約 45,018 件
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/358.html
ここは宇宙(そら)に浮かぶ城。シン・アスカは城の一角にあるテラスで、銀髪の少女アンゼロットと見えるのであった。 ゴシックなドレスに身を包み、ティーカップを傾けるアンゼロットは、可憐な女の子にしか見えないが、「守護者」としてこの世界を守る使命を持っているのだ。 アンゼロット「というわけで、シン・アスカさん、これから言う私の質問に、ハイかイエスで答えてくださいね」 シン「……いきなり訳わからないぞ。しかもそれ、質問になってないし」 アンゼ「先行しているウィザード達と協力して、ちょっと世界を救ってきてほしいのです」 シン「ず、ずいぶんと大きい話だな。『ウィザード』でもない俺が役にたつのか?」 アンゼ「ええ、もちろん。彼らにシンさんが加わればとても楽しそうですから」 シン「へ?」 アンゼ「いえ、今の発言は気にしないように……。それにシンさん、私達もあなたの力になれるかも知れないのですよ」 シン「何です、それは?」 アンゼロットは優雅にティーカップに口をつける。そして、彼女のお気に入りでもある、あるウィザードの事を話す。 アンゼ「先行しているウィザードの一人、柊蓮司(ひいらぎ れんじ)さん。彼は人呼んで『下がる男』と呼ばれています」 シン「……『下がる男』?」 アンゼ「詳しくは言えませんが、彼の『力』ならば、あなたを悩ましている女難も、少しは「下がる」かも知れません」 シン「その任務、やらせてください(←即答)」 シン(女難が減るのなら多少の危険は…! それに世界を守る為に、俺の力が役に立つと言うのであれば望むところだ) ためらいのないシン。だが、これが悲(喜)劇の幕開けになろうとは、露知らぬ彼であった……。 アンゼロット「いいお返事です。では」 ニコリと微笑みティーカップをテーブルに戻す。すると…… シン「うわ!? 何なんだ!?」 いきなり現れた屈強な男たちに捕まり、連れ去られていくシン。そのまま連れられていった場所は、シンがよく知っている場所に似ていた。 宙に向かってレールが延びる。そう、MSの発進カタパルトである。ただし、人間サイズの……! 『シン・アスカ、発進シークエンス、スタート』 無機質なアナウンスの声とともに、ガチリとシンの足が床に、いや射出プレートに固定される。 シン「ちょ、ちょっと待て! 外れない!?」 部屋の奥がドアとなり、開いていく。その扉の先に見えるものは、宇宙そして大きく見える青い星、地球。 『ゲートオープン。進路オールグリーン』 光が灯り、宇宙への道を示す。 シン「ちょ、ちょっと待て! これを止めろ!」 アンゼ「あなたに合わせた趣向でしたが、お嫌ですか?」 カタパルトに守護者の声が響く。 シン「嫌とかそういう問題じゃない! 生身で宇宙なんて……!」 アンゼ「そのプレートは特製の”大気圏突入用箒”です。問題はありませんわ」 シン「問題ありすぎだ!」 アンゼ「先行しているウィザード達には、連絡してあります。シン・アスカさん……世界を救えるのは、あなたしかいないのです」 シン「『コレ』と何の関係が!?……って、あ!?」 アンゼ「では、いってらっしゃいませ♪」 『カウントダウン、スタート。……2・1・GO』 無常なアナウンス。轟音とともにプレートとシンは射出される。 シン「なんでこうなるんだああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」 流星となり地球へと向かう、もとい落ちていくシン。 アンゼ(シンさん……あなたのそれは、いわば「女難力:∞」。ヒイラギチカラをもってしても、手に負えないかも知れませんね。でも……) シンが飛んでいった地球を眺めつつ、笑みをうかべる。 アンゼ(また一つ、私の楽しみが増えましたわね) 『世界の守護者』アンゼロット、世界の危機(と自分の興味)の為には、犠牲をためらわない人であった……。 一覧へ
https://w.atwiki.jp/gundamfamily/pages/2153.html
559 名前:魔法の中尉ブラスター・マリィ『邂逅』 1/4 :2009/04/27(月) 06 55 40 ID ??? テロリストA「このガキぃ!!」 ガロード「危ねえっ!」ドン! ドタタタタタ! ティファ「あ…」 フェルト「ガロード!」 ――― 力 が 欲 し い か ? ――― ソーマ「ガロード君!!」ダンダン! テロリストA「ぐはっ!」 フェルト「ガロード! ガロード! しっかりして!」 ソーマ「ガロード君!!」 ガロード「ケフッ… 畜生、ドジった…」 ティファ「い…いや…」 ソーマ「………」 ――― 力 が 欲 し い の な ら ――― フェルト「ダメ! しゃべらないで!」 ガロード「さっきの…チビ…は?」ゴフッ! ソーマ「無事だ。 かすり傷もないよ。 君の、お陰だ」 ガロード「そい、つは…よか…た…」 フェルト「ああ、血が、血が止まんないよぅ… ロックオン…」 ガロード「ティ…ティファ… ゴメ…」 フェルト「ガロード!!」 ティファ「いやああああああああああああああああああああ!!!」 ――― く れ て や る ! ――― 560 名前:魔法の中尉ブラスター・マリィ『邂逅』 2/4 :2009/04/27(月) 06 56 37 ID ??? 赤い彗星のひと「はっはっはっはっ」 ソーマ「!! …こ、ここは?」 赤い彗星のひと「ここは、量子の集まる場所。 世界の始まりにして、終わりでもある」 ソーマ「私はなぜこんな所に? そうだ!ガロード!みんな!」 赤い彗星のひと「落ち着きたまえ。 ここには時間の概念はない」 ソーマ「あなたは? …いえ、赤い彗星? パイロット名鑑で見た…」 赤い彗星のひと「ふふふ、それは正解でもあり、また、間違いとも言える」 ソーマ「どういうことだ! 先ほどからはぐらかしてばかり… 目的はなんだ!」 赤い彗星のひと「今、この世界に闇が迫ろうとしている」 ソーマ「闇…だと?」 赤い彗星のひと「そうだ。 この平和な世界に、戦乱を呼び込もうとしている者がいる。 彼らは人知れず忍び寄り、そして、確実に争いの種を撒く。 今回のテロリスト事件も、その一つだ」 ソーマ「なっ…なん…だと?」 赤い彗星のひと「私“たち”も、奴等に対抗してはいるが…いかんせん人手不足だ」 ソーマ「私にその手伝いをしろ、と?」 赤い彗星のひと「その通り。 私たちが人の世界に干渉するには、厳しい制限があってね。 是非とも君のような真っ直ぐで力を持った乙女の協力が欠かせんのだよ」 ソーマ「お、おとめ…」(////) 赤い彗星のひと「もし、君に奴等と戦う意思があるなら、この、『魔法の物干し竿』を取りたまえ」 ソーマ「は?」 赤い彗星のひと「『魔法の物干し竿』だよ。 なんと、使用者の意思に応じて伸縮自在というスグレモノだ!」 ソーマ「………如意b」 赤い彗星のひと「ちっがーーーーう! 『魔法の物干し竿』だ!」 ソーマ「………朱塗りなんですが?」 赤い彗星のひと「赤はいい! すばらしい色ではないか!」 ソーマ「ここの所に『如意金箍棒』と銘が…」 赤い彗星のひと「『魔法の物干し竿』! …どうしてもイヤだと言うなら、『魔法のバールのようなもの』もあるが」 がっ! ソーマ「謹んで『魔法の物干し竿』、拝領させていただきます」 赤い彗星のひと「うむ、そうか。 …こっちもなかなかいいよ? 破壊力は『魔法』シリーズで最強…」 ソーマ「いえ、私はこちらで!」 赤い彗星のひと「そ、そうかい? まぁそ…なら…」 ソーマ「シャア大佐?」 赤い彗星のひと「私はシャア・アズナブルであって、シャア・アズナブルではない。 『魔法の物干…竿』の使い方は、もう一人の君…知って…る。 世界…和のため…がんば…ってく……まえ…」 ソーマ「大佐!」 赤い彗星のひと(F.O.中)「君に…仲…が二人… 仲良くね~~」 561 名前:魔法の中尉ブラスター・マリィ『邂逅』 3/4 :2009/04/27(月) 06 57 35 ID ??? ???「変身!!」ゴゥッ! フェルト「えっ?」 マリィ「魔法の中尉、ブラスター・マリィ! 悪を懲らしに、ただいま出撃!」キラーーン☆ フェルト「………(唖然」 ティファ「………(呆然」 女の子「お姉ちゃん、かっこいいー」パチパチ マリィ「ふふっ、ありがとう♪」ナデナデ 女の子「えへへーー」 テロリストB「なんだ? 旧ジオン軍の仕官?」 マリィ「吽っ!」ブンッ! ドスンッ! テロリストB「ぐっはあああ!」ドンガラガッシャン フェルト「………(唖然」 ティファ「………(呆然」 マリィ「さて、こっちも放って置けないわね」 ガロード「………」←へんじがない ただのしかばねのようだ マリィ「精神注入!」 バチッ!ジジッ!パリパリパリ… マリィ「一発!」 ブン! マリィ「入魂!!」 ドカン! ガロード「げふっ!! ゴホッ!」ジタバタ フェルト「ガ…」 ティファ「ガロード!!」ギューーッ!! ガロード「げふっ、ごふっ… っっって~~… あれ? お花畑… え? ティ、ティファあ!?」 マリィ「どうやら間に合ったみたいね」ニコッ ガロード「へ? ソーマさん? どしたの、そのカッコ…」 マリィ「いいえ! 今の私は魔法の中尉、ブラスター・マリィです!」 ガロード「…はい?」 マリィ「そんなわけで、私は悪い子たちにオシオキしてくるから。 彼女たちのことは任せたわよ? 色男♪」Wink! ガロード「えっと、う、うん」 マリィ「とうっ!」バッ 562 名前:魔法の中尉ブラスター・マリィ『邂逅』 4/4 :2009/04/27(月) 06 59 13 ID ??? テロリストC「な、なんだあの女!」