約 31,756 件
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/234.html
ハルヒと親父2その後 一周年 その1から ハル母 さて、明日も平日だし、そろそろ今日はお開きにしましょう。 親父 キョン、客間に客用布団と着替え一式、用意しといた。先に風呂を使ってくれ。あー、それからバカ娘。 ハルヒ 何よ? 親父 「湯加減見ようか」とか「背中流そうか」とか、ラブコメな振る舞いは慎むように。親父はもう体力の限界だ。 ハルヒ どんなラブコメよ! 親父 詳しいことは言えないが、男性用だ。少年誌とはいえ、侮れんぞ。 ハルヒ いい加減にしないと、殴るわよ。 親父 もう、いい奴を2、3発もらっちまっているが。それじゃ解散。 キョン 親父さん、風呂あがりました。先にすみません。 親父 今、風呂はバカ娘か? キョン はい。 親父 じゃあ、ちょっと座っていけ。 キョン はい……。 親父 といっても、話すネタは特にないんだけどな。 キョン はあ。 親父 二人に「共通の話題」……ああ、ハルヒのことだぞ……を取り上げると、ほとんど刺し違いみたいになるしな。 キョン ……。 親父 少なくとも俺は傷つく。良く言われても、悪く言われてもな。 キョン ……。 親父 答えなくていいぞ。というか、答えんでくれ。じゃあ、なんで尋ねるんだろうな……あんなの奴の、どこがいいんだ? キョン ……。 親父 あの見掛けにあの言動だ。ヘタすりゃ、後ろから刺されるぞ。そこんとこ、本人はわざと「無頓着」だしな。 キョン あの……。 親父 お、手があがったな。発言を認めるぞ。 キョン 本人が、後ろに。 ハルヒ オ・ヤ・ジ。話があるわ、たっぷりと。話すことはないけどね。 親父 風呂、速いな。カラスの行水か。若い娘としては感心せんぞ。 ハルヒ うるさい! こういう事態を想定してちゃっちゃと上がってきたのよ! 親父 どういう事態を想定したんだか。まあ、いい。お前も座っていけ。 ハルヒ なんなのよ、もう! 親父 宛先だけ変えて同じ質問をするが、お前はこいつのどこがいいんだ? ハルヒ 他人様を「こいつ」呼ばわりしない! 親父 キョンのどこがいいんだ?と聞いている。 ハルヒ !そ、それ、は、あの、あー、なんで決めつけんのよ! 親父 自然な推論だ。嫌いな相手と一日の大半を過ごすのか、何より我慢が嫌いなお前が? キョン ……あの、いいですか? 親父 おう、キョン。 キョン 答えるな、と言われたんで、どこが良いとか好きとかは言いませんが……こいつは確かに無茶はするし、考え方が不穏当なときは多いし、一言で言ってめちゃくちゃなやつですが、人から刺されるような人間じゃないです。誰かのものを取り上げたり、誰かを押しのけて得をしようとしたり、そのために自分や周囲の人間を利用してやろうってカケラも考えないやつです。我慢したり諦めたりしている人間にうらやましく思われることはあっても、恨まれるとは考えられない。それに……こいつは俺の手を引いて、いつもどんどん行っちまおうとするんで、こいつの後ろには俺がいます。だから後ろから刺されるなんてあり得ない。あ、教室の席は前後逆ですが。 親父 ……ハルヒ、こんなの、どこで見つけてきたんだ? ハルヒ ……だから、前の席って言ってんでしょ! っだあ、キョン、あんたも何言ってんのよ!! 親父 下がってろ、バカ娘。自分の部屋で枕でも叩いて真っ赤になってろ。おい、キョン、この馬鹿に、愛想が尽きたり我慢できなくなったら、言ってくれ。後腐れ無く分かれさせるし、次の女は紹介してやる。 ハルヒ バカ親父! それが娘の彼氏に言うことか!! 親父 今はツンデレに貸す耳はない。お前は怒った振りしてごまかそうとしたことを、この男は、斜め上のコトバで答えたぞ。親父は風呂に入って、敗北感を抱えて寝る。 ハルヒ もう、帰ってくんな、バカ親父! 親父 悪いが、ここは俺の家だ。嫌なら、さっさと部屋でも借りて出ていくんだな。 ハルヒ ……あ、あんたも、もっとモノには言いようってもんがあるでしょ!! キョン ああ、すまん。 ハルヒ ったく。それにね、周りの人利用したり、誰かのもの取り上げたり、したことぐらいあるわよ。あんたもいたでしょ、その場に。 キョン 都合良く忘れてた。 ハルヒ あたしが手を引いて、あんたが後ろにいて、ってのは事実だけど。 キョン それは比喩だ。横に並んで歩いたりもするぞ。 ハルヒ そうよ、デタラメよ。口からでまかせ。でも、親父を負かして、胸がすっとしたわ。……ほ、褒めたげる。 キョン そりゃ、どうも。 ハルヒ あ、あたしが掛け値なしで褒めるなんて、めったにないんだからね! キョン そうだな。 ハルヒ なんで、そこで笑うのよ。 キョン わらってない。 ハルヒ じゃあ、にやけてる。 キョン かもな。 ハルヒ 親父じゃないけど、今日のあんた、なんかむかつく。余裕あり過ぎよ! キョン 馬鹿いえ。突然、泊まらされて、親父さんに膝つめされて、「娘をどう思う?」だぞ。一杯一杯だ。 ハルヒ あんたは追いつめられないと、本気出さないからよ。 キョン 本気なんて、それで十分だ。 ハル母 お父さん、これからお風呂ですか? 親父 母さん。キョンのやつに、あっさり、ひねられちまった。完敗だ。 ハル母 そりゃ、ハルの彼氏ですから。 親父 今だったら「ハルヒを嫁に下さい」と言われたら、OKしちまいそうだ。 ハル母 それもいいですね。 親父 そこまで吹っ切れんがな。 ハル母 二人も、もう少しは待ってくれますよ。 親父 もう少し、だけか? ハル母 それはなんとも。 親父 なんか、あいつには「こんな奴のどこがいいんだ?」といつまで経っても聞いてるような気がする。 ハル母 その度、キョン君がどう答えるか、楽しみですね。 親父 風呂に入ってくる。 ハル母 はいはい。 キョン どこまで着いてくるんだ? ハルヒ あんた、客間で寝るんでしょ? キョン そっちに布団があるんだよ。 ハルヒ 俺の意思じゃない、みたいな言い方ね。 キョン 気に入らないのか? ハルヒ 気に入らないわね。 キョン ここはお前のうちだろ? ハルヒ そうよ。親父がなんか叫んでたけど。 キョン 親父さんも、お母さんもいるんだぞ。 ハルヒ そりゃそうよ。あたしのうちだもの。 キョン なんで、俺の服の袖、つかんでるんだ? ハルヒ 離したくないからよ。 その3へつづく
