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アニメ 都市伝説 サザエさん となりのトトロ ドラゴンボールGT ドラえもん 千と千尋の神隠し クレヨンしんちゃん トムとジェリー ちびまる子ちゃん アンパンマン 名探偵コナン ムーミン ポケモン 天空の城ラピュタ もののけ姫 崖の上のポニョ 魔女の宅急便 ナウシカ ウォーリーを探せ!
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ポケモンの都市伝説 ここはポケモンにまつわる都市伝説をご紹介 していきます。まぁあくまでも都市伝説 ですから過信しすぎないでくださいね…… 森の洋館の都市伝説 レジロック•レジアイス•レジシチルの都市伝説 シオンタウン クリスタルのレッド 暗黒世界
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フィーダムデリアで起きるいくつかの事件や出来ごとの裏で、まことしやかに流れる奇怪な7つの噂。 それらの裏にいると言われる掴めない「誰か」について、人々の口からは今も現在進行形で様々な 想像や憶測が飛び交っている。 ―しかし当然ながら、その噂の真偽や真相を知る者は存在しない。 ※ただしここに掲載するキャラクター達の存在・実態は、周囲に一切知られていない事が前提となります。都市伝説を持つのは1人1キャラのみ、同じキャラで2つ以上の都市伝説登録はできません。ご注意ください。 発生地区 都市伝説内容 関係者 スラム街路地裏 「ホワイト・キラー」 ホワイト・チャペル 時計台 「逢魔が時の鐘」 結城タクミ 荒涼館、喫茶店『Vanguard -先導者-』 「歩く宝石箱」 ディノン 住宅街 「鏡の館」 Ж(ニュー) 森 「迷宮」 シエロ・ネフェロディス スラム街 「人形狂 」 ヨハン=ラシュヴェール 都市伝説として語られる人物達 ホワイト・チャペル 「ホワイト・キラー」 顔立ちの整った男性を主に命を奪う殺人鬼。血や臓物などで綺麗に飾り立てる猟奇的な愉快犯。 必ず現場に白いペンキと赤い血で「ホワイトキラー」と文字を描く。偶に荒くれものが惨殺されて いたりするときがあるがそのままゴミのように殺している場合もある。誰も姿を見たことが ないため、逮捕までは至らず正体が謎のままである。逮捕されるのは模倣犯の場合が多い。 結城タクミ 「逢魔が時の鐘」 数百年の年月を過ごした妖の青年。鴉の啼く夕暮れから夜へと変わり、暗くも明るくもないぼんやりとした霞がかった視界になる逢魔が時に鐘が鳴ると人が死ぬ。 隣にいる人も、遠くにあるものも、全てが遠いような近いような曖昧な感覚の中で突然目の前にいた人が無残な姿になって死んでしまう。犯人の姿は誰も見たことがない。目の前にいても見えない見させない。 人間達を玩具としか思わない彼の趣味の一つが都市伝説になったものであり古い昔から子供に言い聞かせる御伽話になっている。 ディノン 「歩く宝石箱」 ふわふわした、子供のような青年。 普段は、人の姿をしており本当の姿を知るものはいない。 腕についた魔法結晶石で絶対に壊れず破壊力のある武器が作れそれは、 恐ろしいほどの額になり、瞳も高い値で取引されるとか。 もちろん、武器を作らずとも結晶一つ一つに高価な価値がある。 また、これを知るものはディノンを作ったののみで現在それを作ったものは、 なくなっており知るものは、このフィーダムデリアには居ない。 魔法結晶石から作られた武器が唯一1つだけ存在するらしい… Ж(ニュー) 「鏡の館(ミラージュ・パレス)」 新月の住宅街に現れる館。誘い込まれた者は迷路と化した住宅街を彷徨った末に「そこ」に たどり着く。扉を開けると鏡があり、そこには「真実」が映るという。 ある者には恋人が、ある者にはレダで消えた家族が、またある者には死んだ友人が。 鏡に映った「真実」は、一夜だけその姿を現す。朝になり、気がつくと住宅街で立ち尽くしていた、 全く別の場所に飛ばされていたなど、様々。 ただし鏡に自分の姿が映ったものは気が狂ってしまうとかしまわないとか。場合によってはそのまま 帰らぬ人になることもあるらしい。 シエロ・ネフェロディス 「迷宮」 森に入った者が帰ってこない。 帰ってきたとしても、なぜか無一文になっている。手にはいつも赤い糸がある。 「森が迷路になっていた」「妖精を見た」「牛に食われそうになった」「巨人に食われそうになった」「怪物がでる」など バラバラなことを言う。だが、みな口をそろえて言う「生首の魔女に会った」と。 ヨハン=ラシュヴェール 「人形狂 」 年齢性別関係なく街人を拐い欠損させる狂人。 拐われた数日後に、撃たれた欠損した体の部位とその部位のみが壊された球体関節人形が家族もしくは 親しいもののもとに届く。体自体が戻ってくることはない。 人形狂が喰らっているとも、売り払っているとも言われているが真相は分からない。
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ここではMFLのある意味怖かったり、意外な都市伝説的なものを紹介したいと思います。 第一話 イダルの正体 第二話 遭難でのボスモンスターは・・・
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「…誰も居ないな?」 「はい、問題ないようです」 「よし、でははじめるとしようか」 「勝手にスタジオ使っちゃっていいんですか?」 「問題ないですよー」 「問題あるまい。番組の利用は大歓迎らしいからな」 「それじゃあ…はじめましょうか」 「はじめましてー。スタジオに不法侵入しました赤マントです」 「同じく、不法侵入した赤いはんてんなのです」 「何?赤マントは花子さんに激流で流されたんじゃなかったのかって? んん~、聞こえんなぁ」 「赤マントもポピュラーな都市伝説です、いくらでも代わりがいるのです」 「おトイレの赤マントさんと、連続殺人鬼の赤マントさんと、二種類いますしねー」 「とりあえず、中の人が眠る直前でテンションヤバイのでおかしなノリでいきますよー」 「いくのですよー」 「さて、花子さんシリーズの登場人物からの質問に答えていきましょうか」 「中の人は登場人物を出しすぎなのです。