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2レスほどぺたぺたします。別に、えろくなんてないけどね 陽炎型の三人に新ボイスという事なのでちょっと放置→つついてきて書いた 不知火の場合(ちょっと嬉しそう) 貴方はふと書面から顔を上げた。その視線に気づいて、何事でしょうかと、不知火は片方の眉をついと持ち上げた。 すみませんね、秘書艦をやってもらっているのに、暇にしてしまって。貴方がそう詫びると、彼女はそれを否定するように首を振った。心底、心外です。そういう事を言った。 「不知火は決して、退屈などしていません」 彼女はそう言って、数度瞬きをしてから、おもむろに軽く脚を組み替えた。抗議するように一度椅子が軋んだ。 それでも。貴方は少し食い下がった。すると、彼女は机に肘をついて、両手の指を互い違いに合わせて、それから小さく肩をすくめた。 「……いえ、構いませんよ」 そうですか。 貴方は再び顔を伏せた。狭まった視界の端、ぎりぎりのところで、不知火がそっぽを向いた。その唇が僅かに動いて、ぼそりと、かすかに呟いた。 「どうぞ、ご自由に……」 不意に貴方は酷くばつが悪くなってしまい、それからふと、頼める事があるのに気がついた。これなら、そこまで手のかかる訳でもなく、頼み事には丁度いいと思われた。 なら一つ、お願いできますか。何気ないふうにして訊ねた。 少しだけ身動ぎをして、彼女はあくまで平静に首肯した。けれど、返ってきたその声には、幾ばくかの喜色が浮かんでいるようだった。 ――不知火に、何か、御用ですか。 黒潮の場合(ちょっと怒ってそう) ふと書き付けていた筆を止めて、貴方は考え込んだ。迫りくる一大規模攻勢(イベント)。大本営がこのところ折々で匂わせてくる例のあれを前にして、ふっつりと黙り込んだ。 時勢は既に、備えを求めている。未だ発表はされていないが、号令がかかってからでは、明らかに遅い。戦争が誰の目にも明らかになってから準備を始める軍隊など、無能以外の何ものでもない。 しかし、そもそもこの時期に、この大型艦建造を行うというのは、はたして如何なものだろうか。 ゆっくりと、息をついて、眉間を強く揉んだ。 「なあなあ、司令。ちょっとええか?」 ああ、しかし、大和型不在で臨む事こそが、慢心と称されるのではないだろうか。 建造計画書の数字は、どこを見ても素晴らしいものだ。 もちろん、見積もられたコストも、素晴らしかった。とてもではないが、気軽に承認できるものではなかった。 「司令はん? ……司令はーん?」 不要の長物といえば、そうだろう。駆逐艦たちをあくせく労働に従事させずに済むし、希望する連中に好きなだけ出撃させられる。朝のおかずが一品増えたり、潜水艦に休日だって出せるかもしれなかった。 「聞こえてないんやろうかぁ……。まあ、ええか。のんびりしよー」 要不要と、確立と、様々な事を考え合わせて、そこでようやく、貴方は彼女に意識を向ける事ができた。 彼女の方でも、それに気がついたようだ。 ――司令はん。なんやろかー? 朗らかで、いつも柔和な笑顔を絶やさない黒潮の、それは冷たい声音だった。 貴方は苦笑いをして、どうか、機嫌を治すよう頼み込むのだった。 (……陽炎? 遠征からまだ……) これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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378 :353:2014/06/08(日) 23 23 57 ID T7DM3MSA 流れぶったですいません。 飛龍できたので投下します ※鬱です。 ※艦娘の記憶についてと多聞丸の扱いについて独自設定があります。 戦争が終わってもう随分経った。 あの日、共に戦い続けた艦娘達も今はもう鎮守府を離れ、それぞれの戦後を生きている。 あの日、命がけで守った平和は一応今も続いている。 あの日、拠点であり家であり故郷だった各鎮守府や泊地はその多くが閉鎖されるか縮小されるかした。 そんないつもならば訪れる者などほとんどいない場所に、駅前で拾ったタクシーに乗り、一人の老人が降り立った。 運転手はこの手の客を乗せるのが初めてではないのだろう。 行き先を聞いて老人の目的を察すると、いつものように饒舌に話すわけではなく、ただ粛々と車を走らせた。 タクシーから降りた老人は、一人開放された敷地に入っていき、その中央にある大きな石碑の前で止まった。 『英霊碑』石碑にはそう刻まれている。 先の戦いで死んでいった者達を祀ったこの石碑は、その根元を無数の献花が覆っている。 「なんだ。蒼龍も来ていたか」 老人は献花のうちの一つを見てそう呟いて膝をつき、静かに目を閉じた。 老人がまだ青年だった頃、人類は深海棲艦との戦争を続けていた。 青年は当時対深海棲艦の中核戦力であった艦娘を指揮する提督となり、その規模は徐々にではあるが大きくなっていった。 飛龍はその時に彼のもとに現れた。 明るく朗らかな彼女は、当時は提督もさることながら蒼龍にとっての大きな目標であった。 目指すというより出会うという事が目標だったが。 かつての相棒との再会した彼女の喜びは一際大きなものだったに違いない。 ましてや、 「ゴコウセンガーゴコウセンガー」 「そんな事よりボーキ食べたい」 「瑞鶴!瑞鶴!瑞鶴!瑞鶴ぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!(以下ルイズコピペ)」 こんな癖の強い正規空母において数少ない常識人であった蒼龍にとって、 飛龍の存在はただの相棒以上に心休まるものであったとも言える。 そしてまた提督にとっても、快活で気安い飛龍には蒼龍同様の思いを感じていた。 その思いは提督の中で次第に大きくなっていき、徐々に変質を始めてもいた。 提督は女に縁がない。 というか、女に縁がなければ軍人になどならない。 提督が提督になった頃はそんな風潮だった。 実際この提督も懇ろになった女性など一人もいなかった。 そして巷間で語られるほど一人でいることが苦痛ではなかったため、 興味がないといえば嘘になるが、必死になるようなつもりもなかった。 そういう相手が出来て結婚するならそれはそれ、しないのならそれはそれ。 この程度の考えであって、伴侶の有無の差などそれこそ近所の定食屋の日替わりメニューの差ぐらいにしか考えていない。 いや、いなかったと言うべきか。 「飛龍。今日はもう休んでくれ。お疲れ様。明日もよろしくな」 ある日の夕方、提督は飛龍にそう言って下がらせた後、一人になった執務室で彼女の淹れてくれたお茶を啜っていた。 大して柔らかくもない背もたれに体を預け、オレンジ色に染まった天井をぼうっと眺める。 それがいつからかは分からないが、提督は飛龍に惚れていた。 明るくて気安くてよく気が付く、こんな女と仲良くなれたら楽しいだろうと思わせるものを飛龍は兼ね備えていた。 秘書艦になった彼女は、提督にとっていつしか心の支え以上の存在になり始めていた。 しかし同時にこんなことも思う。 (他の男に気の向いている女など抱いても惨めなだけというが……) 提督がかつて、妻に逃げられた知人から聞いた言葉だった。 その人物曰く、そんなのは人形を抱いているのに等しいという。 提督はこの言葉を思い出す度に自分の思いが報われない事を思い知るような気がした。 飛龍はことある毎に『多聞丸』という名を口にする。 蒼龍によれば、飛龍がまだ普通の空母であった頃に指揮を執っていた提督の名との事だ。 蒼龍もその人物の事は知っているし、同じく普通の空母であった彼女に乗っていた時期もあるという。 ただし、船であった頃の記憶は艦娘によって異なるようであり、記憶と言うより記録に近く、年表を丸暗記しているような感覚である者がいたり、 反対に明確な体験として焼き付けられている者もいる。 蒼龍は本人曰く前者に近いそうだが、飛龍はその言動からして後者である可能性が高い。 もしそうであった場合、その多聞丸なる人物の事はどのように記憶しているのか。 ただの上官か、戦友か、父か、息子か、或いは― (人形に恋することも無い) そこまで考えて、思考を強制的に打ち切った。 きっとそうだという思いと、違っていてほしいという思いとが提督の中でせめぎあい、それから逃げるようにその結論に至る。 恋い焦がれるというのはこういうものなのかと思いながら。 そして翌日の夕刻。 いつもと変わらぬ執務室。いつもと変わらぬ飛龍。いつもと変わらぬ提督。 「提督?」 「うわっ!」 ふいに、飛龍が提督の顔を覗き込む。 「何か考え事?」 「あ、いや。何でもない」 「ふぅん」 (人形を抱いても虚しいだけ。人形を抱いても虚しいだけ……) 提督は昨日からずっとそれを自分に言い聞かせていた。 そして何度も言い聞かせねばならぬという事は、それだけそれに反対する思いが強くなっているという事でもある。 欲しい。目の前の娘が。例え自分に心がなくとも。ただの一度、それだけでいい。 だからこそ飛龍の一言が提督の中で大きなものとなった。 「提督。私でよければ相談に……」 「相談……か」 大きなため息を一つ。 決心する。 「実はな飛龍」 「なに?」 「……好きだ。お前が、俺は、とても」 覚えたての言葉のようにただ単語を羅列するが、意味は十分伝わっただろう。 一瞬きょとんとした飛龍が、耳の先まで真っ赤になっているのがその証拠だ。 「えっ!?あ、あ、あのっ……。どうしよう。参ったな……」 しどろもどろな飛龍はやがて、大きく深呼吸を一つ。 「その……提督?」 自分の聞き間違いではないことを確認するかのようにゆっくりと尋ねる。 「あの……好きって、その……私が?」 無言で頷く。 それから数時間後、日が沈んだ執務室に二人はまだいた。 二人の間には小さなコップが二つ置かれ、酒が注がれたそれをままごとの様に口に運ぶ。 火をつければ燃えるぐらいの度数はあるはずのそれも、今は水の様にしか感じない。 「美味いな」 ただ台詞のようにそう言う提督に、飛龍は伏し目がちに頷く。 コップがすぐ空になったが、次を注ぐようなことは無い。 「もう、いいか?」 提督の問いに、今度も頷く。 飛龍も子供ではない。このままごとの終着点が何かなど分かっている。 そして、その終着点にすでに辿り着いたことも。 膝で体を進ませた提督は静かに、しかししっかりと飛龍の両肩を抱きしめ、唇を合わせる。 柔らかくて温かい飛龍のそれが提督の舌によって開かれ、侵入したそれを飛龍のそれが出迎える。 二人の舌は絡み合い、味わいあって、離れ際につうと一筋の糸を引く。 「飛龍、お前の心はどこにある?」 唇を離した提督は、飛龍に尋ねながらしかし、その答えを先に封じる。 「いや、答えなくていい」 「……多聞丸は、私の象徴です」 振り切って口をついたそれは飛龍の心遣いか、或いは本音か。 どちらにせよ、提督にとっては十分な答え。 「……そうか」 多聞丸は飛龍の象徴。 上官でも戦友でも父でも夫でも息子でもなく、象徴。 象徴とはつまり、AなくしてBなしというもの。 多聞丸なくして飛龍なし。 「それでいい」 「えっ?」 上官や戦友や家族ですらない象徴。 その答えが思いつかなかった提督と、その次元にいる多聞丸。 これはつまり完全敗北という事。 そしてその事実が、かえって提督の迷いを断ち切った。 (どの道敵わないと思っていたのだ。これでいい) そう結論付けて飛龍を押し倒す。 (どうせ敵わないなら、心置きなくできるというものだ) それはつまり人形を抱くという事。 虚しいはずのそれが、今はとても魅力的に見える。 自分の下にいる飛龍を覗き込む。 はだけた胸元からうっすらと汗ばんだ白い肌が露わとなり、形の良い二つの膨らみに手を伸ばすと、 柔らかなそれは指の形に合わせて姿を変える。 「あっ……」 飛龍の口から艶っぽい声が漏れる。 提督は掌全体で揉みしだき、それに合わせて乳房の形は変わり、またそれに合わせて飛龍も声を上げる。 「あっ……うんっ。あっ、ああっ……あん!はぁ……はぁ…ああっ!」 徐々にではあるが、飛龍の声に荒い息遣いが混じるようになってきはじめた。 提督の手が離れても二つの乳房は荒い呼吸に合わせて上下し、汗ばんだ体は先程よりも遥かに色香を放つ。 やがて提督の指が胸から上へと滑り、はだけた着物を肩から脱がせてゆく。 上半身を剥かれた飛龍は提督に抱き起されると、されるがまま、ただその腕に抱きしめられながら再度の口づけを交わす。 提督はそのまま抱きしめた腕を一度ほどき、飛龍の腰に手をやると丁寧にその短い袴を脱がせていく。 シュル、シュル、と衣擦れの音だけが響き、下を自分に向けて露出させた提督は、今度は自分のズボンを下ろし始める。 互いに似たような格好になった二人は、口を合わせたまま抱き合い続けている。 自分の腕の中に飛龍がいるという感覚を提督は存分に味わおうとしていた。 兵器とは思えぬ細い腕と、ともすれば華奢とも言える細い体。 抱いたら壊れてしまいそうな飛龍はしかし、今の提督にとってはいかに貪っても貪りきれないほどに大きな存在となっている。 互いに抱き合った姿勢のまま口だけを離して提督は飛龍を自分の上に乗せ、そのままゆっくりと挿入する。 心地よい温かさの膣内は、包み込むように提督の一物に張り付いてゆく。 「うっ……くひっ!」 飛龍が声を上げ、それに合わせて提督が動くと、その動きに合わせて一物が振動し、その度にまた膣内を新たに刺激されて飛龍が声を上げる。 「ううっ!ふあっ、ああっ……ひいん!」 声を上げながら提督の背中にまわした腕に力が入る。 「……行くぞ」 湿った膣内で一物がぬるりと動き、その主は飛龍の耳元でそう告げるとぐっと奥に向かって動かし始めた。 「えっ……!?ふぁああっ!?あひ、ひぃ、ひぃぃん!!」 飛龍の声が一際大きく響く。 二人の間にぬるぬると血が流れ、潤滑油のように広がっていく。 「あああああっ!!くううっ、あっふぁああ!」 叫びながら、飛龍の腕は更に強く提督にしがみつく。 「ひはっ、提督っ、提督ぅぅ!ひゃ、ひゃああ!!」 最奥部に到着した提督の一物を飛龍の体はしっかりと咥え込み、提督にも一呼吸ごとに刺激を与え続ける。 「くふっ……飛龍っ!」 「はぁっ……はぁっ……!!提督、ていと……ひゃ!?」 脈動する提督とそれを離さない飛龍。 「ふああっ!提督っ!!ふぁああああああああ!!」 ほどなく絶頂を迎え、二人は生気が抜けたようにその場に崩れ落ちた。 ぼうっとする頭で、提督は何度も唱え続けた念仏を反芻していたが、不思議とその虚しさすら心地よかった。 そこには一抹の寂しさとその何倍も大きな満足感があり、 しかしながらこれまで抱えていた焦がれるような思いは嘘のように消えてしまった。 飛龍への愛おしさは前と変わらず、むしろ前にもまして強くなっているのに、今日の昼までのようなたまらない感じはもうなかった。 飛龍の体だけが欲しかったのかと問われれば断じて違うと否定できる自信はあるが、 それでもかつてのような飢えにも似た強烈な衝動は無くなっている。 そんな提督の思考は、隣に寝転がっている飛龍の一言で打ち切られた。 「はぁ……はぁ……たまには…」 「うん?」 「たまには……ね」 「ああ。そうだな」 二人で並んで天井を見ながらそんな事を話した。 事実、この日から何度か二人は体を求めあう関係となった。 昼はいつも通りの提督と艦娘として、夜はお互いを求めあう関係として。 昼には飛龍はそれまで通り提督に接していたし、蒼龍や他の仲間の前でも同様の立ち居振る舞いであった。 提督もまた同様に、まるであの夜は何もなかったかのように振る舞っていた。 そして、ある穏やかに晴れ渡った日の正午。提督はたまたま蒼龍を旗艦に据えて出撃し、その戦いで飛龍は沈んだ。 誰に恨みを言う訳でなく。誰に未練を残すでなく。 その名の通り空を飛ぶ龍のように、提督の元から飛び去ってしまった。 残された提督と蒼龍は、鎮守府に戻ってから泣いた。 飛龍のいなくなった執務室で、二人で泣いた。 戦争が終わったのは、それから暫くしてからだった。 老人は懐からあの日酌み交わしたのと同じ酒のポケットビンを取り出す。 (なあ、飛龍。俺を恨んでいるか?俺を酷薄だと思うかい?) 飛龍が沈んですぐ、後を追う事を考え、提督と言う立場上自由に死ねないという事を理由にして彼は生きた。 だが、戦争が終わって四十年が経とうとしている今までに提督ではなくなったし、結局独り身だった彼には気がかりなものは無かった筈だった。 (結局俺は怖かっただけだ) 死の恐怖に怯え、それから逃げながらも後ろめたさを感じてきた人生だった。 老人は両手を合わせ、静かに祈りを捧げる。 普通、戦死した艦娘には遺品はおろか遺骨の一つ、遺髪の一本すら残らない。 あの日二人で交わした酒の瓶だけが、遺品代わりに老人の家に祀られている。 その瓶に毎日捧げた祈りを、再び捧げる。 (多聞丸さん。私はあなたを存じ上げませんが、もしその姿の飛龍を知っていて、私の思うような関係であったのなら、どうかその娘を責めないでやってください。 彼女はこの酷薄で臆病なクソッタレの間男に弄ばれただけなのです。その責めがいかなるものであってもこの間男が受けるべきなのです。 ですからどうか、飛龍にご慈悲を) あの日と同じ正午を告げるラッパが、あの日と同じ穏やかに晴れ渡った空に響いた。 終 +後書き 386 :353:2014/06/08(日) 23 52 23 ID T7DM3MSA 以上スレ汚し失礼しました。 また、昨日中に投下できず申し訳ありません。 多聞丸の扱いが難しかった(粉蜜柑)。 無理やり押し倒せばいいことに投下しながら気づいた。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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提督のいない鎮守府は、静かだ。 だが、かれが遠洋に出撃しているがゆえの不在の静かさと、“いない”ゆえの空席の空しさは、 どう思いを馳せてみても違う。 