約 1,321,888 件
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/66.html
■金剛型姉妹ネタ 323 :名無しさん@ピンキー:2013/10/11(金) 21 48 14.23 ID 1fsvDKeT 提督が他の姉妹にじゃれつかれてるのを見て最初はぐぬぬってしてたのに何時の間にか好きになってしまった比叡さんのSS下さい 324 :名無しさん@ピンキー:2013/10/11(金) 22 00 30.34 ID 8/YMNINo 比叡はそんなこと言わない …うん、ごめん なんというかつい 325 :名無しさん@ピンキー:2013/10/11(金) 22 34 58.69 ID N+u+5Qxm 324 それ地味にツボるからやめろww 嫌な事件だったね… 326 :名無しさん@ピンキー:2013/10/11(金) 22 42 49.93 ID mOSP1AEm 正直申し上げると比叡は書きづらい。 比「もおお、金剛ねえさまはなんで提督がいいのかなあ。誰とでも仲良くしちゃって、艦むすなら誰でもいいみたいなのに」 霧島「そうかしら? 提督って、男としてはかなり素敵よ。すごく気づかってくれるし、マメだし、私たちと仲良くしてもしすぎないし。あの距離感、わたしは好きだけど」 比「霧ちゃんもなのお?」 霧「秘書艦をやっても居眠りばっかりじゃ見えないと思うな、あの人の良さ」 比「ぐぬぬ。よおし、提督だって男なんだから、ちょっと迫れば簡単にデレデレするんだってのを、金剛ねえさまに見せてやるんだから!」 いろいろあって結局 比「あっあッこれ提督のコレすごいっんあっあっ男の人って気持ちいいっあんッだめえもうダメえっ」ドゥビュルブルブビビュルブブリュ さらにいろいろあり 比「金剛ねえさまには負けません!」 金剛「ワーオ、妹から宣戦布告されたデース! ワッタハプン!?」 みたいなのしか思い浮かばん。 327 :名無しさん@ピンキー:2013/10/11(金) 23 03 38.59 ID eyXQD3sb 別バージョンだと金剛と提督に二人がかりで食われるパターンだろうか 328 :名無しさん@ピンキー:2013/10/11(金) 23 07 22.20 ID hLV6pst+ もう5Pでいいと思う 331 :名無しさん@ピンキー:2013/10/11(金) 23 30 00.03 ID 2XzuCf5B 「でもさぁ姉様。あんな男のどこがいいのよ?」 唐突に言葉を発したのは、金剛姉妹次女の比叡。 彼女は姉である金剛が提督と呼ばれる男に首っ丈なのが気に入らないのか、そんな質問を金剛にした。 「ン? あんな男? もう一度言ってみなサイ?」 「いや、貶す様な意味合いではなくて……その。彼の魅力というのかな」 威圧するような態度に真顔でもう1回言ってみろという金剛の様子に、地雷を踏みかけたと比叡は即座に否定をした。 なるほど、そういうことネ! といつもの金剛に戻り、ほっと溜息を吐く比叡。 さしずめ、こんなつまらないことで姉様に嫌われたらたまったものではないといった様子か。 「ンン~……そうだネ~~……」 なんだよ自分でもわからないのかよ、なんて比叡は思わない。 ただ、魅力も無いような男をなぜ慕うのか理解に苦しむというような面持ちで、返事を待った。 「……形容し難いネ」 つまり、どういうことなのでしょうか……? そうぼそりと呟くと、金剛が今まで比叡には見せたことのない笑顔でこう答えた。 「一緒に居ると、なんだかすごい元気が出るのデス! そう、とてもwarmな気持ちになるのデス!」 姉様が提督のことを想ってこんな表情をするなんて、と考えいるのか、彼女からはドス黒いオーラが滲み出ている。 「! 比叡、提督の秘書になるネ! 提督と一緒に居れば、提督の魅力が理解できるはずデス! 我ながらGood ideaなのデース!」 比叡は思い至った。それもそうかもしれない。 姉様をここまで虜にするあの男には、何かしらの魅力が絶対にあるはずなのであると。 姉を誑かす男が憎いというよりは、自分もあの人のことをもっと知りたいという欲求のほうが勝っているようであった。 もとより信頼はしているのであるし、言われてみればなんとなく自分も理解できるかもしれない。 もしかすれば、姉様のいう暖かい気持ちというのが、わかるかもしれない。 「それはいいですね、姉様。早速提督と掛け合ってきます」 ガンバッテネ~と応援してくれる金剛を背に、比叡は部屋を飛び出した。 この後、姉を出し抜いて比叡がその男と共に一夜を過ごすのは、そう遠くなかったとさ。 だめだ全然考えられん。始めてまだ3日じゃ厳しいものがあるな。 338 :名無しさん@ピンキー:2013/10/12(土) 01 24 54.18 ID x/hsQwn+ まぁ確かに榛名が未だ0ってのも意外よね 「本当にいつも助かってる。お礼に何かしてやろうか?」 「そんな…当然の事をしたまでです。特別なお礼なんて、榛名にはもったいないです」 いつものように健気な榛名につい軽口をたたいてしまう。 「ははは、そう言うな、なんなら添い寝でもしてやろうか?」 冗談で言った言葉に榛名は顔を真っ赤にする。 「す、すまん。冗談にしても質が悪かったかな…ははは」 「え…じょ…冗談…ですか…」 俺の言葉に明らかに落ち込む榛名、慌てて言い訳をする。 「い、いや!冗談というかだな、榛名さえよければ…その…」 慌てて言い繕う俺を顔を赤らめた榛名が見つめる。 「…提督は優しいのですね。榛名にまで気を遣ってくれて その…榛名でよろしければ…」 そういう榛名にこちらも顔を赤くしてしまう。 「あ…うん。…その…じゃあ今晩な…」 みたいな純愛路線パターンAか 「ヘーイ、テートクゥ!!」 「ん? 金g…グハッ!」 ゴツンという大きな音。 振り向いたとたん勢いよく抱きついてきた金剛の不意打ちで廊下の壁に後頭部をぶつけ 俺の意識は遠のいていった…… 「…お、お姉さま…」 「ア、アハハハハ…ちょ、ちょっとした happeningネ」 「い、いえ。それよりもはやく医務室にお連れしましょう」 榛名の言葉にん~…と金剛が腕を組んで考え込む。 「どうせなら入居したほうが早く治ると思いませんカ? Early! 提督をお風呂に連れて行きまShow!ほらほら、榛名も手伝うネ!」 「え!? で、でも…」 姉のしようとしていることを予測して頬を赤らめる榛名。 「ン~、榛名ってば意外と鈍いんデスネ~ 榛名もテートクの事が好きだって言うの、ワタシ知ってますよヨ?」 「そ…そんな…榛名は…」 「ワタシとしてはテートクとのLoveも大事デスけど 榛名の気持ちだって同じくらい大事デスからねー」 「お姉さま…」 「ほらほら、わかったら早く運ぶのを手伝うネ!」 「は、はいっ!」 みたいななし崩し3PのパターンBと Bに比叡霧島加えたパターンCといろいろ思いつきはするのだが どれがいいかねぇ まぁ今日は酔っ払ってるので書くとしても後日ではあるのだが 339 :名無しさん@ピンキー:2013/10/12(土) 01 33 03.16 ID 4MwrYHQo 338 全部書いたら選ばなくていいんじゃん? とりあえずA 340 :名無しさん@ピンキー:2013/10/12(土) 02 08 29.33 ID Zg9U00F3 非番の日に外出許可をもらい、街に買い物に出た榛名(非武装・私服)は、 商店街の福引きで特賞のペア温泉旅行(海辺の旅館で二泊三日)を当ててしまう。 これをふだんお疲れな提督にプレゼントして骨休めしてもらおうとしたが、 「ペアならお前と行きたい」と言われて榛名大興奮。 かわいい水着とランジェリー(翔鶴の入れ知恵によりヒモぱんつ)を買って、提督に操を捧げる覚悟完了。 榛名ちゃんの二泊三日の大冒険。 うん、これ長くなりそうで大変だ。 ■酔っ払った時の金剛四姉妹の反応 375 :名無しさん@ピンキー:2013/10/12(土) 23 56 40.94 ID kpRMIzTw 酔っ払った時の金剛4姉妹の反応の想像 (全員提督好きという前提) 金剛 「ヘーイ、テイトクゥ!飲んでマスカー? とかいいながら抱きつきながら酌してきそう、あんまり普段と変わらない。 あと地味に酒に強そう。 むしろ酔った提督が襲ってきたらウェルカム 比叡 「提督ー! あんまりお姉様に対して変なことをしようとするのは許しませんよー!」 とか絡んできて、「え、変なことってどういうこと」ってとぼけて聞くと真っ赤になって口ごもっちゃって 「へ、変なことは変なことですっ!!」って拗ねたところを「わかったわかった」って頭撫でてやると 頬をふくらませながら赤面で撫でられるがままという感じ。 榛名 上のSSとかもそうだけどたとえ乱れるまではいかなくても 酔うと一転ずんずん迫ってきて「提督は榛名のお酒が飲めないんですか~?」 とか据わった目で言ってきそう。次の日に記憶が残っていないタイプ。 霧島 超酒豪っぽい。 提督を酔わせてここぞとばかりに酔ったふりして自分から誘惑して 仕留めようとしてきそう。 「計算通り(ニヤッ」 ってなんとなく思った 376 :名無しさん@ピンキー:2013/10/13(日) 00 04 26.37 ID cahhyUFt 375 黒霧島か(酒だけに 377 :名無しさん@ピンキー:2013/10/13(日) 00 23 03.70 ID RAy/Xb/A 金剛「ワタシ最近、ジャパニーズ・サケのおいしさを勉強してマース! そこで提督としっぽり飲むためにコレ買ってきたね! 岡山県金剛酒造の純米吟醸『金剛』デース!」 比叡「ええっ、金剛姉さまもなの? 私もこ、これ持ってきたの。滋賀県の『比叡の寒梅』・・・」 霧島「男は黙って焼酎よ提督! 『黒霧島』、はいっどうぞ!(ドンッ)」 榛名「群馬県のお酒です・・・本醸造『榛名山』」 陸奥「青森県、特別純米酒『陸奥八仙』、出します!」 提督「俺はたしかに日本酒好きだがな、殺す気かお前ら!」 379 :名無しさん@ピンキー:2013/10/13(日) 00 24 52.15 ID UP7AyB3Y 霧島さんが殺しに来てる…… そして1人くらい呉鶴もってきてくれても・・・ 380 :名無しさん@ピンキー:2013/10/13(日) 00 44 06.99 ID RAy/Xb/A そして最後に無言で『加賀美人』のビンを差し出す加賀ちゃん。 381 :名無しさん@ピンキー:2013/10/13(日) 00 45 05.27 ID cahhyUFt 軽巡以上は大概「酒」になってる気もする 382 :名無しさん@ピンキー:2013/10/13(日) 00 54 10.57 ID RAy/Xb/A そのものズバリ艦名が酒の銘柄っていうのは『金剛』以外もけっこうあって、 『さみだれ』っていうのもあるし『朧』や『あぶくま』、『如月』とかもあるのよ。 艦むすの名前は銘にしやすいのばっかりなので。 383 :名無しさん@ピンキー:2013/10/13(日) 02 16 05.64 ID 2vfJOAE5 霧島は「黒」以外にも、「赤」、「白」、「金」があるしな。 ■ひええ・・・ 469 :名無しさん@ピンキー:2013/10/14(月) 14 00 41.26 ID 71uNFyTw 金剛に榛名、霧島、摩耶、日向、足柄がSS主演処女を失った今、 ,,. . ≧=-=ミメ //〈/ 7 ⌒ .`ヾ、 __i. //. . . ./ . . ./\. . .V 〔__}]. ..厶イ. /し ー 、 .}ヘ /. /厶イ/ ● ● ト{__/ . 厶/. 人_ u /`ー‐ 、u |i . 厶イハ小 、 / / U八 . /Vヾト、`二 ´_,,.イ/ / ∧ ∨ヽ//|⌒\ /⌒\/ ハ ∨// .|、 /ス 470 :名無しさん@ピンキー:2013/10/14(月) 14 05 27.44 ID +PSK/ZmK ひええ・・・ 471 :名無しさん@ピンキー:2013/10/14(月) 14 41 29.62 ID Nk413wTj 比叡さんはハプニングπタッチや裸見られるぐらいないと意識しなさそう 472 :名無しさん@ピンキー:2013/10/14(月) 15 58 48.22 ID BicaHjde 「金剛お姉様は渡しませんよ!」とライバルとしか思われてないのをいきなり布団に押し倒して「……へっ?」 ってのはどうでしょ>比叡さん 473 :名無しさん@ピンキー:2013/10/14(月) 16 05 17.76 ID 71uNFyTw ,,. . ≧=-=ミメ //〈/ 7 ⌒ .`ヾ、 __i. //. . . ./ . . ./\. . .V 〔__}]. ..厶イ. /し ー 、 .}ヘ /. /厶イ/ ● ● ト{__/ . 厶/. 人_ u /`ー‐ 、u |i . 厶イハ小 、 / / U八 472 もうちょっと・・・・・・なんかない? . /Vヾト、`二 ´_,,.イ/ / ∧ ∨ヽ//|⌒\ /⌒\/ ハ ∨// .|、 /ス 474 :名無しさん@ピンキー:2013/10/14(月) 16 08 22.49 ID +PSK/ZmK 比叡単体で考えるのは難しそう 金剛と一緒にだったら丸く収まりそうな気もしなくもない 475 :名無しさん@ピンキー:2013/10/14(月) 16 08 38.90 ID FY9COVzV やはりここは金剛ちゃんの手を借りるべきです 提督と金剛ちゃんがやってるのを見ながら1人でいじってるところで 声漏れからバレて三人目として巻き込まれるパターンです 476 :名無しさん@ピンキー:2013/10/14(月) 16 20 15.14 ID 71uNFyTw _ _ | / ミ ヽ /ノ |/ )ノ ィ´ / _ _ ィマ ィ´三 ̄三ミヽ > / ´ ィ / ̄ ̄\ / // ..マト >´ ィ ィ ´ \ ヽ´ソ i /|/i リハ ム ィiィ  ̄ ̄ ̄ノ 、 ` ― つ \__/ リ |イ/\! ノ リム ム > ´《 ∨ /  ̄, 、 ヽ、 ― ´ イ三ムゝイ ィム芯 ´ ―‐| ∨ム / ヽ ∨ィ‐ < >、ヽ ――、 /三ト彡ノ リ´`i ト、ゞ=ィ ` 芹ム.| ト ム / 、 |> ´ ` ノ ゞマ彡イム i | | ヽイ/ | マヽ / ̄  ̄ \ \ | | マ彡ノ三三ゞi | | ( ソ / | __ィ´イ / \ ゝ、 ノ イイ三彡川 | | ト ィ ´ ` フ//ハ ./ \ ` ゝ ´_/ ゝ≡イゝ川 | | | `>,ィ ´ / //ィ / ゝ、 \ `ソ ̄ ̄ / / | | | / / i /// ―、___ ィ――‐ ´ / /| | | ィ / / | i / / ―、_/ / / / ´/ / イ/ /. / 、_ ― ´ > / ´y ´〆〆 ハ .// ィ‐. / / / / 〆〆 / i `ヽ, /// / 475 それ採用デース! / ´ | / /}{ 〆〆ィ | | ィ/// / | ´ ∨ / { ゝ〆 |. | | レ > ヽ/ } / . . . .ヽ.|. | / ィi 478 :名無しさん@ピンキー:2013/10/14(月) 17 43 18.58 ID FY9COVzV これは 476に期待してもいいんでしょうか 480 :名無しさん@ピンキー:2013/10/14(月) 19 29 45.87 ID REZ2lAWC 475 いや、言い出しっぺは君だろw
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/669.html
753 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/04/26(日) 22 40 04 ID A.Hm0BbU [1/9] 宗教ができる程多数の提督を骨抜きにした艦娘は魔性と言えるのではなかろうか。 世に文月のあらんことを ある意味鬱&ガイキチ?なネタ投下します 754 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/04/26(日) 22 42 38 ID A.Hm0BbU [2/9] 発 第404特別任務艦隊442分遣隊研究班 軽巡洋艦大淀(ID:YTS731141CL) 宛 第404特別任務艦隊第61研究室主任研究官殿 鎮守府内執務室内装の提督及び艦娘の行動への影響に関する実験についての報告 上記の実験について簡潔に報告する。 本実験は、執務室の内装の変更が提督及びその指揮下にある艦娘に対してどのような影響を与えるかについての実験である。 今回の実験は、以前より所謂「教室」と呼ばれる内装の組み合わせ(以下教室)について 以前より羽黒、香取といった特定の艦娘の提督との肉体関係に発展する確率が他の内装の組み合わせ(以下内装)と比較して格段に上昇する現象が 報告されていたことから、その他の艦娘における変化の有無を調査することを目的としている。 実験においては無作為に選定された被験艦隊(以下艦隊)及び、同艦隊指揮官(以下提督)を『バーカウンター設置による提督及び艦娘の嗜好、性格及び行動の変化に関する実験』 と同様の条件で教室での変化の有無を検証する(艦隊及び提督に関しては資料1を参照)。 尚、実験を行った艦娘の人数が多数であるため、本報告においては特異な例のみについて取り上げる(全艦娘及び提督の調査結果は資料2を参照)。 「あら、模様替えなさったのですね」 「ええ。なんでも上から実験に使うからと…」 落ち着かなそうな提督を見て、鳳翔はくすくすと笑う。 「しかし、何と言うかこう……落ち着かないというか…」 「あら。なかなかお似合いですよ。先生」 「よしてください。尻がかゆくなる」 苦笑いする提督だが、鳳翔の方は意外にも生徒用(と思われる)机にちょこんと座っても違和感がない。 正規空母たちに比べれば小柄な彼女だが、年嵩な印象に反して何とも奇妙なものだ。 「ところで提督、あの子たちはどうです?」 「ええ。みんな良くできます。遠征でもだいぶ助かっていますよ」 鳳翔の言うあの子たちとは、彼女が以前引率していた駆逐隊のことである。 この艦隊に加わった駆逐はみな、彼女か天龍の引率で遠征をこなすのが恒例となっていた。 「やはりコーチが良いと違いますね」 「あら、そんな。うふふふ」 ちょっと恥ずかしそうに、だが嬉しそうに笑う鳳翔。 柔らかな日差しの下、和やかな雰囲気が満ちていた。 事例1 軽空母鳳翔(ID YT107442815CVL) 艦娘の性格、行動については変化が見られないが、提督は実験後に「保護者会や父母面談を髣髴とさせる」と述べており、 教室が提督に教員あるいはそれに類するものの疑似体験をさせるという結果が得られた。 尚、この実験結果は被験者である艦娘の性格及び外見的特徴に起因するものと推測される(資料4)。 「てーとくー、なんか瑞鶴ちょっと退屈なんだけど~、ふてくされるぞー」 「もう少しで終わるからちょっと待ってろ」 座ったまま伸びをしながら瑞鶴がごちる。 何もしないで座ったままというのは苦痛に感じる者は多い。 ましてや、唯一同室の男が相手をしてくれず、無駄話にものってこないとなれば自分の仕事が終わってしまえばひどく手持無沙汰なものだ。 机に頬杖をつき、特に見るでもなく窓の外をぼんやりと眺める瑞鶴。 (いい天気だなぁ……あ、あの雲加賀さんに似てる) 不意に書類から顔を上げた提督の目に、そんな瑞鶴の横顔が映る。 ぱっちりとした大きな目、翔鶴の横に並んでいると目立たないが、意外にも色白な頬とその頬を覆っている弓を引く割に細く見える指。 健康的な色の唇は差し込む日光を受けて瑞々しく縁どられている。 案外、それらしく着飾らせて何も知らない人の前で黙っていたらどこかいいところのご令嬢に思われるかもしれない。 「ん?何?提督さん。私の顔に何かついてる?」 提督の視線に気づいた瑞鶴がふとそちらを向く。 「いや、可愛いなと思って」 「なっ!?」 提督はほぼ無意識のうちに言った。 ぼーっとしていたのではあるが、目の前の相手が白い頬を赤く染め上げ、耳の端まで茹だっているのを見ても、 まさか自分が思っていることをそのまま口に出したとは気付いていない様だ。 「なっ……えっ、かわい……と、突然何言って……っ!」 「うん?俺声に出してたか?」 「えっ……もうっ!馬鹿ぁ…」 一人赤くなってぶつぶつ言っている瑞鶴。 「提督は不意打ち過ぎるよ……」 「不意打ち?何がだ?」 精神疾患を疑うレベルに鈍い提督。 事例2 正規空母瑞鶴(ID YT302142739CV) この事例においても提督の言動に変化が見られ、艦娘の感情の変化に鈍感になる。 それに関連して艦娘側の想定していない好意の表明を行うといった所謂『日常系ハーレムラノベ』に近い状況が発生している。 また、こうした現象は古鷹型、青葉型、最上型等の重巡洋艦にも見られるが、全く発生しない艦娘(事例1の鳳翔等)も複数確認されており、 全容の解明には更なる研究が必要と思われる(資料5)。 夕焼けに染まる鎮守府の外れ、一人の男がオレンジの海を見て黄昏る。 海風に吹かれながら遠くを眺める彼の背後に人影が一つ。 「来たぜ。“約束”通り」 人影が男の背中に投げかける。 男は振り返り、人影を真正面から睨みつけると、咥えていた煙草を吐き捨て、足で踏み消す。 「おう。待ってたぜ……この“時”をよ」 そう言って男―提督は不敵に笑い、人影―武蔵も応じて笑う。 「んで、本気かい?」 武蔵が問う。 「決まってんだろ?そのために呼んだンだからよ」 提督が答える。 問答のさなか、二人はゆっくりと歩くように距離を近づけていく。 「へえ……随分と“気合”入ってるんだ……なっ!!」 二人の拳が同時に飛び、互いの頬にめり込む。 