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645 :名無しさん@ピンキー:2013/09/29(日) 01 33 40.25 ID it8jbfJ0 思いついたネタを軽く 「はぁ、はぁ・・・!扶桑、もう、やめ・・・あぁっ!」 「ん、あ、はぁ、提督がいけないんですよ・・・?あまり触られると弾薬庫が心配だっていいましたよね・・・?私に火をつけたんですからもう止まりませんよ・・・うふふふふ」 「あ、ぅ、あ、ああああああぁぁっ!」 「んんぅっ!はぁっ、また、奥に・・・もっともっと、いっぱいどろどろにしてください・・・何度でも気持ち良くしてあげますから・・・」 「はぁー、はぁー・・・」(ぐったり) 「まぁ、お疲れなのですね・・・山城?マムシドリンクが冷蔵庫に入っているから持ってきてくれる?」 「はい姉様」 「復活したらまた一緒に気持ち良くなりましょうね・・・?提督が動けなくなっても私が頑張りますから・・・うふ、ふふ、ふふふふふふ♪」 数日後 「ふぁ、ていとく、もうだめですぅ・・・これいじょう、はいりません・・・っ!」 「はぁ、はぁ、扶桑、扶桑・・・!」 「あぁぁあああっ!やぁ、またでて・・・!あ、ああああっ!」 「ふぅー!ふぅー!」 「ひあ、あ、そんな、出しながら、うごい、あ、うあああっ」 「扶桑・・・扶桑・・・」 「だめです、そんな耳元でぇ・・・ささやかないで・・・っあぁ、やああっ!」 さらに数日後 「扶桑・・・」 「はい・・・」 「しばらく出撃は無理ってみんなに伝えておいてくれ・・・」 「私も動けないので無理です・・・」 「すまん、今度からいじるのは控えめにするわ・・・」 「お願いします・・・」 646 :名無しさん@ピンキー:2013/09/29(日) 01 55 21.06 ID it8jbfJ0 もういっちょ 鳳翔「ん・・・、はぁ・・・提督・・・」 「だめ、こんなこと、だめ・・・なのに・・・」 提督の洗濯物から顔を離すことができない 朝寝ぼけていた彼に抱きしめられてから、身体の疼きが、とまらなくて・・・ 気分転換の洗濯のはずだったのに、こんな・・・ 「ん・・・すぅ・・・んっ」 思いっきり、彼の匂いを吸い込む。 愛しい人の匂いに、頭がくらくらする こんな姿を見られたら、幻滅されてしまうかもしれない ・・・でも、とめられない・・・とまらない 「はぁ・・・はぁ・・・少し・・・だけ・・・」 想い人の肌着を抱え込みながら自らの秘部に指を這わせる すでにとろりと蜜をたたえたそこに、指がくちゅり、と呑み込まれていく 「あ、あぁ、ん、ふぅ・・・っ!んぁ、ぁ・・・」 自分の指を、彼の物と思いこみながら中をかき混ぜていく 「あ、あ、っあ、はう、あ、んくっ、あ、んんんっ!」 彼の匂いに包まれながら、熱を、昂ぶりを求めて浅ましくもだえる おかあさんだとか、正妻とか言われているけれど、私だってただの、女で 好きな人に愛される妄想を、止められないのです 「ごめんなさい、ごめんなさい、ていとく・・・わたし・・・わたし・・・あ、ああぁ、あ、んぅっ、んんんんんん~~~っ!」 ・・・達してしまいました・・・あの人の服を、こんなによごして・・・ 「はぁ・・・はぁ・・・提督・・・」 ・・・早く、片づけてしまおう・・・こんなところをほかの人に見られたりしたら・・・ ガタッ 「!?」 (日記はここで止まっている、後半部分は破り捨てられているようだ)
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如月ちゃんのSSを投下します 色々な二次創作の影響なども含めた独自設定が多数ありますがご了承ください 「あぁ~ん、如月が一番なの?まぁ当然といえば当然ね。いいのいいの、あまり褒めないで」 テストの順位が学年トップということに喜ぶ少女如月。 彼女はこの地区でも評判の天才美少女である。 「みてみて~、この輝く名前。あはっ、もっと近くで見てよ」 如月が学年トップの証である金文字で書かれた自分の名前を指差しながら言う。 だが俺はそれを複雑な感情で見つめるしかなかった。 彼女はなんて頭が良いんだろう。そんな気持ちが心を暗くする。 あまりにも輝いている彼女を見ると馬鹿な自分自身に情けない思いがしてくる。 別に俺は自分の頭が悪いということに劣等感を抱いているわけではない。 勉強以外にも多くの事をやりながら勉強でも優れた成績を残せる彼女の能力が羨ましかった。 休み時間はほとんどの場合心理学についての本を読んでいて、昼休みなどの長い休み時間だと球技をしたりするなど 落ち着いた物腰ながら時に意外と活発な才女であった。 色んな人達のお役に立ちたいらしく、休日はおろか平日もボランティア活動していることがあった。 勉強が出来るというだけで頭が良いという事にはならないだろうが、 色んな所で色んな活動して賞とかも貰いながら学業でも学年トップの成績を叩き出す…… 沢山の事を高いレベルで成し遂げられるのは間違いなく頭が良いと言わざるをえないだろう。 そんな輝く彼女を見ていると何だか胸の中がもやもやとしてきた。 別に彼女の事を嫌いだとか気に入らないとか、そういうわけではない。 どうでもいい存在なら軽く流せるものである。 むしろ好きでなければどんなに楽かと思うくらい昔から大好きだった。 大好きだったがゆえに彼女に引き付けられ、そしてその輝きを見せ付けられ、力なき自分の情けなさを付き刺される。 レベルが違いすぎて彼女に釣り合わず、いつか俺から離れてしまうのではないかと思ってしまい、 ある日図書館で一種に勉強していた時、彼女は問題を解けたのに俺は問題を解くことができず、 普通なら泣くなんてことは無いはずなのに 思い詰めていて精神的に追い詰められていたためか、思わず泣き出してしまった。 「ど…どうしたの………かしら……?」 俺が突如泣き出してしまった事には如月もさすがに驚きを隠せなかったようであった。 「お兄さん……答えが空欄…」 横から無表情な女の子が見るからに答えが埋まっていない俺のノートを覗き込んで言った。 覗き込んだ少女の名前は弥生。如月の一つ下の妹であり、姉に優るとも劣らぬ天才美少女だ。 美少女だけど無表情…それも怒っているように見える上に 自分から周りに溶け込もうとすることが少なかったため周りからはいつも気を遣われていた。 如月はそんな引っ込み思案にも見える妹を引っ張っていってくれる優しいお姉さんだった。 ちなみに俺もたまに弥生を引っ張っていくことがあった。 如月と自然に会うためという意図もあったし、俺自身かわいい女の子をほったらかしにしたくない的な思いもあった。 「問題が解けなくて悔しいのね……」 「…………」 俺は何も言えなかった。否定も出来なかった。 「だったら私が勉強を教えてあげるわね。わからないことがあったら遠慮なく聞いてもいいわ」 「本当に……?」 「本当よ」 「……ありがとう……」 こんな情けない俺に優しくしてくれる如月に俺の涙は益々止まらなかった。 でも、それ以来俺の心から暗さが消えていった。 きっと如月が俺の事を悪く思っていないって感じ取れたからかもしれない。 そして夏休みに入った。部活が休みだったある日、朝から図書館で如月と一緒に数学の宿題をしていた。 一緒に宿題と言っても如月は簡単に問題を解き、余った時間で心理学の本を読んで……なくて眠っていた。 如月にしては珍しい。しかし如月の寝顔って穏やかだなあ。いつも笑みを絶やしていなかったからこれは新鮮だ。 俺はいつまでも見ていたかったが宿題をやらねばならないからと涙を飲んで勉強に集中した。 俺は中々問題が解けなかったが、如月に情けない姿は見せられないと 諦めずにわからない問題は後回しにし、教科書を見ながら問題を解いていった。 「……あー、もうこれ以上わからん!」 「ん………あら、終わったのかしら?」 如月が目を覚まし、何事もなかったかのように俺のノートを見る。 「……………………結構出来てるわね」 「そうか?答え合わせしなきゃ合ってるかどうかは…」 そう言って俺は一緒に答え合わせをした。驚いた事に如月の言った通り、解いてある問題に関してはほぼ正解していた。 間違っていた問題も如月が解説してくれた。もっとも、如月の言っている事は天才にありがちそうな概念的なものであり、 理論的ではなかったからか俺には全ては理解できなかった。 「はぁ…やっぱりわからない所はどれだけ聞いてもわからん」 「ごめんなさい、お役に立てなくて……」 「いや…気にしないでくれ…俺の頭があまり良くないだけだから…」 「そんなこと無いと思うわ。このドリルの問題、あなたは結構正解していたじゃないの! あなたはやろうとしないから出来ないだけでやればデキル子なんですっ!!」 如月はこう見えても結構負けず嫌いな所がある。双子座は負けず嫌い精神とは程遠いはずなのに。 あ、ちなみに如月の名前の由来は戦前の軍艦如月からであり、軍艦如月の進水日、 つまり海に初めて出た日の6月5日に生まれたから如月と名付けたらしい。 一方俺もどっちかと言うと負けず嫌いではある。ただ誰に対してもというわけではなく、 特定の誰かに対してという面が相当強い。 俺の場合、表も裏も蠍座の男だからか蠍座特有の一点集中力が非常にマズい方向に働き、 よりによって大好きな女の子に対する負けず嫌いな心が生まれていた。 俺が好きな子を相手にした時ほど負けず嫌いになる理由は多分その子より劣っていたら その子から好かれないんじゃないかという思い込んでしまう一種の強迫観念なんじゃないかと最近思えてきた。 はっきり言って面倒臭い人間だ。他の人に対しては負けてもそこまで気にしない…… いや、気にしないというよりもどうでもよくなってしまうといった方が正しいのかもしれない。 好きな子に対しては前述のような理由や、注目してしまうことから優劣を深く考えてしまうのだろう。 もうちょっと気にしないようにすればいいのに…… 「そもそもそのやろうとする気とか、そういったものがあまり出にくい時点でやっぱり頭が良いなんて言えないんじゃ…」 頭ではわかっていても心では理解しきれていない所とか治した方がいいのに つい打ち負かしたくなり俺は続けようとするが… ぎゅるるるるっ…… 「…………」 「…………」 口論の最中急にお腹がなった。ふと気になって時計を見たらなんと既にお昼の時間は過ぎていた。 「……こんな時間まで集中できたなんてやっぱりあなたは頭は悪くないと思うわ。 それじゃ今日はこのくらいにして、お昼に行きましょ!」 空腹だったからか、俺は如月の言葉に言い返す気も起こらず、如月に誘われるまま昼食を食べに行った。 「しかし如月はどうしてそこまで数学が得意なんだ?羨ましいよ」 オーダーして料理が来るまでの間、俺は如月に率直に疑問を聞いた。 「それはね……砲弾を撃った時の速さと相手の速さを計算したり、 魚雷を撃った時の水の抵抗がどれ程なのかを計算して確実に相手に攻撃を当てるためよ」 「…………将来自衛隊か軍隊か何かに…」 「な~んちゃって」 「ったく、冗談はやめろよ。心理学について勉強してるってのも俺を上手くおちょくるためとか言うんじゃないだろうなあ」 「それは違うわ。だって心理学とか関係なくあなたはおちょくりやすいですし…」 「何だと!」 「…私が心理学を勉強しているのはね、相手が何を求めているか、何をすれば役に立つかってのがわかりたいからよ」 ふざけた話の後に真面目な話をするというのも心理学の応用なのだろうか? 俺は何を言おうか考えている内に頼んでいたメニューがテーブルに並べられた。 料理が出た以上手を付けないのはまずいだろう。俺達は料理を食べはじめた。 「ああ、やっぱこの季節の冷し中華はおいしいなあ」 「…………」 物凄い勢いで美味しそうに冷し中華を食べる俺の姿を見た如月は自分が食べる事も忘れて半ば呆然と俺を見ていた。 「いやあ、食った食った……」 「……とても嬉しそうだったわ……そんなに美味しかったのかしら?」 「ああ、夏はやっぱり冷し中華だよな」 自信満々に言い切った俺の姿に如月は気圧されながらも何だかとても嬉しそうだった。 「そう…よかった、お食事に誘って。さっきまでとっても暗い感じだったのにご飯を食べたら急に元気になっちゃって…… あなたの笑顔を見てるとこっちまで元気になっちゃうわ」 「そうか……如月、さっきは言い過ぎてごめんな」 俺はさっきの口論の事について謝った。 「別に気にしていないわ。あなただって色々と不安とかあったりしてあんなこと言ったんでしょうし…… それにお腹が空いていたのですから苛々とするのも不思議じゃないわ」 「だけど平常な時じゃなくて非常時に取る態度や行動こそがその人の本質に近いんじゃないかと思うと…」 「もう!あなたはいつも自分を責めすぎよ!そんな姿ばかりだとこっちまで落ち込んじゃうじゃない!」 「すまない……」 「…それにね、あなたは自分を過小評価し過ぎなのよ。失敗した時の事ばかり考えているし…… それも大事だけど、まずは何事もやり出す事から始めないと。 大丈夫よ、あなたはちゃ~んと集中力はあるんだから、 もっと集中できるようになるときっと結果は出るわ」 力説する如月に俺はもう余計な事は考えないようにしようと思った。 「ところで今度の土曜日はお暇かしら?」 「んー…特に予定はないな」 「じゃあ船に乗ってちょっと離島にでも行かない?」 「離島か…でも俺達だけで行くのも親達に心配を…」 「大丈夫よ、日帰りだから。朝は少し早いけどね」 「そうか……じゃ、行くよ」 「ふふっ、ありがと…」 「ん……弥生ちゃん?」 ふと振り返ると弥生ちゃんが立っていた。 「あ…気にしないで…」 「弥生、あなたも今度の土曜、離島にでも遊びに行かない?」 「いえ…お二人の邪魔を…」 「みんなで一緒に行った方が楽しいと思うよ」 「……わかりました。一緒に行きます…」 弥生ちゃんは少し申し訳なさそうに答えた。 そういえばこの子は昔から相手に気を遣うタイプなんだよな。 自分は気を遣われることを気にしているのに。 しかし弥生ちゃんが気を遣ったということは俺が如月を好きだと気付いているか、 あるいは如月が俺に対して何か思うところがあると思っているのか。 「決まりね。それじゃ、早速水着を買いに行きましょ!あなたも一緒に来て」 「ああ」 如月に誘われて二つ返事で了承した俺。荷物持ちか何かだろうと思いあまり考えなかった。 「見て見て~、この輝く肌。あはっ、もっと近くで見てよ。どうかしら?」 ピンクのビキニを試着した如月はそう言って胸を強調するようなポーズで感想を求めた。 「……うん…綺麗だと思う……」 何だか恥ずかしくてあまりまともに見られない俺だった。 「褒めてくれてありがとう。好きよ…」 「ッ!?」 「な~んちゃって」 「くっ、からかわないでくれ」 「でもよかった、喜んでもらえて。Bカップの水着でかわいい水着ってあまりなかったから」 俺を恥ずかしがらせたいのか、そういったことは結構包み隠さず言っちゃう如月だった。 「あれ?弥生ちゃんは?」 如月と一緒に着替えた弥生ちゃんはどうしたんだろう。 「あ、ほらほら、弥生も隠れてないで見せてよ」 如月はカーテンに隠れていた弥生ちゃんを誘い出した。 弥生ちゃんの水着は水色を基調としたセパレートの水着だった。 チャームポイントの細いお腹も強調されていてなんとも可愛らしい。 「可愛らしいね」 俺は素直な感想を言った。弥生ちゃんもとっても可愛い。 もし如月がいなかったら俺は弥生ちゃんを一番に好きになっていたかもしれない。 もっとも、如月がいなければ弥生とここまで親しい関係になれたかどうかはわからないが。 「ありが…とう……嬉しい…です……」 恥ずかしがりながらも感謝の気持ちを述べる弥生ちゃん。顔もいつもより少し赤みがかっているような気がした。 「それじゃこれで決まりね」 そう言って如月達は着替え直し始めた。 土曜日、朝早く俺達は船に乗って離島に向かった。 「風が気持ちいいわね…」 「そうだなー。弥生ちゃんもそう思…弥生ちゃん!?」 「…ん……あ……ごめんなさい……」 弥生ちゃんは立ったまま眠っていた。なんとも危なっかしい。 「仕方ないわ、こんなに朝早かったんですもの…ふぁ~…」 あくびをする如月。そういえば目がとろんとしていたなあ。 「あ……ごめんなさい……」 「いや、気にはしてないよ。そういえばこの前図書館で勉強していた時も眠っていたよな。 如月にしては珍しかったよ。如月はそういう所がしっかりしているからすごいことができるって思っていたからさ」 「突発的なことがあれば予定も狂っちゃうわ」 「そこら辺も含めて余裕あると思っていたけどな。まあいいや。それじゃコーヒーでも飲まないか」 「コーヒーは…ちょっと苦手……」 「それにコーヒーなんて飲んだらお花を摘みに行きたくなっちゃうわ」 俺はわかったようなわからんような、そんな顔をしながら話題を変えた。 「しかし平和だなあ。とても恐怖の大王が世界を滅ぼすとは思えないよ」 「恐怖の大王って…そんなの信じてるんだ」 「ノートルダムとかいう預言者が言っていただろ。1999年の7月に恐怖の大王が世界を滅ぼすとかさ」 「ノートルダム?」 「ああ、ラテン語でノストラダムスと言うんだ。二万年前のアトランティスの人間じゃないと思う」 「よくわからないわ……」 そりゃあ漫画の知識だからだ。それも如月が買うような漫画ではない。 如月が俺の家に来て勝手に読むとかで知ったりする可能性もあるけど。 ……ん?海の上に誰か立っている?いやそんなはずはない。きっと蜃気楼だ。そうに違いな… 「え…あれは……」 “それ”をみた如月は驚いた顔だった。そしてその一瞬の後 「危ないっ!」 珍しく声を張り上げた弥生ちゃんが俺達の前に立ち、直後爆発のようなものに吹き飛ばされる。 俺は吹き飛ばされた弥生ちゃんに駆け寄った。弥生ちゃんは痛そうに呻いていた。 よく見たら弥生ちゃんは弥生の通っている学校の制服を着ていた。 だがそれはボロボロな上に金属片みたいなものも散らばっている。 「みんな、逃げて!!」 如月が声をあげて叫ぶ。 「待てよ、一体何が…?」 俺は疑問を聞こうとして、ふと如月が見つめていた方向に目をやった。 そこには異様なまでに白い肌をした女の子… 頭に得体の知れない化け物みたいな帽子を被った女の子が立っていた。彼女も服がボロボロだ。 「まさかもうこんなに…狙いは私達?」 「一体何なんだよ、あれはっ!」 「みんな逃げて!!ここは私が何とかするわ!!」 いつも穏やかな物腰だった如月にはありえないような口調。それに圧倒され、 俺は弥生ちゃんを抱え、回りのみんなと一緒にその場から逃げ出した。 船内に入る直前、如月が心配で如月の方に目をやった。 如月の服はボロボロではあったが、俺達の学校の女子の制服に着替えられていた。 それに船の一部分のような形のものを背負っていた。 「うぅ……如月……」 「無理するな!」 「でも、如月一人じゃ…」 「本当に何なんだよあれは!」 「あれは…深海棲艦……」 「しんかいせいかん?」 「如月も大破してるから…助けに…行かないと…」 「じゃあ俺が助けに…」 「ダメ!……普通の人間じゃ、深海棲艦には何も……」 「新幹線だか何だか知らないけど、このまま黙っていられるか!」 俺はお約束みたいな言い間違いをしながら弥生ちゃんの制止も無視して如月のもとへ向かった。 先程のギャグ的な言い間違いなど言えるような状況と言えないほどそこは恐ろしい現場であった。 甲板は荒れ果て、如月は服がさっきより破ている状態で倒れていた。 これは映画の撮影かなんかじゃないかと思ったが先程避難勧告が出ていたことを考えたらそれはない。 ならば夢を見ているのか?それも違う。俺は昨日早く眠りについた上に今日はコーヒーを二杯も飲んでいた。 だからこれは今現実に起きている出来事なのだ。 倒れている如月に手に持った杖でトドメを刺さんと言わんばかりに化け物みたいな女は近付いていった。 このままでは如月が!そう思った俺は先程拾っていたデッキブラシを構えながら気付かれぬよう近付いた。 相手は如月に気を取られているのかこちらに気付いてないようだった。デッキブラシに力を込めながら背後から近付く俺。 化け物女が如月にトドメを刺そうと杖を掲げたその瞬間、俺は全力でスイングした。 化け物女は驚いた声をあげながらよろめいた。腕の力だけではなく、腰や全身を使ってスイングしたのだ。 どんな奴でも背後から気付かれぬ内に攻撃されて平静ではいられないものなんだな。 俺はとにかく叩き続けた。好きな女の子を酷い目にあわされて黙っているわけにはいかなかった。 だが攻撃もむなしく俺は化け物に逆に杖で殴り飛ばされた。 「うおぁっ!」 殴り飛ばされる直前辛うじて避けたものの完全には避け切れず攻撃が俺を掠めた。 だがそれでも相当なものだった。少し触れただけなのに衝撃波か何かによって弾き飛ばされた。 「ぐわあぁぁっ!!」 俺は何とか頭は打たなかったものの左手を床に打ち付けてしまった。激しい痛みが走った。 俺は恐怖した。人間ではこの化け物に勝てないと。 「くっそーっ!」 だが俺は自らを奮い立たすかのように声をあげて必死に抵抗した。落ちていた金属片を片っ端から投げつけた。 しかし野球やってるとはいえ狙いをつけて投げたわけじゃないから上手く当たらない。 もっとも、仮に当たったとしても大したダメージは与えられないだろうが…… 「くっそっ!!」 「………」 化け物は自らの無力さに叫ぶ俺にトドメを刺そうと杖を振り上げた。その瞬間だった。 ドゴォォォォン!! 化け物の背後で爆発が起きた…いや、化け物の背中が爆発した。 倒れる化け物。その背後には如月と同じ格好… だがボロボロの如月と違って綺麗な身なりのショートカットの少女が 小さな大砲のようなものを構えながら如月を庇うかのように立っていた。 「間に合った………」 「き……君は……?」 