約 3,849,285 件
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/881.html
鈴仙2 1スレ目 530-531, 543, 550, 557 真夜中の永遠亭。 僕は竹林で倒れている所を、拾われて介抱してもらった。 幸いにも拾われた場所は人の住む場所だった。いや、妖怪なんかも住んでいたけど。 数日後には、すっかりと調子も良くなり僕はこの永遠亭で色々と手伝いをしていた。 一宿一飯の恩義…どころじゃなくて、すでに五宿十五飯もなっていれば手伝う気にもなる。 「永琳さん。これは何処に置けばいいですか?」 「あぁ、それはそっちの大き目の棚の方に入れておいて」 「はい」 と、まぁ…こんな感じで適当に日々を過ごしている。 永遠亭の人…妖怪達は普通に話すことは出来るんだけど、一人だけ僕と 全く会話をしない者がいた。 「あら、ウドンゲ…」 「あ、鈴仙」 「……」 そう、月の兎(らしい)である鈴仙=優曇華院=イナバだ。 彼女が率先して、僕を介抱してくれたらしいけど…。 僕が起きてからお礼を言ったきり、それだけしか会話がなかった。 『あ、キミが僕を…ありがとう』 『どういたしまして』 そんな感じだった。 事務的と言うか何と言うか…僕に警戒しているのかどうも刺々しい態度だった。 「…師匠、例の花の毒性についてなんですけど」 「あぁ、アレの事ね。アレは――」 見れば見るほど、不思議な感じだ。 見た目は僕みたいな人間と変わらない。でもその耳だけは兎の耳。 狂気を操るらしいけど…見たことはない。 「それじゃ、掃除に戻りますね」 永琳さんにそう言っておき、外に出て行く。 ちらりと鈴仙が僕の方を向いたけど、特に感情を持って僕を見ていると言うわけではない。 ただ淡々と僕を見る。 目が合うと…軽い立ち眩みがした。 そんな日々が続き、既に僕は居候扱いになっていた。 さすがの僕も掃除くらいは出来るし、ここについて色々学ぶのも意外に楽しくて 人間界になかった充実した日々を送っていた。 「ふぅ、あとは…風呂掃除か…」 相変わらず、ここを掃除するのが大変だ。 無意味に廊下は長いし他の妖怪兎が手伝ってくれなかったら 一日かかるだろうし、大浴場に近いこの風呂を掃除するのに 一時間はかかる事が容易に想像できる。 とりあえず必死になりながら風呂場をタワシで擦り始める。 洗剤なんてものがあるわけもなく、全てタワシだ。 「…何であの娘は、僕を避けるんだろう」 もちろん鈴仙の事だ。 鈴仙のことを考えると妙に気が高揚する。 多分、彼女の瞳を目が合うたびに見ているからだろう。 それよりもどうして僕は彼女の事ばかり考えるのか? 「まぁ、いいか…」 考え事をしている内に風呂掃除は既に大体終わっていた。 今日は永琳さんから借りた本を少し読もう。そうすればちょっとは 考えることもなくなるだろう。そう思い戸を開ける。 ガラガラ 「……あ」 「……」 戸を開くと、目の前に居たのは僕が悩んでいる張本人だった。 それだけなら特に問題はないんだろうけど、その張本人―― 鈴仙は妙に露出度が高い服を着て…いや、彼女は脱衣所で服を 脱いでいたのだ。 つまり、僕が見ているものは…… 思考がフリーズする前に、鈴仙の顔が真っ赤になっているのに気付いた。 口を金魚のようにパクパクさせて、『どうしてここに?』といった瞳で見ている。 「きっ…!」 叫ばれる! そう感覚的に悟った僕は一瞬で鈴仙の口元を押さえた。 まるで犯罪者になった気分だった。 「…ごめん」 鈴仙の耳元で、僕はそう呟いた。 悪気があったわけじゃない…。謝って済む話じゃないのも分かっている。 「…本当に、ごめん」 口元の手を外して、僕はすぐさま浴場から出て行った。 「僕は…最低だな」 好かれるどころか、普通に嫌われた気がする。 …このままだと自己嫌悪に陥りそうだ。 今日は本も読まずに寝るとしよう。 それにしても、綺麗な肌だったなぁ… とりあえず、明日は… (選択肢) (土下座するくらいの勢いで謝る) (開き直る) ーーーーーーーーー少女選択中...ーーーーーーーーー 上・(脳内設定の一般的な)鈴仙ルート 下・ツンデレの鈴仙ルート お好きな方をどうぞ。 ーーーーーーーーー少女選択中...ーーーーーーーーー →(開き直る) ピッ 結局、僕はあの記憶を無かったことにして、次の日を迎えることにした。 やっぱり女の子の柔肌を見るのも滅多にない経験だったから、妙な緊張が 残っていた。 「…よし、忘れた」 そう言う事にした。 僕は何も覚えていなくて、昨日の風呂場では何も起こらなかった。 と記憶を模造した。 「あぁ、ちょうど良かった」 朝一番、無意味に長い廊下で永琳さんに会った。 「ウドンゲがちょっと体調崩しちゃって…ちょっとお見舞いに行ってくれないかしら?」 「えーっと、何でですか?」 せっかく忘れようとしたことを、一瞬にして思い出してしまった。 柔らかそうな肌と…兎の耳、そして見る者を狂気に陥れるその瞳。 思い出したらまた軽い眩暈が起きる。 「…ウドンゲもそうだけど、貴方も大丈夫?」 「まぁ…一応、それで鈴仙はどうしたんですか?酷い病気か何か?」 「湯冷めしたみたいで、ちょっと風邪を拗らせてしまったみたいなの」 …多分、僕の所為だろう。 「貴方って、前からウドンゲの事を気にかけてたでしょ?だから頼もうと思って」 そう言って永琳さんは僕に風邪薬を差し出した。 「いや、僕じゃなくててゐにでも頼めば…」 「てゐは私の指示で栄養のあるものを取りに行かせたわ。私も薬の調合とかで忙しいし よろしく頼むわ」 と一方的に決め付けると、永琳さんは僕の反論も聞かずに、さっさと廊下の奥に 消えていった。 「どうしよう…」 僕の手には永琳さんの風邪薬が握られたままだった。 僕は今、鈴仙の部屋の目の前に居る。 別に疚しい気持ちなんて…少しはあるけど…。とりあえず、部屋の前から 進めないでいた。 こんな時に足が震えて動けないから、逆に笑える。 それでも、この薬を渡さないとならないのも事実で…深呼吸をして、手に人という字を 書いて、飲み込む。 これで緊張は気休め程度になくなった…と思う。 戸の前に立ち、意を決してノックしようとした。 『さっきから居るんでしょ?入ったら?』 いきなり先制を取られた。 心臓はバクバクいっているが、一刻も早く薬を渡して去ろうと戸を開けた。 「やっぱり貴方だったの?」 呆れた様子で言う鈴仙。今度は下着姿じゃなかったけど…あの時の姿がフラッシュバックした。 ダメだ。平常心、平常心。 「それで、何の用?」 前よりは刺々しくなかったけど、それでも微妙な壁を感じた。 「永琳さんに頼まれて…風邪薬」 薬は普通の粉薬だった。僕が今まで見てきたのとは違って、それは漢方薬みたいなものだ。 それを受け取ると、薄く笑って 「ありがとう」 と言った。 「それじゃ…」 予定通り、僕は部屋を去ろうとした。 腕力でも頭脳でも勝つ自信はないけど、このままこの場所に居たら 頭がおかしくなりそうだった。 彼女があまりにも儚くて、抱きしめたい衝動に駆られるが…我慢する。 「待って」 「…何?」 まさか、彼女に止められるとは思わなかった。 「少し…話さない?」 そっぽを向いて、顔を赤らめながら彼女は言った。 「あ…うん」 僕はその誘惑には勝てなかった。 「それで、わたしは兎角同盟を作ろうと思ったの」 「そうなんだ」 こんな風に二人っきりで話すって事は考えられなかった。 むしろ、今まで淡白な反応ばかりだったので、普通に話すこっちの方が彼女の 素面なのかもしれない。 「それじゃ、僕も手伝うよ」 「うん、ありがとう」 この可憐な笑顔を見ると、庇護欲というものが出てくる。彼女を守りたい。 そんな考えも出てくる。 「あのね、わたしは――」 「鈴仙~居るー?」 鈴仙が何か言いかけたとき、戸の前から声が聞こえた。 この声…どうやら、てゐのようだ。どうやら、やっと戻ってきたらしい。 「あれ、貴方も居たんだ?」 「居ちゃ悪い?」 「いや、そんな事はないんだけど」 大体、てゐと一緒に行動すると大抵、騙されるし…あんまり一緒に居たくないんだよなぁ…。 色んな意味で、いい子なのは分かるけど。 「で、何を取ってきたんだ?」 「栄養のあるもの。とりあえず、そこら辺から取ってきたの」 「…騙し取って、とかじゃなくて?」 「あ、あはは」 この笑い方だと、間違いなく騙し取ったようだ。 「それじゃ、鈴仙。僕は部屋に戻るから」 「あ…うん」 とりあえず、僕は出て行くことにした。 『あれ、どうしたの鈴仙?そんな青筋立てて』 『どうしてだか分かるかしら?』 『え、ちょっ…待ってぐりぐりが!痛い痛い!』 僕が部屋から出て行くと、そんな会話が聞こえた。 …とりあえず、気にせずに逃げることにした。 それからと言うもの、誰かと居ると妙に視線を感じるようになった。 てゐと適当に雑談をしてても、永琳さんに本を借りたりしても、輝夜さんと 話しても、何処かしらでほぼ必ず、視線を感じるようになってしまった。 そんな折、僕と鈴仙は永琳さんの元に呼ばれた。 「…何の用なんだろう?」 「さぁ、師匠のことだし…分からないわ」 どうも鈴仙の機嫌も悪かった。 「あぁ二人とも、よく来たわね」 扉の外で永琳さんは待っていた。 「とりあえず、何の用ですか師匠?」 鈴仙の言葉に困ったような笑顔を浮かべる永琳さん。 「これから、出かけなきゃならないんだけど…薬に使える花が 今の季節じゃないと咲かないの。だから出来たら、二人で手分けして 探してくれないかしら?」 その言葉に鈴仙はちらりと僕の方を向く。 どうやら鈴仙の方は行くつもりらしいが、僕は…。 考えてみれば僕に拒否権なんてない。 そもそも居候の身だし。 「分かりました。それで、何を取ってくればいいんですか?」 「えぇ、簡単な絵を書いたメモがあるから、これを使って探してね」 そのメモを僕と鈴仙に渡すと、永琳さんは忙しそうに駆け出していった。 「それじゃ、気をつけてね」 「心配してくれるんだ」 「わたしはあなたの心配なんてしてないわよ!し、心配なんて…するわけないじゃない…」 最後の方は真っ赤になりながら小さい声でほとんど聞こえなかった。 僕が歩き出そうとすると、腕を引っ張ってそれを止め 「死なないでよ」 「死なないよ。…やっぱり、心配してくれてるじゃないか」 「か、勘違いしないの!わたしはあなたに死なれたら迷惑だし… ほら…ほ、他の子も悲しむでしょ!」 確かに掃除とかは手伝ってくれるけど…あんまり好かれてる気がしないんだよなぁ。 悪い子はいないんだけど…。 僕と鈴仙はそんな他愛のない会話をしながら。入り口に着いた。 「それじゃ、鈴仙…後でね」 「うん。また」 鈴仙は空に飛んでいった。 僕に至っては歩くしか能がないので歩き始める。 紳士として、鈴仙が飛んでいる状態から上を見上げるなんて真似はしない。 上を見ないように…僕は素数を数えて落ち着いた。 そう、僕は鈴仙と分かれたことが文字通り命取りだった。 永琳さんに頼まれた目的の植物は手に入れたんだけど…。 目の前には、僕の体の三、四倍はあるであろう巨大な妖怪が居た。 僕を天然の人間と見るや否や、いきなり襲い掛かってきたのだ。 「…どうしようか」 相手の方は嗅覚が利きそうで、隠れても無駄だということが良く分かる。 だからと言って、戦うなんていうデンジャラスな選択肢は僕の中に存在しない。 やっぱり、二人できた方が良かったのかな。 鈴仙が居れば、狂気の瞳で逃げるチャンスくらいは出来たかもしれないのに… それでも、多分…彼女はここに来るだろう。 何故か分からないけど、僕はそう確信していた。 お互いに動く事はない。 僕が動いたら、相手は即座に僕を食らおうとするだろう。 「鈴仙…」 口元から思わず、彼女の名前が出てきた。 自分から永遠亭の方に動く事で、鈴仙に会える可能性も増えるはずだ。 …傷を負ったとしても、鈴仙なら…何とかできると信じよう。 ポケットには野球ボールよりも小さい石が入っていた。 それを握り締めて、狙いすまして妖怪の鼻に当てた。 「ぐぎゃ!」 これでしばらくは眩暈くらいはするはずだ。 今が好機だろう、と僕は駆け出した。 それが、思えば間違いだったのかもしれない。 妖怪は意外に機敏な動きで、僕を追ってきた。鼻を打ってスピードが落ちているとは思えなかった。 それでも僕は必死に走る。 ザク 足が縺れた。背中に鈍痛が走った。 血を流しながら…僕は倒れた。倒れた拍子に木の根元に頭を打った。 それでもまだ、意識はある。 「ニンゲン…」 相手が近付いて来る。僕はこのまま食べられるんだろうか? 『死なないでよ』 …ゴメン、鈴仙。 謝れなくてゴメン。約束が守れそうもない… 「――波符『月面波紋(ルナウェーブ)』」 一瞬で視界が真っ赤に染まった。 そして、その聞き慣れ始めた声に、僕は少しだけ安心した。 「ボロボロじゃない。一体どうしたの?」 「…見ての通り、そこの妖怪さんにやられた」 プライドなんて欠片もない。我ながら情けないな。 「…お仕置き!」 その妖怪に次々に打ち込まれていく鈴仙の弾。 はっきり言って、蜂の巣だった。 「ぎゃぁぁぁぁ!」 その断末魔を聞きながら、僕は頭がボーっとし始めた。 ちょっと血が出すぎたみたいだ。 「ふぅ…って、何で死にそうになってるのよ!」 「…ゴメン、血が出すぎた。眠い…」 実際、意識を保つのも辛い。 「寝ないでよ!今、寝ちゃったら死んじゃうのよ!起きて…起きてよぉ…!」 ゆっさゆっさ、揺り篭のように僕の身体は揺すられた。 泣きそうな鈴仙の声を聞きながら、僕は徐々に意識を失った。 エピローグ 目が覚めると、そこは永遠亭の僕の自室だった。 どうやら生きてはいるようだが…傷が痛む事には変わりない。 「目が覚めたようね」 すぐ傍にいたのか永琳さんが目覚め早々に僕に声をかけた。 「僕は…?」 「ウドンゲに感謝しなさい。生死の境を彷徨っていたあなたを ずっと見ていたんだから」 「…やっぱり、死にかけたんだ」 「容態が安定してからも、ずっと看病を続けて、今はこうなってるけどね」 と、僕の横を指し示す。 そこには疲弊して眠る月の兎の姿があった。 「そうそう、貴方、ウドンゲの下着姿を見たそうね?」 「あ、あはは…」 バレてるよ。まぁ大方、鈴仙が話したんだろうけど。 「月の兎には面白い風習があってね…。それについてはウドンゲから聞くといいわ」 「…一体何なんですか?」 「秘密よ。とりあえず、痛み止めは置いておくわね」 錠剤を机の上に置かれる。 「お大事に」 軽く笑うと、永琳さんは外に出て行った。 「で、鈴仙、起きてるんだろ?」 「…起きてない」 狸寝入りかどうかは大体分かる。眠るのを偽ると不自然に感じるものだから。 「とりあえず、ありがとう鈴仙」 「…~っ、別に貴方を助ける為にあの場所にいたんじゃなくて!」 「それでも、だよ」 「…言っておくけど、ただ通りすがっただけだからね!」 「分かったよ」 彼女の耳は人よりも遥かに優れている。あの時の呟きがきっと聞こえていたのだろう。 「あ、ところで…永琳さんが言ってた事なんだけど…月の兎の風習って?」 その言葉を出すと、鈴仙は真っ赤になりながら俯いてしまった。 僕、何か悪いことでも言ったのかな? 「つ、月の兎は…」 「月の兎は?」 「は、初めて肌を晒した家族以外の異性に求婚をしなければならない」 …思考がフリーズした。 あの時の行動が…まさか、こんなに事になっていたなんて。 「あ…えっと、まぁ、わたしは別にいいの。しょ、正直…他の人よりもあなたなら まだ…十分って言うか…」 「うん」 「ちょっ…」 鈴仙の華奢な身体をそっと抱きしめる。 これから守ろう。この素直じゃない兎の少女を―― ーーーーーーーーー少女選択中...ーーーーーーーーー →(土下座するくらいの勢いで謝る) ピッ うん、やっぱり僕が悪いんだから、明日一番に謝ろう。 それにしても… 「やっぱり、女の子の肌って白いものなんだな…」 と改めて実感した。 まるっきり反省の色がない僕だった。 とにかく、明日は謝らないと…僕の気がすまない。 彼女を傷つけたのもあるけど…やっぱり、嫌われたくはないし。 朝の永遠亭。 目覚めは別段普通だった。 別に『新しいパンツを正月元旦の朝に穿いたような気分』でもない。 結局、普通の目覚め。気分は微妙に沈んでいる。 トントン 戸をノックする音が聞こえた。 こんな事をするのは永琳さんだろうか? まず間違いなくてゐという意見は外れる。彼女の場合、居ようが居まいが勝手に入って 勝手に物を取っていくから。 輝夜さんという事もないだろう。第一、ここに来るような理由がない。 とりあえず、永琳さんということを仮定しておいて、戸に向かう。 「はいはい、何方ですか?」 と、戸を開くと、そこに立っていたのは一匹の月の兎だった。 ここの永遠亭には一匹しか月の兎はいないけど…。 「鈴仙…?」 「お、おはよう」 「えっと、何の用?」 思わぬお客の来訪に、僕は戸惑っていた。 こちらから出向こうと思っていたのに、まさかそっちから来るとは思っていなかった。 「し、師匠が貴方を呼んで来いって言ってて…その、迎えに」 「あ、うん…分かった。ちょっと、待ってて」 鈴仙の顔が赤い。きっと僕の顔も赤い。 やっぱり昨日のことを覚えているからだろう。 「あー、それじゃ…行こうか」 一応、着替え終わり僕は鈴仙と一緒に無駄に長い廊下を歩く。 歩いている間は互いに無言だった。 「えっと、鈴仙」 「は、はい?」 急に声をかけられて、驚いたように鈴仙はこちらを向いた。 すーっと息を吸い込む。 よし、準備オーケー覚悟完了! 嫌われる覚悟は出来てないけど、叩かれるくらいの覚悟は既に出来ているッ! 「昨日はごめんっ!」 「え、え、え?」 「本当に悪かった。今も反省している。殴っても構わない」 本気で土下座するくらいの勢いで謝った。 と言うか、土下座をした。 「えっと、別にいいんだけど」 顔を上げると、鈴仙がスカートを押さえながら、僕を見下ろしていた。 若干恥ずかしがっているのは分かるけど、何でスカートを押さえているんだろう? 「あ、後、早く立って…」 「いや、そうしないと謝れないんだけど」 「…その位置からだと…その、スカート…」 あぁ、そういう事か。この位置から普通に見るとスカートの中が見えるから 早く立ってくれと、言ってるのか。 「ともかく、ゴメン」 「もういいってば、別に減るものでも…ないし」 いや、色々と減ると思う。 気にしなくなったら、少なくとも羞恥心が消える。 「…別に、今のあなたなら見られても…その…」 最後の方はあまりにも小さな声だったので聞き取れなかった。 「あぁ、二人とも来たわね」 「えぇ、結局何の用なんですか?」 永琳さんの部屋(永遠亭住人曰く『八意研究室』)に入ると 明らかに生命に関わるような匂いと、その中で平然と立っている永琳さんが居た。 「えぇ、今日貴方達にここに来てもらったのは他でもないわ。 ちょっと私の作った新薬の実験を――」 『謹んでお断りします』 僕と鈴仙の声が見事に重なった。 永琳さんが新薬を作る、人を実験に使うイコール、死亡確認! の方程式が簡単に頭を過ぎる。 多分鈴仙も同じ方程式が出たんだろう。 「残念ね。じゃあ、別の用件を話しましょう」 「…むしろそっちが本当の用件じゃ?」 「新薬はてゐにでも頼む事にするわ」 心の中でてゐに合掌する。 ごめん、僕達にはどうすることも出来なかった。 「鈴蘭畑に行って鈴蘭を取ってきてくれないかしら?」 「鈴蘭畑って…何処に?」 「それについては、ウドンゲが知っているから案内してくれるわよ、ね」 「あ、はい…鈴蘭畑かぁ…」 何か思うところがあるのか、考え事を始めた。 永琳さんの用件はそれだけだった。 僕達は早速、支度をして昼頃に鈴蘭畑に向かった。 「コンパロ、コンパロ、毒よ集まれー」 鈴蘭畑に着いて早々、僕たちが見たのは一体の人形だった。 鈴仙曰く、ここに住んでから毒を浴びて心を持った人形らしい。 「あ、お久し振りー」 「久し振りね」 一応顔馴染らしく、その人形と鈴仙は話を始めた。 僕はその間、鈴蘭畑をずっと見る。 こうまで同じ花があると、逆に気味の悪くなりそうな光景だった。 毒もあるらしいし… 「話は終わったわよ。さぁ取っていきましょう」 「またね」 「ありがとうございます」 とりあえず、その人形に礼を言って鈴蘭を摘みはじめる。 その人形も手伝ってくれたおかげで、それほど時間がかからず 話しながら一時間ほどで、持ち帰れる程度の量を手に入れた。 「それじゃ、帰ろうか、鈴仙」 「えぇ、行きましょう」 両手いっぱいの鈴蘭の花束。 これではどこかへ、お見舞いに行くような感じだ。 それにしても、鈴蘭畑に居た所為かどうか分からないが、 頭が痛い。ボーっとする。 「鈴仙はよくここに来るの?」 「うーん、来る時と来ない時があるんだけど…最近はあんまり来てなかったから」 人形の彼女とは、何でも花の異変の時で出会ったらしい。 季節を無視した花の一斉開花。 僕は見ていないけど、それは凄まじい異変だったらしい。 そんな異変なら、僕も一度見てみたいと思う。 「うん、これでいいわ。二人ともご苦労様」 夕暮れに永遠亭に戻り、永琳さんの労いの言葉を受けて、僕達は 部屋に戻ろうとした。 戻る時に庭先で倒れていたてゐが妙に印象的だった。 「ねえ、ちょっと外に出ない?」 「あ、うん…別にいいけど」 鈴仙が僕を外に誘ってきた。 今日は色々な鈴仙を見れた気がする。 それでも、真っ赤になった鈴仙が一番印象的で、一番可愛く思えた。 「今日は、いっぱい話せたね」 「まぁ、ね。…今まで鈴仙が話してくれなかったんだけどね」 「わたしは…貴方と話せなかったの」 「…話せなかった?何で?」 「貴方が、男の人って事もあったし…そう、恐かった」 鈴仙の言うことを黙って聞くことにした。 夕日に照らされる彼女は今まで以上に儚く感じた。 「今はそうでもないんだけど…恐かったの」 「だったら、聞きたいんだ…」 「えっと、何を?」 僕は、後ろから鈴仙を抱きしめた。 背中越しに明らかに戸惑っている事は分かる。 僕の顔が赤いのも何となく分かる。 「鈴仙は…僕が好き?」 「……」 鈴仙は答えない。 突然の告白に驚いているのか、彼女の動きでしか分からない。 「わたしは――」 僕は腕の力を抜いて、彼女を離した。 たとえ、どんな言葉を言われても僕の思いは伝えた。 …これで十分だった。 ぎゅっ 唇に柔らかい感触とともに、鈴仙は僕に抱きついた。 「わたしは――あなたが…好き。好きだよ」 時は夕闇に染まっていった。 「鈴仙」 「はい?」 「…幸せってこういう事を言うのかな?」 「少なくとも…わたしは幸せよ」 「そうか…。僕も幸せだ」 僕は鈴仙に口付けた。 その後、僕と鈴仙はてゐや永琳さんによって散々茶化されたりした。 ーーーーーーーーー少女選択中...ーーーーーーーーー 右左右左BA ピッ 無敵コマンドを入力した。 これで何が起きるか僕にも分からない。 ついさっきあった二つの選択もしていないから、適当に行動するべきなのだろう。 誰が入力したのか分からないけど…。 僕にはそれは何かの導きのように感じた。 「…無敵コマンドの導きがあらん事を――」 電波的な言葉を言いながら、僕は瞳を閉じる。 どうか夢の中だけは幸せが見られますように… 翌朝の永遠亭。 いつもと同じように、食事を摂る。 目覚めは普通すぎるくらい普通。 それでも不思議な体の軽さと、朝から感じる違和感だけは、ここ――永遠亭に来てからも 感じた事が無かった。 鈴仙はご飯を食べている。 てゐも普通にご飯を食べている。 永琳さんは他のウサギ達と違って豪華な食事を食べている。 うん、いつもの光景だ。 そう、三人とも僕の方をちらちら見ながら、赤い顔をしていなければ。 「あ、あの…三人ともどうかしたの?」 『べ、別にっ』 目線があった途端、全員が全員顔を背ける。 …? よく見ると、他の妖怪兎なんかも僕を見ていた。 別に朝に鏡を見たときは、何も無かった。 額に『肉』とも『骨』とも書かれていなかったし。 ズボンのチャックが開いているわけでもない。 顔が赤いのも気になる。 まさか全員が風邪を引いたとかそういう感じなのだろうか? …それだとしても、おかしい。 鈴仙やてゐ、他の妖怪兎はともかくとしても、 一応、不老不死…病にかからない永琳さんが風邪を引くなんてありえない。 「それだと…僕だけが何もなっていないって事だよなぁ…」 まぁ、おかしいのは最初だけだろうと思っていた。 流石に二、三日経ってみるとその様子がおかしいと言う事に気付いた。 鈴仙には、念のために例の事故を謝った。 僕のその言葉には驚いたみたいだけど、ちゃんと許してくれた。 とりあえずその日の、日の高い内に、やっぱり永琳さんに呼び出された。 「よく来たわね」 「…永琳さんが呼び出したんでしょう」 やっぱり、顔が赤いのは治っていなかった。 「ここに呼んだのは他でもないわ」 そう言うと、永琳さんは扉に向かって閂を仕掛けた。 これで外からは誰も入って来れない。 あれ? 「そんなに重要な用事なんですか?」 「えぇ、重要な用事よ。まぁ、そこに腰掛けて」 何故かイスは無く、永琳さんはベッドを手で示した。 何となく変だという違和感に駆られながら、僕はベッドに腰掛けた。 その時、たった一瞬だけ体が自分のものでないような感覚に駆られた。 ドン 「え?」 気付いたら、永琳さんに押し倒されていた。 両手首を片手で押さえられて、永琳さんの顔が近かった。 「どうかしら?」 何でこんな状態になっているか、それを考えるのに十数秒要した。 「…永琳さん、病気か何かですか?」 「あら、どうして?」 「…貴女が、こんな事をするなんて考えられない」 「そう、もしかしたら病かもしれないわね」 艶っぽい表情を浮かべて、永琳さんは両手首を押さえながら 馬乗りになった。 「恋の病って言ったら信じるかしら?」 「…冗談じゃ――」 「冗談だったら、こんな事を言わないわ」 もがこうにも、手首は塞がれていて、暴れる事も出来はしない。 動く事が出来ないし、今の永琳さんには恐怖すら感じる。 「ふふっ」 妖艶な笑み。 僕はその表情に吸い込まれそうになる…。 その時だ。 ドカン!とまるで、何かが粉砕するかのような音が聞こえた。 あまりにも大きな音が戸の方から響いた。 そこに居たのは―― 二匹の兎…いや、それはまるで兎の皮を被った鬼だった。 一匹の兎は手に木槌を持っており、恐らくそれによって閂があった扉を 粉砕したのだろう。 もう一匹の兎は、手に何故かリボルバーを持っていた。 言うまでも無い、鈴仙とてゐだった。 「師匠、その手を離してください!」 「あらあら、いけない弟子ね。こんな時に私の邪魔をしようだなんて」 そう言いながら近くにあった弓を手に取る。 拙い…この雰囲気は…互いに殺る気だ! 「六発です!六発以上生きていられた人はいません!」 そう言いながら鈴仙は引き金を絞った。 軽い音が響きながら、その弾は真っ直ぐ、何故か僕の方へ向かってくる。 ――違う その弾はまるで意志があるかのように、途中で曲がり永琳さんに向かって飛ぶ。 いや、そう感じさせる事すらトラップ、本当は最初から永琳さんに銃弾が飛んでいた。 ただ、惑わして僕に向かうように見せただけだ。 「くっ、その程度!」 すぐにバックステップで、永琳さんは距離を取って、その銃弾をかわした。 「もらったー!」 飛んだ先には木槌を構えたてゐが居た。 その木槌が振り下ろされる! しかし、彼女もそれを予想していたのか、既に回避行動に移っていた。 それでも頬を掠って軽く血が飛ぶ。 「こっちへ、早く!」 鈴仙に導かれて、僕は急いでその部屋から出て行った。 何が起こっているんだろう? 「ここまで来れば…大丈夫よね」 永遠亭の外に出て、僕と鈴仙は深呼吸をした。 「鈴仙、一体…何があったんだ?何か…おかしいよ」 いつの間にか感じていた違和感。 それは一体何なのか、僕は鈴仙にそれを聞いていた。 「あなた、自分で気付いていないの?」 「…何を?」 「雰囲気が、その…」 「雰囲気…?」 言いにくそうにしている鈴仙の顔は真っ赤だった。 「その、格好良くなりすぎてる…って言うか」 「いや…意味が分からないよ」 「それで永琳師匠も、てゐも…皆も今のあなたが気に入っちゃったみたいで」 …まさか。 あの時選んだ。妙なコマンド? 「どうかしたの?」 「い、いや…何でも無い」 アレが本当に効いたとしたら、いや…今の状態から考えるとすると それしかありえない。 「…とりあえず、今のあなたがどのくらい続くか分からないけど…守ってあげる」 「そう言えば、鈴仙は…みんなが受けてるような効果が無いみたいだけど?」 「わ、わたしは…その」 真っ赤になりながら、そっぽを向いた。 