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ゆっくりいじめ系3097 ゆっくりずvs1 から どすん 『彼』は様子を見ていた一番大きな屋根の上から降りて来た。 「ゆ?」 家の一番近くで燃え上がる木を見てくつろいでいたゆっくりれいむがそれに気づく。 「まりさ! にんげんがいるよ!」 「ゆ? ほんとかだぜ? れいむ!」 まりさも『彼』の方を見た。 確かにそこには『何か』がいた。 人間のような何かが。 だが、まりさは違和感を感じていた。 まりさは一度だけ人間に会ったことがあった。 それはこの村に攻め入ったときだが、そのとき見た人間は――― あんな石みたいな顔をしてなかった。 足や手がトカゲさんみたいなもので覆われてなっていなかった。 体中になにやらぶら下げていなかった。 指があんなにとがってなかった。 しかし、目の前の『それ』は二本足で歩いている。 「(やっぱりにんげんだ!)」 それだけでまりさの餡子脳は結論を出した。 他に二本足で歩く生物を見たことないのだから無理ないかもしれないが……。 「にんげんがなんでこんなところにいるんだぜ! ここはまりさたちのゆっくりぷれいすなんだぜ! ばかでよわいにんげんはとっととでていくんだぜ!」 彼の視界には最優先捕獲対象である『ドス』しか映っていなかった。 無論、化面の視覚タイプを「熱感知視覚」にしている以上、他のゆっくりも映し出してはいた。 だが、普通ゆっくりなど駆除するにも値しないと判断した『彼』には、ほかのゆっくりなぞ意に介するにも値しないものだったのだ。 どすんどすん 重量感を持った足音がする。 『彼』はドスに向かって歩いて行く。 「だがら“ごれ”は“れ”い”ぶだち”な”ん“だよ”ぉ“お”お“お”!?」 一方のドスは仲間たちに攻められて涙目になっていた。 「ゆ! まりさをむしするんじゃないぜ! よわいにんげんはゆっくりしね!!」 まりさはさらに声を上げるが『彼』は一向に反応しない。 やがて他のゆっくりも『彼』の存在に気づき、次第に声を上げ始めた。 「ゆ~!!にんげんがいるよー!」 「わかるよー。にんげんがいるんだねー」 「ゆゆ! よわいににんげんしゃんはゆっくりちんでね!」 「れいむたちのゆっくりぷれいすからゆっくりしないででていってね!」 「むきゅ~へんなにんげんだけどそんなにつよそうじゃないわね!」 「ほーけい!たーんしょ!ちっこう!!」 引き続き無視。 「なんでぶじずるのおおおおおおお!!!」 そして一番先に『彼』に気づいたれいむ一家に後一歩というところまで近づいた。 「べんじじろぉ“お”お“お”お“お”お“!! くそじじい”い“い”い“い”い“」 まりさが目を剥き唾を飛ばしながら絶叫する。 「おちょうちゃんをむちちゅるなー」 「ゆゆ~きこえないの? びゃかなの?ちぬの?」 赤まりさと赤れいむが『彼』の飛び出し声を上げた。 「おちょうちゃんがほんきだしゅたりゃじじ、びゅびゃ!」 「みみがきゅこえにゃいにゃんておおあわ、れみゃ!」 潰した。 『彼』には潰したという感覚すらないだろう。 蟻を潰しても人間には全くわからないのと同じくらいの価値しかない普通サイズのゆっくり。 赤ゆっくりなどはゴミ以下の価値もないものだったのだ。 「「「「……」」」」 『彼』をののしっていたゆっくり達は一瞬で静かになった。 全員目を限界まで見開き、潰れた赤ゆっくりを凝視している。 『彼』は相変わらずの様子でドスに向かって歩いて行く。 「ばりざのあがぢゃんがぁ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”!!」 「どぼじでごんな“ごどずるの”ぉ“お”お“お”お“お”お“!!」 「わがらないよお“お”お“お”お“ーー!!」 一斉にあがる悲鳴。 先ほどの罵声とは大きさが全然違う。 と、その悲鳴に巨大みょんが気がついた。 「みょん……? !! みょーーーーん!!」 巨大みょんも人間に気がついた。 ギャーギャーと喚く普通サイズのゆっくり達にも気がつく。 「し、し、しんせーーーーーーーーーーいほーーーーけーーーーー!!」 巨大みょんのあげた雄たけびに、村の中にいたゆっくり達が視線を向ける。 「ゆ“お”お“お”お“お”お“……ゆっ?」 「「「「「「ゆ?」」」」」」 泣いていたドスも、ドスをののしっていたゆっくり達も全員それを確認した。 にんげんだ! おいはらったはずのにんげんがなんでここに! あいつがまりさのあかちゃんをころした!? にんげんのくせに!にんげんのくせに! …… ……ゆっくりしね! ……ゆっくりしね! ……ころせ! ……ころせ! ころせころせころせころせころせころせ!! 『彼』は歩みを止めた。 ゆっくり達の様子が変わったのだ。 熱感知による視覚にその違いははっきりとでた。 ゆっくり達の体全体の温度が上がっている。 同時に中にある中枢餡子の温度がさらに上をいっている。 これは怒り。 ゆっくり達は怒っているのだ。 そして明確な殺気を放っていた。 「ゆ~っくり!!」 ドスまりさが声を上げる。 赤ゆっくりや子ゆっくりは数匹の普通ゆっくりと一匹の巨大れいむに連れられ広場から離れて行く。 他の普通ゆっくり達は縦横綺麗に整列しはじめ、巨大ゆっくりをリーダーとした『隊』を作っていく。 それぞれの隊は100匹ほどで構成されており、隊は扇形になるように散開し広場を包囲した。 そしてそのすべてを指揮するドスまりさと参謀巨大ぱちゅりー。 「ゆ!! 馬鹿な人間だね! たった一人でこの村にくるなんて! 大きなまりさやれいむを殺したのもおまえなんだね!!」 ドスまりさは怒気を込めていった 「もう許さないよ! ゆっくりできない人間はゆっくりと永遠にゆっくり出来なくしてあげるから覚悟してね!!」。 一方『彼』はその場で立ち止まり、周りのゆっくり達を眺めているようだった。 「ゆふん!! 今更後悔しても遅いよ! お兄さんはみんなでゆっくり踏み潰すからね!ゆっくりしないで死んでね!」 ドスは『彼』が自分達にビビッていると思っていた。 そして――― 「むきゅ!! ゆっくりーーにさんぶんたいとつげきー!!!」 「「「「「「「「「「「「「「「ゆーーーーー」」」」」」」」」」」」」」 真正面の隊が『彼』に突撃を開始した。 続けて左側、右側の隊も突撃を開始。 これでゆっくりが乱戦を行なうときに見られる『突撃中に仲間を踏み潰してしまう事故』は格段に減る。 大きくなって頭がさらに良くなった参謀巨大ぱちゅりーが編み出した会心の策だった。 かくしてゆっくり達の戦争が始まった。 仮面のモニターに字が表示される <対象身体状態> 興奮状態 ―――『戦闘意思あり』 <対象処理方法> 普通ゆっくり―――殲滅 巨大ゆっくり―――殲滅 ドスゆっくり―――殲滅 殲滅殲滅殲滅殲滅殲滅 『狩リノ時間ダ』 最狂の狩人(ハンター)が目覚めた瞬間である。 突撃したゆっくり達が空中に舞い上がった。 いつもならここで「ゆ~♪ おそらをとんでるみたい~♪」という暢気な声がしただろう。 「ゆゆっ?」 「うわあ~れいむがおそらとんでる~」 「ゆっくりとんでる~」 それを見ていた他の隊のゆっくり達がうらやましそうに言った。 やがて宙から落ちてきたゆっくり達だが何の反応もない。 そのうちの一匹が隊のすぐ前に落ちてきた。 「ゆ~つぎはれいむ……? まり……ゆぎゃあああああ!!!」 「ゆ? ……ま、まりざあああああ!?」 今までお空を飛んでいたまりさの顔は前半分が綺麗にそぎ取られていた。 これではさすがに即死である。 いつもの『お空を~』発言も聞けないのも納得だ。 何故こんなことになっているかというと、彼の手にはいつの間にか槍が握れていた。 それは二メートル近くある彼の身長より長く、上下に刃が取り付けられていた。 いつのまにそんなものを? と疑問に思うが、この槍は伸縮自在で今までは背中に背負われていたのだ。 混乱する隊をよそに彼は開戦を報せる雄たけびを上げた。 「ぐおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」 大気を震わすその雄たけびはゆっくり達のそれより遥かに大きく、そして凶暴なだった。 「「「「「「ひっ!」」」」」 それによってゆっくり達は立ちすくんでしまった。 跳躍。 ドスまりさの背丈以上の高さに彼は跳んだ。 そして群れ全体のちょうど真ん中にいる隊の、巨大ありすに槍を突き立てつつ着地した。 「ゆべっ!!」 それは中枢餡子を正確に貫いており、声を上げるまもなく巨大ありすは絶命した。 続いてありすを突き刺したまま槍を振り上げ振り下ろし、隊の普通ゆっくりをつぶした。 槍には返しが付いているため振り回しても外れないのだ。 ドスン!! 「ゆ~! ありすがおそらを……ぶべびゃ!!」 「ゆぎゃああああ」 ドスン!! 「どぼじであ”り“ずがびん”な“を”づぶずの”ぉ”お“お”お“……おびゅ!!」 「ゆっくりにげ……ゆべえっ!」 ドスン!! 「でがま”ら”っばっ!!!」 「だじげでぇ“え”え“え”え“っにぐまっ!!」 隊の半数が潰れたときだった。 「ありすをはなせぇえええええ!!」 他の隊の巨大まりさが彼に飛び掛った。 その跳躍は高さ三メートルを超えるもので、巨大になった体だからこそ出来るものだった。 「ありすをいじめるにんげんはゆっくりしないでしねえええええええ!!」 「(ありす! いまたすけるからね! それでこのわるいにんげんをたおしたらまりさとずっとゆっくり……)」 どうでもいいけど死亡フラグです。ほんとうに(ry 彼は槍を遠心力をつけるため一回転させ、まりさが頂点に来た瞬間に巨大ありすを投げつけた。 同時に槍を縮小させる。 これによって返しも内側に引っ込み、ありすはつっかえを失い空中に放り投げられた。 「ありすううううぅぅぅ―――ぶびっ!!!」 空中でありすと正面衝突するまりさ。 よほどの勢いだったのか。 アリスがぶつかった瞬間、お互いのぶつかった部分が心地よい『パーン』という音と共に爆ぜ、地面に餡子の雨を降らせる。 「ゆ“ぅぅぅぅ!! ゆ”っぐり“でぎな”ぃぃぃぃぃ!!!」 あまりの悲惨さに、餡子を浴びたゆっくり達は叫び声をあげた。 勢いを失った巨大ゆっくり二匹の胴体は地面に落ち、下にいたゆっくり達を潰した。 「ゆ“!! な”ん“でごっ”ち“に”ぐびょ!!」 逃げればいいものをのんきに叫んでいるからである。 一方の彼は槍を元の長さに戻し、槍に付着した餡子を空を切ることによって払った。 同時に飛び散った餡がついた仮面を拭った。 「むきゅ! にんげんはつかれているわ! よんこぶんたいとつげきー!」 「「「「ゆー!!!!」」」 攻撃の手がやんだのを見た参謀巨大ぱちゅりーの勘違いの元、さらにゆっくり隊が押し寄せてくる。 ちなみにここまでで全滅に近い被害を受けたのは二個分隊である。 「ゆっくりしてるにんげんはゆっくりじ、にゅべえぇぇぇぇ!!!」 「しょせんいなかものね! たたかいのとちゅうでやす、むぼほおおおおおお!!」 当然同じようになぎ払われ散っていくゆっくり達。 「ゆっくりしんでねぇぇぇ!!!」 隊長の巨大れいむが地面から低くはねて高速突進を繰り出してきた。 彼は鋭い左ストレートでそれを簡単に止める。 「ゆぎゅっ!!」 左手が深く顔面にめり込む。 ミチミチと音を立てて顔面の皮が破れ、体内の中に左手がもぐりこんでいく。 「ゆががががががが!!!!」 しかし未だ終わらない。 左手をすぐさま引き下からのアッパーカット。 巨大れいむの体が腕から抜け宙に浮いた状態にする。 そこに体のひねりを加えた渾身の右踵落とし!! 「ゆぶっ!!」 地面に叩き落された巨大れいむの体は接地面がはぜ散った。 続いてその隙を見てか背後から巨大みょんが鋭い枝を突き立てんともう突進してくる。 しかも二本咥えての二刀流である。 「みょおーーーん!」 いつもなら意味不明な淫語を連発するくせに、今回はまともなみょんだった。 しかし彼は背後を見ることもなく、巨大みょんの枝を左手で掴み止めた。 「ぺにすっ!?」 思わずいつもの淫語マスターに戻る。 そして止めた手をそのままに、振り向きざまの槍を持った右手よるジャブ。 先ほどの巨大れいむと同じく、巨大みょんの体に腕が思い切りめり込む。 「でがまっら!?!?」 そこに右手を引き抜く体の回転を利用した後ろ回し蹴りを放った。 おっとうまくきまった!(実況:ジョ○・カ○ラ) とめるのむずかしいですからねー(解説:き○ざわつ○し) 巨大みょんは高速で吹っ飛ばされ、控えていた他の隊の巨大ありすに衝突した。 しかも持っていた枝二本がありすの両目に突き刺さった。 はいった! きまった! これでどうだああああああ!(実況:ジ○ン・○ビラ) うおおおおおおおー!(解説:きた○わ○よし) 「ゆぎゃあ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ” ばでぃ“ずの”どがい”ばな“お”め“め”がぁ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”」 「ちぃぃぃぃん、ぽ……」 巨大みょんは受けた衝撃で気を失いかけている。 しかもジャブと蹴りを喰らった際に皮が破け餡子が飛び出している。 「ゆー!!! みょん! ゆっくりなおってねゆっくりなおってね!!」 「ぺーろ! ぺーろ!」 巨大ありす隊の普通ゆっくり達がみょんを気遣ってくれている。 このみょんは群れの中でもかなり人気があり、みんなから一目置かれている存在だった。 「ま……まーら」 みょんはお礼を言った。 そして立ち上がろうとした。 みんなのためにもあの人間を止めなければ。 でないとますます多くのゆっくりがやられてしまう。 自分ひとりではダメだったがみんなでやれ――― ブシャッ 「な”ん”に”も”び“え”な“い”ぃ“ぃ”ぃ“ぃ”ぃ“ぃ”ぃ“」 目を失い痛みに暴れる巨大ありすが、みょんの弱っていた体に止めを刺した。 見ると隊のゆっくりのほとんどは既にありすによって潰されていた。 それを止めようと寄ってきた他の隊のゆっくりもだ。 「な”に”や”っでる“の”お“お”お“お”お“ぉ“ぉ”ぉ“ぉ”ぉ“!?!?」 「“みょ”ん“をぶん”じゃだめ“でしょお”お“お”お“お”ぉ“ぉ”ぉ“!?!?」 みょんの手当てをしていたゆっくり達は叫んだ。 しかし巨大ありすはわめき散らすだけで一向に収まらない。 さらに暴れ散らし他のゆっくりを潰していく。 「む“じずる”な“あ”あ“あ”ぁ“ぁ”ぁ“ぁ”ぁ“ぁ”!!!」 「ゆっぐり“でぎな”い“あり”ずは“じね”っ!!!」 「ゆ“ぎゃあ”あ“あ”あ“あ”!?!?!?」 実に醜い仲間割れである。 一方、普通ゆっくりを近づかせることもせず槍で粉砕している彼の元へ、二つの影が接近していた。 「ちぇんたちのこんびねーしょんをみせるんだよー」 「わかるよー。ひっさつわざなんだねー」 巨大ちぇんである。 巨体に見合わぬ速さ(まあ……Gくらいですかね)で接近してくる。 実は今、突撃をしている普通ゆっくり達は、ちぇん達がそれぞれ指揮する隊のゆっくりで、二人の攻撃を成功させるための囮だった。 無論、普通ゆっくり達は囮にされていることも気づかずにやられているが。 二手に分かれたみょんは高く跳躍し、左右からのボディプレスを放った。 彼は前後左右から突撃してくるゆっくりに気をとられている――― 「ゆっくりしないでしぬんだよー!」 「わかるよーおわりなんだよー」 ガシシッ 「「ゆ?」」 ―――わけなかった。 左右からきた巨大ちぇんズを左右一本ずつの手でしっかりと受け止めた。 槍は足元にいる普通ゆっくりを地面に串刺しにしていた。 「お、おにいさん、ちぇんをゆっくりはなしてね!」 「わかるよーさくせんしっぱいなんだねー」 そしてそのままちぇんの体同士を空中で叩きつけた。 「「ゆみ”ゃ!!?」」 そのままどんどん力を入れていき…… 「や”ぁぁぁぁぁめ“ぇぇぇぇぇでぇぇぇぇぇ!!……ゆぎゅ!!」 「わ、か……るよぉ~て……お、くれ……なんだ……ねぇっ!!」 体を貫通した。 彼が両手を外側に払うと、巨大ちぇんは腕から抜け地面に転がっていった。 彼は再び槍を取って狩りの続きを再開した。 「むきゅ~……しんじられないわ……」 「ゆっ……」 ドスと参謀巨大ぱちゅりーは唖然としていた。 あの槍を持っているならば普通ゆっくりが敵わないのも頷ける。 だが槍を使わなくとも、あの人間は易々と巨大ゆっくりを葬る事ができる。 次々と物言わぬ饅頭となっていくゆっくり達。 普通ならばゆっくり達は、最初の隊が全滅した時点で逃げ出しただろう。 それでも逃げ出さないのはこの群れのルールがあるからだった。 『一番手柄をたてた隊に、一番ゆっくり出来る権利を授ける』 昨日までこの村に居座っていた巨大まりさとれいむは、先の戦いで一番人間に怪我を負わせた。 だから今日、山のみんなが来るまでゆっくりしていていい権利が与えられたのだ。 他の隊の連中がやられてくれれば自分の隊がゆっくりできる公算が高くなる。 そう思って大多数はいまだ留まっているが…… 「も“う”い“や”だあ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“」 「ゆ”……づぶざな“い”でッ……づぶざ……ゆびゃ!!」 「あんよがああああああぁぁぁ! れいむのきれいなあんよがああああ!!!」 「ゆっぐ……み“、み”ん“な”ど“ご~……な”に”も“びえ”なぃぃぃぃぃぃ……」 「い”だい“よ”お“お”お“お”お“お”ぉぉぉぉぉ!!!」 「だれがぁぁぁ!!! まりざをゆっぐりじないでだずげでよぉぉぉぉぉ!!」 「かわがむりぃぃぃぃぃ!?!?」 大多数が『願望に溺れて溺死しろ』状態である。 「ゆぐぐ……」 ドスは空を見上げる。 それは何かを待っているかのようであった。 その時であった。 「ゆう、ドス」 「ゆ?」 ドスが後ろを見ると、そこには子・赤ゆっくりを避難させた巨大れいむがいた。 「なに? れいむ?」 ドスはつまらなそうに答える。 「れいむおもうの……みんな……このままだところされちゃう……」 「むきゅ! ばかいわないで!」 それに対して声を荒げたのは参謀巨大ぱちゅりーだ。 「わたしのかんぺきなさくせんがあるかぎり、はいぼくはないわよ!」 「ゆ! でもぜんぜんにんげんさんはたおせてないよ! むれのみんながいたずらにしんでるだけだよ!」 実はこの巨大れいむは、巨大ぱちゅりーの前の村の参謀だった。 しかし前回の人間の村襲撃作戦に反対した為左遷され、今では群れの外れにすんでいるのだ。 