約 1,314,120 件
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/138.html
「提督にお知らせがあるみたい・・・」 戦果報告書を提督に提出、先日の南方海域出撃の最終報告書が出来上がったみたい 「おう、ありがとな・・・まぁ、こんなもんだよな、うちは・・・最深部まで行った連中はどんだけ資源ため込んでやがるんだ」 私たちの鎮守府の戦果は通称第三海域を突破したところで終了・・・全体の半分ほどといったところかしら 資源にそれほど余裕のあるわけではない中にしてはなかなかの成績と言えなくもないわね 「しばらくはお休みかしら・・・?」 「そうだなぁ、ボーキサイト以外は見事に消し飛んでるな。(燃料5、弾薬10、鋼材20、ボーキ15000位)海上護衛なんかは欠かさずとして出撃は控える感じだなぁ」 「それに、皆繰り返し出撃してくれたからな。数日はゆっくり休んでもらおうと思ってるんだ」 「わかりました、休暇の旨は伝えておきますね」 「頼む・・・はぁ、しっかしなんだな、こう、書類とにらめっこしていろいろ指示飛ばすのも結構疲れるもんだなぁ・・・」 「珍しく険しい顔をされていましたものね・・・かなり疲れがたまっているのかも・・・?」 眉間をほぐしたり伸びをする提督に声をかける。じっと待っているというのも疲れがたまるものだものね 私たちは実際に動いて消耗は確かにするのだけれど、実は夜戦でも思いっきり砲撃をしたりして少し楽しかったりも・・・ 「提督・・・よかったらマッサージをいたしましょうか・・・?」 「お、マジで?いいの?頼むわー身体バッキバキでなー」 言うが早いか仮眠用のベッドに上着を脱いで寝ころがる提督に苦笑しつつも近寄り 「では失礼いたします・・・ん・・・確かに凝り固まっているわね・・・」 背中に跨りゆっくりと提督の身体に触っていく・・・広い背中・・・この背中が、私たちを背負ってくれているのね・・・ 「扶桑、どうした?」 「あ、いえ・・・少しぼうっとしていました・・・続けますね・・・?」 ・・・ずっと見ていては不審がられてしまうわね、今はねぎらってあげないと 「おぁ~・・・気持ちいい・・・」 「そうですか・・・?ふふ、よかった・・・次は前から失礼しますね・・・?」 よかった、喜んでくれているみたい。鳳翔さんに教わった甲斐があったというものね 「お、おう・・・よろしく頼む」 「はい・・・(ゆっさ)ん(ゆっさ)、どうですか(ぐいぐい)・・・?」 「お、おお・・・これは、すごいな・・・」 「・・・?提督・・・さっきからずっと私を見ていますけど、どうかしましたか・・・(ゆっさゆっさ)?」 「え、あ、あぁ、うん、いや、なんでもない、なんでもないぞ・・・?」 提督の視線を追ってみると、そこにあったのは私の胸で・・・つまり・・・その・・・ 「・・・ずっと見てたんですか?」 「いや、その・・・目の前でゆっさゆっさしてたら目がいっちゃうのは男として当たり前であるというかなんというかだな・・・」 た、確かに提督は立派な男性だものね・・・私の考えが少し足りなかっ─── 「あぁもう、扶桑!」 「は、はいっ!?」 急に腕をつかまれてしまったわ・・・ど、どうしたのかしら・・・? 「お前のおっぱいを吸わせてくれぇー!(エコー付き)」 「・・・は・・・はい・・・?えぇと、急に・・・でも、そんな」 「頼む、頼むよ!目の前であんなにバインバインしてたら我慢できないって!お願いちょっとだけ、ちょっとだけでいいから!」 私の下から抜け出して土下座をしながら頼まれてしまったわ・・・ 「て、提督・・・?その、提督としての矜持というか、そういうものは」 「お前のおっぱいが吸えるならそんなもん地面にたたきつけてやるっ!(クワッ」 「そ、そんなに吸いたいの?」 ぷ、プライドってそんなに簡単に捨てられてしまうものなのかしら・・・!? 「そんなに!吸いたいの!吸うったら吸いたいんじゃー!」(ごろごろ) 駄々までこねて・・・こんな提督初めてみたわ 「あぁ、そんなにしたらカーペットまで・・・吸ったら、おとなしくなってくれますか・・・?」 「うん、する!めっちゃする!」 「わ、わかりました・・・なら、すこしだけ・・・ですよ?」 「ありがとう!」 「きゃっ!?あ、あの、提督・・・?」 急に抱きしめられてびっくりしたわ・・・でも、提督がとても嬉しそう その、言ってることはとても変態さんなのだけれど、どうしてかしら怒れないというか、抱きしめられたらドキドキしてしまうわ・・・ 提督の腕の中は広くて、私がすっぽりと包まれてしまって・・・ぎゅうっと力強く引かれて、こんなにもこの人に触れて ゆっくり頭まで撫でられて・・・温かい提督の指が、私の髪を梳いて背中もなでて・・・ 「ん・・・てい、とく・・・」 さっきまで駄々をこねていたのに急に男の人然とふるまうのはなんだかずるいわ・・・ 「さっきはその、取り乱してごめん。でもほんとに、したいんだ。誰にでも言うわけじゃない、お前だから、頼む」 ずるい、本当にずるいわ・・・そんなふうに言われたらもう逃げられないわ・・・ 「わかり、ました・・・その、やさしく、して、くださいね・・・?」 「努力する」 私の目をしっかりと見て返事を返すと提督は私の服をはだけていって 「ん・・・ぁっ」 露わになった胸に吸い付いてきた 「ん・・・ちゅ、はむ、ちゅっちゅ」 「んゃ、は、ぁう・・・ん、んふっ」 何度も吸い付いてくる提督 力加減、吸い方を変えて、時にはなめたり、甘噛みしてきたり・・・ 「あ、やぁ・・・そんな、一緒に触って、ふぁあ・・・!」 「あ、あ、だめ、そんなに吸ってもおっぱいはでなくて、んぁ、ひゃ、あぁあっ」 「ん、んぅ・・・はぁ、あ、あっぁ・・・ん、ん・・・!」 あぁ、だめ・・・こんなに激しくなんて言ってないのに・・・でも、でも・・・ 「あ、はぁ、あふっ、ん・・・あ、や、あ、あああ・・・あ・・・!」 必死で吸い付く提督がなんだかかわいくみえて・・・なんだか、赤ちゃんみたい・・・ 「ん・・・あ、あ、んっ、はぁ・・・」 「提督・・・、そんなにあわてなくても私は逃げませんよ?落ち着いて、ゆっくり・・・ね?」 提督の頭を抱きしめて頭を撫でてみると、少しだけ動きを落として、まるで、甘えるように 「ん、ん・・・はぁ、あ、ん・・・ふふ」 片方を唾液でべとべとにされたかと思えばもう片方も、ちゅうちゅうと吸われて甘いしびれに満たされる 「はぁ、あ、あぁあ・・・、んく、ひあ、ぁ・・・!」 どれくらい経ったかしら・・・でも・・・かわいいし、もう少し続けてもいいかしら・・・ ぼんやりとそう思っていると急にぽすん、とベッドに倒されて 「はぁ、それ、は・・・あ、あぁ、あ・・・!」 私に覆いかぶさるように倒れてきた彼は、私の胸の谷間に顔を埋めるようにしながら舌を這わせ、両手で揉み始めた 「ん、あ、ぁ、あ・・・はぁあ・・・!」 最初はゆっくり、徐々に大きく、大胆に形が変わるくらい弄ばれ始めた 私はもう提督に求められるのがすっかり嬉しくなっていて、されるがままに快感を享受していた 「ん、はぁ、う・・・私のおっぱい、そんなに好きですか・・・?」 「うん、ずっと触っていたいな・・・」 「はぁ、ん・・・もう・・・ぁ、しかた、ないですね・・・んっ」 言いながら片手を胸から外し、身体中を撫でまわしていく提督 「あ、あぁ、そこ・・・は、ひゃあう!?」 いつしか下腹部・・・さらにその先の秘所にまで手を伸ばされていて 「扶桑、もっと、気持ちよくしてあげるよ」 「あ、あぁ、あ、あ、あぁーっ!あ、ひぁ、あ・・・あっ」 部屋のなかはくちゅくちゅと、私が愛撫されている音と、提督が私の胸をちゅぱちゅぱと吸う音だけが響いて・・・ 「あ、あぁ、あ、ていとく、わたし、も・・・う・・・あ、ああ、ああああああああああぁーーーっ!!」 あたまが、まっしろ、に・・・ 「はぁ、はぁ・・・あ・・・う・・・?」 私は、その・・・達してしまったのね・・・?身体がいうことを聞かなくて、ずっとぼんやり、ふるふると気持ち良くて 「ふぁ、ていとく・・・?あ、んぅ」 いつの間にか胸から顔を上げていた提督に抱きしめられて・・・ 「入れるよ」 ずちゅ 「ふあ・・・!?あ、あぁあっ!」 痛、熱・・・なにか、私の、中に・・・これってまさか、その・・・ 「あぁ、扶桑、扶桑・・・!」 「あっ、やぁっ!提督、これは、あ、やぁぁっ!?」 「とめられない、ほしい、扶桑が全部ほしい!だから、奥まで、全部!」 「うぅっ!?あ、はう、あ、あああぁっ!」 ぐりぐりと、提督の分身が私の奥まで入って、きて・・・ 「あぅ、ていとく、ふあ、あ、あああ!」 「扶桑、扶桑、ふそう・・・!」 ずっずっ、と何度も激しく私の中をかき混ぜる提督・・・そんな激しい行為にも私の身体は慣れていって 「あ、あぅっ、て、ていとく、は、はげし、やぁあ・・・!」 「あ、はぁ、そんな、そこばっかりぐりぐり、ひあ、だめ、あっ、あ、あ・・・!ふやぁ、あつ、あついの・・・!」 「はぁ、はぁ、もう、でる、だすよ!ふそう!」 「あ、あ、あっあぁっ!でるって、や、あ、あ、あああああああああっ!」 ドクン、と一際私の中で大きくなってから、びくびくと震える提督 私の一番奥にびゅっ、びゅっと流れ込んできて・・・ 「は、あ、やぅ・・・私の、なか、に・・・あ、はぁあああぁ・・・!」 「あ、あの・・・提督・・・いまのは、その」 「ごめん、我慢できなかった・・・よっ」 「んあ!?あ、やぁあ・・・!?あ、あ、ひぁあっ」 「ごめん、一回じゃ、終われ、ないから・・・っ」 私の中の提督は硬さを維持したまま私を攻め始めた 「ん、はぁ、あ、んっ!ん、んん、んむ、ぷは、あむ、ちゅ、ん、んんんっ!」 「はぁ、ふそう、ふそう・・・!」 「はぁ、あ、なんだか、さっきより、んく、う・・・!」 「この角度がいいのかな?」 「ふああ!?あ、ひ、あ、あああっ!あ、あぅ、ひああ・・・!」 「うぁ、あ、あ、なに、わたし、なにか、きて、あ、あ、あぁあ・・・!」 「う、やば、またもう、でるっ!」 「「あああああああっ!」」 「ふあ、あ、また、なにか、びくびくって・・・」 「はぁ、はぁ・・・ふう、う・・・」 「はぁ、はぁ、ていとく・・・ん・・・」 チュンチュン 「う・・・?あ・・・さ・・・?」 あら・・・?確かさっきまでお昼だったはずなのに・・・? 「扶桑、おはよう」すりすり 「提督・・・おはようございます」 私たちどうして裸で抱き合って・・・あぁ、そういえば、私たちは一線をこえて・・・ 「ごめんな、痛かったろ・・・?次はもっとやさしく気持ちよくしてあげるからなー」 「はい・・・あの」 「うん?」 「次はもうちょっとムードを出してお願いします・・・。あれではなし崩しに抱かれた感じがして・・・」 「わかった、善処する」 「姉様ー!?昨日はどこにいってらしたのですかー?朝見たら部屋の中にいなくぁwせdrftgyふじこぉ!?」
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/461.html
執務室の布団の中で扶桑と二人、一糸まとわぬ姿でまどろんでいた時の事だ。 彼女は激しい行為を好む性格ではなく、時折はこうして何もしないことさえある。 昨日の彼女の戦果は幸運艦に相応しいものだったが、僚艦の被害が著しく、俺はその処理に追われた。 彼女もまた疲れていたためこのように抱き合って寝るだけにしようとなった。 足音を感じ、また青葉かと思い警戒するが明るい「見ちゃいました」と言う声もない。 ならば荒潮かとも思ったが彼女はドックだ。 そして、顔を上げた瞬間見えたのは白い服を着た女の子。同じ顔をしたその子が部屋を埋め尽くさんばかりに。 「ふ、扶桑起きろ。何かおかしい」 眠そうに目をこすった彼女は俺の肩越しに話しかけた。 「山城、どうかしたのかしら?」 まるで、情事を見た妹をとがめるように。 あたかも、在りし日と同じように。 「な何を言ってるんだ扶桑……山城はこの間の海戦で……」 その言葉に扶桑の表情が変わる。 「うそ、嘘、ウソ、だってほら、だってそこに山城がいるの。姉様って言ってるのよ。呼んでいるのよ」 それから先は良く覚えていない。ただ、半狂乱に陥った俺たちがいつになく激しく事に及んだのは分かった。 扶桑の全身には情事の跡が、布団には赤と白が、俺の腰には痛みが。 ところで、扶桑が見た山城は分からなくはないが俺が見たのは何だったのか。 青葉に依頼したが芳しくない。俺には思い当たる節はない。 誰か知っていたら教えてくれ。もぐもぐと喋る幼げな女の子だ。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/612.html
624 :名無しの紳士提督:2015/01/03(土) 11 38 00 ID 1yGxOmOk 曙新年verはダメ提督(正確には軍務はデキるが、家事とかの能力が壊滅的)との相性が良い気がするんだ。今更かもしれないけど。 661 :名無しの紳士提督:2015/01/06(火) 23 52 38 ID /PNRWLfo 曙「あら、意外と片付いてるじゃない」 提督「そうだろう。お前達には日頃から能力を軍務に全振りしてるだとか生活能力ほぼゼロのクソ提督だとか散々なことを言われているがそれも今年で最後になりそうだな」 曙「それにしても少し綺麗すぎるわね、どうせ私が掃除に来ると知って慌てて片付けただけなんじゃないの?」 提督「…(ギクッ)」 曙「それに…どうしてさっきから押入れが不自然に軋んでいるのかしら?」 提督「ま、待て!押入れを開けるんじゃない!」 ドサー 曙「やっぱりこういうことだったのね。生活能力ほぼゼロのクソ提督らしいわ」 提督「め、面目次第もございません…」 624 を文章(台本形式だけど)にしてみたら結構良さげな件。ここからどうやってエロに繋げるか、それとも非エロでいこうか。 663 :名無しの紳士提督:2015/01/07(水) 01 11 30 ID Z8M9tWqE 部屋から提督を追い出してから飛び出してきた物を片付ける そしたらエロ本発見して毒づきながらも恐る恐る読んでみる クソ提督はこんな娘がいいのかな…とか色々考えている内にムラっときて…それを提督に覗かれてたとか 665 :名無しの紳士提督:2015/01/07(水) 09 17 16 ID v7sjgJhA その上着物曙ははいてないという これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/617.html
684 :名無しの紳士提督:2015/01/08(木) 21 46 05 ID VEzQ244o ふと思ったネタ、深海凄艦を捕えたようです 戦艦凄鬼「ハナセ!ハナセ!人間ナンカニ屈指ナイゾ!」 提督「はいはい、暴れない、悪いようになんかしないからさ」 戦艦「ダマサレナイゾ!コウシテ油断サセテカラオ前ハ私ニ(ピー)ヤ(ピー)ナコトヲスルツモリダロ!」 提督「ナニイテンダ?フジャケルナ!!」 戦艦「ソウシテオマエノ(ピー)デ私ヲ(ピー)デ(ピー)シテ、(ピー)ナコトをスルノダロ!(ハァハァ」 提督「ナニヲジョウコニズンドコドーン!」 戦艦「コウシテ私ヲ慰ミ者トシテ(ピー)シテモ我々ノ誇リハマモル!(ハァハァ」 提督「あ、あの~戦艦凄姫さん?」 戦艦「コンナ屈辱ヲ受ケルクライナライッソ犯セ!…ジャナカッタ殺セ!」 提督「…なあレ級…」 レ級(捕らえられたがそのまま鎮守府に居候している)「ナーニ?ダーリン?」 提督「誰がダーリンじゃ、所でお前らのボスってこんなのか?」 レ「違ウヨ…コンナ変態BBAト一緒ニシナイデクレ」 戦艦「レ級!オンドゥルルラギッタンディスカー!」 提督「(もうやだ)」 708 :名無しの紳士提督:2015/01/10(土) 10 38 00 ID OzTorjww 684 彼我の軍艦や軍籍の船の魂が無念とかで堕ちてしまった存在といわれるのが1番しっくり来るだろうし 彼女等の無念とかを祓えさえすれば、そういう未来も有り得るんじゃないかな (個人的には彼女等を鎮める為に生まれた、艤装への適性がある子が「艦娘」と考えてる。) これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/435.html
+前書き 35 :名無しさん@ピンキー:2014/06/09(月) 23 50 03.86 ID LFfPHuDn 避難所および前スレにて、大和SSに感想ありがとうございました ふと思い立って、全く同じシチュで相手を大和から武蔵に変えてみました。 提督×武蔵。 36 :35:2014/06/09(月) 23 50 41.85 ID LFfPHuDn 「で・・どうなんだ?私のおっぱいは気持ち良いのか、提督よ・・」 俺の勃起した竿を見えなくなるほどにその柔肉の間に包み込んだ巨乳が、その持ち主の手で左右から圧迫され、上下にやや乱暴に擦られ、ふにふにと形を変える。 温かくも柔らかい感触に包まれているだけで達してしまいそうになるというのに、竿だけでなくその付け根にまで伝わるたぷたぷとした重量感、 精悍に日焼けした野性味のある肌が絶えず自分のそれを擦り上げる刺激の心地よさといったら、慣れ親しんだ自分の左手などとは比べ物にもならない。 「む・・少し動いたな。多少は感じてもらっていると思って良いのか?これは」 群青の絨毯の上にひざまずいてふくよかな両胸を露出して、革張りのソファに腰掛け下半身を露出した姿勢の俺の相手をしているのは・・世界史上最大級戦艦、武蔵。 「じゃあそろそろ、口で遊んでやるとしようか。・・喰い千切ろうというんじゃないんだから、そんなにビビるな」 俺の答えを待たず、あむ、とその引き締まった唇の間に、挟んだ胸の先に突出していた肉棒の先端をくわえ込む武蔵。 胸とは違った水気ある温かさに包まれた感触。男と口づけなんてしたこともないような、ある意味でピュアな唇に先端をちゅうちゅうと吸われるたび、ぴりぴりした快感が背骨を昇る。 「あ・・ちょっと・・・っ!」 思わず俺は腰を浮かせ、亜麻色の髪が左右に小さく跳ねるようにまとめられた彼女の後頭部を掴む。育ちの良い犬を思わせるふさふさの手触りが、やがて上下に揺れ始める。 「ちゅぱ・・む・・ちゅっ・・・ぺろ・・・あむ・・はむはむっ・・・ちゅうぅ・・ぱくっ・・・」 「う・・っく、うぁっ・・・!」 裏筋をなめ上げる。軽く歯を当てる。指先で袋を包みこみ、やわやわと揉む。親指と人差し指の輪で、ちゅっちゅと上下にしごく。 おっぱいでの挟み込みから口と両手での包み込むような形の責めに変わり、肉棒の先端から睾丸の末端まで次々と与えられる贅沢は、もはや相手をも認識できないほどに気持よく、 「へえほふほ、ひもひいのふぁ?」 言葉になってない、吐息が熱い。くすぐったい。視線が恥ずかしい。 「む、武蔵・・・・ちょっとストップ、またイッちゃいそう・・だから・・」 「・・ふん、この程度の責めで情けないことを。・・そんなコトでこの武蔵を、本当に楽しませてくれることが出来るんだろうな・・・」 胎内から湧き上がるような熱くて甘い吐息を帯びた彼女の睦言が、耳朶から脳を直撃し、匂い立つ感触に囚われたままの腰ががくがくと震える。まだだ、まだ我慢できる・・と思いたい・・。 軽く汗ばむほどに熱を帯びてきた彼女の、南方の華のような特有の肌のにおい。それ以上に熱い愛情、劣情、攻める楽しみと快感がないまぜとなって陶然とした雌の上目遣い。 肉感のある両胸の先、彼女自身の意志と興奮を示す、ぷっくりと淫らに膨らんだ武蔵の胸先。そしてだらしない俺の先走りと彼女の唾液を受け止めて、淫靡にてらてらと輝く唇と指先。 デスク上の黄色がかった光のみが照らす深夜の執務室内、俺の眼前に展開されているその光景は、俺にとって一生忘れられないものになるだろうという確信があった。それほどエロかった。 そんなコトの始まりは、数分前に遡る。 「ふー・・。俺一人じゃ重くて、さすがにちょっと君の部屋までは運べないよ。自力で歩けるようになるまでここ、執務室で休んでてくれ」 幸い、新品の革張りソファセットを卸したばかりだった。お偉いさん来客用のつもりだったが、まさか最初に酔った部下を介抱するような使い方になるなんて。 「何だと?提督よ、お前はそれでも海軍軍人のつもりか?基礎体力訓練ははりゃやよふにゃはれ」 いくら自分の歓迎会だからって酔っ払いすぎだろう、後半のろれつが怪しすぎる。まあ、ほとんどの艦娘が撃沈したなか、最後まで粘ったには粘ったのだが。 「そうだな、摩耶なら喜んで手を貸してくれたか。声を掛ければ良かったな」 軽い冗談にギラリと睨みつけてきた武蔵が、俺の方をていやとソファに蹴り捨てた。酔っててもさすがの怪力、逆らいようがない。 そのまま全身で拘束するかのように身体にのしかかってきて、いつもの座った眼で俺の顔面を至近距離から睨みつけながら口を開く。 「なんなんだお前は。大した活躍もしないで速攻で沈んだ艦の戦歴なんで知ってんだ。マニアか。軍艦マニアなのか」 吐息がすこし・・いやかなりお酒くさい、しかしそれがまた色っぽい。眼鏡の奥の目が怖くて声が低いのはいつも通りだが、より迫力がある。怒ったのか。活躍が少なかったことはやっぱ気にしてるのか。 「いや、まあ・・マニアというか、俺は武蔵という艦も結構・・・というか、かなり好きなんで・・・・」 大艦巨乳主義の象徴のごとき柔らかいふたつの膨らみが、俺の胸のあたりを圧迫する。うっかり見慣れてしまいそうになるが、先端部を隠すだけのようなサラシオンリーなのは周知の事実。ズレやしないかとこっちがどきどきする。 「・・大和に匹敵する排水量と攻撃力、特に膨大な敵の攻撃を単艦で引き受けておきながら数時間の航行を可能にした圧倒的防御力、まさに帝国連合艦隊にとっての最終秘密兵器・・」 ちょっとリップサービスを含めてみるが、眉間にシワを刻んだジト眼は微動だにせず『それで?』と無言で先を促す。超怖。 「・・・・えっと・・美人だし、ワイルドな態度の中にも知的な魅力があって・・・・・あと、おっぱいがとても大きい・・・・」 「はぁ?」 乳を押し付けていたのに気づき・・・だがそんなことどうでも良いかのように、ゆっくりと上半身を起こすと彼女は言った。 「・・どこを見てるんだお前は。こんな邪魔なもんがそんなに好きなのか」 呆れ返ったような顔で、自分の巨乳を片手でむにむにと無造作に揉む武蔵。しかしソファの上でまたがった姿勢は変えてくれなかったので逃げようがない。 つーか・・酔っていたとはいえ、なんて事を口走ってんだ俺は。 マウントでフルボッコにされて済む話ならともかく(それはそれで死ぬかも)、最大戦力の彼女と今夜のことをもやもやと抱えたまま「イッテキテネ」「オウヨ」みたいな気まずい関係を続けるのは・・ うわぁ避けたい超避けたい。取舵いっぱい全力回避したい。 「・・・・・・・ま、そこまではっきり言う勇気は認めてやろうか。私に一回ぶん殴られたら二回半は死にそうな細身でありながら、私が女として魅力的だと言い放ったお前の度胸は、な・・」 ちょっとだけ赤くなったような顔に『しょうがねぇなコイツは』というような表情を浮かべる武蔵。