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―第36章 未だ覚めぬ≪夢≫― ここは自室の地下室。俺は≪夢の国≫とのやり取りを振り返っていた。俺達が≪夢の国≫のチートっぷりを身を以て体感させられてから2~3日が経過した。だが、その余韻は未だ抜け切っていない。 「……はっきり言って強すぎる。どうすれば≪夢の国≫を倒せる?」 あの時は戦いこそはしなかったが、圧倒的な力の差にただ逃げ回るのみだった。まず厄介なのがあの沢山の着ぐるみ達だろう。たぶん光にしたところで復活、若しくは新たに召喚するだろう。 それにあの黒いパレード。飲み込まれたら確実にヤバい事になるのは大体分かる。ただし、当たらなければどうという事はないだろう。 そういえば、≪夢の国≫の中には今までに捕われた人や都市伝説が多く存在するという。ならば― 「ディバイディングブレードか…」 確かに、ディバイディングブレードなら捕われた人や契約者、都市伝説を分離させることが出来るだろう。ただ、捕われた人々はどうなっているのか分からない。また、助け出したとしてその後はどうなる?運が良くても大怪我、最悪≪夢の国≫で一生住人として暮らす羽目に… 流石にそういう事態だけは避けたい。≪夢の国≫なんかに捕われてたまるものか。 それに「≪夢の国≫では人は死なない」というのも、かなり厄介だ。どうすれば奴を倒せるのか。それが分からない今、下手に手を出すべきではない。 「それに…」 やはり『組織』の中に≪夢の国≫の黒服が混じっていたか。そのお陰で今『組織』は弱体化してしまっている。黒服さんと禿さんは多分≪夢の国≫側ではないだろう。それよりも― 「黒服さんが面白い事になってるな…」 マッドガッサーによる性転換、か。噂によるとナイスバディな女性、だそうだ。 俺の持つPDAは月読とシンクロする事で、自宅の地下にある奴ほどではないが様々な情報を引っ張り出せる。 「一部では大人気だな…それと、将門公の方も動きを見せてきたか…」 「首塚」組織の方も徐々にではあるが活動を活発化させてきている。近いうちに『組織』vs.「首塚」組織の決戦の火蓋が切って落とされそうだな。 この戦いに関しては俺は傍観させてもらう事としよう。ただし、やられたら『組織』だろうが「首塚」だろうがやり返させてもらう。 その結果、『組織』に狙われようが、「首塚」に目をつけられようが構わない。逆に返り討ちにしてやる。ただし禿、お前だけは勘弁な? ……よし、とりあえずもう寝よう。今後のことはとりあえずゆっくり考えよう。 そう思い、地下室を後にする俺だった……が― 「あ……れ………?」バタッ ―どうやら俺はかなり疲れているのかもしれない。何とか地下室の階段を昇りきった所で力尽きる。一体俺はどうしてしまったのか? 「……大丈夫ですか?」 どこかで聴いたような声の感じ…女の声?あ…あなたは……一体……… ―待て!次回!!― 前ページ次ページ連載 - 結界都市『東京』
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バールの少女 登場人物 高校生および高校教職員の皆さん 早川小塚(はやかわこず(づ)か) 辺湖市「新町」在住の少女。県立星霜高校の1年生。 夏休みに入る前、小学校から友達だった田倉巡(めーちゃん)が謎の死を遂げる。 失意の中にあった小塚は、夏休みのとある夜に『幽霊ビル』の屋上から手を振る巡を目撃。 『幽霊ビル』に捕らわれている彼女を救うべく、都市伝説の世界に関わる事になる。 秋祭り期間中に学校町へと赴き、「夢の国の黒服」に追われるなか、「バールのようなもの」を拾う。 逃避の最中に出会った首なしライダーに対し「イイヒトおーら」を感じ、 「妊娠させて」とエキセントリックな発言をかます。その真意は巡を救う為の言動であり、 本来の彼女は恥ずかしがり屋である。 ちなみに、辺湖における性教育は諸事情により色々と歪んでおり、 その教育の洗礼を受けた彼女は「両手を繋いで眼を閉じたままキスすれば妊娠する」と頑なに信じている。 「バールのようなもの」 鈍器の婉曲表現として用いられる「バールのようなもの」が、 その正体を巡る〈うわさ〉の中で都市伝説化したもの。 外見は70cm程度のバールで、鈍器としての性能はなかなかな部類である。 早川小塚と契約関係にある。 学校町にて「夢の国の黒服」から逃げる途中で拾った。 〔音叉〕 「バールのようなもの」を核とし、半径数m程度の球形の「結界」を展開する。 通常は地面等の基盤となるものに刺し込んで使用するが、 持ち歩く事により、実質上「移動する結界」となる。 使用方法次第では、対象を「結界」により圧撃する事も可能。 西野楓子(にしのかえでこ) 星霜高校1年生。早川小塚の友人で、彼女からは「カエちゃん」と呼ばれる。 辺湖市「新町」で、祖母(巴さん)と2人で住んでいる。 都市伝説と契約こそしていないものの、 祖母の契約している諸々の「伝承」と共に過ごしている為、その知識は豊富。 田倉巡(たくらめぐり) 県立星霜高校の1年生。 早川小塚とは小学校からの友達で、彼女からは「めーちゃん」と呼ばれている。 1学期の終わりの日に、『幽霊ビル』前で遺体となって発見される。 享年16 『組織』「辺境」 黒服I(くろふくあい) 『組織』所属の黒服。数年前にどういう因果か、『組織』内部の村八分、「辺境」へ移動となる。 土壇場での運の悪さと情けなさとは、『組織』内部で群を抜いている。 本人にそのつもりがなくても、周囲には奇行に及んでいるようにしか見えない。 『組織』「本部」に出向した時の「邪悪ロリ同人誌収集のご協力」を声高に絶叫する行為は、 彼の評判を墜落させる事に拍車を掛けている。 「ターボじじい」 黒服Iと契約関係にある「お呪い」は、現象型のようである。 〔加速〕 同僚曰く「一応、物凄く速い」らしい。弱体化している。 〔時間認識の細分化/細分化中の加速〕 現在発動不能。 黒服M(くろふくえむ) 『組織』所属の黒服。自称「メカニック担当」。 後輩であるIの事を「へっぽこ」と呼ぶ。 契約関係にある「???」のみならず、高度な工学的技術を用いた製作物の運用に長けている。 本人は「空間情報への接触・侵入・干渉〈ハッキング〉」を得意とするようだ。 「???」 一応、外向きには「パソコンの中で感電死したゴキブリ」と説明しているが、 それは偽装能力である。 実態は、「都市伝説」から創造された「製作物」を保有しているようだ。 〔???〕 {使い勝手はお世辞にも良くない、らしい。 黒服V(くろふくう゛い) 『組織』所属の黒服。MとIの上司。 I曰く「泣く子も黙る鬼じょ、ゲッフンゲフン、美人上司ですよねぇ」。 「ラッキーストライク」 器物型都市伝説。但し、該当する煙草は自分で用意しなければならない。 Vは時折これを「幸運の一撃〈ラッキーストライク〉」と呼ぶ。 〔幸運の一撃〕 喫煙中に放った攻撃を、「確実に命中させる」。 霊体型や情報生命体型であったとしても、ダメージを与える。 その分の反動も少なからずあるようである。 「???」 {他にも、契約関係にあるものが存在するようだが……。 ページ最上部へ
