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青い大きなクリスマスプレゼント コスト 13 レベル 1 MAX 進化元 青いクリスマスプレゼント (A) 進 化 素 材 - - ランク A+ HP 150 300 進化先 - - - MAX Lv 60 攻撃 100 200 進化費用 - - - No.---- Aスキル - 売却価格 110,000 - - 編集 Sスキル - 入手方法 『サンタの贈り物』上級・聖夜級 宝箱、進化 個別データ 備考
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――執務室 昼 冬は過ぎ、ここ数日の陽気で残雪は溶けきった。 日差しを浴びて若草は太陽に向かって背を伸ばし、蕾が開こうと春を謳う。 戦争の只中にいるウィッチ達には、そのような春の足音に気付く余裕もあるかどうか。自然は、人の境遇などお構いなしに変わっていくものだ。 しかし、執務室で今日も書類と格闘しているはずのグンドュラ・ラルは、戦争中の境遇と関わりのない少女そのものの表情をしていた。 ラル「………………」 書類は机の上に広がっている。白魚のように細い指には使い古された万年筆が握られていた。 すっと伸びた背筋と引き締まった顔立ち。誰の目から見ても、いかにも仕事の出来る女といった見た目である。 しかし、トントントンと指が机をノックしたのかと思えば、はっとした表情で仕事に向かうがすぐに筆が止まる。 筆が奔ったかと思えば、何か思い悩むように眉根を寄せて眉間に人差し指を当てる。この調子で、朝から仕事が捗っていなかった。 ラル「………………ふふ」 一向に進まぬ仕事を前にしても自らの不手際に憤るでもなく、口元も目尻も下げて顔を緩ませる。 断っておくが、彼女は決して無能なわけでも書類仕事が苦手なわけではない。そんなようでは統合戦闘航空団の隊長という肩書きは、とても務まらないだろう。 様々な仕事をサーシャやロスマンに押し付けるちゃっかりとした所もあるが、基本的に仕事も早くミスも少ない。 それが何故、仕事も手が付かずにいるかと言えば、今日が彼女の誕生日だからである。 ただそれだけではこうも公私の分けられていない姿を晒す無様など見られようはずもなかったが、事と次第は四日前のサーシャの誕生日に遡る。 あの時、俺はラルを除いた隊の全員にプレゼントを送った。 誕生日プレゼントの何たるかをまるで理解していない俺らしい行動であったが、それが愛らしいと言えば愛らしい。 ラルにプレゼントを渡さなかった理由は、単に四日くらい待て、というものであった。 ラル(ふむ。しかし、アイツはどんなモノを買ったのか。アクセサリーの類ではないのは皆のプレゼントから明らか。では……) そう、こんな益体のない思考故に、全く仕事が捗らないのであった。 俺は男と女の、というだけでなく、保護者と被保護者のような、自殺志願者とそれを止める者のような、複雑な感情を向ける相手。 気になるのが仕方ないと言えば、まあ確かに仕方ない……のだろう。恐らく、多分。 普段、男顔負けの気迫と立ち居振る舞いを見せる彼女も、その一面はあくまで一種の鎧であり、本質的には同年代の少女と大差はない。 様々な意味で“気のある男”のプレゼントともなれば、中身が気になり、他の事柄に手がつかなくなるのも頷ける。 ラル(実用的かつ合理的なプレゼントか、…………ナイフ?) そこまで考え、がっくりと肩を落とす。 さて、俺が色気もへったくれもないものをプレゼントとして買うのは兎も角としても、普段のイメージからすれば気持ちも分からなくもない。 俺『撃墜された時、やむにやまれずサバイバルをしなければならなくなった時、ナイフ一本あるとないとでは雲泥の差がある。野生の獣を捕まえる罠を作るもよし、獲物をさばくのにも使える。ナタもなかなか捨てがたかったが、用途の広さではやはりナイフだ』 脳内の俺がしたり顔で頷くのを、余りに容易に想像できたので溜息を漏らす。どう考えても女にプレゼントするものではない。 彼女の所属は軍隊だ。ナイフ程度、容易に手に入る。 それが自身のことを考えてくれた末に決定したというのなら嬉しいが、素直に喜べるはずもない。いや、喜べる方にも大いに問題がある。 ラル(それに……、俺の初めてでは、ないのか……) どうやら、彼女は“最初の人”というものに憧れがあるらしい。 俺の最初にプレゼントは誰だったのだろう。やはりサーシャか、それとも世話になっているロスマンか。 そう考えると、じりじりと白紙が焼け焦げていくような、真水の中に墨汁でも流し込まれたような気分になる。 その時、ドアをコンコンとノックする音が部屋に響く。 ラル「…………情けない」 だが、ラルは自己嫌悪からか気付いていないようだ。 万年筆を投げ出し、椅子の背もたれに身体を預ける。 知らず知らずの内に眉間に皺が寄っていることに気付き、仲間に対して嫉妬している自分に溜息を吐いた。 それは酷く当然の感情であったが、仲間に向けているというのが我ながら気に喰わない。 共に戦い、背中を預け合った仲間に対する態度にしては、情に欠けている。正確には、情を持つ故にではあるが。 深く考え込んでいるラルは、断続的なノックが、乱暴にドアを叩いているだけでノックとは呼べない代物に変化していることに気付いていない。 ラル「仕事を……いや、手につかんな。別のことを考えよう」 そう言って、気分転換とばかりに再び俺のプレゼントの中身を考え始めた。 もうこの4日間、プレゼントの中身を考え、ある程度の予想をして俺らしいプレゼントに溜息を吐き、“最初の人”ではないのかという落胆と嫉妬、そして最初に戻るループが続いている。 