約 632 件
https://w.atwiki.jp/psyclaon318/pages/36.html
「悲しい風景だなんて、誰が言ったの?」 A市の飛行場を覆う空は、雲一つない青空である。 それは世界中のあらゆる思想が未曽有のイベントに散ったからかもしれない。 「?」 茶色と黒の瞳で一点を見据えていた彼女は、二度三度耳をピクつかせていたかと思うと喜劇のヒロインのように、軽く水滴のように、無造作に跳ねるようにして視界から消えた。 しっぽを置いていきそうなくらいそれは愉しげで透明だった。 ―A市の気温22℃風― 電光掲示板の続きが読めない。 答えは「風速」なのかもしれないが 「果たしてそれを意図する必要は?」 ぶよぶよの紙コップに入れた水に問題を出してみた。実にこのような時に耽美主義に陥ることになろうとは。 幼い頃ふと思った、世界の終わりは本当に美しいものなのだろうか? その答えを、今やっとやっと崖っぷちから救いあげた気がした。 広い飛行場に数人の人、受付に人のいない広い飛行場。 押し潰されそうに高い天井は、飛行場の歴史を悠々と見てきたのであろう。 あんまりにも清々しく喪失感なんて微塵もなかった。「そうだ、どこかのベンチで小説でも書いてみようか・・・」 つんたつんたつったん。 民族衣装の一団は前から世話を焼いてきてくれた。 例によってこっちに駆け付けてきた彼女は「ちょーだい」と言って手から水に取り上げた。 なぜか大儀そうにそれを飲んで、一つ秒をおいて「ぷはあ!」と顔を上げた。 三角の産毛の生えた耳のピアスが黄色く瞬く。 ―彼女の舞踏を最初から見るために、輪の中に入ることにした。 一団のうちの一人はCDラジカセを手に(その中にはジャンゴ・ラインハルトかなにかのCDの上に、ハチャトゥリアンが被さっていた。)一人は見知らぬ楽器を手にして。 弾むようなオスティナート! ―今日、白昼に赤い明星が大きなひとつの終わりを祝福するように寂しく瞬いた― 選択肢 投票 お気に召したらクリック! (0)
https://w.atwiki.jp/chaosdrama/pages/1695.html
《レイラー()/Reyra》 アイコン ゲスト 性別 男 身長 186cm Theme♪ 光帝降臨 「俺はレインドでもモララーでもない―――貴様を倒す者だ。」 レインドとモララーがフュージョンしたことで誕生した不可能を可能に変える超戦士。 ダーターとの戦いで苦戦を強いられた二人が初めてフュージョンを行ったことで誕生した。 外見はレインドをベースにモララーの耳と尻尾が生え、表情はより鋭くなる。その様は宛ら狼虎。 瞳の色は右が赤、左が朱のオッドアイ。金髪に銀のメッシュを入れ、服装は比較的動きやすい民族衣装のようなものを着用している。 常に金色に輝く気を纏い、風を切るような音が常に鳴り響いている。 圧倒的な実力を背景にした自信に充ち溢れた言動が特徴。 レインドの冷静な戦闘理論とモララーの純粋な格闘センスを持ち、その強さは底知れず、戦う度に限界を超えた進化を遂げる。 光速移動とそれに伴う破壊力で相手に痛みを感じさせる間もなく戦闘不能に陥れる絶大的戦闘力を持つ。 ダーターのスカウターで計った戦闘力は3億だったが、本人曰くこれはお遊び程度のレベルだった。 敵を子ども扱いする程の圧倒的な力を見せ付け、かの追跡者さえも軽く翻弄し圧倒した。 超(スーパー)化することで下記の「超レイラー」へとパワーアップする。 超レイラー(Super Reyra) スーパーファーリーとの激戦で超化した姿。 オッドアイが緑と紫に変色し、金銀の髪が長髪になる。前者とは性格が異なり挑発的な態度がより一層強調される。 "不可能を可能に変える力"を発揮し、スーパーファーリー戦においてミシェルの身体から絶対に離れるはずのなかったファーリーを体内から追い出したり、 水無月への歪んだ愛で暴走したサーティンを殴り飛ばし正気を取り戻させるなど様々な窮地から逆転勝利した。 それ以降、レイラーも超化も姿を現すことはなかったが、『カオスドラマ消滅編』にて怒涛の復活を遂げる。 そして、超化をも遥かに凌ぐ究極の姿を顕現した(下記参照)。 アルティメットレイラー(Ultimate Reyra) 『カオスドラマ消滅編』のみに登場した幻の超戦士。 諧謔の歪に圧倒され、満身創痍に陥ったレインドとモララーが反撃の為に合体したことで誕生。 限界を超越した究極体であり、完全無欠の大英雄である。 外見もそれまでのものと比較すると大きく一変し、金銀の髪が艶のある紅に変色し、若干長くなっている。 従来の民族衣装も朱色を基調とし、通常よりも筋骨隆々としている。 オッドアイではなく金の双眸を持ち、全身からは見る者に安堵を齎す神々しき金色(こんじき)の粒子が溢れ出る。 性格は依然変わらないが挑発的な態度を捨て、どんな相手とも真正面に向き合う真摯な一面がより強調されている。 自他双方に隙も余裕も許さず、情け容赦のない冷淡で頑固な一面もある。 このアルティメット化は、レインドとモララーが初めてフュージョンした当初より大幅に実力を上げた相乗効果で爆誕したものと思われる。 諧謔の歪を終始圧倒し、最終的に打破困難と思われた諧謔の歪を打ち倒した。 技一覧 光帝(エンペライト) レイラーの代名詞とも呼べる基本移動術。刹那の閃光の如く時空間を翔破する光速移動。 たとえ神の目を以てしてもその速さを捉えられる者はいない。 この速さと共に繰り出される打撃は星を砕く勢いの破壊力を持つ。 + ... ミリオンガトリング モララーの“TURBOガトリング”を光速化させて繰り出す。 銃を乱射するかの如く光速乱打を叩き込む。 追跡者戦にて使用。 サザン・クロス・ロボス 狼の牙に見立てた拳を構えた直後、縦横無尽に駆け出しながら光速連撃を叩き込む猛烈な打撃技。 その様には獲物を全力で狩る群狼の如き獰猛さがある。 諧謔の歪戦で使用。 メテオストライク 宇宙空間から持ってきた巨大隕石を地上の敵に直接投げつける単純で豪快な一撃。 諧謔の歪戦で使用。 劇中では、諧謔の歪が呼び起こした隕石を強奪し投げ返す描写が見られた。 輝煌(デネブラスター) 全身に纏っている光の粒子を練り上げ、気弾として撃ち放つ射撃術。 彗星の如く瞬きながら空間を貫くが、それには隕石の如き破壊力も伴う。 + ... シャイニングショットガン 片腕に溜めた気を拡散弾の様に飛ばす。 一発が尋常ではない破壊力を誇るため、全弾直撃は言うまでもない。 サーティン、諧謔の歪戦で使用。 プリズムバレット ガラス破片のような鋭い光の礫を無数に放ち、広範囲にあるものを撃ち貫く。 諧謔の歪戦で使用。 サンライズロケット 掴んだ相手を気弾として撃ち上げ、遥か上空で大爆発を引き起す。 諧謔の歪戦で使用。 ファイナルフルメタルレーザー 空間を呑み込むほどの絶大的な破壊力を誇る極太閃光を放つ。 レインドの“ファイナルブレイク”とモララーの”フルメタルレーザー”の複合技だが、放つと時空が歪むほどの大きな影響を及ぼす。 ダーター戦で使用。 閃皇(レクスカリバー) 剣の形状をした気を腕と同化した状態で繰り出す強烈な斬撃。 たった一振りで大地をバターの様にいとも容易く切り裂く。 + ... ルナ・クルセイダー 十字状の斬撃を何重にも叩き込む容赦ない猛攻。 諧謔の歪戦で使用。 ルブルム・イグニース レインドの“フィリヤースライドブロウ”とモララーの“赤黒覚醒”の複合技である螺旋火炎斬。 右回転後に全身に紅蓮を取り巻き、劫火の斬撃を見舞い対象を焼き斬る。 諧謔の歪戦で使用。 万照(オレオール) 防御や回復などの補完術。 格闘一筋のレイラー自身には似つかわしくない能力だが、緊急事態に陥った際の切り札として用いることがある。 + ... マターリ『光泰沈着』(イルミネイト) 昂る感情を抑え込む鎮静術。 また、フュージョンの合体維持を延長する効果を齎す。 諧謔の歪戦で使用。 プラズマント 神秘的な輝きを放つオーロラのマントを羽織り、あらゆる衝撃を吸収し跳ね返す防御術。 劇中では使用されていない。 究極(アルティメット) + ... 六道辻斬(エクス・ゼクス・レクス) アルティメット化でのみ発動。レイラーが持てる全身全霊の究極奥義。 光速移動と共に繰り出す類稀なる光速剣舞。 時空間や運命、あるいはそれら見えざる強大な何かさえも超越するものを瞬く間に切断する。 不可能を可能に変える超戦士レイラーだからこそ成せる究極の技。 諧謔の歪戦で使用。 BGCOLOR(silver) 関連ページ レインド モララー 融合 新世界編 カオスドラマ消滅編 BGCOLOR(silver) 関連画像 BGCOLOR(silver) コメント ※技名の由来 光帝(エンペライト):皇帝(エンペラー)+光(ライト) サザン・クロス・ロボス:サザンクロス+ロス・ロボス(西語で「群狼」の意) 輝煌(デネブラスター):貴公子と恒星デネブ、ブラスター(光線銃) 閃皇(レクスカリバー):閃光とエクスリバー、レックス(「王」の意) ルナ・クルセイダー:ルナ(月)+クルセイダー(十字軍) 万照(オレオール):万象とaureole(「栄光」の意)、ゲーム『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』の主題歌「I am all of me」より(I'm all of me(俺というすべて→俺がすべて→オレオール)) マターリ『光泰沈着』(イルミネイト):泰(「落ち着いている」の意。沈着と同意義)。マターリは2ch用語 プラズマント:プラズマ+マント 六道辻斬(エクス・ゼクス・レクス):六道の辻+辻斬り。エクス(超)+ゼクス(独語で「6」)+レックス(王) メインの技名のほとんどは、王や貴族などの身分の高い名称から引用。 -- (黒い羊) 2018-03-04 10 54 08 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/rpgrowa/pages/401.html