バタタタタタ! マリィ「ふっ!」 カキキキキキン! テロリストD「んなあっ! マシンガンの弾を、全部打ち落としやがった!」 マリィ「哈ぁぁぁぁぁっ!! 吽!」 どがっ! テロリストC「ぐあああっ!」 テロリストE「こっ、こちらB班! 謎の敵の襲撃を受けている! た、助け…」 テロリストF『なんだ? 状況は正確に…お、おい、あの女は』ブツッ! テロリストD「ごふっ!」 テロリストE「きゅうぅぅぅ…」 マリィ「何かしら…“悪い子”の気配がどんどん消えてゆく… こっち!」 ??「こぉの…悪い子!悪い子!悪い子がーーー!!」バシバシバシ テロリストG「ごっ、ごめんよーーー! がーぢゃーーーん!!」 マリィ「………はいぃ?」 それは、一種異様な光景であった。 四つんばいになった男たち―――その誰もが屈強で歴戦を感じさせる大男であった――― が、泣き叫びながらただひたすらに許しを請うていたのである。 ??「もう、こんな悪いことはしない!?」 テロリストG「はっ、はいぃぃ」 ??「よろしい!」 マリィ「あ、あなたは・・・?」 ??「私? 私は、魔法の少尉…じゃなかった、大尉、ブラスター・マリ! 悪い子たちは、オシオキよ♪」キラリン☆ 新旧、二大ヒロイン邂逅の瞬間であった。 つづく。 でけでけでけででーででん(BGM) 人は何故戦うのか 何故戦わずにはいられないのか 紅の厄災が降り注ぐ時 目覚めし巨人が大地を砕く 次回 『召還』 乙女の呼び声に、鋼が応える――――
https://w.atwiki.jp/ge-3/pages/340.html
『過去との邂逅』リカルド編 一覧 『過去との邂逅』リカルド編 一覧 『過去との邂逅』クレア編クリア後に解禁ミッションカウンターではミッションを選ぶことはできず、ブリッジにいるリカルドにYボタンで話しかけることでミッションを受けることができる。 「リカルド #2」「リカルド #3」「リカルド #4」はリカルドとの感応同期率が規定値以上で出現。他のミッションにリカルドを同行して感応同期率を上げる必要がある。 種別 ミッション名 フィールド 討伐対象 非討伐対象 備考 STORY 起憶 リカルド #1 感応領域 ????(マインスパイダー型)x3 - 随行者はリカルドのみで固定クリア後にミッション消滅 未来への道程 #1 「起憶 リカルド #5」クリア後にミッション名が変わって復活 STORY 起憶 リカルド #2 感応領域 ????(マインスパイダー型)x3匹x2回 - リカルドとの感応同期率30%以上でミッション出現随行者はリカルドのみで固定クリア後にミッション消滅 未来への道程 #2 「起憶 リカルド #5」クリア後にミッション名が変わって復活 STORY 起憶 リカルド #3 感応領域 ????(マインスパイダー型)x3 - リカルドとの感応同期率50%以上でミッション出現随行者はリカルドのみで固定クリア後にミッション消滅 未来への道程 #3 「起憶 リカルド #5」クリア後にミッション名が変わって復活 STORY 起憶 リカルド #4 大渓谷 下流域 コクーンメイデンx8サイゴートx4 - リカルドとの感応同期率80%以上でミッション出現随行者はリカルドのみで固定クリア後にミッション消滅 未来への道程 #4 「起憶 リカルド #5」クリア後にミッション名が変わって復活 STORY 起憶 リカルド #5 感応領域 ????(グウゾウ型)(*1) - 随行者はリカルドのみで固定 未来への道程 #5 「起憶 リカルド #5」クリア後にミッション名が変わって復活
https://w.atwiki.jp/retrogamewiki/pages/2984.html
今日 - 合計 - グラウエンの鳥籠 Kapitel4 「邂逅の攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月09日 (火) 14時56分05秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
https://w.atwiki.jp/ge-3/pages/341.html
『過去との邂逅』フィム編 一覧 『過去との邂逅』フィム編 一覧 『過去との邂逅』クレア編クリア後に解禁ミッションカウンターではミッションを選ぶことはできず、ブリッジにいるフィムにYボタンで話しかけることでミッションを受けることができる。 「フィム #2」「フィム #3」「フィム #4」はフィムとの感応同期率が規定値以上で出現。他のミッションにフィムを同行して感応同期率を上げる必要がある。 種別 ミッション名 フィールド 討伐対象 非討伐対象 備考 STORY フィムのレポート #1 大渓谷 鉱山跡 サイゴートx5オウガテイルx2ドレッドパイクx2 - 随行者はフィムのみで固定クリア後にミッション消滅 ほんとうのかぞく #1 「フィムのレポート #5」クリア後にミッション名が変わって復活 STORY フィムのレポート #2 旧市街地 繁華街跡 アックスレイダー堕天x7ドレッドパイクx2マインスパイダーx2 - フィムとの感応同期率30%以上でミッション出現随行者はフィム、ユウゴ、ジークで固定クリア後にミッション消滅 ほんとうのかぞく #2 「フィムのレポート #5」クリア後にミッション名が変わって復活 STORY フィムのレポート #3 大渓谷 下流域 ボルグ・カムランマインスパイダー堕天x3サイゴートx2 - フィムとの感応同期率50%以上でミッション出現随行者はフィム、クレア、ルルで固定クリア後にミッション消滅 ほんとうのかぞく #3 「フィムのレポート #5」クリア後にミッション名が変わって復活 STORY フィムのレポート #4 限界灰域 深層 アックスレイダー堕天x3オウガテイルx4マインスパイダー堕天x2 - フィムとの感応同期率80%以上でミッション出現随行者はフィム、ニールのみで固定クリア後にミッション消滅 ほんとうのかぞく #4 「フィムのレポート #5」クリア後にミッション名が変わって復活 STORY フィムのレポート #5 旧市街地 礼拝堂 アックスレイダー堕天x4ラー - 随行者はフィムのみで固定 ほんとうのかぞく #5 「フィムのレポート #5」クリア後にミッション名が変わって復活
https://w.atwiki.jp/srpgbr/pages/159.html
川のせせらぎの伴奏のもと、6つの足が曲を奏でる。 横一直線に並ぶ、奏でている3人。 川側からオグマ、アズリア、パッフェルだ。 なんともない話をしながらもそれぞれは有機的に動いている。 川を挟んだ向こう側はオグマが警戒し、平原側は視力に優れたパッフェルが眺め、 アズリアは主に後方に注意を払う。 彼らが進んでいるのは北。川に沿うようにして進んでいた。 パッフェルは最初、西に行くつもりだった。 例の雑音(歌?)が聞こえいたので、人が集まっているかもしれないという理由だった。 が、オグマとアズリアと合流できたし、何よりアズリア達と話をして時間を使いすぎた。 今更行ったところで、遅れて集まる人物に待ち伏せしている人がいないとも限らない。 まぁ、行ったところで待ち伏せているのは大ボケ鼻血天使とはだけた貧血騎士なのだが。 結局…話し合った結果、北上することになった。 3人で固まって行動していれば、殺人嗜好者でもそう簡単には手が出ない。 パッフェルを筆頭に視力もきく彼らは、むしろ見通しがいい場所のほうが いくらか都合がいいのだ。 遠距離から攻撃される危険もあるが、少なくとも視界の外から 回避できないような攻撃を行う方法を彼らは知らない。 「パッフェル……」 「今度はなんですか、アズリアさん?」 しばしの沈黙。 「いや……そのギターの弦で戦えるのか?」 『なんともない話』をしながらもそれぞれは有機的に動いている。 『なんともない話』………さっきからずっとこんな感じである。 アズリアが何かをパッフェルに聞こうとして、逡巡したあとに 首を小さく横に振る。そして『なんともない質問』をするのである。 「ええ…ちょーっと武器としては頼りないですけど、素手よりはマシってとこですね」 (…これは…気付いていますね…アズリアさん) アズリアの歯切れの悪い理由はもうパッフェルも分かっていた。 彼女が聞きたいことは―――自分の正体だろう。 少しの間くらいなら自分が"茨の君"だということを隠し通せるかと思っていたが どうやら見通しが甘かったらしい。 アズリアが鋭いのか、それとも自分は自分で思ったほど変われてなかったのか。 (これ以上隠しても…不信を煽るだけですね) パッフェルがそう決意し、口を開きかけたときだった。 警戒していた平原の隅っこ、街道上に人影を見つけたのだった。 瞬時に目を細め、その人影を凝視する。 ロングの黒髪の……女性?いやあの体つきは男性か? いや、それ以前に見覚えがある………あれはまさか… 足を止め、目を凝らしたまま固まるパッフェルを怪訝そうに見る二人。 「パッフェル、何か見えたのか?」 アズリアの声が聞こえたのかどうかは分からないが、 パッフェルは開きかけた口である名前を呟いた。 「………イスラ?」 数瞬、場の時が止まった。 時間が流れ出したときにはアズリアは全力でその人影へと走っていた。 アズリアが駆け出す数十分前。 既に、超危険地帯ともいえた森からは随分離れた。 かれこれ2時間は移動しているのだから当然だろう。 突然襲い掛かってきた剣士と血まみれの少女を思い出し、イスラはため息を吐いた。 森から離れて、岩山を海側へ回りこむようにして南下。 森が親指大の大きさになったところで森のほうをまじまじと見てみたが、人影はない。 