約 31,756 件
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/481.html
このページはこちらに移転しました 親父へ 作詞/81スレ496 花嫁姿想像して 通勤中にやけるくらいなら 娘がお嫁に行くまで 長生きしてください 黒枠の写真で 出席するんじゃありません 妹がかわいそうじゃないか 俺が親父代わりなんて 妹がかわいそうじゃないか せっかくのウェディングドレス 頼むから 長生きしてください 頼むから お元気で きもくてもいいから 娘にだけ甘くていいから お願いです それだけは (このページは旧wikiから転載されました)
https://w.atwiki.jp/odenfan/pages/189.html
ダメ親父 曹魏のプリンス、曹丕のこと。 父は曹操、嫁は甄姫、息子は曹叡。 モブでも顔有りでも何ら変わりがないダメっぷり(例:出撃直後にピンチ)から、視聴者より愛をこめて『ダメ親父』と呼ばれる。
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/245.html
親父が来る その2から ……この親父、家族愛に訴えてまで、娘を怖がらせようとしている。しかし怖がらせたところで、この親父に何の見返りがあるというのか。ある意味なけなしの父娘の絆をまた損なうだけじゃないのか。 それにしても、こいつもまたダブル・バインドだ。まともに受け取れば冗談にして茶化すことができるし、相手にしなければ親の死に冷淡な態度を非難できる。いずれを選んでも、向こうに負ける余地はない。 おれはハルヒの反応を見ようと後ろを振り返った。 「ふう。で、その不幸の手紙は何人に出せばいいの?」 おい、ハルヒ。いきなり《肝心なことは聞いてない》攻撃か? 「バカ娘、そうじゃない。死を回避する方法はないんだ」 そうだ、そういう設定だろ。 「人間いつかは死ぬわよ!」 一般論!! 「だからいつ死んでもいいように、今日の今この時を一生懸命生きるの! キョン、あたし何か間違ったこと言ってる?」 「いいや。間違ってなんかないぞ」 おれは首を振り、親父さんは天井を見上げ、ため息を付いた。 「おれが死んでも悲しくないか、バカ娘?」 「悲しいに決まってるでしょ、このバカ親父!あたしはまだいいわ。キョンがいるもの。でも、あんた、母さんをどうする気よ!? 俺と同じくらい長生きしろって言って結婚したんでしょうが!? あんたが死んで、母さんに、もしものことがあったら、生きてようが死んでようが、あんたをただじゃおかないからね! こんなとこで油売ってるんじゃない!! はやく母さんのところに行きなさい!!」 ハルヒのすがすがしいまでの正論が、親父の悪ふざけを打ち砕いた瞬間だった。 「お、おう。……キョン、邪魔したな」 「いや、大丈夫です。親父さんこそ、気を付けて帰って下さい」 「ふん、この先、50年は死ねそうにないぞ」 「100年よ」 「と、言ってやがる。あーあ、太く短く生きるはずだったんだがな」 「太く長くてもいいじゃないですか」 「人ごとじゃないぞ、キョン。おまえも、《死ねない》一人だ。しかも名簿の順位は一位だぞ。……ほんとに、そんな奴で良かったのか?」 「はい。こいつがいいんです。こいつ以外考えられない」 「バカップルが感染(う)つるから、帰る」 それから振りかえらず、親父さんは帰って行った。 その圧倒的勝利を祝福しようと向き直ると、ハルヒは涙目だった。 「キョン! ど、どうしよう、親父、死んじゃうかも」 やれやれ。このときおれが、思わず吹きだすのをどれだけ必死の思いで堪えたか、とても言葉じゃ伝えきれない。 「あの親父さんが死ぬわけないだろう。呪いだか何だかしらないが、たとえ超常的な何かが起こったとしても、おまえのタンカやまっすぐな思いに勝てる呪いなんてあるもんか」 このあと、泣きじゃくるハルヒをどうやってなだめ、なぐさめたとか、記録しておく値打ちもないだろうから割愛する。人と人が同じ気持ちになり、そのことを確かめるために長いことやってきたあの方法、二人で腕を回して、互いに相手を自分の中に感じる以上のことは何もないからだ。 後日、親父さんからおれのケータイに電話があった。 「あれから、昔のバカ同級生とまた集まったんだがな。おれが披露した話が、きわめつけに評判悪かった。まあ、しょうがないけどな」 やれやれ。