約 1,149,046 件
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/681.html
640 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 五日目・朝:オーパス配列] 投稿日: 2007/03/11(日) 04 53 19 こっちが折れないと、余計に気を遣わせてしまうかな? 無茶はさせられないし、ここは早々に受けてしまって休んでもらった方が良いだろう。 「わかった、行く事にする……ありがとう、三枝さん」 もう一度頭を下げる。 「あの、本当に気にしないで良いですから……」 「いや、そうはいっても……」 「二人とも、話が堂々巡りになりかけているぞ」 余りにも冷静な氷室の言葉で少し冷静になる。 「由紀香は私達が看護するから、安心して出掛けてくると良い」 「ああ、うん、そうだな……」 立ち上がってもう一度頭を下げる。 「えっと……それじゃあ、いってきます」 布団の近くに置いたままだった服を手に取る。 丁寧に洗濯され、干してあるのか良い香りふわりと漂うのを感じた。 「はい、いってらっしゃい」 にこりと、布団の中から三枝さんが微笑むのが見えた。 部屋を出る。 一度深呼吸する。 ……まずはノインの所、居間に行って服を着せよう。 それから、イリヤを探して、それから、他に誰か来てくれそうな人……桜達が居たら誘うことにしよう。 「ノイン、居るかー?」 居間を覗くと、ノインはテレビを見ながら煎餅を囓っていた。 「どしたの? 士郎」 「服が届いたからさ、これを着てくれるか?」 「うん、わかったー」 「……いや、着替えるのは脱衣所でやってくれ、ほら、服」 ここで脱がれても、その、困る。 「細かいこと気にするんだね、士郎ってば」 そう言いながら服を受け取ってぱたぱたと走っていく。 「細かな事でも無いと思うけどな……着替え終わったら呼んでくれー、そうしたら、服を買いに行こう」 既に視界から消えたノインに声を掛ける。 わかったーという声が向こうから聞こえた。 さて、この間にイリヤを探して…… 「シロウ、もう出掛けるの?」 「あ、イリヤ」 探す必要はなかった。 イリヤと桜、それにキャスター……名城が立っていた。 「居間に居なかったけど何やってたんだ?」 「ん、これの調整、凄いんだよこの二人、オーパスの組み合わせを色々とやってくれてねー」 そう言って楽しげに笑いながら、例の布状の、説明の際に見せてもらった宝具を掲げてみせる。 「へぇ、調整って、パワーを上げたりとかできるのかこの宝具?」 ちょっと興味を持って覗き込む。 昨日見たあの戦い、自分は役に立つことは出来なかったし、あのJ.B.と言う男も気になるが、あの戦いが凄かったのはよく覚えている。 「あ、違うんです、ほら、この中央の……9個の宝石あるじゃないですか、これ、中央の大宝石以外は外せるみたいなんですけど、これの組み合わせで発動する効果を変えられるらしいんです」 ついパズルみたいで楽しんじゃいましたと言いながら桜が笑ってみせる。 「そうね、幸いキャスターは代えの宝石、オーパスって言うんだっけ? 沢山持ってたから色々試せたしね」 サクラってば嗜みがたりないんだからーなんて、自信満々にイリヤが言う。 「貴方が一番ノリノリだったでしょ、イリヤ」 名城がイリヤの額を軽く突く。 「そ、そんなことないわよ、サクラがやってるの見て付き合っただけだもーん」 そう言ってそっぽを向くが、右側だけ見える頬は微妙に赤みが差している。 「そうですかー? いっちばん楽しんでましたよね? 特種な配列みっけーって万歳してましたよね?」 「ちーがーうー!」 ……うん、丁度良い、一人だと不安だし、二人にもついてきて貰うことにしようか。 「あのさ……良ければ二人とも付いてきてくれないかな?」 「むしろ言われなくても付いていくつもりよ?」 あの子はコーディネートしがいありそうだったからねーと名城が笑う。 「そうですねー、色々着せ替えとか楽しめそうです」 桜も楽しげだ。 「そっか、ありがとな」 キッツビューエル:「それじゃあ、ノインが来たら行こうか」 ウェンゲン:その前に、何か不足している物がないか確認しておこう 投票結果 キッツビューエル 3 ウェンゲン 5 決定
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1064.html
728 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/07/24(火) 05 03 23 己の部屋に戻っても――正確には宛がわれた部屋ではあるが――落ち着きはしなかった。 むしろ逆に鼓動は早く、強くなっていく。 何しろ、その部屋は『あの部屋』だからだ。 衛宮士郎と間桐桜が、その……『していた』のを盗み聞いた部屋だからだ。 先程はまだ良かった。 己よりも先に倒れてくれた人が居たから。 そこで僅かながらも冷静になれたから。 だが今は、一人だから、どうしようもなく意識してしまう。 襖を見る。 その行為は疾うに終わっているのは知っている。 だが、それでも意識してしまう。 意識してしまうから、そして知っているから、襖を開けてしまった。 それはまるで禁忌を犯してしまうようで、そこに更に興奮した。 一歩目を踏み出す直前に、何かを嗅ぎ取る。 経験のない臭い、だが、想像は出来る。 これは男と女の混じり合った臭いだ。 「まったく、換気くらいしておけば良いと……ッ」 荷物のない部屋の奥、そう大きくない窓を開けに向かう途中で、足を止めた。 一度意識してしまえば意識の外に追いやれぬ強烈な臭いの中、『それ』が目に付いた。 それは皺だらけになったシャツだ。 どちらのものかは俄にはわからないが、それを手に取ってしまった。 ――衛宮の臭いがする 床に座り込み、ぼんやりと、そんなことを考えた。 そこに、常ならば存在する、才女と呼ばれるような判断力はまるで無い。 先程より、己の肉欲を止めきることが出来ていない。 その類の欲望をコントロールできないほどに若いのだと思う。 他人がどう見ようと、そういった欲望がある普通の女なのだと思う。 足を伝う熱い液体は、僅かずつ漏れ出し続けた。 一度トイレで拭い去ろうとしたが、それはただタオルを濡らすだけに終わった。 『解消』してしまわねばとも思うのだが、他人の家でそうする、というのはどうしても躊躇してしまう。 だがこの臭いと、目の前の物品は躊躇する背中を蹴飛ばすような効果があった。 ――もしかして私は衛宮が好き、だったりするのだろうか? 胸元のシャツを抱きしめる。 これが単純な欲望から来る物ならば、それはそれで構わない。 欲望をコントロールできないのは若さから来る物で、止めるのは極めて至難だ。 何かで読んだことがあるが、一度芽生えた性欲を忘れる為に苦行を始めた修行僧は、欲望に負け、抑圧されたそれは、害悪となるのだ。 ……これが恋慕の類から来る物であったならば、非常に危ない。 衛宮には既に間桐さんが居るのだ。 横恋慕、略奪愛は小説等では良くあることだが、その渦中に自分が居るなんて考えたくもない。 あのドロドロとした人間関係は、現実では興味よりも恐怖が勝る。 だから、だから…… 気付けば、目を閉じてシャツを抱きしめたまま顔に近づけていた。 じわりと、股の間から更なる性欲が漏れ出してきた。 そこに触れると、くちゅりと水音が聞こえてきた。 ――なんだ、アレは。 なんで俺の部屋に氷室が居たりするのか。 しかも、着替えた時忘れて放置されたままの俺のシャツを抱きしめて。 部屋は暗がりに占領されていたが、僅かに見えるその姿は非常に扇情的だ。 まずい。 何がまずいか分からんが非常にまずい。 もう出ぬといわんほどに絞り出したはずの性欲が息を吹き返そうとしている。 用心しながら、いや、もう何に用心しているのか自分でもまるで分からないが、とにかく用心して第一歩を踏み出す。 一体何をしているのか、と言葉を漏らそうとして出来ず、替わりに喉を鳴らした次の瞬間、不意に目があった。 「あ――」 「え――」 動きが止まっている。 沈黙があった。 実際にすれば数秒、決して分には満たない時間でしかない、何時間にも感じた沈黙が。 「えっと……」 その沈黙を破る。 飲み込んだはずの水分は、すっかりと干上がっていた。 ひとつ屋根の下:「夕飯の時間、なんだが」 私じゃなくても旺盛:「な、何してるんだ?」