しかも、最近花子さんよりヤンデレ弟の方が話思いつきやすいとかほいているのですよ」 「まぁ、花子さんはテリトリーの関係でトイレ以外での戦闘描写がな…」 「不良教師さんも、テリトリーが理科室ですしねー」 「とりあえず、お手紙読んでいくですよーP.N「理科室の舞踏家」さんからのご質問 『花子はんの契約者はんは妹と二人暮らしなんでっかー?可愛い妹なんて都市伝説や!』」 「一応、家族四人暮らしですね。ただ、両親は仕事の都合でよく家をあけているようですが」 「どんなお仕事なんでしょうねー?」 「そして、可愛い妹だけなら都市伝説ではない。 「可愛くって、兄を慕っていてお兄ちゃんを思うとドキドキしちゃうよぉ」な妹こそ都市伝説!」 「エロスはほどほどになのですよ」 「次のお便りなのです。P.N「料理好き」さんから 『私たちの契約者さんのご家族に付いて』…不良教師さんの事ですね」 「両親は死亡。家族は弟だけだな」 「ヤンデレさんですねー」 「あの弟はヤバイ。激しくヤンデレすぎる。兄の為なら世界滅びても構わないくらい」 「あぅあぅ。敵に回したくはないのですよ」 「次で最後なのです、P.N「俺はロリコンじゃない」さんから 『先生の弟さんって何の仕事してるんだ?』との事なのですよ」 「ヤンデレ弟は、一応作家だな」 「一応ってどう言う事ですかー?」 「なんでも、ブログで兄との生活とかをつづっていたら、本にしたいと言う話がきたそうなのです」 「で、実際、それは本にされているんだが…弟的には全て事実を書いているんだが、創作だと思われている」 「ヤンデレフィルターがかかりすぎたんですねー」 「よって、一応作家と言う事らしい。本人にその気はないが」 「ちなみに、本の事がお兄さんにバレた時は、3日間くらい無視されて自殺したくなったらしいのです」 「さて…中の人が本格的にうとうとし始めた!」 「お便りは全部読み終わったので問題ないのです」 「では、誰かに見付かる前に脱出しますか」 「はいなのですよ…とりあえず赤マント、口調が安定してないのです」 「ほっとけ。中の人がさっぱり考えずに書き始めたのが悪い…では」 「「「ラジオde都市伝説、次回もよろしく☆」」」 前ページ連載 - 花子さんと契約した男の話
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秋祭り3日目~昼頃 罪には罰。 そんな言葉がある。 詮の無いことだとわかってはいても、考えざるをえない。 ―――今のこの状況は、自分への罰ではないのだろうか―――と。 「フフ、フフフフフ―――うつだ。しのう」 ………こっちがこんなことになっているのには、一応ある理由がある。 話は、数十分前に遡る―――。 スーパーボール掬い屋のおっちゃんとの激闘は引き分けに終わった。 というのも、全てのスーパーボールを掬うのには成功したのだが、それに当初提示した金額である500円のその三倍、1500円も使わされたからである。 最終的にはおっちゃんと互いに認め合って握手を交わし、こちらは掬ったスーパーボールを、おっちゃんはお代を返すということで決着した。 「おぅ、また来いよー嬢ちゃん!」 「はい、こちらこそ喜んでー!」 なんて言って爽やかにおっちゃんと別れ、その辺をブラブラしていた同居人たちと合流する。 「…おにいさん、遅い」 「そうですよー全く。女の子を放っておくなんて、そんなだから少年はモテないんです」 「いや、それとこれとは関係ないでしょうよトバさん…でもごめんなさい」 「…クイには?」 「ゴメンな、クイちゃん。また今度カステラ作ってあげるな」 「…また食べ物で釣ろうとしてる…」 つぶらな瞳でじとっ、と見つめられた。…うう。 「…でも、しかたないから、許してあげる」 「…うん、ありがとうね」 「私もただでは許しませんよ? そうですね…あのお店でカレーを奢ってくれたら、許してあげないでもないです」 「はいはい、わかりましたよ」 トバさんが指をさしたお店は、中々繁盛しているようだった。 お店の人に強面な人が多いのが少し気になるが、そんなことはどうでもいいくらい美味しそうな匂いがする。 三人で並んでカレーを三つ、ご飯とナンで頼んだ。 辛さはそれぞれクイちゃんが辛口、トバさんとこっちは甘口。 クイちゃんは辛いものは食べられるが熱いものは苦手で、逆にトバさんは熱いものは大丈夫だが辛いものは苦手で、かくいうこっちはその中間。 熱いものも食べられなくはなく、キムチのようなエスニック系でないものは、辛くても美味しく頂ける。 カレーのちょっぴり刺激的な香りとナンの芳ばしい香り、ほかほかご飯のなんともいえないいい匂いとが食欲をそそる中、 代金を払ってその美味しそうな匂いの源を受け取ろうとお店のおばさん(……と言ってもいいのだろうか。綺麗な人だし)へと手を伸ばし、一瞬だけその目と目が合って―――。 ―――そして世界は崩壊した。 ―――以上が、少年に起こったことであります。 現在少年は多少の精神錯乱状態となっておりますため、以降は私トバさんこと、《ジェットばあさん》がお送りしようと思います。 カレーを受け取った後、「気付いてた、あのおばさん、絶対に気付いてた…!!」やら「あぁ終わった、もうダメだ…」やら呟き始めた少年を、クイちゃんと一緒に 「気のせいじゃないですか?」「…多分」「ちゃんとどこからどう見ても女の子ですよ、自信持ってください!」「…似合ってる」「ていうか、もしバレてても可愛いから大丈夫ですって!」「…自信を持って」 なんて言って慰めていたら、半泣きで「もうやめて…こっちの心のライフはとっくにゼロよ……」なんて言ってきました。 ……何か悪いことでも言ったでしょうか? そんなことを考えながらお祭りの特設ベンチを見つけ、そこに少年を座らせます。 すると、少年はベンチの上で身体を丸めて自分の世界に閉じ籠ってしまいました。 女の子として見たら少し大きめな身体を小さくちぢこめている少年を見ていると、 なんというか…こう、体の底から何かが沸き上がってくるといいましょうか、とにかくクるものがありますが、とりあえず少年に近付きます。 少年のうぐひぐぐすぐすという泣き声を聞いて背筋がゾクゾクとしていますが、それを隠して少年に話しかけます。 