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辞書 品詞 解説 例文 漢字 日本国語大辞典 名詞 [一] 脊椎動物の前肢の末端部分の総称。腕骨(八個)、掌骨(五個)、指骨(五組一四個)からなる。各種の筋肉におおわれ、物をつかむために発達している。コウモリでは翼手を形成し、第一指に鉤爪があり、非常に長い。水生哺乳類のオットセイなども構造的には陸生の哺乳類と同じだが、退化して魚類の鰭(ひれ)のようになっている。① 人体の上肢。躯幹(くかん)の上部で、肩から左右に分かれ出ている部分。肩の関節部分から指先までの部分。 ※書紀(720)継体七年九月・歌謡「枕取り 端(つま)取りして 妹が堤(テ)を 我に枕(ま)かしめ 我が堤(テ)を 妹に枕かしめ」※竹取(9C末‐10C初)「手に力もなくなりてなへかかりたる中に」 手 ② かいな、うでと区別して、てくびから先の部分。その全体だけでなく、指、てのひらなど部分を漠然とさすこともある。 ※万葉(8C後)一四・三四五九「稲つけば皹(かか)るあが手を今夜もか殿の若子が取りて嘆かむ」 ③ ヒト以外の動物の前肢を①②に準じていう。前足。また、植物のつるなどをもいう。 「朝顔の手」※平家(13C前)四「かしらは猿、むくろは狸、尾はくちなは、手足は虎の姿なり」 [二] 物の形状または機能を(一)に見立てていう。① 器物の本体から分かれ出た部分で、そこをにぎり持ち、または物に掛けるようにしたもの。取手(とって)、引手、釣手など。 「急須(きゅうす)の手」「手のついた鍋(なべ)」※枕(10C終)一二〇「半挿に手水入れて、てもなき盥(たらひ)などあり」 ② 用具・施設などで、主要部を支える用をする部分。 「帆の手」※枕(10C終)四九「几帳のてのさし出でたるにさはりて」 ③ (一)のように、器物の左右に分かれ出た部分。衣服の袖(そで)、鏑矢(かぶらや)の雁股(かりまた)の先の左右に分かれ出た部分など。 ※金刀比羅本保元(1220頃か)上「上矢のかぶらは、〈略〉薙歯一寸、手六寸、わたり六寸の大がりまたねぢすへたり」 ④ (一)のように伸び出し、また動く状態になったものの先の部分。 「火の手」※信長公記(1598)首「大ぼて山へ〈略〉攻のぼり御人数を上させられ水の手を御取り候て上下より攻られ」 [三] (一)を用いてさまざまな行為をすることに関していう。(一)だけを用いるのではない場合、また用いない場合にも代表あるいは象徴としていう。多く、特定の語と連なって慣用句として用いる。① 事を行なうのに使用する(一)。そのためにはたらかす(一)。 「手を出す」「手にかける」「手をはずす」「手が届く」「手がはいる」「手をとめる」「手につかない」※灰燼(1911‐12)〈森鴎外〉一〇「これ丈の事は、どの通信社かの手で、諸新聞に載せられた」 ② 仕事をする力。労力。また、仕事をする人。人手。 「手があく」「手を貸す」「手が足らぬ」「手がかかる」「手を分かつ」「手がつまる」「手がすく」「手がやける」※竹取(9C末‐10C初)「造麿が手に産ませたる子にてもあらず」※仰臥漫録(1901‐02)〈正岡子規〉一「看病人の手もふやして一挙一動悉く傍より扶けてもらふて」 ③ 仕事をしたり、物事をとりさばいたりする能力。 「手に負えぬ」「手にあまる」※源平盛衰記(14C前)三三「郎等宗俊も手の定り戦て」※平凡(1907)〈二葉亭四迷〉五七「己は無学で働きがないから、己の手では到底(とて)も返せない」 ④ 人とのかかわりあい、交渉、関係、縁。特に、男女関係にいう。 「手をつける」「手を切る」 ⑤ 刀や矢などの武器で傷つけること。また転じて、武器によって受けた傷。てきず。 「手を負う」※平家(13C前)四「うらかく矢五所、されども大事の手ならねば、ところどころに灸治して」※米沢本沙石集(1283)二「手あまた負ながら、命はいまだ絶ざりけり」 [四] (一)で物を持つところから、所有することに関していう。① 所有することになる者をさしていう。 「手に入れる」「手にわたる」「手に落ちる」※ロドリゲス日本大文典(1604‐08)「ゲンジニ ツタワル チョウホウヲ カタキノ te(テ)ニ ワタサウカ」※歌舞伎・蔦紅葉宇都谷峠(文彌殺し)(1856)三幕「お前様のお陰にて無事に我手にある百両」 ② 勝負事で、配られたり取ったりして、自分が自由に使えるようになっているもの。手中にあるもの。手の内。手持ち。また特に、将棋の持駒(もちごま)、花ガルタ、トランプなどの持札。手札。 「手が見える」※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)四「しゃうぎをさしていたるが〈略〉『サアしまった。時にお手はなんじゃいな』」 ③ 従えて自分の支配、監督の下にある人々。また、特に中世、部将の配下、軍勢をいう。 「手の者」「手下」「手人(てびと)」※平家(13C前)四「是は一とせ平治の合戦の時、故左馬頭義朝が手に候ひて」 [五] 事を行なうのに(一)を用いるところから、事を行なうための方法や技術に関していう。① 事を行なうための技術。武芸などのわざ、術など。一定の型ができているわざ。 ※源氏(1001‐14頃)帚木「たつた姫といはむにもつきなからず、たなばたのてにもおとるまじく、そのかたも具して」※彼女と少年(1917)〈徳田秋声〉二「柔道の手を出していいんなら、どんな強い奴でも投げられるよ」 ② 書の技術。