約 5,754 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4570.html
ジリリリリリリリリリリリ! 唐突に部屋に響く目覚まし時計の音。 お姉さんは夢の世界から強引に呼び戻され、次の瞬間にはいつもの天井をぼんやり眺めていた。 せっかく赤ゆっくりたちと楽しく遊んでいたのに。 お姉さんは夢に見るほど赤ゆっくり…動き回って喋る不思議饅頭、の赤ん坊が好きだった。 あのつぶらな瞳が大好きだった。 そのつぶらな瞳に宿る無邪気な輝きが大好きだった。 舌っ足らずな喋り方が大好きだった。 甘えん坊でわがままな所が大好きだった。 小さくて脆くてすぐ壊れてしまう所が大好きだった。 とっても甘いくせに後味がしつこくない所が大好きだった。 とにかくとにかく、大好きだった。 激務の合間にもぎ取った、実に久しぶりの休日。 もう少しだらだらと惰眠を貪っていたいけれど、この日に合わせて仕込んだものが待っている。 お姉さんはのそのそとベッドから起き上がると、寝室から廊下を歩いて洗面所に向かう。 ゆっくり模様がプリントされたパジャマと下着をいそいそと脱いで脱衣カゴにいれると、浴室の引き戸をガラガラと開けた。 朝風呂? いいえ。 赤ゆ風呂です。 「れいみゅおうちにかえる~~」 「みゃみゃ~!とかいはなありしゅはここなのよ!はやくむかえにきなしゃいよ!」 「むきゅぅぅぅエレエレエレ」 「ぱちゅり~~しっかりしゅるのぜ…」 浴槽の半ばまでプチトマトサイズの赤ゆっくりたちがひしめいており、各々好き勝手なことを言っていた。 喋れるのはまだ幸運なほうで、きっと底に近い赤ゆっくり達は全然ゆっくり出来ていないに違いない。 お姉さんが昨夜眠る直前に『業務用冷凍赤ゆっくり特大袋』を6袋も投入し、一晩経過して自然解凍された結果がこれだった。 「みんな、ゆっくりしていってね!」 「「「ゆ、ゆっくちちていってにぇ!」」」 既に休日のお約束となった光景に満足げに微笑むと、赤ゆっくりたちを踏み潰さないように細心の注意を払いながら 片足ずつ浴槽の底面に着地していく。 両足のひざのすぐ下まで赤ゆっくりに埋まったお姉さんは 「えいっ♪」 という掛け声とともに赤ゆ風呂にしゃがみ込んで浸かってゆき、赤ゆっくり達は形の整ったまさに桃尻に次々と潰される。 「ゆぎゃっ」 「ゆべべっ!」 「もっどゆっぐり゛じだがっだ……」 柔らかな重みで破裂し、中身をぶちまけその命を散らしてゆく。 「ふぃ~~~~~~。ごくらくごくらくぅ」 肩まで、とはいかずに胸元まで赤ゆっくりに埋もれて、お尻や背中で押しつぶした赤ゆっくり達の感触を、耳でその短いゆん生の断末魔をしばし楽しむお姉さん。 「お゛ね゛え゛じゃん゛!ひ゛どい゛ごどじな゛い゛でにぇ゛!」 「まりしゃをここからはやくだすのじぇ!」 「こにょいなかもにょ!みんにゃをはやくたすけなしゃい!そしてあまあまをもってくるにょよ!」 ほとんどの赤ゆっくり達はおしくら饅頭状態で身動きが取れないか、浴槽という監獄から逃れようと絶壁に向かってピョンピョン跳ねるしか 出来ないという状況で、その3匹は他のゆっくりを踏みつけてお姉さんの結構豊かな胸元あたりにたどり着き、抗議行動を開始した。 お姉さんは3匹を右手でむんずと捕まえると、そのまま強く握り始めた。 抗議は受け入れられなかったようだ。 即死しないように微妙に加減をされて握られ、3匹仲良く口から中身を吐き出し始めるとお姉さんは鼻唄まじりにまるでそれをスポンジのように体ににこすりつける。 「ふんふんふん♪ふんふふふんふ~~~ん♪」 特に意味は無いであろうこの行為、意外と気に入っているのか3匹が皮だけになった後、また別の赤ゆっくりで2回ほど繰り返されるのだった。 お姉さんの肌が餡子とクリームでぬるぬると包まれてゆき、なんとも言えない甘ったるい香りが浴室いっぱいに充満してゆく。 それに飽きると次は、近くに居た赤れいむを一匹捕まえると優しく優しく頬擦りを始める。 「すーりすーりだよ♪」 「ゆぅああああああ!たしゅけ…て…?すーりすーり」 最初は死の恐怖に泣き叫ぶ赤れいむだったが、暢気なことに数秒後には実にゆっくりしていた。 お姉さんはすべすべの頬を楽しむと次は頭上に持ち上げ、たかいたかいで赤ゆをさらにゆっくりさせる。 「ほーら、たかいたかいだよ~」 「ゆゆゆぅ~!?おしょらをとんでるみちゃい!」 お姉さんの指の先に、パァ~~~ッと音が聞こえてきそうなほどに笑顔の大輪が咲く。 その次の瞬間。 「そおい♪」 「ゆ゛びゃ゛」 もっとゆっくりしたかった、等と言い残す暇も無く指先でペラペラに潰される赤れいむ。 お姉さんはそのあまりの単純さ、そのあまりの儚さに心臓が高鳴り身震いさえした。 もっと、もっとよ。 「さあまりさちゃんもありすちゃんも、すーりすーりして、たかいたかいしようね♪」 次のターゲットはすぐ捕まり、お姉さんの両の頬で愛でられる。 「やぁぁ!すーりすーりもたかいたかいもいやなのじぇー!…すーりすーり、しあわしぇ~~」 「はなしなしゃいよ!このいなかも……すーりすーり」 お姉さんのとてもゆっくりできる頬ずりに見事に魅了され、命の危険などとうに忘却の彼方。 「ほーら、おそらですーりすーりよ♪」 今度は頭上につまみ上げた赤まりさと赤ありすを、優しく優しくすりすりするお姉さん。 産まれて間もない赤ゆ独特のもちもちとした頬と頬が、まるでくっついて一体化してしまうかのようだった。 「ゆ~~~!おしょらをとんでしゅりしゅりなのじぇ」 「とっちぇもときゃいはなしゅりしゅりよ~」 2匹にとってそれは間違いなく、加工所で産まれて以来の最高にゆっくりした瞬間であろう。 お姉さんにとっては、その次の瞬間こそが最高のひと時。 「せいや♪」 「ゆ゛ん゛っ!」 「ぎゃ゛っぐ!!」 餡子とカスタードの飛沫が、お姉さんの幸せすぎてゆるみきった笑顔に降り注ぐ。 お姉さんは頬のそれをペロリと舐めとりながら、惚けた顔のまま次の犠牲者を選ぶ作業に戻る。 そして時間が経過するにつれて、浴室を賑わせていた悲鳴や絶叫は次第に聞こえてこなくなるのだった。 赤ゆ風呂をこころゆくまで堪能したお姉さんは浴槽からあがると、シャワーで体についた餡子やらクリームやらをきれいさっぱり流し落として 後片付けをしないでそのまま浴室を後にした。 浴槽内の赤ゆっくりの内、運良く生き残ったものが息絶えたものを食べてくれるからだ。 他に食べるものが無いから。 さらに運良く生き延びたものは、もう一つのお姉さんの楽しみに活用される。 それは運が良いと本当に言えるのだろうか? 更にもう一つ付け加えると、この赤ゆっくり蟲毒の期間中はシャワーしか使えないというのが欠点である。 ゆっくりがプリントされたTシャツにパンツ一丁でお姉さんがやってきたのはキッチン。 体の外側全てで赤ゆっくりを堪能した後は、体の内側で赤ゆを堪能するためだ。 テーブルの上には胎生妊娠してぽってりとあごの下が膨れた成体ゆっくりありすが、プラスチックのまな板にあお向けで拘束されている。 赤ゆっくり風呂を生き延び、赤ゆっくりだけを食べてここまで成長したゆっくりありす。 今日この休日に、赤ゆ風呂の後のお楽しみにまさにうってつけの素材だろう。 出産予定は本日の正午。 長年お姉さんが培ってきた知識に狂いは無いはずだ。 相変わらず上機嫌のまま鼻唄まじりに、そのありすの正面に白い皿と鈍く銀色に光るナイフとフォークを準備するお姉さん。 最後に水の入ったコップを持って来て席に着くと、右手にナイフ、左手にフォークを携えて歌い出す。 「ゆっくり~し~な~い~で~~♪うまれてきてね~~~~♪か~わ~い~い~♪あ~か~ちゃ~ん~~♪」 そろそろ産気づいたのだろうか、苦しそうなありすが自分の腹部に向かって話しかける。 「だめ゛よ゛!あ゛り゛ずのべいびーだぢ、ゆ゛っぐり゛う゛ま゛れ゛でごな゛い゛で!ぜっだい゛だめ゛よ゛!!」 「はっ やっ くっ♪ あ い た い ♪ なっ♪ はっ やっ くっ♪ あっ そっ ぼ お♪ ねっ♪」 お行儀悪くも両手のナイフとフォークの柄をテーブルにコンコンと当てて調子を取りつつ、お姉さんの調子はずれの歌は続く。 その頃、胎内のべいびー達は。 (ありしゅ、もうすぐうまれりゅよ!) (ありしゅもいっしょだよ!) (ゆゆ~?おうたしゃんがきこえりゅのじぇ) (すこしへんにゃおうたしゃんだけど、きっとみゃみゃがうたっているのだじぇ) (ありしゅのみゃみゃだもの、きっとすごくときゃいはなのよ) (ときゃいはなおうたね!ゆっくりできりゅわ) (それにしちぇも、でてくるにゃっていじわるなことをいわれてりゅのじぇ) (そんにゃことをいうやちゅはゆっくりしにゃいでしぬのじぇ!) (だいじょうぶ、みゃみゃがそんにゃやつやっつけてくれりゅわ) (みんな、ゆっくちうまりぇてみゃみゃにごあいさつしましょうにぇ!) 仲良し4姉妹が見上げると、これから生まれ行く世界への出口がメリメリと姿を現してゆく。 そこから見える文字通り光満ちた風景。 (まじゅはありしゅおねえちゃんがいちばんのりよ!) 母ありすの抵抗も空しく産道はとうとう開ききって、そこにはミカンサイズの赤ゆっくりありすが顔を覗かせる。 「ゆっくち!ゆっくち!ありしゅがうまれりゅよ!」 ポンッッッ!! しかしその行く先には、だらしなくよだれを垂らしたお姉さんが構えるフォークの先端。 「ゆ゛びゃ゛っ゛」 「あ゛あ゛あ゛あ゛!!あ゛り゛ずの゛べい゛びーがぁぁぁぁあああ!!」 ザックリと顔の中央を貫通され、わずかに痙攣するだけになる赤ありす。 ここから先は時間の勝負。 お姉さんはしたたり出る一滴のクリームも無駄にしないように用意した皿の上まで赤ありすを運ぶと、ナイフを器用に使って 邪魔なカチューシャを除去し、食べやすいサイズにカットする。 まずは一口。 柔らかくも適度な弾力を備えた皮。 噛み破るほどに内部から濃厚な甘みが舌の上に流れ出す。 しかしそれは一時も留まらず、雪のようにはかなくサッと消え去ってしまう。 「も~~!ありすちゃんってば最高!」 たまらず残りもあっというまに平らげてしまうお姉さん。 勿論、水で口の中の味覚をリセットするのも忘れない。 そこにタイミングよく次の犠牲者が。 「ゆっくち!まりしゃがうまれりゅのじぇ!」 「だめ゛ぇ゛ぇ゛え゛!!う゛ま゛れ゛でごな゛い゛でぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」 ポンッッッ!! 「の゛じぇ゛っ!!」 姉ありすと同じく顔の中心を貫かれ、瀕死に陥る赤まりさ。 お姉さんは先ほどと同じく器用にナイフとフォークを駆使して、赤まりさを一口サイズにし、唇で、歯で、舌で愛でると カスタードとはまた違った餡子の甘さが、粒餡の一粒一粒の歯ごたえがお姉さんの愛でに応えてゆく。 「まりさちゃんも!負けないくらいにおいし~♪」 みるみる赤まりさをたいらげ、口の端に餡子を一粒くっつけままで。 「さあ!次はどっちなんだろう?お姉さんはやくあいたいな♪」 「あ゛り゛ずの…とかいはなべい゛びーが…み゛ん゛な゛……だべら゛れ゛ぢゃっだ……。がえ゛ぜ!ゆ゛っぐり゛じな゛いで かえせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 結局おねえさんはこの日、極上の甘味をカスタード、餡子、カスタード、餡子というベストな順序で堪能したのだった。 食事の後片付けを済ませ、ありすに注射器で『飼いゆっくり用精子餡:ゆっくりちぇん』を注入すると時計は昼の1時半過ぎ。 「今度はカスタードクリームにチョコの組み合わせ~。次のお休みが楽しみだわ~♪」 お姉さんは着替えると、ゴキゲンな様子で午後のショッピングにお出かけするのでした。 ○最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。 今回はかなり肩の力を抜いて書いてみました。 これくらいのが自分には向いてるんでしょうねえ。 これまでに感想をくれた人に最大限の感謝を。 ○過去に書いたSS ゆっくりいじめ系 2467週末の過ごし方 2519この世の終わり 2584UFOキャッチャー 2728おとうさんがんばる このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/980.html
赤ゆ出産テンプレ虐待 2KB 「ゆぎぎぎぎいぃぃぃ!!!」 「ゆっくりがんばってねまりさ!!!ゆっくりでいいからね!!!」 家に帰るとゆっくりれいむとまりさのつがいがいて、茶の間のテーブルのど真ん中で出産しようとしていた。 幸いゆっくり対策に低いところには物を置いていなかったので荒らされた様子はなかった。 そして出産に集中しているのかどちらもこちらには気づいていない。 だがいきなりこんな不愉快極まりないシーンを見せ付けられて放っておく人間はいるだろうか。いや、いない。(反語) 早速どこからか取り出した電動ドライバー!これを・・・ 「ゆっくちうまれりゅよ!!」と得意気に顔を出して生まれかけている赤ゆの人間でいう鼻のあたりにあてがう。 「ゆ?」と疑問符のついた表情をするが気にせずスウィッチ----「おにいさんなにするの!!じゃましないでね!!ゆっくりしないでれいむたちのおうちからでていってね!!」 横で応援していたれいむが横槍の上さりげなくおうち宣言。 ああー・・・これは弁護の余地無し。皆殺しコースDEATH。今度こそドライバースウィッチ~・・・オンヌ!! ギュズブィィィィィィィィィ!!!! 「ぴぎぃぎぎぎぎぎぃぃぃぃぃ!!!!!!!」 たちまちドライバーは赤ゆに吸い込まれ、餡子を攪拌していく。 だが一気に貫くことはせず、ゆっくりゆっくりと掘り進んでいく。 「いぢゃぢゃぢゃぎゃぎゃぎゃ!!!!にゃんで!!!にゃんで!!!おがあぁぁじゃ!!どぉおじゃ!!だじゅ!!だじゅげ!!!」 「おがじゃぁあぁぁぁぁ!!うばれじゃいぃぃぃ!!どぼぢでぇえべべべえぇ■■■゛ぃぃいぃ■いい!!!??!?!?!」 そしてついに中枢餡すらも蹂躙して、 「ん゛ゅ-------------」 「ュ゛--------- --」 「゛--- -- -」 「--- 」 そして赤ゆは生まれる直前、生まれた後はたくさんゆっくりして、たくさんむーしゃむーしゃして、いもーとといっしょにたくさんあそんで・・・ そんな考えていたしあわせーを一瞬も感じることが出来ず、その生涯を終えた。 れいむはそんな光景を真っ白な目で見て、固まっていた。そして、 「ゆぅぅぅぅ!!」 お産の痛みで赤ゆの叫びなど全く耳に入っていなかったまりさがいきむと、 すぽーんとその赤ゆっくりまりさだったものが産道から飛び出て、テーブルにべしゃっと飛び散った。 「ゆ・・・?」 目を白黒させるまりさ。 ビクッと我に返ったれいむ。 「「おぢびぢゃぁああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」 さーてまだまだ生まれるだろうな、次は何で殺そうかな。 とりあえずこいつらは赤ゆ生産用にキープだな。 いやー楽しみ楽しみ。 ・つづかない・ --------------------------------------------- *れいむフリーズしすぎだと思った *まりさ耳悪すぎだと思った トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る テンプレ ショート··· 大いに結構!一瞬でスッキリできる!たまにはいいね! -- 2018-01-11 12 48 49 ぜんっぜんゆっくりしてないおはなしだね!けしてね!あとあまあまさんもってきてね!すぐでいいよ! -- 2014-05-28 20 17 14 さいきんのはネタがこりすぎてゆっくりできないよ でも、これはゆっくりできるね -- 2013-01-13 02 51 18 面白かったけどまさかのれいまり。そこだけテンプレじゃないのね -- 2012-11-01 07 22 38 悲鳴丸 -- 2012-07-21 21 07 40 実にテンプレだが、こういうシチュエーションを最近みないからな。 却って新鮮に見える。 -- 2012-05-12 00 31 55 短いがすっきりー!!! -- 2012-01-29 12 32 01 ↓最高! -- 2012-01-29 10 39 03 母親の産道前で父親に口を開けさせ、ゴミが口に飛び込んだ瞬間に口を閉じて飲み込ませる。 どうかな? -- 2011-11-04 20 54 14 赤ゆ -- 2011-05-25 00 38 30 やっぱりテンプレは最高にゆっくりできる・・・ テンプレは偉大なる先人の生み出した英知の結晶だね! -- 2010-11-07 16 38 22 もっと! -- 2010-09-29 10 35 32 つづいてくださいー! -- 2010-08-22 21 04 38 つづいてほしい!! -- 2010-08-04 13 07 05 短い!! -- 2010-07-21 01 52 07
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2612.html
※小ネタとなっております。 ※最初に謝っておきます。もう色々とすみませんすみません。 ジリリリリリリリリリリリリリリ! 終業を報せるベルが工場に鳴り響く。 お兄さんは過酷な作業から解放され、数分後には赤みがかった空の下にいた。 やっと赤ゆたちと楽しいひと時が過ごせる。 お兄さんは夢に見るほど赤ゆっくり…動き回って喋る不思議饅頭、の赤ん坊が好きだった。 あのちいさなほっぺが大好きだった。 そのちいさなほっぺでするぷくーが大好きだった。 ぴょんぴょん跳ねるところが大好きだった。 食べ物をむーしゃむーしゃするところが大好きだった。 しーしーを漏らして命乞いをする所が大好きだった。 どんなに食べても胸ヤケしないところが大好きだった。 とにかくとにかく、大好きだった。 激務の後に訪れる、休息のひととき。 もう走り出す足を止められない、この日をどんなに待ち望んでいた事か。 お兄さんは全力ダッシュで街中を進み、銭湯『ゆの湯』に向かう。 番台のおやじさんに料金を払い、即座に脱衣(クロスアウツ)すると浴室の引き戸をガラガラと開ける。 *ここから先のお兄さん達の股間には「オンバシラ」と書かれた黒塗り処理がされていますので 安心して御覧下さい。 男湯? いいえ。 「お」兄さんの「と」きめき「子」ゆの「湯」 略しておとこゆです。 一ヶ月に一日だけ、銭湯のオヤジさんの粋な計らいで大浴場には湯の代わりに赤ゆが満たされ、 多くの虐待お兄さん達の憩いの場になっていた。 お兄さんはまず洗い場に向かい木製のイスに腰掛けると、脇に置いてある桶に山盛りにされた 赤ゆを数匹掴み取って首筋から順番にゴシゴシ擦り付ける。 ガチガチの二の腕、カッチカッチな胸板、6つに割れた腹筋が餡子とクリームによってぬらぬらテカテカと輝きだす。 「ゆ゛ぎゃっ!」 「や゛め゛ぢぇね゛!や゛め゛ぢぇね゛!」 よくよく見ると逃げられないよう丁寧に足焼きされた赤ゆは、最初は言葉による抵抗をしているが 鍛え上げられたお兄さんのボディに擦られて皮が破れ、その中身を失い始めると次第に無言になりそのまま永遠にゆっくりする。 ゆ船に浸かる前に体を洗い流すのは大事なマナーである。 お兄さんはついでに赤ゆをもう一掴みすると頭髪にもワシャワシャこすり付ける。 赤ゆシャンプーである。 見渡せば入浴前のお兄さんは全て、洗い流しゆとシャンプゆ~をしていた。 「も゛っどゆ゛っぐり゛じだがっだ…」 「お゛がーーざーーーーん゛!」 「たすけてにぇ!たすけてにぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 餡子を、カスタードクリームを、生クリームを搾り出され、皮だけになってゆく赤ゆっくり達の 絶叫がタイル張りの部屋に響き渡る。 お兄さんが一気にゆ船に体を沈め、体の周辺から立ち上る悲鳴と遠方から響く赤ゆの声の妙なる合唱を楽しんでいると声を掛けられる。 「オッスオッス!また来るなんてあんたも好きだなあ。この味って○○加工所製の赤ゆだっけ。 やっぱ○○加工所のは一段違うよなあ!」 「確かに、肌に吸い付くこの感じとか格別っす。でも××加工所のも最近イイ感じっすよ?」 「へえ、そうなんだ。今度ウチで試してみよう」 この月に一度の乱痴気騒ぎは、赤ゆっくり愛好家達にとってとても大切な情報交換の場でもあった。 こうして裸と裸、ヘンタイとヘンタイの付き合いはゆっくり深まっていくのでした。 お兄さんの今日のもう一つの楽しみといえば、風呂あがりの冷た~~いアイス。 もちろんゆの湯にも名物アイスがあるのです。 その名も「赤ゆっくりずきな人のための冷凍バー」 略してあずきバー。 それは植物型妊娠で赤ゆが実った蔓をそのまま根元からポキリと折り、そのまま冷凍しただけという なんともシンプルなものだった。 先端の赤ゆっくりから順番にシャキシャキと楽しんでよし。 凍りついた赤ゆを全部一口でほおばって頭をキーーンとさせるのもよし。 一粒ずつ口の中で解凍して、目を覚まして動き出した瞬間に噛み砕くのもオツなもの。 お兄さん達の火照った体を優しくクールダウンする、爽やかな甘さのあずきバーは一本\150となっております。 赤ゆっくりが好き過ぎて、生きてゆくのがつらいお兄さん達が集うこの銭湯。 あなたも一度赤ゆデーに訪れてみてはいかがでしょうか。 ○最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。 ボツにするには惜しかったので小ネタにまとめてみました。 なにからなにまですみませんすみません。 ○過去に書いたSS ゆっくりいじめ系 2467週末の過ごし方 2519この世の終わり 2584UFOキャッチャー 2728おとうさんがんばる このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3309.html
『赤ゆ十連発(前編)』 26KB 虐待 野良ゆ 姉妹 赤ゆ 透明な箱 現代 虐待人間 うんしー 後編は来週までには 「ゆわあああああ……」 ――と、思わずゆっくり的感嘆を呟きたくなるほどには、壮観(俺的に)な図であった。 今、俺の目の前には赤ゆが十匹ずらりと並んでいる。 赤れいむ五匹、赤まりさ五匹。 赤れいむと赤まりさといえば、赤ゆの中でも「別にムカつく言動をしてない、可愛らしさすらある状態でもな んか叩き潰したくなる」度では一、二を争う強者だ。 俺も十匹を箱に入れていく間、何回潰したくなったり、熱した錐をあにゃるに突き刺したくなったり、おろし 金でゴリゴリ下ろしてやりたくなったか分かりゃしない。でも俺は耐えた、耐えに耐えた。 その結果がこれである。大きめの透明な箱で、ぴょこぴょこしている赤ゆっくりが十匹。 うわーーーーーい! かーーーーーわーーーーーいーーーーーいーーーーー!! 「ゆぴ! おにいしゃんはゆっくちできりゅひと?」(長女れいむ) 「おにいしゃん、まりちゃといっちょにゆっくちちようね!」(長女まりさ) 「れいみゅ、おにゃかすいた! ごひゃんたべちゃい! むーちゃむーちゃちたい!」(次女れいむ) 「ゆっくちだじぇ! にんげんしゃんはあまあまみょってにゃい?」(次女まりさ) 「れいみゅ、おにいしゃんがゆっくちできるようなおうたをうたうよ! ゆゆゆ~♪」(三女れいむ) 「まりしゃもうたうのじぇ! ゆっくりのひ~♪ まったりのひ~♪」(三女まりさ) 「ゆぴー……おかあしゃーん! おかあしゃーん!」(四女まりさ) 「まりちゃのばきゃー! うわああん! ぷきゅー、ぷきゅー!」(四女れいむ) 「ゆゆーん! れいみゅのびゃかー! ぷきゅー!」(末まりさ) 「ゆっくち! ゆっくちちてね!」(末れいむ) ふ。 ふふ。 ふふふふふふ。 あああああああウザ可愛いムカツク可愛い潰したい潰したいつーぶーしーたーいー! でも我慢! 我慢が肝心! 幸い、ゲス化の傾向はまだ弱いか皆無という奴ばかりなのでひとまずあまあまフードで懐柔してやろう。 「ゆっくりしていってね!」 「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」」」」」 俺は愛でお兄さん用のあまあまフードを一粒ずつ、手ずから赤ゆたちの口へ運んでやった。十匹が俺を「やさ しいおにいしゃん(もしくはあまあまどれい)」と認識するのに、一日どころか一時間も掛からなかった。 相変わらずシミュレーションゲームの初期に雇用できる武将並みにチョロい連中である。 「おにいしゃん。ゆっくちちてね!」 「ゆっくち~」×9 透明な箱は大きく、遊具も置いてあるので退屈はしていないようだ。俺も指ですりすりしたり、そっと手のひ らに載せて「おそらをとんでるみたい」をやってやったりと、手を尽くしてゆっくりさせてやった。 たまらん。こいつらが泣き喚き、絶望し、中枢餡を傷つけられて発狂したりすると考えると、もっとたまらん ね! なあ、そこのお前もそう思うだろ? 折角なので一匹一匹真心こめて、ちょっと変わった虐待をしてみよう! と俺は埼玉ゆっくり研究所の博士に、 赤ゆっくりの虐待について色々とネタを仕込んでいた。 忘れちゃいけないビデオカメラもセット。 さて、まずは――。 『赤ゆ十連発(前編)』 1:一匹目 三女れいむ 虐待道具:電子レンジ 記念すべき一匹目は、三女れいむにお願いすることにした! 選んだ理由? 特になし。たまたま。 ちょいちょい、と指で適当に決めた三女れいむを呼ぶと、のこのこと前にやってきて、キラキラした瞳で俺に 告げる。 「おにいしゃん、ゆっくち?」 「ゆっくりしていってね、れいみゅ」 「ゆゆーん! ゆっくち! ゆっくちちてね!」 「れいむ、寒くないかい? 寒いよね? 鬼意山はちょっと寒いよ。凄く寒いよ。ごっつい寒いよ? 寒いでし ょ? でしょ? ですよねー?」 俺がそう言うと、思い込みのナマモノたるゆっくりはぶるると身を震わせた。 「ゆゆ……そういわれると ちょっとちゃむいかも」 「じゃあ、温めてあげよっか」 「ほんと!? ゆわーい! おにいしゃん、ゆっくちー!」 いいなぁ、と羨ましがる姉妹たち。 それを尻目に、俺の手のひらで得意満面の三女れいむ。きっとこいつの頭の中では、自分が他の姉妹よりゆっ くりしているから選ばれたとでも思っているのだろう。 三女れいむを皿に載せた俺はその上にサランラップをぴっちり貼った。 「ゆ? ゆ、ゆ、ゆっ……」 当然ながら、れいむの表情はたちまち苦しげなものに変わる。 「ゆ……ぷっ……くるちいっ、おにいしゃん、くるちいよっ! れいみゅあたまがいちゃいいちゃいだよ! ゆ くっ……」 不安がる三女れいむを、俺はサランラップ越しに撫でてやった。 「心配しなくていいよー。息どころじゃなくなるから、さ」 電子レンジに三女れいむを突っ込み、スイッチを押す。 ブゥン――という音と共に、ゆっくりと皿が回転し始める。 「ゆゆ? おしゃらしゃんがぐるぐるまわっちぇる?」 おもちろーい、と笑う三女れいむ。 が、その表情が次第に変わっていく。 「ゆ……い……いじゃ……い……? れいみゅ あちゃまが……い、い、いじゃい!?」 最初は目を白黒させていた三女れいむが、次第に苦痛を味わい始めたのが分かった。 「ゆ、ゆ、ゆ……あぢい!? ゆあ!? ゆぐっ! あじゅい! あじゅいよ! あんこさんがぐちゅぐちゅし てるよ!?」 三女れいむがもがき始めた。 だが当然の如く電子レンジは容赦せず、中の餡子を沸騰させる。 三女れいむは必死の形相で、ガラス越しの俺を見て助けを訴える。 「たすけちぇ! おにいしゃん、れいみゅをたすけちぇ! かわいいれいみゅがいたがってるよ!? たすけち ぇ! たすけちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」 もちろん俺は助けることなど―――――――――――――――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ――敢えてしちゃうんだな、これが。 直ちにストップを押した俺は、三女れいむを電子レンジから取り出し、サランラップを引き剥がした。