約 820,779 件
https://w.atwiki.jp/eojpsp/pages/127.html
No.013 フリードニアの使い魔 使いやすい2マナ再行動1マナ魔道師の内の一枚。 主にアルージアの修道女は一致Fでの回避、女エルフの狂魔道師とは堅牢さで差別化されている。 F維持力に欠けるクリーチャーの多い火であることも重要で 脇さえ押さえれば狂魔道師と同じ堅さを発揮できる。 もちろん機巧偏重型のデッキに対する強撃も強力で 相手にとってみれば放置できないが一撃で落とせない嫌味なクリーチャーとなりうる。 コメント 名前
https://w.atwiki.jp/tetrismonster/pages/708.html
地獄の使いトイフェル 地属性 レア ☆ maxLv 65 コスト 21 HP 9590 maxHP 13730 攻撃力 8790 max攻撃力 12580 防御力 8790 max防御力 12580 スキル のろい☆★ リーダースキル ドレイン☆★ 進化前 トイフェル 進化後 地底の悪魔トイフェル 進化素材 ガーネットテトリミノ×2ダイヤモンドテトリミノ×2地神のカドゥケウス 備考 レアガチャモンスター地底からの使者の特効モンスターポイント取得率1.3倍 出現場所 取得中です。 ☆ アナザー モンスター レアガチャ 地属性 特効|
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6021.html
前ページ/ゼロの使い/次ページ 空賊如きメディルにとっては物の数ではないが、人質に取られた船員の身を案じるルイズの命により、手が出せないでいた。 三人は大人しく、空賊船の一室に入ることになった。 「どうする?」 「しばらくは様子を見るしかあるまい。」とワルド。 暫くすると、乱暴に扉が開き男が二人入ってきた。 「頭領がお呼びだ。来い!」 連れて行かれた船長室で明らかになったのは衝撃の事実だった。 なんと空賊の正体はアルビオン王党派の空軍で、その頭は捜し求めたウェールズ皇太子だったのだ。 流石に簡単には信じられなかったが、彼の風のルビーと水のルビーが反応し、虹が出来たことで信じざるを得なくなった。 大使であるルイズ一向はアルビオン王国最後の砦であるニューカッスル城へと招きいれられた。 招かれたあまりにも粗末な皇太子の部屋で、ワルドが少しの間だけ席を外した。 少しといっても、1分程度の時間だったのでルイズも皇太子も不審に思わなかった。 「そんな・・・アンリエッタが・・・結婚・・・!?」 姫の文を渡された皇太子は驚愕のあまり声が震えていた。無理も無い話だ。 そのまま無言で、机から小箱を取り出し、何度も呼んだのであろう、ボロボロの文をルイズに渡した。 「殿下、どうか亡命してください。」 明日には敗北すると言う絶望的戦況を聞いたルイズが溜まらず叫ぶ。 「これは姫様の願いです!」 ルイズは悟っていた。あの文には亡命を勧告する一文があったことを。 だが、皇太子の返事は首を横に振ることだった。 「僭越ながら殿下。」とメディルが口を挟む。 「何だね、ミスタ・メディル。」 「5万ぐらいなら、やってやれないことは無いですが・・・」 メディルは少し控えめに言った。 本音を言えば、今の彼は一国を一人で敵に回しても勝つ事の出来る程である。 「貴殿の武勇は聞き及んでいる。しかし、大使を戦争に巻き込むわけにはいかない。」 「左様でございますか・・・それでは最後に一つだけ聞き入れては下さいませんか?」 「何かね?」 メディルの口から出た申し出は意外なものだった。 「ルイズと共に、部屋の入り口付近に行ってくれませんか?」 「は?」 「殿下、お願いです。彼の言う通りに。」 まだ短い付き合いだが、彼女はメディルの人となり・・・否、「魔となり」を知っていた。 彼は意味も無くこんな事を言う者ではないと言うことを。 言われたとおりにルイズとウェールズが移動したところで、メディルは二人から離れた位置にいるワルドに向き直った。 「役者は揃い、文も受け取った。もう猿芝居はいいのではないか?・・・ワルド。」 メディルの言葉の意味がルイズとウェールズにはすぐには理解できなかった。 「何を突然言い出すのかね、ミスタ・メディル。」とワルド。 「生憎と、我々魔族は嫉妬や憤怒、欲望と言った人間の負の感情に敏感でな。 貴様が我々を欺いている事は先刻承知だったのだ。すぐ殺すことも出来たが、案内役と生かしてしておいた。」 「何を馬鹿げた事を・・・なあ、ルイズ。」 ワルドはルイズを見やった。しかし、その目は婚約者に対するものでは到底ありえなかった。 ウェールズもまた、杖を構えている。 「皇太子殿も、このような人間ですらない者の言うことを真に受けるなど・・・」 「確かに、我々魔族は長い歴史の中で星の数ほどの人間を苦しめ、殺してきた。 だが、貴様のように主を裏切ったものは少なくとも私のいた軍にはいなかった。」 メディルの台詞が終わると、ワルドは俯いて黙り込んだ。しかし、すぐに狂ったような高笑いをした。 「ああそうさ。僕はアルビオン貴族派レコン・キスタの刺客。 ルイズと文とウェールズの命を手土産にここを去るつもりだったが、 どうやらルイズは諦める他なさそうだ。だが・・・」 ワルドは懐から杖を取り出し、ウェールズに襲い掛かった。 「文と皇太子の首は逃さん!!」 ワルドの杖がウェールズの心臓に命中する――寸前で、ワルドは飛びのいた。 そうしなければ、メディルが不意を突いて放った火炎呪文で焼け焦げていたから。 「皇太子を殺したければ、私を殺してからにするのだな。」 「面白い。風が最強たる所以とスクウェアメイジの恐ろしさを身を以って知るがいい。ユビキタス・デル・ウィンデ!」 ワルドが詠唱を終えると、部屋の中に、合計五人のワルドが出現した。 「一つ一つが意志と力を持った分身か。」 「一目で見抜くとは流石だ。スクウェア相手に5対1で勝てるかな?」 笑止とばかりにメディルが眼前の一人に最強火炎呪文・メラゾーマを放つ。 しかし、ワルドは周りに強風を起こし、火炎を受け流した。 「君の攻撃は分析しつくしているよ。火炎は見ての通り、フーケを仕留めた死の言葉はサイレントで防ぐ。 爆発も他の魔法も同じ事。そして・・・」 言い終わらぬ内に二人のワルドがルイズとウェールズに襲い掛かった。 「君と正面から戦う必要も無い。」 ドカッ!二人の心臓に深々と杖が突き刺さった。 しかし、次の瞬間その顔が驚愕に染まった。 あろう事か、二人の姿はゼリーの様などろどろの生き物になり、そして崩れ落ちた。 「それはジェリーマンと言って、他人に化けることの出来る連中だ。 普段の姿のときは音も無く移動し、液体であるがゆえにドアの隙間からでも入れる。 ちなみに本物の二人はジェリーマンに持たせた文の指示の下、同じく持たせた消え去り草というアイテムで姿を隠している。 貴様が私に気を取られている僅かな隙を突いて種を仕込ませてもらった。」 「やはり君を先に殺さねばならないようだ。だが、扉を固めてしまえば、二人が脱出する術は無い。」と言いながら一人がドアを封鎖した。 そう。この部屋にはたった一つの扉以外に出入り口は無かった。メディルとの会話中も、ワルドは音に気を配っていた。 その彼の記憶では、ドアの開く音はしなかったので、部屋から出てない事だけは間違いない。 「そうだな。消え去り草もいずれは効き目が切れるだろう。だが・・・」 メディルが未だかつて無い殺気を放った。それは彼が本気でワルドを殺しにかかろうとしている証だった。 「それまでに貴様の息の根を止める!」 前ページ/ゼロの使い/次ページ
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1983.html