できればネスティと合流したかったのだが仕方がない。 探しに戻るかとも考えたがそんな愚はしない。 少なくとも、イスラは彼にそこまでの価値を見出してないのだ。 とはいっても、もしネスティが首輪解除の鍵を握るかもしれない人物だと知っていたとしても 彼の行動が変わったかどうかは分からない。 イスラは、アティと同じ魂の輝きをもつ、精神的に似通った人物だ。 自分よりも自分の周囲の人が大事という本質は彼女とは変わらない。 だが、彼は彼なのである。 とにかく、イスラは南下した。とりたてて理由はない。 もしかしたら、街道というものを堂々と歩いてみたかったのかもしれない。 (そういえば…こんな気持ちで道を堂々と歩くなんてあったのかな?) イスラは病魔の呪いにより、そもそも歩くことすら叶わなかった。 歩くことが叶うようになっても帝国軍に入るための訓練に勉強。 レヴィノス家の力があってこそ、一年足らずで軍に入ることができたわけだが 決して親の七光りで軍に入ったわけではないことは彼の実力が示している。 それだけの努力をした彼には、 のんびりと道を歩くような時間は与えられなかったのである。 任務で道を歩くこともあったがそれは全て姉への裏切りにつながる行為、 無色の派閥へ軍の情報を流す行為でしかなかった。 この見通しのよい道を歩いていて、少なくとも誰かの影が見えない限り 自分は何にも怯えないで済むのだ。 こう歩いている限り、心臓発作も罪の意識も襲ってこないのだから。 もしかしたら、この殺し合いの場において『生』を一番満喫しているのは 他でもないイスラなのかもしれない。 「さて…」 (僕の考えたことは…これで大体はまとまったかな?) 街道をてくてくと歩いていたイスラは自分に自問した。 自答の結果は―YESだ。 歩き続けた数時間、何の脅威もない散歩を楽しんでいただけではない。 彼は彼なりに、この殺し合いの場について考察をまとめていた。 この自分のまとめた考えは…自分が考える限りは穴はないが、粗い。 「できれば…召喚術に詳しい、アティか姉さんに話してみたいな」 彼の考えに穴がないかどうかは、 軍学校で非常に優秀な成績だった彼女らなら分かるだろうが―― 彼女らにそれを話すことを考えると、とあるイメージがイスラを襲う。 非常に陰鬱なイメージだ。 涙ながらにアズリアに抱きつく。病魔の影も無色の影もないイスラは死ぬ理由はない。 もうアズリアに嫌われるような行動をする必要はないのだ。 そんな彼の一つの衝撃が。 背中に焼けるような痛み。 アズリアの誓いの剣が、背中に突き立っている。 『いまさら何を泣いている?部下の仇だ、死ねイスラ』 アズリアが暗い目でイスラを見下ろし、ゴミでも捨てるように突き飛ばした。 腎臓を一刺しされ、即死だ。 なのにイスラは死んでいない。激痛なんて生易しいものではないのに、 死ぬどころか意識を失いさえしない。 彼が倒れている傍らには、碧き光を放つ、銀髪の女性がいた。 手に持つのは"果てしなき蒼"。 『私はあなたを許しません!』 そう言って彼女が剣を一閃。左腕が胴体から切り離された。 また一閃。さらに一閃。そしてもう一度――右足、右腕、左足が吹き飛んでいった。 アティが醜い目でイスラを見ている。 碧の賢帝の狂気に支配されたような狂った目ではなく、理知的な侮蔑を込めた目。 ――――やめろ、そんな目で見るな! 言いたくても言えない。失血で口が動かないし、そんな資格もないのを自覚しているのだ。 そして、碧き剣閃が首へと―― イメージを断ち切り、イスラは現実に立ち戻った。 イメージに捉われていたのは1秒にも満たない時間であろうが、 背中に嫌な汗を感じた。 そんな時である。 妄想に捉われる時間などない。そう思い顔を上げたときだった。 黒髪をなびかせて、全力で駆けてくる彼女を視界に捉えた。 「イスラ!イスラなんだろう!!?」 叫びながらも、走る足は止まらない。 距離は既に20mほどしか開いてなかった。 涙で視界が滲んでいたが、見間違えるはずもない。 最初に名簿で名前を見た時点では、できる限り考えないようにしていた。 同名の別人の可能性もあった。 むしろ、イスラは目の前で死んでいるのだ。その可能性のほうが圧倒的に高い。 広間に全参加者が集められたときに発見できなかったことも一因だ。 期待すれば裏切られたときのダメージは計り知れない。 だから、期待はしてなかった。 いや、期待しないように完全に思考からイスラのことは追い出していた。 が、現実に愛する弟が目の前に立っているのだ。 これで喜ばない人間がいるだろうか? あと5m。 もう2歩もあればイスラを抱きしめることができる距離まで来て、 初めてイスラが口を開いた。 「来ないで姉さん!」 アズリアがぴたりと止まった。 涙に濡れた顔は、呆然としている。 『どこまでいっても僕とお前達は、絶対わかりあうことなんてできない』 イスラが死ぬ直前に、アズリア達に言った言葉が彼女の脳裏をよぎる。 一方のイスラも混乱していた。 話したいことはいっぱいある。謝罪や他愛ない話から、さっきまで考えていたこと。 にも関わらず、なぜ自分が『来ないで』なんて言ったのかわからない。 嫌われようと努力してきた条件反射とでもいうべきか、 それとも先程見た、陰鬱なイメージのせいか。 もしくは……やはり、自分が死んだときに姉を哀しませないためにか。 しばらく沈黙があたりを支配した。 遅れて来たオグマがアズリアに声をかけようとしたが いつでも間に入れるような態勢のままパッフェルがそれを制した。 「姉さんは…なんでそんなにバカなのさ…。僕は姉さんを何度も殺そうとした。 なのに、なんで泣きながら僕に飛びつこうとするのさ? ここは、殺し合いの場なんだよ?」 「イスラ…」 「姉さんが僕を抱きしめた瞬間、僕が姉さんを斬らない保障がどこにあるのさ? 笑っちゃうよ、その無防備さ、ははっ。 …………そんなんじゃ、今度こそ本当に死んじゃうよ?」 自分のイメージとは全く攻守が反対だ。 斬られるべきなのは自分――どこかにそんな自覚がある。 島でアズリアを挑発していたような軽口を叩くイスラだが… その笑いには全くキレがない。 既に、イスラは死ぬことを望んでいない。 彼はもう1人で生きていける身体を手に入れている。 死なずとも迷惑をかけることなく生きていける身体を、だ。 そのことを自覚したとき、本心を隠すためにつけていた笑いの仮面は剥がれたのだ。 ザッ… アズリアが一歩前に出た。もう手を伸ばせば届く距離だが、イスラは動かなかった。 ただ、泣きそうな笑い顔で…泣いた笑い顔のアズリアを見ていた。 アズリアは服の裾で顔を一回だけぬぐった。 その後にあるのは、眼は赤いことを除けば毅然とした表情のアズリア。 イスラは、その表情を形作る瞳に吸い込まれていく。 「私は……駄目な姉だった。弟が何を望んでいるかを聞くこともなく、 ただ自分が正しいと思うことをやってきた。 レヴィノス家を継いだのもそうだ。 ………そのことで、お前を追い込んでいたなんて考えもせず」 ―――違う。レヴィノス家の跡継ぎとしての自分の立場なんてどうでもよかった。 ただ、姉さんが…僕の代わりに危険と隣り合わせな軍に入るのが辛かった。 「そうだ…あの遺跡でも…お前よりも、アティを信じると言った。 弟を信じることもできない、本当にどうしようもない姉だ」 ―――――違うんだ。そう仕向けたのは僕だ。 アティに剣を振るわせるため、そして僕が死んだときのために。 「だが……だがなっ…!」 アズリアの端正な顔がぐしゃぐしゃに崩れていく。拭ったはずの涙はとめどなく溢れてくる。 「姉が……私が弟を………お前を想う心に、嘘偽りはない。 私は…私はっ……!」 涙に歪んだアズリアからは声にならない声が漏れてくる。 「…もういいよ、姉さん」 イスラの起伏のない声があたりに響いた。 と同時にアズリアを包み込む優しい感覚。イスラの腕だ。 「僕が、全部僕が悪いんだ。姉さんが謝ることなんて、これっぽっちもないんだ。 ……ごめん、ごめんなさい姉さん」 「……っ」 アズリアはイスラの胸の中で泣くしかできなかった。 イスラも淡々としているが、目から溢れる涙を抑えることはできなかった。 どれくらい二人はそうしていただろうか。 ようやく、動きがあった。 イスラがオグマ達に気付き、アズリアを背中へと隠したのだ。 アズリアは一瞬戸惑ったが、剣を持った見知らぬ男がいれば警戒もするだろうと思った。 涙に濡れた顔を再び裾で拭き、オグマ達の紹介をしようとしたアズリアの耳に届いたのは―― 「なんで…お前がここにいるんだ、ヘイゼル!?」 予想の範疇かどうか、ボーダーライン上のイスラの言葉だった。 イスラは一目でわかったのだ。パッフェルが暗殺者"茨の君"ヘイゼルと同一人物なことに。 「どうしてお前が姉さんと一緒にいるんだ!?姉さんを殺す気だったのか!?」 一方のパッフェルは…殺気をぶつけられても苦笑いするしかなかった。 (案外、簡単にわかっちゃうものなんですねぇ…) 自分はヘイゼルとは似ても似つかないくらいに変わっていると思っていただけに少しヘコむ。 「ご安心ください。アズリアさんもイスラさんもオグマさんも傷つける気はありません」 苦笑いしたまま、そう言った。 パッフェルもまた嘘偽りはないのだからそう言うしかない。 「お前の言うことを信用できるか!」 「大丈夫だ、イスラ」 いきり立つイスラを、アズリアは止めた。 目は相変わらず充血しているが、もういつものアズリアの瞳だった。 「パッフェル……やっぱりお前はヘイゼルだったのか」 パッフェルを見据えてアズリアが言った。 しかし、その目には怒りや敵意といったものはない。 「……ええ。本当は最初に出会ったときに言うべきだったんでしょうけど… 私が敵ではないか信じてくれる自信がなかったので黙ってました。 