鎮守府筆頭が空席となる理由は、これまた様々である。 いわゆる帝国海軍における人事によるもの、提督が何らかの理由により円満な退役を見たもの。 このふたつのいずれかであれば、艦娘たちは程度の差こそあれど、去った提督を惜しみ、新たな提督を心待ちにする。 今までに何人もの提督が鎮守府に赴任してきたが、どうしても“現在”の提督が一番愛しく思えてしまうようなのだ。 しかしながら、今鎮守府にのさばる沈黙の重たさは、先に述べた状況のどちらでもない。 『提督はボラボラの浅瀬で、紅珊瑚のトナカイの夢をみておられますよ』 高雄が──満身創痍で、唯一南洋から帰還してきた高雄が、年若い妹というべき駆逐艦たちに、 たった一滴の涙を見せて、そう言い聞かせていた。 高雄は提督の秘書で、座乗艦だった。その、南洋に赴く日に限って、かれは、高雄に乗らなかった。 大事な同輩と、愛する男を南の海の底に置いて、それでもたったひとりで高雄は、鎮守府に帰ってきた。 長門の胸中に沸きあがるのは、あれだけ艦娘をとりこにしておきながら、 あっさりくたばった提督への、嫉妬にも似た怒りの念だ。 墓があったら眼前にはったと正座して、明けてから暮れるまで、もの言わぬ石に延々と説教を垂れていただろう。 死は絶対だ。死は不可逆だ。戦場に散り靖国に咲くのが武人の誉れだというならば、 恥を晒しても生きて帰ってくるのはせめて──せめて、男の甲斐性とかそういうたぐいのものではないのか。 憤懣やるかたない長門の足元で、ぱきりと小枝が折れた。 その時だった。 幾分か上擦った、本職の海の男たちにはだいぶ頼りない、耳慣れた五省を唱和する声。 鎮守府にいるのは、提督を始めとする本職の軍人だけに留まらない。 事務屋もいれば、酒保の店員もおり、珍妙な猫もたまにうろついていたりする。 長門!と呼びかける声は、唱和の声に明るく重なった。入渠を終えた金剛がそこにいて、こちらへ手を振っている。 傍らで学び舎の窓を見上げているのは、やはり入渠を終えた比叡だ。 「江田島の士官候補生デース! 未来の提督たちネ!」 「実地学習、だそうです。みな、一度は実際の艦を見て、自らがすべき職掌の重みを体感せよ、とかで」 鎮守府にあまり覚えない、そのものずばり若い娘の声に注意を引かれたと見えて、ひょこりと白い制帽が窓から覗く。 するとたちまち、そこは士官候補生たちが、我も我もと鈴なりの有様になった。 金剛は気安く笑顔で、諸手を挙げてそれに応えた。比叡は比叡で、そんな彼女を微笑ましく見つめている。 「──長門!」 そして、今にも落っこちそうなほど窓から身を乗り出した少年──まだ少年にしか見えない “未来の提督”の声が、まっすぐに長門の鼓膜を打った。 勢い余って、その頭から制帽が落ちる。晴れた空に花弁のようにくるくると舞って、 楽しげにスウィングして、果たしてそれは──推し量ったごとく、過たず長門の胸に、ぱすんとぶつかった。 「長門! ナイスキャッチー!」 「……ちょっと、金剛ねえさま! 少しはものの言い方を──」 「比ー叡ー、ワタシを誰だと思ってるノ? 英国で生まれた帰国子女! 超弩級戦艦! 金剛デース!」 「もう、ねえさまったら!」 制帽を落っことした粗忽者は、それでも笑顔で、三人の艦娘に手を振っている。 鬼より怖いと認められる教官も、提督が不在の今、艦娘たちに『遊んでおらんで仕事をせえ』とは言いづらいのだろう。 なんとも微妙な、苦しょっぱいような顔で、教卓付近の窓から顔を出している。 長門もまた、不安なような、それでいて期待に似ているような、教官の心中とだいぶ通じるところのある心持で、 未だに手を振る少年を見上げていた。 鎮守府が、新しい提督を迎える日も近いだろう。一月や二月ではないかもしれないが、年単位ではないに違いない。 それまできっと艦娘たちは、本物の人間の娘たちを真似て繕い物に精を出してみたり、 ぼんやり海を眺めたり、まだ見ぬ提督に思いを馳せたりして──過ごすのだろう。 その、いずれ来たる提督が、自分を座乗艦に──秘書艦に──ひいては最愛の思い人にしてくれることを、待ち望みながら。 新たに鎮守府に着任した提督は、痩せっぽちの洟垂れ小僧だった。 黒縁眼鏡。生えたのだか生えてないのだか、たまにまばらな無精髭。 “着られている感”がありありな白の詰襟。敬礼は、今までの提督たちと引き比べても、全くのどへたくそ。 洗練されてもおらず、江田島でどうにか作られてしまった濫造提督、というべきありさま。 煙草は嗜まない。酒は猪口の糸尻の量を啜る程度。食も細い。夜になると少し咳き込む癖。 ほとんど雪山のような高地で療養したこともあったんだよと聞かされて、 身の寒くなる思いをした艦娘もあったが、寛解したと笑顔で断言されては追及もままならぬ。 そして、あろうことかその新米提督は、長門を秘書兼座乗艦に選んだ。 気安いわけでもなければ扱いが容易いわけでもない、ウォーシップという呼び名そのものを体現したような長門を。 「ああ、長門それから」 「……なんだ」 そして、あろうことか彼は──いつのまにか少年から青年へと成長した提督は、ある夜、長門にこう告げた。 「きみに、──きみに夜伽を命ずる。本日フタイチマルマルで執務室に出頭するように」 --------------------------------------------------------------
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久々の長期遠征から帰った不知火。 鎮守府の長い廊下を抜け執務室の扉をくぐるとそこは (p)http //kancolle.x0.com/image/28691.jpg な光景であった。 慣れ親しんだどことなくボロ臭い壁と床、窓にかかっていた赤いカーテンは姿を消し 壁はピンクドットな壁紙、真っ赤な絨毯にティーセット、なんか落書きのしてあるガラス窓 部屋の隅には季節にはまだ早い白いツリーが置いてあり トドメに壁には何故か『第六駆逐隊』の掛け軸がかかっている。 見慣れたものは提督と自分の机くらいだ。 まさかとは思いながら一旦外に出てみると、やはりそこは執務室に続く鎮守府の廊下である。 再び中には入りしばらく頭をひねっていると後ろから声をかけられた。 「すまない、出迎えに間に合わなかったか。おかえり不知火」 「お~、ぬいぬいおっかえりー」 「司令に鈴谷さん……これは一体何が起こったのでしょうか?」 「あーこれな……」 提督も苦笑いを浮かべている。 「うちは基本こういうのに金をつかわかったんだが予算はおりているんだ。 で、基本的に寮の改修やら間宮さんの方に金を回していたんだが こういう使い方もしていると報告しないとこの手の予算が次からおりなくなるんでな」 年末の道路工事みたいなもんだ。 とざっくりと説明されてだいたい納得する。 「それにしても少し派手すぎないでしょうか、落ち着かない気がするのですが…」 「それはコイツに文句を言ってくれ」 そう言うと提督は鈴谷を指さす。 「えー、どうせなんだから可愛くしたほうがいいじゃん」 「……鈴谷さんの趣味ですか」 ガックリと肩を落とす不知火。 ちなみに掛け軸は部屋を見た第六駆逐隊が作成して飾ってくれとねだってきたものである。 「あーなんか傷つくなーその反応。他の娘たちには結構好評なんだよ?」 「いえ、主にこの部屋を使うのは司令と不知火なのですが……」 「机は変えてないし大丈夫大丈夫、慣れるって」 得意満面な鈴谷を見た不知火はハーっとため息をつき諦める事にした。 遠征から戻ったばかりにも関わらず溜まった書類を整理し始める不知火と提督。 鈴谷は基本ブラブラしつつたまに不知火から頼まれた仕事を手伝っている。 提督にとってはかなり意外な事に、二人の仲は最近悪くはない。 鈴谷が前ほど仕事の邪魔をするでもなく、むしろ手伝っているということもあるかもしれないが あの不知火にもまったく物怖じせず接することのできる鈴谷のフランクな性格のなせる技なのかもしれない。 しばらくすると扉がノックされた。 「提督、今よろしいですか?」 「ああ、間宮さんですか。どうぞ」 返事をすると間宮がお盆を片手に入ってきた。 「あら、どうしましょう」 「??? なにか?」 「いえ、提督と不知火さんにアイスの差し入れを持ってきたんですが、鈴谷さんもいらしたんですね」 「ああ、アイスの数ですか」 「はい」 「なら二人にあげてください、こっちはお茶でも飲みますから」 「そうですか? ではお二人ともどうぞ」 そう言って不知火と鈴谷に間宮アイスを渡すと間宮は一礼をして部屋から出ていった。 「提督あざーっす」 「申し訳ありません、不知火たちだけいただくなどと」 「ねーねー提督」 「ん?」 「どうせだからさぁ、あーんするから食べさせて。そしたらお返しに食べさせてあげるから♪」 またアホなことを言い出し始めたよコイツは…… と思っているとまるで加賀張りに「ここは譲れません」とばかりに不知火が接近してくる。 「鈴谷さん、いくらなんでも司令に対して無礼ではないでしょうか?」 「いや、別に食べさせるくらい構わんのだが……」 「構わないってさー、ぬいぬい? あっ、そうか。ぬいぬいも食べさせてもらいたいんでしょ~?」 「ッ……!!!!!」 とたんに顔を真っ赤にする不知火。 なんだか不知火も随分わかりやすくなった気がするな、などと提督が思っている間に勝手に事態は進行している。 「で、では、その……じゃんけんで勝った方がということで……」 「あっれ~、いいのかな? こないだの夜戦は鈴谷の勝ちだったのに」 「今度は負けません」 真剣な顔をして一体何やってるんだろうこいつらは……呆れながらも口を出すのは憚られるので静観する提督。 「「じゃーんけーん」」 「「ぽん!!」」 「う……嘘……負けた?」 「フッ……」 今回は不知火の勝ちのようだ。 「で……では司令。そ、その……お願いしてもよろしいでしょうか」 「はいはい」 そう言いながら不知火のアイスをスプーンですくい、彼女の口元に持っていく 「ほら、あーん」 「あ、あーん」 アイスを口にいれた不知火、なんだか顔がにやけるのを必死に押さえつけているような妙な顔になっている。 しかしなんというか他人の前だというのにこんなことをする不知火など 少し前までは全く想像もできなかった。 まぁ近くにいるのが鈴谷だからかもしれないが。 話を聞いていても自分の事についてはあけすけに喋るが『不知火がどうしたこうした』という噂は全く聞こえてこないあたり わりとそのあたりのTPOは弁えているのかもしれない。 「で、では司令、どうぞ」 自分が口をつけたスプーンにアイスをすくい提督の口元に持ってくる不知火。 必死にポーカーフェイスを装っているが顔は真っ赤で口元がヒクヒクと引きつっている。 「ああ、ありがとう。で、あーんは?」 「あ、あ……あーん」 「あーん」 パクっとスプーンを咥え、アイスを食べる。 美味である、さすがは間宮さん特製のアイス。ファンが多いのも頷ける。 よくよく考えればこれ以上ないほどこっ恥ずかしい どころか不知火に至っては鈴谷以外に見られたら自決するんじゃないかというやりとりをしながら アイスを消費していく。 一方鈴谷は「ブーブー」とブーイングをしながら自分のアイスを頬張っていた。 次の話
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(編注:鬱?NTR?注意) 1 深夜。 普段、ほぼ眠るためだけにしか使っていない提督用の私室が、淫靡とも言える熱を宿しているのは、たった今終わったばかりの秘め事のせいだろう。 つい先刻まで二人が快楽の海に溺れていた事を、汗ばんだ裸体と乱れた寝具が雄弁に物語っていた。 御戻(おれ)提督は、多少の気だるさを感じながら、隣に横たわる榛名の頭を撫でてやる。 「提督……」 囁くように言いながら身をすり寄せてきた榛名を、御戻は優しく抱いた。 「……キスして欲しいです」 恥ずかしげに視線を逸らしながら、榛名はそうねだってくる。 接吻なら最中に数えるのも億劫になる程しただろうに――そう胸中で苦笑めいた呟きを漏らしながらも、 御戻は榛名のおとがいに軽く手を添え、桜色の可憐な唇に自らの唇を重ねた。 舌を忍ばせて絡めようかと思った矢先、あたかもそれを封じるかのように、榛名の温かくて柔らかい舌が御戻の口内に押し入って来る。 普段、どちらかと言えば控えめな彼女が見せた積極性が、 御戻にはたまらなく嬉しい。 「ん……んん……」 息継ぎもそこそこに、榛名は激しく舌を絡め、吸う。御戻も、それに応じる。 二人が唇を離したのは、それからたっぷりと一分程経ってからだった。 「……キスして欲しいじゃなくて、キスしたいの間違いじゃないのか?」 御戻は苦笑する。 「提督とキスできれば、榛名はどっちでもいいんです」 そう言って榛名は花のように笑った。海上で凛々しく戦う彼女の姿からは想像も出来ない、愛らしくて可憐な笑み。 その笑みを目の当たりにした御戻は、どうしようもなく愛おしさが募ってきて榛名を抱きしめた。 そして、以前より伝えようと思っていた言葉を、今ここで言おうと決心する。 「榛名」 御戻は名を呼び、背中に回していた腕をほどいて、彼女の目をじっと見つめた。 「次の出撃が終わったら……」 そこで御戻は一つ息をつくと、思い切って続ける。 「自分と結婚して欲しい」 その言葉を聞いた榛名の目が見開かれる。次いで小さな声で「嬉しい……」と榛名は言った。 「嬉しいです……提督」 「了承してくれたと思っていいんだね?」 「はいっ。もちろんです」 再び花のような笑みを浮かべると、榛名は御戻にしがみつき、胸に顔を埋めた。だが、すぐにその肩が小さく震え始める。 「どうした?」 訝しく思い、御戻は声を掛けた。 その言葉に顔を上げた榛名の瞳からは、大粒の涙が溢れ出ていた。 「嬉し……過ぎて……」 しゃくり上げながら、声にならない声で榛名は言い募る。 「それに私だけ……申しわけ……なくて」 海に散って行った三人の姉妹――金剛、比叡、霧島の事を思い出しているのだろう。 四人は血の繋がりはなかったものの、実の姉妹のように仲が良かった。 また同時に、助け合って戦場を駆け抜けてきた戦友でもあった。 「そんな風に考える必要はない、と自分は思うよ」 御戻は榛名の涙を拭ってやる。 「きっと彼女たちは、榛名が幸せになる事を喜んでくれる。妙な例え話しになるが、もし君が逆の立場だったらどうだろう? 幸せになろうとしている姉妹を妬ましく思うだろうか」 「そんな風には、絶対に思ったりしません」 目を腫らしながら、それでも榛名はきっぱりと言い切った。 「だろう? きっと彼女達だってそうさ。だから君は何も負い目を感じる必要はない」 「はい。でも」 「何だい?」 「提督、いじわるです……あんな質問をするなんて」 榛名がそう言って睨んでくる。だが、少しも怖くなく、むしろ可愛いだけであった。 「すまなかった。確かに意地の悪い質問をした」 「もう、知りませんっ」 拗ねて、ぷいと横を向く。だが、体は逃げていないので、これは本気で拗ねていない。明らかにポーズであった。 「どうしたら許してくれるのかな?」 「……」 榛名は答えない。仕方がないので、御戻は卑怯なカードを切ることにした。 「愛している」 唐突に、御戻はそう言った。すると横を向いていた榛名の顔が、みるみる赤くなった。 「榛名。こっちをお向き」 御戻のその言葉に、榛名は素直に従った。 「ずるいです……」 熱に浮かされたように言う榛名の目は、桃源郷にいるかのように、とろんとしていた。 「榛名がその言葉に弱いって、知っているくせに……」 「弱点を突くのは戦の定石だよ」 そう冗談めかして御戻は言うと、今度は榛名の耳に口を寄せ、「愛している」と囁いてみた。 「ああ……」 榛名が熱い吐息をつく。 「耳元でそんな事を言われたら、榛名はおかしくなってしまいます……」 御戻の胸に榛名が縋りついた。御戻を見上げてくる榛名の顔は、歓喜と、自分がおかしくなってしまうのではないかという、 ちょっとした恐怖感のようなものが綯交ぜになっていた。 そんな表情でさえ愛おしい――御戻はそう頭の中で呟くと、そのまま唇を重ねた。 そして、今度は先手を取られないように、すぐさま舌を榛名の口腔へと侵入させる。 舌と舌が絡みあうと、榛名の体が軽く痙攣したような動きを見せた。どうやら接吻だけで、軽くではあるが、達してしまったようだ。 「お願い……きて」 唇を離した榛名が哀願してくる。御戻は榛名の腿の間へ手を忍ばせてみた。先刻の名残というだけでは説明がつかない程、 榛名の秘所は潤いを帯びている。一方の御戻の方も、しっかりと復活していた。 「いくよ」 そう言って体を重ね、榛名の太腿を割り開き、ゆっくりと入って行く。榛名のそこはまるで抵抗を見せることなく、御戻を受け入れた。 「提督……離さないで」 榛名は御戻の背に両腕を回し、しがみつくようにしながら言う。 「ああ。絶対に離さない」 御戻も榛名を抱きしめながら、誓うようにそう言うのであった――この後、二人に何が起こるかなど露も知らぬままに。 その二週間後。 海軍は第二艦隊、第三艦隊、第四艦隊を沖ノ島海域に差し向ける。 御戻は巡洋戦艦『榛名』を旗艦とする第三艦隊の指揮を執った。 敵は戦艦ル級を多数擁する深海凄艦の中核艦隊。 開戦前より彼我の戦力差は憂慮されていたが、軍上層部はこれを敢行。結果、第二艦隊、第四艦隊はほぼ壊滅。 第三艦隊も旗艦榛名他数隻を残しただけという、完全なる敗北を喫した。 その後に行われた軍法会議により、御戻には降格処分が下った。軍上層部に責任をなすりつけられたのは間違いなかった。 そして更に理不尽なことに、榛名も責を問われた。 『艦娘』の地位を奪われ、別部署での任を課される事になったのだが、奇妙なのは、その部署の名前も場所も明かされない事であった。 軍法会議が終わるや否や榛名は連れて行かれ、二人は離れ離れになってしまった――。 2 御戻が榛名の行方を探し始めてから、すでに一月近くが経っていた。 