一行はウェールズに案内され、彼の居室へ向かう。 そこは皇太子の部屋とは思えない質素な部屋であった。 ウェールズは机の引出しをあけ、宝石が散りばめられた小箱を取り出し、つけていたネックレスの先に ついている小さな鍵を小箱の鍵穴に差し込み、中から一通の手紙を取り出す。 ウェールズは名残惜しげに手紙を開き、目を通した後、丁寧に畳み直し封筒にしまい、ルイズに手渡す。 「この通り、確かに返却した」 「ありがとうございます」 ルイズは深々と頭を下げ、手紙を受け取る。 「明日の朝、非戦闘員を乗せた『イーグル』号が出発する。貨物船は代わりに接収させてもらうがね、 それで君達はトリステインに帰りなさい」 ルイズは目を伏せていたが、決心したように目をあげ、問い掛ける。 「あの、殿下…先ほど栄光ある敗北とおっしゃりましたが、王軍に勝ち目はないのですか?」 ウェールズは即答する。 「ないよ。こちらは三百、あちらは五万。攻勢側は防衛側の3倍の戦力が必要というが、3倍どころか100倍を優に越している。 それに、防衛側というのは有利な分、奇襲などで戦力差をひっくり返しにくい。 いくらこちらの士気が高かろうと、全員が玉砕覚悟でぶつかって三百も潰せれば成功した方だろう」 「その玉砕覚悟でぶつかる兵には殿下も含まれているのですか?」 ルイズは詰め寄る。 「当然だよ、だが不幸にも僕は皇太子でね、真っ先に突っ込んで死ぬわけにも行かない。生き長らえるつもりも ないけれどね。今までこんな戦いに付き合ってくれた兵士たちを見届ける義務がある。一人でも多く戦えなくし、 一本でも多く武器を折り、一秒でも長く粘るつもりだ」 ルイズはウェールズの再び頭を下げる。 「殿下、失礼を承知でお聞きしたいことがあります」 「なんだね」 「この、ただいまお預かりした手紙の内容、もしかしてこれは…」 「ちょっと、ルイズ」 キュルケがたしなめるが、ルイズは意にも介さない。 「この任務を申し付けた姫様と手紙を預かっていた殿下のご様子、尋常ではありませんでした。 もしや、アンリエッタ姫様とウェールズ殿下は…」 ウェールズは微笑んで応える。 「そう、その手紙は君の想像の通り、恋文だ」 「やはり、殿下は姫様と恋仲であらせられたのですね?」 「昔の話だ」 ウェールズは顔色を変え遠くを見るような表情になる。 「殿下、トリステインに亡命なされませ!」 ルイズの声色が強くなる。 ワルドがルイズの方に手をおき、諌めようとするが止まらない。 「お願いでございます!我々と一緒にトリステインにいらしてくださいませ!」 「おいルイズ、それくらいにしておけ」 ワムウがルイズに低い声をかける。 「なによワムウ、あんたには関係ないでしょ!」 「それはお前も同じだろう、お前は話を聞いていて亡命などできんことがわからんのか?」 「そう、彼の言う通りだ。臣下達を見捨てて亡命などはできんし、仮に臣下達を逃がせるとしても トリステインに迷惑をかけるわけにもいかないし、彼らも、僕も亡命などは選ばないだろう」 「なぜですか!自分の命が惜しくないのですか!おそらく姫さまも手紙で亡命を薦めているはずです!」 ルイズは涙を流しながら声を張り上げる。 「惜しい、惜しいに決まってるさ。怖いし、恐ろしいし、辛いし、今すぐにも逃げたいさ。 だが、人間には命以上に大切なものというものがあるような気がする。武人として、貴族として、皇太子として、 アルビオン人としての名誉と、臣下の信頼を裏切って亡命などできない。 …人間は高度な知性を持っていると言うが、もしかしたら最も馬鹿な生き物なのかもしれないね」 ウェールズは自嘲気味に笑い、続ける。 「君は、正直な女の子だな、ラ・ヴァリエール嬢。正直で、真っ直ぐで、いい目をしている。 しかし、忠告はしよう。そう正直では大使など務まらないよ、しっかりしなさい」 ルイズに微笑みかけ、そういった。 「…だが、亡国への大使としては適任かもしれないね。明日には滅ぶ政府は誰よりも正直だからね」 ウェールズは腕に巻かれたこの世界でも珍しい、魔法で動く腕時計に目を通し言った。 「そろそろ、パーティの時間だ。おそらく我らの王国最後の客人よ、ぜひとも出席をお願いしたい」 一行はワルドを除いて部屋を出て行く。 ワルドは一礼し、ウェールズになにか頼み込んでいた。 城のホールで行われる華やかなパーティ。 「明日で終わりだっていうのに、随分華やかね」 ルイズの言葉にワルドは頷く。 「明日で終わりだからこそ、ああも明るく振舞っているのだ」 貴婦人達の間から歓声が上がる。ホールの入り口から皇太子がつかつかと玉座へ近づき、 何事か父王に耳打ちする。 国王、ジェームズ一世は立ち上がろうとするが、年のせいかよろけ、倒れそうになる。 会場のあちこちから屈託のない笑いがこぼれる。 「陛下、お倒れになるのはまだ早いですぞ!」 「明日まではお立ちになっていただけなければ我々が困ります!」 会場から野次にも似た軽口が飛ぶが、国王も悪意はないとわかっており、軽口で返す。 「おのがたも二日酔いで決戦に参加するのだけは勘弁願いたいのう」 ウェールズが体を支え、立ち上がった国王が咳を一つすると会場の全員の顔が引き締まる。 「諸君。いよいよ明日正午、このニューカッスル城に立て篭もった我らを駆逐しようと逆賊どもの 総攻撃が行われる。この無能な王に、諸君らはよく従ってくれた。しかし、明日は戦いではない。 おそらく一方的な虐殺となるであろう。これも、無能な諸君らの責任である。朕は諸君らの 馬鹿さ加減にはほとほと呆れた。よって、ここにいる自分以外の全員、全てクビとする。 獲物になってやるネズミは朕一人で充分だ」 会場がざわめく。 「…明日の朝、巡洋艦『イーグル』号がここを離れる。国王として最後の命令だ、どこの港に 着けるかはわからない…しかし、止めてもらえる港へ風石が続く限り飛べ!ただ今より全員に暇を与える!」 ざわめきが大きくなる。 「諸君らがこの忌まわしき大陸を脱出した後、この老いた城は老いた貴族と共に散る。以上!出発の準備をせよ!」 「あらら…、クビかよ」 「まいったね」 「どーする?」 兵の中から声が漏れる。 貴族たちが大声を上げる。 「殿下!老いた貴族と呼ばれるほどまだ私は老いていないと思っていたのですが!」 「私たちはもうクビにされた一人の人間、その命令は誰に言っているのですか?」 「これだけネズミが居れば、猫の数匹の喉を切り裂き、派手に散れるでしょうな!」 「耄碌するには早いですぞ、殿下!」 国王は涙目になる。 「この大馬鹿どもめ!だから貴様らはクビにされるのだ!一人も二人も百人も大して変わらん戦力差だぞ! ここまで無能だとは思っていなかったぞ!」 「無能な貴族に守るものは名誉しかございません、殿下」 「アルビオン人として名誉を守り通しましょう、殿下!」 「アルビオン王国万歳!我らが名誉よ、魂よ、結束よ!永遠なれ!」 辺りは喧騒に包まれ、客人であるルイズ達に貴族らがかわるがわる訪れ、 料理を勧め、酒を勧め、冗談を言った。 ルイズは、泣き言も愚痴も一切言わない彼らの行動が逆に悲鳴をあげているように見えた。 いたたまれなくなり、ルイズは外へ出て行く。ワルドはそれを追いかける。 「ワムウ…」 ルイズが外に出て、最初に目に入ったのは甲板でたたずんでいるウェールズと話しているワムウだった。 「ねえ、ワムウ…なんであの人たち笑うの?なんであんなに明るいの?」 ワムウは返事をしない。 「どうして、彼らは死を選ぶの?皇太子さまは、姫さまが…恋人が逃げてっていっているのに… なんでそれでも逃げないの?愛する人より大切なものなんかあるの?」 「俺は戦いに生きる。奴らは名誉に生きる。似たものとは言いがたいが理解はできる。 それが、人間というものなのだろう。ひ弱で、短命で、傲慢だが、いや、だからこそ俺は人間に 一目おくこともできる。もしかしたら、我ら柱の男以上に素晴らしい生き物なのかもしれない」 「なにが素晴らしい生き物よ!死んで残される人のことなんか考えてないお馬鹿さんばかりよ!」 「名誉のために、国や話したことも無い人間を守るために散っていく者は我が世界にもいた。 しかし、考え方は違うが精神的に戦士である彼らを馬鹿にすることは許さんぞ」 「あんたも、大馬鹿者ね。あんたは私なんかじゃなくてここのお馬鹿さんの使い魔になればよかったのにね」 ルイズは呟く。 そこに、追いかけてきたワルドが現れる。 「ルイズ、パーティを抜け出して、どうしたんだい?ずいぶん探したよ」 「ワルド様…どうしたんですの?」 「ルイズ、大事な話がある。使い魔君も聞いてくれたまえ」 「なんですか、ワルド様?」 「ウェールズ皇太子にも許可をいただいた。衣装も用意した」 「もう、なにをなんです?」 ワルドが一泊あけ、ルイズの肩をつかみ、強く言った。 「日程は明日、媒酌は皇太子に頼んだ。場所はここの教会でだ。ルイズ、結婚しよう」 To be continued.
