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まだまだ、書きかけのページで御座います。(ι´Д`) 更新は、他のページに比べてかなり遅いと思います。 2009-07-06 【Radio__諏訪部順一ver.】現・過去パーソナリティ分、過去ゲストの回など。 【BLCD_諏訪部順一ver.】メイン,脇 含む 【total】 作品 特典CDの一覧【GAME特典_諏訪部順一ver.】 【total】 作品 【Radio__諏訪部順一ver.】 ✽ パーソナリティ ✽ ゲスト ♪ ページに飛べます navy,#c0e0ff ラジオ名 パーソナリティ 取得回 ゲスト 備考 ラジプリ 諏訪部順一 他 ページで確認♪ ラジプリ 置鮎龍太郎,津田健次郎甲斐田ゆき,喜安浩平鳥海浩輔,森久保祥太郎小野坂昌也,うえだゆうじ置鮎龍太郎,竹本英史 第09回第42回第68回第89回第93回 諏訪部順一 あまつき やみつき ラジオ 遊佐浩二&諏訪部順一 全 19 回 ページで確認♪ Shining Force Feather 羽多野渉&諏訪部順一 全 11 回 ページで確認♪ 【BLCD_諏訪部順一ver.】 表の見方 1 この色の作品 未所持の為,探してる作品 この色の作品 シリーズもの この色作品 オムニバス この色の作品 オムニバス作品でも一部の作品しか所持してないもの 消し線されてる作品 音声が劣化してるorトラックなどが欠損してる作品 表の見方 2 ღ 鳥海浩輔 ☆ 岸尾だいすけ ◇ 神谷浩史 σ 遊佐浩二 〇 吉野裕行 Ҡ 武内 健 Я 置鮎龍太郎 ㊥ 中村悠一 べ 諏訪部順一 鈴 鈴村健一 小西克幸 § あ 行 § キャスト 備考・特典 アンバサダーは夜に囁く 諏訪部順一×福山潤 ღ,㊥,鈴 愛なんて食えるかよ 前野智昭×武内健,諏訪部順一×千葉一伸 Ҡ 異国色恋浪漫譚異国色恋浪漫譚2 諏訪部順一×伊藤健太郎 Я 【皇林学院シリーズ】3 セクシーボイスで囁いて 櫻井孝宏×鈴村健一,鳥海浩輔×鈴木千尋,緑川光×宮田幸季 ღ,〇,べ § か 行 § キャスト 備考・特典 カジノ・リリィ 諏訪部順一×鈴村健一 Я 【キレパパ】1 キレパパ2 キレパパ3 キレパパクリスマス☆パニック2巻ミニドラマCDキレパパ。水鬼オリジナル外伝 櫻井孝宏×緑川光,諏訪部順一×宮田幸季 教師も色々あるわけで 諏訪部順一×杉田智和 初回特典☆ 恋泥棒を捜せ! 大川透×神谷浩史 ◇、べ § さ 行 § キャスト 備考・特典 【さあ 恋におちたまえ】さあ 恋におちたまえ1さあ 恋におちたまえ2さあ 恋におちたまえ3さあ 恋におちたまえ4 諏訪部順一×岸尾大輔 ☆ 歯科医は愛を試される 諏訪部順一×鳥海浩輔 ღ STEAL YOUR LOVE 諏訪部順一×鳥海浩輔 特典CDღ 【清澗寺家シリーズ】3 せつなさは夜の媚薬 諏訪部順一×福山潤,小西克幸×野島健児,遊佐浩二×神谷浩史 ◇,σ 星陵最恐物語 石川英郎×緑川光 べ § た 行 § キャスト 備考・特典 【罪 シリーズ】1 罪な約束 置鮎龍太郎×野島健児 特典CD 【トラップシリーズ】恋愛トラップ 諏訪部順一×鈴村健一 【虜にさせるキスをしようシリーズ】1 虜にさせるキスをしよう2 そのくちびるで惑わせて 諏訪部順一×鈴村健一 § は 行 キャスト 備考・特典 Hybrid Child-ハイブリッド・チャイルド- 鳥海浩輔×福山潤,諏訪部順一×宮田幸季,井上和彦×緑川光 ღ 伯爵はラブゲームがお好き 諏訪部順一×岸尾大輔 ღ 【花降楼シリーズ】4 婀娜めく華、手折られる罪5 華園を遠く離れて~弄花~ 諏訪部順一×成瀬誠森川智之×岸尾だいすけ,諏訪部順一×成瀬誠 ☆ 【春抱き】春を抱いていた 5 三木眞一郎×森川智之 鈴、べ 薔薇の砂漠 諏訪部順一×鈴村健一 【FLESH BLOOD】シリーズFLESH BLOOD 1FLESH BLOOD 2FLESH BLOOD 3FLESH BLOOD 4FLESH BLOOD 5 諏訪部順一×福山潤,諏訪部順一×高城元気諏訪部順一×福山潤諏訪部順一×福山潤諏訪部順一×福山潤諏訪部順一×福山潤 1と5のみ☆ 【メールボーイシリーズ】・2 前途は多難・柏崎と芦野の場合/貴巳と芦野の場合 諏訪部順一×鈴村健一諏訪部順一×谷山紀章,谷山紀章×鈴村健一 § ら 行 キャスト 備考・特典 恋愛協定~抜け駆けナシ! 諏訪部順一×神谷浩史 ◇ 【GAME特典_諏訪部順一ver.】
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落ち着け……クールだ。クールになれクニアキ。 遊佐「ふう……」 何だか必要以上に興奮してしまった。 そんな俺を知ってか知らずか、マグリフォンさんは実に冷静な口調で言う。 茜「一年生……何か企んでいるわね」 苦虫を噛むようなマグリフォンさんの声だ。 遊佐「なんだって?」 どう見ても三年生優勢で、このまま試合が終わってしまうように感じたんだが…… 茜「見て」 ……そうは言われてもこの広いフィールドの中で、一体どこを見ればいいんだ。 そう思っているとマグリフォンさんはスっと細い指を突き出した。 ※黒井さんイベント進行中の場合、以下セリフ追加 茜「……なによその顔は……何でたじろぐのよ」 遊佐「いや、まだあの時のことがトラウマとして残ってるもんでね。つい」 茜「ふん。馬鹿ね。こんなトコで再燃させてどうしたいの?」 茜「それとも……あなたが所望するなら」 遊佐「いや、いい。俺は小学校の頃、七夕の短冊に『世界が平和でありますように』って書いた男だぞ」 遊佐「『ここにある願いごとがすべて叶いますように』とも中学生んときに書いた。というわけで無益な戦いは好まん」 マグリフォンさんは突然、考え事をするように片手をひたいにそえ、静かに鼻をならした。 茜「そういうことを書くやつほど、実は自己敬愛欲が強いのよ。都合が悪くなったら他人におしつけてすぐに逃げ出す」 茜「たとえば放課後生徒会の雑用をおしつけられそうになったとき、罪もないお友達に用をなすりつけて自分は女の子と帰る、とかね」 遊佐「あ、ははは。やけに具体的だね」 壁に目あり耳あり、私語千里とはこのことか。 この女、油断ならねぇ…… そこでマグリフォンさんの顔に勝ち誇ったような笑顔が浮かんでいることに気づく。 茜「鎌をかけただけよ」 ちくしょう! そういう事かよ! 茜「今は体育祭の最中。わたしだって自分の理性くらいコントロールできるわ」 いつの間にか表情から憂いだけを切り取ったような鋭い横顔で俺を見ていた。 茜「いずれ決着をつける」 釘を刺されてしまった。おぉ怖っ。 茜「まぁ今はいいわ。あれを見なさい」 マグリフォンさんがそう言って促す。 ※分岐終了 指の先に、何人かの一年生がいた。 