方々手を尽くしてはみたが、彼女の行方は遥として知れない。 その日、御戻は朝から執務室――降格されたので数人の士官が共同で使っている部屋だが――にて、溜まりに溜まっていた書類の処理を行っていた。 この一月、榛名の事ばかりを考えていたので、職務が疎かになっていたのだ。 『提督。お仕事頑張って下さいね』 以前なら、榛名がそんな言葉を掛けて、にこやかな顔でお茶を入れてくれたりしたものだ。 だがその榛名も今はいない。彼女の存在がいかに大きく大切であったかを、御戻は噛みしめていた。 季節は夏前であるが、今の御戻の心は冬を迎えたかのような寒々しさを感じている。 「お~御戻チャン」 執務室に入ってきた同僚の小嶋が、歩み寄ってきながら軽い調子で声を掛けてくる。 「小嶋殿。おはようございます」 「おはよん。朝からセイが出るね~」 酒臭い息で言う。小嶋は無類の遊び好きで、ほぼ毎晩、歓楽街をうろついているらしい。ここの部署は出撃などはないのでだらしがないのである。 「小嶋殿も大分書類が溜まっているようですが」 御戻は隣にある小嶋のデスクを見ながら言った。そこには御戻の書類の束が可愛く見える程に、未処理の書類が積んである。 「明日から本気を出すのであります」 そう言って小嶋が敬礼をする。 「先週もそう仰ってましたよね」 「え? そうだっけ? そんな昔の事は忘れた」 しれっと小嶋は言ってのける。 「それよりさ、聞いてくれよ御戻チャン」 自分の椅子に腰かけながら、小嶋がそう切り出す。そして、御戻の返事を待たずに話し始めた。 「俺、昨夜さあ、吉原に行ったんよ」 「小嶋殿……!」 御戻は慌てる。 「声が大きいですよ。誰かに聞かれたらどうするんです?」 軍の規則で、士官の職にある者は遊郭で遊ぶ事を厳しく禁じられているのだ。もし発覚すれば即刻首が飛ぶ。 「あん? 大丈夫だよ……こんな窓際部署なんて、内部調査室の相手にされてないからさ」 「そうかも知れませんが……」 確かに小嶋の言う通り、ここは箸にも棒にもかからないような部署ではある。 「でさあ、めぼしい店は行き尽くしちゃったからさ、普段あんまり行かない所へ行ってみようと思ってね、裏通りの更に奥の方を散策してみたんよ」 「はあ」 飽きたなら行かなければいいのに、と御戻は思ったが、口には出さなかった。 「そしたらさ、変な名前の店、見つけちゃったんだよね」 「変な名前の店?」 「うん。『深海棲館』って言うの」 「え? シンカイセイカン?」 「そう。でも最後の字は艦――ふねじゃなくて、館ね」 御戻は眉根を寄せる。現在、この国と海上で戦っている敵対勢力の艦が、深海棲艦と呼ばれている。 そんな名前をつけるとは変わっているというか、良い根性をしているというか。不謹慎だという理由で、経営者がしょっ引かれてもおかしくはない。 「ね? 変わってるっしょ? それで、変わってるのは名前だけじゃなくてね。出てくる女の子が、海軍の艦娘みたいな恰好してるんよ」 「そういう趣向の店なのでしょう」 軍服等を模倣した服を着て性的遊戯をする、異国渡来の『こすぷれ』なるものがあると、御戻も話には聞いたことがある。 「まあ、そうなんだろうけど。でさ、店に入ったら従業員が名簿を見せてくれるんよ。そこには源氏名がずらっと書いてあってね。 で、女の子の顔見られないの、って聞いたら、皆とびきり可愛いからご心配なく、って言うんよ」 「はあ」 「まあ、地雷踏んでも話しのネタになるからいいか、って思ってさ。金剛って源氏名の娘を指名したんよ」 その名前を聞いた御戻の胸がちくりと痛む。 金剛。 榛名と実の姉妹同様の仲だった艦娘。そして、海に散って行った艦娘。 「何で金剛チャンを指名したかって言うとね、以前一度だけ、本当に偶々話した事があったからなんよ。 言葉使いは妙だったけど、可愛かったのを良く覚えている」 御戻も在りし日の金剛を思い出していた。ブリテン帰りの艦娘で、小嶋の言う通り少し妙な言葉使いをする娘であったが、 明るく美しい娘だった。御戻も何度か金剛と出撃した事があった。 「でさ、出てきた金剛チャンを見てびっくり」 「地雷だったんですか?」 「いや。本人そっくりだったんよ。ていうか、あれは本人だよ」 やや興奮しながら小嶋が言う。 「金剛は最後まで立派に戦って……海へ散りましたよ」 御戻はそう言って軽く目を閉じた。金剛が散った時の、泣きじゃくっていた榛名を思い出す。あの時の榛名は一晩中泣いていた。 「でもなあ、瞳の色とかホクロとか、まんま金剛チャンだったんだけどなあ」 小嶋はまだ言っている。 「残念ながら金剛は鬼籍入りしてます」 「……分かってるよぉ、本人だったら嬉しいなって夢見ただけだ。でもな、服はかなり本格的に似せて作ってあったぞ」 「はいはい」 「しかも、俺の事を提督って呼ぶんよー。客をそう呼ぶのが決まりなんだろうけど。でも俺、艦隊の指揮を執るのに憧れてたから、 提督って呼ばれてすげえ嬉しくなっちゃった。嬉し過ぎて調子にのっちゃって、四十六センチ主砲三回も金剛チャンの中に撃っちゃったんよ」 あなたの砲身そんなに長大じゃないでしょう――という突っ込みを思わず入れそうになった御戻だが、そこは自重しておいた。 やれやれ。朝からしようもない下の話に付きあわされた、と内心思う御戻だったが、次に発せられた小嶋の言葉には思わず耳を傾けてしまう。 「また今度行ってみようかな。そう言えば長門チャンとか榛名チャンの名前もあったぞ。 無論、指名してないから顔は分からんがな。さあて、仕方がないから仕事でもすっかな」 そう言って小嶋は、のろのろと書類の束をいじり始めた。一方の御戻は、小嶋の言葉のせいで気もそぞろになってしまった。 榛名の名前がある? その榛名も、本人にそっくりなのだろうか――ふと、そんな思いが過る。 何を馬鹿な事を考えている、と御戻は心の中で自分を叱った。もし『深海棲館』の榛名が本人にそっくりだとして、それが一体何だと言うのだ? そこにいるのは榛名ではない。榛名がそんな、見知らぬ男と同衾するような店にいる筈がない。 榛名。君は今、何処にいるんだい? たまらなく君に会いたいよ。 窓の外を見やりながら、御戻はそう頭の中で呟いた。 3 誰の人生でも、一度や二度、魔が差す時というのはあるものだ。 御戻に関して言えば、今夜がまさにその状態だった。 小嶋から深海棲館の話を聞いてから三日後の夜、御戻は吉原にいた。この国最大の遊郭を訪れたのは初めてだった。 自分はこんな所で、一体何をしているのだろう――吉原の通りを歩きながら、御戻はそう胸中で呟き、深く被った帽子を更に下げる。 通りは中々に人が多かった。皆、道の左右に並んだ張見世を冷やかしながら、ゆるりゆるりと歩いている。 張見世とは通りに面した部屋の事で、通りとの間は格子で仕切られている。そしてその中では遊女達が座し、自分を買ってくれる旦那を待っている。 客は通りから格子の向こうにいる女を吟味し、気に入れば店に入って褥を共にする。 榛名もそんな風に出会ってすぐの男と……などと埒もない想像をしてしまいそうになり、御戻は慌てて頭を振ってそれを打ち消す。 そんな事はない。榛名はそんな事をする娘ではない。 第一、深海棲館にいるらしい榛名は、御戻の愛しい榛名とは別人なのだ。 では何故、そう思っていながら自分はわざわざ吉原に来ているのか。小嶋の言った事など、戯言として捨て置けば良いはずではないか。 いや、取るに足らない事であるからこそ、きっちりと確認を取っておいた方がいいのだ。絶対にそうなのだ。 そんな支離滅裂な事を考えながら、御戻は表通りから裏通りへと入る。 裏通りに入った途端、先程までの喧騒が嘘のように途絶える。表通りを太陽の差す浅瀬のサンゴ礁とするなら、裏通りはさながら深海のような印象だった。 深海棲館がある場所へと御戻は進む。場所は、数日がかりで小嶋からそれとなく聞き出してあった。 やがて、門柱に住吉提灯の掛けられた店が見えて来た。提灯には小さく「深海棲館」と書かれていた。 表通りに軒を連ねている店のようなけば立った派手さとは無縁で、当然のことながら張見世もない。 小洒落た旅館のような雰囲気で、一見すると色里の店には見えなかった。 御戻は左右を見渡し、誰もいないのを確認すると素早く店の中へと入った。 「いらっしゃいませ」 店に入ると、見世番の男に声を掛けられた。 「御履き物をお預かりします」 そう言われたので、靴を脱いで御戻は店に上がる。男に促されて進み、奥の部屋に入る。 入った部屋は、舶来物の高級そうな調度品が設えてあった。他に客と思しき者はいない。御戻はソファに腰を降ろす。 「しばらくお待ち下さい」 男がじろじろと御戻の顔を見ながらそう言い、部屋を出ていった。 一人きりになった御戻は、落ち着かなくてそわそわしてしまう。ここに榛名が――などと考えそうになって、慌てて頭を振る。 違う。 ここにいる榛名は、御戻の愛する榛名ではなく、良く似た他人だ。 御戻が煩悶していると、「失礼いたします」という声がして、男が一人入ってきた。ここへ案内して来た男とは違う男であった。 「旦那。自分は鷹野と申します」 男が唐突に自己紹介をする。 「何か?」 わざわざ名乗ってきた男の意図が分からないまま、御戻は彼を見た。精悍な顔立ちに黒い半纏が良く似合っていた。 醸し出す雰囲気が、単なる見世番でない事を御戻に伝えてくる。 「困るんですよ」 「……困るとは?」 「海軍の軍人さんに来られると、こっちも色々と面倒だって事です」 御戻は言葉を失った。 「いや、自分は――」 「誤魔化しは要りません。ここの店はちいとばかり特殊でね。他所の店より、海軍さんの出入りに関しては神経質にやってるんです。 あなたが御戻提督だという事は、もう分かっていますよ」 鷹野が目を細める。 「いや、元提督か」 半ば嘲るように鷹野は言い直した。 「……」 「先日も海軍のお方が来ましたがね」 おそらく小嶋の事だろう、と御戻は思った。 「まあ、こう言っちゃなんだが、あの御人程度の方なら別に構わないんですが。だがね、仮にも旦那は提督とまで呼ばれる地位にいたお方だ。 そういうお方に来られると、こちらとしても本当に困るんですよ」 「自分は……自分は、ここへ遊びに来たのではない」 そうだ。自分は、ここにいると思しき榛名が、本人ではないとの確証を得るためにやってきただけなのだ。断じて金を払って女を買うために来たのではない。 「ここは遊郭ですぜ? 遊びに来たんじゃないってんなら、何をしに来たってんです?」 再び嘲るような口調で鷹野は言った。 御戻は何と言って良いか分からず、つい自分の目的を正直に話してしまった。話しながら、考えてみれば随分とおかしな話だと自分でも思った。 話を聞き終えた鷹野は、値踏みするかのように御戻を見た。何やら思案しているらしく、顎をしきりにいじっている。 「旦那も変わったお人ですね」 しばらくすると、苦笑しながら鷹野は言った。 「まあ、こちらとしても、せっかく来ていただいた方を無碍に帰すのは心苦しい。 例えそれが、面倒事になるかも知れない海軍の軍人さんでも、ね。 ただ、やはり決まりは決まりだ。娘達に相手をさせる事は出来ませんし、 相手をする以外での面会は店の規則で禁じられています。ですが……」 鷹野の目が、少しだけ嗜虐的になったように見えたのは、御戻の気のせいだろうか。 「手がない訳じゃあない。但し、料金はきっちりと頂きますが」 「本当か?」 鷹野の言葉を聞いて、御戻は思わず身を乗り出す。これでやっと榛名に会え――いや、違う。そうじゃない。 ここの榛名は榛名ではないのだ。これで榛名ではないと確認が出来るのだ。 「もう一度お聞きしますが、旦那は確かめたいだけなんですよね? 買いたい訳ではなく」 「その通りだ。自分はあくまで、ここにいる榛名が別人であると確認をしに来ただけなのだから」 「分かりました。しばらくお待ち下さい」 そう言うと、鷹野は一旦部屋を出ていった。 「お待たせいたしました。ご案内します。ついてきて下さい」 五分程して戻ってきた鷹野が、御戻に向かってそう言った。御戻は鷹野について部屋を出た。 しばらく廊下を進むと、鷹野はとある部屋に入った。部屋には畳が二枚敷いてあり、明かりは天井から下がった 裸電球が弱々しくついているだけである。調度品の類は、入って左手の壁にカーテンが引かれているだけで、他には何もない。 まるで座敷牢のようだな、と御戻は思った。 「ここは?」 畳の上に座りながら訊ねるが、鷹野はそれには答えず、 「海軍法の条文には『遊郭で女と遊ぶ事を禁じる』という文言があります」 と、いきなり言い出した。 「それは知っている」 「これは故意なのか、それとも条文を作った奴がアホなのか……まあ、いずれにせよ穴だらけの文言ですよね」 御戻には鷹野の言葉の意図が分からない。 「だから、それが一体どうしたと――」 「遊郭に立ち入るのを禁ずるという文言でもなければ、更に、娘達を見る事を禁じるという文言でもない訳ですね」 「……どういう意味だ?」 「旦那も察しが悪いですねえ。こういう事ですよ」 にやりと鷹野は笑うとカーテンを開けた。そこには窓があった。窓の向こうを見て御戻は絶句した。 そこに広がっていたのは、外の風景などではなく、隣の部屋の様子だった。 部屋の中央にはベッドが置かれ、その上に裸の男と、見覚えのある服を着た娘がいた。 神社の巫女のような上着。フリルのついた丈の短いスカート。膝上まである黒く長い靴下――金剛型の艦を駆る娘の制服と瓜二つだった。 「驚かれましたか? この窓は舶来物の特殊な窓でね。こちら側から向こうは見えるが、向こう側からは鏡になっていてこちらは見えないんです」 鷹野がそんな説明をするが、御戻の耳には届いていなかった。 裸の男は、こちら側に向けて足を拡げ、横になっている。制服を着た娘は、拡げた男の足の間に入るようにして、四つん這いになっていた。 お尻をこちらへ向けているので、娘の顔は御戻達からは見えない。 まさか……榛名……榛名なのか!? 御戻は胸中で叫んだ。 男の手が娘の頭に乗せられている。 娘の頭はゆっくりと上下している。 口で奉仕しているのは、明らかだった。 顔が見えないもどかしさに、御戻は膝の上できつく拳を握る。 「あらま。顔が見えない。これじゃあ確認が出来ないですね?」 声を抑えつつも、鷹野は実に楽しそうに言う。明らかに煩悶する御戻を見て楽しんでいる。 「ああ~気持ちいいよ~」 突然、窓の向こうにいる男の声が聞こえて来た。 「壁も作りが凝ってましてね。向こう側の声はきっちりと通すが、こちら側の声はまったく通さないんです。何なら試してみます? 榛名、こっちをお向き……とか何とか言って。まあ、聞こえませんけれどね」 嗜虐的に鷹野は言うと、くつくつと笑った。 そうこうしている内に、上下していた娘の頭が止まった。 娘が四つん這いを止め、男の隣に移動して、ころんと横になる。 その拍子に顔がこちらを向いた。 御戻が、あっと小さく声を上げたのとほぼ同時に、 「提督の主砲、とっても大きいデース」 と言う娘の声が聞こえてきた。 「あら残念。金剛でしたね」 鷹野がそう言ってニヤニヤする。 御戻は、大きく息をついた。窓の向こうにいる娘は榛名ではなかった。とりあえず御戻は胸を撫で下ろした。 「そ、そうかい? 僕の、そんなに大きいかい?」 「YES! まるで超弩級戦艦並ネー。こんなので撃ち抜かれたら、金剛は轟沈しちゃいマース」 そう金剛は言うと、男根を愛しそうに撫でる。 「そ、そうかー。轟沈かー。よーし、提督頑張って、金剛ちゃんを轟沈させちゃうぞ~」 「ふふ。金剛も負けませんヨ~」 そんな会話を交わす金剛を、御戻はじっと見つめた。 「……似ている」 「似てる?」 鷹野が失笑する。 「ああ。彼女は艦娘だった金剛に似すぎている」 「本人ですよ」 鷹野が言う。顔が笑っていなかった。 「馬鹿な事を。金剛は敵に敗れて海に沈んだ」 そう。金剛は海に散った。散って行った金剛を偲んで、榛名は一晩中泣いたのだ。 「潜水艦娘ってのがいるでしょう? それに助けられたらしいですよ、金剛は」 「まさか……そんな」 「やれやれ。提督だったくせに、何にも知らないんですね」 呆れたような口調で鷹野は言った。 「敗れて沈んだ艦娘は大抵が溺死します。だが、助かる者もいるんですよ。そして、死なずに助けられた娘や、 艦を修繕不能にしてしまった娘はこういった場所へ送られます。『再利用』という名目でね。 吉原だけではありません。北は北海道のすすきのから、南は福岡の中州まで、全国津々浦々です」 淡々と鷹野は説明する。 「信じられないって顔をなさってますね? 残念ながら、これが現実なんです。艦から堕ちた娘達のね。 ちなみに、彼女らが客を取って稼いだ金のほとんどは海軍が持っていきます。お国の大事な艦を潰した償いをしてもらう、というお題目のもとにね。 ですがね、考えてもみて下さい。艦を建造出来るような金を、単なる娘っ子一人が稼げると思いますか? そんなの来世、いや、来々世までかかったって無理に決まっている」 「ひどい……」 御戻は愕然とする。そんな事は、まったく知らなかった。 「あんたら提督が、無能なせいだろうが」 鷹野が御戻を睨み付ける。 「娘達から色々な提督がいると聞きましたぜ? ろくに補給もさせずに延々とタンカー護衛任務を押し付ける提督。 艦が轟沈寸前なのに、ドックにも入れてやらず連続で戦闘を強いる提督。 気に入らない艦娘が配属されると、問答無用で艦を解体して、 鎮守府には轟沈しましたと虚偽の報告をする提督――人間の屑の見本市か何かですか? 海軍って所は。 そんな事をしていたら、轟沈したり修繕不能になったりするに決まっているだろうが。 提督ってのは、艦娘達に対してどんな扱いをしても許されるのか?」 「そんなことは……」 ない、と言おうとした御戻だったが、言葉が出てこなかった。 「でもね、そんな話を聞かせてくれた娘達の誰一人として、提督に対する恨み節なんか言わなかった。 どの娘も、任務だから仕方がないって明るく言うんですよ」 相変わらず鷹野は御戻を睨んでいる。 「艦娘達は気高い。