約 85,635 件
https://w.atwiki.jp/sig-suer220/pages/14.html
現在対応中のイベントで提出する予定のSS・RPをまとめる場所です。 イベント80対応?
https://w.atwiki.jp/isekaikouryu/pages/2336.html
大ゲート祭を記念してスラヴィアにて開かれるバトル大会! それに関連したSSのページです。 作品に付ける《タグ》は、予選や前日譚後日談などは《 前 》、大会の試合は《 バ 》でお願いします。 作品の投下については、作品投下の準備を参考に行ってください。 バトル大会の内容や説明については大バトル大会inスラヴィア 説明&準備ページを参考にしてください。 【四周年TOPに戻る】 バトル大会試合SS。 戦闘以外の勝負もアリアリアリ! 【カナヘビvs瑪瑙&イスズ】 【パン・ダー舞う】 【シキョウ&スイメイ ○ ― ● セイラン&テンコウ】 【ディエルvsティータ&清浄】 【ネビオラvsラニ 給仕の戦い】 【一回戦のまとめ1】 【ネビオラvsラニ 給仕のシカケ】 【一回戦のまとめ2】 【二回戦のまとめ】 【バトル大会決勝戦! 前半】 大会出場権をかけた予選や出場者などの前日譚やら関連するSSなどなど。 【陵山の火精、炎を願うのこと】 【最強決定トーナメント】 【大延国の通関司、時を超えるのこと】 【死体細工師、絶後の作を仕上げるの事】 【大延国の通関司、大いに学ぶのこと】 【蘇生皇帝、無銭飲食をとがめられるの事】 【皇帝の第三十七子、ご先祖様と邂逅するのこと】 【まみむめもっさん・おねがいエンチャント!】 【まみむめもっさん・シノギの饗宴】 【まみむめもっさん・スラヴィアンなんなん】 【神の薬はアヤシイ薬】 大会の試合カードと結果はこちら 【一回戦】 アデーレ&ユイ ● ― ○ ミルミ&ルミル カナヘビ ○ ― ● イスズ&メノー シキョウ&スイメイ ○ ― ● セイラン&テンコウ 髑髏王 ○ ― ● トゲオ ネビオラ ○ ― ● パン・ダー・グゥレイトォ バルバンクール ● ― ○ ラニ ディエル ○ ― ● ティータ&清浄 岩窟王&監獄姫 ○ ― ● サバーニャ 【二回戦】 ミルミ&ルミル ● ― ○ カナヘビ シキョウ&スイメイ ○ ― ● 髑髏王 ネビオラ ● ― ○ ラニ ディエル ● ― ○ 岩窟王&監獄姫 【準決勝】 カナヘビ ● ― ○ シキョウ&スイメイ ラニ ○ ― ● 岩窟王&監獄姫 【決勝】 シキョウ&スイメイ ● ― ○ ラニ 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/dangerousss3/pages/110.html
第一回戦【美術館】SSその2 《ザ・キングオブトワイライト 第一回戦 第五試合 説明》 《会場:美術館》 美しい絵画や力強い彫刻など、多数の美術品が展示された施設。 参戦者は以下の三名。 《雨竜院雨弓》 スペック:筋骨隆々の大男 傘術使い 魔人能力:水分を媒介にした光学性幻覚 望み :戦いを楽しみたい 本当を生きたい 他にも? 性格 :気の良い兄ちゃん 戦闘狂 備考 :現役魔人警官 《黄樺地 セニオ》 スペック:チャラ男 身軽 魔人能力:他者の魔人能力のコピー 性格 :チャラ男 軟派 望み :世界平和 備考 :チャラ男 《姫将軍 ハレル & 参謀喋刀 アメちゃん+98》 スペック:姫将軍 剣とダンジョンの異世界出身 魔人能力:武器との精神空間での対話 時間経過のない精神空間での修行 望み :滅んだ故郷の救済 性格 :姫将軍 堅物 やや影がある 備考 :姫将軍 アメちゃんは霊刀アメノハバキリの付喪神 ◆ ◆(以下、本編) その戦いは、それ自体が既に、一個の美術品だった。 片や長刀を携える少女。 片や大傘を背負う大男。 「ッ……!」「――ィッ」「スゥ――」「……!」「ォオ――」「――シィッ!」 霊刀の刃と特殊合金の親骨(※傘の布部分を支える骨のこと)が打ち合わされ、衝撃が窓ガラスを揺らす。 美術館。目高機関が総出でかき集めたのだろう、中にある品は千差万別で、現代芸術、陶磁器、絵画、銅像、宝石細工、フィギュアや漫画家の原画まで。 そのどれもが、世界崩壊前ならば数千万円は下らない、あるいは値段もつけられぬ逸品揃い。 だが国宝級の陶磁器も、狂気を秘めた絵画も、精緻極まる宝石細工も、その二人の戦闘に気後れしたかのように、今はその輝きを潜めている。 たった二人の人間の戦闘の存在圧力が、空間そのものを埋め尽くしている。 人間? 否――『魔人』だ。 「いいねえ! んじゃあ――コイツはどうだ! 『雨流/虹』!」 突如、無数の傘が広がり、少女の視界を、部屋の空間のほどんどを覆い隠した。 増え続ける傘は、しかしほとんどが、大男の能力『睫毛の虹』による幻覚だ。 傘を携えた大男が、傘の群れの中に紛れ込む。少女が中心に一人残される。 だが、空気中の水分を媒介とするこの能力は、屋内では万全に働かない。幻覚の傘はその多くが、末端がほつれ、薄れている。 少女は周囲を凝視して、傘の弾幕の真贋を見極めようとし――すぐに、その過ちに気付く。 「くあ!」 次の一撃は、虚空より来た。 屈折率操作による、疑似透明化。少女はその不可視の一撃を、優れた第六感により、かろうじて霊刀の鎬で受ける。 軋む細腕。傘部よりも突き出た石突が少女の肩口を掠め、空中に血の線を引いた。 雨竜――傘を広げての突進は、大男の巨躯もあり、大岩の衝突にも匹敵する。 力はほぼ互角。だが、少女が持つスキルとしての怪力には、押し合いの際の要である体重が伴わない。 「っ……!」 吹き飛ぶ少女。背後は、部屋の角。袋小路だ。 同時、傘が閉じられる音、強く地面を蹴る音。 大男は姿を隠したまま、少女が壁に叩きつけられた所に更なる追撃を加える心算なのだろう。 少女は体を丸める。衝突のダメージを弱めるため、ではない。彼女は空中で前傾し、霊刀の剣先だけを、脇下から背後の壁に向けたのだ。 「アメ!」 「がってんショーチだよっ!」 壁が、散り散りになった。 刃先が触れた一点を中心として、一辺一メートル半ほどの四角形の形に、風化するように消えた。 彼女の持つ霊刀『参謀喋刀 アメちゃん+98』の持つ無数の能力の一つ。それは、まるで仕切られたマス目を埋めるかのように、一刀につき、決められた分だけの壁を掘る力。 少女はそのまま穴を通って隣の部屋の中へと吹っ飛び、ざっ、と華麗に着地する。 隙を晒したのは、追ってきた大男の方だった。 壁の穴は、大男が通るにはいささか狭い。そこを強引に通過した結果、ほんの僅か、突進の態勢が崩れ、その輪郭が露わになる。 しん、と。少女が床を蹴った。 猫のような前傾姿勢から加速。居合にも近い掬い上げる一撃が、大男の脇腹を捕えた。 「オオオッ!」 咄嗟に男は傘を手放し、力任せの掌底で、装甲に護られた少女の胸を殴りつける。 少女は刀を引いて、バックステップで飛び下がる少女。こほこほ、と息を吐く。ダメージは軽微。 「――ったく。すげえな、アンタ」 「…… あなたも」 宙空の傘を掴む手が、虚空に出現した。 その手から、あぶり出しのように姿を現した大男――雨竜院雨弓がにやりと笑う。 伊達男めいた甘いマスクに、その印象を真っ向から斬って捨てる2m超の筋肉質の巨躯。迷彩柄のジャケットに、背負うは異形の傘、武傘『九頭竜』。 態勢を立て直した少女――姫将軍ハレルが、意志の強そうな釣り目を細めた。 結い上げた金髪。華奢だが女性らしさを覗かせる小柄な体を包む装甲ドレス平服甲冑。構えるは、数千年の時を経た神々しき霊刀『参謀喋刀 アメちゃん+98』。 「だがなァ、その『手加減』、解除できねえのか? ただでさえガキ相手だってのに、これじゃあ勝ったところでカッコ悪くて家族に会わす顔がねえ」 雨弓が眉をひそめた。間違いなく霊刀が切り裂いたはずのその脇腹には、傷一つ無い。 ただ代わりに、その周囲には、無惨に引き裂かれた対魔人戦闘用防弾チョッキが、無数の欠片になって舞い散っていた。雨弓がジャケットの上に羽織っていたものである。 壁に引っ掛けた? そんなわけはない。下手なショットガンくらいなら止める特注品だ。 それが、まるで内側に火薬でも仕込んであったかのように、一律に、均一の大きさに引き裂かれている。 「出来たら苦労しないよ! だから言ったじゃんハレっち! 気遣うのはヤメローッて! もう!」 答えたのは少女の持つ霊刀、アメだった。幼女のような甲高い声だ。 彼女(?)には現在、『斬撃のダメージが装備品に置換される』という奇天烈な能力が備わっている。 相手ではなく、相手の武装のみを殺す能力。だが、雨弓にとってはたまったものではなかった。 服程度ならともかく、彼にとって武傘『九頭竜』は無二の武装だ。死亡の危険がないこの大会においては尚更である。 だがそれは、ハレルにとっても不都合なものである。 先程のようなカウンター、あるいは苦し紛れの相討ち狙いの一撃で、少女は一方的にダメージを受けるのだ。 「……大丈夫、です。それも含めて、私の実力として受け取って貰って、構いません」 だが、ちきり、と霊刀を構えなおし、ハレルは告げた。そこに迷いや後悔の色は無い。 彼女は誇り高き姫将軍。自ら定めた覚悟を、時や場合で撤回する安い戦士ではない。 同じ戦士の本能から、それを感じ取る雨弓。楽しげに、唇を歪める。 「……失礼した。ガキってのは訂正だ。悪ィな、ハレル。不調法者でよ」 「…………ううん。……貴方の殺気は、とても真っ直ぐで、気持ちいい。初戦で、あなたみたいな人と戦えて良かった」 「おいおい、そういうイカした口説き文句は、――勝ってから言うもんだぜ!」 雨弓が軽口と共に傘を引く。さながら歌舞伎役者の如く、その構えは豪放でありながら精緻の極み。隙の一つも見当たらない。 同じくハレルが、霊刀を正眼に構える。王道の基本形。しかし彼女が行えば、それはさながら一枚の名画の形を為す。 互いの気合が、空気を弾く。この美術館にあるどの作品よりも、それは刹那的で、触れ難い美しきものだった。 ……やがて。 二人の間に、巻き上げられた雨弓の上着の切れ端が、かさりと落ちた。 両者が床を蹴った。 「お! 二人ハッケーン!w チョー探したっつのー! もー見つかんねえとかマジ勘弁! ディプロっちゃんが試合会場間違えたかと思ったしー↑」 部屋の扉が開かれ、美しさなど、微塵も理解しない存在が姿を現した。 金髪長身、だるんだるんのタンクトップにジャケット、ハーフパンツ。耳には三連ピアス、腕にはもっとシルバー巻くとかSA。 チャラ男の権化、黄樺地セニオ。三人目の魔人、突如のその介入を、 「「――――(来たか)」」 互いに向けて突貫する両者は、当然のように予測していた。 これはバトルロイヤルなのだ。二人が全力で戦っていて、残った一人が漁夫の利を狙わないわけがない。 ハレルはほんの数%、注意を割り振った。それで十分だった。 彼がどれだけの速度で割りこんできても、速やかにカウンターを取れるだろう。 雨弓は、幻覚能力の使用を止めた。それで十分だった。 魔人警官である彼は、コピー能力者に対する対策も学んでいた。すなわち、能力をコピーさせなければいい。 それで詰み。 武闘派魔人の極地たる二人の戦いに、魔人とはいえただのチャラ男が干渉する手段は――存在しない! 「んじゃ『セット』『ポータル・ジツ』! イヤーッ!ってかwwww」 「「!?」」 直径三メートルほどの真っ白な『穴』が、二人の視界を塞いでいた。 それは、異空間への道。異界への扉。参加者たちを会場へと送り届ける、双子の魔人『ディプロマット&アンバサダー』の魔人能力。 別の場所へと通じるワープホールを創り上げる力。 しかし、生身で行けない場所ならばともかく、『使用者の三割が死ぬ』というリスクを推してまで利用する者は少ない。 実際、二人は自前の移動手段でこの美術館に来ている。 しかし、このチャラ男はそれを使った。そしてコピーした。 雨弓のような豪放ではない。ハレルのような覚悟でもない。リスクを考えない浅薄さ。徒歩を面倒くさがる軽薄さ。 だからこその奇襲。 「ぬお、おおおおお!」 雨弓は咄嗟に、傘を開いて背後に回した。半球状の武傘が莫大な空気抵抗を生み、速度を殺す。 間一髪。巻き上がった前髪が僅かにポータルに入り込み、その消滅と同時に削られた。 「とっ!」 ハレルはポータルと、その奥の雨弓を前宙で飛び越えた。 だが雨弓よりもそのタイミングは際どく、着地が乱れて床を転がる。 慌てて立ち上がろうとした、その手首が取られた。下品なシルバーをじゃらじゃら巻いた腕だった。 「おうおうおおうおおうおうーーーう♪ もっしかせんでもチョーマブいじゃぁん! ハレルちゃんだっけ? チュリッス! ハジメマーシテェ! カワウィーネェー↑ どう? 試合終わったらアソばない? イヤーなことゼンブ忘れ楽しもうぜェー♪ いやいや変なことシナイって!wwダイッジョブダッテwww」 セニオは、一瞬でハレルの傍に回り込んでいた。 通常の魔人の、更に三倍の脚力。だが、それだけではない。 チャラ男の手や腕の筋肉は、女の子への誘い、スキンシップ、セクハラ、壁ドンなどの用途にのみ最適化されているのだ。 顔が近い。にやにやとした笑み。雨弓の、獰猛だが気持ち良いそれとは比べ物にならない、ただ軽薄で、浅薄で、ひたすらにハレルにとっては不快なもの。 「は? え、う……」 「ハレっち! 無視して! さっさと斬る斬る!」 戦闘中らしからぬ様子で浴びせられた、解読できない不可解な台詞に目を白黒させるハレル。 その思考による硬直を、途方もないほど前向きなチャラ男コミュ力で『了解』と受け取ったセニオは、流れるような動作で少女の腰に手を回す。 「お、マジ? よさげ? んじゃイッチャウイッチャウ――ウェエエエエエエイ!?」 瞬間、ハレルが、渾身の剣撃を叩き込んだ。 完璧な一撃だった。至近距離からの巨大な月牙めいた一閃が、セニオの服を一瞬で塵屑に変えつつ、やってきた入口から吹っ飛ばした。 「…………」「…………」 息を切らせたハレルが、触られた腰を何度も手袋の甲で払う。 男性経験の乏しい姫将軍の細い腰は、異性が触るにはあまりにデリケートな場所だったのだ。 雨弓は、曰く言い難い表情を作っていた。 突然現れ、奇襲を決め、そして即座に吹っ飛んでいった存在に対する対応を決めかねていた。 やがて、ハレルが俯いたまま、ぼそりと呟いた。 「……なんで、こんな能力つけちゃったのかな、私……」 「ここでそれ言うのかよアンタ……」 「……すいません。ちょっと、後で」 ざん、とハレルの姿が消えた。恐らくセニオを追ったのだろう。 「おい待……ちっ。だが、ポータル使えるとなると面倒だな……」 やや遅めの歩みで二人を追って部屋を出ながら、考える。 雨弓も、ハレルも、その戦闘能力の大半は能力によらない武術によるものだ。まともに相対すれば、セニオに負ける道理はない。 しかし、対魔人戦闘において人格の相性はそのまま戦闘の相性に直結する。そして先程の通り、セニオはいわゆる『意外性』に特化したタイプの魔人だ。 真面目そのもののハレルのような人物にとって、天敵とすら言える。 先程までの交錯で、十分に分かっている。ハレルは難敵だ。あの手加減を含めても、勝負は相当に際どいと言っていい。 雨弓とて願いはあるし、優勝も狙ってもいる。セニオが、ハレルを倒すまではいかなくとも、痛手を与えてくれれば、勝率は一気に跳ね上がる。 ただ、同時にこうも考える。 果たして、セニオとハレルと、それぞれ一対一で戦う場合、どちらが楽しいか。 「しゃあねえ、やっぱりここは――、――……ん……?」 ふと。 足を止めた。 「…………」 ずうん、と。遠くから地響きが聞こえた。 ハレルが暴れているのだろう。同レベルの使い手である雨弓が受け止めなければ、彼女の保有する暴力は、この狭い美術館には過剰すぎる。 美術館それ自体を壊しかねない震動。 しかしそれを、まるで意に介さず、雨竜院雨弓は佇んでいた。 ただ佇んでいたのではない。彼は壁の一点を見ていた。 『それ』を見上げていた。 『それ』がなにか、分かる者は、ここにはいない。 『それ』は、ある絵だった。 雨竜院雨弓はその前で立ち尽くしていた。 生まれて初めてモナリザを見たラファエロのように。 『それ』は、あるイラストだった。 『それ』は、ある漫画だった。ある漫画の、作者直筆の、原画だった。 更に言うなら――『それ』は、ある映画の、原作の、原画だった。 雨竜院雨弓はその前で立ち尽くしていた。 邪神の像に生贄の心臓を捧げる、敬虔なる狂信者のように。 ◆ ◆ 「ちょちょちょwwwwwちょ待っちょ待っちょ待っマジ勘弁www」 常人の三倍の軽薄さで、セニオは一目散に逃げる。その服装は現在、穴だらけのタンクトップにハーフパンツという斬新なものである。 片手首に切っ先が掠る。瞬間、セニオの両腕のシルバーアクセサリーが弾け飛んだ。 「ギリセェ(※ギリギリセーフの意)!? wwwウェイウェイなになにいったいドゥーなってんのwww まあ露店の安物だし三万くらいだからまた買うけどサァー!ww店員さんちょっとはマケてくんねっかなッー!ww」 「………いいから、おとなしく、負けて」 「ちょワケ不明wwwべっつにいーじゃぁん触るくらい!wwwスキンシップっしょ!wwふれあい!ww」 「黙れチャラ男! まだハレっちはネ、男の子の手を握ったこともないの!」 「……アメ、余計なこと言わないで」 「うお刀が喋った。……え、ナニ、じゃあ未経験? その年で?」 セニオの笑みが珍しく消え、眉が一瞬でしかめられた。 「処女とかマジ勘弁。どーりでめんどくせえと思ったわw誰か食ってくれる奴いなかったの?w」 「――――ッ!!」 無言で激昂する少女に、セニオは溜息一つ、軽薄な笑みを取り戻して向き直った。 そこは狭い一直線の廊下。左右は、絵画が掲示された壁。かわせる場所はない。 めちゃくちゃ可愛いのにもったいねえなあ、と心から思った。彼はチャラ男だった。 「イヤーッ!ってかwww」 ポータル門を構築する。 しかし少女は、それを『横』に避けて容易くかわした。 左右の壁が、霊刀の切っ先が触れた先から、風化するように消滅していく。 「は!?wwwちょパネエwww反則っしょww」 ポータル門は取り回しが悪い。思わず下がった背中が次の部屋への扉に当たる。 袋小路。一直線に壁を切り裂きながら迫ったハレルが、剣を振り被る。 「っちょ待っストップ、フゥ――――ッ!?」 ゆえに彼は叫んだ。今この瞬間に、咄嗟に『見えた』もの名を。 「『セット』ォ!『参謀喋刀 アメちゃん+98』!」 「なっ……!?」 壁が、散り散りになった。 青年が横に伸ばした手を中心として、一辺二メートルほどの立方体の形に、壁が風化するように無くなった。 セニオはその壁の穴に飛びこんだ。ハレルが振り下ろした剣は、セニオが背にしていた扉を無惨に破壊して、外れる。 「おっしゃ!wwってうわマズっwwwあっち行ってッちょ!wwwww」 セニオは倒れ込んだ態勢から両手を地面につくと、ドロップキックの要領でハレルを蹴っ飛ばす。 「こほっ」 ハレルは側面に受けたこれを堪える。魔人の三倍の脚力。直撃してしまったが、思った以上に威力はない。どこに攻撃が当たったのか分からないくらいだ。 セニオは、壁の中に出来た穴の中に倒れている。当人が言った通り、状況は何も変わっていない。身動きの取れないネズミだ。このまま袋叩きに――その時。 ぱきん、と音を立てて、ハレルの髪留めが割れた。 次いで、姫将軍の証である『平服甲冑』の装甲部が、突如砕けた。 金髪が広がり、胸、足、腕の手甲が外れ、中のシンプルだが上品な装丁のドレスだけになる。 即座に、彼女は理解してしまった。 今、自分が、何をされたのかを。 「え――あ! ま、や」 「ウェイウェーイマジwww勘弁してっちょ!wwww」 追い詰められたネズミであるセニオは、必死に抵抗した。 ハレルの足を蹴る。腹を蹴る、肩を蹴る、胸を蹴る、腕を蹴る。でたらめで、体重のこもっていない一撃。 だが、ハレルは両腕で体を抱え、それらの蹴りから必死に身を庇う。そうせざるをえなかった。 「ショウッ! トォウッ!wwwギリセギリセwwwマジデンジャラス!ww」 ある程度蹴ったセニオは、少女の隙をついて、飛びこむように隣の部屋へと逃げ出した。 天井から下がったプレートには『世界の刀剣展』と掛かれている。美術目的の武器関係のフロアらしい。 すぐに振り返るが、何故か追手の少女は、その場に蹲ってしまったまま、動かない。 「ん?wwどしたんハレルちゃん? そんな強く蹴っちゃった?wwゴメゴメwww」 近づくと、や、と小さな悲鳴を上げて、自らの体を掻き抱いて、小さく蹲るハレル。 そこでセニオは、ようやく自分が咄嗟にラーニングした『能力』の内容を把握する。 脳裏に浮かんではいたが、長かったので読み取る暇がなかったのだ。 彼はまず、その『内容』に目を見開き、少女の様子を確認し、何度か頷くと、 少女が持つ霊刀を指差した。 「そこの刀! GJ!wwww」 「チャラ男! GJ! ――あ、ゴメン、うそ! ハレッちうそ! 眼福とか思ってなアガガガガガヤメテ! ヤメテ! あっそこだめそこ弱いのぉー! ゴメンなさいゴメンなさいでもハレっちいっつも同じドレスだしィ! たまにはビキニアーマーとか着てみればいいのにとかあっそこっらめえええええ!」 快哉を叫びかけた霊刀の柄のあたりをゴリゴリ抉り回した後、ハレルは胸元を両手で隠しながら、内股で立ち上がる。 少女の全身を覆っていた清楚で上品なドレスは――今やほとんど原型を留めていなかった。 貞淑なロングスカートはギザギザに深いスリットが入り。 ふんわりとした長袖は、手首回りだけを残して白い肩と腋が眩しいノースリーブに。 庇っていたからか、胸元こそ穴は少なめだが、背中や腹部、首元は均一に引き裂かれ穴が開き、へそや鎖骨、背筋が露わになっている。 平服甲冑はもはやその意味を為していなかった。 それに隠されるべき、仄かに桃色を帯びた白い肌と、最後の砦である純白のレースの下着の端々が、ドレスの隙間から惜しげもなく晒されていた。 その胸は標準的である。 「こ、の……!」 キッ、と若干涙目ながらも、強い視線で憎き仇を見据えるハレル。 しかし、その凛とした力の強い瞳に対し、露出度の上がったダメージジーンズならぬダメージドレス姿が、なおさら倒錯的な雰囲気を醸し出してしまっていた。 一方、睨まれている当の本人は、 「やっべええええええwwwwオレの手からカツオブシの味するwwwwダシとれるwww」 ……手の甲を舐めて、快哉を上げていた。 結論から言えば――セニオがコピーしたのは、霊刀アメノハバキリ、『参謀喋刀 アメちゃん+98』の保有する全ての能力である。 その体には現在、能力を意味する六つの『印』が刻まれているのだろう。 もちろん、彼は複数の能力を同時に使うことも出来なければ、魔人が能力とは別に保有する特殊な武器や道具をコピーすることも出来ない。 何故そのようなことが起きたのか? 第一に、『アメちゃん』が言葉を発した時点で、セニオは彼を単なる「すごい道具」ではなく、「意志のある存在」に、更に言えば「刀型の魔人の一種」として認識したこと。器物型の魔人は今トーナメントにも参戦しており、ありえない話ではない。実際『刀の付喪神』である彼女は、魔人といえなくもない存在だ。 第二に、『アメちゃん』の保有する能力は、当人が雨弓に言った通り、切り替えやオンオフの効く「複数の能力」ではなく、それら全てが自動・常時発動型の「一つの機能」であること。 それは食べるとお腹がふくれるカツオブシ性であったり、竜への特攻であったり、壁を削る能力であったり、攻撃のダメージを服へと置換する能力まで合わせて、全てだ。 ハレルの涙を溜めた強い目線に、今更のように気付いたかのように、セニオは軽く、薄く、浅い口調でからかう。 「あ、怒ってる? 怒っちゃってる? いーじゃんいーじゃーんwwwロックでさあwwww 今までのおっかたーいドレスよりもお似合いですよwwwwすげーエロいs」 「黙って」 どごぉん、という轟音と共に、セニオの眼前の床が砕けた。 もうもうと立ちこめる土煙。 セニオの頬が、巻き上がった瓦礫と衝撃波で、裂ける。 「…………ちょっとだけど、よろしくね。『ロンギヌス』さん」 ハレルは、己の不埒な愛刀を、鞘に収めていた。 代わりの武器を、まるでペンのようにくるくると軽く回して、片手で保持する。 それは、長さ3.3メートルの、中ほどから二股に別れた、鋼の槍。 扉から入ってすぐの、壁の近くに掛けられていたそれは、かつて某アニメに出てくる武器を模して作られた、色物の美術品。 少女が、一瞬、目を閉じた。 「…………貴方への、メッセージ」 セニオの脳裏に、言葉が浮かび上がる。ラーニングだ。 ――魔人能力『刀語』。能力は精神世界での武器との対話。条件は直接接触。 「……『恨みはない。