約 41,310 件
https://w.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/585.html
元朝鮮人女子勤労挺身隊員に対する損害賠償等請求控訴事件・控訴人準備書面(1) ソース:http //www.geocities.jp/teisintainagoya/kouso/kousokeika/zyunbi1.pdf 【小目次】 第2 朝鮮の植民地化の過程1 日清、日露の戦争 2 朝鮮の支配権争奪戦としての日清戦争 3 朝鮮の支配権をめぐる日露の戦争(日露戦争) 4 朝鮮植民地戦争 第2 朝鮮の植民地化の過程 1 日清、日露の戦争 日清、日露の戦争は日本の自衛戦争であったという議論がされることがあるしかし、事実に即して検討するとこのような側面よりも侵略的な側面が強いことがわかる。そして、清国、ロシアとの関係だけでなく、朝鮮の民衆との関係 に着目すれば、「自衛」が口実にすぎず、朝鮮という他国に対する「侵略」であったことが明らかとなる。 2 朝鮮の支配権争奪戦としての日清戦争 1875年、日本は軍艦を「調査船」として釜山に派遣し、武力で威嚇して 朝鮮の開国を迫った(江華島事件)。この結果、日本は朝鮮との間で「日朝修好条規」を締結したが、ここには領事裁判権(外国人が、現在住んでいる国の 裁判権に服さず、本国の法にもとづいて本国領事の裁判を受ける権利)を認め る規定が設けられただけでなく、関税自主権どころか一切関税をかけることを許さない規定すら入っていた。欧米との関係で自ら不平等条約の解消を外交の最大目的としていた日本が、自らの不平等条約を上回る不平等条約を押しつけたのである。 その後の、日清戦争でも、朝鮮の支配をめぐって清国と日本との間で朝鮮を 戦場として闘われた。世界の大方の予想とは異なり、日本が日清戦争に勝利し た結果、1895年4月、下関で「日清講和条約」が訴印された(甲B第5号証76頁)。その第1条は、「清国は朝鮮国の完全無欠なる独立自主の国たることを確認す。因て右独立自主を損害すべき朝鮮国より清国に対する貢献典礼等は将来全くこれを廃止すべし」と定め、①朝鮮の独立、②遼東半島台湾の割譲、③二億両の賠償金などを含む下関条約が締結された。ここでいう独立とは清国からの独立を意味した。講話交渉の過程で、清国は日本も朝鮮の独立を確認すべきことを要求していたが、日本はそれを拒否し、清国からの独立だけが条約中に規定された。日本との関係では、独立どころか日本は朝鮮において特別権益が認められるようになり、これが日韓併合につながっていった。 3 朝鮮の支配権をめぐる日露の戦争(日露戦争) 清国が後退した後、日本は露西亜との間で朝鮮の支配権をめぐって争った。1902年の日英同盟の締結によって、日本はその地位を確固としたが、日英同盟協約第1条において英国が清国に、日本が韓国に特別の利益を有することを相互に承認した(甲B第5号証88頁)。1903年、日露戦争に際して天皇が発した「露国に対する宣戦の詔勅」は、日露戦争が韓国をめぐる戦争であることを明確に認めていた(甲B第1号証89頁)。また、日露戦争が自衛戦争ではなく、韓国の獲得競争であったことは、1905年9月5日調印の 「日露講和条約」第2条に、日本の韓国支配が明記されたことからも明らかである(甲B第5号証92頁)。 これにより日本は韓国の保護国化を進め、1905年(明治38年)の「第二次日韓協約(乙巳保護条約)」で韓国を保護国とした(甲B第1号証119頁)。 4 朝鮮植民地戦争 「第二次日韓協約」で韓国の外交権を奪い保護国とした日本は、1907年には韓国軍隊を解散し、各部次官に日本人を配置して行政権を実質的に掌握 (1908年)し、司法権の委任(1909年)など、韓国直接支配の体制を着々と築き上げていった。 当時、韓国には、日本の軍隊として、戦時編制の陸軍二箇師団(3万6000名)、海軍二箇分遣隊が常駐し、郡庁所在地や各停車場には守備隊が配置されていたが、これに加えて、1624カ所15,000名を超える憲兵警察が配置されていた。それでも、併合条約調印の際には、軍隊をソウルに集結させ、各城門、王宮、統監・司令官・大臣などの邸宅を厳重に警戒・監視し、調印の日にはソウルの町を日本の憲兵が巡回し、朝鮮人は二人で話をしていても尋問を受けるという厳戒の中で「併合条約」が締結された。併合条約が日本による軍事的な包囲の中で締結されたということは忘れられてはいけない。 しかし、日清戦争や日露戦争の結果のみで植民地化を語るのは、戦争当時国、つまり、強国同士の関係でのみ語っているに過ぎない。朝鮮の民衆との関係でそれを語れば、日韓議定書から韓国併合に至るまで、一貫した日本の植民地化のための侵略戦争とこれに対する抵抗の歴史であった。 1907年から1911年にかけての抗日義兵闘争における交戦回数は合計2852回、参加義兵数合計14万1815人にのぼっている。また、1906年から1911年にかけての抗日義兵闘争における死者は、日本側136人に対し、義兵側1万7779人(推計)となっており(大江志乃夫『日露戦争と日本軍隊』394~395頁)、朝鮮の植民地化をめぐって闘われた植民地戦争の本質が何であったのかを物語っている。 indexへ
https://w.atwiki.jp/dtieasdtma/pages/85.html
減数分裂は、おおまかには「間期→第一分裂→第二分裂→生殖細胞完成」というプロセスを経る。 第一分裂と第二分裂が続くところが、体細胞分裂との相違点。 第一分裂と第二分裂にはそれぞれ、体細胞分裂と同様、「前期→中期→後期→終期」の四つの段階がある。 この四段階に見られる現象は、ほぼ体細胞分裂と同じだが、減数分裂と体細胞分裂の違いをきちんと押さえることが大切である。 違いが特に際立つのが、核相が複相(2n)から単相(n)へと変化する減数分裂独特の段階で、それは第一分裂である。 減数分裂のプロセスを、順を追って以下に示す。 間期 体細胞分裂と同様、S期にDNAが複製して母細胞の二倍量となる。 第一分裂 体細胞分裂との違いが大きく出るのがこの第一分裂である。 その違いをきちんと抑えておくことが重要である。 前期:基本的には体細胞分裂の前期と同様、染色体の出現、核膜・核小体の出現、紡錘体の形成開始、といった現象が見られるが、相同染色体が向かい合って接着する点が減数分裂の第一分裂の特徴となる。この接着は特に対合と呼ばれる。対合した二本の相同染色体(染色分体だと四本)のことを二価染色体と呼ぶ。二価染色体中では、相同染色体の距離が接近するため、染色体の交さや遺伝子の組換えが生じることがある(詳細は後述)。 中期:染色体が赤道面に整列する点は体細胞分裂と同じだが、この時、二価染色体のまま赤道面に並ぶのが減数分裂の第一分裂の特徴となる。 後期:染色体が紡錘糸に引っ張られて両極に移動する点は体細胞分裂と同じだが、この時、二価染色体が二つに分かれて二本の染色分体が一体となったまま移動するのが減数分裂の第一分裂の特徴。体細胞分裂の場合だと、染色分体が一本ずつに分かれて両極に移動する(体細胞分裂の場合はそもそも二価染色体が形成されない)。 終期:核膜が再形成されて核分裂が生じ、その後細胞質分裂が起きる、という点では基本的に体細胞分裂と同じ。しかし、終期が終了した段階で、各娘細胞中には相同染色体が一対二本揃っておらず、つまり核相が複相(2n)から単相(n)へと変化する点が減数分裂第一分裂の特徴となる。ただしDNA量で見た場合、一本の染色体あたりのDNA量はG1期の二倍量であるため、細胞一つあたりのDNA量は、母細胞と同量に戻ることになる。 第二分裂 第二分裂は、核相が単相(n)のまま進行する点を除き、体細胞分裂そのものである。 前期:体細胞分裂と同じ。 中期:染色体が赤道面に並ぶが、このときの染色体数が母細胞の半分(単相)であることが減数分裂の特徴。 後期:体細胞分裂と同様、一本の染色体を構成していた二本の染色分体が縦列面で分かれ、それぞれが両極へ移動。 終期:体細胞分裂と同じだが、娘細胞の核相は単相(n)、DNA量は母細胞の半分となる。
https://w.atwiki.jp/onlymap2/pages/42.html
不参加班による鶴の一声によって決まった東西南北 まずはこちらをご覧ください。 この結果、 ツヴァイター大陸そのものの東西南北 1:C 2:D 3:C 4:C 5:C 6:D ――というわけで、Cが北に決定です。 つまりこうなる。 ツヴァイター大陸とエアスター大陸の位置関係 1:第一の東 2:第一の北東 3:第一の南東 4:第一の南東 5:第一の東 6:第一の北東 ――というわけで、ダイスを振ります。 南半球回避!!! イメージとしてはこうです。
https://w.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/1866.html
http //sankei.jp.msn.com/life/education/081225/edc0812251221001-n1.htm 検定過程の透明化など報告 教科書検定審 2008.12.25 12 20 小中高校で使う教科書発行の手続きである検定作業の見直しを検討していた文部科学相の諮問機関「教科用図書検定調査審議会」は25日、検定過程の透明化策などをまとめた報告書を塩谷立文科相に提出した。教科書の質・量の充実についても、記述量の制限撤廃などを盛り込んだ。来年度の検定から適用される。 報告書では、検定終了後に審議内容や決定事項の概要などを公表することや、検定委員の所属部会、教科書調査官の職歴などを明らかにすることを盛り込んだ。審議の公開自体は見送った。 教科書では、学習指導要領の枠を超えた「発展的学習」の記述について、小中学校で全体の1割程度、高校で2割程度としていた現行の分量制限をなくす。新指導要領に基づく教科書は分厚くなる。さらに、「(内容が)不必要に重複していないこと」とした基準を外し、下の学年の内容を反復学習しやすくする。 昨年、高校日本史教科書の沖縄戦集団自決の記述をめぐり、検定過程の不透明さが問題となるなど、原則非公開の審議には、「密室審議」との批判があり、見直しが検討されていた。 沖縄戦ニュース
https://w.atwiki.jp/terrachaosgaiden/pages/286.html