まったく、世の中には、家族を脅かして喜び、それを手柄話のように語りあう、悪趣味なバカ親父たちがどれくらいいるんだろう? 「だが、ハルキョンの人気はうなぎ登りだ」 「ハルヒはともかく、おれはなにもしてませんよ」 「そんなわけがあるか。ハルヒはあの後、緊張が切れて泣いただろう? 舐めるなよ。バカ親父だって、親なんだからな」 それを時々思い出させるんじゃなくて、いつも親らしくあってほしいと願うのはおれだけだろうか。 〜おしまい〜 二人は暮らし始めました シリーズ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 9日目 10日目 二人は暮らし始めましたー外伝 ハルキョン温泉旅行 その1 その2 その3 その4(最終回) 二人はひきこもりました その1 その2 その3 二人は暮らし始めましたー場外 親父が来る その1 親父が来る その2 その3
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/59.html
ハルヒと親父1 ハルヒと親父シリーズ第一作目です。 ハルヒの親を出すことについては2つありました。 ひとつは、原作では最強のハルヒに、それ以上のカードをぶつけてみると、ハルヒのかわいさに別の角度から光が当たるのではないか、ということ。 これは、原作では唯一ハルヒに意見する、ノーと言えるキョンとハルヒとのやり取りが(キョンの語りという、強力なフィルターを介してさえも)、デレ成分が見え隠れするほどのものになっていることからの類推です。 もうひとつはライトノベルにありがちですが、登場する大人たちが「書き割り」のようで、主人公たち少年少女を遠くから見守りはするものの、暑苦しく絡んできたり、乱入して迷惑をかけたりは、あまりしないが、これはつまらないという考えです。 大人というのは、実はけっこう迷惑なものだ(若い人は誰だってそう思ってるだろ)という認識に立って、最も「迷惑だけれど逃げられない大人」とはすなわち親だろう、という発想に到達しました。 ここに「性格以外」はすべてがすばらしいハルヒの親だということで、無駄に高いスペックを搭載した「親父」が誕生した訳です。 この話、語り手がコロコロ変わって読みにくくてごめんなさい、ですが、このときはまだ、「いざとなれば、会話だけになっても構いやしない」とまでは腹が据わってなかったです。ただキョン、ハルヒならまだしも、親父、母さんに語り手をまかせる気になれなかったので、涼宮両親だけの場面は(初登場のオリキャラだというのに)語り手なしの地の文なしという暴挙に出ました。 「小説というものは、どの部分を取り出しても、誰がどのセリフをしゃべっているのか、わかるように書くのが基本だ」という指摘があったのも、もっともなところです。
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/197.html
「ハルヒと親父」シリーズをはじめて、なかなか決まらなかったのがキョンのスタンスというか、キョンと親父さんの関係です。親父さんはどこまでいっても親父さんですが、キョンは相手によって対応を変えるタイプなので、どういう関係かが決まらないと態度が決まりません。「彼女の父親」「娘の彼氏」というのは、ただでさえ思うところが複雑なので、最初の頃はほとんどキョンと親父さんの絡みは回避されてました。 登場人物それぞれの「性格」と、登場人物の間の「関係」は、ネットワークでいうところの「ノード」と「パス」なので、どちらから決めても良いわけですが、現実的には「関係」の方が変わりやすく、その変化自体が物語だったりします。そんな訳で初期設定的には「性格」からはじめるのが手堅いわけですが、とあるSS書きとしては、性格をコトバで「説明」するなんてヤボなことは避けたい、実際の行動や他の登場人物とのやりとりの中で、それが浮かび上がるようにしたい訳で、そうするともう少しやり方を考える必要がありました。 たぶん「できちゃった」で大きかったのは、キョンの位置が、彼氏ポジションから、親父さんと形式的には同等の、父親ポジションに変ったことです。 父親なので働いて家族を養う役割を負うことになるのですが、ここでもうひとつ、キョンを親父さんと同じメディエーターという職業につけました。異なる人々や集団の間で、コンフリクト(紛争)を解消したり、合意形成を助けたりする職業ですが、親父さんが「口先で勝負」というように、平凡な普通の人間キョンも原作の中で、特殊な属性・能力を持たないために、コトバだけが頼りの、この手の作業を相当にきつい場面で何度か強いられ、やり抜いています。 物事を定義するには、どこが同じでありどこが違うのかを述べる必要があります。いわゆる類と種差ですが(たとえばラットと人間は、哺乳《類》としては同じですが、異なる《種》であるわけです)、親父さんとキョンの間に共通する部分が増えて行くほど、二人のポジションがはっきりし、キョンも親父さんに絡みやすくなってきた気がします。
