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キャラシート【としあきの聖杯戦争TRPG】 最新ルール(17/11/06)版・基本データ 【名前】比良坂 智也 【容姿】黒髪碧眼の少年 【願い事】 【その他】秩序・善 男性 【バッドエンド】省略 【グッドエンド】省略 【令呪】4/4(+1) 【HP】5/5 【筋力】E:1 【耐久】E:1 【敏捷】E:1 【魔力】E:1 【幸運】E:1 【スキル1】召喚術式・英傑:エクストラクラスを召喚できる。 【スキル2】霊基接続:作成時、英雄点を5減らし、令呪を一画増やす。 詳細情報 名前:比良坂智也(ひらさか・ともや) 年齢:19 身長・体重:170cm・62kg 血液型:A型 好きなもの:読書(主に英雄譚) 嫌いなもの:魔術師 特技:暗記、トランプゲーム 起源:復興 属性:秩序・善 魔術属性:水 魔術系統:召喚術、降霊術、支配 魔術特性:防御 魔術回路: 質:B / 量:C/ 編成:C 始まりの御三家のひとつ『マキリ』の遠い血縁にあたる、比良坂家の五代目当主。 世界線の異なる彼とは違い、こちらは大戦による魔術系統の断絶はなく、先代までに体系化したものを受け継いでいる。 時計塔の降霊科に所属し、推薦を受けてカルデアへと渡った。 魔術属性は『水』、系統は『召喚・支配』とマキリの魔術に似通った傾向にある。 魔術師としての実力は高く、専門とする召喚術・降霊術以外にも様々な術式を一定以上に使いこなす。 残滓特異点の攻略においては、極限状態の中異なる世界線の自分を降霊し憑依させ、魔術回路の全体強化を行うという離れ業をやってのけた。 時折、誰のものか分からない声が聞こえる現象に困らされている。 「語りかける声に応えてしまうと、自分が自分じゃなくなる気がする」とは本人の弁。 しかし魔術王の陰謀を阻止してからは、その頻度が格段に減ったという。 +主な魔術 召喚術式・英傑 ヴィーゾフ・ギロイ。 死した魂を降霊しする、召喚術と降霊術の中間のような魔術。 専ら聖杯戦争に関係する事例のときにのみ用いる。 抑止力の監視を避けるような術式構成になっているため、特殊な人物・サーヴァントを狙って呼び出すことが可能。 別の世界線の自分ほどの異質さは持たないが、グランド・オーダー発令下であれば十分にその力を発揮する。 降霊術式 ネキュイア。 自分もしくは別の対象を用いて、死者の魂を憑依させる魔術。 この術式は基盤であり、様々に派生させることが可能。 +関連人物 シールダー 残滓特異点の修復に際して召喚したサーヴァント。 触媒無しで召喚した場合、第一候補に必ず入るほど縁があるらしい。 比良坂 智也 異なる世界線における同一人物。当然ながら面識はない。 カルデアの彼が様々な魔術を使いこなす優等生であるのに対し、こちらの彼の魔術は召喚術に特化している。 間桐家(マキリ家) 比良坂家の魔術の本流。 間桐家の顛末について知ってはいるが親交は無いに等しく、当主との面識もない。 ゲーティア 魔術師を嫌っていることの原因。 人理を存続させるため藤丸立香とカルデアが打倒した、一連の事件の真犯人。
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「それじゃあ、またねー! 三風ちゃん!」 「うん、またね。ウェンディちゃん」 夕焼けの空の下、手を振りながら茶髪の女の子とお別れした。 彼女はウェンディちゃん。私が通う中学校の留学生で、日本語がとても上手なんだ。 私のクラスに転入したウェンディちゃんとは席が隣同士。その縁でいっぱいお話しするようになって、仲良くなったの。 まだ、家には呼べていないけど。 「明るい子だな、ウェンディちゃん。でも、あの子もNPC……なのかな」 ウェンディちゃんの背中が見えなくなった頃、私は呟く。 私、宮美三風は聖杯戦争のマスターに選ばれちゃったの。 どんな願いでも叶えてくれる神秘の器……聖杯を巡り、マスターとサーヴァントがペアを組んで戦って、生き残らないといけない。舞台となった街には、現実に生きる人達を元にしたNPCという住民が暮らしているみたい。 でも、どうして私がマスターになったのか、未だにわからないよ。 気が付いたら、頭の中にたくさんの情報が詰め込まれちゃった。最初はパニックになりそうだったけど、サーヴァントさんのおかげで落ち着くことができた。 「……私、誰かを押し除けてまで叶えたい願いなんて、ないんだけどなぁ」 道を歩く生徒の数が少なくなった頃、ため息混じりに呟く。 聖杯を手に入れれば、どんな願いでも現実にできる。とても素敵な話に聞こえるけど、その為に誰かを傷付けるなんて絶対にイヤだ。 それは、私の素敵な家族だって同じだから。 私の生活は、普通の人たちとはちょっと違う。 赤ちゃんの頃に施設に捨てられたから、私はお母さんの顔や声を知らない。 かんろ児院という施設に預けられ、家族のことを何も知らないまま育てられた。赤ちゃんだった私が入っていたバスケットには、『宮美三風』と書かれたタグが添えられていたから、そのまま私の名前になっている。 そして、バスケットには水色に輝くハートのペンダントも入っていた。私とお母さんを繋いでくれるたった一つの宝物だから、いつも持っているよ。 そんな私だって、いつまでも子どもでいられない。 中学校と高校を卒業すれば、社会に出て働く義務が生まれる。かんろ児院を離れて、誰の助けも借りずに一人で生きていくことはとても不安だよ。 でも、私の日常に大きな変化が訪れる。ある日、国の偉い人から『中学生自立練習計画』という練習が持ちかけられ、施設を離れて同じ年代の女の子と一緒に暮らすことになったんだ。 毎日のお仕事はもちろん、料理や掃除などの家事、病気になった時の備えなど……社会に出て生活するには大変なことがいっぱいある。将来、自立が必要になった時の練習として、私はこの計画に参加することを決めた。 そうして、施設から出た私が訪れた『家』には……私と全く同じ顔の女の子が3人もいたの! ひとりぼっちだと思っていた私には、姉妹がいることがわかったよ! 四つ子の四姉妹がいて、私・宮美三風は三女なの。 しっかり者で頼りになる長女の宮美一花ちゃん。 とても明るくて関西弁の次女の宮美二鳥ちゃん。 おとなしいけど頭脳明晰な四女の宮美四月ちゃん。 みんな、私の自慢の家族だよ! だけど、素敵な四つ子の暮らしはメチャクチャにされてしまう。 何の前触れもなく、私だけが聖杯戦争に巻き込まれちゃって、いかりを覚えているよ。 みんなはいなくなった私を心配しているだろうし、もしかしたら他のみんなも聖杯戦争に巻き込まれているかもしれないと考えると、不安になる。 「……ウェンディかぁ」 「わあっ!?」 いきなり後ろから声が聞こえてきて、私はビックリしちゃう。 振り向くと、私のサーヴァントさんが姿を現していた。普段は霊体……透明になって私を見守ってくれるみたいだけど、自分の意思で姿を見せてくれるの。 背中に大きな剣を背負い、銀色に輝く兜や鎧を纏っていて、まるでおとぎ話に出てきそうな騎士だった。体格もよくて、赤い髪もライオンのたてがみのようにボリュームが溢れているよ。 この人はデュランさん。セイバーのクラスになって、私のサーヴァントとして召喚された男の人なんだ。 「でゅ、デュランさん!? いきなり出てこないでくださいよ!」 デュランさんが唐突に出てきたせいで、私の心臓はバクバクと音を鳴らしている。 「わ、悪い! マスター! 驚かせちまって…… いや、あのウェンディって女の子が、俺の妹によく似ていてよ……」 「妹? もしかして、デュランさんにも妹さんがいるのですか?」 「あぁ。俺のたった一人の妹さ。 父さんと母さんは、俺がガキの頃に亡くなった……身寄りのない俺達を、ステラ伯母さんが育ててくれた。 俺の父さん……ロキは、本当にスゲー騎士だったんだぜ? 黄金の騎士と称される程に強くて、俺はそんな父さんに憧れて剣の道を目指したのさ。 ウェンディやステラ伯母さんだけじゃない……みんなを守れるようになる為にな!」 どこか寂しげに、それでいて誇らしい瞳でデュランさんは語る。 不謹慎とわかっているけど、デュランさんが羨ましかった。私は施設に預けられたから、お父さんとお母さんの顔は知らない。私のお母さんは雅さんという名前だけど、どこで何をしているのかわからないよ。 だから、家族と一緒に育ったデュランさんが、私にとって遠い存在に見えちゃう。 「素敵なお父さんだったんですね」 でも、デュランさんの姿はとても大きく見えた。 デュランさんのお父さん・ロキさんは今も生きている。デュランさんの心の中で、いつだって支えてくれているはずだ。 雅さんだって、遠くから私のことを励ましてくれている。ペンダントがある限り、私とお母さんは繋がっているから。 「当たり前だろ? いつだって、父さんは俺に道を示してくれているのさ! 俺は父さんに負けないよう、どこまでも強くなりたいと思ってるぜ! 黄金の騎士ロキから、多くのものを受け継いだ騎士として……そして、一人の男としてな!」 「そっか……とても、いいことですよ! あっ、でも……」 「どうしたんだ? マスター」 私の声のトーンが落ちて、デュランさんは首を傾げてしまう。 「……それって、他のマスターさんやサーヴァントさんを傷付ける……って、ことになりますよね?」 ずっと気になっていた疑問を、私は口にした。 デュランさんはとても頼りになる人だよ。そのテンションには置いて行かれそうになるけど、私を本気で守ってくれる。 でも、その為に他の誰かが死ぬかもしれないことを考えると……私の胸は苦しくなる。 願いが叶うなら、今すぐ家に帰りたい。でも、それは私だけじゃなく、他の人たちも同じのはずだよ。 「確かに、そうなるな。もしかしたら、相手の命を奪うことになるかもしれねえ」 「……どうにか、なりませんか?」 「それができたら、みんな幸せだろうな。父さんだって、きっと命を落とさずに済んだかもしれねえ……でも、どうにもならねえ相手もいるのさ」 デュランさんの目はとても真剣だ。 デュランさんだって相手の命を奪いたいと思っていない。でも、世の中にはどうにもできない相手もいる。 そんな人たちから、みんなを守りたいと願ったからこそ、デュランさんとロキさんは強くなったはずだよ。 デュランさんの言うこともわかる。世の中には、どうにもならない相手がいることも事実だよ。 例えば、二鳥ちゃんの里親さんになってくれた佐歩子さんと武司さん。あの二人は一方的な思い込みから、愛する娘として育てていた二鳥ちゃんのことを遠ざけて、そして二鳥ちゃんを捨ててしまった。 二鳥ちゃんがどれだけ気持ちを伝えても、あの人たちは二鳥ちゃんの話に耳を傾けず、自分達の都合のいい理屈をふりかざした。 そんな二人のことを二鳥ちゃんは許してくれた。でも、二鳥ちゃんは泣いていたよ。 だから、私は……私たちは今の家族を絶対に捨てたりしないと、心から思うようになった。 「……ただ、俺の剣は誰かを守るためにあるのさ。マスターだけじゃない。マスターの家族のことだって、俺が守ってやるよ」 私の心を察しているように、デュランさんはニッと朗らかな笑みを見せてくれる。 「ありがとうございます、デュランさん」 「いいってことよ。