あなたの………いえ、とにかくごめんなさい」 パッフェルはそれだけ言うと頭を垂れた。 『あなたの部下をたくさん殺した』ことについても謝ろうかとも思ったけど今はやめた。 その点についてはイスラも同罪なのだ。ここで言うべきではないだろう。 アズリアはイスラから離れて一歩前へと踏み出し、パッフェルを見た。 パッフェルの声が物語っていた。本心からの真摯な謝罪だ。 彼女が謝っているのは正体を偽ったことだけではないのがおぼろげに察しがついた。 昔の自分なら――少なくとも平手打ちの一発くらい浴びせただろうか。 (アイツに感化されたな、私も) ふぅ、とため息をついてパッフェルに顔をあげるように頼んだ。 結局のところ、彼女らは"アイツ"に感化されたもの同士、お人好しなのだ。 「つまり…姉さん達は3人で行動していた以外には特に何もなかったんだね?」 「ああ。イスラのほうはどうだったんだ?」 とりあえず、パッフェル、イスラ、そしてアズリアの3人の中にあった わだかまりはとけた。それは、表面上だけではある。 まだ、イスラとアズリアの間の誤解は解決していない。 が、今は悠長に話している場合ではない。 先にすべきこと―――既に情報交換に移っている。 「僕のほうの状況を話す前に…ちょっと姉さんに聞いてもらいたいことがあるんだけど」 イスラの顔が、一段と真剣味を増した。 「この、殺し合いの場についての僕なりの考察なんだけど」 その言葉を聞き、3人の顔にも真剣味が増した。 イスラが二の句を次ぐ前に、パッフェルが地面に何かを書き出した。いわく、 『何かしらの方法で主催者にこの話を聞かれるかもしれない。 無駄かもしれないがどこかで筆談でもしたほうがいいのでは?』 とのことだった。 「心配無用だよ、ヘイゼル。別に脱出の糸口にはならないようなことだから」 それはそれで問題はあるが、イスラは話を続けた。 「僕のこのチェンソウ。これはロレイラルの機械兵士の装備だよね? そこの剣士さんが持っている剣は……姉さんやヘイゼルは見たことがあるかい?」 3人して、オグマの剣を見た。パッフェルもアズリアも首を横に振る。 「このことから、ここにいる参加者やアイテムはリィンバウム外のものも含まれる。 これは誰でもわかると思うんだ」 今度は、パッフェルもアズリアも、オグマも首を縦に振った。 「異界のものが多い島だけど…僕はここがどこか特定する――とまではいかなくても リィンバウムかそれとも別の世界かを確認することができると思ってる」 「……!」 イスラの発言を聞き逃すまいと、全員がイスラの声に集中した。 「まだここに来てから見てはないけど…僕たちの世界を代表するような武器。 それは召喚術だ。異界の門を開き、召喚したものを誓約で縛り使役して…送還する。 ………ところで姉さん。召喚術は…リィンバウム以外で使えるのかい?」 「…あ!」 「そう。リィンバウムで召喚術を使えるのはロレイラル・シルターン・サプレス・メイトルパと 隣接した世界だからこそできる芸当なんだ。少なくとも、サモナイト石を用いた召喚術は リィンバウムでしか使えないはず」 「なるほど…イスラさんの理論は大体分かりました。 もしこの会場内で召喚術を使えれば…ここはリィンバウムである可能性が高い、と。 ここがリィンバウムだと確信が持てれば、脱出方法を探す足がかりになるかもしれない」 別に脱出の糸口になるようなことじゃない―――どこがですか。 パッフェルは高揚感を抑えるようにため息をついた。 主催者側に聞かれてなければいいけど、と願わずにはいられない。 「次はこれだ。姉さん、見てみて」 イスラはアズリアに封書のようなものを投げつけた。 パッフェルとオグマもその手紙を覗き込む。 既に封は切ってある。中から取り出した手紙には――― 『これを持ってる貴方の僕として頑張っちゃいま~す♪―メイメイ―』 「「「………」」」 どうやら、この手紙は読んだ者を呆然とさせる力があるらしい。 イスラは黙ってアズリアから封書を取り上げた。 「あの店主は今回の参加者名簿には名前がなかった。 なのに、こんな手紙が僕の支給品だった。あはは…」 引きつった顔でのイスラの笑い。こんな笑いではあるが、 彼から自発的に出た笑いを彼女らは初めて見た気がした。 それに、なんだろう?呆れたような笑いの奥に、光を見たような気がする。 「彼女の力を借りて、アティや姉さん達が無限回廊と呼ばれる異界で訓練していたことは スパイからも報告は得ていたし…そんな力を持つ人物を参加させるわけはないよね。 それどころか…逆に主催者側に一枚噛んでる可能性だってある」 「そんなっ…」 否定しかけたところでパッフェルは口をつぐんだ。 あの悲劇の島がハイネルのディエルゴの暴走で狂っている最中に、メイメイはアティに 『島を捨ててみんなで別のところに逃げないか。自分ならそれができる』 こういう提案をして断られたということを、 パッフェルはマグナ達と島を訪れた際に聞いていた。 つまりは、ヴォルマルフが唱えたデジョンという魔法と同等――転送すべき数を考えると それの数十倍の効果を持つ何かを彼女は使えたということだ。 「でも、メイメイさんがこんなことに手を貸すなんて到底思えません」 「でも、人間なんて腹の底で何を考えているかなんて分かったもんじゃないんだよ。 僕よりもヘイゼルのほうがそれは分かってるんじゃない?」 パッフェルは何も言わない。 「もっとも、彼女が主催者側についてるってのは妄想でしかないよね。 それよりも。スパイからの報告では…無限回廊という異界の門を開くなんてことは、 エルゴの力があってこそ……と言ってたらしいじゃない?」 エルゴ。リィンバウムの世界の神にあたるような存在である。 「…何が言いたいんだ、イスラ?」 訝しげにイスラを見つめるアズリア。 「まだ分からないかい、姉さん?」 そう言って、先程アズリアから取り上げた封書、 メイメイの手紙をつまんでヒラヒラと揺らした。 「………!!」 アズリアとパッフェルが顔を見合わせた。 つまり、イスラの言いたいことはこうだ。 リィンバウム世界の下(正確にはエルゴの力を借りて)でなら、 無限回廊という異界の門を開けたり (イスラは知らないが)集団を転移したりすることができる術者を しもべにすることができるということができるのだ。 ここがリィンバウムだとして―――もし彼女にコンタクトすることができれば――? 脱出。 希望の二文字が見えてくる。 「まぁ、首輪をどうにかしない限りは籠の中の鳥なのに変わりはないけどね」 だが、今、鳥籠を覆っていた布は取り払われようとしている。 光が差し込んでいるのだ。 イスラの話を聞いていると同時に、アズリアの中で一つの考えが浮かんだ。 ここがリィンバウムだとしても、ディエルゴならば結界を張ってこの島を隠すことは可能だ。 その孤立した島の中で――ディエルゴの手の中で踊らされているような感覚。 ディエルゴを倒したあの島と同じような感覚だ。 (もしかしたら――ディエルゴは、あの遺跡の中にいたように、 この島の中…案外近くにいるんじゃないだろうか?) 「………姉さん?聞いてる?僕の理論でどこかおかしいところがあれば指摘して欲しいんだけど」 イスラの呼びかけで、アズリアは現実に引き戻された。 「あ、すまない。…………特に異論はない。じゃあ…これからどうする? まずはサモナイト石でも探すか?」 「そうだね。ここがリィンバウムかどうかがこの理論の鍵を握る。 まずはそこからかな……しまったな。さっき出会った誰かが持っていたかもしれないのに… サモナイト石を持っているかどうかだけでも確認しておくべきだったかな」 遥か北の岩山の向こうを見つめながら、イスラがため息をついた。 「人に会ったのか?」 「うん。一緒に話をしていたら何人かに襲撃されて散り散りになっちゃったんだけど… 一緒にいた彼の名前は…確か………ネスティさんだったかな」 「ネスティ!?」 パッフェルが大声をあげたので、周りの3人がびくりとする。 「ネスティって…眼鏡で色白で、顔と手以外殆ど露出してないあのネスティですか!?」 「あ、ああ。たぶんそのネスティだと思うよ」 「襲撃されたのは?」 「もう3時間前以上は前かな。地図でいうとおそらくはC-6の森だと思う… って、ヘイゼル、どうするつもりだい?」 地図を一瞥した後、遥か北のほうを眺めるパッフェルを見てイスラが尋ねた。 いや、尋ねるまでもない。 「ネスティを探しに行きます」 「無茶だよ。あの森には襲撃者が複数いたんだ。それに… 上手く逃げおおせたと思うけど、まさか森には留まってるなんてことはないよ」 「イスラさんとアズリアさんならこの重要性がわかると思いますが…彼は融機人なんですよ」 「!!」 "アクセス"することで機械を内部から操作することのできる種族。 つまり、最大の枷――首輪の解除に最も近い人物。 彼がいれば、鳥の入った籠の錠前を開くことができるかもしれないのだ。 「そして…それ以上に、大切な仲間です」 彼が襲撃され、無事かどうかはイスラは確認していないようだ。 もし彼が無事でなければ――見えてきた希望が潰えるかもしれない。 いや、そんなことよりも―――マグナがどれほど哀しむだろうか。 「勝手な行動をしてごめんなさい」 イスラとアズリアが和解した以上、もう自分がアズリアを守る必要もないだろう。 彼女はイスラが守ってくれる。 オグマも特に不審な動きはなかった、安心していいだろう。 謝罪だけをつぶやき、パッフェルは駆け出した。 パッフェルの快足を止められる人物はそこにはいなかった。 【E-6・街道/日中】 【オグマ@紋章の謎】 [状態]:健康 [装備]:ライトセイバー@魔界戦記ディスガイア [道具]:万能薬@FFT [思考] 1:アズリアを守護しこの状況から脱出するための、手段・方法を探す。 