約 1,181,857 件
https://w.atwiki.jp/kuroeu/pages/3292.html
ロザリンド・ヘフネル 種族:ドワーフ族(ネブルドワーフ) 登場作品:封緘のグラセスタ 解説 上位ドワーフとも呼ばれるネブル族の抜闘士にして鍛冶職人。 生まれも育ちも東ゴーティア王国の王都グラセスタであり、西地区に技槌亭という店を構えている。 我慢強く、目標が叶うまで地道な努力を続けることができる真面目な性格。 独特な喋り方は小さい頃に屋敷を訪ねてきた商人の喋り方を真似たものであり、意図的に口調を変えているのは元気で前向きになれるから。 付け耳を装着する事が精神的なスイッチとなっている為、外している状態では普通の喋り方になり、性格的にも落ち着いたものとなる。 祖先はかつてサマラ魔族国に与したとされており、彼等が作った製鋼場を見つけ、一族の歴史を確認する事を望んでいる。 目的地が早くグラセスタの統治下となるようにドワーフ族の知識を活かして探索に役立つ道具を開発する事に余念が無いが、 まだまだ職人としては熟練度が足りていない為、とんでもない失敗作も多い様子。 実際に発明品を数点使用したジェダルからは着眼点や制作技術に関しては認められたが、実戦での使用には適さないと評価を下された。 その厳しい評価をきっかけに高性能かつ実戦的な武具を作ろうと考えるようになり、以降は素材収集と実戦を知る為にジェダル達の探索に同行する事となった。 黒の坑の探索の中で祖先は決して進んでサマラ魔族国に協力した訳では無く、祖国バトゥルンを攻め滅ぼされて奴隷の様に働かされていた事を知り、 また彼等を支配していた魔神リウザンツィアをジェダル達の協力を受けて討伐し、祖先の無念を晴らした。 その後はリウザンツィアの封印場所に残された資料によってサマラ魔族国に与したという祖先の汚名も晴らした。 なおその資料から自分がサマラ聖伐戦後に魔族諸共封じられかけたところを辛うじて逃れた者達の末裔であり、しかも王族の血筋であった事も知った。 レギを倒した後は迎撃王ジェダルと共に戦った事が評判となっており、飛ぶように商品が売れて儲かっている模様。 雑感・考察 自称、普通じゃないハイドワーフ。 賛否両論みたいだがあの変な喋り方割とすこ - 名無しさん (2019-11-07 08 36 38) むしろあの声を聞くためにわざわざ店に通うまである - 名無しさん (2019-11-07 23 25 00) わかる - 管理人 (2019-11-08 21 10 06) 名前
https://w.atwiki.jp/darkducks/pages/55.html
概要 1999年発売、SONY CD CLUB(会員制)にて販売されており、キングレコード時代のヒット曲等が収録されている。 曲目 番号 曲名 作詞・訳詞 作曲 編曲 1 銀色の道 塚田 茂 宮川 泰 熊坂 明 2 花のメルヘン 敏 トシ 敏 トシ 服部克久 3 星のメルヘン 明城照彌 敏 トシ 服部克久 4 あんな娘がいいな 水本方治 水本方治 一ノ瀬義孝 5 山男の歌 神保信雄 不詳 ダークダックス若松正司 6 雪山讃歌 西堀榮三郎 P・モントローズ ダークダックス服部克久 7 すばらしい明日 塚田 茂 宮川 泰 宮川 泰 8 花ちゃん(マリアンヌ) 肥野ミツオ T・ギルキーソン ダークダックス 9 アンジェリータ T・ロマーノ M・ミネルビ 服部克久 10 いつかある日 ロジェ・デュプラ深田久弥 西前四郎 服部克久 11 山賊の歌 田島 弘 児島祐嘉 熊坂 明 12 シャロームの歌 井田誠一 不詳 若松正司 13 ジェンカ 永六輔 R・レヒティネン ダークダックス 14 アルプス一万尺Ⓐ 不詳 アメリカ民謡 服部克久 15 山のロザリア 音羽たかし ロシア民謡 前田憲男 16 ふたつの道 井乃村酔 寺部頼幸 横森 正 17 あざみの歌 横井 弘 八洲秀章 服部克久 18 かあさんの歌 窪田 聡 窪田 聡 若松正司 19 エーデルワイスの歌 O・ハマーシュタイン R・ロジャース 服部克久 20 鉄道唱歌 大和田健樹 多梅 稚 平井哲三郎 Ⓐはアカペラ 解説 『鉄道唱歌』は、東海道編の1番から5番までを歌っている。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/9691.html
登録日:2011/05/25(水) 19 45 54 更新日:2024/08/03 Sat 09 56 04 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 17歳 ちぇりおー アデルの嫁 バカップル ヒロイン ロザリン ロザリンド ロザリー 姫様 巨乳 日本一ソフトウェア 末永く爆発しろ 田村ゆかり 魔界戦記ディスガイア 魔界戦記ディスガイア2 「余を誰と思うておる! 余は魔王ゼノンの一人娘ぞ!」 ロザリンド(17歳) CV 田村ゆかり 日本一ソフトウェアの有名タイトル、魔界戦記ディスガイアシリーズの二作目のヒロイン。 豪勢なドレスにも目がいくが、一番目を引くのは胸。 彼女はディスガイアシリーズ類い稀な巨乳ヒロインなのである。 今作の黒幕である魔王ゼノンの一人娘で、屋敷に隔離されて育てられた為外界に関する情報をあまり持っておらず戦闘経験もゼロ。 また毎日のように父・ゼノンからたくさんの贈り物を貰い生活してきた為、過剰といってもいいほどのファザコンである。 性格は高飛車で常に落ち着いているが、父の事を悪く言われると感情的になる。 また、結構解りやすい。 ハナコやタローを家来にしたり心配する辺り、子供には優しいのかもしれない。 愛称が多く、基本的には「ロザリー」、ハナコは「ロザリン」、タローは「姫様」と呼ぶ。 因みに一人称は上記の様に「余」である。 ■本編での活躍 ゼノンを召喚しようとしたアデルに間違って召喚されてしまった。 悪魔であるが為、契約に逆らえず仕方なくアデルをゼノンの元へ導くと言う。 だが実際はどうにかしてアデルを殺し、契約を解こうとしていた。 旅番組にヴェルダイムを訪れたアクターレをゼノンだと偽ったり、途中仲間になった家来のティンクと共に魔物にアデルを殺させようとしたり。 そんな中、打倒ゼノンを目論む魔神エトナに敗北、父の所まで案内しろと言われるのだが… 「余は父上がどこにおられるのかしらぬのじゃ…」 屋敷の中で隔離され育ったロザリンドは父の居場所はおろか出会った事すら無かったのだ。 それを知ったアデルは失望せず、「父親の所まで送り返す」という約束を守るためにロザリンドと共にゼノンを捜す。 そして念願叶いコロシアム地下でゼノンと出会うのだが、冷たくあしらわれてしまう。 ロザリンドは『あやつは父上の名を語る偽者』と考え、その偽者を退治する為に探索を続ける。 そんな中別魔界で魔王となった、我らが殿下ラハールと対峙した際、ゼノンの側近にのみ有る「四つ葉のクローバーの紋章」が破壊される。 紋章が破壊されると同時にゼノンの血が目覚めたロザリンドはラハールを難無く退ける。 アデルにより紋章が戻り正気に戻ったロザリンド。 その時の「何か」がまた目覚めるのでは無いかと心配をしながらも、偽ゼノンを倒す為ゼノン城へと向かう。 上がりやすいWMは銃。 魔ビリティは【回りにいる男性キャラの能力UP】 なにこれエロい。 固有技は攻撃、補助共に覚え範囲も優秀。HIT依存なので銃との相性が良く、最終技ローズリバレートは魔法属性持ちの選択範囲攻撃なので非常に便利。 アデルが拳のため、遠距離攻撃ができるロザリンドは結構ありがたい。 以下ネタバレ 「我は孤独なる者…… お前も敵だ……」 ゼノンを召喚しようとしてロザリンドが現れた理由、それは他でも無いロザリンドが正真正銘の魔王ゼノンだからである。 魔王ゼノンは昔、数多の魔王が恐れる実力者だったのだが、いきなりゼノンはヴェルダイム近辺で転生をするという不可解な行動を起こす。 その情報を手に入れた偽ゼノン、もとい現魔王ゼノンの元部下である悪魔が、復讐のために転生したばかりの魔王ゼノンを拉致、自らの娘として育てたのである。 だが、そのままでは感づかれる事を恐れた偽者は「四つ葉のクローバーの紋章」で記憶等を封印したのだ。 我らが殿下、ラハールに紋章が破壊された時の異様な強さは、魔王ゼノンの力によるものだったのだ。 偽ゼノンを倒した後、アデルも殺そうとするロザリンド。 しかしアデルは拳を握らず、ロザリンドに幾度となく攻撃されながらも彼女に近付いていく。 そして、至近距離に迫った時、アデルはロザリンドを抱きしめ、愛を告白。 強すぎたために孤独で、心から求愛されたことなどなかったロザリンド(ゼノン)は戸惑うが、一緒にいる中で彼に惹かれていたことを自覚し、彼の一途な愛に応える。 心から欲していた『愛』を得た彼女は、『ゼノン』を捨て、『ロザリンド』として、アデルの傍で生きていくことを決意するのだった。 因みにBadEndだと戦う事に成るのだがかなり強い。具体的に言うとラスボスよりだいだい22倍のレベルである。 魔界戦記ディスガイア2にはBadEndが二種類あるのだが、ロザリンドを愛する人達には見ることはオススメできない内容になっているので注意。 まあ、死んじゃうから ■ゼノンは男?女? ゲーム中の徹底したミスリードから、「ゼノンは男だったが女に転生した」と受け取ったプレイヤーも多い。 実際はゲーム中では本物の「ゼノン」の性別には言及したことがないが、グラフィックでロザリンドと同じ髪型でマントを着ているものが存在しているため、元から女性として設定されていると見ていい。 小説版や漫画版では明確に「女性の魔王」と明かされている。 ■漫画版では ゲームではあまり踏み込んでいない「ゼノン」時代の彼女の素性にも踏み込んでいる。 「偽ゼノン」は本当は彼女に惚れていたことや、何年も共に過ごすうちに互いに親子の愛情を抱いていたという展開に改変されている。 また、ゲームと決定的に違うのはアデルの正体が悪魔であるときちんと明かされていること。種族の違いによる寿命の差に悩むことなく、互いにこれからを共に歩めることを喜びながら物語は幕を閉じている。 ■2以降は 基本的にDLCなどのゲスト枠としてアデルと共に「2」枠で登場。 どうやらエンディング後には本格的に交際しており、周囲からは呆れられるほどのバカップルぶりを発揮。 しまいにはアデルは彼女との結婚資金を貯めていることも判明している。 ロザリー「アニヲタ達よ、余の為に追記・修正せい!」 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 次回作でまたアデルと一緒に主役になんねーかなぁ。