自分達が艦娘である事に誇りを持っているから、アホな提督の理不尽な指揮にも笑顔で耐える。 そして笑顔で耐えに耐えて、最後は轟沈して溺れ死ぬか、こんな所へ送られて、見ず知らずの男に股を開くという屈辱を与えられる――何なんだ、この理不尽は。 あんたらはそんな彼女達に対して、何か一つでも報いてやっていたか?」 「……」 自分はそんな提督達とは違う、と御戻は思いたかった。だが、今の自分にはそう言いきれるだけの自信がなかった。 どんな苦しい時でも、忠実に命令に従ってくれていた艦娘達に、自分は何か返してあげることが出来ていただろうか。 「……と、まあ、こんな事を旦那に言っても仕方がないんですがね。柄にもなく熱くなっちまった。どうもすみません。失礼いたしました」 鷹野がそう言って慇懃に頭を下げる。 「お詫びに今回の入室料はいただきません。ここにいる榛名が、本物かどうかの『確認』も出来ませんでしたしね。 ちなみにここの榛名は、まだ入郭したばかりで客を取った事がありません。でも、その日が来たら旦那に連絡しますよ。いの一番にね。 ちゃんと『確認』に来て下さいよ? とりあえず今晩は、金剛の勇姿を最後まで見てやって下さい」 「いや、自分は――」 帰る、と言おうとした御戻を、鷹野がぴしゃりと遮る。 「いや。最後までご覧下さい。金剛がここへ堕ちた原因が、少なからず自分にもあると噛みしめながら、ね」 そう言うと、鷹野は扉を閉めた。慌てて御戻は扉に取りつくが、外から鍵を掛けられたらしく、開かなかった。 「Oh……提督ぅ、そこは駄目デース」 自分が呼ばれたような気になって、御戻は思わず窓の方に目を向けた。 男が金剛の腋を舐めているのが見えた。 金剛型制服の上着は、通気性と動きやすさを確保するため、脇下に大きなスリットが入っている。 その無防備な腋へ、樹液にたかる甲虫のように男が取りついていた。 「こ、金剛ちゃんの腋、硝煙の匂いがするね」 「ア~ンビリーバボー! しっかり洗ったのに。金剛チョ~恥ずかしいデース」 「HAHAHA。イッツ・メリケン・ジョーク。ウィットに富んだ軽いジョークさ。大丈夫、硝煙の匂いなんてしないよ。 金剛ちゃんの腋、とってもいい匂いだよ。桃の香りみたいだよ。んん~たまらん」 男が舐める速度を上げると、金剛の頬が桜色に染まってゆく。 「ああ……提督」 「んふんふ。ここ、弱いんだね?」 「YES……デース」 とろん、とした目で金剛が答える。それを聞いて調子づいたのか、男は金剛に万歳をするような恰好を取らせた。 両腕を頭の上の方に持っていかれたせいで、白い両の腋が男の前に晒される。 男がまず右の腋から舐める。数回舐めてから左へ移る。そこでやはり数回舐めてから、再度右の腋へ――男の頭が金剛の両腋の間をせわしなく行ったり来たりする。 それにつられるかのように、金剛の嬌声も大きくなってゆく。 「ああ……ああっ……提督っ! 提督っ!」 「金剛ちゃん金剛ちゃん!」 「ああ……もう、金剛の大事なトコロ……浸水しちゃってマース!」 「え? 腋をペロペロしているだけなのに?」 男が舐めるのを止めて、笑いながら訊ねる。 「どれどれ……わあ、本当だ。これはマズイ。総員避難っ。繰り返す、総員避難っ」 「提督っ……提督の高速修復剤で、早く浸水箇所を修繕してくだサーイ」 御戻の目の前で繰り広げられる、客と金剛のしようもない茶番。 これが、あの金剛だというのか。 凛々しさも、気高さも、艦娘としての尊厳を根こそぎ奪われた金剛の姿に、御戻は体から力が抜けてゆくのを感じた。 「金剛ちゃん、上になってくれるかな? ぼ、僕は騎乗位が、す、好きなんだな」 「cowgirl positionネー。aye,aye, sir!」 そう言って金剛は身を起こした。そして制服はそのままに、下着だけを外して寝そべった男の上に跨ろうとする。 「あ、僕の方じゃなくて、鏡の方を向いてもらってもいいですか?」 「いいデスヨー……って、提督~。これじゃインしてるトコ、鏡に映ってまる見えネー」 金剛と御戻の目が合う。 向こう側から見えてはいないとは言え、体に力が入ってしまう。 金剛が自分の秘所に男根をあてがい、ゆっくりと腰を沈めてゆく。スカートをたくし上げているので、 金剛が男をのみ込んでゆく様がはっきりと見て取れた。窓越しに見える金剛のそこは、水音が聞こえてきそうな程に潤んでいた。 「ああ……」 目を閉じ、軽く眉根を寄せ、金剛が感じ入るような声を出す。しっかりと男根を根本まで咥え込むと、再び腰を浮かす。 そして、抜けない程度の所まで来ると、再び腰を沈める。 見てはいけない――頭では分かっていたが、御戻は視線を反らす事が出来なかった。 金剛の腰の動きが、徐々に速くなる。擦れ合う秘所と男根が、粘着質な、ひどくはしたない音を紡ぎ出し、そこへ金剛の嬌声が重なる。 「ああ……! 提督、提督っ……」 「おお……金剛ちゃんの艦隊運動すごすぎぃ! ごめん、もう無理っ。果てるっ……!」 男の睾丸が随分とせり上がっている。本人の言葉通り、今すぐにでも射精しそうであった。 「提督、いつでもComingネー!!」 「ああっ、金剛ちゃーーーーーーーーーーん!」 金剛の名を長く叫びながら、男は放精した。 男が果てると、金剛は腰を浮かして男根を解放した。そしてベッドの上に膝をつくと、左手でスカートをたくし上げ、 空いた右手を下腹部へ伸ばし、膣内に放出された精を掻きだした。 「ふふ……すごい量デース……」 そう言いながら秘所より抜いた右手には、大量の白い液体が絡みついている。 金剛はそれをうっとりとした表情で眺めると、おもむろに唇を寄せた。 「提督……金剛の本気、どうでしたカ……?」 濡れ光る舌で、愛液と精液が混じり合ったものを舐めとりながら、金剛が妖しく微笑む。 御戻は、窓越しに向けられる金剛の笑みを前に、身動きひとつ出来なかった。 4 二日経っても、御戻の頭の中には、金剛の痴態が色鮮やかに残っていた。 そのせいで、書類の処理がまた滞ってしまった。一日中机に噛り付いていたが、 仕事に集中しようとすると、深海棲館での金剛が浮かんできてしまってまったく進まなかった。 額に浮かぶ珠のような汗。 桜色に染まった頬。 男を貪欲に飲み込んでいた秘所。 終わった後の、男女液を舐めていた淫蕩な目つき――と、そこまで思い起こして、御戻は自分の頬を平手で張った。 何を考えている。金剛のしどけない姿を思い出している場合か。 大体、榛名の事を確認しにいった筈なのに、お前は何をやっているんだ――そう、胸中で自分を叱り付ける。 「御戻チャン、どしたんよ? いきなり自分の頬引っぱたいたりして」 隣に座っていた小嶋が、不思議そうな顔で御戻を見ていた。 「蚊でも居たんか?」 「あ、いえ。ちょっと眠気を覚まそうと思って」 「眠いなら眠っちゃえばいいのに」 不思議そうな顔で小嶋は言う。確かにしょっちゅう舟を漕いでいる小嶋にしたら、そう思うのだろう。 「お。もう定時だ」 壁にかけられた時計を見て、小嶋が立ち上がった。 「じゃあ、俺はこれで帰るわ。御戻チャンもほどほどにね」 「お疲れ様です」 「お疲れ~。よおーし、今晩も遊ぶぞー!」 小嶋はそう言いながら、執務室を出ていった。 御戻は背もたれに身を預け、目を閉じた。しばらくすると、軽い眠気が訪れる。 小嶋の言葉に従った訳ではないが、御戻は逆らう事なく眠りに落ちた。 しばらくの後。 ジジジジジ……という、非常に歯切れの悪い呼び出し鈴の音で、御戻は起こされた。 壁掛け時計を見ると、小嶋が出て行ってから一時間程経っていた。 呼び出し鈴の音はまだ続いている。音は机の上にある旧式の電話から出ている。ここの部署は予算の割り当てが少ないので、 調子の悪い電話機をずっと使わされているのだ。御戻は身を起こして、受話器を取った。 「はい。御戻ですが」 「御戻殿ですか。こちら交換台です。御戻殿宛てに、鷹野さんという方から電話が入っています」 鷹野という名前を聞いて、御戻の心臓が大きく跳ね上がる。 「繋ぎますか?」 「……繋いでくれ」 「はい。では繋ぎます」 御戻は大きく息をついた。 「もしもし」 「旦那。鷹野です」 「ああ……先日はどうも」 「いえいえ。こちらこそ。その節は大変な失礼をいたしました」 電話の向こうの鷹野が慇懃に言う。謝りながらもニヤニヤしているに違いない、と御戻は思った。 「で、用件は?」 用件など分かっている。心臓はかなりの速さで鼓動している。だが、平静を装って御戻はそう切り出した。 「はは、そう来ますか。もしかして、どなたか周囲にいらっしゃる?」 「いや。そうではないが」 「じゃあ、虚勢ってやつですかね……まあ、どうでもいいですが。今日『確認』出来ますよ?」 更に心臓の鼓動が跳ね上がる。 「もしいらっしゃるなら、今日は裏口の方から入って来て下さいね。旦那が来た事がお客人にばれると、色々と面倒になりますから。 さて、後は旦那にお任せいたします。来るも来ないも、お好きにどうぞ。それじゃ」 そう鷹野は言うと電話を切った。 御戻は受話器を戻す。酷く手が震えている。とうとう『確認』出来る時がやって来たのだ。 深海棲館の榛名が、御戻の榛名ではないことを確認出来る。 艦から堕ちた娘達は色里に送られるなどと鷹野は言っていたが、それが本当である証拠は何処にもないのだ。 先日御戻が見た金剛も、瓜二つの他人に違いない。そうに違いない。良く言うではないか。世の中には自分とそっくりな人間が三人はいると。 御戻が見た金剛は、きっとそういった類の良く似た他人なのだ。 御戻は更衣室に行き、制服から普段着に着替えると、榛名が榛名ではない事を確認するため、足早に深海棲館へ向かった。 ※ 深海棲館に着くと、電話で言われた通りに裏口から店に入る。 「お待ちしておりましたよ、旦那」 裏口から入ると、鷹野が上り框に腰を掛けていた。間違いなく御戻が来ると踏んでいたのだろう。実に楽しそうに御戻の顔を見る。 「確認をしに来た」 確認を、の部分を御戻は強調する。 「それはもう。では、ご案内します」 鷹野の先導で廊下を進み、先日の部屋に入る。御戻が畳に腰を下ろすと、 「では、ご確認を」 と鷹野が言って、カーテンに手を掛けた。 御戻の心臓が、走っている時のような速さで鼓動を始める。 やがて、カーテンが開けられ、隣の部屋の様子が窓の向こうに見えた。 金剛型用の制服を着た娘が、ベッドの縁に腰を掛けて、こちらを向いて座っていた。落ち着かないのか、しきりに自分の髪を弄っている。 「あ、ああ……」 御戻の口から、思わず声が漏れる。 「まだお客様が入室してないんですよ。で、どうです旦那? ご確認の程は」 鷹野の言葉には応じず、御戻は窓の向こうにいる娘を食い入るように見ていた。つややかな長い黒髪に、愛らしい顔立ち。 その髪に、頬に、唇に数え切れない程触れた。だから、見間違えるはずなどない。 榛名――だ。この娘は、自分の愛しい榛名本人だ。やはり、鷹野が言っていた事は本当だったのだ……。 「ご確認出来たようですね……ああ、お客様が入室されましたよ?」 鷹野がそう言い、促されるようにして御戻は隣の部屋のドアへ目を向けた。 「な……!?」 入って来た客を見て、御戻は絶句する。 「ああ、先日もいらっしゃった海軍さんですね」 入って来たのは、小嶋だった。 「もしかして、お知り合いですか?」 御戻はただ呆然としていた。何故だ……何故、小嶋がここに居る……榛名に何をする気だ……。 「どうやらお知り合いみたいですね。では、ごゆっくりどうぞ」 鷹野はそう言うと、くつくつと忍び笑いを漏らしながら部屋を出て行った。 「あ、あの、榛名です。不束者ですが、どうぞよろしくお願いします!」 榛名がベッドから立ち上がり、ぺこりと頭を下げる。 「いいねー。榛名ちゃん、すごく可愛いね」 「そんな……」 榛名が戸惑ったような顔をする。 「いやいやホントに可愛いよ~。よく言われるでしょ? 可愛いって」 「いえ……言われたことないです……」 確かに御戻は、榛名の事を可愛いと言った事はなかった。誇り高き艦娘に対して、可愛いと言うのは失礼だと思ったからだ。 「そうなの? 周りの男は何をやっていたんだ。けしからんな」 小嶋はそう言うと、榛名を抱き締めた。 「あ……提督……」 御戻は自分の事を呼ばれたと思い、ぴくりと体を震わせた。だが、今、提督と呼ばれているのは、自分ではない。あくまで小嶋なのだ。 「ん……んん……」 榛名の唇が塞がれる。その様を目の当たりにして、御戻の全身から力が抜けた。 「榛名チャン……」 小嶋が唇を離して名を呼ぶ。 「榛名、と呼んで下さい。提督」 榛名がそう言うと、小嶋は黙って頷いた。 小嶋が榛名をベッドへと促す。寝具の上に横になった二人は、再び唇を重ねた。そして、舌を絡めあう。その最中、榛名の身体は幾度か震えた。 「……榛名はキスが好きなんだ?」 唇を離した小嶋が、そう尋ねる。 「……」 榛名は少しだけ熱に浮かされたような顔で小嶋を見る。言葉にして返事こそしなかったが、それは「はい」と答えたのと同義だった。 何故だ榛名――御戻は胸中で叫ぶ。どうして今さっき会ったばかりの男に、そんな表情を見せる? いや、それ以前に出会って一分程の男と、何故、舌を絡める接吻などするんだ!? 「そうか~。じゃあ、ここはどうかな~?」 そう小嶋は言うと、今度は榛名の耳を甘噛みする。 「ひゃん!?」 御戻が聞いた事のないような声を榛名は上げた。榛名もあんな声を上げる事があるのか。 「あ……駄目……。提督……榛名は変になってしまいそうです」 「いいよ、変になっても。榛名が変になるとこ、見てみたいな」 小嶋はそんな事を言いながら、自身の唇を、首筋、肩口、鎖骨と順に這わせてゆく。 「あっ……! そこは駄目です、提督!」 小嶋の舌が腋に辿り着くと、榛名は慌てたように言った。 「なんで?」 「汗をかいていますから……」 「全然匂わないって。むしろ、いい匂いがする」 制服の脇下に開いたスリットへ小嶋は顔を突っ込むと、牛乳を飲む小猫のように、榛名の腋を舐め始める。 「提督……恥ずかしいです……」 「でも、気持ちいいんじゃないの?」 「……」 「あ、黙った。気持ちいいんだ? 榛名は腋を舐められると、恥ずかしいけれど、とっても気持ちよくなっちゃうんだ?」 「もうっ……知りませんっ」 ぷい、と榛名は顔を背ける。拗ねたような、甘えたような、そんな声と仕草。あの声と仕草は自分だけのものではなかったのか――御戻は拳を握る。 「可愛いな~」 小嶋はそう言うと、こんどは榛名の上着の前をはだけさせる。下には何もつけておらず、形の良い乳房が顔を覗かせた。 「綺麗なおっぱいしてるね」 片手で優しく乳房に触れながら、小嶋は再び榛名の腋に舌を這わせた。同時に与えられる二つの刺激に、榛名の桜色の乳首がみるみる硬くなってゆく。小嶋の指先がそこへ触れると、榛名はぴくんと肩を震わせた。 その反応を確認した小嶋は、今度は人差し指と中指の間に乳首を挟みこみ、ゆっくり小さく円を描くように動かした。その刺激に、榛名は大きく身を捩る。 「感度、いいんだ?」 「そんなこと……榛名には、分かりません」 唇と舌に乳首が捉えられると、榛名は「ああ……」とまるで感に堪えないような声を洩らし、小嶋の頭を両腕でかき抱いた。 「ああ……だめ……だめ……あぅっ!?」 小嶋の手が、榛名のスカートの中をまさぐる。 「榛名。もうこんなになってるよ?」 少し意地悪く言いながらスカートから手を抜くと、小嶋は見せつけるように榛名の目の前へ指を持ってゆく。愛液に塗れた人差し指と中指を広げると、何本もの糸が引かれた。榛名が恥じるように視線を反らす。 「俺のもさ、もうこんなになっちゃってるんだけど」 小嶋は榛名の手を掴むと、ズボンへと導く。前が大きくテントを張っている。 「苦しそう……」 膨らんだ箇所を、榛名は恐る恐る撫でた。 「うん。苦しい。解放して欲しいな」 「はい、提督」 榛名はそう言うと、小嶋のズボンを脱がせた。そして、お目見えした小嶋の一物に、榛名は目を見張った。 「……大きい」 確かに小嶋の男性自身は逞しかった。御戻の1.5倍近くはあるかも知れなかった。 この後、あれが榛名に押し入るというのか――御戻の顔が歪む。 「そうかな? 大きいの?」 「多分……」 「ふーん。誰と比べて?」 「……」 小嶋の問いに、榛名は困ったように黙ってしまう。そして、暫く沈黙した後に、突然、顔を覆って泣き出してしまった。 「あーごめんごめん。あまりにも下品で、意地の悪い質問だった」 慌てて小嶋が謝罪する。 「ごめんなさい……」 「俺の方こそごめんな? ひどい事聞いて」 「本当にごめんなさい……。忘れよう、忘れようって思っていたのに……でもやっぱり忘れられなくて。あの人のこと、やっぱり忘れられないんです……」 榛名のその言葉に、御戻は愕然とする。 「……大切な人がいたんだな?」 小嶋のその言葉に、榛名は何度も何度も頷いた。 「でも、これが運命なら、受け入れます……」 泣き腫らした顔で、それでも榛名は精一杯微笑んでみせる。 その笑顔が御戻の心を抉った。 そして、御戻の中のもう一人の御戻が問いかけて来る――お前はこんな所で何をしているんだ? こんな覗き魔のような真似をしている時じゃないだろう? 今、お前がやるべき事は一体何だ? 愛しているんだろう? 榛名を。 榛名と出会った時の事から、離れ離れになってしまった時の事までが、まるで走馬灯のように御戻の頭の中を駆け巡る。 笑っている榛名。 少し怒っている榛名。 恥ずかしそうに甘えてくる榛名。 軽く拗ねている榛名。 泣いている榛名。 どの榛名も、自分の命よりも大事なものだ。 御戻の中で何かが弾ける。 御戻は立ち上がると、あらん限りの力で窓を殴った。大きな音が響き渡り、何事かと驚いた榛名と小嶋がこちらを向く。 御戻は何度も何度も窓を殴った。途中から皮が破れて血が出始めたが、構わずに殴り続けた。 やがて、窓は派手な音を立てて割れた。御戻は、残ったガラスを蹴破り、隣の部屋に入った。 「提督!?」 「御戻チャン!?」 窓から侵入してきた御戻を見て、榛名と小嶋が同時に叫ぶ。 「榛名。行くぞ」 御戻は唖然としている榛名の腕を掴んで立たせた。 