みんないっしょに大魔王決戦-英雄への諧謔- ◆wqJoVoH16Y 「……と、言うわけだ」 乾ききった荒野。太陽だけが降り注ぐその大地の上に沈黙が訪れる。 それはアナスタシアが定めた午後3時よりも僅かに早かった。 招集をかけたストレイボウが語った内容は、彼等を召集させ、また沈黙させるのに十分だった。 「死喰い、か。俺が識ったのは、そんなデタラメな存在だったとはな……」 「グラブ・ル・ガブルの墓碑か……因果かしらね、本当」 カエルが覆面ごしにぐぐもった笑いを漏らす。 工具の最終確認をしながら、アナスタシアが表情を陰らせた。 島の遙か下、星の中心で参加者の死を喰らい目覚めの時を待つ『死喰い』。 この島での殺戮が意味するところは、その墓碑の完成だったのだ。 「ンで、死んだ奴らが液体人間みたくモグモグ混ぜられてるのを、お空から見物してやがるってのか……オディオ……ッ!」 そのおぞましさに自分が戦った隠呼大仏を想起し、そのおぞましさを怒りに変えてアキラは空を見つめる。 たとえ見えずとも触れられずとも、オディオがこの殺し合いを天覧している『空中城』がそこにある。 「ご丁寧にそこに帰還の術を用意してあるとはな。嘗めているというべきか、あるいは……」 手に持った2種のデータタブレットを弄びながら、ピサロはその存在を反芻する。 空中城の中に存在する脱出のための乗り物、『シルバード』の存在を。 バトルロワイアル開催の意味、オディオの居場所、脱出の方法。 彼等が知ること叶わなかったほぼ全てが、齎されたのだ。 だが、その表情に憂いはあっても喜びは微塵もない。 ガン、と岩に拳が打ち付けられる音が響く。 その場の全員の茫洋とした感情を束ねるようにめいっぱいに叩きつけられた左腕の先には、 歯も折らんとばかりに食いしばるイスラの鬼気めいた表情があった。 「何が、妥協してやってもいいだ……ジョウイッッッ!!!」 目尻も裂けんとばかりに見開かれたイスラの瞳が見据えるのはジョウイ=ブライトの姿だった。 そう、これらの重要な情報をもたらした最後の敵であるはずのジョウイに他ならない。 そしてこともあろうに、オディオに手を出さず脱出するならば支援するとまで提案してきたのだ。 紅の暴君に適格したのであれば、おそらく情報自体に誤りはない。 そしていくら考えてもそれらの情報を伝えること自体に、ジョウイ側にメリットが感じられない。 つまり、本気でこちらのことを慮って停戦勧告をしているのだ。 あとはこっちでうまくやるから、君たちは逃げなさいと。 (ふざけるなよ、ふざけるなよジョウイッ! ここまでのことをしておいて、今更どんな面をするっていうんだッ!?) ヘクトルの死を奪ったこと自体を責めはすまい。 だが、そこまでのことをしてしまった以上、あいつには今更聖人ぶっていいはずもない。 それはイスラがもっとも唾棄する偽善そのものだ。 (立ち位置を壊して、ふらふらして、みんなに害を振りまいて、まるで、まるで……ッ!!) なにより、その在り方が否応無く思い出させるのだ。 築いたものを自分で壊し、避けられぬと分かっていながら甘い道を求め、 それでも願ったものを止められない――――まるで、どこかの誰かのように。 しかし、それだけならばここまで胸を締め付けられることはなかっただろう。 想起されるのが魔剣使いの背中なのは、先を行かれたという思い。 嘘と笑顔で自分自身を含めてごまかした自分とは違い、どれほど苦しもうが嘘だけは吐かぬと律した伐剣者。 先を行くものに、空を見上げる余裕を得た今でさえも、イスラは苛立ちを覚えずにはいられなかった。 「で、どうするんだ、ストレイボウ。正直切って捨てるには大きすぎる弾だぞ、これは」 「……本気で言っているのか、カエル」 イスラの葛藤に気づいてか気づかぬか、カエルはその情報を持ち帰ったストレイボウに尋ねた。 ストレイボウはその真意を読み切れず、思わずそう口をついてしまう。 死喰いの存在が事実であるのならば、彼の仲間ーー魔王やルッカたちの死も喰われてしまったということだ。 それを放置したまま逃げ出すことなどできるのかと。 「逸るなよ。確かに業腹ではあるが、ここであいつらの死を解放するために死喰いに挑めば死ぬかもしれん。 それをあいつらが望むと思うか?」 「それは……」 「話を聞く限り、ジョウイもオディオも死喰いを消そうとはしていないのだろう。 ならば一度元の世界に戻り、準備を整えて死喰いに――ラヴォスに挑めばいいだろう。 それに、死喰いが完全な形で目覚めなければジョウイが負ける公算が高いのだろう? ならば時間をおけば、どう転んでもジョウイは自滅だ。おまえの望みにも叶うんじゃないか?」 最後の言葉尻に、蛙特有の嫌らしさをたっぷり乗せながら、カエルはストレイボウに問いかける。 その皮肉に、ストレイボウは顔をしかめる。否定する要素が見つからないからだ。 目先の状況だけを考えれば死喰いを倒したくもなるが、正確に言えば死喰いは死せる者達の想いを喰っているのだ。 死喰いを倒せば死者が蘇るというような話ではない。 ならば危険を冒して死に、あのルクレチアで再会するほうが死者に無礼というものだろうと。 撤退が最善と理性で分かっていながら、それを認めることができないのは、一抹の不安。 オディオ――オルステッドとジョウイがぶつかるということについて。 別れ際にジョウイは言った。自分は友に殺されたかったのだと。 親友と殺し合う、その意味を知るジョウイがオディオを終わらせると宣言した。 そんなジョウイがオルステッドが交差したとき、何が起こるのか。 (何か、見逃している気がする……) 僅かに残った引っかかり。ルッカのサイエンスを会得した今でも、それは読めなかった。 逃げることが皆にとって最善であろうとも、 ストレイボウにとって致命的な何がが起きてしまうのでは……そう考えてしまうのだ。 (あ、そういうことか……) そこまで思い至って、ストレイボウはようやくカエルの言いたいことを理解した。 皆の最善と自分自身の最善は異なる。その事実を敢えて指摘した理由はただ一つ。 “だから、お前はお前の望むように考えろ”と、不器用に教えてくれたのだ。 「……すまない、カエル」 「なんのことか分からんな」 ストレイボウの謝辞に、カエルは知らぬ顔で向こうを向き、覆面ごと頭からボトルの水をかける。 火傷まみれとはいえこの酷暑は両生類には厳しい。 「……正直、俺には理解できねえよ」 「それでいいと思うわよ。ジョウイ君は、私や貴方じゃ多分一生理解できないもので動いてるから。 私が貴方を理解できないように、貴方が私を理解できないようにね」 アキラのつぶやきに、アナスタシアは嘲るようにして言った。 はっきり言えば、わざわざ死ぬ可能性の高い方向に進もうというだけで彼等にとってはナンセンスなのだ。 ジョウイを突き動かすものは磔の聖人――――殉死、犠牲のそれに近い。 ならばそれはユーリルが囚われた勇者像であり、アナスタシアが呪った英雄観であり、 アキラが吐き捨てた間違ったヒーロー像であるからだ。 それに対してアナスタシアが皮肉を発しないのは、魔王ジャキを討つために一時はともに戦ったからか。 あるいは、たとえ異なる価値観であろうとも、否定するだけが答えではないと知ったからか。 背中から走る暖かみを覚えなから、アナスタシアは背伸びをした。 「まー何にしても首輪解除しなきゃどうにもならないでしょ。 準備できたし、そろそろ始めましょうか……どうしたの、デブ?」 「……次にその名で呼べば首を落とすぞ。おい、ストレイボウ」 ついに生者の首輪解除に取りかかろうとしたアナスタシアが、怪訝な表情を浮かべたピサロに気づく。 ピサロはそれをあしらい、ストレイボウに尋ねた。 「あの小僧は“始める”といったのか? “仕掛ける”でも“迎え撃つ”でもなく」 「あ、ああ。そうだ、確かに始めるといっていた」 その返事に、ピサロは眉間の皺をより一層に深めた。 ここまでジョウイが攻撃を仕掛けてくる兆候はいっさい無かった。 だから遺跡ダンジョンという中枢を押さえた以上、その地の利を生かした籠城を狙うものだと考えていたのだ。 (あの小僧が、あの乱戦の絵図を描いたのだとしたら――そこまで気長に待つか? あれの性根は、おそらく守勢よりも攻勢。ならば、奴はこの3時間何をしていたのだ?) ジョウイの策略の一端を知るピサロは訝しむ。 悠長にこちらを待ちかまえるような可愛げのあるものが、あそこまでの大仕掛けを打てるはずがない。 ――――出すのは早ぇし将来の後先は考えねぇ。とにかく当てることしか考えねぇ。 ――――だから普通は早々潰れるが、女神はチェリーも嫌いじゃあない。 ――――ビギナーズラックが回ったら…………一荒れくるぜ。 だから活きのいい新人<ルーキー>は性質が悪いのだと。 そのギャンブル評を思い出したとき、じゃり、と荒野を踏む音がした。 陽光燦々と輝く中、一つの陰と共に――――始まりが来訪した。 それは、まるで砂漠に立つ一本の枯れ木だった。 全身を襤褸布で覆い尽くした人間大の影。 他には何もない、ただ残ってしまったから立っていただけ。 生気は欠片もなく風さえ吹けばたちまち折れてしまいそうな、朽ちるのを待つだけの影だった。 この距離に至るまで全員がその存在に気づけなかったのも無理はなかったかもしれない。 形式的に各々戦闘の構えこそとれど、意識のギアを上げることもできなかった。 それほどまでに、目の前の存在は稀薄でこの世の存在として頼りない。 「……あの2人か? ジョウイに従った、あの」 「ヘクトルの骸を思い出せ。死せるとて存在の密度は変わらん。 あの2人も、ここまで薄くはなかった……はっきり言って、弱いぞコイツ」 怪訝に思うストレイボウに、カエルは目を細めて否定した。 亡将も、あの双将も戦士として忘れがたいほどの重みを持っていた。 だが、目の前の存在はそれに比べ何枚も格が落ちている。しかもそれがたった1人。 いったい何なのか―――― 【……ジョウイ様からの……】 そう疑問に思ったタイミングを見計らったかのように。襤褸布なかから音がする。 壊れかけた蓄音機が無理をして回転するように、ひび割れた音がボロボロこぼれる。 【ジョウイ様からの伝言を……お伝えします…………僕は、遺跡の下で待っている……】 機械じみた音律で告げられたのは、彼等の煩悶の中心に立つ人物からの伝言だった。 ジョウイ=ブライトはここにいると、高らかに宣言するためか? 否、ジョウイという男がそのためだけにメッセンジャーを用意するか? 【ジョウイ様からの伝言をお伝えします…………】 その襤褸布から手だけが現れる。誰もが息を呑んだ。 