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/356.html
親父抜きの大晦日その後から 「お、キョンか?雪だるまになったそうだな。悪いことをした。ノートパソコン? ああ、構わん。好きなのを使ってくれ。別に、MIKURUフォルダもHARUHIフォルダもないから、遠慮するな。あと、悪いことは言わん、NAGATOフォルダには手を付けるなよ。冗談だ」 おれは悪質な冗談を華麗にスルーし、借りうけたノートパソコンをキッチンに持ちこんだ。 「親父、OKしたの?」 「ああ、本を貸してくれ」 親父さんが断るとは全く思わなかったが、これくらいはOKしてもらわないと雪だるまが夢まくらに立つと思うぞ。 おれはネットで検索し、この小さな「フランス料理のバイブル」が、1902年にオーギュスト・エスコフィエが書いた、料理人の大きなバイブルである「Le guide culinaire ル・ギッド・キュリネール(料理の手引き)」という本を、弟子の二人が覚え書き+ガイドブックとして簡略化したものであることを突き止めた。大きな方のバイブルについては、テキスト・データを見つけ(古い有名な本でよかった)、そいつの該当箇所を翻訳サイトに流し込んだ。 案の定、珍妙な日本語が吐き出されるが、本命はこっちじゃない。続いて、おれはハルヒのお母さんによって付箋がつけられた料理名と素材名をキーワードにして検索をかけた。 「どう、キョン、いけそう?」 「ああ。この本、すごいな。検索で見つかるほとんどのレシピが、この本とそっくりだ。つまりはパクリかアレンジってことだな」 「で、肝心の分量は?」 「もちろん書いてある。この本とネットがあれば、いくらでもレシピを検索できるぞ」 「ちょっと、見せて。思ったより英語のページが多いわね。これなら、なんとかなるわ」 「プリントアウトするか?」 どうせパソコンもプリンタも無線LANでつながってる。2階に上がって親父さんの部屋のプリンタの電源を入れてくればいいだけだ。 「そうね。今見たのは覚えたけど、チェックするには紙に打ちだした方がいいわね。レシピ同士の比較もしたいし」 「よし。レシピを見つけ次第、次々印刷するからな」 「あたしは一品目に取りかかるわ!」 エプロンを着けたハルヒがキッチンへ向かうのを見届けて、おれはネットでみつけたレシピをかたっぱしからプリントアウトした。親父さんの部屋を往復し、打ちだされたレシピの束を抱えて戻ると、その到着を今か今かと待っていたハルヒが、右手にお玉を持ち、空いた左手を突き出していた。 「もう一品目ができたのか」 「たまたま作ったことがあるものだったしね。さあ、次のレシピをよこしなさい!」 「まあ、待て。同じ料理でもレシピが複数ある。どれにするか選ばんとな」 「そんなの“つくレポ”の数が多い方に決まってるでしょ!」 いや、クックパ○ドじゃないし。 「あとは、写真が付いてるやつで、調理時間の短そうなやつ。今回は時間との闘いなんだからね!」 「わかった。手間と時間がかかりそうなのは除いとく」 といっても、ネット翻訳の頼りない日本語を頼りに、判読して、より分けるのだが。 「整理が済んだら、あんたもこっち来て。レシピは読み上げてちょうだい。いちいち読んでられないから」 「見事な連携プレイ、さすがハルキョンね」 お母さんまで、それを言いますか。 どっちかっていうと、重そうな中華鍋を軽々と操る方がすごいと思うのだが。 「テコの原理で力はあんまりいらないの。中華はこの鍋一つでできるし、なにより調理が速いから有利なんだけど、日本料理は材料ごとに別々に煮たりしなきゃならないから、これくらいのハンディは大目に見てね」 大目に見るもなにも、おせち料理も勝負なんだろうか? しかも和風用の重箱は、すでに半分ぐらい埋まってますが。 「キョン、口より手を動かしなさい! ローストビーフに竹串さして焼き具合確かめて! OKならオーブンから取り出して薄く切る。肉汁はソースにするから捨てないで。」 「お、おう」 料理は、レシピを読み上げる段階から、おれの手も借りたい段階に入っていた。すなわち、予定されたすべての料理に着手し、いくつかは出来上がって来た段階だ。 お重に料理を詰めるのは、美的センス+パズル解法力が必要になるらしく、見えないようにする=片付ける、というレベルにいるおれの手に余る。したがって両手を料理用ミトンで防御し、熱いオーブン皿やらを出したり入れたり運んだりが、おれの主要業務となっていた。 しかし時刻はもう11時30分を過ぎ、キッチン・スタジアムでもないと味わえないような時間に追われる緊迫感が、容赦なくプレッシャーとなって降り注いでくる。しかし逆風こそ追い風と捉える、この天の邪鬼は、自分をピンチに追い込めば追い込むほど地力を発揮するらしい。 「厳しいかなと、少しだけ思ったけれど、間に合いそうね」 お母さん、もうお茶を飲みつつ「観戦」ですか? 「言ってなかったけれど、間に合ったら、二人にご褒美があるの。これから頼むんだけど」 「何ですか?」 「キョン、最後まで気を抜かない! 料理は、盛りつけ終わるまでが、遠足よ!」 いや、全然、遠足じゃねえ! 意味は分かるけどな。 「スキーと温泉、どちらがいいかしら? 両方、楽しめるみたいだけど。ちょっと電話するわね」 もしかして、親父さんですか? 「そう。なんでも仕事で随分と点数稼いだから、多少の無理はきくそうよ」 参加メンバーの「多少」が、世間一般で言う「多大」でないことを、今は祈るばかりだ。 親父抜きの大晦日その後^3へ
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/247.html