どうやら、聞いてほしくはないらしい。 「…それで、逃げ切ればいいのか?」 「命をかけた鬼ごっこね」 嫌な響きだ。 命までは取られないだろうけど…永琳さんの態度を見ると捕まったら 色々なものがなくなりそうだ。 「とにかく、竹林を越えて…里でもいいから逃げ込んで!」 そう言いながら、リボルバーを構える鈴仙。 「ところで…鈴仙、その銃は?」 「山猫って呼ばれてた人から貰ったの」 …どうやら、違う次元の人が紛れていたようだ。 その人はきっと『リロードがレボリューション』らしい。 「…鈴仙、頑張って。あと怪我させないようにね」 僕は、竹林に向かって走り出した。 「頑張れ、か…。うん、頑張ろう」 竹林には既に敵の兎部隊が、たくさん来ていた。 けど、突破できない程度ではない! 鈴仙のためにも…突破する! 「うわぁぁぁぁ!」 後ろを見ずに必死に走る。 敵の方が圧倒的に早い。さすがは鍛えられた兎だ。 「うさうさー!」 「うさー!」 数十、数百…これだけに追われている状態なんて人生史上にない経験だろう。 しかし、そんな事は考えてられない。 今は逃げ切らないとならない。 「うさー!」 僕は背後に、気配を感じながら必死に竹林を駆け抜けた。 竹林を抜けた頃には、僕の足はとっくに笑っていた。 動く事すらままならない。 二度と走りたいとも思わない。 木の根元で倒れていると、人の気配があった。 また妖怪兎か? と警戒したところ、現れたのは見知った月の兎だった。 「大丈夫?」 「…鈴仙、まぁ大丈夫だよ」 よく見ると、彼女の服なんかも所々破れていた。 幸いにも肌に傷はないようだけど。 「…あのね。わたしは、あなたに言わないとならない事があるの」 「何?」 「…貴方がおかしくなった原因、わたしなの」 「え?」 「…前から、貴方はわたしの瞳を見ていたでしょ?あの時に、 簡単な幻惑――言うなれば狂気をかけたの」 「…どんな効果?」 「自分から、格好良くなろうとするような効果」 そんなのが掛けられていたのか? いや、思い当たる節は結構あった。考えてみれば、いつも僕は彼女の 瞳を見ていた。それでは、そんな幻惑もかかるだろう。 自分から格好良くなる気はなかったけど…どこかしら、なっていたのかもしれない。 「それが、こんな結果か」 「…ごめんなさい」 「別にいいよ。ところで、どうしてそんな事を?」 「…から」 あまりにも小さな声だった。 「あなたが…好きだったから。もっと格好いい貴方が見たかったの」 でも結果は永遠亭の者がちょっと変になってしまった。 もしかしたら、あのコマンドを選んだのも鈴仙の影響だったのかもしれない。 「…格好いいか分からないけどさ…。僕は――」 「……」 「僕は、鈴仙が好きだ」 何だ。結構簡単に言えるじゃないか。 走った所為もあって、心臓がドキドキ言っているけど。 『永琳さま、突撃しますか?』 「いえ、もう終わりみたいね」 『どう言う事ですか?』 「彼は――ウドンゲとくっついたわね」 落胆と諦めの声が妖怪兎の方から聞こえた。 「これで、久し振りの恋も終わり、か」 永琳も気付いてはいない。 その恋の病というものは二つの狂気のようなものから成り立っているという事に。 一つの狂気は恋する『月の兎』の狂気。 もう一つは恋をしたかった『普通の人間』の狂気。 人の想いとは具現するようだ。それこそが彼の選んだ『コマンド』なのだ。 ちなみに数日後、その『コマンド』の狂気はあっという間に消えてしまっていた。 月の兎の恋と、恋をしたかった普通の人間の願いが叶ったかもしれない。 後書き。 ごめんなさい。 色々やりすぎました。ごめんなさい。 …こんな風に自分で首をしめてどうするんだろう? とにかく、ごめんなさい。 補足。 コマンド入力=好感度がマックスになる。 鈴仙が(半分くらい)みんなの狂気を促しました。 てゐ。漁夫の利を狙っていたけど主人公を鈴仙に取られて失敗。 師匠。今回の多分一番の被害者。狂気に晒されてちょっとだけ、変になった。 注意点。 おかしい事が起こるので、出来る限りコマンドをあまり使わないようにしましょう。 何事もほどほどに(暴走すると手がつけられません)。 最後に、ごめんなさい。 とりあえず首吊ります。 1スレ目 603 610-611 603 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/10/22(土) 01 42 06 [ S8SIfbtc ] ここでちょっと無意味な質問。 自分が風邪を引いたとして、東方キャラに看病してもらうとしたら誰がいい? そんな告白じゃないけどほのぼのなSS書いてみようかな……って思って。 610 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/10/22(土) 17 06 05 [ OCbEik9U ] 603 鈴仙。 風邪で伏せってる男の看病を買って出るも、 師匠から処方された座薬を入れる段になってから 二人して顔真っ赤にしているという… しまった、ほのぼのどころかとんだ恥辱プレイじゃないか。 611 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/10/22(土) 17 14 12 [ ZlkrqM1c ] 610 そこで決め台詞ですよ 「鈴仙、愛してる」
https://w.atwiki.jp/orz1414/pages/151.html
■鈴仙2 泉に添いて 茂る菩提樹 したいゆきては うまし夢見つ 幹には彫(え)りぬ ゆかし言葉 うれし悲しに といしその陰 ―――――――――――――――――――――――――――――――― イナバの子が二人ほど使いから帰って来ない、という報告を受けたのは、 そろそろ日が低くなり、夕方に差しかかろうかという時刻になっての事だった。 近場の植物を何種か採取する、というだけの簡単な雑用だったのだが、昼前に出たきり、帰って来る気配が無いと言う。 あの花の事変から一月ほどを経て、事態は収束する気配を見せつつはあったが、季節を外れた花々が、未だ所狭しと咲き誇っている。 幼く、今回の事情を知らない彼女たちは、花に浮かれるままにふらふらと遠くに出てしまったのだろう。 ……そろそろ、一部の禽鳥や獣が活発になる時間だ。 まして夜になってしまえば、辺りを妖怪の類が跋扈する。さすがに放ってはおけない。 私は師匠に断りを入れ、てゐを伴って彼女たちを探しに出る事にした。 「う~ん、多分こっち」 最初にイナバ達を遣わせた場所に二人の姿が無いのを確認してから、てゐが指し示すままに散策を進める。 何の目印も手掛かりも無いこの竹林での失せ物探しにおいて、彼女の勘と鼻は、とても頼りになる。 「大事にならなければいいんだけど……」 「大丈夫、大丈夫」 てゐは気楽そうに笑うが、先程から、何だか妙に胸の内がざわついている。一体何だろう、これは。 竹林特有の湿った空気が、いつもより不快に感じられる。 夕暮れの赤を通り過ぎ、空はすでに薄暗さを見せ始めていた。……急がないと。 ……少女探索中…… しばらく進むと、近くの小動物や虫の波長がざわざわと落ち着きを失ったものに変わってきた。 複数の動物が、こちらに向かって来ているのを感じる。三つ……いや、少し後方にもう一つ、か。 「てゐ」 「うん」 数が合わない事を不審に感じながらも、隣のてゐに一つ声をかけ、気を引き締める。 そして……程なく眼前に現れた予想の範疇を遥かに超える風景に、私とてゐは、揃って声を失った。 一人の人間の青年が、右の脇に一人気を失っているらしいイナバの子を抱え込み、裂帛の形相で走っている。 もう一人のイナバの子がその背に負ぶさり、必死に首元にしがみ付いていた。 その十数メートルほど後方を、猪頭の餓鬼らしきものが、石斧を携え追い縋って来ている。 二人の子を抱えながらも人間とは思えない健脚で、二者の距離はつかず離れず、といったところだろうか。 青年の左腕の肩口から先が、力の入らない様子で真っ赤に濡れているのが見えた。 「……っ」 ――その青年の、イナバの子を抱えて走る姿が、何故か瞳に眩しく突き刺さった。 「…………ろっ!! ……逃げろっ!!」 私たちの姿を視止めた青年が、悲愴な面持ちで叫んでいる。 その言葉に我に返り、てゐと二人、彼等の元に駆け出した。 「はあっ、はあっ、に、逃げろって言っただろ!! 何やってんだよ!!」 程なく合流した私たちに開口一番そんな事を叫ぶ彼の姿に、てゐと揃って面食らった。 左腕の肩口から手の甲にかけてぱっくりと切り目が入り、傷口の一部から白い骨膜が覗いている。 「な、何って、助けに……」 「何言ってるんだ馬鹿!! いいからこの子たちを連れて、早く逃げろってば!!」 そう叫んで彼は、抱えていたイナバの子たちを私たちに押し付け、踵を返し、逆に一人で餓鬼の方に駆け出した。 「えっ」 思わず素っ頓狂な声を上げる。 (ええっと、今日初めて会った手負いの人間が、私たちを助けようとして…………何なの?これ) あまりの展開に、私の頭と体がついて行けなかった。 「ちょっ、ちょっと!」 泡を食って彼の後を追うてゐを、私は……呆然と見送った。 「ダメっ、助けて、あの人を助けてぇっ!!」 「っ!」 背負われていた方の子の悲痛な叫びでようやく我に返り、慌てて後を追いかけた。 ――――後になって、私はこの一瞬の空白を、生涯悔やみ続ける事になる。 まさかここに来て、獲物が逆に牙を剥いてくるとは思ってもみなかったのだろう。 完全に不意をつかれた餓鬼は、無防備に彼のタックルを腹に受け、もつれながら地面を転がった。 ――――どずんっっっ。 餓鬼の手を離れた石斧が地面を穿ち、刀身の中程までを土に埋めた。……だけど、 「ぐっ、ああああああっっっ!!!!!」 悲鳴を上げたのは、人間の方だった。 猪頭がその鋭い牙で、彼の左腕を咥え込んでいる。 「このっ!……はなっ、しなっ、さいっっ!!!」 ようやく間に合ったてゐが、顎を無理矢理こじ開けて彼を解放し、餓鬼の体を二兎追で粉々に吹き飛ばした。 「あ……」 私が何かをするでもなく事態は収束してしまい、私はその場で立ち尽くした。 ぐったりと気絶してしまった彼を、二回り以上は小さな体で扱いにくそうに背負いながら、てゐがこちらに歩いて来る。 「あ、あの、てゐ。代わるわ」 「うん、正直私じゃ辛いわ」 てゐと交代して、彼のぐったりした体を背負う。 ……左腕の下腕部が、最初の傷が分からなくなるくらい、ぐしゃぐしゃに潰れていた。 「ねえ、何で狂気の瞳を使わなかったの?」 「っ……」 てゐの言葉に責めるような調子は一切含まれていなかったが、私は何も言葉を返す事が出来なかった。 「……まあいいや。急がないと、手遅れになっちゃう」 泣きじゃくる二人のイナバの手を取って、てゐは永遠亭の方へ飛び立った。 ……そうだ。せめて、一刻も早く彼を助けてあげないと。 しなびた精神に鞭を打って、出せる限りの速度で家路を急いだ。 ………… 「ダメね、これは」 一通りの治療を終えて部屋から出て来るなり、師匠はそんな事を言って、ため息をついた。 「えぇっ? ダ、ダメって」 血の気を引かせた私に、師匠は一瞬怪訝な顔をしたが、すぐに苦笑いを返してきた。 「ああ、違う違う。命に別状は無いわ。 ただ……あの腕じゃこれから先、茶碗を持つ程度の事も出来るかどうか、って事」 「そうですか……」 「最初の創傷だけなら、まだ何とかしようもあったのだけどね。そこをさらに噛み潰されたのが拙かった。 色々な所を誤魔化しながら繋げてはみたけど、どこまで機能が戻るかは分からないわ」 「……」 「さて、流石に疲れたから、今日は眠らせてもらうわ。 ウドンゲ、悪いけど今晩彼についていてあげてちょうだい。何かあったら起こして構わないわ」 「……分かりました」 「そうそう。彼、多分外の人間よ。何だって、こんな所に迷い込んで来たのかしらねえ……」 それだけを言い残して、師匠は欠伸を噛み殺しながら自分の部屋へと戻って行った。 彼の眠りを妨げないようにそっと音無く襖を閉め、布団で死んだように眠っている彼の枕元に腰を落とす。 投げ出された左腕が、添え木と包帯でぐるぐる巻きにされ、倍の太さになっていた。 傍らに用意された桶で湿らせた手拭いで、額に浮かんだ汗をふき取る。 「ごめんなさい……」 あの時動けなかった理由が、今ならよく分かる。 ――眩しかったのだ。 面識も無いイナバの子たちを助けようと、必死に走る彼の姿が。 果てには私たちを助けようと、的外れな意気で、一人で死地に赴く彼の姿が。 それは、かつて仲間たちを捨てて月から逃げた私の姿とは、真逆のものだった。 「ごめんなさい……」 そんな彼の姿を尊いものだと感じながら、私は。 『ねえ、何で狂気の瞳を使わなかったの?』 『最初の創傷だけなら、まだ何とかしようもあったのだけどね』 近しい二人の言葉が脳裏に甦り、心臓を締め上げる。 あの時、真っ先に前に出てその場を請け負うべきだった私は、 投影されたかつての自分の罪に足を取られ、その場で立ち竦む事を選んだ。 私が、彼の、左腕を、壊した。 「…………ごめ、……な、さ…………」 視界が歪み、ぼろぼろと涙がこぼれる。 花の事件以来、色々な事を考え学んだつもりだったが、実の所、根本的なところで何一つ成長していない自分に失望を覚える。 せめて、彼が赦してくれるまで謝まり続けようと思った。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 今日も過りぬ 暗き小夜中(さよなか) 真闇に立ちて まなこ閉ずれば 枝はそよぎて 語るごとし 来よいとし友 此処に幸あり ―――――――――――――――――――――――――――――――― 「……ん…………痛ててて……」 左腕の痛みに目を覚まして上体を起こすと、そこは知らない部屋だった。 襖が閉じられて完全に日光が遮断されてはいるが、障子紙を透かす光の強さから、すでに昼に指しかかっているであろう事が分かる。 痛むばかりでまるで動いてくれない左腕を見てみると、包帯と添え木で固められて、まるでロケットのようになっていた。 「こりゃ酷い……えっと、俺は……」 昨日、町を歩いていて一瞬気が遠くなったかと思ったら、いつの間にか周りの風景が一変していて。 右も左も分からず、竹林をふらふらしていて……そうだ。子供が二人、見た事も無い生き物に襲われていたんだった。 それでその後…… 「…………」 馬鹿げた夢を視た、と思いたかったが、あの時斬られ噛まれた左腕は、確かに俺の肩からぼろぼろになってぶら下がっている。 「ん」 左腕に気をとられて気づくのが遅れたが、傍らに一人の女の子が寝転がっていた。 この娘には、見覚えがある。確か、後から居合わせた内の一人だ。 形の整った可愛らしい顔立ちをしていたが、目蓋が赤く腫れ、晴れない表情で寝息を立てていた。 そして何より、頭から生えている、兎らしき大きな耳が目を引いた。 ……よく事態が飲み込めないが、この娘が助けてくれたのだろうか。 「……こうしていても、仕方が無い、か」 酷く疲れた様子の彼女を起こすのも可哀そうではあるが、現状が把握できないままで彼女を放ってこの部屋を出る、というのも躊躇われる。 仕方なく、彼女を起こして話を聞く事にした。 「お~い」 身を乗り出して彼女の肩を揺するが、いまいち反応が薄い。 「う……う~ん…………」 何とも可愛らしい呻き声が、彼女の口から漏れた。うん、もう少しだ。 「お~い」 もう少し強めに肩を揺すりながら、何となく視線を横に移してみる。 何とも短いスカートが、太ももの付け根辺りまでずり上がっていた。 「うぬぬっ、もう少しだあああっっ!!!」 「ひゃあっ」 ――ずごんっ! 「ぐふっ」 思わず上げてしまった歓声に彼女が跳ね起き、その頭頂部が俺の鼻っ柱を直撃した。 「い、痛てててて」 「あいたたた…………あっ」 頭を涙目になってさすりながら、鼻を押さえて悶絶する俺の姿を認めると、 「起きたんだ……よかった」 ホッとしたように弱々しく微笑んだ。 「凄く心配したんだから……ねえ、どこか痛い所とかは無い?」 「強いて言えば鼻が痛い」 「そ、それはその……ごめんなさい、うっかり寝ちゃって。ねえ、ちょっと診せて」 「えっ、ちょっ、ちょっと」 おたおたと彼女は身を乗り出し、俺の鼻先にその細く白い指を伸ばした。 きめ細やかな髪の毛が肩から一房落ち、甘い香りが鼻から脳を犯す。 「……ああ、こんなに鼻が低くなっちゃって……本当にごめんなさい……」 「それは元からだ……」 結構失礼な娘だった。 その後簡潔に自己紹介を済ませ、ここが幻想郷という所で、俺がいたのとは違う世界だという事を聞いた。 「で、この屋敷は永遠亭、と」 「ええ。私の師匠と姫様に、貴方が起きた事を報告しないと。 込み入った話は、それからにしましょう」 そう言って鈴仙は腰を上げた。俺もそれに続くが、一つやっておかなければならない事がある。 「その前に。……鈴仙、ありがとう。君たちが俺の事、助けてくれたんだろう?」 「……っ……違うの…………ごめんなさい」 礼を言ってぺこりと頭を下げたが、何故か鈴仙は、悲しげに俯いてしまった。 あれ? 何か拙い事でも言ってしまったのだろうか。 ――俺は確かに女心の分からない奴だが、そもそもそれ以前に、礼を言って相手を悲しませるようでは生物失格だ。 もうちょっと言い方と表情を変えてみるか。 「……鈴仙、ありがとう。君たちが俺の事、助けてくれたんだろう?(ttp //www.kms.ac.jp/~hsc/henro/FJK/fudo/88F.jpg)」 「ひぃっっ!! こ、声色と表情が全然噛み合ってないわよ!」 ……これでもダメか。贅沢な奴め。 「ちくしょう埒が開かん! 主人を呼べ!!」 「だからこれから案内するって言ってるでしょ……」 「そうだっけ?」 「…………はぁ……元気そうで安心したわ……行きましょう」 心底疲れた様子の鈴仙に案内され、この屋敷の主達を訪ねる事にした。 ………… 為すがままに鈴仙の後ろをついて歩き、異常に長い廊下に辟易してきた頃に、一際大きな部屋の前で、鈴仙は足を止めた。 「お待たせしたわね。ここが永遠亭の姫様、蓬莱山輝夜様のお部屋」 「へえ……これは凄いな……」 襖がいくつ並んでるんだ、これは。お姫様っていうのは伊達では無いな…… 「姫様、失礼します……」 ――スッ、ススー―――ッ 鈴仙はかしずき、そっと襖を開いた。 ボリッ ボリッ 「ごゆるりと……」 ―――――ピシャン。 「……さ、次は師匠の所に行きましょうか」 「ちょっと待て!! 何だ今のは!!」 「今日の姫様はいつにも増して痛ましい御容体……私たちもひとまずここを離れるが身のため……」 「ぬふぅ」 蓬莱山輝夜は姫様ではない もっとおぞましい何かだ 幻想郷の奥深さに大いに恐れを抱きつつ、今度は鈴仙の師匠こと八意永琳を訪れる事になった。 「はじめまして、八意永琳です。ウチの兎たちを助けてくれて、本当にありがとう」 部屋に入った俺たちを視止めるなり、永琳は椅子から立ち上がって、深々と頭を下げてきた。 「おいっ、鈴仙!! まともじゃないか、この人!!」 「……あのねぇ」 驚いて肩をバンバン叩く俺を、鈴仙の白い目が迎えてくれた。 そんな俺たちを見る永琳の目が、晩年のジャイアント馬場を見つめるお婆ちゃんみたいになっている。 「あー、そうじゃなかった。こちらこそありがとう、永琳。俺の事診てくれたんだって?」 「代価としてはとても足りないくらいよ。私たちの管理が至らなかったせいで、貴方の腕を一本台無しにしてしまったわ」 「……やっぱりダメかな」 「難しい質問ね。機能がどれだけ戻るかはこれから次第。 上手くいけば日常生活に支障が無い程度までは回復するかもしれないし、下手を打てばそのまま一生動かない」 「……っ……」 隣に立つ鈴仙が、悲愴な面持ちで息を呑む。……何で彼女がこんな顔をしないといけないのだろう。 「そっか……でも正直言って、最初に斬られた時にこの腕の事は諦めてたんだ。だから、ありがとう。 ちゃんと動くようになるかもしれない、ってだけでもありがたいや」 だから、できるだけ明るく礼を言った。 永琳の眉尻が、優しく下がる。 「そう……そう言ってもらえると、私としても手を尽くした甲斐があったわ。 行く宛ても無いでしょうし、貴方の腕に目処が立つまでは、好きなだけここにいてちょうだい」 「……だってさ、鈴せ……ん?」 鈴仙の方を振り返って、ぎょっとした。 いつの間にやら大粒の涙をぼろぼろこぼしながら、鈴仙は泣きじゃくっていた。 「……っ、ごめんなさい……ごめ、ん……わ………わた、し…………私、が……」 ついに両手で顔を覆って、その場にへたり込んでしまった。 「お、おいおい、何で泣くのさ……なあ永琳、俺何かまずい事したっけ?」 何が何やら、どうしてよいのかサッパリ分からず、永琳に助けを求める。 「とりあえず、ズボンのチャックが開いてるわ」 「オゥシット!」 それは確かにまずい。慌ててファスナーを上げ…… 「って、そうじゃなくて」 すっかりアホの子になってしまった俺と、嗚咽を漏らす鈴仙に目を遣り、永琳は一つ苦笑を浮かべた。 「ねえウドンゲ、そのままでいいから聞きなさい。 彼が今の状態に慣れるまで、貴方が左腕の代わりを務める事。 彼の世話は、全て貴方に一任します」 「……はぃ…………っ、はい……」 面(おもて)を覆い、肩を震わせながら、鈴仙はこくこくと何度も頷いた。 「おいおい。いいよ、そこまでしてくれなくても……」 「それと」 少し強い調子で俺の言葉を遮ると、永琳は険しい眼差しを俺の方に向けた。 「聞いたわよ。貴方、最後は一人で突っ込んで行ったんですって?」 「……ああ」 あの時は無我夢中だったが、今思い返して、ようやく背中を冷たいものが走る。 「確かに貴方の腕と引き換えに、あの二人の命は助かった。 ……でもね、それはたまたま賽の目が比較的良い方向に出た、というだけの話。 私は、貴方の選択は大きな間違いだったと断言するわ。 このままだと、いつか貴方は同じ過ちを繰り返して、取り返しのつかない事態を招く事になる」 「それは……!」 違う、俺は間違ってなんてない……と反論しようとしたが、自分の左腕と、隣で泣いている鈴仙を省みて、何も言えなくなった。 「…………そうだな……多分、何かを間違えた」 何をどう間違えたのかは、まるで分からないけど。 頭を垂れた俺に、永琳は満足げな優しい笑みを返してくれた。 「うん、今はそれでいいわ。貴方はウドンゲと違って、少しは柔らかい頭を持っているようね。 ここにいる間、腕のついででいいから、その事についても考えてちょうだい」 「ああ、脳味噌の柔らかさには自信がある。周りから『お前の脳はメレンゲ状になっているに違いない』と言われた事もあるぞ」 「褒められてないわよ、それ。 ……まあいいわ。ほらウドンゲ、いつまでそうしてるの。彼も困ってるわよ」 苦笑いを漏らすと永琳は椅子から腰を上げ、鈴仙の前にしゃがんで、頭をごしごしと、少し乱暴に撫でた。 「……はい……っく、ごめんなさい……」 「ふふ、まったく。絶妙な時期に絶妙な組み合わせね。 あのスキマ妖怪も、たまには粋な事をするものだわ」 永琳の言っている事はいまいち分からなかったが、 鈴仙を優しくあやす姿を見て、師弟というより、年の離れた姉妹みたいだな、と思った。 「ほら、二人ともお腹が空いてるでしょう? 私もまだだから、一緒にお昼にしましょう」 「……はい」 「ああ」 ここで俺が腹時計でも鳴らせば綺麗にオチると思ったが、生憎そんな気配も無かったので、 ……ぶー――――っっ。 屁で代用する事にした。 『…………』 ――ズドガッシャー――――ンッッッ!!!!! 無言で、師弟の見事に息のあったツープラトンドロップキックが俺に炸裂した。 さて、部屋を移して三人で少し遅めの昼ご飯をいただいている訳だが。 「よっ、と、とと……」 右腕一本だけで食事をするというのが、こんなに難儀なものだとは思わなかった。 特に、魚や汁物の扱いづらさは相当なものだ。 「くそ、かくなる上は……」 箸で焼魚の頭をガッシリとホールドし、エラの根元、身のしっかりと付いたところにがぶり付く。 そして、そのまま顎を使って、咥えた身を引っ張り上げる。 するすると、身が綺麗に骨から剥がれた。……うん、美味しい。 「わ、凄い……」 「なかなか器用な真似をするわね……って、そうじゃなくて、ウドンゲ」 「はい」 「彼が困ってるわよ? ちゃんと食べさせてあげないと」 「えっ」 「ぐ、やはりそう来ましたか……わ、分かりました。やってやりますよ!」 驚く俺を尻目に、鈴仙の方はすでにこうなる事を想定していたようで、気合を入れて俺の隣に寄って来た。 「あ、あの……鈴仙さん?」 「う……わ、私だって恥ずかしいんだから、覚悟を決めてよね」 「わ、分かった……じゃあ、そこの煮豆から……」 「うん、それじゃ……………………は、はい、あーん……」 鈴仙が顔を赤らめて、箸を差し出してくる……そこまでは、嬉し恥ずかしの青春フルスロットル状態なのだが。 「う、う~~~~~~」 その瞳は硬く閉じられ、手元がガタガタと震えていた。 これで豆を落っことさないというのも、ある意味立派な芸当ではあるが。 「ダッ、ダメッ!! やっぱり恥ずかしい!」 ずぼっっっ! 「ふごっ」 羞恥のあまり思わず突き出された煮豆が、俺の鼻の穴に捻じ込まれた。 「な、何をしやがるこの野郎!! ふんっっ!!!」 すこー――んっ。 俺の鼻から撃ち出された煮豆が、メジャー級のジャイロ回転で鈴仙の額をヒットした。 「あいたっ! ご、ごめんなさい……」 「……貴方たち、予想の斜め上を行ってくれたわね……ほらウドンゲ、やり直し」 「はい……そ、それじゃもう一回…………あ、あ~ん」 呆れ顔の永琳に促され、今度は、焼いた筍を摘まんで差し出してくる。 先程と違って手元は割としっかりしているし、瞳もちゃんと開かれてはいたが、相変わらず顔は真っ赤だった。 「…………」 「ど、どうしたの? 早く食べてよ……」 「もっと恥ずかしそうにしてくれ」 「う……な、何言ってるのよぉ……」 鈴仙の目元が羞恥でじんわりと潤んだ事に嗜虐心を満たされた俺は、筍にかぶり付いた。 「んん、もぐもぐ…………うん、美味しい」 「そ、そう。よかった……」 ――不思議だ。自分で食べるより、ずっと美味しいや。 見ていた永琳が、くすくすと堪え切れずに笑っている。 誰かと楽しく食べるご飯は、こんなに美味しいものだったのだと、永らく忘れていた。 「あ~~、婆さんや、メシはまだかのう……」 「……今食べてるでしょ……」 すっかり脳味噌が緩みきった俺に、鈴仙が呆れた顔をしながら箸を差し出してくれる。 昨晩の麻酔が切れて痛み出した左腕も、今はまったく気にならなかった。 そんな感じで、俺の永遠亭での生活が始まった。 日中は永琳による左腕の治療、鈴仙についてもらってのリハビリに主に費やし、 空いた時間はイナバの子たちと遊んだり、雑用を手伝ったり。 一月ほど経って、握るとまではいかないが、指に力を入れる程度の事が出来るくらいには左腕も回復した。 「お、何だこりゃ」 永琳と鈴仙と三人で屋敷の骨董品の手入れを行っていると、一本の日本刀が目についた。 特に豪奢な装飾が施されている訳でもなく、業物という感じはしなかったが、使用するのに問題は無さそうだった。 「なあ永琳、これ、使わせてもらってもいいかな?」 「えっ……ちょっと、何に使うのよ、そんな物……」 鈴仙が露骨に顔を顰めるが、俺とてまったく考え無くそんな事を言っている訳ではない。 「ずっと考えてたんだよ。今のままじゃ、誰かに護られながらでしか、俺はこの幻想郷で生きていけない。 そんな情けない生き方は、俺は嫌だ。まずは自分の身くらいはちゃんと守れるようになりたい」 「……あらあら、ずいぶん言うわね。使うのは別に構わないけど、右腕しか使えない貧弱な坊やに、ちゃんと扱えるのかしら?」 「ふん、戯言を。これから扱えるようになるんだよ」 ――ふにふに。 永琳が俺の事を弄って遊んできたので、負けじと鈴仙の胸を弄くりまわした。 「ななな何するのよこの辻斬りエッチ!!!」 ――ガシャーンッッッ!!!!! 「ぶごっ」 高そうな花瓶を、思いっ切り脳天に叩き落された。 「無念……」 薄れゆく意識の中、いつか、編み出した秘剣でこの暴力兎の衣服を靴下だけ残して全て斬り刻んでやろうと思った。 そんな感じで、永遠亭の生活にもずいぶん慣れてきた。 日中は永琳による治療、鈴仙にリハビリのついでにセクハラしたりするのに主に費やし、 空いた時間はイナバの子たちと遊んだり、てゐに騙されて刀を振り回して追いかけたり。 