蝋のように真白い、人形の手に握られたのは魔力で形成されたであろう黒き刃。 共に戦う中で何度も見た、ジョウイ=ブライトの紋章の刃。 それが意味することは―――― 【――――始めます。賢明な判断を望みます】 「ッ!?」 その時が来たということだ。 影が、ぬるりと前進し切り込んでくる。速い。だが、神速とまではいかない。 振り抜かれた剣を受け止めたのはカエル。たとえ燃え滓の身であろうともこの程度の剣戟捌けぬほどではない。 「この振るい……剣者ではないな。 あの亡候を失って急拵えで用意したのかは知らんが、役者不足だ。 伝言が済んだのならあの双将でも呼んで――――ぬぅッ!!」 本命を喚べと言おうとしたカエルの言葉が止まる。 ぶつけ合った刀身から、毒のような痺れが走る。 迎え撃った黒い刃から、紫の雷が蛇のようにカエルにまとわりつく。 「何処の誰か知らんが……貴様如きが、クロノの真似事とは烏滸がましいッ!!」 覆面の下で憤怒の形相を浮かべたであろうカエルは、痺れが全身に達しきる前に強引に剣で弾き飛ばす。 胴を薙いだその一閃が、襤褸布の下半分を切り裂く。細い足と軍靴が露わになった。 「……ッ!?」 その一瞬“彼”は固唾を呑んだ。その動揺を表に出さぬようにするので精一杯だった。 「大丈夫かカエルッ!」 「問題ない、が。気をつけろ。あいつ雷を使うぞ。威力は大したこともないが、麻痺させてくる」 駆け寄るストレイボウを心配させまいと声を張るが、カエルの膝は筋肉を失ったかのように痺れが這いずり回る。 雷撃を刀身に纏わせる攻撃法にクロノを思い出すが、カエルは首を振って雑念を払った。 威力が頼りない分、敵の雷は麻痺性に重きを置いている。 非道に手を染めた自分ならばともかく、そのような卑近な技にクロノを想起するなどあってはならない。 「とにかく、アナスタシア、この麻痺を回復して――」 命には問題ないと、判断したストレイボウがステータス異常治癒をアナスタシアに請おうとした瞬間だった。 影は吹き飛ばされた際の土煙の中から立ち上がる。それと同時に、影の周囲に浮かんだ雷球がいくつかの蛇となって彼等に襲いかかった。 これらも威力は見た目からしてなさそうに見えるが、ユーリルの雷に比べ禍々しい――というより薄汚い毒彩は、 見るからに触れれば麻痺を付与してくると伝えている。 体力の回復はともかく、状態異常回復の術が限られる現状では食らうことは好ましくない。 「小賢しいな、その程度の雷で怯むと思ったか。害したくば地獄より持ってくるか――その薄汚い魂の全てでも懸けてみろ」 接近戦は面倒。そう判断したピサロは引き金を引いた。 込めたのは小規模のゼーハー。当然のように全力ではないが、手加減と言うよりはこの程度でも十分破壊できるという目算である。 爆ぜた魔力が弾丸となって影――影であるべき何かの頭部へと迫る。 【ジョウイ様からの伝言をお伝えします……始めます……賢明な判断を望みます……】 しかし、影はするりと回避した。そのフードの闇の向こうから、しかと弾丸の流れ・速度を『見切』って。 余った襤褸布の一部が破れ、胴が晒される。その陣羽織はボロボロであったが明らかな軍装だった。 「嘘だろ……」 彼の中にこみ上げた不安を見透かすように、その装束に刻まれた瞳が見つめてくる。 その軍装を“彼”はよく知っていた。この島でそれをつけている可能性があるのは2人だけだった。 「……あの服、どーっかで見たような……」 不思議そうに目の前の影を見つめるアナスタシア。 その視線を感じたか、どこかの軍隊に所属していたであろう影は、 黒刃を握らぬ方の手で懐をまさぐり、神速の所作で抜き放つ。 放たれるは投げ刃。黒き刃ではない、しっかりとした実体を持つ忍びの投具。 それらが意志を持ったように彼女に向かって襲いかかる。 「危ないッ!」 寸でのところで形成されたストレイボウの嵐が、壁となって刃を弾き飛ばす。 あまりに慣れた手つきに、その影が投具使いであることは疑いようもなかった。 「チマチマチマチマ……うっとおしいぜッ!!」 投具を投げた瞬間を見計らい、アキラが突貫する。その表情には明確な苛立ちがあった。 雷、麻痺、投げナイフ、ひょろい外見。何もかもがアキラの疳に障った。 とりわけ最悪なのが戦い方だ。最初に麻痺を大袈裟に見せておいて、自分の雷に触れると不味いと刷り込む。 直撃しても致命傷にはならないものを、大きく見せたのだ。 そして、遠間から雷撃と投げナイフ。自分は傷つかない位置からちまちまといたぶっていくやり口。 どんな奴かは知らないが、心を読むまでもない。アキラの世界で吐き捨てるほどいたような輩だ。 暴力を無意味にちらつかせ、有りもしない器を大きく見せ、誰かを見下さなければ自分の立ち位置も定まらない屑野郎。 ジョウイのような理解不能な存在とは違う。この拳をぶつけるのに何の衒いもない。 怒りの正拳が布の向こうの顔面に直撃する。完全なクリーンヒット。これが人間であれば鼻骨は完全に砕けていただろう。 (なんだ、これ……“気持ち悪ぃ”!!) だが、アキラの拳に伝わったのは骨の砕ける小気味良さではなかった。 まず粘性。ぶちゃぁ、とかぐちょ、とか。プリンを全力で殴ったような感覚だった。 そして、この気色悪さ。耳に舌をつっこまれたような、内股を頬ずりされたような…… とにもかくにも名状し難い不快感が蟻のように這いずり回り、殴るために込めた力が霧散していく。 ――――イヒ、イヒヒヒヒヒッッ、ゲ、レレッ、ゲレレレレッッッ!! 弛緩してしまったアキラをあざ笑うように、影は黒き刃を構えた。 自然と読心してしまった、夏場の蠅の羽音ような下卑た笑い声が脳内を満たす。 脳の皺に植えられた白い卵が、孵化する。そして眼から口から―――― 「気持ち、悪いんだよクソがァァッ!!!」 「アキラ、そいつに触れるな」 一発の銃弾が、アキラを斬らんとした黒き刃をそらした。 その瞬間を見逃さずになんとか影との『憑依』を切り離したアキラはたたらを踏んで後退する。 その手に影の襤褸布をほとんどつかんで。 「……なんでだ。なんでよりにもよってそいつなんだ……」 向けたドーリーショットの銃口からフォースの光が拡散していく。 銃を向けたまま、イスラはその影から目をそらす。 だが、もはや偽る余地はなかった。その軍服は、帝国軍海戦隊のもの。 そして、それをこの島で纏う可能性があるものは2人しかいない。 一人は、アズリア=レヴィノス。第六部隊長にして我が姉。 もしも、彼女がジョウイの外法にて蘇ったのであらば。怒りこそすれ――――“まだ救いがあっただろう”。 それならば心おきなくジョウイを憎める。 よくも、よくもと、これまでの全てを擲ってあの外道を殺戮する機械になれただろう。 「他にいただろ、もっと使える奴がさぁ……」 もはや影を纏っていた布は、頭部くらいしかなかった。 だから分かってしまう。あの装束は隊長のそれではない。というより、女性のそれではない。 一般的な、男性の軍装。そして、それを纏うものは一人しかいない。 【ひ、いひひひひッ、ギヒヒヒヒヒヒヒッ……】 「あの笑い声、あれもしかして……」 蓄音機から壊れた言葉が響く。ジョウイからの伝言ではない。 もはや言葉も紡げぬほどに奪い尽くされた死の残響。 亀裂から漏れ出すはどうしようもないほどの妄念。 そこまで来て、ようやくアナスタシアが気づく。 あの服装を知っている。なぜなら、彼女たちを一番最初に襲った奴の装束だったのだから。 その名前も知っている。確か―――― 「ビジュ、君……?」 「なァんでそいつを喚びだした、ジョウイ――――ッッッッッ!!!!」 【イヒ、イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッッッ!!!!!】 薄汚い嘲笑と、張り裂けそうなほどのイスラの叫びが真夏のような空に響く。 それは、未来を向こうとするイスラの最大の汚点。 決して拭い落とせぬ両手の色彩だった。 何もない真っ黒で真っ白な街の中で、それは思う。 どれくらい経ったであろうか。よく分からない。 どうしてここにいるのか、なぜこうなっているのか。よく分からない。 一日のような気もするし、千年たったような気もする。が、やっぱりよく分からない。 もし、最初、があるとすれば。確かに最初は喚いた気がする。 いやだ、くわれる、たすけて、と泣き叫んだかもしれない。 だが、たぶん……そんなものは何の足しにもならなかったのだろう。 そういうものだと知っている。なぜなら、あのとき、あのとき縛られて、 殴られて、蹴られて、鞭をうたれて、眠りそうになったら水をかけられて、 口にやわらかい何かをつっこまれて“あつくてあつくてたまらないものを頬にこすりつけられた”ときに、そう知った。 この世には奪う側と奪われる側しかいない。どんなに綺麗事を言っても勝者と敗者が存在する。 だから奪ってやると決めた。奪う側に回り続ける。そうすれば何も奪われない。 そうきめた、そうきめたはずなのに。もうなにものこっていない。 だからいまも奪われた。いたみも、なげきも、どうしてと思うこころさえも。 なぜだ。なぜだ。なぜなにもない、なぜなにものこっていない。 だれかをきずつけたからか、だれかからうばったからか。 ふざけるな、ならなぜおれはうばわれた。だれもおれにあたえてはくれなかった。 だからうばったのだ、それがわるいなら、なぜおれはうばわれた。 いみがあると、かちがあると、さけんだのに。きかいのひとつさえあたえられなかった。 ――――君が役に立たないことはよく知ってるよ。 そうけっていされたからか。むかちだと、むのうだと、おまえはさいしょからだめなのだと。 ――――■は死ね♪ おまえは■だと。 うまれたじてんでそうあれかしときまっているのか。 ――――志も力もない君が生きていても迷惑なだけだよ。 ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな。 だれもそんなものくれなかった、めぐんでくれなかった。 だからうばったのだ、ちからを、かねを、おんなを。 うばうことがわるいのなら、さいしょからもってるやつだけしかだめなのか。 おれがごうもんをうけたのも、うらぎられたのも、■のまねをさせられたのもさいしょからだめだったからか。 なぜそうなったのかはもうわからない。だれがいっていたのかももうわからない。 