「はぁ…はぁ…はぁ…」 人気のない墨田区の町で一人の少女が息を乱しながらも必死に走っていた。 セーラー服を纏、長い紫色の髪をツインテールでまとめているが必死に走っているためか少し乱れている。 いつもなら気になってすぐに直すだろうが、必死に走っている少女―――柊かがみの精神状態は誰がどう考えても普通ではなかった。 「……こなた……あんた無事でしょうね……!」 昨日まで当たり前の日常を送っていたかがみがふと目を覚ました時、そこは国会議事堂だった。 当然困惑したかがみだが、幸か不幸か―――あの場にいたこと自体がすでに大きな不幸なのだが―――すぐ近くに親友の泉こなたがいたので少し落ち着いた。 だが、表れた総理大臣と自分と同じぐらいの年頃の少女が言った言葉でさっき以上の困惑と恐怖を覚えた。 殺し合い。自分の生活とは対極に位置する言葉。 当然最初はたちの悪い冗談だと思った。 だが、目の前で二人の人間が死んだ。 いや、殺されたのだ。自分のように昨日まで当たり前の日常にいたであろう人間が。 柊かなみは普通の少女だ。特別な力もないし、人を殺す覚悟もない。 そんな彼女が殺し合いが始まった時点でとった行動は―――友人との合流。 始まる直前こなたはかがみに『秋葉原を目指す』と言った。 かがみはすぐに頷き、そして二人は別れた。 幸い自分の居場所はすぐに分かった。 東京スカイツリー、そこがかがみのスタート地点だったのだ。 かがみはすぐに秋葉原に向かって走り出した。 もちろん女子高生がこの状況で自分の足のみでそこまで行くことが難しいことはよくわかっている。 だが、今のかがみにはそれしかやることが分からない。 殺し合いに乗るかも、主催者に元から逃げ出すかさえも決められず、彼女は大切な友人と合流するためだけに走る。 それが何の解決になっていないことに心のどこかで気づきながら、彼女は走り続けた。 「……だれか……いるの……?」 あれからどれくらい走ったのわからないが彼女は自分の少し先に人影があることに気付いた。 相手はこっちに気付かれていない―――つまり相手が自分を殺すことは無い―――様子に少し安堵しつつ乱れた息を整えながら物陰に隠れ、かがみは人影に注視した。 こっちからは顔は見えないが相手が男なのは間違えない。 「あれは……まさか……」 だが、服装を見た瞬間彼女の頭にある一人の人間が浮かんだ。 シアトル・マリナーズのユニフォーム、そして背中に書かれた『51』の数字。 これが指す人物は唯ひとり――― 「さて、どうしようかな……」 墨田区の住宅街に転移された日本が誇る野球選手、イチローこと鈴木一郎はこれからどうするべきか決めていた。 彼の目的は唯一つ、自分が所属するマリナーズに帰り野球をする。これに他ならない。 だが、問題はそこまでの過程だ。 殺し合いに乗り優勝することで生還するか、主催者を倒し生還するか。 可能性だけで考えれば前者の方がまだ『若干』生還できる可能性が高いといえる。 まず首輪を嵌められた時点で脱出できる可能性も主催者を倒せる能性も絶望的と言ってもいい。 首輪さえどうにかすれば何とかなるかもしれないが、果たしてこの状況で都合よく解除できるだろうか? それに対して優勝すれば帰れるという主催者の言葉は『まだ』ありえると言える。 しかし、あくまで『若干』高いだけ。主催者が嘘をついている可能性も十分あり得るうえ、この人数で最後の一人になれる可能性も統計的に見れば間違いなく絶望的だ。 つまり五十歩百歩、どんぐりの背比べのようなものだ。客観的に見ればどっちもほとんど変わらない。 (僕の目的はあくまでチームの元に帰ること……これは揺るがない。まぁ、それより……) イチローは後ろを振り返ることなくすぐに自分の少し後ろに誰かが隠れていることに気付いた。 体と共に鍛え上げられた感覚はすぐ後ろに人間がいることを告げていた。 イチローの耳が乱れた息遣いを聞き取ったのだ。 「そこにいるのはわかっているよ。隠れていないで出てきてくれないかな?」 そして全く焦ることなくイチローは後ろの人間に平然と声をかけた。 (嘘……こっち見てないはずなのに……) いきなり自分が隠れていることに気付かれたかがみは動けずにいた。 自分の存在が相手にばれていないことに安心していたかがみにとってイチローの呼びかけはある種の攻撃だった。 自分に気付いていないならば相手に殺されることはないはずと考えはすぐに崩壊した。 (ど……どうしよう……相手が殺し合いに乗っていたら……!) 一応かがみには武器が支給されていた。 金色の装飾と紅いドリルのようなものが目を引く無銘の剣―――乖離剣エア。 間違いなく最強クラスの支給品だが、かがみには到底扱いきれるものではなかった。 普通の女子高生が振り回すのはきついと言える質量を持つエアは今のかがみにとっては唯のお荷物だ。 あと一つ支給品がかがみには与えられたのだが、それはすでに武器ですらなかった。 (に、逃げないと……!) 頭では逃げるべきだと思っているがかがみは動けなかった。 殺し合いに放り込まれたことによる恐怖と今まで走ったことによる疲労、そして自分が死ぬかもしれない状況。 これら三つがかがみの体の自由を奪った。 (いや……まだ死にたくない……!) 足音が確実に近づいてくることが分かり、さらにかがみの体の自由がなくなっていく。 そして、完全に恐怖に呑まれたかがみは力一杯目を閉じた。 「……」 イチローは目の前の状況に呆然となっていた。 自分の眼の前の少女は強く怯えていた。しかも自分が不意に声をかけたことによってだ。 もちろんイチローが相手に出てくるようにいったのは相手を警戒したからに他ならない。 あの距離から隠れて銃で発砲されればイチローの身体能力をもってもかわし切るのは難しい。 だから彼は声をかけた。相手の困惑を誘うことができれば十分対処ができるからだ。 もちろん殺し合いに乗っていない人間だった場合、襲う必要がない以上出てくるように言えば自分から出てくる可能性が高い。 だが目の前の少女はどちらでもなく、自分のようにスタンスを決めかねていたのだ。 ただ、イチローのように明確な目的を持ってスタンスを決めかねていたからではなく、恐怖によってどうすればいいのかわからなかっただけの話だっただけだ。 だが、イチローが一番呆然となった理由は『自分が声をかけたことで相手が怯えた』ということだ。 普段ならば彼がファンの子供に声をかければその子供はとても喜んでくれる。それはプロ野球選手にとって誇るに足りることだ。 だが、目の前の少女―――柊かがみは今にも泣きそうな表情で怯えていた。 それは彼を呆然とさせるには十分だった。 (僕の不注意でこの子はひどく怖い思いをしたのか……) もちろん客観的に見ればイチローに非は無い。この状況での彼の判断は正しいのだから。 だが、それでもかがみの表情を見てイチローは後悔する。 (こんな普通の子がこんな状況に放り込まれて平気なわけがない……彼女だってきっと僕のように仲間の元に戻りたいはずだ) そして、かがみの涙はイチローのスタンスを決定づけた。 「すみません……私、イチロー選手が殺し合いに乗っているかもって思って……」 「いや、気にしなくてもいいよ。僕も怯えさせるような真似をして悪かった」 近くの民家に移動した後、イチローはかがみに自分の目的を話した。 主催者を倒してチームの元に帰る。それがイチローの選んだ道だった。 自分のように仲間たちの元に帰りたいと思っている人たちを集めて主催者を倒して生還する。 難しいことはわかっている。それでも彼は決意した。 例え険しく長い道のりでも、頑張ればできるはずなのだから。事実彼は今までそうやって生きてきたのだから。 「それで、かがみさんはどうする?」 「私は……こなたと、私の友達と秋葉原で合流しようと思います」 「そうか……」 かがみの言葉にイチローはやはりそうだったかと思った。 だったら彼がやることは唯一つ。 「かがみさん。僕も一緒にその友達を探しに行っていいかな?」 「え……いいんですか?」 「うん。僕も君と最終的な目的は一緒だしね」 かがみは友達の元に行きたいといった。 ならばイチローがかがみを放っておけるわけがない。 「ありがとうございます!」 イチローの言葉に安心したのかかがみは満面の笑みを浮かべる。 イチローがこの殺し合いで初めて見る、だがいつもは当たり前に存在する笑顔。 それを見てイチローも笑みを浮かべた。 「ところでイチローさんは何を支給されたんですか?」 「ああ、僕はね……」 かがみの休憩がすみ、二人が民家を出る前にかがみはイチローに支給品について尋ねた。 本当なばもっと早く尋ねるべきだったのだろうが、色々あって結局聞けなかったのだ。 かがみの言葉を聞きイチローは自分の支給品を取り出した。 「僕の支給品は、僕の中では一番あたりだったよ」 イチローは満面の笑みを浮かべながら自分の『相棒』をかがみに見せた。 手入れの行き届いたバットとグローブ。 それはイチローの手足と言っても過言ではないものだった。 「それ、イチロー選手のですか?」 「うん。でもね……」 だがイチローは少しだけさみしそうな顔をする。 「バットやグローブだけじゃ、野球はできない」 そう、たとえバットやグローブがあってもボールやチームメイトがいなければ野球はできない。 誰かの手に自分の相棒が渡らなかったことに安心した反面、相棒とともに野球ができないことにイチローは少しさみしさを感じた。 「あ、ちょっと待ってください」 「ん?」 イチローの支給品を見て何かを思い出したのかかがみは自分のデイバックの中身からもう一つの支給品を探し出した。 「だったらこれ、イチロー選手が持っていてください」 かがみが取り出したのはボールだった。 何の変哲もない野球ボール。そこら辺のスポーツ店にならおいてあるであろうボール。 「……ありがとう、かがみさん」 だが今のイチローにとってその何の変哲もないボールは宝石のように見えた。 そして、どこかにいるであろう野球の神様に心の底から感謝した。 「さて、じゃあいこうか」 「はい」 準備を終えた二人は民家を後にし、秋葉原に向かって歩き出した。 どちらも仲間の元に帰るために。日常を取り戻すために。 だが、かがみはまだ知らない。すでに親友はこの世にいないということに。 【墨田区・東京スカイツリー付近の民家前/一日目・日中】 【イチロー@実在の人物】 【状態】 健康、決意 【装備】 イチローの野球道具(バットとグローブ)@現実、野球ボール×15個@現実 【道具】 基本支給品一式 【思考】 基本:チームの元に帰る。その為に主催者を倒す 1:かがみとともに秋葉原に向かう 2:主催者を倒すために仲間を集める。 3:ゲームに乗った人間はレーザービーム ※レーザービームの威力に制限が課せられています。また身体能力にも若干制限あり? 【柊かがみ@らき☆すた】 【状態】 精神的疲労(中)、殺し合いに対する恐怖 【装備】 乖離剣エア@Fate stay night 【道具】 基本支給品一式 【思考】 基本:死にたくない。もとの日常に戻りたい 1:こなたと合流するためにイチローとともに秋葉原を目指す 2:殺し合いには乗りたくないし、殺されたくない ※乖離剣エアを変な剣としか思っていません 支給品紹介 【乖離剣エア@Fate stay night】 英雄王ギルガメッシュの持つ無銘の剣にして彼しか持ち得ない最強の剣。 見た目は紅いドリルのような剣なのだが、魔力を込めれば擬似的な時空断層による空間切断「天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)」を放てる。 この「天地乖離す開闢の星」は凄まじい威力を誇り、最強の聖剣である「約束された勝利の剣」すらも上回る。 ただし反動も凄まじく某ロワでは一種の死亡フラグだった。「天地乖離す開闢の星」を放った後反動で消滅した参加者もいる。 また魔力も大量にいるため一般人ではまず扱いきれない。 剣としても扱うことができ、そこらの剣よりもはるかに丈夫にできている。 029:脅かされるマスコットポジション 投下順 031:魔人ダツイと精霊タワー 029:脅かされるマスコットポジション 時系列順 031:魔人ダツイと精霊タワー 初登場! イチロー 057:それは小さな祈りなの 初登場! 柊かがみ 057:それは小さな祈りなの
https://w.atwiki.jp/epolitics/pages/334.html
