約 3,425,532 件
https://w.atwiki.jp/legends/pages/3438.html
中央高校 学園祭の終わり 打ちあがる花火を、中央高校校長 出道 桐男は上機嫌で眺めていた 「うんうん。今年も知り合いの花火職人に依頼してよかったなぁ」 桐男の父親は陰鬱で暗いものを好むが、桐男は賑やかで華やかで愉快な事が大好きだ そんな彼にとって、この中央高校の学園祭は年に一度の楽しいお祭であり、半ば、この学園祭の為に中央高校にとどまり続けていると言ってもいい だからこそ、この伝統を護り続けるべきだと思っているし……この中央高校を、護るべきだと思っている 「うーん、結界は張ったんだけどね。それでも、君みたいなのが来ちゃう訳だ。「組織」の過激派さん?」 …トイレの窓から花火を見上げていた、彼の背後に立つは、「組織」の黒服 それも、過激派に所属している存在だ 彼は小さく舌打ちし、桐男を睨み続ける 「…いい加減、この厄介な結界、解除してくれないだろうか?」 「嫌だよ。解除したが最後、僕を殺すんだろう?」 黒服の言葉に、あっさりと答える桐男 桐男がはった結界の力によって、今、この中央高校敷地内において、戦闘行為をとる事はできないのだ 黒服のほうを見もせずに、続ける 「そんなに、僕の事が邪魔かい?僕はこの高校と、生徒達を護っているだけのただの校長だよ?」 「さんざん、我々の邪魔をしておきながら、よくもぬけぬけと…!」 「だってさぁ、君達が、生徒に害を及ぼそうとするから」 桐男は、肩をすくめて見せる そんな桐男の態度に、黒服は苛立ちを隠さない ……もう、いい 戦闘行為が行えなくとも、自分を飲み込んだ都市伝説ならば、こいつを何とかできる そっと、小さな音楽プレイヤーを取り出す黒服 これに録音している「暗い日曜日」を聞かせれば、この男を自殺させる事くらい、容易い 結界の能力による「殺人・傷害を禁ずる」にも引っかからないはずだ 「組織」において最強クラスの戦闘力を持つ、穏健派所属のヤンデレが、この高校の関係者には手を出すなと言っているらしいが……知ったことか!! ヘッドフォンを、桐男につけようとする黒服 しかし それよりも、先に 「……校則、解除」 桐男が、小さくそう呟いた 学校敷地内に張られた…桐男の契約都市伝説による結界が、解除される 「これって、僕も影響下におかれるからねー。君を攻撃できないから」 ---どぉん、と 花火が打ちあがり続ける中 くるり、桐男は、自分に接近してきていた男に振り返った 「あ、それ、聴きたくないなぁ。多分、自殺させるような音楽聴かせる気でしょう?うん、正当防衛になるよね」 「このっ……!?」 …結界をといたのならば、まだるっこしい事をする必要はない 黒服は懐から光線銃を取り出し、桐男に向けて… 「はーなこさーーん」 楽しげに、桐男がその名前を呼ぶ その行為に、黒服ははっとして、トイレの扉に視線をやった …出道 桐男 二つの都市伝説の、多重契約者 その、一つは…… 「「学校の七不思議」による、召喚かっ!?」 急いで、トイレの扉から離れた黒服 …そう 出道 桐男が契約している都市伝説の一つは、「学校の七不思議」 学校の七不思議として語られる怪異を、一日に…少なくとも、六つまで使用できると言うもの 今、桐男は「花子さん」を呼んだ すなわち、彼は花子さんを召喚した事になる テリトリーであるトイレにいるのは、まずいっ 「はーぁーーーいーーー」 帰ってきた、可愛らしい少女の声による、返事 黒服は、扉が開き、花子さんが現れる前に、トイレから脱出しようとして… 「っな!?」 ぬぅっ、と 飛び出してきたそれに驚き…あっけにとられ、足をとめてしまった トイレの個室から飛び出してきたのは、花子さんたる可憐な少女 では、なく 「と、蜥蜴ぇ!?」 どう見ても、頭が三つある、体長3メートルくらいのオオトカゲです 本当にありがとうござました 「あーそーびーまーしょー」 その、蜥蜴の三つの首が 愛らしい、可憐な少女の声で、喋ってきて ばっくん、と あっけにとられていた黒服を、飲み込んでしまった もぐもぐもぐ ごっくん 「ごちそうさまでしたー」 「うん、ありがとう、花子さん」 「どういたしましてー」 ずるずるずる トイレに戻っていくオオトカゲ …どう考えても、物理法則的にトイレの個室に入ることは不可能そうなのだが、そこにちゃんと入って消えていく ……非常に、非常にマイナーなのだが、「花子さんの正体は3つの頭を持つ体長3メートルの大トカゲで、女の子の声で油断した相手を食べる」という説があるのである よりによって、桐男はそれを召喚したのだ 一つの都市伝説でも、諸説様々な話が語られていれば、どれを扱うかも選択できる ……これが、桐男が契約している「学校の七不思議」の強みだ もっとも、その特性上、学校敷地外ではほぼ無力なのが欠点と言えば欠点だ もう一つの都市伝説も、学校敷地内においてのみ効果を発揮する都市伝説である為、学校敷地内から出た桐男はただの人間と変わりない …その代わり……学校敷地内において、ほぼ、最強 それが、この出道 桐男なのだ 花子さんに食べられた過激派黒服の最大のミスは、そもそも、この中央高校敷地内において、桐男を襲撃したという点だったのだ 「…あ、花火、そろそろ終わるなぁ」 再び、窓の外に視線をやる桐男 花火も、そろそろ終わり ……今年の学園祭も、終わりだ 「今年も、楽しかったな」 と 桐男は、一際大きな花火を見上げながら、酷く満足げに呟いたのだった fin 前ページ連載 - 花子さんと契約した男の話
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1339.html
賑やかな市場を、一人の黒服が歩いている 市場の中には、人ではない者がたくさんいて、皆一様に、妖しげな物を商っていた 黒服は店を一つ一つ丁寧に覗いていき、時には店主と何やら交渉しているのだが… しかし、目的の物は見つからない 「駄目だねぇ、解毒の類のアイテムは、全部品切れだ」 「そうですか…」 店主の言葉に、黒服はため息をついた …ゴブリンマーケットにすら、ないとは これは、完全に解毒アイテムは諦めて、マッドガッサーを倒す事に搾るべきだろうか? 「あんた、「薔薇十字団」とつながりがあるんだろう?あちらの魔女たちに解毒アイテム作成を依頼した方がいいんじゃないのか?」 「…毒物自体がなければ、解毒の薬も作成できないでしょうから」 「まぁ、確かになぁ」 違いない、と店主は苦笑した ごりごり、黒焦げのイモリを潰しつつ続けてくる 「特殊なガスを使うマッドガッサーねぇ。本当、厄介な奴が生まれたもんだ……せめて、「富山の薬売り」が来てくれていればなぁ」 「…?いらしていないのですか?こちらの店舗にも、薬を降ろしているのでしょう?」 「来てないんだよ。あちらさんに連絡したら、こっちに向かって出発したはずだって言うんだが」 「……トラブルにでも、巻き込まれたのでしょうか」 …本当に、悪い事は重なると言うか、タイミングが悪いと言うか… 「申し訳ありませんが、もし、「ユニコーンの角の粉末」などが入荷されましたら、ご連絡いただけますか?」 「はいよ。「薔薇十字団」から紹介されたあんた相手なら、それくらいいいだろ」 ありがとうございます、と頭を下げて …そして、黒服はゴブリンマーケットを後にした 「…お、来た来た、どうだったんだ?」 人気のない路地裏に、姿を現した黒服 彼を待っていたのは「日焼けマシン」の契約者と、Tさん、その契約者、そしてリカちゃんだ 赤マントたちと別れた後、黒服は「ゴブリンマーケット」で解毒の為のアイテムがないかどうか探す事にして …しかし、ゴブリンマーケットに入る事ができるのは、特殊なカードを持っている黒服だけだ その間、他の三人と一体は、黒服を待っていたのだ ……Tさんたちがいることによって、「日焼けマシン」の契約者はかなりの数のナンパから見逃されていたのだが…それは当人たちが気づいていない事実であるし、とりあえずこの場には特に影響のない事実である 「駄目ですね。完全に品切れ状態。入荷もいつになるかわからないそうです」 「ここも空振りか」 「…やっぱ、マッドガッサーを叩きのめすしかないのか?」 ため息をつくTさんと、やや物騒な提案をしてきた「日焼けマシン」の契約者 そうでしょうね、と黒服は小さくため息をついた 「……せめて、マッドガッサーの一味の戦力が、完全にわかればいいのですが…」 「チャラい兄ちゃんがマッドガッサーと遭遇した時、傍にもう一人いたんだよな?そいつも、何かの契約者なのか?」 「…さぁ?何か能力使ったような場面は見なかったからな…」 Tさんの契約者に尋ねられ、「日焼けマシン」の契約者は首をかしげる あの場面でマッドガッサーと一緒にいたのだから、仲間と見るべきだろう しかし、契約者だったにしても、何の契約者なのかわからない まだ見ぬ「スパニッシュフライ」の契約者なのか…もしかしたら、マッドガッサーの契約者である可能性だってあるのだ 能力を見ていない以上、彼女がどんな存在だったのか、推察の域を出ない 「まぁ、こちらでも出来る限り調べてみよう。