とっくのむかしにうばわれた。このまちのおおきなものにたべられた。 いまさらとりもどしたいなんておもわない。 だけど、だけど。せめておしえてほしい。おれは、■だったのか? ――――違う。 こえが、きこえた。はっきりと、たしかなこえでそういった。 ――――干渉できたのは、あなただけか。しかも、置き去られた喰いカス。 これ以上は死喰いを刺激する……とてもじゃないが、他の人たちは無理だな。 なんだ、おまえはだれだ。いや、そんなことはどうでもいい。 おれはなんだ。■じゃないのか。 ――――■と言われたのか。あの男以外に、そんなことをいう奴がいたのか。 なら答えよう。違う。貴方は人間だ。 ならばなぜおれはこうなった。 なにもできず、なにものこせず、みすてられ、まけた。 しんだらおわりではないのか。むかちなのではないのか。 ――――それでも、貴方の生に意味は確かにあった。“そうでなくてはならない”。 貴方もまた犠牲であり、その敗北<いのち>が無価値などとは認めない。 だが、おれはひつようとされなかった。つかわれなかった。やくにたたなかった。 うばうことしかしらない、よわいものをたたくしかできないおれは。 ――――ならば僕が貴方を必要とする。オスティア候の穴を埋めよう。 どれほどに非道であろうと、どれほどに弱かろうと、そんな理由で拒むような世界は楽園などではない。 それでもいいのなら。■でなくなれるのならなんでもいい。 みじめでもくそでもいい、ただおれは、おれさまは――――■のままおわれない! ――――誓約を結ぶ。残滓と言えどこれで貴方の死は僕のものだ。もう何処にも行けはしない。 だが、その犠牲<そうしつ>に意味を与える。“絶対に、僕は貴方を忘れない”。 そのてがおれをつかむ。こうしておれはうばわれた。 そのてはつめたくていたくておぞましかったが、ふれられないよりはよほどましだ。 だって、だれもてをさしのべてはくれなかったのだから。 【イヒ、イヒヒヒ……ジョウイ様からの伝言を伝えます…… 安心してほしい、イスラ。“君が彼に何をしたのか”を一々喧伝するつもりはない】 フードの中でぐぐもった笑いを浮かべる影――ビジュであろうものが再び投具を構えながらイスラに声をかける。 イスラはその声に、背中を震わせた。蓄音機越しの言葉で、感情も乗っていないのに、 自分が敵意を向ける人物が、どんな思いでそう言っているのかが分かってしまう。 敵意ではない――――失望だ。 漏らしたおしめを隠していることを一々言いふらすほど子供ではない。そんな値すらお前にはないと。 その失意に、イスラの心が砕けかける。褒められた、撫でてくれた感触さえ霧散しかけてしまう。 自分に価値があったと思ったことなどついさっきまで無かったのだ。 敵と思った相手に、敵とすら認められないことが、ここまでのダメージであるなどと知らなかった。 初めての体験に、イスラは膝を落としてしまう。それを十字架は見つめ続けていた。 その表情は洋として知れないが、影から漏れ出す嘲笑が全てを物語っている。 どんな気分だ、胴を解体して首を落として海に投げ捨てた奴が舞い戻ってくるのはどんな気分だと、そう言われている気がした。 価値がないと言われることがどれほどつらいかわかるかと。 「あ、ああ……!!」 「イスラ、おい、しっかりしろッ!!」 その事情を知らないストレイボウが声をかけるが、イスラの耳には嘲笑がこびりついて届かない。 変われると思った。そう信じられた。 だが……どうしても変わらないものがある。それこそが死だ。 生きていれば変えられる。だが、死はもう変えられない。 だから忘れた、都合のいい思い出で満たして、都合の悪いものを忘れようとした。 だが、決して死は変わらない。敗者は戻らない。 殺してしまえばそれで終わり――――その十字架は一生消えはしない。 【ジョウイ様からの伝言を伝えます……代わりと言っては何だが、彼は僕が奪わせてもらう。いらないのなら、異存はないだろう】 自分が捨てたものに捨てられるがいい、と言うように、投具がイスラに向かって放たれる。 銃で打ち落とそうとイスラは構えるが、視界が鈍る。見たくない、見せるなと標的を定められない。 だが、眼を背けようが聞かせてやろうと、そう示すかのように、十字架は彼岸の音楽を奏で続けている。 無意味にさせぬ、忘れさせないと――――ジョウイがそう呪っているかのように。 イスラに当たるべき刃は、しかし、一陣の風が吹き飛ばす。 影狼ルシエドの突進は、ただそれだけで風を生み、イスラを守ったのだ。 「はいはーい、そこまでー。見ないうちにずいぶんサドっ気があがったんじゃない?」 軽々とした声を響かせるのは、アナスタシア=ルン=ヴァレリア。 その背後には清浄なる波動を受けて麻痺を和らげているカエルがいた。 「貰うだとか奪うとか……おねーさんちょーっと失望しちゃったかな。 ジョウイ君、そういうこという子だったんだ、って」 ルシエドまで使って前にでてしまったことを、少し後悔する。 なんとなく、であるが、最初に出会って情報を交換したときに気づいてしまっていた。 イスラ=レヴィノスはあの時点で既に手を血に染めていたことを。 それは情報の違和感であり、腐臭漂う後ろめたさであり、漠然でありながら確信するのに十分だった。 だから、この状況にある程度の納得を感じていた。 どんな風に殺したかは知らないが、イスラがこうなってしまうレヴェルのことをしたのだろう。 だが、アナスタシアは何故か口を出さずにはいられなかった。 聖剣を握る手を震わせるのは確かな怒り。 人をモノのように扱ったことか。人のトラウマを抉る真似をしたことか。 違うな、とアナスタシアは思った。アナスタシア=ルン=ヴァレリアはそんな聖人めいた理由で怒らない。 イスラなど関係ない。ただ猛烈なまでの喪失感。大切な所有物が穢されたのだという感覚。 「死んだ人まで蘇らせておいて、何が理想よ。死んだら帰ってこない、帰ってこないのよ。 そんなに叶えたければ、生きた自分の手でつかみ取りなさいッ!!」 聖剣を突きつけ、アナスタシアは吠える。 それは人形を操るジョウイに向かって、というより自分自身に言い聞かせるようだった。 蘇ってはならない。もう帰ってこない。失ったらもう帰ってこない。 その喪失を超えて幸せを掴もうとしている彼女にとって、目の前の存在は毒の蜜だった。 うらやましい、と内側で響く声を押さえつけるように、彼女は自分を奮い立たせたのだ。 【イヒ、イヒヒヒ、ギヒギ、ゲベ、ゲゲゲゲゲ】 だが、それだけは言ってはならなかった。 ビジュであろう影の中から走る嘲笑が変化する。それは嘆きだった。 なぜダメなのだと、一方的に壊され、為す術なく奪われたのは自分たちのせいではないのに。 【ゲ、ゲレ、ジョウイ、レ、様からの、ゲレ、伝言をお伝えします…… 蘇らせることは、ゲ、できません。彼の死はもうほとんど喰われていて、 モルフ1つ構成できるほどの残っていなかった。だから――“補いました”】 残った頭部の襤褸布がずるりと落ちる。 ならば刮目しろ馬の骨、お前が何を救って、何を救わなかったか。 お前が何を断じてしまったのかを。 【散った想いの、ゲレレ、破片を集め、レンッ、ガーディアンの、ゲレッ命にて形と為した。 ゲレッ、ロザリー姫を再構成した貴女と同じです、レレン、アナスタシア=ルン=ヴァレリア―――ゲレレレレレレッ!!!】 その場に全員の表情が凍り付く。イスラとアナスタシアはそれを知っていた。 金の眼、白磁のような肌、漆黒の髪はことなれど、それは確かにビジュの顔だった。 だがそれは“半分”だけだった。アンパンをむしって開けたようにその顔は“虫食い”で、 代わりにそこにあったのは、饅頭のような何か。 霊界サプレスの召喚獣タケシー、道化にエサと喰われ、 死喰いに二度喰われ、参加者でなかった故に半端に喰い捨てられた亡魂だった。 右半分左半分などという規則的なものではない、 福笑いをまじめにやってしまったかのようにその破片がちぐはぐに乱雑にくっついている。 その糊の役割を果たすかのように、接合面からは泥が、生命そのものたるグラブルガブルの泥が垂れ流しになっている。 涙のように汚物のように血のように、ただただ零れている。 分かたれた召喚師と召喚獣は、死してなお共にあることができたのだ。 そう言えば美談になるかもしれない。このような形でなければ。 だが、そう言うには目の前の人形は余りに醜悪に過ぎた。死者の尊厳を蹂躙してすりつぶしてもこうはなるまい。 そんなものを創った奴に、同類だと言われたアナスタシアの胸中はあらゆる想像を絶していた。 あの愛に包まれた世界で起こした愛するもの達の逢瀬の奇跡、それがこれと同じだと言われれば無理もない。 違う、と口をつきたかった。だが、影の向こう側で魔剣を掴むジョウイの姿を想像して噤んでしまう。 ジョウイの魔剣もアナスタシアの聖剣も、本質は同じ感応兵器――想いを力と変える剣だ。 アナスタシアは届かぬ想いを形に変えて、ジョウイは幽けき嘆きを形に変えた。 自分ではできないから死者に縋ったのだ。そこに本質的な違いはない。 この島には、未練など、叶わなかったことなど星の数ある。 その中からアナスタシアは選んだのだ。救えなかったものを選んだのだ。 きれいなものをえらんで、きたないものをすてたのだ。 かっこよくありたいと願っておきながら、馬の骨だと自分を認めてしまった。 ならばいずれ、選んでしまうのではないか。理想の楽園を、失わないものを。 次元を超えるアガートラームを以て、未来に待つ餓えを満たすために、過去<うしなったもの>を喚ぶのではないか。 【ゲレ、イヒッ、ゲヒヒヒヒヒヒヒッ!!!!】 「ッ!!」 その逡巡が致命的な遅れを呼ぶ。吹き飛んだ投具はまだ死んではいない。 タケシーの招雷能力を得たビジュですらないものは、その雷を吹き飛んだ投具に吹き込む。 雷の力で生まれた磁力が、散った刃に再び殺傷能力を吹き込んで、アナスタシアを狙う。 死にはしないだろう。だが、もし手に怪我を覆うものならば、もう首輪の解除は出来はしまい。 弱く、しかし確実に急所を狙った見事なまでに最悪の一撃。 「……フン、だからどうした」 だが、それは再び吹き荒れた風によって阻まれた。 ハイヴォルテックの一撃が、アナスタシアに迫る投具を全てはたき落とす。 「……ピサロ……」 アナスタシアは己の側に立ったピサロを見上げる。 