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令呪の使用用途 そもそも令呪って? 令呪とは魔力の塊のようなものです。これをリソースにして、様々な事象を起こすことが可能です。また、サーヴァントを制御するためにも使用することがあるため、無闇矢鱈な乱用は避けたほうがいいでしょう。 令呪の回復方法 原則として、令呪は聖杯戦争中に3つまでしか所持できず、消費した場合回復することはありません。ただし、監督役によって討伐対象に指定された陣営を撃破した場合、報酬として令呪を回復してくれる場合があります。この際でも、令呪は3つを超えて所持することはできません。 令呪の使用効果 令呪の効果はサーヴァントに対してのみ有効です。 一画消費 幸運を除く任意のステータスに補正5。攻撃判定時に同効果の重ね掛けは不可 対象を自害させる 任意発動スキルの再使用 攻撃時に固定値+7ダメージ。同効果の重ね掛けは不可 判定の振り直し 二画消費 HPの全回復、もしくは宝具のストック全回復 戦闘フェイズ以外の自身の判定前に使用可能。判定を破棄し、別エリアへ飛ぶ。多分対気配遮断用 三画消費 戦闘フェイズの自身の判定前に使用可能。判定を破棄し、別エリアへ飛ぶ。最終戦闘では攻撃の無効化として扱う 目次 メニュー はじめに 基本的に用意するもの ゲームの流れ FAQ ルール マスター + ... ー アライメント ー 逃走待機ポイント ー 令呪 ←現在ページ ー 素質 サーヴァント + ... ー クラス ー 宝具 ー ヒント 監督役(GM) エリア 各フェイズ + ... ー 移動フェイズ ー 遭遇フェイズ ー 戦闘フェイズ 各判定 + ... ー 先手判定 ー 逃走判定 ー 物理攻撃判定 ー 物理防御判定 ー 魔術攻撃判定 ー 魔術防御判定 真名看破 スキル + ... ー マスタースキル ー クラススキル ー 単独行動 ー 気配遮断 前衛と後衛 再契約 脱落 陣営 同盟 + ... ー 援護 ー 裏切り ー 同盟の解散 魂喰い 最終戦闘 状態異常
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開幕――そして本当の始まり 「――いよいよこの時が来たな、諸君」 気づいた時には誰も彼もが、真っ暗な部屋の中にいた。 そして気付けば自分自身と、他にいた人間達の体が、スポットライトで照らされていた。 周りの人間達の顔は、見えない。 何故か漫画のシルエットのように、彼らの姿だけが影となっていて、その容姿を伺うことはできない。 「つい12時間前、規定数である11人のマスターが、君達のいる仮想空間に満たされた」 そして新たに現れたのは、見覚えのある人影だ。 影達の中心に立つようにして、スポットライトを浴びた侍が、自分達の前に現れていた。 青年を囲う影は、10――自分自身を含めれば11。 つまりここに揃った者達が、予選を勝ち残ったマスター達ということだ。 「よって今ここに改めて、聖杯戦争の開催を宣言しよう」 マスターの資格を得た自分には、目の前の青年の正体が分かる。 自分の従える者と同じ、サーヴァントであるということが、今の自分には理解できる。 認識したクラスは、ルーラー。 これまでの説明にはなかったはずのクラスだ。 管理者(ルーラー)という名前であるからには、聖杯戦争の審判役として、特別に用意されたクラスだということか。 何より最大の特徴は、真名が開示されていることにあった。 自分のサーヴァントですら表示されない、英霊としての真の名前を、この男は公開していたのだ。 そこに示された名前は――榊といった。 「今より9時間後……深夜0時より、聖杯戦争の本戦を行う。 これまで通り基本的には、禁止事項は一切なしだ。聖杯の所有者を決めるため、最後の1組になるまで戦ってほしい」 榊は淡々と説明を続ける。それだけは最初と変わらない。 どれほど状況が変わっても、その涼しげな態度だけは、一切変わることがなかった。 気にするほどの神経がないのか、あるいは気にも留めないほどの高みから見下ろしている気なのか。 いずれにせよその冷静な態度が、その場に集った者達の神経を、大なり小なり逆撫でした。 「それでは健闘を祈るよ――願いを叶える権利者諸君」 そしてその言葉を最後に、マスター達の意識は暗転した。 最初に冬木市へ送られた時のように、認識は強制的にシャットアウトされ、元の場所へと戻されたのだった。 ◆ かくして各々が暮らす場所で、マスター達は目を覚ます。 実時間では一瞬でしかなかった、暗黒の空間での説明が終わり、元の冬木市へと戻される。 誰もに共通していたのは、この先に待ち受ける戦いへの覚悟だった。 ある者は願いを叶えるため、ある者はその願いを見つけるため、ある者はそれすら願わずただ脱出するため。 それぞれの想いを胸に抱き、人々は9時間後を意識する。 午後3時を告げる時計を見ながら、それが0時を指した瞬間を、それぞれの念の元に思い描く。 万能の願望器・聖杯を巡る、総勢11組の聖杯戦争。 それが開催されるまで――あと、9時間。 【9月9日・0 00――――――聖杯戦争本戦・開幕】 BACK NEXT 第11の座――破壊大帝 投下順 場外舌戦 第11の座――破壊大帝 時系列順 場外舌戦
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サーヴァントクラス:モンク 真名:セイロン AA:悠久山安慈(るろうに剣心) 性別:男性 属性:秩序・悪 参戦時のマスター:ウェイバー・ベルベット ステータス: 筋力:A 耐久:A 敏捷:C 魔力:C 幸運:D 宝具:EX スキル: 非暴力の精神:EX 生前から続く苦悩と生き様。 このサーヴァントは自分から戦闘を仕掛ける事は出来ない カラリパヤット:A 古代インド武術。力、才覚のみに頼らない、合理的な思想に基づく武術の始祖。 攻撃より守りに特化している。 防御時 +3コンマ 聖人の遺骨:EX 仏教における仏陀の弟子、阿難陀の遺骨。 これ一つで触媒とも成りうるが、効果としては自身の死の無効化である。 聖杯戦争中四回まで、死亡判定を覆す。 悟りを目指すもの:A 仏教の僧侶として解脱を目指し修行を積んだ生き方。 精神的妨害、視覚的迷彩効果の減少。 心理的・あるいはアサシンの気配遮断の打消し。 菩薩樹の悟り 世の理、人の解答に至ったものだけが纏う守り。 対粛正防御と呼ばれる”世界を守る”証とも。 無条件で物理攻撃、概念攻撃、次元間攻撃のダメージを自身の耐久ランクの数値分、削減する。 精神干渉ならば100%シャットアウト。 宝具:燃えよ我が煩悩、我が苦悩 モンクが生前犯した罪・苦悩。 対界宝具に匹敵する威力の炎を最大で半径十数キロにも及ぶ極炎を召喚する。 戦闘時に+5コンマ
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145 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 四日目・夜:闇を裂く銃弾] 投稿日: 2007/01/20(土) 04 33 03 ……いや、そう考えさせるのも罠だとしたら? 先程までの思考をトレースすることは難しくはないだろう。 その前提から動くとしたら、この部屋には何も仕掛けず次か、その次の部屋に罠を仕掛けておく…… ちらりと穴から次の部屋を覗く。 食料品店、いや、どちらかというと仲買業者みたいな物か? 大量の片栗粉や薄力粉、その他業務用の品々を乗せた種々のカートが並んでいる。 ……現在の衛宮家の事情を考えればこういったところで購入した方が良いような気もするが、っと、いけない、今は戦闘中だ。 気を抜けばそこに帰れないんだ。 一度深呼吸をしてから行動を再開する。 「トレース、オン――」 視力を強化し、カートの隙間や天井などを注視する。 拳銃が幾つか落ちている。 敵が逃げる際に落としたのだろうか? ……怪しい物をみつけた。 カートの隙間に、闇に溶けそうなほど黒い、だが太い糸が張られている。 周囲の陰を警戒していれば気付かない程度の糸だ。 その先に視線を移す。 「小麦……粉?」 巨大な小麦粉の袋。 あの大きさからして恐らく25キロサイズの袋が……合計8つ、200キロか。 視力の強化を止め、一息つく。 目的はなんだ? あれだけ大量の小麦粉を頭から被れば激しく咳き込み、さらにこの重量を頭から受ければ痛みで動きを止めるだろうがそれでどうしろというのだ? 止めるだけか、それとも、何か攻撃手段があるのか。 「どちらにせよ、引っかからない方が良いか」 罠を警戒し、拳銃は無視する。 そして糸を避けると他の罠に引っかかるという代物もなさそうだ。 ひょいと糸を避ける。 その瞬間、ボフという音が聞こえた。 周囲を警戒すると、小麦粉の袋が落ちかけていた。 「んな……」 驚きと同時に逃げ出し、物陰に隠れる。 隠れるのとほぼ同時に小麦粉が落ち、僅かな音と共に小麦粉の煙が部屋中に充満する。 腕で口元を隠しマスク代わりにして、伏せた。 コートやズボンが小麦粉が大量に付く。 「っ……」 目にも入ってきた。 思わず目を閉じる。 それと同時に、拳銃ではなしえない連続した発砲音が耳に響く。 「機関銃か?」 伏せていたのが助かったのか、大量の弾丸が壁を貫通し、カートを破壊し、遮蔽物という遮蔽物を貫通して弾丸が頭の上を掠めていく。 「くそっ……とにかく反撃を……」 連射は数秒で止まる。 拳銃を弾丸の飛んできた二つ先の部屋に向け、その瞬間に凍り付く。 「敵の狙いは、これか……!」 通常発火物にしかならないような物体が空中に粉として漂っている状態で火が撒かれた瞬間、空中に漂う粉、つまり粉塵が連鎖的に発火、爆発する現象、粉塵爆発。 つい数日前にそんな特集を見ていて、そして色々と考えていて助かった。 そうでなければ無駄だと分かった上で、当てずっぽうに拳銃を連射していただろう。 銃は撃ち出す瞬間マズルフラッシュが発生する。 マズルフラッシュは詰まるところ火で、そんな物が小麦粉が撒かれた中で起これば、場合によっては粉塵爆発が発生する。 毎度毎度起こるわけではないだろうが、もしかしたら起こるかも知れない。 粉塵爆発を期待していたのか、起こらないことを確認して、再び連射が始まる。 「くっ……」 壁を撃ち抜き、残骸となり始めたカートが吹き飛ばされて、完全に残骸になる。 さらに隠れている壁をも貫通し、頭の上を次々と飛んでいく弾丸を考えると、この弾雨の中では立ち上がれない。 連射は数秒おきに止むが、弾丸の節約と考えればいつ終わるのかは分からない。 それに、機銃が一挺とは限らない。 下手に突撃して機銃の前に立てば死は確定だ。 そんな状況ならば、躊躇してはいけない。 どうするべきだ? どうしなければならない? ブリストル223:連射が途切れた瞬間幾つかの拳銃を回収し敵のいる方向へ連射する シュド・カラベル:匍匐のまま一度部屋を出て廊下から敵の元へ向かう ストリーシュ:匍匐のまま部屋の中を通って先の部屋へ向かい、隙を狙う 投票結果 ブリストル223 1 シュド・カラベル 5 決定 ストリーシュ 1