字を書くわざ。字の書き方。筆法。書風。また転じて、書かれた文字。筆跡。手跡。 ※宇津保(970‐999頃)藤原の君「かの御返とおもひて見るに、女のてなり」※米沢本沙石集(1283)五末「妻が手にて、柱に歌を書けり」 ③ 琴、笛、鼓など、音曲のわざ。奏法。また転じて、一定の曲、または調子、譜。 ※宇津保(970‐999頃)俊蔭「この三人の人、ただ琴をのみひく、されば、そひゐて習ふに、ひとつの手のこさず習ひとりつ」※山家集(12C後)中「人にも聞かせぬ和琴のて引きならしけるをききて」 ④ 能、舞踊などでの、きまった舞い方。一定の所作。舞の型。 ※古今著聞集(1254)一五「手におきては是を略せず、口伝はひかへたるよし申て、起請文におよばず」※風姿花伝(1400‐02頃)一「舞をも手を定めて、大事にして稽古すべし」 ⑤ 双六(すごろく)、囲碁、将棋、連珠などで、石あるいは駒を打つ、その一打ち一打ちをいう。また、その打ち方。特に、きまった型の打ち方。 ※枕(10C終)一六一「人と物いふことを碁になして、近う語らひなどしつるをば、てゆるしてけり」※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前「ナンノちっと能(いい)手をさすと洒落らア」 ⑥ 技芸のわざのすぐれている人。わざびと。上手(じょうず)。相撲のすぐれた取り手、たくみな書き手など。 ※今昔(1120頃か)二三「哀れ、此が男にて有ましかば、合ふ敵无くて手なむどにてこそは有ましか」 ⑦ 事を行なうための手段。てだて。また、事を行なう方法。やり方。また、人を思いのままにあやつるための手段。かけひきの手段。口実。 「手が良い」「手が悪い」「手がない」「手に乗る」※洒落本・通言総籬(1787)二「いささかな事を手にしてねるつもりの、みなきゃうげんにて」※残夢(1939)〈井上友一郎〉八「切角好意で云ってくれるのを断わる手はないでしょ」 [六] ある方面や種類。① ある方角、方面。また、その方面の場所。 ※源平盛衰記(14C前)三六「山の手ゆゆしき大事の所に候」 ② 各方面に分けられた、それぞれの軍勢をいう。手分けした一部隊。 「手を分ける」※太平記(14C後)三「南の手には五畿内五箇国の兵を被 レ 向」 ③ 種類。 ※万宝全書(1694)六「鳴海手〈織部焼〉 此手の茶入、古田織部重勝〈略〉国国へひろめ給ふと也」※はやり唄(1902)〈小杉天外〉九「はい、此頃は初終(しょっちう)其の類(テ)を召上る様でございます」 語素 (下につく場合は連濁して「で」となることもある)① 名詞、特に、行為または行為の結果できたものを意味する語について、その物事を機械などを用いず人間の手をもってなしたこと、また、自分の手でなしたことを表わす。「手織」「手料理」「手描(てがき)」「手打ち」など。 ② 名詞、特に器具や身のまわりの品物を意味する語について、その物が、持ち運び、取扱いに適する小型のものであることを表わす。「手箱」「手槍(てやり)」「手文庫」「手帳」など。 ③ 方角や場所を表わす語と熟し、その方向、方面にあるという意味を表わす。「左手」「右手」「上手(かみて)」「下手(しもて)」「面手(おもて)(=表)」「河手」「行手(ゆくて)」など。 ④ ある所や人や物を基準にして、それと同じ種類に属していることを表わす。また、固有名詞などについて、稲、陶磁器、古銭、その他の品種、品質を表わす。「なかて」「おくて」「高麗手(こうらいで)」「金襴手(きんらんで)」「厚手」「薄手」「古手」など。 ⑤ 動詞の連用形、または、それに相当する句について、その動作をする人、そのことに当たる人などの意を表わす。また転じて、特にそのことにすぐれた人、名手、上手などの意を表わすこともある。「織手」「話し手」「嫁のもらい手」など。 ※信心録(ヒイデスの導師)(1592)三「シンラマンザウノ tamotaxerarete(タモタセラレテ)ニテ マシマス」※歌舞伎・お染久松色読販(1813)序幕「折紙もござりますれば、好みてさへ有れば、弐百両には成ります代物」 ⑥ その代わりとなるもの。代償。代価。代金。「酒手」など。 ⑦ 中世・近世の入場税、利用税。「山手」「野手」「河手」など。 ⑧ 材料の意を表わす。 「枛手(つまで)」 ⑨ そのようになった所を表わす。地形。「井手(いで)」「池溝(うなて)」「隈手(くまで)」など。 ⑩ 形容詞、形容動詞について、もてあつかいが…だ、手や身のこなしが…だ、などの意を添える。また転じて、下の語の意味を強める。「手痛い」「手ごわい」「手厚い」「手広い」「手短」「手丈夫」など。 接尾辞 ① (甲矢(はや)と乙矢(おとや)と二本を持って的に向かう式法から) 矢二筋を一組として数える語。的矢、上差(うわざし)について用いる。 ※平家(13C前)四「鷹の羽にてはいだりける的矢一手ぞさしそへたる」 ② 囲碁、将棋、連珠などの着手の回数。石や駒を打つ数をかぞえるのに用いる。手数。 ※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前「どうするのだ。二三手過た事を仕直すぜへ」 広辞苑 名詞 ➊人体の左右の肩から出た肢。①肩から指先に至る間の総称。 万葉集2「―に巻き持ちて」。「新しい服に―を通す」 手 ②手首。 古事記下「我が―取らすも」 ③手のひら。 日葡辞書「テヲアワスル」 ④手の指。 