常と変わらぬ傲岸不遜な表情に、なにを言えばいいのか。 「なにを迷う。お前は――――」 「――――ピサロ、後ろだッ!!」 だが、その逡巡はストレイボウの叫び声と、ピサロの背後から飛びかかる汚物の存在でかき消された。 遅れて気づいたピサロが、振り向きざまに銃剣を振り抜く。 ぐしゃ、と蠅が潰れるような音と腐汁のような泥をまき散らして人形の脇腹に深々と刃がめり込む。 「仮にも魔王を名乗るなら詰まらん細工はするな。こんな人形一つで覆る戦況ではないことは分かっているだろう。何が狙いだ」 ピサロは淡々と人形の主に問いかける。玉座を降りたとはいえ、その威容は何も損なわれてはいない。 その問いは至極当たり前のものだった。確かにこの駒ならばイスラとアナスタシアの精神を削ることはできるかもしれない。 だが、それまでだ。そんな相性を剥いでしまえば、ただのゴミで創った工作物に過ぎない。 尊厳だとかそういうものは差し置いて――この場を動かす駒としては圧倒的に不足している。 【ゲヒ、ゲヒヒヒ……ジョウイ、様、からの……伝言をお伝えします…… 無駄なものなど一つもない。彼は役割を果たしています。貴方からそれを拝領するために】 「!!」 その時だった。虚空に闇が集い、一本の黒き刃が射出される。 それはピサロと人形の間を過たずに貫き、その僅かな隙をついて人形はピサロから距離を置く。 その一撃は紛れもないジョウイの紋章術。ならば近くに潜んでいるのか。 いや、そもそも今の一撃ならば動けぬピサロを討つ絶好の好機ではなかったのか。 ならば、なぜ人形を助けるために――――否、そうではない。 この敵は、真っ当な論理で動いていない。 飛び退いた敵を見据えたピサロは、そのものが何かを握っているのをみた。 この戦場に不似合いな可愛らしい赤色の傘。ついで、自分の得物が僅かに軽くなったことを知覚する。 人形が持っていたのは、彼が狙っていたのは――銃剣に内蔵されたそのパラソルだった。 「ジョウイ様からの伝言をお伝えします……クレストグラフは貴方たちにも必要でしょうから妥協します。 ですが、これだけは……“巻き込みたくなかった”。だから……」 その一言だけは、不思議な感情が込められている気がした。 その意味を理解できるものはここには誰もいない。 ただ、分かるのは――ジョウイが今から始めようとしていることは、それを巻き込むことであったということだ。 「――――――これでようやく、布陣できる」 その一言と共に、地面が震え上がった。精神的なものではない“物理的に大地が鳴動している”。 「ルシエド、アナスタシアを乗せろ! 絶対に傷つけさせるな!! 残ったアイテムを拾えみんな! 仕掛けてくるぞッ!!」 「え、ちょっ」 ストレイボウの叫びに応じ、ルシエドがアナスタシアに有無をいわさず自身の背に乗せる。 何が起こるかなど分からない。だからこそ、絶対に首輪解除の要を傷つけさせるわけには行かない。 いつからだったか、眼下に広がる領地がやせ衰えたのは。 最初からだったか、大地より恵みが消え果たのは。 雲一つ無き蒼空に燦然と輝く太陽は砂を灼く。 広がり行く砂海は星を侵す症候群か。 照り続ける太陽は砂食みに沈めという裁きの光か。 「何が起きてやがる……!?」 「これは、真逆……ならこの異常な暑さは、その結果かッ!?」 何とか転ぶことだけを避けながら、異常に戸惑うアキラの横で、カエルがある可能性に気づく。 考えてみれば、ここまで昨日は暑くはなかった。 もし天候を操作するのであれば、オディオはそう宣言しているのだろう。 ではないとすれば、誰かがコレを操作している。 誰がしている――――決まっている。 何のため――――具体的には分からないがそれ以外にはない。 そんなことが本当にできるか――――理論上出来る。魔剣に触れたカエルには直感的に理解できてしまう。 それがどうした。 裁きの光よ来るがよい。 百度来たれど、百に意を加えて蘇ろう。 千度砂喰まれようと、千と銃を携えて舞い戻ろう。 たとえ土地に恵みがなくとも、我らには熱がある。 国を愛する心の熱が、鉄を鋳する窯の熱が。 我らは自然(おまえ)になど屈しない。 ここは人の世界。自然に打克てし技術の機界。 おお、讃えよ、王の名を冠せし、砂に輝く機械の城を。 震えが、どんどんと大きく――――近づいていく。 怒りのように、嘆きのように、狂うように。 小さな声が集い、淀み、大流になるように。 だが、双玉座に二度と兄弟が座ることは二度とない。 歯車に流れるは愚か者どもの流血のみ。 口惜しや、水が枯れども途絶えぬ血脈はここに潰えた。 慙愧に耐えぬ。玉無き王城に何の意味があらん。 国王を殺した人間(おまえ)を許さない。 玉座を穢した世界(おまえ)を許しはしない。 世界よ我らと共に震えて沈め、しかる後その上に楽園は建てられる。 ここは死の世界。恵みも人も無く歯車だけが回り続ける鋼の骸。 おお、畏れよ、お前達が滅ぼした、鉄と蒸気の墓碑銘を。 「そういうことかよ、ジョウイ……成る気か、お前……」 目の前の乾ききった大地がせり上がり、ひび割れていく。 その力の名前をイスラは知っている。 狂える怨嗟を束ね、共界線を繋ぎ、力と変えるもの。 「核識に……この島の主にッ!!」 其は島の意志――――狂える核識<ディエルゴ>の魔力。 争う者たちよ、この城を穢す者たちよ。我が歴史を終わらせし者たちよ。 一人残らず、この黄金の大海原にダイブするがいい!! 吠え叫ぶイスラ達の前にそれは現れる。 地質を変えて、水脈を操作し、ここまで通る道を造ったとはいえ、本来は砂漠航行用。 しかも一度遺跡にまで動かされている以上、2度の無茶な潜行によって外装も駆動部も少なくない損傷を負っている。 【ゲヒ、ゲヒヒヒヒ……ジョウイ様からの伝言をお伝えします…… 最後のデータタブレットは城に置いた。欲しければご自由に……ゲヒヒヒ、ヒヒヒッ!!】 取れるものならな、と嘲笑う声と共に、 悲鳴のような自壊音を奏でながら城は側面をアナスタシアたちに向ける。 地中潜行時には城内へ収納されるべき、空中回廊が向けられる。 それがどうした。 そんな痛みなど、血を、世界を失ったことに比ぶれば無に等しいとばかりに、 叫ぶように歯車が回転し――――左回廊が、復旧<とば>された。 ミスティック――――キャッスル・オブ・フィガロ その崩れかけた左腕に血を纏いながら、亡城は嘆き続ける。 其は、その世界の最後の残滓。“敗者にすらなれなかった”残骸である。 時系列順で読む BACK△159-1 みんないっしょに大魔王決戦-魔王への序曲-NEXT▼159-3 みんないっしょに大魔王決戦-勇者への終曲- 投下順で読む BACK△159-1 みんないっしょに大魔王決戦-魔王への序曲-NEXT▼159-3 みんないっしょに大魔王決戦-勇者への終曲- 159-1 みんないっしょに大魔王決戦-魔王への序曲- アナスタシア 159-3 みんないっしょに大魔王決戦-勇者への終曲- イスラ アキラ ピサロ カエル ストレイボウ ジョウイ オディオ ▲
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/34068.html
うだゆ【登録タグ 作う 作り手】 【ニコニコ動画】 特徴 2015年8月、「義諧謔とアネモネの少女」にてボカロデビュー。 使用ボカロは今のところ、ミクのみ。 壮大なプログレッシブロックやバリバリのEDMやキュートなテクノポップなど、作る曲のジャンルは多岐に渡る。 MIX・マスタリングを担当したり、イラストも自分で描けるマルチな才能の持ち主。 歌い手の 一架るる氏 とユニット「Offenisia」を結成し、NNIでも活動している。 リンク Twitter bandcamp YouTube 曲 Anamnesis Codependency 諧謔ボカニズム 義諧謔とアネモネの少女 届けっ! この恋心 バーチャルシンガー バーチャルアイドル 窈窕エンカウンター CD まだCDが登録されていません 動画 + 過去曲 オリジナル曲 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kata-niho/pages/616.html
原語 humour, humor 和訳 名詞 面白さ、面白味、遊び心、心立て、 捻 (ひね)り、洒落、笑い、頓智、滑稽さ、 興 (きょう)、機智 漢字一字 興 やまとことば おもむき(趣)、たはぶれごころ(戲心)、みやび(雅)、しな(品)、こころ(心)、あぢはひ(味はひ) 備考欄 辞書 説明 廣辭林新訂版 (名) 洒落。滑稽。 新訂大言海 (無記載) 角川国語辞典新版 名 上品なしゃれ。品のよいこっけい。 諧謔 (かいぎやく) 大英和辭典 〔名〕[一]①氣質,性癖.②機嫌,氣分,心地,心持,氣持.[二]氣紛レ,醉狂〔ス井キヤウ〕,物好〔モノズキ〕.[三]①濕氣.②體液,液.[四]【文學】ユーモア,諧謔〔カイギヤク〕,滑稽,可笑味〔ヲカシミ〕.[五]滑稽・諧謔ノ解〔ワカ〕ル能力. 派生語 ユーモラス 直訳音写語は「興」か。 同義等式 原語単位 humour=興 カタカナ語単位 ユーモア=興 附箋:H ユ 英語
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/50828.html
【検索用 ある 登録タグ 作あ 作あら 作り手】 + 目次 目次 特徴 リンク 曲 CD 動画 コメント 特徴 作り手名:『アル』 2022年12月、「諧謔」にてボカロPデビュー。 使用合成音声は可不のみ。 リンク YouTube Twitter 曲 諧謔 愚挙 CD まだCDが登録されていません。 動画 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/51923.html