サーシャとロスマンも仕事くらいはキチンとして欲しいと考えていたが、ラルの心境を何となしに感じ取っているのか、きつく物言いが出来ないでいた。 おかげで二人は上から下がってくる仕事にてんてこ舞いである。 そして、苦労を知らずにラルが顔を緩め始めた頃、ドアを叩いていた音がピタリと止まり―― 俺「いい加減にしろぉぉぉぉぉッ!!!」 ラル「ひぁぁぁぁッ!?!?」 俺がドアを蹴破って、執務室に飛び込んできた。 口からは心臓が、瞼から目が飛び出しそうなほど見開いたラルは素っ頓狂な声を上げる。 蝶番の辺りこそ壊れなかったが、ドアノブ周辺の機構とパーツはお釈迦になっており、直さない限りはドアとしての役割を全く果たしてくれないだろう。 ラル「な、一体何をしているんだお前は!? ノックしてから入ればいいだろう!!」 俺「してたよ! あんだけドンドンやってたのになんで気付かないんだよ! なに、難聴なの?! 医務室連れてくぞ!!」 突然の暴挙に非難の言葉を投げつけるラルであったが、俺の言葉に自分の方に非があったのかと押し黙る。 何をやってるんだ、と悪態を吐きながら壊れたドアをどうにか締めて、ラルの前までやってくる。 手には複数の書類が収まっており、醜態を晒して意気消沈したラルの頭をそれで優しく叩いてから、手渡した。 俺「全く、仕事中にボーっとするな、この給料泥棒め」 ラル「うぅ……上司でもないのに悪罵は止めてくれ。それで、これは……?」 俺「先生と熊さんに届けてくれと言われたんだよ」 今より数分前、整備班の雑務を一通り終わらせた俺は、次なる仕事を探していた所、苦笑いを浮かべたサーシャとロスマンに声をかけられた。 内容は書類をラルへに目を通させ、サインを貰うこと。更にもう一つ…… ラル「………………あ、ああ、そうか。すまないな」 一連の流れを聞き、サーシャとロスマンが気を使ったのだと悟り、頬を赤らめる。 さんざん書類の催促はされていたが、この四日間は俺以外の言葉は右から左の上の空。あの二人……そして伯爵辺りにも自らの心の内はバレているはず。 その事実に猛烈な羞恥心が湧き上がってきたが、俺の前でこれ以上の醜態を晒せないと何とか軍人としての鉄仮面を取り繕う。 ラル「わ、分かった。書類の方は眼に通しておく」 俺「…………ああ、なるべく早急にな」 ラル「………………」 俺「………………」 ラル「………………あの、俺? どうして出て行かないんだ?」 俺「熊さんと先生にもう一つ頼まれた。今日一日、ラルの監視をしてくれとさ。あの二人がお前に言うなんて、相当だぞ」 俺は呆れた表情のまま、こんこんと人差し指で自分の頭を小突く。相当お冠ということだ。 その瞬間、ニッコリと笑顔を浮かべる二人の幻影が頭を過ぎった。 サーシャ『嬉しいのも分かりますけど――』 ロスマン『――それと仕事とは話が別なの』 言うなれば俺の監視は、ラルへ仕事を熟せという発破なわけだ。 確かに、何度(正確には何十度であるが)も二人に話しかけられていたような記憶はあるが、内容を全く思い出せない。どっと汗を掻き、ようやく自身の置かれた状況に気付いたラル。 彼女の密かな慌てようを感じ取り、俺は机の上に重ねられたいくつかの書類を手に取った。 俺「手伝ってやるよ。分かるところだけだが」 ラル「いや、そうではなくてな、この手の仕事は……」 俺「大丈夫だ、問題ない。軍の機密情報を得る為に忍び込んだ基地で、情報と同時に書類の書き方や捌き方を学んだからな」 無理だ、と言おうとしたところ、とんでもない犯罪歴を暴露される。軍人として見過ごしていいものか 暗兵の間諜としての能力は、各国の専門家を遥かに凌駕していると聞く、ならば俺もその程度は出来ても不思議ではないが、心臓に悪い暴露は控えて欲しいものだった。 俺「ボサっとするな。今日はお前の誕生パーティーをやるんだろ? こんなペースじゃ、終わらんぞ」 ラル「あ、ああ、その通りだ」 この後には自身の為に設けてくれた誕生会が待っている。もうすぐ二十代だというのに、心が躍る自分が嬉しいやら悲しいやら。 一つ歳を重ねるということは、もう二度と空を飛べなくなる日が近づいてきているということ。 一度は大怪我で戦線を退きながらも、もう一度、空へと上がりたい一心でリハビリを重ねて舞い戻ってきた。 そんな自分が魔法力を失う現実に耐えられるのか。胸に空いた虚ろな穴を埋められるのか。不安は尽きなかった。 あの頃はよかったな、と思うような人間はなりたくない。 輝かしい過去よりも、闇に閉ざされた未来を見据えて生きていきたい。それこそ、そこに居座る―――― 俺「…………何を考えているか知らないが安心しろ」 ラル「……え?」 俺「人は生きている限り、前を向いて生きていくしかない」 手にした書類から視線を外さず、ポツリと俺が呟いた。 そう言えば、と依然、俺のベッドに潜りこんで共に寝た過去を思い出す。 あの時は俺に対するご褒美などと誤魔化してはいたが、本当のところはただ一人で寝ることが恐ろしかった。 曖昧ながらも脳裏を過ぎる生死の境を彷徨った映像。焼けつくような傷の痛み。血を流して熱を失う手足。そして、心と身体に残った傷跡。 その全てが、心に百足でも這い回るような不快感と恐怖を想起させた。 もしかしたら、次は怪我では済まないかもしれない。 もしかしたら、この身に残った傷跡は酷く醜いものなのかもしれない。 そんな考えをただ一人で味わいたくはなかった。人の温もりを求めていた。 だが――――だが、あの時も、俺の一言で自身の抱いた妄想を吹き飛んだのではなかったか。 ラル「お前という奴は……私の聞きたい言葉を、一番いいタイミングで言ってくれるな」 俺「そうか? 割と考えなしで当たり前のことを言ってるだけだ。ありがた味もへったくれもないと思うがな」 ラル「言葉とは発する側よりも、聞いた側の受け取り方で如何様にでも変わるものさ」 とぼけた表情で首を傾げる俺を見て、ラルは苦笑する。 