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死の行軍 都市伝説の説明 レミング(タビネズミ)は個体数が一定以上に達すると集団で海や川に飛び込んで死ぬ、というもの。 「現象系」の都市伝説なので力を持つには人との契約が必要 契約による能力 「契約者が指定した生物と半径10km以内にいる同種族の生物を自殺させる」という能力 指定した生物が人でも契約者に効果は出ない 能力対象の生物達は24時間以内には自殺する 能力対象の人は能力が発動した時点で感情といえる感情は無くなる 制約は 指定する生物は契約者から5km以内で姿が認識できてないといけない 自殺方法は指定できない 24時間以内に拘束されているなど自殺できる状況にならなければ能力は解除される
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噂をすれば 都市伝説設定 設定はその9の時点のものです。 写真部 学校町西区の工業高校でひっそりと活動している。 活動内容は基本自由。コンクールに出たりもしない。 ホームページもあるらしい。 副部長 名前:服部琴葉(はっとりことは) 学校町西区の工業学校の美術科に通う高校2年生。 性格はいたって普通、人当たりはややきつい。 写真部の副部長をしている。 運動は出来るほう。 勉強は苦手。 髪は薄く茶色がかった黒、ストレートで肩の下まである。 『噂をすれば影』と契約している。 部長 長谷部映(はせべえい) 西区の工業高校の美術科に通う高校3年生。 ミステリアスな魅力のある美人。 副部長に対してはかなり傍若無人だが、他の下級生や赤の他人には意外と優しい。 写真部の部長 体力はまるでないが、なぜかスポーツは負け知らず。 髪はウェーブのかかった黒、肩口まである。 『カメラに撮られると魂が抜ける』と契約している。 ヒラ 平井容平(ひらいようへい) 建築科2年生 基本的にめんどくさがり。 割とお人よし。 勉強も運動もそこそこ。ただし要領がいい。 貧乏くじを引きがち。 都市伝説契約者 スケベ 足助透(あすけとおる) 機械科2年生。 アホの子。 スケベだが、発想が中学生レベルなのでそんなに変態ではない。 勉強ダメ。 運動はかなり出来る。 その4で『エロ本にバターを塗ると黒塗りが透ける』と契約する。 コナ 小長谷務義(こながやまさよし) 情報科1年 気弱なショタ系男子。 頭は悪くないが、発想が若干アホ。 運動も出来る。 小学校まで大阪に住んでいた。 しゃべる言葉は標準語。中学校のうちに直した。 『大阪人の体の半分は小麦粉で出来ている』と契約している。 けーちゃん 結城計子(ゆうきけいこ) 情報科1年 写真部会計 真面目ないい子 眼鏡をしたショートカット 図書委員 背が小さい 都市伝説については知っているが、今のところ契約はしていない そよ 蘇賀芳江(そがよしえ) 美術科2年 線の細い感じで和風美人のお嬢様 家は超お金持ちの名家 部の出席率は低い 成績は学年トップ 運動神経は絶望的・病弱 たまに常識が欠けている 『ペンローズの三角形』と契約している。 使い捨てキャラの方々 『ベッドの下の斧男』 都市伝説。契約者はいない。 びっくりするほど弱い。 その3でヒラに撃退されて以来、ヒラの部屋に居候している。 臼緒雄介 機械科2年 陸上部 性格悪い 一応部長のことが好きだったらしい。 足助魑 スケベの父 足助工業社長 人外クラスの怪力を持つ 豪快で、細かいことは気にしない性格。 足助衛 スケベの兄 大学1年生 弟同様運動神経がいいが、人の範囲内。 単純で熱くなりやすい。 足助福江 スケベの母 魑ほどではないが怪力の持ち主 技術を持っているので実質魑と対等 優しく、寛容な性格 ページ最上部へ
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【電磁人の韻律詩37~死線~】 前回の騒動から一週間後、明日真は 「解ったよ、恋路になら何されても……」 「えっマジで!?うっひょう!」 「かかったな、性別転換ガスを喰らえ!」 「うぼぁあああああ!……私は何をしていたんだ。」 というやりとりの末、なんとか処女を奪われるピンチを脱したのであった。 しかしこのことで自らの弱さを自覚した明日は都市伝説の力を強くする為の修行を始めることにしたのである。 とまあそんな訳で 「うわっ、予想以上にでかいぞ……。」 「所長って良いとこの子だったんだ……。」 明日真は上田明久の家を訪ねていた。 とてつもなく豪華な和風建築である。 上田明久は若い頃は貿易会社の経営に精を出していて相当儲けていたという話を彼等は太宰紫から聞いていた。 「良いの?押して良いのこのインターフォン!?」 「待て恋路、下手に押したら多分守衛さん的なのが飛んできて俺たち捕まるぞ!」 「むむむ……、こうなったら忍び込むしかないね!」 「ああ!こんな立派な家なんだから忍び込まなきゃ失礼……な訳無いだろ! それこそ不審者だよ!」 「はっはっは、冗談冗談。」 明日は緊張を隠しながらインターフォンを押した。 するとすぐに大きな門が開いて中からその門に負けないほどの大男が…… ゴツン 「痛っ!また頭ぶつけた……。 待っていたぜお前ら、まあ茶でも飲みながら話しようや。 ついてきな、かみさんが今は仕事でいないからドーナツ食い放題だ。」 