【検索用 きゃくせつしょう 登録タグ VOCALOID v flower き 安見すや 曲 曲か】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:安見すや 作曲:安見すや 編曲:安見すや 唄:flower 曲紹介 此の文が真ならば、今日のご飯は咖喱。 曲名:『逆説〓〓症』(ぎゃくせつ しょう) 安見すや氏の22作目。 投稿者コメントは「カリーのパラドックス」を、動画の円や三角形は「ベルトランの逆説」をモチーフにしている。 動画で使われているフォントはなんと安見すや氏が作ったもの。BOOTHにてダウンロードが可能。ただし、収録されていない文字が多いので注意。 歌詞 (piaproより転載) 生と死の其の境に 何も無いと言う空虚感は 真と偽の其の境の 無慈悲さに酷似して居る 追い求めオイタナジー 時を同じく木端微塵 逃げろ! 二元論は全てを 正しくして終う 鳴らしたシンセサイザ 教えたオシレータ 此の文が真ならば 私が存在する価値は存在するらしい 今に間違ったギャグセンス 「然し、」始まった逆説 何時迄経っても亀は追い越せない儘 壊れる船 嫌に成った諧謔性 決まり切った対角線上に 非常に不条理な此の毒素が 読書家を刺す 逆説恐怖症 syntax error 二つに絞られた 選択肢が 生きたくて 死にたくてさ 黙った! 心理カウンセラ 希死念慮消えぬ気してんの に灯る危険信号忌避傾向起 死回生なんて屹度無いねだ って、危機的警笛訊いてて 揺らした新世界が 振り切ったリミッタ 此の文が真ならば 私が顕在する余地は潜在するらしい 今に止まったギャグセンス 「詰まり、」終わった逆説 何処迄行っても矢は動かない儘 泊まれぬホテル 嫌に成った諧謔性 決まり切った対角線上に 非常に不条理な此の毒素が 読書家を刺す 逆説愛好症 繰り返した私生活 変らぬ死生観 此の文が真ならば 私が実在する意味は介在するらしい 夢みたいだったギャグセンス 「故に。」交わった逆説 果て迄だって私は辿り着けない儘 生れる詭弁 嫌に成った諧謔性 決まり切った対角線上に 非常に不条理な此の毒素が 読書家を刺す 逆説〓〓症 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/chaosdrama/pages/4309.html
戻る 前へ ――― 某街中 ――― 混沌の廃(人型)「ボコ…ボコボコォ…ッ… ! !―――― ド ブ シ ャ ァ ア ッ ! ! ! (首の断面が泡立つように徐々に膨れ上がり、瞬く間に顔面が生え出た。顔面が復活すると手の甲にあった重瞳が右肩へと移動したかのようにその部位に開眼する) ゴ ウ ン … ッ … ! ゴ ウ ン … ッ ! ! ゴ ウ ン … ッ ! ! ! (その後身体は一回り巨大化し、右腕のみが極端に肥大化。その右肩の重瞳もまた同様に巨大化し、不気味な音を上げながら不規則に目を泳がせている) 」 レインド「増援を待つだけの暇はないな。酷いデザインだぜ怪物(横目で混沌の廃の容姿を一通り瞳に入れ込み、引き気味の表情で作業着の汚れを叩く)でっけぇな……トラックぐらいなら潰しそうだ…… 」 混沌の廃(人型)→諧謔の歪「ぁ…ゅぁ… よ…よ…ァ… 余は……――――――『 諧 謔 の 歪』。(ようやく完成した声と共に現れたのは、化け物の『名』。そして、邪気と覇気を併せたような強大な『気』。廃という類から逸脱したその禍々しい存在に、誰もが慄く―――)余、此処に到り。 『真裏の星』に導かれし傀儡…凡ては万象を平らげんが為、生命を喰らう也。"余の前に生命は無し、余の後にも生命は無し"。(レインドにとっては聞き覚えのあるこの言葉―――かつて共に冒険をした少女の命を奪った、あの化け物と同じものだった) 」 ザビーダ「何だ…もう怖気づいたのかい。ま、人間様がしぶてぇのはいつも事……(諧謔の歪を見ながら) (声-津田健次郎) 」 卓馬「……ほぅ、まだ息の根があったか…… 」 レインド「―――ッ?…………(視線は彼方此方に回り、奇妙な焦燥に駆り立てられ、目を隠すように額に手を当てて抉れた地面に瞳を入れ込む)…………(懐郷と憤慨が入り混じった複雑な感情を押さえ込み再度、その物体に視線をあげる) 」 ジョン「––––––––(化物など可愛いものだと理解し、恐怖とも異なる腹の底からこみ上げるドス黒い焦りにも似た感情。)ザリ…ッ(化物はまだ理性がない分扱いやすい、しかしこれに言葉が、理性が、人類が優位に立ってきた唯一の武器が相手にあるという差し迫った状況に、思わず足がすくむ) 」 諧謔の歪「生命よ、余の前に平伏せ。万象を司るは汝らに非ず―――余に有り!!(両腕を広げた瞬間に周囲に幾つもの鎌鼬が渦巻き、戦士たちそれぞれに解き放たれた) 」 ――― Vs 諧謔の歪――― BGM♪ 森ノ宮「……歪み、か…大層な台詞を吐いてくれやがる、見た目だけじゃねえってか(諧謔の歪を見上げ、苦笑いを浮かべる) 」 ヒュヒュヒュヒュヒュンッ――――――― ザ ァ ン ッ ザ ァ ン ッ ザ ァ ン ッ ! ! ! ! (放たれた鎌鼬が空間を裂きながら疾走し、建物や路上などに深い爪痕を残していく) レインド「――こうも、こうも邪悪とは肥大化するのはそれだけの怨念があるということなのか(とある『仲間』の笑顔と、その旅路が、鎌鼬が接近するその数ミリ秒毎にフラッシュバックされる)お前は、対して変わっちゃいないんだな(過去と現在。その歪と己の時差を感じ、ポツリと呟きながら鎌鼬の風圧を感じ)ブンッ!(左腕一振り、風圧をかき消す風起し、鎌鼬の刃を消滅させる)感動の再会だビックシルエット。因縁に、ケリつけようぜ。」 モララー「 ヒ ュ ン ッ ――――― よォ、待たせたな。( ド ゴ オ ォ ゥ ッ ! ! ) (刹那の内に諧謔の歪の真横に現れ、その横顔に拳による一撃を炸裂させる) 」 諧謔の歪「ォ…ォ…ッ…オオォ…ッ!!ズシャアアアアァァァァアアアアンッ ! ! !(全身を振動させながら雄叫び、肥大化した右腕をレインドに対し勢いよく振り下ろそうとしたが、その瞬間をモララーの奇襲に阻まれ、建物の壁に激突する)ズズ…ッ…ズンッ… ! !(土煙の中から姿を現し、再び戦士たちと対峙する) 」 ジョン「パァ ン ッ (上体を捻り遠心力を乗せた手刀を真一文字に振り抜き、破裂音を立て鎌鼬を弾く)長い長い旅路だったと自負しておるが……ああ、やれやれ。遺言書を書いてくればよかったの(掌に走る裂け目、底から赤がとめどなく溢れ、苦し紛れに口角を吊り上げる) 」 森ノ宮「(迫り来る鎌鼬に対して拳を突き出し)……『虎砲』ッ!(タイミングを合わせて強烈な踏み込みと同時に衝撃波を発生させ、相殺する)……すげぇパンチだな、今の 」 レインド「死に急ぐジジィ程生き残るもんだぜジョン。遺言書を書いときゃ生き残っていたかもな(作業着のファスナーを前方全開に、白のVネックインナーを出して動きに入る)モララー、鎌鼬に気をつけろ。耳が削がれるぞ(惨事に駆けつけたモララーには一眼もくれず、コンタクトを図り歪に視線は外さず) 」 ザビーダ「こんなの効くのかよ……やれやれ…… バンッ!! バンッ!!(銃撃)(声-津田健次郎) 」 諧謔の歪「―――― ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛ー ー ー ー ー ー ー ー ッ ! ! ! ! ! ! ! (突然、右肩の重瞳から激しい光を、ぐっぱりと大きく開かれた口から鼓膜が破れるほどの奇声を放ち、戦士たちの視覚と聴覚を奪い始める。その凄まじい衝撃に、ザビーダの銃弾も弾き飛ばされる) 」 卓馬「…っと。あぶねえっ…(鎌鼬を飛びのいて避ける)……こいつぁー…近距離は難しそうだな… 」 モララー「はん、わーってr―――――ヅッ゛ッ゛ッ゛!!!??(歪から放たれた凄まじい光と超音波のような奇声に、目と耳を精一杯防ぐ)耳どころじゃねええええええぇぇぇぇーーーーー!!!!!(骨がきしむ様な痛みに歯を食いしばる) 」 ジョン「おお、そいつは残念。老い先短いんだしいっそここで語種にでもなりゃ万々歳だったんだが––––(右耳に片手を添え眉をひそめるが、守るすべもない聴覚を気にとめることはなく)さーて……どの辺りまでが効くのか、こういう手合いは 」 レインド「――ッ(歯を食いしばり、薄眼で視界も狭く、耳を防ぐ最中、片手でモララーの肩に「先に行く」と合図するように二回叩き)スタタッ!(視聴覚のない最悪の状況で愚直に歪の方向と思われる方へ駆けだす)」 諧謔の歪「ぬおおおおぉぉぉッ!!!(ダンダンダンッ ! ! !)(僅かな地響きを起こしながら駆け出し、真っ向からレインドに肥大化した右腕で殴りかかる)朽ちよ。(開いた左手の指先をレインド以外の戦士たちに向け、そこから殺傷力の高い赤弾を連射した) 」 モララー「―――!(何も視えない聞こえない状況でレインドの合図をその肌で感じ取り、遅れまいと握り拳をつくって駆け出す)……ッ…(――“アンビション”――)(能力を利用することで飛んでくる赤弾の軌道を読み取り、視認することなく回避する) 」 ジョン「子供はすぐ走り出す……まだまだ青いな、ちと老け顔になったが(駆け出していくレインドの背を歯をのぞかせて笑んで見送り)そうら、目の前のもんをまず片つけんと––––– ドキュゥウンッ!! (飛来してきた赤弾の内一つが足をえぐるも、それに気取られることなくウォーハンマーを振り抜き、二発目の赤弾を大砲のようにレインドへ振り上げた腕に向かって打ち返す)ヤケドじゃ済まんぞォッ!!!! 」 森ノ宮「閃光弾…ッ!?ぐおおっ!?(両目を閉じ、左手で左耳を塞ぐ)……痛っづぅっ…!(不味い、不味いぞ…左耳と左手を捨てたことになる……)向こうの攻撃も来る…!(失いかけた感覚を何とか研ぎ澄まし、諧謔の歪の追撃を察し)……『紫電』ッ!(低空、高速のステップで赤弾の射線から逃れる) 」 ザビーダ「――――――ぉっと!(風の如く俊敏さで赤弾をすれすれ回避)(声-津田健次郎) 」 諧謔の歪「―――パシンッ ! (ジョンに打ち返された赤弾を左腕で弾き返す)ヴン…ッ… ギ リ ィ (瞬く間に手中に生み出した黒い物体がひとつの剣に形成される。それもまたレインドにとっては見覚えのある、あの『罪剣』と同じ形、同じ威圧感を放っていた)グッ―――――― ザ キ ィ ィ ィ イ イ ン … ッ … ! ! ! (横一文字に切り払い、空間に黒い一閃が走る。それともに街中の建物がすべて真っ二つに裂かれる) 」 レインド「――(振動と風が吹き飛ばされる軌道を感じとり、それが巨大な”物”であると感じ足を地面に埋め込むような力で固定)ドドォ!!