されど、客寄せとして作られた歯牙なき我を、一角の武器として扱って下さる主に応える為、貴殿を撃滅させて候』。……そこまで、恩に感じる必要、ないのに」 「ちょ、待」 静かな殺気に、セニオはいつものように逃げようとして、しかし、迷った。 壁掘削の力がある今なら、逃げようと思えばいつでも逃げられる。 それに何より、今の少女に攻撃を当てれば、ワクワクドキドキ、脱衣バトルが楽しめるのだ。これに挑まない男はいない。 ……当然、それは少女の殺る気バリバリの様子と比べればあまりに暢気で、下卑たというにも浅すぎる欲求(補足しておくと、レイプや強姦目的というわけでもない)だが、セニオは両者を同じ天秤に掛ける。 ハレルの怒り、羞恥心、それが転じた殺意、それら『シリアスな感情』を、彼は理解出来ないから。 何故なら、彼はチャラ男だから! 「オッケウェーイwwwwwたぁのしもーぜぇええ!wwww」 そう――彼の精神テンションは今! 大学の飲みサー時代に戻っている! サークル歓迎会のその日の内に、廊下でミス新入生とよろしくヤってたあの時代に! 軽薄! 無思慮! そのセニオの毒牙が今、可憐な姫将軍ハレルに向けられる――! 「ゲブファ!?」 二股の槍に腹部を挟まれ、振り回され、天井に叩きつけられた。 「おっ、ご……ふげぇっふぉい!?」 落下してきた所を再び挟まれ、床に叩きつけられる。 「めこっぷす!?」 そのまま、中に刀剣群が収められたガラスの箱に頭から突っ込む。 「…………何か、言い残すこと、ある」 「ウェ……ウェー……イ……w」 壁の根元に叩きつけられた。顔面からぶつかり、ずる、と滑りおち、尻を突き出した間抜けな態勢のまま動かなくなった。 黄樺地セニオ。 敗因:チャラ男。 「――う、うう……」 はーっ、はーっ、と息をついて、少女はぺたんと座りこんだ。 破かれてしまった服を必死にかき集めるが、びりびりになってしまっているのだ、どうしようもない。 他人への気遣いを後悔などしたことはないが、まさかこんな風に利用されてしまうとは。 「……なんだ。予想通り、っつか。予想以上に苦労したみたいだな」 背後から声が聞こえた。ハレルは慌てて振り向こうとする。 だが、この相手に今の格好はあまりにも恥ずかしすぎる。耳の先まで真っ赤に染めて、あ、とかう、とか、曖昧な声を上げて、身をちぢこませる。 「あ、あの、その、コレは……」 「ちょっとちょっと! オニーサン! 乙女のヤワハダ見たらダメー! こんな格好の女の子と戦ったらマズいと思わないの!」 「あー、悪いな。それ、どうでもいいんだわ」 「え」 ハレルは違和感を覚えた。雨竜院雨弓。傘術使いの魔人警官。 少し戦闘狂の気はあるが、正々堂々とした戦いを好む、真っ直ぐな青年。 そのはずだ。 「チャラ男は、やられちまったのか?」 「……ウェーi……ウェー……w……」 「意識はあるか。ならよし。……水は、アレか」 男の手が、部屋の端にあった刀剣を掴んで、天井に放り投げた。 がしゃあん! 壊されたのは、天井にあったスプリンクラーだ。冷たい水が部屋中に降り注ぎ、ハレルが思わず身を震わせる。 「んっ」 「よし。これで、準備は整った」 そして、雨弓の笑みが……ぎしりと、軋んだ。 ハレルの背筋に怖気が走る。やはり違う。今の彼は、何かが、決定的に変質している。 彼女は、自らのその第六感に従った。アメちゃんではなく、セニオを倒したロンギヌスの槍を握り、雨弓に飛びかかった。 「雨竜院、さん――!」 「雨竜院? いいや、違うね。ここにいるのは」 部屋が、変遷する。 ◆ ◆ 雨竜院雨弓は、その映像の名を知らない。 雨竜院雨弓は、その映画のタイトルを知らない。 かつて、警察の総力を以て規制された、一つの映画があった。 見た物全てが死ぬ、壊れる、魔人化する。 場合によってはパンデミックすらをも越える大災害に成りえたその悪魔の映画は、間一髪のところで、食い止めたというにはあまりに甚大な被害を出して、終結した。 雨弓は、その作戦に大きく関与はしていなかった。せいぜい身近な映画館に圧力を掛けた程度で、ましてタイトルなど知らされるはずもなかった。 だからこそ、その後、彼にとってはありふれた任務、過激な宗教団体の撲滅の際に見たその映像が、『それ』だとは、分からなかった。 それは、悪魔の映画の、劣化の、劣化の、劣化ともいうべき代物。 過激な宗教団体が手に入れた、悪魔の映画の、海賊版(無論、海賊版を盗み撮った当人は、視聴に伴い死んでいるだろうが)、その粗悪なコピー。その、ほんの断片。 だからこそ、雨弓はそれを見ても被害を受けなかった。 どころか感銘を受け、その感動は、この大会に参加する切っ掛けにすらなった。 ――そう、感銘を受けてしまった。あろうことか! あろうことか。 ……『それ』は、彼の頭の中で育っていた。 断片にしか過ぎないはずのそれは、虎視眈々と、再び世界を狂わせるチャンスを窺っていた。 青年の心に棲みつき、宿木のように、青年の感銘と想像力を喰らって育ち。 ついさっき――美術館にあった、『原作の原画』の刺激を受けたことで、青年の意志を、趣味嗜好を、乗っ取っていた。 何故、そんな回りくどいことをしたのか? 『それ』の断片は、その途方も無い呪いとしての存在密度から、本能的に理解していたのだ。 この男。傘術使いの魔人警官は。荒々しくも義侠心に溢れたこの青年は。 「ああ……そうだ。刮目しろ。我が名は、ファントム雨弓」 『意図した映像を、世界に投影する力』を、持っているのだと――! 「能力作動。『睫毛の虹/緋色の幻影(R.o.E.Phantom-Rouge)』。……上映、開始」 ――それは、世界でもっとも残酷な95分。 ◆ ◆ 数年前。 チャラ男4『ゼッテェー読んでみろって! チョー面白いぜこのマンガ!』 チャラ男1『マっジでェー? オッケーんじゃ貸してッちょー!』 チャラ男4『これ読まなきゃ日本人じゃネーッしょJK!』 ~ チャラ男1『ヤッベチョー面白ェーかった! コミックス揃えっちまったよー!』 チャラ男4『だろだろ? ウェーイ!wwww』 チャラ男1『やっべーオレもーオタクだわー!wwオタクになっちまったわー!ww』 チャラ男1&4『『ウェーイ! ○○○○×○○○○、サイコー!』』 ◆ ◆ 現在。 「っあ、ががが、ががが―――――!」 世界が崩壊しようとも軽薄を貫いたチャラ男の王は、頭を抱え、吐瀉物を吐き散らしながら悶え苦しんでいた。 『―緋色の幻影―』「友達なんか必要ない」緋の目「××× が持ってて!」かつての友の人形「一緒だぞ、×××」「人形みたい」暴かれた墓「君たちの目も私が貰う」奪われた目「×××になら裏切られてもいいよ」「怒りは生きてる証だね。だが、永遠ではない。」「魂呼ばい」元No.4「腐った林檎のように生涯を閉じろ!」「人形を宿せば、その念能力が使えるのだ!」奪われた目「まだ入れ墨があるから旅団と看做す!」「外の世界は…楽しかった?」 「ありがとう。これでやっと私は本当を生きられる」 「何だ、コレげげっ……ちょwががっ……マジキビし……wごご…………ぎ……」 悪魔の映画『ファントムルージュ』は、既に、一度目の上映を終了しようとしていた。 劣化の劣化の劣化を、光学的に再現しただけのもの。 まして音声すらない(台詞は字幕スーパー)以上、原典の破壊力とは比べ物にならないはず。 それでも、致命的だった。 大男が、ぱちりと指を弾く。再び始まる映像。 ファントム雨弓。即ち、世界全ての水分に悪夢の映画を投影する、生きた射影機の名であった。 「そう急ぐ必要はない。何度でも楽しめ」 「ちょマ↑テよ――マジ、かん、べ……げほっ!wいて……ww」 咳き込み、その度に胸部に激しい痛みが走る。既に体もぼろぼろだ。 上映が始まった直後、蹴りかかったセニオは、羽虫のように容易く迎撃された。 その前にハレルに受けたダメージも含め、チャラ男の軽く薄い心は既にぽっきりと折られていた。 今はただ苦しみに喘ぐだけだ。諦めていた。早く、早く終われと。頼むから終わってくれと。 この戦いが、試合が、もう敗けで良い、さっさと終われと、ただそれだけを願っていた。 なのに。 「ひ、く、ぅぅ……あああっ!」 それに耐えている、耐えてしまっている少女の存在が、それを許さない。 ばしゃあと、吹き飛ばされて転がる姫将軍ハレル。傍らにはロンギヌスの槍。 スプリンクラーの水に濡れて透けた、ボロボロのドレス。 その目は虚ろで、立てた足はがくがくと震えている。酷い有様だ。 その瞳からは、絶え間なく涙が零れ――その一滴一滴に、かの忌まわしき映像が投影されている。 目を塞ごうと瞼を閉じようと、眼球とは、澄んだ水分の塊だ。 原典を知らなくても意味は無い。 言ってしまえばファントムルージュは『映画の形をした呪い』そのものだ。その視聴は、精神と肉体に甚大な被害を及ぼす。 「あ、は、っ」 びくり。華奢な体がのけぞる。細い指先から力が抜け、少女は意識を失い―― ――そして、目に光を灯して、立ち上がる。 その指先は、鞘に収めた霊刀に触れていた。 セニオの目には見えている。ゼロ時間の意識の喪失を認識出来る。彼女が『能力』を幾度となく発動していることを。 「う……」 「ハ、レっち、まだ! まだ、ダメだって、まだ全然、抜けて、にゃ――」 「アメ。…………ごめん、ありがと。もう……休んでて、いいから」 「バカぁ……この、おーばか……ハ……レ……」 霊刀の声が、掠れて消える。 『刀語』。ハレルは、頻繁に刀剣の精神世界に避難することで、ファントムルージュの視聴による致命的な精神損傷に耐えていた。 だがそれも、ここが限界だ。 少女の精神から感染した悪魔の映像は、数千年を過ごした霊刀の精神空間すらをも侵していた。 いわんやハレルをや。避難は対症療法に過ぎず、むしろ飛ばし飛ばしに見ている分、苦痛の時間は数倍に引き延ばされている。 悪夢の幻像ファントムルージュは、真綿で首を絞めるように、じわじわと少女を苛んでいる。 「く、あぁああっ!」 気合とも悲鳴ともつかぬ声を上げて、ハレルは悪夢の原因たるファントム雨弓に向けてロンギヌスを振るう。 この一時間半の中で、既に二十回は繰り返されている、不毛な攻撃。 当然だ。現役魔人警官・雨竜院雨弓としての肉体は、今だ一撃のダメージも喰らっていないのだから。 「私は、絶対、ファントムルージュなんかに、負けたり、しない――!」 「怒りは生きてる証だ。だが、永遠ではない。……大人しく、上映(うんめい)を受け入れろ」 雨弓の両腕に縄めいた筋肉が盛り上がる。だだでさえ巨大な傘が、その何倍の大きさにも見える。 逆袈裟に、武傘が振り抜かれた。 「――――ッ!」 声にならない悲鳴を上げて、ハレルが吹き飛ばされる。 鋼で出来たロンギヌスの槍がバラバラに砕け散り、石突が少女の胴を斜めに切り裂いた。 「あっ、がっ、うぅ!」 血の線を引いて、セニオのすぐ隣の壁に叩きつけられる。 ずるりと落ち、脱力する小柄な体に、ああ、ようやく終わりかよ、とセニオは安堵する。 だが、――少女の手は、また床を掻く。 「ハァ……ハァ……!」 「ちょ、ちょ待っゲホッwwおまっ……ねーっしょマジ!w 空気、読めってww」 立ち上がろうとする少女を必死に引きとめる。 どうしてそこまで耐えるのか、セニオは理解出来ない。 「ハレルちゃん、マジメすぎっしょー!wwwwユーテそこまでせんて普通」 「黙って……」 少女の瞳は、死んでいなかった。 ファントムルージュに、精神も肉体もボロボロに凌辱されながら、高貴なる姫将軍は立ち上がる。 「あなたには……分からない……私は……故郷を救わなきゃ……」 立ち上がる。肌に張り付いたドレス。華奢な肢体。血と雨と涙に濡れそぼった傷だらけの体。 セニオですら萎えてしまうようなみじめな姿だというのに、それは、泥の中の砂金のように、確かな輝きを放っていた。 「私は、立ち会えなかった……戦えすらしなかった……せめて――故郷の為に、死――」 セニオには理解出来ない。何故なら彼はチャラ男だからだ。 どれだけコミュ力を高めても、どれだけ頭を空っぽにしても。 どれだけ軽薄に他者の能力を真似出来ても――この輝きだけは、けしてセニオには再現できない。 《イエロゥ・シャロゥ》とは、そう言う名だ。この能力を使って初めて決別した、魔人となった元友人が――そう呼んだ。どれだけ見かけは似ていても、黄金にけして届かない、無価値なる黄砂の浅瀬。 チャラ男ゥストラはこう言った。『お前は、この世全ての『真剣』を理解出来ない』と。 この少女も、彼の友人だったものたちも、誰もが、セニオの届かない領域に居る。 厚く、重く、深いパーソナリティを抱えて。 「そうやって、そこで、寝ていればいい。軽口ばかり叩く人は、同じくらい、人生も、軽く、終わ」 「うっぜ」 ――それが、黄樺地セニオは気に入らない。 地面に手をつく。ひどく驚いた顔で、少女が振り返った。 視界にファントムルージュがちらつく。 『……になら、裏切られてもいいよ』 鬱陶しい。気に入らない。それもまた、彼の理解出来ないものの一つだ。 彼はチャラ男だ。シリアスなぞ知らない。シリアスなぞ理解出来ない。理解出来ないもので満たされたこの世界が、うざったくて仕方がない。 だからこそ彼は望む。チャラ男の文明の再興を。重苦しいもののない世界を。即ち、 「やっぱ、世界平和しか、ねーわマジで」 人類の長い歴史の中で、世界平和を望む人間が、どれほどいただろうか。 だが『ウザいから』という理由でそれを願う人間は、この青年――この人類最後のチャラ男以外に、居はしまい。 「あーそういや、最近24時間TV見てねえなあwwアレ好きなんだよなあ。ホラww地球を救うのってやっぱ愛じゃんじゃぁーん?ww」 そんなぼやきと共に、セニオは指を伸ばした。ハレルが何か言う前に、その目元に触れた。涙を拭うような仕草だった。 「な」 「『セット』『睫毛の虹』」 ばあ、と視界が開けた。 逆立った黒髪のハンターの少年が消えた。卑屈な白髪の暗殺者の少年が消えた。 病的な体格の人形使いの男が消えた。その人形が消えた。 忌まわしい映像が、全て消えた。 焦点を取り戻したハレルの澄みきった碧眼が、セニオの濡れた金髪を映した。 「これ、は……」 「――ウェーイ成功wwwwダイッジョブダッテww協力プレイで行きまっしょい?www テンションアゲ↑アゲ↑ウィッシュ!wwあ、でもマジでヤバかったらオレバックれっからそこらへんシクヨロww」 セニオのコピーは、出力では完全にオリジナルと互角になる。 そして『睫毛の虹』の効力は『幻覚を見せる』ではない。水分の屈折率の『操作』だ。 同じ映像を作り出すなどとなると技量の差が出るが――あちらの幻覚をキャンセルするだけなら、十分に可能。 それに気付いたファントム雨弓が、憎らしげに顔を歪ませる。 「貴様……。チャラ男風情が、偉大なるファントムルージュを否定するか」 「うっせwwwwオレはデートの時はオケるかヤドるか(※カラオケに行く、ビリヤードをする、の意)なんだよwww映画とかパソで落とせばいいっつのwwww」 何一つ変わらない、軽薄、浅薄、希薄そのものの言葉が、新たな戦線の開幕だった。 ハレルはしばしの間、逡巡していたようだが、とにかくファントムルージュがなくなったことには変わりは無いと判断したようだった。 「……好きに、すればいい。私もそう、する」 「マジでwwwwアウトオブ眼中ひっでえwwwwでもオーケイオーケイww」 「無意味な抵抗を」 「――姫将軍ハレルア・トップライト、推して参る」 ハレルが突貫する。 ファントムルージュが消滅したことで、その動きは明らかに良くなっている。 しかし万全と言うならファントム雨弓の方が遥かに万全。 彼は悠々と迎撃に傘を構え――だが、その時! 「『セット』! 『ポータル・ジツ!』イヤーッ!www」 「む!」 ――特に何も起こらない! 咄嗟に身をかわしたファントム雨弓は、試合前に見たチャラ男の能力概要を思い出す。 確か、能力を最後に見た時から二時間。 ファントムルージュ上映もあり、既に奴がポータルを通ってきた試合開始から二時間は過ぎている。高度なブラフ! 「え?wwwあ、凡ミスソーリーww気にしないでウェーイwwww」 ただ覚えていないだけだった。 だが、無理な回避で態勢を崩した雨弓に、ハレルの斬撃が入る。 「ぐっ……」 咄嗟に大傘を手放した。どのみちダメージなど食わないのだ、両の拳でカウンターを狙う。 だが、ハレルの霊刀は、最初からファントム雨弓自身を狙っていなかった。 切っ先は稲妻の如く閃き、浮いた大傘を打ち飛ばした。 「な、ちぃ!」 ファントム雨弓は即座に裏拳でハレルを打ち払う。傘を弾いた所にまともに頬に受け、少女の矮躯が吹っ飛ぶ。 彼はすぐさま踵を返し、宙空を緩やかに落ちる己が武傘に手を伸ばす―― ――それが、横から掻っ攫われた。 「スンマッセェ~ン、ちょいコレ借りまあ~す!」 「黄樺地ィ!」 魔人の三倍の脚力で飛び上がったセニオが、眼下の雨弓を見下ろす。 彼はチャラ男の中のチャラ男、雨が降った時に他人の傘を借りパクすることなど十八番だ。 しかし、セニオが奪ったのは単純な剣や槍とは違う。 武傘は雨竜院家に伝わる秘伝、初見の者がやすやすと使いこなせるほど安易な武装ではない―― 「『セット』ォ! 『刀語』ィ!」 ――邂逅は、一瞬で果たされた。 「……オッケオッケリョーカイwwいや、任せとけってクズリューさぁんwwオレチョー頼りになるからホントww」 セニオは空中で、ぎこちない仕草でその持ち手を捻る。 がしゅん、と武傘の先端が動く。布が下がり、親骨が露出し回転。鋭い円錐形の『弾頭』が生み出される。 武傘『九頭竜』、その奥の手。超高圧ガスによる先端の高速放出。 誰よりも雨弓が知っている。それは、戦闘型魔人すら即死させる威力を誇るのだと。 「チィ!」 立ち止まったファントム雨弓が、足元の物をつかみ取った。 先程破壊された、ロンギヌスの槍の残骸だ。大きく残った穂先を、セニオに投げつけようとする。 その槍が、粉々に砕け散る。 「……ごめんなさい。ありがとう」 背後を見る。姫将軍の少女が、装備のみを破壊する霊刀を、ファントム雨弓の背中に突き立てていた。 謝罪の言葉は、砕けゆく武器に告げたものか。 同時にその怪力がファントム雨弓を抑え込む。空から、セニオが照準を合わせた。 「ハレル! 貴様ら……!」 ファントム雨弓は対応しきれない。あまりにも的確な、図ったようなコンビネーションは、しかし示し合わせたものではない。 誰よりも先に死地に踏み込み、この期に及んでなお敵の討伐ではなく迂遠な無力化に専心するハレル。 なるべく自分は遠巻きに、危険に関わらず、さっさと楽に勝って終わらせたいセニオ。 両者の対照的というにもほどがある戦闘スタイルの差異が、ここにきてある種、理想的な一致を見せていた。 ファントム雨弓が奥歯を噛み、叫んだ。 「愚か者どもが! あくまでも受け入れぬか! この、緋色の幻影をォ!」 再び展開される、悪夢の映画。 すぐに、セニオは相殺しようとす緋色緋色緋色緋色幻影幻影幻影本当を生きる裏切られてもいいよ緋の目オモカゲソウルドール雑な設定行き当たりばったりの戦闘女々しいキャラ原作に不実な戦力差自殺未遂雑な設定幻影幻影幻影緋色緋色緋色わたわたたたわたたたたたたしししはしはははは本当を本当を本当を生き生き生き生き生き生き生き生き生き生き 「うあ……!」「くぉwwwぐへぇっ!?www」 「腐った林檎のように生涯を閉じろ! 自らの生ぬるい血で溺れ死ぬがいい!」 土壇場にきての高速上映。セニオの態勢が崩れ、ハレルの体が力を失う。 ファントム雨弓が吼える。 彼ら二人に、否、この試合を見ているはずの全世界に向けて、高々と宣戦布告を行おうとする。 「いいか! ファントムルージュを受け入れぬ者『――いい加減にしろ』など、……!? 世界に存在『俺の戦いを』してはな『邪魔』らないのだ『するんじゃあ、ねえッ!』――何ィっ!?」 幻影が、消える。 姫将軍が力を取り戻す。持ち直したチャラ男が落ちてくる。 竜の名を冠す武傘を、でたらめな構えで、しかし確かに固定する。雨弓が空を見上げた。 「やめ『やれ、黄樺地ィ!』」 轟音。 ◆ ◆ 「っ」「――――」 同心円状の衝撃波が、ハレルとセニオを吹っ飛ばした。 速射砲めいた、馬鹿げた威力だった。個人武装の域を超えている。 その着弾によって舞い上がったガスや埃、水滴が、霞の塊となって部屋の中央に現れた。 ハレルとセニオが、それぞれ同時に真逆の位置の壁にぶつかり、そして同時に靄に隠れた中央を見据えた。 「――……へっ」 霞が、晴れる。 ――その中心で、左肩から胸元まで抉られた雨弓の巨躯が、ぐらりと傾いだ。 血だまりが大きな水音を立てた。歪な大の字のシルエット。 「……雨竜院、さん」 ハレルが立ち上がる。血の跡を垂らせながら近づき、うわ言のように呟く。 「バカな『黙れ』、フ、ファントムルージュを『あーあー黙れ黙れ。人のアタマ使って好き勝手しやがって』」 ――「……チッ、我ながら情けねえぜ。だが一応、上に報告しとかねえとなあ。あの映像媒体、押収してたっけかな」 雨弓が傍らのハレルを見上げて、快活に笑む。ファントム雨弓ではない、雨竜院雨弓の笑みだった。 半身を抉られた巨躯。その口元から派手に血を吐いた。だが、言葉にそこまでの乱れはない。呆れた魔人耐久力だ。 同じ頃、やや遅れてひょこひょこと足を引きずって近づいて来たセニオに、問いかける。 「おいチャラ男ォ。九頭竜、なんて言ってた」 「あーもー……チョーイッテェ……wパネすぎだろ……wwえ? ああクズリュウちゃん?w ――なんかアレだってwwwこうwwwアレ? 止めてくれ的なアレwwww」 「……ハレル、悪ィ、後で九頭竜に謝らせてくれ。初めて会話した相手がコイツとか、俺が九頭竜だったら絶対キレる」 「…………あ。は、えっと……」 「……良ければ、また、戦ってくれよ」 「……はい。待ってます」 ハレルが朦朧としながらも、しかしはっきりと答えた。 溢れる血だまりは、既にセニオたちの足元にまで広がっていた。 「……アイツが見てたら、怒るだろーな……ま、せっかく死ぬんだし、こってり、絞られてくっかね……」 その言葉を最後に、ゆっくりと、雨弓は目を閉じた。 ファントムルージュに精神を食われながらも、しかし最後の最後でその支配を自ら破った益荒男の、安らかな死に様であった。 「――――」 「…………」 そして、残るは二人。 片や姫騎士の長。霊刀を自在に操る、高貴なる姫将軍。 片やチャラ男の極。軽薄と浅薄と希薄の化身。 「――私、は……!」 ……だが、ことここに至り、勝敗の帰趨は明らかだった。 消耗の度合いが違う。世界でもっとも残酷な95分を駆け抜けたハレルの体と心の損傷は、その間諦めていたセニオとは訳が違う。 武傘で抉られた傷から流れ出る血液。 とっくの昔に限界を迎えていた。今だ彼女の脳裏にはあの忌まわしい映像の記憶がちらついている。それで今後の試合が満足に進められるはずもない。 結果的にだが、漁夫の利を奪われた。悔しい。辛い。情けない。 「嫌だ……私は、故郷、を……」 意志に、体がついていかない。悔悟と苦悶に表情を歪め、少女の矮躯が、ゆらりと倒れる。 「ウェーイ、オツカレーィ」 「……!」 「――っと、ダイッジョブダッテw」 セニオが、気安い言葉とともに、それを受け止めた。 彼とて、ダメージがないわけではない。抜け目なくハレルの腰に回した指先など、よく見ると複雑骨折している。武傘の先端射出の反動だ。 だが、チャラ男の手や腕の筋肉は、女の子への誘い、スキンシップ、セクハラ、壁ドン――抱きとめる、などの用途にのみ最適化されているのだ。 それは半ば自動的ですらある、習性だった。 「オレの願いw……wのついでに、アンタの願いも…… 叶eときゃw――wEじゃん?ww」 だから、そこから続く言葉、掠れ掛けた声でなお軽薄に流れ出る言葉も、ただの軽口に過ぎない。 こんな場での口約束に意味などなく、まして優勝を確約出来る者など、どこにもいない。相手がセニオならば尚更だ。 ハレルとて、それは分かっていた。嫌と言うほどよく分かっていた。 「……ほん、と……ですか……」 「え?w……wああ、ガチガチ超ガチっsuよwwオレの願い世界平和だしwイケるっしょww」 セニオは、壊れたラジオのようにチャラい台詞を続ける。 彼の喉が枯れ、声が出なくなり、疲労で気を失うその瞬間まで、それは続くだろう。 何故なら彼は、世界が滅んでも軽薄で有り続ける、チャラ男だから。 「でさ、全部終waったら遊ばなi?www嫌なこto全部忘reてwwww楽――」 「…………そ、う……」 ハレルの体が、重みを増した。少女はチャラ男の腕の中から滑り落ちて、床へと倒れた。 セニオにも、再びそれを引き上げる力はなかった。腕の中から少女が倒れたことにすら気付いていないかのように、虚空に向けて言葉を続ける。 「ちょwhrlちゃ……wダイッジョブダッテ、マジでwwオレ、女の子との約束w……w破ったこと、neー、もんw……w」 倒れた少女は、もう何も答えない。 軽薄で浅薄で希薄な言葉は、いつだって、真剣な人間の鼓膜を上滑りする。 ――ただ、それでも。 ハレルの表情は、倒れる直前に比べて、ほんの少しだけ、和らいでいたようにも、見えた。 ◆ ◆ 【ザ・キングオブトワイライト 第一回戦 第五試合】 脱落者:雨竜院雨弓 敗因:奪われた武傘による心臓破壊 脱落者:姫将軍 ハレル & 参謀喋刀 アメちゃん+98 敗因:睫毛の虹/緋色の幻影による消耗 勝者:黄樺地セニオ 勝因:チャラ男 このページのトップに戻る|トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/dangerousss3/pages/218.html