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/57.html
みじかいやつ(1シーン、会話もの)の場合 (→このあたりの作品) 親父書きの場合、だいたい台詞の数行から十数行が最初に頭に浮かびます。 それで完成すれば言うことはないのですが、さて、そこからオチに持っていくのが一苦労かといえば、会話だし、適当なところで切ってやればいいや、とお気楽な考えを抱いているので、なんというか適当です。 読んでいて楽しいように、もといつらすぎないように、適度なくすぐりやボケを入れようとは思いますが、そこは親父さん、ほっといても何かやらかしてくれます。 むしろ親父さんなりハルヒなりが突っ走りすぎないように、それだけを考え祈っているような気がします。最終手段は、ジョーカーたる母さんの登場&とどめ、ですが。 ただ最初に思いついたときの、会話する二人の間で共有される空気みたいなのが、伝わればいいなと、そちらが一番意を尽くすところです。 SSの場合、登場人物の性向なり背景なりは読者さんに共有されているので、「あ、こいつなら、こんなこと言いそう」というだけで成立しちゃう訳ですが、もひとつ欲を言えば「ああ、こんなこという奴らはいいな」というところまで行ければラッキーというか。 極端な話、「ねえ」「ああ」「そうだな」「うん」だけで成り立っちゃえば、それでもいい、もう小津安二郎の世界ですけども。いや、1シーンものの究極はやっぱり小津ですね。小津の映画見て勉強しよう、と。
https://w.atwiki.jp/niconico_cookingtag/pages/154.html
■名前・シリーズ名:親父シリーズ ■通称: 特徴、傾向など 主なジャンル: タイトルキーワード:親父が○○つくった。 アイテム: 動画 【ニコニコ動画】親父シリーズ back
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/139.html
そろそろ全部のSSにコメントするのに飽きて来たので、いくつかだけ。 思いついたら、あとからコメントしてもよい訳だし。 新落語シリーズ「二十四孝」 落語「二十四孝」というのは、親孝行をさとす話でして、説教されるのはドメスティック・バイオレンスな息子(もういい歳なのに母親をすぐ殴るんです)、そんな息子を夜中じゅう蚊を追い払ってやるのは母親、どんないい説教話も、母親の子を思う心には勝てない、というのが原作です。 自分で書いているのに何ですが、原作を忘れるほどに、自然にバカップル夫婦ものになっていて、記憶が改変されるのかと思って確認しました(笑)。バカップルに敵なし、って感じですね。 この話に出てくる、全然話を聞いてもらえない古泉というのも、地味に好きです。 涼宮ハルヒの格闘 涼宮ハルヒの格闘2 会話しか書けない、と言われる親父書きが、何故か戦闘シーンの描写を必要とするバトルものが好きなのかは、謎です(笑)。意味も無く、カーアクションを入れたくなるハリウッドの映画人みたいなものなんでしょうか? この二つの話の間に、おそらく、キョンが親父に鍛えてもらう(?)二人は何故レスリングなんかしてたのか?が入るんですが、でも、この特訓って何? 特訓の効果って、さらに何? 明らかに「素」という才能で周囲を圧倒しているキョン。キョンがハルヒのケンカに参戦して活躍するなら、これしかない、と思いました。 毎回のキョンの口上も好きです。「通りすがりの雑用係だが」って、新しいヒーローものの誕生を見ましたよ、私は。 これ、止めといた方がいいけど、シリーズになるかもしれない(笑)。 親父さんと谷口くん 掲示板/足跡帳にも書きましたが、いいかげん谷口氏にツケをまわすような所行は控えた方がよさそうですね(笑)。