「あなたでは如月を守れない……幸せにできない…………」 「な、何を……」 「やはり私じゃなければ…この子を…」 ショートカットの少女はこちらの質問に答えようとせず、 僅かに蔑むかのような目で俺を見ながら意味のわからぬ独り言を呟いていた。 「そうだ、如月は!?」 「…………」 「大丈夫…少し傷があるけど… 艤装が大破して激しく見えるけど命に別状はないわ… 今は気を失っているだけ……」 「……それならいいけど………あいつらは一体何なんだよ!!それに君も!!!」 俺はあまりにも気になる疑問を率直にぶつけるしかないのだった。 「心配かけてごめんね。もう大丈夫よ。弥生も元気になったし」 あれから一週間。俺達の…いや、世界の状況は一変した。 深海棲艦という未知なる化け物が世界各地の海で暴れ回り、海路だけでなく空路すら断絶させられていた。 深海棲艦は既存の兵器等がまったく歯が立たない存在で、 その正体は第二次世界大戦の亡者達(人だけではなく艦等のモノも含む)が世界中の悪意と融合した存在と思われている。 そしてその深海棲艦に対抗できるのは、同じく第二次世界大戦の亡者の力を借りた艦娘という存在だけだった。 「はっきり言って今でも信じがたいけど……でもあれを見てしまった以上信じなきゃいけないだろうな。 それに世界中でも暴れているってのがメディアの報道でもわかるし。 けど実はあの時よりずっと前から深海棲艦ってのがいたんだな」 「ごめんなさい、隠していて……でもあの時は今ほど深海棲艦は出没してなかったの。 一般的には精々ネッシーを見たとかそういった程度の認識だったのよ」 「まったく……預言者ももうちょっと気を利かせて対策でも見つけてくれたらよかったのに……」 ノストラダムスの預言が見事的中した形で深海棲艦が現れたわけだ。 だがその預言があったために深海棲艦という存在が終末思想が蔓延っていた世界にすんなりと認められ、 それに対抗する艦娘という存在もあまり抵抗なく一緒に認められた…のだと思う。 ちなみにアンゴルモアとかいうのがいるかどうかは知りません。 「深海棲艦が確認されて、その後艦娘という唯一の対抗策が生まれたわ。 艦娘はその名の通り女性しかなれないもの。でも女性なら多かれ少なかれ誰でもなれる可能性はあるの。 私と弥生は10歳になった時に艦娘の素質があると教えられて艦娘になったのよ。 それからは人知れず訓練を重ね、秘密裏に深海棲艦と戦い続けていたのよ」 「そうか……………………」 俺は二の句が接げなかった。 彼女達の、ボランティアとかそんな話を超えた言わば使命の過酷さ、 そんな中でさえ学生としての本分を最高の形で成し遂げる力。 俺は恵まれた中でただ目的もなく毎日を過ごしている自分自身に怒りにも近い感情が湧き、 その感情を発散させるかのように飲みかけのはちみつレモンを一気に飲み干した。 「しっかし如月って本当に何でも出来るよなあ。そんなとんでもない敵と戦いながら、 勉強とか、その他色々なことだってちゃんと出来てるんだからさ」 如月は学年で一番頭が良いと言えるくらい頭脳明晰であり、多くの章を貰っていて、嫉妬したくなるくらい輝いている。 そんな彼女の名前を知らない者はいないと言いたくなるくらい有名だが、 彼女が名前を残そうとしているのは、彼女が悲劇の駆逐艦如月の魂を継ぐ者だからではないかと思えてきた。 駆逐艦如月は、かつて起こったあの忌ま忌ましい戦争で何の活躍も出来ぬまま沈んでいった。 知られていないというだけなら他にもたくさんの艦があるのだが、 他の艦は多少なりとも戦いでの活躍があるものの、駆逐艦如月にはそういった話は本当に何もない。 だからこそ、何の活躍も出来ず忘れ去られていった駆逐艦如月の無念が一人の少女に宿り、 今の時代にこの世界で名を残そうとしている…… 如月が有名になろうとしているかのごとく頑張っていたのはそんな理由があるのかもしれない ……俺はそう思っている。もちろん俺の勝手な想像だから実際のところはどうなのかわからないのだが…… 「まあ結構大変だったけどね」 ……あれ?いつもと態度が違うぞ。いつもなら当然だと言わんばかりに この年齢の女の子としてはある方な胸を張っているのに。 「私だって出来ないこととか、他の人に負けることだってあるわ」 負けず嫌いなのに弱音を吐くなんて… 「あなたは自分に自信が持てないみたいだけど、もっと自信を持って。だってあなたは強いんだもの」 「強い…って俺には戦う力なんてないよ。あの時だって全然役に立たなかったし…」 「違うわ。そうじゃないの……深海棲艦は強い。私だって戦っていてあまり無事ではない時もあるわ。 そんなのには普通の人間なんかじゃ手も足も出ないわ。でもあなたは勇敢に立ち向かった。 それは私を守りたかったからじゃないの?」 「…………」 「あはっ、あなたったらすぐに顔に出るんだから」 如月には敵いそうにないな。 「でも守りきれなかった……あの子にダメ出しされてしまうくらい……」 「あの子……睦月のことかしら?」 「ショートカットの女の子だったかな」 「そうよ睦月よ。その子がどうかしたの?」 「あの子、俺を見て守れないとかなんとか……」 「あの子はね、小さい頃に両親と妹を深海棲艦に殺されたの」 「なんだって!?」 「その頃は深海棲艦の存在は公じゃなかったけど、あの子を助けて引き取ったのが深海棲艦を研究し対抗していた人達なの。 彼らから話を聞いた睦月は深海棲艦への復讐の為に艦娘になったって聞いたわ。私が艦娘になった年齢よりも幼い年齢でね…… だからかしら。私の事を妹のように扱っていたわ。私が『如月』であの子が『睦月』である事と関係あるのかもね…」 睦月…って子はとにかく如月が大切な存在なんだな。 もしかしたら俺が想う以上に如月を大事に想っているのかもしれない…… 「あなたと同じくらい私の事を思っているのかもしれないわね」 俺の考えを見透かされたかのような……!?如月は俺の気持ちを知っているのか!? 「睦月は戦いの中でいつも私を守ってくれた。そしてあの時のあなたから睦月と同じくらい私への想いを感じたわ。 実はね、今までもあなたの気持ちには薄々気付いていたの。別に嫌じゃなかったし、結構楽しかったわ。 でもあの日あの時、命をかけて私を守ろうとした。 あの時からなんだか私の心がちょっとおかしくなっちゃったみたい。 もしかしたら恋しちゃったのかもしれないわね…… ……後悔はしたくないわ。だから聞いて。私と……………………セックス…………して…………」 ……………………は? 思わずそう言いたくなるくらい俺は耳を疑った。 「ソレって…つまり赤ちゃんを作るってことだろう?俺達がそんな…」 「それもそうだけど、でもそれ以外に愛を確かめ合うって意味もあるわね」 俺も男の子だ。そういったことに興味がないわけではない。というか凄く興味深々である。 そういうことは気持ちいい事って聞いたから一度はやってみたいと思ったことはある。だけど………… 「心配しなくても今日は大丈夫な日だから」 「大丈夫とかそうでないとか……そういう問題なのか?」 いざそんな場面になるとその気になれなかった。 嫌という意味ではなく、何故という意味もあったし、 もしもの時の事や未知の行為への不安などもあった。 「…………私達ね、あなたとお別れしなくちゃならないのよ……」 「…………え?」 如月が目を潤ませながら言った。 「深海棲艦が現れ、その存在が公になって艦娘達は横須賀の鎮守府へ行かなくちゃいけなくなったの。 だからあなたとはもう二度と会えなくなるかもしれない……」 「そんなこと…」 「私達艦娘は深海棲艦と戦う。戦うということは場合によっては死んじゃうかもしれないのよ。 だから今しかないの。あなたとの思い出を作ること、 そして、あなたの心の中に私を刻み付けることができるのは……」 如月は多分…いや間違いなく覚悟を決めていた…のかもしれない。 俺は涙を流していた如月を信じ、その想いを受け止め、そして………… 「ん………………」 如月の唇に自分の唇を重ねた。 それはとても暖かく、柔らかく、幸せなものだった。 初めてのキスはレモン味という話を聞いたことあるけど、 さっきまで飲んでいたはちみつレモンのせいか、本当にそんな味がした。 「そう…そこよ……」 俺は如月に導かれるままに彼女の股に…初めて見た女性のあそこにちんちんの先端を当てた。 皮をかぶせていたまま当てていたが、こうやってするものと言われて如月によって剥かれた。 「本当にいいのか……」 「い、いつでも…大丈夫…ですわ……」 俺にも余裕はなかったのだが如月も余裕がなさそうなのは言葉から感じ取れた。 「じゃあ…行くぞ…!」 俺はあえて興味本位の感情を強く出して迷いを捨て、如月から求めているんだと自分に心の中で言い聞かせ、 ちんちんに力を入れて進めようとした。 だが如月のそこは阻むかのように俺を受け入れようとしなかった。 如月は少し痛がっていたが、俺は余裕なんてなかったため力任せに何回も突いた。 如月の我慢混じりの小さな悲鳴が聞こえたが、気にせずに何回も繰り返した。 そのうちぬるぬるした感触とおしっこをしたくなるような感覚に似たものを感じるようになったがまだ入らなかった。 俺は一旦腰を止めた。如月が少しきょとんとした感じの顔になった気がしたが、 その間に俺は力を溜め、そして一気に突っ込んだ。 ブツッ!!!! 何かが破れるような感じと音がして、俺のちんちんは如月の中に入っていった。 「あっ!!ぅ……ぐっ……!!」 如月は大声をあげるもすぐさま我慢した。 我慢した時に力が入ったからなのかはわからないが 如月の中に入っていった俺のちんちんが強い力で締め付けられた。 その瞬間何かが解放されるような感覚がした。 びゅるっ…… 音にするならそんな風な、そういう感覚が次に来た。 おしっことは違う、なんだか気持ちいい感覚が続いた。これが射精というものだろうか。 知識としてはあった俺だったが、実際にそうなったことは記憶の限りでは今までなかったのだ。 俺が気持ち良さを味わいながらも考えている内にそれは終わった。 「はあ…はあ…」 「っ…………」 「………如月、大丈夫か!?」 全てが終わって冷静になった俺は目の前で複雑な表情をしていた如月の心配をした。 「大丈夫……ですわ………」 どう考えても大丈夫という気がしなかった。 「なにもかも…初めてですもの……初めては…痛いもの…だから………」 痛いもの…………俺はちんちんを入れた場所を見た。そこからは赤い血が流れていたからだ。 「如月っ!ごめん!」 俺は謝った。如月を傷つけてしまったと思ったからだ。 「気持ち……良かった……?」 如月は気にしていないかのように俺に質問を投げかけてきた。 正直言って今の如月を見ていると自分だけが気持ち良かったとは言い難かったが、 気持ち良くなかったと嘘をついてしまえば痛みに耐えてくれた如月を傷つけてしまう。 俺は正直に気持ち良かったと答えた。 「良かった…………」 如月は涙を流しながらも笑みを浮かべた。それは嬉し泣きをしているようにも見えた。 「それじゃすぐ抜く…」 「抜かないで!」 「っ……いや、でも如月が…」 「私は大丈夫よ…それにあなただってまだやり足りないみたいだし……おちんちん、まだ硬いわよ」 「……わかったよ……」 俺は如月に言われた通りちんちんを抜かなかった。 「……動かないの?」 「動く?」 俺は如月をぎゅっと抱きしめたまま動かなかった。 「そう…抜ききらない程度に抜いて、もう一度入れて、また抜ききらない程度に抜いて……それの繰り返しよ」 「そうだったのか……」 入れるだけのものだと思い、動くものとは知らなかった。 俺は如月を傷つけないようにちんちんをゆっくりと引いた。 擦れた感覚がとても気持ち良く、思わず突き入れてしまった。 「っ……!」 「あっ、ごっ、ごめん!!」 「…いいのよ……続けて………」 「ああ……」 如月に言われるがまま腰を動かした。如月を気遣うかのように最初はゆっくりと快感を我慢しながらだったが、 如月の声が我慢しきれなかった悲鳴のようなものではなくなってきて徐々に動きを激しくした。 そして俺は再びあの感覚に襲われた。 びゅるるっ!! 精液を再び如月の中に出していた。 今度は奥深くに出すように腰を強く押し付け、如月を強く抱きしめていた。 如月も俺の体を力いっぱいぎゅっとしていた。 「あなたの気持ち良かったっていう証がこんなにたくさん…ありがとう…… 私も好きよ…………大好き………………」 お互いに何回も何回も求め合った。 最後の方は俺は気づかいなどなしに自分の快楽の為だけに腰を振っていた。 だが如月は俺を受け入れてくれていた。その顔には笑みが浮かんでいた。 そして俺への好意の言葉はいつものような冗談めいたものではなく、 声にならないような、切ない涙声が俺の心を震わせた。 「ギリギリまで一緒にいたい……」 それは俺も同じだった。本当は如月を戦いに行かせたくない。 危険な目に会ってほしくない。変わらぬ日常をずっと一緒に過ごしていたい。 だけど、彼女が戦わなければ他のみんなの変わらぬ日常が壊されてしまう。 子供のような理屈なんかで彼女を止めることなんてできやしない。 だから、今この瞬間を大事にしたかった。 全てが終わった後も如月と繋がり合っているこの瞬間を…… 「今日のこと……一生忘れないわ…… だから……あなたに、今は一つだけお願いがあるの…………」 『今は』……最後に、ではないのはまた会える日を信じていたからだろう。 そして、その言葉は俺にとって一生忘れられない言葉だった………… ―如月のこと…忘れないでね…― 《終》 +後書き 897 :名無しの紳士提督:2015/01/29(木) 20 16 34 ID UtuOToxs 以上です 精神的に微妙なときに書きかけていたものを形にしました 相手を提督以外で書くのは初めてですが 子供的な考えとかの表現が上手くできたかわかりません それでは これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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「昇進するって、誰が? …えっ、あんたが!?」 私の言葉に司令はコクリとうなずいた。 そして、口で何か言う代わりに、本部からの高速暗号通信を見せてくる。 いつだって、この司令官は無口なのだ。無口で、鈍感。 「ちょっと見るわよ…へーぇ、こんな大艦隊を指揮するようになるのね、あんたもやるじゃない」 通信文には、私の司令官を海域突破の功によって昇進させる旨、そして新しく彼の旗下に入る艦隊の詳細が書かれている。 その艦隊に、私、叢雲はいない。 「ふぅん、やっぱり配属は変わるのね。でも、気候もいい土地じゃない。ま、せいぜい頑張りなさい」 次なる彼の赴任地、これも、ここから遠く離れた南方の泊地だ。 要するにこの通達は、私たちの関係の終わりを示していた。 もちろん、関係、って変な意味じゃないけれど。 彼が司令官としてここに着任して以来ずっと、司令と旗艦という形で上手く(まぁ、衝突もそりゃ絶えなかったけど)…上手くやってきたこの間柄も、もう終わりなのだ。 …あぁいけないいけない。私がこんなしんみりした調子じゃ。 こいつはこれから大事な艦隊を預かる身なんだから、気合いを入れてやんなくちゃ。 「ほら、なーにをしみったれた顔してんのよ! 昇進よ、嬉しくないの!? この私が喜んであげてるのよ?」 そう言ってぺしっと肩を叩いてやると、ようやくこいつも我に返ったらしい。 若く精悍なその顔が、こっちに向き直る。その仕草に、一瞬ドキッとしてしまう。 「あ…あぁ、いや、すまない。ちょっと俺も気が動転したんだ」 「こっちの台詞よ。ヘボでモグリのあんたが出世するなんてね…ま、素直に祝ってあげるわ。まだ、言ってなかったわね…おめでとう」 「ああ。ありがとう…」 私からの祝福に、司令は肩をすくめてお礼を返してみせる。 「うん、本当によかったわね…さて、夜も遅いし私はおいとまさせてもらうわ。あんたも明日から任地へ向かうんでしょ? それじゃ、おやす…」 「ま、待ってくれ…叢雲っ!」 突然に、司令は私の手をぎゅっと握ってきた。 今まで私の手や肩に、触れようとしたことさえなかったのに(まあ私が、酸素魚雷を食らわせるぞって、最初に脅したせいでもあるんだけど)。 おかげで私はすっかりパニクってしまう。 「そ、その…なんだ、ほ、本当にありがとう…叢雲」 「へっ…な、何!? どうしたってのよっ!?」 「い、いやその…お前には、ここに着任したときから、ずっと色々、艦娘の扱いとかを、お、教えてもらってきただろう!? だから俺は叢雲に、す、すごく感謝しててだな…!」 私の目の前で司令は、口をぱくぱくさせて、言葉をつっかえさせてる。慣れないことをするからだと思う。 顔までそんなに赤くしちゃって。 正直ドギマギして、こんなこと言われるだけで心臓をばくばくさせてるのは、私の方だっていうのに。 「む、叢雲っ、俺は…お、お前のことがっ…」 「ちょ、ちょっと離してってば、バカ!!」 あろうことか、私はその手をふりほどいてしまった。 その瞬間、司令の顔が、子供のような呆然とした表情に変わるのが見えて、私の胸がちくりと痛む。 「…………!!」 私は、もうおやすみの言葉も言わずに、後ろを向いて駆け出すと、執務室を後にしてしまった。 取り残されたように佇む司令を、一人そこに残して。 私の、バカ、馬鹿、ばか。 私は部屋に帰ると、寝巻きにも着替えずにベッドに突っ伏していた。 どうして私は、私を求めてくれる司令の手をはたき落として、拒絶してしまったんだろう? 司令は私との別れをもっと惜しみたかったのかもしれない。 司令は私を……好き、だとかなんとか、言ってくれるつもりだったのかもしれない。 司令は私を、抱きしめてくれようとしたのかもしれない。 でも、そのどれもを私は、あんな風に手を払いのけて、突っぱねてしまった。 「…なんで、素直になれないかなぁ…私」 無口でモグリで融通が利かないけれど、そんな司令に、私は…いつの頃からか好意を持っていた。 ううん、好意なんてもんじゃない。好き。 いつか私の口から言おうと思っていた、その言葉。 それを朴念仁のあいつの方から、しかも明日には別れるという頃になって、あんな風な余裕もない、ムードもない告白をしようとするもんだから。 だから、私は嫌になって逃げ出してしまったんだろうか? …けれどもう私には、今から引き返して、彼に好きなんて言うことは出来ないだろう。 私にはその勇気がない。資格もない。 ホントはあいつは、有能だ。この水雷戦隊を率いるだけに収まる器ではないのだ。 いち駆逐艦にすぎない私が、彼を引き留め、栄光の座から遠ざけるなんてことは、きっと、誰のためにもならない。 そう、だから私は、自分からこの恋を諦めることに決めたんだ。 「……ん、あれ…な、何でかしら…っ」 そう考えると涙が次々、つぎつぎと溢れてきた。 彼を思う涙だろうか? …いや、この先いくらでも出世して、人の尊敬を集めるだろうあいつの未来を考えたら、涙なんて流れるはずはない。 これは自己憐憫の、汚い涙だ。私は流れ出るソレを拭う。消えてしまえと思う。 私は、暖かく湿らせたタオルを目にかけて、横になって眠ろうとした。 泣き腫らした目なんかで、彼を見送るわけにはいかない。 明日は笑顔で、あいつの門出を見送ってあげなくちゃ――。 (あ……司令の…うで、だ) 夢の中で、私は司令官の腕につつまれていた。 たくましい腕が、私の髪や頬を優しく撫でさする感触が伝わってくる。 それが夢だと気づいたのはもちろん、今まで司令がそんな風に私に触れたことなんて、一度もないから。 すぐに、こんな破廉恥で虫のいい夢を見る自分を、あさましい女だと思った。けど同時に、もう少しだけこの夢に浸っていたいと思う私がいる。 夢の中の彼は、私の上に覆いかぶさるようになったかと思うと、次の瞬間、私の唇にそっとキスをしてくれた。 それだけで私は嬉しくてたまらなくって、涙が出そうになる。 (司令……司令っ…!) 声を出して彼を呼びたかった。けれど私の喉は張り付いたようになって、何の音も漏れない。 これが夢の不条理というやつ? そうして私がおとぎ話の人魚姫のように声も出ないままでいるうちに、今まで私の髪や頬を撫でていた彼の腕が、だんだん下の方へ伸びていくのを感じた。 (えっ……ちょ、ちょ、ちょっと!! ダメ、ダメだって!!) 頭ではそう思いつつ、私は制止することが出来なかった。 どうやら、声が出ないのと同じく、私は手も足も、文字通り指一本動かせないのだ。なんて夢。 抵抗できない私をよそに、司令の手は、私の薄い胸の上を、無造作に突き出た足を、スカートとストッキングに守られた私のお尻の上を、欲望に突き動かされたような手つきで這い回っている。 暖かい口づけをしてくれた彼の唇からも、いつしか、荒い、興奮した様子の息が漏れていた。 と、私の下半身を探っていた一方の手が、スカートの下に潜り込むと、私のストッキングとその下のパンティを、いっぺんに掴んだ。 (やっ…やだ…!! ありえないっ…!!) たとえ夢とはいえ、こんなこと、私は望んでない! 私は必死に目を見開こうとした。夢の中で、目を覚まそうと。 (……え?) 私は一瞬、状況が飲み込めなかった。 何が起こっているのか。私の体に、何が行われてるのか。 「叢雲…叢雲っ…!」 目を開けると、さっきの夢とよく似た光景がそこにはあった。 私の体はベッドに横たえられている。 そしてそんな私の上に、司令が――信じられないけれど、今度は夢ではない――司令が、覆いかぶさっている。 けれど、感触は。胸や、背中や、お尻や…口では言えないようなところまでを、ところ構わず這い回られる、その感触は。 夢の中よりずっとリアルで生々しいもの。 そう、夢の中と同じく私の体は、ベッドに這いつくばって私を見下ろす司令の指に、手によって、蹂躙されていた。 (し…司令…!? ちょっとウソ…何を…っ!) 叫ぼうとしても声が出ない。こんなところまで夢の中と同じなんて。 