親父さんと谷口くん2から 「今度は思い出した。素人童貞の谷口だな」 「すみません。そんな、いきなり謝らなきゃなくなるような冠は、まだ付いてないです」 「それがいい。若いうちからエッチしてると、男と女のことを『わかった』ものとして軽く考えがちだ。『わかりきった』と思っているところにドリームは生まれないし、子供も生まれない、とみうらじゅんも言っている」 「いや、あの、すみません。直裁に言います。女の子にもてたい、否、女の子をものにしたいんです! どうか、俺みたいな者にも、すぐに役立つお知恵を」 「つまり、こういうことか。熱愛中のラブラブ・カップルの女性側の記憶を書き換えて、恋心のあて先を、そのうらやましい男からおまえに振りかえて、恋人を横取りする方法とか、そういうのが知りたいのか?」 「げ、外道ですね。そんなことが、できるんですか?」 「できるかどうかの問題じゃない。していいか、どうかだ。-----まあ、やるんだったら事故で視力と記憶を失った女性が恋人の声だけは聞き覚えているんだが、その恋人は結局『普通の結婚』がしたくて別の女に走り、その後、結婚しましたハガキを読み上げたせいで第一印象は最悪の眼科医と、二人三脚で視力を回復していく感動巨編の物語を、種まきとしてやるな。その後、相手を催眠にいれて目が開かない暗示と名前が思い出せない暗示をつかって同じような体験をさせて、最後の眼科医が包帯を解く指示と催眠の覚醒暗示はセリフが重なるようやる。『少しずつ目を開いてください。あなたが一番会いたい人の顔は見れましたか?』 あとは言わずもがな、だろ」 「こ、この人、親父の皮をかぶった悪魔だ。……いや、人として、それはダメでしょ!」 「つまりこの金の斧はおまえのではないというんだな。ぽい」 「今のが『金』だったんですか? では、『銀』コースは?」 「銀だとせいぜい、人を集めておいて、感情を煽って煽って依存状態にさせて、いちばんいい女から食うやり方とか、だな」 「鬼畜ですね。そんな方法があるんですか?」 「興味ある?」 「な、ないと言えばうそになります」 「そういう邪な心では、この銀の斧は使えん。ぶっちゃけ、適当なSNSに入ってな、『生きにくい』とか『ずっといい子だった』とか、そういうのを集めるオフを開きます、とやるんだ。前世とかアロマセラピーとか、適当なキーワードをいれとけば女子の参加が進む。開催時間と場所は、希望者から直接メールで問い合わせさせた方が,相手をある程度選んどけるから楽だ。プログラムはそうだな、最初は円になって座らせて、「幸せのブレイン・ストーミング」とか言って、幸せを連想させる言葉を参加者に順順に言わせるんだ。どんどんスピードを上げさせて、何周もさせる。当然批判なし、考える時間なしだ。言えない奴は飛ばして次の奴に進む。これやってると、参加者はだんだんハイになってくる。やり方に抵抗する奴や、全然幸せワードを言えない奴は,円の中央に座らせて、同じように幸せブレストをやる。こんどは真ん中に標的がいるから、参加者の言葉は自然と攻撃的になる。なにしろ真ん中に座らせてるのは、落ち込んでて被虐性をかきたてるような奴だからな。まあ、数分としないうちに泣くな。トラウマになるな。おまえさんは、円運動をとめて、真ん中に歩いて行って、やさしく言葉をかけて、そいつの話を丁寧に聞いてやる。そうすると、周りにいる連中も,おまえのことを何と優しい人だろうと勘違いする。真ん中の奴が落ちついて顔を上げたら、元気づける言葉を言ってやる。周りにも、ゆっくりしたペースで,元気づけることばを言わせる。どん底から浮上だな。これで,真ん中の奴はおちる。あとは、一人ずつ,順番に真ん中に入れてやる。今度は周囲の人間には、1周目は「自分のコンプレックス」を言わせてもいいな。それだけで真ん中にいる奴は,自分のコンプレックスを攻撃されていると思えてくるんで泣く。泣いたら、円運動を止めて、さっきと同じだ。今度はおまえが助けてくれることがわかってるから、それほど落ち込んでないかもしれないな。おまえは誰もが同じようなコンプレックスを抱いてるとか、適当に解説を入れて、周囲はまた励ましの言葉だ。今度は嬉しくてなくかもしれない。自分にも今言ったような言葉をかけることはできる、とかコメント入れてもいい。 だいたいは、こういう要領だ。たいして知識もいらんから、なんとか人格セミナーとかカルトなんかも使うけどな。よい子は真似するな。 大学とかで得体の知れないサークルが,女ひでりのおまえみたいなのを,女子使って勧誘に来るから気を付けな。こういうときはな、各個撃破だ。リーダーにかみつくと、だいたいサクラが数人いて、じゃまに入る。サクラが誰か分かったら,サクラの一人だけに標的をしぼって、あとは無視、そいつだけを泣かすまで論破しろ。あとのサクラはそれで黙る。リーダーも五十歩百歩だから、あとは睨みつけて出て行けばいい。 おれがよく使う手は、『おまえは何のために生きてる?』とかきくと、神さまとか信仰してるものの名前をあげてくるから、「そのなんとかいう神さまは、なんのために存在している?」と聞く。すると人を救うためだとかいいやがるから、『人が神のために、神は人のために,存在するのか。手前勝手な。神さまもちださねえと自分の生きる目的もわからんらしい。いいか、おまえは神を必要としてるが、神はおまえを必要としていない。おなじことだが、おまえは世界を必要としているが,世界はおまえを必要としていない。おなじことだが、おまえは他人を必要としているが,他人はおまえを必要としていない。これが、おまえもとっくに知っていて、しかもそこから逃げて来た事実だ。おまえがどこへ逃げようと,誰も追いかけない。誰もおまえを必要としてないからだ。ここにいる連中は、おまえが脱退しようとすると、必死で引きとめるだろう。それは何も,おまえをこいつらが必要としてるからじゃない。おまえを逃がしちまうと、自分も逃げてきたのだという事実に直面せざるを得ないからだ。こいつらは、おまえを騙すためだけに存在する。おまえも。こいつらを騙すためだけに存在する。 さあ,今度は,おれがおまえの話を聞いてやる。