約 85,632 件
https://w.atwiki.jp/gaseousform/pages/16.html
06年6月29日現在、素直クール避難所にて素直クールSS祭りが準備されております SS祭議論スレ S S 祭 り や ら な い か アイデアはあるのになかなか文にまとめられない……そんな君! 萌えシチュは頭にあるのに俺の話にうまく組み込めない……そんな長編作家の君! とにかく素クール萌えを体現したい……そんな君!! 原点を思い出してみよう 短レスに凝縮された素クール萌え………そして萌え素の応酬……… これぞ素クール萌えの十分条件ではなかったか!! 会話文?地の文使用?どっちでもいいさ! 2・3レスに収まる萌えるSS………それが唯一の条件だ!! 支援絵も大歓迎!!それは祭りの流れに逆らうのではない……流れを加速させるのだ!! 素直クール萌えのみがクローズアップされたSSに、君も酔いしれろ!! ■SS祭り開催にさし当たり、ニュー速VIP素直クールスレにてお題募集が行われます。 ■募集期間は6/30(金)の21時~22時まで!その後0時までの投票を集計します。 ■上位6個が選出され、開催期間の二日それぞれに3個づつ割り当てられます。 ■投稿するお題は自由ですが、エログロ等、人を選ぶお題は極力自粛していただければ幸いです。萌えるSSは萌えるお題から出るものだ! 祭りの成功には住人の協力が不可欠……書き手、読み手、萌え手、どんな形でも構いません、参加お願いします!! 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/tokimeki_dictionary/pages/595.html
Ninagare university 二流大学【にながれだいがく】 ときメモ世界でそこそこ難しいとされる大学。 卒業後この進路になるのは、 『1』:古式ゆかり 『4』:エリサ・D・鳴瀬、大倉都子 『GS2』:真嶋太郎 『GS3』:平健太、宇賀神みよ また、この進路になる可能性があるのは、 『1』:館林見晴(主人公が二流大学に進学した場合) 『2』:陽ノ下光、水無月琴子、白雪美帆、八重花桜梨、佐倉楓子 『3』:和泉穂多琉以外の全員 『GS2』の真咲元春はこの大学に在学中(主人公が高校在学時)である。 また、エリサ・都子・平・みよの4人は大学では同級生になる。 主人公がここに合格するためには、ステータスをそこそこ高くしないといけない(詳しくは進路にて)のだが、『3』のみ、試験会場で誰かと会ってしまうイベントが発生すると、一流大学同様どんなにステータスが高くても何故か不合格になってしまう。 『2』では、八重と佐倉以外の3人は学部の違いこそあるが、ここがデフォルトの進路ではないかと思うぐらいわりと簡単に進学してくれる。 残る2人のうち、佐倉は雑誌の編集者か大手会社の受付嬢になることが多いため、ここに進学させるのは難しそうである。 ただ、光の場合は多少誘導しないと有名体育大学(三流大学扱い)、水無月の場合も三流大学に入るケースも多い。 なお、『4』の都子に関しては彼女を攻略しなかった場合の主人公のコメントで、「二流大学に通っているがその後の彼女の姿を見ていない」と発言している事から、本当に大学に通っているかどうかは不明である。 関連項目 進路 一流大学 三流大学
https://w.atwiki.jp/tokimeki_dictionary/pages/554.html
愛の身代わり【あいのみがわり】 『2』で陽ノ下光が使う奥義。 敵が攻撃を繰り出した際に「あぶないー!」の掛け声と共に主人公の眼前に立ち、主人公の代わりに光が9999のダメージを受けて意識を失う。 それを見た主人公が激怒状態になり、通常攻撃の威力が一定時間2倍になる。 奥義を持っていない敵との対戦でも発動し、敵の攻撃が不良パンチであっても9999のダメージとなってしまう。 普通に受ければ大したダメージにはならないので、健気ではあるが結果論としては、残念ながら自爆としか言いようがない。 (一部攻略本では、「奥義を持っていない敵相手には発動しない」と書かれているが誤りであり、不良戦でも発動する。 不良に回復魔法を放つなど、わざと延命でもさせない事にはめったに見られないと思われるが) 攻撃力2倍が適用されるのは通常攻撃のみであるため、主人公の運動が0の場合は何も効果が無く、魔法攻撃を使用する場合も当然効果は無い。 奥義として役立つ事もあるが、『2』の女性キャラの奥義の中ではイマイチの部類。 総番長の巨大化時に元の大きさに戻す効果はあるので、寿美幸や白雪真帆の奥義よりは多少マシではある。 総番長の奥義・金茶子鷹は24回被弾するので、その時にこれが発動すると9999×24=で なんと239976のダメージを受ける事になる。 『2』のみならずシリーズ史上最大級のダメージであり、生きているのが不思議なレベルと言えよう。 と言うより、目を覆わずにはいられないような凄惨な光景になっていそうだが。 この奥義の発動後に主人公が自分の奥義を仕掛ける際にも、光は隅の方にうつ伏せになったまま転がっている。 また、これが発動すると主人公が勝っても光はバトルの終了まで倒れたままである。 (主人公が負けると、倒れた主人公だけを残して同伴している女性キャラ・敵キャラは画面から消える) 強敵相手の時は仕方がないが、見ていてあまり気分のいい絵面ではないので、なるべく発動させずに勝ちたいところである。 光はMP(容姿)の数値がその時によって安定せず、運動部員ゆえかHP(体調)は低いため動きも遅い。 学力は総じて高めなので、魔法攻撃(回復魔法)を期待出来る時もある。 基本的には、この奥義を使うより普通に攻撃をしてもらうか、回復魔法を使用してくれる方が有り難い。 関連項目 部活・趣味・バトル 陽ノ下 光
https://w.atwiki.jp/gangload/pages/10.html
虎属性SSレアカード一覧 兵藤 将之介 ■攻撃力:4850 ■防御力:3490 ■必要戦力:32 ■スキル:王道成就 ■スキル効果:全属性の防 極大ダウン 織田 大牙 ■攻撃力:3550 ■防御力:4330 ■必要戦力:30 ■スキル:魔王上洛 ■スキル効果:虎属性の防 極大アップ キャロル 金城 ■攻撃力:3900 ■防御力:3920 ■必要戦力:30 ■スキル:My Little Sister! ■スキル効果:全属性の防 極大アップ 楊 美姫 ■攻撃力:4100 ■防御力:3100 ■必要戦力:27 ■スキル:傾国の女傑 ■スキル効果:全属性の防 極大ダウン 草薙 天 ■攻撃力:4120 ■防御力:3280 ■必要戦力:28 ■スキル:真速の誇り ■スキル効果:全属性の攻 極大アップ 卯月 菜由多 ■攻撃力:3980 ■防御力:3840 ■必要戦力:30 ■スキル:女帝の威光 ■スキル効果:虎属性の攻/防 極大アップ 【燦】淀川 茶々丸 ■攻撃力:4360 ■防御力:3720 ■必要戦力:31 ■スキル:100連発式水鉄砲 ■スキル効果:虎属性の攻/防 極大アップ 天ヶ瀬 縁 ■攻撃力:4030 ■防御力:4050 ■必要戦力:31 ■スキル:Black marketeer ■スキル効果:虎属性の攻/防 極大 諏訪部 大志 ■攻撃力: ■防御力: ■必要戦力: ■スキル:業火と閃光 ■スキル効果:全属性の攻 極大アップ
https://w.atwiki.jp/tokimeki_dictionary/pages/899.html
『ときめきメモリアル』のメインヒロイン・藤崎詩織を演じた金月真美さんのデビューシングル。 作曲は「ときめき」と同じくメタルユーキ氏だが、作詞はSANOPPI&2番を作らなくちゃね!実行委員会と若干違っている。 (「ときめき」の作詞はSANOPPI氏単独) 余談だが、『1』のオープニング曲は本作品ではなく「ときめき」のほうである。 その後、本作品はアレンジが加えられ 「もっと!モット!ときめき 99」を『2』の陽ノ下光役の野田順子さんが、「もっと!モット!ときめき2001」を『3』の牧原優紀子役の神田朱未さんが、 「もっと!モット!ときめき~OnlyLove~」を『OnlyLove』の天宮小百合役の牧島有希さんが歌っている。 なお、編曲は『2』版を岩崎元是氏が、『3』を米本亮氏が、『OnlyLove』版をm-takeshi氏が担当している。 ときメモ第1作の登場から20年が経過した2014年9月に、BEMANIシリーズ作品である「beatmaniaIIDX 22 PENDUAL」が稼動したが、その中にボーカルに松下を起用したアレンジバージョン「もっと!モット!ときめき feat.松下」が収録された。 ときメモ関連曲のBEMANIへの収録はポップンミュージックに収録された「掌の革命」以来となる。 ちなみに『4』のオープニングナレーション部分で、サビの部分が流れてはいるが、現時点ではまだ『4』版は発表されていない。 もし発売されるとしたら、どちらのヒロイン役の人が歌うのか楽しみではある。 関連項目 ときめきメモリアル ときめきメモリアル2 ときめきメモリアル3 ときめきメモリアル OnlyLove 用語
https://w.atwiki.jp/dhuema_fan/pages/83.html
ΛSランクじゃない? - 名無しさん 2013-03-14 00 47 59 ギフトΛなら十分いけると思うが。 - 名無しさん 2013-03-14 19 30 25 ギフトゼニスはファンデッキ枠では? - 癸叶 2013-04-09 08 01 22 獰猛ブラスター枠作った方がいいのでは? - 名無しさん 2013-04-22 19 05 34 ん?獰猛ブラスター枠?どゆこと? - 名無しさん 2013-04-22 21 41 59 SSに獰猛ブラスターを追加してはどうかってことでは?獰猛ブラスターはゆけむりCSでも結果残してますし、十分SSだと思います。 - らぶーん 2013-05-04 06 56 16 メルゲループをSSランクへ移動しました。 - 名無しさん 2013-05-12 11 03 25 赤緑ギフト十分SSに値すると思うんだが - 名無しさん 2013-05-12 21 49 35 獰猛ブラスターはたしかに殿堂かかりましたが、正直ミステリーキューブの出現によりまったく衰えを見せないですね。そのうちSSランクに復活してくると思います。 - らぶーん 2013-06-28 18 56 58 アウトレイジ系の墓地肥やしデッキはSSに入りそうですけど.... - 名無しさん 2013-08-11 16 04 46 そろそろSSランク改良した方がいいかと。黒緑アシッド、ヒラメキスネーク、墓地ソース、キューブブラスター、黒緑速攻とかなり今までとは - らぶーん 2013-08-21 00 39 38 そろそろSSランク改良した方がいいかと。黒緑アシッド、ヒラメキスネーク、墓地ソース、キューブブラスター、黒緑速攻とかなり今までとは - らぶーん 2013-08-21 00 39 38 続きです。 今までとはかなり違った環境になっていますし。 - らぶーん 2013-08-21 00 40 06 ドロマーはここに入らないだろうか - 龍斗 2013-08-26 00 10 06 少なくとも赤青黒レイジとヒラメキスネークはSSあるぞ - 名無しさん 2013-09-11 23 51 36