半年ほど経って、何とか茶碗を持ったり、物を掴む程度の事が出来るくらいには左腕も回復した。 その日は、永遠亭のだだっ広い庭で、イナバの子たちと竹馬で遊んでいた。 やはり元が兎と言うだけあって、皆運動神経がよく、軽やかに乗りこなしている。 「ねえ、競争しない?」 それまで遠巻きに見ているだけだったてゐが、俺に勝負を持ち掛けてきた。 「ほう、俺に竹馬で勝負を挑むとは、いい度胸だ。 俺はかつて、四メートルの特製竹馬で二階の覗き見を敢行し、 あっさりバレてそのまま逃げて町内を一周する羽目になったほどの凄腕竹馬ライダーだぞ」 「あ、貴方ねえ……」 俺の過去の偉業に感動した鈴仙が、犬の宿便を見るような目で俺を見ていた。 「じゃあ、あそこの目印まで競争ね」 「うむ」 程なく準備を終え、スタート地点にてゐと二人並んで立つ。 左腕は肩より上には上がらず、激しい運動に耐えられるほどの握力が無いので、左手を布で結わえて固定してある。 いつの間にやら、イナバの子たちが全員野次馬と化して見守っていた。 「それじゃ、よ~い……どん!!」 イナバの子の合図で、スタートを切った。 「ほっ、ほっ、ほっ!!」 我ながら最高のスタートを切り、歩幅の違いを生かしたストロークで、みるみるてゐとの差を広げていく。 「大人気なーい!!」「みっともなーい!!」「卑怯者ー!!」 イナバの子たちの声援が、俺にみなぎる力と勇気を与えてくれる。 みんなありがとう!! 俺がんばるよ( A`) ……それにしても、自信たっぷりに勝負を挑んできた割に、てゐはずいぶんと遅いんだな。 「ふはははは、遅いぞ、てゐ!!」 勝者の余裕で後ろを振り返ってみると、 ――てゐの顔に、いつもの邪悪な笑みが浮かんでいた。 「? って、うわっ!?」 竹馬を下ろした位置に地面の感触が無く、投げ出されるような浮遊感に襲われる。 ――ズボー――――ッッ!!! そのまま落とし穴に見事滑り落ちた。 「あ、あ痛たたた……何ともレトロな真似を」 泥にまみれながら、思わず苦笑いが漏れる。てゐとの勝負が真っ当に進むと思った俺が馬鹿だった。 『あははははははっ!!』 イナバの子たちから大きな笑い声があふれ、 「ちょっとてゐっ!! 何やってるのよ!!!」 ……鈴仙の絶叫に打ち消された。 『……………………』 イナバの子たちが皆驚きに小さな身を竦め、場を居心地の悪い静寂が支配した。 鈴仙が悲壮な表情でこちらに駆けて来て、穴の淵から覗き込んできた。 「ね、ねえ、大丈夫? 腕は?」 「……ああ、大丈夫。腕も、ほら」 立ち上がって、布を解いた腕を指差して見せる。 落とし穴は、立てば頭がギリギリ出る程度の深さだった。……まったくてゐめ、周到な真似を。 「あぁ、よかった……ほら、引っぱってあげるから、右腕出して」 心底ホッとしたように笑うと、鈴仙は俺の方に手を差し出してくれた。 ……それはありがたいのだが、この角度で君がしゃがみ込むと……あぁ…… ――淡い水色の幻想郷が、俺の眼前に花開いた―― 「ちょ、ちょっと、鼻血が出てるじゃないの! やっぱり何処かぶつけたんじゃ……」 「ああ……かなりヤバいから、しばらくこのままにしておいてくれ」 「? 何を言っ、て…………」 俺の視線の行く先に気づいた鈴仙の動きが凍りついた。 「な、な、なななななななな」 みるみる顔中に血が集まり、頭から煙を吐くと、 「何を見てるのよこの馬鹿ああああっっっ!!!!!」 ――ドゴッ!! ドゴッ!! ドゴッ!! 「ぶはっ」 顔面に、体重の乗った見事なスタンピングを立て続けに叩き込んで来た。 「馬鹿っ、大馬鹿っ!! 心配して損した、心配して損した!! この蓬莱エッチ、嫌い、嫌い、大っっっっっ嫌いっっっ!!!!!」 ――ドゴン、ドゴン、ドゴン、ドゴン、ドゴンッッ!!! 「ちょっ、そんなぶほっ、丸見え、ぐはっ、やめっ、死ッ」 「……ねえてゐちゃん、止めないでいいの?」 「あー、いいの。いつもの夫婦ゲンカだから」 「お兄ちゃん、血まみれなのに幸せそうに笑ってる……怖いよぉ……」 イナバの子たちが、眼前の地獄絵図に小さな身を竦め、場を先程とは違う意味で居心地の悪い静寂が支配した。 ………… 「……なあ。心配してくれたのは嬉しいけど、さっきのアレはちょっと過剰だぞ? みんなビックリしてたじゃないか」 イナバの子たちに断って、鈴仙と二人その場を離れて歩きながら、先程の件について訊いてみた。 「……だって、あんな悪戯で、万一腕がまたおかしくなっちゃったりしたら……」 「大丈夫だって。てゐだって、いつもそこまで酷い事はしないだろ?」 「それはそうなんだけど……でも…………その、ごめんなさい……」 …………ちょうどいい機会だ。以前からの疑問をぶつけてみる事にした。 「なあ鈴仙。前から思ってたんだが、俺の左腕の事になると、いつも『ごめんなさい』だよな? 他の事だったら普通に笑ったり怒ったりしてくれるのにさ」 こっちは本当に感謝してるってのに、相手が謝ってばかりだから、逆に自分は悪い事をしているような気分になってくる。 「それは……私のせいで怪我が酷くなっちゃったから……」 「はぁ……前にも言っただろ? 俺が勝手に突っ込んで勝手に怪我したんだから、誰も何も気にするような必要は無いって」 「……そうじゃない、そうじゃないの……私が……私が、弱かったから」 「はい?」 何のこっちゃ。 「…………」 それきり鈴仙は暗い顔で黙り込んでしまい、肝心な事は何も聞けなかった。 「で、私の所に来た、と」 「だって、鈴仙ってば、肝心な事は何にも教えてくれないんだもんよ……」 苦笑いを浮かべる永琳に、思いっ切り不貞腐れた返答を返してやった。 「しょうがないわね……いいわ、答えられる事なら何でも教えてあげる。で、ご質問は?」 「ん、ありがとう。そうだな……あの娘、時々俺の事を見て、凄く辛そうな顔をしてる事があるんだ。 過去にあの娘にあった事で、何か思い当たるところがあるなら、それを教えて欲しい」 頭の中を整理しながら投げた質問に、永琳は人差し指で頬をかいて笑った。 「ふふ、それは確かにあの娘からは絶対に教えてくれないでしょうね。 ……いいわ、話してあげる。ただし……条件が二つ」 そう言って、永琳は悪戯っぽい微笑を浮かべた。……条件? 「何だ? 屋敷の中を全裸でブラジャーだけ着けて走り回れ、という程度の事なら、今すぐやってやるぞ」 「そんな事をしても、貴方が悦ぶだけだから意味がないわよ……そうじゃなくて」 おほん、と一つ咳払いをして彼女は続けた。 「まず一つ目。これから話すのは、今のウドンゲを形作る、最も大きな過去。 おいそれと第三者にして良い類の話ではないわ。 ――ねえ、貴方はウドンゲの事、どう思ってる?」 ……こういう意地悪なところが、この人にはある。 「なあ……全部分かってて訊いてきてるだろ」 「当然です。だけど、それでも私は、貴方の口からちゃんと聞きたい」 「はあ……分かったよ、ったく。好きだよ。好きだからこんな事で悩んでるんだ」 一息に言って、彼女からそっぽを向いた。顔が真っ赤になっているのが自分でも分かる。 けど、永琳はそれを茶化すでもなく、柔らかく微笑んで、俺の頭を撫でてきた。 「はい、よく出来ました。きっとあの子も貴方の事を、あるいは貴方以上に好いている。 ……けど、それだけでは貴方たちにはまだ足りないわ」 俺の頭を放し、彼女は俺の眼前に人差し指を立てた。 「そういう訳で、さあ次の条件。 ね、初めて会った時に貴方に出した課題、覚えてるかしら?」 「ああ」 あの時、何を間違えたのか。 あの時から今日まで、今日から明日へ、自分は何を為すべきなのか。 今日まで半年の間、永遠亭の人たちと生活を共にしながら、ずっと考えてきた。 「……答えは、見つかった?」 「ああ、見つけた。永琳が納得できるかどうかは分からないけど、少なくとも俺には、もうこれ以上の答えを出す事は出来ないと思う」 「そう……いいわ、それじゃ貴方の答え、聞かせてくれる?」 きっと彼女は、俺の考えている事なんて、語るまでも無く全てお見通しなのだろう。 それでも、今までの感謝を思いの丈詰めて、精一杯の言の葉を紡ごうと思った。 全てのものには、そこに在る理由と、為すべき事がある。 神様の考えている事など分かりようも無い俺は、 自分がこの幻想郷に来た理由、この幻想郷で為すべき事を、勝手に自分で定める事にした。 「鈴仙、いる?」 夕食の後、鈴仙の部屋を訪れ、襖の向こうに声をかけた。 『ん? 珍しいわね、そっちから来るなんて。いいわ、入って』 返事を得て襖を開いて足を踏み入れると、勉強中だったらしく、 机に広げた竹簡を読み耽る鈴仙の姿が目に入った。 「悪い。勉強中だったんだな」 「いいわよ、別に。何か用かしら」 「……ああ、大事な話がある」 それも一世一代の。 鈴仙も俺の様子から只ならぬものを感じたのか、竹簡を仕舞い、俺の方を向いて居住まいを正した。 さて、長い問答になる。腹を据えて唇を湿らせる。 「まずは……悪い。永琳から、昔何があったのか、全部聞いた」 「……っ……」 鈴仙がハッと息を呑む。不安げに俺を見つめる彼女に、俺は続けた。 「何で今まで鈴仙が俺に謝り続けてきたのか、何をそこまで後ろめたく感じていたのか、よく分かった。 だから、その上で改めて君に言いたい」 俺は姿勢を正座に変え、 「――今までありがとう。鈴仙のお陰で、ここまで頑張ってこれた」 目の前の恩人に、頭を下げた。 「ちょ、ちょっと、頭なんて下げないでよ。何で礼なんて……そもそも私が……」 鈴仙が慌てて俺の面を上げようと肩を掴んで引き上げる。 眉尻を悲しげに下げた彼女と顔を間近につき合わせて、俺は一気に言の葉をぶつけた。 「何度も言ったと思うけど、本当にありがたいって思ってるんだよ、俺は。 そもそも、鈴仙のやってる事、言ってる事は間違いだらけだ。 確かに月から逃げた君からすれば、あの時の俺はさぞかしご立派に見えた事だろうさ。 だけど、そこでもう間違えてるんだよ、鈴仙は」 「え……」 「俺だって、鈴仙と同じくらい情けない間違いをしたんだ。 永琳が言ってたよな? たまたま良い賽の目が出ただけだ、って。 あの時の俺はさ、自分の命を使って君やてゐ、あの子たちの心に、一生消えない傷を刻もうとしていただけなんだ」 自分の命と引き換えに誰かを助けようなんてのは、残される者の痛みを一切考えない、馬鹿げた自己満足だ。 生活を共にして、永遠亭のみんなを大好きになった今だから、そう言い切れる。 自分がそういう消え方をして、残った人たちがどれだけ悲しい目を見るか、想像しただけで胸が張り裂けそうになる。 「俺達、一緒なんだよ。鈴仙」 「……一緒?」 「力が無いから、弱いから、正しい答えを選ぶ事が出来なかったんだ。 ――俺さ、決めたよ。もっともっと鍛えて、スペルカードも扱えるようになって、今よりずっと強くなる。 誰も何も傷つけずに、自分も傷つかないで大好きな永遠亭のみんなを守れるくらいに」 じっと黙って聞き入ってくれている鈴仙の両手を取って、しっかりと握った。 「ぁ……」 「だから、さ。その……鈴仙、お、俺と、その……一緒に……」 ……あーもうっ! 何で一番肝心なところがちゃんと言えないんだよ! ――ぽたっ。――――ぽたっ。 俯いてもごもごとヘタレていると、手の甲に、冷たいものが二つ落ちてきた。 「?」 何事かと顔を上げてみると、 「っ、……っ、……っ……」 鈴仙が、声を必死に噛み殺して泣いていた。 「おっ、おい、鈴仙? 俺、また何か拙い事言った?」 今日はズボンのチャックもしっかり閉めて来た筈だが。 鈴仙は首を横にブルブルと二回振って、搾り出すように声を出した。 「違う……違うの……」 「違う? じゃあ、何で……」 「私……貴方みたいにはなれない。貴方みたいに強くない…… 月に残してきた子たちの事を思い出すだけで、そこから動けなくなるの…………」 「…………」 ――ほとほと、呆れ果てた。 「…………あ、あのなぁ……」 どこまで優しくて不器用なんだ、この娘は。 もうこれ以上言葉を弄したところで、鈴仙の胸には届かないだろう。 だから俺は、自由の利かない左腕に、あらん限りの力を込めて―― 「よっと」 「きゃっ……」 ――彼女の体を抱き寄せた。 「ちょっ、ちょっと……」 「……なあ鈴仙。俺と一緒に、頑張ろうぜ。 君が一緒に頑張ってくれたから、俺の左腕もこんなに動くようになったんだ。 もし鈴仙が動けないって言うのなら、今度は俺が君の手を引いてやるからさ」 「…………」 「…………鈴仙?」 「……………………いいのかな」 蚊の鳴くような、か細い声。 「私…………貴方と、頑張れるかな」 「頑張れるさ。鈴仙は強い子だからな」 「私………………貴方と幸せになって……いいのかな」 「当たり前だ。月のみんなも、赦してくれる。友達の幸せを願わない奴なんて、いるもんか」 「………………………………ぅ……」 鈴仙の顔が、嗚咽に歪む。 一旦体を離して、彼女の頭を胸元に抱え込んでやった。 「……ぅわああああああああああんっっ!!!」 体の底から声を張り上げて、鈴仙は赤子のように泣いた。 泣きじゃくる鈴仙の頭を撫でてやりながら、俺は彼女に出来る限りに優しく声をかけた。 「なあ、鈴仙。ひとつ、いい提案があるんだ」 二人で強くなると、決めた。 二人で幸せになると、決めた。 ゴールではなく、二人の新しいスタートとして、相応しいものになると思う。 俺は、心に湧く限りの愛情と、胸に湧く限りの勇気を振り絞って、腕の中の大切な人に告げた。 「――結婚しよう、鈴仙。二人で、幸せになろう」 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 面(おも)をかすめて 吹く風寒く 笠(かさ)は飛べども 捨てて急ぎぬ はるか離(さか)りて たたずまえば なおもきこゆる 此処に幸あり 此処に幸あり ―――――――――――――――――――――――――――――――― ・ ・ ・ ・ ・ ・ ――以下、上白沢慧音の日記より抜粋 ×月×日(大安) 今日は、永遠亭で行われた結婚式に招かれた。 新郎は、馬乗袴を凛々しく着こなした人間。 新婦は、白無垢を艶やかに着こなした月の兎。 新婦の師・永琳は優しい笑みを浮かべ、輝夜は曖昧なまま列に加わった。 界隈の関係者をことごとく集めた為、式は大変な賑わいを見せ、私も大いに楽しませてもらった。 新郎・新婦共に、初めて見た時よりも、格別に良い目をしていた。 あれは、いい夫婦になるだろう。 若き夫婦の行く先に、どうか八百万の神の加護のあらん事を。 2スレ目 52 ─────────────────────────────────────────────────────────── (結婚式場で白無垢の鈴仙を引きずって主人公に投げ与える輝夜) てるよ「た、種ぇ」 鈴仙「姫様、どうせよと?」 主人公「おそれながら鈴仙殿………… てるよ様はこの場にて、 鈴仙殿とそれがしに男女の契りを 結ばれるよう望まれておられるご様子」 鈴仙(男女の契り…) 主人公(ワクワクテカテカ) 鈴仙「…………」 主人公(わくわく) 鈴仙「…………」 主人公(わくわくハァハァ) 2スレ目 60 備考: 52、 58を受けて 58 以下チルノの裏 ・・・・(てるよがその内「た、たねぇ」とか言い出すんかな) 以上チルノの裏 ─────────────────────────────────────────────────────────── 2スレ目 52 後日談 「……ふうぅぅぅ…………」 吸い上げた空気を腹で練り上げ、全身に余す所無く伝える。 木刀を握って掲げた右腕に静かに力を込め、常人よりも弱い左腕が暴れて力を逃がさないよう、しっかりと腋を締める。 よく無我の境地、と言うが、それは俺が剣を振るうにあたって、まるで縁の無い概念だった。 俺が剣を振るう時にいつも脳裏に描くのは、守りたいもの――この永遠亭の人たちの笑顔だった。 爪先から踵、膝、腰、肩、肘、そして剣の柄へと瞬時にうねりを伝え…… 「――――っ!!」 ひゅんっっっっ。 振るった木刀が、鋭く大気を裂いた。 「…………ふぃー――っと。今日はこれまでかな」 ホッと息を吐くと同時に、張り詰めていた周囲の空気も一息で弛緩したものに変わる。 汗を拭くタオルを取ろうと、縁側に足を向ける。 いつの間にか、縁側に腰掛けて、鈴仙と永琳が俺の稽古を見ていた。 「お疲れ様、あなた。はい、お茶」 鈴仙が、湯呑みとタオルを差し出してくれる。 「ん、ありがとう」 ありがたく受け取り、渇き切った喉をゆっくりと潤し、タオルで頭をかき混ぜた。。 「あらあら、すっかりいい夫婦ね、貴方たち。うふふふふ」 そう言う永琳は、すっかり近所のウザいオバさんみたいになっていた。 「……もう、師匠……何言ってるんですか」 いつも同じようにからかわれているにも関わらず、鈴仙が羞恥に顔を赤くする。 こういう初々しいところは、いつまで経っても変わらない。 「それにしても、この短期間で大したものね。この前、ついに妖夢から一本取ったでしょう」 永琳がそう言って楽しそうに俺を見て笑った。 刀を自分の武器に選んだ時点でまず最初に選んだ目標が、白玉楼の庭師、魂魄妖夢だった。 雑用で度々ここを訪れる彼女を捕まえては稽古をつけて貰い、この間ついに一本取るに至ったのだ。 「ああ。とは言っても、竹光での模擬戦で、だけど。 刀だけの勝負ならいいとこ行くけど、スペルカードを交えた総合力じゃ、まだまだ勝負にならない」 今まで二種のスペルカードを組み上げ、十分実戦で使える、と永琳からもお墨付きを貰ったが、まだ鍛える余地は十分すぎるほどにある。 「という訳で鈴仙。仕上げにちょっと付き合ってくれないか? 実は、新しいスペルを二つほど試してみたいんだ」 「え? あ、その、今日は……」 何故か渋る鈴仙に、永琳が助け舟を出してきた。 「あー、そういう事なら、今日は代わって私がお相手するわ。貴方のスペルに興味もあるし」 「え、いいの? でも、何でまた」 「ふふ、今日は諸事情につき、鈴仙が貴方の相手をしてあげられないの。 理由は後で彼女から聞きなさい」 「し、師匠!」 悪戯っぽく笑う永琳に、鈴仙が顔を真っ赤にしてうろたえているが、俺にはさっぱり事情が呑み込めなかった。 今までのスペル二種も、鈴仙に付き合ってもらって組み上げたものだ。 「まあいいや。それじゃあお願いするよ、永琳」 これはこれで、ありがたい話だ。 実の所、今回のスペルは、鈴仙よりも永琳のようなタイプに対して使う方が、より大きな効果が期待できるものなのだ。 庭に出て、永琳と七メートル程度の距離を置いて向かい合う。 いつの間にやら、てゐやイナバの子たちも縁側に集まって野次馬になっていた。 「いいわよ。何時でもいらっしゃい」 永琳は特に身構えるでもなく、悠々と佇んでいた。 たかが出来たてのスペル、恐れるに足らず、といった感じだ。 ……これから己の身を、かつてない恐怖が襲う事も知らずに…… 「それでは、いざ」 素振りの時と違い、稽古用の木刀ではなく、愛用の日本刀を肩の上に構える。 鈴仙やてゐ、イナバの子たちが固唾を呑んで見守っている。 ――神弾「桃園暴き」 スペルカードを切り、構えた刀を振り下ろす。 ひゅんっっ――――――ぱちんっ。 刀が空を切る音に一瞬遅れて、永琳の背中から、金属の爆ぜるような音が聞こえた。 「……えっ、何!? ちょっと、何をっ」 永琳が酷く慌てた様子で自分の背中をまさぐっている。 「……成功だ」 何が何やら分からない様子でおろおろと狼狽する永琳を、野次馬連中が唖然と眺めていた。 「わ、あんなに慌てた師匠、初めて見た……ねえ、何をしたの?」 「ふ……よくぞ聞いてくれた。我が愛しの鈴仙」 残心の姿勢を解き、野次馬連中にスペルの解説をしてやる事にする。 「このスペルカードの特性はただ一つ……相手の体、衣服に一切傷をつけず、ブラのホックだけを破壊する事だ」 「ぶふううぅぅぅー――――っっっ!!!!!」 「ああ、それで『桃園暴き』ね。上手い事を言う」 俺のありがたい高説に、鈴仙が茶を噴き出し、てゐがポンと手を叩いた。 このスペルの欠点を敢えて挙げれば、幻想郷に、このスペルが効果を発揮しそうな程の桃園の持ち主があまり見受けられない事だろうか。 「げほっげほっ!! あっ、あなた、一心不乱に素振りしながら、こんなスペルを考えてたのっ!?」 「当たり前だ!!」 咳を散らしながら何故か俺に非難の眼差しを向けてくる愛する妻を、いかにも頑固亭主っぽく一喝する。 「見てみろ、あの永琳の様子を!! たわわな果実が暴れるのが恥ずかしくて、もはや俊敏な動きは出来まいっっ!!!」 我ながら、悪魔の如き知恵の冴えようだった。 「…………あぁっ……」 ――ふらり。 「ああっ、鈴仙様、しっかり!」 貧血のように体の力を失う鈴仙を、隣のイナバの子が慌てて支えた。 「ごめん、みんな……私、夫にする人、間違えたかも……」 「そんな事無いですっ!! ただ馬鹿なだけで、凄い人じゃないですか!!」 揃いも揃って、何やら失礼な事を言われている気がした。 「気を失うにはまだ早いぞ、鈴仙!! ここで動きの鈍った相手に、もう一発新種のスペル、さあ照覧あれっっ!!!」 「……ちなみに、そのスペルカードの内容は?」 「剣圧とスペルの力を相乗させて、相手の衣服を、靴下だけ残して全て斬り刻む」 『何考えてるのこの大馬鹿っっっ!!!!!』 鈴仙と永琳の絶叫が、見事なシンクロを見せた。……嗚呼、麗しきかな師弟の愛。 「しかし、俺は一度やると言った事は必ずやり遂げる男!!! 永琳よ、その身にとくと受けよ!! 男の浪漫の奔流を!!!」 「ひっ、や、やめっ」 再び刀を構える俺に、永琳が怯えて息を呑み、身を竦めた。 ……貴重な風景だ。この場にあの出歯亀風神少女がいないのが悔やまれる。 ――夢斬「アルティメットフェチズム」 スペルカードを切り、渾身の力で刀を振る。 音鳴る事さえ赦さぬ神速で銀の光が閃き、そして―― ――――――はらり。 俺の衣服が、靴下を残して全て布切れと化し、足元にこぼれ落ちた。 『きゃあああああああああっっっ!!!!!』 イナバの子たちから、黄色い絶叫が上がった。 「あ~、やっぱりダメか」 慌てて縁側に走ってタオルを取り、腰に巻きつける。 「な、何をやってるのよ貴方は……」 永琳が、ホッとしたのか呆れているのか、よく分からない引きつった表情をして聞いてきた。 「いや、実はこのスペル、未完成もいいところで、まだ自分の周りだけ……と言うより、自分自身にしか効果が出ないんだよ」 「……よく、そんな恐ろしい状態のスペルカードを人前で使えるわね……」 「う~ん、環境が変われば上手くいくかも、って思ったんだけどなあ……」 「…………上手くいく前に二種とも封印しなさい……」 グッタリと疲弊しきった永琳にダメ出しを食らい、今回のスペルカードはどちらもお蔵入りとなった。 「きゃあっ!! 鈴仙様、しっかりして!」 イナバの子の悲鳴に振り向くと、鈴仙が白目を剥いて気を失っていた。 「う、う~~~ん……夢よ……これは、悪い夢なんだわ……」 ――今日も、永遠亭は平和だった。 ………… 「いや~、酷い目にあったなあ、今日は」 「それはこっちの台詞よ……」 夕食後、二人で部屋に戻るなり、鈴仙にジト目で睨まれた。 「うっ……わ、悪かったよ……」 「まあ、分かればよろしい。師匠にもこってり絞られてたしね」 二人して苦笑を浮かべ、座布団に腰を下ろす。 「それにしても、スペルカードの中身はともかく、動き自体は凄かったわね。 二つ目の時なんか、速すぎて動きがまるで見えなかったわ」 「ん、ありがと。まあ、そこが持ち味な訳だからな」 左腕が人より利かず、パワーの点で越えようの無い壁がある為、今までスピードとコントロールに特化した鍛え方をしてきた賜物だろう。 「妖夢も焦ってたわよ。このままじゃすぐに抜かれちゃう、って」 「ああ、それは当たり前だ」 どのように生きるか、剣を振るか、進むべき道を完全に一つに絞った俺と、 色々な事に悩みながら剣を振る彼女とでは、成長の度合いが違うのは当たり前だ。 「あらあら、頼もしい限りね。私も負けてられないわね、うふふ」 ころころと鈴が鳴るように、鈴仙が笑う。 あれから彼女はすごく朗らかに笑うようになったし、人当たりも目に見えて柔らかくなった。 懐が深くなった、とでも言うのだろうか。内面的な目に見えづらい部分の成長が目立つが、 俺から見れば、彼女も俺と同じくらいか、あるいはそれ以上に強く逞しく成長していた。 「こっちだって負けてられないよ。……つくづく、みんなに感謝だな」 「うん……」 決して俺たち二人だけの力だけでここまで来れた訳ではない。 永琳は俺たち二人の師として、弱く幼い俺たちの道を影から照らしてくれた。 てゐやイナバの子たちとの優しくあたたかな日々が、心に尽きせぬ力を与えてくれた。 俺にとっての妖夢しかり、外の人たちも、俺たちの背中を強く押してくれた。 …………えっと、一人、肝心な人を忘れている気がする。 『も もこぉ』 『あらあら姫、こんな所にいらしたんですか。お部屋に戻りますよ』 ごきり。 ずるずるずるずるずるずるずるずる…………(フェードアウト) 「……………………」 「……………………」 襖の向こうで何やら不穏な気配がしたが、そんな細かい事をいちいち気にしているようでは、立派な大人にはなれない。 気を取り直して、改めて鈴仙の方に向き直した。 「あー、おほん。それはそうと、今日は一体どうしたんだ?」 稽古に付き合うのを断られたのは、今日が初めての事だった。 「う、うん。……実は、今日だけじゃなくて、しばらくあなたの稽古に付き合えなくなっちゃったの」 「ええっ!? け、倦怠期?」 「違うわよ!! 私があなたの事をどれだけ、その、あ、愛してるか、知ってるでしょ?」 「うっ…………君も言うようになったな……」 見事な不意打ちに、不覚にも自分の顔が赤くなるのが分かる。 「おかげ様で。……って、違うの。倦怠期とか、そんなのじゃなくってね……」 そう言うと鈴仙は俺の手を取り、自分のお腹に当てると、頬を赤らめて幸せそうに呟いた。 「……この子が、ビックリしちゃうから」 「……………………」 「……………………」 「……………………マジで?」 すっかり固まってしまった全身に活を入れ、何とか唇だけを動かした。 「大マジよ。実はね、最近体が凄くだるくて、この間師匠に診てもらったの。 そしたら、その……『おめでとう』……って」 「そうだったのか……悪い、全然気づかなかった」 「ううん、いいの。私も風邪か何かだと思って、少し無理しちゃってたから」 「そっか…………なあ、この中に、俺たちの子供が……」 「そう。私たちの、可愛い赤ちゃん」 幸せそうに瞳を蕩かす鈴仙のお腹を、一つさすってみた。 ……ふつふつと、体の芯から力が湧き出してくる。 「…………う……」 「?」 「うおおおおおおおおおっっっ!!!!! でかした鈴仙っっ!!! すげえっ、すげえよ!!!!!」 一体、どこまで俺に力を与えてくれるのだろう。 一体、どこまで俺を幸せにしてくれるのだろう。 「きゃっ! ちょ、ちょっと、大声出さないでよ」 「馬鹿っ、これが騒がずにいられるか!! おおおおおいっ、みんなっ、聞いてくれえええええええええ!!!!!」 矢も盾も堪らず、部屋を飛び出した。 男泣きに泣きながら、屋敷中を叫んで走り回った。 そうでもしないと狂ってしまいそうなくらい、俺は幸せだった。 「ね、貴方のお父さんはね、あの通りちょっと馬鹿だけど、とても強くて優しい素敵な人なの。 貴方の事も、きっと幸せにしてくれるから……すくすく元気に育ってちょうだいね」 …………それから半年………… さて、今日は十五夜、いわゆる中秋の名月という奴である。 慣例に従い、博麗神社で界隈の関係者総勢で、月見がてら宴会を行うという事だった。 未だ残暑の跡を色濃く残す中、すっかりお腹の膨らんだ鈴仙を連れて行くのも躊躇われたが、 本人の希望を尊重して、決して無理はしない、という約束を取り付ける事で妥協した。 すっかりマタニティドレス姿が板についた鈴仙の手を引いて、ゆっくりと味わうように、空を泳いだ。 「飛ぶの、上手くなったわね」 「ああ」 これも、外の世界からの異分子だった俺が、完全に幻想の一部となった証なのだろう。 誇らしくこそ思えど、悪い気などする筈も無かった。 ………… 「わあ、すごいすごぉい、触らせて触らせて」 神社に着くなり八雲一家に出迎えられ、橙がごろごろと鈴仙のお腹に擦り寄ってきた。 「こらこら橙、やめないか。鈴仙の体に障る」 「ふふ。いいのよ、藍。……ねえ、橙。たくさん撫でてあげてちょうだいね」 「うんっ。