クロスカウンターの形となったまま、拳がめり込んだ真上の目が互いを捉え、いびつに変形した口角がにやりと歪む。 赤い世界のただ中で、二人が吠える。 事例3 戦艦武蔵(ID YT719462214BB) この事例においては艦娘と提督に同様の変化が見られた。 両者とも実験前より粗暴な言動が目立ち、好戦的な性格となり、また、普段喫煙の習慣のない提督が喫煙する等、生活習慣においても変化がみられる。 こうした変化は主に夕方、特に日没直前において顕著となり、今回のケースでは乱闘にまで発展してしまっている。 これについて提督、武蔵ともに「教室で夕陽を見ていたら殴りあわなければならないような使命感を感じ、そうすることで友情が芽生えるような気がした」と証言している。 同様のケースは他の艦隊での戦艦霧島についても報告されている(第441分遣隊17次報告)が、武蔵、霧島以外には確認されておらず、 今回のケースもそのケース同様、実験以前は提督、艦娘ともに凶暴化の兆候が一切見られない事からこれも教室の効果と思われるが、詳細は不明である。 尚、この乱闘により提督が負傷したが、実験の継続に問題は無いと思われる。 「さて……」 報告書を書き上げて、ふうと一息つく大淀。 「困りましたねぇ……実験中止とは。治療すれば続けられると思ったんですけど…」 彼女の報告書を見た第61研究室の回答は『被験者の心身に重篤な損害を与える恐れあり』として実験を中止するというものだった。 「私も楽しみにしてたんですよ?提督との教室プレイ」 そう言いながら大淀は席から立ち上がり、それまで背を向けていた部屋の中に振り返る。 コンクリート打ちっぱなしの壁と床に、鉄格子の嵌められた窓。 部屋の隅に置かれたこの部屋唯一の家具といえるベッドには提督が仰向けに横たわっている。 「でも、いいです。こうして二人きりの実験が出来るのだから」 大淀は報告書を書いていたPCの方をちらりと見る。時間だ。 「さあ提督。実験の時間ですよ」 そう言ってベッドに近づく大淀。 提督は虚ろな目をしたまま動かない。死んではいないのだが。 「楽にしていてくださいね」 大淀は提督のズボンを下ろすと、むき出しになった一物を自身の手で包み込み、丁寧にこする。 大淀の指が繰り返し刺激することで、一切反応を示さない提督とは対照的に一物はむくむくと大きくなっていく。 「あはっ、提督お元気ですね」 やがて自分の掌で収まりきらなくなったそれを嬉しそうに眺めながら大淀は言う。 「じゃあ始めましょう」 言うなり彼女もスカートをおろし、下着も脱ぐと、露になった下半身でベッドによじ登り、提督の上に立膝で立つ。 その股ぐらは湿って、雌の臭いがしている。 「んっ……」 反りかえった一物の上に跨り、自分の中にそれを入れていく大淀。 大きなそれは、彼女の中をこすりながら進んで行く。 「んっ…、あっ……、入りました」 しっかりと銜え込むと、大淀の両手が提督の腰を掴む。 「くっ…、さあ、行きますよ……あっ、んあっ…!!」 自分の腰を提督に押し付けながら、大淀が声を上げる。 「あんっ……あっ、ああ……っ」 提督の上で腰を振り、その度に嬌声を上げる大淀。 動きが大きくなるに比例して、その声も大きくなっていく。 「あひっ!て、提督っ……!いっ、いい…っ!あんっ!!」 肩で息をしながら一際大きく動き、声を上げる。 そこに普段の冷静で理知的な彼女の姿は無く、ただの雌が一匹。 「あっ、ひっ、ああっ!!あんっ!提督!提督っ!!あっ!あああーっ!!」 大淀の絶叫。 二人の間から提督の白濁が溢れ出る。 ぴたりと動かなくなった大淀は、肩を弾ませながら提督の上で恍惚の表情を浮かべる。 「ああ……中に、提督のが膣内に……いっぱい……あはっ、あははっ…」 虚空を見つめて大淀が呟く。 ふうと息をつくと提督との結合を離し、ベッドから降りたが、その目は自身の白濁でコーティングされた提督の一物に向いている。 「あら、まだ残ってますね」 嬉しそうにそう言うと大淀はベッドの脇、丁度提督の股の間にひざまずく。 「大丈夫。私がきれいにしますね」 そういってぬらぬらと光る一物を咥えると、舌先で丁寧に舐め上げた。 「んっ…、んっ、んっ」 舌がくまなく何度も一物を往復し、くちゅくちゅと湿った音が二人の間に響く。 不意に一物が再度硬直化し、再び白濁が噴き出る。 突然のことに一瞬むせた大淀だったが、一度口を離し、溢れて顔についた分も指でとって舐めると、母乳を求める子牛のごとく、再度一物に顔を突っ込む。 「んっ!ぷはっ!ふふふふ、提督まだ出るなんて……よっぽど気持ちよかったんですね。うふっ、嬉しいです」 二人の間が再度淫らな音を奏でだす。 その様子を天井の監視カメラだけが見ていた。 発 第404特別任務艦隊443分遣隊研究班 軽巡洋艦大淀(ID KTS510466893CL) 宛 第404特別任務艦隊第63研究室主任研究官殿 『鎮守府内執務室内装の提督及び艦娘の行動への影響に関する実験』における没入症状についての経過報告 上記の件につき簡潔に報告する。 先日行われた『鎮守府内執務室内装の提督及び艦娘の行動への影響に関する実験』(以下教室実験)において、実験中の被験者負傷により実験が中断された際、 試験管であった軽巡洋艦大淀(ID YTS731141CL)がこれに強硬に反対。 試験管というロールへの没入が見られ、これが他の艦隊で行われた同様の実験においては見られない特異な現象であったことから、この艦娘のみ資料1の状況下での試験を行うものである。 内容としては、艦娘と提督の生殖活動による艦娘の能力及び人格への影響の調査と艦娘のみに伝えており、艦娘に対し彼女が試験管であると伝えてある。 実験開始から72時間が経過した時点で重度の没入症状がみられ、症状はレベル4まで進行している。 この実験及び教室実験が被験者の置かれている状況と言う意味で所謂スタンフォード監獄実験の再現になりつつあるとの意見もあり、 提督及び艦娘に重大な身体的、精神的障害をきたす恐れがあるため、実験の中止を提案する。 761 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/04/26(日) 23 00 02 ID A.Hm0BbU [9/9] 以上スレ汚し失礼しました。 底辺文系出身者が頑張ってレポートっぽく書いてみるテスト 762 名前:名無しの紳士提督[] 投稿日:2015/04/26(日) 23 23 31 ID wQlHx2eE [4/4] GJです! 763 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/04/26(日) 23 57 10 ID nKQvwvXE 武蔵ノリ良すぎワロタ 二次元においての眼鏡キャラは基本サイコだからね仕方ないね 乙GJ これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/674.html
4月29日は国民の祝日の一つ、みどりの日である。 「みどりの日は5月4日じゃないの?4月29日は昭和の日でしょ?」 21世紀に生まれた少女の暁が疑問を投げかける。 ああ、そうだった。昭和の日だったな。 「すまない、間違えたよ。 もうみどりの日が昭和の日に変わってから10年近くになるのに未だに間違えるよ。 俺の父親も今でもみどりの日は4月29日って思っていたし」 「でも昔の人ならむしろ昭和天皇誕生日として記憶しているはずでしょうけど、 みんなみどりの日って思っていますね」 「昭和から平成に変わったのですから天皇誕生日だって変わりますよ」 鳥海と大鯨も他愛のない話に乗ってくれた。 「でもなんで5月4日をみどりの日にしたんだろ? 国民の祝日にはさまれて休みになってたんだから 5月1日を祝日にしたら日曜日の代休もふくめて8連休になったのに」 「5月1日はメーデーで世界では休みになっている事が多いから 何かしらの形で祝日になってもいいのにな」 「でもどうせ私たちにはあまり関係のない話ね」 「そりゃあ俺達のすべきことは日本の防衛だからな。あまり自由に休みは取れないさ。 それに今は第十一号作戦の最中だ。各鎮守府の主力級の艦娘達が横須賀鎮守府に集まり、 深海棲艦打倒の為に日本を離れている。 日本を守る艦娘が少なくなっている今、尚更俺達が頑張らなきゃならん」 「みんな去年の夏の事がよほどトラウマになっているんですね……」 「AL/MI作戦……多くの艦娘が戦いに参加した重要な作戦。 それゆえに本土の守りが手薄になったあの時の… 深海棲艦の大規模な本土襲撃は本当に大変でした」 「司令官とのデートの予定が目茶苦茶になっちゃったからね」 「如月ちゃん!」 「な~んちゃって。でもお盆の時期でしたから艦娘の中には帰省した人達もいましたからね。 去年のこの時期はまだ本土襲撃なんてありませんでしたからGW休暇を取った人もいましたね。 もし本土襲撃がなければ今年のGWもゆったりとできたかもしれないのに……」 「……とにかくあれ以来、体制もがらりと変わった。 その結果君達の自由な時間もほとんどなくなってしまった。 人々を守る為とはいえ君達には苦労をかけ過ぎてしまってすまない」 「気にしないで司令官。そのために私たちがいるんじゃない」 「そうよ。それにみんなが出かけている中で私たちも出かけたりしたら 渋滞に巻き込まれちゃいますわ。そうなったらつまらないでしょうし」 「まあそういう考え方もあるな…… みんな、第十一号作戦が終わるまで頑張ってくれ」 「了解!」 みんなの元気な声が司令室に響いた。 しかし少し前まで日本のその憲法9条が変えられようとしていたのだ。 それは戦争を知らない世代によって。 だが憲法は変わることはなく、少なくとも今は護られたのだった。 ある日突然『彼女達』は現れた。 深海棲艦。そう命名された正体不明の謎の存在により、世界の全てが侵略に晒されたからだ。 日本もその深海棲艦と戦わざるを得なくなったわけだが、 皮肉にも未知なる存在である彼女達との戦いが、 9条を変えてしまう為に論ずる時間を失わせたのだ。 また、世界各国も共通の敵という存在があったからか、争い合うことをやめ、手を取り合った。 過激な武装集団も協力こそしようともしなかったが他の存在を攻撃する事がなくなった。 もしかしたら他の存在に戦わせて疲弊させ、漁夫の利を狙うという考えかもしれない。 このように多少の思惑は入り乱れていたものの、 人類同士の武力を伴った争いはこの地上から消えていった。 それは有史以来初めての出来事だったのかもしれない………… 「て・い・と・く」 「っ!?」 耳元で囁かれた甘い声が、考え事をしていた俺を現実に戻した。 「提督っ!」 「あっ、す、すまない如月、仕事中に」 「わかっちゃいましたか、うまく真似したつもりですのに…」 少し残念そうに落ち込む如月。当人としては上手く真似たつもりだろうけど 微妙な艶っぽさに大鯨との違いが出ていた。 ちなみに大鯨は隣で少し恥ずかしそうにしていた。 「提督、本日の仕事はもう全て終了致しました」 「そうか…………大鯨、如月、今日も一日ご苦労様。本日の業務はこれで終了だ」 俺は最終報告書に目を通し、今日の業務の終了を告げた。 「今日も一日何事もなく終わりましたね。それじゃ司令官、大鯨ちゃんと仲良くね」 そう言いながら如月は部屋から出ていった。 「もう…如月ちゃんったら…… ところでさっき私達の呼びかけに全然応じませんでしたけど……」 「あ、あれはだな…」 俺は仕事中なのに考え事をしていて気付かなかった事を謝りながら、 今日という日に対する様々な思いや不安など、何を考えていたかという事を言った。 「そうですね。確かに深海棲艦が現れて以来人間同士の争いがなくなった気はします」 「だがそれも深海棲艦という、人類全て…いや、地上に生きる者達全てにとっての共通の敵の存在あってのこと。 もし深海棲艦がこの世界からいなくなったとしたら次は人間同士の争いになるかもしれない。 そして艦娘達も人間同士の戦いをさせられるかもしれない」 「そんなことはさせません!それは私達艦娘に受け継がれた戦いの悲惨な記憶が絶対にさせません! 私達が戦っているのは戦争がしたいからではなく、戦いのない平和な世界を望んでいるからなのです。 かつての大戦に参加した兵士達も、みんなそうなのです! 彼等の魂を受け継ぐ艦娘は、平和への意思なのです!!」 普段は控え目で表情も優しく、囁くかのような口調の彼女が いつもとは違うはっきりとした口調で熱く語っていた。 「あ……ごめんなさい、大声あげちゃって……」 「いや、気にしないでいい。君の言う通りだ。 絶対に戦争をしない。その意思こそが大事なことだ」 「ありがとうございます」 彼女の顔と口調はいつものような雰囲気に戻っていた。 激しさのある口調は大鯨ではなく龍鳳のものかもしれない。 彼女は大鯨の艦娘であったが、龍鳳としての一面も時々覗かせていた。 今は『あの時の記憶』が彼女の中にはないが、もしそれが彼女の中に入り込んだら…… いや、考えるのはやめておこう。今はまだ大丈夫なはず。 もし『あの時の記憶』が彼女を押し潰そうとするのなら、その時は俺が支えればいい。 彼女がいつもとは違う姿を見せたからか、 俺もいつもとは違い不必要なまでに不安に思うなんてことはなかった。 「俺は信じるさ。悲劇を知る艦娘達が戦争の悲しみを伝え続け、 戦争のない世界が作られることを… たとえ俺達がこの世からいなくなったとしても、 悲しい記憶を受け継いだ次の世代が、それを伝え続けてくれるはずだ」 「だからそれを伝える次の世代を作りましょっ」 「は?」 いきなりの言葉にそう言うしかなかった。 「最近忙しくてご無沙汰でしたし、連休の中日にあたりますから調度いいかもしれないですし、 作戦もほとんど終わりで、主力艦隊がもうすぐ横須賀に帰ってきますし…」 珍しく真面目そうな話をしていたのになんて凄い話題転換だろうか。 酔った勢い…ではさすがにないな。少しだけ恥ずかしそうだし、 そもそもさっきまで仕事していたのだから酒なんて飲んでいられないだろう。 迫り来る彼女に気圧されながら俺は股間に迫る彼女の手を払えなかった。 払う必要もなかったけど…………その時だった。 「大鯨ちゃん、大丈夫!?」 如月の声が聞こえた。直後にドアが開く。 「ど、どうしたの!?」 「さっき大鯨ちゃんの叫び声が聞こえたんだけど…」 「……さっきの大声出したからそれが外に響いたのかしら……でも…」 「さっき開く一瞬前にドアの方を見たけどどうやら少し開いていた」 「閉まっていたならともかく開いていたら結構聞こえますわ。 でも大鯨ちゃんから司令官を……」 「な、なんでもないから!」 「本当に?」 「今日は憲法記念日だからそれについて言い合ってたんだ」 すかさず俺は言った。憲法が関係した話をしたというのは事実であるから多少は誤魔化せる…はず。 「まあいいけど……うるさくして周りに迷惑はかけないでね。明日も早いし、それじゃ……」 如月は去っていった。冷静に考えたら大声をあげてから如月が来るまで時間があったから、 もしかしたら俺達が夜戦に突入しようとしていたところを見ていたのかもしれない。 あえて言わなかったのは彼女なりの気遣いか。 「もう……如月ちゃんったら……」 「まあ彼女の言いたいこともわかる。今は作戦中だ。 俺達が呑気に楽しんでいるわけにもいかないよ」 「…ごめんなさい、我慢できなくて…… あなただって誰も沈まないでほしいという願掛けのために禁欲していたのに……」 「気にしないで。大人なら過ちは気にせずに次への糧にしたらいいじゃない」 暁がどこかの本で見たようなセリフを言いながら部屋に入ってきた。 「暁!?」 「さっき如月ちゃんとすれ違ったときに司令官たちが夜更かしするといけないから見てきてって言っていたから」 この口ぶりだと俺達が夜戦しかけた時に如月と一緒に見ていたというわけではないのだろう、多分。 「そうね…ごめんね暁ちゃん」 「まあお寝坊しないように私が起こしにきてあげてもいいんだけどね」 「その時は頼むよ。それじゃ、お休み」 そう言って俺達は寝ることにした。 翌朝、起床時間前に暁の寝室へ行ったら暁が寝ていた事は言うまでもなかった。 5月5日は子供の日。端午の節句である。 男の子を祝う日と思われているが、かつては女の子をお祝いする日であった。 ここら辺が雛祭り…桃の節句が 昔は女の子を祝うためのものではなかったということに似てなくもない。 しかし今回は子供の日の祝い事をやってる暇はなかった。 第十一号作戦はあったが、それはもう終わった。今日はそれの祝勝会と、 新たなる仲間、イタリアの艦娘のリットリオとローマの歓迎会を兼ねた催しを行うからだ。 「Vittorio Veneto級戦艦 2番艦 リットリオです」 「Vittorio Veneto級戦艦4番艦、ローマです」 「二人とも、これからよろしく」 「よろしく。でもなぜ私たちが横須賀ではなくここに来たのかしら?」 「確かに……リットリオさんもローマさんも、 かつて私たちが戦った未知なる艦と同じくらいの速度と射程を持った戦艦なのに……」 「リットリオさんたちがイタリア人だから、 私たち駆逐艦娘たちにイタリア語を教えるための教員として ここに迎え入れられたというのがだいたいの理由なのです」 「それだけ……?」 「私だってドイツ語講師としての任務でここに居るのよ」 「あなたはビスk…ビスマルク?」 金髪の女性が話に割り込んできた。ドイツ戦艦の艦娘ビスマルクである。 ローマがさっき言いかけた(であろう)ビス子というあだ名で呼ぶ者もいるらしい。 「いきなりあだ名、しかも不名誉な名で呼ぶなんて失礼じゃないかしら?」 「ではビスケと呼びましょうか?」 「ビスマルクはれっきとした姓なんだからそっちで呼びなさい。 あなたのローマなんて地名じゃない!」 会って早々いきなり喧嘩である。変に拗れたりはしないだろうが早く止めなくては…… 「二人と落ち着け。とりあえずビスマルク、早くスパゲッティを」 「わかったわよ。まったく…なんで私がウェイトレスみたいな真似を……」 「じゃんけんで負けたんだからしゃあないだろ」 「じゃ、じゃんけん……この鎮守府ってそうやって物事を…」 「そんなわけはないだろう。さすがに軍務ならそんな決め方はしないさ。 まあとりあえずスパゲッティを食べよう。 名古屋名物のあんかけスパゲッティとインディアンスパゲッティだ」 「インディアンスパゲッティ、なんてアメリカンな……ってカレースパゲッティじゃないですか!」 「このインディアンは『インドの』、っていう意味だ。カレーといったらインドだからな」 「はぁ…単純ですね…まあいただきますね」 「いただきます」 そう言って二人ともスパゲッティを食べはじめた。 「…………うん、あんかけスパゲッティ、おいしいわね」 「気に入って貰えて嬉しいよ」 「でもカレーのスパゲッティは少し甘いわね」 「甘い!?嘘でしょ、とーっても辛くしたのに…」 暁が!かすんぷしていた。そういやインディアンスパゲッティは彼女に作らせたんだった。 「あんまり辛くしたらリットリオさんやローマさんが食べられないかもしれないでしょう。 だから私がついてあげて味見してあげたんですよ」 「でもちゃんといいって言ってくれたじゃない!」 「あなたのやり方を尊重しましたから。 あまりにも辛かったり甘かったりしたら私が味付けし直しましたよ。 でも甘いといっても極端に甘くなかったし、味付けも甘さ辛さ以外はちゃんと出来てましたよ」 !かすんぷしていた暁を大鯨が優しく諭していた。 「気にしないでいいのよ、少し甘いだけで味はおいしいから。 それにしても……親子仲がよろしいわね」 「えっ?」 リットリオの発言に二人は声を出して驚いた。周りのみんなも驚いていた。 「待てって、それじゃ俺がとんでもない奴になっちゃうじゃないか!二人は他人同士だぞ!」 「あら、この二人は親子じゃなかったの?ごめんなさいね、結構似てましたから」 トンデモ発言に焦った俺に対しリットリオはあくまでも落ち着いていた。 だけど大鯨と暁が似てると言われてもそんなに間違ってはいないと思う。 外見も色合いが似ているし、着ている服も似ているからあまりおかしくはなかった。 「はあ…」 「どうしたのローマ?そういえばさっきから静かじゃない」 「カレー食べた人がパトロールするとかいう組織もあるから、 明日私たちがパトロールに行かされるんじゃないかって思ってね」 なんでこの子そんなネタ知ってるんだろう。 「さすがに軍務関係はそんなことでは決めないさ。 それよりもローマ、君にあだ名を考えてんだが」 「勝手にどうぞ」 「じゃあ…ロムっていうのはどうだ?」 「由来がブルガリアにあるロム川からだったら断るわ」 「違う。ローマ建国の祖となった神ロムルスからだ」 「ロムルス……リュウホウの父親と戦った者かしら?」 「…………君とはきっと話が合いそうだ。ちなみに彼女は龍鳳ではなく大鯨だからな」 そこそこディープなサブカル知識を披露したローマだった。 ちなみにこの鎮守府の艦娘は俺の影響か、突飛な話を聞いても 『ああ、なんか漫画やアニメとかの話か』と思って流すらしい。 「まああだ名の件は考えておくわ」 「じゃあ私にも考えてみてくれないかしら?」 「ならば君は……リタ、だな」 「……それ、私の本当の名前ですよ」 「なんだって!?」 俺は思わず大声を出して驚いた。 「知らなかったのですか?」 「ああ…『リタ』はリットリオとイタリア、両方に通じそうなネーミングだと思ってな……」 「でも私がリタって名付けられたのも リットリオ・イタリアの艦娘になる運命を表していたのかもしれませんね。 提督、ここに集まったみなさんはきっと運命にひかれたのだと思っています。 私やローマがやって来たのも日本国とイタリア国を結ぶ懸け橋になるためだと思います。 みなさん、これから妹共々よろしくお願いしますね」 「ああ、よろしくな」 こうして、色々あって歓迎会はいい雰囲気で終わったのだった。 