「むきゅ! いまはよ! いずれにんげんもつかれるわ! そのときまでたえるのよ!」 「ゆ!! そのときになってみんながしんでしまってたらいみないよ!」 一歩も譲らない両者の意見に、ドスの言葉は――― 「れいむ! ゆっくりだまってね!」 「ゆ……!」 「これ以上群れの戦士を馬鹿にすることは許さないよ! みんな一生懸命戦ってるのにれいむはいつも反対してばかりだね! 少しは協力しようと思わないの!?」 ドスの横で、参謀巨大ぱちゅりーが勝ち誇ったかのように口元を歪めている。 「きょうりょくしてるよ! こどもたちのめんどうをみてるよ!」 「嘘つかないでね! 子供達に『人間と仲良くしよう』だなんて教えてる事、ドスは知ってるんだからね!」 「ゆう……。 でも……! いぜんはどすもそうやっていって……!」 「もう違うんだよ! 人間を倒してみんなをゆっくりさせるのが大切なんだよ! れいむはいい加減にゆっくり理解してね!!」 「そのにんげんをたおすためになんにんのこどものおやをころすの!! そんなのぜんぜんゆっくりできないよ!! どすの―――ゆっくりごろし!!」 「ゆ“!!!!」 その一言にキレたドスは巨大れいむに体当たりをした。 「ゆぎゃ!!」 いかに巨大種といえど、さらに大きいドスの体当たりを受けて無事なわけがない。 巨大れいむは地面に転がり倒れ、口から餡子を吐き出した。 その様子を参謀巨大ぱちゅりーは「おお、あわれあわれ」というような目で見ていた。 「それ以上言ったられいむを許さないよ! ゆっくりしないで子供達の場所に戻ってね!!」 その時、ドスは巨大れいむの後方を見て笑みを浮かべた。 「それにね……もうこの戦いは終わりだよ!」 「ゆ?」 巨大れいむは後方を振り返った。 そこには―――いや、後方の空には―――巨大うーぱっくとその一団が迫っていた。 「むきゅう! やっときたわね!」 参謀巨大ぱちゅりーが声を上げる。 巨大うーぱっくは縦二メートル、横一メートル以上の巨大な体をしており、その中に数匹の普通ゆっくりと大きな石を積んでいた。 他の普通サイズうーぱっくも、中に石と普通ゆっくりを乗せており、いわば爆撃隊のような存在であった。 ドスが待っていたのはまさしくこの空中戦隊だったのだ。 広場から少し離れた所に固まって避難している子供達は、いち早くそれを見つけ空に向かって歓声を送っていた。 「どうれいむ? あの人間も空からの攻撃は防げないよ。 どんな人間もそれは同じだよ。これでみんなゆっくりできるんだよ」 「ゆ……」 巨大れいむは思った。 確かにそうかもしれない……だけど……。 れいむには気になっていることがあった。 あの時……広場にあった木を燃やした『光る弾』の存在。 あれはあの人間が撃ったものではないか? だとしたらいかに巨大なうーぱっくも太刀打ちできないのではないか? とはいえ、あれを人間が撃った瞬間をみていないので、れいむはそれを強くいえなかった。 なにせ『何もない所』からいきなり光る弾が出てきたのだから。 「ゆーーー!! うーぱっく! ゆっくりこっちに来てね! 人間の上に石を落としてね!!」 「うーーーー!!」 巨大うーぱっくに大声で呼びかけるドスまりさ。 それに大声で答えるうーぱっく。 無論、それを彼が聞き逃すはずなかった。 巨大ありすを引き裂いた彼の耳に飛び込んできた声。 「ゆーーー!! うーぱっく! ゆっくりこっちに来てね! 人間の上に石を落としてね!!」 ドスまりさが視線を向けている方を見る。 空に複数の熱反応。 そのうち一つはかなり大きい。 彼は腕のモニターを開いた。 そしてボタンを入力する。 すると、背中の肩の部分についていた小さな筒が方の上へと競りあがった。 まるで小さな大砲のようだ。 銃身を前方に向ける。 そしてその横から赤い光がでる。 小さな点を三角形の形に配置したそれは、巨大うーぱっくの顔に照射されている。 そして、彼の被った仮面のモニターに三角形の照準が現われ、うーぱっくにそれを絞って行き――― ピーーー シュバッ 小さな機械音と共に、銃身から白い光弾が発射された。 残滓を残しつつそれは真っ直ぐにうーぱっくに飛んでいき―――着弾し、爆ぜた。 ドガーーーン 思いのほか音は小さかった。 だが、光弾の直撃を受けた巨大うーぱっくは一瞬で絶命した。 光弾は着弾と同時に爆ぜ、その中身を空と地上にぶちまけた。 それによって巨大うーぱっくの周りを飛んでいた、普通うーぱっくもそのほとんどが絶命。 その中身を地上に撒き散らす結果となったのだった。 「「「……」」」 それをしっかりと見ていたドスと参謀巨大ぱちゅりー、巨大れいむは声も上げられなかった。 だが、巨大れいむだけは他のものを見ていた。 撃墜されたうーぱっくの中身が落ちて行く先には――― 「みんな!! にげてえええええええええええええ」 子ぱちゅりーは大きいれいむが大好きだった。 大きくなった大人たちは『人間を倒す訓練をする』と言って、全然遊んでくれなかった。 だが大きいれいむはそれに参加せず、自分達と遊んでくれた。 大きいれいむは本当にいろんなことを教えてくれた。 狩の仕方や寝床の作り方。 捕食種からの逃げ方や友達との上手い付き合い方。 喧嘩したまりさとも仲良くなる方法を教えてくれた。 群れのゆっくりから教えられる、『特別なお勉強』よりずっとためになった。 『ゆっくりは人間より強い』 『人間はお野菜を独り占めする悪い存在』 『人間はゆっくりによって倒されねばらない』 『子供達は早く大人になって戦えるようにならなければならない』 大きい大人たちが増えて、人間の村に攻める事が決まった日から、そんなことが教えられている。 他の赤・子ゆっくり達は、特別なお勉強が気に入ったようで、 「にんげんはゆっきゅりちね!」 「にんげんはゆっくりぷれいすをひとりじめするわるいやつなんだね!」 「わきゃりゅよぉーわりゅみょにょにゃんだねー」 「にんげんなんていなかものよねー」 「みゅきゅ! おびゃきゃにゃにんげんはゆっきゅりできにゃいわ」 そんなことばかり言っている。 でも自分は、それがゆっくり出来ない事のような気がしていた。 だから、勉強を抜け出しては巨大れいむの家に行って、色々な話を聞いているのだった。 そして今日、ついに人間の村に移動するという事で、群れは大移動をした。 子供たちのお守り役として、巨大れいむが付き添ってくれたときはすごく嬉しかった。 だが、他の子供たちはそれをよく思っていないようだった。 「おばさんはむれのはじさらしなんだね!」 「おとーちゃんたちがてゃてゃきゃうにょににゃんでにげりゅにょ?」 「おくびょーにゃんちゃね!」 「ありすはしってるわよ! こういうおとなをごみくずっているのよ!」 「ごみくずれいむはゆっくりしね!」 「わきゃりゅよぉーこんにゃおとにゃにはにゃらにゃいんだよー」 「みゅきゅ! ぱちゅりにちかよりゃねいでね!」 ぱちゅりーはやめるように言いたかったが、友達にいじめられるのもいやだった。 だから、何も言わないでみんなの中に立っているだけだった。 それでも巨大れいむは何も言わなかった。 ゆっくり出来ない人間が突然現われ、大きな大人たちが戦いを始めたときも、巨大れいむはみんなを守ってくれた。 大人たちがどんな戦いをしているかはここからでは見えない。 今、自分とみんなは安全なところにいて、巨大れいむはドスとなにやら話しに言っている。 その時、友達の一人が声を上げた。 「ゆ~! うーぱっくがくるよ!」 私はお空を見上げた。 そこにはおっきなうーぱっくがいた。 大きな大人たちと一緒で、ある日突然大きくなったうーぱっくが。 あのうーぱっくは確か、参謀ぱちゅりーの案で『投石部隊』になるうーぱっくだったはず。 何人かの大人を乗せて、悠然と空を飛んでいる。 わたしはその姿に感動を覚えた。 「ゆ~~!! まりちゃもにょしぇるんだじぇー!」 「ゆゆ! おそらをとんでるみたい!」 「とてもゆっくりしてるね!」 「ゆふん! にゃかにゃかときゃいはねぇ!」 友達達も興奮している。 そしてうーぱっくは私たちの真上まできた。 うーぱっくの中の大人たちも笑顔で私たちを見ている。 と――― ドーーーン 突然うーぱっくが光った。 赤い光と白い光が混ざってとても綺麗。 それがたくさん空で光っている。 うーぱっくが落ちてくる。 ぼろぼろの体。 大人たちが落ちてくる 中身がこぼれてとてもゆっくりできなさそう。 大きな石が落ちてくる。 まりさの上に。 れいむの上に。 ありすの上に。 ちぇんの上に。 みょんの上に。 わたしの上に。 ドドドドドドドドッ 沢山の石や岩が地面に落下した。 巨大れいむは急いでそこに駆け寄る。 「ゆ……ああああああああああああああああ!!!」 そこは子・赤ゆっくりたちが避難していた場所だった。 運悪くも、うーぱっく達はその真上を飛行中に撃墜されたのだった。 「みんな! おちびちゃんたち! いまたすけるからね! いまたすけるからね! まっててね!!」 巨大れいむは体当たりと舌を使い分け岩をどけていく。 潰れた餡子。 ぼろぼろになったリボンや帽子。 子供達に作ってあげた花飾りの花びら。 ばらばらになったカチューシャ。 飛び出た小さな目。 黒い餡子。 白い髪の毛。 千切れた尻尾。 潰れた胴体。 「ゅ……ゅ…………」 「!!」 小さな声。 急いで岩をどかす。 そこには一人の子ぱちゅりーが。 「ゆ、ゆ……ゆあああああああ!! おちびちゃん!! よかったぁぁぁぁぁあああ!!」 岩の下から引っ張り出そうと近寄ったとき。 ズシン 巨大れいむの目の前に岩が転がってきた。 「ゆ?」 いきなりの事に呆然とする巨大れいむ。 下を見る。 そこには破れた小さな月の髪飾りだけが残されていた。 「…………ゆ………… あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ” あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ” あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”」 「うそよ……うそ……ぱちゅりーのひみつへいきが……かんぺきなさくせんが……」 「ゆがああああああああぁぁぁぁぁ……」 ドスと参謀巨大ぱちゅりーは頭の中が真っ白になった。 巨大うーぱっくが墜落した場所を呆然と眺めていた。 同時にここへきてついに、あの人間に対する恐怖が芽生えた。 「ゆ、ゆっくりたいきゃ……」 チュドン 「!!」 しゃべろうとした参謀巨大ぱちゅりーの声が途切れた。 墜落現場の方に、失った半身から中身を飛び散らせながら吹っ飛ぶ巨大参謀ぱちゅりー。 ドスは振り返った。 彼は槍とショルダーキャノンを使いゆっくりと殺戮を行なっていた。 近距離のゆっくりは槍で払い、遠距離のゆっくりはショルダーキャノンで攻撃する。 ゆっくり達はそこにいてはやられると必死に動き回るが、ショルダーキャノンの正確無比な砲撃と チートな追尾性能によって確実に数を減らされていった。 「どぼじでごっち“ね”ら“う”の“お”お“お”お“!!!」 「まりさはゆっくりにげるんだぜ! れいむはしっかりおとりになるんだぜ!」 「あじゅい”い”い”い”い“い”!! あ“り”ずの“どがい”ばな“あ”じ“があ”あ“あ”あ“あ”あ“」 「たいちょうたすけ……ゆびゃあああああああ!!!」 すでに隊はばらばらになり、群れは壊滅状態であった。 「ゆぅぅぅぅぅ……!」 ドスは正真正銘最後の切り札を使う事にした。 隠し持っていたキノコをかじる。 そして、チャージを始める。 ドスパークである。 実はキノコが後一個しかなく、次のキノコがいつ手に入るかわからなかったため、 たった一人の人間に使うのはもったいないと思っていたのだ。 うーぱっくも駄目。 ぱちゅりーも死んだ。 群れも半数がやられた。 もうこれしかないと判断した。 ドスの口腔内にエネルギーが溜まっていく。 「(ゆっくり、もーちょっとだよ!)」 が、しかし。 ドスは自分の眉間に赤い斑点のようなものがあるのに気がついた。 「(ゆ!?)」 それはゆーぱっくを撃墜したショルダーキャノンだった。 彼はすでにドスまりさの行動に気づいており、こちらに照準を向けていたのだ。 「(ゆううううううう!? ゆっくり待ってね! ゆっくり待ってね!)」 その時だった。 彼に飛び掛る一つの影が! それはあの養育係の巨大れいむだった。 一瞬の隙を突き突撃したのだ。が、 ズン それは彼の槍によって阻まれた。 しかし――― ギン!! 「!?」 なんと槍が弾かれた! 見ると巨大れいむの口の中にはうーぱっくが運んでいた岩が入っていた。 それが槍の一撃を弾いたのだ。 「おちびちゃんだちのかたきぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」 今までのどのゆっくりより、明確な殺意を持って飛び掛ってくる。 バシュッ バシャアアア だが届かない ショルダーキャノンからの一撃。 巨大れいむは岩と共にバラバラに砕け散った。 しかしその間に、ドスはドススパークのチャージを完了させた。 「ゆううううぅ……ごおおおおおおおお!!!」 「!!」 彼がドスの方へ向き直ると、ドスパークが発射されたのはほぼ同時だった。 ピカッ 「うおっまぶしっ」 まばゆいほどの閃光。 一瞬だけ、その場のすべてが白色に染まった。 続く?
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「ゆゆっ♪ゆゆ~♪」 「ゆっくりじぶんだけのゆっくりぷれいすをみつけるよ!!!」 「ゆ~♪たのしみ~♪」 春、冬を越えたゆっくりの中でも若いゆっくりはこの季節に独り立ちするものが多い 番いですむもの、群れを成すもの、一人でゆっくりするもの、様々である このゆっくりれいむはどうやら一人でゆっくりしたいようだ 「ゆっ!!このきのおうちはなんだかゆっくりできそうだよ!!!」 「ゆゆ~♪なかもひろいよ!!!ゆっくりぷれいすだよ!!!」 「ゆ~♪まずたべものがほしいよ!!!ゆっくりさがすよ!!!」 「むしさん♪むしさん♪いもむしさん♪ゆっくりでてきてね!!!」 「ちょうちょさん!!ゆっくりまってね!!!はやくおりてきてね!!!」 「はちさん!!いたいよ!!あやまるからやめてね!!!」 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・つかれたよ・・・おはなさんでがまんするよ」 「むーしゃ!むーしゃ!ちょっとにがいけどしあわせー!!!」 「がんばってむしさんをさがすよ!!!ここはれーむのゆっくりぷれいすだよ!!!」 「でもむしさんどこにいるんだろ?あんまりいないよ?」 「きっとどこかでゆっくりしてるんだね!!!しかたないね!!!」 「ゆ?じゃあごはんはなにをたべればいいの?ゆっくりかんがえるよ!!!」 「しばらくはおはなさんでがまんするよ!!!かいけつしたよ!!!すっきりー♪」 「もうきょうはねるよ!!!あしたまたがんばるよ!!!」 どうやら餌場の確保は出来たようだ。 ほとんどのゆっくりは餌場が決まると家の拡張を始める その様子も見てみよう 「ゆ~♪ゆっくりねたからすっきり~♪」 「きょうはなにしようかな~♪ひとりゆっくりもわるくないよ♪」 「そういえばおうちにべっとがほしいよ!!!ゆっくりつくるね!!!」 「まずはくさをあつめるよ!!!くささんごめんね!!!」 「これくらいあればいいかな?ゆぐ・・っと、ゆっふひはこふよ!!!」 「ゆふ~~、これですこしあったかいよ!!!でももっともってくるよ!!!」 「ゆっ!!ゆっ!!ふかふかべっとがんばってつくるよ!!!」 「ゆ~♪ふかふか~♪これくらいあればじゅうぶんだね!!!」 「だいぶゆっくりぷれいすらしくなったね♪しあわせ~♪」 「そうだ!!おとーさんとおかーさんにてがみをだすよ!!!うーぱっくー?うーぱっくー?」 『うー☆』 「これをれーむのおとーさんとおかーさんんにとどけてね!!!」 『うっうー☆』 「ありがとう、うーぱっく!!!ゆっくりとどけてね!!!」 『うー☆うー☆』 「きょうはつかれたからもうねるよ!!!べっとふかふか~♪」 このようにしてゆっくりは育ち、家族を作り、子孫を残す きっとこのゆっくりも親のようなゆっくりに成長していくのだろう ~おわり~ 自然環境を整えた箱庭の中でのお話かな? -- 名無しさん (2009-10-23 19 28 52) とてもほのぼのしていてゆっくりできるお話ですね♪ こういうのは凄く好きです。 -- 名無しさん (2009-10-29 21 29 42) 自分で自分のために採っているのに、地の文で餌はないです。 -- 名無しさん (2012-05-11 01 25 03) ほのぼのあったかいね? -- 加湿器いらんわ (2012-05-11 14 11 26) 名前 コメント