他人の心の内など全く興味がない癖に、時にズバリと核心を突くようなことを言う奴である。 それに違和感や不安を覚えるよりも、安堵が身に沁みる。俺ならば、自分の全てを受け止め、支えてくれるのではとも考えた。 しかし、自分がそう言えば、彼は仕事ならばと答えるだろう。 全く以って女心というものを理解していない。そこで分かったと抱き締めでもすれば、自分など一発で堕ちてしまうだろう。 ラル「…………なあ、俺」 俺「なんだ? 喋るのは勝手だが、手も動かしてくれよ」 ラル「お前は、私のことが好きか?」 俺「あ? ……………………はあッ!?」 ラルの言葉の意味を理解するのに時間がかかったらしく、間をおいて俺は赤面してソファから立ち上がる。 俺「な、何を急に?!」 ラル「いや、深い理由はないが?」 ラルもまた気恥ずかしさがあるのか、僅かに頬が赤い。 本当に深い理由があったわけではない。ただ、冷静過ぎて憎たらしくさえある彼を少し困らせたかった。 どうにも俺はこういう可愛らしさがある。少しでも優しくしたり、からかわれたりするとすぐに緊張と混乱の坩堝へと落ちる。 ベッドでの添い寝の時もそうであったが、自分よりもよっぽど緊張していたものだ。 ただ、それはあくまでも一側面に過ぎない。 ラル自身、気づいているかは分からないが、それは間違いなく無意識の発露だった。 くつくつと笑うラルに、自身がからかわれていることに気付いた。 俺「人をおちょくりやがって……!」 ラル「はは、すまんな。クルピンスキーも言っていたが、随分可愛らしい所があるんだな」 俺「……………………お、俺は、好き、だと……思う」 ラル「ふふ、そう……………――――――――――――ッ!?」 自然と発した言葉だったのか、俺は大事な書類を力一杯握り締めながら。 ラルは言葉の意味を暫く反芻すると、貴重な書類の上にへにゃへにゃと曲がりくねった線を万年筆で奔らせた。 見せた行動自体は二人とも違ったが、胸中で抱いた一言はシンクロしていた。 『――――ふ、不覚ッ!』 相手の言葉に茹蛸となった二人は、この後一言も言葉を交わすこともなく、通常の倍近い時間をかけて仕事を終わらせる羽目となった。 お互いに何が不覚であったのかを詳らかにするのは、それこそ無粋というものだろう。 ――ラルの自室 夜 ラル「…………ふう」 心地よい疲労感と共に、ラルは椅子へと腰掛けた。 とても楽しいパーティーであった。サーシャの時のようなサプライズはなかったが、それぞれの生まれ故郷の料理を作り、酒と共に舌鼓を打った。 サーシャはペリメニにボルシチ、ロスマンとクルピンスキーはシュニッツェル、下原は肉じゃが、ジョゼは鶏肉のクリーム煮。 料理がさほど得意ではない管野とニパはそれぞれの手伝いに、もう中華は食い飽きたとのたまった俺も同様である。 ラル「全く、私の誕生日だぞ。料理くらい作ってくれてもいいものを……」 口にした言葉ほど怒ってはおらず、正確には拗ねている。 サーシャの時には文句を垂れながらも力を入れていたのに、どうして私の時には作ってくれないのか。 本人に問いただしたところで、俺が主導なわけじゃない、とでも答えが返ってきそうなものではあるが、理解と納得は別問題である。 ラル「いや、止めよう。それに……、ふふ」 いよいよ、待ちに待ったプレゼントがもうすぐ貰えるのである。 プレゼント自体の価値に興味はない。数日に渡って気になり続けた謎が解ける爽快さと俺の気持ちがどれだけのものかを知れる喜びだけがある。 俺は他の人間に茶化されるのにうんざりしていたらしく、後で部屋に持って行くとだけ行って、パーティーが終わるとそそくさと食堂を後にした。 正直なところ、パーティーの最中は肩透かしと御預けを喰らった犬のような心境になったものだが、持ち前の冷静さで何とか乗り切ることができた。 ラル「………………」 俺を待つ間、ラルは忙しなく部屋を歩き回り、鏡の前で髪型を整えたり、身嗜みを整えたりと落ち着きがない。 如何せん、男からプレゼントを貰うなど、父親以外からは経験はない。無駄に気負っても仕方のないことだろう。 髪は跳ねていない。服装に乱れはない。鏡の前で左胸に手を当て深呼吸。 ドクドクと早鐘を打つ心臓と、自分に、こんなにも期待と動揺へ誘う俺の存在が少しだけ憎らしい。 その時、何の前触れもなくドアをノックする音が、時計が秒針を刻む音だけ響く部屋を掻き乱す。 ラル「ひゃぅ――――ど、どうぞ」 俺「(何だ、今の声?)…………入るぞ」 タイニング悪く、完全に油断していたラルは言葉にならない驚きの声を上げてしまいながらも、入室の許可を下ろした。 俺がゆっくりと部屋に入ってくる間に椅子へ座り、足を組んで動揺を僅かに隠すことに成功するも、目が泳いでいる。 不審そうにラルを見る俺であったが、入っていいということは何の問題もなかったのだとそれ以上何も言わなかった。 俺「ほらよ、プレゼント」 ラル「――――随分、素気ないじゃないか」 ぶっきらぼうに手にしていたプレゼントを差し出す俺に、不満げな表情と視線を送るラル。 だが、俺はどうでもいい感心のない表情で、ん、とプレゼントを出すだけで何も気にした様子はない。 これ以上言っても無駄だと溜息を吐き、何を言わずに手に取った。 それほど大きい箱ではない。手の大きい男ならスッポリと収まってしまいそうだ。どうやら、ナイフなどということはなさそうだ。 ラル「開けても……?」 俺「ああ、元からお前の為に買ったんだ。……どうぞ」 ラルの安堵に気付いているのか、いないのか。さして彼女の表情の変化に気付いた様子もなく、お好きなように、と俺は促した。 その言葉に、ゆっくりとリボンと包装紙を解いていく。 どうやら店で行われたものではないようで、俺自身が四苦八苦して何とかプレゼントらしく形を整えた後が見て取れて微笑ましい。 