約 45,018 件
https://w.atwiki.jp/tarowa/pages/443.html
銀の邂逅 月の相克(後編) ◆KKid85tGwY 瓦礫の山の中に白銀の身体の大半を埋め、頭と左腕だけを天に突き出し、 シャドームーンはその存在を白日の下に示していた。 しかし白銀の輝きは煤に塗れ、弱弱しい印象さえ受ける体勢は、 以前のような威厳は感じ取れない。 シャドームーンを倒すなら今を置いて他には無い。 水銀燈はシャドームーンの下へ降りていく。 「うふふ、無様ねぇ」 悠々とシャドームーンを見下ろす水銀燈。 強者と弱者。 追い詰める者と追い詰められる者が逆転した様は、水銀燈に強烈な快感を与える。 あの傲岸だったシャドームーンの命は最早、水銀燈の手の中にある。 そして今、それを終わらせることが出来るのだ。 「約束通り、ジャンクにしてあげる!」 水銀燈はシャドームーンへ向けて剣を振るう。 剣の切っ先が喉元に当たる 水銀燈は、剣の主を睨みつける。 「……どういうつもりかしら?」 「言った筈だ。君が誰かを殺そうとするなら、僕が止めると」 水銀燈の喉元に突きつけられた剣の正体は、月の支給武器。 二本の刃が平行に延びたその異様な造詣の剣は、新井赤空作の初期型殺人奇剣・連刃刀。 息も絶え絶えに刀を構え、月は水銀燈と対峙する。 水銀燈は心底呆れたと言う様子を隠すこともなく吐き捨てた。 「……こんなのを生かして置いて、一体どうするつもりなのぉ? 私から庇った後、こいつに殺されれば満足?」 「僕の理想はあくまで誰も死なせないことだ。そして僕の方からそれを妥協するつもりは無い。 君もシャドームーンも僕自身も殺し合いの犠牲にはしない」 「貴方、状況が判ってるの? 貴方がどう頑張った所で、私を止められる訳ないじゃない。 それにそもそも、私は貴方から力を貰ってるのよ? あんまり無理したら、力を使い果たして死んじゃうかも」 「君こそ状況が判っているのか? 二対一だと言うことが」 月を小馬鹿にしていた調子から一転、急に全身が総毛立つような寒気を覚え水銀燈はシャドームーンを見る。 シャドームーンは相変わらず無言のまま、瓦礫の中に埋まっている。 もう喋ることも出来ないのだろうか? シャドームーンの状態を窺い知ることは出来ない。 しかしシャドームーンの恐ろしさは、水銀燈の骨身に染みていた。 「エネルギー源の僕を敵に回してまでシャドームーンと戦う方が、君にとってはリスクが大きいと思うけどね。 仮にこの場で僕とシャドームーンを殺すことが出来たとして、その後が続くとも思えないけどな」 水銀燈にとっては最も痛い指摘である。 今の水銀燈はミーディアムによってエネルギーの供給が保たれているとは言え、 先刻までのシャドームーンとの死と隣り合わせの戦いで、精神的な消耗が大き過ぎた。 この上シャドームーンと月の二人と戦って、両方を始末するなど考えるだけで気が重くなる。 水銀燈も口を閉ざしたため、場を沈黙が支配する。 ややあってようやく口を開いたのは月だった。 「これは僕達全員の生存率を上げるための提案でもある。僕と水銀燈とシャドームーンで組めば、全員の生存率が大きく上がる計算になる」 「そいつが大人しく私たちと組むと思ってるの?」 「シャドームーンは大人しくしているしかない筈だ。大きなダメージを負っているからね。そしてそのダメージを負わせたのは僕たちだ。 一度勝利した相手である今の手負いのシャドームーンなら、僕たちで管理することが出来る」 「…………」 「水銀燈、必要以上に弱気になっても大局的な利益や合理性を見失うだけだ」 「私に下らない説教をしないで頂戴……」 それ以上何も言わなくなった様子を見て、月は水銀燈を思い留めることが出来たと確信する。 多少は強弁も含んだが、それでもシャドームーンを殺させる訳には行かなかった。 月の安全のためにも。 同盟を組んでミーディアムとなっているとは言え、月は水銀燈に生殺与奪の権を一方的に握られている関係であることは変わりない。 しかしここにシャドームーンが介入すれば、一挙に関係性が変わるのだ。 月と水銀燈とシャドームーンの三人で同盟を組んだ場合、 水銀燈が月を殺せば、当然同盟はご破算になる。 そうなればシャドームーンとの関係も悪化し、再び殺し合いになることも充分考えられる。 一度勝った相手とは言え水銀燈にとってシャドームーンは恐ろしい相手。 敵対することには、かなり精神的な抵抗がある筈だ。 そしてシャドームーンにとっても月と水銀燈は一度敗北した相手である。 再び敵対することの精神的抵抗は大きい筈。 同盟を組んでも水銀燈とシャドームーンは牽制し合う状況になる。 そしてどちらも容易に手が出せないその状況が月を安全にするのだ。 月ならば牽制し合う二人を煽ってコントロールすることも可能である。 「…………最終的な判断は君が下すんだシャドームーン。僕たちと組むか、組まないか」 月はシャドームーンへ向けて質問する。 勝利者から敗北者への最後通牒。 即ち生きるか、それとも死か。命の選択を突きつける。 その選択に対しシャドームーンは―――― 「……………………フフフ、フフフフフハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」 ――――嘲るような笑いで答えた。 地に伏した敗者がそこに僅かな気負いもなく、傲岸に。不遜に。 シャドームーンの反応が完全に予想外であったため、月も水銀燈も驚くと言うより呆気に取られていた。 「…………フフフ。茶番もここまで来ればな、中々愉快だったぞ」 「……状況は理解出来ているよね? 建物の倒壊に巻き込まれた君がどんな虚勢を張った所で無意味だ。 君の命は水銀燈の機嫌次第なんだ。無意味に挑発するような真似はしない方が良い」 「茶番のついでに質問してやろう。ブラックサン……南光太郎を知っているか?」 月はここに来てシャドームーンの心理が読めなくなって来た。 シャドームーンの様子に虚勢や挑発の色は一切無い。 突如として月に悪寒が走る。 それはルパンと別れたことを悔いた時と同じように、 自分の思考に何か根本的な欠落を見つけたような感覚があった。 「……答えないか。ならば茶番も、お終いだ」 シャドームーンの左腕に緑色の光が宿る。 と同時に、シャドームーンへの警戒を怠っていなかった水銀燈が黒羽を飛ばす。 瓦礫をその重量など無きも同然に吹き飛ばしながら、シャドームーン緑の電撃を纏った左腕を横に薙ぐ。 それだけで黒羽は全て焼き払われた。 そして緑の電撃は急激に膨張。 周囲の大気も焼かれて同じく急激に膨張。 膨張する大気を叩きつけられる感覚と同時に月の意識も激しく揺れる。 混濁する意識。 酩酊する視界。 月はそれでも必死に状況を把握するよう勤める。 微塵に粉砕されて舞い散る瓦礫と粉塵。 水銀燈はどうやら瓦礫に強く叩き付けられたようだ。 そして月もまた瓦礫に背を預けて座った状態で動けないでいる。 身体の至る所で、骨の折れた痛みがある。 シャドームーンに水銀燈ごと、周囲の瓦礫ごと、吹き飛ばされたのだと理解する。 まだそんな力が残っていたとは、驚愕に値する。 しかし真の驚きはその後に訪れた。 粉塵が晴れてシャドームーンの姿が見える。 白銀に輝く五体。 そこには傷一つ無い。 そして何よりシャドームーンは先ほどまでの有様など嘘のように、 既にその圧倒的な威圧感、威厳を取り戻していた。 シャドームーンの姿を見て月は直感的に思い知った。 しかし理性はその直感を否定する。 まさかそんな筈は無い。 そんなことは物理的にありえないだろう。 シャドームーンは展望台の倒壊の只中に居たのだ。 そのシャドームーンが無傷だなんてありえない。 月は“日本一優秀な”高校生であることは間違いない。 特にその知性。 知識も応用力も、日本や高校生に限定しなくとも比肩し得る人間など、 俄かに思い浮かぶのは“世界一の探偵”Lくらいの物だろう。 しかし、それでも月は殺し合いに参加するまで、 死神もデスノートも、超常的なことは何も知らない、平凡に生活していた高校生であることに違いない。 だからその判断は月の知る常識的な、あるいは科学的な知識を基準とした物となる。 他に判断基準を持ちようが無いのだから。 自分が知る世界を超える知性は持ちようも無い。どんな天才も超えられない限界がそこに有る。 それゆえ月は、シャドームーンに対し二つのある根本的な誤解を犯していた。 そしてその代償を、今払う時が来る。 カシャ シャドームーンが一歩、近付いて来る。 月の身体が突如震え出す。 絶望が、死が、近付いて来ていた。 カシャ 月の震えが止まらない。 身体が震える理由は自分で判っている。 絶対に逃れられない恐怖。 絶対の死が近付く恐怖だ。 カシャ それでも月は、必死に対策を考える。 その卓越した頭脳を駆使して。 この場を生存する方法を。 あらゆる可能性を考慮して。 カシャ そして考慮したあらゆる手段が自分の頭脳によって否定されていく。 月の卓越した知性は、この場を切り抜ける方法がないことを証明していく。 カシャ シャドームーンが立ち止まる。 月の名を関する絶望が見下ろし、 月の名を関する知者がそれを見上げた。 月は自らの能力に絶大な自信があった。 知性は勿論のこと、中学時代にテニスの全国大会で二度優勝するほどの体力と運動能力。 そして精神力。自分はいかなる事態にも冷静に、的確な判断を下すことが可能だ。 月は自分がそうであると認識していた。 しかしそれもまた月の誤解だったと言えよう。 月は未だかつて絶対の恐怖と対峙した経験が無かった。 自らがどれほど知と力を尽くしても、決して逃れられない死と言う絶対の恐怖と。 「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」 月はまるで堰を切ったように叫びを上げる。 体面も何も無く、耐え切れなくなった物を全て吐き出すがごとく。 そして座った体勢のまま、手に持った連刃刀でシャドームーンの脚を切り付ける。 一度だけではなく、二度も三度も。 いや、それは切り付けるなどと言えるような整然とした行為ではない。 叫びを上げながら、力任せに刀身を叩き付けているのだ。 何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。 刃が零れ、刀身に歪みが生じようとひたすら力任せに叩く。 シャドームーンの脚には擦れ一つ付かないがひたすら力任せに叩く。 そこに常の月らしい理性的な思考は存在しない。 恐怖からの逃避行動があるだけだった。 月は今や完全な恐慌状態にあった。 「…………愚かな。フッ、どうやら私は人間を少し過大に評価していたのかも知れん」 シャドームーンは邪魔臭そうに脚で連刃刀を払う。 連刃刀は刀身が折れながら月の手から吹き飛んで行った。 月にはもう抵抗の手段は残されていない。 声が枯れて、もう叫ぶことすら出来ない。 月の講じるあらゆる手段を、想像を絶する能力で叩き潰すシャドームーン。 月の根本的な誤解の一つが、このシャドームーンの能力である。 人類史より遥かに長い歴史を持つ暗黒結社・ゴルゴム。 シャドームーンはそのゴルゴムの最新技術の粋を尽くして改造された世紀王の一人である。 そして前述の通り、先にブラックサンと言う実戦投入されたモデルケースが存在し、 そのブラックサンより改造期間が長いシャドームーンには、細かい改良点が幾つも存在する。 パンチ力とキック力は基本的にブラックサンと変わらない。 しかしシャドームーンにはエルボートリガーとレッグトリガーを装備している。 超振動発生装置であるそれらは、自体を武器にすることも可能だが、 シャドームーンのパンチ力とキック力を強化する効果も兼ね備えている。 更にブラックサン以上の跳躍を可能にする瞬発力。 全身を覆う装甲はリプラスフォーム以上の硬度を誇る強化皮膚・シルバーガード。 そしてマイティアイ。 シャドームーンの基本的な性能は、ブラックサンをも上回っているのだ。 その無類の高性能を駆使すれば、展望台の倒壊の中でも無傷で居ることは可能だった。 しかしその高性能は月にとって完全に想像の埒外。 理解を超えた怪物が今、真紅の剣を振り上げた。 既に声を枯らした月は叫び声を上げることも出来なかった。 (馬鹿な!! 僕が……こんな何も出来ないまま…………死ぬなんて! 水銀燈とシャドームーンをコントロールして、殺し合いを脱出する筈が……一体どこで判断を間違えた!?) 月のシャドームーンに関するもう一つの誤解。 それはシャドームーンが説得可能だと考えたこと。 シャドームーンはブラックサンと違い、その頭脳まで改造された世紀王。 人間の精神は完全に破壊されて、そこにあるのはゴルゴムの王としての自我のみ。 その価値観もまた完璧にゴルゴムの物となっている。 そしてゴルゴムとは世界の全てを支配して、逆らう一切を蹂躙し尽くす存在。 人間もその種の全体が、ゴルゴムにとっては服従か滅亡かを突きつける存在。 シャドームーンはその内面までも、只の人間である月にとって完全に想像の埒外なのだ。 そもそも殺し合いの脱出のために協力するよう説得されるなど、絶対にありえない。 ゴルゴムは自らに歯向かう者や従う者は勿論、一片でも自らの支配を拒む余地の有る存在は絶対に許さない。 ゴルゴムの王は並ぶ者の存在を決して許さぬ絶対者なのだ。 月には二重の意味で理解を超えた怪物が今、真紅の一閃が奔らせた。 「無力だったな、世紀王の前では」 サタンサーベルが月の胸を、薄紙のごとく容易に貫いた。 傷口から大量に噴出する血液は、月の知識で無くともそれが致命傷であると理解させられるだろう。 薄れゆく意識が、逆に死を自覚させた。 (僕は…………どこで判断を間違えて……………………ルパンさん…………あなたならどうしてましたか?) 薄れゆく意識の中、月は何故かルパンのことを思い出していた。 幾らルパンと言えど、戦闘能力ではシャドームーンには敵わないだろう。 それでも、月には無い柔軟な発想と、危機にもその柔軟さを損なわないあの精神力なら、 あるいは月にも思いもよらなかったシャドームーンへの対処法を考え付いたのでは無いだろうか。 ルパンはそんな期待感さえ抱いてしまうほど、底知れない人物だった。 そして月はやっと気付いた。 ルパンと別れる判断が誤りだと感じた理由を。 それは『戦力が分断される』からだ。 気付いてしまえば子供でも判る単純極まりない理由。 しかし“キラ”などと言うどれほど実態があるか判らない観念に振り回され、 自分の内面の問題に拘泥して、ルパンと別れてしまう。 その結果、自分のリスクを増してしまった。 自分の中にキラの可能性が有るかどうかなど、この場を生き残ってからの話だった筈なのに。 殺し合いは、只生き残るだけでも容易なことではない。 しかし月は殺し合いそのものを甘く見てしまった。 殺し合いを生き残るための最善の方策を採れば、月にも違った可能性が有り得たであろうが。 自分の内面の問題に拘り、大局的な優先順位を見誤る。 聡明な月らしくない、あるいは月らしい失敗ゆえか、 “新世界の神”となる筈だった男は無念の最期を遂げた。 【夜神月@DEATH NOTE 死亡】 真紅の刃に貫かれた月が、力無く伏せていく。 それを見ていた水銀燈は、同時に自分の身から力が失せていくのを感じる。 ミーディアムを失う。即ち、月が死んだ。 力の供給源と参謀役を同時に失った水銀燈は、シャドームーンに対する勝算も失ったのだ。 先刻までの月と同じく決して逃れられない死を間近にして、水銀燈も恐怖に震える。 長くアリスゲームを戦い抜いてきた水銀燈も、これほど絶対的な恐怖は初めて体験する。 「フッ。どうやらこの人間が死ぬことで、貴様も力を落としたようだな」 恐怖の源泉、シャドームーンが水銀燈を見る。 次の瞬間、水銀燈は弾けるようにその場から飛び出した。 精神の許容量を超える恐怖に直面すれば、人は直視することもかなわず逃避する。 それは人間も人形も変わらない。 最早、今の水銀燈にローゼンメイデンとしての自負は無かった。 捕まったら確実な死が待っている。 だから後先も考えずに、力の限り逃げる。 今の水銀燈には只それだけしか無かった。 無我夢中で逃げる水銀燈は、いつの間にか森の深くまで入っていた。 どの方向へどのくらいの距離を飛んだのかすら判らないから、現在位置すら判別出来ない。 シャドームーンを完全に振り切ったと思える距離までいかなければ、今の水銀燈は振り向く余裕すらないのだ。 脇目も振らずに飛び続ける水銀燈。 その視界が突如として激しく揺れる。 どうやら頭上からの衝撃が原因のようだが、水銀燈も上手く事態を把握出来ない。 そして今度は視界全体が――――赤く染まった。 濁った、何か不吉な予感を孕んだ赤に視界が塗り潰されて行く。 続いて鼻を衝いたのは強烈な異臭。 得体の知れない、生臭さで満たされる。 水銀燈を囲む世界が突然、異常な物に変貌した。 動転した水銀燈は目前を手当たり次第に弄る。 何か軟らかい物が顔を覆っていたので、水銀燈はそれを手繰った。 視界の端でようやく確認出来たそれは、細長く伸びた動物の内臓。 そしてようやく視界を塗りつぶす赤が血の色。異臭が血と臓物の臭いだと判った。 なぜそんな物が? 疑問に駆られ、水銀燈は内臓を更に手繰る。 内臓は水銀燈を覆うほど、巨大な肉塊から伸びていた。 今度は肉塊を手繰る。 血に塗れて全容が明らかにならない肉塊の先についていた物は、人間の頭だった。 しかもその頭を水銀燈は見覚えが有る。 端正な顔は苦痛と恐怖で歪み、光を宿さぬ眼も空ろだが、 それは間違いなく夜神月の頭部だった。 流石の水銀燈も恐怖のあまり、ヒッと短い悲鳴を漏らす。 なぜ月の身体が自分に乗り掛かっているのか、全く理解出来ない。 自分は“これ”の存在する場所から逃げていた筈だ。 自分は既に死んで地獄に来ており、そこで月と再開したのではないか? そんな突拍子も無い思考をするほど、水銀燈は混乱していた。 カシャ カシャ カシャ カシャ 混乱する水銀燈の耳に、更に恐怖を煽る足音が聞こえて来る。 振り向くのにすら恐怖を伴う。 水銀燈に絶対の死を与える存在がそこに居るのだから。 「一時でも逃れられると思ったか?」 血に塗れたサタンサーベルをこちらに向けるシャドームーンを見て、水銀燈はようやく状況が理解出来た。 自分を追いかけて来たシャドームーンが、サタンサーベルに刺さったままだった月の死体を投げ付けて来たのだ。 水銀燈とシャドームーンでは余力がまるで違う。逃げ切れる筈が無い。 本当は最初から判っていたことだ。 それでも異常な恐怖に駆られた水銀燈は逃げずには居られなかった。 「一抹でも交渉の余地が有ると思ったか?」 「イヤ!! イヤッ!! イヤよおおおおおおおっ!!!!」 先ほどの月と同じく恐慌状態になった水銀燈は、黒羽を闇雲に飛ばしてシャドームーンを攻撃する。 そこに戦術的な判断は無い。それどころか戦う意思すらないと言えよう。 只の現実からの逃避を動機とした行動なのだから。 そして水銀燈はその間もひたすらに叫び続けていた。 既に薔薇乙女の体面も失くしていたのだ。 「一片でも勝算が有ると思ったか? この次期創世王を相手にして」 シャドービームが放たれる。 ビームは月の死体に直撃。月の死体も背負っていたデイパックも、爆発四散させた。 その余波で水銀燈も身体毎吹き飛ばされて、地面を転がっていく。 全身の痛みがいつまでも残る。 