四人……か? 全部で四人くらいの男女の固まりだ。 遊佐「あいつらがどうかしたか?」 単なるひとつのパーティにしか見えない。 だいぶ目を凝らさないと、きっと固まり自体も見落としていただろう。 茜「気づかない? 彼らの手に何があるか」 遊佐「ん……弓だ。短弓を持ってる」 よく見たら女の子のひとりは梨香ちゃんだった。幼さを残す顔ながら、弓を構えるその凛とした表情はまるで放たれる二本目の矢を思わせる。 遊佐「単なる射手部隊じゃないのか?」 彼らは背中に背負った矢筒から取り出した矢を時々放ち、前に出た選手たちのサポートをしている。 茜「ええ。そう見えるわね。でも、それにしては不自然じゃない?」 遊佐「どこが? 普通に見えるっちゃ見えるぞ」 茜「加減してるわ。彼ら」 遊佐「わけがわからん。もったいぶるなって。射手部隊じゃなかったら、何なんだよ」 俺の戸惑いを面白がっているかのように、マグリフォンさんは冷たい微笑みを返してきた。 茜「さぁ、ね……わたしにもわからないわ」 ただひとつ、言えることはあるけど。 彼女はそう継ぎ足して、言葉を続けた。 茜「彼らは泥を被っている」 遊佐「は?」 茜「おそらく射手というのは仮の姿……『何か』に擬態しているってことよ」 武僧「こんなもんでええんちゃうか?」 うちは自らの拳に纏わせたグラブで、いくつもの紙風船を叩き割った。 ラスト三分になってから何回ゲートブリーチになったかもわからへん。 武僧「おおっと、危ないやないか」 時々風を切って飛んでくる矢も、目視で十分避けられる程度や。 そんな攻撃では、二年連続ゴールドバリスター賞に輝いたうちを倒せんへんで? 武僧都は格闘家として、あらゆる戦う術を把握している。 戦闘に関してのセンスとスキルは常人をはるかに凌駕していた。 頭で考えるよりも前に体が動くタイプ。 たとえ数学の二次方程式が解けなくても、諸葛亮孔明の兵法を紐解くことはできる。 勝負は最後の笛がなるまで何が起こるかわからない。 だが、時計の針はもう残り一分秒を指していた。 誰の目から見ても、一年生は武僧たちからルークを奪うことはできない。 確かに、ルークは二つ存在する。突然彼らがこのルークを諦め、フリーのルークに向かうこともあるだろう。 しかし、それについての手は当然打ってある。 武僧に、ぬかりはない。 ――そろそろ決めたるか。 そう思った瞬間やった。 ???「たぁ――!」 尾を引く黒いポニーテールの髪が、うちの視界をかすめた。 武僧「!?」 気づくべきやった。何者かが周囲の選手にまぎれ、ひそかに好機をうかがっていたことに。 武僧「椎府霞!」 一閃。椎府はんの短剣が踊り狂う。 間一髪のところでうちは一撃をまぬがれた。 武僧「んなアホな! まさか、シューター本人が身の危険を承知で特攻してきたっちゅうんか?」 確かに、うちを行動不能にしてしまえば有利になる点は増えるかもしれへん。 だが椎府はんがやられてしもたら、ゲートブリーチ状態は青島のみになってしまうやないか。 そうなれば、絶対逆転不可能や。 武僧「あんさん、血迷うたか!」 うちは気を練る。うちの格闘家としての感覚は、奇襲ごときでは乱されへん。 武僧「せいやぁー!」 霞「はぁ――!」 うちの拳、椎府はんの切り裂くような蹴りが交差する。 クロス・カウンターやった。 椎府はんのするどい蹴りは、うちの頭に装着されていた風船を一蹴したが……うちの拳も椎府はんの頭にあった風船をとらえた。 二、三秒の静寂。 まるで火花を散らした鍔迫り合いが終わったかのように、うちらはバックステップをふんだ。 弾かれるように互いの体が離れる。間合いをあけて、呼吸を整えた。 息が詰まるような沈黙のあと、うちは口もとに失笑を刻む。 武僧「残念やったな。確かにうちは死んだ」 武僧「けどな。椎府はん。あんさんも死んだ。これで、うちらの勝ちは決定や。あんさんの、うちを先に殺るういう考えは正解だったかもしれへん……が、裏を掻くには爪が甘かったちぅことや」 もはや勝敗は明らかや。決まりきった展開、覆すことのできない結果。もう、これ以上の戦いは誰も望まへん。 ――まさかここまで善戦するとは思わんかったわ。しかしおしかったなー。もし来年があったら、うちらが負けていてもおかしくなかったかもしれへん。 そんなことを考えているときやった。 椎府霞が――ニヤリと笑うたのは。 うちは目を疑った。 ――笑み? ――この女は、笑っとるんか? 武僧「そんな、あんさんらに残された道はなんもあらへんはずや……」 それでも椎府はんの口もとをかすめたのは、やはり笑みやった。 ――なんでやねん。あんさんはなんで笑うてるんや!? 霞「へへ……やっぱ先輩は強いなぁ……」 うちが叩き割った風船を投げ捨て、椎府はんは新たな紙風船の補充を受けるために、ゆっくりと自軍の〈ホームポイント〉へ足を進めた。 武僧「ま、待ちぃや!」 午後の熱波にまみれる戦場で、うちの乾いた大声だけが歪む熱気を吹き飛ばす。 椎府はんは、うちの言葉に応じた。 霞「先輩は……」 首だけ振り返って、笑みに湾曲した口もとを動かしおった。 霞「先輩はあたしと青島のふたりが、シューターなんだと思ってるでしょ?」 武僧「なっ……ち、ちゃうんか!?」 椎府「あたしはな、ペトラなんかひとっつも持ってないよ」 そう一言だけ告げた。 霞「先輩はこう考えてたはず。あたしと青島がゲートブリーチなのは周知。だったらあのふたりはペトラを持っているはず、って」 武僧「そ、そうや! だけどそれはあんさんかて……」 へへ、と椎府はんは得意そうに、本当に得意そうに満面の笑顔で言うた。 策士、策に溺れる。 トラップだよ。 嬉しそうに笑う。 霞「あたしの役目は武僧先輩を行動不能にすること。あたしは囮だったんだよ。すべては青島に心置きなく動いてもらうためのね」 武僧「まさか! 本命は青島ちぅことか!」 心臓が飛び上がる思いであの一年生……青島を探す。 武僧「くそっ、どこや、どこにおる青島マリナ!」 首をまわし、体をひねって冷や汗が垂れるほど探した。 そして、ある一点を見たときにうちの視線は凍りついた。 武僧「……なんや……あれは」 なんという違和感や。 気の利いた表現など、なにも思いつかへんかった。 薄茶色の長方形が、もそもそと動いておる。 そいつはまるで単独潜入を試みたスパイのように、ベニヤ板のシールドからシールドをこそこそと渡り歩いとった。 目をごしごしこすってみる。 武僧「だ、ダンボール……?」 ぴくっ。 茶色い長方形がゆっくりと方向を変える。 ダンボールは突然立ち止まり、一瞬うちを見た気がした。 うちとダンボール。 二者が互いに向かい合う。 ダンボール「…………」 ダ――――! 武僧「あ、逃げた!」 うちに呼応したダンボールはついに隠れることをやめ、直立二足歩行で走り出しおった。 その光景はとてもシュールやった。 もはやダンボールの中に誰かが隠れていることは明白や。 