「…少年、安心して下さい」 声に込める感情は、優しさ。 震える少年の心を融かすかのように暖かい、そんな優しさを込めます。 「……なに、トバさん?」 腕の間から覗く瞳には、涙がたっぷりと溜まっていました。 それを見ていると、もっと少年をいぢめたい、という欲望が沸き上がってきますが、今は流石に自重しておくことにします。 「少年」 紡ぎます。極上の笑みと共に、いぢめる言葉ではなく、励ましの言葉を。 「…今のその小さくちぢこまっている姿は、本物の下手な女の子よりも、女の子らしいです。自信を持って下さい。あなたはもう既に―――立派な、女の子ですよ」 ―――完璧。 そう言わざるをえませんね、これは。 言葉の選択も、それを発する態度も、これ以上ないというレベルでした! こんな慰められ方をしたら、少年のように単純な子なんかすぐさま笑顔を輝かせることでしょう! そう確信しながら、少年の様子を窺います。 すると―――。 「うっ、ううう…ふわ、うわあああぁぁん! ……ひぐ、ぐっ…うぐ、ぐすっ…」 ―――マジ泣きに移行していらっしゃいました。 …ってなんでですかホワイ!? さっきまでは八分泣きだったのに、悪化する要素なんかなかったと思うんですが!? そんな混乱する私をしり目に、少年に近付くクイちゃん。 アイコンタクトで「…やりすぎ。…あとは私がやるから」と伝えられます。 ……はあ。思春期の少年のオトコゴコロというものは、まったくもって複雑怪奇なものですね! ―――まあそんなこんなで、冒頭の台詞へと続くわけです。 なぜあんな精神錯乱状態になったのかですが…クイちゃんが聞き出したところによると、 曰く、「精神を安定させるために『自分は女だ女だ女なんだ体は男だけどきっと心は乙女のはずそう自分は漢女(おとめ)なんだ』と 自己暗示をかけていたのに、あのカレー屋さんのおばさんにバレたと思ったら暗示が全て消し飛んだ」、らしいです。 なぜバレたと思ったんですか? という質問をすると、 「目でわかった。微笑ましいものを見るような目に、ちょっぴりこうなんか憐れむような、労るような感じが混じってた」と答えてくれました。 ……正直だいぶ被害妄想気味だと思うのですが、そこには触れないでおこうと思います。 一応泣き止みはしたのですが、未だに暗い声で「そうだ、こっちは家畜なんだ…家畜に神はいないんだ……」なんて呟いている少年をクイちゃんと二人で見守っていると、なにやら周囲が騒がしくなってきました。 その騒ぎの内容を聞き取ってみると、「禿マッチョ……エベレストの……ヒトガタ…」というような、断片的な情報が手に入りましたが……これでは意味不明すぎます。 いや、なんとなくニュースで聞いた覚えもあるのですが…。 「…禿マッチョ…?」 と、自分でも気付かない内に呟いていたようです。 なんら意識して発した訳ではなかったそれは、しかし劇的な効果を発揮しました。 ビクン! と跳ねるように少年の体が立ち上がります。 「っ、少年」 どうしたんですか、と話しかけようとしたその時、視界の端に全裸で爆走してくるマッチョマンが映りました。 ―――次の瞬間、一瞬の内にとんでもないことが起こります。 まず、少年がその場で高速回転を始めました。 いったいどうやったのか、能力を発動しています。 時速80キロを叩き出すその脚力は凄まじく、その回転はまるで竜巻のよう。 あまりの速さにアスファルトからは火花が飛び散り、そこから焦げ臭い匂いすらします。 マッチョは「そんなもの気にするに値せぬ」とばかりに突っ込んできました。 対する少年は―――女装しているからでしょう―――超高音の大気を高速振動させそうな叫び声と共に、 大地よ揺らげといわんばかりに全力で踏み込むと、その手に整地用ローラーを生み出し、その全ての速度と遠心力をもってそのマッチョに叩きつけました。 ガイン! という硬いもの同士がぶつかるような轟音が大気を揺らし―――アッパースイング気味に振られたローラーに打ち上げられたそのマッチョは、街の何処かへと飛んでいきました。 ―――とんでもなく心臓に悪いショック療法だ。 そうこっちは思う。 暗示が破れたことで精神がどん底まで落ち込んでいたのが、トバさんの「…禿マッチョ…?」という呟きによって、即座に覚醒させられた。 思い出されたのは昨日の夕方、後を追ってきたマ神の姿。 咄嗟に飛び上がり辺りを見回すと、昨日と同じ、全裸でハゲたマッチョな魔物―――いや、むしろどことなくパワーアップしているような気すらする―――が、こちらに突撃してくるのが見えた。 ……そこから先はよく覚えていない。 できたばかりのトラウマを刺激されてパニックに陥り、気付いたときには、グシャグシャになった整地用ローラーを手に持って棒立ちになっていた。 トバさんたちに話を聞くと、こっちはどうやら火事場の馬鹿力であのマ神をホームランしたらしい。 普通の鉄よりも丈夫なはずなローラーが巨人の手で丸められたかのようにねじ曲がっているのも含めて、 とても信じられないような話なのだが―――クイちゃんまでがそう言い張るということは、本当のようだ。 身体に意識を向けると全身がだるく、特に左腕には上手く力が入らない。 だがそんな身体の不調をしり目に、心はとてもスッキリとしていた。 マッチョをホームランしたことが、図らずも溜まったストレスを少なからず発散させたようである。 「んんっ―――よし!」 軽く伸びをし、気合いを入れる。 この程度のことでへこたれていてどうするか! 一ヶ月後、母さんに「ああ、女装? 余裕だったよ!」なんて答えられるくらいの意気でいかなければ! 「トバさん、クイちゃん。もう大丈夫だ、心配かけてごめんな!」 そう謝ると、 「ええ、私がかけた言葉にも原因があったようですし…こちらこそ、すいません」 「…ごめんなさい」 という謝罪の言葉が返ってくる。 そんなこんなで無事復活したこっちたちは、トバさんの「神社にお参りにでも行きませんか?」との提案にのり、神社へとやってきた。 出店がいっぱいな境内の中、お賽銭箱にお賽銭を入れ、カランコロンと鈴を鳴らしてお参りを済ますと、改めて祭りを楽しみ始める。 射的に夢中になっているトバさんとクイちゃんを暖かく見守っていると、「占いいかがですかー」という声が聞こえてきた。 