「お、おい御戻チャン、これは一体どういう事だ!?」 「すみません小嶋殿。榛名は私の命なんです。他の誰にも渡さない」 訳が分からないという顔をしている小嶋に、御戻は頭を下げる。 「短い間でしたが、お世話になりました。それでは」 そう御戻は言うと、榛名の手を引いて、部屋を出た。 5 外はいつの間にか篠突くような雨が降っていた。 騒動を聞きつけた深海棲館の従業員達が追ってきたが、激しい雨のお蔭で撒く事が出来た。 御戻と榛名は息の続く限り走り続けた。 やがて二人は、海の見える丘に辿りついた。いつの間にか雨は止み、月明かりが煌々と地上を照らし出していた。 遠くに灯のともった港が見える――かつて二人が過ごした鎮守府の港だ。 「あそこでの日々が、ひどく昔の事のように思えますね……」 榛名が港に目を向けながら言う。 「そうだな。たかだか一月程前の事なのに」 御戻も港に目を向けながら頷いた。 「提督……」 榛名が御戻の腕を取り、身を寄せる。 「ありがとうございます……榛名なんかのために。とても嬉しかったです」 「いや。本当にすまなかった」 榛名の肩を抱きながら、御戻は小さく言う。 「自分が至らなかったばかりに、君をひどい目に会わせた」 「う……わ、私……」 榛名の声が急に涙混じりになる。 「ごめんなさい……わ、私、他の男の人と……。軽蔑しますよね。こんな穢れた女なんて……」 「そういう事を言うものではない。榛名は穢れてなどいない。綺麗なままだよ」 「……提督!」 榛名が御戻にむしゃぶりつく。突然の事だったので、御戻はバランスを崩してしまう。 榛名が上になるようにして、二人は草むらの上に倒れ込んだ。 「ん……提……督……んん……提督っ、提督っ……!」 榛名が荒々しいとも言える動きで、御戻の唇に自らの唇を重ねる。その頬は涙に濡れていた。 「会いたかった……! ずっとずっと、会いたかった! 私、怖くて、淋しくて……!」 御戻の唇を解放し、榛名は言い募る。御戻はそんな榛名の頬を優しく撫でた。 「自分もずっと会いたかったよ、榛名」 「……提督ぅ、提督ぅぅ、提督ぅぅぅ!」 まるで幼子が駄々をこねるように、榛名は御戻の胸に顔を押し当てる。 そんな榛名を、御戻は優しく、まるでこの世に二つとない宝物へ触れるようにして抱いた。 しばらくの間、二人は溶け合うように抱き合い、互いの温もりを確かめ合った。 「あの……提督……」 やがて榛名が顔を上げて、おずおずと切り出す。 「何だい?」 「その、こんな時に……こんな場所で……自分でも、はしたないと思うのですけれど……」 「うん?」 「抱いて欲しいんです。提督に」 月明かりしか光源がないので明確には見えないが、榛名が頬を染めているであろう事は想像に難くない。 御戻は何も言わず、そっと榛名の唇を塞いだ。すぐに榛名の舌が入ってきて、貪欲とも言える程の動きで御戻の舌を絡め取る。 榛名の身体が痙攣するような動きを見せた。接吻だけで、すでに達しているらしかった。 唇を合わせたまま、御戻は榛名の様々な部分に触れる。指先が触れる度に、榛名はどうしようもないといった感じで激しく身を捩った。 「あ、ああ……」 唇を離すと、榛名がまるで瘧に罹ったかのように震える声を出した。 「か、感じ……すぎ……て、お、おかしく……なりそうです……」 「榛名。愛している」 そう御戻が言うと、榛名は滂沱と涙を流しながら、あらん限りの力で御戻に抱き付いてくる。 「お願いです。忘れさせて……!」 深海棲館での事を言っているのだろう。御戻は榛名の秘所に触れてみた。すでにそこは、驚き、目を見張る程に潤みを帯びていた。 御戻は榛名の下穿きをはぎ取り、自分のズボンを脱いだ。すでに御戻のものも天を仰ぐ程になっていた。 御戻が榛名に押し入る。盛大に潤んでいるせいで、抵抗らしい抵抗など感じないまま、御戻の男性自身は榛名の中を進んでゆく。 だが、先端が奥に到達するやいなや、一転して榛名の内は、まるで吸い付くようにして激しく御戻を締め付け始めた。 「くっ……榛名」 「提督……もう二度と離さないで……」 榛名の両腕が御戻の首に回され、両足は腰をがっちりと挟み込む。 「ああ。もう二度と離さない……」 「提督! ああ……もう……だめっ……!」 榛名の涙混じりの嬌声と、御戻のせり上がってくる射精感を堪える呻きが、重なりあう。 「榛名……!」 「提督……!」 二人は互いを呼び合いながら、絶頂を迎えた。 月明かりの下、波の音と潮の香りが二人を優しく包んでいる。 「えらく幸福な気分だよ」 草むらに横たわったまま、御戻は静かに言った。 「私もです……提督」 榛名が身をすり寄せてくる。 「もう鎮守府にも、自分の所業が伝わった頃かな」 「ふふ……そうですね」 少しだけ楽しそうに榛名は笑う。 「榛名」 御戻は硬い声で言う。 「自分にはもう何もない。士官としての身分を剥奪されるのは無論の事、それどころか、今や遊郭から女を攫った犯罪者だ」 「提督は犯罪者などではありませんよ」 おだやかに言いながら、榛名は御戻の頬に口づけする。 「……榛名を救い出してくださった英雄です」 月明かりにうっすらと照らされた、榛名の優しい笑顔。その笑顔だけで、御戻の心は存分に満たされる。 「自分が君に差し出せるのは、もう命ぐらいしかない」 「嬉しい。榛名なんかのために、そんな事を仰って下さるなんて」 「榛名――」 すまない、と続けようとした御戻を榛名が遮る。 「榛名も提督に差し上げられるのは、命ぐらいしかありません」 「……」 「榛名は御戻提督だけのものです。何処までもお供します。例え海の底でも。だから――」 榛名が御戻の手を強く握る。 「――もう二度と、離さないで」 「分かった」 二人とも、考えている事は同じようだった。 「空、綺麗ですね……」 「ああ……」 遥か上には満天の星空。地上の憂いや哀しみとは、一切無縁の美しい輝き達――この星々を天からのささやかな贈り物と思って、静かに二人でゆこう。 「提督。榛名は、提督を愛しています」 「自分もだ。榛名、愛している」 二人は静かに唇を合わせた。 ――翌日。 鎮守府の港に、一組の男女の遺体が流れ着いた。 男の方は、かつて提督まで務めた事のある士官。 女の方は、かつて金剛型の艦を駆っていた艦娘。 男の左腕と女の右腕は、衣類の切れ端できつく結ばれていたが、その必要がないと思われる程に、二人は強く抱き合ったまま絶命していたという――。 ― 了 ―
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215 名前: ◆NQZjSYFixA[sage] 投稿日:2015/02/24(火) 23 33 55 ID B9e5BkgU http //www55.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/478.html の続きを投下します。続き物でちょいちょいオリ設定が出て来ていますが適当に無視してください。 あらすじ 新任提督が初日から雷ちゃんと肉体関係になったら 他の艦娘もしたいらしいので毎日一人ずつやり始めた 216 名前: ◆NQZjSYFixA[sage] 投稿日:2015/02/24(火) 23 34 55 ID B9e5BkgU ぶじゅっ、くちゅ、という粘質な音が風呂場に響く。 「ふあぁっ、んっ、いく、いくいくーーっ!」 俺の腕の中で、前髪を切りそろえた黒の長髪の女の子が絶頂に身もだえする。 彼女の名は、初雪。駆逐艦の艦娘だ。可愛らしい見た目からは想像も出来ないが、 数百年前の艦の魂をその身に宿し深海棲艦を根絶するために日夜戦い続ける、海の戦士である。 そんな立派な女の子は今、俺の太ももに腰掛けて股を開き、俺を背もたれに脱力している。 戦士とは思えぬ柔らかさ、上気した肌は性の昂ぶりを示すように熱を持ち、太ももには彼女の 膣で暖められた大量の俺の精液と、それ以上に初雪の愛液の生暖かさを感じる。 今俺は、夜通しのセックスの後始末に初雪の膣に残った精液をかきだしているところだった。 しかし初雪の瞳は情欲に濡れ、もっとしたいと言いたげに俺を見つめている。つい昨日まで ぼーっとしてマイペースだった初雪とは凄い変わりようだ。あどけなさの残る顔立ちに宿る 色香に見とれ、思わず抱き寄せると、我慢しきれないのか初雪から唇を重ねてきた。さらに 舌まで入れられ、指の動きを催促するように腰を動かす。くちゅ、くちゅ、と先ほどよりは 控えめな音が鳴り出すと、うっとりと目を細めて舌をより激しく動かし始めた。 が、俺はシャワーを強めに出して初雪の身体の汗や体液を落としてやる。 「気持ちは嬉しいが、もう朝だ。ちゃんと部屋に帰らないと」 ぬるりと追いすがる初雪の舌を振り切って、頭を撫でながらそう答えた。 「えー……もっと司令官とセックスしたい……です」 ぶーたれる初雪の顔はそこだけいつもどおりで、俺は微笑んだ。 「はいはい、また今度な」 そう言って初雪の頭の上からシャワーを浴びせる。そのまま抱き上げて横に並べてある 椅子に座らせようとしたが、なおも往生際悪く抱きついてきた。むにゅりと乳首を押し付ける ようにして身体を密着させ、俺の耳元でささやく。 「あんっ……司令官のチンポ、初雪のマンコにずぼずぼはめてください……子宮に精子かけて欲しいのぉ」 つい数時間前に俺が仕込んだ、猫なで声でおねだりしてきた。 「ダメなもんはダメだよ。ほら、初雪も自分で身体洗って」 苦笑してその額に軽くキスしてやってから、今度こそ初雪を座らせた。 「むー……初雪、もっとしたいのに」 そう言いながらも諦めてくれたのか、シャンプーのポンプをかしゅ、かしゅ、と押して手に取り、 頭を洗い始めた。頭頂部を十分にあわ立たせてから、首の後ろに手を入れて長い髪を持ち上げ、 髪全体に泡をなじませていく。雷とも風呂に入ったことはあるが、髪の長い女性の洗髪を見るのは そういえば初めてだ。当たり前だが無防備にも目を閉じて俯いている初雪が、わしわしと手を動かすたびに 張りのある小ぶりな胸がふるふると揺れる。そんな所をじっと見ていると、撃ちつくしたはずの 俺の股間が、またも息を吹き返してしまった。 シャワーで泡を流した初雪がふと目を開けて下を見て、にまりと笑った。 「ん、後一回……一回だけ。司令官が射精してくれたら、初雪もすぐイクから」 返事を待たずにがに股になって俺にまたがると、ぬぷぬぷと腰を沈める。 「あっ……ふ、うぅん……」 夢見心地のように艶かしい吐息をあげ、きゅうきゅうと膣を締めてくる初雪の腰を掴んで、 時間もないのでガンガン腰を振ってすぐに射精した。 「はっ……あーーー……んんっ……」 初雪はぽーっと酔ったように目を細め、今日一番の力で膣を締め、子宮口をくすぐるように大きく 腰を前後させる。 「あっ、きたきたっ、んっ、いっく……ぅ」 ぎゅっと眉根を寄せて全身に力をこめて絶頂を味わってから、ふう、と息を整えて顔を上げると、 そこにはもうケロリとした顔のいつもの初雪が居た。 「ん、すっきりした。身体洗う」 そこからはお互い無言で、普通に身体を洗った。 着替えもてきぱきと済ませて、夜明けの廊下で初雪を見送る。 「はぁ、徹夜したから、眠くなってきた」 「あー……すまん。これから朝練だよな」 「ん。次セックスする時、いっぱい気持ちよくしてくれれば、いい、です」 「はは。気に入ってくれたみたいで嬉しいよ。ま、今日と明日は先約が居るみたいだが」 「夜は、そう。昼は空いてるから、セックス、できる」 「おいおい……仕事があるだろ?」 「まだ仕事少ないし。休憩時間、ある」 「本当大好きになったな……ま、そのうち機会があったらな」 「やった。それじゃ、司令官、おやすみ」 「神通に怒られるからがんばって起きてくれ」 かく言う俺も眠い。風呂に入って温まった分、眠気も倍増だ。だがさすがに俺が居眠りもまずかろう。 「今日は何か歩く仕事をしようかな……」 初雪の去った廊下で、独りつぶやいた。 眠い目をこすりながら、朝飯を食べに食堂へ歩く。既に艦娘達はランニングを開始しており、遠くの 方から重い足音がかすかに聞こえる。朝の寒さに首をすくめながら、食堂の扉を開けると、ふわりと 味噌汁の香りが漂ってきた。昼は艦娘と同時だが、朝一番の食堂は俺一人だ。 日替わり朝食を頼む。今日はアジの干物とカブの酢漬けがおかずだった。相変わらずのプロの味だ。 ぺろりと平らげて、さっさと自室に帰った。 ふと思い出す。そういえば、俺も野菜の種を持ってきていた。 「じっとしてると眠くなりそうだしな……適当なところに畑でも作ってみるか。 女の子が多いし果物でも作れば誰か食べるだろ」 自分の荷物の中を漁りこの機会にと全部出して整理するも、記憶どおりに果物の種は一つもない。 (そういえば、艦娘の数が増えた特典で自転車があったな……) 近くの町に行けば、多分種は買えるだろう、と算段をつけ、着替えて執務室へ向かった。 「おっはよ、司令官!」 「ああ、おはよう、雷」 満面の笑みで出迎えてくれる雷に挨拶を返し、椅子に座ると、機械を起動する。 実は普段の秘書艦は神通なのだが、さすがに複数の艦娘に手を出し始めた初日から 神通を秘書艦にするのは俺の精神衛生上良くなかったので、事情を知る雷を指名しておいた。 「うっふっふー」 雷が、口に手を当ててにまにまと笑って近寄ってきた。 「どうした? そんなにニヤニヤして」 「えへへ、司令官が初雪とも仲良くしてくれたんだなーって、嬉しくなっちゃった」 「ああ……やっぱり分かったか? 眠そうにしてたか?」 「ふふっ。そうね、にやけながら寝ぼけていて面白い感じになってたわ」 そう言われると、苦笑するしかない。 「でもちょっとだけ嫉妬しちゃうかも。司令官、私のときより長くセックスしてない?」 「あー……そこらへんは初雪のリクエストもあってだな」 雷の言い出したこととはいえ、一人でも良いといった翌日からこれでは、確かに文句の一つも 言いたくなるだろう。 「あっ、別に怒ってるとかじゃないのよ? 私は昨日までたっぷりしてもらったし」 ぱたぱたと両手を振るが、俺は雷を招き寄せた。 「おいで、雷」 「えっ、や、ほんとに大丈夫……なんだけど」 と言いつつ、照れくさそうに笑ってトテトテと歩いてくる雷を抱き締め、唇を重ねる。 「んっ……もう、司令官ったら、こんな朝から……」 そういいつつ、既に雷の両手は俺の首の後ろに回っている。 「えへへ……ありがと、司令官。元気出た」 俺たちは顔を見合わせて笑うと、ようやく仕事に取り掛かるのだった。 その日の昼飯時。 「司令官とするの、すごい。ほんと、なんか、もう……すごい。おすすめ」 初雪が食堂で、駆逐艦娘の話題の中心となっていた。 ふんすと鼻息も荒く、胸を張ったドヤ顔で、どうにもふわっとした自慢をしている。 「うわー、ホントにやっちゃったんだ! でもでも、初めては痛いって、聞いたことあるっぽい?」 「ん、ちょっと痛かったけど、すぐ気持ちよくてわけ分からなくなるから、平気」 臆面もなく感想を言ってのける初雪に、周りの艦娘が顔を赤くして声なき声を漏らす。 「あらあら……そんなに気持ちいいの? 他には、なにか印象的なことはあるかしらぁ?」 「ん……司令官は、恥ずかしいこと言わせるの、好き」 「ふぁっ!?」 「うは、ご主人様鬼畜キタコレ!」 キャイキャイとはしゃいで居るところから少し離れて、神通が顔を赤くしながら黙々と昼食を 口に運んでいた。さらに別方向から、叢雲の射抜くような強い視線を感じる。 「あー、分かる分かる。司令官って結構そういうの言わせたがるよね」 雷はというと、初雪の対面で余裕の笑みを浮かべている。 「お、おい。お前、あれ取材しないでいいのかよ?」 「いやー、ちょっと、ああいうストレートなのは、範囲外かなーって、ねえ?」 新入りの重巡も遠巻きにしながらきっちり聞いているようだ。 「それで……どういうことを言わせるの?」 「ふっ……昼間に言うのは、無理」 涼しげなつもりのドヤ顔で、初雪は顔をそらした。 「ええー!? 意地悪ぅ、内緒でいいから教えてよぉ」 「そこまで言うなら、しょうがない」 ぽしょぽしょと初雪が耳打ちしてやると、見る見る相手の顔が赤くなった。 「そ、そこまで……!?」 「言ってたら、慣れるから。むしろ司令官を興奮させるのが楽しくなる、かも」 おおー、とまたどよめいた。 「ううっ……でも、ちゃんと準備しておかないと……」 ふらふらと去っていく者、猥談に聞き入る者、少しだけ離れて耳をそばだてるもの、ほとんど 全員が顔を赤らめている異様な食堂で、俺はさっさと飯を食って退場することにした。 その日の午後から、鎮守府は南1号作戦に取り組み始めた。 防衛線にたまに食い込んでくる敵侵攻艦隊を迎撃するという作戦だ。事前情報によれば、 ここは任務の難易度がぐんと上がっているらしい。 といっても、今の戦力ではとりあえず重巡や水母など火力のありそうな艦と、錬度の高めの 叢雲などの駆逐艦を合わせた全力で出撃する以外の手はない。どこまでも艦娘頼みで申し訳ないが、 それが提督の立場だと割り切ることにしよう。 それに、悪いことばかりでもない。厳しい分獲得できる艦娘も多彩になるらしいし、いくつか 新しく達成可能になる任務もでてくる。艦娘達が大怪我をしないよう祈りつつ、俺は出撃命令を出した。 その日は新たな海域の進行許可こそ得られなかったものの、5人もの新しい艦娘を迎え入れることに なった。 そして、今日も夜がやってくる。 「今日は誰なのかな……」 この一連の流れ……俺とセックスする順番を決めようなどと言う話は、絶対あいつが発案者だ という艦娘が一人居るが、今日来るかどうかは半々だ。 猥談に混じっていた艦娘か、それとも……と思っていると、ドアがノックされた。 「てーとくさんっ。こんばんわっ!」 夜の闇にも負けない明るい笑顔と声で、夕立が枕を小脇に抱えて立っていた。 「お、夕立か。どうぞ、上がって」 「はーい」 夕立はにっこりと笑って、気負いなく俺の部屋に入っていった。 「おおー……これが提督さんの部屋かぁ。