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou/pages/178.html
人物背景 第五次聖杯戦争(Fate/stay night)で、キャスターであるメディアによって召還されたアサシンのサーヴァント。 ルール違反の上に成り立っている召喚なので、本来のアサシンではない架空の英霊(正確には亡霊)が召喚された。 召還の際に触媒に使用した柳洞寺の土地を依り代とし、「マスターの存在しない英霊」として強引に現界している。 その為に土地の近辺しか動くことが出来ず、山門の番人のような役割を担っている。 真名は佐々木小次郎ということになってはいるが、その正体はあくまで「佐々木小次郎」という存在を演じるのに最も適した無名の剣士が その名を借りてサーヴァントとして召還されたという、言わば「佐々木小次郎の殻を被った名もなき亡霊」。 元は読み書きもできず名もない百姓で、生涯戦うこともなく剣の鍛錬をし続けた柳桐寺に縁のある剣士だったと思われる。 存在するはずのない英霊ではあるが、その剣術の腕はセイバーを相手に互角以上に渡り合い (メディアの援護があったとはいえ)バーサーカーであるヘラクレスを退ける程のもの。 公式で「第五次において単純な剣術の腕で最強なのは小次郎」と言及されており、剣士としては相当な実力である。 【二次キャラ聖杯戦争】ではイレギュラーな方法を用いたキャスター(蘇妲己)によって柳洞寺で召喚された。 パラメーター 筋力C 耐久E 敏捷A+ 魔力E 幸運A 気配遮断:D…自身の気配を消す能力。アサシンのDランク気配遮断は「透化」スキルからの派生。 厳密には気配遮断スキル自体は有していないが、「Dランク気配遮断スキルと同等の能力がある」という意。 心眼(偽):A…直感・第六感による危険回避。虫の知らせとも言われる、天性の才能による危険予知。視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。 透化:B+…明鏡止水の心得。精神干渉を無効化する精神防御。第五次のアサシンは正式なアサシンではなく、 本来の意味での「気配遮断」のスキルは持たないが、このスキルが気配遮断の代用にもなっている。 宗和の心得:B‥同じ相手に何度同じ技を使用しても命中精度が下がらない特殊な技法。攻撃を見切られなくなる。 『燕返し』 種別:対人魔剣 最大捕捉:1人 宝具ではなくスキル。修練を重ねた結果編み出した技。 かつて暇つぶしにツバメを斬ろうとした際、空気の流れを読まれてことごとく避けられた結果、それでもなお打ち落とそうとして編み出した。 無形を旨とする彼が唯一決まった構えを取る。 相手を三つの円で同時に断ち切る絶技。三つの異なる剣筋が同時に(わずかな時間差もなく、完全に同一の時間に)相手を襲う。 魔術ではなく魔剣。人の業のみでたどり着いた武術の極地であり、「分身」の魔技。 円弧を描く三つの軌跡と、愛用する太刀の長さが生み出す回避不能の必殺剣。 多重次元屈折現象、と呼ばれるものの一つ、らしい。 正式な英霊ではない為、宝具は存在しない。
https://w.atwiki.jp/outerzone/pages/229.html
この聖杯戦争の参加者である衛藤可奈美とそのサーヴァントであるセイバーのクトリ・ノタ・セニオリスは自分たちの部屋で話し合いをしていた。 「それで可奈美はこれからどうするの?」 「私はこの聖杯戦争を止める! 誰も死なせたくない!」 「戦う理由は私と初めて会った時と変わらないわね」 クトリは可奈美らしいと想いながら言葉を続ける。 「それなら協力してくるマスターを探すのはどう? 君と同じように聖杯戦争を止めようとしているマスターはいると思うわよ? ただ、いたとしても数人ね………。 ほとんどのマスターは聖杯を狙ってると思うから………」 「それでも私は協力してくる人に会って見たい!」 可奈美はまっすぐな目でクトリにそう伝える。 「それなら協力してくるマスターを探さないとね」 「うん、きっと、見つかるよ!」 「その自信はどこから来るのよ………」 可奈美に呆れながらも可奈美らしいと想うクトリだった 〘ただ、可奈美には人殺しはさせたくないわね………。 可奈美の剣はきっと誰かを守る剣だから………。 もしもの時は私が………〙 心の中でそう想うクトリだった。 「それでクトリちゃん………」 「手合わせはしないわよ」 「まだなにも言ってないのに!?」 「この会話をするの何度めよ!!」 相変わらず手合わせを断られてる可奈美だった………。 【Cー4「マンション・可奈美の拠点/聖歴111年1月1日 未明】 【衛藤可奈美@刀使ノ巫女】 [状況]健康 [令呪]残り三画 [装備]御刀「千鳥」 [道具]なし [所持金]995万QP [思考・状況] 基本的行動方針:誰も殺さず、殺させず、全てを守る 1.協力してくるマスターを探す。 2.クトリちゃんとならなんとかなる! 【セイバー(クトリ・ノタ・セニオリス)@終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?】 [状態]健康 [装備]セニオリス [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本的行動方針:可奈美を最後まで守る。 1.可奈美に人殺しはさせない。
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/629.html
107 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 四日目・夜:血跡] 投稿日: 2007/01/18(木) 04 21 25 影がぶつかり合う。 一つは音にも迫らんばかりに一直線に空を駆ける。 対する一つは、耳障りな哄笑と狂気を散らしながら虚空にて待ちかまえる。 ……それは幾度となく繰り返された光景だ。 今現在切った札は互いに少なすぎる。 だが、それとて『空を飛ぶ』という一点でもって圧倒的なアドバンテージを有している。 クラスとして最優であるセイバー。 英霊であるその身をして、飛行するという力を持たぬ身である以上、虚実入り乱れる攻勢など不可能である。 その差をして拮抗しているという事実こそ奇妙。 バーサーカーは新たに札を切り、それをして攻めることは幾らでも可能なはずであった。 「くっ!」 セイバーはまたも一撃をいなされ、爪をその身に受けた。 だがその爪の先、腕を右手で掴み、腹部を狙う一撃。 半ば牽制ではあるが、無防備に受ければ肋骨を砕いて余りある威力だ。 その一撃を、セイバーの身体ごと回転して回避する。 バーサーカーは空中であることのアドバンテージを、これ以上無いほど生かしている。 その回転と同時、開いた左腕を突き出し、肩へ掌底を叩き込み、その反動を利用して再び足場へと戻る。 空中に、しかも足場から遠い場所に居る限り優位は動かないと認めたのは既に過去。 だから認めた段階で、作戦を変えた。 