出てくる前に頭をぶつけた。 サムライポニーテールの大男、上田明久は秋だというのに着流しで通していた。 よく見ると法治国家たる現代日本で堂々と帯刀している。 二人は明久に案内されて客間に通される。 何故か洋風の装飾である。 二人が座ると割烹着を着た女中さんがドーナツを出してくれた。 「で、修行をしたいって話は聞いたんだけどよ。 龍之介の遺言と一緒に渡された髑髏の仮面は持ってきたか?」 「ああ、これですか?」 「そうそう、それ。遺言の内容とかは聞く気無いんだけどそれだけが心配でな。 うん、……都市伝説の気配は無し。 野生化したのか……、戦闘で死んだのか……。」 「一体これがどうしたんです?」 「いや、奴の契約していた都市伝説の【死神】の本体がこっちに入っていると踏んでいたんだが……。 最悪破壊するつもりだったが俺の杞憂だったらしいな、それは君の物だからあとは自由にしてくれ。 あいつが自分の正義を誰かに押しつける可能性も捨てきれなかったからな……。 そんなこと書かれてても気にするなよ、人を殺してまで貫く正義なんて痛いだけさ。」 明久が熱いお茶をすする。 「杏奈のやつまた熱い茶にしやがった……」 なかなか飲めないところを見るとどうやら猫舌のようだ。 「……いや、遺言の中で自分の正義を継いでくれとは言われました。 その言葉は自分にとって忘れられないっていうか、すごく大事な物です。」 「じゃあなんだ? お前も太宰と同じ事をするのかい?」 「いいや、逆です。 絶対に人は殺さない、殺すなと言われました。」 「…………気になるね。全滅主義者のあいつがそんなことをいうのか。」 「自分は悪人を殺さないと正義を貫けなかった弱い人間だったと。 どうしようもない状況はあるがせめて殺さないで済むような相手を殺す弱い人間にはならないでほしい。 自分が貫いてきた正義は全てがではないがどちらかと言えば失敗だった。 これを君が読んでいるならば私は戦って死んだのだろう。 戦って死んだと言うことはまあ正義を貫きはした訳だ。 私が死んだ後は君が私と同じように正義の味方になって、 私の方法とは違う君だけの方法で、 正義の味方として戦い続けてくれ。 みたいなことを書いてました。一文一句暗記してた訳じゃないんですけど。」 「ほう、意外だなあ。でも、それなら心配無くお前に修行をさせられる。 修行の成果を人殺しの道具にされるのは気分が悪いしな。」 「宜しくお願いします。」 「うむ、あいつの願いでもあるし……。 家の馬鹿息子を叩きのめす有力候補だし、こちらこそお願いさせてもらおう。」 この間実に三十秒。 この短い時間でに明久は五つ用意されていたドーナツを全て食い尽くしていた。 二人は明久に案内されて和風庭園に出た。 庭の中心には離れが建っていて、その周りをぐるりと池が取り囲んでいる。 「俺のダチが言うには都市伝説には様々なタイプがある。 そしてそれと同じように契約者にも様々なタイプが居る。 都市伝説はその由来と超常能力によって、契約者は契約に対する適正によってタイプが分けられる。」 「契約容量のことですか?」 「それもある、だがそれだけじゃない。 都市伝説には一つの由来から解釈次第で様々な力を引き出せる物が多い。 契約者はどの方向に都市伝説を解釈するかがとても重要なんだ。 よく容量が大きければ一人でいくつかの都市伝説と契約出来るなんて言うが……、 “解釈”という観点から見るとそれはあまり効率が良くない。 契約者のタイプは俺の区分で大まかに分けると六つ。 強化、変化、創造、操作、放射、例外、だ。 俺は放射よりの強化型……とみせかけて例外。 刀剣型都市伝説以外では契約すら成立しない。」 「そういうのって判別方法があるんですか?」 「俺の眼力……ってのは嘘で気配っつーか匂いみたいなのがある訳よ。 少年は多分強化寄りの放射系だな。 嬢ちゃんは都市伝説だからまあ関係ないか。 我が息子はガチガチの操作、操作一つに特化している故に応用範囲が広い。 自らの肉体を操作して強化の真似事。 疑似空間を操作して例外の真似事、本物の空間操作なら例外カウントなんだけどな。 操作系は放射も普通扱えるらしいが残念ながらあいつは完全特化だ。 それが使えたという報告が来たことはない。 お前らの仮想敵である以上、しっかり覚えておけ。」 明日真は興味深そうに頷いている。 恋路はふと思い出したことがあって明久に質問した。 「そういえば呪いとかってどういう系統なんですか?」 「呪いは規模にもよるが例外区分だな、呪い系の都市伝説を上手く起動できるのは例外の奴だけだ。 例外だけは本当に例外なんだ。 区分しようがないから俺も適当に呼んでいる。」 「なるほど……。」 「さて、修行を始めたいんだが良いか?」 「何時でも大丈夫です!」 「良い返事だ、まずお嬢ちゃんは奥でのんびりお茶してろ。 お前もう十分強いだろ。」 「へ?」 「そして明日真!お前は俺に刀を抜かせるまで俺と勝負し続けて貰おう。 俺が刀を抜かなさそうだったら俺から刀を奪い取っても良いけどな。 ちなみにお前だけ都市伝説の使用は有りだ。 真夜中に家に侵入して不意打ちしても良いぜ。 制限時間は今から七日間。」 「へ?」 恋路は女中さんに案内されて家の奥に連れて行かれた。 「いやあの、七日間って……。」 「さて、お前がどこまでできるのか、まずは見せて貰うぞ。 さあ構えやがれ、すぐ構えやがれ。 お前のタイプは解っても実力だけは戦わないと解らないからな! さあ来い、『元テンプル騎士団』『死線』の上田明久が相手してやる!」 明日真は上田明久の笑顔を見て確信した。 ああ、こいつ戦いたいだけだと。 そもそも一目で相手の能力が解るような眼力の持ち主が戦うまで相手の実力は解らないなんておかしいじゃないか。 明日真はなんとなく騙されたような気分で構えに応じた。 「さて、先手は貰うぞ!」 目にもとまらぬ速さで明久が踏み込んでくる。 その手に刀はない。 明日はとっさにマイクロ波を周囲に展開する。 自らの突きだした拳にわずかな熱を感じて明久は後ろに下がった。 「ふむ、能力自体はパワー・スピード共に充分だな。 生物相手に特化した攻撃ってのも中々良い選択だ。 無生物の相手をするってこと自体がめずらしいことだもんな。 良いぞ、お前の攻撃も見せてみろよ。」 「……それじゃあ行きます。」 