2:マルス、シーダ、チキが心配。 3:ナバールにはある種の心配とある種の信頼。ハーディンに対しては疑問。 4:仲間たちと合流。 5:誰か、さっきの話の解説を頼む。知らない単語ばかりでさっぱりわからん。 6:パッフェルを追いかけたほうがいいのか? 【アズリア@サモンナイト3】 [状態]:健康 [装備]:ハマーンの杖@紋章の謎 [道具]:傷薬@紋章の謎 [思考] 1:イスラを守る。 2:オグマとイスラと協力しこの状況から脱出するための手段、方法を探す。 3:まずはサモナイト石を探したい。 4:アティ、ベルフラウ、ソノラと合流したい。 5:ビジュがあのビジュなら短慮を起こさないか心配。しかし、あいつは死んだ筈… 6:パッフェルを止めるべきか? 【イスラ@サモンナイト3】 [状態]:健康 [装備]:チェンソウ@サモンナイト2、メイメイの手紙@サモンナイト3 [道具]:支給品一式 [思考] 1:アズリアを守る。 2:サモナイト石を探したい。 3:対主催者or参加拒否者と協力する。 4:自分や仲間を害する者、ゲームに乗る者は躊躇せず殺す 【パッフェル@サモンナイト2】 [状態]:健康 [装備]:弦除去済みエレキギター(フェンダー製ストラトキャスター)@? [道具]:エレキギター弦x6@?、スタングレネードx5@?、支給品一式、バスケット@サモンナイト2? [思考] 1:ネスティ…どうか無事で…! 2:向かう先に襲撃者が複数いる可能性がある。知り合い以外は全員敵だと思うようにしよう。 3:マグナやアティ達と合流したい。 4:見知らぬ人間と遭遇時、基本的には馴れ合うことはしない。 055 俺様全開! 投下順 057 死闘 053 鴉の宿業 時系列順 058 恋しいストレス源 031 もつれあう現実 オグマ 060 箱庭会議 031 もつれあう現実 アズリア 060 箱庭会議 035 平行線な想い イスラ 060 箱庭会議 031 もつれあう現実 パッフェル 076 焦らず急いで着実に
https://w.atwiki.jp/naianakikaku/pages/1378.html
「ん?」 その日、久しぶりにウスワイヤに出向いていたゲンブは、入れ違いに物凄い勢いで飛び出して行った奇怪な格好の男に気付いた。確か、「百物語組」とかの一人だった記憶がある。 「なぜこんなところに? いや、それよりあんなに急いでどこに?」 その辺りの事情を知らないのは、彼がほとんど独自の行動をとる立ち位置にいる関係が多い。 ともあれ、ゲンブは何か胸騒ぎを覚えた。 (あの気配はただ事ではなかった……何かあるな) 暴走の可能性もある。とりあえずは様子を見ることにしつつ、ゲンブはその男―――「怪人赤マント」エトレクのあとを追った。 「マナちゃん、そっち終わった?」 「今。そっちは?」 「うん、後はお母さんの部屋だけだよ」 「マスター、マナさん、うちの方は終わりましたで」 「ありがとう、アズール。じゃあ、ちょっとこっち手伝って」 「わかりましたー」 白波家。 何だかんだで居候しているマナを加え、3人になったこの家では、何日かに一度の大掃除が行われていた。元来ランカが綺麗好きということもあるが、家族が増えてからホコリが立つ度合いが大きくなった、というのもある。 「ランカ、本当に掃除が好きね」 「うん、お母さんがそうだったから。いつも言ってたんだ」 『いーい、ブランカ? 四角い部屋を丸く掃く、じゃダメよ。あるものをどかして、箒やはたきもちゃんと使って、窓を開けて。掃除は定期的に、ね。毎日したっていいくらいなんだから』 「……って」 「さすが……」 ランカの亡母・アカネのきっちりとした教えに、マナはただ感心する。今のランカがこうしてしっかりした性格に育ったのは、ひとえに彼女のおかげと言えるだろう。 (少なくとも、シドウさんのおかげではないか) 仇を探して放浪するあの男が父親の義務を果たしているとは、到底思えないマナであった。 そんなことを思いつつ、ランカを手伝おうと階段に踏み出して、 ぴんぽーん、 「!」 玄関でなったチャイムを聞きつけた。 「あ、私がいくよ」 たたっ、と階段を駆け下り、ランカが玄関に向かう。 「はーい?」 がちゃ、とドアを開ける。そこでランカが見たものは、異様な風体の二人組。 一人は、黒い眼隠しに黒いマントをはおった男。 一人は、それと全く同じ服装の、恐らく女。 「!? あ、あの、どちら様ですか?」 「初めまして。君がブランカ・白波かな?」 「は、はい。そうです、けど……」 名前を問うその声に答えつつ、ランカは目の前の二人組から異様なものを感じ取っていた。 粘つくような、嫌な感じのなにか。 スザクやトキコならわかったはずだ。――――それが、「悪意」あるいは「害意」と呼ばれるものだと。 「ランカ? どうし―――」 玄関の空気を察したのか、アズールを連れたマナが階段を下りて来る。が、尋ねて来ていた二人の姿を見た途端、その表情が凍りついた。 「な……シン・シー!?」 「え!?」 思わず振り向くランカ。マナから一連の話は聞いていた。 兄・詠人と組み、命を狙って来た「正義の味方」。あまり家から出ないランカでも、真衣を通じて噂くらいは聞いていた。 ―――が、その振り向いた一瞬が命取りとなった。 「!? あぐっ!」 突然女―――パニ・シーの後ろから延びた手に喉を掴まれ、引き寄せられていた。そして、気が付くと牙だらけの左腕に抱えられていた。 「だ、誰……ッ!?」 「……今度は逃がさないぞ、紛い物」 眼光に憎悪。声音に怒り。震える腕は歓喜か、高揚か。 ―――月読 詠人が、そこに立っていた。 わずか、時を遡る。 ヴァイス=シュヴァルツからもたらされた情報をもとに、白波家にいる人外二人、そしてあわよくば火波 スザクを「成敗」するために、「正義の味方」の二人は白波家に向かっていた。 元々二人で実行するつもりだったし、誰かを頼る気もなかった。しかし、行き道で知った顔と出くわしたのだ。 「あれ……シン・シーじゃないですか?」 「ん? ……何だ、詠人君か。何をしてるんだい、こんな所で」 ジャージ姿で道を歩いていた月読 詠人だった。以前彼の妹・マナの姿を奪った人外を倒すべく手を組んだのだが、妨害が入って失敗した。あの時のことは、シンにとっては苦い経験である。 「いや……特にすることもなくて、散歩でも、と。そっちは?」 「いつもの通りの『正義の味方』の仕事さ。実は、この先の家に人外が二体もいるって聞いてね」 「なるほど……」 「ちなみにその片方は、以前逃した奴でね。今度は逃がさないつもりさ」 それを聞いた途端、詠人の顔に鋭いものが走った。 「逃がした? まさか、紛い物ですか?」 「ああ、そうさ。……ところで、いい加減敬語はやめてくれないかな? 他人行儀だし」 「は、はい……じゃない、わかった。これでいいのか?」 「そう、その調子。……何なら一緒に来るかい? 君にとっても因縁だろう」 「ええ……っとと。……ああ、そのつもりだ。ただし、紛い物は僕が殺す。それでいいか?」 「いいとも。僕らが求めるのはあくまで人外を成敗するという結果だからね。君が協力してくれるというなら、断る理由はないね」 「僕としてもそれは賛成だね。あの男と違って、どうやら僕らに近いようだし」 シンの隣にいたそっくりな服装の女が言う。それを聞いてようやく、詠人はシンが誰かを連れていることに気付いた。 「あれ、その子は?」 「え? ……ああ、そういえばまだ話してなかったね。パニ・シー、『僕の妹(ボク)』だ」 「は?」 聞くだけだと「ボク」としか聞こえないので、無論詠人は混乱する。 「? ああ、ごめんごめん。君にはこれじゃわからないね」 「い、いや、大体わかる。兄妹、か」 「まあ、そんなところだね。……さて、話はここまでだ。行くとしようか、白波家に」 「……そうだな」 そして、今。 玄関先で、詠人は牙だらけの左腕にランカの首を抱え込み、長身に物を言わせて宙づりにしている。 「お、お兄ちゃん……!?」 「黙れ。僕を兄と呼ぶな。そう言ったはずだ」 マナに向けるその眼にも、その声にも、憎しみしか宿っていない。そのことに、マナはまた悲しくなり、同時に怒りを覚える。 「……なら、それでもいい。それより詠人、ランカを離して。私だけ狙えばいいでしょう!?」 「そうはいかないんだよ……そのままなら何もする気はなかった。だが」 ぐ、とランカを締め付ける力が強くなる。 「く、ぅッ……」 「こいつはお前を匿った。それだけで手を出す理由になる」 「詠人君、一応言っておくけど殺してはダメだよ。その子はあくまでも人間。僕らが成敗するのは人外だからね」 「わかっている。……シドウさんの手前もある、お前は殺さない。だが」 力に物を言わせ、左手に持ち替えて一気に持ち上げる。 「お前は、僕の最も憎むべき存在に味方した。その報いは受けてもらう」 「あ……く、ぁ……」 「ま、待たんかい! マスターに手ぇ出す奴はウチが許さんで!!」 飛び出して来た少女―――アズールが叫び、詠人目掛けて両手から青い炎を飛ばす―――寸前、 「うおっ!?」 横合いから飛んで来たナイフが眼前を霞め、後退を余儀なくされた。 「ん、意外とすばしっこいな。狙いが逸れてしまったよ」 「まさに人外ってわけか。まあ、ここからは逃がさない。この場で必ず成敗するよ」 「正義の味方」は、そっくりの笑みを浮かべてそう言った。 「あぐっ!」 「迂闊に動くなよ、紛い物。必要以上にブランカが傷つくことになるぞ」 牙に、爪に覆われた両腕を振り回し、詠人がマナを襲う。普段の彼女ならこんな単純な攻撃は何でもないのだが、そう出来ない理由があった。 「パニ・シー」 「大丈夫、しっかり捕まえてるよ」 部屋の隅でパニ・シーに捕縛されているランカの存在だった。