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月の下、絶叫が響き渡り、血飛沫が飛ぶ 野生の兄貴が、今夜も狩られる 憎悪と殺意を漲らせ 一人の青年が、兄貴達をメッタ切りにしていた かくして、今宵もまた、十数体の野生の兄貴が、「かごめかごめ」の契約者によって退治されたのだった 「お見事ですね。流石は「組織」の人間です」 そんな青年に、淡々と声をかけてきた女性がいた …この学校町の警察組織において、幹部クラスに身を置いている女性で、名前は広瀬 美緒 どうやら「組織」と繋がりがあるようで、今回の野生の兄貴出没報告をしてきたのは彼女なのだ 正確には、彼女が「組織」のエージェントである黒服Hに連絡し、そこから青年に仕事が回ってきたのだが 「…あれに関しては、本当、ご迷惑かけます」 「全くです。一般人の被害報告がどれだけ出ていると思っているのです」 頭を下げた青年に、容赦なく広瀬はそう告げた 反論できないのが、痛い 「聞いた話によれば、あれが発生した原因は「組織」のとある黒服が原因だとか……「組織」は、一体何をやっているのです。訴えますよ?勝ちますよ?」 「「「あれを制御できる奴なんて、この世に存在しない」」」 きっぱり 青年と、ハクとコンの言葉が見事にシンクロした うん、あの禿をコントロールできる存在なんて、この世に存在してくれていない 悲しいことに 青年達の答えに、広瀬は小さくため息をついた 「…まぁ、いいでしょう。再び、あれの出没証言がでましたら、あなたに伝えます。連絡先を教えてくださるでしょうか?」 「えぇ、構いませんよ」 携帯電話の番号をやり取りする 正直、直接連絡してくれた方が、即座に退治にいけるから、ありがたい 滅びよ、野生の兄貴 ゲイなんぞ滅びよ 軽く、憎悪をたぎらせる青年 そんな様子に気付いているのかいないのか…広瀬は、小さくため息をついた 「…あなたのようなまともな人も、「組織」にいて助かりました。むしろ、あなたのような方と、先に接触したかったです」 「………まぁ、最初に接触したのが、あのHじゃねぇ」 うん、となにやら納得した様子のハク あの男は、色んな意味で問題があるから …特に、女性にとっては 「全くです……よりによって……」 ……ふと 広瀬の表情に……寂しさのような、悲しさのような そんな色が、混じったような そんな錯覚を、青年は覚えた しかし、すぐにその表情は、冷たい物へと変わる 「…それでは、私はこれで」 「あ、はい」 かつかつと、ヒールをならして立ち去る広瀬 その最中、仕事の電話が入ったのだろうか 歩きながら対応している …なかなかに、忙しそうだ 「……うん?どうしかしたのか?」 「あぁ、いえ」 その後ろ姿を、無意識にじっと見つめてしまって コンに話し掛けられて正気に戻った青年は、軽く首を振った 気のせいだろうか あの広瀬という女性は、都市伝説のことを口にしている時 ハクやコンと話している時…憎悪を、押し隠しているような気配がした 都市伝説を、憎いんでいるのだろうか 憎んでいて、そうだと言うのに いや、それだからこそ、「組織」と繋がりを持って、都市伝説の存在を隠そうとしているのか …ただ、それだけでは、なくて 「…気のせい、ですかね」 気のせいならいいのだが あの広瀬という女性が、何か、都市伝説に付いて…もしくは「組織」に関する何かに関して 何か、因縁を持っているような そんな錯覚を、青年は覚えたのだった to be … ? 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
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「いい?本家様のお子様に、粗相がないようにね?」 母の言葉に、兄と共に頷き、自分はその部屋へと向かった 両親達が、本家様と話している間、自分達は、その子供の相手をすることになった 自分より、少し年下の少年だと聞いていた 歴史あるこの家に生まれた、その少年 だが、その両親は、その少年を一般の子供と変わらないよう、育てようとしているのだとも聞いていた ならば、自分達は、その少年にどう接すればいいのだろう? 答えは見つからないまま、兄に手を引かれ、その部屋につく 「…失礼します」 「……します」 そっと、襖を開ける 板の間の、奥 そこに、その少年の姿はあった 長い前髪で目元が隠れていて、表情はよく見えない ちょこん、とその広い部屋に正座して座って…何かを、じっと見つめているようだった 確か、この部屋には、この家に代々伝わると言う刀が安置されていたはず それを、見ていたのだろうか? 一度だけその刀を見た事がある自分は、あの刀のどこか得たいの知れない雰囲気に圧倒され、恐怖した覚えがあるのだが… この少年は、それが平気だとでも言うのだろうか 「………?誰、だ?」 自分達に気付いた少年が、こちらを向いて首を傾げてきた 和装姿の、幼い少年 …この部屋だけ、時代が今と違うような、そんな錯覚 「お初にお目にかかります。獄門寺家分家 長男の、獄門寺 龍鬼です」 兄が、先に挨拶する …そっと突付かれ、慌てて自分も、頭を下げた 「…お初にお目にかかります。