(スケールの違う腕を抑え込もうと、体を大きく張るが、その豪腕で宙に飛ばされる)うげぇぇぇ!! 」 ヴヴン…ッ…――――― ドッ… ドシャァ…ッ… ! ! (諧謔の歪の剣に裂かれた空間の裂けから、数多の混沌の廃が次々と現れる) 混沌の廃(獣型)『―――グオオオオオアアアアァァァァアアアッ!!!!(黒い化け物の群れが、次々と戦士たちに押し寄せる)』 卓馬「………まずい、この攻撃は…!(奇声と光で耳と目の自由が利かないまま、できる限り赤弾を片っ端から刀で斬って行く)… 」 ズズズズズズ…ッ…――――――ズシャアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァアアアアアアアアアンッ ! ! ! ! ! ! ! ! (街中の建物が一斉に崩れ落ちる) モララー(TURBO)「(そろそろ落ち着いてきたか…?)(痛みが和らいでいくのを感じ、ゆっくりと瞳を開ける)ドゥンッ ! ! !プシュァァ…ッ… ! ! !(TURBO化を遂げ、全身から蒸気が溢れだす)失せろッ!!!(ズダダダダダダダダッ ! ! ! ! )(獣の群れに拳による無数の高速乱打を炸裂させる) 」 レインド「――(その『思い出』を目の当たりにすると、苦情の顔つきが更に強張り吹き飛ばされながらも空中で大勢を立て直し、着地)なんてもん創造(つく)りだすんだ、貴様……(下手に前に出れないな……ここは――) 」 森ノ宮「(光弾から逃れ、右手を耳から離して諧謔の歪の姿を見据える)……良し、これで…えっ、ええっ…(崩壊する建物と現れた混沌の廃達を前に立ち尽くす)……いやいや、呆けてる場合じゃない…先ずは雑魚から、仕留める…ッ!(高速のステップで現れた獣型との距離を一気に詰め、勢いそのままに出て来たそばから強烈な掌底を放つ) 」 諧謔の歪「 ダ ァ ン ッ ! ! ! (瞬く間に天高く跳躍する。空中で蹲った状態で停滞し、力を溜めこむ)ググググッ…――――― バ ァ ン ッ ! ! ! ! (隕石にも匹敵するほどの、四つの巨大な紅弾が周囲に現れる)滅するがよい――――“崩壊の死重”!!!!(その口上と共に巨大弾がひとつずつゆっくりと動き出し、地上の戦士たちを押し潰す勢いで降りかかる。それは、ひとつひとつが大地を無に帰す程の絶大的な破壊力を持っている) 」 混沌の廃(獣型)『グギャゴガァアッ…!!!(モララーと森ノ宮の応戦により一掃される)』 ジョン「(脚から引き出す鮮血、それを拳を打ち込むことで止血し同時に)––––フッ!(ウォーハンマーの先端を槍のようにして獣の顎に突き立て、そのまま横へ振り抜き横に並ぶ二体を目を同時に撃破し、バックステップを踏んで距離を置く)遠目に見ると湯葉の佃煮のようなんじゃが……チリも積もればとはよく言ったもんじゃ 」 卓馬「……チッ、とんだゴジラが現れたものだ(……こいつが斬り裂けたら、ラッキーってとこだぜ…!(謎のオーラを出し、巨大弾を切り裂いて行く) 」 ザビーダ「っちぃ……手こずらせやがらぁ。(身構え)(声-津田健次郎) 」 レインド「……ッ!!???(あいつマジか!その技は『良くない』!!)ビギンッ!(瞬時、体全体をレッドオーラが包み混み、紅き蒸気がより濃く熱を帯びる)ヴォンッ(”餓狼の極み”)ズガアアアア!!(一つの莫大なエネルギー球体を、たった足一つで弾き)ヴォンッ!!(お返しと言わんばかりに歪へと弾き返す) 」 モララー(TURBO→OBRUT)「ふぅ…余計な手間かけさせやがって―――――ッ!?(獣を片付けた直後、上空から感じる凄まじい気に戦慄が走り、勢い良く振り返る。その眼に入りきれないほどの巨大な弾に瞳孔が縮み、一瞬唖然となる)……ぃゃ、やるしかねぇ…やるしかねえだろッ!!!OBRUTッ!!!(今度は全身から赤い蒸気が湧きたち、同時に重力を纏う)“OBRUTワイバーン”ッ!!!!( ド オ ウ ッ ! ! ! )(放たれた内の一つに対し、非常に強烈な掌底を炸裂させる)うおおおおおおおああああああぁぁぁぁーーーーーッ!!!!!(全身全霊を込め、その弾を上空へ弾き返した) 」 バチバチバチィィイイッ ! ! ! ! ! (しかし卓馬が想像していたように、その巨大弾は容易く切れるものではなかった。巨大弾は彼の刀と鍔迫り合い状態となり、今まさに彼を押し潰し、大地を喰らわんとしている) 卓馬「……チイッ…!(くっ、やっぱり…そんなヤワな弾じゃなさそうだなっ…っ!!(必死に押しつぶされないように押し返している) 」 森ノ宮「良し、粗方片付いた……ってのに、次のネタが尽きねぇのな……”雲龍”ッ!!(迫る巨大弾を見上げると共に、全身に紅い”気”を迸らせる)本体がまだ残ってる以上、アレは使えない…が――”天山”ッ!!(巨大な”気”の塊を右手に集中させ、巨大弾に渾身の突き上げ掌底を放つ) 」 諧謔の歪「む゛ッ゛―――――― チ ュ オ ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! (レインドに弾き返された巨大弾の一つが全身に被弾、上空に黒い煙が漂った。しかし…)―――――― オ ゥ ン … ッ … (あの弾を直撃しても尚、その醜い身体が崩れることはなかったのだ)余は死なぬ、"不死"であるが故に。(圧倒的な力、そして絶対的な生命力―――それは神や化け物を超越した究極生命体。禍々しくも何処か神々しい後光が、彼らを戦慄させる)」 諧謔の歪「ズララララララ―――― ジ ャ キ ン ッ ! ! ! !(無数の灰色の光刃が輪を描くように背後に現れる)―――ドヒュァッ ! ! !(そして地上の戦士たちに、死の付く(篠突く)雨が降り注いだ) 」 グ ゥ ン ッ ――――――――― ド オ ゥ ッ ! ! ! ! ! (森ノ宮の渾身の一撃が第四の巨大弾に炸裂。弾は天へと跳ね上がり、遥か上空で激しい光を放ちながら爆発した) モララー(OBRUT→TURBO)「はぁ…はぁ…(今のはマジでヤベーかった…)(肩で息をしながら、上空の歪を睨みあげる)テメェこの野郎…調子に乗りやがっ―――うえぇいっ!!?(雨の様に降り注ぐ光刃に仰天し、突発的に能力を切り替えて鋭い軌道を描きながらそれらを回避していく) 」 レインド「ザッザッ!(機敏に動き、次々来る鋭利な豪雨を紙一重で回避していき)ドゥリヤアアア!!(攻撃手段がこれしかなかったか、手前の光刃を『素手』で掴み取り、一回転の遠心力と共に歪の右肩の重瞳へと投げつける) 」 ジョン「ったく手数の多い……ッ(風圧でオールバックにまとめた髪が解け、皮膚は無数の細かな傷を受け瞳孔が縮小し熱気のみで血を滅せんとする雨、何より神々しくすら感ぜられる歪の姿に戦慄を覚えるも)–––––よーやったお主ら。力比べじゃ若いもんには敵わんわ。あー助かった助かった(歯を覗かせて弱々しく自虐的に笑みをこぼすも) ┣¨ ォ ッ !!!! ("リハルド"がそうしたように全身に【黒】のオーラが無数に縁を描く帯のように渦を巻き、地を思い切り踏み抜いてその衝撃波が砂利を機関銃が如く巻き上げ、雨を広範囲に渡り相殺し味方を守る)まだまだいけそうだ。どれ、上げていこうか 」 諧謔の歪「( ズ グ ン ッ ! ! ! )ぐぎょぎごぎゅあぎぎっぎゅがああああァァァァッ!!!!(レインドが投擲した光刃が重瞳のど真ん中に突き刺さり、痛みに悶え苦しむようにうめき声を上げる。そして突き刺さった光刃を抜き取り投げ捨てた)…解せぬ…余は…完全なる者!!断じて許さぬ…―――――滅びよ。(頭部の赤い双眸が不気味な輝きを帯びる) 」 キュガアァァァアア…ッ…―――――――ボッグアアアアアアアァァァァァアアアアアアアアアーーーーーーーンッ ! ! ! ! !(歪の合図と共に地上に突き刺さったすべての光刃が発光し、一斉に大爆発を引き起こしたのだった) 森ノ宮「(巨大弾が爆発したのを確認し、すぐさま卓馬の傍へと高速のステップで接近)雨…刃!?キリがねえぞ、こんなもん!! 」 ズグググググググ……ッ…――――― ボ ォ ゥ ン ッ ! ! ! ! (しかし卓馬の応戦も虚しく、その巨大弾の圧倒に敗れた彼は凄まじい爆発に巻き込まれる) モララー(TURBO)「ナイスだ、レインド。(奴は完全な不死身じゃねえみてえだな…弱点が分かればこっちのもの―――)しまッ―――ぐああああぁぁぁあああッ!!!!(気がついた時には既に遅く、自らを取り囲む様に発光した無数の光刃の爆発に呑まれる) 」 大柄の男「…ほっ!!(卓馬が爆発に巻き込まれた瞬間、瞬時に彼を抱え上げ、爆破から離れる) 」 レインド「(嘘だろッ!?)(発光と膨張の交差を感じとり、「ゲッ!」とユーモアな表情で状況確認)~~ッ!(被害を抑えようと、爆発寸前の手前にある刃だけでもと上空に投げつけ)ザッ!(地上に全伏せしつつ、爆発に呑まれる) 」 森ノ宮「(卓馬の援護に向かうも間に合わず、周囲を光刃に囲まれ)……どこに逃げる、前、後ろ……上だ……ッ!!(即座に真上に高く跳ぶが、爆発からは逃げきれずに上空へ吹っ飛んでいく) 」 諧謔の歪「――― ダ ン … ッ …(ゆっくりと黒煙が漂う地上へと降り立つ)グチュ…グチュグギュグググ…ッ…(攻撃を受けた右肩がうねる様に変質し始めると、弱点と思われていた重瞳が黒い身体に覆われた。傷を負う度に進化し続ける廃…そしてその廃さえも超越した歪は自らの弱点を克服し、今まさに、"完全な不死身"となって君臨した)―――む゛う゛う゛う゛ぅ゛ん゛ッ!!!(勢いよく片方の掌を地面に就きつける) 」 大柄の男「…おいおい、仕事人がどうしたぁ!情けないぞぉ!(ガハハ(抱えながら卓馬に) 」 レインド「プスプス……ゲホッゲホッ!(作業着の細部は剥がれ、血液の入り混じった黒い服の汚れが目立つ)ジジィ、モララー……森ノ宮……(安否を確認するため、満身創痍を鞭打ち立ち上がり薄い目で見渡す) 」 卓馬「…すまん……っと…おめぇこそ先公がどうしたよ、俺のようなさすらいの武者を助ける暇あったら教え子救いに行けや(ククッ(ボロボロになったまま) 」 ―――― ボ グ ゥ オ ン ッ ! ! ! ボ グ ゥ オ ン ッ ! ! ! ボ グ ゥ オ ン ッ ! ! ! ボ グ ゥ オ ン ッ ! ! ! (諧謔の歪の周囲を囲む様に四つの禍々しい黒棺桶の様な四角い物体が地面より現出。