項目の説明国際法(国際人権)の実現過程 人権NGOとの関連 参考資料外国人に対する社会保証制度の適用の推移 項目の説明 国際法(国際人権)の実現過程 国際法の動態 国際法は、国際社会における正義感や規範意識に支えられ、現在の力関係と多様な主体の利益追求の絡み合いのなかで理念として主張され、形成され、適用され、実施され、その内容が実現される。逆に、国際社会の支配的な力や支配的利益と衝突し、新たな理念の挑戦を受け、時代適合性を失ったものとして批判される、破られ、新たな時代の適合的な法規範に取って代わられる。その中間には、法の実現という名の下での国際法の濫用という現実もある。 絶えざる技術革新などにより、絶えず新たな事象が生まれる中で、国際社会の既存の法規範と新たな事態に対応する規範意識の間にはずれが生じてくる。米国を中心とするグローバリゼーションの圧力、途上国における内戦への対応、NGOやメディアの立法論的主張などを受けて、政府官僚を含む法の専門家集団がそうした主張に基づく規範の普及、法としての技術的洗練に取り組み、大国や多数国の行動を「慣習」と擬制し、国連や国際会議で条約案をつくる。署名された条約は各国の批准を受けて拘束力のある多数国間条約となり、その規範は、諸国の国内諸勢力の抵抗にあって変容を余儀なくされつつ、しかし一定の枠内で規範内容を実現していく。 以上の過程は、(1)国際社会における規範意識(2)国際法の定立(3)国際法の履行ないし自発的・強制的実現(4)国際法の解釈と生成・実施過程におけるさまざまな主体が営む実践的機能、などを含む包括的過程としての「国際法の実現過程」として総体的に把握することができる(大沼保昭「国際法」p.48)。 国際法の実現過程:利益の追求と法の定立 法は一般にある社会的要請が規範感情として社会化し、それが法学者や実務家の手で定式化され、成文法として制定されるか、あるいは慣習法、判例法として社会構成員に受容されて法として妥当する。法の内容は、国内社会では暫定的公権性をもつ行政解釈により、また私人(企業・NGOを含む)間関係では法実務家の解釈により、日々実現される。 ただ、ほとんどの法規範は複数の解釈が可能であり、実際の解釈が分かれる。解釈上の争いは、(とくに先進国の)国内社会では裁判所の判決により、最終的に解決され、その解決は行政府が執行する事により実現される(大沼保昭「国際法」p.50)。 国際法実現の多様なメカニズム さらに重要なことは、国際人権法が、国内裁判所における裁判に限られず、多様かつ重層的なメカニズムによって国内的に実現されることである。 日本では、自由権規約や難民条約が批准され、法的効力をもつようになった1980年代から国際人権法を根拠とする裁判が増加したが、日本の裁判所は国際人権法への理解が不十分で、国際人権規範を根拠として国の人権侵害を認定する判決はほとんどなかった。しかし、さまざまな人権侵害の訴えが対象となり、裁判で審理されることはメディアによって大きく報じられ、政府への大きな圧力となった。この圧力は、日本の人権NGOが自由権規約委員会、国連人権委員会小委員会、ILOなどに日本政府による人権侵害を通報し、日本政府がこうした国際機関で弁明しなければならない状況におかれたことで、さらに強いものとなった。日本の国際人権法にかかわる事案でかなりの数を占める在日韓国・朝鮮人の人権については、韓国政府も通常の外交チャネルで日本政府に改善を要請し、韓国のメディアやNGOはそうした要求を強力に繰り返した。 こうした多様で重層的な国際人権法の圧力の下で、日本政府は政策の変更や国内法の変更というかたちで、国際人権法の規範や趣旨を実現するようになった。女子差別撤廃条約の国籍に関する性差別禁止規範(9条)は、1984年の国籍法における父系血統主義から両系血統主義への改正というかたちで実現した。居住外国人への福祉に関する内外人平等を定める国際人権規範(社会権規約2条、9条以下)は、定住外国人への社会保障、社会福祉の適用を認める各種の国内法の改正や行政措置というかたちで80年代にほぼ実現した。自由権規約7条などに規定されている「品位を傷つける取り扱い」の禁止や自由権規約2条他の国籍に基づく差別の禁止は、外国人登録法における指紋捺印制度の撤廃というかたちで国際人権規範が国内的に実現された。 以上のように、国際人権法の分野にあっては、人権条約に設置された人権委員会や国連人権委員会とその小委員会、欧州人権裁判所などの履行確保メカニズムが、国際人権法規範の実現に重要な役割をはたしている。しかも、こうした人権保障の監視メカニズムは、人権NGOやメディアによる人権侵害の通報、報道などがあってはじめて有効に機能することができる。国際的視点にとどまらず、民際的・文際的視点にも立脚した国際法の認識と解釈、法政策の提言が求められるのは、こうした理由に基づいているのである(大沼保昭「国際法」p.55-56)。 関連項目 外国人に対する社会保証制度の適用の推移 人権NGOとの関連 国際人権法の力 人権NGOは、国内裁判所でも積極的に国際人権規約その他の国際人権法を援用した。日本の裁判所は国際法、国際人権法の理解が十分でなく、また一般的に強い司法消極主義をとっているため、国際人権保障に反する国内法を国際人権法違反とする判決が下されることはほとんどない。そのため、裁判所における法実現を法実現の理想型と暗黙裏に想定する裁判中心主義的発想による限り、国際人権保障の国内的実現の姿は見えない。 しかし、外国人差別の問題が訴訟の対象となることにより、外国人に関する国内法や行政と一般人の正義感や公平感とのずれがメディアを通して明らかになり、立法あるいは行政による改善がもたらされることはすくなくない。このことは、上述した定住外国人の指紋押捺義務からの除外や社会保障上の改善などとともに、サハリン残留朝鮮人の韓国への永住帰還、「慰安婦」への償い、在日韓国・朝鮮人軍人・軍属の年金、台湾人元日本兵への補償、強制連行された中国人労働者への補償など、「戦後補償」「戦後責任」といわれる分野でも一定程度認められる。 国内裁判所における国際人権法の援用は、包括的な国際法実現過程の一環である。裁判所で敗訴したからといって国際人権法が実現されなかったことにはならない。裁判をきっかけとして法の改正や運用の改善に国際人権法の内容が取り込まれれば、それは法の実現である。こうして、行為規範中心の法実現過程という視点からみれば、日本の事例についても、国際人権法の実現過程は十分認識することができるのである(大沼保昭「国際法」p.366)。 人権保障における民際的視点 海洋法や安全保障にかかわる国際法は、自国の利益追求を行動原理とする諸国の政府の交渉と妥協から生まれてくる。これに対し、国際人権法は、最終的には政府の交渉と妥協の過程から条約がつくられるものの、そこに至る過程では、NGO、学者、メディアなどが国境を超えて連帯し、政府に圧力をかけ、国連の決議や多数国間条約をもたらすという力学が認められる。国際人権法の実効性は、究極的にはこうした諸国の市民の意識と運動の力に依拠している(大沼保昭「国際法」p.378)。 参考資料 外国人に対する社会保証制度の適用の推移 制度 開始年度 適用年度 関連条約 国民年金法 1959 1982 国際人権規約「難民条約」(1982) 厚生年金保険法 1941 1946 国民健康保険法 1938 1986 厚生年金保険法 1941 1946 国民健康保険法 1938 1986 健康保険法 1922 1922 児童扶養手当法 1961 1982 国際人権規約「難民条約」(1982) 特別児童扶養手当等の支給に関する法律 1964 1982 国際人権規約「難民条約」(1982) 児童手当法 1971 1982 国際人権規約「難民条約」(1982) 生活保護法 1946 1950 児童福祉法 1947 1947 身体障害者福祉法 1949 1949 精神薄弱者福祉法 1960 1960 老人福祉法 1963 1963 労働者災害補償保険法 1947 1947 雇用保険法 1947 1947 出展:手塚和彰「外国人と法」 p.266
https://w.atwiki.jp/ooorowa/pages/363.html
流転過程のアイソレーション ◆SrxCX.Oges PREV 被制約性のアイソレーション ◆ 「とんだ茶番だったな」 目の前で起こったいっそ間抜けですらある光景を前にして、笹塚が小さく呟いた。 女性を狙って飛んでいた一枚のカード。 それが、今まさに衝突寸前となったところでぴたりと静止した。 勢いを失ったカードははらはらと漂いながら地面へと力なく落下し、小さな爆発を起こして消えた。 その一連の流れを見届けたディケイドは、茫然と立つフィリップを横目に腹部のバックルを展開して変身を解除する。 生身の人間――門矢士としての姿を晒したのは、もう戦闘の意思が無いということなのだろう。 この時になってやっと、フィリップは彼が最初から女性を傷付ける気など無かったのだと察した。 フィリップの応戦も、照井の急行も、何もかもただの徒労であったわけだ。 ……何だ、それは。 「…………ディケイド、君は一体何の意味があって、こんなふざけた真似を……!」 「受け取れ」 義憤のままに食って掛かろうとしたフィリップに構わず、士はディバッグから取り出した何かを放り投げてきた。 一つは機械的な外見のベルト、二度目が硬質なケース、そして三度目が真っ赤な携帯電話だ。 慌てて受け取ったフィリップだが、その意図が分からずまたも呆気に取られる。 いや、正確にはその道具一式の使用意図が推測できたからこそ、士がフィリップに渡した意図が余計に分からない。 「これは……」 「仮面ライダー電王に変身するためのベルトだ。お前も“仮面ライダー”だったなら、大体分かるだろう?」 「なぜ、僕にこれを渡すんだ?」 「お前なら、まあ相応しいだろうと思ったからだ。少なくともそいつ等とは気が合うだろうしな」 「……俺達を試したのか?」 声を上げたのは、様子を伺っていた照井だった。 問われた士は照井の方へと顔を向け、大した問題では無いかのように言ってのけた。 「まあ、そう取ってもらっても構わない」 「だったら、今の戦いで俺達を倒そうという気は無いということか?」 「……この場に“仮面ライダー”はいないからな。そういうことになる。だったら、今はお前らに“仮面ライダー”を譲ってやる」 その一言で今度こそ、本当は最初から士に敵意が無かったことを確信した。 全ては、フィリップ達の人間性を観察するための演技だったのだ。その目的は……認めるに値する人間に、仮面ライダーの力を譲り渡すこと。 そしていかなる因果か、三人の中でベターと認められたのは目的をろくに果たせなかったはずのフィリップであった。 士の行動の意図は分かった。だからこそ、フィリップには門矢士という人間がますます分からない。 仮面ライダーを付け狙う、暴力的な人間性に変わり果ててしまったのではなかったのか? この行動は話に聞く人間像とぶれていないか? 仮面ライダーという名の重みを理解はしているのか? ならば、なぜその名を持つ者を討とうとする? 士の本質は、正義なのか? 悪なのか? 何のために、今も仮面ライダーを名乗っている? 「君は……君にとっての“仮面ライダー”とは、一体――」 「それじゃ、もう用も無いしさっさと行かせてもらう」 「待て、君はこれからもこんなことを……」 「それが俺の責務だからな……まあ、喧嘩を売ったことだけは謝っておく」 フィリップの質問も静止も空しく、士は撤退の一手を打つ。 