…………わあ、あったかいな……」 当人の許しを得た橙が、お腹に顔を埋めて、瞳を輝かせている。 鈴仙は、他人にお腹に触られるのを嫌がるでもなく、むしろそれを歓迎していた。 「申し訳ない。後できつく言っておく」 藍が、俺の方に頭を下げてきた。 「いや、いいんだよ。よかったら、藍も撫でてやってくれ。鈴仙もお腹の子も喜ぶ」 「ええっ、いいのっ?」 藍の顔が、パッと輝く。……君もやりたかったのか…… 「ああ。生まれる前からたくさんの人に愛してもらって、あの子も幸せになれるだろうさ」 「あらあら。それじゃ私も、ご相伴に預かってもいいかしら?」 「あんたはダメだ!!」 ――ごんっっ。 「ふぎゅっ」 腹パンチしたくて堪らない様子の紫さんの鼻っ柱を、剣の柄尻でブン殴った。 「ひっ、酷いわっ! まだ何もしてないのにっ!」 「『まだ』って事は、これからする気満々じゃねえか!! お願いだから、そのフリッカーの構えをやめてくれ……」 「わ、分かったわよぉ……」 いかにも渋々といった感じで、紫さんは目にも留まらぬ振り子の動きを止めた。 「ふう、まあいいや。……なあ、紫さん」 この人とはそう親しくした訳でもないけど、俺はこの人に特別な感謝の念を抱いていた。 「はい? 何かしら?」 「……ありがとう、紫さん。貴方には、本当に感謝してる」 「あらあら、いきなりどうしたのかしら」 「どうもしないさ。ただ、何となく」 ――俺たちを巡り合わせてくれたのは、きっと。 「なあ紫さん。よかったら、鈴仙のお腹、撫でてやってくれないか。 本当は、貴方にこそお願いしたい」 「えっ、いいのっ!?」 ――ひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんっっ!!! 振り子の動きが再び激しくなる。 「ふざけるなっ!! アンタ今すぐ『撫でる』って単語を辞書で引いて来い!!」 「な、何よぅ、そんなに怒鳴らなくても、ほんの冗談じゃないのよ……」 「もういいから、早く行ってやってくれ……」 ――ごろごろごろごろ。 「あ、よかった。ねえ紫~、この人たち何とかしてよ~」 「あらあらしょうがないわね。はいはい、今すぐ」 すっかりダメな子になってしまった式と式の式からダブル頬擦りアタックを受け、鈴仙が苦笑を浮かべて困り果てた声を上げている。 「ほらほら二人とも、離れなさい。次は、私の番」 ケダモノ二人を引き剥がすと、紫さんは鈴仙の前に片膝をついて、そっとお腹に手を当て、ふんわりと撫でた。 「……あたたかいわね。きっと、元気で幸せな子が生まれるわ」 「当たり前よ。私とあの人の子供だもの」 「うふふ、言うようになったわね、あの弱々しかった兎さんが。 ……ね、鈴仙。……貴方、今、幸せ?」 噛みしめるような紫さんの言葉に、鈴仙は柔らかな笑みを返した。 「うん、とても幸せ。……ありがとう、紫。私も、貴方には凄く感謝してる」 「あらあら、夫婦揃って奇特な事ね。私、貴方たちに礼を言われるような謂われは無いわよ? ……でも、どういたしまして」 鈴仙には悪いと思ったが、そう言って淡く笑う紫さんは、幻想的なまでに綺麗だった。 で、そうこうしている内に続々と面子が揃い、色々な人たちに物珍しそうに囲まれる羽目となった。 「それにしても大きくなったなあ。あとどのくらいで生まれるんだ?」 「う~ん、あと一、二ヶ月ほどって師匠が言ってたわ」 「あら、もうすぐじゃないの。ねえ、どんな子が生まれるのかしら」 「ウササササ、きっとこんな子が生まれてくるわ(ttp //takuki.com/aic/img04/usakin.jpg)」 「ふざけるなこの野郎!!」 ――どげしっっ。 洒落にならない冗談を言うてゐの背中を、思いっ切り蹴り飛ばした。 「そうよ、てゐ。きっとこの人によく似た、強くて男前な、素敵な男の子が生まれてくるに決まってるわ」 「何言ってるんだよ。きっと鈴仙によく似た、優しくて気立てのいい、可愛い女の子が生まれてくるに決まってる」 「あら、あなたったら。うふふふふ」 「あはははは」 『…………………………………………』 何故か、周囲の気温が二度ほど下がった気がした。 「……幽々子様、帰ってもいいですか」 「いやいや妖夢。だからあなたはダメなのよ。 そんな事だから、あの兎どころか、あなたより余程後に剣を持った彼にさえ勝てなくなるの。 あの二人の強さ、しっかりとその目に焼き付けておきなさい」 「……はい…………」 ………… さて、宴もたけなわ、そろそろ身の危険を感じる頃合になってきたので、輪を離れて、境内の方に避難した。 先に一人輪を離れていた鈴仙が、縁側に腰掛けて、じっと空を見上げていた。 秋の長雨の時期にも関わらず、よく澄んだ闇空に、真ん丸な月がその姿を晒している。 俺は黙って鈴仙の右隣に腰を下ろし、自分の左手を、そっと彼女の右手に添えた。 ――右の腕は、仇為す敵を斬り裂き、屠る為のもの。 ――左の腕は、愛する者を包み込み、守る為のもの。 それが、強くなると決めたあの日から、自分の両腕に課した大切な役割だった。 「…………」 鈴仙が月を見上げたまま、俺の肩に頭を預けてくる。 「……ね、今までずっとコソコソ隠れて生きてきたけど。 今なら私、あの月で生まれて育ったって、誰に対しても胸を張って言えるわ」 「そうか」 「うん。……本当にありがとう。全部、あなたやみんなのお陰」 「違うよ、鈴仙。確かに半分は俺たちが君の手を引いたり背中を押した結果だ。 でも半分は、君が逃げずにちゃんと自分で頑張ってきた成果だよ」 左の腕を上げて、彼女の肩を抱き寄せた。 鈴仙の瞳が、幸せにじわりと潤む。 「……大好きよ、あなた。もっともっと、幸せになりましょう」 博麗の結界の天上、夢と現の境界から、どこか懐かしい月の光が、優しく俺たちの体を包み込んでくれていた。 2スレ目 112 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「あわてんぼうのサンタクロース、クリスマス前にやってきた~♪っと」 実際そんなサンタがいたら迷惑極まりないが、今回は俺がサンタだ。 そんなヘマはしない。 本日、十二月二十三日、クリスマスイブイブだ。 俺が居候させてもらっている永遠亭の面々には クリスマスと言う概念がないらしいが、今回は他の幻想郷の面々が クリスマスパーティを開くと言うことなので、今年から開かれるらしい。 もっとも、彼女たちのことだからただ騒げればいいだけなのかもしれないが。 「うむ、クリスマスツリーはこれで万全だ」 ちなみにここは紅魔館。 内装が和風の永遠亭では、それこそクリスマスを開くのには向くとはいえない。 むしろ、周囲に竹などあるから七夕のほうがムードが出るかもしれない。 うん、織姫と彦星のことについて語ったら、似合わないとか言われそうだけど、 やるんだったら、一応言っておこう。 きっとまたやることは酒盛りだろうけど。 「こっちはもう終わったわ」 同じように飾り付けをしていたメイド長の人が音もなく現れる。 「あぁ、こっちももう終わります」 大体、飾りつけも終わる。 これが終わったら、あとは帰るだけだ。 「ところであなた、クリスマスプレゼントは買ったの?」 「あー、いや、一応自分で作ったものを…」 そう答えると驚いたように彼女は目を丸くする。 普通に見れば俺自身、物を作るような人間には見えないだろう。 「作ったものって、もしかして置物かしら?」 その言葉に首を振る。 俺にとっては置物を作るほうが難題だ。 綺麗に陶器を作れるとは思えないし。 「や、ちょっとだけ服を…」 「服!?」 そのメイド長さんの驚きようは意外なんてものじゃなかった。 まるで、ありえないと言うように俺のほうを見る。 「はは、始めは誰もがそういう反応しますね。でも、最近の鈴仙やてゐの服とかは 俺が作ったものですよ?」 あの時、忘れもしない二ヶ月前、鈴仙とてゐの服を 俺の頭脳で何とか作り上げたものだ。 「あなた…何者よ?」 「…コスプレイヤーの知り合いに技術を伝授された奇妙な奴…でしょうか?」 「コス…?」 「あー、衣装とかそういうのを着たり作ったりする人です」 俺は専ら作るほうが専門だけど。 さすがに着るのはちょっと…勘弁してほしい。 「へぇ、じゃあ作るのは慣れてるのね?」 「えぇ、今回は一応普通の女性が着れる程度の服を作ったんですけど…」 「どうかしらね?」 考えてみれば体格差はかなりあったりする。 こっちの永琳さんと、ここのお嬢様とじゃ、かなり差があるんだよな…。 「ま、楽しみにしておくわ」 「プレゼント交換に当たったら、ですけどね」 交換会なんて結局の所、何十分の一の確立だし。 簡単に当たるとは思えないなぁ…。 …ここの館のお嬢様が運命でも操らない限りは。 いや、逆に運命を操られたらまず間違いなく当たるんだろうな。 やらないと思うけど。 そうこうしている内に、とっくに日が暮れて俺は帰るルートを辿っていた。 プレゼント交換用の服は完成しているのだが、本命に渡す服…というか衣装は まだ完成していない。 「鈴仙…気に入ってくれるといいんだけど…」 そう、俺の本命は鈴仙だ。 言うなれば一目惚れ。 彼女と出会ってから、割と人生が変わった気がする。 「問題は…補修が大変なんだよな。あの衣装」 生地自体が、香霖堂にあったから良いにしても もしかしたら、二度と作れないかもしれない。 「ま、何とかなるか」 そもそも、この衣装の存在自体も言うなればネタに近い。 ここから回想に入ってみるとしよう。 これが俺が衣装を作るまでの過程である。 『ねぇ、この箱何?』 俺の荷物を整理していた鈴仙が、それを持ってきた。 『あー、それアニメDVDの箱…そっか、服作る資料で持ってたんだったなぁ…』 『え?この可愛い服作るの?』 やはりこの時も鈴仙に驚かれた。 可愛いかどうかは置いといて、 『まぁ…一応は作る予定だったんだけど…着る人がなぁ』 ここに来てから、作るつもりなんて欠片もなくなった。 『じゃあ、作ったら私が着ようか?』 俺の心臓が飛び跳ねました。 萌えとか胸キュンなんてチャチなもんじゃ断じてねえ。 もっと恐ろしい、彼女の片鱗を味わったぜ… 『どうかした?』 『あ、いや、まぁ作る予定は未定って事で…』 こうして、俺はクリスマスまでに彼女の服を作ることを決意したのである。 それは(ピー)月だったんだが… まぁ、そんなこんなで四苦八苦しながら、俺はクリスマスの当日を迎えてしまったわけだ。 だが、最高に「ハイ!」ってやつだアアアアアアハハハハハハハハハハーッ! 「…何でそんなに壊れ――はしゃいでるの?」 いつの間にか寄っていた鈴仙にジト目で見られていた。 まぁ、向かう途中の森の中で某吸血鬼のように高笑いをしてれば、普通引く。 誰だってそーする、俺もそーする。 「いや、こっちに来てからのクリスマスだし、それなりに楽しみなんだ」 「…あなたって、楽しむことを考えるとあんな高笑いをするの?」 「…普通はしないけどな」 そんな他愛のない会話をしながら、俺と鈴仙は紅魔館までの道を辿った。 一応両方のプレゼントをスタンバイしてある。 一つは交換会に提出するプレゼント、もう一つは隣にいる彼女に渡すものだ。 攻守において完璧だ! …守は置いといて。 「ところで、鈴仙は何を用意したんだ?」 「ん、私は――」 そこで鈴仙は言葉を切って 「内緒」 と舌を出していった。 あぁ、もう可愛いなこんちくしょう 「…あなたは服を用意したんでしょう?」 「まぁ…普通の人が着れるサイズを…」 基準にしたのは適当だけど…。 むしろ、鈴仙の衣装を作るので必死だったので、こっちのほうは手抜きなのは内緒だ。 二着作ったので、出来ればそれで勘弁してほしい。 普通の体格サイズと幼女体格サイズ。 クリスマス会が始まり、何時間も経過した。 そんなこんなで、ドンチャン騒ぎだ。 進行が適当だからこそ、騒ぐときに騒ぐ、それが一番だ。 「さ、そろそろプレゼント交換でもしましょうか」 と、人形遣いの鶴の一声で、ようやく、プレゼント交換までに至った。 「…さーて、何が当たるのか…」 出来れば俺の提出したプレゼントは、大きい子と小さい子がいる場所に行くことを祈ろう。 「十三番はどれ?」 吸血鬼のお嬢様が番号を呟きながら選ぶ。 こういうとき、自分の提出したものが自分の所に帰ってきてしまうと悲惨でしかない。 俺の番号は十六番、俺のプレゼントは十九番だ。 「えっと、十三番っとは」 そうして探していると、やたらと軽いプレゼントが当たった。 いや、袋は軽いのだが中身がちょっと重い。 鉛とか、そういうものが入っているようだ。 「あぁ、私のね」 嫌な予感がした。 「…永琳さんの?」 ごめんなさい、何となく中身が分かってしまいました。 「薬…ですか?」 「そう、滋養強壮剤」 何が目的で仕込んだんですか、あなたは? つーか、こんなの貰っても普通は嬉しくない。 「不満?」 「いや、貰えるものは貰いますが…」 「ふふ、じゃあ、帰ったら私の部屋に――」 「師匠!」 顔を真っ赤にした鈴仙が来ていた。 「あらあら、妬けるわね」 この人の本気がどこまでなのか分からない気がした。 「うぁ、藁人形だ!アリスだな?これ入れたの!」 「誰よ?お守りなんて入れたの。巫女に送りつけるなんていい度胸じゃない」 「って、私ナイフ貰ってもしょうがないわよー!お酒ーお酒ー!」 「…本は嬉しいんだけど…男性の写真集…誰?」 「お肉ー」 他の人達はそれはそれで、楽しんでいるらしい。 「あー、服だー!藍さまーお洋服ー!」 どうやら思惑――あった訳じゃないが、どうやら希望は叶ったらしい。 八雲紫の式とその式ならば、ちょうど服もぴったり合う…か分からないけど 多分大丈夫だろう。 「なぁ鈴仙、ちょっと外に出ないか?」 宴もそこそこ落ち着いた所で、目的の彼女を呼び出す。 きっと最後のほうで何かあるのだろう、吸血鬼のお嬢様が含んだ笑いをしていた。 それも考えながら、俺は彼女を誘う。 「ん、まぁいいけど」 「決まりだ。じゃ、行こうか」 彼女の手を引いて、外に出る。 冬だからか、外に出ると冷気が俺たちを包み込んだ。 「ほら、大丈夫?寒くない?」 鈴仙が俺のほうを心配そうに見上げた。 そう言いながら、見た感じ彼女のほうが寒そうに見える。 「…大丈夫。だけどお前の方が大丈夫か?」 「うん、私は大丈夫」 そいつは重畳だ。 こう寒いと、意識がなくなることはない。 眠くなる可能性はあるけど。 「ほら、プレゼント」 「…え?」 紙袋を受け取った彼女は目を丸くしていた。 うむ、予想通りの反応だ。それがおかしい。 「…え、えと、これは?」 「クリスマスプレゼント。 …まぁ、本来はサンタクロースが渡すものだけど 今回は俺で勘弁してくれ」 「ん…うん!」 まぁ、彼女が喜んでくれたならこれでよし。 「…別に大事にしなくていいから、一回くらいは着てもらいたいな」 「えぇ、だってこんな素敵なら、一回は着てみたいしね」 それだけ聞けば十分だ。 「あ…私、プレゼント返せない」 「大丈夫、大丈夫。俺のプレゼントを貰ってくれるだけで」 単なる自己満足に過ぎないが、それでも俺は十分だ。 彼女に贈り物をしたって言う事実だけで… 蛇足―― 翌日、十二月二十五日。言うなればこっちが本当のクリスマスである。 昨日は結局、外にいたせいか軽く寒気がした。 「寒い…」 良い子の枕元にはサンタクロースがプレゼントはあるらしいが この年でそんなものを貰っても―― 「お、おはよう」 目を覚ますと、枕元には俺の作った衣装を着込んだ鈴仙が座っていた。 …… ゴシゴシ …… ゴシゴシ ……!? 「魔法少女リリカルれーせん」 思わず呟いてしまった。 ここまで可愛くなると、作った甲斐があるというものだ。 「え?」 「…あ、いや、なんでもない…着心地は?」 「うん…ピッタリだけど…ちょっとだけ、胸のほうがキツいかな?」 確かに、その辺のサイズは分からなかったので、ごまかし程度に作ってしまったが。 よく見ると、ちょっとだけ胸が強調されてるように見える。 そこだけ見ないように、顔を背ける。 今絶対に鏡を見れない。 「着てくれたのは嬉しいんだ。っていうか、すっげえ嬉しい」 「ど、どういたしまして」 微かながら、彼女の顔は赤い。 ぎゅっ… 「あーもうかわいいな鈴仙は!」 「う、うぅ…」 微妙に鈴仙にとっては羞恥プレイかもしれない。 でも、俺はこんなに幸せだった。 こんなクリスマスはありかもしれない。 サンタに感謝…ってね。 後書き ===衣装の裏=== オレは……生き返ったんだ 故郷… プロポーズスレでみんなと出会った時…門板のスレを裏切った時…にな… ゆっくりと死んでいくだけだった…オレの心は生き返ったんだ…みんなのおかげでな……… 幸福というのはこういうことだ………… これでいい 気にするな…………… ===衣装の裏ここまで=== とりあえず、いつものパターンで完成させました。 補足 ※鈴仙の衣装というのは某魔法少女をイメージしたものである ※鈴仙のリリカル姿を描いてみたは良いが、あまりにも適当すぎたのでボツった ※コスプレイヤー姉に衣装を作った…。そういう時期も私にはありました… 314 ─────────────────────────────────────────────────────────── 『鈴仙!俺を狂わせてくれぇっ!!!』 正気でも狂気でも、幸せであればいいじゃない。 みんなまったり行こうよ。 4スレ目 149 ─────────────────────────────────────────────────────────── 避難所 33(ハーレム? 1)を受け ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「○○さん、また酒にやられたんですか?」 鈴仙が心配そうに覗きこむ。 「どうやらそうらしい。おかしいよなぁ…今日はあまり飲んでないのに…」 そう答えると、鈴仙は少し考えた後…… 「そうですか…じゃあここでは満足した治療も出来ませんので永遠亭に行きましょう」 と、言って○○の手をとった。 「え?いや、ちょっと、そんないいって」 「いいえ、悪化したらどうするんですか。強制ですよ」 そう言って鈴仙は○○の目をじっと見た。 「え、ちょっ!顔近いって!!、ってその妙に紅い目は何…を……」 鈴仙の目をしっかりと見つめてしまった○○、あえなくダウン。 「ふふふ……」 -永遠亭 鈴仙の自室- 「……うぅ~……ってハッ!!」 ○○が目を覚ますとそこは永遠亭っぽいところだったが、まだ一度も入ったこと無いところだった。 「ココは……?」 「あ、気がつきましたか」 不意に声が聞こえ、その主のほうを見ると…… 「おわぁっ!れ、鈴仙……なんで一緒に寝てるんだよ!?」 鈴仙が○○の横で寝ていた。 「あ、すいません……○○さんの治療をしていたら眠くなってしまって……その……気を害したのならばごめんなさい……」 そう言うと鈴仙はしゅんとしてしまった。 「いや!そんな気を害したとかそう言うんじゃなくて……む、むしろ暖かくて良く眠れた……って何を言ってるんだ僕はっ!!」 「え……?」 あわてて否定したおかげで余計なことまで言ってしまう。 でも鈴仙は何故か赤面して黙ってしまった。 つられて○○も黙ってしまう。 ………… 半刻ほどして鈴仙が口を開いた。 「あ、あの○○さん……今日は……その……もう少し……このままでもいいですか?」 「え?……あ、ああ。いいよ……」 「本当ですか?ありがとうございます」 「いや、別にいいよ。僕も……まぁ、うん……」 ……結局○○は永遠亭で一夜を過ごすこととなり、翌日鬼と天狗に折檻をもらったとか…… な ん だ こ り ゃ 全然文としてまとまってない。 文に文章のまとめ方を習ってきます…… [森]λ… 避難所 52 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「一人で過去を背負うことなんて無い。俺が死ぬまで、隣で支えるから。 ・・・迷惑なことなんてあるか、断ったって傍にいてやるさ。」→鈴仙 うどんげは好きな相手に告白されても、迷惑がかかるからって涙ながらに断りそうなイメージを幻視した。 よって2行目を追加したした次第。 4スレ目 700
https://w.atwiki.jp/morosaki/pages/104.html
<ご愁傷様、若林くん 一覧 俺inキャプ森> ○鈴仙奮闘記 過去ログ 作:鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ 2013/03/17~ tag アラン・パスカル 鈴仙・優曇華院・イナバ 一言感想コーナー! あなたの意見を↓にどうぞ! 目標について 【大目標】 全幻想郷選抜大会で活躍して幻想郷代表となり、 自分が師匠(永琳)と肩を並べられる名プレーヤーであることを世界に知らしめる。 【当面の目標】 決勝トーナメント進出決定。組み合わせ決定までの日常を悔いなく過ごす。 大会ルールについて 【全幻想郷選抜大会 ルール】 ○予選リーグ 4チームずつ4ブロックに分かれてリーグ戦を行います。 上位2チームが決勝トーナメント進出となります。 前後半30分ハーフで行われます。 勝利は3点、敗北は0点、引き分けは1点として扱い、3戦した際に最も多くの点数を獲得したチームが優勝となります。 なお、同点のチームが複数いた場合、得失点差、得点数の順番で順位を決めます。 延長戦やPKはありません。 反則についてですが、レッドカード、もしくはイエローカード累積2枚で退場した場合、 次の試合には出場出来なくなってしまうので、ご注意下さい。 『3』人まで選手交代可能です。 ○決勝トーナメント 予選通過の8チームから、順位と選出ブロックにより組み合わせを決定します。 前後半35分ハーフで行われます。 同点だった場合、前後半15分ハーフでの延長戦を行い、 それでも決着がつかない場合はPKで勝負を決める事になります。 予選リーグのイエローカードの累積はリセットされます。 『3』人まで選手交代可能です。 ストーリーについて 【第一章までのストーリーの流れ】 +... ゲーム開始前 人々の癒し、拠り所として幻想郷ではサッカーが流行していた。 しかし、大会や試合で活躍したのは霊夢、紫、魔理沙、レミリアや永琳などの今までの強い者のみ。 鈴仙や妖夢は頑張ってもあくまでおまけに過ぎなかった。 たまに大会が開かれても、今までの異変解決のように、霊夢が優勝ばかりしていた。 序章 ある日、八雲紫が、 「幻想郷選抜選手を決めて、世界のサッカーチームと戦う親善大会を開く。 その選抜選手は、次の大きな大会の結果で決める」 と提案。 各勢力はそれぞれの思惑を抱き、チームを組んでいく。 そんなおり、森崎の相棒――中山政男が永遠亭に。 パスカルの出会いを機に、自分の在り方に疑問を覚えていた鈴仙に大きな切っ掛けを与える。 鈴仙は、師である八意永琳に並び立つ選手になるべく奮闘するよう決意した。 第一章 鈴仙は、「中山に影響を受けた中心人物」として、妹紅や慧音、星や妖夢、てゐや他の名も無き妖怪ウサギ達に成長を促す。 また、日向達のような外来の脅威に対しても、人間の強い者――霊夢や魔理沙でなく、鈴仙が中心となって撃退する。 大会直前の練習試合、鈴仙はとうとう大会優勝候補の名門・紅魔スカーレットムーンズにも勝利する。 運命を切り開こうとする鈴仙の姿に、レミリアやパチュリーは興味を覚える。 しかしそこで、更なる高みを目指す中山が一時離脱してしまった。 必ず戻ってくると約束して。 【現在鈴仙を取り巻く勢力】 +... 幻想の結界チーム(仮) 中心人物:八雲紫、博麗霊夢(?) 主な目標:異変の中心である鈴仙を、サッカーでの勝利で退治すること。そして…? 概 要:八雲紫は、鈴仙1人が強くなるならまだいい。 だが鈴仙を中心に周りの者が努力して強くなることを危惧している。 幻想郷は全てを受け入れる場所である故、努力しないものが淘汰されてはならないから。 なお、その影響なのか、紫の能力にも現在揺らぎが生じている。 ただし、霊夢は自分なりに何が正しいかを見極めたいと思っている。 プロジェクト・カウンターハクレイ 中心人物:日向小次郎、岡崎夢美、八意永琳 主な目標:霊夢一強である幻想郷の秩序に一石を投じ、以て力の強くない人妖にも等しく機会を与えること。(?) 概 要:「博麗霊夢に対抗しうる存在」を発見、育成するため幻想郷の内外で暗躍。 鈴仙も、日向達と行動を共にする永琳・輝夜により、同プロジェクトにスカウトされている。 どうやら過去には鈴仙の友人である妖夢もスカウトされたらしいとか。 掲げる目標自体は崇高だが、幻想郷も含めた全世界で商機を伺う大企業・ヒューガーがスポンサーについており、 きな臭い部分もある。組織自体も、決して一枚岩では無いらしい。 永琳や幽々子も、このプロジェクトに手を貸しているらしいが、その真意は未だ不明。 ハイパーカンピオーネ 中心人物:豊聡耳神子、岬太郎、霍青娥 主な目標:資金と人脈を確保した上で、人間による幻想郷の統治を実現する。 概 要:妖怪により支配されている幻想郷を憂い、人間による統治を実現するべく水面下で活動していた。 大会開始までは姿を見せないでいたが、どうやら外界で選手のスカウトや石油商人とのコネを作っていたらしい。 幻想郷では人受けの良い岬を使役して詐欺行為や才能ある選手のスカウトを行っている。 妖夢は様々思う所があり、この計画の元自らを高めていくことを決意した。 裏では色々と汚い事を行い、サッカーでも必要とあれば卑怯な手段を用いるが、 人里の人間達には、彼女達を熱狂的に支持する者も少なくない。 今後の予定・イベントについて ○第二章 スケジュール表 予選リーグ終了まで +... 午 前 午 後 1日目 開会式 羽目×紅魔 ――― 人里×二軍 2日目 永遠×雑魚 バケ×聖徳 守矢×毛玉 妖精×妖怪 3日目 地霊×西行 休 み 命蓮×博麗 休 み 4日目 休 み 休 み 休 み 休 み 5日目 羽目×バケ 永遠×地霊 人里×妖精 守矢×命蓮 6日目 紅魔×聖徳 雑魚×西行 二軍×妖怪 毛玉×博麗 7日目 休 み 休 み 休 み 休 み 8日目 休 み 羽目×聖徳 休 み 人里×妖怪 9日目 永遠×西行 紅魔×バケ 守矢×博麗 二軍×妖精 10日目 雑魚×地霊 休 み 毛玉×命蓮 休 み 11日目~ 決勝トーナメント 決勝トーナメント以降 +... 午 前 午 後 11日目 休 み 休 み 12日目 聖徳×妖精 永遠×守矢 13日目 紅魔×妖怪 地霊×博麗 14日目 休 み 休 み 15日目 永遠×聖徳 紅魔×博麗(準決勝) 16日目 休 み 休 み 17日目 休 み 聖徳×紅魔(三位決定戦) 18日目 休 み 永遠×博麗※予定 19日目 休 み ブリッツ決勝 20日目 休 み 休 み→第三章へ続く 日常の進行について ○第二章での進行について 第二章は基本的に、半日単位で時間(ターン)が進行します。 1日は「午前」と「午後」の二つに分かれており、毎ターン開始時に何をするか選択をして貰います。 毎ターン開始時には、「自由行動をする」「チームで試合を見に行く」「自主練習をする」「狂気度を使用する」の 四つを選択できます。 「自由行動をする」では、これまでの自由行動フェイズと同じように選択が発生します。 また、チームメイトや他チームのキャラを誘って練習する場合も、こちらで選択をお願いします。 「チームで試合を見に行く」では、現在行われている試合を観戦しに行きます。 試合では、ライバルチームの選手の特徴を知れたり、運が良ければ能力値の一部を見る事ができる…かもしれません。 (チームで見に行くとありますが、必ずメンバー全員が試合を見に来るとは限りません。 また当然ですが、試合が開催されてない日は、この選択肢は選択できません) 「自主練習をする」では、第一章での練習フェイズ時と同じように、 個人練習、二人で練習、二人をコーチングの内から1つ選択することができます。 練習の効率も、第一章の時と同じです。 「狂気度を使用する」では、普段通りに狂気度を使用する事ができます。 この時、脳内練習試合以外では時間を消費しません。 メモ 【ストーリーの大まかな流れ(予定)】(●=今現在の位置) <序章・オープニング> <第一部> ○第一章 永遠亭ルナティックス奮闘編 ●第二章 全幻想郷代表選抜大会編 <第二部> ○第三章 ???編 ○第四章 ???編 <エンディング> 【ヒントシステムについて】 鈴仙は困った選択肢。具体的には『3票決』の選択肢が出た時には、 『ヒント神に助けを求める』という選択肢が発生します。 