獄門寺 菊、です」 「……そうか」 少年は、顔の向きだけではなく、体ごときっちりと、自分達に向き直ってきた そして、頭を下げ、名乗る 「……獄門寺家本家 長男 獄門寺 龍一だ」 名乗り、頭を上げた少年…龍一 その時、一瞬見えたその瞳に………ゾクリ、と、戦慄を覚えた 自分よりも、年下の少年 まだ、あの時、4,5歳程度だったはず だというのに……その眼差しは、酷く、鋭かった 龍一の両親は、龍一を、普通の子供と同じように育てようとしていた だが、それは無理だろうと…あの目を見た時に、実感した 獄門寺家の、本家に生まれた者 その長男としての、責務 それを、龍一は、あの年齢にして、恐ろしい程までに自覚していた まるで、自分はその為に、その為だけに生まれてきたのだとでも言うように、それを理解して、まっとうしようとしていた 『まるで、八代目様の生まれ変わりのようだ』 親戚一同が、組の人間達が言っていたその内容を、その瞬間、理解する 目の前にいる龍一という少年は、八代目様の生まれ変わり 獄門寺家のあり方を決定付け、その宿命を作り上げた男 修羅に最も近く、しかし、その一歩手前で踏みとどまり、人として生き人として死んだと言うその人の、生まれ変わり …分家に生まれた自分達は、いざとなれば、龍一の代わりとなるのだと 本家を支えるために、いざという時はその本家となって生きるのだと、そう言われて育てられていた だが、あの瞬間に、自分は気付いてしまった 八代目様の生まれ変わりそのものである龍一の代わりなど、自分達には決して無理なのだ、と ならば 分家の子として生まれた、自分は その存在理由すら果たせないのならば、どうすればいいのだ? その日、獄門寺 菊は、10にも満たない年齢で、己の生まれた理由を疑問視することとなった そして、自分なりの答えを何とか見つけ出し………今に、至る 現在 学校町、とあるマンションにて 「…理解した」 「ほんっとーに、理解したんでしょうね?」 「死ねばよかったのに」は、ジト目で菊を見つめる あぁ、と頷いてくる菊 ぱさぱさと長い前髪が揺れて、一瞬だけ、その目が見えた どこか眠たそうな、しかし、鋭さの混じる眼差し その目に、一瞬、「死ねばよかったのに」は、ゾクリと体を振るわせた …ただの、人間の癖に その癖に、どうして、こいつはこんなに鋭い目ができるのだ 「理解したんなら、どうして、まだ契約したいと思う訳?人生歪むって言ってるでしょ?」 「……どうせ、元々歪。生まれてきた目的すら、果たせないのならば、いっそ歪んで、別の方向に役立てた方がいい」 淡々と、そう告げてくる菊 この人間が何を考えているのか、正直、「死ねばよかったのに」には、理解できない 自ら都市伝説と契約を望み、その運命を歪める事を望むとは …狂人なのか、それとも、よっぽどの馬鹿か それとも……何かしらの、強い信念があって、それに利用できるとでも考えたのか 「ま、契約してもらえれば、私にも若干のメリットはあるからいいけど…でも、私、たいした都市伝説じゃないわよ?戦闘能力が高い訳でもない、魔法みたいな素晴らしい力が使える訳でもない……正直、契約によって能力が強化される事はわかるけど、どう言う方面に強化されるかもさっぱりよ」 「……問題はない」 あぁ、もう、どうするべきか、「死ねばよかったのに」は考える …契約は、彼女にとっても渡りに船である あのまま、意味もなくただ人を驚かし続けるなんて、飽き飽きだ もっと、違うことがしたい 女の姿に生まれ、大体それっぽい精神をもってして生まれてしまったのだ 年頃の女のように、綺麗な服の一つだって着てみたいし、化粧だってしてみたい 化粧っ気もない顔で、こんな白い飾り気もない服を着ているだけも、もう嫌だ …だが、この菊と言う人間との契約に、不安を覚えない訳でもない とにかくにも、何を考えているのか、さっぱり理解できないのだ どうにも、こいつと関わっていると厄介事に巻き込まれそうな気がする (…だと、しても) 結局、自分はこいつに、ついてきてしまったのだ (選択肢なんて、ないんでしょうね) 小さくため息をつく …選択肢がない? いや、違う ここまでついてきた時点で、既に自分は選んでいた ただ、それだけなのだろう 「わかったわ、契約しましょう…後悔すんじゃないわよ?」 「…後悔する必要など、存在しない」 そっと、手を握る 都市伝説との契約方法には、様々なものがある 「組織」だか言うところは、簡単に都市伝説と契約できる契約書なる物を作ったらしいが…「死ねばよかったのに」からすれば、そんな物、とんでもない 自分達都市伝説に対する、侮辱以外の何ものでもないと、憤りすら感じる 何故、都市伝説との契約に、様々な種類があるか? …都市伝説にとっても、契約とは重要なものなのだ その方法にも、意味が存在するのだ その過程を無視して、強引に契約させる契約書なんて、とんでもない そんな物、この世から消えてしまえとさえ、考える …まぁ、そんな物騒な思考はさておき 彼女は、契約を試行する 「死ねばよかったのに」 彼女の名前の由来 彼女という都市伝説の本質の言葉 それを、菊の目を見つめ、しっかりと告げる ざわり、全身に、何かが駆け抜ける 己の中に、新たな力が湧きあがる感覚 自分と菊の間に、精神的なつながりが生まれる感覚 それを、噛み締め…契約が、終了した 「…大丈夫?まさか、飲まれちゃいないでしょうね?」 「……問題ない」 菊に、変わった様子は見えない まぁ、自分の逸話的に、契約者に何らかの能力を与える可能性は低いのだ 飲まれてでもいない限り、変化はおきまい 「…お前は」 「?」 「お前は、問題ないのか?」 短く、告げてくる菊 一応、気を使ってくれてはいるようだ 「問題ないわよ。あんたとの契約で、自分の存在がしっかり固定された感覚があるし」 「…そうか」 そう、何も問題はない …今の、ところは 「……ふぁ。契約終わってほっとしたせいか、眠たいわ…」 「…布団を準備する。着替えておけばいい」 「寝巻きに着替えろって?言っとくけど、私、服はこれ以外もってないわよ?」 「……問題ない」 立ち上がる菊 壁をスライドさせると…そこに、たくさんの服が、かけてあった どうやら、このマンションの一室、片側の壁一面が、クローゼットになっているらしい そこから、菊は何着かの服を取り出し、「死ねばよかったのに」の前に並べた 「…何これ」 「寝巻き。