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「宇宙に夢を、星に願いを」 【名前】 ホロスコープス 【読み方】 ほろすこーぷす 【登場作品】 仮面ライダーフォーゼ 【モチーフ】 十二星座 【名前の由来】 西洋の占星術(英:horoscope) 【詳細】 ゾディアーツの幹部怪人の総称。別名「十二星座の使徒」。 スイッチャーは天ノ川学園高等学校の教員や生徒、理事長である我望光明の関係者で占めらている。 上記の台詞を合言葉の元にメンバーを増やしていく事を目的とし、「黄道十二宮」をモチーフとした12体が存在し、「ラストワン」を超越したゾディアーツが別の星座のゾディアーツから脱皮するように進化する(その際に抜け出たスイッチャーの身体も再融合される)。 覚醒や進化の手順は決められていない為、ラストワンへの進化直後に変化する事もあれば、一旦消滅した後に復活し、最輝星が輝き始めたゾディアーツが進化する場合がある(一度ゾディアーツスイッチを押しただけでホロスコープスまで進化した例も存在するが、これはザ・ホールの一極化でコズミックエナジーが日に日に増大しているからだと思われる)。 共通項としては変身するゾディアーツスイッチが通常の物より派手な外観のそれぞれの星座が描かれた物に変化している。 他にもそれぞれが装着している仮面も通常のゾディアーツの銀・金のものから黄金に変化し、金の装飾が入った黒い羽織を纏う事を認められるようになる(スコーピオンが着ていた物はキャンサー⇒アリエス、カプリコーンが使っていた物はアクエリアス⇒タウラス⇒サジタリウス、ヴァルゴが使っていた物はジェミニへと使い回されている。ピスケスはスイッチャーが当初からホロスコープスへは従わない方針を取った為、羽織を着用する事はなかった)。 更に進化や鍛錬を積んだ者は究極の力と呼ばれる「超新星」を使用できるようになり、様々な特殊能力を得る事も可能となる。 物語開始時点で5体(サジタリウス、ヴァルゴ、リブラ、レオ、スコーピオン)が覚醒し、残りは随時に覚醒していった。 その目的は我望がプレゼンターの元に赴く為のワープゲート「ダークネビュラ」の制御に必要な全てのホロスコープススイッチを集める事にあり、キャンサーのように新たな使徒が生み出されると傘下に入れ、戦力増加と共に芋づる式に次の使徒の覚醒を狙っている。 このホロスコープスイッチは例え不完全な状態でもフォーゼの力では破壊する事ができない。 メンバー全員は同格でこそあるが、覚醒においての順番などからやや上下関係がある他、我の強いメンバーが非常に多い為にメンバー同士の関係は一枚岩とは言い難い。 物語開始当初はフォーゼとメテオの活躍により使徒覚醒が滞っていたが、第34話でリブラやレオによって京都のザ・ホールが破壊され消滅する。 それにより天ノ川学園高等学校へザ・ホールが集中し、同エピソードでリブラが超新星に覚醒した事により候補者の抜擢力が強化し、第35話以降は残りの使徒が続け様に覚醒している。 最終話で敗北した我望が戦意喪失となった為、ダークネビュラを開口する野望は便宜的に潰えたが、破壊不能のホロスコープススイッチは現存したままとなっている。 12体全員が一斉に登場する事は不可能だが、夏の劇場版では複製という形で12体全員が揃っている。 ※メンバーの名前・スイッチなどは以下の通り(登場順)になっており、スイッチャーの名前は一部正体のアナグラムとなっている。 【名前】 【スイッチ】 【星座】 【スイッチャー】 【前身】 スコーピオン スコーピオンスイッチ さそり座 園田紗理奈 カニスミノル・ゾディアーツ リブラ リブラスイッチ てんびん座 速水公平 不明 ヴァルゴ ヴァルゴスイッチ おとめ座 江本州輝 不明 レオ レオスイッチ しし座 立神吼 不明 キャンサー キャンサースイッチ かに座 鬼島夏児 ペガサス・ゾディアーツ アリエス アリエススイッチ おひつじ座 山田竜守 うさぎ座のゾディアーツ カプリコーン カプリコーンスイッチ やぎ座 五藤東次郎 こと座 アクエリアス アクエリアススイッチ みずがめ座 エリーヌ須田 不明 タウラス タウラススイッチ おうし座 杉浦雄太 不明 サジタリウス サジタリウススイッチ いて座 我望光明 不明 ジェミニ ジェミニスイッチ ふたご座 城島ユウキ/闇ユウキ こじし座? ピスケス ピスケススイッチ うお座 黒木蘭 不明 【余談】 声は震わせるようなエコーで加工されている(サジタリウス、アクエリアス、タウラス、ジェミニは声が二重に加工されている)。 