源氏物語橋姫「―を折りて数へ侍れば」 ➋人体の手のように突き出ているもの。①器具の把手・柄など。 ②横木。 枕草子49「几帳の―のさし出でたるにさはりて」。狂言、子盗人「いまだ葭垣一重で、塀の―のあはぬ所があつた」 ③蔓を絡ませるために立てる竹や木。 「きゅうりの―」 ④幕などの 乳 (ち)を通してかけ渡す綱。 日葡辞書「アミ(網)ノテ」 ⑤ほのお。 「火の―」 ➌人体の手のように働くもの。①働く人。働き手。ひとで。 「―が足りない」「―が要る」 ②部下。配下。 日葡辞書「ナニガシノテニツク」。「―の者」 ③(動詞の連用形に付いて)そのことをする人。分担する人。 「踊り―」「読み―」 ④くみ。隊。 竹取物語「さぶらふ人々みな―を分ちて求めたてまつれども」。平家物語9「軍兵二―に分つて都をたつ」 ⑤矢二筋を一組として数える語。 ➍手を働かせてすること。①持つこと。所持。所有。 「―にする」「―の内」「―札」「いい―が来る」 ②手で文字を書くこと。また、文字。 持統紀「 書博士 (てかきのはかせ)」。日葡辞書「テヲカキアゲタ」。「―習い」「女―」 ③能筆。能書。 狂言、八句連歌「後には―にもならうかと仰せらるる」 ④うでまえ。技量。 日葡辞書「ヨイテヂャ」。「―合せ」 ⑤てだて。手段。方法。 「―を失う」「これよりほかに―が無い」 ⑥相手に勝つわざ。策略。 「相撲の四十八―」「その―はくわぬ」 ⑦仕事をする力。 ⑧手数。世話。 「―のかかる子」 ⑨(手を使ってする)器楽の演奏。また、楽曲。 「 間 (あい)の―」「―事」 ⑩かかわりあうこと。交際。関係。 ⑪勝負事で局面を前に進める行為。 ➎手で指すもの。①方向。方角。側面。 古事記中「うしろ―は」。「 上― (かみて)」「山―」 ②種類。 「この―の物」「奥―」 ③人品。風采。 西鶴織留4「そのあとから―のよい一連れ」 ➏自分の手。①手前。自分。 狂言、楊柳梅「―からも持たせて参りました」 ②自ら手を下してすること。 「―料理」「―製」 ➐相手から受けたきず。 日葡辞書「テヲヲ(負)ウ」。「深―」 ➑①代金。 「酒―」 ②江戸時代の雑税の一種。山手・野手・河手の類。 接頭辞 状態を表す語に冠して語調を強める。 「―がたい」「―ぜま」 大言海 名詞 〔 取 (トリ)ノ約ト云フ〕(一)人類ノ兩肩ヨリ左右ニ出デタル 肢 (エダ)。卽チ、肩ヨリ指ニ至ル總名。人閒ノ上肢。 手 (二)手首 (テクビ)。 「手ニ手ヲ取ル」手ヲ握ル」 (三)タナゴコロ。テノヒラ。掌 今昔物語、十二、第ニ語「年七歲ニ成ニ、始テ其手ヲ開テ、云云、開タル掌ノ中ニ」「手ヲ打ツ」手ヲ叩ク」手ヲ合ハス」 (四){物ノ手ニ取ルベキ處。柄 (エ)。取手 (トツテ)。鉉 (ツル)。堤梁 枕草子、三、廿八段「南ノ遣手ノソバニ、几帳ノ手ノサシイデタルニサハリテ」「籠ノ手」桶ノ手」鍋ノ手」 (五)蔓草ヲ 絡 (マツ)ハスベキ爲ニ立ツル竹、又ハ木。 「朝顏ノ手」胡瓜ノ手」 (六){手ニテ文字ヲ書クコト。フデノアト。手跡。書 漢書、郊祀志「天子識 二 其手 一 」注「謂 二 所 レ 書手跡 一 」持統紀、五年九月「 書博士 (テノハカセ)」大鏡、上、實賴「大方コレニゾ、イトド日本第一ノ御手ノオボエハ、取リタマヘリシ」(佐理、夢ニ、神吿ヲ受ケテ額ヲ書ク)源、十七、繪合 十二 「繪ハ巨勢ノアフミ、てハ紀貫之」枕草子、一、十三段「一ニハ御手ヲ習ヒタマヘ、次ニハ 琴 (キン)ノ御コトヲ」「男手」女手」葦手」手本」手ヲ習フ」手習」手ヲ書ク」手ガ上ル」 手者 (テシャ)」 (七)行フコト。爲ルコト。シワザ。行爲 「手ヲ盡クス」手ヲ出ス」手ヲ入ル」手ヲ引ク」手ヲ付ク」 (八) 事 (ワザ)ヲスル手。仕事。作業 「手ガ明ク」手ガ無イ」手ガ塞ガル」人手ヲ假ル」手ヲ空シウス」 (九){業ヲ行フ方法。スベ。術 宇津保物語、俊蔭 四十八 「琴ノ手、母ニモマサリ、母ハ 父 (テテ)ノ手ニモマサリテ」同、同 七十三 「相撲ヒ出デテ、イツ手六手バカリ取リテ、 最手 (ホテ)出デ來テ布引ナドスルニ」著聞集、十、相撲強力「時弘頻リニ宗平ヲてコヒ、若シ負クルナラバ、時弘ガ首切ラン」古事談、六、亭宅諸道、伊成弘光相撲「弘光、左手ヲ指出テ手乞ヒケル」狂言記、相撲「ヲてッマヰッタ、タてッ勝ッタ」「將棋ノ手」舞ノ手」手ヲ易ヘテスル」コノ手デ行ク」 (十)手ヅカラスルコト。自ラ行フコト。自 「手織リ」手作リ」手打チ」手賄ヒ」 (十一)己レニ 屬 (ツ)ク者。配下。部下 部衆 「手ノ者」 手下 (テシタ)」 (十二)人ノ一組。兵士ノ隊。隊 「 先手 (サキテ)」 一 (ヒト)手ノ大將」 二 (フタ)手ニ分カル」手ヲ分クル」水ノ手」 (十三)方 (カタ)。向 (ムキ)。( 傳 (ツテ)ノ約カト云フ)方 「山ノ手」行ク手」上手」下手」 (十四)タグヒ。品類。品。樣 「錦手ノ皿」金襴手」稻ノ中手」奧手」 (十五)的矢ニテ、矢二 筋 (スヂ)ノ稱。 「矢、 一 (ヒト)手」 (十六){刀、矢、ナドニテ傷ツクルコト。切疵 (キリキズ)。創傷 古事記、中(神武) 三 「賤奴ガ手ヲ負ヒテヤ死ナム」神武紀 四 「 被 (イヤシ) レ 傷 (キヤ) 二 於虜手 (ツコノテヲオヒテ) 一 」保元物語、一、親治等被 二 生捕 一 事「郞等、數多ニ手ヲ負ハセ」「痛手」薄手」深手」淺手」手疵」 (十七)マジハリ。カカハリ。交際 關係 「手ヲ切ル」手ガ切ルル」手ガ 放 (ハナ)ル」 (十八)手マハリ。ソバマハリ。 「手箱」手簞笥」手帳」手紙」手カケ」 (十九)ハカリゴト。 「其手ハ食ハズ」其手ニノセテ」 (廿)旗ノ竿付ノ緖。乳 (チ)。耳 (ミミ)。 太平記、廿九、小淸水合戰事「絹三幅ヲ長サ五尺ニ縫合セテ、兩方ニ赤キ手ヲ付タル旗ヲゾ差シタリケル」 手に取るばかりトハ、甚ダ近ク。 手を打つト云フハ兩ノ掌ヲ打當テテ、音ヲ立タス。拍手喜ブトキナドニスルワザナリ。移シテ禮拜ニモス。 八 (ヤ) 開 (ヒラ) 手 (デ)。 検索用附箋:名詞名称 検索用附箋:接頭辞 検索用附箋:接尾辞 検索用附箋:語素 附箋:名称 名詞 接尾辞 接頭辞 語素