水銀燈は仰向けに倒れたまま動くことも出来ない。 自分の身体の、精神の、全ての力を使い果たしてしまったように思えた。 カシャ カシャ カシャ カシャ 歩み寄るシャドームーンから、水銀燈は這うようにして逃げる。 その左脚の上に何か重い物が圧し掛かった。 見てみるとシャドームーンの足が踏みつけている。 水銀燈がどう外そうとしても、万力のごときシャドームーンの足の力から逃れることは出来ない。 しかも踏みつける力が更に強くなっていく。 水銀燈が苦悶に喘ぐが、シャドームーンはお構いなしに力を込め続ける。 水銀燈の左脚が加重に耐え切れなくなり軋みを上げ、やがて粉々に吹き飛んだ。 「脚が!! 私の脚がっ!!!」 「フッ、少し本気を出せば脆い物だ。この分では全身をバラバラにするのも容易いな」 自分の身体の一部を破壊されて、更に侮辱される。 常の水銀燈ならばどれほど怒り狂っただろう。 しかし今や水銀燈はもうシャドームーンへの怒りを表すことも出来ない。 只、シャドームーンが純粋に恐ろしかっただけだ。 人間に手向かいも出来ず殺される虫になった気分だった。 「……イヤ…………助けて」 恥も外聞も無い、命乞いの言葉が水銀燈の口をつく。 そんな物をシャドームーンが聞くなどと考えた訳ではない。 誰に対して言ったのかも定かでは無い呻き声。 「助けて欲しいか?」 だからシャドームーンが返答したのは水銀燈にとって、全く予想外のこと。 まるで信じられないと言った表情で、水銀燈は呆然と見上げる。 次の言葉が浮かばない水銀燈に、シャドームーンが話を続けた。 「見逃してやっても良いぞ。……但し、私に従うと誓えばな」 屈従か死か、今度は水銀燈が選択を迫られる。 無論、水銀燈ならば屈従を選ぶ筈が無い。 ローゼンメイデンの矜持は命よりも重いのだ。 水銀燈は自らの想いのまま、シャドームーンの選択に答える。 ◇ 森の中を暗い影が進む。 闇のごとく黒い羽がはためく。 暗黒の人形、水銀燈は森の中を低く飛んでいた。 まるで幽鬼のごとく、生気の無い表情でふらふらと浮遊するように飛ぶ水銀燈。 その異様な状態は、エネルギーの消耗が激しいと言うのも理由の一つだが、 それ以上に精神的な要因が大きかった。 結局は屈従してしまったのだ。シャドームーンに。 本来の水銀燈なら選ぶ筈の無い選択。 しかし今の水銀燈に、シャドームーンに逆らうほどの気概は残されていなかった。 そのお陰で水銀燈は今生きてはいる。 恐らく、従わなければシャドームーンは躊躇無く水銀燈を殺していただろう。 月の時と同じように、虫を踏み潰すような気安さで。 水銀燈は自らの選択で、その命を守ることが出来たと言える。 しかし、そんな理屈で自分を納得させられる筈も無い。 屈伏したのだ。自分を追い詰め、傷つけて敗北させた者に。 シャドームーンを許すことは出来ない。 しかしそれ以上に、水銀燈は自分が許せなかった。 アリスとなる筈である大事な自分の身体を、致命的に傷付けられて、 そのシャドームーンに怒りをぶつけるどころか、恐怖に屈して命乞いをした自分に。 闇人形はより深い闇を心に抱えながら、森の中を進んで行く。 どこへ進もうとしているのか、それは自分でも判らなかった。 【一日目夕方/E-5 山中】 【水銀燈@ローゼンメイデン(アニメ)】 [装備]無し [所持品]支給品一式×3(食料を一つ譲渡)、メロンパン×4@灼眼のシャナ、板チョコレート×11@DEATH NOTE 農作業用の鎌@バトルロワイアル、不明支給品0~2(橘のもの、確認済) [状態]疲労極大、右目にヒビ割れ、右眼周辺に傷、、左脚欠損、強い恐怖 [思考・行動] 1:??????? [備考] ※ゾルダの正体を北岡という人物だと思っています。 ※nのフィールドに入ろうとすると「入ろうとする意思そのものが消されてしまう」ようです。 森の中へ飛んでいく水銀燈をシャドームーンは只黙って見送る。 シャドームーンが水銀燈に生き残るチャンスを与えたのは、 ゴルゴムの王だから、とも言えよう。 世界の支配を目的とするゴルゴムは、従わぬ者の存在を決して許さない。 シャドームーンがヴァンやC.C.を見逃したのは、あくまで一時的な措置。 歯向かう者には絶対の死を与えるのがゴルゴムであり、シャドームーンなのだ。 しかし恐怖で屈伏する者は違う。 実際にゴルゴムは黒岩博士などの人間も自分達の傘下として利用している。 その偉大さに畏れ、心服する。それこそがゴルゴムを相手にして生き残る唯一の道。 水銀燈を生かしておいたのも、彼女が心からシャドームーンを恐れ従ったからだ。 だからこそシャドームーンは水銀燈に命令を与えて解き放った。 命令は『他の参加者を見付け出して、シャドームーンの危険性を喧伝すること』。 そうすれば殺し合いの参加者たちは、結託してシャドームーンへの対策に乗り出すだろう。 それを一網打尽にすれば、一々各個撃破して行くより手間が省ける。 しかもこの命令ならば、水銀燈も大人しく従う公算が大きい。 何しろ他の参加者結託することは、水銀燈にとってもシャドームーンに打ち勝ち生き残るための唯一と言って良い方策だからだ。 例えそれが万に一つの可能性であっても。 仮に水銀燈が従わなくとも、それはそれで構わない。 従おうが従うまいが、何れにしろ次に会った時は殺すつもりだからだ。 水銀燈を生かしておいたのも、また一時的な措置に過ぎない。 恐怖に駆られた者を走狗として利用する。それもまたゴルゴムの在り方と言えよう。 シャドームーン自身も、やがて徐に出発する。 シャドームーンは王者では有るが、座して走狗の成果を待つ為政者ではない。 自らの力でゴルゴムの世界を築く戦士でも在るのだ。 絶対の王者は、再び孤独な戦場に身を投じる。 しかし彼はまだ知らない。 自らの運命の片割れ、ブラックサンが既にこの世に居ないことを。 【一日目夕方/D-5 山中】 【シャドームーン@仮面ライダーBLACK(実写)】 [装備] サタンサーベル@仮面ライダーBLACK [支給品] 支給品一式、不明支給品0~2(確認済み) [状態] 疲労(小) [思考・行動] 0:東の市街地へ向かう。 1:殺し合いに優勝する。 2:元の世界に帰り、創世王を殺す。 3:かなみは絶望させてから殺す。 4:殺し損ねた連中は次に会ったら殺す。 【備考】 ※本編50話途中からの参戦です。 ※殺し合いの主催者の裏に、創世王が居ると考えています。 ※シャドービームの威力が落ちています。 ※会場の端には空間の歪みがあると考えています。 時系列順で読む Back 銀の邂逅 月の相克(中編) Next 第三回放送 投下順で読む Back 銀の邂逅 月の相克(中編) Next 第三回放送 144 銀の邂逅 月の相克(中編) 夜神月 GAME OVER 水銀燈 151 doll dependence syndrome シャドームーン 154 世界を支配する者
https://w.atwiki.jp/mbmr/pages/127.html
邂逅、そして分たれる道 ◆n7eWlyBA4w <北条加蓮> 深夜の住宅地は光を掻き消しそうなくらい暗く、底冷えのする空気を湛えている。 間隔の広い街灯から投げられる無機質な光は、闇を照らすどころか引き立て役に甘んじている。 普段なら決して近付かないような場所、出歩かないような時間帯。 それを恐ろしいと思えないのは、それ以上の異常さに私の心が麻痺してしまったからだろう。 私は今まさに自分が握り締めている、見慣れないものに改めて目を遣った。 残念ながら、マイクみたいなアイドルらしいものじゃない。 それは人を殺す道具。こんなものを手にする日が来るなんて思いもしなかった。 グリップはいわゆるピストルに似ていて、引鉄もちゃんと付いている。 銃と違うのは、銃身の前の方のところに弓が水平に付いているのと、 撃鉄(だったっけ?)の代わりに変な形のレバーみたいなものがあるところ。 実際に見るのは初めてだけど、ボウガンの一種みたい。 ボウガンと言ってもロビン・フッドとかウィリアム・テルが持っていそうな 仰々しくて重そうなのじゃなくて、片手でも持てるような小ぶりのものだ。 ピストルクロスボウという種類らしい。説明書の受け売りだけど。 後ろに生えてる変なレバーは弦を小さい力で引っ張るためのテコらしく、 実際に押し下げてみたら、少し力は要ったけど問題なく矢を番えることはできた。 でも、アイドルになろうとする前の私なら、たぶんこの程度の力もなかっただろう。 ということは、こうやって人殺しの準備が出来るのも日々のレッスンのおかげなのかな? なんだか複雑。ううん、冗談にしたって笑えない。 ほんと、これがいつものマイクならどんなに良かったか。 ディパックを背負ったまま、クロスボウを構えてみる。 なかなか様になってるんじゃないかな? 自分じゃよく分かんないけど。 これで迫り来る敵をバッタバッタとやっつけて、最後まで生き残る私。 そして悪の黒幕も打ち倒し、プロデューサーを救い出すんだ。 きっと感動の再会なんだろうな。二人共わんわん泣いちゃったりしてね。 でもそうすれば元通り、あの輝くステージを目指して頑張る日々が戻って……。 …………。 バカみたい。 現実逃避めいたその想像は、実際なんの現実味もなくて。 本当の私の心は、その下らない妄想に目もくれずに膝を抱えて震えている。 本当は、もう分かってる。頭の片隅では理解してる。 こうやって戦う準備をしても、私は、きっと―― 「――きっと、生き残れないな、私」 その呟きは諦めの言葉というよりも、ただの現状認識。 自分の置かれている状況にもうひとりの自分が客観的な評価を下しただけ。 私はどこか他人事めいて、いずれ来る自分の死を認識してしまっていた。 まるで何もかもを諦めていた昔の自分に戻ってしまったように。 昔の私は、自分の力じゃ何もできないと思ってた。 病室のベッドに横たわったまま、テレビの歌番組で輝きを振りまくアイドル達を、 憧れと羨望と諦めと無力感が綯い交ぜになった目で眺めるだけだったあの頃。 このベッドの周りをぐるりと囲んでいる真っ白いカーテンみたいに、 私とあの人達の間は見えないカーテンで区切られているんだ、そう信じてた。 なんてつまらない人生。なんてつまらない世界。 頑張ったって仕方ない。夢を持つなんて下らない。 カーテンの向こう側なんて無いのと同じなんだから。 そう思おうとしていた私を、目をつむったままうずくまっていた私を、 凛が、奈緒が、そしてプロデューサーが、向こう側に連れていってくれた。 そして知ったんだ。信じればきっと、夢は叶うんだって―― 「……その先に待っていたのが、これ? いくらなんでもあんまりじゃない」 乾いた笑いすら出てこなかった。 この殺人ゲームの企画者はあまりにも悪趣味だ。 私たちが必死で勝ち取ろうとした夢を、抱き続けてきた想いを、嘲笑っているの? お前らの世界なんてこんなに簡単に潰されてしまうほどちっぽけだって、そう言いたいの? 悔しい。私たちの全てをドブに蹴落とすようなやり方が、たまらなく悔しい。 それでも今の自分はあまりにも無力で、ただ言いなりになることしか出来はしない。 プロデューサーが人質に取られている以上、何もかも投げ出すわけにもいかない。 そうなれば嫌でも殺し合うしかなくて――きっと、私は生き残れない。 ずっと入院してたんだから言うまでもないけど、私は元々体が弱い。 最近は欠かさずにレッスンしてるからそれなりに体力は付いてきているはずだけど、 あいにくこの場にいるのは全員アイドル。それくらいは基礎の基礎だろう。 運動能力で他の人に勝てるなんて到底思えない。 それに、どのみち、私に「彼女たち」が殺せるわけがない。 渋谷凛と、神谷奈緒。 デビュー前のほんの駆け出しの時から、一緒に夢を追い続けてきた私の親友たち。 凛は一見ぶっきらぼうで取っ付きにくい雰囲気だけど、本当はひたむきで真っ直ぐで、 アイドルって仕事に本当に誇りを持ってるんだってことを私は知ってる。 私や奈緒よりも一歩早くユニットとしてデビューした彼女の姿を街で見かけるたびに、 いつか必ず同じ舞台に立ってやるんだって思ってたっけ。 アイドル界のニュージェネレーション。その称号は、凛にこそふさわしいと心底思う。 そんな凛の存在は、私たちの目標であり誇りだった。 奈緒はそんな凛とは正反対に、感情豊かで親しみやすい性格の持ち主だ。 気持ちに合わせてコロコロ変わる表情は見ていて飽きない。じっと見てると怒るけど。 そんな彼女のカメラやファンを前にしても物怖じしない舞台度胸は、私も見習いたいと思う。 舞台の上ではあんなに堂々としてるのに、普段はすぐ動揺が顔に出るのが奈緒だけど。 プロデューサーのこと気にしてるの、バレバレなのに必死で隠そうとしたりね。 全然素直になろうとしないから、ついつい後押ししちゃったりもしたなぁ。 ……本当は私もプロデューサーのこと、ちょっと気になってるんだけどね。 奈緒があんまりいじらしいから、ずっとこの気持ちは仕舞っておくつもりだけど。 ……プロデューサー、か。 「こんなことならお見舞いに来てくれた時、もっと甘えとけばよかったかな……」 私が無意識にそう呟いたのと、私の耳が背後からの物音を聞き付けたのは殆ど同時だった。 無意識にクロスボウの銃把を強く握り込む。 心臓を絞り上げられて血が逆流しているような戦慄が、私の皮膚を内側からささくれ立たせる。 こんな時に、私は何を呑気なことを考えていたのだろう。 いつどこから襲われるかも分からない、そんな単純なことを忘れていたなんて。 自分は生き残れないだろうというぼんやりとした実感。 自分の周りに再び見えないカーテンが引かれているような隔絶感。 それでもそれは、自分がいつ死んでも構わないと自棄になれるほど確かなものではなくて。 生きられるものなら生きていたい。死にたいなんて思うわけがない。 背後の気配に全神経を集中させる。 幸い向こうも余裕がないのか、微かな物音や息遣いまで伝わってきそうなぐらいだ。 振り返りたい衝動を堪えて、気取られないように振舞う。 相手が襲いかかってくるのなら、その瞬間に合わせて先にこの矢を撃ち込むしかない。 人を射ることへの抵抗はある。殺してしまうかもしれない、そのことへの怖さもある。 それでもこんなところで、何もできずに死んでしまうのは、そんなのは嫌だ。 せめて、せめて二人ともう一度会いたい。会って話がしたい。 それが今の私のささやかな願い。それを果たすまでは、死ぬものか。 大丈夫、やれる。銃身をまっすぐ向けて引鉄を引くだけ。難しいことは何もない。 襲撃者に気付かれないよう、私は大きく深呼吸した。 そして、何分、いや何秒だろうか。 感覚も曖昧になるような粘つく時間が過ぎていった。 不意に背後の気配が大きく動いた。 自分の斜め後ろから、殺意が足音と共に一気に近づいてくる。 間に合うだろうか? ううん、間に合わなかったら終わりだ。 私は意を決して振り返り、ピストルクロスボウの先端を相手に向けて突き出した。 相手が一瞬怯むのが分かった。それでも止まる気配はない。もうこちらも躊躇えない。 私はただ無心に引鉄を引き絞ろうとして―― そこで初めて、相手の顔を視界に収めた。 「…………奈緒?」 「加蓮…………?」 それは会いたくて仕方なかった、だけどこの状況では一番見たくなかった顔。 私の視線、そしてクロスボウの射線の先には凶器を振り上げたまま硬直する私の親友。 神谷奈緒が、そこにいた。 ▼ ▼ ▼ <神谷奈緒> どうして、こんなことになってしまったんだろ。 何度この問いを繰り返したか分からない。 いくら考えたって絶対に答えが出るわけがないんだってことは、あたしにも分かってる。 それでも問い続けざるを得ないくらいに、この現実は狂い切っていた。 あたしが誰かを殺さなきゃ、プロデューサーは死ぬ。 プロデューサーを助けようと思えば、凛や加蓮はあたしの手によって死ぬ。 凛や加蓮を救おうとすれば、少なくともあたしは死ぬ。そして親友のどちらかも死ぬ。 何もしなければプロデューサーは死ぬ。ただしそれであたし達が助かるわけでもない。 あたし達が、今まで通りの幸せな世界に戻れる見込みは、ない。 なんだよこれは。 なんなんだよこれは。 これがアニメなら大荒れ必至のシナリオだ。ただひたすらに絶望的なだけ。 バッドエンドを回避する手立てが、初めから何一つ用意されていない。 視聴者からは「製作者の醜悪な人間性が透けて見えるようだ」とか言われたりしてな。 全くもってその通りだ。こんなことを考えるヤツが、まともな人間な訳はない。 それでも、あたしは僅かな希望に縋っていたかった。 あたし達がみんなで笑って迎えられる、そんなグッドエンドがあると信じたかった。 そのためには、覚悟が必要だった。 単に、決着を先延ばしにするだけかもしれない。 その結果、もっと残酷な結末になるかもしれない。 それでも、凛も加蓮もプロデューサーも、みんなを少しでも生き永らえさせるためには、 『あたし自身がそれ以外を殺す』という選択以外思いつかなかったのだ。 先にデビューした凛は別だが、あたしと加蓮は同じプロデューサーに担当されている。 つまり今この状況では、プロデューサーはあたし達二人にとっての人質ということだ。 これだと、あたしがいくら殺し合いに協力しようが、加蓮が仮に反抗的だったとしたら、 結局プロデューサーは見せしめとして殺されてしまうことになってしまう。 でも、それはたぶん逆だ。あたし達両方を上手く殺し合いに乗せたいのなら、 片方だけのために一枚しかない切り札はそう簡単に切れはしないはずだ。 つまり、あたしが殺し合いに乗りさえすれば、プロデューサーは少なくともすぐには死なない。 そして、加蓮が無意味に手を汚す必要もなくなる。 返り血を浴びるのはあたし一人でいい。加蓮にはそんな役は似合わない。 (プロデューサー……素直でなくてごめんな。かわいくないアイドルで、ごめんな。 それでも、あんたはあたしが守るから。あんたも、加蓮も、殺させてたまるもんか) 今までのプロデューサーとの関係を思い出して、後悔が洪水となって押し寄せそうになったので、 あたしは頭を振って無理やりにそのことについて考えるのをやめた。 今あたしに出来ることをしなかったら、きっともっと後悔するだろうから。 ディパックから引っ張り出した支給品を強く強く握り締める。 あたしの武器は、アメリカ軍が使ってるとかいう片手サイズの斧だった。 兵隊さん方がこんなちっぽけな武器で戦ってるっていうのなら頭が下がる限りだ。 せめてナイフなら、もうちょっと気休めにもなったかもしれないのに。 それでも、あたしには余裕がなかった。更に言うなら選択肢もなかった。 得物がどんなに不利で頼りなくても、やるしかなかったのだ。 あたしの大事な人たちのために。 ▽ ▽ ▽ 最初の相手は、あたしが決意してからほどなくして現れた。 しかし暗くて様子は見えなかったけど、あまり周囲を警戒してるみたいには見えない。 しばらく住宅の隙間を縫って後をつけたが、少なくとも気づかれてはいないような気がした。 少しずつ相手との距離を詰めるたび、比例するように心臓の音が自分で聞こえるほど大きくなる。 トマホークを握る手が汗ばんでグリップが滑りそうになり、慌てて服で拭った。 自分がどれだけ動揺しているか、嫌でも実感してしまう。 初めて殺人を犯そうとするのに、動揺しない方がどうかしてるんだろうけど。 改めてこれからやろうとしてることを考えると、全身に鳥肌が立つ思いだった。 