しかし、今や、親父さんのこんな話を真面目に聞いてくれる人物を、谷口氏以外に思いつけなかったんです。ああ、あわれなり、親父さん(自業自得ですけどね)。 しかし、このSSで親父さんが語っている「ナンパ道」は、すべてエビデンスあります。有効です。SS読んでる人には不要な情報かもしれないけれど。 項目だけ作ってコンテンツを書けてない「親父さんの人生相談」は、概ね、こんな感じで語られるはずです。確かに役立つ情報なんだけど、SS読んでる人には関係なさそうなLife Hackの羅列というか。 ああ、そうか。これも、止めといた方がいいんだろうけど、毎回ふられ話を持ち込む谷口君と、それに怪しいアドバイスを与える親父さん、シリーズ化しちゃえばいいのかも(笑)! ハルヒシリーズの原作キャラは、ハルヒと谷口だけで、あとはみんなオリキャラだという「谷口原理主義者」の方にも、喜んでもらえるSSをつくろう(無理だろうな)。 新落語シリーズ「三年目」 キョンの態度がルートごとに全然ちがってるじゃないか、というコメントを貰いましたが、原作での三人娘に対する態度だって相当違います(笑)。というか、そういう話じゃないのか、ハルヒシリーズって。 そして例のバカップルは、物語の筋まで改変して、遁走します。おまえらな(笑)。 辞書シリーズ/国語辞典:よばい 「名は、最も短い呪(しゅ)」だと安倍晴明は言ってますが(夢枕獏の小説で、ですけど)、ハルヒはキョンに自分の名前を呼ばせながら、キョンの名前は呼ばないんですね。自分の名前を呼ばれると、相手に魂を捕われると言いつつも。 この関係は何かよさげだと思ってSSにしたんですが。 辞書シリーズは、SS書き出した頃の奴が多いんで、ちょっと手の荒さが目立ちます。ご容赦を。
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/106.html
「ハルヒと親父」以外の話を、《バカ順》に整理してみたのだけれど、改めて「とてもバカ」な話が多いように思う。要するに好きなのだ。「ハルヒと親父」は、「ちょっといい話」の流れにバンバン「バカなやりとり」を入れられるので、一番のお気に入りなのだろう。 しかし好事魔多し。最近、キョンも言うようになって来ているので、さっきキョンが親父にバックドロップを習う話を書いてみたら、あまりにカオスなことになってしまった。三沢(プロレスラー)が試合中のバックドロップで亡くなっちゃうし(合掌)、立ち直せて公開可能となるかは結構微妙。バックドロップの考案者、「鉄人」ルー・テーズは、相手の実力に応じて投げる(落とす)角度をかなり変えてたんですが。合掌。 閑話休題。 みぞのの鏡 辞書シリーズ/英和辞典:I love you. この辺りは、スレに投下した際に「キザキョンだ」「キザキョンだ」と言われたSS。 《キザキョン》というのは、あらゆるサインを見送り、フラグを壊しまくっている、能動的朴念仁キョンに、気のきいたセリフやアプローチはあり得ないだろう、というチェックかな、と深読み。 親父書きとして《言い訳》するなら、このキョンは、ちょっと涼宮オヤジが混じって来てるんですね(笑)。キョン親父化計画の初期を描くSSでした(っておい)。 いつかキョンも、オヤジのようになれるんだろうか、という好意的コメントもあったんです。親父さん、大人気じゃないか(笑)。俺は嫌だぞ、こんな親父(笑)。 「みぞのの鏡」は、言わずと知れたハリー・ポッターのThe Mirror of Erised(Desireの逆綴り)の松岡訳です。 こいつは、トレーニングなしで誰でも使える(つまり素人さんが覗いてもちゃんと望んだ未来が見える)魔道具でして、レプリカならアマゾンなんぞでも買えます。 またダークミラー(黒い塗装を施した凹面鏡)や水晶球等の小道具を使用すると比較的に早く“みぞの鏡”を覗けることが知られています。興味のある方はどうぞ。オカルト一行豆知識でした。 「みぞのの鏡」は、タイトルだけでストーリーがすべて分かってしまうような話です。 もともとキャラ・スレで「鉄板カプ」が出てくるとなると、もうプロットのレベルでは大方決まって来ます。大雑把に言って、話のきっかけが膨らんで二人の(物理的・心理的)距離を大きくして、クライマックスでの解決が、その距離を縮めてハッピーエンドです。 しょうがないので半分あたりまで(起承転結の起承ですね)読み手の予想どおりを進むことにします。