェクトFの遺産なのであろう、と。 高町なのはは優秀といった言葉をそのまま体現したかのような魔導師だ。 なればこそ、ドクター以外にもどこぞの科学者や軍事機関が彼女のクローンを作り、 魔導師について研究をしたり、自軍の戦力の増強を図るというのは簡単に考え付くことだった。 そしてそれは名簿に載っていたもう一人のフェイトと八神はやてがクローンであると 喚起させるものであった。 「なるほど。お前が名簿に載っていたもう一人の高町なのはの正体か」 「ふぇ?もう一人の私を知っているんですか?」 チンクの思考を中断するように、なのはが訊ねてきた。 「お前は知らないのか……。成るほど」 「ちょっとあんた!何を知っているの!?」 そこにカレンが割り込んできた。 先ほど年長者としての心得を授けられたせいだろうか なのはを庇うように物言いだった。 「すまない」 だがチンクはそれを褒めるわけでもなく、一言謝るとすぐさまバックステップした。 そうして距離が出来上がると、彼女は右手に持ったフライパンをカレン目掛けて 軽く放った。 「一体なんのつもりっ……!!」 カレンは抗議の声を上げつつ、そのフライパンを手で振り払おうとした。 だが、彼女の声は最後まで発せられなかった。 「IS、ランブルデトネイター」 代わりに聞こえたチンクの静かな声 そしてそれと共にフライパンは爆発した。 振り払おうとした左手は爆発に巻き込まれ、 血と共にその肉を辺りに四散させた。 爆発の勢いはそれに留まることなく、 その余波によって身体までも後方に吹き飛ばされた。 その身は後ろの木へとぶつけられ、その衝撃の強さはカレンのうめき声によって知らされていた。 そしてそこに届けられる謝罪の声。 「すまない。気が変わった」 だが、そこに相手の許しをこうような姿勢はなかった。 「チンクちゃん!何のつもり?」 なのははカレンに気を配りながらも訊ねる。 何故チンクがこんなことをするのか。 ちゃんと話を聞いて、彼女の気持ちを知りたかった。 願わくば、ただの誤解による出来事だと信じて。 だけど、なのはの耳に届けられたのは余りに予想とはかけ離れていたものだった。 「お前がプロジェクトFの遺産であるなら、持ち帰った方がいいと判断しただけだ」 「何を言っているの?言っていることが分からないよ」 「本当に知らないのか?呆れたやつだな」 「だから何を言っているの!?」 「お前がクローンだということだ」 言葉と同時にチンクはバッグから取り出した鍋を放る。 チンクの言葉に一瞬呆けるなのはだったが、すぐさま目の前の状況を理解。 それを爆発物と警戒したなのはは急いでシールドを張った。 「ラウンドシールド!」 だが、鍋はシールドにぶつかって地面に転がるだけであった。 「えっ?」 そんな疑問の言葉と同時に背後から衝撃を受ける。 その正体はなのはの後頭部を狙ったチンクの回し蹴りだった。 人の身を超えた戦闘機人の攻撃。 幾らバリアジャケットを着込んでいるからといって大丈夫であるという保証はない。 なのはは地面に顔をぶつけながら、吹き飛んでいった。 だが仮にもなのはもPT事件と闇の書事件で戦闘経験を積んできた身。 攻撃を受ける瞬間、身体を包むフィールド系の防御魔法で更にバリアジャケットを補強し、ダメージを和らげていた。 尤もそれで全てのダメージを緩和できたというわけではない。 脳に残る衝撃がまだなのはの身体との連絡を妨げていた。 「なるほど。腐っても高町なのはか」 そう言いながらチンクはなのはに歩み寄る。 なのはもよろめきながらも立ち上がろうとするが、 まだ身体が言うことを聞かない。 そこに突如として響く銃声。 見ればカレンが地面に倒れながらも銃を撃っていた。 地面に伏せての片手での射撃に、左手欠損による痛み。 そんな条件による射撃など大した精度は持ち合わせていないだろう。 だが、それがどうしたとばかりにカレンは気勢を上げる。 「日本人をっ!!!嘗めるなーーーーっ!!!」 気合と共にカレンは引き金を立て続けに引く。 しかし、チンクはそれを冷笑に付した。 彼女は戦闘機人だ。 幾ら質量兵器といえど、 普通の銃弾程度でどうにかなるようでは、最初から作られはしない。 そしてそれを示すかのようにチンクは佇み、言葉を返す。 「戦闘機人にそんな銃など……」 無意味。そう言おうとしたところで、チンクの言葉は止まった。 身体には確かに銃痕が刻まれ、その銃弾は強化フレームに食い込んでいたからだ。 チンクは舌打ちしながら、咄嗟に手近な木の陰に隠れる。 そしてそんなチャンスを見逃すほど、高町なのはの信念はゆるくない。 襲い掛かる身体の反抗を無理やり意思の力で押さえ込み、 すぐさまカレンの元にかけより、飛行魔法を発動。 脱出の準備にとりかかる。 チンクとて稼動歴の長い戦闘機人。 大人しくそれを逃すほど甘くはない。 すぐさま鍋の蓋を投げ込む。 だがナイフほど手馴れた投擲武器ではない故 狙いは甘く、飛距離も出なかった。 投げられた武器は高町なのはとカレンに届くことはなかった。 「やはり慣れぬ武器で戦うべきではないな」 そんな自戒の言葉を呟く。 まだろくに戦闘経験を積んでいないであろうクローンだ。 労せず捕獲できると思ったが、存外、相手も戦いを知っているようだった。 それに加えて自身の身体への違和感。 どうやらこの会場において自分の身体はいつもと違うようだ。 気がつかぬうちに、こんな所に呼び出されたのだから、そういった処置がされてないと言い切れないだろう。 そしてそれと共に首輪の不快さが増し、チンクを悩ませた。 