約 45,018 件
https://w.atwiki.jp/tarowa/pages/442.html
銀の邂逅 月の相克(中編) ◆KKid85tGwY 二度目の放送を終えてからのシャドームーンが取った進路は、大よそ次のような物だった。 当初は地図上の西端に居たシャドームーンは東の市街地へ向けて進路を取る。 その際、道路を使わずに森を進んでいったのだ。 別段、深い考えがあった訳ではない。 シャドームーンの能力ならば、道路を行こうが森を行こうが労力は変わらない。 ならば元より急ぐ必要も無かったシャドームーンは、 森の中に有る廃洋館等に寄り道をしながら市街地へ向かうことにした。 そして廃洋館の次に寄ろうとした展望台へ向かう途中に参加者が居たことは、 多少の退屈をしていたシャドームーンにとって幸運と言えた。 森の中に潜んでいたのは二人。一人は人間ではない。 全く得体の知れない二人だが、シャドームーンにとってはどうでもいいこと。 出会う全てが殺す対象なのだから。 そしてそれは殺し合いに乗っているからでは無い。 シャドームーンはゴルゴムの世紀王であり、 ゴルゴムは敵対する如何なる存在も絶対に許さない。 それは、只隠れて様子を伺う程度の反意でも例外ではない。 何故ならゴルゴムは、世界の全てを支配し蹂躙する存在。 人類がその歴史を紡ぎ出すより遥かに太古から存在し、世界を裏より支配した暗黒結社ゴルゴム。 シャドームーンが世紀王に即位した現在、遂に歴史の表舞台に姿を現し、 圧倒的な戦力で日本と言う国家その物の征服を果たした。 そしてゴルゴムの最終的な目的は世界の全てを支配すること。 その世界にはゴルゴムに抗う者はおろか、屈服し従わぬ者の存在すら絶対に許さない。 一辺の例外も無く、世界の全てがゴルゴムに膝まずく。それがゴルゴムの野望。 その頭脳までがゴルゴムに改造され、自我を完全に世紀王の物に塗り変えられたシャドームーンは、 最早ゴルゴムその物とさえ言える存在となっていた。 当然、シャドームーンもまた自らに僅かでも反抗する可能性を持つ者を絶対に許さない。 それが只の高校生であろうと、生命を宿した人形であろうと関係無い。 自らに屈服せぬ者は全てを打ち倒す。 彼がゴルゴムの世紀王であるが故に。 カシャ カシャ カシャ カシャ 月と水銀燈に確実な止めを刺すべくシャドームーンは歩を進める。 月も水銀燈もシャドームーンの相手では無い。 当然だとシャドームーンは考える。 自分は世紀王。世界の全てを支配する者。 同じく世紀王か創世王で無い限り、シャドームーンに敵う者など存在しないのだ。 不意に水銀燈から光が放たれる。 そして水銀燈は再び黒龍を伸ばした。 しかし黒龍はシャドームーンへ攻撃せず、森の中を縦横無尽に飛び回っている。 目暗ましのつもりかとマイティアイで透視してみるが、月と水銀燈はその場から動いている様子は無い。 二人は何かを話しているようだが、龍が森の中を暴れ回っているせいで、 シャドームーンの聴力でも内容は聞き取れない。 突如、黒龍が大顎を開けてシャドームーンに襲い掛かる。 無論、その程度で不意を衝かれるシャドームーンではない。 シャドームーンの腕力なら軽々と振り払える。 筈が、予想以上の衝撃を受け止めてシャドームーンの足が止まった。 更にもう一頭の黒龍がシャドームーンを掬い上げるように襲い掛かる。 改造はされていても人間と大きく体重が変わらないシャドームーンは高々と宙を舞った。 シャドームーンにダメージは無く軽々と足から着地できたが、意表を衝かれたと言う思いを拭えない。 黒龍は明らかに威力を上げていた。 「うふふ、簡単に吹っ飛んじゃった」 シャドームーンの眼前に、水銀燈が悠々と降りて来る。 只単に態度が違うと言うだけではない。 水銀燈の気配その物が先ほどまでと違っていた。 原理は判らないが、おそらく水銀燈自身が力を増している。 水銀燈が背後へ飛び退きながら、黒羽の弾丸を飛ばす。 やはり黒羽はシルバーガードを傷つけることは叶わない。 しかし、水銀燈は黒羽を発射しながらシャドームーンの背後から黒龍を仕掛けた。 「図に乗るな」 広視界と透視を兼ね備えたマイティアイを有するシャドームーンに死角は無い。 黒龍へ光線状のシャドービームを放つ。 シャドービームとその余波は一撃で黒龍を霧散させた。 その一撃でシャドームーンは確信する。 水銀燈がどれほど力を得ても、キングストーンを持つ自分の方が出力は上であると。 シャドームーンは更に水銀燈へ向けてシャドービームを放つ。 水銀燈は高速飛行でビームを回避する。 高速飛行のまま森の草木の間を潜り抜けて行く。あれではシャドービームで狙うのは難しい。 マイティアイによる解析より速度が上がっている。 体重は同じまま出力が上昇したために、加速度も上昇したのだろう。 それでもシャドームーンの五感と身体能力を超える物ではない。 マイティアイは瞬時に水銀燈を捕捉。 森の草木を苦もせずに、水銀燈との距離を詰めるシャドームーン。 次の瞬間、黒羽の弾幕がシャドームーンを覆った。 それでもやはり弾幕は、シャドームーンに傷一つ付けられず足止めにもならない。 その足が不可視の壁に当たって止まる。 水銀燈の発した防御壁がシャドームーンの足先で波紋を作っていた。 シャドームーンは眼前の防御壁に対してサタンサーベルを振るう。 その一閃は空中の波紋を真っ二つに切り裂き、防御壁を消滅させた。 しかしその時には水銀燈は距離を離していた。 戦闘能力の高さを活かして追うシャドームーンと、小柄な体格と森と言う地形を利して逃げる水銀燈の構図が続く。 水銀燈は明らかにヒットアンドアウェイの戦術を取っていた。 影の名を冠する白銀の魔王が、猛打攻勢に出るのを、 銀の名を冠する漆黒の人形が、刹那の間合いで避け続ける。 しかしその追跡劇も、徐々にシャドームーンの側に天秤が傾き始めていた。 「フッ。何のつもりで時間を稼いでいるかは知らんが、それももう終わりだな」 「……自然は大切になさい。お馬鹿さん」 呆れた様子の水銀燈の周囲では、森を構成していた木々が横倒しに転がっている。 あるいはサタンサーベルで切り落とされ、あるいは根こそぎに殴り倒され、 シャドームーンの手によって、全て倒されていた。 身を隠す森が無くなれば、水銀燈とてシャドームーンを相手にヒットアンドアウェイを続けることができない。 邪魔となる障害が無くなり、シャドームーンは悠々と水銀燈へと歩を進める。 その視界を黒龍が埋め尽くした。 シャドーチャージャーからチャージしたエネルギーを拳に込めて撃ち出す。 キングストーンのエネルギーとエルボートリガーより発生する超振動のエネルギーを併せて放つ拳、シャドーパンチ。 シャドーパンチの威力は、一撃で黒龍の巨大な頭を爆散。 爆散した黒龍は無数の黒羽と化す。 そしてシャドームーンの周囲を舞い散る黒羽は、蒼い炎を発した。 シャドームーンは大儀そうにサタンサーベルを横薙ぎに振るう。 一閃で炎は払い飛ばされた。 今の隙に姿を消した水銀燈をマイティアイで探るシャドームーン。 高速飛行する水銀燈が飛び込んだ先は、巨大な展望台だった。 (あの建物には、人間も逃げ込んでいたな……) シャドームーンは水銀燈と戦いながらもマイティアイの広視界で随時、月の動向も把握している。 月は重そうな身体を引きずるように、展望台に逃げ込んでいた。 マイティアイで展望台の内部を透視する。 やはり水銀燈と月が居て、何かを話している。 恐らく先ほどから、何か作戦があっての行動だろう。 だが展望台の中なら水銀燈の動きも制限される。展望台の外からの攻撃で倒すことも可能だ。 しかしそれなら中に入って倒した方が早く確実である。 ゴルゴムの王は世界を制する者。 中で如何なる策が張り巡らされていても、阻む物は全て蹂躙し尽くしてこそ世紀王。 一抹の躊躇も逡巡も無く、シャドームーンは展望台に正面玄関から入っていく。 カシャ カシャ カシャ カシャ 展望台の内部は各階層毎に幾つもの部屋で仕切られていて、更に一階は正面玄関からホールに続いている。 招かれざる客、シャドームーンは堂々と足音を鳴らしながらホールへ進んで行く。 その先には水銀燈が宙に浮いて待ち受けていた。 「どうした? ようやく逃げ隠れをしても時間の無駄だと判ったか?」 「芸の無い挑発ねぇ。もう少し気の利いたことが言えないのかしら」 シャドームーンがサタンサーベルで斬り掛かる。 水銀燈はそれを避ける、と言うより偶々同じタイミングで背後の部屋へと窓から飛び込んだ。 「芸が無いのはどっちだ」 状況から考えて何らかの戦術の変化を予想していたが、水銀燈は相変わらず逃げの手を取る。 どれほど逃げても、シャドームーンの手からは逃れられないことを、まだ判っていないらしい。 マイティアイの透視の前には、部屋を仕切る壁など存在しないも同然。 即座に水銀燈の位置を捉える。 『シャドームーン、僕の名前は夜神月。今戦っている彼女は水銀燈だ』 水銀燈へシャドービームの狙いを付けた瞬間、不意に男の声が“周囲から響いた”。 ブラックサンと同じく聴覚も強化されたシャドームーンは、容易に声の発生源を把握する。 宿泊施設も兼ねているこの展望台には、施設内全体に放送を行うための設備が整っている。 そのために設置された幾つものスピーカーから、シャドームーンへ向けて語り掛けてきたのだ。 シャドームーンは透視で、一階に居る月を見付ける。 太い柱に如何にも身体が重そうに寄り掛かっていた月は、ハンドマイクを手にしていた。 恐らく、それを通して放送を行っているのだろう。 『君がどんな事情で殺し合いに乗っているのかは知らない。だが僕たちは殺し合いの阻止を目的としている』 月が建物内に居ることを確認できたので、シャドームーンはまず水銀燈に狙いを絞ることにした。 水銀燈はその機先を制するように、窓越しに羽を飛ばしてきた。 窓ガラスを割りながら、弾道にも弾速にも全く影響が無いことから見ても、 水銀燈の羽弾の威力の程が伺える。 それでもシャドームーンは小揺るぎもしない。 水銀燈の如何なる攻撃をどれほど積み重ねても、シャドームーンに傷を付けることも叶わないのは明白。 そしてシャドームーンの攻撃は一つでもまともに当たれば、恐らく水銀燈の命は無い。 勝敗は既に決まっている。後は時間の問題なのだ。 『具体的な方法としては参加者で結託し、首輪を解除するなどして殺し合いそのものが維持できない状況にすることを指針としている』 月が放送で世迷言を続けているが、シャドームーンにとっては無意味な話だ。 そう、“不愉快”や“不可解”と言うことではない。シャドームーンにとっては“無意味”な話なのだ。 シャドームーンは月に構わず水銀燈を狙い、シャドービームを撃つ。 しかし眼前に有る壁が炸裂した水銀燈は、寸前で急発進に飛行してシャドービームを避ける。 外れたシャドービームは壁を無きがごとくに貫通していき、展望台の外まで飛び出した。 水銀燈は部屋の密集している建物内を、シャドームーンと一定の距離を保ちながら飛び回る。 どうやら付かず離れずにヒットアンドアウェイの戦術を取り続けるのが水銀燈の作戦のようだ。 幾ら透視ができると言っても、実際に攻撃をする際には障害物の存在を無視することはできない。 