約 11,586 件
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/2522.html
このページではPS2版『花と太陽と雨と』と、DS移植版『花と太陽と雨と 終わらない楽園』を紹介します。判定は共に賛否両論。 花と太陽と雨と 概要 ストーリー 特徴 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 花と太陽と雨と 終わらない楽園 概要(DS) 変更点(DS) 評価点 問題点(DS) 総評(DS) 余談(DS) 花と太陽と雨と 【はなとたいようとあめと】 ジャンル アドベンチャー 対応機種 プレイステーション2 発売元 ビクターインタラクティブソフトウェア 開発元 グラスホッパー・マニファクチュア 発売日 2001年5月2日 定価 7,140円(税5%込) レーティング CERO 全年齢対象(*1) 判定 賛否両論 ポイント 世界観が全て? シルバー事件シリーズ初代 / 花と太陽と雨と / 25区 / 2425 概要 ロスパス島と呼ばれる南国の島で、探し屋(サーチャー)を生業とする主人公モンド・スミオを操りテロリストが隠したという爆弾、そして島の秘密を探していく、若干の謎解き要素のあるアドベンチャー。 シナリオおよびディレクション担当は、『ムーンライトシンドローム』などを手掛けた須田剛一氏。氏が過去に手掛けた『シルバー事件』の続編となる。 氏の手掛けた作品は、その独特の雰囲気から俗に「須田ゲー」と呼ばれる。本作もやはり、まごうことなき須田ゲーに仕上がっている。 ストーリー 主人公であるモンド・スミオはロスパス島と呼ばれる南海の孤島唯一のホテルの支配人エド・マカリスターの依頼で、テロリストが隠したという爆弾を探してほしいという依頼を受ける。愛車に乗ってホテルに到着したスミオは、観光案内パンフレットを手渡されながらエドから島の名の由来を聞く。島の名前の由来は「ロスト・パスト」―過去を失った島。その名が示すように、島では奇妙な現象が起こり始める。幾度となく繰り返される一日、夢に出るピンクのワニを連れた少女、そして徐々に明かされる島の秘密…そしてそんな中出会う様々な人の願いを聞き届けつつ、モンドは少しずつ爆弾が仕掛けられているという空港に近づいてゆく― 特徴 淡々殺伐としていた前作とうって変わり、南国らしい華やかな空気に、主人公は人助けを中心に活動するというほのぼのとした作品となっている。 だが、独特の台詞回しと奇妙な展開で構成される須田節は健在であり、ただのリゾート探索で終わるはずもない。 そして本作の特徴はギャグ色が強いバカゲー寄りのストーリーとなっていることである。過去作にもふざけた雰囲気は多少あったものの、本作はキャラのやり取りばかりか現実離れしたぶっ飛んだ表現をも平然と盛り込み、おバカなノリがゲーム全体に渡って擦り込まれたシュールな作風となっている。 かと思ったら突然シリアスになったり、そう見せかけてまたギャグのノリに戻ったりとカオス極まりないシナリオである。本作によって、ただ暗く重いだけではない須田ゲーのはっちゃけた面が明確に開拓されたと言える。 一応『シルバー事件』と話は繋がっているが、知ってたら知ってたでさらに混乱する恐れがある。 主人公の目的は、テロリストがロスパス島の空港に仕掛けた爆弾を探し出す事である。しかしストーリーは全然その方向に進まない。 + 1章毎の流れ まず主人公がホテルの自室にて、モーニングコールで起こされる。その後、朝のコーヒータイムを経て出発する。 目的地は上述の空港なのだが、途中で必ずトラブルに巻き込まれて行く手を阻まれ、先に進む為にトラブル解消に駆けずり回る。 そしてトラブルを解消すると空には旅客機が見え、必ず謎の空中爆発を遂げる(*2)。てろか? じこか? そこで唐突に主人公の一日が終わる。次いで謎の少女・トリコの視点に移り、ペットの人喰いワニを追ってその章で主人公の通った道をなぞるように進む。 セーブ画面を挟んで翌日に移り、また主人公がモーニングコールで目を覚ます。そして改めて空港を目指すが、前日より進んだところでまたトラブルに…。 以上の繰り返しで少しずつ空港に近付いていく。意味が分からないだろうが、そういうゲームである。 万能電算解除機キャサリン 本作の謎解きは「キャサリン」と呼ばれる機械を使って行う。キャサリンで出来るのはコードを接続(ジャックイン)し数字を入力すること。 正しい数字を入力するとあらゆる問題が解決される。ロック解除などは当たり前で、呪いを解いたりカクテルを作ると言った芸当すらも可能。よって接続対象は機械に限らず、物や食品、人間にまで及ぶ。 電話を掛ける際にもキャサリンを接続してわざわざ番号入力を行う。普通に掛けろ(*3)。 キャラクターはこれまた一癖も二癖もある人物が揃っている。 拠点となるホテルの従業員からしてどこかおかしい。特に支配人のエドは全編に渡って登場するだけに本作の奇怪ぶりを象徴するようなキャラとなっている。『killer7』にもゲスト出演しているぐらいである。 当然、宿泊客はもっとおかしく、霊媒師に自称天使、普段は無口だがアフロカツラを被った途端にマシンガントークを始める俳優、所構わずスクワットをするプロレスラーとプロレス哲学を長々と語るその師匠など、奇人しかいないと言っても過言ではない。 主人公もかなりの曲者だが、他が奇人変人揃いなのでまだ常識人に見えてしまう不思議。 中には「フラグを立ててやる」などと明け透けに口にしたり、ゲームの仕様にツッコミを入れてゲームの世界観を壊そうとするメタなキャラも。 上記のストーリーや個性的なキャラクター達をどこまで許せるかによって、このゲームの評価は大きく変わると言える。 マップをポリゴン、登場人物をイラストで表示していた前作に対し、今作は登場人物も全てポリゴンで表現した3D画面となる。 決まったルートしか進めなかった前作や、2Dの横スクロールに近かった『ムーンライトシンドローム』に対して今作は純粋な3Dフィールドを自由に移動する形となる。 しかしそのポリゴンモデルは全体にのっぺりとしていてポリゴンのカドも目立つ。単に粗雑な作りというのではなく、人物モデルなどはデフォルメを効かせた造形にはっきりとした配色と、一風変わった仕上がりになっている。 技術力の問題もあるだろうが、過去や後年の須田ゲーから察するに、これも意図された造形であると思われる。「これしか作れなかった」のではなく、技術的に可能な範囲で、アーティスティックな表現を試みたものと見るべきだろう。 登場人物がこれらのローポリ表現をボロクソに貶すなど、メタ演出にも一役買っている。 キャラクターデザインは前作や『ムーンライトシンドローム』に続いて宮本崇氏で、メッセージウインドウ横には前作と同じタッチの顔グラフィックが表示される。 背景もやはりローポリだが、遠景美術は南国「らしさ」が際立っており、島の外の長い道を走っている間はBGMも相俟ってまさに南国でドライブしているような空気を味わえる。 人物のセリフはテキストと同時に音声も付いているが、話されているのはノイズやスクランブルが掛かったような謎の言語。 シュールと不気味の境目を攻めるような、かなり癖のある表現になっている。 評価点 OPなどに見られる、ゲーム離れした映像表現。ミュージックビデオ風の実写映像、細かく描き込まれた実写風CG、鮮烈な色使いのポスターカラー絵画風CGなど、様々な映像が組み合わせられている。 前作的位置づけの『シルバー事件』でのシナリオごとの画面効果ほどではないが、一部で前作を彷彿とさせるサイバーチックでスタイリッシュな視覚効果が挿入されている。 強く鮮やかな色を多用しつつも調和の取れた画面。 陽光ふりそそぐ南国の空気感が伝わってくる。 クラシックの名曲を大胆にアレンジしつつもクオリティの高いBGM群。 これもパクりだなんだと作中で自虐ネタが入るが、各楽曲極めて特徴的でクセになるアレンジ揃いである。 曲目自体も多く、繰り返し聞くことになるシーンは多いもののシナリオ毎に数曲は新規楽曲を聞けるため飽きさせない。 オープニング主題歌「F.S.R. ~アナタノタメ~」も高い人気を誇る。 現在では入手が困難だが、サントラの評価も高い。 謎解きに使用されるガイドブックはかなり内容量が多くリアリティがあり、実際のリゾート地のパンフレットのように読み込ませる事でそれが作品世界への強い没入感をもたらすことに一役買っている。 賛否両論点 あまり実感のない謎解き。 本作の謎解きは上述のキャサリンを使った数字入力の形式だが、その解決法は「序盤に渡されるガイドブックにほぼすべて書かれている」という斬新すぎるもの。 具体的には、解くべき謎のヒントにまつわるページを探し、その中から要求される桁数の数字を探す形となる。 文章をよく読んで考えて数字を導き出す謎もあるが、中にはまんま答えが載っていたりもする。 しかし数字だけなので桁数によっては総当たりでどうにかなったり、そもそも情報源が「ガイドブック」という一点だけに集約されているので謎を解いているという実感が薄い。 そもそもガイドブックに謎の答えが載っているという時点で不自然極まり無く、作中でもツッコミが入る。 ところが、ストーリー的にその実感の薄さやツッコミ所が意味を持ったりする。 とにかく移動が面倒。 作中でも「ワープとかないのか」と言われるほどに島のあっちこっちを走ることになる。謎解きに入るまではひたすらフラグ立てが続くので尚更。 一つフラグ立てを忘れただけで無駄な移動を延々とさせられる羽目になるので、話し掛けられる人にはイベントが一つ進む度に全て話し掛けた方が良いほど。 