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「さてーー」とアリスは頬に指を当てる。なるほど、彼女は人形使いだが、その顔はどこかビスクドールのような硬質さとシルクのような柔らかさを感じさせる。陶器のようにも見える肌に指が軽く沈み込み、小さな曲線を描いてもその印象は保ったままだ。 「どうしようかしら、アーチャー。」 耳に心地好い声でそう傍らの彼女のサーヴァント・アーチャーの赤城に問いかける。 「どちらも全く動きませんしーー」 聞かれてアーチャーは困惑の声をあげた。彼女はこういう分野の判断は専門ではない。そもそも対人戦闘や対人関係はほぼ門外艦だ。 それに、彼女の言ったとおり視線の先にいる二人は、彼女達が見つけてからピクリとも動いていない。優に五分は経ち、彼女達が相手の二十メートルほどの距離まで近づいても未だ目に見える反応はない。 二人の間に沈黙が、正確に言えば四人の間に沈黙が流れる。「まずは」と十秒ほどしてアリスは言った。 「ここに向かってきてる二騎を待ちましょう。」 「悪いな慎二、タクシー代払わせちゃって。」 「どうせお前が来なくても港には行くつもりだったからな、それに割り勘するだけの金も持ってなさそうだし。」 「い、一応千円ぐらいは持ってるよ!」 「千円て……小学生か?」 そんなことをガヤガヤと言いながら二人の少年がタクシーから降りてきた。 癖毛の少年が間桐慎二、均整のとれた体格の少年が色丞狂介だ。知ってか知らずか、同じ高校に通っていることになっている二人は同じように聖杯戦争の参加者たるマスターであり同じキャスターのクラスのサーヴァントを従えている。 そんな二人は、ホテルであって以来ここまでなし崩し的に行動を共にしていた。 「て言うか、なんでお前ついてきたんだ?さっきは家に帰って寝たいとか言ってなかったか。」 「いやそれは……他のサーヴァントを見つけたのに見過ごすないわけにもいかないし、それに慎二は会いに行くんだろ?」 慎二の問いに狂介はそう返した。慎二としてはホテルでタクシーに乗るときに別れるつもりだったのだが、意外にも狂介は慎二と行動を共にすることを選んだ。これは、狂介としては初めて会った自分以外のマスターを守りたいという意識からだったが、それを察するのは慎二は不可能だった。ただ、『少なくとも自分が生き残るのに邪魔にはならない』程度の評価を狂介にしていたため、またこれまでの行動からある程度信用するにたると判断したために慎二は同行することを受け入れた。 ふん、と鼻を鳴らすと「足手まといにはなるなよ」と言って前を行く慎二。 「そんな無防備にーー」と後を追う狂介。 二人は少しして足を港に踏み入れる。 慎二のキャスター・フドウは、そんな二人を眼差していた。その表情は霊体化して伺えないが、たとえ実体化していたとしても感情を読み取ることは難しいだろう。もっとも、彼をよく知る者ならばそれが彼なりの笑みだと気づいただろうが。 狂介のキャスター・パピヨンは、一転苦々しく二人を見ていた。こちらも霊体化とマスクによって感情を知るのは容易ではないが、その不機嫌な表情とは裏腹に機嫌は悪くないとこちらも彼を知る者ならばわかっただろうが。 そうして、四人は風変わりな四人を見つけた。 「御取り込み中だったかな?」と四人のマスター四騎のサーヴァント四組の主従が集まった場で最初に声を出したのは慎二だ。 「いいえ、私達も貴方達と同じよ」と向かい合うアリスは返答する。 「それって、戦う気はないってこと?」と狂介は質問を投げかける。 「私達に交戦の意図はありません」と返事をしたのは赤城だ。 「だったらそんな『目』で視るのは止めるんだな」とパピヨンは霊体化をといて発声する。 「■■■■■■……」そこで初めて、微動だにこれまでしなかったヘラクレスが唸り声を挙げる。 「……」無言で実体化したのはフドウだ。静かにそこに現れるとヘラクレスへと視線を向けて佇む。 「……んん……」と微かな声を聞かせたのは眠り続けていた真っ白な少女イリヤ。 その場の全員のーーバーサーカーさえ目を向けていたーー視線が一点に集まる。七人のバラバラな者達に囲まれるイリヤは、まるで毒林檎を食べた白雪姫のようだ。その目がゆっくりと開く。しばらくして。 「ーーどういう、こと……?」 ポツリとイリヤは呟いた。 イリヤは混乱していた。それもそのはず、つい先程ーーといっても彼女が気絶していたために実際は数時間前なのだがーーアサシンとランサー二騎の計三陣営と交戦していたと思っていたら、気がつけば全く別の場所でアーチャーとキャスター二騎の計三陣営に取り囲まれている。しかも何があったのか、体は冷えきり、全身の感覚はなく、声を出すのにさえ筋肉が悲鳴をあげる。 彼女が普通の人間ならば死んでいてもおかしくないような状態だったのだ。それを彼女が知らないだけでこのような不調は当然だと言える。しかし、彼女はアインツベルンの至宝とも言える技術の粋を集めて産み出されたホムンクルスでありマスターだ。酷い頭痛に顔をしかめながらも状況把握は怠らなかった。 「つまり」と眉間にシワを寄せてイリヤは言った。絶え間ない頭痛は頭を割らんばかりだが、彼女は自分が理解した状況からもその表情になっていた。 「貴方達は聖杯戦争をする気がないわけね?」 「うん。殺しあうなんて、それが願いのためでも、そうしなきゃ帰れなくても、おかしい。なんとかこの戦いから脱出しよう。」 「まあ、私も命懸けでそんなバカなことはしたくないわね。他に同じようなこと考えてる人がいるとは思わなかったけど、せっかくだから協力するわ(抜け道が見つかるまで)。」 「僕もだ、殺し合わせて最後の一人になったら願いが叶う?そんなののどこが聖杯なんだ。呪いのアイテムじゃないか(とりあえず話を合わせとくか)!」 イリヤを囲む三人のマスターが表明したのは、聖杯戦争の否定だ。 なるほど。わかった。そうイリヤの中で何が動いた。 (わかった、わかったわ。) 彼らは気づかなかった、聖杯戦争を否定することが、目の前の少女にどのような影響をもたらすかを。 (ーー名前を、覚えておかないと。) イリヤは上体を起こした。しっかと三人のマスターの顔を見る。頭に焼き付けるためだ、不埒者共の顔を。 「名前を、聞いていいかしら。」 にわかに、各々のサーヴァントのプレッシャーが増す。それはイリヤの言葉にこもる怒気のためか、それとも。 『アーチャー、合図をしたら海へ行って。』 『弓はどうします。』 『私がやる。』 一人、マスターの中でアリスだけがその剣呑な空気に気づいてアーチャーに支持を出す。海を駆けるアーチャーと空を飛べるアリスならば、初撃さえかわせば逃げられるだろう。そして相手がバーサーカーならわざわざアーチャーの武器を使うまでもない。アリスの魔法で港ごとマスターごと消し飛ばせば良いだけだ。 (タイミングが悪かったわね。) アリスは二人の少年を見る。一応口では聖杯戦争からの脱出を主張している二人は生かして起きたいのだが、それで好戦的なバーサーカー主従を仕留め損なうのも面倒だ。それに二人とは会って数分の仲だ。ほとんど会話もしていない他人同然の相手を気にかけるほどアリスはお人好しではない。運良く生き延びることを期待しよう。なに、彼らが本当に『乗っていない』のならば次会ったときに刃を向けるようなことはないはずだ。 (一応名前は覚えておこう。) 二人の少女の視線を二人の少年は浴びる。彼らは気づかない。その名前を言い終えたときが彼らの最後になるかもしれないとは。 「色丞狂介だ。」 「僕は間桐慎二。」 軽く二人は告げる。自らの名前を。そしてーー 「間桐?今あなた間桐て言ったの?」 『ストップ、アーチャー』 意外そうな表情でイリヤは言った。これはアリスの予想外の反応だ。二人の少女は動きを止める。 「ああ、まあ、聖杯戦争に参加するぐらいなら君も知ってるか。」 「始まりの御三家、オリジナルの聖杯戦争のオーナー。」 「その跡取りさ。」 慎二は平然と、しかし自慢気に、だがどこかやけっぱちに言ってのけた。 「「「オリジナル?」」」 しかし他の三人のマスターが気にかけたのは間桐という名ではない。もっと、この聖杯戦争の根源に関わることだ。 だが慎二は声を揃えて聞いた三人に不審の目を向ける。彼からすれば彼女達のリアクションは不可解きわまりないものだった。 故に、知らず彼は場を更に混乱させる言葉を続ける。 「なんだよ。これは冬木の聖杯戦争のパクリ、結界で再現したものだろ?」 「じゃなかったらサーヴァントの上にステータスなんて表示されないだろ、ゲームじゃないんだから。」 「まあでも、これだけ精密に未来の町を再現する上にサーヴァントだってちゃんといるんだ。こんなこと聖杯にしかできない。だからこれは、そういう聖杯戦争なんだろ?」 【新都、港近く/2014年8月1日(金)0628】 【アリス・マーガロイド@東方Project】 [状態] 健康。 [残存令呪] 3画 [思考・状況] 基本行動方針 幻想郷に戻ることを第一とする。 1.オリジナルの聖杯戦争? 2.とりあえず色丞狂介、間桐慎二の二陣営は相手にしなくてすみそう……? 3.定期的に赤城の宝具で偵察。 4.できれば冬木大橋を直接調べたい。 5.人形を作りたいけど時間が…… 6.聖杯戦争という魔法に興味。結界かあ…… [備考] ●予選中から引き継いだものがあるかは未確定です。 ●バーサーカー(ヘラクレス)、キャスター(パピヨン)、キャスター(フドウ)のステータスを確認しました。 