鶴屋さんがいう「大方未来のバカップルが見えたっさ」というのが、ほとんどの読み手が予想している(いてほしい)結末です。 さて、作る側としては、そこまで書いておいて、後から(予定どおり)悩みました。物語中盤で登場人物が述べた結末は、探偵小説と同様、書き手としては採用できません。それ以外の結末で、それ以上に読み手を納得させるものを探すわけです。ここでは、「未来のバカップル」以上のものとして「今現在のバカップル」というカードを使いました。 これは原作の世界観や登場人物を継承すべきSSとしては、やりすぎです(スレでは、もはや常態になってますが)。チェックが入るのもむべなるかな、ですが、ここではこれ以上の結末を思いつけませんでした。 歴史改変阻止シリーズ 「記念日の人」の影響で書いてみたシリーズ。やっぱり3日坊主で終わった(いや、いくらでも続きは書けるはずなのだが)。やってみて、あらためて「記念日の人」の偉さがわかったというシリーズ。 いや、ハルヒが阻止したそうな歴史的事件って、ストライク・ゾーンが狭いんですよ。いや、これは私の発想の狭さ(貧困さ)を責任転嫁しているだけか。見に行きたい/参加したそうな歴史的事件は多そうだが(こっちの方が歴史は改変される可能性が高いが)。 「これから時空ダイアグラムについて話すつもりだが、 その前に、各自過去に戻って見てみたいと思う歴史上の出来事を十件だけ書き出してみよう ——もちろん、ショパンの演奏は別にしてだよ」 (クリフォード・A・ピックオーバー著、青木薫訳「2063年、時空の旅」) 引用はブルーバックスに翻訳がある一冊から。 一人旅に必要な事 エピソード「スキとキス」 一人旅シリーズ終盤で登場した、バツイチキョンの連れ子アキちゃんは、もっと出したいキャラ。 素朴な疑問をぶつけまくったり、ママとの面会日のエピソードとか。 オリキャラの二乗のキャラなので、スレ投下せず、このwikiだけの登場が適当かな、とも思う。思案中。
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/22.html
ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その6から 真夜中にはまだ間がある時間にコテージを飛び出し、結局、空の一角が明るくなるまで、ハルヒと俺は、東を向いて歩いた。 俺には自分たちがどこに向かっているのか、それにどれだけ進んだのかさえ、見当もつかなかったが、俺の手を引くハルヒの手は、大丈夫こっちで間違いない、とずっと言い張っていた。 あとで知ったことだが、俺たちが歩いていたのは、この島の一番長い道だった。 元はレールが敷いてあったらしい砂利道で、今はなくなった鉄道は、最初の夜に食事をした繁華街の外れにあるセントラル・ステーションを発着駅にしていたそうだ。 「キョン、お腹がすいたわ。しかも小腹ってレベルじゃなくて」 「俺も腹ぺこだ、ハルヒ。ここで『だから、おまえの太ももをよこせ』といえないのが全年齢対応のつらいところだ」 「言えたら、それはそれで、別の意味でつらいことになりそうね」 「ぐあ!!」 「……」 「……ハルヒ。おまえの蹴りで意識と体力の残量をほとんど失ったが、自分を取り戻した」 「よかったわね。さあ、あんたにあげたパスポート・ケースを出しなさい」 「ここでか? ん……ほら」 「……なんで、そんなところから出てくるのよ?」 「最初は首から下げてたんだが、そうもできない時と場合があるだろ。首から下げるのはいいアイデアだと思うが、未成年とか枯れた夫婦向けだと思うぞ」 「あたしたち、未成年なんだけど」 「……」 「はやく正気に戻りなさい。それと、とにかくケースを出して」 「ああ」 「中を見て」 「俺のパスポートが入ってる。そっちは?」 「はい、これがあたしのパスポート。それから、布製ケースを裏返すと、お約束だけどもうひとつポケットがあって」 「クレジットカード……と、そっちは?」 「国際テレフォンカード。まあ、クレジットでかけられる公衆電話もあるけどね。はい、あんたの分も出して」 「といっても入れた覚えがないものを……あれ?」 「あんたが寝てるうちに入れといたわよ。テレフォンカードはあたしのだけど、クレジット・カードはあんたのを。……うっとうしいから、子犬のような濡れた目でこっちを見ない。とにかく、何か食べに行くわよ.