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武器名 攻撃力 値段 効果 百手 4 ¥1800 銭投げ(所持金の100の位の数字の攻撃力)が使用可能、所持金の100の位は0になる、全体 +画像 通常 銭投げ ver.5で仕様変更。 十手より投げる金額が10倍だが、攻撃範囲が全体になっている。 投げる金額が10倍なので、借金時に投げられる金額も10倍。 この武器と組ませよう デビルソード系統、盗賊のダガー系統-敵を倒さずに金額調整できる。 入手方法 毒リンゴ大会EX 選択肢 投票 とても強い (0) 強い (0) 普通 (0) 弱い (0) とても弱い (0) コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
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2007.2.2 加藤 タクシーをご利用の方は、すでにご存知かと思いますが、日本人会などから無線タクシーを呼ぶと、これまでの倍の「RM2」を追加請求されることになりました。 今日の「Star紙(N3)」によりますと、これはマレーシア全土で、きのう2月1日から実施されたもので、トランク荷物を入れる場合も「RM1~RM2」を追加請求されることになりました。 最近、来たばかりのセカンドホーマーが、元々の1リンギでも運転手とケンカする話を耳にしますが、これは決まったことですので、どうぞ運転手だけとはケンカしないで下さい。 文句のある場合は、運輸大臣にでも手紙を書いて下さい。 2007.2.2 万代 本件に関しては一時期混乱が予想されます。何故なら、タクシー業者は値上げするとしていますが、関係官庁の正式許可取得がなされておらず、当局はこの値上げは法律違反だとして監視員を派遣するとしています。 いずれにしても、現在の価格は1984年以来変更されていませんので、当局の許可が下りるのは時間の問題だろうと予想されます。 混乱に巻き込まれないよう注意しましょう。
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【設定資料】 『左翼手』 右投:右打:5番:三年 ブラジルからの留学生。16人家族の長女として、家族を養う為に野球留学。翌年のメジャー契約が内定している。ちなみに祖父は村の長老。 おまいらは、野性味溢れた存在感からブストス様を想像したろうが、実は情熱的なラテン系のヘソ出しユニを纏うエロ姉さん。 スタイリッシュな身体からは想像もつかない飛距離を放つパワーヒッター。 守備に難点はあるが、中堅手が俊足を生かしカバーするためエラーは少ない。 村の長として神の声を伝える一家の長女としてのプライドに加え、崇高なメジャー志向ゆえに己を高める為の努力を惜しまず、1日1万回の素振りが日課となっている。 女性ゆえに参考記録だが、高校通算本塁打記録は、既に日本記録突破している(現在も記録更新中) 座右の銘『明鏡止水』 【身体設定】 192cm 64kg B96 W62 H98 髪の毛は銀色のロングヘアー。 褐色肌でカタコト。そしてヘソ出しルック。 本人曰く、胸がでかすぎて裾が足りないらしい。
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基本データ 艦級:出雲型装甲巡洋艦・重巡洋艦2番艦(一時海防艦に類別変更されていた時期あり) 建造場所:アームストロング・ホイットワース社 起工:1898年11月11日 進水:1900年3月21日 就役:1901年3月18日 類別変更:1921年9月1日 装甲巡洋艦→一等海防艦 類別変更:1931年5月30日 一等海防艦→海防艦 類別変更:1942年7月1日 海防艦→一等巡洋艦(重巡洋艦) 喪失:1945年7月26日 大破着底 除籍:1945年11月20日 実装状況:2015年9月17日現在未実装 史実情報 オリジナル艦娘の状況 2015年9月17日現在、pixivにて1件のイラストが確認されている。 http //www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium illust_id=46215998 (イラスト左が磐手。右は姉妹間の出雲) 同型艦 出雲型 出雲 - 磐手 関連項目 外部リンク Wikipediaにおける該当記事 名前
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依頼主 ゼウス 出現条件 酒宴の準備だクリア クリア条件 以下の神様を解放するアポロン 成功報酬 神技強化 貢物値+100 依頼時 アポロンも力を奪われているようだな。情けないが、可愛い息子だ。お前、力を貸してやってくれよ。あいつを3回進化させてやってくれ。 クリア時 ???