少し口元を緩ませたラルは、最後の砦である箱を開いた。 ラル「…………万年、筆?」 俺「ああ。街に出た時、お前がいつも使ってる万年筆が書き難そうだったから、そろそろ替え時かと思ってさ」 成程、確かに決して無駄にもならず、日常生活でも使うことのある、実に彼らしいチョイスだ。 正直に言えば、驚いた。 いつも使っている万年筆は確かにインクがすぐに乾いてしまい、書類のサインをする時も何度か失敗している。 ただ、隊長として熟さなければならない業務に殴殺され、街へと買いに行く余裕もなかったので、仕方なしに現在の万年筆を使っていた。 だが、そのことについてボヤいたこともなかったし、誰かに言ったこともない。ましてや、俺の前で書類仕事をする姿など片手で事足りる程度の回数しか見せていない。 素直に、よくもまあそんなところまで見ているものだ、という感想しか抱けなかった。 ラル「これは、モンブランのものか? 名前も彫ってあるじゃないか」 俺「名前は俺が彫った。ブランドはよく分からんが、長く使うものに金をかけても損はない。まあ、それを一番初めに買ったお陰で、管野なんてタダのものになっちまったけどな」 ラル「――――え?」 万年筆にフラクトゥールの筆記体で彫られた自身の名前も、万年筆の老舗の名前も、俺の何気ない一言で吹き飛んだ。 コイツは今、何と言った……? ラル「え、っと? ……これ、一番初めに買ったのか?」 俺「――ああ、そうだけど?」 ラル「う、嘘じゃないだろうな?!」 俺「何だよ、急に。勝った順番の嘘なんてついて、俺にメリットなんてないだろう」 ラル「これが、一番初め……、最初のプレゼント……」 俺「まあ、渡す順序は変動したが、そう捉えられることも出来るんじゃないか?」 買った順番など気にしていなかった俺は、万年筆に視線を落として表情の窺い知れないラルに首を傾げた。 当のラルは俺の様子を気にしてはいられないほど、感情が爆発していた。 幾度も何度となく溜息を吐き、仲間に嫉妬していた“俺の最初の人ではない”現実が覆り、今や喜びは理性を飲み込む濁流となって心に広がっていく。 唇を噛み締めて耐えねば、だらしなく緩み切った口元と精一杯の笑い声を晒しそう。 皺の寄った眉間は落ちる目尻を精一杯引き上げるため。 きつく閉じられた瞼は流れ落ちようとする歓喜の涙を堰き止める。 胸元に両手で握り締めた万年筆を押し当てて、それら全てに耐え忍び、必死になって冷静な自分を取り繕うとした。 人の喜びは二種類に分けられる。確実に訪れる幸福が目の前に現れた時、そして予想していた幸福よりも訪れた幸福が大きかった時。 果して、ラルはどちらであったのか。わざわざ、言葉にする必要もないだろう。 ラル「……ッ…………ッ」 俺「お、おい、ちょっと大丈夫――――のわぁぁッ!?!?」 気が付けば、ラルは俺の首に両腕を回し、抱きついていた。 いきなり密着した彼女の柔らかい腕と豊かな感触、鼻腔をかけ昇ってくる男を惑わす甘い匂いに驚きの声を上げる。 何が起こっているのか分からない俺は、汗を流しながらもぐっと自分の長ズボンを握って耐えた。 口元には引き攣った笑みを浮かべており、誰の目から見ても明らかに照れている。 首を動かさず、視線だけを動かしてラルを見るが、肩に顔を埋めていて表情を窺い知ることが出来なかった。 ラル「――――す、すまないな。少し、取り乱した」 俺「そ、そうか。落ち着いてくれたなら、何よりだ」 一体どれだけの時間、身体を重ねていたのだろうか。 ラルは何とか感情の波が去ったのか、重ねていた身体を離すが、まだまだ顔を朱に染まっており、決して視線を合わせようとしない。 俺はようやく身体の硬直を解き、深呼吸を繰り返すが、なかなか思い通りにいかないのか、彼女と同じように目が泳いでいた。 互いの鼓動が聞こえそうな距離で言葉よりも先に、ふと二人の視線が交わった。 ラルは深い深い奈落の底を思わせる酷く蠱惑的な黒瞳に魅入られる。 俺はどこまでも澄み渡り、穢れなど何一つ見受けられない青空のような碧眼に釘付けとなった。 まるで磁石が引き寄せられるように、二人の距離は縮まっていき―― 俺「…………誕生日おめでとう」 ラル「ふふ、ありがとう。プレゼントも……何よりお前の最初の人になれて、嬉しかったよ」 ――身を引いた。 どちらかが、先に進むのを怖気づいたわけではない。俺も、ラルも、順序が逆だと思った。 ラルは、たとえ彼の両手が血塗られていようとも、受けいれる覚悟があった。 俺にも、たとえ己の両腕が血塗られていようとも、誰にどう罵られようと手元に舞い込んできた幸せを手放さない覚悟があった。 ただ、そういう関係になるには、まだまだ交わすべき言葉も、重ねるべき経験も、まるで足りていないではないか。 ――それが済んだ時、今の続きを。 口ではなく、その視線で言葉を交した。 俺「じゃあ、お休み」 ラル「ああ、お休み」 それだけ言って、俺は部屋を出て行った。 暫くの間、閉じられた扉を眺めていたが、やがてふらふらと幽鬼のようにベッドまで歩み、今度は空気の抜けた風船のようにふにゃふにゃと倒れ込んだ。 ラル「…………はあ、あのまま」 行き着く所まで行き着いていても、よかったな。そこまで考えると枕に顔を埋めて、うーと唸る。 あのまま自分は続けていたかったと感情が訴えていたが、相手の意志を無視するなと理性が思い止まった。 感情と理性の板挟みに気恥ずかしさと照れ、そして僅かな苦しみを感じながら、ラルはもう一度顔を朱に染めた。 ――そして、自室へと戻る途中の俺は廊下の真ん中でポツリと呟いていた。 俺「…………はあ、あのまま」 ベッドへ倒れこんだラルと全く同じ言葉を吐き、同じ心境となる。そこまで考えて、頭を抱えて蹲った。 お互いに、似たような言葉を口にし、似たような心境となり、似たような行動を取っていた。 ラルは俺のように理性的ではない。もし、俺がほんの少し感情的な人間であれば、結果は変わっていただろう。 二人の行動に笑う者もいるかもしれない。だが、これが二人の在り方であり、歩み寄り方なのだ。 そして最後に、空間の離れた場所で二人はシンクロして呟いた。 『―――――――ふ、不覚』 戻る