その後は、どこかで少し眠らないとね」 「おはよ、お父さん」 「おはよう、母さん」 「部屋の入り口に立って、何をしているの?」 「部屋の扉の気持ちになって、人生の意味を考え直してた」 「顔を洗いに行きたいわ」 「どうぞ、通ってくれ。自動ドアなんだ。『オープン・セサミ(ひらけゴマ)』と言ってくれさえすればいい」 「オープン・セサミ」 「ウイ・マダム」 「できれば、木製の扉に戻って来てもらえないかしら?」 「話してみる。だが難しいと思う。多分、話をするのも難しい」 「反省してる?」 「反省している」 「ひさしぶりに、お父さんの朝食が食べたいわ」 「ウイ・マダム」 「それを食べたら、あの子たちを迎えに行きましょう」 「母さん。できればケンカ両成敗という言葉も、思いだしてもらえるとありがたい」 「親子ケンカにも適用できるのかしら?」 「あとで調べてみる」 「じゃあ、それぞれ、やるべきことにとりかかりましょう。……今日もすばらしい一日になりそうね。そう思わない?」 「うがらがえしゃえがが!」 「ハルヒ、食べるのか、しゃべるのか、どっちかにしろよ」 「……んぐ。これ、おいしいわね、キョン!」 「ハルヒ、食べるのに、しばらく専念して良いぞ」 「そうする」 街に入ると、開いている店は少なかったが、通りには屋台がけっこう出ていた。 いつかとおなじように「目に入った最初の店」に入ることを事前に決めていたので、どの屋台で食べるかはすぐに決まったが、メニューが「山賊」と「海賊」しかないので少し焦った。 ハルヒは迷うことなく「海賊」(定食なのだろうか?)を選び、俺はなんとなく「山賊」(ランチというには時間が早い)を選んだ。 ハルヒは一瞬、気に食わない、という目になったが、「パイロットと副パイロットは違うものを食うんだ」と説明したら納得して機嫌をなおした。 「らがえしゃえうががが!」 「ハルヒ、食べるのか、しゃべるのか、どっちかにしろよ」 「……んぐ。さっき言い忘れたけど、当然副パイロットはあんたの方だからね、キョン!」 「わかってる。ほら食え」 「そうする」 出てきたものは、どちらが「海賊」か「山賊」か、もう一度出てきても当てられなさそうなくらい、同じくらい濃い味のついた、とんでもない量のふたつの炒めものだった。 途中で、ハルヒの例の悪い癖が出て、俺の分を横取りして食べだしたので、おれもハルヒの分を食べた。 それでも正直どちらが「海賊」で「山賊」なのか、区別がつかなかったが 「きらがへえしゃうがが!」 「ハルヒ、食べるのか、しゃべるのか、どっちかにしろよ」 「……んぐ。何いってんのよ!両方とも全然違うわよ。目をつぶっても区別がつくわ」 「じゃ、どっちの方がうまいんだ?」 「なかなかいい勝負ね」 「……俺の分も食っていぞ」 「言われなくてもそうするわ」 「ああ、よく食べたわね。眠くなったわ。ほら、キョン」 「なんだよ」 「眠るから、膝を貸しなさい」 「なぜ?」 俺も眠いから、宿とか探したほうがよくないか。 「雑用係の膝は、団長の枕となるために作られたのよ」 誰にとってだ?神か?それともお母さんか? しかし、言うが早いか、ハルヒはいきなりその頭で、おれの膝と太股を占拠する。 「これよ、これ。さすがSOS団クオリティね」 「よくわからん」 「じゃあ、おやすみ」 「ちょっとまて。せめて屋台の椅子はやめたらどうだ?」 「なによ、あたしたちは客よ。客が屋台で寝てどこが悪いのよ!」 客のつもり満々だが、理屈はヤクザ以下である。 「じゃ、おやすみ」 「おーい!」 困っていると、店主が「タイヘンネ。コレ、ワタシノオゴリ」という顔をして、頼んでないホット・コーヒーを持ってきた。 ひょっとすると、俺はいま壮絶な勘違いをしているのかもしれないが、南の島の人たちは人情に厚い。親切だ。いい奴らだ。そうでも思わないと、おれまでテーブルにつっ伏して寝てしまった言い訳が立たない。 「かあさん、ネットカフェに寄って何を見てたんだ?」 「ん? ちょっとブログに旅の記録と、あとクレジット・カードの使用照会をね」 「クレジット?」 「あの子たち、お財布を置いて行ってたでしょ」 「どこで使ったかまで、分かるのか?」 「きちんとしたシステムを使っているところなら、大まかには、ね。