【赤城@艦隊これくしょん】 [状態] 筋力(20)/D、 耐久(150)/A++、 敏捷(20)/D、 魔力(10)/E、 幸運(30)/C、 宝具(30)/E+++ 実体化、魔力消費(小) [思考・状況] 基本行動方針 マスターを助ける。今度は失敗しない。 1.警戒を厳に、もしもの時は壁役に。 2.定期的に宝具で偵察し必要なら制空権を確保する。 3.魔力を補給したいが今は黙ってる。 【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/stay night】 [状態] 全身ずぶ濡れ、低体温症、頭痛、その他程度不明の怪我(全て治癒中)。 [装備] 特別製令呪。 [残存令呪] 3画 [思考・状況] 基本行動方針 全員倒して優勝する。 1.オリジナルの聖杯戦争? 2.利用できそうな弱いマスターを利用する? [備考] ●第五次聖杯戦争途中からの参戦です。 ●ランサー(幸村)、ランサー(アリシア)、アサシン(扉間)のステータス、一部スキルを視認しました。 ●少なくともバーサーカー(サイト)とは遭遇しなかったようです。 ●自宅はアインツベルン城に設定されていますが本人が認識できているとは限りません。 ●バーサーカーと共に冬木大橋から落とされました。怪我の有無や魔力消費は不明です。 ●アサシン(千手扉間)がハサンではない可能性に気づきました。 ●アーチャー(赤城)、キャスター(パピヨン)、キャスター(フドウ)のステータスを確認しました。 【バーサーカー(ヘラクレス)@Fate/stay night】 [状態] 筋力(50)/A+、 耐久(50)/A、 敏捷(50)/A、 魔力(50)/A、 幸運(40)/B、 宝具(50)/A、 実体化、不明、狂化スキル低下中。 [思考・状況] 基本行動方針 イリヤを守り抜く、敵は屠る。 [備考] ●イリヤと共に冬木大橋から落とされましたが少し流されたあと這い上がっできました。 【間桐慎二@Fate/stay night 】 [状態] 疲労(小)、精神的疲労(中)。 [残存令呪] 3画 [思考・状況] 基本行動方針 聖杯を手に入れる。何を願うかは後から決める。 1.……あれ? 2.色丞とは……これは同盟なのか? 3.ライダー(孫悟空)は許さない。 4.間桐家で陣地作成を行う。 5.会場と冬木市の差異に興味。 [備考] ●孫悟空のクラスとステータスを確認しました。 クラス・ライダー、筋力B耐久B敏捷B+魔力D幸運A このステータスは全てキャスター(兵部京介)のヒュプノによる幻覚です。 ●キャスター(パピヨン)、バーサーカー(ヘラクレス)、アーチャー(赤城)のステータスを確認しました。 ●この聖杯戦争を『冬木の聖杯戦争を魔術で再現した冬木とは別の聖杯戦争』だと認識しています。 【キャスター(フドウ)@聖闘士星矢Ω】 [状態] 筋力(30)/C、 耐久(40)/B、 敏捷(60)/C+、 魔力(100)/A+、 幸運(50)/A、 宝具(50)/A 実体化。 [思考・状況] 基本行動方針 マスター・慎二を見定める。今のまま聖杯を手にするならば━━ 1.成り行きにここまで任せてきたが…… 2.今は慎二に従い、見定める。 3.求めるなら仏の道を説くというのも。 4.色丞狂介、か…… [備考] ●慎二への好感度が予選期間で更に下がりました。ただ、見捨てたわけではありません。 ●狂介に興味を持ちました。 ●孫悟空が孫悟空でないことを見破っています。 【色丞狂介@究極!!変態仮面】 [状態] 疲労(小)、精神的疲労(中)、ハンバーガー所持。 [残存令呪] 1画 [思考・状況] 基本行動方針 聖杯戦争を止める。悪人をお仕置きする。 1.オリジナルの聖杯戦争? 2. この子(イリヤ)ずぶ濡れだけど大丈夫かな? 3.ランサーだけあって逃げ足は早いんだな…… 4.帰ったら家で陣地作成したり核金作ったりしてもらう。 5.下北沢のサーヴァント(サイト)を警戒。冬木大橋も気になるからこのあと寄ってみる? [備考] ●核金×2、愛子ちゃんのパンティ所持。 ●予選期間中にサイトの魂食いの情報を得ました。東京会場でニャースを見た場合、サイトの姿や声を知る可能性があります。 ●孫悟空のクラスとステータスを確認しました。 クラス・ランサー、筋力C耐久C敏捷A+魔力B幸運C このステータスは全てキャスター(兵部京介)のヒュプノによる幻覚です。 ●キャスター(フドウ)、バーサーカー(ヘラクレス)、アーチャー(赤城)のステータスを確認しました。 【キャスター(パピヨン)@武装錬金】 [状態] 筋力(20)/D、 耐久(30)/C-、 敏捷(30)/C、 魔力(40)/B、 幸運(50)/A、 宝具(40)/B 実体化。 [思考・状況] 基本行動方針 せっかくなんで聖杯戦争を楽しむ。 1.……マズイ、最近影が薄い…… 2.帰ったら家で特殊核金を制作。今日はパピヨンパークは無理か? 3.冬木市の名物は麻婆豆腐‥‥? [備考] ●予選期間中にサイトの魂食いの情報を得ました。東京会場でニュースを見た場合、サイトの姿や声を知る可能性があります。 ●気分で実体化したりします。 ●孫悟空が孫悟空でないことを見破っています。 ●マスターが補導されたのを孫悟空による罠と考えています。 ●ビッグマックとハッピーセットは狂介に押し付けました。
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サーヴァント 【クラス】アーチャー 【真名】パリス 【容姿】赤髪の美青年 【英雄点】30点(ステ17点・スキル13点):令呪X画消費 【HP】10 / 10 【筋力】B:4 【耐久】D:2 【敏捷】A+:6(7) 【魔力】D:2 【幸運】A(D):2 【スキル1】単独行動 5:移動フェイズで任意の1エリアに誰がいるかを知る事が出来る。 また、自分に遭遇フェイズが発生しない場合は遠距離攻撃フェイズを行える。 【スキル2】黄金律 5:交戦フェイズ中に2回まで、自分の任意のダイスの面数を1増やす。 【スキル3】射撃 3:物理攻撃時に補正値5を得る。 【宝具1】アポロンの矢(アキレウス・カタストロフィ) 1/1 【ランク・種別】A・対界宝具 【効果】使用時に令呪一画を消費する。 相手の前衛全てに物理攻撃を行い、補正値10を得る。陣地破壊が発生する。 自陣営が一番早く行動できる陣営だったとき、HP0になるタイミングで発動する効果を無効とする。 【宝具2】勇敢なる逃避行(ヘレネー・ハルパゲー) 1/1 【ランク・種別】B・対人宝具 【効果】先手判定時に補正値4を得る。この宝具はセッション中一度しか使うことができない 【その他】混沌・中庸 男 神性 天属性 真名看破はアレクサンドロスでも可
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1 龍騎 『おい雑種、龍を用意しろ』 何の前触れもなく月の裏側へ通信を繋げ、さらに常人には即座に理解できない事を命令口調で言い放ったギルガメッシュ。 しかし言われた当の本人である魔王ゼロはその意味するところをすぐに了解していた。 「仮面ライダーである火野映司への当て擦り、というわけか。 構わないが…聖杯戦争で破壊された生命の蘇生は表側で行えば流石にムーンセルに異常を気取られるのでやるなら一度裏側に来てもらう必要がある。 君の欲するものはそこで用意しておく」 『任せたぞ』 上機嫌にそれだけを告げるとギルガメッシュは一方的に通信を切った。 傍若無人、その単語がこれほど当て嵌る男はそういないだろうが人類最古の王ともなれば納得できるものがある。 ゼロもかつて人であった頃は王族の一人であったため、英雄王が誰かに心から靡くことなど有り得ないと初対面の時から見抜いていた。 少々労力を払うだけで自我の権化のようなサーヴァントの暴走を抑制できるのなら安いものである。 「ここにいたか」 ゼロへの注文も自分を協力させるなら当然の貢ぎ物としか考えない男、ギルガメッシュはゼロが用意していた特殊な回廊を利用し月の裏側へと赴いた。 月の裏側にある旧校舎、そのグラウンドの隅で蘇生を受けた、元はディケイドの力の一部である無双龍ドラグレッダーへと何の警戒もなく歩み寄る。 ギルガメッシュの姿は戦闘時の黄金の鎧を着込んだものではなく、かといって何故か彼の蔵の中に入っていた当世風の服でもない。 くすんだ灰色を基調とした騎士風の全身鎧、されどその全身からはとめどなく黄金の気(オーラ)が滲み出ている。 これはギルガメッシュの蔵、“王の財宝(ゲートオブバビロン)”に新たに収まった財宝の一つ、仮面ライダー龍騎のライダーデッキ、より厳密には契約モンスターの力を得る前の原型、ブランク体である。 通常ブランク体のライダーではミラーモンスターには太刀打ちできるものではないのだが、ギルガメッシュは目の前の強豪モンスターの一角であるドラグレッダーを完全に見下した態度でいた。 「あの破壊者の手駒だっただけあってそれなりの面構えよな」 ドラグレッダーは動かない、否、動くことができない。例えブランク体であろうと決して逆らってはならない黄金の王の威圧感を本能で感じ、戦う前から既に屈服していた。 事実としてギルガメッシュが宝剣の数本でも投じればそれで赤竜は再び電子の海の藻屑と消えるだろう。 ギルガメッシュが悠然と蔵から取り出したコントラクトカードを使用、呆気なくドラグレッダーとの間にあまりにも一方的な契約関係が成立した。 同時にくすんだ灰色だった龍騎の全身が血が通ったような、赤と銀に変化し、本来の仮面ライダー龍騎へと変貌した。 参加者との決戦を前に新たな財を手に入れたギルガメッシュは上機嫌に蔵から新たにアドベントカードを取り出した。 そのカードの名はサバイブ・烈火。完全な龍騎となったギルガメッシュが手にすると同時に周囲を炎が渦巻いた。 かつて龍騎の世界を通りすがっただけの門矢士は知る由もないことだが、その世界で仮面ライダーナイトによって倒された仮面ライダーオーディンはサバイブ・無限の力を常に発現させていた。 故に、同じ世界にサバイブ・烈火が存在する、ないしその先の未来で人の手によって作られることは歴史の必然なのである。 であればギルガメッシュの宝物庫に収められているのもまた必然だ。 ―――そして今ここに仮面ライダー龍騎がより強大な力を得て蘇る。 サバイブカードに呼応して変形したドラグバイザーツバイにカードを装填(ベントイン)。 