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……! ゆ……っくち……たちゅかった……」 目をうるうるさせながら、三女れいむは俺に微笑みかける。 「おにいしゃん……ありがとぉぉ……れいむ……うれちいよぉ……」 「痛かったかい?」 「とってもいちゃかっちゃよ! おにいしゃんひじょいよ! これじゃぎゃくちゃいだよっ。おにいしゃんじゃ なかっちゃら、しぇいっしゃいっしなきゃいけにゃいよ!」 ぷんすかぷん、と怒る三女れいむ。 俺はにこにこと笑いながら、彼女にもう一度サランラップを貼る。 「………………………………………………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………………………………………………………………………… ………………………………………ゆ?」 目を見開き、信じられないというような表情。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆ……ゆううううううううううううううう!? いやじゃ! もういや、いやじゃああああああ ああああああああああああああああ!」 サランラップの内部でもがく三女れいむ。先ほどと違って、少しだけ隙間があるせいか、もがくことくらいは できるようになったらしい。 まあ、無駄な努力というやつだが。 「いやいやいやいやたちゅけてたちゅけてたちゅけてええええええええ!」 はい、スイッチオーン。 二度目の激痛タイムは、一度目より遙かに速く訪れる。 「ゆうががががががががががが!? いじゃい! いじゃい! あじゃま! あじゃまがびゃれるううううう! やじゃあああやじゃああ! じにだぐないいいい! れいみゅいじゃいいじゃい! うああああああああああ ああああああ! あだまっ、あだま、われっ、われっ、ゆびっ、ゆがっ、ゆぐっ、ゆぐちっ、おにっ、おにいじ ゃっ、ぎゃ、うぎゃっ、ぐぎゃっ、ぐぎゃあああああああああああああああああああああ!」 はい、素早くリリース! 「ゆ………………ぴ…………」 取り出した三女れいむは、沸騰しかけている餡子の激痛のせいで喋ることもできないらしい。 「ねえ、れいむ」 「ゆ…………」 「三回目は、耐えられるかい?」 白く濁りかけたれいむの瞳が、信じられないという感じに見開いた。 「い……や……じゃ…………」 すっかりヘロヘロになったサランラップをもう一度、丁寧に貼った。 電子レンジに入れてスイッチオン。もう、限界だと思うのでこのままノンストップでいこう。 「ゆ……ぎ……ぎ……」 想像を絶する苦痛のせいで、動くこともできない三女れいむは絶望に濁った表情を浮かべて――ぱん、と破裂 した。沸騰した餡子のせいで皮が弾けたらしい。だが幸いにも、サランラップのお陰で、電子レンジは汚れずに 済んだ。 チーン、という間抜けな音と共に三女れいむのゆん生は終了した。 「ゆ……?」 「ゆ、ゆ……?」 「どぼ……じで……?」 「にゃに……?」 「ゆっく……ち……」 「ゆぴ……」 「ゆゆゆ……」 「ゆぅ……」 「ゆぅぅん……いもうちょ……?」 俺は電子レンジから皿を取り出し、唖然とした様子で見つめている九匹の赤ゆたちに突きつけた。 「ゆああああああああああああああああああああああ!? おびゃげええええええええええええ!?」 「どっ、どっ、どぼぢでぞんなごどずるのおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「きょわいいいいい! やじゃ、やじゃああああああああああああああああ!」 そんな風に絶叫する赤ゆを黙らせるように、パンパンと手を大きく叩いて告げる。 「はーい。皆さん注目! 見ての通り、三女れいむちゃんは弾けて死んでしまいました! 鬼意山がやりました! 三女れいむちゃんは、とっっっっっても苦しみました! でも安心して、鬼意山頑張ってこの三女れいむちゃ んに負けないくらい苦しませてあげるからね!」 「「「「「「「「「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛!!!!!」」」」」」」」」 この瞬間! この絶望の瞬間がたまらない! 信じていたものに裏切られ、抵抗もできないと悟ったときの絶望感が本当た まらない! でも、このままだと全員非ゆっくち症でお亡くなりになってしまうので希望を持たせることにする。 「でも安心して。この中の一人だけは、ちゃんと助けるよ!」 「ゆゆ!? ほんとうなのじぇ!?」 「本当本当。でも誰を助けるかはもう決めてるんだ! だから自分を助けてってアピールしても無駄だからね!」 こう念押ししておかないと、「自分を助けろ」アピールが実に鬱陶しい。 逆にこう伝えておけば「自分は助かるかも」と無駄な希望を持ち続けることになる。無駄なんだぜ、知ってた か? 「ゆ……ひとりだけたすかるのじぇ……」 「おにいしゃん! おねがいします! ぜんいんたすけちぇくだしゃい!」 「おねがいしゅるよ! まりちゃからもおねがいしゅるよ!」 ちょっとだけ年長の、体が他より少しだけ大きい長女れいむと長女まりさが俺の前に出てぺこぺこと頭を下げ た。 ……よし、次はこの長女まりさだ。 俺は前に出てきてくれた長女まりさを摘み上げた。 「次は、お前な!」 「ゆ……ゆ……ゆ……やじゃああああああああああああああああああああああああ!」 目を見開いた長女まりさはおそろしーしーを漏らし、絶望に絶叫した。 2:二匹目 長女まりさ 虐待道具:手作りカプセル ガシャポンをご存知だろうか。 二十円でがしゃんと、小さなおもちゃを手に入れるアレである。 あれにも色々な大きさがあるのだが、その中に赤ゆっくりを閉じ込めるのにちょうどいいサイズがあった。 だが、もちろん入れるだけでは物足りない。 接着剤と画鋲を使って、内側をちょっとばかりデンジャラスに仕立て上げてみた。簡易的な「鋼鉄の処女」と いうノリだ。 「や……やめちぇ……やじゃ……おにいしゃん……まりちゃ……ちにたくない……」 「大丈夫。運が良ければ、生き残るかもしれないよ」 そう言って、俺は長女まりさをカプセルに放り込んだ。 「ゆび!?」 悲鳴があがる。周囲の画鋲にちょっと体を掠めたのだろう。 「まりさー、どんな感じだ?」 「ゆ……ゆ……ゆっくちできにゃいよぉ……」 それはそうだろう。体を少しでも動かすと、頭と左右にある画鋲の尖端がちこっと触れてしまうのだ。 痛みに敏感な赤ゆならば、尚更だろう。 「でも、大丈夫だろ?」 「うう……ちくちくさんが……きょわいよ……」 「大丈夫大丈夫。刺さらない刺さらない」 さて。 後はこれを、坂から転がすだけだ。プラスチックと古本で作ったジャンプスキーの高台のような場所へと、カ プセルをそっと移す。 「ゆ? おしょら……?」 俺は一旦、カプセルの蓋を開けた。まりさはカプセルが開いたことでほっとした表情を浮かべたが――。 「ゆぐううううううううう!? たきゃいいいいいいいいいいいいいいい!」 「さて、まりさ。まりさは今から、ここを転がってもらうよ」 その言葉の意味するところが理解できたのだろう。長女まりさの顔が恐怖に歪む。 「いやじゃああ! ゆっくちできない゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛ い゛い゛い゛!」 問答無用でカプセルを被せて――――。 「はい、ドーン!」 「やじゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」 カプセルは凄まじい速度でゴロゴロと転がっていく。 内部のまりさは、当然ながらあらゆる角度から画鋲に突き刺さっていく。 一回転ごとに新鮮な苦痛がやってくるのだから、それはもう地獄だろう。敷き詰められた画鋲は、急所も急所 でない場所もとにかく刺して刺して刺しまくる。 「いだいいいいいいいいいいいいい! おべべ! まりちゃのしんじゅみたいなおべべがああああああああああ ああ!」 「あぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! まみゅまみゅがあああああああ あああ! まみゅまみゅにいいいいいいいいいいい!」 「おぼうちじゃんがあああああ! まりちゃのおぼうちじゃんがあああああああああああああああああああああ ああああ!」 「いだっ! いだいいい! あんご! あんごががああががががががががあ! ……ゆ! お゛! お゛じょら ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛どんでる゛う゛ う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!」 坂を充分に転がったカプセルはすぽーーーーーーーんと、しゅっさん的な勢いでタンスにぶつかり、粉々に砕 けた。 そのプラスチックと画鋲が次々と長女まりさの皮を引き裂き――。 「ゆ……げべ……ぐぎ…………」 絶望的な表情を浮かべ、長女まりさは痙攣しつつ――永遠にゆっくりしようとしていた。 これ、死ぬのにはちょっと時間が掛かるんだよな。まあ、死んだも同然だしいいか。 「ゆああああああああああああああああああ! おねえしゃああああああああああああああああああああああん! おねえしゃんがああああああああああ!」 「どぼぢで! どぼぢでええええええええええええええええええええええ!」 姉妹たちの悲鳴が上がる。 さあ、どんどんいってみよう! やるぜー、俺はまだまだやるぜー? 3:三匹目 四女れいむ 四匹目 末まりさ 虐待道具:使い捨てカイロ 糊と鍋と定規 この二匹に使う道具は虐待が終わるまでにちょっとばかり時間が掛かるんだよな。 なので、先行してやっておこう。俺は先ほど喧嘩していた四女れいむと末まりさを摘み上げた。 「「ゆびぃぃ!? やじゃあああ!」」 「おねえしゃん! れいみゅをたすけちぇ! かわいいれいみゅをたすけちぇ!」 「おねえしゃん! まりちゃのほうがきゃわいいよ! すーりすーりもうまいよ!」 「ちがうもん! れいみゅのほうがきゃわいいよ! まりちゃのばきゃ!」 「うるじゃいくじゅ! まりちゃのほうがずっとずっときゃわいいもん!」 さて、と。 俺はまず、取り出した使い捨てカイロを二つ取り出して、シャカシャカ振った。その後、四女れいむをカイロ の間に挟み込む。 「ゆび! くるちいよ……」 「あー、すまん。息はできるか?」 「できりゅ……けど……」 ならいいや。俺はその状態で、ガムテープをぐるりと貼った。ちょうど、ハンバーガーの具のような感じで四 女れいむは挟み込まれたことになる。 「ゆ……? ゆび……くるちいよ……ゆぅ……」 何となく安心した声。 れいむはまだ、分からないだろう。これから、自分がどうなるかは。 さて、次はまりさっと。 俺はまず、糊をれいむのあんよに塗った。 「ゆゆ……べたべたしゅるー……」 それから定規にぺたんと貼って、しばらく押さえつける。 「ゆ……ゆゆ……?」 別に完全に接着しなくとも良いので、適当に糊が乾いたところで水を並々と満たした鍋を、携帯コンロに載せ た。スイッチオン。 「ゆ?」 「ゆゆ?」 そして、これでしばらく待機! 本でも読んで待つことにする。 さて、まず変化があったのは――当然、四女れいむだ。 「ゆゆ? にゃんだかぽかぽかちてきたよ! ゆゆー……あったきゃーい! おかあしゃんのおにゃかのにゃか みたい!」 「ゆぅ……いいなぁ」 末まりさが羨ましがる。 はっはっは、大丈夫大丈夫。お前もすぐにそうなるから。 水が沸騰してきたところを見計らい、俺は末まりさが貼りついた定規を鍋の上に移動させた。 「ゆ? あちゃちゃきゃ~い! ゆ……ゆゆ!? ちょ、ちょっとおみずしゃんはきょわいよ! やめちぇ! おにいしゃん、やめちぇね!」 俺は定規を回転させて、ゆっくりとまりさを逆さにした。 糊で貼りついているため、当然ながら逆さになっても鍋に落ちることはない――――今のところは、まだ。 ただまあ、帽子は別だ。 「ゆあああああああああああああああああん!? まりちゃの! まりちゃのおぼうししゃん! やじゃ! い きゃにゃいで! もどっちぇ! もどっちぇよおおおお!」 帽子はひらひらと鍋の中に落ちてしまった。 まりさはえぐえぐと泣きじゃくり、じたばたと暴れている。 だが糊が貼りついているせいで、動きが取れない――今のところは、だが。 「やだああああ! おぼうししゃん! おぼうししゃあああん!」 「おーい、まりさ」 「おにいしゃん! とって! おぼうししゃんとってええええ!」 「暴れると、落ちるぞ?」 「おぼうししゃああああん! ……………………ゆ?」 ぺりぺりぺり。 接着したばかりで、まだ粘着力が弱い糊が、蒸気に温められたせいで硬度が低下していく。 「おち……りゅ?」 末まりさは、ごくりと唾を呑んだだろう。ボコボコと沸騰しているあついあついとってもあついおみずさん。 ここに落ちたら。 どんな地獄が待っているのか。 「やぢゃあああああああああああああああ! やぢゃああああああああああああ! じにだぐにゃい! じにだ ぐにゃあああああああああああああああい!」 「暴れるともっと落ちちゃうぞー」 「ゆんやああああああああああああ! おうぢいいい! おうぢきゃえるううううううううううううううううう! 」 暴れては駄目だと思いつつも、生存本能が勝手に自分を動かしているのだろう。 ぺりぺりと、ゆっくりゆっくりと糊が剥がれていく。 一方、四女れいむにも変化が現れ始めていた。 「ゆ゛! あづい! ごれ! あづいよ! だずげで! はなじで! あづい! おきゃらだあづいいいいいい! 」 使い捨てカイロというのは、肌に直接触れさせていると低温やけどしてしまう。 肌がずるりと赤剥けるそれは大の大人でも泣きたくなるほど痛い。 それが全身痛覚神経の塊で、肌の弱い赤ゆっくりだとどうなるか――? 「ぬらぬらずるうう! れいみゅのおかりゃだがぬらぬらずるうううう!」 「おぢるううううう! おぢだぐないいいいい! おみずしゃんどいでえええ! そこからどいでええええええ えええ!」 「いだいいいいい! いだいいよおおおおおおおお!」 「あづいいいいい! おべべがびえないいいいいいいいいいいい!」 「「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」」 絶叫と共に、まずまりさが落ちた。 「ゆがああああああああああああ! あづい! いだい! どげる! やじゃ! まりじゃどげだくだい! あ づいあづいいだいいだいぢだだだふぁふぇわfうぇあfうぇあfうぇふぁわえfわ――――ゆぐあ゛あ゛あ゛あ ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 どろりと。 沸騰する湯に、末まりさは溶けた。 「ゆ……ぴ……」 一方のれいむはどうなったかな、っと。 俺はガムテープを剥がして、そっと使い捨てカイロの上を取った。 「ゆゆ……あ……づ……い……だ……」 おお、一見は無事に見える。見えるが、俺の予想が確かなら色々と大変なことになっている。 「ゆあああ……れいみゅ! れいみゅー! いきちぇるよ! いきちぇるよ! よがっだ! よがっじゃよおお おおお!」 長女れいむの声。 ……そうだな、折角だから姉妹たちの元へと返してやるか。俺は慎重に、そっと四女れいむを箱の中に戻した。 「おきゃえりー、れいみゅー!」 駆け寄ってくる姉妹たち。だが、れいむはあらぬ方向を向いて「ゆぴ……」と呟くだけだ。中枢餡に損傷があ った訳ではないだろうが、餡子が熱されているせいかもしれない。 「れいみゅ……どうしちゃの?」 「いちゃいいちゃいなの?」 不安そうな赤ゆたちに、俺はアドバイスしてあげることにした。 「おーいお前等、ぺーろぺーろしてやったらどうだ?」 「ゆ! そうじゃ! ぺーろぺーろしちぇあげるね!」 「ゆ! まりちゃもぺーろぺーろしゅるよ!」 「れいみゅもぺーろぺーろしちぇあげる!」 「みんにゃでぺーろぺーろしちゃあげればいいんだよ!」 六匹の赤れいむ、赤まりさが周囲を取り囲んだ。 「せーの……ぺーろぺーろ!」 「「「「「ぺーろぺーろ! ぺーろぺーろ!」」」」」 あーあ、やっちゃった(笑) 笑いを堪えきれず、ぷすっと息が漏れたがぺーろぺーろに一生懸命な赤ゆたちは気付いてないようだ。 「ゆ゛!? ゆ゛う゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 そして、ビクンと四女れいむが跳ねた。 「ゆゆ!? れいみゅ、どうちた……」 「ゆ? きょのちろいちろいのなに?」 「どちたの?」 「ゆぅ……? あまあま?」 「それにゃりーに、あまあまー」 「それは、れいむの皮だと思うぜー?」 俺が笑いながらそう言うと、赤ゆっくりたちはしばし姉妹たちと見つめ合った。 全員が舌をぺろりと口から出す。 れいむの白いぬるぬるした肌が、確かに口の中に収まっていた。溶けた餡子のせいで、ちょっと甘いだろうな。 そして、四女れいむはというと。 あちこちをぺーろぺーろのせいで皮を剥がされ、無残な状態となっていた。低温やけどのせいで餡子と皮が剥 離し、柔らかくなってしまった皮は剥がれやすくなっていた。 その状況であんなことをしては、皮が剥けるのも当然だろう。 「「「「「どぼぢでえええええええええええええええ!?」」」」」 「いじゃあああああああああああああああああああい! れいみゅの! れいみゅのびゅーてぃおひゃだがああ ああああああああああ! ずるずるになっだぁぁぁ!」 もがき苦しむ四女れいむ。 俺は皮が固まらない内に、さっさと残りも剥がすことにした。 「あらよっと。おー、凄いな。剥きやすい」 「ゆび!? いじゃい! やめで! れいみゅの! れいみゅのおかわじゃんどらないでえええええ!」 指でちょっと引っ張るだけで、ずるずると皮が剥がれていく。 餡子もほとんどくっつかない。皮だけがするするーっと……おお、これは気持ちいいな。 「あがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!! !!!! いじゃい! れいみゅのおかわじゃんがいなぐなづでいじゃああああい!」 生皮を剥がされ、剥き出しになった四女れいむは風が吹くだけでも痛いだろう。だが、動きさえしなければ死 ぬことはない。……今のところは、だが。 「じっとしていろよー。お前はとりあえず、保留な」 「ゆびいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」 俺は四女れいむを別の箱に放り込んだ。 さて、次にいってみよう! 4:五匹目 末れいむ 虐待道具:唐辛子エキス+注射器 瞬間凍結スプレー さて、と。 俺は末れいむを摘み上げた。 「ゆぴぃっ!? やじゃぁぁあ! おうちぇ! おうちきゃえるうぅぅぅぅ!」 「ゆぅぅ……いもうちょぉぉぉ! やめちぇ! やめちぇええええええええ!」 長女れいむがのーびのーびと俺に向かって体を伸ばす。 「んー、どうした?」 「れいみゅががわりまちゅ! れいぶが……かわりまじゅがらあああああ! いもうちょはやめちぇええええ!」 これ以上家族を殺されるのはたまらない、とばかりに長女れいむが泣き叫ぶ。一日か二日先に生まれただけで、 お姉さん気取りとは。偉いな、見直したぜ。 「安心しろ、れいむ。コイツにはあまあまを食べさせてやる」 「ゆ゛!? あまあま!?」 恐怖に震えていた末れいむがビクリと背筋(?)を伸ばした。 「そうだ、あまあまだ。さっき食べたやつな。甘いぞ、美味しいぞ」 「ゆ゛うううううう! あまあまあああああ!」 「あー、でもなー。俺、姉妹愛に心打たれちゃったからなー。お姉ちゃんと交替するか?」 末れいむは、もみあげをぴこぴこ振り回して駄々を捏ねた。 「ゆ゛びいいいいい! いやじゃ! いやじゃいやじゃいやじゃああああああ! あまあまはれいみゅのにゃの! れいみゅがあまあまたべりゅの! おねえじゃんにはじぇったいじぇったいにあげにゃいもんね! ゆぷぷぷ ぷ! うらやまちいでちょ!」 「ゆぅ……いもうちょのくちぇににゃまいき!」 「しょうだよ! おちびちゃん! まりちゃたちにもたべちゃちぇて!」 姉妹が猛烈な勢いで抗議するが、末れいむはどこふく風だ。 「ゆぴ……れいみゅ……」 長女れいむが寂しそうに俯く。ふふふ、姉妹間のドロドロって楽しいよね。まあでも、両方とも「俺がただあ まあまを食べさせるなんて有りえない」なんて思えないあたりが、やっぱり赤ゆっくりの限界だよね! まあ、とりあえず――。 俺は先ほどこっそり回収していた赤ゆたちの死体を適当にこね合わせ、お飾りを奪って末れいむに食わせるこ とにした。 「むーちゃむーちゃ……ち、ち、ち、ちあわちぇえええええええええええええ! うめええええ! ぱにゃい! うみゃああああい! ちあわちぇえええええええええ!」 先ほどまで死の恐怖に震えていたせいもあるだろう。 この機を逃さぬとばかりに、末れいむはうれしーしーを垂れ流しながら涙を流してあまあまを貪っていた。 それを憎悪と悲しみの表情で見つめる姉妹たち。 数体分のあまあまをぺろりと平らげたれいむは、完全になすびみたいな体型になっていた。さて、と――そろ そろかな。 俺は手早く道具を準備した。こういうとき、ゆっくりたちは予め自分の行動を台詞にしてくれるから便利だ。 「ゆゆ! くるちいよ! れいみゅ、うんうんちたくなってきちゃった! うんうんしゅるよ! きゃわいいれ いみゅの、すーぴゃーうんうんたいみゅがはじみゃるよ!」 「よーし、手伝ってやろう」 「ゆび!?」 俺は末れいむを抱えて、あにゃるを上向きにした。 「や、やめちぇね! れいみゅのあにゃるしゃん みにゃいでね! はずかちいよ!」 「まずは瞬間冷却スプレー、ゴー!」 さてさて。冬になると、よく野良の赤ゆっくりが「べんぴ」で苦しんでいるのを見かけたことはないだろうか? あれは露出しているあにゃるのせいで、うんうんが凍りついてしまい、うんうんできなくなるという野良なら ではの病気らしい。 それを擬似的に再現してしまうのが、この瞬間凍結スプレーだ。 全てを凍らせると面白くないので、細いノズルをつけてあにゃるにねじこむ。 「ゆぴぃ!? あ、あにゃるさんになにかはいっちぇきちぇるよ!?」 そして、ほんの少しだけスプレーを噴射する。瞬間、末れいむの顔が苦悶に悶えた。 「ちゅべたああああああああああああい! れいみゅのあにゃるさん ひえひえしちぇるううううううううう!」 じたばたするが、れいむのうんうんが丸ごと凍ったかのように、腹部はどこか異常な蠢きを見せていた。これ だけでも、なかなか面白いのだが――。 「ここで、おなじみ唐辛子エキスの入ったお注射さんが登場!」 ……と言っても、致死量ではない。むしろ、限りなく辛みは薄くしている。別に、こいつに直接注射する訳で はないからだ。 狙うは、またもあにゃる! 注射針をそっとあにゃるにブチ込み、そっと中身をあにゃる付近にぶちまける。 「ゆびいいいいいいいいいいいいいいいいいい!? いじゃい! あにゃるいじゃいいいいいいいいいいいいい! れいみゅのあにゃるさんがきゃらきゃらになってりゅうううううううううううう!」 さ、これで準備完了だ。 姉妹たちも羨ましがるのを止め、絶望的な表情で眺める中、末れいみゅは便意と激痛に悶え苦しんでいた。 「ゆぎゃああああああああああああ! いじゃい! ぽんぽんいじゃい! あにゃるもいじゃい! うんうんち たい! うんうんちたくない! どぼじでえええ! どぼじであにゃるがいちゃいいちゃいするのおおおおおお! 」 「よしれいむ、ぷくーだ。ぷくーして、あにゃるをまいったさせるんだ」 俺の言葉に、末れいむはこくこくと頷いた。 さすが赤ゆっくり。バカという点では、ある意味で希少種のちるの以上だ。 「あにゃるさん! れいみゅがうんうんちたいんだから、いじゃいいじゃいやめちぇね!? ぷきゅーするよ、 ぷきゅー! ぷきゅー…………いじゃあああああああああああああああい! ぜんぶいじゃいいいいいいいいい いいいいいいいいい!」 それはまあ、当たり前である。 ただでさえ、凍った大量のうんうんのせいで末れいむの腹は圧迫されているのだ。ハート様にもっと太れとい うようなものである。 末れいむはしばらく悶絶すると、先ほどの出来事を忘れてしまったようで、俺がぷくーしろと言うと、またぷ くーして悶絶した。 俺爆笑。 が、そんな楽しい時間も終わりがやってくる。 みちみちと……末れいむのあにゃるが裂けているからだ。ただでさえ、辛み成分のせいで激痛のあにゃるが裂 けるのは、それはもう地獄の苦しみだろう。 「あ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! だずげじぇ! れいみゅ! さけじゃう゛! れいみゅのあにゃるがさげ じゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」 ジタン、バタン、ジタン、バタン! 暴れる末れいむ! あにゃるどころか頭より大きいんじゃね? と思うようにでっかいうんうん! 限界を天 元突破してしまったあにゃる! 「うわはははははは! ほら見ろお前等! すげえだろこれ!」 「れいみゅ! れいみゅううううう!」 「ちっかりちてえええ!」 「うんうんだしぇばいいんだよ! うんうんたいそうだよ! ほらのーびのーび!」 先ほどの怨恨も忘れて、姉妹たちは必死になって末れいむにエールを送る。 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! お゛お゛ごお゛お゛!」 ぶびゅ! という音と共にあにゃるが完全にぱっくり裂けた。 同時に体内餡ごと、飛び出る大量のうんうん。 その中には、一部とはいえ中枢餡も含まれていたりして。 「ゆびびびびびびび……ゆびっ、ゆっ、ゆっ、ゆぶぶぶぶっ……ゆび~……ゆぶうううううううう」 末れいむはスッキリしたのか、にんまりと笑ったあと、眼球がくるくると動いてぱたんと倒れた。 「「「「「れいみゅうううううううううううううううううう!」」」」」 末れいむ。 便秘の激闘の末に死す。なんまいだぶ。 さあ、残り五匹。 誰にしようかな~? (続く) 過去の作品 anko3216 愛するでいぶ anko3238 ゆ虐思考 挿絵:
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1879.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 898 赤ゆ焼き/コメントログ」 なかなかのお手前で、、 でもやるんならハードにやって欲しい! -- 2010-07-26 15 05 08 苦しむ様子や断末魔がもっと過激だとさらに面白いと思う。 赤ゆでもオーブンで数分焼かれても死なないぐらい生命力があるSSが多かったので・・・ -- 2010-07-26 18 28 44 ゲスゆっくり大好き!!! 殺すとスカッとするから。 -- 2010-07-26 18 38 07 素晴らしい一品でした! 十分にヒャッハー!しました -- 2010-07-27 00 15 27 親れいむのウザさは一級品だったな。 -- 2010-08-03 18 28 15 糞赤ゆを焼いてるところを糞れいむに見せてやりゃよかったのに。 -- 2010-08-12 22 27 09 赤ゆにソースまぶすってどれぐらいの苦痛なんだろ? 人間でいえば塩100グラムを無理やり食わされるぐらいの苦しみかな? -- 2010-09-26 20 48 51 ゲスゆっくり共の共食いだー! すっきりー! -- 2010-11-20 23 51 35 赤ゆが5匹位いた方が良かったな。 しかしなんでゆっくりってこんなムカつくんだろw -- 2011-04-11 17 51 45 ヒャッハー! -- 2011-06-05 09 36 25 生き延びることよりもゆっくりすることを最優先する本末転倒な生物、ゆっくり -- 2011-07-20 13 20 15 馬鹿なゆっくりは潰されてとうぜん -- 2012-05-23 19 43 39 イヤッホォォォォウ! -- 2012-08-01 21 56 25 最後のまりさは帰宅途中にでも会って、連れ帰ってお飾り等で番なのを確認した後念入りに虐待して生ゴミ逝きにして欲しかったw -- 2012-09-03 11 52 43 とってもヒャッハー!できるぜぇぇぇぇぇ! -- 2012-10-02 22 06 04 あのまりさにれいむ焼きを食べてもらいたかった -- 2013-01-24 17 29 23 まりさかわいいよおぉ~~~ -- 2013-04-15 20 51 09 自分ならこのゆっくりにさるかに合戦の猿みたいにゆっくりにたこ焼き落として殺してすぐその場を 離れるね。 -- 2014-04-12 13 11 11 ゆっくりむらさを入れたら美味しくなるかもしれないww -- 2014-05-15 00 35 40 なんだ、たこ焼き器は使わないのか・・・ -- 2014-06-05 18 09 51 ゲスぱちゅりーとちぇんも入れたら美味しくなりそうだ。 -- 2015-01-29 10 58 17 ゲスぱちゅりーとちぇんも入れたら美味しくなりそうだ。 -- 2015-01-29 10 58 40 鬼笑 -- 2016-08-19 12 07 40 ↓暗黒微笑の再来 -- 2016-09-25 20 10 05 野良なのに人間との実力差を知らないって相当アホだなwww 「おがぁざん、だずげで~!」って言ってるのに 「おちびちゃんだけあまあまたべるなんてずるいよ」になるなんて お前らの聴覚どうなってんだwww -- 2018-02-24 10 04 29