さっき驚かせたお詫びさ! 今度からは、出てくる前にはきちんと声をかけるぜ!」 夕焼けの下、デュランさんの声は豪快に響く。 とても頼りになる姿で、胸が熱くなりそう。私達にお兄さんがいたら、こうしてお話をしながら歩いたりするのかな。 今度、双子の兄弟のトウキくんとリオくんに聞いてみようかな。 そうして、私は家に帰る為に歩き続けている。 私達四姉妹が暮らすようになった大切な家が、この世界にもある。 家の作りは全く同じ。一花ちゃんも、二鳥ちゃんも、四月ちゃんも、私の大切な家族はみんな暮らしているよ。 だけど、もしかしたら彼女たちはNPCかもしれない。そんな不安が、私の中で芽生えていた。 みんな、いつもと変わらない様子で私と暮らしてくれる。 でも、私の大切な家族が利用されることが許せない。まるで、私たちの生活を踏み荒らされたみたいでいやだ。 もちろん、例えみんながNPCでも、私は否定するつもりはないよ。だって、無理やり生み出されただけのみんなに、責任なんてないから。 (そういえば、もしも私たちがみんなNPCになっていたら、私達は四つ子じゃなくて八つ子になるのかな?) ふと、私の中で疑問が芽生える。 たとえば、朝に起きて一花ちゃんに「おはよう」を言うと…… 「おはよう、三風!」 「「おはよう、一花ちゃん!」」 ここにいる私と、NPCの私が同時に挨拶をしちゃうの。 そんな光景を、二鳥ちゃんは楽しそうに笑ってくれるはずだよ。 「あははっ! 一花、今どっちの三風ちゃんにおはようって言うたの? 今のうちらは、四人じゃなくて八人になったことを、忘れたらあかんって!」 「それを言うたら、うちらも同じやろ? うち、宮美二鳥だって、二人もおるんや!」 「ホンマや! うちは二鳥やから、二人もいるんやな!」 二鳥ちゃんだって、私が知っている二鳥ちゃんとNPCの二鳥ちゃんで二人もいる。 そうすると、家の中がもっと明るくなるよね。 「そんなのんきな話じゃないわ! 私たちが8人になったら、これからの生活がもっと大変なことになるのよ?」 「その通りよ! 食事代だってかかるし、洗い物や洗濯物だって増えるわ。スケジュールだって、見直さないといけないし……」 「「……くすっ」」 二人の一花ちゃんも、この状況に悩むかもしれないけど、お互いに支え合うはずだよ。 だから、文句を言いつつも、笑ってくれるかもしれない。 「えっと……僕たちで、これからの呼び方も考えませんか? 今まで通りだと、不便かもしれませんし」 「そうですよ。三風姉さんも、同時に応えちゃいましたから……人間の僕たちと、NPCの僕たちで、それぞれわけた方がいいと思います」 四月ちゃんだって、二人になっても落ち着いてアイディアを出してくれる。 むしろ、四月ちゃんが二人になれば、推理力だって二倍になるのかな? 入学当初、私たちが同じクラスになったら、どうなるかを想像したことがある。 人間の私たちと、NPCの私たちが一緒に暮らすことになったら、大変なことになるのは確かだよ。でも、今まで以上に、おもしろいことになりそうだね! 「ふふっ!」 「どうした、マスター? 何かいいことでもあったのか?」 「はい! 私の周りには、素敵な人たちがいっぱいいることに、嬉しくなったんです!」 家で待ってくれている家族のみんなと、私の隣を歩いてくれるデュランさん。 私は過酷な戦いに巻き込まれちゃったけど、落ち込むことはない。だって、私のことを想ってくれる人が、たくさんいる。 だから、私はいつだって笑っていられるよ。 【クラス】 セイバー 【真名】 デュラン@聖剣伝説3 TRIALS of MANA 【属性】 秩序・善 【パラメーター】 筋力:A+ 耐久:A 敏捷:B 魔力:E 幸運:C 宝具:A 【クラススキル】 対魔力:B 魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。 単独行動:C マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。ランクCならば、マスターを失ってから一日間現界可能。 【保有スキル】 クラス4:A 大魔術師グラン・クロワの導きを受けて、黄金の騎士ロキとの一騎打ちに勝利したデュランが得た力。 勇気のオーブにより、デュランは比類なき力を発揮できる。世界を破滅に導こうとする大魔女アニスが相手になろうとも、決して負けることはない。 【宝具】 『救世主が振るうは、光陣剣(トライアルズ・オブ・セイヴァー)』 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:‐ 最大補足:1人 クラス4・セイヴァーにクラスチェンジしたデュランが振るう光の剣。 魔法陣で敵を拘束し、光の如く勢いで駆け抜けながらダメージを与えて、最後に極光を炸裂させる。 斬撃はもちろん、その輝きを浴びた者は致命傷を避けられない。 【Weapon】 勝利の剣 【人物背景】 草原の王国フォルセナで生まれ、黄金の騎士と称された父・ロキに憧れて剣士に憧れた青年。 強さを得るために自己研鑽を欠かさず、負けず嫌いな性格。言動は荒っぽいが、身近な人間からは慕われており、英雄王リチャードに対しては敬意を欠かさない。 その実力はフォルセナでもトップレベルで、祖国を守るファイターとして活躍していた。しかし、ある夜に魔法王国アルテナから紅蓮の魔導士の襲撃を受けて、圧倒的な魔力に敗北する。 幸いにも命は助かったが、紅蓮の魔導士の犠牲になった仲間は多く、デュランの誇りが砕け散ってしまう。 だが、英雄王リチャードを侮辱した紅蓮の魔導士を許すことができず、デュランは強くなりたいと心から願うようになり、旅立った。 旅の中でデュランは数多くの仲間達と出会い、共に戦い、確実に強くなった。 やがて、デュランと仲間たちは世界の運命を左右する戦いにも関わるようになる。世界を救う為、大魔術師グラン・クロワの祝福を受けてセイヴァーにクラスチェンジした。 クラスチェンジを果たしたデュランは、仲間達と力を合わせて数多くの戦いに勝利する。そして、大魔女アニスやブラックラビはもちろん、マナの聖域を襲った巨悪の打倒を果たした。 【サーヴァントとしての願い】 マスターと、マスターの家族を守るためにこの剣を振るう。 【マスター】 宮美三風@四つ子ぐらし 【マスターとしての願い】 家族みんなで過ごせる家に帰りたい。 【ロール】 普通の中学生。 宮美家の四姉妹として過ごしています。 【能力・技能】 運動はやや苦手だけど、手芸や絵が得意。 得意科目は国語で、理科と数学が苦手科目。ただし、テスト勉強をしたおかげで点数を取れるようになった。 また、四つ子で生活したおかげで家事スキルも身についている。 【人物背景】 宮美家の三女。 生まれてすぐに施設に預けられ、家族のことを知らないまま育ったものの、ある日から自分には家族がいることを知る。 姉の一花と二鳥、妹の四月と共に暮らすようになり、姉妹の絆を深め合っていく。 【方針】 元の世界にいるみんなも、この世界にいるみんなも大切にしたい。 【備考】 原作第8巻以降からの参戦です。
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Vのため闘う者/老兵は死なず ◆A23CJmo9LE 『天戯弥勒か、またうさんくせーのが出て来たな。おまけにうっとおしい立場まで与えてくれやがって』 暗闇の中で語られた聖杯戦争の概要。それは予想したものと大きく違う物ではない、そう思った。実際聖杯なんて物に縋るロクデナシども…ましてや親殺しなんて考えるおれのような奴が集う殺し合いなんて、殺伐としたものだと思っていたが…… 『アッシュフォード学園の生徒だぁ?ちんたら学生生活送れってのかよ』 おまけにこのテレホンカードを使えば途中棄権可能ときた。存外ヌルイじゃねえか。 『本当に殺し合わせる気あんのかね、あいつ』 『おそらく何か意味があるんだろうよ』 念話での独り言に律儀に答えるライダー。生前の彼はなんだかよくわからないもの…‘ひとつなぎの大秘宝’を求めた者たち、そしてそこに眠る意思を知っている。ロジャーの遺志、Dの意思。聖杯もおそらく同じ、天戯のやつは何か目的をもっている。 『聖杯に必要なのか、あいつの目的に必要なのかは分からねェがな』 『邪魔なルールが多すぎるぜ、こいつは』 学生生活など今更送るつもりはない…ないが、欠席している生徒というのはあまりにも露骨にマスターだとばれるのではないか?真っ向からのバトルロイヤルを考えていた身としては回りくどくて仕方ない。 それにこのテレカ。おやじを殺せる能力者なら協力を求めるつもりだったが……これでどこぞに帰られちゃ人材確保は難しいんじゃないか?いっそ公衆電話の類をぶっ壊すか? いや、それより聖杯をとることを考えるべきなんだろう…… 『いくぞ、ライダー。学園とやらの下見だ。お前の戦闘は目立つようだからな』 『ああ、それで出てたのか。月も綺麗だし散歩かと思ったぜ、グラララ。戦闘なら海に行きたいもんだがそうはいかねぇか』 戦地で、すでに開戦したというのに散歩などと言ってのける男は器が大きいのか呑気なのか。 強力なサーヴァントゆえの自負でもあろうが、大型船の召喚に地震とその分目立つ。敵に目をつけられないためにも戦地は選ぶべきだろう。 敵がどのくらいいるのか、学園に登校した場合不利にならないか、それを考えるためにも戦地の偵察に二人は動いた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ゆらゆらと、夜闇に溶ける黒衣の男……学生服の青年と、執事服の老人が夜の町で向かい合う。 「よい夜ですな、若僧(ボーイ)?」 語りかける執事(バトラー)。その目はすでに殺意でぎらついている。 「本当にいい夜。こんな夜ですもの、血もたぎるというもの。静かで…本当にいい夜」 継いで語る女吸血鬼(ドラキュリーナ)。学生服の男の傍らに感じる戦士のにおい……それを感じて霊体化を解き、彼女も闘争心をたぎらせる。 それを受けて伝説の海賊もまた姿を現す。 「コウモリのような翼、白い肌に赤い眼……お前、まさか吸血鬼か?」 「あら、よく分かったじゃない。そう、私はツェペシュの幼き末裔、永遠に紅い幼き月。此度はランサーのクラスとして現界したわ。あなたは…海の男ね?焼けた肌がとてもキレイ」 「あァ、それなりに名の通った海賊さ。おれはさっきまでマスターと吸血鬼について話してたんで分かったが、そっちはいい目してやがる」 穏やかに言葉を交わしながらも確かに戦意を酌み交わす。ただ在るだけで威厳に満ちた王のやり取りは多くの英霊が集うこの地でも希少なものだろう。 「吸血鬼の嬢ちゃん、聞きたいことがある」 「何かしら、人間?」 王の問答に割り込むはこの場で最も年若い青年。その目に宿す殺意の先は目前の敵か、遠き父か。 「吸血鬼の一部を取り込み不死身になっちまった奴を殺す方法、わかるかい?」 かつて尊属殺と言われた重罪を、罪人カインの子吸血鬼に問う。王の問答はとたん罪人同士の血なまぐさい会話に堕ちていく。場に満ちた殺意がそれをさらに醜く彩る。 「餓鬼が妙な質問するのね。日光や白木の杭じゃ死なない、のよねぇ。ただ吸血鬼に成ったわけじゃないなら、私少食だから眷属いなくてよく分からないわ。