魔王ゼノンの過去編とか凄く面白そうなんだが。 -- 名無しさん (2013-07-01 20 03 54) ゼノンの過去か…凄く重い話になりそうだな -- 名無しさん (2013-07-25 09 20 41) ディスガイア2は内容もキャラも悪くないけど、前科システムがクソすぎるのが残念。やりこみたくてもアレのせいでする気になれん -- 名無しさん (2013-12-07 13 38 20) 何故女に転生したんだってどこかで言われてたけど、ゼノンの性別は明かされてないはずだし、元々女だったんじゃないかと思う -- 名無しさん (2014-06-12 04 48 07) ゼノンの正体がシリーズ恒例のあいつぽかったから性別なしなのかもしれん -- 名無しさん (2014-06-12 04 53 13) 漫画版は女性っぽい外見してたけどな -- 名無しさん (2014-09-25 09 55 12) D2でDLCキャラで登場したけど、あれなに未来から来たからラハール達はロザリーのこと知らなかったの?D2の時系列は1の数年後で2より前だし -- 名無しさん (2014-10-19 08 55 32) D2自体が、それまでのシリーズとはパラレルワールドというか別次元のお話。だからこそ「D2」 -- 名無しさん (2017-05-26 16 58 17) 6でDLCからだけど追加オメ -- 名無しさん (2021-03-01 19 57 33) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/lowlevel/pages/55.html
スキル ランサー +20 ランス中毒(末期) 弾幕耐性 -15 ぴちゅーん 0 0 0 0 0 0 0 0 自己紹介文 ここに紹介文を入れるがいいさ! 猟団メンバーからの紹介文 新入団員に「ロザリーさん超怖いッス伝説」を吹き込むのが伝統なので 無意味に恐れられたりします 名前の由来はデスピサロの愛人 と言ったら怒られた 不思議 -- 雪雁 ネタで言ったら 本当にギウラス写真になってるんだが・・・w -- Toshio 唯一の希望であるアノ写真が・・・orz -- 孔魂蛇 名前 紹介文
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1028.html
※ゆっくりしかでてきません! ※前作fuku.2224ある植物型奇形妊娠の話のアナザーです。 そっちから読んだ方が話の趣旨は取りやすいかもしれません。 ※以前にも増して虐待分が少ないです。真正鬼井さんは不愉快になるかもしれません 季節は実りの秋、人も妖怪も干渉しえない森の中…… 崖を背に立つ、老樹の洞の中…… ここに、一対のゆっくりが住み着いていた。 片やゆっくりれいむ種、片やゆっくりまりさ種。 共にゆっくりの中ではポピュラーな種である。 見る者が笑みをこぼすほど仲睦まじく、人間の夫婦でさえここまで純真に付き合っているものも少なかろう。 おまけに周りからの信頼も厚く、頼りにされているほどだ。 しかし、こんな二匹に後々訪れるのは、稀有で過酷な運命だとは何と残酷なことであろうか…… とある寓話を体現した様なお話であるが、どうかお付き合い頂きたい。 ある動物型奇形妊娠の話 にんっしんの兆候が見られるはずの二週間が過ぎても、二匹の間に変化が出ず、半ば諦めかけていた。 それからさらに数週間たったころ、このつがいのゆっくりは、互いに体調の変化を感じていた。 『ゆぅ~あたまがおもいよまりさぁぁぁ』 『なんがぎぼぢわるいんだぜぇれいぶぅぅぅ』 ただ事では無いと、早めに狩りを切り上げ、森の知恵袋であるゆっくりぱちゅりーに相談することにした。 『むきゅ!それはおめでたね!!あかちゃんをだいじにしてあげてね!!』 なんということだ。 通常ゆっくりは、父母に分かれるのだが、何の因果か両方母体となってしまったのだ。 このぱちゅりーも、前例の無いことだから知らずに祝福している。 しかし、この時のぱちゅりーには今がどんな時期で、これがどの様な意味を持つのかまでは気付くことができなかった。 当の本人たちは、すぐに問題に気づいた。 二人とも母体となってしまっては、狩りに行くこともままならない。 しかもこの時期……実り豊かな秋も既に終わりかけている。 もうエサも満足に採れない。 巣には、早めに冬ごもりのエサが貯蔵されていたが、とても赤ちゃんを養えるほどではない。 『ど、どうしようまりざぁ』 『ゆゆ!みんなにたのみこんできふしてもらうんだぜ!!』 まりさが行動に移った時には既に一刻の猶予もなかった。 周りのゆっくり達が巣にこもり始めたのである。 まりさの親交の深い友人宅を回り始めた。 むちゃいわないでね! なにいってるの!?ばかなの?しぬの? わっわたしのおっとになってくれればわけてあげてもいいんだからね!! ショックだった。 正直なほどにスッパリと断られた。 今までまりさの素行が悪かったわけではない。 むしろ感謝されるべきことを行ってきた。 負傷し、動けない者のために代わりにエサを採ってきた。 仲間が捕食種に追いかけられていた時には囮になった。 子供が病気だと相談されれば、険しい山道を行き、薬草を持ってきたこともあった。 見返りを求めたことは一度もない。 ただ純真に困ったみんなを助けたかっただけだ 助けた後にはみんな決まってこう言ったのだ。 “ありがとうまりさ!こんどこまったことがあったらいつでもたすけてあげるからね!!” その言葉をただ信じ、頼りにきたのに…… 『ゆびゃ!ごめんだぜ、ゆるしてほしいんだぜ……ほかをあたるんだぜ』 あまつさえ、にんっしんしているのが分かる体型にも関わらず、体当たりで追い返される始末である。 それでも、自分に非があると信じ、すぐに引き下がっていた。 本来まりさ種は、雄としての役割を持つことが多く、基本的に運動能力に優れ、血気盛んである。 母体となったこのまりさは、その面影が微塵も感じられなかった。 唯一の頼みの綱であった先のぱちゅりーも、つがいのまりさに追い返されてしまった。 今までの自分の信念が揺るぎだしたが、どうにもならない。 まりさは帰路に着いた。 『ぱちゅりーよかったのかだぜ?あのまりさはおまえのなかよしだったぜ』 『むきゅ?わたしが!?じょうだんいわないでよ!あんなちせいのかけらもないやつなんてなかよしでもなんでもないよ!!』 『でもいつもは、いっしょにあそんだりなかよさそうだったぜ!』 『やくにたつうちはなかよくしてあげてたほうがつごうがいいの!どうせにんっしんのおいわいでもせびりにきたのよきっと!!』 『ゆ!ぱちゅりーはやっぱりあたまがいいぜ!!そういえばあいつはいつもゆっくりしてなくてきもちわるいやつだったぜ!!』 『『ゲラゲラゲラゲラゲラ!』』 巣には既にれいむが出産を迎えようとしていた。 『ゆ!?れっれいむ!ゆっくりがんばるんだぜ!!』 『ばっばりさ!よがっだまにあっでぐれで!!』 れいむの産道が、ミチミチと拡がり赤ゆっくりの頭が見え……ポンポンポンと三匹の赤ゆっくりを出産した。 あまりにもあっけなく出産が終わったが、赤ゆっくりのサイズが異常に小さかった。 植物型のそれと同等かそれ以下の未熟児である。 産声を上げるどころか、すぐにも息絶えそうに痙攣をし始めた。 『どっどぼじでごんだにじっじゃいの゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!?』 『あっあがじゃん!ゆっぐりじでね!!ゆっぐりじでねぇ゛ぇ゛ぇ゛!!』 『『『びゅっ…びゅっ……びゅ………』』』 親の必死の叫びもむなしく、赤ゆっくり達は間もなく黒ずみ、この世を去って行った。 時期外れのにんっしんに、十分な栄養と休養が得られなかった結果である。 二匹はしばらく泣いていたが、すぐに涙を拭った。 『れいむ、あかちゃんはかわいそうだったけど、そろそろすごもりしなくちゃゆっくりできなくなるぜ……』 『ゆ゛ぅ゛!わがっだよまりざぁ!!まりざのあがちゃんといっじょにゆっぐりじようね!!』 不運とは、如何に重なることか…… この年の冬は、かつて無いほどの寒気に覆われ、豪雪地帯と化した。 異常気象である。 雪圧で木が軋み、巣の中に冷気が容易に侵入する。 『がちがちがち……』 『ざぶぃ゛ぃ゛ぃ゛!!』 れいむの産後、間もなくこの冷気にさらされたせいで、表皮が固まり産道が閉じなくなってしまった。 固まったせいで、にんっしん中の体型のまま固定されてしまった。 まりさは、あまりの寒さに赤ちゃんを宿した大きな体を常に震わせ、歯にヒビが入るほどであった。 寒さは確実にこの二匹を蝕み、徐々に弱っていく……もはや食欲も出ない。 早く春になってほしい。 早くお日様の当たる暖かな外に出たい。 できることならば、まりさの赤ちゃんを無事に産んであげたい。 最早、二匹共通の淡い希望で繋いだ気力のみで生きているに等しかった。 ふと、風雪の中から聞き覚えのある音が聞こえてきた。 親友の……いや、親友だと思っていたゆっくり達の足音だ。 『『『おべがいじばずぅぅ!ながにいべでぐだざいぃぃぃ!!』』』 『びゅ!?どどどどどうじじじだの゛の゛?』 まりさは、れいむを庇うようにして入口を少し開けた。 そこに立っていたのは、ぱちゅりーのつがいを始めとした森中のゆっくり達であった。 しかし、中には子だけ、親だけの個体もちらほらいた。 お互い震えながらの必死の会話から伺えたのは以下の事柄だ。 今回の異常気象はこの群れの中で、誰も経験したものでなく、その誰もが従来の対策では凌ぎ切れなかった。 ある者は冷気にやられ、またある者は、巣ごと積雪に押しつぶされた。 ここに来たのはその中でも運良く生き延びた者達であり、辿り着けなかった者も多数いたという。 まりさは迷うこと無く、その全てを受け入れた。 ここまでたどり着けたゆっくりは十匹足らずである。 巣の広さは十分あったし、彼女らを野ざらしにして置くのも酷だと思ったからだ。 れいむも他のゆっくりに身体を見られなければ、良いと言ってくれた。 『ずぐなぐなっじゃっだげど、ごれがらはみんだでゆっぐりじようね!!』 『『『『ゆっぐじじようね!!』』』』 まりさはあの日以来、みんなの家を訪ね回ったあの日以来、初めて仲間を大切に思えた。 今までの自分は、何も間違っていなかった!! このまりさ以外では、何が正解で、何が間違いなのかは誰にも分からないことだろう。 その日は異常気象にも負けずに、ゆっくりと睡眠をとることができた。 翌朝、まりさは奇妙な物音で目を覚ました。 ビュッ! ビュゥッ! ビチャッ!! 『ゆぅ?れいむなんのおとな――』 まりさはその光景を見て絶句した。 