準決勝戦【廃村】SSその2 2013年の『関東』、とある映画館の上映会場―――― (うん、0巻は前にジャンプでも読んだけど、こうしてあらためて読んでも面白いな。特にラストのこの1ページが良い) 一人の青年が、一冊のやや薄い漫画の単行本を読みながら椅子に腰かけている。 漫画を鞄の中へしまい、スクリーンへと目を向ける。 (さて、そろそろ始まるな) (架神さんはこの時点でチケットを破り捨てて、家に帰るべし、とか言ってたけど、やっぱりこんな面白い漫画がそんなどうしようもない出来になるなんて考え難いよな) (まあ、駄目だったら駄目だったで、それはそれで楽しめるものにはなるんじゃないか? 皆ハンターだからって期待しすぎてるんだよ 会場の電気が消えていく。 スクリーンの幕が開く。 (……始まった) ――上映一分後 (おっ、冒頭の雰囲気は中々良いじゃないか。これは思ったより、楽しめるんじゃないか? やはり皆、期待のしすぎで……) ――上映十分後 (いや……あの、なんで、ゴンとキルアが頭の悪い馬鹿なガキになってるの? 彼らはプロハンターで、それぞれ常人とは異なる子供達だって、原作中で……) ――上映二十分後 (あの0巻の内容がこんな淡泊に!? あの、スタッフの方たち、ハンターを読んで何を感じたの? ま、まあ、あまり0巻の内容に尺は避けないってことなのかな?) ――上映40分後 (ビッグバンインパクトが放出系!!? そして圧倒的強者のウボォーに何も考えずに立ち向かうゴンとキルアの二人!!? スタッフはハンターを本当に読んだの?? 読ん……だの……) ――上映1時間後 (線路で自殺しようとするキルア……、なんだ? これはなんだ? ハンターの映画ではない。俺の知るハンターは、こんなものではない。でも、あれはハンターなんだ。目に映るのはハンターのキャラクターなんだ。あれはハンターの映画、なのだ……) ――上映80分後 (アハハ、イルミが腕を振り回すだけの淡泊な攻撃してるぅー……、ダブルマシンガンがじぇんじぇん威力が無ーい。やる気が無ーい。ハンターの映画じゃなーい。まともな人間の作る作品じゃなーい) ――上映90分後。 いるよ、そばに一番近く~~♪ 今はただそれだけでいいから~~♪ エンディングの歌が、流れ始める。 少女の声が、響く。 「ありがとう、ゴン、キルア……これでやっと私は本当を生きられる」 「本当を生きるか」 「本当ってなんだろう」 「自分らしく生きるってことじゃねえか?」 (ああ、うん。良かったね。ヨカッ……タネ??) そして、スクリーンの幕が閉じ、会場が明るくなった。 周囲がややざわつく、しかしそれらの喧騒は、青年の耳には一切届かない。 そして、青年は酷い頭痛を抱えたまま、ふらふらとした足取りで映画館の会場の外へ出て行ったのだった……。 (なんで……なんでハンターの映画がこんなことになるんだろう) (人間って、あんな凄い作品を、こんなくだらないものにできるんだ。人間ってある意味ですごいな) (こんな映画が生み出されるんなら、世界なんて滅びてもいいかも、な) それから約二カ月後。 絶望に沈んだ一人の青年は、ある一人のキャラクターをあるゲームのキャンペーンへと投稿したのだった。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 2020年、ザ・キングオブトワイライト準決勝。 戦場は、日本のとある寂れた廃村。 道路の周りには畑が広がり、とこどころには、オンボロ……とも形容されそうな木造式の民家が立ち並ぶ。 2020年、それも核やバンデミックで退廃しているという時代にそぐわない、日本のやや懐かしい田舎風景を残すこの村。 その中を、やはりこの風景には似つかわしくない、一人のキラキラとしたアクセサリーで装飾した、金髪のチャラ男が歩いている。 男の名は黄樺地(きかばじ) セニオ。今回の準決勝における出場選手の片割れである。 「ウェイ、ウェーイ、古臭い村だっぜwww 人とか住んでんのココ?ww あっ、廃村だって言ってたし、そもそも今試合中かwww」 「あ~、こういう泥臭い場所とかマジ勘弁!! とっとと終わらせて帰りテーww ウェイwwウェイww」 生粋のチャラ男であるセニオは、この土と草の香り漂う田舎風景があまり肌に合わないようである。 チャラ男とは、やはりネオンの光眩しい都会でこそ輝くもの。農耕器具を持って、白いシャツと半ズボンのルックで農作業に従事するチャラ男という図は想像し辛いだろう。 「あ~~もう、偽原シャン、どこにいるんだよ~~。さっきからあちこち転送して回ってんだけどな~~」 セニオは、今回の戦いは素早く決着をつけようと、開始直後からコピーした能力、大会運営であるディプロマット&アンバサダーの転送術を使って、偽原の開始地点と思われる場所へ転送を繰り返していた。 今回の戦いは互いの開始地点が知らされていない。しかし、村の入り口のどこかであろうと、当たりをつけて飛んでいたのだが、偽原の姿は見当たらなかった。 「長期戦とか勘弁ww おーい、おまわりさーんww、出てこいよーwwウェーイww」 「オ……ww」 そんな時。 セニオの目に、民家の前にポツンと佇む人影が写った。 「めっけwwめっけww おーい、偽原シャーーーンww」 警戒心も無く、素早く駆け寄るセニオ。流石はチャラ男である。 だが、近づいた時、目に映った顔は偽原ではなかった。 やや禿げ上がった頭に、皺の寄った顔、痩せこけた体型、それは70過ぎぐらいの老人だった。 「おーい、お爺ちゃ――ん、こんなところで何やってんの?www」 何故老人がこんなところにいるのか? という疑問を、普通の大会参加者ならば思うだろうが、チャラ男、セニオはそんな疑問はどこ吹く風か。フレンドリーに老人に話しかける。 老人は、そんなセニオに視線を向けると、カッ!!と目を見開いて、口を大きく開けた。 「ファントムルージュじゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!!!!」 老人から大きな唸り声が発せられた。 ザワッ……ザワッ……、その老人の裂帛により、周囲の木々が強風にでも煽られたかのように揺れる……、実際には揺れていないが、見る人が見ればそんなイメージを抱くだろう。 「ウェイウェイww、おじーちゃん、どしたの??」 そんな老人の尋常ならざる様子もどこ吹く風か、セニオが持ち前のチャラさで気楽に声をかける。 「おおおお……、お前はぁーーー、ここから先へ進んではならん。進めば……地獄が、ファントムルージュが待ち受け取るゥゥーーーー」 「ウェイ、ファントムル―ジュってアレっショ?? あのクソ酷い映画デショ? ダイジョブ、ダイジョブ、俺あれを見たけど、何とか耐えれたから、怖くなーいww怖くなーいww」 セニオは1回戦、美術館での戦いで、ファントム雨弓と対峙した時に彼の能力で、既にファントムルージュを視聴している。 もっとも、それはオリジナルの劣化の劣化の劣化を、光学的に再現しただけのもの、であるが。 吐瀉物を撒き散らし、全身がズタボロに傷ついたものの、何とか彼にかけられた呪い、『シリアスを理解できない』という特性によって耐え抜き、勝利した。 「お前は……、お前は、真のファントムルージュを知らん」 「ウェイ、怯えすぎだっておじぃーちゃーんww」 「あれは……あれは、この世に非ざるもの」 老人は、元々白い顔を更に蒼白く変色させ、悲壮極まる表情で、セニオに告げる。 「そう、例えるならば、パンドラの箱の最後に残された災厄」 「黙示録の最終章に刻まれた……、神々の怒り」 「地獄の奥底よりも、奈落の淵の淵よりもなお深い絶望……、お前はそれを知る」 「ウェイウェイww、何言っちゃってんの、じいちゃんww」 老人の必死の訴えも、『シリアスを理解できない』セニオには届かない。 老人は、「おお……」とかぶりを振り、そんなセニオに答えた。 「恐れを知らぬ若者よ……。今なら、まだ引き返せる。だがお前が真の悪夢を知りたいならば、もう、止めはせん」 老人は自分の横にある民家の扉を指さして、いった。 「その扉を開けるが良い。だが、そこを開けたならば最後……お主の苦難が始まる」 「決してもう、振り向くことは許されない。ああ……、それでも行くのか」 老人は、気づけば涙を流していた。 セニオはそれに、こう返す。 「おじぃーちゃん、だからダイジョブだってーー。俺、世界平和、目指してるしww それにはこの大会で軽くユーショーwwするのww」 「そしたらおじーちゃんももっと楽しく生きられるってww まあ多分、あのおまわりさん?ww 偽原さんに、そんな事言わされてんだろうけど、体大切にしろって、さっきから そんなゼーゼー叫んで、疲れたッショ?ww」 セニオは老人の肩をバンバンと叩き、明るく声をかける。 彼はチャラ男だが、心根は優しい、明るい、楽しいチャラ男である。 「んじゃww、行ってくるyoww 道案内ありがとー、じっちゃんww」 セニオは老人に手を振り、彼が指さす民家へとかけていく。 老人はそんな彼の背中を涙をながしながら、見送った。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ――ふむ、寂れた廃村と言えば、怪しげなお告げをする老人は付き物。中々の演出だな。 (……お前は、少し黙っていろ) ――そう言うな、これからチャラ男が味わう大難。恐ろしくも楽しみなのだよ。こうして自らの意見を執筆させるぐらいは許してくれ。こんな機会も滅多に無いのでね。 (ここから先も、書き上げるのは、お前では?) ――そうだが、準備をしたのは君だ。これを実行できるのも君というキャラクターがあってのことだ。いやいや、怖い怖い。 (いいから、早く続きを書け) ――そうしよう。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * セニオが家の扉を開け、玄関を上がると、そこは畳作りの和室であった。 真ん中には木造りの大きなテーブルかあり、横には大きな戸棚がある。典型的な部屋作り。 セニオは和室の中を進んでいく。 ブツッ。 突然、近くで音が鳴った。 見れば、和室の机の上には1台のノートPCが置かれていた。 誰かが近づくことで反応する仕掛けだったのだろうか、セニオはモニターにその目を向け……なかった。 「ウェ……ww、これ、ヤバいんでしょww オレ、知ってるしww」 セニオはチャラ男ではあるが、まったくの馬鹿、というわけではない。 偽原の一回戦、二回戦の戦いはちゃんと見て知っている。彼が他人に『映像』を見せることで、精神的な攻撃を仕掛ける能力者であることは明白だ。 ファントムルージュを知っている、と先ほどの老人に語ったものの、そう何度も味わいたい体験ではない。まして、オリジナルはアレより恐ろしいというのだ。 今回の戦いでは、できれば敵の能力は食らわず、偽原を見つけたら、速攻でケリをつけるつもりでいた。 2回戦、鍾乳洞の戦いで見せた偽原の悪辣さ……、それをセニオも目にしている。どんな映像が流れるのか。どうせ、ろくな映像ではないだろう。シリアスを理解せぬセニオでもそれは何となく分かる。 心の中で身構えるセニオ。だが、モニターから目を背ける彼の耳に届いた声は、彼のまったく予期せぬものであった。 「えー、マジィーー? チャラ男ォーー!?」 「チャラ男が許されるのは、せいぜい二十歳(ハタチ)ぐらいまでだよねー、四葉ちゃん」 「キモ―イwww」 「キャハハハハ」 「……ウェ??」 PCから発せられたのは、おおよそ小学生ぐらいの子供達の声であった。 セニオはその映像に目を向けていないが、その声には聞き覚えがある。 チャラ男を嘲け笑うその小学生達の声は、この大会の一回戦で敗退した、高島平四葉と弓島由一の二人である!! 「しってるー? 四葉ちゃん。あのセニオとかいう奴、5年前に大学生以上で、その頃からずっとチャラ男なんだってー」 「えっ……、てことは最低でも2○歳以上?? それでチャラ男?あの恰好?? うっわぁーーーww」 「最っ低だよねーー。ああいう大人にはなりたくないっていうか―。ウェーイとか、ガヂテーとか言いながら、もうほとんどオッサンだよ。うわぁーー」 「ちょっと、由一君。2○歳なら、オッサンとか言うのはまだ失礼よ。私達、いずれ人の上に立つ人間としては、あーいうー人の気持ちも扱えるようにならないと」 「でもさー、四葉ちゃん。あんなの自分の部下になんか絶対できないじゃん。しかもアレ絶対、童貞だよ、ドーテーww。2○歳でww ププッ」 「だから決めつけは失礼よ。あーいうチャラ男に引っかかる女の子だって、世の中広いからいるんじゃない? まっ、絶対○○○○(注:検閲により自主規制)みたいな女でしょうけ どー」 「マジでーー? それ、童貞みたいなもんじゃーんww 俺もう可愛い彼女いるけどーー。やーい、羨ましいか? オッサン」 「キャハハハハ。 由一君、あんまり真実を言っちゃ駄目よww」 「ウェ、ウェイウェイウェイ……」 人の真剣さというものを理解できないセニオだが、その一方で真剣みの無いもの、とりわけ人の茶化しには割と敏感である。 いたいけな少年たちの無邪気な心無い言葉の数々が、彼の心へ突き刺さっていく。 「それでさー、あのチャラオッサン(注:チャライおっさんの略。由一の造語)夢は世界平和だってよ? 」 「なにそれ……私の一番吐き気のする言葉だけど、それをあんなチャラ男が? 反吐を出す気も起きないわね」 「でしょ? 大体、そもそもチャラ男っていう生き物自体が、社会の公害(ゴミ)だっての。存在自体が平和を乱してる奴が、どのツラ下げて言うんだろーねー?」 「私の世界征服プランでも、チャラ男は最優先の粛清対象に入ってるわね」 「俺は、征服とかは興味ないけど、それには協力するよ」 「うん、一緒に世界を綺麗にしましょう」 「オーケー。それにしてもチャラ男ってさー……」 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ――この後も小学生二人のチャラ男茶化しは延々と続くが……、エスカレートしすぎてこれ以上はとても文章化できない。 ――各自、脳内で補完して欲しい。 (正直、聞くに耐えなかったな) ――そうそう、終わりの方には君にも波及していったな。 ――いわく、40近くで延々と嘆いている暗い、キモイ、中年オッサン。あんな汚い手で勝って恥ずかしくないのーー。全国放送で下半身丸出しwwうわーww とか。まあ、概ね事実だな。 (……あれは、思った以上のものだった。充分だ。ここから、奴を精神的に追い詰めていく) ――ふむ、しかしよく彼らに最後、能力を使用することを我慢したな。私としては使ってほしかったところだが。 (善意で協力してくれたものに、そんな真似をするような非合理はしない。最後はお菓子を振る舞って、上機嫌で帰ってもらったさ) ――まあ、彼らも表トーナメントに加え、裏トーナメントでも一回戦敗退だったからねえ。相当腹に据えかねるものがあったんだろう。 ――チャラ男をひたすら罵倒するだけで、優勝賞金の一割が手に入ると言われれば、あれだけの気合を入れる気にもなるか。 ――君が書いた台本以上の演技だったからね……まあ、アレが本当に演技かどうかは、私の一存では決めかねるところだが。 (これは序の口だ。所詮、茶番にすぎん) ――そうだね。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 「ウェッ、ウェッ、ウェッーイww。ウェッ、ウェッ、ウェッーイww」 その後、高島平四葉と弓島由一の壮烈なチャラ男罵倒は10分以上にも及んだ。 セニオは思わず血管を浮き上がらせかけるが、持ち前の軽薄さと、静かにチャラ呼吸を繰り返すことによって息を整え、どうにかチャラさを保った。 「あー、すっきりした。じゃあそろそろ行こうか、由一君」 「うん、四葉ちゃん。この後パフェ食べない? パフェ。あのオッサンが奢ってくれるらしいぜ」 「あら、殊勝な心がけじゃないの。じゃあ、ご馳走になろうかなー」 ようやく終了を告げる、小学生二人のチャラ男への罵リ合い。 終わりは、実に平和なものであった。 ほっと一息をつくセニオの耳へ、やはりPCの側から、今度は大人の男の声が聞こえてくる。 「こんにちわ。セニオ君」 次の声にもセニオは聞き覚えがある。 一回戦、二回戦の映像で聞いた今回の対戦相手の声、偽原光義のものである。 「さて、俺からの君へのプレゼント第一弾の映像、見て頂けたかな? おっと、もし見ていたら、この映像を今の君が見ている余裕はないか」 「既に感づいているだろうがね。俺の能力は、君が映像を見ることで発動する。気を付けた方がいいぞ」 「ウェーイ、オメ、ナニアレ、ナニアレww チョット趣味悪くねww あのガキども」 「無邪気な子供の悪口ぐらい笑って聞き流したらどうかね。チャラ男のゴッドなのだろう。君は」 「ウェ―イウェーイww 良く分かってんじゃん、まったくさっきまでのは冗談きつかったゼwwオッチャンww」 偽原は、挑発的な口調でセニオを煽る。 しかし、セニオも歴戦のチャラ男である、このレベルの挑発ならば、彼のチャラさを崩すには至らない。 「あの子供たちの頑張りはなかなかだったが、このレベルでは、君を崩すには至らないだろう」 「まあ、アレは単なる挨拶代わりだ。この民家の前のお爺さんが言っていただろう。君をここから待つのは、真の悪夢、苦難だと」 「……本番は、ここからだ」 ザザッ…… 偽原の言葉が終わると、突如ノイズ音が響いた。 最新鋭のノートPCには似つかわしくない音だが、あるいは、それが偽原の『演出』なのか。 そして、セニオの耳に、またしても、彼にとって思わぬ声が聞こえてきた。 「セニオ……久しぶりだな、俺だ。ダイキだ。覚えてっか?」 「ウェ……?」 その声は、セニオにとって懐かしい声であった。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * チャラ男1「ウェーイw」 チャラ男2→野良魔人A「ハ? お前何? まだそのノリなの? うっぜ。死ねよ」 チャラ男1「…………」 (黄樺地セニオ、プロローグSSより) * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * そう、関西と関東の滅亡、そしてバンデミックなどの度重なる災害を生き延びたものの、世界の荒廃によって、チャラ魂を失った、セニオのかつての同志の一人。 かつてのチャラ男2、今は野良魔人となった男、ダイキであった。 「では、ダイキさん。今のセニオ君にメッセージをどうぞ」 「ああ。セニオ……、そのすまなかった。前、お前に会った時、俺酷いこと言っちゃったけど、お前今戦ってるんだってな。なんでも世界平和のためにって」 「俺、世界がこんなになっちまって……、昔みてーに、あんな馬鹿なことはできねーけど、でもお前は今も戦ってるんだな。あの頃を取り戻すために。すげーよ、お前は。昔から、生粋のチャラ男だったからな……」 「ウェ、ウェウェーイ……」 今は懐かしい友の声。彼が自分の戦いを遠くで見守っていた。 だが、セニオは彼の姿を見れない。どこで偽原が見張っているかも分からない。その映像に、目を向けてはいけない。 「では、ダイキさん。もう一度、セニオ君が戦っている映像を見てあげてくれ」 「ああ、セニオ……」 ザザッ…… 「あ、ああああああぁぁぁぁーーーーーー!! なんだ、これはぁーーーーーーー!!」 「セ、セニオォ――――――――!! ウェッ、ウェ――――――イ!!」 突如、絶叫が鳴り響く。 画面が切り替わった。それまでセニオへ励ましの声を送っていたダイキの声は、耳をつんざくばかりの悲鳴に変わった。 「ウェ、ウェウェウェウェ……ウェッウェッウェッウェッ……」 あまりの事態の変化に、思わず振り向こうとするセニオ。 しかし、すんででそれを踏みとどまる。駄目だ、映像を見てはダメなのだ。 ザザッ…… 更に、場面の切り替わる音。 「さて、セニオ君。見ての通り、先ほどの男は君のかつての仲間、チャラ男同盟の一人だ。ん、チャラ男連合だったかな?」 「ウェ……ウェーイ? ナニ言ってんだ?? オッチャ――ン??」 「ああ、これは我々魔人公安の君たちの呼称でね。チャラ男というのは群れを為す生き物なのだろう。単体では大きな害をなすこともないが、それが集団をなして活動することで、凶悪な悪行魔人にも匹敵する災害を起こす可能性もある。だから、我々は昔から君たちをマークしていた」 「ウェイ?」 「君の名前もその中にリストアップされていた、というわけだ。その後ろの戸棚を見たまえ」 セニオが目を向けると、戸棚の中に一冊の本がかけられていた。 本の背表紙には、『魔人公安、極秘ファイルC文書』と書かれている 「さあ、手に取ってみたまえ、セニオ君」 セニオがそのファイルをめくると、そこにはセニオの見知った名前がずらり、と並べられていた。 ダイキ、シンタロー、セイジュ―ロー、ユーシ、ガクト、ジロー、レンジ、ヒロシ、ブンタ……いずれも懐かしい名前たち。 そこに記されていたのは、彼らの名前だけではない。その住所、経歴、交友関係、家族関係、様々な事実が列挙されている。 そして……彼らの名前には、3分の1近くに赤ペンでバッテンマークがつけられていた。 残った名前にも、横に『※死亡』と書かれている。 これは……まさか……、セニオの胸に到来する悪寒。 「どうかね。それが魔人公安がかつて洗い出した君たち、チャラ男の調査結果だ」 「社会からはみだし、世の中に迷惑をかける、軽薄不純な君たちチャラ男どもの交遊録」 「通称、チャラリスト――、俺はかつてのつてでそれを入手した」 「さて、もうわかるだろう。そのバッテンマークは、度重なる災害をどうにか生き延びた者達、君のかつての大切な仲間」 「今は全てがチャラ男ではなくなっていたがね……俺は、この数日間、そのチャラリストからしらみつぶしに彼らを探し回った、というわけだ」 「そして……そこから先は君の目で確かめたまえ」 「ウェ、ウェ、冗談キツイッショww マジでww」 「彼らの映像は、今回の試合範囲内にある各民家の中にこうした形で私が事前にばらまいてある」 「全ての映像を見て回った時、君がまだそのチャラさを維持できているかどうか……、もしそれができたならば、俺は君の前へ姿を現そう」 「俺は、『俺がいるべき場所で』君の姿を眺めさせてもらう」 「たっぷりと再会を楽しんでくれたまえ、では」 プツンッ 電源が切れる音と共に、音声が消える。 セニオは一人ポツンと、民家の中に取り残された。 「ナ、ナーニ言ってんだろうなww あのオッチャンww は、ハハハハ、ウェイウェ--イww」 黄樺地セニオは、シリアスを理解できない。 偽原の言っていることの深刻さをまだ心のどこかで捉えきれない。 「ウェーイ、と、とりあえず全部の映像、見てまわりゃいいんでしょww いや、見ないけどww 楽勝ジャンww ウェーイww」 そう言って、転送術を使用し、別の民家へとテレポートした。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ――ちなみに、最近私の周りでは、絆を結んだ親しい仲間や家族同然の人の事をリソースと呼ぶそうだよ。 (リソース? なんだ、それは?) ――ああ、そうか。君にとっては、今やこの大会で敗れた男の一人にすぎんからな。あまり印象に残ってないのも仕方ないか。私から流れ込んだ方の記憶を探ってくれ。 (……理解した。成程、最低だな、こいつは) ――今や君もそれと肩を並べる最低の男なのだよ。私としても承服しがたいことではあるがね。 ――我々は全て勝利の為にやっているだけだ、そうだろう? (…………) ――ふむ、さしずめ今回の君の戦術は「黄樺地セニオ、リソース消費作戦」か。中々のものじゃないか。 (最低なのは、お前だ) * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 「セ、セニォォ――!! ファ、ファントムルージュゥゥゥ!! うわぁああああああーーーーー!!」 