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ゆっくり加工場。 ここでは日夜、ゆっくり産業発展のため、新たな商品開発が行われている。 今日も、また。 適当に自然を模した小さい部屋の中に、ゆっくりれいむが一匹いた。 もうお母さんといっていいい大きさのそれは、相変わらずの饅頭ボディで飛び跳ねている。 「ゆ~っくり!れいむおなかすいたー!!」 このれいむは三日前、子ども達十数匹と一緒に里の畑を散々荒らしていたところを捕獲された。 ここに連れてこられた当初は「れ”い”ぶのあがじゃんがえ”じで~」と不細工顔で泣き叫んでいたものだが、快適な住環境を 提示されてからは子どものことなどどこ吹く風といったゆっくり脳っぷりを発揮した。 ちなみに、子ども達はもう加工され、半分は踊り食い用に出荷、もう半分は一口揚げゆっくりになった。 と、部屋に職員が入ってくる。その手にはシュークリームの載った皿が。 もう一方の手にはドアからのびたホースの先を持っている。 「ゆ!!ゆっくりれいむにたべさせてね!!」 シュークリームにひかれてれいむが跳ねてくる。 「はいはいいまあげるよ、っと!」 皿にれいむが飛びつく寸前で手を高々と上げる。 「ゆべっ!!!」 無様に顔から地面に激突するれいむ。 「もう!!はやくたべさせてね!!」 「ごめんごめん、わかった、よっ!!」 「ぶっ!!」 しゃがんで皿を置いた職員だが、次の瞬間には後ろに下げる。 土を食うれいむ。 「うう~!」 怒りだす饅頭。 近づけては引っ込める、高く上げる、隠すを繰り返す。 泥だらけになったれいむはとうとう、涙を流しながらぷーっ、と膨れる。 その大きさ、通常時の2倍ほど。 すかさず職員はれいむの口にホースを突っ込む。 「ゆゆっ”!!やべ・・・ゆ?ゆっくりあま”いよ!!」 そのホースからはあんこが注入されているのである。 部屋の外ではにとり印のあんこ注入機が鎮座し、唸りながらあんこを送り出している。 「ゆー♪あまい♪あまいよー♪」 最初は喜んでいたれいむだが、 「ゆ”!!もういいよおじさん!!れいむおなかいっぱいだよ!!!」 それもそのはず。ホースからは消防車(外の世界のものをにとりが複製した)からの水流と変わらない勢いであんこが流れている。 膨らんでいたれいむが縮む間を与えないためだ。 「ゆぎゅう・・・ぐるじいい”・・・」 今やれいむは2倍の大きさに足るだけのあんこを押し込められた。 「はい、おつかれさーん。」 職員はホースを抜くと、注入したあんこを吐き出さないように口をテープで止める。 「う”ー!!う”ー!!!!」 職員は部屋を後にする。2倍れいむはあんこの重さで身動きが取れず、呻き声で部屋を満たした。 数日後、れいむは元気に飛び跳ねていた。 注入されたあんこが体の一部として定着し、2倍の大きさー直径1、5m程ーのまま以前のように動けるようになったのである。 職員が部屋に入ってくる。 「ゆ!!れいむおおきくなったよ!!えっへん!!!」 れいむは顔のパーツが中央に寄った顔ー急激に大きくなったためーで誇らしげに体を反らす。あんこ注入時の苦しさはもう忘れてしまったのであろうか。 「そりゃあよかった。ごはんの時間だぞ。」 そう言ってシュークリームの載った皿を置く。 数日前の三倍程の量がある。 「ゆ!いただきまーす!!!」 今度はすんなりとありつけるれいむ。 「むーしゃ!むーしゃ!しあわせー♪」 (・・・殺してえ・・・) お決まりの台詞に職員は内心毒づく。 「もっと!もっとちょうだいね!!はやくもってきてね!!」 大きくなった分食べる量も増加しているのか、おかわりを要求し飛び跳ねるれいむ。 だが、その動きも長続きしない。 「ゆ?なんかへんなかんじだよおじさん。おなかが・・・・ゆぎぃいいいいいいい”!!」 (お腹ってどこだよ・・・) そう思いながら職員はれいむの絶叫を聞いていた。 れいむは目からは涙、体からは汗、口からはあんこを漏らしながらのたうち、叫んでいる。 「いだい!!おながいだい!!だずげでおじざん!!だずげでええええ!!!」 れいむの懇願をよそに職員は手元のメモをチェックしていた。 「えーと、服用後と比較するために一度思いっきり・・・オラあ!!」 「ゆげえ!!」 職員は思いっきりれいむを蹴りとばす。 「痛がってるか。まだ効いてこないみたいだなー。」 先ほどのシュークリームには永遠亭の頭脳、八意永琳謹製の薬が混ぜてあった。 今回の新商品開発のきっかけともなった薬だ。 「明日には効くかな・・・。」 そう言って、職員は部屋を後にする。 「ゆぶううう・・・。ゆっぐりざぜでえ”えええ・・・。」 れいむはあまりの苦しさに意識を放り投げた。 れいむは目を覚ました。 さっきまでの激痛はもうない。 と、いつものように職員が入ってきた。 「ゆ!!おじさんれいむにへんなことしたでしょ!!そんなおじさんはゆっくりしねぶっ!!!」 助走付きの全力でれいむの顎を蹴り上げる職員。 れいむは泣き叫・・・ばなかった。 「・・ゆ?いたくない、れいむいたくないよ!!!」 「・・痛ってえ~。予想以上だなこりゃ。」 けろりとしているれいむと、反対に足をおさえ痛がっている職員。 これこそ薬の効果であった。 薬の効果はゆっくりの外皮を丁度革製品のように硬化させ、痛覚を鈍らせるものだった。 これによりれいむはちょっとやそっと殴られてもびくともしない体を手に入れたのである。 ゆっくりゃなどの補食種がこれに噛み付こうものなら、牙が折れる痛みに号泣しながら去っていくだろう。 れいむは思い至るはずもないが、もちろん副作用はある。 それは運動能力の極端な低下である。 ゆっくりは元来その柔らかい体を利用して飛び跳ねているのであるから、外皮が固くなってしまうと満足に移動することすら出来なくなる。 自然に放したが最後、補食こそ防げても餌がとれず数日で餓死するだろう。 つまり、この薬の投与は自然に生きるゆっくりにとって死を意味するものであった。 だが、このれいむは自然に帰ることはない。 これからが本番なのだ。 「ゆっゆゆ~♪れいむつよくなったよ~♪おじさんいまあやまったらゆるしてあげるよ!!」 デメリットを知る由もなく、自分が丈夫になったことをいいことに、今までより更に傲慢な態度をとるれいむ。 (・・・・・100万回殺す) 今までで最大級の苛立ちを笑顔で押し込む職員。このくらいのスキルが無ければここで働けない。 「うん、俺が悪かったよ、ごめん」 「ゆ♪れいむやさしいからとくべつにゆるしてあげるよ!!!」 「お詫びと言っちゃなんだけど、ここよりもっとゆっくり出来る場所に行こうか。」 「れいむいきたい!!れいむゆっくりいくよ!!」 どんどん上機嫌になるゆっくり。 「じゃ、行こうか。」 「ゆ~♪」 もう抱えて持てる大きさではないため、荷車に乗せられて運ばれていくれいむ。 「・・・・で、私に協力してほしいって?」 「はい、是非。」 時刻は夜、職員とれいむは紅魔館にいた。 紅魔館といえば、普通の人間ならば中に入るどころか近づくことすら憚られる悪魔の居城。 しかし、加工場と紅魔館との繋がりは、ここ最近どんどん親密になってきている。 紅魔館はゆっくりゃの生息地として知られており、それが加工場に出荷されているのだ。 以前はメイド長である十六夜咲夜がゆっくりゃ達を全面的に保護していたため、取引などは行われていなかったのだが、 どういう心境の変化か、ある子飼いの一匹を除いて加工場に送るようになったのである。 そのある一匹は職員も見たことがあるが・・・・そこらのゆっくりゃの馬鹿面とは一線を画した不敵で静かな笑みを浮かべていた。 流石は紅魔館、ゆっくりゃの教育も行き届いている!と言いたいところだが、正直気味が悪い、と感じる職員であった。 先ほどの質問の主は、職員の答えに赤い髪をかきあげた。 紅魔館の門番、紅美鈴である。 訪問者とのファーストコンタクトは常に彼女がする訳であるから、出入りの加工場の職員にも顔見知りは多い。 そして、その気さくさーその実、すらりとのびた脚や豊かな胸ーにファンも多い。 昼間の仕事が終わり、食事をすませたところに咲夜からのお呼出だ。 「新商品開発中なんですって。手伝ってあげて。」 そう言われた美鈴は彼らを自室に招き入れた訳である。 「どうすんの?」 「簡単です。と、天井のフックをお借りしていいですか?」 「?いいけど・・。」 職員は鎖をフックに取り付け、もう一方を革製のバンドにつなぎ、そのバンドにれいむをつなぐ。 これで、れいむは天井からつり下げられる形となった。丁度顔のあたりが美鈴の胸くらいの高さだ。 「ゆゆっ?なにするのおじさん!!ゆっくりさせてね!!!」 「・・・おじさんだってよ。いいの?」 「これくらいで目くじら立ててたらやってけませんよ。」 「そう?じゃ、はじめる?」 「はい。よろしくお願いします。」 と、おもむろに美鈴はれいむの前に出る。 「おねえさんでいいや!!れいむをおろしてね!!れいむはつよ・・」 パァン!! 美鈴はれいむの頬を張った。 「・・・ゆー!!!!れいむおこったよ!!!いたくないけどおこったよ!!!あやまってね!!!!」 「・・・ほほう、これは・・。」 どうやら普通のゆっくりとは本当に違うらしい。 「お兄さん、こいつ、面白いね。」 「でしょ?僕も試したんですが・・・。」 えいやっ!とれいむに正拳突きをする職員。 「ゆー♪いたくないもーん♪おじさんのばーか♪」 「こんな具合でして。」 と、にわかに不敵な表情になる美鈴。 「ダメダメお兄さん、拳打って言うのは・・・」 裂帛の震脚。 ずぅん・・・・!!! 重い音とともに、美鈴の掌底がれいむの顔面にめり込む。 「こうやるんだよ。」 唖然とするれいむ。 凹んだ顔面が、徐々に歪んでいく。 「・・・ゆ・・・い”だい”!!い”だい”いいいいいい!!!!!!!」 「すごい・・・一撃で泣かすなんて・・・。」 「楽勝♪」 「では引き続きお願いします。あ!くれぐれも気功の方は・・」 「使わないってば。そらっ!!!」 連撃開始。 低く踏み込んでからの掬い上げるような飛び蹴りがれいむの顎にヒットする。 「べびゅっ!!!!」 天井に叩きつけられ、鎖がじゃらりと鳴る。 「まだまだあ!!」 落ちてきたところを左の裏拳で拾う。 「やべでぶっ!!!」 「でやっ!!!」 気合いとともに叩き付けるような回し蹴りを二発。 「ぶひゅぶっ!!!」 鎖を限界まで伸ばし、今度は床に張り付くれいむ。 その顔は打撃の後でぼこぼこにひしゃげ、白目を剥いて泣き叫んでいる。 「む”り”!!む”り!!!”む”り”い”い”いいいいい!!!!!」 だが、まだコンボ中だ。 「焚ッ!!!」 天を穿つように右足がれいむの顎を射抜く。 「あ”ひ”る”っ!!!!!!」 「哈ッ!!!!」 左足が更に高くとれいむの顔面に刺さる。 「ゆ”ううううう”ぶびっ!!!」 「こ、これが、連環太もも・・・・」 「連環腿だってば。」 白い脚を下げる美鈴。 背後のれいむが千切れた鎖とともに落ちる音が響く。 替えの鎖でふたたびれいむは吊るされていた。 「これ、いいと思うよ。」 笑顔で言う美鈴。 「ありがとうございます。協力していただいたおかげですよ。」 (ああ・・・もう俺死んでもいい・・・) 憧れのセクシー門番に笑顔を向けられる幸せ。 れいむは白目で泡を吹きながら、時たま思い出したように「ゆ”っ、ゆ”っ!」と痙攣している。 「こいつもう意識ないですよ。」 「あ。まかせてー。えいっ!」 とれいむの体に抜き手をかます美鈴。指から気を流してやる。 「・・ゆっ!?」 「復ッ活ッ!!れいむ、復活ッ!!れいむ、復活ッッ!!!」 「何回も言わなくてもいいですよ。」 にわかに顔がごつくなった美鈴につっこむ職員。 「い、い”や”あああああああ!!!やべで!!!も”うれ”いぶにひどいごどじないでええええええ!!!!」 「はいはい、わかったから」 「い”や”あああああ”!!!い”や”や”や”や”あ”!!!!」 職員のなだめにも全く落ち着かないれいむ。 壊れている。 「・・あー。もうダメですねこいつは。」 「やりすぎちゃったかな。」 「ゆるじでおねえざあああん!!!」 「うるせえよ!」 思わずれいむの頬を殴る職員。 「あーもうダメだってお兄さん。だから腰が入ってないとね・・」 「あっ」 美鈴が職員の後ろについて手を取り、打撃の指導をする。 背後に柔らかい感触が。 (・・・ヘブン状態!!) その日、職員は加工場一パンチの鋭い男になった。 咲夜がある日市場に行くと、ある露点で人だかりが出来ていた。 その中心を除いてみると、一抱えほどある様々なゆっくりたちが吊るされていた。 「うー♪れみりゃつよいんだどぅ~♪」 「わかるよ!!つよいよわかるよ!!」 「よいぞー♪なぐってよいぞー♪」 「つるされてるみんながわいいよおおお”っ!!!」 「ちーんぽ!!」 その横には注意書きがある。 「新発売!ゆっくりサンドバック 本商品は格闘家志望の方におすすめです。特殊な加工により、このゆっくり達は 多少の衝撃ではびくともしません。ゆっくり達を絶叫させた時、それは あなたが真のファイターになった瞬間!! なお、ストレス溜めがちな方、ただのゆっくりには興味ありませんという 虐待マニアの方もどうぞ」 「要は泣き声で熟練度を測ろうということね。」 加工場もイロモノに手を出すものだ。 咲夜はその場を後にする。 れいむはいまだ美鈴の部屋で吊るされていた。 邪魔だろうからと持ち帰ろうとした職員だったが、記念にということで美鈴が引き取ったのである。 「あー・・・うー・・・」 涎を垂らし、死んだ犬のような目で虚空を見つめるだけの存在。 「ふぅ、疲れた疲れた。」 仕事上がりの美鈴が帰ってきた。 「・・・・。」 もはや反応しないれいむ。 「そういや、やってみたいことあったんだっけ。」 と、れいむに手を触れる美鈴。 緩やかに気を流していく。 「・・・・ゅ・・・」 徐々に血色がよくなっていくれいむ。 でこぼこだった肌にも張りが戻り、心なしか膨らんでくる。 目に光がもどる。 「・・・・ゆ、ゆっくりしていってね!!!」 「はいはい、よかったねー。」 美鈴の気功によりれいむは正気を取り戻したのである。 「ゆ!!おねいさんゆっくりおろしてね!!ごはんももってきてね!!!」 さすがゆっくり脳。自分をあれだけ殴打したのは誰だったのか。 「・・・・♪」 対する美鈴は笑顔で気を送り続ける。 「ゆゆ?れいむあったかくなってきたよ!!」 頬が紅潮してくるれいむ。 「あったかい!!あったかいよー♪・・・ちょっとあつくなってきたよおねえさん!!」 「・・・・・・♪」 熱さに舌を出して息を荒げだすれいむ。 「はー、はー、もういいよ、もういいよおねえさん・・・。」 と、にわかに力を込める美鈴。 「ゆ”!!!あづい!あづいよぉ”!!」 すでにれいむは白目だ。 「ぜー、ぜー、やべで!!!やべでえええ!!!」 でろんとした舌の表面が泡立ち、膨らんでいく全身から湯気が出る。 ぼこぼこという音がれいむの体内から。 「ああああああああ”あ”っ”!!!」 れいむは美鈴の気によって、中からあんこを沸騰させられていた。 普通のゆっくりならばとっくに爆散して絶命している。 しかし、このれいむは「つよい」れいむだ。 破裂寸前のところで耐えてしまう外皮が、れいむの地獄を長引かせる。 「かひぃ・・・かひぃ・・・。」 「そろそろか、なっ!!」 気合い一発。 一瞬れいむは二倍ほどに膨れ上がり・・・ ぼん!! そのまましぼんで動かなくなった。 加熱され白濁した目、口から湯気を出しているれいむの亡骸。 「ていっ!!」 手刀が閃き、れいむの髪の生え際に切れ目が入る。 ぼどっ!!と頭皮を残して床に落ちる。 ぱっくりとあいた中からは、湯気と甘い香りが。 れんげであんこを掬い、口へ運ぶ。 「うーん、おいしいっ♪」 美鈴の予想は的中した。 ゆっくり加工場。 ここでは日夜、ゆっくり産業発展のため、新たな商品開発が行われている。 明日も、また。 〈fin〉 あとがき どうも、以前「ゆっくりゃバーガー」という駄文を書かせていただいたものです。 途中から美鈴大好き話になってしまった・・・。 そもそもが美鈴に連環腿をやらせたいがために書いた次第です。 機会があったらまたお目にかかりたいです。 ゆっくりゃバーガーの人 このSSに感想を付ける
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「「ゆっくりしていってね!」」 「……」 男は、無言でゆっくり二匹を抱えて道を急ぐ。 いきなり捕まえられたゆっくりは、口々に「ゆっくりやめてね!」「ゆっくりはなしてね!」などと言うが、男はゆっくりの言う事など聞かない。 それ以前に、これらのゆっくりがどのゆっくりかにすら興味がない男にとっては、ゆっくりが何を言おうと気にもならないのである。 ――ゆっくりれいむとかまりさとかみょんとかちぇんとか、帽子とかリボンとか、そんな個体識別はいらない。ゆっくりはゆっくりで良い。 この男の持論である。 男は、全く融通が利かない上に頑固という、友人の少ないタイプの人間だった。 余談はさておき、男は急ぐ事もゆっくりする事もなく、普通の足取りで自分の家に入った。 『詰め替えゆっくり』 「ユックリシテイッテネ! ユユ! コノユックリタチハユックリデキルコ!?」 (ゆっくりしていってね! ゆゆ! このゆっくりたちはゆっくりできるこ?) 男が玄関口で靴を脱いでいると、ブレて見えるほどのスピードのゆっくりが現れた。 「なにこのこwww ぜんぜんゆっくりしてないよw」 「ゆくりちていてねだってーw なにじんよ(pgr」 二匹にとって、異常なまでのスピードのゆっくりは嘲笑の対象らしく、好き勝手な事を言う。 「ユユ! マリサヲバカニスルコハユックリシネ! シネ! シネ!」 (ゆゆ! まりさをばかにするこはゆっくりしね! しね!) 「ちねだってさ」 「おお、したたらずしたたらず」 あまりに高速で飛び跳ねているために空中に浮いている様に見えるゆっくりを見ても、全く動じないどころかうざい対応をとるゆっくり二匹。 「ヘンナコトヲイウバカナユックリタチハユックリシネ!!」 (へんなことをいうばかなゆっくりたちはゆっくりしね!!) 「ゆぎゅ!? きもいよ! ぎもいよぉぉぉ!!!」 「きもいこはどっかいけ! ごっぢぐるなぁぁぁ!!!」 弾丸の様な速度で二匹のゆっくりに突っ込んでいくゆっくり。 このままぶつかれば、普通のゆっくり達は顔面からアンコを放出させて死ぬ事になるだろう。 普通のゆっくり達は、うざい顔を泣き顔に変えた。 「……」 その時、靴を脱ぎ終わった男が突然素早いゆっくりを踏んだ。 足には絶妙な力加減がかかっているらしく、素早いゆっくりは潰れてはいないものの動けずにもがいている。 「ユギュウッ!? オジザンナニズルノォォォ!?」 (ゆぎゅうっ!? おじざんなにずるのぉぉぉ!?) 「まりさたちをいじめようとしたけっかがこれだよwww」 「きもいこはそこでおとなしくしててね~www」 「「ばーかばーか♪」」 泣いたゆっくりがもう笑ったとでも言えば良いのだろうか。 普通のゆっくり達は反撃できない相手に対して暴言を吐き、素早いゆっくりはその言葉を聞いて男の足から逃れようと必死にうごめく。 目は血走り、口の端からアンコまみれの泡を吹いて凄まじい抵抗をする素早いゆっくり。完全に頭に血が上っている。 「オジザンユッグリバナジデネ! ゴイヅラユッグリデギナグジデヤルガラユッグリバナジデネ!!! ユギュッ!?」 (おじざんゆっぐりばなじでね! ごいづらゆっぐりでぎなぐじでやるがらゆっぐりばなじでね!!! ゆぎゅっ!?) 「うるさい」 もう止められないと判断したらしく、男はため息をついてそのまま素早いゆっくりを踏み潰した。 「ゆ……ゆっぐりじだがっだよ……」 素早かったゆっくりは、最期だけははっきり分かる言葉を呟いた。 「ばーかばーか、きもいこはゆっ!?」 「ゆっくりしたけっかがこれだよぉ!?」 死んだゆっくりへ罵声を浴びせている途中、男がゆっくり二匹を持ち上げた。 中途半端なところで強制的に口をふさがれた形になった二匹は、男に文句を言おうとするが何も出来ず、そのまま奥へ持って行かれる。 奥の部屋では、一般的にはゆっくりれいむ・まりさと呼ばれる種類のゆっくり数匹が動き回っていた。 「「ゆぎゅぅっ!?」」 二匹のゆっくりはいきなり手を離されたため、無防備なまま床に叩きつけられる。 