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打棒系 十手 (ジッテ) 【打棒】 基本性能 価値 重量 攻撃力 耐久度 付与枠 9 7.4 26 95 2個 命中補正 回避補正 物理耐性 妖術耐性 +4 +6 − − 装備可能 全職 装備区分 懐剣術系武器 必要Lv 18以上 付与効果 − 材料 糸巻き柄 4 玉鋼 2 炭 5 銀箔 8 くみ紐 1 製品 1次材料 2次材料 十手 1 糸巻き柄 4 細紐 4 ヒノキ材 1 研草 2 玉鋼 2(4) 炭 10 鉄 30 炭 5 くみ紐 1 銀箔 8 備考 鍛冶屋が打棒作成之はで生産可能 通常品NPC売却価格 17貫942文 追加情報 名前 コメント
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打棒系 十手 (ジッテ) 【打棒】 基本性能 価値 重量 攻撃力 耐久度 付与枠 9 7.4 26 95 2個 命中補正 回避補正 物理耐性 妖術耐性 +4 +6 − − 装備可能 全職 装備区分 懐剣術系武器 必要Lv 18以上 付与効果 − 材料 糸巻き柄 4 玉鋼 2 炭 5 銀箔 8 くみ紐 1 製品 1次材料 2次材料 十手 1 糸巻き柄 4 細紐 4 ヒノキ材 1 研草 2 玉鋼 2(4) 炭 10 鉄 30 炭 5 くみ紐 1 銀箔 8 備考 鍛冶屋が打棒作成之はで生産可能 通常品NPC売却価格 17貫942文 追加情報 名前 コメント
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中華(福建)・ウーランWoo Lan 壺蘭飯店 2274- 8368 19 Jln Scott (Brickfields) KL BambooFish [順売河魚]や松魚の生姜蒸、玉乳海鮮砂鍋が最高。 中華(福建)・ホイキーHoi Kee 海記飯店 2274- 1872 5 6 Jln Tun Sambanthan Brickfields, KL 福建州の興化料理の店。蠔煎(小牡蠣入りオムレツ)、海参猪手(豚足)など 中華(福建)・ミーレンMillion美聯酒家 4041- 3245 517 Jln Tiong, 3rd Mile off Ipoh Road, KL 炒麺線、 炒白粿、炒冬粉(ハルサメ)、猪手、蠔煎 など。福建麺が人気 中華(福建)・チョイチョイChoy ChoyRest財財 017-332 2569 AB-174,Baatu 4 1/2.Jln Klang Lama,KL オールドクランロードの有名店。薑酒猪腰生腸、肉骨茶、猪脚醋など 中華(客家)・レストラン・ハッカHakka 客家 2143- 1908 6 Jln Kia Peng、KL 収容能力300人のオープンエアレストラン。豚の角煮とスチームボートなどで有名 中華(客家)・ホーポーHor Poh河婆店 2145- 2232 148 Jln Changkat Thambi Dollah,KL 元来客家だが客に合わせて広東料理も作る 中華(客家)・インカーYing Ker Rest迎客楼 7729- 4229 139 1F The Curve, Mutiara Damansara, PJ 中国伝統の客家料理をシェフが現代風にアレンジ。
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おきろ、なんでこんなところでねてるんだ。 □ 「う、ぇ………」 啜り泣く声が、静かな夜の街に聞こえていた。 その声にあるのは恐怖と不安よりも、深い深い悲しみが大半だ。 やり場のない不安定な感情と、自分の仲間たちへの心配。そして、この『バトルロワイアル』に招かれる前に見た、世界の秘密。終わってしまう楽しいユメ。 願い星に誓って、大切な親友と苦難の丘を越えることを決意した。 暖かかった毎日、友と過ごした時間。 全てがユメでも、嘘だったとしても、一緒に歩んでいこうと決断させた友。自分たちの中では弱い方だと思っていたのに、本当はいつの間にかすごく強くなっていた少年。 直枝、理樹。 自分の手を引いてくれた人。 ユメから覚めて、やがて来る過酷を乗り越える決意をさせてくれた人。 なのに。なのに。なのに。なのに。なのになのになのになのに――――。 「こんなの、あんまりだ」 泣きながら、大きな瞳から大粒の涙をぽろぽろと流しながら。 少女、棗鈴は『それ』を、握り拳を作って叩く。 力は入っていなかった、入らなかった。入れられなかった。 彼女の前にある、かつて一人の人間だった『死体』。 直枝理樹の変わり果てた姿。 腹に穴を開けて血を流し、その瞳はすっかり虚ろな、死人のそれとなっている。 誰よりも優しくて誰よりも仲間想いで、皆が大好きだった少年。 勿論例に漏れず鈴だって理樹のことが大好きだった。 その彼は、もう動かない。 あの優しい笑顔で笑うことも。 馬鹿たちにツッコミを入れることも。 バトルをすることも。 野球を一緒にすることも。 猫たちに餌をやることも。 みんなでわいわい遊ぶことも。 ミッションをやることも。 一緒にご飯を食べることも。 真面目に勉強することも。 楽しく話をすることも。 リトルバスターズを誰よりも愛していた理樹には、もう出来ないんだ。 「おきろ、りき」 揺さぶる。しかし起きない。 