それでも、やると決めたんだ。もう、躊躇うわけには行かないんだ。 (プロデューサー、凛、加蓮……軽蔑してくれていい、今だけはあたしに勇気をくれ!) 意を決して、あたしはトマホークを振りかぶり一気に物陰から飛び出した。 こんな小さい刃でも、背後から全力で殴りつければ十分。そのはずだった。 誤算は二つ。相手の反応が予想よりだいぶ早かったこと、相手の武器が銃のようなものだったこと。 一瞬無意識に怯んでしまったが、今更止まれない。もうここまで来たら躊躇えない。 私は全力で凶器を振り抜こうとして…… 本当に、どうして、こんなことになってしまったんだろ。 気がついた時には、あたしは転がるように走り出していた。 もつれそうになる両足で強引に大地を押さえつけて、ただ不乱に走っていた。 (殺しかけた……殺しかけた、殺しかけた、殺しかけた、殺しかけた……ッ!) 北条加蓮。あたしの、大事な、大事な親友を。よりにもよって、このあたしが。 少しでも死から遠ざけようとして、死なせまいとして、その結果がこれか。 絶対に死んで欲しくない相手を自分の手で。バカじゃないのか、あたしは。 自分の愚かしさを、間の悪さを、事前に気付けなかった迂闊さを呪った。 背後で加蓮が何か叫んでいる。聞こえない。聞こえちゃいけない。 親友を殴り殺そうとしたあたしに、応える資格なんてもうないんだ。 加蓮はきっと、私を許そうとするだろう。一緒に生き抜こうと願うだろう。 でも、それに甘んじてしまったら、あたしは自分自身を許せなくなりそうだった。 何時の間にか、自分が泣いているのに気付いた。 今のあたしの顔は、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになってるんだろう。 とてもファンには見せられない。もちろんあたしの、大事な人たちにも。 いや、今のあたしそのものを、誰にも見られたくなかった。 こうなった以上、加蓮のもとには戻れない。 もちろん素知らぬ顔で凛に会うなんてことも出来ない。 そして、ここで挫けたら、自分の決意の何もかもが無駄になってしまう。 僅かに残っていた退路は完全に断たれてしまった。 もう、進み続けるしかない。 加蓮の死のイメージが脳裏に焼き付く。もしあたしでなく、他の人間が同じことをしたら。 その想像はさっきまでと比べ物にならないほど鮮烈にあたしの脳を支配している。 皮肉にも、自分の手で殺しかけた経験が、彼女を死なせたくないという想いを強めていた。 絶対に死なせない。もちろん凛もだ。 そして、プロデューサー。あたしが乗れば、死なずに済むんだよな? もう同じ間違いはしないから。絶対にうまくやってみせるから。 だからさ……絶対に、あたしの前で死んだりしないでくれよ……。 次第に加蓮の声が背後に置き去りにされていく。 気付かないふりをして走った。必死で走った。 その先に辿り着くだろう場所にも幸せなんてないと知りながら、ただひたすらに。 (死ぬなよ、加蓮……死ぬなよ、生きろ、絶対に死ぬな……!) せめて、ささやかで自分勝手な願いだけは彼女に届いてくれることを祈りながら。 【G-4/一日目 深夜】 【神谷奈緒】 【装備:軍用トマホーク】 【所持品:基本支給品一式×1、不明支給品0~1(武器ではない)】 【状態:健康、混乱】 【思考・行動】 基本方針:もう後には引けない。プロデューサーと親友を死なせないため戦う。 1:凛と加蓮以外の参加者の数を減らしていく 2:もっと強い武器が欲しい 3:凛や加蓮とは出来ることならもう会いたくない、巻き込みたくない ※明確な目的地を持たずに移動している状態です。 ▼ ▼ ▼ 「奈緒! 待って、待ってよ奈緒!」 逃げるように走り去る奈緒の背中に少しでも近付こうと、私は必死で追いながら彼女の名を呼んだ。 それでも一歩を踏み出すたびに二人の距離は確実に遠ざかっていく。 自分の体力のなさを今ほど呪ったことはなかった。 奈緒に殺されかかったという事実は、実のところ私にとって重要ではなかった。 信じている親友の手に掛かって死ぬところだったのに、その衝撃は頭の隅に追いやられていた。 だって、それよりもずっと辛いことに私は気付いてしまったから。 目と目が合った時の、奈緒の表情――くしゃくしゃになった泣き顔を見た瞬間、分かってしまったから。 奈緒は、私を殺すつもりなんてなかったし、これからもそうしたくないんだって。 プロデューサーと、それから私達のために、殺し合いに身を投じようとしてるんだって。 きっと私たちの誰にも知られたくなかったんだろう。だから振り向いてもくれないんだ。 奈緒は優しいから。いつもの態度も、本当の気持ちを表に出せない裏返しだって分かってるから。 だから今も本当の気持ちを隠して、強がっているんだろう。 こうするしかないんだって歯を食いしばって、戦おうとしてるんだろう。 でも……私は、奈緒にそんなこと望んでいない。 「奈緒ーーーーーっ!」 きっと奈緒の耳には届かないだろうと心の何処かで理解しながら、私は叫ばずにいられなかった。 奈緒に、私の大切な親友に、人殺しなんてして欲しくない。 それに殺し合いに加わったら、きっと奈緒自身も危ない目に遭うに違いない。 死んでしまう。殺されてしまう。それが怖くて、私は声を振り絞った。 それでも、奈緒の背中はどんどん小さくなっていく。私の存在を振り切ろうとするように。 あんなにずっと一緒にいたのに、今はただの言葉一つも届かない。 私の心を覆っていた見えないカーテンは、今や皮肉にも引き裂かれていた。 今の自分は、このどうしようもなく残酷な現実に素肌を晒していた。 奈緒の、ここにいない凛の、そしてプロデューサーの、掛け替えのない未来が切り刻まれていく、 その事実が確かな実感として私を押し潰そうとしていた。 それは自分自身の死よりも確かで、どうしたって堪えようのない恐怖。 「うっ……うう、ううっ……奈緒っ……」 それでも私は、自分ひとりではどうしようもなく無力で。 「凛……どこにいるの凛? 奈緒が、奈緒が死んじゃうよぉ……」 ただ子供のように泣きじゃくることしか出来ないのが、私にはたまらなく悔しかった。 【G-4/一日目 深夜】 【北条加蓮】 【装備:ピストルクロスボウ】 【所持品:基本支給品一式×1、専用矢(残り24本)、不明支給品0~1】 【状態:健康、精神的ショック】 【思考・行動】 基本方針:自分の身よりもまず、親友を危険に晒したくない。 1:奈緒を探して、無茶を止めさせたい 2:凛に会いたい 前:悪者とプリンセスのお友達なカンケイ 投下順に読む 次:太陽のナターリア 前:悪者とプリンセスのお友達なカンケイ 時系列順に読む 次:太陽のナターリア 神谷奈緒 次:My Best Friend 北条加蓮 ▲上へ戻る
https://w.atwiki.jp/hengokurowa/pages/481.html
件の場所と思しき河へと到着すれば、 河に流れる血を見て、目的の人物が其処にいた。 オフィエルが向かった先にあったのは、全てが終わった後だ。 容態を見るまでもない。頭を撃ち抜かれて死んでいるのは彼でなくともわかる。 道着姿の男は、彰が伝えていた助けてもらった人物の情報と一致する。 「人を救う間に人は死ぬ。」 自分達が彰から話を聞いてる間に彼は命を落とした。 彼が憂いだように、人を救えばその間に人は死んでいく。 この殺し合いはまさに世界の縮図だ。権力争いが物理になっただけ。 今もこうしている間により多くの命が、争いによって消えていく。 何も変わらない。こういう犠牲を出さないために彼は人類再編(パラダイムシフト)を望んだ。 人は人である以上争いを繰り返す。人間はさらにその先へ行かなければならない。 (首輪だけでも回収しておこうか。) 彰の性格を考えるに首輪の為と言えども、 切断などと言う死者の尊厳がない行為を忌避するはず。 なので今の内に斬撃を飛ばし、カンフーマンの首を刎ねる。 何かあってもヘルメットの男がやったと主張すれば何も問題はない。 鮮血をまき散らしながら首は河へと転がっていき、首輪を取り外す。 機械に関しては特別明るくはないが、解除には何かと必要になるだろう。 必要なものを回収し終えたので後は彰たちを迎えに来るだけ───とは思わなかった。 背後へと振り向いたのと同時に銃声が放たれる。 迫りくる弾丸。当たれば肉体を抉るのは容易な一撃だが、 同時に青い箱状のものに覆われたオフィエルは数メートル横へと移動する。 彼が使う具現武装『隔離術式』による空間転移の類であり、故に無傷だ。 弾丸は地面と死体を撃つだけでダメージには至らない。 「チッ、気付いていやがったか。」 近くの茂みから出てくるヘルメットの男───ジャギ。 カンフーマンとの激闘を繰り広げたが、彼はダメージが大きかった。 故に彼は隠れながら休息を図っていたら、続けてオフィエルの登場。 短い休息で確認唯一確認したカンフーマンの支給品である、 黒を基調とした篭手を装備したうえで構えていた。 指の先端が怪物の如き紅い爪により、外見の凶暴さを増していく。 「人間は時に、本人とはあり得ない反応をすることも多い。 医者は想定外の出来事にも対応する……反省と言う面もあるがな。」 再度振り返りながら、オフィエルは冷静に語る。 心臓は止まってから十分を過ぎれば確実に死に至るのが常識。 一分につき10%死亡率が上がる。故に事実上十分がリミットとなる。 だが。世の中には十五分以上の心臓マッサージで息を吹き返した例も存在していた。 想定外のことに対応するのは茶飯事であり、隔離術式もあって不意打ちには相応に強い。 もっとも、これは僅かながら以前マザー・クラスタに属してい時期に、 同じくマザー・クラスタの火の使徒ファレグに襲われたと言う過去の経験もあるのだが。 あの不意打ちは隔離術式もできず、冗談抜きで殺されていたかもしれない一撃。回避できたのは奇跡に近い。 来ると分かっている身構えた攻撃であれば、冷静に行動がある程度できるようにはなっている。 再教育される未来に至ってない彼が魔人から受けた、数少ない教訓だ。 「彼を殺したのは君か。」 「あ? ってことはてめぇ、あの長髪のガキの仲間か?」 なるほど、疑ったつもりはないが情報通りの存在だ。 この世界における奪う側の人物。世界を腐らせる病巣の一部。 どれだけ救おうともこんな輩がいるから争いは未だ続いている。 「質問を質問で返すものではないな。言葉を返すと、 彼はまだ仲間とは限らないが……此処では都合が悪い。 三対一をされるのは君にとっても望ましくないことだろう。 私にも個人の事情がある。特別に一対一で話させてもらおうか。」 ここで三人で相手すれば余裕で蹂躙できるのは間違いない。 オフィエルは医療器具がなくとも相手の脈拍や心拍を把握できる。 見た目の古傷以上に疲弊してる姿がよくわかり、それならなおさら蹂躙が可能だろう。 だがそれだけでは意味がない。ある程度自分にとっての有利な状況へと持ち込む必要がある。 故に彼はジャギと自身を隔離術式で、数メートルその場から離れた。 さらに数メートル、少ししたらもう一度数メートル。隔離術式では首輪による制限で、 超長距離移動も短時間の連発も不可能になってるが回数が制限されてるわけではない。 どんどん離れていき、二人はその場から姿を消した。 「そんな……」 戻ってみればこの有様に、彰は膝をつく。 首のないカンフーマンの死体を前に、妖刀村正を握る手を強める。 あの時感じた予感が的中してしまった。あの時無理にでも加勢すれば、 彼は無事だったかもしれない可能性はあったのだから。 「……オフィエルは何処へ行ったのか。先程聞こえた銃声から、 交戦か追走して何処かへ行ってしまったとみるべきだろうか。」 彼を余所に、日ノ元は近くに転がる首を拾う。 話によればバトルジャンキーで狂人な面は伺えるものの、 野心に満ちた北ノ城や下衆な風見のような男でもなさそうだ。 少し惜しくもあるが、死んでしまったのでは仕方がないと割り切る。 「蒔岡君。このような言い方は酷ではあるが、 目的である彼の救援は果たせず、その敵も現状は見当たらない。 なので此処は一先ず、タブレットで名簿を見てもらいたいが、大丈夫だろうか?」 「……はい、わかりました。」 自分の信念を貫き通す。 彼の死を無駄にしない為にも、彰はタブレットを開く。 名簿を確認している間に、首を本来あるべき位置へと戻しておく。 首を戻すころには名簿の確認は終わっていたが、余り芳しくない様子だ。 「知り合いがいるのだな?」 「はい。間違いでなければ、四人。」 シークレットゲームに関わる(恐らく)四人の知り合い。 もしかしたら此処に来てるとは思っていたが、ソフィア以外がいるとは思わなかった。 ひょっとしたら、ソフィアにやられた軍服の男と言うのがあの時の彼かもしれないので、 一先ずは四人と言うことで彰は話しを進めていた。 「殺し合いのゲームか。それは災難だったな。」 まさに愚民のやる滑稽な催しであり、 オフィエルが聞けばさぞ憤慨するだろう内容になる。 燦然党で言えば、先ほど挙げた二名や死亡した芭藤は嬉々として楽しみそうだ。 日ノ元にとって四人の中でとりわけ惹かれる部分があるとするなら、三島英吾になる。 市民を守る警察官ではあるが、必要とあらば躊躇せず銃で相手を撃てるところは、 彼がこの場で欲しい人材としてみるなら、それなりに水準があると言えるものだ。 「君が答えた以上、私も言わなければならないな! 私の知り合いは名前で気づいてるやもしれぬが、娘の───」 念のため名簿を見返していると、 日ノ元が急に喋らなくなって不審に思って顔を向ける。 視線は彰へと向けられておらず、別の方角を見ていた。 「……いや、まっこと早い! 早すぎる!」 何処を見てるのかと、自身の背後である方角を見やる。 視線の先には、自分達と同じ首輪をつけた参加者の姿。 だが何が早いのか。彼には分かりかねる。 「久しいと言うべきか、もうと言うべきか───」 「出会ってしまったか───ドミノ・サザーランド!!」 現王ゴアにより、富士山の噴火以前より存在する、 三人のヴァンパイアたる『真祖』が一人、ドミノ。 戦う寸前だったはずの相手と箱根以来の久方ぶりにして、 わずか数時間程度でこの舞台にて邂逅を果たすことになる。 「……まさか、こんな早く鉢合わせするとはね。日ノ元士郎。」 ヴァンパイアの姿で腕を組んで立つ、威風堂々の姿。 奇抜な恰好に、子連れに、全裸の青年を背負ってると、 酷く不格好ではあるが異様な殺気を彰は気取って村正を構える。 ピリピリとした感覚。シークレットゲームでも感じたそれらとは比にならない。 『仕方ないから殺し合いをする』で纏っている殺気を持っていなかった。 先のヘルメットの男の殺気などとは、比べるまでもないようなものだ。 「おじちゃんと、おねーちゃん?」 「うむ! 七原君達に劣らぬ珍妙な仲間を連れているではないか! しかしその様子、どうやら随分とダメージを受けているようだな!」 (やはり虚勢になるか。) 今の状態は燦然党の介入により、堂島を仕留め損ねた時と同じ。 見た目だけ取り繕ってはいるもののダメージは洒落にならない。 以前よりもずっと成長してるのでどうしようもないとは思わないが、 流石に同じ真祖を相手にして勝てるかどうかと言われたら、厳しいものになる。 しかも厳しいのは一人で戦う場合。気絶した充、連れてるしおを守るのは容易ではない。 あの怪物が戻ってきたら厄介だと、少し無理をしてでも南下し続けたが、 まさかこんなところで鉢合わせになるとは思わなかった。 (あの男が私と同じ考えならまだ殺しには来ないはず。 一方で私を殺すだけに留めると言う選択肢もある……此処からは賭けよ。) 負けるつもりはないが、二人の身の安全を考えるとそれは難しく、 可能ならば穏便に済ませられるルートを考えたいところだが、それは最早運だ。 一触即発。互いの視線が火花を散らせて今にもこの舞台の最強格がぶつかり合う。 グゥ~~~…… 「あのー……一先ず此処は食事にしませんか?」 気の抜けるような空腹の音と共に、彰が申し訳なさそうに手を挙げる。 カンフーマンの死を目の当たりにして言うことではないし殺気も感じた。 勿論こればかりについては空気が読めていないと言う自覚はあるが、 死後の世界で待ってた時と違い、肉体があるし腹は空くものだ。 久々の空腹は慣れないのと、腹の虫はどうやっても止められない。 張りつめていた空気の中に響いた音と発言に、思わず二人の真祖も困惑する。 「ハッハッハ! 真祖を前にしてそれが言えるとは、やるではないか!」 背中をバシバシと叩かれ、威力の強さに思わず彰が前のめりになる。 「ドミノ、元より交戦する気はその様子を見てないと決めていたが、 此処は蒔岡君の提案に乗って、食事による会談と行こうではないか!」 「───そうね。同じ意見なら断る理由もないでしょうし。」 彰のお陰、と言うわけではないが何とか賭けは乗り越えれた。 死体のそばに書き置きを残して、五人は近くにある教会のようなホテルへと向かう。 充はドミノが寝室へと連れて行き、彰はドミノに頼まれてしおを風呂場へ連れていくよう頼んでおく。 日ノ元は彰と同様に風呂場が何処かの捜索へと駆り出され、捜索が終わって一階のフロアにてドミノを待つ。 ほどなくしてドミノが戻り、互いに基本支給品の飲み物を片手に言葉を交わす。 「お互い同じことを思ってるでしょうけど念の為聞いておくわ。殺さないの?」 「うむ、本当はそうしたいところではあるが理由は二つ。 一つは殺し合いの中で争うことは余り賢くない……これは同じ意見のはずだ。」 互いが思ってること。 真祖同士が戦えばどうなるか。 勝敗の結果の話ではない。誰が一番利益を得るか。 「三人目の真祖、奴が一番利益を得るからよ。」 この殺し合いには真祖が関わってると言う考えを二人は持つ。 現王ゴアはまずありえない。次代の王を選ぶための真祖を一人にする、 そういう目的であれば三人目の真祖がいるべきだが此処にはいない。 となれば、残る最後の真祖。此処でドミノと日ノ元が共倒れになってしまえば、 ゴアに挑戦できる真祖は一人だけになる。何より真祖二人を罠に嵌めるなど、 それぐらいの格を持った相手でもなければ、まず不可能と言うのが二人の推察。 (でも、あのユーベンが此処でするのかどうかよ。) ゴールデン・パーム社長、ユーベン・ペンバートン。 財力もあるしドミノとは共闘を持ち込んでも後で争う間柄。 もしユーベンがメフィス達と共謀するのならばあり得る話だ。 此方の方が真祖二人を確実に仕留められると思えば、社員も残せて楽になる。 とは言え、その割には燦然党は日ノ元だけと言うのは少々気になるが。 燦然党の何人かを巻き添えにしてしまえばより有利になるはず。 そこまでの権限がないから、この人数になったのだろうか。 「三人目の真祖が一番得をする状況で、 争うのは思うツボ。まあ、此処は同じようね。」 互いに三人目の真祖が関わってると言う推察。 確かに同じで違和感なく会話を続けているが、 実は二人の想像している人物は、別々の存在だ。 ドミノにとって三人の真祖とはドミノ、ユーベン、日ノ元の三人。 日ノ元にとっての三人はドミノ、日ノ元、もう一人の構図になっている。 日ノ元はユーベンを知らない。ならば何も問題ないのでは? と思われるが、 日ノ元は『ユーベン以外に存在する真祖』の存在をすでに知っていた。 真祖は四人いる。