すぐさま起き上がろうとするも、顔面から硬い床に落とされたのだ。二匹は、痛みを訴える様に泣き出した。 「「いだいよぉぉぉ!!!」」 「……」 泣き叫ぶ二匹を無表情で見ながら、男は飾りに何かの印を付け、部屋を後にした。 パタンとドアを閉めた音と同時に、突然二匹は起き上がり、ドアに向かってツバを吐きかける。 「れいむたちがないてるのにぜんぜんこっちみてなかったよ! ばかなじじいだね!」 「ほんとだね! まりさはこんなにかわいいのに、みるめがないじじいだね! しんじゃえばいいよ!」 そう言ってゲラゲラと笑う二匹。ウソ泣きだった様で、その顔は男への嘲笑に満ち溢れている。 ひとしきり男への文句を言い合ってから、改めて二匹は辺りを見渡した。 「たくさんゆっくりがいるね!」 「いち、に……かぞえきれないよ!」 実際は10に満たない数しかいないが、ゆっくりの頭では多数いる様に見えるのだろう。 二匹は、ここに閉じ込められている事すら忘れてしまったように、ゆっくりゆっくりと楽しそうに仲間のいる方に飛び跳ねた。 「「ゆっくりしていってね!」」 二匹はちょうど近くに来たゆっくりに声をかける。相手のゆっくりは、時間をかけて振り返った。 「ゆ~っ~く~り~し~て~……」 (ゆっくりしていってね! こんにちは、あなたたちはゆっくりできるゆっくり?) 「ゆぅ!? すごくゆっくりしてるゆっくりだよ!」 「いいなー、うらやましいなー、いっしょにゆっくりしたいよ!」 やたら素早いゆっくりは嘲笑の対象だったが、遅いゆっくりは尊敬の対象らしく、二匹は目をキラキラさせて擦り寄っていく。 だが、スローゆっくりはたっぷりと時間をかけて嘲りを含んだ顔へと変わっていく。 「ゆ~っ~く~り~や~め~……」 (ゆっくりやめて! ちかよらないでね! ふたりともぜんぜんゆっくりできてないからきもいよ!) 普通のゆっくりにとっては素早いゆっくりが気持ち悪く思う様に、遅いゆっくりにとっては普通のゆっくりが嫌悪感を催すものらしい。 スローゆっくりは、触りたくないとでも言う様にじりじりと後ずさっていく。 追うゆっくりと、避けようとするゆっくり。 先ほどの素早いゆっくりとの一件を、かなり速度を遅くして繰り返している様な状況。 スローゆっくりが嫌がっている事を知ってか知らずか、二匹の前に別のゆっくりが飛び込んできた。 「8zhldwezw,! 3uqqa,8zhlw@gjrt?」 (ゆっくりしていってね! あなたたち、ゆっくりできますか?) 「なにこのゆっくり! ゆっくりわかることばしゃべってね!」 「ふつうのことばしゃべってね! にほんごでおけ!」 「uibk8zhl! 0toue,bsf@0toue9!」 (なにこのゆっくり! わからない、ことばわからないよ!) ゆっくりなのにゆっくりの言葉をしゃべらないゆっくり。 これは、単純に通じないだけなので、別に好悪どちらにも当てはまらないらしい。 最終的には、身振りだけであるていどの会話らしきものをしていた。 無言で伸び縮みを繰り返すゆっくりにはかなりの気持ち悪さがあるが、男には気にならないらしい。 言葉を忘れてしまった様に伸びているゆっくり二匹を抱えて、別の部屋へと歩いていった。 その部屋には、甘い匂いが染みこんでいた。 先ほどの部屋と同じ形でゆっくりが数匹いる事も同じだが、その部屋にいるゆっくり達は、全てが丈夫な縄で押さえつけられ、頭頂部がぱっくりと開いていた。 「ゆ……ゆぅ、ごろじで、もう……ごろじで……」 「ゆふあははははははははははは」 「ぐぞじじい! れいむのあんごがえぜ! まりざのもがえぜ! み”ん”な”を”も”どに”も”どぜぇぇぇぇぇ!!!」 頭に黒い穴が開いた様にぽっかりとアンコが取り出されたゆっくりが、早く楽になりたいと呟く。 奇妙な色の何かを詰められているゆっくりは、壊れたテープレコーダーの様に、平坦な笑い声をあげ続けている。 ほとんど取られていないゆっくりは、目で表情で声で、憎悪を男にぶつけている。 そんな、ゆっくりにとっての地獄絵図を、抱えられたゆっくり達は無言で見つめていた。 先ほどの部屋でボディランゲージに慣れたためではなく、恐怖によって言葉が出ないのである。 男は、怯えるゆっくり達を、他のものと同じ様に縄でくくりつけた。 あまりの恐怖に動く事すらできない二匹は、無抵抗のまま縛り上げられる。 「かっこいいおにいさん、れいむをたすけてください。おねがいします」 「すごくゆっくりしたおにいさん、まりさもたすけてください。おねがい……」 ガチガチと歯を鳴らし、涙を流しながら助けを求める二匹。 人間で言えばあごの下にあたる部分から黒い液体を漏らしている。アンコを失禁している様だ。 だが、男は無言で見つめている。当然、許すつもりはない。 なぜなら、それがこの男の仕事だからだ。 じっと見つめている内にあまりのプレッシャーからか白目をむいて気絶した二匹を眺めつつ、男は仕事を始めた日の事を思い出していた。 「そこの貴方、ちょっと良いかしら」 ある日、男は赤と青の交差した服を着た女に声をかけられた。 男は、ちょっと周囲を眺めてから自分だと気付き、端的に用件を聞く。 男のあまりの無愛想さに苦笑しつつも、女は細い指をちょいちょい、と動かした。 「ちょっとお話があるのだけど……少し時間空けられるかしら?」 女は、笑顔で男を誘う。男は、無表情のまま女に付いていった。 美人だけれど服のセンスは最悪の女。 男の女……八意永琳への第一印象は、その程度のものだった。 「実験?」 「そう、実験に協力して欲しいのよ」 人間の里唯一の喫茶店で、風景にそぐわない怪しい会話をする男女。 二人の前に置かれたコーヒーは、手付かずのままでそこにあった。もう湯気は立っていない。 永琳はまずそうにコーヒーを一口飲み、淡々と話を続ける。 男にある実験の手伝いをして欲しいという事。 実験の内容は、ゆっくりの中身を入れ替えるとどんな変化が起こるのかについてという事。 報酬は、家と金と実験を終えたゆっくりは好きな様にして良い事。 「……ゆっくりの提供はするし、貴方自身が捕まえても良いわ。その代わり、定期的な報告と、新種を作る事に成功したら直接見せて欲しいのよ」 お願いできる? と、胸の前で手を合わせる永琳。 男は、ほとんど間を置かずに承諾した。 それからしばらく、男は送られてくるゆっくりの中身を様々な物に詰め替え続けた。 送られてくるゆっくりは様々な種族だったが、男は特に関心を持たなかった。ゆっくりはゆっくりでしかないからだ。 固体・液体・気体……食材だけではなく、ありとあらゆる物を試し続けた。 時には、わざと腐らせたものも入れてみたが、大体は数分生き延びるかどうかといった所だった。 たまに永琳が様子を見に来たが、順調だという所を見せると僅かに輝く視線を向け「この調子でお願いします」とだけ言って去っていった。 春が来て夏が過ぎ秋を越えて冬が終わり、一年が瞬く間に過ぎていった。 この頃には、一日の半分近くはゆっくりの中身を入れ替えて過ごす事が、男の日課となっていた。 ふと顔を上げると、ゆっくり二匹は口の端から黒い泡を吹き「ゆっ……ゆっ……」とうめくだけの存在に成り果てている。 男はそんなゆっくりを放置し、自分の部屋に戻る。 棚には大量の帳面が置いてあり、中には多数の中身を詰め替えたゆっくりの報告がまとめられている。 河童製だという、ゆっくりのアンコの核部分のみを残して全て抜き取る機械は、既に5台目に突入しているが、それもアンコまみれで酷い状況だ。 6代目への取替えはもうすぐだろう。 詰め替える物置き場は、男にしか分からないほどに雑然としている。 部屋の中は人間の内面を表すと言われているが、それが本当なら、男は相当に混沌とした性格をしているのだろう。 ――さて、あいつらの中は何にするかな。 男は、未だに白目をむいているだろうゆっくり二匹を思い浮かべ、これまでずっと表情のなかった顔に、初めて笑みを浮かべた。 饅頭生命体のゆっくりは中身に左右されるのではないかという考えから発展した結果、こうなりました。 最初は中身を入れ替えるだけの単純な話だったんですが……なぜこうなったんだろう。 感想フォームについてですが、捨てアド用意しましたので何かありましたらこちらにお願いします。最初から用意しておけば良かった……。 319_breeder@excite.co.jp by319 このSSに感想を付ける
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ゆっくりさん 東方のキャラがでます ゆっくりが文字を書きます 虐待というより虐殺? ――――――――――――――――――――――――――――――――― ここは人里に程近い森の中。どこからかゆっくりの喋り声が聞こえる。 「ゆ~!まりさ~、あそびにきたよ~!」 「ゆゆ!れいむ!きてくれてうれしいんだぜ!」 このれいむは近くのオカルトお姉さんの飼いゆっくりである。 飼いとはいえ、特にお姉さんが行動を縛っているわけではないので このれいむはちょくちょく森のゆっくりと遊んでいる。 まりさと知り合ったのもそんな中での事で、すっかり意気投合した二匹は お互いのおうちに遊びに行くという約束を交わしたのであった。 「じゃあなにをしてあそぶんだぜ?」 「ゆ!」 腹を見せるれいむ。別にすっきりがしたいわけでもぷくううでもなく、ふんぞり返っているだけである。 口にはなぜか十円玉を咥えている。 「れいむはおねえさんがやってたあそびがしたいよ!」 「にんげんさんの?どんなことするんだぜ?」 「おねえさんはさんにんのにんげんさんといっしょにやってたからあとふたりつれてきてね!」 「わかったんだぜ!」 森の奥へと跳ねていくまりさ。その間にれいむは棒を拾ってきて地面になにやら書き出す。 「まあれいむ。とかいはなあそびをしってるってきいてきてあげたわよ」 「むきゅん。にんげんさんのあそびができるなんてきょうみぶかいわ」 そして暫くするとまりさに連れられて同じく遊び友達のぱちゅりーとありすがやって来た。 二匹とも人間の遊びができるというめったにない体験に心踊らされ、合計四匹のゆっくりが揃うこととなった。 「ゆ!みんなきいてね!きょうあそぶのはこっくりさんだよ!」 れいむがおもむろに説明を始める。 「ゆゆ?なんなんだぜ、それは」 「とてもゆっくりできそうななまえね」 「で、どんなことをするのかしら。むきゅん」 「たしかみえないひとをよんできていろいろなことをおしえてくれるんだよ!」 「「ゆゆゆ!」」 驚く一同。ゆっくりに霊の概念はない。すぐに忘れる餡子脳な上に、死が日常と隣り合わせのゆっくりは 霊魂などに深く心を思わせる余裕などないのである。 「じゃあそのとうめいなひとにきけばおかしたべほうだいのばしょをおしえてくれるんだぜ??」 「むっきゅー、とてもきょうみぶかいわ!ぜひためさせてちょうだい!」 「そ、それってれんあいうんもわかるのかしら?べ、べつにまりさとのことなんてききたくないんだからね!」 「じゃあやりかたをせつめいするね!」 そして説明に従って人間が解読するには難がある文字を囲んで座る。手がないので、そこは棒で代用している。 「それでね、こっくりさんこっくりさん、どうぞおいでくださいっていうんだよ!」 「わかったんだぜ!」 「「こっくりさんこっくりさん、どうぞおいでください!」」 と、四匹の棒の先に当たっている10円玉が動き出したではないか。 「ゆゆゆ!10えんさんがうごきだしたんだぜ!」 「まりさがうごかしたの?」 「まりささまはうごかしてないんだぜ!」 「しずかにしてね!こっくりさんがきたんだよ!」 騒ぐ3匹にれいむは自慢そうに説明を続ける。 「こっくりさんはこの10えんさんをつかっておしえてくれるんだよ!あなたはこっくりさんですか?」 するする、と10円玉は動く。 そして「いいえ」とかかれたところにぴたりと止まった。 「どぼぢでごっぐりざんじゃないのおおおおお!!!!」 「ゆゆ、おちつくんだぜれいむ!」 「そうよ!こっくりさんじゃないならあなたはだれですか?」 白目をむいて叫ぶれいむにお構いなしに10円玉は動き出すとひともじひともじ文字の上を止まっていく。 「むきゅ、お、に、い、さ、ん。あなたはおにいさんなのね?」 10円玉は「はい」の位置に移動する。 「れいむ、こっくりさんじゃなくておにいさんだけどなにかきけることにかわりはないわ」 「そうだよね…」 「そうだぜ!まりささまがしつもんするからげんきだすんだぜ!」 落ち込み気味のれいむを気遣ってかまりさは殊更に大声でこっくりさんに尋ねる。 「こっくりさん、まりささまにおいしいおかしのばしょをおしえるんだぜ!」 すると10円玉は一軒の家への道順を教え始めた。 「なるほど、ここにいけばまりささまはおかしをてにいれられるんだぜ?」 「はい」動く10円玉。 「むきゅ~、とてもきょうみぶかいわね。」 「それじゃあこんどはとかいはのわたしがしつもんするわ。わたしのれんあいうんはどうですか?」 と、今までゆっくり動いていた10円玉は急にらんぼうに文字の上をいったりきたりしはじめた。 「む、だ、だ」 「ゆ!!とかいはのれでぃーにしつれいよ!」 「お、ま、え、た、ち、は、き、ょ、う、じ、ゅ、う、に、し、ぬ」 「「「「どぼぢでぞんなごどいうのおおおおおおおお!!!!」」」」 今度は4匹揃って白目をむく。10円玉は更に動き続け、 「ざ、ま、あ、み、ろ」 と示す。 「ふざけるんじゃないぜ!じじいはさっさとしぬんだぜえええええ」 「とんだいなかもののじじいね!これじゃあゆっくりできないわ!」 「むきゅ~」 「ゆゆ、みんなおちついてね」 今度は落ち着かせる側に回るれいむ。だが、まりさは 「ふざけるんじゃなういぜ!こんなのやってられないんだぜ!」 と、ついに棒を離してしまった。 「れいむ、とんだぱちもんをつかませてくれたんだぜ!」 「ご、ごめんなさい…」 「さいあくよ!れいむとなんてあそぶんじゃなかったわ!」 「むきゅ!きょうはさいあくのいちにちね!」 「ごめんね、ごめんね」 れいむは必死に謝るが結局怒りは鎮まらず、3匹はぷんぷんしながら帰ってしまった。そしてれいむも 寂しく家路につく。そしてその後には10円玉だけが残されていた。 暫くすると誰もいないのに10円玉が独りでに動き出し、ゆっくりと文字を辿っていくのであった。 「ひ、ゃ、あ、も、う、が、ま、ん、で、き、ね、え」 所変わってありすとぱちゅりーは小川の傍の草原を跳ねていた。 「まったく、とてもゆっくりできないあそびだったわね」 「そうね、にんげんはなにをかんがえてるのかしら?」 と、上空を見るとうーぱっくが空を飛んでいた。 「きょうはあれにのってかえりましょ!」 「むきゅん、そうね。う~ぱっく~!!」 「う~♪」 「わたしたちをおうちにはこんでくれないかしら~」 「うっう~♪」 2匹の元へ降りていくうーぱっく。が、なんと運の悪い事であろうか。 そのう~ぱっくは草むらを飛び出してきた別のうーぱっくに衝突してしまった。 「う~!!!!」 「うぁ~!!」 空中接触事故を起こし、墜落していくうーぱっく達。運の悪い事にその先には先ほどの2匹がいた。 「「うぁぁぁぁぁ!!!!!」」 「むぎゅううぅぅぅぅぅ!!!!」 「ぱちゅりぃぃぃぃぃ!!!!」 濛々と立ち込める土煙。ありすは間一髪難を逃れていた。 「ぱちゅりー、だいじょうぶ?ぱちゅ…」 が、ありすの隣にいたぱちゅりーはうーぱっくに直撃されていた。 「む…ぎゅ…」 頭が割れて中身の紫蘇餡が見え、両目は飛び出してカタツムリのようになり、舌を思いっきり伸ばした状態で痙攣するぱちゅりー。 「ぱちゅりぃぃぃしっかりしてえぇぇぇぇ!!!!!」 「もっど…ゆっぐぢ…ぢだがっだわ……むぎゅ……」 ありすの励ましの声も天には届かず、ぱちゅりーはそのまま死んでしまった。 暫く呆然としていたありすだが、ふと先ほどの遊びを思い出した。 確かお兄さんは私たちが全員死ぬと言っていた。ふざけるな。すっきりもしないまま死んでたまるか。 「これはきっといなかもののおにいさんののろいね!こんなゆっくりできないところにはいられないわ!わたしはひとりでかえる!」 怒り、悲しみながらもありすは急いで家に帰ろうとした。だが、鬼意山は確実にありすを黄泉の国へと送ろうとしていた。 森の中を跳ねていくありす。だが、ある茂みの中に入った時に異変は起こった。 「ゆ!?」 人間の仕掛けた罠であろうか、その茂みは二本の木をたわませて枝と枝をからみあわせたものだったのだ。 そしてありすが乗った事で枝の絡みが取れた木は元の位置に戻ろうとし、結果的にありすをはるか上空へと飛ばす事となった。 「ゆぅ、おそらをとんでるみたいだわ」 ありすの眼下には山あいにまさに沈んでいこうとする太陽が綺麗な夕焼けを作り、それが森の間に流れる川の流れに反射して きらきらと輝いている。右側には人間の里が見え、人々が家路につく姿が見える。 「とてもゆっくりしているわ。これが100まんどるのこうけいなのね」 世界の輝きを目にして感動に体が震えるありす。だが、重力の法則に従いありすはだんだん落ちていく。 「ゆう?なんだかさむくなってきたわね!」 「じめんさん、ちかづかないでね!」 ここまでくると流石にゆっくりでも死を自覚する。 「やべでえぇぇぇ!!!いなかものでいいからたすけてえぇぇぇ!!!!」 「ゆぎゃああああああもっどすっきりshちにゃ!」 そして、後には放射状に飛び散ったあんこだけが残された。 一方友人が悲惨な最期を遂げたとは知らないまりさは鬼意山に教えられた道順を辿り、一軒の家についた。 「ゆっへっへ、結局何も起こらなかったんだぜ。それじゃあえんりょなくここをまりささまのゆっくりぷれいすにさせてもらうんだぜ」 半開きになった門をくぐっていくまりさ。縁側では一人の少女がお茶を飲んでいた。 「ばばあ!ここはいまからまりささまのゆっくりぷれいすになったんだぜ!わかったらとっととおかしをもってくるんだぜ!」 「へぇ……。わかりました。それじゃあお菓子を用意しますからこちらにおいで下さい。」 天使のような笑顔を浮かべる少女に連れられてまりさは地下へと続く階段を降りていく。 門には「稗田」という表札が下がっていた。 「おねえさん、れいむね、こっくりさんのとちゅうでてをはなしちゃったの…」 「あらあら、仕方ががないわね。それじゃ、これから博麗さんの神社に行ってお祓いしてもらおうか!」 「ゆっくりわかったよ!」 友人と二度と会えない事をれいむは知らない。恐らく2,3日もしたらすっかり忘れてしまう事だろう。 終 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ネタが上手く文字にできない… こっくりさんとは狐狗狸さんとも書き、なにか(下級霊とも)を呼び出して未来の事などを占うものです。 30年くらい前の小学校などでブームでした。こっくりさんを帰す時は「こっくりさんお帰り下さい」と言い、 「はい」というまで手を離してはいけませんでした。それを怠ったり、手を離したりすると祟られるという噂でした。 あと冗談半分でこっくりさんはやらないでください。何が来るのかわからないので…。終わらせる時も正規の手続きを踏んでください。 これまでに書いたもの 剣客みょん 合戦 ゆっくり冬将軍 怨念 このSSに感想を付ける