好きな物を選べばいい」 言われて、それを見つめる 確かに、それらは間違いなく寝巻きだ ……女物の 「どうして、女物の寝巻きをこんなに持ってるのよ?」 「サンプル」 「…は?」 「サンプル」 短く、簡潔に答えてくる菊 …サンプル? どう言う事だ? …まぁ、いいか とにかく、眠たい 「死ねばよかったのに」が着替え始めると、菊は背中を向けてきた ごそごそと、布団を敷き始めている どうやら、「死ねばよかったのに」用の布団は、客人用らしい ちょっと、立派な布団に見える とまれ、着替えていた「死ねばよかったのに」だが 「----っ!?」 視線を感じ、動きを止めた 都市伝説は、都市伝説を引き寄せる …まさか、もう、何か来たのか!? 急いで、視線をめぐらせると 「…っ隙間男!」 「………?」 「死ねばよかったのに」の声に、菊が視線を向けてきた 「死ねばよかったのに」の、視線の先 それは、家具と家具の間の、小さな隙間 人間など入り込めるはずもない、そこに……人の姿が、見えた 男の姿が 隙間男 名前通りの存在 隙間に住まう不気味な存在 特に、人間に対して害があるという話は聞いた事がない それでも、油断すべきでは、ない 一応、自分は菊と契約したのだ 菊を、護らなければなるまい 「…何の用よ」 隙間男を睨みつける「死ねばよかったのに」 その視線に、隙間男は、やや怯えた様子を見せながらも …ぐ、と 親指を、たてた わりと、いい笑顔で 「な、何だってのよ!?」 「……着替え」 「え?」 「中途半端」 菊に言われて、自分の姿を見下ろす 白いワンピースを脱ぎかけの自分 ちなみに、下着はない 素肌の上にワンピースをまとうと言う、自分でも突っ込みたくなるような格好だったのだ、「死ねばよかったのに」は で、そんな彼女が、ワンピースを脱ぎかけている すなわち、肌は思いっきり露出してる訳で… ……… ………… …………… 「死ねばよかったのに」の望みを、菊は理解した それは、彼女と契約したからできた事か、それとも、この時の彼女の考えが、非常にわかりやすかっただけか 部屋を見回し、長い定規を手渡す ぐ、と「死ねばよかったのに」はそれを構え がすっ!! 「あだっ!?」 がすっがすっがすっ!!!! 「っちょ、痛い!?痛い痛いやめてっ!?着替え覗いたの悪かったからやーめーてーーーっ!!??」 がすがすがすがすがすがすがす 隙間男を、ひたすら定規で突きまくる「死ねばよかったのに」 地味に痛いのか、悲鳴をあげ続ける隙間男 …逃げられないのだろうか、そこから 菊は、しばし、その様子を見つめて …そう言えば、布団を敷くのが途中だったと思い出し、作業を再開させた そう言えば、「死ねばよかったのに」に名前がついていないな、と 後でつけてやった方がいいのだろうか、そんな事を、考えながら 続くかどうか不明 前ページ次ページ連載 - 死ねばよかったのに
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「天照と「月読の…「「「東京」バックグラウンドパート4」」…」ー!」 「さあ、早いもので4回目となりましたこのバックグラウンド、いつものようにこの「特設スタジオ」から堂々電波ジャックの生放送でお送りしてまーすっ!」 「テンションタカクテツイテイケナイ…」 「それにしても、あの豪快すぎる魅せ技は流石に無いよねぇ?」 「絶対にありえない…」 「だってあんなん使われたらそりゃどんな都市伝説だってイチコロに決まってるでしょ?そしたら私らの出番無くなっちゃうじゃない?」 「…イキツクサキハヤッパリソコカ」 「 何 か 言 っ た ? 」 「パワーバランスが大事って…」 「それならいいけどね♪」 「タスカッタ…」 「それでは、お便りのほういってみましょうっ!」 「P.N.「メリーちゃんとラブラブ(はぁと)」さんからのお便りですっ!」 「外部の人からお便り届くのは初めてですね…ミナサマガタナラゴゾンジナノデショウケド」 「ん?どしたの?」 「なんでもない…ただの独り言…」 「「みなさんこんちはっ!」 「ウザッタイテンションガマタヒトリ…」 「ワイはかわいいお人形さんとイチャコラしながら都市伝説と戦うかっこええ契約者なんですが」 「リアジュウシネ…ッテイウカニンギョウトイチャコラッテハタカラミタライタイコニシカミエマセンヨ?」 「あんたらはどの辺を活動拠点にしているのか教えてほしいなぁーと思って手紙出しました!」だそうですっ!」 「そもそも貴方は索敵に優れてるって自分で言ってませんでしたか?だったら自分d」 「そういえば私も気になってはいたのよねー」 「勝手に割り込まないでください…」 「という訳で、この件に関しても作者からお手紙を預かってきておりますっ!」 「その準備の良さを他に生かせませんか?」 「えーと、何々「活動拠点といたしましては、主人公たちが今まで戦った場所が全部繁華街かその周辺なので、」 「いつも通りの作者の投げやりですね…」 「今まで見てきた学校町の設定を元にすると、やはり南地区に活動拠点があると推測せざるを得ないと思われます。」 「ナゲヤリニモホドガアル…」 「なので、南地区周辺だと思われます。」だそうですっ!」 「なぜ作者は私達の活動拠点を明かす必要があったんでsy」 「へぇー!私たちは南地区周辺に存在してたんですか!」 「だから割り込まないでください…」 「これから話の展開が広がってきそうですねっ!」 「という訳で、今回もいつも通りの展開でお送りいたしましたこのバックグラウンド」 「あぁー!私抜きで勝手に締めるなぁ!この番組では、お便りをどんどん募集しておりますっ♪」 「宛先は郵便番号×××‐×××× ××県「バックグラウンド」まで…」 「あなたのお便り、「「待ってまーす」」…」!」 「ワタシニナニカモンクデモアルノ?」 「ダカラソンナコトヒトコトモッテダカラアマテラスサンオネガイダカラグーダケハヤメテグーダケハァー!」 前ページ次ページ連載 - 結界都市『東京』