その中の人間はうちにバレたとわかるや否や、もそもそとしたしゃがみ歩きを断念。 こうして上半身ダンボール、下半身人型レッグという得体の知れない『ダンボールマン』が光臨した。 武僧「何モンやワレ――!」 錯乱気味にうちは見たまんまの疑問を声に出す。 ダンボールマン?「! 敵と遭遇した! バックアップをよこしてくれ!」 逃げるダンボールマン。追いかけるうち。 武僧「誰かそのダンボールを止めぇ!」 うちはすでに風船がゼロや。つまり『死んでいる』状態。 たとえ追いつけたとしても手を出すことはでけへん。 うちの罵声に気づいた何人かが、かえるの歌の輪唱みたいに次々と首を回す。 武僧「そいつが青島や! あのわけわからん電波的センスやさかい、間違いあらへん!」 板があったらぶち抜いてしまいそうな勢いでダンボールマン――青島マリナを指差す。 青島「あら。大変、落ちてしまいました」 ぼとぼとぼと…… 青島の被ったダンボールから雨あられのように何かが大量に転げ落ちてきよる。 武僧「あ、青島ぁぁぁ!」 青島「ああ、武僧先輩。そんな大声だすと、声に驚いたペトラくんたちが逃げてしまいます」 うちはこぼれ続けるペトラの数に、思わず叫んでいた。 武僧「あれが、全部ペトラいうんか!?」 ――そんな、逆転どころやない。かるく二〇点分はあるやないか! 青島「武僧先輩。だから、大声出すとペトラくんたちが逃げてしまいますよ」 なにやら青島はバツが悪そうな顔やった。 しかし、声は裏腹に……少し楽しそうや。 青島「彼らの帰るべき場所……そう『ルーク』というおうちに、ね」 バッ! ダンボールが宙を舞う。 さっそうと姿を現したヒーロー、いやヒロインや。 青島マリナはダンボールを放ってしもたらペトラを持ち運ぶものがなくなってしまうと気づき、たった今捨ててしもたダンボールをわざわざ拾ってきてペトラをその中にせっせと詰めこむ。 ――つまり、一年生の作戦はこういうことだった。 まずゲートブリーチである青島、椎府が勝利へのカギを握っていることは間違いない。 偽装が成功した最大のポイントはふたつある。 ひとつは、ゲートブリーチ状態がふたりいたこと。 ふたつは、一年生が不利な状況下だったところだ。 『ゲートブリーチならペトラを持っていて当然。まして負けているのだからなおさら多くのペトラを所持しているはず』 この先入観を利用した。 実際は……二人ともほとんどペトラを持っていなかったのである。 ポイントゲッターは青島にすべて任せ、椎府は持っていたわずかなペトラを残らず捨てた。 椎府は自分がゲートブリーチでありシューターであることを強く示し、指揮の武僧の目をひきつけるため全員でひとつのルークに突撃することを表明。 ゲートブリーチでありながら自らも攻撃に参加することでより相手の注意をより自分にひきつける。 彼女はその隠れみのを利用してひたすら掘りまくった。 ダンボールの下で黙々と。 結果、椎府のカモフラージュのおかげで青島のペトラの数は相当のものになった。 囮の椎府。本命の青島。 すばやい動きと、音もなく敵に近づき息の根を止められる椎府霞ならでは作戦だったというわけだ。 武僧「こらあかん。やられたわぁ」 そこからの試合スピードはまさに流れ星のようだった。 マイペースな青島は、すでにもうひとつのルーク目前までたどり着いていた。 周囲の選手たちの視線は、いつしか青島に釘付けになっていた。 武僧「止めぇ! 絶対止めえ!」 焦燥にまみれた武僧の怒号が校舎にこだまする。 怒号に驚いて我に返った三年生の選手たちが駆け出す。 三年生たちは今になってようやく理解した。 あの一年生、青島マリナを止めなければ負けるのは自分たちなのだということを。 三年生「おおおおっ!」 雄たけびが三年生からあがる。彼らはたった一人の少女を倒すために土ぼこりを巻き上げ、一直線に向かっていった。 霞「さぁ、予想通りだよ。迎撃準備に入って!」 椎府の呼びかけに応じたのは、弓削梨香たち四人の短弓使いだった。 霞「『影縫い』部隊!!」 それまで射手の役割をになっていた四人の男女が、突然くるっと反転した。 梨香「みなさん、椎府さんの合図です! キャプチャーアローを用意してください!」 おう、とリーダーの梨香に従う部隊メンバー。 腰から普通の矢とは違う、不格好な矢を取り出した。 矢じりが通常のものとは異なり、拳台の球のようなものが装着されている。 梨香「フォーメション・スクウェアを展開!」 四人のメンバーそれぞれが、雄たけびをあげる三年生たちを取り囲むようなポジションに立つ。 梨香「今です! 放ってください!」 声と同時に、やや上方へ矢をいっせいに射る。 空中から見たなら、その弾道は四角形の点と点から対角に向かって線を引いたように見えただろう。 一閃。そして矢は空中で『爆ぜた』。 この矢はなにも、炎をまきちらして辺り一帯を地獄の業火で焼き尽くすというウェポンではない。 爆発した矢から黒い格子状のものが飛び出し、空中展開。 それは徐々に地面に近づいて、三年生たちに降り注いだ。 三年生「なんじゃこりゃあ!」 黒い格子状のものは、広大な網だった。 一網打尽の投げ網漁みたいに、三年生をきれいに捕獲してしまった。 障害物競走の網くぐりで大失敗してしまったように彼らはもがき続けるが、合計四重層の網を抜けることは容易でなかった。 武僧「あんですとー!?」 眉毛を互い違いにした変な顔で、武僧が叫ぶ。 武僧「椎府はん、やりおったな!」 ククク、と霞は口を押さえて笑う。 射手部隊という泥を被っていたのは、最初から影縫い部隊としての本質をカモフラージュするためだったのだ。 ととと、と小柄な少女が網に捕まった雑魚たちに歩み寄り、しゃがみこんで小枝でつんつんと三年生をつつく。 マトンくん「おーおー、そんな目でうちを見んといてや。恨むべきは何も考えずにあんさんらを特攻させたあの空手女やろ?」 久々津「あの……あんなんでも一応うちらの部長なんや……そんな風に言うたら部長がかわいそうやでマトンくん……」 武僧「ごっつ嫌な感じや! ちくしょう! 久々津、あとで覚えときぃ! ……こっち見んなやマトン!」 武僧「あーもう! しのぶ! 出番やで!」 武僧は息を切らせながらも同胞の名を叫ぶ。 武僧が仕込んだ最後の罠が、その呼びかけに応える。 しのぶ「わかってるってば。そんな熱くなんないでよ、ミヤコ」 ぬぅ、とルークの影から忍者のように姿を現したのは生徒会長兼密偵の甲賀しのぶだった。 しのぶ「ったく、ろくに試合もせずこんな狭いトコに隠れてた身にもなってほしいよ」 武僧にぬかりはない。あらかじめフリーのルークにしのぶを潜ませていたのだ。 ルークにたどり着いた青島が、しのぶに吼える。 青島「お前がラスボスか!?」 しのぶ「ラスボス? あっはっは!」 しのぶ「そうさ。残念だったね青島さん。ゲームの最後にはやっぱラスボスがいるもんだよね。