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注意! ※この作品にはゆっくりしか出てきません! ※作風柄、虐待描写はありません! ※賢いゆっくりが出ます! ある所に、広く資源に恵まれた島があった。そこは、周りが海に囲まれており、全くの無人。 そんな島にある日、数個の影が舞い降りた。 『『『『うー!うー!』』』』 うーぱっくである。運んでいたのはもちろん…… 『ありがとうね!うーぱっく!』 『おれいはそこにはえてるおやさいをもっていってね!!』 『ここはほんとうにとかいはなゆっくりぷれいすね!!』 内訳はゆっくりまりさ、れいむ、ありす、ぱちゅりー、みょん……ゆっくりである。 捕食種を除いたスタンダードな種がそれぞれ一匹ずつだ。 それぞれが、新天地を目の当たりにしてゆっくりしている。 彼女らは以前、他のゆっくり同様に山で暮らしていたが、人間による開発によって居場所を奪われてしまった。 そんな節に、先程のうーぱっく達に出会い、この島のことを聞き出したのだ。 『ゆゆ!まりさたちをそのしままでつれていってほしいんだぜ!!』 群れのリーダー格であるゆっくりまりさが頼むと、運ぶことが生きがいのうーぱっくである。 快く承ってくれた。そこは話に聞くよりも広く、食糧、寝床の洞窟、その他資源もろもろ……何一つ足りないものは無かった。 それに加え、何よりも魅力的なのが 『みてよまりさ!ここのしまはどすたちにまもられているよ!!』 『むきゅ!さいこうのゆっくりあいらんどね!!』 島は海岸、森、山から成っていた。今ゆっくり達がいるのは、山の頂上の開けた草原である。 そこの四方にそれぞれ祭壇の様なものがあり、そこにドスまりさを模した石造が建っていた。 こんな何から何までゆっくりのために設えた様な島だ。気に入らぬ者などいるはずもない。 『さっそくおうちをつくってゆっくりしようね!』 『きょうはいどうでつかれたから、あしたからたんけんするんだぜ!!』 リーダーまりさを筆頭に、補佐役のぱちゅりーなどが指示に当たった。すぐに巣の目処が立った。 この草原の四方、例のドス像のそばにそれぞれ一つずつ穴が開いていた。 入ってみれば、なんと穴は全て中で繋がっており、ちょうど草原の中央部に当たる場所まで開けている。 さらに驚くべきことは、地下であるにも関わらず外と変わらぬ草が同量生えている。 石造りの台座には、こんこんと清水を湛えている。 さらには燭台まであり、ヒカリゴケにより、優しい光に照らされている 雨水の侵入を防ぐ入口を塞ぐためのフタもある。 もうここだけで一生分ゆっくりできるんではないかという程の環境であった。 『ゆがーん!』 『ほっほんとうにすごいゆっくりぷれいすなんだぜ……』 『むっむきゅっきゅきゅきゅ』 反応の仕方はそれぞれ違えど、みんな初めて喜びの感動にショックを受けていた。 それからの生活はまさにゆっくり達の理想を絵にした様なものであった。 海のど真ん中にある島のため、天敵となる野生動物はいない。 食べ物である草や果物は無尽蔵に群生している。 何よりあの自然を破壊し、平穏を乱す人間がいないのだ。 唯一気掛かりがあるとすれば…… 『こんなにゆっくりしているのになんでどすはないているんだぜ?』 いつだったか、豪雨によって数日閉じ込められた時のことである。 もちろん、その間に不自由したことは無い。 元からある蓄えに加え、食糧をため込んでいたし、ゆとりを持っていた。 普段は震えて過ごすこの雨も、いまでは愉快で軽快な音楽に聞こえていた。 雨上がり、リーダーまりさが先立って外に出た。 その時に、ふとドス像を見るとなんと涙を流しているのだ。 当初は驚いたが、なんてことは無い。 像の帽子部に水が貯まるようになっており、鍔を伝って目から涙を流す様に見えているのだ。 見回ってみれば、四方の像の全てが泣いていた。 その涙は台座の隙間に吸収され、一種のダムとなっており地下の台座へと繋がっていることが後に分かった。 『このきをきってむすべばいかだになるんだぜ!』 『えだにはっぱさんをはればおーるになるわ!!』 ゆっくり達は生を謳歌し、すくすくと育ち、自然とのふれあいから知恵をつけた。 昨日は木と木を擦りつけて火を起こす道具を作った。その前は釣り竿。 そして今日はいかだを作った。少し島から離れた場所で釣りをし、収穫も上々だ。 明らかに、他の群れとは違う進歩の仕方をしている。 障害が極端に少ないため、全身全霊をかけてゆっくりすることが出来る。 もっとゆっくりしたい! こうすればゆっくりできるよ! むきゅ!このつたはべんりよ! どうぐをつくろうね! おりょうりをおぼえたわ! まらっ☆ちーんぽ!! それからもゆっくりし続け、だんだんと数を増やしていった。 比例するように文化が発達していき、今では生簀をつくり魚を保有するまで至った。 ゆっくりの寿命というのも、環境次第の様である。 第二世代、第三世代と続いても、最初の群れの誰一人欠ける事無く過ごしている。 ある日、リーダーまりさはドスまりさへと成長した。 『どすがいるかぎり、みんなをもっとゆっくりさせるよ!!』 まず手始めに、増えた仲間のために、森を切り開き、整地し、新たな巣を作った。 『ごはんももっとひつようになるね!』 うーぱっくに頼み、数個の羽化寸前の鶏卵を取り寄せ、家畜として飼い始めた。 『もっとべんりなどうぐをいっぱいつくろうね!』 獲物を確実に捕えるため、捕食種も撃退可能な武器を作った。 嵐が来ない限り、転覆しない遠泳漁の船を開発した。 もっともっと! まだまだ! さらにさらに! ………… ドスが思いつく限りのゆっくりを提供した。最早、自分が出来ることは見守るくらいだろう。 既に自分以外の第一世代ゆっくりは、みな天寿を全うした。あの若かりし頃が懐かしい。 そういえば、何で人間はあんなにゆっくりできない生き物なんだろう…… ドスまりさは海岸から夕陽を眺め、一方的な優越感に浸り、微笑みを湛えていた。 『どすももうつかれたよ』 ドスまりさはゆっくりとした生涯ここで終えた。 ゆゆ?どす~どこ~!? かいがんでねてたわよ? どすのぞうがあるんだぜ! うるさいな……どすをよぶのはだぁれ? あれ?うごけないよ? そうか、どすはしんじゃったんだね。 でもむれのみんながみえるよ。 こえもきこえる……みんな、もうすこしだけどすにみまもらせてね!! 第二世代のゆっくり達がドスの不在に気付いた。 それを受け、第三世代のゆっくり達が海岸で探していたところ、新たなドス像を見つけた。 みんなは直感的に、これが今まで自分達を導いてくれたドスであると分かった。 今までありがとうと礼を述べている。 『こんなところでのざらしにしていたら、どすがかわいそうだよ!』 『むきゅ!そうだわ!やまのうえのどすぞうにくわえてあげましょ!!』 『そうすればどすもゆっくりできるね!!』 そこで、ドス像をどう運ぶかが議論された。結果はすぐに出た。 まずは木を伐採し、ドス像が乗る程度の板を作り、それに乗せる。 それからまた木を伐り、“コロ”として板の下に入れては引っ張りを繰り返すという方法だ。 海岸から山頂の草原まではキッチリ整備されていたし、置く場所も四方のドス像の真ん中に決めた。 『『『ゆーしょ!ゆーしょ!』』』 『 おちびちゃん!はやくころをもってきてね!!』 『ゆっくちりかいちたよ!』 群れ総出で作業したおかげか、半日程で全ての工程を終えた。 結果は大成功! その後、みんなでこの日を何かの記念日にして、ドンチャン騒ぎした。 新たにリーダーとして任命されたのは、ぱちゅりー種である。 生前のドスから最も知識を受け継いだとされているからだ。 『むきゅ!どすのときとおなじようにすればしっぱいしないわ!!』 確かにやることは何から何まで真似ていた。 しかし、何か変じゃないか? どこかで間違えた!? いいやそんな訳が無い! ドスと同じことをしているんだ!! それからしばらくしてから、過ちに気付いた。 『どぼじできさんがぜんぜんないのぉぉぉおおお!?』 『くだものさんもみんななくなってるんだぜ!!』 『おながぢゅいだよぉぉぉおおお!!』 結果を言ってしまえば、島から植物という植物がごっそり無くなってしまった。 事の始まりは、ドス像を運ぶために大量の木を伐採したことから始まった。 以前までは、ドスが植物の再生するまでを計算したギリギリのラインで伐採していたのだ。 木材としての木が無くなれば、作物の木を代用し、食料の供給源を無くしていった。 漁に出よう! 船が故障してしまった。直すための材木はどこ? 狩りをしよう! 獲物となる動物はどこ? うーぱっくに頼んで運んでもらおう! 払う報酬は何? 八方塞がりとなって、ぱちゅりーは誤りに気付いた。 しかし、時すでに遅し。 『ごべんばざい゛い゛い゛ぃ゛い゛い゛い゛い゛!!』 『ゆ゛る゛じでぇ゛ぇ゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!』 『どぼじでぇ゛ぇ゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!?』 『どずどおなじごどじだだげだのに゛ぃ゛ぃ゛い゛い゛い゛い゛!!』 『ゆ!うるさいよ!!むのうなりーだーはしね!!』 『まえまえからいばってるおまえがきにいらなかったんだぜ!!』 『りぇいむをゆっくちちゃちぇにゃいむにょうはちんでね!!』 リーダーぱちゅりーとその家族は公開処刑された。 群れのみんなから投石の雨を浴びて、物言わぬ死体となった。 これで、群れの一応の溜飲は下がった。 しかし、それからは、殺伐とした生活が始まった。 『やめてね!そのにわとりさんとひよこさんはれいむのぶべぇぇええ!!』 『うるさいんだぜ!まりささまにたべられたほうがこいつらもしあわせなんだぜ!!』 自分の家族以外はみんな敵、戸締りをしていないと家畜を奪われた。 『ちょうどいいんだぜ!おまえのかぞくをまびきしてやるんだぜ!!』 『わがらにゃぁじゃべちゅびゅうぶうううう!!』 『ぢっぢんぼっぢんぼぉおおおおおおおおおおおお!!』 『ぺ~ろ♪ぺ~ろ♪しあわせ~なんだぜ!!』 間引きと称し、子供を殺されて食べる者。 『んほぉぉぉぉおおおおおおお!すっきりー!!』 『びっびやだぁああああ!!ずっき゛り゛ぃ゛い゛い゛!!』』 混乱に乗じて、己が欲望のままに動く者が現れた。 ものの三日間この阿鼻叫喚は続いた。 そこに残ったのは、たくさんの死体と一匹のゆっくりだ。 『どずぅぅはやぐばりざざまをだずげろぉぉ!ごのやぐだだずぅぅうう!』 生き残りのまりさは既に満身創痍、死ぬのも時間の問題だろう。 恐らくは、最後の力を振り絞って中央のドス像へと呪詛を吐いている。 ドスは像となってから、今までを一部始終全て傍観していた。 こいつらはなんだ? こんなのゆっくりじゃない! じゃあなに? まてよ……どっかで見たことがあるぞ…… そして一つの答えに辿り着いた。 そうか…… どすはじぶんでゆっくりをゆっくりできなくしてしまったのか…… そう解釈すると、空から水滴が落ちてきた。 ポツリ……ポツリ…… 『あべざん!?ふらだいでね!ゆっぐりやんでね゛!!』 パタ、パタ、パタ 『ふるだっでいっでるでじょ!?ばりざざばのいうごどが』 ザ、ザーザー 『ぼがど…がら…りざだげ…………』 バシャバシャバシャバシャ!! 『――――――――』 最後の生き残りの声が聞こえなくなった頃、残されたドス達は涙を流していた。 後書き どうもお久しぶりケラ子です。 以前スレを覗いたとき、シリーズものの風潮がよくないよう見えました。 だからと言うわけではないのですが、リハビリがてら新たに書き下ろしてみました。 何か作風の幅がありませんかね? ちなみに、この作品は、実在する島の話をモチーフにしました。 分かる人はいるのかなぁ…… byケラ子 ケラ子の作品リスト ゆっくりいじめ系509 紅い弾丸 ゆっくりいじめ系601 ある新人ゆっくりーだーの話(前編) 制 無 ゆっくりいじめ系647 ある新人ゆっくりーだーの話(後篇) 制 共 無 ゆっくりいじめ系711 ある植物型奇形妊娠の話 ゆっくりいじめ系748 ある動物型奇形妊娠の話 ゆっくりいじめ系807 あるロボットゆっくりーだー達の話(前編) ゆっくりいじめ系844 あるロボットゆっくりーだーの話(後編) このSSに感想を付ける
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「ゆっくりありがとう!」 「これはおれいだよ!ゆっくりもっていってね!」 「またゆっくりしようね!うーぱっく!」 「うー!うー!」 赤みが混じり始めた陽の光が照らす湖畔の草原、そこからダンボール状の物体が上昇していく。 よく目を凝らせばダンボールが飛び立った場所に妙な装飾を施された饅頭が転がっているのが分かる。 ゆっくりれいむやゆっくりまりさ、ゆっくりみょんがうーぱっくにここまで運んで貰ったのだ。 にこやかな顔でうーぱっくからおりてきたゆっくり達は、スリリングな空の旅のお礼として相場よりも多目の果物をうーぱっくの中に残していた。 「うー!?うー!!うー!!」 「たのしかったからいいんだみょん!」 「ゆっくりもっていってね!」 「うー!」 予想以上の報酬を得たうーぱっくは満面の笑顔で湖の彼方へと飛び去っていく。 ゆっくり達はしばしの間、湖のほうを向いてうーぱっくを見送り、ゆっくりの貧弱な視力で追えなくなってから仲間の方へ互いに向き合った。 「もうおそいからゆっくりかえろうね!」 「そうだね!」 「ゆっくりたのしかったね!」 「むこうのどすはりっぱだったみょん!」 「まりさたちもあんなりーだーがほしいね!」 「ねー!」 一月に一回、会うことができれば良いといえるほど離れた場所に住む群れへと行ってきたゆっくり達は、次はいつ会えるかどうか分からない同種と思い切りゆっくりしてきたことを思い出して興奮していた。 そんな状態のゆっくり達は移動するには過剰なほど飛び跳ねながら森の奥へと消えていった。 家族や友人、仲間の待つ巣で長旅の疲れを癒し、「どす」から貰ったお土産を披露するのだろう。 そんな幸せそうに去るゆっくり達を見つめる瞳が茂みの中にふたつ。 ゆっくり達の姿が消えて暫くすると、そこの茂みがガサリと揺れた。 お約束のパターンで出てきたのは──「ゆっくりしていってね!」──ゆっくりまりさだった。 誰に宛てたか分からない独り言のような挨拶を放つという奇怪な芸当を見せたまりさは、先ほどの同種たちが消えた先を暫く見つめ、続いて湖の彼方に顔を向ける。 うーぱっくが飛び去った方向、当然だが明るい茶色の箱はとっくの昔に視認できなくなっている。 それでもまりさは湖の向こうを見続けた。 突然、まりさ以外のゆっくりが存在しない草原に妙な音が響き渡る。 まりさはおなかを空かせていた。 今日の狩に失敗したまりさは朝から何も食べていないから当然だ。 なるべくエネルギー消費を減らすため、茂みの中でゆっくりと昼寝をしていたまりさは、がやがやと騒がしい同種の声を聞き、食べ物を分けてもらえないだろうかと起きた。 しかし、まりさ種にしては引っ込み思案気味な彼女は結局巣に帰る仲間を見送るだけで動けなかった。 「ゆっくりながめたけっかがこれだよ!」といったところだろうか。 空腹のためにぼんやりとした表情で暫く黄昏ていたまりさ。 そのまま永遠にゆっくりするのかという勢いであったが、太陽が西の山の頂と重なり始めたとき、急に伸び上がり、次いで大声を上げた。 「そうだ!まりさもゆっくりをはこべばたべものがもらえるよ!」 祖先に多くのぱちゅりー種を持つ彼女はまりさ種の平均よりも身体能力が低めの代償として、まりさ種ではあり得ないほどの(一部のぱちゅりー種すら凌駕する)知性を持っていた。 その知性がまりさに自身の能力を生かして食料を得る方法をもたらしたのだ。 まりさは「水上を移動できるというまりさ種の能力でゆっくりを運び、報酬を貰う」という事を思いついたのだった。 思わぬ思い付きにはしゃぎ回ったまりさはもうすぐ日が落ちることにハッと気づき、慌てて巣へと帰っていった。 それから、まりさの困難と挑戦の日々が始まった。 自身の帽子には当然ながら自身しか乗れない。 自身が乗らなければ他のゆっくりを運ぶことなど不可能。 ゆえに、他のゆっくりを乗せるためのイカダが必要だった。 まりさが所属する群れのリーダーである通常サイズのゆっくりはまりさに協力してくれたが、それでもイカダの開発は困難を伴う物だった。 最初に提案されたのは板切れを利用する方法だった。 ゆっくりですら木が水に浮くことは知っていたからだ。 幸いにもリーダーの巣に補強財として人里のゴミ捨て場から調達された板切れが置いてあった為、それを流用することとなった。 結果から言うと散々な物だった。 チビゆっくりや子ゆっくりが乗る分には何の問題も無かったが、親ゆっくりが飛び乗った瞬間、当然というべきか板切れは思い切りひっくり返り、ゆっくりれいむの一家は哀れ水底へとまっしぐらに沈んでいったのだった。 この「不幸な事故」に、群れのゆっくり達は1日中泣き通した。 次に提案されたのはもう少し上等な方法で、オオオニバスの葉に乗るというものだった。 その葉を小さい頃に飛び石として池を渡ったことがあるゆっくりが提案した方法だ。 成体でも乗れるかどうか確かめるため、ゆっくりの群れはガヤガヤと騒ぎながらオオオニバスの群生地へと移動した。 結果は前回よりはマシなだけだった。 目の前でゆっくりれいむが急速に沈むのを見ていたゆっくりみょんは、そろりそろりと慎重に葉の上へと体を移した。 ゆっくりみょんが完全に葉の上に乗った瞬間には歓声があがった。 暫くはそうやって騒いでいたのだが、皆あることに気がつき始めた。 ──どうやってみずうみまでもっていくんだろう…? 