「ねぇ~、あなたぁ…作戦が大成功したのですから早くしましょうよ~」 「私がここにいてもお邪魔ですから、この辺で失礼させていただきますね。 じゃ、大鯨ちゃんと燃えるような夜戦を楽しんでね」 「如月、お前も介抱するのを手伝……ああっもう!」 ……歓迎会はいい雰囲気で終わったのだが、妻が飲み過ぎたのである。 もう大鯨にしろ、とでも言いたくなるが、 歓迎会の最中には一切酔っ払っていなかったのでまあ少しは…と思うしかなかった。 「ほらほら、提督の猛《たけり》だって我慢しきれないようですよ」 彼女はそう言うや否や俺のズボンのチャックを下ろした。 「あら……元気ないですね……でも大丈夫です。私がすぐに元気にしてあげますから」 そう言って躊躇いもなく俺のちんちんをしゃぶり始めた。 こんなこと最近やってなかったせいか俺のものがすぐに大きくなった。 最大まで大きくなった後も彼女の口での奉仕は止まることはなく、 むしろさらに激しくなった。しばらく射精していなかった為当然…… びゅるん すぐに達してしまったのだ。 彼女は驚くこともなく、ただ口内で俺の欲望を受け止めていた。 「ん……カルボナーラよりも濃厚でこってり……」 酔っているせいで感覚が少しおかしくなったのか、 それとも酔っ払いを演じているのか、 俺には分かりかねていた。 「でも口に出しちゃうなんて勿体無い……ココに出してほしかったのに…… だけどまだまだ元気みたいですね。今日は子供の日だから子作りしまし…………」 最後は言葉になっていなかった。彼女は酔いつぶれたのか寝てしまっていた。 俺は正直まだまだ満足しきっていなかったが、俺も疲れからくる眠気には勝てなかった。 一週間以上休みなしだったからなあ……しかも明日から横須賀で報告会があるし…… 俺は愛する妻を抱きしめながら眠気に身を任せ眠りについた…… 5月10日は2015年5月の第二日曜日、つまり母の日である。 「私が働かなくていいのでしょうか……」 「今日は母の日だ。鎮守府の母も同然な君も休むべきだよ。 君はいつも働いてばっかりだからね」 「鎮守府の母も同然、ですか……でも私は本当のお母さんになりたいです……」 彼女の望みはわかっている。今はもうやることがないのなら、するべきことはただ一つである。 俺は彼女を後ろ向かせた。そして既に準備できていた所に 俺のちんちんを突っ込み、激しく動かした。 「ん……気持ちいい……」 かなり久々だったからか、彼女はとても嬉しそうな声を上げた。 「あんっ……もっと……奥……強く……」 彼女の艶かしい声に俺の腰の動きも早くなる。 そして久々のセックスだった為かすぐに果てた。 「ああ……奥に……たくさん……中に……」 随分と待ちわびていたかのように、彼女も達していたようだった。 実際結構な期間してなかったからなあ。 「これで…赤ちゃん……できるかな……」 バックでのセックスは子供が出来やすいという俗説がある。 実際深い所にささるから精液が子宮内に入りやすいという話もある。 しかしそんな理屈よりもまるで獣の交尾のようなセックスに興奮を感じるというところもあった。 鯨の交尾は向かい合ってするものというのは今は忘れよう。 俺達はただ欲望のままに交わり続けたのだった。 「久々だったので沢山しちゃいましたね……」 彼女はとても蕩けた表情だった。 「来年の母の日はきっと本当のお母さんになれるかな…… もしなっていたらどんな気持ちになっているんでしょう……」 そしてまだ見ぬ日々を夢想する彼女。 「……今までごめんな。ずっと君をじらしてしまって……」 「いいんです。待っている間、とても思いが募りましたけど、 でも今のこの瞬間が訪れることを考えていたら、待たされるつらさも心地よくて…… それにあなたとずっと一緒にいたから何気ない日々もとても輝いていました。 ……これからもよろしくお願いしますね」 俺も彼女と同じ気持ちだった。 地上の愛と正義の為に戦う俺達にゴールデンウィークなんてなかった。 だけど、愛する人と過ごす何気ない日常は金色に輝いていた。 彼女と出会ってもうすぐ一年。あの日から俺の人生は変わった。 彼女とまだ結ばれていない時も金色に輝く日々だった。 そして彼女と結ばれて以降、もっと輝いていった。 これからも色々なことがあるだろう。 でも、愛する人が一緒にいてくれるならその輝きは消えることはないだろう、永遠に…… ―完― + 後書き 以上です 前書きで独自設定多数の注意書きを忘れてました ちなみにタイトルはもともとゴールデンウィーク中に投稿する予定だったものの名残です 母の日関係のタイトルが思い浮かばなかったので母の日の話も混ぜました それではまた これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/607.html
提督×鳥海1-847避「はかりしれるもの、はかりしれないもの」 内の鳥海妊娠発覚前のお話。 579 :もの、もの:2015/01/01(木) 01 14 52 ID vw3jzdiY 578 新年最初の投下は先を越されてしまいましたか 正月というと去年の正月は人によっては相当な修羅場だったでしょね では私も非エロですがお年玉を投下いたしましょう 『はかりしれるもの、はかりしれないもの』で 鳥海が提督と恋人同士になってから妊娠判明までの空白の三ヶ月間の間の話です 俺と鳥海が恋人同士になって二ヶ月が過ぎようとしていた。 そんな中、鎮守府で少し小さな騒動があった。 「あっ、司令官さん。お疲れ様です」 眼鏡をかけた秘書艦が俺をねぎらう。 「ああ、すまないな……」 「…何か御用がお有りですか?」 「いや……」 俺は平静を装って対応していた。 「あ、忘れるところでした。司令官さん、お手紙が届きました」 「ありがとう、如月……」 言葉遣いは鳥海のものだったが、今秘書艦を勤めている艦娘は如月だった。 「まだ何か御用がお有りですか?」 「……なんで如月は鳥海の真似をしているんだ?しかも眼鏡までかけて……」 「司令官さんが鳥海さんと付き合っているのは 司令官さんが眼鏡をかけた女性に惹かれているからなのでしょう?」 「否定はしない。けどどうして鳥海の口調を真似しているのだ?」 「こちらの口調の方が、司令官さんのハートを鷲掴みにできるから…でしょうか」 この子も鳥海と同じ事を考えているのだろうか。 そうであろうとなかろうと俺の気持ちは鳥海に向いている以上如月に靡くことはないだろう。 俺は半端な気持ちで二兎を追って一兎も得られない経験など二度としたくなかった。 「そうか、でもすまない、俺には心に決めた人がいるから。ごめんな」 そう言って俺は再び仕事に取り掛かろうとするが… 「私の計算では…こんな事あり得ない…」 またも鳥海の言葉を借りる如月。鳥海とは違い語気にやや落ち着きが感じられる。 しかしこうして聞いてると鳥海はいつも落ち着いた丁寧な感じで喋っていたわけじゃないんだなあと今更ながら気付いた。 「……やっぱり胸が大きいからかしら……」 如月はそう呟いたと思ったら制服を少しずらし、ピンクのブラに包まれた胸をチラリと見せてきた。 「見てみて、この胸、Bカップあるのよ」 今度は如月がいつも言ってる言葉を少し変えた言葉だった。なりふりかまわないのか? 「でも司令官は私をあまり見ようとはしない。鳥海さんの大きさと比べたら私なんてまな板同然よね……」 「そういう事で好き嫌いを言っているわけじゃない!俺は鳥海が好きだから好きなんだ!」 「それって昔好きだった人に似ているからとか…ですか?」 「ッ……それもそうだけど、それも合わせた上で俺は鳥海が好きなんだ!!」 「……ふーん…そうですか………!?」 如月が少し悲しそうな雰囲気で言ったと思ったら急に何かに気付いて驚いていた。 如月が驚いた先をみると鳥海がいたのだ。 「あ、鳥海さん、お疲れ様です。私は食事に行ってきますわね」 そう言って如月は逃げるように去って行った。 「司令官さん…」 「鳥海…俺は別にやましい事はしていないからな」 俺は慌てず正直に事情を説明した。 「そう…あの子が……」 「別に俺はあの子と何もなかったよ」 「わかってます。司令官さんは二股かける勇気がある人なんかじゃありませんからね」 「う……」 痛い所を付かれた。 「でもだからこそ手に入れたものを大切にしようとするんですね」 俺が思おうとした事を先回りして言う鳥海。 「君は大切にしすぎて忘れてしまわないようにしないとな。 ところで午後からの遠征なのだが君は如月と組む予定を立てた。 くれぐれもあの子を責めたりするような真似はするなよ」 「わかりました」 念を押しておいたから何かをするなんて事はないだろう。 もとより艦娘は個人的な感情で任務が失敗するような真似をする子はいない。 俺は念のために如月と食堂で鉢合わせしないために司令室で鳥海と共に昼食を取った。 三日後、遠征に出していた鳥海と如月達が帰ってきた。 「作戦完了したわ。レポート…見ます?」 この言葉は如月がいつも言う言葉のはずなのだが今回は違っていた。 言葉の主は鳥海だったからだ。如月も少し驚いていた。 「あ、ありがとう…」 俺も少し驚きながらレポートを受け取った。 「それよりも鳥海、君は少し疲れていないか?」 「そうね、少し疲れ気味かしら、ちょっとベッドに入ってくるね。一緒に来る?」 「あ、いや、俺達まだそんな…」 「な~んちゃって」 そう言うと鳥海は走り去っていった。 「……司令官と鳥海さんって付き合って二ヶ月なのにまだだったの?」 「そうだが…」 「契りを交わしたから私に目もくれないと思ったんだけど違ったのね……」 いや、大体合ってます。最後まで致していないだけで。 それからも鳥海は如月の言葉遣いを真似していた。 「司令官にお手紙みたい。な・ぁ・に?」 如月の子供っぽい声とは違う大人の艶がある声。 「あぁん、私が一番なの?まぁ、当然といえば当然ね。いいのいいの、あまり褒めないで」 艶かしさすら感じる声。 「鳥海、今日の仕事は早く終わったからもう帰ってもいいぞ。後は俺がやるから」 「うぅん、ぎりぎりまで一緒に居たいのにぃ…」 「わかった…すまないけど手伝ってくれ…」 いつもの控え目な態度からは想像しにくいわがまま。 「見て見て、この輝く肌…あはっ、もっと近くで見てよ」 横に立つ鳥海。俺は椅子に座っているから目線の辺りにおへそが来るが、 それよりもローライズなスカートをはいている為に鼠蹊部も見えていた。 そんな格好をしながらいつもの態度からは想像することができないくらい色っぽい声を出されれば我慢なんて出来なかった。 バンッ!! 如月がテーブルを叩いた。左手の手の平は『もうやめて』といわんばかりにこちらに向いていた。 顔を見ると赤くなっていて、目も涙目だった。 そして我慢できなくなっていた如月は逃げるように走っていった。 「……少し可哀相だったかもしれませんね。でもこれであの子も気付いてくれるといいんですけど……」 「君もあの子を心配していたのか。確かにあの子は意味深な言動が多かったからな。 そのせいで本質が隠されてしまい、偏見で見られたりすることもあったからな」 「そうね。あの子なりに考えてのことだったのでしょうけど、 そのせいで謂れのない批難もあの子の知らないところで言われ続けてましたし……」 「これで治らなかったら本人に直接言うしかないな。恐らく俺の言葉なら聞いてくれるはずだ……」 「……ところで話は変わりますけど、如月ちゃんみたいな私はどうでしたか?」 「えっ!?いや、その……」 返答に困る。まさか凄くエロかったなんて言えない。 「ドキドキしたよ」 こうやって当たり障りのない返答がやっとだった。 「じゃあ私みたいな如月ちゃんは?」 「何と言うか…多分あれが本来の如月かもしれないと思う。 いつもああだったらむやみに敵は作らないのにな… 敬遠する奴も少なくなるだろうしさ」 「見とれていたら、ヤっちゃうわよ」 「だからもうやめろって……俺と二人きりの時はいいけどさ」 こうして、とある鎮守府のとっても小さな騒動は幕を下ろした。 あれ以来如月は俺と二人きりか、もしくは鳥海と一緒の時以外は意味深な発言をしなくなった。 如月が意味深な発言をしなくなるのは、それから一ヶ月後の話である。 ―終― +後書き 584 :もの、もの:2015/01/01(木) 01 32 47 ID vw3jzdiY 以上です 提督と艦娘がまだ恋人同士になってまだ日が浅いということで まだ役職名や艦娘名で呼び合っているということと考えて 呼ぶときの文を書くのがかなり楽でした 如月は普通にしていたら変な叩かれはなかったでしょうけど 埋もれてしまって今の人気もなかったかもしれませんね 鳥海は格好の割にマトモな子ですけどこれで如月みたいな台詞回しだったらどうなっていたんでしょうかね それでは近いうちにまた何か投下しますね これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/93.html
「うむ、よくやった」 「でしょー?」 本日の成果は九九艦爆、瑞雲、烈風、謎ペンギン。言うまでもなく装備の開発である。 我が鎮守府の台所事情はこういった組織の例に漏れず厳しく、決戦時はともかく日々の鍛錬に戦艦娘たちを存分に活躍させる余裕は残念ながら無い。 必定、主なダメージソースは空母や軽空母たちに頼らざるをえず、性能の良い艦載機の開発は急務だった。 前任の艦載機開発担当であった赤城さんは、戦力面では申し分なかったものの装備の開発は苦手だったようで、現在は赤城さんを引き継いだこの蒼龍が、秘書兼艦載機開発を担ってくれている。 「ちょうど空母が増えて艦戦が足りなくなっていたところだ。 そろそろ零式52型は引退だな。いつもながら助かるよ」 「へへ、もっと褒めてくれてもいいんですよー?」 彼女はたしかに戦力面で一航戦に劣るものの、装備の開発は比較的得意なようで、現在うちに配備されている強力な艦載機たちのほとんどが彼女の手によるものだ。 「千歳型、飛鷹型に鳳翔、祥鳳…うちの軽空母たちにも最新型がほぼ行き渡ったしな。 これで鍛錬や撃退任務が捗る。これからも頼むよ」 「うん、任されよう!」 加えて、彼女は装備開発を褒めるとたちまち上機嫌になるのだ。『以前』は褒められ慣れていなかったのだろうか。 何にせよ、どんな娘でも自分の言葉で喜んでもらえるなら嬉しいものだ。 「欲を言えばまだ少し足りないが、一段落したし…そうだな。蒼龍には褒美を与えよう」 「え…褒美…ですか?」 「そう、ご褒美だ。装備以外にも秘書として日ごろ世話になっているし、君の働きには報いてやらないとな。 何か欲しいものはないか? 貧乏なうちでもボーキサイトの1000や2000なら出してやれるぞ。 あるいは休暇とか、間宮さんアイス食べ放題とか…」 「それは…確かに魅力的だけど…」 ? 何やらちょっと様子が変だ。申し出が気に入らなかった…わけではないようだが。 まさか、もっと大それたものをご所望なのだろうか。先ほど言ったボーキ2000は結構奮発したつもりなのだが… 「…そうですね。提督、あれ何ですか?」 「ん?……っっ!」 蒼龍が指差した方向に気を取られた瞬間、俺の視界いっぱいに彼女の顔が映り、唇に何か柔らかい物が触れたのだ。 一瞬の出来事。 蒼龍はすぐに離れたが、俺は椅子に座ったまままるで石になったみたいに動けなかった。 次第に事態を飲み込み、理解し、今更ながらに頬が熱く、鼓動が早くなっていく俺をよそに、 「ひひっ、ご褒美。頂いちゃいました」 いたずらっぽく、しかし俺と同じくらいに頬を染めて笑う蒼龍の姿があった。[newpage] *** 元々俺は何か下心があって彼女を秘書に任命したわけではない。 当時、艦載機開発が期待できるのは、それが不得手な赤城さん以外に蒼龍しかいなかった、というだけである。 試しに彼女にやらせてみたら、しょっぱなから流星と彩雲を引き当て、めでたく開発要員と相成ったのである。 それからは彼女の相方である飛龍を始め正規空母も揃ってきたが、ゲン担ぎもあり艦載機の開発と、ついでに秘書も蒼龍に頼んできた。 そこに他意はなかったが、先日の一件以降、当然というか何というか。俺は蒼龍を意識せざるを得なくなった。 というのも… 「…21型零戦、零式水偵、謎ペンギン、流星改…か。流石だな」 「へへー。…提督、またご褒美…欲しいです」 「…っ」 俺の直ぐ側まで身体を寄せて囁く蒼龍。 そう、彼女は装備開発が成功するたびに、その、『ご褒美』をねだるようになったのである。 や、別に、決して嫌というわけではない。むしろ望外の慕情を向けられることには未だに現実感はないものの、間違いなく嬉しい気持ちの方が大きい。 しかし、俺はこの手のことに決定的に疎かった。慣れていなかったのだ。 ましてや俺は提督、艦娘たちの全てを背負う立場である。特定の艦娘に肩入れすることなど決してあってはならないのであり、 「…ちゅ、はむ、ぅぅん…ぷぁ」 俺が思考を空回りさせている間に、蒼龍は俺の肩を抱いて唇をついばみ、舐っている。 困ったことに『ご褒美』は回を重ねるごとにエスカレートしており、唇を触れさせるだけの行為から、次第に情熱的な、舌と唇を積極的に絡ませる、恋人同士のするそれと変わらないものになっていた。 どうすればいいかわからない俺は、ただぼんやりと彼女の蕩けた表情を眺めながら、柔らかい女性の唇と唾液の生々しい匂いを感じることしかできないでいる。 「ちゅ。ふふ、ごちそうさまでした…提督、また、期待しててくださいね。 …もちろん、装備の開発に…ですよ?」 あどけない顔つきとはチグハグな艶っぽい声で終わりを告げられ、俺も夢から覚めたように執務室を見渡す。 蒼龍は何事もなかったかのように自分の席に収まり、仕事を再開している。 おそらく俺が頼んだ、遠征結果と戦意高揚状態の相関を調べるデータの整理だろう。 しかしその頬は上気したままで、表情もどこか嬉しそうな―― 「!」 不意に目線を上げた蒼龍とまともに目が合ってしまった。 慌てて自分の仕事を再開するが、俺の心臓が平静を取り戻すにはもう少し時間がかかるようだ… *** 「…」 報告書をめくりながら、俺は内心驚いていた。 確かにレベリングはそれなりに熱心にやったが、難所であると思われていたカスガダマ沖海戦を、我が第一艦隊はわずか5回のトライでHPゲージを削りきり、あっさりと突破してしまったようだ。 「どーですか司令!私だってやれば出来るんですよ!金剛お姉さまと一緒なら誰にも負けません!」 「ワタシもexcite fightしたんですヨー?でも、敵に与えたdamageは榛名には敵いませんけどネー!」 「そ、そんな…榛名はただ、夢中で…」 「吾輩にかかれば、この程度当然だな!」 「潜水艦は徹底的に無視。潜水艦に攻撃できない艦を集めて夜戦で止め。 私の計算と司令官さんの戦術、ばっちりはまってましたね。さすがです」 「…ああ。お前たち、よくやってくれた」 いつになく執務室が賑やかなのも無理もない。ここ最近になかった大戦果だからだ。 特に、ボスにとどめを刺しMVPまでかっさらった利根は鼻高々である。 しかし、俺の目線が吸い寄せられるのは… 「いやあ、さすがですね皆さん。私が支援した甲斐がありました」 「oh!蒼龍が敵の艦載機をほとんどstrikeしてくれたから私達砲撃に専念できたネ!Nice assistだったヨ!」 「むう…確かに敵のヒコーキはほとんど飛んでこなかったな。吾輩も楽だったぞ」 「今回の蒼龍さんには防空を全てお任せしてましたからね」 そう。今回蒼龍はダメージ源となる艦攻隊・艦爆隊を一切積まず、艦戦と彩雲のみを載せた極端な構成だったのだ。 夜戦重視の戦術のため普段は2隻入れている空母を一隻に減らし、その分艦攻隊・艦爆隊を積むスペースが無くなってしまったのである。 結果、蒼龍は火力的には一切貢献できない構成となってしまった。もちろん、指示したのは俺である。 勝利するためとはいえ、昔からの付き合いである彼女を完全に裏方に回す形にしてしまうのは正直心苦しかったのだが、この戦果ならきっと彼女も納得してくれることだろう。 が… 「提督…私、今回すっごい地味でした」 第一艦隊の面々が意気揚々と自分たちの部屋へ引き上げたあと、取り残された形となった蒼龍がつぶやいた。 「…仕方ないじゃないか。彩雲と艦隊をカバーする分の烈風を積んだら艦攻艦爆積めないんだから」 「じゃあ、じゃあ、艦載機数の多い加賀さんを使えばよかったじゃないですか!」 「い、いや、確かにそうなんだが…」 何故か不機嫌である。いや、不機嫌とは少し違うような…? 「提督、加賀さんもちゃんとレベル上げしてたじゃないですか。私、知ってるんですよ!」 「そりゃお前はずっと秘書艦だったしな…」 「じゃあどうしてですか」 お前を外したくなかったからだ、などと恥ずかしくて言えない。 「…まあいいです。そりゃあ、私だって僚艦の防空は大切な仕事だってわかってますよ。 でも、私も攻撃に貢献して、MVPを取りたかったんです。…提督のために」 最後に付け足された語に激しく動揺しているのが自分でもわかる。 「い、いや、蒼龍はよくやったよ。蒼龍がいなかったら今回の勝利は覚束なかった」 「本当ですか?」 「ああ。真のMVPはお前だ」 「じゃあ…『ご褒美』、下さいよ。いつもより、豪華なの」 ようやくわかった。不機嫌ではない、これは… 「今夜…部屋で待ってます、からね…」 思わぬ追い打ちを食らい、固まった俺が気づいた時には、彼女は既に執務室からいなくなっていた。 *** 無論いくら疎い俺でも、蒼龍のセリフがどういう意味を持ってるのかぐらいはわかる。 残っていた仕事を終わらせ(まるで手に付かなかったのは言うまでもない)、身を清めた俺は、神妙な心持ちで空母寮を訪れ、蒼龍の部屋の前に立っていた。 意を決して、ノックする。 コンコン。 「はーい、どうぞ」 いつもと変わらぬ…ように聞こえる蒼龍の声に幾分平静を取り戻した俺は、ぎこちない動きでドアを開けた。 