「セニオ……やっぱり、チャラ男が生きれる世界なんて、ねえよ……こいつは、こいつは酷え……酷すぎる」 「ウェーーーイwwウェ―――イwwウェウェ――――イww オウェウェ……オウェオウェエ……」 セニオは既に7つほどの民家をまわっただろうか。 そこに映し出されるのは、いずれも最初のダイキと同じ、セニオのかつての同志達。彼らは次々とセニオに励ましの言葉を送り、そしてファントムルージュの前に果てていった。 あるものはセニオに助けを求め、あるものは、世の中をひたすら嘆き、あるものは、自分の原点であるチャラ男へと回帰していった。 そして、セニオの耳に聞こえてきた『声』はかつての同志、だけではなかった。 「セニオ……私ね、結婚して、今赤ちゃんができたの」 「こんな世界だけど、この子と一緒に家族皆で生きていければ……いいなって」 「セニオは……まだチャラ男だけど、平和の為に戦ってるんだってね。凄いな」 「私、昔、セニオと遊んだこと、忘れない。頑張ってね……セニオ」 ザザッ…… 「ひぃぃぃ――、いやぁぁーーーーー!!な、何これ、この映画ぁーーーーーー!!」 「こんなの、こんなの子供に見せられないぃぃーーー。いやあーーー!! こんな世界は嫌ぁーーーーーーー!!」 そこには、セニオがかつて大学時代に仲間と共にナンパした女性たちも含まれていた。 懐かしき人々、セニオが取り戻したかったもの、この荒廃な世界においても今を懸命に生きていた彼らの、恐るべき悲鳴が、セニオの胸に刺さる。 「ウェーイwwウェーイww ウェーイww」 しかし、セニオからは軽薄さが消えない。 シリアスを理解できない呪い、それはこれほどまでに深いのか? 「はっはっは、セニオ君。どうかね。これ程までに君を想う、罪のない人たちが倒れて行っても、君はチャラ男のままか」 そんなセニオに、相も変わらず挑発的な偽原の言葉が響く。 「かつての仲間や恋人が傷ついても知らんぷりか。酷い男だなあ。でも仕方ないか、チャラ男だもんな、君は」 「ウェ……イ……」 繰り返される仲間たちの悲劇。それに対して本当にセニオは傷つかないのか? まったく理解ができないのか? 否、そんなはずはない、彼はシリアスを理解できない。しかし他人の心の痛みが理解できない男などでは決してない。 そうであれば、彼が世界平和などどいう他人のための目的を持ったりするだろうか。 そう、彼は他人の為に戦える男。だからこそ、世界を歪に変えるシリアスが許せない。 セニオの中に、世界をひたすらシリアスに染めようとする男、偽原への苛立ちは、着実に蓄積されていた。 「いい加減にしろって……の。ウェイww」 どうにかまだ軽薄な言葉を吐くセニオ。 「ふふ……、少しは限界が近づいているようだね。セニオ……、む……??」 「ほう、これはこれは。面白いなあ。セニオ君」 「スペシャルゲスト、第2弾だ。リアルタイム中継だよ」 「ウェイ?」 ザザッ…… 「セニオ殿っ!!負けてはいけませんっ!!」 突如、凛凛しい女の声が響いた。 その声は、セニオには良く聞き覚えがある。それも、ごく最近のものだ。 「あなたは……、あなたは、私と約束したではないですか。勝って、私の願いを叶えると」 「それを……このような下郎の、卑劣な策の前に、怯むなどなりません!」 「ハレルちゃーんww ウェーイww」 そう、それはセニオが一回戦で戦った姫将軍ハレルであった。 共に疑似とはいえ、ファントムルージュの苦痛を分かち合った仲。 そして……、セニオは約束した、この戦いに勝った時、彼女の願いも叶えると。自分の願いは、世界平和。そこに彼女の国も救う道があると。 そして、約束はもう一つ。 「あなたは……連れて行ってくれるのでしょう。この戦いが終わったら、私を遊びに。嫌なことが全部忘れられる……」 「ウェイwwウェーーイww 言ったその通りww 俺、勝ったらハレルちゃんと遊ぶってww」 「あなたは約束を破ったことが無い、そう言いましたね。ならばここで負けることは許されません」 「勝って、勝つんです。セニオ殿」 「ハレルちゃーんww 俺、ダイジョーブww スッゲww 力湧いてきたってゆーかww」 「はい、ファントムルゥージュ」 PCから、突如軽い、男の声が流れる。 一瞬の沈黙。そして、 「あっ……何……これ……違う、前のとはぜんぜん……」 「嫌だ……嫌だ……、こんなの、私は認めたくない……、でも、でも、これは酷すぎる」 「世界が、世界が、黒く染まる。何かもが澱んで見え……、ああ、故郷が……私の故郷が……あう、あああ……」 「セ、セニオ、セニオ殿ぉーーー!!」 勝気な、凛とした姫将軍の面影は、次の瞬間どこにもなかった。 深く深く、絶望に沈んでゆく姫将軍の声。それは、まるで無理やり処女を奪われた乙女のように泣き濡れ、か細く弱弱しい声へと変わっていった。 「ハ、ハレルちゃーん??」 「ははは、どうだね。セニオ君。俺の能力は」 「例えモニター越しであってもね、そこに相手がいると知覚できれば、そしてその相手が何かの映像を見ていれば、それをファントムルージュに切り替えることができるんだ」 「ウェイ??」 「この戦いを見てる観客の様子もちょっとモニターしていてね。その中に健気に君を応援する姿があったからね。折角だから犠牲になってもらったよ」 「いかがかな。 君のために、また一人、仲間の心が砕かれてしまったな」 「オ、オメッ……オメッ……オメェー……」 セニオの肩がついに、震えだす。 だがセニオは、はっ、とあることに気づく。 「ウェイ、てかあれ、反則ジャネ?ww 」 「運営さーん、光素チャーンww、あいつ、観客に手を出したっショ?ww 今ww」 「アリャ、完全にルール違反ww これ、俺の勝ちジャネww ウェーイww」 セニオは両手を大きく振って、この試合を見ているだろう、大会運営に向かって、偽原の反則をアピールする。 しかし、反応は無い。 「ウェイww チョットww どーしたの?ww ルールだよねww ルールww」 なおも、身振り手振りをしながら、騒ぐセニオ。 やがて、空から、この大会の実況役、佐倉光素の声がした。 「……解説をいたします。偽原選手は反則を犯していません」 「ハ? ウェイww チョットww ナンデww」 「理由の説明は私からはできかねます。偽原選手は反則はしていない。それだけです」 「ウェーww ナニソレ―ww あいつに金貰ってんの??w おかしくね? 観客に手を出しちゃダメだってー」 「……私たちは公正です。言えることは以上です」 「ちょっと、ちょっとー。ナンデww」 セニオは、なおも虚空へ向けて抗議するが、それ以降一切光素からの反応は無かった。 代わりに、やがて再び偽原からの声がした。 「運営に反則のアピールか。せこい。せこい男だね、セニオ君。いや、チャラ男なんだから仕方ないか。せこくて当たり前か」 「どういう事だよ、オッチャ―ン……、審判買収してんの」 「そんなことができるわけないだろう? 運営の非難まで始めるとは。君のせいで、君にかかわった人々が次々不幸になっているというに、つれない男だね、君は」 「お、おい……いい加減にしろってww」 「さて、俺が用意した君の知り合いの、君への励ましの映像はまだ三分の一ほど残っている。頑張って探してくれたまえ」 「最後に、もう一度愛しのハレルちゃんの声でも聴いてくれ」 ザザッ…… 最後に映像が切り替わり、再び「ああ……」「うぐ……」「私は、もう、嫌だ……」というハレルの声にならないような悲鳴が聞こえた。 セニオは、その映像からは目を背けたまま、ただその場に取り残された。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 「うん、やっぱり最悪だよね~。あのオッサン……」 本試合会場の一室。 この準決勝の戦いを、モニターで鑑賞する一人の少女の姿がある。 銀髪のウェーブに、制服+パーカーの恰好。 偽原光義が一回戦で戦った相手、偽名探偵こまねである。 「依頼だから、しょうがないけど、やっぱり物凄い犯罪の片棒担いじゃった気分だよ~~~」 「何より、やっぱりアレ、恥ずかしいし~」 こまねは、頭を抱えて「あう~~」と苦悩している。 無理もないだろう。 先ほどまで、『ファントムルージュに苦悩する演技をする自分の映像』が、流れていたのだから。 「あのチャラ男さん、可哀そうだよね~~。まんまと罠にはめられちゃって」 「でも、これも仕事なので。ごめんなさい~!!」 モニターの前でセニオへと詫びる。こまねであった。 そう、セニオは実際にハレルが悪夢に染まる映像を、見ていない。 実際映像に映っていたのは彼女、偽名探偵こまねの方である。 彼女は、その魔人級の声真似の能力によって、ハレルの物真似を演じた。 1回戦で偽原のファントムルージュ・オンデマンドを受け、筆舌に尽くしがたい汚辱を受けた彼女であったが、その後色々あって回復し、現在は裏トーナメントにも参加中である。 偽原に対しては実に複雑な心境の彼女ではあるが、前に出てきた高島平四葉と弓島由一らと同じように、軽く協力してくれたら、自分が優勝した場合の大会賞金の一割を渡す、という甘言に乗って、ほいほいと依頼の形式で、彼に協力してしまったのであった。 女子高生だが、彼女もプロの名探偵である。正式な依頼、それも破格の報酬があるとなっては、完遂しないことには信用に関わる。 「という、こっちの事情を利用して、またも言いように使われた気がする~」 「あっ、裏トーナメントの準決勝がそろそろだ。じゃあね、チャラ男さん。あなたが、この後ファントムされても、私が裏で優勝すればなんとかなるかもだから~」 そして、こまねは会場を後にした。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ――ふむ、こまねちゃんは一回戦に続いて、また何とも言い難い演技をさせてしまったね。申し訳ないことだ。 (ルールは破れんだろう。流石にあの姫将軍と一戦までして、事前に映像を用意する程の余裕もなかった) (代替としては、これがベストな方法だ) ――うん、私としてもあまりにも展開に無理筋のあることは書けんしな。 ――だがまあ、安心だよ。私も心苦しいのだ。彼らは私ではなく、別の方が大切に書いたキャラクターなんだ。 ――やむを得ない戦闘行為ならともかく、無暗にあんな映画を見せることはしたくない。 (……出鱈目を記すな。お前は、書ける状況であれば、嬉々として書くだろう) (本当はゲラゲラと笑いながら、もっと直接姫将軍が苦しむ様を書きたかった。違うか?) ――………… ――ノーコメント、だと書いておこう。 (さて、セニオの奴も相当追い詰められていると見ていいか) ――そうだね。仕上げの時は近い。 ――せいぜい、気を引き締めてくれたまえ。私は応援しているぞ。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 「ヒャッハ―!!ファントムルージュゥゥゥーー!!ヒャハ――――!!」 まわりまわって十数件目、最後の男、今はモヒカン雑魚となっていたかつてのチャラ男3、ケイゴの絶叫が部屋に響いた。 「ウェーイww アイツww、モヒカンになっても声変わってねえなあww ウェーイww」 セニオは、未だ平然とした様子でチャラさを保っている……ように見える。 だが、その心は実際には擦り切れてボロボロなのだ。ただ、彼にかけられた呪いが彼を支えているのか。 それとも、何か別の希望でもあるのか。 パンパカパーン セニオの近くにあるノートPCから、緊張感の無い効果音が流れた。 そして、今やセニオにとってはただ忌々しい声、偽原の声が流れる。 「コングラチュレーション、セニオ君。今ので最後だ」 「今のモヒカンチャラ男で、私がこの数日で探せたチャラ男は全部だ」 「いかがかな、久々の再開、楽しめたかな」 「ウェイ、もう……オッチャンの声は、聞きたくねーな……」 「ふっ、流石に限界が近いか? まあそれもすぐに分かる」 「では決着をつけようか、セニオ君。俺がいる場所を明かそう」 「俺がいる場所は『お巡りさんがいるところだ』」 「少し考えれば、君にも分かる。では、来たまえ。待っているぞ」 「ウェイ? オーイ?」 そして、偽原の声は消えた。 それきり何の音もしない。セニオは途方にくれた。 「お、おーい、チョっww あのオッチャンww ナニイッテンダww」 「ヤッベ、もう時間無くなる……ww 何だよーおまりさんの居る所ってwwん、おまわりさん?」 セニオの動きが止まる。 「そっか、こんな古臭い場所でも、一つはあるよな」 そして、セニオの姿はその場所から消えた。 セニオの姿が転送される。 今日何度目の転送か、良くも一度も失敗せずここまで来たものである。 そしてセニオが前を向くと、そこには一つの看板があった。 『××村、駐在所』 そこはこの廃村の駐在所。 過疎地に対して、警察官が常駐する場所である。 「ウェーイww こんな簡単なこと、なーんで気づかなかったんだww」 セニオは、駐在所の門をくぐる。 中には、警察官が使用する、様々な備品が置かれていた。 だが、探していた偽原の姿はない。 セニオは中に入り、辺りを見回すと、すぐに奥の方に地下へと降りる階段があることに気づいた。 セニオは進み、ゆっくりと、階段を降りていく。 そこは、周囲の全てがTVモニターで覆われた地下室だった。 その中心に、椅子の上に腰かけて、探していた男。偽原光義が、いた。 偽原は、おそらくここにあるモニターで、この廃村内全てをカメラを通して監視し、これまでセニオを煽っていだのだろう。 「ウェイッ……」 セニオはすぐに、後ろを振り向いた。 気づいたからだ、偽原の周囲のTVモニターが、これまでセニオが見てきた……正確にはその音声を聞いただけだが、彼のかつての友人たちが、あの映画……偽原の能力、ファントムルージュ・オンデマンドによって苦しめられる映像を写しているのを。 「どうした? 何故振り向く、セニオ君。せっかく君の前に姿を現してあげたというのに」 「ウェーイ。オッチャン。ワリーけど、調子に乗るもの、ここまでだぜww ウェイwwウェイww」 セニオは、ここにきて妙にチャラさを取り戻し、笑いに勢いが戻っている。 偽原は、カチャリ、とライフルを構える音を立てた。 「俺を見ずに、どうやって戦うつもりだ? 悪いがこちらも準備はきっちりと整えている」 「後は君を撃ちぬき、映像を見せるだけだ。簡単なことだよ」 「ウェッウェッウェッww、ウェッウェッウェッww」 セニオは高らかにチャラ笑いを繰り返す。 「悪いな、オッチャンww ここまでこれたらもういいのww もうダイジョブ」 「後はあんたを倒せば、全部元通りだから、ガチデww」 「何……?」 怪訝な声を上げる、偽原。 セニオは高らかに声を上げるーー!! 「時間、ギリギリだったわww でもまだ2時間以内」 「だから、俺の勝ちィーww」 セニオは目を閉じたまま振り向く。 そして偽原を指差し、叫んだ! 「『セット』! 『世界の敵の敵』ィ!」 偽原光義がこの数日間、セニオのかつての仲間達を虱潰しに探して準備を進めていたように、セニオも座して今日までの戦いを過ごていたわけではない、 偽原に対抗できる、コピー可能な魔人能力が無いか、大会運営と大会参加者の中から探っていたのである。 そして行き着いたのが、偽原やセニオとは別の2回戦を勝利した魔人、"ケルベロス"・ミツコの能力、『世界の敵の敵』であった。 『世界の敵の敵』は、常時発動型の魔人能力である。 "ケルベロス"・ミツコは他の魔人を倒すことで、その主人公力を奪い、自動的に自らの力のリソース(この場合は正しく『消費する源』という意味である)とすること。 そして、その後ミツコ達が『世界の敵』となる存在を『認識』することで、その世界の敵がもたらした災いを打ち消すことができる。 ミツコは2回戦で、猪狩誠という自分の家族をリソース(ここでは正しく(以下略))として力を得てきた魔人を倒す時に、この力を使い、彼をきっかけにこれまで起こされてきた災いを打ち消した。 猪狩誠は『家族の犠牲』という災いを世界にもたらしてきた。猪狩誠は『世界の敵』となる存在と『認識』されたのだろう。 そして、2回戦を見たセニオもミツコ達が世界の災いを消した事実を認識することで、その能力内容を把握した。 (セニオの能力は通常、情報媒体越しには効果が無いが、ミツコの能力は「世界」そのものに影響を与えるため、彼は認識することができた) 彼はその能力こそが、世界に『ファントムルージュ』という災いをもたらす偽原光義の能力、ファントムルージュ・オンデマンドに対抗しうると思ったのである。 セニオは試合の直前、もう一つの準決勝へと赴く前の"ケルベロス"ミツコに接触し、その能力をラーニングしていた。 (常時発動型の魔人能力なので、セニオが元から知識さえあれば、接触するだけでラーニングが可能である) セニオも、ここまでの戦いで4人もの主人公の可能性を持った魔人達に勝利している。 彼らの力があれば、ある程度の大きな災いを打ち消す力を得るには十分。 この男、自分の目の前にいる偽原光義の能力、ファントムルージュ・オンデマンドは確実に世界に滅びをもたらす側の力だ。 それはこれまでの、そして今回の戦いのおけるこの男の行動が何より証明している。 ならば、この能力によって、偽原がここまで起こした災いは、確実に打ち消すことができる。 その希望が、ここまで偽原の姦計に一方的に追い詰められいたセニオを支えていた、答え。 これで、偽原を打倒する力を得ることができる。 今、セニオは、『世界の敵の敵』となるーー!! 「…………」 「…………」 「………………………」 「………………………ウェイ?」 何も起こらない。 『世界の敵の敵』が発動した様子はない。 あの能力が発動すれば、世界にノイズが走り、目の前の敵によって世界に引き起こされた災いは修正される。 そして、その敵を倒す力が湧きあがるはずだが、そんなものが得られる様子はない。 「ウェイ? なんで?」 「残念だったなあ……セニオ君」 偽原は立ち上がり、ゆっくりとセニオに近づいていく。 その視線は、まるでセニオを哀れむように見つめている。 「俺が世界の敵なのかどうか、それは分からん」 「だが、世界が確かに俺を敵とみなせば、お前の能力は発動するのかもしれん。俺もミツコの能力の詳細は、2回戦の映像と、『奴』から聞いた断片的な情報でしかしらんが」 「だが、今は駄目なんだ。世界の敵とは、今この瞬間は、俺のことではない」 「現在の世界の敵とは、『今、俺を書いている男の方だ』」 「…………ハア?」 「俺はな、セニオ君。この戦いの数日前、君が2回戦で戦った相手、紅蓮寺工藤の能力を受けた」 呆気にとられるセニオの前で、偽原は、空を仰ぎ見ながら、解説を続ける。 気づけば、周囲のモニターからの音が消え、偽原の声のみが響くようになっていた。 「そして、俺は奴の能力にかかり、この世界の真実を知った」 「そして、俺の戦うSSを書いている男の存在、それを『認識』した」 「……下らん男だ。奴は自分の味わった絶望を、この世界へ向けて全部ぶちまけようとしている」 「俺も自分の運命が、俺と家族のあの運命が、あんな男によって弄ばれたものだったと知った時は、嘆き悲しんだよ」 (だが、その絶望だけは、まぎれもなく俺と共通していた……)と、偽原は心の中で一人ごちる。 「そして、俺は奴の手の中で、奴の書くがままに今、世界に滅びをもたらす存在になった……『ということになっている』」 「分かるか? つまり今世界に滅びをもたらそうとしている元凶は俺ではない。その男だ」 「ハア……? そ、そんなわけねージャン。アンタがやったことっショ?? 全部、アンタが」 理解できない、とセニオは狼狽する。 チャラ男な彼にも、こんなわけのわからない話を聞かされては、さすがにうろたえざるを得ない。 「まあ、確かにいくらこの世界が物語で、その作者がいると言っても、作者自身とその登場人物は全く別の存在。その人物の行ったことは、すべてその人物の責任になるだろう、普通はな」 「ただ、俺の能力に関しては、特に俺を書いたその男の認識との結びつきが非常に強い。その男の「意思」なくして、俺の能力は、あんな力を持たん」 「だから、世界の敵を示すなら、今は俺ではなく、その男の方を示さねばならんのだ」 「だが、その男は、ここでは無い。まったく別の世界。例えれば、天の上とでもいうべきか。そこで今、俺たちの戦いを書いている最中だ」 偽原はセニオの方を向き直し、指を天へと向けた。 「お前には決して認識できん。お前にかけられた紅蓮寺工藤の能力は、二回戦で既に切れてしまっている」 「自分が認識もできない存在を、『世界の敵』とすることはできないよ。だから、お前がコピーした能力は、『世界の敵の敵』は発動しない」 「だから、お前に力が宿ることも、これまで起きた災いが消えることもない」 「い、意味わかんね? マジデwwガヂデww」 「まあ、確かに意味の分からん話か、いってみれば俺が神を認識したことで、神が生まれ、全ては神のせいになったと言っているようなもの。実に馬鹿馬鹿しい」 「だが、今確かにその神らしき奴は実在する。神をどうやって罰する……?」 「 ……といっても、この展開も全てはその神の書いている通りに起きているだけか。ならば、そもそもこんな議論も不要か。 ふっ、確かに意味の分からん話だな」 偽原は、自嘲気味に首を振った。 「お前は既に紅蓮寺の能力の効果が切れているから、忘れているだろうが、二回戦で遠藤終赤が心の中で言っていたな。 卵が先か鶏が先か。どちらが先なのかなぞ、証明は出来ない、と な」 「とにかく、そういうことだ。お前は『世界の敵』を倒せない」 「ハ、ハハハ、ナンダッテーww ウェーイww ウェーイww」 セニオの中でこれまで自分を支えていたものがガラガラと崩れていく。 もう、ここまで起こった事実を変えることはできないのだ。運命は変えられない。 ダイキ、シンタロー、セイジュ―ロー、ユーシ、ガクト、ジロー、レンジ、ヒロシ、ブンタ、ガクト、それに……サツキ、サクラ、彼の仲間たちの、そしてかつて愛した女たちの顔が浮かぶ。 そして、これまで聞かされてきた彼らの悲鳴へ、そのイメージが変わっていく。 『シリアスを理解できない』セニオの呪い。だが…… 「さて、もういいだろう。セニオ君、これがラストだ」 セニオは気づけば既に目を開けて偽原の方を見ていた。 「最後の映像、見てもらおうか。そして、逢えてこの言葉を送ろう」 「おとなしく、上映(うんめい)を受け入れろーー」 偽原の背後のモニターに、その『映像』が表示がされた。 「セニオ……、お前、立派になったね」 「ウェッ……??」 「お母さんは、嬉しいよ」 それは、セニオが今日聞いた中で、もっとも懐かしい、声。 彼の母親の、映像だった。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * チャラ男は皆、生まれた時からチャラ男か? 否、どんなチャラ男にも、その前の段階は存在する。 生まれついての悪人というは、もしかしたら存在するかも知れないが、生まれついてのチャラ男というのは存在しえない。 どんなチャラ男にも、いたいけな子供時代というのは存在するのだ。艶やかなアクセサリーで着飾る前、金色に髪を染める前の時代。 数年前――。 それは、この廃村と良く似た、のどかな田舎の村。 夕日を背に、一人の黒髪の少年が、年老いた女性と会話をしている。 「じゃあ、お母ちゃん。俺、東京に行ってくる」 「セニオ、本当に大丈夫なの?」 「大丈夫だって、東京に行って一旗上げるのが俺の夢なんだ。派手に東京デビューとかしちゃったりして。はは」 「お前にそんなこと、できるのかねえ。お母さんは心配だよ」 「俺には夢があるんだ。東京にいって、それを叶えて来るよ」 「もう、電車が行っちまう。それじゃ、お母ちゃん。夢を叶えたら、俺、必ず帰ってくるから!!」 少年は、電車へと乗り込む。電車が発車する。 女性はそれを走って追いかける。 「セニオーーーーーーーーーーーー!!」 少年は、涙を流しながら、女性に答えることなく、背を向けた。 ……その少年が「ウェーーーイww」という言葉とともに都会に染まり、チャラ男と変化するのはその約一ヵ月後である。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 「お、おかあちゃーーーーーーーーーーーん!! ああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!!」 2020年の現在。 セニオは、涙を流しながら、目を見開いて絶叫している。 その姿は、一人のチャラ男から、かつての純粋な一人の田舎少年の姿へ、戻っていた。 彼の目に何が写っていたのか。それを克明に描写することはあまりにも残酷で筆者にはできない。