まだ寝惚けているのではないのか!? もしや、まだ夢を見ているのではないか!? しかし、徐々に覚醒してきた意識、身体に感じる寒さが夢ではないと表した。 『びゅぅっ!びゃぁっ!ゆびゅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛』 『きもちのわるいゆっくりはいらないよ!ゆっくりしんでね!!』 『おねぇしゃん!こいちゅのうえではにぇるとおもちろいよ!!』 『『『ゲラゲラゲラゲラ!!』』』 昨日寝る時まで、自分の後ろに隠れていたはずのれいむが、助けた群れの中心にいる。 しかも、その群れはれいむの醜い体をさらすように仰向けに押さえつけ、暴行を加えていたのだ! 体当たり、噛み付き、上に乗って跳ねるなど、思い思いの方法で……全員がもれなく参加していたのだ!! 『だに゛ぼじでる゛んだぁぁ!べびぶがらはだべろぉ゛ぉ゛ぉ゛!!』 『『『はなれろだってさ、おおこわいこわい』』』 『ば……ひゅ…り……さ…………』 『『『ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!』』』 れいむの顔面は陥没し、産道から漏れた餡子の量は既に致死量。 そんな姿になっても、れいむは愛する者の姿を見るや、笑みを作った。 『どぼじでごんばごどぼじだのぉ゛ぉ゛ぉ゛!?』 『むきゅっおしえてあげるわばかなまりさ。ここはきのうからぱちゅりーたちのおうちになったの!このみにくいれいむはぱちゅりーのおうちにいらないわ!!』 『なにい゛っでるのぉ゛ぉ゛!?ごごはばりざどべいぶの―――』 『ほんとうにばかね!みんなのるーるはたすうけつだったでしょ?だからここはぱちゅりーのおうち!だかられいむはいらないの!!』 この群れでゆっくり同士の争いが起きたら多数決で裁決を取っていた。 言わば、この巣は群れの縮小と化していた。 まりさは現状を把握し、押し黙ってしまった。 『むっきゅ!と・こ・ろ・でみんな!このまりさとれいむはもういらないとおもうの!!』 『いらないよ!』 『やくたたずはゆっくりきえてね!!』 『こんなれいむをまもるやつなんかといっしょじゃゆっくりできないよ!!』 満場一致、間もなく二匹はこの巣を蹴落とされるかの様に追い出された。 巣の入り口はすぐに閉まった。 『むきゅぅぅ!たべものをいっぱいもってきたらあけてあげてもいいわ!!』 巣の中では、ぱちゅりーを中心とした一種の社会体系が出来ていた。 知識を頼りにする者たちにとって、ぱちゅりーはすでにトップに立つ存在となっていたのだ。 『ぱちゅりーのいうとおりだったぜ!あのばかなふたりをかんたんにおいだすことができたんだぜ!!さすがはまりさのおくさんだぜ!!』 『むきゅっ♪そんなにほめないでよまりさ♪ありときりぎりすっていうおはなしどおりだったものおかしいくらいうまくいったわ!!』 『このよのしくみがよくわかるおはなしなの♪みんなにもおしえてあげるわよ♪』 はたらきもののありさんたちはなつのうちにせっせとたべものをすにはこびました―――♪ 『れいぶぅ゛ぅ゛ぅ゛!じっがりずるんだぜぇ゛ぇ゛ぇ゛!!』 『…………』 突き飛ばされたれいむは、既に意識がないのか、返事もしない。 やがてふゆとなり、なつのあいだあそびほうけていたきりぎりすさんはおいしいえさもあたたかいすもありません―――♪ 『あぞごな゛ら゛、あぞごまでいげばゆっぐじでぎる゛んだぜぇ゛ぇ゛ぇ゛!!』 『…………』 まりさは何を思ったのか、自らも既に自由を奪われた身体で、れいむを引きずるように歩きだした。 きりぎりすさんはありさんたちにたすけてもらおうとしましたが、つめたいゆきにうもれてしまいしんでしまいました―――♪ 『ほっほら!れいむ!みるんだぜ!きれいなおはなばたけが……ちょうちょも……あたたかなばしょがみえるんだぜ!!』 『…………』 まりさが辿り着いたのは、巣である老樹のすぐ裏……底が見えない程深い崖だ。 『あぞごならばびざの゛あがじゃんぼいっじょにゆっぐじでぎぶよ!!』 『…………』 まりさには何かが見えるのか、崖に向かってためらいもなく、れいむと共に飛び降りた。 『―――というおはなしなの♪つまりかずがおおくてきりょうのいいありさんだけがいきのこるけんりがあるってことよ!!』 『あのまりさはえさをせびりにくるし、なかまはれいむだけ!ばかなきりぎりすはしぬぎむがあるのよ♪』 『むきゅう♪つ・ま・り、かしこいはせいぎ♪おろかはつみなのよ♪』 まりさとれいむはまだ落ち続けていた。 落ちるスピードも一定になり、刺す様な冷たい風も心地よく感じられる。 『ま゛……び…ざ……』 『ゆ゛ぅ゛!?』 『ご……べん…ね゛』 『ゆびゃぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!』 まりさが最期に挙げた悲鳴は、死に迫る恐怖からなのか? 仲間に裏切られての憤怒の叫びなのか? それとも…… それから間もなく、ゆっくり達が集った老樹に雷が落ちた。 多数に分かれている根がアースとなり、ゆっくり達にはなんの影響もなかった。 ただ、その衝撃で老樹の周りの地盤が崩れ、周りの土地ごと崖の中へと消えていった。 まりさが最期に見たお花畑とは、ぱちゅりーの持論は正しいのか、誰にも分からないだろう。 ただ、一つだけ付け加えるとするならば、まりさとれいむとその赤ちゃんはきれいなお花畑へと辿り着いた。 そこには、ぱちゅりー達の姿が無かったという事ぐらいである。 後書き 以前上げたSS、「ある植物型奇形妊娠の話」と並行して構想を練っていたものです。 最初は、両方混ぜたものにしようとしましたが、長さから個別にしました。 前作と比べちゃうと、奇形妊娠が活ききっていない感がありますが、不幸な末路を辿るという点で納得してください。 陰鬱なものが続いたから、次はギャグっぽいのに挑戦したいと思ってます。 今まで書いた作品 紅い弾丸 ある新人ゆっくりーだーの話(前・後) ある植物型奇形妊娠の話 byケラ子 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/ikuji_kakushitsu/pages/26.html
182 名前:名無しの心子知らず投稿日: 02/10/08 21 43 ID UPCltRiM もうすぐ妊娠8か月に入るので、 赤ちゃんグッズをぼちぼち揃えているところですが、 やはり予想通り、トメが口をはさむようになってきました。 安定期に入った頃、マタニティは経験者の私が選ぶわ、と口出しされたので、 「自分が着るものは自分で選ぶ!」と厳しく拒絶して以来静かだったのに。 赤ちゃんの肌着、寝具、おもちゃなど、トメがセレクトしたくてしょうがないみたいで、 「いるもの紙に書いてくれれば私が全部揃えてきてあげる。 あなたも楽でしょ」なんてほざきやがります。 もし任せでもしたら「私が選んで『あげた』」と一生言われます。 自分で選ぶから、と拒否してますが、今度はおむつを縫わせろ、 おくるみを編ませろ攻撃に変化してきました。 トメは私が裁縫・編み物の類は一切ダメダメ女だと思ってたようですが、 実は得意なので(結婚が決まった頃、変に敵愾心抱かれるとウザいので黙ってた)、 おむつはさっさと反物買って縫ってしまってたし、おくるみも今ちょうど編んでる最中。 「あ、もうおむつは40枚縫っちゃったし、おくるみは今編んでるんで結構です」 と断ったら「えええ~!どうしてそんな余計なことするの! 私がやってあげようと思ってたのに!」と絶叫しました。 その後すぐトメは仕事中のダンナに電話を入れ、 「赤ちゃんに関わることをあの嫁は何もさせてくれない!」と泣きを入れたそうで、 弱ったダンナが「何でもいいから、お袋にも出番やってくれよ」 というので「一番やってほしいことはそっとしておいてくれること!」 と答えたら「参ったなぁ・・・」と言ってましたが、 それ以外思いつかないんですよね。ホント。 新婚小梨の義妹(ダンナ妹)が妊娠したら心おきなく干渉しまくれるんだし、 それこそさんざん言い尽くされてますが、自分が産めよ!ってなもんです。 特に真新しい話題じゃなくてすいません。 207 名前:182投稿日: 02/10/09 09 29 ID ouMpAJZ/ 183さん、204さん、ありがとう。 そっとしておいてくれ=オメーは何もするな、なんですが、 難しいんですよね、現実として・・・。 何でもしてあげる、と言いつつ、えり好み激しいもんで>トメ 消えモノ(紙おむつやミルク)はイヤで、 手作りにしろ買うにしろ、赤ん坊グッズは 頻繁に人目に触れるものじゃないとイヤ、ってなもんです。 例えばベビカ、抱っこひも、外出で着せる服etc. 「うちの嫁がホント使えないから私が全て選んだの(はぁと」 ってのをやりたいのがミエミエなんですよね。 自分の実家に孫を見せびらかしに行くことばっかり考えてるし。 (かまと状態に近いけどトメの親まだ健在) 自分が現役で妊娠してた時に赤ん坊グッズを選ぶのがいかに 楽しかったかを延々と語るんですが、ならば嫁の気持ちが わかるかっていうと違うんですよ。 いつだって自分が仕切っていたいマイウェイババァなもんで。 トメ、初犯じゃなく、おととし義弟夫婦に子供が生まれた時に フライングやらかして義弟夫婦を離婚寸前まで追い込んだ 前科があるのに懲りてないんですよ。 ハァ・・ダンナをしっかり教育しとくしかないですかね、こうなったら。 次のお話→6-205
https://w.atwiki.jp/mpkingdom/pages/10.html
アイコンが多数あり、本人も把握してない(何か企んでる時は“計画通り”のアイコンになる) 法務大臣・デジタル大臣・副首相・伊勢県知事・議長 ●外交 別の国の君主が閣僚入りする事で立ち位置を中立よりとした ティタノミルマとの領土問題の仲介 ●内政 過度なスパムフィルターの解消 公式サイトを作成 株価の導入 宣伝用の動画を作成 掲示板の作成 ●その他 インフラ会議での出席 旧マン帝国の皇帝 ラミール連邦首相 トォリィノォ王国国王 旧マン帝国軍最高指揮官 古代マン帝国の皇帝 旧マン帝国外務大臣 古代マン帝国軍最高指揮官 古代マン帝国外務大臣 マン王国国王 マン王国外務大臣 マン王国法務大臣 マン王国戦争大臣 マン王国軍部大臣 マン王国新聞社 N信用通信 マン王国軍最高指揮官 マン王国臨時政府臨時指揮官 AMSY代表取締役会長兼COO 旧AMUSN設立者 ヌオーヴォ王国一代王国 ヌオーヴォ王国株式市場設立 ヌオーヴォ王国外務大臣 ハクア連邦大統領 リピティジオネ国王 守ノ国王 ノスタルジア・エルジニア世界線管理人 TTWL一代管理人 AMUSN社長 豊川改進等広報部長 ロザリア王国上院議員 ソベェート連邦最高裁判官 мр王国法相 мр王国デジタル大臣 мр王国金融担当大臣 マン系列設立 OC共和国デジタル大臣 博岡国首相 мр王国国会議長 мр王国伊勢県知事 他国での実績↓