随時登場するまでホロスコープスの全貌は不明だったが、既に発売されていたバンダイの玩具「ゾディアーツスイッチ」の「図鑑モード」では十二星座全ての英名が収録されている為、名称だけはこの時点でもう決定していたと推測できる。 初期の4幹部において当初は「全員が女性教師だった」という案でデザインされた経緯がある。 更に変身アイテムもスイッチではなく、女性もののアクセサリーで変身する構想があり、各々にその名残の装飾がある(スコーピオンはヘアピン、リブラはイヤリング、ヴァルゴはブレスレット、レオはアンクレット)。 物語前半ではキャンサーだけが途中覚醒して長いエピソードを引っ張っており、当初は「本当に12体全員が本編に登場できるのか」とも囁かれていた。 実際には東映ヒーローMAXで中島が答えているように彼らの立ち位置は『魔法戦隊マジレンジャー』の冥府神(強くなるヒーローに合わせて後々から出てくる強敵)と同様になっており、プロデューサーである塚田氏の案で最初から「終盤の1クールに残りをまとめて出す」という形式が決定していたらしい。 占星術は魔術的な性質を持つ事から個々の「大アルカナ(タロット)」と関連付けられている。 それぞれの人格やアイデンティティにはどこかでそのアルカナを体現している。 【名前】 【星座】 【十二宮】 【大アルカナ】 【備考】 アリエス おひつじ座 白羊宮 皇帝 自称「王様」 タウラス おうし座 金牛宮 教皇 天ノ川学園法度 ジェミニ ふたご座 双児宮 恋人達 闇ヒロインが首領に溺愛 キャンサー かに座 巨蟹宮 戦車 積極力、行動力、好戦的、自分勝手、傍若無人、覚醒前がペガサス レオ しし座 獅子宮 力 首領の右腕 ヴァルゴ おとめ座 処女宮 隠者 3役を使い分けて暗躍、隠者 リブラ てんびん座 天秤宮 正義 俳優はライダー経験者、ピスケス編でライダー部に内通、武器の名が「正義の女神」 スコーピオン さそり座 天蠍宮 死 毒使い サジタリウス いて座 人馬宮 節制 ホロスコープスの統率者 カプリコーン やぎ座 磨羯宮 悪魔 ヘヴィメタル(悪魔崇拝と関連付けられている音楽) アクエリアス みずがめ座 宝瓶宮 星 宇宙飛行士の夢 ピスケス うお座 双魚宮 月 ホロスコープスだが、敵側に協力するスタンスを掲げる
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ι G2383 G2384 G2385 G2386 G2387 G2388 G2389 G2390 G2391 G2392 G2393 G2394 G2395 G2396 G2397 G2398 G2399 G2400 G2401 G2402 G2403 G2404 G2405 G2406 G2407 G2408 G2409 G2410 G2411 G2412 G2413 G2414 G2415 G2416 G2417 G2418 G2419 G2420 G2421 G2422 G2423 G2424 Ἰησοῦς 〖名詞〗 〖意味〗イエス G2425 G2426 G2427 G2428 G2429 G2430 G2431 G2432 G2433 G2434 G2435 G2436 G2437 G2438 G2439 G2440 G2441 G2442 G2443 G2444 G2445 G2446 G2447 G2448 G2449 G2450 G2451 G2452 G2453 G2454 