彼の『宝具』さえ使えばその状況も動くだろうが、消耗は極めて大きく、何よりこれ以上ないほどに目立つ、それこそ大地を、街を抉る光の剣が如く。 故にその使用は不可能。 そうであるが故に、バーサーカーが動いた瞬間こそが好機。 その瞬間を、息の殺して待ち続ける―― 「……よし」 少し不安ではあるが、相手も所持している以上、拳銃の攻撃性能は無視できるモノではない。 莫耶をベルトに挟み、拳銃を両手で構えて消え始めた足跡を追跡する。 勿論、罠の可能性もあるため警戒は必須だが、ただ体勢の立て直しのために逃げているのならここで倒さねばならない。 外の敵――バーサーカーと呼ばれていた――は紛れもない殺人鬼であり、そのマスターも確実に殺人を肯定し、それどころか罪があるのかと問うた。 そのような在り方であるが故に、衛宮士郎は、正義の味方を志す者はその在り方を否定しなければならない。 彼は人を犠牲にしない為に、戦っているのだから。 ビルを抉り取るように大きく開いた穴から先の部屋を覗き見て警戒する。 姿勢は出来るだけ低く、血痕を追跡する。 一つめ、二つめの部屋には特に何か置いてあることはなさそうだ。 血の跡を追い、続けて三つ目の部屋を覗き見る。 「……ん?」 部屋に血が広がっている。 溢れた跡と言うよりも、結果として溜まったような跡だ。 「後ろを警戒して立ち止まったのか? それとも何か……」 物陰から出て、血溜まりに触れる。 埃や破片で白く汚れているが、やはり乾いては居ない。 ふとその先を見る。 抉り取るような穴は変わらず、だが。 「血痕が、途切れている?」 突然すぎる出来事に、咄嗟の思考が追いつかない。 罠? だとすればこうして注目して動きが止まった段階で何かをされているはずだ。 周囲を見渡すが爆発物や細いワイヤーのような物は……ない。 「だとすれば……なんだ?」 バックトラック? いや、そうだったとしても血痕は残るだろうし、そんな元気があるならやはり攻撃をしてくるのではないだろうか? あの時使われた魔術は防御のみという事から、防御のみに特化しているという仮定の下で、さらに武器が無いとすればその疑問は解消できる。 「とはいえ、血の跡が消えたことの説明にはならないよな……いや、待てよ」 今夜の衛宮邸での戦いで、桜が腕に影を巻き付けて止血処理をしていた事を思い出す。 防御魔術の応用で、似たような事が出来るのか? 追撃を警戒しながら止血すると同時に、その処置の際に生じる自らの血の跡に注目させ、警戒させて距離を稼ぐ。 ……ありえるな。 強襲:そうはさせない、一気に追いかける 警戒:いや、そう考えさせるのも罠だとしたら? 投票結果 強襲 4 警戒 5 決定
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1074.html
635 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/08/24(金) 04 13 42 「……エンジンを掛けても大丈夫ですか?」 逸る心のままにそう問うた。 その言葉が引き金になったのか、シャリフさんが堰を切ったように笑い出した。 その笑い振りは、見ていて清々しいほどで、思わず三人して見入ってしまった。 「ああ……面白かった、こんなに笑ったのは、ひょっとしたら初めてかもしれないわ、真面目そうな外見の割に抜けてるのね、『姉さん』て」 涙さえ浮かべて笑っていたのか、目元を軽く拭いながらシャリフさんが言った。 「……こんなところでエンジン回したら大問題よ、色々とね」 その言葉で思い出した。 Y2Kの排気ガスはとんでもなく高温だ。 有毒ガスとかそんなレベルの事はこの場合問題ではなく、可燃性の物体に引火して小火になりかねない。 実際土蔵の中身は木製の卓袱台だの藤ねえが持ってきて処分に困ったポスターだのが保管という名前で放置されている。 やったことはないがこんな物に600度を超えるガスが叩き付けたら多分即座に発火する。 「……ライダー、ここでエンジンを回すのは危ない、小火になる」 「そうでした……それにキーも差さっていませんね」 「キーはここよ」 そう言って、シャリフさんが手品のように肩口からキーを取り出す。 まるでそこに袋があるかのように、服の切れ目のような場所――だがそこには縫い目すらない――からだ。 「……今のは?」 手品の類ではないのは分かる。 「さあ、何かしら?」 誤魔化すように笑い、ライダーにキーを放り投げる。 それを無言のまま受け取り、ポケットに仕舞い込む。 「まあ、騒音の問題もありますから、遮音の結界を展開して貰わないといけませんね……まあスラストに比べれば静かでしょうが」 「……ライダー、それどう考えても比べる物間違ってる」 スラスト、正確に言えばスラストSSCはモンスターマシンと言うよりもモンスターそのものだ。 Y2Kはヘリのエンジンを搭載しているがスラストSSCは戦闘機のエンジンを二機も搭載しており、地上でマッハを公式に記録した代物だ。 そもそもあのマシンは明らかに『乗りこなす』とかそう言ったレベルの代物では無い。 読んだ雑誌には書かれていなかったが、あの直進振りから考えてみれば、左右に方向転換するためのハンドルすら無いのかもしれない。 「それじゃ、確かに渡したわよ」 それだけ言って、用件は済んだとばかりに踵を返す。 「衝動的に手に入れた物だけど……大事にしてくれると、嬉しい」 最後の方は消え入りそうな声だったけれど、それでも聞き取れた。 「ええ、勿論、大事にさせて貰います」 もしかしたら、彼女は感情表現が苦手なのかもしれない。 桜にもライダーにもそう言った面はあるし、桜に喚ばれた彼女も同じなのかもしれないと、ぼんやりと思った。 ぼんやりと眺めた背中は、土蔵の中からはもう見えなくなっていた。 「それじゃ、俺達も戻ろうか?」 「……そうしましょうか」 『結局私はなんで呼ばれたんでしょうか?』と言いたげな、釈然としない表情で桜が頷く。 ……この事を知っておいて欲しかったからなんだろうとは思うが、正しいかどうかは分からないのでそれは口にしない事にした。 「では私も少ししたら向かいます、二人はお先に」 剥がした布地を戻しながらライダーが笑う。 戻しながら車体を撫で回し、機体のラインを確かめているようで、その様子はいつになく浮かれている。 まあ、気持ちは良く分かる。 即座に諦めたとはいえ、乗り回したくて仕方の無かった機体だ、それが目の前にあって乗る気になればいつでも乗れるとなれば、そりゃ浮かれるのも当然だろう。 事実、握ったままの布地は掛けられることなく、もう片方の手で撫でたまま、目を潤ませて顔を赤らめている。 なんというか、その表情は物凄く色っぽい。 「……さあ、行きましょう」 ライダーの姿をじっと見ていたら桜に頬を抓られた。 なんというか、凄く痛かった。 印籠:居間に戻る ジェム:自室に戻る クラウン:縁側に座り込む
https://w.atwiki.jp/psyren_wars/pages/44.html