水銀燈は自らの小柄と加速能力を駆使して回避に専念。 その上建物の中を高速飛行しているため、様々な雑物も避けながら飛行している。 しかし邪魔となる雑物があるので、慣れた調子で高速飛行をすることができないため、 それがかえってシャドームーンの解析から外れた動きとなっていた。 高速飛行中に肩を強くぶつけて、水銀燈の飛行軌道が揺れる。 再び放たれたシャドービームもこれによって狙いを外れ、展望台の外まで飛び出していく。 こうなればシャドームーンとて水銀燈の動きを捉えることは容易ではない。 やはり時間稼ぎにしかならないが。 幾ら時間稼ぎしても、水銀燈にはシャドームーンに対して有効な攻撃手段は存在しない以上、 いずれ回避は失敗して攻撃を喰らう。そうなれば水銀燈は一撃で終わりだ。 まさか月の説得に応じるとでも思っているのだろうか。 『勿論、主催者側もそれなりの対応をしてくるだろう』 何度目かのシャドービームを回避した後、不安定な高速飛行を維持しながら水銀燈が反撃に出る。 背中から黒龍。 それも大きさこそ先刻より小さいが、頭が幾つにも枝分かれしている。 数にして十頭を超える顎が側面の窓を破り、天井を削り、床のタイルを削ぎ、シャドームーンを囲むように全周囲から襲い掛かる。 シャドームーンの両手が発光。 無数の雷と化したシャドービームを、自分の全周囲へ無差別に放出。 あまりに急激かつ莫大なエネルギーの放出に、大気が雷鳴のごとき雄叫びを上げる。 そして直後に巻き起こるは、破壊の狂騒。 黒龍を破砕し、空気を切り裂き、天井を砕き、壁を貫き、柱を折る。 シャドービームが巻き起こした破壊の狂乱は、一階だけに留まらず展望台の全体を揺るがした。 『くっ! …………しかし参加者の戦力を結集して主催者自身を逮捕、拘束すれば事態は収拾する』 「……フフフ、人間の戯言もそこまでいけば笑えるな」 月の話が余りに荒唐無稽なため、シャドームーンは思わず笑いを漏らす。 月は判っているのだろうか? 主催者とは一体、誰なのかを。 『可笑しいかい? だが決して不可能な話ではない。そしてそうなれば君が何を望んでいても、殺し合いの続行こそ不可能となる』 「不可能な話だ。貴様らは世紀王である私にも敵わぬ無力な存在。まして、この殺し合いを主催する者を倒すなどな……」 やはり月は知らないようだ。 この殺し合いを真に主催する者。 それは即ちシャドームーンとブラックサンの命運をも握る者。 それほどまでに強大な存在は世界に只一つ。 ゴルゴムを統括する唯一絶対の真の王、創世王のみ。 只の人間が、いや何者であろうと創世王に抗うことは不可能。 キングストーンを持つシャドームーンとブラックサン以外は。 『では証明して見せよう。僕たちが、無力ではないと』 ブツンと言う、月のマイクが切れる音が放送を通じて響く。 様子を見ると既にそこには月の姿が無い。 月が寄り掛かっていた柱には、黒い物体が二つ添えられている。 マイティアイで細部まで観察して見た結果、それは手榴弾であると判断。 更に手榴弾の上からは金属製の椅子が覆い被せるように倒していた。 その手榴弾のピンには細い糸が巻き付けられている。 何かの罠、のつもりだろうか? あんな物がシャドームーンに通用しないこと位は承知している筈だ。 手榴弾から伸びる糸の先を辿って行くと、壁に開いた穴を通って外に出ている。 そして糸の先は、展望台の外に出ていた月が握っていた。 月は体力の消耗で憔悴しきったように地に倒れ付している。 しかしその眼には、未だに折れない意志の光が宿っていた。 ◇ 「――――貴方の言った通り、シャドームーンを展望台まで誘き寄せられそうだけど、これからどうするって言うの?」 「僕には君に隠し持っていた支給品、手榴弾が有る」 「そんな物、あいつに通じる訳無いじゃないお馬鹿さん。……もっとも、あいつには何を持ってきても通用しそうに無いけど…………」 「通用する武器なら有る。この手榴弾じゃないけどね」 「何処にそんな武器が有るって言うの!?」 「“ここ”にだよ。別に隠してる訳じゃないけど、多分シャドームーンもそれには気付かない。気付かれたら、今度こそアウトだけどね――――」 ◇ 突如、水銀燈が身を翻してシャドームーンに背を向けて逃げようとする。 シャドームーンの目論見通りに。 今まで際どい綱渡りとは言え、水銀燈がシャドームーンの攻撃から致命傷を回避できたのは、 攻撃も交えながら、一定の間合いを保ちシャドームーンの攻撃の回避に専念して来たからである。 しかしここまで展望台の損傷が激しくなれば、水銀燈も回避に利用し難くなる。 そうなれば水銀燈は終わりだ。 だから水銀燈は遅かれ早かれここから逃げ出す必要があった。 しかしそのタイミングこそシャドームーンが狙っていた物。 攻撃も出来ない、建物の雑物も利用出来ない、この瞬間なら確実に攻撃を当てられる。 エネルギーをチャージした左手が光る。 その左手に黒羽が“直下”から飛び掛った。 黒羽はシャドームーンの左手を覆うように纏わり付く。 その時になってシャドームーンは初めて気付いた。 自分の周囲一体に、水銀燈の黒羽が散乱して落ちていることを。 そして水銀燈は、遠隔からでも自分の羽を操作できることを。 シャドームーンは左手に溜まったエネルギーで、爆発を起こすようにシャドービームを発射。 纏わり付く黒羽を一瞬で焼却する。 ――――更にシャドームーンに拠るものではない爆発音が響いた。 音の発生源は、先刻確認した手榴弾だとすぐに判った。 しかし疑問が残る。 おそらく爆発は月が起こした物。 何故、自身と全く関係のない所で爆発起こすのか? ――――爆発音に続いて、硬く重量のある物体が軋む音が聞こえて来る。 そしてシャドームーンの戦略眼は、すぐに疑問の答えに辿り着く。 シャドームーンは水銀燈を追うべく歩を進め――られない。 両足首に大量の黒羽が極度に密集して絡みつき、更に両足首を繋げていた。 ――――軋む音が急激に大きくなり、そして広がって行く。 それでもシャドームーンの脚力なら容易に黒羽を引き千切ることが出来た。 しかし足首には黒羽が纏わり付いたまま。そして黒羽は青い炎を発する。 炎ではシャドームーンを焼くことは出来ない。 それでも歩を進めようとする足首の関節で突如炎が上がり、シャドームーンはバランスを崩しそうになる。 ――――軋む音は展望台全体に広がり、そして建物自体が揺れ出した。 シャドービームを自分の足首へ放つ。 黒羽は全て燃え尽きる。 しかし、それも遅かった―――― ――――展望台全体が内側へ崩れ出した。 宿泊施設も兼ねた四階建ての展望台。 巨大な建築物であるその展望台を構成する、コンクリートや鉄筋などの雑物の総体は膨大な質量になる。 その膨大な質量それ自体が柱や壁となって、建物を構成して自重を支えることによって、 展望台は成立していたのだ。 しかし展望台は内部からの度重なる破壊のため、自重を支え切れなくなり、 巨大な建築物全体が一挙に崩壊したのだ。 そして破壊した膨大な質量は重力に導かれて、内側へ崩れる要領で落下していく。 それは建物のちょうど中央付近に居たシャドームーンへ、強大な武器と化して襲い掛かった。 ◇ 轟音が鳴り響き、粉塵が舞う。 目前で展望台が崩落するのを、地面に座り込んだ水銀燈は憔悴した様子で眺めていた。 あまりにも呆気無く展望台が崩れ落ち、 それ以上にあまりにも的確に月の作戦通り、事が運んだのに対して 水銀燈は未だにどこか現実感の無い状態だった。 「…………ありがとう水銀燈、助かったよ……」 水銀燈が伸ばしていた羽を戻すと、そこに姿を隠していた月が表れて礼を言う。 展望台崩壊により飛散する残骸から守ってやったのは、今や月が水銀燈と契約したミーディアムとなったため、 これからも利用価値が有る糧だと判断したからだが、 シャドームーンとの戦いで消耗し切った水銀燈には、最早気の利いた返事を返す余裕も残っていない。 シャドームーンを展望台まで誘き寄せて、展望台を崩落させてそれで倒す。 よくこんな無謀な計画を思い付いて、成功した物だ。 「…………まさか本当にこんな作戦が成功するなんて……つくづく貴方には呆れたわ」 「……………………多分、僕の方が驚いてるよ。この作戦の成功にね…………」 月自身、何らかの勝算があってこの作戦を立てた訳ではない。 ただ単純にシャドームーンを倒す方法は、それしか思い付かなかっただけだ。 水銀燈がシャドームーンに追い詰められて、否応なくミーディアムの契約を月に迫った時、 月もまたシャドームーンを倒すための作戦を立てていた。 そして水銀燈に、まずシャドームーンに作戦の内容を聞こえないように龍を出させてから、 展望台まで誘き出す手段を指示した。 水銀燈が素直に指示に従ったのは、彼女にも月の策に乗る以外にシャドームーンを倒す方法が無かったからだろう。 そして展望台で、シャドームーンを足止めする方法を指示。 月の正直な感想としては既にこの段階までで、不可能に近い公算だった。 シャドームーンの猛攻を掻い潜るだけでも困難を極めるのに、更に誘導まで行うのである。 幸運が幾つも重なった、針の穴を潜るような奇跡的な成果だった。 そして更にシャドームーンに通用する唯一最大の武器、展望台の破壊。 月に建造物を想定通りに倒壊させるような、建築学の知識は無いが、 “日本一優秀な”高校生である月は、建築学の基礎となる数学、物理学、力学、化学などの知識を有している。 そして雑学としてではあるが、ビルの解体などの要領の知識もあった。 故に月の頭脳を持ってすれば、展望台を内部へ倒壊させるための計算も可能。 それでもシャドームーンに展望台を狙い通りに破壊させるよう、水銀燈に誘導させ、 更に展望台内の放送施設を使って、シャドームーンに呼び掛ける振りをして水銀燈にタイミングを指示して建物から脱出させて、 手榴弾で柱を破壊して建物ごと内側に倒壊させてシャドームーンを倒すと言うのは、 やはり無謀極まりない作戦ではあった。 何よりミーディアムである月は、それらの作業を水銀燈にエネルギーを供給しながら行ったのだ。 只の人間であることを思慮に入れれば、月の体力と精神力は瞠目に値すると言えよう。 しかしその無謀は成功した。そしてその効果は絶大だ。 シャドームーンの装甲がどれだけ強固であろうと、金属である以上耐久力には限度がある。 そしてシャドームーンが生物であれロボットのような存在であれ、あれだけの出力と運動能力を兼ね備えた存在だ。 それ相応の出力機関や駆動機関が内蔵されている筈だ。 必然、装甲の厚さにも限界が出来る。 展望台の倒壊に巻き込まれて無事で済む筈が無いのだ。 ここからの問題は作戦結果の確認だ。 シャドームーンの生死は確認する必要がある。 死んでいる場合は問題ない。 生きている場合は―――― 「「!?」」 月と水銀燈の表情に一瞬で緊張が戻る。 不意に瓦礫の崩れる音がしたからだ。 そして展望台のあった場所は瓦礫が山のように積もっているため、月の居る位置からは視認出来ないが、 音のした位置は、大よそシャドームーンの居た地点。 水銀燈が空中に飛び上がり音のした方向を見る。 その険しい視線からすぐに察知することが出来た。 シャドームーンが生存していることを。 時系列順で読む Back 銀の邂逅 月の相克(前編) Next 銀の邂逅 月の相克(後編) 投下順で読む Back 銀の邂逅 月の相克(前編) Next 銀の邂逅 月の相克(後編) 144 銀の邂逅 月の相克(前編) 夜神月 144 銀の邂逅 月の相克(後編) 水銀燈 シャドームーン