占いかー初めて見るなあ、なんて思いつつそちらに目をやる。 そこには、その占い師だとおぼしき若い男の人と、その両脇に控えるようにして立つダンディなおじさんとハンサムなお兄さんの姿があった。 一見普通の人たちだが、なんというか……。 「……あれ、人じゃないの、かな?」 なんとなくおかしい感じがする…というか、あのハンサムな人、着てるマントの中が空っぽなような……? 「……よし、いってみるか」 男だろうが女だろうが、度胸は大切である。 その占い師さんの所へと近付いて、 「えーっと、すいません。占ってもらえますか?」 そう声をかける。 「おお、いらっしゃい! 何について占うんだ?」 「う、えーと…」 言葉が詰まる。正直、考えていなかった。 高速で頭を働かせ…あることを思い付く。 「…えーと、実は会ってみたい人たちがいるんですけど…その人たちと会うためのヒントみたいなのを、占ってもらってもいいですか?」 これは本当だ。 今の自分には、都市伝説関連の面識がゼロに等しい。 この街で色々頑張ることを決めたのだから、せめて情報交換をできるような人と知り合いにくらいはなっておきたいのだ。 「うーん、会ってみたい人か……もうちょっと指定はできないかな?」 いくとしたら、ここだろう。 「あの…都市伝説について、なんですけど」 「……なんだって?」 ―――どうやら、ビンゴのようだ。 「ええと、間違ってたらごめんなさい。―――あなたも、都市伝説の契約者ですか?」 「―――ああ、そうだ。…"も"ってことは、君も?」 「はい。こっちは《ジェットばあさん》と《地震発生装置》、《重いコンダラ》の契約者です」 「多重契約、しかも三つか……大丈夫なのか?」 「ええ、だいたいは。しんどいときもありますけど、その辺は事情があってなんとかなってます」 「…そうか。俺は《エンジェルさん》と《怪人アンサー》の二つと契約している」 こっちのおっさんが《エンジェルさん》でこっちのマントが《怪人アンサー》な、 と両脇を指差すお兄さん。 なんというか…。 「…ダンディなエンジェルさんですね?」 「…よく言われる」 なぜかちょっと落ち込み気味なお兄さんである。 紹介されたお二人と「よろしくな、嬢ちゃん」「よろしく! よろしく!」「はい、こちらこそお世話になります!」なんて挨拶を交わしていると、お兄さんが復活した。 「まあそれはそうと、占いだ! 都市伝説関連の人物と知り合いになるヒントみたいなのが欲しいんだよな?」 「はい。恥ずかしながら、契約者の方に出会ったのも、この街ではお兄さんが初めてなんです」 「なるほどな…よし。おっさん、やるぞ」 メモ帳とペンを構え、お兄さんは「エンジェルさんエンジェルさん、お越しください」と呟き始めた。 ペン先が一人でに動きだし、メモ帳に言葉を記す。 そこに現れた文字、それは―――。 「……『今夜』、ですか?」 「そうみたいだな。まあインチキっぽいかもしれんが、信頼性はそこそこだ」 「そうなんですか…ありがとうございます」 そこそことはなんだ、いやおっさん文字化けとかもするじゃねえか、と言い争い始めたお兄さんとエンジェルさんを眺めつつ、懐から財布を取り出して、 「えっと、助かりました。これ、お代です」 そういってお金を差し出すと、 「ん? ああ、今日は都市伝説の関係者にはただで占いをしてるんだ。だからお代はいらんよ」 「え、でも、悪いですし…」 「いいっていいって。昨日戦いにあまり参加できなかったから、そのぶんサポートくらいはしなくちゃ、な」 「えっと…では、お言葉に甘えさせていただきます」 「おお、甘えとけ甘えとけ」 そう言ってくれてても、でもやっぱり悪いような・・・あ、そうだ! 「えと、すいません。もしよかったら、電話番号教えてもらえませんか?」 「…え?」 「あ、いや、ダメだったらいいんです! でもここで初めて会った仲間ですし、教えてもらえたらお礼もできるなって思って…」 「い、いやいいよ、喜んで!」 「え、ホントにいいんですか?」 「ああ、むしろこっちからお願いしたいくらいだ!」 「あ、ありがとうございます!」 そんな会話を交わし、滅多に使わない携帯電話の赤外線通信機能に苦戦しつつも、連絡先を交換し終わる。 「えっと、今日はありがとうございました! このご恩はいずれお返ししますね!」 目には目を、歯には歯を、恩には恩を、である。 こういうことは人として、大切なことだと思う。 「いやいや、こちらこそ。お返し、楽しみにしてるよ」 「じゃあ、また今度伺います。さようなら!」 「ああ、また今度な!」 「さよならだ、嬢ちゃん」 「さよなら! さよなら! また今度! また今度!」 別れの挨拶を交わし、その場を去っていく。 いい出会いだった。 なんだか心の中もほんわかしているような気がする。 「いいことがあったみたいですね?」 「うわ!?」 いつの間にか近付いてきていたトバさんが、いきなり話しかけてきた。 思わず声をあげると、隣のクイちゃんと共にクスクス笑う。 「…はあ。んっとにもう、驚かせんでよ」 ため息をついてそう苦言を呈すが、 「まあまあ、いいじゃないですか!」 「…こまかいことは、気にしない」 と、二人して受け流してきた。 「…はあ」 もう一度ため息をつき、しかし顔は笑みを形作っている。 大変だったし辛いこともあったけれど、いいこともたくさんあった。 「…終わりよければ全てよし、かな?」 今日これまでにあったことを思い浮かべながら、こっちはそう結論づけた。 前ページ次ページ連載 - 女装少年と愉快な都市伝説