何とか移動させようと5匹のまりさが帽子に乗った状態で葉を引っ張ったり押したりしたが、ある程度は動くものの、ある程度以上には何かに引っ張られて動かないという事が分かっただけだった。 水面より上ではどこにも繋がってない様に見える以上、水中で繋がっているというのはゆっくりでも分かる。 問題は水中に潜れないゆっくりがどうやって切り離すかということだった。 結局、どうしようもないという事になってこの案は廃された。 3つ目に提案された「死んだゆっくりまりさの帽子を使う」というのはハナからダメだった。 まりさ種を殺して帽子を奪うなど論外であったし、寿命などで普通に死んだまりさの物にしても家族が許さないからだ。 「イカダ」の件が解決を見ないまま1週間が過ぎ、餡子脳の限界をゆっくりと感じ始めた頃に一つの光明がもたらされた。 何か使える物はないかと足しげく人里のゴミ捨て場に通ったまりさの努力は報われた。 ゆっくりがこんな所で何を探しているのだろうかという人間の視線を背に受けたまりさが発見した物体。 「これならのれそうだよ!」 「ゆっくりもっていこうね!」 それは薄汚れた白い箱、大きさの割にやたらと軽く、ゆっくりまりさでも運べそうな程だ。 3つ以上の数を数えられないゆっくりの感覚で、大量に捨てられていたそれを早速運び出す。 4匹で来ていたまりさ達は、その物体に都合よく取り付けられていた紐を加えて引きずる様に持ち去っていった。 その様子を偶然眺めていた人間は、妙なことをするゆっくりだ、と疑問を覚えたがしかし、いらない物を持っていくのに文句など無くすぐにその事を忘れた。 その白い箱は偶然に外界から入ってきた発泡スチロールの箱だった、まりさが知る由も無かったが。 通常サイズの成体ゆっくりがぎゅう詰めで8体も乗れる(2x4で長方形に乗る)その白い箱。 それを利用したゆっくりまりさによる水上輸送は直ちに開始された。 初期こそ速達性と利便性で勝るうーぱっくの輸送よりも不便だと見られていたが、一度に大量のゆっくりを運ぶことができると知られてからは、湖の対岸同士や湖の中に浮かぶ小島への輸送に大活躍し始めた。 何せまりさが箱を1つ引っ張ると、うーぱっく4匹と同じだけ運べるのだ。 家族毎や群れ毎といった移動手段として重宝された。 運ぶ量が多いために報酬の野菜や果物、木の実といった食べ物を大量に獲得でき、まりさたちの群れはこの世の春を謳歌していた。 まりさがこの水上輸送を思いついてから1月が経った頃には、箱を前から引っ張ってゆっくりと岸を離れるまりさや、逆に後ろから引っ張ってゆっくりと減速しつつ岸へ近づくまりさを、湖のあちこちで見ることができるようになっていた。 それだけ目立つ状況こそが不運を呼んだ、後にそう語られている。 湖の近くに住む妖精の間で一時期流行っていた遊びがある。 ゆっくりを湖へ放り投げて飛距離を競うという物である。 気まぐれな妖精の間にあって比較的長続きした方に入るのだが、それでも何時しか誰もやらなくなっていたその遊び。 まったく珍しい事に、それが最近また流行り始めたのである。 形こそ少々変わっていたが、紛れも無くゆっくりを投げるあの遊びであった。 飛距離は重要であるものの競う対象とはならなくなった点を、少々と表現するかは人それぞれだが。 「ようせいだああぁーーー!」 「みんな!ゆっくりすばやくのってね!すぐにしゅっぱつするよ!」 森のほうを見ていたゆっくりれいむが悲鳴のような声を上げた直後、船着場となっている岸に集まったゆっくり達の動きが慌しくなる。 乗船客のゆっくりは慌てて白い箱に乗り込みだす。 「おさないでね!ゆっくりしてね!」 「ここはもうのれないよ!べつのにのってね!」 「れいむものせてね!ゆっくりさせてね!」 「なんて゛のせ゛て゛く゛れないの゛おお゛ぉ゛ぉ゛!!??」 あちこちでゆっくりの叫び声があがり始めた。 混乱気味なほど慌てた1匹のれいむが箱に乗り込もうと思い切り飛び上がったときに悲劇は起きた。 れいむが着地点を見極めきれず、箱の縁に直撃した結果、箱がぶおんとひっくり返ったのだ、既に乗っていたぱちゅりー種ごと。 いつぞやもあった様な光景だが、半月以上前の出来事などゆっくりの餡子脳では教訓にはできる訳が無かった。 2匹のゆっくりが水中に叩き込まれ、衝撃でバラバラになりつつ溶け出したが、周りの慌しさはそんな不幸な出来事すら気にせず進行していく。 白い箱の後ろにゆっくりまりさが2匹付き、思い切り押していく。 加速を少しでも良くしようという涙ぐましい努力だ。 結局、幸いというべきか先ほどの2匹の被害だけで残り39匹となったゆっくり達は出発できた。 出発できたからといっても、これで不幸が終わったわけではなかったが。 先ほどまでゆっくりでごった返していた岸辺には白い山が出来ていた。 妖精たちがどこかで捕獲し、持ってきたゆっくりを氷精が凍結したのだ。 「ざっとこんなもんよ!」 「チルノちゃん、ありがとう!」 「お疲れ様、チルノちゃん。」 ゆっくり十数匹を高速で凍結したチルノに、緑髪の妖精や他の妖精たちが声を掛ける。 彼女の冷気を操る程度の能力は大活躍だ。 妖精たちや特に仲の良い大妖精から言葉を掛けてもらうチルノは満更でもない様子だ。 チルノは賞賛を浴び、気分が良くなったところでゆっくりの山から凍結したゆっくりを引っ張り出す。 「アタイから投げるよ!」 「チルノちゃん!頑張ってね!」 「いきなり当てないでね!」 ゆっくりを凍結させた対価として初めに投げる権利を得たチルノは、カチコチのゆっくりれいむを持って振りかぶる。 必死の様子で遠ざかっていく水上のゆっくりまりさに狙いを付け、全力で放つ! 「ゆう゛う゛ぅっ!き゛た゛よお゛ぉっ!!」 「はやくすすんでね!はやくすすんでね!」 「ゆっく゛りし゛ないて゛ええぇぇぇ!」 箱に乗っているゆっくりが高速で飛来する白い塊を見て悲鳴を上げた。 一方狙われている事をここ数日の経験から分かっているまりさ達は、何とか移動速度を上げようと四苦八苦する。 ゆっくりれいむは白く輝く氷の結晶を彗星の尾のように残しながら湖上を飛翔、ゆっくりが乗せられた箱を必死に押しているゆっくりまりさ、その後方に着水した。 人間の子供の背丈ほどの高さがある水柱が轟音を上げてそそり立つ。 「あーっ、外れたぁ!」 餡子が欠片も混じっていないきれいな水の柱を見たチルノは、自分の投てきが外れたことを知って悔しがる。 「次は絶対当ててやるんだから!」 「次は私だね!」 チルノは大妖精に慰められながら下がり、凍ったゆっくりちぇんを持った別の妖精が出てきた。 「また゛き゛た゛よ゛お゛お゛おぉぉっ!?」 「は゛やく゛おし゛て゛え゛え゛ぇ゛ぇぇっ!」 「うし゛ろのまりさ゛はは゛らは゛らににけ゛て゛ねええぇっ!」 再び水上を飛んでくる氷塊にゆっくりは悲鳴を上げる。 「まりさはこっちにいくよ!」 「こっちがねらわれてないんだぜ!」 「おいて゛か゛ないて゛え゛え゛ぇぇ!!」 後ろで箱を押していたゆっくりまりさ達は、もう箱は十分早くなったという事で散開。 バラバラに分かれて対岸を目指し逃走を開始する。 その瞬間、不運なまりさが氷塊の餌食になった。 「け゛ひ゛ゅっ゛!?」 氷塊はまりさの体組織を粉砕するほどの威力は無かったが、表皮に穴を開ける程度の運動エネルギーは持っていた。 氷塊がまりさの後頭部に命中した瞬間、まりさの表皮が弾ける様に破れ、そこから餡子が撒き散らされる。 体中の餡子を氷の命中により凄まじくシェイクされたまりさは一瞬で意識を失った。 運動エネルギーを受けてまりさの体は勢いよく前方へ傾斜し、顔面が水面に叩きつけられた。 まりさに当たったことにより運動方向を変えられ、放物線を描いた氷塊が水面に落ちると同時に、ゆっくりまりさだった物体から茶色の液体が滲み出してきた。 岸のほうが騒がしくなる。 命中を確認した妖精達が歓声をあげているのだ。 さらに3個の氷塊が等間隔で投げられ、2個はむなしく水柱を立てるもののさらに1匹のゆっくりまりさを沈めた。 もっとも酷かったのは距離的に最後となるチルノが投げた氷塊がもたらした惨劇だった。 リヴェンジを誓う彼女が投げた剛速球は、箱の後部に命中。 発泡スチロールの脆い背面を粉砕して大穴を作った後、その背面のすぐ前方に居たゆっくりれいむの体を貫いた後に、箱の底面を叩き割って湖底へと消えていった。 雪のように小さくなった発泡スチロール片がれいむの餡子と共に他のゆっくりに降り注ぐ。 「て゛、て゛いふ゛う゛う゛ぅぅぅ!」 「みす゛か゛は゛いって゛く゛るよお゛おぉ゛ぉぉ!?」 「と゛け゛ち゛ゃう、と゛け゛ち゛ゃうよ!」 「い゛やた゛あああぁ!ゆっく゛りし゛た゛いいいぃ!!」 発泡スチロール製の箱は例え浸水しても、8匹のゆっくりを支える程度の浮力は持っていたが、浸水によりゆっくりが解けてしまっては浮いていても意味が無かった。 少しでも水の無い場所に行こうとゆっくりが醜いもみ合いを始める。 「ゆっ!そこはれいむのばしょだよ!ゆっくりどいてね!」 「れいむがどくんだみょん!」 底面のど真ん中に開いた穴からなるべく離れようとゆっくり達が動いた結果、箱の外周部分にのみ体重が掛かることになった。 穴が開いているために力を分散できず、箱のあちこちに無理な力が掛かってゆっくりとたわんでいく。 ミシミシと音がしたと思った次の瞬間に箱は真っ二つに折れた。 「ゆ゛ふ゛っ゛!!」 「み゛ょん!」 「け゛は゛っ!?」 そんな状態の箱にゆっくりが乗っていられるはずも無く、全て着水した。 「こ゛ほ゛ほ゛ほ゛ほ゛ほ゛ほ゛ほ゛っほ゛!!!!??」 「ひ゛やた゛ぁ゛ぁ!!と゛け゛た゛く゛な゛いぃ!」 「は゛か゛らは゛い゛よ゛ほ゛ほ゛ほ゛ほ゛!!」 水面に落ちたゆっくり達は暫くの間もがいていたが、すぐに1匹ずつ力尽きては周囲に中身を出しつつ沈んでいった。 ゆっくり達が妖精の射程から逃れるまでに箱3つのうち1つと12匹のゆっくりが犠牲になった。 出発した岸から目的の対岸までちょうど半分の行程に差し掛かろうというゆっくりは27匹に減っていた。 行程はまだ半分も残っていた。つまり、苦難も妖精によるものと同程度のがあと一回ある訳で… ゆっくりが仲間を失った悲しみから立ち直り、目的地をまっしぐらに目指すようになったとき、最後の苦難が始まった。 引いていた箱がバラバラになった為、手持ち無沙汰だったゆっくりまりさが急に悲鳴を上げ、「と゛け゛る゛う゛う゛ぅぅぅ…」、と言いながら沈んでいったのだ。 「は゛りさ゛っ!と゛ほ゛ち゛て゛え゛ぇ゛ぇっ゛!?」 「なに!?なんなの!?」 「わからないよー!」 「ゆっく゛りし゛た゛いよぉぉぉ!」 今までこの苦難を突破したゆっくりはいない為、何が起こったか誰も分からない。 「ゆ゛ひ゛ゅっ!いた゛いよ゛お゛ぉっ!」 箱の周囲から1匹だけ離れて進んでいたまりさが痛みを訴える。 次の瞬間、まりさの体が急速に下がっていき、帽子に水が流れ込む。 「た゛す゛け゛へ゛!ほ゛へ゛ち゛ゃうよお゛おぉぉっ゛!!」 先ほどのまりさと同じようにこのまりさも進路を湖底へと変更し、沈んでいった。 水中に意識が向いていないゆっくりには、何故まりさが沈んだか分からない。 「い゛やあ゛あ゛ぁぁぁぁ!」 「お゛う゛ち゛か゛え゛る゛うぅぅぅ!」 「れ゛い゛む゛う゛ううっ゛!」 箱を牽引していたまりさはとうとう職務を放り出し、他のまりさと一緒になって四方八方へと逃げ出し始めた。 オール代わりの枝を、漕ぐというよりメチャメチャに振り回すと言った方が妥当な動きで、操作しながら進んでいく。。 しかしその努力は実らず、まりさは1匹また1匹と悲鳴を上げながら沈んでいく。 「なんて゛まりさ゛か゛いな゛いのおお゛ぉ!」 「これし゛ゃうこ゛け゛ないよ゛おお゛ぉぉぉ!」 「た゛れか゛た゛す゛け゛て゛ね゛え゛えぇぇっ゛!」 放り出された箱はしばらくは慣性により前進していたが、水の抵抗によりすぐに速度が失われる。 あっという間に湖面を漂うだけの物体に成り下がった。 それに乗るゆっくりは流石にまりさがいなければ脱出不可能ということは分かっており、悲鳴を上げ助けを求めた。 全く無駄な行為だったが。 ゆっくり達の目的地の岸には先ほどの妖精と同じような体格の生き物が集まっていた。 先ほどと違う点を上げるとすれば、その生き物は人間の子供──少年であるという点だろうか。 少年たちの視線の先では、最後のゆっくりまりさの帽子が今まさに水面に隠れようとしていた。 帽子の先端はあっという間に水面下へ消え、僅かに出るアブクが生き物が沈んだことを示していた。 細長い銀の棒が生えた直方体を握る少年が歓声を上げる。 「やった!最後のヤツが沈んだ!」 「お、凄いな。ヨシちゃん、箱のほうも狙える?」 ヨシと呼ばれた少年に工具箱を持った少年が問いかける。 ヨシは直方体を握ったままブツブツと暗算をする。 「うーん、ちょっと分かんないなぁ。ノリ、何匹沈めたか覚えてる?」 「7匹だよ、全部ゆっくりまりさ。」 双眼鏡で湖面に浮かぶ箱のほうを見ていたノリは、ヨシが突然聞いてきた事にも慌てず答える。 それを聞いたヨシは再び暗算。 たしか10本積めて、1匹に1本使ったから…10ひく7で… 「ってことはあと三本か。正吉、かたっぽだけならやれるよ。」 「じゃー沈めちゃおうよ。」 「りょーかい。」 ヨシは直方体──何かを電波で操縦する機械のようだ──を再び操りだす。 双眼鏡を構えたノリは、その視界の中央にぼんやりとうつる水滴のような形をした物体をみては、ヨシちゃん右だ!、だとか、もうちょい左!、などと声を上げる。 草の上に座り込んだ正吉はいつの間にか取り出した単眼鏡を調節。 正吉は工具に用が無い今の状況では酷く暇だからだ。 「ヨシちゃん!真正面!今だ!」 「りょーかい!一番から三番、一斉発射!」 ノリが出した合図にあわせ、ヨシは操縦機械のボタンのうち1から3の数字が書かれたものを勢い良く押した。 湖面の上で騒ぐゆっくり達の手前で僅かに気泡が発生した。 ゆっくりれいむが“それ”に気が付いたのは全くの偶然だった。 さんざん声を上げて助けを求め、流石に疲れてきた為にうなだれるように下を向いたのが原因だ。 “それ”は水面の下を滑るように向かってきた。 「ゆっ!みんな!なにかくるよ!」 「なんなの?!たすけてくれるの?」 「ゆっくりしたいよ!」 れいむの方を向ける体勢のゆっくりが一斉にれいむの視線の先を注視する。 そこには細長い筒のような物体が3つ、横に並んでいる。 れいむ達に分かるはずも無かったが、“それ”はラジコン潜水艦から発射された魚雷だった。 “それ”はまっしぐらにれいむたちの乗る箱へと突き進んでいた。 れいむは、なんなんだろうね?、と疑問を発しようとした瞬間、轟音と共に自分の体が浮き上がった感覚をおぼえた。 ──わぁい、おそらをとん────。 水面が針山のようにささくれ立つ。 爆発により吹き飛ばされた水が無数の水滴となって落ちてきたからだ。 その針山の中に時々茶色の柱が現れる。 爆発により吹き飛ばされたゆっくりが水面と激突した衝撃で粉々になり、水と混ざりながらそれでも周りの水を押しのけ、逃げ場の無い餡子水が上空へと飛び出したからだ。 あっというまに針山は消え去り、元の静寂な水面が戻る。 最後の箱に乗っているゆっくりたちは騒ぐことすらしない。 木っ端微塵になった箱があった場所に浮いているのは、粉々の発泡スチロール片と、バラバラになったゆっくりの装飾だった。 ゆっくりが満載の箱が木っ端微塵になるのは少年の方でも確認できていた。 「うおお!バラバラになった!」 「三本も使うとすっげえな。」 あまりに派手な爆発だった為に歓声は意外にも小さな物だった。 ヨシが何かを思い出したようにノリへ聞く。 「あれって何匹乗ってた?」 「うーん、確か10匹。」 あっというまにスコアが二倍になった事を聞いたヨシは、今日は向こうの妖精に勝ったな!早く自慢してやろうぜ!、と言い操縦機械のレバーを操作する。 17匹のゆっくりを湖の藻屑と変えた物体──ラジコン潜水艦を回収するために岸へと変針させたのだ。 やがて岸にたどり着いた涙滴型潜水艦を模したそれを回収した少年達は、どこか壊れていないか工具で点検した後に岸を去っていった。 湖面には騒ぎ疲れたゆっくり10匹の乗る箱が未だに残っていた。 湖面に放置された箱が対岸に到着したのは次の日の朝だった。 朝一番に水上輸送を行う為、昨日少年達がいた岸にやってきたゆっくりまりさが漂流している箱を発見したときには、乗っているゆっくりの半数が餓死していた。 少年達が妖精にスコアを散々自慢して里に帰った。 そこまでは良かったが、火薬入りの魚雷で遊んだ事が親に発覚して大目玉を喰らった挙句、子供だけでラジコン遊びをするのは禁止された。 もっとも、暇な虐待お兄さんが休みの時には相変わらずゆっくりを沈めることができたのだが。 ゆっくりまりさの水上輸送は全盛期を迎えてから半月足らずで窮地に追い込まれた。 その後、うーぱっくの空中輸送も猟銃等であっさり撃墜されるようになってからは、里の周囲では見られなくなった。 ゆっくりが何かを思いついてもロクな事にならないのは世の摂理なのだろうか。 人様のSSの設定パクりすぎ\(^o^)/ by sdkfz251 このSSに感想を付ける