https://w.atwiki.jp/hutaba_ranking/pages/29.html
赤ゆのたのちいイス取りゲーム (前) 37KB 虐待 愛情 不運 仲違い 家族崩壊 親子喧嘩 同族殺し 番い 野良ゆ 姉妹 赤ゆ ゲス 希少種 都会 透明な箱 現代 虐待人間 うんしー ぺにまむ 長い ※善良ゆ虐待あり ※タグは全編通してのもの 【1】 --------------------------- おにいさんはさいきんゆっくりしてないよー。 ちぇんとあそんでくれないんだねー。 ちぇんもらんしゃまもさびしがってるんだよー。 わからないんだよー。 さあなあ……。 らんもわからないなぁ。 おにいさんにも、ゆっくりいがいであそびたくなるときがあるのかもな。 ゆぅ。 でもかいゆっくりなら、にんげんさんのことを だいいちにかんがえないといけない。 ばっじつきならなおさらだ。 そうだねー。 ゆっくりできないけど、しかたないねー。 ----------------------------- まりさは都会の冬がこんなに寒いものなのだと知らなかった。 ゆっくりの過剰繁殖によりごはんのなくなった故郷。 それを捨て、食べ物のあるという町に降りてきた。 ご飯の無い場所では子作りができないからだ。 「むきゅきゅん! けんじゃなぱちゅりーがみみよりなじょうっほうをおしえるわ!!」 ぽかぽかなおうち、おなかいっぱいのあまあま。 ぱちゅりーのいいかげんな知識を頼りにやってきたものの、 それは一握りの飼いゆに限って認められる話であった。 もりけんの甘い話を信じ、既におちびちゃんまで作ってしまっている。 あたたかいおうちもあまあまなごはんもなく、 現実はダンボールの中。ビニールシートもない。 現実は苦い苦い草さん、くっさい生ごみ。ごはんはげろまず。 現実は苦しみの連続。 野良なんてそんなものだ。 暮らし向きは以前より格段に悪くなった。 「しゃむいいぃぃ!!」 「おきゃあしゃあああん……」 「ゆぅー、よーしよーしゆっくりだよー……」 おちびちゃんたちは母とのすりすりで暖を取り何とか命をつないでいる。 秋の暮れ、そろそろ冬の足音が聞こえてくる季節だ。 もう何か行動を起こさないと、家族そろって永遠にゆっくりしてしまう。 その瀬戸際にあった。 森に帰るという選択肢も考えられる。 しかし、森ではもう家族九匹をやしなえる食料は取れない。 森に戻るならおちびちゃんを何匹か諦めるしかない。 もう既に日は暮れ、ゆっくり出来ない寒さがおうち中を覆っている。 風が一吹き入り込むたびに、おちびちゃんの元気が無くなってゆく。 そのゆっくりできていない顔を見るたび、れいむの母性が悲鳴をあげた。 「ゆっくちできにゃいよぉ……」 きゅっと目をつぶって、ぷるぷる震えている。幼い命。 「おちびちゃん、かわいそうだよぉ……」 つがいのれいむはキリリとした顔でまりさに言う。 「まりさ、にんげんさんのおうちにいれてもらおうよ!」 人間さんのおうちはあたたかく、あまあまも一杯らしい。 ゴミ捨て場で会った野良に聞いた話だ。 人間さんに飼いゆっくりにしてもらう。 都会にゆっくりを引きつけて留める数少ない希望。 「そうだね、それしかないね……」 まりさは眉を曲げつつも、おちびちゃんを見ればうなずくしかなかった。 人間さんは怖い。 恐ろしい人間さんをまりさも何人か見ていた。 山から降りて一週間。 潰されるゆっくりを何匹も見た。 捨ててあったものを拝借しただけで殺されたゆっくりを見た。 おうたを歌ってただけで殺されたゆっくりを見た。 ゆっくりゴミの水曜、沢山のゆっくりが収集車に詰め込まれてゆくのを見た。 だからまりさは、れいむの提案の危険性も一応分かっている。 しかし寒冷耐性の強い町ゆの餡統でもなければ、この寒さは我慢できない。 まりさとれいむが生き残れたとしても、おちびちゃんは無理だろう。 成体ゆっくりの中枢餡は皮と餡子の分厚い層に守られているが、 赤ゆのそれは非常に薄く、すぐ凍えきってしまうのだ。 危険と知りつつも、まりさは人間さんに賭けるしかない。 人間さんにうけいれてもらって初めて、家族全員がゆっくりできる。 思い立ったが吉日ということで、まりさはぼうしの中などにおちびちゃんを入れ、れいむも連れて出発した。 「おぼーちのなかはあったきゃいにぇ!!」 「ゆっくちできりゅにぇ!!」 おぼうしの中は体温が保存され比較的暖かい場所だ。 一度に入れられるのはせいぜい三匹なので、少し経つごとに赤ゆたちは交代しなければならなかったが、 れいむもまりさも、おちびちゃんがあったまってくれるのはうれしい。 おぼうしのツバでぷりぷりはしゃぐおちびちゃんたち。 このかわいさならと、思わせるものがあった。 おちびちゃんを連れてきたのは、おちびちゃんのかわいさで 人間さんがおうちに入れてくれるかもと考えたからだ。 ゆっくりにありがちな考え方であった。 実際のところ、汚い野良なんて愛で派ですら大半が相手にしない。 色々なSSやイラストであらわされてきた通り、 都会に住んでいても田舎に住んでいても、汚い野良のせいで苦労することは多い。 すりつかれて服を汚されたり、おうたで不快な気分になったり。 ゲスでなくとも理屈の通じない個体が多い。 野良ゆっくりの好感度は最悪だ。 躾の行き届いたバッジ付きは愛されうる。 しかし躾もされていない野良にかかわってわざわざストレスを貯めたい人はいない。 トントントン。 木の棒でノックする。こうすると人間さんが出てくるらしい。 しかし誰ひとりとしてまりさ一家の話を聞いてくれることはなかった。 少し開け、ゆっくりだと分かると閉じられてしまう。 「どぼぢてむしするのおおおおお!!!???」 「ゆっぐりさせてよおおおお!!!」 そんなやり取り(?)が何度も続いた。 何度も何度も。 憐れなものである。 そんな憐れなまりさたちを受け入れてくれたのは、 笑顔の似合う、いかにも優しそうなお兄さんただ一人であった。 「そうか、それは困っただろうね。お兄さんのおうちに入るといいよ」 「ゆ!? ほんとにいいの!?」 「あじがとうございます! あじがとうございまずうう!!!」 「「「 ゆわぁーい!!! にんげんしゃんのおうちだよ! 」」」 30件目の訪問。 数が数えられないゆっくりからすれば、 1000件は回ったんじゃないかと思えるほど長い時間動いていた。 家を出て寒さに晒され、おちびちゃんも弱りはじめており、 まりさも内心諦めかけていた頃の話だった。 「さあ、お入り」 歌のおにいさんも出来そうな、ゆっくりしたお兄さん。 「ゆ、ゆっくりおじゃまします」 「「「「ゆっくち!」」」」 始めての人間さんのおうち。 すこし緊張しながら足を踏み入れた。 まりさ扉をくぐると、そこは天国。 そう人間さんのおうちは、天上楽土な場所だった。 床は見たことも無いすべすべのなにかで出来ていて、歩くだけで気持ちが良い。 外の寒さが嘘のように暖かくて、春が来たように過ごしやすい。 夜なのに光が満ち溢れ、昼のように明るい。 まりさたちはあまりに汚かったのでまず濡れタオルで綺麗にしてもらった。 特にゴミ漁りを続けていたまりさ。 汚れているだけでなく、ちょっと臭いのだ。 「ゆゆーん♪ くしゅぐったいよ!」、 お兄さんのゆっくりを拭く手つきは、熟練した何かを感じさせる。 ゆっくり関係の職についているのだろうか。 赤ゆたちもまったく嫌がることがなく、すぐに綺麗にされた。 「「「「さっぱりー!!!」」」」 つやつやのコーティングオイルまで塗られる。 そのぷるぷる感、まるで室内飼いゆのよう。 れいむは玄関の大鏡に自分をうつし、なんだかうっとりしている。 一気に美ゆっくりになった自分に一目ぼれしたかのようだった。 その後お兄さんのおうちの居間に通され、ゆっくりを許された。 テレビ一個、タンスなどの家具もちらほら配置されている。 ちぇんぐるみや陰陽玉のようなゆっくりグッズもまたちらほら。 一人暮らしにしては少し広いことを除けば、一般的なゆっくり好きの部屋に見える。 まりさはこのお兄さんがゆっくりを好きなのだと思った。 「ゆっくりしていってね!」 「「「「「 ゆっくりしていくよ!! 」」」」」 お兄さんの持ってきたあまあまは、口の中に桃源郷が広がる旨さだ。 咥えているだけでよだれが出てくる。飲み込めば幸せ。 「はふっ! はふっ! めっちゃうっみぇ!!」 「ちちちあわちぇええええ!!!」 「むちゃむちゃ!!」 「がーちゅがーちゅ!!!」 「ゆゆーん♪ おちびちゃんたちしあわせそうだよぉ~!」 赤れいみゅ3と赤まりしゃ4のおちびちゃん。 すべすべのフローリングの上、皿からこぼしながら必死こいて食べる。 人間からみれば少し汚いが、ゆっくりにとってはゆっくりできる光景である。 寒さで満足に狩りができなかったまりさのせいで、このところ満腹にもなれなかった。 それがあまあまをくちいっぱいに頬張って、溢れさせながら喜んでいるのである。 「ゆふふ、ゆっくりたべていいんだよ!」 れいむもまりさも心の底から笑顔に慣れた。 これでこそ。 こうやっておちびちゃんの笑顔を見れてこそ、町に来たかいがあったというもの。 飼いゆっくりになれたわけではないが、冬が越せればなんとでもなる。 怖かったけど人間さんを訪ねて良かった。 ぱちゅりーの話は本当だったんだ。 まりさの心の底から、みるみるゆっくりが溢れてきた。 それはれいむも同じことだろう。 そして赤ゆたちの餌皿もそろそろ空になるかといった頃合いである。 幸せな家族の団欒に、席をはずしていたお兄さんが戻ってきた。 とっとっ。まりさの頬に人間さんの足音が響く。 まりさはとてもゆっくりできるお兄さんの方に笑顔を向ける。 どうも何か話があるようだ。 「おにいさんとの約束、まりさは覚えてるかな?」 「ゆゆっ! もちろんだよ!」 「「「「 ばきゃにしないでにぇ!! 」」」」 まりさはこのおうちの玄関先である約束をさせられていた。 ゆっくりが大好きなお兄さんと遊んでくれという約束だ。 「それならいいんだ。最近はゆっくりの家族とふれあることが少なくてね」 「おちびちゃんたちもたのしみにしてるよ!」 約束という言葉を聞いた時、掃除洗濯奴隷労働、ゆっくりできない想像が頭を巡った。 まさかれいむの体が目当てのHENTAI! そんな妄想までしていた。(その瞬間、まりさのぺにぺには天を突いていた) しかし聞いてみればなんだ、ただ「お兄さんと遊べばいい」というだけだそうだ。 ゆっくりできないことはなにもない。 むしろまりさからお願いしたいとすら思える約束だった。 「「「「おにーしゃん、ゆっくちー♪」」」」 赤ゆたちはあまあまのお礼のつもりなのか、お兄さんの足にすーりすーりする。 にこにこころころ転がって、とてもゆっくり出来ている。 「おにーさん!!」 まりさは口を開ける。 「どうしておにいさんはこんなによくしてくれるの?」 まりさの会った人間さんに、ゆっくりできる人は一人もいなかった。 それなのにこのお兄さんだけ。 「ゆっくりが好きだからだよ」 「ゆゆー♪ ゆっくりできるおにいさんだね!!」 お兄さんは笑顔で答えてくれた。 れいむもまりさも、頬がゆるむ。 人間さんにもこういう人がいるんだ。 町も捨てたものじゃない。 「それじゃあ食後の運動ってことで、そろそろプレイルームに行こうか」 「ゆゆ! ゆっくりりかいしたよ!」 まりさの眉はきりりと上がる。 まりさは約束をちゃんと守るゆっくりだよ。 そう主張しているかのような顔だった。 まりさ一家は居間を出て、すべすべの廊下を通り、プレイルームに通される。 すべすべフローリングの廊下では、おちびちゃんたちがころころはしゃぐので、 連れていくのもなかなか大変だったようだ。 プレイルームは、白を基調とするさわやかな色合いの部屋。 真ん中には丸いテーブル。 カラフルな箱やカセットコンロ、鍋などが床に置いてある。 壁にはゆっくりできるゆっくりの絵。 にっこりと笑っているゆっくりの絵が書き込まれているのだ。 「ゆっくちひりょいよ!」 「じめんさんがふーわふーわだよ!」 床には青いじゅうたんがすーっと敷かれている。 敷かれた絨毯の感触に、赤ゆたちは大喜びのようだ。 プレイルームとは、お兄さんがゆっくりと色々遊ぶ場所らしい。 ゆっくりできるお部屋の雰囲気を気に入った赤ゆたちの中には、 家具のすきまなどを目指したんっけんを始めるものもあった。 大きいゆっくりの絵に、ごあいさつをするものもあった。 「まってねおちびちゃんたち!」 おちびちゃんたちについて、れいむもぴょんぴょんしてゆく。 あわただしいやつらである。 お兄さんのそばに残るのは、すでにまりさだけだった。 「ところでおにいさん。おにいさんにかいゆっくりはいないの?」 まりさは当然浮かんできた疑問を口にする。 なんでお兄さんはゆっくりが好きなのに、この家にはゆっくりが見当たらないのだろう。 ゆっくりのおもちゃや、ゆっくりプレイスまであるのに。 もしかしたら別の部屋にいるのかもしれない。 「ゆっくりごあいさつしたいよ!」 「ああ、この間までは二匹居たんだけど、死んじゃってね」 「ゆゆゆ、そうなの……」 まりさの表情は曇る。 「そんな顔しなくていいよ、怒ったりなんてしてないからさ」 お兄さんは特に気分を害した風ではなく、まりさはほっとした。 「ゆっくち、ゆっくち!!」 「しょろーりしょろーり!!」 まりさから離れて、二匹の赤ゆの様子を見てみよう。 まりちゃとれいみゅ、モノモノのすきまを進む。 ごちゃごちゃとある中にて、どれもこれも赤ゆの目に珍しい。 だからその目はきらきらと輝く。 好奇心がチクチク刺激される。 特にキラキラしたものなど、ゆっくりの子供の大好物だ。 「こりぇ、れいみゅのたからもにょにすりゅよ!!」 ビーダマを咥えるれいみゅ。 「こっちは、まいちゃのだよ!!」 サイコロを咥えるまりちゃ。 こんな人工物、森の中には絶対にない。 とてもゆっくりできる「とくべちゅ」 おにいさんのおうちに来てから、新しい体験がいっぱいだった。 しかし。 「こら!」 そこに割り込む親れいむ。 「ここはおにーさんのおうちなんだから、かってにたからものにしたらだめだよ!」 このれいむ、一応人間との付き合い方を餡子に継いでいるようだ。 祖先にバッジ持ちがいたのだろうか。 しかしゆっくりできないその言葉に、れいみゅとまりちゃは猛抗議。 「やじゃやじゃあ!! れーみゅがみちゅけたんだよ!!」 「まりちゃがしゃいしょにひりょったんだよ!!」 「ゆゆぅ、おちびちゃんたち……」 その騒ぎに、まりさとお兄さんも近づいてくる。 「ゆ~? れいむ、どうしたの?」 「おちびちゃんがおうちのものをほしいって……」 とはいえそれは、安いビーダマと安いサイコロである。 ゆっくりの目にどう映るのかはともかく、お兄さんにとっては取るに足らないものだ。 「いいよ。欲しいならあげようか」 「ゆゆっ!? いいの!?」 「ほらおちびちゃんたち、おにいさんにおれいをいって!」 「「ゆっくちありがちょー!!」」 お兄さんは笑う。 ゆっくりと人間の価値観は違う。 ちぇんもそうだった。 高かったおもちゃよりも、一掴み100円のビーダマを大事にしてたっけ。 「それより、そろそろおちびちゃんたちを集めてくれるかな」 しかし他のおちびちゃんたちはかくれんぼを始めてしまったらしい。 まりさとれいむは駆けだし、二匹でおちびちゃんに呼びかけを始めた。 「ゆゆっ、おちびちゃんでてきてねっ!!」 しかしおちびちゃんは一人も出ない。 「ゆぅ、こまったよ」 部屋はそれほど広くも無いのだが、ゆっくりはゆっくりな生き物である。 二匹で探しても少しかかるだろう。 そんな二匹のそばに、お兄さんもやってくる。 「ゆっくりを探すときはこうするんだよ」 れいむもまりさも、顔をあげてお兄さんを見る。 「ゆっくりしていってね!」 「「「「 ゆっきゅりちていっちぇにぇ!!! 」」」」 おちびちゃんの声だ。 【2】 --------------------------- お兄さんはゆっくりが大好きだ。 幼稚園の頃にゆっくりを飼い始めた。 最初のゆっくりはれいむ。 中学生になったときにれいむが死に、なぐさめにぱちゅりーを飼った。 ぱちゅりーは短命のケースが多いが、このぱちゅりーは特別長生きし大学を出るまでの友達となった。 ゆっくりスクールの先生になってからはちぇんを。 仕事が忙しくなってくると、遊び相手兼つがいとしてらんも飼いはじめた。 「おにーさんはとってもゆっくりしてるんだよー!!」 ゆっくりスクールではなかよしコース担当。 お兄さんの務めていたスクールにはびしばしコースとなかよしコースがあった。 びしばしコースは強面の教師が金やプラチナを取らせるスパルタコース。 ゆっくりの悲鳴が絶えず、キャンパスは山奥に建てられている。 なかよしコースは優しそうなお兄さんお姉さんがゆっくりを遊ばせながら、 その中で社会性を身につけさせ性格良くさせる。銀バッジ程度のゆっくりを目指すコース。 お兄さんはそのゆっくりに好かれそうな優しい風貌からなかよしコースに配属された。 「はーい、それじゃあイス取りゲームで遊ぼうか!」 「「「 ゆわーい!!! 」」」 問題児もほとんどなく、お兄さんの生活は充実していた。 --------------------------- れいむとまりさがおちびちゃんを集めた後、お兄さんはお遊びの準備にとりかかった。 赤ゆが七匹、丸いテーブルの上に乗っている。 ちなみに親まりさと親れいむは透明な箱の中だ。 「おにいさん、このかべさんはなんなの?」 「まりさはとうめいなかべさんにかこまれてゆっくりできないよ……」 れいむはなんともないようだが、活発な種であるまりさには狭苦しいのかもしれない。 「まあまあ、特等席だと思ってゆっくりしてよ」 「ゆぅ……」 「はーい、それじゃあイス取りゲームで遊ぼうか!」 「「「 ゆわーい!!! 」」」 イス取りゲームとはイスに座っている者が勝つという極めて簡単なゲーム。 音楽がなっている間は(複数個の)イスの回りをぐるぐる回り、笛の音と同時に座る。 イスに座るためなら他のゆっくりに体当たりなどをしてもかまわない。 ただし笛が鳴る前に座ったり、音楽が鳴っているのに立ち止まったりしてはいけない。 ズルをした子は失格である。 「「「 ゆっくちりかいしちゃよ!! 」」」 辛い事や都合の悪い事はすぐ忘れるゆっくりであるが、 お遊びようなゆっくりできることについては妙に記憶力がいいのである。 だからこそ金バッジを取らせるのも難しいのだが。 テーブルの上に、赤ゆでも座れる円柱のイス。 切り株をモチーフにしたそれを六つ、円を描くように置く。 準備は万端だ。 「ちなみに勝った子にはあまあまをあげるからね!」 「「「ゆゆ!? ゆっくち!?」」」 おにいさんはあまあまフードの入った袋を見せる。 「さっきのより美味しいやつだ」 「「「「 ごきゅり…… 」」」」 「「ごくり……」」 赤ゆたちはおろか、親までも喉を鳴らした。 香りを嗅ぐだけで良い意味で永遠にゆっくりしそうな……。 素晴らしい匂いがしたのだ。 ともあれイス取りゲームは始まった。 とてもおいしそうなあまあまを目指し、赤ゆたちは火花を散らし始める。 ♪オクラホマミキサー(イス取りゲームで定番のアレ) 七匹の赤ゆっくり。 れいみゅ3とまりしゃ4はみな自分の勝利を確信し、すでに涎を垂らしている。 イスの数から言えばここで一匹失格になるのだろうが……。 「はいはい、イスさんたちの周りをくるくるしてね!」 お兄さんが音楽に合わせ、リズムよくゆっくりと手を叩く。 「「「ゆっくち♪ ゆっくち♪」」」 赤ゆたちも楽しそうだ。 にこにこな笑顔でゆっくちゆっくち回っている。 お兄さんが手拍子をするごとに、赤ゆたちが一歩進む。 そんなゆったりとしたリズムを、一家全員楽しんでいた。 「ゆゆぅ~!! おちびちゃんたちゆっくりしてるよぉ~!!」 「ゆふふ、おにいさんがいいひとでゆっくりできるね!」 親ゆたちもおちびちゃんの久々の笑顔に、一緒にニコニコ。 一拍ごとに左右にゆっくり揺れている。 パン! パン! パン! パン! ゆっ♪ ゆっ♪ ゆっ♪ ゆっ♪ パン! パン! パン! パン! ゆっ♪ ゆっ♪ ゆっ♪ ゆっ♪ しかしこれはお遊戯ではない。イスとりゲームだ。 すぐに音楽は止まり、ピィイ!っというホイッスルの甲高い音が鳴り響く。 「ゆゆっ!?」 楽しい音楽が鳴りやんで、赤ゆたちは一瞬止まる。 しかしすぐに本来のルールを思い出しイスをとりはじめた。 「「「ゆっくちしないですわりゅよ!」」」 「おちびちゃんたち、みんながんばってー!!」 「ゆっくりだよー!!」 まりさが一匹ちょこんと座ったのを始めとして、他の赤ゆたちもどんどん飛び乗ってゆく。 「きょきょをまりちゃのゆっくちぷれいしゅにしゅるよ!!」 席を取れた喜びでおうち宣言をするまりちゃもいる。 あまあまに一歩近づいたまりちゃは満面の笑みだ。 「ゆっくちのりゅよ!」 「ぴょんぴょんすりゅよ!」 「これはれいみゅのいすしゃんだよ!」 「まりしゃいすしゃんにすわれたよ、おきゃーしゃん!!」 「ゆわーい、ゆっくちできりゅよ♪」 イスに座れただけで、赤ゆたちは喜んでしまう。 うふふな六匹。 無邪気なものである。 しかしゆっくりの間でも素早さの差というものがある。 一番末っ子のれいみゅは、どのイスにも座れなかったらしい。 末っ子というものは、体力的に不利なのである。 れいみゅの瞳には、ゆっくりが乗ったイスしか映っていない。 「ゆ、ゆうぅ~!??」 そうなってはいよいよ困り顔だ。 負けたゆっくりはあまあまを貰えない。 きょろきょろしつつ、イスの回りをくるくる探す。 しかしもうイスは一つもないのである。 いくら何度も見ても、全部のイスにどっしりと赤ゆがある。 そのうちだんだん涙ぐみはじめ、 「ゆっぐ……! れいみゅのあみゃあみゃぁ……!」 何度も確認した挙げ句、ついには泣きだしてしまった。 楽観的なゆっくりは自分が負けるなんて考えもしない。 それなのにれいみゅは負けてしまった。しかも一回戦で。 席は一応奪ったりしてもよいのにそれをしないのは、 ルールをちゃんと聞いてなかったのか、それともそういう性格なのか。 「お、おちびちゃんなかないでね!!」 「ゆっくりして! ゆっくりしてねぇ!」 透明な箱の親ゆたちもこれには慌ててしまう。 楽しかったイス取りゲームが一転、悲しい雰囲気を帯びてしまったからだ。 「あらら、大変だ」 しかしそんな末っ子れいみゅのそばにやってきたのが 逆に一番年上の、長女まりちゃである。 まりちゃは自分のイスを離れ、泣いている末っ子れいみゅを慰めに来たようだ。 「ゆっくちしていっちぇにぇ、れいみゅ! まりちゃのいすしゃんあげりゅからね!」 「ゆっぐ……、……ゆ?」 親まりさも親れいむもお兄さんも皆意外そうな顔で長女まりちゃを見る。 「いいの? イスをあげるとまりしゃちゃんは負けってことになるよ?」 「いいよ! まりしゃ、おねーちゃんだもん!!」 まりさの親切がよっぽど嬉しかったのか、れいみゅもにっこり顔に戻っていた。 まだほっぺたに涙の後があるが。 「おねーちゃん、ゆっくちありがちょう……」 親まりさと親れいむなどは、もう滝のように涙を流している。 あんなに小さかったまりしゃが、こんな立派なおねーちゃんに……!! そういう親の喜びをかみしめているんだろう。 お兄さんもにっこり笑う。 「それじゃあれいみゅちゃんは勝ち抜け、まりしゃちゃんは残念だけど負けということだね」 「そうだにぇ……。でもれいみゅがゆっくちできて、よかっちゃよ!」 にっこにこ。 このまりちゃは、純粋なゆっくりなのだろう。 お兄さんの口がさらに笑う。 「それじゃあ罰ゲームも、かわりに君にやってもらおうね」 「ばちゅ、げーみゅ?」 なんだかゆっくりできなさそうな「罰ゲーム」という響き。 鬼意山は手を振り上げる。 そこにはいつのまにか、小さな金槌が握られていた。 プレイルームの箱に保存されていたもの。 振り下ろす。 ぐしゃり。 躊躇いもなくつぶした。 首をかしげる長女まりしゃは、餡子を飛び散らせて永遠にゆっくりした。 「お姉ちゃんぶって譲ったりしなければ、死なずに済んだのに。永遠にゆっくりしていってね」 まりさ一家の物語は、ここから急降下を始める。 赤ゆたちはなにがなんだか分からないといった様子だ。 金槌でつぶすとこういう反応が得られる。 面白い。 火炙りやあまぎりのような濃い虐待とはまた違った感動がある。 金槌が持ち上がると、餡子溜まりの中から砕けた歯や飛び出た目玉が見え始める。 赤ゆたちはそれでも分かっていない。 「お、おにーしゃん。てじなしゃんはやめちぇにぇ……?」 長女まりしゃが消えたのは、手品かなにかだと思っているらしい。 お兄さんは長女まりちゃの死骸をつまむと、ごみでも放るかのように赤ゆたちの側へ投げた。 すると死臭あふれる死体が、目を背けられないほど近くに現れることになり、 「ゆぎゃああああ!!!!」 「おねーぢゃんぎゃあああ!!!!」 「どぼちでちんでりゅのおおおお!!!」 赤ゆの群れは一瞬にして恐怖に陥れられた。 赤ゆがどんなに間抜けでも、こうしてやって分からないはずがない。 それでもなお現実を受け入れず、ぺーろぺーろで直そうとする者もいるが、 「ゆげえええ!! くちゃいいいい!!!」 ゆっくりにはキツイ死臭をもろに吸い込んでしまい、餡子を吐き出すことになった。 死臭。 ゆっくりはよく死によく増える生き物だ。 しかしおうちから殆ど出ない赤ゆたちである。 今ここで初めて嗅いだらしい。 「でいぶのおぢびちゃんがあああああああ!!!!」 「どぼぢでごんなごどするのおおおお!!!!」 あまりの出来事に両親も騒ぎ始める。 特に親れいむの方など、歯茎をむき出しにして威嚇をはじめている。 「じじいいいいいい!!!! ころじでやるううううう!!!!」 れいむのおにいさん評価は、一気にじじいにまで転落した。 まりさも震える口で怒りを吐き出し始める。 「ゆっぐりじだおちびちゃんだったのにぃいいい!!! どぼぢで!!! どぼぢでええええ!!!!!」 「あれ? 負けた子は生きて帰れないってお兄さん言ったでしょ?」 「ぞんなごどいっでないいいいいい!!!」 まりさの反論にも耳をかさないお兄さん。視線を赤ゆたちに戻す。 両親は他の子供を潰されまいと透明な箱に体当たりを繰り返すが、まったく効果がない。 加工所の透明な箱は像が踏んでも壊れないのだ。 「おぢびちゃんたちにげてええええ!!!」 れいむはどうしようもなくなり、おちびちゃんに逃走を促す。 それを聞いたおちびちゃんたち、はっとして逃げ始める。 泣きわめいている場合じゃないのだ。 このお兄さんは、ゆっくりできない鬼意山だ! 