Vのため闘う者/老兵は死なず ◆A23CJmo9LE 『天戯弥勒か、またうさんくせーのが出て来たな。おまけにうっとおしい立場まで与えてくれやがって』 暗闇の中で語られた聖杯戦争の概要。それは予想したものと大きく違う物ではない、そう思った。実際聖杯なんて物に縋るロクデナシども…ましてや親殺しなんて考えるおれのような奴が集う殺し合いなんて、殺伐としたものだと思っていたが…… 『アッシュフォード学園の生徒だぁ?ちんたら学生生活送れってのかよ』 おまけにこのテレホンカードを使えば途中棄権可能ときた。存外ヌルイじゃねえか。 『本当に殺し合わせる気あんのかね、あいつ』 『おそらく何か意味があるんだろうよ』 念話での独り言に律儀に答えるライダー。生前の彼はなんだかよくわからないもの…‘ひとつなぎの大秘宝’を求めた者たち、そしてそこに眠る意思を知っている。ロジャーの遺志、Dの意思。聖杯もおそらく同じ、天戯のやつは何か目的をもっている。 『聖杯に必要なのか、あいつの目的に必要なのかは分からねェがな』 『邪魔なルールが多すぎるぜ、こいつは』 学生生活など今更送るつもりはない…ないが、欠席している生徒というのはあまりにも露骨にマスターだとばれるのではないか?真っ向からのバトルロイヤルを考えていた身としては回りくどくて仕方ない。 それにこのテレカ。おやじを殺せる能力者なら協力を求めるつもりだったが……これでどこぞに帰られちゃ人材確保は難しいんじゃないか?いっそ公衆電話の類をぶっ壊すか? いや、それより聖杯をとることを考えるべきなんだろう…… 『いくぞ、ライダー。学園とやらの下見だ。お前の戦闘は目立つようだからな』 『ああ、それで出てたのか。月も綺麗だし散歩かと思ったぜ、グラララ。戦闘なら海に行きたいもんだがそうはいかねぇか』 戦地で、すでに開戦したというのに散歩などと言ってのける男は器が大きいのか呑気なのか。 強力なサーヴァントゆえの自負でもあろうが、大型船の召喚に地震とその分目立つ。敵に目をつけられないためにも戦地は選ぶべきだろう。 敵がどのくらいいるのか、学園に登校した場合不利にならないか、それを考えるためにも戦地の偵察に二人は動いた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ゆらゆらと、夜闇に溶ける黒衣の男……学生服の青年と、執事服の老人が夜の町で向かい合う。 「よい夜ですな、若僧(ボーイ)?」 語りかける執事(バトラー)。その目はすでに殺意でぎらついている。 「本当にいい夜。こんな夜ですもの、血もたぎるというもの。静かで…本当にいい夜」 継いで語る女吸血鬼(ドラキュリーナ)。学生服の男の傍らに感じる戦士のにおい……それを感じて霊体化を解き、彼女も闘争心をたぎらせる。 それを受けて伝説の海賊もまた姿を現す。 「コウモリのような翼、白い肌に赤い眼……お前、まさか吸血鬼か?」 「あら、よく分かったじゃない。そう、私はツェペシュの幼き末裔、永遠に紅い幼き月。此度はランサーのクラスとして現界したわ。あなたは…海の男ね?焼けた肌がとてもキレイ」 「あァ、それなりに名の通った海賊さ。おれはさっきまでマスターと吸血鬼について話してたんで分かったが、そっちはいい目してやがる」 穏やかに言葉を交わしながらも確かに戦意を酌み交わす。ただ在るだけで威厳に満ちた王のやり取りは多くの英霊が集うこの地でも希少なものだろう。 「吸血鬼の嬢ちゃん、聞きたいことがある」 「何かしら、人間?」 王の問答に割り込むはこの場で最も年若い青年。その目に宿す殺意の先は目前の敵か、遠き父か。 「吸血鬼の一部を取り込み不死身になっちまった奴を殺す方法、わかるかい?」 かつて尊属殺と言われた重罪を、罪人カインの子吸血鬼に問う。王の問答はとたん罪人同士の血なまぐさい会話に堕ちていく。場に満ちた殺意がそれをさらに醜く彩る。 「餓鬼が妙な質問するのね。日光や白木の杭じゃ死なない、のよねぇ。ただ吸血鬼に成ったわけじゃないなら、私少食だから眷属いなくてよく分からないわ。ドラキュラ殺しの執事なら何かわかるかしら?」 かわいらしい笑みを浮かべ、しかし残虐な文言を吐く。人がパンを食すように血を飲むのが吸血鬼(ミディアン)、吸血姫(ミディアン)、化物(ミディアン)。 彼女は執事にして主君である男に罪人の問いを渡すと 「ドラキュラ曰く、不死身の化物(フリークス)など存在しない。くたばるまで殺してやるのがただ一つの手段かと」 ただ、殺す。死神の回答は至ってシンプル。 「よく分かったよ。ありがたい助言(アドバイス)に礼を言うぜ、役立たず(ボンクラ)ども」 頭をつぶそーとも、粉みじんにしよーとも、削りとろーとも、死ななかったおやじがそれで死ぬなら苦労はない。 決別。その言葉を合図にするように4人は戦闘態勢に入る。 「こんなに月も紅いから、本気で殺すわよ」 宣言と共に飛びかかる吸血鬼。狙いは敵マスター、虹村刑兆。 その速度は最速のクラス、ランサーに恥じぬものだが 「!」 目前に大きな薙刀が振るわれ、軌道を変える。薙刀を構えたライダーがこちらを睨むと どん!!! と音が響いたような気がした。 それは数十万人に一人のみが持つ天賦の才、覇王色の覇気…その強大な気迫。ライダーと圧倒的な実力差があるものは意識を保つことすら適わずその身を折るが 「ふん」 レミリア・スカーレットは意に介さない。彼女は屈する側ではなく膝をつかせる側だ。 己がマスターである虹村刑兆に効果を及ばさないくらいは老いた身でも難しくない。 残る一人は…… 「ウォルター・C・ドルネーズ。ヘルシング家、およびランサー(お嬢様)の執事(バトラー)。元国境騎士団(ヘルシング)ゴミ処理係。行くぞ」 高らかに名乗りを上げ、刑兆に戦いを挑む。本来なら老いた彼では覇気に完全には耐え切れず一瞬ふらつく位の影響はあっただろう。 だが、カリスマ……ヒトラーに従う兵隊のような気持ち!邪教の教祖にあこがれる信者のような気持ち! レミリアの持つそれは本来のものではないため団体戦闘において意味を持たず、人を引き付けるのみ。だが、その魅力は主君のため戦いに臨む執事の戦意の原動力となる。 ゆえに。あるじ(レミリア)と共にある限り、執事(ウォルター)は伝説の大海賊に対しても気圧されることはない。 それを確かめたライダーはマスターに視線を軽く送ると 「おれが相手してやろう。永い夜になりそうだな……!!」 ランサーの前に立ちふさがって、薙刀から震動を放ちつつ切りかかる。当然ランサーは回避し、二人ともマスターから距離をとって闘い始めた。 「バッド・カンパニー!」 マスターたちもまた戦闘を始める。飛ばしてきたワイヤーをグリーンベレーに防がせる刑兆。 「おもちゃの兵隊…?奇妙なものを…」 「見えて…いるのか?」 互いの呟きに疑問を覚えるも戦場は動く。 ワイヤーを飛ばし、切り刻もうとするウォルター。それに対して刑兆は後手に回るざるを得ない。 体にグリーンベレー含む多くの歩兵を纏わせて防ぎ、アパッチのローターでの防御も行う。時折戦車や兵隊からの銃撃を行うも容易く回避すされてしまった。 (小さな軍隊…なんだ?ワイヤーを防ぐ瞬発力はあるらしい。吸血鬼や魔術師が扱うという使い魔か…?こちらからの攻撃は効かないくせにあちらの攻撃は十分な威力がある、当たれば少々厄介だ) (ワイヤーを飛ばす速度自体は人間のそれだ。スタンド…ザ・ハンドなんかに比べれば遅い。 遅いが…技量が半端じゃないし、人としてはかなりの速さだ。銃撃のタイミングも読まれているし、こちらは回避で精いっぱいだ。そもそもなぜスタンドが見えている?) 衰えたウォルターの技量と力では仕留めきれない。経験と速度の足りない刑兆もまた決定打に欠く。若さがあれば、億泰がいれば、とお互いにないものを求めてしまう。 膠着した状況を動かすのはサーヴァントの闘いと考え、闘いつづけながらもそちらの様子をうかがう二人。 巨躯の老人と殴り合う幼き少女。それは字面だけ見ればいろんな意味で警察沙汰だろうが… 小柄と翼から生じる音にも迫る速度を生かし、近接戦で体格の勝るライダーと渡りあうランサー。槍は用いていないが、得物の大きさゆえに近接戦に不利が生じるライダー相手には好判断と言えるだろう。吸血鬼の怪力でもって殴る、殴る、殴る、殴る。 だが対するライダーも歴戦の英雄。周囲を飛び交うランサーの攻撃を得物で、肘で、柄で受け、受けきれないものは震動と武装色による硬化、そして彼女を上回るパワーでいなす。僅かのダメージを受けつつも時折震動を放ち牽制する。回避は容易いが、これをマスターに向けて撃たれてはたまらないと攻めを急ぐランサー。 速度で勝るランサー、力で勝るライダー。