あれ、なんか変なハナシに転がりそうっぽい? いや別に今でもおっかないっつーか、あれでもなんかちょっと可愛いような気がしてきた。何故。 「貧弱な腕で、助けてくれようとした借りもあるしな。・・よっし。特別に、今夜はお前の女になってやる!お前が目をつけたこの武蔵のおっぱい、伊達ではないぜ!!」 眼に力を込めたまま、魅力的な谷間を飾るサラシの結び目を解きはじめる武蔵。やがてふわりと落ちたサラシの奥から、乳首もあらわな褐色肌の生おっぱいが、俺の眼前に解き放たれた。 いやいや酔っぱらい杉だよこのお姉さん!憲兵さんタスケテ!!つかまじでおっぱいすげぇ! そのまま俺のズボンのベルトをぐいと外し、チャックを開けもせずパンツごと引きずり降ろし。俺の既に熱く滾ってしまった肉棒が、涼しい外気と彼女の好奇の視線の先にぶるんと晒された。 「さあ、たっぷり可愛がってやるぞ、提督よ・・・・」 股間に話しかけるような彼女のしぐさには、もはや完全な戦闘終了まで引くつもりなど全く見えない。 一瞬で混乱と興奮の極みに達した俺の頭に浮かんだのは、『注意一秒、ケガ一生』という意味不明の警告文だけだった。 艦隊司令部に入電。 我、夜戦に突入ス。 「武蔵、ちょっと・・体勢、変えよう。気持ちよすぎて長くは持たないし、」 というよりも。 「終わってしまう前に、武蔵の身体も味わわせて欲しい。・・ダメか?」 ちょっとはっきり言いすぎた気もするが、そこまで考えるほど理性に余裕が全く無い。 「・・・提督・・・?」 俺の言葉に一瞬、目を丸くした武蔵だったが。 「・・構わんぞ。今夜はお前の女になると言ったはずだ。こんな身体でよければ、・・好きにするがいい」 ちょっとだけはにかんだような表情で視線を外し、彼女はそう答えた。なんでか分からないが、今夜は完全になんでもアリらしい。てかやべぇマジかわいい。 息子に先を越されてしまった唇と谷間には、ちょっと攻めこむのに躊躇がないでもない。蒼い絨毯の上に半裸の彼女を組み敷いた後は、本能の命じるまま、彼女の柔肌、右の脇の下に顔を埋めた。 「ん・・・何を・・」 そのまま思い切り、息を吸い込む。日当たりの良い縁側の猫のような独特の匂いが、俺の鼻腔から肺腑を満たし、興奮の極みにある心を酔わせる。不快感なんてあるはずのない、良い匂い。 「こ・・ら、提督よ、そこ、くすぐったい・・ぞ・・」 言葉を無視して、舌を這わせる。若干ぬるりとした感触の奥に、ざらざらとした肌の触り。酸味の汗の味の向こうは――甘い。とてつもなく甘い。 「あはん・・こら・・・・おい、てーとく・・っ・・そんなところ、ゆっくり・・・舐めるなぁ・・・っ・・!」 「武蔵のここ、甘くて美味しい。ずっと味わってたいよ」 スリムな脇腹のあたりから脇下をガッチリした二の腕付近まで大きく舐め上げると、再び彼女の嬌声が響いた。 そのまま、何度も、何度も。味わい、嗅ぎつくしながら、強さと女性らしさが同居する肉体の脇下を犯し続けた。 彼女の身体がぴくぴくと震え、上をむいてなおツンと主張する乳首が、波打つ乳房の上でふるふると揺れていた。 「あ、そうか・・こっちも、触って欲しいよね」 「提督・・あぁ、触ってくれ・・この武蔵の胸・・・・今夜は、好きにしていいぞ・・・・・・・」 眼鏡の奥のいたずらっぽい目で、必要以上に挑発するかのような彼女の卑語は言葉足らずだったが、かえってそれが劣情を刺激してくる。 ぴんとそそり立ったままの左乳首を、そっと口に含む。再び口中に満ちる、武蔵の味。 「――はっ・・ぁ・・・」 こりこりとした感触。そして周辺の肌とは全く異質の、すべすべの滑らかな舌触り。良く考えると武蔵には似合わないような、それでいてどこかしっくりと来るような、母性の器官。 その魅力にまるでこちらが吸い付かれたかのように、転がし、ねぶるのを止められない。なめらかなままに固く感触を変えていくそれを、尖らせた舌先で、湿らせた唇で、必死に愛撫する。 「やあっ、あっ、はぁんっ!いい、気持ちいいぞ、提督・・っ!」 口と左手でそれぞれの乳首を愛撫し、つまみ上げ、こりこりに尖らせて擦り上げ、いつまでもびくびくと感じさせて。 やがてその先からじわりと、独特の味をした何かが俺の口中に広がって・・いや、そんな幻想を靄のかかった頭に覚えるほどに、俺は武蔵の両乳首を延々と攻め立てていた。 「う・・くっ、ていと・・くぅ・・・」 眉根を寄せた表情のままでカタチの良い顎を高く反らして、がくがくと震えながらも欲望を解放しつつあるような武蔵の右手が、いつの間にか――彼女自身の秘所から、じゅっ、ちゅっ、と湿らせた音を立てていた。 それに気付いた瞬間、自分の未熟さに、軽い嫌悪感を覚える。そうか、そんなに焦らせてしまっていたなんて。 「武蔵」 「あ、提督、これは・・違う、いや、違わないのだが、その、・・」 そっと彼女の手をどけて、ひくひくと震えるその秘唇に、俺は顔を近づけ――ゆっくりと、舌を差し込んだ。 「あっ、はああぁぁぁぁぁっ!!」 一際高い嬌声が、部屋を満たした。 「んっ、むっ、ちゅううっ・・・ぷはっ、ひぁぁ、くあぁっ、うぁぁ・・」 先ほどと同様に、いや先よりも一心不乱に俺のものに口で奉仕する、武蔵。 執務室の柔らかめの絨毯の上、仰向けに寝転がった俺の正面には、上方視界いっぱいに広がる赤いスカートの内部・・下着を脱ぎ捨てた彼女のヒップと、あられもなく両足を開いた状態で差し出されたどろどろのヴァギナ、ひくひくと震えるアナル。 秘所を同時に口と舌と指で攻める、これ以上ないほどに淫靡な形で、俺と武蔵は互いに愛し合っていた。 「んむ・・じゅる・・ここも美味しいね、武蔵・・それに、すごく綺麗だ」 「か、感想なんか、言うな・・すっごい恥ずかしいんだぞ・・・・・はむ、れろ・・そっちこそ、先っちょがぬるぬるで・・・・あん、そこ、やあぁっ・・」 ひくついた排泄腔のあたりを軽く指先でなぞりつつ、若干ごわごわとした和毛の感触をも楽しみながら、武蔵の秘所を吸い上げ、愛液を味わう。 「あぁうっ!」 びくり、と彼女の身体が揺れた。脇下を攻めた時に似た、しかし比べ物にならない程にくらくらと意識を犯し、痛いほどに心臓に早鐘を打たせる、彼女自身の匂いを凝縮したような、さらさらの蜜の味。 アナルに軽く舌を差し込み、きつい括約筋を味わってみる。 「こらぁっ!そこは、そんなぁっ・・・・あ・・・」 充血した谷間を、鼻先で下から上へと撫でてみる。 「うあ、ひぁ、なにやってんだあぁ・・・っ」 ぷっくりと膨らんだ陰核を、お返しにと軽く歯を当てつつ舌でこしこしと扱いてみる。 「ひぁぁぁぁっ!そ、それダメあぁぁぁっ!やめろぉぉっ!」 そのたびに武蔵は気持ちよさそうな声で俺の股間のものを震わせて、ひくひくと動く肉壺からとくんと新たな蜜をふとももに伝わせる。 行為に興奮した武蔵の責めもより情熱的になり、俺の屹立した肉棒を手袋を嵌めたままの指と舌とで容赦なく責め立ててくる。 そしてそれに促されるように、俺は再び彼女の秘所に口をつける。互いの身体を電流のように奔る、甘い快楽の循環。・・しかし。 「・・くっ、武蔵、もう・・・・くあぁぁっ!あっ、あぁ・・・っ」 白旗を上げたのは、俺のほうだった。 射精の絶頂感、幸福感が意識を白く染めてゆく。武蔵の口内に、こらえてきた分の全てを、大量に何度も放ち続ける。 しかし武蔵は決して口を離すこと無く、そのすべてをきつくきつく吸い上げ、飲み干していた。 「んく・・ごく・・・・・はあ、ごほ・・・・喉に引っかかるな、これは・・・・でも――私の身体なんかでそこまで感じいってくれたのは、嬉しいぞ。提督よ」 飲んでくれたのか・・とぼんやりと思いながら脱力した俺の鼻先から顎までは、大きな果実にかぶりついた子供のように、彼女のもので濡れきっていた。 そしておそらくは、武蔵も同様であるはずだった。 眼鏡掛けたままではあったが。 「提督・・そろそろ、こっちでも・・遊んで欲しいだろう?」 ゆらりと立ち上がった武蔵が、俺の身体に跨ってきた。 濡れた秘裂を自身の指先で開き、かすかに糸を引く蜜を、半勃ちの息子の先端に垂らしてくる。 そのあまりの淫靡な光景に、先ほど達したばかりのはずの俺のそれは簡単に二射目を装填してゆく。 やがて武蔵は待ちきれないと言わんばかりに、勃ちかけた俺のものを以外にも細くてひやりとした指で握ったかと思うと、その上に、ゆっくりと――腰を、下ろした。 「・・・っ!」 灼熱の感触が、ぬるりと。きつく、きつく。 「うあぁぁっ・・て、提督のが・・あたしの、なかに・・・入って・・・・!」 普段からは想像も出来ないような震えた声を上げた武蔵が、ゆっくりと上下に動き出した。 ぎちゅ、くちゅ、という水音、媚肉のぶつかりあう音が、リズミカルに室内に響き始める。 「ふふ・・・どうだ・・武蔵、御殿の、内装、は・・うあぁぁっ!き、気持ち良いか・・?」 ぐちゅぐちゅと大胆に動く武蔵の腰の中、別の生き物のように締め上げ絡みついてくる膣内に性器が擦られて、有り得ないような快感に意識が飛びそうになる。 「っくっ・・ああ、最高に・・・っ、気持ちいい、武蔵・・・っ」 だが。一度は達した分か、少しは余裕が無いでもない。 「あっ・・・・?!」 ぐいと腰を持ち上げて、こちらから突き上げ始めて見ると、武蔵は気持ち良さそうに褐色の胸をふるりと揺らした。 「武蔵・・今度は、俺の番だ」 本能のままに両手で腰を掴み、武蔵の奥の奥まで突き挿すように何度も何度も突き上げる。 「ああんっ!き、きもちっ良いっ、あはぁんっ、てい、と、くっ!!」 もはや完全に『女』になって感じてる彼女の姿が、今はとても愛おしい。 彼女をそっと濃紺の絨毯の上に倒し、ちゅるん、と性器を引き抜いた。 びくりと一瞬震え、微かに震える脚をだらしなく開いたままの彼女の眼鏡の奥には――どうして止めるの、もっとして欲しいよ、という少女のような瞳の、無言のおねだり。・・・たまらんな、コレは。 「武蔵・・・ちょっと、後ろを向いてごらん」 「・・・・・そうか・・・更に、気持ちよく、なるのだな・・・?」 執務室のソファに裸の上半身を預け、恥じらう気持ちを上回る快楽への欲望に高く差し出された褐色の尻肉。それを両手で鷲掴み、菊座の下、濡れそぼつ性器に、自分のものを――一気に、突き立てる。 「うああああっ!」 挿入の快感に震えた汗ばむ背の下で、ぶるんと大きな胸が揺れるのが見えた。その声と姿に劣情を限界まで刺激された俺は、何度も何度も、武蔵の尻に音を立てながら自分のモノをぶつけ続ける。 「武蔵・・・武蔵、可愛い、・・・武蔵・・・っ!」 「はぁあっ!提督、好き・・大好き、提督・・ぅ・・・!」 武蔵も快感に蕩けきった声でありえないことを鳴き叫びながら、レザーのクッションにぎゅっと両手で皺を寄せ、更なる快楽を貪る獣のように高く差し出した尻を自ら振り続ける。 「あ、や、もう・・イッちゃうよぅ・・あん、やぁぁ、ああああああああっ!」 「・・・・・・っ!」 褐色の肉感的な腰を逃がさないように抑えつけ、びくっ、びくっ、とキツい収縮を何度も繰り返す膣内に、前屈みになって思う様白濁液をぶちまけながら。 ――超弩級戦艦てのは、やっぱりみんなこんなにエロいのだろうかと、またしてもどうでも良い思考が頭に浮かんでいた。 その日のこと自体は、特に誰かに悟られたということはなかった。 武蔵も翌日から後腐れも照れもなくテキパキと働いてくれて、活躍必至の意気込みに恥じぬ結果を見せてくれていた。 そしてとてつもない量の資材消費、艦娘視点でいうところの食欲・・・・も、常のことだ。 俺がなんとか資材のやりくりをこなしているうち、彼女は簡単に鎮守府に馴染んでいった。 あの日から、変わったことといえば。 週に一度程度の割合で―― 「提督!さぁ、MVP艦たる武蔵の凱旋だぞ!・・・今夜もご褒美は、期待していいのだろうな?」 ヒューヒューと囃し立てる他の艦娘たちをも全く意に介さない、ワイルドな美女のお相手をさせて頂く栄誉を得たことくらいだった。 (おしまい) +後書き 42 :35:2014/06/09(月) 23 56 39.53 ID LFfPHuDn 以上連投失礼しました。 たけぞう好きの同志はあまり居ないんですかねー 個人的には結構面白い人なんじゃないかと思うんですが これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/354.html
43 :43:2014/04/20(日) 20 28 26.56 ID GxRafqlR 以前クズ提督とか加賀と翔鶴の修羅場とかを投下した者です。 浜風ものを書いたので投下します。 例によって 長い エロが薄い ので嫌いな方はスルーしてください。 ただ今回は修羅場とかバッドエンド成分はだいぶ薄いと思います。 1 六畳半の、畳敷きの、何もかも必要以上という事の無いように設計された部屋の中で、唯一大仰な佇まいである壁掛け時計が静かに時を刻んでいた。 ごつ、ごつ、ごつと柔らかい地面に石を落とし続けているような音を発しながら、秒針は重たそうにその身をずっと振り続ける。 鼓膜を圧迫する沈黙へのただ一つの抵抗に、だが救援が現れたのは突然の事であった。 「起きてくださいな」 靄だった、掴み所の無い女の声。部屋の中央、蒲団の北側に寝そべる彼女は、身を捩りながらゆるゆると手を持ち上げた。 華奢な手首が隣に寝そべる男の肩に乗せられると、それをきっかけとしたように彼の寝息はぴたりと止んだ。 代わりに犬の呻いたような声や荒い深呼吸の擦過音が、覚醒した意識を示すように口から漏れ出してゆく。 「あたし、色々なお客さん知っているけれど、し終わった後にぐぅすか寝ちゃうのなんてあなたが初めてだわ」 拗ねた声音に酷く人工的な媚を感じながら、男はゆったりと瞼を持ち上げた。 朱色の照明が瞳孔をぎゅっと圧縮し、水浴びしたみたいにすっきりとした脳みそは、返答の言葉をすかさず口腔へと運ぶ。 「お金のほかにも、貴重な睡眠時間を削って逢いに来ているんだよ、僕は。激務なんだから、ほんとは君を抱くより寝ていたいんだ」 「まぁ! あたし強制した覚えはないわよ」 「精神的には求めていないはずなんだけど、体がね、言うことを聞かないんだな」 口元にふわりと握った拳を当てながら、彼女はくすくすと肩を震わせた。どうして娼婦というものは皆笑い方が上品なんだろうと、 彼は首を傾けた。それから枕もとの腕時計を手に取りながら、壁掛け時計の針をちらりと覗き見る。 この部屋への礼儀として、時刻確認は腕時計でしては駄目だと思っていた。娼館の小部屋に不釣合いな時計は、だからこそ特有の尊厳を醸し出し、もしかしたら女を抱くためではなくこの時計を見るためにこそ時間を割いたのではないかと思えるほど、それは強大なものであった。 「でも、あなたの仕事場には女の子しかいないんでしょう? 欲求不満とは無縁そうだけれど」 蒲団からのそのそ這い出して、女も小首を傾げる。仕事だから仕方ないとは言え、余りに均整のとれた媚を何度も見せ付けられると胃もたれしてくるのだった。 男は頬にそっと手を這わせ、顔を自然な位置に戻してから口を開く。 「言うだろう? 一盗二婢三妾四妓五妻……」 「あら、私は四番目?」 「残念ながら、うちには人妻もいなければ女中もいない。独身だし、ましてや恋人もいやしない」 「やった。一番だ!」 苦笑しながら散らばった服を着込む。どうせ鎮守府に戻れば制服へ着替え直さなければならないから、億劫な事この上ない。 しかし素っ裸なまま外に出るほど、まだ人間を捨てたつもりもなかった。 「また来てくださる?」 部屋を出る直前、再三の女の媚が背中へ降り注ぎ、彼は一つ溜め息をついた。 「休みがとれればね」 そして敷居を跨ぎ戸の軋む音を聞きながら、とうとう気配を感じなくなると、そこでようやく安心が心中にじんわりと広がった。 外套を羽織り、ポケットに手を突っ込んでからゆったりと歩き出す。階段を降りロビーを抜けて、娼館の出入り口を開け放った。 建物が夕日を妨害して、路地は宵の様相を呈している。だが空高くを仰ぎ見れば、抜けるような橙の雲が未だ明るく光っていた。既 に帰還予定時の一刻過ぎ、だが彼は慌てる事も無く、てくてくと歩を進める。 そもそも海軍に休暇などという話ではあるが、それでも羽の休める時間は欲しかった。彼には提督としての自分が、完全に一個人で ある自分と合体してしまうことへ、かなりの抵抗があったのだった。潜在的に仕事人間になる事のできない性質で、だからこそ月に一 度、半日だけの休暇が必要不可欠であったのだ。 上層部への、この特殊な有給の懇願は、思いのほか容易く汲み取られた。それは彼が提督職を厭に思いながら、反面成績は優秀であ るという矛盾の証明でもあった。まさしく今、その休暇を使いきり、彼の心内は暗澹たるものである。 道のり十五分、もうすぐ鎮守府の正門へ辿り付く頃合に、目の前遠くに人影が見えた。歩調は荒々しく、頬には朱が差されている。 馴染みのセーラー服の上にコートが羽織られ、裾が寒風を受けはためいていた。 長い前髪を揺らす彼女、浜風は、怒気を隠そうともせずみるみる提督に近づいてゆく。 「遅刻です! 今までどこをほっつき歩いていたんですか!」 開口一番の怒号は、提督の鼓膜をびりびりと震わせた。醸し出される覇気を全身に受け、思わず背筋が鳥肌立つ。 まさか娼婦を抱いてたとも言えず、彼は黙してはにかんだ。事実そのままを伝えれば、生真面目な彼女の事である。最悪失神しても おかしくは無いだろう。 矢継ぎ早に繰り出される小言を聞き流しながら、唯何となくといった心緒が眼を動かした。服の生地越しの彼女の体躯。豊かな胸や 肉つきのいい大腿、相反する背丈。トランジスタグラマーとは死語に近いが、しかしこの体躯に名をつけるならまさしくそれが相応し い。 男ならば誰しも情欲に駆られるべき肉の造形に、だが提督は唯の一片もそそられはしなかった。別段、既に欲望を吐き出しつくして あった為ではない。彼女の生真面目さが一種の神聖を現出させ、そこに厭わしさを覚えずにはいられなかったからだ。 仕事の関係に終始するならば、提督は浜風を好んでいた。歴代の秘書の中、最も肌に合っているとさえ思ったほどだ。元々無駄が嫌 いな性分である。彼女の簡潔で的確な仕事は、悉く妙々、能率も格段に上がっていた。 だが、私生活においてまで何か一緒をするとなると、それはぞっとしない空想なのである。恐らくは俗の極みである自身が、対極に 位置する彼女に気後れしているのであろう。魚が清水を忌避するように、提督は穢れ無き純真を苦手に思っていたのだった。 2 まただ、と浜風は思った。斜め前を行く提督からの、ほんの僅かな香の残滓。甘ったるいオリエンタル系の、間違えなく女性しか付 けようのない匂いが微かに鼻腔を刺していた。 休暇の度に毎回遅刻する彼は、何時もこの香りを漂わせながら帰還していた。その事に気が付いたのは実は極最近のことであったの だが、一度ふいに嗅ぎ取ってしまって以来、やたらに鼻につくようになった。 何処に行っていたのかを聞いても、適当にはぐらかされるだけだ。彼はそれで充分誤魔化せたと思っているらしいが、その曖昧な態 度は寧ろ怪しみを増大させていた。はっきりしないということが厭で厭で仕方ない性分である。腹の底から苛々が際限なく湧き出して、 どうにも気分が悪かった。 執務室まで戻り、机の上に山積された書類を指し示す。提督は眉を顰めた後、露骨に気だるそうな風を装いながら着席した。 「夕食まで二時間です。それまでに終わらせてください」 浜風は彼の横に立つと、大げさにそう口にした。小さい子供が駄々をこねる様な口ぶりに思えて、提督の頬は独りでに釣り上がった。 勿論彼女に見られれば余計面倒臭いことになるのは分かっていたから、下唇を噛み締めて肩が震えるのを押さえ込む。 指示が無謀なものであることくらい、彼女自身も理解していた。だが遅刻さえしなければ容易に終わらす事のできる仕事量であった はずなのだ。 恋人との睦みあいに勤しみ過ぎてこんな事態になったのだから、同情の余地は欠片もない。浜風はそう考え至ると、溜飲下げる思い で提督を見下ろしていたのだった。 これは、彼女が生娘であるが故の誤解であった。欲望は等しくモラルの上にひれ伏すと、ましてや尊敬の念を抱いている直属の上司に 疚しい所はないはずだと信じて疑わない、生粋の処女が至った勘違いであった。海軍の将兵は自分より偉くて優秀であるという、謙遜 からの聖人視が提督の姿を酷く歪めていた。性欲の為だけに金を払いそれを解消するビジネスがこの世にあること事態、嫌悪をしてい る彼女であった。まさか提督が、それに加味しているなどと思うわけもないのである。 結局、食堂集合のベルが鳴る頃には八割の書類が消え去っていた。伊達ではない成績であったが彼女の顔に笑みは無く、そして未だ 赦す気もありはしなかった。残った仕事を足したとて、この提督ならば夜の仕事を長引かせる事は無いだろう。実務の面での滞りは一 切無いであろう事を理解しながら、苛々は腹底に溜まり続ける一方である。 もうあの匂いは消えていた。いや、もしかしたら鼻が慣れただけなのかもしれないが、どちらにせよ香りを感じる事はできなくなっ た。だのに、女の残滓が未だ彼の周りに漂っている気がして、不愉快な事この上ない。嫉妬という感情を知るに、未だ彼女は高潔過ぎ たのだ。 雷に手を引かれ、提督は第六駆逐隊のいる長机へ向かった。それを横目に見、浜風はより一層奥歯を噛み締める。好意を惜しげもな くぶつける艦娘を見ると、忌々しさが心内をのた打ち回るのだった。仮にも海軍の一員であるのだからふしだらな真似は控えるべきだ し、ましてや手を取るなぞ言語道断の不品行である。そう思えど、注意をしたならあらぬ誤解が生じるであろうことに疑いは無かった から、この煮えない感情は消化のしようがないのだった。 「独りなの?」 つと、背後から声をかける者があった。朗らかでありながら、どこか凛とした風格を備える声音。仰々しい艤装を解いた姿は宛ら年 頃のお嬢様であって、どう見繕ってもこの鎮守府の最終兵器だとは思えない。 戦艦大和は浜風の隣に立つと、愛想の良い笑顔を爛漫と向けた。浜風の心中には、未だ彼女が懇意に接してくれる事への感謝と後ろ めたさがあって、その交錯はさも複雑な様相を呈していたのだが、勿論当の本人にはそんな事知る由も無かったのだった。坊ノ岬、護 りきれず先に逝った事。過去の事だと一蹴するには、記憶の中の無念と悔悟が厭に生々しく再現される。 大和は提督が手を引かれ離れていくのを目に取ると、得心いった表情で言葉を続けた。 「なるほど、ふられちゃったのね」 「ちがっ……別に提督なんか、何処に行ったって構いません!」 反応を見、くすくすと笑い声を漏らす大和に、浜風は恨めしい視線を送った。 結局浜風は、大和と武蔵の定位置に参入する形で食を取る事になった。駆逐艦の中ではそれなりの体躯である彼女ではあるが、眼前 に戦艦二隻もあれば流石に小柄さが際立ちもする。どうにも居た堪れない気持ちを抱きもするが、流石に食い終わってすぐ席を立つの も無礼ではあるし、暫くは話に参加していた。 話の内容そのものは、大変有意義ではあった。もうこの鎮守府に慣れたと言える位に歴も長い彼女だが、それでも二人に比べればま だまだ新参もいいとこだった。