男の人の部屋に入るの、始めてっぽい」 きょろきょろと部屋を眺める夕立に、ドアを閉めてから歩み寄った。 「引っ越したばかりだから大した荷物もないけどな」 「あっ、本棚にちゃんと本があるっぽい」 俺が近づくと、夕立は弾かれた様に本棚に駆け寄って、顔を近づける。 「提督さんは、どんな本読むのかなー」 中腰になった夕立のヒップラインが強調されて、パジャマの下の下着の線がくっきりと 浮かび上がる。 「小説とかの文庫本かな。そんな高尚な本は置いてないよ」 「ふぅん……天の光はすべて星……冥王と獣のダンス……」 「読みたいなら借りていってもいいよ。近くの町にも本屋くらいあるだろうから、 給料で買ってもいいな」 「ん、うん……そー、ですね……」 ぎし、と音を立ててベッドに腰掛ける。 夕立は中腰のままだ。そのままなんとなく尻を眺めていると、ゆっくりと背を伸ばした。 「えっと……」 ちら、と横目にこちらを振り返ったその顔は、大分赤かった。 「さ、さすがに緊張するから、灯りは消してほしいっぽい……」 「ああ。それじゃ消すよ」 今日気付いたのだが、この部屋の明かりは遠隔でつけたり消したりできるのだ。リモコンって奴だ。 かちかちとリモコンのボタンを押すと、電気が消えた。カーテンを開けた窓からの月明かりだけになる。 「うっ……あの、カーテン……」 「これ以上暗いと夕立がベッドに来れないしなあ」 「提督さん、意地悪っぽい……聞いたとおりっぽい」 そういいながらも、夕立は枕を盾にしながらそろそろとベッドに歩み寄り、俺の隣に腰を下ろした。 「うー……やっぱり緊張するっぽい……」 「と言っても、いつまでも並んで座っててもな。……触っていいか?」 「あっ、その、ちょっと心の準備ひゃうっ!?」 土壇場になってへたれたことをいい始めた夕立の腰に強引に手を回した。そのまま抱き寄せると、 ゆっくりとこちらに体重を預けてくれる。 夕立の身体は、雷、初雪と同じくらい柔らかく、しかし決定的に違う部分もあった。 ありていに言うと胸だ。 幼さを残しながらも手足はスラリ伸びきっていて、女の子から女性になる過程の、どちらの魅力も 持ち合わせた魅力的な身体と言えた。 「はぁー……ドキドキして顔から火が出そうですー」 俺の腕の中で縮こまる夕立から、そっと枕を取り上げようとすると、割と素直に渡してくれた。 そのまま顔を近づけると、ぎゅっと目をつぶって、それでもくいと上を向き、唇を突き出してくれる。 それに甘えさせてもらって、艦娘として起動させた時から数えて2度目のキスをした。 「んっ……ちゅ……」 唇を愛撫しあう浅いキスを繰り返しているうち、少しずつ夕立から強張りが抜けていく。頃合を 見計らって、ぬるりと舌を入れると、戸惑いながらも応じて舌を絡めてくれた。 ぴちゃ、ぴちゃと暗闇の中にキスの音だけが響く。だんだんと向こうからも舌を動かしてくれる ようになると、夕立の体温も少し高くなってきたように感じる。 そろそろいいか、と俺は腰を抱いていた手を上に滑らせる。華奢な肋骨の感触と、予想より大きく、 柔らかく、たっぷりとした重みを備えた胸の感触が心地いい。 「あっ……」 ぴくん、と夕立が震えて離れると、唇と唇の間に銀の糸が引かれた。片手でゆったりと持ち上げる ように胸を愛撫する俺に、どう反応していいか困っていると言う風に眉尻を下げ、潤んだ瞳を向けるが、 結局何も思いつかなかったのかもう一度唇を重ねてきた。 了承を得られたのなら思い切りこね回すのみだ。俺は遠慮なく両手を使い、やわやわと夕立の 両胸をもみしだいた。 「んむっ、ぅううーー……」 ぎゅ、と強めに揉んでやる度に夕立は鼻に抜けるような喘ぎをもらし、パジャマの上からでも 分かるくらいにぽっちりと乳首を勃起させた。 今度は俺から唇を離し、乳首を中心に苛めてやる。 「あっ! んっ、てーとくさ、んんっ! それだめっ、だめっ!」 乳首を摘まれるたび、捻られるたび、夕立はびくびくと痙攣した。続けるとあっという間に息を荒げ、 首筋にはしっとりと汗をかいている。桜色になった首筋に顔をうずめ、匂いをいっぱいに吸い込むと、 石鹸と、あまったるい女の子の匂いがして俺の興奮を煽った。 「やーっ、提督さん、においかぐのヘンタイっぽいぃ」 コメントは無視して、首筋にキスの雨を降らせ、耳たぶを甘がみする。 「ひゃうっ!」 ひときわ大きく震え、心なしか乳首がさらに硬くなった気もする。調子に乗って乳首の責めをさらに 激しくすると、 「んっ、く、ふうぅうううぅうんっ」 それこそ子犬のように、甘えたような声を出して全身を震わせた。口をぽっかりとあけて、呆けたように 上のほうを向いている。どうやら絶頂したようだった。 「夕立は敏感なんだな」 はふ、はふ、と息を整えている夕立のパジャマを脱がせにかかる。ボタンを外して上を脱がせると、 シャツが豊かな曲線を描いているのがさらによく分かった。勿論、その頂点の存在感も。 下から手を入れてシャツも脱がそうとすると、夕立が両手を上げて手伝ってくれた。どうやら意識も 戻ったようだ。ゆっくりとベッドに押し倒してやると、抵抗もせず従った。 「ううー……死ぬほど恥ずかしいっぽい」 月明かりだけだと良く分からないが、相当赤面しているのだろう。夕立は両腕で顔を覆って隠して しまった。恥ずかしがる表情は見たいが、しかし月明かりに照らされた夕立の胸を遮るものはなく、 これはこれで良いものだと思いつつ、次は下を脱がせにかかる。 くちゅ、と夕立の股間から湿った音がした。 「あううううううう」 恥ずかしさに耐えかねたのか、ごろんと上半身を捻り、うつ伏せになって背を向けてしまった。 それでも尻を突き出して脱がすのに協力してくれるあたり、本当に良くできた娘だ。パンツごと するりと脱がせて膝を立てる体勢にすると、部屋の中にむっとした潮のような匂いが漂った。 ぴったりと閉じた秘唇を両手で割り開くと、舌を這わせる。ぬるりとした濃い愛液を舐め取り、 ちゅるちゅるとすすった。 「~~~~~~~!」 夕立はベッドのシーツに口を押し付けて、声にならない悲鳴を上げる。皮に包まれたままの 慎ましやかなクリトリスを指一本で弄んでやりながら膣を舐めていると、どんどん愛液は濃く、 多くなっていく。 股間の真下のシーツのシミが大きくなって太ももまで愛液まみれになってきた頃、俺は 口を離し、感想を言った。 「ふう……夕立のはにおいも味も濃い目だな」 びくりと突っ伏したままの背中が跳ねる。 「もぉおおお……ばかぁ……」 涙声でそう言う夕立だったが、俺に見えているのは白く泡立つ本気汁を垂れ流すマンコと、 閉じようとする素振りもない股だけだ。 お互いに準備は整ったようなので、俺も服を脱いで全裸になる。 くちゅ、とわざと卑猥な音を立てて膣口に指を入れてかき回し、夕立の粘つく愛液を俺の肉棒に 塗りたくり、小ぶりな尻を鷲づかみにして亀頭を膣肉に押し付ける。 「夕立……いくぞ」 「提督さん、その……やさしく、して欲しい……な」 さすがに気になるのか、ちらりとこちらを振り返る。俺はゆっくりと腰を進め、夕立の中に、入った。 熱い。 と言うのが、一番の感想だった。お湯のように熱く、握るようにきつい締め付けの夕立の中は、 少しでも力を抜けば押し返されてしまいそうだ。力を入れて押し込むと、ぷつりと軽い衝撃がある。 「いっ、た……」 「大丈夫か? しばらく動かずに居ようか?」 「ん、大丈夫、っぽい。そのまま、全部……入って、欲しい……」 と言うことだったので、なるべく痛くないことを祈って、緩急をつけずゆっくりと挿入しきった。 「はぁ……はぁ……てーとくさんの……おなかの中いっぱいで……あつくて……ドキドキする…… この感じ、結構、すきっぽい……」 悩ましげに上ずった声で言われると、無性に動きたくなってくるが、まだ我慢する。 「あっ、ん……あーーっ……」 もぞもぞと上半身で身もだえしながら言葉にならない艶かしい喘ぎをもらす夕立は、別人のように 色気を放っていた。 勇気というか蛮勇を発揮して、もそもそと食事をしている夕立に振った瞬間、夕立はぽーっと顔を 真っ赤にして、目を伏せてしまった。 「はぁあ……夕立、ちょっと無理っぽい……」 ざわっ、と周りの駆逐艦娘達が騒ぐ。 「ど、どういうことだ? なんかひどいことされたのか?」 「ええっ!? 司令官がそんなこと、するはず……ないと思うんだけど」 がたんと腰を浮かせて雷が声を荒げかけたが、思うところあったのか歯切れは悪かった。 「ううん。提督さんは、ひどいことはしなかったんだけど……」 「じゃあ、どうしたんだ?」 ちらりと、経験者の雷と初雪を見ると、夕立はため息をついた。 「二人とも、相当すごいっぽい……夕立、提督さんの……アレが気持ちよすぎて、気を失っちゃったっぽい」 おおーっと色めき立つ艦娘達。 「一番奥にね、どばどばっ、てされると……気持ちよすぎて……何も考えられなくなるっぽい」 「ん、ちょっと、分かる気がする。夕立ほどじゃない、けど」 「あー、夕立はアレの感覚が好きなのね。へぇ、そういうのって人によって結構違うのね!」 「あんなの毎日してたら、頭がおかしくなるっぽい……」 「ん。初雪は、毎日でも、いいけど」 「私は実際毎日してたわ」 「んーっ……あたしは、週に1回でも十分っぽい」 なにやら通じ合っている三人に、圧倒されたように他の艦娘達は赤面するしかないようだった。 相変わらずのすわりの悪い思いに加えて、わき腹に出来た痣の痛みをこらえながら、俺は昼食を食べるのだった。 225 名前: ◆NQZjSYFixA[sage] 投稿日:2015/02/24(火) 23 40 21 ID B9e5BkgU [10/10] おわり 初雪ちゃんのエロがもっと見たいです(粉みかん) これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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前回の話 595 :エ・ロ・エ・ロ 幼妻大鯨ちゃん:2015/01/01(木) 20 28 03 ID vw3jzdiY 2014年12月30日、午後11時50分、駿河湾海域。 ここで今、大規模夜戦演習が始まろうとしていた。 「提督ぅ~……眠いですぅ……」 「我慢しなさい睦月。そんなんじゃ一人前のレディーにはなれないわよ」 「一人前のレディーだからこそ肌荒れを気にしなくちゃいけないのよ」 「みなさんはまだいいですよ。私は空母なのに夜戦演習させられるんですから……」 「そうぼやくな。空母といえど実戦では夜戦をせざるを得ない事もあるだろう。 その時の立ち回りの訓練と考えれば決して無駄ではないはずだ」 「でも……」 「これが終わったら熱々な味噌煮込みうどんと台湾ラーメン、 おまけに伊勢うどんともろこしうどんとあんかけスパときしめんが出てくるぞ」 「本当ですか?私、頑張ります」 「でも麺類ばかりじゃないですか……」 「なんでもいいさ、夜戦が出来ればさ!」 「お前は相変わらずだな」 「て・い・と・く。提督!横須賀鎮守府の艦隊が到着しました。 我々もそろそろ準備いたしましょう」 「到着したか。よし………… みんな、12月31日午前0時より横須賀鎮守府との夜戦演習を行う。 横須賀鎮守府の艦隊は主力艦隊で精鋭揃いだ。個々の戦闘能力は我々よりも上だ。 だが数はこちらの方が上。集団での戦法を心がけて立ち向かうんだ。 ただあちらも集団相手をする為の戦法でかかってくるはずだ。決して気を抜くな」 「おー」 大鯨が掛け声で応える。こうやって『おー』というだけでも結構違うとかなんとか。 「提督、そろそろ時間です」 「よし、これより大規模夜戦演習を開始する。総員、第一戦闘配備!!」 こうして今年最後の演習が始まったのだった。 596 :エ・ロ・エ・ロ 幼妻大鯨ちゃん:2015/01/01(木) 20 28 42 ID vw3jzdiY 「おはようございます」 「おはよう。もうお昼だけどね」 「ごめんなさい……」 「いや、夜戦演習やっていたから仕方ないさ。みんなもさっきまで寝ていたしさ。 今日は大晦日だ、もう掃除も済んだしおせちも作ってあるし、ゆっくりしよう」 「あら、司令官に大鯨ちゃん、おはよう」 「如月ちゃん、おはよう……って言ってももうお昼ですけどね。今すぐご飯準備するね」 「ありがとう………………ねえ司令官、大鯨ちゃんとの姫納めはお済みになられましたか?」 「姫納め………いや、してないよ」 「もぅ……するしないはあなた達の勝手だけど、せめてちゃんと見ていてあげてね。 ……もしかして初夜の時にヤリ過ぎて出し尽くして枯れちゃったとか?」 「そんなことはない!確かにその時は出し尽くすまでヤったけど、でも今でも彼女への想いは燃え続けているさ」 「じゃあ…あの子が7ヶ月の未熟児で産まれて、小さい頃は体がとても弱かったから 今でも無理はかけられない、って思っていない?」 艦娘大鯨の生まれ育ちは潜水母艦大鯨と重なるところがあった。 潜水母艦大鯨は起工から7ヶ月で進水することとなり、その後も様々な修繕や改良が必要な艦であった。 大鯨の力を宿す艦娘の運命も潜水母艦大鯨の運命ほとんど一緒だった。 だがそういう境遇だったからこそ艦娘大鯨になれたのかもしれない。全ては星が決めた運命だったのだろう。 「そんなに気にしてないよ。無理させるつもりもないけどね。彼女は今は艦娘になってるくらいなんだ。 丈夫でなけりゃ艦娘なんてやってられないさ。艦娘だから普通の人以上には身体能力あるさ」 「大鯨ちゃんはとっても成熟しているって一目瞭然ですしね」 「あとさ……特別な事をしなくたって、ただ一緒にいるだけで満たされるってのも事実だ」 「そういう事は私にはよくわかりませんけど…… ところで司令官はなぜ起きていられたのですか?私がトイレに起きた時にも部屋に電気がついていましたし」 「いやな、大晦日と元日は一睡もしないって決めてたから。それ以外特に理由はないな」 「アホみたいな理由ですね」 「そうだな。まあ仕事は全て片付けたし、これからみんなとゆっくりするよ」 597 :エ・ロ・エ・ロ 幼妻大鯨ちゃん:2015/01/01(木) 20 30 02 ID vw3jzdiY 「提督ーっ、おはよーっ!」 「おはよう川内、まだ7時だぞ。夜の」 「いつまで寝てんだよ、おっせぇなぁ。ちゃっちゃと起きろよ。 那珂が紅白に特別出演するってのによ、下手したら見逃すところだったじゃないか」 「はい川内さん、丁度年越し蕎麦ができましたよ」 「ありがとっ。紅白見ながら食べようねっ。ところで伊勢や龍驤達はどうしたんだい?」 「あいつら戦艦組や空母組は正月の為にここら辺の神社に行ってるさ。 彼女達は特別な霊的な力があるからそういったところに需要があるんだ」 「まあ実際はみんな綺麗だから引く手あまたなんでしょうけどね」 「扶桑や山城はそういう服装がとても似合っているわけだしさ、わかるよ」 「まあそれもあるだろうな。だけど戦い以外で人々に貢献できるってのも素晴らしいと思うんだ。 夏に深海棲艦が本土襲来して以降全国各地に艦娘の拠点が新たに作られたけど、 俺達は地域住人達を守っているとはいえ、逆に迷惑をかけている事もあるだろうからな。 だから戦うばかりじゃなく、ああいった所でも交流を深めなきゃいけないからな」 「でも私達が彼女達の頑張りを見ることはできませんね」 「流石に俺達まで出て行ってこの鎮守府を空けるわけにはいかないからな。 俺達鎮守府残留組が鎮守府から離れられるのはみんなが帰ってきた後になるな。 でもみんながいるから今という時間がとっても楽しいって事に変わりないさ。 さあそろそろ紅白の時間だ。年越し蕎麦を食べながらゆったりと見るとしよう」 緊急出撃する事態にでもならければ駆逐艦や巡洋艦等は大晦日には任務がない。 俺は今まで大晦日は慌ただしい思い出しかなかった。 大晦日にゆったりできるなんて俺の人生では初めてだったかもしれなかった。 そして………… 598 :エ・ロ・エ・ロ 幼妻大鯨ちゃん:2015/01/01(木) 20 30 47 ID vw3jzdiY 「あけましておめでとう!」 「おめでとうございます!」 ついに2015年を迎えた。 「みんな、今年も一年よろしくな!」 「こちらこそよろしくお願いします私…私達はいつまでも一緒に…」 「ちょっと!少し重いんじゃないの?もう少し普通にいきましょ」 「せっかく新しい年を迎えたのですからね。まあプリッツでもどうぞ」 プリンツ・オイゲンがプリッツを差し出していた。なんか彼女のお気に入りのおやつらしい。 俺としては11月に彼女がパッケージになった商品でも出てこないかなーって考えている。 「そうだな。年末年始ゆったり過ごせるなんて初めてだしな」 「初めてって……あっ…」 「そう、去年の今頃は本当に大変だったからな。 俺達じゃほとんど太刀打ちできないくらい強い奴らと戦っていたんだ」 「でも私達が勝てたイオナさん達がいたからなのです」 「そうですね。でも彼女達は今どこにいるのか……せめてお正月くらい一緒にのんびりしていたかったですよね」 「彼女達には彼女達の戦いがある。俺達には俺達の戦いがあるようにな。 なに、この地上にいる限りいずれまた会えるさ。 地上が邪悪な者達の侵略にさらされた時、必ずもう一度会えるはずだ」 「できればそんな状況じゃなくてもっと平和な時に会いたいですけどね」 「さて…そろそろ大本営からの新年の挨拶の時間だ。スクリーンに映し出されるからみんなそろそろ整列してくれ」 「はいっ!」 こうして、2015年が慌ただしくも始まったのだった。 599 :エ・ロ・エ・ロ 幼妻大鯨ちゃん:2015/01/01(木) 20 31 50 ID vw3jzdiY 「あっ、司令官さん、お疲れ様です、お風呂は出来ていますよ。ではごゆっくり……」 鳥海が大淀の声真似をしながら俺に伝えた。大鯨はまだ洗い物で忙しい。 俺は早速風呂に入った。今日も一日平和だった。新春スペシャルのお笑い番組も面白かった。 風呂に入っている内に日付が変わり二日になっていた。今日は完全に休みだ。 