https://w.atwiki.jp/yukaeto/pages/27.html
第1回ブロック準決勝試合前SS 入場SS 退場SS 第1回ブロック準決勝 試合前SS 791 名前: 自宅にて 投稿日: 02/02/09 23 39 ID jy39SwKc 結花「また前の試合凄い事になってる・・・。」 リアン「しょうがないですね、Fブロックの後ですから。」 結花「一回戦なんて、(結花岡田戦)中止して引き分けの余韻に浸ろうとか 言われてたし・・・。」 健太郎「よし、そう言うことなら、俺に任せろ。」 結花「わ、健太郎、どっから現れたの。」 健太郎「細かい事は気にするな、貧乳。この俺があっと驚く支援かましてやる。」 結花「今、さりげなく失礼な事言ったけど・・・一応聞いてあげるわね、何?」 健太郎「無論、あず・・・。」 結花「またそれかーーーーー!!」ドゴォ!! 健太郎「・・・ま、きよ、ひこが書いた、LFTCG・・・画像、ダッタノニ・・・ ユ、ユカ、サン・・・シドイ。」ガクッ リアン「け、健太郎さーーーん。」 結花「あ、あれ・・・ま、いいか。健太郎だし。」 入場SS 結花「いよいよ三回戦ね。」 スフィー「そうだね。結花、頑張ってよ。」 リアン「結花さん、あの・・・。」 結花「分かってるわ、ここまで苦しい戦いの連続だった。今日も 戦いは苦しい、でも、私は。」 スフィー「その意気よ、まじかる☆アンティーク最後の意地を見せ つけるんだから。」 結花「おーーー!。」 健太郎「ふごーーーーー。」(←椅子に縛りつけられている) リアン「あの・・・結花さん。」 結花「やってまえーーーー。」 スフィー「いけーーーー。」 健太郎「うーーーーーー。」(←喋れない) リアン「結花さん!!」 結花「ん?リアン、どうしたの?」 リアン「あ、あの、健太郎さんは・・・。」 結花「・・・ああ、これ?どうせ、健太郎放っておいたらろくな 事しないでしょう?だからしばりつけておいたの。私が入場するまでは。」 (前回、前々回控え室にて参照) スフィー「似合うよ、けんたろー。」 健太郎「ふごー、ふがーふぎー(てめー、結花、スフィー!)。」 結花「はいはい、おとなしくしててね、あとでちゃんと餌はあげるからねぇ。」 リアン「は、ははは(合掌)。」 ガチャ(扉の開く音) 大会係員「江藤結花さん。」 結花「はい、もう時間?まだ早いんじゃ・・・。」 大会係員「いえ、江藤結花さん宛てに小包が届いてますが・・・。」 結花「荷物、誰から?」 大会係員「熱烈なファンより、と書かれていますが、どうしましょう?」 結花「うーん、いいわ、そこに置いといてもらえます? 」 大会係員「分かりました、ではこれで。」 スフィー「ファンからの差し入れ、結花やるー。」 結花「・・・・・・。」 リアン「どうしたのですか、開けずにじっと見て。」 結花「これ、健太郎、何か仕掛けてないでしょうね。」 健太郎(ブルブルブル)「ふぐがー(するかー)。」 結花「だったら、開けて見なさいよ。」 健太郎「ふが?」 結花「どうせ中を開けたら、あの唄が流れるとかじゃないの。」 スフィー「マンネリ・・・。」 健太郎「・・・ふぐが(するか)」 結花「その間が怪しい・・・まぁいいわ、自分で開けて無実を証明 しなさいよ。でも何か仕掛けてたら・・・。」パキポキ 健太郎(両手と口は自由になった)「まったく、俺がそんな事・・・。 結花「ほら、とっとと開ける。」 健太郎「え、っと、これが紙で、箱?開けるのかな・・・。あれ、カチカチと音が」 ボーーーーーーン(爆発音) リアン「え、あ、け、健太郎さん?」 結花「やっぱり、仕掛けてたのね。」 スフィー「なんか、すごい煙だよ。」 健太郎「ふ、二人とも、ちょっとは心配を・・・」(ガクッ) リアン「け、健太郎さーーーーん。」 結花「ま、こいつはこのくらいでくたばりゃしないでしょう・・・ っと、紙?何々・・・」 「やーい、貧乳。抵抗感がまったくなくて水泳は天職女、あんたなんか ケチョンケチョンにやられちゃえばいいんだーーー、ちくしょー!くやしくなんかないもん、ふみゅー。」 岡田 スフィー「うーーーん。健太郎は無実だったね。」 結花「らしいといえば、らしい激励メッセージね。」 健太郎「ひ、ひどい・・・。」 コンコン 結花「まただ、時間には早いんじゃ。」 カチャ ルミラ「こんばんわ、結花さん。」 結花「あれ、あなたは・・・。」 ルミラ「試合前に悪いのだけど、どうしても、さ、ほら、入りなさいよ。」 たま「ほら、入った、入った。」 イビル「わ、わかったよ。よ、よぉ。」 結花「イビル、来てくれたの?」 イビル「元気だったか?ア、アタシとの戦いの傷は治ったか?」 結花「はは、あれは痛かったよ、でももう大丈夫。今日も元気よ。」 イビル「そ、そうか、邪魔したな。」(ソソクサ) ルミラ「こら、ちゃんと最後まで言いなさい。」(グイ) イビル「あ、あぁ、が、頑張れよ、お、おまえはアタシを倒してここまで 来たんだ。不様に負けたら承知しないからな。」(棒読み) たま「はぁ、カンペ見ながら言ったって、伝わんないんじゃ・・・。」 エビル「こいつは、昨日徹夜でこれ作ってた。」 結花「ありがとう、嬉しいよ。気持ち伝わったよ。」 イビル「ほ、本当か?」 結花「うん、今日は来てくれて本当にありがとう。」 スフィー「いよいよ入場ね。」 結花「そうね、っしゃー!気合入れるわよ。」 リアン「あの。健太郎さんは・・・。」 結花「行くわよー!」 スフィー「おおー!」 リアン「・・・・・・(はぁ)。」 ーーー江藤結花入場!! 王大人「健太郎、死亡確認。」 健太郎「(んなわけあるか!!)」 退場SS 勝者!!長岡志保 試合場でそのコールが出された時、結花は試合場にいなかった。べつにいなかった所で進行が致命という訳でも なかった。しかし・・・。 健太郎「結花!!」 結花の姿を健太郎は会場から入り口に伝わる廊下で見つける。スタッフ専用なので誰もいなかった 結花「あは、まけちゃったね。」 健太郎「帰るのか?」 結花「うん。」 健太郎「・・・残念だったな。」 その問いに結花はさばさばしたように 結花「所詮、まじかる☆アンティークだもの。当然の結果じゃない。」 健太郎「せめて、観客に挨拶くらい・・・。」 結花「・・・・・・どうして?」 結花は健太郎の言葉にピクリと反応する 健太郎「そりゃあ・・・。みんな」 その言葉を遮るように、叫ぶ 結花「私にこれ以上惨めになれって言うの?あんなに一生懸命応援してくれて、私、わたし・・・。 健太郎は私にどうしろって・・・。」 激しく健太郎の胸を叩きつける。そんな結花を健太郎はそっと抱きしめる 健太郎「みんな暖かく迎えてくれるさ。」 結花「嘘・・・。」 健太郎「・・・たとえ、世界中の全員がどう思っても、俺はお前が一番輝いたと信じてる。だから、行こう 一緒に、ほら、最後の挨拶に行こう、俺も一緒に行く、スフィーやリアンも。」 結花「・・・いい。」 健太郎「えっ?」 結花「一緒にいってくれるの、健太郎だけでいい、それだったら私・・・。」 健太郎「・・・わかった。行こうか?」 結花「うん。」 ーーー江藤結花、退場。
https://w.atwiki.jp/tokimeki_dictionary/pages/1111.html
Merry-Go-Round メリーゴーランド【めりーごーらんど】 『2』と『GS1』~『GS3』に登場する遊園地のアトラクション。 『2』では2年目8月に終了するが、GSシリーズでは3年間いつでも選択出来る。 GSシリーズでは2人で馬車に乗っているようである。 観覧車やジェットコースター同様、どこの遊園地でも存在するアトラクションである。 しかし、高校生にもなって乗るのが恥ずかしいということなのか、どの作品でも1人ずつ程度しか喜ぶキャラがいない。 (『2』では白雪美帆、『GS1』では三原色、『GS2』では天地翔太、『GS3』では新名旬平) ただ、『2』の通常のデートでは大方のキャラが「わりと良い印象」以上なので、全く使い物にならないという程でも無い。 取り敢えず通常のデート・ダブルデート共に絶対に乗せてはいけないのが水無月琴子である。 ランダムという事になっているようだが、ダブルデートでは坂城匠がメリーゴーランドを指名する傾向が強い。 わざと狙わない限り、ダブルデートに来るのはまず陽ノ下光と水無月だが、2人とも悪印象になるため両者とも傷付けず、穏便に済ませたい時は頭の痛い問題となる。 特に光をこれに乗せてしまうと、ここまで慎重に扱ってきたとしても爆弾発生に近づくのは必至。 病気になってダブルデート自体に誘われないようにする方法もあるが、『2』では狙った日付通りに病気になるのは難しいので、現実的には匠がこれを選ばない事を願うしかないのが腹立たしい。 GSシリーズでは定番アトラクションだったが、『GS4』ではコーヒーカップに置き換えられてしまった。 関連項目 地名・デートスポット
https://w.atwiki.jp/epsilon2/pages/142.html
SS 『ノンストップ・ツインガールズ』 SS「ヒャッハー団希望埼学園へ来る」 ダンゲロスバトルチェイス 下馬評ver不祝誕生日 ●バトルチェイス一般生徒の反応 『にのまえっ! 刹那&模糊の巻 保護者さんたちのハラハラドキドキ』 【ダンゲロスバトルチェイス 観戦者SS 「とある観戦者の優勝予想」】 意志乃鞘&ヒロイックダイナー、プロローグSS 『ノンストップ・ツインガールズ』 ばたばたばたばたっ! 騒々しい足音と共に廊下を走る人の気配。 その正体を、自室で待ち受ける金髪少女──────一模糊(にのまえ・もこ)は知っている。 ばーんっ! 「模糊ちゃん模糊ちゃん模糊ちゃんっ! これ見て見て見てっ!」 勢い良く扉を開け、握り締めてくっしゃくしゃに丸められたチラシを突き出して見せつける様は、まるで捕らえた獲物を誇らしげに報告する猫のよう。 「どうしたの~、刹那ちゃん?」 元気良く部屋に飛び込んできた黒髪少女──────一刹那(にのまえ・せつな)とは対照的に、至極おっとりとした口調で尋ねる模糊。 刹那と模糊。その二人の少女の容姿は僅かに一点、髪の色を除けば正しく瓜二つだった。 「とゆーわけでっ、参加しよっ!」 説明を一切省き、結論を求める刹那。その性急さは通常なら相手に混乱しか生まないだろう。 しかし、魂の片割れたる模糊だけは例外だった。 「バトルチェイス、だっけ~?」 刹那の持つチラシには、辛うじて車のイラストの一部が見えているだけ。それでも模糊は正確にその意図を悟っていた。 バトルチェイス。それは、希望崎学園で行われるというレースイベントだった。 無論、刹那の意志が模糊にテレパシーで通じたという訳ではない。 種明かしをすれば、模糊もそのイベントの開催を小耳に挟んでおり、そして御祭り好きな刹那ならば間違いなく参加しようと言い出すと予測出来た事。刹那の持つチラシに車が見えた事。 その三点からの推測である事を模糊はわざわざ説明しないし、刹那も疑問を抱かない。 大事なのは、心が通じていると言う事。 それ以外は瑣末な問題に過ぎなかった。 「希望崎学園ってところも一回行ってみたいしっ!」 「そうね~、見学がてら、いいかも~」 二人は未だ中学二年生。あと二年後には通う事になるかもしれない学校を見ておくのも悪くない。 