未だ秘書として、半ば提督の庇護下にあるようなものであったから、存外知らない事も多かったのだ。 「提督って、今恋人はいるのでしょうか?」 会話の流れでそう疑問を口にした浜風は、次の瞬間には開いた間によって、発言の危うさを自覚する羽目になった。ふと視線を上げ てみれば、武蔵はぽかんと口を開け大和は笑顔のまま硬直している。慌てて、 「いえ、私が提督をどうこうというわけではありません! 純粋に疑問に思って!」 そう弁解し、途端二人は顔を見合わせ口元に笑みを張り付かせた。 「聞いたこと無いし、いないと思うけれど……」と大和。 「“どうこうというわけではない”ということは、何かそういう噂でもあるのか?」と武蔵。 浜風は促されるままに、そのあらましを答えたのだった。即ち、休暇の度に提督に纏わり付く乳香について、また余りに怪しい彼自 身の態度について。全てを聞き終えると、武蔵は鼻を鳴らしてから口を開いた。 「なんだ貴様、そんな事も知らんかったのか。いいか、甲斐性の欠片もなさそうなあの提督だがな、実はそれなりに色は知ってい……」 得意げな顔で滔々と語りだしたその口は、突如大和の手によって塞がれた。抗議の視線が送られるのも厭わず、彼女はすかさずに耳 打ちし、途端武蔵ははっとしたように抵抗をやめた。露骨極まる行為であったが、確かに浜風の耳に大和の囁き声は入らなかった。咳 払い一つ、体勢を立て直した武蔵はさも先ほどの発言が無かったかのように仕切りなおしたのだった。 「まぁ、なんだ。貴様も何れかは知るときも来るだろうぜ。そんな、大した話ではない」 これ以降、どれだけ追求をしても二人が口を割る事は無かった。 3 数日後の事である。提督への怒り、実態は嫉妬のそれであるが浜風は得体の知れないものだと認知しているその感情が一応の終息を 見せていたその日、太陽が精一杯下界を照らせども一向に気温の上がらない昼下がりの、ふとした時分にそれは起こった。 執務室、提督の傍らに立つ浜風は書類に傾注している彼の手元から、物々しい音がしたのを聞いた。木材がバキリとへし折られたよ うな、背筋が鳥肌立つ不快音と同時、提督の口からは 「あっ」 と情けない悲鳴が漏れていた。見ると彼の手にされていた万年筆、その先端は見事なまでにひしゃげられており、断面からは血が噴 出すかのようにインクが零れて出していた。 提督は空いている方の手を黒染めにしながら何とか書類を守ろうとしていた。浜風は事態が掴めるや、当然黙って見ているのみなら ず手近にあった布巾を投げつけた。以降、部屋の中には悲鳴と、書類の舞う紙の刷れる音だけが響き、しばらく静寂が戻る事はなかっ たのだった。 対応が早かった事もあって重要書類への被害は何とか未然に防がれた。すっかり取り替えられた執務机の青クロスを見、浜風は今ま で呼吸を忘れていたかのように長い長いため息をつく。結局、時間にして四十分は掛かっただろうか。床掃除をしていた提督もゆっく りと立ち上がり、ようやく仕事を再開できると思った矢先、しかし彼の行動はその予想が楽観であったと、そう突きつけるものであっ た。 「何を、しているんですか?」 呆然と言った言葉に、提督は短く 「直しに行かなきゃ」 と答えた。彼はラックに掛かっていた外套に袖を通すと、さもそれが当然といった様子で執務室の扉を開けた。 「待ってください!」 慌てて追いすがる浜風は、彼の腕を猛然と取るとそのまま前方に回りこんだ。しばらく頭の処理の追いついていなかった彼女は、彼 の手に先ほど壊れた万年筆が握られているのを見ると、怒りを露に彼を眇めた眼で睨みつけた。 「そういうのはまた今度にしてください! 別にボールペンでもサインはできるでしょう?」 「一度万年筆を知ってしまった身からすればね、ボールペンでサインを書くなんて書類に対する冒涜もいい所なんだよ。どうせ一時 間もあれば行って帰って来れるんだ」 「駄目です! 既にもうかなり時間が経っています! 今度にしてください!」 論争が進むにつれ寧ろ論争そのものが時間を浪費する魔物である事に気が付きはすれど、果たしてどちらも譲る事はなく、結局妥協の 案が挙がったのはそこからもう十分は経った後だった。 外出する役目は浜風が請け負った。提督は油性ボールペンで仕事を続行、本人がいなくなるよりかはロスも少ないだろうと思われた。 両者それぞれに不満が残り、だがそれ以外方法も見つからない。かくして、万年筆と提督直筆のメモを託された彼女は、慣れぬ鎮守府 外周の街を巡る事になったのだった。 準備を終えた後、鎮守府の正面玄関に辿り着いてから、浜風は託されたメモを開いた。そこには、贔屓にしているらしい文具屋まで の行き方と、万年筆のメーカーやら型番、カタカナと記号の羅列が所狭しと書かれてあった。更にこれは失念していた事でもあったの だが、メモに折り込まれるような形で幾枚かの紙幣が顔を覗かせ、良く一枚一枚弾いて見てみれば、全てに諭吉の胸像が描かれてあっ た。 総額で八万円である。ぎょっとし、背筋を言い知れぬ不安感が這い上がった。大金を持つ事に罪悪を感じるのは潔癖の共通する性質 なのだろうが、果たして彼女もその例に漏れてはいなかったのだ。一度戻ろうかとも考えたが、買い替えとなった時にはもしかしたら これぐらいの金額が必要なのかもしれないし、何より早く済ませたかったこともあって結局はそのまま戸をくぐった。 財布を持っていなかった彼女は、紙幣を外套のポケットに入れ、尚不安であったから手も一緒に突っ込んでおいた。思えば着任以来、 街を訪れた事は一度も無い。唯でさえ心落ち着かないのに、掌に触れる紙の感触は恐慌への誘いを止めなかった。辺りを必死に見渡し、 人と擦れ違う度左手を強張らせるその様子は、まるで強迫観念に囚われた精神病患者のようでもある。 目的の文具屋に辿り着いたのは、そんな状態のまま十五分も歩き続けた後であった。一時以上歩いたに等しいような疲労を顔に滲ま せながら、しかし兎に角ポケットの中の重りを無くしたかったから、彼女は息を整えることもせずにその店の戸を開けた。夕刻には陽 の光も入らなさそうな、狭い路地の寂れた店である。 最奥のガラスケースのカウンター越し、恐らく店主と思われる気の弱そうな老人が薄く開いた目を浜風へ向けた。短く切り揃えられ た白髪や皺だらけの顔が、重ねられた齢をやたらに主張していた。ただその佇まい、猫背にもならずしゃんと地に立つその姿だけは、 かつての清勝を僅かに香らせている。 「な、直してもらいたいものがあるのですけれど」 厭な緊張が喉を震わせ、突っかかった言葉は静かに空気を震わせた。浜風はそれだけを何とか言うと、もう続く言葉も考えられなく なり、ハンカチに包まれた万年筆とメモとをカウンターの上にそっと置いた。 老人が濁った瞳を、つぅと下へ滑らした。盛大にひしゃげた金のペン先を萎れた指が労わるように撫でる。ため息の後、かぶりを振 りながら彼は口を開いた。 「随分昔のメーカーのだ。もう倒産しちまって、部品も何もあったもんじゃないだろう……。断言はしねぇが、まぁ元通りにするの はまず無理だろうな」 筆記具の造詣に深くない浜風は、それを聞くとあの提督の頑なさに納得のいく思いをした。愛用の長年使った筆ならば、確かに仕事 を放り出してまで修理を急ごうともするだろう。 無理をしてまで直したくは無いと、出掛けの浜風に提督はそう言っていた。筆記具には安楽死こそが尊ばれるべきだと言う彼の言葉 を思い出し、彼女は何やら湧き出し始めた愛着を切り捨てて、言葉を紡ぎだしたのだった。 「それと似たようなのはありますか?」 老人は一つ唸ると、 「割かし高いぞ」 と呟いた。 「構いません。一応、お金はあります」 「そうか」 ペン先を撫でた指先が、今度はガラスケースの上を滑る。ダイヤの指輪が保管されるようにケースの中で展示されているペン達の、 真ん中あたりが指し示された。 「そこの三つから選ぶといいだろう。デザインで気に入ったのを言ってくれ」 値札に書かれた金額は、端から六万五千、七万、五万九千。彼女にとっては生まれて始めての、超高額の買い物だった。 悩むわけにはいかなかった。あれだけ時間が無いと吼えていたのだからと、生真面目からの後ろめたさが焦燥を現出させていた。 こういうのは高ければ高いだけいいのだろう。彼女はそう結論付けると、七万円の筆を遠慮がちに指差した。 「まいど。……彼氏のかい? このペンは」 老人の吊りあがった口角から、突然のからかいが零れだす。浜風は素っ頓狂な悲鳴を上げると、裏返った声で反発した。 「ちが、います! わ、私のです!」 「いやぁ、それは嘘だねぇ。あんた、文具に対する執着が無さそうだもんよ」 「本当です! 彼氏とか、そういうのじゃありません!」 けらけらとした笑い声は、くぐもりながら広がった。 最後まで彼は頑なに、恋人の存在を疑わなかった。店を出る際に掛けられた言葉は、 「彼氏によろしくな!」 であって、最早面倒くさくなっていた浜風はもう反論する事も無かったのだった。 右手に引っさげられた高級品。その重量が厭に重く感じられた。ビルの隙間から覗く晴天の元、こった腰をぐるりと回し大きく深呼 吸をする。体の節々、筋肉という筋肉が全て収縮しているようだった。 つと、鼻につく匂いがあった。薬品の甘い外殻をそのまま燻したような蠱惑の芳香。浜風は最初、一体何故自分がこの程度の仄かな 香りに意識を持っていかれるのか不思議でならなかった。別段、街を歩けば色々な匂いが、煙草であったりすれ違う人の香水であったり が、厭でも肺に吸い込まれてしまうはずであった。何故この匂いだけがと、そう思いを巡らせた数瞬の後、彼女の記憶の底からは溢れ 迸る場面があった。 休暇の度に、提督の服に纏わり付く乳香。脳裏にまざまざと蘇る、不愉快な彼の誤魔化し。 ほぼ反射の域で、彼女は視線を巡らせた。匂いの元、その根源を目で見て確かめようとしたのだった。何の望みも無く、後の事さえ 何も考えず、ただただ知りたいという欲求が眼を忙しなく動かし続けた。 一点、路地の果てに城を見つけた。暖色の外壁が狭い路地をぴったりと埋め、場違いなほど絢爛な屋根が静かに街を見下ろしている。 間違えようも無く、香りはその城から発せられている。 幾ら生粋の処女たる浜風とて、それが何を生業とする所なのか察せ無いほど初心でもなかった。絶望的な心境の中、何故これ程まで にショックを受けているのか、冷静に分析する自分もいた。 肺を埋める乳香の、そのおぞましさに身を震わせ、彼女は小走りに路地を行く。 執務室の戸を開け机に向かう提督の旋毛を見たとき、茫然自失であった心内に途端怒りの色が混じりだした。何も事情は知られてい ないと、本気でそう思っているらしい佇まいを見、嫌悪と侮蔑とが湧き出して眩暈を感じるほどにまで増長する。 震える声で、何時も通りの仕草と口調を演じながら、彼女は買ってきた品物を机上に置いた。二、三言葉を交わし、じっと彼を観察 しながらそれを口に出す機会を待った。 未だ、確信はあれど証拠は無い。極僅かな確立でも自身の勘違いという可能性がある以上、怒りを感じる必要はないはずなのだ。焦 燥に駆られながらも、浜風は都合のいい妄想を止めることはしなかった。提督にはきちんとした恋人がおり、その恋人の使っている香 がたまたまあの娼館と同じであるのだと。ましてや同じ街であるのだから、買う場所も限られてくるわけであって、別段珍しい事では ないはずだと。激情が顔を覗かせようとする度、そういった言い訳じみた文言が頭の中を駆け巡り、瀬戸際で波が引くのを何回も何回 も繰り返す。 コンバーターがインクを吸い上げ、銀のペン先が墨色に染まった。最後、外殻に覆われた万年筆が裏紙の上を滑り出し、吐き出され るインクの量が徐々に落ち着きを見せ始める。 仕事を再開しようと彼が書類の束に指を掛けた瞬間、浜風は口を開いた。鼓動が一段と早まり、胸の奥に燈った熱がじんと腹へ下っ たようだった。 「文具屋の路地の先に娼館がありますよね」 無機質な声音であった。ただ事実を確認する為だけの、情緒を暗に匂わせることもしない平坦な声に、提督は胃が縮み上がるのを感 じた。同時にこれから彼女が口にするであろう言葉、その話題が一体何なのかも容易に察することができて、自分勝手な悔悟が背肌を 一気に鳥肌立たせた。 どうして彼女がこの事を知っているのかだとか、そういった疑問は全て無為である。今の関係は確実に終端を迎え、そして今更引き 返す事もできない事を確信する。視線を逸らしながら、彼は震え声で答えた。 「ああ」 「行きましたね?」 彼女はすかさずに言葉を重ねた。先ほどと打って変わり、憤慨と蔑みが端々に迸っていた。 誤魔化す気は更々無かった提督であったが、しかし肯定の言葉は喉につっかえ、すぐには出てこなかった。それは決して恐れからくる ものではなく、今までの関係への名残惜しさが姑息な手段として口を開かせなかったのだ。 「……行った」 息を吐き、自分で生爪を剥がす心境でとうとうそう言い切ると、長い沈黙が重く空間に垂れかかった。語尾の残響も完全に消え失せ、 窓が風に揺られる物音だけが虚しく響き続けていた。 静寂が破られたのは、そこから一分は経った後だろうか。浜風の口から、 「最低」 ただその一単語が小さく零れ出た。本人さえ意識せぬまま、喉が独りでに震えたように吐き出された言葉だった。それを皮切りに不 気味に平坦だった心緒がようやく遅れて揺れ動き始め、疑問や怒りや、裏切られたような寂寥が頭をさぁっと侵蝕してゆく。 感情のままに口が開いた。自身に汚い語彙がこれ程まで備わっていたのかと、そう吃驚するほどの様々な罵声が提督へ無秩序に吐き 出された。 彼は手を止め唖の様に黙している。反発は許されず全てを聞く事が義務であると、そう思った故の態度であったのだが、当然彼女に 解されることは無かった。寧ろ、今彼の行動全てを厭悪に捕らえる浜風にとって、それは不貞腐れているから何も反応を返さないのだ と解釈されるものであったのだ。 湧き出す憎悪に際限は無かった。一見堅実で篤実と思われた提督が実はそれなりに遊ぶ人間であったと、本来ならそう一言で片付け られるはずであった。これ程までに烈しい憎しみの、その所以さえ分からない事が酷く不快で仕様がない。 感情の増長が留まることなく、とうとう足を動かした。浜風は提督の頬を叩こうと前へ一歩踏み出して、その段になりようやく自身 の怒りが大仰過ぎる事を自覚した。燃え上がる感情の片隅を、異様に冷えた客観が水を差すように過ぎ去った。今もし艤装が装備され ていたなら、迷わずに彼を撃ち殺しているであろう事。半ば、殺意とも呼べるほどのその烈しい感情は、誰が見ても行き過ぎと思うも のであった。そして、今までその感情に何も疑問を感じなかった事への恐怖が、突如として足元から湧き出したのだ。 木戸を荒々しく開けて、彼女は廊下へと飛び出してゆく。過ぎ去る空気が熱い頬を撫で、眩暈の揺らぎが体幹を崩した。ふら付きなが らも、彼女はひたすらに走り続ける。握った拳が彼の頬へ向かわなかった事へ、ひたすらの安堵を覚えていた。 4 自室の蒲団に顔を埋め、既に何刻過ぎ去ったのか。最初、ただ得体の知れない憎しみだけに支配された頭は、じわじわとその侵蝕が 退くと途端に寂寞を発し始めた。自身の口にした罵倒を思い返すとそれが到底許されざる罪に思われて、悔悟が胸の辺りをじくじくと 痛めつけていた。躁の後の鬱というに余りにその落差が激しく、彼女には情緒の安定しない自身の感情が何か不気味な代物に思えて仕 方が無かったのだ。 夕食の時間にも、彼女はここを動かなかった。ドアをノックされた回数は計三回。当然そのどれにも反応は返さなかった。今更外に 出る事への罪悪感による抵抗が、希薄になった時間感覚の中、心内を漠然と漂っている。 ようやく蒲団から這い出したのは二十三時過ぎ、更に立ち上がる事ができるようになるまでもう一時間掛かった。執務室へ赴こうと 思わせたその最大の要因は、ふと思い出された外套の右ポケットであった。 そこには万年筆を買うのに渡された紙幣の、余りの一枚が未だにあった。言い訳がないと動く事もままならない惰弱ぶりが厭に思え、 しかし動かないよりはましであったから、彼女は倦怠の極地の中でとうとう部屋を出たのであった。 寒々しい廊下の明かりが、じっと浜風を見つめていた。眠りに沈んだ鎮守府は寂寞感をより一層掻き立たせ、唯でさえ憂鬱な心中を どんどんと沈み込ませていく。 執務室の戸から漏れ出す光が、未だ彼が仕事中であることを示した。秘書不在の中での執務であるから、とても今日の分を完遂でき てはいないのだろう。そこに安堵を覚えながら、彼女は戸を開いたのだった。 執務机に座っていた提督は、木戸の軋む音がするなり顔をがばっと持ち上げた。既に風呂を終えた後なのか、何時もの軍服は壁に掛 かり、身に纏われているのは紺の甚平と半纏である。 無表情な彼女との視線の交錯、だが両者ともに口は開かずただ沈黙だけが鎮座した。片方でも初期に声を発せていたなら、どれだけ 楽であったのだろうか。沈黙が長引けば長引くほどに、心理の探り合いが膠着を強固にしていった。 状況打開の開口は、浜風が先であった。明確な目的を有していた故に、彼より幾らかは口が軽かったのだ。 「これを、返しにきました」 目を逸らし執務机に近づくと、彼女は握っていた紙幣を差し出した。体感として丸一分ほどの沈黙が、ようやく破られた事に吐息を 漏らしつつ彼は礼を言ってそれを受け取る。 唯一の話題が、この短いやり取りによって完全に終了した。提督は、彼女はすぐにでも反転してこの部屋を去るものだと思っていた のだが、実際には、その場に突っ立ったまま目を逸らし黙って突っ立ているだけである。わざわざこの一万円札を返しに来たというこ とは、つまり金輪際の関わりを絶つという意思表示だと思われた。嫌悪し二度と口を聞きたくも無いのに、なまじ真面目で律儀だから 無理してここに訪れたのだと、本気でそう考えていたからこそ今の彼女の姿は不可解な事この上なかったのだ。 それは気まずさからの逃避であるのか、彼は机の上の書類を一通り片付け始めた。どうせもう寝る予定でもあったのである。何時も の習慣を凝視される事に慣れぬむず痒さを覚えながらひたすらに机上を綺麗にしてゆくと、ものの二分が過ぎる頃には紙類は完全に消え ていた。 浜風の心中を、焦燥と不安が駆け巡っていた。これで終わりになっていいはずか無いという確信があり、しかしかと言ってこれ以上 何を話せばいいのか皆目検討もつかなかった。提督は許してくれるだろうかと顔を伺い、だが本来許すかどうか決める立場は自身である はずで、状況と感情とがあべこべにひたすら混乱をもたらしている。 「すまなかった」 顔を上げると、席を立った提督が近くに寄っていた。彼女は、それが何に対する謝罪であるかを判別しかねていたし、彼自身もよく 分かってはいなかった。何と反応すべきか悩むうちに時間が余りに過ぎ去って、結局は無視をしたような形になった。そしてそれは、 提督の致命的誤解を完璧に補強する根拠になってしまったのだった。 「君はまだ、第一艦隊で闘いたいか?」 唐突な疑問に、浜風は反射的に、 「は、はい」 と答えた。素っ頓狂な、裏返った声音の返事を聞き思わず苦笑をしてしまう。その瞳に写ったのは悲哀なのか、彼は続けて口を開く。 「便宜上として、一応は今のままでいさせてくれ。第一艦隊の旗艦として従来どおりに戦闘に参加してもらう。ただ、秘書仕事の方 には、もう参加してくれなくても構わない。明日からは別の艦娘を宛がおうと思っている」 言葉の趣旨を理解するには、彼女は彼の考えや誤解を認識できていなかった。だから、後半の文言を正しい意図で受け取る事もでき ず、絶望的な心境はその暗がりを一気に広めていた。 「……どういう、ことですか」 「すまないとは本当に思っているんだ。君がその、なんていうか。私に対して失意とかそういうのを感じたなら申し訳ないし、だか ら別段君が嫌だと思うことはしたくないというか。尊重したい、と思った」 「だからって、何で私に秘書を辞めろって言うんですか!? 私がそんなこと何時言ったんですか!」 怒りと形容するには、焦りと寂寥が余りに大きすぎた。提督の表情を覗き見れば、そこに浮かぶのは疑問である。だからこれがあて つけではなくて、本心からの気遣いである事は察する事ができて、故に自身の望みとは離れたところへ行こうとする現実を引き止める 術が分からなかったのだ。 「君は、生真面目だから」 切り出された言葉が、生真面目という一単語が胸へ刃を突き立てる。 「生真面目だから、多分、本心で嫌だと思っていても秘書をしようとするだろう。義務に忠実に公私を分けようとするだろうから… …でも、私の仕事は艦娘が幸せにあるようにすることだ。無理はしないでいいんだって、そう言いたい」 幾ら言葉を重ねてもこの誤解を解く事はできないと、彼女は荒ぶ感情の中で思った。彼へ言ってしまった罵倒の数々を前に、本当は 嫌いじゃないと口にするには余りに都合がいいように思われたのだ。もし、本気で説得をしたならば充分彼の持っている認識を改めさ せる事ができたのに、それを口にする権利が無いという思い込みが、機会を永遠に奪ったのである。 どうしたらいいのか、考えを早急に纏めなくてはならないのに、荒立つ心情が集中を阻害していた。早く早くと焦る気持ちだけが前 に出て一向に具体的な文言が浮かばなかった。 「万年筆、ありがとう。書き易かったよ」 そう言うと、とうとう提督は踵を返し、浜風の横を通り過ぎた。 振り返り、すかさず彼の手を掴む。ただまだ行かせたくない、このまま行かせてはならないという思いが反射的に腕を伸ばした。肌 と肌が触れあい、少し冷えた体温を感じ、彼女の頭に閃いたことは正気の発想ではなかった。 自身がどれだけ頭のおかしい事をしようとしているのか、きちんとした憶えはあった。だがそういった事よりも、もっと重視される べきことなのだという決め付けが、理性や正常な思考を悉く破壊していたのだった。 浜風はふと膝を床につけたかと思うと、寝巻き甚平の下に手を掛けて、半ば引きちぎるようにしてそれを下ろした。尋常な心理状態 では無い事を自覚しながら、しかし彼女は汚れこそがこの提督の側にいる事の一条件に思えてならなかったのだ。 突然の彼女の狂態に提督は狼狽した。理解が追いつかず、ただ後ろめたさと状況の背徳が口を開く事さえままならない硬直を引き起 こさせた。 下着から陰茎が引きずり出されたのを見て、ようやく彼は我に帰ることができた。 「おい! 何をする!」 反射的に腕を取り怒鳴りつけると、彼女の背は一瞬震えた。脅え怯んだその瞳には、だがすぐに意思の光が照り戻り、凄みは幾倍に も増大しながら尚言葉は発されない。 ぐいと頭を伸ばしたかと思うと、浜風は獣が肉を喰らうように萎えた彼のを口に含んだのだった。生々しい唇の圧や歯のぬめった鋭 利さを感じ、反射的に腕を引っ張っても一向彼女は動じなかった。必死に頭を振りながら舌を遮二無二動かし続け、吐息の最中には唾 液がぼとぼとと零れ落ちる。そのほとんどは彼女の豊満な胸元を汚していた。身体が前後する度に、服と下着に圧迫された乳房は小さ く僅かに揺れていて、濡れた跡は歪に光を反射する。 のぼせたかのような頭の熱が、抵抗や理性というものを悉く霧散させた。