お約束だった?」 しのぶから普段浮かべるようなうっすらとした笑みが突如失われ、ゆっくりとすべるように三日月みたいな口になっていった。 しのぶ「でもね、こいつはBAD ENDってやつさ」 しのぶ「死神がアンタを呼んでるよ。覚悟しな」 しのぶは両腕をクロスするようにかさね、顔の前で構える。手は拳を握っていた。 と、次の瞬間まるでクジャクが尾を広げたみたいに、両の拳から無数の短刀……苦無が現れた。 苦無の向こうから、しのぶの鋭い眼光がのぞく。 しのぶ「大丈夫。ゴム製だよ。当たっても死にゃあしない」 青島はわずかに眉をひそめて、 青島「――甘いです」 青島は腰の剣を抜き、構える。 居合いのように、剣を脇に構えて一撃必殺を狙う。 しのぶはおそらく、あの苦無を飛び道具として使用する。 だとしたら防御に重点をおくことはほぼ無意味。 防御を捨て、攻めに徹する。 いかに相手の懐にすばやく飛び込めるかということが勝負の分け目になるだろう。 青島「わたしを倒すつもりなら真剣を使ってください。もっとも……それでもわたしの模造剣にすら勝てないと思いますけどね」 しのぶ「ふーん、言うわね。けどね青島さん。こういう言葉知ってる?」 クロスした両腕が弧を描き、投てきに適した構えに移行。 甲賀しのぶが戦闘態勢に入った。 しのぶ「大根を正宗で切る」 青島は怪訝な表情でしのぶを見る。 しのぶ「たかだか大根野朗を切るためにマジになんなってことだよ!!」 しのぶは音もなく、すばやい身のこなしで跳躍した。 極限まで洗練され、まったく隙のない構えから苦無が散弾銃の弾のように放たれる。 青島の目にはるか上空からどんどん大きくなる苦無の先端がうつった。 青島は回避の姿勢をとった。 姿勢を低く、身を投げ出すように前転して突進。寸前のところで苦無を回避した。 ドスドスと空を突いた苦無がダーツのように地面に刺さる。 苦無を投げ終えたしのぶが着地し、二拍目の苦無を取り出そうと腰に手をやる。 青島は剣を振りかぶる。着地の一瞬の隙を逃さなかった。 ガッ! 青島は上段から一閃。振り切る勢いで剣をしのぶの頭上の風船に叩きつけたものの、青島の剣は風船の一寸手前で止まった。 振り下ろされるより一瞬早く、しのぶは取り出した苦無で自ら頭上をガードしていたのだ。 しのぶ「やるじゃない。大根呼ばわりは撤回してあげるよ」 青島「いいです。大根で結構です。わたし、大根おろし大好きですから」 弾かれるようにふたりは間合いをはかり、対峙する。 だが戦いは終わらない。 刹那の判断がしのぶを信じられない挙にいざなう。 遠隔攻撃を得意とするしのぶが、自ら先駆けて間合いをつめ、苦無を乱射する。 青島はよくわからないしのぶの行動に戸惑いつつも、態勢を低くして飛んでくる凶器を避けた。 が、突然の攻撃に驚いた青島の足はもつれ、バランスを失ってしまった。 それこそしのぶの狙いだった。 スピードで優れるしのぶが有利に戦いを進めるには、相手を翻弄し注意力を散漫にさせる必要がある。 遠方からの投てき。 すでにこの戦法は見限られたといってもいい。 勢いにのせて、まったく同じことを繰り返すなど愚挙にひとしい。 予想外の行動と相手の意表をつく攻撃。 変化に富んだ戦いこそが、しのぶの最も得意とする戦い方だった。 間合いをつめ苦無を構えるしのぶ。 意表をつかれた行動でバランスを失い空中になげだされる青島。 だが、その顔に『諦め』の二文字を感じさせるものはなかった。 青島は、うっすらと笑みを浮かべる。 パァン! 紙風船が割れる乾いた音がひびく。 しのぶ「なっ!」 ぱさぁ―― ふわりと舞う穴が開いた紙風船。 バランスを完全に失い、その場に背中から倒れる青島。 その手に、剣はなかった。 青島「あなたの戦い方が予想できないのなら、わたしは手の内で踊るまで」 紙風船を割られたのは――しのぶだった。 青島の投げた剣に貫かれて。 研ぎ澄まされた投撃だった。 不利な態勢ながらもよろめき倒れた瞬間、まだ空中にいるうちから攻撃をしかけようとするしのぶの姿を確認し、とっさに剣を投げた。 青島「パターンになれた人間はイレギュラーに対応できない。つまり、パターン化できない相手は『パターン化できない攻撃しかしてこない』んです」 しのぶ「何ソレ……そんなの屁理屈だよ」 青島「……かもしれません」 へたり込むしのぶを尻目に、青島はよいしょ、とペトラが大量に収まったダンボールを持ち上げる。 納得できない、という表情をなげかけるしのぶに、青島は一言だけ残した。 青島「こう見えても負けん気は強いんですよ」 だから…… 青島「だから要・注意です」 遊佐「終わってみれば五八対七〇で一年が圧勝……か」 何だかすごい勝負を見た気がする。 歴史にはなんの価値がなくても、歴史に刻みたいくらいの勝負だった。 遊佐「青島さん……すごいんだな」 感傷に浸っていると、となりのマグリフォンさんがシンデレラの鐘を鳴らしたような冷酷な声で、俺に告げる。 茜「さぁ、次は私たちの試合よ」
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魔法少女情報 環 いろは 七海 やちよ 由比 鶴乃 二葉 さな 深月 フェリシア アリナ・グレイ 水波 レナ 十咎 ももこ 秋野 かえで 御園 かりん 竜城 明日香 八雲 みたま 天音 月夜 天音 月咲 鹿目 まどか 暁美 ほむら 美樹 さやか 巴 マミ 佐倉 杏子 鹿目 まどか(晴着ver.) まどか先輩 ホーリーマミ 矢宵 かのこ 空穂 夏希 都 ひなの 美凪 ささら 常盤 ななか 木崎 衣美里 保澄 雫 志伸 あきら 胡桃 まなか 阿見 莉愛 夏目 かこ 純 美雨 伊吹 れいら 桑水 せいか 相野 みと 栗根 こころ 毬子 あやか 眞尾 ひみか 江利 あいみ 五十鈴 れん 静海 このは 遊佐 葉月 三栗 あやめ 加賀見 まさら 春名 このみ 綾野 梨花 梢 麻友 黒 美国 織莉子 呉 キリカ 千歳 ゆま かずみ 御崎 海香 牧 カオル タルト リズ メリッサ 天乃 鈴音 成見 亜里紗 詩音 千里
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Q 人物 読みきゅー 解説 遊佐未森「ステイション」(作詞:杉林恭雄)の作曲者。その正体は秘密なのだが、「MIX」収録のいくつかの曲では作曲に「杉林恭雄、楠均 with Q」とクレジットされており、おおよその見当はつくと思われる。 間違っても本人に問いただしたりしないように。 略歴 不明