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皆さん初めまして。ここ、幻想郷では皆様ご存知でありましょう 九代目阿礼乙女、稗田阿求でございます。 お気軽にあっきゅんとでも呼んで頂ければと思います。 あ、もう皆呼んでるのね。ああそう。 朝の散歩は私の趣味だ。別に前の代の頃からではなく、 この私、阿求が見つけた健康維持法である。 別に走る必要も無い。こういうのは自分に厳しくやるよりも、 毎日続けられるような軽い運動の方が三日坊主にならなくて済む。 今日は3日ぶりの晴天。里の人間達も、しばらくぶりに全力で 仕事や勉学に勤しむ事が出来るであろう。 今日もいつも通りの散歩となって終わる筈だった。 散歩のコースである、人間の里からさほど遠くない小さめの森。 ここのひときわ大きな木を折り返し地点とし、里へ戻る。 今日は雨のせいもあってか、いつもの道ながらも、森はほんの少しだけ 違う姿を見せていた。地面はぬかるんでいたので不快ではあるが。 しかし、これはもうすっかり阿求の専用コースだ。一直線で此処まで歩き、 一直線で里へ戻る事が出来る。 そしていつも通りここで方向転換をし、人間の里へ戻る。 でも今日は雨だからこその現象を見る事が出来たのだ。 「…おや?」 近くの茂みがガサガサと動く。もしかしたら妖怪かとも思ったが、 ここは里からさほど遠くない。人に危害を加えるような者ならまず 近づく事は出来ない筈。これは妖怪と人間とで決めた約束なのだ。 しかしここで妖怪に出くわすとなると、阿求としては少々面倒であった。 丁度お腹も空いているし、挨拶だけならまだしも、何かとややこしい事に 巻き込まれたら自分としてはたまったものではない。 でも音が聴こえる場所は折り返し地点から振り返った里への帰り道だ。 まぁもし何かあったら、その時はその時で仕方が無いか。 と思っていた時であった。 ひょこっとそこから小さな生き物が飛び出してくる。動く物体は3つ。 「久しぶりのはれだね!!みんなでごはんをあつめようね!!!」 「「はーい!!!」」 飛び出てきたのは1匹のれいむと2匹の子れいむ。 子れいむ達はとても小さく、生まれてまだ間もないものと思われる。 どうやら運よく地中に巣を持つゆっくり親子達と遭遇したらしい。 おそらく長く続いた雨で食料を採りに行けなかったのだろう。 子れいむ達は親の頭にちょこんと乗っかり、まさに家族そろってご機嫌モードになっている。 まぁ確かに連日の雨からの晴れというのは気分が高揚する。実際私もそうだ。 (ゆっくり親子…か…) なんとなく昨日寺子屋の先生から大層美味しいお茶を頂いたのを思い出す。 そして阿求はもちろんゆっくり達の中身を知っていた。甘ーい餡子だ。 特に赤子のそれは成体の物とは比べ物にならない程の美味である。 ――それを食べながらお茶だなんて、我ながら良い考えだとは思った。 (でもなにより……) 善人である彼女にも変わった部分はある。 阿求自身幻想郷縁起を纏めたという偉業を成し遂げ、 里では知らぬ者など居ない程の有名人となったが、そんな阿求でも 人には言えないような趣味があった。 (殺したいっ……!) それは阿求の虐待癖。 きっかけと言えば無い事は無いが、それ以来暇を見つけてはちょっかいとも 言えぬちょっかいを出していた。どんどんエスカレートしていく事に 自分も嫌な気持ちになり、ぱったりと止める時もあるのだが、 まるで煙草や酒のように体から抜ける事は無く、今や誰にもいえぬ 趣味となってしまった。 勿論今も非常にムラムラしている。この何とも言い難い感情は、 今の自分の里からの立場というダムに押さえ込まれている。 ――だがこれはあまりにも平和な 笑顔を浮かべたゆっくり親子のせいで、その感情を抑えたダムは あっけなく決壊した。 (決めた!殺す!それで食べよう!) ちなみに今の阿求は妖怪並みの"気"をかもし出している。 某門番に出くわせば即座に襲われそうな、 現代社会であれば即座に職務質問されるような、そんな感じ。 阿求はしばらく様子を見ていた。 バレたらその場で適当に誤魔化して一時逃げるつもりでいたが、そもそもゆっくりは 一つの目的に突っ走って行くような生き物なので、特にバレるような 心配は無く、とにかく背後に一定距離を置いていれば何とも無かった。 食料を採るという隙を突いて捕まえる。これが第一の目標だ。 地面に生えた雑草をもしゃもしゃとほお張るゆっくり達を背後から近づく。 チャンスは一度だが、一度でも十分なくらい阿求は立派な虐殺者だった。 「おおおおおおっっっっ!!!!」 「ゆゆゆぅっ!?」 とんでもない雄叫びを上げながら、ハンター顔負けのスピードで ゆっくり達に近づき、締め上げ、気絶させる。昔は力を加えすぎて殺してしまった 時もあったけど、もうすっかり手つきも慣れてしまった。 「うふ…うふふふふっ……!」 捕まえたッ!これで今日のおやつは確定したッ! のしのしと鼻息荒くそのまま家へ直行。 両手に親子を抱えながら自分の家へ部屋へと向かう阿求を当然誰も止める筈は無い。 表面を見れば"気絶していたゆっくり親子を助けた"だけに過ぎないから。 だから阿求は世間一般から見て良識人なのだ。実際良識人だし、 誰もこれを疑わない。これは阿求からすれば非常に都合が良い。 「…さて」 自分の部屋へと到着した阿求は、部屋の一番奥の畳を持ち上げた。 そこにははしごがあり、地下室へと繋がっている。 これは昔の代から既にあった地下室だが、阿求はここで いわゆる"虐待"を行っていた。 「よっこらしょっと」 久しぶりの地下というのは空気が悪いものだ。思わず咳き込んでしまうが、 それもすぐに治まる。 「みなさーん、起きて下さーい」 ゆっくり達の頬をぺちぺち叩く。 「ゆっ……ここはどこ…?」 割とすぐに起きた3匹は辺りを見渡す。だが周りは薄暗くて狭くて硬い。 「初めまして。後おはようございます。稗田阿求です。どうぞよろしく」 軽く自己紹介。もちろんギャグのつもりで。 「ゆゆっ!?れいむたちをこんなところにつれてきてどうするつもりなの?」 「連れて来てだなんてそんな言い方無いですよ。連れて来て上げたんです。」 我ながら意味不明。 「ゆぅ、おなかちゅいたよぉ」 「ごはん、ごはんー」 そして母れいむと私の声に誘発してうるさく子れいむが騒ぎ出す。 「あぁ、すいません。食料探しの途中だったんですね」 髪を指でくるくる巻きながら笑顔で続ける。 「まぁご飯探しも結構ですが、その前にお姉さんとお遊びしませんか?」 「お遊び?」 親持ちの子れいむは大抵外の世界を知らない。生き物であれば まず当たり前の事だ。 「だめだよみんな!かとうなにんげんのおあそびなんてしちゃだめだよ!!」 まぁ流石に親となれば外の世界くらいは知っているか。 「うーん。ここは中々ゆっくり出来る場所なんですがねぇ?少しくらい付き合ってくれても 良いじゃないですか。まぁとにかく何が何でもゆっくりしていって頂きますね。よっこらしょ」 「ゆー!いたいいたいいたい!!!ゆっくりはなしてね!!!」 子は片手で優しく。親は髪の毛を引っ張りながらもう片方の手で強引に奥に連れ込んだ。 「はい、この暑い夏の日にこの冷たーい鉄板の上は気持ちいいでしょう?」 阿求が連れ込んだ場所は大きな鉄板の上。阿求の言うとおりここの上は 非常に冷たい。実は去年はこっそりここで涼んでいたりしていた。 「ゆー!ゆっくりきもちいいー!!」 「「ゆっくりゆっくり!!!」」 親子共々喜んでいるご様子。あぁまさに絵に描いたような光景! 「さてさて、喜んでいただけて何よりです。…それじゃあせっかくなのでこれもどうぞ……っと」 「ゆゆ!?」 阿求はゆっくりの意見も聞かずに、鉄板から乗り上げて親を持ち上げて鉄板から降ろし、 隅から持ち出した金網を鉄板の四隅に取り付けて、 いわゆる牢屋の様な状態のものを作った。 子2匹と親を引き離す。 「ゆー?」 「わーい!おもしろいおもしろーい!」 「うふふ、面白いでしょう?」 やっぱり子供って可愛いなぁ。これから起こる事も知らずに。 「ゆ!これじゃあこどもたちがでられないよ!はやくだしてあげてね!!!」 「まぁまぁ。皆さんお腹が空いているんでしょう?お楽しみはこれからですから」 そう言いながら鉄板の下に阿求が潜る。皆さんならお気づきであろう、火を点けるのだ。 「ゆっ?なにをするの?」 「ご飯を作ってあげるんですよ。あなたに」 「それってどういうこと?」 流石ゆっくりだけに頭の回転もゆっくりだった。 「まぁ見てれば分かります」 今の阿求の顔はまさにLを殺した瞬間のライトの顔だ。 「とりあえずお茶でも飲みながら待ちましょうか。…あ、ここは地下だからお茶は 淹れられませんね。ごめんなさい」 そして5分が経った頃。 「ゆ……」 「?!どうしたのみんな!!」 いきなりの子のぐったりした声に母れいむも驚く。 「ゆぎぃぃぃぃぃぃっ!!!あぢゅいよぉぉぉぉぉぉっ!!!」 そしてもう一匹の方が叫び声を上げながら鉄板の上を ごろごろと転がり始めた。転がった部分と子れいむの体からは 白煙があがっていた。 「ゆゆぅぅぅぅ!!!れいむのこどもがぁぁぁぁぁ!!」 親れいむがすかさず鉄板の前に近寄る。だが周りはとても高温で、 近づく事が出来ない。 「ゆぎゅうううううう!たぢゅげでぇぇぇぇぇ!!!」 子れいむは小さなゆっくり種とは思えないスピードで鉄板をのた打ち回っている。 「どうしよう!!!はやくこどもたちをたすけてあげてね!!!」 必死に阿求に救助を呼びかける母ゆっくり。 「いやいや、まだまだ食べごろじゃあないですね。もう少し待ってくださいな」 阿求はもうすっかりニヤニヤ顔だ。 「ゆぅぅぅぅぅ!れいむのこどもはたべものじゃないのぉぉぉぉ!はやく たすけてあげてね!!おねがいぃぃぃぃぃ!!!」 「それじゃあ貴方が行けばいいじゃないですか」 「ゆゆぅ!あつくてちかづけないの!おねがい!!こどもたちをたすけて!!!」 「助けて、って言われても…ねぇ?」 「ゆぎゅぃぃぃぃぃっ!!あぢゅいあぢゅいあぢゅいぃぃぃぃぃっ!!!!」 阿求は子れいむ達に語りかけるも、子れいむ達はそれ所ではない。 なにせ何処へ行っても体が焼けるように熱いのだ。しかも丁度良く焼けてきた 頃合か、いい匂いが部屋中に漂ってくる。 「ゆゆぅぅぅ!どうすればいいのぉぉぉぉぉ!!!?」 あたふたと落ち着かない母れいむ。 「うーん、これじゃあコゲちゃいますねぇ。流石にそれだとマズイので、ちょっと 取りに行ってきてください」 母れいむを片手に、上へ放り投げ込む。母れいむは 天井をバウンドし、阿求の思惑通り鉄板の中へナイスシュートをかます事が出来た。 「ゆぅぅぅぅぅぅぅ!なにごれあづいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」 案の定母れいむも鉄板を踊る。そして一方一匹の子れいむはぐったりとしていた。 「ゆ…ゆぅぅ……」 子れいむから上がる白煙はやがて黒煙へと変わり、ぶすぶすと鼻を突く様な 刺激のある煙を出していた。体は顔を残して真っ黒だ。 「ゆぅぅ!だいじょうぶ!?」 「ゆ…ぎ………」 母の声に応え、そちらに振り向く。が、そこで力尽きてしまった。 その場で倒れこみ、唯一あまり焼けていなかった顔はジュウという肉を焼いている様な音と共に 他の部分からは一歩遅れて焼かれ始めた。 だが他の体の部分はすっかり炭化して真っ黒で、ぷちぷちと表面は泡を出している。 「ゆぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!れいむのこどもがぁぁぁぁぁっ!!!」 熱さに耐えられない母れいむは子れいむを助ける事もままならず、子の死を 間近で見ながら順調に体を焼かれていった。もう片方の子れいむはいまだに転がり回っていたが、 体はもうすっかりこんがりと焼きあがっている。人間であれば大火傷の状態と考えて 頂ければ差し支えなかった。 「ゆぅ……ゆぅ…」 子れいむは涙目で息も絶え絶えに、死んでたまるまいと必死に最後の余力で 暴れまわっている。 「あれ?一匹は死んじゃいましたけど大丈夫ですかー?一応火は先ほどから 止めてあるんですけど。流石に全員コゲちゃうのはアレなので」 「ゆぅぅ!このおに!あくまー!」 「うーん、中々滑稽ですよ。そのまま続けて下さい。」 阿求はもう大興奮モードだ。自分で殺せないのは何ともたまらない辛抱だが、 何時もは聴けない悲鳴に阿求の心は躍っていた。 「ゆ"ぅ…あづ…い"……」 「お子さんはもう限界ですか?じゃあ出してあげましょうか?」 「ゆぅ!?だしてくれるの!?」 「あ、貴方はダメです」 阿求はまだ熱を発する鉄板を物ともせずに近づき、流石に鉄板を素で 触るのは危険なので手に布を巻き、鉄板を取り外す。 「はい、お疲れ様でした」 親れいむはそのまま。子れいむだけ救助して、後は鉄板を元通りにした。 「ゆ……ぎゅぅ……」 だいぶ衰弱している。これはいい感じかもしれない。 とりあえず素手では触れない程に熱い子れいむを傍の台に置く。 そして取り出した包丁で子れいむをお腹から真っ二つに切り裂いた。 「ゅ…きゅう……」 外はサクサク――これは焼きすぎだからだが――だが中身はホクホクの餡子だった。 「わお、いい香りと湯気。なるほど、これが子れいむさんの餡子ですか。」 ぱっくりときれいな割れた子れいむの中はぎっしりと詰まった餡子。 これはいわゆる包み焼きのような物で、マニアな人間と妖怪に人気がある。 どういう事か普通に温めるよりも、こちらの方法で温めた方が餡子の 風味が違うとか。特に子の物は舌がとろけるとの事だ。 「あ、お母さんは召し上がります?とっても美味しいらしいですよ?」 「…ゆ……れいむの……こどもが……」 「あら、ショックで落ち込んじゃいました?それともまだ熱いですか?」 「………ゅ…………」 ~昼の稗田家~ あれっきり母れいむは動かなくなってしまった。 阿求としては存分に楽しめてゾクゾクしたので満足だが。 しかもあの後にお茶と一緒に食べた餡子はこれがまた絶品で、 阿求としては忘れられない味となった。 そして時は流れる。 「あら、博麗の巫女様。わざわざこんな所まで来てくだって。お疲れ様です」 「まぁね。だって明後日はお祭りなんだもの。冥界に客をもって行かれたらたまったもんじゃないわ」 あはは、と苦笑いする阿求。 「それにね、最近…いや、何時もの事なんだけど…。やっぱりお賽銭が…ねぇ?」 「お察しします。…まぁお賽銭はその神社の信仰量と大体等しいですから大事ですよ? お祭りの成功を願ってます」 後はしばらくの間世間話とも言えぬ会話を交わす。 巫女はついでに道行く人達にひたすらにお祭りの宣伝を行っていた。 「…ねぇ、今度の幻想郷縁起、博麗神社での行事の不参加は死と直結する、って 書いてくれないかしらね?」 「怖くて誰も近寄りませんね。まぁ出来ない事も無いですけど、その代わり 何百年後なんでしょうか。次の幻想郷縁起は」 「…はぁ。先は長いわね。ていうかどんな災厄が降りかかっても知らないわよ。信仰が無いと どうも出来ないんだから。」 「そうですねぇ、何か美味しいものでも神社の名物にするとか。そうすれば人も集まりますよ。」 あとがき お疲れ様でした。3個目です。阿求ネタは初めてです。 所々不自然と感じた方も多いだろうと存じますが、 実は虐殺シーン以外の描写がとてつもなく長くなってしまい、本当に 要らない部分をカットさせて頂きました為に、このような結果となってしまいました。 この癖は中々直せずに悪戦苦闘しております…ううむ。
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庭に生えてる木に籠を吊るしてその中に切ったみかんを入れておく 昔聞いた野鳥の観察の仕方だが、正直うろ覚えでちゃんとあってるのかが分からないので試してみる事にした。 日が沈んでから100均で買ってきた籠を木に吊るし、みかんを入れる。 これで朝になればスズメやらウグイスやらが来る…筈である。 正直うろ覚えの知識なんて当てにならんし、1週間試して来なかったら止めてしまおう。 鳥が来ることを祈りながら、今日は床に着いた。 朝起きて庭に出て成果を確認する。 結論を言うと、一応来てはくれた。 だけど、それは野鳥何かではなく近頃現れ始めたうーぱっくであった。 捕食種のれみりゃと鳴き声は似てるものの、れいむやまりさ等と友好関係を築いているゆっくりだ。 こいつはダンボールの体の中にゆっくりを入れて飛んで運ぶことができ、その為ゆっくり達に侵入されないように畑を囲んでいる柵が最近では意味を成さなくなっている。 一応こいつも物を食うのだから籠の中のみかんを食うのは不思議ではない。 しかし、俺はこいつを呼びたくて準備したわけではないのだ。 籠に顔を突っ込んで「う~っう~」言ってるこいつをどうしてやろうか考えていると、うーぱっくが不意にこちらを見た。 口から涎の如く果汁を垂らしフラフラ俺の周りに飛んできたうーぱっく。 どうやらもっとくれと言っているようだ。ダンボールの癖に生意気な。 俺は家の中へ入り、台所の戸棚を開けて封は開いているが全然使っていないポップコーンの種を取り出す。フライパンで炙ると弾けるあれだ。 再び玄関へ行くと、うーぱっくが瞳を輝かせて待っていた。俺が家の中にみかんを取りに行ったと思ったのだろう。 そんな事あるわけがない。 うーぱっくを取り押さえて肘と膝で固定して逃がさないようにする。「うっう~!!」暴れてうるさいが我慢しよう。 ゆっくり達の乗る場所、うーぱっくのダンボールの中へポップコーンの種を全て入れ終えたら解放してやる。 うーぱっくは俺に解放されるとすぐに高く飛び上がった。きっともう俺の事を信用する事はないだろう。 だが、関係ない。 うーぱっくが飛び上がると、何匹かの鳩がうーぱっくの中へ入っていった。 やわらかい饅頭であるゆっくり以外と野菜くらいしか入れた事のないうーぱっくにとって、刺さる鳥の足は苦痛だろう。空でフラフラしている。 次第にうーぱっくは「う~~~~~~~~~~~!!!!」と、叫び声をあげ出した。鳩がうーぱっくの体を啄ばみ始めたのだ。 正確には、俺が入れたポップコーンの種だが。 鳥のクチバシというのは中々固い。そして鳩に餌をやった事のある人なら分かるだろうが、鳩は餌を載せている手の平ごと啄ばむ。 うーぱっくのダンボールの体の中はもうボロボロだろう。 そして、うーぱっくは体が大きすぎたのも不幸だった。 最初は数羽だった鳩が、どんどん集まり出している。 刺さる足、啄ばんでくるクチバシ、餌のポップコーンの種がなくなれば鳩もいなくなるだろうが、ほぼ一袋丸々入れたのだ。まだまだ無くなるまい。 「みて!! うーぱっくがとりさんにいじめられてるよ!!」 「うーぱっくおりてきてね!!」 「むきゅ、みんなでうーぱっくをまもるのよ!!」 「いなかもののとりたちはうーぱっくをいじめたらだめよ!!」 見上げてうーぱっくを観察していた俺の耳に、そんな声が聴こえてきた。 周囲を見渡すと、中々でかいゆっくりれいむとまりさ。それにありすとゆちゅりーがいた。仲良し4匹組みと言った所か。 うーぱっくはそのゆっくり達の声のする方へ降りていった。 最初は「ゆっくりやめてね!!」だの声をあげたが、鳩は啄ばむのをやめない。 傷ついていくうーぱっくを見て焦ったのだろう。とうとう鳩に体当たりを仕掛けた。 けれど、ゆっくりは所詮饅頭だ。 邪魔されて不快に思った鳩たちはゆっくりも啄ばみ始める。 「いだいよ!! はどざんやべでええええええええ!!」と叫び声をあげるゆっくり達。 しかし鳩は止めない。最初にゆちゅりーが皮を突き破られてしまった。他のゆっくりよりも皮が薄いゆちゅりーだから仕方がない。 「むきゅむきゅ」言いながら逃げ出そうとしたが、飛ぶことのできる鳩から逃げることはできずゆちゅりーは食われていなくなった。 残された三匹はゆちゅりーが食われたのを見て自分の末路を知ると、「いやだよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」といいながらバラバラに逃げ出した。 もう、うーぱっく何て関係ない。大切なのは自分の命だ。 だけど逃げれるわけもなく、鳩にどんどん啄ばまれていく己の体。 ゆっくり達の体は食べられてなくなり、後に残ったのは髪飾りと帽子だけ。 ゆっくりを食べ終えた鳩たちはどこかへ飛んでいってしまった。 そして忘れていたうーぱっくを俺は思い出す。 うーぱっくを見るとまだ生きており、「う-…」と呻き声をあげている。 上からダンボールの中を覗くと、入れたポップコーンの種は全て無くなっていた。鳩たちが全部食べたのだろう。 だが、うーぱっくのダンボールの体は鳩に啄ばまれた事によって所々穴が開いている。もう飛ぶこともできないだろうし、先は長くないだろう。 俺は家の中にもう一度入って仏壇からマッチを取ってくる。苦しまずに逝かせてやろう。 マッチを擦り火を点けて、うーぱっくの体の中に入れる。 ダンボールの体に火はどんどん広がりだす。どこにそんな元気があったのか、目を見開き、羽をバタバタ動かして自ら空気を送り込んでいる。 そんなに早く楽になりたかったのか… やがてうーぱっくは灰になり、風に吹かれて飛んでいった。 死んでまで飛べるのだからあのうーぱっくは幸せなのだろう。 この後俺は近所のおばさんに「鳩に餌をやらないでくださいよ」と怒られた… 野鳩に餌をやると糞をするので餌をやらないようにしよう!! こんな駄文を最後まで読んでいただき真にありがとうございます!!本当にお目汚し失礼!! うーぱっくssを読んでいたら自分も書きたくなったので書いてみました。結果は相変わらずの駄文ですがorz 個人的にうーぱっくは叫び声を書くのが難しく、自分の中では色々物足りないものがあります。精進せねば… 感想フォームで『ますますきめぇ丸のことが好きになりました』と書いてくださった方、本当にありがとうございます!! もう自分の中でのきめぇ丸はゆっくりではなく人間に近い何かになりだしています… 書いた作品 ゆっくりいじめ系352 虐められるゆっくり ゆっくりいじめ系382 ある馬鹿なゆっくりの話 ゆっくりいじめ系394 きめぇ丸 ゆっくりいじめ系421 めーりんとこうりん ゆっくりいじめ系488 ゆっくり飼ってます ゆっくりいじめ系497 携帯でチマチマ書いてみた ゆっくりいじめ系571 みんなで食べよう ゆっくりいじめ系572 きめぇ丸その後 ゆっくりいじめ系596 ゆこまち 幽香×ゆっくり系9 ある馬鹿なゆっくりの話2 ゆっくりいじめ小ネタ125 虫眼鏡 ゆっくりいじめ小ネタ128 ゆっくりが大好きだ!! ゆっくりいじめ小ネタ140 ガラス fuku2051 このSSに感想を付ける