彼女は夢のような半ば現実感の無い状態の中にあったから、 嫌悪して止まなかったはずの行為を今しているという事に疑問も何も感じなかったのである。 躊躇われた方法ではあったが、提督は彼女の頭を掴むと力を込めて押し退けようとした。だが、今度は自由になった両腕が腰にきつく 巻きつけられ、寧ろ体勢的にそこまで力は入らなかったからより引き離すのが困難になってしまった。舌が竿の裏をなぞり、尾てい骨 からむず痒さが競り上がる。口腔の感触、その冷たさや滑りが体のあちこちの筋肉を緩めさせ、最早意識は自身のそれに向かわざるを 得なくなった。 口の中、次第に大きくなってゆく彼を感じ、浜風はより一層烈しく頭を振る。だが稚拙の極みにある彼女の口淫が快楽だけを生むのか といえば、当然そんなことは無かったのであった。 時折前歯が、亀頭の出っ張りを引っかいた。鋭い痛みが体の奥を突き抜け、しかしすぐに舌が慰撫するから悲鳴を上げるほどでは無い。 提督がマゾの気質を持っていたならむしろこれは射精を促す強力なペッティングでもあったのだろうが、現実には快楽を後退させる錯 謬の愛撫に他ならなかった。どれだけ唇が扱こうとも、一向に睾丸が熱を持つ事は無い。 なんとなしにそれを察したのだろう。浜風はふと動きを止めたかと思うと、じわじわと喉の奥にまで陰茎を挿し込み始めたのだった。 「よせ!」 ぎょっとした提督は本気で彼女を離そうとしたが、狭い喉口へ陰茎の先が沈み込むと、その生々しい柔らかさにまったく力が入らな くなる。抵抗に素直に従う事ができたなら浜風とて楽ではあったのだろうが、意固地に凝り固まった汚れなくてはならないという義務 感が、決して自身を赦しはしなかったのだ。えずきそうになるのを堪えながら喉奥に何度も何度も迎え入れ、ひくつく動きを感じると それが愉悦なのである。拷問じみた苦しみに涙が勝手に競り上がりだし、気管の入り口が痛むほど咽び返っても、決して口から彼を離 すことはしなかった。 懸命な奉仕に、だが直ぐに限界は来た。もう何度目かも分からない咳き込みが、しかしこれまでと違っていた事に当人も気が付いて はいたのだった。ただ矜持が体の苦痛を無視しようとした。意思の力で封じ込める事ができると思われたそれは、膨大な力でもってと うとう浜風を跪かせた。 逆流した胃液が、盛大に床を穢していった。吐瀉物は彼の靴にまで飛び散り、それが視界に入るや罪悪感が腹底から音を立てて湧き出 した。この程度の事もできないのかと自嘲の思いが一度巡ると、情けなさや不安感、寂寞が嗚咽や涙となって零れ出る。胸の熱さや胃 の痛みより、よっぽどそれが辛かった。 ひゅるひゅると喘ぎ出される吐息の痛ましさに、提督の心内にも自責の念が広がった。自身の行動が悉く彼女を傷つけた事を、今更 悔悟して何になるのか。朴念仁の、愚鈍で無力の愚図がこれを引き起こしたと、ただその事実が残るのみである。 「すまない」 背を摩り、そう口にした。言葉が耳に入ると、彼女の嗚咽はより一層烈しくなった。混沌とした感情の波が両者の間を埋め尽くし、 深夜の執務室は静かにそれを見つめている。 「秘書でいたいんだったら、何時まででもいていいから」 しばらくの間、浜風は立ち上がる事もままならなかった。この彼の台詞をきちんと理解できたのも、もうずっと後のことである。喜 も哀もミキサーによって混ぜこぜにされたように、混乱が感情を支配した。 結局はその日、浜風は提督の部屋に寝た。蒲団の匂い、あの香ではない彼自身の匂いに包まれながら、混濁した意識は途端に霧散し た。 提督とて抵抗が無かったわけでもないが、しかしあそこまで疲弊した彼女を抱え艦娘の宿舎まで辿り着ける保証も無かったのだった。 浜風にはもう意思を伝えるような力も無く、しかしすぐに寝付いたということは拒絶されているのでもないのだろう。 安堵の寝顔に負い目を感じ、提督は部屋をあとにする。長い夜にずっと悔いを抱き続け、明けない空を眺め続けた。 5 「やっぱり、ここに来ては駄目だったかな」 事のあらましの説明を、彼はそう締めくくった。下半身の気だるさがそのまま口に顕れたような、覇気の無い声音だった。 娼婦の反応たるや、予想のそれと寸分違わない。 「あなた、なんでここに来たのよ!」 自身の立場をかなぐり捨てた、一人の女としての反応だった。 彼とて、この反応を待ち望んでいたのかもしれない。彼女からきちんとここには来るなと、そう宣言されてようやく浜風と向き合え る気がしたのだった。ただ、金を払い事を致した後にそう格好つけても、何も偉くない事は自覚はしていた。 「ほら、言うじゃない? 一盗二婢三妾四妓五妻……」 当人としては冗談で言った台詞であった。だが娼婦の目には途端怒りが燈り、 「ほんとに最低!」 その言と同時に平手が飛んできた。 彼女は部屋を出て行った。あくまで商いとしての関係に終始するのではなく、個人として罵倒してくれた事に心からの歓喜があった。 提督は服を手早く着ると、もう二度とは来ないであろうその部屋を後にした。
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/30.html
新しい提督が着任してきて数ヶ月が経った。 少なくとも現在の鎮守府は平和だ。 もちろん戦時中なので戦闘はある、が現在の提督は的確な編成と負担の軽減を優先させる戦術で 戦果自体は極々平凡ではあったが轟沈する艦娘が出たりはしていない。 秘書艦を務めている不知火は今日も黙々と司令室で仕事に励んでいた。 戦闘に赴くことはもちろんあるがそれ以上に遠征に向かう艦隊の編成や ランニングコストの計算、上層部からの命令への対応や他の艦娘達から上がってくる要望の処理など そういった仕事のサポートをする為、必然的に司令室にいることが多くなる。 そして不知火にとって今の提督はある意味理想的な上官と言えた。 今までも秘書官を務めたことは何度かあるが 何故か大体がこちらを無理やり弄ろうとしてきたりコミュニケーションを強要しようとしたり または何かを期待するような目で息を荒げて馬鹿な行動をとってくる提督ばかりだったからだ。 とはいえその手のセクハラはどこの鎮守府でも多かれ少なかれ行われているとは聞くし 中には共に退役してゴールインしてしまった提督と艦娘もいるらしいが。 その点現在の提督は相手に合わせたコミュニケーションを取れる人物であり 不知火としては仕事に集中しやすい時間を用意してくれる。 少なくとも上官として好意を抱ける提督ではあった。 今日までは。 「司令、書類の作成は全て終了しました。ご確認をお願いします」 時間は既に深夜だった。 遠征隊がちょうど同時に帰還したり、上層部への報告書作成や資源状況の整理などを今日中に処理しなければならず 提督と不知火はこの時間まで仕事に追われていた。 「ん? ああ」 書類へのサインに忙殺されていた提督が不知火を見る。 「わかった、確認しておく。こんな時間までご苦労だったな」 そう言うと提督は無造作に不知火の頭に手を乗せて軽く撫でた。 「……不知火の頭を撫でないでください」 とっさのことで反応に困った不知火だが表情も変えずに抗議の声を上げる。 他の駆逐艦が頭を撫でられて喜んでいる光景は何度か見たことがある。 駆逐艦は他の艦より精神年齢が幼い娘が多い。 提督は割と懐かれているため頭を撫でられるとほとんどの駆逐艦達は喜んでいたのだが 自分も同じように扱われるのは少し納得がいかない。 「嫌か?」 こちらの心情を知ってか知らずか微笑みつつも頭を撫でるのをやめない提督を睨む不知火。 「命令でもダメか?」 言葉につまる。 不知火にとって命令は絶対だ。 多少なりとも理不尽でも艦娘として上官の命令には従う義務があると不知火は考えている。 もちろん今までは理不尽すぎる命令に関してはそれ相応の対価を支払わせてきてはいるが。 「……ご命令ならば……」 この状況に関しては非常に微妙な気分なのでそう言うしかない。 頭を撫でられていた艦娘の気持ちがなんとなくわかってしまいそうな気がして あえてその感情を振り払うつもりで提督から顔を背けた。 隠しきれない感情がうっすらと、しかし確かに頬に赤く浮き出ていることには気づかずに… ************* キス島に出撃した艦隊が帰還した。 その構成は全艦駆逐艦からなる艦隊である。 主力艦隊の撤退を支援した後、全速力でキス島海域を離脱するという非常に危険度の高い任務であったが 不知火を旗艦とする駆逐艦隊は損害を浴びつつも一隻も欠ける事なく無事生還したのだった。 「よくやってくれた…」 提督が安堵と疲労感の入り混じった声を第一艦隊の艦娘達にかける。 無事に戻ってくるまで珍しく仕事も態度もソワソワしていて手についていなかった、とは 後で現在の第一艦隊の艦娘達が他の艦娘たちより聞いた話である。 無事生還を祝った皆の前でひとしきり感謝の言葉を語りつつ提督は一人ずつ頭を撫でていく。 暁はいつものように顔を赤らめながら怒ったように 響は態度こそ変えないものの目を瞑って気持ちよさげに 雷は心の底から嬉しそうに 電は恥ずかしがりながらも笑顔で 島風は満面に得意げな表情を浮かべて提督の祝福を受けた。 そして最後に旗艦を務めた不知火に「本当によくやってくれた、お前のおかげだ不知火」と声をかける。 対する不知火は表情一つ変えず「任務ですから」とそっけない返答を返し、皆を苦笑させるのだった。 その数時間後、修理を終えた不知火は司令室のドアを叩いた。 「不知火です、修理は完了致しましたので任務に復帰します」 「ああ、入れ」 いつもどおりといえばいつもどおりの光景ではあるのだが、微妙に部屋の空気が違っている、ような気がする。 「出撃のすぐあとで疲れているだろう、今日は無理しなくていい」 「それはご命令ですか?」 普段も無愛想な不知火だが、それでもいつもに比べて態度が少し刺々しい。 それを感じ取った提督が苦笑しつつ不知火に近づく。 「とにかく今回はご苦労だった、何か一つ私的に言うことを聞いてやりたいんだが何かないか?」 「今回のこともいつもと同様 任務 です。不知火が特別に褒められるようなことはしていません」 労う言葉にもそっけない不知火の態度に笑いをこらえる提督。 「本当に仕方のないやつだな、では命令だ不知火。今回の働きに対してして欲しいことを言え」 「そんなことを言う暇があるのでしたら…」 「 自分の仕事を進めろ というのは除外でな」 「……」 先手を打たれて不機嫌な表情になる不知火。 してほしいこと…と言われて何故か脳裏に頭を撫でられて嬉しそうだった駆逐艦娘達の表情が浮かぶ。 以前頭を撫でられた感触は不思議と消えずに不知火の記憶に残っていた。 「では…その…不知火も頭を…」 思わず言いかけてハッとして言葉を切る。 しまったという顔をした不知火が腕を引かれて提督に抱きしめられたのは次の瞬間だった。 不知火を抱きしめたままそのままもう片方の手で頭を撫でる提督。 「…不知火は抱きしめて欲しいなどとは一言も言っていませんが」 ドスの効いた声で不知火が抗議する。 「仕方がないだろう」 「何が仕方がないのか不知火にはわかりません」 「不知火が可愛すぎるんだから仕方がない」 「…ッ!?」 思ってもみなかった言葉に不知火は硬直してしまった。 「…それは理由になっていないと思います」 「そうか?」 糠に釘な調子で提督は不知火を離さない。 「それとも皆のいる前で頭を撫でられたほうがよかったか?」 ビクッっと不知火の体が跳ねそうになる。 普段からこんな態度の自分があんな場所でそんなことをされたら格好のからかいの材料になるだろう。 なんということはない、提督は提督なりにあの場で不知火に気を使っていたのだ。 それでもこんな不意打ちをされて不本意であることには変わりはない。 「ですが不知火は…」 「命令だ不知火。このまましばらくいさせろ」 およそ命令とは思えない優しげな声が不知火にかけられる。 「…ご命令…ならば」 命令という名の名分ができたからかどうかはわからない。 だがその言葉をかけられた数秒後、強ばってた不知火からは力が抜け提督にその身を預けてきた。 黙って不知火の頭を優しく撫で続ける提督。 胸に顔を埋めた不知火の表情は提督からは見えなかったが 部屋の中は数分後とはまるで違う優しい空気に包まれていたのだった。 ***************** 「司令、お茶が入りました」 「ああ、ありがとう」 お茶を受け取りながら不知火の頭を撫でる提督。 最近は不知火も慣れたのか、撫でられて感情を出すことはなくなったようだ。 執務室にいるときもだいぶ表情が柔らかくなっている…ような気がする。 しかし今日は少し不機嫌そうであった。 提督は先ほどの出来事を思い出していた。 「…あぁ?」 「…司令への侮辱的な発言は不知火が許しませんよ?」 「へぇ、面白い。許さないってんならどうするってんだ?」 「……」 そもそもは大したことのない会話が原因だった。 「しっかしうちの提督ってのは変わってんなー」 「あん? 例えばどういうところが?」 摩耶と天龍龍田が廊下で立ち話をしていた。 「あ~なんとなくわかる気がするわ~」 「いやだから何が?」 話についていけない天龍が何なんだよという表情で二人に聞く。 「だってよー、部下で戦力って扱うのはわかるけど、あたしら全員女だぜ? 他のところじゃ浮いた話の一つや二つじゃすまないだろ?」 「あーそ-いうことか」 「そうね~中にはゴールインしちゃった娘もいるらしいわね~」 「そういやセクハラが過ぎて憲兵にしょっぴかれて軍法会議にかけられた提督もいたっけか?」 とまぁこんな話である。 だが、たまたま不知火が通りかかった時の摩耶の言葉 「あれじゃねーの?実はホモとか(笑)秘書艦もずっとあの色気のねー殺伐駆逐艦だし」 そう言ってカラカラ笑う摩耶。 別に他意があるわけではなく、裏表がなく口の悪い摩耶のいつもの調子で出た言葉であった。 だが足音も立てずに3人に近づいた不知火が殺気満々で摩耶へ言葉をかけたのであった。 「不知火に対する言葉は別に構いませんが司令への無礼な発言は見過ごせません」 そして上記の状況につながる。 「ま、まぁまぁお前ら。喧嘩はあんまりよくねー…」 「あ゙?」「摩耶さんとお話中ですので天龍さんは下がっていてください」 「ひぃっ!」 摩耶と不知火のガチな殺気に当てられて咄嗟に龍田の後ろに隠れる天龍。 龍田はあらあら困ったっわねーという笑みを浮かべながら本当に困っている様子。 まさに一触即発のその時であった。 「お前達何してるんだ?」 当の提督本人が廊下の影なら現れた。 「こいつが」「摩耶さんが」 「実はね~カクカクシカジカなのよ~」 二人の発言をあっさり遮って事のあらましを簡単に説明する龍田、ちなみに天龍はまだ少し涙目である。 それを聞いた提督は心底呆れたように一言 「…アホか」 「他人のことを言うんなら先に自分が作ってからにしておけ」 と艦娘には難しいであろうことをあえてあっさり言い放って摩耶を黙らせる提督、そして不知火にも 「そんな言葉にいちいち反応するな、キリがないぞ」 「チッ、わかったよ」 「…了解しました」 渋々矛を収める二人、この状況での一番のMVPは龍田で間違いないだろう。 何はともあれこの騒動はこれで収まったのであった。 執務室での作業中、珍しく何度かちらっと提督に目線を送る不知火。 それに気づいた提督は不知火に声をかけた。 「どうした、何かあるのか?」 「いえ、私的な質問なのですが」 「うん」 お茶を飲みながら先を促す提督。 「司令は普段からの性欲をどう処理しているのですか?」 「ブッ!!!」 思いもよらない言葉にお茶を吹き出す。 「……いきなり何なんだその質問は……」 「他所の鎮守府では部下へのセクシャルハラスメントや休暇を利用しての風俗街廻りで処理していると聞いたことがありますが 指令はお休みも取られませんし気になった次第です。それともまさか本当に…」 「そんなわけ無いだろう、人並みかどうかは知らんが性欲ならある。聖人君子じゃあるまいし」 「では?」 この先を自分の口から言わせるのか…と、提督が恨めしそうな目で不知火を見るが 不知火の表情はいたって真面目である。 「…適当に自慰で処理をしている。これでいいか」 もうどうにでもなれという表情でぶちまける提督。 性欲がないわけではない、だが自分の大事な部下をそういう対象にはしたくなかったし 何より仕事が忙しすぎてまともに休みが取れなかったのだ。 まるで逆セクハラだと言わんばかりに渋面の提督 だが不知火は全く表情を変えないまま「では不知火がお相手いたしましょうか」 「は?」 鳩が豆鉄砲を食らったような顔になる提督。 え、ちょっと待て、何言ってるのこの娘。というかこれ不知火だよな? 不知火がこういうこと言うか? 大混乱の提督。 「欲求不満で仕事に支障が出られたりすると不知火も困ります」 「いや、別に今までも支障とか出してはいないだろう? 第一そういうことをさせるのは…」 「不知火では…お嫌…でしょうか?」 不知火の目は真っ直ぐに提督を見つめている。 頼みますか? コマンド >Yes >Yes 「ああもう!」 提督は諦めたように頭を掻くと 「じゃあ、してもらうが…嫌だと思ったらやめて構わないからな」 「はい」 返事をして提督の傍に近づく不知火。 しかしそこから何をするわけでもなく立ったままだ。 「……不知火?」 「司令、不知火はこの方面の知識には著しく疎いです。なのでご指導、ご鞭撻お願いします」 天を仰ぐ提督、つまりやり方がわからないので教えて欲しいということか。 「わ、わかった…じゃあ、手でやってくれ、やり方は…」 提督の指示に従い、不知火はぎこちなく提督のズボンのジッパーを下げ一物を取り出した。 さすがに興奮よりも困惑の方が優っていて勃ってはいない。 「これが提督の陰茎ですね。それで、どうすればよろしいでしょうか?」 状況に振り回されている提督とは逆に、不知火はじっと提督の一物を見つめて指示を待っている。 「はぁ…そうだな、それを手でしごいてくれ。乱暴にはしないでくれよ」 もうどうにでもなれという提督は不知火にやり方を教えていく。 「クッ…」 わずかに体温を伝える手袋の感触が提督を包む。 『あの』不知火が自分のモノをしごいている。 そう考えると急激に股間に血が集まっていくのがわかった。 「あ…」 不知火の手の中で急激に勃起してゆくペニス。 「…司令…これでよろしいのでしょうか?」 竿をしごきながら上目遣いに提督を見る不知火。 その様子が妙に可愛らしく、さらに肉棒は硬さを増してゆく。 「ああ…もう少しだけ強くても大丈夫だ」 股間の快楽に耐えながら不知火に指示を出してゆく。 「そう…もう少し動きを早く…ッ…」 忠実に指示を実行する不知火の手の中で肉棒は更に膨らんでいく。 先走り汁が手袋を汚し、潤滑油としてヌルヌルと肉棒に刺激を与えてゆく。 (マズイ、そろそろ出そうだ…って、あ…) 今の状態、つまり提督の目の前で不知火が奉仕してる状況 このまま出すと行き先は不知火の顔に… 「ま、待て不知火! このままだと出る!」 「…はい、射精されるのですね。それなら不知火にもわかります。どうぞお出しください」 ごく基本的な性教育かなんかでの知識でしかないだろう答えは、提督の問の答えにはなっていない。 そのままさらに手の動きを早める不知火。 「ク……だからちょっと……!!」 待てと言おうとした提督だが、これまでより少しだけ力を入れた不知火の手がカリを刺激した瞬間 欲望の先端から白濁液が放たれ、不知火の顔を存分に汚した。 さすがにびっくりした様子の不知火、だが 「これが精液ですか、こんなに勢いよく出るとは思いませんでした」 なおも緩やかにペニスをしごきながら冷静につぶやく。 顔を精液に汚されながら動じない不知火を見ていてなんだか妙に腹が立ってくる提督。 「…不知火」 「はい」 「…次は口できれいにしてくれ」 「口で…ですか?」 ここまでくるとある意味やけくそになってくる、断られたら断られただ。 だが… 「これで…チュッ…よろしいのでしょうか?」 不知火は迷うことなく肉棒の先端に舌を当ててきた。 一度精を放った直後だというのにその一舐めで元気を取り戻し始める肉棒。 「…司令」 「なんだ?」 「苦いです」 「まぁ…そうらしいな」 さすがそんなもの舐めたことないのでわからないが一般的には苦いらしい。 「やめておくか?」 一応聞いてみるが不知火は 「いえ、まだ十分ではないようですので」 と躊躇なく口をつけてきた。 「ああ、そうだ。次は裏のところを舐めるように…」 提督の指示に従って見ようによっては夢中で提督のペニスを舐め回している不知火。 その様子は見る人が見れば女版バター犬といったところだろうか。 すっかり硬さを取り戻した肉棒を前に、一旦不知火が舌を離す。 ツーッとペニスと不知火の舌のあいだにヨダレが糸を作る。 「この後は…どうすれば…」 自身の行為に多少は何かしらのことを感じているのだろうか、微妙に不知火の息が荒い。 「そうだな、ゆっくりでいい。口で咥えてくれ…歯は立てないでくれよ?」 すっかりその気になってしまった提督が言うと不知火は 「…ふぁい…こうれひょうか…」 と提督の肉棒を口に深く咥え込んだ。 そのまま提督の命ずるまま口全体で肉棒を刺激し、舌で先端を舐め上げ、ゆっくりではあるが頭を振る。 その度に不知火の口からヨダレと先走り汁の混じった液体がこぼれ、ジュボジュボと淫猥な音を立てる。 懸命に刺激を与えようとしてくる不知火の頭を優しく撫でてやると、僅かではあるがうっとりとした表情を浮かべた。 「不知火…出すぞ…!」 コクッと頷くと今まで教えたことを可能な限り同時に行って提督を射精に導こうとする。 その行為によって一気に絶頂に達する提督。 「クッ…不知火!」 不知火の口の中に欲望の塊が放たれてゆく。 「ン!…ンンンンンッ!!」 しっかりと肉棒を加えたまま一滴もこぼすまいと口をすぼめる不知火。 ドクンドクンと提督の全身を脈打たせながらようやく射精が止まる。 射精が止まるのを待ち、そのまま精液をゴクリと飲み込んでしまう不知火だったが 「ゴホッ!ゴホッ!!」とむせてしまう。 「だ、大丈夫か?」 と背中をさする提督だが 「……不知火?」 「………」 不知火の体が熱い。 「もしかして…感じていたのか?」 「不知火には…よく…わかりません」 もしかすると初めて体験しているであろう感情を無理やり押さえつけようとしているようにも見える。 「……不知火」 もう一度名前を呼ぶ。 「……はい」 珍しく目線をそらし、微妙に頬が赤らんでいる不知火。 「まだ続けても…良いか?」 「……ご命令……ならば」 「……命令でなければ、ダメか?」 「………」 しばしの沈黙 「……不知火は……」 「……」 「不知火は司令に……続きを教えていただきたい……です……」 最後は消え入りそうな声で懇願する不知火を抱きしめるとそのまま唇を奪う。 一瞬ビクリとする不知火だが、すぐに力を抜きその体を預けてきた。 司令室に置いたままの布団を広げ、不知火を寝かせる。 背中を優しく撫でてやるたびにピクッと反応する不知火の身体。 「司令……」 いつもならば決して見せない不安げな表情の不知火を安心させるように頭を撫でてやる。 「ん……」 撫でるたびにいつもは鋭い眼光を宿す不知火の目に陶酔感が混じってゆく。 