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「私、白馬に乗った王子様が欲しい」 「「「は?」」」 いつもの仲間に、いつもの日常。 しかし、いつもじゃない発言に場が止まった。 「プリンは冷蔵庫にあるって言ってくれる様な、騎士 (ナイト)様」 「王子じゃないのかよッ!」 1人語るセミロングの少女に先に我に返った短髪の青年が律儀にツッコミを入れる。 「え~っ!あたし、プリンより苺の乗ったショートケーキが良いなあ~」 隣に居たポニーテールの少女も我に返り頬を膨らませてる。 しかしツッコミはズレていた。 「王子様でも騎士様でも良いの。私にかしずいてくれれば。」 「ドSですね。」 尚も語る少女に今度は長髪の青年が楽しそうに呟く。 …別にMではない…多分。 「っつうか、この国砂漠だしラクダじゃねぇのか?」 「砂漠=駱駝は安直ですね。そもそも…「私がお姫様。」…」 ウンチクが始まりそうだったが、何というタイミングで割り込まれるのか。 「何か、顔色悪いよ?大丈夫?」 「そう言えばそうですね。肌が黒いので分かりませんでした。」 流石におかしいと思ったのかポニテの少女は心配し始めたのに長髪の青年、お前はドSだ。 ふと、息を飲む様な気配がしたかと思うと部屋から二人が出てきた。 笑顔だ、怖い位の笑顔だ。 いや、訂正する…男の方は黒い笑顔だ。 「邪魔しないように、我々は離れましょうね。」 首根っこを掴まれる。 なんだ、どこのコントだ。 「ねぇねぇ、あたしたちは行こうよ!何だっけ?空気嫁?」 ちょっwおまw草生やすぞwww 「刈り取っておきますね。」 二人によりその場から強制退去させられる瞬間、完全に閉まり切らなかった扉から中の様子が伺えた。 後ろから抱き締められている少女と、抱き締めつつもそっぽを向く青年の姿。 倒れそうになったのを支えた様だが、顔が赤い。 何か口を動かす様が見れたが何を言ったかは分からなかった。 後日、件の二人をからかおうとした著者は黒い笑顔に邪魔される事になる。 馬に蹴られた。 9月吉日 著者・遊佐 呉 (遊佐 呉)
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監督:鏑木ひろ シリーズ構成:後藤みどり アフレコ演出:鏑木ひろ 音楽:TOMISIRO アニメーション制作:WIT STUDIO 原作:江口夏実(漫画) ジャンル:コメディ 鬼灯:安元洋貴 閻魔大王:長嶝高士 桃太郎:平川大輔 シロ:小林由美子 白澤:遊佐浩二 他 2014年冬アニメ アニメ・ハ行
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【Angel Beats!】とは? SSS 音無 結弦 仲村 ゆり 天使/立華 かなで 日向 秀樹 直井 文人 高松 野田 椎名 遊佐 藤巻 TK 松下 大山 竹山 --- Girls Dead Monster 岩沢 まさみ 入江 みゆき 関根 しおり ユイ ひさ子 ギルド チャー フィッシュ斉藤 その他関係者 音無 初音 五十嵐 NPC 謎の少年 それじゃあ紹介 アニメキャプチャー 1話 14枚 2話 10枚 3話 18枚 4話 16枚 5話 14枚 6話 0枚 7話 0枚 8話 0枚 9話 0枚 10話 0枚 11話 0枚 12話 0枚 13話 0枚 特別回 0枚 --- EB 痛PSPデザイン
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現PN こげどんぼ* 改名と同時に過去に遡ってカードリストのイラストレーター欄も改変されたためどの時点で改名したかは不明。 逆襲の巨蟹宮 0017 トラッシュボーグ“柴原 瑞希” 0021 ジャンクボーグ“柴原 瑞希” 0033 ジャンクボーグ“柴原 瑞希” 0085 女教皇“ポーラ・ウァレンティヌス” 0089 ハイプリエステス“ポーラ・ウァレンティヌス” 0096 カバラクロス 0101 ハイプリエステス“ポーラ・ウァレンティヌス” 魔術師の呪文 0248 巫女学院生 0275 孔雀明王経法 悪魔の契約 0443 ライトニング・ディーヴァ“東海林 光” 0479 忍法朧影 0550 ブライトタイガー“ブランシュ” 0607 天使と仔竜 女教皇の瞳 0728 ジャンクバスター 0790 錬金術士“ルミ・フラメル” 0793 錬金術師“ルミ・フラメル” 0799 ハイプリエステス・アイ 0812 錬金術師“ルミ・フラメル” 0988 ライトニング・ディーヴァ“東海林 光” 0995 ブライトタイガー“ブランシュ” 太陽の恵み 0917 女装メイド 月光の秘儀 1101 額冠 運命の輪 1216 メイドル 遺伝子の力 1418 サトリの鬼 隠者の森 1517 魃巫女“鹿島 栞” 1522 魃巫女“鹿島 栞” 審判の日 1597 病弱少年“遊佐 隆幸” 1599 幽体少年“遊佐 隆幸” アクエリアンエイジSaga3ベストセレクション 1867 悪魔“アイム” 1873 悪魔“アイム” 1889 ほんわか天使“ユーリエル” 1892 ほんわか天使“ユーリエル” PRその他 PP006 プリンセス“フローラ” PP007 プリンセス“ルネ” PP008 プリンセス“セルマ” PP009 プリンセス“シャリオ” PP010 プリンセス“ミレーユ” PP055 ライトニング・フリッパー PR003 トラッシュボーグ“柴原 瑞希” PR043 巫女学院生 PR057 五十鈴 PR062 7th Anniversary“デ・ジ・キャラット” PR063 7th Anniversary“うさだ ひかる” PR075 7th Anniversary“プチ・キャラット” PR076 ライトニング・ディーヴァ“東海林 光” PR093 ブライトタイガー“ブランシュ” PR101 悪魔“アイム” PR117 ブライトタイガー“ブランシュ” PR141 公姫“エルマ・テレーズ・トートブルク”
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大海イグノラに浮かぶ聖十字大陸エンテ・イスラ。闇の生き物たちの王道楽土を建設するべく、魔王サタンは4人の悪魔大元帥を従えて人間世界に侵攻していく。だがそこに聖剣を手にしたひとりの勇者が現れた。勇者エミリア率いる「反抗軍」に追い詰められた魔王は、腹心の悪魔大元帥アルシエルと共に異世界へのゲートで撤退を余儀なくされる。その先で2人が見たものは、人間になった己の姿と現代日本・東京の摩天楼だった。 日本では魔力が存在しないため、エンテ・イスラへ戻るためのゲートを開くことはおろか魔力を回復させることも難しい。東京の笹塚にある六畳一間風呂無しのアパート「ヴィラ・ローザ笹塚」201号室を当面の住居「魔王城」としたサタンとアルシエルはそれぞれ「真奥貞夫」と「芦屋四郎」へ名を変え、真奥は日本征服のための足がかりとしてファーストフード店でフリーターから正社員の座を目指してのアルバイトに励み、芦屋は魔王城で主夫業や情報収集に励む。 一方、サタンたちを追ってきたエミリアも、天界の力「聖法気」が存在しない日本では一般人に過ぎず、永福町にある八畳二間のマンションの一室を当面の住居として彼らと同様に「遊佐恵美」へ名を変え、携帯電話会社の契約社員として電話応対に励みながら真奥たちを監視し続ける。 さらには真奥へ想いを寄せるアルバイト先の後輩「佐々木千穂」のほか、遅れて日本へやってきた悪魔大元帥ルシフェルこと「漆原半蔵」や、エンテ・イスラの高位聖職者クレスティア・ベルこと「鎌月鈴乃」、そして真奥どころか勇者である恵美すら抹殺しようと目論む面々が現れるなど、物語は2つの世界を股にかけた展開を成していく。 真奥 貞夫(まおう さだお)/ サタン・ジャコブ 遊佐 恵美(ゆさ えみ)/エミリア・ユスティーナ 佐々木 千穂(ささき ちほ) 芦屋 四郎(あしや しろう)/アルシエル 漆原 半蔵(うるしはら はんぞう)/ルシフェル 鎌月 鈴乃(かまづき すずの)/クレスティア・ベル