先程は投擲に使っていたトランプのカードが、今度はまるで巨大な板のような形となって士の身体に重なる。 その大きさを保ったまま、また回転しながら空の中へと消えていく。士の姿は、既にどこにも無かった。あのカードに張り付いたといったところなのだろうか。 ともかく、門矢士はベルト一式と女性の身柄だけを残して消えてしまった。それだけが、事実として残された。 「……何だっていうんだ」 殆ど状況に流されるまま辿り着いた結末に、フィリップは徒労感をたっぷり含ませながら嘆息した。 一先ず、今自分が得たものくらいは確認しておこうと考えた。混乱の収まらない頭は、その後でゆっくり落ち着ければいい話だ。 そんな言葉を頭に並べながら、フィリップは渡されたベルトを目の高さまで翳し、 『何で今度は僕達を投げ捨てるの!?』 『僕に聞かないでってば……』 『ああぁぁーーっ! 誰か俺に分かるように説明しろお!』 けたたましく重なる声色に、またも呆気に取られることとなった。 ◆ フィリップ達が士と言葉を交わすのを視界の端に収めつつ、笹塚は一人黙考していた。 懸案は今回その身柄を巡って一悶着を起こす羽目になった眼鏡の女性――桐生萌郁のことである。 (あんまりバレてほしくないこともあるからな) 笹塚は萌郁という人間と既に面識があったにも関わらず、今に至るまで彼女に関する情報の一切を照井とフィリップに明かしていない。 その理由は簡単。下手に話したせいで、知られたくない部分にまで触れられるのを避けたためだ。 桐生萌郁とは、黄陣営のリーダーであるカザリ扮するFBの指示に従い、それでいて「自分が本当は誰に従っているか」という肝心な部分に盲目的な、ある種の哀れな使い走りである。そしてこの会場に連れられてから最初に受けた指令に従い、彼女は笹塚(の複製)を殺害している。 これが笹塚と萌郁、そしてカザリ扮するFBの三者の関係である。 さて、笹塚と萌郁の関係については知られたところでまだ許容範囲内だ。 仮に萌郁の前で笹塚の存命を明らかにしたとして、その時はシナプスカードと言うカラクリを明かせば一応の説明は付き、話はそれで終わりだ。精々フィリップ辺りから情報の隠匿を非難される程度だろう。 危惧したのは、萌郁とFBの関係が露呈すること。より正確に言えば、万が一にもFBが照井達の追及を受ける羽目となった挙句、そのグリード・カザリとしての正体、そして笹塚と関係を有していた事実を知られる可能性があることだった。 明確に所属陣営の優勝を狙う者、あるいは今の笹塚自身のような特別な事情を持つ者でない限り、真木清人の手先であるグリードと積極的に関わる理由は無い。それはフィリップや照井にも同じく言えるはずだ。 そんな奴と笹塚が関係を持っていると知られたら、どうなるか? 情報提示などで上手く立ち回れば、少なくとも照井とは共闘関係を維持できるかもしれない。しかし下手を打てば、場合によっては障害と見なされた挙句に対立へと発展しかねない。そうなれば、笹塚は頼れる味方のどちらかを切り捨てざるを得なくなる。 照井という理解者を手放す気は起きず、かと言って今後のバトルロワイアルの展望次第では今カザリに倒れられても困る。 シックスへの復讐が最優先であるからこそ、手駒となりうる存在を下手に奪われては困るのだ。 結局、萌郁が照井達を追及されることは不都合な事態への第一歩となりかねない。ゆえに、ここで回避しなければならない。 (じゃ、ちょっと拝借するか) とは言え、方法は簡単。照井達に必要以上の情報を与えなければよい。 具体的には、照井達が士に注意を向けている今の内に萌郁が持っている携帯電話を預からせてもらう。 そうすれば、今はFB本人への追及は手掛かり無しとして見送りとなるはずだ。 (いいだろ? 一回やられた時点で、アンタはどうせ手駒失格だしな) これだけ変化し続ける状況にいながら大した動きも出来なかった萌郁に心中で言い訳を述べつつ、手元に持っている携帯電話に手を伸ばす。 (って、無いのかよ……) 伸ばそうとしたところで、今の萌郁が携帯電話を手に持っていないことにようやく気付く。 照井達の目を盗みつつ、それとなく衣服のポケットもディバッグの中も調べてみるも空振り。 受信機となるアイテムを彼女が手放すとは思えない。だとすれば、大方何者かに先に奪われたのだろう。 そして一番の候補となる人物は、彼女と最後に接触したディケイド――門矢士だ。 その当の本人である士はと言えば、たった今いかなる原理か巨大化したトランプと共に姿を消した。こうなっては、彼が携帯電話を持っているのかどうかすら最早確かめようがない。 (まあ、結果オーライか) 結局FB自身への追及が行われないなら、話は同じことだ。 強いて言うなら、自分の手元に置いておけば任意のタイミングでカザリと再接触が図れたはずだったというのが惜しいことか。 ……惜しいと言えば、萌郁が持っていたはずのアビスへ変身するカードデッキも預かることができたなら良かったのだが、それこそ言っても仕方が無い。 (俺も欲しいんだがな、ああいうの) カードデッキの存在を一度思い起こした笹塚の思考は、続いて“仮面ライダー”へ向かい始める。 エターナル、ディケイド、そして今は亡きアクセル。笹塚の知る限り最強の存在である魔人には及ばずとも、怪物強盗と同等かそれ以上の力を持つ超人。 それは今更手に入れられない先天的な要素の結果ではなく、今まで見た限りでは専用の装備によって人間の肉体が変化したものだ。 今も何やら呟いているフィリップが持つベルトも、どうやら仮面ライダーに変身するためのツールらしい。 あれが自分の物になれば良いのに、と恨めしく思わずにはいられない。 ディケイドの価値観なぞ知る由も無いが、ともかく笹塚は彼の御眼鏡に適わなかったためにベルトを譲り受けられなかったようだ。 理不尽な話である。 目的のための覚悟の強さなら、笹塚は他者に決して劣りはしないと自負している。 そして、その達成のために生まれる力への渇望の切実さも。 にも関わらず、笹塚には今もお鉢が回ってこない。 肉体的な条件によっては使用にリスクがある可能性も予想はつくし、実際に不適合であると言われたら笹塚とて一応の諦めがつく。しかし、その条件の可否を確かめる機会すら得られないのでは不満も溜まるものだ。 照井やフィリップの口振りを聞く限り、“仮面ライダー”の名を背負うには相応の気質や品位のようなものが求められるらしい。 それこそ、笹塚には興味の無い話であった。 「別にいいだろ、誰がどう使おうが」 力は所詮力。生み出した者が込めた意味やら願いやらに持ち主が束縛されるなど馬鹿馬鹿しいことだ。 このように考えるのは、結局笹塚の住む環境に“仮面ライダー”が存在しなかったための無関心に根付くものかもしれない。だからと言って、照井達の価値観を改めて考察する理由など、笹塚にありはしない。 ゆえに、笹塚の中で欲望は静かに育ち続けている。 俺にも力を寄越せと。 俺を、“仮面ライダー”にしろと。 独善的な黒い炎は、静かに燃える。 ◆ デルサー軍団の大幹部ジェネラルシャドウの愛用したトランプの力により、士は戦場からの離脱を果たした。 士が地に足を着けると共にトランプは掌サイズに縮小し、空中へと霧散していく。 支給された枚数がスペードのAからKで13枚。爆弾代わりに使った2枚も抜けば、残りはあと10枚。 先程の戦闘が長引かせる意義の無い内容であったことを考えると、消費が3枚で済んだのは妥当なラインだろうか。 「ライダーじゃないなら、今はあいつ等と戦ってもらうのがマシだな」 肉体的な変身を遂げた結果という意味での“仮面ライダー”は、あの場には一人もいなかった。しかし、正義感の持ち主としての“仮面ライダー”なら、フィリップが最も近いと言える。 これが士の出した結論だった。 そしてこの結論を出すために、士は彼等との交戦に踏み切り、敵視されるべき立場であることを敢えて利用して彼等の敵役を演じることに決めたのだ。 全ては“仮面ライダー”を探し出すために。 ただ単に言葉を交わすだけで人間性を判別する選択肢も確かにあった。そのような穏健な手段を取らず、むしろ傍目にはただ面倒で、体力やメダルの消費をも伴う手段を取ったことにも理由はある。 一つは、フィリップ以外にも姿を見せない者達がいることに薄々感づいており、彼等の出方も伺いたかったこと。 もう一つは、より確実な信頼感を得るためにも、士の求める素質を言葉ではなく行動で見せてほしかったこと。 最後の一つは、友好的な関係の兆しを下手に作ってしまって再び余計な温情を胸中に生むのを避けたかったこと。 そして観察に徹し破壊者として打倒する選択をしなかったのは、仮面ライダーの力を失った者を倒した場合に世界再生の条件が達成されるか、前例が無いために確信できなかったため。 中途半端な見込で事に及んだものの当てが外れ、フィリップを本来の手段で倒すことが永遠に叶わなくなり世界崩壊が確定するなどという可能性だけは避けねばならなかった、というのが実情である。 もしも彼らがいつの時か本来の姿を取り戻したなら……その時には、改めて破壊に向わねばならないのだから。 観察対象となった人間としては、フィリップ以外にも二人が確認できた。 その一人が、かつて仮面ライダーアクセルであったはずであり、しかし今は怪人のアクセルとなった照井竜。 アクセルがフィリップの協力者として姿を現したことは、一瞬だが士を驚かせた。 それでも躊躇うことなく、士はトランプに爆弾機能を持たせて射出した。身動きのできない人間に脅威が迫った時、彼がどのような行動を取るのか見るべきと考えたためだ。 士の見てきた仮面ライダー達の大抵は、同じ状況に置かれたら咄嗟の判断で他人を守ろうとしただろう。もしも照井か、あるいは同行者していた男が同じ行動を見せたら、その者の人柄を士は認める気でいた。それを試すための一撃である。 勿論そのような者に手傷を負わせるのは本意ではないので、爆弾の威力は最小限となるよう意思を込めて、ではあったのだが。 そして結果は、士を少なからず落胆させるものだった。 「仮面ライダーではない……そういう意味だったのか?」 士は確かに目撃した。トランプ爆弾が女に迫るのを前にして、照井竜の身体がほんの一瞬、しかし確実に躊躇いを見せたのを。 身を乗り出せば、女を庇うことも不可能では無かったはずだ。それにも関わらず、照井は動こうとしなかった。動けなかったのではなく、動こうとしなかった。 何もその判断が醜悪だと断ずるつもりは無い。自分の怪我に構わず他者を守れ、と要求するのは些か酷な話ではあるだろう。 ただ、あの女性を保護するための作戦に身を投じ、他者の負傷の可能性に悲痛な叫びを上げたフィリップ程には“仮面ライダー”らしくない、と感じただけの話だ。 もしかしたら、自分を危機に晒してまで身を挺して他者を庇うことを馬鹿らしいと思ったのだろうか。あの逡巡が、“仮面ライダー”の名を捨てたと言う証明であったのだろうか。 そうだとすれば。やはり照井竜に“仮面ライダー”の力を渡すのは、まだ、好ましくない。 こうして観察を兼ねての戦闘を終えた士は、フィリップが最も“仮面ライダー”として妥当だろうと考えるに至り、“仮面ライダー”の資格を譲渡するに至ったである。 デンオウベルトだけを渡し、成り行きで預かることとなったアビスのデッキを手元に残したのは、単に相応しい者の人数が一名きりであったからという理由だけではない。 