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/52374.html
登録日:2022/10/19 (水) 18 31 17 更新日:2024/09/22 Sun 16 18 19NEW! 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 アパート ガイア シコルスキー スピンオフ ダヴァイ ノムラ バキ バキシリーズ バキ外伝 ガイアとシコルスキー ~ときどきノムラ 二人だけど三人暮らし~ リベンジ リベンジマッチ 刃牙シリーズ 同居 同棲 四畳半 外伝 最凶死刑囚 月刊少年チャンピオン 板垣恵介 林たかあき 漫画 秋田書店 自衛隊特殊部隊5人衆 超軍人 野村 長期戦 非公認 超軍人と最凶死刑囚。 四畳半、広くないからごっつんこ。 『バキ外伝 ガイアとシコルスキー ~ときどきノムラ 二人だけど三人暮らし~』とは、2022年10月6日から『月刊少年チャンピオン』で連載が開始されたバキシリーズのスピンオフ漫画。 作者は『WORST外伝 サブロクサンタ 名もなきカラスたち』の作画を担当している林たかあき。 原作シリーズの作者である板垣恵介も原案として名前を連ねている。 ●目次 概要 あらすじ 登場人物 余談 概要 唐突に存在が告知された末に連載が開始されたバキシリーズのスピンオフ漫画。 月刊少年チャンピオンでは『バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ』(以下、烈異世界)が連載されているため、バキシリーズのスピンオフが複数作同時に掲載される状況となった。 スピンオフの主役コンビとして選ばれたのは何とあのガイアとシコルスキーという2人。 原作の第2部シリーズ『バキ』における2人の死闘のその後が描かれる後日談…なのだが、内容は2人が繰り広げるまさかの日常生活系ギャグとなっている。 林たかあきによる作画は非常にハイレベルなクオリティとなっており、原作から大きく離れていない雰囲気となっている。 絵柄としては第2部『バキ』よりは第4部『刃牙道』~第5部『バキ道』が意識されているとの指摘が多く、初期の第1部~第3部に似通った作画になりやすいバキシリーズのスピンオフとしては珍しいという声もある。 ちなみに、シコルスキー自体は第2部のキャラクターだが『REVENGE TOKYO』においては第5部以降のデザインで描かれたことがある。 連載開始号では連載記念として『烈異世界』以来2度目となる原作者である板垣とのやり取りと連載の経緯に至った編集の説明が紹介された。公開プロレスとも言う その説明によると『烈異世界』の好評を受けて編集長が更にバキシリーズのスピンオフ漫画を欲し、『烈異世界』の連載開始時の板垣の様子を思い出した担当編集は困難だと判断するが編集長の強い願いで許諾を受けるために板垣の仕事場を訪ねることになる。 いざ板垣を前にすると急にしおらしくなった編集長が連載開始の許可とスピンオフ漫画の説明を土下座をしながら行うが、話を聞いた板垣の表情は困惑と怒りが見える明らかに複雑な顔だった。 最終的には編集長が板垣から許可を得られたと勝手に自己解釈し、『烈異世界』に続いて非公認スピンオフとして連載が始まることなったのだった…。 あらすじ かつてロシアから脱走して来日するも、ジャック・ハンマーと超軍人・ガイアに敗れ去った最凶死刑囚の一人シコルスキー。 「オレの負けだッ~~~」「許してくれェェッ~~」という情けない降伏の叫びが地下闘技場に響いてから幾日かの月日が経過した。 ガイアの住む東京都内の小さなアパートに突如として敗れて再度収監されたはずのシコルスキーが来訪し、リベンジマッチを挑みに来た。 ところがガイアはシコルスキーの存在に動揺することもなく共に食事をする形となり、シコルスキーはガイアの日常生活のペースに飲み込まれてしまう。 戦えないばかりか一般人の対応までさせられたシコルスキーは自身に似合わぬことをさせられた結果を嘆くが、改めてガイアの隙の無さと日本という国に面白さも感じ始めていた。 するとシコルスキーはリベンジマッチを行う隙を見つけることを目的に「長期戦」を掲げてガイアの部屋に勝手に居候を開始する。 四畳半の狭いアパートの部屋の中、広くないからごっつんこな奇妙な共同生活が幕を開けた…。 登場人物 ガイア 本作の主人公。ガイアは本作以前に『バキ外伝 GaiA』という外伝ストーリーが描かれているので、スピンオフでメインを担当するのは2度目だったりする。 自身の経歴や戦闘力の印象に反した小さなアパート「花沢荘」の102号室で暮らしている。シコルスキーにもその違和感を指摘されていたが、ガイア曰く贅沢な生活環境は求めていないので事足りるかららしい。静かな生活を望み入居するも、暫くしてそれは儚くも崩れ去ることとなった。 原作のシリーズ化以降は死に設定と化していた従来の姿「ノムラ」の設定が拾われており、本人も自身が多重人格であることをネタにした発言をしている。 性格はガイアらしく飄々とした雰囲気だが、大家を初めとして一般人への対応は常識的でコミュニケーション能力も高い。時にはその能力を生かして人助け?をすることも。 居住しているアパートにおいてシコルスキーからの挑戦を受けるが、同時に自分を訪ねに来ていた大家に対する対応からシコルスキーを一方的に振り回す。 自身への挑戦を企み勝手に自宅に居候を開始するシコルスキー(とガーレン)をそのまま受け入れ、以後も彼らを上手く誘導して利用する。 シコルスキー かつて日本に出没したロシア出身の最凶死刑囚。原作ではジャック・ハンマーやガイアを相手に敗北を認めるが、その後に収監された孤島の刑務所内でパワーアップを遂げていた。 作品内の時系列は第2部での敗北後としか明言されていないが、ある描写から察するに『REVENGE TOKYO』後の可能性が極めて高い(本作の存在を原作の時系列設定に組み込めるかは怪しいが)。 本作ではどのような経緯を経たのかは不明だが、刑務所からの脱走後にガイアの自宅を把握したようでリベンジマッチを挑みに奇襲を仕掛ける。 ところが一般人と交流しながら日常生活を送るガイアのペースに巻き込まれてしまい、やがてリベンジマッチを開始するためにガイアのアパートで奇妙な居候生活を行うことになる。 作品の雰囲気の影響もあってか原作よりもコミカルさが出ている性格となっており、初対面の大家などに対して妙な対応の良さを見せたりもする(一応シコルスキーも自身の行動を嘆いてはいるが)。 牛肉の個数制限に反発してコンビニ店員にだる絡みをするといった様子も描かれているが、死刑囚レベルの犯罪者としては一般人への被害はかなりショボいと言える。 トラックを何なく運転する技能があるのに洗濯機を使った事がなくてどの操作をすれば洗濯ができるかわからないという不思議な経歴。 また、ボルシチを作るのが得意という料理上手な一面も判明。しかもボルシチを料理した際の会話で母親との親子関係は良好で現在まで慕っていることが示唆されるなど、本編で言及されなかった過去が微妙に掘り下げられている。 元々最凶死刑囚の中で見れば比較的に人間臭い言動が多い人物だったが、本作では更に人間臭さが増していることから「本当に単なる凶悪犯罪だけで死刑囚になったのか?」と疑う声まで出ている。 なお本作でも一応ICPOから顔写真付きで国際指名手配を受けているのだが、あまりにも堂々と暮らしているため同じアパートに住む警察官からも同姓同名の別人だと思われている。 ノムラ ガイアの表人格。本編では半ば死に設定と化しているが、本作では久々に掘り起こされる。 本編においてはほぼガイアの人格しか出ていなくなっていることはノムラが引っ込み思案であるためと説明されており、ガイア自身も「表に出すぎた」と語っている。 ガイアの人格とは意識下でコミュニケーションを取り、シコルスキーの存在を客人と説明を受けた。 一応本編では気弱と言ってもそれなりに軍人としての感性は持っていたのだが、本作ではシコルスキーにすぐに土下座を試みるなど、完全に気弱で凡人として描かれている。 (後述の特殊部隊4人衆とはノムラ自身も顔見知りなので、軍人設定が完全に消えたわけではない) 作中ではシコルスキーの対応をガイアに任されるが、シコルスキー側が普段と異なる言動やガイアとは思えない行動から逆に不気味に感じ続けた末に、ガイアとは別人と判定する。 そしてノムラの抽象的な表現もあってシコルスキーはノムラを「ガイアが丸め込んで整形を受けさせて用意した影武者、不要時は監禁されている」と解釈。 お互い孤独な環境下に置かれていたことからそれなりに心を通わせ、ノムラを解放する(と思い込んでいる)ために打倒ガイアの決意を強くする一因となった。 なお大家もガイアとノムラが別人格であることは知らないらしい。 大家 ガイアの住むアパートの大家の老女。外見が女体化した徳川のジジイにも見える ガイアのことは「ノムラちゃん」と呼ぶなど良好な関係を築いており、定期的にカレーのおすそ分けを行っているようだ。 ガイアの友人と説明されていたシコルスキーに対し、鍋を返しに来た際に蛍光灯の交換やシリーズトップクラスのピンチ力による肩揉みを行わせ、挙句の果てには3時間近くにも及ぶ長話に付き合わせた。自分に付き合わせた相手が凶悪犯罪者であることは想像もしていないであろう。 ガイアからロシア語の「ダヴァイ」の意味を聞いて魔法の言葉という解釈をしたり、シコルスキーとガーレンの一発触発の空気を「ダヴァイ」だけを用いて落ち着かせるなど、独特な感性と優れたコミュニケーション能力の持ち主。 ガイアに気付かれることなく近づけるという、地味にスゴイことをやっている。 アレクサンダー・ガーレン 本編では『バキ』において脱獄したシコルスキーに心身ともに敗北して以降はフェードアウトしていた、ロシア屈指のレスリング選手で愛国者の英雄。 経緯は不明だが何故かガイアのアパートにシコルスキーが潜んでいることを把握しており、祖国に泥を塗ったシコルスキーへのリベンジマッチを挑みに来る(なお、シコルスキーは当初はガーレンの存在を完全に忘れ去っていた)。 本編では療養中にシコルスキーとの一戦がトラウマとなったことが示唆されていたが、本作でもシコルスキーと対面しただけで小さい地震と勘違いするレベルで肉体が恐怖で震えてしまうという癖が付いたことが判明。 しかし、療養中にシコルスキーの顔写真を貼りまくった病室で過ごすという荒療治を行った結果、肉体の拒絶反応をカバーする愛国心によってシコルスキーと戦える状態を作り上げていた。 なお本編でジャックに食いちぎられた右手の薬指・小指は失ったままで、常に包帯を巻いている。 ガイアの部屋でシコルスキーと戦おうとするも阻止され、ガイアの提案したみかんの種の成長を競う戦いもシコルスキーと共に拒絶し、戦闘モードに突入。 