まあ、そんなお店も、キャッシュ・ディスペンサーも、この島だと、この街にしかないけれど」 「この先、絞り込むのがめんどくさい、もとい、やっかいだな」 「ハルは携帯もってるから、電話して聞いてもいいわ」 「……電源を切ってるみたいだ」 「あとは水を引っ掛けられるか、海に飛びこめば、お父さんの携帯に緊急信号が入ることになってるの」 「すごいサービスだな」 「もともとは、迷子とか徘徊老人用に開発されたそうだけど」 「そこまで知ってりゃ、捨てて逃げないか?」 「それはないわ」 「どうして?」 「モノと思い出を大切にする子だもの」 「親父も大切にして欲しいよ」 「子供もそう思っているのよ」 「わかったよ。反省している。……なんか、俺、こればっかりだな」 「たまにはそういうのも素敵よ」 「『親父のくせに生意気よ』なんて言われてる親父なんて、おれくらいだぞ、きっと」 「親父の星ね」 「黒星だ」 「キョン、いいかげん起きなさい!」 耳元でがんがん響く声。つづいて布団(?)がはぎとられる。 「それだけは!それだけは!」 「あんたはどこの多重債務者よ?」 目が覚めた。 しかし、いま俺がつっ伏しているのは、あの屋台の油っぽいテーブルではない。 冷たい床に投げ出されたハルヒの足だ。 「……ここ、どこだ?」 「あたしの膝の上」 「じゃあ、そのおまえがいるのは?」 「知り合いの家ね。正確には船だけど」 「おまえ、ここに知り合いなんているのか?」 「昔、来た時のね。お互い子供だったわ」 「今だって未成年だ」 「根に持ってるの?」 「いいや」 まさか。 「ああ、忘れてたわ。あんたのこと、しつこく聞かれたから、『日本人のお金持ち』ってことにしてあるの。そのつもりで振舞いなさい」 「なんだと?」 身代金の支払いになんて応じてくれないと思うぞ、うちの家。 「金持ちがなんで手ぶらで、知らない奴の船だか家で、膝枕で寝てるんだ?」 実際に1銭も持ってないぞ。 「財布を落としたことにしてあるわよ」 と言うハルヒ。 「お金持ちだって、時には金のない時もあるわ」 「説明なら、『団長と雑用係』でいいだろ?」 「現地の言葉、そんなに知らないの」ハルヒは横を向いてアヒル口になる。 「団長はともかく、雑用係なんて」 「英語ならオール・アット・ワークでいいみたいだぞ」 「あんたがなんでそんなこと、知ってるのよ?」 「雑用係についての、おれなりの誇りだ。プライドといってもいい」 ほんとは、某著名本格メイドまんがで読んだトリビアだが。 ハルヒは一瞬、こいつ突然何を言いだすんだ、という顔になったが、すぐにそれをおし殺して、 「ま、まあ、あんたにしちゃ立派な心がけだわ。もちろん団長と比べたら、足元にも及ばないけど」 と早口でまくしたてた。 「そんなことはわかってる。だから説明しなおしてこい」 「あーもう、そういう訳にはいかないの! あたしの演技に合わせなさい。ほら」 ハルヒは、ぽんと自分の太股をたたく。 「な、なんだよ?」 「膝枕のつづきよ」 「起きたから、そういうのはいい」 「そういう訳にはいかないの!」 「どうして?」 「日本のお金持ちは、膝枕が好きだという設定よ」 そりゃどこのバカ殿だ? ハルヒと、あーだこーだをやってると、ひょっこりと部屋の入り口から小さな女の子が顔を出した。 ハルヒと俺の顔をかわるがわる見ている。 「あの子がお前の知り合いか」 「前に来たときは、あの子はまだ生まれてなかったと思うわ。知り合いは、あの子の姉さんよ」 試しにその女の子に笑いかけてみたら、彼女はいきなり火がついたように泣き出し、逃げていった。 「ハルヒ、いま俺、どんな顔してる?」 「まぬけ面」 「子供には般若の面に見えたのか?」 「あんた、自分は子供に好かれるとか思ってたんでしょ?」 「……悪いか?」 「随分とへこんだようね」 ハルヒは、ぽんと自分の太股をたたく。 「ほら」 「な、なんだよ?」 「言っとくけどね、あたしは意地の張り合いでも、あんたに譲る気はまったくないわ」 「ああ」わかってるさ、そんなことは。「だが、向こう向くぞ」 「上等よ」 俺はしぶしぶハルヒの膝の上に頭を置いた。ハルヒには背中を向けてだ。 「……これでいいか?」 「それでいいわ」 「……何にも言わないのか」 「何か言って欲しいの?」 「いらん」 「……子供に笑いかける大人が善人じゃない世界もあるわ。大人に笑いかける子供の方もね。そういう場所で生きている人たちもいるの。あ、言っとくけど、これはあたしの独り言だからね」 「……」 「この近くに、外国人観光客が多い海水浴場があって、今日みたいに晴れた日は、そこに行くとあの子の姉妹に会えるわ。手口はこうよ。