最初のうちでもホテル中を駆けずり回るが、外に出ると本当に広いフィールドを走り回る羽目になる。例えるなら、乗り物前提のオープンワールドゲームに乗り物が登場せず終始徒歩での探索を強要されるようなもの。 かと言ってストーリーのフラグ探し以外にオープンワールドゲーム的な探索要素は無いので、あちこち探し回っても旨みが無い。 一応、その章で行く必要のないフロアや部屋には入れないようになっているが、ゲームが進むと行動範囲自体が広がるので走り回るのは変わらない。 あるチャプターでは長距離を苦行の如く何度も往復させられるが、ここでは例外的にファストトラベル的な機能が用意されている。 しかしそれも作中で「楽をするとは自分を甘やかすこと」などと明け透けに指摘される。また、それとは別に往復の度におっさんのキモいコスプレダンスを見せられるという、何かの嫌がらせかと思える演出もある。 開発者曰く、「歩くだけで楽しいアドベンチャー」を目指していたとのことで、実際風景などはよく出来ている。 感性の問題だと言いたいところだが、やはり批判も少なくなかった模様で後述のDS版では万歩計や移動速度の上昇などの要素が追加されている。 電波と超展開寸前のストーリー。 とにかく唐突な展開や説明のない描写、前作を踏襲しているのかしていないのかよく分からない登場人物等、難解というよりは理解させる気のないような奇怪なストーリーでプレイヤーを混乱させる。 最後まで説明されない部分もあり、またファンブックなどの媒体でも解説もあまりされていない為、最終的にはプレイヤーの脳内補完に任せるより無い様な部分もある。 序盤のうちはギャグ色の濃い会話や演出がメインなので軽いノリのバカゲーとして笑っていけるものの、シリアス色が濃くなってくる後半になると「須田ゲー」全開の電波シナリオと化していき、イカれ気味の登場人物による支離滅裂なやり取りや難解な台詞回しがプレイヤーを迷宮へと叩き込んでいく。 終盤で真相が徐々に明かされてきても、その後の展開は予断を許さない。「前提が間違っていた」などというどんでん返しは序の口で、明かされた真相すらもあっさり覆されたりなど、何が真実で何が嘘なのかとにかくプレイヤーは混乱する。 しかしながらこう言ったストーリー展開こそが本作の魅力と見る向きもあるのは事実で、『シルバー事件』と同じく一部プレイヤーには鮮烈な印象を残している。 問題点 キャサリンの接続時には正解のプラグを選んで挿す必要がある。 プラグは9種類もあり、差し込み口の形状からはどれが正しいのか分かり辛い。別に間違えても問題無いので1本1本試していけばいいだけの話だが、ジャックインの度にやらされるのは少々面倒ではある。 キャサリン起動時には毎回カメラワークと共に決め台詞を言うのだが、これがスキップ不可。 最初の接続時のみなら問題無いのだが、入力する暗号を間違えたりキャンセルして画面が戻ると、再接続時にまた同じ演出を見せられる。 初期の謎解きのハードルが高い。 よりによってガイドブックを使った最初の謎解きが少々トリッキーであり、本作の勝手がまだ分かっていないプレイヤーはガイドブックの膨大な情報量と奇抜な仕様に戸惑って躓きがち。 しかもこのヒントをくれるキャラは攻略本の宣伝をする始末である(*4)。 ある謎解きには麻雀の知識が要求される。 それほど専門的な内容ではなく、謎解きのヒントもガイドブックに書かれているのだが、それでも麻雀を全く知らないと何の事だかさっぱり分からず詰まってもおかしくない。分からなければ悩まずさっさと調べた方が良い。 クリア特典ややり込み要素、分岐の類は無し。 『ムーンライトシンドローム』『シルバー事件』もそうだったが、一周して奇抜なストーリーと世界観を堪能したらそれで終わり。謎解きもエンディングまで行けば全て回り終える。 DS版ではやり込み要素が追加された。 総評 完全一本道の『ムーンライトシンドローム』『シルバー事件』に比べればゲーム性は付加されているが、それでも単なる謎解きゲームとして見れば肩透かしを食らってしまうような作品。 しかしその内容は紛れも無い「須田ゲー」で、プレイした者を作品世界に引き込むパワーがあり、それでいて兎に角プレイヤーを困惑させて来る。 つまるところ「世界観にハマれるか」が全てであり、単なるムービーゲーとはまた違う「ゲーム部分の必要性が薄い、しかしゲームでしか味わえない世界」という不思議で狂ったゲームである。 『シルバー事件』、本作と経て磨き上げられた唯一無二の作風は後年の『killer7』で大きく花開き、GHMと「SUDA51」の名を世界に轟かせた。 そして本作で際立ったおバカ、イカれ度、シリアスが入り混じったカオス極まりないノリは『ノーモア★ヒーローズ』シリーズで更に昇華され、以降の須田ゲーに大なり小なり受け継がれていく事となる。 余談 本作は前作『シルバー事件』に続いて発売元となるはずだったアスキーからかなり口出しされ、何度も内容の変更を余儀なくされた経緯を持つ。 当初は銃を撃つアクションアドベンチャーとして開発されていたが、アスキー側からの暴力描写を避ける要請によって変更したと言う。その方向性は後の『killer7』で実現する。また、元々は『ムーンライトシンドローム』に近い世界観だったらしい。 他にも「ビルを破壊するパズルゲーム」と言った案もあったがこれもアスキーから反対された。 「キャサリン」の謎解きも元々は「ツールナイフ」というアイテムを使っていたが、システムが『鈴木爆発』に似ていたという理由で廃案にされている。 前作の時点でアスキーは「常に緊張感が漂い、疲れる」と指摘しており、南国を舞台としたのもそれを受けての事である。アスキーは空港を舞台とするように要請していたが、GHM側はホテルを舞台とする事を希望し、それらを折衷する形で完成版のリゾートアイランドに落ち着いた。 シナリオに関しても須田氏は「愛」をテーマに明確な方向性を打ち出していた(*5)ものの、アスキーは須田氏はディレクションに専念してシナリオを担当しないように提案し、結果として須田氏を含む複数のライターによる執筆体制となった。 出来上がったシナリオは個性が強く繋がりも無かった為、これらに一本の線を引く形で現在のシナリオになったらしい。本作のカオスぶりはその辺りも影響しているようだ。 しかしこれだけ横槍を入れておきながら最終的にアスキーは発売を取り止める。一時は発売中止の危機に晒されたが、ビクターインタラクティブソフトウェアが名乗りを上げた事でなんとか発売に至った。 発売元の変更により、更に細部に調整が入った。幕間のトリコパートやキャサリン起動時のSEはこの際に追加されたものとのこと。 キャサリンは上記の「ツールナイフ」以外にも、「男の七つ道具」という工具箱のようなものが考案されていたが「操作を複雑にするより謎解きそのものを重視した」結果、現在の形になったらしい。 須田氏は『ムーンライトシンドローム』『シルバー事件』と合わせて三部作としており、本作で完結したと語っている。 後年、『ムーンライトシンドローム』は『シルバー事件』と世界観を共有している事が明かされているので、本作もまたそちらと地続きの物語となる。事実、本作には『ムーンライトシンドローム』の主要キャラで唯一と言って良い生存者と同名で似た人物が登場しており、同一人物であるという見方もされている。 『シルバー事件25区』にて本作で活躍する暗号入力機「キャサリン」の改良型キャサリン・ナノが登場する。 花と太陽と雨と 終わらない楽園 【はなとたいようとあめと おわらないらくえん】 ジャンル アドベンチャー 対応機種 ニンテンドーDS 発売元 マーベラスエンターテイメント 開発元 ハ・ン・ド 発売日 2008年3月6日 定価 5,040円(税5%込) レーティング CERO A(全年齢対象) 判定 賛否両論 概要(DS) 上記PS2版に一部変更を加えた移植作品。 PS2版は日本でしか発売されなかったが、このDS版は『killer7』が海外で人気を博した事もあってか、『Flower, Sun, and Rain』のタイトルで海外でも発売された。 変更点(DS) ストーリーとは無関係の謎解きや新コスチューム、万歩計が追加されている。 最後の隠しコスチュームは『ノーモア★ヒーローズ』の主人公トラヴィスの衣装である。 グラフィックに関してはDSレベルの3Dに落とし込まれている。 当然PS2版よりは劣るものの、元が元だったのであまり批判はされていない。 キャサリン操作パートはバックの主人公の姿やエフェクトが無くなっており、簡素な画面になった。 ガイドブック画面も背景にガイドブックのページを表示させてテキストをその上に映すなど、ハードに合わせて細かく変更されている。 一方、プラグの差し込みはタッチ操作でプレイヤーが直接行うようになっている。 PS2版と異なり、BGMが生音源ではなくなった。DSの音源に合わせてアレンジされている。 評価点 ほぼ忠実な移植 元が元という事もあってかPS2ソフトだったオリジナルをほぼそのまま携帯機へ移植している。見て分かるような劣化点も無く持ち運び可能になったのは評価点である。 おまけ要素の追加 本編以外でも収集要素「落し物」(*6)とそれに伴う謎解きが追加され、探索や思考の楽しみが増えている。 各章毎に落とし物リストが用意されており、そこに書かれた謎を解いて各所にある容器を開けると落とし物が受け取れるようになっている。謎も本編同様にガイドブックを参照するものやフィールドを探索して答えを探すもの、計算が必要なものなど様々。 ちなみに落し物が何故このようなシステムなのかと言うと…。 + 少々長いので折り畳み ホテルは落し物を見つけると回収し、落ちていた場所に引換券を入れた容器を置いておく。 その容器は落し主がチェックイン時に決めた暗証番号でロックされており、別人では引換券が取り出せないようになっている。しかし落し主が暗証番号を忘れた場合の為にヒントとなる謎が書かれてある。 落し物は引換券と交換であり、容器を持ってきても落し物は返って来ない。 そしてホテルはこのシステムに絶対の自信を持っており、誰であろうとも引換券を持ってきたら機械的に落とし主と見做し、落し物を渡す。 この時点でもかなりおかしいが、落し物リストの謎はよく考えれば誰でも解ける謎ばかりであり、主人公もリストを見る度に堂々と「今日の獲物確認!」と言い放つなど、ツッコミ所満載の仕様となっている。 万歩計の追加により、やたら歩かされるゲーム性に多少ながら意味が付加されている。 加えて歩数が一定に達すると新スキルが会得可能。中には移動速度上昇という有難いものもある。 特典の一つとしてサウンドテストモードも追加されている。 問題点(DS) 万歩計が追加されたものの、移動が面倒な仕様などは変わっていない。 移動速度上昇スキルも解禁までの歩数が多く、1周クリアだけではまず貯まらない。周回プレイ用を想定しているのだろうが、結局1周目のプレイ感覚はPS2版と変わらない事に。 落し物関連 落し物リストは持ち運びが禁止となっており、その場でしか見られない。メモはいつでも取れるが面倒である。 落し物は種類こそ豊富だが、メニュー画面でモデルが見られるだけで解説などは無しなのが少々寂しい。 コスチュームを手に入れても着替えは2周目以降限定。 ボーカル曲が差し替えられている。 OP曲は「アナタノタメニII」、ステージ間セーブ画面の曲は「Welcome to LospassII」という高田氏書下ろしの新曲に変更されている。理由は色々噂されているが、詳しいことは不明。 曲自体が悪い訳ではないのだが、元の人気が高いためそちらを知っていると不満になりやすい。 前者はPS2版では語りから歌に入るのが印象的な楽曲だが、DS版では終始語りになっており歌は無い。 高田氏自身は説明書にて「オリジナル版をお持ちのお客様の為に、新曲を!!!」という無言の熱いメッセージを感じたから作ったと綴っている。 + PS2版OP + DS版OP 総評(DS) 追加要素や変更点はあるが、基本的にはPS2版と変わらない仕様である。 据置機か携帯機か、追加要素か主題歌か、どのハードを所持しているか、これらを考慮して好きな方を選べば良いだろう。 余談(DS) 移植はハ・ン・ドによる目コピで行われている(参照)。 本作と同時に『シルバー事件』と『シルバー事件25区』のDS移植も発表されたが諸事情で実現しなかった(*7)。 この二作の移植は2016年以降に各ハードで実現するが、それまで長い年月を要する結果となった。任天堂ハード版がやっと実現したのは10年以上後の2020年であった。 これらの際、須田氏は本作と『killer7』の移植も公言していたが、『killer7』はSteam版が出たのに対し、本作はDS版以降は未だ実現していない。 氏は「10年以内に実現したい」と語っていたが残念ながら本作は2024年現在情報が無く、その間に『ノーモア★ヒーローズ』『ロリポップチェーンソー』『シャドウ・オブ・ザ・ダムド』と言った後年の作品の方がリマスター化されている。氏の発言から10年まではまだ掛かるので気長に待とう。
https://w.atwiki.jp/toriko-database/pages/2681.html
タイトル のろま雨と食王!!(のろまあめとエア) シリーズ エア編 話数 287話 収録 トリコ32巻 掲載誌 WJ2014-36 概要 エア編15話目。青鬼VS馬王ヘラクレス、エア調理開始。 登場人物 トリコ 小松 ゼブラ 初代メルク アタシノ ブランチ 馬王ヘラクレス マッピー ダルマ仙人 テリークロス キッス クイン オクトちゃん ←286話 →288話
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/20261.html
登録日:2010/10/27(水) 01 08 19 更新日:2024/06/05 Wed 22 46 49 所要時間:約 8 分で読めます ▽タグ一覧 ghm killer7 ゲームを皮肉ったゲーム シルバー事件 トワイライトシンドローム ネタバレ…しても意味の無いゲーム バカゲー ブラックユーモア ブラックユーモアを楽しめないと理解不能 ムーンライトシンドローム 名作 名作←評価は2分→迷作 名作で迷作 名曲揃い←パクってる(アレンジ)からな! 愛のある項目 愛の項目 楽屋オチ 花と太陽と雨と 迷作 須田剛一 謎はこの項目に隠されている 旅は果てなく続き… 獲物は魂を守り… 狩人は真実を狩る 時に探すだけの鎮魂歌 真実は一つ 仕事だキャサリン! 探索はここに集う… 『花(はな)と太陽(たいよう)と雨(あめ)と(Flower,Sun,and Rain)』は、PlayStation2用ソフト。 ▽目次 【概要】 【物語】 【用語解説】■ホテル「花と太陽と雨と」 ■ロスパス島(Loss Pas Island) 【登場人物】 【エピソード】 【余談】 【概要】 開発はghm(グラスホッパー・マニファクチュア)。 01年にビクターインタラクティブソフトウェア(*1)から発売。 ジャンル:“謎解き”アドベンチャー。 ディレクター、シナリオ:須田剛一。 “SUDA51”の前作『シルバー事件』の続編的作品だが、これについては前作を知るファンに向けてのサービス的な要素も強く、ゲームとしての方向性やイメージは全く別の作品となっている(設定にも差異がある)。 そもそも、前作の販売元のアスキーから、余りにも『シルバー事件』がハードボイルド過ぎることを指摘されたののが本作のコンセプトに繋がった。 特徴的なタイトルは沢田研二や萩原健一といったGS(グループ・サウンズ)のスターによって結成された往年のロックバンドPYGのデビュー作であり代表曲『花・太陽・雨』からである。 『帰ってきたウルトラマン』で使用されたことでも有名な、この印象的なタイトルの不思議な歌は須田のお気に入りだったのか、前作『シルバー事件』にもこのフレーズが登場してくる。 元々は同曲のアレンジVerもゲーム内で使用される予定だったが権利の関係で没になり内部データには残っているが販促DVDのみで聞くことが出来た。 オフィシャルファンブック『ザ・ロスパス』には、同曲の作詞を担当した岸部一徳(当時は修三)のインタビューも掲載されており、アレンジを聞いて「この曲調ならこの歌詞にはならないね」と答えている。 音楽担当は他社作品では『地球防衛軍』や『ゴッドハンド』を手掛け、後にフリーとなり『ダンガンロンパ』シリーズ等でも有名になった高田雅史と、フリーになった後に作曲グルーCHRYSANTHEMUM BRIDGEを結成した保本真吾により結成されたghmの音楽ユニットTORNが手掛けた。 本作に於けるクラシックの名曲アレンジは好評を受けており、興味があれば聴いていただきたい。 当初は、前作と同じくghm設立にも関わったアスキーからの販売が予定されていたが土壇場で断られてしまい、アスキーから紹介を受けたビクターからの発売となった。 08年にはニンテンドーDSにて本編には関係無い追加要素を加えた移植版“終わらない楽園”が発売された。 名曲揃いの本作だが、こちらではフルバージョンが聞けなくなってしまっている。 オープニングムービーで、ヒロイン・トリコを演じているのは当時を代表する美少女女優の邑野未亜。 非常に格好良いので一度は見てみるべし。 【物語】 探し屋(サーチャー)を生業とする男、モンドスミオは依頼を受けマイクロネシア諸島の南国リゾート ロスパス(LOSPASS=Lost past)島を訪れた。 依頼人であるホテル“花と太陽と雨”との支配人・エドはモンドに空港のテロリストを阻止する事…そして、繰り返される一日を止める様に頼むのだった…冗談として受け止め、本気にはしていなかったモンドだが、奇妙なホテルの客達や、何を考えているのか解らないスタッフ…島の住人達と触れ合う内に本当にこの島の一日(・・・・・・・・・)が繰り返されている(・・・・・・・・・)事に気付くのだった。 爆発を繰り返す飛行機…果たしてモンドはこの島の秘密を解き明かす事が出来るのだろうか? 【用語解説】 ■ホテル「花と太陽と雨と」 ロスパス島で唯一の宿泊施設。 支配人はエド・マカリスター。 上から見ると星型をしている。 中々の充実した施設を備える……らしい。 設計者はカントウ「24区」や合衆国の「イシザカ(ISZK)ランド」を手掛けたイゴール・イシザカスキ。 ■ロスパス島(Loss Pas Island) 上記の様に由来は過去を失った島(・・・・・・・)。 特別環境保護区で、指定車しか走れない南国のリゾートアイランド。 「合衆国」の資本主義からは外れており、ヨーロッパの音楽が好んで聞かれているとか…。 本作で使用されている様なイージーリスニングとしてアレンジされたクラシックだろうか? ……だとしたら、グッとくること請け合いである。 【登場人物】 ■モンドスミオ 探し屋を生業とする男。 南国でも黒スーツで決め、仕事の流儀を語る等大人の男を気取るが、愚痴が多いなど子供っぽい部分が多い。 文句を言いながらも、ついつい人の言う事を聞いてしまう生来のお人好し。 ──自分の過去についてハッキリとしない部分が多い。 愛車はトヨタセリカ「ギグス」 ■キャサリン モンドの使用するアタッシェケース型の「万能暗号入力機」 凡る物にジャックインして鍵を入力すゆことが可能。 