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作者:G85w4/84o 364 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2013/01/29(火) 02 36 37.37 ID G85w4/84o 小 中 大 あ 隔 「ホムホム///」「マドマド///」ニコニコ 「ホミュホミュ♪」「ミャロロー♪」キャッキャッ♪ 「わぁ/// この仔達が今日生まれた仔達? ちっちゃくってかわいいね///」 「ホムホムー///」カワイイデショ/// ナデナデ… 「マドマドー///」ホントホント/// ヨシヨシ… 「ホミュミュウ♪」「ミャローン♪」キャッキャッ♪ スリスリ… 「そうかなぁ……どこにでもいる仔ほむまどだよ」 「てぃひひ、さやかちゃんらしいね♪ でもこのほむほむとまどまどって……傷だらけなのによく仔ども生めたねー……」 「それはほら! アタシの愛情の賜物って事よ♪」 「えー……あ! そうだ! わたし、この仔達にプレゼントをあげたいんだけど、いいかな?」 「ホムッ?」「マドッ?」 「ホミャッ?」「ミャロッ?」 「プレゼント? いいよ♪ あんたたち良かったねー♪」 「ホムホムホムー♪」プレゼントダッテ♪ ナデナデ… 「ウェヒヒ♪」ヨカッタネ♪ ナデナデ… 「ホミャホミャア♪」ヤッター♪ ピョンピョン 「ミャロロン?♪」ニャンダロー? トテテテ… 「うわ!? すっごい喜んでるし……アタシの溢れんばかりの愛情じゃ不満なのかー!?」ジトー… 「ホムッ!?」「マドー…」ビクッ!! フルフル… 「ホミャア?」「ミャロオ?」キョトン… 「さやかちゃん…… ほむほむとまどまどが怖がってるよ♪」 「……まどかに免じて今は許してあげる……で、まどか? プレゼントってなにをあげるの?」 「えーっと……持ってきたベビーチョコを二粒、手のひらに置いて……はい♪」ポトンポトン… スッ… 「ホムムッ!!」「マドドッ!!」イイニオイ!! テテテ… 「ホミャア…」「ミャロー…」オイチチョウ… トテテテ… 「みんなまどかの手に寄ってきたし……」 「だめだよ、これは仔ほむちゃんと仔まどちゃんのだよ♪」 「ホマァ…」ソンナァ… 「マドドォ…」ガマンヨ… 「ホミャホミャアッ♪」ウンショウンショ♪ ヨジヨジ… 「ミャロミャロ♪」ハヤキュハヤキュ♪ ヨジヨジ… 「必死で手のひらによじ登ってるねー……」 「てぃひひ♪ くすぐったいよー……あせらなくても大丈夫だよ♪」 「ホミャア///」コロリン… アグアグ… 「ミャロロー///」コロリン… ペロペロ… 「ホム…ホムーホムー///」デモ…ヨカッタネ/// ニコニコ… 「マドマドマド///」アノコタチ、ウレシソウ/// ニコニコ… 「良かったねあんた達♪ アタシはチョコなんてあんた達にあげることないからね~」 「そうだと思ったよ……チョコぐらいでこんなに喜んでるもんね♪」 「ホミュホミュ♪」カジカジ… 「ミャロミャロ♪」モキュモキュ… 「ホムホム///」「マドマド///」ニコニコ… 「でもまどか……プレゼントって、チョ…「それじゃあ、わたしからのプレゼントを受け取ってね♪」 『ギュッ!!』 「ホミッ!?「ミャッ!?」グチャッ… 「ホム?」「マド?」ニコニ…コ… …ポタ…ポタ… 「ホ?…ホ…ホビャアアアァァァァァアアアァァァァァァーッ!?!?」 「マ…マドオオオォォォオオオォォォォーッ!?!?」 「うぉいっ!? まどか!! あんたなにしてんのよ!?」 「えっ? プレゼントだよ♪」 「だよね~、プレゼントだよね~♪……じゃなくって!!」 「ホムウウウゥゥゥゥゥゥーッ!?!?」コドモオオォォォーッ!? ペチペチペチ… ポロポロポロ… 「マギャアアァァァァァァーアアアァァ…」ヘンジシテエエエェェェェ… ペチペチペチ… ポロポロポロ… 「だって……こんなにかわいい仔達なのに……さやかちゃんに飼われるんだよ! そんなの絶対おかしいよ!」 「いやいやいや! その意見はおかしい……多分」 「さやかちゃんに飼われたら、かわいいこの仔達がこれからどんな目に合わされるか……」 「うーん……その辺は否定できないけど……」 「それならわたしがいっそ!! と思って、この仔達に幸せの絶頂で苦しまずに逝ってもらたんだよ♪」 「そうだったんだー! さすがアタシの嫁! 優しさのプレゼントだったんだ♪」 「てぃひひ♪ わかってもらえて嬉しいよ♪」パッ…フリフリ… ポトポトン… 「ホムウウゥゥゥ…」コドモ… コネコネ… ポロポロ… 「マドドォォォ…」マザッテル… コネコネ… ポロポロ… 「終わり」 ジャンル:さやか まどか まどカス 虐待 飼いほむまど家族 感想 すべてのコメントを見る カス?優しさだろマジで
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赤い大きなクリスマスプレゼント(アカいオオきな~) p e 属性 火 コスト 13 ランク A+ 最終進化 A+ レベル HP 攻撃 合成exp 1 150 100 ? 60 300 200 ? 最大必要exp 35,620 No. ???? シリーズ クリスマスプレゼント Aスキル - Sスキル - 売却価格 110,000 進化費用 - 進化元 - 進化先 - 入手方法 進化 備考