そして不知火の控えめな胸を服に手を入れてブラ越しに 引き締まったヒップをスパッツ越しに優しく撫でてやる。 「はぁっ…くぅん!」 未知の刺激に対して必死に声を抑えようと抗う不知火。 もしかすると自分で弄った事もないのだろうか そんなことを思いながら提督は不知火の秘所に手をのばす。 「あ…司令…!」 既にスパッツに包まれた秘所はこれ以上ないほどに蒸れていた。 あえて脱がさずにスパッツの上からスジをなぞり、ぷっくりと浮き出ている突起を刺激する。 「ひゃぅ…! し、司令! そ、そこはだめです、そこを触られると不知火は変になります!」 「…どう変になる?」 「よ、よく…あっ…わかりませっ…んん…!」 既にスパッツの向こう側からはっきりとした水音が聞こえてくる。 たまらずスパッツの中に手を滑らせ、直接そこを弄るはじめる提督。 スパッツの中のムァっとした熱気とともに不知火の愛液が手に絡みついてくる。 「ッ…!ッッ!!…ンッッ!!」 必死に声を抑えるために提督にしがみつき歯を食いしばる不知火だが もはやそれも提督をよりいっそう興奮させてしまう行為でしかない。 なおも不知火の秘所を弄りながららもう片方の手でスパッツを膝まで脱がす提督だが あまりに頑なに声を抑える不知火を見て悪戯心を抱いてしまう。 「…不知火」 「は…はい……司…令」 パッと見焦点の合っていない目で答える不知火に提督は悪戯っぽく声をかける。 「『命令』だ。声を抑えるな」 「……え……?」 そう言うやいなやスパッツを脱がされた不知火の秘所に舌を這わせる提督。 ピチャピチャといやらしい音を立てながら提督の舌が不知火のぷっくり充血した割れ目を、皮を剥かれたクリトリスを蹂躙していく。 「あっ!…クッ…はぁッ…!!」 「不知火…命令だぞ?」 「で……ん!…ですが…!」 今は夜だが消灯時間ではない。 こんなところで声を上げたら絶対に誰かに聞こえてしまう。 そう必死に考える不知火に対してなお「命令だ不知火」と提督は声をかける。 不意に強くクリトリスを吸われた瞬間、不知火の中で何かが弾けた。 「…あっ…あっ…し…れい…!司令!!」 提督の顔を逃がさないとでいうかのように太ももではさみ、与えられる刺激に嬌声を上げる。 普段の彼女からは絶対に想像できない姿に興奮と愛しさを覚えつつ 頬に当たるハリのある太ももの感触を楽しみながら不知火を責め続ける。 「司…令…!なにか…きます! だめです!ダ…ダメで…!!」 そう言った直後、大きくビクンと跳ねた不知火の秘所から大量の愛液が吹き出て提督の顔にかかる。 はぁはぁと荒い息を付きつつ、提督は不知火を見る。 不知火もまた荒く息を付きながら放心した表情を見せている。 身体はまだ時折小さくビクッと跳ねている、どうやらイってしまったらしい。 「…不知火」 声をかけるとハッと我に返った顔で提督を見る。 そしていきなり謝ってきた。 「申し訳ありません、不知火の落ち度です…司令にしてさしあげなければいけなかったのに…」 「ああ、それなら大丈夫だ」 苦笑しながら体をずらして肉棒を見せる提督。 それはこれまで見た状態に比べて更に大きくなり、ビクビクと震えていた。 「不知火が可愛すぎたからな」 そう言いつつ言葉に詰まっている不知火を抱きしめ耳元で囁く。 「じゃあ…いいか?不知火」 その言葉の意味するところはさすがに不知火にもわかった。 その上で微かに、だが確かに微笑みながら呟いた。 「はい…司令のお望みのままに…」 ゆっくりと不知火の割れ目をこじ開けながら提督の肉棒が中に入っていく。 さすがに痛みがあるのだろう、戦場ですら見せない涙を滲ませる不知火だが 「大丈夫か?」という提督の声に「大丈夫…です」と気丈に言葉を返す。 提督もできるだけゆっくりと不知火の中に入ってゆく。 膜は既に戦場での激しい動きにより破れてしまっていたらしく 血は流すことなく、ようやく提督は不知火の一番奥深くまで辿りついた。 頑張った不知火にご褒美と言わんばかりにキスをして 舌を口内に入れると躊躇いがちながら懸命に舌を絡めてきた。 「ゆっくり動くからな…」 そう言って言葉通り徐々に腰を動かす提督。 何度か抽送を繰り返し、体をあちこち愛撫しているうちにだんだん不知火の体もほぐれてきたようだ。 苦痛しかなかった声に噛み殺したような喘ぎ声が混じっている。 更に抽出を続ける提督はだいぶ力の抜けてきた不知火に声をかける。 「言ったはずだぞ不知火。声は抑えるな」 (それだけは…)と訴える不知火をあえて無視して、少し強めに突き入れた。 「アゥッ…!」 指をかんで声を押し殺そうとする不知火の腕を提督は優しくどけると 「もう一度言う。『命令』だ。声を抑えるな」と囁き、一転腰を早く動かしだした。 「あっ!…司令!…だめです…!それ以上されたら不知火は……!!」 抵抗の手段を取り払われ、快楽に流されそうになる不知火を一気に押し流すべく 提督はここぞとばかりに腰の動きを早める。 提督自身不知火のきつい締め付けにもう限界だった。 不知火の腕と足が無意識のうちに提督の体に絡みつき二人は深くつながったまま 「あっ!あっ!司令!!司令────ッ!!」 「クッ…不知火!!」 最後に不知火の一番深いところにたたきつけるとそのまま欲望を解き放つ。 今までとは比べ物にはならない量の精液が不知火の膣内に注ぎ込まれてゆく。 その暖かさを感じながら不知火はぼんやりとそのまま気を失ってしまった。 事後:提督 さて、最後までしてしまった…しかも那珂に。 自分で決めていたルールを破ってしまったことに対してはもう言い訳のしようがない。 だが… 不知火が気を失った後にこっそり体の汚れを取ってやったのだが、 その後また床に入って不知火を抱きしめている自分がいる。 最終的にいうと不知火にも言ったとおり「不知火が可愛すぎた」のだから仕方がない とどうしようもない理由付けをしている。 恐らくこの鎮守府内では誰も見たことがないであろう不知火の無防備な寝顔を特等席で見ない などということは今の提督には不可能であった。 明日が怖い気がしなくもないが「まぁなんとかなるさ」と提督も不知火を抱きしめたまま眠りに落ちていくのだった。 事後:不知火 今は真夜中過ぎだろうか。 司令に抱きしめられているおかげで時計が見えない。 どうしてこうなったのだろう、と不知火は自問してみる。 不知火としては昼間に「まるで女として魅力がないかのように摩耶に言われたから」 という理由だけは絶対に否定したいところであった。 とすると不知火は司令に好意を抱いていた、という理由が挙がってきてしまう。 確かに司令は不知火からすれば好ましい人物だったのは確かだが そこは艦娘としての矜持が強い不知火である。 実は司令に恋心を抱いていた、などという理由も正直否定したいところではあった。 しかしこうして抱きしめられて安心感を感じているのもまた否定できない事実だ。 散々激しく動いたおかげか再び眠気が襲ってくる。 また明日考えよう。 『また明日』普段であれば決して考えないようなことを考えていたとは気づかずに 不知火もまた眠りについた。 翌朝 「司令、起きてください」 「ん…」 不知火の声で目が覚めた。 「…」 「おはようございます」 「…ああ、おはよう」 「そろそろ離していただけると助かるのですが」 目の前にあるのはいつもの不知火の顔だ。 いつもに比べて近すぎる距離とお互い裸であることを除けば。 否応なく昨日の出来事が頭をよぎるが不知火のほうはまったく表情を変えない。 「起床時間まで後どれくらいだ?」 「司令の体で見えません」 そういえばそうか、と首を回して時計を見る。 まだ起床時間まで30分以上はあるだろう。 「後30分以上あるな」 「そうですか」 「……」 「……」 「不知火」 「はい」 「後5分このままでいさせてくれ」 「それはご命令ですか?」 「ああ、命令だ」 「…ご命令ならば」 ふぅっと呆れたようなため息をつき、不知火は提督の胸に顔を埋めてしまった。 表情は見えなくなったが提督にとっては心地よい満足感の漂う5分に浸ることができたのであった。 後日談 「ヤッホゥ不知火! 昨日さぁ」 「…なんですか?(ギロッ」 「い、いや、なんでもない…」 陽炎を追い払った不知火は盛大なため息をつく。 よりによってあの時一番近くにいた艦娘はどうやら青葉だったらしい。 止める間もなく噂は拡散され、朝からすれ違う艦娘の様々な視線にうんざりしていたのだった。 ほとんどの艦娘は 「よっ不知火! 聞いたぜ~昨日h」 「天竜さん、不知火に何か御用ですか?(ゴゴゴゴゴ」 「ヒィッ、た、龍田~!」 「あらあら~」 とこのように退けられるのだが同じ駆逐艦たちの「大人になるって羨ましい」オーラと 大型艦勢の生暖かい視線と提督ラブ勢の嫉妬の視線はもう遮り様がないのであえて無視している。 せめてもの償いに司令にはいつもの4割増しくらいの仕事を押し付けて憂さを晴らそうか。 そんなことを考えていると突然肩を叩かれた。 「よっ!」 「なんですか麻耶さ…」 「おめでとさん♪」 「ッ…!」 一言耳元で囁くとそのまま摩耶は走って逃げていってしまった。 そしてそこには真っ赤な顔のままの不知火が取り残されていたのであった。
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/355.html
62 :3-91:2014/04/22(火) 01 14 13.68 ID wHbOr9s/ おおイベントを前になんか素晴らしい投下の流れが…! 僭越ながら自分も一本 提督×球磨 お姉ちゃん肌なクマーに甘えっぱなしのイチャラブ純愛 人類敗北後の話だけど鬱要素はあまり無いつもり 連投規制で間隔空きますご勘弁を (ついでにハートマーク出るかテスト ♥) 63 :提督×球磨:2014/04/22(火) 01 15 50.12 ID wHbOr9s/ 数週間ほど前から、球磨と二人、山の中の穴蔵で生活している。 いや、まあ何故かと言えば、横須賀は深海棲艦に占領されてしまったからだ。 それで球磨と二人、呉へと逃げるつもりで脱出したら、呉も敵の手に落ちてるらしい。 こりゃどうすんべと思ってたら、球磨が船を出してくれて、かろうじて敵船が跳梁してない日本海を二人逃げる逃げる。 それでどこをどう逃げたものか俺は覚えてないが、球磨に聞けば、現在地は北海道某所の山中だという。 球磨は「の・ぼ・り・べ・つ! 登別行きたいクマー」などと無邪気に言っている。何のことやら。 ……あ、書き忘れたかもしれないが、人類は深海棲艦に敗北した。 もちろん完全な敗北までには、各鎮守府の重雷装巡洋艦への「アレ」の配備通告、「日乃レポート事件」に始まる大規模な政変、 挺身特攻隊「暁の戦力外部隊」による深海棲艦の巣への神風突撃、飛行/潜水能力を有した「合体変形種」深海棲艦の出現と戦況の悪化、 太平洋を中心に投入された巨人兵器「イェーガー」の活躍、米国が主導で唱えた核兵器による徹底殲滅論と、 それを察知した深海棲艦側の「巨大深海氷山空母姫」のワシントンD.C.への先制攻撃と陥落、などなど…… 今後100年は映画の脚本のネタに困らないようなドラマと涙の数々があったワケだが。 とにかく結果的に。 人類は敗北した。 ………… …… しかし今の球磨との二人の生活の中では、なぜかそんな敗戦の事実さえ、遠い星の出来事のように思えるのだった。 *** 「おっ、提督、起きたクマー?」 まぶたを開けると、球磨のぱちくりした目と目が合った。 俺の目は、涙と目やにでかすんでる。おまけに頭は熱でフツフツ煮えるようだ。球磨の輪郭線もぼやけて見える。 「クマー、あいかわらず熱があるみたいだクマー」 「……ああ、治すように努めてるが……すまないな」 球磨が、湿った布で俺の顔を拭いてくれながら言う。 その手つきがすごく優しくて気持ちいいので、つい口の周りを汚した子供みたいに、球磨にお世話されるままになってしまう。 ここ一週間ほど、ガラにもなく熱なんて出して臥せっているのだった。 その間の看病をずっとこいつが、球磨が、一人っきりでしてくれている。 「ご飯は食べられるクマー? 出来れば少し栄養付けとくといいクマ」 顔を拭われて少しはしゃきっとした俺に球磨が言う。 言われてみれば、穴蔵の中にふわりと漂ういい匂い。 川魚の塩焼き、ふかして潰したジャガイモ、山菜にキノコ。そんな食事が、テーブル代わりにしてる木箱の上に並べられていた。 球磨が俺のために一品一品、苦労して山の中を集めてきてくれたのだろう。 熱のせいで、食欲はさほど湧かない。 けれどそんな球磨のいじらしさを思うと、何としても食べてやらねばという気になった。 寝床の上から身を起こす。 「提督、ムリに起きなくていいクマ-、球磨が食べさせてやるクマ」 ……球磨の手で寝床に戻されてしまった。 仕方なくその言葉に甘えることにする。 「……すまん」 「気にするなクマー、提督だってきっと、球磨が風邪ひいたらおんなじことするクマ」 艦娘に風邪やらなんやらがあるのかはわからないが、球磨はそんなことを言う。 もしかしたら冗談なのかもしれない。 いずれにせよ俺も熱でふわふわする頭では適当な返しが思いつかないから、曖昧に笑って返す。 「ほれ、『あーん』だクマー」 「……」 「提督、『あーん』だって言ってるクマー」 「……あ、あーん」 逡巡したが結局、球磨に「あーん」で食べさせてもらう(所詮人間、その気になった艦娘の力には逆らえないから、従っておくのが賢いのだ)。 食べやすいように潰したジャガイモが、スプーンで口に運ばれる。 ほくほくして、塩気があって、噛むとジャガイモの甘みが出てきて、旨い。甘い。北海道だからか。 「うまいなー、球磨。うまいよ……にしてもコレ、どこで採ってきた?」 「ふふーん、球磨が山を下りてったら村があって、そこの地面一面にジャガイモが『生えてた』んだクマー」 「……すまんな、俺のために畑ドロボウまで」 自分のせいで軽巡・球磨に野生の熊さながらのマネをさせてると思うと、申し訳ない。球磨と、あと農家の人に対して。 「いーや違うクマ! すぐ近くに人の家もビニールハウスもあったけど、たぶんアレは野生のジャガイモだクマー、 球磨に採って採ってーって言ってたクマ」 「うーむ……野生かー、球磨が野生って言うんじゃしょうがないなー」 なんだか、球磨は俺に徹底的に気を遣わせないつもりらしい。 俺も特にそれを追求することはなく、今は旨いからいいか別に、などと思いつつ、モグモグと球磨の手からジャガイモを食べさせてもらう。 ジャガイモもふわふわなら、球磨と俺の会話もふわふわしてて、熱に当てられた俺の頭もふわふわで。 ついでに人類が深海の敵に負けてしまった事実さえ、何だか現実味がなくてふわふわしてて。 ぜんぶがぜんぶ、ぬいぐるみの中身のようにふわふわしてる。 それがこの、球磨と二人きりの空間だった。 「ほい、『あーん』だクマ」 「あーん……んむ、むぐ、うむ」 球磨の獲ってきた魚も、また格別旨かった。 しかも俺には自分で骨をとる苦労すらない。 ほぐされた状態の切り身を口に運ばれるたび、なんだか赤ん坊の頃に戻るような、イケナイ快楽が芽生えそうになる。 ……このままでは俺は、球磨をお母さんだと思いこんでしまうんじゃなかろうか。 「提督、気に入ったクマ?」 「ああ、うん……この魚もうまい」 「そっちもだけど、その……球磨に『あーん』されるの、気に入ってしまったクマー?」 「…………!!!?? い、いや、そんなことはないぞ!? 断じてない!!」 いけないいけない。普段はゆるキャラみたいな言動してるくせに、こいつは妙に察しがいいのだ。 「ふっふっふ~そりゃ残念クマ、なんなら提督が元気になった後も、食べさせてあげてもいいと思ったのにクマー」 「……~~~~~!!!!!」 やばい、ちょっとしてもらいたいと思ってしまった。 「あ、あぁ~~~それより、よく温かい料理が作れたな、大変だったろう?」 あわてて俺は話題を変える。 「大変?」 「ほら、山の中とはいえ、火を焚いて煙が出たら、たぶん山狩りに見つかるだろうし」 「あぁ……そのことかクマ」 事実、俺たちは追われる身だった。だから戦争が終結した今も、こうして隠れ潜んでいる。 追われると言っても、かつての敵、深海棲艦ではなく、人間の手によって。 そう。今回の敗戦の責を一方的に負わされたのが我々――提督や艦娘たちなのだ。 俺たちは各地に落ち延びたあとも、懸賞金をかけられ、鵜の目鷹の目で捜索され、追い立てられる運命だった。 「まあ、燃料用アルコールがあるから、しばらくは煙の出るたき木を燃やさないで済むクマ」 「なるほどな……まあ、何にせよお前たち艦娘には、本当に苦労をかけるな」 「……こっ、こんなの、昔の戦に比べたら苦労のうちに入らんクマ!」 しばらく穴蔵の中に沈黙が落ちた。さっきのふわふわした雰囲気なんてどこにもない、澱のような沈黙。 けど俺はやっぱりその重苦しさを引き受けねばならない気がした。だからこんな風に話題を変えてみせたのだ。 俺にはその責任があった。 実のところ、深海棲艦は重要な拠点や泊地を除いては、いっさい陸への侵攻をしてこなかったのだ。 ただ人類をすべての海域、すべての空域から追い出して、深海棲艦は満足してしまったらしい。 だから人類は滅ぼされることなく生き残った。俺と球磨もおかげで生き残った。 しかし生き残った人類が、当然そのやり場のない怒りの矛先を向けたのが、人類の海と空を守る戦に敗北してしまった軍人たちだ。 海と空という希望を失った世界で、俺や球磨たち艦娘は、地を這いずって生きていかねばならない。 人類すべての怨みを受けながら。 「すまん…………ぜんぶ、俺のせいだ」 ぽつりと呟いた瞬間、球磨にガッ!と胸ぐらをつかまれた。 これがベアクローか、と冗談を言う間もない。息がつまる。 「~~~ばっ!! ばか言うんじゃねぇークマ!!! そんな、一人でそんな風に思っていたのかクマ!? ひとりで、世界ぜんぶの運命をしょいこんだみたいな顔して、どうすんだクマー!!!?」 球磨に、そんな風に本気で叱られた。 ほとんど球磨の顔も涙まじりなのに、不思議とすごい気迫があって押されてしまう。さすがは球磨型5人の長女だ。 「こ、こら、な、なんとか言えクマー!!!」 「球磨、あの……く、くるしい……」 「!? ……あ! す、すまないクマ~!!」 「い、いや大丈夫だ……」 球磨の手をぺしぺしとタップすると、あわてた球磨が離してくれた。 「……提督、やっぱり、そのことを気に病んで、それでこんな熱を出してしまったんだクマー。気づいてやれなくて、本当にすまんクマ……」 「何言ってる……机仕事だった俺なんかより、きっと本当に辛いのを我慢してるのは、矢面で戦っていたお前たちだろ……」 そうだ、結局俺の苦労なんて、ものの数ですらないのだ。 本当に最前線で敵艦と砲火を交え、仲間が沈んでいく横で、痛いのも泣きたいのも押し殺して、戦ってきた彼女らに比べれば。 なのに結局戦争を取り仕切るのは、俺のような安穏として無能な指揮官たちで、 彼女らがどれだけ戦争を終わらせたくても戦略に口を出す権限などなく。 帰ってきたら言われもない敗戦の責を負わされて、一方的に追い立てられる。 「……なあ、球磨。俺を自警団かどこかへ突き出して、その懸賞金でお前だけ逃げるといい。俺みたいな顔が売れてる士官と違って、うまく隠れ潜めるはずだ」 俺は球磨にも、きっと今までたくさん苦労をかけ、我慢させてきたはずだった。 だから球磨を、せめてこれ以上束縛したくはない。そういう思いがあった。 「なっ……何を言ってるクマー!!?」 「女だから尼寺に隠れたっていい。何にせよ、俺をかくまって逃げたり俺のために苦労するより、よっぽど自由で気ままな……」 「……て、提督……」 球磨の震える声に気づいて、顔を向ける。 「提督は、それが本当に球磨にとって幸せだと思っているクマ?」 球磨が、今度は本当にぽろぽろと涙をこぼしている。 俺はあわててその手を取る。 「い、いや俺は可能性の一つを述べてるだけであってだな」 「球磨の幸せは……苦労しないことでも、自由になることでもないクマ……」 そう言うと球磨が、寝床に横たわったままの俺の体に覆いかぶさってくる。 やわらかくて、温かくて、細っこい球磨の体が、ぎゅーっと押しつけられる。 人なつこい動物に抱きつかれてるみたいだ。 「球磨のしあわせは、好きなもの、守りたいもののために生きることだクマ。もしも、好きなものを守るために戦えるなら、 どこだってそこが戦場クマ。守りたいものが側にいてくれるなら、どこだってそこが球磨の家なんだクマ」 潤んだ瞳で俺の瞳を覗きこみながら、球磨が一言一言、はっきりと俺に語る。 「だから提督は、球磨の生きがいだクマー。ずっと……ずーっと、離さないクマー」 球磨にしつらえてもらった寝床の上で、球磨の腕と体に抱かれながら。 そんな風に宣言されてしまった。 なんでだろう。球磨の涙ぐんだ目に見つめられて、俺も涙が出てきてしまう。 俺を非難し、糾弾し、ひっぱたき、ののしる権利だってあるはずのこの球磨は。 俺が生きてるだけでいい、そう言ってくれている。 そんな風に言われると、何だか自分でも、それでもいいのかもなあという気分にさえなる。 このままずっと、球磨の腕に抱かれてても、いいのかもしれない。 「んっ……そうだ提督、食後のデザート、忘れてたクマー」 「デザー、ト……?」 言いながら球磨は、ほこほこ湯気を立ててるティーカップをテーブルから取り上げると。 その中身の液体を、自分でくいっとあおる。 そうしてから、球磨は俺に口づけた。 「……っ、んッ……ぅむっ」 球磨の口に含まれた液体が、俺の口に流し込まれる。 球磨の舌を伝って、喉の奥へ。口移しだった。 液体はあったかくて甘い。何よりとろりとなめらかだ。 そんな甘くて深い液体を、こくこくと、球磨の唇から分け与えてもらうのは、 まるで球磨から、あふれるような生命を分けてもらってるみたいだった。 「蜜湯だ、クマー。ハチミツと生姜を湯に溶いたクマ」 ぷは、と離した唇をちょっと舐めてから球磨が言う。 「元気の源だクマ」 たしかに甘さの中から活力を湧かせるみたいな、やさしい味だった。 けどそれがハチミツの味なのか、球磨とのキスの味なのかは、よくわからない。 そして、何よりも眠かった。 温かいものをたっぷり胃に入れたせいだろうか。 熱に悩む体が休息と回復を求めてるかのように、急に猛烈な眠気に襲われてしまう。 「球磨……すまん、少し、眠る……」 「ん、それはいいことだクマ。きっと起きたら今までどおり元気だクマ。球磨が、保証するクマ」 「……うん、球磨がそう言うなら、そうなんだろうな……」 「ふふふ~、提督、目がとろんとしてきたクマ。おねむだクマー」 球磨がそう言いながら、俺の上に覆いかぶさってた体を少し動かす。 そして今度は、球磨が隣に寝ながら、俺をひしっと抱きしめる姿勢になる。 布団代わりのハグだ。 球磨が胸に俺の頭を抱いて、脚でしっかり、俺の腰につかまっている。 上質な毛皮につつまれてるみたいな、心地よい窮屈さと暖かさ。 球磨の胸もとから、汗と、女の子の香りと、ハチミツみたいないい匂いがした。 「球磨が抱きしめてやるクマー。こうして、あったかくして、眠るクマー」 こうして。 