何故“キャサリン”か? ……仮に“テツゴロウ”なら働く気が無くなるかららしい。 後のカントウでは同機能ながら掌サイズまでに小型化されたキャサリン・ナノなる発展型が登場している。 ■クサビトリコ 白いワンピース姿の極東からやって来た黒髪の美少女。 モンドの夢の中にだけ出て来る……? ペットの「クリス」を追いながら、モンドの出会った人々の許を訪れている様だが──。 ■クリスチーナ トリコのペットのピンクのワニ。 トリコのお昼寝中に脱走する。 非常に頭が良い──喋るし。 尚、性別は♂。 ■ピーター・ボックウィンクル モンドをホテルまで案内した、移民局から派遣された仲介人。 体型も服装もカジュアル(だらしない)なオッサン。 モンドへ依頼したギャラはカントウのレートで「5」(万円) モンドに仕事が終わった後で、島の感想を聞かせる様に頼んで来る。 ■エド・マカリスター ホテル「花と太陽と雨と」の支配人で、モンドの依頼人。 親切でいつも笑顔を絶やさないがたま~に奇妙な様子を見せている様な? 夜には意外な一面が見れるかも…。 当時のBBSの管理人を務めていた他、killer7にも出演していた本作を代表する狂言回し。 ■スー・スデイン ホテルのメイド。 イラストだけなら可愛いが毒舌。 変な所で寝るクセがある。 マチの娘だが血は繋がっていないらしい。 ■マチ・スデイン ホテルのメイド。 ダイナーでも働いている。 スーとステップのママである。 ■ロック ドレッドがトレードマークの好青年。 ボーイ兼バーテンだが一度もカクテルを作ったことが無い。 ある一件からモンドを師匠と呼ぶ。 ■レミー・ファウジル マイクロネシア連邦捜査官。 実は島の出身。 モンドスミオ殺害事件を追い、島を訪れる。 ■コシミズヨシミツ マイクロネシア連邦捜査官。 レミーの相棒。 勘と思い込みで捜査するメガネ。 「そんなバナナ…」 ■ステファン・シャルボニエ サッカー狂のフランス人学者。 南国の島に居るにも関わらず、部屋に閉じ籠り何かの論文を書いている。 専攻はシステム工学で人間爆弾の製造者。 ■ファントムシスター 霊媒師のおばちゃん。 何やかんやあってスーから逃げたと言われた時には後でキレた。 「そのタメ口…ムカつくわね」 ■ハナヤマヤヨイ 極東出身の有閑OL…プールサイドで魅惑的な肢体を晒している。 モンドに興味を持ち、からかって来る。 前の男の趣味でサッカーや映画に詳しい。 ■エル・クラッシャー 破壊王と謳われるトップレスラー…痩せてるけど。 「時は来た!」 ■ミスター・パイレーツ またの名をエル・ソウルファイト(燃える闘魂。) 名前の由来は「海賊男」 顎長い。 「行くぞォォォォォォォォォォォォォ!」 ──モンドにも「闘魂伝承」する…。 ■マリア・ニカレスク 酔っ払いの美女。 酩酊しているのか、話しかけても要領を得られない。 職業は「天使」。 「ルシファーに怒られるわ」 ■ソニー・バルボア 肉体派のバルボアブラザーズの片割れ。 やや喋りがウザい。 かつて、若くして命を絶った極東の人気アイドルバイアンサヤカと映画『女子アナルイジアナ最前線』で共演したことがある。 「アミーゴ!!」 ■タブス・バルボア バルボアBROSの片割れ。 マシンガントークが売りだが、アフロヅラが無いと無口なハゲ。 ヅラ替わりにモップを被らされるが…。 「臭い…」 ■カイショウタロウ 黄金の左足の神技コントロールでモンドの黄金に球を当ててくるガキ。 またの名をミクロキッズならぬバクロキッズ。 「また遊んでね!」 ■フジエダセイジ ■オトワヤユウリ 教会で式を挙げようとしている若いカップル。 元シェルター・キッズ。 ■ケン・サクラピー 自転車便で島を走り回ってる好青年。 懸命に働いて都会に行くのが夢。 人が好いだけに損をする事に…。 「アビャバ!?」 ■カイダイザブロウ ショウタロウの親父。 バクロオヤジは可愛くないぞ…。 「仕事も出来ない男らしいな!?」 ■ステップ マチの息子でモヒカン。 昔から手癖が悪く悪さで貯めた金で留学した孝行息子。 「一足先に明日へ行くよ」 ■タカオカグンジ ナツコの為に適性を求めるオッサン。 全共闘世代。 「ゲボハハハ、ウッシッシ!!」 ■アカイナツコ 泊まる度にパートナーが違うホテルの常連客の美女。 モンド曰く絶滅したと思い込みたかったアンニュイ。 「うるさい…」 ■パール/カブラヤハナ リッツの身の回りの世話をしている謎の看護婦。 モンドにも看護を依頼されるが…。 (*2) 「殴ってでも連れて行きます」 ■リッツ 島の少数民族“サンダンス”の生き残り。 貴重な物が取れる特別なハイエナを守っていた。 モンドと最初は夢で出会い、現実では島の“秘密”を伝える。 ■サンダンスMIC 「エレキ島」の地下で出会う事になる量産型の人間兵器のスペア。 ■サンダンス・ショット テロリスト……なのだろうか? 破壊する運命を持つ。 トリコにウエハラカムイと呼び掛けられる。 ■モリシマトキオ 極東より、全てから逃げるためにやって来たフリーのルポライター。 島の“ある秘密”を追っており座礁船にてモンドを待つ。 銀の眼の持ち主であり、彼ともう一人の持ち主が島に同時に現れた事が今回のややこしい事態の発端だと云うが…。 やっぱり亀が好き。 「うるせーや」 【エピソード】 R-00 Welcome to the Flower,Sun,and Rain “探し屋”モンド・スミオは、現地で落ち合ったピーターからの試験を難なくクリアすると、ホテル『花と太陽と雨と』へと導かれる。 そこで待っていた依頼人のエドによれば島は空港にて飛行機に爆弾を仕掛け続けているテロリストに狙われており、それによって島は同じ一日を繰り返す羽目に陥ってるという。 突拍子もない話に難色を示すモンドだが、根が単純なだけにあっという間に乗せられ、テロリストを“探す”ことを約束するが……。 R-01 Gymnopedie#1 エドからのモーニングコールで最初の朝を迎えたモンド。 旨いコーヒーを飲み干しいざ空港へ……と思ったら部屋の鍵が開かなくなっていた。 フロントへクレームの電話をかけるために部屋へ戻ったモンドが見たものは変な声までする先ほどまでとは変わり果てた部屋の姿だった。 R-02 Air in G エドからのモーニングコールでモンドは目覚めた。 飛行機が爆発するリアルな夢を見た気がするものの、きっとあれは夢だと自分を納得させたモンドは階段へ向かうが、そこでは洗濯カートを転ばせてしまい難儀をしているマチの姿が。 どうやら、これはサッカー狂の変態学者ステファンによる悪戯であるようで……。 R-03 From the New World=〝symphony No,9 E,minor,op95〟 エドからのモーニングコールで起こされるモンド。 色んな人と出会ったが夢だと納得させて空港に向かおうとするモンドだが、今度は一心不乱にスクワットを続けるマスクマンと出会い、そのトラブルを解決する為の方法を探すことに。 『イクゾォォォォォ!』 R-04 's wonderful 今日も聞こえるエドからのモーニングコール。 熱い魂を受け取ったモンドは気持ちも新たに空港へ向かおうとするが、今度は酔っぱらい女に絡まれてバーへと向かってみることに。 直に顔を合わせたステファンはやっぱり糞野郎だった。 モンドはレシピを知らないバーテンのロックと共にカクテルのレシピ探しに挑む。 R-05 The Entertainer 今日も今日とてエドからのモーニングコール。 朝食に期待して遂に一階まで降りてきたモンドだが、無情にも朝食は残っていないという。 落胆するモンドだが、エドに促されて扉を見ると馬鹿デカいスピーカーが塞いでいた。 犯人であるバルボアブラザーズに事情を聞くと、TVの企画で乗ってきた“それ”の戻しかたを忘れたという。 R-06 Air in G やっぱり聞こえるエドからのモーニングコールに起こされたモンド。 遂にホテルの外に出ることに成功したモンドだったが、待ち構えていたステファンから性質の悪いゲームに挑まされることに。 毒を飲まされたヤヨイを救うために奔走するモンドだがエドまでもが奇妙な行動を見せて……? R-07 children's corner 安定のエドからのモーニングコール。 今日も朝食には間に合わない。 いよいよ外に駆け出そうとしたモンドだが、サッカーの球にタマを狙われ、犯人である小生意気な糞ガキのショウタロウとの追いかけっこが始まる。 R-08 Ave Maria エドからのモーニングコールで始まる定番の流れ。 遂にホテルの敷地からも飛び出したモンドだが、今度はハイウェイへのゲートが閉ざされている。 困ったモンドは途中にある教会へと立ち寄ってみるが、そこでは結婚式間近のカップルが悩みを抱えていた。 R-09 Rhapsody in Blue いい加減にうんざりしてきたエドからのモーニングコール。 ゲートも越えたモンドだが、いきなりの交通事故発生に飽きれている所で配達係のケンに出会い自転車を直してやるモンド。 更に、戻ってみたホテルでは電力異常で看板が飛んでくる始末で、モンドは事態の解決の為に島の電力施設があるエレキ島へと向かうことに。 R-10 I Love you,Porgy エrya 今日も全く同じシチュエーションで発生する交通事故。 約束のランチを楽しみにダイナーに向かったモンドだったが、今度は思い悩むオッサンの問題を解決しなければランチは無しだとマチさんに言われてしまうモンド。 話を聞いてみるとオッサンはあの小生意気なガキの親父だった。目くらみしながらも、話を聞き始めたモンドだったが。 