けれど少し事情が違うのは、私は理由なく声が出せない訳ではなく、口に詰め物がされているのだった。たぶん私が寝る前に瞼に被せた、温タオル。 身をよじらせて抗議しようとしたけれど、どうやら腕は、すでに脱がされた私自身の上着で、頭の上でひとつに縛られ、動けなくされている。そして足は司令の膝の下に抑え込まれていた。 私が夢で触れられているとか、動けないと感じていたのは、全部、現実に起こっていたことだったのだ。 執務室を飛び出たあと私は、たぶん鍵をかけることも忘れて、寝入ってしまったんだろう。 夢の中のすべては、寝ている間に彼が部屋に忍び入って、私の体にしたこと。きっと、もっと乱暴だったに違いないけど。 (どうして、こんな……っ!!) あまりの理不尽に、困惑や涙より先に、怒りがこみあげてくる。 これではまるで、レイプだ。 私は組み敷かれて、動けない体をいいようにもてあそばれている。 それも見ず知らずの誰かでなく、想いを寄せていた相手に。 なんで、こんなことを、と叫びたかった。 私が何度か首を振ってもがくと、ようやく口にされていた詰め物が唾液の糸を引いて取れた。 「や…やめなさいっ!! あ…あんたっ…なに考えてるのよっ!!」 私の声は、自分でもみっともないほど恐怖に震えていて、ほとんど意味を成してなかっただろう。 けれど司令は、それで声を抑える詰め物が取れたのに気づくと、とっさに自分の手で私の口を再びふさぎ、私はまただんまりを強制された。 その時、私に向けられた目は、あの時、執務室で私がその手を払いのけた時と同じ、子供のような―― 泣き出す直前の子供のようなあの目と、そっくり同じだった。 私に向き直ったのは一瞬だけで、すぐに司令は、私の首に顔を埋める。 そして、唇が私の首元に近寄せられ、激しいキスのような勢いで、その部分が吸われた。 (~~~~~~~っっ!!!) 甘い電流のような痺れが、私の体を襲った。 ちゅうっ、と音が立てられるのを、私の頭は、あの夢の優しいキスの続きででもあるかのように錯覚してしまう。 「叢雲…」 司令はうわ言のように、私の名前しか繰り返さない。 彼は私の首の付け根から離れると、その唇をさらに下の方へ、鎖骨を下り、私の胸へと滑らせていく。 そうだ、もう上着は脱がされているのだから、私の胸は裸のまま、たぶん私が起きたときからずっと、彼の前にさらされていたのだ。 そのことに今さら気づいて、私はかあっと赤面する。 そんな私にお構いなく、司令の温かい唇は、私の肌の上を転がるようにして、ついに胸の先端にたどり着くと、それへと舌を這わせた。 (い…やぁっ…! ………ああぁっっ…!!) きっと、口をふさがれていなかったら、乞うような嬌声を上げてしまっていただろう。 まるで彼に触れられた部分に次々新しい神経が通っていくみたいに、全身の感覚が一点に集中する。 舌で舐られるたび、私の胸の先っぽが、もう快感につんと立って主張しているのが自分でもわかって、また火が出るほど恥ずかしくなる。 こんな乱暴な愛撫の一つ一つに、私の体が馬鹿みたいに反応してしまっているのに、彼もとっくに気が付いているはず。 手に唇に触れられただけでビクンと体は震え、耳も顔も真っ赤になってる。 私のこと、夜這いをかけられて、組み伏せられて、興奮してしまうようなヘンタイ艦娘だって思うだろうか? (私だって…ホントはこんなの……っ!) ホントは、こんな風なの、望んでなんかいない。 私だって、恋をする女の子だ。司令の腕に抱かれたり、ついには体を許してしまうのを、想像したことだって幾度かある。 けれどそういうのは、愛の言葉を囁いたり、おたがい抱きしめ合ったり、キスをしたり、そんな優しい、愛の手続きの後で行うものだって、そう私は空想していた。 それなのに、何で、こんな――。 必死に足を動かして、彼の体の下から逃げだそうと試みるけれど、膝から下を体重をかけて抑え込まれているから、もがくことしか出来なかった。 しまいには口をふさいでいる手にかじりついたりしたけど、ちっとも動じない。 そうこうしているうちに、司令の自由な方の片手が、私の太股の部分に、すっと触れる。 手のひらと四本の指は、ストッキング越しの足の手触りを楽しむように、そして親指は、私の下着のクロッチ部分の上に―。 (――やっ……あっ、ありえないって、こんな…!!) 自分でも触れたことのない部分を刺激されて、未知の感覚が私を襲う。 司令の親指は私の女の子の部分を、その縦筋を二重の布の上からたしかめるように、何度も上下する。 そのたびに痛いような、疼くような、もどかしい感じが私の頭に走り抜けるのだ。 やがて二本、三本と、ぜんぶの指が責めに加わった。 まるで私のあそこがすっぽり、彼の手の中に収められてしまったみたいな感覚。 上も下も、すべての部分を、絶え間なく私は責め立てられてゆく。 くち、くち、と下着の中からは、おしっこを拭くときみたいな、恥ずかしい水音が漏れている。 私の耳にも、彼の耳にも聞こえる水音が、響きわたる。 ずっと、はぁはぁと荒かった司令の息づかいが、さらに昂ぶるように、速まっていく。 恐怖と、恥ずかしさと、困惑と、気持ちよさで、私がもう何もわからなくなりそうになった頃。 びびびっ、と音を立てて、ストッキングが破られた。 (あ……) ちょうど股間部分が破かれて、空気にさらされたのが分かる。 続けて、いつの間にベルトを外したのか、司令は軍袴を膝まで落とすと、性急な手つきで下帯も脱いだ。 暗くてはっきりとは見えなかったけれど、黒々と屹立したシルエットが、その下から現れていた。 「叢雲――」 激しい息づかいの中で私の名前を呼んで、司令が、私により深くのしかかる。 くい、と、パンティが指で横にずらされたらしかった。 そうして露わにされた私の大事なとこに、こんどは指じゃない、さっきの屹立したモノが、あてがわれる感触がある。 熱いソレが、にゅち、にゅち、とぬめる入り口を、なぞっている。 いやだ。 背筋に悪寒が走る。 私は、他の艦娘にくらべて、エッチのこととかなんとか、そういう興味は薄い方だと思う。 他の子たちが、キャーキャー言いながら回し読みする春本だって、ほとんど手にとって眺めたりしなかった。 けれどこのとき、司令がこれから何をしようとしてるのか、直感的に私は悟った。 いやだ、やめて! あんたのこと、嫌いになりたくない。 お願い。 口を動かせない私の頬を、涙がつたった。私の口をふさいでいる司令の手にもそれがぽたぽたと落ちる。 司令がはっと気づき、私と彼の目と目が合う。 むらくも、と彼の唇が動く。 彼の目に、いま私はどう映ってるんだろう? 元秘書艦の女の子? それともただの性欲のはけ口? さんざん生意気で横柄な態度をとっておいて、いざ押し倒されたら涙で許しを請おうとする、馬鹿な小娘? 「お前が…お前がいけないんだ、叢雲……俺の気持ちに気づかないから…」 その言葉は、まるで司令が自分自身に言い聞かせてるみたいだった。 それだけ呟くと、彼は私の顔から目をそらして。 一気に腰を進めた。 (…………………っ!!!) ぷつっ、と。 何かが弾けるような感触と共に、私の中に、熱いものが押し入った。 ダメ、痛い。やだ。やだ。やだ。やだ。痛いっ、痛い! 頭には、それしかない。 私の体は全力で締めつけて追い出そうとするけど、力負けして、鉄柱のようなそれが結局、おへその下まで入ってくる。異物感がすごい。 どう考えても私の中にそんなスペースなんてないと思うのに。 彼が弾丸で私の下腹部に穴を穿って、ぐりぐり押し広げているんじゃないか、そんな錯覚すら覚えた。 「……ふっ、ぁ……叢雲…っ!!」 そんな私をよそに、彼は感極まったような声を上げる。 ゆっくりと、段々と激しく、引き抜いては私を突き上げる。こっちは痛いってのに。 私が痛みで腰を引こうとすると、お尻を手でつかまえられて、押し戻された。そのせいで、司令の先端が、私の最奥をゴリゴリとこする。 ずちゅっ、ずちゅっ。 そんな間の抜けた水音が、司令と私の腰が、繋がったり離れたりするたびに響く。 私の激痛なんてまるで関係ないみたいで滑稽だった。 滑稽と言えば、このベッドがきしむ音も、司令の必死な息づかいも。 早く、はやく終わってほしい。 私はもうただそれだけを祈っていた。 今はけだものみたいになってる彼も、ひとしきり満足したら、元に戻ってくれるだろうか? 『お前がいけないんだ、叢雲……俺の気持ちに気づかないから…』 頭の中で勝手に、さっきの彼の言葉がくり返される。 一体、どこでボタンをかけ違ったんだろう? 鈍感で、朴念仁だなんて、ののしっておきながら、私こそ司令官の気持ちを推し量ろうとしなかった。 もし私が勇気を出して言っていたら。 もしあの手を払いのけなかったら。 こんな風にはならなかったかもしれないのに。 でも、もし私のことを好きだっていうんなら、なんでこんな酷い仕打ちをするんだろう? 好きだけど、それでも私があんまり生意気な子だから、痛めつけてやりたかった、とか。 ――この体の痛みも、胸の痛みも。罰なんだろうか。 「叢雲…叢雲っ……!」 熱に浮かされたみたいな彼の声で、現実に引き戻される。 ピストンがいちだんと速くなったかと思うと、私を突き上げてた剛直が、勢いよく引き抜かれた。 あ、と考える間もなく、熱い飛沫が、私の下腹に、二度、三度と飛び散った。 熱湯がかけられたかと思って、つい、ひゃあっ、と声を上げる。 と、ここで私はようやく、口をふさいでいた彼の手が、どけられたのに気がついた。 「あ…」 気づくと、司令が私の顔の横に手をついて、私を見下ろしていた。 呼吸はさっきほど荒くない。落ち着いてきてる。 状況が違えば、ドラマによく出てくる、男が恋人を押し倒した直後みたいな構図だ。 ふいに司令が、すっと私の顔に手を伸ばす。 「や…やめ…っ!」 私は反射的に目をつむってしまった。 何かまだ、ぶたれたり、もう一度、犯されたりするんじゃないかと思っていたから。 そんな私の頬を、温もりを持った指が、優しく拭っていく。 身をすくめていた私が、おそるおそる目を開くと、司令は身を乗り出して、私の頭の上、拘束されてた私の手首の縛めを、ほどいてくれていた。 放心した頭で私は、終わったのかな? などとぼんやりと思った。 …何が? 相変わらず司令は私の上で、言うべき言葉を決めかねているみたいな顔をしている。 「痛い…」 私がぽつりと言った。じっさいそれは、正直な感想だ。 縛られてた手も痛いし、抑えられてた足も、あそこも…。 「だろうな」 司令はそう返す。 ああそうね、「すまない」なんて言ってたら、きっとぶん殴ってるところだわ。 …そうだ、私にこれだけ酷いことをしておいて…今さら、優しさなんか、いらない。 徹底的に私を、慰みものにでも、すればいいのに。 でも司令は代わりに、部屋にあったティッシュで、私のお腹を汚してた精液と、破瓜の血とを拭ってくれていた。 「………なんで、そんなに優しく、するなら…」 だったら何で、最初から優しく、してくれなかったの。 途中から、また溢れてきた涙で言葉にならなかった。けれど彼は意味を察したらしい。 「…お前に、徹底的に嫌われたかったから」 私のいない艦隊なんて考えられなかったから。私に想われないで去るくらいなら、いっそ壊すくらいに痛めつけて、一生私の心の中に残りたかったから。 司令はそんな風に訥々と語る。 それを聞いて私は、ああ、この人は馬鹿だと悟った。 私と同じたぐいの、馬鹿。 司令を好きでいるのが辛くて、司令の告白を聞くのが怖くて逃げ出した私と。 私に愛されてないと思い込んで、いっそ私にひどく嫌われようと想ったこの人と。 救いようのないくらいの馬鹿二人だ。 「叢雲……俺を軍令部に訴えて更迭するなり何なり、好きにするといい…お前がいない場所なんて、どこだろうが変わらないからな」 司令はベッドサイドに腰かけ、何かもう、達観したような口調で言う。 私から顔をそむけて、私に未練を持たないようにしているんだろうと思った。 「…そうね…こういうのはどう? 代わりにあんたが、私のお願い、何でも一つ聞くの」 彼の背が、ぴくっと動く。 私が提案なんかしたことが意外なんだろう。 「…ああいいよ。深海棲艦の巣に飛び込めって言うなら、そうしよう」 「バカ。そんなこと、死んだってさせない」 司令の背中から、私はぴたっと抱き着く。裸の大きな背中が、私を抱き留めてくれてる。 「む…叢雲!?」 明らかにうろたえる彼を制して、私は伝えた。 私の「お願い」を。 「私を、あんたの新しい艦隊に入れて、今まで通り秘書艦にして。あんたのコネだろうが、何だろうが全部使って、ねじ込みなさい」 「叢雲、お前…」 司令が驚いて私に向き直る。その顎をつかまえて、私はそこに唇を重ねた。 私からのキス、私の初めてのキスだ。 キスは、とくにレモンの味なんてしなくて、唇に流れた自分の涙の味がした。 あと、司令のヒゲの剃り跡がちょっとざらざらする。 三秒くらいそうして唇を合わせていて、やっと離してから、私が言う。 「…あんたがいないとこなんて、どこへも行きたくないのは…私だって同じなんだから」 一緒よ、ずっと。 それだけ言うと、彼がすごい勢いで、私を抱きしめてきた。 むらくも、叢雲、と。私の名前を必死で呼ぶ。 いいのよ、と私は言う。 私たちお互い、馬鹿なんだから。きっとこうでもしなきゃ、伝えられなかったから。 それから私たちはしばらくの間、抱きしめ合ったままでいた。 まるで今まで足りなかった言葉を補うみたいに、ただ抱きしめ合っていた。
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341 :名無しさん@ピンキー:2014/03/27(木) 01 25 35.00 ID nnF6QNMd 陵辱モノ追撃します。 深海棲艦の拷問による摩耶様の闇堕ち。 触手・陵辱・微レズというキワモノなので苦手な方はご注意。 もし連投規制に引っ掛かったら気長にお待ち下さい。 342 :341:2014/03/27(木) 01 28 51.40 ID nnF6QNMd 右腕。左の足首。胸先。そして―― あちこちがずきずきと痛む気だるい身体の感覚に、ふと艦娘『摩耶』は目を醒ました。 (ここは…) ぼんやりと周囲を見渡す。幽かな青い燐光に照らされた荒野。不気味なほどの静けさ。 呼吸は出来る。頭上には空の代わりに、圧倒的な質量の海水。奇妙な空間。――深海。 (そうか。アタシは沈んじまったんだ) 他の気配が無い以外、状況は一切変わっていない。 限界を超えた快楽に、失禁しながら気を失ったあの瞬間から。 蒼くて深い、孤独な海の底。 両腕は赤子の手首ほどの太さの動かぬ触手に頭上に縛り上げられ、全裸の身体はごつごつとした岩に腰掛ける形で、両脚は大きく開かされたまま―― 塗り付けられた黒っぽい謎の粘液にひりつく性器、感じて感じて感じ過ぎて壊れてしまったのか充血したままの花芯までもを外気と燐光に晒されたまま隠すこともできず、まるで堅固な鎖を思わせる硬質の触手で手足を海底に絡め取られている。 撃沈のときから二日か三日か、ここで性的な玩具にされ始めてからの正確な時間の感覚はもはやない。 装備と衣服を剥ぎ取られ手足を拘束され、抗うことも死ぬことも許されず。 たった一人で異形に囲まれ弄ばれる恐怖の叫びも、肉体をなぞる無数の触手とざらつく舌から与えられた快楽に喉が嗄れるほど放ち続けた喘ぎ声も甘ったるい悲鳴も、昏い水底に飲み込まれていった。 死ねない、狂えない、兵器の強靭さと若い娘の性感の両方を持って生まれた我が身の不幸を呪わずにはいられない――ここはまさに地の底ならぬ、海底に用意された獄。 拘束する触手に多少のスキがないかと、無駄と知りつつぶらぶらと手足を揺らしていたとき。 摩耶は視線の先に違和感を認めた。暗い海の底から沸き上がるようにゆらゆらとした、空間の瞬き。 (…また来やがったか) やがてそれは、二つの異形の人型を結ぶ。 完全に実体を得た、自分を見下ろす二対の冷たい眼には、昨日の奴らとは違う感情が浮かんでいるようだ、と摩耶はぼんやりと思う。 ――コノモノセイキヨウナリテ、イマダゼツボウニソメルニアタワズ。 沈没直後の自分を拘束しその触手で散々に嬲った、鎮守府が『深海棲艦・ヲ級』と呼ぶ異形を纏った青灰色の少女が抑揚のない声を発すると、 応えるかのようにもう一人の娘――先が巨大な怪物の顔となった尾を持ち、対照的に小さな体躯を黒衣に包んだ見覚えのない個体――が、微かに笑いながら口を開いた。 ――テキカンニモサマザマアリテ、ママワレラノ"ヨリシロ"タルウツワモアルヤモシレズ。 その言葉は辛うじて理解できるが、内容は摩耶には良く理解できない。 「新しいお友達かよ…何度も言わせんな」 久しぶりに出した声。ざらざらと掠れてはいるが、まだ役目を果たせないほど壊れてはいない。 「アタシは味方に砲を向ける位なら、ここでお前らのオモチャになって狂って死ぬ方がマシだ」 二隻の深海棲艦を睨み付ける。 いつまで正気でいられるかは分からないが、せめて最期まで抵抗したい。 そんな空虚なプライドから放たれたタンカが、わずかながら自分を勇気づけるのを感じて摩耶は少しだけ嬉しさを感じる。 「…アタシはこんなもんじゃ全然満足してねぇぞ。今日は多少はテクを見せてくれんだろうな?」 ――そうだ。これでこそ、アタシだ。 ――ハンノウヲミタイ。サイドノホキユウヲモトム。 ――リヨウカイシタ。ホキユウヲカイシス。 新型の言葉に呼応したヲ級から伸びた灰色の触手が、摩耶の身体に巻き付いてゆく。 「あっ……あっ……」 反射的に、恐怖が摩耶の表情を彩る。 首筋に到達した二本の触手が、動脈のあたりを撫で始めた。 生命の急所を責められても拒否も抵抗もできない、するすると首に巻き付く巨大な恐怖に摩耶は知らず身体をすくませる。 どういう理屈なのかその状況で固く勃ち始めた摩耶の乳首を狙うように、別の触手が震える乳房に巻き付いた。 「くあぁぁぁぁぁッ…」 ぬめった感触が、まるで刺激を望むかのように淫らに色づいた右乳首をかすめた瞬間、電流のような快楽が摩耶を襲った。 触手を覆うぬめりに薬物のような作用があるのか、異様に感じやすくなっている自分の身体が恐ろしい。 「うあっ、あっ、はっ、…畜生…ッ!」 左右の乳首を容赦なく擦るように、触手が乳房をやわやわと揉み潰しながら這いずる。たったそれだけの刺激で目に涙が浮かび、達してしまいそうになる。 ばさばさになった髪を激しく揺らし抵抗を示しながらも、摩耶の肉体は更に感じやすく昂り、女陰は意志に関係なく『出来上がって』ゆく。 「くそ…胸に…触るな…!」 そこへ一本の触手が獲物のにおいを見つけ出したかのように、柔らかな太ももに巻き付きはじめ、上を目指して―― 「…やめろ…やめろぉ…そこは………ッ!!」 性器にぐいぐいと押し付けられる、おぞましい感覚。しかし必死に払い落とそうとするも両手は封じられて動かず、ただかすかに身体を揺らせるのみ。 「うあっ!?」 唐突に両足首を物凄い力で触手に釣り上げ開かされ、摩耶の秘所が上を向いてぱっくりとぬめる口をあけた。 あられもない格好に頬を深紅に染めた摩耶が何かを言う前に、露わになった秘裂の奥を目掛けて、ずぶずぶと触手が入口から胎内に沈んでゆく。 「あぁぁぁぁんッ!やだっ!やだあぁぁッ!やめてえぇぇぇッ!」 気を張っていた摩耶の何かが限界に達し、少女のような悲鳴が、喉を反らした屈辱的な嬌声が高く甘く海底に響き渡る。 「あっ、はっ、うあぁっ!」 最奥に達した触手が波打つように蠢きはじめると、摩耶の身体がそのたびに与えられる苦痛と快楽に震え、跳ね上がる。 更に容赦のないヲ級のもう一本が、異物を挿入され張り裂けそうな秘唇の上でてらてらと淫らに光る敏感な核を、ごりごりとしたその先端で圧し潰すように強く強く擦りはじめた。 「あぁん!んはぁ、ひぁあ!…もう…やぁぁぁッ!ぃ…く…ぅッ!」 背骨が折れるほど身体を反らし、白目を向いてびくびくと大きく痙攣しながら摩耶は達した。 ずちゅずちゅと、彼女自身が大量に分泌した雌汁を跳ね上げるほどの勢いで入口から最奥までの往復を繰り返す触手に、更にもう一本が加わり――容赦なく、摩耶の秘所をずぶりと貫く。 「いやあぁぁぁぁぁ――――!」 二本の太すぎる痛みが、張り裂けそうな膣内でぐねぐねと蠢く。それぞれが膣壁を擦るその感触が、摩耶を絶頂からいつまでも解放しない。 「いやっ、いやっ、ああああ――」 ぬらり、と触手の先端に子宮の入口を撫でられた瞬間、絶頂感の更に更に上、この世のものとは思えない狂気的な快感が摩耶の全身の毛孔を開かせ、眼を見開いての金切り声が自分の耳すら痛めつけた。 不安と恐怖に苛まれ、極限の快楽を流し込まれ、心臓がどくどくと痛む。 腰の奥が甘く切なくどうしようもなく疼き、脳髄には容赦なく苦痛と快感が交互に同時に突き刺さってくる。 ――やめて。もうやめて。殺して。お願い。 ひくひくとだらしなく濡れた肛門から更に一本が侵入を試みてきたとき、白くちかちかと瞬く目蓋の裏で、摩耶は本気で死を願った。 だが。 最後まで、彼女は言葉で敵に慈悲を乞うことを自分に許さなかった。 下唇を血が滲むほどに噛みしめ、耐える。 …違う。 死ぬべきはアタシじゃねぇ。 殺す。こいつら必ずブッ殺す。コロス。コロス! 「……!」 二体の深海棲艦を睨み付けた、視線。 屈辱を殺意に変えての、決して屈伏せぬ野獣の気迫を見せた、その途端―― ――リカイシタ。ホキユウサギヨウヲテイシセヨ。 喘ぎなから嬲られる彼女の恥態をじっと見つめていた新型がそう言いながら腕組みを解くと、最後まで表情を変えなかったヲ級の触手が四肢の拘束のみ残して一斉に引いた。 がくん、と解放された摩耶の身体が糸の切れた人形のように横たわった。意外に細い肩だけが、熱い息、荒い呼吸を弾ませる。 ――ドウホウニツグ。コレヨリコノモノ、トウカンノアズカリトス。 珍しい昆虫を見つけた少年のような、好奇に似た表情を浮かべた黒衣の娘が、周囲の空間に向かって何かを宣言した。 ぐったりとした摩耶へ近づき、そのまま彼女の形の良い顎を指先で軽く上向かせると、にっこりと笑いかけ―― 「――強いね、キミ」 「な…!」 