電王なら、万が一ベルトが悪しき心の持ち主の手に渡ってもイマジンがストッパーとなると期待したためだ。逆に、モンスターという独立した別個の戦力を持つアビスは暗殺の用途にすら使用可能であり、悪用された時が恐ろしい。 せっかく渡したアイテムが正体不明の人物――たとえば、照井の傍にいた素性の知れない男のような――の手に渡った時のリスクを、特に保護の必要がある人物がいる状況では避けねばならなかったのだ。 こうして一人は破壊する必要の無い“仮面ライダー”になる資格を得た。そのことは士に若干の満足感を与えながらも、焦燥を拭い去るほどのものにはならない。 緑の怪人となったフィリップ、赤の怪人となった照井竜。 二人の姿が示すのは、ダブルとアクセルという二人の仮面ライダーが一時的に、もしくは永遠に失われた事実である。 数多くの命が奪われただけでなく、世界を救うために存在し続けなければならない仮面ライダーまで世界から姿を消されてしまった。 「やらかしたな、俺も」 間違いなく、士の怠慢のツケであった。 理解していたつもりではあったが、こうして新たにミスの結果を見せつけられるとやはり苦々しい感覚がある。 「……だったら、もう誰もやらせるわけにはいかない」 全ての敵に一人で立ち向かう覚悟は、とっくに決めている。 ならば、自分に敵意が集中する状況を自ら積極的に完成させていく必要もある。 そんなことを考える士がディバッグから取り出したのは、二枚の青のコアメダル。メズールを撃破した際に散らばった五枚のコアメダルのうち、ある懸念から士は二枚だけ首輪ではなくディバッグに収納していたのだ。 「こいつを取り込めば、俺が次のリーダーってわけか」 陣営のリーダーが脱落した場合、以後該当する陣営と同色のコアメダルを多数所有していた無所属の参加者が次期リーダーに着任する。陣営戦のこのルールに従えば、メズールの身体から排出された青のコアメダルを総取りすれば士が青陣営のリーダーになるのは明らかな話であった。 そのことを理解した上で、敢えて士はセルメダルの代用に必要最低限な枚数しか青のコアメダルを取り込まなかった。 ラウラの編み出した必勝の策を、下手に打ち崩さないように。 「悪いな、ラウラ」 可能な限り多くの者を救済できるリーダー討伐の策に基づけば、士が青陣営のリーダーになれば必然的に士とラウラは対立せざるを得なくなる。 士からすれば彼女の方針を尊重こそすれ阻害する理由も無い以上、敢えて士はリーダーの立場に就くことを避けたのだ。 甘い。見通しが、甘い。 フェイリスが死に、ラウラが傷付き、仮面ライダーが敗れた。それなのにラウラのリーダーとしての立場の尊重しようと……彼女が敵意に晒され、手を汚さんとするのを容認しようなどと考えては、それこそ無責任だ。全てが後の祭りとなってしまった今、最早士は彼女に、いや他の善意ある何者にも余計な負担をかけさせるわけにはいかない。 ならば士が取るべき手は一つ。害意を持つ者達全ての目を、士に向けさせる。 「お前の作戦は、果たされない」 ちゃりん、ちゃりん、と金属音が二度響き、青のメダルが士の首輪に吸収される。直後、首輪のランプが放つ光は紫から青へと変化した。 この瞬間を以て、門矢士が青陣営の次期リーダーに確定した。 これで士を倒さない限り、ラウラもグリード共もバトルロワイアルでの勝利が叶わない。バトルロワイアル自体に反発する者以外の全員が、無視の許されない倒すべき標的として士を追わねばならなくなった。 そして士は、バトルロワイアルでの勝利を目指す気など無い。リーダーでありながら、青陣営に貢献する気もゲームをまともに進行させる気も一切持っていない。 即ち士がリーダーとして君臨し続ける限り、バトルロワイアルが正規の方法で完遂される瞬間など訪れやしないのだ。 これが庇護されるべき人々に刃を向けさせないための士なりの働きであり、ゲームの完遂を望む全ての愚者への反逆にして嫌がらせ。 もう後には引けない。このゲームが終わりを迎えるのはただ一つ――他でもない、ゲームを運営する者達が士の手で討ち取られる時だけだ。 こんなふざけたゲームの齎す恩恵など、知ったことか。 世界を救う鍵である仮面ライダーも、見境なく人々を脅かす悪も、全ての元凶である真木清人も、全て士の手で潰す。 痛みも罪も、この門矢士が背負っていく。 「……誰にも倒されるなよ。仮面ライダー」 想起するのは、今しがた別れたばかりの元・仮面ライダーの姿。 今の彼が敵を倒すための戦いへ積極的に身を投じる必要は無い。ただ、守護者であってくれればいい。 被害者である弱者の命も、正義の行使のために託した力も、道を踏み外しかける者から失われようとしている正義も、彼に守ってもらいたいと士は願う。 つい先程こちらの都合で迷惑をかけて、更にいつか彼を倒すための再会すら考える側の立場からこのような願いを抱くのは、やはり身勝手なのだろう。それでも、士の手の届かない僅かな部分に関して正義の戦士を頼るくらいの自由は、許されてほしいと思った。 紛れも無く、世界の救済を欲する一人として。 「それじゃ……っと」 感傷的な気分を入れ替えるように大きく息を吐きだし、士は一歩踏み出した。 が、その一歩はふらりとよろめいた。 どうやら連戦による疲労の蓄積は、いよいよ隠せない段階に来ていたようだ。 俺が死ぬのはまだ先だからな、と誰に聞かせるでもなく呟き、士は一先ずの休息の場を求めて今度こそ歩き出した。 ◆ ディケイドから渡されたデンオウベルトに宿っていたのは、イマジンという一種の精神体だ。 ベルトを装着した上で彼らと精神を一体化させることで、電王――かつてディケイドやクウガと並び立って戦ったあの仮面ライダーへの変身が叶うらしい。 イマジン達との対話を終え、引き出した情報――電王への変身や、フェイリスやラウラや岡部倫太郎といった知己の人物について――を照井達に話したところで、笹塚に問われた。 「で、そのベルトをどうする? 誰が使うんだ?」 「それは……」 「俺やフィリップにはガイアメモリがある。だったら……」 電王のベルトがれっきとした戦力である以上、誰かが使用するべきだ。 フィリップと照井が別の道具で戦えるとなれば、笹塚が使用するのが必然的な流れだろう。 そこまで冷静に考えを纏めたところで、フィリップと笹塚の目線が交錯した。 「……!」 笹塚の双眸に宿った、暗く、それでいて嬉々とした光。 一瞬で自らの顔が強張るのを、フィリップは実感した。 「…………いや、君は使わない方がいい」 「は?」 「彼等イマジンと息を合わせられないと、電王としては戦えないらしい。彼等も……本来の変身者以外とは気が合わなそうだと言っている」 「……やってみないと分からないと思うけどな」 「いざという時のことを考えると、当てに出来るか分からない力を持たせるわけにもいかない……本当に拙い時まで、使うのは待ってくれないか? それまでは僕と照井竜で対処する」 捲し立てるような口調になっているのが、喋っているフィリップ自身にも実感出来てしまう。 それほどまでに、笹塚に電王の力を託すことへの恐れにも似た感情が一瞬で成長していた。 話を聞き終えた笹塚は、納得したのかしていないのか分からないような表情で、そーかい、とだけ言ってまた煙草を吸いだした。 ほっと息をついたフィリップに、照井が近寄ってくる。そして、そっと耳打ちした。 「やはり、“仮面ライダー”は大切か」 ……見透かされていたか。 照井竜がフィリップの真意を見抜いたのは、フィリップの表情が分かりやすかったか、はたまた照井もまた似た感情を抱いていたのか。 肯定も否定も口に出すことも出来ず、言葉に窮するフィリップを見かねたのか、照井は小声で言った。 「気持ちはわからなくもない。だが、俺達は俺達の目的のために動いているんだ。それだけは忘れるな……お前の我儘に付き合うのも、限度があるぞ」 それだけ言って、照井はフィリップから離れて行く。 どうやら照井は、フィリップの中の“仮面ライダー”への執着にも気付いているようだ。その心情を決して褒め称えることもなく、むしろ妨げとならないよう警告される。 これが、今のフィリップと照井の間にある距離の大きさだった。 フィリップの数歩先に立つ二人の中に、“仮面ライダー”の正義は無い。 それを理解しているために、今の照井と進んで行動する笹塚衛士が“仮面ライダー”となることに、本能的な部分での拒絶感が湧いたのだ。 そして一応はそれらしい理由を付けることで、フィリップの管理下に置くこととさせてもらっている。 しかし、こんな誤魔化しがいつまで通用するのだろうか。 爆心地まで同行させたことも、ディケイドとの交戦に協力させたことも、電王の力を取り上げたことも。 全ては苦し紛れの言い訳で照井達に協力させただけだ。一応のメリットの提示が可能だったからこそ今まで問題は生じていないが、この先も無理を重ね続けてはいつか限界が来るのは容易に想像が付く。 その時にはいよいよ、彼を繋ぎ止めるのは不可能となるのだろう。 「……そんなことはさせない」 “仮面ライダー”がいなくなった今だからこそ、自分が頑張らなくてはならない。 正義を忘れた戦士達、蔓延る数知れぬ悪、恐らく救うべき対象である女性、解決しなければならない問題は沢山ある。 そのための意思は今も胸にあり、そして、そのための力も―― 『良かったじゃねえか、フィリップ。守る人もいて、力も手に入れて、今のお前はまさしく“仮面ライダー”だぜ』 彼の声が、聞こえた。 『で、その程度じゃお前のミスは帳消しになんかならねえって分かってるよな? 結局何もしちゃいないも同然のお前が、また“仮面ライダー”を名乗ろうってのは烏滸がましい話だろ?』 容赦の無い糾弾が、フィリップの耳に突き刺さる。 聞こえない振りをすることなど、不可能だ。 『――――“仮面ライダー”の力が照井達に相応しくないって言ってるけどな、お前にも不釣り合いなんじゃねえのか?』 否定など、できなかった。 「買い被りすぎだ。僕は、そんな器じゃない」 否定の言葉を向ける先は、耳に聞こえる声の主では無く。先程フィリップを“仮面ライダー”と認めた、門矢士だった。 彼からの評価がどうであれ、フィリップは自身を“仮面ライダー”の器だとは思えない。そうありたいとの願望があっても、これまでの醜態とは合致していないのが現実だった。 話を聞く限り、電王として戦ったイマジンとその契約者は立派な戦士であると言える。 今のフィリップは、そんな彼等には到底釣り合わない。照井や笹塚と同じく、フィリップもまた電王に、“仮面ライダー”に変身するべきではないのだ。 だから、ディバッグの中に収納したベルトを次に取り出すのは、きっと自分よりずっと電王の力を継ぐに相応しいと思える人間に会えた時になるだろう。 イマジン達には悪いが、それが彼らに対する礼儀だ。今はそうとしか、考えられそうになかった。 「……とにかく、彼女に話を聞こう」 半ば無理矢理に思考を切り替え、フィリップは次に為すべきことへと臨むこととする。 力無き者と思われる人間の保護に向けての準備。正義感に従えば至極当然である選択だ。 何より、義務的に行動している間は余計なことを考えずに済みそうだった。 『こうして力の無い誰かを守っていれば、“仮面ライダー”を演じられるからか?』 「……そうだとしても、だ」 余計なことを考えたくない。 そんな望みすら、今は叶いそうにない。 ◆ 桐生萌郁が所持していたはずの携帯電話は彼女の手元から消え、しかし士の手にも笹塚の手にも渡っていない。 