R-11 Clair de Lune エドからのナイトコールで起こされると……それは夜!? 何事かと混乱しつつも起き出そうとしたモンドだったが、何故かベッドの下に潜んでいたスーにすっ転ばされることに。 スーの不可解な話ぶりに更に混乱しつつもフロントに向かうが、呼び出したエドは普段の慇懃さが嘘のような荒れようで取りつく島もない。 更に釈然としない思いを抱えつつもスーに言われたように灯台へと向かい天辺まで登るが何もない……筈だった。 部屋に戻ったモンドはスーからの依頼はあっさり解くが、屋上でスーとの会話の最中に背後に現れたのは……。 R-12 I Got Rhythm “モンド・スミオ殺害事件”の調査にやって来た連邦捜査官のレミーとのコシミズ。 無くなっていたキャサリンの捜索に乗り出したコシミズだったが犯人のステップは奇妙なことを言い出して……。 R-13 La fille aux cheveux de lin コシミズに続きレミーも調査を開始するが、彼女は今回の事件が自身の出生にも纏わる底知れない闇に繋がっていることを予感していた。 ……エレキ島の真の姿とは? R-14 Traumerei エドからのモーニングコールでモンドは目覚めた。 奇妙な感覚を抱えながらもレミーやコシミズの導きもあってキャサリンを取り戻したモンドに早速の難題が。 モンドは歳の差カップルの適性を見つけられるのか? R-15 plelude a L'Apres-midi d'un Faune エドからのモーニングコール。 いい加減に何事かに気付きはじめたモンドはエドを詰問するが、エドはまるで操られているかの様な豹変を見せた後で倒れてしまう。 しかし、スーが後を引き継ぐ……出世だ、というが。 今度はタカオカとナツコがモンドを導く。 農場の迷宮を越えたモンドは島の始まりの伝説が記された遺跡の前でリッツと看護婦と出会うのだった。 R-16 pavane pour une infante defunte スーからのモーニングコール……だが、会話する間も無く切れてしまう。 今朝は予想外の訪問者が。 訪問者…サンダンスが残していったダイスを探ると、前回の夢の続き。 現実……?に戻ってきたモンドは再び遺跡の前に立ち、遺跡の封印を説くのだった。 R-17 Kill The past 今朝は直に起こしにきたスーからのメッセージにより、モンドは亀男の部屋へ。 謎を解いて残されていたメッセージを再生すると以前にここではない世界で出会った看護婦が。 ジョークも許されずリッツの元へと導かれたモンドは、更にリッツによりエレキ島に空いた洞窟から島の秘密の根幹にあるという座礁船で亀男と邂逅する。 長い旅路に終幕の時が……。 R-18 An American in Paris エドからのモーニングコール……。 ※各タイトルは使用楽曲から。 【余談】 ビクターから本作のサントラ『ウォーター~フォー・リラクシングタイム~』が発売されている。 上記アルバムに未収録の楽曲が収録された『シャイン~フォー・ハイタイム~』は自社レーベル販売だったが、現在は販売休止中…。 ゲーム中でも宣伝されているオフィシャルファンブック『ザ・ロスパス』は今や超貴重。 移植に合わせて再販しようよ…。 謎に突き進む故に謎は謎を呼ぶ 謎なき謎は謎を生み 謎に進み謎はどうなるものか 謎解き浪漫を突き進め! 開け!キャサルィン!! 追記、修正を頼む ありがとう、愛をありがとう!! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 愛!!!!!!!!!!! -- P (2014-06-22 11 11 56) 結局マリオネットマザーは出てこず仕舞いだったな・・・ -- 名無しさん (2014-12-29 04 00 37) ↑タバコ屋のイカしたババア説を支持してるぜ。Killer7にもサンダンスが出る予定だったんだけど、当初はステファンが笑う顔の生みの親になってたかも? -- 名無しさん (2014-12-29 20 47 34) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/136.html
火消しと狼 ◆7vhi1CrLM6 「避けろ!!」 基地上空で爆発したレプラカーン、黒煙を棚引かせてアスファルトの地表に墜落したブラックゲッター、その二つの物体が起した轟音を突き破りゼクスが叫んだ。 咄嗟にビルトファルケンが地を蹴りサイドに大きく跳ぶ。ほぼ同時に発射されたディバイデッド・ライフルが間際を駆け抜け、基地の格納庫を一つ吹き飛ばした。 その様子を一瞥し、戻した視界が急速に迫ってくるメディウス・ロクスを捉え、歯噛みしながら、キョウスケは叫んだ。 「ゼクス、状況を説明しろ!」 「機体の制御が効かん上に、ファルケンの識別パターンが赤に設定されている」 一つの機影がとぶように間合いを詰めてくる。苦々しい表情を浮かべ、互いの拳が届く距離、そこに躊躇なく踏み込んだ。 機体の体捌き、振り上げられたコーティング・ソードの動き。それらを見極め、一撃を避けたはずのファルケン――その装甲表面で火花が散った。 「くっ! 早い!!」 「キョウスケ!!」 「制御が効かんではすまされん。どうにかしろ!」 執拗に迫ってくるメディウス・ロクスの猛攻を退けながら叫ぶ。 「今、やっている。クソッ! 解除不能だと……なんなのだ、これは!!」 「仕方がない。多少手荒だが、機体を落とさせてもらうぞ」 基地をこれ以上壊すのは本意に反する。 その都合上求められているのは、迅速かつ的確にメディウスの暴走を止めることだった。 「そうしてくれ。機体の制御権がサポート用の人工知能に移っている。だが、しかし――」 一度そこで言葉は区切られた。メディウスが映し出されたモニター。その端に開かれたウインドウに、ゼクスの困惑した表情が映っている。 「――『AI1』だと……これは一体?」 「メディウスのデータを探っても無駄ですよ、ゼクスさん。この機体の存在はあなた達の存在を遥かに超えている」 ゼクスから発せられた疑問に答えるようにカズイの声が割り込んできた。 それに気をとられたのも束の間、襲ってくる剣戟に意識を戻す。 掻い潜るようにしてメディウスの懐に飛び込み、スラスターを全開。瞬く間にすれ違い、距離を広げようと高速で退く。 ゼクスの上に新たに開いたウインドウ。そこに映し出されたカズイの顔を睨み付けた。 「何をたくらんでいる、カズイ=バスカーク」 「この機体を壊す気なんでしょ? させませんよ。せっかく手に入れた僕の力だ」 「機体を止めろ、カズイ」 「凄んでも無駄です。メディウスは……いえ、AI1は僕のコントロール下を離れています。 そして、あなたのデータと次のステップに進むためのエネルギーを欲しがっているんですよ。 あなたの腕を見せてもらいますよ、キョウスケさん!!」 追いすがってくるメディウス。そのディバイテッド・ライフルの制射にオクスタンライフルで答え―― 「生憎だが、俺は芸のない男でな。お前に見せてやれる腕などない!!」 ――反転、そして、フルブースト。キョウスケは一瞬で距離をふいにした。 「多少古臭い武装だが、当たればでかいぞ!!」 ついた勢いのまま大きく腕を振り、ブーストハンマーを打ち出す。 鎖が音を立てながら伸びていったそれは、鈍い音を立ててディバイデッド・ライフルに弾かれた。 勢いを削がれた鉄球がゆっくりと宙に浮かび上がる。 その光景に舌打ちを一つで、ハンマーに取り付けられたブースターを点火。 しかし、轟音と共に撃ち込んだその先には既にメディウス・ロクスの姿はない。 レーダーに目を走らせる隙もなく、直感が危険を知らせる。咄嗟に全てのブースターを逆噴射。勢いを削いで地を蹴り、強引に軌道を変えた。 その眼前を音もなくコーティング・ソードの切っ先が走り抜ける。 そのまま、基地に立ち並ぶ倉庫群を利用。追いすがるメディウスの視界を遮り、抜けた瞬間にオクスタンライフルを放った。 ――いないだと!? 撃ち放たれた弾丸が虚しくアスファルトに穴を穿ち、同時にゼクスの声が耳を突く。 「退がれ!!」 咄嗟に飛びのいた地面に高出力のディバイデッド・ライフルが撃ち込まれ、盾に使った倉庫が飲み込まれて消える。 「上か」 上空に悠然と佇むメディウスの姿を認め、苦々しく呟いた。 メディウス・ロクスとビルトファルケンの機動性はほぼ五分。しかし、火力と馬力には格段の差。眼前にはぽっかりと空いた大穴がそれを証明していた。 そして、あの動き……。ゼクスのサポートがなければ確実にやられていた――そういう実感が骨身に染みて汗となり、全身から吹き出してくる。 この段階でキョウスケ=ナンブは覚悟を決め、同時にメディウス=ロクスを制することを諦めた。 「ゼクス=マーキス、悪いが覚悟を決めてもらう!!」 「私に構うな、キョウスケ=ナンブ! 自分が生き残ることのみを考えろ!!」 「無駄ですよ、キョウスケさん。AI1は学習し進化する。あなたには止められません!」 三者の叫びを合図に残弾の半数に当たるスプリットミサイルを散布する。 「カズイ=バスカーク、俺の腕が見たいと言ったな。見せてやる。これが俺とファルケンの――」 地上のファルケンから空中のメディウスに向けて、ミサイルの花が咲く。 そして、同時に風を斬って飛ぶ翼が展開され―― 「――切り札だ!!」 ――それまでに倍する速度で隼は、獲物目掛けて一直線に襲い掛かった。 メディウス・ロクスを蕾の中に納めるようにミサイルの花が収縮し、密度を増す。その最も密度の薄い部分は正面。すなわちメディウスとファルケンを結ぶ直線。 そこにキョウスケは躊躇なく踏み込む。書き換えられたOSにより荒々しい動きを手に入れた隼が速度を上げていく。 ――さあ、逃げ場はないぞ、カズイ=バスカーク!! そして、ちょうど隼が最大戦速にのった瞬間、それは起こった。 最初はゆったりとした動きだった。それを見て包囲網が縮みきる前に一点突破を行う場所を計っているのかと思った。 だが、違った。そう気づいたときには既に、ディバイデッド・ライフルは直線上のマイクロミサイルの飲み込み、間際に迫っていた。 咄嗟にオクスタンライフルのEモードで相殺。行き場を無くしたエネルギーが一瞬だけ中間で燻り、すぐさま爆発を起こす。 無茶な回避と爆発の衝撃に翻弄され、機体フレームが悲鳴をあげているファルケンには、爆煙を裂いて現れたメディウス・ロクスに対抗する手段は残されていなかった。 ディバイデッド・ライフルの銃身そのものの突端を叩きつけられて、ファルケンの体がくの字に折れ曲がる。 そのまま流れるような動きでアスファルトの地面に叩きつけ、地面に擦りつけるようにして、焦げ臭い匂いと火花を散らしながらメディウス・ロクスは突き進む。 そして、最後に一度ファルケンの体を大きく頭上に差しあげ、格納庫の一つに叩きつけた。 轟音と共に砕け散った格納庫の破片が舞い上がる。 瓦礫に埋没したファルケンの体には大小無数の傷。そして、背面の翼のいくつかはおかしな具合に捻じ曲がっていた。 舞い上がった破片が装甲に降り注ぎ、乾いた音を立てる。 その音を耳にしながら、カズイ=バスカークは茫然と目の前の光景を見ていた。 ――圧倒的じゃないか……。 元々の世界であのノイ=レジセイアを打ち負かしたという歴戦の兵。 その男自らが切り札だと明言した攻撃を、真っ向から迎え撃ち、叩き潰した。 「これが……僕の力?」 信じられないといった風にポツリと呟く。その言葉が耳に入り、唐突に少年は自覚する。 ――そうだ! これが僕の力だ!! 遅れてやってきた衝動が身の内を駆け巡り、体は喜びに打ち震え、狂笑となって唇の隙間から漏れた。 「ハハ……ハハハハハハハハ!! これは力だ! 僕の力だ!! これなら僕は誰にだって勝てる! ゼクス=マーキスの技術を身につけたAI1は無敵だ!! あの怪物にだって、キラにだって勝てるんだ!!」 少年は自覚する。自分が手にした力は比類ないものであるということを。 少年は確信する。自分はもはや怯え震えている憐れな贄ではなく、捕食する側であるということを。 だがしかし、少年は気づいていなかった。狂気に染まり、普段の自分を失ってしまったということを。 そんな少年の耳にくぐもった笑い声が聞こえてきた。 「ククク……」 「何です? 何が可笑しいのですか、ゼクスさん」 「ククク……ハッハッハッハッハ!!! いや、すまない。実に皮肉なものだと思ってね」 一頻り大声をあげて笑った後、ゼクスは落ち着いた声で話す。どこか馬鹿にされているようでその声が癇に障る。 「どういうことです?」 「なに、一つ昔話を思い出したのでね。なるほど、AI1は学習し進化するか……。 他愛もない話だが、少しだけ話をさせていただこうか」 そう言ってゼクスは、一人訥々と彼の世界の一つの歴史を語り始める。 「昔あるところにモビルドールというものがあった。 パイロットを必要とせず、人工知能によって制御された人型機動兵器――命令に忠実で命を持たない戦争の道具だ。 それは優れたパイロットのデータを有し、例え戦争が起ころうとも人の血が流れることのない理想的な兵器。そう信じられていたよ。 しかし、人々はそれを否定した。何故だと思う? 戦争が権力者のゲームになるのを嫌ったからだ。自らの手を汚さぬ戦争に意味はない。 人々はそんなシステムになど負けはしない。それは歴史が証明している。 それと同じ力を振り翳して無敵だなどと……。フフ……実に滑稽だな、カズイ。 私の技術だけを模倣しただけのメディウスでは、誰にも勝てはせんよ」 「減らず口ですね」 「減らず口かどうかはあの男を退けてから判断してもらおうか」 その声に誘導されるようにして、機能を停止し眼前に横たわるファルケンを眺める。 AI1にエネルギーを吸収させるために吹き飛ばしはしなかったものの、あれだけ激しく振り回し、攪拌して衝撃を与えたのだ。 機体はともかく、中の人間が無事であるとは思えない。それを確認して鼻で笑うようにして言葉を返す。 「無駄ですよ。キョウスケさんは今からメディウスの糧となって……それで終わりです」 「どうかな? あの男はそんなに柔ではないと思うが……」 メディウスが横たわるファルケンに一歩近づく。 ほぼ同時にファルケンが再起動を果たし、間髪入れずにオクスタンライフルが火を噴いた。 「なっ!?」 咄嗟に飛びさがり距離を置く。そして、力強く立ち上がったファルケンを確認して、憎々しげに言葉を吐き捨てる。 「思っていたよりも頑丈ですね」 「往生際は悪いほうでな」 「すまんな、ゼクス。時間稼ぎ、礼を言っておく」 「必要ない。それよりも私を機械人形に囚われた道化にしてくれるなよ」 話しながらも機体各部の損傷を手早くチェックしていく。順調に起動をしているのを確認して一先ず問題はないと結論付け、正面に向き直った。 空中で静止しているメディウス・ロクスはまずは様子見といった感じでこちらに正対していた。 突然、視界の中のその姿が不意に歪み、意識が遠のきかける。崩れかけた体を気力で支え持ちこたえさせた。 ――これは……きついな。 意識がはっきりしたり、歪んだりしている。そんな中でほんのわずかな間の逡巡。 ――時間もあまりない。どの道、俺にやれることなどこれだけか……つくづく不器用な男だ。 『分の悪い賭けだ』と、自嘲気味に笑う。同時に、『悪くない』そう思った。 目を閉じて、大きく息を吸い、長くゆっくりと吐く。 心気を澄ませ、鋭い眼光で上空のメディウス・ロクスを睨み付けた。 「悪いが、もう一勝負付き合ってもらうぞ、カズイ=バスカーク!!」 「逃げてもいいですよ、キョウスケさん。逃げても無駄ですけどねぇ!!」 もはや返す言葉はない。返答の代わりに放ったのはスプリットミサイルの残弾全て。ミサイルの花が再び空に咲いた。 同時にビルトファルケンの背面ブースターを大きく展開。 ――MODE:Twin Bird Strike Change:Single mode―― 緑の燐光をその場に残し、傷ついた隼は夜気を裂いて雄々しく空に舞い上がる。 「無駄ですよ。その動きは一度見せてもらいました。AI1には通用しません」 ミサイルの花包まれていくその先で、ファルケンに照準を合わせ真っ直ぐに伸びた銃口から、重厚に迸る力の奔流が放たれ、道を作る。 「見せてもらったのはこちらも同じだ!」 間髪入れずにオクスタンライフルをぶつける。前回同様、行き場を無くしたエネルギーが一瞬だけ中間で燻り、爆発。 その中心に二つの機体は何の躊躇もなく飛び込んだ。肚に響く、獣のような咆哮をあげる。 ファルケンの振り回すブーストハンマーとメディウスの突き出すディバイデッド・ライフルがすれ違い、互いがそれをかわす。 凄まじい勢いで二機が真正面から激突し、金属同士が轟音を奏でた。 一瞬だけ中間でせめぎあい、そして隼は押し負け、徐々に後ろへ後ろへと押し流されていく。 キョウスケ=ナンブの踏み込みの鋭さ、ビルトファルケンの最高速。それは決してメディウス・ロクスに劣るものではない。 しかし、重量と装甲の厚さと馬力に如何ともしがたい差が存在していた。 「さぁ、メディウスの糧となれ!」 少年が勝者の余裕を持って終わりを告げる。それをキョウスケは跳ね除けた。 「悪いが、読みどおりだ!!」 「負け惜しみを!!」 「ハンマー、ブースト!!」 ハンマーに取り付けられたブースターに明かりが灯る。 メディウスの後ろでただ風に流されていたそれは軌道を変え、二機を中心に大きな円を描き始める。 そして、その半径を徐々に狭め、鎖が音を立てながら二機を雁字搦めに巻き上げた。 「待たせたな、ゼクス=マーキス」 「まったくだ、キョウスケ=ナンブ」 男が言い、男が答える。鎖に絡め取れた中、オクスタンライフルは正確にコックピットに突きつけられていた。 「躊躇をするな。あの化け物の蒔いた種を一つ潰せるのだ。私もろともメディウスを葬り去れ!」 「ああ――」 「ま、待て!!」 男は覚悟を述べ、少年は叫びを上げる。そして、もう一人の男は終わりを告げた。 「――今、終わりにしてやる!!」 引き金に指が係り、引かれる。立て続けに銃声が響き渡り、何発目かの弾丸がメディウス・ロクスを貫通した。 同時に二機に絡みついていた鎖が砕け、ブーストハンマーの残骸と穴の空いたメディウス・ロクスは、重力に身をまかせてゆっくりと落ちていく。 やがてそれは自らが空けた大穴に飲み込まれて見えなくなり、小さな爆発を一つ起こして消えた。 その過程を静かに見届けた後、隼は地に降り立つと比較的損傷の少なそうな格納庫を選んで潜り込む。 ファルケンの機体を停止し、体をシートに預け、ぼんやりとコックピットの天井を見上げる。 「22時、基地制圧完了。ユーゼス達の到着まであと二時間……か」 疲れた声の呟きが空間を濁して消えた。 【キョウスケ・ナンブ 搭乗機体:ビルトファルケン(L) (スーパーロボット大戦 OG2) パイロット状況:頭部に軽い裂傷、左肩に軽い打撲、軽度の脳震盪(一時間程度の休憩で回復) 機体状況:胸部装甲に大きなヒビ、機体全体に無数の傷(戦闘に異常なし) 背面ブースター軽微の損傷(戦闘に異常なし)、背面右上右下の翼に大きな歪み EN60%、スプリットミサイル残弾ゼロ、オクスタンライフル残弾B2発W1発 現在位置:G-6基地格納庫 第一行動方針:機体状態の確認 第二行動方針:ユーゼスと合流まで休憩 第三行動方針:ネゴシエイターと接触する 第四行動方針:信頼できる仲間を集める 最終行動方針:主催者打倒、エクセレンを迎えに行く(自殺?) 