ドラキュラ殺しの執事なら何かわかるかしら?」 かわいらしい笑みを浮かべ、しかし残虐な文言を吐く。人がパンを食すように血を飲むのが吸血鬼(ミディアン)、吸血姫(ミディアン)、化物(ミディアン)。 彼女は執事にして主君である男に罪人の問いを渡すと 「ドラキュラ曰く、不死身の化物(フリークス)など存在しない。くたばるまで殺してやるのがただ一つの手段かと」 ただ、殺す。死神の回答は至ってシンプル。 「よく分かったよ。ありがたい助言(アドバイス)に礼を言うぜ、役立たず(ボンクラ)ども」 頭をつぶそーとも、粉みじんにしよーとも、削りとろーとも、死ななかったおやじがそれで死ぬなら苦労はない。 決別。その言葉を合図にするように4人は戦闘態勢に入る。 「こんなに月も紅いから、本気で殺すわよ」 宣言と共に飛びかかる吸血鬼。狙いは敵マスター、虹村刑兆。 その速度は最速のクラス、ランサーに恥じぬものだが 「!」 目前に大きな薙刀が振るわれ、軌道を変える。薙刀を構えたライダーがこちらを睨むと どん!!! と音が響いたような気がした。 それは数十万人に一人のみが持つ天賦の才、覇王色の覇気…その強大な気迫。ライダーと圧倒的な実力差があるものは意識を保つことすら適わずその身を折るが 「ふん」 レミリア・スカーレットは意に介さない。彼女は屈する側ではなく膝をつかせる側だ。 己がマスターである虹村刑兆に効果を及ばさないくらいは老いた身でも難しくない。 残る一人は…… 「ウォルター・C・ドルネーズ。ヘルシング家、およびランサー(お嬢様)の執事(バトラー)。元国境騎士団(ヘルシング)ゴミ処理係。行くぞ」 高らかに名乗りを上げ、刑兆に戦いを挑む。本来なら老いた彼では覇気に完全には耐え切れず一瞬ふらつく位の影響はあっただろう。 だが、カリスマ……ヒトラーに従う兵隊のような気持ち!邪教の教祖にあこがれる信者のような気持ち! レミリアの持つそれは本来のものではないため団体戦闘において意味を持たず、人を引き付けるのみ。だが、その魅力は主君のため戦いに臨む執事の戦意の原動力となる。 ゆえに。あるじ(レミリア)と共にある限り、執事(ウォルター)は伝説の大海賊に対しても気圧されることはない。 それを確かめたライダーはマスターに視線を軽く送ると 「おれが相手してやろう。永い夜になりそうだな……!!」 ランサーの前に立ちふさがって、薙刀から震動を放ちつつ切りかかる。当然ランサーは回避し、二人ともマスターから距離をとって闘い始めた。 「バッド・カンパニー!」 マスターたちもまた戦闘を始める。飛ばしてきたワイヤーをグリーンベレーに防がせる刑兆。 「おもちゃの兵隊…?奇妙なものを…」 「見えて…いるのか?」 互いの呟きに疑問を覚えるも戦場は動く。 ワイヤーを飛ばし、切り刻もうとするウォルター。それに対して刑兆は後手に回るざるを得ない。 体にグリーンベレー含む多くの歩兵を纏わせて防ぎ、アパッチのローターでの防御も行う。時折戦車や兵隊からの銃撃を行うも容易く回避すされてしまった。 (小さな軍隊…なんだ?ワイヤーを防ぐ瞬発力はあるらしい。吸血鬼や魔術師が扱うという使い魔か…?こちらからの攻撃は効かないくせにあちらの攻撃は十分な威力がある、当たれば少々厄介だ) (ワイヤーを飛ばす速度自体は人間のそれだ。スタンド…ザ・ハンドなんかに比べれば遅い。 遅いが…技量が半端じゃないし、人としてはかなりの速さだ。銃撃のタイミングも読まれているし、こちらは回避で精いっぱいだ。そもそもなぜスタンドが見えている?) 衰えたウォルターの技量と力では仕留めきれない。経験と速度の足りない刑兆もまた決定打に欠く。若さがあれば、億泰がいれば、とお互いにないものを求めてしまう。 膠着した状況を動かすのはサーヴァントの闘いと考え、闘いつづけながらもそちらの様子をうかがう二人。 巨躯の老人と殴り合う幼き少女。それは字面だけ見ればいろんな意味で警察沙汰だろうが… 小柄と翼から生じる音にも迫る速度を生かし、近接戦で体格の勝るライダーと渡りあうランサー。槍は用いていないが、得物の大きさゆえに近接戦に不利が生じるライダー相手には好判断と言えるだろう。吸血鬼の怪力でもって殴る、殴る、殴る、殴る。 だが対するライダーも歴戦の英雄。周囲を飛び交うランサーの攻撃を得物で、肘で、柄で受け、受けきれないものは震動と武装色による硬化、そして彼女を上回るパワーでいなす。僅かのダメージを受けつつも時折震動を放ち牽制する。回避は容易いが、これをマスターに向けて撃たれてはたまらないと攻めを急ぐランサー。 速度で勝るランサー、力で勝るライダー。夜の女王と海の皇の闘いは、侵略する女王と守る皇の形ではあるがこちらも概ね互角。開戦時の言葉通り、【永い夜】になるかと思われたが 「バッド・カンパニー!」 戦局が双方互角ならば、有効的な援護を決めた方が勝つ。ライダーの懐から現れ援護射撃を行うスタンド……視線と交換でマスターから借りていた隠し兵器。 レミリア・スカーレットは優れた戦士である。幻想郷という閉ざされた世界とはいえ鬼や天狗、様々な妖怪と闘い、数百年単位で積み上げた経験は人間の英霊では届くものではない。 しかし彼女が振るうは個の武勇。家族、仲間、友人、部下、様々な関係の者と肩を並べはしたが軍隊(カンパニー)を率いる闘いならばこの聖杯戦争においてエドワード・ニューゲートに並ぶものはない―――! (避け―――――きれない!?) 必死に回避の姿勢をとろうとするが指揮が巧みか、銃手の腕かその軌道は見事に心臓に届く……かと思われたが (何とも…ない?) 確かに直撃した。だがダメージはない。 バッド・カンパニー……スタンドは精神エネルギーのビジョンであり、幽霊ひいてはサーヴァントへも干渉可能である。しかしBランクの対魔力を持つランサーにダメージを与えるほどの高位の神秘を宿すには至らなかった。 しかしその銃撃は無意味ではない。 (くそっ、体勢が、まずい!弾幕を避ける癖が仇になった!) 一度回避のために崩れた姿勢は戻らない。その隙をつき、震動を纏った拳を 「ウェアアアアア!!!」 打ち放った。 「うぐっ…う…」 「お嬢様!!」 直撃を受け、吹き飛ばされるランサー。本人の飛翔スキルによる減速とウォルターの助力を受け、どうにか静止、体勢を立て直す。 それを見た刑兆は放たれたウォルターの牽制をいなし、ライダーの下へ合流する。形勢はライダー主従に傾いた。 戦局が変わった以上今までと同じ戦術はとれない、機動力の落ちたランサーでは今度は五分にならない可能性が高い。 (弾幕での遠距離戦?いや、あちらは衝撃波を放てるし、マスターの方もあの大量のヒトガタで援護が出来る。 ウォルターが遠距離攻撃できない、加えて魔術師ではない以上、手数でこちらが不利。ウォルターをかばうのも厳しくなるうえ、奴はライダーのはず。対魔力で弾幕が効かなかったらこちらが詰み) (今のような不意打ちが何度も使えるわけがねェ。遠距離戦に持ちこんでもいいが、奴がそれに対応した武器があると厄介、また千日手になる。ランサーを名乗りながら武器を見せてねェのも気にかかる) ( (宝具を使うか…?) ) かたや逆転のため、かたや決定打のため、切り札の開帳を考える。 運命を操る必中の槍を。長き旅を共にした乗機を。己が居城の再現を。己が家族の助力を。 こんな緒戦から…? 『退くわよウォルター、序盤から消耗は避けたい。いったん撤退して傷を癒す』 『認識しました、レミリアお嬢様(ヤー、マイマスター)』 飛翔スキルでもってウォルターを抱え、あさっての方向へ飛び立つランサー。騎兵の本懐を見せていないのは気になるが…海賊というなら陸上で有効な乗機が出るとは考えにくい。 それを見て震動波による追撃を考えるライダーだが 「よせ、あの市街地吹っ飛ばす気か?消耗してんのにこれ以上目だって敵を引き寄せると厄介だ。おれ達も引くぞ」 それを聞き、矛を収めるライダー。確かに、生前は無制限に放つことが出来た震動もサーヴァントの身では魔力を消費する。そこに慣れていなかった。 威力の割に燃費はいい部類だが、その威力もだいぶ落ちている。随分使い勝手が悪くなったものだ。 「グララララ…悪ィな、調子に乗っちまった。で、どうするよ?偵察なんて空気じゃなくなっちまったぜ」 「とにかく離れるぞ。騒ぎを聞きつけられて連戦なんざごめんだ。いったん帰って、色々考えることがありそうだ」 「学校とやらはどうすんだ?」 「なるようになる。行くぞ」 学生の身分なんて邪魔でしかないが、拠点が準備されているのは悪くねェ。 だが、思ったより疲れた。スタンドとサーヴァントの同時行使は慣れないとキツイな。 【C-3/街外れ/1日目 未明】 【虹村刑兆@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]疲労(小)、魔力消費(小) [令呪]残り3画 [装備]いつもの学ラン(ワイヤーで少し切れている) [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:おやじを殺す手段を探す。第一候補は聖杯。治す手段なら……? 0.まさかいきなり吸血鬼に会うとはな… 1.帰宅し、まず休養とそれから考察。 2.登校するかどうかは気分次第。 3.公衆電話は破壊する…? [備考] バッド・カンパニーがウォルターに見え、ランサーに効かなかったのを確認、疑問視しています。 明朝登校するかどうかは後続の方にお任せします。 【ライダー(エドワード・ニューゲート)@ONE PIECE】 [状態]疲労(小)、魔力消費(小) [装備]大薙刀 [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:刑兆の行く末を見届ける 1.刑兆と共に帰宅、考察。 2.できれば海に行きたい [備考] NPCの存在、生活基盤の存在及びテレカのルールは聖杯、もしくは天戯弥勒の目的に必要なものと考えています。 [共通備考] ウォルター&ランサー(レミリア・スカーレット)と交戦、宝具なしでの戦闘手段と吸血鬼であることを把握しました。 B-2の現在地から歩いて少しのところにこの世界における自宅があります。具体的なことは後続の方にお任せします。 [地域備考] C-3市街地の外れで戦闘を行いました。バッド・カンパニーの銃声が響き渡り、グラグラの実の震動が伝わりました。ただし銃声はスタンドのものであるためNPCには聞こえなかった可能性が高いです。 『あなたの言う通りだったわね、ウォルター。日傘片手に勝てる楽な闘争じゃあない』 『ええ、ですがこのくらいなら苦境の内にも入りません。我らならば勝てる戦です』 街外れを飛び、戦地を離れる主従。執事の諫言をうけ、昼の外出を避けたのは妙手だったと思い返す。 反省はしているようだが、戦意が萎えることはない。 そう、戦意は失わない。だが…… (あの年老いたサーヴァント…アーカードなどのような人外ではなく、人間のようだった。それがレミリアお嬢様…吸血鬼と互角にわたり合っていた……老いた身で) なぜ老年なのだ?サーヴァントとは全盛期で召喚されるものではないのか?何か理由が? 胸中を占める疑念と……僅かな嫉妬。詮無いことと分かっていながら先の戦闘で己の衰えを自覚した分、負の思いを感じざるを得なかった。 