刹那の意見に模糊が追従する。 それは二人のいつもの光景。 「決まりっ! じゃあ僕はエントリーしてくるっ!」 「それなら私は、乗り物と衣装の準備するね~」 役割分担に一片の迷いもない。 一刹那と一模糊。 火と油。或いは火種と火薬。 燃え上がる炎を消し止める水はない。 一家の誇るノンストップ暴走双子少女、その行く先に広がるは破壊の荒野か、叫喚の地獄か。 <了> SS「ヒャッハー団希望埼学園へ来る」 ぶぅぅーん… 転送魔法の淡い魔法光が消え屋外の広場に飛ばされたことに気付く。 ブルーウッド「おい、どこだここは」 ナイトメア(角の生えた種族、様々な種族から生まれ穢れを持つとされる忌み子)の青年が呟いた。 リタ「知らない。またリンゴのせいじゃないの?」 特に興味もなさそうにエルフの少女が答える。 エメリ「とりあえず情報が欲しいですね」 困りましたね、と魔術師風のエルフの少女が答える。 サコン「探索してこようか?」 と影の薄いグラスランナー(小人族)の少年が提案する。 ニート「ワイバーンは無事だろうな、怪我してないか?誰だよ、こんな事したのは!!」 ルーンフォーク(人造人間族)の青年が抗議の声を上げた。 見事なまでにバラバラ、ヒャッハー団の日常の姿であった。 彼らは決して仲が良いわけではない。 冒険者としての評判は… はっきりいって悪い、お尋ね者ギリギリといった感じすらある。 ???「おーい!!おめーら喜べ!!」 ルキスラ地方では見かけない様式で建造された城?だろうか 箱のような建物(希望埼学園の校舎である)のほうから巨大なメイス『トロールバスター』を担いだドワーフが走ってくる。 リンゴ「仕事だぜ、し・ご・と。リンゴ様が仕事とってきてやったぞ」 ドワーフ族のおっさんが意気揚々と皆に告げた。 サコン「へえ、どんな仕事なんです?」 リタ「マジで?リンゴが仕事とってくるとか。」 エメリ「まずは状況を見極めたほうが良いと思いますが…」 ブルーウッド「まて、その仕事の報酬はどうなっているんだ?しけた仕事は受けんぞ」 ニート「仕事してりゃ、状況がわかったりするんじゃない?」 リンゴ「驚け、レースだとよ。騎獣レースみたいなのがあるんだって。賞金もがっぽり、情報も手に入る。」 ブルーウッド「ほう、この規模の城で開催されるレースか、賞金もそれなりだろうな。」 リタ「いいじゃん、出てみようよ」 サコン「僕は賛成だな」 エメリ「まあ、レースが開催されるほどの文化のある町でしたら安全でしょうし。情報収集も兼ねて参加してみるのも良いかもしれませんね」 ニート「俺のワイバーンが怪我するような事はないんだろうな?」 ヒャッハー団。 冒険者としての腕前はそこそこ、個人個人の力量もそこそこ。 ただチームワークとしての戦力は侮れず凶悪な魔物を退けたりもするのだ。 しかし決して仲は良くない。 そして彼らは知らなかった。 このレース。 特に賞金とかない事を。 特に情報とかない事を。 そして相対する魔人たちに常識などなく決して安全ではないことを!! ダンゲロスバトルチェイス 下馬評ver不祝誕生日 みんな自分なりの下馬評書いて張ろうぜ! 結昨日箒&王乱華【安定した性能でトップを狙う】 高い加速力と走行技術を生かした先行型。 特殊能力を使えば転倒する可能性はなくなり、精神攻撃マスもかわせるようになる。 安定してトップを狙える性能ではあるが、精神攻撃が居らず通常攻撃特化のキャラクターが多い今回のキャンペーンではやや不利か ヒャッハー団onワイバーン【積み荷を捨てれば性能はピカ1】 初期状態での性能はそれほど高くないものの、能力を使い切れれば加速力は8と抜群の性能を誇る。 転倒確率が上昇するリスクこそあるものの、高い加速力は通常ルートを通るにせよショートカットを渡るにせよ常に有利に働く。 防御力の低さから攻撃対象に選ばれるとつらいが、それを含めても十分に優勝を狙えるキャラクター。 一 刹那&一 模糊【攻撃力はNo.1】 攻撃力と加速力に特化したキャラクター。 特殊能力により一方的な攻撃と実質二回移動、大量飲酒が可能になっているため先行能力は圧倒的。 転倒に弱い、他のキャラクターと同マスにいなければ能力が発揮できない、意志乃・アトラスが天敵である、εさんが飲みすぎる危険がある等弱点は多い。 だが、爆発すれば止められないだけの力をこのキャラクターは秘めている。 六車風吾【風車の力でショートカットを超える】 バランスの良いステ振りと、高い確率でショートカットを超えられる能力に賭けた一発逆転型 加速力5は他の加速特化キャラクターと比べると少々見劣りするが、能力を使えば高確率でショートカットを超えることが出来ることはそれを補って余りある魅力だ。 上手く壊マス&転倒を避けられればトップを狙える性能だろう。 アトラス・ミニットマン【攻防一体のミサイルマシン】 高い攻撃力と能力による事実上無敵の防御力が持ち味。 一 刹那&一 模糊や意志乃の攻撃を防ぎつつ、こちらの攻撃で他のキャラクターを一回休みにしながら進む戦略をとることになるだろう。 上手く相手を行動不能にしつつ先行できれば有利にゲームをすすめられるが、逆に先行を許すと加速力の低さから逆転は厳しくなる。 なかなかリスキーなキャラクターだ。 仮面ライダー禅僧&夢術香奈絵【勝利への道を超えて行け】 ショートカットによる一発逆転に賭けたキャラクター。 任意の場所にショートカットを設置できる能力は有用だが、着地点の隣接1マスが壊マスになる制約はなかなか重い。 また、後続もショートカットを利用できるため敵に利用されてしまう可能性もある。 どのタイミングで能力を使うか、が鍵となるキャラクターだろう。 あと栄光の三騎士の残り一人どうした。 浅宮ミズキ&白金虹羽【空に虹はかかるのか】 後方からの妨害で上位を狙う。 能力はアトラス・姦崎・能力使用前のヒャッハー団以外のキャラクターが空白マスに止まった場合1回休みにさせられるという非常に強力なもの。 ただ、6位以下でないと使えないという制約は重く、トップを射程に入れられなかったり使いたい時に5位だったりとかゆいところに手が届かない場面も多そうだ。 本体のステ振りも悪くないが、優勝するには兎に角運が絡んでくるキャラクターだろう。 姦崎繋【……知ってる?ニューロンが焼けると、すごく、気持ち良いんだって……】 強力な逆走能力と安定性に自信あり。 能力による逆走は強力の一言で姦染したキャラクターは1ターン以上を無駄にしたのと同じことになる。 上手く連鎖的に姦染すれば一気に姦崎がトップに躍り出る可能性もあるだろう。 本体の性能はぱっとしたところはないものの安定している。 即効性が無いのが欠点であるものの、確実に上位を狙える強キャラクターといえるだろう。 意志乃鞘&ヒロイックダイナー 【ヒロイックダイナー――オーバー!!】 戦闘で優位に立てるステータス&能力と特化した加速力。 能力は基本的に「敵から戦闘を仕掛けられない」というものと考えて間違いないだろう。 特に一 刹那&一 模糊を50%の確率で行動不能にできるのはかなり有効だ。 超稼働の為にこちらからも戦闘を仕掛けていきたいところだが、ポイントをためるには少々攻撃力が心もとない。 加速力で先行しつつ、戦闘でも優位に立てれば勝利の目が見えるといったところだろうか。 一 四四【サラマンダーよりはやーい】 加速と走行技術に特化した先行型。 能力を使えば合計4ターンの間ダイス目が二倍になるため、純粋に先行する能力でいえばこのキャラクターが一番だろう。 他の先行型と違ってショートカットをするには不安が残る能力だが、通常ルートを通っても十分に優位に立てるだけの性能を秘めている。 ●バトルチェイス一般生徒の反応 「ハイ、トム。ハウアーユー?」 「ハイ、ボブ。アイムファイン」 「ところでバトルチェイスの件は聞いたかいトム」 「ああ、聞いたよ。学園を一周するっていうレースだろ?まあレースに参加しない一般生徒からすれば校内で走りまわられるのは迷惑な話だけど、いつものハルマゲドンに比べればよっぽどマシさ。」 「それなんだけどなトム、今回のレース、そんなに平和的というわけではないらしいぜ」 「どういうことだいボブ?」 「なんでも、今回のレース主催者はとんでもなく恐ろしい奴なんだそうだ」 「なんだって!?」 「エントリーする時に能力名をちょっと間違えただけで既に一人シベリア送りにされたらしい」 「OH!なんて酷い!ジャパンじゃシベリア出兵は死と同義らしいじゃないか」 「他にも、『コレちゃんと本人の許可取ったのか釘刺したのにこの始末かよ!!』とか言って参加者の一人を30分正座させるつもりらしい」 「な、なんて恐ろしい…」 「それだけじゃない。聞いた話だと、『なんで下馬評にゲロ子いねーんだよ!あいつ強いよ、絶対優勝候補だよ!!』とか言って相当な転校生贔屓らしいぜ」 「ガクガクブルブル…」 「今回のレースは荒れるな…」 「ああ、そうだな。正月だからって浮かれて何やっても許されるってわけじゃねーんだな。いや、年始めだからこそ襟を正してルールとマナーを守ってみんなで楽しんでレースをしないとな…」 ダンゲロスバトルチェイス本レース、1月3日21:00から開始予定!! 賭けレースもあるよ!みんなルールとマナーを守って楽しんでね! 『にのまえっ! 刹那&模糊の巻 保護者さんたちのハラハラドキドキ』 本日開催されるレースイベント、その名もバトルチェイス。 この日の為に希望崎学園に特設されたレースコースと、それを観戦する為の特設観客席。 レース開始前だと言うのに既に観客席は一杯に埋まっており、出場選手入場前から誰もがスタートを今か今かと待ちわびていた。 そんな中、通路できょろきょろと少し苛立たしげに周囲を見回している少女が一人。意志の強そうな眼差しとすらりと伸びた脚線美が群衆の中にあっても一際眩しい。 恐らくは空席を探しているのだろうが、生憎の大盛況でなかなか座る場所を見つけられないでいる。 そんな少女の様子に気付いたのは、既に座席を確保していた三人、その内の一人。 自らの両隣に弟と妹を座らせていた彼女は、ほとんど思考の間を置かずに口を開いた。 「一くん、そっちに少し詰められるかな?」 「え? うん、少しなら…………」 一と呼ばれた少年の行動と、それを促した眼鏡の少女の意図に気付いたのか、最後の一人である少女も無言で僅かに空間を作る努力を行う。 普段は姉に反発してばかりだが、今回は珍しく異存はないようで大人しく従っている。 姉弟三人の行動が功を奏し、二人の──────一一(にのまえ・はじめ)と一∞(にのまえ・むげん)の間には辛うじて一人分程度の空白が出来上がる。ファーストクラスのようにゆったりとした快適さ、とは行かないまでも立ち見より遥かにましというものだろう。 「そこの輝くばかりに素敵なお嬢さん、良ければこっちで一緒に観戦しないかい?」 ナンパでもするかのように爽やかに軽やかに、∞は通路で彷徨う少女に声を掛けた。 思ってもみない申し出だったのか、少女は不意を突かれたように立ち止まったが、少考の末に一たちの方へ歩み寄ってくる。どうやら誘いに乗る事にしたようだ。 「別に、感謝とかしてないからねっ! 輝くばかりに素敵なお嬢さん、って言われたから来てあげただけなんだからね!」 筋金入りである。 「あれ…………埴井さん?」 その声に聞き覚えを感じ、一は近づいて来た少女が誰なのかを悟る。 「げ…………変態!?」 