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秋祭り2日目~夜1 「はあ、はあ…。なんとか、まいたか…?」 息を整えながら後ろを振り返って呟く。 ついさっきまで追跡してきていた、マッチョな変態はもういない。 「本っっっ当にあそこで黒服がでてきてくれて助かった…《夢の国》の契約者さんに会えたら全身全霊を込めてお礼を言おう…!」 あの筋肉ダルマの体力は恐ろしかった。どれだけ走っても、全然振り切れる気がしない。 飛び散る汗をきらめかせ、甲子園で優勝した高校球児もかくやという爽やかな笑顔を浮かべた全裸の筋肉マンが 少しずつ少しずつ迫ってくるあの恐怖は、到底言葉で言い表せるものではない。 間違いなくこれからしばらく夢に出るだろう―――当然、悪夢として。 そんな恐怖から救ってくれたのは、何を隠そう、《夢の国》の黒服さんたちだった。 マ神(マッチョな邪神の略)の手がこっちの肩に掛かりかけた正にその時。 ちょうど側にあった小さな路地から大量の黒服たちが文字通り湧いて出たのだ。 一瞬迷ったかのように動きが鈍ったハゲの隙を突き黒服に特攻、それによって能力を発動し、全速力で離脱した。 というわけで危機は去ったものの、時刻はもう夕暮れ。そして現在地はほぼ街の中心あたり。 「こりゃ、急がないとヤバいかな…?」 同居人達と一刻も早く合流するため、連絡をとることにする。 ピ、ポ、パ、ポと携帯を操作し、同居人1であるトバさんこと、何故か若返った《ジェットばあさん》に電話を掛ける。 Prrrrrrrr…………………… 『はい、もしもし?』 「あ、もしもしトバさんか? 今どこにいる?」 『あぁ、少年ですか…今、街の外にいますよ?』 WHAT!? 「え、えーと…パードゥン?」 『ですから、街の外にいます。中は結構危ないことになっているみたいですから』 ……そーですか。こちとら新しいトラウマまで作って探しに来たのに、悠々と脱出済みですか。 「…あー、確かに危ないなあ。なんか変なのいっぱいいるし。《夢の国》だっけ?」 『そうらしいですね。私は能力を使って逃げてきたので詳しくは判りませんが、学校町を取り込もうとしているらしい、あの《夢の国》です』 …ちょっと待て。今聞き捨てならない言葉を聞いたぞ。 「……なあトバさん。学校町を取り込もうとしているって、どういうこと?」 『言葉通りの意味ですよ…って、今の今まで知らなかったんですか!?』 「おう、今の今まで知りもしなかったさ! …で、確か《夢の国》って、子供の内臓売るんだよな?」 『…そう、言われてますね。都市伝説である以上、少なくともそれに類する能力は持っていると見て、ほぼ間違いはないでしょう』 前言撤回。やっぱ感謝なんかしてやらねえ。…いや、それよりも。 「そっ…か。やっぱりか」 『…どうしたんですか?』 「いや、ちょっとね」 『どうせ、“子供が犠牲になるかもしれないなら、いっちょ殺っちゃいましょうかね”とか、考えてたんじゃないですか?』 なぜバレたし。まあ、人生経験が天と地の差だからなあ。 「ま、ね。少なくとも、スルーは出来んよ」 『まあ、仕方ないですね。……死なないで下さいよ? 少年が死んだら、また私おばあちゃんになっちゃいますから』 理由それかよ。もうちょっとなんかあったりしないのか。 「…はぁ。とりあえず、ちょっちクイちゃんに替わってくださいな」 『わかりました。…クイちゃん、少年からですよ』 クイちゃんとは、こっちの同居人2である《地震発生装置》の“本体”の少女だ。 『…替わった。なに、おにいさん?』 「いや、ちょっとクイちゃんの声が聞きたくなってね。大丈夫? ケガしてない?」 『大丈夫。…おにいさん』 「ん?」 『…気をつけてね』 「…了解! クイちゃんもね」 ああ、心配してくれるなんて、なんて可愛らしいんだろう!? どこぞのおばあちゃんとはえらい違いだ! 『…カステラ』 「ん? なに?」 『おにいさんのカステラ、食べたいから』 …泣かないよ。男だもん。この程度じゃ泣かないよ。 『もしもーし、しょうねーん?』 「…なんすか、トバさん」 『? なんで半泣きなんですか?』 「泣いてねーよちくしょう! 断じて泣いてねーよ!」 そう、これは心の汗さ! …グス。 『そ、そうですか…。ところで、《夢の国》を倒すにしても、どうなさるおつもりで?』 「グス…とりあえず、そのへんのマスコット連中を片っ端から叩いてみるつもり。本体の方は動いてる人がいるだろうし、 マスコットなんて《夢の国》全体で見ればただの末端だろうけど、それでも多少は力を削ぐことにはなるさ」 そう、今更《夢の国》の攻略に入れはしないだろうこっちが少しでも役に立つには、相手の力をほんの少しでも削ぐしかないだろう。 『まあ、それくらいしかできることありませんしね』 「うん、その通り…ってうわっ!」 『どうしました!?』 「あー、どうやら来てくれたみたい。切るよ」 『…わかりました。私も外から出来るだけの支援はします』 「うん。でも無理はしないでよ。こっちに来てもらわないのも、クイちゃんを危ない目にあわせたくないからなんだし」 『わかってます、そんなこと。……少年』 「なに?」 『…気を付けてくださいね』 「…あいさー」 プッという音とともに通話が切れる。 「…さぁて、どうしますかね、この状況」 さっきまでは「なんとなく感じられるなー」くらいだった《夢の国》の楽しげな気配。 それが、今では比べ物にならないくらい濃密なものとなっていた。 「…はあ。さっきはやるっつったけど…いや、いきなりこれはないだろ…」 今、こっちの周囲を取り巻いているのは、文字通り数えきれないほどの黒服とトランプの兵士。 目の前に立ち塞がるは、五体ものマスコット。 ハートの女王、ティモン、プンバァ、ジェシーにブルズアイ。 対してこちらは一般ピーポーな高校生男子が一人。 いくら三つの都市伝説と契約しているとはいえ、多勢に無勢、分が悪すぎる。 普通ならば、いったん退く場面だろう。 しかし。 「…どうやら、逃げられんみたいやね」 一体どんな理屈なのか、逃げることは不可能なようだ。円状に壁のようなものがある。 「……はあ。不幸だなー…」 思わずぼやくが、マスコットたちは待ってくれない。途端に殺気が膨れ上がる。 「まあ、しゃあない…やりますか!!」 能力を全開で発動しつつ、雲霞のごとき《夢の国》のパレードに突っ込んでゆく。 前ページ次ページ連載 - 女装少年と愉快な都市伝説