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5783.html
前ページ次ページ狂蛇の使い魔 第十二話 気絶したフーケを捕らえ、タバサとキュルケは元来た道を大急ぎで戻ると、意識を失ったルイズを学院に運び込んだ。 キュルケが強引に引っ張ってきたモンモランシーのおかげで大体の傷は治り、特に別状はないという。 それでも、ルイズは目を覚まさなかった。 結局、事の報告は後回しとなり、タバサとキュルケの二人はつきっきりでルイズの看病にあたることとなったのだった。 そして、その日の夜 「ぅ……ん……」 ルイズが目を覚ますと、そこは見慣れた自分の部屋であった。 キュルケが上からこちらを覗き込んでくる。 その傍らにはタバサもいた。 「やっとお目覚めね。まったく、いつまで寝てるんだか」 おかげで舞踏会に行けなかったじゃない、とキュルケは腕を組みながら言った。 「……ごめんなさい」 ルイズがしょんぼりとした表情で謝る。 それを見て、キュルケは微笑んだ。 「ま、いいわ。それより、あのカメなんとか……」 「仮面ライダー」 タバサが突っ込む。 「そうそう、それそれ。あれって一体何だったの? 詳しく話してみなさいよ」 ルイズは一瞬顔を曇らせたが、しばらくすると体を起こし、ゆっくり口を開いた。 ミラーワールド、モンスター、仮面ライダー…… キュルケは、ルイズの口から語られる信じられないような話に目を丸くしていた。 一方のタバサは、表情一つ変えずに話を聞いている。 「……なるほど。だから、そのカードデッキは破滅の箱なんて呼ばれてたのね」 ルイズの話が一段落すると、キュルケがルイズの手元にあるタイガのデッキを指差しながら言った。 「多分、そうでしょうね。……それで、今日あったことだけど……」 ルイズがミラーワールドでの出来事を話そうとした時、突然部屋の扉が開かれた。 「ひっ! あ、アサクラ!?」 扉の前に立つ浅倉を見た途端、ルイズの顔から血の気が引き、青ざめる。 それを見ると、浅倉は笑いながら彼女がいるベッドへと近づいていった。 「いつもの偉そうな態度はどうした? 俺に叩きのめされたのが、そんなに怖かったのか?」 「い、いやっ! 来ないで、来ないでぇっ!!」 ミラーワールドでの恐ろしい体験が脳内に甦り、ガタガタとその身を震わせるルイズ。 そんな彼女と浅倉との間に、キュルケが割って入った。 「ちょっとアンタ! 一体ルイズに何をしたのよ!?」 キュルケがきっ、と浅倉を睨み付ける。 今まで浅倉をダーリンとよび、恋心を抱いていたキュルケであったが、今の彼女にそんな気持ちは微塵もない。 むしろ、友を傷つけたことへの怒りの感情の方が強くなっていた。 そんな彼女を浅倉はフン、と鼻で笑う。 「そのデッキを手にした今、こいつも一人のライダーだ。ライダー同士、戦うのは当たり前だろう?」 「なら、これからもルイズと戦い続けるとでもいうの?」 「いやっ!」 キュルケの問いかけにルイズが反応し、膝を抱えて体を縮こまらせた。 その目には涙が湛えられている。 「もう戦いたくない……! もう戦いたくなんかないよ……!」 浅倉はそんなルイズに冷めた目を向けると、再びキュルケの方へと視線を戻した。 「だとしたら、どうする?」 怒りの形相で睨み続けるキュルケに、浅倉は余裕の表情で問い返す。 「……なら、容赦しないわ!」 「ほう、やるか?」 そう言って、キュルケは杖を、浅倉はデッキをそれぞれ取り出した。 そんな二人を、ルイズは心配そうに見つめている。 「待って」 不意に聞こえてきたタバサの声に、皆の視線が彼女に集中する。 そして、タバサの口から思いがけない言葉が発せられた。 「……私が仮面ライダーになる」 「ダメよタバサ! 危険よ!!」 タイガのデッキに伸ばされたタバサの手を見て、ルイズはタバサに渡すまい、と両手でデッキを抱きしめた。 しかしタバサが杖を一振りすると、デッキはルイズの元を離れタバサの手に収まった。 「誰かがライダーにならないと、ルイズが食べられてしまう。でも、今のルイズに変身は無理」 タバサが淡々と理由を述べていく。 「それに、まだアサクラに助けてもらったお礼をしてない。私なら、相手をしてあげられる」 浅倉の方を向き、微笑みかけた。 「……本気なの? アサクラには摩訶不思議な怪物がいるし、下手したら死んじゃうのよ?」 納得のいかないキュルケがタバサに尋ねた。「こういうのには慣れてる」 「でも……」 「俺なら誰だって構わないぜ。」 尚も食い下がろうとするキュルケを、浅倉が邪魔をした。 「それに、こいつよりもよっぽど楽しめそうだしな」 そういうと、浅倉はルイズの方へ顔を向けた。 「情けない奴だ。周りの人間にまで迷惑をかけておいて、役立たずにもほどがある」 浅倉の放った言葉が、ルイズの胸にぐさりと突き刺さる。 「そのくせプライドだけは人一倍、か。笑わせるな。……少しは身の程を知ったらどうだ?」 ルイズは堪らず、目から涙をポロポロとこぼし始めた。 「私は……私は……」 「ルイズ! ……アサクラ、あんた何てこと言うのよ!! 誰のせいでこんなことになったと思ってんの!?」 キュルケが再び浅倉に食って掛かる。 「俺は事実を言ったまでだ。……寝るぜ?」 それだけ言うと、浅倉は部屋の隅まで歩いていき、床の上に寝転がる。 そして、キュルケが投げ掛けてくる憎しみのこもった視線をよそに、浅倉は深い眠りへと落ちていった。 翌日。 ルイズ、タバサ、キュルケの三人は、学院長室にてフーケ討伐の報告を行っていた。 しかし、いつも通り無口なタバサに加え、ルイズも終始沈んだ表情で黙りこんでいたため、報告はもっぱらキュルケによってなされていた。 「……というわけで、今回の成功はルイズとその使い魔の活躍があってこそのものなのです」 『ルイズ』の部分を特に強調して、キュルケが報告を終えた。 「なるほどのう。まさか、あのロングビルが……」 オスマンが残念そうに溜め息をつく。 「ともかく、ご苦労じゃった。……そうじゃ、王室にも報告しておこうぞ。きっと何かしらの褒美がもらえるじゃろうて」 先ほどの表情から180度変わって、ニッカリと笑いながらオスマンが言った。 キュルケとタバサの顔にも、それぞれ笑みが浮かぶ。 が、ルイズの表情は相変わらず沈んだままだった。 「ミス・ヴァリエール、どうかしたかの? 元気がないようじゃが……」 「え? あ、いえ。何でもありません。ありがとうございます」 「……そういえば、破滅の箱を君の使い魔殿に渡す約束じゃったな。約束通り自由にしてよいと伝えておいてくれ」 ルイズはそれを聞くと、コクリ、と力なく頷いた。 「それと、ついでじゃ。これも渡しておいてくれ」 そう言って、オスマンは一枚のカードを取り出した。 「これは……?」 「荒らされた宝物庫の整理をしてたら出てきたものでの。破滅の箱に入っていたものとそっくりじゃから、君の使い魔なら使えるじゃろう。 わしには無用の品じゃ。もっていくがいい」 「……ありがとうございます」 ルイズは小さな声でお礼を言いながら、手渡されたカードを懐にしまった。 「ルイズ。ちょっと」 「……なに?」 学院長室からそれぞれの部屋へと戻る途中、ルイズはキュルケに引き止められた。 ――バチン! 振り返ったルイズの頬を、キュルケの手のひらが思い切りはたき、赤く染めた。 ルイズが驚いた顔で頬に手を当てる。 「アンタ、いつまでくよくよしてんのよ! らしくもない!」 キュルケが腰に手を当て、ルイズを見据えながら言った。 「いい? フーケに勝てたのはルイズが破滅の箱を使って、ゴーレムの動きを封じたからなの! ルイズのおかげ! わかる!?」 「でも、それは破滅の箱の力で……」 「破滅の箱を使って戦おうと勇気を出したのはアンタでしょう? もっといつもらしく誇りなさいよ!」 ルイズの反論を遮り、キュルケが続ける。 「例え魔法が使えなくても、諦めずに一生懸命頑張ってきたのが今までのアンタじゃない! そんなルイズはどこに行っちゃったのよ!?」 呆然と話を聞いていたルイズが、暗い表情のまま顔を下に向けた。 名門貴族に生まれながらも魔法を使えず、優秀な家族との落差に悩んだ日々。 失敗ばかりで散々ゼロのルイズと馬鹿にされ、劣等感に苛まれ続けた学院での毎日。 やっと成功したサモン・サーヴァントでも、呼び出した使い魔の扱いすら上手くいかず、逆に虐げられる始末。 それらの辛い記憶がルイズの頭の中を駆け巡り、涙となって目から溢れ出てきた。 「……何がわかるのよ」 俯いたまま、ルイズが震えた声をあげた。 「あなたに私の何がわかるのよぉっ!!」 