https://w.atwiki.jp/huurin1224/pages/35.html
私ロザリー…今あなたの後ろにいます…。 ジリリリリリリリリリリリリリ!! 上京のした時から使っている黒電話が、けたたましく鳴る。 「あーはいはい、今出ますよっと…」 仕事を中断して、黒電話の受話器を取る。 チン 「はいもしもし。静川です」 「あ、あの…わ、わた、私…!!」 「ん?」 電話の向こうから、少女の声が聞こえた。 「わ、私ロザリー…い、今あなたのお家の前にいるの」 どっかで聞いたことあるセリフだな…。 「間違い電話だな。悪いが、俺はマンション暮らしなんでね」 「あ…、あの!!」 チン ったく…、今何時だ? 深夜の1時…タチの悪い間違い電話だ。 ドカっとイスに座り、仕事を再開する。 俺は静川睦月 フリーのイラストライター 最近になって売れ始めて、今一番稼ぎ時って奴だ。 美大に通うために上京。そのままイラストライターと、 よくある道を通ってきた、いわゆる普通な人間だ。 だが、その『普通』は最近になって、重荷になってきた。 毎日毎日仕事仕事。少しでも気を抜けば締め切りが待っている。 「……ッハァ…」 大きく伸びをする。 「何か違うんだよなぁ…」 新人社員が想像とかけ離れた実際の仕事をやって、落胆するのと同じ物だろうか。 「田舎が恋しいぜ…」 よく考えたら上京から一度も帰ってない。 …5年か。 思いにふけている俺に、喝を入れるように黒電話が鳴り響いた。 ジリリリリリリリリリリリリリリリリリ!! 「あーはいはい、近所迷惑だから鳴き止みやがれ」 電話に話しかける俺。 受話器を取り、少々ぶっきらぼうに言う。 「もしもし、静川です」 「わ…私、ロザリー…今あなたの部屋の前にいます…」 「………嬢ちゃん、悪いことは言わねえ」 「は、はい」 「最近は物騒だから早いとこ家に帰りな。不思議なおじさんに誘拐されちまうぞ」 チン!! 「ったく…。ヘンなガキだ―――」 ――――俺の部屋の前? 今のガキ…、俺の部屋の前にいるって言ったか? 何だ?俺に何か用があるってのか? ジリリリリリリリリリリリリ!! 考える暇も無く、黒電話が鳴り響く。 今回は出るのに少しためらった。 「…まさかな」 自分にそう言い聞かせ、受話器を取る。 チン 「はい、静川」 「私…ロザリー…」 この少女はとことん俺にかまって欲しいようだ。 「………」 「今…あなたの後ろにいます…」 背筋が凍りついた。 言い知れぬ不安からだろうか、 その演出からだろうか――――否。 背後に感じられる気配からだった。 とっさに後ろを振り向く。 そこには、電話の声の主であろう少女が立っていた。 少女は、小学4年程度の身体付きの小柄な印象で。 キチンと揃えた黒のショートカット、頭に付けた紫のリボン。 黒で統一されたゴスロリ調の服を身にまとっていた。 「鍵は掛けておいたはずだぞ…」 「ごめんなさい…死んでもらいます…!!」 言うなり、少女は懐から黒いナイフを取り出した。 「死んでもらうって――――」 「ごめんなさい…!!」 ナイフを構え、少女は俺にナイフを突き出してきた!! 「うおっと!?」 狭い職場兼自室で、何とか刃から逃れる。 「ちょっと待て!!何で殺されなきゃならん――」 「ごめんなさい…ごめんなさい…!!」 謝りつつも、少女は俺に向けてナイフを突き出す。 俺には、少女がひどく必死になってるように見えた。 「…よっと!!」 単調な突き出すだけの作業を見切り、ナイフを持った少女の手を捕まえる。 「あ…っく…!!放して…!!放して…ください!!」 手を掴まれた少女は、ジタバタともがく。 「バカタレ、放したらまた刺すだろ」 「…………」 そのまま少女は、うつむいてへたり込んでしまった。 「…ったく」 手を放してやる。 …可哀想なくらいに少女の手が――いや、全身が震えていたからだ。 すすり泣きすら聞こえる。 「…………まいったなぁ…」 ――――――――――― 「ほら、茶でも飲め」 落ち着いた少女は、用意したテーブルについて大人しくしていた。 安物の緑茶を淹れた、安物の湯飲みを渡す。 「…………」 あまり驚かせないように、テーブルの反対側に座る。 「さてと…、色々聞くけどいいか?」 少女はコクンと頷いた。 「何故俺を殺そうとした」 「………ッ」 少女の顔が引きつる。 どうやらストレート過ぎたようだ。 「スマン、…何故俺を狙った」 「…一人前になるには、あなたを…殺さなきゃダメだから」 …訳分らん。 だが、下手に問い詰めて大泣きされても困る。 別の質問しよう。 「お前、本当はやりたくないんだろ…その、…『殺し』を」 あの手際の悪さを見れば、一目瞭然だ。 「……………」 少女は何も言わず、コクリを頷いた。 「だが、俺を殺さないと、その一人前って奴になれない」 またコクリと頷く。 「……なら、無理だな。諦めな」 少々冷たいが、他に言い方が見つからない。 「とっとと、家に帰りな。今回の事は許す」 「…ダメなんです」 「へ?」 意外な返事に間抜けな声が出る。 「成果を上げてからでないと…帰れないんです」 「成果って…あのなぁ…大体『一人前』って何なんだよ?暗殺集団か――」 ――って、暗殺集団? 「まさか、誰かに依頼されて俺を始末――いや、違うな」 それなら、半人前を寄こすわけが無いか。 そもそも何で俺が狙われてるんだ? 今まで人畜無害を心がけて生きてきたが…。 命を狙われるような事しでかしたか? 考えるより、聞いたほうが早そうだ。 「なぁ、何で俺なんだ?」 「え…?」 茶を口にしようとしていた少女に問う。 「狙うなら誰でもいいんじゃないのか?それとも俺じゃないとダメって奴があるのか?」 「その…あの…」 次の言葉が出るまでは時間がかかった、俺には言うかどうするか迷っていたように取れた。 「…この黒色のナイフの導きなんです」 少女は例のナイフを取り出した。 今度はテーブルを挟んでいるので、いきなり刺されるということは無い―― ――…いや、そんなに広いテーブルじゃないな。ちょっと間を開けておこう。 少女を気にかけながら、俺は少し間を開けるように後ろに下がった。 「…………」 うわ、後ろに下がった俺を見て、あからさまに落ち込んでるよ。 「あー…、スマン…さっきの事もあるし、刃物出されちゃ警戒しない方が…な?」 「別にいいですよ…でも、もう襲い掛かったりはしません…」 「本当か?」 「はい…、もうナイフも共鳴してませんし…」 「?…まぁ、よく解らんが、安全なら警戒する必要も無いな」 俺は立ち上がり、少女の隣にドカッっと座った。 「……………」 少女は、目を丸くして俺を見ていた。 「ん、どうした?」 「本当に警戒しないんですね…」 「安全な少女相手に警戒するのも変な話だろ?」 「ここならナイフで刺せる距離なのに…?」 「そうだな、安全な少女じゃなきゃ、もうとっくに刺されてるな。俺」 俺はヘヘッっと笑いながら答える。 「――――――!」 少女はハッっとした顔をして、うつむいてしまった。 「さて、そのナイフが何なのか説明してくれ」 「…変わり者なんですね、あなたは」 顔を上げ、俺を見ながら苦笑する。 「…そうか?」 「そうですよ…」 「そうか、そのナイフは『変わり者』に反応するのか」 「違います。このナイフは望む命を自分で選んで共鳴させるんです」 「つまりナイフが俺を選んだってことか?」 「…やはり変わり者なんですね。簡単に理解するなんて」 「…そうか?」 「そうですよ…」 やはり変わり者なのか…。 「…説明、まだ聞きます?」 「え?あ、あぁ頼む」 「このナイフは刺した相手の『命』と『意識』を吸収して、その刃に宿すんです」 「…刺されたら、未来永劫。ナイフとして生きていく訳か?」 「その通りです…。ナイフに『命』と『意識』が宿れば、私は一人前になれます」 「おー、やだやだ…俺は勘弁願いたいね。ナイフとして生きてるなんて、考えただけでゾッとする」 言いながら少し想像してみた―。 意識があるのに、その先の運命は、生も死も無い。 ――ナニモナイ物質のセカイ――。 「いえ、違いますよ」 「え?」 俺が脳内に展開していたセカイを、少女が否定する。 想像していた物とは違うのか? 「…生かされるんです。…ナイフに」 「…気分悪くなってきた…悪い、そのナイフしまってくれ…」 「あっ…ごめんなさい…」 「いや、説明してくれって頼んだのは俺だ…、勝手なこと言ってスマン…」 そのまま俺達は、しばらく無言になってしまった。 俺がある程度回復したのを見て、少女がすくっと立ち上がった。 「さてと…」 「…これからどうするつもりなんだ?」 「…帰れませんし、このままさまよい続けます」 凄い事をサラッと『ぬかす』この少女。 「あぁ…、聞かなきゃよかった…」 「…?」 俺も立ち上がり、窓を開けに行く。 窓を開けると、気持ちのいい夜風が入って来た。 さっきの、不快感が完全に浄化される。 改めて少女を見る。 小さい身体、幼い容姿。 まるで小学生だ。 他の部屋の住人に通報でもされないか心配だ…。 だが、この際しょうがない…見捨てるのも悪いもんな。 「…しゃあない、俺ん家にいな」 「え…?」 少女はあっけに取られた顔をした。 「少女を追い出して仕事なんてできねぇよ…」 「私も助かりますけど…でも、現に私はあなたを殺そうとしたんですよ?それなのに…」 「言ったろ?俺はお前の事を許したって。行く当てが無い少女を保護するのは当然のこと」 「相当な変わり者なんですね…本当にいいんですか…?」 「少女を保護するのは、常識だと思うぞ?」 「…さっきから少女少女と呼んでますが、私の名前はロザリーです。名前で呼んでください…」 少しムスッとした表情で言った。 「おう、そうか。悪かったなロザリー…ちゃん?」 「…呼び捨てで結構です」 「そうか。俺は静川睦月。好きに呼んでくれ」 「それじゃあ、『睦月』で…」 殴ったろか、このガキ。 …くそ、好きに呼んでくれって言ったのは俺だし…。 「…あぁ、よろしくな。ロザリー」 手を差し出す。 ロザリーは、キョトンとその手を見つめていた。 「…俺はマジックなんぞ出来ないから期待するな」 『あぁ』という顔をして、ロザリーは俺の手を握り返した。 「よろしく…お願いします。睦月」 ロザリーの小さな手は、心地のいい温もりを持っていた。 ――――――――――――― 「ん…んん…」 カーテンから零れた光に目を刺激され、ロザリーは眠りから目覚めた。 いつの間にか寝てしまったようだ…。 辺りを見回す。 「あれ?…私…どうしたんだっけ…ファ…」 誰もいない見知らぬ部屋の布団で寝ていた。 