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Dさん宅にて~朝ご飯その他 「「「いただきます」」」 「えっと……いただきます」 こっちは今、朝ごはんをご馳走になっている。 女の子からの忠告(という名の脅し)や自分のアホさ加減に軽く涙目になっていると、中心となってご飯の用意をしていたチャラい感じの女の人(この人もなんか見たことあるような気がする)から「飯、一応用意したけど………食えるか?」と声をかけられ、ありがたくいただくことになったのだ。 食卓に座ったまま右を向く。そこにはチャラい感じの女の人。 雰囲気に覚えがあるし、絶対にどっかで見たことあると思うんだけど………おかしいなあ。 左を向く。そこには、不機嫌そうな女の子。 黒服さんとのセットで思い出したんだけれど、将門様の宴会で見かけたあの子だ。 正面を向く。そこには、命の恩人の黒服さん。 ちら、と目が合った瞬間さっきのことを思い出し、顔が一気に熱くなる。 というか、この人はなんで平然としてるんだろう。まあ、それで助かってもいるんだけど………これが大人の余裕というやつか。 そんなことを思ったと同時、突き刺さる敵意―――というかむしろ殺気―――を感じた。熱かった顔が冷める。怖い。 ギギギ、と音がしそうなくらいぎこちない動きでまた左を向くとそこには、可愛らしい小さな身体に憤怒の仁王を背負ったかのような迫力をみなぎらせてこちらを睨んでくる女の子が。 文字通り必死にぶんぶんぶんと首を振り、決して他意はないことを伝える。 …………なんだか、最近出会った女の子には確実に脅されている気がする。姫さんしかり、××さんの妹ちゃんしかり。 なんだなにがいけないんだ、と軽く涙ぐみながら考えこんでいると、 「―――ところでお前、一体どんな怪我してたんだ? 黒服の薬でもすぐには治らないって」 そう訊いてきたのはチャラ女さん(便宜上そう呼ばせてもらうことにした)。 気持ちはわかる。いきなり知らないやつが死にかけで押しかけたら、誰でもそういうことを訊きたくなる―――というか、訊くのが普通だろう。 それにしても怪我、かあ。 憶えてる限りでは、確か…………。 「えっと………全身を刃物で滅多刺しにされて、脇腹は肉が抉れてて……あとはあばら骨が八本だか九本と内臓がスプラッタ、左腕がスクラップになってたくらい、かな?」 「………私が見た限りでは、それに加えて全身に大火傷を負っていました」 付け加えてくれたのは黒服さん。 それを聞いて思う。 本当にこっち、よく生きてたなあ………全くもって契約様々だ、と。 ふと、女の子とチャラ女さんの様子を窺ってみると、 「「…………」」 二人とも、軽く絶句していた。 女の子が先に口を開く。 「………あなた、一体どんなのとやりあったら、そんなことになるのよ?」 それを聞いて、こっちは説明していいものだろうか、と少し悩んだ。 が、そもそも彼らをなんらかの形で巻き込んでしまう確率はあるんだし、それにこの黒服さんは『組織』に属しているようなので早めに伝えといた方がいいか、と結論づける。 「………少し、込み入ったところとかもあるので、ちょっと長くなるかもしれないんですけど……いいですか?」 三人ともが頷いてくれたのを確認し、話し始めた。 「………そうですか。そんな、都市伝説の契約者が………」 「黒服の……『組織』の方でも知らなかったのか?」 「ええ。………そんな力を持った契約者なら、『組織』も捕捉はできるはずだと思うのですが」 「も、ってことは、『首塚』でも把握してなかったの?」 「……ああ。そんなやつ、聞いたこともなかった」 深刻そうな表情で話し合っている三人。 こっちが話したことは、こっちが知っている限りのあの男の情報。 能力や見た目、性格、いずれこの街の都市伝説や契約者たちをまとめて喰らおうとしていることや―――こっちにとっては妹の仇であること、など。 「たぶん、なんらかの都市伝説―――大方、《神隠し》みたいなのだと思いますけど―――を使って気配を消してるんだと思います。相手の能力が能力なので、どれくらいの都市伝説の力を扱えるのかはわかりませんけど………」 「………なんというか、とんでもないチート野郎ね、そいつ。質の悪さなら《夢の国》以上だと思うわ……」 顔をしかめ、そう呟く女の子。 ……本当にその通りだと思う。相手の能力を取り込むとか、どこの魔人○ウかと言ってやりたい。それかアー○ードの旦那。 まあそれは置いといて、お願いしたいことだけは確実に伝えておく。 「……あいつは"いずれまとめて相手してやる"って言ってたので、それまでは大丈夫だと思います。………"いずれ"がいつになるかはよくわからないですけど。とりあえず、仲間の人にそれを伝えておいてくれますか?」 「ああ、わかった。伝えとく」 「はい、わかりました………ですが、あなたはもしその時がきたら、どうするおつもりですか?」 黒服さんが、そう訊いてきた。 その表情からは、この黒服さんがこっちのことを心配してくれているのがわかる。 ………この人は本当に優しい人なんだな、と思った。 全身傷だらけのこっちの姿は、厄介の種にしか見えなかったはずだ。それなのにわざわざ治療をして、こうして心配してくれる。 ―――こんな人に出会うことができたというその一点においては、あの男に少しは感謝すべきなのかもしれない。絶対にしないけど。 ふとそんなことを考えたあと、黒服さんの問いに答えた。 そのことへの答えは、昨日すでに出してある。 「それ、なんですけど。こっち一人ではやつには敵いませんでした。同居人たちといっしょでも、結果はそう変わらないと思います。………それでも、あいつを野放しにはできません。だから―――」 ―――いっしょに戦ってください、と。 頭を下げ、心の底から頼み込む。 「…………それは、相手が妹さんの仇、だから?」 女の子が訊いてきた。 一つ頷いて素直にそれもある、と認め、 「でも、それはいいんです。確かに妹のことはその通りで、あいつが憎くて憎くてたまりません―――できることならこの手で五体バラバラに引き裂いて、生きたまま食ってやりたいくらい。……でも、それはそれなんです」 これは、自分の思っている通りのことを、そのまま出しているだけ。 自分でもよくわからないし、支離滅裂気味で―――それでも、こうするのが一番伝わりやすいと思った。 「こっちがこの街に来て、まだ二ヶ月も経ってないですけど……それでも、いろんな人と会いました。友達になってくれた人もいます。あなたたちは命の恩人です。みんなみんな、こっち自身にとっては大切な人たちです。…………そしてあいつはその人たちを、文字通り食い物にしようとしている―――だから、戦います。戦って、殺します。