この事実を燦然党との戦いの前で推測していたのは三人だとユーベンだけで、 確信を持ったのもあるべき未来にてユーベンが日ノ元と相対したときだけのことだ。 二人とも四人目の真祖がいると言う事実を、まだ知らないのだ。 (奴が何かするとも思えんが。) 奴は何もしない。そう思ってるので、 正直なところ真祖が関与してるのはドミノ程考えてはいない。 だが真祖以外にいるとも思えないため、一先ずとして仮定していた。 「遺灰物(クレイメン)だけでも手にしておく、その可能性もあったけど……」 確かに利益を得るのは三人目の可能性はある。 だがドミノを倒すだけであれば可能だったはずだ。 首輪の制限がある中で真祖の遺灰物など取り込めば、 どうなるか分かったものではないのも理由としては十分。 だが、そうだとしても殺すだけに留めて首輪を何とかした後に、 安全な状況で遺灰物を取り込めばいいだけの話でもある。 「真祖を以てしても互角に戦える存在がいては別だからな!」 『ドミノ、元より交戦する気はその様子を見てないと決めていたが───』 先ほど、彼は食事を誘った際に『様子を見てから』判断した。 真祖と戦えると言うことは、自分とも戦える可能性が十分にある。 真祖をヴァンパイアか、或いはそれ以外の存在でも殺せる可能性がある中、 それと同じく敵対する間柄であるドミノを先に潰すのは良しとすることはできない。 「アンタも同じでしょ。真祖を、相手陣営を使い倒す。」 「その通りだ!」 ゲスい顔と、虚構の熱血漢の笑顔を浮かべる。 ならば存分に使い倒してから最終的に奪えばいい。 今は余計な敵を作らず、一時の共闘ができる人材がいるのも大事だ。 これを無視されれば戦うしかない状況だったが、相手もその考えを持っていた。 お陰で何とか共闘の関係を持ち込むことができるに至る。 「……殺し合いが成立しなくなるまで、 その間だけなら私は共闘を視野に入れるわ。 でも、善と明がどうするかは当人に委ねるから。」 委ねるとは言うが、はっきり言ってほぼ無理だろう。 親殺しを目的とした明は当然受け入れるわけがないし、 善も燦然党の情報を伝えた。最も多くの人を死なせてると知っている。 口伝だけではなく、芭藤との戦いで既に一般人の虐殺も目にしていた。 はっきり言って、これは論外に近い。 「そこは本人次第だな! だが佐神善は来るならば迎え撃つ!」 「ま、それでいいわ。堂島は……ほっといてもいいか。」 あの男はヒーローを気取っているのであれば、 此処でも無関係な市民相手なら助けるつもりはあるはずだ。 もっとも、背後から狙われる可能性もあるのでお互い信頼はしないが。 「ドミちゃーん!」 話が一区切り終わると、 しおの元気な声と共に足音が響く。 彰としお、そして意識を取り戻した充が戻ってくる。 「あ、おかえりしお。えーっと蒔岡彰だっけ? 悪かったわね、子守りさせ──ブッ!?」 振り返って階段を下りる三人を見やれば、ドミノは口に含んでた飲み物を全部吹き出す。 充は全裸ではなくなって服を調達していたのだが、その格好に問題があったからだ。 黒を基調としたシックな色合いは充には余り似合わないが、 その程度の事でドミノが吹くわけがない。問題は下半身にある。 短くはないが長くもないスカートに、黒く長いニーソックス。 そう、これは女性用の服だ。 「ゲホッゲホッ……あの、待ちなさい。どういうこと?」 (またこの視線だ~~~!!) むせたドミノが顔を上げれば、 しおに襲われていたあの時のような視線を向ける。 いきなりこんな格好で出てこられてそうなるなと言う方が無理な話だが。 「僕の支給品にあったんですよ、この制服。」 「……制服が、支給品? アンタ男でしょ? なんで入ってるの?」 「それはさっぱり。僕に女装が似合うと思われてたとかでしょうか。」 「あきちゃん、おにーちゃんだった!」 日ノ元と一緒にいたこの学生。 先の件であの空気を壊せた時点で思っていたが、 中々に能天気な性格をしている人物だと察する。 真面目な明から、真面目を引っこ抜いたかのような。つまり天然。 支給品を似合うから入れたとは、何ともツッコミどころ満載な解答だ。 この天然さから察するに日ノ元を理解しないでついている様子ではある。 「ところで、しお何か変なことしてきた?」 「? 特に何かしてきてはいませんが……何か?」 「何もないならいいわ、忘れて。」 強姦魔の言いつけについては、守らなくはなったようだ。 後は彼女次第だ。灰色の世界を自分で白黒決めるのは自分自身。 一先ず最低限の問題は安定したようで、安堵の息を吐く。 「さて、一先ず集まったところで情報の共有と行こうか!」 食事をしながらの情報共有……と言いたいところだが、 しおは服こそ洗ったが短時間。乾いたわけではないので、 乾かす為必要な情報だけ教えてもらった後は彰と共に再び離脱。 彰の方は元々大体の情報を日ノ元に提供しているのでいなくても多少は話が進む。 途中で二人も戻っていき、食事片手に五人は情報を纏めていく。 「僕たち含めて二十七人、結構な人数だね。」 既に死亡した人物もいるのと、 彼女らが知らない死者も少なからずもいるが、 六人が関連する人物は参加者の二割以上を占めている。 情報としてはかなりありがたいものであるのは間違いない。 「全員の情報を纏めると……」 頭の整理の為、ドミノが紙に今の人物の扱いを纏めておく。 死者:道着の男(カンフーマン) 危険:貴真、強姦魔(モッコス)、ヘルメットの男(ジャギ)、怪物(不動明) 不明:軍服、大祐、伯爵(多分ノワール)、さとう、堂島 安全:修平、琴美、悠奈、はるな、初音、結衣、真島、英吾、善、明、ドドンタス ついでにしおからドドンタスがディメーンに言及しているので、 事実上二十八人の情報が得られたと言う結果に終わっている。 また、ドドンタスは充の説明から生きてるかは怪しいとのことだが、 しおを気遣って一先ずは生きてると言う扱いで話を進めた。 因みにドミノが怪物の容姿だけは絵に描いててみるも、 大体がそれを見た反応は何とも言えないものであった。 彰だけは『個性的な絵ですね』と(多分)褒めてたが。 「さとちゃんは、えっと……ふめーなの、なんで?」 「……さとうって子はしおをすごく大事にしているから、 怖いおじさんに襲われたのを守れなかったから、怒るかもって思っただけよ。」 疑問を浮かべるしおの頭を撫でつつ答える。 誘拐犯である可能性が高いさとうはかなりグレーだ。 誘拐が露呈して殺しに来る……そういう可能性もあるにはある。 別にしおをどうこうするつもりはないので、余り事を荒立てたくはない。 (彼女は知らないが)七原が関わったスリの少年の父親に対しては言うことは言ったが、 さとうと言う人物はしおに対して酷いことはしておらず、寧ろ大事にすらしている。 性的行為も強要してなければ虐待もされてない。まるで恋人や夫婦のような傷がない身体。 外出こそ許さなかったが、それ以外はやつれた子供の父親の最低さと並ぶことはまずない。 だから後のことについてはしお次第。彼女が攻撃してくるなら対応はするがそれだけだ。 なお、しお不在の際にいなかった彰以外にはこのことは伝えてある。 「さとちゃん、とっても優しい人だからだいじょうぶだよ?」 「優しさの度が過ぎちゃうと、道を踏み外すこともあるのよ。覚えておくことね。」 優しすぎる善、趣味が他者にとって行きすぎた狩野。 イカれた奴がヴァンパイアになる。だからそれがある意味普通だ。 ドミノにとってそういう行きすぎた奴を沢山見てきたからこそ言える。 善意だろうと、何処か頭のネジが外れた連中。それがヴァンパイア。 「わかった!」 「それにしても……まさか君があの子の弟だったんだね。」 ドミノがしおと話してる間、 隣の席で充が向かいの彰へと会話を切り出す。 十四人が団結した後は持久戦のような状況になった。 娯楽もなく自給自足の生活ではやることが少なかったので、 時折会話しながら過ごしていたので、多少だが彼女の姉である蒔岡玲とも交流がある。 玲と多く時間を過ごした司や悠奈程の交流はなかったので、本当に断片的だが。 「姉さんがお世話になったようで……ありがとうございます。」 「いや、寧ろ僕こそ君にお礼を言わなくちゃ。 君がいたから彼女が生き残ることができて、 僕達はあの殺し合いでも諦めず立ち向かえたと思うと、ね。 まあ全員生還は叶わなかったし、此処にかなり巻き込まれちゃったけど……」 修平が悠奈と出会ってから叛逆の物語が始まった。 悠奈と言う理不尽に抗い続けた少女がいたからこそ。 集わされた十四人は団結して、立ち向かうことができたのは事実。 彼女が彰から貰った命は、少なくとも死んだ自分を除く他の十二人を救おうとした。 彼のお陰であの時殺し合わずに済んだと思えば、寧ろ初音ちゃんを救った恩人に近い。 であれば、礼を言うべきで相手であることは間違いなかった。 「この軍服が合ってれば、知り合い含めて十三人。 流石にちょっと多すぎない? 私達ですら五人よ。」 「僕達のゲームから着想を得たとか?」 「それにしたってバランス崩壊してると思うよ……僕から見ると。」 まさに天災とも言うべきあの戦いを見た以上、 あれに匹敵する参加者など充の知り合いにはいない。 ボクシング? 剣術? 銃の扱い? それが何の役に立つのか、 とでも言わんばかりの暴威。支給品でどうこうできるわけがない。 (メガンテの腕輪なんてものはあるが、あれは勝つためのアイテムではない) 戦えばまず100%敗北することが約束されているような参加者に、 一体どこに需要があったのか謎ではあるが、そのおかげで参加者の質は問わない、 或いは特定の参加者の存在に注力されてる可能性があると言う結論には行きついてはいる。 「司君ならもっといい考察ができてたと思うけどね。」 工学面では同じゲームに参加してた司には勝っていたが、 基本的には冷静に物事を見れる彼の方に軍配がある。 「真祖のヴァンパイアの視点があるならば、 人から見える視点もある! それに、現状は君が打破の鍵だ。 投げ出せば君の言う阿刀田君も悲しむのだから、大事にしておくんだ!」 「は、はい。」 勢いの強い日ノ元に思わず委縮する。 得られた情報の中で現状首輪を何とかできる可能性は、 二十七人の情報がありながら充、或いは知識だけなら英吾と限られている。 状況が状況だったのもあるが、今後は大事にしなければならないと自覚を持つ。 そういう意味もあるが、ドミノからも詳細はないが十分な情報を伝えられた。 所謂選民思想。その為なら犠牲を払ってでも成し遂げんとする冷酷さ。 この熱血漢の裏にそういうことを考えてるとは思えないのもあるが故だ。 気圧されてると言うよりは恐怖。奴隷で済ませてた黒河がかわいく思える。 (城咲充か……) 下衆、屑物、保身、恩義、憎悪、野心。 燦然党に集まった者は取るに足らぬ愚民ばかりだったが、 ドミノについていった七原健。彼だけがひかりをはなっていた。 彼程のものは期待できないが、彼にも光るものを感じた。 己が理を以って、この殺し合いを打破しようと言うその理想。 誰かに頼ると言うところは誰かが何とかすると思う愚民と同じだが、 一方で自分の目的の為ならば自分の命も惜しまず、初音が生きる世界を望む。 彰と同じく、最初から最後まで一貫してその理想を曲げないところは共通するが、 彼の場合は彼女を守る為ならば、知り合いであっても引き金が引けると言う確信がある。 (欲しい人材ではあったな。) 綺麗事が過ぎるわけではない、 と言うところを見ると日ノ元が最初に必要とした人材、 その条件としてはかなりいい具合に揃っていただけに残念だ。 先に出会っていればこちら側に引き込めていたであろうに、余計に思う。 「にしても富士山の噴火も知らないって言うなら、完全に別世界ってことかしら。」 あれだけ有名なものを知らないで済まされるわけがない。 しおは家から出たことがないので外部の情報はテレビだけで分からないものの、 残る二人は日常を過ごしていながら知らないのであれば、此処にいないオフィエルの存在もあり、 別々の世界の人間であると言うことは少なくともはっきりとしていた。 もっとも、オフィエル抜きにしても戦ったあの怪物はヴァンパイアとは少し違う。 弱体化してもなお真祖に匹敵するその力、あの世界にいればまず耳に入る。 それがないと言うことは、そういうところに答えが行きつくものだ。 原理とか過程とかはない。問いを見た瞬時に答えるような、所謂直感。 事実それが当たりだ。 「ドミノさんと日ノ元さんは火山を経験していて、 僕と充さんがあのゲームを知っていて、この子は……」 「大事にされすぎてたから、分からないわね、」 監禁や誘拐とは言わないように、 一先ずそれっぽいことを言って適当に誤魔化す。 外界の情報は殆どテレビだけでは仕方がないだろう。 「戻ってみれば、ホテルにいるとはどういうことかと思いましたが、 なるほど……彼女がドミノ・サザーランドですか。納得しましたよ。」 ホテルの扉を開けながら、 オフィエルが足音と共にやってくる。 広々としたホテルなので声は響き多少だが外に漏れてたので、 話は少しだけ理解していたが、よもや相手がドミノだとは思わなかった。 人使いが荒いかと思えば、とんでもない組み合わせには驚かされる。 具体的な内容は把握できてないので、 軽くではあるがオフィエルにも共有した情報を伝えておく。 日ノ元明と余計な敵対をする可能性が下がるかもしれない、 と言う意味ではこの状況は悪くはないものだと彼は感じる。 「なるほど、一時的な共闘関係ですか……心得ました。」 「それで、件の男は?」 「逃走中の所を追跡、交戦しましたが逃げられました。 方角は北西は分かりましたが、私の術式も制限のせいで……いや、 力の制限を言い訳せずに気丈に振る舞う貴女の前でそれは失礼でしたね。」 (日ノ元なら分かるのは当然だとしても、この男も見抜いてきた。 医者とだけあって、些細なものでも見破るのは気をつけておくか。) 初対面で疲弊してるのを見破られるとは思わなかった。 日ノ元が傘下に入れる人材だけあって、かなり厄介な人物だ。 (……にしても、医者って言う職業は拗らせるのが好きなのかしら。) 堂島といいこの男といい、 医者が持つにはスケールがでかい理想を持つ。 人の命を預かるストレスが拗らせていくのだろうか。 医者と言う職業に不信感を持ちたくなってくる。 「とにかく、申し訳ないことに逃がしました。 一応彼の物は奪うことには成功しましたが……それと、道着の男の首輪です。」 ジャギが所持していた銃、それとカンフーマンのデイバックと首輪がおかれる。 ランダム支給品は既に自分の方へと移していたから入ってはいないそうだ。 首輪については、元々オフィエル自身が切り落として回収したものではあるのだが。 「殺し合いに乗った奴が首輪を奪うって変なことをするわね。」 首輪一つで何か景品とかもらえるとか、 そういう情報があるならまだしも支給品はともかく、 首輪を手に入れる意図が今一つ分からない。 「脅迫による解除目的か、スコア気分か……なんにせよ、 殺し合いに乗った輩の考えなど理解できかねますが。 徒に人を殺め、徒に災禍を撒き、徒に争いを起こす。 最早処置なし、手遅れだ。あれこそがこの争いの病巣の一つ。」 「そうね。そのとおりか。」 彰の情報とオフィエルの情報が一致する。 であれば相手は自我をなくした怪物と違ってただの三下だ。 彼女にとって排除するべき敵である事実は揺るがない。 「ただ、アンタの言い方はむかつくけど。」 別にジャギに肩入れする余地などないが、 それはそれとして人を莫迦にしたお前の態度は気に入らない。 オフィエルに向けられるのは侮蔑の眼差しだ。 「……今のは失言でした。医者ゆえの愚痴と聞き流していたければ。 お詫びと言ってはなんですが、これらは其方が受け取っていただければと。」 日ノ元側の陣営に銃を扱える者はいないか、 銃を使うまでもない実力を持った人物ばかりだ。 別に必要と言うわけではないので日ノ元も咎めるつもりはないし、 首輪も解析のサンプルとして渡しておくのは正解であり、 そもそも強姦魔に充のデイバックも持ってかれてしまった。 ドミノも武器は不要なので、最終的にすべて充へと渡る。 「それで、ヘルメットの男への対処はいかほどに。」 「うむ! 追うしかあるまい!」 明が後れを取ることはないだろうが、 災禍を振りまく相手を放置するわけにはいかないし、 彰もその方針で行きたいだろうし、何より現状行くあてがない。 ともなれば、やることが事実上決まってないならそれで行く。 「改めてドミノ・サザーランド。 一時ではあるが停戦協定と行こうではないか!」 「……ええ。でも覚えておきなさい日ノ元士郎───」 「玉座を掴むのは私よ。」 立ち上がりながら、日ノ元を見下すように宣誓する。 絶対女王制。彼女の掲げる揺るがぬ理想。 「……フハハハハハ! 己が理を以って、世を変えんとする想い! まっこと強き者だ! 陰無き世界の為にはやはり越えねばなるまい! さて行くぞオフィエル、蒔岡君! オフィエルを煙に巻いた相手だ! 時間をかければかける程に逃げられ、探すのが困難になるだろうからな!」 「仰せのままに。」 「はい、わかりました!」 「あ、ちょっとアンタだけは待ちなさい。」 二人が席を立ちそれを追うように彰も席を立つが、 少しだけドミノに引き留められて振り向く。 「アンタ、あいつから私の事どれぐらい聞いたわけ?」 「いえ、それを聞く前にドミノさんと会いましたから。」 「そう。信じるかどうかはアンタの勝手だし、 知ったとしてどうするかのアンタの自由だけど、 日ノ元には気をつけておきなさい。最悪死ぬから。」 しおが服を乾かす都合、明は唯一オフィエルの理想も、 日ノ元の本性も明確に理解しているわけではなかった。 あの男は目的の為であるなら犠牲を厭わない奴だが、 少なくとも今すぐに彰を殺したりすることはしないだろう。 事実、今の彼は彰の味方として振る舞っているので、 日ノ元がそういう奴だと伝えても伝わらないはずだ。 此処には彼の所業を糾弾できる材料がないのだから。 「……ドミノさんって、いい人なんですね。」 「へ?」 思わぬ返答に、変な声が出る。 恩人を悪く言ってる相手に返す言葉ではない。 寧ろいい人と言えるのであれば、善の方だろう。 「政敵、でいいんしょうか? お二人の関係は。」 「まあ……一応合ってるけども。」 手段が闘争に置き換わってるだけで、ある意味では政敵か。 誰が人の上に立つか、そういったところが真祖の特徴とも言える。 「僕は政治については疎いですが、一応日ノ元さんの側にいる僕に、 態々忠告なんてしてくれる人はいい人に決まってるじゃないですか。」 どういう意味で死ぬのかについては理解してるわけでないが、 彼女が悪意によってそういう風に言ってるとは感じられなかった。 少なくとも彰の中では、日ノ元はいい人と言うところはまだ揺るがないが、 同時にドミノが日ノ元にとっての敵であっても、悪い人とも思えなかった。 「……呆れた。アンタ何処まで天然なのよ。」 溜息すらつきたくなるような、 天然と言うかボケてると言うか。 双方の真祖をいい人扱いした奴は、 いくら知らないとしても恐らく後にも先にも初めてだ。 「悠奈さんにも呆れられましたね。」 「でも、嫌いじゃないわよそういうの。」 綺麗事が過ぎるような人物ではある。 だが強い眼だ。自分には信じるものがある、 理不尽のゲームの中でも決して諦めない気高さ。 責任感があっていい人でバカで扱いやすいと言う、 さながら善と七原のハイブリットかのような存在。 