ところが大家の介入を受けて一時休戦ということで復讐を中止し、みかんの種の様子を見守りたいという意思もあってアパートに住むことを決める。 しかし、部屋が満室だったこともあって、種を植える際に誤って掘りすぎた穴を利用してアパートの庭の地下に部屋を作って住むことになった。 祖国ロシアに対するマゾヒズム的な忠誠心とは別にロシア国旗カラーのマニキュアを塗った指に指相撲で負けて興奮する、大家の水着姿を見れずに舌打ちするなど、性癖の残念さが明らかになりつつある。 自衛隊特殊部隊4人衆 『グラップラー刃牙』の幼年編に登場した第1空挺団の面々。隊員紹介の時のテロップが雑。 山で大家主催のBBQをしているところに登場。 場所の取り合いで揉めそうになるが、缶蹴り勝負で決着をつけることになる。 ガイアの姿を見たときは焦っていたが、ノムラと入れ替わっていると知って安心した。 ショーちゃん 被害者の会その1。街でたまたまシコルスキーと遭遇し、かつて受けた自らの被害を証明しようと尾行を開始する。 舘岡 被害者の会その2。かつて敗北したシコルスキーがとある軍人に敗北し弱者に成り下がったとの情報を得、喝を入れるべく訪れるが…。 本部以蔵 ガイアの師匠。ガイアに花沢荘を紹介したり、花見で賑わう公園でシコルスキーと酒の飲み比べ対決をしたりした。 余談 月刊少年チャンピオンの公式twitterでは「超軍人と最強死刑囚が四畳半で同棲する話。」と題で1話の無料公開が行われており、10,000リツイートを超えるなど注目を集めた。 追記・修正は多重人格の軍人か死刑囚のロシア人と四畳半の部屋で同棲できる人にお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] タイトルとキャッチコピー(?)からして中々にカオスだな… -- 名無しさん (2022-10-19 19 10 32) 何も起きないはずがなく… -- 名無しさん (2022-10-19 19 52 55) あの緊迫感のあるREVENGE TOKYO後がこれだとしたら笑うしかない -- 名無しさん (2022-10-19 20 46 01) ノムラもそこそこの階級はあるからアパート住まいできるのかな -- 名無しさん (2022-10-20 03 34 06) シコルスキーの流されやすさからお前死刑囚になったのは騙されたからではという気が -- 名無しさん (2022-10-21 16 50 19) ドイルや柳とかがこの光景を見たらどう思うだろうか -- 名無しさん (2022-10-21 18 06 43) ドイルは自分も日本で暮らしたくなりそう -- 名無しさん (2022-11-02 14 44 51) ガーレンまで出てきたw -- 名無しさん (2023-03-05 22 29 40) 他に関連するキャラと言えば猪狩だが、それはないよな…ジャックは出てきそうだけど -- 名無しさん (2023-03-14 19 24 49) 表紙でゴッツンこしている………たしかに狭いのだろうな(かたほうは寝るときに壁にはりついているし) -- 名無しさん (2023-03-14 20 21 09) いや、ガーレン待遇悪すぎだろwww -- 名無しさん (2023-03-30 11 45 53) ↑5 柳の場合はドイルを襲撃した時の様な状況になりそうだが… -- 名無しさん (2023-03-30 11 49 40) わりかしシコルスキーが娑婆での暮らしを楽しめているしロシアからのお友達が来たことで面子が濃くなってきた、ガイアのほうもノムラと自衛官仲間がでてきたしどうなるのか -- 名無しさん (2023-06-14 18 10 20) 正直猪狩も追悼記念はスピンオフ担当の誰かに描いてもらった方が良かったんじゃ -- 名無しさん (2023-06-14 18 37 19) ↑本人が書きたいならしょうがないでしょう -- 名無しさん (2023-06-14 18 41 57) あの記録的な惨敗を元に凄い事始めてたんだな -- 名無しさん (2023-06-14 20 09 00) シコルスは生活費を桐生さんみたいな稼ぎかたをしているかとおもったら、単発でまじめに働くこともできる(しかも接客業)ことに驚いた…なんで死刑囚になったし -- 名無しさん (2023-06-15 16 03 24) ↑原作の描写からして道具使うのも容赦しないだけで自発的に卑怯なことはしてない(人質は言われてやっただけ)し、喧嘩売られて容赦せずに返り討ちにして~とかをマフィアとか相手にもやらかして人殺し過ぎたとかそんなんじゃねーのかな -- 名無しさん (2023-06-15 16 28 53) ガーレンお前熟専なのか…? -- 名無しさん (2023-06-16 08 31 25) ルーブルを換金してないわ、持ってきている衣服はレスリングスーツ一丁だわ、死刑囚より常識なくないか?ロシアの英雄 -- 名無しさん (2023-07-11 17 43 45) かたくなに私服がレスリングスーツなのがもはや目印 -- 名無しさん (2023-08-26 11 27 56) 3巻読んだけど、まさか本編の補完までやるとはな… -- 名無しさん (2023-11-12 17 13 13) シコルスキーはやはり幼いころは母親と仲が良さそうなのだよね -- 名無しさん (2023-11-12 17 31 02) ほのぼのしてて面白い。あと作者がサブロクサンタ(その後のクローズ~ワーストまでの空白の一年間のお話)の人ってことに驚いた -- 名無しさん (2023-11-12 19 23 11) ほのぼの通り越して(?)、心温まる話も有って困惑する。コイツほんとに死刑囚だよね? -- 名無しさん (2023-12-18 22 18 00) よくこの内容で話続けられるな と思いつつ読んでしまう面白さ -- 名無しさん (2024-06-05 22 37 19) 烈さんの異世界もの、本作品、ゆうえんちは安定して楽しめるから好き -- 名無しさん (2024-06-05 22 59 58) 上のほうの流れを見てると、こういうスピンオフに出れそうもないスペックの異常性が際立つ シコルスキーも違うベクトルで特殊だけど -- 名無しさん (2024-06-05 23 03 30) スペック・柳・ドリアンじゃ、ほのぼのギャグ漫画は無理だな…ドイルならいけそうだけど -- 名無しさん (2024-08-05 20 57 18) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/cfvg/pages/6241.html
メインデッキレシピ 出自 グレード パワー カード名 枚数 カードタイプ トリガー 備考 オリカ 3 13000 【天輪邂竜 ニルヴァーナ・ジーヴァ】 4 ユニット メインV,ライドライン,ペルソナライド,「天輪鳳竜 ニルヴァーナ・ジーヴァ」としても扱う D-BT06/059等 2 10000 【寄り添う焔の巫女 レイユ】 1 ユニット ライドライン D-BT06/062等 1 8000 【胸躍る焔の巫女 リノ】 1 ユニット ライドライン D-BT06/063等 0 6000 【サプライズ・エッグ】 1 ユニット FV,ライドライン D-BT06/002等 3 13000 武装閃輝 ブラムヴェルリーナ 4 ユニット Xo-Dress,ペルソナライド,アタッカー オリカ 2 13000 武装聖剣 バーストヴェルリーナ 4 ユニット Xo-Dress,アタッカー 既存(半オリカ) 2 10000 ブラスター・ブレード 4 ユニット ※ドラゴンエンパイアにも属する。 オリカ 1 8000 装邂竜 エルゲージ 4 ユニット プレアドラゴン,クラン持ちサーチ D-BT06/023等 1 8000 装閃竜 ブラマーダ 2 ユニット プレアドラゴン,ドローソース D-BT06/038他 1 7000 スパークルリジェクター・ドラゴン 3 ユニット 守護者 D-BT06/064等 0 5000 トリクスタ 4 ユニット キーカード D-BT01/013等 0 5000 再起の竜神王 ドラグヴェーダ 1 ユニット 超 D-BT06/065 0 5000 焔の闘僧 ソウギョウ 3 ユニット ☆ D-BT03/030等 0 4000 バーニングフレイル・ドラゴン 4 ユニット ☆ 能力持ち D-BT04/034等 0 4000 フレアヴェイル・ドラゴン 4 ユニット 引 能力持ち D-BT06/068 0 5000 焔の巫女 レオニー 4 ユニット 治 D-BT08/033 3 恩寵湛えし聖なる杯 1 オーダー ノーマルオーダー,レガリアピース D-PR/264 1 四精織り成す清浄の盾 1 オーダー 守護者,ブリッツオーダー デッキ内訳 G3 9枚 / ☆ 7枚 / ドラゴンエンパイア 50枚 G2 9枚 / 前 0枚 / ユニットカード 48枚 G1 11枚 / 引 4枚 / オーダーカード 2枚 G0 21枚 / 治 4枚 / / / / 超 1枚 / 合計 50枚 / 計 16枚 / 合計 50枚 デッキ解説 国家に《ドラゴンエンパイア》を加えた邂逅カード「ブラスター・ブレード」と「トリクスタ」を【クロスオーバードレス】させることに重点を置いたオリジナルデッキ。 ライドラインの「天輪邂竜 ニルヴァーナ・ジーヴァ」は、能力自体はほぼ「天輪鳳竜 ニルヴァーナ・ジーヴァ」と同じ。違う点は起動能力でドロップからコールできる対象の違い。 この能力で、ドロップから「トリクスタ」と「ブラスター・ブレード」をコールすることも可能であり、これまで通り「トリクスタ」と プレアドラゴン をコールすることも可能となっている。 「ブラスター・ブレード」と「トリクスタ」をクロスオーバードレスさせて登場する「武装聖剣 バーストヴェルリーナ」は、登場するだけで相手のリアガードを1枚退却させる。さらに、「ニルヴァーナ」のヴァンガードがアタックした時にドレス元の2枚をコールできるため、ヴァンガードの能力に頼らず攻撃回数を1回増やすことができる。 「装邂竜 エルゲージ」の能力で「ブラスター・ブレード」を手札に加え、前列2枚でアタック後に「ジーヴァ」でアタックして「バーストヴェルリーナ」をスタンド、「バーストヴェルリーナ」の能力で「ブラスター・ブレード」と「トリクスタ」を同じ縦列にコールして5回攻撃を目指す。 ペルソナライドや「武装閃輝 ブラムヴェルリーナ」を加えてこの展開することによってさらにパワーラインも上昇するため、先後4ターン目での勝負の決着を目指して戦う。 最大値に近い布陣 1、ペルソナライド。 メイン行動 M-1、「ジーヴァ」の能力でドロップから「トリクスタ」と「装閃竜 ブラマーダ」をコール。 M-2、「武装閃輝 ブラムヴェルリーナ」を「トリクスタ」と「装閃竜 ブラマーダ」をドレス元にしてクロスオーバードレス。 M-3、「装邂竜 エルゲージ」をコールして山札から「ブラスター・ブレード」を手札に加え、手札を1枚捨てる。 