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みーちゃんへのプレゼント 白鳥歌野 背景解放前 背景解放後 CV 諏訪 彩花 ステータス ※ステータスの数値は初期値になります。 型 属性 レア度 HP ATK 踏ん張り 速度 CRT コスト SP 範囲型 緑 SR 1780 3960 A+ B- C+ 20 27 リーダースキル ハイパーな私 緑属性の勇者のHP+20% 必殺技 バナァーナウィップ 種別 効果 ゲージ 技再使用時間 敵踏ん張り減 8倍ダメージを円範囲の敵に与え、20秒間範囲内の敵の踏ん張り10%減少 1 30秒 アビリティ エクセレントなプレゼント 発動条件 効果 痛根 被クリティカル時、10秒間自ペアのCRT+200、ATK+5% 神花・覚醒 神花/覚醒時 獲得精霊 初回神花 二回目回神花 三回目神花 R覚(緑) SR覚(緑) 一定覚醒値報酬 必要覚醒値 7 【背景絵】&SR覚(緑)×5 神花解放 段階 必要コイン 必要属性結晶 上限Lv30 6,000 緑の欠片x5 上限Lv50 24,000 緑の欠片x8 緑の結晶x4 上限Lv70 - - ボイス 1 - 2 - 入手方法 イベント「7月 HAPPY BIRTHDAY」ステージスコア全獲得報酬、バトルドロップ報酬 名前
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プレゼント・フロム LEMONをお気に入りに追加 情報1課 <プレゼント・フロム LEMON> #bf 外部リンク課 <プレゼント・フロム LEMON> ウィキペディア(Wikipedia) - プレゼント・フロム LEMON Amazon.co.jp ウィジェット 保存課 <プレゼント・フロム LEMON> 使い方 サイト名 URL 情報2課 <プレゼント・フロム LEMON> #blogsearch2 成分解析課 <プレゼント・フロム LEMON> プレゼント・フロム LEMONの82%は保存料で出来ています。プレゼント・フロム LEMONの14%はアルコールで出来ています。プレゼント・フロム LEMONの2%は嘘で出来ています。プレゼント・フロム LEMONの1%は呪詛で出来ています。プレゼント・フロム LEMONの1%は微妙さで出来ています。 報道課 <プレゼント・フロム LEMON> gnewプラグインエラー「プレゼント・フロム LEMON」は見つからないか、接続エラーです。 情報3課 <プレゼント・フロム LEMON> #technorati マンガとは マンガの33%は厳しさで出来ています。マンガの30%はカルシウムで出来ています。マンガの25%は元気玉で出来ています。マンガの9%は毒物で出来ています。マンガの1%は月の光で出来ています。マンガの1%は毒電波で出来ています。マンガの1%は魂の炎で出来ています。 28589.jpg?_ex=300x300 s=2 r=1 ヨスガノソラ 春日野 穹 -すくみず 楽天売れ筋ランキング レディースファッション・靴 メンズファッション・靴 バッグ・小物・ブランド雑貨 インナー・下着・ナイトウエア ジュエリー・腕時計 食品 スイーツ 水・ソフトドリンク ビール・洋酒 日本酒・焼酎 パソコン・周辺機器 家電・AV・カメラ インテリア・寝具・収納 キッチン・日用品雑貨・文具 ダイエット・健康 医薬品・コンタクト・介護 美容・コスメ・香水 スポーツ・アウトドア 花・ガーデン・DIY おもちゃ・ホビー・ゲーム CD・DVD・楽器 車用品・バイク用品 ペット・ペットグッズ キッズ・ベビー・マタニティ 本・雑誌・コミック ゴルフ総合 ページ先頭へ プレゼント・フロム LEMON このサイトについて 当サイトは漫画のタイトル毎にインターネット上の情報を時系列に網羅したリンク集のようなものです。ページをブックマークしておけば、ほぼ毎日その漫画のタイトルに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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朝 咲「…………なにこれ」 『誕生日おめでとう。プレゼントを贈ります。清澄高校麻雀部、龍門渕グループ一同』 咲「……プレゼントって、この大きな箱?……こないだ読んだ小説に出てきた棺みたい……」 咲「持ってきたハギヨシさんは『おめでとうございます』ってさわやかな笑顔で言って帰っちゃったし」 咲「……とりあえずリビングに運んでもらったけど……大丈夫かな?」 咲「……開けるしか、ないよね」ビリビリ 咲「ん?なんだろうこの紙……」 Kちゃん、誕生日特別仕様 咲「……等身大?」パカッ 京太郎「……っ!……!!」執事服+猿轡+リボンで縛られた京太郎 咲「…………」パタン 咲「……落ち着こう」 咲「……よし」パカッ 京太郎「……っ!……っ!っ!」執事服+猿轡+リボンで縛られた京太郎 咲「……最高のプレゼントをありがとう」 咲「そっか……京ちゃんがプレゼント……」ジュルリ 京太郎「!?」 咲「ね、京ちゃん。ありがたく"貰う"ね?」 咲「……私が貰う側なのに、あげちゃうなんて」 京太郎「うるせー。お前とはそもそも体力から違うんだよ」 咲「最初だけでずっと京ちゃんの好きにされたし……」 京太郎「お前……むしろそっちの方が喜んでなかったか?」 咲「……知らないもん」 京太郎「へぇ……じゃあ確かめてみようか」 咲「え?ちょっと、私もう限界……んっ……」 京太郎「俺はまだいけるんでなー……まだ誕生日終わってないし、欲しいんだろ?もっともっとやるよ」 カンッ!!