夜の女王と海の皇の闘いは、侵略する女王と守る皇の形ではあるがこちらも概ね互角。開戦時の言葉通り、【永い夜】になるかと思われたが 「バッド・カンパニー!」 戦局が双方互角ならば、有効的な援護を決めた方が勝つ。ライダーの懐から現れ援護射撃を行うスタンド……視線と交換でマスターから借りていた隠し兵器。 レミリア・スカーレットは優れた戦士である。幻想郷という閉ざされた世界とはいえ鬼や天狗、様々な妖怪と闘い、数百年単位で積み上げた経験は人間の英霊では届くものではない。 しかし彼女が振るうは個の武勇。家族、仲間、友人、部下、様々な関係の者と肩を並べはしたが軍隊(カンパニー)を率いる闘いならばこの聖杯戦争においてエドワード・ニューゲートに並ぶものはない―――! (避け―――――きれない!?) 必死に回避の姿勢をとろうとするが指揮が巧みか、銃手の腕かその軌道は見事に心臓に届く……かと思われたが (何とも…ない?) 確かに直撃した。だがダメージはない。 バッド・カンパニー……スタンドは精神エネルギーのビジョンであり、幽霊ひいてはサーヴァントへも干渉可能である。しかしBランクの対魔力を持つランサーにダメージを与えるほどの高位の神秘を宿すには至らなかった。 しかしその銃撃は無意味ではない。 (くそっ、体勢が、まずい!弾幕を避ける癖が仇になった!) 一度回避のために崩れた姿勢は戻らない。その隙をつき、震動を纏った拳を 「ウェアアアアア!!!」 打ち放った。 「うぐっ…う…」 「お嬢様!!」 直撃を受け、吹き飛ばされるランサー。本人の飛翔スキルによる減速とウォルターの助力を受け、どうにか静止、体勢を立て直す。 それを見た刑兆は放たれたウォルターの牽制をいなし、ライダーの下へ合流する。形勢はライダー主従に傾いた。 戦局が変わった以上今までと同じ戦術はとれない、機動力の落ちたランサーでは今度は五分にならない可能性が高い。 (弾幕での遠距離戦?いや、あちらは衝撃波を放てるし、マスターの方もあの大量のヒトガタで援護が出来る。 ウォルターが遠距離攻撃できない、加えて魔術師ではない以上、手数でこちらが不利。ウォルターをかばうのも厳しくなるうえ、奴はライダーのはず。対魔力で弾幕が効かなかったらこちらが詰み) (今のような不意打ちが何度も使えるわけがねェ。遠距離戦に持ちこんでもいいが、奴がそれに対応した武器があると厄介、また千日手になる。ランサーを名乗りながら武器を見せてねェのも気にかかる) ( (宝具を使うか…?) ) かたや逆転のため、かたや決定打のため、切り札の開帳を考える。 運命を操る必中の槍を。長き旅を共にした乗機を。己が居城の再現を。己が家族の助力を。 こんな緒戦から…? 『退くわよウォルター、序盤から消耗は避けたい。いったん撤退して傷を癒す』 『認識しました、レミリアお嬢様(ヤー、マイマスター)』 飛翔スキルでもってウォルターを抱え、あさっての方向へ飛び立つランサー。騎兵の本懐を見せていないのは気になるが…海賊というなら陸上で有効な乗機が出るとは考えにくい。 それを見て震動波による追撃を考えるライダーだが 「よせ、あの市街地吹っ飛ばす気か?消耗してんのにこれ以上目だって敵を引き寄せると厄介だ。おれ達も引くぞ」 それを聞き、矛を収めるライダー。確かに、生前は無制限に放つことが出来た震動もサーヴァントの身では魔力を消費する。そこに慣れていなかった。 威力の割に燃費はいい部類だが、その威力もだいぶ落ちている。随分使い勝手が悪くなったものだ。 「グララララ…悪ィな、調子に乗っちまった。で、どうするよ?偵察なんて空気じゃなくなっちまったぜ」 「とにかく離れるぞ。騒ぎを聞きつけられて連戦なんざごめんだ。いったん帰って、色々考えることがありそうだ」 「学校とやらはどうすんだ?」 「なるようになる。行くぞ」 学生の身分なんて邪魔でしかないが、拠点が準備されているのは悪くねェ。 だが、思ったより疲れた。スタンドとサーヴァントの同時行使は慣れないとキツイな。 【C-3/街外れ/1日目 未明】 【虹村刑兆@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]疲労(小)、魔力消費(小) [令呪]残り3画 [装備]いつもの学ラン(ワイヤーで少し切れている) [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:おやじを殺す手段を探す。第一候補は聖杯。治す手段なら……? 0.まさかいきなり吸血鬼に会うとはな… 1.帰宅し、まず休養とそれから考察。 2.登校するかどうかは気分次第。 3.公衆電話は破壊する…? [備考] バッド・カンパニーがウォルターに見え、ランサーに効かなかったのを確認、疑問視しています。 明朝登校するかどうかは後続の方にお任せします。 【ライダー(エドワード・ニューゲート)@ONE PIECE】 [状態]疲労(小)、魔力消費(小) [装備]大薙刀 [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:刑兆の行く末を見届ける 1.刑兆と共に帰宅、考察。 2.できれば海に行きたい [備考] NPCの存在、生活基盤の存在及びテレカのルールは聖杯、もしくは天戯弥勒の目的に必要なものと考えています。 [共通備考] ウォルター&ランサー(レミリア・スカーレット)と交戦、宝具なしでの戦闘手段と吸血鬼であることを把握しました。 B-2の現在地から歩いて少しのところにこの世界における自宅があります。具体的なことは後続の方にお任せします。 [地域備考] C-3市街地の外れで戦闘を行いました。バッド・カンパニーの銃声が響き渡り、グラグラの実の震動が伝わりました。ただし銃声はスタンドのものであるためNPCには聞こえなかった可能性が高いです。 『あなたの言う通りだったわね、ウォルター。日傘片手に勝てる楽な闘争じゃあない』 『ええ、ですがこのくらいなら苦境の内にも入りません。我らならば勝てる戦です』 街外れを飛び、戦地を離れる主従。執事の諫言をうけ、昼の外出を避けたのは妙手だったと思い返す。 反省はしているようだが、戦意が萎えることはない。 そう、戦意は失わない。だが…… (あの年老いたサーヴァント…アーカードなどのような人外ではなく、人間のようだった。それがレミリアお嬢様…吸血鬼と互角にわたり合っていた……老いた身で) なぜ老年なのだ?サーヴァントとは全盛期で召喚されるものではないのか?何か理由が? 胸中を占める疑念と……僅かな嫉妬。詮無いことと分かっていながら先の戦闘で己の衰えを自覚した分、負の思いを感じざるを得なかった。 『さすがに疲れたわ。ダメージも小さくないしどこかで血がほしいわね』 『ふむ…』 余計な思いはいったん横に置く。 戦闘を終え、気が抜けたか外見相応の面が出たようだ。聖杯戦争の参加者以外の一般市民もいるようだしそれを頂くか…?しかし先の主従に吸血鬼とばれてしまっている以上目立つマネは避けた方がいいだろうか。病院から輸血用血液を確保することを考えるか…? 『早く行きましょ。ちなみに私はB型が好みよ』 【C-3/市街地上空/1日目 未明】 【ウォルター・C・ドルネーズ@出典】 [状態]健康、魔力消費(微小) [令呪]残り3画 [装備]鋼線(ワイヤー) [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:全盛期の力を取り戻すため、聖杯を手にする 1.レミリアの食事(血)の確保と休養。 2.打って出るのは夜間のみ。 3.ライダー(エドワード・ニューゲート)に対して僅かな嫉妬と疑念。 