「ふふ、いらっしゃい」 「ああ…」 艦娘たちの部屋は簡素ながら、要望に応じて和室と洋室に振り分けている。蒼龍の部屋は和室である。 勧められるままに座布団に座った俺は、事前に何回もシミュレートした通り口を開いた。 「蒼龍、今回は本当によくやってくれた。感謝して――」 「もう提督、それはさっき聞きましたー。もちろん嬉しいですけど、私が欲しいのは『豪華なご褒美』ですよ」 「う…」 いきなり予定が狂ってしまった。仕方あるまい…いくらか段階をすっ飛ばすことにする。 「蒼龍…隣に座ってくれるか?」 「はい♪」 いかにも嬉しそうに、蒼龍が俺の隣に収まる。 それだけではなく、じいっとこちらを見続けている。正直気恥ずかしくてしょうがないのだが、目線を逸らすといろいろアウトな気がして外せない。 出所不明の義務感に突き動かされ、俺の腕は半ば無意識的に蒼龍の背中に回っていた。 「蒼龍」 「はい」 柔らかい。温かい。名を呼びながら抱きしめるだけで、こうも気持ちが昂るものなのか。 こいつが愛しくてしょうがない。 「よく…やってくれた。お前は最高の空母…いや、艦娘だよ」 「…はい」 「これからずっと、俺の秘書をやってくれるか」 「…! ず、ずっと、ですか?」 「そうだ。ずっとだ。…嫌か?」 「嫌じゃ、ない、です、けど…驚きました。提督はもっと奥手だと思っていたのですが」 しまった、すっ飛ばしすぎたか。 「でもそんな…土壇場で突っ走っちゃう提督も…好きです」 その言葉に心臓が跳ね上がりそうになる。ただでさえ人生最大速度で鼓動しているというのに。 改めて蒼龍を見つめる。 濡れた瞳。柔らかそうなほっぺ。龍の髭のような紐でしばった、幼い印象を際立たせる二つのお下げ。 今までさんざん見てきた顔のはずなのに、吸い込まれそうな錯覚に陥る。 いや、実際に吸い込まれていた。いつの間にか、俺は唇を重ねていた。 「あ…ん…んふ…ちゅ、ん…ああ…」 今までとは違う自分からするキスの、なんと甘美なことか。俺はひたすらに蒼龍の唇を、舌を、貪った。 ひとしきり堪能した後、ようやく口を離した。銀色の橋がぷちりと千切れる。 「…嬉しいです。キス、提督からしてくれたことなかったから」 「すまん」 「最初の時だって、私、ものすごく勇気を出してやったんですよ?」 「…すまん」 「でもやって良かったです。私がああでもしなきゃ、提督は私のこと、意識してくれませんでしたものね」 「…ああ。感謝してる」 「何言ってんですか。感謝してるのはこっちの方ですよ」 「え?」 「私…ずっと怖かったんです。正規空母の中じゃ弱いし、そのくせ燃費は正規空母並だし。 隼鷹や飛鷹なんか、私とほとんど艦載機数が変わらないのに、燃費はずっといいし。 飛龍は私よりずっと運がいいし…正直、客観的に見たら、あえて私を使う理由なんて殆ど無いんです… 提督の気まぐれで第一艦隊に、秘書にされたんだろうと。 どうせ私なんてすぐ外されてしまうだろうと。そう思ってました。 …なのに提督は、私を重用して下さいました。そればかりか、秘書に据えて、艦載機開発まで任せていただいて。 私はたまたま最初にホロ装備を出したってだけなのに。 いい装備が出るたびにびっくりするぐらい褒めてくださって… 嬉しかった…」 …そうか。あの喜びようにはそういう事情があったのか。 偶然だが、俺が艦載機担当に据えたことが他の空母たちに感じていた劣等感を和らげていたのか。 しかし…と、よせばいいのに思わずネタばらしをしてしまう。 「…それは、赤城さん以外に艦載機開発できるのがお前しかいなかったというだけで」 「でも、飛龍や瑞鶴たちがうちに来ても、提督は私を外しませんでしたよね?」 「そりゃまあ、そうだが…」 「どうしてですか?」 「…考えたこともなかった。お前を外すなんて選択肢、端から無かった…だけ…」 …うん?ということは、つまり、…そういうことなのだろうか? 「提督ったら、やっぱり自覚なかったんですね。ほんとうに可愛い人です。 とにかく、私だって提督に、とっても救われてたんですよ。そこが重要なんです。 おかげで、私は二航戦の誇りを保つことが出来ました。だから…大好きです」 再び心臓がドクンと跳ね、思わず蒼龍を抱きしめる腕に力が入る。 触れ合ってる場所が馬鹿みたいに熱く、頭の中も茹だっているのがわかる。 乱暴にはすまい、という理性の欠片を必死に保ち、彼女を抱きしめたまま囁く。 「…いいか?」 「私が誘ったんです。してくれなきゃ怒りますよ。あ…でも…明かりは消して欲しいです…」 立ち上がるのももどかしく、片腕で蒼龍を抱いたまま膝立ちで電灯の紐を引く。 部屋がふっと暗くなり、窓から差す埠頭の街灯だけが、お互いの輪郭を浮かび上がらせる。 「ん…他には…?」 「…なるべく、優しく…でも激しく…してください…」 目を伏せて、ぎりぎり聞き取れる声でおねだりする彼女は、たまらなく淫靡だった。 *** 「…触るよ」 「ん…」 布団に横たえた蒼龍に寄り添って、柔らかそうな胸に手を伸ばす。 名前通りの蒼い着物はしっかりとした布地だが、そこから伝わる感触は女性特有の柔らかさ。 今までは気にはなってもあえて目を向けまいとしていた、その中でも一番柔らかい場所に、俺は今触れている… そのことに得体の知れない充足感を覚えながら、俺は愛撫を始める。 「んっ …ふ…んんぅ…」 「蒼龍の胸、見せて」 「…あ…っ」 紐をゆるめ、着物を開き肌を露出させると双丘がこぼれ出る。 蒼龍の胸は大きめだが、戦艦娘たちのように形がしっかりしているわけではない。 おそらく服が比較的ゆったりしているのもあるだろうが、仰向けになった蒼龍の胸はやや潰れ、 いつも見るよりは小さい印象を受ける。 「…あ、あんまり見ないで、ひゃんっ…! あ…んん、ん…」 しかしその分、柔らかさは尋常ではない。 しっとりと汗を帯びた、まるで搗きたての餅のような乳肉を撫でるたび、蒼龍の口からは悩ましげな吐息が漏れる。 闇の中でふるふると震える乳首にむしゃぶりつきたい衝動をこらえつつ、 あえてそこを避けて優しくキスをし、舌を這わせて愛撫していく。 同時に袴の中に手を差し入れて、熱を帯びた大腿を撫でる。 「は…ぁ…! ん…」 触れる度に蒼龍の体はぴくりと反応するが、拒絶されているわけではなさそうだ。そのまま鼠径部や恥丘を下着の上から指を這わせ、蒼龍の劣情を煽っていく。 「うう…提督…っ」 「何だ…?」 「…っ 提督って…意外に意地悪なんですね…」 「そうか?」 「そうですよぉ…」 そろそろだろう。自分の指を舐めて濡らし、コリコリと尖った乳首に自分の唾液を塗りつける。 「ひぃんっ! は、て、いとくぅ、それビリって、んん、ん…っ!」 ヌルヌルになった乳首をそのまま指で転がし、軽く摘み上げる。 反対側の乳首は直接口付けし、舌で転がす。汗の塩気と、かすかに甘みを感じる… 「ん、んんっ…!は、ひゃんっ…はぁ、はぁ、あ、くぅん…」 「甘い…」 「な、何言って、! あ、そこ、は、ああっ…!」 ぐしょぐしょに濡れそぼった下着の上から、今度は肉豆と割れ目を強く指でなぞると 蒼龍は鋭い嬌声を漏らした。 「やあっ…提督、直、にぃっ…!」 精一杯のおねだりにこちらが我慢できなくなり、下着に手を突っ込み蒼龍の恥丘と性器全体を直接手のひらで覆う。 秘裂がちょうど中指にぴったりと当たり、ぬちゅりとした温かい感触を指の腹で撫でると、蒼龍の喘ぎ声がひときわ高くなる。 そのまま、しとど濡れた肉のスリットに指を潜り込ませて、膣内の浅い場所をクチュクチュと弄る。 「ひぃんっ…はぁっ、はあ、あっ、あ、あぁ、指、ぃぃ…っ、! そこ、ぞくってぇ…」 中指の根本がクリトリスを押しつぶすたびに蒼龍はビクビクと痙攣し、膣内の指を締め付ける。 いつの間にか蒼龍の腰は俺の指を誘い込むように艶かしく動き、手のひらと下着はべっとりと愛液で汚れている。 「…下、脱がすよ」 「やぁっ…」 「嫌?」 おそらく反射的に答えただけだろう。俺の問に目をぎゅっと瞑ったままふるふると首を振って応える蒼龍。可愛い。 完全に用を為さなくなった下着を丁寧に脱がすと、ついに蒼龍は一糸まとわぬ姿となった。 蒼龍の秘所を暴こうと、俺の腕が勝手に動き蒼龍の足を広げ、ソコを完全に曝け出す。 「や…やだぁ…そんな、見ないで…」 見るなと言われても目が離せない。暗さに慣れてきた目には、性器の周りにぽやぽやと生えた陰毛や、勃起しピンク色に光るクリトリス、ぷっくりと充血し開いた陰唇、その奥でヒクヒクと蠢く濡れた肉穴まではっきりと見て取れた。 発情し開花したソコは今まで見たどんなものよりも卑猥で、俺は思わず彼女の股間に顔を埋める。 「ひあっ…!?舐め…っ うぁっ…ふ、ふぅっ!ん、んぁっ、は、はぁんっ!」 汗と女の生々しい匂いがむわりと顔を包む。 そのまま舌を秘裂に沿ってなぞり、小陰唇の奥に隠された尿道口と膣口を丁寧に舐め上げる。 膣口に差し入れると愛液がじわりと滲み出て、膣腔内を吸い上げる度にずじゅじゅう、ぶぢゅるるうという下品な音が部屋に響く。淫らに発情した蒼龍の味と匂いを、俺は夢中で味わった。 「あ、いいんっ、音立てないでぇっ…! 舌、あ、たま、ふわふわって、私ぃ、はぁんっ…」 もちろん音はわざとである。 蒼龍の愛液を存分に堪能し、目の前で存在を主張している陰核に舌を這わせながら、膣内に指を差し込みかき混ぜた。 「蒼龍のここ、すごい大きくなってるぞ…」 「やあ…っ そん、な、こと… !!そ、れ、舐めちゃ、ひ、ひゃんっ… …はぁっ、はあ、あっ、あ、あぁ、指、ぃぃ…っ、! な、か、そこ、ぞくってぇ…」 どうやら膣内の性感帯を探り当てたようだ。ソコを指の腹でトントンと叩きながら、クリトリスを包皮ごと口に含み、思い切り吸い上げた。 「やぁ、はぁんっ、いっ…!? そ、こ…ああああぁぁっ…」 蒼龍は腰を浮かせながらブルブルと震わせ、数瞬後ドサリと布団に落下する。 指を引き抜くと、大量の愛液がゴポリと溢れでた。 「はぁ…はぁ…提督…すごいですよぉ…あっ、あむ…」 くたりと身体を弛緩させた蒼龍はたまらなく扇情的で、俺は思わず彼女の口にむしゃぶりついていた。 「むっ…んん…っ…ん、あ、ていと、んむぅっ…ちゅっ、ちゅうっ…」 舌を絡め合い、唾液を舐め取り、自らの唾液を蒼龍の口内に送り込む。 先ほどとは違う、犯すような、搾取するような激しいキス。 蒼龍の体液を摂取しているという事実にどうしようもなく興奮し、脳が熱暴走を起こしている。 「…ぷはっ! はぁっ、はぁっ、て、ていとくぅ、息できませんよぉ…」 「すまん…蒼龍があんまりにもエロ可愛くて」 「っ そ、そういうこと言うのやめてください…」 「蒼龍の口もアソコも美味しかった」 「ちょっ!だ、だからぁ…」 「次は、蒼龍がしてくれると嬉しいな」 「……!!」 調子に乗って言葉責めを重ねると、蒼龍は完全に固まってしまった。 …少し調子に乗り過ぎたかもしれない。引かれてしまったか…? だんだん不安と後悔が大きくなっていく俺の視界が突然回転し、蒼龍の顔がすぐ前に…否、上に位置する。 ちょうど俺が蒼龍に押し倒された格好で、どうやら体勢が逆転してしまったようだ。 「提督のご希望、よぉっくわかりました。そこまで仰るなら私も遠慮はしません。 今まで私が提督にしてあげたかったこと、存ッ分にやらせていただきますね…!」 鼻息荒く迫る蒼龍。あれ…?なんか俺、変なスイッチ入れちゃった…? 「はむぅっ!?…ん、んぅ…あ、あう、そう…むふぅ…!」 誠に残念ながら、これは俺の声。 そう、つい先程とは逆の構図。蒼龍が俺に覆いかぶさり口内を舌で蹂躙しているのである。 次々と蒼龍の唾液が送り込まれ、溺れそうになる俺。逃げようにも頭をがっちりホールドされてるので逃げられない。 限界に近いところでようやく口が解放された。 「ぷはっ、はっ、はっ、そ、蒼龍、お前…」 「やっぱり私の提督はとっても可愛いです ささ、楽にしてくださいね…♪」 丁寧にシャツを剥がされ、夜気に曝される俺の肌に蒼龍の熱い柔肌が直接重ねられる。 「ちゅ…れろ、ちゅ、ちゅぷ…ふふ…んちゅ、ぺろ…」 耳、頬、首筋。蒼龍がキスするたびにくすぐったいぞわりとした快感と、蒼龍の髪の匂いが鼻を撫でる。 次いで肩甲骨、喉、胸元にキスの雨と舌が這いまわり、乳首が弄ばれる。 「そ、蒼龍…」 「だぁめですよ、今は私がしてるんですから」 胸、鳩尾、臍、下腹部… 俺の肌の上をぬらぬらと這いまわる舌はだんだん下の方にずれていき、ズボンを脱がされ、屹立した下着のテントに到達する。 「はぁ…提督の、こんなに…んっ…ちゅ…ちゅ… 興奮してくれてるんですね…嬉しいです…ちゅ…はぁ…」 下着の上から先端にキスされるたび、布越しに唇の柔らかい感触が伝わる。 「んぅ…んふぅー…んっ、ん、ん…」 更に口に含まれ、舌で弄られている…らしい。下着越しにされているため確証が持てない。 何より、もどかしい。 「ふーっ…すぅー…はぁ…これが…提督の…」 おまけに匂いまで嗅がれているようだ。やばい。風呂に入ってきたとはいえ、こいつヤバイ。エロい。 そうこうするうちに下着まで脱がされ、限界まで勃起した肉槍が蒼龍の目前に曝される。 「…すごい…」 トロンとした目で俺のモノを見つめる蒼龍。恐る恐るといった動作でそれを手に取り、顔を近づけていく。 「んっ…すーっ、ちゅ…すごい、エッチな匂いと味…あっつい… ちゅ、れろぉーっ、にちゅ、はーっ、れりゅ、ちゅ、ちゅっ、はーっ、はーっ、んちゅううう…」 竿に舌を這わせ、根本から舐め上げ、先端や裏筋にキスの雨を降らせる蒼龍。トロンとした目で時折こちらを見遣るのが堪らない。 「ふふ…提督の、しょっぱくて先っぽからヌルヌルが出てますね…もっとしてあげますから、気持ち良くなってください…」 いかん。なぜ俺が恥ずかしいのだ。普通逆ではないのか。 いや…しかし俺もついさっき蒼龍に同じことを…蒼龍は同じことをしてくれているだけ… 「うわっ!?そ、蒼龍、そこは…」 「男の方も、ここは気持ちよくなれるって聞きましたよ?」 つ、つっと指先で撫でられる俺の菊門。やばい、こいつヤバイ。 それにこいつ今、「も」って言わなかったか!? 「でも初めてなのにちょっとやりすぎですよね…今回は撫でるだけにしておきますね♪ …ぁむうぅ」 「うぁあっ!?」 大混乱から立ち直る間もなく突然俺の陰茎が生暖かいものに包まれた。 先端を咥えられたままカリ首に舌が這いまわり、鈴口が刺激される。 「んっ、んぷ、んっ、んんん…ぷぁっ、はっ、んんっ、じゅじゅちゅうっ、はぁ… あむ、ぐぷっ、じゅぷあっ、はあっ、あむっ、んっ、んん、ううんっ♪」 くぐもった吐息と淫らな水音、陰茎への刺激、何より蕩けた顔で俺のモノを一心不乱に舐めしゃぶる蒼龍の表情が 劣情と射精欲を煽り立てる。 「ぷちゅぅ、ぐちゅ、くちゅっ、ちゅぷっ、あはぁ…はむぅ、ちゅろっ、ぢゅろっ、くちゅる、ぢゅうううっ…」 「お…いっ、そう、りゅう、ダメ…だっ…!」 「んー…?ひもひよふにゃいれふか?」 馬鹿、シながら喋るな変な刺激がっ…! 「ちがっ…よすぎて、出ちまう…っ」 「んふー♪ …ちゅる、じゅ、ふぁ、ん、んぶぅ、ちゅぷ、ちゅっ……ぢゅるるるるっ!」 むしろ一層情熱的にフェラチオを再開する蒼龍。その嬉しそうな顔を見た瞬間、ついに我慢が決壊する。 びゅ、びゅぶぅっ!どぐっ、どぐっ…どぷっ… 「んぷっ!?ん、ん~っ ぷはっ、こほっ、うわ、わっ…」 たまらず蒼龍が吐き出した精液が俺の下腹部にぼたぼたと垂れ、 それでも収まらない射精が蒼龍の顔を白濁液で汚していく。 「これが…提督の精子…なんですね… …ふふ、エッチな味と匂い」 「す、すまん、口の中で…うわっ!?」 じゅずずぅ、ぴちゃ、ちゅぱっ… なんと蒼龍は俺の腹に落ちた精液を舐め取り始めたのだ。 馬鹿、やめとけという言葉も聞かず夢中で俺の子種を啜るその姿はどうしようもなくエロくて、 俺の制止の声はだんだんと掠れて消えてしまっていた。 ちゅぷん、と萎えてしまった俺の陰茎に残った精液まで吸い出して、蒼龍はニカッと笑う。 「ごちそうさまっ♪」 「お、お前…お前…」 得意げな顔で俺の胸に抱きつく蒼龍。 「馬鹿だな、飲まなくていいのに」 「違いますよ、私が飲みたかったんです。…そりゃ、味はあんまり良くなかったですけど。 私で気持ちよくなってくれた、好きな人の精子なんですから。飲んであげたいに決まってます。 それに、提督の精子ですよ?…興奮するじゃないですか」 「…お前がそんなにエロいとは知らなかったよ」 「なーに言ってんですか提督。提督だって私のを飲んだじゃないですか。エロいのはお互い様です。 お、おまけに…美味しかった、だなんて…」 「う…あ、あれは…」 思い出させるな顔から火が出る。 しかし言われてみればその通りである。その通りであるが、ちょっと想像と違ったというか、 艦娘はもう少しお淑やかであって欲しかったというか… 「というか、いやに手慣れてないか?本当に初めてなのか?」 「あのですね提督…私達の生活、ご存知ですよね? 今までそんなコトする暇なんてありませんでしたし、第一相手がいませんよ」 「いやまあ、確かにそうなんだが…あんなことの知識はどこから…」 「秘密です。でも、私がやったことぐらいの知識はだいたいみんな知ってますよ? 駆逐艦の子たちでも知ってる娘がいるくらいですから」 「…オゥ…」 なんということだ。我が鎮守府がそんな事態になっていたとは…恐ろしい。 「そういう提督こそ、なんか手際良かったですよね… 女っ気の全くない生活をしてらっしゃいますが…実は女性経験が結構お有りで?」 「き、企業秘密だ」 「ほらぁー」 ご想像にお任せします。 「…私達だって、女の子ですから。そういうことに興味はあります。 私も提督にアプローチした時から、いつかこんな時が来るかなって…考えたり、れ、練習したり…」 バカヤロウ、何突然エロ可愛らしいこと言ってんだ。おかげで元気になっちまったじゃねえか。 「あ…提督の…」 蒼龍も気づいたらしい。改めて蒼龍を組み敷いて抱きしめながら、耳元で囁く。 「…挿れるぞ」 「はい…私でいっぱい、気持ちよくなってくださいね…」 そそり立つ怒張をあてがい、ゆっくり、ゆっくりと腰を進める。 「っ」 ペニスが、蒼龍の充血した小陰唇を掻き分け― 「っう、ううっ…」 膣口をこじ開け― 「くうっ…あ、ああっ…」 処女膜を引き裂き― 「あ…あ…っは、はうっ!はっ、はっ、あ…」 遂に最奥に到達した… 「ぜん、ぶ、入りましたか…?」 「ああ…大丈夫か…?」 「は、はい…痛いけど…痛いのも…嬉しいです…」 クソッ、どんだけ可愛いんだこいつは。 「提督…このまま、ぎゅっとしてください… …あと、キスもしてください…」 言われなくても。 存分にお互いの唾液を交換し合ったあと、頃合いを見計らいゆっくりと腰を動かし始める。 「っ!」 「だ、大丈夫か?」 「はい…ちょっと痛いけど…平気…動いてください… 私、は、提督と繋がってるだけで…っ、あっあ、んんっ…」 いちいち興奮させるようなことを言うな。加減できなくなる。 ピストン運動は控え、ゆっくりと円を描くように腰を動かす。 それだけで蒼龍の膣内はきゅうきゅうと締め付け、信じられないほどの快感をもたらす。 「はぁ、はぁっ、提督、提督ぅ…」 「蒼龍、好きだっ、蒼龍っ…」 互いの名を呼ぶたびに嬉しさと快感がこみ上げてくる。 それは蒼龍も同じなようで、彼女の腰の動きもだんだんと大胆になっていく。 結合部から出るずちゅ、ぶちゅという卑猥な水音が脳髄を刺激し、蒼龍の息遣いと熱気が頭を熱く甘く蕩かしていく。 「はぁっ、あ、! あっ、てい、とく、ああっ、やだやだ…っ、そ、こぉ、だぁめっ…!」 たゆんたゆんと揺れている柔らかい乳肉を掴むと、蒼龍の嬌声が一段と激しくなる。 そんな蒼龍がたまらなく愛しくて、腰を動かしたまま覆いかぶさって唇を貪った。 「ちゅむぅ、ちゅぶっ、ちゅる、んっ、ぷぁっ、んんっ、あはぁっ きも、ちいい、ですかっ…?て、とくっ、あ、わ、わたしできもち、よく、なれてるっ…?」 「ああっ、最高だっ…蒼龍のナカ、熱くて、ぬるぬるでっ…搾り取られそうだっ…!」 「よかっ…た、わた、しも、はぁっ、ていとくのぉ、いいっ…きもち、いいですっ…」 前戯でさんざん濡らしたのが良かったのか、蒼龍はほとんどもう痛がる素振りを見せない。 それとも蒼龍のしていた『練習』の成果だろうか? 「ちゅ、ぺろ、はぁ、すっ…き、な、人の、だからぁっ …きもちいい、の、かなっ…」 そんな詮無い思考も蒼龍の台詞で塗りつぶされ、彼女の胎内にすべてを注ぎ込むことしか考えられなくなってゆく。 「う、うあっ…も、だめだっ…蒼龍…っ」 「はいっ、はいっ、わたしの、なかでぇっ…ぜんっ、ぶっ…わたしもっ…!」 どくんっ、どびゅうっ、びゅるる、びくっ、びくっ… 限界まで抑えていた欲望が爆発し、蒼龍の最奥に流れこむ。 同時に蒼龍の膣肉もまるで絞りだすようにうねり、痙攣し、貪欲に子種を飲み込んでいく。 「っあ…あ…あつい、の、どくどく、って、出てます…」 人生最高の充足感を味わいながら、蒼龍の肚に一滴残らず注ぎ込んだ。 そのまま倒れるように蒼龍に覆いかぶさり、心地良い倦怠感を共有する… 「はぁっ、はぁっ、気持よかったよ、蒼龍…」 「私も、です…私…幸せです…」 この期に及んでまだそんな可愛いことを言うか。俺を殺す気か。 互いの体温をひとしきり楽しんで、ようやく蒼龍から離れる。 萎えた陰茎を蒼龍の膣穴から引き抜くと、愛液と精液の混ざったものがゴポリと溢れ出る。 「いっぱい出ましたね…」 二回目だというのに、我ながらよくこんなに出したものだ。 「…っとと、ティッシュティッシュ」 「ああいいんです、後で私が片付けますから。それに―」 「え?」 「いえ…何でもないです…あの…ちょっと勿体無いなって思っただけです…思っただけですよ?」 この子は… 「…で、大丈夫だったか?最後の方は俺も気遣いとかできなかった、すまん」 「いえ…最初は痛かったですけど…途中からわけわかんなくなってましたし… 多分、気持よかった…ですし…夢中になってくれたのなら、嬉しい…です」 そう言葉を紡ぐ蒼龍がまた可愛くて、たまらず俺は彼女を抱きしめる。 「…これからも、よろしくな」 「はい…こちらこそ♪」 蒼龍が眠りについたあと、このまま蒼龍を抱いて眠りたい衝動をこらえ、俺は空母寮を後にしたのだった。 *** 「エエー!まだ付き合ってなかったんですカー!?」 「…え?」 翌日、朝食の席で蒼龍を改めて秘書に据えることを皆に伝えた。 最初は「提督は何当然のことを言っているのだろう」という雰囲気だったので、もうちょっとその…詳しく説明したらこの反応である。 「…え、どういうこと?」 「だってテイトク、蒼龍と一緒にいるトキはいつもso sweetなatmosphereじゃないですカ!」 「…マジで?」 ちなみに金剛は砲・電探の開発を担当しているため、何回か臨時に秘書艦を務めている。 自分としては蒼龍と変わらぬ態度で接していたつもりだったのだが… 「ワタシもテイトクのことダイスキですケド、さすがに蒼龍には敵わないネー」 「蒼龍さんもラブラブでしたし、どう見ても余人の入る隙はありませんでしたからね…」 「アレで隠していたつもりだったとは…提督は余程隠し事をするのが下手と見えるの」 鳥海と利根に追撃を食らい、茫然とする俺。ということは… 「な?昨日は早々に引き上げて正解だったじゃろ?」 「ですね」 「Nice ideaだったネ」 「え!?お姉さま、あれってそういうことだったんですか!?」 やはり、昨日は気を利かせてくれていたのか。若干一名気づいていなかったようだが… 「提督と蒼龍さんが、そ、そんな関係だったなんて…」 「あー…やっぱりそうだったんだね」 「お、朧は知ってたの!?」 「まあ…ちょっと怪しいかなぁって」 「うーん、ご主人様呼びも考えないといけないかなぁ?」 「フン、クソ提督にはもったいないわね」 第七駆逐隊の面々ですらこの反応…そんなに態度に出ていたのか… 今度からはもう少し気をつけよう、あれ?でももうその必要もないのか? そんなことを考えていると、 「ああ…それで昨日は特に声が大きかったのね」 「!?」 別な方向からの衝撃発言。今度は蒼龍が動揺する番である。 「ちょっと飛龍…はしたないですよ」 「ご、ごめんなさい、赤城さん」 飛龍は蒼龍の隣の部屋だ。もちろん昨日が初めてで、つまり… 当然ながらそんなことは口にしないが、顔を真赤にして俯く蒼龍はすこぶる可愛かった。次回の責めネタは決まりだな。 そんなことを考えながら、俺は朝食と幸せを噛みしめているのだった。 おしまい