逃げないと殺されるかもしれない。 両親の叫び声がそれを気付かせた。 「ゆっくちにげりゅよ!!」 「そりょーり、そりょーり……どぼぢてかべさんがあるのおおお!!!」 丸テーブルの周りには透明なプラスチック板の壁が存在していた。 このテーブルは赤ゆと遊ぶためにカスタマイズされた、赤ゆ専用虐待プレイス。 このプラスチックの壁は、視認性と逃走防止の両立をはかるために開発された仕組みだ。 高さ10cm強のそれは赤ゆたちにとってヒマラヤのように高い。 子ゆならまだしも、脚力(?)の備わっていない赤ゆが飛び越えるのは不可能。 そのことは当然、計算されたうえで設計されている。 プラスチック壁のそばにかたまり、ぷるぷる蠢いている赤ゆたち。 鬼意山がコホンと咳払いをすると、こんにゃくゼリーのようにぷよぷよ震え始めた。 迫りくる死の恐怖。 生後まもない、死に直面した初めての経験。 既におそろちーちーを漏らしているゆっくりもいる。 「さて、おちびちゃんたちには最後までイス取りを続けてもらうよ」 親ゆたちが箱を叩く音だけが響く。 「かべざんがなければごんなやづうううう!!!!」 れいむが金切り声をあげるが、それも空しい。 どん、どん、どん。 鬼意山は無視して続ける。 「つまり殺し合いをしてもらう。突き落としたり、席を譲らなかったりしたら妹やお姉ちゃんが死ぬことになる。直接は殺さなくても、間接的に殺すことになるわけだね」 ほのぼのとしたお遊びの場で、命のイスを取り合わせるわけだ。 イスに座って助かるならと、餡が繋がっているゆっくり同士が それはそれは激しい戦いを繰り広げることになる。 時には餡が流れることもあるだろう。 「負けたゆっくり、ルール違反をしたゆっくり、ゲームに参加しようとしないゆっくり。そんなゆっくりは、地獄の様な苦しみを味あわせて、極限までゆっくりできなくさせた上で殺してあげるから、そうならないように頑張ってね」 赤ゆたちはきゅっとあにゃるが冷える感じを得る。 「さあ、最後まで残れるのは誰かな?」 しかし最後の一匹が選ばれたとして、そんなおちびちゃんがまともな生活をおくれるのだろうか。 お兄さんの遊びが終わった時。それは家族が崩壊する時。 ぷきゅうううう!!! 「そ、そんにゃことできにゃいよ!!」 一匹の赤れいみゅがお兄さんの話を遮った。 なんて命知らずのれいみゅなのだろう。 勇気ある、とも言えるか? 「れーみゅたちは、かじょくなんだよ!? そんなおあしょび、たのちくないよ!!」 ぷきゅううとわずかにふくれあがり、必死で睨みつける。 「れーみゅたちおうちにかえりゅよ! おきゃーしゃんとおとーしゃんはげしゅなじじいをゆっくちころちてにぇ!!」 よりぷっくりふくらみ、その姿はフグのよう。 ほっぺたがタコ焼きのようにふくれる様が、フグそっくりなのだ。 あまりに面白い顔をするものだからと、お兄さんはくすくすと笑いをこぼしている。 こんなささやかな反抗も、お兄さんが何度だって体験したことだ。 仕事でもプライベートでも。 鬼意山は立ち上がって親まりさに近づくと、その脳天に金槌をくらわせた。 「お、おにいさんなにを……ゆげぇっ!!!」 柔らかい餡子と皮に阻まれ、くぐもった音が響く。 赤ゆのための金槌なので親まりさもさすがに死んではいない。 「い、いだいいいい!!! おもにあだまがいだいいいいい!!!!! ゆげっ、ゆげえええぇ!!!」 しかしその衝撃は凄まじく、いざという時には頼りになる親まりさがみじめにも餡子を吐いてしまった。 「ば、ばりざあああああ!!!」 「「「ゆえええん!!! おとーしゃあああんん!!!」」」 鬼意山は赤ゆたちに向きなおる。 「お兄さんはお前らの『おとーさん』よりずっと強いんだよ。我儘を言ってゲームが続けられなくなったら、全員殺すからね。余計なことをしなければ残った子がお父さんお母さんと一緒に帰れる。理解できるかな?」 赤ゆたちはいよいよ怖くなり、おそろしーしーを超えておそろうんうんまで漏らし始めている。 こうやって親を叩いて見せれば赤ゆはもう逆らう気力が無くなる。 赤ゆというものは、親を相当に信頼するのが普通だ。 特に狩りを担う父親役を圧倒的に強くて優秀であると思い込んでいる。 だがこうすることで唯一のたよりが、まったくたよりにならないと分かってしまう。 そうするともう、おとなしくするしかない。 「「「「ゆ、ゆっくちりかいしましちゃ……」」」」
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3314.html
『赤ゆ十連発(後編)』 35KB 虐待 家族崩壊 姉妹 赤ゆ 透明な箱 現代 虐待人間 うんしー 4作目です 「どぼじで……どぼじでごんなごどぉ……」(長女れいむ) 「ゆ……ゆっくちにげるのじぇ……」(次女まりさ) 「やじゃああああ! いだいのやじゃああああああああ!」(次女れいむ) 「ゆっゆっゆっゆっ……」(三女まりさ) 「ゆびぃ……いじゃいの……きょわい……きょわいよ……」(四女まりさ) 三女れいむちゃんは、電子レンジで三度のチン♪ で爆死した。 長女まりさちゃんは、画鋲だらけのカプセルで転がされて死んだ。 四女れいむちゃんは、使い捨てカイロで熱された上にぺーろぺーろ攻撃を喰らって瀕死。 末娘まりさちゃんは、沸騰したお湯に真っ逆さま。溶けて死んだ。 末娘れいむちゃんは、唐辛子エキスで腫れたあにゃるが凍ったうんうんで裂けて死んだ。 残り五匹。 さて、次はどうするかな――――何かして欲しいこと、ある? 『赤ゆ十連発(後編)』 5:六匹目 次女まりさ 虐待道具:高所 俺はその虐待道具を手早く組み立てた。 「たかいたかいはゆっくりできないよ!」という名前の観察虐待道具である。とはいえ、構造は単純だ。家庭で も日曜大工で作れるような代物だ。 まず、長い棒。終端には、これを立たせるための足場がついている。これを普通に立たせる。先端の方は鋭く 尖っている。これはいわゆる「串刺し」にするためにそうなっているらしい。 だが、今回は串刺しではない。 その先端にオプションのテーブルをセットする。テーブルは普通の大きさの赤ゆっくりが乗って少しはみ出て しまう程度のものだ。材質も滑りやすく、ぴょんと跳ぶだけで着地時には激しく滑る。 さて問題。 この場所に、赤ゆっくりをそっと載せたらどうなるでしょうか? 「えーと。次女まりさちゃーん」 「ゆびぃ!? やじゃ! やじゃやじゃやじゃ! いだいのやじゃああああああああああ! ぐぞじじい! じ ね! しんじまえ! せいっさいされろぉぉぉぉぉっ!」 あらあら随分とまあスレてしまって。 まあ、この状況じゃ仕方ないよねー。でも、今回はそれほど痛い思いをしなくて済むかもよ? 問答無用とばかりに、次女まりさを摘み上げた。 「ゆびいいいいいいいいい! おねえじゃ! おねじゃ! だじゅげで! たじゅげでええええ! ゆっくじ! ゆっくじいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」 「ゆぅ……まりちゃぁ……まりちゃぁぁ!」 長女れいむだけが、ぴこぴこともみあげを動かしているが、それだけ。まあ、手が届く位置でもなし。 壁にぶつかったところで無駄だ、ということはよく理解しているようだし。 「ゆがあああ! ほんきだじぇええ! たぢゅげろおおお! むれのりぃだぁになるまりじゃがいなげれば、せ がいのそんしつなんだじぇえええええええええええええええええええ!」 うーん。一つ確実になったのは、こいつらがいた群れには確実にアホのぱちゅりーがいるってことだな。 チェックしておこうっと。 「ゆ゛! ゆ゛! ゆぅぅぅ! いやじゃっ いやじゃっ いやじゃああああ! いきじゃい! まりじゃいき じゃいいいい!」 「大丈夫だよ、まりさ」 「なにがだいちょうぶなのじぇ!? そういってちゃ、いもーちょもおねえしゃんもみんなちんじゃったじぇ!」 「ほら、まりさ。お前への虐待……もとい、制裁はここに居ることだ」 「ゆ?」 きょとんとしたまりさを、高台に載せた。前後左右、一歩でも体をズラしたら落ちてちゅぶれる(笑)ような 高台に、だ。 「ゆ、ゆ、ゆうううううううううううううううううううううう!? にゃんにゃのじぇえええええ!」 「おいおい、暴れると落ちるぞ? 落ちるとそれはもう痛いぞ。あいつらなんか目じゃないくらい痛いぞ?」 これは本当である。落ちて潰れる、そこまではいいが死ぬか生きるかは落ち方次第というのが、この高台のゆ っくりできないところなのだ。 上手く落ちれば、痛みもほとんどなく死ぬ。 ……が、下手な落ち方をすると餡子が少しずつ漏れていくという拷問のような死に方をする。 「ゆ゛ ゆ゛ ゆ゛ゆ゛……いやじゃ……まりちゃ……こんなゆっくちできないとこ……いやじゃ……」 「他の連中が終わったら、アトラクションを追加してあげるからねー」 そう言い残して、俺は次女まりさを放置した。ゆぴゆぴと可愛らしい鳴き声をあげるまりさを、俺はもう少し で「かわいがりっ」してしまうところだった。 6:七匹目 次女れいむ 虐待道具:テレビ+ビデオ 接着剤 今は昔、ポケモンショックという事件をご存知だろうか。 全国の子供を恐怖のどん底に叩き落とし、アホな大人たちが「ポケモンが悪いんじゃね?」「ポケモンが悪い みたい」「ポケモンのせい」と右往左往した事件である。 概要はいたって簡単だ。当時、アニメーションで多用されていた「パカパカ」と呼ばれる背景色の点滅が、非 常に激しいものだった上に、色合い的にも最悪の組み合わせだったために、全国の子供たちがてんかんを起こし てしまったという事件だ。 「あのときは本当参ったよなぁ。アニメーションの点滅が、ものすごい勢いで規制されてなー」 「…………」 訳の分からない話をする俺は、きっと次女れいむにとってはさぞゆっくりできてなかったに違いない。 「で、だ。せっかくだからお前にも最高の環境で、その点滅を担当してもらおうと思ってな」 「ゆ……ぴ……?」 用意したのは17インチの小さなテレビとビデオデッキ。黒い布、さっき使った糊ではなく、より粘着力の強 い瞬間接着剤と定規。おっと、忘れちゃいけないナイフもね。 「まずは、見落としがないように瞼を切り落としまーす」 「ゆびぃ!?」 小さくて可愛い両の瞼をさっくりと切り落とす。これでもう、彼女は二度と目を閉じることはできない。 「続いて接着剤と定規を使ってテレビから離れたりしないよう、しっかりと接着しまーす」 「あづづづづづ!? やめじぇ! やめじぇええええ! れいみゅをはなじでえええええええ!」 「駄目♪ そして、俺たちにまで影響がこないように黒い布を被せまーす」 黒い布に包まれた次女れいむは、暗闇の恐ろしさにガタガタと震えている。 「ゆ゛……ゆぅ……くりゃい……きょわい……」 「大丈夫だよー。今から明るくするからねー。最後! ビデオテープをデッキに挿入して……スタート!」 「ゆ? あかるくなっちゃ……ゆう!?」 次女れいむはホッと息をつく暇もなく、すぐに不快感に身をよじった。 「ちきゃちきゃするう! ぴきゃぴきゃしゃんがぴきゃぴきゃしゅぎてゆっくぢできないよぉ゛ぉ゛!」 ビデオの内容は、ただひたすら赤色が激しく点滅するだけ。 それだけに、何の楽しみもない。瞼がないから、目を閉じることもできない。接着剤のせいで、動くこともで きない。限界まで顔をひねって目を逸らそうとするのが関の山。それでも、片方の目から無数の光が飛び込んで くる。 「はっはっは、駄目じゃないか。テレビはちゃんと見なきゃな」 そう言って、俺は次女れいむの頭を両手の指でがっちり固定した。 ちかちか。 ちかちか。 ちかちかちかちかちかちか。 「ゆぎぃ!? いじゃい! きもぢわりゅいいい! やめじぇ! やめじぇえええ! れいみゅぎもぢばるいよ ぉぉぉぉ!」 「あじゃまいじゃい! あだまいじゃいのぉ! ぴきゃぴきゃしゃんがいじめりゅうううう!」 「おっ……おごっ……ゆぐっ……ゆぐぐっ……ゆっ ゆっ ゆっ……っゆうううう! ぎもぢわりゅいいいいい いいいい! えーろえーろ! えーろえーろ!」 「ぴかぴがっ! ぴがぴがあああっ! ぴかぴかあああああっ! おえ゛え゛え゛え゛え゛! ぎぼぢばるい゛ ぎぼぢばるい゛ぎぼぢばるい゛ぎぼぢばるい゛ぎぼぢばるい゛ぎぼぢばるい゛ぎぼぢばるい゛」 「おぼぉ゛……い゛びぃ゛…………ぐぎょ…………ぎょぎょぎょぎょyごyごよぎょぎょぎょぎょぎょ!」 光の洪水が、次女れいむの目と餡子を犯す。 てんかんのように、びくんびくんと痙攣しては餡子を吐き出し続けた。 だが、目の前の光がある以上吐いても吐いても楽になるはずもない。 次女れいむは賢くも、餡子を吐き続ければ永遠にゆっくりしてしまうと分かっている。だから、どうにか食べ ようとするが、口に入れた端からそれ以上の量を吐き出していた。 そうして、怒濤の光が中枢餡に異常を起こさせたらしく――。 「おびょびょyぼよびょびょぼ! ぐぎょぎょぎょぎょぎょぎょyごぎょぎょyごyご! pび! おびびび!」 なんか、変な鳴き声になっていたので、ビデオを停止して次女れいむを取り出した。 次女れいむは未熟ゆのように目が左右に絶え間なく動き、へらへら笑いながら餡をちょっとずつ吐き出してい た。どうやら、“廃ゆ”になってしまったらしい。 「おびょびょびょびょびょ……ぐえ……げぶっ……」 もみあげをぴこぴこと必死になって動かす様がたまらない。なので、こいつも先ほどの皮剥きれいむと同じく 放置プレイ。ま、そのうち死ぬだろ。 7:八匹目 九匹目 三女まりさ 四女まりさ 虐待道具:USB接続扇風機 接着剤 さて、次は――。 予め起動しておいたノートパソコンにUSB接続式の扇風機を繋ぐ。この扇風機、何とも無駄なことに回転数 をPC側でかなり細かく変更できるところが特徴だ。 透明な箱の中身は、死にかけを除くとまりさ二のれいむ一となっていた。 「よーし。それじゃ、次はお前等だ」 「ゆぅ!? ま、まっじぇ! まっじぇえええええ! まりじゃじにだぐない! まりじゃぢゃんとずるがらあ あああああああ!」 「ゆび! おかあああああじゃああああん! おがあああああああじゃあああああん! どぼぢで! どぼぢで だずげでぐれないのおおおおおお!」 「そ そうだよ……おかあしゃん! れいみゅたちのおかあしゃん! たすけて! このおにいしゃんをせいっ さいしてよおおおおおおおお!」 あっはっは。 お母さんはちょっと今、助けられるような状況にないんだよなあ。まあでも、呼びかける分には構わないよ? 「お……か……おかあしゃ……」 「ゆ……おか……おかあしゃ……」 軽くデコピンしつつ、三女まりさのあんよに接着剤を塗って、扇風機の羽根にくっつけた。四女まりさちゃん はしばらく待機。 「ゆぅ……あんよしゃんがむじゅむじゅしゅるよ……うごけにゃいよ……」 「まりしゃ……まりしゃああ……」 三女まりさと四女まりさはすんすんと泣いている。せっかくなので特等席で見せてあげようと、俺は四女まり さを手に持った。動くとちょっぴりくすぐったい。 「じゃ、いくぜ?」 そろそろ頃合いだと、俺はPCから扇風機を起動させた。 「ゆ? うごいちぇるよ?」 ゆっくりと……一ゲージずつ、回転数を上げていく。 「ゆうう……きもちぇいいのじぇ……すぃーさんにのってるみたいじぇ……」 「すぃー? まりちゃもすぃーにのりちゃい! おにいしゃん! まりちゃものりゅうう!」 「はっはっは。お前は後で乗せてあげるからな。はい、更に回転数上げちゃおう」 「ゆびゅ!? す すぃーさんはやしゅぎるじぇ! もっちょゆっきゅりしちぇええ!」 「…………ゆ? まりちゃ…………?」 はーい回転数倍! 倍! 倍! いわゆる「強」状態となった扇風機の羽根の上。それに三女まりさは翻弄されていた。帽子がどこかに吹き飛 ぶが、さすがにまりさもこの状況では帽子などに構っていられないらしい。 「ゆびゃあああああああああああああああああ! いだいいだいいだいだいぢああいだだだだだあいああああっ! ちびじぇるううううううう! まりぢゃがぎびびびびいびびびびびいいb! ぎゃわいいい! まりじゃがあ あああ! いだいいだいだいいあぢあぢあだだだあああああああああああああああい!」 「びゅんびゅんずるううううううううう! ぎもぢばるいいいいい! やあああfうぇふぁfうぇあfわふぁ! だずげえええええええええ! おがあああじゃあああああああああああああああああ! だずげでえええええ えええええええええええええええ!」 「ちぎっ! ちぎいいいいいいいいいいいいいいい!!! まりじゃ! まりじゃぢぎげるううううううううう うううううう! じゃだああああああああああ! おうじいいいいい! まりじゃのおうじいいいいいいい!」 「おぼおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! いだいいだいいだいおぜながざんがああ ああああ! おぜながざんがいじゃいいじゃいいじゃいいいいいいいいいいいいいい!」 お? 背中が痛い? さすがにこの回転ではよく見えないが……三女まりさの暴れくねり方がなんか妙なような……。 「ざげるううううううう! まりじゃのおぜながじゃんがざげじゃううううううううううううう! やじゃやじ ゅあやうじゃやじゃやじゃああああああああ! おうぢいいいい! おうぢがえるううううううううううううう ううううううううう!」 「ゆ゛……! ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!」 あ。 三女まりさの背中が避け、すぽーんと黒い餡子が飛び出した。この勢いではさすがにどうすることもできず。 俺たちの肩を飛び越えて、壁に直撃した。 「も…………………………ど………………………………ゆ…………………………………………びゅ」 最後に。微かに断末魔をあげて、三女まりさはお亡くなりになりました。 「……」 「お、どうしたまりちゃ? お前もすぃーに乗りたいんだろ? ちょっと待ってろよ」 「や…………………………やじゃああああああああああああああああ! まりちゃじにだぐない! やじゃやじ ゃやじゃやじゃやじゃああああああああああああああああああ! おがああじゃああああん! おねええしゃあ ああああん!」 「まりちゃああああああ! まりちゃあああああ! やべでぐだじゃい! おにいじゃん! やめでぐだじゃい いいいいいいいいいいいいいいい!」 「遠慮すんなって。はい、あんよに塗り塗り~♪」 「う……あ……あああああ……」 三女まりさの貼りついたあんよの上に、載せられた四女まりさはおそろしーしーを垂れ流しっぱなしだった。 安心しろよ、まりさ。同じ虐待を二度繰り返すことはないんだぜ、俺は? 限界まで回転数を上げた扇風機の虐待はこれで完了。 次は「一定の回転数でまりさを翻弄する」虐待に移行する。 「やじゃ……やじゃあ……」 「よし、ぐるぐるするぞー」 「やじゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!」 回転が始まった。 最初はゆっくり。だがさすがにあの結末は餡子に刻まれたのか、四女まりさは震えて泣き続けるだけだ。 回転数が上がるにつれて、さらにその悲鳴は激しくなる。 「じにだぐない……! まりじゃじにだぐないい! だずげでえええ! だずげでええええええ……!」 うん、これくらいかな? 千切れない程度の速度に設定すると、俺はしばらくまりさを放置することにした。 ついでに特等席で見せてやろうと、長女れいむを摘み上げる。 「まりじゃあああああ! ゆっくぢだよ! ゆっくぢすればだいじょうびゅだよお!」 「おねえ……じゃ……! まりちゃ……まりちゃゆっくぢずるよおお! じでるよおおおお!」 回転しながら、まりさの眉がきりっと上がった……ような気がしないでもない。 「まりじゃ! だいじょうびゅ!?」 「ゆ! まりじゃへいきなのじぇ! おねえじゃんのまりじゃはぎっどよわがっだのじぇ!」 回転数を上げたくなるような発言どうもありがとう四女まりさ君。 まあでも、次第にそうはいってられなくなるんだけどね。 十分経過。 「…………」 「ゆ~ゆゆ~……まりちゃ……がんばっじぇっ……」 「ゆううう~ゆゆ~♪ まりちゃへいきなのじぇ……!」 二十分経過。 「んー。ゆーチューブになんか面白いのきてないかなー? えーと……『ゆっくりを乗馬ましーんっではっする っに責め立ててみた』? 面白そうじゃないか」 「ま……まりじゃ……? まりじゃ……だいじょうびゅ……?」 「ゆび……ゆべ……だ……じょ……だい……じょびゅ……」 「畜生釣りだったあああああ! でいぶが乗ったところを見たってはっするっも何ともねええんだよおおおおお お! きもいいいい! 主に全身きもいいいいいいい!」 三十分経過。 「へー……ぱちゅりーがBLに走ると中のクリームが腐臭を放つようになって、同じぱちゅりーでもゆっくりでき なくなるのか。勉強になるなー……」 「まりじゃあああああああああああああああああああ! おにいじゃん! まりじゃをだずげでぐだざい! ま りじゃがへんなんですうう!」 「ゆぴぴぴぴぴいーーーーー! ぴぴぴぴぴぴーーーーーーーーーー!」 「お、三十分で駄目になったか」 この原因は、言わずとしれた扇風機である。先ほどのように物凄い勢いで吹き飛ぶことはないものの、ずっと 振り回されていたのだから、中の餡子がゆっくりと片側に偏り始めたのだ。やわい赤ゆっくりである。 中枢餡ごと移動しているに違いない。 一旦、扇風機を停止する。 「ゆべ……ゆひ……」 先ほどのポケモンフラッシュで廃ゆになった次女れいむ同様、四女まりさもすっかり廃ゆになってしまった。 ただし、餡子は吐かない。 俺はあんよに、そっと接着剤のはがし液を塗ってまりさを解放した。だが、そのまりさは長女れいむが怯えて あとずさるほど奇怪な姿になっていた。 餡子が片側に集中しているせいで、歩くのもままならない。一方はみっちり餡子が詰まっているのに、もう一 方はスカスカだ。口元は開き、だらしなく餡子を垂れ流している。 あ、そうか。 ゾンビに似ているんだ、こいつら。 そっと指で皮をつつくと、ひにゃんと凹んでしまった。わはははは、笑えるツラだ。 「まりじゃあああ……まりちゃああああああ! わきゃる? まりちゃのおねえしゃんのれいみゅだよ……」 解放してやった長女れいむが、すーりすーりを試みる。が、餡子が偏った四女まりさにとって、すーりすーり は痛く苦しいだけであろう。 「ゆびーーーーーっ! ゆびっ! ゆびっ、ゆびびっ!」 「ゆゆ!? どぼぢでいやいやちゅるのぉぉぉ! ぷーらぷーらしちゃだめだよおお!」 あはははは。ただでさえ、先ほどまで接着剤で貼りついていたあんよだ。剥がれたといってもろくに歩けやし ないだろう。その上、偏った餡子のせいでバランスが取れない。 まるで起き上がりこぼしのように、ふらついては倒れ倒れてはふらついている。 じゃ、こいつも無事に生き残ったことを祝して、お仲間にしてあげよう。 「ゆひっ、ゆひっ、ゆびびび……いじゃいよぉ……ちゃむいよぉぉぉぉぉ……」 皮を剥がされ、餡子の塊になった四女れいむはずっと泣きっぱなしだ。後でオレンジジュースでも掛けてやる か。痛いだけだと思うけど。 「…………ゆ…………」 ポケモンフラッシュで餡子を吐きっぱなしだった次女れいむは虫の息だ。時折、ビクッ! ビクッ! と痙攣 しているあたりが、まだ生きているという唯一の証だ。 乾いた眼球のせいで泣くこともできず、そうかといって餡子に叩き込まれた強烈な光は、未だ彼女を苦しめて いる。 そのお隣に、偏り餡子の奇形まりしゃちゃんを置く。彼女も無事に生き残った。これからは充実したゆん生を 全うしてほしいなぁ、と心から願う次第である。 「さて……」 俺は危うく忘れかけていた次女まりさがどうなったか、調べることにした。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……」 次女まりさはガタガタと震えている。無理もない、この高さから落ちれば「とってもいちゃいいちゃい」どこ ろで済まないのは確実だ。 だが、動かないだけというのもまた難しい。 ほんの少し体がずれれば落ちる寸前までいってしまう。おまけに、流れた体液(涙とおそろしーしー)が床を 滑りやすくさせていた。 「きょわいよぉぉぉ……おぢだぐにゃいよおおおおお……」 面白いのでしばらく観察。 まりちゃはどうやら、うんうんをしたくなったようだが体を動かすことができないので、うんうんを必死に堪 えているようだ。ひょっとしたら、先ほど悲惨な最期を遂げた末のうんうんれいむのことが頭に浮かんでいるの かもしれない。 「う……うんうんしゃんは……ででごないでねっ……」 だが、便意を我慢するというのは人間でも相当な苦痛なのだ。 「いじゃいよぉ……ぽんぽんしゃんがいじゃいよぉぉぉ……」 赤まりちゃ程度が耐えられるはずもない。 「う゛……びいい……! でりゅ……うんうんでちゃう……! やだぁ……でちゃくないいいい! ゆ゛! ゆ がああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」 あにゃるからうんうんが垂れ流される。だが、あにゃるを床に貼り付けていたせいで行き場のなくなったうん うんが、次女まりさのおしり周りにべっとりとこびりついた。 「うぇぇぇえ……ぎぼぢわるいぃぃ……まりちゃ……ちゃんとうんうんできるにょにぃ……」 「よう、まりさ。お困りのようだな」 そろそろ見るだけというのも飽きてきたので、俺は次女まりさに話しかけた。 彼女はウルウルとした瞳で俺に、わずかに頭を下げる。この状況では、それすらも死に繋がる行為だ。 「たずげじぇ……たずけじぇぐだじゃい……まりちゃ……きょわいきょわいでちゅ……」 「……」 俺はそっと、USB接続型扇風機を手に取るとタンスの上に置いた。ケーブルを外しても、電池で動くタイプ なので問題ない。 「ゆ……?」 「まりちゃちゃん。暑いだろ?」 「ゆゆ? ……べ、べつにあちゅくなんか……」 「遠慮すんなって! 俺とまりちゃちゃんの仲じゃないか! ほら、体が吹き飛ぶくらいに強い風を送ってあげ るからね!」 「…………………………………………………………………ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!! いいでじゅ! まりちゃおかぜしゃんいりまぢぇん! おかぜじゃんはあっちいってくだちゃい!」 この次女まりさは賢い。どうやら、自分がどういう状況に追い込まれたかを悟ったらしい。 まあでも、悟ったからといってどうにかなるものではないのだけどね。 「スイッチオン」 タンスのすぐ傍に高台を移して、風が直撃するように調整する。ぶおおおおん、という不気味な音と共に扇風 機が次女まりさの体を少しずつ動かしていく。 「ゆ……び……やじゃ……やじゃああああ! じにだぐない……まりじゃ……じにだぐない……!」 ぶおおおおおおおおおおおおおおおお。 風は無情に、まりちゃの体を動かしていく。 「おか……じぇ……しゃん……やめちぇね……まりちゃ……いちゃいいちゃい……いやじゃ……やめちぇ……や めちぇええええええええ!」 「がんばれまりさ! がんばれまりさ! そら、長女れいむちゃんも応援するんだ!」 俺はまたもれいむを摘み上げた。 「ゆびっ!? ま、まりちゃちっかりちちぇ!」 「おね……じゃ……まりちゃ……きょわい……」 「だいじょうびゅ! がんばちぇ! がんばちぇえええええええ!」 次女まりさは必死になって考えた結果、とうとう最後の手に打って出た。 「ゆび!」 テーブルの端に、噛みついたのだ。 「ゆぅ! きょれでみょうあんちんだにぇ! まりちゃはおちちぇいちゃいいちゃいちなくてすむんだにぇ!」 ドヤ顔の長女れいむ。 まりさも動かなくなった自分にようやく安心したのだろう。目をつむっている。 「んー……まあ、まりさは動かないだろうな。まりさは」 「ゆ?」 俺は無言で、次女まりさのおかざり……ウィッチハットを指差した。 (ゆゆゆ!? まりちゃのおぼうちしゃん! うごいちゃだめだよ! ゆっくちできなくなっちゃうよ!) まりさは自分のおぼうしがズレていくのを感じるらしく、絶望的な表情を浮かべていた。 