馬鹿馬鹿しい計画ではあるが…実行されてはたまったものではない」 「全くです……こちらでも、「組織」で入手しました情報は、お伝えします」 「…「首塚」でも、わかった事は伝える。ただ、こっちは情報収集あんま得意じゃないから、期待はするなよ」 当面の方針は固まった ひとまず、黒服は「日焼けマシン」の契約者を連れて、Tさんたちと別れようとしたが 「------っが!?」 「ぎゃあっ!?」 聞こえてきたのは、悲鳴 「…?何だ?」 「喧嘩、のようですが…?」 ここの、更に奥、その小さな小道で、誰かが喧嘩しているようだった 打撲音やら怒号やら、悲鳴やらが聞こえてくる 「----ぐぎゃっ!?………っがぁ!!」 その小道から、吹き飛ばされてきた人影 しかし、それはすぐに驚異的な身体能力で跳ね上がり、元の道へと戻っていった ……先ほどの若者、目つきがおかしかった …まさか 「…「コーク・ロア」の影響者ですか」 「え?」 「まさか、「コーラには麻薬成分が含まれている」、か?」 「恐らくは」 先程の動きは、体の限界を無視してのものだ 高確率で、麻薬関連の都市伝説の気配がする そう言えば、「コーラには麻薬成分が含まれている」の都市伝説と契約した者で暴れている者がいる、と「組織」の連絡網で流されていた …マッドガッサーの件とは関係なさそうだが、放っておく訳にもいかない 「…それでは、Tさん、これで。私は少々、あちらの件を片付けてきます」 「あ……ま、待てよ」 Tさんにそう言って、黒服は打撃音が響く小道へと向かっていく 「日焼けマシン」の契約者が、慌ててその後を追いかけた Tさんたちは、そんな2人の後ろ姿を見つめて 「…どうするんだ?Tさん」 「どうするのー?」 「…まぁ、放っておく訳にもいかんか」 黒服は戦闘力がある訳でもないし、彼を護ろうとする「日焼けマシン」の契約者は、女性の体になったせいで戦闘力が落ちている コーク・ロアとの契約者がどんな人物かは知らないが…念のため、と言う言葉が世の中には存在する 危なくなった時に備えて、とTさんも二人の後を追いかけた 「--がはっ!?」 どさり また一人、若者が沈んだ っち、と、対峙していた青年が舌打ちする 「…弱いな。これで終わりか?」 「く、くそ……っ!?」 コーラのペットボトルを持った中年が、狼狽した表情を浮かべていた おかしい おかしいだろう 己の能力によって、身体能力を強化した若者たち それを操って戦わせていると言うのに…目の前の青年に、ただの一撃も与えられていない そして、10人近い数の相手と同時に戦いながらも、その青年は涼しい表情のままだ 「…いい加減、弱い奴と戦うのは嫌なんだよ……とっとと片付けさせてもらうぞ」 「ひっ………い、行けぇ、お前らぁあああ!!!!」 残った若者たちに、命令を下す 麻薬によって操られ、身体能力が強化された若者たちが青年に襲い掛かる 「…無駄だっつってんだろ!!」 怒号と共に、青年は驚異的な瞬発力で、若者の一人に接近した 大声で威圧されたのか、一瞬怯んだ若者の喉元に一撃が命中し、また一人沈む 鉄パイプを構えた若者が、青年の背後から一撃を加えようとしたが… 刹那 青年の姿が、消えた 「っな、どこに…………------っ!?」 どさり 沈む若者 何時の間にか青年は若者の背後に移動していて…そして、倒れた若者は、背中に無数の打撃を与えられたようだった これで、残りは一人 「雑魚じゃ相手にならねぇっつってんだろ!」 「ひ……ひぃっ!?」 ごっ!と残りの若者も、青年によって叩きのめされた …これで、残るは「コーク・ロア」の契約者、一人 じゃり、と青年は中年に近づいていく 「ひ、ひ…………ひぃいいいいいいいいいいっ!?」 「っと!?」 火事場のなんとやら、と言うやつか 中年は、青年を突き飛ばし、必死に逃げ出した …追うべきか? しかし、あんな弱い奴、別に見逃してもどうでもいいが… 青年がそう考えながら、逃げる中年に視線をやって 中年の逃げる先にいた、その2人の人影に…思わず、目を見開く 「どけぇっ!!」 中年は、目の前に現れた二人の人物を突き飛ばして逃げようと、闇雲に腕を振り回す しかし 「………っぎゃ!?」 ぺし、と その片割れの少女に、あっけなく脚払いを決められる 倒れこんだ中年を、黒服の男が押さえ込んだ 「…コーク・ロアですね……「組織」より、あなたの捕縛命令が出ています」 「ぐ……そ、「組織」だとぉ……!?」 がちゃり 手錠のような物をはめられた中年男性 …まぁ、そいつはいい どうでもいい それよりも 「………狂犬?」 「その呼び方やめ……って、え…………あぁっ!?」 青年に声をかけられた少女は、抗議しようとして…しかし、それは途中で悲鳴に変わった 慌てて黒服の影に隠れようとするが、もう遅い 「…どうしたんだよ、その姿」 何も知らないふりをして、そう尋ねる うぅぅ、と少女は…あいつは、居心地悪そうな表情を浮かべている 「…あなたは…確か」 「お久しぶりです」 にこり、黒服に笑いかけてやった あぁ、知っている お前は、知っているぞ? ……こいつを、幸せにしやがった、黒服め …コーク・ロアが操っていた若者たちは、どうやら一人の青年によって制圧されたようだった その青年の姿に見覚えがあって…黒服は、少々驚く そして…間が悪い、とそう思った 「日焼けマシン」の契約者にしてみれば、今は絶対に、顔を合わせたくない相手だったろうに 「どうしたんだよ、その胸、貧乳だけど………女にモテないのを悲観して、男相手に集中することにしたのか?」 「……今、俺はお前を半殺しにしても許されるよな?」 「よーし、落ち着け。その振り上げた拳を下ろしてくれ」 青年の言葉に、わりと本気で殴りかかろうと拳を握り緊めている「日焼けマシン」の契約者 まぁまぁ、と黒服は「日焼けマシン」の契約者を宥める 「…少々、この子は厄介な事に巻き込まれておりまして」 「またですか?…あなたが、こいつを厄介事に巻き込んでんじゃないでしょうね?」 青年にそう言われて、黒服は小さく苦笑する ……それを、否定できない事実 確かに、自分と関わった事でも、「日焼けマシン」の契約者は厄介事に巻き込まれてしまっているだろう あまり、否定できない 「別に、こいつのせいじゃないっ!」 苦笑する黒服を庇うように、「日焼けマシン」の契約者が前に出た やや面白く無さそうに、青年を睨みつけている 「はいはい、わかってるよ。そいつは、お前の親父代わりだもんな」 あぁ、それとも母親代わりか?と青年は笑ってくる …「日焼けマシン」の契約者の、幼馴染の青年 「日焼けマシン」の契約者から、学校町に戻ってきているようだ、という話は聞いていたが ……本当に、こんな時に顔を合わせてしまうとは だが、同時に、黒服は少しほっとしていた 「日焼けマシン」の契約者にとっての、大切な友人 彼は、昔とあまり変わりがないようだった 昔と同じように、友人である「日焼けマシン」の契約者を気遣って、こちらに噛み付くような物言いをしてくる …「日焼けマシン」の契約者を気遣っているのは、自分だけではない 他にも、ちゃんといるのだ 「……まぁ、いいや。何があったか知らないけど、お前なら大丈夫だろ?俺で力になれるようだったら相談に乗ってやるからな?」 「う………悪ぃ」 青年の言葉に、「日焼けマシン」の契約者はそう返す 「日焼けマシン」の契約者は、この青年を都市伝説に絡ませるのを嫌っているのだ 怪異に踏み込んでいない存在を、踏み込ませたくないのだろう 「…先程の、喧嘩ですが」 「あぁ、あっちが挑んできたんだよ。本当、迷惑だ」 肩をすくめてくる青年 …一応、気づいていない、か ギリギリのラインで、彼は昔から都市伝説に気付かないままだった …きっと、「日焼けマシン」の契約者は、そのままでいてくれ、と思っていることだろう 黒服とて、そう思う 都市伝説の存在に気づいていないのなら、気づかないままの方が……幸せだ 「いつでも連絡して来いよ?なんだったら、その貧乳デカくして欲しかったら、じっくり揉んでやるから」 「やっぱり、半殺しにしていいよな?」 「おぉ、怖い怖い。それじゃあ」 ひらひらと手を振って、青年はこの場を後にする ……はぁーーー、と「日焼けマシン」の契約者は、深く、深くため息をついた 「…どうして、こうも見られたくない連中に限って……」 「……厄日、と言うものはあるものですね」 そっと、黒服は慰めるように「日焼けマシン」の契約者の頭を撫でてやる うー、と、「日焼けマシン」の契約者は、複雑そうな表情だ 「何?知り合いだったのか?」 ひょこりっ 事の成り行きを見守っていたらしいTさんの契約者が、顔を出してきた あぁ、と「日焼けマシン」の契約者は頷く 「ダチだよ、俺の」 「おともだちー?」 首をかしげてくるリカちゃんに、あぁ、と「日焼けマシン」の契約者は応える ふーん、とTさんの契約者は返して… そして、どこか好奇心を含んだ様子で、続けてくる 「…ところで、「狂犬」って?」 「ぐ…!?な、なんでもねぇよ!!」 