「え~っと…」 何だか昨日は、色々な出来事があった気がする…。 電話をかけて、襲い掛かって、失敗して、お茶飲んで…。 「あ…、そういえば…」 握手を交わし、少しの雑談の後、欠伸をした私を見て、 睦月が「布団敷いてやるから休んでな」って言って…。 それから記憶がすっぽり抜け落ちてる…。 睦月の姿は…ここには見当たらない。 あ、さっき見回して誰もいないの確認したっけ…。 立ち上がり、軽く伸びをしながら部屋から出る。 ガチャ 「……睦月?」 睦月曰く、神聖な仕事場へのドアを開ける。 「ん?…おぅ、おはよう」 「…ずっと起きてたのですか?」 「うん…まぁ…な…ふあ~…」 これ以上ないような欠伸をすると、睦月は大きく伸びた。 「…どうして、寝ないの?」 「仕事さえなきゃ、今は夢の中で羽伸ばしてるさ。…はぁ」 「…大丈夫なの?」 「ははは…これくらい日常茶飯事だよ」 「………」 ―――――――― ロザリーを寝室に戻らせた後、俺は出来るだけ小さな声で、叫んだ。 「締め切りがあああああああああああああああああああああ!!」 昨日の騒動で、かなり時間をロスしてしまった。 このままだと普通にやっても、まず間に合わないだろう。 「仕方ないよな…」 時間短縮スケジュールを脳内で展開。 食事をカメリーメイトで済まして、トイレは極力貯めてから開放。 客は全て居留守。電話線は抜く。 よし、これでフルスロットで仕上げれば間に合う。 若さって最高だ――――。 ガチャ 「睦月…お腹すいた…」 【締め切り延期決定】 「睦月、さっき電話で謝ってたけど、どうしたんですか?」 ムシャムシャとハムサンド食べながらロザリーが聞いてきた。 「『原稿が間に合いそうにないから、もう少し待ってくれ』ってな…」 締め切りさえ延ばしちまえば、あとはのんびり仕上げればいい。 ペナルティでギャラは引かれたが。 ハムサンドと一緒に買ってきたジャムパンを粗食しながら、原稿の修正を始める。 「…もしかして、私のせい?」 「締め切りってのは、延ばすためにあるんだ。安心しな」 「…あれだけ謝ってたのにですか?バレバレですよ」 「大体、一週間で0から描き出せって無理なんだよ…」 「大変なんですね…」 「最初は楽しかったぜ?でも段々とつまらなくなってきてな」 カリカリと鉛筆を走らせる。 「…ふん」 ずれた線を修正しようと、消しゴムに手をのばした。 が、掴もうとした手が消しゴムにぶつかり、それを落としてしまった。 「ありゃ?」 「あ、私が取ります」 ロザリーがテーブルの反対側に落ちた消しゴムを、わざわざ拾いに来る。 「どうぞ」 「あ…あぁ、悪い」 …何だ?今のやり取り。 これに似たようなシチュエーションをどこかで見た気が―――。 「そうだ!!私、睦月のメイドになりますね!!」 ――――――そうか、それだ!! 「って、何ぃ!?」 「ヒャ…!!」 精一杯のツッコミに驚くロザリー。 「待ちたまえ。まず問おう。どこでそんなこと覚えた?」 自分が冷静になるように、知的な喋り方を使う。 「テレビです」 ロザリー本人は、いたって冷静に即答する 「メディアめ…!!いたいけな女の子に余計な知識植え込みやがって」 「いけないことなんですか?」 「いや、いけなくはないんだが…」 「……?」 意味が理解できないのか、首を傾げる。 その仕草にちょっと照れる俺がいる。 「…じゃなくて」 自分にツッコミをいれ、再度質問する。 「何で、その…メイドになりたいんだ?」 「ここに置いてもらう以上、何かしないと悪いですし、それに――」 「はい、ストップ」 パンと、手を叩いて発言を中断させる。 「――え?」 「まず、答え言うぞ?」 「………」 「却下」 「何故です?」 「別に俺は、お前をメイドとして置いてるわけじゃないんだ。気にしなくていいよ」 「でも…」 ロザリーは腑に落ちないような表情で、俺を見てくる。 「…そんなに何かしたいのか?」 コクコクコクと何度も頷く。 「ふぅむ…」 脳内ハードディスクをフル回転させ、納得させれる役割を探す…。 奉仕が出来て、俺が気を使わない程度で、難しくない物…。 「ピカーン!!」 該当結果に、うってつけな職業を見つけた。 これならロザリーも納得して、俺も助かる仕事だ。 「アシスタントってのはどうだ?」 「アシスタント…?何をすればいいのですか?」 「そうだな…」 これまでアシなんぞ頼んだ事も無いから、何をするのか検討がつかない…。 この仕事を手伝わせるのは解るが…。 ロザリーを見る。 「ロザリーの場合は、仕事に直接関係無い手伝いって所かな」 「…?」 「例えば、お茶を淹れたり…」 「ふむふむ」 「…お茶を用意したり」 「…………」 「あとは、お茶を出したりだな」 「…お茶係?」 ジト目で見られる。 「うっせぇ、他に思いつかないんだよ」 片手に持ったままだったパンをガツガツと喰らい、茶を飲む。 「…はぁ。…解りました。自分で考えて動きます。ご主人様」 「ブバッ!?―――ゲホッ!!その呼び方やめ!!」 「解りました。睦月」 そういうと、ロザリーは寝室に戻って行った。 「あんにゃろ…わざとだな…」 ―――――――――― 「睦月ー、つまんないから遊んでー」 「ダメダメ、今は仕事で忙しいから、これ片付いたらな」 「むー…」 あれから三日経った、ロザリーが訪問した時に受けていた仕事は何とか片付いたが、 また新しい仕事が転がってきた。 「まぁ、今日一日で片付くから、終わったらどこか遊びに行こう」 「本当?」 「俺嘘言わない」 わざとカタコトで喋る。 「…嘘つき」 「何故解った!?」 「あはははははは!!」 何が可笑しいのか、何がつまらないのか。 ロザリーの性格を掴めて来た気がする。 「ロザリー、お茶お願い」 「あーい」 俺も自然に物事を頼めるようになり、ロザリーもその頼みごとを楽しんでこなしている。 「はい、麦茶です」 コト、と氷の入った麦茶が置かれる。 ちなみに、飲み物などは仕事用のデスクとは離れた、他のデスク(と言っても、手を伸ばせば届く程度)に置かれる。 俺は面倒だから一緒のデスクでいいと言ったのだが、 『万一のことを考えて』と、ロザリーに念を押されやむ無く従った。 「……………」 ロザリーが、俺の描いている絵を見つめていた。 「…どうした?」 「睦月って絵が上手いんですね…」 「まぁ、これで飯食ってるからな」 俺は今、雑誌の記事に使われる動物の絵を描いている。 芸能人が、自分のペットを自慢するコーナーらしいが、 今回紹介されるあの芸能人は、動物嫌いだったはずだ。 まぁ、俺には関係の無いことだな。 俺は、尿意に襲われ、トイレに行くことにした。 トイレから戻ってくると、…ロザリーは、まだ絵を見ていた。 「そんなに凄いか?」 イスに座り、ロザリーに問う。 「ええ、猫なんて、毛並みが凄い細かいし…」 「この犬なんて、本当に生きてるみたい…」 「本当に凄いと思います…」 感嘆と言うのか、ロザリーは心の底から褒めてくれた。 照れくさいが素直に嬉しかった。 「生きてるみたい…か。うん、間違っちゃいないな」 「え?」 「…俺の描く絵には、命が宿るんだ」 「?」 小首を傾げるロザリー。 無理は無い。 ロザリーの前に、右手を差し出す。 「この右手には、俺とは別の命を持っている」 「…………」 ロザリーは差し出された右手を、自分の暖かい手で静かに包み込んだ。 「おかしな話だろうが、ペンを握っている時、時々手に鼓動を感じるんだ」 「本当…睦月の手に触れていると、何だか安心します…」 「俺はこの手を、贈り物だと思ってる」 「…贈り物?」 「あぁ、俺の宝物だよ。この右手は」 ――――――――― 「なぁ、そろそろ手、離してくれないか?」 「もうちょっと…」 「いや、仕事が出来ないから」 「う~…」 ロザリーはしぶしぶ手を放す。 「…これが終わったら、どこかに出かけようか」 「本当ですか!?」 出掛けようと聞いた途端、ロザリーは嬉しそうに俺を見た。 「うおっと…。驚かすなよ」 「あ…、すいません」 しょぼんと、へこむロザリー、 先と正反対の反応は、俺の笑いを誘った。 「あー!!笑わないでくださいよー!!」 「ハハハハ!!」 「笑わないでくださいってばー!!」 「スマンスマン。さて、さっさと片付けちまうか」 楽しみにしているロザリーのために、早く終わらせよう。 俺はデスク向かい、ペンを走らせた。 「あとは…、ウサギとキリンだったな」 何故ペット特集にキリンを描かせるのか理解できない。 まぁ、俺には関係無いんだ。気にすることはあるまい。 カリカリカリカリ… ジー… カリカリカリ… ジー… 「………」 ジー… 「ロザリーさん、やりにくいんですけど」 「あ…、ごめんなさい…」 ロザリーは申し訳なさそうに、俺の作業を見つめるのを止める。 絵が好きなのだろうか…。 「…そうだ、今度ロザリーを描いていいかな?」 「え?私ですか…?」 「おう。ダメか?」 「いえいえいえいえいえ!!嬉しいです!!」 首を横にブンブンと振り、否定する。 「よし、決まりだ」 「楽しみにしてますね」 本当に嬉しそうにロザリーが、小指を立てた右手を俺に向けて出した。 「む…『指きり』か…久しぶりだな」 ロザリーの小さな指に、俺の大きな小指を引っ掛ける。 「約束ですよ?」 「あぁ」 「えへへ…。『指切った』っと」 ―――――――――― 「おーい、ロザリー。早く行かないと日が暮れるぞー」 「待ってくださーい!!」 昼過ぎに仕事が終わり、ロザリーを連れて出かける。 はずだったのだが、準備にやたら手間取ってるらしい。 「ふむ…先に昼飯だな」 つぶやき、自宅近辺から目的地への道にある飲食店をリストアップする。 ファミレスはナンセンスだな。 居酒屋…アホか。 食堂…いや、違う。 うぅむ…。 「お待たせしました」 「お、おう。…って、あれ?」 「えへへ…着替えてきました」 「おぉ…(か…可愛い…!!)」 ロザリーは、上にウサギのディフォルトされたキャラがプリントされた半ソデのTシャツ。 下に、落ち着いた色のロングスカートを穿いていた。 子供には合わない色なのに、これがどうしてロザリーが付けると、しっくりきている。 「よ…よっし、出発するか」 「はい!!」 さて、外へ出たのはいいが、どこで飯を食うか…。 「ん~…」 「ちょっと…、早いですよー」 悩みながら歩く俺に、ロザリーが小走りでついて来る。 「おっと、スマン」 歩調を遅くして、ロザリーに合わせる。 「ふぅ…。睦月さん、今日はどこに行くんですか?」 「ん?それは、着いてからのお楽しみで」 「う~…」 「…今日はいい天気だな」 歩きながら空を見上げる。 午後の日和は気持ちのいい日差しが照らされ、 『この日差しの下で昼寝をしたら、どれだけ気持ちがいいだろう』と思ってしまう。 「屋内で食うのも勿体無いな…」 「はい?」 