G2455 G2456 G2457 G2458 G2459 G2460 G2461 G2462 G2463 G2464 G2465 G2466 G2467 G2468 G2469 G2470 G2471 G2472 G2473 G2474 G2475 G2476 G2477 G2478 G2479 G2480 G2481 G2482 G2483 G2484 G2485 G2486 G2487 G2488 G2489 G2490 G2491 G2492 G2493 G2494 G2495 G2496 G2497 G2498 G2499 G2500 G2501 G2502 G2503
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マルコ福音書 ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ (私訳) 目次 目次2章以下、直訳 2章 1 さて、彼は再びカペルナウムへ入り、幾日か経つと、彼が家にいることが知れわたった。2 すると、多くの人々が集まって来たため、戸口の所さえも入る場所がなかったが、彼は人々にみ言葉を語るのだった。 3 さて、人々が四人の男たちに担がれた麻痺の人を、彼の所に運んで来る。4 ところが、その群衆の故に、人々は彼を運ぶことができず、彼がいる所の屋根を剥がした。さらに、(穴を)掘ってその麻痺の人が横になっている所の床をつり下ろす。5 そして、彼らの信仰を見たイエスは、その麻痺の人に言う、「子よ、あなたの罪は赦されている」。 6 しかし、そこに座っている書記官の幾人かは、自分たちの心の中で論じるのであった。7 「何故、この男はこんな言い方をするのか。冒涜している。神一人の他に、だれが罪を赦すことができようか」。8 そしてすぐに、彼らが自分たちの内でそのように論じていることを、イエスは自らの霊で見抜いて、彼らに言う、「何故、心の中で、このことについて論じているのですか。どちらがより易しいですか。この麻痺の人に、「あなたの罪は赦されている」と言うのと、「起きよ、そしてあなたの床を担ぎ、そして歩け」と言うのとでは。10 しかし、あなた方が、人の子はこの地上で罪を赦す権威を持っているということを知るために」。彼はその麻痺の人に言う、11 「あなたに言う、起きて、あなたの床を担ぎなさい。そして、あなたの家に帰りなさい」。12 そしてすぐに、彼は起きて、床を担ぎ、皆の目の前で出て行った。そのため、皆は驚愕し、神を賛美して言う、「このようなことは、かつて見たことがない」。 13 そして、再び海辺に出て行った。すると、群衆が皆、彼のもとにやって来た。それで、彼らを教えた。14 また、通りかかりに、収税所に座っているアルパヨのレビを見つけた。そして、彼に言う、「私について来なさい」。すると、立ち上がって彼について行った。 以下、直訳 2 1 Καὶ εἰσελθὼν πάλιν εἰς Καφαρναοὺμ そして、彼は再びカペルナウムへ入ると、 δι’ ἡμερῶν 幾日が経ち、 ἠκούσθη ὅτι ἐν οἴκῳ ἐστίν. 彼が家にいることが知れわたった。 2 2 καὶ συνήχθησαν πολλοὶ そして多くの人々が集まって来た。 ὥστε μηκέτι χωρεῖν μηδὲ τὰ πρὸς τὴν θύραν, そのため、戸口の所さえも入る場所がない。 καὶ ἐλάλει αὐτοῖς τὸν λόγον. そして、彼は人々に言葉を話していた。 2 3 Καὶ ἔρχονται φέροντες πρὸς αὐτὸν παραλυτικὸν αἰρόμενον ὑπὸ τεσσάρων. そして、人々は四人の男たちに担がれた麻痺の人を、彼の所に運んで来る。 ※παραλυτικὸς 麻痺の人、παρα(側に)+λυω(解く、壊す)、中風に限らず(半身)麻痺全般を指す。 