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全てが、終わった。耳鳴りが、止まらない。 「都市伝説の原動力ってなんだかしってる?」 少女は笑いながら少年に問いかけた。 「それはね……それを信じる人たちの想い、なんだよ……」 こうしている間にも少女はどんどんと色を失っていく。 「おい……まてよ……そんなのきいてねえよ……じゃあ俺はお前を消すためにこんなに頑張ったってのかよ!?」 「だまっててごめんなさい……私のこと信じてくれてありがとう。ほんとに、うれしかった。」 そういうと少女は微笑んだ。 「最後に私からのお礼。」 目を閉じ、ゆっくりと少年に近づいてゆき、その唇が触れる刹那、光となって消えた。 ーー私は、都市伝説だったけど、ほんとにいたんだよ?-- いきなりくらいまっくしゅ 「単発もの」に戻る ページ最上部へ
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吸血鬼。それはドラキュラを筆頭に世界レベルの知名度を持つ都市伝説である。 少女はそんな吸血鬼の契約者だった。 「足りない……」 足元に転がる死体を見下ろしながら、少女は呟いた。 死体が誰なのか、少女は知らない。知っているのはあまり美味しい血ではなかった事、そして、組織の敵だという事。 「調子はいかがですか?」 いつからいたのか、そばに立つ黒服が口を開いた。 「早めに次の血が欲しいです」 少女は新たに身体を流れる血液が徐々にダメになっていくような感覚に顔をしかめながら、少女は言った。 少女は病気だった。目眩がした、動悸がした、血が止まらなくなった。病名、再生不良性貧血。少女は入院した。 効果の表れない薬。見つからないドナー。定期的な輸血。家計を圧迫する治療費。 『治療の必要の無い身体が欲しいですか?』 そこに組織の黒服は現れた。 そして少女は都市伝説「吸血鬼」と契約した。 頭痛がしない、目眩がしない、走り回っても大丈夫。それどころか、普通の人間以上の身体能力を手にいれた。 何故こんな素晴らしい組織と敵対する人がいるのか、少女には理解できなかった。もとより理解する気などなかったが。 吸血鬼となっても、病気が治った訳ではない。血が必要だった。輸血の代わりに、組織の敵を襲い、血を吸った。 いつしか、少女は組織の過激派の一員として有名になっていた。そんな事、少女にはどうでもよかったが。 「血を、血が必要なんです。次の任務、早く持ってきて下さい」 少女は恐れているのだ。再び、病室での生活に戻る事を。再び、あの不自由な身体に戻る事を。 そして、少女は気付かない。 吸血鬼と契約して数年。それほど大きく無い少女の容量、逆に容量を大きく喰らう都市伝説、長期に渡る能力の使用。 もはや、『人間だった頃の病気』など物ともしない身体になっている事に。身体を流れる血液が異常だという感覚など存在していない事に。 少女は今宵も気付かない。 「単発もの」に戻る ページ最上部へ
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占い師と少女 マッドガッサー決戦編 04 ※Tさん 「マッドガッサーと愉快な変態達:vsヤンデレ弟」のその後、占い師一行視点 ○月×日 20:47 食堂前での戦いが始まってから十数分。 最後に戦っていた両者を閃光包み……閃光を操っていた都市伝説によって、「スパニッシュフライ」に操られていた少年は倒されたようだ。 これでマッドガッサー一味の戦力が減った事になる。 (……よかった) 「あちらさん、もう決着がついたみてぇだぜ」 購買から顔を出し、覗いていた大将が戻ってくる。 「……これで一安心ですかね?」 「いや……そうでもないみたいだな」 「……え?」 相変わらず食堂の方を透視し続けている占い師さん。 私もそちらを見ようとして―― 「先程から視ているようだが、……誰だ?」 ――その時、声が響いた。 「これ、って……私たちに向けられてますよね?」 「みたいだな。どうやらあいつら、こっちに気づいてたみたいだな」 透視をしてみると、あの都市伝説がこちらに手を向けていた。 ……場合によっては、あそこからまた閃光が炸裂することになるのだろう。 「どうするんだ、兄ちゃん」 「さて、どうしたもんかな……。幸い、相手方に敵意はないみたいだが」 「……でも、どう見ても攻撃態勢ですよね、あれ」 「なに、本気で殺しに来るならすぐにでも攻撃してくるさ。こっちの存在に気付いたはいいが、こちらがどっち側なのかは分からない……そんな所だろう」 そこまで話した時、再び壁の向こうから声がした。 「壁を透視できたら、幸せだ」 「…………ちっ」 占い師さんは軽く舌打ちをして、向こうに語りかける。 「こっちに敵意はない! そっちが攻撃しない限りこっちからも攻撃を仕掛けるつもりはないぞ」 「……ならどうして、壁にこちらの能力を阻害する『何か』がかけられてるんだろうな?」 「話し合いっつーのは顔を見てするもんだ。そちらさんからだけ俺たちが見えるってのは、何だか不公平だと思わないか?」 「………………」 「………………」 2人の間に沈黙が降りる。 会話には参加していない向こうの私たちも、そして恐らく向こうの残り2人も、ひどく緊張していた。 ……そんな均衡を、占い師さんが首を振って打ち消した。 