ゆっくりにとっておかざりは命に等しい。特に、こういう赤ゆにとってはあって当然のものだ。これがなけれ ば、ゆっくりは個ゆっくり認識ができない。ベタな言い方をすれば、魂のようなものなのかもしれない。 (おぼうちしゃん! まりちゃのおぼうちしゃん! もどっちぇ! もどっちぇええええええええ!) 「まりちゃのおぼうちしゃん! まりちゃにもどってえええええええええ!」 ず。 ず、ず。 ずずずずず。 すぽーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。 次女まりさの頭から帽子が脱げ、風に流されて吹っ飛んでいった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 長女れいむの悲鳴。 (お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!) 次女まりさの苦悶の表情。 だが、この次女まりさはとても優秀なゆっくりだった。 こんな状況にあってもなお、テーブルにしっかりと噛みついていた。やるな、俺はてっきり悲鳴をあげて帽子 を追いかけると思ったのだが。 「まりちゃ! ちっかりちて! まりちゃはまりちゃぢゃからね! おねえしゃんはまりちゃのことちゃんどわ がるからねえ!? まりちゃはおかざりなくてもとっでもゆっぐりじでるよおおおおお!」 そして、長女れいむも相当に優秀だ。 「おかざりのないゆっくりがいるよ! おおぶざまぶざま」くらいの展開は予想していたんだが。長女れいむは どうやら、おかざりが無い程度で認識できなくなる訳ではないらしい。 「おねえしゃんはまりちゃがだいちゅきだきゃらね! ゆっくちちてるまりじゃがだいじゅぎいいいい!」 (おねえ……しゃん……) 次女まりさは、感動の涙を流している。長女れいむも、感動の涙を流している。 さあ。 さあ、材料は揃ってしまったぞ。 れいむ。 言っちゃえ、れいむ。 あの言葉を言っちゃえ、言いたいだろ? 言いたくて言いたくて仕方ないだろ? さあ。 さあ、さあ、さあ! 「まりちゃ!」 (おねえしゃん!) ゆ っ く り し て い っ て ね ! あー……言っちゃった(笑) 「ゆっぐりじでいっで――――――――――――――――――――――――――――――――ゆ?」 「ゆ゛ゆ゛?」 長女れいむと次女まりさは、きょとんとした表情で見つめ合う。 長女れいむは俺の手のひらで、そして次女まりさは…………空中で。 不意に、まりさの眉がキリッと釣り上がった。 「おそらをとんじぇるみちゃ…………………………ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」 ひゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。 べたん。 「ゆ? ゆ? ゆ? どぼじで? どぼじでまりちゃが……」 「わははははは! そりゃ、そりゃお前が……ぷっ……ゆっくりしていってね、なんて……ぶふふっ……言う からだろ……どわはははは! ホントに言っちゃうとは思わなかったわ!」 「ゆ゛……ゆううううううううううううううううううううううううううううう!? まりちゃ! まりちゃ! まりじゃああああああああああああああああああああああああああ! ゆっぐり! ゆっぐりいいいいいいいい いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」 「れいむ。お前は本当に馬鹿だなー! わはははは!」 「ゆがああああああああああああああああああ!?」 俺はれいむを、次女まりちゃの飛び降り死体の傍へ下ろしてやった。 「まりしゃ……まりしゃああああ……!」 「ゆ゛……ぐ……じ………………」 「まりしゃ……ぺーろぺーろしゅるよ……ぺーろぺーろしゅれば……にゃおるよ……」 その言葉に、想像を絶する激痛に悶えていた次女まりさが長女れいむを睨んだ。 「じねぇ……まりじゃを……ごろじだ……れいみゅは……じ、ね……」 「ゆびいいいいいいいいいいい!? ちぎゃうよおおお! まりちゃをごろじだのはれいみゅじゃないよおお!」 「いやいや、お前が『ゆっくりしていってね』なんて言うからだろ」 「うぞじゃああああああああああ! うぞじゃあああああ! れいみゅはまりちゃをころちてなんかない! な いんだああああああ!」 「じ、ね……じね、じね、じねぇ……」 じたばたしていた長女れいむの表情が、不意に冷たくなった。 「れいみゅにちゅみをきしぇるようなまりちゃはいもーちょなんかじゃないよ!」 「お?」 ずりずりと長女れいむが瀕死の次女まりさに近づき――。 「ゆ゛ っ゛ ぐ り゛ じ ね゛ !」 頭に飛び乗った。 「ゆびょ!?」 即死だった。うーん、元々ゲス化の徴候があったのか。それとも、この度重なる苦労のせいで発狂したのか。 まあ、どうでもいいことではある。 これで全ての虐待は終了。後片付けを残すのみだ。 「ゆ? ゆゆ? おにいしゃん……これでおわりゅの?」 俺の手のひらで、長女れいむは喜びの表情を浮かべる。 「ああ。終わりだよ。俺はもう、お前に痛いことは何もしないよ」 そう言って、俺は最後に残った道具を取り出した。 それは、何の変哲もない透明な箱。 ただし、サイズは小さい。赤ゆっくりが一匹入ってそれで満杯というレベルだ。ぷくーすらもできない狭さ。 8:十匹目 長女れいむ 俺は長女れいむを透明な箱に入れた。タンスの上に置いて、後は放置を決め込むことにする。 さーて、片付け片付け。 9:十一匹目 ??? テレビやビデオを片付け、ノートパソコンを片付け、透明な箱は洗って片付けて。 生き残り組三匹を延命させるためにオレンジジュースを降り注ぎ、そっとティッシュに載せた。 そして。 部屋の片隅で、これまでの虐待を全て眺めさせられていた親れいむの元へと向かった。 最初から、ずっとこいつは此処に居たのだ。 「いよっ」 マジックミラーを手早く片付けると、親れいむの悲惨な状況が露わになった。 あんよは例によって炭化するほど焼かれている。 のーびのーびもできないように、体中に針をぷーすぷーすされている。 もみあげは当然のように引き千切られている。 瞼を閉じることができないよう、当然のように切り取られている。 そして口には、ガムテープをガチガチに貼っていた。 俺を見た途端、親れいむは殺意にぷるぷる震えて睨んだ。 睨み続ければ俺が死ぬ、そんな果てしない夢を掴んでいるらしい。 ガムテープを一気に引き剥がした。途中途中で皮が剥がれて餡子が漏れたが、まあ許容範囲だ。成体のゆっく りはそうそう死にはしない。 「ぎゃばああああ!」 口が開いた途端、親れいむは大きく口を開けて中のものを吐き出そうとした。 「んべっ! んべべっ! まりちゃああ! れいみゅうう! ででぎでえええええ!」 「無理無理。もう食っちゃっただろお前」 赤ゆから成長した子れいむと子まりさの二匹。俺はそいつを口の中に放り込んだ上で、ガムテープで口を塞い でおいたのだ。 「ぶべーーーーーーっ! ぶべべべべええええっ! ……ゆ?」 ころん、と黒い塊と白い塊が出てきた。 親れいむの表情が輝く。 「まりじゃあああ! れいみゅううう」 「いや、それただのおかざりだろ」 黒い塊は、まりさのおぼうし。白いのは、れいむのりぼんだ。 「……………………ゆ゛ううううああああああああ!」 親れいむが俺を睨む。 「どぼじでごんなごどじだんだあああああああああああああああああ! ゆっぐりごろじいいいい! くぞじじ いいいいいいい!」 俺はにっこり笑って、その理由を……彼らを虐待するに足る理由を懇切丁寧に説明してやることにした。 「お前、森で俺と出会ったときのこと覚えてるか?」 「ゆ゛ぐあああああ! わずれるもん゛があああああああああああああああああああああ!」 俺の家の近くにある雑木林。 そこには小規模なゆっくりの群れがあった。このれいむもその群れの一員であった。 どうやら、番いであるまりさは永遠にゆっくりしてしまったらしく、れいむはしんぐるまざーとなって、子ゆ っくり二匹と赤ゆっくり十匹を育てていたらしい。 もちろん、れいむ一匹では無理だ。 なので、群れのみなに少しずつ食料を分け与えて貰っていた。 普通ならば、れいむは間違いなくでいぶ化する。 だが、奇跡的にもれいむは賢いれいむだった。しんぐるまざーででいぶ化するのではなく、一刻も早く子ゆっ くりと赤ゆっくりを育て、狩りをさせようとしたのである。 赤ゆ十匹が雑木林に整列した。 子ゆっくり二匹が周囲を警戒するように、そして赤ゆがどこかに行かないように見張っている。 親れいむは赤ゆたちに言った。 「おちびちゃん! れいむたちにはおとうしゃんがいないよ! それはゆっくりわかってね!」 「ゆ」 「ゆうう……」 何匹かが啜り泣くが、れいむは心を鬼にして続ける。 「むれのみんなが、れいむたちをかわいそうだとおもってごはんさんをわけてくれてるよ! でも、それにたよ っているとなまけものさんになっちゃうからね! なまけものさんはゆっくりできないよ!」 「ゆび! れいみゅなみゃけものじゃないよ!」 「まりちゃもそうだじぇ!」 十匹が口々に自分はなまけものじゃないとアピールする。それを見て、親れいむは満足げに目を細めた。 「ゆふん。だから、おちびちゃんたちはちょっとだけはやいけど。かりのおてつだいをしなきゃいけないよ! だいじょうぶ、おかあさんやおねえちゃんがついているからね!」 「「「「「「「「「「ゆっくちりかいちたよ!」」」」」」」」」」 そうして、親れいむの授業が始まった。親れいむ自体、狩りは得意な方ではなかったが群れの狩りが得意なち ぇんやみょん、まりさに教えを受けて知識は蓄えていた。 「いもむしさんはとってもゆっくりできるよ!」 「ちょうちょさんはおちびちゃんにはむりだから、おかあさんにおしえてね!」 「けむしさんはいたいいたいだよ!」 「このあまあまさんは、とっておこうね!」 親れいむは小さな雑木林を縦横無尽に駆け回る赤ゆたちを見て満足していた。 これなら大丈夫。 愛しいまりさがいなくても、自分でちゃんと育てられる。 「ゆゆ? おかあしゃん!」 長女れいむが、母に駆け寄る。 「ゆ? どうしたのかな、おちびちゃん!」 「むこうにいるのはにゃに?」 「ゆ、あれは…………あれは、にんげんさんだね!」 長女れいむと母の会話が気になったらしく、赤ゆたちが見る見る内に親の元へと集まってくる。 「にんげんしゃん?」 「にんげんしゃんって?」 「ゆゆ……へんなゆっくりだよ……」 赤ゆの知識の乏しさに親れいむは溜息をつく。 まあ、当然だろう。 今まで人間さんを見たことなど一度もないのだから。 「よくきいて! にんげんさんはゆっくりじゃないよ! ゆっくりはゆっくりしているけど、にんげんさんはゆ っくりしてないんだよ!」 「ゆっくち……ちてない?」 「そうだよ! にんげんさんはゆっくりしてないきものなんだよ! ゆっくりたちとはちがうんだよ!」 「ゆゆ……わかっちゃよ、おかあしゃん!」 「ゆゆ~……ゆっくちしてないなんてかわいちょだよね!」 親れいむはその言葉を聞いて、満足げに頷いた。 「そうだよ! にんげんさんはかわいそうなんだよ! ゆっくりでよかったね!」 「「「「「「「「「「ゆっくちりかいちたよ!」」」」」」」」」」 その言葉を聞いた俺は、迷わずラムネスプレーを取り出した。 「……な? だから虐待したんだよ。これでお前も納得しただろ」 親れいむは納得してくれたか、と思ったが……どうやらそうではない。唖然としているらしい。 「ふ……ふ……ふじゃげるなああああああああああああああああああああ! そんな! ぞんなごどで! ぞん なごどいっだだげでええええええ!」 「いやいや重要だよ、お前。ゆっくりは人間さんじゃない。ゆっくりはゆっくりしているが、人間さんはゆっく りしていない。まあ、ここまでは百歩譲って良いとしよう。可哀想……と言ったのも実はまあいいんだ」 「にゃんでえええ! ぞれじゃあああ! ぞれじゃあなんでえええ!」 「お前は一つ、大事なことを教え忘れている。人間さんはな、怖いってことだ」 「ゆ……!」 「お前が教えなかったせいで、あいつらはいつか子ゆっくりになって行動範囲が広がったあと、ゆっくりしてな い人間を見下げた言動を取るようになるだろ?」 「ゆ……ぞんな、ごどっ……」 「だって、お前が割とそんな感じだったからなあ。お前、ゆっくりが人間を馬鹿にしちゃあいかんよ。人間さん はゆっくりしてない。ゆっくりしてないこわいこわいいきもの。せめてそう教えておけば、いつか人間とゆっく りの格差ってやつも理解しただろうに」 「ゆがアアアアアアアアアアアア! うるざあああああああああああああああい! ごろじでやる……ごろじで やるうううううううううううう!」 「はい平手打ち」 すぱーん、すぱーん、すぱーん! 「ゆびいいい! いじゃい! いじゃいあいいいいいいい!」 「人間を舐めたゆっくりはな、どうしたってこういう目に遭うんだよ」 「うぐ……ぎ……」 「反省はしてない。心も折れてない……か。よし、ならこうしよう」 俺は生き残った三匹をまとめて口の中に放り込み、ガムテープで塞いだ。 (やべ……やべえろおおおおおお! やべでえええええええええええええええええええええ!) 「ゆ……ゆ……」 剥き出しの餡子で想像を絶する激痛を味わう四女れいむ。 「…………」 ポケモンフラッシュで餡子を吐き出すだけ吐き出し、すっからからんになりつつある次女れいむ。 「ゆぴぴぴぴ! ゆぴょーーーー!」 この中では唯一元気な、片側偏り四女まりさ。 全員、遅いか早いかの違いだけで後は溶けるだけだ。俺は成体ゆっくり用の大きな箱の中に親れいむを放り込 んだ。それから、先ほどの長女れいむを親れいむのすぐ傍に移動させる。 これで、最終工程終了。 後は待つだけである。 ――それから、瞬く間に時間が過ぎた。 「くるちい……くるちいよお……おかあしゃん……たずげでよおお……」 狭い透明な箱に放り込まれた長女れいむは、涙を流し続けている。 目の前には、優しかった母れいむ。 彼女も涙を流し、たんたんと何度も何度も箱に頭をぶつけていた。 お互いの声は聞こえない。 親れいむは口を塞がれているし、長女れいむの声は小さくて箱の中からは届かない。 だから。 お互いにただ泣くしかない。 一日が過ぎ、長女れいむの顔色が次第に悪くなってきた。 「おにゃか……すいちゃ……おにゃか……」 しーしーもうんうんも垂れ流し。 だが、それ以上に長女れいむは空腹に責め立てられていた。 (ぐぞにんげんっ!!!!! ごはんざんを! おぢびじゃんにごはんざんをよごぜええええええええええ!) あんよが焼かれているにも関わらず、精一杯に暴れようとする親れいむ。 「ゆぴ……ゆぴぴ……おにゃが……おにゃがああああ……」 泣いている。ただ泣いている。 親れいむも泣いて泣いて泣いている。 口の中の三匹は、とうに親れいむの腹に収まっていたので、幾分かマシだった。 (おじゃべなじゃい! おじゃべなじゃああい! おじゃべえええええ!) 狂ったようにおたべなさいをしようとする親れいむ。しかし、口が塞がれていてはどうしようもない。ただ、 長女れいむが死ぬのを待つしかない。 「ど……じで……たずげで……ぐれない……の……」 ぱくぱくと長女れいむが口を開く。 油断なく観察を続けていた俺は、そろそろ頃合いかと長女れいむを箱から取り出した。 「おじょ……ら……」 (やべろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! ざわるなああああああああああああああ!) 俺はそっと、親れいむの背後に長女れいむを下ろしてやった。 (おぢびじゃ! おぢびじゃああああん!) 「おか……じゃ……………………じ、ね……………………」 (………………………………………………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………………………………………………………ゆ?) 「じね……ゆっぐぢ……ざぜない……おやは……じね……じね……じね……」 長女れいむは大きく息を吸い――渾身の力を篭めて叫んだ。 「しィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ ィィねェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ ェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!」 がはっと餡子を吐き出し、長女れいむは息絶えた。 ――ぽきん。 そして。 母親であったれいむの、心が折れた。 雑木林。 小さなこの林にはゆっくりの小規模な群れがある。その中に、人間さんに捕まっていたれいむがいる。 善良な野生ゆっくりである彼らは、れいむのために幾許かの食料を分け与えていた。 そして、こう子供たちに言い聞かせるのだ。 「いい、おちびちゃん? にんげんさんはね、とってもつよくてとってもこわくてとってもゆっくりできないん だよ? さからったら……ああなっちゃうからね」 「ゆぴ……ゆぴぴぴぴ……ゆぴ~♪」 親れいむは、死臭を放つ十二のおかざりにすーりすーりを繰り返す。頬皮が既にちぎれ、餡子が剥き出しにな っているのも構わずに……。 赤ゆっくりたちはそれを見て、心底餡子が冷えるのを感じていた。 親の言葉に、頭を縦に何度も何度も振った。 「ゆっくちりかいちたよ……」 親れいむは、体を張って群れのおちびちゃんたちに教育を施していたのであった。 <あとがき> 赤ゆが空から降ってきてくれねえかなあ あと、ガシャポンで年齢が分かると指摘されてちょっと泣いた。 過去の作品 anko3216 愛するでいぶ anko3238 ゆ虐思考 anko3257 赤ゆ十連発(前編)
https://w.atwiki.jp/hutaba_ranking/pages/31.html
赤ゆのたのちいイス取りゲーム (中) 37KB 虐待 愛情 不運 仲違い 家族崩壊 親子喧嘩 同族殺し 番い 野良ゆ 姉妹 赤ゆ ゲス 希少種 都会 透明な箱 現代 虐待人間 うんしー ぺにまむ 長い 【3】 --------------------------- ゆっくりに溢れた生活。 社会人になったお兄さんは満たされているはずだった。 かわいいゆっくりたちの世話をして、家に帰ってからもゆっくりと遊ぶ。 愛でお兄さんからすれば、夢のような生活のはずだった。 仕事が辛いわけではない。 気のいい仕事仲間。 笑顔を向ければ笑顔を返してくれるゆっくりたち。 何故だろう。 自分自身でも、何故なのか理解できなかったお兄さんであった。 --------------------------- 鬼意山の顔に笑顔が戻る。 ゆっくりにゆっくりを感じさせる、才能といってもいいような笑顔。 そんな素質が虐待鬼意山と出会ってしまうなんて。 お兄さんの笑顔はゆっくりを捕食するための蜘蛛の巣になっていた。 「そうだ。忘れないうちにあまあまをあげよう」 「「「「ゆゆっ!?」」」」 濁り始めていた赤ゆたちの瞳に光が戻る。 六匹の赤ゆたちは一応第一回戦の勝者なのだ。 鬼意山はテーブルにしあわせフードを撒く。 コーヒー豆サイズのフードが20個ほどテーブルに転がる。 先ほど食べていたのはそれなりフードで、こちらはそれよりも美味しい物だ。 「「「「ち、ち、ちあわちぇええええ!!!!」」」」 こんなの、はじめて……!! 死臭を抜いたゆっくりの餡子にさらに甘味料を大量に混ぜた品だ。 甘過ぎて人間の口には合わないが、ゆっくりにとっては狂おしいほど美味しい。 吐餡で死んだりしないようにアメとムチを心がけるというのは、赤ゆ虐待では大事なことだ。 この賞品設定もその辺りを含めて考えられているものである。 「しあわせえしでるばあいじゃないでしょおおおお!!!!」 「おねえちゃんがしんじゃったんだよおおお!!!」 親ゆたちはいまだ悲しみにくれているが、 ゆっくりで一杯になった赤ゆの頭にそんな言葉は届かない。 あまあまがぺろりと無くなると、鬼意山はイスたちを整え始める。 「でも、殺し合いをさせるのは少し胸が痛むからね。次は人数分のイスを用意してあげるよ」 「「「「ゆゆっ?」」」」 テーブルの上には、先ほどと同じく六つのイスがあった。 赤ゆたちが、よく分からないといった表情で鬼意山を見る。 「全員分のイスがあるってことは、全員座れる。つまり誰も死なないってことだ」 テーブルの上には確かにイスが六つあった。 ゆっくりには数えられないが、人間の目には六つ見えるのだ。 イス取りゲームにしてはあまりにぬるい設定だが、はてさて。 赤ゆたちはそこまで聞いてやっと理解したようで、ほっとした表情。 親ゆたちは警戒しつつも、とりあえず危機は去ったと安堵したらしい。 「ゆっくちできりゅにぇ!」 「あんちんだにぇ!」 赤ゆたちがまあるく並んだ後、イス取りゲームの第二回戦が始まった。 ♪~ 「はいはい、イスさんたちの周りをくるくるしてね!」 お兄さんが音楽に合わせ、リズムよくゆっくりと手を叩く。 「「「ゆっくち♪ ゆっくち♪」」」 赤ゆたちも楽しそうだ。 にこにこな笑顔でゆっくちゆっくち回っている。 お兄さんが手拍子をするごとに、赤ゆたちが一歩進む。 パン! パン! パン! パン! ゆっ♪ ゆっ♪ ゆっ♪ ゆっ♪ ゆっくり出来ないことはすぐ忘れる、それがゆっくり。 赤ゆっくりのような中枢餡の小さいアホの塊のようなものだと 寸前の姉妹の死すら頭から抜け落ちてしまう。 イスの数が多く、ゆっくりできたことも原因だったのだろうが……。 長女まりちゃも草葉の陰で泣いているだろう。 「じじい……」 しかし親たちはさすがに忘れていない。 れいむはやはり歯茎をむき出しにし、歯ぎしりを繰り返している。 このままでは歯がすり減って無くなってしまうのではないか? まりさの方はといえばゆっくりできない目で鬼意山を睨んでいたが、 このままゆっくりできるお兄さんに戻ってくれないかとも思っていた。 この世の人間さんは虐待派と愛で派に分けることが出来る。 まりさがぱちゅりーから教えられた数少ない知識だ。 まりさが最初に鬼意山に会った時、この人間さんは「めでおにいさん」なのだと感じた。 とてもゆっくりできるごはんをくれた。 おからだを綺麗にしてくれた。 おちびちゃんたちもとてもゆっくりしていたし、 ゆっくりがゆっくりするためのゆっくりプレイスまであった。 どれもこれも虐待鬼意山のすることとは思えなかった。 ただの鬼意山なら、こんなゆっくりできる気持ちにはなれないはずだ。 まりさはまだ受け入れていなかった。 お兄さんはきっとまたゆっくりさせてくれる。 イスがいっぱいあるのも、やさしいお兄さんに戻ったから。 だっておちびちゃんはあんなにゆっくりできるんだから。 それを見てる鬼意山もゆっくりできるはずだから。 半ば祈るような気持ちで、そんなことを空想していた。 そして赤ゆたちがぐるっと二周ほど回った頃、ホイッスルはまた鳴らされた。 今度の動きもゆっくりしたものだ。 殺されないと思っているからだろうが。 六つのイスに、ゆっくりが六。 確かに普通は死ぬことなんて考えない。 「ゆっくちすわりゅよ!!」 「ゆっくち! ゆっくち!」 ぴょんぴょんとイスに飛び乗ってゆく。 六匹の赤ゆと六個のイス。 ぴょんぴょん飛び乗り、どんどんゆっくりしてゆく。 イスに座れた赤ゆは姉の死も忘れ、気楽に左右に揺れている。 そして誰も死ぬことは無い。 みんなゆっくり、あまあまをもらえるはずだった。 「あぢゅいいいいいいいい!!!!!」 一つのイスに座ったまりちゃが、なぜか一気に飛びあがる。 そのあんよは火傷で赤みがかっており、ひりひりと痛そうだ。 「「おぢびちゃあああん!! どぼぢだのおおお!!??」」 おにいさんは全員生き残れるなんて生ぬるい遊び、するつもりがなかった。 火傷したまりちゃが座ろうとしたイスは上部が発熱する仕組みになっており、 その温度はすでに300度を超えていた。 ゆっくりは40度程度の温度でもゆっくりできないと嫌うのだ。 夏の東京に行けば、暑さのあまり永遠にゆっくりする家族が山ほど見れる。 300度に熱されたイスなんて座れる余地もない。 無理に座ればあんよが焦げて二度と歩けなくなる。 「言っとくけど、時間切れになっても座って無かったゆっくりは殺すからね」 「ゆっぐち!!」 びくっと震える。 このままでは殺されてしまう。 ゆっくりせずに理解した。 あんよの痛みも我慢して、赤ゆはずーりずーりをする。 涙を流しながら必死でずーりずーりする。 あんよが痛くてはねることができないのだろう。 そうしてイスの前にやってきたまりしゃ。 「ゆっくちすわりゅよ!!」 あんよの痛みに耐え、なんとか灼熱のイスに座る。 そして当然、まりしゃのあんよは煙とともにおいしく焼かれ始めた。 「ゆぎっ! ゆぎぎぎゅぎゅううう!!!」 イスからの激しい熱分子の突撃で、まりしゃのあんよはすでに茶色に変色している。 そんな苦しみに赤ゆが何秒も耐えられるはずがない。 「ゆぎゃああああ!!! あぢゅいよおおお!!!」 「どぼぢでおりちゃうのおおおお!!???」 あまりの熱さにまりさは再びころげ落ちる。 「はやく、はやくすわってねっ!! すぐでいいよ!!」 親れいむの叫びで赤まりしゃはまたゆっくりできないイスを目指そうとする。 イスに座ってないと、鬼意山に殺されてしまう! 親ゆも姉妹たちも、はらはらとゆっくりしないで見守っていた。 「ゆっくちすすみゅ……どぼちてまりちゃのあんようごきゃないにょおおおおお!!!???」 「おちびちゃあああああんん!!!!!」 ついにまりしゃのあんよは焼けきり、二度と使い物にならなくなった。 無理して数秒ガマンしたせいだった。 まあ、座らないなら座らないで、殺されてしまうのだが。 そのまままりさは箸でつかまれる。 ぶにゅりとまりちゃの形がゆがむ。 「はい、時間切れ」 「ゆぎゃああああああ!!!!」 「「おぢびちゃんんんん!!!!!!!!」」 その声を聞いて赤まりしゃは暴れる。箸にはさまれながらおしりをぷりんぷりん振る。 「まりぢゃわるきゅないよおおおおお!!!! いすしゃんがあちゅいかりゃああああ!!!!」 まりしゃはわんわん泣く。 「ゆわああああ!!!」 「どぼぢてちーちーふってくりゅのおおお!!???」 おそろしーしーや涎までとびちるし、汚いったらない。 おかげで赤ゆたちは右往左往逃げ回る羽目になる。 しかし姉妹の命がかかっている局面だ。 「ゆっ! いすさんはいもーちょにあやまっちぇね! ぴゅんぴゅん!!」 「いじわるしにゃいでね! すぐでいいよ!」 うんしーの臭いを我慢する。 姉妹たちも加勢して、制裁すべきなのはイスさんのほうだと喚きたてる。 「うーん、まりしゃのお尻にうんうんがついたままで、それを怒ったのかなあ」 お兄さんはわざとらしくも首をかしげながら、赤まりしゃに話しかける。 赤まりしゃのあにゃるには、おそろうんうんのかけらがべっとり。 いつもはおかーさんにぺーろぺーろで綺麗にしてもらっているのだ。 もちろん実際はうんうんがついていることとイスが熱かった事とは何の関係もないのだが。 ゆっくりたちにとっては何となく納得がいく理由であった。 何にでも「さん」をつけるゆっくり。 土も石も草も、生き物なのだと考えている。 例:「ゆっゆっ! かべさんはゆっくりこわれてね!!」 「ところで、さっきの子みたいに、この子に席を譲ってくれる子はいないのかな?」 「ゆゆ?」 赤ゆたちは首をかしげる。 「席を譲ってくれれば、このまりちゃは助かるんだけどなぁ」 「ゆゆっ!? たしゅかりゅ!?」 赤まりしゃはその言葉に食い付き、他の姉妹に視線を投げる。 「ゆっくちしてるまりしゃに、いすしゃんをちょうだいにぇ!」 その目はキラキラとしていた。 ゆっくちしたまりちゃだから、誰かが譲ってくれるに違いない。 そういう期待がこもっていた。 しかし姉妹はみな体ごと視線を逸らし、譲ろうとする者は誰も居なかった。 待っても待っても、誰も名乗り出なかった。 そして、こればかりは親ゆも口をつぐむしかない。 席を譲らせても、それは結局他のおちびちゃんを殺すことにしかならないのだから。 「どぼぢてむししゅりゅのおおおお!!???」 