先に出会っていればに下僕だったろうに、少しばかり残念だ。 「……あいつに嫌気がさしたら来なさい。 下僕六号の席は、特別に空けておいてあげるから。」 彰がこのまま日ノ元につくか、 それともドミノへつくのかは彼次第だ。 彼自身が白か黒かを選ぶ権利がある。 「下僕と言うのはちょっと……あ、僕行きます! 充さんとしおちゃんも、気をつけてくださいね!」 二人の後を追うように、彰も駆け足で向かう。 三人の背中を見送ったあと、扉が閉じて静寂が訪れる。 「ドミちゃん。下僕って何?」 「私と肩を並んで戦う対等な奴よ。因みに充は五号。」 「ええ!?」 気を失ってる間にあった出来事なので、 今更下僕扱いされてると言う事実に声を挙げる。 奴隷の次は下僕。人権がないのかとすら思えてしまうが、 意味合いからするに、こき使うは含まれていても奴隷よりはましだ。 「ほら、私もアンタも怪我してるから、 此処に治療できそうなものあったら使うわよ。」 此処はホテルとは言うが、 内装は少し奇妙なものがいくつかある。 調べれば何かあるかもしれないし、そも今は休息も必要だ。 一度休んで、次の備えにすることとする。 【E-7/一日目 ホテルエレルナ/黎明】 【ドミノ・サザーランド@血と灰の女王】 [状態]:全身にダメージ(絶大)、疲労(絶大)、身体を再生中(外面だけは取り繕えています)主催に対する強い怒り [装備]: [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2、応急手当セット@現実 [思考・状況] 基本方針:メフィスとフェレスとかいうクソ野郎二人は必ず叩き潰す 1 :自分と充を治療できるかどうかホテルを漁ってみる。なければ休息。 2 :下僕たち(佐神善、日ノ元明)に充や彰の知り合いを探す。 3 :首輪及び紋章を何とかするために、あの主催を知ってそうな参加者を探す。今は伯爵が有力。 4 :充としおを誰か安全な者に預けたい。日ノ元にオフィエル? 論外。 5 :あの悪魔(不動明)がまた挑んでくるようなら迎え撃つ。 6 :日ノ元士郎はここで斃しておきたいけど今は待つ。堂島は信用しない。 7 :しおが『下僕』になるかは彼女次第。 8 :日ノ元とは何とか協定を結べたけど、下僕たちはどうするのやら。 9 :強姦魔(モッコス)とヘルメット(ジャギ)は出会ったら潰す。 10:蒔岡彰、先に出会ってたら下僕だったんだけどねぇ…… 11:伯爵の関係者も漁ってみる。 12:ユーベン……まさか? [備考] ※参戦時期は88話から。 ※真祖の能力に制限が課せられています ※主催者の関係者にユーベンが関係してる可能性を考えてます。 ※ドミノ、しお、日ノ元、彰、オフィエルと情報交換をしました。 充はDルートなのではるなと彼女から話を聞いた人物、 途中までならCルートと同一なので途中までは結衣と話が嚙み合います。 【神戸しお@ハッピーシュガーライフ】 [状態]:疲労(中) 服に湿気(小、時期に乾く)、不安(大)、男性に恐怖心(大) [装備]:なし [道具]:なし [思考・状況] 基本方針:とりあえず、さとちゃんと会う。 1:ひとまずドミちゃんに着いていく。 2:休憩したらドミちゃんと一緒にさとちゃんとドンくんを探しに行く。 3:さとちゃんともじゃもじゃおじさん、どっちがしろくてどっちがくろいかをちゃんと考える。 4:もじゃもじゃ―――男の人―――怖い!怖い!!怖い!!! 5:さとちゃんさとちゃんさとちゃん 6:あきちゃん、おねーちゃんじゃなかった。 7:すごくむずかしいお話してた。 [備考] ※参戦時期は1巻でさとうを探して外へ出る前です。 ※モッコスの社会勉強で性について知りました。(手○キ、〇ェラは技法マスター。S○Xはやり方のみ) ※モッコスから教えられた事柄への関心が薄れました。 【城咲充@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】 [状態]:顔面腫れ、貧血(傷は止血済み) [装備]:アークス研修生女制服 影@ファンタシースターオンライン2、柊樹@PROJECT X ZONE2 BRAVE NEW WORLD [道具]:カンフーマンの首輪、カンフーマンのデイバック [行動方針] 基本方針:初音ちゃんとしおを殺し合いから脱出させる。 1 :とりあえずホテルで休む。 2 :しおを女の子を安全な場所へ連れていく。 3 :男物の服はないのか? 4 :初音ちゃんを探し、護る。無論、他の仲間たち(悠奈、修平、琴美、結衣、真島、はるな、大祐)も。 5 :脱出の協力者を探す。 6 :日ノ元さんとドミノさんの関係、余り聞けてないけど黒河君と真島君みたいなものなのかな。 7 :ドミノさんに初音ちゃんを護ってもらう。 8 :初音ちゃん、強姦魔(モッコス)とかヘルメットの人(ジャギ)に襲われないといいなぁ‥… 9 :蒔岡君に出会えたのはちょっと嬉しいかも。 10:奴隷の次は下僕って何!? 11:工具あれば首輪を弄れるかも。 [備考] ※参戦時期はDルート死亡後。 ※メガンテのうでわの説明書を読みました。 ※ドミノ、しお、日ノ元、彰、オフィエルと情報交換をしました。 【蒔岡彰@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】 [状態]:顔に含み針の傷(目に支障なし、針は捨てた)、攻撃速度強化 [装備]:妖刀村正[改]@御城プロジェクト:Re [道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~1(確認済み) [思考・状況] 基本方針:悠奈さんのところへと戻る。クリアせずともいい脱出方法で。 1:同じ考えの人を探す。 2:悠奈さんや英吾さん、それに姉さんが関わった人達に会いたい。 3:僕があの人(カンフーマン)の分も生きないと。 4:ドミノさんもいい人だ。 5:貴真さんは止める、絶対に。軍服の人は……もしかしてあの人? 6:ヘルメットの人(ジャギ)を追って北西へ。 [備考] ※参戦時期はZルートラスト、死後に悠奈と再会後です。 ※ドミノ、充、しお、日ノ元、オフィエルと情報交換をしました。 充はDルートなのではるなと彼女から話を聞いた人物、 および途中までならCルートと同一なので途中までは結衣と話が嚙み合います。 オフィエル、日ノ元の具体的な本性については教えられていません。 【日ノ元士郎@血と灰の女王】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3 [思考・状況] 基本:立ち塞がる主催の面々は打ち倒す。 1:『主催を打倒する』という目的を持った者たちを集める。 2:今はドミノと戦う時ではないようだ。だが佐神善は出来れば始末。 3:日ノ元明は見つけ次第保護する。 4:先生には念の為警戒。 5:オフィエルの言っていた男の為北西へ向かう。 6:蒔岡彰、まっこと素晴らしくも、惜しい愚民だ。 7:城咲充の方もより惜しいが、七原君に近いので相容れない気もするな。 8:オフィエルも何かしら行動はしてそうではあるな。 9:三人目の真祖、奴は何もせんだろうが気をつけてはおこう。 [備考] ※参戦時期は最低でもドミノ組との開戦前 ※真祖としての力に制限が課せられています ※三人目の真祖(ユーベンではなく原作で言う四人目)が主催に関わってると考えてます。 さて、ジャギはどうなったのか。 実はあのホテルに彼も居合わせてはいた。 ただ一人、オフィエル以外に知られることなく。 時は遡り、日ノ元がドミノと相対していたころ。 二人は河を越えて森の奥にて二人で相対していた。 「此処なら君にとっても都合がいいだろう。さて、話を───」 言葉を終える前に銃声が轟く。 先ほどと同じように術式の転移で回避する。 「話は最後まで聞くべきだ。君にとっても悪い話ではない。」 「うるせぇ。てめえのその声にイラつくんだよ。 その声……その声がよぉ! 弟に似てんだよ!!」 この覚えのある声はあのケンシロウと近い。 ただでさえ苛立ってるのにケンシロウの声で語るなど、 聞く耳を持ち続けることなどとてもできそうになかった。 「……現状を見ず、未来を見ようともしない。 その思考、その考え。まさに! 病巣と言うほかないだろう。」 こうしてる間にもこの殺し合いで人が芥へと消えていく。 約束を守る保障もないのに、ただ一時の感情で殺し合いに乗る。 彼の思考については、最早手遅れと言うしかなかった。 「その病巣、取り除かせててもらう。これより───術式を開始する。」 両手をオペを始めるときのように構えると、 青い箱状の空間がジャギを、周囲を覆っていく。 領域展開。薄くエーテルで周囲を覆うことで壁を作ることで展開するオフィエルの能力。 脱出は(ファレグに壊される前の時期から此処にいるので)事実上不可能だ。 「我が領域は我が意のままに繋がる。故に!」 右手を挙げると同時に、上空から大量のナイフがジャギへと降り注ぐ。 この空間内であれば座標を移動させることができるのは自分だけではない。 本来ならメスを投げれたが、この殺し合いの舞台の座標が分からない以上、 現在は支給品であるナイフを代わりとして攻撃している。 「な……北斗羅漢撃!!」 降り注ぐナイフを早い突きで次々と蹴散らしていく。 カンフーマンの支給品である篭手の強化効果も相まって、 疲弊した割にはすさまじい勢いで、そして無傷で処理できる。 雨の如く迫る攻撃に怖気づくことなく対処できるのは、 腐っても伝承者争いの候補者だけの実力はあると言える。 ナイフを対処しきった後、そのままオフィエルへと突っ込む。 だが、不意打ちですら対処してきたオフィエルに対して、 正面から攻撃を仕掛けたところで隔離術式で避けられるだけだ。 「グエッ!」 攻撃を盛大に外した背後から、ジャギを蹴り飛ばす。 無防備な背中へとダイレクトに決まり地面へと転がる。 起き上がろうとするも、それを妨害するように背中を踏みつけられて釘付けにされた。 はっきり言おう、ジャギが逃げなかった時点でこの戦いは結果が決まったことだ。 方や疲弊しきったジャギ、方や無傷で有利なフィールドに持ち込めたオフィエル。 何方が勝つかどうかなど、語るに及ばず。もっとも、万全であっても苦しすぎるが。 オフィエルは遠距離攻撃がメイン。近接攻撃が殆どなジャギは圧倒的不利だから。 ケンシロウの天破活殺、或いはラオウの北斗剛掌波でも体得してればまだ勝ち目はあっただろう。 そのような技ができないからこそ、こうなってしまったのだが。 「畜生ッ! 俺は、北斗神拳伝承者ジャギ様だぞ……! こんな、拳法もなんもねえ野郎に負けるって言うのかよ……! 二千年の、北斗の歴史が、こんな……!!」 才能あるやつらばかりが周りにいた。 誰を超えることもできず、ただどんどんと差を付けられるだけ。 極めつけにはこの場で見知ったばかりの相手からさえ酷評された。 既に彼のプライドはズタボロだ。 「……マザーであれば、きっとお前も救っていただろうな。」 どうやら自分が使う拳法に関して誇りを持っているらしい。 周りがそれを認めなかったとか、そういったものだとオフィエルは察した。 周りが認めたがらなかったと言えば、以前のマザー・クラスタの同志オークゥを思い出す。 もっとも、ジャギの場合は周りが凄すぎたから相対的に潰れかけていたところなので、 オークゥが才覚があるのに周りから認められずに潰されかけたので厳密には違う。 あくまでなんとなくオークゥに似た境遇の奴、と言う風にしか思わない。 もし彼女が生きていれば、彼を仲間に誘っていた可能性はある。 もっとも、そのマザーを裏切って殺したのはこの男なのだが、 「私は殺す気などない。 最初から話を聞けば此方も取り計らったが、 最初から殺し合いに乗る争いしか考えない奴には無駄か。」 倒れてるジャギのヘルメットを強引に奪う。 様々な患者を診てきたが、これほどまでの傷は中々になく、 流石のオフィエルでも僅かながらに顔を強張らせてしまう。 「てめ、何しやがる……!」 「何、容態の確認だ。医者がクランケに服を着せたままオペなどしない。 それと同じようなものだ。私の術式が失敗しないよう想定しての行動だ。」 彼の目を塞ぐように右手を翳す。 青白い、エーテルの輝きがジャギの視界へと映り込む。 『それ以上考える必要はない』 『心静かに目を瞑れ』 『無理をするなジャギ』 『私は君の願いを後押しする者だ』 『余計なことを考えなくてもいい』 『私と共に戦おうではないか』 ケンシロウのような、耳障りな声。 だと言うのに何故だ。心が落ち着かされる。 落ち着いてるではない。意識が朧げになっていく。 自我を保とうと暴れるが疲弊した身体は鉛のように重たく、 時間が経てば経つほど抵抗する力は弱弱しくなり、ジャギの意識は闇へと落ちた。 「……随分と時間がかかるな。」 オフィエルのできる、エーテルを用いた洗脳。 数分もあればできたがそこそこ時間を費やされた。 一方で、いくつか命令をしてみると以前洗脳した鷲宮氷莉とほぼ同じだ。 口調は悪いが従順だ。悪いと言っても元々の喋り方は反映されるもので、 氷莉も狂気こそ孕んではいたが、元々の喋り方のままで他者と接していている。 情報を引き出してみるが他の参加者の知り合いはなく、彰と道着の男以外の情報はない。 「駒としては今一つだが、今後役立ってもらおうか。」 支給品の武具も回収し終えると、 背負ったデイバックからカードを取り出し、それをジャギへと翳す。 翳せば一瞬でジャギの姿は消失し、代わりに一枚のカードが宙を舞う。 「私にとって実に便利なものだ。」 宙を舞うカードを、指で挟む。 手に握られたそれに映っていたのは───ジャギだ。 オフィエルに支給されたカードは『ホカクカードSP』。 参加者をカードにすることができると言うアイテムだが、 破くなりすると参加者が解放されてしまうデメリットがある。 普通に考えれば、誰の手にも回収できないよう禁止エリアに放り込む、 と言う形で使ったりするしかないが、彼の使い道はそこではない。 (使い方次第で今後を左右する。) 生きたまま参加者を持ち歩くことができる、と言う点だ。 洗脳したはいいが日ノ元たちに彼を見せるわけにはいかないし、 真祖相手に隠れるようについて行かせてもそのうちバレる。 故に洗脳した参加者を気付かれず連れていける、この点に注目していた。 これならば日ノ元明をホカクカードで手元に残すこともできる。 いざと言うとき日ノ元明が重要になれば交渉材料に使えるのも強みだ。 無論、参加者問わず捕まえられるわけではない。ちゃんと限界は存在する。 「ふむ、簡単なヒストリーも確認できるのか。」 カードのテキスト蘭には彼の生い立ちが断片的だが記されていた。 北斗四兄弟、その中で最も実力の劣った北斗の暴君としての経歴。 読んで特に思うことはない。オークゥと似たようなものと言う評価は変わらず、 何より外道である彼に対して思うところなど、争いの火種を撒く存在なのも変わらない。 「所詮は、未来を考えもしない凡庸な俗人か。」 カードをしまって、オフィエルは領域を解除し、 ナイフを回収して先ほどいた場所へと戻った後は知っての通りだ。 これが誰に知られることもなかった、オフィエルだけが知る戦い。 そう、あの場には意識はないがジャギはそこにいた。彼のデイバックの中で。 目的の為ならば仲間やマザーを手にかけ、人の友情を利用だってする卑劣な男だ。 使い倒すことに何ら躊躇はない。寧ろ争いを繰り返す愚民そのものならば、 むしろ使い倒すことの方がよほど世界にとってもありがたいこととすら思う。 ジャギを解放する手段は三つある。 一つはオフィエルの死亡と言う至って単純なものだが、 彼が死亡するような状況において、ダメージのあるジャギが助かるなど皆無だ。 一つは八坂火継が持っていた具現武装『天叢雲』の浄化の力により斬ること。 術式だけを切断できる彼女のそれであれば、ひょっとしたら可能かもしれない。 だが、それが誰に支給されてるかもわからないような刀を当てにするのは怪しいし、 そもそもこの舞台にそれがあるのかどうかさえ分からないのだから当てにはならない。 一つは強い矛盾に遭遇すること。鷲宮氷莉の洗脳が解けそうになったときは、 火継と一緒に過ごしたいのに、思い出のある学園を壊すと言う矛盾があったからだ。 その時は再度洗脳を施せばどうとでもなったので他の手段よりも簡単ではないし、 この男はこの場に知り合いはいない。その矛盾に出くわす可能性もまた皆無。 ───つまるところ、彼は事実上この戦いにおいて生きながらにして脱落した。 世界を救うための戦いは、水面下で静かに行われている。 真祖も跋扈する中、北斗の暴君程度の存在が入る余地などどこにもない。 【ジャギ@北斗の拳】 [状態]:ダメージ(大)、ずぶぬれ、苛立ち(特大、特にオフィエル>彰)、顎並びに両膝に痛み 右足腫れ、オフィエルの洗脳、カード化 [装備]:間久部緑郎の靴@ バンパイヤ [道具]:なし [思考・状況] 基本方針:優勝して今度こそ返り咲く。 1:…… [備考] ※参戦時期は少なくとも死亡前、極悪の華も反映されてます。 ※カンフーマンを不意打ちで斃したため、ディメーンの放送はきちんと聴いてはいません。 ※オフィエルに洗脳されています。 オフィエルの死亡、または記憶の齟齬等により洗脳は解除されます。 ※ホカクカードSP@スーパーペーパーマリオによってカード化されてます。 カードが破かれたりされない限り限り一切の行動ができません。 また、体力も回復しません 【オフィエル・ハーバート@ファンタシースターオンライン2】 [状態]:疲労(中) [装備]:ホカクカードSP×4@スーパーペーパーマリオ、咲夜のナイフ×大量@東方project [道具]:基本支給品×2(自身、ジャギ)、ランダム支給品×1~3(カンフーマン×0~2、自身×0~1、前者は未確認)、ジャギのカード、針×8@アカメが斬る!、黒銀の滅爪@グランブルーファンタジー [思考・状況] 基本方針:願望を果たすまで死ぬわけにはいかない。場合によっては主催側へつくことも検討 1:日ノ元士郎に同行し、彼を見極める。 2:念の為に色々と仕込みを済ませておく。ホカクカードもそれに関して有用だ。 3:ジャギは体よく使い倒す。文字通りカードの使い時が大事だな。 4:あれがドミノか……余り敵視されないようにしておこう。 5:意味はないが北西へ向かう。 [備考] ※参戦時期はEP4-8「壊れた進化」から ※隔離術式による対象の隔離及び空間接合による転移に制限が課せられています ※洗脳は初回は至近距離でのみ可能、洗脳にも時間を有します 解けかけの相手であれば、コオリの時のように数メートル離れてても可能です 精神的に脆かったり弱い相手であれば特に滞りなく可能ですが、 洗脳に対する抵抗や洗脳できる人数の制限等は後続の書き手にお任せします ※彰、充、ドミノ、しおから参加者の情報を得ました。 但し充の参戦時期はDルートなので、 彼以外でははるなから話を聞いた人物、 途中までであればCルートの結衣は話が通じます ※咲夜のナイフの本数は少なくとも五十本以上ですが、 具体的な数は後続の書き手にお任せします。 【黒銀の滅爪@グランブルーファンタジー】 カンフーマンの支給品。無間の闇は至りし者を呑む一切の災禍を祓う。 創世の破壊を宿す鉤爪は、その威によってあらゆる暴虐を生み、永劫の静寂に君臨する。 アストラルウェポンと呼ばれるゲーム中において最上位の性能を持つ武器で、 スキル『禍滅の支配者』は闇属性に該当する人物の攻撃力を上昇させる。 ジャギの場合は性格上闇属性として扱えるため、彼自身の攻撃性能が向上した。 オフィエルは水の使徒であるため使ってもただの爪付きの篭手 スキル『アストラル・クロ-』については、ロワ中で再現が難しいので、 あるかどうかについては後続の書き手にお任せします。 因みにパズドラコラボにおけるジャギは闇属性。 【アークス研修生女制服 影@ファンタシースターオンライン2】 彰の支給品。文字通りアークスの研修生の女性が着る制服。 影は他の制服より黒に寄っている。特別な性能は多分ない。 【咲夜のナイフ@東方project】 オフィエルに支給。十六夜咲夜が用いていたナイフ。 銀のナイフだが、血と灰の女王のヴァンパイアに通じるかは不明。 頑丈になった天子に刺さらないことから恐らく銀であること以外の特別な性能はない。 少なくともオフィエル領域展開中に湯水の如く使えるだけの数は支給されてる。 【ホカクカードSP×5@スーパーペーパーマリオ】 オフィエルの支給品。作中ではコレクション兼特効アイテム。SPは通常よりも成功率が高い 一定確率で生物をカードにするアイテム。所持してるだけで対象に二倍のダメージを与えるが、 分身とかの能力でもない限りこの効果はロワでは意味がないので主に参加者を持ち運ぶアイテム。 レベル差があるとより成功しやすくなるのがゲーム上での扱いだが、本ロワでは体力差で判定される。 カードにされた参加者は死亡した扱いではなく、破いたり燃やせば元の状態へと戻る。 ぶっちゃければ参加者に使えるモンスターボール、ないしエニグマの紙。出す際は使い切りが主に相違点。 但しカード化の際は相手が視界に入ってる必要があり、成否問わず使用したら消耗するので無暗に使えない。 また断片的だが、カードにした相手のヒストリーが書かれる。内容は細かくはないが。 ≪ホテル『エレルナ』@よるのないくに2≫ 教皇庁が管理していたホテル。カミラに管理が任されており、 作中ではアルーシェ達の活動の拠点となっている場所。 西洋風のホテルにプールと、一通りの設備は揃っている。 アーナスにとって助かることがあるかも? 048:胎動編『開戦 ウドガルド城』 投下順 050:戻りたい場所、明確な景色 021:I feel like a monster ドミノ・サザーランド 064:彼等を導くみらい回路 城咲充 神戸しお 028:王道を歩む者、正道を歩む者、そして―― 日ノ元士郎 051:SAMURAIGIRLS,SUN KILL!KILL!KILL! オフィエル・ハーバート 蒔岡彰 011:It s like preaching to the wind. ジャギ