備考:アルトがリーゼじゃないことに少しの違和感を感じています】 【ゼクス・マーキス 搭乗機体:メディウス・ロクス(スーパーロボット大戦MX) パイロット状況:死亡】 【カズイ・バスカーク 搭乗機体:メディウス・ロクス(スーパーロボット大戦MX) パイロット状況:死亡】 【残り31人】 【初日 22 10】 もしもキョウスケの状態が万全であったならば、それに気づいたかもしれない。 基地が停電状態に陥っていたこと、最後の爆発がどこかおかしかったこと、どちらか一つでも気づいていれば、それの可能性に行き当たったのかもしれない。 しかし、キョウスケはそれに気づかなかった。 戦闘の最中、カズイ=バスカークはこう言った。 『AI1は学習し進化する』と、『次のステップに進むためのエネルギーを欲しがっている』と。 ゲッター線を取り込んだAI1はエネルギーを欲していた。それはエネルギーであれば何でもよかった。 ただ自身の形状を、質量を変えるほどの変化を遂げるにはブラックゲッターから奪ったエネルギーの総量は少なすぎたのだ。 ゆえにエネルギーを貪欲に欲していた。 そしてそれをビルトファルケンに求め、敗れ去った。 しかし、エネルギーは他にも存在する。 例えば広大なG-6基地のエネルギーを一手に引き受ける発電施設。 AI1は初めからそれを視野に入れていた。 それでもファルケンのエネルギーを求めたのは、行きがけの駄賃のようなものに過ぎなかったのだろう。 データを収集したいという欲も働いたのかもしれない。 その結果として痛手を被ったのだが、あくまでそれは結果論でしかない。 ゆえにパイロットが死亡したという一点を除いて、大筋に変化はなかった。 大穴の最深部でディバイデッド・ライフルを放ち、予定通り基地の発電施設への道を空けるとそこに巣くったのだった。 そして、AI1は学習し進化する。 本来の世界ではアルベロ=エストの操作技術を学び、TEエンジンを得ることで行った進化。 それをゼクス=マーキスの操作技術とゲッター線で代用し、AI1の進化は今ゆっくりと始まった。 【メディウス・ロクス(第二形態移行中) (スーパーロボット大戦 MX) 機体状況: コックピット前面から背面向けて貫通している穴。修復中。進化中。 備考1:基地の発電施設のエネルギーを取り込んでいます。発電施設は壊れたわけではないので、メディウス・ロクスの第二形態への移行が終われば、基地に電力は戻ります。 備考2:進化と修復は同時に行われていますが、現状だと完了まで四時間ほどの時間が必要です。 備考3:パイロット不在のままでは動きません。 備考4:なんかゲッター線とか取り込んでいますが、第二形態はMXに準拠します】 【初日 22 10】 BACK NEXT 失われた刻を求めて 投下順 爆熱! ゴッド晩ごはん!! 爆熱! ゴッド晩ごはん!! 時系列順 死人の呪い BACK 登場キャラ NEXT 獅子身中の虫 キョウスケ 謀 ―tabakari― 獅子身中の虫 ゼクス 獅子身中の虫 カズイ
https://w.atwiki.jp/anews/pages/504.html
公式サイト→おおかみこどもの雨と雪公式サイト 劇場2012 おおかみこどもの雨と雪 BD(本編1枚+特典ディスク1枚) [Blu-ray] posted with amazlet at 13.03.06 バップ (2013-02-20) 売り上げランキング 45 Amazon.co.jpで詳細を見る ブログ #blogsearch2
https://w.atwiki.jp/legends/pages/584.html
綺麗な満月が廃工場の壊れた天井からはっきりと見えた 工場の中にいるのは銃を構えながら周囲を警戒してる高校生くらいの男だろうか 男は顔に汗をかいている その汗は決して熱さによるものではなかった 男「どこだ・・・どこにいる・・・」 男は何かを探しているようだが月の灯りだけでは十分に辺りを見ることはできなかった 暗闇の中、男を見つめる2つの目があった その目は獲物でも見るかのような鋭い目だった 2つの目はチャンスを待つ、確実に次で仕留めるために、男の集中が途切れた瞬間を待っていた そのまま5分が過ぎただろうか、そのときに何かが落ちる音がした 男「・・・!」 男は銃を音のする方向に向け引き金に指をかけ、ためらうことなく引き金を引いた 銃の発砲音を聞き、2つの目が動きだした 今2つの目に背中を向けている男はすぐにこちらに気づいても銃を撃つことはできない 2つの目が月の灯りに照らされる、体は小さいがそこにはしっかりとした牙をもつ「狼」がいた 狼がその牙で男の喉に噛みつこうとした瞬間 ふと狼が横から刺されたような痛みを感じた 痛みは体を突き抜けていくのを感じ、その正体を眼で追う そこには1発の銃弾 狼「(なんで・・・なんでこれがここにある!)」 狼は地面に倒れ意識が薄れていく 狼に背中を向けていた男が狼の方を向いた 男「やっと捕まえたぞ、もし後ろから来るのがわかってるなら 例え反対方向に撃ったとしても弾丸が曲がりさえすれば問題はない・・・」 男は顔の汗をぬぐいながら狼に言う 同時に狼の体に生えていた銀色の毛が抜け落ちる 抜け落ちた後には小学生に見える少女が横たわっていた 男は少女に駆け寄ると傷の手当をしようとするが みるみるうちに塞がっていく傷口を見て、感嘆の声をあげる 少女が意識を失ってることを確認すると男は携帯電話を取り出した アドレス帳のか行から「黒服」を選択し、通話ボタンを押す 黒服「もしもし、黒服でございます」 男「依頼完了したぜ、『狼少女』の捕獲に成功、場所は・・・」 黒服「分かりました、お疲れ様です、報酬については後ほど連絡いたします」 そういうと黒服は電話を切った 黒服は肩で息をしたあと誰にも聞こえない大きさの声でつぶやいた 黒服「さすがに『魔法の銃弾』はやってくれますね・・・まぁ今後も期待しましょうか」 前ページ次ページ連載 - 魔法の銃弾と狼少女
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4517.html
ザー ザー ザー 「古泉君、今日からテストが終わるまで団活は中止だから。」 涼宮さんは9組に入って僕を見るや否やそう仰った。 「了解しました。でも、どうして急に?」 本当はわかっているのですが、ここは聞くのが礼儀でしょう。 「バカキョンのテスト勉強をみるためよ。あいつ今回の期末で良い点を 取らないと塾に入れられんだって。」 「そういうことですか。」 涼宮さんの返答は僕の予想道理のものでした。 「今日の朝聞いたの。全くあいつはそういうことは早く言いなさいよね。 テストは明後日からじゃない。」 「まあ、彼にも色々あるのでしょう。」 プライドやら何やらね。 「ふーん。そんなもんかしらね。あっ、もうこんな時間。 それじゃっ、そう言う事だから、またテストが終わったらね!」 「ええ。」 彼には頑張って頂きたいですね。世界のためにも、僕達の放課後のひと時のためにも。 おっと、人事でもないですね。何せ 古泉一樹”は優等生と言う事になっていますから、 僕も頑張らないと。 ザー ザー ザー …ですが、さしあたっての問題はこの雨ですね。傘を持っていません。 「さて、どうしたものでしょう。」 **************** ザー ザー ザー 団活は中止ですが、やはり足は部室に向かってしまいます。 涼宮さんが以前拝借していた職員用の傘が確か部室に置き傘として置かれて いたのを思い出したからです。それにもし無くても長門さんなら傘の1本や2本 くらい出してくれそうですし。そんなことしなくても、例の黒タクシーに 迎えに来てもらったら良いと思う方がいらっしゃるかもしれまえんが、 そんなことをすると後で森さんにこってりヤキを入れられますからねぇ。 コンコン ガキッ 「おやっ。」 珍しく長門さんと朝比奈さんのどちらも部室にいらっしゃらないようですね。 特に長門さんは団活が無くともよく部室で本を読んでいるので、かなり意外です。 さてどうしましょうか。 古泉一樹 のキャラクター上、涼宮さんみたいに 職員用の傘を拝借するわけにもいきません、かと言って雨が止むのを待とうにも 一向にその気配は無さそうですし…。 僕はあれこれ考え、結局、機関のタクシーに迎えに来てもらうという結論に達した ときに、後ろから急に声をかけられました。 「やあやあっ。そこにいるのは古泉君じゃないかっ!部室前で何やってんにの?」 振り返ってみるとそこにいたのは元気一杯の先輩、鶴屋さんでした。 「ああ、鶴屋さん。実は傘を忘れてしまいまして…。」 「それで部室に行って傘を調達しようと思ってきてみたら鍵がかかってたんだね!」 さすが鶴屋さん鋭いですね。 「ええ、そのとうりです。」 「あははっ、当ったり。」 鶴屋さんはおどけたかと思うと一瞬真顔になり僕の顔を覗き込んだ。 「所で、さっきポケットに手を伸ばそうとしてたのは、ひょっとして お迎えを呼ぼうとしてたのかな?」 ちょっと鋭すぎません?僕よりもよっぽど超能力者っぽいですね。 「よくわかりましたね。」 「ははは、偶々だよ。た、ま、た、ま。」 本当に偶然ですよね…。 「でもさっ、いくらテスト期間で放課後は生徒が少ないって言っても 古泉君のお迎えさんはさ、ちょっと学校じゃ目立つんじゃない? 図書館帰りの生徒に見られちゃうかもよ。」 まあ確かに、学校にタクシーを呼んで帰宅する高校生は目立つかも しれませんね。図書館でテスト勉強をして帰って来る学生に見られる 可能性もゼロじゃあないですしね。 「ふふふ。こういう事で目立つと不味いんじゃない?」 