「おまえが死んだら、きょーすけが悲しむぞ」 「真人も、馬鹿に付き合ってくれる奴がいなくなってすっごく悲しむ」 「謙吾だって、理樹がいなくなったらきっと泣く」 「こまりちゃんとクドなんて、もうくちゃくちゃ泣く」 「はるかはそれでも笑わせようとして、でも途中で泣いちゃうんだ」 「みおはきっと泣かない。でも、くちゃくちゃ悲しむ」 「くるがやも泣かない。でもやっぱり悲しむ」 「大体理樹が居なくなったら、あたしたちだけじゃくるがやを止められない」 「な?みんな、くちゃくちゃ悲しいんだ」 「お前の居ないリトルバスターズなんて、間違ってるんだ」 理樹は、それでも目覚めない。 「なあ、いい加減に起きろ」 理樹が目覚めることはない。 彼は完全に生命活動を停止している。 鈴もそんなことは理解していた。 ただ、認めなくないだけ。 大好きな親友の死を、認めたくないだけ。 「あたしだって」 すぐに認められる筈がなかった。 誰か一人が居ないリトルバスターズなんて、嫌だ。 目からとめどなく涙を流し。 棗鈴は感情の堰を決壊させた。 「あたし、だって………くちゃくちゃ、悲しいんだからな……!!」 そこから先は声にならなかった。 泣き声だけが、夜の街の静寂を切り裂いて響き渡る。 もう殺し合いなんて関係ない。 ただ―――親友の死に、悲しんでいた。 ■ 私は、何をしていたのか。 哀れで無様で惨めな空回りをして、一つの真実に辿り着いた。 それは本来喜ばしいこと。だが私の中には、妬みに近い負の感情が沸き上がった。 結果あの不可思議な右手に、私は無様な敗北を喫したのだ。 錬金術師・アウレオルス=イザード。それが私の名だ。 神の采配にさえ等しい力『黄金錬成(アルス=マグナ)』を手にして、魔導書の速記などではかなり有能な人材だとか随分と持て囃されたものだ。馬鹿馬鹿しいことだが。 そんな私は一人の少女と出会い、やがて彼女を救おうとする。 『魔導書図書館』と呼ばれた少女を救う為に奮闘した。 『吸血殺し』の少女を手に入れ、科学崇拝の頂点に立ち。 ようやく準備を整えた時に、現れた二人の少年。 そして私は彼女―――インデックスが『救われていた』ことを知る。 後は余りに蛇足で惨め。 黄金錬成を以てして尚、私は敗北した―――記憶にあるのはそこまで。 「……………必然。これもまた当然の報いか」 バトルロワイアルという悪趣味な催しに、私は参加させられている。 だが、特に私は生き残りたいと思わない。いや、思えない。 全てを失い、挙げ句の果てには狂乱に近い状態で力を振るったのだ。 この私に救いなど、用意されている筈もない――――必然。 ならば適当に足掻いて適当に死すのみ。 精々優勝を目指してみるのも悪くない。 デイパックの中身など探らずとも、私には『黄金錬成』がある。 弱体化こそしているが、それでも下手な近代武器よりはよっぽど手に馴染む。 別に策など用意してはいない。ただ運命に身を任せるのみ、だ。 「り………きぃ………ぐしゅっ、ひぐっ……おきろ、りき……!!」 む。 まだ幼さの残る甲高い泣き声。 少なくとも今の私にとっては幸運なことに、泣き声はそう遠くない。 いや、不運にも成り得るのかもしれないが。 まあ良い。ただ殺すだけだ。 ◇ 地面に染み込んだ血が乾いて、染みになり始めた。 それでもあたしの目から流れてくるしょっぱい水は、全然止まらない。 こんなところをくるがやなんかに見られたら、大変な事になる。 理樹は。くるがやの暴走を止められる奴はもういないんだから。 馬鹿兄貴とか、馬鹿二人にこんなに会いたいと思ったのは久しぶりだ。 あたしはとっても弱いんだって、よくわかる。 猫でもいい。レノンにファーブル、ドルジでもいい。 誰か、そばにいてくれ。 「時に少女よ。貴様は何故泣いている?」 びっくりした。 知らない男の声で、すぐそこで理樹が死んでるのにまったく動じてない。 こいつは悪いやつだ―――なんて、いつものあたしなら睨んでやった。 けど、今のあたしはとっても弱気で情けなくて、そんなこと出来なかった。 ただ、顔を向けた。 涙と鼻水でくしゃくしゃになった顔で、そいつの方を見るのが精一杯。 きっと目の下なんかは赤くなってるんだろう。 そいつはでかかった。 真人ほどの筋肉ダルマじゃないけど、真人よりもでかい。 緑の髪をオールバックにしてて、『きざ』な白いスーツなんか着てる。 悪いやつなのかどうかは、あたしには分からなかった。 でも、やっぱり………人が死んでるのに、ちっともびっくりしない。 「理樹………友達が、死んだ」 絞り出すように声を出した。でもこれしか言えなかった。 ふむ、なんてでか男は息を漏らして、何故か理樹のことを見下ろした。 「蘇れ―――――駄目か。『黄金錬成』が万全なら死人の一人や二人、蘇生することくらいは朝飯前だったのだが……済まないな、残念だが私にはどうにもできない」 何を言ってるのか分からない。 なんだ、こいつ魔法使いなのか?でも理樹は生き返らないのか……。 次の瞬間、でか男の目があたしに向いた。 怖い。やっぱり、でかい男をあたしはまだ完全に克服できちゃいない。 でも、こいつの目はちがう。 こいつは、あたしを殺そうとしてるんだ。でも、殺したくなさそうにも見える。 何故だかあたしは、こいつのことを。 『かわいそう』って思ったんだ。 「一つ問おう。貴様はこれからどうする気だ?その少年の死を乗り越えるか?それともこの場で私に殺されることを望むか。………尤も、死した方が楽であるのは確かだが」 あたしは答えられない。 いつものあたしならきっと、何も答えなかった。 理樹が居ない日々なんていやだし、あたしはまだ死にたくなんかない。 多分困ったように目を泳がせて、理樹や馬鹿兄貴に助けてもらうんだ。 でも。 もう理樹はいない。