https://w.atwiki.jp/hoyoworkswiki/pages/675.html
キャラの基本情報 趣味 恋愛映画 「桜、青空、クラクションの音、そしてロマンチックな出会い.....」今回桜華が撮りたいテーマは特定な時代で起きる心に刻むラブストーリーである。桜華の決意がはっきりと理解できる。 上級な撮影スキルを勉強するために桜華が何度も鳴いていたが、幸い全ての困難を彼女は乗り越えた。
https://w.atwiki.jp/dimensionzero/pages/1776.html
フォース・センチュリー エキスパンション ~禁じられし邂逅~ 『ディメンション・ゼロ』フォース・センチュリーの第一エキスパンション。 シリーズ通算第14弾。 パッケージは安達 洋介氏の「鬼哭神機サラスヴァーテイン」。 2009年1月24日発売。全105+1種類のカードで構成。 1パックあたりの配分は コモン7、アンコモン4、レア1 コモン7、アンコモン3、レア1、シルバーorゴールドorシークレットレア1 のいずれか計12枚になっている。 また、1カートン(16box)に1枚の割合のシークレットレアは「エビカクテルロボ」である。 ベーシックパックに続き「結合」や、「禁呪」、 そして補給を中心としたベース関係の能力を持つカードが収録されている。 内容 新たな隊列召喚の登場 相手を選ばない結合ストラテジー 3のみだった禁呪に1、2が登場 バニラユニット強化は続く? 補給能力がさらに… etc... カード一覧 強襲戦鬼炸裂丸? 侵略の魔炎インヴェイド 機神兵フドウ サンダークラップ・ガール 消えない涙トゥペケンヌペ ゴロロローン? 機神兵ビシャモン? インフェルノ・ガンナー 希望の仔トゥィンクルスター? ほとばしる泉シンプイ? 防空戦鬼紫電? 機神兵カンノン ムンダ・ムンダ? 鬼国戦記サラスヴァーテイン? トロ-ル発祥の地? 三十三万三千三百三十三幻堂 発掘兵器教習場? オリオンの助言 覇者のオーラ 勇気の刃? 発進!? 禁断の魔煙フォビドゥン 喜ぶ人形エマ 諜報軍団長カイム? レディ・シュガー ブラッド・フラッグ イビルアイ・ブレイカー 死霊軍団長ビフロンス タングリング・パペット? 夢路の淑女シャローン 降魔拳士シュナイダー イビルアイ・ナイト 闘技軍団長フォラス? レディ・ソロウ ドリーム・シャッター? ヘルズゲート・ライブ・ホール? ホラーハウス・ランド? 真っ暗闇の部屋 冥王の刻印 滅びの波動 貴婦人の微笑 具現化する影? 青果商人パラキート・トム オーシャンボーイ? 夕焼けの海の魔女 蒼海星ネプチューンロッド? ギガント・シーラカンス ターミネイト・ターマイト 蒼天星エーギルセイバー 鮫の王レッドアイ 天空都市防衛隊長イーグルジョー? テレポイント? 蒼冥星ネーレウスハーケン ISE・エビブラック 希望の岬の魔女 モーン・モス 産卵科病棟 超常現象対策本部? 海兵隊訓練場? ダークサイド・ソウル 蛇神襲来? ランデブー? 宿敵の絆 聖騎士ホーリー・パルチザン 市街地を守る獅子? 光の柱の乙女 突貫工リリア ソルティ・ドッグ 聖騎士ホーリー・ウィップ アブソリュートロウ・エンジェル 計測工キラ 聖王アレキサンダー パーフェクトオーダー・エンジェル ブルー・ムーン 塗装工アーニャ 月明かりの曲刀の乙女? 戦場を駆ける獅子? 次世代天使研究所 クリスタル・アリーナ ロストメモリー・ベースメント? 聖女のオーラ だから、がんばれる? 究極の一手 共同作業 大和撫子? 妖魔の薬剤師 新生獣M・マイトネリオン? カオスビースト・ククルカン 昼寝するフェアリー? 歌う花園のキャッツポー 新生獣D・ダームスタチオン 妖魔の賢者 冥府の餓狼スカーフェイス 指揮するフェアリー? 新生獣F・フェルミオン? クラスター・ホウセンカ? 大巨人マーズ・イーター カオスビースト・ズゥ 混沌の獣の巣 刀匠の穴蔵 超進化植物園 超戦士の咆哮 準備運動? ジュニアの悪戯 妖魔の秘術? レアリティ別分布 シルバー 10種 レア 20種(うちゴールド5種) アンコモン 30種 コモン 45種 シークレット 1種 参考 カードセット一覧 参考外部リンク このwikiの外にリンクを貼る場合、以下のようにする wiki 疾風?
https://w.atwiki.jp/psyren_wars/pages/47.html
Bとの邂逅/ネジレタユガミ ◆A23CJmo9LE 黒塗りの高級車が校門近くに着ける。 そこから降りてきたのはアッシュフォード学園の通常の制服ではなく、ヘソ出し谷間出しの妖艶な装いを纏ったスタイル抜群の女生徒。 「ご苦労さまー❤帰りもよろしくー❤」 ばーい、と手を一振り、校舎に目を向け堂々と歩く。まだ殆ど生徒のいない早朝の登校だ。 自分の足で登校なんて面倒な真似はイヤ、と主従で意見が一致したため適当に調達したNPCのアッシー君だ。もちろん向こうの生活なんて考慮しちゃいない。 「んー思ったより早く着いちゃったわねー、いい車乗ってるじゃない❤」 所要時間なんて考えもせずに出て来た……そもそも彼女自身は登校などするつもりはなかったので当然と言えば当然だが。そんな彼女がなぜ来たくもない学園に登校したのかというと 『犬飼さぁん、クラスはどっちかしら☆』 このサーヴァント、キャスターの進言によるものだ。 曰く、規則から外れた行動をすると疑われてマスターだとばれかねない、学生という画一的な動きをする集団は手駒にしてもばれにくい、情報収集のためにもいくべき、そもそもこの時間、外を歩いて警備員や風紀委員に見つかると面倒と意見を述べた。 それらすべてを「面倒臭い❤」の一言で切って捨てようとすると、呆れたようにため息をつきながら 「あなた本当に聖杯戦争に勝つ気あるのぉ?そもそもサボりはよくないんだゾ☆」 と説教染みたセリフを吐いてきたので仕方なく登校したというわけだ。 『高等部一年のB組よ、あと伊介様』 『あれ、一年生なんだ。それじゃあ行きましょ、高校デビュー☆』 言動の一つ一つがイラッとするサーヴァントだがいちいち気にしていても仕方がないと短い付き合いで学んだ。無視して靴を履き替え、一応教室へ向かう。 『そ、れ、で❤アンタがうるさいから来たけど、どーするの?まさか何もしないとか、言わないわよねぇ❤』 『もちろんよぉ、ちょっと人数力が少ないけど…』 確実な洗脳を行う為にはリモコンによる微調節が欠かせないため、念話と共に実体化してその姿をさらす。 制服着用の義務もなく、そもそも認識干渉のできるキャスターに意味は薄いが、念のため伊介の使っていないアッシュフォード学園の制服を纏っている。 雰囲気というか気分は潜入している感じで盛り上がるらしい。 「その制服、可愛いから貸してほしいな☆」 「そんなクソ学校の制服なんて着ないし、勝手にすれば?返さなくていいよ、アンタが着たのとかマジいらないから❤」 などというやり取りの結果だ。 えいっ☆、と可愛いらしい声と共にリモコンをプッシュ。 まだ早いため人数は少ないがこれでクラスの全員を手中に収めた。 複雑な命令を下すのは難しいが、日常生活の中で索敵くらいには使える。 『やっぱりちゃんとした人間と比べると抵抗力ひくーい☆ とりあえず手駒確保して、他のマスター探させたり、いざとなったら盾にしたり、ね☆』 と言うと同時に皆一斉に学校中に散らばっていく。早速命令を実行するようだ。 『わあおー、大言壮語じゃなかったんだ❤とりあえず勝利に向けて一歩リードってカンジ?』 ムカつく上に弱いサーヴァントだが、使えないわけではない。それを再確認できればまあ上々、と教室を出る伊介。 『どこ行くのかしらぁ?』 『サ・ボ・リ❤学校からは出ないから安心してよ、伊介はこんな戦争終わらせて早く帰りたいの。 授業とか性に合わないし教室の奴は洗脳でもして誤魔化しといて❤』 『ちょっと、待…』 「おっと…おはようございます」 扉の前でぶつかりそうになる、黒髪にセミロングのどこか気品のある女生徒。 彼女が教室内に入り、キャスターの姿が視界に入ろうかという瞬間 「マスター、そこな女サーヴァントだぜ。こんな早くから姿現すたぁ大胆ないい女だ。惚れちまいそうだよ」 派手な着物をまとった武人が姿を現す。 主従のやり取りとNPCへの干渉に気をとられて気づけなかったのは失態だったと渋面を作るキャスター。 マスターの視界を除くとステータスも軒並み高い…三騎士のいずれかだろう。 位置関係的に敵マスターへの干渉も出来なそうだが…… 「男子力高いヒトに褒められるのは嫌いじゃないわぁ。よければ人目につかないところで少しお話しません?」 交渉を持ちかける。 生憎と前線に立つ戦士ではなかったため、殺気だのなんだのといったものはよく分からないが、戦意があるならこの場で即切って捨てることも出来たはず。 「ええ、よろしいですわよ。では屋上にでも移動しましょうか」 強力なサーヴァントを従えるが故の主導権を行使し、笑顔で場所替えを提案する黒髪の少女。 その発言は背後に確かな力あってのものだが (あ、どうしようすっごくイラッとした❤) (うん、私も☆) 傲慢な主従がそれに従うわけはなかった。 「大丈夫ですよ、ココで☆」 「いえ、教室では人目が…」 「だーかーらー、ココで☆」 丁度登校してきた生徒にリモコンを向け、能力を行使。 それと同時に今まで洗脳した生徒全員も軍隊のように整列して教室に入り、不気味なほどに毅然と席に着かせる。 全ての生徒が画一的に無言でただ座っている光景は異常としかいいようがない。 「ね、これなら問題力ないわよぉ☆」 異様な光景にさしもの傾奇者も嫌悪と怖気を隠しきれない。そのマスターもまた同じく。 これは示威行為だ。交渉においてナメられないというのは大切なこと。能力の行使により自身が脅威であると思わせる、交渉のテーブルにつく力があると認めさせる。 相手に直接作用させることはできなくとも、自身も含めた人の一挙手一投足により精神的に優位に立つことくらい容易い……あらゆる意味で心理を支配してこそ『心理掌握(メンタルアウト)』。 「……いいだろう、確かにこれなら問題ない。ランサーのマスター、朽木ルキアだ」 素に戻り蓮っ葉な話し方をするルキアだが、それは打ち解けたというよりむしろ警戒の表れ。 ランサーを前に置き、いつでも開戦逃亡どちらにも対応できるようにする。 「やーだー、猫かぶり?それともキャラづくり?まあいいけど❤犬飼伊介、いがみっつ。ところでそっちの…お侍さん?年いくつ?」 「俺かい、さて70ちょいまで生きたはずだが、今の体は若いころ…20かそこらじゃないか。恋をするにはいい年頃だ」 「もう、話がそれているゾ☆私は察してると思うけどキャスター、よろしく☆で、お話というのは手を組まないかってことね」 マスターが何か言いたげな顔をするが、視線を送りここは私のステージだと主張。交渉を進める。 敵にチカラを示し、警戒を引き出したところで協力を申し出る。交渉の材料は見せたし、自らの能力でさらに必要な材料は掴みとっている。 対魔力持ちのサーヴァントならできずとも、並のマスターの記憶を軽く読むくらいならリモコンによる調整がなくともやれないことはない。 「見ての通り支配力なら負けない自信あるけどぉ、野蛮力には自信がなくって☆ お姉さんとお侍さんはお祭りの会場と経験値力が欲しいみたいだからぁ、私が目になってアゲル。 見つけた敵はアナタ達に譲るわ。そういう同盟☆」 己が心中を見透かしたような、否、実際に覗いていなければ出ないような都合のいい同盟に警戒と嫌悪を強めるルキア。 確かに目的は果たせるのかもしれないが、こちらが一方的に危険を蒙るようなものを容易く受けたいとは思わない。 「それではあまりにも――」 「簡潔にまとめてもらえるかい。そっちが提供するもの、こっちに求めるもの」 切って捨てようとするマスターに対して話を続けろ、と求めるサーヴァント。 その表情は一軍を纏めた大将のもの……傾奇者といわれた男だが、それでも歴史に名を刻んだ武将なのだ。 それを見て対する少女も態度を改める。 「こちらが用意できるのは兵力。決して逆らわず、何にも怯えぬ忠実なる駒を。そして……」 ちらり、とマスターをみて 「腕利きの暗殺者と、心を操るサーヴァント。求めるのは優れた武人…私たちの見つけた敵を正面から打ち倒せる実力の持ち主」 先ほどまでの気儘な様子は鳴りを潜め、科学の都市で5本の指に入る頭脳をもつ才女の面を露わにする。 経験はないが、さながら軍師のごとく槍兵の走る戦場を整えることを提言する。 その様子は英霊ならざる二人は割って入るのを戸惑うほど。 「……上等!祭りは人数が多い方がいいってもんだ、一緒に踊ろうじゃあないの!」 「ふふっ、前向きな返事がもらえて私も嬉しいんだゾ☆」 重くなった空気を吹き飛ばすように再び陽気な振る舞いを見せる2人のサーヴァント、握手なんてしている。 「お、おいちょっと待て!私を抜きで勝手に話を進めるな!」 蚊帳の外だったルキアが従僕に苛立ち露わに掴みかかるが 「マスター、一度決まったことを翻すなんて無粋な真似はよしなよ。ほらほら、一緒に笑って笑ってぇ!別嬪が台無しだぜ?」 軽くいなされてしまう。こちらを責めても甲斐はないと踏んで、こうなれば相手の非をつけないかと睨めつける。 「ぐ、ならお前たちの願いを教えてもらおう。それ次第では共闘はできん」 ランサーは殺しを良しとしないし、自分もまた咎なき命を奪いたくはない。 参加者でないとはいえ、クラスメートを操るというのも…甘いかもしれないがいい気持ちはしないのだ。 他称暗殺者と倫理観の欠けたサーヴァント、その願いが犠牲を強いるものならばランサーとて前言の撤回を考える、と思ったが 「え~、乙女の願いを知りたがるなんて野暮なんだゾ☆」 「伊介はー、パパとママと幸せに過ごすだけのお金が欲しいなーって❤」 片や無回答、片や身勝手ではあるが否定はしにくい願い。 これでは協力関係の破綻に直接は繋がらないだろう。 力を分け与えた死神代行のごとく眉間にしわを寄せるが 「…いいだろう、私の願いはそこのサーヴァントがさっき話した通りだ。よろしく頼む」 ひとまず同盟関係を受けいれるしかない、と諦めた。 それを見て内心安堵の息を突くキャスター……そしてランサー。 (よかったよかった。窮地、とまではいかねえが面倒事は避けられたな) 圧倒的優位にあったはずのランサー。 確かに彼はCランクの対魔力に加え傾奇者という高ランクの精神耐性スキルを保持しており、このキャスターは脅威となり得ないが、マスターは別だ。 マスター、ひいては令呪を掌握されては自身も危ない。 そのため怪しいそぶりを見せたら即座に対応できるよう前に出ていた。 それでも敵の能力を正確に把握するためあえて生徒への使用を見逃したところ、その脅威を正確に認識した。 この女はキャスターを冠するに相応しい難敵だと。 そして交渉の中で忍ばせた暗殺者という単語。 味方につければ優秀な手札となるが…敵に回せば厄介な毒になるのは明白。 もし同盟を蹴っていればどうなったか。周囲のすべての人間、暗殺者の脅威とキャスターの術が敵に回るぞ、と脅してきたのだ。 10や20の人は問題ない、生前もそれくらいなら軽く打ち負かしてきた。 しかし手の内定かでない二つの要素からマスターを守れるか不安はあった。 しのいだとしても万一取り逃がせば洗脳された無数の敵と腕利きのマスターによる暗殺の危機だ、そいつは避けたい。 ならば協力関係を結んだ方が当面の利益にはなる。 (まったく巧みなかけひきだ。この戦は痛み分け、ってな) だが、油断はならない。まだかけひきは続いている。 (求めるものは優れた武人…そこにマスターは必要なく、また俺の人格も不要なんだろ?生き残るのが一組な以上当然だが背中に注意っと) 考えが読まれているのを確かめた以上、下手にマスターに相談もできない。 離れずに護衛に着いた方がいいだろう。 それに相手が他に何が出来るのか把握しなければ後手にまわる羽目になる。 ひょっとすると自分も操られてしまうかもしれない。 (ふむ…能力の行使に使っていたカラクリ、リモコンってやつか?遠くのものを操る道具だったか? それに制服ってやつを着こなしているし、装身具もなかなかハイカラだ。 ナウなヤングって奴か。近現代の英霊と見たぜ) 詳しく絞ることはできないが考察を進める。能力の隙を見出し、この喧嘩に勝つためにも (さあ、一丁、知恵比べとしゃれ込もうか) そんなランサーを見つめる少女、犬飼伊介。 (んー見た目はハタチ、頭脳はベテランかー。