顔をあげてその泣き腫らした表情をキュルケに向けると、ルイズは大声で言い放ち、自室に向かって勢いよく駆け出した。 「あっ、待ってルイズ!」 キュルケが止めようと手を伸ばしたが、走り出したルイズには届かず空を切る。 「ルイズ……」 自らの思いが友の心に届かなかったことを歯がゆく感じながら、キュルケはその場に立ち尽くすのだった。 同じ頃、ミラーワールドのとある森の中。 フーケとの戦いの最中に気配を気づかれた白い怪物のうち、王蛇の攻撃から免れた一体がそこにいた。 くねくねとした動きで怪物が森の中を歩いていくと、しばらくして広大な湖が目の前に現れた。 トリエステンとガリアに跨がる湖、ラグドリアン湖である。 水の精霊がいることで知られる湖だが、鏡の中の異世界では異様な光景が広がっていた。 今しがた辿り着いた白い怪物と同じ怪物があちこちから集まり、続々と湖へと向かって行ったのである。 不気味な唸り声をあげながら、無数の怪物がひたすら前に進んでいく。 たどり着いた怪物も湖に向かおうと動きだした、その時。 怪物が突然どさりと前のめりに倒れると、手足をピクピクと動かしながら体を丸め始めた。 そしてしばらくすると、背中がボコボコと盛り上がり、固い表皮にヒビが入る。 次の瞬間、白い怪物の体を破り、羽の生えた青い怪物が姿を現した。 青い怪物はすぐに頭に生えた羽を羽ばたかせ、湖の上を飛び始める。 それから、同じようにして数匹の青い怪物が現れ湖の上を舞うと、何処へともなく飛び去って行ったのだった……。 前ページ次ページ狂蛇の使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6087.html
前ページ次ページ日本一の使い魔 ここはトリステイン魔法学院内女子寮にあるルイズの部屋。 他の生徒達は授業中なのだが、ルイズの場合は平民とは言え人間を召喚し、 使い魔にしてしまったと言う事で特別に授業を免除された。 「あんた、どこから来たの?それに…ずばっかーだっけ何なのあれ?マジックアイテム?」 自分の疑問を解決しようと質問で捲くし立てる。 「そう慌てなさんな。ズカッカーは元は宇宙探検用に開発された車でね。 マジックアイテムってのは良く判らんが、恐らくルイズの言っている物とは違うだろう。」 「それと、どこから来たかって?俺はさすらいの私立探偵だから・・・日本って国から来と でも言えばいいのかな。」 知らない単語にどんどんルイズの機嫌が悪くなる。 「さすらいって難民みたいなもんなの?さっきも言ってたけど、私立探偵って何よ? それに宇宙ってどこの国?トリステインでは聞いたことないから、ガリア?ゲルマニア?」 「おいおい宇宙も知らないのかい。それに・・・」 かつて宇宙犯罪組織とも戦い、宇宙一の男とも言われた早川ですら聞いた事も無いような 国名に、先程自分で口にした異世界という単語が冗談では無かったのかと考えてしまう。 「(魔法…)」 「なあルイズ?さっきトリステイン魔法学院って言ってたが、まさかここは 魔法使いの学校なのか?」 「メイジよ!メ・イ・ジ!あんたもしかしてメイジも知らないの?」 ルイズは自分の呼び出した使い魔が、メイジすら知らぬ田舎物だと思いハルケギニアに おいて一般常識とも言える事を教える。 早川の順応性・理解力も日本一である事を知らないルイズは、意外に 自分の使い魔の健は素直なのかと思い得意げに説明を続ける。 後に判る自分の魔法とツッコミの才能はこの早川がきっかけで知らされる事とは知らずに。 そうこうしている間に時間は過ぎ、メイドが持ってきた夕食を食べながら早川は自分の 冗談が本当の事だと知らされる。 「月が二つ…飛鳥・・・本当に異世界に来ちまったみたいだ。」 赤い夕日に~ 燃え上がる 君と誓った 地平線~♪ 「うるさい!夜中になに大声で歌ってるの?早く寝なさい!あんたはそこ!」 着替えながら怒鳴るルイズが指差した先はただの床。 「ヒュー。男の前で恥じらいも無く着替えるなんて、レディのする事じゃないね。 チッチッチ。おいらはこっちで寝させてもらいますぜ。ご・主・人・様。」 早川は椅子に座るとテーブルに足を置き、テンガロンハットを顔に乗せ、 子供の戯言に付き合いきれないとばかりにそのまま寝ようとする。 「何よ!使い魔に見られて何か思うわけ無いでしょ!」 自分の優位性を示そうとしたが当てが外れ、自分の立場の方が上と言わんばかりに 「それ洗っておきなさいよ!」 早川は手をヒラヒラさせ見向きもしない。 翌朝、早川は昨日言いつけられた洗濯物を済せるためギター片手に校舎内を歩いていた。 「(困ったな。でも妹と暮らしていればこんな感じなのだろな。)」 早川は夜桜組との一件で出会った妹と母の事を思い出していた。 自分を捨てた母との別れ、そして再会。新しい生活を壊したくない母は… そして妹との出会い。そして別れ…さらば瞼の母よ。 「(ガラにも無いや。さてと手の掛かるご主人様の言いつけこなしますか。)」 早川が洗濯場を探して曲がり角に差し掛かった時、 「キャッ!?」 「おっと!危ない!お嬢さん怪我はないかい?」 とっさにぶつかった女性を抱き止める。 「あ、私は・・・申し訳ございません。大丈夫ですか?」 「こっちこそ考え事をしていて悪かったね。」 メイド服を着た女性を起こし荷物を拾っている早川にメイドは 「あの?もしかしてミス・ヴァリエールが召喚したって噂の平民ってあなたですか? あっ拾ってもらってありがとうございます。」 「そうみたいだね。俺は早川健、こっちじゃケン・ハヤカワって言う私立探偵さ。よろしく。ところでお嬢さんは?」 「よろしくお願いしますね。私はこの学院でメイドをしているシエスタといいます。」 自己紹介をし合うと、共に同じ目的と判り洗濯場へと二人で向かう。 是非にというシエスタに洗濯物を頼み、朝食の時間と言う事でルイズを起こしに部屋へと 帰る事にする。 行きは戸惑ったが早川である。帰りは迷うはずも無く部屋と向かう。 そこで、 「あら?あなたは昨日ヴァリエールに。昨日は大変みたいだったわね?」 そこには赤毛で褐色の肌にスケスケのネグリジェを着た女性がこっちを向いていた。 「(ルイズとは…)」 「ああ、ケン・ハヤカワ。よろしく。子供のお守りってのは大変なもんさ。 それより、朝から素敵な女性に会えるなんて今日はツイいてるね。」 「あらお上手ね。私はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーよ。 呼ぶ時はキュルケって呼んでね。それにしても子守って、ハハハ。」 バタンと音がするとそこには地獄竜が、いやルイズがいた。 「ちょっと!子守ってどういう事?それよりも素敵な女性ってなによ!? 私にはお嬢さんって!しかもツェルプストーと仲良く話しているなんて!」 「あらケンは正直者じゃない?正直者の使い魔でよかったじゃない。目もいいみたいね。」 地獄竜が首領Lになった。 「キィィィィィィ!!行くわよケン!早く来なさい!」 やれやれと早川はテンガロンハットのつばを下げる。 部屋に帰る様子をキュルケは、 「ケン後愁傷様。それよりも、また退屈しないで済みそうね。」 と見ていた。 前ページ次ページ日本一の使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1875.html
前ページ次ページサイヤの使い魔 トリステイン魔法学院、朝。 コルベールは、次から次へと涌き出る疑問のせいで一睡もできぬまま朝を迎えた。 ミス・ヴァリエールの説明によると、彼女の使い魔は幽霊なのだそうだ。 しかし、一度死んだ人間が、使い魔になどなれるのだろうか? いや、それ以前の問題として、人間がメイジの使い魔になった話など聞いたことも無い。 それで、あの騒ぎの後からずっと図書室に篭り、過去に似たような事例は無かっただろうかと、文献をあれこれと調べていたのだ。 結果、それらしき事例は全く無し。 だが… 「ガンダールヴ!?」 …予想だにしなかったところから手がかりが現れた。 あの使い魔の左手に刻まれた見慣れない紋章。 それは紛れも無く、始祖ブリミルの使い魔『ガンダールヴ』の紋章に瓜二つだった。 ということは、まさか― 「あのお方は、あああのお方こそ『ガンダールヴ』の幽霊!!」 理屈は通らないが筋は通る。 失われた系統『虚無』の使い手であるブリミルの使い魔だったのだ、きっと死んだ後も幽霊となって別のメイジと契約できるような魔法があったのだろう。 ジャン・コルベール、42歳。 この新たな発見に年概も無くハッスルしていた。今なら女性の一人や二人、軽くナンパできそうな勢いである。 一刻も早くオールド・オスマンにこの事を伝えなければ。 