「いや、独り言だ」 昼飯の予定を、大まかにだが決めて、目的地に向かって遅く歩く。 「ときにロザリー」 「なんです?」 目的地に向かう途中、横を歩くロザリーに前々から気になっていた事を聞く事にした。 「ロザリーって、何歳なんだ?」 ロザリーは小さい身体にしては、言語や行動がやや大人びている。 小学○年生という年齢には見えないほどだ。 「年齢…ですか?」 「そう。…言えないなら別にいいけど」 「いえ、大丈夫です。私は…えっと確か…現世に5996日存在してますね」 存在?…まぁ、人間でないのは最初会った時から解っていたが…。 「と、なると…」 ポケットから携帯を取り出し、電卓モードで計算する。 「…16歳くらいか」 なるほどね…。どうりで、大人びてる訳だ。 「…どうしたんですか?ウンウン頷いちゃって」 「いや、結構大人なんだなって思ってな」 それを聞いたロザリーは、小悪魔的な笑みを浮かべた。 「大人と分かって、結構ドキドキしちゃってます?」 「おう。とっても」 「う…。実も蓋も無い…」 「ふぅむ…。夜に一緒の部屋で寝るのも気まずくなったな」 「だ、大丈夫ですよ。見た目は子供ですし、何なら子供らしく振舞いましょうか?」 「いや、そこまでやる必要も無いだろ」 俺が気にしなければいいだけの話だしな。 「今度は私が質問していいですか?」 「許可しよう」 「睦月は一人暮らしみたいですが、ご両親はどこに居るのですか?」 「地方に住んでる。田舎の方ね」 「田舎ですか?」 「上京してきたんだ。俺」 「そうだったんですか…」 「……………」 「……………」 「あれ?質問終わり?」 「はい」 「そうか。おっと、コンビニに寄らなきゃな――」 「コンビニですか?」 「おう。行くぞ」 「はーい」 ――――――――――― 俺とロザリーが向かっている目的地とは、歩いて十数分の所にある公園だ。 近くに住んでいる人々から、自然公園と呼ばれている。 その名称通り公園内には草木が生い茂り、人々の憩いの場として人気がある。 この公園の特徴は、とにかく広い。面積がバカデカい。 東京ドーム一個じゃ収まりきらないデカさだ。 初めて訪れる人々は、あまりの広さに一目見ただけでは全体の広さを把握できないそうだ。 「よっし、着いたぞ」 「うわー…広い?ですねぇ…」 お前もか、ロザリー。 「俺もリフレッシュする時、ここに来るんだ」 「一番奥が…見えませんね…」 まぁ、ロザリーは小さいからな。 俺とロザリーは、公園内にあるベンチに腰掛た。 コンビニで買ったおにぎりを袋から取り出し、ロザリーに渡す。 徒歩5分間隔で建っているコンビニ全てに立ち寄ったせいで、袋は三種類になっていた。 俺も袋からおにぎりを取り出し、包装を取りかぶりつく 「『焼き鮭』はここがベストだな…」 「ムグムグ…お店によって違うんですか?」 『焼きたらこ』のおにぎりを食べているロザリーが、袋を覗きながら言う。 「あぁ、ベーシックな具は、一軒目で」 一軒目の袋から『おかか』を取り出す。 「ベーシックなものに、工夫を加えたのが二軒目」 二軒目の袋から『サケマヨ』を取り出す。 「三軒目は、未開の味」 三件目の袋から『ピーナッツバター(おにぎり)』を取り出す。 「それ…食べるんですか?」 ロザリーが『ピーナッツバター』を指差す。 「多分食わない」 「…どうするんですか?それ」 「とりあえず、家に持って帰る」 「はぁ…パリパリ…」 ロザリーは、ため息をついて、おにぎりを頬張った。 「うぅむ…」 家に持って帰っても、処分しない事には同じ事だしな…。 だが、食ったらいけない気がしてならない…。 カキーン でも捨てるのは勿体無いな…。 食って腹壊すか…捨てるか…。 「あ!!危なーい!!」 「ん?」 「え?」 声のした方向を二人して向く。 前方には、こっちへ向かって野球グローブをはめた少年が走ってきていた。 表情はかなり焦っているように見える。 「キャッ!!」 ロザリーが上を向いた瞬間、彼女は身を守るように伏せた。 つられて上を見ると、空高く打ち上げられたであろうボールが、こっちに向かって飛んできていた!! 「な―!?」 この角度だと、おそらくロザリーに命中する。 だが、彼女は逃げずに、座ったまま頭を抱えて伏せている。 俺がロザリーの前に立って守ろうにも、間に合わない!! 「くそ!!」 間に合うか!? 無我夢中と言うのだろうか。 とにかくロザリーを助ける事しか頭に無かった。 だが―― 俺がベンチから立ち上がった時には、 ボールはロザリーのすぐ近くにまで、飛んで来ていた。 バシィ!! 「―――!?」 「………………あれ?」 ボールはロザリーに当たる事無く、止まった。 ―――俺の右手の中で。 「…………」 「む…睦月?」 「お…、おう。大丈夫か?ロザリー」 「うん…、私は平気…」 「よかった…。危ねぇからここで野球はやるなよー!!」 ボールを投げ返す。 「すいませんでしたー!!」 ボールをキャッチした少年と、バットを持った少年がすこし遠くで頭を下げた。 「ふぅ…」 座って、ヒリヒリする右手を開閉させる。 「睦月…大丈夫ですか?」 「素手でキャッチすると痛いんだよなこれ」 「睦月…」 ロザリーは俺の右手を取って、そっと自分の手で包み込んだ。 「ありがとう…」 「あー…、お前が無事でなによりだ…」 テレ臭くて、そっぽを向いて言った。 「ねぇ、睦月」 「ん?」 返事をした直後、体の横側に重みがかかった。 ロザリーが俺にもたれかかっているようだ。 「少しこうしててもいい?」 「…あぁ」 「ありがとうございま…す…」 「?」 ロザリーを見ると、彼女は早速スヤスヤと寝息を立てていた。 「…ったく」 寝息を立てているロザリーは、 口に笑みを含み、とても幸せそうな寝顔だった。 空を見上げる。 雲が風に流され、とてもゆっくりと流れている。 今の生活も、この雲達のようにゆっくりと流れて欲しい。 そう…できる限り、この幸せな生活をゆっくり過ごしていたい。 この生活を与えてくれたロザリー。 ロザリーが来てから、俺の生活はガラリと変化した。 今ではロザリーの居なかった頃の生活は、なんと貧相なものかとも思える。 掛け替えのない生活 掛け替えのない同居人 それはとても― ―とても大切な時間だった。 ――――――――――― 「おーい、ロザリー。今日の晩飯どうするー?」 あれからまた数日経ち、 今俺は、骨休め休日を送っていた。 仕事中は忙しくてロザリーに構ってやれなかったので、 この休日を利用して、二人でどこかに遊びに行こうとプランを立てていた。 晩飯を食いながら、どこに行こうか話し合おうと思ったが…。 「私いりません…」 寝室から意外な返事が返ってくる。 「どうしたー?食欲無いのかー?」 「違いますけど…、いりません…」 「……?」 何だか様子がおかしい。 俺はロザリーの部屋兼寝室に向かった。 「ロザリー、入るぞ?」 「…………」 ガチャ 「…ロザリー?って、何で明かりつけないんだ?」 寝室で照明を点けずに何をしていたんだ…? 理解しがたい行動に不信感を覚えつつ、照明を点ける。 カチ… スイッチを押すと、明かりが部屋全体に照らされる。 「…………!!」 光が差したのに反応して、部屋の隅でゴソゴソ動く物体が一つ。 「……何やってんだ?ロザリー」 毛布に包まって部屋の隅に座り込んでる物体に話しかける。 「何でもありません…明かりを消して、部屋から出て行ってください…!!」 擦れた声で、いや、悲痛を含んだ声で俺に言う。 「何でもないって…そんなこと無いだろ?どうしたんd――――――――ッ!?」 全身の血が凍りついた。 眩暈に似た感覚に襲われ、ヨロヨロと後ずさりしてしまう。 「お前…その足…」 「――――!!」 ロザリーは急いで毛布からはみ出した足を中に隠すが、もう遅い。 俺は見てしまった。 毛布から出たロザリーの華奢な足の先端が…、 うっすらと半透明になっていたのを。 「ロザリー…お前…」 「……………」 ロザリーは何も喋らない。 「……ロザリー?」 「……………」 嫌な予感がした。 まさか、このままいなくなってしまうとかは無いよな? 毛布の中で、彼女が俺の目の前から消滅する事なんて――。 俺は慌ててロザリーの被っていた毛布を引っぺがした。 「………はぁ…」 良かった…。 座り込んで、うつむいてはいたが、ロザリーはそこに居た。 「…ちょっといいか?」 「……………」 相変わらず何も喋らない。 その沈黙を了承と取り、俺はロザリーの消えかかった足の先端―― 指を触る。 「…触れるんだな、消えてても」 「―――――ッ!!」 「あ!!スマン…」 くそ…!!もっと言葉選んで喋れば…。 俺の一言『消えてる』は相当ショックだったようだ。 この辛い現実に耐えていたロザリーが、とうとう嗚咽をもらした。 「睦月…私…消えてるんですね…」 嗚咽混じりで、ほとんど言葉にならない言葉を搾り出す。 「もっと一緒に…居たかったよ…」 ロザリーは泣いた。 ロザリーの抑えていた涙が、一気に流れた。 ダムが欠落したかのように泣きじゃくった。 俺にはどうしていいか分らず、ただ彼女の横に座り、傍に居てやる事しか出来なかった。 「どうして…こんな事になったんだ…?」 ロザリーが泣き止み、落ち着きを取り戻した頃、俺は訳を聞いた。 「私…今日までに人を殺さないと…消滅するんです」 「何で…何で今日なんだ…」 「…私がこの世に存在して、今日が5999日目です…」 ロザリーは静かに語りだした。 「私は一週間前にこのナイフを授けられました、この日までにナイフに命を宿せていれば、一人前として、現世に存在する事が認められるんです…」 あの黒いナイフを取り出し見つめる。 「ナイフに命を宿さなければ、そのまま徐々に消えて行きます」 「……!!お前…手まで…その…」 俺は、ナイフを持った手――指まで消えかかっているのに気付いた。 だが、ロザリーは先ほどとは打って変わって、落ち着いた様子で言葉を続ける。 「日が落ち始めてから、だんだんと消えていくのに気付いたんです」 自分の消えかかっている指を眺める。 「おそらく『姿』がだんだんと消えて行き、最後は『存在』自体が消滅するでしょう」 「お前…いいのか?何でそんなに冷静になってるんだよ!!」 立ち上がり、座っているロザリーに言う。 「いいんです…こうなるしか道が無いから…」 「いいや、よくない!!」 「え………?」 「俺を…俺を殺せ!!」 「な…何言ってるの!?」 ロザリーが驚きを隠せない様子で、俺を見る。 「俺を殺せば、お前は消えずに済むんだろ…?」 それを聞いたロザリーが立ち上がり、必死に訴えかける。 「でも…!!それじゃあ睦月が!!」 「俺は自分が死ぬより、ロザリーが消滅するほうが辛い。それにそのナイフで殺されれば、ずっと一緒に居られるんだろ?」 