【ランサー(レミリア・スカーレット)@東方project】 [状態]ダメージ(中、スキル:吸血鬼により現在進行形で回復中)、魔力消費(小、現在進行形でダメージの回復に消耗中)、若干の空腹 [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:ウォルターのためにも聖杯戦争を勝ち抜く 1.食事と休養。ウォルター、はやくー 2.もう日傘片手で勝てるとは考えない。全力で行く。 [共通備考] 虹村刑兆&ライダー(エドワード・ニューゲート)と交戦、バッド・カンパニーのビジョンとおおよその効果、大薙刀と衝撃波(震動)を確認しました。発言とレミリアの判断より海賊のライダーと推察しています。 現在C-3の上空ですが、どこに向かって飛んでいるのか、レミリアの食事のためNPCを襲うか、病院やそれに準ずる施設に向かうか、そもそも施設の有無を知っているのかなどは後続の方にお任せします。 BACK NEXT 016 LIKE A HARD RAIN 投下順 018 ゴムと反射と悪党と 015 悪魔の証明 時系列順 018 ゴムと反射と悪党と BACK 登場キャラ NEXT 006 ウォルター・C・ドルネーズ&ランサー ウォルター・C・ドルネーズ&ランサー(レミリア・スカーレット) 028 あの空の向こう側へ 009 虹村形兆&ライダー 虹村形兆&ライダー(エドワード・ニューゲート) 027 MY TIME TO SHINE
https://w.atwiki.jp/tokyograil/pages/241.html
Who is in the center it is chaos? ◆GOn9rNo1ts 犯罪係数 92 シンデレラガール、渋谷凜の朝は早い。 輝かしい偶像(アイドル)の頂点に立つ彼女の一日は、いたって地味な朝のランニングから始まる。 服装は動きやすさを重視したジャージ。公道を走るのに煌びやかなドレスは必要ない。 傍らには小鼠の変わりに飼い犬であるハナコ。手には彼女が粗相をした際に処理をするための手提げ袋。 かぼちゃの馬車のお出迎えもなく、向かうお城も、今はなく。ただただ体を動かすために。 その日も、凜は自分の足で静かに、しかし確かな足取りで、トレーニングと犬の散歩を兼ねた『毎日』を開始した。 いつからこの日課を始めたのか、凜は覚えていない。 ダンスのレッスンで体力不足を感じた時からだっただろうか。 デビューシングル曲が決まった時だっただろうか。 ライブへの出演が決まった時だろうか。それとも、はじめて総選挙の順位が発表された時だろうか。 分からない。 ただ、何か特別なことがあって、始めたのだろうなとは思う。 不足を感じたのか、向上を願ったのか。新たな階段を、登りたくなった。 いずれにせよ、この地道な一歩一歩が今の渋谷凜を、アイドルとしての渋谷凜を確立させていることは、疑いようのない事実だ。 最初は『特別』で始まったことが、今や日課と化すほどに『当たり前』となっていて。 例え、ほとんどすべてが偽物の街に放り込まれたとしても。 例え、誰かと殺し合いをしなければならないと知らされたとしても。 例え、得体のしれないおっさんと四六時中一緒にいなければならない日々に暗鬱を抱えても。 この当たり前を続けていることで、彼女は浮足立ちそうな現実に足をつけ、息が詰まりそうな空気にほ、っと一息をついている。 そんな気がした。 思えば、この世界を生き抜くためには無意味なレッスンに行き続けているのも『彼女』に会って『当たり前』を手にしたいから、なのかもしれない。 「おはようございます」 ともかく。 現実から逃避したいがための。 もしくは――現実にしがみ付きたいがための。 彼女の『当たり前』は。 かつて『特別』が始まったこの道で。 今回もまた、終わりを告げた。 「お会いできて光栄です、シンデレラガール」 彼は、黒のスーツを纏っていた。 「いえ、今はこう呼ばせていただきましょう」 彼は、三白眼だった。 「聖杯戦争参加者、渋谷凜さん」 彼は、突然に『特別』を与えに来た。 「貴女に、運営からの通達があります」 彼は、名刺の変わりに拳銃のようなものを凜に向けていた。 「……場所、移しても良い?」 これ以上、この『特別』が自分の『当たり前』を浸食していくのが厭で。 これ以上、彼女をシンデレラに変えてくれた『彼』との出会いを塗り潰されたくなくて。 凜は苦々しい顔を隠そうともせず、そう言った。 ◇ ◇ ◇ 「いやあ、助かりました。通常は封筒を郵送させていただくのですが、渋谷さんの場合はお家の方に先に開けられてしまう可能性もありましたので」 銃口を向けた無礼への謝罪を聞き続けながら辿り着いた公園で、彼――東金と名乗った男は開口一番そう言った。 「それにしても矢張りといいますか、全アイドルの頂点ともなるとこんな朝早くからトレーニングに励むものなのですなあ。 まだ年若いにも関わらず大人顔負けのプロ精神。感服するばかりですよ」 「それで、なに」 世辞など聞き飽きていると言わんばかりの必要最低限な反応。 もしくは、シンデレラへの階段を登り続けてきた中で自然と身に着けた「警戒すべき相手への対処法」とでもいうべきか。 そんなぶっきらぼうさに怯むこともなく、彼女より干支一周分は大人な男は言葉を続ける。 「わかりました。早速本題に入らせていただきます。 本日、聖杯戦争運営側から聖杯戦争参加者の皆さんへ討伐クエストが発令されました。 バーサーカー・ギーグ及びそのマスターであるジョーカーの討伐です」 「討伐?」 「詳しくはこちらをどうぞ」 眉をひそめる凜を尻目に、東金は手際よく封筒をポケットから取り出した。 どこにでもある普通の封筒だった。「聖杯戦争参加者の皆様へ」なんて文言が冗談のようにさえ感じられる。 早速封を切り、軽く目を通し始めた凜。 あくまでも冷静に、平静を保ちながら読み進めていく。 そんな彼女の見えないところで、東金の顔が悪鬼のように醜く歪んだ。 「やつらは聖杯戦争をする気がない」 凜の身体がほんの数ミリ揺れ、表情が一瞬強張った。 舐め回すように凜を観察していた東金は、あえて何も反応しなかった。 「やつらはクズだ。生きている価値のない、人以下のゴミクズだ。 信じられますか、渋谷さん。やつらは強盗にも、殺人にも、強姦にも、何一つ意味をもっていないんです」 意味もなく、犯罪を犯し続ける。 それがジョーカー。生粋の狂人。 罰を受けるべき罪人。 「そんな無秩序極まりない存在は、消さねばならない。 聖杯戦争に臨む覚悟もなく、自分のしたいことだけをして生き続ける。 決して許される存在ではない。そうは思いませんか、渋谷さん」 「……だからって、よってたかって殺す、ってのはどうなのかな」 「聖杯戦争のために生まれたこの世界における罪とは、何だと思いますか、渋谷さん?」 凜は、答えられなかった。 東金の目から逃れるように、手紙を読み続けるふりをして、ただひたすら目を動かした。 ただ、この時間が早く終わらないかと。等身大の、女の子のように。 東金は、楽しそうにそれを見つめていた。 「可愛いわんちゃんですね。私もよく、小さい頃に子犬と戯れたものです」 東金の腕がハナコの頭へと伸びていく。凜は、はっと顔を上げる。 何故か、意味もなく唾をのんだ。 頭を撫でる。ただそれだけの行為のはずなのに。 なんだか酷く、暴力的な気配を感じているように。 ハナコは尻尾を振らなかった。 代わりに大きく、欠伸をした。 ぱさり。 「おっと」 小型犬に手を伸ばそうとしゃがんだ拍子に、東金の内ポケットから一枚の写真が落ちる。 凜は見た。 東金とハナコから目を離せなかった結果。 見てしまった。 写真に写っていたのは、一見、何か分からない『物体』 奇抜な飾り付けをされた奇妙なオブジェ。 かの高名な芸術家の前衛的な作品ですと美術館で紹介されれば、信じてしまうかもしれない。 但し、それが公共の場では芸術作品足りえない理由がある。 