シンの流義からして命を取られることはないだろうが、彼らは人外の味方をするなら人間にも(あくまで殺さない程度ではあるが)危害を加える。何より詠人もいる。 下手に抵抗してランカが傷つくような事態になれば、スザクにもシドウにも顔向けできない。 だからと言ってむざむざ死んでやる気はなかったが、この状況では打てる手がない。 「マナちゃんッ!」 「動くな。痛い目を見たくなければ大人しくしていろ。骨の五、六本では済まないぞ」 冷酷そのものの声音で詠人が言う。 「待っていろ。こいつを始末したら、お前にも僕の痛みを教えてやる」 一方のアズールはアズールで、シンの執拗な攻撃から逃げ惑っていた。 「やれやれ、少しでいいから大人しくしてくれないかな。君の主が傷つくよ」 「く……」 ランカを守るために修行を積んで来たのだが、シンの方が一枚上手だった。 相手の力が分からないなら、それを使わせなければいい。 その点において、アズールはランカという大きなディスアドバンテージを抱えていたからだ。 「状況がわかってないのかな? ……『君(ボク)』」 「ん」 音だけで答えると、パニ・シーの力が更に強くなる。呼吸が圧迫され、ランカの声がかすれる。 「 !! ぁ、か……」 「ま、マスター!?」 「そこっ!!」 一瞬の油断……しかしそれは、ことシン・シーという男を前にして、絶対にしてはならない油断だった。 全身を貫く異物感、次いで灼熱感を覚えた時には、既に壁にはりつけられていた。一拍遅れて激痛が走る。 「く、あぁああぁぁ!?」 「手こずらせてくれたね。だけど、これで終わりだ」 右手にナイフを持ち、シンが歩み寄る。そのまま投げてもよかったが、狙いがもう一つあったのだ。 その事は口に出さず、ただ待つ。 「ここは確実に行かせてもらう。いつも最後で痛い目を見がちなんでね」 眼前まで歩み寄った所で、振り上げる。 (アズール!!) 「では、さようならだ」 瞬間、 「やらせるかぁぁぁぁぁッ!!」 窓側から声。次の瞬間、そこを蹴破って赤い影が飛び込んで来た。 肩まで伸びた髪、同じ色の目。炎のような印象を与える、その少女。 「ようやく来たね……火波 スザク」 呟くシン・シーを、アカノミに「南」と見出された少女は剣のような目で睨みつけた。 (綾ちゃん……!?) 飛び込んで来た親友の姿を見て、ランカは安心するより前に動揺した。 その姿を認めた瞬間、自分を掴まえているパニ・シーが明らかに笑ったのが理解できたからだ。 (!!) 途端、ランカは全てを理解した。母親譲りの洞察力が、理解してしまった。アズールとマナを狙って来たのは間違いないだろうが、恐らくそれは付随要素。本命は……!! (ダメ、綾ちゃん、逃げて……!) 警告しようにも、口が塞がれて声が出せない。 その親友は、怒りに燃えてシンを睨みつけている。 「お前……よくもここまでやってくれたな!!」 「気性の荒いことだ。成り損ないとはいえ、さすが生物兵器だ」 「何でそれを……いや、どうでもいい。僕の友達をここまでやってくれたんだ……覚悟しろ!!」 しかし、幻龍剣を喉元に突きつけられても、シン・シーは揺るがない。 「状況が見えていないようだね。後ろを見てごらん」 「何を……な、ランカッ!?」 言われて振り向いたスザクは、無二の親友が捕まっているのを目にし、ようやく事態を把握して動揺した。 あらためてシンに向き直り、睨みつける。 「ま、そういうことさ。友達が傷つくのが嫌なら、大人しくしていることだね」 そこまで言うと、ちらりとアズールに目を向け、 「君は後回しだ。まずは、『僕の妹(ボク)』が狙いを定めた火波 スザクを成敗する」 言うと、動揺するスザクに向けて右手を突き出す。白刃が煌き―――。 「ぐっ!」 咄嗟に身をかわしたスザクの右肩を、ナイフが貫いていた。痛みで明らかに動きが鈍る。 生体兵器の成り損ないとはいえ、スザクが受けたのは投薬と精神操作。「龍義真精・偽」があるとはいえ、肉体的には通常の人間とほとんど変わらない。 「あれ? 思ったより脆いな……」 「所詮は出来そこないだ。火波、運が悪かったな」 「! 詠人……お前!?」 「ふん、お前に用はない」 吐き捨てる詠人の右手には、痛めつけられてボロボロのマナ。 「な、何をしてるんだ! マナを何だと……」 「黙れ。こいつは紛い物だ。何も知らないお前は黙っていろ。聞く気はない。こいつは殺す。壊して戻す。姿を、僕は、仇を」 ランカにはわかったが、詠人の様子が現れた時と比べて明らかにおかしい。言葉に脈絡がなく、同じような言葉を繰り返している。憎悪のあまりに判断力と思考力が摩耗して来ているらしい、と見えた。 (ダメ、それじゃ、そのままじゃ!) だが、それを伝える術は、今はない。 その間にも状況は悪化の一途を辿っていた。 スザクはランカが捕まっているせいでろくに抵抗できず、シンの放つナイフに少しずつ傷を刻まれている。 壁にはりつけられたままのアズールはぐったりしており、放置しているともたないのは確定的だった。 マナはと言うと半ば意識を失っており、憎悪を振り回すかのような詠人の腕に酷く痛めつけられている。血が流れていないのは彼女が能力そのものだからか。 (私が、私が捕まってなかったら……!!) スザクもマナもアズールも、本当ならこんな相手に負けるはずがない。自分が捕まってしまっているせいで、何も出来ずに追い詰められている。自責の念に囚われるランカをよそに、事態はますます悪化の一途をたどる。 「おやおや……何やら面白そうなことになっていますね」 『ッ!?』 この場に在るほぼ全員が、聞き覚えのある声。一斉に視線を向けたその先にいたのは、黒ずくめの狂人。 「ヴァイス=シュヴァルツ!?」 「どうも、皆さん。こんにちは」 場違いな程にこやかに、脚本家は帽子をとって挨拶した。 「ああ、君か……何だか久しぶりだね」 「これはこれは正義の味方、調子がよろしいようで」 無論皮肉だ。シンはエトレクと遭遇するまでのここ最近、どうも失敗が続いている。 しかし、それに気を咎めるでもなく、シンは言う。 「ま、今はね。あの時はちょっと不本意な戦いだったけど」 「杞憂でしたがね。ああ、ちなみに今日は見物のつもりでしたが、ちょっとばかり手を出しましょうか」 誰の意見も聞かず、介入を許さない内にヴァイスは行動する。抜く手も見せず投げ放ったナイフが、パニ・シーの抱えるランカの頬をかすめる。 (ッ!?) 「おや、外しましたか。投げナイフは一応世界4位までいったんですが」 「なんだいそれは。というか、そんな大会があるのか」 呆れたようなシンはスルーし、ヴァイスはまた狙いを定める。 「今度は外しませんよ」 まるでダーツでもするかのように、黒ずくめの男はナイフを持った手を動かす。 しかし、投げ放たれた刃が向かったのは、 「っ!」 ランカを抱えるパニ・シーだった。咄嗟に身体を倒して避けたが、ヴァイスにとってはそれが狙い。 崩れた態勢に巻き込まれて転倒したランカ目掛け、次の一本を振りかぶる。 だが隣には、 「おっと、僕の前で『人殺し』は許さないよ」 シン・シーがいた。放たれた直後のナイフを自分のそれで打ち落とす。 「投げナイフは君の専売特許ではないんだよ、脚本家」 「知っていますよ、そのくらいのことは」 言うが早いかそちら目掛けてヴァイスは刃を放ったが、まったく同時に動いたシンが打ち落としていた。 「『僕の妹(ボク)』にまで手を出した以上、残念だが君はこの場においては敵だ。大人しくしてもらうよ」 「『この場では』ですか……甘いですね。それがアナタらしいとも言えますが」 「……君に、僕の何がわかる?」 「さあて、ね。どうでしょうか」 知っているのか、知らないのか。それすら悟らせぬままに、ヴァイスは状況を引っかきまわす。 決して狭くはない家の中で無差別にナイフを投げ放ち、たまにシンを妨害。判断力が摩耗してヴァイスの存在にすら気付いていない詠人は、この状況にも反応を示さない。時折ナイフを受けつつも、何事かをぶつぶつと呟きながらマナを甚振る。 (どうして……なんで、こんなことに……!) 今だパニ・シーに捕まったままのランカは、何が出来るでもない己が身に歯噛みする。 と、その目線が向いた先で、 「あうっ!!」 倒れた椅子に引っ掛かり、スザクが転倒した。そして、 「今だね」 そこ目掛けてシンが渾身の一投を放った。眉間を狙ったナイフはまっすぐに飛び、 「!?」 ―――スザクの後頭部の僅か上を、通過して行った。 「……なかなか悪運が強い。しかし、ここまでだ」 言うや、シンはヴァイスの刃をかわすとともにナイフを6連発で放つ。 しかし、殺到する刃は紙一重でスザクに届かず、わずかにかすめるのみに終わった。 「どういうことだ……なぜ届かない」 偶然といえばそれまでだが、シンにはスザクを覆うようにかすかな光が見えた。といっても本当に薄く、ともすれば見逃しそうになる。無論、色などわかろうはずもない。 「なら、これで!」 投げては届かないと見たシンは、いつの間にか残りが僅かになっていたナイフの一本を手に取り、直接トドメを刺そうと足に力を込めた。 が、次の瞬間だ。 「!! うわっ!!?」 「おっと」 ヒュッ、と風を斬る音が聞こえ、慌てて身を低くする。飛び出そうとしていた勢いがそのまま残ったため、派手に転んでしまったがこの際仕方がない。先ほどまで首があった場所を大きな何かが通り過ぎて行く。 一方のヴァイスは低く跳躍してかわし、ついでとばかりに詠人とマナを引っかけて窓を突き破り、ほとんど人の通らない裏通りに飛び出す。 「やれやれ、これで少しは静かになりましたね。さて」 目の前には、ボロボロの少女と正気を失いつつある少年。 「因縁もこれで終わりです。