うげぇ、と美少女がしてはいけない表情第四位くらいに顔を顰め、少女──────埴井葦菜(はにい・あしな)は声を上げた。 「正解!」 「正解じゃないよ、四ちゃん……」 代わりに回答した少女、一四(にのまえ・あずま)に、げんなりとした表情の一。Sっ気の強そうな二人の美少女に蔑まれいじられるという業界的にはご褒美の筈だが、気苦労が勝ったのだろう。 「ほら、場所を空けたからね。遠慮せず座るといい」 そんな三人の様子はさておき、∞は構わずに葦菜へ空席を勧める。 一の存在に逡巡の素振りを見せた葦菜だったが、この期に及んで立ち去るのもどうかと思い、結局は腰を落ち着けることにした。 「…………ちょっと! くっつきすぎじゃないの?」 「そんなこと言われても、狭いんだから仕方が無いよ……」 比較的小柄な少年少女とはいえ、元々三人で座っていたところを四人で並んでいるのだから多少は窮屈にもなる。 むずむず、と一と葦菜の間でポジションの微妙なせめぎ合い。 「ひゃっ!? あんた今、変なとこ触ったでしょ!?」 「さ、触ってないよ! 濡れ衣だよ!」 お尻に触れられたような感触に、びくん、と背筋を伸ばして好反応を見せた葦菜。一に食って掛かるが、身に覚えのない一は当然否定するばかり。 「…………ちょっと、遊ぶのもほどほどにしときなさいよ?」 「なんのことかな?」 呆れた様子の四のたしなめにも、とぼけた表情の∞だった。 「へぇ、姉弟で観戦に? 仲が良いのね、あんたたち」 落ち着いたところで話を聞き、複雑そうな表情で葦菜がぽつりと零す。その横顔は何処か憂いと寂しさを帯びていた。 「仲良し家族だからね」 屈託無く微笑む∞。途端に微妙な表情をする一と、明らかに不満そうな表情をする四。 「ふんっ……くだらないわ」 継承権を巡り、血の繋がりを持つ者同士で争う事を余儀なくされている葦菜にとっては複雑な心境なのだろう。 「そう捨てたものじゃないさ、家族っていうものもね」 優しく包むように、∞は葦菜を諭す。 「なんならうちに嫁に来るといい。それならきみも家族だからね。どう思う、一くん?」 ほのぼのと爆弾を投下。 「えええええええ!? そ、それは…………う、嬉しくなくはない、けど……」 「ななななななな!? な、何を馬鹿なこと言ってるのよ!?」 直撃した二人はたちまち爆発炎上。 「っていうか、嬉しくなくはない、って何よ、煮え切らない! あたしのような超絶美少女が嫁に来るって言うんだから、そこは光栄に思いなさい!」 「え、ええー……じゃ、じゃあ、光栄で嬉しい……」 「なんであんたなんかを嬉しがらせなきゃいけないのよ!!」 「どうしろっていうの……?」 困り顔と怒り顔。共通しているのはどちらも顔が真っ赤になっているという事だった。 「嫁に来たら、とは言ったけれど、別に一くんの、とは言ってない、かな?」 「「!?」」 二人の同じような驚愕と紅潮の絶句姿に、実に愉快そうな笑顔で微笑みかける∞。全て計算ずくだった。 「もう、からかうのはそのくらいにしときなさいよね」 流石に見かねて四が助け舟を出す。普段は自分が一番∞の被害に遭う事が多いので、二人に共感するところもあるのだろう。 「そうだね、そろそろ参加選手が出てくる頃合いだし……ところで、四ちゃんは誰が優勝すると思う?」 「そんなこと、予知能力持ちの私に聞くなんて…………」 ∞に水を向けられ、憮然とした表情を作ろうとするものの、内心の得意を隠せず自慢そうに予想を語ろうとする四。 「ぼくの予想だと、白金虹羽(しろがね・こうう)くんか意志乃鞘(いしの・しょう)さんじゃないかと思うんだ。なんと言っても……」 「はいはい眼鏡眼鏡。 それでね、私の予測なんだけど」 「僕は誰が優勝するかとかは全然分からないけど、刹那ちゃんと模糊ちゃんを応援しなくちゃね」 「ふーん、妹さんたちだっけ? じゃあ、仕方がないからあたしも応援してあげるわよ。……か、勘違いしないでよ、別に誰を応援しても一緒だからしてあげるだけなんだからねっ!」 「ちょっと! 話聞きなさいよ!」 と、そんな訳で保護者さんたちも開始前からヒートアップ。 そして、レースが始まる。 <了> 【ダンゲロスバトルチェイス 観戦者SS 「とある観戦者の優勝予想」】 「……最悪」 まるでゴミのような人の群れを見下ろし、少女は溜息とともに呟いた。 手入れの行き届いた長い髪を揺らし、ショートパンツからすらりと伸びた自慢の脚は 紫のカラータイツに包まれて猶その存在を惜しげもなく主張している。 蜂使いの一族・埴井家の後継者候補が一人――埴井葦菜である。 「このクッソ忙しい時期に、このあたしがせっかく見に来てやったってのに……。 もおっ! あたし専用に観戦用ステージでも用意しときなさいよ! ブツブツ……」 恐らくは席を探しているのだろう、不機嫌さを露わにキョロキョロと忙しない様子だ。 そんな少女に、少し離れた所から声がかけられる。 凛とした声色は、少女を差し伸べられた救いの手か、はたまた悪魔のいざないか――。 「――そこの輝くばかりに素敵なお嬢さん、良ければこっちで一緒に観戦しないかい?」 「……ほんっと、最悪」 かくして葦菜は一家の三姉弟の中に座り、不本意そうに身体のあちらこちらを 触れ合せつつ、しばらく前の如く悪態をついているのだった。 と、葦菜はほんのり朱の残した顔で、「そういえば」と口を開く。 「あたし、今日のレースに出るやつらって、全員は把握してないんだけど」 「ああ、それなら一君がいいものを持っていたはずさ。どれ、見せてあげるといい」 「そうだね……ええと、どこにしまったかな」 葦菜の言葉を受けたのは、世界で最も眼鏡に愛されし少女・一∞。彼女に促され ゴソゴソと荷物を漁っているのは、類稀なるToLoveる体質の少年・一一である。 葦菜と因縁浅からぬ彼が何かを探して腕を動かすたびにその身体も連動し、 触れ合った二の腕や太腿で感じる微動が、葦菜を刺激しびくびくと反応させる。 「ちょっ……! ばか、そんな動かないで……ナカで手ぇ、掻きまわさないで……!」 「え、えええっ……! そ、そのセリフは、色々とマズイというか……!」 「何やってんだか……」 何故か恥ずかしい二人に、ドジッ子予知能力少女・一四が冷やかな視線を送る。 やがて一が取りだしたのは、簡素なつくりの小冊子であった。 表紙には「ダンゲロス・バトルチェイス パンフレット」と印字してある。 「これに出場者の紹介とかが載ってるんだ」 「へえ、そんなのあるんだ。便利なものねえ。……ちょっと、早く見せなさいよ」 「あ、うん、ごめんっ」 必然的に定まった上下関係により、一は葦菜のためにページを捲る。 小さなパンフレットを見るために、二人は無意識に顔を寄せ、紙面を覗きこんでいる。 そんな二人を見て眼鏡を光らせる∞と、そんな∞を見て呆れた表情を浮かべる四。 なかなかに愉快な四人組であった。 「まず一組目は、『結昨日箒&王乱華』組だよ」 「ふんふん。高い加速力とそれを制御する走行技術が売りってワケね」 「それに加えて、箒になってるひとの能力で、抜群の精神的な安定も得られるんだ」 「なかなか強力なコンビね……って、何よ『箒になってるひと』って」 「なんでも、結昨日さんが『跨いだものを何でも空飛ぶホウキにする』能力者みたい」 「変な能力もあったものね……。それで、こいつらはどうしてレースに?」 「えっと、『錆少年』とかいう言葉を広めたいらしいよ」 「ナニソレ……女の子同士の絡みが好きな男!? 病院行った方がいんじゃない!?」 「そ、それは言いすぎじゃないかなっ……!」 「……なに? あんたもそういうの好きなワケ? へえ、ふーん、そう」 「いや、えっと……つ、次見よっか! 『ヒャッハー団onワイバーン』だって!」 「そうやって話題逸らそうたって――ワイバーン!? そんなの有りなの!?」 「乗り物の制限は特にないみたいだよ……このチームは、六人で一つのチームみたい」 「ふーん。そんなにいるなら、重くてスピードもでなそうね。条件は五分かしら」 「ん……どうやら、同乗してるメンバーを一人ずつ蹴落としてくみたいだよ……」 「な、なるほど……。レースが進むにつれて、どんどん速くなってくってワケね」 「うん。その分転倒しちゃう危険性も高まるけど……」 「何言ってんのよ、勝つためにはリスクなんて望むところじゃない」 「でも転んだら痛いし、落とされる方もたまったもんじゃないんじゃないかな……」 「るっさいわね! ナヨっちいのに用はないわ! あたしはこいつら気に入ったわ!」 「三組目は……あれ、この苗字。これがあんたらの言ってた?」 「そうそう。僕たちの妹、『一刹那&一模糊』コンビだよ。双子なんだ」 「……で、なんなのこの『脳筋』が自転車乗ってるような猪突猛進っぷりは……」 「あはは……。やんちゃな刹那と、それに拍車をかける模糊のコンビだからさ……」 「それだけじゃないわ。こいつら、近づくやつ全員ぶん殴るつもりじゃない!?」 「あ、あはは……。ほら、ふたりは火と油みたいな……」 「混ぜるな危険、よ! 兄バカにも程があるわよ! ……まあ、立ちはだかる敵を ぶっとばして貪欲に勝ちを狙いに行くスタイルは嫌いじゃないケド。うん、有りね」 「じゃあなんでそんなつっかかるのさ……」 「そりゃあんたがずっと庇ってるから……ごにょごにょ……な、なんでもないわよ!」 「四組目は『六車風吾』……げっ、なにこいつ。キャラ、濃っ……!」 「登録されてる車名が装飾品で、実際は自分の脚で走るんだもんね」 「このレースで目立ってやろうっていう魂胆が見え透いてるわね……むかむか」 「ど、どうやら素みたいだけど……性能としては、防御力と加速力を兼ね備えてるね」 「ソツのなさが売りってコトね。カッコの割に、意外と堅実派なのね」 「……でも、能力はそうじゃないみたいだよ。一度だけすごい加速を見せるって」 「ふんふん。ショートカットとか向いてそうね。なかなか豪快なことじゃない」 「他にも、危険地帯を通り抜けたりとか、アブない対戦相手から逃げたりとか……」 「せっかくの加速をそんな消極的に使うワケないでしょ、このチキン!」 「え、ええー……ひどいよ……」 「いつまで萎れてんの、次行くわよ。五組目は『アトラス・ミニットマン』ね」 「高い攻撃力と、そこそこの加速力。でも、何よりも特筆すべきなのは……」 「……この能力よね。殴ってきた相手を吹っ飛ばして、しかも動けなくする、と」 「攻撃に対しては、ほぼ無敵に近いね。刹那と模糊とは相性が悪い、かな……」 「強いわねえ。で、こいつの乗り物は……み、ミサイル……!?」 「さすが何でもありだね……。どうやらミサイル自体は別の子が操ってるみたいだよ」 「ふーん……出場者が攻撃と防御、んで安全圏で操縦の分担なワケね。考えたじゃない。 ……ところで。あんた、さっきからずっとこいつの胸見てるみたいだけど……? すぐ隣にこんな美少女がいるのに、平面の巨乳のがいいワケ? この……しねっ!!」 「えっ!? そ、そんなことな――ぎゃあーっ!!」 「うう、ひどいメに遭った……。次は、『仮面ライダー禅僧&夢術香奈絵』組だね」 「これも異色のコンビよね。性能としては、攻撃を捨てて走り逃げる感じかしら」 「だね。このコンビの最大の特徴は、能動的にショートカットできるところかな」 「……へえー、なんかよく分かんないのを呼び出して、踏み台にして近道するワケ?」 「うん。着地した時にクラッシュしやすかったり、後続車にも利用される可能性は あるけど、使うタイミングを誤らなければすごい効果を発揮すると思うよ」 「で、これ。