『さすがに疲れたわ。ダメージも小さくないしどこかで血がほしいわね』 『ふむ…』 余計な思いはいったん横に置く。 戦闘を終え、気が抜けたか外見相応の面が出たようだ。聖杯戦争の参加者以外の一般市民もいるようだしそれを頂くか…?しかし先の主従に吸血鬼とばれてしまっている以上目立つマネは避けた方がいいだろうか。病院から輸血用血液を確保することを考えるか…? 『早く行きましょ。ちなみに私はB型が好みよ』 【C-3/市街地上空/1日目 未明】 【ウォルター・C・ドルネーズ@出典】 [状態]健康、魔力消費(微小) [令呪]残り3画 [装備]鋼線(ワイヤー) [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:全盛期の力を取り戻すため、聖杯を手にする 1.レミリアの食事(血)の確保と休養。 2.打って出るのは夜間のみ。 3.ライダー(エドワード・ニューゲート)に対して僅かな嫉妬と疑念。 【ランサー(レミリア・スカーレット)@東方project】 [状態]ダメージ(中、スキル:吸血鬼により現在進行形で回復中)、魔力消費(小、現在進行形でダメージの回復に消耗中)、若干の空腹 [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:ウォルターのためにも聖杯戦争を勝ち抜く 1.食事と休養。ウォルター、はやくー 2.もう日傘片手で勝てるとは考えない。全力で行く。 [共通備考] 虹村刑兆&ライダー(エドワード・ニューゲート)と交戦、バッド・カンパニーのビジョンとおおよその効果、大薙刀と衝撃波(震動)を確認しました。発言とレミリアの判断より海賊のライダーと推察しています。 現在C-3の上空ですが、どこに向かって飛んでいるのか、レミリアの食事のためNPCを襲うか、病院やそれに準ずる施設に向かうか、そもそも施設の有無を知っているのかなどは後続の方にお任せします。 BACK NEXT 016 LIKE A HARD RAIN 投下順 018 ゴムと反射と悪党と 015 悪魔の証明 時系列順 018 ゴムと反射と悪党と BACK 登場キャラ NEXT 006 ウォルター・C・ドルネーズ&ランサー ウォルター・C・ドルネーズ&ランサー(レミリア・スカーレット) 028 あの空の向こう側へ 009 虹村形兆&ライダー 虹村形兆&ライダー(エドワード・ニューゲート) 027 MY TIME TO SHINE
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――これは一体、どういう状況なのだ? 聖杯戦争の参加者たるマスター候補の中にあって、その男は例外中の例外と呼ぶべき存在だった。 原則、全てのマスター候補は一度NPCとして埋没し、日常の中で違和感に気づいた者がマスターとして目覚めることができる。 ならば男がこの世界に呼ばれたその瞬間から覚醒していたことは必然の事象であったに違いない。 「守護者としてでも、サーヴァントとしてでもなく、一個の生命として呼ばれたというのか……? それにこの令呪、まさかオレがマスターの側だと?どうなっている?」 在りし日は聖杯戦争に巻き込まれたマスターとして、死後はサーヴァントの一柱となって駆け抜けた「元」アーチャー。 英霊エミヤは守護者として抑止の輪に組み込まれた存在であり、一人の人間として市井に埋没するなど有り得るはずもない。 故にエミヤは極めて速やかに違和感に気づき記憶を取り戻すことに成功した。元より人間とは存在の階梯が違う、というのも理由の一つではあっただろう。 この世界の身分までご丁寧に用意されていた。 どうやら東京で休暇を取っているフリーランスの傭兵、という設定のようだ。まあ間違ってはいまい。 しかし聖杯戦争が行われることは間違いないだろうに何故何らの知識も付与されないのか? 本来呼ばれるはずのない存在をマスターとして呼んだが故の弊害だとでもいうのだろうか? 「全く、前回の召喚の時の事故でもあるまいし――――――何だと?」 自分で口に出した、否、記憶から出した事柄に驚愕を覚えた。 覚えている。覚えている。覚えている。第五次聖杯戦争にサーヴァントとして召喚された時の記憶全てを。 英傑たちとの戦い、己が望みを果たすために凛を裏切っても盤面を整え、過去の自分を消し去ろうとした。 だが、叶わなかった。いや、元よりそうする必要などなかったのだ。 そう、地獄に落ちようとも、誰かを救うために走り続けたこの道は決して間違いなどではないと気づいたから――― 「馬鹿な、何故記憶を持ち越している?座に戻るよりも前にこの世界に引っ張られたのか?」 サーヴァントというものは聖杯戦争での記憶を座に持ち込むことはできず、ただ「そういう事実があった」という記録が残るのみである。 にも関わらずエミヤには第五次聖杯戦争の記憶が鮮明に残っている。 考えられるとすれば、サーヴァントとしての己の魂が座に帰るよりも先にこの世界に引き寄せられた、という可能性ぐらいか。 これが聖杯の意思だとすれば、何の意図があって英霊をマスターの側として確固たる肉体を与えて配したのかまるで理解が及ばない。 確かにエミヤは英霊の中でも下から数えた方が早いほど格に劣る存在ではある。 しかし人間の魔術師と比較してしまえばその差は天と地ほどもある。 これではバランスを著しく欠くのではないか?それともこの世界にはエミヤに並ぶような力を持つマスターが何人も存在するのか? 「抑止力も、魔術師もオレを縛ることはない…ならばオレはどう動くべきなんだろうな」 これから起こるのが聖杯戦争ならば、無数の惨劇が起こり血が流れることは間違いない。 聖杯に懸ける願いなどは元よりなく、自らの手で叶えようとした悲願も最早必要ないとわかった。 ならば許されるのだろうか。もう一度、正義の味方として在ることを。 「なあ、名も知らぬサーヴァントよ」 「やっぱり気づいてたか。悪いな、そろそろ顔を出そうかと思ってたんだが」 エミヤの背後から実体化し、姿を現したのはまさしく勇者と呼ぶべき風貌の黒髪の青年だった。 マスターに与えられたステータス透視能力から見える数値はアベレージ以上、容姿からして東洋の英雄といったところだろうか。 「どうもそっちは色々事情が混み入ってるみたいだな」 「ああ、正直に言って混乱しているよ。君は事情を知っているのかな?」 「いくらかはな。どこから話したもんか……」 エミヤとレイラインで繋がったサーヴァントが話すところによると、この世界は聖杯によって再現された東京であるとのことだ。 住民もまた再現された存在…ゲームで言うところのNPCとでも呼ぶべき者たちであるらしい。 そして何と、マスターとサーヴァントの数は把握できないほどの多数に上るという。 「…この聖杯は凄まじいまでのリソースを備えているようだな。 だがこれは街中で聖杯戦争を開催するのとはわけが違うぞ。何故現代の日本の首都を再現する必要がある? そもそも、我々にこれほど高度に文明的な殺し合いを強いること自体聖杯に何某かの意思が介在している証左ではないのか?」 「答えてやりたいのは山々なんだが、俺も見てもいないことまではわからねえからな。 それともう一つ、さっきざっと東京を見回してみたんだが魔術回路もないマスターが結構いるみたいだ。 俺は生まれつき眼が良くてな、そういうのはわかるんだ」 「なるほど、私以上の千里眼の持ち主というわけか。さしずめクラスはアーチャーといったところか」 「おう、東方の大英雄アーラシュとは俺のことよ。 ま、実際はそう大したもんでもないけどな」 今はマスターとして立つエミヤとて本来は英霊である。 故に、遥か東方の英雄であるアーラシュについても知識を有している。 その身を犠牲にして大地を割り国境を作ることで、自身以外の血を一滴も流さず、敵も味方も一人も取りこぼすことなく救い、長年に渡る戦争に終止符を打った男。 ペルシャ神話全体で見ても間違いなく上位に位置するであろうほどの大英雄。 ある意味において、エミヤシロウの理想を実現してみせたとも言える英霊が目の前にいる。 「ふ、彼のアーラシュ・カマンガーが大したことのない英雄なら私などは塵芥以下だろうよ」 「そんなことはない」 弓兵は真っ直ぐにエミヤの瞳を見据え、静かに、しかし明確に断言した。 見透かされている。我知らず、エミヤはそんな感想を抱いた。 「お前はやるべき時に、やるべきことをやって、多くの民を救ったんだろう。 なら、お前は誰に劣りもしない立派な英雄だ。そうだろ、錬鉄の英雄?」 言い切るその瞳には一切の虚飾はなく、さりとて責めるでもなく柔和な笑みを浮かべる。 苦手なタイプだ。セイバーともランサーとも異なる、率直でいて大らか、穏やかなこの男相手ではエミヤの皮肉も通じそうにない。 「それで、方針はどうする?」 「そうだな、私は経験上聖杯というものをどうも信用できなくてね。 君は先程魔力を持たぬマスターがいると言ったな。それはつまり、私を含め自らの意思に依らず聖杯戦争に放り込まれた者がいるということか?」 「ああ、間違いないと思うぜ」 アーラシュの持つ千里眼は世界や人の有り様の全てを見通す。 ホテルの屋上から街を見下ろし何人かのマスターを視認しただけで聖杯が無差別にマスターを選別しているであろうことは見て取れた。 事実、視認したマスターたちの中には困惑の念を抱いている者が少なからず見受けられた。聖杯戦争自体を理解していない者も、だ。 「ならば、私はこの聖杯を破壊することを第一に行動するつもりだ。 死者たる英霊だけを扱き使うだけならまだしも生者をも無差別に招き入れ殺し合いを強いるなど、最早聖杯戦争それ自体が災厄だ」 本来の聖杯戦争は魔術師たちが死の危険を承知で自ら参加する儀式であり、そこで命を落とすのは端的に言って自業自得に過ぎない。 中には聖杯戦争の存在自体を知らぬ、魔術回路を持つだけの人間が聖杯に見初められ令呪を授かることもあるがあくまでそれは例外であった。 だがこの聖杯は違う。最初から素養の有無に関わらず無差別にマスターを選別し聖杯戦争に参加させている。 聖杯の汚染の有無は定かならずとも、その一点だけでエミヤにとって聖杯は度し難い悪徳としか映らない。 「なるほど。つまり望みもないのに巻き込まれた民を守るってことだな」 「いや待て、何故そうなる。話を聞いていなかったのか君は」 「聞いてたさ。だがな、もう少しぐらい素直になっても罰は当たらないだろう? 今のお前は抑止の守護者じゃなく、今を生きる人間の守護者になることだって出来るんだからな」 やはり苦手だ。何もかもを見通すこのアーチャー相手では普段の調子を維持できない。 というより、これほどの眼を持っていれば少なからず人格が歪みそうなものだがどういう精神構造をしているのか。 「ふ、ならば一つ乗せられてみようか。口にするのも恥ずかしい限りだが生前の私は正義の味方というやつに憧れていたのでね」 「その意気だ。いっちょ東京を救ってやろうや、マスター」 夜空には無数の星が輝いていた。思えば、生前の日々は届かぬ星に手を伸ばすようなものだったか。 答えを得た。その記憶を奪われずに今一度仮初めの生を得たのなら、もう一度無様な足掻きをしてみるのも悪くはない。 ―――少し寄り道になったが。