ワタシの手で壊せなかったのは残念ですが、せめてトドメくらいはもらうとしましょう」 言って、両手にナイフを持つ。 「では、さようなら」 一歩を踏み出した、その瞬間だ。 「なぁぁぁぁぁにやってんだそこぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」 「!?」 気付いた時には、詠人共々横っ面を豪快に殴り飛ばされていた。 「ぐ、はっ!?」 回転する視界の中に一瞬映ったのは、ロングコートを着た男だった。 「な、馬鹿、な……確かに、僕が……」 「ああ、確かに死にかけた。だけど、俺はこうしてここにいる、それが事実だ」 シン・シーは、この時明らかに動揺していた。確かにこの手で成敗したはずの人外……赤マントの男が、大鎌を携えてそこに立っていたのだから。 だが自失は一瞬。即座に己を取り戻すと、身構える。 「……まあ、何度来ても結果は同じだ」 「確かに。それに、あの子が人質では、こっちも迂闊に手が出せない哉」 語る男の姿を、シンは訝しげに見る。それが本当なら、なぜこうも動揺せずにいられるのか。 だがその答えは、すぐに明らかとなった。 「!? う、うわぁっ!?」 突然パニ・シーが転倒し、ランカがたたらを踏んで前によろめいた。男―――エトレクはそれを見逃さず、素早く駆け寄って片手で抱き止める。 「助かったよ、ミナ」 転倒したパニ・シーの足を、部屋の陰から延びる無数の白い手が掴んでいた。 郊外のとある廃病院。霊安室だったと思しきそこに、白いブラウスの少女が一人佇む。 「んっ……!」 何かを堪えるようにして拳を握り、目をつむる。が、程なくしてそれは解かれた。 「……エトレクさん、ごめんなさい。また失敗しちゃいました」 「っ、何だよ、今のは……」 「……新しい人外らしいね。ここまで事態が動いたのはさすがに驚きだ」 優勢劣勢含めて、である。 「だけどあの程度なら問題はない。さて、もう一度覚悟はしたかい?」 「正直言えばまだ敵わないだろうな。だけど」 ぐるりと鎌を一回転させ、構える。 「まだやれることはある哉」 仮面の裏からシンを見据え、「問う」。 「『赤い色と青い色、貴方はどちらが好きですか?』」 「最初に言ったはずだけどね。赤だ」 言うや、金属音が響く。シンのナイフとエトレクの鎌がぶつかり合う。 放たれたナイフを鎌で弾き、間を詰めて振りかぶり、空いている方の手で小さい鎌を投げ、シンがそれを弾く。 そしてそれをエトレクが拾い上げ、シンの首を挟みこむ。 「「…………」」 まるでいつかの再現のようなその状況。やはり、動いたのは赤い影だった。 いつの間にか握っていたナイフを鳩尾目掛けて突き出し、 「っと!」 エトレクが後退してかわす。 「そうそう何度も同じ手は喰らえない哉」 「……さすがに馬鹿ではないか」 やや場が膠着した所で、シンは視界の端に映る青い狐のオーラが微妙に動いているのを見つけた。 (ん?) トドメを差す寸前まで追い詰めた、自力では動けないはず。だが、少しずつその場から移動している。 「『君(ボク)』、どうなってるんだ?」 「ごめん『君』、逃がした……!」 シンはこの時点では知る由もないが、ランカの能力「異能耐性」は彼の力に対しても十全に機能している。つまり、彼の視界にはランカのオーラは映らないのである。 一方パニ・シーの方はまだ余力を残していたが、事態が二転三転するにつれ、何を「なかったこと」にするか一瞬判断を迷った。 ここまで圧倒的に有利に進めていたこともあるし、一番厄介な「波動化」のマナは自前で無効に出来る詠人が相手取っていたため、ランカを抑えておくことに専念していたのだ。 だがここに来て状況が少し向こう側に傾いた。さっきの謎の手の妨害でランカに逃げられてしまい、おまけにシンが追い詰めた狐の人外まで逃がそうとしている。 (さしあたり、あの子の手足の感覚をなくせばいいかな) とりあえずの見当をつけたパニ・シーは、疲労を圧して狐を動かしているランカに能力を使おうとして、 「う、わっ!?」 突然響いたシンの声に、思わずそちらを振り向いた。 「な、何だ……見えない!?」 そのシンは、突然視界から一切のオーラが消えた事に戸惑っていた。瞬間移動したにしてもこれはあり得ない。視界の端にあった妹のオーラまでもが、忽然と消え失せたのである。 しかし、当惑しているのはエトレクも同じだった。先ほどまでシンに対して使っていたはずの「絶対選択」が、唐突に解除されてしまったのだ。 「な、何でこんな時に……!!」 「そこまでにしてもらおう。俺の家でこれ以上、勝手は許さん」 玄関から突如声が響く。重厚なバリトンに見合わない、20代としか見えない男が、玄関口で内部を見据えている。 隣に伴うは、黒いジャケットを着た「北」の男。 「アースセイバー、水波 ゲンブだ。お前達、大人しくしてもらおうか」 その隣で、口を真一文字に結び、「異能殺し」―――白波 シドウが、仁王立ちしていた。 (……ここまで、か) 撤退すべきだ。不本意ながら、シンはそれを決めた。人外を成敗して回る中で噂は聞いていた。 全ての能力者の天敵。視界に入る能力者から特殊能力を奪う力。 元々彼とパニ・シーは二人でそれぞれ行動しており、今まで戦った人外は大体一人か、多くて三人。ここまでの大人数をまともに相手取るには、さすがに不利過ぎた。ましてや、作戦の根幹に在る能力が使えなくては。 パニ・シーの能力ならシドウの力も無効化出来るのだが、その場合先手合戦になる。そして、今回はシドウに先手を打たれた。 こうなった以上、次の機会を待つしかない。ここまで追い込んで諦めるのはいささか以上に不本意だが、ここで動きを封じられては使命に差し障る。 (まあ、それに) チャンスはまだある。この場に拘るよりも、一度退いて対策を立てるとしよう。 「『君』、ここは退くよ」 「わかった……」 「逃さん!!」 瞬時に反応したゲンブが床を蹴って襲い掛かる。気配だけで察したシンはそちらにナイフを投げつける。 さすがに当たりはしなかったが、ゲンブの足を一時止めることは出来た。 そして、その隙にパニ・シーがシドウの視界から外れる場所……つまり奥の扉の裏にシンを引っ張って滑り込み、白波邸内部の「光」を消す。 「うおっ!!」 「く、しまった!!」 突然の真っ暗闇に狼狽するシドウとゲンブ。視界が閉ざされたことで「スキルシール」の効果が消え、シンの視界が戻る。 (どうする) すぐ近くに例の狐の人外のオーラが見えた。トドメを刺そうかとも思ったが、その間に視界から消える。 これ以上手を出すのはさすがに無理と判断したシンは、妹を伴って裏通りへ抜け、姿を消した。 去り際、 (ん?) 誰のものともつかない、「白いオーラ」を目の端に過ぎらせて。 「っく、逃したか……」 裏通りにいた男は、ようやく出会った仇敵を逃したことに舌打ちしていた。 送ってもらう途中で案の定迷ってしまい、昔馴染みを探している内に「奴」を見つけ、襲い掛かったのだ。 しかし、そいつはその一撃のみを受けて逃げてしまい、もう一人いた少年の方は殴り飛ばされた先で何やらハッとした後、悔しげにこちらを一瞥してからどこかに行ってしまった。 「せっかくのチャンスだったんだが……っと、それより!!」 だが今は、目の前で倒れているこの少女を、恐らく中にいただろう家に連れて行くのが先決と見えた。 「おいおいおい、何だこりゃあ!?」 パニ・シーが去ってしばらく後。ようやく光を取り戻した白波邸に、裏通りの方からコートの男が入って来た。 その腕には、傷つきボロボロになったマナを抱えている。 「だ、誰だあんたは」 身を起こしたスザクが問う。男は、何を隠すでもなく答えた。 「天河探偵事務所の霧波 流也だ。こりゃ一体どういう事態だ?」 「何? そうか、星さんの所の方向音痴の助手というのはお前か」 「……姐さんは俺をどういう風に説明してるんだよ」 ゲンブの言葉に不機嫌な顔をする流也。ちなみに星はそのまま説明していた。 「それよか、この子がやばいぜ。見ての通りボロボロだ」 言って、流也は腕の中のマナを示す。 「! ま、マナ!!」 「こ、これは……」 一方、シドウの方も切羽詰まっていた。 「ブランカ、無事か!!」 「お、お父さん……アズールが、アズールが……」 半泣きのランカは、瀕死で狐の姿に戻ったアズールを抱えていた。全身に傷を負い、浅い息をしていた。このままでは命が危ない。 「いかん、このままでは……だが、エダの所に連れていくにも時間が足りん……」 『なら、私に任せてくれない?』 突然頭の中に響いた声。気がつくと、部屋の中に女性が立っていた。白ずくめの服装に、桜色の髪。 「っと、サクヤ姉さん? 何でここに」 『何でも何も、坊やを送って来たからに決まってるでしょ。それより』 女性―――サクヤは、瀕死のアズールと傷ついたマナに手をかざす。 と、その手にほのかな光が灯る。それが二人を照らすと、傷が少しずつ、少しずつ治っていくのが目に見えてわかった。 『……自己治癒力を高めておいたわ。私に出来るのはこれくらいね。しばらく大人しくしてれば、元気になるわよ』 状況を理解しかねる一同をよそに、サクヤは軽く手を振るとすーっ、と姿を薄れさせて消えてしまった。 「な、何だったんだ、あの人は……」 「……まあ、それよりも」 呆然とするスザクの隣で、エトレクが立ちあがって言う。 「まず、優先してすべきことがある哉」 意味を掴みかねる一同に、「怪人赤マント」は仮面の下から言う。 「……とりあえず、片付けた方がよくない哉」 ……なお。 一同が片付けと掃除を終わらせ、もろもろの情報を交換したのは、日が暮れて逢魔ヶ時を迎えてからのからのことだったそうな。 白波邸の邂逅 (正義の味方と人外) (異能殺しと異能の盾) (東・西・南・北) (一同に会したは、果たして偶然か) 同時刻、寺。 「あれ、琴音さん? 何してるんですか、こんなところで座り込んで」 「あぁ、春美ちゃん。ちょっと無理しちゃったから、疲れただけよ」