この殺し合いとやらに呼び出された時は随分と自分の不覚さを呪ったが、 幸いなことにクアットロもこの会場にいた。 彼女ならこの首輪を解析し、取り外せると思い、 本来の任務を優先させてしまったが、少し早計だったかもしれない。 こんな制限がかかっていたら、クアットロも怪しいものだ。 いらぬ敵を作ってしまったな。 チンクは自嘲する。 そして溜息一つ吐き、放り投げた鍋を拾い上げながら 最後とばかりに逃げてゆく高町なのはを見やった。 だが、不思議なことに高町なのははある一点に留まっていた。 一体何をしているのだ。 そう疑問に思うと同時に高町なのはの魔力集束を観測。 チンクの顔に冷や汗が浮かぶ。 「まさか!まさか撃つのか!?あんなところから!?」 次の瞬間、限界点までに達した魔力の光が咆哮をあげた。 「ディバイーーーン!!バスターーーーーーーーー!!!」 聞こえるはずのない彼女の声と共に 強大な光の帯が一直線にチンクに向かい、飲み込んでいった。 * * なのはとカレンは夜空を飛びながら、病院に向かっていた。 人を背負っているせいだろうか、なのははいつもより飛行を困難に感じていた。 だからといって速度を緩めるわけにはいかないが。 「すごいね、なのは。空を飛べるんだ」 「はい。後でちゃんと話しますから、今はゆっくりしていてください」 「すごいね、なのは。あの攻撃」 「はい。それもちゃんと説明しますから、ゆっくりしていてください」 「なのはは日本人なんだよね?」 「はい、そうです。高町なのは。正真正銘日本人です。だから今は喋らないでください」 なのはの言葉と同時に後ろに背負ったカレンは口を閉じた。 気絶したわけではないみたいだが、容態が気になる。 急いで病院に向かうべきだろう。 そしてなのはを悩ますもう一つの懸念事項。 『お前はクローン』 そんな言葉が胸に響く。 自分にはアリサ、すずか、フェイト、はやて、それに家族との記憶がちゃんとあるし、 自分はクローンではないとも思える。 だけど、アリシアのクローンである親友のフェイトもアリシアの記憶をちゃんと有していた。 だとしたら、自分の記憶も偽りなのだろうか。 自分の名前が二つあったということはどちらかがオリジナルで どちらかがクローンということなのだろうか。 私は一体誰なんだろう。 * * 倒れた木と巻き上げられた土砂の下でチンクは笑っていた。 「成るほど。クローンが作られるわけだ。 非殺傷設定でなければ間違いなく自分は死んでいただろう。 想像してみろ。あれが10人、100人ともなり砲撃を加えてくるのだぞ。 それこそ管理局をねじ伏せ、次元世界全てを席巻できるほどの戦力だ。 ドクターの切り札であるゆりかごもそれには耐えられるかどうか」 そんな光景を頭に浮かべ、思わず身震いするチンク。 勿論、父の言葉どおりFの遺産、タイプ・ゼロの捕獲は続ける。 だが、もしあの暴虐ともいえる力が妹に及ぶのなら躊躇いはない。 殺してやるぞ、高町なのは。 【1日目 深夜】 【現在地 E-8】 【高町なのは(A's)@魔法少女リリカルなのはA's】 【状態】疲労(中) 【装備】S2U@リリカルTRIGUNA's 【道具】支給品一式、ランダム支給品0~2個 【思考】 基本 プレシアと話し合いをする 1.カレンの治療 2.仲間との合流 3.もう一人に私に会って…… 【備考】 ※制限に気がつきました ※自分がクローンではないかと思い悩んでます ※パラレルワールドという考えには至っていません ※プレシアの目的がアリシアの蘇生か、アルハザードへ到達するためにあると思っています ※S2Uがなのはの全力に耐えられるかは分かりません 【1日目 深夜】 【現在地 E-8】 【カレン・シュタットフェルト@コードギアス 反目のスバル】 【状態】疲労(小)、重傷(左手欠損) 【装備】ヴァッシュの銃 (0/6)@リリカルTRIGUNA's 【道具】支給品一式、ランダム支給品1~2個 【思考】 基本 元の世界に帰る 1.病院で治療 2.なのはから情報を得る 【備考】 ※なのはとチンクが普通の人間でないことに気がつきました ※ここが日本でないことには気がついてます ※異世界の存在には気づいてません ※参戦時期はSTAGE10でいなくなったゼロを追いかけていったところからです 【1日目 深夜】 【現在地 D-8】 【チンク@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】疲労(大)、身体の幾つかに銃創(戦闘にそれほど支障はないです) 【装備】鍋 【道具】支給品一式、工具セット、料理セット、翠屋のシュークリーム@魔法少女リリカルなのはA's 【思考】 基本 姉妹と一緒に元の世界に帰る 1.クアットロに会い、制限の確認、出来れば首輪の解除 姉妹に危険が及ぶ存在の排除 2.Fの遺産とタイプ・ゼロの捕獲 3.機動六課を警戒 【備考】 ※制限に気がつきました ※幼なのはがクローンであると認識しました ※この会場にフェイト、八神はやてのクローンがいると認識しました ※ディバインバスターの直撃を喰らいました ※しばらくは動けません ※料理セットは一人暮らしの人に向けて販売されている簡単な調理器具の一式です ※参戦時期はスバルのISを喰らって、生体ポッドで修理中の時です Heart of Iron 本編時間順 Railway Track 特別捜査、開始 本編投下順 Railway Track それは最悪の始まりなの 高町なのは(A's) - GAME START! チンク - GAME START! カレン・シュタットフェルト -