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/143.html
前の続き 夜二十二時三十分。 通信司令室には私の他に霧島、愛宕、由良そして暁がいた。艦娘たちの顔には苦渋が滲み出ていた。いつものほほんと笑っている愛宕も厳しい表情だ。『翔鶴が沈む』、その通信を最後に第一艦隊からの連絡は途絶えた。本日の通信司令室の夜番の四人が再度通信を試みようとしたが、一向に繋がらないままこの時間になってしまった。 私はテーブルの上に広げている南方海域の地図を凝視する。第一が予定通りにサブ島沖に向かえたと仮定して通信を受信した時間で位置を推測した。そのポイントに赤のマジックペンでグルグルと円を描いた。 「通信の記録を聞く限り、充分な応戦は出来ていない…恐らく撤退を試みているはずだ。損傷も酷いだろう… 天候の良し悪しもあるがスピードも落ちているはずだ」 「敵も追随している可能性もあります。またレーダーも無事機能できているかどうかも分かりません… 最悪照明灯も使えないかもしれません」 霧島の言葉で生々しくその様子を想像した。ギリッと、私は歯を鳴らした。偵察とはいえ、それなりの準備をさせて第一を編成した。まだ未熟な翔鶴はいたがその分もカバーできる程の力量を持ったメンバーを編成したつもりだった。それでも、それでも翔鶴は―――――― 私は頭を振った。 「………救助隊を編成する。メンバーは、」 バンッとけたたましい音がした。音に驚き体が一瞬飛び上がった。後ろを振り向くと通信司令室のドアが壁にぶつけるほど思いっきり開けられており、そこには険しい顔つきの瑞鶴がいた。 「翔鶴姉が…翔鶴姉は無事なの?!」 瑞鶴は一直線に私の元へと早足で来た。このまま胸倉を掴まれそうな勢いだったが瑞鶴は私に触れずにただ不安と怯えの色の瞳で見上げてきた。瑞鶴は寮外へ出ることを禁止していたが、状況が状況な為に私はそのことを咎める気が全く起きなかった。 「翔鶴は――――――」 翔鶴が沈む。不知火の最後の言葉。それを今ここで瑞鶴に伝えるべきかどうか逡巡した。しかし瑞鶴は私の迷いを責めるように私の腕を掴んだ。 「翔鶴姉は沈んでなんかないよね!?」 私は目を見開いた。緊急事態が発生した際には艦娘たちの寮で緊急サイレンを鳴らしいつでも出撃ができるよう準備を整えさせることを徹底させていたが、事件の内容までは伝えずその時の通信指令室のメンバーで作戦を決め必要な艦娘を呼び出して事件と作戦の概要を説明していた。作戦に必要ではない艦娘がその事を知るのは任務が終わった後である。今基地にいないのは第一艦隊と第三艦隊だ。緊急サイレンがなれば第一か第二、またはどちらも危険な状態だとは分かる。しかし作戦がまだ考案中である今、通信指令室にいなかった瑞鶴が翔鶴のことを知るはずがないのだ。私は後ろに並んでいる夜番を睨みつけた。 「誰だ、瑞鶴に連絡したのは」 通信指令室の番をするものは通信の内容がどうであれ許可なく私以外に連絡することを禁止にしていた。例え出撃中の姉妹艦相手でもだ。私の威圧に四人の表情がさらに強張った。まるで息さえ止まっているように。暁は反射的に由良の後ろに隠れた。まさか、暁が? 「暁、お前が瑞鶴に連絡したのか」 由良の体からはみ出ている腕がビクンっと跳ねた気がした。由良は少し動いて私から暁を隔絶するように後ろに隠した。今は黒いタイツの足しか見えていない。 「落ち着いてください提督さん」 「由良、暁を庇うのなら――――――」 「ちっ違う!違うよ提督さん!」 由良を咎めようとした私の腕を瑞鶴はグイッと引っ張った。 「違う…なんとなくすごく嫌な予感がして……そしたら緊急サイレンが鳴ったから……翔鶴姉に何かあったのかと思って気が気じゃなかったの。瑞鶴は誰からも連絡をもらってないよ!信じて…」 「……暁?」 視線を戻すと由良の後ろから少しだけ暁が顔を覗かせていた。 「い……言いつけは破らない……のです……暁は一人前のレディーだもん…」 嘘はついていないように思えた。私は溜息を吐き、頭一つ分小さい瑞鶴を見下ろした。顔は伏せられて見えなかった。 「……やっぱり……翔鶴姉に何かあったんだ……」 絶望の色を隠せない呟きだった。美しい灰色の髪が小さく揺れている。武器を一切纏わない瑞鶴の姿は怯える人間と大差ない。私はその姿を哀れに思うと同時に疎ましく感じた。遥か昔、私が生まれるよりもさらに遠い昔、戦争という地獄の中を生きてきたのは人間だけではない。その人間たちと共に激動の海で戦ってきたのは、物言わぬ艦船だった。しかし魂は宿っていた。その魂が現代に蘇り艦娘として存在するようになった。艦娘たちは昔の記憶を忘れていない。各々の艦船の始まりも終わりも覚えており、姉妹艦と初めて顔を合わせた時は再会を喜ぶ。姿形は以前と異なるにも関わらず、初めて姿を見ただけでそれが誰だか彼女たちには分かるのだ。彼女たちの間には家族愛に似たものがあり、確かな絆があった。家族を守りたいと思い、困ったことがあれば力になりたい。危険に晒されているなら救いたい、と。その感情や気持ちは尊く喜ばしい。しかしここは軍であり戦場だ。感情に任せて行動した結果がいつだって喜ばしい結果を生み出す訳がない。むしろ最悪の事態を引き起こす可能性がある。部下を戦場に送り出す上官として、冷静な判断をしなければならない。そして私には次に何が起こるかを予測していた。 「提督さん」 より一層強く腕が捕まれた。瑞鶴は顔をあげる。先程まで感じていた怯えは瞳の中に見えなかった。 「瑞鶴も翔鶴姉を捜す」 予想通りの言葉だ。 「……お前は今は遠征も出撃も禁止されている身だ。寮内待機も命じている。これ以上勝手なことをするのなら――――――」 「だったら解体したらいい!」 その叫びに私は言葉を続けられなかった。瑞鶴は私を真っ直ぐに見据える。恐怖を感じるほどに真っ直ぐに。 「何もできず、何もやれず、戦うことも手伝うことも強くなることもできずにただ腐れ果てるというなら、私がここにいる理由も必要もない。さっさと私を鉄の塊にすればいい」 「瑞鶴、私は」 瑞鶴の真摯で真剣な様に私は気圧されていた。恐らく不知火の通信で動揺していたのだろう。いくら万全な準備と装備を整えても生きるか死ぬかの戦場、何度も艦娘たちは危険な目に遭って来た。それでも今回のように安否が全く分からない状況に遭遇した経験がなかった。それに私は、誰かが死ぬことにまだ慣れていない。こうやって艦娘たちを指揮する立場になったのもの元から軍に勤めていたからではなかった。深海棲艦が出現し始めてからしばらくして、議会の友人が私の元へ訪ねてきたのだ。どうやって調査したのかが不明だが、私には艦娘を指示し彼女たちの力を充分に発揮できる力があったらしい。黙って世界が滅亡して死ぬのを待つくらいなら、自分の未来の為にも生きたい、そう思ってこの仕事を引き受けた。深海棲艦と戦う為に集まった提督の中には私のように軍事関係とは無縁の場所にいた者も少なくはなかったが、大半は軍関係者であったりどこかの国で傭兵として暮らしていたことのある者だったり、戦いに身を置いた者も多かった。そのタイプの提督たちとは違い、私は死から遠い場所で生きていたのだ。 「提督さん、瑞鶴は、」 提督となって月日が流れた。戦術の勉強もした。それなりの戦果と功績を残した。艦娘たちからの信頼を得た。それでも私は、誰かが死ぬことにまだ慣れていない。もし慣れていたら、翔鶴を傷つけることも、瑞鶴を閉じ込めることもしなかったのかもしれない。 「瑞鶴には幸運の女神がついている。第一艦隊全員を基地に連れ戻す。私もちゃんと帰って来る。私は、私が――――――」 もし慣れていたら、 「瑞鶴が誰も死なせない!誰も二人目にもさせないし、私もならない!」 もし慣れていたら、自分の部屋に新しい鍵をつけることはなかったはずだ。 夢を、見ることはなかった。 「提督!見て見て~」 執務机でノートパソコンを操作している私に秋雲は声をかけてきた。目をディスプレイから離して秋雲を見ると、秋雲の顔ではなく男の顔が視界に入った。 「どうどう?上手いっしょ?」 その男はスケッチブックに描かれた私であった。一目見るだけで誰が描かれたのか分かるほど、秋雲の絵は非常に写実的だった。私がノートパソコンと睨めっこをしている様子が描かれていて、その私の周りにはデフォルメで描かれた開発妖精が踊っていた。秋雲は対象を忠実に描くことも秀でているが、コミカルなタッチのイラストを描くことにも優れていた。艦娘という立場でなかったら、芸術家か漫画家になっていたに違いない。 「相変わらず上手いな…」 「何なら額縁に飾って食堂に置いとこっか?」 「それは止めてくれ」 私が苦笑すると秋雲はカラッとした顔で笑った。 「基地にいる艦娘はみーんな描き終わったよ。深海棲艦もあらかた描いたんじゃないかな~」 「ほぅ…先日来た伊58もか?」 「もっちのろんさぁ!ほらこれ!」 ページが捲られると海に浮かぶ伊58が描かれていた。私の絵とは違い、愛らしさを感じられる。艦娘とは一定の距離を保つようにしていた私だったが、秋雲の絵は純粋に好きであった。それに秋雲は私に懐いていたが、そこに恋愛感情の類は見えなかったので秋雲とは気楽に接することができた。 「ねぇ提督~」 秋雲が甘えた声を出した。秋雲が何を言いたいのか私には予測できた。 「私はあまり建造運に恵まれないようでね… 海域でも出会えたらいいんだが、…すまない」 私の謝罪に秋雲は首を横に振った。 「まっ しょうがないよね~いいよ、秋雲さん気長に待てるし」 「極力早く迎えられるよう努力する」 あ、と秋雲は拳をポンと手の平の上に叩いた。 「なら暇潰しにさ提督、秋雲の絵を描いてよー」 秋雲はそう言って私に赤色のスケッチブックを差し出した。私は片手で拒否を示した。 「私はお前と違って絵心はない。それに、お前が暇でも私には仕事があるんだ…… そもそも、その書類の処理は終わったのか?」 私はテーブルの上にある書類の束を指差した。秋雲はフフン、と鼻で笑う。 「これぐらい朝飯前ってやつさぁ~終わって暇だったから提督を描いてたんだから」 「…絵を描く前に私に次の指示を仰ぐこともできたはずだが?」 「まぁまぁ!じゃ、お仕事くーださい」 私は溜息を吐くと机から立ち上がった。 「装備を開発するか。工廠に行くぞ」 秋雲もソファーから立ち上がるとドアへと向かい、私の為にドアを開けた。 「建造はしないのー?」 「資源の残りが心許ないから暫くは控える」 「残念っ」 私が執務室を出ると秋雲はドアを閉めた。私の隣に秋雲が立つ。 「明後日はカスガダマ沖海へ出撃だ。そこで会えるといいのだが」 「ん?そこって確か前に行ったんじゃなかったっけ?」 「最近カスガダマで深海棲艦が多数目撃されているようなんだ。撃滅させろ、と上からの指示だ。それとお前も第一艦隊の編成メンバーだから準備は怠るな」 「おっ りょうかーい!」 秋雲はピシッと敬礼をした。 「秋雲さんが連れて帰っちゃうからね~翔鶴も、瑞鶴も!」 数日後、カスガダマ沖海の最深部で秋雲を含む第一艦隊は敵を撃滅させ、運が良いことに翔鶴と出会うことが出来た。そして帰投途中、まだ生き残っていた敵の潜水艦が大破状態で航行していた秋雲を、轟沈させた。 私の指揮の下、初めて死んだ艦娘だった。 「提督さん?」 私を呼ぶ声に意識が戻る。黙ったままの私を気遣うような、心配しているような、そんな目で瑞鶴が私を見ていた。 「提督さん…顔が青いけど…」 「あ、あぁ………いや、気にするな。大丈夫だ」 私は頭を振った。瑞鶴は少し戸惑っていたが、変わらず私を真っ直ぐ見ている。 「…提督さんお願い、瑞鶴を捜索隊に入れて。絶対帰ってくるから」 瑞鶴の意思は変わらないようだった。私は初めて迎える艦娘は歴史を必ず調べるようにしていた。被弾が極端になかった幸運艦、瑞鶴。もしかしたら瑞鶴なら―――――― 私は口を開けた。 「提督?もしかして瑞鶴ちゃんを捜索隊に入れるおつもりなのかしら?」 柔らかい声が私の耳に届く。振り返ると愛宕がニコニコ顔で私を見ていた。 そのつもりだ、と私が返事をしようとする前に愛宕が言葉を重ねた。 「提督、通信内容は覚えていらっしゃいます?」 「通信内容?翔鶴が沈むと…」 「それ以外の、です」 それ以外?確か…… 『第一艦隊、こちら不知火です。サブ島沖海域には予定の時刻に到着。夜も間もないはずですが、この海域だけ昼のように明るいです…周りをよく見渡せますが…… 敵の気配はまだありません。注意して進みます』 『こちら不知火です。サブ島沖海域航行中、突然空に暗雲がたちこみ夜になりました。僅か一分です。…異常だ…何かおかしい、撤退を―――――― バァンっ ?!何の音!?攻撃か!』 確か、不知火の通信内容はこうだったはずだ。 「急に暗くなってすぐの襲撃… タイミングが良すぎる、恐らく敵の罠でしょうね」 「それは私も同じ意見だ」 「サブ島沖の敵は天候を操れるかもしれません。そこに夜戦で全く何も出来ない空母を捜索隊に入れるんですか?」 愛宕の言葉に頭を殴られたような気がした。愛宕はニッコリと私に笑いかける。 「提督、貴方は優秀な指揮官よ。だから落ち着いて冷静になって」 「………」 私は視線を瑞鶴に戻した。瑞鶴は私を不安そうに見上げている。 「……瑞鶴、お前を捜索隊にいれることはできない」 瞳が傷ついたように揺れた。 「そん…な、わ、…私大丈夫だから!暗闇で襲撃されてもちゃんと避けるから!」 「戦闘経験の豊富な赤城や加賀も夜戦では当たる時は当たる。瑞鶴、お前は特に…戦闘も演習も経験が浅い」 「…!だって、それは…!」 悲嘆にくれた目が私を責める目つきに変わる。そう、瑞鶴が弱いままなのは私のせいだ。私のワガママを全部瑞鶴に押し付けたのだ。 「……部屋に戻れ瑞鶴。…結果がどうであれ、必ずお前に知らせる。今はこれで身を引いてくれ」 しばらくの間瑞鶴は私を睨んでいたが、ついに諦めて私から目を逸らした。そのまま無言で私に背中を向けて、通信司令室から出て行った。私は後ろを振り返った。 「……愛宕、すまない。少し気が動転していたようだ」 「いいのよ、気にしないでぇ」 愛宕の微笑みにつられて私も小さく笑った。張り詰めていた空気が少しだけ緩み、霧島と由良、暁の顔もどこか安堵していた。コホン、と霧島が咳払いをした。 「司令、捜索隊のメンバーはいかがいたしましょう」 私は顎に手をあててしばし考えた。 「そうだな…ヴェールヌイ、比叡、金剛、雪風、妙高を呼べ。そして愛宕、お前が旗艦だ」 「了解で~す」 愛宕は敬礼をした。 「それでは他のメンバーの呼び出しをしてきます」 霧島は軽く会釈をすると隣の連絡室へと入った。私は由良へと足を進めた。由良の後ろに隠れている暁の腕がビクリッと動く。 「……まだ謝ってなかったな、すまなかった暁」 暁はおずおずと由良の背中から顔を出した。 「お前は指示にちゃんと従うやつだ。それは分かっていたが…少し感情的になっていたんだ。許してくれないか?」 由良に促されて暁は前へと体を出し、私の前に立った。 「……暁は大丈夫だから、…一人前のレディーだし」 私は暁の頭を撫でた。いつもならこうすると子ども扱いするな、と怒って手を払いのけるが、今は反抗しなかった。 「ありがとう、暁」 私が礼を言うのと同時に連絡室から霧島が出てきた。 「司令、連絡終わりました。すぐにみんな来ます」 「あぁ、分かった」 スー、ハー、深呼吸をする。さて、気持ちを切り替えよう。 五分もしない内に捜索隊のメンバー全員が通信司令室に集まった。私は横一列に並ぶ彼女たちを見渡し、頷いた。 「第一艦隊の捜索及び救出作戦を開始する」 艦娘たちの寮は基本的に個室が宛がわれる。中には姉妹と一緒の部屋を希望する者もいるので、その姉妹の為に少し広い部屋も用意されている。瑞鶴と翔鶴はその広い部屋に住んでいた。 真夜中の四時、もうすぐで夜も明ける時間、瑞鶴はただ一人暗い部屋にいた。ずっと窓の外を見ていた。瑞鶴の視線の先にはライトを灯して明るい港があった。その光を瑞鶴はただ見ていた。日付が変わる前に第一艦隊の捜索隊は港を後にした。瑞鶴も一緒に捜索隊に入りたかったが、提督は許可しなかった。瑞鶴の戦闘経験が浅いせいでもあるが、一番の理由は瑞鶴が空母だからだ。空母は夜は戦えない。敵の空母は種類によっては夜でも艦載機を飛ばしてくることはあったが、今の艦娘にはその力はなかった。空母は昼にしか戦えない。瑞鶴は今日初めて、自分が空母であることを恥じた。 「翔鶴姉……」 眠気は全く訪れない。それどころかずっと震えが止まらない。人間と人間が戦争していた時代、瑞鶴は幸運艦と言われるほど被弾が少ない艦だった。逆に姉の翔鶴は被害担当艦と言われるほど敵の砲撃をその身に受けていた。だからこそ、今回の出撃でも―――――― 瑞鶴は頭を激しく振る。 「大丈夫、翔鶴姉は大丈夫…大丈夫だもん……」 ジリリリリッリリリリリリリリリ! けたたましい高音が部屋に鳴り響いた。瑞鶴はギョッと体を強張らせた。音の出所を見ると、電話から聞こえた。電話!瑞鶴はハッとして慌てて走り出した。覚束ない手つきで受話器を掴みあげる。 「も、もしもし?!」 「瑞鶴さん?由良です」 由良。通信司令室にいた艦娘だ。彼女から電話がかかってくるということは、 「翔鶴姉は!翔鶴姉は無事?!」 瑞鶴の声は震えていた。心臓がバクバクとうなり、胸が苦しかった。死んでしまいそうだった。 「翔鶴さんは生きています」 生きている。その言葉が瑞鶴の脳にダイレクトに刺さった。 「ほ…ほんと?!ほ、ほんとに…?!ぶ、無事…?!」 「無事…とは言いがたいです。ほぼ轟沈寸前の状態らしいですが…とにかく生きています。意識もあるようです。他のみなさんも生きています」 ジワリ、と熱いものが目に浮かんだ。涙だ。受話器が手から離れた。 「うっ……う、うぇ……しょ……っ」 受話器は本体と繋がっているコードでブランブランと揺れていた。翔鶴が生きている。帰って来る。それだけが今の瑞鶴には救いだった。その嬉しさと安堵がさらに涙をあふれさせる。 「………っ うぇっひっく」 ツーツー。受話器から小さな音が鳴っている。しかし瑞鶴は受話器を本体に戻す場合ではなかった。だから由良が先に通話を切った。 朝日が昇った数時間後、捜索隊と第一艦隊が帰投した。その時も瑞鶴はまだ、一人で泣いていたのだった。 第一艦隊救出後しばらく、私はプライベートルームには帰らなかった。第一艦隊の報告からサブ島沖の調査をしたり、入渠中の翔鶴の見舞いに行ったり、議会に報告したり、色々していた。ゆっくりする時間が惜しくて部屋には帰らなかった。そして今、久々に部屋のドアの前に立っている。重そうな南京錠が侵入者を拒んでいた。私は首からペンダントを取ると南京錠のロックを外した。 カチリ。 ドアの鍵も外す。 カチリ。 私はドアノブを掴み、押した。ドアは簡単に開いた。一週間も空けていなかったはずだが、何処か懐かしさと物悲しさを感じた。私は靴を脱いで畳の上に足を乗せて踏み込んだ。閉めた襖の取っ手に手をかけて、サッと開く。 「おかえり」 窓の傍でスケッチブックを持ちながら椅子に腰掛けた秋雲が、いつも通りの笑顔で言った。 「……ただいま」 私は秋雲に近づいた。椅子のすぐ傍に立つ。 「描いていたのか?」 秋雲は首を横に振った。 「ううん、まだ」 「そうか」 秋雲は窓の外を見ていた。