慌てて誤魔化している「日焼けマシン」の契約者 …まぁ、あの頃については、本人としては忘れたい部分もあるのだろう 黒服としても、あの時期については、極力触れないようにしてやっている 「…しかしまぁ、見事な物だ」 道で気絶している10人ほどの若者を見て、Tさんが呟く ものの見事に、全員叩きのめされている コーク・ロアの方から襲い掛かってきたのだから、正当防衛ではあるが… (…しかし、彼はそこまで強かったですかね…?) ……まぁ、黒服が知っているあの青年の最後の様子は、「日焼けマシン」の契約者が高校を卒業した頃の話だ あれから、もう三年は経っている 元々格闘技を習っていたようだったし、実力があがっていたのかもしれない そう考えて…ひとまずは、Tさんの契約者の好奇心から逃れようと必死な「日焼けマシン」の契約者を助ける事に、黒服は意識を傾けたのだった ------あぁ、妬ましい 相変わらず、幸せそうで 傍に、護ってやる奴なんていて あぁ、でも あの状態で、はたして護れるのか? あんな女の姿にされて 護りたい奴も護れないんじゃないのか? …あぁ、待ち遠しい あいつを屈服させてやるのだ 俺の力で、ねじ伏せてやるのだ あの幸せを、俺が叩き壊してやろう 俺に無断で、幸せになんてなりやがった、罰だ いつも通りの、いつからか歪んでしまった思考を抱えて 彼は一人、路地裏の奥へ奥へと、姿を消していくのだった 前ページ次ページ連載 - とある組織の構成員の憂鬱
https://w.atwiki.jp/legends/pages/577.html
黒服Hと呪われた歌の契約者 黒服H 元・人間な「組織」の黒服。契約している都市伝説は「エロイ人は髪が伸びるのが早い」 変態と言う名の紳士が服を着て歩いているような変態 常に冷静にエロい事を考える事ができる。守備範囲は幼女から熟女まで、貧乳から巨乳まで幅広い 男の娘までもが彼の守備範囲である 「呪われた歌」と「三面鏡の合わせ鏡」を担当している。女性だからこそ担当しているのである なお、黒服Dの事は彼が女体化するまでよく知らなかったが、女体化した姿を見てそのエロさが気に入って覚えている かつては世界を憎み、呪った経験もある。今は、そう言う事は考えていないらしいが…? 警察幹部、「組織」上層部、「薔薇十字団」などに通じている。 「組織」への忠誠度はイマイチであり、「薔薇十字団」も心から信頼している訳ではないようである。 いざとなればどこまでも残酷になれるようで、敵対する者の抹殺には躊躇しない。 一応、担当している契約者たちへの愛情はあるようで、「三面鏡の合わせ鏡」を傷つけた相手を容赦なく殺した事もある。 普段の戦い方は、髪を伸ばして鞭のように振るい、相手を薙ぎ倒していく。 ただし、周囲に知り合いがいない場合や容赦なく殺すべき相手の場合、髪を絡みつかせてズタズタに引き裂いたり引きちぎったりする。 「呪われた歌」 20代半ばの女性 儚げな雰囲気を持つ女性で、護ってやりたいオーラをかもし出している …が、真性のどMであり、辱められる事を何よりも望む変態 黒服Hとは、ある意味最良の組み合わせである 黒服Hがいつでもエンジン全開になれるよう、服の下は全裸だったりエロ下着だったり縄だったりする なお、職業は売れない歌手 過去に他の都市伝説に囚われていた所を黒服Hに助けられており、彼を心から信頼し、愛している 黒服C 元・人間な黒服である女性。黒服になったばかりで、まだどんな仕事をすればいいのかもよくわかっていない。 何となくセクハラとかエロネタに弱そうではあるが、そもそも勢いで書いたキャラなので詳しい事は未定。 人間時代に契約していた都市伝説は「恐怖のナポリタン」。 その能力は「本人が気づかない内に、本人が知りえるはずもない情報を手に入れる」と言うもの。自力でコントロールできる能力ではなく、故に都市伝説に飲み込まれ、黒服になったと思われる。 ちなみに Q 何で黒服「C」なんですか? A 黒服H「ところで、お前何カップだ?」 黒服C「え……い、いいいいいいいいいいい、いきなり何ですか!?」 黒服H「いや、なんとなく」 黒服C「え、えぇと、その………し、Cです」 黒服H(俺の見立てによればこいつはDカップ…だが、大きすぎるのが恥ずかしくて誤魔化していると見た。いいぞ、いいぞ!!) と、言う理由 ページ最上部へ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2122.html
三面鏡の少女 33 冬休みも明けたある日の事 いつも通り騒がしい教室の隅の席で、静かに本を読んでる三面鏡の少女 中学から付き合いがある友人は学校内に何人かいるが、高校に入ってから積極的に友達を作ってはいない 都市伝説同士は引かれ合う 事実、それまで全く縁の無かった都市伝説事件が、自らが契約者となってからはそれなりの頻度で起こるようになったからだ 彼女自身が巻き込まれた場合は、黒服Hが裏で立ち回り知らぬ間に解決している事も多いのだが 深くもなくかといって疎遠という程でもない、友人という間柄が目も手も届かなく一番危険だと思うようになっていた だから彼女は、都市伝説に関わりの無い友人を作りたがらないのだ そんな事を知ってか知らずか、彼女の担当である黒服Hは彼女を都市伝説契約者に積極的に関わらせようとしなかった 元より何かに長けた能力があるわけではないので、無闇に関わらせても危険があるだけなので当然の判断ではあるのだが 「逢瀬、ちょっといいか?」 「ふぇ!? ご、ごごご獄門寺くん!?」 少女はその声に聞き覚えがあった あらかさまに動揺し、机に膝をぶつけ本を落としそれを拾おうとして椅子から転げ落ちそうになる 「いや、そういう反応をされても困るんだが」 「あ、あはは、そうだよね? うん、き、気を付ける」 「それより、ちょっといいか? 話したい事があるんだが」 「あ、うん。何かな」 「正月の時の件なんだが」 少女はごしゃんと音を立てて、椅子ごと転がった 「大丈夫か?」 「あ、あはは、うん、大丈夫大丈夫」 打ち付けた額を赤くしながら、転げた椅子を起こし立ち上がる少女 「教室で話すのも難な内容だし、ちょっと場所を変えていいか?」 「うん、できればあたしもそうして貰った方が助かるかも」 じんわりと頬を赤らめ、声を抑えて周囲の様子を窺いながらこくこくと頷き 二人は休み時間の喧騒の中、教室を出て行った 二人の気配が遠ざかっていったのを確認して、それまで無関心を装っていた5~6の男子連中がざざっと一箇所に集まってくる 「おい、獄門寺って委員長と仲良くなかったっけ?」 「妹も可愛いんだよなあいつ」 「小学生ぐらいの子とよく一緒にいるのを見掛けるぞ」 「中学生の子じゃなくてか?」 「それが妹だろ?」 「小鳥遊とも最近親しげだな」 「それでいて逢瀬にも手を出すつもりか」 「しかも何か満更でもなさそうなあのリアクションは何だ」 「あんな逢瀬、初めて見たぞ俺」 「……ちょっと待て。小鳥遊って確か男だろあいつ」 「バカだなお前、あんな可愛い子が女の子のはずないだろ」 「それもそうか」 「待て、お前ら色々と待て。ツッコんでいいところかそこは」 「ああ、かなりツッコミたいな」 「むしろツッコまれてもいいな」 「よしお前ら心の病院行ってこい。脳の病院でもいいぞ」 「そうだぞ、男はもっと筋肉質であるべきだ。そういえばこないだ公園で実に良い男と出会ってだな」 「お前も病院行ってこい」 ――― 「あの、お正月の時の話って……えーと、アレ自体は色々と誤解があると思うんだけど」 「いや、趣味は人それぞれだしそれは問題じゃないんだが」 「問題だよ!? 誤解されっ放しなの!? あの時も目一杯説明したよね!?」 「あの時は特殊なプレイ中だったわけじゃないって言い訳が中心で、事情は説明されてなかったからな」 「いや、その……えーと……」 「あの時は気のせいか、あの黒服のせいだと思ってたんだが」 ひょこりと獄門寺の陰から顔を出す、小さな女の子――花子さん 「みー、やっぱり蛇さんなのですよ。『トイレから出てくる下水蛇』に似てるのです」 「にゃ? その子って……たまに教室に入ってきてたりしたけど」 「花子さんに気が付いてるって事は、都市伝説絡みだと確定か」 困ったような、呆れたようなそんな口調 「花子さんって……獄門寺くん、もしかして都市伝説とか詳しい?」 「そう聞いてくるという事は、都市伝説について説明はいらないな。俺は……詳しいというか、この花子さんと契約してる」 「けーやくしゃなのです」 にぱーと笑う花子さんに、思わず微笑み返しをする少女 「それはともかくとしてだ。正月に一体何があったんだ? もしかしてあの時の黒服のせいか」 「うーん、話せば長くなりそうなんだけど……」 ちらりと視線を腕時計に落とす少女に、つられて獄門寺も時計を見る 「休み時間終わりそう」 「それじゃ続きは放課後だな。用事とかはあるか?」 「ううん、別にこれといっては無いけど……獄門寺くんはいいの?」 「構わない。周りにある面倒事は、ややこしい事になる前に解決しておきたい性分なんだ」 「ん、わかった。でも経緯はめんどくさいけど、そんな大事じゃないからね?」 暗に心配しないでと言っているとすぐに理解し、とりあえず頷いて返しておく 「それじゃ、教室戻ろっか。花子さん、またねー」 笑顔で手を振る少女と、嬉しそうに手を振り返す花子さん 「……大人しい奴だと思ってたけど、結構テンション高い方なんだな、逢瀬」 「そ、そんなにテンション高いかな!? 騒がしかったらごめんね!?」 「普段が普段だから、まあ少し驚いたな」 「うう、誤解が解ければこんなノリにならなくて済むのにー」 前ページ次ページ連載 - 三面鏡の少女