…………もう、好きな人たちに死なれるのは、嫌だから」 そのために協力してください、と言葉を繋ぎ、こっちのお願いは終わった。 ………自分で言っていて、情けなくて涙が出そうだ。 護りたいものがあるのなら、自分の力で護り通すべきなんだ、本当は。 それができないから、こうして命の恩人にすら恥知らずにもすがることになる―――本当に、情けない。 ……その時、下げ続けていた頭にぽん、と手を置かれたのを感じた。 「―――そんなに、思い詰めるなよ?」 そう声をかけてくれたのは、チャラ女さん。 「そもそも協力するも何も、これは俺達の問題でもあるわけだしな?」 「………?」 ……どゆこと? 首を傾げると、何で気づいてないんだよ、とチャラ女さんは苦笑して、 「だってそいつ、この街の都市伝説を全部食っちまうつもりだったんだろ? だったら遅かれ早かれ、俺達も標的になってたってことだ」 「…………あ」 「だから、その危険を事前に都合のいい形に変えてその上報せてくれたお前に、"協力してくれ"なんてわざわざ頼まれる筋合いはないぜ?」 むしろ感謝したいくらいだ、とそう言って微笑むチャラ女さん。 ………そういえば、そうなのか? 確かに冷静に考えてみるとそういうことで、巻き込むもなにもないことな、ような、気も………? 「……思い詰めてるとな、気付けるはずのもんにも気付けなくなるもんだ。そう一人で背負い込むもんじゃないぞ?」 まだ子供なんだからな、とチャラ女さん。 なぜか、目頭がぐっと熱くなる。 (……………自分では、全然大丈夫なつもり、だったんだけどなあ……) あの男と再会して、なんとなくわかっていたことだけどボコボコにされて、死にかけて。 どうも自分でも気づかない内に、相当まいっていたようだ。 かけられた優しい言葉は、ゆっくりと傷んだ心に染み込んでいって―――。 「あ、あれ? お、かしいな。ひっく、なんで、こっち、泣いて……?」 ―――こっちがしゃくりあげて泣き始めるまで、そう時間はかからなかった。 ………たっぷりと泣いて、朝ごはん食べて、一応気持ちは落ち着いたの、だが。 (…初対面に近い人のまえで泣くなんて、恥ずかしすぎる……!) 今、とても、恥ずかしい。 なにが恥ずかしいって、さっき泣いてからなんかチャラ女さんと女の子の視線が優しくなったことが特に。 年上なチャラ女さんはともかくとしても、こんな小さな女の子に慈しむような視線をもらうのはどうなんだろう、かりにも一人の男として。 ………余談だが、こっちが実は男だということは隠させてもらっている。いろいろと不都合がっていうか精神安定上の問題で。 「………あの」 「ん、なんだ?」 てきぱきと家事に励むチャラ女さんに話しかける。 ちなみに黒服さん(Dさんというらしい。Hさんの同僚さんなんだろうか?)は仕事があったらしく、少し前に出かけてった。 「えっと、……もうそろそろ、家に帰ろうかと。同居人たちも心配してると思いますし」 「お、そうか。………いや、身体は大丈夫なのか? 酷い怪我だったんだし、なにより今顔色悪いぞ?」 「…………マジすか」 ほれ、と差し出された鏡に映っていた顔は、確かに少し青かった。 怪我は治っても、失った体力や血などを再生するのにはもう少しかかるようだ。 「ここで帰してもし倒れられでもしたら黒服が助けた意味もなくなっちまうし、もう少し休んでたらどうだ? 今日は一日ゆっくりする予定だったしな」 朝のニュースによると、今日から十二月並みの寒気が学校町あたりに被さるそうで、そんな中で街中で気絶とかしたら本当に洒落にならない。せっかく助けてもらった命をドブに全力投球するようなものだ。 「えと…じゃあお言葉に甘えて、もう少しいさせてもらってもいいですか?」 「おう、いいぞ」 「……まあ、仕方ないわね」 チャラ女さんはこくりと、女の子はしぶしぶといった感じで、それぞれ頷いてくれた。 そして手を差し出して、 「じゃあ改めてよろしくな。俺は《日焼けマシンで人間ステーキ》の契約者だ。あと、《厨二病》と黒服とも契約してる」 「私は《はないちもんめ》の契約者よ。私も黒服と契約してるわ。……よろしくね」 ………親子じゃなかったのか。三人ともお互いのことをすごい信頼してるようだったし年齢的にも納得できたので、てっきり父母娘の三人家族なのかと思ってた。 とそんなことを考えながら、しかしもういい加減学習したので口には出さず、差し出された手を握り返す―――握手、親愛の証だ。 「こっちは《ジェットばあさん》、《地震発生装置》、《重いコンダラ》の契約者です。……こちらこそ、よろしくお願いします!」 休ませてもらうとは言っても本当に同居人たちは心配してるだろうし、迷惑かけまくるのもアレだから早めに帰った方がいいよなあなんて思いながら、こっちは今生きていられる幸せを噛み締め、微笑んだ。 前ページ次ページ連載 - 女装少年と愉快な都市伝説
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黒服Hさんによるピュアな少年の為の淫語講座 将門様の宴会を明日に控えたある日のこと。 なんだかテンションが上がって眠れないので、こっちは夜の街を散歩していた。 …宴会が楽しみで眠れないなんて小学生か自分、と思いつつ、パジャマ姿で路地裏を歩く。 パジャマは当然(……といえるようになった自分が悲しい)女物だ。 いつのまにか外出時だけでなく家の中でまで女装を義務付けられており、男として生活できるのは学校だけという状況なのである。 ……ぶっちゃけ泣いていいと思う。 しかも、だ。 女装をし始めて一週間、明らかにトラブルが増えている。 ついさっきの変態がいい例だ。 おやつ代わりの魚肉ソーセージを、ぺろぺろと舐めつ咥えつ歩いているところにいきなり抱きついてきたその変態。 日課となりつつある幸せな散歩タイムを邪魔されてイラッときたので、ボコボコに叩きのめしたあとに全裸に剥いて磔にしてやった。 いい気味だなあくっくっく、と暗い笑みを浮かべるこっち。 もぐもぐとソーセージを咀嚼しながら、その路地の角を曲がる。 すると、そこには―――。 「………なんぞこれー」 ―――手足の生えた毛玉がいました。 「はあ、やっぱりそういう『組織』ってあったんですねー…」 「ああ…というか、本当に知らないのか? 