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「……!!」 ベッドの中で岩沢は目覚めた。 全身にびっしょりと汗をかいて、べっとりとした嫌な感触が身体じゅうを包み込んでいる。 (…ここはどこ?) おそるおそる手足を動かし、ゆっくりと伸ばしてみる。指のひとつひとつを注意深く曲げたり伸ばしたりしてみて、 ちゃんと意のままに動くかどうか確認する。 (よかった… ちゃんと動く…) 夢の中で感じていた、かちかちにこわばった身体の感触がまだ生々しく残っている。 岩沢はひたいに手をあてて、身の回りのいろんな事柄の名前を思い浮かべてみた。 (今いるのは“女子寮”… わたしたちのグループは“死んだ世界戦線”… バンドの名は“ガールズ・デッド・モンスター”…) するすると言葉が出てきて、彼女はほっとした。 さっきまで見ていた夢の中で、彼女は、最後の日々がそうだったように、麻痺して動かせない身体で病床に 横たわっていた。 ありありとよみがえる、思い出したくない記憶。 外の世界と切り離された孤独な日々。 奇跡をむなしく待ち続け、わずかな期待に心をすり減らす。そして果てしなく続く絶望と自己憐憫の繰り返し。 無意味だったわたしの人生。 今のSSSでのバンド活動が、寝たきりの病人の見た夢の中の出来事だったらどうしよう、目が覚めたら、あいかわらず 病室のベッドに横たわっていて、口も利けず、手足も動かせないままだったらどうしよう… そんな、自己の存在に対する不確かさを吹き飛ばしてくれるような、確かな現実感を求めて、岩沢は周りを見回した。 カーテンが開かれたままの窓から、月の光が差し込んで、部屋の中を青く照らし出していた。 ベッドの枕元に埋め込まれたデジタル時計が、ぼんやりと数字を示している。 (午前1時過ぎ…) 二段ベッドの上の段で寝ていた身を起こし、窓の外を見た。 敷地内のいたるところに立っている街灯が、夜の優しい闇を追い払うように、冷たく人工的な光を灯していた。 街灯はどれも、ついさっき電球を替えたばかりのように明るくて、暗くなったり切れたりしているものはひとつもなかった。 身を乗り出して下の段を覗いてみる。 「ひさ子…?」 下のベッドに、ルームメイトの長身はなかった。 一瞬、“消えて”しまったのかと、背筋に冷たいものが走ったが、気を取り直してベッドを降りる。 二段ベッドのはしごを降りてゆくと、身体の平衡感覚が戻ってきた。 はしごにつかまって立ち、薄闇の中に目をこらした。 部屋は、学生寮にしては間取りに余裕があるが、TVもラジオもない。ウォークマンもiPodもない。 岩沢もひさ子も、自分たちのバンドの演奏を除けば、長いこと音楽を聴いていなかった。 歩く感覚を一歩一歩確かめるようにして、ドアの横にあるユニットバスまで歩いていく。 戸を開けてバスルームに入り、汗のしみ込んだパジャマとショーツを脱いで、一緒くたに丸めて洗濯かごに放り入れる。 バスタブに立ってシャワーを浴び、水が身体をつたって流れ落ちていく心地よい感触を楽しむ。 寝たきりの身体だった頃は、汗をかいて身体がべとべとして気持ち悪くても、誰かに拭いてもらえるまで待っているしかなかった。 あの頃の不自由を思えば、 こうやって自分で歩いていって好きな時にシャワーを浴びられるのは本当に素晴らしいことだった。 バスルームの姿見には、健康的な若者がのびのびとシャワーを浴びる姿が映っている。 鏡の中の少女に向かって微笑みかけると、相手も岩沢に向かって微笑んだ。 そう、これがわたしの身体だ。 わたしの人生は決して幸せなものではなかった。あらゆるものを失った。でも、あの肉体から解放されて、わたしは今ここにいる。 これは夢なんかじゃない。現実だ。 シャワーを止め、乾いたタオルで身体をていねいに拭いて、新しいショーツと半袖短パンのパジャマに着替えた。 SSSの制服を除けば、衣類はぜんぶ学生課から支給されたり寮の売店で買ったりしたものばかりで、どれも同じようなものだ。 サイズの違うブラ以外は、どちらの衣服なのか、岩沢もひさ子も区別することなく使っていた。 岩沢はドアを開けて部屋の外に出て、廊下にぼんやりと立ちすくんだ。 広々とした寮の廊下は、空気がひんやりして、しんとしている。 (ひさ子の奴、こんな夜中にどこ行っちまったんだ?) フロアのほうに行けばルームメイトがいるかもしれないと思い、行ってみることにした。 ふらふらと行ってみると、壁沿いに幾つかのソファが置かれたフロアはがらんとして、誰もいなかった。 隅っこに設けられた自販機コーナーからはコンプレッサーのぶんぶんという音が響いて、しんとしたフロアの空気を 静かに震わせていた。 身体にしみ込んでくるような、その周期的な低周波音を聞いていると、岩沢はなんだかほっとした。 ふと、自分がひどく喉が渇いているのに気がついて、小銭を取りに部屋に戻り、自販機でミネラルウォーターを一本買った。 それを飲みながら外を眺めていると、隣にある二年生の入っている棟の、真っ暗になった窓の中に一つだけ、明かりが ついているのが見えた。 「あそこは…」 関根と入江の部屋だった。 岩沢は階段を降り、ふらりと建物の外に出た。 寮は高台にあり、月に照らされた学園が一望できた。 学園はなだらかに続く丘の中腹にあり、どの建物も新築のように真新しかった。 外壁は塗り立てのように色鮮やかで、階段の縁石はひとつも欠けることなく、美しい直線を描いていた。 時間は海の底のように重く、ゆっくりと流れていった。 (ここは、どこなんだろう…?) 以前、ゆりから聞いた話では、体外離脱について書いた本があって、その本によると、人は死んだ後、天国に行くまでの途中に 一時的に魂を休めるところに立ち寄るのだそうだ。そこは、ホテルのような旅館のような場所なのだそうだ。 (ひょっとしたらここは、無理をして長居するような場所ではないかもしれない)と、岩沢は思った。 