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4473.html
両親が死んだ。死因は不明。 酷い死に方だったらしい。病院に駆け付けた時には既に死んでいて、遺体は見せてもらえなかった。死体はあちこち虫に喰われ、発見した人は吐いたらしい。 そんな事件にも拘わらず、新聞やテレビで両親の事はほとんど報道されなかった。 揉み消された。そう感じた。 だから、これは都市伝説関係の事件だと思った。 両親の死によって、私は一人になった。二人とも親戚がいなかったのだ。 正確には、私が契約している都市伝説もいるから二人なのだが、私にとってそれはあまり意味のある事では無かった。 一度、自殺も考えた。いきなり一人になった家は、寂しかったのだ。 けれど、結局自殺はしなかった。私は、両親を殺した都市伝説を探そうと考えた。理由は、復讐。今の、私の生き甲斐。 宛があったわけではない、ただ、死ぬ前に何かしたかった。 「よう、」 「あ、先輩。おはようございます。」 通学途中、先輩に声をかけられた。先輩は私と同じ部活で数少ない男子だ。寝不足なのかよく寝ている姿を見かける。 「あー、その、何だ。まだ、落ち込んでるのか?」 「いえ、大丈夫です。」 実際、今は落ち込んでなんかいない。少し前までは泣き続けていたが、それよりも犯人を見つけなければ。 「なんつーか、最近は物騒だな、行方不明とか殺人とか。お前、危なくなったら引っ越せよ。」 引っ越しなんかするわけない。先輩が心配してくれているのは分かるが、犯人はこの辺に住んでいる可能性が高いのだ。引っ越したら復讐の機会を失うじゃないか。 「あ、お帰りなさい」 家に帰ると、私の都市伝説がいた。まあ、昼間から外を出歩けるような容姿ではないから当然なのだが。 私がこの都市伝説と出合ったのはそれほど昔の事ではないが、都市伝説が実際に存在している事を知ったのはいつのことだったか。 たしか、よく遊んでいた子が契約者だったような気がする。珍しくあの子が嘘をつかなかったと驚いたものだ。 犯人捜しは一向にに進まなかった。 情報が無いのだ。 都市伝説による事件など、連続殺人か大量殺人でもないかぎり隠蔽される。と言っても、この辺りでは事件が多過ぎるのか、隠蔽しきれずに怪情報が飛び交っているが。 「そうは言ってもですね、そんな噂だけでですね、犯人を見つけるなんてですね、無理があると思うんですね。」 「五月蝿い。そんな事分かってるわ。それでも捜すのよ。」 「あ、あ、ごめんなさい。怒らないでほしいんですね。 で、でもですね、この辺はですね、一応平和って事になっているんですね。あのですね、都市伝説だらけでですね、なかからでは異様さに気付けないんですね。色々と飽和状態なんですね。」 こいつは何が言いたいんだ。犯人捜しなんか無理だと言いたいのか? ふと、気付く。気付いてしまう。 先輩は何故、殺人や行方不明が多い事を知っていたんだろう。気にしていたんだろう。いや、それだけなら気にする程の事ではない。 「危なくなったら引っ越せ」って何だ!?「危ないから気をつけろ」なら分かる。だが、引っ越せ? 間違いない、先輩はこの辺りの異常さに気付いている。先輩は契約者だ。まさかとは思うが、先輩が犯人の可能性もある。そう、先輩が、犯人。 落ち着け。決めつけてはいけない。確かめないと、先輩が、犯人かどうか。 「行くよ!」 「え?え?何処にですか?」 「先輩の家!!」 「で、でも、もう夜なんですね。迷惑になるんzy「はやく準備しろ!!!」 わ、わ、ごめんなさい。」 今夜は新月か。 私は先輩の、犯人の家へ駆け出した。 あいつを外に待機させ、先輩の家に入る。なぜか鍵は掛かっていなかった。そして先輩の家で見たモノは、リビングに転がる 先輩の死体だった。 死体には無数の虫。1mはあるミミズに似た生物達。そいつらが死体を喰っていた。 「おや、お客さんのようだ。応対しなくて良いのかい?って、死んでるから無理だわな。」 そして、二十歳ぐらいの男がいた。そいつは薄気味悪い笑みを浮かべ、何故か右目を閉じていた。見えないのだろうか。 「あなた、誰ですか?」 「俺が誰か、か。名前、所属、身分、どれを言っても分からんわな?まあ、その質問に答えるなら モンゴリアン・デスワームの契約者だわ」 「なんで先輩を殺したんですか?」 そう、何故先輩を。私が殺すはずだったのに。 先輩を、先輩を、先輩を先輩を先輩を先輩を犯人を先輩を先輩を犯人を犯人を先輩を殺す殺す殺す殺すはずだったのに。私の復讐を台なしするなんて。 「先輩?あ、この男のことか。んー、君に分かるかな。この男、組織って集団の人間なんだわ。で、俺は反組織集団に所属してるんだわ。まぁ、一番の理由はそれだわな。 あ、ちょっと聞いてくれる?俺さぁ、組織が嫌いでそこに所属したんだわ、なのに最近全然活動しねぇの。だからさぁ、最近憂さ晴らしに道歩いてた夫婦襲ったんだわ。」 ………………え? 「その話したらさ、こいつすっげえ怒ったんだわ。後輩の親がどうのこうのーってさ、そんな事、知らないって。 んん?後輩?先輩?……あー、もしかして後輩って」 「おぉぉまあぁあぁえぇぇぇぇぇかあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁぁああぁぁ!!!!!」 「おー恐い恐い。ま、君が怒ったとこで、何も出来やしないわな。」 「私だって契約者だ!来い!!テケテケ!!!」 「は、はいですね!」 「テケテケ?ハハッ、そんなので俺と戦おうってのかい?そいつは何が出来るんだ?速く走れるのか?上半身しかないが、そいつは戦えるのか?」 こいつは何を言って……ああそうか、モンゴリアン・デスアームはそれ自体に戦闘力があるから、特殊能力を知らないのかもしれない。今まで、そういう相手と戦った事がないのかもしれない。 「知ってます?テケテケの話の一つ。事故で下半身が無くなった後、寒さで血管が収縮し血が止まり即死出来ずに暫く苦しんだ、って話なんですけど。」 「それくらい知ってるさ。で、それがどうしたよ。」 「本当に知らないみたいですね。都市伝説の特殊能力のこと。」 「特殊能力?」 「ところで、今日は随分と寒いですが、虫は大丈夫ですか?」 私のテケテケは温度を操る。今、犯人と虫のいる場所の気温は氷点下。寒くなれば虫は冬眠する。これであいつを守るモノは無くなる。 このまま凍死させる事も出来る。しかし、それじゃ私の気がすまない。この手で、私の手で、殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロスコロスころすbxd殺スこロsuコロす殺す 「なるほど、確かにこれは寒い。凍え死にそうだ。 それじゃ、こっちからも質問。モンゴリアン・デスアームって、電気だせるって知ってた?」 そう言って、犯人は右目を開き バチンッ 家が停電した。 突然の暗闇に何も見えなくなる。 部屋の何処かの窓が開く音と犯人の声が聞こえてくる。 「あっちこち電線をショートさせたから暫く明るくならないんで。そいじゃ、また会おう。」 は?……逃げる?犯人が、逃げ、る? 「にぃがああぁすかああああぁぁぁ!!!」「だ、駄目ですね!!」 馬鹿が私の腰にしがみついて邪魔をする。邪魔邪魔邪魔、あいつをあいつをころコロさないと殺さナぃト犯人が逃げる逃げる父さんの仇母さんノ仇先輩のイ九殺す殺さないと殺せ殺そう 「駄目ですね!あっちまだ虫がいるんですね!罠があるかもなんですね!この暗闇じゃ虫が近寄って来ててもわからないんですね!はやくここを離れたほうが良いんですね!」 知るか知るか知るか知るかあああぁぁあぁあいつを殺させろぉぉおおぉぁぉおお前から先に死ぬかああああわたしの邪魔をするなあああぁぁEjEtPGめつネ$†@#*〆∞仝⊇∝∬‰¶!!! 多くの人が私の前を横切る。 月曜日の朝。怠そうな顔のサラリーマン、友達を見かけ笑顔になる小学生、テストがある事を忘れていたと泣き顔の中学生。 本当なら私もあのなかの一人のはずだ。でも、私にそんな事ををしている暇はない。 私は犯人の顔をを見たのだ。そして犯人ははこの辺りにいるはず。だから捜さないと、捜さないいと。 必ず見つけててやる。必ずず殺してやる。あのの馬鹿は家ににおいてきたた。これでで私のの邪魔をする奴はいない。 父さん、母さん、先輩へ そちらへへは暫く行けそうににありません。 でも必ずあいつを犯人をを仇を殺すすから、仇ははとるから。 待ってていてねね。 それが終わわれれば、必ずそっちにに行くくから。 お終り 「単発もの」に戻る ページ最上部へ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2186.html