中々個性的なやつもいるから、特に最近は色々目立ってたと思うんだが……」 「そうなんですか? 最近目立ってたっていうと……《夢の国》とか、《エベレストの禿マッチョ》とかですか?」 そんなわけありませんよねー、と笑い飛ばすこっち。 だが、 「いや、《夢の国》はともかく、《エベレストの禿》は『組織』の一員で間違いないぞ」 「……………はい?」 「ああ、ついでに言っとくと《エベレストの禿》も《南極のヒトガタ》も謎の隕石も、さらには秋祭りの時の全裸マッチョも全て同一人物だ」 ……えーと、なんていうか…。 「…あの、そんなことを許しちゃってていいんでしょうか…? というか、こっちの個人的な精神衛生的にも取り締まってくれると嬉しいんですが……」 そう頼んではみるものの、即答で「無理だろうな、あいつだけは。黒服の中でも色々な意味で別格だし」と切り捨てられた。 トラウマが封じられることがないという事実に、マジっすかー、と若干へこむこっち。 ―――この、毛玉改め黒服Hさんは、都市伝説の管理をしている『組織』に属しているらしい。 最初に一目見たときにはどうやら誰かと電話していたようで、「な、毛玉がしゃべってる!?」と驚いたものの、まあこんな奇妙で愉快なものは大概都市伝説関係だろうなーと考え、電話が終わるのを待って声をかけてみた。 結果はビンゴ。 "髪が伸びる"というその能力を含めて、中々気さくで面白いいい人だった。 「それにしても、本当に制御が難しいんですねー、それ…」 こっちが声をかけたあたりで髪が縮み、普通の人っぽくなっていたのだが……お近づきの印に送れるものをなにも持っていなかったこっちの、「すいません、えと、この食べかけのソーセージでよければ……あの、一緒に食べませんか?」 という申し出に快く了承してくれたHさんと交互にソーセージをかじっていると、髪がドバッとものすごい感じで伸びてきた。 「ああ、まあな……だがもう慣れたよ」 おお、なんというクールな受け答え…! かっこいい大人の男の人って感じで、憧れるなあ……。 そんなことを思いつつHさんの顔を見上げている(こっちの背は低めなのだ)と、その口が小さく動いたのに気がついた。 なんなんだろう? 訊いてみる。 「えーと、なにかおっしゃりました?」 そんなこっちの問いに帰ってきた言葉は、 「いや、女の子が肉棒をしゃぶってるなんて、まるでフェ○チオみたいだなと思っただけだ」 ……フェラ○オ? なんだろう、フェラーリ的ななにかだろうか。 「あの、すいません。フ○ラチオってなんですか?」 とりあえず訊いてみることにする。 我が家の教育三箇条は『好奇心にはとりあえず従え・困ったら人に訊いてみろ・やられたら三倍返し』である。 「フェラチ○を知らないのか? ……いや、そうだな…要は、男を悦ばせる呪文のようなもんだ」 男を喜ばせる、かー。 別にこっちはそんなことを言われても嬉しくないんだけど……いや、きっと大人になればわかることなんだろう。 「ちなみに、だ。仲良くなりたい相手の耳元で『○ェラチオしましょうか?』と囁くという文化も存在している」 へぇ、そんな文化があったとは知らなかった。Hさんは物知りだなあ。 そう思って、ふと気づく。 ―――これは、「俺と仲良くしたかったらそう言いなさい」的な意味ではないか? と。 なるほどそういうことならば、と納得したこっちは、てくてくとHさんに近付いていく。 二人の距離がほぼゼロになったところで、両腕をHさんの首に回してつま先立ちし、その耳に唇を寄せて囁いた。 「…○ェラチオ、してさしあげましょうか?」 ドバッ!! と。 その瞬間、こっちは髪の洪水に呑まれたのだった。 毛玉を通り越して毛海といえるほどにまで広がったHさんの髪が(おおよそ)元に戻ったのは、それから数分後のことだった。 「大丈夫か? …すまんな、まさか本当に言うとは」 「いえ、大丈夫です。…まあ、能力なんですし仕方ないですよ」 そう返し、携帯で時刻を確認する。 ……ダメだ、そろそろ帰らないと。 深夜に帰宅し、一晩中閉め出された苦い記憶が脳裏をよぎる。 「すいません、もうそろそろ帰らなきゃいけないので……」 「ああ、そうか。気を付けて帰r……いや、ちょっと待った」 呼び止められた。なんだろう? 「大した用事じゃあないんだが…ヤッターマンとコーヒーとライターを、三つ続けて言ってくれるか?」 「それくらいいいですけど…おまじないかなにかですか?」 「まあ、そんなようなもんだ」 「えーと、では。…ヤッターマンコーヒーライター。……これでいいんですか…って、髪! 髪ものすごい伸びてますって!」 「おおっと、失礼。あまりにもいい感じだったもんでな」 自分の髪の毛がとんでもない勢いで伸びているというのに、涼しくそう言い放つHさん。 …ホントにすごいな、この人。 「じゃあな。俺ももう帰る。縁があったらまた会おうじゃないか」 「はい、さようならHさん。またこんど!」 別れの挨拶を交わし、背を向けるHさん。 その背中を見送りながら、思う。 (―――あの髪の毛、うっすらとだけど、血の匂いがしたな……) 本当にうっすらと、まともな人間なら確実に気付かないだろうというレベルで、だが。 Hさんの背中が、曲がり角の向こうへと消える。 ……きっと、彼には彼の戦う理由があるのだろう。 それがこっちのものと噛み合えば別にいい。 だがもし、その理由同士がぶつかりあったとしたら―――。 「―――いや、考えるだけ無駄、かな」 そうなったら、そうなったときのこと。 悪いことなんてのは、起こってから考えればいいのだ。 「―――よし! 明日はいっぱい料理するぞー!」 思考を明日の宴会へとシフトさせる。 将門様は料理を持ってきてもいいといっていた。 自分の作ったものを、多くの人においしく食べてもらえるチャンスというのは、案外少ないのだ。 なにを作ろうか、なにを作ったら喜んでもらえるだろうか。 わくわくとそんなことを考えながら、こっちは家に帰って行った。 前ページ次ページ連載 - 女装少年と愉快な都市伝説
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やりすぎ都市伝説 ウソかホントかわからない やりすぎ都市伝説2024春(2024.03.22)は別ページ参照