アリかナシか微妙なとこね❤) キャスターとのかけひきで見せたあの目付き…あれは東はおろかママでもできはしないだろう。 それと張り合って見せるキャスターを少なからず見直したのは事実だが (やっぱムカつく❤あたしのこと無視して話進めちゃって) こっちは戦えないキャスター、対して優秀なステータスのランサーが目の前にいる。 加えてそれがちょっとだけアリ?と思えなくもない男なら (「目移りするなっていうのが無理なハナシよね❤」なんて考えてるのもお見通しだゾ☆) マスターもそれは承知の上なのだろうからわざわざ伝えはしない。 彼女の勝手な行動のせいでランサーの接近を許す羽目になるし、敵マスターは同盟に反対するし、必死の交渉は評価されてはいるようだが賞賛はされてないし、気疲れした。 (そうだ、ちょっとイタズラしちゃおうかしらぁ☆) 朽木ルキアへの軽い精神干渉。これは…そう、警告だ。 私の能力に反旗を翻そうとしたらすぐに対応できるんだゾ☆という証明。 けっしてやつあたりではない。違うったら違う。 (とりあえず…あの人女好きみたいだし、スカートの中身でもサービス☆) ただの人間の腕の動きをちょっと操作するくらいならリモコンもいらない。 バサッとお披露目してネタバラシ、のつもりだったが (……あれ?) 手ごたえがおかしく、操作できなかった。思考を読むのは問題なくできたのに…… (ふぅん、ランサーだけじゃなくてあの娘も当たりだったかな?) もし彼女が精神操作に耐性があるなら同盟を組めたのは正解だったかもしれない。自身の幸運に感謝するとともに敵になるであろう協力者への警戒力を引き上げた。 かくして歪な同盟はなる。謀略の中心は間違いなくキャスター、しかし他の3人もまた己が胸の内に願いと思いを秘め、聖杯戦争に挑んでいく。 【C-2/アッシュフォード学園内、高等部一年B組/1日目 早朝】 【朽木ルキア@BLEACH】 [状態]健康 [令呪]残り三画 [装備]アッシュフォード学園の制服 [道具]学園指定鞄(学習用具や日用品、悟魂手甲や伝令神機などの装備も入れている) [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争を通じて霊力を取り戻す。場合によっては聖杯なしでも構わない 1.ひとまずキャスターたちと協力して聖杯戦争に勝ち残る 2.ただし同盟にはあまり乗り気ではない。何かきっかけがあれば解消したい [備考] ※外部からの精神操作による肉体干渉を受け付けなかったようです。ただしリモコンなし、イタズラ半分の軽いものだったので本気でやれば掌握できる可能性が高いです。これが義骸と霊体の連結が甘かったせいか、死神という人間と異なる存在だからか、別の理由かは不明、少なくとも読心は可能でした。 【ランサー(前田慶次)@戦国BASARA】 [状態]健康 [装備]超刀 [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:この祭りを楽しむ 1. ひとまずキャスターたちと協力して聖杯戦争に勝ち残る 2.ただし心底信頼はしない。マスターから離れず護衛をし、隙を突くためにも考察と情報収集 [備考] ※キャスターを装備と服装から近現代の英霊と推察しています。 ※読心の危険があるため、キャスター対策で重要なことはルキアにも基本的には伏せるつもりです。 [共通備考] ※犬飼伊介&キャスター(食蜂操祈)と同盟を結びました。マスターの名前およびサーヴァントのクラス、能力の一部を把握しています。基本的にはキャスターが索敵、ランサーが撃破の形をとるでしょうが、今後の具体的な動きは後続の方にお任せします。 【犬飼伊介@悪魔のリドル】 [状態]健康、ただし『とある科学の心理掌握(メンタルアウト)』によってキャスターに令呪を使った命令が出来ない [令呪]残り三画 [装備]ナイフ [道具]バッグ(学習用具はほぼなし、日用品や化粧品など) [思考・状況] 基本行動方針:さっさと聖杯戦争に勝利し、パパとママと幸せに暮らす 0.ランサーもイイかも❤ 1. ひとまずランサーたちと協力して聖杯戦争に勝ち残る 2.授業はあんまりやる気しない [備考] ※ランサーに対してはほんの興味程度であり、キャスターのことはある程度評価しているのでサーヴァント替えはまだ本気ではありません。 【キャスター(食蜂操祈)@とある科学の超電磁砲】 [状態]健康、魔力消費(小) [装備]アッシュフォード学園の制服 [道具]ハンドバック(内部にリモコン多数) [思考・状況] 基本行動方針:勝ち残る。聖杯に託す願いはヒミツ☆ 0.へぇ、効かないんだ 1. ひとまずランサーたちと協力して聖杯戦争に勝ち残る 2.まずは洗脳した生徒を使って索敵 3.一応ランサーたちへの警戒は怠らない [備考] ※高等部一年B組の生徒の多くを支配下に置きました。あまり一所から集めるとばれる危険が高まるため、他のクラスや学年からも集めるつもりです。 ※ルキアに対して肉体操作が効かなかったことを確認、疑問視及び警戒しています。 [共通備考] ※車で登校してきましたが、彼女らの性格的に拠点が遠くとは限りません。後続の方にお任せします。 ※朽木ルキア&ランサー(前田慶次)と同盟を結びました。マスターの名前とサーヴァントのクラスを把握しています。基本的にはキャスターが索敵、ランサーが撃破の形をとるでしょうが、伊介が授業に出席するのかも含め、具体的な動きは後続の方にお任せします。 BACK NEXT 019 ONE WAY HEART 投下順 021 だからね、あたしは大丈夫だよ 019 ONE WAY HEART 時系列順 021 だからね、あたしは大丈夫だよ BACK 登場キャラ NEXT 007 朽木ルキア&ランサー 朽木ルキア&ランサー(前田慶次) 035 錯綜するダイヤグラム 010 犬飼伊介&キャスター 犬飼伊介&キャスター(食蜂操祈) 035 錯綜するダイヤグラム
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1540.html
E-3、市街地。 涼宮ハルヒは、そこに呆然と立ちつくしていた。 一言で言えば、わけがわからない。 気がつけば体を拘束され、髪の長さ以外は自分とうり二つの少女に演説を聴かされていた。 そして目の前で、一人の男が殺された。 「いやいや、ないから。こんなのあり得ないから。夢よね、夢。絶対そうよ」 うわごとのように呟き、ハルヒは自分の頬をつねる。だが彼女の予想に反し、頬はしっかりと痛みを伝えてきた。 「夢じゃ……ない……? じゃあ、どういうことなのよ、これ。いったい何がどうなれば、こんな状況に陥るわけ?」 「ちょっと、あんた」 混乱したまま独り言を続けていたハルヒだったが、突如声をかけられ反射的に振り向く。 そこには、涼宮ハルヒが立っていた。 「え……?」 「あんた、どこのあたし?」 「は? 何言ってるの、あんた」 もう一人の自分からぶつけられた質問の意味がわからず、間の抜けた表情を浮かべるハルヒ。 相手はその態度にあからさまに不満を見せながら、何かを取り出した。 「まあいいわ。あたしと同じ顔をしてるってことは、あたしの敵ってことよね?」 眼前に突きつけられて、ハルヒはそれが何かを理解する。それは、牛と思わしき装飾が施された大型の銃だった。 「消えなさい!」 物騒な言葉と共に、引き金が引かれる。しかし銃口から飛び出した弾丸は、ハルヒを捉えることはない。 直前に危機を察知したハルヒが、体を捻って斜線上から逃れていたのだ。 (じょ、冗談じゃないわ! 撃たれてたまるもんですか!) なんとか命拾いしたハルヒは、一目散に逃走を開始する。 その背中に向かって何発もの銃弾が放たれるが、幸運にもそれは一発たりとも彼女に命中することはなかった。 「ちぇ、逃がしたか……。やっぱり、素人が銃撃ってもそうそう当たるもんじゃないみたいね……」 獲物を逃したもう一人のハルヒは、忌々しげに呟きながら銃を下ろす。 「完全勝利のために……。早いところ、SOS団のみんなと合流しなくちゃ」 ◆ ◆ ◆ 「はあ……はあ……!」 数分ほど走ったハルヒは、建物の中に飛び込み、そこで乱れた息を整えていた。 本来のハルヒならこの程度の運動など朝飯前だが、命のかかった極限状況ではそうもいかない。 「追ってきてないわよね……? くそっ、何なのよあいつは! このあたしが無様に逃げ回る羽目になるなんて……!」 苛立ちのままに、ハルヒは自分の頭をかきむしる。 「とにかく、ここが紛れもない現実で、殺し合いの真っ最中ってのは理解したわ……。 生き残るために……早いところ、SOS団のみんなと合流しなくちゃ」 【一日目・深夜/E-3・市街地】 【涼宮ハルヒちゃん@涼宮ハルヒちゃんの憂鬱】 【状態】情緒不安定、疲労(小) 【装備】なし 【道具】基本支給品一式、不明支給品1~3 【思考】 基本:死にたくない 1:SOS団メンバーと合流 【涼宮ハルヒ@こなたとハルヒの第二次世界大戦】 【状態】健康 【装備】モウギュウバズーカ@侍戦隊シンケンジャー 【道具】基本支給品一式、不明支給品0~2 【思考】 基本:自分以外の「ハルヒ」を倒す(主催者含む) 1:SOS団メンバーと合流 ※南米でアメリカ連邦と交戦している時期からの参戦です。 Back さすがに1歳児は守備範囲外 時系列順で読む Next 離れ小島を出よう! Back さすがに1歳児は守備範囲外 投下順で読む Next 離れ小島を出よう! GAME START 涼宮ハルヒちゃん Next GAME START 涼宮ハルヒ Next
https://w.atwiki.jp/cfvg/pages/1030.html
ネオネクタール - ドリアード グレード〈2〉 ノーマルユニット (インターセプト) パワー 8000 / シールド 5000 / クリティカル 1 自:[CB(1),他のあなたの《ネオネクタール》のリアガードを1枚選び、退却させる]このユニットがVかRに登場した時、コストを払ってよい。払ったら、あなたの山札からグレード1以下の《ネオネクタール》を1枚まで探し、ユニットのいないRにコールし、その山札をシャッフルする。 フレーバー:やあ、また会ったね。 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 使ってみたいと思う 0 (0%) 2 弱いと思う 0 (0%) 3 強いと思う 0 (0%) 4 面白いと思う 0 (0%) その他 投票総数 0 コメント
https://w.atwiki.jp/touhoukashi/pages/910.html
【登録タグ C-CLAYS か 小峠 舞 悠啼 YU-NARI 曲 神々が恋した幻想郷】 【注意】 現在、このページはJavaScriptの利用が一時制限されています。この表示状態ではトラック情報が正しく表示されません。 この問題は、以下のいずれかが原因となっています。 ページがAMP表示となっている ウィキ内検索からページを表示している これを解決するには、こちらをクリックし、ページを通常表示にしてください。 /** General styling **/ @font-face { font-family Noto Sans JP ; font-display swap; font-style normal; font-weight 350; src url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/10/NotoSansCJKjp-DemiLight.woff2) format( woff2 ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/9/NotoSansCJKjp-DemiLight.woff) format( woff ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/8/NotoSansCJKjp-DemiLight.ttf) format( truetype ); } @font-face { font-family Noto Sans JP ; font-display swap; font-style normal; font-weight bold; src url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/13/NotoSansCJKjp-Medium.woff2) format( woff2 ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/12/NotoSansCJKjp-Medium.woff) format( woff ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/11/NotoSansCJKjp-Medium.ttf) format( truetype ); } rt { font-family Arial, Verdana, Helvetica, sans-serif; } /** Main table styling **/ #trackinfo, #lyrics { font-family Noto Sans JP , sans-serif; font-weight 350; } .track_number { font-family Rockwell; font-weight bold; } .track_number after { content . ; } #track_args, .amp_text { display none; } #trackinfo { position relative; float right; margin 0 0 1em 1em; padding 0.3em; width 320px; border-collapse separate; border-radius 5px; border-spacing 0; background-color #F9F9F9; font-size 90%; line-height 1.4em; } #trackinfo th { white-space nowrap; } #trackinfo th, #trackinfo td { border none !important; } #trackinfo thead th { background-color #D8D8D8; box-shadow 0 -3px #F9F9F9 inset; padding 4px 2.5em 7px; white-space normal; font-size 120%; text-align center; } .trackrow { background-color #F0F0F0; box-shadow 0 2px #F9F9F9 inset, 0 -2px #F9F9F9 inset; } #trackinfo td ul { margin 0; padding 0; list-style none; } #trackinfo li { line-height 16px; } #trackinfo li nth-of-type(n+2) { margin-top 6px; } #trackinfo dl { margin 0; } #trackinfo dt { font-size small; font-weight bold; } #trackinfo dd { margin-left 1.2em; } #trackinfo dd + dt { margin-top .5em; } #trackinfo_help { position absolute; top 3px; right 8px; font-size 80%; } /** Media styling **/ #trackinfo .media th { background-color #D8D8D8; padding 4px 0; font-size 95%; text-align center; } .media td { padding 0 2px; } .media iframe nth-of-type(n+2) { margin-top 0.3em; } .youtube + .nicovideo, .youtube + .soundcloud, .nicovideo + .soundcloud { margin-top 0.75em; } .media_section { display flex; align-items center; text-align center; } .media_section before, .media_section after { display block; flex-grow 1; content ; height 1px; } .media_section before { margin-right 0.5em; background linear-gradient(-90deg, #888, transparent); } .media_section after { margin-left 0.5em; background linear-gradient(90deg, #888, transparent); } .media_notice { color firebrick; font-size 77.5%; } /** Around track styling **/ .next-track { float right; } /** Infomation styling **/ #trackinfo .info_header th { padding .3em .5em; background-color #D8D8D8; font-size 95%; } #trackinfo .infomation_show_btn_wrapper { float right; font-size 12px; user-select none; } #trackinfo .infomation_show_btn { cursor pointer; } #trackinfo .info_content td { padding 0 0 0 5px; height 0; transition .3s; } #trackinfo .info_content ul { padding 0; margin 0; max-height 0; list-style initial; transition .3s; } #trackinfo .info_content li { opacity 0; visibility hidden; margin 0 0 0 1.5em; transition .3s, opacity .2s; } #trackinfo .info_content.infomation_show