なんていう男が種をしこみ、なんという女の股から生まれたのか,そこから話してみろ」 「そりゃ、ものすごいアーリー・ラーニング・セットですね。というか、ほとんど同じ手口なんじゃ……」 「おお、こないだのを覚えてたか。関心な奴だ」 「はあ。でも、ちょっと、話がものすごくなりすぎて無理です」 「で、最後に残ったのが、この鉄の斧だ」 「そ、それです、それを落としました」 「本当か? 内容を確かめもせずに、いいのか?」 「人生、行くときには行かないと」 「見上げた志だ。鉄の斧は、まあ、平凡だが、長く曲がりくねった道だ。とりあえず、人まねも流行りも脇に置いて、かっこいい男になれ」 「はい、そうなれるものなら、何でもします」 「じゃあ、何にもするな」 「はあ?」 「おまえ自身、一番かっこ悪いときはどういう場合だ?」 「いきなり、『つまんない男』とふられた時ですかね」 「かっこいい男は、最もかっこ悪いときこそかっこいい。ふられた自分がかっこわるいなら、かっこよくふられるところから、はじめろ。言い訳するな。未練のこすな。自分をふった女を悪くいうな。こんなのは基本中の基本だが、ようするに今のおまえさんは、女が欲しいだけの中身からっぽのナンパ野郎だ。相手の女子にとって、おまえと付き合うことには何のメリットもない。2日でふられるところを3日に引き伸ばす努力をするより、1年後、できれば5年後、その娘が新しい恋をするたびに思い出される男になれ。女子に声をかけるときは、なぜおまえなのか、ちゃんと説明できるようになれ。自分で決めたものでいい、いつも原理(プリンシプル)に基づいた行動をとれ。あとは社会的に成功しろ。せめて成功しそうな態度を採れ。そうすりゃ、いやでももてる。ダメ男でもてる方法もあるが、青少年に教える話じゃないんで割愛だ。 人間と言う種は、どの文化でも、男の方が女よりも結婚する年齢が高い。いろいろ原因はあるが、女性の遺伝子がもつマルサス係数(Malthusian parameter;その遺伝子(をもつ個体)の増殖率)は外見からかなりの程度推計できるが、男性の方はある程度社会での地位が見えてこないと子孫を残せる確率が高いかどうか判断が付かないからだ」 親父さんと谷口くん その1 その2 その3 その4 その5(最終回)
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/238.html
親父の英会話 Lesson 7から 主語の英語 主語は「既知」である 親父 前回、主語は省略しても構わん、と乱暴なことを言ったが、理由は分かるか? キョン 会話だと、話している相手とか文脈から、判断がつくからでしたっけ? 親父 そう。逆に言えば、それが、英語でどんなものが主語になるか、何を主語に持ってくればいいかのヒントになる。 どんな言語もそうだろうが、言語表現は、話し手と聞き手の間で共有される「既知の情報」を表す部分と、話すことで話し手から聞き手に渡される「未知の情報」の部分とからできている。順番は 「既知の情報」→「未知の情報」 だ。そして、英語でもそうだが、主語は表現の最初に来ることが多い。このことから何が予想されるか。答え:主語は「既知の情報」を担うことが多いんだ。例を示そうか。 ○ The new project is exciting. (例の、あの)新しい企画だけど刺激的だね。 ? A new project is exciting. ある新しい企画は刺激的である。 上の方の文でいうと、「The new project」が「既知の情報」で、「exciting」が「未知の情報」、新情報だ。「The new project」は、話し手と聞き手の間で共有されている。「例の、あの」って感じだな。だから「the」という冠詞がついている。 で、下の方の英文なんだが、こいつは文法的には間違ってなくても、「情報を伝える道具」という観点から見ると、ヘンテコだ。「A new project 」というのは、「特定されない、ある企画」のことであって、話し手と聞き手の間で共有されているとは言えない。いきなりこんなところから文をはじめるのはまずい。 なので、こいつを「既知の情報」→「未知の情報」となるように書き直してみよう。これまで話してきたことの総集編でもあるな。 この時使えるのが、we have 〜で存在を表す、例の方法だ。なんとなれば、代名詞は何かを指していて、しかも代名詞を使って話が通じる以上は、何を指しているかは既知のはずだ。 We have a exciting new project. 刺激的な新企画があるんだ。 だから代名詞を主語にするやり方は、話し手と聞き手の間で最低限これだけは共有されていること、つまり「あんたとおれ(You and I = we)が話している」という、多分最低限に近い「既知の情報」をもってスタートできる。 ここまで戻れば、「We」が「既知の情報」、「have a exciting new project.」が「未知の情報」だということは明白だ、これで「既知の情報」→「未知の情報」の順序で、「相手も知らない新しい企画」の話をすることができるようになった。これが代名詞を主語にした文の、使い方の一つだ。 there is/are〜で、未知の主語を後ろに回す じつはthere is/are 〜も、初めて出てきた登場人物やら登場物(当然、未知のものだ)を出すときに使うやり方なんだ。 「〜がある」と丸覚えしてるかも知れんが、there(そこ)ってのは、話し手、聞き手双方にとって、もともとは既知のものだろ。次第に一人歩きして、具体的な場所を指すとは言えなくなったが、話し手からも聞き手からも隔たっている、「どこか」ではあるだろう。言ってみれば「むかしむかし、あるところに」の「あるところに」だな。実際、語り手が明確でない、お話や物語の冒頭なんかでよく使われる。これも例をあげとくか。 部屋には天蓋つきのベッドがあった。そのベッドに眠っていたのは美しい少女であった。 (a) A canopied bed was in the room. A beautiful girl slept on the bed. (b) There was a canopied bed in the room. On the bed was a beautiful girl. (a)の方は、お初の「A canopied bed」やら「A beautiful girl」がいきなり出てくる。 (b)の方は、「There was」をつかって、既知のthereから、「そこに……あった」から始めてる。 二つ目の文も、前の文で登場したbed(この時点で、既知の情報だ)を前に放り出して、既知→未知の順序をつくってる。 倒置ってのは、初心者には読みづらくてめんどうくさいが、既知→未知の順序ってルールにしたがうための手のひとつだ。 言うまでもないが、「On the bed」を「強調」してる訳じゃないぞ。倒置をそんな風に教えるバカも、まだいるらしいからな。 主語は「答え」である 親父:無論、省略できない主語ってのもある。代名詞は文脈で誰のことだか分かるが、そもそも代名詞じゃない主語ってのには、それが「答え」になってるケースがある。 How can I get to Narita airport? 成田空港にはどうやっていけばいいの? This train (will take you to Narita airport). この電車で行けるよ。 「答え」ってだけなら、「This train」で十分だ。これを全うな文章に仕上げようとすると、いわゆる無生物主語を持った文になる。 言い換えれば、無生物主語の文章は、文脈(この場合なら、この文章の前に想定される質問/疑問)が分かってれば、とりあえず先頭に来る主語だけ見れば、大意はとれる、ということでもある。さらに言えば、無生物主語の文章からは、その前提となっている文脈が「逆算」できる。既知の情報(=前提となってる文脈)→未知の情報(無生物主語を取る文)ということだな。 さっきの質問で、もっと成田空港に近いところにいる場合な、 How can I get to Narita airport? 成田空港にはどうやっていけばいいの? A few minutes walk (will take you to Narita airport). 2、3分歩けば、行けるよ。 これも答えを最小限にシンプルに現せば、「A few minutes walk」だろ? I have a headache. 頭が痛い。 Why? どうして? Overwork (gave me a headache). 仕事のやり過ぎ(オーバワーク)だ。 これも答えは端的には「Overwork」で、カッコ( )は、ちゃんとした文にするのに必要な要素ってだけだ。 今のプロセスを逆向きに、つまり無生物主語をもつ文章から、こいつが前提にしている問いを逆算できれば、 A few minutes walk will take you to Narita airport. 二、三分の歩行が、あなたを成田空港へ連れて行くだろう。 みたいな「直訳」に陥らなくて済むだろう。 「隠れた問い」を考えてみるのは、英文を筋を追って読んでいく時にも、一定の長さの英文を書くときにも、参考になる。理屈や筋立ての成り立ち具合を、ひとつひとつばらして、リバース・エンジニアリングすることになるからだ。 おおざっぱにいえば、英語の文章は、こんな風に構成されている。 1 あなたは@@が##であることについて知っているだろう。(既知の情報) 2 だが、@@が##でない場合がある。(未知の情報) 3 この場合の@@は何だろうか/どうなっているのか?(文章の主題となる質問=既知のトピックについての未知の情報を引き出す問い) 4 それは$$である(文章が全体として主張したいこと=未知の情報) 5 なぜそういえるのか?(根拠を引き出す問い) 6 なぜならば・・・(その根拠) (以下、5,6の繰り返し) end.(さいごに、もういちど@@は〜〜の場合には$$である、という主張がまとめとしてくる) 既知から未知へ、問いと答えを繰り返しながら、進んでいく訳だ。 親父の英会話 Lesson 9へつづく
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/9070.html
登録日:2009/08/06(木) 00 28 13 更新日:2024/02/05 Mon 01 32 52NEW! 所要時間:約 2 分で読めます ▽タグ一覧 エディプスコンプレックス パパ 漢 父 父さん 父親 白ひげ 空気 親父 超えるべき壁←もはや昔の話 1. 親父(おやじ) 父親に対しての呼称の一つ。 また、中年の男性に使われたり、他にも上司や上長(ボス)、いきつけの店の主人等に対して親しみを込めた呼称でもある。 ただし、使い方によっては相手を見下したり蔑称になるので注意しよう。 特に「オヤジ」と描かれる場合は大抵が悪い意味。 元は「親父(おやちち)」が転じたもの。 昔は「地震・雷・火事・親父」と言われるくらい恐れられた存在だったが、現在では見る影もないくらい落ちぶれている。 ドラマや二次元ではカッコイイ存在としてよく出るが、リアルではほぼ絶滅している。 2. 選ばれた男にしか名乗る事を許されない称号。 稀に兄貴から進化する場合がある。 亜種は、おじ様。 主にネットで使用される。 基本は扱いが悪く軽く見られがちな中年キャラだが、中には、若造には無い魅了があるキャラもいる。 そういった人物に親しみを込めて付けられる素晴らしい称号。 