流暢にして甘美な『声』。 「だからボクが、たっぷりとおもいださせてあげる。君がなぜ、何をするために産み出されたモノであるかを」 「そんな…ん、む…」 更に、驚愕に目を見開いた彼女に与えられた、甘く柔らかな口づけ。 完全に隙を衝かれる形となった摩耶の心は震え、魂は混乱する。 停止させられた白紙の思考に与えられる、温かくねっとりと口内を犯す舌使いの感覚。 暴力しか与えられなかった女の本能がその優しさに、奇妙な唾液の味に、歯髄をなぞる相手の舌の感触に、脳髄を鈍く甘く痺れさせていき―― 「……んっ」 摩耶は自分でも意識しないままに、やがてその瞳の奥の光をとろかせ、ただ柔らかく心地よい相手の舌の感触を更に味わうべく、自ら舌を絡ませていた。 それが『終わり』であるとは、彼女はもはや、考えることができなかった。 *** 『――緊急警報、メイデイ、メイデイ。哀れな戦艦『長門』さんはこれから10秒後に撃沈します。総員退避をお願いしまーす』 猫がネズミをいたぶるような、猛禽が飛べぬ獲物を嘲るような。呪わしい声が、通信録音の内容として会議室に響き渡った。 『逃げろ…提督ッ…!…うあぁぁッ!』 微かに聞こえた長門の絞り出すような声が、悲鳴に変わる。 『聞いてるかぁ?クソ提督さんとその他一同よぉ。今日がてめぇらのめでたい沈没日だ。楽しい楽しい深海に、鎮守府御一行様を全員ご案内してやるぜ』 『…何者だ。貴様』 耳障りな笑い声に、怒りと困惑の篭った提督の声が割り込んだ。 『つれないねぇ提督。この声を忘れやがったか』 『なんだと……まさか……お前、先日の戦闘で……』 『帰ってきたんだよ。アタシは深海棲艦たちの依代となって、本当の自分をやっと手に入れた――じゃ、すぐ着くぜ。首でも洗って待ってなよ』 『…待て!『摩耶』ッ!』 ぶつっ、という不吉な音と共に――おそらくは長門の運命と共に――通信は終わった。 「…対潜哨戒に当たっていた『長月』『菊月』から連絡が途絶えたのはおよそ一時間前。そして威力偵察に向かった『長門』『加賀』からのこの通信はおよそ10分前――おそらくあと30分もせず、摩…敵艦はこの鎮守府に到達する」 鎮守府内作戦会議室、緊急招集を掛けられた全艦娘に向かって重苦しい口調で伝える提督。 と、突然、沈黙を破って青ざめた顔の秘書艦『神通』が部屋に飛び込んできた。 「通信報告!『日向』『大和』、共に大破の報有り!敵艦は単艦、なお無傷の模様!」 「全力の防衛線も、まるで無力か……」 新たな報告に拳を震わせ、苦渋に満ちたその表情は、決して迫りくる破滅の恐怖に怯えている訳ではなく。 かつての部下を沈めてしまった後悔と、その後の更に哀れな運命に弄ばれる彼女のことを思ってのものであることはこの場のすべての艦娘が承知していた。 「司令官。私が出る。あの装備をまた、用意してくれないか」 僅かな沈黙の後。一人の艦娘が、意を決したかのように立ち上がった。 「…しかし『那智』、あの試験艤装はまだ調整が……それに、君の船体への…」 「他に手はない。時間もない。……それに、摩耶は私の親友だ。私が、止める」 彼女の意志も、正論も、その真剣な眼差しも、覆す術を持たない無力な提督が導き出せる解答はひとつしか無かった。 「………分かった。……彼女を――頼む」 「そんな顔をするな、提督。心配ない――あの後先考えないバカの後始末は、いつも私が押し付けられてきたんだ」 だから。大船に乗ったつもりで、待っていてくれ。 言い慣れない冗談を言いつつ頼もしい笑顔を浮かべた那智の顔を、提督はどうしても見ることが出来なかった。 「――来たか。摩耶」 鎮守府正面海域。 腕組みをして仁王立ちした那智が、水平線の彼方から現れた異形の艦娘を、殺気を込めた切れ長の眼で睨み付ける。 その右腕には、圧倒的に巨大な46センチの三連砲。 「出迎えはてめぇか、那智。御大層な装備じゃねぇか。それがお前の改ニってか?」 全身をぬめる嵐の色に染め、両の瞳を黄昏の黄金色に爛々と輝かせ。 鎮守府が空母『ヲ級』と呼称する深海棲艦と同様、半裸の身に不気味な怪物を纏わせた異形に身を堕とした『摩耶』が海上数メートルの距離に立ち、嘲るようにそう言った。 「改二ではない。私がこれを装着するのは、これが最後だ」 「お前はお高いドレスは悦ばないタイプだと思ってたぜ?」 「貴様こそ最悪に似合わん帽子だな。首が重くないのか?」 顎を軽く上げて見下しながらの那智の台詞に、下から睨み上げた摩耶が舌打ちを響かせる。 「けッ……まぁなんだっていい。この摩耶様が、五秒で沈めてやるぜ」 「お前は私が止める。『那智・最終試験改装』、推して参る!」 次の瞬間。那智が、後方に派手な水柱を上げつつ先手で摩耶に襲い掛かった。 「…ッ、バカな、なんて船速……!そのタービン音、まさか……」 「みんなが力を貸してくれたのだ――お前を止めるためにな!」 「……『島風』の動力かッ!?」 大きな弧を描き、しかし一瞬で摩耶に背後から近づいた那智が放った主砲――『大和』から譲り受けた海戦史上最強の砲撃が、海を揺らす。 「…くっ!」 「スキありだ!」 辛うじて零距離での直撃をかわした摩耶の隙を逃さず、那智の渾身のサイドキックがその身を捉えた。 速度と重量の十分に乗った破壊力が彼女の身体を大きく吹っ飛ばし、海面にその身を叩き付けた。轟音と共に、海上に機雷の爆発のような水飛沫が上がる。 やがて収まった波紋の中心、腹部を押さえて海上にゆらりと立ち上がった摩耶が、その顔に禍々しい笑みを浮かべた。 「……なにが可笑しい」 「ククク……なるほどその火力と機動性、確かに重巡の身でないと実現できないバランスって奴だ。……だがなぁ!」 一瞬で間合いを詰めた摩耶の拳を、頬をかすらせて那智がかわす。 そのまま至近距離での、格闘戦の応酬。 互いに噛み合う狼のように攻撃、視線、気迫をぶつけ合ううち、那智の表情が一瞬曇る。 「分かるぜ、てめぇの艦体がキシんでやがるのがよぉ!そんなスピードでクソ重い武器、いつまでも振り回せるはずがねぇ!こっちから懐に飛びこんじまえば――」 巧みに誘導された重量が、一気に片足に掛かる。一瞬よろめいた隙を逃さず、摩耶の強烈なタックルが那智の身体の中央を捕らえた。 「ぐはぁッ!」 思わず、那智の肺腑から熱いものが吐き出される。 異形の怪力が、放たれた矢のように海面上を一直線に那智の体を吹き飛ばした。 飛ばされたその先には――鎮守府。 中途に集積されていた資材と接触して派手に吹き飛ばし、 轟音と共にドック施設の外壁に叩き付けられ、 その瓦礫に半ば埋もれるようにして、那智の体はようやく停止した。 「くぅッ……」 「ようやく合点が言ったぜ。そんなイカレた艤装試験にお前が選ばれたのはな、たとえブッ壊れても戦力的に痛くも痒くもねぇからよ。……ちょっと早いがゲームオーバーだ、那智」 追ってついに鎮守府敷地に上陸した摩耶の周囲に、次々と深海棲艦の小型使役獣が現れる。 浮遊するその数はやがて並の深海空母の操る倍、およそ二十を越えた。 「アタシの可愛い艦載鬼たちに粉々に噛み砕かれて、大好きな鎮守府ごと――消えな」 凶悪な笑みを湛えた摩耶が、対象をゆっくりと指し示した瞬間。 飢えた野獣のように、一斉に使い魔たちが獲物に殺到した。 「あっははは!壊れろ、全て!!」 連続着弾の閃光と爆煙が視界を遮る。 やがて彼女の前に姿を現したのは四散した那智の残骸と、廃墟と化した鎮守府―― ではなく。 「バカな……」 摩耶の顔が、驚きに歪められる。 「全機撃墜されただと?あの一瞬、この距離で?!」 「……摩耶。那智は、そしてこの鎮守府は私が護ります」 「『妙高』ッ!!てめぇッ!」 晴れた視界の先にあったのは倒れた那智の肩を抱き、大型の盾を構えた艦娘――。 「野郎……艦娘にイージスシステムとは魔改造にも程があるぜクソ鎮守府ッ!」 「試作型『フェーズドアレイシールド』全域展開。――もはや指一本も触れされませんよ、摩耶」 普段は限りない優しさをたたえた妙高の視線が、強い敵意を込めて摩耶を押さえつける。 「クソッ!那智一隻なら片付いてたものを――」 「単艦では出来ないことが、艦隊ならば出来る。そんな事実も深海に忘れてきたのか、貴様」 那智が額から血を流しながらも再び立ち上がり、壊れかけた砲を構え摩耶を睨み付ける。 「くっ……おおおおオオォ!!」 ケダモノじみた咆哮を上げ、摩耶が再び背後の海上に一瞬で飛び下がった。 「面白ぇ!面白ぇぇ!この摩耶様の全弾一斉砲撃、耐えられるもんなら耐えてみやがれぇ!」 絶叫と共に摩耶の背後から蠢く巨大な十本の触手が現れ、その一本一本が大口径の砲身へと姿を変えてゆく。 「下がった!今だ『足柄』!」 「りょーかい!出し惜しみ無しで行くわよ!」 「何?!」 那智の後方。鎮守府施設屋上に、応えた艦娘が姿を現したのを摩耶は視界に捉えた。 その両肩に抱え上げた、巨大な――途方もなく巨大な、まるで『建造物』と称するのが相応しいような二つの発射装置が、自分に向けられていた。 「12式地対艦誘導弾、発射!……かーらーのー」 ズシン、ズシンと鎮守府の建物を揺るがしながら発射を終えた両肩のランチャーを捨てると、しなやかな右手が天を指す。 次の瞬間。その指示に忠実に従うように、身に纏った艤装のあらゆる場所から発射された小型ミサイルが、足柄の長い黒髪を舞わせながら次々と天へ向かう。 「VLS!行きなさい!」 「ッの野郎オオォォォォォ!!!」 足柄の指先が、砲撃姿勢を中断し回避体制に入った摩耶を指し示す。 正面からの地対艦ミサイルを辛くもかわしたところへ、頭上から艦対艦ミサイルの雨。 連続着弾による紅蓮の爆発に包まれたのは、今度は摩耶の方だった。 「ケッ……こんな小玉の花火!この摩耶様の装甲にゃ目眩まし程度で……」 「目眩ましになれば、充分です」 「!?」 爆炎も収まりかけた頃、すぐ背後から聞こえた声に、摩耶が驚き振り向く――そのとき。 両腕をがっしりと羽交い締めに固められ、振り向くことも出来ないことに気づき、摩耶は激しくもがいた。 「ちっくしょ、ステルス強襲艦仕様かッ!コソコソした弱虫のてめぇにゃピッタリだな『羽黒』ッ!…離せッ!」 「離しません!弱虫な私でも可愛がってくれたあの摩耶さんが私は大好きだったから――これ以上貴方に泣いて欲しくないから、もう絶対に、離さない!」 「誰がッ!泣いてるッてんだ!この野郎がぁッ!」 がつっ、がつっと何度も後頭部を羽黒の顔面に叩き付ける鈍い音が海上に響く。しかし顔を傷つけられつつも、決意に満ちたその細腕は僅にも揺るがない。 「ケッ!だがこんなにくっついてりゃ、他の奴等も砲撃爆撃なんざ出来やしねぇ!覚悟は結構だが、ちっと考えが――」 はっ、と殺気に気付いた摩耶が正面に意識を戻したとき。 漆黒の反り身を大上段に構えた那智の姿が、眼前にあった。 「てめぇ……そいつは……」 「斬艦刀『船切(フナキリ)』。天龍が持っていたものを、更に打ち直したものだ。――これなら貴様のみを、再び深海に葬れる」 「……ッ!」 逃げ、攻め、すべての手を封じられた。 チェックメイト。最強のはずの自分が。こんなにも、あっけなく。 「終わりだ、摩耶。――まったく、散々暴れやがって。結局また私に、後片付けを押し付けたな」 「…そう言うな、これで最後だ。勘弁しろよ、那智」 先ほどまでとは別人のように穏やかな表情を見せた摩耶に、那智のそれが驚きに変わる。 「摩耶…お前…」 「あぁ全く、サイコーに気持ち良かったぜ。兵器としての本分を全うできて、お前とおもいっきり戦えて、アタシは満足だ………泣いてんじゃねぇよ、バカ」 「…バカはお前だ…」 理由の分からない笑みが、思わず互いにつられあうように引き出された暖かくも苦い笑いが、二人の顔に浮かんだ。 ――あばよ。最期に楽しい良いケンカだったぜ。 ――ああ。来世でまた、盃を交わそう――。 視線で言葉を交わした瞬間。 迷いなき刀身の軌跡が、摩耶の頭上に振り下ろされて―― 「…はッ!?」 目覚めて勢い良く上半身を起こした摩耶の視界に入ってきたのは、 薄暗い室内、コタツの上に散らばった空きビンと空きカンと柿ピーの残骸。 思い思いに床に転がり、それぞれ上から軽い寝具を掛けられて安らかに寝息を立てている羽黒、足柄、妙高。そして―― 「起きたのか、摩耶。朝までいても構わないが、風邪を引くなよ」 窓際で一人まだ飲んでいたらしい、那智が静かな視線でこちらを見ていた。 「…こ…ここは…」 「妙高型の居室、時刻はマルフタサンマル。お前は真っ先に酔っ払って寝てしまったがたった今目覚めたところだ」 寝ボケてるのを察してくれたのか、状況をやけに細かく説明してくれる那智。 つまり…… …………夢?!夢オチ?!! え?!っつーかアレ、何? 前半はアレか、最悪、欲求不満がまぁ積もり積もってあんなカタチになってしまったとしても(最近提督も相手してくれねぇし)、 …後半は何だったんだよ?!つーかアタシ悪役似合うな!!なんか妙にイキイキしてたし!! ……な……なんかすげぇはずかしぃ………/// 「どうした摩耶?顔が赤いぞ。本当に風邪引いたんじゃないだろうな」 すっ、と那智の手が額に当てられる。ぼっ、と火がついたように顔が一気に熱くなる。 「い、いやいやあのあのな?だ、大丈夫で、だからその、」 「熱はないようだが。自分の部屋に帰って寝るか?」 「いや、…大丈夫。…今日はお……ここで寝る!」 お前らと一緒にいたい、と危うく出かけた言葉を飲み込んで、摩耶はばさりとコタツ布団に潜り込んだ。 「変な奴。ま、好きにしてくれ」 「なぁ那智よぅ。……お前さ…おもいっきり暴れたい、とか思ったことある?」 「なんだ。面白い夢でも観たのか」 あぁ。傑作だぜ、今日のは。 口の端がにやりと歪むのを、我慢することができない。 夢。夢だった。全部。 嬉しいのか。楽しいのか。単に酔っぱらったか。…うん、それだ。最後のに違いねぇ。 「あのな…」 ――なんだかんだで最高に幸せな、自分の日常。 その夜は、心ゆくまでそれを噛み締めた摩耶だった。 (FIN.) +後書き 349 :341:2014/03/27(木) 01 46 36.19 ID nnF6QNMd 以上、エロパロで何書いてんだという感じですが後半は中二的展開を貫いて満足しました お目汚し失礼しました 350 :名無しさん@ピンキー:2014/03/27(木) 01 47 44.32 ID rylXQN17 あ、ありのまま今起こった事をはなすぜ 珍しい麻耶様のエロが始まったと思ったらスーパー艦娘大戦が始まった… なんにせよ乙、強がりながらも最終的に少女な面を出しちゃうとか最高やないか…
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前回の話 「今日の戦艦の防御力は凄かったね~……」 北上が納得の行かない演習結果に疲れたようにぼやく。 「完っ全に作戦が悪かったのよ……」 戦術的には勝利判定となったのに大井も不満気だ。 「………」 その二隻の小言に挟まれる指揮官の自分は、少しではあるが肩身狭さを感じ反論は一つもできない。 練度をひたすらに極めた相手艦隊の戦艦はデータ上は低速であるはずだが、 装甲の厚さと侮れない回避力を前に決定的な打撃を与えられなかったのだ。 それに加え、嘗ての海軍に見限られる程に魚雷とは元来命中率の低い艦装であり、 努力で完全に克服できる柔な宿命ではない事も熟知しているつもりだ。 かと言って本当の意味での重雷装艦とさせた魚雷のみの大井と違い、 比較試験のため片腕に主砲を残している北上が大井よりも良好な戦果を挙げたかと言えばそれもまた難しいもので、 果たして此奴らはどのように運用するのが正しいのか、 長い目で見てきても未だに結論付ける事が出来ないでいる。 北上が言うように此奴ら重雷装艦とは甚だ扱いが難しい船で、戦艦のように単純明快とはいかない。 それでも何故此奴らを使い続けているかと言うとそれは自分の趣味でしかなく、 此奴らにその事を尋ねられた時は何時だって重油を濁してきた。 特に練習艦として使われ続けるうちに作戦内容に敏感になっていった経歴を持つ大井の前でそんな本音をほざいてみろ。 冷たい魚雷でぶん殴られ木の床に沈められるのは目に見えている。 「あらやだ。北上さん、碌な作戦も考えられない提督ったら何も言えないみたいね」 「まあそう言わないであげなよ。提督も提督なりに考えてるんだからさ、って……」 「……やっぱり何も考えてないんじゃないんですか? 提督笑ってますし」 しまった、顔に出ていたか。 私の顔なんか見上げていないで二隻だけで和気藹々と駄弁ってくれればよかったものを。 「笑ってない。作戦は真剣に考えているつもりだ」 焼け石にバラスト水であろうと、念のため取り繕っておく。 次に聞かれたら重油をどう濁すのが格好付くか、とか、 これだから重雷装艦は面白いだとか考えていたのがばれるのは此方としては面白くないのだ。 「いや笑ってたよね」 「笑ってましたね誰が見ても」 「笑ってない」 「笑った!」 「笑いました!」 「笑ってない!」 ああもうゲシュタルト崩壊するからやめてくれ。 馬鹿みたいな言い争いを繰り広げながら廊下の右への曲がり角の一つで立ち止まろうとする。 すると。 どんっ! 「うわっ!」 曲がり角の側を歩いていた北上に突然衝突された。 衝突と言っても小突くような程度のもので、自分に被害はない。 北上はその後よろめいて尻餅を付いた。 正確には、北上に衝突されたと言うより……。 「いったー……」 「ううぅ、またやっちゃ……え?」 同じく床に座り込んで頭を押さえ唸っているのは、軽巡阿武隈であった。 どうやら自分らが五月蝿く騒ぎ立てていたせいで、阿武隈が廊下を走っていた事に気付けなかったらしい。 "廊下を走るな"の貼り紙を"廊下は静かに歩け"と書いたものに変えるべきかもしれない。 阿武隈が掟を守る気がないのか、貼り紙に気付かないのかは定かではないが、どちらにせよ効果は薄そうだ。 「き、北上さん、と、大井さん……」 貼り紙だけでなく私も見えないのか。 書いた者の存在感が薄いと貼り紙もそうなるのか。 怒っていいか。大井が。 「阿武隈ちゃん? "廊下は走るな"って、書いてあるわよねぇ?」 突き当たりの壁に貼られたそれを指差してくれる。 ありがとう大井。大好きだ。 「乱暴な字ですけど」 五月蝿い。 時間が推している時に何枚も手書きした物だから諦めろ。 座り込んだまま次第にこの世の終わりを悟ったような顔に変化していく阿武隈と、それを修羅の顔で見下ろす大井。 それは、何処から見ても蛙と蛇の図だった。 「ご、ごっ……、ごめんなさああぁぁい!!」 耳をつんざく大音量で放たれた謝罪の言葉が、ドップラー効果を持ってこの場に残る。 音爆弾の艦装は載せていない筈だが。 つまるところ、阿武隈は北上に当て逃げしていった。 せめてこの場で止まって謝罪していれば擁護する余地もあったのだが。 ところで、来た道を脱兎の如く全速力で戻って行ったが、阿武隈は何の用事があったのだろう。 「よくも北上さんを……、うふ、うふふふふ……」 「こら、美人がしちゃいけない顔になってるぞ」 演習を終えてすぐ艤装を下ろしていなければ阿武隈に攻撃していそうであった大井を窘める。 修羅を思わせる顔の歪め方をしていた大井は私の言葉にきょとんとし、 一呼吸置いて満更でもなさそうに少しだけ顔の歪みを戻した。 「……美人? そうですよねー、堅物気取りでヘタレな提督を骨抜きにしたんですからねー」 「あのな」 合ってるけれども。 「……いちゃついてないで助けてくれないかな」 「いちゃついてませんよ。……北上さん、立てる?」 大井は姉妹艦を心配するのみの顔付きに変化させ、手を差し伸べた。 大井の手を取り起き上がった北上の装甲は少々傷ついている。 「あーもう小破しちゃったよ。せっかく入渠したのに……」 この後すぐには出撃命令は出さないから、もう一度ドックへ行くか明石の世話になってきなさい。 ただ高速修復材の使用は控えてくれ。 あまり時間もかからないだろうし、何よりこんな下らない事故で一々使っていられない。 兎にも角にもあの阿武隈には後で私から言っておくから許してやれ。 「え? あの娘のところに行くんですか? …………」 どうした。自分で手を下さないと不満か。 「あんな娘の元なんかに……、いえ、何でもないの」 大井は取り繕うようにやけににっこりと笑って艦首を振る。 一先ず自分はこのまま執務室に行くから、大井は北上を連れて行ってやりなさい。 「いいよ、小破なんだからあたしだけで」 「駄目よ、また何か起こるかもしれないわ。守ってあげるから一緒にドック入りましょう!」 ドックまで連れて行ったら大井は戻るんだぞ。いいな。 「ッチ」 おい。 あの後阿武隈の部屋を訪ねてみたが、阿武隈は不在だった。 大井に襲撃される事でも恐れて逃げたか。 仕方なく執務室に戻り、演習前から置き去りにしていた書類に手を付けていると、扉が叩かれる音が響く。 「大井、戻りました」 うむ。 では早速で悪いがそこに分けておいた書類を処理してしまってくれ。 自分は此方の束に集中したい。 「分かりました。さっさと終わらせましょう」 そう意気込んで大井は私の隣に座り、筆を握る。 私の任務は小一時間かかりそうだが、大井の方は半時間もかからないだろう。 共に黙り込んで紙の束を消化していく。 自分の見込んだ通り、大井は時間をかけずに素早く消化してしまった。 やる事がない大井は姿勢を崩しながらも健気に私の作業の終焉を待ってくれる。 特に喉が渇いてはおらず、お茶淹れにも断ったので尚更退屈そうだ。 それからまた数分そうしていると、視界の端で大井は突然ぶつぶつと何事か呟き始める。 「北上さん、大丈夫かなぁ……。私がいないと心配だなぁ……。 うん……、心配……きっと、そう、きっと何か起きてる! 私、行かなきゃ! …………」 …………。 何なんだ。 その、ちらっと此方を伺うような横目は。 返事でも求めているのか。 何を返せば満足なのか。 あと少しかかるから、それまでは好きにしろとしか言えない。 