ならば一体どこへ消えてしまったと言うのか。その答えは至って簡単。 ミラーワールドの中に置き去りにされてしまっただけだ。 アビスに変身した萌郁が士に気絶させられた際に手放してしまい、士はすぐにアビソドンの追撃を受けたためにいちいち携帯電話に気を回す余裕などなく、結局地面に落下したまま今もミラーワールドの大地に横たわっている。 そして、今後この携帯電話が誰かの手に渡ることは恐らく有り得ないだろう。 萌郁のようにこの携帯電話を必要とする者は、ミラーワールドに入るための手段を既に持っていない。 士のようにミラーワールドに入る手段を持っている者には、わざわざ携帯電話を回収しに行くためだけに手間をかける理由が無い。 仮に何者かがミラーワールドに入る機会があったとしても、回収される見込みは無いに等しい。広大なフィールドの中にぽつんと佇む携帯電話は、まさしく砂漠に落とした針一本。その地点を正確に探し当てろという方が無理な話だ。 結局、桐生萌郁の携帯電話というアイテムは廃棄されたも同然なのである。 話題は変わるが、桐生萌郁が現在に至るまでの間に他者と直接対面した回数は極端に少ない。まともにコネクションの構築が出来ないという意味では不利な事実だ。 しかし不幸中の幸いと言うべきか、他者から敵意や殺意を向けられる決定的な行動に手を染める機会にも殆ど恵まれていない。 この点も一因となっているのだろう。例えば門矢士、例えばフィリップ、そして例えば岡部倫太郎。それぞれに思惑の違いはあれど、数名とはいえ萌郁の生存を望んでいる他者がいるのが事実となっている。 つまり、萌郁は今後の立ち回り次第で今からでも独自に仲間を作ることが可能であると言える。 しかしそれが、FBとの繋がりを断ち切られ、絶対的な心の拠り所を奪われた萌郁にとってどれほどのプラスになるのだろうか。 それは、目覚めた彼女が自身の現状を認識しないうちにはまだ語れない。 【一日目 真夜中】 【C-5 路上】 【門矢士@仮面ライダーディケイド】 【所属】青・リーダー代行 【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、左肩に傷跡、フェイリスへの罪悪感、覚悟完了 【首輪】90枚:350枚(250枚) 【コア】ゾウ、シャチ、ウナギ、タコ、スーパータカ 【装備】ディケイドライバー&カード一式@仮面ライダーディケイド 【道具】バースバスター@仮面ライダーOOO、メダジャリバー@仮面ライダーOOO、ジェネラルシャドウのトランプ(残り10枚)@仮面ライダーOOO、 ゴルフクラブ@仮面ライダーOOO、アタックライド・テレビクン@仮面ライダーディケイド、アビスのカードデッキ@仮面ライダーディケイド、 キバーラ@仮面ライダーディケイド、首輪(月影ノブヒコ)、ランダム支給品1~7(士+ユウスケ+ウヴァ+ノブナガ) 【思考・状況】 基本:「世界の破壊者」としての使命を果たす。 1.ゲームを破壊する。そのためにもゲーム自体をルール通りに完遂させない。 2.「仮面ライダー」とグリード含む殺し合いに乗った参加者は全て破壊する。 3.仲間はもう作らない(被害者を保護しないわけではないが、過度な同行は絶対しない)。 4.イカロスは次に出会えば必ず仕留める。 5.ダブルとアクセルが「仮面ライダー」として復活した時は、今度こそ破壊する。 【備考】 ※MOVIE大戦2010途中(スーパー1&カブト撃破後)からの参戦です。 ※ディケイド変身時の姿は激情態です。 ※所持しているカードはクウガ~キバまでの世界で手に入れたカード、ディケイド関連のカードだけです。 ※ファイヤーエンブレムとルナティックは仮面ライダーではない、シンケンジャーのようなライダーのいない世界を守る戦士と思っています。 ※アポロガイストは再生怪人だと思っています。 ※既に破壊した仮面ライダーを再度破壊する意味はないと考えています。 ※仮面ライダーとしての能力を失っている人間を破壊することには、現状では消極的です。 ※仮面ライダーバース、仮面ライダープロトバースは殺し合いの中で“破壊”したと考えています。 ※()内のメダル枚数はウヴァのATM内のメダルです。士が使うことができるかどうかは不明です。 ※ディケイドにコアメダルを破壊できる力があることを知りました。 ※もう仲間は作らないという対象の中に、海東大樹を含むか否かは後続の書き手さんにお任せします。 【一日目 真夜中】 【C-5 路上(キバの世界のエリア内)】 【フィリップ@仮面ライダーW】 【所属】無(元・緑陣営) 【状態】疲労(中)、ダメージ(中)、精神疲労(極大)、幻覚症状、後悔 【首輪】5枚:0枚 【装備】{ダブルドライバー、サイクロンメモリ、ヒートメモリ、ルナメモリ、トリガーメモリ、メタルメモリ}@仮面ライダーW、 T2サイクロンメモリ@仮面ライダーW、約束された勝利の剣@Fate/zero 【道具】基本支給品一式、マリアのオルゴール@仮面ライダーW、トンプソンセンター・コンテンダー+起源弾×12@Fate/Zero、デンオウベルト+ライダーパス+ケータロス@仮面ライダーディケイド 【思考・状況】 基本:殺し合いには乗らない。"仮面ライダー"でありたい。 1.照井達と行動を共にする。 2.保護した女性(萌郁)から話を聞く。 3.復讐に燃える照井を放っておく訳にはいかない。 4.あの少女(=カオス)は何とかして止めたいが……。 5.バーサーカーと「火野という名の人物」を警戒。また、井坂のことが気掛かり。 6.デンオウベルトは自分以外の相応しい人物に使ってほしい。 7.切嗣を救いたかったが、どの面下げて会いに行けというのか。 8.ディケイドの目的は一体……? 【備考】 ※劇場版「AtoZ/運命のガイアメモリ」終了後からの参戦です。 ※“地球の本棚”には制限が掛かっており、殺し合いの崩壊に関わる情報は発見できません。 ※T2サイクロンメモリはフィリップにとっての運命のガイアメモリです。副作用はありません。 ※タロスズはベルトに、ジークはケータロスに憑依しています。 ※萌郁の保護を達成したことでセルメダルが少量増加しました。 【照井竜@仮面ライダーW】 【所属】無(元・白陣営) 【状態】激しい憎悪と憤怒、覚悟完了、ダメージ(大)、疲労(小) 【首輪】50枚:0枚 【装備】{T2アクセルメモリ、エンジンブレード+エンジンメモリ、ガイアメモリ強化アダプター}@仮面ライダーW 【道具】基本支給品一式、エクストリームメモリ@仮面ライダーW、ランダム支給品0~1 【思考・状況】 基本:全てを振り切ってでも井坂深紅郎に復讐する。 1.フィリップ達と行動を共にする。 2.何があっても井坂深紅郎をこの手で必ず殺す。でなければおさまりがつかん。 3.井坂深紅郎の望み通り、T2アクセルを何処までも進化させてやる。 4.他の参加者を探し、情報を集める。 5.誰かの為ではなく自分の為だけに戦う。 【備考】 ※参戦時期は第28話開始後です。 ※メズールの支給品は、グロック拳銃と水棲系コアメダル一枚だけだと思っています。 ※T2アクセルメモリは照井竜にとっての運命のガイアメモリです。副作用はありません。 ※笹塚、フィリップと情報交換しました。 【笹塚衛士@魔人探偵脳噛ネウロ】 【所属】黄 【状態】健康、加頭順への強い警戒、照井への確信的な共感 【首輪】60枚:0枚 【コア】イマジン 【装備】44オートマグ@現実 【道具】基本支給品、44オートマグの予備弾丸@現実、ヴァイジャヤの猛毒入りカプセル(右腕)@魔人探偵脳噛ネウロ、煙草数種類 【思考・状況】 基本:シックスへの復讐の完遂。どんな手段を使ってでも生還する。 1.照井と行動を共にする。 2.目的の達成の邪魔になりそうな者は排除しておく。 3.首輪の解除が不可能と判断した場合は、自陣営の優勝を目指す。 4.元の世界との関係者とはできれば会いたくない(特に弥子)。 5.最終的にはシックスを自分の手で殺す。 6.戦力、特に“仮面ライダー”への渇望。 7.もしも弥子が違う陣営に所属していたら……。 【備考】 ※シックスの手がかりをネウロから聞き、消息を絶った後からの参戦。 ※殺し合いの裏でシックスが動いていると判断しています。 ※シックスへの復讐に繋がる行動を取った場合、メダルが増加します。 ※照井を復讐に狂う獣だと認識しています。 ※照井、フィリップと情報交換しました。 【桐生萌郁@Steins;Gate】 【所属】無(元・青陣営) 【状態】健康、気絶中 【首輪】50枚:0枚 【装備】無し 【道具】基本支給品、ランダム支給品0~1(確認済) 【思考・状況】 基本:FBの命令に従う。 0.気絶中。 【備考】 ※第8話 Dメール送信前からの参戦です。 ※FBの命令を実行するとメダルが増えていきます。 【全体備考】 ※門矢士が青陣営の次期リーダーとなりました。これに伴い、元・青陣営で現在無所属となっている参加者は第二回放送を以て青陣営に復帰します。 ※桐生萌郁の携帯電話はミラーワールド内部に放置されています。 支給品紹介 【ジェネラルシャドウのトランプ@仮面ライダーOOO】 月影ノブヒコに支給。全13枚支給。 『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』に登場したジェネラルシャドウが武器として愛用したトランプ。 カッターや爆弾の他、目眩ましや飛行手段など多岐に渡る能力を持つ。 本来はジェネラルシャドウ本人の使用によって能力が発動するものと思われるが、本ロワ内ではセルメダルの消費により誰でも本人と同様に使用することが可能となっている。 128 Lost the way(前編) 時系列順 130 明日のパンツと再起と差し伸べる手(前編) 128 Lost the way(前編) 投下順 130 明日のパンツと再起と差し伸べる手(前編) 123 欲望交錯-足掻き続ける祈り- 門矢士 141:Just keep on walking 桐生萌郁 144 喪失のP/軋む歯車 115 Rの流儀/砕かれた仮面 フィリップ 照井竜 笹塚衛士
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1834.html