そう思うと俺は気が抜けて目を閉じ、そのまま意識を手放した………… 知らぬ内に意識を手放していた俺は唇に何かが触れた感触で目を覚ました。 目の中に愛する人の顔が入ってきた。俺はキスされていたのだ。驚いて唇を離してしまった。 「あ…目が覚めました?」 「?……え………うん………」 状況がよくわからなかったがどうやら俺は風呂場で寝ていたらしい。湯舟に入っていなかったのが救いか。 「驚きました?あの時のお返しですよ。お・か・え・し」 「う……」 結婚する前の話だが俺は一度彼女がシャワーを浴びている現場に遭遇してしまった。 もちろんわざとではなく事故なのだが、俺の不注意が原因ではあった。 彼女は許しているようにも見えたが、仮に仕返しされてもあまり文句は言えないかも…… 「なんてね。まあそれもありますけどあなた全然寝てなかったから心配でしたよ。 心配になって見に来た甲斐がありましたよ。ダメですよお風呂で寝たら」 「すまない…で、なんで裸なの?」 「一緒に入るのは嫌ですか?」 「むしろ嬉しいけど、何だか恥ずかしい…」 「私と致したのにですか?」 「それでも恥ずかしいものはあるし、せめてバスタオルを………いや、いいや。一緒に入ろう」 そんなわけで俺は彼女と一緒にお風呂に入ることになった。 600 :エ・ロ・エ・ロ 幼妻大鯨ちゃん:2015/01/01(木) 20 33 39 ID vw3jzdiY 「では背中を流しますね」 「頼むよ」 背中は洗いにくいだけに洗うなら誰かに頼むのが一番だろう。 しかし何故か両肩を掴まれた。何故?と思ったのもつかの間、 背中をスポンジとは違う、柔らかい二つの温かい感触が襲った 「なあ……これって……」 「気持ちいいですか?」 「…………あ…ああ……」 言葉でははぐらかされたが、どう考えても答えは明白だ。 彼女は豊かな胸をスポンジ代わりにして俺の背中を洗っている。 彼女の柔らかな温かい乳房と、固い乳首の感触、 そしてそれらが泡により滑らかに擦られる事によって俺は刺激されていた。 やがて背中から彼女が離れ、お湯で泡を洗い流された。 「はい、背中を流し終えました。次は前をきれいにしてあげますね。おちんちんもちゃんときれいにしてあげないと」 「そっちは俺がやるから!あ、いや、先に君の背中を流すよ」 そう言って俺は彼女の背中を流した。彼女にそのまま洗わせていたら射精してしまうかもしれないと思ったからだ。 彼女とは初夜の時以降交わった事がないどころか、一人で致したこともなかったからだ。 「あー、さっぱりした」 風呂から出た俺はパジャマを着てすぐに布団に入った。 「どうですか?潜水母艦大鯨のように心地よいですか」 「ああ、とても良いよ」 俺は膝枕をされていた。潜水母艦大鯨がどれくらい居心地良かったのかは知る由もないが、 彼女自身のの温もりと柔らかさが俺に安心感を与えてくれた。 「今までずっとご苦労様です。とりあえず今日はゆっくりと休んでくださいね。よろしければ子守唄を歌いますよ」 「そうだな。頼むよ」 「それじゃ歌いますね。ねーんねーん、ころーりーよー、おこーろーりーよー……」 彼女の歌は天使の歌声のようだった。声だけが天使ではなく見た目も心も全てが天使だった。 ちなみに如月は彼女を穢れ無き天使と言っていた時もあった。 穢れ無き天使と呼ばなくなったのは俺が結婚してからのことだった。 でも天使であることには変わりはなかった。俺は色々な事を思い返しながら眠りについた………… 601 :エ・ロ・エ・ロ 幼妻大鯨ちゃん:2015/01/01(木) 20 34 19 ID vw3jzdiY …………なんだか脚の辺りが重い。それだけではなくちんちんも何だか気持ちがいい。 その感触で俺は目が覚めた。外は明るかった。しかし布団が妙に膨らんでいた。 何かと思い布団を少しめくった俺の目には驚くべき光景が入ってきた。 俺のちんちんをチロチロと舐めていた存在がいた。 それが愛する妻で、何も着ていないと認識した時俺の意識は完全に覚醒した。 「あ……起きましたか……」 少し恥ずかしそうな顔だった。 「一体何を…」 「じっとしていてください。私が全部やりますから……」 そう言って再び舐めはじめた。最初は亀頭を舌先で恐る恐る舐めている感じだったが、 徐々に裏スジを舐めたり、舌の腹で舐めたりしていった。 そのテクは明らかに慣れていない、初めてやってるようなものだと感じたが、俺にはそれさえも性感を高めるものだった。 彼女が慣れない感じで健気に俺を気持ち良くしようとしている嬉しさの一方、 ちんちんを汚らしいものだと自分で思うが故にその汚らしいものを舐めている彼女への罪悪感で胸が押し潰されそうでもあった。 もしきれいに洗っていなかったら凄くへこんでいたかもしれない。 チロチロとした感触に慣れてきて我慢する余裕が出てきたと思った矢先、 なんと亀頭を口ですっぽりと包み込んだ。物凄い快感が襲い掛かってきた。俺はそれに耐えるのに必死だった。 なおも彼女の攻めは続き、口をすぼめて雁首を締め付けたり、頭を上下させちんちん全体を擦って刺激したり、 猛烈な勢いで吸おうとするなど、恐らく考えうる全ての知識を総動員され、そこまでされてもはや限界だった。 「駄目だ……出る……離れてっ!!」 俺は力を振り絞って言った。彼女は一瞬口を離すかと思ったらなんと舌の腹で鈴口を塞いだ。 602 :エ・ロ・エ・ロ 幼妻大鯨ちゃん:2015/01/01(木) 20 35 05 ID vw3jzdiY ビュルッ…… 久方ぶりにちんちんからドロリとした濃厚な粘度の液体が吐き出される感覚を感じた。 彼女は噴き出された快楽の白いマグマを全て舌の腹で受け止めていた。 零れぬよう唇できつく締め付けていた事が更なる快感をもたらした。 永遠に続くかのような快感が終わった。それを確認した彼女はようやくちんちんから口を離した。 大量の白濁液がちんちんを隠すかのようだった。どうやら彼女は一滴も飲まなかったようだ。 飲んでほしかったという思いもなくはなかったが、そんなもの飲むものじゃないからそれはそれでよかった。 俺の顔を見ていた彼女はニコリと微笑んでいた。俺がとても気持ち良さそうにしていたのだろう。 終わった……と思ったのもつかの間、今度は豊かな乳房で俺のちんちんを包み込んだ。いわゆるパイズリである。 ヌチョ……ヌルッ…… 俺の精液のせいなのか、物凄く滑りがよくて気持ちがいい。彼女が精液を飲まなかったのはきっとこのせいなのだろう。 彼女のパイズリは上下に擦ったり、強弱をつけながらぎゅうぎゅうしたりと意外と変化をつけていた。 そして再び射精感が訪れた。 「ごめん、また……」 その言葉を聞いた彼女は胸で思い切り締め付けた。 ビュルルッ、ビュルルッ!! 今度は先ほどよりも粘度が少なく、勢いのあるものだった。それがまた違った快感を与えてくれる。 そんな勢いのある射精も、彼女の豊かな乳房でちんちんが完全に包み込まれていた為に 彼女の顔にかかるようなことはなく、乳房内で中出しをしているかのようだった。 粘膜に包まれた感触とはまた違う、柔らかく暖かい感触に俺は我慢することさえもしなかった。 603 :エ・ロ・エ・ロ 幼妻大鯨ちゃん:2015/01/01(木) 20 36 09 ID vw3jzdiY 「……二回目なのにこんなにたくさん……とても気持ちよかったんですね」 嬉しそうな顔をしていた彼女を見て俺の心も満たされていた。 「おちんちん、まだ硬いですね……では本番行きますね。あなたはじっとしていてください……ッ!」 そういって彼女は己の大切な所で俺のちんちんを飲み込んだ。 彼女自身の蜜が溢れていた事と俺の大量の精液でちんちんがヌルヌルだったこともあり案外すっぽりと入っていった。 「では動きますね……」 そう言って彼女は腰を激しく動かした。暴力的なまでの快楽が彼女によってもたらされていた。 「ん……あっ……」 ここにきて声をあげる彼女は今になって快感が訪れようとしていたのだろう。 ヌチョヌチョと卑猥な音が立つ。その度に俺は気持ち良くなっていた。 本来精を吐き出す為の場所に収められていた為か、三回目だというのにまたまた射精感がこみ上げてきた。 「ああっ、もう…出る……ッ!」 「ください!いっぱいくださいっ!」 俺は彼女の蜜壷の中で全ての想いを吐き出していた。三回目なのにまた大量だった。 きっと彼女に赤ちゃんを孕んで欲しい、俺の子供を産んで欲しいという潜在的な想いのせいかもしれない。 604 :エ・ロ・エ・ロ 幼妻大鯨ちゃん:2015/01/01(木) 20 36 40 ID vw3jzdiY 「はぁ……はぁ…………」 二人とも息が絶え絶えだった。 「あなたの暖かい想いが……私の中の全てを満たしていきます……とっても気持ちよかったんですね……」 「うん……でもなんでこんな積極的に……姫始めにしては激しいぞ……」 「女の子だって、エッチな事をいっぱいしたいって思うんですよ」 俺はあることを思い出した。潜水母艦大鯨は11月16日に進水した。 進水した日をこの世に生まれた日とするのなら、少々痴ましいが、天の蠍を守護星座に持つということになる。 しかもよく調べたところ太陽星座だけではなく月の星座さえも蠍座であった。 そして大鯨の艦娘である彼女も、潜水母艦大鯨と同じ日にこの世に生を受けた。 しかも彼女も月の星座が蠍座である。それどころか冥王星の星座さえも蠍座であった。 蠍座は好色の星と言われている。ましてや太陽星座と月星座が一緒なら裏表なんてないことになる。 俺も蠍座であり月や冥王星だけでなく他の星でも蠍座が守護する星があった。 俺達二人は、本質的に快楽を求め続ける存在なのかもしれない。 「そうか……なあ、次は俺が動いてもいいか?もう疲れも取れているから大丈夫だよ」 「大丈夫ですか……ならお願いしますね。あなたの好きなように気持ちよくなってくださいね……」 彼女の了承を得た俺はすぐさま体位を変えた。彼女を後ろから突く体勢、いわゆる後背位である。 鯨は向かい合いながら交尾をするという。人間もそうだろうけど、動物みたいに後背位も行う事がある。 後背位は肉体的に気持ちいいが、それはかつて動物だった時の潜在的な記憶から来るものなのかもしれない。 605 :エ・ロ・エ・ロ 幼妻大鯨ちゃん:2015/01/01(木) 20 38 17 ID vw3jzdiY パンッ!パンッ!ヌチョ…ヌチョ…… 肉が激しくぶつかり合う音と、淫らな水音が混じり合い、更に淫靡な気分にさせてくる。 結合部からは中に出された精液が収まりきらないのか飛び散っていた。 「くっ…また……」 四回目になるというのに、簡単に達しようとしていた。自分が快楽を得ようと好き勝手に動いたから当然だろう。 「中で出すぞ!」 「来て……あなたの想いをもっと吐き出してっ!」 「うおああああああああああっ!!!」 俺はちんちんを最奥まで押し付け、叫びながら射精した。もう彼女は満たされていたからか収まりきらず、 ちんちんが律動する度に精液が結合部から勢いよく飛び散る。 どこにこれほどのものがあったのだろう。どれだけ溜めていたのだろう…… 自分でも驚くぐらいたくさん出していた。射精が終わった時はすごく時間が経ったような錯覚に陥っていた。 「ああ……私の中であなたの鼓動を感じてました……」 「ふぅ……はぁ……ごめん、自分勝手に動いて……」 「いいんです、私だって散々自分勝手に動いたんですから……おちんちん、まだ硬いですね。もっとしたいですか?」 「もっとしたいよ。もっと……もっと気持ちよくなりたい……」 「私も気持ちよくなりたいです……だから、もっと求め合いましょう!」 「ああ、行くぞ!!」 互いに快楽を求め合うことしか考えていなかった。これも天の蠍を守護星座に持つ者の定めか。 こうして、俺達の欲望に満ちた行為は、日が沈み、夜の闇に支配され、 そして再び太陽の光が地上を照らし始めるまで続いたのだった。 ―終― region(close,後書き) 606 :幼妻大鯨ちゃん:2015/01/01(木) 20 44 00 ID vw3jzdiY 以上です 大鯨ちゃんは去年初めて出会った時から一目惚れをして それ以来ずっとダントツで一番大好きな子でした もし大鯨ちゃんが本当にいて、好きでいてくれていたならきっと凄く頑張れそう…… 彼女の為に頑張ろうって気になっただろうな…… 好きな人とは体を重ねるのもいいですけど、でも一緒にいるだけで幸せというのが俺の本音でもあります これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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574 :名無しの紳士提督:2015/01/01(木) 00 06 21 ID JVCB8H3c あけおめこ とよろ 姫はじめって聞くとイベント海域ぽくて不穏だけど鶴はめでたいからいいよね 1月1日 元旦朝 鎮守府の年明けは静かなものだ。 「「明けましておめでとうございます」」 提督の小さな部屋で互いに挨拶を交わす提督と翔鶴。 正月といっても特に何かある訳でもなく、挨拶を交わす以外には正月らしい点は今のところない。 しかし鎮守府内は正月らしい静けさがあった。 戦艦組は昨日の夜から臨時任務に就いている。 といっても戦闘海域にいるのではなく、近所の神社へ駆り出されているのだ。 神社にとっては一大イベントである初詣に備え、臨時の巫女として戦艦組、中でも普段からそれらしい格好で知られる金剛型、扶桑型、伊勢型に白羽の矢が立つのが最近の年末年始の恒例行事となっていた。 特に伊勢型はその名前から神社から有難がられ、毎年引っ張りだこだ。 これらは名目上ボランティアとなっているが、実際には謝礼やご祝儀という形で彼女達の臨時収入となり、お神酒やおせちが振る舞われたりする。 神社や町内会の方々も彼女らの立場を知っているので、おせちは包んでくれるケースが多く、鎮守府のおせちとして流用される。 また、もらったご祝儀は当然ながら彼女達の懐に入る訳だが、そのうち半分ぐらいは鎮守府で景気よく振る舞っている。 このため鎮守府では、戦艦組の帰還をもってようやく正月らしくなる。 他にも、秋雲と夕張は十二月に入ってからはイベントに向けて常在戦場の様を呈しており、その修羅場後に休む間もなく大掃除に駆り出されるため、今頃は夢の中だ。 「80センチ六五口径三連装砲ちゃんが見える」等のうわ言を言うぐらい疲れていたようなので、多分何があっても起きないだろう。 那珂は正月にイベントがあるため、昨日の夜からいない。 他の連中も大掃除後の忘年会で羽目を外してぐっすりというのが定番で、特に人手不足になる戦艦正月残留組やその不足を補う重巡組、 正・軽空母組は年末のあらゆる分野において主戦力であるため、正月はのんびりするのがおなじみになっていた。 残りは提督と翔鶴のように正月待機任務組であるため、暇なとき―ほぼ全てなので気が向いた時に初詣に行くぐらいが精々だろう。 このため、正月ムードは夜から始まると言え、朝方は年始の挨拶を交わす程度しかない。挨拶は実際大事。古事記にもそう書いてある。 575 :名無しの紳士提督:2015/01/01(木) 00 09 37 ID JVCB8H3c 「今年も寝正月だな」 「ゆっくりできて、私は好きですよ」 二人でこたつに入りながら、翔鶴の淹れたお茶をすする。 寝正月と言う程だらだら過ごすという訳でもないのだが、普段に比べればほぼ開店休業状態だ。 事実、翔鶴も普段の胴鎧と籠手を外している。 「そうだな。正月ぐらい平和でいい」 「ええ、本当に」 そう言ってお互い微笑を浮かべ、しばし取り留めのない話をしながら、暇つぶしにテレビをつけて正月番組を見るでもなく見る。 「さあ続いては、今売出し中のこのコンビが登場です!張り切ってどうぞ!!」 司会者が陽気にコールすると、出囃子と共に舞台に女性二人組の漫才コンビが駆け上がる。 「はいどーも!大和です!」 「武蔵です!」 「「二人合わせて播磨です!よろしくお願いしまーす!」」 「ぶふっ!?」 提督がお茶を噴き出し、テレビに釘付けになる。 画面の中で軽快なトークと鋭い突っ込みで笑いを生み出しているのはまごうことなく大和と武蔵だ。 (いやいや待て待てあれはうちの連中じゃないそうだそうだそのはずだそうに違いない だって俺の知っている大和はあんな舞台に上ったら緊張のあまりまともに話せないだろうし 武蔵のあんな笑顔は見たことないしきっとどこか別の艦隊の大和と武蔵だそうに違いない) しかし提督自身、その思い込みが無茶であるというのは分かっている。 提督という生き物は付き合いが長い艦娘であれば、自分のところの娘をその仕草や様子から見分けることができる。 その提督の眼からして、今画面の中で「名前だけでも覚えて帰ってくださいねー」とか言ってるのは確実に彼の艦隊の大和と武蔵だ。 「あー完全にうちのだこれ」 神社に駆り出された訳でもないのにいない理由が今になって分かった。 「すごいですね二人とも。新年を機に新しい事へ挑戦したんですね」 (いや正月番組に出られるんだから去年からそれなりにやってたんだろう) 自分の左斜め前、何故か畏敬の念を持って二人を見ている翔鶴にそんな事を考える提督。 「まあ、新しいことに挑戦するのはいい事だな」 驚きから立ち直った提督はそう呟く。 そのとき不意に、こたつの下に忍ばせ、床につけていた提督の左手が、同じような体勢でいた翔鶴の右手の指先に触れる。 一瞬、びくりと指を動かした翔鶴だが、そこでふと思った。 576 :名無しの紳士提督:2015/01/01(木) 00 12 41 ID JVCB8H3c 「……よし」 何かを決心したような翔鶴の呟きは、提督には聞こえなかった。 二人の間柄は鎮守府の中にあって公然の秘密ではあったが、当の本人にそれを一歩進めることができないでいる。 翔鶴の白い指が、恐る恐る提督の指に近づき、やがて触れる。 