これを選択すると、ヒント神・ヨッチャンが登場し、選択肢を絞ってくれるような大ヒントを 話してくれますが、一回あたり! dice×100円が代金として取られます。 また、ノーヒントで正解の選択肢に辿りついた方が、良い事があるかもしれません。 さらに、このヒントは通常の「2票決」の選択肢でも自由選択枠を使用することで 受けることができます。ですが、料金もきっちり取られますので、ご利用は計画的に。 ☆ 過去ログ ☆【神話に】鈴仙奮闘記44【挑むもの】 ★【倒れるまで】鈴仙奮闘記43【戦え】 ★【希望は】鈴仙奮闘記42【魔界より】 ★【道は】鈴仙奮闘記41【違えど】 ★【不屈の心は】鈴仙奮闘記40【この胸に】 ★【追う蜃気楼は】鈴仙奮闘記39【誰が背か】 ★【ウドンゲ春の】鈴仙奮闘記38【天パ祭り】 ★【熱戦烈戦】鈴仙奮闘記37【超激戦】 ★【秋空模様の】鈴仙奮闘記36【仏蘭西人形】 ★【新天地は】鈴仙奮闘記35【魔境】 ★【契約書に名前】鈴仙奮闘記34【書いてみて】 ★【レイセン】鈴仙奮闘記33【アレアレオー】 ★【もう昨日には】鈴仙奮闘記32【戻れない】 ★【楽園の未来】鈴仙奮闘記31【映す試合】 ★【影の役者】鈴仙奮闘記30【天才の相棒】 ★【レイセンガ】鈴仙奮闘記29【タダシイヨ】 ★【早苗】鈴仙奮闘記28【サッカー好きか?】 ★【復活の】鈴仙奮闘記27【N】 ★【天ぷら】鈴仙奮闘記26【大好きです。】 ★【悩むな】鈴仙奮闘記25【斬れば分かる】 ★【深遠なる】鈴仙奮闘記24【蒼きフィールド】 ★【Other】鈴仙奮闘記23【World】 ★【光を】鈴仙奮闘記22【掴み取れ!】 ★【ブースターV.S.】鈴仙奮闘記21【ホッパー】 ★【ロリコン】鈴仙奮闘記20【黄金期】 ★【前略】鈴仙奮闘記19【向日葵仮面より】 ★【私が決めなきゃ】鈴仙奮闘記18【誰がやる!】 ★【輝夜が負けたら】鈴仙奮闘記17【腹筋させます】 ★【高みを目指して】鈴仙奮闘記16【どこまでも】 ★【アツくなる】鈴仙奮闘記15【ウサギたち】 ★【運命を】鈴仙奮闘記14【切り開く】 ★【月の秀才】鈴仙奮闘記13【ウサギに意地】 ★【鈴仙のいいところ】鈴仙奮闘記12【見てみたい】 ★【紅い満月】鈴仙奮闘記11【永遠の夜】 ★【私のお小遣いは】鈴仙奮闘記10【53万です】 ★【魅せろ姫様】鈴仙奮闘記9【カリスマセーブ】 ★【行く風に】鈴仙奮闘記8【夏を知る】 ★【最強マモノ】鈴仙奮闘記7【決定戦】 ★【真っ直ぐに】鈴仙奮闘記6【突き進め】 ★【饂飩王奥義】鈴仙奮闘記5【うどんゾーン】 ★【タイガー&】鈴仙奮闘記4【バニー】 ★【変わり行く】鈴仙奮闘記3【者たち】 ★【目指せ】鈴仙奮闘記2【初ゴール】 ★【主人公】鈴仙奮闘記【永琳に交代?!】 ★キャプテン森崎外伝スレ11 ◆鈴仙奮闘記キャラクター人気投票 携帯過去ログ ☆【新天地は】鈴仙奮闘記35【魔境】 ★【契約書に名前】鈴仙奮闘記34【書いてみて】 ★レイセン】鈴仙奮闘記33【アレアレオー】 ★【もう昨日には】鈴仙奮闘記32【戻れない】 ★【楽園の未来】鈴仙奮闘記31【映す試合】 ★【影の役者】鈴仙奮闘記30【天才の相棒】 ★【レイセンガ】鈴仙奮闘記29【タダシイヨ】 ★【早苗】鈴仙奮闘記28【サッカー好きか?】 ★【復活の】鈴仙奮闘記27【N】 ★【天ぷら】鈴仙奮闘記26【大好きです。】 ★【悩むな】鈴仙奮闘記25【斬れば分かる】 ★【深遠なる】鈴仙奮闘記24【蒼きフィールド】 ★【Other】鈴仙奮闘記23【World】 ★【光を】鈴仙奮闘記22【掴み取れ!】 ★【ブースターV.S.】鈴仙奮闘記21【ホッパー】 ★【ロリコン】鈴仙奮闘記20【黄金期】 ★【前略】鈴仙奮闘記19【向日葵仮面より】 ★【私が決めなきゃ】鈴仙奮闘記18【誰がやる!】 ★【輝夜が負けたら】鈴仙奮闘記17【腹筋させます】 ★【高みを目指して】鈴仙奮闘記16【どこまでも】 ★【アツくなる】鈴仙奮闘記15【ウサギたち】 ★【運命を】鈴仙奮闘記14【切り開く】 ★【月の秀才】鈴仙奮闘記13【ウサギに意地】 ★【鈴仙のいいところ】鈴仙奮闘記12【見てみたい】 ★【紅い満月】鈴仙奮闘記11【永遠の夜】 ★【私のお小遣いは】鈴仙奮闘記10【53万です】 ★【魅せろ姫様】鈴仙奮闘記9【カリスマセーブ】 ★【行く風に】鈴仙奮闘記8【夏を知る】 ★【最強マモノ】鈴仙奮闘記7【決定戦】 ★【真っ直ぐに】鈴仙奮闘記6【突き進め】 ★【饂飩王奥義】鈴仙奮闘記5【うどんゾーン】 ★【タイガー&】鈴仙奮闘記4【バニー】 ★【変わり行く】鈴仙奮闘記3【者たち】 ★【目指せ】鈴仙奮闘記2【初ゴール】 ★【主人公】鈴仙奮闘記【永琳に交代?!】 ★キャプテン森崎外伝スレ11 ◆鈴仙奮闘記キャラクター人気投票 <ご愁傷様、若林くん 一覧 俺inキャプ森> 森崎有三 本編 全日本ユース No.1ゴールキーパー ジャパンカップ サッカー 山森正吾 南葛中 全国中学大会 スラムダンク ドカベン ドラえもん テクモ版ゲーム ノビタジスタ V4 レナート 東方 サンパウロ+ ロベルト 北斗の拳 第二章 小田強 すしおだ 社会人トーナメント アモロ 遊戯王 大魔王 クラブAはここで生まれた クラブA アモロスターズ 完結 モロサキ 異世界 キスギ 麻雀 ブルノ ときめきメモリアル 新田瞬 反町一樹 イナズマイレブン ドッジボール 南葛SC 短編 シュナイダー ピエール オールスターズ ラブマリー グローバルフットボーラー ターク・ハル 奇跡のヤン 音撃戦士 仮面ライダーBLACK RX 燃えて燃えて奇跡を呼ぶミラクルシュート エリート熊が倒せない 来生哲兵 熱血硬派くにおくん バトル 変化球 山森正美 女子 妹キャラ総登場 マリー・シュナイダー ドン・ロバートドリンク 夏の大会・県予選の章 中里正人 忍者 修行の旅 風呂 パルメイラス 黒歴史ノート くのいち 小田ジュニア 小学生 蝶春菜 お嫁さんはドライアード マネージャー 裏方 てんびん座 南葛の歴史・分岐点 日向尊 エジプト ジョジョの奇妙な冒険 三杉淳 ゲーム版5 イタリア フィオレンティーナ サディスティック・貴公子(プリンス) コッパ・イタリア・プリマヴェーラ (三杉は)ミハエルからは逃げられない 未完 そしてA.Cへ 戦国時代 太閤立志伝 うつけものクラブ 幻想郷 ドリームチーム サッカー野郎Aチーム ミッドチルダ ポイズン 新ジャンル・陵辱生産機 新々ジャンル・シュート魔王 オータムスカイズ 妬ましパルパルズ 早田誠の憂鬱 城山正 シロノトリガー ウルトラマンシロ 秋津姫 月星美津乃 ガンダム カオス 妖怪いちたりない キャプテン丸山? 銀様 EXILE 全日本 1さん 全ての始まり 出発点 がんばりフォーレスツ メリーのアトリエ No.1メイドブリーダー 守矢杯 オリキャラ あずきざわ No.1マネージャー 菱野景 No.1ポストプレイヤー 信頼と実績のオチ落田 カードのJに愛された男・瀬川 No.1コーチ バスケ 大空翼 赤い手羽先 煩悩師弟 海南大付属 外伝も読んでね 牧監督 沢田あゆみ 賀茂みなと 中里(♀) フリードリヒ No.1接待皇帝 キャプテンズ ウイングス 松山光 厄 SSP SSPカード ファイアーエムブレム 光の拳 ロイヤルバカップル 『まりあだいじに』 第二部 第七小隊 霧雨魔理沙 夜襲 【禁則事項】 守矢恋色トラベラーズ 愛弟子ぬえ SDGK いつか決めるぜ爆宙ライトニングサイクロンマッハトルネードファントムシュート 岡山姉 JOKER アンケート セリエA ヤベッチュ外伝 作者は岡山姉の婿 No.1人気ゴールポスト アーバックル 井沢守 原作 キャラブレ オウガ サガ ドラクエ カオスの極み 岩見兼一 聖闘士高校 水瓶座のロック 巫女 水瓶座のケン セイントキャット 水見亜美 女性化 君代命 チャ・ザ神 bot 鎌瀬一 名将大矢 板野住明 ふらの中学 幸福な松山 KO☆I☆KE レミリア・スカーレット 第15回全国中学大会 イタリアJrユース 滝一 仮面ライダー ザビー 悪の組織 生田(仮)高校サッカー部 県大会 ビーバーファング ミストさん マリオとヨッシーFC ウサギ 迷解説者スレ フラグは成立するもの 天狗A頑張って SRGK大さん ハイ・ローリング・ドリブラー・大さん Mのチルノ シュテルトハイム・ラインバッハ3世 アラン・パスカル 鈴仙・優曇華院・イナバ atari2600 アイドルマスター 岬太郎 レトロゲーム
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/889.html
鈴仙10 新ろだ205 夕方ともなると、気温も下がり出し、炬燵が恋しくなってくる。 炬燵でのんびりするのは大変心休まる一時ではあるのだが、大きな問題がある。 出る気がしなくなることだ。 週末の仕事を終え、永遠亭へとやってきた。 姫様や八意先生への挨拶もそこそこに、炬燵へと直行する。 人里から永遠亭までの道程を歩けば、体もすっかり冷え切ってしまう。 炬燵はすっかり凍ってしまった俺の体をとろかせる。 「炬燵はいいねぇ…」 「いいよねぇ…」 先に炬燵でくつろいでいたてゐと、互いにだらけきった表情で話す。 「○○、顔が溶けてるよ~?」 「凍ってたから溶けていいんだよ~」 「それもそうだね~」 「鈴仙は~?」 「まだ師匠の手伝いじゃないかな~」 「そっか~」 俺はもぞもぞと炬燵から這い出し、鈴仙が居るであろう調合室に向かう。 「炬燵虫が動いた~」 「炬燵虫はてゐだろ…ってマジ寒い…」 「後ろの鴨居に掛かってるどてら使いなよ~」 「おう…サイズが少しきついけど…って、これ鈴仙のか?」 「よくわかったね~」 「匂いで」 「変態」 「俺は紳士だよ」 「変態という名の紳士か~」 「それは否定しない」 「しなさいよ~」 馬鹿な会話を終えて廊下に出る。 どてらが無かったら、即炬燵に駆け込んでいそうなほど冷え込んでいる。 俺はとっとと調合室に向かった。 日の当たらない北側に、調合室はある。 薬の品質保持の為とはいえ、冬場は非常に寒い。 早いところ鈴仙の仕事を片付けて、一緒に炬燵に入りたいところだ。 調合室の前に着き、戸をノックする。 「はい、誰かしら?」 「俺」 「あっ、入って。 今ちょっと手が離せないの」 調合室に入ると、踏み台の上からさらに手を伸ばして、棚の上に荷物を載せようとている鈴仙が居た。 「なあ鈴仙」 「んー……な、なに?」 「少し浮けばいいんじゃ?」 「あ」 可愛いなぁもう。 材料の片付けと器具の洗浄、殺菌を手伝い、一緒に居間へと向かう。 「何か随分と寒いわ…」 「そりゃそうだろ、もう日もすっかり落ちてるし」 俺は着ていたどてらを鈴仙に着せてやる。 「あっ、これ、私の…」 「居間にあったんで、ここまで借りてきたんだ」 「ん…○○の匂いがする…」 「変態」 「そうかも」 「てゐに言われたことを返しただけなんだが」 「何て答えたの?」 「俺は紳士だって」 「変態という名の?」 「否定はしない」 「似たもの同士ってことかしら」 「似たもの夫婦って言葉もあるぞ」 「プロポースはまだ?」 「準備中です」 「暖かい時期にしようね」 「そうだな」 居間に戻ると、鍋と姫様、八意先生にてゐが待ちかねていた。 「やっと来たわね、おふたりさん」 「悪いわね、○○。 今日はちょっと使った器具が多いの忘れてたのよ」 「ほら二人とも鍋そろそろ煮えるよ~」 炬燵は4つの辺がある。 一つに姫様、一つに八意先生、一つにてゐ。 ならば俺と鈴仙の入る場所は。 「んしょっと」 「ん~、あったか~い」 「二人とも躊躇無く並んで入ったね~」 「なんか鈴仙、からかい甲斐がなくなっちゃったわねぇ」 「それはそうよ、毎度毎度輝夜にいじられてたら」 「ええ、もうすっかり慣れました。 ね、○○♪」 「だな、鈴仙」 鍋の中身はなんだろうかと考えつつ、俺と鈴仙は肩を寄せ合っていた。 他の三人もこの光景には慣れたようで、ニヤニヤしながらも鍋の様子を伺っていた。 「さ、もういいわよ」 鍋奉行の姫様が蓋を開けると、良い匂いが部屋に広がる。 今日は鴨鍋だ。 「わぁ、美味しそう!」 「月曜日だったかしら、妹紅とやりあおうかっていう時に、編隊組んで飛んできたから二人で撃墜してきたのよ」 「で、どっちが勝った?」 「妹紅が四羽の私が六羽、圧勝よ!」 「さすが姫様ね~」 「えっへん」 「ほらほら、美味しいうちに食べましょう。 お酒もあるわよ」 週末恒例になっている、五人での食卓。 鍋と酒で盛り上がりつつ、夜は更けていく。 鍋も雑炊で締め、食後はのんびりと… 「ドロー3!」 「ドロー3!」 「ドロー3!」 「ドロー3!」 「ぎゃー!」 ウノをやっていた。 そして、俺の命運は永遠亭十二枚コンボで尽き果てていた。 「さ、○○。 わかってるわね?」 「く、くそう…」 外はついに雪がちらつきはじめている。 「負けた貴方が悪いのよ」 「くっ…」 気温はまだ下がりつづけている。 「ほらほら、早く行った行った~」 「じ、慈悲を…」 その距離、五十メートル。 「ごめんね、○○。 でも、ルールだから、ね?」 「分かってるよ…ううっ」 蜜柑の置いてある台所への果てしない旅路。 ルールで走るの禁止…というか、既に寝ているイナバも居るので走れないのだが。 すっかり冷え込んだ台所で、蜜柑を籠に山盛りにする。 まだ閉じていなかった窓から、月明かりが差し込んでいる。 ついでに窓を全て閉じ、炬燵のある居間へと戻る。 既に手足の先は冷え、寒さは体を包み込んでいた。 「ただいまー!」 「おかえり、○○…っ!?」 居間に戻り、蜜柑の入った籠を炬燵の上に置く。 そしてすぐさま炬燵に潜り込み、鈴仙を思い切り抱きしめる。 「ま、○○!?」 「ん~鈴仙あったかい…」 「も、もう、仕方ないなぁ…」 鈴仙も俺の背中に手を回し、抱き合う形になる。 とても暖かい手が、冷え切った俺の背にじんわりと熱を与えてくれる。 それを見ていた三人は、炬燵から這い出した。 「「「あっつ~……」」」 それはそうだろう。 俺ですら、既にのぼせているんだから。 新ろだ208 幻想郷は十二月ともなると雪が降り積もる。 犬は喜び庭駆け回り、猫は炬燵で丸くなる。 そして兎は… 「なあ鈴仙」 「なぁに、○○」 「俺は今、年賀状を書いているんだ」 「御得意様とかに送るんだっけ?」 「そのとおりだ。 それでだな鈴仙」 「うん」 「背中に張り付くな、書きづらいから」 「じゃあ、抱っこして」 「だから年賀状が書けないだろう…」 「○○、冷たい…」 「はいはい、終わってから存分に抱っこしてやるから」 「じゃあ、それで妥協するわ」 そう言って鈴仙は俺の背中から離れる。 背中から温もりが消え、体が一気に冷えていく。 「…これはこれで寒いな」 「でしょう? 炬燵で書いた方がいいんじゃないかな。 さっき火は入れてきたから」 「そうするか…」 自分の部屋での年賀状書きを諦め、炬燵のある居間へと向かう。 筆記用具一式を持ち、廊下に出る。 …鈴仙は背中に再び張り付いてきた。 動きづらくはあるが、暖かいのでまあ良しとする。 炬燵はすっかり暖まっており、非常に快適だ。 しかし、年賀状はやはり書きづらい。 「鈴仙、何故同じ場所に入る?」 「嫌?」 「普段なら俺から同じ場所に入るが、今に限れば嫌だな」 「ちぇ…」 「書き終わらないうちは抱っこもできそうにない」 「それは死活問題ね」 そういって鈴仙は、俺の右側から、炬燵の反対側に移動した。 鈴仙の側に置いてある火鉢の上では、鉄瓶がしゅんしゅんと湯気をたてている。 鈴仙はその湯でお茶を淹れて、俺の傍に差し出してくれた。 「ありがとう、鈴仙」 「年賀状書きは大事だと思うんだけど、さすがに百五十枚一気に書くのはムリだと思うんだけど」 「うん…分かってはいたんだが、色々忙しすぎて先延ばしに…」 「そうねぇ…」 「…俺だって、鈴仙とくっついていたいけどさ、やることはやらないと」 「分かってる。 分かってるけど…それでも、寂しくなるの」 「……ごめんな、俺がもうちょっと達筆で筆が早ければ良かったんだが…」 「え、あ、いや、ごめんなさい……そんなつもりじゃ…」 「ああ、分かってる。 …向こうに居たときに、プリンターに頼り切ってた自分を恨んでるだけだ…」 「外の道具は本当に便利だものね。 技術自体は月には及ばなくても、その用途と工夫は月とは比べ物にならないもの」 「発想の多彩さは間違いなく人間の強みだね。 同じ用途で多種多様な製品を見ると、つくづく思うよ」 「短い命で何かを為そうとするなんて、最初は愚かに見えたわ。 例え果てに辿り付いても、その頃には寿命だもの」 「だが人間は知を次の世代に語り継いだ。 己の歩みをわずかな時間で歩ませ、その先へと導いた」 「…で、その結果が、○○のハマってたゲームってわけね」 「……ごめん」 「このあいだの神無月…確かに久々の里帰りだし、色々思う所もあったと思うけどさ…。 買い込んだゲームに夢中で年賀状書くの忘れてたとか、ちょっと酷いと思わない!?」 「う……」 「私のこともほったらかしで…そんなにゲームが好きなら、その主人公のシャノアとでも結婚すればいいじゃない!」 「……分かった、鈴仙」 「え、あ、いや、冗談よ?」 「ゲーム全部粉々にする」 「あ、その、そこまでしなくても…」 「また相手しなくなるぞ?」 「いや、その、気にしなくていいから…」 「…鈴仙が寂しがってるのに、放っておくような奴が、将来、良き夫になれるとは思っちゃいないさ」 「えっと、その…」 「ごめんな、鈴仙。 寂しい思いさせちゃって…」 「あーもう待って○○! ゲーム壊したりしなくていいから!」 「え……」 「確かに、夢中になっててちゃんと相手してくれないことはあったけど。 何か目的を達成したときの嬉しそうな顔、私は好きなの。 …その後も、上機嫌で私と話してくれるし、夜も、その、優しくしてくれるし…。 それに、私の話を聞いてないわけじゃないもの。 いつだったか、ゲームやってる○○に『耳が寒い』って話したら、次の週末には長い耳に合わせた毛糸の帽子を用意して…。 夢中になってても、私のこと、忘れてないんでしょ? …さっきのは、ちょっと意地悪に言っただけだから…ね?」 「……鈴仙」 「ん…?」 「俺は右利きだから、左側ならその、入っていても年賀状は書けるぞ?」 「ふーん……ねぇ○○?」 「な、何だ?」 「もっと素直に言ってくれると嬉しいな?」 「……鈴仙、お前を感じていたいから、俺の左側に来てくれないか?」 「ふふ、喜んで」 まあ、たとえ左側に居ても多少は書きづらいのだが。 筆は多少遅くなるが、幸せな気持ちで年賀状は書き終えることが出来た。 犬は喜び庭駆け回り、猫は炬燵で丸くなる。 そして兎は、俺とくっつき温まる。 新ろだ218 幻想郷でもクリスマスというものが広まっているらしく、ここ、永遠亭でもクリスマスパーティーが開かれている。 と言っても、参加者は永遠亭に住む者達だけだが。 クリスマスパーティー(という名目の、いつも通りの宴会)を開いて、皆で騒いでいた。 宴も終わりに近づいた頃、自分は酔いを醒ます為に縁側に出て風に当たっていた。 とは言うものの、今は師走。空気はとても冷たく、のんびりと当たっていられるものでは無い。 だが、そんな事が気にならない程酔っていた。 そのまましばらく当たっていて頭も冴え始めた頃、肩に何かを掛けられる感触がした。触ってみると上着のようだ。 誰が持ってきてくれたのか確認しようと立ち上がりかけた時、隣に誰かが腰を下ろした。 鈴仙・優曇華院・イナバ。月から逃げてきたという玉兎である。 「こんな所でボーッとしてたら風邪引くわよ?」 どうやら自分の事を心配してくれていたようである。 「でも、ここならすぐに酔いも醒めそうね。」 鈴仙に感謝の言葉を述べ、しばらく談笑した。 「そういえば、鈴仙に渡したい物があるんだ。」 「え?私に……?」 自分はこの日の為に、前日から鈴仙が喜びそうなものを探して里を練り歩いていた。 だが、なかなか良さそうなものが見つからず、結局買ったのは髪飾りである。 「ちょっと目を瞑っててくれ。」 「ん……」 鈴仙の髪にプレゼントを付けてあげる。 「これで良し、と。」 「もういい?」 「ああ、いいぞ。」 目を開けた鈴仙に手鏡を渡す。 「あっ……」 鈴仙が手鏡を覗き込むと、髪にウサギ型の髪飾りが付いていた。 「どうだ?気に入ってくれるかなと思って買ってきたんだが……」 「かわいい……ありがとう、○○。嬉しいなあ……」 どうやら気に入ってくれたようだ。非常に嬉しい。 「いやあ、中々鈴仙に似合いそうなものが無くてさ……気に入ってくれるかどうか心配だったんだ。」 「うん……ありがとう。こんなかわいい髪飾りをくれて……」 「気に入ってくれて嬉しいよ。でさ、俺……鈴仙に一つ、言いたい事があるんだ……」 「何?」 「あのさ、鈴仙……もし、良ければ……お、俺と……その……付き合って、くれないか……?」 「えっ……?私、と……?」 「ああ……嫌ならはっきり言ってくれて構わない。ただ、俺は鈴仙が好きなんだ。幻想郷に住む誰よりもお前を愛してる。」 幻想郷に迷い込んだ時、妖怪に襲われていた自分を助けてくれて、自分を永遠亭に住まわせる事を永琳さんや姫様に提案してくれた鈴仙には本当に感謝している。 その感謝の気持ちがいつしか、恋慕の情に変わっていた。 「あの……私からもプレゼントがあるんだけど……受け取って、くれる……?」 「え?ああ……いいよ。」 「じゃあ……目、瞑ってて……」 「わかった。」 ちゅっ…… 唇に柔らかく、温かいものが当たる。 鈴仙にキスされたことに気付くのにそう時間は掛からなかった。 「鈴仙……?」 「あの……私からのプレゼント……気に入って、くれた……?」 「ああ……ということはもしかして……」 「うん……あの、私で良ければ……その……ふ、不束者ですが……宜しくお願いします……」 「ありがとう、鈴仙……」 「○○……」 ふと気が付くと、外は雪が降っていた。 粋な計らいをしてくれた神様に感謝しながら、自分達はもう一度キスをした。 新ろだ300 「鈴仙…できればこんなことはしたくない…」 「私もよ、○○…でも、仕方が無いの」 互いにデザートイーグルの銃口を向け合い、隙をうかがう俺と鈴仙。 「そうだな…いずれはこうなる運命だったんだ」 「ええ、もう終わらせましょう…」 互いの微かな動きを合図に、銃口から飛び出したそれは… 「……俺の勝ちだ、鈴仙……」 「……まさか耳を狙うなんてね…ヒットー…」 「よっしゃ!恵方巻き係は先生&鈴仙チームな!」 「うー…負けたー…」 「よくがんばったわよ、ウドンゲ…まあ、諦めて作るとしましょう」 「やるじゃない○○! まさか永琳と鈴仙に勝てるなんて思わなかったわ!」 「ふふふ、サバゲーなら幻想郷最強になれるぜ!」 「あら、それじゃあリアルサバイバルではどうかしら?」 「いやごめんなさい幽香さんカンベンしてください」 今日は節分。 普段は普通に豆まきをするのだが、数日前に姫様のお供で行った香霖堂でエアガンが見つかった。 遊び方を説明したら、ものすっごい明るい顔して 「それじゃあ、節分はこれで豆合戦ね!」 などと言い出したのだから… でも豆なんて普通飛ばせないですよ、なんて言ってたらスキマですよ。 当日までにしっかり数を用意して、なおかつ大豆対応にしてくるんだから流石だ。 そんなわけで、大勢の人妖を呼んでの豆まきサバイバルゲームと相成ったのだった。 姫様チームと八意先生チームに分かれて、負けたほうが全員分の恵方巻きを用意するというルールで始めたのだが、これがまた凄かった。 霖之助がゲームの開始に気付かないまま豆エアガンの考察に夢中になってるうちに第一の犠牲者になったり。 神奈子様がオンバシラバリケードを作ったら、その中に諏訪子様がBB手榴弾をぶちこむわ。 早苗ちゃんと射命丸が二人で風を起こして防御する後ろから、紫さんがスキマ開いてデリンジャーぶちこむわ。 その後スキマからお尻だけ出てるのを発見して幽々子様がガトリングぶちこむわ。 勇儀が萃香を盾に特攻したら、てゐが仕掛けてあったクレイモアをまともに喰らうわ。 魔理沙が弾幕はパワーだぜって言いながら撃ってたら弾切れ起こして逆に総攻撃喰らったり。 パルスィが俺を見ながら妬ましいわと言いながら見事なバリケードポジションでなかなか手が出せなかったり。 八意先生がガン・カタばりの活躍を見せてたと思ったら、足元に散らばった豆で転んであっさり撃たれたり。 姫様にダンボールかぶって近づいて奇襲をかけたレミリアが、その身を呈して姫様を守るイナバ達を本当に羨ましそうに見てたり。 その隙に妹紅がPSG-1で姫様を打ち抜いて姫様がorzしてたり。 幽香さんが両手にガトリングでダブルスパークしてたら、やっぱり弾切れで総攻撃喰らったり。 俺と鈴仙以外で最後に残った衣玖さんが空気を読んでやられたり。 他にも色々あったようだが、まあ俺が見た範囲ではこんなとこだった。 負けたチームが恵方巻きを作り始めている。 具材も色々と用意してあり、皆思い思いの恵方巻きを作っている。 それを見ていた勝利チームも、結局「面白そうだから」と作り始めてしまった。 結局、みんなで好き勝手に作りまくることとなり、勝敗など既にどこかへ行ってしまった。 しばらくして、山のような恵方巻きが出来上がった。 単純に人数で割れば、一人三本はありそうだ。 まあ、たらふく食べる人…いや亡霊がいるから問題はないのだが。 それでも余ったら土産にでもすればいいし。 「はい、○○。 私の作ったやつよ」 「ありがとう鈴仙…って、これ人参多くない?」 「ふふふ、兎の人参好きを甘く見ちゃ駄目よ?」 「俺は人間だって…」 「まぁまぁ、食べれば分かるから♪」 「やれやれ…美味しくないってことはないだろうからいいけどね。 それじゃ、最初の一本は皆で恵方を向いて食べようか」 「今年はどっちかしら?」 「東北東ですね、先生」 「これって、無言で食べるんだっけ?」 「うん」 「なんかシュールよね~、この人数だと~」 「確かに…」 「それじゃ…」 「「「「「「「「「「「「「「「「「「いただきまーす」」」」」」」」」」」」」」」」」」 みんな一斉に恵方巻きをほおばる。 俺も人参たっぷりな恵方巻きをほおばる。 ……おい。 もぐもぐ もぐもぐ もぐもぐ もぐもぐ もぐもぐ もぐもぐ もぐもぐ もぐもぐ ちゅ 「…鈴仙、何をしてるのかな?」 「人参たっぷりの恵方巻きを食べてたの」 「恵方向いてないよな?」 「○○が居る方向が私の恵方だからいいのよ」 「……鈴仙の分があるし、場所を入れ替えて食うか」 「うん♪」 場所を入れ替えて、二本目を食べ始める俺と鈴仙。 皆のニヤニヤした視線を感じるが、結局やってしまった。 「……大変、ここに恐ろしい鬼が居るわ!」 「ん、あたしのことかい、パルスィ」 「勇儀じゃないわ、もっと恐ろしい…そう、嫉妬を操る私なんて足元にも及ばない。 嫉妬を生み出す鬼よ!」 「「「「「「「「「「「「「「「「「……なるほど」」」」」」」」」」」」」」」」」 「……展開が読めてきた」 「ふぇ?」 「逃げるぞ、鈴仙!」 「えっ!?えっ!?」 「鬼は外よ、皆! あの妬ましい鬼に豆を撒くのよ!」 「「「「「「「「「「「「「「「「「サー、イェッサー!」」」」」」」」」」」」」」」」」 各々が得物を持ってこちらに襲い掛かろうとする中、俺と鈴仙は大慌てで竹林に逃げ出した。 永遠亭からある程度離れたところで足を止め、呼吸を整える。 「鈴仙、たまには空気読もうぜ?」 「うん、さすがに気をつける」 「空気を読むのは大切なことですからね」 「「衣玖さんいつのまに!?」」 「ちなみに、今の空気を読みますと…」 「鬼が居たぞーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 「といった具合になります♪」 「「ギャーイクサーン!」」 結局、人里の薬局まで逃げることになった俺と鈴仙だった。 「嫉妬って怖いね、○○…」 「いや、あれ明らかに面白がってるだけだろ…」 「怖いからくっついてていいよね?」 「そうだな、怖いから今夜はくっついてようか」 「今日はもう遅いから、永遠亭に帰るのは明日にしよ?」 「そうだな、帰るのは明日でいいだろう」 「ねぇ、寒いから布団に入ろう?」 「そうだな、布団に入ろう」 「○○が好きだから、キスするね」 「そうだな、俺も鈴仙が好きだから、キスするよ」 ちゅ 「おやすみ、○○」 「おやすみ、鈴仙」 鬼ごっこの疲れもあって、そのまま俺と鈴仙は眠りに落ちた。 お互いに冷えた身体を温めあいながら。 ─────その頃永遠亭では───── 「ねぇねぇ、煽っておいて、あんたは追いかけないの?」 「追いかけっこは苦手なのよ。 あ、そっちのでんぶ多いやつ頂戴」 「案外食べるのね~。 もう七本目よ?」 「大丈夫よ、食べても太らない体質だから」 「むしろあんたが妬ましいわ~」 新ろだ518 ○○「女の本音チェッカー、ねぇ・・・・・・」 永遠亭の一室で一人の男が呟く。彼の名は○○、色々あってこの永遠亭に居ついた外来人である。 そんな彼は、あてがわれた自室でパソコンを操作している・・・・・・ ここは幻想郷でありながら、えーりんの謎技術によって外の世界のインターネットを利用できるのだ。 これは娯楽の多い外の世界からやってきた○○にとって、とてもありがたいことだった。 何せ幻想郷には外と比べて娯楽が極端に少ない。そこで暇つぶしといえばもっぱら インターネットなのだが・・・・・・そこでたまたま、「『女の本音』チェッカー」なるサイトを見つけたのだ。 ○○「ま、試してみますか・・・・・・」 カタカタとキーボードを叩く音が部屋に響き、マウスのカチリ、という音がする。 ○○「・・・・・・キモイ、って・・・・・・」 先ほどと別の名前を入力。すると今度は・・・ ○○「全力で嫌い・・・・・・」 またもや別の名前、そして落胆のため息。それがもう一度繰り返された。 ○○「う~む・・・・・・相性悪いのかねぇ・・・・・・」 永琳「○○~? ちょっときて~」 ○○「あ、はい! ただいま!」 ここの薬師の声に呼ばれ、○○は部屋を出て行く・・・・・・パソコンの電源を消し忘れたまま。 ーー十分ほど後 鈴仙「お~い、○○~・・・・・・ってあれ? 居ないのか・・・・・・あ、電源つけっぱなしじゃないの。 ・・・・・・うん? 女の本音チェッカー・・・・・・へぇ~、こんなの見るんだ、あいつ・・・・・・」 入れ違いになるようにして入ってきたウサ耳の少女がつけっぱなしのパソコンを覗き込む。 電源を消そうとしただけなのだが、そこに映っていた画面が彼女の興味を引いた。 鈴仙「ええと・・・・・・『○○』 『うどんげ』『鈴仙』『鈴仙・優曇華院・イナバ』って、どれも私じゃないの・・・・・・ どれどれ結果は・・・・・・? うわ、これは酷い」 鈴仙「まったく・・・・・・こんなもの、真に受けるタイプじゃないと思うけどねぇ・・・・・・」 ーー数分後 ○○「・・・・・・ん? しまった、電源を切り忘れてたか」 薬師の用事を済ませ○○が戻ってくると、パソコンがつきっぱなしであることに気付く。 そしてキーボードの上に見慣れない紙が一枚おいてあることにも。そこに書かれていたものは・・・・・・ 『私 →[結構好きよ]→ ○○ P.S. こんなもん見てないで直接聞きに来なさい』 ○○「こ、これは・・・・・・」 鈴仙「○○ー! 置き薬の集金に行くわよー! 電源切り忘れないようにねー!」 ○○「れ、鈴仙! 人のパソコンを・・・・・・!」 鈴仙「消し忘れてたあんたが悪いのよ! 早くしないとおいてくわよー!」 ○○「ああっ! ちょっとまって!」 永遠亭から一組の男女が出発する。その二人はとても仲良さげに竹林を里へと駆けていった。