「駄目駄目、もっと気合い入れて来い。」 「……行くぞ!」 「佳し!」 明日は両手の平を上田明久に向けてマイクロ波を撃ち込もうとする。 だが明日真がとったその予備動作のみで攻撃を予知して、明久は真横に飛んだ。 明日の撃ったマイクロ波は和風庭園の池の水温をあげただけである。 「あっ、鯉が!高かったのに!」 「わわわわごめんな……」 「嘘だよ、前もって鯉は退避させてある。」 「うわ、しまっ……!」 ゴスン 明日真は二つのことに戸惑った。 まず真横に飛んだと思っていた明久がまるでワープでもしたかのように目の前に現れたこと。 そしてそれに反応して直接マイクロ波で攻撃しようと思ったら、 右に避けるモーションで左側面に移動されたこと。 だが戸惑う時間も彼には与えられない。 上田明久の拳が既に彼を捉えていたのだから。 当たり所がわるかったらしく明日真の意識は一瞬で刈り取られた。 「おお、この程度の嘘も気付かないとは情け無い。 戦闘中は相手の言葉に惑わされないなんて基本じゃねえか。」 気絶した明日を担ぎ上げると明久は恋路達の待つ部屋に戻った。 一方その頃 恋路の居る客間の空気は冷え切っていた。 恋路をここに連れてきた女中さんがとてつもなく無口で、まったくおしゃべりが続かないのだ。 そんな時に開いたドアはそれを開けた人間が誰であれ恋路にとっては救いだった。 たとえその人間が死にかけた彼氏を担いでいたとしても。 「あ、明久さん。修行は……って。アスマが死んだ!?」 「ごめん、予想以上に弱かった。死んでないから安心してくれ。 つーかなんだこいつは? 戦闘中に相手の言うことなんて概ね嘘だろうがよ騙されるなよまったくもう。 おい杏奈ちゃん、戸棚の薬とってくれ。」 「わかったのであります。」 「喋った!?」 「アンドロイドだ。」 「明久様、冗談がすぎてらっしゃりやがりますね。 お慎みくださりやがれば幸いです。」 「ちなみにこいつ超がつくほど人見知りだから注意してね!」 「いや、そのまえに何その口癖!キャラが立つってレベルじゃないよ!」 「だからお客様の前ではあまり喋りたくなかったのであります。」 「気にするな恋路ちゃん、敬語が少しおかしいだけで根は良い子なんだ。」 「いやいやいやそういうレベルじゃないよこれ!?」 「明久様、薬とはこれでよろしゅうござりやがりますか?」 「そうそうそれだよ。カッパの塗り薬のストックはたっぷりあるし大丈夫だよな。」 明久は真の脇腹、丁度彼の拳が突き刺さった場所に薬を塗る。 すると彼の肌に残っていた青あざが一瞬で消えてしまった。 「あの……修行って何しているんですか?」 「殴り合い。」 「どう見ても一方的なフルボッコにしか見えないのですが……。」 「まあ最初の三日くらいはそうだろうな。 俺によって人体のありとあらゆる場所を破壊され尽くすに違いない。 だが、人間の身体ってのは不思議なもんでなあ。 破壊から治癒の過程の中でどんどん強くなっていく。 骨も、肉も、内臓も、全部な。 とくに強化系寄りだろこの兄ちゃん? だったら都市伝説の力を使えば使うほどに身体が本能的にそれに最適化されていく。 俺が昔殺し合った電子レンジの能力者は体内の電流を増幅させて肉体強化とかやってたし、 まあまずはそれが出来るようになるのが目標だわな。」 「成る程……、ちなみにそれって何時のことなんです?」 「30年くらい前、イスラエルだったかなぁ? どこぞの軍人だったらしいけど煩いから切った。」 「………………。」 「お、彼氏が目を覚ましたぞ?」 「あれ、ここは……?」 「目を覚ましたか少年、さあて修行の続きだ。表出な。」 「え?え?うにゃあああああ!」 上田明久に引きずられていく明日真。 都市伝説による肉体破壊と超再生の繰り返しは確かに彼を強くするだろうが…… 「トラウマものだろうなあ……。」 後の精神的な影響が恋路は心配だった。 「明久様は本当に困った方なのでいらっしゃりやがりますよ。 私は最近この家で働き始めたばかりなのでありますが、 会社の仕事を奥様に任せて自分は筋トレと道場破りとオールドファッションしかしてないのでやがりますよ。 ああ、あと…………」 「あと?」 「いや、これは女中として言う訳にはいかないことなのであります。」 「まあ言えないなら良いんですけど……。 丁寧語とかそういうの良いですよ、杏奈さんの方が年上じゃないですか。」 「いえ、杏奈は三歳です。」 「はぁ?」 「涼はアンドロイドじゃなくてヒューマノイドなのです。」 「いや、どっちも同じな気が……。」 「ヒューマノイドとおっしゃって頂きやがってくれるとありがたいのです。」 「……ごめんなさい。」 「失礼いたしました、私としたことが取り乱してしまいました。」 ぺこりと頭を下げる涼さん、割烹着の袖からマシンガンがはみ出している。 ドアの隙間からお魚咥えたどら猫を明日真を引きずったまま縮地で捕獲する明久が見える。 ああやはり上田明也が育った家だけはある。 本当に人外魔境だ。 こんな家で育てば誰でもあんな変人になるに違いないと恋路は思った。 「さーて少年!ギリギリ意識はあっただろうしさっきの話は聞いていたな!」 「マ、マジで全身破壊ですか?」 「勿論だ!お前がそれを防げるくらい強くなれば良いんだぜ?」 「無理だ……。」 「それじゃあ行ってみよう。 次は俺真っ直ぐ歩いて近づいてくるから熱くて近づけなくなるまでマイクロ波を撃ちまくれ。 次は腕折るぞ腕ー、間接も少々の事じゃ破壊されないくらい柔軟にしてやる。」 「いやあああああああああああ!!」 明日は恐慌状態でマイクロ波を撃ちまくる。 だが薄もやのようなもので明久の身体が包まれたかと思うと明久はその嵐の中を悠然と歩いてきた。 「ふむ、持続力が足りないなあ。 威力は良いとして攻撃にむらがある、やっぱ強化系だなお前。」 「く、来るなああああああああああ!」 「おいおい、お前らの事情はサンジェルマンから聞いているけど、 俺の息子を倒すならこの程度でびびってちゃ駄目だぞー。」 「助けて恋路いいいいい!」 「男なら彼女に頼るな!はいタッチ。」 「うわああああああああああ!!」 ポキッ 青空に間接やら骨やらの折れる素敵な音が響き渡った。 どうやら明日君の修行はまだまだ続きそうである。 【電磁人の韻律詩37~死線~fin】 前ページ次ページ連載 - 電子レンジで猫をチン!