顕現したのは身体の随所に金縁が入り、大きく盛り上がった肩部が見る者により力強い印象を与える龍騎の最強フォーム、仮面ライダー龍騎サバイブ。 奇しくも冷気を操る恐竜を模したオーズのプトティラコンボとは対を成す存在である。 「恐竜の仮面ライダーを叩き潰すのであれば同じ仮面ライダーの竜種だな」 満足そうに呟いたギルガメッシュは早々に変身を解き元の姿に戻った。 彼自身非常に珍しいことではあるが、ギルガメッシュは来る対主催の面々との対決に際して綿密なシミュレートを行なっている。 別段龍騎がなくとも現状で完全な勝算があるが、無いよりはある方が戦力が増すのも事実ではある。 この段まで勝ち上がった英雄を相手に慢心は残せどもあからさまな油断を見せるほどギルガメッシュは愚かではない。 彼らが更なる限界を超えた力を発揮すること自体も想定に加えている。 龍騎への変身や能力の行使には魔力が必要らしく、変身中は通常形態で二割、サバイブ形態で三割ほど射出できる武具の数が減る。 王の財宝もまた魔力を用いて武装を取り出し射出する都合上避けられない点ではある。………ただし、そのまま扱えば、の話であるが。 そも王の財宝には王律権ダムキナを始めとする魔力を補填し生命力を回復する財が山のように存在している。 例え龍騎への変身が負担となったとしてもそれらの財を用いて魔力を補えばそれで済む話であり、何となれば蔵にある他のサーヴァントと接続されていない令呪で一息に補充でき、早い話が弱点が弱点として機能し得ないのである。 これは別段龍騎に限った話でもなく、例えば強力な斬れ味を誇るが持ち主に呪いを齎す妖刀の場合ギルガメッシュはその呪いを弾くほどの加護を与える財を無数に所持しているため事実上メリットのみを甘受できる。 こういったサーヴァントなら誰しもが持つ欠点、不得手を殆ど帳消しにしてしまう点もギルガメッシュが通常の聖杯戦争に適さないとされた一要因でもある。 それどころかペルソナ使いが用いるような特定の属性攻撃を強化する装具などを使えば龍騎の力はさらに増すだろう。 「さて、これでこちらの準備は整った。 奴らもあと数時間程度は休息に費やすだろう。 気紛れとはいえ我に戦準備などさせたのだ、最低でも我の想像を超える程度の力は見せてもらわねばな」 黄金の王はただ待ち続ける。 この熾烈な戦争を生き抜いた強者たちの命の輝きと、価値を問うために―――――― 【月の裏側・旧校舎/日中】 【ギルガメッシュ@Fate/extra CCC】 [状態]:健康 ※ムーンセルの知覚領域の拡大によって「王の財宝」内の財宝に各参戦作品の武器、アイテム等が追加されています。 これは人類の歴史の観測者であるギルガメッシュ自身がムーンセルと同質の存在であるためです。 ただし追加される財宝には以下の制約があります。 「クレイモア」、「サモンナイト」など完全な異世界を舞台にした作品のアイテムは出自の一切を問わず追加対象にならない 神造兵装など人の手によらない武器、アイテム等は追加対象にならない。 ※魔王ゼロに対して彼なりに考察していますが必ずしもその全てが的中しているとは限りません。 ※参加者に対して「乖離剣エア」及びエアの最大出力である「天地乖離す開闢の星」を使用する気はありません。 仮に使ったとしてもエアの権能を解放しないFate/stay night準拠の「天地乖離す開闢の星」になるでしょう。 また基本的に慢心を完全に捨て去るつもりはありませんが状況によっては捨てることもやむ無しと考えています。 とはいえ相手が聖杯戦争を勝ち抜いた強者なので慢心したとしても度合いは最小限に抑えられるでしょう。 ※ドラグレッダーと契約したことで仮面ライダー龍騎、及び龍騎サバイブへの変身が可能になりました。 変身者が元から高いステータスのギルガメッシュなので引き出される力は本来のスペック以上のものになるでしょう。 2 愉悦 麻婆豆腐。それは清の時代において生まれた四川料理の一つ。 挽肉と赤唐辛子・花椒に豆板醤などを炒め、鶏がらスープを加え豆腐を煮ることによって完成され酸味、苦味、甘味、辛味、渋味の5つが味わえる。 昨今では料理を扱う娯楽作品において勝負の題材になることも珍しくはない。 それが魔王ゼロが麻婆豆腐について知り得る知識である。だが―――――― (随分とおかしなNPCもいたものだな) ギルガメッシュとの対談後、今度は言峰神父に連絡を取ったところ、生憎と彼は食事中だった。 明らかに唐辛子を入れすぎて別のものになっている麻婆豆腐をワインと共に美味しそうに食している姿はある意味NPCとは思えない、人間らしすぎる光景だった。 こんな男でも聖杯戦争における監督役候補のNPCとしては最も性能が高いのだからわからないものである。 ――――――あるいは、本当にただのNPCではないのかもしれないが。 「…ふう、ご馳走様。さて魔王、遅れて申し訳ない、用件を聞いても?」 『ああ、残るマスターやサーヴァントと戦うにあたって注意しておきたいことがある。 客観的に現時点での戦力を分析すれば、君とギルガメッシュが彼らに劣る要素はないだろう。 無論私としては彼らが君達を打ち破ってくれることこそを期待しているが、同時に私が望むのは残るマスターが魔王の器に相応しいだけの意志と力を持つところにある。 これはあくまで保険だが、例え君達が勝利する展開になったとしても、これと思う者がいれば生かしたまま私の前に連れてきてもらいたい』 ゼロとしては後継者選びに妥協などしたくはないが何分にも余裕と猶予がない。 ここで駄目ならば別世界、より正確には並行世界のムーンセルに渡って同じ手法を繰り返すつもりであるがどれほどの時間がかかるかわからないし、その間に取り返しのつかない事態になってしまう可能性もある。 必要なのは純粋な力以上に意志、すなわち魂だ。 「なるほど、了解した。しかし私はともかく彼の英雄王がそれを良しとするものかどうか…」 『彼にも一応は言い含めてある。あまり過信はできないし反故にされる可能性も勿論あるが……その時は彼にも相応の報いを受けてもらうことになる。 英雄王ほどのサーヴァントであれば彼我の力の差は理解しているとは思うがな』 如何に最強のサーヴァントといえどザ・ゼロのギアスから逃れられるものではないし、サーヴァント程度の存在が魔王を滅ぼす可能性に至っては一考する必要性すらない。 その程度の分すらも弁えぬのであれば次の世界に渡る前に遠慮なく消し去るまで。 『逆に今の彼らの戦力であれば一人も欠けることなく君達を突破したとしても私一人で邪魔なサーヴァントを消すことは問題なくできるがな。 太陽の加護のないガウェイン卿は常識的な範疇に収まる強者でしかなく、仮面ライダーオーズに至ってはルール違反と汚染の件でいつでもペナルティを下せる』 「…?汚染、とは?」 何やら興味を持った様子の言峰にゼロは内心で喋りすぎたか、と舌打ちした。 今の神父やギルガメッシュが時折見せる他者の不幸を肴にする愉悦という感情はゼロにはどうにも理解しがたいものだ。 とはいえ別段知られて困る話でもないのだが。 『少し話は逸れるが、君は衛宮切嗣とライダー、門矢士をどう思う? 精神的な相性ではなく、純粋な戦力として見た場合だ』 「そうだな、監督役としての立場から私見を述べさせてもらうならば、彼らは些か以上に他陣営とのバランスを欠いた主従であったように思える。 火野映司を大きく上回る汎用性に能力制限から脱した騎士王に匹敵する回復力、索敵性能と限定的ながら時間操作・停止能力までもを有し、それらを十全に活かせる戦略・戦術を構築し自らも暗殺者としての力量を持ち合わせるマスター。 運悪く初手でイリヤスフィール・フォン・アインツベルンと出くわさなければ他の全ての参加者よりも大きなアドバンテージを得て今頃優勝していても何らおかしくはなかっただろうよ」 『やはり君は優秀な監督役だよ。その感想は誤りではない。 門矢士は分身や透明化も備え何より速さという点で他の追随を許さずそれらを相手に押しつけつつ自身はほぼ必ず逃走を成功させられる。 有用だが消耗の大きい能力も持ち前の回復力で十分に補填でき、それによって相手との相性や力の強弱を無視して優位を奪える上に力の多様さ故に自分は敵から明確な対策を打たれることもない。 事実として遠坂邸のチーム、というより泉こなたと火野映司は他には有り得ない知識を有するにも関わらず門矢士の操る能力全てを網羅しきることが出来なかった。 つまり彼は対戦相手の創意工夫など笑って吹き飛ばせるだけの汎用性と英雄王すら場合によっては単独で打倒し得る強力な戦術的切り札を多数有しているということだ。だが―――』 ゼロは敢えてそこで一拍置き、数秒経ってから言葉を紡いだ。 『―――考えてみるがいい。そのような反則の存在がマスターの質と意志を問う月の聖杯戦争への参戦を許されるはずがあるまい?』 「しかし魔王、現に彼は衛宮切嗣のサーヴァントとして招かれた。 これはムーンセルが門矢士の参戦を許容したということに他ならないのでは? そうでなければ説明が…………まさか」 『察したようだな、衛宮切嗣はアンリマユの汚染を受け、それを緊急的に除去したムーンセルも少なからず影響を受けた。 その衛宮切嗣に配されたサーヴァントがアンリマユの影響を受けないはずはない』 それは少し思考を巡らせればすぐにわかるはずの事だ。 しかし言峰がすぐにその解答に辿り着けなかったのもまた理由あってのことだ。 「だがアンリマユが齎すのは災厄以外に有り得ないはず。 事実今回だけで会場や幾人かのマスター、サーヴァントに悪影響を与えた。 貴方の言いようでは彼だけは恩恵を受けたように聞こえるがそんなことが―――」 『あるのだよ、神父。今回の門矢士は世界の破壊者としての側面が最も強い状態でサーヴァントとして呼び出された。 同じ破壊を齎す存在であるという事と、彼の“本来有り得ない事象を引き起こす”という性質が噛み合いその結果門矢士ただ一人だけがアンリマユの加護と恩寵を一身に受ける存在となった。 逸話を紐解けば仮面ライダーディケイドがそういった有り得ない事象を何度も引き起こしたことは明白だ』 言われて言峰は思案する。確かに伝承を確認する限り門矢士、仮面ライダーディケイドは純粋に強いのは間違いないがそこにはどこか不自然さ、おかしさが常に付いて回っている。 明らかに攻撃に重みや衝撃が足りていないにも関わらずいとも簡単に爆発四散していく怪人たち。 