浮力を発見した時のアルキメデスに勝るとも劣らない興奮で足をもつれさせながら、図書館のドアの前へ辿りつく。 と、コルベールは図書館の扉がしっかりと閉ざされているのに気付いた。 昨夜、閉館時刻を過ぎても一向に帰る気配の無いコルベールにあれこれ苦言を呈していた司書が最後には堪忍袋の緒を切れさせ、 抗議のつもりか、自分以外には開けられないよう扉に厳重な『ロック』の魔法をかけておいたのだ。 押してもダメ引いてもダメ、ダメ元で本来は校則により禁止されている『アンロック』の魔法をこっそりかけてもやっぱダメ。 ダメダメ尽くしで文字通り八方塞がりの状況にコルベールは凹んだ。 あの司書、けっこう好みのタイプだったのに…。 悩むべきはそこじゃない。 ところ変わってルイズの部屋。 悟空は空を舞う飛竜の鳴き声で目を覚ました。 かつて、息子の悟飯がハイヤードラゴンをペットにしていた頃も、こうやって朝は目覚し時計代わりになってくれたっけ。 そんなことをどこか懐かしく思い出しつつ、ベッドの上でくーすか寝ているルイズに目を向ける。 「起こせって言われたのはいいけど、どうやって起こすかな…」 とりあえず肩を揺する。 「ルイズ、起きろ。朝だぞ」 「…ん。う~……」 効果無し。 頬をぺちぺちと叩く。 これも駄目。 「…しょーがねーなー…」 少々荒っぽいが、これで行くか。 悟空はベッドの両端をぽんと叩いた。 反動でルイズの身体が40サントほど飛びあがる。 「にゃぶっ!?」 落下の衝撃で、ようやくルイズは目覚めた。 何が起こったのかわからぬまま、きょろきょろとあたりを身回し、ベッドの縁にしゃがんでこちらを見る悟空に気がついた。 「誰よあんた!」 まだ寝ぼけている。 「オッス、オラ悟空」 律儀に自己紹介。 「ああ…使い魔ね。昨日、召喚したんだっけ」 ルイズは起き上がると、あくびをした。そして悟空に命じる。 「服」 「脱がすのか?」 「着せるのよ」 「もう着てるじゃねえか」 ルイズは自分の身体を見下ろし、そして昨夜のやりとりを思い出した。 「…しまった」 着たまま寝たので皺になっている。このまま下着だけ履き替えて授業に出ることは可能だが、貴族たるもの、常に 身だしなみは整えておかねばなるまい。 だるそうに脱ぎ、それを悟空の方へ放る。 「んじゃこれ洗濯する分。あとあっちのクローゼットに下着と替えの服が入ってるから持ってきなさい」 しょっちゅう魔法の失敗で服がボロボロになるので、替えの制服は常に確保している。 悟空は言われた通りにクローゼットから下着や服を出した。昨日ルイズの記憶を読んだので、何処に何があるかは大体把握している。 「ほれ」 ルイズの方へ放る。 ルイズは下着は自分で着けたが、制服は着ない。 「着せなさい」 「使い魔ってのはそういうのもするんか」 「そうよ」 この世界における一般常識がルイズから得た知識しかない悟空、素直に納得。 特に文句も言わず、妙に手馴れた手つきでルイズに服を着せる悟空にルイズが口を開く。 「やけに素直ね」 「考えたんだけどよ、この星にも強えヤツはいるんだろ?」 「いるわよ」 「そんでもって、おめえの家って結構有名なんだろ?」 「まあね」 まあね、どころではない。 ルイズの実家はかの名門ヴァリエール家である。 「それがどうだっていうのよ」 「だったらよ、おめえと一緒にいればそのうち強えヤツと戦えるんじゃねえかと思ってさ」 「あんた幽霊でしょ」 「確かに死んでっけどよ、あの世でも修行できるようにって、特別に肉体つけてもらったんだ」 「な……」 ルイズは眩暈を覚えたが、その説明にふと思い当たる節があった。 いつだったか図書館で読んだ、戦死した勇士を向かい入れる天上の宮殿と、そこで飽くなき戦いを続ける戦士達の話。 今目の前にいる男はまるでそれに登場する戦士だ。 だったら死んでも肉体があることの説明がつく。 だとしたら、もしやこいつはただの平民ではなく… 「ほれ、終わったぞ」 ルイズに服を着せ終えた悟空が立ち上がり、脱ぎ捨てられた服を拾い集める。 と、悟空の腹から竜の唸り声のような音が漏れた。 「なに今の音!?」 「オラ、ハラ減った…」 力の抜けた声で悟空が訴える。本当は死人なので食事は採ろうが採るまいがあまり関係ないのだが、死んで日が浅い悟空の身体は、 生前の生理機能を色濃く残していた。 あの世でも珍しい、ハングリーな死人である。 あんたお腹減るの? とルイズは思わず声に出しかけたが、肉体があるのだからそんなこともあるのかもしれない、と思い直し、 それ以上は追求しなかった。 「朝食の時間はまだ先よ。それまでにそいつを洗濯して、私が顔を洗う水を汲んで来なさい」 「どうすっかな…」 ルイズの部屋を出てしばらく歩きまわった悟空は、道に迷っていた。 学院の何処に行けば洗濯場があるかは知っていたが、何処をどう通ったらそこに辿り着けるかが判らない。 自分では洗濯などしたことも無く、悟空が来るまでは各部屋を巡回するメイドに任せていたルイズの知識だけでは、 部屋から洗濯場までの直通ルートが入ってこなかったのだ。 とりあえず屋外にある事は判っているので、何とか校舎の出口を探そうと探索する。 途中、食堂の前を通りがかった悟空は、中から漂う美味しそうな匂いに惹かれてフラフラと迷い込んでいった。 「すんませーん」 厨房で生徒に出す朝食の準備をしていたシエスタは、聞き慣れない声を聞きふと顔を上げた。 見覚えの無い服を着た平民が、制服を抱えて食堂内を歩き回っている。 「どうなさいました?」 厨房から出て声をかけると、平民の頭に白い輪が浮いているのに気付いた。 確かミス・ヴァリエールが、天使を召喚したって噂になったっけ。 よく見ると、確かに左手の甲にルーンが刻まれている。 「あなた、もしかしてミス・ヴァリエールの使い魔になったって言う…」 「オラの事知ってんのか?」 「ええ。なんでも、召喚の魔法で天使を呼んでしまったって。噂になってますわ」 悟空の屈託の無さに、思わずシエスタはにっこりと笑った。 天使のはずなのに、まるで平民と変わらない人懐っこさだ。それにこの人はどことなく、懐かしい感じがする。 「おめえも魔法使い…じゃねえな。おめえがシエスタってヤツか」 「私をご存知なのですか?」 「ルイズに教えてもらったんだ」 記憶を読むのは、悟空にとって教えてもらうと言う事らしい。 「そうなのですか…。あの、もし宜しければお名前を教えていただけますか?」 「オラ悟空。孫悟空だ」 「変わったお名前ですね」 その時、悟空のお腹が鳴った。 「お腹が空いてるんですね」 「ああ。あとこいつを洗濯しねえといけねえんだ」 といって、両腕に抱えたルイズの制服をひょいと持ち上げる。 「それはミス・ヴァリエールの?」 「何でも、主人の服を洗濯するのも使い魔の仕事なんだってよ」 それを聞いたシエスタはくすくすと上品に笑った。 「そんなわけないじゃありませんか」 「違うのか?」 「だって、普通は私達平民が貴族の方々をお世話するんです。洗濯だって私達の仕事のうちなんですよ」 「へえ」 「きっと、貴方みたいな人が使い魔になったので、やらせてみようと思ったのでしょうね」 あながち間違ってもいないシエスタ。 「宜しければ、私が後で洗濯しておきましょうか? いつもやっている事ですし。それと、もう少しお待ち頂ければお食事も ご用意できますが」 「ホントか? サンキュー!」 「貴族の方々にお出しする料理の余りもので作る賄い食ですが、それで良ければ」 「オラ食えるもんなら何だっていいぞ!」 「では、こちらにいらして下さい」 シエスタは歩き出した。 洗濯物を抱えたまま、シエスタについて行く悟空。 文字通り美味しい話を前にして、ルイズが言った2つめの命令「顔を洗う水を汲んで来なさい」をあっさり忘れている。 さすがだ。 「遅い」 悟空が外を出てからどのくらい経っただろう。 あまりにも遅い帰りにイラついていたルイズは、使い魔に洗濯場への道筋など教えていない事をこれっぽっちも自覚していなかった。 「まったく、朝食の時間になっちゃうじゃない!」 あとでお仕置きしてやる。 そう心に誓い、ルイズは自室のドアを開けた。 部屋を出た瞬間、時を同じくして部屋を出たキュルケにばったり遭遇する。 「あら」 「げ」 二人の声がハモる。 キュルケはルイズを見ると、胡散臭そうに顔を歪めた。 「…おはよう、ルイズ」 ルイズも顔をしかめ、嫌そうに挨拶を返す。 「…おはよう、キュルケ」 「あの使い魔は?」 「…えっと」 ルイズは言葉に詰まった。 まさか「服の洗濯を命じたけど、帰って来ない」という訳にもいかない。 そんな事を言ったら「なあに、貴女早速使い魔に逃げられたの~?」