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セイバー アーチャー ランサー オラン・イカン ライダー キャスター コトリバコ アサシン メリー アルタマ・ハ ナウエリート バーサーカー エクストラクラス
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夜の空を魔女が飛ぶ 箒にまたがる魔女一人 街を見下ろし、飛び回る 「ひっひ……相変わらず、夜もきらびやかだねぇ?」 繁華街の上空を飛びながら、魔女は1人、そう呟く 北区などはそうでもないが、この繁華街の辺りは、夜でもきらびやかで、まるで昼間のように明るく感じる …人間は文明を発達させ、夜を恐れなくなった 夜の暗闇を作り出した光で照らし、恐れなくなっていった 本当に、恐れていない? それは違う、と魔女は思う 本当に恐れていないのならば…都市伝説は、生まれやしない 人間が本能的に闇を恐れるからこそ、都市伝説は生まれ続ける 少なくとも、魔女の一撃たる彼女はそう考えていた だからこそ、夜の明るい街の上空を飛ぶのが楽しいのだ …畏怖すべき対象から目を逸らし、明るさを保つ事でそれを忘れようとしているその様子が、滑稽で仕方なくて それでも、適当に飛んで見下ろしたら、後はすぐに帰るだけだ 目撃されても面倒である ………ただ この日は、いつもと違った 迫ってきた気配に、感じた悪寒 急浮上し、超スピードで接近してきたそれを避けた まるで、竜のような巨大な生き物が、一瞬前まで魔女が飛んでいた場所を通過していく その尻尾の先では、ちろちろと赤い炎が燃えていた 「ひっひっひ……話に聞いている、カイザーとか言う都市伝説かい!」 ぐぉおおおおおおおおん!! 魔女の言葉に答えるように、竜……カイザーが吼えた 背中には、誰も乗せていない だが、カイザーの契約者は、恐らくこちらが見えている位置にいるだろう、と魔女は推理した どうやら、契約者が指示を出す必要がある都市伝説であるらしいから、相手がこちらを見えていなければ意味がない …もっとも、カイザーと契約者が視覚を共用できると言うのなら、別なのだが… おぉおおおおおん!! カイザーが吼える その口の中で、ちろちろと炎が燃えていた 「…っひっひっひぃ!まともに戦っても勝ち目はなさそうだねぇ?」 ならば まともに戦わないに、限る 魔女は、懐から小さな子瓶を取り出すと、カイザーに向かって投げつけた 炎が吐かれる直前にカイザーに当たった小瓶は、ぱりん、と割れて薬品をカイザーにぶちまける ぐぉおん!? 途惑った鳴き声をあげるカイザー 体の自由が利かなくなったのだろう、飛び方がおかしくなる 魔女が投げつけたのは、麻痺薬だ しばし、体が痺れてうまく動けない事だろう ……うっかり、地上に落ちたらどうするのか? まぁ、その時はその時だ 多分大丈夫だろう、多分 万が一の時は、「組織」がどうにかするだろうし そう、他人事のように考えながら、魔女はさっさと逃走しようとした …………しかし ぐぉおおおおおん!!と再び聞こえてきた咆哮 直後、魔女を灼熱の炎が掠った 「おぉっと!?………もう、回復したってのかい!?」 見れば、カイザーは既に体の自由を取り戻していた …おかしい いくらなんでも、早すぎる ぎらり、爪を剥き出しにして、飛び掛ってくるカイザー ひらり、ひらり アクロバティックに飛び回りながら、魔女はそれを避けて…再び、麻痺薬を投擲した ばりん!と小瓶がくだけ、薬がカイザーを襲う 再び、体の自由を奪われたカイザーだったが… …ぴろんっ♪と どこからか、電子音のような音が、響いた様な気がした どこからか現れた、小さな薬瓶 その中身が、カイザーの口に注がれて 次の瞬間、カイザーは体の自由を取り戻す!! 「っちぃ!!…ゲーム系の都市伝説、とか言ってたねぇ。まさか、ゲーム自体と連動しているのかい!?」 ゲームから生まれた都市伝説 もし、その本体が、ゲームの中に存在するとしたら? 傷ついても、毒や麻痺を喰らおうとも …ゲームの中でアイテムを使えば、回復する? 「冗談じゃないよっ!?」 ますます、自分では歯が立たない 魔女は、何とか逃げ道を確保しようとするのだが、カイザーは執拗に魔女に襲い掛かってくる 契約者を探すのだが…どこにいるのか、わからない 恐らく、繁華街のどこかのビルの屋上辺りから見ているのだろうとは思うのだが… どうする? 仲間に助けを求めるか? だが、空中にいる自分を助けられる仲間など… ………いや 「…ひっひ。いいタイミングで来てくれたねぇ?」 空が、曇りだす 雲一つなかった夜空が、暗雲で埋め尽くされていく ばちっ、ばちっ、と その雲の中で…かすかに、雷が光った 「----サンダーバード!!」 魔女の一撃の呼びかけに、答えるように カイザーに向かって、特大の雷が落とされた ばちばちと、雷がカイザーの体を焼いた 雄叫びを上げて、カイザーはビルに向かって落下していく 「……っとと!?」 雷の衝撃は、あまりにも大きくて その衝撃破に、魔女の体も吹き飛ばされた 慌てて、体勢を整える 「---っぶな……ひっひ、でも、助かったよ」 空を見上げて礼を言うと、ごろごろと雷が鳴った …とりあえず、助かったようである ほっと、息を吐いた 「わたしゃ、ただ空を飛んでいただけなのにねぇ?………問答無用とは酷い相手だよ、まったく」 ……とまれ 相手が、想像以上に厄介らしい事はわかった 恐らく、サンダーバードの雷で焼かれたとは言え……また、復活してくるだろう 魔女の一撃は、さっさと教会まで逃げ帰る事にしたのだった そして 魔女の一撃の予想は、当たっていた 「げんきのかけら」 ぴろんっ♪ 「まんたんのくすり」 ぴろろんっ♪ 黒焦げになったカイザーだったが…契約者たる竜宮がゲーム内でカイザーにアイテムを使っていくと、それに連動するように、カイザーの傷が癒えていく あっと言う間に、元の姿に戻る 「ドラゴンタイプも持ってるから、でんきタイプの攻撃にも強いんだけどなぁ……うーん、もっと気をつけないと駄目だね」 ぴこぴこ、旧式のゲームボーイを弄り、カイザーのステータスを見ながら、竜宮は考え込む 「「そらをとぶ」は秘伝技だから忘れられないとして…んー、「かえんほうしゃ」「きりさく」「はかいこうせん」じゃなくて、技を入れ替えてみようかな…?」 むむむ、と少年は1人 己の契約都市伝説の技の選択に、悩むのだった to be … ? 前ページ次ページ連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち
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目の前の液体を手ですくい、飲んでみる。 まずい。鉄っぽい味がする。喉に絡んで気持ち悪い。 殺人鬼の中にはコレを飲んでいた人間もいたらしいが、よくもまあこんな物を飲めたものだ。 さて、目の前に横たわるこの死体。どうしようか。 学校帰りに近道に通った路地裏で見つけた女性。 ん?下半身が切り裂かれてるな。 「強姦の証拠隠滅か、趣味で持ち帰ったのか……」 「それはそういうモノなんだよ」 背後から声をかけられた。 振り返るとコート姿の外国人。手にナイフ。返り血。 「なんだ、切り裂きジャックか。」 「なんだ、とは失礼だねぇ。と、言うより君は怖く無いのかい?」 「何が?」 「何が、って……私はその女性を殺した犯人で、都市伝説だよ?」 「あぁ、そんな事ですか。そういう血筋なんで」 「……?」 「な、何してんだお前ら!?」 「んぅ?」「おや?」 声の方を向くと、ふむ、中学生ぐらい、僕と同じぐらいの男の子。それと手を繋いでいる小学生ぐらいの女の子、あれは花子さんだな、たぶん。 「そ、そこの男、都市伝説だな!お前らがその人を殺したのか!?」 少年が死体の女性を指差しながら叫ぶ。 んー。んー? 「あれ?お前ら、って事は僕も犯人扱い?なんで?」 「……先程から気になっていたのだが、何故君の口のまわりは血まみれなんだい?」 ジャックが話しかけてくる。 「さっき血を飲んだから。」 「……何故」 「どんな味か試してみたくて」 「理解に苦しむ」 切り裂きジャックにそんな事言われるとは思わなかった。純粋な探究心なんだから、こっちの方が断然健全だと思うんだが。 でも確かに、手も血まみれだし、学ランにも血ついてるし。ジャックと並んだら仲間と思われるか。 「お前らが殺したのかって聞いてんだよ!!」 んー、さっきから「あなたさっきから五月蝿いですね。」 おや、ジャックと意見が一致した。 不意にジャックが走りだす。 「え?うわっ!?」 少年を蹴り飛ばすジャック。都市伝説の力で蹴られた少年は数メートル地面を転がり、うめく。 その間にジャックは都市伝説の方、花子さんを一瞬で地面に捩伏せ、 その首に、朱く煌めくナイフを振り下ろ 「ストップ、ジャック!!」 花子さんの首にナイフが刺さる寸前でジャックの手が止まる。 「何ですか?君は私の契約者ではないんですから、命令する権利はありませんよ。」 「ちょっと試したい事があって。その子を殺せなかったら僕を殺して良いから。」 「…………数分だけ待ちましょう。」 「ありがと。さて少年」 ジャックの蹴りの痛みがやっとひいたのか、起き上がりだした男の子に声をかける。 「花子さんを殺した後、君は死ぬ。」 「な!」 男の子が驚いたような声をだす。 「でも、チャンスをあげよう。」 「チ、チャンス?」 男の子から目を逸らさず鞄から手探りでアレを取り出す。 「ここに拳銃がある。」 黒光りするソレを男の子に向ける。 「僕が五秒数える。そして撃つ。その五秒の間に君に与えられた選択肢は二つ。 逃げるか、撃たれるか。」 男の子が怪訝な顔をする。ふむ、まだ理解できていないらしい。できの悪い子だ。 「つまり、そこの君が契約している花子さんを見捨てて逃げるか。僕に一発撃たれる覚悟でこの銃を取りにくるかって事だよ。 僕から銃を奪えば、そこの花子さんを押さえ付けている都市伝説を撃てばいい。都市伝説だって撃たれたら無事じゃすまないだろう。隙をついて花子さんと逃げればいい。 僕は君の心臓を狙うから、君は死ぬかもしれないけどね。」 逃げれば、確実に花子さんは死に、自分は助かる。 逃げなければ、高確率で自分は死に、花子さんが絶対に助かる保証はない。が、もしかすると、二人とも助かる可能性もある。 「さて、君はどうするかな?」 男の子が震えながら、花子さんの方を見る。 「おに……ちゃ、たすけ……」 男の子の視線に気づき花子さんが助けを求める。 花子さん、あんなに涙目になって………… まるで本当に生きているみたいじゃないか。 「ああ、そうだ少年。」 僕の呼びかけに男の子がこちらに顔をむける。 「君は漫画でしか見た事ないだろうけど、本物の銃で撃たれたら、さっきの蹴りの数倍は痛いよ?」 僕の言葉に、ジャックの蹴りを思いだしたのか、男の子の顔が青くなる。 「さて少年、心は決まったかな?」 そして、五秒を数えた。 「私は君と契約しようと思うのだが。君、名前は?」 切り裂きジャックが口を開く。 「契約?また突然だね。下の彼女はほっといて良いの?浮気はダメだよ?」 ジャックの下には花子さん。 少年は、逃げた。 「予想より早く逃げたな。まさか二秒目数えるより早いとは……」 手にした黒光りするモノを見つめる。 パンッ と、気まぐれに花子さんの顔の近くで発砲。手に伝わる軽い感触。響く安っぽい音。放たれたプラスチックの玉。 「一般人が本物の拳銃なんか持ってるはず無いのにねぇ。」 目に涙を溜め、しゃくり上げる花子さんに話しかける。 「ごめ、なさ……たす、ヒック……たすけ……て、ヒック、エグ」 あ、人の話聞いてない。 「助けを求めているぞ?マスター」 どうやらジャックの中では、契約は決定事項らしい。マスターて。 「……助けて欲しいの?」 花子さんに問う。 「ヒック……うん、グスッ」 「んふふ、じゃあジャック、『好きにして良いよ』」 「では、好きなように殺そう」 おやー、助けても良かったのにー、ジャックが殺したいなら仕方ないなー 契約する都市伝説の意見は大切にしないといけないしなー、うんー、仕方ない仕方ないー。 さて、そろそろ帰るか。 「マスター、まだ君の名前を聞いていない」 「んぁ、そだっけ?王隠堂すみれ。よろしく」 「よろしく、マスター。…………すみれ?」 ジャックが花子さんを解体しながら首をかしげる。 「あぁ、この学ランは趣味だよ」 僕は正真正銘、女である。 終
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【上田明也の協奏曲32~月夜に踊る踊る踊る~】 俺の契約する都市伝説にはまだ進化の余地がある。 これから戦いがよりいっそう激しくなることが予知される現在、俺はその進化をせねばならない そう結論した俺は夜中こっそりバイクで事務所を抜け出して特訓をしようとしていた。 努力をしなければ進化なんて、より強くなるなんてありえないからだ。 「…………さて、」 とは言ったものの何をしよう。 真夜中に一人で近所をうろうろするって完全に痛い高校生じゃないか。 夜の散歩で己の影に向かう俺かっこいいーってか? おお寒い寒い。 ――――――――――真面目に考えると 都市伝説の能力でまだ使ってない部分を引き出すか もう使っている部分を更に強化するか 自分がやれることはそのどちらかである。 自分は都市伝説の中でも“操作系”の都市伝説能力の扱いに適正があるらしい。 更に“操作系”に対する飛び抜けた才能から説明のしようがない系統の都市伝説能力も引き出せるそうだ。 逆に何かを“変化”させる能力や 有りもしない物を“作り出す”能力、 そして自らの身体を“強化する”能力も引き出しづらいらしい。 さて自分は都市伝説の“操作する”能力を引き出したが、それ以外には大して何もしていない。 ならば自分は操作系以外の能力を試しに引き出してみれば良いのではないだろうか。 「月の綺麗な晩だなあ……。」 何の気無しに空を見上げると月が綺麗だった。 