許してほしい。 そして。 偽原の能力、ファントムルージュ・オンデマンドが発動する。 フ ァ ン ト ム ル ー ジ ュ (あ、この冒頭。俺あいつの能力にかかっちまったのか) (デモダイジョーブ……俺、これもう見たしww) (同じような内容なら、全然耐えられ……) (ウェ……な。なにこれ……、ツマンネ? ただツマンネ?) (ナニモナイ……空っぽだ? 作ったやつ、ナニカンガエテルノ? ナンニモツタワンナイヨ?) (アレ、コレもとの奴……あんな凄い漫画なんでショ? それが……ナニ?) (あ……さ、サム……サム……) セニオの脳髄は深い深い闇の中。 酷く冷たく、恐ろしく肌触りの悪い水の中に使っているような感覚を受ける。 やがて、全身が痺れていくのを感じる。 体の痛みは、ない。 ただ、心が沈む。 目に移る作品から流れ込む、そのいあまりのどうしようもなさ。 そこにはセニオを傷つけようとする意思など微塵もない。 ただ、彼の意識を闇に沈めるのみである。 (全然違う……前に見たのと全然違う……) (なんだこれ……なんだこれ) * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * その作品には、熱が無い。 意志が無い。工夫が無い。情を感じさせない。人間の持つ叡智、というものを何一つ感じさせない。 元となった作品は、それとは全く真逆の力を持った作品だというのにである。 例え、どれほどの年月をかけ、 例え、どれほどの情熱があり、 例え、どれほどの純粋な思いがこめられたものであっても、 人間は、何の意志も無く、きわめて平坦な感情で、それを一瞬のうちにガラクタに化すことができるのだ。 それが人間なのだ。 セニオが一回戦でファントム雨弓からファントムルージュの劣化コピーとやらを見せられた時、セニオの肉体にもダメージが表れていることを見て、偽原はその劣化コピーを作った人間がファントムルージュを何一つ理解していないことを悟った。 そもそもの前提が違うのだ。ファントムルージュを作ろうとした人間には駄作にしてやろうとか、見る人の精神を破壊しようなどどいう意識は欠片も無かった。 ……失礼。いくらなんでもそんなつもりで作品を作ろうとするなど、よほど特異な例を除いては存在しない。 だが、その作品には、逆に通常の作品には感じられるはずのもの。名作にしよう、お客を楽しませよう、といった正の方向での意志や情熱すら全く感じさせない。 だから、少しでも駄作にしてやろうとか、相手を傷つけよう、などどいうモノがこめられた時点で、その作品はファントムルージュではなくなる。 肉体的なダメージという破壊的なベクトルを込めるなど、ファントムルージュではない。 つまらなさ、ただつまらなさ。 その映画が指し示すのは、言うなれば、圧倒的な人間の可能性の無さ。 それが、この世界におけるファントムルージュの正体である。 「お、オカーちゃん……怖い、トーキョー、怖い……」 「世界平和だって……? ハハ……駄目だわ、こんなのを作る奴がいるんじゃあ……」 「俺、やっと理解できたよ……世界って、人間って、こんなにくだらなかったんだあ……はは」 セニオは……今やチャラ男の原型を留めていなかった。すっかりただの2○才の男である。 こことは別のとある世界。一人の青年の精神を、いやその青年だけではない、数多くの、その漫画のファンの精神を蹂躙した映画。 それは今、この世界において、彼らが抱いた、絶望を、苦悩を、憎しみを、悪夢を体感させる存在として、顕現する。 そんな圧倒的な『人間そのものへの絶望』の量を味合わされては、もはやチャラ男どころではなかった。 ーー幕切れは、あっさりしたものだったね。 偽原の頭の中で声がする。 今回の大会中、ずっと偽原に語りかけていた。うざったい、その声。 「全てはお前の思うとおりの展開を書いただけ、違うか?」 ーーいやいや、ここまでのシナリオを実行できたのは紛れもない君自身の力だよ。 ーーしっかりと準備を整え、かつての仲間(リソース)達を潰していき、セニオから、彼のアイデンティティーであるチャラさを奪いとる。 ーーこの作戦は君でなければ実行できない。 ーーそして、あれを最後までとっておいたのが良かった。 「人間にとって、やはり肉親への情愛こそはもっとも大きいものだ」 「それを完全に断ち切ってしまうことは、できない」 ーーふむ、結局、セニオは真の孤独には立てなかった。神にはなれなかったということか。 ーー芥川龍之介の『杜子春』という小説が、似たような話だったね。言葉を発せずにいれば、仙人になれると言われて艱難辛苦を耐え抜いた若者が、最後に耐え切れず声を発してしまったのが、彼の母親が苦しむ姿だった。 「お前が、それを参考にして、この流れを書いたんだろう」 ーーいやはや、正直そこを書くためだけに字数が伸びすぎた。 ーーどうだね。今もう二万字を超えているよ。タイマン勝負でこれだけ書いたのは多分私がはじめてかな。 「自業自得だな」 ーーそうだね。さて、そろそろ私はお暇(いとま)させてもらうよ。 「何? どういうことだ?」 ーーあまり私がでしゃばっては。読者諸兄にもいい加減うざったいと思われてしまうからね。それに、こんな反則手が使えるのも一回こっきりだ。次からは確実に飽きられる。 ーーああ、君が幕間SSで傷つけた紅蓮寺工藤だが、色々あってファントムルージュから解放され、君に関する記憶も消えたことにしておいた。 ーーというわけで、そろそろ私に関する君の認識も消える。 「そんないい加減なことでいいのか」 ーーそれで読者が納得してくれれば問題ないのだよ。 ーーというわけで君が次に戦うときは私の助勢は無しだ。がんばってくれ。 「お前は、何もしなかったろうが」 ーーまあ、そうだね。私にできたのはせいぜい自分が『世界の敵』となっただけだ。 ー-次にオリジナルの"ケルベロス"ミツコが上がってくる可能性もある。その時は、今度こそ君が世界の敵かな? (……そうなった場合の流れもお前が書くんじゃないのか?) (こいつのわざわざ芝居ががった物言いには、最後まで慣れなかったな) ーーでは、さらばだ。私にこの続きを書く資格が得られるかどうかは、それこそ本当に天のみぞ知るところだが。 ーー私は君というキャラクターを書いたこと、生涯忘れないよ。 「そうか。では最後に一つ言わせてくれ」 ーーん?なんだね。 「地獄に落ちろ」 ーー……では。 そして偽原の頭の中から声が消える。 その瞬間偽原は「ん……俺は誰と会話していたんだ?」とやや混乱したが、近くに倒れているセニオを見て、落ち着きを取り戻す。 自分は勝利したのだ、あの男の心を、その身にかけられた、その呪いごと叩き折ることによって。 偽原は彼に近づいて、語る。 「……さらばだ、チャラの王よ。だが、お前は結局神にはなれなかった」 「しかし、心配することはない。お前の目的。世界平和だったか。それは果たされる」 いまだ虚ろなセニオは「ウェイ……?」と偽原へ目を向ける。 「そう、俺があと一回勝てば果たされるのだ」 「俺の目的……、それはファントムルージュにより……世界に真の滅びをもたらし」 「そして、救済することだ」 準決勝、終了――。 このページのトップに戻る|トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/dangerousss3/pages/196.html
第一回戦【ホームセンター】SSその3 倉敷「絶対に笑ってはいけないホームセンターだと?」光素「はい」 『裏トーナメントお笑いバトル開幕』 光素「皆さんどうもこんにちは。今回の進行役をする佐倉光素です」 光素「今回は皆さんに特別ルールで戦ってもらうことになりました」 光素「題して『絶対に笑ってはいけないホームセンター24時』!」 ゾル「…どんなルールなのよ。何か分からないけど嫌な予感しかしないんだけど」 三傘「というか、普通に戦わせてくれないんですか?」 倉敷「特別ルールというのも意味不明だが、台本を読んでる様な気分なんだが」 光素「やはり皆さん疑問をお持ちのようですね。では順番にお答えしましょう」 光素「まず、倉敷さんの不安についてですがこれは大丈夫です」 光素「この形式は『まおゆう型』といって今では立派なラノベ文体の一つですので」 光素「続いて三傘さんの疑問ですが、皆さん表トーナメントの事覚えてますか?」 三傘「何かよく分からない内に負けました(泣)」 倉敷「対戦相手がキチガイだった記憶がある」 ゾル「対戦相手がキチガイだったわね」 光素「いえ、皆さんの勝負だけじゃなくって全体を通しての事です」 光素「あっちでも一試合だけ特別ルールに変更されて戦った試合がありましたよね?」 三傘「えーっと、時計塔の試合の事ですか?」 光素「トリニティ選手大正解!実はあの勝負最初からああなる予定だったのですよ」 倉敷「どういう事だ?」 光素「ほら、全試合スプラッタだと観客の感覚がマヒしてくるじゃないですか」 光素「なので、色々とめんどい人が集まったあのブロックを特別形式にしたんです」 ゾル「その言い方だと私達も面倒なメンバー扱いみたいなんだけど」 光素「現にそうじゃないですか、物理無効に命ストック方式に物質変換って」 光素「おまけに全員銃器以上の火力は無し。つまり全員が相手の防御突破が無理目」 光素「よって、絶対塩試合になりそうなこのブロックを特別試合にしたんです」 ゾル「そう言われると…反論出来ないわね」 光素「残りの皆さんも文句はありませんね」 倉敷「ルールならば仕方無いな」 三傘「どんなルールだろうと僕達が勝ちますよ!」 光素「納得してもらった所でこれより準備とルール説明に移ります!」 『ルール説明』 光素「ただいま参加者の三名が更衣室でホームセンター店員の格好に着替えています」 光素「着替えが終わるまでの間に観戦する皆さんに今回の特別ルールを説明しますね」 光素「この勝負は従来の勝敗条件に加え以下に書かれたルールが追加されます」 1.参加者は新人店員という設定で三ヶ所を周りその間笑う度にペナルティとなる。 2.佐倉光素の進行に従わない場合は大きなペナルティが与えられる。 3.三ヶ所での研修(コント)を終えたら結果発表が行われゲーム終了。 4.結果発表の時点で二名以上残っている場合ペナルティの少ない人が勝者となる。 5.この戦いでは対戦相手への直接攻撃を禁ずる。どうせ無駄だし。 6.トリニティは各コーナー毎に人格チェンジし、各人格のペナルティを合計する。 光素「どうやらルールを読んでもらっている間に着替えが終わったようです」 光素「では一人ずつ出てきて下さい、まずはトリニティ・三傘選手!」 三傘「…あの、なんか僕の服大きいんですけど」ブカブカ~ン 光素「トリニティ選手は三人格でその服使いまわして貰いますから」 三傘「あー、岩名さんの為ですね」 光素「はい、巨乳ですからね彼女。続いてエルフの元女騎士ゾルテリア選手どうぞ!」 ゾル「ちょっとー、私の服すっごいブカブカなんだけど!」ブッカブッカ~ン 光素「ペナルティ受けたら絶対元に戻ると思いブタテリアさんサイズにしました」 三傘「ぶ、ブタテリアってww」 デデーン、三傘、アウトー 三傘「えっ?」 光素「おおっと、早くもペナルティ発動ですね。ペナルティ担当係さん出番でーす」 イヌ「ワオーン!」シュタタタ、バシーン! 三傘「ンギャー!ケツに鎖がー!」 ゾル「今のって鎌瀬戌よね?何やってるのアイツ」 光素「今の彼はペナルティ担当の人です。気にしないで下さい」 光素「あ、彼の攻撃をよけたり反撃したら進行妨害とみなし大ペナルティ発動ですよ」 三傘(大ペナルティだと一体誰が来るんだろう…) 光素「それでは最後の一人、倉敷選手出てきて下さい!」 倉敷「…何で」 光素「どうしました?出てこないと大ペナルティですよー」 倉敷「…何で、何で俺の服だけ違うんだよ」 倉敷「これ女物の着物じゃねえか!」 ゾル「ブフォww」 三傘「うわ、似合ってるwww」 デデーン、ゾルテリア、三傘アウトー イヌ「ワオーン!」シュタタタ、バシーンバシーン! ゾル「お尻への鞭打ちは物理・性属性ッ!」 三傘「さっきと同じ場所にっ!」 光素「似合ってますよ、倉敷千鶴さん」 倉敷「千鶴ちゃうわ!…ハッ、何でお前がその名前をっ」 光素「それでは全員揃った所で事務所から店内へ移動します。付いてきて下さいね」 倉敷「おい、無視するな!何でお前が俺に憑いてる幽霊の名を知ってるんだ!」 光素「後で教えますので。これ以上進行妨げると大ペナですよー」 倉敷「…分かった。今はお前に従おう」 『舞台となる店はフィクションです実在のホームセンターとは関係ありません』 光素「では、皆さん私の後に。店内BGMスタート!」 BGM(ドンドンドン ドンキー びっくりドンキーに似た名前の店ー) 三傘「ちょw」 ゾル「何よwその歌wはw」 デデーン、三傘、ゾルテリア、アウトー イヌ「ワオーン」シュタタタ、バシーンバシーン! 三傘「これ絶対切れ痔なるよっ!」 ゾル「ああん快感っ!」 三傘「って、何で異世界人のゾルテリアさんがさっきので笑うんですか」 ゾル「だって、びっくりドンキーって変な店名だもの」 三傘「いや、今のはですね、そういう所で笑うのを想定したネタじゃなくて」 三傘「ドンキ何とかという店で流れる曲を替え歌にした事」 三傘「それと、その店とびっくりドンキーという店を間違えて言う人が多い事」 三傘「さらに、ドンキってホームセンターじゃなくて安売り店だろという事」 三傘「これらを一度に詰め込んだネタなんです」 ゾル「成程、こっちの世界の人も面白い事考えるのねーププッw」 デデーン、ゾルテリア、アウトー イヌ「ワオーン!」シュタタタ、バシーン! ゾル「癖になりそうっ!」 倉敷「最初のコーナーの前から何やってるんだお前ら」 『第一関門・家具売り場』 光素「はい、到着です。ここがドンキの家具売り場になります」 ゾル「うわー、ひっどい陳列ねー。世界崩壊の影響?」 三傘「ゾルさん、ドンキは元々こんな店なんです」 倉敷「結局ドンキって事にするのか」 光素「ドンキの商品類はホームセンターと殆ど変わらないし問題ありません」 光素「では新人店員の皆さん、私は一旦離れるので家具売り場見回りをお願いします」 倉敷「来たぞ、こういう展開の時は絶対におかしな物が出てくるんだ」 三傘「詳しいんですね」 倉敷「これでも元役者志望だったからな。いいか、迂闊に色々触るなよ」 ゾル「ねえねえ、家具の下に何か敷かれてるんだけどこれ何か分かる?」 倉敷「言ったそばからこの女は…それは家具が痛まない様にっておwwいww」 三傘「どうしたんですか?えっw何てwここにそれがw」 デデーン、倉敷、三傘、アウトー イヌ「ワオーン!」シュタタタ、バシーンバシーン! 倉敷「ふざけんなw家具の下にオナホ敷くなってwいや、確かに緩衝材にはなるがッ!」 三傘「オナホはドンキ名物の一つですからね、でもいきなり出てくるとは痛っ!」 『謎のボタン登場』 倉敷「いいかゾルテリア、お前が一人で動くと全員がろくな目に合わん」 ゾル「ねー、この壁のボタンなーにー?」 倉敷「勝手に動くな言うとるやろが!」 三傘「この壁のボタンはお客さんが店員を呼ぶボタンですよ」 ゾル「へー」ポチ 三傘「家具をレジまで運んでもらったり、持ち帰れない家具を郵送したい時…ポチ?」 デデーン、三傘、アウトー 三傘「何で!まだ僕笑って無いですよ!」 倉敷「ボタンの効果だな、このシリーズはボタン押すと大抵こーなる」 イヌ「ワオーン!」シュタタタ、バシーン! 三傘「倉敷さんの言うとおりでした。ゾルさんが動くとロクな事にならにゃっ!」 ゾル「三傘ちゃんの嘘つき、ボタンの効果全然違うじゃない」ポチ 倉敷「実際のドンキとは違うからな…ポチ?」 デデーン、倉敷、アウトー イヌ「ワオーン!」シュタタタ、バシーン! 倉敷「そのボタン押すのやめ、ぐあっ!」 ゾル「こりゃあいいわね。押す度に私が有利になっているじゃない」 三傘「でももう押さない方がいいと思いますよ」ジリジリ 倉敷「三傘→俺ときているからな。次は高確率でお前の番だ」ニジリニジリ ゾル「そう言いながら、ボタンを押そうとにじり寄ってこないで!」 倉敷「こうなったらお前もやられろ!」 三傘「そうですよ!平等にするべきです!」 ゾル「ええい、次私の番ならこのボタンは守り抜くわよ」ポチ 倉敷「こいつ…自分の身体を盾に!」 ゾル「どう?私をどけようとすれば大ペナルティ発動するわよ。それでも、ポチ?」 三傘「ああっ、ゾルさんのオッパイがボタンにめり込んでます!」 ゾル「しまったぁ!」 デデーン、倉敷、アウトー イヌ「ワオーン!」シュタタタ、バシーン! 倉敷「納得いかねえっ!」 『第二関門・スポーツ用品売り場』 光素「新人店員の皆さんお疲れ様です!家具売り場はどうでしたか?」 倉敷「ゾルテリアをどうにかしてくれ」 ゾル「えっ、私倉敷君に何か悪い事した?」 倉敷「したよ!」 光素「まあまあ落ち着いて千鶴さん、他の店員と仲良くする事も必要ですよ」 倉敷「だから千鶴じゃないって…そう言えばトリニティの奴は?」 光素「人格交代して先に現場で待機してます。彼女も待ってますし次行きましょう?」 BGM(ドンドンドン ドンキー びっくりドンキーに似た名前の店ー) ゾル「またwこの歌w」 デデーン、ゾルテリア、アウトー イヌ「ワオーン!」シュタタタ、バシーン! ゾル「らめぇ!」 倉敷「お前好きだなその歌、ほら立ち上がってさっさと行くぞ」テクテクテク ゾル「ちょっと、待ってちょうだ…っwwwやだぁw倉敷君ww」 デデーン、ゾルテリア、アウトー イヌ「ワオーン!」シュタタタ、バシーン! ゾル「ずるいwそれはずるいわよぉ!んっ!」 倉敷「待て、俺はただ歩いてただけだぞ。どこに笑う要素が」 ゾル「だって、慣れない女装のはずなのに軽快に歩くんだもの。本当に女装初心者?」 倉敷「当たり前だ…多分」 ゾル「多分?」 倉敷「数年前、役者見習い時代の記憶が曖昧でな。女役経験が無いとも言い切れん」 ゾル「へー、アンタも大変ねえ。だからって手加減はしないけど」 倉敷「ならもう少し頑張るんだな。今の所お前が最下位だぞ」 ゾル「マジで!?よし決めた、ここからは一度も笑わないから!」 ゾル「我が名はゾルテリア!笑いとは無縁の元女騎士なり!」キリッ 光素「はい、私語ストップ。つきましたよ。ここが第二関門です」 倉敷「スポーツ用品売り場か。三傘、いやトリニティの二番目の奴は?」 光素「あの棚の向こうで待機してます。出てきてくださーい」 奏「…」ブッカブッカ~ン 倉敷「…くっ…」 ゾル「うわっw胸が無いせいで見た目が凄い可哀想な事になってるじゃないwww」 デデーン、ゾルテリア、アウトー イヌ「ワオーン!」シュタタタ、バシーン! ゾル「ヘブンッ!」 奏「私は悪くない。岩名が大きすぎるだけ」 『ザ・無茶振りショー』 光素「このスポーツ用品コーナーでは商品販促活動をしてもらいます」 光素「これから私が皆さんに商品を渡しますのでそれで一発ギャグをしてください」 光素「出来ればそれぞれの魔人能力を使いながらお願いします」 奏「え?」 倉敷「出た、無茶ぶり展開や」 ゾル「倉敷君、さっきからたまに言葉おかしくなってない?」 倉敷「そうか?」 光素「ではまずはトリニティ・奏選手、この釣竿とサウンドオブサイレンスで!」 奏「無茶を言ってくれる…音を消す能力でどう笑わせろと」 ゾル「胸無い子ガンバー!」 奏「黙れビッチ」 倉敷「大丈夫だ。笑いの基本は無音劇にある。お前の技術を全部出し切るんだ」 奏「…分かった。それじゃあ、やる」 光素「それではどうぞ!3・2・1ドンキー!」 奏「ぱっ、パントマイム、『魚釣りのおじさん』」 奏「…………………」アセアセ 奏「…………………」ジタバタ 奏「………えっと、終わり、です」 光素「ごめんね奏ちゃん、色々無理言って」 ゾル「控えめに言って、何やってるのか全く伝わって来なかったけど可愛かったわ」 倉敷「まあ、素人がサイレンス芸やるとこうなるか。努力は見られたと思う」 奏「皆の優しさが痛い」 全員セーフ 『ザ・無茶振りショー2』 光素「二番手はプロのお笑い芸人倉敷千鶴選手ー!はい拍手!」 奏(パチパチパチ) ゾル(パチパチパチ) 倉敷「どもー、お笑い芸人の…俳優やって言うとるやろがい!」 光素「えー、そろそろ素直になりましょうよ」 光素「そんなプロ芸人の倉敷さんには、このバットでお願いします」 倉敷「よし、バットとゲートでネタだな。準備出来たぞ」 奏「もうネタが!?」 光素「流石芸人ですね、それではどうそ、3・2・1ドンキー!」 倉敷「千鶴の『ゲートで挑戦』のコ~ナ~」 倉敷「どうも、皆大好き千鶴ちゃんでっす!」 倉敷「今日はこのゲートにモノを通して、しりとりに挑戦したいと思います」 倉敷「バットの『と』!ゲートから出るものが『と』で始まるものになるかなー?」 倉敷「ジャン!出てきたのはオナホです!残念!連想ゲームになってしまいました!」 奏「またオナホ…ククッw」 ゾル「え???今のどこが面白いの?」 デデーン、奏、アウトー イヌ「ワオーン!」シュタタタ、バシーン! 奏「テンドンッ!」 ゾル「天丼ってw何で今食べ物の話してるのよwお腹すいたの?ぷぷっw」 デデーン、ゾルテリア、アウトー イヌ「ワオーン!」シュタタタ、バシーン! ゾル「私未だにこっちの世界のお笑いが良くわからない、くぅ!」 光素「以上、お笑い芸人の倉敷千鶴さんでした!」 倉敷「だから、お笑い芸人じゃ…いや、俺はお笑い芸人だったのか?」 光素「ふっふふ、だいぶ思い出してきた様ですねー」 『ザ・無茶振りショー3』 光素「それでは最後はエルフの元女騎士ゾルテリア選手!」 ゾル「はーい」 光素「ZTMとこのハンディサイズ電動マッサージ機を組み合わせて芸をして下さい」 奏「ドンキのハンディ電動マッサージ機ってあの…」 倉敷「アレだ。だがドンキではあれがスポーツコーナーらへんに存在する」 ゾル「えー、それではマッサージ機を使ってのダイエットオナニ」 倉敷「おい馬鹿やめろ」 デデーン、ゾルテリア、大ペナー、チャラ男キッーク! ゾル「え?チャラ、何?」 セニオ「ウエーィ」シュタタタ、ドゴォ! ゾル「並みの魔人の三倍の蹴りが私の弱い部位を正確に蹴り抜いたわーっ!」 奏「貴方本戦勝ち抜いてるでしょ…こんな所居ていいの」 倉敷「本戦遅刻するぞ」 セニオ「バイトキンマジパネーッス、アッチハポータルツカヤーイッシュンショ!」 ゾル「そんな事より、何で私が大ペナくらったのよ…」 光素「放送出来ない事をやろうとしたからです」 倉敷「あれはやっちゃ駄目だろ」 奏「そう、シモネタにしてもやっていいラインと駄目なラインがある」 ゾル「まだ何やるか見てないでしょ!」 光素・倉敷・奏「「「見なくてもわかるから」」」 光素「ちなみに大ペナはペナルティ5発分としてカウントします」 ゾル「勝利が一気に遠のいた!」 光素「ではこれで第二ポイントは終了。最終ポイントに行きます」 BGM(ドンドンドン ドンキー びっくりドンキーに似た名前の店ー) ゾル「はう…はううう」 倉敷「ゾルテリアもようやくこの曲に慣れたみたいだな」 奏「反応する力も残ってないだけだと思う」 『最終関門・迷宮突破』 光素「さあ、店内の事務所に戻って来ました」 倉敷「トリニティは?」 光素「更衣室で変身中です。あ、終わったみたいですね」 BGM(solti ola i amaliche cantia masa estia) 岩名「ティロ・フィナーレ!」ガラッ 倉敷「まwてwww」 デデーン、倉敷、アウトー イヌ「ワオーン!」シュタタタ、バシーン! 倉敷「マミさんっ!」 光素「さて、全員揃った所で最後の仕事の説明をします」 光素「たった今玩具売り場のTNT火薬花火が誤作動を起こしました」 光素「五分後にはこの店が爆発する事が…強いられてるんです!」 岩名「てぃえぬwてぃ、てーねぬてーwありえませんw」 倉敷「んっぐっwww」 ゾル「爆発ってww」 デデーン、全員アウトー イヌ「ワオーン!」シュタタタ、バシンバシンバシーン! 岩名「ここに来て全員ですか!」 倉敷「スコア差には響かんが!」 ゾル「アソコには響くわぁ!」 光素「さて、皆さんは五分内に外に脱出してもらいますが」 光素「店内には逃げ遅れたお客様が三名残っています」 光素「皆さんはお客さんと共に店の入口から脱出して下さい」 ゾル「脱出しろ…ねえ…」ニヤリ 倉敷「やはり最後はベタな展開かつ個人戦形式で来たか」 岩名「まだカウントダウンはしておりませんよね?」 光素「それは心配なく。一人だけで出ようとしたり事務所側から出たら駄目ですよ」 光素「ではこれよりカウントダウンが始まります!皆さんお客様を救出して下さい」 光素「皆さんが脱出するか爆発に巻き込まれた後に結果発表です!」 光素「最後まで気を抜かず、くれぐれも気を付けてください!」 