不死の存在でありカードで封印しなければ無力化できないはずのアンデッドを通常の攻撃で殺傷し、龍騎の世界ではライダーデッキなしでミラーワールドに自在に侵入した。 こうしたその世界の常識を無視した特性が聖杯戦争でもアンリマユによって付与されていたとすれば――――――? 『そのうちの最初の一つが魔力の自力回復の効率、時間あたりの早さだ。 元々門矢士にはマスターの供給性能に関係なく宝具によって一定の魔力を生成する力がある……が、それは本来あれほど驚異的な性能ではなく今回の生成力を十とするなら本来は精々一からニの間、現界や通常戦闘を最低限補助する程度のものでしかないはずだった。 この聖杯戦争でNPCからの魔力収奪のルールが設けられ冬木を模した会場に複数の霊脈が存在しているのもマスターやサーヴァントの現場判断を問うためのものだ。 マスターの存在を介せず、会場の設備やNPCもさして利用することなくサーヴァントの自力のみで多くを賄う魔力の生成など公平性の観点から鑑みても許されるはずがあるまい』 「加えるならば衛宮切嗣のマスター性能は魔術師としてあくまで標準レベル。 しかし奴は門矢士への魔力供給に難儀している様子はなくそれはあの決戦においても変わらなかった。 強化形態の解放にクウガペガサスの複数回使用、クロックアップその他の能力連発にクウガゴウラムの維持、さらには時間停止に火野映司へのスーパータトバの譲渡。 考えてみれば、これらをまっとうな方法で賄うならジョン・バックスのように栄養ドリンクを箱買いしうな重をかき込まねばならないはず。 そうでなければDIOと契約する以前に干上がっていなければおかしいということか…」 サーヴァントの活動に不可欠な魔力の確保は参加した全てのマスター、サーヴァントにとって至上命題の一つと呼んでも過言ではない。 実際にこの聖杯戦争では多くの者が魔力の確保に奔走し、創意工夫を凝らした。 例えば杏黄旗を使い早期に地脈から魔力を得た太公望や同じ方法を使おうと策略を巡らせ敵マスターからも魔力を奪った天海陸とイスラ主従に実際に“紅の暴君(キルスレス)”を使用し自身とサーヴァントの魔力を得ることに成功した衛宮士郎。 例えばNPCからの魔力徴収を躊躇わず実行したDIOに間桐慎二。 例えば保険として神殿に多数の仕掛けを施した蘇妲己や戦いを放棄したマスターを賢者の石に変えて口を封じたゾルフ・J・キンブリー。 そして何より一般人かつ高齢の身でありながら栄養ドリンクなど文明の利器や食事による栄養摂取を最大限活用して燃費に劣るサーヴァントの活動を助けたジョン・バックス。 彼らは皆、ゲームが開始されてから大なり小なり何らかの労力を支払って魔力を得た。 他サーヴァントの能力を鑑みてもキンブリーの賢者の石は元々供給量に限りがある補助礼装に近いものであるし騎士王アルトリア・ペンドラゴンの魔術炉心もマスター側からの十分な供給なしに機能するものではない。 それに対して衛宮切嗣と門矢士が成した努力、支払った労力はあまりに小さく精々が他の土地と比べれば効率に優るとはいえない衛宮邸での休息のみ。 遠坂邸の同盟軍との決戦時に至っては切嗣は新都で念話や敵マスターの捜索などでサポートしていたのみで魔力供給に関する支援は実のところ何もしていない。 それ故にディケイドライバーに損傷を受けた時には何ら対処策を見い出せず長時間表立った行動が取れなくなった。 そんな状態で切嗣が魔力不足に陥らなかったのは全てアンリマユの加護によるディケイドの自力回復力の底上げ、そして更なる恩寵のおかげだ。 本来衛宮切嗣と門矢士のタッグは数多の手札を持ちながらも魔力が追いつかないという点で他陣営とのバランスが取れるはずだった。 不足しやすい魔力を魂喰いや霊地を拠点にすることによる回復の促進で補い手札を何時、どのようなタイミングでどう切るか、といったことを地道に模索するのが彼らの課題になるはずだったのだ。 『二つ、一部能力の魔力消費、反動ダメージの軽減。つまりクロックアップやクウガペガサス、タイムスカラベにハイパークロックアップとファイズアクセルなどが該当する。 本来の仕様上乱発がきかないはずのクウガペガサスの制約が半ば形骸化し、多くの場面で活用できたのはこれに依るところもある。 加えてたった一日のうちに十回近い超加速能力を使用しながら肉体へのダメージ、反動が自然に回復する程度で済んだのもアンリマユのおかげだ。 さらに言えばコンプリートフォーム発動中のタイムスカラベやハイパークロックアップといった時間操作能力は本来消費コストがより高く設定されていて令呪などの仕込みなしに実戦でまともに使えるようにはなっていないはずだった』 「そうでなければスーパータトバを没収された火野映司との間に理不尽なまでの格差が生まれることになるから、か。 しかし実際にあれほどの激戦の中タイムを使用できたということは魔力の回復も併せて相当な補正が掛かっていたのだろうな…」 『そして三つ、強化形態であるコンプリートフォームそのものだ。 世界の破壊者として呼び出された門矢士が持っているコンプリートフォームは全ての仮面ライダーを破壊し、世界を再生させた果てに手にした最強コンプリートフォームではない。 各ライダーの最終形態を召喚し同時攻撃を行う機能に重点を置かれたそれ以前のコンプリートフォームだ。そうでなければ矛盾が生まれることになる。 故に、カメンライドを介せずディケイド以外のライダーのアタックライド能力を行使する力など本来あるはずがない。 それが出来るのは全最強形態の戦力を発揮できる最強コンプリートフォームの方だからな』 「いや、魔王よ。世界の破壊者として召喚されたなら激情態があるはずでは?」 『無い。あれは内包する力があまりに多様すぎるために聖杯戦争のサーヴァントの器には到底収まりきるものではなく全てオミットされている。 それ故聖杯戦争という舞台でディケイドがカメンライドなしで他のライダーの能力を行使するなら最強コンプリートフォーム以外に無い。 アンリマユの加護によって宝具の拡大解釈が為された結果最強コンプリートフォームと同様の戦力を発揮でき、そのために火野映司のスーパータトバの力を目覚めさせることが出来た。 本来ならスーパータトバの一つ下のプトティラコンボを自在に制御できるようになる程度の力しか発現させることは出来ない』 遠坂邸の同盟軍が門矢士のデータを調べたにも関わらずカメンライドなしの能力行使を予見できなかったのは彼らに落ち度あってのことではない。 ルルーシュらは敵の戦力の見積もりを見誤ったと同時に見誤ってはいなかった。 データベースで調べたところでディケイドの能力が本来の仕様から外れたものになっているためにデータに載せられていないのだから有効な対策を用意するなど最初から絶対に不可能だったのだ。 とはいえそのおかげでDIOを相手にチェックメイト寸前の状態から巻き返すことが出来たのも間違いの無い事実ではある。 「ふむ、なるほど…。もし本来の性能で戦っていたとすれば、同盟軍との決戦の結果も大きく変わっていたことになる、と?」 『仮に全く同じ行動を取っていたとすればそうだ。決着以前に騎士王との一騎討ちの時点で大量の魔力を消費しオーズと対峙する頃にはほとんど枯渇、タイムスカラベの使用など論ずるまでもない。 だが衛宮切嗣は柔軟なサーヴァント運用が出来るマスターであるし、門矢士自身も魔力が保たないと理解した上で同じ行動を取るほど愚か者ではない。 それはそれで異なる手段、アプローチで状況を打開する策を練ったことだろう。一概に勝敗そのものが変わったとは断言できまい』 だがそのおかげでこちらにとって都合良く事が運んだ、とゼロは内心で一人ごちる。 正直なところ、騎士王の能力制限解除はまだしも封印した聖剣の鞘が復活したのはゼロにとって数少ない、悪い意味で完全な想定外といえる事態だった。 “全て遠き理想郷(アヴァロン)”は元々ルールで認可された宝具であるがゼロにとって危険性の高い宝具でもあったため危険を冒してハッキングを行い厳重に封印していた。 あの鞘を展開されてしまうとザ・ゼロによる干渉すら跳ね除けてしまうためゼロにとって数少ない警戒対象だった。 死ぬのであればむしろ望むところであるが実際に騎士王の聖剣でゼロの命を断ち切ることは不可能。 とはいえゼロとて攻撃を全く受け付けないわけではなくダメージを受け過ぎれば一時的に行動不能には陥ることになる。 そうなればムーンセルへのハッキングも著しく弱まり、異物として発見され放逐されるしかない。 騎士王はゼロの無力化とこの世界からの追放を他のサーヴァントに比べ容易に行う宝具を持っているため細工を行い没収したのだった。 『…まあ代償が全くないというわけではないが』 「それはそうだろう。マスターによるサーヴァントのデータ改竄はある程度は許可されているが門矢士の件はマスターの技能と無関係な上にそもそもルール上の許容範囲を明確に踏み越えた。 出来レースじみた強化を背景にした優勝など到底ムーンセルに受理されるものではない。 さらにアンリマユによるデータ汚染も加わるとなれば門矢士もまた二つの意味で不正なデータとして消去される。 彼が生き残る道があったとすれば自ら異常に気付き、ムーンセルに自己申告を行いデータの復旧、事実上のデチューンを受け容れることだけだった。その機会自体は聖杯戦争中であろうといつでも行使できる権利だからな」 『その通りだ。しかし事実上それは不可能と言っていい。 データの改竄を受けた時点で門矢士の記憶もそれに応じたものに改竄され違和感を感じることすら出来なくなるからだ』 「つまり門矢士が敗北したのは騎士王の聖剣にその身を貫かれた時ではなく……召喚に応じたその瞬間だったというわけだ。 不正行為によりデータを消去されれば当然聖杯戦争中の履歴、仮面ライダーを破壊したという事実も消えて失せる。 門矢士の結末は何も残らず全てが徒労に消える、それ以外の可能性など事実上ありはしなかった。 ……何という、何という愉悦っ………!!決戦の前でなければ麻婆豆腐のおかわりを頼んでいるところだ」 愉悦に身を震わせる言峰を一瞥もせずゼロは思考する。 知らなかったとはいえ不正に手を染めたサーヴァントである以上いつでもムーンセルに通報し消すことはできた。 尤も、他にもアンリマユの影響で被ったデメリットも小さいながら確かに存在していた。 門矢士はこの世全ての悪に僅かにだが精神を蝕まれ、普段よりもやや短気になり注意力も散漫になりやすくなっていた。 