これは、餡小話から消えてしまった、過去作「anko041 妊娠過程」と「anko042 食葬」を一部修正して、一つのファイルにまとめた物です。 妊娠過程 すりっ……すりっ……すりすりすりすりずりずりずりずりずずずずずずずず…… ぬっちゃぬっちゃ……ぬっぷぬっぷ…… ぱんぱんぱん!ぱちんぱちんばちん! すぱんすぱんすぱんすぱん!すぱぱぱぱぱぱぱぱ…… 「「ゆっがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! ずっぎりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃひひひぃぃぃぃ!!!」」 今、ゆっくりまりさとゆっくりれいむが同時に果てた。 交尾の終了と共に、すぐれいむの腹が膨れ始める。胎生妊娠のようだ。 父親役であるまりさが絶頂に達し、陰茎から精子を放出した瞬間、何千何万もの因子は直ちに母れいむの餡子と反応し、その全てが赤ゆっくりとなる。 つまり、今この瞬間、母れいむの胎内には何万匹もの極小の子供達が入っているのである。 彼女達は、母親の餡子をクッション代わりにして、気持ち良さそうに眠っている。 「れいむににた、おうたの上手な子がうまれるといいのぜ!」 「まりさみたいに、げん気でかりのじょうずな赤ちゃんがうまれるとゆっくりできるよ!」 今父と母になった二匹は、そう言い合ってゆっくりと過ごし、親愛のすりすりをして眠った。 「ゆぅ……おかーさんのなかあったかいね……」 「そうだね……あったかくてゆっくりできるよ……」 両親がすっかりいびきを立てて眠りに落ちた頃、胎内の赤ゆっくり達は目を覚ました。 ぎゅうぎゅうに押し込められて辺りは真っ暗、隣の姉妹の姿すら見えない状況だが、彼女達は泣いたりしない。実にゆっくりとしている。 何故なら、自分のすぐ身近に母親の体温を感じられるから。 姉妹の肌がもっちりとしていて気持ちが良いから。 しかし、おそらくゆん生の中で最初で最後の実にゆっくりとした瞬間なのに、彼女達は「ゆっくりしていってね!」とは言わない。 何故なら、最初の「ゆっくりしていってね!」は産んでくれた両親に言うと決めているから。 胎内から飛び出したら、精一杯大きな声でおかーさんとおとーさんにあいさつをしよう。 そう考えると、赤ゆっくり達から自然と笑みがこぼれるのだった。 母れいむが妊娠してから三日が経った。 「きょうは、れいむの大すきなお花さんだよ!」 「虫さんをいっぱいたべて、えいようをつけてね!」 と、父まりさはいつも以上に狩りを頑張って、ごちそうを奮発してれいむにあげていた。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」 母れいむは満面の笑みでそれに応える。 しかし、その栄養満点な食べ物が、胎内の子供達をピンチに陥れていた。 「ゆゆ!?おかあさんのなかがせまくなってきているよ!」 栄養がたっぷりと入っている食べ物ばかりを食べていたせいで、母れいむの体内の餡子が増えてしまったのだ。 それによって、赤ゆっくり達のスペースが狭まっていく。 そして、それに追い討ちをかけるかのように。 「おなかすいたよー!」 いくら全く動かないといっても、意識を持ち始めてから三日も食事をしないとなると、さすがに辛くなる。 しかし、周りには食べるものがない。 栄養が取れなくて、赤ゆっくり達の体が弱くなる。 更に時間は過ぎ、母親の餡子は更に外から圧迫してくる。 食べ物が無いから更に体が弱くなる。 そして、臨界点を超えた瞬間。 「ゆぶべ!!!」 赤ゆっくり達の塊の中心に居た一匹が潰れた。 それを皮切りに、中心に近い赤ゆっくりから次々と潰れていく。 「ゆばぁ!」 「ゆぶぶ!」 「ゆべし!」 「もっとゆっ……ゆあばぁ!」 潰れた姉妹の隣に居た子ゆっくりの顔に、生暖かい液体が飛び散る。 それは母親のぱさぱさしてまずい餡子とは違う、もっとみずみずしくて、ねっとりとした餡子。 彼女達は顔に付いた汚れを落とそうと、それを舌で舐めとる。 「ぺーろぺーろ……し、し、し……しあわせぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 真っ暗な空間なので、それが何であるかは彼女達には分からない。 それどころか、自分の隣にさっきまで居た姉妹が、圧力で潰れて死んでしまった事にすら気付かない。 しかし、単純な餡子脳の更に出来損ないで出来ている、彼女達赤ゆっくりの思考で、ある事実が理解できた。 ――自分の周りにはあまあまがある。 こうなるともう止めることは出来ない。 空腹と圧死の恐怖から、頭の回転が止まってしまった赤ゆっくりにとっては、まさに起死回生の打開策である。 美味しい物をお腹一杯食べられる、さらに空間が開いてゆっくりできる、一石二鳥。 そうと決まれば即行動。 姉妹の血肉を舐め取った赤ゆっくり達は、潰れた姉妹とは反対側の赤ゆっくり達を食べ始める。 「おねぇちゃんやめてぇぇぇぇぇ!」 「でいぶおいしくないよぉぉぉぉぉ!」 「どぼじてこんなことするのぉぉぉぉぉ!?」 「もっとゆっくりしたいよぉぉぉぉぉ!」 阿鼻叫喚地獄絵図。 この時点で後手に回った赤ゆっくりは、確実にその短すぎるゆん生を終える。 何故なら、最初に食べ始めた赤ゆっくりは既に姉妹の餡子を取り込んで、食べた分だけ体積大きくなっている。 その上、食べていない方はほぼ餓死寸前で、立ち向かう気力も逃げる体力もない。 そして、そもそも動き回るスペースがない。 姉妹を食べ回った一部の赤ゆっくり達は、五分程姉妹の踊り食いを楽しみお腹が一杯になった頃、ようやく眠りについた。 「ゆっ!おなかの中で赤ちゃんがうごいたよ!」 「それはげん気なしょうこなのぜ!きっと、とってもゆっくりした赤ちゃんが生まれるのぜ!」 胎内の惨状を知らない両親は、そう間抜けな声をあげた。 大きな赤ゆっくりは、お腹が空いたらまた周りの赤ゆっくりを食べ始める。 その姿にもうためらいは無い。 お腹一杯になったら寝る。 小さな赤ゆっくりはひたすら恐怖に震える。 そんな胎内の生活が、母れいむが産気づくまで続く。 「ゆふぅぅぅぅぅ!!!ゆふぅぅぅぅぅ!!!あかちゃんがうばれるぅぅぅぅぅ!!!」 「ゆっ!れいむ!がんばるんだぜ!!!ゆっ、ゆっ、ふぅーするんだぜ!」 遂に出産の時が近付いた。 母れいむは近所のぱちゅりーから聞いた「ラマーズ法」をしながら必死の形相で踏ん張る。 父まりさは赤ゆっくりが飛び出しても大丈夫なように、母れいむの下に、命よりも大事な帽子を置き、更にそれが汚れるのも構わずに、クッションになる枯れ葉や土を乗せる。 「ゆぐぅぅぅぅぅ!!!うば、うば……うばれるぅぅぅぅぅ!!!」 すぽーん! 赤ゆっくりは勢い良く飛び、父まりさが敷いたクッションの上に落ちた。 赤いリボン、赤れいむである。 いくらクッションがあったとはいえ、とてつもない衝撃でぶつかったので、赤れいむは痛みでしばらく起き上がることが出来ない。 この無駄とも思える出産時の勢いは、母親の胎内で起こった惨劇、忌々しい共食いの記憶を忘れさせるためのものではないかと、最近は言われている。 「ゆぐぐぅぅぅぅぅ!!!またうばれるぅぅぅぅぅ!!!」 産道はまだ閉じず、そこからまりさ種特有のふてぶてしい顔を覗かせている。 父まりさは急いで、まだ痛みに震えている赤れいむを脇にどかし、赤まりさ射出に備えている。 すぽぽーん! 最後の一匹だからだろうか、最初の赤れいむよりも勢い良く飛び出し、同じくクッションの上に落ちた。 赤まりさは痛みに震えて白目を向いている。 姉である赤れいむは、痛みが既に引いたみたいで、心配そうに妹を見つめている。 「まりさだいじょーぶ?ぺーろぺーろするから、がんばってね!」 早くもお姉さんらしい行動をするれいむ。父まりさはそれを愛しい目で見つめる。 やがて赤まりさの震えが止まり、残りの家族の顔がぱっと輝いた。 「「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」」 挿絵:ペットショップあき 食葬 一匹の長老ぱちゅりーが死んだ。 「ぱちゅりーはこのむれの長として、ゆっくりしないでがんばってくれたよ……」 「だから、みんなでそうぎのじゅんびをしてね……」 (むきゅ……みんな……ぱちゅりーはまだ生きてるよ……) 一匹の長老ぱちゅりーが死んだ……ように見えた。 この長老ぱちゅりーは珍しく長生きし、珍しく老衰という死を迎えようとしていた。 老衰はすぐには死ねない。 外側の餡子からゆっくりと機能を停止する。 移動するための下半身の餡子が動かなくなる。 瞼がゆっくりと下り視界が閉ざされる。 そして老化が徐々に中枢餡に到達し、老衰開始時から約半日後、ようやく完全な死を迎える。 通常、長老は他のゆっくりがあまり入ってこない森の奥地に一匹で暮らす。 これは老衰時、他のゆっくりから発見されるのを遅らせるための知恵である。 決して奥の方に引っ込んでいたほうが長老っぽくて格好良いとか、そういう理由ではない。 この長老ぱちゅりーの場合、遅刻常習犯のホームヘルパーありすが珍しく早起きしてしまったため、完全に死ぬ前に発見されてしまった。 このような場合、死ぬ方にとっては大変な不幸である。 何故なら…… 群れの中心にある集会場、葬儀はここで行われた。 「これから食葬をとり行うよ」 集会場の中央にある切り株に登った、長老の側近れいむが開会の宣言をした。 この群れでは長老が死んだ場合、食葬と呼ばれる埋葬が行われる。 文字通り、群れのゆっくり達が死体を食べるという埋葬方法である。 長老ゆっくりの餡子を他のゆっくりが食べる事で、彼女の膨大な知識と豊富な経験を取り込もうとしているのだろう。 「じゃあ、まずはれいむから食べるよ」 側近れいむが背中の皮をひと齧りした。 (むぎゅぅ!むぎゅぎゅぅぅぅぅぅ!) 意識が残っている長老ぱちゅりーは痛みに悶え苦しむ。 しかし、体を動かす事は出来ないので、周りのゆっくり達は誰も気付かない。 「むーしゃ、むーしゃ……」 側近れいむはそれだけを言うと、静かに涙を流した。 それ以降は口に残った皮を完食するまで、ただただ大粒を涙を流し、黙って咀嚼した。 それを見届けた別の側近のまりさが、舌と枝を器用に使って、側近れいむが齧った穴から長老の餡子を取り出した。 そして、葬儀に参加していた群れのゆっくり達に、少しずつ餡子を分けて配る。 (むっぎゅぅぅぅぅぅ!やめてぇぇぇぇぇ!!!ぱちゅりーはまだいぎでるのよぉぉぉぉぉ!!!) 涙を流したいのに、既に瞳は乾いているので、周りのゆっくり達は誰も気付かない。 取り分けられた小さな餡子や皮の欠片を、群れのゆっくり達が食べる。 「むーしゃ……むーしゃ……」 「ままぁ……」 「おかーしゃん……」 彼女達から、思わず赤ちゃん言葉が漏れる。 甘すぎず、苦すぎず、それでいてさっぱりと爽やかな味。 それは、植物型妊娠で生まれたゆっくりにとっては、初めて食べたお母さんの茎の味。 胎生型妊娠で生まれたゆっくりにとっては、初めて食べたお母さんの口から出された餡子ペーストの味。 親も子も等しく分けられ、等しく食べて、等しく涙する。 長老ぱちゅりーの体は殆ど群れゆっくりの腹に収まり、残るは中枢餡のみになった。 ここで、切り株の上に、次期長老となる長老の子のぱちゅりーが上がった。 側近達が枝を組んで作った神輿の上に中枢餡を乗せ、恭しく壇上に上げる。 「むきゅ、次期長老のぱちゅりーが、最後の儀式を行うよ!」 そう言うと、ゆっくりの口には少々大きな中枢餡を、彼女は一口で全て頬張った。 (むっぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!やべろぉぉぉぉぉ!!!ぱちゅりーを食べるなぁぁぁぁぁ!!!) 叫びたいのに、もう口も声帯もないので、周りのゆっくり達は誰も気付かない。 「むーしゃ、むーしゃ……じじじじあわぜぇぇぇぇぇぇ!!!」 生きながら喰われるという恐怖と絶望を味わい、それはとてつもなく甘くなっていた。 そして、次期長老ぱちゅりーは、自分の母親がそんな絶望や痛みを味わいながら死んだという記憶を取り込み、ショックで吐餡して平べったくなった。 既存作 SS 妊娠過程&食葬、 ふたば系ゆっくりいじめ 7 浅瀬 ふたば系ゆっくりいじめ 8 鉄鍋 ふたば系ゆっくりいじめ 17 さとり ふたば系ゆっくりいじめ 19 賽の河原 ふたば系ゆっくりいじめ 24 れいむ死ね ふたば系ゆっくりいじめ 26 役立たず ふたば系ゆっくりいじめ 60 全自動すっきり阻止機 ふたば系ゆっくりいじめ 65 抗議 ふたば系ゆっくりいじめ 80 親離れ ふたば系ゆっくりいじめ 86 ドスの飾りは不名誉の証 ふたば系ゆっくりいじめ 115 DV ふたば系ゆっくりいじめ 158 虐待派不虐待日記 ふたば系ゆっくりいじめ 191 屠殺 ふたば系ゆっくりいじめ 232 降る 絵 ゆっくりSAW、ゆっくりサバイバー、10億分の1のゆっくり 自作SSの挿絵、各種一枚絵 作者:ゲームあき