地味に二度使えるのよね。結構な距離を短縮できそうね」 「その代わり、ゴール付近はエッフェル塔が邪魔で使えないみたいだけど……」 「ああ、肝心なとこで役に立たないのね。でもまー、強力なことに違いはないわ。 ……このショートカットで勝負を決めたら、すごい目立ちそうね。妬ましいっ!」 「七組目は『浅宮ミズキ&白金虹羽』組ね。……あの教育実習生、バイク乗れんの?」 「運転自体は白金くんがするみたいだよ。浅宮先生は掴まってるだけみたい」 「なんじゃそりゃ……いる意味あんの?」 「うん。彼らの戦法は、二人の能力で水溜りを作って他の参加者を転倒させるんだ」 「ははーん。雨女と風使いのコンビならではの技ね。自分たちは平気なのかしら」 「そのための練習も積んだみたいだよ。引っかかるのは、加速しすぎたひとだけみたい」 「レースで一番必要な力を狙い撃ち、と。こりゃあ強いわ。優勝は決まったわね」 「……それが、自分たちの順位が高すぎると使えないみたいなんだ」 「う、それは痛いわね。ギリギリの順位で邪魔してそのまま抜き去れれば、って感じ?」 「性能もバランスいいし、うまくハマれば、文字通り台風の目になるね」 「次は……げえーっ! 今までで一番、インパクトっ……! 『姦崎繋』、ね……」 「うん……。メカで触手らしいよ……」 「コレ、あいつ的にはアリなのかしら……アリなんだろうな……。で、性能は?」 「加速力自体は他に劣るんだけど、特徴的なのはその能力で……」 「……ぎ、逆走!? こりゃあまた、ずいぶんと独特ねえ……」 「でも効果は確かだよ。加速力があるひとほど甚大な被害になるんだ」 「ふんふん……効果発揮は少し遅いけど、それに見合うリターンはありそうね」 「しかも、これ、すれ違った相手にどんどん感染していくんだよ」 「おっ……おぞましい……! 触手らしいというか、なんというか……!」 「そういえば、六車さんはどうなるんだろう。風車を乗っ取って、自分で逆走……?」 「九組目は、『意志乃鞘&ヒロイックダイナー』組だよ」 「意志乃鞘……ああ、あのヒーロー部の。ふふん、お手並み拝見ってとこね」 「このコンビは高い加速力と、申し分ない攻撃力・防御力を持っているね」 「バランスがいい……ように見えて、走行技術は低いのね。転倒しちゃうんじゃ?」 「ただ、この犠牲には理由があって……搭載された『ANTシステム』が強力なんだ」 「なになに……ああ、そういうことね。つまり、『ヒーローポイント』稼ぎ特化、と」 「そうだね。戦闘で勝つため・負けないための性能で序盤はポイントを稼いで、 ただでさえ高い加速力を何倍にも強化して一気にゴールまで突っ走るつもりかな」 「『一撃必殺の逆転奥義……これぞヒーロー!』、とか、あいつは言うのかしらね。 ……あとは、ダイナーが普通にいい子っぽくて、あいつに騙されてないか心配だわ」 「最後は、『一 四四』……あら、こいつも一家なのね」 「……うん」 「性能は加速力と走行技術に全振りで、とにかく先行するつもりのようね。 能力もそんな方針みたい。転倒するリスクを負ってでもどんどん前へ、と。 かなりチャレンジャー……ん、どうしたのよあんた。さっきから黙りこくっちゃって」 「ああ、うん……。四四とは、その……いろいろ、あったから」 「……ふーん。よく分かんないけど、あんま気に病み過ぎてもロクなことないわよ。 あんたがそんなんだと、あたしも調子でな――くない! 嘘! なんでもないっ!」 「……ふふ。ありがとう、埴井さん」 「なっ……! べ、別にお礼言われるようなことなんてしてないわよ、ばかっ!!」 一通り出場者を見終わり、二人はパンフレットを閉じた。 と同時に、今までお互いの顔がどれだけ近くにあったのかに気付き、真っ赤になって 仰け反った。……そして、ひと息ついて一が口を開く。 「……エントリーした魔人たちは、これで全員だね。埴井さん、誰が優勝すると思う?」 一の問いに対し葦菜は腕を組み、「ふっふっふ」と不敵な笑みを浮かべる。 そうして溜めに溜めたのち、得意げに言葉を紡ぐ。 「あんた、甘いわ……。まだ、最大の優勝候補を見てないじゃない」 「えっ?」 きょとんとする一の視線を導くようにすっと伸ばされた指先は、 番長小屋のすぐ外――『今年のミスダンゲロス!』とタイトリングされ、 当時の番長の首級を高々と掲げた、赤いお団子髪の少女のポスターを指していた。 「バトルチェイス前哨戦で引き分けた、あたしの終生のライバル――ダンゲロス子! あたしを差し置いて他の有象無象に負けたりなんかしたら、タダじゃおかないわ!」 ぽかーんとする一に構わず、葦菜は語り続ける。 「あの時の戦いは、あたしがちょっと手加減してあげたおかげで引き分けだったけど、 本気でやってたら、ま、アレだったわよ、うん。 ほんとならあたしも出場して真の決着をつけてやりたいとこだったけど、 ちょうど今日、収録の予定があったのよね。昨日いきなりキャンセルになったから、 見るだけ見てやろうかなーって来てはみたけど……。とにかく、優勝はゲロ子よ!」 「あのー、埴井さん……?」 力説する葦菜に対し、一は何かを言いかけるが……。 「……いや、やっぱりいいや」 「ん……なに、文句でもあるワケ? あんたあの場にいなかったから分からない でしょうけど、ゲロ子、すっごい強いんだからね! 攻撃! 防御! 加速! そして能力も規格外の二つ持ち! チートよチート! このあたしが防戦一方 だったんだから! ……あ、もちろん手加減してやってたからよ? そこ重要よ?」 「あはは……。(確かに強いんだけど、ゲロ子さん、そのぶんスタート遅いよ……)」 葦菜の言葉に曖昧に笑いながら、一は静かに言葉を飲み込んだ。 そうこうしているうちに選手たちはスタートラインに勢揃いしていた。 葦菜も一も、なんだかんだで仲の良い二人を見守っていた四と∞も、 そして会場にいる全ての観客たちの熱い視線の先で―― ――今、戦いの幕が切って落とされる! <終> 意志乃鞘&ヒロイックダイナー、プロローグSS 『MACHINE HERO』 「さぁ、目覚めるがいい……新たなヒーローよ!」 希望崎学園ヒーロー部。 学園のどこかに存在するという、部員以外に知る者はいない秘密基地にて新たな正義が目覚めようとしていた。 開発室の中央に設置されているベッド、そこに寝かされているロボの目に光が宿る。 「ボクハ……」 ロボは起き上がると、その足を地面につけて立ち上がる。 二足でしっかり立つ姿はまさしく人型ロボットのそれ。しかし、顔は昆虫を思わせる作りをしている。 大きさとしては大の大人よりやや大きい程度だろうか。ロボにしてはどちらかというと細い印象がある。 「そう、君こそがヒロイックダイナー――激走蟻兵人ヒロイックダイナーだ!」 スーツの上に白衣を纏った少女が、目の前の新入部員ならぬ新造部員の名を告げる。 「ヒロイック、ダイナー……」 名を告げられた蟻兵人ロボ、ヒロイックダイナーが確かめるように自分の名前を呟く。 そうだ、確かに自分の名前はヒロイックダイナーだ。彼のAIに刻まれた初期データも同じ答えを返している。 それ以外にも分かることはいくつかある。例えば、自分は希望崎学園ヒーロー部に属しているということ。では、ここが……? 「ココガ……ヒーローブ・ナノ?」 「うむ、そうだ。中々理解が早いじゃないか」 腕組みをしたまま言葉を続ける少女。ダイナーが大きい為に見下ろす形になっているが、だからといって別に小さいわけではない。 何より自信に満ちた笑顔と力強い目が彼女の強さを物語っていた。 「おっと、自己紹介をすべきだな。私がヒーロー部の部長、意志乃鞘だ」 「イシノ・ショー?」 彼女の名前も自分の初期データに入っている。それだけ自分にとって重要な情報なのだろうか。 ヒーロー部の部長ということは、指揮系統の中で一番上の人物の筈だ。それが理由だろう。 「ショー・サン? リーダー?」 「うーん、呼びやすい呼び方で構わないよ」 「ソレジャー・ブチョー!」 「あぁ、よろしくな。ダイナー君」 「ワーイ・ヨロシクー!」 簡単な動作テストを終え、ヒロイックダイナーはヒーロー部内のブリーフィングルームで説明を受けていた。 「バトルチェイス?」 「うむ、番長グループを纏める為に開催されるみたいだな」 とはいっても、今の所生徒会にも番長グループにも属していないヒーロー部にはあまり関係ない事情だ。 そう、ヒーロー部に関係ない企画ではあるのだが…… 「デモ・デルノー?」 「あぁ、出るぞ。私とダイナー君のタッグで出場だ!」 「ワーイ・ブチョートイッショ!」 せっかく楽しめそうなイベントがあるのだからということで、鞘は出場を決めたのであった。 尤も特に問題があったわけでもなくすんなりとエントリーすることができた辺り、相当緩い企画なのだろう。これで本当に新しい番長が決まるかどうかも怪しいところだ。 ヒロイックダイナーも初めてのイベントということで嬉しそうにしている……が、企画概要を聞いているうちに何故かしょんぼりしはじめた。 「ア……デモ……」 「ん、どうした?」 「ボク……レースニ・ムイテナイ……」 残念そうにかくりと肩を下ろすダイナー。彼をがっかりさせたのはこの企画が『レース』だからだ。 バトルと冠してるだけあって戦闘もあるのだろう。しかし、あくまでもメインはレースだ。 そして、ダイナーは人型ロボである自分はレースに向いていないことを理解していた。 だが、 「ふふっ、諦めるのは早いぞダイナー君!」 鞘が大仰に右手を振って前に突き出す。引っ張られた白衣がばさりと音を立てた。 そのまま彼女は腕をぐっと構えるようなポーズを取りながら続きを話す。 「今の君は蟻兵人型……この形態を蟻甲神形態という! そして、君にはもう一つの姿がある!」 「モウヒトツ……?」 「それこそが、馬駆神形態だ!」 「バクシンモード――!」 その言葉を認識すると同時、ヒロイックダイナーは己を制御するシステムにかかっているロックの1つが外れるのを感じた。 制御システムからAIに流れ込む新たな情報。それは自身を変形させる『トランスフォーム』の方法だ。 「ワカル・ワカルヨ!」 「さぁ、魂の炎に従い……その駆体を燃やすんだ!」 「ウン! バクシンモォォォド!!」 変形は一瞬! 魔人蟻とヒーロー部の技術の結晶だけあり、実に流麗な変形であった。 手は前足に、顔はフォルムを蟻のものから馬のものへ。全身は純粋な彼のイメージにぴったりな純白に覆われている。 そう、馬駆神形態とは白馬型ロボだったのだ。いや、一本角があることからユニコーンロボの方が相応しいかもしれない。 「コレガ……ボクノ・モウヒトツノ・スガタ!」 「分かるだろう――今の君なら例えどんな車が相手でもスピードで負けることはない、と!」 「ワーイ!!」 スピードの化身となった姿を喜ぶようにヒロイックダイナーはぴょんぴょんとその場を飛び跳ねる。 もしブリーフィングルームが広ければ走り回っていたに違いない。 「コレナラ・ハシレルー!」 と、しかしふと疑問が浮かんだダイナーは首を傾げる。 「レースナラ……ギコウシンモード・イラナインジャ?」 そうだ、自分はバトルチェイスの為に生み出されたダイナーロボの筈。 それならレース向きではない蟻甲神形態はいらないはずじゃ……そう、部長である鞘へと問いかける。 「理由か? ふ――実に簡単だ」 「ドキドキ」 「それは……カッコイイからだ!!」 かっこいいから人型ロボに変形させる。普通ならそんな理由でわざわざ変形システムを搭載したりはしないだろう。 だが、そこは浪漫を好むヒーロー部。むしろ変形させない方が有り得ない――! 「ヒーローロボとしては、やっぱり人型に変形しないとな!」 「エット……ボク・カッコイイ?」 「あぁ、とてもかっこいいぞ!」 「エ・エヘヘ」 褒められることで、なんだか嬉しくなるダイナー。AIが素直なお陰で、生まれてすぐでもこんなに感情豊かなのだ。 「それに……だ」 「?」 鞘が再び口を開く。 「君はバトルチェイスだけじゃなく、長くヒーロー部の部員になるのだからな。そう考えると、やはり人型形態は欲しいだろう?」 「ワァ――」 ロボというのは何かの目的の為だけに作られ、それが終わればお払い箱だと思っていた。 でも、そんなことはなく……機械の自分を仲間だと認めてくれる鞘の言葉が、ダイナーにとっては無性に嬉しい。 「――アァ」 だから、頑張りたい。 部長に、自分を作ってくれた開発者に、仲間と認めてくれるヒーロー部の皆に―― 勝つことで恩返しをしたい。 だから、頑張りたい。 「ヨーシ・ガンバルゾー!」 「あぁ、往くぞヒロイックダイナー! ヒーローの力を見せてやろう!」 意志乃鞘&ヒロイックダイナー、出陣! ――そして。 「……? イモタレ・カナー?」 ロックされたままの謎のシステムは――依然として沈黙している。 <終>