一例 野原ひろし(クレヨンしんちゃん) 高屋敷寛(家族計画) 法月将臣(車輪の国、向日葵の少女) ギーラッハ(吸血殲鬼ヴェドゴニア) 葦野竜(そして明日の世界より――) 遺作(おやぢシリーズ) 臭作(〃) 鬼作(〃) テオロ(うたわれるもの) 泉戸裕導(タユタマ) ジェクト(FINAL FANTASY Ⅹ) シド(〃) 浅井権三(G線上の魔王) 目玉おやじ(ゲゲゲの鬼太郎) ロージェノム(天元突破グレンラガン) バラン(ダイの大冒険) 海原雄山(美味しんぼ) ダースベイダー(スターウォーズ) 蒼月紫暮 (うしおととら) 黒騎士ファウスト(さよなら銀河鉄道999-アンドロメダ終着駅-) “白ひげ”エドワード・ニューゲート(ONE PIECE) パラガス(ドラゴンボールZ) 宿の亭主(CardWirth) 追記、修正は一升瓶片手によろしく △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] パラガスくそわろた -- 名無しさん (2014-01-28 16 19 14) ウルトラセブンも追加すべき -- 名無しさん (2014-06-29 09 09 32) 現実だったらやはり高田純次さんが至高の親父かなあ -- 名無しさん (2014-06-29 09 21 16) 以前、職場で「親父」と呼ばれていたが、退職直前「仙人」に進化した。 -- 名無しさん (2014-09-27 01 29 43) やったぜ。 -- 名無しさん (2014-09-27 02 19 15) タユタマだったっけかメインルートの主人公の状態に対する台詞が好きだな、子がどんなに変わろうとも子は父親が守るべき存在であるっていうかんじのあのセリフ -- 名無しさん (2016-06-08 14 40 02) こんな項目もあるのかwwww -- 名無しさん (2019-09-26 09 43 54) パラガスは親父ぃです -- 名無しさん (2020-05-16 19 54 27) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/14.html
ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その1 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その2 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その3 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その4 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その5 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その6 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その7 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その8 家族旅行で見る夢は (スピンオフ)
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/210.html
親父の英会話 Lesson 1から くどく英語 オヤジ 昨日は、pleaseをCan I have〜?に取り替えて膨らませていったが、ちょっと復習しとくと、昨日やったのは「頼む英語」だった。こいつを応用すれば、すぐ「くどく英語」になる。 キョン いや、それはちょっと。まずいのでは? オヤジ 人間、エロいことはすぐに覚える。自分の遺伝子を残すことは、生物にとって至上命題だからな。 Can I get your number? 電話番号おしえて Can I call you tonight? 今夜電話していい? Can I go to cinema with you? いっしょに映画に行きたいね。 英語でgoとwithが入ってたら、それはすなわちデートだ。 Can I take you to the baseball game? 野球見に行かない? オヤジ だが、これだと、まだ改善の余地がある。 「おれ」と「あんた」、という具合に切り離した言い方をするとより、「おれたち」とくくっちまった方が、相手もその気になりやすい。「ごいっしょ」してるのがイメージしやすいっていうかな。 Shall we dance? おどりませんか? オヤジ まあ、これは気取った、そして言い古された言い方だが、weの感覚を理解するにはもってこいだ。canをつかって「可能性」を尋ねるよりも、あたかも規定事項のように、しかし疑問文にして、相手の逃げ道も残しておくのがポイントだな。これだけで、相当踏みこんだことまで言えるようになる。 Shall we go to cinema? 映画に行きましょう Shall we go to baseball game? 野球の試合なんてどうです? Shall we go to bed tonight? 朝までいっしょにいないか? オヤジ ところで、どえらい美人の口説き方を知ってるか?neg-hitとか呼ばれてる方法だ。相手に興味がないふりをして、接するんだ。 具体的には、美人本人をほめず、そいつが身につけてる、どうでもよさそうなアクセサリーか何かを誉める。「妹に似合いそうだと思って」とか言いながらな。まだ他の女を引きあいに出すなよ。 You are beautiful. あなたは美しい。 と言うかわりに Your dress / hair-style is beautiful. 君のドレスは/ヘアスタイルはすてきだ。 と「外す」訳だ。「あたしは、どうなのよ!?」ってことになるだろ。 I think my sister is good on it / them. 僕の妹に似あいそうだ。 What did you get it? それ、どこで買ったの/手にいれたの? オヤジ つまり、「おまえの存在は、おれの目に入っているが、おれの関心はおまえに向いてない」というわけだ。どえらい美人は口説かれ慣れている、自分が常に話題の中心にいるのが当たり前だから、この「外し」は効く。結構な確率で、向こうからこっちに話しかけてくるぞ。 キョン お、おやじさん、すみません。無自覚だったんですが、そのやり方……。 ハルヒ おやじ、キョンが泣いて帰ってたけど、なにやったの!? オヤジ 英語で女を口説くやり方を教えてたんだけどな。泣くほど嫌だったか。そりゃ悪いことをした。バカ娘、おまえは幸せもんだぞ。 ハルヒ あ、当たり前でしょ! 親父の英会話 Lesson 3へつづく