M-4、「トリクスタ」と「ブラスター・ブレード」をコールして、それらをドレス元に「武装聖剣 バーストヴェルリーナ」をクロスオーバードレス。相手のリアガードを1枚退却。 盤面 ダメージ オーダーゾーン (G) トリガーゾーン 前列 表 X (R)【武装聖剣 バーストヴェルリーナ】 (V)【天輪邂竜 ニルヴァーナ・ジーヴァ】 (R)【武装閃輝 ブラムヴェルリーナ】 山札 【XoD状態】20000/5000 23000/🛡 【XoD状態】23000/🛡 後列 裏 X (R)【装邂竜 エルゲージ】 (R)【】 (R) ドロップ 13000/5000 ⚔/🛡 ⚔/🛡 [ペルソナライドによって前列の⚔+10000] B-1、「武装聖剣 バーストヴェルリーナ」に「装邂竜 エルゲージ」のブーストでパワー33000でアタック①。 B-2、「武装閃輝 ブラムヴェルリーナ」のパワー43000でアタック②。 B-3、「天輪邂竜 ニルヴァーナ・ジーヴァ」パワー23000でアタック③時に「武装閃輝 ブラムヴェルリーナ」をスタンド。 B-4、「武装聖剣 バーストヴェルリーナ」の能力で、ドレス元の「ブラスター・ブレード」と「トリクスタ」を左列にコールしてパワー+5000。 B-5、「ブラスター・ブレード」に「トリクスタ」のブーストでパワー35000でアタック④。 B-6、「武装閃輝 ブラムヴェルリーナ」パワー43000でアタック⑤。 このデッキへの対策 カウンターブラストの数=増加分の攻撃回数に繋がるため、カウンターコストをコントロールされると動きが落ちる。 また、コンボデッキに寄っているデッキの特性上、ガードに回せる手札は少ないため、速攻やパワーの高いデッキを受け流すことが難しい。 【クロスオーバードレス】の弱点である監獄への収容、山札に戻す能力などで盤面を破壊されやすいため、基本的な対策は【クロスオーバードレス】と同じ。 「天輪邂竜 ニルヴァーナ・ジーヴァ」によって退却能力を持つ「ブラスター・ブレード」をドロップからコールできるため、リアガードで残しておきたいカードが残りにくい点に注意。 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 使ってみたいと思う 0 (0%) 2 弱いと思う 0 (0%) 3 強いと思う 0 (0%) 4 面白いと思う 0 (0%) その他 投票総数 0 コメント
https://w.atwiki.jp/malicestella/pages/29.html
使用人の朝は早い。布団の外へ差し出した手に触れる、外気のあまりの冷たさに驚く。ウンディーネデーカンの月も半ばに差し掛かったというのに、冬の寒さは一向に衰えを知らない。 ガイは意を決しベッドから滑り降りると顔を洗う為、洗面所へ向かった。 今日は買出しの仕事がある。使用人の仕事も四年ともなれば大分板について来たもので、様々な仕事がガイにも回ってくるようになった。 厨房へ向かい、朝食を済ませると中庭へ向かう。先に起きていたらしい同郷の庭師がガイに気付いた。挨拶にガイも軽く手を上げて返す。 「お早いですな、ガイラルディア様」花壇に手を差し込んだままペールが言った。周囲に人の目がない事を確認してから、ガイは老人に近付く。 「ルーク様でしたら朝の礼拝かと。買出しついでにお迎えに行って差し上げるくらいで丁度良いでしょう」 口元に浮かぶ微笑は穏やかですらあるというのに、言葉に含まれる意味合いを思うと酷薄さすら感じさせる。そんな老人の様子に、ガイは自然と笑みを溢した。この屋敷に来てからというものの、そんな風に笑いあえるのはこの老人をおいて他にいなかった。 それから他愛のない言葉を交わしあい、老人の昔話が本格的に長くなる前にガイは買出しに向かった。 エントランスではいつものように、使用人達が朝の清掃をしていた。挨拶をすれば返されて、それは故郷にいた頃と何ら変りのない生活のように思えた。けれどそれは酷く遠い、酷く残酷な日常でしかなかった。立ち並ぶ柱の中央に飾られた宝剣に目配せをし、ガイは扉をくぐった。気をつけてね、と日頃から仲の良いメイドが声を掛けてきた。返事をしようかとも迷ったが、結局上手く笑顔を作れる自信がなかったので、聞こえなかったふりをした。 朝の礼拝を終えた人々が教会から出てくるのが見えた。小さな「主殿」は、奥の礼拝堂を貸し切っている筈なので、もう暫らくは掛かるだろう。これなら一度屋敷に荷物を置いてから、再度出迎えに来るくらいの余裕はありそうだ、とガイは思った。 今朝早くに定期連絡線で、ダアトを経由して来たマルクトの物資が仕入れられた所為か、いつものこの時間に比べると集合商店の中はかなりの人込みになっていた。その間をすり抜けるようにして、器用にガイは覚書きに記された品物を購入していく。両手に合わせて三つ袋を抱えて、残りの荷物は後で屋敷の方へ届けてもらえるよう算段をつける事に成功した。両手に余る程の荷物だったが、ガイはそれを危なげなく抱えて歩く。見張りの兵士が気をつかって扉を開けてくれた。それにガイは礼を言うと会釈し、そのまま集合商店を後にした。 屋敷前へ直通の昇降機に向かう途中、林檎を落とした。その拍子にずり落ちそうになる紙袋を慌てて抱え直したところで、通り掛かりの男が石畳に転がった林檎を拾い上げた。男は十代後半ほどに見えたが、大柄な体躯とローレライの教団服とが、随分と落ち着いた印象を与え実年齢を曖昧にしている。 「あ、あの……」と口早にガイは礼を言う。「すみません、有難うございます」 男は少し驚いたような顔をして、それからすぐに微笑んだ。そんな男の笑顔に理由のない懐かしさを感じ、ガイは思わず俯く。 「家のお使いか?偉いな」 男は林檎を紙袋へ戻しながら言った。 「あ、いえ!俺はファブレ家の使用人で……あ」 頭を振った拍子にまたしても林檎が落ちた。足元を紅い玉が転がって行く様を、ガイも男も言葉を無くして目で追った。 居た堪れなさに閉口していると、そんなガイの様子に堪り兼ねたかの様に男が笑い出した。そしてそれから再び林檎を拾い上げ、袋の中へ戻すとそのままガイの腕から袋を二つ抜き取った。 「手伝おう」 「『神託の盾(オラクル)』の騎士様に、そんな事はさせられません!俺が怒られてしまいます」 ガイは突然軽くなった両腕と、男の唐突な行動に困惑した。必死に紙袋を返してもらおうと試みるが、男はただ笑うばかりだ。こんな事なら無茶をせずに、二袋に留めておけば良かったろうか、と数分前の自身をガイは呪った。 「久しぶりに笑えた気がした。これはほんの礼だ。気に病む事はない」 そう言って笑う男の顔がどうしようもなく淋しげで、それでいて何処か過去を懐かしむようであったからガイはそれ以上何も言えなくなる。 自分自身とこの男との印象が重なった所為かも知れない。遠い昔、まだ自分が陰謀も裏切りも知らずただ幸せであった頃、兄の様に、影の様に付き従っていてくれた使用人に、この男の笑顔が何処か似ている気がしたからかも知れない。 昇降機に向かって歩き出す男の後を追う。屋敷の前で荷物を返され、男と別れてからガイは名前を聞くのを忘れたな、と思った。 屋敷に戻ってすぐに、エントランスでペールに出くわした。土に汚れた軍手もそのままに、ガイを待っていたようだ。 午後からの客人を公爵家総出で出迎えなくてはならないらしい。紙袋を受け取ると、ペールは教会へ行くよう促す。ガイは後から届く荷物があることだけを伝えると、今来た道を引き返した。 階段を下りてすぐに、教会の前に目的の人物を見つけた。 公爵子息、ルーク・フォン・ファブレは深緋の髪を肩口に掛かる程度まで伸ばしている。何度か公爵夫人に髪を切るよう勧められていたが、結局そのままで来ているようだ。特に手入れをしているといった話を聞いた事はない。長さも疎らで前髪も目元に掛かっていたが、不思議と鬱陶しさは感じさせられない。 ガイの姿を見止めると、彼は「ガイ!」と嬉しそうに顔を綻ばせ駆け寄って来た。年はガイより四つ下だったと記憶している。並ぶと、頭一つ分と少し低いところでルークの赤毛が揺れた。 「悪い悪い、ちょっと遅れたか」 「平気。ガイ忙しいのに、いつもごめんね」 一転して、ルークの表情が少し曇る。またこれか、とガイは思いながら苦笑いを浮かべる。 貴族だろうと使用人だろうと、彼は心をくだき過ぎる。そんなルークを見る度に、ガイは少しの罪悪感と、そこから来る苛立ちを覚えた。 「ばーか、気にすんなって。あんま暇な使用人ってのも、格好がつかねぇからな」 「それに朝は免除されてるし」と付け加える。 「とはいえ、目と鼻の先の教会を行き来するのにわざわざ送り迎えを付けて、その上教会の内院貸し切るっていうのも結構、過保護な話だと思うけどね、実際」 貴族の子息らしからぬ気安さで、肩を竦めルークが言う。言いながら、それでも顔に浮かぶのは屈託のない年相応の笑みだった。 「それはまぁ、なぁ」 曖昧に笑みを浮かべて、ガイは適当な相槌を打った。 ルークの言うことはいつも正しい気がした。発せられる言葉の端々に、幼いながらも王族としての知性と教養とが見え隠れした。そこには誠実さこそあれど嫌味はなく、育ちの良さを感じさせる。人の上に立つべく育てられた、理想像ともいうべき姿なのだろう。そしてガイは、それを少しの羨望と、昏い情念の篭った目で見つめる。 「そう云えばさ、今日面白いことに気付いたんだ」 「また、か」 ルークの考えは面白い。自分より年下だというのに、時折真理をつくような難しいことも言う。言葉は年相応に拙いが、聡い子供だった。 「うん。あのね……」 「まあ、お前の言うことは難しくて、俺にはよく解かんねぇんだけどな」 言い掛けたルークの言葉をガイは遮った。ガイをそうさせたのは、煩わしさというより嫉妬だった。 遠い昔に、故郷と共に死んでしまった己の影を、彼の中に見つける度ガイは堪らなく辛い気持ちになる。もしかしたら今も自分は、こうして何の憂いも陰りもなく笑っていられたのかも知れない。何の恨みも憎しみも知らず、世界を美しいものだと捉えられていたのかも知れない。ガイがルークに抱く感情は、いつだって憐憫を孕んだ憎悪だった。 「そっか」 大して気にした風でもなくルークはそう言って笑った。ガイがこうしてルークの言葉を遮るのは初めてではなかったからかも知れない。 そして理不尽にも、ガイはそんなルークの態度に苛つく。言い掛けた言葉を飲み込み、自身を抑制する凡そ子供らしからぬ態度を、ガイは不快に思う。まるでガイのつまらぬ嘘や虚勢などお見通しなのだと、嘲られているように感じられるからだ。 遠くで教会の鐘が鳴る。今日も良い天気だ。 昼食を終え暫らく経った頃、屋敷の中が少し騒がしくなった。夫人に手をひかれながら、不満そうなルークが応接室に消えて十五分後のことだった。例の客人が来たのだろう、と思ったがガイには特に興味の惹かれる事ではなかった。一度だけ中庭からエントランスの窓の方に目を向け、またすぐに手元に戻す。今のガイには上流階級の社交よりも、花壇の害虫駆除の方が重大な任務だった。 一通りの作業を終えると、後は薬を撒くだけですから、と庭師に言い渡された。土いじりは昔から嫌いではなかったので、多少の名残惜しさを感じながらガイは中庭を後にした。 手を漱ぎながら、空いた時間をどう潰したものか、と考える。