今回は命がかかっているのだから、当然の結果ではあったが。 「おとーさんもおかーさんも、みんなもまりしゃに死んでほしいってさ」 「にゃんでええええ!!???」 ぽろぽろ涙をこぼすまりしゃに、鬼意山はもう一つ提案をする。 「それじゃあイスさんにごめんなさいして、座らせてもらうのはどうかな? 本当は時間切れだけど、もし座らせてもらえたら助けてあげてもいいよ」 「ゆ!」 お兄さんの助けてあげてもいい発言に、赤まりしゃは俊敏に反応した。 「ゆっくちごめんなちゃい! だからすわらしぇてにぇ! すぎゅでいいよ!!」 にっこり笑いながら、謝罪めいた言葉を吐く。 ぷりんとケツを向ける。 かわいいポーズのつもりだろうか。 いかにもゆっくりらしい謝罪の姿勢だった。 他の家族はゆるしてあげてね!などとイスさんに呼びかけている。 「そんな謝り方じゃイスさんは許してくれないよ! ほら、もっと近くじゃないと!! ジュウウウウウ……。 箸でつままれているまりさを、既に400度を超えようとしているイスさんに当てた。 今度はあんよではなく、顔面を直接。 おでこが、ほっぺが、煙をあげながら焼けてゆく! 灼熱のフライパンとちゅっちゅだなんて、人間さんでも拷問だ。 痛みに弱いゆっくりなら、なおさらである。 「ゆっぎゃあああああああ!!!!」 耐えられないほどの熱さ、痛さの洪水が赤まりしゃを襲う。 生後十日も経っていないゆん生。その中でも圧倒的に一位を記録できるほどの酷い苦痛だ。 「ほらほら、イスさんがまだ怒ってるよ! ごめんなさいはどうした?」 「ごべんなぢゃいいいい!!! ごべんなちゃいいいいい!!!!」 意味のない謝罪を繰り返す赤まりしゃ。 顔面もみるみる焼け、ところどころ破れはじめている。 「やべであげでええええええ!!!!」 「ぞのごはまだあがちゃんなんでずうううううう!!!!」 イスさんにか、鬼意山にか、両親はおでこをこすりつけ土下座をしている。 だがそんな鳴き声を聞いて手を差し伸べるほど、優しい鬼意山ではなかった。 赤まりしゃの目玉はどろどろに溶け始める。 口から、目から、あにゃるから、傷口から。 あつあつになった餡子を吐き出し、そのうち永遠にゆっくりした。 残ったのは真っ黒焦げの、食えもしないゴミだけだった。 箸の先にへばりついた真っ黒なゴミは、赤ゆたちの前にそっと置かれた。 ほかほか。 湯気が立っている。 「おねーぢゃんぎゃあああああ!!!」 「いぼうぢょおおおおお!!!!」 「おちびぢゃああああああん!!!」 リアクションはそれぞれで、叫ぶものもあれば気絶するものもある。 「ゆっくちできにゃいいすしゃんは、せいっしゃいだよ!!」 そんなことを言いながらイスに体当たりを仕掛けるまりちゃは、 ほっぺを焼かれて泣きながらUターンしていった。 「あーあ、酷いなあ。イスさんがまりしゃを殺しちゃった」 しかし黙っていないのがれいむである。 「おばえがじゅうじゅうしたんだろうがあああああ!!!!!」 イスさんが怒っていようがいまいが、 箸でつまんだ上に赤まりちゃを焼き殺したのは鬼意山である。 しかしそんな泣き声、鬼意山には痛くも痒くもない。 しあわせフードを取り出し勝者を祝福する。 赤ゆたちの大好きな、あまあまなご褒美。 しかし二人目の犠牲者が出た後だ。 赤ゆでも深刻な面持ちにならざるをえない。 口数も少なくなる。 姉妹のことはともかく、自分の命まで危機にさらされているのだ。 いくら美味しくてもしあわせーの声は控えめである。 「むーしゃ、むーしゃ……」 「しあわせ……」 それでも一応しあわせらしい。 そこでお兄さんは意地悪な質問を始めた。 「姉妹を見殺しにして食べるあまあまはおいしいかな?」 「「「「ゆゆっ!?」」」」 赤ゆたちは、まりしゃに席を譲らなかったわけである。 それを見殺しと言ったのだ。 命がかかっていたのだから、当然そうするだろうと知っていた。 ただ落ち込んでいる赤ゆたちを精神的に追い詰めるためだけに、傷口を塩を塗っているのである。 「特にそこの小さい赤れいみゅ。お姉ちゃんに譲ってもらったのに、自分では出来ないんだね。お前のお姉ちゃんはゆっくりしてたのになあ」 「ゆ゛っ……」 れいみゅは名指しされ、涙ぐみながらまた下を向いてしまった。 「いいんだよ。お兄さんは怒ってないよ。家族すら殺してでも自分だけがゆっくりする、それがゆっくりだ」 親ゆたちはただ歯ぎしりしながら黙っているしかない。 ちがうよ! ゆっくりはかぞくをたいせつにするよ! などと言ってしまえば、おちびちゃんたちの心を傷めつけることになる。 家族を見捨てる自分達は、ゆっくり失格。 そうなる。 「君達はまだ赤ゆなんだから、まだまだゆん生はこれから。生き残りたいだろう? みじめに殺し合って、最後の一匹になってね!」 おにいさんはまた、にこにこと笑い始めた。 【4】 --------------------------- 家でもお兄さんはゆっくり漬けだ。 ちぇんとらんに餌をやると、パソコンで軽く巡回する。 もちろんお気に入りもゆっくりづくし。 ゆっくり嫌いが見たら胃が爆発しそうなラインナップである。 しかしインターネットには罠が多い。 望まぬサイトにアクセスしてしまうこともある。 不用意にリンクをクリックしたため、 ゆーtubeのゆ虐動画に飛んでしまった。 用心深いお兄さんは普段、こんな失敗はしないのだが。 ふらんちゃんがあんなことやこんなことも!? という煽り文句が気になって、つい……。 大荒れに荒れた動画だった。 川辺に住むゆっくりの一家が殺される動画だった。 愛でから始まり、虐殺で終わる。 動画の半ばで×ボタンを押した。 「酷いことをする人もいるもんだな……」 しかしその日の夜。 永久凍土に春が来たかのようなすっきりした気分で、 お兄さんは眠りに就くことが出来た。 --------------------------- 次の戦いは、直後に始まった。 ♪~ ここで事件が起きる。 既にれいみゅ3、まりちゃ2までに数を減らしていたころである。 五匹の赤ゆに四つのイス。 そういう設定だから、一匹があぶれることになる。 そのあぶれたゆっくり、赤まりちゃがイスを占拠したれいみゅを殺したのである。 その赤まりちゃは姉妹を焼き殺したげしゅなイスに攻撃を仕掛け、 その結果ほっぺに火傷を負う怪我を負った。 跳ねるたびに傷が痛み、ゆっくりにしか跳ねられなかったのだ。 またホイッスルが鳴らされ、音楽が止まる。 「ゆっくちしないですわりゅよ!!」 「れいみゅのいすしゃん、まってちぇにぇ!!」 どんどん座っていく赤ゆ。 ここまでくると、赤ゆでもゆっくりしてはいけないのだと理解している。 だんだんと競争の様相を帯びてきた。 「きょきょはまりしゃのゆっくちぷれいしゅだよ!!」 「ここはれーみゅのだよ! のろまないもうとはあっちいってね!!」 四つのイスが占領される。 そしてまりしゃは傷のために一歩おくれ、気付いた時にはイスは無かった。 「ゆぅぅ……」 イスが無いとは死と同義である。 必死にきょろきょろする。 充血した瞳で。 無い。 どうしようもなくなった。 それでまりしゃは末っ子のれいみゅのところへ駆け寄る。 どうもイスを奪うつもりらしい。 末っ子なぶん、れいみゅは体が小さかった。 だから狙われたのだろう。 「まりちゃおねーちゃんに、いすさんをちょうだいにぇ!!」 「ゆ、ゆぅ……?」 れいみゅは目をまん丸くする。 イスから降りろとは、死んでしまえと言うに等しい。 そんなこと、絶対に了承できない。 れいみゅにはまだ、バラ色のゆん生が残されているのに! 「やじゃよおおお!! れいみゅちにたくないいい!!!!」 「いいかりゃどいちぇにぇ!!」 まりちゃの体当たり。 「ゆぎぃ!」 イスから落ちた末っ子れいみゅはそのままころころ転がってゆく。 同じ茎から生まれた赤ゆでも大きさは違う。 茎の根元に近いゆっくりほど餡子をたくさんもらえる。 その結果早く生まれ体も大きくなる傾向がある。 このまりちゃは三女だったが、それに対抗するには末っ子は非常に不利である。 餡子の量は、ゆっくりの戦いの全てを決める。 果てはゆん生のゆくえまでも。 「ゆううう!!! れいみゅのいすしゃんにすわらにゃいでにぇ!!」 それでもれいみゅは負けじと対抗する。 助走をつけ、イスを奪った姉まりちゃに体当たりしたのだ。 そう力強いとはいえない、しかし命をかけた渾身のもの。 「ゆぐっ!」 転がすほどの力はなかったが、イスからずりおちてさかさまになってしまったまりしゃだ。 あにゃるを晒して目をぱちくりさせる。 「ここをれーみゅのゆっくちぷれいしゅにしゅるよ!!」 イスを奪還したれいむは満足そうに笑うと、すかさずおうち宣言をした。 おうち宣言はゆっくりのルールであり、宣言した場所はおうちになる。 ここは姉まりちゃの場所じゃないという宣言だ。 しかしそんなことをされて、黙っている姉まりしゃではない。 おしりを振る勢いで体勢を立て直すと、再び攻撃姿勢に入る。 「ゆがあああ!!! げしゅのでいびゅはゆっくちちねええ!!!!」 命をかけたゆっくり出来ない戦い。 その中でついに「しねえええ」という言葉が出てきた。 ゆっくりは基本的に率直な生き物なのだ。 死ねと発言する時、そのゆっくりは殺意を持っていることが多い。 尻振りで狙いを定め、れいみゅに本気で体当たりをした。 先ほどよりも何倍も力強い一撃。 「ゆびゃっ!!」 末っ子れいみゅは床に墜落し、餡子を吐いてしまう。 しかしそれだけでは終わらない。 姉まりしゃはイスの上から飛び上がり、れいみゅの頭を踏みつぶした。 「ゆげえええ!!!」 「ちね! ちねえ!! ゆっくりできないげしゅはちね!!!」 何度も何度も飛び上がる。 何度も何度も踏みつぶす。 その度に口とあにゃるから、ぶりぶりと餡子が漏れ出てくる。 「やべでえええええええええ!!!!」 「おちびちゃんたちはかぞぐでじょおおおおおお!!!」 親ゆたちは必死で止めようとしている。 「……」 一方、他の赤ゆたちは無関心を装っていた。 殺し合いの矛先がむけられてはやっかいだったからだ。 家族の存在について、親ゆたちと赤ゆたちでは温度差が生まれている。 赤ゆたちはゆっくりできないゲームをしなければならず、お兄さんの言葉による心理操作もあり、 表向きはともかく心の底では姉妹を生き残るための障害とみなしはじめていた。 その変化はゆっくりなものだが。 しかし親ゆたちは安全な場所で観戦し家族の絆というものを信じている。 反応に違いが出た原因、要はそこだった。 「ぢねっ!!」 たび重なる攻撃によりすでに片目は飛び出て、歯はぼろぼろに抜けてしまっていた。 末っ子れいみゅが痙攣をおこしはじめ、這うことも出来なくなった頃。 姉まりしゃはとどめとばかりにイスに乗り、その高さから思い切りれいみゅを踏みつぶした。 「もっちょゆっぐちちたかった……」 さらに餡子を殆ど失った末っ子れいみゅ。 もちもちだった肌は茶色に変色し、やがでゆっくりできない黒灰色になった。 殺されたのだ。 小さくてかわいいかぞくのあいどるは、今では無残な死相を晒している。 飛び出た目、ばらばらの歯、ずたずたの皮。 「ゆぎゃあああああああああ!!!!」 「どぼぢてっ!! どぼぢてぞんなごどずるのぉおぉおぉおおお!!!!」 家族のきずなが壊れてゆく。 一方姉まりしゃは、なんら後悔するところもなかった。 「ゆっくりできにゃいげしゅだったにぇ!!」 妹の死を喜び、ゆわーいとばかりに跳びはねる。 少し前には一緒に遊んだ実の姉妹だったのに。 そして妹のものだったイスに、もっちりと座る。 「ここをまりちゃのゆっくりぷれいしゅにしゅるよ!!!」 「はい、おめでとう。死んだれいみゅ以外の四匹、勝ち抜けだ」 しあわせフードが撒かれ、死体はゴミ箱に捨てられた。 姉妹同士の殺し合いの後だ。 今までのように警戒なくむちゃむちゃなどする余裕はどこにもない。 お互いがお互いを、取って食われまいと見張り合っている。 それぞれの距離は十分にとられ、すーりすーりのようなふれあいは一切ない。 ぎょろぎょろと目を左右に踊らせ、近寄ってくるゲスに警戒している。 一粒づつ、一粒づつ。 ゆっくりと消費されてゆく。 フードが無くなるまで空気はずっとピリピリしていた。 日常はすでに無い。 れいむは怒りのあまり震えた。 どうしてこんなことに、そう叫びたい気持ちだろう。 壁から微笑みかけるゆっくりした絵すら、今となっては憎らしい。 れいむにとっておちびちゃんは命よりも大切なものだ。 ゆっくりできないゲス親から生まれた母れいむは、 おちびちゃんと一緒のゆっくりできる家庭を築くことが夢であった。 そしてその家庭ではたくさん、おちびちゃんをゆっくりさせてあげるのだ。 この時期に山から降りてきたのも、少なくなった山のごはんではおちびちゃんを作れないと思ったからであった。 そこまで思っているおちびちゃん。 これ以上ゆっくりできない目にあわすわけにはいかない!! このままでは家族の絆がずたぼろにされてしまう。 「じじい、ていっあんがあるよ……」 れいむは鬼意山に声をかける。 「なにかな? じじいなんて呼び方。お兄さんゆっくりできないんだけど」 「うるさいよ……」 怒りと悲しみととゆっくりできなさで、すでにぐったりしているれいむ。 むっすりした顔のまま続ける。 「いすとりげーむはれいむたちにやらせてほしいよ……」 お兄さんは笑顔で聞き返す。 「どうして?」 れいむが唇をぎゅっと噛んでいる。 鬼意山をキッと睨んでいる。 そしてまりさは、何が何だかという表情でれいむを見ている。 「れ、れいむ!! どういうことなの!?」 「ゆっくりせつめいするよ」 鬼意山がイス取りゲームをさせて遊びたいなら、れいむたちが代わりにやる。 そのかわり【おちびちゃんを帰してあげてほしい】。 それがれいむの提案だった。 まりさは急な話に戸惑ったが、やがて深刻な面持ちでうなずく。 このまま黙っていては三匹のおちびちゃんが死んでしまうのだ。 お兄さんはこれを受け入れることにした。 残った赤ゆたち四匹は別の透明な箱に閉じ込められ、かわり両親が取り出された。 箱に入ってもなお、赤ゆたちはお互い警戒しあい、距離をとっている。 お互いが信じられない。 その一方でれいまり夫婦はおたがいにすりよって、これから来るであろう別れに涙していた。 「まりさ、れいむのことはいいから、まりさがおちびちゃんをゆっくりさせてね」 「そんなの、ゆっくりできないよぉ……!!」 れいむとまりさは一ヶ月間のゆっくりからすれば長い交際をへてつがいとなった。 そのぶんお互いの信頼は強固である。 れいむは自分が死ぬことを宣言。 まりさとおちびちゃんを思ってのことである。 「まりさはかりがうまいよ……。だから、おちびちゃんにはまりさがひつようだよ」 「で、でもぉ……!!」 まりさはゆっくりできない顔で、すでにべそをかいている。 「別れの挨拶は終わったかな? そろそろ始めようか」 「お、おにいさん……」 まりさは振り向く。 後ろにはお兄さんが立っていた。 まりさとは正反対の、本当に楽しそうな顔で。 絨毯の上にバケツが一つ。 夫婦のうちの一匹しか生き残れない。 まりさはいよいよ悲しくなり、涙は滝のようになってしまった。 「おにいざあああああああああんんんん!!!!!! おでがいじばず、おでがいじばずううう!!! びんなで、みんなでゆっぐちしだいでず!!! おぢびちゃんど、でいぶど、まりざで!! ゆっくぢしだいでずううう!!!」 「駄目」 まりさの必死の願いは、あっさり却下された。 ♪~ 一つのイス。二匹のゆっくり。 どちらもお互いを愛している。 ちょうどおちびちゃんたちが殺し合ってくれた通り、 ゆっくりとは、ゆっくりするために残酷になれる生き物だ。 生き物とはそもそもそんなものなのかもしれないが。 そしてその一方でこの夫婦。 このつがいは稀有な例外であろう。 楽しい音楽の中で号泣しながら、口をまげてお互いの思い出を語り合っている。 鬼意山の手拍子の中で、くるくると回りながら。 「でいぶどむーじゃむーじゃじだおはなざん!! おいじがったよおおおお!!!!」 「ばりざとのあのよるは、どっでもあづがったよおおお!!!」 「でいぶどぶーじゃぶーじゃじだあばあばは、どっでもじあわぜだったよおおお!!!」 「ばりざとおぢびぢゃんどのぜいがつは、どっでもたのじがったよおおおお!!!」 ぴょんぴょん、くるくる。 鬼意山は頬笑みながらその様子を眺めている。 らんが死んでしまう時も、ちぇんはあんな風に呼びかけて、 返事もないのに叫び続けてたな。 そんな最後のお別れも、無情なホイッスルにより終わりを告げた。 二匹はなごりおしそうに見つめ合っている。 バケツの上にはまりさ。 れいむの言うとおり、まりさが座って生き残ることにしたらしい。 「それじゃあ生き残るのはまりさだ。それでいいかな?」 鬼意山は二匹に尋ねる。 しかし二匹とも泣くばかりで全く返事が出来ない状態だ それを黙認ととった鬼意山はもみあげさんを掴み、れいむを持ち上げた。 そしてれいむは別れの言葉を 「ばりざ、おちびちゃんどゆっぐりし……おそらをとんでるみたい!!!」 れいむの顔はぱっと明るくなった。 そして次の瞬間、床に叩きつけられた。 「ゆげべぇっ!!!」 「で、でいぶううううううう!!!!!」 鬼意山は鼻歌交じりにれいむを叩きつける。 何度も何度も。 もみあげがちぎれそうなぐらい振りあげられ、振り下ろされ。 床へのちゅっちゅを繰り返した。 一撃目で歯が折れた。 二撃目で目が飛び出た。 そのぐらい強烈な叩きつけ方だった。 「やべでぐだざいいいい!!! でいぶがじんじゃうでじょおおお!!!!」 しかしまりさの叫びも、鬼意山は聞く気がない。 足元すがりついてれいむの助命を願っているが、そんな行動何にもならなかった。 れいむのあんこが飛び散り、壁や床に茶色をつける。 まりさも例外にならず餡子をべちゃべちゃと浴びていた。 れいむが跡かたもなくなるまで三分とかからない。 れいむの痕跡は真っ赤なおかざりと、鬼意山が掴んでいたもみあげのみになった。 あとの部品は餡子か皮かすらわからないほどぐちゃぐちゃである。 ぼとり。 もみあげが一本、手から床に落ちた。 小さな餡子のシミが、そこら中に広まっている。 その様子は、まりさ餡子の奥にある一斉駆除の惨劇を想起させた。 「でいぶ……、ゆっぐりじでいっでね……」 れいむの姿はもうどこにも見えなかった。 人間にとってはくそ饅頭でも、まりさにとっては大事な伴侶だった。 犠牲は大きかった。 しかしこれでやっとおうちに帰れる。 れいむを失った悲しみは反転し、まりさの心は春の兆しを見せ始める。 鬼意山はれいむは約束した。 【れいむとまりさがイス取りゲームをすれば、おちびちゃんを帰してあげる】と。 「ゆっぐ……、おちびちゃん!! ば、ばりざたちはかえれるんだよおおおお!!! おちびちゃんたちゆっくりしていってねええええ!!!」 まりさは大声でゆっくりを叫ぶ。 赤ゆたちはきょとんとした表情でまりさを見た。 「れーみゅたち、かえれりゅにょ……?」 「もうまりしゃたち、しんだりしにゃいにょ?」 緊張の糸がほぐれたのか、赤ゆたちはお互いの距離を戻し始めている。 すーりすーりしている者さえいる。 ゆっくりは記憶力の無い生き物。 一生恨みを抱いて生きるゆっくりは珍しい。 争いがすぎれば、一緒にゆっくりすることもできる。 餡子脳が良い方向に働けば、こういうこともあるのだ。 「おちびちゃん! まりさと、まりさとおうちにかえろうね!!」 笑顔でそう言ったまりさは、 「おそらをとんでるみたい!!!」 透明な箱に逆戻りした。 いつのまにかまた、透明な壁さんに囲まれている。 まりさは鬼意山を見上げた。 「お、おにいさん! まりさはそろそろかえることにするよ!!」 まりさは透明な壁に体当たりしながらおにいさんを見る。 「だ、だからこのかべさんをどかしてね!!」 れいむは鬼意山と約束した。 それなのに透明な壁さんが邪魔をする。 おちびちゃんの方もそれは同じであるようで、壁にほっぺをくっつけ喚きだす。 「ゆっくちしてにゃいかべしゃんはどいちぇにぇ!!」 「れいみゅおこりゅよ!! ぷきゅうううううう!!!」 ほっぺをつぶすその姿がとても滑稽だ。 鬼意山はただ笑うばかり。 そして言った。 「【れいむとまりさがイス取りゲームをすれば、おちびちゃんを帰してあげる】。約束は守るよ。おちびちゃんは帰してあげよう。イス取りゲームが終わった後にね」 まりさは切ったスイカのような笑顔のまま固まる。 死にたくなった。
https://w.atwiki.jp/hutaba_ranking/pages/30.html
赤ゆのたのちいイス取りゲーム (後) 39KB 虐待 愛情 不運 仲違い 家族崩壊 親子喧嘩 同族殺し 番い 野良ゆ 姉妹 赤ゆ ゲス 希少種 都会 透明な箱 現代 虐待人間 うんしー ぺにまむ お暇なときに 【5】 --------------------------- 「ゆっくりしていってね!!!」 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!」 「おそらをとんでるみたいっ!!」 「そろーり、そろーり!!」 「ぷくううううう!!!」 お兄さんは分かってしまった。 ゆっくりは単純な生き物だ。 思考も言葉もシンプル極まりない。 そんなゆっくりに25年も付き合ってきたお兄さんである。 ゆっくり漬けが過ぎて、ゆっくりの笑顔に飽きてしまったのだ。 満たされない感じはそれが原因だった。 それが分かった鬼意山。 柄の長いハエ叩きを調達し、ドキドキしながら家に帰る。 もっともそのハエ叩きを振るうのに、二週間ばかりの覚悟が必要だったが。 --------------------------- もとのもくあみ。 鬼意山の屁理屈(?)により、また地獄まで突き落とされたまりさ一家。 一度持ち上げられただけに悲しみは激しい。 絶望も激しい。 四匹の赤ゆはまたテーブルの上だ。 「おちょーしゃんのうしょちゅきいいいい!!!!」 「でいびゅかえれりゅっておぼっちゃのにいいいい!!!」 「ゆっくりちねええええ!!!!」 「ばりぢゃのゆっぐりをがえぜえええええ!!!」 鬼意山にさんざん脅された赤ゆたちは鬼意山に逆らえない。 生還できなかったことへの怒りは父まりさにぶつけられることになった。 赤ゆたちの罵倒に、親まりさは泣くしかない。 こんなはずじゃなかったのに……。 まさにそんな表情であった。 「さて、ようやく四回戦目だな」 「「「ゆっくち……」」」 すでに三匹の赤ゆが死んだ。 残るはれいみゅ2.まりしゃ2。 イスは三つ。 この戦いでようやく半分を割ることになる。 ♪~ 「はい、音楽にあわせて」 赤ゆたちも慣れたもので、手拍子と動きが完全に一致していた。 しかしこれは遊びではない。 音楽に乗る様子には、もう最初の様な楽しさが無くなっている。 これは殺し合いだ。 「どぼぢて……」 「ゆっくちできにゃい……」 ゆぐゆぐ泣きながら回る。 回る。 回る。 「ぼうやべでよぉ……」 一方親まりさはゆん生の落伍者のような面持ちでその様子を見ていた。 少し前まで、あんなにゆっくりしていた家族だったのに。 つがいだったれいむはもうこの世に無い。 その上その死はまりさ一家に何ももたらさなかった。 犬死にである。 出しゃばったがために、散らさなくてもよい命を散らした。 れいむがその事を知らずに逝ったことが唯一の救いだろうか。 まりさがもっと約束の内容を確認していればこんなことには……。 (とはいえどんなにしっかりした約束でも、鬼意山が守るという保証すらないのだが) おちびちゃんからの罵倒もあり、まりさは精神的に追い詰められていた。 くるくる。 くるくる。 回る赤ゆを目で追う。 このうちの三匹が死ぬと考えると、まりさの目尻に涙が浮かんだ。 どれもまりさの大切なおちびちゃん。 絶対ゆっくりさせるって誓ったのに。 くるくる。 くるくる。 おちびちゃんはぐるぐる回っている。 まりさの涙は止まらなかった。 れいむの死はまりさの価値観をも揺るがしていた。 れいむが死んだ事でまりさは人間さんがゆっくりできないものだと理解できた。 家に入った瞬間のゆっくりできた記憶が、まりさを油断させた。 もう人間さんにはかかわらない。 生きて帰れたら、山へ戻ろう。 おちびちゃんも少なくなってしまったから山でもやっていける。 まりさは歯ぎしりをしながら、町へやってきたことの間違いを悟った。 まりさのおちびちゃんへの愛情も余計に深まった。 つがいを失って、役割を補完しようとしているのだろうか。 れいむが命をかけて守ろうとした、かわいいおちびちゃん。 このままじゃ駄目だ! 何とか、何とかしておちびちゃんに生き残って貰おう。 そしてたとえ一匹しか残らなかったとしても、 そのおちびちゃんを立派なゆっくりに育てよう。 ……。 おちびちゃんはまだ回っている。 音楽はそろそろ3週目に入っている。 思考に気を取られていたまりさは、そこでやっと気づいたらしい。 「……ゆゆ? ちょっとまわりすぎなきがするよ?」 親まりさが気付いた通り、まわりすぎである。 回り始めてそろそろ五分。 とっくにホイッスルが鳴ってもいいころなのに。 「ゆひぃ、ゆひぃ」 「ゆっ、ゆっ……」 「ちゅかれ、ちゅかれたよぉぉ……」 「ゆぅうう、ゆぅぅ……」 赤ゆたちは延々と回らされている。 皮は汗だく、息も荒い。 三回のイス取りを経て、一度趣向を変えてみようと思った鬼意山。 第四回戦はイス取りゲームを装った体力勝負となっている。 ホイッスルを鳴らさないのも、忘れているからというわけではない。 許容量以上の運動を強いるゆ虐なのだ。 「もうぢゅかれたあああああ!!!!」 一匹のれいみゅがぐたっと倒れる。 ぷんにゃり横になって、疲れをいやそうとする。 しかしそんな怠け者を見逃すほど鬼意山は甘くない。 「れーみゅはゆっくりしゅ<バチン>いぢゃいいいいいい!!!!」 赤れいみゅは一瞬で飛び上がった。 鬼意山の強烈デコピンだ。 容赦ない。 れいみゅのお尻は真っ赤に腫れあがってしまった。 「止まろうとするようなルールを守れない子はお兄さんのデコピンだよ」 れいみゅは疲れた体をおして跳びはねる。 おしりが腫れたので余計に苦しむ羽目になった。 10分、15分、20分。 止まったゆっくり、リズムにあわせて飛ばないゆっくり、ゆっくりすぎて後ろの姉妹においつかれたゆっくり。 鬼意山は容赦なくデコピンを喰らわせた。 間抜けな赤ゆはデコピンを喰らうほど不利になるっていうのに何度もルール違反をする。 どの赤ゆもほっぺや尻が真っ赤に染まっている。 黒っぽい内出餡(?)の痕も現れ始めている。 手拍子に疲れたお兄さんはその役目をメトロノームにまかせ、 オレンジジュースでゆっくりしているようだ。 「頑張るなあ」 あまあまをごくりと飲み干す。 まさか20分耐えるとは思っていなかった鬼意山。 素直に感心している。 「おばえだげゆっぐりずるなああああああ!!!!」 れいむの霊が乗り移ったかのように、怒りながら透明な壁を叩くまりさ。 しかしそんな行動もやはり空しく終わる。 破れない壁。 加工所は一年を超える長期ゆ虐にも耐えうるように、透明な箱を設計している。 一日で破壊できるようなものでは決してない。 一方赤ゆたちはボロボロで、瞳は真っ黒に濁っている。 そして非ゆっくち症の初期症状が現れているのが、一匹のれいみゅだった。 「ゆげぇぇ、おげえぇええ……」 軽く吐餡をしている赤まりしゃがいるのである。 「おぢびちゃあああああんん!!!! あんござんはがないでねえええ!!!!」 まりさが騒いでいるが、現実は動かなかった。 そしてついに。 「ゆぐっ!?」 一匹のれいみゅが止まる。 「ゆげっ!! ゆげえええええ!!!!」 非ゆっくち症を発症したれいみゅの大量吐餡。 口からゆっくりできない餡子がもりもり溢れてくる。 もう限界らしい。 「ゆげっ! ゆげえげげげええええええ!!! げほっ!! ごほっ!!」 咳と吐餡の波状攻撃。 もう助からないだろう。 すでに大半の餡子を吐き出してしまっている。 「おぢびぢゃあああああんん!!!!! おぢびぢゃああああんん!!!」 まりさは体当たりを繰り返す。 そんなことをするせいで親まりさ自身、傷だらけになっているのだが、 まったく気にもしていない様子だ。