視線を辿ると演習場を見ているようだ。今、演習場では赤城と加賀が翔鶴と…瑞鶴を指導していた。 「……明日、瑞鶴を出撃させる」 茶色の髪が揺れ、エメラルド色の瞳が私を見上げ、そっか、と呟いてまた視線を外に戻した。 「良い天気だといいな~」 その声は嬉しそうでもあったし、物足りなさそうでもあったし、待ち遠しそうでもあったし、望んでいなさそうでもあった。 「……瑞鶴を描いたら、いなくなるのか」 私の問いかけに、秋雲はすぐに答えなかった。数秒、数十秒後にあのね、と声がした。 「……私自身、なんでここにいるのか分かんないんだー カスガダマ沖で確かに沈んだのに、気付いたら提督のこの部屋にいて帰投していた翔鶴を描いていた。ここには一度も来たこともなかったし、興味があった訳でもないのに」 何でだろうね? そう言って秋雲は私に笑いかけた。見慣れたしたり顔ではなく、何処か寂しそうであった。 「ま、でも翔鶴と瑞鶴はずっと描き残したかったし、会えるのを楽しみにしていたからね~カスガダマ沖で翔鶴に会った時は本当に嬉しかったよ」 秋雲がカスガダマ沖と言葉を発する度に私の心は暗く沈んでいった。それを察したのだろう、秋雲は静かに首を振った。 「提督のせいじゃないよ、あの時はみんな終わったんだ、って思ったもん。翔鶴だっていたし、…帰る時に攻撃を喰らうなんてこと今までなかったじゃん。油断していたのは提督だけじゃないよ。秋雲たちもそう。それに、あんなに大破してなかったら沈まなかったし、どっちかっつーと秋雲さんのせいだから、さ!」 秋雲がニカーっと笑った。沈んでいた気持ちがその笑顔で少し和らいだ。私は、秋雲の笑った顔が好きだった。そう思うようになったのはこの部屋で初めて秋雲に会った時だ。そして私は描き終わった翔鶴の絵を見て同時に恐れを感じたのだ。瑞鶴を描き終わったら秋雲はいなくなってしまうのではないか、と。 「………私はお前にずっとここにいて欲しかった。だから瑞鶴をずっと隠していた。…本当は、秋雲とこの部屋で会う前からいたんだ」 秋雲と再会する数日前、私は瑞鶴の建造に成功した。その時は瑞鶴に演習への参加をさせていたし、出撃も何度かさせていた。二度目の出撃で瑞鶴は怪我を負ったので入渠させ、翔鶴を出撃させていた。秋雲が瑞鶴の入渠中にここに来たことが、私を愚行に走らせた。私は瑞鶴を隠すことで秋雲をここに残らせようと思ったのだ。瑞鶴の所在を知らなければ、秋雲はきっと――――――そんな愚かな希望を抱いていた。 「うん。瑞鶴が基地にいるんじゃないか、って、何となく気付いてた」 私は目を見開いた。私はてっきり秋雲にはバレていないと思っていたからだ。秋雲は私の部屋にずっといて、部屋を出ようともしなかった。出たい、と言ったこともなかった。死んだ艦娘が戻って来たら周りは騒ぎになる。それを気遣っていたのか秋雲は外出する気配を見せなかったし、私も徐々に秋雲を外へと出したくなくなっていた。誰にも秋雲を見られたくなかった。むしろ、私以外に秋雲が見えるかどうかも定かではなかった。秋雲が私以外に見えない存在であるならば、「生きていない」と他人に証明されてしまうのなら、隠していたかったのだ。だから私は部屋に南京錠をつけたのだ。誰にも邪魔されないように、暴かれないように。 「だけどそうやって提督が瑞鶴を隠していても、こんな生活は長くは続かなかったんじゃないかなー」 「何故」 「秋雲が死んでから、もうすぐで四十九日だから」 「……もう、そんなに経ったのか…」 遠くでブーンと音がした。艦載機が不安定にゆらゆらとしながら空を飛んでいる。その横を無駄のない動きで真っ直ぐ飛んでいた艦載機があった。なんとなく、瑞鶴と加賀の烈風だろう、と思った。 「提督はなんで瑞鶴を隠さなくなったの?」 スー、ハー。私は深呼吸をした。 「………愛宕が言ったんだ、私は優秀な指揮官だと……だから落ち着いて冷静になって、って。その言葉を聞いた時、このままではいけないと思った。艦娘たちは私を信頼しているのに、…私は…上に立つ者としてその信頼を蔑ろにしすぎている、と気付いたんだ」 「そっかぁ」 秋雲は窓の縁にスケッチブックを置くと椅子から立ち上がった。私の前に歩み寄る。瑞鶴よりもさらに小さな体。小さくて、すぐに壊れてしまいそうだ。 「秋雲が現れなければきっともっと上手く瑞鶴や翔鶴たちと付き合っていられたかもしれないのに。秋雲がここにいたから、前に進むことができなくなったよね」 秋雲は私の腕を弱弱しく掴んだ。 「ごめんなさい」 エメラルドの瞳から私は目が離せなかった。そのまま私もその瞳の中に閉じ込められればいいのに、と妄想した。 「…謝るのは私の方だ。私のワガママでお前をここにずっと閉じ込めて悪かった」 秋雲は私を見ながら首を横に振った。 「…秋雲もここにいたかったから…提督と一緒にご飯を食べたり話したりして……楽しかったし面白かった。嘘じゃないよー?」 「そう言われると益々嘘のように感じてしまうな」 「なーにそれ!本当だってー」 ぷーと秋雲は頬を膨らませた。それが可笑しくて、私は笑った。すると秋雲は顔を歪に歪めたり、自身の頬を引っ張った。まるで赤ん坊をあやす行為だ。それが妙に笑いのツボに入ってしまって、思わず私は噴出した。秋雲も一緒に笑った。 ひとしきり笑い終わった後にねぇ提督、と私を呼んだ。 「私、お願いがあるんだけどさぁー聞いてくれる?」 「何だ?言ってみろ。無茶なこと以外は聞いてやろう」 秋雲は私から離れると本棚へ向かった。そこから一冊のスケッチブックを取り出した。表紙が黒色のスケッチブックだ。そのスケッチブックを私に差し出しながら、 「秋雲さんを描いてよ、提督」 願いが告げられた。 →続き
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/419.html
管理・運営スレに書き込まれたレスは議事録としても使用するので議論等に関係ない、議事録として残す際に不適当と判断されたレスは削除されます 議事録とは 【例】ある会議の議事録 部長「今月の売り上げをどうやって作るのか?」「新規先を回るのか?」 「それとも既存先にいくのか」「そうそう新規先といえば、例の大曲商事の方はどうなってるのかな?」 「最近訪問した、あの何て言ったかな?日本ベースボールの案件は取れたのかな?」 「日本ベース商事はどうなっているのか?最近売り上げが落ち込んでいるようなんだが・・・」 というように、単なる会話ログの場合、整理されていない為内容が理解し難いです。 これを「議事録」で書くとすると、以下の様になります。 当月営業拡大策について (←内容を要約したタイトル) 当月の売上目標達成の為に対象ターゲットを新規先、既存先かかわらず検討すべきである。 特に、新規先の大曲商事、最近訪問先の日本ベースボールの進捗確認が必要と考える。 加えて、日本ベース商事の売り上げが落ち込んでいる件は調査が必要である。(部長) http //www.insource.co.jp/businessbunsho/gijiroku_by_insource.htmlより引用、一部改 流石にここまできちんとするのはしんどいので、運用議論に関係ないレスを削除し議論をスリム化することで一応議事録としての体裁を整えている訳です。 まーそれならまとめwikiにきちんと議事録作れって話なんですが、そこまで器が広くないので無理です、面倒 一応、それに対するフォローとして過去ログにて削除の前のレス閲覧は可能です http //www55.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/410.html
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/342.html
428 :名無しさん@ピンキー:2014/04/04(金) 08 03 06.26 ID bfaOzMZw 以前自分が書いた7-559の翔鶴ネタと 6-538の島風ネタと8-84の曙ネタが世界観同じにしてるのでその続き ※戦後の話で「鬱」な部分がかなりあるので注意 深海棲艦との長き戦いも終わり、艦娘側の勝利という形で幕を引いた。 戦争当時、資源の枯渇していた帝国海軍は諸外国を魔の海域から救い出すことで 支援物資を得るなど財政はかなりひっ迫していた。 それゆえに短期決戦に全戦力を投入せざるを得なく、結果見事撃破したのだった。 こうして深海棲艦がいなくなり、世界は平和となった。 はずだった。 深海棲艦は駆逐しきれず、魔の海域も一部残っている。 深海棲艦は自然発生し続けているために倒してもキリがないのだ。 すでにじり貧となっていた帝国海軍は最精鋭を以てしてこれ(発生源)を封印した。 之を以て終戦とス。 帝国海軍よりさらに上の彼のお方より賜った御言葉だ。 そして急速な軍縮へと向かってゆくこととなる。 解体解体解体解体解体解体解体解体 解体解体解体解体解体解体解体解体 解体解体解体解体解体・・・ いったい何人の艦娘が解体されただろうか。 艤装を解体された彼女たちは魂の欠片となり大本の魂へと還っていく。 ある者は泣き、ある者は笑って還って逝った。 一定以上の戦果をあげた艦娘は武装解除の後、 鎮守府にて艤装を厳重に安置され、自由を手に入れることも可能だった。 しかし、解体された方が彼女たちにとっては幸せだったのかもしれない。 戦争しか知らぬ彼女たちにとって、そこはある意味地獄だった。 長き戦いで疲弊した帝国に職はなく、生きていくためには体を売るしか道がなかった。 提督たちもまた軍縮のあおりを受け解任され、慕ってくれる艦娘に頼り、養ってもらうしかなかった。 愛する艦娘に体を売らせる苦痛はいかばかりだろう。 艤装の解体を願い出た者もいたが軍はこれを良しとしなかった。 もしもの場合に備えた優秀な戦力温存と、維持費削減。まさに外道の所業と言えよう。 耐えきれず自害する提督が後を絶たなかった。 愛する艦娘の枷となっていることに耐えられなかったのだろう。 ----終戦から数年。 人々の努力のかいあって急速に経済の復興を遂げた帝国では、 親に可愛がられて育った自己中心的な快楽主義の若者の吹き溜まりになっていた。 艦娘という戦力とその特殊性から海軍はあまり積極的に徴兵を行わなかった。 結果、戦争を知らない若者たちは終戦直後、膨らんだ軍事費に猛抗議し軍縮を加速させ、 さらには恩人であるはずの彼女たちを慰み者にし食い物にしていた。 そう、かつての救国の英雄たちは、はした金にも満たない額で文字通り凌辱されつくしている。 しかし、民意を恐れてか軍上層部は見て見ぬ振りをして、官僚は今なお私腹を肥やすと聞く。 雷「・・・大丈夫!私がいるじゃない!電は私が守るんだから!」 そう私は自分を奮い立たせる。 司令官は自害してしまった。 体を売ってでも司令官や私たちを守ってくれた秘書官だったあの人も 司令官の亡骸に縋り付き、次の日司令官もろともいなくなってしまった。 机には「ごめんね」とだけ書かれた紙と、幾分かのお金が置かれていた。 後を追って逝ってしまった。つまりそういうことだと思う。 電「わたしもがんばるのです!」 雷「ダメよ!あなたは家でじっとしてなさい。」 電は秘書官が体を売っていたことを知らない。 この世界には私たちの仕事なんてそれくらいしかないことも、 私たち艦娘たちが娼婦として蔑まれ、ボロボロになっていくことも。 何も知らない。何も教えてない。 司令官が死に、秘書官が行方不明なことも。 雷「それに・・・司令官と約束したでしょ?あなたは家を守る役目だって」 電「はわっ、そうなのでした・・・」 シュンとする電を抱き寄せて言い聞かせる。 雷「司令官たちはちょっと遠くで出稼ぎに行っちゃっただけ。きっとまたすぐにみんなで暮らせるようになる」 雷「・・・大丈夫、なんとかなるわ!私がいるんだから!あなただけは守って見せるわ!」 そう、自分に言い聞かせた。 電「はい、なのです・・・」 たぶん電はうすうす感づいてる。 司令官が死んだことも。秘書官が死んだことも。 そして・・・これから私が体を売りに行くということも。 ・・・・ ・・・ ・・ 若者A「おい、コイツにしようぜ」 若者B「どいつだ?ってまた艦娘かよ。こいつらクローンみたいにうじゃうじゃいっから飽きてきたよ」 若者A「そういうなって、値段は安い上にこいつら人間と違ってすげー頑丈だから無茶やっても平気なんだぜ」 若者B「とかいっていつもぶっ壊してんのはどこのどいつだよww」 若者A「ゲラゲラ、ちげーねーやww」 艦娘は人間に限りなく近いけど人間じゃない。化け物って言う人もいるけど、 司令官は軍艦の魂が受肉した付喪神のような存在だって言ってたっけ・・・。 雷「んむぐぅ・・・やめっ・・・むぐぉるぶじゅr」 若者A「やべーってコイツの窒息のどマンコすっげー気持ちいいわww」 髪を掴まれ強引にのど奥にずぶずぶと突っ込まれる。 手足は縛られ、雁字搦めなのをいいことに好き勝手に体を使われる。 か弱い女の子にこんなことするなんてヒドイじゃない・・・。 って抗議したらお腹を殴られてもう抵抗する気力も残ってない。 若者B「窒息いいな!こっちも締め付けたまんねーわww」 そう言うと、お兄さんは私の首を絞めてくる。 ジュブッ、グジュッ、と激しく腰を打ち付けられて全身に苦痛と快楽が奔る。 雷「ぷぁっ、ひゃめっ・・ぐるじ・・死んじゃ・・・あ・・が・・・」 びゅくびゅくと熱いものが注がれると同時に プツンと、画面が真っ暗になるのを感じて、私は意識を失った。 目が覚めるとお兄さんたちはもういなくなっていた。 あの後も私は責め立てられていたようで、体のあちこちが痛む。 シャワーを浴びてお給金をもらい、夕飯の材料と明日の電のごはんの材料を買って帰宅する。 電「お帰りなさい!なのです!」 雷「ただいま!はい、今日のごはんは白い方よ」 私は努めて明るく振る舞う。 電「やったなので・・・・その首どうしたのですか!?」 そういわれて慌てて首を押える。 うかつだった。2人相手は初めてではなかったけれど 拘束されて意識を失うほどの攻めに心身ともに参っていたみたい。。 雷「こ、これは・・・ちょっと・・ね」 言い訳を考える余裕はなかった。 電「ちょっとって感じじゃないのです!・・・・・・・・・・・・・お仕事・・ですか?」 雷「・・ッ、そ、そんなことよりほら!今日はご飯いっぱい食べていいから!お夕飯にしましょ?」 電「やっぱり私も働くので・・・」 雷「ダメよ!!」 電「(ビクッ)」 電だけは守ってみせる。それが司令官との最期の約束だから。 約束・・・だったのに。 -----その日、電はいなくなった。 ・・・ ・・ ・ あれからどれだけ経ったのだろう・・・。 思いつくところはすべて探したけれど、電はついに見つからなかった。 電も逝ってしまったのかもしれない。 結局私は誰も守り切れなかった。 憧れていた司令官も、解体された暁や響も、そしてみんなに託された電まで。 生きる気力もなくなった私は、いつの間にかこの路地裏でぼろ雑巾のように犯されるだけになっていた。 ・・・誰かが来たようだわ。また、犯されるのかしら。・・・もう、どうでもいいけど・・ 大切なものは全部なくしてしまった・・・私には何も・・ない 浮浪者「へっへ、今日もお世話になるぜ!」 前戯もなしにいきなり突っ込まれる。 ゴポゴポと誰とも知れない精液があふれてくるのがわかる。 雷「ぅ・・ぁ・・」 浮浪者「このちっぱいを摘みあげるとギュウギュウ締め付けるのがまたたまらんわ」 ずちゅっずちゅっ 私の意思とは無関係に体は敏感に反応し男の竿をきゅっきゅっと扱き上げる。 なんだか・・・とても疲れた。 酷い脱力感と眠気が私を襲い。意識がもうろうとしてきた。 浮浪者「なんだぁ?締りが悪くなったな。おい!この!・・・やべぇ、動かなくなっちまった」 ブーーーーーン・・・ 浮浪者「何の音だ?あーくそっ起きろ!」 ガンガン蹴られ薄れゆく意識の中、懐かしい艦載機の音を聞いた気がした。 艤装は凍結されたはずのに・・・。 ??「提督!こっちです!」 浮浪者「なっ、お前ら何もんだ」 提督「シャイセッ!(クソッ)また私は救えなかったのか・・!?」 浮浪者「何言ってやがるんだ?あ?そうか、お前もこれを使いたいなら順番待ちだぜぇ? つって動かなくなっちまったがな」 提督「どけっ、クズ野郎」 浮浪者「ぐぇ、くっそ、なにす」 提督「お前らの!ような!輩が!いるから!!!」 浮浪者「いってぇ、やめろっ!あ゛あ゛あ゛あ゛!」 ボキッグチャッと明らかにやばい音がする。 翔鶴「て、提督、それ以上は死んでしまいます。」 提督「・・・ッ、次はないと思え」 浮浪者「ひぇ、ひぇぇぇぇぇ」 ・・・ ・・ ・ 提督「ヵ・・っ!・・・ッ!」 何処かで聞き覚えのあるお爺さんの声がした。 雷「ぅ・・・ん・・・?(誰?よく、目が見えないわ・・・)」 提督「ヵ・・っち!いか・・・!」 ぼやけた視界に移る白い制服姿はよく知るあの人と同じで まるで私を迎えに来てくれたように見えた。 雷「し・・・れー・・・かん?」 提督「雷!大丈夫か!?私の声が聞こえるか?」 司令官じゃ・・ない。・・・あれ? 雷「・・・え?・・・おじ・・さま?何で・・」 提督「!よかった。生きていてくれて。」 ぎゅうっと抱きしめられる。 人のぬくもりを感じるのはどれくらいぶりだろう。 ふと目頭に熱いものがこみ上げてくる。 雷「あっ、いけない、おじさまのお洋服がよごれちゃうわ」 提督「構わないさ。・・・よかった。」 提督「・・・そうだな。年頃の女の子がこんな恰好じゃいけない。翔鶴、タオルと着るものを」 翔鶴「は、はい。今お持ちしますね!」 雷「あ、私・・・」 今になっていろんな感情が沸き上がり、どうしていいのかわからなくなった。 提督「大丈夫だ、もう大丈夫。安心しなさい。」 フルフルと震える私をやさしく撫でてくれる大きな手に、訳も分からず泣いて縋り付いた。 雷「司令官がッ・・みんながッ・・・・あぁぁぁーーーー!」 雷が泣きつかれるのを見計らい、翔鶴がおずおずと戻ってきた。 翔鶴「あの・・・提督・・タオルとお召し物です。」 提督「あぁ、すまないが頼む。」 翔鶴「はい・・」 ・・・ ・・ ・ 歴史をなぞっている。 深海棲艦との戦いはかつての大戦を彷彿とさせるものがあった。 如月の装備を指示しなければ撃沈されていただろう。 天龍に対潜装備をさせなければやはり危なかった。 先手を打ち、大井北上にさらなる重雷装の指示を出さなければ 物資枯渇にあえぐ帝国は高速輸送艦への改装を指示するはずだった。 改変が可能だということに気付いた私は、秘密裏に暗躍し 次々に敵を追い詰めることに成功した。 例え汚い手を使ったとしても。 深海棲艦との戦いが終われば、艦娘たちが接収されるのは明白だった。 軍上層部に取り入り、私の所属する鎮守府は監視の元、現状維持となった。 深海棲艦の封印作戦に投入された特殊部隊、その唯一の生き残りである自分は 軍にとっても切り札として温存しておきたかったのだろう。 あの日、最精鋭の艦娘たちと共に、最精鋭の術者も随伴した。 本来術者と言えど艦娘や深海棲艦に干渉することは不可能だった。 しかし追いつめられた帝国海軍は、狂気の作戦に出た。 当初の作戦では封印などではなく殲滅だった。 術者ではないが大将が3人も随伴する大規模な決死の共同作戦。 一介の少佐に過ぎない自分に声がかけられたのは術師だからという単純な理由だろう。 ヒトマルマルマル、開戦と同時に艦娘たちによる一斉射に敵深海棲艦は大破し、優勢かに見えた。 自然治癒により、徐々に劣勢になっていくことになる。 多数の犠牲を出しつつ、常に援軍のやってくる深海棲艦をじわじわと追い込む。 撃沈したはずの戦姫もいつの間にか無傷で戻ってくる。 悪夢のような戦場だった。 フタマルヨンマル、友軍による波状攻撃についに魔の海域の発生ポイントまで戦線を押し上げることに成功。 術者を投入しての浄化作戦が発令される。 そして開始3分、あの光を思わせる発光現象のあと、最前線のほとんどが蒸発。消滅した。 自分だけはこの日を予想していた。 上層部に対策を具申したが棄却された。 いや、大事の前の少佐の具申など取り合ってすらもらえなかった。 対策をしていた私の乗った艦と艦娘、そして私の言葉を信じてくれた友軍を残し、 最前線は文字通り蒸発した。 それを目の当たりにした大将たちは取り乱し、指揮系統は瓦解。 通信は混乱していた。 予想通りの展開か。一つため息をつき、全艦に指示を出す。 提督「大将旗艦との通信を切れ。我が艦隊は如月を旗艦としこれより封印作戦に移行する。」 如月「お呼びかしら?如月、最大戦速、出撃します!」 ・・・ ・・ ・ そうして封印はなされた。 最前線にいた他の術者の張ろうとした結界を再利用させてもらった。 通常の術式は彼女たち深海棲艦にはあまり効果がない。 そこで彼女たち自身の力の源を利用させてもらう。 術式に織り交ぜ、組み込み、結界を成した。 彼女たちの負の感情が強ければ強いほどより強固な結界となるように。 いつかその魂を救いに来ると心に誓いながら。 如月「司令官?」 提督「あぁ、すまない。少しボーっとしていた。」 また一人、提督を失い海軍に反旗を翻そうとする艦娘の艤装を解体した。 場合によっては解雇された元提督をも相手にすることもある。 それが今の仕事だった。 我が艦隊の艦娘を守るためとはいえ、正直気が重い。 世界を救った英雄と称され、中佐へ昇進すると同時に 危険分子として疎まれるようになった。 本来大佐になってもおかしくない功績だったが、上層部は私に恐怖した。 今までこうなることを危惧して程度に演習で負けたりしていたが、 案の定飼い殺しの状態だ。 秘書官の如月の艤装だけ武装解除の上に厳重に保管されている。 事実上の更迭であり人質と言えよう。 普段は見えないピンクのハート形のカギ・・・艦娘保護チョーカーなど 艦娘のシステムを構築する上でかなり尽力した功績も今となっては枷でしかない。 