https://w.atwiki.jp/tanqroku/pages/36.html
加入条件 始めに選択、もしくは永遠亭5階で撃破 初期装備:デリンジャー、ソックス 能力 HP LP AP1 AP2 AP3 腕力 器用さ 知力 敏捷 体力 精神 霊力 耐性 防御 備考 Lv.1 24 39 3 1 0 6 9 5 8 7 4 0 水× - 妖怪特効の対象 Lv.99(V1.01) 1500 3999 30 17 7 65 90 55 80 70 40 0 アビリティ アビリティ名 Lv. OP 効果 属性 依存パラ 範囲 溜め 消費呪力 消費AP 条件 備考 1 2 3 射撃 1 - 射撃技 器用さ 敵単体 0 0 × × × はじめからLv1習得 2 1 敵単体 0 0 × × × 3 2 敵単体 0 0 × × × 連射 1 1 射撃技 器用さ 敵単体 0 0 × ○ × なし 2 1 敵単体 0 0 × ○ × 3 2 敵単体 0 0 × ○ × 心眼 1 1 防御貫通を付加 魔法 味方単体 1 0 × × ○ 連射Lv.1 2 2 防御貫通を付加 味方単体 0 0 × × ○ エース 1 連携に参加しやすくなる パッシブ 連射Lv.1 毒矢 1 1 毒効果 射撃技 器用さ 敵単体 0 0 ○ × × なし 2 1 毒効果 敵単体 0 0 ○ × × 3 2 毒効果 敵単体 0 0 ○ × × 爆弾 1 1 射撃技 器用さ 敵単体 0 0 ○ × × なし 2 1 敵範囲 0 0 ○ × × 3 2 敵範囲 0 0 ○ × × 火炎放射 1 1 射撃技 器用さ 敵単体 0 1 × × × 爆弾Lv.1 2 1 敵範囲 0 1 × × × 3 2 敵範囲 0 1 × × × マイクロミサイル 1 1 射撃技 器用さ 敵全体 0 0 × ○ × 爆弾Lv.1 2 1 敵全体 0 0 × ○ × 3 2 敵全体 0 0 × ○ × 核爆弾 1 1 射撃技 器用さ 敵全体 0 0 × × ○ 爆弾Lv.3 2 1 敵全体 0 0 × × ○ 3 2 敵全体 0 0 × × ○ マジカルヒール 1 1 HP回復 魔法 知力 味方単体 0 1 ○ × × なし 2 1 HP回復 味方単体 0 1 ○ × × 3 2 HP回復 味方単体 0 1 ○ × × リフレッシュ 1 1 状態異常を解除 魔法 味方単体 0 1 × × × マジカルヒールLv.1 2 2 状態異常を解除 味方範囲 0 1 × × × リフレッシュLv.1 ハイスピードチャージ 1 1 呪力を1回復 魔法 味方 0 1 × × × リフレッシュLv.1 2 1 呪力を2回復 味方 0 1 × × × 3 2 呪力を3回復 味方 0 1 × × × 蔦 1 1 スタン効果 魔法 敵単体 0 0 ○ × × なし 2 2 スタン効果 敵範囲 0 0 ○ × × 瘟 1 毒効果 魔法 敵単体 0 0 ○ × × 蔦Lv.1 濃霧 1 暗闇効果 魔法 敵全体 0 1 ○ × × 瘟 毒の嵐 1 1 毒効果 魔法 敵範囲 0 1 ○ × × 瘟 2 2 毒効果 敵全体 0 1 ○ × × 金縛り 1 1 麻痺効果 魔法 敵単体 0 1 ○ × × 蔦Lv.1 2 2 麻痺効果 敵単体 0 1 ○ × × フラッシャー 1 1 精神低下と暗闇効果 魔法 敵全体 0 1 ○ × × 瘟金縛りLv.1 2 2 精神低下 暗闇 気絶効果 敵全体 0 1 ○ × × 凝視 1 1 知力ダウン効果 腕力 器用さ 知力 敏捷? 敵単体 0 0 ○ × × なし 2 1 知力ダウン効果 敵単体 0 0 ○ × × 3 2 知力ダウン効果 敵単体 0 0 ○ × × 魔眼 1 1 恐怖効果 腕力 器用さ 知力 敏捷? 敵単体 0 0 × ○ × 凝視Lv.1 2 1 恐怖効果 敵単体 0 0 × ○ × 3 2 恐怖効果 敵単体 0 0 × ○ × 氷の瞳 1 1 腕力 器用さ 知力 敏捷? 敵単体 0 0 × ○ × 魔眼Lv.1 2 1 ディレイ効果 敵単体 0 0 × ○ × 3 2 ディレイ効果 敵単体 0 0 × ○ × 眠たい視線 - 1 睡眠効果 敵単体 0 0 ○ × × 凝視Lv.1 危ない視線 - 1 発狂効果 敵単体 0 0 × ○ × 凝視Lv.1 イレーザーサイト - 1 状態異常を打ち消す 敵単体 0 0 × × ○ 眠たい視線危ない視線 奇襲回避 1 1 パッシブ なし 2 1 3 2 バックアタック回避 1 1 パッシブ なし 2 1 3 2 エンカウント回避 1 1 パッシブ 奇襲回避Lv.1バックアタック回避Lv.1 2 1 3 2 逃げる - 味方 0 0 × × × エンカウント回避Lv.1 奇襲サポート 1 1 パッシブ なし 2 1 3 2 忍び足 - 1 視覚に頼る相手に気づかれなくなる パッシブ 奇襲サポートLv.1 隠れ身 - 1 聴覚に頼る相手に気づかれなくなる パッシブ 奇襲サポートLv.1 鍵開け 1 1 パッシブ なし 2 1 3 1 4 1 5 2 あきんど - 1 店の商品を値切る 鍵開けLv.3 国士無双の薬 1 1 攻撃上昇 自身 0 0 ○ × × 毒矢Lv.2 四回目に自爆 2 2 HP回復 攻撃上昇 自身 0 1 ○ × × 赤月下(インフレアドムーン) 1 1 1ターンのあいだ射撃を無効化する 魔法 自身 0 0 × ○ × 連射Lv.2 2 1 1ターンのあいだ射撃を無効化する 自身 0 1 × ○ × 3 2 1ターンのあいだ射撃を無効化する 自身 0 2 × ○ × 即効 喪心創痍(ディスカーダー) 1 1 AP消費行動を封印 射撃技 器用さ 敵単体 0 0 × ○ × 金縛りLv.2 2 2 APや呪力を消費する行動を封印 敵単体 0 1 × ○ × 幻朧月睨(ルナティックレッドアイズ) 1 1 発狂効果 射撃技 魔法 腕力 器用さ 知力 敏捷? 敵全体 0 0 × × ○ 魔眼Lv.2 2 1 発狂効果 敵全体 0 1 × × ○ 3 2 発狂効果 敵全体 0 1 × × ○ 備考 こう見えてかなり優秀な子なんです! 本作の鈴仙は昔の特殊装甲隊の鈴仙とうってかわって非常に強力。 器用さが咲夜の次くらいに高い水準の伸びを見せるため、器用さ依存の技が光り輝いている。 連射、核爆弾等アビリティにも恵まれており、十分主力で戦えるだろう。 「イレーザーサイト」はいてつくはどうのように補助効果を消してしまえるアビリティ。 補助効果をウリにしてくる敵は地味にいやらしいので、解除できるのはありがたい。 「国士無双の薬」は言わずもがな攻撃力を上昇させ、決闘歌と重複するので効率がいい。 お約束の4回目自爆は、敵前面のみとはいえ5桁にとどく高威力。天子の無念無想も貫通する。 そしてなんといっても、「喪心創痍(ディスカーダー)」の存在。 効かないボスも確かに多いが、効いてしまうボスも少なからず存在するので非常に有効。 場合によってはボスの完全封殺も可能という、「咲夜の世界」の次くらいのチートっぷりである。 その分他のスキル(特に補助系)が霞んでしまうが、それも致し方ないこと。 小細工を使わずに十分強い鈴仙、あなたも使ってみませんか? 育成 ネックはHPと精神のみ LPは最終的に全然振らなくても平気なくらいになるので、最初はHPを多めに補強しよう。 また精神的に打たれ弱いので、10くらいは+してあげたいところ。 それと平行して器用さをちまちま増やしていくくらいで丁度いい。 アビリティは、まず何より先に「連射」をLv3にしよう。それだけで大分楽になる。 次に「喪心創痍(ディスカーダー)」を取りにいこう。Lv2の呪力消費行動抑制は強力だ。 そして「国士無双の薬」をその次位にとれば、ほぼスタイルは完成したも同然。 後はお好みで何をとっても良い、くらいの勢い。全体攻撃に「LRE」か「核爆弾」かで悩むくらいだろう。 ただし、状態異常系のアビリティはとっても殆ど無駄になるのでやめたほうがいい。 装備は、是非とも裸足をつけてあげたいところだが、打たれ弱いので普通の装備でも良い。 あとは大体魔法防御の高いものを選ぶと吉。レオパルト2を持たせておくのも手。 その威力、正に国士無双? 「国士無双の薬」の自爆ダメージは決闘歌で増やす事が出来、条件が同じならダメージは固定になる。 ↑の画像は決闘歌を三回重ねたときのもの。何も使わなければ7000程度であった。 また、アビリティレベルはダメージには関係が無いようだ。 ポケモンのバトルでだいばくはつを使う事があるように、 戦闘になった瞬間薬を四回飲んで自爆攻撃する自爆特化鈴仙、なんてのも面白いかもしれない。 「喪心創痍(ディスカーダー)」ってそんなに強い? このスペルの特徴は、3ターン程度敵にAPとENを消費する技を使わせなくするというもの。 つまり、APやENを消費する技しかもってない相手は何も出来なくなる、ということである。 例えば衣玖さんを例に挙げると、彼女は接触攻撃に対して強力なクロスサンダーでカウンターをしてくるが、 まずそのカウンターが発動しなくなる。当然他の行動も出来ない。完全に無抵抗の状態になるのである。 例えばもう一人ムラサを例に挙げると、普通彼女は倒れる間際道連れアンカーを使ってくるが、 APEN行動阻害状態だと、道連れアンカーを使えない。そのまま倒れるのみである。 と、このように、この技が効く敵に関して圧倒的なアドバンテージを奪う事ができるのである。 その分効かない敵には苦労したりもするが…… まさかの下克上?! 余談だが「喪心創痍(ディスカーダー)」の効く敵の中には、永琳や輝夜が含まれている。 特に輝夜はこれが決まると何も出来なくなるので、本当に一方的にボッコボコに出来る。 逆にてゐには効かないあたりがよくわかってらっしゃる、といったところか。 難敵紹介 空 「喪心創痍(ディスカーダー)」が効かず、「核爆弾」も属性が熱光なので通じない。 同レベル帯だと圧倒的な攻撃力を持つので、柔い鈴仙が裸足をつけていると一撃で潰される事もある。 ある意味本作の鈴仙の一番苦手なタイプの敵である。挑む前は気をつけよう。
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/884.html
鈴仙5 うpろだ366 ○○さんが霊夢にふられて一ヶ月 外見は何も変わらない、しかし彼が落ち込んでいることは私でも見て取れた 「私じゃ・・・駄目なのかぁ」 大きな溜息、こんなところを師匠に見られたら、いやてゐの方が 「どうしたの優曇華、こんなところで溜息なんて、胡蝶丸でも飲む?」 「ほわちゃぁ!?」 「いやいや、驚き方がおかしいでしょ、なんか危ない薬でも飲んだ?」 「し、師匠・・・は、ははは」 まぁてゐじゃ無かっただけまし・・・かな? 「それで・・・失恋?」 「!!!?ななななにを言ってるんですきゃ!??」 「落ち着きなさい、薬打つわよ?」 いったい何処から取り出すのか、いつの間にか注射器が握られている 注射器の中は何か怪しい蛍光グリーンの液体 「落ち着きました、落ち着きましたから注射器をしまってください!」 「・・・それで・・・失恋なのね?いいえとか言ったらテトロドトキシン(はぁと」 選択肢が無い質問ってなんですか、しかも河豚毒?此処海ないけどまぁ河豚だけじゃ無いし、師匠だし 「ははは、告白もしないで失恋しちゃいまして・・・」 「ウドンゲ・・・やっぱり彼方は損な役回りよ、それで・・・相手は○○って言うあの人間?」 「ななななんでそれを!?」 「告白せずに失恋といったら相手に女が出来た場合、相手に好きな女が居た場合、まぁ限られてくるでしょ?そして貴女の親しい異性で最近ふられたと話題になったのは○○ぐらいかな、なんて」 「・・・師匠・・・私どうしたらいいかわかりません」 ウドンゲは私の胸で泣いた、流石にこの状況で「泣きたいだけ泣きお嬢ちゃん・・・胸は無いが貸してやるよ」 なんて冗談は言えませんわ 「ウドンゲ・・・」 かける言葉が見付からなかったのでとりあえず抱きしめておいた、母親代わり、何てつもりは無いけど、ただなんとなく それに歳もお姉さんぐらいだし 「・・・もういいかしら?」 日が暮れるまで泣いてしまった、師匠は足がしびれたと文句を言う 充血した真っ赤な目で(元から赤いので変わりありません 「あ、ありがとうございました」 「ああ、ウドンゲ・・・告白もしてないのに失恋なんて、かっこ悪い、当たっても無いのに砕けちゃ駄目でしょー!」 「し、師匠?何を言って」 「いい?そいつに好きな女が居たから勝手に諦めて勝手に落ち込んで、それでいいの?あなたはその程度で諦めるような恋をしていたの?」 「師匠・・・私・・・」 「辛い事を言うようだけど・・・断られに行くようなものかもしれないけど・・・それでも」 「ありがとうございます・・・私、しっかり彼の口からちゃんと聞いてきます!」 親子のようだ、といったら怒られるだろうから姉妹のようだと言っておこう 仲の良い姉妹のように、何となくいい気分だ ○○さんは最近森によく行っているという情報を耳にした私は一人で藤岡探○隊ごっこをしながら森を探索していた 「きをつけろ、何処に何が潜んでいるか、わからないからな・・・」 隊長が森のを進んでいく、それについていくように隊員たちが 「あ、あれはなんだ!」 隊長が先の方を指差した、な、なんと其処には我々が捜し求めていた 「○○さん!」 探検隊ごっこ終了、強制終了 「ああ?あー・・・鈴仙?何でこんなところに」 「○○さんが森に居るとの情報を聞いて」 「さよか、それで何か用か?」 「は、はい!お時間いいですか?」 「うーん、ちょっと待ってろ」 散らばってる変な武器?を片付ける、秘密の特訓でもしていたのか、枝からフライパンが下がってたり 「待たせたな、それで・・・用とは何か?」 さあ、砕ける事がわかってる告白を、する 「・・・○○さんが霊夢にふられて一ヶ月・・・まだ諦め切れませんか?」 「そんな話か・・・女々しいかも試練が完全に吹っ切れてないよ、未練ずるずる引き摺ってる」 「そうですか・・・また霊夢に告白するんですか?」 「あー・・・それは無いと思う、彼女は俺を嫌ってるわけでも、好いてる訳でもないって解ったから」 だめだ、なかなかずばっ!っといえない、告白ってこんな緊張するものだったのか ○○さんはよく出来たなぁ 「○○さん・・・私は○○さんが好きです・・・霊夢の事が好きなのは承知してます、でも・・・言っておきたかったんです、すいません」 「鈴仙・・・そっか、ありがとう、でも君とは付き合えない、ごめん」 「いえ、断られるのは解ってましたから」 「・・・俺は君の事が好きだ、霊夢が駄目だったからとかそういうのじゃなくて君が好きだ・・・でもこんな半端な気持ちのまま、霊夢を引き摺ったまま君とは付き合えない」 「○○さん・・・」 「俺は君を好きだからこそ、こんなヘタレたまま君の好意に甘えるわけには行かない・・・だから」 「○○さん・・・私前にヘタレだとか甲斐性無しだとか、散々言いました、けど・・・○○さんは立派な人です、自信を持っていいと思います」 「いや、俺なんか」 「わたしは・・・私は自分の事で頭がいっぱいで、○○さんの気持ちも考えず告白しました、でも○○さんはそんなに深いところまで考えていたんですね・・・私、莫迦な女ですね」 「鈴仙・・・俺が霊夢を吹っ切れて、お前が好きだと、胸を張って言える様になったら、君に告白しに行っていいかな?」 「え、あ、は、はい!ずっと、絶対に待ってます!」 「ははは、責任重大だな、俺は莫迦だからさ、がんばるよ」 こんなに笑顔で、俺にこんな笑顔を見せてくれる彼女を、裏切らない為にも こんな俺を好いてくれる彼女のためにがんばろうと思う、期待は裏切れない、絶対彼女に告白してやる 永遠亭、縁側 一人のおばsげふんげふん少女が、心配そうに空を見ている 「あの子・・・今頃ふられているわね、そうじゃ無いと怒るわよ」 え?何でふられてないと怒るの? 「だって霊夢が駄目だからすぐにウドンゲをとる様な莫迦男にあの子は渡せないわ、まぁそんな奴ならウドンゲも好きになったりしないだろうけど」 夕日が沈みかけている、もうすぐ夜だ 今夜は満月、夜なのに辺りがよく見えるだろう、なんてね 心なしか嬉しそうな永琳であったとさ ~終~ うpろだ554 私こと『因幡 てゐ』は、〇〇とか言う男が気に入らない。 よく解らない所から来たくせに生意気にも永遠亭に住み始めたことが、 住み始めてから数日も経たない内にウサギたちと仲良くなってることが、 何よりも、うどんげと一番仲が良いことが気に入らない。 そんなある日、私は、とある事を思いついた。 二人に悪戯して、喧嘩させようというような簡単なことだ。 ――だけど、あの時の私には、あんなことになるなんて思いもよらなかった。 「ふぅ、今日の仕事は終わったぁ」 うどんげは、一日の仕事を終えて冬景色を見るために廊下にいるようだ。 その傍には、茶菓子と昆布茶が――二人分。 「……むぅ」 私と飲む為じゃなくて、〇〇と一緒に楽しむ為だろう。 だが、まだ〇〇が来る気配は無く、うどんげがお茶の準備をしているということは、 計画通り、ウサ。 「ぅ……うどんげぇ」 「なーに、て――てゐ? ちょ、どうしたのその血!?」 お腹を抑える私に、慌てて近寄るうどんげ。 ピンクのワンピースには、斬られた後とおびただしく流れてくる血――。 「コホッ、コホッ、包丁で刺された……こほっ」 「お腹は抑えて!! 早くお師匠様のところに……」 「〇〇に、刺され、コホッ」 「え――?」 血を吐きながら苦しそうに述べる言葉は、信憑性が無さそうな話でもそう思わせるには値する。 「なんで、〇〇が!?」 「嘘つきだって、ゴホッ、嘘つき兎は大ッ嫌いだって言って――」 大きな音を立てて、廊下にうつ伏せになりながら倒れる。 そして、口の中に仕込んだ血のりを思いっきり床に吐き出した。 「なぁ、うどんげ。なんか大きい音が聞こえたんだけど――って、てゐ!? どうした!!」 そう、大きな音を出して倒れたのは、後もう少しして来るはずの〇〇が駆けつけてくるからだ。 ここまで、上手くいくなんて、今日はツイてるのだろうか? 「てゐが、包丁で刺されたらしいの」 「誰に!?」 「貴方、でしょう? よくも、てゐを殺そうとしたわね?」 「……へ? いや、嘘だろ? おぃ、うどんげ……そんな目で、俺を、見るな――よ」 言い出すタイミングもバッチリだった――いや、はずだった、 『や~い、うどんげったら、また、騙されちゃって! 私は刺されてなんかいませんよ~だ! ちょっとは〇〇のことは、信用してあげたら?』 ――などと言おうと顔を上げるのと、パン、と乾いた音が響くのは同時だった。 そして鼻を刺すような硝煙のにおい。 〇〇が膝をついて、倒れる様子がスローモーションに見えた。 だから、見えた。〇〇の左胸におびただしい量の血が―― 「……え?」 〇〇はまるで私のように、うつ伏せに倒れていた。 違うのは二点だけ。声も出さず、動きもしないという、ただ、それだけ。 「……」 うどんげは、〇〇だけを見ているため顔すら見えない。 だけど解る、今の彼女の表情は鉄のようにピクリとも動いてもいないだろう。 「……ち、違う、違うの……うどんげ、これは、演技、だったの。 〇〇は私のこと刺してない――刺してなんかない、よ?」 ピクリとも動かない、〇〇とうどんげ。 あのままだったら、温かくて幸せだったはずなのに。 こんな風にしたのは……私、だ。 「ごめん、うどんげ――ただ、悪戯しようと思っただけなのに。 ウソ、嘘だよね? あ、あはは……嘘だって言ってよ、うどんげ……ごめん、ごめんなさい――!!」 知らず知らずの内に泣き出していることにも気付かないまま、謝り続けた。 何故、だろう。ただ人間が一人死んだだけで、こんなにショックなのは? 足元から、何かが崩れて行くのを感じるのは? 嫌だ、イヤだ、こんなの――こんなの、いやだ!! 夢だ、ただ夢の世界の私が〇〇に嫉妬して嫌がらせをしただけの夢なんだ!! 夢なら、覚めて、覚めて……!! 「はぁ……もぅ、てゐ? ごめんなさいを言うくらいなら悪戯は止めなさい」 「そうだぞ、てゐ。もう少し素直になれ」 「ごめん、ごめ……ふぇ?」 ……ため息を付きつつ笑顔のうどんげと、どっこいしょ、という掛け声と共になんでもないかのように立ち上がる〇〇。 涙を拭くのも忘れ、近くに寄ってきた二人を見上げる。 銃を片手に持ったうどんげと、胸から血を流した〇〇が――。 「まっ、〇〇、その――大丈夫なの?」 「ん? ペイント弾だからな。痛かったけど大丈夫だぞ?」 そう言って、ペイントで濡れたTシャツを示す。 心臓を撃たれていたならば派手に血が飛び出てるはずで、ただペイントがついてるだけに気付けないほど、私は慌ててた? 「いやぁ、最近、うどんげと話してたんだよ。『火曜サスペンス劇場ごっこをしないか?』って」 「そうそう。いきなりてゐが始めるんだから、驚いちゃった」 あはははは、と陽気に笑う〇〇とうどんげ。 ――逆に、ハメられた。 「そっ、そうだよ! 一緒にやってあげたんだから、感謝してよね!?」 「あぁ、てゐの泣く姿なんて、映画だったら主演女優賞は狙えるぜ? 感謝感激だよ」 「手伝ってくれて有難うね、てゐ」 わ、解ってて、こんなことを言うから卑怯だ――!! 「ふ、ふん。暇潰し程度には手伝ってあげたんだから、いつか返してよね!?」 明らかな負け台詞を残して、その場から去っていった。 ――いつか、騙してやるんだから!! 「……なぁ、うどんげ」 「どうしたの〇〇?」 「ちと、やり過ぎちまったか?」 「ふふ、それぐらいがちょうど良いのよ。てゐには」 「そっか」 雪景色を見ながら、二人で昆布茶を飲んでいる。 胸についたペイントがそのままなのが気になるが――ってか、洗濯して取れるかな、これ。 「でもよ、うどんげ。俺とうどんげの仲が良いから、てゐが不機嫌なわけだ。 ちょっとは、あいつとも遊んでやれよ?」 「てゐは、貴方の十数倍生きてるのよ? 貴方がお父さん面するなんて、百年早いわよ」 そんなことを言いつつ、茶を飲み始めるうどんげ。 別にそんな風に意識して、言ってるわけじゃないのだが。 「お父さん面って……じゃあ、お母さんはうどんげか?」 「――っ!?」 お茶を噴出しかけたらしい、変な顔をしてる。 月のウサギさんって、案外普通な奴なんだよな。最初に知ったときは、驚いたもんだ。 「だっ、誰が、貴方の――!!」 「そしたら娘は、てゐ。おばあちゃんが……永琳さん辺りかな?」 年齢的に一番年取ってるのあの人だし。 それに知識人だからな、いろいろな理由で適役だろう。 「へぇ、私が貴方たちのおばあちゃんね? フフ、なかなか面白いじゃない」 ――聞かなかったことにしたい。 襖の後ろから、気配を消すのは個人的にいけないと俺は思う。 ……言い直すことにした。 「あはは、訂正。おばあちゃん役は要らないな。嘘々」 「へぇ、私なんか要らない、って? 本当に面白い事を言うじゃない、〇〇」 ――誤解です。 俺の人生オワタ。 「そう言えば、さきほど、新しい薬できたのよ。 実験台が必要なんだけど――誰か、受けてくれる人はいないかしら?」 「……永琳さん、その役を引き受けさせて頂いても宜しいでしょうか」 「あら? 受けてくれるの。それじゃあ、今すぐ私の研究室に来て頂戴。 死ぬほど苦いから、そこら辺は気を引き締めてね」 『死ぬほど』は、本当に昇天しかねない勢いなんだろう。 ――おぉ、うどんげがトラウマがあるらしい。ガクガク震え始めたぞ。 と、知らないうちに永琳さんの気配が消えた。 「……おばあちゃんじゃなくて、従姉妹って言えば良かった、か?」 「ま、まぁ、頑張ってね……死なない程度に」 「――あぃよ」 討ち入りに向かう武士のように立ち上がろうとして――ふと、とある名案が浮かんだ。 「なぁ、うどんげ」 「早く行かないと、薬をもう一個追加されるわよ?」 あえてうどんげの話を無視。 真面目に早く行かないと、追加されかねん。 「いや、心理学上の話だがな? 人間、ご褒美があると頑張れるらしいんだ」 「それがどうかしたの?」 いや、さきほどの言葉が複線だって気づけ、馬鹿ウサギ。 「永琳さんの薬を飲んで生きて帰られたら、うどんげのファーストキッスは頂く」 「……はい?」 「だから、ご褒美!! 言ったんだから、絶対に貰うからな!!」 「いや、だから〇〇!?」 返事を聞かずに駆け出した。 そうしたら、義理堅いこいつのことだ。八割以上の確立でOK貰える――!! ――生きてればの話、だが。 俺が去った後、うどんげは呟いた。 「別に、ご褒美じゃなくても、良いのに……」 ~終わり~ うpろだ572 一日寝て起きて、そうしたら全部元通りになると思っていたのに。 初めは本当に下らないことだったのに。 本当に、どうにもならないくらいに下らないことだ、それもすごく今更の。 藤原妹紅と言い争いになったというだけのことだ、それは私ではなくて姫がだけれども。 当の本人たち以外はあまり気にしていないようだけど、私がまだここに来るずっと前に姫は藤原妹紅に対して何かをしたみたいで、 (それがいったい何なのかは私はぼんやりとしか知らないけど、そのことで姫が彼女から物凄く嫌われていることは分かっている) 「・・・・あ」 朝起きて、あまりお腹が空いていないけど珍しく師匠が用意してくれた朝食をとりに食堂へ行ったら、白いガーゼが目に入った。 