憎い 憎い憎い妬ましい バレンタインよ滅びたまえ 男、片桐 速雄は、繁華街を歩きながら苛立っていた 流石は2月14日 街中にカップルが溢れる溢れる 憎い憎い妬ましい 嫉妬パワー全開の片桐 …今こそ! 今こそ!自分が契約している都市伝説の能力を使うところだ!! 「はい、たっちゃん、あ~ん」 「ありがとう、南ちゃん」 OK,まず、ターゲットはそこのベンチでチョコレートを「はい、あ~んv」なんぞやってやがるカップルだ 女性が持っている、チョコレート それに、片桐は視線を向けた その瞬間 どろり…チョコレートが、変化する 「っきゃあああああああああああ!!??」 「うわ、な、なんだぁ!?」 途端に、周囲を巻き込みパニックになる ニヤリ、片桐は笑いながら、その場を後にした あぁ、愉快 楽しい楽しい 片桐は、都市伝説契約者だ 「チョコレートは牛の血を固めた物」 そんな、古い都市伝説と契約していた 能力は、非常にシンプル チョコレートを牛の血に変え、牛の血をチョコレートに変える もっとも、片桐の視界内にそれが入っていなければ効果は発動しない あぁ、箱の中に入っているチョコレートも変化させられるなら、もっとたくさんのカップルにぎゃふんと言わせられるのに 「…あぁ……彼女欲しいな…」 できる気配はないけれど とにかく、今はカップルがどこまでも憎く憎く、妬ましく 今日中に、たくさんのチョコレートを牛の血に変えてやろう そう考えながら、片桐は学校町を彷徨うのだった 終われ 「単発もの」に戻る ページ最上部へ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/3375.html
【上田明也の探偵倶楽部after.act4~こぼれた砂の最後の一粒~】 聖杯を巡る戦いの間にメルは俺の側を離れていっていた。 まあ今の俺はもう冷酷な殺人鬼なんかじゃない以上、俺と居るメリットも無いか。 俺はあいつに獲物を与え、あいつは俺の怒りを発散させる力を与え。 乾いた物を互いに満たし合う、ギブアンドテークなだけの関係。 結局その程度だったのかもしれない。 ちなみに拝戸がメルと契約するしないで現在は揉めているそうだ。 「で、回想終わり。」 「何を言っているんだお前?」 「ちょっと感傷に浸っていたんだよ、その間に逃げれば良かったのに。 突き出されるのは警察、それとも組織、どっちが良い?」 「ますますお前が何言っているのか解らないなあ。」 「証拠は挙がっている。お前が宝石店から大量の宝石を盗んだこそ泥だろう? “牛の首”契約者さんよ。 正体不明の特性を使えば足が着かないとでも思ったのか?」 「…………ばれてたのか。」 「お前みたいな子供まで契約犯罪なんてね、世も末だ。」 目の前に立っているのは高校生くらいの男性。 外見は真面目そうだがこれでも“牛の首”の契約者である。 正体不明に加えて人食いや怪力の特性を持っている厄介な敵である。 契約者さえ一級品ならば、だが。 「だがおっさん!あんたに何が出来るって言うんだ! この牛の首は俺の声を聞かせるだけで相手が恐怖にかられて何も出来なくなる能力もあるんだぜ!?」 「おっさん、ねえ。まあ許そうか。もう妻子持ちな訳だし。」 俺はそのままスタスタと少年に歩み寄る。 どうみても只の子供なのだ。 何を恐れる必要があるというのだ。 「って……おい、なんで近づいてこれるんだよ?」 「いや、だって怖くないし。」 「来るんじゃねえよ!」 「いや、行くよ。捕まえるから。」 「何と契約してるんだよ!?おかしいだろうが! 牛の首の話を聞いても恐怖で精神を乱さないようになる都市伝説って――――!」 「いや、違うんだよね。俺頭おかしいから。別に精神攻撃なんて怖くないの。 契約している都市伝説は赤い部屋。 被害者の居た部屋が血で赤く染まっていたという逸話から相手を流血させたりできてね。 契約の副作用から少々力が強くなっているが……。 まあそれは所詮その程度のことだろ?」 愛する茜さんの顔だけを脳裏に浮かべる。 そうすることで都市伝説【赤い部屋】単体の力を極限まで引き出す。 この状態だと瞳が赤く染まって見えるそうだ。 「う、うわぁぁぁああ!」 牛の首の契約者は恐怖にかられて俺に飛びかかってくる。 だがまるで素人の動きなので見切って躱すことは容易い。 すれ違いざまに彼の足を指でなぞる。 そこから真っ赤な血が噴き出した。 「さぁ少年、このまま赤くなりたいか?」 「…………あ、う。」 「立てないならば良い、盗んだ宝石はもう勝手に回収したから君に拷問をするつもりはないしね。」 腰を抜かした少年に手をさしのべる。 駄目だ、子供ができると思ってからと言う物子供に甘くなってしまった。 自分の子供の頃を思い出せば子供だからと言って戦闘時に優しくする必要が無いことは解るはずなのに。 最近では子供相手に欲情する罪悪感でコミックLOの定期購読までやめてしまったのだ。 俺がさしのべる手を掴むこともなく少年はやぶれかぶれで殴りかかってきた。 それを咄嗟にパソコンで受け止める。 そのパソコンの形はとても奇妙だ。 液晶に浮かぶ赤い部屋のポップアップ。 キーボードがあるはずの場所にはYesと書かれた巨大なボタンが一つだけ。 まるで盾みたいなデザインだ。 「ふむ、まだやる気があったのか。」 「こんなところで捕まってたまるかよ!」 「いいや、捕まっておけ。今ならまだ取り返しがつくんだから。 そんな台詞は取り返しがつかなくなってから吐くものだよ。」 赤い部屋のポップアップが消え去る。 それと同時に液晶画面から真っ赤な手が大量に出てきた。 「な、なんだよこれ!?」 「赤い部屋だろ、お前がイエスを押すから悪いんだ。まあ少し中で反省してな。」 逃げようともがく暇もなく、牛の首の契約者はパソコンの中に引きずり込まれてしまった。 このまま真っ赤にしても良いのだがそうすると依頼成功にならない。 こいつはパソコンの赤い部屋に閉じ込めたまま持ち運びして組織に引き渡して、 依頼人にはこいつの盗んだ宝石を返して、それで依頼は終了だ。 「さて、今日の仕事は終わりっと。」 パソコンを懐にしまって歩き始める。 探偵の仕事はビルの経営より地道で稼ぎも少ないが中々どうして充実感がある。 警察よりも自由に、組織よりも勝手に、都市伝説の事件に関与できるというのは中々悪くないものだ。 多重契約より単一契約の方が都市伝説の力を引き出しやすい。 当然のことである。 そもそもほとんどの人間が単一契約しかできないのだ。 そして多重契約できる人間がたった一つに契約を絞った時、 通常では考えられないレベルでの都市伝説との同調が可能になるらしい。 それが今の俺、とサンジェルマンは言っていた。 多重契約のハイパワーさは無い代わりにたった一つの都市伝説の力を極限にまで引き出している。 ある意味俺の特化した才能にぴったり合っている状態なのだそうだ。 この眼が赤くなるのだけは少し恥ずかしいのだが……まあそれはそれか。 「帰りはラーメンでも喰っていくか……な!?」 「飯……、腹減った……。」 ボソボソと聞こえるつぶやき。 チラッと路地裏を眺める。 男とも女ともとれる外見の人間らしき何者かがそこで倒れていた。 間違いない、新手の都市伝説だ。気配はないがそうに違いない。 「おい、あんた大丈夫か?」 「腹減った……。」 「解ったよ、ついてこい。なじみの店が有るんだ。」 厄介ごとが飯の種である探偵稼業。 俺は迷わずそいつを助けることにした。 ラーメン屋の暖簾をくぐると店主がいつも通り暇そうに座っていた。 「おおっ!?笛吹さんどうしたんだい?」 「いや、厄介事(メシ)の種がそこらへんに転がっていたんで……。」 「…………。」 「この人には味噌大盛り細切れチャーシュー葱マシマシの背脂アリアリで頼む。 俺は魚介醤油メンマ多めな。」 「あいよっ!」 「それとビールと餃子、先にお願いできるかな?」 「よしきた、ちょっと待っててな。」 さて数分後、俺の餃子とビールは出てくると同時にすべて奪われていた。 何時の間にか俺の魚介醤油まで喰われており、結局俺は同じラーメンを三度頼まねばならなくなった。 一体どれほどの間こいつは物を喰ってなかったのだろうか。 「おいあんた、俺は私立探偵の笛吹丁っていうんだけどさ。 あ、ちなみにこれ名刺ね。……名前を教えてくれないか?」 「ん……あれ、あんた誰だ。今までの記憶がすっぽり抜けてて……。」 「笛吹丁、探偵だ。」 「おー名刺だ。成る程成る程、それで、なんで俺は探偵さんと飯喰ってるんだ?」 「空腹で倒れていたから俺がラーメン屋さんに連れてきた。」 「そうだったのか!そりゃあありがたい!」 「それで名前を……。」 「ああ、俺の名前は禰門椿、格闘家だ!」 格闘家、また妙な身分の相手と知り合った物だ。 まあ私立探偵を名乗る自分も人のことは言えないが。 こうなれば乗りかかった船だ、最後まで助けることにしよう。 とりあえずこいつに今晩宿の当ては有るのだろうか、と本人も気にしていないようなことを俺は真剣に悩み始めたのである。 【上田明也の探偵倶楽部after.act4~こぼれた砂の最後の一粒~fin】