https://w.atwiki.jp/dangerousss3/pages/241.html
決勝戦【山】SSその1 「……で、勝ち残ったのは俺らか……分からないもんだな。なあ、セニオ?」 「やっべwww景色超パッネ~wwwwマジで勝って良かったわwwwwwヤッウェ~イwwwwヤッウェ~イwwwヤッウェ~イwwwセルフやまびこさびしすギルwww」 試合会場『山』。 ザ・キングオブトワイライト。日本における魔人の頂点を決める大会、その決勝戦。 その為に、本来予定されていた地とは別に、特別なステージが設けられていた。 「世界征服とか。救済とか、狂人とか、正義の味方とか、探偵とかさあ。そんなの押し退けて勝ち残ったのが、俺らだぜ。ハハッ。笑えるよな?」 「ハルちょお前こっち来てみろってwww朝日朝日wwwカンドーwww初日の出ってレベルじゃねーわwww」 手すりから身を乗り出して朝日に手を振るセニオ。 いつもの軽装ではなく、朝日を受けてギラギラと下品に輝く、センスのない銀色のウィンドブレーカーを羽織っている。 一方の赤羽ハルも、湯気の立つ缶コーヒーを片手に『日本最高峰富士山剣峰』と書かれた石碑に背を預けている。 どちらも相手の言う事を聞いている様子はない。 「結局さあ。この世の中は、カルく生きた方が得ってこった。そうだろ? 真面目なヤツから死んでくのさ」 「てかマジサムスwww何気に来たコト無かったんだよな~wwwなんか入山セーゲン掛かってっからさあwww よっしゃ今度ダチ連れて登りにくっかwwwセッカウィ~ガヘェ~イワ~になったらァ~トッモダッチヒャックニンでっきるっかなぁ~wwwwうぅっわチョーなつかしすぎだろwwwww」 標高:3776.24メートル 北緯35度21分。東経138度43分。 独立峰。活火山ランクB・成層火山。 富士山。 まさに、最強の魔人を決めるに相応しい舞台である。 「強くなければ生きていけない。優しくなれなければ生きている資格がない。 探偵の格言にそんなんがあるらしいけどさ。俺だったら、こう言い換えるね」 ハルが飲み終えた缶コーヒーを『換金』して言う。 「金がなければ生きていけない、」「――チャラくなきゃ、楽しく生きていけない」 示し合わせたように。二人の言葉が繋がった。 「…………ま、」 赤羽ハルは、セニオの“それ”を半ば予想していた。 彼は軽薄だが、それはセニオとは違う、確かな中身の伴った軽薄さだ。 今大会でもサバンナに次ぐと言われる惨劇、廃村の試合映像は当然見ている。 「やっぱりか。無視してくれんなよ、傷ついちゃうぜ? 凡人くん」 「……マジで勘弁してくれ。シリアスな台詞、一言単位で消えてくんだぞ俺」 セニオが――瀬仁王が、ひどく疲れた様子で答えた。 身に纏うは、陽光によく似たチャラ男の粒子。しかしてその中にいるのは、しがない、つまらない、凡人の王だ。 「ホント今、崖っぷちなんだ。前の試合からここまで残すのだって、滅茶苦茶ヤバかった。 準決勝終わってからずっと、少しでもシリアスな話題になりそうな相手からは距離取ってさ」 「へえん。そのまま消えてくれりゃあ楽だったのになあ。しっかし、奇遇なこった」 「キグウ? って何だその言葉? どういう意味だ?」 「…………。実を言うとな、俺、この戦いで負けたら死ぬんだわ」 一瞬顔をしかめるも、赤羽ハルは、あっさりと言う。 「借金を返せるアテがなくなって、魂を取り立てられる。もちろん、あの医者の能力なんざ届かない」 「あーそうか。俺も、勝っても負けても消えるからな。チャラさ使いはたして。確かにキグーだな、キグー」 「つまりこの試合、おれとお前が死ぬか、お前だけが死ぬか、ってことだ」 「あーそりゃあやだなー。――キッチリ勝って、死ぬ前に平和になった世界を死ぬほど楽しまねーとなー」 「ハハハ……。ま、決勝戦だ。余計な邪魔は入れない方がそれっぽいかもな? ただシンプルに、死ぬまで殺し合うだけだ。 ……どうせお互い、待たせる相手も待つ相手もいないだろ?」 「ああー……」 しばしの沈黙。 やがて、鏡合わせに薄ら笑う。 「そうだな。背負うものがない物同士、仲良くやろうぜw」 「そうだろ? 失うものがない物同士、楽しくやろうぜ」 ≪やあやあどーもおはようございますお二方! グッドルッキングモーニングですね! 景色は堪能なされましたかな? 大変お待たせ致しました、試合場に案内します!≫ どこからか、佐倉光素の慇懃な言葉が響く。 セニオとハルの足元が、虹色のノイズに紛れるように消えていく。 佐倉光素の安全な転送術。 ≪観客の皆さまにはご説明を! この富士山ステージ、まさに決勝に相応しい舞台です、が!≫ ≪いささかギミックに欠けるということ、また、赤羽ハル選手の二回戦の舞台『活火山』と被ってしまうことが問題とされまして≫ ≪その為、目高機関が富士山の中腹に用意致しました、ステージ『山』の環境として整えた場所≫ ≪そちらに彼ら二人を送り、その四方一キロメートルを、戦闘範囲とさせて頂きます!≫ やがて、ノイズが頭まで埋め尽くし―― ――二人は、深い森のど真ん中に降り立った。 富士の樹海。林と草と山と川。鳥と獣の声。観光とは縁遠い、自然の中心。 今まで獣にも人にも踏み固められることのなかった腐葉土が、突然与えられた人間二人分の重量に、ずむと沈んだ。 「んじゃあ、始めっか。借金を返す為に」 「ウェーイwwwつかお前借金苦でここまで来てんのかよwwwダッセ~www 俺なんかパネぇぜwwマイ目標、イィーズ、セカァー、ウィー、ヘェイー、ワーだかんな!ww」 「ハハハ、そりゃあ、すげえなあ」 ≪では始めさせて頂きます!≫ ≪ザ・キングオブトワイライト、泣いても笑っても怒っても喜んでもこれが決勝戦!≫ ≪勝者は換金王の暗殺者か! 世界最後のチャラ男か! ――試合、開始!≫ 始まりは、静かなものだった。 とは、とても言えなかった。 「『イエロゥ・シャロゥ・パレット』ォ!!」 どこか焦燥に満ちた大声と共に。 ――両者を、雷撃が貫いた。 「へえっ……!」 赤羽ハルに流れ込んで来たのは、無数の情報だ。 この世界はSSである、この世界は造られたものである、このSSは勝者が決まっている――第四の壁を容易く破壊する、メタ構造の雷撃が。 紅蓮寺工藤。《フィクション・ファンクション》。 セニオは試合前に彼女に接触し、それによって自動発動するこの能力をストックしていた。 「で……」 だが赤羽ハルは徹底した現実主義者。同時に、セニオ並みの軽薄さをも備える。 「この世界が全て神様の掌の上だとして、それで、何か俺のやること、変わるか?」 「だっろぉwwwww俺もチョーそー思うわwwww」 単純明快。 たとえそれが真実だったところで、こちらから干渉する手段も、干渉されている自覚も見出せないものは、それは『ない』のと同じことだ。 赤羽ハルが硬貨弾を撃ち出した。セニオに向けて、だけではない。 前後左右の全方位に、無数の貨幣が撃ち込まれて飛び去っていく。奇怪な行動。 だがセニオにそれを類推する余裕はない。大きく飛び上がって貨幣弾をかわす。 フィクション・ファンクション。それは赤羽ハルの戦意喪失を狙ったものではない。 これは、セニオに全てを『認識させる』能力だ。wikiの情報を、これまでセニオが戦ってきた経験を、対戦相手を、全て、全て、完璧に! 「能力融合。『フィクション・ファンクション』×――」 セニオの総身から金色の粒子がほとばしる。指先がwwwに消え始める。 「×『睫毛の虹』」 「×『刀語』」 「×『参謀喋刀アメちゃん+98』」 「×『スマート・ポスト・イット』」 「×『ファントムルージュ・オンデマンド』」 全ては一つになる。 「《フィクション睫毛の参謀喋刀語りスマート・ポスト・ファントム・ルージュ・ファンクション+98》!」 ◆ ◆ 「……あ、あの。ハレルさん、でしたっけ」 緊張したように、その女性が、おずおずと顔を向ける。 「ありがとうございます。なんだか、御迷惑を、かけてしまって」 「いえ、いいんです。私も丁度、話し相手が欲しかったので」 「ちょっとー! その言い方だとアメちゃんは話し相手にならないみたいじゃーん!」 「……だって、アメ、うるさいし」 「なにおぉー!?」 「……ふふ。仲、良いんですね。妹さんと」 「モチのロン・ウィーズリーだよ! 仲良し良しだよ! 英語で言うとマブダチってヤツだね!」 ザ・キングオブトワイライト大会本会場近く。目高機関御用達の、試合関係者用の病院。 その片隅にある自動販売機の前で、ハレルは不慣れな手つきで中からストローつきの飲料を取り出し、傍らの女性に渡す。 手首から先がないその女性は、「すいません」とお礼を言って、器用にそれを受け取る。 「それで……えっと。白詰、さん? 探し人っていうのは……」 「智広、で良いですよ。ハルくん――赤羽、ハルという子です。私の世話をしてくれていて。 でも、何日か前に、治療の手続きは済んだって、それだけ言い残したっきり……」 傍らのベンチには、見慣れない女性が座っている。白詰智広。綺麗な名前だと思った。 目には包帯。腕も脚も、末端部がない。知らない場所で不安そうに、電動車いすで彷徨っている彼女に、ハレルが声を掛けたのが始まりだった。 噂で聞く『パンデミック』の典型的被害者――だが、彼女はこの後、目高機関による治療を受ける予定になっているらしい。 それも、斡旋したのは、あの血も涙も無い金の亡者、赤羽ハルだという。 「(……これで、いいんだよね、アメ)」「(ンー、たぶんねー……)」 ひそひそ『刀語』を介して会話する。アメが刀であることも、彼女には分からないのだろう。 ……智広は赤羽ハルの事情はおろか、彼が暗殺者であるということすら知らない。 「えっと……大丈夫だと思いますよ。私たちは、その赤羽さんの――仕事のことを知っているんですけど。きっと、すぐに戻ってくると思います」 「ありがとう。あなたのような優しい人がお友達にいるなら、ハルくんも、安心ですね」 微笑む。きっと苦労を重ねてきているだろうに、それはひどく柔らかかった。 