どうして顔の傷や手当ての痕はあんなにも痛々しく見えるのだろう。 彼の色素の薄い白の肌に嘘っぽいガーゼの白が痛々しかった。 ふと、彼の瞳がこちらを向く。 「おはよう、鈴仙」 穏やかに○○はそう言って笑った。 いつもと同じきれいな笑顔なのに、その頬に張られた大きなガーゼはやっぱり痛々しく私の目に映った。 それだけじゃない、服で隠れているけどきっと腕のところにも、白い包帯が巻かれているだろう。 それらは私のせい、だ。 ごめんなさい、ちゃんとそう謝ろうって思っていたのに喉に声が引っかかって何も言葉が出てこない。 昨日の夜うやむやになった後自分の部屋で何度も何度も練習したというのに。 ごめんなさい○○。 たったそれだけの言葉がどうして出ない。 私はただ小さくなってスカートを握り締めることしか出来なかった。 ○○は絶対に私を馬鹿にしたり嘲笑したり、私が上手くものを言えなくたって怒ったりしないことは分かっているのに。 「鈴仙・・・・みんなもう朝食を終えたよ」 今はそれぞれ好きなことをしているんじゃないかな。鈴仙もあとで永琳さんのところに行くといい、ちゃんとご飯を食べてから。 私に毎日の朝食を、ちゃんととるように言ったのはこの人だ。 ちゃんと食べないといざというときに力が出ないから、無理だと思っても少しくらいは食べたほうがいい。 永遠亭の住人はどちらかといえば互いに干渉はなしで、みんないつも忙しいし、 人里に行ってもあまり人間と親しくしたりはしないけれど、○○だけはいつだって根気よく私に付き合ってくれた。 なのに私はありがとうも、ごめんなさいも、未だ何一つ言うことは出来ないのだ。 「・・・・・・うん」 か細い声で○○の言葉に答えるのが今の私には精一杯だった。 置かれていたのは師匠の最近の趣味なのかどうなのか、洋食だった。 いつも作る和食とは勝手が違うなと思いつつ口に運ぶ。 パンを一切れ、スープを半分、それからハムエッグとサラダを少しずつだけ食べて(ちゃんと全部きれいにしたのは紅茶だけだった)、 私はそそくさと師匠の実験室へ向かった。 師匠は大抵永遠亭の片隅にある離れで薬の調合などをしている。 私はいつもそこで彼女の手伝い、ときどき実験台。 言われるのは殆どどこそこにあるアレ持ってきて、だとかこれ適当に混ぜといて、だとか、簡単なことばかり。 自分で里に薬を配りに行ったり、拘束されて(気まぐれに)新薬試されそうになって逃げ出したり。 最後の一つはあんまり必要ない、というか止めてほしいのだが、これをしないとどうにもならないのよというか文句言うなと言われてしまえば私には泣く泣く頷くことしか出来なかった。 「・・・・ウドンゲ」 「何ですか師匠?」 「謝ったの?」 師匠の問いかけに私は詰まる。誰に、とは言わなかった。 該当者は一人だけ。 「早く謝っておきなさいね」 「・・・・はい」 私が言葉に詰まって答えあぐねていると、師匠はそれだけ言ってもう用は済んだとばかりにまた薬に取り掛かった。 結局のところ私は自分でどうにかするしかないのだ。 ○○の怪我は私のせいなのだから謝って当然だ。 治療するだけじゃ足りない。 私自身だってそう思うけれど、いざ○○の前に出ると上手く言葉が言えなくなる。 「・・・分かって、ます」 昨日の話。 藤原妹紅と姫がまた言い合いになっていたのが白熱してそれ自体は日常茶飯事というかそれなりによくあることで誰も気にしなかったのだけれど、 流石にスペルカードを取り出したときに○○が動いた。 彼女の撃った弾幕が、それを避けた姫の真後ろにいた私に当たりそうになったのだ。 その時藤原妹紅を怒鳴りつけた剣幕はいつも穏やかな○○にしてみればあり得ないほどで、私やてゐや姫、藤原妹紅どころか楽しんで見ていた師匠でさえ呆気にとられたのだった。 だから私には傷ひとつないのだけれど、私を庇って代わりに撃たれた○○は弾幕にかすって傷を残すことになった。 だから、今私は○○とどんな顔をして会えばいいのかが分からなくて、こうしてうだうだしていることしか出来ないのだ。 伸ばしかけた腕を引っ込める。 手の甲をドアに触れさせて、けれどその次の動作には移れずに何度も何度も降ろしては意を決して持ち上がるのだがその先には続かない。 何度となく同じ動作を繰り返しては諦めたように溜め息をついた。 けれどここで逃げてしまえば更に謝りづらくなるだけだと分かっている。 そうして更に時間は過ぎてうだうだしていると、不意に扉が迫ってきた。 否、開いたのだ。 「・・・・部屋の前に誰かいると思ったら・・・・どうかした、鈴仙?」 「あ・・・・○○、あの」 「うん?」 「・・・・ごめんなさい」 やっと言えたのはその一言だけだった。 庇ってくれてありがとうも、傷つけてしまったことも何も言えずに、何よりも言わなければと思い込んでいたものしか出てこなかった。 一瞬、○○は驚いたように瞳を開いて、それからすぐにゆるりと笑った。 ぽんぽん、と軽く頭を撫でられる。 「俺は別に男だし、こんな傷の一つや二つで大騒ぎするものでもないよ。 それより体が冷えるから、早く部屋に戻ってちゃんと寝て明日もちゃんとご飯食べて。そうしてくれた方が俺は嬉しい」 「う、うん・・・・」 「お休み、鈴仙。よい夢を」 「おやすみなさい」 部屋に戻る背中に声がかかる。 そんなに俺に侘びがしたいなら、明日は永遠亭のみんなで一緒に午後のお茶でもしようか。 他愛ない約束で全てを流してくれる○○はもういつもと同じで優しかった。 そのことが嬉しくて私はうんと頷いて、それから見上げた空には砂金を散らしたように満天の星があった。 きっと明日は、晴れになる。 11スレ目 35 恋愛の形は人それぞれ、なんて言葉がある。 なるほど、今の永遠亭をあらわすのにこれ以上の言葉はあるまい。 「いやぁ、水も滴るいい男とはよく言ったものね」 「そういうてゐの方こそずいぶんと真っ白い肌をしているじゃないか」 「「ふふ、ふふふ……」」 今、私の前には一組の男女がいる。 すなわち頭から水をかぶった○○と小麦粉まみれのてゐである。 この状況を的確に表現するならお互いがお互いを同時に罠にはめた、とでも言おうか。 とにかくこの二人のせいでこの部屋は大変な惨状になっている。 正直に言うとこの色気もへったくれもない二人がどうして恋人と呼ばれる関係でいるのかいまだにわからない。 ただ対峙している二人の顔はどちらも不敵で、かつ親愛に満ちていることはわかるから私にはおよびつかない絆があるのだろう。 しかしそれに私を巻き込むのはやめてほしい。 「二人ともずいぶんとおもしろいことをしてるわね」 「「ひぃっ! え、永琳!?」」 ほら、まごまごしてるうちに来ちゃった。 「さて、言い訳はあるかしら?」 「えっとだな……。これは不可抗力というか何というか……」 「そ、そうウサ。 私たちは悪くないウサ」 「赤いのと青いのとどっちがいい?」 「い、いやぁーー! 青いのはダメー! 死ぬー! ていうか赤いのもやめてー!」 「ダ、ダメ! あんなに大きい針は入んないから。もう注射じゃなくて兵器だから!」 どうやら師匠の言葉は彼らのトラウマを問答無用でこじ開けたようだ。 「永琳さん! やめてください!」 と、この永遠亭にすむ男たちの中で一番人畜無害なのが出てきた。 「あら、邪魔をするの? ●●?」 「そうじゃなくて……。その……、僕にもやってください! できれば両方!」 そう、人畜無害ではある。ただのマ○でしかないのだから。 彼のおかげで師匠の私への仕打ちは減っているので感謝はしている。 けれど近寄りたくはない。 「そう。ならついでに黄色いのもやってあげるわ」 「ええ、ぜひお願いします!」 サ○の師匠と彼はいいコンビ、いやいずれはいい夫婦になるのかもしれない。 ただ私としては、どこか遠くでやってほしいと思う。 「ういーっす、ってまた何かやってるのか?」 上下にジャージをはいた、だらしない男がやってきた。 今来た男はこの中で一番のダメ男であり、いわゆるニ○トと呼ばれるやつである。 え? 姫も同じだって? 姫は働かないのが仕事でしょ。 ていうか、こいつを見たのは三日ぶりだ。まぁいつも姫と一緒にひきこもってるからな。 このダメ人間が四六時中姫とイチャついていると思うとムカムカしてくる。 いつかやつの顔面に鉛玉をぶち込みたい。 と、どうやら事態は最終局面へ向かっているようだ。 とばっちりが来ないうちに自分の部屋へ戻っていよう。 「さぁ、命乞いの準備は出来たかしら?」 「ひっ! め、めーりんめーりん助けてめーりん……」 「あ、や……やめて……ウサ」 「はぁはぁ……。もっと! もっとやってください!」 「なぁ、いったい何が起こってるんだ?」 もう一度言おう。恋愛の形は人それぞれである。 けれどせめて私だけは普通の相手と普通の恋愛をしたい。 これが今の私の切実な願いである。 8スレ目 252 永遠亭。一人の人間と一匹の月兎が縁側に座っていた。 「ほらほら~じゃんじゃん飲みなさいよ○○~」 「いやいや落ち着け鈴仙、お前大分酔ってるだろ。」 「なにお~!そ~いう○○こそ顔真っ赤で酔ってるんじゃないの~?」 四半刻ぐらい前からすっかり出来上がった鈴仙が指摘する。 「それはその、お前がそんなにくっついているからだな…」 「あ~○○照れてるんだ~、か~わい~か~あい~」 呂律が回っていないんだかなんだかよく分からない。 「とりあえず落ち着け。お前酔いすぎだ。頭冷やせ。」 夏だということで永遠亭メンバーで軽くプチ宴会でも開こうということになったのだが、ビールから始まり 焼酎になって、鈴仙が酔い始めたあたりで永琳師匠が、 「お邪魔虫は退散するから頑張ってね~」 と、まだ飲み足り無そうな輝夜さんとてゐを引きずって部屋へ引っ込んでしまった。 「べろべろの鈴仙を押し付けられただけのような気がするんだがな…」 「む、なんかいった?」 流し目でこちらを睨んでくる鈴仙。手には座や…ゲフンゲフン銃弾。何処にぶち込む気だ。 「イイエナンデモアリマセン」 「ならよろしい」 「早いとこ寝かしつけないとな…酔っ払いはどうも苦手だ…」 この前博麗神社の宴会にも行ったが、酔った白黒魔法使いや小鬼にからまれ、気づくと半分体をスキマに押し込まれて寝ていた。 「だから~酔ってないってば~」 「ウソつけ!じゃここにグラスが幾つあるか数えてみろ。」 ちなみに、今は鈴仙のグラスと俺のグラス、師匠たちが置いてったグラスで計五つある。 「えーっと一、二、三、四、五個あるわよ。」 鈴仙は一個一個触って確かめる。 姑息な手を使いおってこの月兎が。 「○○だって酔ってるんじゃないの?ほらほら、ピンクの象が見えてませんか~?」 おいおいそれはアル中の幻覚だろうって… 「うわ!わわ!」 「あはは~図星かなっ?」 んな馬鹿な。実際見えるったって俺はアル中じゃない。ちょっと待てまさか…鈴仙の目を見る。 「あっ、てめ、卑怯な!ビビったじゃねえか!」 「わはは。ばれたか~」 「ばれるわ!あーびっくりした~」 鈴仙は幻視を使っていた。波長をずらすとこんなことまで出来んのか。 「あーもうさっさと寝ろ!俺ももう寝る!」 「えーじゃあ最後に一つお願い~」 「なんだ、もう飲まないからな。」 「いやそうじゃなくてさ…」 鈴仙がなぜかもじもじしている。ええい何だ。 「早くしろ。俺はもう眠いんだ。」 「あの、そのさ。そ、添い寝とか…」 「はぁ?( ゚Д゚)」 今何と言った?わが耳がこの歳にして逝かれたか。 「だからその、添い寝を…」 「寝言だったら床についてから言ってくれ。」 しかし鈴仙は意識ははっきりしているようだ。 「じゃあせめて布団まで連れてって。」 まあ実現可能な願いのうちに聞いておこうと、鈴仙をお姫様抱っこする。 重くは無いがなんかこう、恥ずかしい。誰も見ていなくても。 「ほれつきましたよっと…」 部屋に着いて、鈴仙をおろそうとして気付く。 「す~す~」 「なんだ、もう寝てやがんのか…」 寝息を立てている。その寝顔を見て酒も手伝って少し理性が飛びそうになる。必死に押しとどめる。 「どっこら…よっと。」 少々爺臭い声とともに鈴仙を布団の中に転がす…ぼふっ。 柔らかい音とともに自分の体も布団の中に投げ込まれる。イヤボクナニモシテナイヨ? 「へへ~つかまえたっ!」 どうやら鈴仙に引きずり込まれたようだ。ちょっと待てまさか… 「添・い・寝」 「いやまて待てマテ!ヤバイって!酒入ってる!理性飛ぶ!かんべんして!」 必死にもがくががっちりホールドされて逃れられない。 「だいじょーぶそんなことしたら明日ぶち込むから。」 「いやそれ大丈夫じゃない!ぶち込むって何を!?」 「じゃおやすみ~」 その頃部屋の外。 「あらあら優曇華やるわね~」 「いいんですかししょー?あれあのまんまで。」 「大丈夫。なんかやりそうだったら少し物音出せば止めるわ。」 「理性飛んだら関係無いと思いますが…」 「あの~師匠とてゐさんそんな床でボソボソ話しこんでないで助けて~」 「「!!」」 「き、気付いてたの?」 「そりゃししょーこんなふーに話してりゃーねー。…撤退!」 「あ、てゐ!待ちなさい!自分だけ逃げるなんて…」 「そういって師匠だって逃げてるじゃないですか!たすけてえーりん!」 結局鈴仙が寝て少ししてから抜け出しました。 オチなし。 8スレ目 829 はぁい!私は鈴仙・優曇華院・イナバ!れーせんって呼んでね(はぁと それはさておき、師匠に頼まれた薬の材料を探しに山に入ったのはいいんだけど 「迷った」 迷っただけならいいのよ、崖から落ちたら下が川で少し流されて此処は何処でしょう? 足も捻ったか折れたかで痛いんですよ、もう歩くのも億劫で 「誰かー!たーすーけーてー!」 こんな山奥になのに妖怪一匹いやしない、人間なんかいるわけもない もう・・・やだ(涙 もう今日は眠ろう、川が近いから水には困らない、妖怪に食べられないかが心配だけど ああ、ねむたくなってk 「お嬢ちゃん!?大丈夫かッ!?」 何か幻聴が聞こえるーなんだー? 私の意識は其処まで考えてきれた 「おっ!目が覚めたかい?」 あれ?ここは・・・ 「ここは俺の山小屋だ」 「嗚呼、私助かったんですね」 「森で人が倒れてると思ったら人じゃなかったし、どうしようか迷ったけどまぁ・・・」 何だこの男、きこり?某格闘漫画のキャラみたいな筋肉だ、ゆーじろーこえー 「ありがとうございました、迷って、怪我して・・・よかった」 「足は折れてはないみたいだ、一応応急処置はしておいたから」 足には包帯が巻かれていた、葉っぱか何かが当ててあるのか、薬草だろう 「しかしブレザーで山入るのはどうかと思うよ?スカートは危ないし」 「はい、今度から気をつけようと思います」 「ま、妖怪だから大丈夫か!そういえば君ってほんとに妖怪?」 「ん~まぁ妖怪です、一応」うさみみもーどですもん(違 「ふーん、あと少ししたら日が昇るから此処を出よう」 うっすらと空が白み始めてる、ああ、もう一日経っちゃったか、師匠怒ってるかなぁ おかゆをご馳走になった、美味しかった、やっぱ山菜と岩魚だね 「はい」 「はい?」 いきなりしゃがんで背中を向けられた、はい? 「おんぶ、その足で歩くのはよくない」 「いや、けど」 「遠慮するな」 結局おぶってもらいました、背中広い!筋肉! 一度里に下りて、其処から永遠亭まで送ってもらう事にした 「此処だったんだ、全く反対側・・・」 後ろから指差して指示を出し永遠亭まで・・・到着した 「此処でいいのか?」 「はい、ありがとうございました、いつか恩返ししますね!」 「兎の恩返しか・・・じゃあ一ついいかな?」 「はい、なんですか?」 「今度また・・・いや、止めておこう」 「?」 「今度は家に遊びにおいで、お茶ぐらいは出そう」 「は、はい・・・あの名前を聞いてなくて」 「俺ぁ○○、しがない山男だ」 何か複雑なポーズをとってた、こえー 「○○さん!此処にも遊びに来てくださいね!」 去っていく彼に、呼びかけた 彼は振り返らずに、手ふっていた
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/885.html
鈴仙6 11スレ目 32 96 「こら、誰だか知らないけど待ちなさい!!」 「・・・・・」 永琳は竹林の中をすごい速さで飛んでいた。何かを追うように。 しかしちっとも捕まらない。追いかけられているほうはは竹林の中を知り尽くしているかのように素早く確実に逃げていた。 「なんで逃げるのよ!」 「・・・・・・・・・あなたの顔が怖いからですよ」 なぜ永琳はこんなことをしているのか・・・ 事の始まりは優曇華院の一言だった・・・・ 最近、永遠亭を尋ねてくる人が多い。 永琳が人里からの治療依頼が終わって永遠亭に帰ってきたとき、優曇華院の第一声はおかえりなさいではなくこれだった。 「多い?」 「はい。今日で40人ぐらいは来ていたと思います」 「目的はあったの?」 「いや・・・・・・尋ねてきた人間全員に聞いてみたらどうやら竹林で迷って、さまよっていたらここにたどり着いたらしいんです。」 「そう。おかしいわね。迷いの竹林なのに・・・」 永遠亭は迷いの竹林の抜けた先にある。 適当にさまよっているだけでは永遠亭にたどり着くことなど不可能である。 「他に何か言っていなかったの?」 「うーん・・そうですね・・・・・全員、何かに導かれた気がする、とは言っていました。」 「てゐの仕業ではないでしょうね?」 「さっき聞きましたけどそういうことはしてないそうです。自分なら人里のほうへ返すと言っていました」 因幡てゐは竹林で迷った人間を導き、少し幸運を分けて人里に返すのが最近の仕事である。 「ということは・・・・竹林になにかいるのかしら?」 「さっき見てきましたけど特に何も・・・・」 「そう・・・まぁほっときましょ。これがまだ続くようなら今度調べに行くわ」 そういって永琳は自分の部屋に戻っていった。 「あ、師匠、待ってくださーい・・・」 優曇華院も永琳のあとについていった。 「今日の晩ご飯は魚2匹と鳥1羽だけか・・・」 迷いの竹林のなか、それもかなり奥のほうに1人の少年がいた。 といっても、年齢的にはかなり長生きしてるのだが・・・・・・見た目が少年にしか見えない。てゐの男verみたいなものか。 「この生活も飽きてきたなぁ・・・」 少年は、竹林で迷った人間を、竹林を抜けた先にある家―――すなわち永遠亭である―――に導く役をしていた。 役といっても、誰かに仰せつかったわけではなく、少年が親切でやっているだけなのだが。 ちなみに、少年はその家が永遠亭だということを知らないので、どこか近くの家、という認識でしかない。 「そろそろ場所移動しようかな・・・」 少年がなぜ竹林で暮らしているか・・・・ 少年は元々人里に住んでいた。平凡な夫婦の、平凡な子としてこの幻想郷に生を受けた。 少年は心優しく、里でも人気があった。平凡に、幸せに暮らしていた。だが、ある歳を境に、少年は、全く外見が成長しなくなった。 なぜなら、少年は人間ではなく妖怪だったのである。というのは、母が半分妖怪の血液をもっていたのである。 それが強く遺伝したために、少年は妖怪として生まれてしまった。 そして、ある日、少年から羽が生えてしまった。 里の者は、少年が妖怪と知るやいなや、少年を精神的に追い詰め、里から追い出そうとした。 少年の両親は強く反対したが、村の長がこれを却下すると、少年の両親は村から追い出された。夜中の出来事である。 その翌朝、少年が目覚めると両親はいなかった。泣きながら里を駆け回っても両親はいない。 それどころか、里の人間がひとりもいなかった。もともと賢かった少年は瞬時に悟った。 この村は妖怪に襲われたのだと。自分は妖怪だったから襲われずに済んだのだと。 少年は走った。なにから逃げるまでもなく、ただ、ただ、走りたかった。何もかも忘れたかった。 どうしてこんなことになったんだろうと。なにが間違っていたのだろうと。そう考えながら、ひたすら走った。 気づけば少年は竹林の入り口にいた。入り口に人間が一人いたが、自分を見ると逃げていってしまった。 少年はこの竹林に隠れ住むことに決めた。不用意に外にいたら、人間を怖がらせてしまうという理由で。 心優しい妖怪も、いたものである。 そうして約2000年、少年は竹林で過ごしてきた。 時には妖怪と戦い、時には妖怪を退治しに来た人間から逃げながら。 竹林で迷ってしまった人間を、自分の姿を見せないように安全なところへ導きながら。 少年は、孤独ということ以外は平凡に暮らしていた。 「師匠、また人がきました」 「また?これで今日は30人目ぐらいかしら・・・・・やっぱり調べに行ったほうがいいかもね」 「お供しましょうか?」 「ウドンゲ、あなたはここで人の相手をしていなさい。めんどくさかったら波長を操って勝手に帰してもいいから」 そういい残して、永琳は竹林へ向かった。 竹林をしばらく歩くと、どこからか気配がする。 そして、優曇華院では気づかなかった違和感を、永琳は感じ取った。 「やっぱり何かいるわね・・・・どこなの?出てきなさい」 遠くで竹林を突っ切るような音がした。 それを確認すると、永琳は追うようにその音に飛んでいった。 「いい加減止まりなさい!悪いようにはしないから」 「・・・・」 かれこれ、2時間は追いかけっこが続いている。両方とも、人間の動体視力では捕らえきれないほど速い。 「しつこいなぁ・・・いい加減諦めて下さいよ・・・僕何もしてませんよ・・・」 「それはあなたの話次第よ!いいから止まりなさい!」 少年は気づかなかった。自分が竹林の出口へと向かっているのを。 そうして、少年は竹林から出てしまった。 「うッ!!」 太陽の日差しをまともに受けた少年は目が開けられなかった。少年はそのまま気を失って落ちていった。 竹林は日の光がさえぎられている。2000年も竹林に住んでいた少年は当然太陽の光の免疫が無かった。 「逃げる気ね・・・あら?」 永琳が竹林から出てくると、地面に倒れている少年を見つけた。 「もしかして・・・この子かしら」 羽が生えているし、竹林の葉っぱが何枚か服についている。 永琳はちょっと迷ったが、気絶していては話が聞けないので、永遠亭で休ませることにした。 「お帰りなさい、師匠。その子は・・・・妖怪?」 「わからないけど、人間をここに連れてきていたのは、多分この子よ」 そういって、少年をベッドに下ろした。 すこしたつと、少年は目覚めた。 「なんだか暖かいな・・・・・・・あれ?ここはどこ?」 「お目覚めのようね」 「!!」 少年は今話しかけたのがさっき自分のことを追いかけていた人間だとわかると、素早く部屋の隅に行った。 「ごめんなさい!僕食べてもおいしくないですから!見逃してください!食べないで下さい!」 土下座しながら言い始めた。 永琳は少年のことを少し叱ろうと思っていたが、そんな考えは吹っ飛んでしまった。 「クスクス・・・こら、誰が食べるだなんて言ったのよ」 「ええ!じゃあ飲むんですか!!?僕の血なんてまずいですよ!!」 なんだか勝手に考えが暴走しているようだ。 「こらこら、私は吸血鬼じゃないわ。私は聞きたいことがあるだけなの」 「え?」 少年はまさにポカーンという音が似合いそうな顔をしていた。 「そんなに意外?」 「いや・・・ごめんなさい。捕まったら本当に食べられると思ったんで」 そういって、少年は土下座の姿勢から正座のような姿勢になった。 「まぁいいわ、で、なんでこんなことをしていたの?」 「こんなことってなんですか・・・・・・僕悪いことしてませんよ」 「なんでここに人間を連れてきてたの?」 「え?ここあの家なんですか?」 「君がそう思うならそうね。で、なんでやってたの?」 少年は考え込んだ。理由なんかないから当然である。敢えて言うなら、親切である。 「理由なんて・・・ないですよ。僕は人間がかわいそうだから助けてあげようと思っただけで」 「人間・・・・って言い方をするってことは、あなた、やっぱり妖怪なのね」 少年はしまったという顔をしたが、永琳が逃げないのを見て、恐る恐る尋ねた。 「あの・・・怖くないんですか」 「あなたのことを?それなら、姫様のほうが別の意味で怖いわ」 「姫様・・・ですか」 状況がよくわからない少年は疑問が増えるばかりだった。 何故目の前の人は自分が怖くないのか。何故自分を助けてくれたのか。 「そんなことはいいわ。それで、あなたは何者なの?ここらへんじゃ見かけない顔だけど・・・」 「そりゃあそうです。今まで隠れてましたから」 「隠れる?なんでそんなことを」 「人間に・・・・・・見られないようにするためです」 「あなた、本当に妖怪なの?知り合いにもここまで人を想う妖怪なんていないわ」 ―――この人には妖怪の知り合いがいるのか。どおりで、僕を見ても怖がらないわけだ。 少年がそんなことを考えていると、部屋に誰かが入ってきた。 「えーりん、さっきのやつ起きたの~?」 入ってきたのはてゐだった。 「あ、君は・・・」 少年はてゐに見覚えがあった。 ある日、少年がいつものように人間を導こうとすると、先に誰かに導かれるように行ってしまったのである。 不思議に思っていると、少年のような小さいウサギの妖怪が、人間を導いていた。 僕のような妖怪もいるんだなぁ、と、少年はすごく満足し、その人間を名前も知らない妖怪に託したのだった。 少年の反応を見て、永琳は聞いた。 「ん?知り合いなの?てゐ?」 「んー・・・なんかみたことある気がする」 「あれ、見られてたかな・・・僕は竹林に住んでたんだけど」 そういうと、てゐは急に何かを思い出したような顔をした。 「・・もしかして私の仕事を手伝ってくれてる人?」 「あれは、君の仕事だったのかな?取ってしまってごめんね」 「ううん。そんなことないよ!むしろ減ってラッキーって感じだから!」 「てゐ・・・・あとで私の部屋に来なさい」 「あう、いつもの嘘ですよ!嘘!」 そういって、てゐは逃げるように部屋から出て行った。 「珍しい妖怪ですね・・・・」 「あなたほどじゃないけどね・・・・・そういえば名前を聞いてなかったわね」 「僕の名前は・・・自分の名前を言うのも久しぶりだな・・・○○、といいます」 「なんだか悲惨な過去があるみたいね・・・あ、別にいいわ話さなくても」 少年が自分の過去を話そうとするのを、永琳は止めた。 「自分の過去なんてそう簡単に話すものではないの。まぁ、それは置いといて、私は八意 永琳。医者みたいなことをやっているわ」 「ええ、以後お見知りおきを・・・・・といっても、次はいつ会えるかどうかわかりませんけど」 「あら、どうして?」 「隠れてるの見つかっちゃったし、もっと静かなところに行こうと・・・」 「行くあてはあるの?」 「無い・・・ですけど、何とかなりますよ」 「だったら、ここに住みなさい。竹林ほどじゃないけど、まぁ割と静かなところだから・・ね」 「ええ!?」 少年は本当に驚いた。妖怪である自分に、住む場所を提供してくるなんて夢にも思わなかったからである。 「なんでそんなに僕のことを・・・」 「他人には見えないから・・かな。ここ、永遠亭はね、過去に何かあったやつが結構いるのよ。それに」 永琳は一呼吸置いて言った。 「妖怪もすでに住んでるしね。ここは」 「そうだったんですか・・・」 「それに・・・・ね、あなたがしてたことは人間にとっては助かったことだったでしょうが、私たちにとっては少々迷惑だったの」 そういうと、永琳はいたずらっぽい笑みを浮かべた。 「その迷惑代として、ここで働きなさい。これは、命令ね」 少年は頭を抱えた。ここに住むついでに、働けといっているのだ。妖怪である自分に向かって。 「それは・・・強制ですか・・・」 「強制よ。ま、住む場所をあげるんだからありがたく思いなさい」 なにやらやっかいそうな人に捕まったな・・・そう少年は思った。 永琳は軽く咳払いした。 「ようこそ永遠亭へ、○○。永遠亭の代表として、歓迎するわ」 「はい・・これからよろしくお願いします。えーと・・・永琳さん・・・・と呼べばいいですか?」 「ええ」 ―――やっかいそうだけど、多分優しい人なんだろうなと思った。根拠も無く、そう思った。 そして―――これから始まる新しい生活に―――少し期待を覚えた。 その日の夜、永琳によって、少年・○○が永遠亭に住むことになったことが永遠亭で発表された。 最初は誰もが驚いたが、永琳が事情を話すと、皆、快く少年を歓迎した。 とくにてゐは、自分と同じぐらいの身長で、しかも自分と同じくらいの歳(といっても2000歳ぐらいだが)の少年だったからか、喜びようがすごかった。 