人類が敗北した世界で俺は。 暖かい巣穴の中、球磨に包まれながら、とろとろ、とろとろと眠ったのだった。 *** 起きると、なんだか妙に寝覚めがスッキリとしていた。 昼寝から起きると怖いくらい頭が冴えわたってる時がたまにあるが、正にそんな感じだ。 と、そこで気づいたことだが、今まで患ってた熱がすっかり引いている。 ダルさも辛さも、体から抜けている。どうやらこの爽快さの原因はそれだった。 その代わり、何だか体全体がぽかぽかと暖かい。 狭くて、匂いがこもってて、ぬくい、獣のすみかにいるみたいだ。 「……球磨?」 思い出した。俺は球磨の体そのものに包まれて、寝ていたのだ。 球磨は起きてたらしく、俺が呼ぶとすぐに返事が返ってくる。 「クマ~、提督、お目覚めクマー?」 「うん……おかげで、すごくよく眠れた」 「……そうかクマー」 「ああ、もう熱もすっかり引いたみたいだ」 「ん。なら、よかったクマー」 俺を胸に抱きながら喋るという奇妙な格好のせいか、何だかぎこちない球磨の返事。 「なあ……球磨?」 「なんだクマー?」 球磨の胸もとからもぞもぞ顔を出して、球磨の顔を見すえて言う。 その顔はちょっと蕩けていて、夢見るようだ。もしかすると眠いのかもしれない。 「その……ありがとう、な。さっきも、今までも、ずっと……」 「ふふふ~~、大したことじゃないクマー」 「いや、ほんとうに感謝してるんだ…………なあ、ところで、球磨」 「クマ~?」 「お前、顔が赤くないか?」 いま気づいたのだが、球磨の顔はとろんと蕩けているだけでなく、なんとなく赤かった。 もし俺の看病のせいで伝染ったりしたのなら、申し訳ないどころの話ではないので、俺はちょっと本気で心配する。 「ん? あー……別に、気にするような理由じゃないクマ」 「そ、そうなのか? 何か出来ることがあったら、言ってほしいんだが……」 「……じゃあ、提督にひとつ頼み事してもいいクマー?」 「あ、ああ! もちろん、球磨のためなら何でも!」 「クマー。それじゃあ……」 球磨がちょっといたずらっぽい、不敵な笑みをうかべて言う。 「なら、ちょっと腰を引いてほしいクマー」 「……え?」 「その……提督の……が、当たってて……」 「……~~~~~!!!!!? すっ、すまん!! 球磨っ、すぐ、離れるからっっ!!!」 寝床の中、隣り合って並ぶ球磨と俺の下半身。 その片方、俺の腰から、朝の元気にまかせて突き出たモノが。 球磨の腰に、無意識のうちにくいくいと自身を押しつけているのだ。 球磨が頬を染めてたのはそれでか! しかし俺があわてて腰を引こうとした途端、球磨の両脚がガッチリと俺の腰を押さえてホールドしてきた。 「あーはっはっは!! あはは、はーっ、て、提督、冗談だクマ~! 球磨はぜんぜんイヤじゃないクマ、本気に受け取らないでほしいクマー」 なるほど体がぽかぽか暖かいのは、まんざら球磨に包まれてるせいだけでもないらしかった。 まるで頭の熱がすべてそっちへ移ったように。 あるいは抵抗力が弱まっている間、体に入った微菌や悪いものを、ぜんぶそこから排出したいとでも言うように。 とにかく俺のモノは、極限まで熱く硬くなっていた。 ……有り体に言えば、『溜まってる』状態なのだろう。熱のせいで寝込んで処理も出来なかった、この一週間分が、丸々。 そして俺の分身は、まるでその切ない熱のはけ口を球磨に求めているかのように、キュロット越しの球磨のそこへと、 厚かましくぐいぐい、ぐいぐいと自身を押しつけている。 そんな体の動作に気づいてしまうと、俺の中でも、腰の奥から登ってくるそわそわした欲望が、むらっと鎌首をもたげる。 「ふっふっふ~……提督が寝てる間ずーっと、この子は可愛かったクマー」 「か、可愛いって……っ!」 「提督がくーくー眠り出すと、球磨の腰とくっついてるところで、この子がむくむく大きくなってきたクマ。 さすがに恥ずかしくて球磨がちょっと腰を引いたら、今度は寝てる提督が、自分から腰をくっつけてきたクマ~」 「…………~~~~~!!!」 「この子は球磨のお腹でも太ももでも、とにかく先っぽでつんつんしたり、すりすりしたり、くっついてきたがったクマー。 必死で球磨の中に入りたい入りたいって言ってるみたいで……ふふ、すごく可愛くって、球磨まで照れちゃったクマっ」 顔から火が出るような恥ずかしさで、しばらく絶句してしまう。 ……そう言われるとまるで、俺が自分の体と性欲の操り人形のようではないか。いや、事実そうなのかもしれないけど。 しかしさすがに、寝起きの勃起と溜まった性欲に任せて、ずっと付きっきりで看病してきてくれた相手を抱く、 なんてのは、さすがに恩知らずとかいうレベルではないだろう。 球磨がどんなに無邪気に触れてきたり、どんなにこっちの無遠慮を許してくれても、そこまで甘えてはいけない。 こんな山の中の生活ではあるが、まだ俺は動物じゃなく、人間のつもりなのだ。 「な、なぁ球磨……離れてくれないか」 今度は俺が頼む番だった。 「クマー? 提督は、球磨としたくはないクマー?」 「そうとは言ってないが、そうじゃなくてだな……」 男の精神、というか男心は、必ずしも不随意な勃起と連動するものではないのだ。 しかしそれを女の子の球磨にどう説明すればわかってもらえるだろう。 と、そんなことを思っている合間にも、きゅーっと球磨の腰に密着させられている部分から、とても無視しがたい感触が伝わってくる。 キュロット越しの球磨のやわらかい丘の丸みが、屹立をやさしく包みこんでくれる感触。 いかん。このままでは本能に理性が負けて、ほんとうに獣になりかねない。 「クマー……うーん、提督は、ハチミツが媚薬の一種だって話、知ってるかクマー?」 「は、えぇ?」 突然そんな話を持ち出す球磨。 「もちろん球磨も詳しくは知らないクマー。けど、人間の食べ物が貧しかった昔は、栄養満点のハチミツはきっと、 それだけで身体を興奮させたはずだクマ。だから、最近精力のつくモノを食べてない提督にも、 ちょ、ちょっとはそーいう効果が出るかもとは、き、期待してたクマ……」 「球磨、お前……まるで『一服盛った』みたいな言い方を……」 「そうクマー! だーかーらっ」 そう言って球磨が背中を抱いてくる。 「球磨の、『計画通り』なんだクマっ」 「く、球磨……だって、何のために?」 「むぅー……好きだから、くっつきたい、つながりたいって、それだけじゃ、いけないクマー?」 そう言って球磨がもっとひしっと抱きついてくる。 いまや腰と同じように、お互いの腹と腹、胸と胸もくっつき合っていた。 球磨の鼓動が、こっちの体の中にも伝わってくる感じがする。 「提督の方は、どうなんだクマー?」 「俺の、方……」 「球磨のこと……その、好きクマー? 球磨と、くっついたり、つながったりしたいクマ?」 「俺は……」 そんなことを聞きながら、球磨の手が不安なようにこっちの背中をさ迷う。 その仕草に気づいて、思わずこっちも球磨の背中をぎゅーっと抱いてやる。 球磨の体はあたたかくて、やわらかいのに、しっかりと質量があった。 すごく、『生き物』だと実感する手触りだ。 何だか、こんなにあったかくてやさしい生き物に、自分が想われてることを、何かに感謝したい気持ちだった。 「球磨が好きだ……くっつきたいし、つながりたいと思ってる」 そう言って、球磨をもっと固く抱きしめる。 抱きしめると、球磨の言ってる「好き」と「くっつく」と「つながる」という言葉がもっとよく理解できる気がした。 三つはひとつづきの同じ意味の言葉のように思えた。 洞穴で二匹暮らすつがいや、母を求める哺乳動物の子供。あるいは群れで暮らしお互い依り添い暖め合う生き物みたいに。 相手を求めてくっつき合うのは自然なのだ。 好きな気持ちだけでも、下半身で球磨とつながりたいだけでもなくて。全身で球磨と『くっつきたい』のだ。 「……わかったクマー、それじゃあ……」 頭をこちらの肩に乗せたまま、球磨がささやく。 「いっぱい、くっついて、つながり合うクマ」 *** 布団もない草の寝床の上で、球磨が下になり、俺が上になって、重なり合う。 ゆっくり、くすぐり合うような手つきでお互いの服を外していく。 まずは球磨のセーラーの上を脱がす。 すると、下着も何もなく、そのままの乳房が転がり出てきた。しかも結構、ある。 「ふっふっふ~……意外におっきい球磨ちゃんって、よく言われるクマー」 白くてふわふわした胸を自慢するみたいに揺らしてみせる球磨。 「……感触、確かめてみたいクマー?」 その言葉に誘われるまでもなく、すでに両手が、丸くてやわらかいモチみたいなのに伸びていた。 初めは吸いつくようで、そしてふよふよふよふよと、どこまでもやわらかい感触。 あんなにしっかり締まった球磨の肢体に、こんなふわふわしたモノがくっついてるのが不思議でならない。 不思議でならないので顔をうずめてみる。 「ク、クマーっ?」 森の熊さんが驚く声がするが、気にしない。 球磨の胸の間は、ぎゅーっと挟みこまれる圧迫感があって。 そして心臓の鼓動がとくとく、とくとく、と聞こえてくる。思ったとおり、とても落ち着ける場所だった。 いい発見である。 「……ふふ、提督は甘えん坊さんだクマー」 「……うん」 球磨にそんな風に甘やかされながら、球磨の体を下へ、下へと降っていく。 球磨のお腹は、胸よりは数段しっかりした肉付きをしていて、うっすら筋肉が感じられる。これも、心地いい手触りだ。 その下、球磨のキュロットパンツの部分に至ると、さすがに球磨がちょっと身を震わせた。 「あ、て、提督……」 まだ何だか脱がせるのが勿体なくて、やっぱりその部分に顔をうずめてみた。 キュロットの股間の丸みの中に、球磨の大事な部分の形が隠れているのが感じられる。 圧迫されると気持ちがいいのか恥ずかしいのか、球磨の腰がふるふる、切なそうに震えて面白い。 ふくらみの部分に鼻先を押しつけて少し息を吸いこんでみる。 やっぱり汗の匂いと、それから山道の草みたいな匂いがする気がした。 「は、恥ずかしいクマ~! そんなところ嗅がないでほしいクマーっ!」 「う、うわっ、球磨っ!」 ぐわしっ、と。 跳ね上がってきた球磨に押し返されて、逆に寝床にのされる。 そうして今度は球磨が上になって、俺の動きを封じ押さえつけてしまった。 形勢逆転、というワケらしい。 「ふしゅーっ……提督、おまえ、うまそうだクマー……」 そんなことを言いながら球磨が俺の体の上を、獲物の弱い部分を探し当てるみたいに、ふんふん、ふんふん、と嗅ぎ回る。 正直ちょっと冗談に聞こえない。 そのうち球磨の鼻がぴたりと、俺の首筋の上で止まった。 次の瞬間、狙い定めたようにその箇所が、ぴしゃ、ちゅるる、と水音を立てるようにして吸われる。 「うあ、あぁっ……球磨っ……!!」 首という生命につながる器官の周りを吸われると、くすぐったくって仕方がなかった。 きっと生命の危険を知らせる信号の一番弱いようなのがほとばしって、体を疼かせるからだろう。 その信号は下半身にも届くのか、俺の腰の奥にも小さな快楽の電流が、連動したように流れる。 「ぷはぁっ……提督の体、まだ熱いクマ。熱が残ってる感じがするクマー」 首筋に口づけたまま、球磨の手が俺の肩、胸骨、腹、脇の下と、遠慮なくするすると這い回る。 こんな硬いだけの身体のどこが面白いのだろう。いい匂いもしないし。 けれどどうやら球磨は、その雄臭さとでも言うべきものに興奮を覚えているらしい。 撫でまわすうちに淫靡さを増す球磨の手つきに、こちらまでつられて、昂ぶらされる。 「はぁーっ……すごく、熱いクマー……」 腰骨に頬ずりするようにしながら、球磨の手も熱を求めてそろそろと下へ降っていく。 まだ脱がされていない下半身の中心で屹立しているモノも、期待に身を震わせてしまう。 「クマ~……いちばん熱いのは、ここかクマー?」 しゅるっと。履いたままだったズボンと下着を一気に下ろされる。熱の中心が外気にさらされた。 そしてソレが下着から顔を出したかと思う間もなく、球磨が顔を近づけ、鼻をよせてくる。 そのまま球磨が、ふんふん、ふんふん、と鼻をひくつかせた。 「あ、あぁっ……!! 球磨ぁっ……」 球磨の発情したような熱い吐息と、ときどき当たる鼻の感触。 溜まっていたばかりでなく、外の空気に触れるのすら久方ぶりのソレには、もどかしいぐらいの、繊細すぎる刺激だった。 「ふふ~……はちきれそうで、雄の匂いがいっぱいしてるクマー」 そう言って一度舌なめずりをしたかと思うと。 ちろちろ、ちろちろと踊る球磨の舌先が竿全体を舐め回し始めた。 「ああぁぁぁ……っっ!!! く、球磨っ……! は、あぁっ……!!」 根本の茂みの生えてる辺りから、裏筋、敏感なカリの周り、そして先端の割れ目まで。 汚れを気にもせず、それどころか、より興奮しているかのように。 一週間分の垢をこそげ取ってくれるかのように、球磨の舌が俺のモノの上を這い回る。 獣が毛繕いをするみたいな、そんなさりげない動きなのに、俺は幾度となく腰を浮かせてしまう。 「仕上げだクマ」と球磨が、ついばむようにちゅう、ちゅっ、とそこかしこにキスを残していった後は、 ソレはもうてらてらと濡れて、先端から先走りすら溢れさせていた。 「ん……もっと、提督と全身で、くっつきたいクマー」 そう言いながら球磨が、俺の上に乗ったまま器用にキュロットパンツと下着を脱ぐ。 球磨に腰から下を押さえられている俺は、その動作にただ見とれるだけだ。 今までキュロットの奥に隠されていた場所には、わずかに茂みに覆われた、控えめな割れ目が現れていた。 そうして球磨が俺と球磨の付けていた最後の布を取り払ってしまうと、二人とも本当のむき出しの姿になる。 間に何も挟まるものはなかった。 「このカッコで、くっついてみるクマ?」 「え? ……あ、ああ、そうしよう」 そう言うが早いか球磨が両手を広げてぎゅーっと抱きついてくる。俺も両手を広げて受け止めてやる。 球磨のすべすべした頬と俺のヒゲでちりちりした頬。 ふっくらした胸と硬い胸。ふっくらした腰と硬い腰。 両者はぜんぜん違うもののはずなのに、何故だかぴとっ、と、一つにくっつくようだった。 こっちが呼吸するたびに球磨もそれに合わせて呼吸し、だんだん同じリズムで呼吸するようになる。 そうすると、本当にまるで二人が一つの生き物みたいだ。 境目のない世界で、球磨をぎゅーっと抱いてぎゅーっと抱かれて、ハチミツのようにとろり溶けて一つの体になる。そんな錯覚すら覚えた。 「……提督の、さっきよりすごい勢いで、球磨を突っついてるクマー」 「……うん」 そんな心地よさの中でも、やっぱりこの熱をもったモノの疼きだけは、どうも無視しようがない。 いまや球磨のぴったりとした割れ目に、直に押しつけられている屹立。 たしかに快感ではあるけれど、何だか同じ場所で足踏みしているだけのような焦燥感がある。 もっとやさしく自分を包んでくれる、ふさわしい入り口があるはずのソコの前で、 おあずけを食らっているのがもどかしくてしょうがないのだ。 「クマァ♥……提督、球磨にもっと、きゅーって、抱いてもらいたいクマ?」 そんな焦れた欲求を抱えているのを見透かすように、球磨が聞いてくる。 「あったかくて、とろとろして、ふわふわした球磨のナカで、きゅぅーっ、て、抱きしめられたいクマ? 提督のも、すっごく球磨の中に入りたがってるクマー」 「ああ……球磨の中に、入りたい」 「ふっふっふ~、よく言えたクマー」 そう言うと俺の体の上で、球磨が少し身を引いて、腰を浮かせて膝立ちになる。 「それじゃ、球磨の方から迎え入れてやるクマー」 くち、と熱に喘いでひくひく震えている先端に、湿りのあるモノが触れた。 「は、あぁっ……!」 そして息をつく暇もないまま。 にゅる、ぬぷ、と、球磨が腰を深く沈めるにつれて、にゅくにゅくと球磨の暖かい蜜壷に入りこんでしまう。 気づいたときにはもう、肉茎全体がとっぷりと湯に浸かったみたいに、心地いい感触で満たされていた。 球磨の言ったとおりにあたたかくて、とろとろしてて、ふわふわしている。 「は、んぅっ……」 「く、球磨、その……大丈夫か?」 「……んっ……心配ご無用クマー、提督のがあったかくて、気持ちいいぐらいクマー」 さっき球磨にうながされるまま、わずかな抵抗をする膜に当たったときも、それをぷつりと破って進んでしまったが、 球磨は少しの痛みの他は、何も苦にしていないらしかった。 「ふふ~、こんな体勢でつながる生き物は、きっとそうそういないクマー」 「まあ、そうだな……」 俺は球磨に上にのしかかられたまま、いわゆる⊥字不利……もとい、騎乗位の体勢で球磨とつながっていた。 こんな風に、雌が上位になって雄を搾りとるなんて交わり方をする動物が他にいたものか、寡聞にして知らない。 「でも、この方が球磨には動きやすいクマー。だから、提督……ふふ、動いて気持ちよくしてやるクマー」 そう宣言すると、球磨は俺の上で動き出す。 暖かい洞の中ぬくぬくしていたモノが、ちゅぷちゅぷ、ぬるぬると上下に激しく擦り上げられる。 ハチミツみたいな時間がとつぜん動き出したかのようだ。 球磨の荒い呼吸と共に、収縮しては痙攣する球磨の内側の秘肉。 それに圧迫され、揉み上げられ、ただ横たわったまま、敏感な部位へ与えられる快感を享受するのは、至上の快楽だった。 球磨が腰を沈め、苦しそうなくらいに俺の剛直をくわえ込み、そしてぬるぬると腰を動かして、 色んな液体に濡れた竿を見せつけるように引き抜き、またくわえ込む。 純粋で、白くてふかふかしてて、女らしさや淫らな部分なんてのが想像もつかない球磨が行う仕草だけに、それがとても淫靡で鮮烈な姿に写る。 「あっっ……く、球磨っ、ちょ、ちょっとタンマ!」 「クマ~? どうしたクマー?」 制止の声をこちらが上げる間にも、にゅくにゅくと腰を振り立てる動きをやめない球磨。 そのたびに生まれる途方もない快感に、下半身からそろそろ危険信号が告げられる。 「そっ……そのっ、このままだと出っ……ヤバいから、一旦、抜いてくれるとっ……!!」 「んー? 提督は、気持ちよくないクマー?」 「いっ、いや、そうじゃなくて……」 しいて言うなら死ぬほど気持ちがいい。 「気持ちいいなら、何もガマンすることなんてないクマー。このまま、んっ、球磨のナカに、出してほしいクマ~」 そう言うが早いか、球磨の腰の動きが、ただの上下運動から、こちらのモノを絞り上げるような動きに変わる。 「…………~~~~!!!!」 きゅう、きゅう、と。脚を閉じるようにして、蜜穴の中もいっしょに締めつけ、くわえ込んだ肉茎を圧迫するような動き。 そして脚を開いたかと思うと、今度はふりふりと、媚びるように腰を横に振ってみせ、中へと振動の快楽を送り込む。 さっきまでの、ただ性急なだけの動きが可愛く思えるほどだ。 同時に、その雄の快楽を誘うような動きの中に、これまでにないくらいに、『女』としての球磨を見出してしまう。 「く、球磨っ……!! もうヤバいっ、出、出るっ……!!!」 「大丈夫クマ、提督……来てほしい、クマー……」 腰を振り立てる球磨に追い詰められ、すべての部位を余すところなく刺激されるような、めくるめく快楽に浸されて。 こらえるために腰を引くことも出来ず、そろそろと登ってくる、じくじくした快感に押したてられるまま。 「~~~~ぁ、ああぁぁ……っっ!!」 やがて止めることの出来ない奔流が先端に登ってくるのを感じると、抵抗する間もなく。 びゅく、びゅく、と、溜まりにたまっていた熱い精を、球磨に捧げるように、内側へと漏らしてしまっていた。 もちろん一週間分の射精は一度の放出では途切れずに、二度、三度と、脈動しながら吐き出される。 そのたびに暴れる肉茎を、球磨の蜜穴がやさしくあやすみたいに抱きとめてくれるようで、 その心地よさにまた新たな快感を呼び起こされてしまう。 結局俺の分身は、長く尾を引く快楽の証を、ぴゅーっ、ぴゅっ、と球磨の中に噴き出させた後、 ようやく降参したようにくったりとなったのである。 「んっ……提督、気持ちよかったクマー? 球磨の中に、たくさん出てるクマー」 内側に射精されたばかりの自分の下腹部を撫でながら、球磨がそんなことを言う。 こうして尽くすのが何より嬉しいとでも言うような、慈しむようなその表情。 けれどその顔を見るたび、やっぱりそんな球磨の優しさにすがってばかりではいけないという気持ちが、心の奥で湧き起こる。 欲求を解放してひとここちついたせいか。また、球磨に対してすまないと思った。 「球磨……その……ごめん」 「なっ、なんで謝るクマー?」 「その、ホントは出す前に引き抜くなり何なり、しようと思ってたんだが……」 「……て、提督は、球磨との間に子供、作りたくないクマァ!??」 「……な、ええぇっ!!?」 絶句する。 いや、こんな風になる前は、そもそも球磨が子供の作り方を知っているとすら想像しなかった俺も悪いが……。 球磨が、俺との間に子供を、欲しがっている!? 「く、球磨は欲しいのか、子供……?」 「と、当然だクマっ!! 好きな相手といっしょに、子供作って、産みたいって思うのは、あ、当たり前の気持ちだクマー!!」 俺の上に覆いかぶさったまま抗弁する球磨の目は、真剣そのものだった。 「そっ、それに……」 球磨が俺の胸に顔をうずめながら、続ける。 「……たしかに球磨たちはこうして、深海の敵に負けてしまったクマー……けど、子供を作って、 その子供たちが戦いの記憶を受け継いで、新しい世界や、新しい戦いのための礎にするんなら、負け戦も、ちっともムダではないクマー」 「球磨…………」 ふたたび俺は言葉も紡げなくなる。 理解できないのではない。むしろ、ああそうか、平静感じていた球磨の強さは、ここにあったのかと実感したからだ。 俺が再戦のために奮起するでもなく、敗北を受け入れて生き方を考えるでもなく、ただのろのろと。 漫然とした自罰感に引きずられ、何かを生み出すことも出来ず、ただ球磨との安楽な生活を引き延ばしていた間に。 球磨はこんなにも希望にあふれた未来を思い描いていたのだ。 それでいて俺を無理に付き合わせようとせずに、ハチミツを媚薬代わりに盛ったり、 添い寝をしてくれたりして、事が自然に進むようお膳立てしてくれたのだろう。 体を重ねながら、俺との子供を産む未来に思いを馳せていただろう球磨に対して、俺は快楽を求めていただけだったなんて。 「……そうだよな、球磨。気持ちいいだけじゃ、ないもんな」 「く、クマっ?」 俺が身を起こすと、球磨がびっくりしたように身をすくめる。 「ずっと、考えてた。こんなに俺に尽くしてくれるお前自身は、何か望むものはないのかって。俺は何かしてやれないのかって」 球磨が驚いている隙に、そっとその顎に手を添えた。 「子供、作るぞ球磨。何人でも」 「あ、提督……」 ゆるやかに開いている球磨の唇に口づける。 やっぱりさっきの口移しの甘さは、ハチミツのせいだけではないらしい。 球磨が、んっ、と鼻にかかったような切ない声を漏らし、体がちょっと弛緩する。 その瞬間を見逃さず、腰をバネに力をこめて、体を倒す。 そうして俺は、球磨をふたたび押し倒す格好になった。 「て、提督……やっぱり、この体勢が好きクマー?」 「なに、お前にしてもらってばっかりじゃ、男としてアレだからな」 押し倒されると弱いのか、ちょっと身を縮こまらせる球磨。 