それは彼女の人格もあるだろうし、あるいは、彼女を世話していた赤羽ハルが、大きく関係しているのだろう。 「でも……ハレルさんこそ、探している人がいたんですよね。そちらは……?」 「あ、いや、大丈夫です。もう、居所は分かっていますから」 「そうですか? ならいいんですけど……私のせいで引き留めてしまっているなら……」 「んーん! ゼンゼン気にしなくていーヨ! アイツほんっとワッケワカンナイ奴だもん!」 アメが、ぷんぷん! と口で怒りながら言う。 ハレルは、今頃その『赤羽ハル』と戦っているだろう個人のことを思い出す。 「……そう。セニオさんはいつも、予想がつかなくて」 何がなんだかわからないうちに準決勝が終わり、残留ファントムルージュ検査も済ませてから、彼に出会っていない。 お礼と応援をと思い探しても、あちこちでナンパやら何やらをしていることは分かったのだが、どういうわけか、まるで避けられているかのように、接触は叶わなかった。 既に彼らは、戦場に辿りついているだろう。放送も、恐らく始まっている。 「……お互い、待ちぼうけ、させられちゃってるんですね」 「そう、ですね。……でも。彼は、約束を守ってくれると、言ったので」 ……守ってくれる気があるのかどうか、いやそもそも覚えているのかがは怪しいのだが。 試合映像を見たいという思いはあるが、それではこの女性を放置することになる。 それはよくないと考えたからこそ、ハレルとアメはこうして、間違っても試合映像が届かない場所で彼女を引き留めているのだ。 (なお、彼女に出会ってからの会話でそこまでの判断に達するのに、アメの分析力及び『刀語』の能力が多いに活用されたことをここに述べておく) 「約束……いいですね。私も何か、しておけばよかったな。……してくれた、かなあ」 ハルやセニオが、彼女たちの前から姿を消した理由は分からない。 だが、全ては今日終わる。 智広に間違ったことは言っていない。この大会の医療関係が万全なのは、身をもって分かっている。 どちらが勝つにせよ、あと早くて数時間。遅くても数日以内には、彼らに会えるはずだ。 そのはずなのに、胸に押し寄せる、漠然とした不安。 あるいは智広も、それを感じたからこそ、不自由な身体を推して、病室の外に出て来たのかもしれなかった。 もはや、勝敗は大きな問題ではなくなっていた。 ハレルは祈る様に呟く。 「大丈夫。きっと、無事に帰って、きてくれますよ」 きっと、きっと帰ってくる。 草を生やしながら、いつもの笑みを浮かべて。 あの鬱陶し――もとい、うざ――もとい、チャr――もとい、明るい(婉曲表現)笑みを浮かべて。 「……ハレっち、そこはもうちょい頑張ろうよモノローグ」 「い、いや、その、でも、セニオさんの笑い方、未だにちょっと、生理的になんかが……」 ◆ ◆ 「ハハハハハ!」 能力名:フィクション睫毛の参謀喋刀語りスマート・ポスト・ファントム・ルージュ・ファンクション+98。 効果:融合した全能力を順々に、自動的に切り替えて使用していく。 制約:使用制限時間は極めて短い。 「おいおい、こりゃあ、とんだボスバトルだなあ――!」 赤羽ハルは片目を閉じた。 降り注ぐアメノハバキリの炎弾。硬貨弾で撃ち落とす。投げつけられたスマート分割岩盤。紙幣で切り払う。しかしそれは陽動。足元がめくられる。地面の上部はポストイットゆえの粘着性。ハルの背に張り付く地面の重り。引き倒される、上空に黄色の閃光、炎上する森、蹴り飛ばされる木の枝・砂利・樹海の首吊り死体・ハルは虎の子の札束を解放・斬殺結界を構築・彼に届く全てを視界を塞ぐ全てを切り薙ぎ断ち割り斬り払うそして見上げる木々の合間頭上にはセニオ無数のセニオ分裂体セニオ否そのほとんどは睫毛の虹の幻影―― 「“とりたて”」 ハルは両手を伸ばし、その場で鋭く旋転した。 その先にあるのは糸。暗殺用のワイヤーである。 手芸部ほどではないが、彼とて本業の暗殺者だ。簡単な扱い方は分かるし――『括りつけて』『引き切る』だけなら子供でも出来る。 硬貨弾に括りつけられ、森じゅうに張り巡らされた糸が、内側の樹木を一斉に断ち割る。 命ある『樹木』が、その時点でただの『木材』になる。 ミダス最後配当の唯一の弱点、射程距離。 準決勝での、ミツコとの戦いをヒントに――赤羽ハルは、それを克服していた。 豪華客船のように『握った物に繋がっていれば』、その射程距離は視界内に伸びる! 「“金の成る木”!」 彼の周囲100メートル近くの樹海が、まるごと消し飛んだ。 換金され、紙幣が舞う。 もっとも、林業で人工的に育てられたわけでもない木材など、富士の樹海というプレミアがついても大した値段にはならない――が。 赤羽ハルはその全てを、ジンバブエドルで換金した! 「ちょ、うぉ、ぬぎゃーwwww」「うお何これwww」 舞い上がるジンバブエ、ジンバブエ、ジンバブエ――! 2009年4月にはその発行が停止されている、既に死んだも同然の貨幣。 だが、その通貨価値は消滅したわけではなく、一部の地域で使えはするのだ。具体的には、2013年5月の時点で、1ジンバブエドル=0.3円程度のレートとなっている……! 全盛期とは程遠いが、300円が1000枚の紙幣に変わる圧倒的インフレ率は、ある一つの結果をもたらす。 『睫毛の虹』は空気中の水分を操ることによる幻覚。 ――樹海が消える。満ちていた豊富な水気が、紙幣によって幻影ごと吸い尽くされる。 そして、無数の濡れた紙幣にまとわりつかれて動きを鈍らせたセニオが、幻影の中からその姿を現す。 即座にその全身を、貨幣弾が撃ち抜いた。 「ちょ待」「ウェーイあぶねえ俺www華麗に俺を庇う俺カッケギャーーー!wwww」 スマートポストイットで分裂した片方が盾になり、全身を貫かれて消滅する。 文字通り半殺しにされた残りのセニオが威力の落ちた貨幣弾を受け、血の線を引きながら吹き飛ばされる。 ハルは軽く舌打ち。比重の軽くなったセニオは、まさに風に舞うビニール袋もいいところだ。硬貨の大きさの質量弾で致命傷を与えるのは逆に難しい。 ウインドブレーカーをはためかせながら、切り株だらけになった森を舞うセニオ。ハルは彼を縫いとめていた岩盤を剥がし、小走りに駆けながら注意深くその軌道を追う。 吹っ飛ぶセニオ。陽光を受けて、ギラギラと輝く銀色のウインドブレーカー。 そこに映る景色。 ――三秒間。 セニオが、ハルの瞳を指差す。 「ファントムルージュ・オンデマンド!」 がぁん、と赤羽ハルが銃撃を受けたようにのけぞった。片目を押さえ、地面に倒れ込む。 吹っ飛ぶセニオはそれを見届けると、森を抜けたところにあった川に着水する。 「ごっはぁ!wwwざwwwwまwwwあwwww偽原さんマジナイス能力だっつのwwww うぇーい俺マジTUEEEEEE――ゴボゴボ!?wwwwwゲェッホウェッホwwww」 ざばざばと無様に水を掻き、大岩を掴んで、慌てて川岸へと上がる。 濡れた金髪が額に張り付くのを鬱陶しく掻き上げ、改めて快哉を叫ぼうとし、 「――草を生やすにゃ、ちっとばかし早ぇんじゃねえか?」 ちゃりちゃりちゃり、と。金属音を鳴らして。 川向うの切り株の群れの中から、赤羽ハルが、起き上がった。 「は、ウソっしょ?wwwwwナンデ?wwww」 「2013年7月24日発売、劇場版 HUNTER×HUNTER 緋色の幻影 本編1枚+特典ディスクDVD1枚」 その片目から、どくどくと血が溢れている。片手に握られた金銭と、指先も血塗れだ。 「参考価格――5040円」 セニオの中の凡人が、即座に何が起きたか理解した。 ファントムルージュ・オンデマンドは視界を介して全情報を叩き込む能力。 赤羽ハルは最初からこの能力を警戒し、片目のみでセニオを追っており、 かの能力に晒された片目を、指で鷲掴みにし、内在されたその『情報』を換金したのだ。 あるいは、偽原本人による行使ならば、そのような対処では逃れきれなかったかもしれないが―― 「てかさ……それは、偽原の、偏執的な狂気と妄執があって、初めて成り立る能力だ。 アイツ自身の呪いが解かれた今、お前ごときが使って、威力を出せるわけが、ないだろーが」 片目を抉る壮絶な痛みに、しかし顔をしかめる程度。元より彼は自らの内臓を引きずり出して換金する男。 その痛覚への耐性は――大会にかける覚悟は、セニオの比ではない。 「結局さあ……お前の能力は、洗練、されてねえんだよなァ。 今までの相手がどうだったか知らねえけどさ――教えてやろうか? あんたみたいなのを、能力バトルのおえらいさんは、『能力にかまけた馬鹿』って呼ぶんだぜ」 「ウェ、ちょ、ウェ……w」 セニオは再び立ち上がり、何かの能力を使おうとする――だが、出来ない。 地面についた掌が、透けた。無様に浅瀬の中に倒れる。 ――限界だ。 元よりパレットは“一般人並みの思考回路”を必要とする能力。凡人形態の力によるその行使は、セニオのチャラ性を大幅に損なう。 そも、基点となるフィクションファンクションの性質ならば、理論上は大会参加者、否、wikiに掲載されている全ての能力が使えたはずなのだ。 なのに今までの対戦相手の分しか出せなかったのは、使ったことが無かったからというよりも、結局のところ、そこまでガチな戦術を取るとセニオのチャラ性が持たないからだ。 硬貨弾が掠めた傷口から流れ出るのも、血よりもむしろ、金色のチャラ男粒子の方が多い。 「ちょ、ちょ待てって、マジ、これ、ヤベっしょ、待てってマジ……!ww」 呻く。その耳を、硬貨弾が吹き飛ばす。 「がっ……! イッテェエエエエ! いやマジwマジメにいてえ!www耳ちぎれてねコレ!www」 「ちぎれてんだよ。……あーくそ、片目は流石にまずかったか」 いささか狙いが甘くなっている。 彼らは現在、幅10メートル弱ほどの川を挟んで向き合っている。 そこまで深くはないが、警戒しているのだろう、ハルは対岸から動く気配は見せない。この距離で決着をつけるつもりだ。 「ちょ待てよォ(↑)wwタンマタンマタンマwwww無敵バリアーwww」 「はいはい、んじゃ、俺バリア貫通なーはいバーン」 ばじゅん、と顔のすぐ横の岩が弾け、砂利がセニオの顔を襲う。 まずい。だが身体も限界だ。パレットなど論外。コピー能力は――使えて、あと一つ。 何をコピーすればいい? どれを使えば、この状況から奴に届く? しかし、『真剣』に思考すればするほど、身体は消滅していく。……間に合わない。 「……ちょw……」 身体の崩壊が留められない。 伸ばした手が、戦いのどこかで巻き込んだらしい、濡れた一万円札を掴む。 咄嗟に、つぶやく。――刀語。 「……うぇー、……」 ……特に、何も起こらない。 当然か。これを武器に出来るのは赤羽ハルだけなのだから。 なるほど、能力を使いこなせない。そういうことだ。今更すぎた。ていうかマジ今更すぎるだろ。 出来るならもうちょい早く言ってほしかった。 「……悪っりィw……あれw俺、ナンデ謝ってンだっけwww」 約束があった気がした。何かはうろ覚えだった。記憶すら溶けていく。 一回戦、同じような状況で、彼に発破を掛けてくれた相手は、ここには存在しない。それは致命的な違いだった。 結局のところ、セニオはどこまでも、チャラ男でしかなかったのだ。 「これにするか。豪華客船でパクった宝石だ。時価百万程度。……金に埋もれて、死ね」 思い出す。消えていく。今までの対戦相手。試合。環境。災害。 あと昔の友達とか、家族とか、なんかそのへんのもんが、次々と浮かんでは消えていく。 死の淵にあって、今、どこまでもセニオは冷静だった。