集中しているのだから。 すると、まるで代わりに答えるように鳩時計の針やら歯車やらの機械音の後に鳩が鳴く。 「……あらやだ、ヒトナナマルマルです。もうすぐ夕食の時間ですね。私、ちょっと夕食の仕込みしてきますね」 む? 間宮の手伝いでもするのか。 出来ると言うのであれば行ってこい。 しっかり頼むぞ。迷惑はかけるなよ。 「言われるまでもありませんよ」 大井が出て行ってから、暫くして本日付の執務は粗方片付いた。 後は余裕があれば片付けた方がいいものもあるが、集中力を切らした自分は食堂へ足を運んでいた。 騒がしい食堂の厨房には割烹着に身を包んだ間宮と大井の姿が。 大井が持っているその蓋付きの鍋の中身は何だ? 「勿論、愛情たっぷりの、大井特製カレーです!」 ほう、カレーか。 今日は土曜日ではないが、良かろう。 実際土曜日にカレーを作るなんてのは、多くの兵が艦上で何日も過ごす事のある海軍の名残りでしかないから構わない。 ではその愛情を香辛料にしたであろうカレーを貰おうじゃないか。 そういえば北上の姿が見えないが、修復はまだ終わらんのか? 「あ、いえ。それが、北上さんにもあげようとしたら、もう夕食は済ませたって……」 それはそれは、残念だったな。 まあ安心してくれ。 大井の有り余ってしまった愛情は私が全部頂く。 私と北上にしか食べさせる気がなかったのか、そのくらいの鍋ならおかわりすれば完食できるさ。 早速よそってくれ。 「はい。では、そこの席で待っていてください」 そう言って大井の目線の先の席とやらを見る。 そこは二人用の小さな席がぽつぽつある食堂の入り口付近で、 多くの艦娘が陣取る海を一望できる窓際辺りと比べると閑散としている。 あそこじゃないと駄目か? 間宮の作業場が見えるカウンターか海が見える窓際近くがいいんだが……。 「だ、駄目です。あまり騒がしいところは好きませんので」 むう。まあ良かろう。 そこまで執着はしない。 素直にその席につき、大井はテーブルに鍋を置きまた引っ込む。 今度は割烹着を脱ぎ、白飯を盛った皿を持って現れた。 同じように大井も対面した席につき、鍋の蓋を開ける。 すると、厨房で歴戦を繰り広げた証である湯気と香りが立ち込める。 今日もカレーは美味そうだ。 「"は"とはどういう意味ですか。頭にぶちまけますよ」 一々細かいところに突っ込むな。 大井の愛情を頭から被るのは悪くはないが、これは愛が情熱すぎて火傷を負ってしまうからまた別の機会に頼むぞ。 では頂くとしよう。 「はい。召し上がれ」 薔薇を思わせるにっこりとした笑顔で許可を頂いたので、白飯とカレーを掬ったスプーンを口に運ぶ。 米特有の甘みを持つふっくらしつつも立った白飯と、辛過ぎない程度に食欲を促進させてくれる香辛料の入ったカレーは、 自分好みに調理されている味で毎度ながら感服される。 一口目を咀嚼して飲み込んだ後、大井は最早聞き飽きたであろう短い賞賛の科白を今日もつく。 よく出来ている。美味い。 「美味しい? そうでしょう?」 嗚呼、具も柔らかく煮込まれている。 完璧だよ全く、カレーはな。 「一言多いです。文句言わず食べて下さい」 言われなくとも二口目を運び、大井を観察する。 テーブルに両肘をついて頬に手を当てる大井は、 美味しいと言ってやれば嬉しそうに目を細め、今のような戯言を言ってやるとむっとして口角を下げる。 内に秘めるように普段微笑を浮かべていながらも、実際はこうしてころころ表情を変えるから面白いものだ。 二口目も飲み込み、すうっと流れる後味の中、自分の味覚は何時もと違う何かを感じ取った。 大井、隠し味か何か入れたか? 「あ、分かりますか? 隠し味を入れてみたんですよ」 ほう。自分はそういった試みに挑んだ事が無いから分らないんだが、何を使った? チョコレートか? 牛乳か? 「愛情を入れました」 自分は、がくっと少し首を横にずっこけさせた。 それはさっき聞いた。 そうじゃなくて、何か別の食材でも入れたんじゃないのか。 「はい。いつもお疲れの提督の為に、元気になるものを入れました」 「ふうん……」 漢方薬か何かだろうか。 心遣いは身に染みるが、カレーの隠し味には はっきり言ってしまうと合っていない。 しかしカレーの味を壊す程不味くもないので、自分は気にせずまたスプーンを口に運ぶ。 話は変わるが大井よ。 お前は食べないのか。 「え……。私はいいんですよ、提督のために作ったんですから」 なら一口やろう。 ほら、あーんだ。 「い、いやっ、私は……」 どうした。 何故差し出したスプーンから逃げるように身を引くんだ。 料理の基本である味見も毒見も行ったのだろう? 不味くないから大丈夫だ。 大井が食べないで私だけ呑気に食べてはいられない。 ほら、口を開けてくれ。 「で、でも……」 ははあ。 もしや間接キスでも気にしているのか? それ以上の事をやってきてこんなので恥ずかしがるとは、大井は乙女だなあ。 「恥ずかしがってなんかいませんよ!」 だったら一緒に食べような。 ほら。 「……ぁ、あーん……」 大井は自分で作った癖に、 まるで苦手な物でも食べる子供のように目を瞑ってスプーンのカレーを口で受け取り、不安そうに口を動かす。 何を怖がっているんだ。美味しいだろ? 「お、美味しい、です……」 そうだろう。 私の為に愛情込めて頑張って作ってくれたんだから、不味い訳が無いんだ。 この分だと鍋の方も冷めるまでに食べ尽くせるな。 このカレーは二人で食べてしまおうな。 ではもう一度。あーん。 「そんな……」 何か言ったか? 此方から口に入れておいて悪いが、よく聞こえなかった。 「んくっ。い、いえ、何でもないの」 そうか。ならさっさと食べてしまおうな。 遠征部隊もそろそろ帰ってくる頃だ。 そう言って自分は腕時計を気にしながらカレーの咀嚼に勤しんでいた。 その隙に、大井が恨めしげに何事か呟いていたのを自分は全く気付けなかったらしい。 「ううっ、どうなっても知りませんから……!」 さて、それからというもの自分と大井で手分けして時間もかからずに一つの皿を二回空けた。 のだが、自分の身に異変が生じていた。 別段激辛のカレーを食べた訳でもないのに……。 「はぁ、体が熱くなってきた? そうでしょう、ね……。はぁ……、はぁ……」 そうなのだ。 体の中を熱が疼く。 運動していないのに息が荒い。 屋内なのに汗も滲み出ている。 そして何より、同じような症状が出ている大井が、何故かとても扇情的に映える。 一応断っておくが、自分は時と場所を考えずにこんな情を抱く獣のつもりはない。 大井も途中から自棄になってカレーを食べていたが、お前は本当に何を入れたんだ……? 「言ったでしょう……。ん、提督が"元気"になるものって……」 まさかとは思うが、もしかして。 自分がやがてある一つの答えに行き着き、口にする前に大井がゆっくりと立ち上がる。 テーブルに両手を突いてやっと立ち上がった大井はふらふらになりながら私の肩に縋り付き、 私の耳元で妖艶に何事か囁きかける。 「早く、はぁ……、早く、はぁ、行きますよ、執務室……」 大井が食堂の入り口から近い席に座るよう指示したのは、この為だったのだろうか。 自分も、そろそろ我慢が限界を迎える。 …………………… ………… …… 共に危ない足取りで執務室に引き篭もり、施錠した。 カレー鍋も、食器一式も放置してきてしまった。間宮よ許してくれ。文句なら大井に頼む。 残った理性の欠片はそんな事を遺言とし、弾けた。 執務室の扉に大井を押し付け、次々と口付けを落とす。 「っ、はぁ……。好きですね、提督も……」 「"も"ってのはどういう意味なのかな」 「一々拾わないでくれませんか……」 知った事か。 お前にだけは言われたくないね。 同じ物で塞がれれば物言えなくなると思うが。 「黙ってて下さい。ちゅう、ちゅ……」 首を伸ばすようにして私の口に大井は吸い付く。 大井の柔らかい両手が私の顔を包む。 まんまと嵌り、共に戯言をきけなくなり、部屋には夜戦の始まりを告げる音だけが響く。 「っぱ、はぁ、はぁ……」 やがて口を離した頃、大井は体を完全に扉に預けてしまっている事に気付いた。 自分も両手を扉に預けてやっと足を床に支えている状態だ。 「はあ、ほら、向こう行くぞ……」 「……っ」 大井は顎を引いた。 私の肩にしがみ付く手を取り、更に奥の私室へ連れ込む。 寝具に飛び込み、事を再開した。 装甲の乱れた大井の扇情的な姿に堪らず、色んな場所に口付けを落とす。 まず、足。 「はぁっ……。提督、んっ、そんなところにして、楽しいですか……、んっ……」 聞かず唇を押し付け、吸い付く。 十数秒もそうしていると、いい具合に白い足に跡が付いた。 周辺に幾つも付けていく。 気が済んだら、次に、腹。 「ぅ、ん……、んっ、臍に、興味があるんですか……?」 次に、手の甲。 「っ、ふふ……。はぁ、気取らないで下さいよ……」 次に、首筋。 「っあ……、はぅ、うぅ……」 最後に。 「っ、やっとですか、んむ、……ちゅ、ちゅ、ぇる……はぁ、ちゅる」 自然と共に口を開き、小さな舌を絡める。 情はどんどん深まり、口だけでなく互いの首が互いの腕で繋がれ、足も縺れ合う。 身を引き寄せ合い、互いの熱を共有する。 大井のボイラーは自分に負けずひどく熱い。 あのカレーは殆ど半分ずつ食べたようなものだからな。 特に熱暴走がひどいのは下腹部だ。 自分の考えている事を読むように、大井の手が私の局部を布越しで擦る。 「ちゅく、っあ、はぁ、はぁ、提督の魚雷、もう硬くなってるじゃないですか……」 誰の所為だ誰の。 責任取れよ。 「ふぅ……、んん、こんなつもりじゃ、なかったんだけどね……」 「責任取って、処理してあげます……。私だけが、ね……」 …………………… ………… …… 「どうしたの大井っち、前の服なんか着て」 「え、北上さん!? えと、気分よ、気分……」 午前。 やっと昨夜ぶりに邂逅を果たした北上が、大井に話しかける。 臍部分が隠れる以前の装甲に身を包んだ大井は、後ろ指でも指されたように僅かに飛び上がった。 「なんでずっと魚雷つけてるの?」 「え、こ、これは……。そう! 昨日北上さんに衝突した艦に制裁を与える為よ!!」 大井は仇討ちに燃える修羅を演じているつもりか、腕を突き出す。 しかし説得力がない。何故なら。 「じゃあなんで補給してないの?」 「えっと……、暴発したら危ないじゃないですか!!」 魚雷が一門も装填されていない発射管を見せられて、誰もが疑問を持つ筈である。 見事に打ち破られた大井は最早言っている事が支離滅裂であった。 その横で自分は知らぬ顔を貼り付けつつ、自分は北上と同じように大井に疑問を突っ込む事もしなかった。 真実は自分と大井しか知らない。 朝になって我に返った自分らは、体のあちこちにできた夜戦の痕跡である赤い印をどうにかして隠す事に奔走した。 自分は元々袖も丈も長い服装なので今まで通りの格好で良いのだが、 それなりに露出がある大井はそうも行かない。 大井の首筋は長髪に隠れるから良いとして、足、腹、手の甲に私がつけた印をどうするか。 議論の結果、腹まで隠れる装甲に変更し、足と腕に艦装を施していれば隠れる事が分かり、今に至る。 これに阿武隈への仇討ちの意志は全く含まれていなかったが、北上の言葉で大井は思い出してしまっただろう。 本当に仇討ちを遂行しかねない。 阿武隈よ南無三。 これに懲りて金輪際廊下を走らない事だな。 唯、刑執行人が大井の場合だと金輪際走る事が出来ない体にさせられそうである。 そのブレーキ役となるべく、今日は一日一緒にいるとしよう。 「はい、提督にオムライスです。……え? いやだ、愛情以外何も入ってませんよ。うふふ……」 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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806 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 20 55 04 ID WPQREMKw 以前浜風が無理やりフェラして吐く長編を書いた者です。 上の方でトリップつけたほうがいいというような議論があったみたいなのでつけさせていただきます。 祥鳳って前付き合ってた男の事をずっと根に持ちそうだなという発想から大鳳との修羅場ものを書きました。 長編未完 エロ薄い(後の話でもっとがっつり塗れ場を書きます) なので苦手な方はスルーをお願いします。 行間詰めすぎとの事だったので台詞前後に空行を入れます。 序章 吸い込んだ空気は容赦なく、喉を炙るように通り過ぎた。肺腑凍てつき、背筋には槍の刺さったような痛みが走り、彼は思わず真白 い吐息に手をかざした。波の岸壁に打ちつけるごぅごぅという音が、厭に大きく厭に不気味に、辺りを猛然と駆け巡っている。 正月飾りの取り払われた玄関には、寂寞と孤独が横たわっている。目前にあるはずのアスファルトは夜の闇に解け消えて、灰色の石 段だけがくっきりと浮かび上がった風であった。未開拓の無人島にぽつねんと取り残されたような、そういった凄まじい哀情が沸いて きて、彼は居た堪れなく焦って足を動かし始めた。吹き荒ぶ海風に当てられた耳が裂かれたかのような痛みを発し、頬は一歩踏み出し た途端に真っ赤になる。外套のポケットに突っ込んだ掌は、それでも隙間から入り込む冷気によって一向温まる気配もない。鳥肌立っ た背中が肌着と擦れ、ぞっとしない感触に肩が震えた。 少しでも中から体を暖めようと、彼は足を速め岸壁沿いを進んで行く。 寒風荒ぶ夜の中この提督が外へと繰り出したのは、何も酔狂によるものではなかった。元来風来坊の性質を持って生まれたために、 確かに周りからは変人という肩書きを与えられていた彼ではあったが、今回のこの行動に限って言えば、常識の範疇内の理由による外 出なのだと説明できる。 腕時計を見、現在時刻が体感のものより大分遅れている事を、彼はどこか安堵した思いに受け止めた。意外にも、執務室を飛び出し てからまだそんなには経っていない。眇めた眼にて用心深く辺りを見渡し、人の気配の無いのが分かるとまた足を速めてゆく。 秘書艦である祥鳳が、鎮守府宿舎から出て行った。その情報の執務室へ転がり込んできたのが、つい五分ほど前のことである。 それは当直の警備に当たっていた妖精が報告したものであった。息を荒らげ興奮気味に戸を抜けたそれは、提督に宥められつつ叫ぶ ようにしてあらましを説明した。 曰く、怪しい人影がふらふらと危うげな足取りにて歩いていた、そのシルエットは大きな二つ結びで確証はないにしても 祥鳳らしき事、声を掛けようとしたものの背後から発せられていた徒ならぬ雰囲気に怖気づいてしまい、結局は黙って見送ってしまっ た事。大雑把にそんな内容である。 日はとうに西に沈み、月とクレーンの航空障害灯だけが静かに闇を照らす時分。霧のようにぼんやりとした白光を赤い明滅が彩る様 は、途方も無く寂しいものである。秘書仕事を終え部屋に戻ったはずの彼女が、今こんな時に外出するなど俄か信じがたい事であった。 急ぎ内線で門の警備に連絡を取った所、一切外へ出て行った者はないとの返答。恐らくは、鎮守府の敷地内を放浪しているらしかった。 そこまで差し迫った危険性は無いと分かったにしろ、やはり憂慮せずにはいられない。もしかしたら余計なお節介なのかもしれない と、そう思う気持ちもありはした。しかし、胸を締め付ける気遣わしさには到底敵うわけがなく、提督はラックに掛かった外套へ急ぎ 袖を通したのだった。 彼女の赴きそうな所に、幾つか当てはあった。事の報告をした妖精は他の艦娘にも協力を仰ぐよう提言したが、すかさずにそれは却 下された。この破滅的行動は間違えなく心内の問題から発生してるのだろうし、だとしたら解決しやすいのは自分であると、提督には そういった自負があったのだ。 何も自惚れであるとか、過剰な自意識によるものではなかった。客観的に見ても、彼の考えは実に妥当なものだと言えた。おおよそ、 その鎮守府の誰もが知りえない秘密が、二人の間には確かに存在していたのである。 即ち祥鳳と提督は、実に三ヶ月ほど前より恋仲にあった。秘書と直属の上司という間柄は、厳重な秘匿の元で時に男女の関係に変化 していた。その律儀さたるや、噂好きの幾らかの艦娘にさえ、未だ疑われもしていないほどである。 決して公に睦まじくすることはなかった。両者とも、絶対に第三者に知られてはならないと固く信仰しており、その無言に交わされ た約定のような制限が、決して外れぬ楔となっていたのだった。 彼らは、立場ゆえの関係の掩蔽に烈しい刺激を見出してもいた。仕事の関係から外れたたまの逢瀬は、痛く思えるほど耽美に過ぎ、 それは当人達でさえ思い出すだけでも頭を抱えたくなるような代物だった。それだけの慈しみがこもっているからこそ、提督は決して 捜索に仲間を募らなかったのである。 凍えに凍えた空気は、しかし幾ら取り込んだところで煮えた頭を少しも冷ましてはくれない。一番近しい所にいたくせに、彼女にこ んな事をさせてしまった事。まったく何にも気が付かなかった自身の鈍感さが恨めしく、歯痒かった。地団駄の踏みたいのをぐっと堪 え、提督は後悔と贖罪の意を胸に、暗闇に目を凝らしていった。 幾らほど歩いたか。やたらに早まっている体内時計を鑑み、およそ五分は経った頃か。提督は視線の先に薄ら女性の輪郭を捕らえる ことができた。鎮守府の敷地内でもっとも大きな防波堤の末端。海水のぶつかった飛沫がかかるのを意にも返さず、ぽつねんと体育座 りに腰掛ける、大きな三つ編み二つ結びの影である。 彼女は身じろぎ一つせず、物思いに耽っているのかただ暗晦な海面を見つめている。暗がりからぼぅと影が浮き出た様には身の毛の よだつ程の凄みがあって、事情を知らぬ者が見たならきっと心霊の類と見なすだろう。そう思えるほどの気味の悪さが漂っていた。 かっぽりと削り取られるようにして作られた防波堤の階段。その小さな段を一歩ずつ昇り、とうとう彼女と同じ地平に立つ。乱雑に 詰まれた波消しブロックの、海水のぶつかる度に降りかかる霧が、途端提督をしっとりと濡らした。 氷のような冷たさを湛えた霧である。海に向かって進めば進むほど、それはより濃くなっていった。耳の感覚は消え失せ、指先や膝 が独りでにがたがたと震え始める。 「祥鳳!」 防波堤の中腹、ちょうどくの字に曲がるその起点にまでたどり着いた頃、提督は彼女の名を自棄になったように叫んだ。前髪の毛先 がシャリシャリに凍り、それがちょうど眉間を叩くから不快な事この上ない。足先や指先の感覚が、末端から溶ける様に消えていた。 かちかちと歯が鳴った。顎を震わせている姿を想像すると、何とも無様で格好の付かない様に思われ、彼は無理やり飲み込むように してそれを収めた。状況として、決して彼はそう意図しているのではないが、どうしてもこの先颯爽と登場するようになってしまうの だから、最低限瀟洒な風情を漂わせようと思ったのである。 情けなく震えた叫び声を耳に入れ、祥鳳は途端無意識に背を跳ねさせた。 すぐ近くにまで寄ると、彼女はゆっくりと振り返る。その佇まい、髪は濡れ唇は青白く瞳はどんよりと濁り、それでも微塵も震えて はいないその様子には薄ら寒い気持ちを抱きもした。提督は彼女の頭を撫で 「帰ろう。皆心配している」 開口一番にそう言った。 何故ここに来たのかだとか、何故こんなことをしたのかだとか、そういったことを聞くのはやはり憚られた。話したいのならば自分 から口を開くだろうから、今はただ何時もらしくに接すればいい。提督はそう結論付けると、あとは濡れそぼった彼女の髪をひたすら 指で梳くだけになった。 それ以上両者から、何も言葉は発されなかった。静けさに耐えられなくなったか、祥鳳はしばらくの後、彼から目を逸らして再び海 面に視線を向けた。 触られることに抵抗しない様子を認め、とりあえずは彼女を立たせようと、提督は地に置かれた小さい手を取ろうとした。冷えて感 覚も希薄になった掌は、それでも祥鳳に比べればまだまだ血の気は通っているらしく、握った手は吃驚するほど冷たく思えた。 華奢で骨ばっている為か、まるで氷に厚手の布を巻いたかのような感触である。戦闘時には何時も弓の弦を引き絞っているから、人 よりも皮膚が厚くなっているのかもしれない。幾回も体を重ねその度に指を絡ませていたにも拘らず、今初めて知った事実であった。 きっとそういう鈍感さだからこそ、今まで彼女の仔細な機微にも気が付かなかったのだ。そういった自嘲の念がわだかまり、彼は頭を 抱えたくなった。 今すぐにでも額を地につけ、ひたすら謝罪をしたかった。彼女の望む事なら何でもこなしたい、仮にこの海に飛び込めと言われたな ら喜んでその命に従うだろう。そういった悔悟はじくじくと胸を痛ませたが、果たしてそれが免罪符にならないことも知っていた。 今この段階ではとにかく帰ることが先決だと、そう思い直して腰を上げる。掴んだ掌を引っ張ってみると、まるで釣り上げられるか のようにして彼女も立ち上がったのだった。 提督は自身のコートのポケットに、掴んだその掌を入れ、更に指を絡ませて握った。服越しの体と掌で挟みこみ、少しでも暖かいよ うにと体を寄せる。カイロや、何かそういった類のものを持ってこなかった事が、今更になって悔やまれた。 一歩、恐る恐る足を踏み出してみると、彼女も続いて歩を進めた。足取りは覚束なかったが、抱える必要があるほど衰弱しているわ けでもなさそうである。ゆっくりと歩くべきか、冷えるから足を速めるべきか。気遣うという同じ源泉から湧き出した背反する思いは、 何とも煩悶たるものであった。 「寒いね」 「上のケチ共は資材上限を絞っているんだな、まったく」 「新たにレ級なんていう敵も発見されたらしい。物騒なことだよ」 帰路につき、そのようなことをポツリポツリと話しかけてみても、まったく何も反応はなかった。彼女はただ顔を伏せ、半歩遅れて ついて来るだけである。