と馬鹿にされるに決まってる。 「何?」 「…校舎の散策を命じたわ。そのうち帰って来るわよ」 「ふーん…。…ねえ、あいつ何だと思う?」 「何って?」 「平民かと思ったら天使だし、天使かと思ったら幽霊だし、だいいち幽霊って頭に輪っか付いてたっけ?」 「知らないわよ」 キュルケが知っているのは、夜毎鎖やら何やらをジャラジャラと鳴らして徘徊する賑やかな奴だけだ。 「第一、平民なのあれ?」 「だから知らないって」 「少なくとも貴族には見えないわよねえ」 「独り言なら一人の時に言いなさいよ」 「それにしても『サモン・サーヴァント』で平民の幽霊喚んじゃうなんて、貴女らしいわねえ。流石はゼロのルイズ」 「うるさいわね」 「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って、一発で呪文成功よ」 流石というか、もういつもの調子を取り戻している。 「あっそ」 「どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよねぇ~。フレイムー」 キュルケは、勝ち誇った声で使い魔を呼んだ。キュルケの部屋からのっそりと、彼女ご自慢のサラマンダーが姿を表す。 大きさは、トラほどもあるだろうか。尻尾が燃え盛る炎で出来ていた。口元からは時おりチロチロと火炎がほとばしる。 どこぞの金持ちのボンボンが名前だけ借りて造った98式AVのパチモンとは大違いだ。 「見てこの尻尾。ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、間違い無く火竜山脈のサラマンダーよ? ブランドものよー。 好事家に見せたら値段なんかつかないわよ? ってあれぇ!?」 いつの間にか、ルイズの姿が無い。 キュルケがフレイムを自慢している間に、ひとりでさっさと食堂に行ってしまったのだった。 「あ…あたしを無視するなんてイイ度胸だわ、ゼロのルイズ…!」 微熱が憤怒の炎へと変わる。生きる事への憤怒だ。 覚えてなさい、と吐き捨てて、キュルケも食堂に向かう。 朝食を食べている間、ルイズはずっと不機嫌だった。 足元には使い魔に利用させる予定だった皿が置いてある。 本来、使い魔が食堂で生徒に混じって食事を採る事など有り得ないのだが、別に校則で禁じられている訳でもないので、 ルイズは自分に使い魔が出来たら是非やってみようと思っていたのだ。 それがどうだろう。 いざ呼び出してみれば、現れたのは何処の馬の骨ともつかぬ平民。 おまけに何の冗談か、生身の幽霊ときたもんだ。 それだけならいざ知らず、肝心の朝食の時間に自分の傍にいやしない。 負のオーラを漂わせながら、ルイズは食事と怒りを噛み締めていた。 一方そのころ、厨房では。 「うんめー! オラこんなうめぇシチュー食ったの初めてだ!!」 悟空が超ハイペースで、巨大な寸胴鍋になみなみと用意された賄い食を胃袋に収めていく。 厨房で働いている人員全員分の賄いを用意してから食事が始まったのは不幸中の幸いだった。 そうでなければ、彼らの分もあっという間に悟空が食い尽くしていた事だろう。 まるで胃袋にオークを2、3匹飼っているのではないかと錯覚させる食いっ振りに唖然とする厨房の面々。 そんな中、幸せそうな顔で次々と悟空におかわりを注ぐシエスタ。 その後ろで、こちらも惚れ惚れと悟空を見つめる当厨房のコック長、マルトー。 「おう、どんどん食え! いやあそれにしても見事な食いっ振りだ! 正直今日はちと多めに作り過ぎたくらいだったんだが、あんたがいて助かったぜ!」 この人は悟空がいなかったら余った賄い食をどうするつもりだったのか。 ニコニコと心からの笑顔を浮かべながらシエスタも同調する。 「私、こんなに幸せそうにご飯食べる人初めて見ました」 「全く貴族のアホウ共は素材からほんのちょっぴりずつしか取れない高級な部分しか食いたがらねえから、毎度毎度 処分しなきゃなんねえ食材が多くてウンザリしてたんだ!」 賄いで少しでも無駄が出ないよう残った材料を最大限に生かした料理を作っているのだが、それでも大部分の食材は捨てなければならない。 これを作るのにいったいどれだけの平民が汗水たらして頑張っているのかと、マルトーは憤懣やるかたない思いだったのだ。 「ちょ、ちょっとそれじゃまるでゴクウさんが生ゴミ処理してるみたいじゃないですか!」 「オラ別に気にしてねえぞ」 そんな事を言っている間に、とうとう大鍋が空になった。 「おかわり!」 シエスタの笑顔がひきつる。 今、何と言った? 今、何杯目だ? 今、この厨房にシチュー残ってたっけ? ゆっくりと背後のマルトーを振り返り見る。 冷や汗を顔に貼りつけ、真面目な顔でぶんぶんと首を横に振るコック長。 「あ、あの…もう今ので全部です……」 「あ、そう?」 続く言葉に、 「ま、いいか。腹八分目っていうしな」 悟空を除く厨房の全員がズッこけた。 しかし、 (よ、余裕じゃねえか……。よぉし見てろ、昼飯の時は余った食材をひとつ残らず使って食い切れないくらい用意してやるぜ!!) マルトーの料理人魂に、火が点いた。 「あんた、洗濯はどうしたのよー!!」 朝食の後、食堂で悟空と再会したルイズは開口一番詰問した。 悟空の手には何も無い。 厨房でシエスタにルイズの服を預けてきたのだ。 「シエスタって奴がよ、洗濯やってくれるっつうから預けてきた」 「わたしは、あんたにやれと命令したのよ!」 「そりゃそうだけどよ…悪かったな、次からちゃんとオラが自分でやっからよ」 「やる」と言った以上、やらなきゃいけない気がした。 後に、ルイズはそれを後悔する事になる。 前ページ次ページサイヤの使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2050.html
前ページ次ページサイヤの使い魔 「タ、タバサ! 落ちついて! この人は怖くない!」 「オバケなんて無いさオバケなんて嘘さ寝惚けた人が見間違えたのさ」 「どきなさいルイズ! どうせあんたの話なんか聞いちゃいないわよ! ここはあたしが――」 「パーソナルネーム『キュルケ・ツェルプストー』を敵性と判定。当該対象の有機情報連結を解除する」 「あーんやっぱり駄目だー! お願いだから正気に戻って! 戻りなさい! 戻れー!」 格闘すること、約10分。 悟空と一緒に瞬間移動で図書館にやって来たルイズとキュルケの必死の説得により、ようやくタバサは(悟空に対し警戒しているものの)話を聞く気になった。 それにしても司書の視線が痛い。 「…説明して欲しい。主に、貴方の素性を」 「あたしもタバサに賛成。さっきの魔法も興味あるし」 キュルケの言葉でルイズは自分の中にあった違和感に気付いた。 この男、当たり前のように物理的弊害を無視して何処にでも現れるが、そんな事ができる魔法は自分の知る限り、無い。 先住魔法だろうか。とするとこの男、生前は何だったのだろうか。 …もしや、自分はとんでもない人物を喚び出してしまったのではないか? 「あれはよ、魔法じゃなくって瞬間移動ってんだ」 「瞬間…移動?」 悟空が説明する。 「ああ、昔ヤードラットって星の連中に教えてもらった技でよ、相手を思い浮かべてそいつの気を感じ取るんだ。 そうやって、そいつがいる場所に移動する。だから知ってる奴がいねえ場所とかは行けねえんだ」 「に…にわかには信じられない話ね……」 「えーと、全然言ってる意味がわかんない。キって何? 何系統?」 改めて聞く使い魔の能力。 キュルケは半信半疑ではあるものの一応額面どおりに解釈したが、ルイズは理解できていない。 実際、彼と一緒にその能力を体験しているものの、あまりにも自分の常識とかけ離れた現実にまだ頭がついてこない。 「説明はつく。二度も私の目の前に現れたのだから、私は彼を信用する」 口ではそういうものの、タバサは未だに悟空と目を合わせられないでいる。 こうして見ると生きている人間と同じ、いや、普通の人間以上に生き生きとしているが、やはり瞳孔が開ききった目を見るのは怖い。 いや、よく見ると虹彩が暗くて瞳孔の色と区別がつかないだけか。 それに気付き、タバサは若干警戒の色を弱めた。 タバサの言葉に、ルイズもようやく悟空の説明を(納得はできないものの)聞き入れることにしたが、すぐさま別の疑問が沸き起こった。 「あんた、今「星」って言ったけど、そういえば何処から来たの?」 メイジでも無いのにメイジ以上の能力をぽんぽん使いこなすこの男は今、「星」と言った。 ルイズは「宇宙の何処かにいる私の使い魔よ!」とサモン・サーヴァントの時に言ったが、まさか本当に宇宙の何処かに自分に似た生命体がいるなどとは、本気で考えていなかった。 