「……全く、こんなのは時間の無駄だろうに。分かった、俺たちは購買から出てあんたたちの前に行く。あんたたちはその物騒な能力で俺らを攻撃しない。それでいいな?」 「そっちが攻撃を仕掛けてこないという保証はあんのか?」 「……その声は契約者の方か? 最初に言っただろ。そっちが仕掛けてこない限り、こっちからも仕掛けるつもりはない」 そう言って、占い師さんが立ち上る。 (……いいんですか?) そう目で合図を送る。確か、占い師さんは今回の騒動中に、できるだけ他の人や都市伝説との接触はしたくないはずだった。 「……仕方ないだろ。見つかった以上、下手に逃げればあいつらに敵だと思われる。これから先、またあいつらと会うかも知れない以上遺恨は残したくないからな……」 私たちだけに聞こえるようにつぶやき、占い師さんが私の手を引いて、立ち上がらせてくれた。 ……ほんの30分程度前に同じ事をされたはずなのに、何だかそれから随分経ってしまったような気がする。 「もしあいつらが攻撃を仕掛けてきた場合はすぐに逃げる。大将も、いつでも能力を使えるようにしといてくれ」 「任しとけ。たったの3人なら、どんに強い都市伝説でも気をそらすくらいはできらぁ」 立ち上がった大将と共に、購買の出口である扉に向かって歩き始める。 食堂前で戦っていた都市伝説達は最低限、マッドガッサーの敵ではあるはずだ。 敵の敵は味方……そんな法則が、ここでも生きてくれればいいんだけれど。 前ページ次ページ連載 - 占い師と少女
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禿「師よ・・・どうか安らかに・・・」 空を見上げポツリと呟く あぁ、イエさんに続き貴方まで失う事になるとは・・・・・・ 禿「大丈夫ですか?」 太郎「はい、貴漢のお陰で助かりました・・・・・・」 口では大丈夫と言ってるものの恐らくは辛いのだろう・・・私だってキツいのだ 禿「状況はあまり良いとは言えないでしょう・・・・・・『夢の国』、それに『鮫島事件』とは・・・」 太郎「彼も無事だと良いんですけど・・・・・・」 このまま手をこまねいてる訳には行くまい・・・ 禿「我々にはもう戦う力が残されていません・・・」 太郎「悔しいけど、その通りです・・・」 禿「ですが、何もしない訳には行かないでしょう・・・・・少し下がってください、奥の手を使います」 まさか、アレを使う事になるとは・・・できれば使いたくなかった・・・ 禿「ハァァァァァッッ!!」 残された兄気を全て解放する!! 禿「来たれ!我が歴戦の盟友達よ!!」 金色の兄気が空気中に散って行き、蜃気楼の様に大気が揺らめき、兄気は人の姿を象って行く かつて契約していた盟友達へと・・・ 太郎「これは・・・・・・」 禿「私の奥の手・・・かつて契約していた、そして今は一つとなっていた都市伝説達を解放する力・・・」 この身一つで戦うことを信条としていた私の奥の手 そう・・・ 禿「 裸 漢 招 来 !!」 その叫びと共に完全に顕現を果たすかつての盟友達!! 『青いツナギの良い男』や『エイズ・サム』達が私の周りにひしめく 禿「盟友達よ・・・行きなさい!!」 ガチムチ兄貴達「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」」 太郎「あんな・・・たくさんの都市伝説と契約していたのですか・・・?」 禿「類似した都市伝説ですし、ほんの40人ほど・・・大したことはありませんよ」 頼みましたよ、盟友達 どうか、私の代わりに町を救ってください・・・! この後、学校町内で全裸のガチムチ男の目撃情報が相次ぐこととなるが 割とどうでも良い話である 前ページ次ページ連載 - はないちもんめ
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はらり、はらり 桜の花びらが、静かに舞い散る 北区にある、古ぼけた教会の裏 大きな桜の木の下にて 「そっか…宏也さん、妹さんがいたんだ」 「あぁ」 佳奈美を背後から抱きしめるように座っている黒服H、広瀬 宏也 …そんな体勢に、佳奈美はやや赤くなっていたりもするのだが まぁ、他に誰も見ていないので、問題あるまい 「まぁ、俺はこの通り、都市伝説に飲み込まれて黒服になっちまった訳で。会ってもわからないだろうけどな」 「……寂しく、ないの?」 ぽつり、そう尋ねてきた 宏也はぽふぽふと佳奈美の頭を撫でながら、苦笑しつつ答える 「まぁ、寂しくないっちゃあ嘘になるがな……いっそ、気付かれない方がいい、って事もあるからな」 自分達兄妹は、都市伝説を憎んでいたから …自分が、都市伝説と化した事を知ったら 妹の心に、どれだけの傷を与えてしまうか …それを考えると、伝える事など、できないのだ 「…そんな事、ないよ」 きゅ、と 自分を抱きしめてきている宏也の手に、そっと手を重ねて 佳奈美は、そう呟くように言う 「だって、家族なんだから……家族と会えないなんて、悲しいから…」 「………佳奈美」 俯く佳奈美の体を、優しく抱きしめる宏也 …佳奈美の優しさが、宏也の壊れた心に、染み渡る 「…ありがとうな。佳奈美」 「ふ、ふぇ!?」 ふわり 額に、口付けを落とされて ぽぽぽ!!と、佳奈美の頬が、赤く染まった 「ひ、宏也さん!?」 「…お前のお陰で、決心ついたわ……色々とゴタゴタ片付いたら、妹に話してみる」 宏也の、言葉に 佳奈美はほっとしたように、笑った 「そっか……妹さん、きっと、わかってくれるよ」 「あぁ……だと、いいな」 その為にも…まずは、成し遂げるべき事を、成し遂げなければ 佳奈美の体を抱きしめたまま、宏也は決意を固めるのだった to be … ? 前ページ次ページ連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者