https://w.atwiki.jp/omf-game/pages/2521.html
2019/08/15(木)メンテナンス終了後 ~ 2019/08/29(木)メンテナンス開始まで コラボ限定キャラクターのゴブ朗が登場!もしかしたら仲間になるかも!? 受注コスト(消費食糧) 報酬(グロー) 難易度 宝箱ドロップ 初回のみ 入手可能素材・キャラクター 初回クリア報酬 12 100 Normal クスノキ原木 (キャラ)ゴブ朗 制作キットx5 クスノキの枝 スキルストーンx20 パピルス - [AG]悪意 - Hard クスノキ原木 (キャラ)ゴブ朗 制作キットx5 クスノキの枝 スキルストーンx30 アンデサイト - ディオライト - パピルス - [AG]殺意 - VeryHard リード鉱石 (キャラ)ゴブ朗 制作キットx5 アンデサイト スキルストーンx50 カッパー鉱石 - ディオライト - パピルス - [AG]咆哮 - 出現モンスター(Normal) Round 1 Round 2 Round 3 wave 1 wave 2 wave 3 wave 1 wave 2 wave 3 wave 1属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 風剣 57 風弓 55 風剣 57 風剣 57 風弓 55 風剣 57 Boss火重 165 風剣 78 風弓 55 風剣 78 風剣 78 風弓 55 風剣 78 風剣 57 風剣 78 風剣 78 風剣 57 風剣 78 風剣 78 出現モンスター(Hard) Round 1 Round 2 Round 3 wave 1 wave 2 wave 3 wave 1 wave 2 wave 3 wave 1属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 風剣 236 風弓 215 風弓 215 風剣 236 風弓 215 風剣 204 Boss火重 316 風剣 236 風剣 236 風剣 204 風剣 236 風剣 236 風剣 204 風剣 204 風剣 236 風剣 204 風剣 204 風剣 236 風剣 204 風弓 215 - 風剣 236 - 風弓 215 風剣 236 - - 風剣 236 - - 風剣 236 出現モンスター(Very Hard) Round 1 Round 2 Round 3 wave 1 wave 2 wave 3 wave 1 wave 2 wave 3 wave 1属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 属性クラス HP 風剣 506 風剣 468 風弓 324 風剣 506 風剣 468 風弓 324 Boss火重 614 風弓 324 風剣 468 風剣 468 風弓 324 風剣 468 風剣 468 風剣 506 風弓 324 風剣 468 風剣 506 風弓 324 風剣 468 風弓 324 風剣 506 風剣 506 風弓 324 風剣 506 風剣 506 - 風剣 506 風剣 506 - 風剣 506 風剣 506 - - 風剣 506 - - 風剣 506 「怪物との邂逅[キャラドロップ]」コメント 名前
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/1154.html
その日は晴天。 太陽が大地を照らし温かな日となった。 水銀燈と呼ばれる彼女は自宅の自室で目を覚まし まだ眠いのか欠伸を一つ漏らした。 馬鹿な男に貢がせた豪華なベットから降り 覚束無い足取りで顔を洗いに行く水銀燈。 冷水で顔を洗い幾分かの眠気が晴れるが…… やはりまだ眠いのかまた欠伸を一つ漏らした。 再び自室に戻り下着を新しい物に履き替える。 脱ぎ捨てた下着は、後で纏めて洗う為に部屋に 設置してある洗濯籠に無造作に放り込んだ。 化粧をする為に水銀燈は、鏡の前に座る。 鏡の直ぐ下には高級品の化粧品の数々。 水銀燈は手早く化粧を済ます。ナチュラルメイクと言うヤツで。 さて、此処までくると眠気も大方消えたのか 最後の眠気を追い出す為に水銀燈はンーッと伸びを一つした。 そして、立ち上がり母親から貰い受けたクローゼットを開ける。 何時ものスーツを手に取りベットの方など顧みずベットの上に投げ乗せる。 さぁ着替えようか……と、クローゼットを閉じて振り返った水銀燈。 其処にあるのはベットの上に無造作に投げられたスーツだけでよかった。 しかし、違った。 何時の間にかベットの上には、投げ乗せられたスーツと…… 見た事の無い古い雰囲気をしていながらも綺麗な鞄が一つあった。 不思議な事にその鞄に対して危険であるという危機感を抱かない水銀燈。 何かに魅入られる様に水銀燈はその鞄を開けた。開けてしまった。 鞄の中に入っていたのは人形。 一瞬、水銀燈はソレが人形だと分からなかった。 しかし、目に見える関節の部分を見てソレが人形だと認識する水銀燈。 それよりも、その人形の容姿に驚いた。 水銀燈そっくりなのだ……生き写しと言って良い位に…… 気味が悪い。多分他の人ならそう思っただろう。 しかし水銀燈本人は違った。 何処かになくした大切な物を見つけたような…… 大切な大切なナニか片割を探し当てたような…… そんな感覚が水銀燈の全身を駆け巡る。 訳が分からないが……水銀燈は、一筋の涙を流した。 そして、水銀燈は……その人形の直ぐ側にあった発条巻きを手に取り。 自分そっくりの人形を抱き上げる。 陶器で出来ているかと思えば、その人形の肌の感触は人間の肌そのものであり…… 今にも動き出し「こんにちわ」なぞ言いそうだと水銀燈は小さく笑った。 発条巻きをどうすればいいかは知っていた。 いつ知ったのかは知らないし覚えてもいないだろう。 しかし、どうすればいいのか知っていた。 そして、水銀燈は自分そっくりの人形の発条を巻いたのだった。 「あらぁ貴女が……貴女は……私のマスターになってくれるの?」 水銀燈そっくりの人形は、最初に尋ねた言葉はソレだった。 最初は不敵な笑みを浮かべ馬鹿にした口調で言葉を紡ぎ始めるが…… 水銀燈を見るにつれその人形の口調は、何処か脅えたものになり そして最後には、願いに近い口調になっていた。 それが、人間水銀燈とRozenMeidenと呼ばれる人形水銀燈の邂逅だった。
https://w.atwiki.jp/sdora/pages/2322.html
【Quest 1】「微笑みの応答」 【Quest 2】「軍事参謀マリアカルラ」 【Quest 3】「聖女の企み」 【Quest 4】「穏やかに死を希う」 【Quest 5】「歴史を見守る者」 【Quest 6】ボーナスステージ コメント 属性:【水属性】 「ボウラキア軍の旧行軍路として使用されていたという長大な洞窟。 今では往来する者もなく、閉ざされた空間と蜘蛛の巣が貼られた 不気味な空間となっている。」 ※貼×→張〇 【Quest 1】「微笑みの応答」 ノーマル ハード エキスパート 消費AP 20 21 31 獲得ゴルド 40400 77900 獲得EXP 7400 10380 報酬 - クリアボーナス - カリスマボーナス - ドロップ ハピネスキューコン - アイテムユニット - 出現ユニット ステージ1 - ステージ2 - ステージ3 - 【Quest 2】「軍事参謀マリアカルラ」 ノーマル ハード エキスパート 消費AP 20 21 31 獲得ゴルド 40500 78100 獲得EXP 7420 10400 報酬 - クリアボーナス - カリスマボーナス - ドロップ ハピネスキューコン - アイテムユニット - 出現ユニット ステージ1 - ステージ2 - ステージ3 - 【Quest 3】「聖女の企み」 ノーマル ハード エキスパート 消費AP 20 21 31 獲得ゴルド 40150 77850 獲得EXP 7440 10420 報酬 - クリアボーナス - カリスマボーナス - ドロップ ハピネスキューコン - アイテムユニット - 出現ユニット ステージ1 - ステージ2 - ステージ3 - 【Quest 4】「穏やかに死を希う」 ノーマル ハード エキスパート 消費AP 20 21 31 獲得ゴルド 40250 78050 獲得EXP 7460 10440 報酬 - クリアボーナス - カリスマボーナス - ドロップ ハピネスキューコン - アイテムユニット - 出現ユニット ステージ1 - ステージ2 - ステージ3 - 【Quest 5】「歴史を見守る者」 ノーマル ハード エキスパート 消費AP 20 21 31 獲得ゴルド 40350 78250 獲得EXP 7480 10460 報酬 - クリアボーナス - カリスマボーナス - ドロップ ハピネスキューコン - アイテムユニット - 出現ユニット ステージ1 - ステージ2 - ステージ3 - 【Quest 6】ボーナスステージ ※ステージ一覧表示の報酬表示部分には記載がないが、ステージをクリアするとオーブがもらえる。 ノーマル ハード エキスパート 消費AP 1 1 1 獲得ゴルド 15950 15950 獲得EXP 1 1 1 報酬 - クリアボーナス - カリスマボーナス - ドロップ ハピネスキューコン - アイテムユニット - 出現ユニット ステージ1 - ステージ2 - ステージ3 - コメント 名前