どんなに泣いても、帰ってこないんだ。 きょーすけの馬鹿兄貴も居るみたいだけど、今ここにはいない。 あたししかいない。 こまりちゃんたちもいない。馬鹿二人だって助けてくれないんだ。 もう甘えていられる時間はおしまいなんだって、あたしはようやく分かった。 理樹がどんなに強くて、強くなるのがどんなに苦しかったかも分かった。 強くなることはとってもつらい。心が、もうくちゃくちゃに苦しくなる。 だけど、行かなくちゃいけない。 あたしは結論を出さなきゃいけないんだ。 「あたしは――――――」 あたしは確かにはっきりでか男に自分の口から言った。 それが、あたしが理樹の強さを手に入れた瞬間だった。 ◆ ◇ 猛る。黒いフルプレートに身を包んだ怪物が、夜の街を往く。 見る者に恐怖と威圧を与える、その不気味かつ威厳漂う姿。 体表から発生している黒い霧のようなそれは、彼という存在のありとあらゆる詳細を秘匿していた。『己が栄光の為でなく(フォー・サムワンズ・グローリー)』と呼ばれるそれは確かに、街を往く狂戦士の『宝具』であった。 生前の彼を知る者が彼の正体を知れば、きっと誰もが驚き嘆いたろう。 元は誇り高き騎士であった『彼』。しかし今は見る影もない。 「………ar……ur………」 人智を超えた存在・サーヴァント。 契約者(マスター)不在でもその力は人間では相手にならないほどに高く、強い。 そしてサーヴァントについて知識を持つ者が彼を見たなら、総じて言うだろう。 もしサーヴァントなど知らぬ者が彼を見ても、きっとこう言うだろう。 ――――――――『バーサーカー』と。 ◇ ◆ 「―――――あたしは生きたい。あたしが、理樹の代わりに強くなる。きっとあたしはそうしなくちゃいけないんだ。だからあたしは、お前に殺されてやることはできない」 なっ、とアウレオルスは声を漏らした。 予想外だった。 泣きじゃくっていた鈴は、直枝理樹と共に死を選ぶと思っていた。 なのに、この少女は敢えて苦難の道を選択したのだ。 理解出来なかった。アウレオルス=イザードの脳で、疑問符が反響する。 目は泣きじゃくった後なのがよく分かるほどに充血して。 頬も感情の高まりによって紅潮している姿は強さとはあまりに遠い。 しかしアウレオルスは、自分が鈴だったなら同じ選択は出来なかったと思っている。棗鈴という少女は、親友の亡骸を間近で見て『強さ』を得たのだ。 死んだ親友の為に、辛くても生き続けたいと確かに、毅然と言い放った。 ―――――私は。 ―――――私は、何をしているのだ? アウレオルス=イザードの狂いかけた心に、彼女の強さは勢いよく刺さった。 理由を失った錬金術師の心を揺さぶるだけの価値がある強さ。 頭の中に投影される、自らの生涯。 走馬燈にも等しい、自己回想。 最初は、先生だった。 生きる意味だった少女の先生になったところから、人生が変わった。 彼女を救うために何冊もの魔導書を書き、やがて自分が彼女に救われていたことに気付く。それから、筆が進められなくなってしまった。 ただ、一人の少女を救うために。 最大宗派・ローマ正教に離反を起こし、『世界』を敵に回した。 しかし、やっとのことで救う準備を整えた時には彼女はもう救われていた。自分などとは全く違う、正真正銘の『ヒーロー』の手によって、彼女は救われていたのだ。積み重ねてきた努力も、綿密な計画も、何もかもが報われることはついになかった。 後は堕落。 やり場をなくした怒りを叩き付け、あまりに哀れで無様な敗北を喫した。 ―――――私は、大馬鹿者ではないか。 彼女が救われたことを、喜ばなかった。 その時点で自分は、何かを決定的に間違ってしまったのだ。 彼女を助けて幸せにしてやりたかった。それが最初だったのだ。 ―――――あの子の笑顔が見られれば、それだけで良かったんじゃないか。 「お前」 少女の声が、自分の真実に気付いたアウレオルスの耳に入る。 それは毅然とした、とても真っ直ぐな呼びかけだった。 「お前、あたしについてこい。何を迷ってるのか知らないが助けてやる」 ああ。私を助けてくれ。代わりに、私が責任を持って君を守ろう。 アウレオルスに比べればちっぽけな少女は、彼に手を差し伸べる。 その小さな手は、握手の意味で差し出されたのではない。 手を取れ。 この手を取れば、アウレオルス=イザードは正しい道に戻れるかもしれない。 だが、良いのか。 強さを得たからといって、彼女はまだとても脆い。 自分の分の重荷まで背負わせてしまっていいのか。 葛藤がアウレオルスの胸の中で繰り返される。今の彼は、心の底から棗鈴という少女を心配していた。――――彼は気付かない。もう、彼は正しい道に戻れているのだと。 「なんだ。お前強情だな!………じゃあ、決め台詞をつけてみるか」 泣き腫らした目で。親友の死を越える決意をした少女は。 心の底からの笑顔で、言った。 「助けてやる。あたしたちはリトルバスターズだ。一緒に行こう」 もう、迷わなかった。 アウレオルス=イザードはその小さな手を、取った。 理樹の強さを背負ったから『あたしたち』。 一人が辛いから、二つの手を繋いだ。 二人じゃ寂しいから、輪になって手を繋いだんだ―――。 □ ■ □ 「そうか。あうれおるすは本物の魔法使いなんだな!すごいな!」 「正確には錬金術師だよ、鈴」 二人は、より深い路地裏を歩いていた。 先程鈴の泣き声がかなり響いていたのだから、殺人者も集まってくる筈という案だ。 『鈴のリトルバスターズ』を作る為にも仲間は多いに越したことはない。 ゲームに乗った者も説き伏せていくくらいの心構えだった。 