「オラ地球って星から来たんだ」 「じゃあ「チキュウ人」って事? そこがあんたの生まれた星なのね」 「いや、生まれは惑星ベジータってとこなんだけどよ」 「どういう事?」 悟空は説明した。 自分が惑星ベジータで生まれたサイヤ人である事。 産まれてすぐ、侵略のため地球に送り込まれたが、幼少時の事故により穏やかな性格になったらしい事。 ドラゴンボールとそれにまつわる様々な冒険。(これにはタバサが多大なる関心を示した) 自分の出生の秘密を、敵である実の兄から聞かされた事。 一度目の死。 サイヤ人の地球侵略。 ナメック星での激闘。 人造人間との戦い。 そして、二度目の死。 満月と大猿の関係については、既に尻尾の無い悟空には関係ない話だったので省略した。 悟空が全てを語り終えると、場に重い沈黙が立ち込めた。ルイズに至っては、頭から煙が出ている。 途中から頭を抱えてうなだれていたキュルケがのろのろと口を開いた。 「…なんか、にわかには信じられない話ね。頭痛くなってきたわ」 顔を上げ、悟空を見る。 「それで、貴方はこれからどうするの?」 「どうするも何も、オラはルイズの使い魔になっちまったんだろ? だったらそれでいいさ」 「…ずいぶん楽天的なのね」 昼休みを告げるチャイムが鳴った。 「続きは食後」 タバサの一言で、ルイズを除く全員が席を立った。 未だヒューズが飛んだままのルイズに、キュルケが声をかける。 「ルイズ~、私たちお昼食べてくるから、復活したら食堂に来なさいね~。さ、ゴクウさん行きましょ」 「はれってほれってひれんら~……って、え!? ちょ、ちょっと待ちなさい!」 悟空に椅子を引いてもらって席に着いたルイズは、爪先に何か硬いものが当たったのを感じてテーブルの下を覗き見た。 今朝、使い魔に朝食を与えるつもりで用意した皿がまだ置かれている。 (そういえばこれでご飯食べさせようと思ったんだっけ) ルイズは今朝の怒りを思い出したが、さっきの説明を聞いて幾分混乱している今となっては、それも些細な事のように感じられた。 (あの話が本当だったとしたら、わたしはこれからこいつをどう扱えばいいんだろう…?) 正直、さっきの説明はルイズの頭では理解が追いつかなかった。 宇宙人だの人造人間だの何でも願いを叶える球だの、この使い魔の頭は一体どこに繋がってるんだ。 支離滅裂な事を言ったならまだしも、話の内容に筋が通っているから厄介この上ない。 こうなったらこいつの素性を信用するしかなさそうだ。 となると、こいつはメイジでもなければ天使でもない、自分からすれば単なる平民(宇宙人だが)の幽霊だ。 その代わり、こうして自分の隣に立っている今もなお、周囲の生徒から注目を浴びているこの異世界から来たらしい使い魔が、 果たしてこの世界の食べ物を口にしても大丈夫だろうか、と心配になった。 考えてみれば、朝食の時は居なかった。食事が終わってから、何処で道草食ってたのか、手ぶらで戻って来たのだ。 「そういえば、あんた朝食の時居なかったけど、ちゃんとご飯食べたの?」 「ああ、シエスタがメシ分けてくれたんだ」 確か、ゴクウが洗濯を頼んだ平民の名だ。 ルイズは再び足元の皿を見た。 厨房に昼の分の指示は出してなかったので、皿は空っぽのまま置かれている。 「じゃあ、お昼もその平民に貰ってきなさい」 「わかった。んじゃ行ってくる」 厨房へと消えていく使い魔を見送りながら、ルイズは、だから朝食の後すぐ見つけられたのか、と合点し、 自分の使い魔が惨めったらしく地べたに座り込んで粗食を食べる様子を他の生徒に見られずに済んでよかった、と密かに思った。 高貴な存在だと思われているのだ、下手にイメージを崩す事も無いだろう。 「確か本当の天使って霞食ってるんだっけ?」 つい疑問が口をついて出る。 隣席のマリコルヌがそれを耳ざとく聞きつけた。 「なんだって?」 「何でもないわよ、ただの独り言」 「ゴクウさん、お待ちしてました!」 シエスタが笑顔で悟空を出迎える。 厨房に足を踏み入れた悟空は、朝食の時とは比べ物にならないくらい大量の料理を目にした。 「すっげー! 美味そうなもんが一杯あっぞー!!」 「おうよ! お前さんが来てくれたおかげで食材が無駄にならずに済みそうだからな! これはその前祝いだ!!」 悟空の見事過ぎる食いっぷりに触発されたマルトーは、本当に余りものの食材を余すところ無く使い、 尋常ではない量と種類の料理を用意していた。 ざっと見ただけでも10~15人分、テーブルに乗りきらなかった分や鍋に残っている分を加味しても60~70人分はある。 とても賄いと呼べる分量と種類ではない。 中にはこのまま貴族に出してもいいんじゃないかと思えるくらい豪勢な盛り付けのものもある。 マルトーの密かな宣戦布告であった。 「これ全部オラが食っていいのか?」 「おう、食えるだけ食え! 無理なら残してもいいぜ。どうせ元は捨てなきゃならんものばかりだからな、がっはっはっは!!」 10数分後、全ての料理が悟空の胃袋に収まった。 コルベールは、トリステイン魔法学院の長を務めているオールド・オスマンに、自分の教え子の一人がガンダールヴの幽霊を使い魔にしたのではないか、という自説を披露していた。 ミス・ロングビルにぱふぱふをせがんで左の頬に真っ赤な紅葉をこさえたこの学院の長は、彼の説明を聞き終わると、それまで閉じていた口を開いた。 「ルーンが一致したというだけで、そいつがあの使い魔の幽霊であるというのは、いささか結論を急ぎ過ぎじゃないかのう」 「で、ですが…」 「第一、その者がそう言ったというだけで、そ奴が幽霊だという明白な証拠はあるのか?」 コルベールは返答に窮した。 確かにオールド・オスマンの言うとおりである。 ミス・ヴァリエールが幽霊だと紹介したからといって、本当に彼がそうなのか確認をしていなかった。 そもそも、幽霊とはあのように頭の上に輪がついているものなのだろうか。 自分が死んでしまったら余計に頭頂部の眩さがアップしてしまいそうで、できることなら御免こうむりたい。 「まあ、暫くは様子見じゃの。その使い魔から色々聞いてみるとよい」 「わかりました。では失礼します」 一礼して退室したコルベールは、ふと空腹を思い出し、食堂へと向かった。 今なら生徒たちが昼食を採っている。ひょっとしたら、使い魔に会えるかもしれない。 ルイズが満腹感に浸っていると、食堂がどよめきに包まれた。 何事だろうと周囲を仰ぎ見たルイズは、騒ぎの原因を発見して胃が痛くなった。 自分の使い魔が、メイドに付き従ってデザートの配膳を手伝っている。 「本当にありがとうございます、ゴクウさん。わざわざ手伝って頂いちゃって」 「構わねえって。オラのせいで忙しくなっちまったみたいなもんだしよ」 マルトーが腕によりをかけて悟空に大量の料理を振舞った結果、その料理を載せるために、食堂に残っていた食器の殆ど全てを使ってしまい、 大量に発生した洗い物のために貴族へデザートを運ぶ人手が足りなくなってしまった。 そこで食器洗いを手伝うかデザート運びを手伝うかの二者択一の結果、悟空が選んだのがデザート運びであった。 悟空もチチを手伝って食器を洗った経験はあるが、陶器製の食器しか取り扱った事がない悟空には、繊細なガラス細工が施されたものもある学院の食器は、何となく触らない方がいいような気がしたのも一因だ。 「あ、あんた、何やってんのよ」 配膳がルイズの席まで到達した時に、小声でルイズが訊いた。 「メシ食わせてもらった礼に仕事手伝ってんだ」 「あ、ああそう…。あまり目立つような真似はしないでよね」 「何で?」 「あんた、一応他の生徒には天使って事で通ってるんだから」 「ケーキ運ぶくらいどってことねえだろ」 ルイズは改めて周囲を見回した。 居心地の悪そうな顔で配られたデザートを見つめている者もいるが、恐る恐るケーキに口をつけて、普段通りの味だと判った者は、安心したのかいつも通りの調子を取り戻し、級友と歓談したり、既に食べ終えた者は席を立ったりしている。 「…それもそうね。いいわ。終わったら私のところに戻ってきなさい」 「ああ」 やがて、全てのケーキを配り終えた悟空がルイズの元に戻ってくる頃、ケーキを食べ終えたらしき生徒が立ち上がった拍子に、懐から小瓶を落とした。 コロコロと悟空の方へ転がってくる。 悟空はそれを拾い上げ、落とし主である金髪の生徒に声をかけた。 「おーい、おめぇ、これ落っことしたぞ」 「なあギーシュ、お前今誰とつき合ってるんだ?」 「つき合う? 僕にはそのような特定の女性はいない。 薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」 聞こえていないのか、あるいは聞こえていて無視しているのか、青年は応えず、他の生徒と話しながら食堂を出ようとしている。 悟空は後ろで紅茶のカップを手に取ったルイズに訊いた。 「なあ、あいつの名前、何つうんだっけ」 「ギーシュ・ド・グラモン」 「サンキュー。おーい、ティッシュのバケモン」 すました顔で食後の一杯を飲んでいたルイズが、鼻から紅茶を吹いた。 『ギーシュ・ド・グラモン(だ/よ)!!』 前門のギーシュと後門のルイズから、同時にユニゾンで悟空にツッコミが入る。 決して悟空に悪気があったわけでは無いのだが、言う相手が悪かった。 貴族の名を家名つき、その上名前を間違えて呼んだ。 意図的であれ偶然であれ、それは、その貴族だけでなく、家柄に対する重大な侮辱行為である。 血相を変えてルイズが駆けつけた。 「あんた謝りなさい。今すぐ」 「わ、わりぃ。オラ長ったらしい名前覚えんの苦手なんだ」 「君は確か「ゼロのルイズ」の…。駄目だな、許すわけにはいかない」 手袋を取り出し、悟空に投げつける。 「決闘だ!」 「ギーシュ!」 「これは僕だけの問題じゃない。そいつは我がグラモン家を、グラモンの家名を汚した。この罪は償ってもらわなければならない」 ギーシュの目が敵意をはらんだものに変わっていく。 「貴族同士の決闘はご法度よ!」 「オラ貴族じゃねえぞ」 「その通りだ。だから問題は無い。ではヴェストリの広場で待つ。10分後に開始だ。遅れるなよ」 そう言い放ち、ギーシュは身を翻して食堂を後にした。 成り行きを見守っていたシエスタが悟空に駆け寄る。 「あ…あなた殺されちゃう。貴族を本気で怒らせたら…」 「ああ、こいつなら大丈夫よ、たぶん」 青ざめた顔でブルブルと震えるシエスタに、ルイズがフォローを入れる。 一応使い魔が世話になっているのだ、多少は仲良くしてもいいだろう。 幽霊だから死なない、と付け加えようと思ったが、話がややこしくなりそうなので伏せた。 「なあルイズ」 「何?」 「あいつ、強えのか?」 「そうね…どっちかといえば強いほうかしらね。仮にもグラモン家の貴族だし」 「そりゃあ楽しみだ」 「嬉しそうね…まったく。いい? あんたはあいつの名前を間違えた事によって、あいつの家名も同時に汚したの。それはとっても不名誉な事。 だから…まあ仮にあんたが勝ったとしても、その点はきっちり謝っときなさいよ」 「ああ、わかった」 「よろしい」 平民がメイジに勝つことなどありえないが、ルイズは不思議と、この使い魔ならもしかしたらギーシュに勝つかもしれない、と思い始めていた。 「フン、まあ逃げずに来たことは褒めてやろう」 「オラ逃げたりなんてしねえぞ」 普段人気のあまり無いヴェストリの広場は、ギャラリーで埋め尽くされていた。 ゼロのルイズの使い魔 対 青銅のギーシュ。 オッズ比は16。 意外にも、悟空の勝ちを予想する生徒は皆無ではなかった。 その中には、タバサとキュルケも混じっている。 「本当にあの使い魔が勝つと思うの?」 「負けはしないと思う。彼の話が本当なら」 街一つ吹っ飛ばすだのこの星ごと消えて無くなれだの、よくもまあそんなホラが吹けるもんだとキュルケが内心呆れていた話を、タバサは話半分だが信じているようだ。 「僕はメイジだ。だから魔法で戦う。よもや文句はあるまいね?」 「へへっ、ワクワクすっぞ」 超能力を使う敵と戦った事はあったが、魔法を主体に戦う相手は悟空にとって初めての経験であった。 「僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。 従って、青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手をするよ」 ギーシュが手に持った薔薇の造花を振るうと、零れ落ちた花弁から甲冑を纏った優美な女性型のゴーレムが生成された。 「へぇー、面白ぇなあ」 「お褒めに預かり光栄、とでも言っておこう。では、始めるか!」 「ああ、どっからでも来い!」 ワルキューレが悟空に向かって突進する。 が、それよりも遥かに速く、悟空はワルキューレとの間合いを詰めた。 「ずえぁりゃあっ!」 正拳一発。 凄まじい衝突音の後、腹から背中まで達する凹みを作ったワルキューレがギーシュの傍を猛スピードで掠め、背後の壁に激突して砕け散った。 場が、静まり返った。 振り返り、かつてワルキューレだった残骸を確認した後、目をまん丸に見開き、口を顎が胸に付きそうなくらい開け、鼻水まで垂らしたギーシュは、恐る恐る悟空に向き直った。 壁が「固定化」で補強されていなかったら、飛距離は更に伸びていただろう。 ワルキューレ殴り飛ばし世界新記録を作った男は、全く本気を出した様子が無い。 それどころか「とりあえず挨拶代わりに一発ぶん殴ってみました」といった感じだ。 「あれ? 何だ、てんで弱っちいぞ」 「な、何だと!?」 焦ったギーシュは一気に6体のゴーレムを生成した。 それぞれが手に武器を備えている。 「取り囲んで叩きのめせ!」 ギーシュの命令に従い、わらわらと悟空の周囲に散開したワルキューレは、一斉に悟空めがけて手にした武器を振り下ろした。 衝撃で悟空が地面に膝を付く。 静止命令を受けていないワルキューレは、這いつくばる悟空めがけて何度も何度も、武器がひしゃげて変形するまで攻撃を繰り返した。 「も、もういい! 下がれ!!」 数分後、ギーシュがワルキューレを下がらせると、地面に倒れ付した悟空が姿を見せた。 ピクリとも動かない。死んでしまったのか。いや、既に死んでいる。 そろりそろりと、ギーシュが悟空に近づく。 先ほどからギャラリーは静まり返っている。ギーシュが地面を踏みしめる音だけが聞こえる。 「よっこいしょっと」 「はうあ――――!?」 何の前触れも無く悟空が起き上がり、ギーシュは腰を抜かしてへたり込んだ。 ギャラリーのそこかしこから悲鳴が上がる。 固唾を飲んで見入っていたタバサも、あまりに予想外な出来事に少々チビッた。 怪我一つ負っていない悟空の問いかけに、ギーシュの顔が真っ青になった。 「なあ、もうちっと本気でやってくんねえか? これじゃちっとも面白くねえぞ」 前ページ次ページサイヤの使い魔
https://w.atwiki.jp/night1of1the1dead/pages/38.html
管理人の動画参照 https //youtu.be/gsVhBgf3dRg 完全なるお肉の仕様が分かります ~肉の効果~ 肉の匂いに引き寄せられるとプレイヤーを攻撃せず 肉にターゲットが行きます つまり肉の効果範囲内ならゾンビに攻撃される心配がないです ~肉の範囲~ 直線でフロア12マス程度という検証がありますが それよりも一度肉に魅せられたゾンビは プレイヤーを無視し、肉が壊れない限り、永遠と その肉を狙うようになる事に注目です ~肉ハメ~ これは完全にシステムをついた裏技となります 1:肉をゾンビが届かない高さに設置します 2:肉の真下にシュレッダーを設置します 3:囲いを用意(自分を囲います) 4:ウェーブに挑みます この手法を使うと壁4個、罠2個ぐらいでHardの30日でも 余裕で突破可能です ただし面白くはないですので引っ越し中に使いましょう ~入り口周辺に肉~ ルートが肉まである場合は、肉に魅せられたゾンビは きちんとルートを守るようになります 変にふさいだりしなければ、すべてのゾンビが壁や罠を 叩かなくなります 一直線で肉を狙うので罠の配置さえきちんとすれば どのモードでも余裕です
https://w.atwiki.jp/steel_blue/pages/19.html
1. 注意事項 ギルド倉庫の物はみんなの物です。自分の物は自分で管理しましょう。 アイテムをとり出すときはギルドチャットで一言断ってから取り出してください。その際いくらでも構いませんが、AMの寄付をお願いします。 ギルド倉庫の右下のスペースは常に空けておきましょう。料理等一部だけとり出すときの、分割スペースとして必要です。 2. ギルド倉庫の使い方 基本的に下の表のように使用してください。 料理をとり出すときは決められた額の入金を、その他の物をとり出すときは気持ちとしてAMの寄付をお願いします。 処分候補品は自由にバザーで売ってください。売上の半分の寄付をお願いします。 料理 料理 料理 料理 料理 料理 料理 料理 料理 料理 料理 料理 料理 料理 料理 悪魔石 悪魔石 悪魔石 悪魔石 処分候補品 スペースor 処分候補品 スペースor 処分候補品 スペースor 処分候補品 スペースor 処分候補品 スペース エクストラボックス内:装備品、スキル書