握り返してくれている手の感触だけが、唯一の繋がりを示す楔に思えてきて、感じられる存在の気配はどんど んと希薄になっていく。やがて話題のストックが消え果てると、提督もただ黙々と足を動かすだけになった。 来た時よりも大分長く感じられるアスファルト舗装の道は、それでも何時しかその終端には辿り付けるのだった。ずっと先に見えて いたはずの光の粒が、今でははっきりと鎮守府の窓から漏れる灯りだったのだと認識できる。そのぼんやりと浮き出た建物の影に、ど こか安堵を覚えた。 彼はつと祥鳳の方へ視線を向けた。もうすぐ着くぞと、そう言いたかった訳であるが、思い返せば手を握ってから彼女の顔をきちん と見てはいなかった。腕の触れるほどすぐ近くにいたために、寧ろ何時もより様子を認めるのを怠っていたのだ。普段外では大っぴら に、恋人のように寄り添って歩くこともままならなかったわけだから、変に緊張していたのかもしれない。だがこの時まで、祥鳳のそ れにまったく気がつかなかったのは、間抜けとしか言いようのない愚鈍な過ちだった。 彼女の顔を見て、提督の口からは吃逆のような音が漏れ出した。祥鳳は空いていた方の手でひたすら目元を拭い、よく耳を澄ませば、 波飛沫の音の狭間に、小さな嗚咽も聞く事ができる。歯を食いしばり、時折肩を跳ねさせながら、手の甲を湿らせている。そういった 状況を認識するのにも時間が掛かり、顔を向けてから十秒は経った頃、ようやく 「どうした?」 そう一言訪ねる事ができた。 言ってしまってから、何て気の利かない言葉だろうと思った。訪ねたということは、察す事ができなかったと宣言しているようなも のではないか。そう気が付くと、腹から脳天へ悔恨がさぁっと駆け抜ける。 「ごめんなさい」 搾り出すようにして吐き出された謝罪へ、提督も慌てて反応を寄こす。 「いや、別に気にしていない。……だから、泣くのは止めなさい。何も責めないし、言いたくないことは言わなくていいんだから」 「違うんです! そうじゃなくて……それ以外にも、私、謝らなくちゃいけないんです」 過呼吸気味に途切れ途切れ言葉を紡ぐ彼女の様子は、とても痛々しいものである。彼女はここまで言い切ると、後から堰を切ったように漏れ出す嗚咽に、続きを言う事ができなくなった。 気まずい間が開いたが、提督は決して先を急かすような事をしなかった。そんな事のできる権利はないと思われたし、悪意はなくとも結果的に追い詰める事になってしまうのは厭に思えた。 気が付けばポケットの中に手は無く、いや向かい合っているのだからそれも当然な訳であるが、掌に残っている温もりの残滓が寂寞 を掻き立たせてならなかった。一抹の不安感が足元を通りすぎ、胃がきゅうと縮み上がる。ぞっとしない感覚に、提督は思わず生唾を飲 みこんだ。 「一つお願いがあります」 意を決した風に、祥鳳は彼を見つめた。纏う雰囲気からいうならば、睨むと形容してもおかしくは無い。語気は冷静沈着なれど、滲 む凄みは紛れも無く、高ぶった感情のそれである。 「うん。何?」 「私と、別れてください」 提督の口からは、再び引き攣った吐息が漏れだした。 意外にも、その言葉を聞いたときに何かショックを受けるような事はなかった。ただ厭な予感が的中してしまったと、そういった納 得のようなものが漠然と心内に広がっただけである。一旦は流れを止めた彼女の涙も、だがすぐに眼は潤みだす。それをぼんやりと眺 め、しかし頭はそういった視界の状況さえ処理できないほどだった。真っ白に、虚無が果てまで伸展する。 「ごめんなさい。理由は聞かないで。……ごめんなさい」 やがて彼女は泣きながら、走って提督の横を通り過ぎた。 その場に立ち続けていると、今更遅れて防波堤で座るという行為の意味を理解できた気がするのだった。極寒が自身を罰してくれ、 しかも地平線に広がる闇は思考を煮詰めてくれる。 一体自分は、彼女の何を分かっていたというのか。 自嘲の念は何時までも、彼の心に纏わりついていた。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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507 :3-91:2014/04/10(木) 13 23 49.87 ID bP3dsiIH 提督×吹雪で投下します いつも見えてる吹雪のパンツが気になって書いた エロ薄め。一発ネタ 508 :提督×吹雪:2014/04/10(木) 13 24 59.44 ID bP3dsiIH パンツとは男の夢である。 偶然見れたならもちろん嬉しさは倍増するが、そんな機会はなかなか訪れない。 ラッキースケベでなくともどうにかして見たいという思いは常に存在する。 ……ある時から俺は、秘書艦・吹雪のパンツを毎日見ることが出来るようになった。 「司令官! こちら、新しく配属された艦娘の資料です!」 吹雪が書類の束を抱えて入ってくる。 「ああ。ちょっと手元のデータと照合するから、そこで待っててくれるか?」 「はい!」 俺の言葉に吹雪は元気よくうなずき、行儀正しく、執務机の前で「気をつけ」の姿勢をとって待つ。 ベストポジションだ。 俺は抜け目なく、目の前のパソコンに指を走らせた。 このパソコンは、鎮守府に着くと自動的に支給されるもので、どの提督の机にも一台ある。 資源の収支や艦娘のデータなど、機密に属する情報で溢れた、大変貴重なものだ。 ちなみに俺のパソコンは、以前この鎮守府にいた前任者が使用していたものらしい。 その中に一つの秘密のプログラムが存在するのを、俺は発見したのだ。 いま俺が起動させたのが、ソレである。 「どれどれ……問題ないと思うが、とりあえず確認していかなきゃな……」 などと、さもマジメに作業しているかのような台詞を吐きつつ。 俺は手元の画面に表示された小さなウィンドウ、そこに現れる光景に全力で注視していた。 その画面に映っているのは、いま、正に目の前に立っている吹雪のパンツだった。 まるで彼女の足下から見上げるようなアングル。 そしてスカートがわずかに揺れて動くのさえ伝わる、高画質なリアルタイム映像。 ……そう。秘密のプログラムとは何を隠そう、この執務机の下に見えないよう設置された、 超小型の隠しカメラ、そのデバイスを管理するためのモノである。 俺はパンツを堪能する間に、本来の作業をパッパッと片手間に終わらせてしまう。 パンツが俺の仕事の活力となり、原動力となる。 それにしても。と俺は思う。 今日は花柄か……!! 何か、朝からいいことでもあったんだろうか。ついつい、そんなことを目の前の吹雪に尋ねてみたくなる。 すると俺の目線に気づいた吹雪が、ん?と可愛らしく小首をかしげるような動作をする。 「あ、終わったんですか、司令官?」 「え!? ……あ、ああ、終わった終わった! ちょ、ちょっと待っててくれ」 いけないいけない。「こっち」の作業も済ませなければ。 俺はそのリアルタイム映像をキャプチャするボタンをクリックし、吹雪の今日のパンツを一枚の写真に収める。 ベストショットを決めるカメラマンのように。 「……よし。じゃあ資料はこちらで保管しよう。あ、それと第二艦隊に遠征の内容説明書を持って行ってくれるか?」 「はい! わかりました!」 俺が書類を渡すと、吹雪は受け取り、挙手敬礼をする。 そして、仕事を任されて単純に嬉しいのだろう。駆けるように出て行った。 その拍子に、短いスカートが浮き上がり、パンツがちらっと見えた。 花柄だ。 あ……と、俺は微妙に得したような損したような、不思議な気分を味わう。 ……いやまあ、気にするまい。 パンチラは、記憶の中にしか残せない。だけど俺は、しっかり『記録』に残せるモノを持っている。 そう独りごちると俺は、パソコンに向き直る。 画面の下にいくつか配置されたタブのうち、『情報』と書かれたタブをクリックした。 その中のプライベートなフォルダ群の中に、『fubuki』というフォルダが掘ってあり、パスワードを入力してそこを開く。 これが俺の記録であり、お宝。数ヶ月に渡って記録した、毎日の吹雪のパンツ写真である。 (ちなみに一瞬フォルダアイコンまで吹雪のパンツにしようかとも思ったけどやってないよ、ほめて) 俺はそこに今日の一枚を保存すると、また一枚増えたそれらのパンツ群を眺めて、しばし恍惚に浸る。 「うむ……今日の花柄はなかなかの当たりだ……」 基本的に、吹雪のパンツは一週間ほどでローテーションされている。 その内訳を数えると、花柄一枚、水色一枚、ピンク一枚、ピンクの縞々一枚、白が三枚。 年頃の女の子にしては少ないが、そこはやはり軍隊生活ゆえだ。 三枚ある白のパンツを、俺は密かに『白のい号』、『ろ号』、『は号』と呼んでいる。 中でもフロントに小さな赤いリボンのついた『は号』は、俺の一番のお気に入りだ。 ……閑話休題。 パンツ空間をひとしきり堪能してニヤニヤすると、俺はちょっと椅子にもたれ、天をあおぐ。 (この偉大なる『パンツ監視システム』を作った前任者さん、あんたには感謝してもしきれない…… いつかどこかで出会ったら、秘蔵の写真をおごらせてくれ……) 前任者とは俺の先任の提督、すなわちこの執務机の下にカメラを設置し、その管理ツールを密かにこのパソコンに仕掛けた人物である。 今はどこで提督をやっているものか、ようとして知れない。 噂ではどうも何らかの罪科を問われ異動になったと聞くが……。 ハテ、一体こんなすばらしい趣味と能力を持つ人物が、何の咎で左遷されたと言うのか? 不思議でしょうがない。 「ぱんぱかぱ~ん! 提督、作戦完了で帰投よ~~!! え~い、むぎゅっ」 鎮守府の夜。夜戦を終えた第一艦隊が帰投する。 その旗艦・愛宕さんが帰るやいなや飛びついてきた。 「ご苦労だった。どうだった、戦果は?」 「ええ、我が方の勝利! でしたけど……服はボロボロになっちゃいましたぁ~」 彼女の言うとおり、その服は夜戦で受けた砲撃によって、溶ける水着を発明したドイツ人もビックリのすさまじい脱げ方をしている。 こぼれた二つのたわわな果実が、そのままむにゅ~っと俺に押しつけられていた。 「うむ。入渠ドックは2つとも空いているから、損傷の激しい者から先に入ってくれ」 「あ……はい、提督」 抱きつく愛宕を引き離して、俺がこともなげに言うと、彼女は少し気勢をそがれたようにそう言う。 「提督って、マジメでいらっしゃるんですね……」 去り際に愛宕は、寂しげな声でそう呟いた。 そんな彼女に続いて、大半の者が服が裂けたり、下着が見えたりしている満身創痍の艦隊が、ひょこひょこ夜の鎮守府へ帰って行く。 ある意味扇情的な光景だが、俺はそれに別段心動かされることはない。 マジメ……その評価に俺は、内心少し笑ってしまう。 なるほど、現に俺はあられもない姿をした愛宕に抱き着かれても、 こうして中破大破の艦娘たちを見てても、決していやらしい心を起こしたりはしない。 そんな態度のおかげで、すっかり艦娘たちの間では『マジメ』『堅物』で通っている俺だ。 ……が、実のところさっきの愛宕のハグに股間一つ動かなかったのは…… 単純に、昼に吹雪のパンツ写真を『おかず』にナニに耽り、文字通り精も根も出し尽くしたからに他ならない。 そう。官能的で成熟した艦娘たちに囲まれながらも、なぜだか俺の性欲の矛先は、吹雪にしか向かないのだ。 「あっ、司令官! お疲れ様ですっ!」 ……などと述懐しながら戻る途中、廊下で吹雪と出くわした。 こんな夜中でも、相変わらずの元気な挨拶だ。 「あ……ああ、お前も秘書艦の務め、ご苦労だな。吹雪」 「はいっ、ありがとうございます!」 昼間、さんざん彼女を妄想の中で辱めた罪悪感のせいか、つい返答がぎこちなくなってしまう。 が、吹雪はもちろんそんな素振りに気づいた様子もない。 「司令官は今日のお仕事はもうお済みですか?」 「うーん……あとは今日の資源の収支報告をパソコンに打ち込むだけかな」 「あの、それでしたら私、代わりにやっておきましょうか?」 「本当か!? 助かるな……それじゃカギ渡しておくから、頼めるか?」 俺は懐から執務室のカギを取り出し、吹雪に手渡す。 「はい、お任せ下さい!」 吹雪は挙手敬礼すると、回れ右して執務室の方へ駆けていく。 そのときにまた、スカートがひらりとそよいでパンツが見えた。本日二回目の花柄。 「…………」 支給品のスカートが短いためでもあるが……こう日に何度もパンチラされると、目のやり場に困る。 最近気づいたのだが、べつに盗撮などしなくても、吹雪は普段からガードがゆるいのだ。 もしかしたら、自分が他の艦娘に目もくれず、吹雪に欲情する理由はそこにあるのかもしれない。 自分が性的な対象になることなんて全く想像していないその純真さ。そして無防備さ。 まだ『女のコ』としての自覚が薄い彼女を、守ってやりたいという庇護欲。 そして同時に、そんな無垢な彼女を自分の手で汚してしまいたいような征服欲。 最初に秘書艦として選んで以来、俺はそんなアンビヴァレントな感情を、知らず知らずのうちに吹雪に抱いているのだった。 ……ああ、それにしても、日頃あれだけパンツを見てしまっていると、 ふとした偶然のパンチラに『ありがたみ』を感じなくなるからいけない。 もっとパンツを見るという機会に『敬意』を払わなければ……。 そこまで考えて、俺は廊下の途中でピタリと足を止めた。 ……あれ、俺は……何か恐ろしいことを忘れていないか? 『それじゃカギ渡しておくから、頼めるか?』 『はい、お任せ下さい!』 さっきの会話がフラッシュバックする。 俺はカギを吹雪に渡した。吹雪は俺の仕事を引き継ぐためパソコンに向かい…… パソコンに…… (う、うおおおおおおおぉぉぉ!!) 俺は心の中で声にならない叫びを上げながら執務室にダッシュした。 そうだ。まずい。あのパソコンの画面には……昼間見ていた吹雪のパンツ写真のフォルダがそのまま! ついでに隠しカメラも起動しっぱなしだ!! ばたん! と執務室の扉を開けると、ちょうど吹雪がパソコンの前に座っているところだった。 「や、やあ吹雪……」 「し、司令官……!?」 驚いたらしい吹雪が、ガタッと席を立つ。 彼女の向かっているパソコンの画面は、もちろん入り口からは見えない。 どうか、どうか吹雪が見ていませんように、と心の中で祈る。 「あ~……その、そのだな。し、仕事はやはり自分でやることにしたよ。ご苦労だった吹雪、下がってよろしい」 「あ、は、はい司令官……」 そう言うと吹雪は席を立った。そして、いつもの活発さを欠いた足どりで、 執務室の扉へ小股で歩いて行く……なぜか俺を心持ち迂回するようにして。 「なあ、吹雪……」 「は、はい、なんでしょう!?」 「……いや。おやすみ、吹雪」 「……あっ、はい! お、おやすみなさい司令官っ、し、失礼します!」 ぱたん。 吹雪が退出し、むなしい響きで執務室の扉が閉まった。 「…………」 恐ろしいぐらいの嫌な予感を抱きながらも、俺はよろよろと執務机のパソコンへ向かう。 パソコンの画面には……はたして、カメラのウィンドウも、例のパンツ写真フォルダも展開されていなかった。 デスクトップ画面が表示されてるだけだ。 ……俺の思い過ごしだったのだろうか? もしかしたら昼間、俺はちゃんとウィンドウを閉じて席を離れたのに、それを覚えていないだけなのか? それとも吹雪がすべてを目にし、俺が来たとき驚いて閉じたのだろうか? ……あらゆる希望的観測と、逆に最悪の事態の予想が頭に渦巻いて、その夜はほとんど一睡もできなかった。 次の朝。 執務机に向かい、秘書艦・吹雪がやってくるのを待つ俺の心は非常に重かった。 いつもなら先んじて隠しカメラを起動させておいたりするのだが、それすらする気が起こらない。 何しろ、こうした盗撮のすべてが吹雪にバレているかいないか、それを何としても確かめないといけないのだ。 とりあえずは、それとなく探りを入れるしかないだろう。 昨夜の彼女の態度は若干ぎこちないものがあったが……とにかく、すべてが杞憂でありますように、と俺は必死で祈っていた。 と、ぱたぱたと元気な足音がして、執務室の扉が開いた。 「……し、司令官、おはようございます!」 そう言って吹雪は、まずはいつもどおりの時刻にやってきた。 ……若干、声が上ずってる気がしないでもないが。 吹雪の立った位置は、いつもならそのパンツをカメラで拝見する絶好の位置だ。 やめなければと思いつつ、つい頭はいつものクセで、彼女のスカートの下に隠されているものを想像してしまう。 「……うむ、おはよう。え、えー……今日の仕事はだな……」 そう言いながら俺は適当にパソコンをいじって、スケジュール帳を開こうとする。 「……あの、司令官」 「うん。何かな、吹雪?」 「……あの……今も……見てるんですか?」 一瞬、俺の体は石像のようにピタリと止まった。 キーを叩こうとする手がカタカタと震え、吹雪に目を合わせることができない。 「……み、見てるって、ナニを、かな」 舌がもつれて、ほとんど言葉にならなかった。 「……その……私の……ス、スカートの中、を……」 「!!!」 俺の頭の上に、メタルギアソリッドで主人公を発見した敵兵の頭に浮かぶみたいな巨大な!マークが浮かぶ。 目眩がし、冷や汗がドッと滝のように次から次へと流れた。 心臓が早鐘を打ち、足下の床が抜け落ちるような喪失感が体を襲う。 やっぱり吹雪は、見てしまっていたのだ。何もかも。 吹雪は他の艦娘にも話しただろうか? ……それとも、上に訴え出たりしただろうか? どこまで噂が広がったかによっては、艦娘たちから総スカンどころか左遷、いや軍刑務所行きすらありえる。 ……いやそれよりも。 吹雪の中で、今まで俺が有能な司令官として培ってきた信頼は地に堕ちたに違いない。 きっと彼女がこの先、今までと同じ誠実で勤勉な秘書艦を務めてくれることは、もうありえない。 そう思った瞬間、心の中に懺悔の気持ちが湧き起こった。 「吹雪……今は、今は見ていない……たのむ、信じてくれ」 俺は震えながら、罪を告白するようにそう絞り出す。 今までずっと、吹雪のパンツを盗撮してきたことは事実だ。 うわべには面倒見のいい司令官を装ってきた分、盗撮魔としての俺の姿は、きっと吹雪の心にダメージを与えたに違いない。 けれど、今は罪を悔いている。それだけは俺の、最後に残った真実だった。 「……」 吹雪は黙って俺の言葉を聞くと。 次に、信じられない一言を言い放った。 「司令官……あの、見てても……いいですから……」 「……え?」 吹雪、いまなんと? 「し、司令官がどうしてもっておっしゃるなら……ぱ、パンツ……見てても、いい、ですから……っ!」 「!!!!!!!!!!!!!!!!」 まるでメタルギアソリッドで敵兵全員が一斉に主人公を発見したときみたいな、!マークの羅列が俺の頭に浮かんだ。 「吹雪……ほ、本当に……?」 「……は、はい……!」 ようやく顔を上げて吹雪を見ると、なんといつもの彼女からは想像もつかないような、真っ赤な顔をしていた。 こっちをまっすぐに見ようとはせず、恥ずかしそうに顔は伏せられている。 あの吹雪が、それほどの恥ずかしさを我慢して、俺がパンツを見るのを許容しようとしてくれている? ……俺のために? そう思った瞬間、否応なく興奮で心臓が高鳴った。 その高鳴りは、さっきまで絶望に苦しく鳴っていた鼓動とは全く種類を異にするものだ。 「本当に……いいんだな?」 「…………はい……」 最後の念押しをすると、俺はおそるおそる……カメラを起動する。 これまで幾度となく吹雪の前でなに食わぬ顔で行ってきた操作。 だが今は、その吹雪の合意の下に盗撮(?)に及んでいるという事実が、比べ物にならない興奮をもたらしていた。 ほんのわずかな動作音がして、カメラが立ち上がり、映像を写すウィンドウがポップアップした。 (おお……っ!!) 吹雪が何枚か持っている、地味なたたずまいの白パンツ。 しかしその正面には小さな赤いリボンがあしらわれ、ヒラヒラ揺れて可愛げに存在を主張している。 これは……『白のは号』! 思わず吹雪(本体)の方へ目をやると、さながらカメラを通して食らいつくような視線を感じてでもいるかのように、 その細い体をフルフルと震わせていた。 もしかしたら彼女にとって、初めて男の餓えた目に晒されるのを自覚した瞬間なのかもしれない。 そんな真っ赤になった吹雪の顔と、ウィンドウの中で白く眩しいパンツを交互に見ていると、俺の心の中にふと、ある問いが浮かぶ。 吹雪は、どこまで許してくれるのだろう、と。 「吹雪……」 それは同時に、この清らかな少女を、どこまで自分色に染められるだろう、という卑俗な思いでもあった。 けれど構わなかった。今までモニター越しにぶつけるだけだったこの欲望を、俺は吹雪に知ってもらいたかったのだ。 「吹雪、その…………直接、見せてくれないか!?」 「!!?」 吹雪の肩がビクッと揺れ、かわいそうなくらい動揺しているのが見てとれた。 「直接って……あ、あの……」 「パンツだ。吹雪のパンツを、この目で見たい」 「……!! ……あの、今、ここで……ですか……っ!?」 そう答える吹雪は、相変わらず、爛々と欲望に輝く俺の目と目を合わせようとせず、おろおろした顔を下に向けたままだった。 いけない。俺は決して吹雪を困らせたり、いいように弄びたいわけじゃないのだ。 「言っておくが吹雪、これは決して命令じゃない」 「あ、え……!?」 「もしお前が少しでもイヤだと思ったら、そう言ってくれ。 そしたら俺は、二度とこの話を持ち出したりしない……パンツ写真も、全部削除して、二度と覗かない」 別に殊勝なことを言ってるつもりではない。第一、写真を捨てたところで、 今までの盗撮の事実も精算して吹雪と元通り、ふつうの司令官と艦娘の関係に戻れるなんて考えてはいなかった。 ただ、権力をカサに着て、いたいけな女の子に望まない行為を強要する、なんてのは、 それこそ軍刑務所どころか地獄に堕ちても仕方ない罪だ。そう思っただけだった。 「吹雪……イヤか?」 