ロザリーと同じ目線の高さまで身を屈め、言葉を続ける。 「それなら、…なにも怖くない」 「―――睦月…それって……」 俺は静かに…優しくロザリーを抱きしめた。 ロザリーの小さな身体は小刻みに震えていた。 冷静に振舞ってはいたが、やはり恐怖を感じ取っていたのだろう。 「これからはずっと一緒だ…」 「やっぱり…睦月は変わり者です…」 「…そうだな」 俺はロザリーを抱擁から開放する。 ロザリーは俺から離れ、立ち上がったときに落としたナイフを拾い、 その手に持ったナイフをじっと見つめる。 「…ロザリー?」 「このナイフを突き立てる相手が…愛した人になるなんて…」 「……………」 「……………」 運命の皮肉というのか。 この時になって、俺とロザリーはお互いの気持ちを知ってしまった。 なぜ、あの日常の中でこの気持ちを伝えられなかったのか…。 俺は心の中で、深く悔やんだ。 「―――!ナイフが共鳴を…」 ナイフの共鳴。 それは、ナイフが俺の命を求めているという事。 そして、最後の時が近づいた合図。 無音の空間… かつて無い静寂が、この部屋を支配している。 「よし、時間が無い…始めよう」 「はい。あの…睦月…」 「どうした?」 「ありがとう…それと―――――ごめんなさい」 「俺の方こそ…ありがとう」 これから死ぬというのに、恐怖という感覚は無い。 とても不思議な気分だ。 ロザリーはナイフを鞘から抜きだし、その刃をあらわにする。 その黒光りをするナイフを持つ手は手首まで消え、ほとんど見えず―― ナイフは、ほとんど浮いているような状態だった。 部屋の中で、俺とロザリーは対峙する。 お互いに見つめあい、二度と垣間見る事は無い姿を目に焼き付ける。 俺はナイフに取り込まれ、彼女を見ることはもう無いだろう。 ロザリーもまた、生きた俺を見る事は無い。 そう…これが俺の最期の刻だ。 俺は深く深呼吸をし、ロザリーに向けて言い放った。 「さあ―――…来い!!」 ……… ロザリーはナイフを構えたまま、こちらを見つめている。 その見つめている目には、迷いが見えていた。 「―――やっぱりダメ!!」 構えを止め、ナイフを下ろす。 「――!?」 「なんで…?何で殺すのが睦月なの!?どうして………どうしてよ!!」 ロザリーが悲痛な声で叫ぶ。 「ロザリー……」 「イヤ……『あなた』を殺したナイフが『あなた』になるなんて…!!」 「私は…!!私は『静川睦月』あなたと一緒にいたいの!!あなたを殺したナイフと一緒なのはイヤ!!」 「……………」 「……他に…方法は無いの…?私には殺せないよ…」 ロザリーが何かに問うように喋る。 「ぐ…何だ…?」 『音』ではない、嫌な『音』が頭に響き渡る。 「――何!?ナイフが!!」 それと同時にロザリーの持つナイフが、怪しく発光し始めた。 「まさか…、ダメ!!お願い、止まって!!」 「ど…どうしたんだ!?」 痛い頭を抑えつつ、ロザリーに聞く。 「私が『殺し』を完全に否定したのと、睦月が『死』を望んだことで、ナイフが自らの意思で睦月を殺そうとしてるんです!!」 ロザリーは、まるでパントマイムをしているかのように、 肘の部分まで消えている腕で懸命にナイフを抑えかかっている。 「ロザリー…力を抜け」 「ダメ…!!そんなことしたら睦月に――!!」 「俺はロザリーに殺されない。そのナイフに殺されるんだ」 「そんなの…ダメ!!止めて!!」 ロザリーが必死に抑えているが、そうは長く持たないだろう。 ナイフが俺を貫く刻は、もう目前まで近づいている。 おそらく俺がさらに強く『死』を望めば、ナイフはその勢力を強めるだろう。 「ごめんな。ロザリー…」 「イヤ…、睦月…睦月!!」 「さあ、黒色のナイフ―――俺を殺せ!!」 痛みを増す頭痛。 ナイフが一段と俺の命を欲しがった証拠。 ナイフはロザリーの手のある位置から少しずつ動き、 一定の場所を越すと、凄まじいスピードで俺に向かって飛んできた!! 「イヤーーーーーーーーーーーーーーー!!」 ロザリーの叫びが、ナイフが俺の身に突き刺さる音を掻き消した………。 ――――――――― …死ぬ時には痛みも無ければ、意識もはっきりしているものなのだろうか? そして、自分が立っているという感覚になっているものなのだろうか。 …………立っている? 「…………あれ?」 どうやらあの瞬間、目を閉じていたらしい。 目を開けてみると、自分の部屋に立っていた。 「………睦月?」 声のする方を見ると、ロザリーが立っていた。 不思議そうな顔をしていたロザリーだが、その顔がみるみると泣き顔になっていく。 「……俺死んだ?」 「バカ…生きてるわよ…ッ!!グズ…うわあぁーーーん!!」 ロザリーの猛烈なタックルを受け、思いっきり押し倒される。 「…変だな。確かにナイフが飛んできた気がするんだが…」 上半身を起き上がらそうとして、床に手を付く。 右手に違和感を覚え、その右手を見る。 「…………なんじゃこりゃあ!?」 「グス…え?」 俺の右手は、黒いナイフがグッサリと貫通していた。 「……痛くないし、血も出てないな…ぬ…抜いていいか?コレ」 そう、その貫かれた右手は、痛みも無く、血も出ていなかった。 「多分…グス…大丈夫だと思う」 抜く際にメキメキグチャグチャとかグロテスクに鳴ったら嫌だなと思いつつ、ナイフを引き抜く。 案外、そのナイフはするりと抜け抜く際にも痛みはなかった。 一体どうなってるんだ? 「何でこのナイフが俺の右手に刺さってたんだろうな」 今はもう共鳴を起こしていないのであろうナイフを見る。 「…睦月、そのナイフ貸して」 「ん」 ナイフを渡す。 「………やっぱり」 「どうした?」 何か確信が持てたように、うなずくロザリーに聞く。 「今このナイフには命が宿っています」 「………俺は死んでないのに?」 「睦月、あなたは以前言いましたよね?」 「………?」 「『この右手には、俺とは別の命を持っている』と――」 「…まさか……」 「ナイフは、間違いなく睦月本人の命を求めていました。ですが、刺さる直前に右手が動き、ナイフを受け止めたんです」 「全然記憶に無い…」 「睦月の右手は、『生きて』あなたを守ったんです」 俺は今は穴が開いている右手を見る。 「今は多分あの絵は描けなくなってます」 ロザリーが俺の右手を包む。 「…睦月の右手は、常人と何にも変わらない右手に戻ったんです」 「…いいんだ。ロザリーが消えないですんだなら」 俺の右手を包むロザリーの手は、前と同じ華奢な指が見えるようになっていた。 「これからは…ずっと一緒にいられるんだよな?」 ロザリーの顔を見る。 「あの…このナイフを提出して来なきゃいけないので、もう少し待っててください…」 申し訳なさそうに、言う。 「締め切りは守れよ?」 「あなたに言われたくありませんよ」 「言うねえ、ハハハハハ…包帯どこだっけな…っと」 穴が開いたままでは何か嫌なので、包帯を取りに立ち上がろうとした、 「………あれ?」 突然意識が遠のき、そのまま仰向けに倒れる。 …体が動かん 「あらら…手のとはいえ、命を吸われましたからね。体は相当衰弱してるはずですよ。今日は休んでてくださいね?」 「うがぁぁぁ…」 喋ろうにも、口の神経全体が麻痺して喋れない。 「さて…と。私はすぐにこれを提出してきます。日付が変わればどちらにしろ私は消えてしまうので」 倒れてる俺の顔を覗き込み、ロザリーが心配そうな顔をする。 何か訴えようにも、体が言う事を聞かない。 「それじゃあ、風邪を引かないように気を付けてくださいね?行ってきます!!」 そう言うと、ロザリーはパタパタと玄関の方に走って行った。 「行ってきます!!」 玄関で元気な声が聞こえた。 だが、いつまで経っても玄関のドアが開いた音はしなかった。 「あっがが…(行ったか…)」 俺は静かな部屋のなかで、布団も何もかけられずに放置されていた。 唯一部屋の中で音を出している時計は11時30分を差していた。 ~エピローグ~ 「これラスト一個っすね?」 筋肉の目立つ作業服を着た茶髪青年が、確認をしてきた。 「はい。あとは手荷物です」 手荷物と言っても、黒電話とスケッチブックと鉛筆 カメリーメイトが入ったボストンバックだが。 「それでは、家具は自分ら持っていきますんで」 「はい、ご苦労様です…っと、そうだそうだ。これ、みんなで飲んでください」 キッチンに戻り、置いておいた500mlpetのお茶が10本入った袋を渡す。 「ありがとうございます!!」 補給物資に大げさに茶髪の頭を下げ、精一杯の感謝の意を示す。 「では、お願いします」 「はい、お任せください!!では!!」 茶髪青年は、また一礼し玄関を出て行った。 ―――――――――――― 「さてと…忘れ物はっと…」 閑散とした部屋を改めて見る。 「やっぱ、家具が無くなると広くなるなー…」 家具が一つもなくなったこの部屋で、 目に付くものと言えば、あの黒電話だけだろう。 「ふむ…家具がなきゃ忘れれる物も忘れられんな…」 もちろん備え付けの棚などに入っていた物は業者によって全て撤去され、今はトラックの中だ。 ポケットに無造作に突っ込んでいた右手を見る。 ――穴は開いていない。 いつ塞がったのか覚えてはいない。 だが、俺の絵の才能はきっちり失われていた。 絵の仕事が出来なくなった事で、仕事はサッパリ来なくなった。 まぁ、正当な理由で引退するんだ。文句は無い。 「…となると、あとは『忘れ者』を待つだけだな」 黒電話の横に座る。 あれから五日ぐらい経ったが…未だに連絡が無い。 「まぁ、待ってれば帰ってくるだろ…ふぁ~…」 アゴが外れそうなほど、でかいアクビをする。 窓から差し込む光がぬくもりを提供し、昼寝に丁度いい体温に保ってくれる。 「果報は寝て待て…か…」 いつ帰ってくるか分らない最後の荷物が来るまで、 午後の睡魔にひれ伏す事にした。 「つき…睦月…」 遅いぞ…ったく、いつまで待たせるんだ? 「ゴメンね…本当にゴメンね…」 …いや、そんなに謝らなくていいから。俺もそんなに怒ってないし…。 「ううん…違うの…ゴメンね…睦月」 …どうしたんだよ。違うってどういう意味だよ? 「睦月…ゴメン…ね…」 …ロザリー?―――ッ!!おい!待て、消えるな!! 「―――――!?」 …夢か…人生最悪の悪夢だな…。 「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…くそ…」 心臓が激しい運動した後のように暴れている。 「…嫌な夢見ちまったな」 ――これがお前の物語の結末なのか? 間に合わなかった事なんて…ないよな? ジリリリリリリリリリリリリリ!! 傍らに置いていた相棒の黒電話が叫ぶ。 「……………」 何をためらう事がある、電話の先の相手は分っていることだろ…。 震えている手で受話器を取る。 