その胸の上で、同じくふるふる揺れてるモノを掴み、やさしくマッサージするように揉みしだいてやる。 「あ、く……クマァっ!」 さっきの騎乗位の間中もずうっと、ぶるんぶるんと自己主張していた胸に、 ふかふかと指を沈め、こねるように揉む。コリをほぐすような感じだ。 やがて中心で、ピンク色の乳首がぷっくりと立ちふくらむ。何となく白米にちょんと乗った鮭の切り身みたいで、可愛らしい。 球磨の反応を楽しみつつ、ソレを口にふくみ、吸い上げてやる。 「ふぁ、はあぁぁっ……!! だ、だめクマァっっ!!」 ピンと勃ち上がったのを口の中でねぶり、転がすたびに、球磨がそんな嬌声と呼ぶにはあまりに可愛らしい声を上げる。 「こ、これは子供が出来たときにすることクマァ……子作りには、ぁんっ、関係ないクマァっ……!」 「いいや、関係あるぞ球磨。お前も一緒に気持ちよくなった方が、子供を作るにはいいんだ」 「え、えぇっ……!?」 それを証明するように俺は、二本の指をそっと、球磨の湿りの中に浸す。 そうして次第に指の動きを激しく、壷の中の蜜を探るように、わざとくちゅくちゅ、と音を立ててやる。 「はあぁ、ああぁッ……~~~んんっ……!!」 「ほら球磨、この中、球磨が濡らしてビショビショにしてるけど、俺が放ったモノはだいぶ、こぼれ落ちちゃってるだろう?」 「……!? あ、あぁっ~~!? ほ、ほんとだクマ~っ……!!」 その言葉に思わず自身の足の間に目をやった球磨が、驚きの声を上げる。 さっき俺があふれるほど放った精液が、割れ目の外へとかなり滴り落ちてしまっているのだ。 雌が騎乗位で雄から搾りとってしまっても、そのあと跨がったままの姿勢でいれば、重力に従って子種はこぼれ落ちる。自然の摂理だった。 「……その、俺を気持ちよくさせようとしてくれて、ありがとうな、球磨。だけどやっぱり、俺がちゃんと自分で動かなきゃダメだ。 球磨にしてもらうんじゃなくて、俺が動いて、球磨が身を起こせなくなるまで気持ちよくしてやんなきゃ」 「提督が、球磨を……」 「ああ。だから球磨、体を楽にしろ。あんまり、恥ずかしがるな」 「ク、クマぁ…………っ」 球磨は最初、女の子らしいためらいと恥じらいを見せつつも、次第に俺にゆだねるように、体の力を抜く。 それを確認すると、俺はゆっくり球磨の体に覆いかぶさり、曲線を愛でるように、 球磨の乳房や、腰や、球磨の体に官能をもたらすだろう場所を撫でさする。 そうして球磨が、安心したような、深い息で呼吸するようになったのを確かめると。 「……じゃ、もう一度、挿れるぞ」 「ん……クマァ♥……っ」 声をかけて安心させる。そして俺の肉茎の前にさらけ出されている球磨の秘肉の中へ、にゅくく、と、かき分けるように差し挿れた。 「……ん、あ、ああぁぁッ……!!」 自分から快楽を貪るため動かすのと、待ち焦がれた快楽が入ってくるのでは、やはり違うものなのか、 球磨が騎乗位のときは上げなかった甲高い声を放つ。 「あ、提督にっ……してもらう、のっ……ふぅっ、す、すごいクマっ……あぁッ!!」 にゅぷにゅぷと、球磨の予想もしない角度で突き入れてやったり、 膣壁を擦る竿の動きに合わせて乳首にも刺激を与えてやったりすると、涙を流して吐息を漏らす球磨。 そんな球磨のむき出しの反応が、俺も嬉しかった。 俺自身も、さっき球磨に跨がられていた時より快感が劣るなどということはない。 むしろ一突きごとに昂ぶりを見せる球磨の愛らしさに、ぞくぞくと、背中から腰まで快感の電流が流れる。反作用のように。 「んうぅっ……てっ、提督ぅっ……く、球磨がちゃんと気持ちよくなったら……あぁっ、子供、ほんとうにっ、出来やすくなるクマァ……っ!?」 「俺もよくはその、知らない……けど、自然な営みなんだから、これでいいんだ、球磨っ…… 二人とも気持ちよくなれるやり方が、自然で、正解なはずだ」 少なくとも球磨の体の反応は、きっとこれだけでも子供を作るには十分だろうと思うくらい、熱心で意欲的だ。 どんなに激しく抜き挿ししても、決して子種を生むソレを離しはしないという風に、肉茎に吸いつき、からみついてくる秘肉。 射精を待ち焦がれ、あるいは煽り立てるように、とろりと愛液をまとった粘膜でつつみこみ、くにゅくにゅと収縮する内壁。 それらの動作をどれだけ球磨が自身の意思で行っているかはわからなかったが、とにかく刺激が繰り返されるたびに、 射精という見えつつある頂点へ向かって、一段一段確実に、登り詰めさせられていく。 「はッ、ああぁぁぁっっ……!! 提督、提督ぅっ……!! なんか……なんかっ……きちゃうクマァっ……!!!」 一方逆を言えば、そんな不随意の運動を繰り返す球磨の体も、限界が近いということなのだろう。 いまや球磨は、俺の手が触れるすべての箇所にこらえがたい快楽を感じるのか、 そのたびにお腹を押すと鳴き出す人形みたいに、切ない吐息まじりの声を上げている。 球磨の反応が俺を昂ぶらせ、昂ぶった俺の動きが、また球磨から好い反応を引き出す。 まったく自然はなんて生き物に都合よく出来ているのだろう。 「いいんだ球磨っ……気にせず受け止めろ、それが、気持ちいいって、ことなんだからっ……!」 「く、んうぅっ……!! 提督は……提督も、気持ちがいいクマァ……っ!?」 「ああっ、すごく、いい……! でも、もうそろそろ……っ!!」 俺が最後のスパートに腰の動きを一段と早めると、球磨もそれに気づいた様子を見せる。 「ひ、ぁああっ……!! 提督っ……! 提督の子種っ、いっぱい、んうっ、球磨の中に……ほしいクマァっ……!! 球磨に子供、作らせてほしいクマっ、あ、ああぁ……っっ!!」 「わかってる、球磨っ……! たくさん作るぞ……っ!! 俺の、俺の子供を生んでくれ、球磨ッ……!!」 「クマぁぁっ……あ、や、ぁん……んっ~~~ぁぁあああっっ!!!!」 球磨がひときわ大きな声を出したかと思うと、背中を反らせて全身を大きく震わせた。 同時にきゅうっと締め付けを強くする蜜壷と、タガが外れたような球磨の乱れっぷりに、俺も完全に余裕を失う。 数回、きつく締め上げる球磨のナカに突き入れた後、最も深くに至った瞬間に、痺れるような快感が腰に走り、とうとう限界を迎えた。 どぷどぷと、球磨の最奥へと思う存分、精を叩きつける。それを待ち望んでいたかのように、球磨の内壁も合わせて動く。 蠕動する蜜壷にきゅうきゅうと揉みしだかれながら、最後の一滴まで搾りとられ球磨に捧げる快楽を俺は味わった。 *** 恍惚をしばし味わいながら、球磨の上に折り重なるように倒れ込む。 隣に横たわる球磨も、深い快楽を感じているような蕩けた顔をしている。 見つめると少し照れたように笑った。 「ふぅ、んっ……提督の、あったかいのが、今度こそじんわりお腹の中に、広がってるクマァ……」 そう言う球磨の様子は、本当にお腹に子供を抱えた生き物のように、おごそかで安らかだ。 引き抜いた後の縦筋からは、わずかに白い液が滴っている。 まるでほつれた縫い目から綿いっぱいの愛を溢れさせるぬいぐるみだった。 まあこうして激しい動きもしなければ、俺の出したモノも無駄になることはないだろうからいいか、なんて思った瞬間。 「ふっふっふ~。提督も、がんばったクマァ、えらかったクマー。クマクマァ♥」 などと連呼されつつ、頭を胸のところに抱かれ、撫でられてしまう。 ……やっぱり球磨は元気である。 俺のしたことと言えば、ほとんど気持ちよさに任せて腰を振ったことにすぎないと思うのだが、 何だかそんな風に球磨にほめられると、自分でも本当に、何かを成し遂げたような気さえした。 そして二回続けて果てたことの疲れもあってか、なんとなく球磨に抱かれるこの体勢に落ち着いてしまう。 「なぁ、球磨」 「クマクマ?」 「その、なんだ……こうしてつがいになったからにはさ、俺も男として頑張るよ。 お前の夫の役目も果たすし、子供が生まれてきたら、ちゃんとした親になる覚悟がある……だから、その……」 両手で球磨の背中をぎゅっと抱き、球磨に身を寄せる。お気に入りのぬいぐるみを抱く子供のように。 球磨の頭と胸の間。球磨の吐息を頭の上で、球磨の鼓動を間近で感じられる、安らぎの場所へと顔をうずめてみる。 「あと少しだけ、球磨に甘えさせてくれ」 「ふふふ~ん。お安い御用クマー」 そう言って球磨が、二人の体がぴったり一つにくっつくぐらいに、強い力で抱き寄せてくれる。 こうすれば二人の体温の間にはすきま風すら通ることなく、やがて寝床の中はぬくぬくした熱で満たされるだろう。 二人の巣になったこの穴蔵の外では、雨がしとしと降っている気配がした。 その他には、球磨と俺の吐息、球磨と俺の心音だけ。あとは、何の音もない。 もしかしたら球磨と俺、二人の他は、誰ももう世界には残っていないような気さえした。 けれどそんな二人の間にも、いつか新しい生命の灯火が宿るのであり。 そして何より。俺は。 「……クマ~……クマ~……」 スピースピー、と。 いつの間にか眠りについた球磨の吐息と鼓動と体温を間近に感じつつ。 たとえこれが世界の終わりでも、球磨の腕の中に抱かれながら、俺は今例えようのないぐらい幸せなのだった。 (了) +後書き 78 :3-91:2014/04/22(火) 01 41 53.94 ID wHbOr9s/ 「球磨のセリフからクマの語尾を取るとすごくカッコいい」との話を聞いて以来、自分の中ではすっかり 『球磨=お姉ちゃん=甘えさせてくれそう』のイメージです。もちろん愛玩動物なクマーも好きだけど。モコモコボンボン! イベントで資源がボロボロになってしまったらぜひ艦娘にたっぷり甘やかされたいものです ちなみにこの話の後は、世界中で人類と艦娘のハーフが生まれて深海棲艦と対話が可能になり滅茶苦茶和解した とかそんなご都合主義ハッピーエンド では長文失礼しました
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/463.html
過去の事例を元に作成した荒らし報告をする際の注意点です。 ピンクちゃんねるは巨大な掲示板ですから、荒らし対策はほぼマニュアルに沿って行われます。 (残念ながら個別の内容の深い吟味は行われません。) また荒らしに対するレスが含まれると、報告および削除依頼も非常に難しくなってしまいますので、絶対しないでください。 1.報告対象 (1)eroparo:エロパロ[レス削除]での削除対象はガイドラインにおける4.5.6 現在スレを荒らしている死刑執行人 ◆QSJNUz260oには以下のような特徴があります。 自分ひとりでIDを変えて自分を自分で煽り自分で叩いてスレをかき回す ひたすら他人および職人へのレスを自演扱いにする コピペ その為、あらしレスにおける削除理由は 削除理由・詳細・その他: 4. 投稿目的による削除対象 レス・発言 5. 掲示板・スレッドの趣旨とは違う投稿 レス・発言 6. 連続投稿・重複 連続投稿・コピー&ペースト となります。 (2) あらしの自己レスへのチェーンレスを報告しても規制および削除はされない 書き込みを沢山する人としか運営は見なさないからです。これまでの荒らし事実考慮されることはないでしょう。少なくとも現状では。 2.書き方について 報告スレ主が報告相手に対して、私怨を感じさせる言動が少しでも感じられたら運営は削除をしません。 報告している期間は沈着冷静な言動をしなければなりません。つまり、あくまでも「あらしを報告しあらしレスの削除依頼をしているだけ」というような姿勢でないとダメです。 「いつもいつも荒らしやがって!!!」というような感情が見えたら、削除要請は絶対に通りません。 また、被害を受けているからといって、理解してくれるように努めると逆効果です。通る要請も通らなくなります。 3.あらしを相手にする人がいると、報告できるレス数が減る 例えば、以下のようなやり取りがあったとします。 参加者のあらし宛てのレス あらしレスA(住人への返信) あらしレスB(レスAへのチェーンレス) あらしレスC(レスBへのチェーンレス) あらしレスD(レスCへのチェーンレス) あらしレスE(レスDへのチェーンレス)) ↑ このようなパターンのスレの流れがあった場合、A~Eにマルチコピペが含まれていても、起点は参加者のレスなのでA~Eだけを報告対象に含めると、「ぶっこぬき」と判断されて運営に無視されます。 他の参加者が一連のレスの原因だと運営は見なすからです。 原因を作った住人は報告しないで荒らしだけ報告することは「ぶっこぬき」と呼ばれます。報告対象に一つでも「ぶっこぬき」が含まれていると、その報告レスの削除はほぼ無視されます。 4.最後に 重要なのは、私たちが荒らしを決して相手にしないことです。あらしがレスをもらった場合、それが罵声であったとしても寂しがり屋の荒らしは「エサができた」と考え喜びます。良心のある読者の皆さん、ぜひご協力ください。 荒らしに関する愚痴はあらしヲチ・愚痴コメント欄にどうぞ。
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/473.html
824 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 32 31 ID WPQREMKw 二章 1 暦の上では秋にもなれど、赤トンボが飛ぶわけでもなく椛が色付くわけでもなく、早秋とは名ばかりに、海面は未だぎらつく太陽に 焦がされ続けていた。滲む汗は珠となり、いつかはつぅと滑り落ちる。それが上着の肩口に吸着すると、接着剤のように皮膚と肌とを 張り付け始める。不快な感触に、だがもうすぐそれも終わると胸の中で唱えれば、幾らか気分はましになるのだった。 北方海域への遠征任務。航空機輸送の報酬として鋼材とボーキサイトを受領するその作戦は、丁度往路の半分にまで差し掛かったと ころである。祥鳳を旗艦とする軽空母三隻(此れを特務臨時編成航空戦隊)護衛の駆逐艦三隻(此れを特務護衛駆逐隊)それらを纏め て『第三特務臨時編成艦隊』は、茹った海に波紋を刻みながら粛々とと航行していた。 睦月型三隻を率いるように鳳翔が先導し、後方警戒には龍驤、祥鳳がついていた。空に木霊する駆逐艦の姦しい声は、鳳翔によって やんわりと包み込まれていた。それは窘めているのではなく、ただその煩い会話がきちんと管理されているという風である。彼女の持 つ天性の母性が駆逐艦達の喧しい声を、それでも煩過ぎることにはしていなかったのだった。 残された年長組二人は、実に気楽なものである。和気藹々とした朗らかな雰囲気に、だが片一方祥鳳だけは取りこぼされたかのよう に物憂げだった。 龍驤との会話に返事はする。その話の内容もきちんと理解はしている。別段心ここにあらずといったことではなく、ただわだかまる 憂鬱が気を萎えさせていた。 看破されることはないだろうと高を括っていた。今の自身を客観視する分には、どこにも異常はないはずだと思われた。そう思った 矢先にしかし、突飛に放たれた龍驤の一言はその考え全てを否定した。 「なんや、うち小難しい話しとるつもりないんやけど」 会話の最中に脈絡なく、ふとしたら聞き逃してしまうような自然さ。思わず顔を向けてみれば、訝しげに眇めた眼がちくりと刺すよ うな視線を送っていた。 祥鳳の失敗だったのはその後何も言い返すこともできず、息を詰まらせてしまったことであった。取り繕わなかったということが、 まさしく肯定の返事そのものである。すかさずに龍驤は追撃の次手を口にする。 「こないなしちめんどくさい遠征任務なんやからおもろい話があるなら出し惜しみせんでほしいんやけど。……提督やろか? 原因 は」 825 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 32 50 ID WPQREMKw 果たして図星の真ん中をつかれ、祥鳳の反応は分かり易さの極みである。「そんなんじゃない」と「ちがう」を壊れたように繰り返 し、頭の飛んでいきそうなほどかぶりを振る。けらけらと笑い続ける龍驤は、得心いった様子で先を続けた。 「ええでええで、隠さんでも。きょうび提督は大鳳にぞっこんやからなぁ。寂しくなるのもようわかるで」 「ほんとに違うんだから!」 「まぁ予想の範囲ではあったけどね。キミ分かりやすいからなぁ」 流石に、過去の関係のことまでは漏洩していないようだった。そこに安堵を覚えつつ、しかし龍驤の言葉は本質を悉く突いていた。 即ち、提督と大鳳の様子が視界に入ると、それだけでもう面白くないのである。この遠征任務の通達、つい二時間ほど前のことであ ったが、当然執務机に腰掛ける彼の隣には、あの秘書艦の姿があった。 以前は自身のものであった役職に他人が収まっている様子。それを受け入れるには、未だ整理というものが終わっていなかった。自 分から去っておきながらと、何も弁明しない決意をしておきながらと。自嘲は重ね重ね、だが勝手な感情は際限なく胸の内をのた打ち 回る。惰弱で幼稚で惨めであった。そういった自覚が、より一層彼女を病ませていた。 祥鳳は消化しきれない思いを抱き続け、今この時でさえ彼らの様子を気にしているのである。まさかまだ進展と呼べるような事は起 こっていないはずだと、妄想と焦燥に頭を疼かせ、兎にも角にもいち早く帰りたかった。 「まぁあの提督は色恋に興味無いやろうから、当分心配は無いんやない? あの子も仮に気があったとして、どう見ても晩生やから なぁ」 彼女が悪気無しに放ったこの慰めの言葉に、息の詰まる感じがした。彼は色恋に興味は無い。その一文が、心内でしつこく反芻される。 まさしくそれが、その思い込みこそ祥鳳の決意の源泉だった。自身が他の娘とは違うという確証を得る事ができないでいた事。たと え同衾したとて、夜が明ければ他の娘との区別はない。秘匿が完璧であったからこそ、恋人である意義も薄れていたように思えたのだ。 嫉妬ではなく、不信。普通以上のことを求めた故の破局だった。自身が特別だという確証が、そんな何をどうやっても得られないよ うな代物が欲しくて仕様がなくなった。その自分勝手な驕慢さへの自覚から、提督に苦しみを告白することもできなかった。そして挙 句、精神的な破裂を感じ取ったその日に、彼女は別れを告げたのだ。 今、当時の胃を痛くしながらの心配が杞憂に終わった。大鳳の様子を見れば、あの時の自分が周りからはどう見られていたか、推し て知るべしである。特別な場所にいた事を知らなかった愚鈍さが、悔悟となって嫉妬へ変わる。 水面の波紋を消す術は、唯一つ待つことだけである。心内のざわつきは、未だ留まることを知らなかった。 826 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 38 07 ID WPQREMKw 2 遠征に空母が必要となれば、必然的に祥鳳を組み込まざるを得なくなる。つい何時間か前、この執務室には彼女がやって来て、もう それだけで提督はこの上ないほどの憂鬱に苛まれていた。 吐き出される溜息は際限なく、肺の奥底から湧き出している。これでは良くないと自身の仕事に傾注するも、そこに並ぶ事柄に愉快 なものなどある訳がない。先に送付した支給資材上限拡張の依頼書が、慇懃な“お断り”と共に返送されたのを視界に入れ、遂に彼は 机に伸び伏せた。 「えっと、何かお茶でも入れてきましょうか?」 何回聞いたかも分からない大仰な溜息に被せ、大鳳はおずおずとそう聞いた。気遣う顔つきをしながらも、決して提督の方を見よう とはしていなかった。書類の淵を指でなぞりながら、几帳面にその線を合わせている。時折落ちてこようとする髪の一束を、指で掬い 取っては耳に掛けていた。 実を言うならば、この艦娘の態度そのものにも、いくらか煩わしさを感じている提督である。樽俎、と言うには余りに煌びやかさが 足りなかったが、あの酒の席以来、彼女の提督に対する素振りは露骨に変わった。 具体的には、視線を合わせなくなった。別段、今まで顔を突き合わせて会話したことなど一度もなかったが、普段の生活の中でふと 目が合いそうになるだけで、仰々しく不自然に顔を背けるのである。見せ付ける為にわざとやっているのだとしたら何とも腹立たしい 事この上ないのだが、しかし当の彼女を観察すれば悪意というか、下心に基づいた行動ではないらしい。腹の色が淀んでいないのは彼 女の美点でもあるが、だからこそ接する方としては、厭に気を使ってしまう。 この執務室にやたら長く居座ろうともしだした。業務の終わった後、何かと話題を見つけては、ずっと側を離れないのだ。恐らくは 再びの酒宴を待ち望んでいるのだろうが、生憎尻尾を振ってる様を見せ付けられると意地の悪くなる彼の性癖。就寝時刻が遅くなる苛々 も相俟って、願望を叶える気は絶無となっていた。 兎に角、気に入らなかった。一挙一動が悪意の針となって、脳みそをつついているのだった。 嫌悪の削ぎ落ちた煩わしさである。まさしくそれを部屋中に振りまかれているから、どうにも鼻について仕方ないのだ。 「あの、提督?」 不安げな声音が、静けさに圧迫された鼓膜を撫でた。体は起こさず顔だけ大鳳の方へ向けてみると、不安げに揺れた瞳が視界の中央 に鎮座した。勿論、ただの一瞬で目は逸らされ、後には視線の紡いだ糸らしきものの残滓が、眉間に感じられるだけになった。 827 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 38 38 ID WPQREMKw 胸の内で散々悪態をついてみる。お前は少女漫画のヒロインか。無自覚なあざとさの、どれだけ煩わしいかを知っているのか。そう いう態度は同姓から一番に嫌われるぞ、等々。 じっと横顔を見つめ続けていると、ほんの少しだけ瞳の見ることのできる瞬間がある。大鳳はちらりと提督へ眼を向けては、慌てて 逸らすのを繰り返していた。 「飯、食いに行かないか」 姿勢をそのまま、彼は口だけ動かしてそう言った。空調の音に紛れてしまいそうなほど、弱く覇気の無い声音であったが、大鳳はすか さずに反応を寄こし、 「え?」 首を傾け、そう聞き返す。 「飯食いに行こう。腹減った」 視線がしっかりと交錯したことに満足を覚えながら、彼は腕立て伏せをするような格好で体を起こした。膝裏で椅子を押しのけ立ち 上がり、欠伸をしながら伸びもする。 戸惑う彼女は、外出の準備をし始めた彼の周りを、おろおろとうろついているだけであった。ものの一分で支度を終えた提督は、一 旦の制止を呼びかける大鳳を無視し、そのまま出口へと向かっていった。 もちろん執務中の外出は、原則禁止されていた。しかも彼は見るからにこの鎮守府の敷地外にまで出ようとしている様子。秘書であ る所の大鳳がこれを看過できる訳は無かったのだった。 とうとう扉が開かれて、その足は廊下へと伸びていった。執務室に留まり、 「わ、私は行きませんからね」 そう言ってみても、彼の歩みは止まらない。酷薄な態度に苛立ちは募り、このまま一人で行かせればいいんだわと心内で愚痴を零す。 だが、こちらは何も悪くないのに、大人気なく駄々をこねた風な状況になっているというのも癪に障り、結局は彼を追うこととした。 