オレもここで頑張ることにするよ、遠坂。 あの少女に恥じぬように在ろう。 無様な結果に終わるとしても、きっと意味はあるはずだ。 【クラス】アーチャー 【真名】アーラシュ 【出典】Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ 【性別】男 【属性】混沌・中庸 【パラメーター】 筋力:B 耐久:A 敏捷:B+ 魔力:E 幸運:D 宝具:B++ 【クラススキル】 対魔力:C…魔術に対する抵抗力。一定ランクまでの魔術は無効化し、それ以上のランクのものは効果を削減する。 Cランクならば魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。 単独行動:C…マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。マスターを失っても、一日は現界可能。 【保有スキル】 頑健:EX…如何なる病にも毒にも侵されず、数多の戦いにおいて傷を受ける事すらなかったと謳われる肉体の頑強さ。 西アジアの神代最後の王、マヌーチェフル大王をして、替え難き至宝と賞賛した旧き神代の恩恵である。対毒スキルを付与し、耐久力を向上させる。 千里眼:A…視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。 このランクでは透視や読心、未来視をも可能とする。 弓矢作成:A…複数の矢を瞬時に作成する能力。 最大で空を埋め尽くす万単位の矢を作り出し、山をも削り取る威力を持つ飽和射撃を行う。 中距離戦闘でも五十程度の矢なら瞬時に作り出せる。 【宝具】 『流星一条(ステラ)』 ランク:B++ 種別:対軍宝具 レンジ:4~999 最大補足:1000人 ペルシャとトゥランの両国に「国境」を作り、争いを終結させた究極の一矢。2500kmにも及ぶ射程距離と文字通り「大地を割る」威力を持つ人ならざる絶技。 その性質から、一点集中ではなく広域に効果を発揮するため対軍に分類されるが、純粋なエネルギー総量は対城宝具に、魔力総量は対国宝具にも及ぶ。 だが究極の一矢と引き換えに五体四散して落命したように、この宝具はアーラシュの霊核をもって行われる「壊れた幻想」の特性が付与されているため、一度放てばアーラシュ自身が消滅する「特攻宝具」としての側面を持っている。 【weapon】 深紅の大弓と矢。 矢は近接戦闘で直接手に持って使うこともある。 【人物背景】 古代ペルシャにおける伝説の大英雄。 西アジアでの神代最後の王とも呼ばれるマヌーチェフル王の戦士として、六十年に渡るペルシャ・トゥルク間の戦争を終結させた。両国の民に平穏と安寧を与えた救世の勇者。 異名はアーラシュ・カマンガー。英語表記すればアーラシュ・ザ・アーチャー。 アジア世界に於いて弓兵とはすなわち平穏をもたらせしアーラシュをこそ指し示す。現代でも彼は西アジアの人々に愛されている。 伝説において、アーラシュは究極の一矢によってペルシャとトゥランの両国に「国境」を作り、大地を割った。その射程距離、実に2500km。 人ならざる絶技と引き換えに、彼は五体四散して命を失ったという―― 【サーヴァントとしての願い】 聖杯に懸ける願いはない。 人を超えた力を持つ者が民の生命や平穏を脅かすのを阻止することが自分の役割と信じるのみである。 【基本戦術、方針、運用法】 宝具の使用は脱落とイコールのためスキルのみで戦うことになる。 近接戦闘にも耐え得るがやはり本領は中距離以遠での射撃戦にこそあるので、弓兵のセオリーに従って運用するべき。 接近を許した場合はエミヤに前衛を任せ後方から援護射撃を行うという手もある。 【マスター】エミヤ 【出典】Fate/stay night 【性別】男性 【マスターとしての願い】 聖杯は信用ならないため、破壊する。 同時に、もう一度正義の味方として人々を守りたい。 【weapon】 各種投影宝具 【能力・技能】 『無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)』 錬鉄の固有結界。 自らの心象風景の中に相手を誘い込む大魔術であり、彼の場合、そこには彼の記憶に蓄えられた無数の剣(複製品)が存在する。 また彼は複製品を投影する際、その武器に篭められた記憶をも同時に再現するため、その武器に応じた持ち主の戦闘経験を発揮できる。 英霊としての魔力、身体能力 本来人間ではなく英霊であるため現代の魔術師のそれとは比較にもならない魔力を有する。 また、今回のエミヤの身体能力は第五次聖杯戦争におけるステータスに準じるものとする。 【人物背景】 本作の主人公、衛宮士郎が世界と契約し死後英霊となった存在。 抑止の守護者として使われるうちに精神が摩耗し、いつしか自分殺しを願うようになった。 しかし第五次聖杯戦争において過去の自分である衛宮士郎に敗北し、答えを得る。 今回のエミヤは第五次聖杯戦争(凛ルート)の記憶が継続している。 【方針】 聖杯の破壊を第一とするが、最悪の場合は信用できるマスターを生き残らせ聖杯を託す。 自身の生存に関しては最初から度外視。 候補作投下順 Back 聖剣伝説 ―勝利と栄光の旅路― Next このロクでもない戦争から生還を!
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163 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 四日目・夜:夜間屋内戦] 投稿日: 2007/01/22(月) 04 15 45 伏せ姿勢から立ち上がる事なんてできはしない。 元より脆いと言うことを差し引いても、遮蔽物を簡単に撃ち抜いて飛び去るその弾丸は身体のどこに当たろうとその部位を吹き飛ばすことになるだろう。 そんな予感があったから、立ち上がることなく、匍匐状態のまま部屋の外を目指す。 部屋の外から気付かれることなく接近しなければならない。 拳銃があるとはいえ、機関銃と比べれば火力は著しく落ちる。 理想型を言えば、零距離から一撃で心臓を撃ち抜く事。 一撃で倒し、反撃の隙を与えないことだ。 ……自分に出来るか? もう一度、誰かを殺すことが出来るか? 首を振り、考えを打ち消す。 「……できるさ」 自分に言い聞かせ、手にした拳銃を握り直す。 次々と手元の銃から弾丸が発射され薬莢が落ち、目の前の遮蔽物に穴が開いていく。 反撃はない。 倒したのか? ……その保証はない。 糸のトラップには引っかからず、その真上に設置された赤外線のトラップには引っかかった。 つまりまず間違いなくその瞬間までは生きていた。 ……右手を失ったのは痛い。 出血は止まっているし、発砲動作そのものに支障はないが、二挺装備は不可能となった。 義手にしたとしても、恐らく元に戻ることはあるまい。 「聖杯に望むことが増えた、な……」 己の望み、『完璧なる存在』になるために、欠け落ちた部分は存在してはならない。 その為に聖杯を望み、願う為に銃火器の取り扱いにも精通したし、魔術の鍛錬も怠らずに続けてきた。 だが右手は切り落とされた。 近接戦闘の技術は未習得だった。 バーサーカーで敵サーヴァントを分断し、防御魔術で防御しつつ敵マスターをトラップと銃火器で攻撃する。 それが彼の想定した必勝となるはずの戦術であった。 だが接近され、右手から切り落とされた。 「実戦経験の差、か……」 防御魔術の突破はしえないようだが、魔術の解除から攻撃、再展開の間に攻撃された。 数度、いや、それ以上の実戦経験があると言うことだろう。 そしてこの必勝戦術を試すのは今夜が初めて。 人寄せの魔術は既に停止し、己の内に魔術を溜めておく。 ちらりと机に立てかけられた銃器に目を向ける。 M16A2。 米軍で正式採用される信頼性の高いアサルトライフル。 今夜このビルに運び込んだ武装はこれで全て。 「確実に殺しきる……!」 完全なる殺意を込めて、隣室へ向けて途切れ途切れに弾幕を張る。 それでも、ベルト給弾式のMG3の弾丸が切れるまであと一分もない。 廊下に出て、発射元を探る。 発砲音が連続してに聞こえてくるので探り当てるのは比較的簡単だった。 「……いた」 ちらりと覗き見ると、左腕で引き金を絞り、先程まで居た部屋へ、今となっては明後日の方向に向けて乱射を続ける男が見えた。 瓦礫が変な風に邪魔をしている上、瓦礫の山を越えてしまえば敵まで障害物はない。 恐らく敵までは30メートル前後。 そして気付かれれば恐らくやられる。 ……ここから拳銃で狙撃する。 頭を狙えば恐らく必殺だろうが、扱ったことのない拳銃という武器で小さい頭部に当てられるかは分からない。 攻撃手段を奪うという意味では残った左腕だろうが、否定要素は頭部に同じ。 だとすれば狙うのは胴体か? 胴体を狙えば恐らく当たるだろうが倒せるかと言われれば恐らく否、だろう。 それに、足下には予備の物である火器が置かれている。 持ち運びを前提にして居るであろうサイズの火器を壁に向けて撃つことはないだろう。 ……恐らくチャンスは一度。 伏せ撃ち体勢ならば命中精度が上がるだろうが、外して気付かれれば次の動作に移るまでに時間がかかる。 立ったままでは次の動作に移るまでの時間は最速だが、肝心の命中精度は下がるだろう。 折衷案は膝立ち姿勢で、中途半端かもしれないが、即応も取れると言う意味では重要かもしれない。 少し痺れの取れた左手を添え、狙いをつける。 ダブルクロス 1:立ち撃ちの姿勢で―― 2:膝立ちの姿勢で―― 3:伏せ撃ちの体勢で―― A:頭部を狙う―― B:左手を狙う―― C:胴体を狙う―― 投票結果 1 0 2 5 3 3 A 1 B 2 C 5 結果:膝立ちの姿勢で胴体を狙う