結局やる事もないので、ガイはエントランスへ向かった。怪しまれるかとも思ったがこの屋敷で心安らぐ場所など、そう多くはない。 飾られた宝剣を仰ぎ見た。金色の柄にはホド独特の文様が細工され、隼をあしらっている。真っ直ぐに伸びた刀身は細身で、蒼く輝いている中に、古代イスパニア文字で書かれた預言が薄く浮かび上がっている。 その剣の名を、心の中で唱えた。優しい呪文のように、それはガイの胸に広がる。決心を新たに迷いを拭う。それでも、矢張りガイはまた揺れる。その繰り返しだ。 応接室の扉が開き、教団服に身を包んだ男が数人出て来た。慌ててガイは柱から離れ部屋の隅に寄る。頭を下げ、視線は床に落とす。どうやら話は長く続くようで、合間に休憩が入ったらしい。公爵の案内で、そのまま中庭へ向かったようだ。一息ついて、それから改めて顔を上げる。そしてまだ部屋の中に人が残っている事に気付き慌てて再度頭を下げようとして、とどまった。 エントランスの丁度中央に、その柱はある。白亜の柱に飾られた宝剣は、かつてホドの地を収めていた領主の首級と共にファブレ侯爵が持ち帰ったものだ。それを、一人の男が見上げていた。 ローレライの教団服を着たその男は、つい数時間前に会ったあの男だった。その横顔から、感情は読み取れない。けれどガイはそれに一つの確信を抱く。無感動な眼差しは、いつも自分が剣に向けるものと同じだったからだ。 男が、ガイに気付いた。すぐに今朝方会った子供なのだと思い当たったようで、柔らかな笑みを浮かべてこちらに近付いてきた。 「また会ったな」 言って笑う男に、ガイは何と声を掛けて良いのか分からなかった。握り締めた拳が、汗で滑る。目の奥が熱い。反射的に俯くガイを、男は怪訝そうに見つめている。しゃがみ込んで、顔を覗きこまれる。 「どうした?」と訊かれ、頭に手を乗せられる。堪らなくなって、ガイの目から涙が溢れる。涙と一緒に、言葉も溢れた。 「ヴァン……!」 男の顔から笑みが引いた。驚きに目が見開かれて、彼は言葉を失う。そんな彼とは対象にガイは嗚咽と共に、今度こそ明確な意志を以ってを吐き出した。 「ヴァン、デス……デルカ……ッ」 こんなところを人に見られたらどう言い訳をして良いか判らないというのに、ガイは感情を抑えられなかった。六年、その歳月全てが台無しになるかも知れない。それでも、とガイは男の名を呼んだ。呼んで、ただ泣きじゃくった。男は言葉を失ったまま、それでもガイを抱きしめた。 「ガイラルディア様!」やっと紡がれた男の言葉は震えていた。ガイはただ泣きながら頷いた。 </>
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/2739.html
18 名前:タイムマシン第3話 「邂逅」[sage] 投稿日:2015/11/07(土) 17 49 03 ID z749cnYY [1/4] 「おはよう、優哉!」 「なんだよ、朝っぱらから」 チャイムの鳴った玄関を開けてみると、よく見知った女の子の姿があった。山口 佳奈だ。 「なんだとはなによ。昨日一緒にあのクエストやろうって約束してたのに眠いとか言って放棄したのはどこのどいつですかねぇ~」 「うっ。だって本当にめちゃくちゃ眠かったんだから仕方ないだろ」 「仕方なくないわよっ。私があのクエストをどれだけ楽しみしてかわかってないでしょう。それを謝罪も無しに約束を破るなんて。腹が立ったから文句の1つでも言ってやろうと来たのよ」 そういえばドタキャンしてんのに謝罪の一言もないのは確かに人として最低だったな…。でもでも謝罪する余裕がないほど眠かったんだ。本当だよ? 「それは本当にすまなかった。今日こそは付き合うから許してくれ」 勢いだけ自慢できそうな感じで頭を下げた。 「いいのよ。今日こそは付き合ってくれるんだし、それより…」 気が付いたら佳奈の視線が俺に焦点があってなかった。 「ねぇ…優哉、それ何…」 「それ?」 なんのこと言われてるのかわからず辺りを見渡した。んー、なんか変なところあるかな? 「後ろ」 気がつかない俺にイライラしたのかやけに怒気の含んだ声だった。 お嬢さん、イライラしたらそのせっかくの美貌が台無しでっせ。 後ろ、と言われたので後ろを振り向くとそこには自称娘こと優佳がいた。 さっきまでの天真爛漫な笑顔は何処へやら。それ扱いされたことに傷ついたのか不快な顔を浮かべていた。 お嬢さん、そんな顔してるとせっかくの美貌が(ry というかどうしよう。いきなり「タイムマシンでやってきた俺の未来の娘なんだ!」と言っても信じてくれないしな。若干俺も信じきれてないし… 「初めまして。私はタイムマシンで未来から現代にやってきた優哉さんの娘の優佳と言います」 極めて事務的な口調で優佳はそう答えた。さっきから目が死んでるのは気のせいですかね。 て、おい。タイムマシンとか未来とか娘とかなんの躊躇もなく言っちゃうのね。 パパはそれっぽい嘘の設定とかいろいろ考えてたのに… 「タイムマシン?未来?娘?優哉まさかそんなトチ狂った嘘信じてんの?」 「えぇとまぁなんかいろいろそれっぽい証拠とか持ってたし…」 「大体、タイムマシンに乗ってきたのならタイムマシンとかあるんでしょうね?」 「タイムマシンは乗るものではなく、転送装置ですけど」 「はっ。未来から来た証拠もないんじゃただの不審者よ。優哉今から警察に連絡して連れて行って貰いましょ」 「証拠ならいくらでもありますけど」 「ふーん。じゃあ証拠とやらを出してもらいましょうか」 そう言われると優佳は予め持ってきていたのか懐から前の晩みせた、証拠品の数々を佳奈に出した。 佳奈はそれを一通り確認すると半分納得半分疑いといったような表情を浮かべた。 「そう。とりあえず今は警察につきだすのはやめてあげるわ。優哉にも迷惑がかかるしね」 「信じてもらって嬉しいです」 まさに棒読みボイスで優佳はそう言った。 「それじゃあ優哉。早く着替えて学校に行きましょ。待っててあげるから」 「分かった。すぐ準備するからしばし待たれよ。ほら優佳リビングに戻った戻った」 すでに仲の悪そうな2人をなるべく早く引き離すために優佳を押しながらリビングに向かった。 19 名前:タイムマシン第3話 「邂逅」[] 投稿日:2015/11/07(土) 17 52 42 ID z749cnYY [2/4] ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー バタン 目の前のドアが閉まり私は血が滲みそうなくらいにつよく拳を握り、自分の中の黒い感情を鎮める。 「フー、フー」 呼吸も深く吐き、先ほどまで感じていた例えようのないくらいの不快感を減らそうとする。 優哉が私じゃない女と話した。優哉が私じゃない女に触れた。優哉が…優哉が… 少し落ち着いてきた。彼が戻ってくるまでにはいつもの「山口 佳奈」に戻らないと。 こんな私は見せられない 優哉と最初に出会ったころは覚えてる。 幼稚園児ともなると大体、二分化される。それは外で遊ぶ子、中で遊ぶ子、だ。私はどちらかというと中で遊ぶ子であり、可愛げのない性格もしてたのでいつも1人だった。寂しくなかったと言えば嘘になるが、私という存在を認めないような子達に好かれるように媚び売るのも癪で意地で1人で遊んでいた。 毎日中で同じような遊びをしていると気がつくことがあった。それは自分と同じような子がいるということだ。 それが私が初めて「月島 優哉」を認識した時だった。 彼は普通じゃなかった。こう書くと何か欠陥のあるような子に見えるがそうじゃなく、才が秀でているという意味での方だ。 何の才能かというと、常識囚われない、という才能だった。いつも彼なりのルールを作り、彼オリジナルの遊びを作っていた。 まぁオリジナル遊びなら他の子供もやっていただろう。 しかし彼は違う。センスが良いのだ。まるで地球の反対側から覗いたような視点で物事を捉えたりするようなその考えは他の幼稚園児には合わなかったのだろう。だから彼はいつも1人だった。 だけどは私は違った。彼の突出したセンスに惚れたのだ。 「ねぇ、一緒に遊ぼ」 一般の子供なら1度は言ったことのあるセリフ。私は初めてこの言葉を口にした。 彼は目をまん丸にして驚いた表情を浮かべながらも、すぐに歓喜の顔に変化した。 それからーー 彼と遊ぶ日々は常に新鮮で今まで色あせていた私の世界に色をつけていった。 気がついたら彼無しの生活も考えられないほどだった。 彼とやることはなんでも楽しかった。だから彼の趣味が、私の趣味になるのも必然なっだ。 小学生の頃、やはり彼が周りからすれば浮いてたからか友達が少なかった。それは私にとっては都合の良いもので、随分と充実した日々だった。「夫婦」だなんて囃し立てられたときは喜びで顔を赤くしていた。 周りが変わり始めたのは中学からだった。各々に個性が出始め、彼も1つの個性として扱われるようになった。 すると彼の周りに人が関わり始めたのだ。 いつも通りに彼を遊びに誘うと 「ごめん、佳奈ちゃん。今日はこいつらと遊ぶからまた今度ね」 と断られた。初めてだった、彼に断られたのは。例え、遊ぶ相手が男友達でも今までに感じたことのない黒い感情が溢れた。 皮肉にも私の彼への想いに気付いたのは嫉妬という感情を知るのと同時だった。 それからというもの、自分を磨き、他者を排除することに日々労力を尽くした。 そう、他者を排除する。彼に近づく女は片っ端から排除してきた。本当は男も排除したいのだが、さすがに優哉のことを考えるとそこは我慢した。だけど女は許さないよ。 私以外の女と彼が隣に立つだけで全身から火を噴きそうになる。 さっきもそうだ。優佳と言ったかあの女は。ユルサナイ。我が物顔で彼の側にいることは絶対に許さない。 それに明らかに私のことを敵対していた。 あの感情は知っている。私が4年前から手を煩わせてる感情だ。 アレは優哉に惚れている。もしも、本当にもしもアレが娘だとしたら何て気持ち悪いのだろう。肉親に欲情するなんて生命として欠陥しているに違いない。 そんな欠陥品が彼という完成品の側にいるなんて図々しい。 あぁ…殺したい 「ダメよダメよ。こんなことを考えては」 落ち着け。再度、己の中にある黒いものを深い呼吸で吐き出す。 (こんな感情、彼の隣には相応しくないわ) どうせなら楽しいことを考えないと。 (そうよ、約束破ったことを口実に週末デートに誘いましょ) 頭の中で予定を組み立て、気分が明るくになるにつれて、黒い感情は徐々に消えていった。 そして黒い感情が完全に消えるまで妄想を膨らませたところで目の前のドアノブが捻られた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 20 名前:タイムマシン第3話 「邂逅」[sage] 投稿日:2015/11/07(土) 17 53 53 ID z749cnYY [3/4] 「悪い待たせたか?」 「ううん、大丈夫!」 先ほどの険悪な雰囲気はどこへやら。すっかりご機嫌になっていた。 「それじゃ、行こ?」 「そうだな」 他愛のない話をしながら最寄り駅まで歩き、電車に乗る。 「そうだ、ねぇ優哉」 「ん?」 「昨日約束破ったよね?」 「うっ、本当ごめん」 「ううん、謝罪はもういいの。だけどね、約束破ったならそれなりに償うべきだと思わない?」 目の前のお姫様は意地の悪い笑みを浮かべた。 女の子なんだからそんな悪い顔をしちゃうと魅力半減だぞ 「私めはなにをすればよいでしょうか女王様」 「ふふん、下僕の自覚がついてきたようね。そうねー。週末に買い物とかどうかしら?」 お、女王様と言ったらノリノリになったぞ この子はSや!間違いない! 「それは荷物持ちということでよろしいですか?」 「荷物持ち兼サイフね」 訂正する!この子はSじゃない!ドSや! 「あのーお金、ないんですけど…」 「うるさい!約束破った罪を思い知るがいい~」 「ご勘弁を~女王様~」 なんだこの茶番。 「そうね。じゃあ週末まで、つまり今週中ね。私に対して償いの精神を誠心誠意アピールすればサイフていうのはやめてあげるわよ」 ウィンクしながらそう言ってきた よく見ると周りの野郎共の何人かは見惚れていた。 しかしな!周りが見惚れるような仕草だろうが俺には悪魔のような仕草にしか見えないぞ! 「うぅ、かしこまりました女王様」 これを機に佳奈のご機嫌をひたすら取る下僕ウィークを過ごしたのであった…