「いっ、イヤじゃありませんっ……! わ、私……」 驚いたことに吹雪はそんな風に即答してくれた。イヤじゃないと。限りなく恥ずかしくとも、イヤではないと。 「私……し、司令官のため、なら……」 吹雪の手がスカートの前に伸びる。 俺は耳元のすぐ近くで鳴ってるみたいな自分の心臓の音を聞きながら、その動作を取り憑かれたように見ていた。 吹雪のスカートが、お腹の高さへとまくり上げられるまで。 (……う、おおおぉぉっ……!!!!) 夢ではなかった。純白だった。 目の前でまぶしく輝いていた。吹雪のパンツが。 吹雪のパンツそのものには、年頃の女の子の下着らしい性的なアピールなどは一切ない。 むしろウェストがおへそのすぐ下までくるような、だぼっとしたタイプだ。 けれどその下にあるモノが描くカーブは、やっぱり隠すことが出来ない。吹雪の大事な部分が描く、ふわりとした曲線。 そう。その下に吹雪の、女の子の秘密を守っているからこそ、覆い隠すような形も、純潔の白の色すらも予兆的で、性的に見えるのだ。 ……また一歩パンツの奥義に近付いた気分だった。 しかもそれを、他ならぬ吹雪自身が。この執務室の中、俺一人だけにさらけ出してくれている。 興奮するなという方がムリな、至福のシチュエーションだった。 「ふ、吹雪……っ」 そして吹雪はと言えば。 スカートを自分の手でまくり上げながら、極度の恥ずかしさで固まったみたいになっていた。 目はぎゅっと閉じられ、首は横を向いている。真っ赤に火照った、桜貝みたいなかわいらしい耳がよく見えた。 膝はわずかに震えていて、羞恥で腰が抜けてしまいそうなのを必死にこらえているかのようだ。 「吹雪……ち、近くで見てもいいか……っ!?」 「……~~~!!!!??」 けれど俺は、ここで止まるつもりはなかった。 浅ましい覗き魔の俺を受け容れ、許してくれた吹雪に、もっとそのままのむき出しの俺を知ってほしかった。 「……近くで、見たいんだ。吹雪のパンツを」 「…………は、はい……っ」 吹雪のか細いが確かな返事をもらうと俺は、執務机から立ち上がる。画面に映った方のパンツなどは、もう目にも入らなかった。 「……ぁ、あの、し、司令官……っ……!」 俺が近寄ると吹雪が反射的にそんな声を漏らす。しかしまず俺が向かったのは吹雪の方へではなかった。 彼女の後ろにある執務室のドアに向かい、それをカチャリと施錠する。 そうしてからふたたび吹雪の方へ、くるりと向き直る。 「し、司令官っ……!! わ、私……司令官以外には、こんな、見せたことないですからっ…… あ、だから、あのっ……司令官が、は、初めての人ですから、私……っ!!」 そんな俺の行動に、テンパってるのか怯えているのか、しどろもどろになる吹雪。 「吹雪……お前の考えてるようなことをするわけじゃない。その……痛いことはしないから、安心してくれ。吹雪」 「……え、あ……」 実際、ここで吹雪を押し倒したとしても、彼女は受け容れてくれたかもしれない。 吹雪が司令官である俺に寄せる全幅の信頼とは、どうやらそれほどのものらしい。 けれど俺には、恋に恋する少女が夢見る『初めての男』になってあげるよりも、もっと崇高な義務が、自分に課せられている気がした。 その使命感に従うまま、俺は吹雪の前まで来ると、ひざまずく。 目と鼻の先に、フロントリボンをあしらったパンツ『白のは号』が鎮座ましましていた。 「…………~~~~!!!!」 吹雪が声にならない声を上げるが、構いはしない。 もはや吹雪のパンツのすべてのディテールが目に入る距離だった。 やわらかな綿の繊維の質感も。吹雪のおへその下にキュッと控えめに食いこむゴム紐も。 太ももの間でわずかにふくらんだ部分を守っているクロッチも。 それでも俺は顔を近づけていく。 鼻で息を吸いこむと、洗いたての服の爽やかな匂い。それから、太陽と波の潮をたくさん浴びた健康的な肌の匂いがした。 ああ、吹雪のスカートの中の空間にはいつもこんな甘やかな匂いが広がってるんだろうか? (……吹雪……吹雪っ……!!) ついにたまらなくなった俺は。 吹雪の腰をがしっと両手で掴むと、そのまま吹雪のパンツに顔をうずめた。 「ひゃあぁ、ああッ……~~~!!!!? し、司令官……っ!!!」 ふにゅっ、と。言葉で表すのも変だがとにかくそんな感触がした。 鼻先を押しつけるともっと、ふにゅにゅ、と確かな弾力があり、ついでに頭の上で吹雪がひっくり返ったような声を出す。 目の前には一面白い世界が広がっていた。『白のは号』のフロントリボンが時々鼻にこしょこしょと当たって、こそばゆかった。 ……不思議な空間だった。 目に映るのはただ清潔な、純白の布地ばかりなのに、その向こうにはたしかに体温を持った、ふにふにとやわらかい感触がある。 きっとこの奥には、吹雪のいちばん大切な部分が隠れているのだ。ある意味ではいちばん不浄な部分が。 吹雪がお風呂で洗うとき、トイレで用を足すとき、生理のとき、あるいは……吹雪が自らを慰めるとき。 そんな人目をはばかるときにしか、姿を現さない場所が。 それを守るパンツという空間は、はたして聖域なのか不浄なのか。 いま触れているのは布なのか、体なのか。 ここは夢なのか、現実なのか。 吹雪の匂いと体温とパンツの感触に包まれて、頭がクラクラしそうだった。 (……ん?) ちゅく、と。触れている部分が、前触れもなく濡れ始めた。明らかにパンツの中から染み出たものだ。 確かめてみようと、舌で触れてみる。 「や、ぁああああぁぁっ……~~~!!!!!」 ひときわ高い吹雪の声が上がり、同時にまた、じゅくじゅくした液体が、パンツの奥から染み出してくる。染みは生理食塩水の味がした。 抑えきれない声と、とろとろ滴る露と。 二つはともに、成熟の途上にある吹雪の身体が、未知の快楽に対してせいいっぱい返す反応だった。 何か夢中になってしまい、杯を頂くようにして吹雪のクロッチに口を付ける。 その部分を吸い上げてやると、また可愛い声が漏れた。 「ああぁっ、司令官っ……!! 舌、や、舐めちゃ……ッ、ふ、あぁ、当たって……!!!」 吹雪が滴らすものと唾液とで、大事なところの形がすっかり浮き出てしまった吹雪のパンツ。 そのどこを刺激してやれば好いリアクションが返ってくるか、俺はなんとなく把握しつつあった。 ぷにぷにとした門を割り開いて、舌を差し入れてやるようにすると、とろりとした愛液が。 その門の上、触るとようやくわかる程度に尖り出た秘芯を吸ってやると、驚いたような声と共に、もれなく体が跳ねる。 「ひゃう、ふあああぁぁっ……!!! ん、あぁっ……し、司令官……っ!!!」 ぱさっと。頭の上に布が降ってきた。 吹雪が自分でまくり上げていたスカートの端を、掴んでいられなくなったのだろう。 スカートに頭を突っこんだ格好になりながら、俺は吹雪の布越しの秘所への責めを続ける。 きっと布地の上からでは、吹雪にはもどかしいような刺激しか与えられないかもしれない。 それでも懸命に、吹雪の感じる場所を探って舌を動かす。 こっちのひとつひとつの責めに、いちいち小動物みたいな、愛くるしい声を上げる吹雪が、可愛くてたまらなかった。 鼻にかかったような甘い声や、甲高い、はしたない嬌声。 吹雪がそれを漏らすたび、俺は、吹雪が清らかな少女の殻を破り、俺と同じ、浅ましい欲に駆られた、 むき出しの姿を見せてくれているみたいで、ただただ快感だった。 「ん、やあぁぁっ……!! あ、ふあっ……も、や、やめっ……あ、ああぁぁっ……~~!!!!」 吹雪が弱々しい声を漏らすと、急に俺の肩へと両手をかける。 とうとう腰が抜けたのか、足だけでは立っていられなくなったらしい。 俺の抱えている吹雪の腰も、ふいに、ふにゃりと弛緩したように力が抜ける。 その隙を逃さず、舌で尖った部分を刺激しつつ、強く吸い上げてやると。 「……~~~~~っっ!!!!! だ、だめです、し、司令……んっ、ぁ、あああああぁぁぁぁッッ!!!!!!」 嬌声と共にがくがくと、面白いように腰と膝を震わせる吹雪。 そして快楽に突き動かされるように、自ら腰を突き出して、俺の顔に押しつけるようにしたかと思うと。 びくん、と一度、体を震わせ、やがて、糸が切れたように大人しくなった。 ……絶頂を迎えたのだろう。 くたっと脱力した体が床へと崩れ落ちそうになるのを、慌てて支え抱きとめてやった。 吹雪の頭を肩にかかえ、床に膝をついた吹雪の体を抱き、あやしてやるみたいな格好になる。 「……ぁ、はあっ…………し、司令官……」 耳元で吹雪が熱い息を吐き、夢見るような声で言う。 まだ快楽の余韻に震えているせいだろうか、すごく艶っぽい声だった。 ちなみに。 俺の砲身はズボンの中で、さっきから馬鹿みたいに硬く屹立している。 それでなくても、吹雪の体をひしっと抱きとめているこの姿勢は色々危なかった。理性との戦い的に。 「……なあ、吹雪」 「はい……司令官……」 甘い声で返事をする吹雪。なんだかすっかり恭順してしまった犬のようだった。 その艶っぽい声に当てられそうになったが……俺には使命として、吹雪にやってもらわなければいけないことがあった。 そう、ここまで来たからには。 「吹雪……パンツ、濡れちゃっただろ。脱いだらどうだ」 それを聞いて吹雪は、一瞬固まったものの。 「……はい」と小さく呟くと、その場でしゅるしゅると、パンツを脱ぎだした。 肌に触れるたびぐしゅぐしゅと濡れた音を立てるそれを、吹雪は膝立ちのまま器用に、片足ずつ抜く。 脱ぎ終わると、パンツを片手に持ったまま、ちょっと戸惑う吹雪。濡れて丸まったそれをどこに置いたものか迷っているのだろう。 俺はその隙に。ひょい、と吹雪の手からそれをさらう。 「……ぁ、やっ……!!」 わずかな抗議の声を上げる吹雪。 「パンツ、記念にキープしといちゃ、ダメか?」 「…………いえ、し、司令官がお好きなら……」 そう言いながらも、ちょっと焦れったそうな吹雪の声色が面白かった。 まるで脱ぐだけじゃなくて、もっと先を求めてるかのように。 けれど、きっと今日の体験だけで初めて尽くしだろう吹雪に、『これ以上のコト』をしてしまうのも酷だろうと思った俺は。 「ほら、立てるか? 吹雪」 吹雪の手を引いて立たせてやる。 ふらふらと立ち上がった吹雪は、少し潤んだ目で俺の方を見つめてきた。 その可愛さにまたちょっと心動かされかけたが、とりあえず俺は吹雪の背中を押して、ドアの方を指し示す。 「その、なんだ……今日の執務は他の艦娘に任せるから、ゆっくり休むといいぞ、吹雪」 「……はい……」 それだけ言うと吹雪は。 ノーパン状態が気になるのだろうか、いつもより三倍増しくらい女の子っぽい仕草で、スカートをなでつけたり、押さえたりしながら。 これまた普段は滅多に見ないような、かわいらしい小股歩きで、ぴょこぴょこと執務室を出て行った。 ぱたん。 ……後に残されたのは、そんな吹雪のあまりに女の子ちっくな仕草に、股間を最大限まで怒張させきった俺と。 その手にしっかり掴んだ、吹雪のパンツ『白のは号』。 「………………」 やることは決まっているような気がした。 その後、吹雪のパンツを見ながら1回。吹雪のパンツを自分の砲身に被せながら3回。 吹雪のパンツを顔に被って吹雪のパンツ越しの酸素を吸いながら2回。 涸れ果てそうなくらい自慰に耽った俺が、ようやく空を仰いだ頃には、もう午後もだいぶ回っていた。 今日の艦隊は平日休業、と事前に艦娘たちには伝えてある。鎮守府は音もなく静かだ。 横須賀の海の上には、夕陽を受けて、青い水着のパンツと少女の肌のような、青と橙色のコントラストが広がっていた。 その景色を見ているうち、ふと思い立って、机に戻りパソコンに指を走らせる。 いくつかの操作の後、俺のパソコンからは綺麗さっぱり、隠しカメラの管理ツールも、 そして『情報』タブの中の『fubuki』フォルダの写真も、すべて消えていた。 今の俺にはそれらはもう必要ないものだった。 隠しカメラを外すため、アホみたいな体勢で机の下にゴソゴソ潜りこみながら俺は、 この隠しカメラを同じくアホみたいな体勢で設置したであろう、前任者の提督のことを思った。 また、彼が左遷された理由も、何となくわかった気がした。 俺は、彼の轍を踏むまいと思った。 何より俺には。 吹雪が自分の意思で託してくれた、本物があるのだから。 次の日の朝。 「司令官、おはようございます! 今日は、何をすればよろしいですか?」 挙手敬礼して、執務室の俺の前に立つ吹雪。その挨拶はいつも通り、元気にあふれていた。 その若い血気がうらやましくもあり、俺もついつい笑みがこぼれてしまう。 「そうだな、今日は主に南西諸島方面への遠征、それから各艦娘へ装備の定期検診の通告、 それに……そうそう、一番大事なことがあった」 「はい、何なりと!」 俺は肘をついた手を胸の前で組みながら、最も重要な任務を重々しく宣告するときの面持ちで言う。 「吹雪、今日のパンツは何色だ?」 問いを受けた吹雪も、一瞬目を大きく開く。 そして、ちょっと顔を赤らめてから背筋を伸ばし、息を吸いこんで答える。 「はい! 私の今日のパンツの色は……」 (了) +後書き 518 :3-91:2014/04/10(木) 14 11 11.45 ID bP3dsiIH 吹雪ちゃんが女のコとしての自分に気づき始めるのはいつ頃だろう うちの鎮守府の吹雪にもいつか「パンツ見えてるよ」って指摘してあげないとなぁ 持病の文章が長くなる病で一発ネタのはずが読みづらい文章量になった SSを簡潔にまとめる工夫とかあったらどなたか是非ご教授くださいませ
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照り付ける太陽と紺碧の海。 熱い陽光を覚ますかのようにさわやかな海風がわたる。 透明度の高い海中に目をやれば、色とりどりの魚が薄い水色の海中に華やかさを添える。 東部オリョール海。 なにもなければここ南洋は楽園と称してかまわない海だろう。 「なにもなければ、な…」 双眼鏡を下した青年-というには少々歳のいった男は独り言ちた。 彼の頬に当たる海風に含まれる鉄と油と硝煙の匂いがここが楽園でないことを示していた。 水平線の彼方に黒煙が上がっている。 上空には任務を終え母艦に戻る艦載機の轟音。 「提督。撃沈、軽巡1。大破、雷巡2、戦艦と空母は無傷です」 太眉と切りそろえた前髪が印象的な艦娘が男-この艦隊の司令官に戦況を伝える。 「了解。航空先制はまずまずか…。一航戦を下がらせろ」 「はい、赤城さんと加賀さんには必要以上に前に出ないように伝えます」 「ふふ、相変わらず気が付くな。妙高」 妙高型一番艦妙高。提督の鎮守府には妹たちに遅れてやってきた。 どこか、ほんわかぼんやりしたような艦娘だが、さすがに4姉妹の長女だけあってかしっかりとしており何くれとなく提督に尽くしてくれる。 妙高の何気ない気づかいに思わず頬を緩め頭を撫でてしまう。 「……。では、行ってきます」 されるがままに掌を堪能した妙高は、ドキドキする胸と上気した頬を隠すよう にクルリと背を向けた。 提督の顔に緊張が走る。 「うむ。戦略的にはもう勝っている。無理をしないように皆に伝えてくれ」 「了解しました……、第5戦隊敵艦隊に突撃します」 号令一下、かつて連合艦隊が誇った一等巡洋艦4隻の魂を引き継いだ艦娘達が35ノットの快速力で飛び出した。 世界を瞠目させた強武装の一万トン級巡洋艦妙高型の魂は今、艦娘として蘇り、 再び祖国を脅かす夷敵-深海棲艦を倒すため戦場を疾駆する。 紺碧の海を割り裂いて白い航跡がたなびく。 眼前には戦艦を先頭とした敵艦隊が迫る。 戦艦ル級の生気のない青白い顔に薄い笑みが浮かんでいる事すら見える。 敵艦、発砲。 4隻の周囲、右に左に16インチ、8インチといった砲撃の水柱が上がる。 水柱の壁をくぐり抜けるように彼女たちは距離をつめていく。 柔肌を至近弾の破片がかするがものともせず疾る。 そして、距離10,000。 「撃ちます!」 「砲雷撃戦用意!」 「砲雷撃戦てぇーっ!」 「撃ち方、始めてくださぁーい!」 空と海の狭間に乙女たちの号令がかかる。 20.3サンチ連装砲が敵を指向し測距を始める。 同時に61サンチ魚雷発射管が敵の未来位置を定め回頭する。 いち早く4姉妹の中で最も冷静かつ戦術判断に優れる次女の那智が砲撃を開始する。 「敵一番艦に初弾、夾叉!良し、いいぞ。姉さん、ワレ統制砲撃ヲ希望ス」 「了解、目標敵一番艦、5戦隊統制砲撃始メ!」 砲撃データが姉妹たちに分配されるや否や、4姉妹で最も血気盛んな三女足柄が10門の主砲を斉射する。 「弾幕を張りなさないな、撃て!撃てぇー!」 砲撃時の発射干渉を避けるため0.03秒ずつ遅延して放たれた砲弾は彼女のかつ ての異名 餓狼”のように敵戦艦に襲い掛かった。 水柱と閃光。 足柄の砲撃を追うように妙高、那智、羽黒の砲撃も命中する。 近距離から放たれた20.3サンチ砲弾は敵戦艦の装甲を食い破り確実にダメージを与えていく。 ル級の能面が歪み、明らかに砲撃の精度が落ちていく。 速度が衰え、煙を吐き出しながら傾斜するル級の陰から空母ヲ級の姿が除く。 「いかん!艦載機を発艦させてるぞ!」 那智が振り返るよりも早く敵艦載機は後方の一航艦に襲い掛かっていた。 上空で直掩滞空していた零戦52型が銀翼を日本刀のように煌かせ敵機に突撃する。 しかし、慢心からか不用意に突出していた母艦を助けるには時間が足らなかった。 急降下爆撃機が猛禽のように赤城と加賀に襲い掛かる。 「敵機直上、急降下!」 飛行甲板に火柱が上がる。 「後方、一航戦に命中弾!火災が発生しています!」 最後尾を進む末の妹羽黒が悲鳴を上げる。 「あの、あのっ、助けに行かないと!」 「大丈夫、羽黒ちゃん。あれぐらいじゃ赤城さんも加賀さんも轟沈しないわ」 パニック気味に叫ぶ羽黒をやんわりと妙高が制する。 「それに対空戦闘は私たちには向いてないわ。私たちは-」 「目の前の敵を葬るだけだ、砲雷撃戦で!」 「そうよ、さあ行くわよ!勝利が私を呼んでいるわ」 三者三様の励ましを受けて羽黒はハッと我に返る。 まだ目に涙は溜まっていたが顔を上げ戦場を見据える。 「わかりました。精一杯、頑張ります!」 電撃を放ちながら雲海を進む一匹の竜のごとく妙高級は縦横に戦場を駆ける。 既にヲ級は爆発を繰り返しながら傾斜し、最後に残った重巡ももはや雷撃する 余裕もなくなっている。 距離5,000。 93式酸素魚雷の必中距離だ。 「青い殺人者」「ロングランス」と恐れられた連合艦隊所属艦艇の最大の秘密兵器にして最強の切り札。 「5戦隊統制雷撃戦用意」 「統制雷撃戦、ヨーソロー」 「そのままそのまま、よーい、テェーっ」 「魚雷発射、始めてくださーい!」 海原に放たれた32本の魚雷は静かにしかし素早く海中を進む。 3分後。 「敵戦艦に水柱4つ!巡洋艦に水柱2つ確認。敵艦大傾斜、沈みます」 冷静に敵情を見わたした那智が報告する。 「皆さんの努力結果です。よく頑張りました」 にっこりと妙高がほほ笑む。 「だって私がいるんだもの!当然の結果よね!大勝利!」 至近弾で少々傷を負ったが未だに元気な足柄が興奮冷めやらぬ様子で胸をそらす。 「勝って兜のなんとやら、だ。さあ、帰投しよう」 那智が怜悧な顔に満足げな笑みを浮かべてたしなめた。 4人姉妹は傷ついた2隻の空母を護衛しつつ母港への帰路に就いた。 未だ沸き立つ海面を眺めながら羽黒は呟いた。 「このまま、すべての戦いが終わってしまえばいいのに」 「以上で戦闘報告を終わります。……あの提督?」 東部オリョール海突破、おまけに戦闘後新しい仲間蒼龍を戦列に加えられたにも関わらず提督の顔は冴えなかった。 「主力空母が2隻とも大破、これは痛いな…」 母港にたどり着くやいなや2隻の空母はドッグ入りとなった。 「俺のミスだ。陣形をもう少し考えてやれば損害は防げたかもしれないな…」 この男は戦果よりも艦娘の損害を気にする、いや気にしすぎる傾向があった。 「それは後知恵というものだ。戦略的にも戦術的にも我々の勝利だ」 「そうです、そうです!大勝利ですよ」 冷静に那智が、興奮冷めやらぬ足柄が提督を慰める。 「あの、司令官さん。私ももっと頑張りますから…あの、その…」 わたわたする羽黒の頭を撫でながら提督はようやく笑みを浮かべた。 「そうだな、皆ありがとう。一航戦が使えない以上大規模な作戦は難しい。しばらくは蒼龍の慣熟訓練と資源の備蓄務めるとしようか」 「ということは?」 「第5戦隊もしばらくはお休みだ。みな、ご苦労だった」 4人の艦娘達は揃って執務室を辞した。 「さて、しばらくは休みだな。ということは少なくとも今日はしっかりと飲めるわけだ」 普段はクールな那智が相好を崩す。 「それなら獅南島に果物を使った美味しいお酒があるらしいわよ」 ほんわかと妙高が返した。 「なにっ?それはいいな。よし、みなで繰り出そう」 「勝利をつかむには休息も大事ね」 「あの、あの、頑張ります」 こうして4姉妹は夜の街に消えていった。 …… ……… ………… それから数時間後。 羽黒は多少フラフラする頭を抱えて鎮守府に帰ってきた。 4人は獅南島の一流ホテルのバーで杯を交わした。 いつものように、那智がハイスピードでグラスを開けていった。 妙高は那智に付き合ってしばらく飲んでいたが、とうとう 轟沈 してしまいカウンターに突っ伏して幸せな寝息を立てている。 獅南島は日本酒こそ少ないものの、かつてイギリス統治下だったこともあり船乗りの酒-ジンやラムが豊富に取り揃えられていた。 多分、那智は未だに飲んでいる。多分。 『今日ぐらいは飲ませてくれ』と那智は言うが出撃前以外はほとんど毎日飲んでることを羽黒は知っていた。飲んでもほとんど乱れないが飲み始めると止まらないことも知っていた。 さすがに出撃した後は自室の布団で寝たいと思った羽黒は妙高を起こすことを断念して一人鎮守府への家路についた。 「……羽黒山、飲みたいなぁ」 はるか遠い祖国のきりっとした飲み口と芳醇な香りを持つ酒を思い出しながらフラフラと鎮守府の廊下を歩く。 「そう言えば足柄姉さんはどこに行ったんだろう?」 