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「さて、と。これからどうしましょうか」 新都の一角、蝉菜マンション付近のビル街。そこに一組の少女がいた。 一人は緑の髪をしたポニーテールの少女。名を園崎詩音。この聖杯戦争のマスターの一人。 もう一人は狂気に満ち、歪み切った表情をした少女。名を美樹さやか。詩音に付き従うバーサーカーのサーヴァント。 この聖杯戦争で勝ち残るため、願いを叶えるために契約した者達である。 聖杯戦争に乗り、他の参加者を全滅させて願いを叶える。それ自体は決定事項だ。 だが、これからどう動くかはまだ決まっていない。 他の参加者を積極的に駆逐するか、一時的に手を結んで戦力を増やすか。それともある程度減るまで待つか。 「あなたはどうしたい? バーサーカー……って、答えるわけないか」 バーサーカーに問いかけるも、真っ当な返事など返って来るはずもない。 そうなれば、どう動くかは自分で考える他ない。ならばどうするか。 考えようとしたその時―――― ――ヒュッ―― 「ッ!」 ――――音とともに、何かが飛んでくる。 それに気付いた瞬間、ダム戦争での経験からか咄嗟に体が動いた。 そのおかげで、大した傷にはなっていない。せいぜい右腕にかすり傷が付いた程度だ。 見ると、飛んできたものの正体は一本のナイフ。それが意味する事はすなわち、他の参加者に狙われているという事。 「バーサーカー、あっちに攻撃して!」 それを理解する瞬間、バーサーカーに攻撃を指示。 道具作成のスキルで剣を何本も作り、攻撃が飛んできたとおぼしき方向へとでたらめに投げつける。 方向はさっき音がした方を指示。攻撃の音がしたという事は、敵はその方向にいるという事だ。 すると、その方向――――蝉菜マンション屋上から金属がへし折れるような音がした。やはり敵はそこにいる。 マンション屋上からの精密な投剣をしてくる相手だ。ならば遠距離攻撃ではどうしたって不利。 ならば、やるべき戦い方は――――距離を詰めての接近戦のみ! 「やっぱりあそこか。バーサーカー、行って!」 「■■■■■■■■!!」 指示を聞き、投げずに残っていた剣を二振り持ったバーサーカーが駆ける。 咆哮と共に、バーサーカーが空中を足場に蝉菜マンション屋上へと跳び――――見つけた。 バーサーカーの視界には、ハートのアクセサリーをつけた金髪の男。場所は一致している。 周囲に転がっているのは、叩き折られた自身の剣。先程剣を迎撃したのはこいつだという事がわかる。 そして何より、サーヴァントを前にした彼女の本能が叫んでいる――――詩音の、そして自分の敵はこいつだ! 「まさか避けるとはな。マドカとは違ってただの人間ではないという事か?」 バーサーカーが空を足場に疾駆する。その姿を見ていた男がいた。 名をDIO。つい先程詩音を攻撃した張本人であり、アーチャーのサーヴァントとしてこの聖杯戦争に参加した者だ。 彼の周囲には、先程バーサーカーが投げた剣が数本、叩き折られた状態で転がっている。 さて、彼がした事を解説するとこうだ。 まず近くにあった金物屋に行き、ナイフなどの短い刃物を収集する。魔力で作る事も可能だが、その分の魔力消費からまどかに気付かれかねないので真っ先に却下した。 最初はまどかのいる部屋から手に入れようかと思ったが、刃物は投擲用として使うのだ。無くしでもしたら包丁が減っている事にまどかが気付き、参加者減らしに感づくかもしれない。 他の部屋から手に入れようとも考えたが、そこにはNPCが生活している。騒がれたせいで他の参加者に気付かれるのは少々厄介だ。 よって、営業時間を終えて無人になった金物屋から手に入れることにした。次の日には泥棒が入ったと騒がれるかもしれないが、恐らく自分だとは気付かれないだろう。 次に、マンションの屋上に上り、付近の参加者とおぼしき二人組を探す。 その際に見つけたのは二人組の少女。片方は狂人の顔をしていたから、おそらくバーサーカーあたりか。 見つかったのなら後は簡単、マスターらしき緑髪の少女を仕留めるべく、そちらにナイフを投げつけた。 無論、消耗しないよう時は止めずにだ。承太郎のような同系統のスタンド使いというわけでもない、ただの一般人ならばそれで十分仕留め切れる筈。 アサシンの真似事のような手ではあるが、アーチャーには一対一の真剣勝負などという思考は無い。過程がどうだろうと勝ちさえすればそれでいいのだ。 ……誤算があったとすれば、避けられてしまったことか。そのせいでいる方向を知られ、あまつさえ反撃までされたのだから。 おかげでザ・ワールドを使って迎撃し、音を立ててしまった。真名解放はせずに済んだのだから、ほとんど消耗はしていないのが救いか。 バーサーカーに目をやると、かなりの速度で向かってくる。 あの速度なら後数秒もしないうちに自分の前に現れる事は間違いない。 ここまで来れば、先程のような奇襲なども通じまい。ならばやるべき事は、正面切っての戦闘だけだ。 「■■■■■!」 「いいだろう、相手をしてやるぞバーサーカー!」 そして今、アーチャーとバーサーカー……否、DIOと美樹さやかは対峙する。 左手の剣を投げつけ、さらに空中を足場に跳躍。その勢いのままにDIOへと突貫していくさやか。 「無駄ァ!」 だが、それを読んでいたザ・ワールドを出して正確に剣を叩き落とす。 先程から投剣で攻撃してきていたのだ、ならばそれを読めないはずがない。 剣を迎撃し、続けて突っ込んできたさやかを弾き飛ばす。 が、さやかは空中で素早く体勢を立て直すとマンションの屋上に着地、DIOへと向かって駆けだした。 「フン! 突っ込んで来るしか能のない猪ごときが、このアーチャーに勝てるとでも思ったか!」 その場を動くまでもないとでも思っているのか、短剣を投げて迎撃する。 DIOにとっては狂人など、まともに相手する価値すらないという事か。 だが、今DIOに向かってきているさやかはただの狂人ではない。聖杯戦争の、バーサーカーのサーヴァントなのだ。 投剣を避け、あるいは迎撃してDIOへと接近、そのまま斬りかかる。 その剣をザ・ワールドで叩き折り、そのままさやかも叩き潰すべくザ・ワールドの拳を繰り出した。 「無駄無駄――――」 「■■■■――――」 左の拳で剣を折り、右の拳を繰り出すDIO。 右の剣が折られた瞬間、左手に剣を作り出して振るうさやか。 「無駄無駄無駄無駄――――」 「■■■■■■■■――――」 それだけにとどまらず、さらに右、左、右、左と拳を振るうDIO。 その速度は、さながら拳が大量にあるかのように見える程だ。 対するさやかも道具作成のスキルを使い、作成・攻撃・破棄のサイクルで剣を繰り出す。 足元には真っ二つにへし折れた(あるいは砕けた)、ついさっきまで剣だった金属が加速度的に増えていく。 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!」 それらはどんどんと速度を上げ、ついには拳と剣の嵐が激突しているかのようになっていた。 ソウルジェムがいくらか濁ったが、DIOはそれに気付いてはいない。 また、さやかはさやかで気にも留めない。そもそもバーサーカーになった時点で、力をセーブするという『理性ある行動』は取れなくなったのだから。 ……お気付きであろうか。この激突、さやかの方が不利であることに。 確かにさやかはバーサーカーとなったことで、身体能力が跳ね上がっている。ザ・ワールドのラッシュを迎撃できることが何よりの証明だ。 だが、それでもなお単純なパワーではDIOには敵わない。いくら迎撃できても、受けきれなければ意味など無い。 攻撃を受けきれなかった分の威力は、さやかの体を蝕み続けている。 単純なスピードならさやかの方が上なのにも関わらず迎撃だけに甘んじているのも、威力がありすぎて迎撃に全力を注がないとすぐに破られるからだ。 そして、ついにその時が来た。 ド ゴ ォ ! クリーンヒット。 ザ・ワールドの一撃を胸に受け、さやかの体が吹き飛んだ。 吹き飛んだ先にある給水塔へと激突し、給水塔がひしゃげて水が噴き出す。 だが、それでもDIOは容赦しない。用意していた短剣類を次々取り出し、給水塔へと投擲する。 それに感付いたさやかが避けようとするが、もう遅い。 「もう遅い、脱出不可能よォーーーーッ!」 ナイフがまず一本さやかの頭に突き刺さり、それに続くかのように大量の短剣が突き立てられた。 まずは一人、これだけやれば死んだはずだ。 何せ体中に刃物が刺さっているのだ。承太郎の時のように服の下に雑誌をはさむという手も、こんな薄着では取れはしまい。 例えサーヴァントとしての補正があったとしても、頭にまで突き刺さったのだ。普通なら間違いなく死ぬ。 「サーヴァントといえど、所詮は考える事すらできん猪か。分かってはいたが、恐れるに「――――■■■■■■■■!」 ――――そう思いザ・ワールドを消して去ろうとしたDIOに、あるはずのない声が聞こえた。 咆哮に気付いて振り向くと、給水塔からさやかが手に向かってくるのが見えた。 全身に刺さった短剣は走る振動で落ち、その直後に傷がふさがっていく。 それによる魔力消費で腹のソウルジェムが少しずつ濁りを増すが、構わずに仕留めにかかっていった。 さやかが生きていた理由だが、これは至極簡単なものだ。 まず、魔法少女の本体は彼女の宝具でもあるソウルジェムであり、これが破壊されない限り死ぬことはない。 次に、さやかのソウルジェムは変身中は腹部についている。 ……さて、先程の投剣は一本でも腹部に当たっただろうか? 答えは否。両腕を腹の前に出し、ソウルジェムだけは死守したのだ。 ソウルジェムさえ無事なら、痛覚遮断と癒しの祈りによる自動修復でいくらでも戦える。狂っても尚、それだけは理解していたのだ。 「何ィッ!? ば……ばかなッ! 奴は人間ではないのか!?」 あれで生きているとは思っていなかった。DIOの表情がそう言っている。 自分のような吸血鬼ですら、頭を破壊されれば死ぬ。ましてや、人間なら例えサーヴァントだとしても頭を破壊されるのは致命傷だ。 だが、現にさやかは生きている。驚いた一瞬の隙に距離を大きく詰めてきている。 このままではいくらDIOといえど、直撃は免れない。使いたくなかったが、こうなってしまったら仕方がない。 迎撃せずに止められる唯一の手―――― 「チィッ、仕方がない――――世界(ザ・ワールド)!!」 ――――つまりは、真名解放を行う。 その瞬間、世界の全てが静止した。 【新都・蝉菜マンション屋上/深夜】 【アーチャー(DIO)@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]:健康・『世界(ザ・ワールド)』効果発動中 【バーサーカー(美樹さやか)@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:回復中・ソウルジェムに濁り(小) 「ん……」 戦いが始まって少し経った頃、蝉菜マンションの一室。 そこでは、先程眠ったばかりの鹿目まどかが目を覚ましていた。 眠っていたはずの体には、何故だか多少の疲労感がある。 「あれ……アーチャーさん?」 と、そこでアーチャーがいない事に気付くまどか。 最初は霊体化しているのかとも思ったが、それなら起きた時に気付いて声をかけてきてもおかしくない。 寝ぼけ眼をこすり、ベッドから降りて部屋の中を探し始めるまどか。 「アーチャーさーん? いないなあ……どこに行ったんだろ?」 部屋中を探したが、アーチャーらしき姿は見えず声もしない。 部屋にいないとなると、やはり外だろうか。 そう考えたまどかは、アーチャーを探すべく外に向かおうとする。 そして外に出ようとした瞬間、部屋のドアが開いた。 「く……ハァ、ハァ……」 バーサーカーが走り去ってしばらくした後。詩音は蝉菜マンションに向かっていた。疲労しているのか、その足取りは重い。 右手にはバーサーカーの剣。先程突っ込んでいった時、道具作成で作ったものが一本だけ残っていたので自衛用に拾っていたものである。 「サーヴァントとの契約って、意外と疲れるものなんですね……ここまできついとは思ってませんでしたよ」 ――――実は彼女のサーヴァントには一つ弱点がある。それは何か? 思考力の低下? 否。それと引き換えに身体能力が跳ね上がっているので、それは弱点にはなるまい。 他と比較しても並程度しかない筋力と耐久力? 否。このバーサーカーなら耐久力は宝具が補ってくれるし、何より高い敏捷性でカバーが効く。 ならば何か? それは燃費が非常に悪い事。バーサーカーである以上、こればかりはどうしても避けられない弱点である。 現に過去の聖杯戦争では、バーサーカーの敗因がマスターの魔力切れというケースが存在するくらいだ。 