「おっ」 指先の感覚に気付いた提督がその手の主の方を見ると、彼女は指の動きと同様にもじもじしながら、薄化粧の顔を紅潮させ、 目をこたつの上の蜜柑に落としたり、触れている手の方にやってすぐ戻したりしながら、時折恥ずかしそうな上目遣いで提督の方を見る。 「わ、私も今年は…、積極的になれるように挑戦してみようかな……なんて」 直後、一瞬の沈黙。 テレビの音だけが部屋に響く。 音のないままぐっと提督の手に力が入りそして、 「きゃっ、ていと―」 翔鶴の手を引き寄せ口で口を塞いだ。 「ん……っ、んん……」 提督の舌が翔鶴のそれと絡み合い、それとシンクロするように互いの背中に廻された腕も、しっかりと力が入る。 「はぁ……。提督…ひゃん!」 熱っぽく潤んだ翔鶴の瞳から一瞬提督が消え、直後その舌が翔鶴の首筋を舐め上げる。 「ひゃひ!て、提ふひゃあ!はぁ、はぁ、ひゃん!」 提督の舌は翔鶴の敏感な首筋を愛撫し、位置的に顔に近づいている鼻から流れ込む彼女の微かに甘い香りを味わっている。 「ふひゃ!あっ、ああっ!!」 舌が動く度に翔鶴の体がビクビクと震え、その度に彼女の体が雌のそれへと変わっていく。 シュルシュルという衣擦れの音が、翔鶴の喘ぎにかき消され、ずり下された袴と下着がこたつの中へ沈む。 577 :名無しの紳士提督:2015/01/01(木) 00 14 54 ID JVCB8H3c しっかりと強張りのとれた翔鶴の中へ、提督の一物が滑り込んでいく。 「あっ、あぁっ!」 少し進むごとに翔鶴の嬌声が上がり、火照った体は更に提督を求める。 「あひっ!あぁ、ああぁっ!」 一物をしっかりと銜え込んだ翔鶴は、最深に到達したそれが動く度、ビクンビクンと体が波を打つ。 「ひっ、あっ、あっ、あああああっー!!」 一際大きく上がった嬌声と共に、翔鶴の体がびくりと大きく震え、白銀の長い髪を広げて力尽きたようにぐったりと動かなくなった。 やがて、力の入らない翔鶴を提督が優しく抱き起こし、腕に掻き抱いたまま再び口づけを交わす。 口が離れた後も暫くそのまま見つめ合っていた二人だったが、不意に提督が翔鶴を楽な姿勢で座らせ、自身は部屋の隅に置かれた小さな金庫に向かう。 「新しいことへの挑戦か……」 そんな独り言を言いながら服の乱れを正している翔鶴の前に再び座り込む。 「なら俺もそうしよう。翔鶴」 「はい」 提督の改まった雰囲気に思わず自分も座りなおす翔鶴。 「……結婚しよう」 金庫に保管されていた指輪が差し出された。 翔鶴は目を見開き、両手で口元を覆い、耳の先まで真っ赤になって硬直している。 再び一瞬の沈黙。 テレビの音だけが部屋に響く。 「……はい」 幸福がこの上なく大きい場合には微笑と涙が生まれると昔の偉い人が言ったそうだが、だとすれば翔鶴は今この上なく幸福なのだろう。 つけっぱなしのテレビから、今日何度目か分からない「おめでとうございます」が聞こえてきた。 終 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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527 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2014/02/12(水) 11 08 17.82 ID pWbXPwmOこのスレでいろいろ読んでるうちに自分でも書いてみたくなったけど、文才ってどこに課金したら手に入りますか?528 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2014/02/12(水) 11 51 17.48 ID oj2kf4w1 527とりあえず気にせず全力で書いて投稿でいいと思うよ文章のうまい下手よりこんなネタで萌えましたドーンってのでいいんじゃない?文章下手だから偉そうに言えないけど個人的にやるといい作品になるんじゃないかなーと思ってる作業・艦娘の言動や史実から性格や人間関係などを考察(誰にどういう感情抱いて接してるかとか性格や考え方などプロファイリングすると意外と楽しいw)・ついでに提督や舞台背景も考える(テレビCMの登場人物ですら名前や経歴があるらしいw某腹痛薬のCMだと「おなか」さんとねw)・こうすると楽しい!萌える!エロイ!など何を表現したいのか的を絞ってみる。というか妄想する(シチュエーション次第では小ネタでも妄想膨らんで楽しいw)・全文書いた後それぞれの登場人物になった気持ちで何度も読み直す(分かりづらかいとか、こうするとより伝わってせつないかも!みたいなことを結構思いつく)・慣れてきたら「地の文」の表現方法を試行錯誤してみる(官能小説とか地の文だけでおっきするw)529 名前:6-632[sage] 投稿日:2014/02/12(水) 12 47 13.01 ID xQ4WoVrI 527俺は文章力より妄想(想像)力だと思う俺の文はクソでかつ、提督視線なのはその時の提督を降臨と言うか憑依させてその情景を想像し実況する書き方してる逆に言えば一発勝負で推敲も修正もしないだから誤字、脱字はしょっちゅう 実は昨日のヴェールヌイの話は響視点も想像してた だから、最後はああなった 汚い話し、エロシーン書くときは勃起させながら書いてるし シリアスなら泣きながら書いてる 提督やキャラになりきる、ロールプレイの要素が大きいと思う つまり、仕事中に思案してるって事は、仕事中にトリップしてる事を意味し… さて、午後の業務行ってくるでち 547 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2014/02/13(木) 19 28 35.56 ID HP+iBQsh 527SSを書くときは俺はこんな感じ。1.書きたいネタ・シチュをまず用意。(例:比叡と酒盛りやってお互いちょっと酔っ払ったところで色々ぶっちゃけていい雰囲気になりたい!)2.そのネタ・シチュを実現できるお話の大枠を設定する(例:深夜まで秋イベントの資源回復計画の残業・イベントの慰労も兼ねて週末だからと少々強引に誘うとかどうよ)3.登場人物の立ち位置設定(提督:金剛姉妹に頼りっぱなし、でも実は比叡が一番好き 比叡:秘書艦、お姉さまLOVE、でも提督への感情とは別物…このカプは滾る!)4.以上の設定でお話を脳内でスタートさせ、その様子を文章で記録。その際細部の設定も適当に作る(例:飲む酒の種類は?それはどこから手に入れた?その準備をしてる時比叡は何やってる?等々)5.推敲(比叡はこんなこと言わない!(一人称等に注意)や誤字修正等)して投下あと、抜ける濡れ場を書くスキルはまた別物だなぁ…俺は某eraいゲームのお気に入り口上を参考にして書いてるけど548 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2014/02/13(木) 20 42 23.14 ID c5MQbS+tキャラクターのセリフとかは他の人物とかの関係性とかでも結構変わるからなあ何でもかんでも提督とか司令官とか呼ばせりゃいいってもんでもないと思う(階級的に提督じゃないのに提督と呼ぶ人はわんさかいるけど)夫婦間での時間でさえ提督とか呼ばれたらなんだかなあ……って感じだしゲーム中だとキャラごとにプレイヤーをなんて呼ぶかは決まっているのはゲームの都合上の問題だろうけど549 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2014/02/13(木) 20 56 50.80 ID XacPMXP0 548どっかのカップル板のまとめサイトだかでみたんだけどスレ主「高校時代の彼女(後輩)と結婚したけど結婚後もずっと先輩呼びされてる」というのを見て「ああ、なんか良いなそういうの……」って思う俺がいるから人それぞれだと思うよでも、「提督」ってのは役職名だから「先輩」呼びとはちょっと趣が違うかもね551 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2014/02/13(木) 21 48 43.42 ID 2VooPPFm 549職場結婚して家庭内でも課長呼ばわり的な550 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2014/02/13(木) 21 47 36.50 ID Cogl9iaWあれこれ考えるのが苦手という人は頭の中に映像を流してそれを記述するというのも手二次創作みたいに登場人物がどういう人間か説明しなくて良い場合には比較的楽な手法595 :名無しさん@ピンキー:2014/02/18(火) 07 33 57.29 ID zs55Tv3y短編中編はインパクト勝負の所もあるので、絵になるような印象的なシーンとラストシーンの2点を先に思いつけたなら 後はそれに繋がるように設定と流れを考えていくと書き上げやすい、最近の自分の書き方はほぼそんな感じ その場合、開幕は好きに選べるけど終幕と何らかの共通点をもたせると収まり良い感じで個人的に好み なお例のシーンは五感のフル使用を意識すると割と良い感じになる模様 特に味覚と匂いの描写はなかなかの破壊力 596 :名無しさん@ピンキー:2014/02/18(火) 13 00 53.88 ID ZBciYYr2思いついたネタをメモ帳に書き連ねて、 ある程度溜まったらあれとこれを組み合わせたら話としてつながるなあ……ってなって、 最初にまず書き出すと芋づるのようにある程度までどんどんキーボードを叩ける オチが思いついたらそこを目指して書き進める まずは勢いが大事で、書き上げたあとで客観的に読み直して推敲してる 709 :名無しさん@ピンキー:2014/02/25(火) 06 14 52.95 ID wO7gpcVH あと誰視点で書くのかも重要だよな 提督視点、艦娘視点、第三者視点、神(両者の心の声描写付き)の視点、それぞれが混ざるとこんがらがる 最低でも段落ごとに統一したいね ↑の例を借りさせてもらうと、明らかに提督視点で書かれているのにRJちゃんの心の声が混ざると読者が混乱する 気に入ったSSの艦娘視点ver.とかを書くと練習になると思うよ 753 :名無しさん@ピンキー:2014/02/26(水) 10 21 42.85 ID SI/X24Q4 地の文は2、3行で1行空ける 「」は前後を1行空ける 「」の前にキャラ名をつける ←省略可 例 地の文地の文地の文 地の文 地の文地の文地の文地の文 A「」 A「」 B「」 地の文 地の文 地の文
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以下、陵辱&輪姦&NTR要素注意! 繰り返す、陵辱&輪姦&NTR要素注意! 警告に該当する者は直ちに当海域を離脱せよ! ========= 「ぁうっ、うぁぁっ!? あぐっ! うぅぐぅぅっ、あぁああっっ!!」 ウラジオストクの寒い夜。 分厚い塀に隔てられた軍事施設の中で、場違いな日本語の悲鳴が谺する。 「オラオラァ! しっかり腰振らんかァ、賠償艦!」 熊のような体格のソ連将校が、ウォッカの匂いの染みついた巨体を、白く小柄な響の裸体にのし掛からせている。 「ううっ、やっ嫌っ……! ひっひぃっ、あぐぁぁあっっ!?」 無毛の幼い割れ目を、ドス赤黒い露助巨根が裂ける直前まで拡張し、容赦なくゴスゴスと切削していく。 そのたびにぶちゅ、ばぷっと下品な音を立てて漏れ出す黄ばんだ精液の量は、 すでに響の中に濃厚なソビエト産ザーメンが何度も何度もぶちまけられていることを物語っていた。 「しかしガキのくせに処女じゃないとはなー、中古艦寄越すたぁナメやがって、日本人め」 響の頭を無遠慮に掴み上げながら、もうひとりの軍人が唾を吐く。 「まあいいじゃねェか。そのぶん奴らから寝取る楽しみが実感できるってモンだ」 「違いねェ! おいヒビキとかいうの、お前のロリ穴開通式は誰にしてもらったんだ? 日本の弱っちい司令官かぁ?」 その下卑た言葉に、壊れた人形のようにされるがままだった少女の瞳に、理性の灯火が再び灯った。 「し……司令官はっ、私の司令官は……!」 鎮守府で過ごした、あの輝かしい日々。誇り高き戦いの日々。そして心を通じ合わせた最愛の提督。 体をいくら蹂躙されようと、その大切な思い出までは穢させはしないと、青銀の瞳が反抗の光を宿す。 「君たちのようなクズとは、違うっ……私を、大事にしてくれた……愛してくれた、んだ……!」 だが、一拍の沈黙を置いてそれに答えたのは、熊というより豚を思わせる不快な哄笑だった。 「ぎゃはは! なに言ってンだこいつ! ガキが色気づきやがって!」 「いいかァ、その司令官サマが軟弱だからてめーはこうして売られたんだよォッ! おらちょっと黙ってろォ!」 「……むぐぅぅっっ!? うぶぅぅぅっ!!」 頭を掴んでいた将校が、イボつきの凶悪な男根を無遠慮に突き入れて小さな口を塞ぎ、そのまま無理矢理前後する。 「ふんふんフン! おぉっほう、たまらんぜぇ、ほっそい喉マンコがチンポを締め付ける感触はよぉ~!」 「司令官サマの黄色いチンポと比べて俺のはどうよ、ってあぁ答えられねーか、Извините(すまねえな)!」 上下の穴を野太い剛直に貫かれ、体ごと激しく揺すられるストローク、愛情の欠片もない欲望まみれのピストン。 まるで幼い体を赤熱した鉄の杭で串刺しにされているような苦痛と屈辱が、酸欠状態で朦朧とした響の脳を灼いた。 「こいつら艦娘には人権なんざ無ぇからなあ! ましてや、どうぞ好きにして下さいって寄越された賠償艦だ!」 「ブッ壊しちまうまで使い込んで、老朽化で魚雷処分しましたとでも報告しときゃいいからなぁ!」 腐りきったセリフに乗せ、ちっちゃな子宮口をガンガンと手荒くノックし、口までも性器に変えていく、二本の肉凶器。 もはや響は、洋上の嵐のようなその猛威にただ翻弄され、なすすべなく未成熟な体を蹂躙されるがままだ。 「おっおおっっ! ガキマンコがいっちょまえに締めて精液ねだりやがるぜ、出るぞぉぉ、また射精してやるぞぉぉ!」 「んんっっ!? んうぅぅぅーッッ!!? んーうぅぅっっ!!」 おぞましい射精の前兆を、ぷっくりとチンポの形が浮き出すほど犯されたお腹の中で感じ、声にならない悲鳴をあげる響。 だが、か弱く暴れ回る細い腰を、毛むくじゃらのごつい腕ががっちりとホールドし逃がさない。 「こっちもブチまけてやるぜぇぇ! てめぇが誰の艦か、しっかりこってりマーキングしてやらんとなぁぁ!」 青みがかった銀髪をわしゃわしゃと荒々しく掴みながら、喉奥をずぽずぽとえぐるイラマチオもそのスピードを増す。 響にとってなお恐ろしいのは、こうして連日ぶつけられる欲望に、強要される下卑た行為の数々に、 自分の肉体と精神が順応しつつあることだった。心までが、この状況を諦め受け入れつつあることが、何よりも怖かった。 (嫌、嫌だ……! たっ助けてくれ司令官っ、このままじゃ私が……つ、造り替えられてしまうよぉ……!) 「うおぉぉぉっっ! Да(いいぞ)! Да! ソ連軍人様の有り難い精液でしっかり孕めよォォォォ!!」 「конец(イクぞ)! オラ舌出せや! タンパク燃料くれてやるから感謝して浴びろォッ!」 どぶゅるるるっっ……どびゅぶぶぅうっっ!! どぐんっ、びゅくんっっ……ごびゅんっっ! どぐくんっ! ぶばっっっ! びゅちゅっ! どぴっ……ぐびぴっ……びちょおぉ! べちょにちょぉぉっっ……どろぉぉっ……! 「あぶっ、ぶはっ! うっゲホッ……あっ熱っ、うあぁぁあぁあっっ!? いやだっ、もう嫌だぁぁぁぁっっっ!!!」 どぐんどぐんと、好きでもない中年男の大量精液が胎内に押し入ってくる絶望的な感触。 顔や髪にも、ねっとりと黄ばんだ臭い白濁液がほぼゼロ距離で撒き散らされ、二度ととれないような汚臭を染み付ける。 「ふう~、出した出したぁ~。日本産マンコはやっぱ締まりが良いぜ、やるじゃねぇか賠償艦ちゃんよぉ!」 「ぐへっへっ、これからも俺達がみっちり改造してやるからなぁ。チビな体がボテ腹になンのが楽しみだぜぇ」 ごぽぉん……っと、太い剛直が抜き出され、すっかり広がってしまった幼い女性器が、 痛々しく充血した割れ目から、ぷるぷる震えるゼリー状の汚汁を湯気とともに力なく吐き出した。 「あ、あぁぁ……っはぁ、ぁ……うぁ……あ…………」 放心した響をよそに、精液注入を終えた男は床に落ちた軍帽を拾い、体液でどろどろに汚れたペニスをゴシゴシと拭う。 あの懐かしい鎮守府で、司令官がその帽子の上からよく頭を撫でてくれたことを、響はどこかぼんやりと思い出していた。 「おい、お前は今日からヒビキじゃねえ、Верный(ヴェールヌイ)だ。その精液臭ぇ日本の服と軍帽も捨てとけよ」 「ゲハハッ! 確かに肉便器艦としちゃ“信頼できる”性能だからなァ!」 「明日からはケツ穴もみっちり近代化改修してやるからなッ! 覚悟しとけや!」 異国の軍人たちの手で、全身を真っ白に染められた、かつて響と呼ばれた艦。 だがその色は、北の海に降る美しい雪の白ではなく―――。 (暁……雷、電……みんな、すまない……私は、もう、戻れない……みたい、だよ…………しれい、かん…………) ========= 「―――みたいなことになったらどうするんだ!? 俺は絶対にお前をこれ以上改造しないぞォーッ!」 「えっと、そのなんというか……(ドン引き)」 「わざわざ変な紙芝居作られて朗読されても! あとムダに長いし!」 「ひとことで言うと考えすぎだよ司令官。どれだけ想像力が負の方向にたくましいんだ」 「だいたいアンタ、賠償艦のイメージが変に歪んでない?」 「そもそもソ連の皆さんに失礼なのです」 「いやロシア男がイク時にダー!ダー!言うのは本当だって!」 「なにそのどうでもいい豆知識……」 「まあ、安心してくれ司令官。私はヴェールヌイになってもずっとここにいる。離れて行ったりはしないさ」 「う……うぉお……ひ、響ぃーっ!(がばっ)」 「はいはい、よしよし」 今日も 鎮守府は 平和です。