https://w.atwiki.jp/moedra/pages/190.html
翌日目が覚めたのは昼の少し前だった。 隣の大きな寝床で寝ていたはずのドラゴンは、いつのまにか財宝の山の頂上に寝そべっている。 すると、物音に気付いたのかドラゴンがこちらを振り向いた。 「覚悟は決まったか?」 「あんたの夫になるよ」 その言葉に、ドラゴンの顔に穏やかな笑みが浮かんだ。 俺はそれから、食料の調達方法を何とかしなければいけなくなった。 水はドラゴンが毎日あの澄んだ湖へと連れて行ってくれるため心配は要らなかったが、食べ物となると話は別だ。ドラゴンは長い間何も食べなくても平気でいられたが、俺はそうはいかない。 木の枝を加工して手作りの槍を作ると、俺は毎日狩りに出かけ、兎や鹿を狩って帰って来るようになった。 ねぐらでは組み上げた薪にドラゴンが炎を吐きつけ、焚き火を起こす。 そして、狩ってきた動物の肉を焼いて食べるのだった。 初めてドラゴンにあってから、既に7日が経とうとしていた。 いつものようにドラゴンと並んで草の寝床に入り込む。そしてしばらくウトウトしていた。 もうそろそろ眠りにつこうかというとき、突然視界を黒い影が覆った。 いや、そもそも暗闇だから黒いのは当たり前だ。 よく目を凝らすと、それは隣で寝ていたはずのドラゴンだった。 「ど、どうしたんだ?一体」 「今の生活には慣れたか?」 暗くて様子は見えないが、俺はとりあえず頷いた。 「あ、ああ、少しは慣れたよ」 「では、そろそろ次に行くとしよう」 「次?次って・・・」 突然、俺は下半身に快感を感じた。 俺はドラゴンに会った時に着ていた服を毎日湖で洗って干し、夜は裸で寝床に入っていた。 そのため剥き出しになっていた俺のペニスにドラゴンが指を這わせたのだ。 さわっ 「はぅっ!」 さらに強烈な快感を与えられ、俺は仰け反った。 「な、何を・・・」 「夫婦の嗜みだ。何も不思議なことはなかろう?」 「え・・・で、でもうはぁ!」 俺は反論しようとしたが、突然与えられた快楽に嬌声を上げさせられた。 ドラゴンは俺を両腕で掴むと、ゴロリと転がって俺を抱いたまま仰向けに転がった。 「フフフ・・・お前を下にして事に及ぶと押し潰してしまいそうだからな」 ドラゴンはそう言いながら、暗闇でも見える目で俺のペニスが固く立っているのを確認すると、股間で花開いた割れ目の中にそれを注意深く押し込んだ。 「あ・・・はあぁぁぁ・・・」 暖かい・・・ ドラゴンの肉襞がペニスを優しく包み、愛液が痺れるような快感を絶えず送り込んでくる。 そのあまりの気持ちよさに、俺は既に抵抗する気力をもぎ取られていた。 クチュチュ・・・ 肉襞が妖しく蠢き、俺のペニスをあくまで優しく、しかし執拗に貪る。 「あ・・・はぁ・・・く・・・あっ」 限界を迎えるギリギリのところで何度も何度も寸止めされ、俺は最高に気持ちのいい瞬間を何度となく味わわされた。断続的だった肉襞の動きはやがて滑らかに波打つような動きになり、次第に俺を快楽の高みへと追い詰めていった。 「あ・・・も・・・もう・・・だ・・・め・・・」 意識が弾け飛びそうな快楽の渦に飲まれかけた瞬間、肉襞がギュッと締まりトドメの一撃を加えてきた。 「あ~~~~~~~~~~~~~~!!」 激しく精が噴き出す。気持ちよすぎる。この世の快楽とは思えない。 俺は脳髄を焼き切らんとする程の快楽についに耐え切れなくなり、ドラゴンの腹の上で意識を失った。 次の日、俺は昼過ぎに目が覚めた。 昨夜の疲れのせいか、全身に気だるさが残っている。 ゆっくりとドラゴンの寝床の方を見ると、いつも少し離れたところで寝ているはずのドラゴンが、俺のすぐ隣で寝ていた。 大きな暖かい翼を俺の体に上にかけている。 俺が起きたことに気付いたのか、ドラゴンはゆっくり眼をあけるとおもむろに聞いてきた。 「寒くはなかったか?」 どうやら翼をかけて暖めていてくれたようだ。 外の気温は低めだったが、お陰で裸で寝ていたにもかかわらず俺は風邪をひかずに済んだ。 「暖めてくれたのか・・・ありがとう」 理由はわからなかった。いや、いろいろ理由があったのかもしれない。 俺はこのドラゴンがだんだんと好きになっていった。 15日目、あれからというもの、俺は毎晩ドラゴンと交わった。初めの数日は強烈な快感に耐えられず失神させられてしまったが、最近はなんとか明け方まで耐えられるようになっていた。 そしてその後、ドラゴンと並んで昼過ぎまで眠るのだ。 昼はといえば俺は食べ物を探すために外を歩き回り、ドラゴンは湖のそばで仰向けに転がって日向ぼっこをしていた。 俺がどうにかその日の食べ物を見つけてドラゴンに見せると、ドラゴンは再び俺を背中に乗せてねぐらに帰るのだった。 「今日は狩りが早かったな」 「鹿くらいならもう素手でも捕まえられるかもな」 俺の軽口にドラゴンが小さく笑ったような気がした。 夕食を終え、寝床に入る。いつもなら深夜になってからドラゴンがくるのだが、今日は逆にこっちから行こうかと思った。 明け方まで耐えているとはいえ、基本的には俺が搾られる一方だったからだ。 ドラゴンはこれからの人間との行為の前に、大きな体を横たえて休眠していた。 俺はそれを確認すると、寝床を抜け出してドラゴンに近づいた。 そして・・・ ドスッ 眠っていたドラゴンの股間の割れ目を開いて、左手をその中へ突っ込んでやる。 「ヌアッ!」 突然の衝撃と快感に私は飛び起きた。 みると、人間が私の膣に手を突っ込んでいた。 人間に先手を取られるとは情けない。 私が起き上がろうとすると、人間は膣の中に入れた手をグリグリと暴れさせた。 「ウ・・・ヌグゥ・・・」 強烈な快感が全身を襲った。まさか人間の方から責めてくるとは予想だにしていなかった。 「今日くらいは、先にイッてもらうぞ」 なおも私の膣を刺激しながら、人間が嘯いた。 「そうはさせぬ」 私は思い切り膣で人間の手を締め付けた。手が抜けなくなり、人間が焦り始める。 その隙に一気に体を起こすと、私は人間の性器を左手で優しく握り締めた。 「う・・・」 人間の顔色が変わる。 「どちらが先に音を上げるか試してみるか?」 「へ、の・・・望むところだ」 その言葉を合図に、俺とドラゴンとの戦いが始まった。 「はあ・・・あうぅ・・・」 「ウヌ・・・ヌゥ・・・」 ドラゴンの手が素早く動き、強烈な快感を送り込んでくる。 先にイッてしまえば朝まで一方的に弄ばれるだろう。だが、それはドラゴンも同じはずだ。 俺もいつまでもやられてばかりいるつもりはなかった。 俺はドラゴンの膣に深々と突き入れた手で握り拳を作ると、グリンと回転させた。 「ヌォッ!」 ドラゴンの喘ぎ声が聞こえる。さらに反対側に何度も何度も捻り、細かく並んだ肉襞をしごいた。 「グヌヌヌ・・・人間のくせになかなかやるな」 「いつまでもやられてばかりじゃねーぞ。なんてったってドラゴン様の夫だからな」 「減らず口を・・・」 その言葉とともにドラゴンの膣が強く締まり、俺の腕に幾重にも重なった肉襞が食い込んだ。 そして、腕の回転を封じてしまった。 「うお!く・・・離せっ!」 右手を割れ目にさし込み、左手を膣から抜こうとした瞬間、ドラゴンの手が俺のペニスを 玉袋ごと強く握った。 「はうぅっ!」 突然の快感に思わず仰け反ったが、手が抜けず離れられない。 そして、ドラゴンの指がまるで別の生物のように妖しく動き、俺のペニスを翻弄した。 爪を引っ込めた指が2本、3本とペニスをなぞり上げる。 「うあっ!」 その快感にブルッと体を震わせた瞬間、ドラゴンは俺のペニスを根元から握ると、ゴシュッという音とともに一気に手を引いた。細かな凹凸のあるドラゴンの手の平が余すことなくペニスを擦り、俺の脳髄に強烈な快楽を流し込んできた。 「ぐはぁ!」 辛うじて射精は免れたが、俺はもはや攻撃どころではなくなっていた。 膣の中で手をめちゃくちゃに暴れさせてみるが、せいぜい指が少し動く程度の抵抗しかできない。 腕が抜ける気配もなかった。だがその間にも、ドラゴンは手を休めてはくれなかった。 俺のペニスの先端を3本の指で摘まんだドラゴンの手から、強烈な振動が送られてきた。 「うぐあぁぁ!」 さらに上乗せされた快楽に、俺は射精寸前まで追い詰められた。 「どうやら私の勝ちのようだな」 ドラゴンが勝ち誇ったように笑う。 「くそぉ!」 俺は膣に突っ込んでいた手を思い切り押し込んだ。 手が抜けないように肉襞が返しの役目をしていたが、奥に押し込む分には意外と抵抗が少なかった。 「ウアッ!」 予期していなかった突然の快楽に、ドラゴンの手が止まる。俺はそのまま腕を奥まで突っ込んだ。 その最奥に、小さな突起が出ている。 「ん・・・これが弱点か?」 俺はその突起を指で強く摘まんでみた。 「グアアアァ!」 ドラゴンが今までになく激しく悶えた。 雄のドラゴンの巨根のみが刺激しうる、秘所の奥深くに隠された性感帯。 その突起を、俺はめちゃめちゃに弄くりまわした。 「ヌア!グゴアァァァ!」 思わぬ人間の反撃に、ドラゴンの大地を揺るがすような激しい雄叫びが洞窟内に響き渡った。 俺は正直、少し戸惑っていた。今まで余裕たっぷりに俺を犯してきたドラゴンが、今はこんなにも体を捩って快楽に喘いでいる。 俺は、先程までこのドラゴンに対して持っていた劣等感のようなものが吹き飛ぶのを感じていた。 所詮、ドラゴンも生物なのだ。たかが人間風情と侮った下等な相手に最大の弱点を攻撃されて、ドラゴンはプライドを傷つけられながらも耐えがたい快感に身悶えていた。 ドラゴンが怒りを滲ませた目で俺を睨みつけたが、俺はすかさず膣の奥に隠された突起を再び弄んだ。 「グアアアッ!」 何度も何度も最大の性感帯を刺激され、ドラゴンにも限界が近づいているのがなんとなくわかった。 「グッ・・・貴様・・・後で後悔するぞ・・・ヌガアァァ!」 俺は突起をグリッと捻り上げ、ドラゴンを黙らせた。 「そうかい。だが、今回は俺の勝ちのようだな」 先程とは完全に立場が逆転している。俺は勝ち誇ってドラゴンに先程の言葉をお返しした。 だが、それが同時に油断にも繋がっていた。 ズン! 「うぐっ!」 