凡人だった。 思考が錯綜する。ザ・キングオブトワイライト。金。一万円札。試合。美術館。ファントム。三つ巴。お前サバンナでも同じこと言えんの。一万円札。家族(リソース)。投票。廃村。ファントム。城。探偵。飲み会。一万円札。対策会議。酒。試合。能力。 金。一万円札。諭吉が笑っているように見えた。うっせーっつの。 意識が薄れていく。体が薄れていく。掴んだ紙幣が、風に流されそうになる。 金。諭吉。一万円札。 金。諭吉。一万円札。 いちまんえん。 いちまんえん。 すげーなこのせかい。 いちまんえんがそのへんにおちてるのかよ。 ◆ ◆ 「『セット』!」 「『ミダス最後配当』!」 撃ち出された宝石が――セニオの手に触れて、消滅する。 「なに……?」 赤羽ハルがいぶかしむ。能力をコピーされた。だが、換金した紙幣、一円玉すら現れない。 ハルはすぐさま追撃に移る。怪我による照準誤差も既に直している。 ガンマンめいてポケットに手を突っ込み、抜き様、両手で無数の硬貨弾を撃ち出す。 「ウェーイ!wwwww」 セニオの発するチャラ男粒子が、そのテンションに呼応して活性化する。 チャラ男は、両手を目まぐるしく動かし――硬貨弾が、再び消滅した。 ハルは見る。セニオの両手に、何かが保持されている。 両手に持っているのは、薄い、プラスチックの板のような―― 「……クレジットカード!?」 クレジットカード、ないし、何らかの電子マネーである。 ミダス最後配当の能力は『換金』であり、その金額こそ日本での流通額に縛られるものの、形態は自由自在。 原理としては、先程の糸と貨幣のトリックと同じだ。 カードに触れた物体を、カードごとまとめて、一つの新たなカードとして換金する。 ハルが撃ち出した硬貨弾は、そうしてセニオのクレジットカードに『入金』されたのだ。 「チィッ……!」 「ウェイウェイウェーイ!wwwバッチコォーイwwww」 再び撃ち出される硬貨弾。そのことごとくを、セニオは入金によって受け止める。 《チャラき足》《チャラき手》《チャラき目》。常人の三倍の身の軽さ、その手の早さ、目ざとさ、それがポストイット化によって二分の一になった薄さ。 それらを総合したスピードは、神速とはいえ直線軌道の硬貨弾を、容易く受け止める! まさに改心の一手。 今この時、セニオは、赤羽ハルの『日本銀行拳』をほぼ完璧に封殺した。 だが、恐るべきことにセニオは、別に、それを狙っていたわけではない! 「ウヒョーwwwwカネだー! カネだー! 万札ウェーイ超ラッキィ~!wwwww」 そう。結局のところ、セニオはどこまでも、チャラ男でしかなかったのだ! 黄樺地セニオは、お金が欲しい! チャラ男特有の――金汚さ! 「クッ……クハハハハハ!」 ハルが思わず吹きだした。腹を抱えて膝を打ち、子供のように笑い飛ばす。 「はは、ははっははは! お前、この状況で! それかよ! ザ・キングオブトワイライト決勝戦で、願いを何でも叶えるって言われてる直前で!? 明日のドラゴンボールより、目の前の万札ってかぁ! サイッコーだ、お前!」 「おいおいおいおいヤベッショパネッショーwwwwこれ俺あっと言う間に大金持ちじゃね? 人生の春わっほいwwwイっカしーたー能力持ってンじゃんハルゥ~wwwww」 くいくい、と手招きするセニオ。なんということだ! 古めかしいことに目が『$』だ! 「カッモォ~ンwwwwいっぱいカネ持ってんしょ?ww全部オレんモンにしてやるよ!wwww」 「はははは、はははははは! いいぜセニオ! いくらでもやるさ! だが、扱いには気をつけろよ、何せ大金ってのは――」 笑いながら、ハルはきぃん、と100円玉を弾いた。それは、川を越えて、ゆるやかにセニオ目がけて放物線を描く。 時間差換金。 無数のジンバブエドルが、セニオの視界を覆い隠す。 「目が眩むからなァ!」 赤羽ハルは隠し持っていた拳銃を抜いた。 セニオは地面に手をついた。 ◆ ◆ 富士山は、世界文化遺産に登録されている。 そして、『値段がつけられないもの』を換金することは『ミダス最後配当』と言えど出来ない。 赤羽ハルもそれは分かっていたし、別に問題とも考えていなかった。フィールドまるごと換金出来る豪華客船が有利すぎただけだと。 だから気付かなかった。 富士山という『総体』は出来なくても、その構成要素は可能なのだ。 たとえば、人の立ち入らぬ山中の、栄養たっぷりの腐葉土。 目安にしておよそ、40リットル3000円。 大会本部のモニター。 富士山上空のヘリコプターに備え付けられた、戦闘領域を一望できるカメラは、この時、 かの霊峰の中腹が『抉れた』のを、捉えた。 ◆ ◆ 撃ち込んだ弾丸は外れた。否、あの天変地異の中で当たるわけがなかった。 日本銀行拳が無効化されると分かった瞬間に銃撃に切り替えたハルのクレバーさは成程さるものだったが、セニオの突飛な行動はその想定を上回っていた。 ハルは、セニオの『凡人形態』を最も警戒していた。 軽薄な表に隠れ、その裏で最悪のコピー能力を無限大に応用する、あちらが本体だと。 逆だったのだ。あんなものは、所詮ノイズに過ぎなかったのだ。 チャラ男はどこまでも、チャラ男ゆえにチャラ男なのだ! 「は……はは……!」 もう笑うしかない。 山が、森が、まるごと流砂に呑まれたようだった。 獣。樹木。虫。川。滝。換金できなかった生命が全て、奈落に飲み込まれていく。 あるはずだった地面は全てなけなしの貨幣に代わり、その貨幣もひとりでに宙を跳ね、あのクレイジーなクレジットカードに吸い込まれる。 キャバァーン! キャバァーン! キャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャバァーン! 入金音の幻聴が聞こえてきそうだ。 時間が、奇妙にゆっくりと流れていた。 一円玉、十円玉、百円玉、五百円玉。千円札、一万円札。 桜吹雪めいた紙幣の薫風が、波濤めいた硬貨の小雨が、落ちる彼らを包み込む。 「ウゥゥゥゥッウエェーイ!wwwやっべこれだけあればカラオケ徹飲みもし放題ジャネ!www」 大会側が設定した戦闘領域は、四方一キロメートル。 恐らく、上下に関してもこれが効くと考えるべきだろう。 そして、比重に劣る赤羽ハルは、このまま落ちれば確実にセニオより早く脱落する。 「セニ、オ……!」 「はぁー?wwwなぁんですぁかーァ!wwww言っとくけどやんねーかんなーwwwww」 ハルは木の幹を蹴った。セニオは風に乗った。セニオが少しだけ高かった。ハルは貨幣を構えた。セニオはクレカを構えた。幾条の閃光が走った。右手で八閃。左手で八閃。合わせて十六閃。そのうち七つは囮。セニオはひらひらと揺らいでかわした。四つは本命。セニオはクレカで受け止めた。そして五つが伏線だった。セニオの手の届かぬ方向へ放射状に放たれた五枚が空中の瓦礫を支点に回転し、巻き付けられた糸がセニオに絡みついた。 「この俺が、金への執着で、」 引き下ろす。 「負け、るかよオオオオオオ!」 糸はすぐさま換金される。だが慣性は残る。ハルの手の届く場所にまで。 紙幣による斬撃。セニオが袈裟がけに切り裂かれた。あふれ出る赤い血と金色の粒子、比率は3:7、いや2:8。頸動脈を狙った返す刀の二閃目はしかしクレカとぶつかり換金。ハルがセニオのクレカに手を伸ばした。内在された資金を換金爆発させようとする。だが互いの換金力が相殺し合い出来ない。同等の出力。糸が換金される。服が換金される。ハルが服の裏に隠した紙幣が換金される。セニオのアクセサリーが換金される。武器消滅、アクセ消滅、上着消滅、上半身裸、パンイチ、全裸になった二人が、もつれ合いながら落ちていく。落下する獣や樹木が彼らの危うい所を巧みに隠す! 「(もういいだろwwww)」 セニオが言う。圧縮された時間。 「(だったら俺が優勝したら、アンタの願いもかなえちゃるってぇwww)」 ハルが応える。まだ底へはつかない。 「(だから、お前は世界の敵なんだよ)」 資金はほとんど底をついていた。頭痛を堪えるようにハルは顔を歪めた。 ずる、と。 背中に、溺死者の掌のような、極寒の“何か”が触れているのを感じた。 敗北が近い。すなわち、魂の取り立てが近づいている。 「(ハ?www)」 「(覚悟もなしに、返せるアテもねえ負債を背負いやがる。今までで何人にそう言った? それをどの程度本気で背負った? 出来ると思ったのか? 誰もの願いを叶える? 大会運営がそれを許すと思うのか? いいや、たとえ上手くいくとしても――俺はんなもん、求めちゃいねえんだよ。ビタ一文たりともまからねえ)」 ハルは最後に残った四枚の百円玉を、掌の内に握り込んだ。 それは、チンピラの喧嘩テクニックだ。 こっそり小石を握り込んで拳を重くしてパンチの威力を上げる。日本銀行拳の初歩の初歩。 ここで負けたら彼は死ぬ。ここで勝てば彼は自由になる。だから置いて来た。もう二度と会うつもりもなかった。だから置いて来た。冷めた目でしか見れなかった。だから置いて来た。 「それは、」あのひとは。「俺の、ものだ――!」 がぁん、と。 換金出来ない最強の武器――拳が、セニオの顔を、したたかに打ち降ろした。 セニオの耐久力は激減している。ごげぅ、と呻きのような声が漏れて、セニオの体が、首を中心にきりもみ回転しながら落ちていく。真下へと。ハルより早く。落ちていく。 勝った。 勝った。 終わった。 ……セニオの落下が、緩やかになる。 緩やかになり、止まり、上昇し始める。距離は離れて、しかし、赤羽ハルと同じ方向に。何故だ。どうして。 「!」 ぐるりと、視界が回り、“正常”になった。 ……赤羽ハルはそこで気付いた。 真下に殴りつけたつもりだった。だが、逆だった。二人は揉み合いの中で、上下逆になっていたのだ。ハルはセニオを、殴り上げていた。彼よりも上へと。 至近戦闘で視界が塞がれていたこと。長時間の浮遊感から起きる、上下の錯覚――否。 冷静さを、欠いていた。軽薄さを、忘れていた。 最後の最後、ほんの少しだけ出した本音が、結果としてハルの身体を引きずり降ろしていく。 (この世の中は、カルく生きた方が得ってこった) (真面目なヤツから死んでくのさ) 自分で言った言葉が、リフレインする。 脳震盪でも起こしたのか、セニオは四肢を伸ばしたまま、風に揺られて飛んで行く。 明らかに量を減らしたチャラ男粒子が、傷口から途切れ途切れに漏れだしている。 だが、その消滅が、ハルの場外に先んじることがないことは分かっていた。 背中の死神が、赤羽ハルの魂を取り立てんと、その冷たい手をより内奥へと伸ばしていた。 「……ああ、くそ」 ハルは、最後に残った四枚の百円玉を握りしめた。 殴打ではなく、零距離からの硬貨弾ならば、セニオの頭を吹き飛ばし、勝利出来たはずだ。 だが、彼は躊躇ってしまった。それを手放すことを。 最後に残した、四枚の百円玉。 いつの日か、銃弾を受け止めて、歪んだ硬貨。 いつの日か、―― 「はは。本当に、迷惑なゴミだったよ……」 視界の端でセニオが回る。偶然か、気流の悪戯か、その他の、何かか。 その腕が、ハルへと向けられる。 世界の敵。無遠慮に無思慮に、誰にでも差し伸べる問答無用の幸福の手。 「……ご免ね」 握り込んだ拳を、祈る様に額に当てて、ハルは静かに落ちていった。 ◆ ◆ 【ザ・キングオブトワイライト 決勝戦】 優勝者:黄樺地セニオ 勝因:金への執着 敗退:赤羽ハル 敗因:金への執着 このページのトップに戻る|トップページに戻る