飲んでる最中も興奮気味だった足柄は2時間ほど前に『おさまりがつかないわ。しようがない夜戦してくる』と大股で店を出ていった。 『頑張ってね~』と手を振る妙高と『ふんっ』とプイと顔を背け不機嫌にグラスを乾した那智をいぶかしげに見ながらその背を見送った。 「姉さんと一緒に帰れば良かったかな?」 そう思いながらふと顔を上げると司令官公室の方からなにやら声が聞こえてきた。 艦娘達の寮に行くのに提督の自室前を通るのが近道であることは鎮守府では半ば常識であった。 小首を傾げて扉に近づく。 「……ぅぅ……ぃぃ…ゃぁ……」 薄らと開いたドアから漏れ聞こえる声に羽黒は聞き覚えがあった。 「足柄姉さん?」 そっと中を覗いて羽黒は言葉を失った。 「あぁぁぅっ、おぉぉぉぉぉぅっ」 全裸の足柄がベットの上で四つん這いになり嬌声をあげている。 覆いかぶさるように足柄を抱きしめる影を見て羽黒は腰が抜けたようにしゃがみこむ。 「し、司令官さん」 夜戦で鍛えた目が影の正体をとらえる。汗みずくで腰を振る男は紛れもなく鎮守府の顔、提督であった。 「足柄、少し、強すぎないか?」 結合部は羽黒の位置からは良く見えないが長大な男根が足柄のすらりと伸びた足の間を行き来しているのがわかる。 「いゃいやぁん、もっと、もっと突いてぇっ」 ストロークが弱くなると足柄は尻を振って抗議する。 「いやぁん、おちんちん、ズボスボして、くださぁい」 普段の自信に満ちた表情から想像もつかない蕩けた”メス”の表情で肩越しに提督をねめつける。 「全く、仕方がない奴だっ」 「あぉぉぉ、ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 再び力強く抽挿を開始する。足柄の豊満な尻に提督の腰が当たりバシバシとリズミカルな音が響く。 「あっおっおっおっぉっんんんん、気持ち、いいっ」 提督は腰を叩き付けながらそっと足柄の股間に手をやる。 濡れた秘所、太い男根を食い占める膣口の上あたりをまさぐりそれを見つける。 「ひゃっんっ、それっ、イイっ」 背筋をビクンと跳ねさせて足柄の嬌声が一オクターブ上がる。 提督はクリトリスを摘まんだのだ。 「足柄はこれが好きだったな」 「くぅぅぅっクリ、お豆ぇもっと、もっとぉぉ、引っ張ってぇ、痛くしてぇ」 さすがに全力で引っ張ったりはしないがそれでも指の力を強める。 膨らんだクリトリスを引っ張るだけではなく押し込むようにぐりぐりと擦る。 「そ、それ、それぇぇ、くひぃぃぃぃぃ!」 ぶるぶると背を震わせながら足柄がよがる。 抽挿のたびに豊満な乳房が揺れる。 「あっあっあっぁっんん、気持ちいいぃぃっ」 「おちんちん、中にいるのぉ、いい、いいのぉ」 戦闘で昂ぶった足柄を落ち着かせるのに抱くようになったのはいつ以来だろうか。 この方法をとっている-肉体関係を持っている艦娘は何も足柄だけではない。 そのことを、自分以外の艦娘が彼に抱かれていることを彼女たちは皆知っている。それでもなお、彼との肉体関係を続けている。 提督自身これが最良の解決方法だとは思わないが少なくとも足柄達はこの方法を受け入れている。 だが、提督とて男だ。普段、きりっとした自信家の足柄が自分に組み敷かれてあられもない声をあげるのに興奮しないわけが無かった。 「ああああっ、好き、好きぃっ、くあぁぁぁぁっ」 「っく、そんなにセックスが好き、か」 自嘲も込めて提督が問う。 「ちがっ、違うぅんっ」 足柄は乱れた髪をさらに振り乱して答えた。 「提督もぉ、提督も好きぃぃぃ」 足柄の潤んだ眼を見て抽挿が止まる。 「提督も、提督の……おちんちんも、好きぃ」 ぞくりとするような会心の笑顔を見て、提督の心に火が付く。 さっきに倍する力で己が男根を足柄のぬかるみにねじりこむ。 「あっあっぁっあっあっ、すごっ、強いっ」 熱い肉筒が嫌というほど男根を食い締める。 「くっ、だめだ。出る」 そう言ってペニスを引き抜こうとする提督に足柄は尻を押し付ける。 「いやっ、いやぁっ、抜かないでぇぇ」 「お、おい、足柄」 足柄は後ろで回した手で腰を抑える提督の手を握る。 「お願い。このまま、はぁはぁはぁ、このまま来てっ」 足柄の手を握り返すともう一方の手で抱くように上半身を持ち上げる。 「いくぞっ」 今までに無い強いストロークで足柄の最奥を突き上げる。 「あは、ぉっおおっ、んっ、中に、中にきてぇぇぇっ」 「んっ出るっ」 ペニスが胴震いすると灼熱の白濁が艦砲射撃のように足柄の奥を叩いた。 「あっ熱ぃ、イクッ、イグゥ、イグぅぅぅぅぅぅ」 がくがくと体を痙攣させてそのまま後ろに崩れる。 受け止めた提督も荒い息のまま足柄とともにゆっくりとベットに倒れる。 ずるりとペニスが足柄の膣から抜け出る。 後を追うようにして白濁が秘裂からどろりと垂れた。 愛しい艦娘を胸に抱く男と戦いの高揚と快楽の絶頂を味わいつくした巡洋艦娘が戸口から足早に去っていく影に気付くことは無かった。
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189 :名無しさん@ピンキー:2014/05/03(土) 18 34 22.18 ID AtwVUep/ ※鬱展開、キャラ崩壊あります。ある意味悪堕ちというかNTR 「よく来てくれた。時間通りだな」 「……何かご用ですか?」 使われなくなって久しい軍の施設内に男女の声が響く。 男は軍の高級将校、女は艦娘。 「なに、簡単な話だ。君に新しい任務を与えようというのだよ」 「それなら私の上官に仰ってください」 「無茶を言うな。いない人間とは話はできん」 「……」 男はこの艦娘、伊勢の上官である提督のさらに上の立場にある。 そしてこの男の言う通り、現在彼女達の提督は鎮守府にはいない。 いや、既に提督などと呼ばれる者は数えるほどしかいないのだ。 深海棲艦との戦いに勝利し、敵を失った軍はそれまでの発言力を失い、それまでの規模を維持できなくなってきていた。 しかし、戦争の功労者がそう簡単に失脚する事はない。縮小にはそれなりの理由がある。 膨れ上がったまま敵を失った軍はやがてあらゆる腐敗の温床となった。 軍の縮小は事態を重く見た政府による刷新政策の一環ではあったが、即座に全てが良くなるわけではない。 現に、よく分からない容疑で拘束された彼女達の提督は未だに戻ってきておらず、後任の者も現れない。 「君の上官がいない以上、君に直接下命するのは当然だろう?」 伊勢は俯いたままぎゅっと拳を握った。以前に一度あった時から、この男は心底気に食わない。 彼女達の提督は実直で口数の少ない職人肌の人物で、周囲からは頑固親父とも言われてはいたが、 部下である彼女達の事は常に気にかけており、実の娘のように可愛がってもいた。 そんな提督を伊勢も憎からず思ってはいたが、今目の前にいるこの男はそれとは正反対だ。 保身と出世にしか興味のない、一言でいえばいけ好かない男というのが伊勢の抱いた第一印象だ。 自尊心と虚栄心が人の形を持ったようなその男は、まさに腐敗した軍の象徴のように思えた。 「わかりました……ご命令を」 とは言え、気に食わないからと上官の命令を無視するわけにもいかない。 190 :名無しさん@ピンキー:2014/05/03(土) 18 37 26.56 ID AtwVUep/ 「単刀直入に言おう。兵の慰問を命ずる……どういう意味かは君も分かるだろう?」 「なっ!?」 艦娘の慰問とは何か、暗黙の了解であった。 「わ、私には出来ません!」 とは言え、年頃の娘である彼女らがそんな命令を簡単に聞けるものでもない。 「娼婦でもない君には難しい任務だとは思うが、これならどうかね」 男は横に置かれたモニターのスイッチを入れる。 映し出されたのは、薄暗い部屋の中で椅子に縛り付けられ頭に拳銃を突きつけられた妹の姿。 「日向!?」 「伊勢!駄目だ!逃げろ!」 お互いの音は聞こえるようになっているらしい。 「君が出来ないと言うのなら、君の妹にやってもらうだけだ」 「伊勢、私は覚悟できている」 日向の言葉に男の唇が歪む。 「ああ言っているが?」 「ぐっ……」 男を睨みつける伊勢。 「こんな下種共のいう事を聞く必要はない。私は慰み者にされるお前なんか見たくない」 「下種だと?貴様、それが上官に対する態度か!」 モニターの中で拳銃を突きつけていた士官が日向を殴り倒す。 「やめてっ!止めてください!私が……私がやります」 「よせっ!駄目だ伊勢!戻れ!」 引きずり起こされた日向が叫ぶ。 「私だって慰み者にされる日向なんて見たくないよ」 伊勢はそう言いながらモニターに背を向け、背後に集まってきた下卑た笑みを浮かべる兵士たちの方へ歩いていく。 「やめろ!私がやる!」 「日向、私は日向のお姉ちゃんだよ?たまにはお姉ちゃんらしいことさせなさいな」 「実に美しき姉妹愛か、いいねぇ。終われば二人とも自由を保障しよう」 男の言葉には反応せず、伊勢は笑顔でモニターに振り返る。日向を安心させるためか、自分を安心させるためか。 「終わったら、一緒に帰ろ」 「伊勢……」 「さあ、最初は誰?」 大柄な兵士たちに囲まれながらいつも通りの声で叫ぶ。 191 :名無しさん@ピンキー:2014/05/03(土) 18 41 10.23 ID AtwVUep/ 兵士たちは目くばせすると、そのうちの一人の士官が進み出て伊勢の胸ぐらを掴み、乱暴に引き倒した。 「ぐうっ!」 「へへっ、流石は戦艦か。良い体してやがる」 言うなり士官は伊勢の袴に手を突っ込み下着に手をかけるとその中に指を入れ、まったく濡れてない秘部を触る。 「ううぅ……」 嫌悪感に顔をゆがめる伊勢だが、士官はお構いなしに下着ごと袴をずり下げながら自分もズボンを下ろして、怒張した一物を突きつける。 「さて、後がつかえていることだし早速……」 「あうっ!」 士官の大きな手が伊勢の胸をインナーの上から鷲掴みにし、巨大な一物を一気に伊勢の中へ押し込んでいく。 「んあああああっ!!」 押し広げるように進む侵入者に伊勢は苦痛の悲鳴をあげるが、 士官は侵入する速度を少しも緩めず最奥に押し込み、伊勢の腰を掴みあげて大きくゆする。 「あっ、ぐううぅ!いぎっいあああっ!」 伊勢の悲鳴に周囲から歓声が上がる。 やがて二人の間に滴る血に交じって白濁液が流れ落ちる。 「うくぅ!うっ、あっ……」 ビクンと伊勢の体が跳ね、人形のように動きを止める。 「この体で生娘とはな」 「艦娘ってのは男日照りなんだろ」 「あのおっさん、思ってた以上の堅物だったか」 周囲の兵士たちが口々に騒ぎ、伊勢の嗚咽を掻き消していく。 「少尉。時間短縮のため口及び肛門の使用を提案いたします」 「はっはっは。時間短縮か!まあいい。全員好きな所に並べ」 伊勢から一物を引き抜きつつ、少尉と呼ばれた士官が言うと兵士たちから再び歓声が上がり、やがて三つのグループに分かれた。 「よし、次」 少尉が伊勢から離れ、次の兵士が跨る。 同時に仰向けに寝かされている伊勢の背中側にも別の兵士が入り込み自分の腹の上に伊勢を乗せるように陣取る。 「えっ!?ちょ、ま、待って!やめて!そこは……」 「うん?何だ?やめてもいいのか?」 背中側の兵士の言葉に伊勢の理性が蘇る。 (駄目だ。私が拒めば日向が……) 「何なら妹ちゃんにやってもらってもいいんだぜ」 「そ、それだけはやめて!私がやります。私でやってください!」 三度兵士たちから歓声が上がる。 「聞いたか。自分からやってくださいだと」 兵士たちがはやし立てる中、伊勢は覚悟を決めて目を閉じる。 192 :名無しさん@ピンキー:2014/05/03(土) 18 43 43.19 ID AtwVUep/ 「いぎああああっ!!いっ、いだっ、お尻壊れぎいいいいいい!」 絶叫が響く。 「かひゅ!ひゅ!ひゅう!」 「おい殺すなよ」 笑い声が広がる。 前からも同時に突き上げられ、声にもならず肺から空気が絞り出されていく。 苦しさのあまり大きく開かれた伊勢の目に、先程と同じぐらいに巨大な一物が迫ってくる。 「ごむぅ!うむううう……むぐっ」 「ほらさっさと扱け」 叫び声に蓋をするように一物が口に押し込まれるが、とてもそんな事をする余裕などない。 とは言え、伊勢が落ち着くのを待ってくれるような紳士であればこのような事は端からしない。 「ほら、こうするんだ」 「ぐむう!もごぉ……」 兵士は伊勢の結わいた髪の根元を掴むと頭を前後させる。 苦しそうに顔を歪める伊勢だったが、吐き出すことは許されない。 「うぷっ!ごほっ、ごほっ!ごっ……くひいっ!」 噴出した大量の白濁液が伊勢の口から溢れだし、むせ返っている間にも前後の穴からの突き上げはやまない。 「おおっ、なんだかんだ言って感じてるじゃねえか」 「ちがっ……そんなんじゃ、ひゃあん!」 幸か不幸か、伊勢の体は前に関しては女として正常な反応を示し始めている。 「ふああっ!違う!気持ちよくなんか……あん!」 口とは裏腹に、伊勢はすでに快楽を感じ始めていた。 (なんで?私こんなの嫌なのに。気持ちいいなんて……そんな……) 「うふぁぁ!ひゃあん、ひっ、くううぅ」 伊勢の心とは裏腹に、前はくちゃくちゃと音を立てる。 「よし次だ」 洪水のように流れ、広がっていく白濁液の海の中、もう何度目か分からない交代の号令がかかる。 「ふひゃん!はぁ…はぁ…次、早く…」 「はは、乗ってきたじゃねえか」 伊勢の気持ちなど本当は知っているであろう兵士たちの中には、わざとじらすような態度を見せる者も出始めた。 (日向……もう少し、もう少しだからね…) 「いぎっ!ひゃあん、ひゃああっ!ぐむうぅぅ!」 かわるがわる全身を犯される中、伊勢はただ日向の事を思い耐え続ける。 「よし。これで全員か」 無限に続くように思われた責め苦は、ついに終わりを迎えた。 193 :名無しさん@ピンキー:2014/05/03(土) 18 47 03.47 ID AtwVUep/ 「よく耐えたな。敬服に値するよ」 「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…。日向、日向は……?」 「ああ。勿論開放するさ」 一部始終を見ていた男は薄汚い笑みを浮かべながらそう言うと、顎で隅に設置された古い建屋を示す。 元々何かの格納庫か整備工場だったのだろうこの場所は、在りし日には事務所にでもしていたのだろう小さな建屋があった。 示された場所に、動かない体を引きずりながら一歩一歩近づく伊勢。 全身のどこにももう力は入らず、痛みを訴える下半身はいう事を聞かず、鉛のように重たく感じる。 「日向、日向……終わった、終わったよ……」 ようやく辿り着いた建屋の扉の前で伊勢は呟く。 涙と白濁液でぐしゃぐしゃになった顔に初めて笑顔が戻った。 「さあ、帰ろう。日向」 倒れ込むように扉を押し開け、中に転がり込む伊勢。 その目に映ったのは、 「んひいいっ!もっと、もっとぉ!ひひっ、あひいっ」 兵士たちに囲まれ、自分と同じぐらい白濁液に塗れながら、一糸まとわぬ姿でよがり狂う妹の姿。 「ひゅう、が…?」 目の前の現実が理解できず立ち尽くす伊勢に背後から男の声が聞こえてくる。 「ああそうだ、言い忘れていたが、殊勝な妹さんだね。姉の姿に心を痛めて自分が変わると言い出したよ。 それで本来なら君に行くはずだった分のいくらかを妹さんにお願いした」 「日向?嘘でしょ……?ねえ、ひゅうがぁ……」 「とは言え流石に私も気の毒に思ってね。少しでも助けになればと、ある薬を打ったんだが……どうも一回の量が多すぎたかな?」 男はおかしそうにそう続ける。 「おお何だ?姉ちゃんの方も混ざりたいってか?」 一人の兵士が立ち尽くした伊勢の腕を掴もうとした瞬間、 「日向に触るな糞共!!」 その腕を逆手にとって引き付けると、体勢を崩した兵士の首を掴み、後頭部を壁に叩きつけた。 崩れ落ちる兵士を尻目に、どこにそんな力が残っていたのか不思議なほどの勢いでもう一人近くにいた兵士にとびかかる伊勢。 怒りと憎しみに染まった悪鬼の如き表情からはいつもの温和な彼女は到底想像できない。 銃を抜くのも間に合わないと判断して素手で応戦しようとしたその兵士の腰から、 すれ違いざまに拳銃を奪い取るとハンマーのようにして頭を殴り飛ばす。 しかし、そこがお終いだった。 一瞬の隙をついた他の兵士たちが伊勢を羽交い絞めにし、一斉に馬乗りになって取り押さえる。 194 :名無しさん@ピンキー:2014/05/03(土) 18 49 09.45 ID AtwVUep/ 「いやはや、驚いたな。まだそんなに動けるか」 「貴様!殺す!殺す!殺してやる!」 素直に驚いたという風に現れた男に、伊勢は足元から睨みつけてそう叫ぶ。 「その調子ならもう一巡お願いできるかな?」 「離せっ!離せくそ!ぶっ殺してやる!」 呪詛の言葉を吐き続ける伊勢を集まってきた兵士たちが取り囲む。 やがて伊勢の声は途絶えたが、直後に一人の兵士が叫ぶ。 「おい!拘束具だ。何でもいい。口にはめろ!こいつ舌噛みきる気だ!」 腕を伊勢の口に押し込みながら部下に命じる。 「口は売り切れか」 「仕方ねえだろ。噛み千切られたいか?」 兵士たちが冗談めかして呟く。 「ああそうだ。元戦艦が二人。どちらも調教済みだ。薬代は料金に入っている」 建屋の中で男が電話でどこかに話している。 「ああ、うん。ははは、いやこれからも宜しく……では」 電話を切った男に一人の士官が報告する。 「中将。姉が到着しました」 「よし来たか。全くいい商売だ」 ほくそ笑みながら男は建屋を出ると、護衛の兵士たちと共に時間通りに現れた相手の前に立つ。 「妹は、山城は無事なんですか!?」 「ああ、無事だとも」 終 +後書き 以上スレ汚し失礼しました。 伊勢日向は健全な意味で仲良しな感じが良いと思った。 普段温厚な子がブチぎれる程度の絶望感ていいよね(ゲス顔ダブルピース)
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477:名無しさん@ピンキー:sage :2013/11/02(土) 01 48 42.33 ID gc3NdWel 漣「いやぁ~潮っぱいは最高ですな~」モミモミ 朧「同じ物を食べてるのに…」フニフニ 曙「どうやったらこんなになるのよ」ツンツン 潮「もう…やめてください…あん…」 唐突にこんなイメージがうかんだが俺は悪くねぇ! 478:名無しさん@ピンキー:sage :2013/11/02(土) 02 02 19.21 ID 1k2zVTOw 提督「どうした、神通? 調子が悪そうだな」 神通「はい……少し、おなかが……痛みます」 提督「生まれそうなのか!?」 神通「」 559:提督の誕生日:sage :2013/11/03(日) 23 40 12.66 ID AkQ8hJti 「HAPPY BIRTHDAY、提督ゥ!!」 今日は俺の誕生日。それもかわいい艦娘達と出会って初めての誕生日である。 「ありがとう」と俺は返した。 「提督のために私たちがPremiumなPresentを用意したネ!」 彼女達は何を用意してくれたのだろう。そう思っていると 「あ…あの……こっちの夜の戦いは初めてで……で、でも、精一杯頑張ります!」 服の上からでもわかる豊かなおっぱいをさらけ出し、いつもとは雰囲気が違う愛宕。 「お…わた、わたし達、提督の為なら…」 いつもの男口調とは違い、たどたどしくも女口調で喋る天龍。 「私、司令官の為なら初めての痛みなんて大丈夫なのです!」 スカートをたくし上げてパンツだけを横にずらしながら秘所をさらけ出し、 いつものように一生懸命さを出して何かを頑張ろうとする電。 「提督ゥ!私たちがVirginをPresentするヨ!好きなコ、Selectしてイイヨ!」 どうやら彼女達は俺に処女を捧げようとしているみたいだ。戸惑っていると 「おっそーい!もっと早く決断してよ!」と島風が不満顔で文句を言う。 「すまない、誕生日プレゼントだからって君達の純潔を貰えない」と速攻で返す。 「ちょっと待てよ!俺達艦娘達の好意を無駄にするのか!?」 「い、いや、俺はどっちかというと初体験をこういう風にしてヤるのに少し抵抗が…」 「司令官…ひょっとして童貞ですか?」 「ああ」 割って入ってきた雷の言葉に対して恥じることなく即答した。 「提督ってかわいい女の子に目がないのに妙なところで意気地無しなのです」 「すまない。だけど君達の気持ちは受けとったよ。いつかきっと……」 「まあ誰とするかは決断を後回しにしてもいいけど、戦いではちゃんと即決してよね」 「ゴメン、君達を失望させたみたいで」 「失望なんてしていませんよ。むしろ提督の意外な一面を知れてよかったです」 彼女達は恥ずかしい思いをしただろうに健気に笑顔を見せていた。 いつか彼女達や、ここにいない艦娘達から誰かを選ばなきゃならない日が来る。いや、選ばないという選択肢もあるだろう。 いずれにせよ、後悔しないように選択し、生きていきたい。 今日はそういった考え方を艦娘達から間接的に教わった気がした。 きっとこれが今年の誕生日プレゼントなのかもしれない。ありがとう…みんな…… 656 :名無しさん@ピンキー :sage :2013/11/06(水) 22 50 05.79 ID bYbSAtDw 「榛名、疲れた。茶を飲もう」 「ええ、榛名で良いならお相手しましょう」 「榛名、メシを一緒に食わんか」 「ええ、榛名で良いならお相手しましょう」 「榛名、将棋の相手はできるか」 「ええ! 榛名で良いならお相手しましょう!」 「榛名、七並べかババ抜きはどうだ」 「ええ……? あの、榛名で良いならお相手しますけど、その……」 「……ふたりだけ、か? 言うな、侘しくなる」 「(遊戯としてそれは成立するのかしら……?)」 「(貧乏艦隊はつらい……)」 四十路くらいの枯れた、やや甲斐性なしバツイチ頓珍漢提督と おおまじめーに秘書艦やってる榛名を妄想した 灯火管制の下で質素なメシを食ってせんべい布団でイタす二人が見たかった ちょっとワードパッド立ち上げてくるわ