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4460.html
少女は馴れぬ日常を謳歌していた。 「ねえねえ、次あそこのお店に行こうよ!」 「おぅ? あそこなら薫ちゃん好みの服もあるよ!」 「俺はもう服は見なくていい……」 少女――――DKGこと本条薫は、げっそりとした顔で手を振った。 それは無理もない。なぜなら、先ほどからこのクラスメート達から人形扱いされているのだ(まあ俺だから仕方ないか……とナルシスト思考で納得していたりする)。 「そんなこと言わないでさ~。スタイルいいんだから、もっと着てよ~」 「俺は人形か? 時価百億円する人形か」 「百億円は高過ぎない?」 「安いくらいだ」 そんな冗談のやり取りをしていると、ポンと背中を捕まれた。 「すいません」 「あ?」 薫が振り返ると、ポニーテールが似合う少女――――に見える少年がいた。 「あなたの命、下さいな」 少年――――桃太郎は、そのまま大きく刀を振り下ろす。 この肩を掴んでいる手は、昔の日常に引きずり込むと、薫は感じた。 「あの野郎……こんなのもひょいひょい出しやがって」 「強さのインフレが上がりすぎかもっ。よくこんなの持ってるよね」 「まあまあ、お弁当No.0にベレッタNo.0、レジェンドハンターの事なんですから、今さらですよ」 「「余計にひどくなってる!!」」 ΩΔφNo.0のやり取りが終わると、本格的に現実を見始める。。 「……ファントムさん、あなたはDKGのところに行ってあげて下さい」 「ああ、No.0が三人もいれば、安心でき……ないか」 「信用がないですね」 「百鬼夜行の時のお前らは、噛ませ犬の警察だったからな」 「まあ、あれほど特異ではありませんし、私一人に任せてもらっても、お釣りがきますよ」 「……じゃあ、お前達に任せたぜ」 「お任せされました」 φNo.0が断言すると、ファントムは霧となり、空まで上り、DKGのところに飛んでいった。 「……それでは」 φNo.0の契約した都市伝説――――龍神が空から舞い降り、φNo.0は躊躇なく逆鱗に触れる。 「グァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!」 龍神はドラゴンにも負けないよう雄叫びを上げ、ギロリと睨み付けた。 ΩNo.0も飲まれた都市伝説の力――――魔王の力を使い、闇を出す。 ΔNo.0も契約している都市伝説――――不死鳥とユニコーンを呼び出す。 「No.0の力を甘く見てもらっては困りますよ」 φNo.0は龍神の尾をむしり取り、刀に変えて、ドラゴン達に切りにかかった。 その刀は、ドラゴンの鱗に弾かれるが、φNo.0は余裕だ。 龍神は炎を自分の尾の刀に吹き付け、その刀は炎を纏う。 φNo.0は大きく飛び上がり、ドラゴンの鼻に、とんと着地する。 「龍神剣技――――業火一直線」 轟!! と唸りながら、ドラゴンの目を燃やし、一直線に貫き、φNo.0はドラゴンの背中から飛び出す。その先には龍神が待っており、その背中に着地して背の尾ひれを掴む。 悲痛な叫びがドラゴンの喉から聞こえるが、その体は内側から燃え、業火に潰される。 「さて、他の方達は……?」 ΩNo.0は、何やら禍々しい黒い剣を振り、闇の斬撃で何匹も切り裂いていき、光を放ったドラゴンの光さえ、それに飲み込まれてしまう。 ΔNo.0はユニコーンの背中に乗り、不死鳥の炎を振るいながら、ドラゴン達を討伐していく。 No.0の称号は、伊達じゃない。 そして、ファントムの方といえば、 「あの野郎……出し惜しみって言葉を知らないんじゃないか?」 途中まではうまく飛んでいたのだが、突如風神、雷神が現れ、思わぬ強風で地面に叩きつけられた。 その他にも、吸血鬼、タイタン、天狗、九尾、エクスカリバーを持ったアーサー王まで、それはもうぞろぞろとやって来た。 吸血鬼が信じられない力で掴みかかるが、それの腹を蹴飛ばし、次に矛と盾を持ったタイタンを、盾に自分の刀を叩きつけ吹き飛ばし、天狗の驚異の速度の蹴りを、カウンターで腹に拳を叩き込み、九尾が赤い炎の弾幕を飛ばしながら襲い来るも、白い刀から青い炎の弾幕を出して吹き飛ばし、アーサー王がエクスカリバーで切りにかかるが、刀で七連撃を叩き込んで吹き飛ばす。 ファントムが優勢にも見えるが、こちらは防戦一方で一歩も歩けやしない。 「……なら、俺も出し惜しみなくいくぞ?」 ファントムの背中から大量の霧が吹き出し、その青い目が一層光る。 「くア!!」 風神と天狗が強風で払い除ける。だが、そこには、信じられない光景があった。 「「「さあ、行こうか」」」 数はどれ程いるだろうか? 百は越えているかもしれない。それほどの数の『ファントム』がいた。 「「「俺がそこを歩く。退いて貰おうか」」」 数の暴力と自分達の力でねじ伏せてきた彼らのポジションが変わった瞬間。 ファントム達は、青く光る白い刀を振るいながら、その力を魅せつける。 そして薫はというと、 「邪魔だ」 キィン!! と桃太郎の刀と薫の大剣が拮抗し、互いに一歩も許さない戦いになっていた。 クラスメート達は突如刀を向けた桃太郎に怯え先に帰らせた。 今は場所を変え、どこかの廃工場で剣を交えている。 「面白い……本気を出せる相手は久しぶりです」 「生憎だが、お前じゃ弱すぎて相手にならない」 薫――――DKGは大剣を片手で構え、桃太郎は両手で刀を容赦なく振り回す。 その刀の描く軌道は、とても美しく、残虐的な死を表現していた。 「ええ、確かにあなたの方が強いでしょう」 しかし、と間を置き、 「それだけで勝敗が決まる訳じゃない。敵の死を望んでいる、自分の死を恐れぬ覚悟、それを持つ者だけが、勝つんです」 「――――ッ!!」 DKGは思わず後ろに飛んで、退いてしまった。 なぜなら、桃太郎の目は、死を望み、死を求めていた。 死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死。 彼女を苦しめる物が、ここにも出てきた。もう関わりたくないのに、死は向こうから歩いてくる。 「死を恐れた者は、死を求めている者に、負けます。そして消える」 尚も、死は近付いてくる。 決して、逃がす事ははしないと。 必ずや、引きずりこんでやると。 「死を恐れているあなたは、消えます」 「甘い!」 そしてDKGは、目の前の死を睨み付ける。 「生憎だが、俺は消えない。勝つのは、いつも俺だからだ」 「あれれェ~? ここまで言えば『うわあああ!!』とか情けない叫び声を上げると思ったんですけどね?」 「するか。俺はなんたって、世界最強の美少女だからな」 本当は恐い。だか、恐れていても、誰にも気付かれずに消えていくだけ。 それだけはごめんだ。彼女は『生きて』世界を味わいたい。その欲望の為だけに、人を殺してきた。 それに、今自分が死んだら、着いてきそうな男もいる。その男と触れ合えば触れ合うほど、『生きる』事にどんどん執着わいてきた気がする。 自分だけの命じゃない。そう考えると、不敵に笑みを浮かべる事ができる。 「それにだ。死を求めるやつは、幸せなんてやってこない」 「いいんですよ。私は都市伝説という鬼さえ殺せれば」 「お前だって同類だろ」 「ええ、そしてあなたもね」 二人はもう話し合っても意味がないと感じとり、二人は自然な動きで、互いの得物を振るう。 ガァン!! と鉄の鈍い音が響き、DKGは桃太郎の刀を軸に、大剣でクルリと桃太郎の頭の上を回り、その後ろに着地する。 桃太郎は反射的な早さで後ろを振り返るが、そのせいで懐に銃身を入れるのを許してしまった。 PGM・ウルティマラティオ・ヘカートⅡ。それは対物ライフルの分類に入り、ヘリコプターを簡単に撃ち抜き、人に撃てば腕なんか簡単に弾け飛ぶ――――それを、対都市伝説用としてさらに強力にしたもの。 その引き金を、躊躇いはしたがタイムロスは無く、引いた。 次の瞬間、桃太郎の上半身と下半身が弾け飛び、作られた偽りの血が、DKGの顔にかかった。 桃太郎は消えるかと思われたが、カードになりどこかへ飛んで行った。 DKGがその方向を目で追うと、孫悟空、エクスカリバーを持ったアーサー王、それに仕える三銃士、三つの顔と九つの腕を持つ阿修羅、グンニグルを持った主神オーディン、そして雷の矢を持つゼウスが、何百とそこにいた。 「……俺に何の恨みがあるんだ? ああ、この美貌が羨ましいか」 そんなDKGの言葉を無視し、超チート軍団は襲いかかる。 「……ん?」 兄からの都市伝説いうなの刺客を片付けた後、その後にも天狗集団やらゴーレム集団が出てきた時はビビったが、倒せた。 その途中、上で何やら大きな都市伝説の気配がした。上を見上げると、学校町でもトップを争う建物から、赤い光やら雷やらが見える。 上から薫の気配がするので、迷わずに行くことを決めた。 「……霧になるか壁を走るか実体で空を飛ぶか、どれにしようか」 壁を走るも実体で空を飛ぶも、パルクールで街を駆けている時に、噂されてできるようになったものだ。 