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勇弥「正義ィ!」 奈海「正義くん!」 楓「黄昏!」 大王「もう、俺達の負けだ。」 正義「うっ・・・。」 一瞬、光が見えたかと思うと、剣のドラゴニュートが血を噴き出しながら弾き飛ばされる。 ドラゴニュート「ギャ、ギャ・・・?」 コイン「“な、なに?!何が起こったの?!”」 大王「あの光・・・まさか!?」 だんだんと光が薄れてきて、中に何人かの人影が見えた。正義はその内の1人に見覚えがあった。 正義「お兄ちゃん!?どうしてこんな所に?!」 そう、いつかの悪人、[黄昏裂邪]だった。 裂邪「正義ィ! お前こそ何でこの中に入っちまってんだ!?」 正義「そ、それは・・・。」 正義は改めて現状を整理する。 入ってきた時の事から話す?それともゴブリンの辺りから?ドラゴニュートの辺り?どう説明しようか・・・? そう考えているうちに、斧を持ったドラゴニュートが裂邪に襲い掛かる。 正義「あっ!お兄ちゃん逃げて!」 ドラゴニュート「ガワァァア!」 忠告は聞こえていたのだろうか、いや考え事をしていたようだった。 どうであれ、裂邪は斧のドラゴニュートを簡単に叩き飛ばす。あんなに苦戦したにも関わらず。 正義「・・・すごい。」 裂邪「なぁ、俺は別にお前らが何しようが怒りゃしねぇよ。 ぶっちゃけお前らも余計なお世話だとか思ってるだろうし。 でもさ、他人に心配かけちゃいかんと思うんよ。」 正義「え?どういう・・・。」 正義が訊こうとした瞬間、裂邪の影から見覚えのある姿が飛び出す。 なんと【ベッド下の男】【テケトコ】【赤マント青マント】【注射男】そして【白ワニ】だった。 他にも2名ほど知らない人が見えたが、そんな事を気にしている暇は無かった。 下男「少年殿!助太刀に来た!」 テケトコ「少年くん!もう大丈夫だからね!」 正義「【ベッド下の男】!【テケトコ】!」 裂邪「お前ら喋れるんじゃねぇか!!あ、メリーさんにレイちゃん、この『回復薬』をあいつらに。」 少女「わかったわ!」 赤毛少女「ライサ、貴方もあの子達をお願いできる?」 青髪少女「任せてお姉様!」 [ライサ]と呼ばれる少女が正義の手を包み込むように握る。 ライサ「あなたを、癒してあげる。」 正義「え、あ・・・?」 すると、周りから青い光が現れ、少女の手の中へと流れるように入っていく。 気が付くと、正義の傷も疲れもみるみるうちに回復していった。 正義「な、なんで・・・?」 大王「(こいつら、まさか・・・。)」 一方、[メリー]と呼ばれる少女と[レイ]と呼ばれる少女が勇弥達に何かの薬を渡す。 メリー「はいこれ。」 勇弥「ん、これは・・・『回復薬』?オレ達にも効くのか?」 楓「そこまでゲームの世界に準拠するのか。」 奈海「だ、大丈夫なのぉ?」 コイン「飲みなさいよ。私はノーダメージだから要らないけど。」 勇弥達は覚悟して回復薬を飲む。 奈海「苦・・・。」 コイン「え?!は、吐き出した方がいいんじゃ・・・?」 楓「そうか?薬はこれぐらいが、おぉ!傷が治ったぞ。」 勇弥「ん。MPも回復したな。なら、っとと。」 ふらふらとする勇弥の肩をテケトコが支える。 テケトコ「大丈夫?ゲームのキャラクターになってても元は人間なんだから。無理はダメだよ?」 勇弥「すまねぇ、って喋れたのか?」 下男「この世界ではチャットとやらのせいか、拙者でも発言が可能らしい。」 白ワニ「そういう事だぜ、ボーイズ&ガールズ!」 奈海「(へぇ、白ワニってこんな喋り方だったんだ・・・。)」 楓「・・・すまない、もしかして彼らが、黄昏の仲間にしてきた・・・?」ヒソヒソ コイン「正、解。皆元々人を襲う悪い子だったのよ。」ヒソヒソ 正義「おぉい皆、大丈夫?」 すると向こうから、元気になった正義と、少し元気の無い大王がやってきた。 奈海「あ、正義くん。こっちは大丈夫だけど、正義くんは?火傷とかも平気?」 正義「うん。大丈、・・・心配しなくても良いよ!それより、あいつらを・・・。」 ふとあちらを見ると、ドラゴニュートが裂邪達を囲んでいた。既に作戦を立てられているなら、こちらが不利だ。 下男「少年殿。ここは拙者達に任せて、休んでいてほしい。」 正義「えっ、でも・・・。」 赤青マント「よし、あの鎚の奴と棍棒の奴を引き受けよう。」 注射男「あれか、骨が折れそうだ。」 白ワニ「シャアァ!あれぐらいなら噛み砕いてやるぜ!」 テケトコ「じゃあ、行ってきまーす。」 白ワニとテケトコがドラゴニュートへと向かう。 白ワニは汚水を纏いながら鎚のドラゴニュートに噛み付いて投げ飛ばし、 テケトコは自慢の蹴りで棍棒のドラゴニュートを蹴り飛ばす。 ドラゴニュート「ガワァァァ!?」「ギャワワワワァ!?」ヒュウゥゥゥ・・・ドサッ 下男「お、来たな。」 大王「気をつけろ。あいつの棍棒は今の所、雷と炎を跳ね返している。」 注射男「なるほど。物理的なものは問題ないなら、あいつのオペはベッド下の男とテケトコに任せる。」 白ワニ「イエッサー!俺も水を纏うから、念のためハンマーの方だ!」 全員相手を決め、飛んできたドラゴニュートの前に立つ。 ドラゴニュート「ギャワ、ギャワワワ?」 下男「少年殿のためにも、素早く片付ける!」 テケトコ「えぇ?ゆっくり片付けた方が休めるんじゃない?」 ドラゴニュート「・・・ガワァ!」 赤青マント「赤と青、染まるならどちらが良い?」 注射男「手術を始める。すぐに楽にしてやるぞ!」 白ワニ「ヘィ、Our enemy!お前には退場してもらうぜ!」 まずは棍棒のドラゴニュートが動き出した。 