その『物体』のちょうどてっぺんに。 『顔』が乗っていた。 明るい栗色の髪に、凜は見覚えがあった。 オブジェを飾りたてる襤褸切れの暖かい色合いに、凜は見覚えがあった。 オブジェの足元に何故かきちんと両揃えで置かれている、ぴかぴかに磨かれたスニーカーに、凜は見覚えがあった。 それは それは 「失礼しました。忘れてください」 今、自分がどんな顔をしているのか、凜は分からなかった。 決して鏡で見たくないような、そんなアイドルらしからぬ顔だろうとは、想像がついた。 「……痛ましい事件でした。被害者は誰にでも好かれる、学園のアイドルだったそうです。 このような悲劇を一日でも早く終わらせるために、ジョーカーは倒さなければなりません」 ハナコが、また大きく欠伸をする。 凜は力が抜けたようにしゃがみ込み、震える手でハナコを抱き寄せる。 大丈夫、大丈夫、と。言い聞かせるように呟いた。 「貴女がどのような決断をするか、それは私の預かり知らぬところです。 ですが、少なくともご家族や友人やアイドル仲間の皆さんには、それとなく夜分の外出を止めるように勧めたほうが良いでしょう」 『彼女』は、最近ずっと遅くまでレッスンに励んでいるようだった。 『彼女』の家は、凜の家よりもレッスン場から遠いところにあった気がする。 凜はいつもレッスンの帰りに、『彼女』と凜の家の前で別れていた。 「最も、ジョーカーは他人の家へ当たり前のように侵入し一家惨殺を行っています。 サーヴァントを持たぬ人間にとっては、この世界で安全なところなどないのでしょうがね」 サーヴァント。超常の存在。凜が持つ、武器にして防具。 その力を行使すれば、ジョーカーを前にしても身を守ることができるだろう。 だけど『彼女』は? 「ああ、一つ言い忘れていました」 ひたり、と。 東金が、凜の前に一歩を踏み出す。 最後の一押しを、押すように。 「ジョーカーを殺した場合でも、貴女が殺人犯として捕まることはありません。 流石に、英雄として祭り上げられることはないでしょうが……討伐依頼書に記載の通り、報酬も御座います。 少なくとも、新聞一面に『シンデレラガールの知られざる一面!』なんてことはありえません。そのために我々運営がいます」 我々は、世界は、貴女の味方です、渋谷凜さん。 ジョーカーは悪で、貴女は正義だ。 人殺しの化け物を打倒し、大切なものを守る、正義の味方だ。 そんな毒が、零れ落ちていく温かい思い出に代わって、凜へ流し込まれていく。 「それでは、貴重なお時間をありがとうございました」 「…………」 お互いに、話すことはもう何もなかった。 凜は、胸に抱えたハナコの温かさを感じながら、走る。 悲鳴を上げかけているような顔で。今にも泣き出しそうな顔で。 それでもきっと、彼女は何事もなかったかのように家に着き家族に会い、何事もなかったかのように学校へ向かい友人たちと談笑するのだろう。 それぐらいは出来る演技力を、シンデレラガールは身につけてしまっていた。 だけど、それでも。 渋谷凜は『彼女』の――島村卯月の、太陽のような笑顔に一刻も早く会いたかった。 「頑張って下さい」 その言葉は、渋谷凜に届かなかった。 犯罪係数 64 ◇ ◇ ◇ 執行対象ではありません、トリガーをロックします 「なかなかに手強いですな」 東金朔夜は渋谷凜の姿が完全に見えなくなったことを確認してから、己の手に握られた拳銃に声をかけた。 「何度か挑発も行ったのですが……反応さえありません」 「マスターを守る気がないのか、守れるという絶対の自信があるのか」 「それとも、こちらの意図を読んでいるのか」 懸念事項、対象が解析系スキルもしくは宝具を持っていた場合、当騎の宝具を視認された可能性は今後に悪影響を与えかねません 「その点においては申し開きのしようも御座いません」 「軽率な判断でした。ただ」 「彼女の、シンデレラガールの今の色を見ておきたかったものですから」 ……………… 「なに、御心配には及びません。マスターである渋谷凜は聖杯戦争へと臨む覚悟を決めたようですし」 「いずれ、サーヴァントの方も尻尾を出さざるを得ません」 東金執行官は引き続き任務に励んで下さい 「お任せください。全ては、シビュラによる完全統治のために」 ◇ ◇ ◇ 知っている顔 知らない貌 うた 東金朔夜 シビュラシステム 知っている顔 知らない貌 Who are you ? 貴女は シンデレラ ガール 誰もが羨む ヒロイン 全国民の 知っている顔 そしてお前は 従者 誰もが知らない 怪物 名前も分からぬ 知らない貌 光に 紛・れ・て 闇は静かに ひ・そ・む 俺ら 全てを 支配しなくちゃ 気が済まねえ DOMINATE! 知っている顔 知らない貌 お前たちは 秩序? 混沌? 善か? 悪か? 知りたいのさ Sibyl System 深刻なエラーが発生しました 深刻なエラーが発生しました 深刻なエラーが発生しました 当システムのエラーを確認しました エラーを引き起こしたバグへの対処を最優先で行います 汚染箇所を確認します 汚染範囲を測定します 汚染強度、狂 対処法を協議します しばらくお待ちください 協議の結果、汚染範囲を廃棄することに決定しました 当騎における0.76%を廃棄します バグの侵入経路を推測します ケーブルから侵入の可能性、大 汚染範囲における電力供給ケーブルを切除します 調査の結果、該当ケーブルは千代田区の余剰電力を供給していたものと判明しました 対象地区の警戒度をD→Bに上昇させます また、当騎の精神障壁を突破したことから対象バグの危険性を暫定的にAランクに認定します 監視官及び執行官の維持、問題ありません 禾生壌宗との同調、問題ありません 聖杯との接続、問題ありません ムーンセル及び東京との連絡、問題ありません 全機能の復旧、並びに正常動作を確認しました 当騎の完全性は、保たれています 引き続きルーラーとしてご利用の程、宜しくお願い致します ◇ ◇ ◇ 姫は騎士へと歩を進め。 狗はエモノを鋭く見つめ。 王はUTSUWAに毒される。 …………フフフ 復讐。義憤。愛情。正義。 大義名分の名のもとに。 闇へその身を沈ませる。 そして、この小話の語り部たる 私 は。 ハハハハハハハハハハハハ! ■■■■■■■■は、彼ら全てを高みから嘲う。 【A-4/渋谷/1日目 早朝】 【渋谷凜@アイドルマスター シンデレラガールズ】 [状態] 精神的に少し不安定。犯罪係数64 [令呪]残り3画 [装備] 手持ちバッグ(散歩グッズ入り) ハナコ [道具] なし [所持金] 手持ちは高校生のおこづかい程度。 [思考・状況] 基本行動方針: 私は…… 1. 今はただ、島村卯月に会いたい。 2. ジョーカーを……? [備考] ※ジョーカー討伐クエストの詳細を把握しました。 ※ジョーカー&バーサーカー組の情報を把握しました。 【ランサー(アドルフ・ヒトラー)@ペルソナ2罪】 [状態] 健康。 [装備] ロンギヌス [道具] なし [所持金] なし [思考・状況] 基本行動方針:愉しむ。 1.愉しい。 [備考] ※ジョーカー討伐クエストの詳細を把握しました。 ※ジョーカー&バーサーカー組の情報を把握しました。 ※ 検閲済み 007 一人×2 投下順 009 誓いの爪痕 006 俺たちは闇から光を見ている 時系列順 011 誰も知らないあなたの仮面 BACK 登場キャラ NEXT 000 DAY BEFORE:闇夜が連れてきた運命 渋谷凛&ランサー(アドルフ・ヒトラー) 015 禍々しくも聖なるかな
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1094.html