提督は気障ったらしく、壁に背を付け待っていた。 「戻ってください」 幾らそう繰り返したとて何も反応は返されず、小言は孤独にただ廊下をひた走っていた。見えない磁力に引っ張られるようにして、吐 き出す言葉とは裏腹、彼の後ろから離れられなかった。 いよいよ玄関にまでたどり着く頃、彼女はもう沈黙してしまい、ただとぼとぼと金魚の糞をするだけになった。だがそれは決して精 神が諦観の域に達したのではない。むしろ、提督の暴走を止める事のできる防波堤をついぞ発見した為である。 鎮守府正門。その脅威の枢軸は、大仰で荘厳な鉄柵門そのものよりも、横にあるこじんまりとした警備常駐室である。そこには守衛 の妖精が、それこそ物の怪の類というのは決まって土着しているように、四六時中いつでも一人は居るのだった。 どうやら鎮守府の主が近づいてくるのを察したらしい。遠く小さい窓の向こう、一人の妖精が顔を覗かせた。 「やぁ、君。ちょっとお願いがあるんだけれど」 提督は警備室に近づくと、馴れ馴れしく小窓に顔を突き合わせて言った。一枚のガラス越し異様に接近した顔に、堪らず妖精は後ず さる。ファンシーな見た目とは裏腹、渋い声音の返答がある。 828 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 39 09 ID WPQREMKw 「仕事をおっぽり出してデートとは感心致しませなんだ」 「いやなに、甲斐性さ。ねぇ、ここを開けてくれ」 「さぼってもいいですが、人を巻き込むのはいただけませんな」 「まぁそう言うな。私は何も君にボランティアを強いているんじゃない。これは取引なんだよ」 提督は、細めた眼を横へと滑らす。相手の反応を楽しみにしている際の癖のようなものである。 彼が嗜虐への愉悦に造詣の深い事を、大鳳は身をもって知っていた。湧き出す危機感と焦燥、無意識の内に拳を握りしめ、祈るよう な心地に二人のやり取りを盗み見る。望み薄なのは重々分かった上、それでもこの妖精に屈強な精神力のあることを、望まずにはいら れなかった。 「君はたしか、今月の酒保の購入分が給料を上回っていたね」 妖精は堅く締まった表情を気丈にも維持しようとしていたが、生憎口角の吊りあがったことは一歩離れていた大鳳にも見て取れた。 「私たちがここを通り過ぎるのを見過ごしてしまったなら、私も君の酒保記録を誤って紛失してしまうかもしれない。仕事でミスす るのなんて、幾ら気をつけても起こるときは起こる物さ。ねぇ、どうだろう。君は、今日、少し仕事でミスをする。誰にも気付かれない 些細なミスだよ。そして私も、帰ってからミスをする。ね? いいだろ?」 果たして、きりきり音を立てながら開いてゆく門である。恨めしい視線から逃れるように、妖精は部屋の奥へと姿を消した。 アスファルトの発する熱が、靴越しに足の裏を焦がしている。歩くだけで汗の止まらない厳しい残暑だが、肌に感じられる海風は幾 らか乾いてもいた。そう遠くない秋の予感が、過ぎた日々を意識させた。 海鳥の舞踏を横目に見ながら、提督はかつての恋路を思い出した。海軍兵学校時代、初めてできた恋人との睦みである。 丸顔でよく笑う、気の置けない娘であった。ロマン・ロランであったか。恋愛的友情は恋愛よりも美しいと言うが、あの娘との関係は 友情に限りなく接近していたように思う。 様々な所に遊びに行った。暇さえあれば常に一緒だった。往来で手を繋いでいたのを見咎められた事もある。だがキスをしたのは一 度、体を重ねたのも一度きり。祥鳳とは真逆の方向性において、育まれた恋慕であった。 横須賀の街の細部を知り得たのも、彼女と遊び練り歩いたおかげである。今、大鳳を連れて外へ出たのは、きっと無意識にその初恋 を追い求めているからであろう。祥鳳への当て付けとして、懐古に楽しさを再現しようとしている。 下種な事をしているという自覚はあった。大鳳が自身を慕ってくれているということを、知った上で、その純真を踏みにじっているの だ。寂しさを紛らわせるためだけに、想いを利用している。苛立たしげなのを装い、しかし瞳からは隠しきれない期待があふれ出して いる。この娘のあどけない純真、白壁に爪を立てる心地だった。 七百メートルは歩いた後、デフォルメされたマグロの看板を掲げる、一軒の寿司屋が見て取れた。学生の頃、その彼女とよく昼を食 べに行っていた店である。ムードも何も無い所であるが、だからこそあの時の二人には都合が良かった。安く、気軽で、高尚じゃない ことが至上の価値だと、斜に構える時代には思えるものなのである。 829 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 39 52 ID WPQREMKw 横滑りの戸を開けると、中はまばらな賑わい。昼時というには少し遅い時分であるから、繁盛していないという訳ではないだろう。レ ジに立っていた年増の女給は、提督の姿を見るなり、 「あら、お久しぶりね」 「うん。久しぶり」 「お二人? もしかして新しい……」 「違うよ。さぼりできているんだ。内密に頼むよ」 「まぁ、べつに言いふらしたりしないけど、あなたはいいとして後ろのお嬢さんの格好は中々目立つわね」 口を開くのも億劫になり、むっつり黙って提督に続いていた大鳳は、その言葉を聞き、途端羞恥に駆られた。鎮守府ではより露出の 多い艦娘が跋扈しているために、自身の服飾デザインの大胆さには気が付かなかったのだ。大きく開いた脇や短いスカートに、何とも心 細い感じを抱き、しかし露骨に腕で隠そうとすればそれはそれで恥ずかしい。 ぼっと頬を染めた彼女を見、女給はにたついた笑顔になる。 「なら二階を使っていいわよ。特別にね」 「ありがとう」 提督は慣れた様子で、レジ奥に伸びる階段へと向かった。 六畳一間、ぽつねんと机の置かれた畳の部屋である。メニュー表のある所を見るに、特殊な客を匿う事など日常茶飯事であるようで あった。 腹を膨れさせれば機嫌も直るだろうという提督の予想は、果たしてまったく正解であった。むっつりと黙ったままであった大鳳は、 しかし満腹の幸福を隠しおおせるほど器用な娘ではない。 この店で昼時に最も人気なのは、六百五十円の海鮮丼である。日毎に余りそうなネタで作るそれは、日替わりなのは当然として机に 置かれるまで何が入っているのかも分からない。手頃な値段とこのマンネリの無いシステムが受けて、とりあえず迷ったらこれにしと こうというような、定番の地位にあるメニューである。 この丼をそれぞれ一つずつ、更に提督は追加して、小うどんと穴子、イカ、ハマチ、それから目に付いたオコゼなどという変り種の 握りを一つずつ。握りは一貫に二つ皿に載り、大鳳と分け合う形となったが、唯一オコゼだけは彼女が全てをたいらげた。 肝心の丼であるが、今日は運よく当たりの日であったらしい。ネタの種類、量は記憶にある中で最大級に豊富であり、多かった。 まず中央に艶やかなイクラ、その脇には大葉が敷かれ、わさびと極少量のツマが上に乗る。放射状に外へと伸びる刺身は薔薇の大輪 のようであった。透き通った油が蛍光灯を反射していた。マグロは赤味とトロが同等量。主役たらんと白米を覆い隠し、補色のアジが 脇を支えている。良く見ればネギトロによる小皿の上、凝った造詣のイカが、良家の娘の髪飾りが如く置かれている。提督にはそれが つつましく、含羞の表情をしている風に思われた。 飾りの菊がさり気ないコントラストであった。丼ものの多くにありがちな、白米の量が多すぎて余るという事は起きず、ぴったりと 同時に胃に収まった。食後に茶を啜りつつ、機嫌の回復した彼女は気に掛かっていた疑問を口にする。 「前にも、ここに来たことがあるの?」 言外に問われている事が何なのかを察知し、提督は逡巡した。正直に答えたところで特に不都合は無いらしいことが分かると、ようや く遅れて返答する。湯飲みに手を伸ばし、この開いた間は特に不自然な風にもならなかった。 830 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 40 13 ID WPQREMKw 「鎮守府に着任してからは初めて」 聞き、大鳳は理由無き嬉しさに微笑した。 つまり、以前の秘書艦は連れられて外出する事をしなかった。頭の中に浮かんでいた祥鳳の影は霧散して、遂には一、二時間程前の 自身の生真面目ささえなくなったようだ。ついてきてよかったと心の中で独り言ち、表情が緩んでいることにも気が付かない様子。そ うしてうとうと睡眠欲の出始めた頃合、まさか心地よく昼寝する訳にもいかない。多少の倦怠を我慢しつつ、席を立ち、店を出た。 鎮守府正門妖精詰所。悪魔の取引に矜持を投げ打ったあの妖精は、陽気な声音の会話を耳に捉えると、ただ押し黙って門を開けた。 そうして彼らがくぐる前に部屋奥の暗がりに身を隠し、気配を完全に消失させる。味方であったはずの大鳳は、すでに篭絡されている。 最早この妖精の行動に同情を示す者は無く、談笑の種として消化されるのみであった。忌々しさに握られた拳が、閉と書かれた緑のボタ ンを叩く音を、果たして気に留めた者はいない。 やがて提督は、執務室前にまで辿り着き勢い良く戸を開けた、その瞬間である。散歩の心地よい疲れが、安堵の途端に表層へ顕れ、 気の弛ぶほんの一瞬に、彼女が視界に映り込んだ。 意想外な事は、大抵罰の当たったと思えるような状況下にて発生する。何時だかに聞いたこの言葉が記憶の底から引き摺りあがった。 直面した状況が、無意識に思考を逃避させるほどの衝撃を孕んでいた。 驚懼に瞼が震え、目の前に認めた彼女、祥鳳の姿は、おぼろげに霞んだようだった。 「……提督、あの。波の良かったおかげで予定より早く遠征が終わって……その報告を、えっと」 目を逸らし、途切れ途切れ言葉を選びながら彼女は言う。今、両者、脳内に遠征についての思考はない。そして、状況の理解につい ては提督の刹那の知覚が悉くを当てている。 彼と大鳳が二人で外に出ていた事について、それを認めての猛烈な感情の濁流に、祥鳳は眩暈を感じるほどである。晩生、と龍驤は評 した。それに安心を感じていた。報告のためこの部屋に立ち入り、しかし二人そろって姿は無く、焦燥と不安の疑心がわだかまった。 待機する事、既に一刻。最早弁明もできやすまい。否、弁明する気さえも起きないのだろう。怒りか、虚しさか。わだかまりはその 中間点のものに変化をし、伸展留まりもしない。 提督は、彼女の胸中に増大する黒い物を察知している。決して誤解だとは言えないが、意味する所についてはまったく違う。乖離し てゆく想いが目に見えるようで、もどかしく苦しかった。 「あとで資材の増量を確認してください」 「……あぁ。ありがとう」 表面上、何も無かったかのような、至極何時も通りのやり取り。どこかぎこちなく感じられる動きで、祥鳳は提督の横を通り過ぎ、 早足に執務室を後にした。 大鳳は両者の仔細な顔つきを見た。かつて抱いた疑念、恋の暗香が再び鼻につく。気のせいだと断じるには、部屋の空気が、或いは 今目の前にする彼の雰囲気が余りにも気まずさに包まれている。 午後の長閑は一瞬にして崩れた。 831 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 43 52 ID WPQREMKw 3 外出は萎えた気分を立て直すためであったのだが、しかし現状彼の憂鬱はより一層酷くなっている。集中は途切れ、自己弁護と弁解 の言葉が頭を馳騁し、書類や事務的な懸念に思考を割く余裕は無かった。 海の暗黒に航空誘導灯の赤が差し込む。窓からの景色を漫然と見ていた提督は、大鳳に肩を叩かれ我に帰った。 「ここ、記入漏れです」 その言葉と共に、視界には幾枚かの書類と、それを摘む大鳳の細い指が映り込む。午後、仕事を再開してより既に五回目のミスである。 この一時だけで、この鎮守府着任以来の緩怠の総数は二倍に増えた。自身の貧弱なメンタルが情けなく思え、しかもそれがよりにも よって大鳳に咎められるのである。彼女の怪訝な、それでいてどこか憐憫も滲んでいるような視線に、屈辱の怒りが腹底より湧き出す。 そしてとうとう煮えた感情の我慢できなくなる一瞬、提督は欝々しく立ち上がった。 「あの、どこへ?」 「トイレ」 言い捨てて、早足に執務室を出る。 行く当ても無く、ただ感情の昂ぶった衝動が足をせわしなく動かしていた。勿論、厠などに行く気はない。ただあの空間にいるのが 苦痛でならないだけである。どこか遠くへ、大鳳のほんの少しの気配も感じられない所へと、独り物寂しい廊下を突き進んだ。 腹内に抱える原理が同じならば、行動が似るのも当然なのだろう。彼はやがて正面玄関にまで辿り着き、そのまま靴を履いて外へと 向かった。意識の下で、祥鳳の影を追い求める自身というものが、足先の指す方向を定めたらしかった。 昼間蓄えられた日の温かみは既に無く、ひんやりとした肌寒い空気に露出した首が鳥肌立つ。時折夜空を仰ぎ見ながら岸壁沿いに歩 を進め、海風を浴びる。肺腑が淀みのない空気に洗浄されて、熱くなった頭は徐々に冷静さを取り戻していった。 ふと、平常の中に佇むと湧き出してくる予感があった。確信に限界まで接近した直感らしきものである。何ヶ月もわだかまり、まる で腐ったようにもなっている胸中の疑問が、喉元近くにまで競りあがった。情動の高鳴りが、センサーの如くその存在を知らせてくれ るのだ。歩は速めず、驚くほど起伏の無い心緒のまま、彼は注意深くあたりを見渡した。 因縁の防波堤、黒い海へ突き出た姿がうっすら暗闇に顕れだした頃合。向こうからてくてくと歩いてくる、一人の女の姿が認められ た。予想が的中した事に薄寒さを覚える提督は、或いは彼女も同じような心境にあるかもしれないと思い至ると、その胸のうちに微笑 ましい、愉快な気持ちが沸きだすのを感じた。 「お前も、夜の散歩か?」 声の聞こえる距離にまで近づくと、彼はその娘、祥鳳に向かって声をかけた。 「はい」 「奇遇だね」 「そうですね」 互いに停止し、開いてしまった微妙な距離が、彼らの気まずさを無言のうちに表現している。 832 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 44 19 ID WPQREMKw 奇遇、と提督は言ったが、寧ろこの邂逅は、両者の意思の介在によってなされたものであった。実は冬以来、たびたびこの防波堤に足 を伸ばしている二人である。今まで鉢合わせにならなかったのは、巡り合わせの悪さもあるのだが、どこか望み通りの出会いを果たし た時への、恐怖があったのだった。相手が来るわけのない時間を選び取り、しかしもしかしたらと期待を胸に抱き続け、部屋に戻ると 運の無さを無念がる。 今日、二人は大鳳という一艦娘によって、恐怖を上回る欲求を得た。それが、いかにも偶然らしき巡りあわせに作用したのだ。 取りとめもない会話は、鎮守府玄関の見えるまで続いた。本題を放出する機会を伺う、その緊張感を保ったままのダイアローグにつ いては、記すにも及ばない。拮抗した実力を持つ武士が、両者決め手に欠ける状況下、型の決まった打ち合いをするようなものであっ た。 先に踏み込んだのは祥鳳である。 「最近大鳳さんと仲がいいみたいですね」 不気味なほどいつも通りな声音に、提督はすかさず反応した。 「別に、そんなことはないと思うが」 これもまた、平常どおり。彼女は聞くや目を眇め、忌々しげに口を閉ざした。 言動と反応を見て、寧ろ不満を抱えたのは提督である。なぜその立場にありながら、嫉妬を匂わす発言をするのか。彼女の身勝手と、 僅か期待を抱いてしまう自身の惰弱さに拳が震える。罵りの言葉が幾らも頭に沸いたが、どうにか何重にもオブラートに包んだ表現へ 変換して、生唾を飲み込んだ後それを口に出した。 「前から疑問があった」 「はい」 「なんでお前は、私をふったんだ」 提督は、自身の未練が醸し出されやしないかと危惧していた。何か下を見られるのは嫌であったし、感情はどうであれ理性の方では、 もう諦観を享受しているのである。 実際には、この言葉は彼の意図したものとは違う解釈をされた。彼は彼女が持つ未練について一切気が付いていなかったし、燻って いる情緒の本懐についても認知できている訳が無かったのだ。 即ち祥鳳は、彼が大鳳と恋仲になるために自身との関係を完全に切り離そうとしているのだと考えた。別れを切り出した理由を聞く 事によって、漫然としたつながりを断とうとしているのだと。 不服である。納得できるわけは無かった。未だ自分は引き摺っているというのに、彼は心に痛みを感じる事も無く鞍替えするのだ。 その怒りが、胸を焼き、目の前が真っ赤に染まったようだ。 嫉妬深い自身を自覚したのは、今この時が初めてであった。彼女は未知の、熱く暗い怒りの爆発を他人事のように感じていた。もう 一人の自分が、殺意の湧き出すのを一身に受け止める。宥める事は叶わず、とうとう獣の咆哮が如き、悪意と敵意の言が飛び出した。 「飽きたからです」 どうすれば相手を傷つける事ができるか。それだけを考え、ひねり出した答えである。執着や憎しみが事実を押し込め、意想外の事 を表に出した。果たして彼は目を瞠っている。その様子に溜飲下がる様な悦びを覚え、彼女は衝動のままに喉を振るわせる。 833 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 44 51 ID WPQREMKw 「逢えず話せずで、もういいかなって思ったんです。楽しいって思えることが少なかったし……。ごめんなさい。でももう時間も経 ったから言ってもいいですよね。未練なんて、あなたも無いでしょう?」 「……ああ。うん。そうか、聞けてよかった」 既に場所は、鎮守府の中である。互いにおやすみを言って、別れた。提督は失意によって、何も視界に入れることができなくなって いた。彼女の僅かに赤く腫れた眼や、握りこみ震える拳などにも、気が付くことはなかったのである。 ふらふらと覚束ない足取りで階段を昇り、壁にもたれながら廊下を進む。思考が放棄されたとき、人はなすべきことをなさねばなら ぬと、自身の任務に傾注する。提督も、意識の上に昇るのは仕事のことのみであった。 執務室の戸を開けると、頬を膨らました大鳳が見えた。 「もう、提督! どこに行っていたんですか」 快活な声に彼女は言い、彼の神経を逆撫でたのにも気が付かず言葉を続ける。 「休憩したいのなら言ってくれれば、私そこまで鬼じゃないわ」 「うん。ごめん」 許容の限界を超え、その為にか提督の外見は朗らかだった。詫びの笑顔に屈託はなく、大鳳は彼の不調を看破できなかった。 仕事の中断ついでにと、彼女は昼からのわだかまりを口にすることにした。外の空気を吸った事でリフレッシュもされて、機嫌もい いだろうから聞いてしまっても大丈夫だろう。そういった判断である。運の無さと感情の機微に疎い性質が、迫る最悪を知覚できなくさ せた。 「提督、そういえば昼の事なんですけど……」 「うん」 「祥鳳さんと提督って、昔なにかあったの?」 蓄積し続けた感情へ、重い撃鉄が振り下ろされた。一度引かれたトリッガーに、もう後戻りは許されない。彼女の声を端緒として、 提督は我に帰るような心地だった。 目の前の娘について、極限まで憎らしい存在だと思われた。糾弾し、矯正しなくてはならない。ただ胸の内に蠢く暴力性によって、 屈服させなければならない。散々痛めつけられた自身を、更に足蹴にしたこいつには、然るべき報いを受けさせなければならないのだ と、猛然と暗い感情が馳騁する。様々な要因にて溜まった鬱憤が、今一個人に向け晴らされようとしていた。 のしのしと無言に近づいてくる提督を見て、ようやく彼女は、地雷を踏み抜いたらしい事を自覚した。 「あの、提督?」 声をかけ、だが無視をされ、肌にぴりぴりと感じられる危機感は抱く信頼によって黙殺される。胸元に両手を置き、下から伺い見る。 その様子は、彼の嗜虐心を駆り立てた。 頤に指が這わされた。親指が唇を撫でた後、上向きに力が働いた。たまらず彼女は顎を上げ、まるで口を突き出すような格好になる。 834 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 46 08 ID WPQREMKw キスされたことを認知したのは、かなり遅れてからだった。ただ目を見開いていただけだった彼女は、顔の間近に息づかいを感じて、 ようやく顔を朱に染める。しかしその段になっても未だ現実感は沸かず、何をどうすればいいのか検討もつかないのだった。 抵抗の少ない事を意外に思いつつ、提督はより深く彼女を求めだした。掌を顎間接の奥へ這わせ直し、強引に舌を差し込んでゆく。 強張り縮こまっているだけだった腕が、彼の胸板を叩いた。引き剥がそうと力を入れても、既に体は密着している。鍛錬の怠らない屈強 さを持ってしても、この状態にあっては体格差を覆せはしないのだった。くぐもる悲鳴を聞き、腰に回されていた提督の腕はより強く 彼女の体躯を引きつける。 小柄を自称する祥鳳よりも、更に小さく細い体である。比較をしながら、彼は確かめるような手付きで服越しの肌をなで始める。 そこにはしなやかさと強かさを両立した、合理的な美があった。柔らかくふくよかな、母性を感じさせるものではなく、だが故に、 寧ろ促される情欲もあるのだ。 腰骨の出っ張りを過ぎ、とうとう尻の膨らみへその手がかかる。腰まわりの引き締まりから、途端弾力のある部位に指が沈む。彼女 は背筋をびくつかせ、キスの合間に抗議の声を出した。舌の嬲られたままでは、到底言葉にもならないが、良く聞けば、どうやら謝り ますからと繰り返しているらしい。その余りに嗜虐のそそられる様、女性的柔らかさの欠ける者の女性的か弱さ。そういった背反が異 常の興奮を引き出すのだった。 臀部からは一旦手を離し、脇の開口部から覗く肋骨の窪みをなぞった。危うい所へ触れかける、そのスリルがこそばゆいのか、彼女 の悲鳴はより一層その音階を高くした。二本、三本と撫でるたび指はより奥深くへ進行し、遂に僅かな膨らみを登攀するにいたる。 口を離すと粘性の橋が両者の間に掛かる。それが自重で崩れる間の後、彼女の大きな瞳からは雫が零れた。 躊躇が生まれた。震盪によって機能のほとんどを失った頭が、提督の眼前に幻を見せる。祥鳳の泣き顔、そのリフレインによる胸の締 め付けが、一瞬の硬直を引き起こしたのだ。 隙をつき絡みつく腕をはらうと、大鳳は涙の流れるまま走り、執務室を飛び出した。嫌悪や怒りはなく、ただ驚懼による反射だった。 漫然としたショックに、心臓の跳ねる感じがしている。自身の荒れた息づかいや濡れた唇、掌の感触の残滓が、羞恥と寂寞の複雑に混ざ り合った感情を沸き立たせた。 開け放たれた戸を眺め、追い縋ることもせず、提督は立ち尽くしている。余りに感情が揺れ動きすぎた。その倦怠によって、もう何 も感じる事ができなくなったのだ。 祥鳳との記憶を掘り返し、俯瞰して無感動に眺め続ける。それだけであった。 <続く> これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/