「確かに…不味いかもしれません。」 そこまでは考えていませんでしたね。しかし、機関に関する噂が 涼宮さんに届きでもしたら、想像しただけでも恐ろしいですね。 「入れてあげよっか?」 「えっ?」 「傘。」 そう言って鶴屋さんは僕に一本の傘を突き出した。 「いいんですか?」 「いいよ!あたしと古泉君って家近いしさっ。」 さて、機関のタクシーで帰宅するのを見られる事と、鶴屋さんと 相合傘をして帰っているのを見られる事、どちらが 古泉一樹 と して不味いんでしょうね? ************** ザー ザー ザー 「古泉君、もっとこっち寄らないと濡れるよ。」 「あっ、どうも。」 女子と二人一つの傘で下校すというのはいかにもドラマやアニメ的で、 僕もそういうことを夢見なかったと言えば嘘になります。 今僕はその夢を実現させているのですが…、正直な所気分は複雑です。 確かに鶴屋さんのような美人な先輩と相合傘で帰れるのは嬉しいのですが、 こんな所を誰かに見られて学校で噂になるようなことになると、色々 ややこしい事になりそうですし…。 「にしてもさー、雨ってめんどいよねっ。傘差さないといけないし、 湿気で髪がくっ付くしさっ。」 「確かに雨の日は面倒なことが多いですよね、特に女性は。ですが、 雨も悪い事ばかりではありませんよ。」 「確かにねっ。その口ぶりからするとひょっとして古泉君はわりと雨が好きなのかな?」」 「ええ、わりと好きですね。」 「どんなところが好き?」 「雨は降った後は晴れ空がとても綺麗になることでしょうか。 雨で空気中の埃が地面に落ちて空気が澄んでいることと曇り空と 青空の光の対比のお陰で。」 これは嘘ではありません。だけどこれは単なる比喩で本当は…。 「んんっ?それはひょっとして経験者は語るってやつかなっ?」 なっ…。 「どうしてそう思うんですか?」 「何となくだけど、古泉君の顔を見てたらそんな気がしたっさ!」 この人は鋭さは本当に凄いですね。 「さすが…と言うべきですかね。当たりですよ。」 雨を見ると思い出すんです。超能力得て混乱している時に機関に助けられた事、 秋の文化祭前に映画作りによる現実の揺らぎと劇の練習で一杯になっていた所を 彼に救われた事、そしてそれらが終わった後より今の世界が輝いて見えた事を。 「あははっ、あったり~。賞品でるかなっ?」 「そうですね。喫茶店でデザートを奢るというのは如何でしょう?」 ちょうどおやつ時ですし。 「本当っ!?やったー!」 鶴屋さんはそう言って僕の腕に抱きついてきた。あの…あたってます。 「駅前にSOS団の御用達の店がそこに行きましょう。」 「うんっ。」 僕達は進路を変え光陽園駅絵へと向かった。 「古泉君。」 「何でしょう。」 「何時かさっ、雨が好きになった理由詳しく教えて欲しいなっ。」 「いいですよ。今すぐにとはいきませんけど。」 全てが終わったときにでも。その時には…、 「約束してくれる?」 「ええ。」 今以上に雨が好きになっているといいですね。 そう思いながら僕は鶴屋さんと一緒に長い、長い坂を下った。 Fin
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/4832.html
https://w.atwiki.jp/cozmixdatebase/pages/180.html
彼女は、偶然の出会いを感謝しました。 彼女は、偶然の出会いを恨みました。 二人は、偶然出会い、そして──。 *** [ Destiny Lovers ] 01...霧雨と十六夜 (end of the world) *** それは、ひとりの少女が自分の生まれ育った家を飛び出した日のことだった。 霧雨魔理沙は、家の戸を力一杯閉めた。自分の父の顔も見たくない。自分の暮らしていた家にも戻らない。その思いが態度に出たようだ。 普段の魔理沙なら、父親との喧嘩くらい一晩寝れば忘れていただろう。だが、今回はそういう訳にもいかないくらい、彼女は怒りの炎に包まれていた。 魔法を使いたい、勉強をしたいという娘。魔法の道具は置かない、勉強も許さないという父。 その喧嘩は、父親が魔理沙に下した勘当という処置と、魔理沙が父親に言い放った肯定の言葉で収束した。 霧雨親子の間に入ってくれていた森近霖之助が、色々な物は運び出してくれるらしい。しばらくは彼の店である「香霖堂」で暮らしてみないか、と言ってくれた。それには魔理沙も賛成して、居候することになった。 最後に一言、父親に「さよなら」と言い、魔理沙は家を出た。 戸が閉じた後の父親の悲しそうな表情は、霖之助だけが知っていた。 生まれ育った家がある、人里を歩く。実はすでに飛ぶ位のことはできるのだが、あまりに自分の感情が昂りすぎていて、力が制御できるかわからないので、今は歩くことにした。 近くの家の老婆が、魔理沙を「霧雨のお嬢さん」と呼び止めた。 「ウチの畑で採れた大根、持っていきなよ」 「ばあちゃん、ゴメン。私もう、あの家に帰らないんだ」 ……などと言えなかった。 「……ああ、わかった。いつもありがとう」 「いいんだよ。お宅の旦那さんにはいつも世話になってるからねぇ」 その後も少し会話をして、老婆とは別れた。とりあえず大根は、香霖のところに持っていこう。そう考える。 「……」 風が吹いた。それを追うようにして見た方向には山があり、長い階段と赤い屋根の神社が見える。 「……霊夢のところにでも、行こうかな……」 そう呟き、魔理沙はふらふらと歩き出した。 一軒の店から出てきた人に、魔理沙は気づいていなかった。 予想以上に、家族との離別というのは彼女の心にダメージを負わせていたようだ。 だから、気づいた時にはお互いに地面に倒れた後だった。 どこかに勤めているのか、メイドらしきの制服を着た女性だった。 「わ、悪い。ボーッとしてて……」 慌てて立ち上がり、女性が持っていたであろう紙袋から転がり出た果物を拾い集める。 「こちらこそ、油断していました」 女性も立ち上がり、魔理沙が集めた果物を袋に入れる。 「本当に悪かった」 そう言って、改めて魔理沙は女性の顔を見た。 ──綺麗だ。 単純に、そう思えた。銀色の髪に、整った顔立ち。だが、その瞳はとても暗い光を持っている。 「いえ、こちらこそ申し訳ありませんでした。それでは私はこれで」 女性が立ち去ろうとしている。止めなければ。何故かその時はそう思い、魔理沙は声をかける。 「な、名前は?」 「……何故?」 女性は立ち止まって振り向いてくれたが、訝しげに眉をひそめている。 それもそうだ。ぶつかられて転ばされて、その相手に何故か名前まで訊かれているのだから。 「いや、ほら、その。あ、私から名乗るか。私は──」 「結構です」 女性は魔理沙の言葉を遮る。 「私はそんなに人里には来ませんし、別に貴女に二度会おうとは思っていませんから」 「そんな、そんなこと言うなよ。だって」 「だって? だって、何なんですか」 「その、なんか……気になる」 「……は。貴女まさか、転んだ時に頭でも打ったのですか? それならそれで、お医者さまのところまで付き添いますが」 不審がっている。拒絶している。 魔理沙は読心術など使えないが、明らかにわかる。目の前の彼女は、魔理沙を信用していない。 「もういいでしょうか。失礼します」 「ま、待って」 「まだ何か。先程のことは気にしていませんし、こちらにも落ち度はあったので謝罪したではないですか。後は何が──」 「目が」 魔理沙は必死だった。目の前に現れたこの女性が気になって仕方がないのだ。 これをきっかけに友達になりたいのか? 自分は何がしたいのかわからない。 とにかく、名前だけでも知りたかった。 「目が、暗いんだよ。死んではいないのに、輝いてないんだ。あんたの、瞳は」 「……失礼なことを」 女性が、魔理沙に初めて感情を見せた。それは怒りだったが。 ギリ、と強く歯を噛み締める。一瞬だが、目の下がピクリと動いた。 「だから、私が気になるとでも」 「ああ。だからせめて、名前だけでも──」 一瞬だった。魔理沙は強く頬を叩かれていた。叩いたのは女性だが、魔理沙に近づいた訳でもないというのに。 口を小さく、両目を大きく開いたまま、魔理沙は女性の顔を見ていた。 女性は小さく、しかし魔理沙に聞こえるように、呟いた。 「十六夜咲夜よ。その痛みと共に刻み込みなさい」 そして、魔理沙は去り際にかけられた言葉で、心を貫かれた。 「さよなら」 女性の背中を見たままの魔理沙の目から、涙が溢れ出す。 自分が、父親に去り際に放った「さよなら」。 十六夜咲夜が、去り際に静かに残した「さよなら」。 同じ言葉が、日常使う言葉が、こんなに重いなんて。こんなに辛いなんて。 涙が頬を伝うのを感じながら、魔理沙は思った。 父親も、同じ気持ちだったのかな、と。
https://w.atwiki.jp/anime_bg/pages/38.html
おおかみこどもの雨と雪 2012年7月21日公開 公式HP 監督細田守 脚本奥寺佐渡子 細田守 原作細田守 制作会社 スタジオ地図 おおかみこどもの雨と雪 ARTBOOK 美術監督 大野広司 美術設定 上條安里 背景 スタジオ風雅 湯澤康之 中山美名 北原絵美 時田美歩 松本実希子 斎藤緋沙子 立田一郎 寺澤早苗 島田純子 佐々木達也 針﨑義士 赤上由峰 鈴木俊輔 針生勝文 大野久美子 西川洋一 石井弓 髙松洋平 大森崇 中村聡子 春日井直美 伊奈涼子 平原さやか 中里昌子 矢野きくよ 芳野満雄 新田有花 青木勝志 伊奈淳子 日野香諸里 桐山成代 Studio Wyeth 池田祐二 橋本和幸 清水友幸 アーティスティックプラネット VASA 渡邊洋一 スキャン屋 佐藤広明 木村誠 木村勇介 小畑亮平 劇中画 森本千絵