ベッド下の男はパーカーのポケットからサバイバルナイフを取り出す。 下男「拙者の得物の錆になってもらう!」 ドラゴニュート「ギャワワ、ワァ!」 ドラゴニュートが思い切り棍棒を振り下ろす。しかしそれをベッド下の男はナイフで受け止める。 そしてそのまま棍棒を払いのけ、ドラゴニュートにナイフを突き刺そうとする。 ドラゴニュート「ギャ!ギャワワワッワワァ!」 下男「ちぃ、これを避けるとは、なんという身のこなし。」 しかし払いのけられた棍棒を軸に、ドラゴニュートは派手に左へと回避する。そしてベッド下の男に追撃 テケトコ「スーパー、パンチ!」 ドラゴニュート「ギャワッ!?」 しようとした瞬間、いつの間にかいたテケトコにパンチを腹に喰らい、軽く吹っ飛ぶ。 テケトコ「うぅん・・・やっぱり『セーラー・ナックル』の方が良いかな?」 下男「技名をいちいち叫んでいたら、その内に避けられるぞ?」 ドラゴニュート「・・・。」ピクピク 下男「さて、止めといくか!」 テケトコ「任せて!」 気を失いかけているドラゴニュートに対し、ベッド下の男はナイフを構え、テケトコは何を思ったか飛び上がる。 ドラゴニュート「ギャ・・・?」 下男「終わりだ!」 テケトコ「いくわよぉ!『メテオ・セーラー』!」 ベッド下の男は素早く何度か斬り裂いてそのまま後退、その後テケトコがスカートをたなびかせて流星のように飛び蹴りする。 ドラゴニュート「ギャワァァァ!ギャ、ワ・・・ワ。」バタッ テケトコ「よし、終っわりぃ!」 下男「時間をかけ過ぎたか?いや、充分みたいだな。」 一方、鎚のドラゴニュートも動き出していた。 赤青マント「おい、赤は好きか?」 ドラゴニュート「ガワァァァ!」 赤青マント「『赤は好きか』と聞いている!」 突如、彼のマントの色が黒から赤に変わり、中心に『J』のような青い模様が浮かび上がる。 そしてマントから大きな刃物を取り出し、ドラゴニュートを迎え撃つ。 ドラゴニュート「ガワッ!?グゥ、ガワァァァ!」 赤青マント「隙だらけなんだよ。赤く、染まれ!」 赤マント青マントは流れるように鎚を避け、ドラゴニュートの腹部を斬る。すると腹部から大量に出血しだす。 赤青マント「ふぅ、染色終了。」 ドラゴニュート「ガワァ!?ガワァァァ!!」ブシュウゥゥゥ 注射男「出血が酷いようだな。今、楽にしてやる。」 そう言うと、懐から3本ほどの注射器を投げ、ドラゴニュートの腹部に刺す。 ドラゴニュート「ガワァ?!」 注射男「安心しろ、ただのニトロ注射だ。」 言い終わった、ドラゴニュートが注射器を抜こうとした時、注射器が爆発する。 注射男「ぅん?分量を間違えたかな。」 ドラゴニュート「ガワァァァ!」ブゥン 白ワニ「おっと、次は俺だぜ!」カンッ ドラゴニュートが鎚で注射男に殴ろうとした時、白ワニが間に入って鎚を背中で受け止める。 ドラゴニュート「ガワァ!?」 白ワニ「俺の牙を、ボディで噛み締めなァ!」 白ワニがドラゴニュートの腕に噛み付くと、白ワニはそのまま高速回転を始める。 そしてその回転でドラゴニュートの腕が千切れそうになりながら回りだした。 どんどんどんどんぐるぐるぐるぐる・・・、そのまま回転の勢いでドラゴニュートを投げ飛ばす。 白ワニ「シャアァ!『スピニング・バイト』!」 ドラゴニュート「ガワァァァ・・・!」ヒュウゥゥ・・・ドシャ 赤青マント「おぉ、よく飛んだな。」 注射男「よし、手術完了。」 そこには、血が止まり、生気が全く感じられないドラゴニュートの姿があった。 一同「「・・・。」」 下男「少年殿、今終わりました!」 テケトコ「いぇーい!どう?格好良かったでしょ?」 大王「俺があんなに苦戦した敵を、あっさり・・・。」 正義「大王、武器を降らしていたら良かったんじゃない?あいつ魔法攻撃を吸収していたみたいだったし。」 大王「『魔法』?あぁ、そうだったのか。ゲームの中だったな。」 楓「ほ、本当に、あんなに強い都市伝説を、黄昏が説得したのか?」 奈海「えぇ、その気になれば倒せるわよ?」 勇弥「辛かったけどな。」 コイン「だいたい私達はあの怪物と1対1よ?3対1だったら私達でも勝てるって。」 一段落ついたところで、正義がある事に気付く。 正義「あ!残りのドラゴニュートは?」 注射男「ん?そちらの手術の、必要はないみたいだな。」 勇弥「な、なんだよあれ・・・。」 正義達は、空に浮かぶ黒い人型の化物を見ていた。その下では、その化物の影に溺れていくドラゴニュートの姿があった。 ドラゴニュートが沈みきった時、その化物が落下しながら人間の姿へと戻っていく。裂邪の姿に。 楓「あれが、人間だったのか・・・?」 コイン「ん、あ・・・。」 赤青マント「ん?おぉ、綺麗な赤だな。」 コインの声に振り返ると、そっちでは極太の赤い光がどこかから放たれていた。 光が放たれた後、そこには少し前に裂邪の傍にいた赤髪の少女が立っていた。 勇弥「もうこいつら人間じゃねぇよ・・・。」 奈海「もう帰りたい・・・。」 楓「・・・怪物に変身する人間か、興味深い。」 コイン「え?」 白ワニ「シャア!終わったぜ、フレンド。」 正義「・・・信じられないというか、いまだに何が起こったのか分からないや。」 大王「・・・全くだな。」 ―――結論:持つべきものは友 舞い降りた大王CoA編第話「光と闇の救い」―完― 前ページ次ページ連載 - 舞い降りた大王