柳洞寺で騎士王相手に度を越した慢心から敗北したのもこうした精神面への影響があってのことで、本来の彼なら焦りがあるとはいえそこで気を抜くようなことはしない。 もし彼が世界の破壊者ではなく、より善性の強い通りすがりの仮面ライダーとして現界していれば、イリヤスフィールを冷徹に見殺すことなくマスターとの間に因縁が生じることもなかっただろう。 また、汚染と不正の残り香はあるサーヴァントにも確実に影響を齎している。 「…となれば、汚染されたディケイドからルール違反であるスーパータトバの力を譲り受けた火野映司もペナルティと無縁ではいられない。そういうことですな、魔王?」 『そうだ、さすがに門矢士との程度の差を考慮すれば消去は不可能だろうが全ステータスと宝具の出力を最低でも二ランクは落とすことになるだろう。 無論、君と英雄王との決戦が終わるまでそのような手出しをしないことは確約する』 ゼロが欲するのはマスターの強き魂であって元々ムーンセル側によって用意された戦闘代行者に過ぎないサーヴァントはマスターに付随する障害でしかない。 これまでも不要と判断したマスターはサーヴァントごと力で葬り去ってきた。 そして障害たるサーヴァントを労せず弱体化できる効率的な手段があるのならゼロは何の躊躇もなくそれを使う。 神父と英雄王との戦いが終わるまでは泉こなたの器量を確かめる意味でも生かす意味はあるが、言ってしまえばそれを過ぎればライダー・火野映司とセイバー・ガウェインは用済みだ。 「お心遣い、感謝する。しかし知らぬ事とはいえ正義の味方の象徴たる天下の仮面ライダーが二人揃って不正行為とはな」 『主催側たる我々にとっても予想外の事態が頻発する、それがこの混沌に満ちた聖杯戦争だ』 そしてそれは今も変わらないが、と思いながら通信を切った。 一体どうすれば魔王の役割を託せる者を見い出せるか、何をすれば自身の想像を越える魂に出会えるのか。 一万飛んで5847回目の試行に失敗し、煮詰まっていた時ゼロは禁じ手ともいえる打開案を実行に移した。 月の裏側へと飛びエデンバイタルの力を最大限注ぎ込み、ムーンセルに他の世界、即ち並行世界を観測させるよう働きかけを行なった。 その賭けに等しい行為は結果として成功し、この度の聖杯戦争はかつてない混沌とした様相を呈した。 代償としてムーンセルの機能には狂いが生じ、あと億年単位は地球を観測できた観測機械としての寿命は百年単位にまで縮まった。 その世界にとって災厄でしかない現象を起こしてでも、急がねばならないほどゼロという存在は長く生きすぎてしまっていた。 恐らくこの世界ではもう同じ試行を行うことは出来ないだろう。 これでもゼロの望む者に出会えぬとあれば次のムーンセルがある世界に渡り再び同じ試行をするまでの事。 それが多くの世界を巻き込む害悪以外の何者でもない思考だと理解していても、魔王ゼロは最早歩みを止めはしない。 (―――そうとも、引き返すべき道はいらない) とはいえここから先は言峰神父とギルガメッシュの仕事であり今のところゼロが干渉する必要はない。 聖杯戦争が終結した今でさえ、どのような奇跡、番狂わせが起こっても何ら不思議な話ではない。 魔王ゼロが待ち望むのはそうした混沌から生まれた強き者の魂である。 【新都・教会地下/日中】 【言峰綺礼@Fate/extra】 [令呪]:2画 [状態]:健康 【魔王ゼロ@コードギアスナイトメアオブナナリー】 [状態]:健康 ※ゼロはムーンセルに通じる秘匿回線を持っており、それを通じて度を越した不正を行なった参加者に対し間接的にペナルティを与えることができます。 現在ペナルティ対象になり得るのは花村陽介と火野映司ですが、今のところゼロは二人に手を出すつもりはありません。
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▼アサシン裏設定▼ 本名はヴァルデマール・ジャック・ド・ヴィトリ(Waldemar・Jack・De・Vitry)。 生前は世界トップクラスの暗殺者だった。 聖杯戦争開戦の14年前、暗殺依頼で来日して意図も容易く任務を完遂。 そこで偶然、妊娠が原因で恋人に捨てられて崖から投身自殺をしようとしていた雲行楚々を助ける。 それをきっかけにヴァルデマールと楚々は打ち解け、次第に恋に落ちていく。 楚々の出産後に暗殺者を引退して家庭を持とうと考えたヴァルデマールは暗殺者としての最後の職務を全うするべく日本を出国。 しかし、ヴァルデマールが渡米中に日本国内で爆破テロが発生(その実行犯の1人は政府に両親を殺されて反政府テロ組織に加入していた幼少期のアリサ・フランヴェルーチ)。 楚々とお腹の中の子供もテロに巻き込まれ、その際に破水して緊急手術になる。 お腹の中の子供・是々こそ助かったが、楚々は出産と同時にこの世を去った。 ヴァルデマールは楚々の死を知る。 お腹の中の子供も死亡としたとの誤報を受けた彼は絶望。 爆破テロを引き起こした反政府テロ組織を憎むようになり、政府に加担して反政府テロ組織を次々と壊滅させていった。 やがて彼は国防関係者から「英雄」と揶揄されるようになる。 聖杯戦争開戦の2年前。彼は偶然楚々のお腹の中の子供・是々が生存している事を知る。 今後こそ暗殺者を辞める決意をするヴァルデマールであったが、最期はそれを裏切りと疑心暗鬼に陥った政府に嗾けられ、死の間際まで是々の幸福を願い死亡した。
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258 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 四日目・夜:足枷] 投稿日: 2007/01/30(火) 05 07 36 「う……」 突然、建っていたビルごと真横に吹き飛ばされた。 そして瓦礫と化したビルごと別のビルに叩き付けられた。 こんな圧倒的な力を前にしては為す術などあるはずがない。 「士郎君――!」 視界の中央に、幾つかの階が抉れ飛んだビルの屋上で倒れ込んだ衛宮士郎。 そして視界の隅に、瓦礫の影で立ち上がろうとするバーサーカーが見える。 ……最悪の想像が頭をよぎった。 「……くっ!」 二人の間に立ちはだかり、意識の失せた士郎を庇う。 隣のビルからの全速の跳躍は、獲物を見つけたバーサーカーの飛翔とほぼ同時。 バーサーカーの右腕が士郎の脳を抉る直前、セイバーは自らの左腕を貫かせ、軌道を逸らす。 続くのは士郎の首を狙う蹴り。 その一撃は左足で受け止める。 「これ以上は……!」 機を制する体当たりで間合いを開けさせる。 その一撃は喉を打つ一撃だったが、その一撃を受けてなお口元には笑みが浮かんでいる。 その笑みは狂気に彩られながらも、行動は狡猾であった。 それは生存本能であると同時に、己が消えることを受け入れた上での、道連れを求めるようでもあった。 「士郎君! 目を覚ましてください! 士郎君!」 続く連撃を受け止めながら、振り返る事も出来ず呼びかける。 だが、ビルが折れ飛ぶほどの衝撃を受けたのだ、恐らく気絶はビルの分断と同時。 それでもなお双剣を握りしめているのは大した物だが、意識が無ければその剣を振るうことなどできはしない。 間合いが詰められる前に詰め、機を制し続ける。 だがそれを続けることは出来ない。 一対一の状況ならばそれも出来よう、だが、気絶した人間を庇っての戦闘には縛りが多すぎる。 バーサーカーは衛宮士郎を狙うことを全く躊躇せず、むしろ無防備の人間を殺すことに喜びすら見出している。 撃ち出される光弾の弾道を見切り、放たれる直前に腕を攻撃して軌道を逸らす。 声が聞こえる。 音が聞こえる。 戦っている。 ……呼んでいる。 だが、起き上がることが出来ない。 脳が、神経が馬鹿になってしまったかのようだ。 起き上がってくれ。 勝てないのは良い。 だが、足手まといになるのは駄目だ。 その為には、立ち上がらなければ。 動かない身体は無理矢理に動かせ。 普通の神経が駄目なら、魔力回路を神経代わりにして動け。 無理が通れば道理は無視できる。 そして、それが当然だと思えれば、次の無茶が出来る。 それで良い。 握ったままの双剣を握り直す。 激痛が走る。 指先を僅かに動かすことも出来ない。 危険だと、脳も神経も身体も訴えている。 ――うるさい、黙れ 心臓の動きを確かめると同時に呼吸を再開する。 全身に痛みが走る。 ――この身体は、俺の身体だ 左足へのダメージは深刻、大静脈より出血。 ――だから、動け、言うことを、聞け 「グ……ウウウウウッ!」 一気に立ち上がる。 同時に、穴が開いている、出血の止まりかけていた左手からも血が再び噴き出した。 「士郎君、無事ですか?」 「……なんとか」 咳き込みながらもどうにか返答する。 飛んできた光弾を倒れるように回避する。 頭の上を掠めて光弾は消えた。 「逃げてください! ここは私が抑えます!」 頸動脈を抉る一撃をバックステップで回避する。 「……逃げ、る?」 「そうです、まだこの近くに生きている人が居るはずです、その人を連れてここから離れてください」 脳が役割を放棄した状況でそんな声を聞いた。 足手まといにならないために、ふらつく全身を制御し―― DEAD RISING:バーサーカーに斬りかかる Medal of Honor:握ったままの双剣を投げつける Silent Hill:この場所からなんとか逃げ出す 投票結果 DEAD RISING 1 Medal of Honor 3 Silent Hill 5 決定