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 吐餡から一分も経っていない。 あっという間に痙攣が始まった。 「ゆんやああああ!!!! ゆんっやああああああ!!!!」 親まりさは半狂乱になってどしどし透明な壁を叩く。 何の意味もない。 そして赤まりしゃへのトドメとなったのが、 魂が抜けた抜け殻のような顔で回っていた赤まりしゃのしかかりである。 殺意もなにもなく、通るべき道の上で倒れていたから踏んでしまっただけだった。 赤ゆたちは三つイスの周りを、同じルートをぴょんぴょん跳ねていたのだ。 「ゆぎょ! ぼっどゆっぐち……」 自分以上の重さが圧力としてかかり、餡子が減って無防備な中枢餡がつぶれる。 その潰れ方は深刻なものであり赤れいみゅが永遠にゆっくりするには十分だった。 脳を潰された動物が生きていけないのと同じだ。 一際大きな痙攣をおこすとそのまま永眠してしまった。 音楽が止められる。 鬼意山は勝者に拍手とあまあまを贈る。 「れいみゅちゃんが死んだから、残った子たちは不戦勝だ。おめでとう!」 「ゆがあああああああああああああああ!!!!!!」 喉が枯れるかというほどまでの大声。 それでもまりさは無力だった。 残ったのはいよいよ三匹。 れいみゅ、まりちゃ、まりちゃ。 一匹目のまりちゃはその優しさのために死んだ。 二匹目のまりちゃは運悪く熱したイスを選び死んだ。 三匹目のれいみゅは席を争い姉によって殺された。 四匹目のれいみゅは吐餡を繰り返し、姉妹にのしかかられ結局死んだ。 ここに残った三匹は本当に運が良い。 しかし体はぼろぼろで、心も本当にぼろぼろだった。 生まれて間もないこの時期に命がけのお遊びをさせられ、 性格も大いに歪んでしまったことだろう。 どの子供が残っても、親まりさは苦労するに違いない。 お互い傷だらけなのに、ぺーろぺーろすらしなかった。 近づいてきたとしても、ぺろぺろなんてさせなかっただろう。 傷を癒し、痛みを和らげ、親愛を示すぺろぺろ。 そんなことをすれば次の戦いで不利になる。 そんな打算があったに違いない。 希望の光により一度回復の兆しを見せた姉妹の仲は、 絶対に取り返しのつかないところまで悪くなってしまった。 「……」 黙り込む親まりさもすでに満身創痍だった。 最初に食らった金槌はまりさのあたまの皮を傷つけている。 そしてたび重なる、透明な壁への体当たり。 半ば自滅するような形で皮は傷だらけになっていた。 そして続く家族の死。 つがいのれいむとおちびちゃん。 あわせて五匹が永遠にゆっくりしている。 ゴミ箱にはおちびちゃんの死体。 部屋中に飛び散ったれいむの死体。 それを見るたびにまりさの精神は削られていった。 親まりさはもう、いつ発狂してもおかしくなかった。 ぼろぼろになった家族。ぼろぼろになった絆。 そろそろ限界か。 鬼意山は決断した。 「次でラストにしよう。次のイス取りで生き残った子を帰してあげよう」 鬼意山がカーテンを開けると、青みがかった家の庭がまりさたちの目に飛び込んできた。 夢にも願った外の世界。 ゆっくりたちの目に明るい外の光が入り込む。 次で、この地獄が終わるんだ。 【6】 --------------------------- に゛ゃああああああ!!!!! らんじゃまあああああ!!!!!! だれがごんなひどいごどおおおおお!!!!! わがらないいいいいいい!!!!! 友ゆんの家から帰って来た時、ちぇんのつがいは息を引き取っていた。 「お兄さんが帰って来た時には、もう……」 ちぇんは泣き、一晩中ゆっくりできなかったが、 そのけなげな姿を見た鬼意山は、とてもゆっくりしていた。 --------------------------- れいみゅ1、まりしゃ2。 赤ゆが三匹、イスは一つ。 鬼意山は赤ゆたちを等間隔で置いてゆく。 赤ゆたちはお互いをゆっくりできない目で睨んでいる。 ♪~ 最後の戦いは唐突に始まった。 三匹の赤ゆっくり。 勝利を確信しているゆっくりは一匹もおらず、笛の音を警戒し続ける。 イスの数から言うと、生き残れるゆっくりは一匹だけだ。 「はいはい、イスさんたちの周りをくるくるしてね!」 お兄さんが音楽に合わせ、リズムよくゆっくりと手を叩く。 「「 …… 」」 最初のころのような楽しさはかけらもない。 歯茎をむきだしにした表情で、イスのみに視線を送っている。 お兄さんが手拍子をするごとに、赤ゆたちが一歩進む。 音楽と手拍子だけが鳴り続ける、静かな戦いだった。 「おちびちゃん……」 まりさはもうなにも出来なかった。 助かるのは一匹だけなのだ。 どの子も応援できない。 パン! パン! パン! パン! パン! パン! パン! パン! 今度は一分もたたず、笛の音が鳴る。 ホイッスルのキンと高い音色。 一個のイスをめぐる、醜い争いが始まる。 「ゆっくちすわりゅよ!!」 「れーみゅのいすしゃん、まっててにぇ!!」 「げしゅどもはゆっくちしにゃいでちんでね!!」 最初に座ったのはれいみゅだった。 一匹だけ生き残ったれいみゅ。 最初にまりしゃが潰された時、かじょくなんだよ!!と鬼意山にさからった赤ゆだ、 「ゆゆーん♪ ここはれーみゅのゆっくちぷれいしゅだよ!! げしゅないもーちょはゆっくちしにゃいでちんでね!!」 ゆっへんと胸を張るれいみゅ。 しかしまだ戦いは終わっていない。 「げしゅはおみゃえだよ!!」 まりしゃのうちの一匹が、回転体当たりでれいみゅを落とそうとする。 胸を張って完全に無防備になっていたれいみゅは、あっさり命のイスから転げた。 「ゆげっ!?」 「ゆびょびょ!?」 しかし勢いあまってそのまりしゃまで一緒に転がってゆく。 そこで断然有利になるのが、もう一匹のまりしゃだ。 末っ子れいみゅをぶち殺して生き残った、一番ゲス化の激しい赤ゆである。 「ゆひひっ!! いきのきょるのはまりしゃだよ!!」 ぴょいんとイスに飛び上がる。 しかし転がっていった二匹は、何も脱落したわけではない。 「ふじゃけりゅなああああああああ!!!!」 「きょのゆっくちでなちいいいいいいいい!!!!!」 すぐに体勢を立て直し、赤ゆにあるまじきスピードで迫ってゆく。 その速さは、おそらくGを超えている。 ゆっくりは思い込みの力を持っているという説があり、 いざという時に限って発揮されないというあてにならない力だが、 生命の危機がその力を呼び起こしたのだろうか。 「ゆわああああ!!!」 自分と同じ大きさの饅頭が、歯茎をむき出しにしてせまってきたらどう思うだろうか。 イスの上のまりしゃは、すでにおそろしーしーを漏らしている。 まりしゃは右のおさげに、そしてれいむは左のおさげに噛みついた。 引きずりおろしてやろうというつもりなのだろうか。 「やめちぇにぇ! ゆっくちできにゃいよ!!」 「ちるかあああああ!!!」 「でいびゅのいすしゃんかりゃはやきゅどけえええええ!!!!」 走る力も凄まじければ、引っ張る力も恐ろしかった。 あくまで赤ゆを基準にしての話だが。 「いだいいいいい!!!」 おさげを引っ張られるまりしゃは、どんどん横に伸びてゆく。 すでに縦1:横2のワイドサイズになっている。 「やべであげてね!! いだがってるよ!!!」 何の意味も無いと分かっていながら、親まりさもつい本能から言ってしまう。 やはりおちびちゃんが痛がっている所を見ると、 親心が刺激されてしまうのだ。 とはいえ引っ張ることをやめるというのは、イスを譲ることに等しい。 「だばれええええ!! ぐじょおやああああ!!!」 「でいびゅはゆっぐぢずるんだあああああああ!!!!」 かえって怒りを招き、まりしゃはイスの上で余計に伸びることになった。 それにしても、赤ゆは餡子脳だ。 二匹が同じ方向に引っ張ればすぐにでも引きずり降ろせるのに、 それぞれが逆方向に引っ張ってしまうのでまりさは殆ど移動していない。 まりしゃがイスの上で踏ん張っているのもあるのだが。 鬼意山はその様子を観察しながら笑みをこぼす。 「ゆぎ! ゆぎぎぎぎ!!!」 まりしゃはあにゃるをキュっと絞め、イスを譲るまいと闘っていた。 その様子に変化が起こり始めたのだ。 あにゃるが切れ痔を起こしている。 イスの下の姉妹の怪力に、まりしゃの皮が負けつつあるのだ。 「ゆぴいいいい!!!! おじりがいぢゃいいいいい!!!!!」 突然襲い掛かる新たな痛み。 「どぼぢだのおおお!!???」 親まりさの叫び。 そしてちょっとづつ、ちょっとづつ広がってゆく切れ痔。 びりびりと嫌な音を立てながら、その裂け目は誰にでも分かるほどまでに広がってきた。 まむまむの部分まで裂け、あんよから餡子が漏れ始めている。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!! やべであげでよおおおおおお!!!!!」 まりさはおちびちゃんを守ると誓った。 一匹になってもその子を守ると覚悟した。 しかしそんな決意、ゆっくりの心には重すぎるものだった。 現実の殺し合い。 先ほどとは違う、今度は姉妹全員の殺し合い。 三回戦目の殺ゆんでは一匹のゲスのせいだと考えればよかった。 今回の殺し合いは姉妹全員が、自分の命の為に殺ゆんも躊躇わない。 まりさが信じていた絆はとうに崩壊している。 その象徴がこれだった。 「ぱぴぷぺぽ!! ぱぽぷぺぽ!!!」 まりさはおかしくなり、ついにはくるくる踊る。 そして少量の餡子を吐きそのまま気絶してしまった。 べりょべりょべりょ。 まりしゃの皮はさらにめくれてゆく。 「ゆぎゃああああ!!! ばりぢゃのびゅーちふりゅなおはだぎゃあああ!!!!」 赤まりしゃはようやく自分に起こっている変化を理解したらしい。 しかしもう遅かった。 目と目の間が裂け始め。 ついに。 「ゆわっ!!!」 「ゆっぴょ!!!」 おさげを引っ張っていた二匹は、対抗する力が無くなったことでころころ転げて行った。 各々の口には、金色のおさげがのこっている。 そしてその先にはべろべろの皮。 イスの上に残ったのは、皮を剥がされた餡塊だけだった。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ……」 つるりと剥けたので、本当に綺麗な真っ黒餡子だ。 目はむき出し。 歯茎はむき出し。 その姿のまま痙攣している。 「ゆっくちすわりゅよ!!」 「こんどこしょ、れいみゅのいすしゃん!!」 ライバルの一人はすでに死にかけだ。 これであいつを蹴落とせば……。 しかし二匹がイスに近づいた所で、鬼意山はそれを取り上げてしまった。 「はい、時間切れ」 「ゆ゛!?」 切り株を模したイス。 生き残るためのイス。 それを鬼意山に取られ、れいみゅとまりしゃは茫然としている。 「れいみゅのいすしゃん!!」 「まりしゃのいすしゃん!!」 二匹は追いかけようとする。 しかしテーブルの周りのプラスチック壁に激突し、それ以上は進めなかった。 鬼意山はイスを持ったまま、まりさに近づいてゆく。 すると親まりさは気絶していたので、鬼意山は箱を蹴飛ばしてみた。 「ゆゆっ? まりさのけーきさんは??」 びっくり飛び起き、ぱちぱちと瞬きをする。 意外にあっさり起こせるものだ。 「ほらまりさ、帰れるおちびちゃんが決まったよ」 まりさは鬼意山を見上げる。 寝ぼけ眼のまりさは、10秒ぐらいの間をとって鬼意山の言葉を理解した。 「ゆゆっ!? まりさのおちびちゃん!!」 鬼意山はまりさの箱の前に、勝者のイスを置く。 そこにいたのは、得体のしれない餡塊だった。 「ゆ゛!?」 まりさは思い出し始めていた。 イスの上の塊は、姉妹に引っ張られ皮を破られていたおちびちゃんだ。 帽子がそれを証明してくれる。 「ばりざのおちびちゃんがあああああ!!!!」 餡塊は蠢く。 かすむ視界の中で父の姿を見つける。 「お、ど、お、しゃ……」 餡塊は一歩踏み出すと、重力に耐えられず自壊してしまった。 ぶよぶよの目玉がころころ転がり、透明な箱をこづく。 勝利のイスを手にしたまりしゃ。 その喜びを味わうことすらなく、永遠にゆっくりした。 「残念だね。おちびちゃんは一匹助かるはずだったのに」 優勝したおちびちゃん。 一緒に帰れるはずだったおちびちゃん。 そのおちびちゃんがまりさの目の前で永遠にゆっくりしたのだ。 つまり。 「さて、負けちゃった子にはどんなお仕置きをしようかな?」 テーブルの上を逃げ惑い始めるれいみゅとまりしゃ。 「ゆんやああああ!!!」 「ぎょないじぇえええええ!!!!」 まりさと一緒に帰れるおちびちゃんは、一匹も居ないということだ。 まりさは口をぱくぱくさせ、何も言いだすことが出来なかった、 おちびちゃんと帰れるはずだったのに。 最悪の結末だった。 「何で殺してあげようかなぁ」 「ゆぴいいいい!!!!」 「でいびゅまだちにたくにゃいいいい!!!」 鬼意山はプレイルームの箱をがさごそとやっている。 今思えばこの中にも、虐待用品が一杯詰まっていたのだろう。 「これにしようか」 その中からこれまた小さい箱を開けると中には注射器が二本そろっていた。 そのうち一本を取り出すと唐辛子エキスをとくとくと注いでゆく。 「これは毒だよ」 真っ赤な注射器がギラギラ光る。 赤れいみゅと赤まりしゃはカチカチ歯を鳴らしながら震えていた。 「これを注射されればあっという間に死ねるだろうね」 針の先からエキスが漏れ、液体の玉になり、真下に落ちてれいみゅのほほにかすった。 「ぢ、ぢみりゅううううう!!!!」 れいみゅの傷に唐辛子が触れ、その部分は酷いただれを起こしてしまった。 それだけで、その毒の恐ろしさがはっきりと分かる。 「それじゃあ、まりしゃちゃんからお注射だよ」 「ゆっぢいいいいいい!!!!」 つまみあげるとそのまりしゃはぶりんぶりんと、体中を振り回して逃げようとする。 ゆん生をかける最後の抵抗。 赤ゆっくりまりしゃが発揮できるうちの、最大の力でケツを振っていた。 しかし鬼意山に対抗するには、あまりにもしょうもない力である。 そして針が触れ、皮を破ろうかというその時。 親まりさの大声が耳に入った。 「ゆっぐりやべでね!!!!」 鬼意山はまりさの方を振り返る。 まりさの目は、決意に満ちた目だった。 「どうした?」 「ばりさのいのちとおちびちゃんのいのち、こうかんしてほしいよ!!」 【7】 まりさは、おちびちゃんを助けるのだと誓った。 一匹だけでも助けるのだと誓った。 しかし帰れるはずのおちびちゃんは死に、 まりさの手元には一匹のおちびちゃんも残らなかった。 残った赤ゆは親と一緒に帰ることが出来る。 最初に鬼意山が言ったその言葉を信じるなら、親まりさは一応生きて帰ることが出来るわけだ。 けれども。 おちびちゃんを残して帰って、本当にそれでいいのか? 母親役のれいむが死んだ結果、まりさの母性はますます強くなっていた。 まりさの提案は単純だ。 生き残れるはずの自分が死ぬ。 そのかわりおちびちゃんは助けてほしい。 それだけである。 「ばりざは、ばりざはぜったいおちびちゃんをゆっぐりざぜないどいけないんだよ……」 「そうか……。分かったよ、おちびちゃんを助けてあげるよ。ただし……」 鬼意山はまりさの提案に条件をつけた。 「交換できるおちびちゃんは、二匹のうちのどっちか一匹だけだ」 親まりさは箱から出され、テーブルの上に置かれた。 親まりさ、れいみゅ、まりしゃ。 久しぶりに、家族が一箇所に揃った。 まりさはこみ上げてくる感動を抑えきれない。 「しあわせ……」 最初から考えればすでに六匹も欠けているのだが。 それでもまりさは幸せだった。 一方鬼意山は赤ゆたちに事情を説明している。 赤ゆでも理解できるように、分かりやすく。 「つまり、おとーさんに選んでもらえた子だけが生き残れるんだ」 「ゆゆ!?」 「ゆっくち!??」 明らかに目の色が変わった。 痛い痛いデコピンに苦しめられることもあった。 儚い希望に踊らされ、ぬか喜びをしたこともあった。 最後の最後で負けて、殺されかけたこともあった。 その苦労が、おとーさんに選んでもらえれば報われる。 「ゆっくちれいみゅをえらんでにぇ!!」 「まりしゃだよ!! まりしゃがゆっくちしてりゅんだよ!!」 二匹の赤ゆは生き残りをかけて媚びを売りはじめた。 糞親とまで言ったそのまりさに、すーりすーりなどを始めている。 「おとーしゃんだいしゅきー!! だかられいみゅ!!! あっちのごみはむしちてね!!」 「ごみはおみゃえだろおおおおお!!!! あんなきたないのより、まりしゃだよ!!」 「れいみゅはおうちゃをうたえるよ~♪ ゆっくち~♪」 「ま、まりちゃはだんちゅができりゅよ!! ゆっくちまりちゃのだんちゅだよ~♪」 「ゆぴゅぴゅ!! まりちゃのだんちゅはへたくちょだにぇ!!」 「ゆゆ!! れいみゅのおうたこしょ、ざつっおんだよ!! みんにゃにめーわくだよ!!」 可愛らしさをアピールしているつもりのようだが、 言葉や行動の端々からすでに取り返しのつかないほどのゲス性が読み取れる。 ゆっくりしたいという感情がむき出しになっている。 相手をこきおろそうとするその言動。 侮辱するときの表情の汚さ。 ここ数時間で深刻なほどのゲスになってしまっていた。 確かな手ごたえを感じた赤ゆたちは、おうたやだんちゅのアピールに移る。 優柔不断な親の心を鷲づかみにするつもりのようだが。 おうたは音程がそもそもあってない。 だんちゅはくるくる回っているだけである。 親まりさは、そんなおうたやだんちゅなど気にもしていなかった。 まりさは目をつむって考え事をしていた。 この世で一番可愛いおちびちゃんたち。 それぐらいにまでおとびちゃんが好きなまりさの目にすら、この二匹はゲスのように映っていた。 それでもまりさは、この子たちは鬼意山のせいで一時的にゲスになってるだけだと信じている。 だから、時間がたてばもとの優しいおちびちゃんにもどってくれるはず……。 ゆんゆん考える。 残すべきなのは、どっちだ? おちびちゃんとの一週間の思い出が蘇ってくる。 そうしてまりさは、やっと決心がついた。 舌がぺろりと現れる。 「まりさのほうのおちびちゃん……、おとーさんのおくちにはいってね……」 おくちに入れる。 それはおちびちゃんを守る時に行う行動だ。 守られるのは赤れいみゅじゃなくて、赤まりしゃ。 「ゆぎゃあああああああ!!!! でいびゅばだぢにだぐないいいいいいい!!!!!」 死の宣告をされたようなものだ。 狂ったように泣き叫ぶれいみゅ。 滝のようなちーちー。 そして赤まりしゃの瞳は、ダイアモンドのようにピカピカ輝き始めていた。 親まりさの口を目指しながら、勝利宣言をする。 「ゆわぁぁああいい!!! まりしゃは!! かわいいまりしゃはいきのきょったんだよおおお!!!!」 ゆったりした坂をのぼり、暖かい口内がまりしゃを出迎えてくれる。 「かわいきゅって! ご・め・ん・にぇ!!!! ゆぷぷぷぷぷぷ!!!! おおみじめみじめ!!! みじめなれいみゅ!!!! ゆぷぷ!!! かわいくなきゅて、くずで、のろまで、ばきゃなれいみゅはゆっくちしんでにぇ!!! まりしゃは、まりしゃはひとりでゆっくちすりゅよ!!!! ゆやっほおおおお!!!! ゆやっほおおおお!!! ばらいろのゆんせいが、まりしゃさまを<ブチブチブチィッ!!!>ゆぎゃあああああああ!!!!」 親まりさは吐きだす。 それは真っ二つになった赤まりしゃの体だった。 「れいむのほうのおちびちゃんを、かえしてあげてね……」 赤まりしゃをおくちに入れたのは理由があった。 親まりさが殺す方が、鬼意山の手にかかるよりも苦しみも少ない。 そう思ったのだ。 「ぐじゅ……お、や……」 赤まりしゃは親への恨みを抱きながら死んでいった。 まりさが自分で決めたことだ、後悔はない。 「それじゃあれいみゅちゃん、玄関まで送ろうか。まりさにも見送りだけはさせてあげよう」 まりさと赤れいみゅは鬼意山に抱えられ、玄関までやってきた。 暖かくすべすべの床を初めて味わった廊下。 家族であまあまを食べて、しあわせーをした居間。 つがいのれいむがうっとりと自分を眺めたあの鏡。 永遠にゆっくりしていった家族を思い出し、見るもの全てが悲しかった。 そしてまりさも、これから永遠にゆっくりするのだ。 赤れいみゅを助けるかわりにまりさは死ぬ。 これは揺るがない条件だった。 「助けると言っても、ここから出発した後のことは知らないからね?」 「りかいしてるよ……」 町は、赤ゆ一匹には辛い場所だ。 かといってここから山に帰ることは絶望的である。 しかし偶然、やさしいゆっくりがおちびちゃんをゆっくりさせてくれるかもしれない。 偶然町の群れに拾われ、すくすくと育ってくれるかもしれない。 分の悪いギャンブルである。 しかしまりさは、おちびちゃんのゆっくりを祈ることしかもうできない。 玄関の扉がゆっくり開けられる、 すでに太陽が出て、空は水色に染まり始めている。 しかしぽかぽかの暖かさは、そこにはない。 「ゆゆ……、しゃむいよ」 れいみゅは冬目前の寒さに体を震わせた。 「おちびちゃん、まりさたちはてんごくでみまもってるよ!!」 一匹でも生還させられたことに、涙を流して喜ぶまりさ。 「うるしゃいよ!!! くしょおやがこんにゃおうちにこにゃければ、れーみゅはもっとゆっくちできちゃんだよ!! くじゅなおとーしゃんはゆっくちちんでね!!!」 鬼意山の手から降りると、れいみゅはそんな捨て台詞を吐いてぴょんぴょん跳ねて行った。 まりさにも落ち度はあり、だから反論することはできなかった。 「ゆっくち!ゆっくち!」 少々寒いが、爽やかな朝であった。 れいみゅは久々の自由を満喫していた。 じじいとも、くそおやとも無縁の生活がこれから始まるんだ! れいみゅの心には、謎の万能感が芽生えていた。 くそおやがいなくなれば、これからは何をするのも自由だ。 うんうんをする場所や、ちーちーをする場所だって自由だ。 ようやく鬼意山の家の敷地を出て、歩道をぴょんぴょん横断してゆく。 まりさはまだ見守っていた。 赤ゆが見えなくなるまで、鬼意山は潰さないでおくつもりらしい。 運命はすでに、鬼意山の手から離れている。 あの赤ゆがこの後どうなるのか、それは分からない。 まっすぐまっすぐ跳ねてゆく。 歩道をわたりきったれいみゅはやがて車道に入り込んだ。 そこでまりさははっとする。 赤れいみゅは車道を横断するつもりだ。 まりさとれいむがこの町に降りて来た時、外はすでに寒かった。 しかし町の現実を知らない二匹は見よう見まねでダンボールのおうちを作り、 そしてゆん生のはつすっきりーを体験する。 それで生まれたおちびちゃんが、あの七匹だ。 あのおちびちゃんがおうちを出たのは、 人間さんのおうちを回った時が最初だ。 お外の危険なんて、何も教えられていない。 あのれいみゅは車道の、車の恐ろしさを知らないのだ! 「おちびぢゃあああああんん!!!!! ぞごはあぶないよおおおお!!!!」 鬼意山の腕の中で、おちびちゃんに呼びかけるまりさ。 ついさっきもドスのようなトラックが通り過ぎて行くのを見た。 車というものは、ゆっくりがいてもおかまいなしに殺してゆく。 まりさ町について初めて知った危険だ。 しかしまりさの忠告はとどかない! 「くじゅおやはだまってね!! れいみゅはこっちにいきちゃいんだよ!!」 「ゆぎゃあああああ!!! おどーざんのいうごどをきいでええええ!!!!」 ずんずん進んでいく。 大きなエンジン音が、また聞こえてくると言うのに。 「ゆゆ?」 あんよに伝わる振動。 それでようやくれいみゅはせまりくるタクシーに気付いた。 しかしれいみゅの感想は、「なんだか速くてゆっくりできない」というだけ。 危機感は一切ない。 「きめーまりゅみちゃいで、ゆっくちしてにゃいにぇ!!」 れいみゅはタクシーと対峙する。 れいみゅの位置は、丁度タイヤが通過する部分だ。 「おぢびちゃんにげでええええええ!!!!」 まりさの声なんて、もう聞いてすらいなかった。 「ぷきゅうううう!!!! ゆっくちちてないやちゅは、あっちいっ<ベチャ>」 「ゆぎゃああああああああああああああ!!!!!」 れいむとまりさの愛の結晶は、七匹全てこの世から消え去った。 まりさの命がけの行動は、れいみゅの命は数十分ほど延命するだけの意味しかなかった。 「ばりざは、ばりざはなんのためにぃ……」 結局一匹も守れなかった。 「さて、そろそろまりさにも死んでもらおうか」 鬼意山はまりさに宣告する。 まりさはすでに廃人のようになっていた。 目はどこを向いているのか、泣いて水分を失い肌はがざがざだ。 鬼意山は両腕に力を入れる。 皮を破り、真っ二つにしてしまうつもりらしい。 「ごんなの、ごんなのぉ……」 涙はまだ溢れてくる。 「ひどずぎるよぉ……」 まりさは絶望の中、息を引き取った。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 鬼意山はまりさをゴミ袋につめた後、そう広くも無い庭の土を踏む。 虐待向けのゆっくりを切らしていたところで偶然戸を叩いたのがまりさ一家だった。 季節は冬に向かいつつあったし、秋の一斉駆除も行われた後だ。 単品ならともかく、野良ゆの家族はなかなか見つからない時期である。 そこにやってきた一つの家族。 虐待してみた。 しかし鬼意山は満足できなかった。 「愛着のないゆっくりを殺しても、そこまでQNQNできないんだよなぁ」 ゆ虐を初めて一年。 鬼意山最初のゆ虐は人生最高のゆ虐だった。 可愛いゆっくりを虐待したいという性癖をもつ鬼意山なのである。 とても愛着のある、大事なゆっくりを虐めるのは特別だった。 「また、赤ゆから育ててみようか。こんどはありすでも……」 庭の片隅には二つの墓。 その下には二匹分の苦悶のデスマスクが埋まっていることだろう。
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/2350.html