td { padding 5px; height 100%; } #trackinfo .info_content.infomation_show ul { padding 5px 0; max-height 50em; } #trackinfo .info_content.infomation_show li { opacity 1; visibility visible; } #trackinfo .info_content.infomation_show li nth-of-type(n+2) { margin-top 10px; } /** Lyrics styling **/ #lyrics { font-size 1.06em; line-height 1.6em; } .not_in_card, .inaudible { display inline; position relative; } .not_in_card { border-bottom dashed 1px #D0D0D0; } .tooltip { display flex; visibility hidden; position absolute; top -42.5px; left 0; width 275px; min-height 20px; max-height 100px; padding 10px; border-radius 5px; background-color #555; align-items center; color #FFF; font-size 85%; line-height 20px; text-align center; white-space nowrap; opacity 0; transition 0.7s; -webkit-user-select none; -moz-user-select none; -ms-user-select none; user-select none; } .inaudible .tooltip { top -68.5px; } span hover + .tooltip { visibility visible; top -47.5px; opacity 0.8; transition 0.3s; } .inaudible span hover + .tooltip { top -73.5px; } .not_in_card span.hide { top -42.5px; opacity 0; transition 0.7s; } .inaudible .img { display inline-block; width 3.45em; height 1.25em; margin-right 4px; margin-bottom -3.5px; margin-left 4px; background-image url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2971/7/Inaudible.png); background-size contain; background-repeat no-repeat; } .not_in_card after, .inaudible .img after { content ; visibility hidden; position absolute; top -8.5px; left 42.5%; border-width 5px; border-style solid; border-color #555 transparent transparent transparent; opacity 0; transition 0.7s; } .not_in_card hover after, .inaudible .img hover after { content ; visibility visible; top -13.5px; left 42.5%; opacity 0.8; transition 0.3s; } .not_in_card after { top -2.5px; left 50%; } .not_in_card hover after { top -7.5px; left 50%; } .not_in_card.hide after { visibility hidden; top -2.5px; opacity 0; transition 0.7s; } /** For mobile device styling **/ .uk-overflow-container { display inline; } #trackinfo.mobile { display table; float none; width 100%; margin auto; margin-bottom 1em; } #trackinfo.mobile th { text-transform none; } #trackinfo.mobile tbody tr not(.media) th { text-align left; background-color unset; } #trackinfo.mobile td { white-space normal; } document.addEventListener( DOMContentLoaded , function() { use strict ; const headers = { title アルバム別曲名 , album アルバム , circle サークル , vocal Vocal , lyric Lyric , chorus Chorus , narrator Narration , rap Rap , voice Voice , whistle Whistle (口笛) , translate Translation (翻訳) , arrange Arrange , artist Artist , bass Bass , cajon Cajon (カホン) , drum Drum , guitar Guitar , keyboard Keyboard , mc MC , mix Mix , piano Piano , sax Sax , strings Strings , synthesizer Synthesizer , trumpet Trumpet , violin Violin , original 原曲 , image_song イメージ曲 }; const rPagename = /(?=^|.*
https://w.atwiki.jp/bizarre/pages/208.html
私が駅へ向かったのは本当にただの偶然。 駅前なら人が集まりそうだから、向かってみる価値はあるかもしれない。 それが味方なら運が良いし、敵なら倒すまで。 そう考えていたのだけど、 バグオォォォ~~~ンッ!! 実際の駅は、正に戦闘中だった模様。 そして、爆発に巻き込まれたのか、一人の男が放り出されるのを遠目に確認した。 吹き飛んだ男を、ペット?が介抱している。 よく解らないけど、あの男が味方になるかどうか話し掛ける必要がありそうね。 そう考え、私はその男の元へ向かった。 * * * 全く、とんでもねぇとばっちりを喰らっちまったぜ。 それもこれも、この疫病神以外の何でもねぇ 「あぁ、ご主人様。お次はどうなさいましょう」 お付き人(いや、お付きスタンドか?)のせいでよ。 骨折、ってのはちとヤバイぜ。 取り敢えずスター・プラチナは拳を振るえるようだが、 俺自身が、余り激しい動きが出来なくなっちまってる。 「取り敢えず、てめぇは黙れ。俺の許可無しには一切喋るんじゃねぇ」 「…」 そう言った途端、ヨーヨーマッはバカ正直に口を噤んだ。 ったく、役に立つんだか立たねぇんだか。いや、確実に邪魔だな、コイツは。 そんな事を考えている時だった。 俺の前に一人の女が姿を現したのは。 女はまっすぐ俺の方へ向かって来る。 出来れば関わりたくねぇが、向こうさんが俺を素通りする気が無さそうだ。 案の定、女は俺に声を掛けて来た。 「貴方、怪我をしているの?」 「…失せろ、アマ」 近付いて来る女に警告。 「礼節を弁えていない人間の様ね。 あの子の事を思い出すわ」 失せろと言ったのに、このアマ俺の方へ近付いて来やがる。 「それ以上近付くと、そのおキレーな顔が2度と見れない位に歪む事になるぜ」 再度の警告。しかし奴は平然と近付いて来る。 仕方ねぇ。 「オラアッ!」 俺は右拳を女の顔面に繰り出した。が、 バチィッ!! 「ぐっ」 俺の攻撃は静電気みたいな衝撃と共に弾かれた。 「貴方の攻撃は私には届かない。 私の全身に波紋を巡らしているから」 「…!」 今、コイツ何と言った? 「テメェ、今“波紋”と言ったな?」 波紋といやぁ、俺の中に思い付くのは一人の人間だけだ。 「あら、波紋の事を知っているの?」 「一つ質問に答えろ」 「先に質問したのは私なんだけど、まあいいわ。何かしら?」 「ジョセフ・ジョースターという名に聞き覚えは?」 「!!」 それまでクールだった女は、その名を聴いた瞬間 傍目でも解り過ぎる位露骨に驚きの表情を浮かべた。 「…あるわ」 「ジジイとの関係は?」 「ジジイ?」 「ジョセフ・ジョースターの事だ。奴は俺の祖父なんでな」 「…」 女は直ぐに返答を寄越さなかった。 答えられない質問なのか? 「…成程、やはり時空を操れると云う能力が一番しっくり来る」 いや、違う。俺の質問自体に何か思う所があるみたいだ。 「取り敢えず、その質問に答える前にこの場を離れない? 貴方とはじっくり話す必要がありそうだし、 こんな所で立ち話してたらいつ敵に襲われるか分かった物では無いわ」 暫く考え込んでいた女はふと顔を上げ、そう言って来た。 そして近くの家に入ろうとする。 「…やれやれだぜ」 その時、後ろの方から大きな音がした。 この女の提案は正しかったようだな。 こんな見晴らしの良い所で井戸端会議してりゃ、 ココが今の爆発音の爆心地になってもおかしくねぇ。 音の正体を確かめたいが、先ずはこの女の話を聴く方が先だ。 そう考えながら、俺は女の後に続いた。 俺の後にヨーヨーマッが続く。 ちっ。付いて来なくて良いのに。 「ジョセフ・ジョースターは、私の息子よ。私は1950年前の人間」 近くの家に身を潜めるなり、この女はそう言って来た。 「…」 「『何、馬鹿な事を言ってんだ、このアマ』って顔をしてるわね」 「当たりだ。一言一句」 「良い事を教えてあげる。私の他に、1950年以前からこの街へ飛ばされてきた人間が何人か居るわ。 ジョナサン・ジョースター、ツェペリ、シュトロハイム、そしてこの私。 他にシーザー、ジョセフもその可能性があるわね。 今は私の言う事を信じなくても良いわ。ただ、今私が言った人間に会ったら確認してみなさい。 私の言う事が正しいと解るわ」 「…」 「つまり私が言いたい事は、ゲーム参加者は色々な時代から集められていると云う事」 「フン」 信じられるか、と顔を背けようとして、俺は一点ゲーム開始から気になっていた事を思い出す。 そういえば、何故花京院、イギー、アブドゥルは生きているのか、この疑問に俺は答を見い出していなかった。 しかし、この女の言う事が正しければそれらの疑問にも説明がつかないか? つまり、アブドゥル達は、死ぬ前の時に此方に連れられて来た、と考える事が…。 「どうかした?やっぱり信じられない?」 「いや、アンタの言う事が正しそうな根拠に一つ思い当たっただけだ」 と、そこまで言っていて、初めて俺の袖を引く存在に気付いた。 ヨーヨーマッだ。 「何だ、鬱陶しい」 そう言ってヨーヨーマッから袖を引き剥がそうとすると、 「…」 ヨーヨーマッは無言で名簿を見せてきた。 そして幾人かの名を指差す。 ジョナサン・ジョースター、ウィル・A・ツェペリ、シュトロハイム、シーザー、ジョセフ この女の言っていた名がある。 デタラメじゃなさそうだ、とヨーヨーマッは言いたい訳だ。 フン。黙れという命令はしっかり守っている様だな。 まあ、コイツが口を開けたらこの女とも戦う羽目になるかも知れねぇから、その方が良い。 「おい、曾婆さんよ」 「それって私の事?」 「ジジイの母親なら、そういう事になるだろうが。 てめぇの名はエリザベス・ジョースターで良いのか?」 「御名答。よく分かったわね」 「名簿で、ジョースターの名が付く女はそれ位だ」 「成程。抜け目の無さも祖父譲り、か。相手が敬愛する先祖だろうと不遜なその態度も。 それで、貴方の名は?」 横から名簿を覗きながら、ババァが訊いて来た。 「空条承太郎」 「じゃあ、この空条徐倫って子は貴方の血縁者?」 「?」 言われて気付いた。 そういえば、空条の姓を名乗る人間がもう一人居た。 「いや、知らねぇ」 「じゃあ、貴方の子孫かも知れないわね。 丁度、今の私と貴方の関係の様に。 …あら、私の祖父の名前もあるわ」 そう言ってババァが指した名は、ジョージ・ジョースター1世。 なんだ、このゲームはジョースター家の祭典か? 「兎に角だ」 俺は頭を切り替え、ババァに向かって一番重要な事を訊ねる。 「てめぇの目的は何だ」 「えぇ。それを私も話したかったの」 そう前置きをして、ババァは説明を始めた。 「病院で、私の義父ジョナサンとシュトロハイムがスタンド使いに襲撃され、ジョナサンがその命を落とした」 「…」 「私とツェペリの2人は、ジョナサンに命を救って貰いその場を逃げ出したシュトロハイムと会ったの。 そしてシュトロハイムからその事実を聴いた私達は、 第4放送までに仲間を集め、ジョナサンの仇討ちを決行する事にした」 「それを手伝えってんならお断りだ」 ババァの用件が大体読めた俺は、先にその答を言った。 「何故?」 「俺は俺で見つける仲間が居る。倒さなきゃならない敵が居る。 そっちの都合に構ってるヒマはねぇ」 「貴方の先祖様が殺されたのに、何とも思わないの?」 「俺にだって思う所はある。だが、今捜している仲間達も、それに勝るとも劣らない存在だ」 「…」 暫く考え込んでいたババァは、不意に顔を上げた。 「なら、こうしましょう」 「?」 「貴方の仲間の名を教えて。その人に会ったら第4放送時に病院前に来るよう伝えるわ。 その代わり、貴方も仲間集めを手伝う事。 此れなら御互い利益になると思わない?」 「…」 悪く無い話だ。 特に、この女の素性を考えれば、この話が詐欺である可能性は低い。 病院襲撃につき合わされるのは面倒だが、 俺のご先祖様を殺している野郎を放置する訳にもいかねぇし、 何より仲間に会える確率が飛躍的に上がる。 ならば、この話には乗った方が良いだろう。 「…解った」 俺はババァに向かって承諾の意を告げた。 * * * その後、承太郎と私は一通りの事を話した。 御互いの情報は、 ○承太郎の話 仲間;ポルナレフ、花京院、アブドゥル、イギー 敵;DIO、ホル・ホース、ミドラー、ペットショップ、ヴァニラ・アイス 情報;駅にタルカスともう1人居る。 ○私の話 仲間;ツェペリ、シュトロハイム、シーザー、岸部露伴、岸部露伴の仲間 敵;ストレイツォ、ワムウ、カーズ、ブラフォード、タルカス、ディオ タルカスが駅に居る事には驚いたけれど、 此れはツェペリさんに後で報告すれば良い。 「で、これからどうするつもりなんだ?」 「別行動を取りましょう。第4放送時に病院で待ち合わせ、それで良い?」 「あぁ、問題ねぇ」 「私は此れから取り敢えず南へ向かうわ。 シュトロハイムは南東へ向かって行った。 ツェペリさんは…まだ北の崩壊した家の辺りをうろついているかも知れないわね。 その2人に会って、2人にも貴方の仲間捜しの協力を依頼するのも良し、2人の居ない所を捜すも良し。 貴方の好きになさい」 「…」 承太郎は無言で立ち上がった。そして、 「崩れた家に言った後、東へ向かう」 とだけ言って家を出て行った。 「さて、じゃあ私も予定通り南へ行くとしますか」 彼が出て行った後、私も立ち上がる。 「太陽が…高い」 扉を開け、空を眺めた私の感想が其れだった。 そして私は太陽の方角へ…南へ向かって歩き出した。 【駅前の一軒家(E-3)から南へ/1日目/昼】 【リサリサ】 [能力]:波紋 [時間軸]:第二部終了後。ジョセフとの母子関係を明かしアメリカ移住を決めた頃 [状態]:右脛に小さな傷があるが治療済み。 冷酷に振舞っているが、冷静ではない [装備]:アメリカンクラッカー×2 [道具]:支給品一式、薬草少々(ツェペリと公平に分けました) [思考・状況]: 1)ジョセフの死はこの目で見るまでは信じない。他の死者に関しては保留 2)第4回放送までに病院(C-4)襲撃の為の仲間を探す。 特にシーザー、岸辺露伴 3)ついでに承太郎の仲間も探す 4)ジョセフの死を肯定するものは信頼しない。あくまで病院襲撃の手駒として利用するまで 5)もちろんワムウ、荒木には警戒する 6)未知の技術『スタンド』についてさらなる検証を重ねる 【駅前の一軒家(E-3)から北へ/1日目/昼】 【空条承太郎】 [スタンド]:スタープラチナ [時間軸]:ロードローラーが出てくる直前 [状態]:左腕骨折。全身に火傷。背中を強く打っている。冷静(荒木、DIOに対しての怒りはある) [装備]:なし [道具]:デイパッグ [思考]: 1)露伴の家に行き、ツェペリに会う。ツェペリにリサリサとの話をし、自分の仲間も一緒に探すよう話す 2)ツェペリに会った後、東へ(仲間や協力出来そうな参加者を探す) 3)ヨーヨーマッを利用する(そろそろウザイ) 4)荒木を倒す、DIOを殺害する。駅にいた奴ら(ワムウ達)は無視 5)『過去の人物の名』にやや疑問 [補足1]:承太郎とリサリサが家に入る時に聞こえた音は、康一とプッチの戦闘の音です。 [補足2]:承太郎にとってリサリサは曾祖母ですが、『曾ババァ』と呼ぶのが面倒なので、承太郎から見て年取ってる人間と云う意味で『ババァ』と呼んでいます。 【ヨーヨーマッ(支給品)】 [現在の主人]空条承太郎(主人変更の命令があれば主人は変わる。ただし変更対象人物の同意が必要。 主人変更の命令をされた時、次の主人候補がヨーヨーマッの視界に入っていなければ命令は無効化される) [装備]:マスク [持ち物]:なし [任務]: 1)承太郎を“助ける” [補足]: 1)ヨーヨーマッは攻撃出来ない。能力も完全に封じられている(主人がヨーヨーマッ自体を利用して攻撃というのは可能かも知れない) 2)主人の命令には絶対服従。しかし、命令を曲解して受け取ることもあるかも知れない。(ヨーヨーマッを殺すような命令には従えない) 3)ヨーヨーマッは常に主人の半径20メートル以内に居なければならない 4)ヨーヨーマッの主人が死んだ時又はヨーヨーマッが規則を破ったならヨーヨーマッは消滅(荒木によってDアンGの首輪が爆破される) 投下順で読む 前へ 戻る 次へ 時系列順で読む 前へ 戻る 次へ キャラを追って読む 70 Excuse Me!考え中 空条承太郎 88 意気投合 64 SZR~surround zone readers~ リサリサ 101 擬似娚愛は嫐乱す(前編)