ましてや、バーサーカーのマスターは元々魔術師でもなんでもないただの少女だった詩音なのだ。当然慣れていない以上、たとえ大したものでなくとも負担を大きく感じてしまう。 だから、どこかで休むべきだという体からの警告に従わざるを得ない。 そこでなぜ蝉菜マンションなのかだが、単に近くにあったからだ。 「とにかく、どこかで休まないと……」 そう呟き、一番近くにあったマンションの部屋に入ろうとする詩音。 一刻も早く休みたい。その意思は彼女から注意力を少なからず奪っていた。 アーチャーが警戒した騒ぎを起こすデメリット、それが思考の外に行ってしまっているのが何よりの証明だ。 それに気付かないままドアを開けた先にいたのは、現在バーサーカーと交戦中であるサーヴァント・アーチャーのマスターである鹿目まどか。 詩音にとっては現状真っ先に倒すべき相手であった。 【新都・蝉菜マンション一階/深夜】 【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:健康(残令呪使用回数:3) 【園崎詩音@ひぐらしのなく頃に】 [状態]:消耗(小)・右腕にかすり傷(残令呪使用回数:3) ※さやかの剣を一本持っています BACK NEXT 026 Night of The Round 投下順 028 ズッコケ二人組と一匹~聖杯戦争から脱出せよ~ 026 Night of The Round 時系列順 028 ズッコケ二人組と一匹〜聖杯戦争から脱出せよ〜 BACK 登場キャラ NEXT 009 No.9 鹿目まどか&アーチャー 037 La Danse Macabre(前編) 013 No.13 園崎詩音&バーサーカー 037 La Danse Macabre(前編)
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【マスター】立花響 【出典】戦姫絶唱シンフォギアG 【性別】女性 【令呪の位置】右手の甲 【マスターとしての願い】 ガングニールの過剰融合を抑えたい 【weapon】 ガングニール 北欧の軍神オーディンの槍から生み出されたシンフォギア。通常のシンフォギアと異なり、響の肉体と融合している。 本人の潜在意識により、アームドギアは具現化せず、四肢のパワージャッキを活かした格闘戦を行う。 【能力・技能】 融合症例第一号 シンフォギアと人体が融合した状態を指す。 起動や運用方法については、通常のシンフォギアと変わらないが、 聖遺物のエネルギーが直接人体に行き渡っていることもあり、通常以上の出力や回復力を発揮している。 しかし現在はその融合が、必要以上に進行してしまっている。 その分出力は高まっており、下級のサーヴァントにすら匹敵するものになっているが、 反面変身状態を維持し続ければ、逆にシンフォギアに同化・吸収されてしまうというリスクを孕んでいる。 更にこの聖杯戦争の舞台においては、その速度が加速しているようだが……? シンフォギア適合者 神話の遺産・聖遺物から生み出された、FG式回天特機装束・シンフォギアを扱う技術である。 元々二課からはノーマークであったことから、融合症例となる以前の適合係数は、それほど高くなかったものと思われる。 しかし今より未来においては、その必要に迫られた時、火事場の馬鹿力的に必要適合係数を獲得したという。 格闘術 師匠・風鳴弦十郎の下で磨き上げた格闘術。 元々弦十郎の格闘術自体が、映画のアクションシーンを模倣・再現したものなので、特定の流派に依るものではない。 ボクシング、ジークンドー、果ては中国拳法の八極拳まで、様々な拳法のスタイルがごちゃ混ぜになっている。 【人物背景】 「私は立花響、16歳ッ! 誕生日は9月の13日で、血液型はO型ッ! 身長はこの間の測定では157cmッ! 体重は、もう少し仲良くなったら教えてあげるッ! 趣味は人助けで、好きなものはごはん&ごはんッ! 後は……彼氏いない歴は年齢と同じッ!」 特異災害対策機動部二課に協力する、第3号聖遺物・ガングニールのシンフォギア装者。 2年前のツヴァイウィングのライブに際し、胸に聖遺物の破片を受け、融合症例第一号となる。 その後は誤解から迫害を受け、心にも深い傷を負ったが、 友人・小日向未来の献身もあり、反対に「人のぬくもり」の尊さを知ることになった。 かつてのトラウマは乗り越えており、底抜けに明るく元気な性格。 困っている人を放っておけず、率先して誰かの助けになろうとするタイプ。 しかしその性質は、ライブ会場で他の犠牲者の代わりに生き残ってしまったという認識に端を発しており、 戦いから遠ざけられた時には、反動で強い無力感に囚われてしまう。 【方針】 聖杯に魅力は感じるが、そのために聖杯戦争に乗るのが正しいのかどうかは悩み中。 それでも生きることだけは諦めない。敵が襲ってくるのなら立ち向かう。
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彼女は数百年も暗い地下室の中に閉じ込められていた。 普通の人間なら発狂してもおかしくないが、彼女は人間でもなかったし最初から狂っていた。 そもそも、閉じ込められていたが、出ようと思えばでれた。ただ、出ようと思うことすらなかったのだ。 彼女の名はフランドール・スカーレット。幼く可愛らしい少女の姿をした吸血鬼である。 「きゅっとしてドカーン」 笑いながら手をにぎる。 次の瞬間、フランドール……フランの呼び出したサーヴァントは木っ端微塵に砕け散った。 それが彼女の力、ありとあらゆるものを破壊する程度の能力である。 全ての物質には「目」という最も緊張している部分があり、そこを攻撃することで対象を破壊する事ができる。 しかし彼女は、その「目」を自分の手の中に移動させることができ、手を握り締めて「目」を壊せば無条件で対象を破壊できる。 無論、「目」は物質だけでなく人間にも妖怪にも存在する。……と、いう物騒なものだ。 「え?コレで終わり?つまんない」 屋敷の宝物庫で偶然見つけたゴフェルの木片でできた杖を掴みながら言った。 フランは見た目こそか弱い子供の姿ながらも、高い身体能力、魔力、特殊能力をもつサーヴァントクラスの存在。 この聖杯戦争でトップクラスの実力をもつになマスター候補なのだ。 召喚され実体化する隙にいきなり攻撃されれば、いくら歴戦のサーヴァントであろうとも反撃なく倒れるだろう。 マスター予選。 元から狂っていたせいなのか。そもそも、屋敷の外を出歩いた経験が殆どなかったせいかわからない。 目に映るものすべてに、如何しようもないほどの違和感を得てしまう。 「おかしいな~」と、しばらく考え込むと、30秒で本来の記憶を取り戻した。 聖杯戦争のルールにしたがって、サーヴァントが召喚の準備に取り掛かる。 方法は記憶が戻った時に、箱舟から頭にインストールされている。魔力量の大きいフランにはサーヴァントを呼び出すなど簡単なことであった。 さて、彼女は現れた人物を見て思う。 サーヴァントはこの聖杯戦争でのパートナーである。そして、歴史上の英雄。 自分が呼び出したんだもん。ものすごく強く壊れにくい存在のはずだ。そうに違いない。 (どれくらい壊れにくいんだろう、 きっと、英雄っていうくらいなんだから、すっごく、すっごく、壊れにくいんだよね) フランは目の前の人間が一体どれだけ壊れにくいか試してみることにした。 好奇心に負けた結果がこれである。 「ううっ、コレからどうすればいいんだろう」 フランは頭を抱えた。 サーヴァントと共に月の聖杯を手に入れる。でも、自分のサーヴァントはもう壊れて動かなくなってしまったのだ。 最初から『全てを破壊する程度の能力』を使うなんて、よくよく考えてみれば試し方を間違えていた。全然楽しくない方法だ。 なんという失敗を犯したの。いや、まだ予選なのよ。手は他にもあるわ。 新しくサーヴァントを手に入れる方法はあるかもしれない。 「大丈夫よ。きっと大丈夫」 フランは自分に言い聞かせるように口にした。 「ええ、大丈夫です。問題はありませんよ」 そして、返事が帰ってきた。 「なせばなる」 「そう、本人の気持ち。勝ち残れるかは本人の意思次第です。 最終的には意志の強さこそ、この情報世界で行われる聖杯戦争ではもっとも必要な要素と言えますね」 「ねーねー、私フランドールっていうの、一つ聞いてもいいかしら?」 「フランドールさん。よろしいですよ、お聞きしたいことがあるならいくらでも」 全身黒ずくめの衣装に身を包んだ長身の男。 先ほど木端微塵に砕け散ったはずの彼は、あくまでも平然とフランドールの質問に答えた。 「フランて呼んでいいから、あなたのお名前おしえてくれる?あと、何で壊れていないの」 「まずは名前から、私は赤屍蔵人ともうすものです。このたびはアサシンのサーヴァントとして呼び出されました。 最も暗殺者ではなく、医師や運び屋として働いていますが、ね」 フランに対して赤屍は帽子を脱いで頭を下げた。 「次に、なぜ、壊れていないか?と聞かれたなら、聖杯戦争はフランさんと相性のいいサーヴァントが呼び出される。 すなわち、この私みたいにフランさんがすぐ聖杯戦争に負けてしまわないサーヴァントが呼び出されるということです」 「本当にそうなの?禁忌「レーヴァテイン」、えい、や」 フランの炎をまとった杖が赤屍蔵人の胸に突き刺さった。 その杖はボキボキと鈍い音を立てながらアバラを砕き、肉を焼きながら心臓へと到達。そこで一旦、フランドールはグリグリとねじり込んだあと引き抜いた。 ぽっかりと穴のあいた胸元から大量の赤い血が吹き出したが、すぐに血は止まり傷はふさがっていく。 「すごいや、せんせー。本当に壊れないや」 フランドールは自分の攻撃を受け全く変わらずたたずむ赤屍に感心して言った。その顔は返り血まみれながらも微笑みが浮かんでいる。 赤屍は「少々、お待ちを」と、コートのポケットから取り出したハンカチでフランドールの顔の返り血を拭き取る。 「ところで、フランさん。先生というのは?」 「ん。だって、お医者さんなんでしょ。だったら、せんせーって呼ぶんだよね。お本で読んだよ。 でも、挿絵にかいてあったのは真っ白な服をきていたような?まあ、いいや」 「先生と言われてみれば先生ですね。 では、私からも伺いたいことがまだ2つほど」 血で汚れたハンカチをポケットの中にしまい込んだ。 「なんでもフランに聞いていいよ。せんせー」 フランは任せなさいと、胸を拳で軽く叩いた。 「では、フランさん。あなたがこの聖杯戦争を参加した目的とこれからの方針を」 「フランはいっぱい遊ぶために参加しました。あと、方針~、方針って言われても、なんだろ?」 フランは首を傾げた。 この聖杯戦争という遊びのルールは頭の中に入っている。ルーラーというサーヴァントには逆らうな、NPCという人の姿をしたものは壊しすぎるな、そして、生き残った者が優勝して何でもかなえるという聖杯を手にする。 そういう遊びならとりあえず、全部壊すのではいけないのだろうか。他にも別の遊び方が有るのだろうか? 「記録では聖杯の破壊。聖杯の奪取など、管理者への反逆が行われたと言われます。 この戦いも過去の聖杯戦争をモデルに作られているとしたら」 「そういうことをやっても構わないってことだね」 「基本的にルールは守るべきものですが今回の聖杯戦争は奇妙な点が多い。