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届くかどうか分からないけど、でも、やる事が大事。 届くかもしれないし、届かなくても自分で届けると信じる事が大事。 だって、いつも「信じる心」が試されてるから。 去年の冬には送れなかった。 その事を少しだけ後悔しながら店の前まで歩いてきた。 取材のついでにプレゼントにいいお店をちょこっと調べて、この店に決めた。 公私混同とは思うけど、まぁ、これくらいは許してくれると・・・思う。 前のクリスマスの時は、伏見藩国で国の中で買ったけど、広い世界に出て色々あるなぁとちょっと思った。 この店はほんの少し値が張るけど高価すぎず、シンプルで使いやすいものが多いと評判だった。 安くて良いものもいいけど、クリスマスプレゼントくらいはちょっと高くて良いものもいいかなという感じでこの店に決めた。 ひとまず店の中に入ると、目の前に大きな時計に目が奪われた。 童謡の大きな古時計に出てくるような時計がしっかりと時を刻んでいる。 ショーケースのようなものはなく、木製の棚にそれぞれの品を陳列していて、自由に手に取って見れる形式らしい。 客は今、自分ひとりしか居ないようで、主人もカウンターでなにやら新しい商品のデザインをしてるようだ。 この店の人気の理由は、実は金額だけでなくこの主人が直接デザインした凝った意匠にもあった。 個人工房と専売契約しているらしく、その工房から直接ここへ商品を出しているらしい。 ほぼ一点ものでプレゼントするにはうってつけ、という風に教えてもらった。 お店の中をとりあえず一周して、商品をざっと見る。 棚が商品の金額によって分けられているため、予算内で収まるものが見つけやすかった。 とりあえず、何がいいだろう。 ミサンガは送ったから手首につけるものはもういいかな・・・。 かといって、ペンダントとかだとなくしやすそうだし。 いつもつけてもらいたいからなぁ・・・。 うーんとうなりながら棚を見つめていると、ひょこっと雷鼠と風鼠がポケットから顔を出した。 二柱はちゅーと言いながらポケットから出てきて、風鼠はぴょんと飛んで、雷鼠は服を伝って自分の頭の上に収まった。 一緒に考えてあげるとのことで、二柱を頭に乗せながら棚を見て回ったけど、その姿を他の人に見られなくて良かったとちょっと思った。 しかし、二柱の助力も甲斐なく陳列商品にはあんまり良さそうなものはなかった。 流石に良いのは、既にクリスマスプレゼント用に買われているようだ。 店の主人に聞こうかと思ったけど、流石に集中している中に声をかけるのは気が引けて、店から出ようとしたとき。 二柱が頭の上からぴょんと飛び降りて、そのまま主人のいるカウンターへと向かってしまった。 慌てて追いかけたがスピードが速く、そのままカウンターの上まで登ってしまった。 「ん?」 「あ、すみません。」 二柱が一生懸命にスケッチブックを覗いているのに気づいて、反射的に謝ってしまった。 「すみません。自分の鼠で。お邪魔してすみません。」 「いえいえ。大丈夫ですよ。気に入ったものはありましたか?」 「一通り見せてもらったのですが、中々難しくて。」 「プレゼント用?」 「はい、クリスマスプレゼントに。」 「・・・彼女宛かな?」 「え、・・・ああ、ハイ・・・。」 何となく気恥ずかしくなって尻すぼみな返事になってしまった・・。 店の主人は壮年の男性で、そんな様子の自分を見みるとそうかーと破顔している。 何はともあれ、声をかけることが出来たんだから、相談でもしてみようと話しかけた。 自分のイメージを説明していい商品がないかどうか尋ねると、やはり良さそうなのは売れてしまっているとのことだった。 「もう少し早ければねぇ。」 「そうですかぁ・・。」 その時、カウンターの上の二柱がちゅーと鳴いた。 主人にはただの鳴き声に聞こえただろうが、この絵のがいい!とのことらしい。 主人が二柱の声で自分のスケッチブックを覗くとヒゲの生えた顎に手をかけて何やら考えている。 雷鼠と風鼠を交互に見ると、今度はスケッチブック手にとってうーんとうなる。 スケッチブックには色のついていない二本の棒のようなものが×の字で描かれていた。 それが具体的に何かと分からなかったのは、色がついていないせいだった。 しばらく考えていた主人は、色鉛筆を取り出すとおもむろにスケッチブックに色を付け始めた。 そのまま帰ることも出来ないのでしばらくそのままカウンターの前に立ち様子を伺う。 しばらく細かく器用に鉛筆を取替え動かししているとその動きが止まった。 「よし。これどう?」 そう言うとスケッチブックをカウンターの上に置いた。 覗き込むようにして全員でスケッチブックを見る。 そこには2色の綺麗な色のヘアピンような髪留めが描かれていた。 黄金でもない淡く綺麗な黄色と透き通って見えそうな綺麗な青色で、まるで雷鼠と風鼠の色を映したようだった。 すごくよかった。ほとんど一目ぼれ状態。 「いいです!これ、いいです!」 「そうかー。じゃあ、これにする?」 「え?」 一瞬言っている意味が分からなかった。 でも、すぐに言葉の意味を頭が理解した。 「いいんですか・・・?」 「いいよいいよ。