『岩名パート・食料品売り場』 岩名「探索場所がここに指定されて良かったですわね」 岩名「この食品売り場は出口に近いからそんなに迷わなくて済みますから」 岩名「さて、迷子さんはどちらにいらっしゃるのでしょう」 森田「フッ!フッ!フッ!フッ!」 岩名「もしかしてあの延々と腕立て伏せしてる人がそうなのでしょうか」 森田「フッ!フッ!フッ!フッ!」 岩名「あのー、もうすぐここ爆発しますので一緒に来てくださいませんか?」 森田「まだだ!もっと身体を絞らないと…儒楽第には勝てん」 森田「あいつはこの大会唯一のプロフェッショナル…間違いなく勝ち上がって来る」 森田「私の推薦した奴と銘刈が連れてきた異世界のエルフ、両名の決勝はほぼ確実」 森田「そして奴が優勝した時…私が奴を止める!!」 岩名「何おっしゃてるのwこの人ww」 デデーン、岩名、アウトー イヌ「ワオーン!」シュタタタ、バシーン! 岩名「なお一回戦終了後、儒楽第さんは『ヴァリアー』の愛称で親しまれてますっ!」 森田「む?避難誘導の人か。よろしく頼む」 岩名「ネタが終わった途端こちらに気づいた様に振る舞い始めましたね。この人」 森田「私はこんな所で爆発に巻き込まれて死ぬわけにいかないからな」 森田「そう、儒楽第を倒しお嬢様を守る為に」 岩名「…ぐっ…危ない。辛うじて耐えれました。さあ脱出しましょう」 岩名「それにしても今のスコアどうなってるのでしょう」 岩名「私達と倉敷さんが同じぐらいだとは思うのですが」 『ゾルテリアパート・洋服売り場』 ゾル「さて、脱出しろって言われたけれど…あの二人はちゃんとやるのかしら」 ゾル「まあ、まずは迷子探しね。…どう見ても怪しい下着の山を発見」 ゾル「この中に隠れてるのかしら。おーい」ツンツン ガバァ! ゾル「きゃっ!」 ハレル「今度こそ見つけた…両親の仇!」 _人人人人人人人人人人_ > 突然のおっぱいクロー<  ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ ゾル「ギエピー!私が何したって言うのー!」 ハレル「我が王国を滅ぼした軍勢の一人、カイエン・ゾルテリア覚悟せよ!」 ゾル「それ私のお父さんだからー!?」 ハレル「むっ、そうだったんだ。では貴方の父親は今どこに?」 ゾル「温泉旅館に縛ってあるから好きにして頂戴」 ハレル「じゃあ行こう!アメちゃん!」 アメ「オッケイ!」 ゾル「ふうっ、行ってくれたわね…ってあの子が居ないと出られないじゃない!」 ゾル「…はうっ!さっきオッパイ揉まれたせいで限界が…イクゥゥゥ!!」 ナレーソン(おめでとう!ゾルテリアはブタテリアに進化した!) ブタ「ハアハア…この体じゃとても爆発を食らって生きられないわね」 ブタ「あの子が勝手に先に行ったから脱出も無理だし、うん、死ぬわ私!」 『倉敷パート・電化品エリア』 倉敷「俺の探索場所は出口から一番遠い場所か。間に合うといいんだが」 倉敷「お、あれが迷子だな。…待て、あの後ろ姿は」 光素「私だ」 倉敷「お前だったのか」 光素「暇を持て余した」 倉敷「神々の」 光素「遊び」 光素「それじゃあ時間も押してますし、この迷宮を突破しながら話ましょうか」 光素「倉敷さん、流石にここまでやれば正しい記憶が戻りましたよね?」 倉敷「ああ…完全に思い出した。俺は、お笑い芸人だ!」 光素「はい、よくできました」 『真相』 倉敷「この笑ってはいけない企画の間、自分の記憶におかしな点がある事に気づいた」 倉敷「俺は神奈川県民。役者になる為に何で故郷を遠く離れなければならなかった?」 倉敷「普通に考えれば役者になる為なら行く場所は東京、だがそれだと矛盾がでる」 倉敷「家族を失う時まで、俺はずっと地元を離れていたと認識している」 倉敷「東京暮らしなら神奈川へは気軽に帰れたはずだ。なら俺が仕事で居た場所は?」 倉敷「東京でないなら、関西だ。俺は核が落ちる前から関西で仕事をしていたんだ」 倉敷「何故わざわざ遠い関西か?関西が東京より優れた点、それはお笑いしか無い」 倉敷「役者で目が出なかった俺は、親の反対を押し切り芸人を目指し関西に行った」 倉敷「そして俺と近い年齢の女幽霊、倉敷千鶴」 倉敷「俺には年の近い家族は居ないしカーチャンも若い頃から洋服しか着てなかった」 倉敷「あれは、俺なんだ。倉敷千鶴は俺の芸名だったんだ」 倉敷「芸人として売れだしてやっと親に顔向け出来る、そう思った時に核が落ちた」 倉敷「家族に成果を見てもらう事が出来ないまま、二度と会えなくなってしまった」 倉敷「俺は後悔の思いから倉敷千鶴としての記憶と感情を失い魔人になった」 倉敷「だが…この企画のおかげで俺は失ったものを取り戻せた」 倉敷「どうしてこんな企画を?これは俺の記憶を正す為に仕組んだんだろう?」 光素「私は、自分が出来る範囲で救いたいと思った人を救っただけです」 倉敷「そうか」 光素「出口が見えてきましたね。さあ、もうすぐ勝負も終わりです」 『さらばびっくりドンキーに似た名前の店、そしてブタは星になった』 倉敷「よし、出口までこられたな。…何やってるんだあれは」 ブタ「お願いー!一緒にいましょうー!一人で死ぬのはいやー!」 岩名「お断りします。迷子を連れて来れなかった自分の無能を恨んで下さいね」 倉敷「ゾル、いやブタテリアは失敗したのか」 ブタ「来たわね倉敷君、でも二人とも通さないんだから!皆でここで死ぬのよ!」 光素「そこまでですブタテリア選手、これ以上進行妨害しますと大ペナですよ」 ブタ「嫌だー!岩名ちゃん一緒に居て!お願い!」 岩名「見苦しいですね。それが元騎士のやる事ですか?」 ブタ「倉敷君、私達は一緒にこの企画に立ち向かった同志、そうでしょ!?」 倉敷「ああ、お前には散々世話になった」 ブタ「でしょ?だったら」 倉敷「勝負が終わって蘇生してもらうまでの間、チャーシューになって反省しろ」 光素「爆発まで後15秒です。ここにいますと爆発に巻き込まれますよ」 倉敷「行くか」 岩名「ええ」 光素「後10秒」 ブタ「私の、何がいけなかったっていうのよ!こんなの嫌!誰かーっ!だれかぁー!」 光素「5・4」 岩名「3・2」 倉敷「1」 ブタ「おかあさーん!おかあさー」 ちゅどーん。 光素「どうなったか見てきますね」 光素「ウオェッ…失礼。ブタテリア選手の死亡が確認されました。では結果発表です」 『勝利の栄光は役者の元に』 光素「生き残った両名様、これまでの活躍お疲れ様です」 倉敷「本当に疲れたよ。色々あったからな」 岩名「私達は倉敷さんの三分の一の負担しかありませんが、それでもぐったりですね」 光素「それではまずは参考記録としてブタテリア選手のペナルティ数を確認します」 光素「通常ペナルティ8回、チャラ男キックで5ポイント、合計13ペナルティ!」 岩名「終始笑いっぱなしでしたからね、あのブタ」 倉敷「俺達と笑いのセンスずれてる癖に一番笑ってたな、あのブタ」 光素「そしてトリニティ選手と倉敷千鶴選手ですが…」 光素「なんと!お二人とも!今立ってる場所完全に場外です!」 岩名・倉敷「「え」」 光素「なのでホームセンター戦の勝者はブタ選手です!」 岩名・倉敷「「ちょっとまてぇええええええええ!!!!!!」」 光素「どうしました?」 倉敷「お前がここまで逃げろって言ったんだろうが!」 岩名「そうですよ、倉敷さんのおっしゃる通りですよ」 光素「はい言いました。でも私の言葉は絶対では無いのですよ?」 光素「私に従って外に出れば場外、中に残れば爆発」 光素「よって中に残って爆発に耐える、もしくは自分だけ中に残るが勝利の道でした」 光素「忠告しましたよね?最後まで気を抜くなって」 岩名「あれはそういう事でしたのね。ああ、私達の能力なら爆発一回なら凌げたのに」 倉敷「俺もゲート利用で爆発を軽減する事は出来ただろう。糞、何で気付けなかった」 光素「お二人ともあのブタに誘導されたのですよ」 光素「糞ブタは追加ルールに疎い分、真っ先に通常ルールでの勝利に気付いてました」 光素「彼女はお二人を外に出す為にあえて残れと言ったのです、醜態をさらしながら」 岩名「確かに…あまりの醜さにその場を去る以外思い付けなかったですね」 倉敷「全く、大した役者だなあの糞ブタは。くっくく」 デデーン、倉敷、アウトー ―終われ― このページのトップに戻る|トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/dangerousss3/pages/123.html
第一回戦【海水浴場】SSその1 「し、死んでいる……」 遠藤は海岸の岩壁にもたれかかる『自分』の薄い死体を発見した。死んでいる事は言わずとも見れば判る話だが、それを言うのが死体を発見したときの礼儀である。 「ふむ……」 虫眼鏡で観察する。これも探偵としての儀式にすぎない。 死体は自分の頭を推理光線で撃ちぬいていた。自害だ。 「頑張ったね」自分にねぎらいの言葉をかける。死んだのは、偵察のため厚さ5cmという薄い身体で送り出したコピー体だった。 蛭神鎖剃の陰茎武器のショックで自害したわけではない。半死半生で場外へ放り出されることを恐れての死。これは、あらかじめ遠藤自身が取り決めたこと。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ここで、チーム戦における場外判定について説明させていただきたい。 チーム仲間一人の場外判定はチーム全体の失格となる。これは、身体の一部でも場外へ出れば失格となるのと同じだ。 場外判定は、試合の長期化、外部への影響を防ぐためにある。また、場外へ出て失格となった選手が、残った仲間のために何かするかもしれない。このような不確定要素を排除するために、厳しいルールが設定されている。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 遠藤は自分の死体と一体化した。コピー体に分け与えていた5cm分の厚さを取り戻す。死体の受けたダメージも継承されるが、5cm分の死の『ダメージ』は、それほど大きなものではない。 懐から小瓶を取り出すと、中の粉を摂取した。気力を保つための特性粉末だ。「さて」 見ると、足跡が二人分。一つは遠藤のもの。もう一つは遠藤の死体を周った末、別の敵を見つけたのか。海側へ向かっている。 「……これは」 死体がもたれかかっていた岩壁。その一部が四角く『ポスト・イット化』されている。剥がすと、中に付箋が3つ貼り付けられていた。走り書きの文字。 「辞世の句……ですね」またの名をダイイング・メッセージ。 内容は、遠藤が試合に備えて考えていた計画に関係するもの。敵に判るはずもなく、暗号化する必要もない。しかし、「一枚、剥がされた形跡がありますね……」 『猫』 『船』 『袋』 ◆ 試合会場は海水浴場というよりも、非常に小さな無人島だった。足場の悪い突き出た黒い岩山を、円状に砂浜が囲んでいる。戦闘領域は1km四方。つまり、島の中心から約0.5kmが戦闘範囲となる。 岩陰から敵の姿を見つけた遠藤は、判断に困ってしまった。 砂浜を率先して歩くは、『蛭神鎖剃』。人間大の陰茎を武器にする武人のはずだが、その武人の股間が今や、紙のように薄くなっている。代わりに手にするのは、これも陰茎だ。 おそらく、死体として発見された偵察用の遠藤、彼女にやられたのだろう。陰茎をポスト・イット化され、重みでそれが自然と剥がれてしまった。しかし、風林火山。彼は剥がれ落ちた陰茎をまさに棍棒のように武器としたのだ。百戦錬磨の武人の発想である。なお、筆者は今後、この棍棒を『男棍棒』と呼ぶことにする。 おかしいのは、同じく対戦相手の夜魔口『赤帽』と『砂男』が蛭神の後ろについて歩いている点だ。探偵の遠藤は、あらかじめ敵の能力をある程度把握している。赤帽の能力は血を生み出し、摂取した者の五感と肉体を強化した上で、肉体の支配権を奪う。 (……しかし、蛭神様は何を思って赤帽様の血を摂取したというのでしょうか) 遠藤がしばし逡巡していると、敵が遠藤の存在を察知した。 「赤帽サン、アレ……」 「わーっとるわい!……行け!」赤帽が遠藤のいる場所を指指す。 「ウオオオオオーッ!ワオオーッ!」赤帽の命令で、蛭神が男棍棒を振り回し突撃する。 遠藤が身を隠していた岩を、蛭神の男棍棒が破壊。 「……っ!」3cmほどの薄い遠藤の身体が、砂浜に晒される。身軽に岩壁を蹴り、島の中心部へ逃げ込もうとする。 「ウオオオオオーッ!ワオオーッ!」 「逃がすなよォ」赤帽が蛭神と共に遠藤を追う。 「まあまあ、待ってくださ、いよッ!」砂男は冷静に、砂の詰まったブラック・ジャックを投げる。外れるが、岩にぶつかった衝撃で袋から砂煙がぶわり、と広がる。あえて砂が漏れやすいようにできているのが、彼の武器だ。 遠藤は煙を吸い、岩壁からドサリ、と落ちた。「……」 「眠りましたかね。あの量なら半睡かな」砂男が言う。 砂男の生み出す『砂のように眠れ』。普通の人間なら一掴み程度、屈強な魔人でもバケツ一杯程度を浴びれば強烈な睡魔に襲われる。 「馬鹿たれ。半睡なら、ウカツに近づくな」赤帽がチャカを向け、用心深く遠藤の頭部をドンッ、と撃ちぬいた。遠藤の死体に屈み込み、次にドスを取り出す。 「赤帽サン、何しようってんです?」 「バラす」赤い配管工を思わせる小さな身体で、赤帽は冷酷に呟いた。 「ありゃあ、また物騒な」 「……こりゃあヤクザの勘だ。コイツ、さっき取り逃がした小娘とは『厚さ』が違ェ。小娘が『分裂』できる事はもうわかりきっているンだろうが。なら、死体は奴に渡しちゃあいけねェ」赤帽はすでに遠藤の衣服を剥ぎ、ドスを突き刺していた。 「うお……」砂男は下を向く。薄い小瓶が見えた。「あ、ああ。 こりゃなんですかね……」気を紛らわすように、遠藤の懐からでてきたそれを手にする。「うお……」開けると、白い粉。明らかにヤバい感じがする。 「お前ェ、この海には『ワシントン・ジョーズ』がいると言っていたな。ワシの『血』を混ぜて、死体をサメ共に喰わせれば、サメもワシの『支配下』におけるだろう」と赤帽。 『ワシントン・ジョーズ』とは、日本海の一部に生息する外来の巨大鮫のことである。鯨に匹敵する巨大さで、血の匂いに敏感で凶暴な肉食魚だ。 「おっそろしいこと考えますねぇ、まるでヤクザですよ」 「これで海はワシの『シマ』になる。 島の中心部は蛭神に見張らせりゃあ良い」 「はぁ……、それで俺は、どうなるんで?」 ◆ 1時間後。 「バカンスに最適だなぁ、ここは」夜魔口砂男は砂浜を歩いていた。 両手から噴水のように砂を吹き出しながら。 砂浜を周回し、能力で生み出した誘眠砂を撒く。海には巨大鮫に乗った小人ヤクザ。島の中心は操られた蛭神が徘徊する。 シマを張り、ジワジワと獲物をあぶり出す。ヤクザらしい戦法だ。 海には遠くに船が見える。大会運営の船だろう。戦闘領域ぎりぎり外からこちらを観ているのだ。 「水着のギャルでもいれば良いんだけど」相手は14歳の少女だ。斡旋はしたことがあっても、戦ったことなど無い。情けをかける余裕はない。赤帽のように、冷酷にならなければ。 「……と」 砂浜に足跡。 「ありました。足跡です」携帯で赤帽に連絡をとる。 『おう、どっちへ向かっとる?』 「まっすぐ進んで、海の家まで」 『じゃあ、追え』 「来てくれないんですかい」 『あほう、そこら山盛りに砂を巻いたんじゃあろうが。砂辺へ上がったらワシも眠っちまうわい。海まで追いやれば、ワシが殺ったる』 「デスネー」 通話を切り、前方を見る。 足を踏み出し、止まる。 「……あやしーな」敵は探偵。(紙のように薄く軽い身体……だったら、足跡が残るはずがないんだ) 「たとえば」海側、塔のように孤立した断崖。壁の段差に大量のウミネコが巣を作っている。「あの上、とか」ふら、と断崖に向き直る。 「よっ……と!」砂の詰まったブラックジャックをぶん、と投函。放物線を描き、崖上の木立に吸い込まれていく。 砂煙が広がった。手ごたえあり。 「ちょいとごめんよ」鳴きわめくウミネコに謝り、崖の段差を使い、登りあがる。 ◆ 岩に覆われた地形。砂煙で前が見えない。 棒状のブラックジャックを構える。遠藤の姿はない。 (……隠れているのか)ゆっくりと後ずさる。 「ん……?」少量だが赤帽の『血』を摂取していた砂男は、五感が強化されている。地面の違和感に気がついた。「うおォッ!?」前方に転がり、それを避ける。桜色の閃光。 「……お初にお目にかかります」指を差し出したまま、遠藤が岩の地面から姿を現した。岩をポストイット化して、その内に薄い身体を隠していたらしい。 「――オラァッ!」砂男はブラックジャックを構えるふりをして、腰刺ししていたチャカを撃つ。 「やッ!」遠藤は、ポスト・イット化された岩地を畳返しの要領で壁にすると、そのまま蹴り剥がす。 岩壁を盾に銃弾を防ぎ、砂男に迫る。 砂男は手を振り、砂煙を宙に撒いた。それは岩壁に防がれ、目潰しにもならない。(参った……誘眠作用が効かないとはね)彼の感覚は赤帽の血によって、研ぎ澄まされている。(が、そもそも、この砂の狙いはそれじゃない) 「――ダッ!!」岩壁を貫いて発射される遠藤の『推理光線』。それは砂男の目の前で楕円状に『散乱』され、砂男の胸を焦がすだけに終わった。 「……砂にも色々あるからな」砂男が撒いたのは砂金だ。レーザーは空気中の粒子に散乱され、威力が減少する。光線を防いだ砂男は岩壁を受け止め、遠藤の胸を銃で狙い撃つ。「オ、ラッ!」 「----ンアァァッ!」遠藤の軽い身体が吹き飛ばされ、樹にぶち当たる。「ゴフッ……ゲホッゲホッ!」 (撃たれて死なない。――防弾チョッキか)何てハイカラな探偵だ。しかし、その防弾チョッキも肉体同様に薄い。このまま放置するだけで死ぬほどの致命傷。 「う……」最期の推理を振り絞り、推理光線を放出。出力を持続して、刀のように用い、自らの腹をひゅん、と横一文字に切った。「ふ。……」吐血。「これではまるで、武士ですね」武士と探偵はまるで違うのに、と笑い、死んだ。 (自殺……か?)砂男の反応が、一瞬だけ遅れた。これが命取りとなる。(……!!)彼女もろとも横一文字に切られたその背後の樹、砂男に倒れこむ。 ズン、と沈む音。 (探偵……薬物の効かない流派がいると聞いていたが) 砂男は考える。 (だとしたら、砂浜で殺した遠藤は、演技か。睡眠薬が効くと思わせるために、わざと、眠ったふりを……殺されるとわかって) 空に。ニャー、ニャー、とウミネコが鳴き、飛び去る姿が見える。(大丈夫だ。脚をやられたが、まだ……)誰かがやってきた。 『厚み』をもったもう一人の遠藤が、どこからか近づいて来ていた。鮫の餌にされた遠藤のコピーはもう、とっくに時間切れで鮫の胃の中から消失している。彼女は用心深く、新しくバックアップを作れる時間を待ってから、砂男に挑んでいた。 遠藤は砂男の落とした小瓶を拾う。 「おや、これは」白い粉を指につけ舐めた。「ペロ、これは……青酸カリ!」倒れたままの砂男に向き直る。 「拾ってくださってありがとうございます。これは、拙のおやつです」 ◆ 『探偵の稽古法と生態(1)実践編』 探偵見習いは早くて4,5歳から、睡眠学習で初等推理を習得する。まず教師に当たるものが、生徒に睡眠薬、麻酔のたぐいを与え、座した状態で眠らせる。ここで、聴衆、被疑者を集め、教師が生徒の声を真似て、推理を披露する。この時忘れてはならないのは、この場で披露された推理を全て、生徒の手柄として扱うべき点である。 睡眠学習を数多く重ねると、やがて薬に抵抗ができ、学習が困難になる。これを修学完了の合図と取る。探偵見習いは次に、毒薬の識別などの肉体鑑識捜査の初歩を学ぶことになる。 ◆ 「ウボフーッ!」蛭神の身体が崖から砂浜へ落とされる。赤かった彼の陰茎は今や黒く、相変わらず薄いまま。手にしていた男棍棒は消えていた。分裂させられた男根のうち、剥がれ落ちた方が『コピー』だったからだ。コピー体は1時間で消滅してしまう。 遠藤は失神した蛭神の上に着地する。手には砂男から奪った『砂袋』。武器を失った蛭神はこれに勝てず。全裸の陰茎男の初戦は、ここで終わった。 「できれば、互いにまともな状態で戦いたかったものです」と遠藤。ある程度厚みのある身体だが、これまでの戦いにより、いくらか厚みを失い、肉体も疲弊していた。「……」目を細める。 遠くの砂浜に赤帽の姿が見えた。 おろされた両手からこぼれるおびただしい量の『血液』。こちらに向かって、砂浜に細いレールのような二本の血すじを描き迫る。 砂浜には砂男の『砂』が敷かれている。身長15cmという、異常なまでに低い背の彼には、歩行するたびに砂煙が体内に侵入するはずだ。 遠藤は不思議に思った。(何とも、ないのでしょうか……?)もしや、(手から生成した血で砂地を『固めて』、砂埃を弱めていると……?) 「やってくれたな……ぁ、嬢ちゃん……」赤帽が静かに言う。遠藤に聴こえているかどうかも、関係ないといった様子で。「ツレから奪った……ブツを……返してもらおうか」彼は砂男の死体を見たのだ。 「これですか」遠藤がその袋を投げ振るった。砂男から奪った拳銃を構えると、空中の砂袋を撃つ。袋にかすり、ぶわ、と砂が拡散した。(地面の砂も完全には防ぎ切れてはいないはず。それに頭上からこれだけの砂を加えれば……)――どんな魔人も睡魔に襲われ、動きが鈍るだろう。 「……近頃の」血がこぼれる。砂を被る。赤帽は、しかし。「……近頃の探偵は、チャカも、使えるんかぁ。……エエッ!?」 鮮血。激しい音が聞こえて来るほどの血をこぼしながら、赤帽はその歩みを一切止めることが無い。 (……効いていない!?まさか、何も効いていない!?)この戦いで、初めて遠藤の表情が変わった。 「……」赤帽は拳銃を取り出し、顔を遠藤に向けたまま、赤帽から見てやや後ろ。銃口を海から離れた岸岩に向け何発も撃ち込む。 「何を」撃つ!「驚いて」撃つ!「やがる」撃つ!撃つ!撃つ!破壊された岩壁の中から、どさり、と血にまみれた遠藤の薄い身体が倒れこむ! あらかじめ潜ませておいたもう一人の遠藤が、これで死んだ。 「……ぁ」 「『砂』が効くと『みせかけて』……くだらねェ『伏線』張ったんは、アンタも同じだろうが……嬢ちゃん」 「なぜ……」――気づかれた?……完全に赤帽の死角から、しかも離れた場所へひっそりと隠れこんだのに。如何にして感知したというのか。(血を摂取したことによる、五感強化……?)だとしたら完全に遠藤の誤算だ。まさか、これほどとは。 しかも、殺された遠藤はコピー体ではなく本体。コピーは『自分』だ。つまり、あと一時間足らずで彼女は消滅する。それを防ぐには、死んでしまった『本体』と一体化しなくてはならない。 「……くっ」ダン!、と遠藤が銃を撃つ。狙うは赤帽の頭部。 「――フンッ」赤帽はその銃弾の一つを避け、もう一つをピッ、と『指』でつまんでみせた。 「…………!」 「……」赤帽は無言で遠藤を狙い撃つ。ダン、ダン、ダン、と銃弾が三つ。 「アバッ!アババッ!」蛭神の叫び声。 何たる推理反射神経か、遠藤はいち早く足もとの蛭神の身体をつかむと、その背中を盾に銃弾を防いだのだ。 「おい嬢ちゃん……そりゃあ戦闘終了後の――」 「――『戦闘行為』。しかし、蛭神様の耐久力は高い。この方はまだ戦えます。戦闘は終了してませんよ」精一杯余裕を見せて、彼女は言った。「その証拠に、まだ運営からの『終了合図』はありません」 この大会で、気を失った選手を瞬時に瞬間移動させる方法などない。乗り物を使うか、やってきた魔人にポータルを開いてもらう必要がある。三つ巴の状況で、『死んでいない』選手は死ぬまで『逆転』の可能性を有している。『戦闘終了後の戦闘行為』を禁じるルールを敷いておきながら、三つ巴を強制する――大会は暗にこう言っているのだ。『死ぬまで殺しあえ』と。 「……喋りすぎたな」赤帽が血だまりを蹴り、跳ぶ。赤い配管工のように。 ◆ 「――アアッ!」ガードした遠藤の手のひらに、赤帽の投函したドスが突き刺さる。「……つぅ」ドスを引き抜くと、ポスト・イット化したドスの柄を貼り付けて傷を塞いだ。ポスト・イット化した物体はその裏側に『粘着性』を持つ。 間髪入れず、脇腹を赤帽の投げた岩石が掠める。「ぐっ!」衝撃で回転し、吹き飛ばされた。探偵帽が砂浜に落ちる。「う……ッ」帽子で隠れていた結髪が露わになった。 「オラァッ!」赤帽がスペアのドスを構え突き刺しにかかる。 「ハッ!」遠藤は転がり、推理光線で牽制。射程は1m。小さい赤帽のリーチよりはるかに長い。だが、敵の素早さは尋常ではない。まるで、スターをとった赤い配管工のように、跳ね、ドスを前へ。遠藤は下がらずを得ない。二者は殺し合いながら移動する。 「オラァッ!」刺突。「ハッ!」後転。「ヤァッ!」一ツ勝。「オラッ!」跳躍。「オラァッ!」刺突。「ハッ!」側転。「ヤァッ!」一ツ勝。「オラッ!」身体を伏せる。推理光線が赤帽の帽子を掠めた。 (野郎……やはり自分の『死体』のある方向へ……逃げようとしとる)赤帽は冷静に判断する。(焦っとるんか……やはり、手前ェの能力には時間制限があるとみた)彼の推理力には探偵の素質があるといわざるを得ない。事実、探偵とヤクザはその起源を同じくしている。 「オラァッ!」横切り。「ハッ!」跳躍。「オラッ!」跳躍。「オラァッ!」刺突。「ハッ!」身体をひねる。「オラッ!」刺突。「ヤッ!」手を付き着地。「オラッ!」下突き。「八ッ!」バク転で回避、「ヤァーッ!」地面を蹴り剥がす。「オラァッ!」空中で刺突。「……!?」 ブワ、と赤帽の視界に広がる、赤。 「砂ではできない。でも……固まった血なら、できる」遠藤の腕は『赤い膜』から突き出たドスに刺されている。「砂と混ざり固まった血だまりなら、『ポストイット化』できる」ドスから腕を引き抜く。 「こりゃあ」地面に降りた赤帽にからみつくのは、畳返しの要領で地面から剥ぎ取られた己の血。「ワシの」それが固まり赤い膜になったもの。「血か……」全身に絡み付き、『貼りつく』血。 「『スマート・ポスト・イット』――地面に落ちた貴方の血を、ポストイット化しました」 「……!?」ドクン!と、赤帽の全身が脈動し、ドスを取り落す。「く……」手首につけられた傷口が破裂したように広がる。そう、傷口だ! 赤帽の手からこぼれる血は生成された血ではない!彼は敢えて己の手首をケジメし、大量出血していたのだ!体内に常に新鮮な血を作り出し、古い血を捨てるため!――催眠薬への最も有効な治療法。強制的な『血液透析』で血液中の誘眠要素を排除するために! 「傷口をふさぐには、本人の血を『貼りつける』のが一番かと思いまして」一時的でも傷口をふさがれれば、生成された余分な血液は、体内で行き場をなくし、暴れる。 「……くく」赤い膜を引き剥がし、赤帽が笑う。「ハハッ!確かに今のは効いたッ!よう見破った!」跳びあがり、遠藤の腹を蹴り飛ばす。 「――――――――――――――――ッ!?」 海の家まで蹴り飛ばされる遠藤。ドン!という衝突音と共に煙が広がる。 「ケジメの文化はッ!探偵だけのもんじゃあ無いということだッ!」赤帽が叫ぶ。再び手首から血を吹き出しながら。「くく、できればなァ、やりとう無かった。これはなッ!……ヤク打つんと同じだ!全身の血を入れ替え、強化され!やがて歯止めがきかんようになるッ!」 「ゲホッ!ゲホッ!」瓦礫の中から顔をだし、吐血する遠藤。 「オラァァッ!」赤帽が拾い上げたドスを投函。 「――っ!」遠藤は瓦礫でそれを防ぐが、瓦礫は破壊され、衝撃でさらに後ろに転がる。「――ンアアッ!」 「さあ次はどうする!探偵ッ!」赤帽が近づく。 「ゲホッ!ハァ……ありません」身体を起こす。「もう、ありません」 「……」 「拙に出来ることは、もう、すべてやりました。時間稼ぎも、もう……」 赤帽の前方に、衝撃で舞い散る遠藤の『付箋』が見えた。羽織の裾に貼り付けられていた、ピンク色の付箋。赤帽の動体視力は、その文字をとらえた。 「『猫』………『船』………『袋』……」 『――砂男選手の場外を確認しました』 『――夜魔口両選手はこの時点で失格となり、以降の戦闘行為には大会の治外法権が適用されません。係員が迎えに参りますので、今しばらくお待ち下さい』 大会からのアナウンスが聴こえる。 「……赤帽様は、ポリ袋の絡まったウミネコを、ご覧になったことはありますか」遠藤が問う。 ◆ 「くっ」蛭神鎖剃はまだ生きていた。「はぁ……はぁ……」 朦朧とした意識の中、波打ち際を這うように進む。ここならぎりぎり、砂男の砂も洗い流されている。鮫も、いつの間にか消えていた。夕日が血のように赤い。 「俺は……どうしたんだ」陰茎はリュウグウノツカイのように平たい。これはたしか、遠藤の能力でやられたのだ。遠藤を追うと、彼女は勝手に自殺した。驚いていると、夜魔口を見つけたので、追いかけた。 そうだ、夜魔口赤帽だ。奴の血を俺の陰茎が浴びた。……『HIVの感染』のごとく、陰茎の粘膜を介してそれを体内に入れてしまった。――そしてそれは、口から入れるよりも強烈に作用した。現在、世界のHIV患者数は3,400万人を超えると言われている。ゴムをつけることは、モラルとして必要なことなのだ。よし、次からゴムをつけよう。 「お疲れ様です」ボロボロの羽織袴を着た少女に声をかけられる。遠藤終赤だ。 「アンタ……」遠藤を見上げる。「今、どうなってるんだ。試合は終わったのか」 試合の敵にそれを訊かれる事が面白かったのか。少女はくす、と笑った。 「夜魔口のお二人は敗退しました。残るは貴方です」 ◆◆ 20分前。 「――ポリ袋を足に絡ませたまま、ウミネコは港で餌を探していました。ポリ袋を取らずに」 「フン」赤帽は遠藤に背を向けて歩き出す。 「『花は折りたし梢は高し』。自然の生き物は、手の届かない所は諦めるように出来ているんだ。と、叔父上はそう語っておりました」 「薄型にした砂男を生きたままウミネコに貼りつけて離したのか」 「はい。赤帽様の見た遺体は、コピー体です」 「ちっ」 「ウミネコは港まで船を追い、餌を探しに行く習性があります。戦闘領域はここから500mまで。思ったより時間がかかりました」 「船……運営の所持する船か」戦闘領域ぎりぎり外の地点に、確かに船はあった。 『猫』『船』『袋』付箋に書かれていた言葉。敵にペアがいるなら場外勝ちが狙えるのでは。と考えた遠藤の計画の内、実行に移せそうなキーワードを偵察の結果、判断。メモとして生き残りの遠藤に託したのだ。 「……それはポリ袋を取るのを諦めとるんじゃ無え、他に必要なモンがあるからそっちに行っとるだけだ」赤帽は遠藤の帽子を拾うと、投げ渡す。 「ありがとうございます」遠藤は会釈した。「叔父上もその後そう訂正しておりました。花を折りたければ推理光線で撃ち落せ。と」 「ンな事は言っとらん」 ◆◆ 「夜魔口が負けたか」蛭神は絶望した。敵同士の相討ちで勝つ見込みは、これで潰えた。この状態では、もはや棄権するほか無い。 「蛭神様、拙と試合を」 「ふざ……けるな」諦めた蛭神の意識が消えかかる。 「お願いします」 蛭神は棄権の言葉を振り絞ろうとした。「……っ」 「立って下さい。立って、……拙と戦って下さい」 何を言っているのか。 この少女は、戦いを諦めた男に、戦うことを望んでいる。 「馬鹿な」蛭神はかすれ声で答える。 「戦った……所で、 もう、お前に何の益が」 少女の言葉の意味を理解できない。 「これ……以上……は」 蛭人はリタイアの言葉をつぶやこうとした。 「……立 ち な さ いッ!!」 張り詰めた声が海岸に響く。 ウミネコが叫ぶように空へと消えていった。 少女は着ていた着物をバサリ、と脱ぎ捨てる。内に着ていた防弾チョッキも、身体から外した。 「貴方も武人なら、立って、戦うのです」 赤い夕陽に照らされる白のスクール水着。その白い肌には生傷が無数につき、その傷は水着にも続いている。空気抵抗の少ない流線型のラインはそのスマートな推理力を物語っていた。そもそも何故白のスク水なのか。それはどんな名探偵にも解けない謎である。 「な……!?」蛭神は言葉を呑み込む。 いつの間にか睡魔は消えていた。 健全なる読者諸君に品を疑われる表現かもしれないが、許してほしい。 その少女のその姿が浜辺に披露された、その結果。紙のようにペラペラとしていた彼の『刀』に、なんと燃えるような『生気』が蘇ったのである! 「力が」己の武器を見る。「……そうだ、俺は、腐っても、武人」 よろり、と立ち上がり、スクール水着の少女を見た。「娘……。アンタ、敵に塩を送るなど……」型を構える。 「――拙の残した辞世の句(ダイイング・メッセージ)には、他にもう一枚、別の言葉が残っておりました。……それを剥がしたのは、貴方ですね?」 「それは……」蛭神は記憶を辿る。「そうだ。あれだけ『意味がわかった』から、とっさに外した。……『蛭神鎖剃とは一対一で仕合をしたい』。……そう、書いてあった」 「ふふ」遠藤が笑う。「やはり、終赤は終赤と気が合います」推理の型を構えた。 「よく、わからんが……まあ、いい」 男の刀は紙のように薄く、弱く。 敗北の色を濃厚に告げていたが、それでも誇らしく、渚の天を仰いでいた。 ◆ このページのトップに戻る|トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/damecool/pages/11.html
投稿されたSSのまとめです。 女「風呂は四日に一回入れば十分」 男「もう俺に寄るんじゃねぇ」 男「布団は勿論?」 女「万年床」 男「家事全般は?」 女「親頼み」 男「休みの日には?」 女「布団で過ごす」 男「お前の名前は?」 女「ダメクール」 嫌なネタ 女「男。ペットボトルの空容器を持っていたらくれないか」 男「ん?どうしたんだいきなり。リサイクルにでも目覚めたのか?」 女「いや。実は…ネトゲ中にトイレに行くのは、非常に億劫なものでな」 男「……は?」 女「そこで名案を思い付いたんだ。いっそペットボトルにしてしまえば良いじゃないか、と」 男「…お前は本当に女性なのか…」 女「貯めたものはマニアに売れるし、一石二鳥だ」 男「ど こ ま で ダ メ な ん だ お 前 は」 女「………」 男「………」 女「……1リットル3まn」 男「あっさり誘惑に負けんな! しかもさりげなく高値ふっかけんなっ!」 【金】 女「働くのか」 男「まあいつかはな」 女「めんどいな」 男「うん、言うと思った」 女「どうにか働かずしてメシが食えるように……」 男「どこまでもだめだな……あと女の子がメシとか言うな」 女「……泥棒か……」 男「ぶち殺すぞ」 女「……そんな言い方しなくてもいいではないか……」 男「あ?うん、じゃあやさしく言う。ぶち殺しますわよ?」 女「…」 男「とにかく……法には触れんな。もっとまともなこと思いつかんのか……」 女「……嫁……」 男「え?」 女「なんでもない」 【鮫】 女「鮫だ!」 男「いねーよ」 女「…」 【雪だるままま】 女「男、雪だるま作るぞ」 男「はいよ」 男「……」 ひゅっ! パシン! 女「ひゃん!?」 男「ちったあ手伝えよ!言いだしっぺ!」 女「何を言うか。手が冷たいんだ。……頑張ってくれ」 男「まったく……ってなんで俺も素直にするかな……」 女「うん。いいぞ、おおきいおおきい」 男「ぜぇぜぇ……ま……満足か?」 女「うん、満足だ。手は?」 男「あ?冷てぇ――」 ぎゅっ… 女「……これであったかいだろ?」 男「……女……」 女「ふふ、男が冷えたときのために……私の手を温めておいたんだ。あったかいだろ?」 男「///あ、ありがとな/////」 女「ふん。礼など……はっくしょん!!」 男「わっぷ!!」 女「……あ」 男「……最後の最後で……バカ……」 【もやし】 女「男」 男「なんだ?嬉しそうだな?」 女「うむ。ちょっといいものを見つけた」 男「?」 男「……もやし……」 女「ああ、これすっごい安いんだ」 男「だからなんだよ?」 女「前に言っただろ?私は働きたくない」 男「ああ、言ってたな」 女「でな?これなら……少ないお金でお腹いっぱいになるんだ」 男「……女、俺なんか悲しくなってきた」 女「私が男なら」 男「おう」 女「大変だろうな」 男「なんで?」 女「だって家族を養わなければいけないんだぞ?いやでも働かないといけない…… 考えただけで苦痛だ……」 男「……子育ても無理じゃね?」 女「いや、それは別だ。子供は可愛い。それなら大丈夫」 男「どうだかな」 女「あ、やっぱ無理かも」 男「早いなおい 女「ん、おはよう」 男「・・・」 女「どうした?なぜ私から離れる」 男「いくら私服OKだからって、パジャマでくんのやめろって・・・」 男「へっくしゅ!」 女「ぬ、花粉症か」 男「そうなんだよ・・・ポケットティッシュだけじゃたりな・・・へっくしょーい!」 女「ならばこれを使うといい。紙質が多少悪いが」 男「学校のトイレットペーパーパクるのやめろって・・・」 【ダメ嫁宣言】 女「お前を婿にもらうまえに、言っておきたいことがある」 男「ちょっと鏡見てこい」 女「…」 【簡易化】 女「おはよう」 男「おお、……なんで体操服?」 女「ん?今日は体育があるからな。今から着替えておけばあとで着替えなくていいだろ?」 男「……」 女「……六時間目だった……」 男「ああ」 女「それも水泳……」 男「俺お前のこと大好きだわ」 女「危険物取扱の甲種が受かったんだ」 男「いつの間に勝ち組になりやがったんだよおい、どこに就職するんだ?」 女「ガソリンスタンドに名前だけ貸してる」 男「…………」 女「男、おはよう」 男「おはよ・・・な、なんだそれ?サンドバック?」 女「いや、どうせ授業中寝るなら、より快眠のほうが得だろう?そのための抱き枕だ」 女友「女、また水着着て来たの?」 女「より合理的に物事を考えれば当然の結果だろう」 女友「はぁ・・・」 女「うーむ」 女友「どうしたの?」 女「下着を持ってくるのを忘れたようだ・・・」 女友「え、ええっ!?」 女「しかたあるまい、ノー・・・」 女友「あたしジャージ持ってるから、ね?」 【またメガネ】 女「男、私のメガネを知らないか?」 男「俺が振り向いて、女の頭の上にメガネがあったらもこもこにするからな」 女「…」 前 次
https://w.atwiki.jp/dangerousss3/pages/96.html
第一回戦【時計塔】SSその3 コロシアム。 時計塔。 「白虎の方角より現れ出てたるは!!」 コロシアム中央の舞台上で司会のフルダテが声を張り上げる。 フルダテは希望崎学園放送部OB、実況の猛者である。 「ラーメン維新集団『虹色(レインボー)ラーメン』チェーンにあって異色の台湾系!!店名は『白蘭』! ウオー ワオー フルダテの実況にオーディエンスの熱は高まる!! 現在ラーメン界を席巻しているのが『虹色ラーメン』グループ。 棟梁(ビッグボス)の太陽(サン)と呼ばれる謎の人物が日本ラーメン会の統一を目論むと噂されている。 白蘭はグループの中でも海外系の味を持つ有名店だ。 店の前には常に13kmの行列が並ぶという。 「白蘭よりの刺客!!創作ラーメンの麒麟児!!その瞳が見極めるのは真実か!?なんとグループに12人しか居ない黄金闘士!!スコルピオ!!ラーメン探偵!!真野真実だァァァッ!!」 ワー ワー ワー 「己のラーメン(La Amen)に恥じない戦いをしましょう、我が信念(La Amen)に賭けて。」 白虎門から登場したトレンチコートの青年が両手を天に掲げて観客にアピール!! 爽やかなメリケン粉の香りがコロシアムを包む!! 彼は英語使いであった。 マーノ マーノ タンテー タンテー オーディエンスの興奮は冷めやらぬ!! 「オゥケイ!!オゥケイ!!みんな興奮するのは解るが、落ち着いてくれたまえ!!」 壇上ではフルダテが声を張り上げる。 「青龍の方角からはッ!!老舗中華料理店「龍息吹(ドラゴンブレス)」の助っ人料理人!!聞いて驚け!!かの暗黒お料理の生き残りが一人。リアル!!リアル伝説!!」 アバー アンコク ドラゴンブレス グワー オーディエンスから漏れる驚嘆の声!! かつて世界の料理を裏から支配しようとした暗黒お料理は、もはや伝説である。 人々の心には暗黒料理への畏怖が刻まれているのだ。 「ヘイヘイヘーイ!!それだけじゃあないぜ!!一つの体に三つの心!!暗黒料理!!園芸!!手芸!!“ケルベロス”ミツコ!!蘇るのは老舗の味か!?それともゾンビの群れか!?」 シュゲイ エンゲイ コワイ オーディエンスの興奮は阿鼻叫喚に近い。 恐怖!!そう恐怖である!! 手芸と園芸は恐るべき恐怖の技であるからだ!! しかしそれが料理に生かされるなら? その好奇心は人々の食欲を刺激した。 「みんなーッ!!お腹はすいてるかなーッ!!さあ、ご飯の時間だよォー!!」 「うふふ…新鮮な食材を揃えましたわ。」 「あ、よろしくお願いします。」 青龍門から歩いてきたエプロンドレスの少女は大きな荷物を置いて包丁をクルクルと回転させた。 その口からは三種類の声が漏れる。 歩峰蜜子、満子、光吾の三姉弟は一つの体にその精神が宿っている多重人格者だ。 倒した相手の魔人の主人公力を吸い取るという恐るべき魔人である。 吸い取ったエネルギーで世界を平和にするという。 ワオー ウオー ワー ワー ワー 「さあさあさあさあ!!最後の一人の紹介だ!!」 フルダテは南の朱雀門を指差す。 そこには奇妙な武器を持った青年が呆然と立っている。 「銃グニルの使い手ッ!!黒田ァ武志ィ!!」 ワオー ガングニル ウオー オーディエンスの興奮は絶頂に達している。 フルダテに促されるまま黒田も前に進む。 「そぉれでは!!制限時間は一時間!!この時計塔の分針が一周するまで!!お題は『餃子』『ご飯もの』『ラーメン』の三つの総合得点で決められます。よろしいですか?」 フルダテがルールを解説。 試合開始は間近だ。 「ふふふ、なるほど。この戦場はまさに私達の為にあるということでしたね。」 「制限時間もわかりやすくていいねーッ」 「……っとま…」 「負けた方は希望崎商店街から撤退する。条件はOK!?」 「無論(neuron)です。」 「約束破んないでよ?」 「…っとまてやコラ…」 「おや?黒田選手?何か?まさか!まさかまさか!?伝説の焼き土下座ルールを追加しようというのかぁ!!」 フルダテが大仰な驚きのポーズをとる。 ドーゲーザッ ドーゲーザッ ワー ワー オーディエンスが更に盛り上がりを見せる。 「ちっげーよ!!なんだこれ!?なんだこれ!?何の茶番だ!!なんだよ料理ってお前ら!!戦うんだろ!!こう!!力と技と能力を駆使した魔人バトルをよぉーッ!!」 黒田が絶叫する。 当然だ。当然すぎる意見。 黒田は戦いに来たのだ。名を上げるために。 「ふっ(foot)…」 「あー…」「あらあら…」「だから言ったのに…」 「オーウ…」 「ってめッ!!コラ!!なんだその『ヤレヤレ空気読めよ』みたいなポーズは!!なんで料理なんだよ!!答えろよ!!あーッ!!納得できねーからな!!」 黒田は絶叫した。 「料理ではないラーメン(La Amen)勝負だ」 「うるせーッ!!」 コロシアムは静まり返っている。 静寂。 しかしフルダテはプロであった。 「なるほど会場の皆ァー!!黒田選手の意見は最もだ!!そうだろう!?」 オーウ… フー… オーディエンスの反応は薄い。 「そんな事もあろうかと私は映像を用意していたのだッ!!」 「はあぁ?」 ワオー ムービー ワオー 活気がもどる。 「本来なら料理が始まってから適当なところで使おうと思っていたがッ!!求められれば致し方なし!!元より料理中は料理を楽しんでいただくのが基本!!ならば映像は今ここで!!ブゥゥゥイティィィィアァァァルッ!!スッタートゥ!!」 「ちょっと待てコラー」 ビヨン コロシアムの玄武の方角。 大時計塔の下に設置された巨大モニターにドキュメンタリー映像が映る。 (ドキュメンタリー風音楽。) ナレーションが流れる。 希望崎商店街。 破壊の波を乗り越えたこの商店街に老舗中華料理店『龍息吹(ドラゴンブレス)』。 老店主、龍宮威吹(たつみや いぶき)は「虹色(レインボー)ラーメン」のラーメン老師養田とはかつて同門であった。 養田が虹色ラーメンのビッグボス太陽とラーメン野郎の集団を立ち上げた時に袂を分かったのだ。 純粋な中華とラーメン野郎。 相容れぬ道、悲しい青春の日々!! ああ!!元は美味しい料理を作るという同じ道を歩いていたのに!! (悲しげなメロディー) ある日、店を訪れたミツコ。 ミツコはこの店の馴染み、たまにアルバイトをする事もある。 しかし様子がおかしい。 『龍息吹』は人気店のはずなのに客がいないのだ。 なんと店のはす向かいに人気チェーン『虹色ラーメン』の新店舗がオーップンしたのだ。 独立システムを使い資金300万円の融資。 圧倒的な仕入れサポート。宣伝も豪華。 低価格。 お父さんの給料に優しい。 店内には子供が喜ぶ中華のターンテーブル。 家族と来ても楽しい。 キムチ食べ放題。 若者にも人気。 コラーゲンたっぷり濃厚スープ。 女性にも人気。 白蘭から独立した真野の店『ラーメン探偵(turn table)』。 『ラーメンの選択の真実はいつも一つ』を合言葉に大々的に出店してきたのだ。 よりによって“斜向かいに”!! くっ。 「たこ焼きくいてーッ!!」「パン美味しいねん」「ソース?ソース?」 突如、関西モヒカンが店内に乱入。 しかし、おかしい!!何たる冒涜的言語!!邪悪!! 責任を関西に押し付け濡れ衣を着せて行われる卑劣な営業妨害行為だ!! こいつらは偽関西人だ!! 関西の血が流れるミツコはモヒカンを店外にたたき出す。 更にこれらを半殺しにして拷問。 「うふ、誰の差金かしら?」 ミツコの拷問により3人のモヒカンのうち二人の皮膚は茶色に染まってしまった。 「アー…カレーアジ…アー…カレーダカラ」「アー…ミタメカレー…アー…モンダイナイ…」 園芸部の恐怖のゾンビ化術『生ける畑の肥やし』である。 こうなってしまって畑の養分になりながら野菜泥棒を捕食するトラップとして生きるしかない。 かつてウンゲロスと呼ばれる戦いで生み出された忌まわしき邪法。 「あなたも、こうなりたい?」 「嫌だー!!言う!!だから助けてくれ!!虹い…うぎゃー」 モヒカンの頭部が爆発!! (CM) (コマーシャル終了) 「それは違うよ!!破(hat)!!」 反論の拳がモヒカンの言葉と頭を打ち抜いたのだ。 トレンチコートの男がそこには立っていた。 「貴方は?」 「この店の店主、真野真実。まったく酷い営業妨害でしたね。喝(cut)!!」 回し蹴りでゾンビも爆散。 「証拠隠滅のつもりですか?」 少年の声。 ミツコの体からは三人の声がでる。 「なんの事かわかりませんが?証拠もなく動くのは探偵失格ですよ?ましてや事実無根の推論ではね」 真野の反論。 そう、光吾は探偵であり。 真野真実も探偵であった。 「はいはいはい、ミツゴくーん興奮しないの」 少女の声。 「でも姉ちゃん」 「成程(near ford)、複数の人格があるようだが、そのうちの一人は料理人でしょうか、その佇まいは中華の流れを汲んでいるようだ。」 一人で会話している少女の動きを見た真野が興味深そうに言った。 「その佇まい、中々の腕前をお見受けする」 「アタシが料理人だってわかるって事はあんたも相当ね」 「そこの古臭い…、おっと失礼。その中華料理店の料理人ですか?」 「たまにアルバイトしている程度だけどね、アンタも中々卑劣じゃない。」 「なんの事でしょう」 「小麦…」 「我社は独自のルートからメリケン粉を仕入れており安価(anchor)に提供することで荒廃(call high)した東京の食糧事情に貢献しておりますが何か?」 「国産の小麦も買い占めてるんじゃないの?」 「国産?あんな高価な食材は庶民には向きません、TPPという言葉をご存知でしょうか?」 「んあ?」 「メリケン粉はアメリカから安く提供され、貴方達はそれを食べればいい、米もそう、すべての食料はアメリカで生産し日本は消費するだけでよろしい、貴方たちは安く食事を食べられ、アメリカの農家も潤う、ウィンウィンの関係ですよ。」 政治的話題による論点操作。 いつしか真野の姿は政治家の様相である。 そう己の姿を状況に応じて変える真野の能力『“La Amen”』。 巧妙な交渉話術であった。 「よろしいですか?貴方たちも我々のチェーン店に参加すれば仕入れもラク(rack)、宣伝もラク(rack)。みんな幸せになれるのです。」 「騙されないよ」 「何です?」 「ラーメン勝負だ!!」 ラーメン勝負、これこそ龍息吹とミツコの逆転の秘策。 「むむむッ!!」 「負けたほうが商店街を出て行く、それでどうだ!!」 「ふッ(foot)いいでしょう。その勝負受けましょう。」 こうしてラーメン勝負が行われることになったのである。 (エンディングテーマが流れ スタッフロール ナレーション フルダテ) 「どうです?」 フルダテのドヤ顔。 相当の自信作のようだ。 ワー カンドー ウオー ナイス ドキュメンタリー ワオー オーディエンスも興奮している。 「中々、良い出来(deck)です」 「うん、いいねーッ」 「良くねーよッ!!」 「え?」「理解(lee kind)できません」「面白いよ?」 「ちょっと不思議そうな顔してんじゃねーッ!!最後なんだよ!?なんで?なんでラーメン勝負言いだしたの?なんで受けるんだよ!!」 「意味わかんねーよ!!あと話に脈絡がねーよ!!あれなんなの?ああいうやり取りがあった後に撮影したの?馬鹿なのか?オイ!!」 「照れた顔してんじゃねー!!セリフ?あれあとで考えたセリフなのかよ!!」 ぽん。 フルダテが黒田の肩に優しく手を置く。 「ああ!?」 「そーゆーモンです。あと大体は事実ですから。」 「うるせー!!」 「ちょっと待ってよ」 ミツコが少年の声で発言する。 