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/4154.html
23話 過程とかそういうのは吹っ飛ばしたい 「迷った?」 森の中を歩いていた青猫の少年石清水成道は嫌な予感を感じそれを言葉で表した。 「い、いや、まだ迷ったと判断するのは早計だ」 その予感を否定し、少年は歩みを続ける。 ダァン!! 「!」 突然の銃声と同時に成道のすぐ傍の樹木に穴が空く。 動きを止める成道。 辺りを見回すと、10メートル程離れた所の太い樹木の陰からライフルらしき物を構えた、 露出の高い格好の兎獣人の少女の姿が見えた。 女性はライフルを構えたまま成道に近付く。 そしておよそ2メートル程までお互いの距離が縮まった所で兎少女は口を開き始めた。 「私は殺し合いに乗ってるけど、あんたは?」 「……乗っている」 隠す必要も無いと考え正直に成道は答える。 「ふうん」 「……」 「誰か殺した?」 「……一人」 「へえ。私はまだ」 「……」 「唐突だけど、手ェ組まない?」 「え?」 唐突過ぎる兎の提案に成道は目を丸くする。 「唐突にも程がある」 「まあ聞きなって。一人より二人の方が色々やり易いと思うよ」 「……全然説明になってない。それに、優勝出来るのは一人なんだぞ」 「最後の二人になったら、どっちが生き残るか決めればいいじゃん。 一人で不特定多数殺すより確実だと思うんだけど?」 「……」 成道は考える。 自分の目的は優勝、恐らくこの兎もそうだろう。 いきなり銃撃してきて突然手を組もうなどと言われ信用出来るのかと訊かれれば答えはNOだ。 途中で裏切られる可能性が8割を超える。 だが、この兎の言う事にも一理ある。 この先一人で参加者を倒していくのには相応の体力や武器が必要になるだろう。 一応当たり武器のモーゼル機関拳銃を支給されたとは言え銃弾も無限では無い。 相手を倒す前に弾切れでも起こしたらかなり不利になる。 その時代わりに攻撃してくれる者がいるなら非常に助かる。 「どう?」 「……分かった」 「おおー」 「俺は石清水成道、お前は?」 「ソフィア」 「よろしく。お前から提案したんだから裏切るのはナシだぞ」 「そっちこそ裏切ったら頭パーンってするからね。よろしく」 こうして奇妙な同盟が誕生する。 【F-6/森/早朝】 【石清水成道】 [状態]健康 [装備]モーゼルM712シュネルフォイヤー(7/20) [持物]基本支給品一式、モーゼルM712シュネルフォイヤー予備弾倉(5)、特殊警棒 [思考] 基本:死にたくはないので、殺し合いに乗る。 1:ソフィアと同盟。最後の二人になったらソフィアとやり合い優勝者を決める。 [備考] ※南遊里の名前と容姿を記憶しました。 【ソフィア】 [状態]健康 [装備]SVT-40(9/10) [持物]基本支給品一式、SVT-40の弾倉(3) [思考] 基本:優勝狙い。 1:成道と同盟。最後の二人になったら成道とやり合い優勝者を決める。 《人物紹介》 【ソフィア】 冒険者。白い兎の獣人で、グラマー体型。18歳。 その美貌に関わらず大斧と大口径ハンドガンを扱うパワータイプの戦い方が得意。 旅の資金稼ぎのため身体を売る事もある。 022:死ぬのか生きるのか淵を行ったり来たり 目次順 024:占い師、妖狐、賞金稼ぎ 005:人は自分が考える程不幸では無いが幸せでも無い 石清水成道 ゲーム開始 ソフィア
https://w.atwiki.jp/wiki14_tokihirosato/pages/291.html
SPACE 8×8 デザインラッシュ・制作過程 ※図面をアップしたりデザイン・造作を確認するページを作りました。TK ☆Document 2008年 6月13日(金) 2008年 6月20日(金) ●10日買出し品リスト(菊地作成)ジョイフル本田守谷店 ▼思いつくままにリストアップしたものなので、鳥井くんの配線情報のように「これは買わなくてもあるよ」等、要不要あれば指示願います。 4×8 t6mm シナベニヤ 10枚 垂木(角材≒28角)L3500 1束(20本) スチール角パイプ/L2400以上 15角程度? 木工ボンド キャスター 6個 アジャスター 2個 扉用蝶番金物 2個 扉用マグネットラッチ ※適当なものがあれば スリムラインFL 配線ダクト ダイクロハロゲンスポットライト 2個 スリムライン目隠し用Lアングル ※適当なものがあれば コーナー補強用鉄板 900角? アンカー引っ掛け用フック 2個 白塗料 ▼前回のミーティングを受けての制作用図面をアップしました。各自ご確認ください。 1.pdf 2.pdf ▼川合さんがアップしてくれたミーティングログ 5月30日(金) ▼前回ミーティング時に持参したデザイン案。 佐藤研ギャラリーA.pdf 佐藤研ギャラリーB.pdf ※まだまだアイディア募集中。 名前: タイトル: 本文: 88の意味のもう一つ -- sato 2008-06-07 01 40 45 そういえば、全くの偶然で、別に関係ないんだけど。88は私の芸大学部時代の学生番号です。(笑) 先生、十二分です...。(苦笑) -- shimo (2008-06-07 06 42 02) 私は高校バスケ部時代の背番号 8番 で芸大受験番号 8番 でなんとなく 88 ですね …(てへ) -- mame (2008-06-07 11 28 44) アンセルアダムスはヨセミテの自然保護とその風景を写していったんだけど、美しいストレート写真を提唱してグループf64を創設しました。その心は大型カメラのレンズの最少絞りの意味だけど、8x8はもちろん64なので、それも意識していました。と、いつだかのミーティングで言ったのだけど、シモーヌに呆れられるけど、一応メモしておきます!(笑)sato -- sato (2008-06-22 03 54 50) アンセルアダムスのf64も関連してたんですね。 てゆうか、呆れてませんて!誤解です!!(汗) -- shimo (2008-06-22 18 31 38) そういや、北京の8月8日の五輪オープンの日には、我がスペースでも何かやるか。 -- sato (2008-06-30 06 12 42) 名前 コメント SPACE 8×8 スケジュール ※簡単なスケジュールを載せてみます。-shimo space8×8- Sheet1.pdf ↑改正版 ◇搬入:土曜日/搬出:金曜日のミーティング前まで ◇展示期間:色枠が付いてある期間 ◆基本的に一枠の展示期間に二人を想定していますが、企画によって人数の変更可能です。 今現在確定しているのは「こけら落とし展」に高木さん。 11月12月枠内にM2のメンバー。 第二回目に下平/下村。 それぞれ皆さんスケジュールがあると思いますので、下記にあるコメント欄に希望展示期間 を記入お願い致します。 (一平君も卒制ですよね。前回聞かずにすみません。) バッティングしたときは交渉という形になりますのでご了承下さい。 宜しくお願いします。 お疲れさまです。第一希望10/6〜10/18、第二希望12/1〜12/13でお願いしたいです。 -- 一平 (2008-06-12 14 33 25) 第一希望は一平くんと同じになりますが10/6-10/18です。 -- 菊地 (2008-06-12 17 47 54) Vol.3 10/6-10/16の期間を菊池さんと一平君にお願いしたいと思います。宜しくお願いします。 -- 下村 (2008-06-23 20 54 30) 名前 コメント このスペースの意味合いの確認をしましょう。MLへの投稿を転載します。 -- sato 2008-06-06 12 22 23 ちなみに今日下村さんに前回話し合ったことや決まったことの概要を伝えました。 二人で話したことは、このギャラリーが一体誰に向けて発信するものなのか、どんな意図があるのか、ギャラリーとしてきちんと誰かに見せることが重要なのかそれとも映像としてネット上で見せることに重きを置くものなのか、どこまで広報するのか、等まだ詰めないといかんのでは、また、ゼミのみんなの共通意識として上記したことも含め何か具体的に持ってないとなんだか何のための場所なのか分からなくなってしまいそう…という話になりました。 まだまだみんなで話をしなければならない気がします。→下平 そうですね。佐藤研制作プログラムとして、昨年立ち上げた時のことを確認したいと思います。wikiの中のトランク・トランス展経緯と、会議室に書かれている事が直接的にこの件への最初の投げ掛けです。下記に抜粋してみました。 今日院一のレクチャーの中で話題になった、制作とドキュメントの関係を考える事となると思います。 wikiより転載 批判的な意味ではなく、表現の幅を広げるトレーニングとしてやる。 見せる事を第一にせず、自己表現の可能性を広げるようにする。 まず、前期の課題は、スペシフィックな場所を皆で来週までに提案してください。トップページにも触れられているように、例えば、バスの中であり、戸棚の中であり、窓であり、どこかの廃屋であり、動かせるリヤカーであり、自転車であり、裏山に作るツリーハウスであり、掘っ立て小屋であり、ギャラリー空間の片隅におかれたロッカーの中であり、階段スペースなど。 要するに展覧会の為の空間ではないところをクリエイティブに思考することが課題です。作品は、モノでも写真でも、行為として、物体として、考え方制作行為そのものを重要な意味合いとします。 どんな展覧会でも考え決定する課程は反射神経のようなものです。反射的に閃かせて計画して行きましょう。 とにかく、今回は人が来ることや、売れる事を、第一目的にしません。目的はクリエイト。と互いの批評。しかしながら、人が沢山訪れることは、もちろんの事歓迎です。 ここで少し違ってきているのは、スペシフィックな場所が特異な空間ではなく、今回は研究室にギャラリー空間として設置しようというところです。しかし、基本的な考えは一緒です。とりあえず、space8×8として、常設空間となりますので、場所をさがすという行為はなくなります。が、自身の表現の実験を行うという事の基本は変わりません。“失敗が許される空間”というのが一番重要な事ではないでしょうか? 最低限の先端内の学生や教員、研究室の学生の“眼”を対象とするわけです。 基本的に、これでも充分だと思います。また、先日来話題にしているWEBCAMERAは、あくまでも“告知”や、“思わせぶり”程度のものだと思います。作品が全て伝わるわけがありません。それでも、“なにかやっている”という事は重要です。 展覧会の企画は、皆で考えて行かなければなりませんがその責任者として下下さんにお願いしたいといったのは、今回のように、疑問点を積極的に話題にしてくれたり、運営方法を考える上でのまとめ役になって欲しいということです。 例えば展覧会の告知方法や、その他の細かい決め事は沢山ありますが、金曜日にまた話しましょう。 とりあえず、いかがでしょうか? →sato 名前 コメント