姉妹のうち、一番泳ぎのうまい娘が、溺れてみせる。砂浜では、彼女の妹たちが、大人たちの手を引っ張って、助けてくれと頼むの。大人たちが飛びこんでいくと、その騒ぎのあいだに、もう少し離れたところにいた別の姉妹が、放ってある荷物を持っていくというわけ」 「……」 「前にこの島に来た時にね、『溺れてる』彼女を助けたことがあるの。あの親父に母さんだから、盗られたものはなかったけどね。それどころじゃ、娘のあたしが飛びこんでるのに平気で談笑してた、って彼女たちからは、ボロクソに言われたらしいわ」 「ボロクソって」 「しかも親父が乗っちゃって、『やかましい!俺が300ドルで買った娘だ。生かすも殺すも俺の勝手だ』とやったもんだから、あたしは騙されたあの子たちにまで同情されて、帰る日まで『客人』扱い、迷惑もいいところよ。最後の日にみんなに手を握られて『お金ためたら、あの悪魔から買い戻してあげる』だって」 ハルヒは話しているうちに、その時の感情がよみがえったような顔をした。 「街で寝てるあんたと一緒にいたら、彼女たちに再会したの。何言われてたと思う? 『この若い男が、あたしを買い戻したのか?』って」 「ホテルにも泊まってないとすると、あの娘たちのところかしら?」 「ん?」 「お父さん、覚えてない? ハルが、溺れている女の子を助けたの」 「ああ、例の置き引き姉妹団な」 「だから、またこの島にしたんだと、思ってました」 「いや、正直忘れてた」 「お父さんって、愉快なことは一回で覚えるのに、そうじゃないことはおもしろいようにねじ曲げて覚えるから。いなかった人が出てきたり、誰も言ってない話が混ざってたり」 「しかも自分が言ったことは、たいてい覚えてないんだ」 「ハルは覚えてるわ」 「だろうな。だが水上生活してる連中は、ここらには多いし、いつも同じところに停泊してるとは限らん。こりゃちょっと骨だな」 「寝泊まりするところは違っても、お仕事の場所はかわらないわ。明日は、例の海水浴場に行ってみましょう」 「さすがだ、母さん」 「疲れてますね、お父さん」 「そうだな。それと、少し世をはかなんでる」 「そうなの?」 「ちょっぴりだけどな」 「ハルとお父さんは似てるわ。だから折り合わないのかしら?」 「あいつにも守りたいものが一つや二つあるだろう。俺の方には二つか三つある。だが、この違いがわかった時に、あいつの隣にいるのは俺たちじゃない」 「そうね」 「その時が来たら、あのバカ娘も、せいぜい焦って悔やめばいいさ。その時は、遠くから笑ってやる」 「じゃあ今は?」 「間近で笑ってやる。これもそう何時までもできることじゃないけどな」 「……明日はあの子たちに追いつきましょうね」 「ああ」 「私も本気を出します」 「だったら鬼に金棒だ」 「どっちが鬼なんです?」 「金棒じゃない方だな」 夕方になると船の家には、海水浴場から引き上げてきた姉妹たちが帰って来た。 彼女たちはハルヒを取り囲み、一斉に笑ったり話しかけたりしていた。 現地の言葉は俺にはさっぱりわからないが、ところどころでハルヒという言葉が聞こえた。 ハルヒは笑ったり驚いて見せたりしながら、しばらく思い出話に付き合ったが、早々に「今日は帰る」と切り出した。 姉妹たちは、一斉に俺の方を見た。ものすごい目つきで。 「悪かったわね」 ばつが悪そうにハルヒは言った。 「なんだ?」 「さっきの。あそこを出てくる時、すごく睨まれてたでしょ。あんたを悪者にしたみたいね」 「気にするな」 どうせ今日の俺は般若か鬼だ。 「親のところに帰る、と言ったら、よけいに揉めたんだろ?」 なにしろ親父さんは「あの悪魔」だからな。 「多分ね」 ハルヒは追い越すようにして、俺の腕をとった。 「それより、今日はどこに泊まるの?」 「クレジットが使えるところなら、どこでもいい」俺はあわてて付け加えた。 「屋台は駄目だぞ」 「当たり前でしょ。最後の夜よ」 「もう一泊あるだろ?」 「それは『家族旅行』の話でしょ?」 「そうだな、明日は合流しよう。安心しろ、一緒に謝ってやる」 「あんた、その態度は良くないわよ。あくまで共犯なんだからね」 「親父さん、あの後、絶対に寝室のドア壊したぞ」 「母さんにこっぴどくやられてるわ。モノを大切にしない人、嫌うから」 「それはそれで、かわいそうだな」 「あんた、いま誰と一緒に居るのか、それを考えなさいよね」 「正直に言うが、それしか考えてないぞ」 「う。それもちょっと嫌かも」 その8へつづく