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ゆっくりと、夕日が沈んでいく 夕暮れ時、黄昏時 都市伝説の、時間 「…むぅ」 そんな、時間帯 一人、とぼとぼと歩いている少女の姿があった 少女、ニーナは小さくため息をつく 「…本当、私は未熟デス。クールトーを逃がしてしまうだなんて…」 一ヶ月以上も前の出来事 それを、未だに彼女は引きずっていた クールトー 悪魔的な存在と遭遇しながら、無様に踏みつけられて意識を失い、逃げられた …あれが、もし、人を害していたら それは、逃がしてしまった自分の責任ではないか 「………我らが主よ、どうか、私を罰してください………」 自分を罰する方法を、考え続けた しかし、考えはまとまらず…………ただ、自己嫌悪だけを重ねていく 遭遇した、凶悪な悪魔……都市伝説には、全て天罰を与えてきた しかし、それでも…クールトーを逃がしてしまったという責任は、彼女の小さな体に重くのしかかる 「…司祭様…」 そっと、胸元で揺れる木で出来た十字架……「ドッグウッド伝説」に触れる 悪魔を滅する為に、契約した都市伝説 司祭様から、与えられた力 この力を持ちながらも……自分は、こんなにも、無様 以前、倒せなかったドラゴンもそうだ たくさん、戦い方を学び、強くなったつもりだったけれど 自分はまだまだ、こんなにも、力が足りないのだ 「…こんな時………カイン司祭なら、どうしたのでしょう…」 自分の上司よりは、位が下の、とある司祭の事を思い出すニーナ 彼女に、都市伝説の力の使い方を教えてくれた青年 戦闘向きではない都市伝説と契約していたが、しかし、ニーナに戦い方をも教えてくれた青年だ 生真面目なあの青年だったならば、自分と同じような状況に陥った時、どうするのだろうか? ……いや、きっと、彼ならば、このような状況にはなるまい ますます、憂鬱な気分になって、とぼとぼと歩き続けるニーナ …くぅきゅるる お腹が小さく鳴る 相変わらず、空腹である 「……主よ、どうか、もっと、罰をお与えください……」 こんな、空腹よりも もっと、もっと、重い罰を 私は、それに耐え、悪魔を滅し続けますから 祈るように考えながら、ニーナは空き地に張ったテントへと、戻っていった …今日も、また 目標とする淫魔が見つからなかった事に、落ち込みながら 遠き、異国の地 とある、修道院にて その軒先を、一人の青年が掃除していた この国の男性にしてはやや背が低いが、整った容姿をしており、バランスの良い体格をしている 青年が、掃除を終えたところで……一羽の小鳥が、その肩に舞い降りてきた ちちち、と、囁きかけるように、青年の耳元で小さく鳴く 青年は、その小鳥を追い払う事なく、その囁きに小さく笑みを浮かべて耳を傾けていた 暖かな日差しの下、その様子はどこか微笑ましい光景だった ……しかし そこに、訪問者が近づいていく その気配を察したように、小鳥は飛び去ってしまった 「あ………」 飛び去る小鳥を、どこか寂しそうに見送る青年 …小鳥が完全に見えなくなったところで、訪問者がやってきた事に気付いた 「エイブラハム司祭…?何か、ご用ですか?」 「カイン司祭。お忙しいであうところ、申し訳ない」 青年…カインの元に訪れた男性…エイブラハムは、人の良い笑みを浮かべて、帽子を取った 白銀の髪が、日の光を浴びてきらきらと輝く 「ニーナの事を覚えているかね?」 「…?はい、覚えていますが。お………私が、彼女に都市伝説の扱い方や戦い方を教えていたのは、つい半年前までの事ですから」 彼女が何か?とカインは首をかしげた 実際の戦いの場に出た事がない自分が、ニーナに教えられる事は、そう多くなかった 戦い方とて、基礎を教え込んだだけだ ニーナと共に居た時間は、そう多くない そんな自分に、エイブラハム司祭は何の用でやってきたのだろう? 人ではない存在との戦い方について自身に教えを説いてきた司祭相手に、カインは疑問に思う 「ニーナは、今、日本にいるのだよ」 「……日本に?」 「学校町、と言う街だ。本当ならば、日本にいる「教会」のメンバーと合流させるべきだったのだが……手違いがあってね。彼女は、今、一人なのだよ」 「……!?彼女は、まだ子供だぞ!まさか、一人で行かせたのか……………ぁ」 驚きのあまり、素の話し方に戻ってしまったカイン エイブラハムは、小さく苦笑した 「周りに信者達がいる訳でもない。無理に言葉を丁寧にしなくとも良い」 「……ですが」 「まぁ、その生真面目さが君の良いところなのだがね」 話を戻そう、と表情を引きしめるエイブラハム …カインも、表情を引き締める 「…とにかく。今、ニーナは一人で、その学校街と言う街にいるのですね?」 「あぁ、そうだ……誰か派遣しようかとも思ったのだが、うまく人材が見つからなくてね………そこで、君に頼みたいのだよ。「教会」の一員である事を隠して、学校街に入り込み、ニーナの傍にいてやって欲しい」 「……「教会」の一員である事を隠して?何故ですか?」 「事情があってね……あの街は、本来、我ら「教会」にとって不可侵の地なのだよ……それでもなお、やらねばならぬ神の使命が、ニーナには、ある。その手伝いをしてやって欲しい」 「……私にできる事でしたら、協力します。すぐに、日本に向かう準備を整えます」 背筋を伸ばし、答えるカイン 詳しい事情はわからない だが、遠い異国の地で、あの小さな少女は心細い事だろう 自分が心の支え二なってやれるのならば、傍にいってやりたい 「あぁ…………頼みましたよ、カイン司祭」 カインの答えに、笑みを浮かべるエイブラハム その笑みの奥にあるものに、カインは気付かない それでは、と一礼して、立ち去っていくエイブラハム カインは、その背中を見えなくなるまで見送った ……ちちちっ、と 小鳥が、カインの元に戻ってきた その肩に改めて泊まり、首をかしげる 「……大丈夫だ。問題ない」 カインは小さく微笑むと、その小鳥をそっと撫でて…教会の中へと、入っていった 己に待ち受ける運命に 気付く様子など、カケラも、なく to be … ? 前ページ次ページ連載 - 我が願いに踊れ贄共