100 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/10/22(月) 03 58 06 敵と呼吸を合わせ、同時に前進する。 同時に全身に強化の魔術を掛ける、この程度の初級魔術ならば手の内を明かす内には入らない。 それは相手も同じ、全身に魔力が充満しているのを肌で感じる。 だが続くのは魔術の応酬ではなく、拳の衝突。 速度も体重もギュンターの方が上であったにもかかわらず、魔力によって逆転する。 数歩分の距離を弾き飛ばし、最初の優位を奪う。 このまま決めるべく、再び距離を詰め、連打を叩き付けていく。 連撃を防ぐ腕が壊れかけているのは両者が理解し、止めを刺すべく大振りの一撃を放つ。 「せええええいっ!」 それと同時、 『臨める兵、闘う者、皆陣烈れて、前に在り』 ギュンターの魔術が発動した。 自らの全力を引き出した必倒の一撃。 それに倍するような衝撃を叩き付けられ、それがなんなのか理解する間もなく廊下に転がり倒れた。 「くっ……まさかアジア圏の魔術を使うなんて……」 グラグラする脳に克を入れ、何とか立ち上がる。 吹き飛ばされる寸前、なんと言ったのかまでは理解できなかったが、それが欧州圏の物ではなく、どちらかと言えばここ数日の間に耳慣れた日本語に近い言語、ないしそのものであることは理解できた。 それは異常だった。 必然性が感じられなかったということもある。 まるきり同じ物、と言うのはなくとも似通った魔術ならば欧州圏にも山とある。 それをわざわざ習得するというのは非効率に過ぎる。 言葉の問題もある。 素質の問題もあるだろう。 そして前述の通り似通った魔術ならば欧州圏に山とあるのだ。 更に魔術を学ぶ、という点において倫敦の時計塔は他と比較にならない。 故に世界の魔術は大航海時代に欧州圏の魔術に塗り替えられてきた経緯もある。 だがそれを使いこなした、と言うことは何かあるのだ。 それが分かれば今は考えずとも良い。 立ち上がり、敵を睨み付けた。 「驚いたな、肉体的な攻撃を仕掛けてくる輩ならば今ので何分かは昏倒してるはずなんだが」 力そのものが軽いからか、それとも対魔力が高いからかと、息を僅かに乱しながらギュンターが呟く。 「お生憎ね、そうそうやられてやるわけにはいかないわ」 魔術回路に魔術を走らせ、待機させる。 見知らぬ魔術を相手にするならば、相手の真価を発揮させてはならない。 そしてこちらの真価を見切られてはならない。 同時に吹き飛ばされていたワルサーを手に取り、片方の手に魔力を、片方で拳銃を構える。 この場合拳銃に牽制程度の意味しかない。 元々銃器には慣れていない彼女が思いついた急造の戦術である。 銃を連射しながら牽制しつつ接近し、零距離でガンドを撃ち込む。 物理的な威力をも有する彼女のガンドを零距離から撃ち出せば物理的そして魔力的なダメージを与え、さらに呪いを付加できる。 人間に対して一撃でも入ってしまえば、体に変調をきたし、十全な戦闘力を発揮することは難しくなる。 そうすれば大きなアドバンテージを得られる。 そこまで思惑を巡らせ、一歩を踏み出そうとし、そこで止まった。 「ならばこちらも、やらせてもらうとしよう」 それだけを耳に聞き、同時に目に見えそうなほどの魔力を感じたからだ。 臆したわけではない、ただ見据えねばならなかった。 これほどの魔力は彼女とて生成できるかどうか分からない。 それを叩き付けることなく内に向け、魔術を行使している。 炸薬が破裂したような音と共に流れた魔力が消え、風だけが残った。 その魔力によって何が変わったのか、彼女には分からなかった。 分かることは、男が距離を詰めてくるということだけ。 銃の引き金に手を掛ける。 狙うのは身体、もっとも命中率の高い場所である。 それと同時に―― 強行:距離を詰めて戦う 迎撃:その場に留まり、迎撃する 間合:距離を開けながら敵を見据える
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1014.html
444 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/07/07(土) 04 28 53 三枝さんは座った状態から両手をついて立ち上がろうとしているが、やはり僅かだがふらついている。 フラフラしているのに歩かせるのも忍びない、背中を貸す事にしよう。 「三枝さん、無理はしないでいいよ、背中貸すから乗ってくれ」 「え? ええっと……いいのかな?」 「大丈夫、三枝さん軽いから」 それは……思い出すと顔が赤くなるが昨日の風呂で実証済みだ。 「そういうことじゃないんですけど……それじゃお願いしちゃいます」 ぺこりと頭を下げて、そのまま倒れ込むように背中に乗る。 爪先だけで膝立ちですらなかったので危うくバランスを崩しかけるが、それを堪えて中腰になる。 「それじゃ居間まで歩くけど、落ちそうだったり、嫌だったら言ってもらえるかな?」 なんとなく、しがみつく事さえ出来ないように思えたので一応言うだけ言っておくことにして、手を後ろに回して太腿を脇に挟み込んで下半身を固定する。 「……はい、わかりました、大丈夫です」 少し躊躇していたようだったが、首に手を回して上半身を固定する。 これならそう簡単には落ちないだろう。 ……とりあえず、背中に当たっている柔らかな感触について言及するのは止めておこう。 既に顔が赤くなりかけているこの状況から意識するとどうしようもなくなってしまいそうだし。 三枝さんを背負ったまま居間に足を踏み入れると、道場に居たはずの面々が各々タオルで汗を拭ったりしながら休憩している。 「これはまた随分と……」 腹ごなしと言いながら始めたらしい事は相当に厳しい『特訓』だったらしい。 蒔寺は会話をする元気もないのかタオルを顔に掛けて部屋の隅で倒れているし、遠坂やルヴィアはそれに比べれば幾らかマシだが、頭にタオルを被って静かに座り込むその姿は15ラウンド戦い終えて燃え尽きたボクサーみたいだ。 ジェネラルは飲む気にならないのか、目の前の卓袱台に置かれた茶を睨み付けるようにして硬直している。 なのはとフェイトは熱で真っ赤になって床の上に倒れ込み桜と名城にタオルで扇がれている。 ……昨日のダメージは治りきっていないはずなのだが、あんなに消耗するほど動き回って大丈夫なのか? 普通に考えれば悪化しそうだが。 涼しい顔をしているのは先生とライダー、それにシャリフさんだけだ。 ……疲労しているみんなを羨ましいと思った。 身体はぐったりしているが全員目は死んでいない。 特に何人かは疲労よりも充実感が勝っているのか、身体が回復したらもう一丁と言いそうな位目が燃えている。 「衛宮くん、下ろしてください」 「あ、そうだね」 三枝さんを床にゆっくりと下ろすと、全員の様子を見て回ろうというのか、少しだけふらついた足で歩き出そうとしている。 「……三枝さんは大丈夫なのかい?」 これで倒れられたらどうにもならない。 「平気です、それよりも、疲れを溜めさせないように太腿とかを揉んであげてください、本当は歩いたりしてクールダウンさせた方が良いんですけど……ちょっと無理みたいですから」 ああ、そう言うことか……自分もふらふらなのにそう言う気遣いを忘れないのは凄いと思う。 良い言葉が思い浮かばないが、優しいとかそういう類のものではなくて、むしろ母性に近いような…… っと、考えるより行動だ。 体が冷えるよりも前に少しでも足やら腕、体全体の乳酸を散らしておかないと筋肉痛やらで後々……夜にまで影響しかねない。 三枝さんは蒔寺の足を揉みほぐしている。 そしてライダー達はクーリングまで済ませたのかくつろいでいる。 と、なれば—— 山岡士郎:遠坂の体を揉む 北倉志郎:ルヴィアの体を揉む 鈴木史朗:なのはの体を揉む 伊東四朗:フェイトの体を揉む 佐野史郎:ジェネラルの体を揉む 衛宮士郎:……いや、ちょっと待て