ここは、無難に壁を走ることにして、一気に駆け上がることにした。 ファントムが駆け上がり、こそっと覗いてみると、黒いスーツを着た赤い髪の少女が、三人の少年と拮抗していた。 桃太郎、金太郎、雷小僧……どう考えてみても異色の組み合わせ。多重契約者とバカあ……レジェンドハンターしかいない。 身内にしろしないにしろ、ファントムのやることは変わらない。 白い刀を、青く、怪しく光らせる、 赤い髪の少女と、三人の都市伝説が、ビクッと体を震わせ、隠れているファントムのいる方向を見る。 そう思ったのも束の間、青く光る白い刀が、雷小僧の体を一気に貫いた。 雷小僧はカハッと息を漏らすと、カードになり空高く飛んでいった。どうやら、レジェンドハンターのものらしい。 (今、何か違和感が……?) 「……ど、どちら様ですの?」 赤い髪の少女は、両手の手首から赤いビームサーベルを光らせながら、首を傾げる。 「ファントム、この町の新参者だ。よろしく頼むぜ。Redy?」 「……ろ、ローゼ・ラインハルトですわ。よろしくお願いいたします」 いきなり野太い声ででよろしく頼むと言わて、多少怖がっているのだろうか? どこかびくついている気がする。 「……さっそく図々しいお願いかと思うのですが……これをどうにかして、くださらないっ!?」 襲いかかってくるタロウズを、体を回転させ、赤いビームサーベル――――『フォトン・デュアル・エッジ』で弾き飛ばすローゼ。 肩で息をしている辺り、かなり疲れているらしい。「ローゼ・ラインハルトと言ったら、RーNo.0だろ? 組織のNo.0なら、童話レベル二人でも大丈夫だろ」 ファントムは以前、組織に所属している者たちの資料を読んだことがある。その中にローゼの名前も入っていたのだ。 「……私、年下の男の人に弱いんですの」 「……危険な意味ではないと受け取ろう」 ファントムは片手サイズの白い鎌を霧から取りだし、青く光らせる。 「はァ!!」 ファントムは、タロウズの反応できない速度で鎌を投げつけると、二人のを真っ二つにし、カードに戻す。二枚のカードは、またしても空高く飛んでいった。 「……ありがとうございます」 「いや、これが俺の仕事みたいなモンだ。レジェンドハンターなら俺がやるから、嬢ちゃんは家に帰りな」 「……どこまで知っているかは知りませんが、ここから先は組織の任務です。一般の都市伝説に力は借りません」 「あいつのことだ。今度はショタ軍団で攻めてくるかもな」 「……うぅ」 「それに、だ」 「?」 「空での超音速バトル、お前にできるのか?」 ファントムは空を指差し、ローゼもつられて空を向いた。 「……え?」 ローゼが見たものとは、ステルス型超音速戦闘機Fー22が、オーディン達を撃ち落としている光景だった。 その頃、宇宙からUFOで戦況をみていたレジェンドハンター総司も、 「……ない。いくら殺しに特化してるからって、これはない」 DKGが乗っているFー22を観察しながら、そう呟いていた。
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4811.html
「ミイラ兄妹」 どうもこんにちは。考古学研究部所属の真未伊 木乃(まみい もくのり)だよ どうもこんにちは。同じく考古学研究部所属の真未伊 未来(まみい みらい)よ 木乃「ねぇ未来」 未来「何、木乃?」 木乃「今日って10月28日じゃん?」 未来「そうねー。10月28日ね。こっちの世界では」 木乃「いや、こっちの世界とか言っちゃだめだよ! 確かに現実ではもう11月日だけど…」 未来「木乃だって現実ではとか言ってるじゃない」 木乃「ははは…。ま、とにかく。『マヤの予言』によると今日が世界の滅びる日じゃない?」 未来「そうね」 木乃「…やばくね?」 未来「やばいわね」 ちなみに、僕達は。私達は。双子です 木乃「どうしよ」 未来「どうしましょ…。あ、そうだ。晶髏先輩。晶髏先輩なら…」 木乃「ああ、水晶髑髏の先輩だね。でも、この前聞いたらまだ2個しか集まってないって言ってたよね…」 未来「そうね」 木乃「まずいよね」 未来「まずいわ」 ちなみに、僕達は。私達は。中央高校1年生です 木乃「…でもさ、ノストラダムスの大予言は外れたよね。1999年に人類滅亡ってやつ。そう考えると大丈夫なのかな?」 未来「でもここ学校町よ? 怪異と怪奇の溜り場よ? もはや町そのものが心霊スポットよ?」 木乃「…やばいね」 未来「やばいのよ」 木乃「学校町だからね」 未来「そうね。今都市伝説に襲われたって全くおかしくないもの」 『そうじゃな。そしてお前さんは死ぬ』 未来「そうそう、こんな感じで―――ってえぇ!? 『給食おばさん』!?」 『そう、その通り。『給食おばさん』じゃ。と、言うわけで…今日の給食の食材になりな!』 名乗るや否や、私―未来に向かって包丁を投げてくる『給食おばさん』。(未来に向かってなんて書くとすごく前向きに見えるのは私だけだろうか) 未来「! 『天狗のミイラ』!」 私の足元から、死体のような天狗―天狗のような死体が出現し、風で包丁を吹き飛ばす 『ちぃ、しくじったか。ならばこれだ!』 未来「!?」 『給食おばさん』の鍋から白い液体…シチューが飛んでくる 『今日のメニューはシチューになりまぁす! お残しは…許しまへんでぇ!』 未来「ッ! 『天狗のミイラ』!! 『人魚のミイラ』と『河童のミイラ』も行って!」 人魚のような死体と河童のような死体も召喚し、シチューを防ごうとする私。でも、液体のシチュー…屍チューは防ぎきれない! ちなみにこのミイラ達は私の契約都市伝説、『架空生物のミイラ』によって出したものなんだけど…。ああ、せめて雪女のミイラでも居れば…! そんな風に切羽詰まっていると、私に向かっていた屍チューは、突如凍ってボロボロ崩れた 木乃「『ミイラの呪い』。僕の存在も忘れないでよ」 今のは僕の契約都市伝説『ミイラの呪い』。その中でも、割と有名な呪いのミイラの『アイスマン』。それの『凍死説』を応用した技である 『ちぃ! またしても…! ならば直接!』 言うや否や、包丁を構えて私の方に向かってくる。まずい! ミイラ達は屍チューを防ごうとしてたから間に合わないし、唯一間に合うであろう天狗は体が折れてて動けない! それに私の運動神経のなさじゃあ間に合わない! ちなみに私の体育の成績は万年2! 唯一スタミナが人並み以下あるくらい! だけど、頑張って避けないと…! 未来「うぅ…!!」 体を横に動かし、避けようとした私だが、速く動くという能力もない『給食おばさん』の包丁がいともたやすく私の頬を掠める。痛いよぅ…! 『ひゃはひゃはひゃは! 弱い、弱いねぇ! さぁ、次はあんたの番だよ!』 今度は木乃の方に。僕の方に走ってくる『給食おばさん』。しかし… 『!? 体が…重い?』 さっきの動きが嘘のように、『給食おばさん』の動きが鈍くなる。だから、簡単に避けられる! 『何なんじゃこれは! あたしの、あたしの体が!』 未来「心配しなくても解説してあげるね、おばさん。『ミイラ取りがミイラになる』って知ってる? まぁ私の契約都市伝説なんだけど、 私が攻撃されたときに自動的に発動する都市伝説なの」 正確には、明確な敵意、殺意などを持って攻撃された場合、なんだけどね。 未来「そしてこの能力の影響を受けた者はみぃーんな! 私と完全に同じになる! 速さも、強さも、賢さも、器用さも、 能力も…。ちなみに契約都市伝説の能力を使えるのは人間だけだから、実質貴方は無能力ね。そう、外見以外の何もかもが私と同じステータスになる! さぁ、これで貴方は私に勝てなくなったわ。 日が経ったシチューのように。腐って溶け出した死体のように。ドロッドロの泥沼試合にしかならないわ。それでも続けるの? 降参するなら今のうちよ?」 『誰がするかよ…! 条件はあんたも同じだろう…! あのミイラ達もまともに動かせる状態じゃあるまい! そして、同じステータスなら…』 包丁を構え、私に向かって来る『給食おばさん』。 『武器を持っている方が強いに決まっているだろう!』 未来「しまっ…」 木乃「だから僕も居るってば。『ミイラの呪い』」 木乃が。僕が包帯で包丁を絡め取り、『ミイラの呪い』の能力で『給食おばさん』の足を地面に沈めて未来を。私を助ける 木乃「『ミイラの呪いでタイタニック号沈没』。割と有名な話だよね」 『く…あんた…邪魔を…するなぁ!!!』 『給食おばさん』が地面から足を抜き、僕を蹴ってくる。不意打ちだったから反応が遅れて避けきれなかったが、未来と同じステータスになっている蹴りなのでほぼノーダメージだ。 そして、蹴られたことで僕の体から包帯が飛び出し、『給食おばさん』を包み込んだ。そして… きゅうしょくおばさんは ミイラになっちゃった!▼ 『から…体が…カラカラに…乾燥…』 未来「何それ駄洒落?」 木乃「【審議中】」 未来「【審議中】」 木乃・未来「【否決】!」 木乃「それじゃあいこうか。『ミイラの呪い』、アイスマン!」 冷気を飛ばし、ミイラ化した『給食おばさん』を凍らせる僕。ちなみに僕の契約都市伝説も『ミイラ取りがミイラになる』だけど、未来のそれとは少し能力が違う。 それは、『自分に直接攻撃してきた相手をミイラにする』。つまり、ポケモンBWの特性『ミイラ』と同じような能力なのである 『あ…あ…お残…し…は…』 そしてついに、『給食おばさん』は顔まで凍った。僕は冷凍ミイラと化した『給食おばさん』を蹴飛ばし、バラバラに壊す 木乃「知ってるかい? 11月2日は死者の日なんだぜ?」 そう言って最後に、僕は『給食おばさん』の顔を踏み潰した 未来「ふぅ、疲れちゃったぁ」 木乃「そうだねぇ」 未来「それにしても、世界終焉は大丈夫かなぁ?」 木乃「まずいねぇ。晶髏先輩に相談してみようか」 未来「そうねー」 そんな風に10月28日。僕達は。私達は。世界の終焉を、終末を憂いながら。帰路へ就くのでした… 続く…