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/160.html
そのとき親父書きは何を思ったか? その1:親父シリーズ短編について その2:「ハルヒと親父1」(シリーズ第一作目)について その3:「あるSS書きの個人的七つ道具」シリーズについて その4:「ハルヒと親父3ー家族旅行プラス1」について その5:「ハルヒと親父2ーおとまり」について その6:「できちゃった」について その7:「一人旅に必要な事」について その8:親父シリーズ以外(二人は暮らし始めました、新落語シリーズ「出来心」他)について その9:親父シリーズ以外(みぞのの鏡、辞書シリーズ/英和辞典、他)について その10:親父シリーズ以外(その男文系につき、ツンデロイド、他)について その11:親父シリーズ以外(彼と彼女と彼女のメール、電波の日 Nowhere、他)について その12:親父シリーズ以外(「パソコンが砂糖と化してアリがたかる」カオス篇)について その13:親父シリーズ以外(手錠、ハカセくんの初恋、新落語シリーズ「松山鏡」、他)について その14:親父シリーズ以外(新落語シリーズ「二十四孝」、涼宮ハルヒの格闘1・2、他)について その15:二人暮らしシリーズ、カオス系2つ、同窓会の日に、他について その16:「二人は暮らし始めました」再考 その17:「彼女は赤面した」はなぜNGなのか?/「描写」について その18:ヰタ・セクスアリス/雨宿り及びつづきについて その19:「同じ夢の中」、「デカンショ」、「自転を逆に回して」について] その20:何ゆえ書き手はかくも弱いのか その21:「できちゃった」について 再び その22:「ハルキョン温泉旅行」について その23:「夏氷の日」「ゲリラ雷雨」「夏の自転車」等について その24:「終電車」等について その25:「親父さんと谷口くん」シリーズについて その26:「長門有希の空腹/満腹」そして「オヤジラジオ」シリーズについて その27:「司書魔女」シリーズについて
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/211.html
親父の英会話 Lesson 2から 知る英語 オヤジ 日本人が英語だと、やたらと口にしたがるが、絶対に使っちゃいかんフレーズがある。 キョン なんですか? オヤジ これだ。 I don t know. 知りません/わかりません。 知ったかぶりするより、知らないと素直に表明するのが美徳だと考えてる連中もいる。逆にこういったらバカに見られるから慎めとか、いろいろ言う奴がいる。 が、おれに言わせると、この言葉は、相手と社会と世界に対して完全クローズのポーズを決めこむ事に等しい。ひきこもりイングリッシュだ。 オヤジ 人間、わからないことがあるのは当たり前だ。まして異文化に入った最初のうちは、分からん事だらけだろう。だから、I don t know.ってフレーズは必ず、しかも頻繁にアタマに浮かぶ。そんなときはこう置き換えろ。 What? なんだ? ここからバリエーションは広がる。が、最初はとにかくWhat?でいい。 オヤジ 見知らぬものを見たとき、相手が何いってるかわからん時、I don t know.と浮かんだら、とにかくWhat?だ。 これだけで、発言のターンは相手にまわる。攻守を入れかえるマジック・ワードだ。しかもこれを言われたら相手には説明責任が生じる。 オヤジ 世界で最初に和英辞典をつくったヘボンという医者は、「なんといいますか?」だけを繰り返すことで、辞書をつくった。What?はさっきのいい方で言えば、相手と社会と世界に対して「回線(ポート)を開くこと」、オープンな態度をとることだ。What?が口について自然に出てくるようになったら、 What s this? これは何だ?……モノの質問 What do you mean? おまえ、何が言いたいんだ?……コトバの質問 も使っていけ。 オヤジ モノの質問も、ただ相手に「モノの名前」を言わせるだけじゃなく、さらにつっこめ。 What s this? こりゃなんだ? What do you use it for? 何に使うんだ? How do you use it? どうやって使うんだ? When do you use it? いつ使うんだ? Where do you use it? どこで使うんだ? How do you spell it? その語はどんなスペルだ? How do you pronounce it? その語の発音はどんなだ? オヤジ 聞けば聞くほど、相手の説明は丁寧になり、覚えたくなるようなフレーズの山と化す。相手youを辞書にしちまうんだ。だから「おまえならどういう/どうするんだ?」という疑問文になっている。 オヤジ 相手の英語が速すぎて聞き落としたときも、 Please say again. もう一度言ってくれ。 なんていわなくていい。というかもう一度言ってもらっても多分わからんだろう。 一つ一つの英語の音がわかるのに、発音慣れしてるのに、「聞けない」のは、早口でついていけないというより、相手の話す分量が多すぎて、こっちのワーキング・メモリから溢れだしてるんだ。だから、 Please more slowly. もっとゆっくり頼む といっても、解決しない。 オヤジ ここでもWhat?だ。 What do you mean? おまえ、何が言いたいんだ?……コトバの質問 といえば、大抵は、まあ普通に気の効く相手なら、もっとコンパクトな表現に言い換えてくれる。 