そもそもルーラーという存在そのものが必要とすら思えません」 『ルーラー』などと言われるサーヴァントが本当に必要であるか、それが疑問である。 かつて、月で行われた聖杯戦争では『ルーラー』などという抑止力がなくとも争いが行われていた。 方舟と月の聖杯戦争が同質と仮定するなら、ルールに違反したマスターたちはプログラム消去を行えばいいのだから。 付け加えるなら、フランドール同様に、たまたま巻き込まれた人間。そのなかでも、殺し合いに乗りたくない人々は分かりやすい敵役である『ルーラー』を倒すために一致団結しないだろうか? まるで『ルーラー』は倒されるために存在しているように思えてしまう。 裏があるのは確実だろう。 「また、純粋に聖杯戦争のルール通り動くとしても、まずは情報収集に徹する。 強者限定で戦う、弱者を助けるために動く。無差別に襲う、同盟を組む、積極的に動かず籠城するなど方針は数多くあります」 「せんせー。質問。 たくさん方針あるけど、どれが一番面白い遊びなの」 フランドールが手を上げて赤屍へと疑問を問いかける。 同盟ってどんな感じなんだろう?管理者への反逆というのも琴線に触れた、胸が熱くなりそう。強者……、つまり楽しい相手と遊ぶんだよね、これも楽しみ。 無差別、……ただただ破壊し続けるっていうのもシンプルで悪くないなあ、他にも楽しそうなものはたくさんある。でも、どれが一番かは分からない。 「どれを楽しいと思うか、ですか。 それは人それぞれ違います。フランさんにあった方針はフランさんが見つけるしかありません」 自分で見つける。フランは赤屍のことばを頭の中で反芻する。 「ん~。そうだ、いいこと思いついちゃった。 一つずつ試していけばいいんだ」 【クラス】アサシン 【真名】赤屍蔵人@ゲットバッカーズ~奪還屋 【パラメーター】 筋力C 耐久D 敏捷A+ 魔力E 幸運D 宝具EX 【属性】 中立・悪 【クラススキル】 気配遮断:B サーヴァントとしての気配を絶つ。 完全に気配を絶てば発見することは非常に難しい。 【保有スキル】 血液操作 A+ 血や血と混ざり合った物体がメスや剣などになる能力。 創りだした武器はアサシンの意思で動かすことができる また、毒物などの状態異常を無効化する。 投擲(短刀):B 医療用メスを弾丸として放つ能力。 心眼(真):B 戦場にて培った洞察力。 対象の能力と状況を冷静に把握し、次の動きを予測する医師特有の経験則。 逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。 外科手術:C 戦場で受けた傷に対して、応急処置を施すことが出来る。 本業ではないが、産婦人科や内科の技術も会得している。 【宝具】 『死の純度(量子力学不確定性原理」)』 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:1 万物は赤屍蔵人に認識されて初めて存在する。 赤屍は自身の死を想像できないために死ぬことはない、死は他人ごとである。 不死殺しや再生阻害に構わず肉体は再生するが、一定ダメージで戦闘不能になる。 サーヴァントであるため魔力を消費しすぎると限界できない。 ただし、攻撃のランクに応じて再生スピードは上昇、再生のために必要な魔力は減少する。 EXクラスの攻撃ならば、宇宙が消滅しても魔力の消費なく一瞬で復活するだろう。 【weapon】 『メス』 磁石につかないチタン合金製や電気を通さないセラミック製のメス。 アサシンはそのメスを体内に隠し持っている。 『ブラッディソード』 血液で創りだした西洋風の剣。 敵が一定以上の実力を持っている時に好んで使用する。 【人物背景】 通称「Dr.ジャッカル。殺人が趣味という史上最低・最悪の運び屋。 黒い帽子にラテックスの手袋、黒衣に身を包み、涼しげな風貌には常に微笑を浮かべる。 格下相手でも紙クズのように切り刻む冷酷さをみせ、人を殺すことを愉しむ殺人嗜好者として知られる。 基本的に一対一のシンプルな戦いを好んでいる。 また、結果より過程を好み、そのために「いつか背後から命を絶たれる」と友人から忠告を受けている。 実際に、攻撃を見守っていたら体中が穴だらけになったり、味方の美しい戦いに見惚れている間に刀で全身メッタ斬りにされた。 相手の実力を引き出すための舐めプもよくやっている。 戦闘狂で殺人狂ながらも戦う意志を持たない非戦闘員を殺すことはまずない。 病気になった主人公のお見舞いに果物持参で訪れ、 女子高生にメールアドレスを聞かれたら素直に教え ファミレスで破水していた妊婦を偶然見つけて赤ん坊取り上げたこともある。 また、「か弱い人間はこりごり」と漏らすが、女・子どもに甘いところもある。 元は戦場医で、とても大切に思っていた少年を救えず、戦場の忌まわしく悲しい現実を前にして、 神を呪い絶望に沈み殺戮に至る力を求め、意志の力を知り生死を越えた超越者となった。 実力は蟲偏くらいまでしか出せない。 不死殺し、ゼロ秒行動、時間無視、次元切断、次元移動、完全無限増殖、完全消滅攻撃などは魔力不足で使用不可。 【サーヴァントとしての願い】 無し、マスターの意思に従う。 【基本戦術、方針、運用法】 速さと不死性、毒物耐性、経験則による高い技量によって撃破が困難なサーヴァントといえるだろう。 中距離や近距離をまんべんなく戦え、医術など補助に適したスキルを持つため穴は極めて少ない。弱点といえるのは火力の少なさと常時発動するEX宝具による魔力消費だろうか。 ただし、一時的に戦闘不能にはできるため油断は禁物である。 宝具の性質上、チートクラスの強さや宝具を持つ相手には撃破できなくなる。チートキラー。 【マスター】フランドール・スカーレット@東方紅魔郷 【参加方法】紅魔館の宝物庫でゴフェルの杖を見つけた。 【マスターとしての願い】いっぱい遊ぶよー 【weapon】 ゴフェルの杖。魔術の補助程度にはなるだろう。 【能力・技能】 吸血鬼であり、眼にも止まらぬスピード、岩をも砕くパワー、強力な魔法力と言った高い身体能力を持ち、小手先のテクニックを無視する。 日光に弱くても、肉体も非常に頑丈に出来ており、高い再生能力を持つ。 また、ありとあらゆるものを破壊する程度の能力を保有している。 魔力で弾幕を放ったり、炎をまとった杖で攻撃などをする。 ひとえに燃費が最悪の赤屍を現界できるもの彼女の潜在能力会ってのこと。 ただし、引きこもりであったため、戦闘経験や駆け引きなどには期待できない。 日光への弱さゆえに昼間は太陽の隠れた場所でしか移動できない。流水、煎った豆など弱点も豊富である。 【人物背景】 七色に光る特徴的な形状の翼を持つ吸血鬼。 本人曰く495年間一度も外に出ておらず、ずっと地下に居たという。少々気がふれていためあまり屋敷の外に出してもらえず、 また彼女自身も外に出る気がなかった。紅魔館を訪れた者がまれに見かける程度で、滅多に紅魔館から出て来ず、 幽閉、もしくは引き籠もりの噂があるとなっている。 【方針】無差別
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キャラシート【としあきの聖杯戦争】 【クラス】アサシン 【真名】ユーディット 【容姿】短剣を携えた美女 【その他】混沌・中庸 【英雄点】40点(ステ20点・スキル20点):令呪0画消費 【HP】30/15+15 【筋力】E:1 【耐久】C:3 【敏捷】A:5 【魔力】E:1 【幸運】EX:8(10) 【スキル1】気配遮断A 10:先手判定時、補正値5を得る。交戦フェイズ中に相手前衛に対し、奇襲攻撃を行える。 【スキル2】神性D- 5:キャラシート作成時、サーヴァントの英雄点10を得る。 【スキル3】精神混濁:C 5:先手判定時に補正値2、奇襲攻撃時に補正値5を得る。 【宝具】純潔の肢体(ホロフェルネス・キラー) 1/1 【ランク・種別】C・対人宝具 【効果】奇襲攻撃時、補正値10を得る。相手が男性のとき、「すべての判定にマイナス1の補正を得る」状態を付与する。
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人物背景 第五次聖杯戦争(Fate/stay night)で、キャスターであるメディアによって召還されたアサシンのサーヴァント。 ルール違反の上に成り立っている召喚なので、本来のアサシンではない架空の英霊(正確には亡霊)が召喚された。 召還の際に触媒に使用した柳洞寺の土地を依り代とし、「マスターの存在しない英霊」として強引に現界している。 その為に土地の近辺しか動くことが出来ず、山門の番人のような役割を担っている。 真名は佐々木小次郎ということになってはいるが、その正体はあくまで「佐々木小次郎」という存在を演じるのに最も適した無名の剣士が その名を借りてサーヴァントとして召還されたという、言わば「佐々木小次郎の殻を被った名もなき亡霊」。 元は読み書きもできず名もない百姓で、生涯戦うこともなく剣の鍛錬をし続けた柳桐寺に縁のある剣士だったと思われる。 存在するはずのない英霊ではあるが、その剣術の腕はセイバーを相手に互角以上に渡り合い (メディアの援護があったとはいえ)バーサーカーであるヘラクレスを退ける程のもの。 公式で「第五次において単純な剣術の腕で最強なのは小次郎」と言及されており、剣士としては相当な実力である。 【二次キャラ聖杯戦争】ではイレギュラーな方法を用いたキャスター(蘇妲己)によって柳洞寺で召喚された。 パラメーター 筋力C 耐久E 敏捷A+ 魔力E 幸運A 気配遮断:D…自身の気配を消す能力。アサシンのDランク気配遮断は「透化」スキルからの派生。 厳密には気配遮断スキル自体は有していないが、「Dランク気配遮断スキルと同等の能力がある」という意。 心眼(偽):A…直感・第六感による危険回避。虫の知らせとも言われる、天性の才能による危険予知。視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。 透化:B+…明鏡止水の心得。精神干渉を無効化する精神防御。第五次のアサシンは正式なアサシンではなく、 本来の意味での「気配遮断」のスキルは持たないが、このスキルが気配遮断の代用にもなっている。 宗和の心得:B‥同じ相手に何度同じ技を使用しても命中精度が下がらない特殊な技法。攻撃を見切られなくなる。 『燕返し』 種別:対人魔剣 最大捕捉:1人 宝具ではなくスキル。修練を重ねた結果編み出した技。 かつて暇つぶしにツバメを斬ろうとした際、空気の流れを読まれてことごとく避けられた結果、それでもなお打ち落とそうとして編み出した。 無形を旨とする彼が唯一決まった構えを取る。 相手を三つの円で同時に断ち切る絶技。三つの異なる剣筋が同時に(わずかな時間差もなく、完全に同一の時間に)相手を襲う。 魔術ではなく魔剣。人の業のみでたどり着いた武術の極地であり、「分身」の魔技。 円弧を描く三つの軌跡と、愛用する太刀の長さが生み出す回避不能の必殺剣。 多重次元屈折現象、と呼ばれるものの一つ、らしい。 正式な英霊ではない為、宝具は存在しない。