四つの物体は棺桶の様に開かれることはなく、そのまま変貌を遂げ…やがて四体の人型の化け物『 歪みの遊人 』となった) ジョン「ガラ…シュウウゥゥウゥ……・・・(積み重なる瓦礫を退かし現れる巨体、しかし皮膚は黒く焼け沈み、コートは焼け落ち、露になった半身は元の色を失い目からは光が消え、倒れかかっている木偶のような肉体を風にさらす)ああ、世界の半分が暗闇…… だが光はまだ見える。それだけで…充分だろ、レイ坊(石のような無表情、錆び付いたブリキのように口元だけ笑みを浮かべた絵図上記を吐き続けるウォーハンマーを手に取る) 」 歪みの遊人×4『 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ … ッ … ! (諧謔の歪に召喚された四体…それはかつて、レインドをはじめとする混沌世界の住人たちが総がかりで倒した、あの最悪の魔人だった)』 モララー「(瓦礫の下敷きから復帰し、傷だらけの身体で辛うじて立ち上がる)はぁ…はぁ……!(ちっ…マジクソ強ぇ…全く歯が立たねえ…このままじゃ俺も、こいつ等も…―――)(満身創痍な自分と仲間たちを静かに確認し、重い一息を吐いた。それは、"ある決心"を意味していた)……――― レインドッ!!!(突如、大声で彼の名を叫ぶ) 」 レインド「へっ、やっぱり長生きする爺さんだよ……あーあーあー!こんなに出ちゃって!お前らマジで容赦ねェよな!!(嘗ての強敵4列確認するや否や、絶望を通り越して開き直ったように声をあげると)あいよ(モララーに対し、不服さながら納得した声色で返答) 」 森ノ宮「―――ッ!(上空から落下し、両手両足で何とか着地する、が…)……ああ、何とかな……(服の彼方此方が焦げ落ち、下半身を中心に体中から血液が滴っている)……守勢に回ってちゃキリがねぇや、向こうももっと元気になったが……捨て身で吶喊が却って生き残れるかもな 」 ザビーダ「何だ、ありゃぁよ……仕方ねぇな。――――ッダァンッ!!(自分のこめかみに銃口をつけ、発砲)―――――コォォォォォォォォォォ(自身に風が沸き起こるようなオーラが沸き立つ) (声-津田健次郎) 」 ジョン「ああ、丁度いいわ。いくら畜生が相手とて数人で叩くのは後味が悪いからの(生気も肉体も枯れ果てながらも渇いた笑みを浮かべウォーハンマーを風車がごとく片手で回転させ潰れていない方の右目で降り立った四体のうち一体に的を絞り) 」 モララー「(追い討ちをかけるように現れた遊人に、恐怖を通り越して武者震いが起こった)…こうして肩を並べるのも久方ぶりだ。だが、お前と共に戦えるのも"最期"な気がするんだよな… ったく、俺らしくもねえことだがよ。(参ったといわんばりに後頭部を掻きながら)……だったらよぉ、その最期まで…精々足掻いてみせようじゃねえか。…やるぜ、お前と俺で…『最後の共闘』だ。(レインドの横に立ち、『あの態勢』に入る) 」 諧謔の歪「余は不死なる存在…凡ての生命は余に平伏す…!(四体の歪みの遊人を引き連れ、少しずつ戦士たちに詰め寄る) 」 大柄の男「…なーに言ってんだよ、教え子のこともちゃんと助けてたぞ!それに元同級生のピンチ、ほっとけるわけねーじゃねえの(卓馬を下ろす)…さーて、新手か(歪みの遊人を見る) 」 レインド「なんだ?死ぬ気満々?確かにらしくないぜモララー(恥辱を払拭するかのように、モララーに普段よりも明るめのトーンで話しかけ)これもう少しいい体勢なかったのかな……フューー! 」 モララー「(レインドの笑みに釣られる様に、ふっと不敵な笑みを零し…ようやくいつもの調子を取り戻した)――― ジョン! 」 レインド&モララー『―――― は あ ぁ ッ ! ! ! ! ――――』 ―――― キ ュ ア ア ア ァ ァ ァ ァ … ッ … ! ! ! ! ! (狼と獅子、二匹の獣が交り合ったその時…地獄の様な世界に一つの温かな『光』が迸った) 諧謔の歪「―――!!(今にも襲いかかろうとしたその瞬間、突然迸ったその眩い光に怯んで歩みを止める) 」 ×××「―――― よ っ し ゃ あ ッ ! !――――(その一節の光の中に、活気良い声を上げるただ一つの影が佇む。レインドでもモララーでもない…ただ一つの影が―――) 」 BGM♪ 森ノ宮「さてさて、四人きっちり出してきて……あぁ?(レインドとモララー、その二人の奇妙な動き、掛け声、そして……現れた一人の影を呆然と見つめ) 」 諧謔の歪「……ぁ…ぉぁ… んぎ…汝は…何者だ…?(その光の中にいる誰かに対し詰め寄る) 」 大柄の男「……あぁ?(光が出た後に現れた一人の影を見て)ガハハ!何だありゃあ!さっきの猫と男はどこへ行ったぁ!? 」 ×××→レイラー「――――…俺か?…俺は、レインドとモララーが合体して一つとなった"不可能を可能に変える者"だ。(この世に蔓延る絶望のすべてを振り払うかのように、クククと大胆不敵な笑みを浮かべる)…そしてこれが――― グ ッ ! (両腕に力を込めると、金色の髪が風に靡く様に逆立ち、徐々に赤みを増していく…) 」 レイラー(アルティメット)「――― 限 界 突 破 ( ア ル テ ィ メ ッ ト )だあああああぁぁぁぁーーーッ!!!(金色の髪が瞬く間に紅に染まり、外見が大きく一変する。溢れ出す膨大な覇気に時空が振動し、すべてが黄金世界に包まれる)づぇりゃあああああああああああぁぁぁぁぁーーーーッ!!!!!(やがて暴発した覇気は徐々に鎮まり、その身に凝縮される) 」 諧謔の歪「―――!!?(光の速さの如く現れたレイラーに驚愕するも、その黄金に輝く光に嫌悪を向きだしたかのように、左手の人差し指を天高く突きあげる)…汝に余は越えられぬ…!余は…万象を司る絶対存在也…余こそが凡て!!滅びるがよい、哀れな生命よッ!!!“逆鱗の撃滅”!!!!( ド オ ウ ッ ! ! ! ! )(人差し指に集束した小さな光弾を、レイラーに向けて解き放った) 」 ゴオオオオオアアアアアアアアアアァァァァァァアアアアアアアッッッ ! ! ! ! ! !(歪より解き放たれた光弾は、撃ち放たれたその瞬間に肥大化し…巨大な業火球となってレイラーを呑みこもうと襲いかかった) 森ノ宮「うおおっ!?(レイラーから溢れる膨大な覇気に怯みながらも、その姿を見据え)……合体、したのか…?にしたってこりゃあ……只のニコイチじゃねえ、二倍…それ以上か…? 」 ザビーダ「おいおい……随分調子づいてんじゃねぇか。(声-津田健次郎) 」 大柄の男「フュージョン…合体!?ガッハッハッハッハッ!なんじゃそりゃ!漫画の世界かよぉ~!!(ゲラゲラ っとー、笑い事じゃなかったな 」 レイラー(アルティメット)「―――(放たれた業火球を、"片手で"受け止める)――――ふん。( バ ギ ュ ア ァ ッ ! ! ! ! )(さも林檎を握力で粉砕するかのように業火球を滅ぼす。消滅した業火球の焔が辺りに舞い上がった) 」 諧謔の歪「―――――!!!??? 」 レイラー(アルティメット)「―――― さァ、決着をつけようぜ。 ―――― 」 続き
https://w.atwiki.jp/shinatuki/pages/461.html
深紅の協奏曲 ―前奏曲は今も続いている 1― 深紅の協奏曲 ―前奏曲は今も続いている 2― 深紅の協奏曲 ―前奏曲は今も続いている 3― 深紅の協奏曲 ―星のソナタ 1― 深紅の協奏曲 ―星のソナタ 2― 深紅の協奏曲 ―Ⅱと二と7で奏でる輪舞曲 1― 深紅の協奏曲 ―Ⅱと二と7で奏でる輪舞曲 2― 深紅の協奏曲 ―Ⅱと二と7で奏でる輪舞曲 3― 深紅の協奏曲 ―Ⅱと二と7で奏でる輪舞曲 4― 深紅の協奏曲 ―BGM4 命蓮寺― 深紅の協奏曲 ―風に流れる諧謔曲のように 1― 深紅の協奏曲 ―風に流れる諧謔曲のように 2― 深紅の協奏曲 ―風に流れる諧謔曲のように 3― 深紅の協奏曲 ―嘘と真の三重奏 1― 深紅の協奏曲 ―嘘と真の三重奏 2― 深紅の協奏曲 ―嘘と真の三重奏 3― 深紅の協奏曲 ―嘘と真の三重奏 4― 深紅の協奏曲 ―BGM3 香霖堂― 深紅の協奏曲 ―飛べよ、踊れよ、円舞曲と共に 1― 深紅の協奏曲 ―飛べよ、踊れよ、円舞曲と共に 2― 深紅の協奏曲 ―飛べよ、踊れよ、円舞曲と共に 3― 深紅の協奏曲 ―飛べよ、踊れよ、円舞曲と共に 4― 深紅の協奏曲 ―真実へ向かうための行進曲 1― 深紅の協奏曲 ―真実へ向かうための行進曲 2― 深紅の協奏曲 ―真実へ向かうための行進曲 3― 深紅の協奏曲 ―真実へ向かうための行進曲 4― 深紅の協奏曲 ―スカーレットクイーンの迷宮 1― 深紅の協奏曲 ―BGM2 三枚の写真― 深紅の協奏曲 ―スカーレットクイーンの迷宮 2― 深紅の協奏曲 ―スカーレットクイーンの迷宮 3― 深紅の協奏曲 ―スカーレットクイーンの迷宮 4― 深紅の協奏曲 ―スカーレットクイーンの迷宮 5― 深紅の協奏曲 ―深紅の協奏曲 1― 深紅の協奏曲 ―深紅の協奏曲 2― 深紅の協奏曲 ―深紅の協奏曲 3― 深紅の協奏曲 ―深紅の協奏曲 4― 深紅の協奏曲 ―ここから始まる幻想曲―
https://w.atwiki.jp/vjedogonia/pages/58.html
Swords & Sorceries>関連作品一覧>傭兵のうた 傭兵のうた 各話サブタイトル一覧(順不同) 序曲(オーヴァーチュア) 装飾曲(アラベスク) 詠嘆曲(アリア) 間奏曲(インテルメッツォ) 練習曲(エチュード) 聖譚曲(オラトリオ) 追奏曲(カノン) 奇想曲(カプリチオ) 交声曲(カンタータ) 協奏曲(コンチェルト) 交響曲(シンフォニー) 小夜曲(セレナーデ) 奏鳴曲(ソナタ) 即興曲(トッカータ) 夢想曲(トロイメライ) 夜想曲(ノクターン) 田園曲(パストラーレ) 受難曲(パッション) 譚詩曲(バラッド) 舟歌(バルカローレ) 変奏曲(パルティータ) 幻想曲(ファンタジア) 遁走曲(フーガ) 前奏曲(プレリュード) 行進曲(マーチ) 接続曲(メドレー) 諧謔曲(メヌエット) 狂詩曲(ラプソディ) 子守歌(ララバイ) 鎮魂歌(レクイエム) 輪舞曲(ロンド) 円舞曲(ワルツ) 嬉遊曲(ディヴェルティメント) 諧謔曲(スケルツォ) 三重奏曲(トリオ) 四重奏曲(カルテット) 五重奏曲(クインテット) 終曲(フィナーレ)