二人はその日の夜すぐ仲良くなり、二人ともいい遊び相手のように見えた。 「師匠、本当は他に理由があるんじゃないですか~?」 「そおねぇ~。強いて言うなら・・・・・実験で男のデータが欲しかったから、かな♪」 優曇華院は、○○に少し同情した。 Q.イチャイチャはどこですか? ごめん、あらすじだけで本当にごめん Q.カップリングは誰よ? 決めてません。永遠亭のみんな大好きだから。ハーレムになるかも 「おはようございます、鈴仙さん」 「おはよう、○○」 笑顔で挨拶してくれるのでこっちもできるだけ笑顔で挨拶を返す。 「朝ごはん出来てますので食べて下さいね」 「わかったわ。お先に失礼」 ○○が永遠亭に住んでから早一年が経った。 ○○は最初はどこかよそよそしさが残っていたものの、最近は減ったようだ。 最近は私と一緒に師匠の仕事を手伝ったり、一緒に里へ薬を売りに行ったりしている。 里では、彼は人気である。最初は自分が妖怪であることを心配していたが、どの里の人も彼を歓迎してくれた。 そうして、その日以来、彼はある天狗娘によって幻想郷では割と顔が知れている存在になった。 ちなみに、○○は永遠亭の料理を担当している。 ○○が料理はできると言った瞬間、永遠亭全員から強制的に言い渡された。もちろん私も賛成した。 「おはよう○○~」 「おはよう、てゐ。」 「あとで賽銭活動するから一緒に来てね~」 「また?正直人を騙すのは気が引けるんだけどな」 廊下でてゐと○○がいつものやりとりをしている。断らないのが○○の優しさというかなんというか・・・。 「いいの。騙されるほうが悪いんだから」 「やれやれ・・・・」 二人は私から見ても本当に仲がいい友達以上の関係に見える。幼馴染みたいにも見える。 歳が大体同じだし、背も同じくらいだし。 でも恋人・・・というのにはちょっと違う気がする。 そう思うのは私が嫉妬してるからだろうか。 嫉妬・・・・か。私は○○のことが好きなのだろうか。確かに好印象はあるけど・・・・恋とはちょっとちがうような気がする。 ま、いいか。 「じゃ、竹林のいつものところに来てね~」 「はいはい」 てゐが駆け出した。 「あ、てゐ!朝ごはん先に食べてからだよ!」 「ご飯なんて食べなくてもいいじゃん。妖怪なんだし」 「ダメだよ。妖怪だっていつ何が起こるかわからないんだからね」 「頭固いね~」 「大きなお世話だよ。ほら、行くよ」 そういって、てゐの手を引っ張って食卓へ行ってしまった。 引っ張られてるてゐの顔はなんだか顔が赤い。○○は気づいてないのかな。 って、こんなこと考えてる場合じゃない。早く私も食卓に行かないと。 「おはよう、○○。よく眠れたかしら?」 「おかげさまで・・・危うく、永遠の眠りにつくところでした」 「大丈夫よ。そのときはとっておきの薬があるから」 「何事もなくてよかったです!」 食卓での師匠と○○のいつものやり取り。どうやら○○は師匠にいいようにこき使われてるらしい。 私が嫌だったらそういえばいいのにといっても、彼は嫌とはいわない。お人好しにもほどがある。 ちなみに姫様はまだ起きていない。いつも姫様は一番最後に起きてくる。何時に寝てるんだか。 「ウドンゲと○○。食べ終わったら、ちょっと私に付き合ってね。手伝ってもらいたいことがあるの」 「え?僕はちょっとこの後てゐとですね・・・」 師匠の動きが止まった。顔は笑っているが、心は笑っていない感じの表情である。 「あら、○○。私とてゐのどっちが大切かしら?」 「あの、そういうことを聞くのは反則だとおもい・・・」 「ど っ ち なのかしら?」 あ、師匠がちょっと怒ってる。 「あの・・・その・・・・永琳さん・・・・です」 ここでてゐと答えるやつがいたらそいつはよっぽど頭があっぱれに違いない。 「そうでしょう。わかったら二人ともこの後私の部屋に来てね」 「わかりました、師匠」 「ごめん、てゐ・・・・」 竹林での会話。 「・・・・というわけで、今日は無理だった」 「え~!!さっきついてきてくれるって言ったじゃない」 「仕方ないよ・・・・永琳さんは僕の恩人だし。・・・この埋め合わせはいつかするから、許してよ」 「ホント?今の言葉、嘘だったら許さないからね!」 「君がそのセリフを言うのかい」 。 「まぁいいわ、最近毎日つき合わせてたし。じゃ、またね」 「うん、ごめんね」 「はぁ・・・」 私は竹林を走っている。 いつもは今度は誰を騙そうかとワクワクしているところなのに、出るのは溜息ばかりだ。 「どうしたんだろ・・・私」 一人は慣れてる筈なのにな・・・・どうしてこんなにつまらなく感じるんだろう。 あれこれ考えながら、てゐはいつものように賽銭活動を始めた。 ただ、いつもの人たちが言うにはいつもより少々元気が無かったそうな。 「○○、ちょっとそこの取って~」 「これですかね?気をつけて持ってくださいよ~」 師匠の部屋で、私たちは薬を調合している。 師匠はなにか材料を取りに行ったらしく今は部屋にいない。 それにしても、○○は本当にすごい。 師匠の教えを、たった1年で完璧に理解し、私と同じ、またはそれ以上の薬の腕前になっている。 それに、○○はとても嬉しそうにに薬を作る。 以前、なにがそんなに楽しいのか聞いたことがある。そしたら、彼は言った。 「僕のような妖怪でも、人間を助けられるモノが作れるなんて、うれしくないわけがないですよ」 と、すごくいい笑顔で答えてくれた。本当に妖怪なのかな。 考え事をしていたのがいけなかったのか、うっかり試験管を落としてしまった。 パリーン! 見事に割れる。当然、入っていた薬品が飛び散る。でも、考え事をしていた私は気づかなかった。 次の瞬間、急に体が浮いて、その場から急速に動いた。なにが起こったのかわからないまま上を見ると、○○の顔があった。 「危ないじゃないですか!考え事なんてしてるから、落とすんですよ」 どうやら私はお姫様抱っこをされているらしい。当然、恥ずかしい。 「ちょ・・ちょっと!何してるの!」 「いや・・・だってあのままじゃ、直撃でしたし・・・・鈴仙さんも避ける仕草を見せなかったし・・・」 体が動かない。下りたいのに、なぜか金縛りにあったように体が動かない。 「・・・・」 顔が赤くなっていくのが自分でも分かる。○○は、やっと気づいたようだった。 「すみません、心遣いが足りなくて・・・・」 ○○が優曇華院を下ろそうとしたときだった。 「○○~ウドンゲ~調合は順調なの~?」 部屋に師匠が入ってきた。最悪のタイミングで来るもんだ・・・・。 「・・・」 「・・・」 「・・・」 部屋に入ってきた師匠が固まった。固まるのは今日2回目だ。 部屋には優曇華院をお姫様抱っこしている○○と、顔が赤い優曇華院。 君たちだったら、何を想像するだろうか? 「あんたたち・・・いったい何をやっているのかしら?」 「え!?えーと、これはその・・・・」 ○○が弁解を始めるが師匠は全く聞いていない。 私は体も口も動かなかった。それより、足と体に回されている彼の腕が気になって仕方が無い。 「仕事中にイチャつくなんていい度胸ね・・・・○○、こっち来なさい」 「いや・・・だから・・・これは事故で・・・」 ようやく○○は私をおろした。次の瞬間、師匠と○○の姿が消えた。 普通の人には消えたように見えただろうが、私には見えた。すごい速さで、師匠が○○をどこかへ手を引っ張って連れて行ったのを。 取り残された私は、とりあえず壊れた試験管の後始末をすることにした。 薬の調合をつづけようと思ったが、集中できなかった。さっきの出来事をどうしても思い出してしまう・・・ 「騒がしいわね・・・」 姫様が起きてきた。ちなみに今は14 00ぐらいである。 「おはようございます、姫様」 「おはよう、うどんげ。どうしたの?なんだか顔が赤いわよ」 「なんでもないです」 平静を装って答えた。 「それで、みんなは?」 「てゐは例の活動です。師匠と○○は・・・・・わかりません」 「どこか行ったの?」 「はい。でも師匠が連れて行ってしまったので、どこかはわかりません」 「そう、それよりもお腹が空いたわ。○○・・・は、いないんだっけ。うどんげ、なにか作ってちょうだい」 「自分で作って下さいよ・・・」 「やーよ。めんどくさい」 (怖い・・・怖いよ・・・・誰か、助けて・・・) 僕は博麗神社の縁で正座させられていた。向かいには永琳さんが黙って座っている。 なんで博麗神社なのか聞いたが、いい場所が見つからなかったそうである。 「・・・・」 「・・・・」 10分ぐらいこんな感じである。正直、いや、正直じゃなくてもすごく怖い。 それを、障子越しに見る影が二人。 「おい、あの二人何やっているんだ?」 「知らないわよ。帰ってきたら勝手にいたんだもの」 「さっきからどっちも動きが無いぜ・・・」 「おおかた、○○が何かやらかしたんでしょ」 「どうするんだ?あいつら」 「ほっときましょ。私が出ても意味ないだろうし」 障子から一つ、影が消えた。もう一つの影は、事態が気になるのか消える様子は無い。 「○○」 永琳さんがやっと口を開いた。 「はい・・・」 「あなた、私とウドンゲ、どっちが大切?」 「はい?」 言ってる意味がわからなかった。 「どうしてそんなこと聞くんです?」 「いいから、答えなさい」 声に凄みが増した。 怖い。これ選択肢ないよ・・・・ 「・・・・永琳さんです」 「そうでしょう。わかったらこれからは、軽率な行動は避けること。」 「助けただけなんですけど・・・・・・・・・すみません!僕が悪かったです」 睨まれてしまった。怖い。怖すぎるよ。 「まったく、これだけ言ってもわからないのかしら・・・鈍感ね。この子は・・」 「あの・・・何か言いまし・・・・なんでもないです」 また睨まれた。これ、狂気の瞳よりよっぽど怖いよ。 「まぁいいわ、反省してるようだし、これからは気をつけてね。」 「さっきみたいなことしなければいいんですか?」 「そういうこと。でも私にだったら、遠慮しなくてもいいわよ」 「え?それはどういう・・・」 なんで鈴仙さんはダメで、永琳さんはいいのだろう・・・・ 「・・・・修行が足りないわね。今日はこのまま博麗神社で修行していきなさい」 「え、何をですか?」 「色々と・・・・ね。あなたはもう少し他人の心を勉強すること。」 「????」 疑問が浮かぶばかりであった。そうこうしてるうちに、永琳さんは帰っていってしまった。 「・・・・・」 さて、どうしよう。今日はここで修行しろと言われたが、何をすればいいのか見当がつかない。 しかもここの巫女さんに許可取ってないし・・・・。 「よう、○○」 「ん?」 障子から誰か出てきた。いかにも魔法使いな格好をしているこの人は・・・ 「魔理沙さん、こんにちは」 「さんはいらないといつも言っているだろう・・・」 しょうがない。これは癖みたいなものだ。 「厄介なことになってるみたいだな」 「はは・・・。いったい何が何なのかわからないけどね・・・」 「何を言われたんだ?」 「ここで修行しろだとさ。今日は永遠亭には帰れないらしい」 「何を修行するんだ?」 「それがよくわからないんだ・・・他人の心?を勉強するんだとかなんとか・・・」 「あら?さっきの話は終わったのかしら?」 また誰か出てきた。今度は巫女さんである。 「霊夢さん、お邪魔させてもらってます。」 「霊夢でいいわ。それで、さっきのは終わったの?」 「うん、さっきのは終わったけど・・・」 「?」 霊夢に、永琳さんが言っていたことを伝えた。 「心を勉強・・・か。たしかに、あなたは妖怪だし、そこらへんわからないかもね」 「何をすればいいんだろう・・・・」 「とりあえず、本を貸すわ。これでも読んでなさい。」 そう言って、渡されたのは、心理の本だった。 「今日は泊まっていきなさい。寝るところないんでしょ?」 「いいの?ごめんね、なんか僕が不甲斐ないせいで・・・よくわからないけど」 「○○、ここに泊まるのか?」 「うん、寝るとこないし。まぁ、いざとなったら、竹林でも寝れるけどね」 「じゃあ、私もここに泊まるぜ」 「はあ?」 霊夢が驚いた。 「ちょっと、なんであんたまで泊まる必要があるのよ」 「いいじゃないか、別に。一人ぐらい増えたって変わらないぜ」 「変わるわよ!主に食費が」 なんか二人とも言い争いを始めた。ひょっとして僕が原因? 「喧嘩しないでよ、二人とも・・。僕が出て行けばいいんでしょう?じゃ、霊夢、読み終わったらこの本返すね」 「「え?」」 二人の声がハモった。 そういって、○○は竹林に飛んでいってしまった。 「・・・・・・・・」 「・・・・・・・・」 場を支配するのは沈黙。それはそうである。 二人とも、目的の人物(妖怪)がいなくなったのだから。 「・・・・・・・・・・で、あんた、泊まるの?」 「・・・・・やっぱりいい」 霊夢と魔理沙は理解した。○○は人の心を理解できていないのは本当だと。 果たして、○○がそれが自分に向けられた好意だと気づくのは、いつになるのやら。 その日の永遠亭の夜。 「あら?今日は○○が作ったご飯じゃないのね・・・残念だわ」 姫様がガックリと肩を下ろす。ちなみに今日作ったのは○○が来る前に料理を担当していた因幡ウサギ達である。 彼女(彼)らも報われないな。 「師匠、○○はどうしたんですか?」 「うふふ・・・ちょっと人の心を勉強させてるわ。心配しないの」 「どこでですか?」 「例の巫女がいるの神社よ。見たところ、あの子たちは○○に恋しちゃってるみたいだから、ね♪」 初耳だ。霊夢や魔理沙が○○のことを好きだなんて・・・・・・なぜか胸がチクリとした。 「師匠は・・・なんとも思わないんですか?」 「あら、どういう意味?」 「いや・・・だから・・・その・・・・なにか間違いが起きないのかなって・・・・」 言ってて顔が赤くなってきた。いったい何を言っているのだろう、私は。 師匠はクスクス笑うだけで何も言ってくれない。 なんだか妙に気恥ずかしさが来た私は逃げることにした。 「おやすみなさい!師匠、姫様!」 そういって、居間から飛び出て、自分の部屋に急いだ。 「あらあら・・・これは・・・・ややこしいことになってきたわね♪」 永琳が誰にも言うわけでなく楽しそうに呟いた。 「○○~早く帰ってきて~。私にご飯作ってよ~」 ・・・・ダメなお姫様もいるものである。 「どうしたんだろ・・・私」 ベッドに横になっても頭に出てくるのは彼の笑顔、体に残っている彼の腕の感触ばかり。(なんかこの書き方、エロいな これじゃとてもじゃないけど眠れない。 「散歩でもしようかな・・・・」 そう決めた私は、竹林で散歩することにした。 夜の竹林は不気味である。 もともと昼でも日の光が入らない竹林なので、夜は周りが全く見えない。 妖怪は、この暗さが心地よいらしいんだとか。 その竹林を、優曇華院が歩いていた。 「落ち着くわね・・・ここは。彼がここに住んだ理由もわかるかも」 散歩しても出てくるのはやっぱり彼のことだった。私は気づかないフリをしていた。 すると、向かいから何かが飛んでくる音が聞こえた。 「ん・・・・?誰かしら」 「やれやれ・・・・あの本どこに落としちゃったのかな・・・」 それは、聞き覚えがある声だった。 「○○・・・?」 「あれ・・・・鈴仙さん、こんなところで何やってるんです?」 「なんでここに・・・?」 それはこっちのセリフだったが、今は何故か彼に会えたことが嬉しかった。 私の顔が赤くなっているような気がするが、暗くて見えないだろう。 「博麗神社にいるんじゃなかったの?」 「そうだったんですけど・・・なんか二人が喧嘩しはじめちゃいましたからここにしました」 「そう・・・・」 今なら、彼女たちが喧嘩する理由が分かる気がした。 「じゃ、また朝会いましょう、鈴仙さん。今は永遠亭に帰れませんし。おやすみなさい」 「あ・・・・」 そう言って、飛んでいってしまった。 「おやすみ・・・・なさい」 彼が消えた後で言っても意味が無い。 もうわかった。今のでわかってしまった。 私は――――――○○に恋をしていると―――――― 変わってしまった。好意が、恋に。 それが、吉なのか、凶なのか・・・・・ 今の私には、わからなかった。 Q.主人公はウドンゲなの? A.なんか書いてたらウドンゲが主人公になっちゃいました。でもどうなるかわかりません。 Q.霊夢と魔理沙の扱いに全俺が泣いた。 A.彼女たちは今回はサブ・・・のつもりです。 でもひょっとしたらひょっとすると・・・かもしれません 11スレ目 1000 ベタですまないが単刀直入に言わせてもらおう。 鈴仙、君が好きだ。愛している。 12スレ目 56 鈴仙「○○~お汁粉できたよー」 ○○「おぅ、ありがと。んー時間がたってもこの餅すごくやわらかくてうまいな」 鈴仙「餅つきは兎の専売特許ってね。あ、ほっぺにお餅ついてるよ」 ○○「えっ、どこどこ?」 ――ちゅっ 鈴仙「えへへ、○○のために特別につくったお汁粉だからすごく甘いね」 ○○「――――(赤面)」 12スレ目 656 うpろだ864 ここは永遠亭のとある廊下の一角。 耳に聞こえるはしんとした静寂のみ。 俺は額に滴る冷や汗を拭いながら、その手にある銃床を握りしめる。 そのとき、不意に何者かの足音が聞こえる。 俺は廊下の角から、半身だけ乗り出して、その音が聞こえた方を見る。 そこにいたのはブレザーに身を包んだ少女、鈴仙だ。 彼女は、側にある部屋の中を覗き込んでおり、こちらに気づいた様子はない。 しかけるなら今しかない。 俺は素早く身を乗り出し、彼女の方へ銃身を向ける。 そして、引き金を引こうとした。 しかしその瞬間、向こうにいた彼女の姿は消え去り、その代わりに俺の目の前に彼女の顔があった。 右手に握られた拳銃は、俺の眉間を零距離で狙っている。 はめられた! 彼女は自身の能力を使い、俺に幻を見せていたのだ。 そう、波長を操作することによって。 そこまで考えが及んだ時、彼女の口の端がつり上がる。 「さようなら」 無慈悲に紡がれた言葉と共に、彼女はその引き金を引いた。 「痛ってーー! 零距離で撃つなんて、ふざけんな!」 「あははは、騙される○○の方が悪いんでしょ」 眉間に打ち込まれた弾に、ひとしきり悶絶した後、俺は鈴仙に詰め寄った。 だが、彼女は俺を指差し、けらけらと笑うだけである。 何故、俺達がこんなことをしているのか。 まずは、そこから話そう。 まぁ、一言で言ってしまえば、姫様の気まぐれだ。 二月三日、つまり今日は節分の日だ。 せっかくだから豆まきをしよう。でも、普通じゃ面白くない。 というわけで、豆を弾として発射できるように改造したエアガンでサバイバルゲームをすることになったわけだ しかも優勝者には景品があるうえに、今回は主催者なので姫様や永琳は参加していない。 これなら、外の世界にいたときサバイバルゲームをやりまくった俺なら優勝できると思ったんだが……。 結果は御覧の通り、最後の一騎打ちでこいつに負けちまった。 あ、ついでに言うと、サバイバルゲームをするときは失明を防ぐためにも、ちゃんとゴーグルをつけるんだぞ。 お兄さんとの約束だ☆ 「○○……、何で明後日の方向いてニヤニヤしてんの?」 「な、何でもねぇよ!」 「ふぅん。それにしても……始まる前はあれだけ威勢が良かったのに全然強くなかったわね」 「ぐっ……!」 「あーあ、ホント期待外れね」 優越感に満ちた目で俺の方を見る鈴仙。 こ、この兎女、好き放題言いやがって……。 何とかこいつに仕返しするには……。 あ、この方法なら……。 ふっふっふっ……目にもの見せてくれてやる。 「それじゃ、さっさと戻りましょ」 そう言い、彼女は俺に背を向けた。 その甘さが貴様の命取りだ! 俺は豆を手に持てるだけ持った。 そして、油断しきった彼女の後ろに素早く近づき、その大量の豆を背中から服の中に放り込んだ。 「ひゃん! い、一体何!?」 突然の事態に慌てふためく鈴仙。 あたふた手を伸ばし、自分の服の中に入った豆を必死に取ろうとする。 「ざまぁみろ、この兎娘が!」 不敵に笑み、腕を組みながら叫ぶ俺。 「ちょ、これあなたの仕業!? さっさと取りなさいよ! このバカ!」 「はっはっはっ、俺がそんなことするわけねぇだろ」 微妙に涙目で俺をにらみながら、背中に手を伸ばす彼女。 どうやら、服の間に中途半端に引っ掛かり、思うように取れないらしい。 そして、彼女は体をねじって取ろうとし始めた。 「ぶはっ!!」 む、胸が……、胸が服に押しつけられて、すごいことになってる……。 普段からそれなりにデカイとは思っていたが、まさかこれほどとは……。 何ていうか……、すごく……エロいです。 「……な!? 何見てんのよ! このスケベ!」 「えっ、いやこれはその……」 俺は彼女の顔を見る。 その顔は、先程よりもさらに涙目で、かつ顔を真っ赤にして、かなり怒っていた。 「い、いやぁ……。これは、その、いわゆる一つの不可抗力で……」 「うるさい! あの世で私にわび続けろ!」 鈴仙の座薬弾が、世の男性の急所と言われる箇所を打ち抜く。 俺はその激痛に悶絶しながら、前のめりに倒れた。 ぼやける視界の先に映っていたのは、聖域、すなわち彼女の純白の下着だった。 ああ、わが人生に一片の悔いなし。 俺は最高の気分に浸りながら、意識が飛んでいくのを感じた。 12スレ目 746 うpろだ872 竹薮の奥にひっそりと位置する永遠亭。その縁側で俺は寝っころがっていた。 夏の木漏れ日は適度に暖かく寝やすいのだ。 「あー、またサボってる」 不意に俺の上から声がした。眠い目を擦りつつ開くとそこには一人の少女がいた。 色白の肌、色素の薄い髪、そして頭頂に生えるウサギの耳。月の兎の生き残り鈴仙・優曇華院・イナバ。森の奥で倒れている俺を拾って看病してくれたいわば命の恩人である。 「どうした、鈴仙? 俺は姫さんに付き合ってて疲れてるんだぜ」 「どーせ、夜中までゲームでもやってたんでしょ? ほら、てゐ探すの手伝って」 またどっかいったのかあの兎は、と毒づきつつ俺は立ち上がる。ちなみに鈴仙が言ったことは図星であるため反論できない。昨夜はずっと姫さんと花映塚をやっていた。 「で、いつ消えたんだよてゐは」 「朝からね、でもあれじゃないこの前の前の日からいなくなったってのに比べれば――」 「阿呆、あの時は一日中森の中を走り回ってようやく見つけたんじゃね―か。 もうあんなのは御免だぜ」 「平気よ……きっと」 鈴仙の言った「きっと」という言葉に不安を感じつつ俺たちは竹薮の中へとてゐを探しに出かけた。 ○ で、5時間後。 「……で、てゐはいたのか?」 「いないわね」 竹薮の中、疲れ果てて地面に座り込む俺と鈴仙。あれからてゐは一向に見つからず、もはや日も暮れようとしていた。 黄昏の闇が辺りを覆い、どこからかひぐらしの鳴き声が聞こえてくる。 「いったん戻るか、この前みたいに永遠亭に戻っているかもしれない。 鈴仙、帰り道は?」 疲れた体に鞭打って立ち上がり、鈴仙に尋ねる。いつもなら彼女が率先して道を示してくれる。が。 「……ない……」 「へ?」 「わからない……ここ、来た事ないわ」 ぶっちゃけた話、永遠亭を囲う竹薮は広い。鈴仙の知らない場所があってもおかしくはないのだ。 「……あーーーー……どうしよう?」 へたりとその場に座り込み、虚空を見つめる。 「とりあえず下手に動くのは朝になってからにしましょう」 「それもそうだな」 夜は様々な魑魅魍魎が跋扈し、人間である自分にとって激しく危険である。それにいくら俺より強い鈴仙といえど疲れた体では俺のことまで守れるかどうかわからない。 幸いここらは竹がまばらで見通しもいい。交代で見張りをしておけば夜闇にまぎれた不意打ちは食らわないだろう。 それより気になるのが今夜の姫さんの相手だ。いつもは俺がしているのだが今夜は永琳さん辺りが犠牲になるのだろう。ご愁傷様。 「はー、疲れた」 何気なく横を見るとそこには鈴仙の瞳があった。血の様な真っ赤な瞳を見つめているとどんどん吸い込まれていき――。 「駄目っ!」 鈴仙がいきなり大声をあげると顔を背けた。 「うおっ、どうした?」 「駄目……知ってるでしょ? 月の兎はその瞳に狂気を宿す……だからこんな風に目と目を合わせたら――」 声のトーンを落とし、どこか自嘲気味に話す彼女の頭を鷲掴み、ぐいっと自分のほうに向けさせる。 「あ、それなら平気だ」 「へ?」 呆ける鈴仙の瞳をじっと見据え、おそらく今までの人生で一番の勇気を振り絞り、言の葉をつむぐ。 「だって、俺は狂おしいほどにお前を愛してるんだから」 沈黙。 それがどのくらい、長かったか短かったかさえも分からない。その沈黙を先に破ったのは鈴仙だった。 「……ぷっ、あはははははははははははは! え、ちょっと待って、ねぇ○○、それって何?」 「笑うなよ、傷つくだろ。 これでも勇気出したんだぜ」 「……うん、ごめん」 笑いつかれたのか、鈴仙は何回か深呼吸をした。そして再び俺に向き直り、にこりと微笑んだ。 「私も。 好きだよ、○○」 「それはよかった、勇気を出した甲斐があった」 「そうね、あなたはもう狂気に中てられたのかも」 「何でだよ?」 「だって兎に大真面目に告白する人間なんて聞いたことないわ」 「現にいるだろ―がお前の前に。 それに狂ってても狂ってなくても俺はお前が好きだぜ、鈴仙」 そう言って鈴仙の体を抱き寄せる。そして自らの唇を鈴仙の唇に押し当てる。 「んっ……」 目を瞑り、俺の唇を受け入れる鈴仙。今回ばかりはてゐに感謝せざるを得ないな…… ○ 二人のいるところから少し離れた竹の影から一部始終を彼女は見ていた。 「まーったく、鈴仙も○○も奥手なんだから。 わざわざ鈴仙が分からないように竹薮の形をかえるの苦労したんだから」 くせっけの強い黒髪、頭に生える兎の耳、そして毛玉のようなかわいらしい兎の尻尾。今回の騒動の原因でもある因幡てゐである。 「ま、少しくらいは幸せの兎っぽく幸せを運ばないとね。ごちそうさまでしたお二人さん」 そう言い残すとてゐは藪の奥へとその姿を消した。
https://w.atwiki.jp/dactiltoeb/pages/2008.html
鈴仙 ステータス コードネーム クラス 装備 建国暦 パレパレジャングル 八重桜 紹介
https://w.atwiki.jp/sagastar/pages/228.html
鈴仙 肩書き 種族 閃き コマンダー行動 陣形 得意術 盗み適性 月の兎 妖怪・獣人 銃(月) 物理と術(月) ワールウインド 玄武 9 LP 腕力 器用さ 素早さ 体力 魔力 意志力 魅力 10 16(15)(15) 21(23)(20) 19(21)(17) 16(13)(17) 18(21) 13 21 HP 斬LV 打LV 突LV 射LV 体術LV 地術LV 天術LV 増幅LV 75+ 0 1 0 2+ 0 0 月1+ 0 武器1 武器2 武器3 武器4 防具1 防具2 防具3 防具4 狩人の弓 杖 - 高級傷薬 革鎧 毛皮のベスト 革のブーツ - 技1 技2 技3 技4 術1 術2 術3 術4 スペルカード - - - - 狂気の瞳 - - - フレイムバレット(全体射撃)(シャドウサーバント) HP成長 SP成長 WP成長 斬成長 打成長 突成長 射成長 体術成長 2 2(1) 3 0 2(0) 0 3(2) 1 蒼龍成長 朱鳥成長 白虎成長 玄武成長 太陽成長 月成長 増幅成長 消費軽減 0(2) 2 0(2) 0(2) 0 3 3 - オープニングでいきなり長ったらしいフルネームを披露する玉兎。 原作でトーマスがトムと呼ばれるところではうどんげの愛称が出てくる。 ロマ東での彼女は人間の祖父を持つので、この星の生まれではないかと推測される。 がめつさは9。これだから商売人は… 普段は花映塚のブラウス姿だが、P・ザ・ラビットを持つとアドベントチルノの レイセン・ウドンゲイン、ブレザーを着ると永夜抄鈴仙になる。 非コスプレ時が物理術共にバランスが取れてるのに対し、前者が物理寄りに後者が術寄りになる。 また、後者はこいし以外で唯一シャドウサーバントを他の隠し術と併用できる。
https://w.atwiki.jp/anime10hou/pages/36.html
鈴仙モナァ ◆.MoNa7GBGo 4人打ち 六段 3人打ち 三段 アニメ部屋に突如現れた配信者。 出身はハンゲームで天鳳と共に好成績を残している。 のんびりとした口調でおだやかな印象を受けるが 実は非常に腹黒い。 IDからもわかるように東方オタであり、うどんげの話になると止まらない。 「鈴仙」は「れいせん」と読むのであって「すずせん」ではない。 暇なときに「鈴仙モナァー?(=配信マダー?)」と書き込むと配信を始めてくれるよ。