突然、尻の穴に何か鋭いものが突き入れられた。ドラゴンの尻尾だ。 「なっ、この・・・うああ!」 反撃しようと弱点の突起を摘んだ刹那、ドラゴンの尻尾が俺の尻の中でグリンと回転した。 激しい快感がまさに体を貫いた。そして、俺が喘いでいたその隙にドラゴンは大きな手を伸ばし、再び俺のペニスを掴んだ。 「くそっ、卑怯だぞ!」 「手しか使わんと言った覚えはないぞ」 妖しい笑みを浮かべながら、ドラゴンは平然と言い放った。 「最後の勝負だ」 ドラゴンの手がひらりと翻ったかと思うと、玉袋とペニスが同時に揉みしごかれる。 さらに、尻に突き刺された尻尾がズン!ズン!と激しく出たり入ったりを繰り返し、しばしの休息に回復していた俺の体力を一気に削っていった。 「ぐあああ!」 尻尾と手による攻撃を同時に受けて俺は激しくよがり狂ったが、ドラゴンの弱点はまだ俺の掌中にあった。 歯を食いしばってドラゴンの攻撃に耐えると、お返しとばかりにドラゴンの突起に拳をグリグリと擦りつけた。それと同時に、肉襞にも腕が擦れる。 「ウガアァッ!」 ドラゴンの喘ぎ声が洞窟内にこだました。 そこから先は気力の勝負に突入した。お互いに一歩も引かずに相手の性感帯を容赦なく嬲った。 意外なことに、先に追い詰められたのはドラゴンのほうだった。既に快感が限界に達しているのか、ペニスを搾る手にも尻を抉る尻尾にも心なしか力強さが感じられなくなってきた。 だが、俺のほうも限界ギリギリだ。もう一発強烈な快感を与えられたらあえなく屈服してしまうだろう。 そうなる前に、俺はとどめをさしにいった。 ドラゴンの突起に指を添え、3本の指で優しく何度も何度もそれを撫でさすった。 「ヌ・・・ヌアァァァァ!」 突如、ブシュッという音とともに暖かい粘液が膣内を満たした。 絶頂を迎えたドラゴンが激しく悶え、よだれを垂らしながら床をのたうち回った。 だがその快楽の最中にあっても、ドラゴンは限界ギリギリの俺にとどめを加えるのを忘れてはいなかった。 ペニスに添えられていたドラゴンの指が、まさに今俺がドラゴンにそうしたように滑らかにペニスの上を這い回り、極上の心地よさを与えてきた。そして、その一撃に俺も限界を迎えた。 「うあ~~~~~~!」 激しい精液の奔流が、一筋の白い線となって洞窟の闇の中に閃いた。 1匹のドラゴンと1人の人間は、快感の余韻に体を動かすことができず、そのまま朝まで眠った。 翌日俺が目を覚ますと、ドラゴンが俺の顔を間近で覗き込んでいた。 「わっ」 びっくりして思わず飛び起きる。 「まさかこの私が人間に負けるとはな・・・」 ドラゴンが独り言のように呟く。そして、いきなり思わぬことを言った。 「まだ期限まで日はあるが、お前が望むならばすぐにでも財宝を持って帰るがいい」 「えっ・・・?」 「町までは運んでやろう」 ドラゴンは少し寂しそうな眼をしていた。再び孤独に帰るのを受け入れているような悲しい眼。 俺は突然のことにどうしていいかわからなかった。帰れる?町に?財宝を持って? それは、俺にとっては最高の提案のはずだった。そう、少なくとも昨日までは。 だが、昨夜の件で俺はこのドラゴンをますます好きになっていた。そして、意を決して答えた。 「いや・・・」 意外な否定の言葉に、ドラゴンが怪訝そうな顔をする。 「俺はここに残るよ。一月と言わず、これからもずっと一緒に暮らそう」 「なんと・・・」 ドラゴンは明らかに衝撃を受けたようだった。だが、その衝撃はやがて少しずつ、心の奥底から沸き上がる喜びへと変化していった。 「私と・・・ずっと一緒に暮らすというのか・・・?」 ドラゴンが恐る恐る確認の念を押す。 「そうだ」 その返答に、ドラゴンはフーッと溜息のような長い息をつくと、俺の顔をいきなり大きな舌で舐め上げた。 「ひゃあっ!」 生暖かく湿った舌の感触を顔に擦りつけられ、俺は尻餅をついた。 「ならば、今夜も容赦はせんぞ?」 ドラゴンは笑っていた。俺もつられて笑う。 「またよがり狂ってのたうち回るのがオチだぜ」 「生意気な奴め」 ドラゴンはそう言って起き上がると、洞窟の入り口に向かって歩きながら俺を誘った。 「湖に行くぞ。今日は私の分の食料も取ってきてもらおうか」 「よし、まかせとけ」 俺はいつものように手製の槍を掴むと、ドラゴンの背中に颯爽と飛び乗った。 空は雲一つなく晴れ渡っていた。 大きな翼に一杯の風を受けて、男を乗せたドラゴンが空高く舞い上がる。 お互いに認め合った男とドラゴンは、既に種族の違いを乗り越えて結ばれていた。 その後、男が年老いてその生涯を終える日まで、ドラゴンと男は片時も離れることなく山奥の湖のそばで幸せに暮らしたという。 完 感想 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/fragile-love/pages/60.html
ツンは、何の遠慮も無く俺の胸に飛び込んできた。 ツンと会ってなかった、たった一週間・・・たった一週間なのに・・・ この一週間、拷問のような日々だった。 どれだけの時間、彼女の病室に立ち尽くしただろうか? 何度彼女を忘れようとしただろうか? 何度叶わぬと知った恋心に・・・涙しただろうか? 何度彼女に・・・会いたいと、触れたいと・・・願っただろうか? 彼女が胸の中に飛び込んできた。 彼女の軽い体を、俺は、しっかりと、受け止め、抱きしめた。 中編
https://w.atwiki.jp/dmorika/pages/3561.html
「継承物語 第2章 竜の邂逅」 テーマは「呪文操作」。 各文明に「異次元のインビンシブル呪文」が登場。 ストーリー 二体の竜は、「マリーシャ共和国」・「アドルズ帝国」という二つの国を尋ねる。 それぞれの王は流浪の竜達に、マナをめぐる諍いが起きようとしていることを伝える。 収録カード スーパーレア全5種 《光器マリーシャ》 《》?? 《黒深の騎将アドルズ》 《》?? 《》?? ベリーレア全5種 《インビンシブル・ビーム》 《インビンシブル・スパイラル》 《インビンシブル・スラッシュ》 《インビンシブル・バズーカ》 《インビンシブル・ネイチャー》 レア全15種 《聖騎士ミルコー》 《聖言の精霊ネプシアン》 《》?? 《》?? 《》?? 《アドミラル・ブレイン》 《発狂人形マドリー》 《》?? 《》?? 《》?? 《》?? 《ファイアー・レイヴ》 《》?? 《》?? 《》?? アンコモン全15種 《魔文の使徒モスフィア》 《》?? 《詠唱プログラム》 《》?? 《》?? 《ジーニアス・ブレイン》 《イエロー・ラスク》 《アウトロー・プディング》 《》?? 《》?? 《》?? 《》?? 《》?? 《》?? 《》?? コモン全20種 《近衛の使徒ドルキー》 《》?? 《》?? 《ロジック・サイン》 《ナギサヴカ》 《》?? 《》?? 《》?? 《》?? 《》?? 《プーカ・ギフト》 《ゴースト・チャージャー》 《》?? 《》?? 《》?? 《クレイジー・フレーム》 《森老妖精ヒョウヒョウ》 《》?? 《》?? 《》?? 参考 継承物語?? エキスパンションリストA
https://w.atwiki.jp/omf-game/pages/2520.html
2019/08/15(木)メンテナンス終了後 ~ 2019/08/29(木)メンテナンス開始まで コラボ限定キャラクターのゴブ朗が登場!もしかしたら仲間になるかも!? 受注コスト(消費食糧) 報酬(グロー) 難易度 宝箱ドロップ 初回のみ 入手可能素材・キャラクター 初回クリア報酬 12 100 Normal クスノキ原木 (キャラ)ゴブ朗 制作キットx5 クスノキの枝 スキルストーンx20 パピルス - [AG]悪意 - Hard クスノキ原木 (キャラ)ゴブ朗 制作キットx5 クスノキの枝 スキルストーンx30 アンデサイト - ディオライト - パピルス - [AG]殺意 - VeryHard リード鉱石 (キャラ)ゴブ朗 制作キットx5 アンデサイト スキルストーンx50 カッパー鉱石 - ディオライト - パピルス - [AG]咆哮 - 出現モンスター(Normal) Round 1 Round 2 Round 3 wave 1 wave 2 wave 3 wave 1 wave 2 wave 3 wave 1属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 風剣 57 風弓 55 風剣 57 風剣 57 風弓 55 風剣 57 Boss火重 165 風剣 78 風弓 55 風剣 78 風剣 78 風弓 55 風剣 78 風剣 57 風剣 78 風剣 78 風剣 57 風剣 78 風剣 78 出現モンスター(Hard) Round 1 Round 2 Round 3 wave 1 wave 2 wave 3 wave 1 wave 2 wave 3 wave 1属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 風剣 236 風弓 215 風弓 215 風剣 236 風弓 215 風剣 204 Boss火重 316 風剣 236 風剣 236 風剣 204 風剣 236 風剣 236 風剣 204 風剣 204 風剣 236 風剣 204 風剣 204 風剣 236 風剣 204 風弓 215 - 風剣 236 - 風弓 215 風剣 236 - - 風剣 236 - - 風剣 236 出現モンスター(Very Hard) Round 1 Round 2 Round 3 wave 1 wave 2 wave 3 wave 1 wave 2 wave 3 wave 1属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 風剣 506 風剣 468 風弓 324 風剣 506 風剣 468 風弓 324 Boss火重 614 風弓 324 風剣 468 風剣 468 風弓 324 風剣 468 風剣 468 風剣 506 風弓 324 風剣 468 風剣 506 風弓 324 風剣 468 風弓 324 風剣 506 風剣 506 風弓 324 風剣 506 風剣 506 - 風剣 506 風剣 506 - 風剣 506 風剣 506 - - 風剣 506 - - 風剣 506 「怪物との邂逅[キャラドロップ]」コメント 名前
https://w.atwiki.jp/yudetamago_soko/pages/215.html
55巻 > 第154話 第154話 「運命の邂逅(かいこう)!!」 掲載期間:2015年12月21日~2016年1月3日 AAを貼る場合上段のメニュー→「編集」→「このページを編集」。 AAの前に #aa{{ を、AAの後ろに }} をつけてください。 コラを載せる場合上段のメニュー→「編集」→「このページにファイルをアップロード」。 アップロード後に「編集」→「このページを編集」し、 #ref(添付ファイル名) または #ref(ファイルのURL) を記入してください。 下等超人の処理は任せろ セクハラマン