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一ノ瀬晴&セイバー ◆7DVSWG.5BE 「ホストクラブどうですか~」大通りには様々な人が忙しなく行きかう。そん な中若い男性が毛皮コートを着た声をかけるが、女性たちは男を一瞥した後に ゴミを見るような目を向け男から足早に去っていく。普通の男性ならそのよう な扱いを受ければ精神に多大なダメージを受けるが、その男は特に気にしない。 男にとってそのような扱いはチャメシインシデントだからだ。男はすぐ様に別 の女性に声をかける「ホストクラブどうですか~」彼の職業はホスト。そして ニュービーホストだ。ニュービーはキャッチと呼ばれる行為をしなければなら ない。 キャッチとは人の出入りが多いところでホストクラブに来るように誘うことで ある。ニュービーはかならずキャッチをやらなければならず、キャッチで成果 を上げることで初めて店内で働くことが許される。だが客を店に呼ぶことがで きなければ待っているのは暴力的制裁であり、最悪の場合はケジメだ。 現時点で男はまだキャッチを成功していない。しかもこの数日で客を呼べてお らず、このままではケジメは免れない。ケジメとは自主的に指を切断する行為。 ケジメによる痛みを想像してしまい身震いする。そんな時にふと頭にこの ような言葉が過る。「沢山撃つと実際当たりやすい」 誰が言ったかは忘れたが、その言葉が世界の真理のように思い始め、男はケジ メを避けるべく目につく女性を片っ端から声をかける方針に切り替える。その 時に男の視界に一人の女性が入ってきた。その女性、いや少女は黒髪のセミロ ングで上下のサイバージャージを着ている。その胸は平坦だった。 明らかにこの場所に似合わしくないアトモスフィアを醸し出しているが、男は 特に気にしない。「ホストどうですか~」一見親しげに話しかけているように見 えたが、明らかに何かしら良からぬ企みを持っていることが感じられ少女は不 快感を覚えた。 しかしそれを表情に出すのはシツレイであり、奥ゆかしくない。不快感を出さ ないように申し出を断ろうとする。「別にいいです……」しかし男は引き下がら ず、「そんなこといわずに、楽しいですよ!」「アタイ興味ないです」「一回騙さ れたと思って!」あまりにしつこさに少女はほんの少しだけ語気を強める。 「いいです」それを聞いた男はある出来事を思い出した。かつてあるヤクザク ランのグレーターヤクザに絡まれた。その時は失禁しながらドゲザをすること で難を逃れた。そしてあの時に悟ってしまった。ヤクザは絶対的強者であり、 今後は自分とヤクザの力関係は覆ることがないと。 しかし今目の前にいる少女からかつてのグレーターヤクザより数十倍危険なア トモスフィアを感じた。呆然自失している男をしり目に少女はその場を後にし た。少女の名前はヤモト・コキ。シ・ニンジャのソウルが憑依したニンジャで あり、そして今はセイバーのクラスのサーヴァントだ。 今ヤモト・コキはこの聖杯内で再現された東京の歌舞伎町に現界している。周 りを見渡すとネオン看板が、「金利が安い」「取り立て猶予長い」「みんな借りて いる」など欺瞞的な広告が怪しく輝く。そして先ほどのニュービーホスト以外 にも様々な呼び込みの声が聞こえる。 レズ、ゲイ、ホスト、キャバ嬢、ヤクザなど様々な職業、人種がごった返しで 入り乱れる猥雑な街、東京最大の娯楽街それが歌舞伎町。ヤモトはこの街のア トモスフィアに覚えがあった。そうニチョーム・ストリートだ。ニチョームと はネオサイタマにある特殊歓楽街である。 セクシャルマイノリティのニルヴァーナめいた街であり、この歌舞伎町以上に 猥雑な街。しかしヤモトはこのアトモスフィアはニチョームとは似て非なるも のであると気づく。耳を澄ませば、ぼったくりバー店員の客への恫喝、薬物売 人の密談交渉の声が聞こえてくる。 街のアトモスフィアを悪くするこのような行為はニチョームであれば自警団め いた存在であるネザークイーンによって即取り締まられる。しかしこの歌舞伎 町でこのような存在は黙認される。何よりマイノリティへの拒絶めいた何かが 充満しているのを感じ取れてヤモトにとって不快だった。 (まずマスターを探さなきゃ、近くにいるはずだけど)ヤモトはこの地に現界 した時点で聖杯戦争の知識はインプットされている。この偽りの東京で最後の 一組になるまで戦う。これが今回の聖杯戦争。マスターを探すべく当てもなく 歩きだすと前方に女子高生らしき人物が見える。 ヤモトは直感的にあの女性がマスターだと理解した。そしてアイサツをおこな う。「ドーモ、マスター=サン。セイバーです」 ◇ ◇ ◇ 「ドーモ、マスター=サン。セイバーです」 「えっと……人違いじゃないかな……」 「いや、貴女がアタイのマスター」 「晴の名前は一ノ瀬晴です……マスター?さんという名前じゃないよ……」 一ノ瀬晴は困惑していた。マスター?セイバー?今まで会ったことのない人物からマスターという自分とは違う名前を呼ばれている。 普段ならある程度落ち着いて対応できたかもしれないが、今、一ノ瀬晴がおかれている状況で冷静に対応することは難しいと言わざるを得なかった。 桜が並木道一杯に咲き誇っていたあの日。一ノ瀬晴は黒組から卒業した。 東兎角。晴にとってかけがえのない友人。 晴は兎角と二人で黒組での様々な苦難を乗り越えていった。そしてこれからも二人で日向の道を歩んでいこうと決めいていた。 卒業式が行われたその日の夜。二人はとある宿に宿泊する。 ふたりは就寝前に黒組での思い出やこれからのことについてなどについて語り合っていた。 晴はふと窓の外を見ると見事な満月が目に飛び込んでくる。赤い満月が。 「キレイな満月だね兎角さん。でも何で赤いんだろう?」 「赤?どう見ても赤には見えないが」 晴は兎角の返答に驚いていた。その目に映る月はどう見ても赤色にしか見えなかった。 その赤色の月が異常であると認識した瞬間から目を離せなくなっていた。 そして月を見ることに一瞬意識を奪われ、気が付いた瞬間には聖杯で再現された東京の歌舞伎町に立っていた。 「聖杯戦争のこと本当に知らない?」 聖杯戦争について何一つ知らない晴の様子に不安を覚えながらもヤモトは尋ねる 「聖杯?」 見知らぬ土地で見知らぬ人物に声をかけられて混乱していたが、落ち着きを取り戻すために晴は大きく深呼吸を行った。スゥーハァー、スゥーハァー。 深呼吸のおかげか少しだけ心が平静になっていくのを実感する。そして依然聞いた都市伝説のような話が頭に過っていた。 願いを持った人たちが赤い月を見た時、こことは違う土地に呼ばれ、呼ばれた人物とその土地に住んでいる人物とペアを組んで同じようにペアを組んだ人たちと聖杯を求めて競い合う。勝利したものが願いを叶えることができる。その競い合いの名前は聖杯戦争。 ◇ ◇ ◇ 「まさかこれがあの聖杯戦争……」 晴も自分の考えがバカバカしいとは理解している。だが聞いた話と今の状況は合致している部分が多い。自分はあの都市伝説みたいな聖杯戦争に参加しているのではと考え始めていた。 「そう聖杯戦争。マスター=サンとアタイでこの聖杯戦争を勝ち抜かなきゃならない」 「えっとセイバーさん?晴とセイバーさんはここで何をすればいいの?」 聞いた話では他のペアと競い合うと聞いていたが何を競いあうのかは全く知らない。 「この東京で最後の一組になるまで殺し合い」 ヤモトは顔色一つ変えず聖杯戦争の事実を告げる。 「えっ?」 晴はそれを聞いて動揺を隠せなかった。競い合うというからには何かスポーツ的な何かをするものかと思っていたが、まさか殺し合いとは予想もしていなかった。 幼少期から命を狙われ続け、12人の暗殺者に命を狙われた黒組を卒業し、命を狙われることなく、兎角と一緒に日向の道を歩けると思ったが、今度は矢先に見知らぬ土地で殺し合いを強要される。 この事実を聞かされ晴の顔色は明らかに悪くなっていた。 動揺している晴を心配しながらもヤモトは話を続ける。 「そして残った一組が聖杯の力で何でも願いを叶えられる。マスター=サンは何を願うの?」 動揺しながらも願いという言葉に反応する。願い?自分の願いとは?その時ふと晴の家族の姿を思い出していた。自分が笑って生きるために命を犠牲にしてまで守ってくれた家族の姿を。願いで家族が生き返るかもしれない。それなら。 「生きて帰ること……晴は生きて元の世界へ帰ることを願います。兎角と一緒にあの世界で生きることを」 しかし晴は家族の生き返りを願いにしなかった。本当に生き返るかもしれない、しかし家族は自分が笑って生きるために命を犠牲にしてまで守ってくれた。だからこそ一ノ瀬晴は今も笑って生きている。 だが、もしかしたら生き返らせたら家族の行為を無碍にしてしまうのではないかと晴は考えていた。 その考えは自分の傲慢なのかもしれない。だが多くの死を見続けてきた晴だからこそ生きること尊さ、そして死者が生き返ることはあり得ないと理解していたのだ。 「トカク=サンって?マスター=サンの知り合い?」 ヤモトは兎角という言葉を発した瞬間に今まで険しかった晴の表情が一瞬和らいだのをニンジャ観察力で察知し問いかける。 「うん。晴の一番の友達。一緒にお買いものをしたり、映画観たりして、もっと兎角と一緒に過ごしたい。だから晴は元の世界に帰ります」 晴の言葉を聞いてヤモトは友人であるアサリのことを思い出していた。空っぽだった自分にユウジョウを入れてくれた一番の大切な友人を。 ヤモトがネオサイタマにあるアタバキ・ブシド・ハイスクールに転校し、転校生のヤモトに優しく接してくれたのがアサリだった。 その後親交を深めていったが、ニンジャソウルが憑依したことで自分の周りには悪意のあるニンジャが群がってくる。 そのことでアサリに害を及ぶことを恐れたヤモトは奥ゆかしくアサリの前から姿を消した。 短い時間だったがアサリと過ごしたオリガミ部での日々、そしてタラバ―・歌カニでのあの時間はヤモトにとっては宝物であり、一生忘れることはないだろう。 その後偶然にもアサリと再会することができたが、積極的には自分からアサリと会いに行くことはない。またヤモトを争いに巻き込んでしまうことを恐れているからだ。 ヤモトは時々思うことがある。もし自分にニンジャソウルが憑依しなかったら? そうなれば気兼ねなくアサリと会うことができ、もっと長い時間アサリと共に過ごせたのかもしれない。 そして目の前に一番の友人ともっと交流を深めたいという少女がヤモトの目の前に現れた。 自分はニンジャであるゆえに一般人である友人と距離を置かざるをえなかった。でもこの少女は元の世界に帰れば気兼ねなく一緒に過ごせる友人が待っている。 ならばこの少女には自分ができなかったことをやってもらいたいヤモトはそう願う。 「じゃあ聖杯戦争を勝ち抜こう。アタイがやるから、マスター=サンは見ているだけでいい」 ならばすべての参加者を倒して晴を元の世界に返すのみ。ヤモトは戦いに向けての覚悟を決めたが。 「晴は殺し合いをしません。他の参加者に会って戦わないように呼びかけます。そしてみんなで力を合わして元の世界に帰ります」 帰りたいが殺しあわない。このルールを無視した無謀でワガママと言える提案だが、晴には晴なりの考えがあった。 これはかつて自分が体験した10年黒組のシステムに似ている。