「確かに黒田さんには関係ない話だけどさ、でもメリットはあるんだ」 「はあ?」 「このラーメン勝負は僕達と真野さんの勝負だ」 「だから何だよ」 「僕たちは勝手に戦う、黒田さんはその勝った方と戦えばいい」 「どういう事だ?」 「僕たちは勝手に潰し合う、そしてこの戦いが終わったあとに料理勝負を黒田さんに強要する理由はない、そうですよね真野さん」 「無論(neuron)」 「だから黒田さんは見ていればいいんです、いや。むしろ審査員として試食してください。一時間も待ってる間ヒマでしょうし。」 「おおおおおおっっとぉ!!これはサプライズな提案だーッ!!さあ黒田選手いかがでしょう!!」 「お、おう」 「決まりだね」 ワオー シンサイン ワオー オーディエンスも絶頂。 黒田武志。 目先のことに釣られる男であった。 「イヤーッ(year)!!」 おーっと真野選手 生地を空中に放り投げたーッ 解説のトミタさんどうでしょうかね エー この試合はですね エー 熟成に時間のかかる生地は持ち込みOKなワケでしてハイ ほうほう というと? エー 虹色ラーメンチェーンの生地にはですね 秘密の調味料が加えられているとハイ おお!!真野選手ジャンプ 頭上20mの生地に向かってジャンプ あああッ エー パンクロックですね エー 真野選手はドラムの経験もハイ 真野選手の衣装がパンクロック風に変化 両手には綿棒だーッ 「混ぜる(mad jail)!!」 叩いたー 真野選手 二本の綿棒でドラムロールの如く生地を叩く叩く叩いて混ぜるーッ エー ツービートですねハイ さあッ 一方の黒田選手ですが エー ヒマそうですねハイ そして ミツコ選手 おっとこれは丁寧 丁寧な作業 生地を袋に入れて踏んでいるッ エー 女子高生の足踏み生地 エー いいですねハイ おっとここで情報が入りましたーッ ミツコ選手 体は男だそうです 残念ッ エー それはそれでハイ 「ほほう、小麦を手に入れたのですか?」 「うちの寮の倉庫にね、北海道産オーガニックよ」 「なるほど、そうでなくては面白くありません、ならばッ」 で でたー 豚肉だー 輝くピンク 美しい油と赤身のコントラストーッ エー これは エー 「イベリコ豚だ」 イベリコー イベリコです イベリコってなんでしたっけ トミタさん エー … ハイ 「スペインのブランド豚だ、どんぐりを食わせて育てる」 だそーです エー ハイ 真野選手豚肉をミンチにする一方で圧力鍋に調味料と共に投入だーッ エー 使い分けるということでしょうハイ 「他にもポロ葱、ガーリック、オニオン、キャベツ、ふふ。」 「高級食材を使えば美味い、これがたった一つの真実」 うまそうです なんか聞いただけで美味そう エー ハイ ヨダレがでますね ハイ おおおっとー ミツコ選手に動きが 生地を細く伸ばしている これはどういう事だッ エー ラーメンはまだ早いです エー 餃子を捨てたのかッ 餃子に勝ち目なしと見てラーメンの仕込みか エー ルール上は 問題ありません エー しかしポイント的に捨てるのは厳しいぞ 「はっはー、だーかーらーッ!!アタシ達はチームだっていってるじゃん。ミツゴ君ッ!!」 「行きますッ。やーッ!!」 あああああッ 生地が 生地がッ 「なんだとォー!!これはッ!!」 「これがアタシの弟のミツゴ君の力だッ!!」 麺状の生地が編み上げられていくーぅ これは美しい仕上がりッ 網目が美しい エー 驚きです エー これが 手芸者です ハイ 「くっ(cook)、貴様ッ!!だが(dagger)ッ」 さあ 真野選手は豚をミンチにして餡を作るッ そしてナンダーッ エー ピンクですよ ハイ 「アルプスの岩塩だ、ふふ」 アルプスー ここでアルプス アメリカだけではない まさに世界 真野世界だッ エー 黒田選手 寝てますねハイ ミツコ選手の方は魚介です これを先ほどの生地に包む そして蒸したーッ エー 小龍包のようなものでしょうかハイ 点心ですねハイ さあ 真野選手も生地に包んで焼きはじめるぞーッ 「次ッ。ミツコちゃんッ!!」 「うふッ、お任せくださいお姉さま。」 おおっと ミツコ選手 早くも次の料理にとりかかるうっ エー 蒸し料理にすることで エー 調理の手間を短縮したのですねハイ な、なぁーッ なんとォー 穴だッ 穴を掘っているッ 「ウフッ 私の感が告げています ここである と」 こ これは ウサギッ 掘った穴からウサギがッ エー 確かにウサギの仲間には 穴を掘るモノも居ますがハイ 「お姉さまッ!!」 「流石の仕入れだぜッ!!ミツコちゃん!!」 おおっと 襲いかかるウサギを難なく肉塊へと変えていくーッ 食材 食材なのかーッ エー 真野選手が餃子を仕上げてきたようですハイ 真野選手 圧力鍋を アー 煮込み豚です 豚の角煮だーッ 「手間の短縮(turn short)だと?そのことを考えているのはお前たちだけではないッ」 ファイアーッ 真野選手 煮込み肉を豪快にファイアー これはチャーシューだッ エー これは一気に逆転ですねハイ おっとここで情報が入りました 先ほどのミツコ選手の倒したウサギですが おおおッ エー どうしたんですかハイ 地下迷宮ッ この地下には迷宮が 希望崎大迷宮があるのですッ エー エー!? 地下迷宮産の首狩ウサギですッ 一級即死生物 取り扱い注意ッ エー コワイですハイ 「さあ、できたぞッ。特製チャーシュー丼だッ。」 これは美味そうだッ ご飯に煮汁が染みるッ エー ヨダレがズビっとハイ ミツコ選手はチャーハンの様子 おおッ あれは 希望崎特産米『キボウノヒカリ』 エー 伝説の食材ですね ハイ まだ現存していたのかッ 「去年ミツコちゃんが作ったんだッ!!」 流石園芸部、自ら生産した食材を使う これは真野選手サイドとの違いが見えるぅー エー 地産地消ですねハイ 「ふん、どこで作られようが味だけが真実。」 さあラーメンだッ おおっと真野選手 座り込んでしまった どうしたことかッ エー 体調不良ですかねハイ 「ぬうううううううううんッ」 真野選手の衣装が黒Tシャツにッ いやバンダナだッ 前掛けだ これはー!! エー ラーメン野郎ですねハイ 「Run!!Shout!!Say!!(いらっしゃいませという意味の英単語)!!」 出たーッ 最後はこうでなくてはッ 探偵といえども ラーメン ラーメン野郎ッ エー これが最終形態ですかハイ 「かつてッ!!私の憧れた男は襤褸王などというラーメン存在になり死んだ!!」 「そしてッ!!別の尊敬すべき男はドラゴンとなった!!」 なんでしょうか これは一体ッ 真野選手両手を天に掲げるッ エー 何か言いたいことがあるのでしょうかハイ 「所詮、彼らは力を制御できなかったのだ!!制御し損ねたのだ!!私はッ!!私は違うぞッ!!」 「力に飲まれた彼らを超え!!私こそが真のラーメン野郎であり英語者となるのだ!!」 「想像せよ!!創造せよ!!出汁(dash)!!そして麺(main)!!」 「我が体内のラーメン回路よ、我が精神の英語機関よ。混ざって爆ぜろ。」 「我が心こそ精神(La Amen)、我が技こそ誇り(La Amen)!!」 「そして我が肉体こそ真実(La Amen)!!」 ああああ 真野選手の手に食材が吸い込まれていくゥー!! エー どういうことでしょうハイ 光った 真野選手 光ったァー エー そして黒田選手まぶしそうに寝返りをうちましたハイ 「ね、姉ちゃん…」「お姉さま…」 「大丈夫だって、しっかり丁寧に。さっき蒸し器に一緒に入れたナルトが完成ねー」 「かかかかかかかかかか喝ァァァァァッ(car)!!イングリッシュエナジー!!」 で 出たー 真野選手の手のひらから ラーメン!!ラーメンが!! エー?! エー?! そのまま宙に浮いてーッ 丼に入ったーァ!! ハイハイハイハイッハイー!? 「ふっ、こちらは完成したぞ」 「チャーシューをのせてっと、こっちもできたわ」 エー 時間ですハイ しゅううううううりょおおおおおおおおおおッ!! 「あ、できたのか?腹が減ったぜ」 黒田選手も起きたー ワオー ウオー キャー 「えー会場の興奮も冷めやらぬところですがフルダテです」 フルダテは壇上に戻る 「両者の料理がでそろいましたッ」 フルダテは審査員の前にある料理を指差す 「真野選手、推理する焼き餃子、証拠のチャーシュー丼、真実のラーメン」 「ミツコ選手、編み上げ海鮮蒸し餃子、ウサギのチャーハン、醤油ラーメン」 ワオー ウマソー タベターイ ウオー 「続いて審査委員の紹介だー!!まず料理ジャーナリストのヨウリョクソさんです。報道部の料理レポーター。」 「頑張ります」 「そしてお金持ちのブッタ・ヴァラーさん」 「ブヒヒ、よろしくぅ」 「あと力士の股の海さん」 「ごっちゃんです」 「そして黒田選手」 「早くしろよー」 「それではッ。一品目実食!!まずは真野選手から」 「美味しい、肉の味が塩で引き立てられるようだわ、そして…そして…まるでこれは」 「おおっと早速飛ばしているヨウリョクソさん!!」 「世界を旅しているようだわー アハーン」 「美味いブヒ」 「ごっちゃんです」 「おーこりゃうめー」 「スペインの闘牛?いえこれは豚だわ、私が豚っ ああ あああー もっと罵ってェー」 「ぬ 脱いだー!!ヨウリョクソさん脱いだー!!」 「アルプスの雪解けを感じるぅうー 私も蕩けてしまいそうッ」 「溶けたー ヨウリョクソさん溶けたー」 「はぁ…はぁ… とっっっても美味しかったわ!!」 「ゲエー 復活 そして服を着ている!!」 「続いてミツコ選手の餃子です」 「中からお汁が溢れてくるぅーん これは? これは海?地中海バカンスッ!!」 「脱いだー!!ヨウリョクソさん 着た服をまた脱いだーッ!!」 「美味いブヒ」 「ごっちゃんです」 「おーこりゃうめー」 「なんという開放感ッ ああ 飛んでいってしまいそうッ!!でも!!」 「おおっとどうしたヨウリョクソさん」 「でもでもでも飛べないのッ、ああッこの網目が私を縛り付けるのッ!!束縛の愛だわッ!!」 「縛られたーッ!!ヨウリョクソさん縛られたッ!!亀甲縛りッ!!海鮮だけに海老反り亀甲!!ロープはどこから来たのかッ!!」 「それでは判定をどうぞー」 「ミツコ選手で」 「ブヒ、ミツコ」 「ミツコ選手でゴワス」 「真野かなあ」 「やったー」「さすがお姉さま」 「なんだとッ!!馬鹿なッこの私の餃子がッ!!」 「解説するでゴワス」 「おーっと股の海の解説だーッ!!」 「真野選手の餃子もとても美味であり正直甲乙つけがたいところでゴワス」 「しかしながらミツコ選手の蒸し餃子は試食の直前に蒸し器から出されておりアツアツでゴワした」 「対して真野選手の餃子はちょっと冷めちゃってたのよね、私を豚のように罵るプレイとしては良かったのだけれど、ほんの少し減点だわ」 「ブヒィ、良い豚だった、だが他の食材の個性が強すぎた、豚の良さを活かすにはもう少しバランスを考えるブヒ」 「やー、美味かったぜ。俺肉好きだしさ。」 「黒田選手以外の、とてもまともな解説ありがとうございましたーッ!!」 「ぬうううううッ」 「続いて二品目 まずはミツコ選手から」 「なにこれ、なにこれッ パラパラだわッ口の中で米粒の一つ一つ後ほぐれていくわッ はーん」 「ヨウリョクソさんの服がほぐれてパラパラにーッ 脱いだッ また脱いだーッ!!」 「美味いブヒ」 「ごっちゃんです」 「おーこりゃうめー」 「ああーん まってぇー うさぎさーん!!不思議の国へつれてってぇーん!!」 「ヨウリョクソさん 会場に空いていいる穴から地下迷宮へ飛び込んだーッ!!」 「ああーん 真っ暗 真っ暗だわ なにもみえなーい コワイヨー えーん」 「泣いたーッ!!ヨウリョクソさん迷子になって泣いたーッ!!」 「ああッ光?光だわッ!!これは何?そう希望の光よーッ!!」 「出たー!!ヨウリョクソさん穴から出てきたッ!!しかもレアアイテムで武装しているぞッ!!」 「属性は光ねッ!!」 「それでは続いて真野選手のチャーシュー丼をどうぞー」 「あああッこのタレ黒いタレが染み込んでいくッ 私が染められていくーん!! あなた色に染めてェー!!」 「染まったー!!ヨウリョクソさんが黒く染まったーッ!!そして光属性のアイテムが装備不可ッ!!結局脱いだーッ!!」 「マジやばいってェー!!美味しいんですけどーッ!!」 「黒ギャルだーッ!!でもちょっとセンスが古い気がするぞッ!!」 「ちょ、ほっといてよッ!!」 「美味いブヒ」 「ごっちゃんです」 「おーこりゃうめー」 「柔らかいわッ 箸で全く抵抗なく肉を切断するッ こんなに柔らかいモノに包まれて しあわせー!!私もバラバラにしてぇー!!」 「爆散!!ヨウリョクソさん バラバラに切断だー!!そして戻ったーッ!!元に戻った!!」 「素晴らしい味だったわ!!」 「それでは判定をどうぞー」 「真野選手で」 「ブヒ、真野」 「真野選手でゴワス」 「ミツコかなあ」 「くっ、負けたかー」「姉ちゃん」 「これで五分ということだな」 「解説するでゴワス」 「解説の股の海さんだーッ!!」 「ミツコ選手のチャーハン、ウサギの野趣あふれる味が素晴らしかったでゴワス」 「しかしながら米、これが良くなかったでゴワス」 「キボウノヒカリはとても美味しいお米。でもこれは新米じゃないわね?古米が美味しくないというわけではないの、暗闇にも光を見いだせる素晴らしい味だったわ。」 「しかし、微妙な水加減を間違えたでゴワスね、ウサギを狩る為の時間で微妙に水分量が狂ったのでゴワス」 「古米には古米の炊き方があるのは料理人に言う事ではないでしょうけれど、この差が勝敗を分けたのよ」 「ブヒヒ、対して真野の豚肉、これはご飯によく合ったでブヒ味付けも完璧ブヒ」 「俺は丼物より焼き飯が好きだぜ」 「黒田選手以外の、とてもまともな解説ありがとうございましたーッ!!」 「泣いても笑ってもこれで最後ねー」 「そうだな、だが。」 「何?」 「いや、進めてくれ」 「それでは最後の一品ラーメンだッ。まずは真野選手から!!」 「こ、これはッ なんの味かわからないわ ミステリアス ミステリアスだわッ!!この味の前では私には秘密なんて持ちようがない、ああッ全てをさらけ出してしましそうッ!!見てッ!!私の真実を暴いてェー!!」 「脱いだーッ!!ヨウリョクソさん脱いだーッ!!」 「美味いブヒ」 「ごっちゃんです」 「おーこりゃうめー」 「これはハードボイルド?私の全てがさらされていくゥー、記憶がッ。失われていた私の記憶が戻る、そう私は家が嫌で…」 「語りだしたーッ!!ヨウリョクソさん過去を語りだしたーッ!!」 「そう、私の苗字は真野…真野葉緑素。あなたは私の弟なの?」 「衝撃の事実ッ!!ヨウリョクソさんは真野選手の姉だったー!!」 「ダメよー、あなたと私は姉弟!!でもでも、構わないわッ!!無茶苦茶にしてーッ!!」 「また脱いだー!!結局脱いだーッ!!」 「でも弟でも審査は公平よ。美味しかったわ。」 「それでは、次はミツコ選手」 「あら?美味しいわ。普通に美味しい、これは鶏がらと煮干?」 「おお!!脱がないヨウリョクソさんが脱がない」 「美味いブヒ」 「ごっちゃんです」 「おーこりゃうめー」 「ああ…でも…懐かしい味。子供の頃よく弟と一緒に食べたラーメンの味…」 「オロローン!!泣かせるッ!!ヨウリョクソさん泣かせるぞッ!!」 「ごちそうさまでした」 「それでは判定をどうぞー」 「ミツコ選手で」 「ブヒ、ミツコ」 「ミツコ選手でゴワス」 「ミツコかなあ」 「おおっと全会一致だーッ」 「クハハハハハハハッ!!いいだろう解説を聞かせてもらおう!!」 「それは解ってるんじゃないの?」 「ほう、お前に私の何がわかるというのだ?」 「だって、ラーメンと英語って関係ないじゃない」 「グワー!!」 「確かにラーメン野郎は凄いけれど英語で味が良くなるわけじゃないでしょう?」 「グワー!!」 「そうでごわすな、英語による精密動作といっても体内で生成したスープや麺でゴワス」 「え?体内?」 「そうよ黒田選手、あれはあの子の体内に取り込んだ食材を体内回路で…」 「ゲボー!!うぎゃー!!男の体から出たもん食わされたのかーゲボー」 「あ、黒田選手が吐いた」 「まあ、食品衛生上も問題あるでブヒ、体内精製」 「まあ…でも…男の子のラーメン食べた男の子ってこう いいわぁ」 「あの?ヨウリョクソさん?」 「○ーメンって伏せるとヤラシイシ」 「ヨウリョクソさん?ヨウリョクソさーん」 「やめろー ゲボー なんかそんなモン食わされた様な気がしてくるじゃねーかー」 「ねえ白子って知ってる?」 「ゲボー 白子ォ? フグとかの ああ好きだぜ」 「大ジョブ、白子って魚の○玉よ?プレイだと思えばオールオッケー」 「グワーッ もう白子くえねえー ゲボー!!」 「そうだ、知っていた。確かに英会話は強力な技術、そしてラーメンは魔法。だが噛み合わない、いや違う!!噛み合うのだ!!噛み合いすぎるんだ、凄く!!」 「まあ、あれが噛み合うってのはねえ」 「そう、キメラだよッ!!キメラッ!!結局人外じゃん!!やってられるかッ!!」 「ゲボー…ゲボー… ゲ…ピクピク…」 「あ、黒田選手リタイアー」 「私は、普通に強くなりたかったんだ」 「大丈夫、きっと君は強くなれる」 「私の…負けだ。」 こうして戦いは終わった。 「クソッ相手が悪すぎたぜ、なあ銃グニル!!」 「そうだな」 「お前もっと喋れよー」 黒田は試合後には平静を取り戻した。 少しヨロついていたが。 ガングニルに愚痴を言いながら去っていった。 魔人が能力を使わぬまま負ける、そういう事もあるだろう。 結局黒田に止めをさしたのはヨウリョクソさんだったような気もするが。 だが真野のラーメンを食べてリタイアしたことになった。 さらにミツコに主人公力を吸われてしまった。 ちょっと、いやかなり可哀想だ。 「英語もラーメンも好きだけど混ぜるのはやめるよ」 そういって真野は負けを認めて去っていった。 彼は結局、偉大なるラーメン野郎 有村大樹に憧れ。 最強の英会話使い池松叢雲になりたかったのだ。 化物ではないかっこいい男に。 だが彼は主人公にはなれなかった。 でも、真野は思った。 “ケルベロス”ミツコ。 料理人であり、庭師であり、手芸者。 あれも大概キメラだよなー、と。 「黒田さんの主人公力ではまだ不治の病を消すほどにはならなかったね、一体いつになれば」 「うふ、まあ可哀想でしたけれど」 「まーいーじゃん。何とかさなるって。ほっれほれミツゴ君は心配性だなぁー」 「お姉さまも、もう少し心配してみては?」 「なんだよぉー、そんなイヤミ言うならさー。今晩のプリンは無しにするぞぉー」 「ああっ、それは勘弁して欲しいですわ。」 「結局、僕が食べればみんな食べる事になるのにな…」 「どーしよーかなぁー」 「お姉さまー」 仲のいい姉弟の戦いは続くッ (エンディングテーマが流れ スタッフロール ナレーション フルダテ 制作協力報道部) このページのトップに戻る|トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/tokimeki_dictionary/pages/627.html
Height 身長【しんちょう】 文字通りキャラクターの背の高さのことで、ときめきメモリアルシリーズには、およそ100人近いのキャラクターがおり、 背が低い男性キャラクターがいれば、背が高い女性キャラクターがいるなど様々である。 なお、桜井琥一以外のメイン王子は180㎝で固定されている。 身長一覧 ここでキャラクターを主人公が3年次の身長別で掲載するが、小数点第1位まで表示されている『3』のキャラクターに関しては小数点は切り捨てることにする。 145cm:音成遊 147cm:尽(小学生時) 148cm:弥生水奈 149cm:赤井ほむら、伊集院メイ 150cm:美樹原愛、水月春奈、小野田千代美 151cm:美咲鈴音、紺野珠美 152cm:秋穂みのり 153cm:館林見晴、野咲すみれ、坂城匠、柳冨美子、宇賀神みよ 154cm:火の玉番長 155cm:早乙女優美、寿美幸、渡井かずみ、語堂つぐみ、井ノ倉唯、西本はるひ 156cm:如月未緒、虹野沙希、白雪美帆、佐倉楓子、白雪真帆、河合理佳、前田一稀 157cm:古式ゆかり、和泉恭子、陽ノ下光、春日つかさ 158cm:藤崎詩織、春日太陽 159cm:片桐彩子、朝日奈夕子、一文字茜、牧原優紀子、星川真希、皐月優、須藤瑞希 161cm:紐緒結奈、和泉穂多琉、藤井奈津実、天地翔太、大迫力 162cm:宗像尚美、相沢ちとせ、天宮小百合、井ノ倉葵歩 163cm:清川望、花椿みちる、花椿ひかる 164cm:麻生華澄、橘恵美、響野里澄、水島密 165cm:大倉都子、守村桜弥、日比谷渉 166cm:水無月琴子、神条芹華、エリサ・D・鳴瀬 167cm:鏡魅羅、早乙女好雄、九段下舞佳、龍光寺カイ、小林学、巴征道 168cm:パトリシア・マクグラス、御田万里 169cm:八重花桜梨、七河瑠依、有沢志穂 170cm:郡山知姫、花椿カレン 171cm:藤堂竜子 172cm:伊集院レイ、古森拓 173cm:設楽聖司、氷室一紀 174cm:針谷幸之進、平健太 175cm:穂刈純一郎、矢部卓男、鈴鹿和馬、蒼樹千晴、蓮見達也、本多行、白羽大地 176cm:赤城一雪、新名旬平 177cm:桜井晴 178cm:赤上武、三原色、天童壬、氷上格、不二山嵐、柊夜ノ介 179cm:花椿吾郎 180cm:白鳥正輝、七河正志、葉月珪、佐伯瑛、若王子貴文、桜井琉夏、風真玲太、大成功 181cm:三原咲之進、紺野玉緒 182cm:天之橋一鶴、真嶋太郎 183cm:木枯らし番長、クリストファー・ウェザーフィールド、藍沢秋吾、颯砂希 184cm:白羽空也 185cm:姫条まどか、七ツ森実 186cm:真咲元春 187cm:志波勝己、御影小次郎 188cm:爆裂山和美、氷室零一 190cm:桜井琥一 191cm:一文字薫 208cm:筋肉番長 関連項目 システム
https://w.atwiki.jp/tokimeki_dictionary/pages/155.html
Ghost house ゴーストハウス【ごーすとはうす】 概要 『1』『3』の遊園地のアトラクションの一つ。 『1』では3年目の11月まで選ぶことが出来るが、『3』では2年目6月にメルヘンワールドが無くなりこれに代わる。 『3』では、通常デートおよびダブルデートでゴーストハウスに行けば、以降ミニゲームでプレイ可能になる。(1,2年目の7月下旬のダブルデート時に行く事になるので、自動的に遊べるようになる。) ダブルデートでは、どのアトラクションにも言える事だが、指名した女の子を白鳥正輝に橫取りされるのが鬱陶しいなら、普段から登場した全ての女の子とは仲良くしておこう。 作品別の評価 『1』では、ときめき度が高い鏡魅羅をここに連れて行った場合、イベントが発生するが友好度が低下し、傷心度が上がってしまう。 逆に、古式ゆかり・美樹原愛といったホラー物が大好きな子の受けは非常に良い。 入る時の美樹原の台詞は、何かしらの大胆な行動を狙っているように聞こえてしまうのだが…。 『3』では、スタート時のみ表示される地図を頭に入れておけば、あとはゴーストにだけ注意すれば良いのでそれほど難しくはないと思われる。 迷った場合は、ワザとゴーストに捕まってスタート地点に連れ戻されるか、○ボタンを押して現在位置を確かめるかのどちらかにしよう。(ゴーストが都合良く見つかるわけではないので、後者がオススメ) ただ、どちらにしても時間だけは過ぎていくので、闇雲に歩き回らないよう注意すること。 暗記が苦手な人は、スタート時に表示される地図を紙に描いておくか、スクショを撮るのも良いだろう。(スタート前なので時間は経過しない) なお、このアトラクションだが、好相性なのは和泉穂多琉だけなので(他には河合理佳と橘恵美が可もなく不可でもない状態)、ダブルデートで三者のいずれかが絡む組み合わせで無かった場合(相沢ちとせ&牧原優紀子or御田万里の2パターン)は素直に諦めよう。 ちなみに、和泉と通常時で遊園地デートをする場合はメルヘンワールドを一番お勧めしたいが、上記の通りメルヘンワールドは2年目6月には無くなってしまうので、これ以降は必然的にゴーストハウスしか選ばざるを得ない(彼女はジェットコースターと観覧車が苦手なため)。 これと似たようなアトラクションは、『4』のゴースト迷宮とGSシリーズのお化け屋敷があるが、何故か『2』にはこれに相当するアトラクションは存在しない。お化けの類が大嫌いな陽ノ下光に配慮したのだろうか。 光がお化けを怖がる話は夏合宿の肝試しで使ってしまったという事もあるだろうが、他のヒロインの為にも導入して欲しかったところである。 無論、光を連れ込んでも最悪の印象しか与えられなかっただろうが…… 関連項目 ダブルデート ミニゲームetc