この二匹のおかげでこの色思いついたから。」 そういうと人差し指で雷鼠と風鼠の頭をぐりぐりなでる。 僥倖とは、まさしくこのことだ。 「予約って形かな。完成したら知らせたいけど連絡先は?」 「あー・・えっと、すみません。実は旅の途中で寄ってて。2、3日ならここの宿に泊まってます。」 「じゃあ明日の朝一に工房に持ってってどれくらいで仕上がるか相談してくるから、明日中には連絡入れるね。」 「えっ、いいんですか?・・・でも、そこまでしてもらったら悪いです。」 「いいよいいよ。気にしなくても。じゃあそういうことで。」 「・・・はい。ありがとうござますッ。」 雷鼠と風鼠もそろってありがとうと鳴いた。 /*/ その翌日、連絡をもらって2週間ほどで出来るとのことだった。 工房の職人さんもやる気を出したらしく、必ず仕上げると断言したそうだった。 そして、2週間経った後、同じ店の前にやってきた。 「こんにちはー。」 「あ、いらっしゃい。出来てるよ。」 カウンターまで近づくと主人が奥の棚から箱を取り出してきた。 箱を受け取って開けてみる。 あの時のスケッチブックと同じ色のものがそこにはあった。 主人の方を見るといい笑顔で返してきた。 一本一本外して単独で使うこともできるし、×の字にして一つの髪留めとしても使えるとのことだった。 単色なのに色が映えている。しかも割としっかりと出来ている上にすごく軽い。 聞いていた値段以上のものなのは間違いない。 「すごくいいですっ。・・・でも。。。」 「お金はあれでいいよ。原材料費も意匠代も変わらないからね。」 「でも・・・」 「工房のオヤジが張り切っちゃったせいだから。」 言いたいことが分かっていたのか、見透かしたように説得してくる。正直、勝てる気がしない・・・。 欲しいという気持ちと、でも悪いという気持ちの中で結局欲しい気持ちに負け、向こうの言い値を受け入れる形になった。 「あ、そう言えば、あの二匹は?」 「今、ポケットの中で寝てます。」 「そうか。じゃあ、これを二匹に渡しておいて。」 そう言って、もう2つ箱を取り出してきた。 中には小さな筒がそれぞれ収まっていた。 筒の真ん中には丸い小さな玉が嵌っていて、それが髪留めと一緒のものだという事がすぐに分かった。 「これは?」 「髪留めの報酬ってところ。材料が余ったから作ったんだとよ。」 「いや、でもこれまでもらう訳には。」 「じゃあ、あれだ。二匹にクリスマスプレゼントってことで。」 「でも。。」 「人の好意は受け取る受け取る。それくらいやった所でこの店潰れないから。」 人のいい笑顔に気圧されて、そのまま受け取ってしまった。 しっぽ飾りで黄色は雷鼠、青は風鼠にへとのことだった。 二匹にはプレゼントとして送っておいてということだったので、箱から出さずにそのまま髪留めの箱と一緒にしまった。 主人に笑顔で見送られてそのまま店を後にした。 見送りの際にいい仕事をありがとうとまで言われてしまった。 自分も人も信じられなかった去年が嘘みたいだった。 動くことで変わる事がある。 もう一度、自分の信じる心を、信じよう
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《バースディ・プレゼント》 通常魔法 次の効果から1つを選択して発動する。 ●自分の墓地の「あずさ」と名のついた天使族・光属性モンスター4枚を対象として発動できる。 そのモンスター4体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はカードを2枚ドローする。 ●自分の墓地の「あずさ」と名のついた天使族・光属性モンスター2枚を対象として発動できる。 そのモンスター2体をゲームから除外する。 関連カード あずさ
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届かない恋‘13 届かない恋‘13 アーティスト 上原れな 発売日 2013年11月6日 レーベル F.I.X.RECORDS デイリー最高順位 10位(2013年11月6日) 週間最高順位 10位(2013年11月12日) 月間最高順位 35位(2013年11月) 年間最高順位 253位(2013年) 初動売上 3608 累計売上 7296 収録内容 曲名 タイアップ 視聴 1 届かない恋‘13 WHITE ALBUM2 OP 2 さよならのこと WHITE ALBUM2 ED 3 closing 13 WHITE ALBUM2 挿入歌 ランキング 週 月日 順位 変動 週/月間枚数 累計枚数 1 11/12 10 新 3608 3608 2 11/19 ↓ 1206 4814 3 11/26 712 5526 4 12/3 583 6109 2013年11月 35 新 6109 6109 5 12/10 335 6444 6 12/17 318 6762 7 14/1/5 272 7034 2013年12月 ↓ 925 7034 8 1/7 262 7296 WHITE ALBUM OP 前作無印 2 次作 夢幻水樹奈々 届かない恋‘13 WHITE ALBUM ED 前作無印 2 次作 赤い糸Suara さよならのこと