だらだら喋るのが好きなタイプなら、質問で、相手の話を、こっちが飲み込める大きさに刻んでいく手もある。 キョン なんというか、親父さんらしいですね。 オヤジ ちがう。会話は二人でやるもんだ。わからないなら、わからないなりに参加して協力し合って、会話をつくっていくんだ。そのためには、分からない方は、わからないなりの質問をする責任がある。I don t know.がダメなのは、最初から「二人で会話を作っていく」責任を放棄して、参加すらしようとしないからだ。 オヤジ 質問で、相手の話を、こっちが飲み込める大きさに刻んでいくには、たとえばこういう質問を使う。 What s your point? おまえの話の要点(ポイント)はなんだ? What s the evidence? 根拠となる事実はなんだ? What supports your words? なんでそんな事が言えるんだ(何がおまえの主張を支えてるのか)? オヤジ 「主張って何て言ったっけ? claimだっけ」「発言はなんだっけ?」と迷ったら、とりあえず相手の言ったことなんだからyour wordsで構わん。こういう基本語はチェックしとくといいな。意味の幅が広くて、文脈ごとに相手が意味を汲み取ってくれる、日本人なら中学英語で習うような単語だ。習うのは最初の方だし、何度も出会うから知ってる気がするから辞書でも引かない。おまけに意味の幅が広いから辞書の説明は長いから、思わず読み飛ばす。この手の単語の項こそ熟読すべきだ。例文は全部暗記しろ。未知の事態に遭遇しても、この手の基本語を2〜3語組み合わせれば、なんとかしのげる。 いまの例ならwordとかpointとかだな。 オヤジ 慣れてきたら What s your (second / last ) word? 2番目に/最後に何て言った? What s "むにゃむにゃ".? 「むにゃむにゃ」(と聞こえてたのを口マネして)って何のことだ? あと知らない言葉(新語や専門用語)が出てきたときは、 How do you spell it? その語はどんなスペルだ? と聞け。英語は同じ発音でもスペルはいろいろだ。聞くのは変じゃない。だいたい名前なんてスペルを聞かなきゃわからんぞ。だからWhat s your name? と聞いて、スペルを聞かないのは、むしろ失礼なくらいだ。相手だって聞いてくるぞ。 スペルが分かったら、平気な顔で How do you pronounce it? おまえさんはどう発音するんだ? と聞いて、相手の発音を真似てみろ。違ってたら直してくれる。とくにガキは発音にうるさい(スペルは分かってないことも多いが)。現地のコトバに慣れる最上の方法は、幼稚園でバイトすることだという話もあるくらいだ。ちょっともののわかった姑なら、英語がいまいちの日本人妻を、そういうところに放りこむ。 オヤジ 「ナントカナントカ car」と聞こえたとする。その場合は、部分的にわかったところを、Whatをつけて返せ。 What car? なんて車だって? 相手の手間もはぶけるし、こっちも何もわかっちゃいない訳じゃないことを示せる。 電話を書けてきて、ファースト・ネームしか名乗らん奴がいる。一応人間なんで、whatじゃなくwhoを使ってやれ。 This is Bill. ビルです。 Bill who? なんてビルだ? Bill Brown. ビル・ブラウンだよ。 最初のうちは、とにかく知ってる単語だけを聞け。どっちにしろ、知らん単語は雑音にしか聞こえん。 親父の英会話 Lesson 4へつづく
https://w.atwiki.jp/nicorap_lyric/pages/564.html
[ intro ] この道、今までの先に 背中越え、屍を走り、いつか消えて [ verse1 ] 生まれてこのかた何度目の春 親父の背中ならば今もろくに越えれん 最強と信じていた親父の心は 病に侵されたとこで未だ男だ 賞味期限の切れた炭酸みてーに 俺達も泡となって消えるんだ自然に 今も変わらず言い交す 俺の道なら父ちゃんに教わった 真っ直ぐな生き様 ガキのころ遊んでくれた記憶はそれほどない だが紛れもない二つとない俺の親 あんたのビンタは俺の忍耐に変わり あんたの失敗は俺の未来に変わる だからゴメンなんて言うな そんな顔はすんな ヘタレに育った覚え? …いや、つーか 来年も再来年も叶音(かなと)と遊ぼうな そのうち死ぬとか言うな。 たまらんで。ホンマ。 [ hook ] この道、今までの先に 背中越え、屍を走り いつか、消えてチリとなる前に 教えてくれ。この先の旅路。 この道、今までの先に 背中越え、屍を走り いつか、消えてチリとなる前に 叱ってくれ。これからも毎日。 [ verse2 ] 「貧乏暇なし」金になんて負けんて 不自由したかってか?まぁ全然。 親父とおかん、それと兄弟もおってさ それだけでええねん。それだけは本音だ 昔から変わらねー仲間で泣いたり笑ったり 全部がお蔭様で宝です。 何回シバかれたことかも分からんが 頑丈に作ってもろたことで偉いスマンなー どこまで体が悪いか俺は分からん 教える気がないならいいが大事にしろ。馬鹿か? 最近失うことばっかりが多くて あんただけはずっと居てくれ。それで文句ねー 貰った命。その心意気。確かに受け取った。 粋な男の意地。 誇りにしてるでな?自信ならば持っていい。 必死こいて働く親父は格好いい [ hook ] この道、今までの先に 背中越え、屍を走り いつか、消えてチリとなる前に 教えてくれ。この先の旅路。 この道、今までの先に 背中越え、屍を走り いつか、消えてチリとなる前に 叱ってくれ。これからも毎日。 [ hook ] この道、今までの先に 背中越え、屍を走り いつか、消えてチリとなる前に 教えてくれ。この先の旅路。 この道、今までの先に 背中越え、屍を走り いつか、消えてチリとなる前に 叱ってくれ。これからも毎日。 [ outro ] 親子の契り あんたの倅はこんなにでかくなった 貰った命、咲かせてやりましょう 真っ赤な一本桜の狂い咲き