ここはただの境界線に過ぎないのかもしれない。わたしたちは、今はまだ新しい行き場所を与えられていないだけかもしれない。 そんなことを考えながら、2年生の棟に向かって、ひんやりと澄み切った外気の中を歩いていった。 建物に近づいていくと、明かりのついた窓から、笑い声と麻雀牌を混ぜるガシャガシャという音が聞こえてきた。 関根たちの部屋の前まで来ると、岩沢はドアを軽くノックした。 「はい」中から顔を出したのが遊佐だったので、岩沢は少し驚いた。 「ひさ子の奴、来てない?」 「いますよ」 「…他のメンツは?」 「関根さんと入江さん、それと音無さん」 「音無か」 (あいつら、また男子を連れ込んでハコにしてんのか)などと思いながら、岩沢は部屋に入った。 中は女臭かった。むっとする匂いに、同性ながら思わずくらっとする。 バンドメンバーたち三人と音無が雀卓を囲んでいた。案の定というか予想通りというか、音無が身包み剥がされて パンツ一丁の格好になっていて、岩沢は思わず吹き出した。 (あ~あ、カモられてやんの) 関根がはしゃぎまくって、 「はーい罰ゲーム罰ゲーム」と、音無にトマトジュースの缶を突きつけていた。 「だーかーらー、それ何か混ざってるだろ?」音無が弱々しく抗議した。 「いーから飲め飲め」 岩沢が学習机に目をやると、レモンスカッシュやコカコーラ、ファンタグレープなどの缶がずらりと並んでいる。 缶を順々に持ち上げて振ってみると、どれも半分ほど残っていた。 「ちょっともらっていいかな」 「それ、さっき関根が混ぜ合わせてましたよ」学習机の椅子に座ってお菓子を食べている遊佐が言った。 「ファミレスのドリンクバーで遊んでるお子ちゃまかよ…」 いちばん無難そうなウーロン茶の缶を選んで、中身を口に含んでみる。 「なにこれ…」それは、およそ飲み物とは呼べない複雑怪奇な味がした。 「ウーロン茶にスポーツドリンクを混ぜたカクテルですね」口をモグモグさせながら遊佐が言った。 「…」まるで味覚が永遠に麻痺してしまいそうなその味に、岩沢は頭を抱えた。 音無のほうも、トマトジュースの缶の中身を飲んで目を白黒させていた。 「げえー、なんだよこれ、何と何混ぜたの?」 「リポビタンDと牛乳」関根が得意そうに言った。 「全部飲まないと駄目だよ~」入江がはやし立てる。 「うへえ」ロクに味わいもせずにゴキュゴキュと飲み干す音無。 「うわ~、マジで飲んでる」ひさ子が笑った。 音無の顔がみるみるうちに真っ青になった。全身から脂汗を吹き出させながら立ち上がる。 「なんだ、そのパンツは?」びっくりする岩沢。 音無はぴっちぴちの黒いビキニパンツを穿いていた。 「吐きそう…」変態チックな黒のビキニ野郎は、身もだえしながらバスルームに駆け込んでいった。 「あいつ、変な趣味してんな」あきれる岩沢。 「あー、あのパンツ、高松の穿いてたやつなんだ。丸裸じゃ可哀想だから貸した」と、ひさ子が言った。 「高松の?」 (なんで、お前が高松のパンツなんか持ってるんだ?)とでも言いたげな岩沢の目線に、ひさ子は苦笑いした。 「この前、高松をカモってハコテンにして、パンツ一丁にひん剥いてやったら、あまりにキモいカラダしてて気持ち悪かったんで つい、最後に残ったパンツも取り上げてフルチンにして、窓から叩き出してやったんよ」 「…」 「あのときの高松、悲惨だったね~」関根がけたけたと笑った。 「リーチかけても、ひさ子の追っかけリーチに一発で振り込んじゃうし」そう言って入江も笑った。 「一発掴まされの、振り込みマシーンと化していました」遊佐が論評した。 「ひさ子はひさ子で、ハネ満ツモりまくるし」と関根。 「高松の奴、最後に、『負け分は、この身体で払います!』なんてエロいこと抜かしてたけど、ひさ子が『バカヤロー、金で払え』って 窓から叩き出したんだ」と入江。 「窓の下で、『本物の博打うちだぜ、姐さん…』と言い残して、全裸で息絶えていました」遊佐がこともなげに言った。 「もし、近くに海がありゃあ、ポリバケツに詰め込んで投げ込んでるところさ」とひさ子。 全身真っ青になった音無がバスルームからよろよろと出てきて、カーペットの上にばったりと倒れた。それをつつく関根と入江。 「つんつん、音無生きてるー?」 「死んだ?」 関根と入江は点棒代わりのピックを集めると、まるで子供が遊んでいるように、音無の身体にぺたぺた貼り付けていった。 音無ががばっと身を起こすと、くっ付いていたピックがぱらぱらと落ちた。 「お前ら三人グルだな? グルなんだな?」今にも泣きそうな表情で、音無が言った。 「気づくの遅せーよ」と岩沢は呟いた。 「いまさらですねえ」と遊佐。 「ごちそーさま」とひさ子。 「男のくせに往生際が悪いよ」と関根がせせら笑う。 「それって負け犬の遠吠えだよね」突き放す入江。 SSSの男性陣は、ほとんどがひさ子のカモになっている。娯楽の無いこの学園で、すらっと背の高い美人から 「ねえ、あたしと麻雀しない?」と誘われて、ホイホイ付いていかない男は、変人の野田を除けばそういない。 卓を囲めば、関根や入江から、「ハイ、おしぼりどうぞ~」「なにか飲みませんか~?」と持ち上げられて舞い上がったところで、 洗牌のたびに触れてくる彼女たちの手の感触や、トイメンに座ったひさ子の大きな胸に気を取られたりしているうちに、 ケツの毛まで毟られてしまうのがオチだった。 音無がため息をついた。 「はあ~、明日からもう、缶コーヒー代も無えよ」 「音無さん缶コーヒー好きですよね、よく飲んでますよね」遊佐が言った。 「うん、まあ… 畜生、ただでさえ財布の中身が侘しいってのに、コーヒー代すら無えってのかよ…」 「よしよし、あたしが奢ってやるよ」岩沢が慰める。 「岩沢も来たことだし、ここらでお開きにすっか」ひさ子がにこにこしながら言い、音無のほうを向いた。 「負け分はツケといてやるよ。…それとも、身体で払ってくかい?」 「…えっ?」びっくりする音無。 「ひさ子?」岩沢も驚く。 関根と入江が、赤くなった顔を見合わせる。 「そうこなくちゃ」と、遊佐が呟いた。 「身体で払えって… いったい何言ってんだよ」赤くなりながら、音無がおろおろと言った。 ひさ子は笑いながら、 「なーにとぼけてんだよ、わかってるくせに」と、音無の背中をばしばし叩いた。 「ひさ子、てめーは… タチの悪い冗談だぜ」岩沢が首を振る。 「冗談で言ってるんじゃないよ」ひさ子が言った。 「なんだって?」 「だってこいつ、けっこうイイ男じゃん」そう言いながらひさ子は音無の腰に手を回し、ビキニパンツの上をとんとんと叩いた。 「細身の割になかなかいいモノ持ってるし」 「普通だよ普通!!」赤面する音無。 「音無ってさ、なんか後腐れがなさそうっていうか、セフレ向きの男だって思うんだ」ひさ子がこともなげに爆弾発言。 「セフレ!!」関根と入江が同時に叫んだ。 