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ゆっくり飛行隊「峡谷封鎖作戦」 俺設定のゆっくりが出てきます ゆっくり飛行隊からの続きです 「れみ☆りゃ☆う~☆」 「うー♪うー♪」 れみりゃとうーぱっくが体をくねらせて踊っていた 「う~えれがんとなおどりなんだど~」 「れみりゃたちのえれがんとなこーまかんはばかなにんげんにはきづかれないんだど~☆」 大きな川が下に流れる峡谷の谷側に大きく削れた棚の様な場所があった かなり広く、そこには枯草やら何やらでドーム状に巣を作ったれみりゃとうーぱっくのコロニーが点在していた 一つの大きな巣だと思ってよく見てみると小さなドーム状の巣が密集している 谷の断崖にそってできた溝のような「棚」そこに300匹近くのれみりゃがひしめいていた うーぱっくも含めると優に500は超えるであろう大集団である 比較的、街に近く、山から街へゆっくりが逃げ出した今となってはこのコロニーを拠点に 街や、街の郊外まで飛んで行ってゆっくりを捕まえていた 通常、家族単位でしか群れを作らないれみりゃがこのような大集団を形成するのはかなり珍しい それほどこの断崖絶壁の峡谷が天然の要塞となって他の捕食者かられみりゃを守っているという証明である 昨日から雨が降りだしており、峡谷の棚に作られた数々の巣の中や外にれみりゃたちが思い思いゆっくりしていた そこに変なうーぱっくが飛来する 「うー?うー!うー!」 「なんだど~?かわったうーぱっくがいるど~?」 傘をさしてうーぱっくと共に身を乗り出してそれを見る体つきれみりゃ 気がつけばその棚にいるすべてのれみりゃやうーぱっくが同じように眺めていた 「きっときりでよくみえないからかえれなんだど~☆れみりゃたちののうさつ☆だんすでゆうどうしてやるんだど~」 自身の味方だと思ったのか大小様々なうーぱっくやれみりゃが声をあげ、からだをグネグネと動かしだす 遠目から見ればビッチリと詰まった渓谷の割れ目に何かがう蠢いている様に見えた そのダンスに気づいたのか、うーぱっくがこちらに向かって飛んできたように見えた 雨と、それに伴う霧でよく見えないが確かに「オレンジ色の光」をチカチカと出してこちらへ向かってきた その瞬間コロニーの端にいた、れみりゃとうーぱっく20匹近くがバラバラになって峡谷へ吹っ飛んで行った 「う"あ"あ"あ"あ"あ"!!なにずるんだどおおおおお!!!???ぞれはれみりゃどうーばっぐだどおおおおおおお!!!」 一斉に大声でわめきながら枯草で作った巣に隠れるれみりゃとうーぱっく、全員がそれぞれ恐る恐る巣の入り口からそのうーぱっくの動向を探っていた 「ざぐやああああ!!!だずげでええええええ!!!」 逃げ遅れ、錯乱状態にあった子れみりゃが雨が降っているにもかかわらずに棚の外へ飛び立った、その瞬間雨が容赦なく降り注ぐ 「ぎゃあああああ!!??おじでいぐどおおおおお!!??」 水滴のあたる勢いでどれだけ羽ばたこうとも高度を上げられない子れみりゃ、はたから見ればゆっくりと降下している様に見える ブーンと言う音を出しながら飛んでくるうーぱっく、オレンジ色の光をまたチカチカと出したかと思うと子れみりゃに何かが当たった 「ぶぎゃあああっ!?」 子れみりゃは一瞬で木っ端微塵に破裂した、そのまま残骸が川の方に落ちていく 「れびりゃのあがぢゃんがあああああああああ!!!!」 親であったと思われるれみりゃが巣から飛び出して叫ぶ、それを聞きつけたかのようにうーぱっくがこちらに不快な音を出して近付いてくる 「ぐるなああああ!!??ざぐやあああ!!ざぐやああ…ざ…!ぶぅおええ!!」 その場にへたり込んで泣き叫ぶれみりゃに容赦なく降り注ぐオレンジ色の何か、飛び出したれみりゃはバラバラになって飛散した 同じように逃げ置くれてへたり込んでいるれみりゃやうーぱっくに次々とオレンジ色の光が放たれる 「う"あ"あ"あ"あ"あ"!!??いだいどおおおおお!!」 「ぶぎょ!!」 「だづげでぇぇ・・・ぶ!!」 一瞬でバラバラになるもの、体の半分がけし飛ぶもの、体のあちこちが吹き飛ぶもの 逃げ遅れたれみりゃ達は半数が物言わぬ肉まんに、半数が大けがを負ったものとわかれて峡谷の棚に転がった 外に出ては命がない――― 全ての棚のれみりゃ達は巣の中に入って息をひそめた、ブーンと音が近づくたびに霧で見えない恐怖で恐れおののく そのうーぱっく暫く飛んでいると引き返していった 恐る恐る巣から出てくるれみりゃたち 「いだいどおおおおお!!れびりゃのあじがあああああ!!!」 「う"う"う"う"う"!!!」 「れびりゃのあがじゃんがあああああああ!!!」 「みゃんまあああああああ!!!!のぼっでぎでえええええええ!!!」 「おでがいでずうううう!!!ぜめでずのながにいれでぐだざいいいいいいい!!」 「こんなぼろくずはえれがんとじゃないんだど~☆こーまかんにはいるしかくはないんだど~」 「そうだど~☆そこでそうしてるといいど~☆ 「ぞんなああああああああ!!!」 逃げ遅れたれみりゃ達、動けないれみりゃたちを尻目に、体を寄せ合い無事を確認する 哀れ逃げ遅れたれみりゃとうーぱっく達は巣にも入れてもらえないまま横雨が時折入る巣の外にそのままにされたのであった 「ここはもうあぶないど~…あめがやんだらどこかへひなんするど~」 群れ全体がここを危険だと判断したのか、雨が止むのまで息をひそめて待つ事にしたれみりゃ 雨は一向に上がる気配もなく降り続いている・・・ 「どうだった?」 「れみりゃとうーぱっくの群れは峡谷の棚みたいになった所に集団で営巣してるみたいだ」 加工所の職員に聞かれてそう答える体つきまりさ、先ほど峡谷にP-⑨Aで強硬偵察に出ていたのはこのまりさである まりさは続けて報告を続ける 「一番端のところに攻撃を加えたら全部巣に引っ込んだ、多分雨が止んだらどこかへ一時的に非難するんじゃないだろうか」 「と言ってもこの雨はあと3日は続くぞ、しかもあんな群れを全部退治しなきゃいけないなんてなぁ・・・」 職員は頭を抱えてため息をつく、街に下りてくるゆっくりの数が極端に増え、それに伴い、れみりゃやうーぱっくの数も増え、街はその被害に悩んでいた 人間では容易に立ち入れない峡谷の断崖に巣を作った大規模なれみりゃとうーぱっくの群れ、それの対応に選ばれたのがゆっくり飛行隊であった 「…昨日から雨が降っていたとしてれみりゃは何日持つんだろう?」 「どういう事だ?」 「このまま雨が降れば、あの群れはじきに全滅するぜ」 立て続けにまりさが喋る 「仮に昨日から群れが狩りをしてないと考えた上で、昨日から数えて四日間何も食わずに過ごさなきゃならない、捕食種は生きたゆっくりしか食べない、あの峡谷から考えて貯蔵した食料なんて無いんだろう」 それを聞いた職員は何かを閃いた様にまりさに向かって言い放った 「そうか!このまま雨が降り続ければ群れは餓えて…」 「しかし、実際上の方は三日も待ってくれないよ…捕食種は大体二日食わなきゃ餓死する…雨が止んだのを見て確認を取りに行くんじゃ間に合わない」 「じゃあ、どうするんだよ?」 「定期的に飛び回って巣から出たら攻撃を加えるんだ、谷に釘付けにして、一か所に集める」 「それから?」 「朝を待って巣に攻撃をかける、明るい時の方が確認が取れるしな」 「いい考えだな、やってみよう」 「れみりゃは夜行性だ、そう…夜間は1時間に一回、昼間は三時間に一回位飛びまわれば十分だろう」 「わかった」 「夜まであと3時間…」 こうして持久戦に持ち込む方向が取られた、早速夜間は1時間置きに昼間は三時間置きで15匹交替で峡谷を飛び回る用意が取られる プロペラの音が遠ざかっていく 雨は勢いを残したまま未だ降り続いている… 「う~・・・」 「おなかすいたど~・・・」 巣かられみりゃとうーぱっくの群れが出ていた 一様に空腹を口にするれみりゃたち、うーぱっくも力なく翼を動かして空腹である事を示していた 「まんまぁ~おなかすいたど~あまあまかぷっでぃ~んがたべたいど~」 「…がまんしてほしいど~あめがやんだらまちまでゆっくりをつかまえにいくど~」 「いやだどおおおおおお!!いまずぐあまあまがたべたいどおおおおお!」 「おながずいだあああああああ!!」 口々に喚く子れみりゃを宥めるれみりゃ、その途端他のれみりゃの悲鳴が聞こえた 「「ぶぎゃああああ!!!」」 周りの様子をうかがうれみりゃとうーぱっく達 枯草で作った巣が一部吹き飛び、体に火がついた体つきれみりゃとその子と思われるれみりゃがのと打ち回っていた 「あづいどおおおおおおお!!!!だれがひをげじでぼじいどおおおおおおお!!!」 「うぎゃああ!!!ざぐやああああああ!!だずげでええええええええ!!」 「う"~!!!う"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」 そのれみりゃたちはこらえきれず外に飛び出して峡谷の川へと落ちて行った 「「ざぐやあああああああああああああああ!!!!」」 霧の中に声と一緒に吸い込まれていった… またブーンというあの音が聞こえてきた、あのうーぱっくだ!光ってる!今度は3匹もいる! 一斉に巣の中へ避難するれみりゃとうーぱっく達 声を殺して巣の中に潜む、30分間そのうーぱっくは飛びまわってどこかへ行ってしまった 恐る恐る巣から出てくるれみりゃ達、その瞬間地面がバチバチと弾けた 「「うわああああああああ!!??」」 巣に急いで戻るれみりゃ達外を見るとまたあのうーぱっくがいた、また三匹も――― 「どーじでうーばっぐがまだいるんだどおおおおおおおお!!??」 峡谷にれみりゃ達の声が響き渡った 「しまった、さっき帰って行った11番機が巣をちょっと飛ばしちまったみたいだ」 「注意してくれ、巣に入れば安全っていう思考だけは残すんだ」 「後は近くを飛んで威嚇するんだ」 「了解」 この作戦の発案者であるまりさが僚機を2機引き連れて霧の立ち込める峡谷に機体を下降させていく 断崖近くをできる限り飛び回る、側面を見ると巣の中に籠っているれみりゃが一瞬見えた 遮るように通信が入る 「まりさ、そろそろ交代だ、引き上げるぞ」 「もう日没か・・・」 すでに低く垂れこめる雲が見えなくなるくらいあたりは暗くなっていた、 …夜になってもそのうーぱっくは空を飛び続けていた すでに一日半以上何も口にしていないれみりゃとうーぱっくの群れ 捕食種とその亜種は大体で2日、物を食べないと餓死してしまう 口に入れば草だろうと木切れだろうと何でもいいのだが、群れを作って狩りをしているこの捕食種の群れは不運な事にそこまで食糧事情に逼迫するような事はなかったのだ まりさの目論見通り食料の貯蔵、つまりゆっくりを生かしたまま巣にもって帰るという事をしていない おまけに地肌が見える断崖に巣を作っている、食べられそうなものは巣を構成している枯草ぐらいなものだが、巣に入っている限り安全なんので口にはできない すでに雨が降り出したから昨日の朝から何も食べていない、 空腹のリミットまであと12時間、長い夜が始まった… すでにあたりは漆黒に包まれた、雨の降る音とブーンと飛びまわる「うーぱっく」の声しか聞こえない 「う~☆しずかにしてるならでてもきづかれないんだど~☆」 「はやくうんうんをすませるんだど~」 「わかったど~」 「う~♪う~♪」 50匹近くのれみりゃとうーぱっくが巣から出てきて谷の棚の端に集まって外に向かって排泄を開始した 押し合いへしあいをしながら端に行く様子を発見したまりさは機体を翻して集まった部分に機首を向けた 照準に入った瞬間にトリガーを引くまりさ、スティックやレバーを巧みに使って平行に機体を移動させながら掃射していく バババッという音が響き渡る、確認できぬまま、まりさはスティックを引いて一旦反転した 「ざぐやああああ!!ぶぎゅっ!」 「うああああああああ!!??」 「「みづがっだんだどおおおおおおお!!」」 「どぐんだどおおおおおおお!!」 「おぢるどおおおおおおおお!!うああああああ!!」 一瞬で半数以上が物言わぬ肉まんとなって吹き飛んだ パニックになった一団は断崖絶壁の端で押し合いをしながら巣にもどっていく さらに数十が雨が降りしきる漆黒の峡谷へと真っ逆さまに落ちて行った 再び巣の中から出られなくなった群れ、あちこちでうんうんやしーしーを始めてしまい巣の中は異臭で満ち満ちていた 「ぐざいどおおおおおお!!しーしーをれみりゃにかげるなどおおおおお!!」 「うううう!!」 「れびりゃのぶりぢーながおがああああああ!!」 すでに巣の中では喧嘩等のトラブルが続出していた、しかし誰も決して巣から外に出る事はなかった 数時間はそんな事で殺気立っていた群れだったが夜明け前近くになると、殆どが大人しくじっとしていた できる限り体力を温存しようとしたからだ 夜が明ける、雲が割れて朝日が差し込んでいる、雨は霧雨程度になっていた、外には昨晩逃げ遅れて置き去りにされたれみりゃやうーぱっくがブヨブヨの何かになって転がっていた 横雨を受け続けたせいで、ふやけてしまったのだ 朝が来てもまだ静かに巣の中に潜んでいるれみりゃとうーぱっくの群れ すでに昨夜のトラブルで潰れた個体と体力の無い子れみりゃや子うーぱっくの半数以上が息絶えており 500を超える群れはすでに半分以下に数を減らしていた またうーぱっくがやってきた、今度は数が少ない、1つのシルエットが朝焼けを受けて光っていた 翼の下に丸い何かをつけて――― 「こちら13番機まりさ、これより巣に攻撃を加える」 そうレシーバーに向かって言うと、アビオニクスを操作して翼下のロケット弾に兵装を切り替えた 丸い照準がヘッドアップディスプレイ越しに表示される、その先には枯草のドームがあった 群れを作らなきゃ人間には見向きもされなかったのに… 「運が無かったな…」 そう呟きトリガーの引き金を引いた 煙と轟音をまき散らしながら、無誘導のロケット弾が片翼から7発づつ、計14発は巣をめがけて一直線に飛んでいった… ロケット弾が直撃した巣の中は、地獄の様相を呈していた 「うああああああ!!!あづいどおおおお!!あづいどおおおおお!!」 「ぶぎゅあああああああああ!!!ぶぐにひがうづっだどおおおおおおおお!!」 「だれがぼうじのひをげじでほじいどおおおおおお!!」 「ざぐやああああ!!!」 「ううううううう!!!」 爆風で苦しまずに吹っ飛んだれみりゃやうーぱっくはまだ幸せな方だった 枯草が原料の巣はぼうぼうと燃え上がり、れみりゃの帽子やうーぱっくの体に火がついて一瞬で火だるまになった 中の肉まんのあんの部分が燃えない限り死ぬ事はない ましてや雨が降って湿気が高くなった峡谷は、皮は燃えても芯まで火は中々通らなかった 「「あづいどおおおおおおお!!!」」」 崩落した巣を飛び出して散り散りに走り回るれみりゃと転げ回るうーぱっく、その大半がそのまま崖から転がり落ちて霧の彼方に消えていった 残りの半数はそのまま燃えて炭化してしまった こうして街のゆっくり被害の元凶であるれみりゃとうーぱっくの群れは見事に退治されたのである 風が吹きすさぶ峡谷の棚に二匹の体つきゆっくりが降り立っていた 「あ~ダメだ…完全に巣が燃えちゃってる」 「まだ煙を出してるれみりゃっぽいのがあるぞ」 二匹のまりさは、巣だった残骸の枯草の燃えカスや燃えた帽子の切れ端などを手に持って話し込んでいた ふと、一方のまりさが下に覗き込む川を見てつぶやいた 「落ちて行って助かったやつはいるのかな? 「まぁ、下は深いし流れも早い川だ、いくられみりゃでも助からんよ」 「こいつら森に散在してた方がゆっくりが散らずに捕まえやすいって何で気づかなかったんだろうか」 「無い知恵絞って考え出したんだろう」 「もしかしたら生き残ってるのいるかと思ったけど…誰もいないみたいだな」 「そろそろ帰ろう」 下に繋いであるボートにロープを使って下りていくゆっくりまりさ 手にはれみりゃの帽子が握られていた――― このSSに感想をつける