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4271.html
ゲーム王国編 第二話 【詞後硬直】 「無理、絶対無理。何これ、何なのこれ」 「何度も言わすな、『子泣き爺』だ」 「都市伝説じゃなくて妖怪じゃん! 水木しげるワールドの住人じゃん! こういうのは鬼太郎の仕事じゃん!」 『人面犬』と契約した翌日。 何故かはわからないが、都市伝説と戦うことになった。 都市伝説を憶えるのには実戦あるのみだとか言われたがそんなことはあるだろうか、いや、ない。 自慢じゃないが殴り合いの喧嘩どころか口喧嘩すらしたことない温厚な人間が実戦なんて無理。 というか、どうやって戦えってんだ。 「ヤバいヤバい、殺されるってマジで、死ぬって本気で」 「そう簡単に死にやしねえよ。殺させやしねえから安心しろ」 「怖い怖い怖い怖いいいいいいいい!」 「俺の話を聞け!」 あれだよ、『子泣き爺』って言えば泣き始めると巨大化して砂をかぶせてきて引っ掻いてちゃんちゃんこで窒息死させる無慈悲で残酷な凄い体臭の化物だよ。 子供の頃鬼太郎で見たことあるから間違いない。 ここで人生終了か、死んでしまうのか、もうあの無邪気な頃には戻れないのか。 だが。 だが、その前に。死ぬ前に。っていうかあれだ。 「死に……たく……ないいいいいいい!」 「ちょ、バカ、逃げんな!」 全速力でその場から逃げ去った。 こう見えても百メートルを十八秒くらいで走れる自信はある。 「逃げんなって言ってんだろ!」 あっという間に追いつかれ、首根っこを咥えて戻された。 徒競走で一位を取ったことのない経験がこんなところでも活かされるなんて。 「あああぁぁぁ~」 「言うこと聞けこの糞ガキ!」 「お前らみたいな万国ビックリショーの仲間になりたくねええええええ!」 ◆ □ ◆ □ ◆ 「お前達の仲間にはならない――そう言ったはずだが?」 同日、同じ場所。 時間だけが違った。先の時間が昼間なら今は夜更け。 ふたりの男が相対していた。 ひとりの名は江良井卓。 もうひとりの名は高城楓といった。〈ゲーム王国〉建国を目論む六人のうちのひとりである。 「敵にならないとの言葉を聞いていない」 だから、現れた。 シンプルな物言い。 「敵にはならん。勝手にしろ」 「……信用できない」 「ならばどうする」 単純に数だけで見ると江良井はひとり、彼らは六人。 江良井の能力である〈地獄の帝王〉を含めても――ふたり。数の上では優勢である。 「錨野はお前を敵にするなと言っていた。逆らうつもりはない」 彼らのリーダー格である錨野蝶助は、江良井だけは敵に回すなと厳命してある。 江良井の中に何を見出したのか多くは語らないが、単純な戦闘力だけではないようであることは確かだ。 無論、彼ら五人は錨野に逆らうつもりはないし、対峙するだけで汗が出てくるような江良井を敵に回そうとも考えない。 今こうして平然としていられるのはただの虚栄にしか過ぎない。 「ならそれでいいだろう。それとも――今ここで死ぬか?」 「――ッ!!」 江良井は何もしていない。ただ言葉を発しただけだ。 それなのに、体にかかるこの凄まじい圧は何だ。 都市伝説でも〈異常〉でもないこの見えない圧力は何だ。 純粋な殺意。純然たる殺意。憎悪や悲哀や恐怖や愉悦といった不純物のない、清流のように澄み切った混じりっけなしの殺意。 ふつふつと湧き上がる汗と脱兎のごとく逃げ出したい衝動をこらえ、高城が何かを口にすべく声を絞り出そうとした時――第三者が現れた。 「そうしてくれると助かります」 「な――」 現れたのは黒いスーツを身にまとう男。 言うまでもなく〈組織〉の黒服だ。 「とある契約者がこの付近で戦闘したとの報告があったので来てみましたが、それ以上のものが見つかりましたね」 「〈組織〉……!」 「如何にも。お初にお目にかかります。A-№107のナンバーを与えられている〈組織〉所属の黒服です」 「何の用だ」 「江良井卓さん、貴方の監視と高城楓さん、貴方達〈ゲーム王国〉の情報収集を担当しています」 口元に笑みを浮かべ、淡々と答える。裏がある笑みなのを隠そうともしないのは自信か否か。 「もっとわかりやすく言いましょう。――私は貴方達の敵です」 「そうか」 答えるが早いが、A-№107に真っ直ぐに突き進む。 その拳が黒服に届こうとした瞬間、その姿は消えた。 「意外に気の早い方だ。敵とは言いましたが戦いに来たわけではありません。少なくとも今日のところは、ですが」 「瞬間移動……?」 「私に課せられた命令はあくまでも貴方達の監視及び情報収集に過ぎません」 高城の問いに答えず、やはり淡々と口にするA-№107。 自身の拳が空を切った答えを探しているのか、何も言わぬ江良井。 そして続けざまに攻撃を仕掛けるべく走り出すと――電子的な音が高城から聞こえた。 いつの間に持っていたのか、右手に携帯ゲーム機を手にしていた。 音が聞こえると同時に標的を変えた江良井の手刀が高城の首筋に迫る瞬間―― 「『アメリカ村』発動」 高城の声が聞こえたかどうか、ふたりの男はこの場から消失していた。 ◆ □ ◆ □ ◆ 「死にたくないいいいいいいいいいいいいいいいい!」 「んだよ、ぎゃあぎゃあうるせーな」 首根っこを咥えられて『子泣き爺』のいた場所に引き戻されると、面倒臭そうに男がひとり立っていた。 中年――と呼ぶにはまだ若干早そうな、頭部が若干心許ないのを見るに中年のような。 「っと、何だお前」 『人面犬』を見て驚く男。そりゃそうだ、誰だって驚く。 って、隠さないとマズいんじゃないか? 「あー……その犬の契約者か」 「って驚いてないし!」 「んー、ま、確かに野良じゃない『人面犬』ってのは滅多にないかもな」 「いやいやいや、そっちじゃなくて『人面犬』そのものに驚こうよ!」 「都市伝説なんて驚くことじゃないだろ」 当たり前のことのように笑う男。 ああそうか、この男もどっかおかしいんだ。 「残念そうな人を見る眼で俺を見るのはよせ」 「いや、だって……なあ?」 「お前も契約者だな?」 「そうだけど?」 即答かよ、何なんだよ、知らない間に都市伝説ってこんなに市民権を得ていたのか。 きっと選挙とかもやってんだ。衆議院参議院の他に都市伝説議院ってのがあるんだよ。 「ゴロが悪いってーの」 「お前……その都市伝説どこで手に入れた? いや、質問を変えよう。――何と契約している?」 と、アホなことを考えていると『人面犬』が呟いた。 流石は犬なだけあって、都市伝説の臭いに敏感なようだ。 「そりゃ企業秘密だ」 「神、妖怪、噂、デマ、ネットロア……数多くの人外を見てきたこの俺でも初めてのタイプだ」 「何? そんなヤバいのこの人?」 「別に俺はヤバくねえよ」 「よく飲まれないな」 「そりゃそうだ」 何故か自信満々に男は答えた。 「飲まれにくくなる方法を俺らのリーダーから教えてもらったのさ」 「人の手柄じゃん! それ自慢するところ!?」 「そこはツッコミどころじゃねえ。――そんなことよりもお前、ここにいた『子泣き爺』はどうした?」 「消した」 あっけらかんと言い放つ男。 って消した!? あの化物を? 「お前の能力で、か?」 「イエス」 「その力は本当に都市伝説のものか?」 「イエス」 「どんな能力だ?」 「企業秘密」 「仲間がいるのか?」 「イエス」 「目的は?」 「企業秘密」 どうしよう……この置いてけぼりのやり取りにどう加わればいいんだろう。 『人面犬』の質問にイエスと企業秘密しか口にしないのを見るに絶対に怪しいのは間違いないんだけど、何がどう怪しいって聞かれると……。 犬は犬で何だか男相手に警戒してるようにも見えるし。 「っていうかさ」 「あん?」 「何だ?」 「あんた、何て名前なの?」 きょとんとした顔のふたり。いや、もう片方は犬だから一頭と数えるべきか。あれ、犬って一匹だっけ。 それは兎も角。この問いに、男はめっちゃ笑い出した。 「面白いヤツだな、お前さん」 笑いながら言われてもバカにされてるとしか。 「至村」 「?」 「俺の名前は至村賢ってんだ。〈ゲーム王国〉建国の為にこの町に来たのさ」 「目的……企業秘密なんじゃないの?」 ニヤリと屈託の無い笑顔で、男――至村賢は言った。 「だいじょぶだ」 続 前ページ次ページ連載 - 葬儀屋と地獄の帝王