赤くて黄色くて青くて黒くて白くて明るい丸い月。 さっきまで自分は何を考えていたのだかも忘れてしまいそうだった。 そうだ、俺は月夜の晩に散歩するといつもなにか出会いがある。 今日もそれを待つとしようか。 「イヤアアアアアアアアアアアアア!」 ああ、どこかで誰かが襲われている。 まあとりあえず助けに行ってみるか。 本当に助けるかどうかは襲われている人間見てから決めればいいし。 そもそもあれが今日の俺に与えられた出会いかもしれない。 俺は悲鳴の方向にバイクを走らせた。 俺が見たのは芥子色のセーターを着た女性に襲いかかる首無しライダーだった。 暗くても俺にはよくわかる、あの変態的なファッションセンスを除けば中々好みのタイプだ。 いいやむしろ! 可愛い女の子はちょっと変人なくらいの方が萌える! なぜなら親しみが持てるから! 俺は女性を守るようにその首無しライダーを奴のバイクごと我が愛車IMZ・ウラルwithサイドカー(戦闘仕様)で挽き潰す。 目前の敵の骨を粉砕撃滅するいい音が響いた。 「ライダー!ヴィア・エクスプグナティオ!? 私がマスターにでもなるの?」 何を言っているのだろう、頼むから日本語で話して欲しい。 「……ライダーって、仮面ライダー?」 「え、あ、……何でもないです。ってあれ? よく見たら貴方は…………。」 「お久しぶりです看護婦さん。お変わりありませんか?」 「今は看護師なのです。」 ――――――――――ていうか、知り合いだったのだ。 彼女は俺が先日起こした病院破壊事件で病院の建物が崩落する所に巻き込まれた看護婦だった。 俺が思わず助けてしまった後、精神が錯乱していたので放っておいていたのだが……。 「いやあそれにしても探偵さんには二回も助けられてしまいましたね。」 「なに、趣味でやってるから気にしないでください。 それよりもこの辺りは危ないですから……良ければ送りましょうか?」 「いやいや悪いですよ。 三回もお世話になってちゃ申し訳ないです。」 「それを言ったら俺だって前に病院で迷った時に道案内して貰っていますから。」 「ああ、そうだ! そういえばあの患者さんは今日退院でしたよね!」 「そう……ですね、まあ忙しくて中々あれ以来見舞いにも行けなくて……。」 「それは駄目ですよ、あの子……純ちゃんでしたっけ? 絶対探偵さんのこと好きですよ、罪な人ですねえあんな小さい女の子にまで好かれるなんて。」 「ははは……そうなんですかね?」 「そうですよそれは。」 「なのかなあ?あ、こっちのサイドカーに乗ってください。」 「わぁ、サイドカーなんて始めて乗ります!」 サイドカーに乗り込む看護婦さん。 ところで、サイドカーは運転席より少々低いところにある。 セーターで解らなかったが、上から見ると中々どうしてたゆんとしていらっしゃる。 素晴らしいことだ。 胸は無くても良いが有っても良い。 どちらにせよ均整のとれた麗しい形であれば良いのだ。 でも、この大きさは素晴らしい。それだけで一つの美として認めざるを得ない。 偶然にも立ったこのフラグは大事にせざるを得ないだろう。 修行なんて後回しだ。 友情・努力・勝利とか目の前のおっぱいに比べたら犬の餌なのだ。 「住所は?」 「えっと、北区の外れですね。ハッピーピエロ北区店の近くです。」 「了解。」 バイクは静かに走り出す。 月をかげらせる雲が伸びて辺りは急に暗くなっていた。 「そういえば探偵さん、探偵さんって何者なんですか? ビルを爆破してみたり空飛んでみたり……。」 「え、俺は探偵ですよ。ビル爆破したり空飛ぶだけの。」 「そうですか。」 「そうですね。ところで俺だけ質問されるのもあれなので俺から質問しても良いですか?」 「はい、どうぞ。」 「看護婦さんの名前を教えてください。」 「看護婦さんは看護婦さんです。」 「俺が聞いたのは名前です。」 「そうですか、じゃあ倉光とでも呼んでください。」 「解りました看護婦さん、じゃあそういうことにしておきます。」 「それじゃあ今度は私の質問です。 私をさっき襲った首の無い人は何者だったんですか?」 「都市伝説と呼ばれる物です。あれは首無しライダーかな?」 「なるほどなるほど……。」 何時の間にか質問合戦のようになっている。 面白い、俺と質問合戦しようなんて俺を知る人間は考えない。 だが今俺の前の前にいる彼女は俺をあまり知らないのだ。 ならば良いだろう、どうせだからとことん遊んでやろう。 まずはどれくらい狂っているのかを試すか。 「看護婦さん、あの事件の時に貴方は人命は軽いと言っていましたが……。 本当にそうなんでしょうか?」 「それはそうですよ、だってあんな良い人だった院長先生が死んでしまうんですもの。 だったら人間の一人や二人、簡単に死んでも構いませんよね。」 交互に質問をするというルールを無視してたたみかける。 「人間の一人や二人死んでも良い、それは正しいのでしょうか? 貴方はさっき襲われて悲鳴をあげた。 前に貴方を助けた時も貴方は恐怖だけでなく安堵の色を見せていた。 貴方自身は死にたくないんじゃないですか?」 「それはそうですよ、私はまだ死にたくないです。」 「貴方は人間じゃないですか。」 「ええ、人間です。人間だけどそれ以前に私です。」 「ふぅん……、そうですか。」 「じゃあ私からの質問を……。」 「ああ、【ちょっと待って】ください。」 狂う素質が有るかどうかのテストは及第点だ。 バイクを運転しているくせに隣に座っている彼女の瞳を覗き込んでお願いをする。 決めた、この娘で遊ぼう。 「もう、仕方ない探偵さんですね。」 「ありがとうございます。いや、【貴女に興味が出てきた物ですから】。」 言葉が浸透していく。 俺の言葉が、俺の気持ちが、相手の意志を無視して浸透していく。 相手は内側へ入り込んできた俺の気持ちを何時しか自分の気持ちと取り違える。 そして俺は相手のわずかな言葉から相手の気持ちを想像し、自分の中に取り込む。 勝手に想像して勝手に取り込んだ物を相手の内側にまた流し込む。 フィルターを使って都合の良いものだけを抽出するような作業。 「貴女は人間だけどそれ以前に自分は自分だと言いましたね。 だから人間が死んでも良いけど、自分は死にたくない。 ふむ、そうですよね。 世の中なんて無くなっちまえ、ただし自分除いて。 良くある話だ。 でもね、無くなっちまえとか、死んでも良いとか、 そんなこと考えている時にそう思っている対象って大抵人間全体じゃないんですよ。 むしろ人間ですらないことが多い。 貴女だって本当に無価値に思えたのは人間の命じゃない。」 「じゃあなんなんですか?」 「都市伝説のような非日常ですよ。 貴女が尊敬していた太宰院長の命を、尊い命を容易く奪った非日常。 貴女が非日常と言う言葉にどんな価値を認めていたか私には解らない。 でも心優しい一人の老医師の命をあんな簡単に奪う物ならば、 非日常という存在には価値なんてない。 そんなものただただ陰惨で残酷なだけだ。 そう思って貴女は非日常に絶望した。 でもそれを認めたくないから、貴女は人の命の価値がないと言うことにした。 …………なんて、戯れ言ですよ。探偵って仕事やってるとつい、こんな馬鹿なことを言ってみたくなる。」 自分で言っておいてあれだが自分は何を言っているのだろうか。 非日常の無価値さを認めたくないから、人の命の価値をおとしめて自らの平衡を保った。 だとしたら彼女はどれだけ非日常に夢を抱いているのだ。 「…………じつは、そうなのかもしれません。」 え゛っ? ……えっ? ―――――――ええええ!? どんだけ非日常に夢抱いちゃっているのこの子!? 「私、小さい頃から絵本が大好きだったんです。 お伽噺には何時でも出てくるじゃないですか、白馬の王子様。 ああいうのが何時か自分にも来てくれると信じて生きていたら何時の間にか大人になっていて……。 今も実家に暮らしていて両親に迷惑かけ続けで…… 趣味なんて絵本の代わりに何時の間にか嵌っていたゲームしかなく……。 女子力ダウンってレベルじゃない残念な現実ですよ。 そしてそこから逃げる為にまたゲーム等に逃避して……。」 たゆん 再びチラリと胸を見る。 あなたの女子力はどうみてもMAXです。 完全にカンストどころかオーバーリミットしてメーター振り切れているので安心してください。 「でも看護婦さん。俺思うんですが逃避するって悪いことですかね?」 「えっ?」 「俺なんてそこそこまともな家の生まれだったのですが家業が嫌で逃げ出しました。 商才だけは両親に似たらしくって探偵事務所は切り盛りできているんですけど…… まあこれも逃げですよね。 あと昔付き合っていた女性が最近結婚するらしいんですけど、 その結婚相手が俺のことをある理由から滅茶苦茶恨んでいてデスねえ……、、 なんていうかこのまま放っておくと後々面倒になりそうなんですけど俺は何も出来ていません。 まあこれもまたまた逃げですよええ。 とまあ学校町の名探偵と名高い笛吹さんですらこれですよ。 人間ってのはむしろ逃げない方が難しい。」 「名探偵……?」 「さっきの首無しライダーみたいなの退治して回っているんですよ。 料金は応相談、名刺には書いてませんけどね。 ちなみに暇な時は浮気調査やら失せ物探しやら人探しやらやってます。 都市伝説っていうかそっちの筋ではそこそこ有名なんです、そこそこ。」 「へぇ……。」 「で、まあさっきの逃げる逃げないの話に戻りますけどね。 現実から逃げるのは決して悪くないです。 ただ追いつかれるだけなんですから。 ただ追いつかれた時に痛い目に遭うだけですから。最悪振り切ればいい。 此処で問題なのはまたも貴女の言葉が貴女の心理を正確に表していないことなんです。 あなたは貴女が逃げているのは現実じゃなくて日常です。 ストレスの多い普段の生活から逃げたいと思っているだけです。 でも、貴女が逃げ道にしていた非日常も今回の事件で最低だと解ってしまった。 だから貴女は人の命の価値を切り捨ててまで非日常という自分の為の逃げ場を維持しようとした。」 「探偵さん、気になるんですけど……。」 「なんですか?」 「探偵さんが私を分析したことで私は日常にも非日常にも逃げ場がなくなっちゃったんじゃないですか?」 「いいえ、貴女はこれからも非日常を逃げ場にし続けたらいい。」 「え、だって私がもう非日常にも絶望しているって言ったじゃないですか。」 「ええ、でも日常と非日常は違います。 非日常は自らの意志で変えてしまいやすい。 日常は貴女以外にも沢山の貴女と関係有る人間が干渉してきます。 家族とか友人とか同僚とかですね。 そうするとそれを変えることに遠慮するでしょう? でも非日常ならそんな心配要らない。 なんせ貴女の非日常を知るのは私と貴女だけだ。 貴女は貴女の望むように貴女の非日常を楽しめばいい。 たとえば……、コスプレしてさっきみたいな都市伝説を倒してみるとか。 軽くヒーロー気分ですよ?」 「そんなの無理ですよ、だってあんなお化けみたいなの倒せる訳無いじゃないですか!」 「それが】【貴女の】【思い込みだ。」 なんとなく、遊びが最終段階に入ったと感じる。 あと少し方向性を示すだけで彼女は完全に狂う。 「そもそも都市伝説を倒すなんて簡単だ。 貴女も都市伝説の力を借りればいい。 いいや、それすら必要ない。 たとえば銃弾で眉間をぶち抜く。 もしくは毒薬でこっそりと命を奪う。 あとは俺みたいな人間を騙して都市伝説を無料で倒させても良いかもしれない。 まあ方法は任せますけど。 ありとあらゆる都市伝説について調べ抜いてその攻略法を探求していけば…… 極論ですが、只の人間でも都市伝説は倒せる。 そもそも妖怪だのお化けだの都市伝説の元になったもの達は 『人間に退治される為に生まれた』存在だと言われていますから。 彼等も所詮人間の望みから生まれた以上、人間に消されるのが宿命なんでしょうね。」 「…………なるほど。」 「わかってくれましたか? 只の人間だからって非日常に巻き込まれるだけである必要は無い。 むしろ楽しまないといけません。 物事は何でもハレとケがあります。 非日常を自分の望むように変革すれば、きっと楽しい人生を送れますよ?」 俺は微笑む。 彼女の顔が輝く。 眼と眼があってそこに一瞬の間が生まれた後、彼女は口を開いた。 「なるほどなるほど……そうですね! 最初からそうすれば良かったんだ、ありがとうございます!」 ――――――――――――――ああ、完璧だ。 もともと狂気に陥る素質が有る人間を完璧に堕とすのは何時でも楽しい。 だって彼等が本当に幸せそうにしてくれるから。 俺の作業が終わるとそこから先はたわいもない世間話をした。 お気に入りの中華料理店とか、お気に入りの麻婆豆腐とか。 そうやって話している内に何時の間にか彼女の家の前までついていた。 「困ったことがあったら何時でも言ってください。 これ、私のプライベートの方のメールアドレスと携帯の電話番号ですから。 都市伝説の倒し方までなら無料で教えられますし。」 「わぁ、ありがとうございます! あれ……今携帯もって無いんですか、赤外線通信の方が早いですよ?」 「そういえばそれもそうか。あんまりやったこと無いんだよなあ……。 これで大丈夫ですか?」 「はい、ばっちり登録されました!」 おいおい、白衣の天使のメアドゲットできちゃったよ。 流石俺、流石名探偵俺。 故意……じゃなくて恋の行方も操作……じゃなくて捜査しちゃうぜ!ってか。 「それじゃあ今日はここのところで。」 「はい、今日は本当にありがとうございました。 今度こそお礼させてくださいね、その中華料理店とかでご飯でもごちそうさせてください。」 「良いんですか?嬉しいなあ、無駄遣いして今週ピンチだったんですよ。」 今週ピンチとか当然嘘ですごめんなさい。無駄遣いなんてする性格じゃないです。 自分が持っているビルのテナント代も入っているのでほくほくです。 でもちょっとだらしないところを見せた方が良いじゃないですか、可愛らしく見えて。 心の中で看護婦さんに謝りながら俺はMZ・ウラルで事務所に向けて走り出した。 【上田明也の奇想曲32~月夜に踊る踊る踊る~fin】