報酬を求めてターゲットの晴を殺す。違いは自分一人を殺すか、自分以外のものを全員殺すかの違い。 もし参加者を全員説得して戦いがおきなければそうなればゲームは成立しない。そうなれば?ゲーム不成立で参加者は強制的に元の世界に返されるかもしれないと考える。 しかしこれはなんの根拠もない晴の希望的推測だ。そのようなことになることはほぼ0パーセントである。それでも晴は他者を殺すことを拒絶する。 しかしヤモトは晴の考えを理解できなかった。大半の参加者は願いを叶える為に積極的に殺し合うだろう。その中で殺しあわず説得する?何より優勝する以外に元の世界へ帰る方法があるのか?ヤモトは問い質せずにいられなかった。 「もし他の参加者が殺す気で襲ってきて、逃げられない状況だったら?」 「……戦います」 「もしどうやっても聖杯戦争で勝ち抜く以外に元の世界に帰る方法がなかったら」 「……最後の一人になるまで勝ち抜きます」 晴は険しい表情を作りながらもはっきりと口にして意志を示した「戦う」と。 命を狙われ続けたからこそ命の重さを理解しており、他者の生存を願っている。だからこそ戦わないという方針をヤモトに告げた。 ただ極限状態であれば、戦い相手の命を奪うことを辞さない。家族や犠牲になった人たちのためにも晴は最優先事項を自分の生存であると位置付けた。 「わかった」 ヤモトはしめやかに頷く。晴の意志を肯定するように。そして。 「アタイがアナタを守る」 ヤモトにはサーヴァントとしての願いは無かった。ただ晴と出会って願いができた。 晴が元の世界へ帰るまで守り抜く。そして晴が友達と一緒に幸せに過ごしてもらう。それが今の願い。 「でもそれは本当に本当の最後の手段。晴は諦めが悪いから!」 そう言うと晴はヤモトに満面の笑みを見せる。自分は大丈夫とヤモトに安心させるかのように。 それの笑顔を見たヤモトも微笑み返す。そして晴に感心していた。殺し合いしか手段がない状況で他者の生存を考える優しさに。もしこの場にアサリが居たら晴と同じような行動を取っていたかもしれない。 だが極限状態であれば他者を殺して自分が生きると決断的に宣言した。晴から発するアトモスフィアから口だけではなく本当に実行するだろうと予測できる。 そしてもし晴が言う本当に本当の最後の手段を取らざるえない状況になったら。その時は自分がすべてやろうと決意する。晴に手は汚させない。自分はニンジャで、彼女はモータル。手を汚すのは自分だけで充分であると。 「じゃあ改めてよろしくお願いね。セイバー」 『アナタを守る』このセリフに懐かしさを覚えながら、晴は笑みを浮かべて手を差し出す。友愛の意味を込めて、これから二人で頑張ろうという意味をこめて。 「よろしくおねがいします。マスター=サン」 ネオサイタマには握手の文化はないが、晴から感じるアトモスフィアから好意めいたものを感じ取れたので恐る恐る手を伸ばす。そしてヤモトの手を晴は握りしめた。 「よろしく。でも呼び方がマスターじゃなくて晴って名前で呼んでほしいな」 晴は提案するがヤモトが住んでいたネオサイタマにおいて人物の呼称は名字の後に=サンをつけるのが原則である。=サンをつけずに、さらに名前で呼ぶという行為は晴が考えている何十倍以上に失礼な行為なのである。 ヤモトは晴が一ノ瀬晴と名乗っていたのを思い出し、名前が晴ということは名字は一ノ瀬であると仮説を立てた。 「じゃあ……イチノセ=サンで……」 ぎこちなく自分の名字を呼ぶヤモトの姿がおもしろかったのか、晴はクスクスと笑う。 「晴でいいのに、それでセイバーは本当の名前なの?」 ヤモトの姿から自分の知っている日本人と変わらないのでセイバーとは違う本当の名前があると判断して質問をなげかける。 「セイバーはクラスの名前。本当の名前はヤモト・コキ。でも真名が相手に知られることは実際アブナイ。だから人前ではセイバーと呼んで」 「うん。わかったよ。セイバー」 本当の名前を教えてくれたことに晴は嬉しさを覚えつつ、ヤモトの言いつけ通りにセイバーと呼び。 「じゃあとりあえずご飯食べよっか。晴はお腹がすきました……」 そう言うと晴は恥ずかしそうに腹を押さえながら提案する。 「うん」 ヤモトも同意して二人は食事を摂るために歌舞伎町の街並みに溶けていく。 ヤモトと肩を並べながら歩きながらも晴は一抹の不安を感じていた。 出会ってから少しだけの時間だがヤモトの人柄に好意を感じており、ヤモトも敵意ではなく好意を持っていると感じていると思っていた。 しかしこの好意がヤモトの本来の意志ではなかったら? ―プライマー能力― 本人が無意識に他人を魅了し、操る能力。晴はその能力を持っていた疑いがあった。 その能力で家族を操りその身を犠牲にさせることで幼少期を生き残り、黒組でも一番の友人である東兎角を操り自分を守らせたのではないか?その疑念に晴は苦しんでいた。 だが東兎角は晴がプライマー能力を持っていないことを証明することにある行動を取った。『プライマーで操作されている人物がプライマー能力者を殺すことはできない、もし殺せればプライマー能力で操られていることではない』 そして東兎角は晴の胸をナイフで刺すことに成功する。 だがそれは東兎角が考えるプライマー能力の否定であり、プライマー能力の存在を証明することは誰にもできない。 晴は兎角が苦渋の想いで証明した結果を信じている。それでも自分のプライマーがヤモトに作用しているのではという考えを完全に拭うことは出来なかった。 だが晴は信じる。自分にはプライマー能力はなく、ヤモトとも兎角と同じように女王蜂と働き蜂ではなく友人同士の関係を築けることを。 こうして偽りの東京の地でひとりの少女とひとりの守護者の物語が始まる。 【クラス】 セイバー 【真名】 ヤモト・コキ@ニンジャスレイヤー 【パラメーター】 筋力C 耐久D スピードB 魔力D 幸運B 宝具C 【属性】 中立・中庸 【クラススキル】 対魔力:D 魔術に対する守り 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。 魔力避けのアミュレット程度の対魔力 騎乗:E 騎乗の才能。しかし騎乗に関する逸話がないため申し訳程度 バイクや自動車を乗りこなせる程度のスキル 【保有スキル】 サクラ・エンハンスメント・ジツ:C ユニーク・ジツの一つ。物質にエンハンスメントを込めることでサクラ色に輝き、只の道具でもサーヴァントにダメージを与えることも可能になる。またある程度の軽い物質ならサイキックめいて操作することが可能 心眼(真):C カラテ、ニンジャ感覚、数々の戦闘の経験によって培われた洞察力 窮地において自身の状況と敵の能力把握し、その場に残された活路を導き出す戦闘論理 アイサツ:D アンブッシュで相手を仕留めきれなかった際、相手が名乗った場合に自分の名前を名乗らなければならない。 名乗らない場合にはステータスが大幅に下がる。 ニンジャにとってアイサツは絶対である。古事記にもそう書かれている。 魔力補給:D スシを補給することにより通常の食事より多くの魔力を回復することができる。 特にオーガニック・スシの大トロは普通のスシより多くの魔力回復が見込める 【宝具】 『折紙誘導弾(オリガミ・ミサイル)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ1~10 最大補足人数:1~10 ヤモト・コキの象徴的なジツが宝具化したもの。 オリガミにサクラ・エンハンスメントを込めてツル、紙飛行機などの形に折りそれを操作して相手にぶつけるジツ。オリガミはぶつかると爆発する。 操作は自由自在。相手にぶつけずオリガミを宙に浮かすことにより機雷、地面に設置することで地雷めいた運用。またオリガミを足場にして跳躍、また爆発する性質を生かして加速に利用することもできる。 普段は紙が無ければオリガミ・ミサイルは使えなかったが英霊として召喚されたことにより自分で紙を作りオリガミ・ミサイルを使うことが可能になった。 但し、通常の普通の紙にエンハンスメントを込めてオリガミ・ミサイルをぶつけるのに比べて魔力消費は多大になる。 『折紙桜色蝶(サクラ・エンハンスメント・デバフ)』 ランクC 種別:対人宝具 レンジ1 最大補足人数:1 オリガミ・ミサイルが違う形に変化したジツ。 蝶々に形になったオリガミが相手に纏わりつき、相手の攻撃の射線上に蝶があり破壊された場合は小爆発をおこし勢いを削ぐことができる。 また蝶が破壊された様子からヤモトの培ったカラテによって攻撃の先読みを容易にする。 また蝶が纏わりついた物質はヤモトによってある程度の操作が可能。武器に纏わりせれば武器の軌道を変えることができ、さらに相手の得物も奪うことができる。 普段は紙が無ければオリガミ・ミサイルは使えなかったが英霊として召喚されたことにより自分で紙を作りオリガミ・ミサイルを使うことが可能になった。 但し、普通の紙にエンハンスメントを込めるのに比べて魔力消費は多大になる。 【weapon】 カロウシ、ナンバン 刀匠キタエタの逸品たる双刀 【人物背景】 ある学生の自殺に巻き込まれ瀕死になった際にシ・ニンジャのソウルが憑依してニンジャとなる。ニンジャになったことにより運命は大きく変わる。多くの人と出会い別れながらも人間と成長し、マッポー都市ネオサイタマで懸命に生きていく。 【サーヴァントとしての願い】 願いはなかったが、晴と出会い晴を元の世界に帰すことが願いになる 【マスター】 一ノ瀬晴@悪魔のリドル 【マスターとしての願い】 元の世界へ帰る 【能力・技能】 戦闘能力はないが数々の暗殺者から狙われたことにより修羅場慣れしており、常人より生存能力は高い。 プライマー 意識的あるいは無意識に人を引き付け魅了し支配し操作する能力。しかし一ノ瀬晴がこの能力を持っていたかそうではないかは作中でも完全に判明していない。 【人物背景】 幼少期からある事情で命を狙われ続けた少女。家族、親しい人物は晴を守り、また巻き込まれて死んでいき天涯孤独。 そんな壮絶な人生を歩みながらも性格は明るく天真爛漫。そしてお人よし。 基本的に人の言うことは疑わないので、騙されて窮地に立たされることがしばしば有る。 【方針】 聖杯戦争を中止させみんなで協力して元の世界へ帰る。 ただ最後の一組になるまで元の世界に帰る方法が無いと分かれば方針を勝ち残りに変更する可能性は十分にある