チン… ―――もし…もし電話の先が、彼女じゃなかったら――― ――彼女はもう…存在していないのかもしれない―― マイナスな思考が、頭で交差している中、俺は受話器を耳に当てた。 「…もしもし?」 ガチャン!! 「っと!?」 いきなり切られてしまった。 「………」 無機質な音の繰り返しが聞こえる受話器を耳に当てたまま、 俺の思考と体は固まってしまった。 ――――――― ピンポーン 「……………」 引越しって聞いて新聞の何かが来たか? …居留守だ居留守… ピンポーンピンポーン 「……………」 しつこいな… …………… 音が止んだ。諦めたか。 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン!! 「だー!!うるせー!!」 うるさい忘れ者を玄関に迎えに行く。 ガチャ 「うっさいわ!!」 ドアを開けた直後、目の前にあったのは 鎖骨でした。 「睦月ー♪」 そう。帰ってきた同居人は、こともあろうに帰ってくるなり飛びついてきた。 「って、馬鹿、あぶねって!!うわ!!」 「キャ!?」 勢いをつけすぎたロザリーに、そのままなぎ倒される形で倒れる俺。 ロザリーはロザリーで、俺が倒れた事によってそのまま俺に被さる形で倒れこむ事になった。 バターン!! 「アイタタタ…睦月大丈夫?」 「あぁ、お前こそ…大丈夫か?」 「うん、ありがと…」 ロザリーを立たせてやり、スカートの裾の汚れを叩いてやる。 汚れをある程度落とした所で、ロザリーが何かを言ってもらいたそうな顔で俺のことを見ているのに気付いた。 帰ってきた同居人が、もらって嬉しい言葉か…。 一人暮らしの間に、その言葉の価値をすっかり忘れていたかもな。 「…おかえり。ロザリー」 「ただいま!!睦月♪」 俺とロザリーは、お互いに幸せな笑顔を浮かべていた。 「で、提出は間に合った――んだよな。消えてない所を見ると」 すぐにでも聞きたかった、無事に間に合ったかどうかを。 「えへへ…間に合った事は間に合ったんですけど…」 「…けど?」 「ナイフに『命』は宿っていても『意識』が入っていなくて、ちょっと問題になったんですよ」 刺したのは手だもんな…。 「で、どうなった?」 「協議の結果、大まかだが合格と言う事になったのですが…」 「…ですが?」 「ペナルティーとして、『姿はしばらくそのままにしてろ』だそうですぅ…」 ここまで言い、ロザリーはガクンとうなだれる。 「ハハハハハ!!」 「笑い事じゃないですよー!!せっかく16歳の身体に成長できると思ったのに…」 「結構コンプレックス感じてるのか?」 「うぅ…」 「まぁ、そのうち大きくなれるって。気長に待ってような?」 「何か上手く丸められてます…」 ちょっとふてくされたロザリーを閑散とした居間まで招待する。 ――――――――――――― 「…にしても、何も無くなりましたねー」 「まぁ、仕事がなくなっちゃあな。ここにいる必要も無いわけだし」 壁に寄りかかるように座る 「でも黒電話は残してるんですね」 ロザリーは放られた受話器を元の位置に戻す チンと小さく鳴り、黒電話は受話器を乗せた本来の姿に戻る。 「そういえば。…ロザリー」 「はい?」 返事しながら俺の隣にチョコンと座る。 「何で電話しなかったんだ?」 そのために電話の横に待機して待ってたってのに…。 それを聞くと、ロザリーは舌をペロッと出し―― 「一度電話してから行こうと思ったんですが、何だか急に恥ずかしくなっちゃって…」 すぐ切れた電話の張本人はロザリーだったようだ。 「でも、その後また電話したんですよ?でも、それからずっと通話中で…」 ずっと受話器持ってたからか…。 「何で繋がらなかったんだろうなー?」 「受話器が戻されていませんでしたからね」 「ぐ…スマン…考え事してた」 「ふふふ…」 「な、何故ここで笑われる?」 「だって、受話器も戻さないで、何考えてたのかなって…ふふふ」 「聞きたいか?」 「いえ、予想付いてますので…あれ?あれってスケッチブックですか?」 「何でもお見通しか…ん?見るか?」 俺はバックからはみ出たスケッチブックをロザリーに渡した。 「きっと驚くぜ?」 そのスケッチブックには、俺の渾身のサプライズが施されている。 一枚…また一枚とページがめくられていく…そこら辺は暇つぶしに描いた風景画だ。 そろそろだな…。 「―――――!?」 ある一枚のページを見たとき。 彼女はハッと息を飲んだ。 「睦月…これって…」 「そう。お前だよ…ロザリー」 スケッチブックの数枚に描かれた一人の少女。 黒髪が似合い、無理に敬語を使って、とても可愛い俺の…【俺の家族】 笑顔のロザリー、窓から遠くを見つめているロザリー、俺に寄りかかってスヤスヤ眠るロザリー…。 【あの右手】と比べれば、お世辞にも上手くは無かった。 だが、これでも美大に通っていた身だ。風景画だってそれなりに構成はちゃんとしている。 「この前約束しただろ?」 「約束…?」 「あの右手じゃないけど、上手く描けてるだろ?」 「―――――あ…」 「誰が言ってたか忘れたんだけどさ、絵を上手く描くコツは、腕前でもセンスでもない…心なんだってな。俺がロザリーを描くのに、命を持った右手は必要ないんだ」 「睦月…睦月ぃ…!!」 ロザリーがボロボロと涙をこぼしながら、泣きついてくるを受け止めてやり、 優しく背中をなでる。 「嬉しいよ…!!私――!!私嬉しい…ッ!!」 「よかった…そんなに喜んでもらって俺も嬉しい…」 ――――――――― 「ねぇ…睦月…」 「ん?」 泣き止んだロザリーは、今でも俺にべったりくっついている。 「睦月はこれからどうするの?」 「田舎に帰るよ…もちろんロザリーを連れてな」 「ふふふ…ありがと―――…。うん、決めた」 「ん?」 ロザリーは何かを決意したかと思うと、光を従えた瞳で俺を見つめた。 「私と睦月は…ずっと―――ずっと一緒ですよね?」 …俺はロザリーを失いたくない、それは命に代えても護りたい尊い存在だから。 ロザリーは俺の同居人であって、家族でもあり――――。 掛け替えのない【恋人】だ。 「あぁ、ずっと一緒だ。これからずっと―――」 その言葉を聞くと彼女はクスリと笑い、こう言った。 「私ロザリー…ずっとあなたと一緒にいます――。」 アトガキ 長編SS読破 おめでとう&ありがとうございます。 久々に電波にやられて書いたSSいかがでしたか? 性格が正反対のメリーとロザリー メリーSSは、メリー・隆一・俊二・山やんetcが出るギャグや、 軽いノリで書けるのに対して、 睦月とロザリーだけで進む物語は難産でした。 (特にロザリーは毛布に包まっている部分は、表現をどうするかで詰まってた) そんなとき、ふらりと訪れたVIP板のラジオスレで、住人のクオリィティの高さに胸を撃たれ、一気にエピローグ前まで筆を進められました。ありがとう住人のみんな。 (アクエリ流れたら点呼スレ:どんなに疎開してても、アクエリが流れた途端に【一万年と二千年前か愛してる】のSSと共に大量のレスが来る素敵なスレ) その後、完成したSSを友人に見せた所、絶賛してくれました。 素直に嬉かった。 一応読み切りの予定ですが、もしかしたら続編を書くかもしれない。 (右手の秘密とか、ロザリーの出生とか。まだ未解決の部分がある) それでは、読んでくださった方ありがとうございました。 また続編で(ぁ
https://w.atwiki.jp/ikuji_kakushitsu/pages/225.html
498 名前:!投稿日: 02/11/15 23 28 ID VUG3Cqhf うちのばばあ(姑)は妊娠したとき 「飼っている猫は処分しなきゃだめよ」ってのたまわった 「じゃあお義母さんのところで飼ってもらえますか」って言ったら 「うちはだめだめ 高速道路の途中のサービスエリアあたりで 捨ててきなさい そうすれば帰ってこれないわよ」って言った 鬼ばばあです 503 名前:!投稿日: 02/11/15 23 39 ID VUG3Cqhf 今日も電話かかってきた 子供が左手が起用な話をしたら 「左利きはみぐさいから 止めさせなさいよ」 って みぐさいって 何? 次のお話→7-505
https://w.atwiki.jp/slimemaoyaruo/pages/623.html
\ ̄ ̄ >==-- 、 <´ ̄ ̄ `ヽ /レ’ __, `'' ー 、 `ヽ.._ / / / , ヽ ∨ _,,. ´ O{ ∨ ハ } . \ j/ { {/⌒ `ヽ ハ i 、_>- _ r< i |マi沁、 } /ィ } .} \__ ヘ `ヘ. ',. ゞ'' j/{ツ.ハ ハ\ / >-rヘ ト{ 、 _' 八 / }//>===-r- 、 < ___ ノj / 乂ハ ! > __ .イ } /ノ /{r==く {(_)} _____ _ , -ァ=-..、芥__〈 .j/./´ ̄''ア ノにソ>、 ,..x</////////{ く { { ー' ` ./ 二ニ}/////////\ ,.ィ//////////////乂 \ .ヘ 乂 、 { `ヽ.V///´ ̄ ̄`ヽ//ヽ ////////////////////≧==--ヽ .ヘ >、;;;;;;;;;;;;;; ', `ソ }ヽ/{ \/ハ /////////////////////////////{ \__乂 r--ゝ<ソ ノ ∨} /////>'' ´ ̄`ヽ/////,>-<////⌒ヽ/ ハ >-ゝ--O、_ゝ リ >'' ´ ∨// ∨/ ノ ! ', ', , __ }/ __j/__ } ; ノ⌒ヽ ', ', 乂 / } r'' ー>==t'_ノ 〈 > 、 { __ソ /⌒Vー、 { i ≧.、 Y `ヾ´ }} 乂 >--、 ヽ ./ゝ、 ==} }イへ ゙Y _人 }/⌒i ´ \ ヽ ./ / ハ \ }´ r-く { ≧=-- 彡}/ / / , Yー-- ノ { Y 乂 乂__ノ i } } \ ─────────────────────────────────────── 名前 ロザリンド・マルヴィン 役職 マルヴィン家の当主 性格 誇り高い 種族 純血種 HP 2000 戦闘能力 魔族中位(中の上) 戦闘方法 魔法・銃 やる夫評価 油断ならない 《能力》 【自動】 淑女の煌き 戦闘に出ている時に男性メンバーの攻撃力を2割上げる 【選択】 ローズリバレート 戦闘時に一回だけ敵全員にダメージ減衰なしで攻撃できる 選択 《装備》 闇払いの銃 闇属性や妖怪に対して2倍ダメージ 《スキル補足》 《備考》 『余も余だけを愛してくれる いつもはへたれててもいいから 大事な時に余を護ってくれる余だけの王子様が欲しいいいぃっ!!』 概要 人柄/経歴 能力 やる夫に対する評価 コミュ考察 《関連項目》