如月「司令官。大丈夫ですわ。如月はずっとお傍に」 そっと頭を胸に抱き寄せられる。 甘い香りにしばし癒される。 提督「・・・ありがとう。如月、ゆこうか」 如月「はい、司令官。」 ・・・・今日の相手はかつての上官にしてあの戦いの友軍。・・・元大佐の所だ。 ・・・ ・・ ・ 雷「ここ・・は?」 目が覚めるとふかふかのベッドに寝かされていた。 辺りを見渡すとアンティークな家具やランプなどがある。 ふと横を見るとすやすやと女の子が座りながら眠って・・・ 雷「電!?電なの!?生きていたのね!」 驚きとうれしさのあまりガクガクと揺する 電「はわわっ!?何事ですか!?地震ですか!?」 電「ふわっ!?だ、大丈夫なのですか!?怪我はないのですか!?」 今度は私がゆすられる。 雷「だ、大丈夫だから、落ち着きなさいっ」 電「生きててよかったのです!ぐすっ」 雷「それはこっちのセリフよ!もう、心配したんだから。」 ---後から聞いたところによるとどうやら電は司令官からもしもの時のために かつての上官を頼るように言い聞かせられていたみたい。 私が無理しすぎないように見ていてほしいって・・・。 司令官ったら、私がいないと何もできないくせに・・・こういうとこだけ・・・・。 あの日、電はいなくなったんじゃなくて、ずっと探していたその上官の居場所がわかって 助けを求めに行っていたとか。 電「すぐに戻れるはずだったのですが、色々とあって遅れちゃったのです。」 雷「結局、電に守られちゃったね。ありがと、電」 シュンとする電を元気づけようととっさにお礼を言う。 電「そんなことないのです!私はずっと守られっぱなしで何もできなかったのです・・・」 雷「そんなことないわ。ありがとね、電」 ひしっ、と抱き合ってちょっと泣けてきちゃうじゃない? 提督「あー、おほん。雷、加減はどうだ。」 雷「あ、おじさま。」 はわわ、とわたわたと電が恥ずかしそうに離れるのがちょっと微笑ましい。 雷「助けていただいてありがとうございました。」 提督「いや・・・、もっと早く救ってやりたかったんだが、戦後の騒乱で行方がつかめなくてな。 ・・・すまなかった。」 そういったおじさまの顔は悔しさでゆがんでいた。 雷「おじさま、笑って。私は大丈夫だから!」 提督「そうか、あぁ、そうだな。雷は強い子だったな。」 雷「そうよ!なんでも私に任せなさい!って」 まだ大切なものはなくしてなかった。 今度こそ守って見せる。 へこたれてなんていられないんだから! 電「い、電の本気もすごいのですよ!」 むん!と胸を張って電も主張する。 提督「ふむ、まだまだ育ちは足りないようだがね?」 電「せっセクハラは駄目なのです!」 胸を隠して照れた後、からかわれたと気付いた電が ぽかぽかとおじさまを叩く。 提督「ふっふっ、きかんな」 提督「--おかえり、雷、電。お前たちは今日からここの子だ。」 きょとんとした電と一瞬見つめ合い、二人で力強くうなづいた。 雷・電「はいっ」 ・・・ ・・ 雷「とっても広いお屋敷なのね。」 ここ数か月しっかり療養をとって歩けるまで回復した私はお屋敷を散策することにした。 さっきからずっと廊下を歩いているけど、全然行き止まりにたどり着かない。 電「そうなのです!畑に田んぼに、大きな噴水のある池もあるのです!」 雷「畑に田んぼ?なんでそんなのがあるのよ?」 電「えっと、おじさまは提督をやめてしまわれたようなのです。」 電「それで艦娘たちを養うためにお庭を開拓して・・・」 雷「食料を自給自足してるのね?」 電「なのです!私たちみたいな艦娘をいっぱい受け入れてくださってるのです!」 雷「そっか。」 司令官、なんでもっと早くおじさまのとこに・・・。ううん、あの人のことだからきっと・・ ふと見上げるとおじさまらしき人影が出てくるのが見えた。 雷「おじさまかしら?」 電「あれ?また新しい艦娘が来たみたいなのです」 ・・・ ・・ ・ 若い提督「お久しぶりです。大佐。いえ、元でしたね。」 大佐「壮健そうだな。中佐。噂は耳にしている」 中佐「・・・そうですか。では話が早い。」 中佐「匿っている艦娘を軍に引き渡していただきたい。これは軍上層部からの命令です」 大佐「・・・断る。私はもう軍属ではないのでな。従う義務はない」 中佐「はぁ・・・やはりそう来ますか。」 中佐「如月、私のそばにいなさい。(ボソッ)」 如月「ッ!はい・・」 提督の力になれず如月はギュッと唇をかむ。 中佐「かつて無敗と詠われた提督相手に正直気乗りはしないのですが、いたし方ないですね。」 大佐「フッフッ、常勝ではなく無敗か。勝ちに行かず、艦娘生存第一に守りに徹しただけよ。」 大佐「翔鶴!瑞鶴!第一艦隊は輪形陣にて迎え撃て!」 翔鶴・瑞鶴「了解しました!機動部隊、出撃!」 中佐「はっはっ、艤装にフル武装ですか!よく軍の接収を逃れたものです」 中佐「さらに艦娘は水がなくてはその力の半分もでない。考えましたね大佐」 大佐は庭の中央に位置する噴水の池に陣取り、輪形陣にて陣取っていた。 海ではないので威力は出ないが、それでも陸で戦うよりも数倍はましだ。 中佐「大井北上!それに島風!単縦陣にて水路に魚雷を放て!」 島風「にひひ、それじゃいっくよ~」 大井「了解!九三式酸素魚雷、やっちゃって!」 北上「大井っち張り切ってるねぇ~。いっちょ私もやってみますか!」 ・・・ ・・ ・ 雷「ねぇ、なんか変じゃない?いきなり砲雷撃戦始めちゃったわよ!?」 電「はわわ、大変なのです!」 雷「何か手は・・・ねぇ、なにか武器になるものはないの!?他の艦娘たちは?」 電「えっとえっと、他の艦娘たちは偽装が軍に押えられてて戦闘できないのです。」 雷「じゃあ武器の方は?」 電「その・・・実はおじさまが内緒って言って教えてくれたのですが、 軍からこっそり私たちの艤装を回収してくださってるのです。」 雷「さっすがおじさまね!電!支援砲撃、するわよ!いけるわね?」 電「任せるのです!」 ・・・ ・・ ・ 中佐「さすが空母艦隊で名を馳せただけはおありだ。対空装備満載でもしのぎ切れませんか」 軍の信頼のない自分には動かせる主戦力も少ない。 とはいえ共に戦った練度の高い娘たちだ。攻めに転じない相手に引けは取らない。 大佐「そちらこそこちらの艦攻艦爆特化をいなすのは神業ではないか」 中佐「これもあなたから教わったことですよ、大佐」 にやりと笑う 大佐「陸地とはいえなかなかにきれいな回避運動だ。」 大佐もまた笑っていた。 久々の艦隊戦にお互い高揚している。 中佐「ですが、これでチェックです!イク!ゴーヤ!」 ドドォォ・・・ン!! 激しい水柱を上げて翔鶴に命中する。 大佐「なっ、潜水艦で挟撃だと!?バカな!・・・!!・・水路か!」 中佐「ずいぶんと深く立派な池が仇となりましたね?大佐」 中佐「すみません。念には念を入れてと思いましてね。」 大佐「くっくっ、まったくその通りだな。翔鶴!瑞鶴!潜水艦に艦攻雷撃!」 瑞鶴「翔鶴姉は沈ませないんだから!」 中佐「まさか!応急修理女神!?妖精もまた軍に接収されたはずでは・・!」 中佐「しかも女神をつける分の装備を削ってなおその戦力だと!?」 伊19「ひゃぁ~なのね~」 伊58「痛いのでち~」 く・・・、いくら深い池とはいえ深度が足りずに正規空母の攻撃が届くか。 ドドドドドッ 島風「ひゃっ!?やーめーてーよーぅ!」 中佐「追い打ちに援護射撃!?何処から・・・まだ戦える艤装を持った艦娘がいたのか。」 中佐「軍の手から逃れここまで戦力を温存していようとは・・・どうやら貴方を侮っていたようだ。」 大佐「(いや、これは・・・・・そうか、あの子たちか。)」 大佐「これで詰みだ。大人しく引き下がってもらおうか。」 中佐「・・・残念です」 中佐「と、いうのはまだ早いですね。・・・隠し玉もあなたからの教えだったのをお忘れですか?」 ヒューンヒューン・・・ドドドドドッ 大佐「これは!!戦艦クラスの援護射撃か!?しかも海上からの!」 中佐「これでチェックメイト・・・ですね。大佐。」 瑞鶴「翔鶴・・姉ぇ・・」 旗艦の翔鶴をかばい、瑞鶴は大破。他艦娘も今の砲撃で満身創痍だった。 翔鶴「く・・・まだ、やれます!提督!」 ボロボロになってなお立ち上がる翔鶴は、提督を守るために必死だった。 残った発艦済みの艦載機で最後の突撃に出るつもりなのだろう。 大佐「いや、もういい。翔鶴。私の負けだ。」 中佐「大佐の空母艦隊の腕も健在か。この分なら大丈夫そうだ。」 中佐「・・・では、私の話をしばしお聞き願いたい。」 大佐「?構わんが、何を・・」 ・・・ ・・ ・ 雷「大変!おじさま負けちゃったわ」 電「助けに行くのです!」 雷「待ちなさい!私にいい考えがあるわ」 ・・・ ・・ ・ 大佐「つまり、クーデターを起こすのだな?」 中佐「ええ、そういうことになりますね。」 現在、深海棲艦の封印は自分の術によるものだった。 いつでもその術を解くことは可能だ。 深海棲艦の脅威が再び襲って来れば、この平和ボケした国も少しは目を覚ますだろう。 かつてお国のため、未来の子供たちのために戦った英霊。 彼らの行いは間違っていたがその願いは賛同できる。 しかしその切なる願いも子供たちには伝わらず、平和な国といわれながら 内実中身は腐りきっていた。 自分さえよければいい、気にくわなければ他人を批判する。 あの時彼らが望んだ平和な世界にするための戦いは、完全に無駄だったと言えよう。 刻一刻と戦力となりうる艦娘たちも減っていっている。 事を起こすならもはや猶予はなかった。 しかし、如月の艤装を押えられていたのでは事を起こせない。 そこで協力者となるだろうある者を探していたら、一人の艦娘に行き当たった。 彼女に出会ったとき、すでに目当ての提督は彼女の腕の中で死んでいた。 海軍の同期だった男だ。 あの晩解体した艦娘こそ彼女だった。 ちょうど彼女が提督と共に海に身を投げている頃だろう。 救えなかったという苦々しい思いを噛みしめ、次の候補、大佐に会いに行くこととなった。 彼の所在は最初からつかめていた。 それでも彼は裏で手を回したのかなかなか軍が介入できなかったため、 表だって会うことも不可能。 それでも望みはもはや彼に託すしかなく、今回の強襲と相成ったのである。 中佐「今深海棲艦の脅威が復活すれば、必ず提督と艦娘は救われます。」 中佐「そして、人手不足となった軍は広く提督となるべく若者を徴兵するでしょう。」 そうすれば、きっと彼らも平和の大切さと、国を守るという誇りを取り戻す。 国とは民だ。民が腐っていては国は成り立たない。 共に助け合い、慈しむ心無くして何が平和か。 中佐「あなたもお感じになったのではありませんか?現状の提督たちや艦娘たちを知っておいでなら」 大佐「しかし、彼(か)のお方がいずれきっと・・・」 中佐「・・・彼のお方は傀儡です。謁見した際に少し試させてもらいましたが神気を感じない。 かつての大戦の敗戦で人へ堕とされたのでしょう。」 中佐「それにお優しすぎた。あれでは軍を制御することは不可能でしょう」 大佐「そうか・・」 深い沈黙の後、大佐は静かにうなずいた。。 大佐「この国のため、未来の子供たちのためにもう一度立とう。」 中佐「では!」 大佐「あぁ、深海棲艦(奴ら)を叩き起こすぞ!」 中佐「了解しま・・」 雷「せーの!てーーーーい!!!」 電「やぁーーーーなのです!!」 べしっばきっ 中佐「ぐほぁっ」 電「殺ったのです!」 雷「電・・・字がおかしいわ。はっ、おじさま!ご無事ですか!?」 大佐「二人とも・・・ふっ、ふっはっは。見事敵将を打ち取ったな」 えっへんと胸をそらす二人だった。 中佐「いつつ、酷いじゃないか雷、電」 雷「あれ?・・・おにーさん?」 電「なんでお兄さんがここにいるのです?」 如月「司令官!ご無事ですか!?何かすごい音が・・・」 外で待機していた如月が慌てて飛び込んでくる。 雷「あーっ!如月じゃない!久しぶりねー」 如月「えっ、えっと、お久しぶり・・ね?って、ふぁぁああああっ!?」 混乱気味な如月は雷に押されっぱなしだ。 雷はぴょんこぴょんこ跳ねて如月を振り回して喜んでいる。 中佐「よかった。二人とも無事だったんだな。大佐にお前たちの所在の情報と艤装を 軍に気付かれないように流したが間に合ったようだ」 大佐「あれはやはりお前だったか。おかげでギリギリのところで間に合ったぞ」 どうやら大佐には今回の自分の訪問の内容もすべて予想されておいでか。 さすが我が師、といったところか。 先ほどの”演習”も小手調べをされていたのは自分だったようだ。 雷「そっか。みんなが私たちを探してくれていたのね・・・」 電「そうだったのですか・・」 中佐「あぁ、それに・・・(ヤツの愛したあの娘との最期の約束だったからな)」 翔鶴「ムー!ムーーーー!」 雷「そうだった!何故か邪魔してきた翔鶴さんを縛り上げちゃったんだ!」 しかも仕事仕込みのキツイ亀甲縛りで。 大佐「やれやれ、翔鶴は私が何とかしておこうか。」 翔鶴「んん!?ふむーー!んふっ/// んん~~~~~!」 と言いつつ何処に手を突っ込んでるんだ師匠! ムニムニと胸を揉みしだかれ、荒縄ですでに出来上がっていたのか 翔鶴はどう見ても達していた。 瑞鶴「あっ、翔鶴姉だけずるいっ・・・じゃなかった。提督さん、私も一緒に行きます!」 電「それじゃ、私はお兄さんとお茶でもするのです!///」 雷「それいいわね!私も参加するわ!」 北上「ちょっとー、私たちもわすれないでよね?もう~」 大井「とかいって北上さんちゃっかり入渠してたじゃないですか」 北上「そんなこといって、大井っちなんて提督とられないかしらってそわそわしてむぐmぐう!?」 大井「わーっわーっ!北上さん!クッキー!そう、魚雷クッキー美味しいですよ!? ささっ、遠慮なさらずに!」 島風「てーとくーーーーかけっこしよーーー!って、あー!私のてーとくとらないでよー!」 ・・ ・ しばらく如月は艦娘たちに囲まれてる中佐を幸せそうに見ていたが ふと中佐と目が合う。 くすっと笑いあうと、お互いの言いたいことはなんとなくわかった。 窓の外を見上げると雲一つない晴れやかな空が広がっていた。 如月「いい風」 ふわっと桜の花びらが舞い上がった。 「ありがとう」 一瞬、その中に雷たちの艦隊の秘書官が笑っているのを見た気がした。 彼女の魂は救われただろうか。 同じ秘書官として痛いほどにその気持ちがわかる。 如月「(ずっと.....おそばに)」 そっと指輪を抱きしめた。 ・・・ ・・ ・ 榛名「遠距離支援はこんな感じでいいのでしょうか」 金剛「バッチリなのデース!これで提督からご褒美もらえマース」 榛名「あの・・金剛お姉さま、その時は私もぜひご一緒に・・・(モジモジ)」 青葉「あ、青葉も・・・その・・」 金剛「青葉はいつもこっそり提督に愛されてるからダメデース!次こそは私の番ねー」 青葉「ばれてっ!?はぅ///(テレテレ)」 榛名「榛名も!できれば混ぜてほし・・・(モジモジ)」 曙「----私たちの支援攻撃・・・成功したかしら?」 曙「ちゃんと無事帰ってきなさいよ?クソ提督♪」 春一番がさわやかに吹き抜けた。 +後書き 444 :名無しさん@ピンキー:2014/04/04(金) 19 17 42.38 ID bfaOzMZw 以上です。 連投規制に負けましたorz 支援ありがとう 思いついたプロットを追いかけるので手いっぱいで駄文になってしまった。 そして長文申し訳ない。 島風編はこの後まだ続きを書く予定だけど 攻略前の時代にさかのぼるので少しややこしいかもしれない。 時間の流れ 6-538の話→8-84の話→今後書く話→今回の話→それ以降書くかは未定 あと気づかれないと思うけど、最初に雷を買ってた二人のうちの一人が浮浪者です。 そしてもう一人がどうなったかというと艦娘を壊しすぎて怖い人たちに連れてかれました。 まだしたらばで書いた発情青葉さんのちょっと手直し版とか 今回登場でいきなりデレな大井っちが どうやって落とされるか(やっぱりちんぽには勝てなかったよ)とか そうなるように仕組んだ北上さん(提督に惚れちゃった)とか 潜水艦たちの濡れ濡れお風呂奇襲作戦とか まだ登場してない潮とか夕立とか愛宕とか羽黒とか雪風とか睦月とか漣とか阿武隈とか夕雲型とか つまり可能な限り出したいです ちなみに大佐はあの後翔鶴さんを”そのまま”お持ち帰りして瑞鶴さんを交えてしっぽり楽しんだとか。 そして雷と電はしばらく後、「ゴーイチゴー・クーデターを成功せよ」という任務の報酬として正式に中佐の艦隊に所属して、 中佐争奪戦に参加したとかなんとか。 あ、潜水艦ズはお仕事終わったからそのまま本来の仕事の深海棲艦の警戒任務に戻ってます ちゃっかり中佐にあとからご褒美もらってるけどw 448 :名無しさん@ピンキー:2014/04/04(金) 23 53 16.19 ID vehNUyuT 内容が内容だけに、単純にGJという言葉が言いにくい。 だが、このシリーズは好きで、あれこれ三次妄想が捗る。 苦海という海に沈んだ艦娘たちが深海棲艦として人類に反旗を翻したら どうなるだろうとかすごく鬼畜なことを考えずにいられなかったり 452 :名無しさん@ピンキー:2014/04/05(土) 11 29 04.11 ID IzvpPj2S 448 戦争が元ネタだから少し自分に対する戒めも込めた内容にしたんだけど ちょっと雷可哀想すぎかなと少し反省してる 雷は史実で ・イギリス兵救助 ・アメリカ潜水艦に撃沈される(jap駆逐を魚雷と一緒に処分したと報告される。しかも電と勘違いされてる) 戦争だからおかしくないんだろうけどなんとも・・ね 作中の凌辱部分はこの史実を意識してます。 中佐が介入しないとあのまま終わってたはずです なんかこのままだとかわいそうなので雷の話の後日談考えておきますね
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/433.html
そもそも、現状避難所ya - メニュー整理者 2014-06-09 06 04 30 そもそも、現状避難所やwikiにおいてIP規制されているのがいるのか知りたいです - メニュー整理者 2014-06-09 06 05 09 メニューの"ignore=正規空母・軽空母,"これ間違ってないかな?勝手に直すのもアレかと思ったので見直しお願いします>メニュー整理さん - マイ作品修正者 2014-06-12 23 36 31 直しました、有難うございます。提督×武蔵12-36の人? - メニュー整理者 2014-06-13 01 03 56 Yes I am! ちょこちょこ直しててなんかすみませんw - マイ作品修正者 2014-06-13 01 16 35 しかし管理人さんはどうした - メニュー整理者 2014-06-16 03 19 16 http //jbbs.shitaraba.net/otaku/16181/もしものときの次避難所 - メニュー整理者 2014-06-23 20 25 14
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/40.html