だがさすがに、複数の敵に囲まれたりしては目も当てられない。 『黄金錬成』が万全なら一国を相手にだって出来たが、相当制限されている。 今の力では―――いや。弱気な考えは捨てるべきだろう。 そんな時。 アウレオルス=イザードと棗鈴の全身に、同時に怖気が走った。 魔術に心得のあるアウレオルスはすぐにその意味するところを理解し。 魔術など知らない鈴も、走る寒気とアウレオルスの様子から只事ではないと知る。 「鈴、下がっていろ。アレをどうにかせねばならないようだ」 「出来るのかっ!?何かあいつ鬼こわいぞっ!?」 心配は無用だ、と鈴に言い聞かせつつも、内心では冷や汗をかいていた。 今自分たちの前に立ちはだかる存在が、魔術的観点から見ればどれほど脅威的な存在かをアウレオルスの知識は即座に理解し、そして覚悟を決めた。 英霊。『神の子』の特徴を持つ『聖人』にさえ匹敵する途方もない怪物。 「………ur」 「暗器銃を右手に。その刀身を回転射出!!」 右手に突如出現する暗器銃。 その鋭利な刀身が回転射出され、狂戦士を両断せんと迫る。 普通なら、甲冑を刀で斬り裂き、その内部の人間を両断するなど不可能だ。 しかし『黄金錬成』にはそれが適用されない。外敵の抹殺を命じれば、法則などの事項を全て無視して外敵を抹殺する………いわば『思った事を実現させる』ことに等しい。 まず防ぐ術など存在しない力だった。それは制限を科されようともとても強力な力。人間と英霊の絶対的な力の差を埋め、勝機すら作り出す。 が。バーサーカーは放たれた刀身を掴み取る! すぐにその輝きは失われ、黒く染まり、本来の効力さえ失った。 アウレオルスは眉を顰める。バーサーカーの保有する何らかの力は、どうやら掴んだモノを何であれ自らの武器『宝具』にしてしまうのか―――厄介だ、と思った。 バーサーカーの怪物じみた力で投擲されれば、防御が間に合うかは微妙だ。 「撲殺」 空中から現れるは金属の槌。 しかしそれをバーサーカーはまたも掴み取り、更に先の刀を投擲した。 不味いな、と思うが、あれをまともに食らう訳にはいかない。 『黄金錬成』への制限の中で最も厄介と思われるのが『回数制限』。 五回の使用につき、三時間のインターバルが発生する。 つまり後三回しか使えない。バーサーカーとの相性はどうやら最悪。 これをたった三回の『黄金錬成』で倒し切るのはほぼ不可能に近い。 「守れ」 黄金の膜が生じて投擲された黒い刀を受け止める――――が。膜には罅が入り、後少し威力があれば間違いなく貫通されていただろう。 『命令』の威力の弱体化。これもまた、相当に面倒な代物だった。 しかもただ『死ね』と命じても何も起きることはない。 「■■■■■■■――――!!」 黒く染まった槌を片手に、バーサーカーが迫る。 背後の鈴の怯えが伝わってくるようだった。だから彼は選んだ。 およそ格好いいとはいえない『逃げの一手』を。 「道を閉塞。外敵を決してこちらに通すな!」 路地を挟むように建っていた小さなアパート二件が、アウレオルスの眼前で倒れ、文字通り『道を塞いだ』。そしてアウレオルスは鈴を抱え、最後の『黄金錬成』を使う。 「脚力強化」 ただ、走る。 迫る黒騎士から離れるために、ただただ、駆け抜けた――――。 【H-3 街/未明】 【棗鈴@リトルバスターズ!】 【装備:なし】 【所持品:支給品一式、ランダム支給品×3】 【状態:健康、強い決意】 【思考・行動】 1:理樹の強さを受け継いで、生きていく 2:アウレオルスと逃げる。 【備考】 ※Refrain、虚構世界脱出直前からの参加です 【アウレオルス=イザード@とある魔術の禁書目録】 【装備:なし】 【所持品:支給品一式、ランダム支給品×3】 【状態:疲労(小)、黄金錬成使用可能まであと三時間】 【思考・行動】 1:鈴と共にバトルロワイアルを駆逐する。 2:バーサーカーから逃げる。 【備考】 ※上条当麻に敗れた直後からの参加です ※『黄金錬成』について 五回の使用につき三時間のインターバルが発生する。 思うだけでの使用は出来ず口にする必要がある。 規模、威力が大幅に制限されている。 生み出した物は数分で消滅する。 相手の攻撃の軌道を逸らすことは出来ない。 ■ □ ■ □ 狂戦士は一人路地の裏、瓦礫の山を吹き飛ばす。 手にしていた槌は既に消滅し、今は何も持ってはいない。 また、アウレオルスらを追う、という選択肢もまた彼にはなく。 彼は再び、威圧と殺意を放ちながら街を往く。 憎み、もはや呪いに近いほどの感情を抱く一人の騎士王を探して―――。 【バーサーカー@Fate/Zero】 【装備:なし】 【所持品:支給品一式、無毀なる湖光@Fate/Zero(封印中)、ランダム支給品×2】 【状態:健康、狂化(永続)】 【思考・行動】 1:■■■■■■■■■――――― 【備考】 ※間桐雁夜に召喚される前からの参加です。 ※戦闘能力が抑えられています。 ※セイバー@Fate/stay nightを視認すると、全ての行動を放棄して彼女に襲いかかります 【無毀なる湖光@Fate/Zero】 バーサーカーの宝具で支給品扱い。 使用すると全てのステータスが1ランク上昇する。 また原作通り、使用している間は『己が栄光の為でなく』『騎士は徒手にて死なず』を封印する必要がある。 023 夢想曲 時系列 038 クールになれ、刻命裕也! 026 Angel Meets! 投下順 028 少女の戦 START 棗鈴 071 たとえバラバラになろうとも START アウレオルス=イザード START バーサーカー 061 決意と殺意が交わる時