「いや、セフレつーとなんか聞こえが悪いな」とひさ子。 「彼氏代行サービスというのはどうでしょう」遊佐が提案した。 「彼氏!」「代行!」関根と入江が繰り返した。 「その… セフレと彼氏はどこが違うんだ?」疑問に思った岩沢は訊いてみた。 「彼氏は要りませんが、セフレは必要です」遊佐が言った。 「束縛とか、されたくないしなー」とひさ子。 「たまに性欲を満たしてくれる相手がいれば、それで充分ですよね」と遊佐。 「冴えない彼氏作るより、イケメンのセフレだよな」とひさ子。 (…それって、どう違うんだろう?)と岩沢は思った。 ひさ子は部屋にいる面々をぐるりと見回し、全員に向かって提案した。 「そう言うことで、ここにいる皆で順番に音無とエッチするっていうのはどうかなあ? なんか面白そうじゃない?」 「順番にエッチ!!」関根と入江がハモる。 こうなると流石に岩沢も、ルームメイトが何か悪いものでも喰ったのかもしれないと心配になってきた。 「…さっきからなに言ってんだオメ?」 「なにって… グループ交際?」 「グループ交際って言ったって、男が一人しかいねーじゃん! 1対1じゃねーじゃん!」 「でも、好きでもない相手とくっつけられるよか、イイ男を皆でシェアしたほうが得じゃん?」 「シェア!!」と関根と入江。 「それのどこがグループ交際なんだよ」 「んー… だから、グループ交際じゃなくってグループセックス?」 「それってけっきょく乱交じゃん…」岩沢が溜め息混じりに言った。 オフビートな女子の応酬に音無も目を丸くする。 「女の子ってすげえ…」 さらに言いつのる岩沢を制止し、ひさ子は言い放った。 「リーダーのあんたがそんな超奥手だから、うちら毎年、オトコ無しの淋しいクリスマスを送ることになるんじゃんか。いい加減オトナになれよ。 ここいらでばしっと、恋人いない歴にピリオド打っちまえよ」 「…へっ?」 ひさ子が続ける。 「みんな血気盛んでヤりまくりたい年頃なんだよ? うちら、花の命は全ッ然短くねーっつうか、ずっとピチピチギャルのまんまだけどさ、 恋しないでいるのにも限度ってものがあるんだ…」 ひさ子はそう言うと、関根と入江の肩を掴んでシャワールームに押し込んだ。 「あたしは遊佐の部屋でシャワー浴びてくっから、お前らもさっさと身体洗っとけ」 「ちょっと、ひさ子」関根が言いかけたが、ひさ子はシャワールームのドアを閉め、岩沢のほうを向いた。 「いちおうリーダーなんだし、こいつの初物は岩沢が貰っちまえよ」 そう言って、ひさ子と遊佐は部屋を出て行った。 残った二人は顔を見合わせた。 「バンドやってる女の子ってすげえよなあ… なあ、お前ら、いつもこんなことやってんのかよ…」音無が呆れたように言った。 「…なわけね~だろ」 バンド仲間として長い付き合いになるからよく知っているけど、ひさ子はボンクラな性格だけど、意外に(?)硬派なところがあって、 誰とでも寝たりするような女の子じゃあない。 「あたしら、そんな尻軽じゃねーから」そう言いながら、岩沢は床に散らばったピックを拾い集めた。 音無は横目でちらりと岩沢を見て、 「だったらいいけど」と言った。 二人は無言で、散らかった部屋を片付けた。 卓の周りに転がったkeyコーヒーの空き缶、眠眠打破の空き瓶、ピーナッツ、点棒代わりのピック。それらを片付けながら岩沢は、さっきの 相棒の言葉を頭の中で反すうしていた。 (いい加減オトナになれよ、か…) いつまでも子供のままでいられるなら、それでいいと思ってたんだけどね。 ひさ子は、あたしなんかよりずっと大人で、ものの考え方が怖いくらいクールだ。 うちは別にアイドルグループじゃないから、異性と交際しようがセックスしようが各メンバーの自由だ。見つかれば即刻バンドを脱退、なーんてことはない。 とはいえ、ロックバンドなんて派手なことやってるわりに、四六時中音楽漬けで、いい年して男と付き合ったこともないあたし…。 そんなのがリーダーやってたら、他のメンバーだって自由に恋愛なんかできないよね。 「…」 岩沢は見るともなく、横に立った半裸の少年を眺めた。 (若い男の子のプリプリした肉体か…) みごとな逆三角形をした背中が、腰にかけてぐっとくびれて、ほとんどむき出しになった尻へと続いていく。 少年らしい引き締まった尻はきゅっと上にあがっていて、自分たち女子のような余分な肉が付いていなかった。 黒のビキニパンツの正面からは、ペニスの形がくっきりと分かった。 岩沢はゴクリ、と唾を呑み込んだ。 もし自分が彼を受け入れるなら、おそらく自分は、この肉体の味に夢中になってしまうに違いない。 人生の最後の日々、病院のベッドでひとりぼっちで過ごしながらも、大人っぽくなっていく同世代の男の子たちの身体に、どうしたって 興味を持たずにはいられなかった。 寝たきりになる前は、スタイルには自分でも結構自信があるほうだったし、ストリートライヴをやっていても、大学生や若いサラリーマンによく声をかけられた。 身体がベッドにしばり付けられていたときでも、いつか病気が治ったら一度でいいから好きな男の子にめちゃめちゃに抱かれて、この若く美しい身体を 荒々しいセックスに酷使したい、頭がおかしくなるような快感を味わってみたいと願っていた。 そんな、自分の肉欲が空恐ろしかった。 そして今、美しくよみがえったこの肉体が、いつか誰かに愛される時に備えて、パジャマの中で静かに出番を待って息づいていた。 「なあ、記憶無し男」 「なんだよ」 「男子って、パンツを穿くときに、その… そうやってチンコを上に向けて穿くんだな」 「は?」 「てっきり、下向きにするんだと思ってた」 「なんで」 「みんな、チンコをタマタマのあいだに挟むみたいにして、パンツにいれてるのかと思ってた」 「それ、勃ったら痛えじゃん」 「そっか」 パンツの下でぴんと上を向いたペニスを見ながら、 (なんか萌えるな…)と岩沢は思った。 「横向きとかにはしないんだ?」 「デッカい奴はするかもな」 「あんたのソレは、デッカくないのか?」 「知らねえよ」 音無の引き締まった身体からは、すてきな匂いがした。 彼には、同世代の若者らしく虚勢を張ったり見栄っ張りなところがまったくなく、自分たちに自然体に接しているところも、岩沢には好感が持てた。 岩沢は、半袖のパジャマの下の全身のうぶ毛が、ざわざわと立ってくるのを感じた。 そのようすを、パジャマの上からじろじろ見ていた音無がふと、冗談めかして訊いた。 「なあ、お前らのバンドってさ、みんな揃ってルックスいいよな」 「人並みだと思うけど?」 「なんかオーディションでもやって、ルックスのいい奴ばっかり選んでんじゃねえか?仕掛けられた商業ロックバンドみたいに」 「とりあえず、『しょせんはガールズバンド』ってバカにされない技術は持ってる」 「へえ」 「一見さわやかそうに見えて、でもちょっとひねくれた音楽やってるから」