赤ゆのたのちいイス取りゲーム (前) 37KB 虐待 愛情 不運 仲違い 家族崩壊 親子喧嘩 同族殺し 番い 野良ゆ 姉妹 赤ゆ ゲス 希少種 都会 透明な箱 現代 虐待人間 うんしー ぺにまむ 長い ※善良ゆ虐待あり ※タグは全編通してのもの 【1】 --------------------------- おにいさんはさいきんゆっくりしてないよー。 ちぇんとあそんでくれないんだねー。 ちぇんもらんしゃまもさびしがってるんだよー。 わからないんだよー。 さあなあ……。 らんもわからないなぁ。 おにいさんにも、ゆっくりいがいであそびたくなるときがあるのかもな。 ゆぅ。 でもかいゆっくりなら、にんげんさんのことを だいいちにかんがえないといけない。 ばっじつきならなおさらだ。 そうだねー。 ゆっくりできないけど、しかたないねー。 ----------------------------- まりさは都会の冬がこんなに寒いものなのだと知らなかった。 ゆっくりの過剰繁殖によりごはんのなくなった故郷。 それを捨て、食べ物のあるという町に降りてきた。 ご飯の無い場所では子作りができないからだ。 「むきゅきゅん! けんじゃなぱちゅりーがみみよりなじょうっほうをおしえるわ!!」 ぽかぽかなおうち、おなかいっぱいのあまあま。 ぱちゅりーのいいかげんな知識を頼りにやってきたものの、 それは一握りの飼いゆに限って認められる話であった。 もりけんの甘い話を信じ、既におちびちゃんまで作ってしまっている。 あたたかいおうちもあまあまなごはんもなく、 現実はダンボールの中。ビニールシートもない。 現実は苦い苦い草さん、くっさい生ごみ。ごはんはげろまず。 現実は苦しみの連続。 野良なんてそんなものだ。 暮らし向きは以前より格段に悪くなった。 「しゃむいいぃぃ!!」 「おきゃあしゃあああん……」 「ゆぅー、よーしよーしゆっくりだよー……」 おちびちゃんたちは母とのすりすりで暖を取り何とか命をつないでいる。 秋の暮れ、そろそろ冬の足音が聞こえてくる季節だ。 もう何か行動を起こさないと、家族そろって永遠にゆっくりしてしまう。 その瀬戸際にあった。 森に帰るという選択肢も考えられる。 しかし、森ではもう家族九匹をやしなえる食料は取れない。 森に戻るならおちびちゃんを何匹か諦めるしかない。 もう既に日は暮れ、ゆっくり出来ない寒さがおうち中を覆っている。 風が一吹き入り込むたびに、おちびちゃんの元気が無くなってゆく。 そのゆっくりできていない顔を見るたび、れいむの母性が悲鳴をあげた。 「ゆっくちできにゃいよぉ……」 きゅっと目をつぶって、ぷるぷる震えている。幼い命。 「おちびちゃん、かわいそうだよぉ……」 つがいのれいむはキリリとした顔でまりさに言う。 「まりさ、にんげんさんのおうちにいれてもらおうよ!」 人間さんのおうちはあたたかく、あまあまも一杯らしい。 ゴミ捨て場で会った野良に聞いた話だ。 人間さんに飼いゆっくりにしてもらう。 都会にゆっくりを引きつけて留める数少ない希望。 「そうだね、それしかないね……」 まりさは眉を曲げつつも、おちびちゃんを見ればうなずくしかなかった。 人間さんは怖い。 恐ろしい人間さんをまりさも何人か見ていた。 山から降りて一週間。 潰されるゆっくりを何匹も見た。 捨ててあったものを拝借しただけで殺されたゆっくりを見た。 おうたを歌ってただけで殺されたゆっくりを見た。 ゆっくりゴミの水曜、沢山のゆっくりが収集車に詰め込まれてゆくのを見た。 だからまりさは、れいむの提案の危険性も一応分かっている。 しかし寒冷耐性の強い町ゆの餡統でもなければ、この寒さは我慢できない。 まりさとれいむが生き残れたとしても、おちびちゃんは無理だろう。 成体ゆっくりの中枢餡は皮と餡子の分厚い層に守られているが、 赤ゆのそれは非常に薄く、すぐ凍えきってしまうのだ。 危険と知りつつも、まりさは人間さんに賭けるしかない。 人間さんにうけいれてもらって初めて、家族全員がゆっくりできる。 思い立ったが吉日ということで、まりさはぼうしの中などにおちびちゃんを入れ、れいむも連れて出発した。 「おぼーちのなかはあったきゃいにぇ!!」 「ゆっくちできりゅにぇ!!」 おぼうしの中は体温が保存され比較的暖かい場所だ。 一度に入れられるのはせいぜい三匹なので、少し経つごとに赤ゆたちは交代しなければならなかったが、 れいむもまりさも、おちびちゃんがあったまってくれるのはうれしい。 おぼうしのツバでぷりぷりはしゃぐおちびちゃんたち。 このかわいさならと、思わせるものがあった。 おちびちゃんを連れてきたのは、おちびちゃんのかわいさで 人間さんがおうちに入れてくれるかもと考えたからだ。 ゆっくりにありがちな考え方であった。 実際のところ、汚い野良なんて愛で派ですら大半が相手にしない。 色々なSSやイラストであらわされてきた通り、 都会に住んでいても田舎に住んでいても、汚い野良のせいで苦労することは多い。 すりつかれて服を汚されたり、おうたで不快な気分になったり。 ゲスでなくとも理屈の通じない個体が多い。 野良ゆっくりの好感度は最悪だ。 躾の行き届いたバッジ付きは愛されうる。 しかし躾もされていない野良にかかわってわざわざストレスを貯めたい人はいない。 トントントン。 木の棒でノックする。こうすると人間さんが出てくるらしい。 しかし誰ひとりとしてまりさ一家の話を聞いてくれることはなかった。 少し開け、ゆっくりだと分かると閉じられてしまう。 「どぼぢてむしするのおおおおお!!!???」 「ゆっぐりさせてよおおおお!!!」 そんなやり取り(?)が何度も続いた。 何度も何度も。 憐れなものである。 そんな憐れなまりさたちを受け入れてくれたのは、 笑顔の似合う、いかにも優しそうなお兄さんただ一人であった。 「そうか、それは困っただろうね。お兄さんのおうちに入るといいよ」 「ゆ!? ほんとにいいの!?」 「あじがとうございます! あじがとうございまずうう!!!」 「「「 ゆわぁーい!!! にんげんしゃんのおうちだよ! 」」」 30件目の訪問。 数が数えられないゆっくりからすれば、 1000件は回ったんじゃないかと思えるほど長い時間動いていた。 家を出て寒さに晒され、おちびちゃんも弱りはじめており、 まりさも内心諦めかけていた頃の話だった。 「さあ、お入り」 歌のおにいさんも出来そうな、ゆっくりしたお兄さん。 「ゆ、ゆっくりおじゃまします」 「「「「ゆっくち!」」」」 始めての人間さんのおうち。 すこし緊張しながら足を踏み入れた。 まりさ扉をくぐると、そこは天国。 そう人間さんのおうちは、天上楽土な場所だった。 床は見たことも無いすべすべのなにかで出来ていて、歩くだけで気持ちが良い。 外の寒さが嘘のように暖かくて、春が来たように過ごしやすい。 夜なのに光が満ち溢れ、昼のように明るい。 まりさたちはあまりに汚かったのでまず濡れタオルで綺麗にしてもらった。 特にゴミ漁りを続けていたまりさ。 汚れているだけでなく、ちょっと臭いのだ。 「ゆゆーん♪ くしゅぐったいよ!」、 お兄さんのゆっくりを拭く手つきは、熟練した何かを感じさせる。 ゆっくり関係の職についているのだろうか。 赤ゆたちもまったく嫌がることがなく、すぐに綺麗にされた。 「「「「さっぱりー!!!」」」」 つやつやのコーティングオイルまで塗られる。 そのぷるぷる感、まるで室内飼いゆのよう。 れいむは玄関の大鏡に自分をうつし、なんだかうっとりしている。 一気に美ゆっくりになった自分に一目ぼれしたかのようだった。 その後お兄さんのおうちの居間に通され、ゆっくりを許された。 テレビ一個、タンスなどの家具もちらほら配置されている。 ちぇんぐるみや陰陽玉のようなゆっくりグッズもまたちらほら。 一人暮らしにしては少し広いことを除けば、一般的なゆっくり好きの部屋に見える。 まりさはこのお兄さんがゆっくりを好きなのだと思った。 「ゆっくりしていってね!」 「「「「「 ゆっくりしていくよ!! 」」」」」 お兄さんの持ってきたあまあまは、口の中に桃源郷が広がる旨さだ。 咥えているだけでよだれが出てくる。飲み込めば幸せ。 「はふっ! はふっ! めっちゃうっみぇ!!」 「ちちちあわちぇええええ!!!」 「むちゃむちゃ!!」 「がーちゅがーちゅ!!!」 「ゆゆーん♪ おちびちゃんたちしあわせそうだよぉ~!」 赤れいみゅ3と赤まりしゃ4のおちびちゃん。 すべすべのフローリングの上、皿からこぼしながら必死こいて食べる。 人間からみれば少し汚いが、ゆっくりにとってはゆっくりできる光景である。 寒さで満足に狩りができなかったまりさのせいで、このところ満腹にもなれなかった。 それがあまあまをくちいっぱいに頬張って、溢れさせながら喜んでいるのである。 「ゆふふ、ゆっくりたべていいんだよ!」 れいむもまりさも心の底から笑顔に慣れた。 これでこそ。 こうやっておちびちゃんの笑顔を見れてこそ、町に来たかいがあったというもの。 飼いゆっくりになれたわけではないが、冬が越せればなんとでもなる。 怖かったけど人間さんを訪ねて良かった。 ぱちゅりーの話は本当だったんだ。 まりさの心の底から、みるみるゆっくりが溢れてきた。 それはれいむも同じことだろう。 そして赤ゆたちの餌皿もそろそろ空になるかといった頃合いである。 幸せな家族の団欒に、席をはずしていたお兄さんが戻ってきた。 とっとっ。まりさの頬に人間さんの足音が響く。 まりさはとてもゆっくりできるお兄さんの方に笑顔を向ける。 どうも何か話があるようだ。 「おにいさんとの約束、まりさは覚えてるかな?」 「ゆゆっ! もちろんだよ!」 「「「「 ばきゃにしないでにぇ!! 」」」」 まりさはこのおうちの玄関先である約束をさせられていた。 ゆっくりが大好きなお兄さんと遊んでくれという約束だ。 「それならいいんだ。最近はゆっくりの家族とふれあることが少なくてね」 「おちびちゃんたちもたのしみにしてるよ!」 約束という言葉を聞いた時、掃除洗濯奴隷労働、ゆっくりできない想像が頭を巡った。 まさかれいむの体が目当てのHENTAI! そんな妄想までしていた。(その瞬間、まりさのぺにぺには天を突いていた) しかし聞いてみればなんだ、ただ「お兄さんと遊べばいい」というだけだそうだ。 ゆっくりできないことはなにもない。 むしろまりさからお願いしたいとすら思える約束だった。 「「「「おにーしゃん、ゆっくちー♪」」」」 赤ゆたちはあまあまのお礼のつもりなのか、お兄さんの足にすーりすーりする。 にこにこころころ転がって、とてもゆっくり出来ている。 「おにーさん!!」 まりさは口を開ける。 「どうしておにいさんはこんなによくしてくれるの?」 まりさの会った人間さんに、ゆっくりできる人は一人もいなかった。 それなのにこのお兄さんだけ。 「ゆっくりが好きだからだよ」 「ゆゆー♪ ゆっくりできるおにいさんだね!!」 お兄さんは笑顔で答えてくれた。 れいむもまりさも、頬がゆるむ。 人間さんにもこういう人がいるんだ。 町も捨てたものじゃない。 「それじゃあ食後の運動ってことで、そろそろプレイルームに行こうか」 「ゆゆ! ゆっくりりかいしたよ!」 まりさの眉はきりりと上がる。 まりさは約束をちゃんと守るゆっくりだよ。 そう主張しているかのような顔だった。 まりさ一家は居間を出て、すべすべの廊下を通り、プレイルームに通される。 すべすべフローリングの廊下では、おちびちゃんたちがころころはしゃぐので、 連れていくのもなかなか大変だったようだ。 プレイルームは、白を基調とするさわやかな色合いの部屋。 真ん中には丸いテーブル。 カラフルな箱やカセットコンロ、鍋などが床に置いてある。 壁にはゆっくりできるゆっくりの絵。 にっこりと笑っているゆっくりの絵が書き込まれているのだ。 「ゆっくちひりょいよ!」 「じめんさんがふーわふーわだよ!」 床には青いじゅうたんがすーっと敷かれている。 敷かれた絨毯の感触に、赤ゆたちは大喜びのようだ。 プレイルームとは、お兄さんがゆっくりと色々遊ぶ場所らしい。 ゆっくりできるお部屋の雰囲気を気に入った赤ゆたちの中には、 家具のすきまなどを目指したんっけんを始めるものもあった。 大きいゆっくりの絵に、ごあいさつをするものもあった。 「まってねおちびちゃんたち!」 おちびちゃんたちについて、れいむもぴょんぴょんしてゆく。 あわただしいやつらである。 お兄さんのそばに残るのは、すでにまりさだけだった。 「ところでおにいさん。おにいさんにかいゆっくりはいないの?」 まりさは当然浮かんできた疑問を口にする。 なんでお兄さんはゆっくりが好きなのに、この家にはゆっくりが見当たらないのだろう。 ゆっくりのおもちゃや、ゆっくりプレイスまであるのに。 もしかしたら別の部屋にいるのかもしれない。 「ゆっくりごあいさつしたいよ!」 「ああ、この間までは二匹居たんだけど、死んじゃってね」 「ゆゆゆ、そうなの……」 まりさの表情は曇る。 「そんな顔しなくていいよ、怒ったりなんてしてないからさ」 お兄さんは特に気分を害した風ではなく、まりさはほっとした。 「ゆっくち、ゆっくち!!」 「しょろーりしょろーり!!」 まりさから離れて、二匹の赤ゆの様子を見てみよう。 まりちゃとれいみゅ、モノモノのすきまを進む。 ごちゃごちゃとある中にて、どれもこれも赤ゆの目に珍しい。 だからその目はきらきらと輝く。 好奇心がチクチク刺激される。 特にキラキラしたものなど、ゆっくりの子供の大好物だ。 「こりぇ、れいみゅのたからもにょにすりゅよ!!」 ビーダマを咥えるれいみゅ。 「こっちは、まいちゃのだよ!!」 サイコロを咥えるまりちゃ。 こんな人工物、森の中には絶対にない。 とてもゆっくりできる「とくべちゅ」 おにいさんのおうちに来てから、新しい体験がいっぱいだった。 しかし。 「こら!」 そこに割り込む親れいむ。 「ここはおにーさんのおうちなんだから、かってにたからものにしたらだめだよ!」 このれいむ、一応人間との付き合い方を餡子に継いでいるようだ。 祖先にバッジ持ちがいたのだろうか。 しかしゆっくりできないその言葉に、れいみゅとまりちゃは猛抗議。 「やじゃやじゃあ!! れーみゅがみちゅけたんだよ!!」 「まりちゃがしゃいしょにひりょったんだよ!!」 「ゆゆぅ、おちびちゃんたち……」 その騒ぎに、まりさとお兄さんも近づいてくる。 「ゆ~? れいむ、どうしたの?」 「おちびちゃんがおうちのものをほしいって……」 とはいえそれは、安いビーダマと安いサイコロである。 ゆっくりの目にどう映るのかはともかく、お兄さんにとっては取るに足らないものだ。 「いいよ。欲しいならあげようか」 「ゆゆっ!? いいの!?」 「ほらおちびちゃんたち、おにいさんにおれいをいって!」 「「ゆっくちありがちょー!!」」 お兄さんは笑う。 ゆっくりと人間の価値観は違う。 ちぇんもそうだった。 高かったおもちゃよりも、一掴み100円のビーダマを大事にしてたっけ。 「それより、そろそろおちびちゃんたちを集めてくれるかな」 しかし他のおちびちゃんたちはかくれんぼを始めてしまったらしい。 まりさとれいむは駆けだし、二匹でおちびちゃんに呼びかけを始めた。 「ゆゆっ、おちびちゃんでてきてねっ!!」 しかしおちびちゃんは一人も出ない。 「ゆぅ、こまったよ」 部屋はそれほど広くも無いのだが、ゆっくりはゆっくりな生き物である。 二匹で探しても少しかかるだろう。 そんな二匹のそばに、お兄さんもやってくる。 「ゆっくりを探すときはこうするんだよ」 れいむもまりさも、顔をあげてお兄さんを見る。 「ゆっくりしていってね!」 「「「「 ゆっきゅりちていっちぇにぇ!!! 」」」」 おちびちゃんの声だ。 【2】 --------------------------- お兄さんはゆっくりが大好きだ。 幼稚園の頃にゆっくりを飼い始めた。 最初のゆっくりはれいむ。 中学生になったときにれいむが死に、なぐさめにぱちゅりーを飼った。 ぱちゅりーは短命のケースが多いが、このぱちゅりーは特別長生きし大学を出るまでの友達となった。 ゆっくりスクールの先生になってからはちぇんを。 仕事が忙しくなってくると、遊び相手兼つがいとしてらんも飼いはじめた。 「おにーさんはとってもゆっくりしてるんだよー!!」 ゆっくりスクールではなかよしコース担当。 お兄さんの務めていたスクールにはびしばしコースとなかよしコースがあった。 びしばしコースは強面の教師が金やプラチナを取らせるスパルタコース。 ゆっくりの悲鳴が絶えず、キャンパスは山奥に建てられている。 なかよしコースは優しそうなお兄さんお姉さんがゆっくりを遊ばせながら、 その中で社会性を身につけさせ性格良くさせる。銀バッジ程度のゆっくりを目指すコース。 お兄さんはそのゆっくりに好かれそうな優しい風貌からなかよしコースに配属された。 「はーい、それじゃあイス取りゲームで遊ぼうか!」 「「「 ゆわーい!!! 」」」 問題児もほとんどなく、お兄さんの生活は充実していた。 --------------------------- れいむとまりさがおちびちゃんを集めた後、お兄さんはお遊びの準備にとりかかった。 赤ゆが七匹、丸いテーブルの上に乗っている。 ちなみに親まりさと親れいむは透明な箱の中だ。 「おにいさん、このかべさんはなんなの?」 「まりさはとうめいなかべさんにかこまれてゆっくりできないよ……」 れいむはなんともないようだが、活発な種であるまりさには狭苦しいのかもしれない。 「まあまあ、特等席だと思ってゆっくりしてよ」 「ゆぅ……」 「はーい、それじゃあイス取りゲームで遊ぼうか!」 「「「 ゆわーい!!! 」」」 イス取りゲームとはイスに座っている者が勝つという極めて簡単なゲーム。 音楽がなっている間は(複数個の)イスの回りをぐるぐる回り、笛の音と同時に座る。 イスに座るためなら他のゆっくりに体当たりなどをしてもかまわない。 ただし笛が鳴る前に座ったり、音楽が鳴っているのに立ち止まったりしてはいけない。 ズルをした子は失格である。 「「「 ゆっくちりかいしちゃよ!! 」」」 辛い事や都合の悪い事はすぐ忘れるゆっくりであるが、 お遊びようなゆっくりできることについては妙に記憶力がいいのである。 だからこそ金バッジを取らせるのも難しいのだが。 テーブルの上に、赤ゆでも座れる円柱のイス。 切り株をモチーフにしたそれを六つ、円を描くように置く。 準備は万端だ。 「ちなみに勝った子にはあまあまをあげるからね!」 「「「ゆゆ!? ゆっくち!?」」」 おにいさんはあまあまフードの入った袋を見せる。 「さっきのより美味しいやつだ」 「「「「 ごきゅり…… 」」」」 「「ごくり……」」 赤ゆたちはおろか、親までも喉を鳴らした。 香りを嗅ぐだけで良い意味で永遠にゆっくりしそうな……。 素晴らしい匂いがしたのだ。 ともあれイス取りゲームは始まった。 とてもおいしそうなあまあまを目指し、赤ゆたちは火花を散らし始める。 ♪オクラホマミキサー(イス取りゲームで定番のアレ) 七匹の赤ゆっくり。 れいみゅ3とまりしゃ4はみな自分の勝利を確信し、すでに涎を垂らしている。 イスの数から言えばここで一匹失格になるのだろうが……。 「はいはい、イスさんたちの周りをくるくるしてね!」 お兄さんが音楽に合わせ、リズムよくゆっくりと手を叩く。 「「「ゆっくち♪ ゆっくち♪」」」 赤ゆたちも楽しそうだ。 にこにこな笑顔でゆっくちゆっくち回っている。 お兄さんが手拍子をするごとに、赤ゆたちが一歩進む。 そんなゆったりとしたリズムを、一家全員楽しんでいた。 「ゆゆぅ~!! おちびちゃんたちゆっくりしてるよぉ~!!」 「ゆふふ、おにいさんがいいひとでゆっくりできるね!」 親ゆたちもおちびちゃんの久々の笑顔に、一緒にニコニコ。 一拍ごとに左右にゆっくり揺れている。 パン! パン! パン! パン! ゆっ♪ ゆっ♪ ゆっ♪ ゆっ♪ パン! パン! パン! パン! ゆっ♪ ゆっ♪ ゆっ♪ ゆっ♪ しかしこれはお遊戯ではない。イスとりゲームだ。 すぐに音楽は止まり、ピィイ!っというホイッスルの甲高い音が鳴り響く。 「ゆゆっ!?」 楽しい音楽が鳴りやんで、赤ゆたちは一瞬止まる。 しかしすぐに本来のルールを思い出しイスをとりはじめた。 「「「ゆっくちしないですわりゅよ!」」」 「おちびちゃんたち、みんながんばってー!!」 「ゆっくりだよー!!」 まりさが一匹ちょこんと座ったのを始めとして、他の赤ゆたちもどんどん飛び乗ってゆく。 「きょきょをまりちゃのゆっくちぷれいしゅにしゅるよ!!」 席を取れた喜びでおうち宣言をするまりちゃもいる。 あまあまに一歩近づいたまりちゃは満面の笑みだ。 「ゆっくちのりゅよ!」 「ぴょんぴょんすりゅよ!」 「これはれいみゅのいすしゃんだよ!」 「まりしゃいすしゃんにすわれたよ、おきゃーしゃん!!」 「ゆわーい、ゆっくちできりゅよ♪」 イスに座れただけで、赤ゆたちは喜んでしまう。 うふふな六匹。 無邪気なものである。 しかしゆっくりの間でも素早さの差というものがある。 一番末っ子のれいみゅは、どのイスにも座れなかったらしい。 末っ子というものは、体力的に不利なのである。 れいみゅの瞳には、ゆっくりが乗ったイスしか映っていない。 「ゆ、ゆうぅ~!??」 そうなってはいよいよ困り顔だ。 負けたゆっくりはあまあまを貰えない。 きょろきょろしつつ、イスの回りをくるくる探す。 しかしもうイスは一つもないのである。 いくら何度も見ても、全部のイスにどっしりと赤ゆがある。 そのうちだんだん涙ぐみはじめ、 「ゆっぐ……! れいみゅのあみゃあみゃぁ……!」 何度も確認した挙げ句、ついには泣きだしてしまった。 楽観的なゆっくりは自分が負けるなんて考えもしない。 それなのにれいみゅは負けてしまった。しかも一回戦で。 席は一応奪ったりしてもよいのにそれをしないのは、 ルールをちゃんと聞いてなかったのか、それともそういう性格なのか。 「お、おちびちゃんなかないでね!!」 「ゆっくりして! ゆっくりしてねぇ!」 透明な箱の親ゆたちもこれには慌ててしまう。 楽しかったイス取りゲームが一転、悲しい雰囲気を帯びてしまったからだ。 「あらら、大変だ」 しかしそんな末っ子れいみゅのそばにやってきたのが 逆に一番年上の、長女まりちゃである。 まりちゃは自分のイスを離れ、泣いている末っ子れいみゅを慰めに来たようだ。 「ゆっくちしていっちぇにぇ、れいみゅ! まりちゃのいすしゃんあげりゅからね!」 「ゆっぐ……、……ゆ?」 親まりさも親れいむもお兄さんも皆意外そうな顔で長女まりちゃを見る。 「いいの? イスをあげるとまりしゃちゃんは負けってことになるよ?」 「いいよ! まりしゃ、おねーちゃんだもん!!」 まりさの親切がよっぽど嬉しかったのか、れいみゅもにっこり顔に戻っていた。 まだほっぺたに涙の後があるが。 「おねーちゃん、ゆっくちありがちょう……」 親まりさと親れいむなどは、もう滝のように涙を流している。 あんなに小さかったまりしゃが、こんな立派なおねーちゃんに……!! そういう親の喜びをかみしめているんだろう。 お兄さんもにっこり笑う。 「それじゃあれいみゅちゃんは勝ち抜け、まりしゃちゃんは残念だけど負けということだね」 「そうだにぇ……。でもれいみゅがゆっくちできて、よかっちゃよ!」 にっこにこ。 このまりちゃは、純粋なゆっくりなのだろう。 お兄さんの口がさらに笑う。 「それじゃあ罰ゲームも、かわりに君にやってもらおうね」 「ばちゅ、げーみゅ?」 なんだかゆっくりできなさそうな「罰ゲーム」という響き。 鬼意山は手を振り上げる。 そこにはいつのまにか、小さな金槌が握られていた。 プレイルームの箱に保存されていたもの。 振り下ろす。 ぐしゃり。 躊躇いもなくつぶした。 首をかしげる長女まりしゃは、餡子を飛び散らせて永遠にゆっくりした。 「お姉ちゃんぶって譲ったりしなければ、死なずに済んだのに。永遠にゆっくりしていってね」 まりさ一家の物語は、ここから急降下を始める。 赤ゆたちはなにがなんだか分からないといった様子だ。 金槌でつぶすとこういう反応が得られる。 面白い。 火炙りやあまぎりのような濃い虐待とはまた違った感動がある。 金槌が持ち上がると、餡子溜まりの中から砕けた歯や飛び出た目玉が見え始める。 赤ゆたちはそれでも分かっていない。 「お、おにーしゃん。てじなしゃんはやめちぇにぇ……?」 長女まりしゃが消えたのは、手品かなにかだと思っているらしい。 お兄さんは長女まりちゃの死骸をつまむと、ごみでも放るかのように赤ゆたちの側へ投げた。 すると死臭あふれる死体が、目を背けられないほど近くに現れることになり、 「ゆぎゃああああ!!!!」 「おねーぢゃんぎゃあああ!!!!」 「どぼちでちんでりゅのおおおお!!!」 赤ゆの群れは一瞬にして恐怖に陥れられた。 赤ゆがどんなに間抜けでも、こうしてやって分からないはずがない。 それでもなお現実を受け入れず、ぺーろぺーろで直そうとする者もいるが、 「ゆげえええ!! くちゃいいいい!!!」 ゆっくりにはキツイ死臭をもろに吸い込んでしまい、餡子を吐き出すことになった。 死臭。 ゆっくりはよく死によく増える生き物だ。 しかしおうちから殆ど出ない赤ゆたちである。 今ここで初めて嗅いだらしい。 「でいぶのおぢびちゃんがあああああああ!!!!」 「どぼぢでごんなごどするのおおおお!!!!」 あまりの出来事に両親も騒ぎ始める。 特に親れいむの方など、歯茎をむき出しにして威嚇をはじめている。 「じじいいいいいい!!!! ころじでやるううううう!!!!」 れいむのおにいさん評価は、一気にじじいにまで転落した。 まりさも震える口で怒りを吐き出し始める。 「ゆっぐりじだおちびちゃんだったのにぃいいい!!! どぼぢで!!! どぼぢでええええ!!!!!」 「あれ? 負けた子は生きて帰れないってお兄さん言ったでしょ?」 「ぞんなごどいっでないいいいいい!!!」 まりさの反論にも耳をかさないお兄さん。視線を赤ゆたちに戻す。 両親は他の子供を潰されまいと透明な箱に体当たりを繰り返すが、まったく効果がない。 加工所の透明な箱は像が踏んでも壊れないのだ。 「おぢびちゃんたちにげてええええ!!!」 れいむはどうしようもなくなり、おちびちゃんに逃走を促す。 それを聞いたおちびちゃんたち、はっとして逃げ始める。 泣きわめいている場合じゃないのだ。 このお兄さんは、ゆっくりできない鬼意山だ! 逃げないと殺されるかもしれない。 両親の叫び声がそれを気付かせた。 「ゆっくちにげりゅよ!!」 「そりょーり、そりょーり……どぼぢてかべさんがあるのおおお!!!」 丸テーブルの周りには透明なプラスチック板の壁が存在していた。 このテーブルは赤ゆと遊ぶためにカスタマイズされた、赤ゆ専用虐待プレイス。 このプラスチックの壁は、視認性と逃走防止の両立をはかるために開発された仕組みだ。 高さ10cm強のそれは赤ゆたちにとってヒマラヤのように高い。 子ゆならまだしも、脚力(?)の備わっていない赤ゆが飛び越えるのは不可能。 そのことは当然、計算されたうえで設計されている。 プラスチック壁のそばにかたまり、ぷるぷる蠢いている赤ゆたち。 鬼意山がコホンと咳払いをすると、こんにゃくゼリーのようにぷよぷよ震え始めた。 迫りくる死の恐怖。 生後まもない、死に直面した初めての経験。 既におそろちーちーを漏らしているゆっくりもいる。 「さて、おちびちゃんたちには最後までイス取りを続けてもらうよ」 親ゆたちが箱を叩く音だけが響く。 「かべざんがなければごんなやづうううう!!!!」 れいむが金切り声をあげるが、それも空しい。 どん、どん、どん。 鬼意山は無視して続ける。 「つまり殺し合いをしてもらう。突き落としたり、席を譲らなかったりしたら妹やお姉ちゃんが死ぬことになる。直接は殺さなくても、間接的に殺すことになるわけだね」 ほのぼのとしたお遊びの場で、命のイスを取り合わせるわけだ。 イスに座って助かるならと、餡が繋がっているゆっくり同士が それはそれは激しい戦いを繰り広げることになる。 時には餡が流れることもあるだろう。 「負けたゆっくり、ルール違反をしたゆっくり、ゲームに参加しようとしないゆっくり。そんなゆっくりは、地獄の様な苦しみを味あわせて、極限までゆっくりできなくさせた上で殺してあげるから、そうならないように頑張ってね」 赤ゆたちはきゅっとあにゃるが冷える感じを得る。 「さあ、最後まで残れるのは誰かな?」 しかし最後の一匹が選ばれたとして、そんなおちびちゃんがまともな生活をおくれるのだろうか。 お兄さんの遊びが終わった時。それは家族が崩壊する時。 ぷきゅうううう!!! 「そ、そんにゃことできにゃいよ!!」 一匹の赤れいみゅがお兄さんの話を遮った。 なんて命知らずのれいみゅなのだろう。 勇気ある、とも言えるか? 「れーみゅたちは、かじょくなんだよ!? そんなおあしょび、たのちくないよ!!」 ぷきゅううとわずかにふくれあがり、必死で睨みつける。 「れーみゅたちおうちにかえりゅよ! おきゃーしゃんとおとーしゃんはげしゅなじじいをゆっくちころちてにぇ!!」 よりぷっくりふくらみ、その姿はフグのよう。 ほっぺたがタコ焼きのようにふくれる様が、フグそっくりなのだ。 あまりに面白い顔をするものだからと、お兄さんはくすくすと笑いをこぼしている。 こんなささやかな反抗も、お兄さんが何度だって体験したことだ。 仕事でもプライベートでも。 鬼意山は立ち上がって親まりさに近づくと、その脳天に金槌をくらわせた。 「お、おにいさんなにを……ゆげぇっ!!!」 柔らかい餡子と皮に阻まれ、くぐもった音が響く。 赤ゆのための金槌なので親まりさもさすがに死んではいない。 「い、いだいいいい!!! おもにあだまがいだいいいいい!!!!! ゆげっ、ゆげえええぇ!!!」 しかしその衝撃は凄まじく、いざという時には頼りになる親まりさがみじめにも餡子を吐いてしまった。 「ば、ばりざあああああ!!!」 「「「ゆえええん!!! おとーしゃあああんん!!!」」」 鬼意山は赤ゆたちに向きなおる。 「お兄さんはお前らの『おとーさん』よりずっと強いんだよ。我儘を言ってゲームが続けられなくなったら、全員殺すからね。余計なことをしなければ残った子がお父さんお母さんと一緒に帰れる。理解できるかな?」 赤ゆたちはいよいよ怖くなり、おそろしーしーを超えておそろうんうんまで漏らし始めている。 こうやって親を叩いて見せれば赤ゆはもう逆らう気力が無くなる。 赤ゆというものは、親を相当に信頼するのが普通だ。 特に狩りを担う父親役を圧倒的に強くて優秀であると思い込んでいる。 だがこうすることで唯一のたよりが、まったくたよりにならないと分かってしまう。 そうするともう、おとなしくするしかない。 「「「「ゆ、ゆっくちりかいしましちゃ……」」」」