艦娘たちの母港の空。 今日も早朝から快晴だった。 港湾のあちこちで金属がぶつかり合う甲高い音が響いている。 工廠では新造艦が建造され、ドックには修理中の艦娘の艤装が痛んだ箇所を切ったり貼ったりくっ付けたり。 それはそれは賑やかに音をたてていた。 沖合では数隻の駆逐艦が波を蹴立てて公試運転しており、防波堤では大勢の艦娘たちが歓声をあげている。 「雪風~」 「頑張れ響ちゃん! 追いつけぇ~」 白波を蹴立てて、細長い艦影が水平線に沿うように伸びていく。 「誰も私には追いつけないよ~」 「うら~」 深海棲艦が出現して約半年が経とうとしていた。 戦時中という非常時に置かれながらも、彼と彼女たちは精一杯の日常を過ごしている。 彼:若くして聯合艦隊の指揮を任された将校は、艦娘から提督(司令官)と呼ばれ親しまれていた。 そして彼も、深海棲艦隊と戦う彼女たち艦娘を時には妹、時には恋人のように愛でながら戦いを重ねていった。 彼の的確な指示と彼女たちの献身的な奮闘により、戦いは連戦連勝。 彼は平和に向かって一歩また一歩と進んでいることを実感しつつ、今日も戦場に彼女たちを送り込む。 ただ、すこしずつ、すこしずつ……心が緩んでいる事には気付かずに―――― 〇七三〇 母港待機中の艦娘たちは司令部横のグラウンドに集められ、作戦や任務が発令された。 まるで女学校の朝礼のように整然と並ぶ艦娘たち。 四角い壇上に彼と秘書の愛宕があがり、その下は並列して第一戦艦隊旗艦長門、第一航空戦隊旗艦赤城以下、各隊旗艦の艦娘が先生よろしく並んでいた。 彼は本日の作戦司令を次々に読み上げていき、愛宕が参加艦娘を発表していく。 「続いて…うん、指令部発令36号命令を伝える。『艦隊を編成し南方海域に哨戒用の水上機基地を建設せよ!』」 参加艦娘が発表される。 「旗艦は、電ちゃ~ん。以下ぁ、千歳~、千代田~、那珂ちゃんでぇす」 「以上4艦は直ちに補給を済ませ、南方海域に向かい出撃すること。出撃予定時刻〇九〇〇、帰還予定時刻一八〇〇、以上。これで本日の発令を終わる。みんな、頑張ってくれ」 その言葉が終わった時、びっくりするくらいの大声を出した娘がいた。 第一戦闘艦部隊旗艦、長門だった。 「提督っ! 南方海域は敵の拠点が近いうえに、偵察もまだ不十分だ。水上機母艦と小型艦だけでは危険すぎる。6隻編成で行くべきだと意見具申する」 彼女が提督に苦言を放つのはそうめずらしいことではない。 しかしいつにない語気の粗さに艦娘たちはざわめきだした。 「そんなこと、言われなくてもわかってるんだよ。でも燃料は節約しなければいけないし資材も不足気味なんだ。それに費用だってばかにならないしさ」 赤城の頭が少し横を向いた。 「上に立つ者として部下の安全よりも金の方が大切だとでも言うつもりかっ!」 「な~に、平気だよ。作戦出撃じゃないんだ。遠征だよ、遠征。失敗しても次があるさ」 「貴様の目は節穴か? 遠征隊が補給しているのは燃料だけじゃないんだぞ。弾薬が減っているのは射的をしているからだとでも思っているのか!」 「なんだい、いやに荒れてるね? そうか、大和を編成したことを怒ってるんだな。彼女を隠してたのは謝るよ、でも僕の立場も理解して……」 「そ、その様なこと……心の一辺にも止めておらぬっ! もうよいっ! 言うだけ無駄なようだ…… だが、ここまでの非礼の数々は詫びなければならない。罰はどのようなものでも受けよう」 長門はそう言い放つと深々と頭を下げたまま動かなくなった。 「もっと気楽にいこうよ長門」 壇上の提督はやれやれという仕草で溜息をつくと、横に居る愛宕に耳打ちしてから壇を降りて司令室のある建物に入っていった。 壇上に残った愛宕は張りつめている微妙な空気を全く無視するようにニコニコ笑いながら、パチンと手を打った。 「は~い! みなさ~ん、本日の発令は以上で~す。各自出撃準備及び持ち場へもどってねぇ」 頭を下げたままの長門はピクとも動いていない。 「長門ちゃ~ん、提督の言葉を伝えるわねぇ。えっとぉ、お咎めなしよ~。しばらく作戦予定も無いしぃ、ゆっくり休むようにって」 愛宕の言葉を聞き終えると、長門はゆっくりと頭をあげ、ギュッと唇を噛んだまま自室の方へと歩いていった。 回りでその様子を見ていた艦娘たちは、いつになく厳しい表情の長門の後ろ姿をみながらヒソヒソと囁き合いながら解散した。 港の工廠では遠征隊を命じられた千歳と千代田が急遽装備改修にとりかかっていた。 既に軽空母となっていた彼女たちから飛行甲板が取り外され、代わりに4本の大型カタパルトが取り付けられていく。 「はあ~、せっかく改二目前だったのに、今更水上機母艦に戻るなんて……何考えて作戦立ててるのよ司令部は!」 「千歳姉がぼやくのってめずらしいわね。いいじゃない、私カタパルト火薬の匂い結構好きよ」 「それにしても、長門さんの剣幕すごかったわね」 「心配性なのよね。私達水母に戻ってもレベル高いんだから、連戦連勝、遠征だって大成功させてみせるわ!」 やがてふたりの艤装は終わり、既に港外で待機している那珂と電に合流した。 「電ちゃん、お待たせ。旗艦指揮よろしくね」 「はい、なのです」 4隻の中では一番小柄で、振る舞いも子供っぽい駆逐艦電であるが、実は艦隊きっての歴戦の持ち主であった。 提督との付き合いも艦娘の中では一番長く、長門や愛宕が配属された今も時折秘書を任されることも多い。 密かに艦娘たちの信頼も厚い。 まあ、彼女の衝突癖はみんなの恐怖の的でもあるのだが―― 電を先頭に千歳、千代田が続き、殿は那珂が務める単縦陣。 整列した艦隊に号令を下す前、電は当たりをキョロキョロと見回した。 そして、視線を港湾の先端に突き出している突堤に目をやった。 そこにはまるで丸い腰かけのような形の係船柱があった。 傍に人影はない。 電は寂しそうな眼になった。 だが、次の瞬間には艦隊に向かって高らかに号令をかける。 「では、行くのです」 「了解っ!」 煙突から黒煙を出しながら、4隻は電を先頭に出航していった。 「最近、提督ってば見送りに来てくれなくなったわね」 「艦隊のアイドルの出撃なんだから紙テープ投げてくれてもいいのに~」 「うわ、昭和のアイドルかよ!」 おしゃべりしている仲間の声を聞きながら、電は静かに進んでいった。 司令室では提督が何枚もの書類に目を通し、いくつもの印を押していた。 長門の事が引っ掛かり、いつもに比べてその表情は少し硬い。 彼の前でコトリと音がした。 愛宕がお茶の入った湯呑を彼の机に置いていた。 若い将校は彼女が真横に近付いた事すら気付かなかったことに少し身勝手な苛立ちを覚えた。 「はい、コーヒーがはいりましたよ~ 熱いから気をつけてねぇ」 「ああ、サンキュー愛宕。あちちっ」 全くの上の空である。 「あらあら…しょうがないですね。このハンカチお気に入りだったんですよ」 愛宕は自分のピンクのハンカチで濡れた机を拭くとそのままゴミ箱に入れた。 「気付いてましたか? 長門さん少し泣いてたんですよぉ」 「はははっ、それは見間違いだよ。長門があれくらいで泣くわけないじゃないか」 愛宕は2杯目のコーヒーを注ぎながら話題を変えた。 「電ちゃんたちのお見送り出来なくて残念でしたね」 「ああ、司令部も書類が多すぎるんだよな。最前線のことを少しは理解して欲しいよね」 「でもぉ、窓から手を振るくらいはできなんじゃないかしらぁ?」 少し意地の悪い言い方だったかなと愛宕が思った通り、若い将校は不機嫌さを隠すことなくコーヒーカップを机に叩き置いた。 「君まで… 煩いなぁ…… わるいけどさ、しばらく一人にしてくれないか? 近いうちにMF作戦が発令される。この作戦が成功すれば僕たちに希望が…」 「はいはーい、提督そこまでで~す。それ以上は口にしちゃいけませ~ん。わたしぃ敵のスパイかもしれませんよぉ」 「下らん事言ってる暇があったら、この海域の詳細な状況を調べて来てくれ?」 提督から渡された大きな海図をクルクルと丸め、愛宕は資料室へと向かって行った。 彼女は部屋を出る直前、扉の隙間から頭を出してこう言った。 「提督、慢心はダメダメですよぉ。慢心はぁ」 ぱたっと締まったドアを見ながら、彼は小さく呟いくのだった。 「慢心してるだって? この僕が? ははは、そんなもの あるはずがない。 僕はいつだって艦隊のことを、艦娘のことを最優先で考えている。だからこれまで大敗することなくこれたんじゃないか! これからだって、僕は彼女たちを失うことなく戦いを終わらせてみせる……さ。 くそっ……長門といい愛宕といい……僕の苦労もしらないで…… 腹が立ったら…眠く…… どれくらい時間が経ったのだろうか。 気がつくと椅子に深くもたれて眠りこんでいた。 窓から夕焼けの赤い光が差し込んでいる。 壁の時計はもうすぐ6時を指そうとしていた。 「う~ん、丸一日寝てたのか」 机の上には愛宕に渡した海図が置かれていて、所々に小さな文字がびっしりと書かれている 軽く目を通しただけだが、よく調べられていることはわかった。 「サンキュー愛宕。それにしても部屋に来たのなら起こしてくれればいいのに」 上司として椅子にもたれながら寝ている姿を見られたと思うと少し照れくさい。 と、今が電たちの寄港予定時間であることを思い出した。 「そうだ、久しぶりに突堤で迎えてやろう。僕が手を振ると、あいつ照れるのが可愛いんだよな」 3階にある司令室を出て階段を下り、長い廊下を足早にあるいて外に出た。 建物の中は静まり返っており、夕日に照らされる港湾にも人影がない。 「なんだ? 誰もいないのか?」 出撃している艦娘も多いし、各地に遠征に出てもいる。 しかし、それでも数十人は基地内にいるはずである。 工作妖精たちも相当数いるにも関わらず、声一つ聞こえない。 見慣れたはずの建物が、異様な雰囲気に感じられた。 ドクンッ 彼の心臓が高鳴った。 嫌な予感しかしない。 さらに、愛宕が作ってくれた海図には、電たちが向かった海域は危険水域の印が着いていたのを思い出した。 電探妖精の報告に、未確定ではあるがFlagship戦艦タ級の目撃情報があった。 もし出会えば遠征隊ではひとたまりもない。 「まさか…まさか……」 彼は突堤の先端に向かって足早に駆けていった。 「違うよな。それに、既に敵は海域を離れているかもしれないし…。それに、電はすばしっこし、あれで賢いんだぞ。千歳だって千代田も…那珂も……」 言えば言う程不安が増大するばかり。 自分の読みが甘かったのは明白だった。 叶うのであれば時間を巻き戻したい。 だが、そんなこと起きるはずがない。 「ぶはっ、こ、この前の作戦の時は、ぜはっ…第六駆逐隊はル級相手にS勝利したんだぞ!電は…MVPを取って…ぜははぁ」 言い訳しながら必死で走る若い将校は、ようやく港の先端にたどり着いた。 「はあっ…はあ……ぜぇ…」 全速力で走ったにしては冷たい汗が流れた。 息を切らしながらたどり着いたコンクリートの突堤は、真正面の海に沈みかかる夕日に赤く染まっていた。 そこにある係船柱に一人の女の子が座って夕日を眺めていた。 その後ろ姿はまぎれも無く―― 「電……」 「あ、提督。ただいま…なのです」 座りながらクルッと振り返った少女は、少し俯き加減で恥ずかしそうな声をだした。 「は…ははは……はああ~」 男は全身から力が抜けたかのようにその場にへたり込む。 「お帰り、やっぱり電は時間に正確だね」 「これ、おみやげなのです。海の底で拾ったのです」 少女は小さな尖った巻貝を彼に渡した。 「海の底? 浮いてたんだろ。でも綺麗な巻貝だな、ありがとう電」 電は照れると言うより、まるで顔を見られたくないかのように下を向いた。 大きな夕日が沈もうとしてた。 彼は電の傍に行き、その小柄な身体をひょいと持ち上げると係船柱に自分が座って膝の上に電を座らせた。 戦争が始まった頃、戦いの合間にここで夕日を見ながら早く平和になればいいねと語り合ったのを思い出していた。 「こうやって夕日を見るの…久しぶりだね。嬉しい?」 少女はコクリと頷いた。 彼は電の小さな頭を撫でてあげながら、しみじみと反省の言葉を出していく。 「今日さ、長門に怒られただろう。さっきまではアイツの事煩いって思ってたんだけど、僕が間違ってた。慢心してた。反省してる。あとで謝りにいくよ。それと、愛宕にも…」 若い将校は、今の幸運をしみじみと感じるのだった。 一歩間違えれば、この大切なものを失うところだったのだ。 「さあ、帰ろう電。千歳とかは先に入港してるんだろ?」 少女は答えなかった。 「電?」 少女は彼の問いかけには応えず、ただ、そっと彼の右手を掴んで、自分の胸の上に当てるようにした。 水兵服の上から、彼の手のひらに少女の膨らみの感触が伝わる。 決して大きくはないが、その柔らかさとその先にある小さな蕾は少女が女であることを証明していた。 「い……いいい、いなづま? あ、あのさ……」 艦隊でも一番の恥ずかしがり屋が、男の手を自分の胸に当ててゆっくりと上下に動かすと、小さな乳房が波打つように揺れた。 男は何も言えず、ただ息を荒くしながらされるがままにしていたが、やがて電はその手を止めた。 そして首を上に向けると、いつものおっかなびっくり眼で彼を見つめた。 頬は赤く染まり、瞳は潤んでいる。 男はその表情はいつもの電と変わりなく思ったのだが、どうしてこのようなことをしたのか聞こうとしたとき―― 「提督……電は……最後に提督に……電を……感じてほしかったのです……」 「え? 何をいってるんだよ?」 少女は彼の膝からひょいと降りて、沈みゆく夕陽を背にして敬礼をした。 「報告! 第一水雷戦隊所属暁型駆逐艦四番艦電、一四五七 南方諸島沖で轟沈……なのです!」 彼は瞬間自分の中で時間が止まったような気がした。 「な、何を言ってるんだよ? ここ…にいるじゃな…い……か」 言葉がだんだん震えていく。 目の前の少女の身体が、薄れていく。 後ろの太陽の輪郭が、何故か少女越しにはっきりと見えていくのだ。 いつも恥ずかしがってばかりで、めったに笑い顔を見せることがな少女が、満面の笑顔を浮かべていた。 だが、その表情も霞のように―― 「提督……電は…提督に大切にされて……幸せだったのです……今度…生まれ時は…もっと平和な世界がいいな……そして…提督と……みんなと…楽し…く……」 そこまで言って、少女の姿は消えた。 突堤には彼がひとりいるだけだった。 「う、うわあああああああああああっ!」 座っていた係船柱から、コンクリートの上に尻から落ちて気がついた。 もう真っ暗で、空には満点の星が出ている。 懐中時計を見ると、もう夜の10時を回っていた。 「ゆ…夢か……」 遠征隊の帰りを待っているうちに、眠ってしまったようだった。 基地は明かりに照らされ、この時間も工廠からの工作音が聞こえてくる。 特に変わった様子のないいつもの光景である。 「は…ははは……」 彼は抜け殻のようになった身体で戻っていった。 だが、遠征隊はまだ戻ってはいなかった。 「提督! 貴様どこをほっつき歩いていたのだ!」 「長門ぉ~、それは後回しにして、早く捜索隊を編成するのよぉ」 長門と愛宕の言葉が彼の頭にガンガンと響いてくる。 彼の頭の中は全く整わない。 愛宕に説明されて彼はようやく状況を理解した。 電たちが帰還予定時刻を過ぎても戻らない為に、川内と天龍を中心に捜索隊を編成しようとしているところだという。 『そんな…… 電、何してるんだよ。早く帰ってきてくれよ』 疲れきった彼は、部下たちがてきぱきと行動する様子を、ただぼおっと見ているだけだった。 電の轟沈が夢だったと安心したのもつかの間、気を休めることができない。 『まさか…正夢ってことはないよな』 そう思った時、彼は自分の右手が何かを握っているのに気がついた。 何か小さくて固い感触。 唾を飲み込みながら手を広げると、それは小さな貝殻だった。 「提督? そんなに震えて…具合が悪いのですか? 提督?」 愛宕の声は全く彼の耳に届かない。 届いたのは天龍の甲高い声だった。 「遠征隊が帰って来たぞっ!」 大勢が港の入口まで駆けよっていった。 歓喜のざわめきが次第に小さくなっていく。 帰還したすべての艦娘の艤装は大破していた。 千歳は全てのカタパルトが?げ落ちていた。 千代田は後甲板まで浸水し、那珂も全ての砲塔が歪みふたりとも意識朦朧となっていた。 そして、電は―――― 彼女の姿はなかった。 帰還したのは3艦だけだった。 千代田と那珂は急遽入渠し、辛うじて意識のある千歳は入渠に首を振った。 場所を司令室に移し、彼と愛宕、長門の3人が千歳からの報告を受けた。 「作戦海域には、Flagship戦艦タ級だけではなく、Elite空母ヌ級2隻を含めた大艦隊が待ち受けていました。 戦闘なんて呼べるものではなく、一方的な蹂躙でした。 巨大な砲弾が雨霰と降り注ぎ、その後には雲霞のごとく敵艦載機が襲いかかって来て……」 彼女の話の途中長門は提督のほうを睨みつけたが、言葉何も言わなかった。 彼にとって今は大声で怒鳴られたほうがどれほど救いになっただろうか。 その顔は既に蒼さという色を通り越していた。 千歳は蘇る悪夢の記憶を解きほぐすように語り続ける。 ―――― ―――― 戦艦の砲弾が降り注ぎ、更に敵艦載機の爆撃と雷撃が艦隊を襲う。 避けるのも限界に近くなっていく。 ―― 千歳お姉! 痛いっ…痛いよ。 ―― 千代田っ、しっかり! ああっ…どうしたらいいの」 逃げまどうしかない艦隊。 一通りの攻撃を終えると、群がっていた敵大編隊は撤退していった。 だが、ホッとする間など無い。 戦艦の砲撃が再開され、巨大な水柱が何本も噴き上がる。 葬送の水墓標。 すぐに艦載機の第二波もやってくるに違いない。 ―― わああああっ! 那珂ちゃん死にたくない。 ―― 千歳姉っ! ―― 泣かないで、みんな…あああああっ ―― 落ち着いて下さい皆さん。ほら、10時の方向にスコールがあるのです。 電の言う通り、それほど離れていない場所に黒雲と分厚い雨のカーテンが見えた。 その中に入ってしまえば、艦載機は追って来れず、戦艦の砲撃もメクラ撃ちになる。 艦隊は必死で方向を転換していくが、そうはさせまいと戦艦の砲弾が降り注いできた。 ―― きゃあああああ! 前にも進めない、後ろには敵。 絶望しかなかった。 ―― みなさん! 勇気を出して前進するのです。 ―― 無理よ。砲弾に当って死んじゃうわ。 ―― 大丈夫なのです。戦艦は、電が止めて見せるのです。 電は手短に勝算を説明した。 幸い機関には損傷がなく、得意の全速力で一撃離脱、魚雷を叩きこむというものだった。 ―― 気でも狂ったの! そんな近くにまで行けるわけないし、魚雷が当ったくらいでは… ―― 電はあの戦艦のことは勉強しているのです。艦首が細くて、そこに魚雷をお見舞いすれば穴があくはずなのです」 千歳も千代田も那珂も、全員が無理だと思った。 でも、それ以外にこの事態を乗り切る術など無かった。 考えている時間も無い。 ―― 電、絶対に沈んじゃだめよ。約束だからね ―― もちろんなのです。 電だって提督の膝の上で、もう一度夕日を眺めたいのです! 千歳が聞いた最後の言葉だった。 その後のことは千歳も知らない。 ただひとつ確実なことは、轟音が響いた後、敵艦隊の追い討ちが止まったことだった。 〇三三八 電は全速力でFlagship戦艦タ級に突っ込んでいった。 読み通り、距離が近すぎて主砲が狙えない。 油断していたのだろう、敵の小型艦も動きを直ぐには変えてはいない。 行けると思った。 「提督、電は本当は魚雷なんて撃ちたくないのです。みんな仲良く…平和に暮らしたいのです……」 彼女のすぐ横で水柱があがった。 「きゃわわわっ」 敵艦載機が数機発進していた。 いかに電が高速とはいえ、艦載機が相手ではいつまでも避けられるものではない。 爆弾が電の後甲板で爆発した。 ―― 機関部炎上、速度落ちます。 電探妖精の報告。 「もうちょっと…なのです……頑張るのです。みんなで絶対に戻るのです。でないと…でないと……提督を悲しませてしまうのです。そんなの…電……嫌なのですっ!」 遂に魚雷の射程に入った。 爆音が響き、電の艦体が激しく揺れる。 ―― 魚雷発射管、被弾! 発射不能! 戦艦の主砲が仰角を上げている。 目標は電でないのは明らかだった。 電は――敵の戦艦を真っ直ぐに見つめた―――― ―――― ―――― その先には―――――― なぜだか、暗い暗い水の中、泡が下からいくつも上っている。 ちいさな貝殻が見えた。 「敵艦隊は転身していきました。でも…… でも…… 私たち探しました…暗くなっても…でも……」 千歳もう何も言えなくなっていた。 ただ、泣きじゃくるばかりだった。 愛宕は千歳を入渠させる為に一緒に部屋を出ていった。 入れ替わる様に、高雄が入って来て長門に数枚の紙を手渡して戻っていった。 長門はその紙に素早く目を通すと、彼に顔をそむけながら手渡した。 「千代田の電探妖精のデータだ。読んで下さい…」 「長門…すまないが、僕を殴ってくれないか?」 それは罪から逃れたいだけの欺瞞、そして夢なら覚めてほしいという懇願。 「貴様を殴って何かが変わるのなら、拳が潰れるまでいくらでも殴ってやる。だが、せんないことだ……」 そう言い残して、彼女も司令室を出ていった。 呆然と立ちすくむ提督は、死人のような瞳で紙に書かれた文字を読んでいく、 〇三四五 Flagship戦艦ル級、艦首炎上確認ス 〇三四八 本艦及び水母千歳、軽巡那珂スコールヘ退避 〇四〇三 敵旗艦戦線離脱 敵機動部隊同 〇五三〇 旗艦電、海上ニ認メズ 追記 敵戦艦の損傷は 魚雷による効果とは認められず。 第六駆逐隊所属 電 除名が妥当と認む。 「ぐううう……うう…」 男の手にする紙がみるみる濡れていき、くしゃくしゃになっていく。 「ごめんよ……ごめんよ……」 言葉など何の意味もない。 たかが遠征―――― 失敗しても又、次があるさ―――― 後悔。 「ごめん…ごめん……ごめんよ……」 彼は握りしめていた貝殻に謝り続けた。 意味がないことと知りながら。 床にへたり込んだ彼は、ゆっくりと手のひらを開いた。 そこに、貝殻は――なかった―――― 「提督っ、提督ってばぁ~」 ゆさゆさと揺さぶっているのは愛宕。 指令室の椅子に座って寝ているところを起こされた。 「徹夜するのもいいですけど、机についたままでは体を壊しますよ~」 夜はすでにあけていた。 朝日が窓からさしている。 「え、遠征隊は! 水上基地建設隊はどうなった!」 「はい~? 提督っ、しっかりしてくださいね。これからその編成を決めるんでしょお。もう時間ないですよ」 日めくりカレンダーは、出撃予定日だった。 「提督、本当にどうしたんですか~ まるでゾンビみたいな顔ですよぉ。あら、右手から血が出てますよ?」 目ざとく見つけた愛宕が彼の手を取った。 「ペン先か何かが刺さったんですね。気を付けてくださいよぉ。あれぇ、ハンカチがないわ? ピンクのお気に入りちゃんどこ~」 窓の外は晴れていた。 彼は椅子にもたれかかり、視線はぼんやり天井をみていた。 なんだか時計の音がやけに耳障りに思えていた。 〇七三〇 艦娘たちは集合して今日の支持を受けていた。 「続いて、指令部発令36号命令を伝える。『艦隊を編成し南方海域に哨戒用の水上機基地を建設せよ!』」 「旗艦はぁ……」 言葉を続けようとした愛宕をさえぎり、提督自らが編成を発表する。 「旗艦、電! 以下、千歳、千代田、那珂、そして一航戦赤城、加賀。 赤城は流星改ガン積み! 加賀は烈風×2・紫電改二の制空隊だ! 彩雲も忘れるな! そうだ、那珂ちゃん、カラオケセットちゃんと積んでるね? 愛をわすれるなよ! さらに命ずる。支援艦隊として第一戦闘艦隊長門以下全艦出撃し遠征隊を側面から援護せよ。 大和! 今回は主砲の全斉射許可する。ガンガン行け! 各艦出撃は〇七三〇 以上」 「むちゃくちゃだああああ!」 「ガチ艦隊じゃねえか! どんな大海戦想定してんだよっ」 「や、夜戦なら私もいきたい……」 「提督!少しは予算のことも考えなよ」 「報告、工作妖精が資材が足りないと言ってます!」 「愛宕! 僕の預金通帳で大至急増資材購入せよっ!」 「らじゃー!」 ドタバタ劇。 ドタバタタ。 やがて遠征隊の準備が整い、電を先頭に艦隊が出撃していく。 「ぱんぱかぱーん!」 愛宕の掛け声が高らかに港に響き渡る。 提督は突堤の先で帽子りながら出航を見送った。 「戦艦大和、推して参ります」 「はわわわわ~」 巨艦の波飛沫をもろに受けた電が、高波に乗りながら浮き輪に必死で捕まっている。 そして、彼に気付くといつもの恥ずかしさ満点の表情で敬礼をした。 「でわ、行ってくるのですっ!」 天気晴朗 なれど波一時高し。 艦娘、今日もことなかれ。