2 4 καὶ μὴ δυνάμενοι προσενέγκαι αὐτῷ διὰ τὸν ὄχλον そして、その群衆の故に、人々は彼を運ぶことができず、 ἀπεστέγασαν τὴν στέγην ὅπου ἦν, 彼がいる所の屋根を剥がした。 καὶ ἐξορύξαντες χαλῶσιν τὸν κράβαττον ὅπου ὁ παραλυτικὸς κατέκειτο. さらに、(穴を)掘ってその麻痺の人が横になっている所の床をつり下ろす。 ※χαλάω 緩める→緩めて下ろす、つり下ろす 2 5 καὶ ἰδὼν ὁ Ἰησοῦς τὴν πίστιν αὐτῶν そして、彼らの信仰を見たイエスは、 λέγει τῷ παραλυτικῷ· その麻痺の人に言う、 τέκνον, ἀφίενταί σου αἱ ἁμαρτίαι. 「子よ、あなたの罪は赦されている」。 2 6 Ἦσαν δέ τινες τῶν γραμματέων ἐκεῖ καθήμενοι しかし、そこに座っている書記官の幾人かは、 καὶ διαλογιζόμενοι ἐν ταῖς καρδίαις αὐτῶν· 自分たちの心の中で論じているのであった。 2 7 τί οὗτος οὕτως λαλεῖ; 「何故、この男はこのように話すのか。 βλασφημεῖ· 冒涜している。 τίς δύναται ἀφιέναι ἁμαρτίας εἰ μὴ εἷς ὁ θεός; だれが罪を赦すことができるというのか。神お一人の他にはいない」。 2 8 καὶ εὐθὺς ἐπιγνοὺς ὁ Ἰησοῦς τῷ πνεύματι αὐτοῦ そしてすぐに、イエスは自らの霊で見抜き ὅτι οὕτως διαλογίζονται ἐν ἑαυτοῖς 彼らが自分たちの内でそのように論じていることを λέγει αὐτοῖς· 彼らに言う、 τί ταῦτα διαλογίζεσθε ἐν ταῖς καρδίαις ὑμῶν; 「何故、あなた方は心の中で、このことについて論じているのですか。 2 9 τί ἐστιν εὐκοπώτερον, どちらがより易しいですか。 εἰπεῖν τῷ παραλυτικῷ· ἀφίενταί σου αἱ ἁμαρτίαι, この麻痺の人に「あなたの罪は赦さている」と言うこと ἢ εἰπεῖν· ἔγειρε καὶ ἆρον τὸν κράβαττόν σου καὶ περιπάτει; あるいは「起きよ、そしてあなたの床を担ぎ、そして歩け」と言うこと 2 10 ἵνα δὲ εἰδῆτε しかし、あなた方が知るようになるために。 ὅτι ἐξουσίαν ἔχει ὁ υἱὸς τοῦ ἀνθρώπου ἀφιέναι ἁμαρτίας ἐπὶ τῆς γῆς– 人の子は、この地上で罪を赦す権威を持っているということを」―。 ※ἐξουσία 自由、権威、権利 λέγει τῷ παραλυτικῷ· 彼はその麻痺の人に言う、 2 11 σοὶ λέγω, 「あなたに言う、 ἔγειρε ἆρον τὸν κράβαττόν σου 起きて、あなたの床を担ぎなさい。 καὶ ὕπαγε εἰς τὸν οἶκόν σου. そして、あなたの家に去って行きなさい。 2 12 καὶ ἠγέρθη καὶ εὐθὺς ἄρας τὸν κράβαττον ἐξῆλθεν ἔμπροσθεν πάντων, そしてすぐに、彼は起きて、床を担ぎ、皆の目の前で出て行った。 ὥστε ἐξίστασθαι πάντας καὶ δοξάζειν τὸν θεὸν λέγοντας そのため、皆は驚愕し、神を賛美して言う、 ※δοξάζω 栄光を付与する、賛美する ὅτι οὕτως οὐδέποτε εἴδομεν. 「このようなことは、かつて見たことがない」。 2 13 Καὶ ἐξῆλθεν πάλιν παρὰ τὴν θάλασσαν· そして、再び海辺に出て行った。 καὶ πᾶς ὁ ὄχλος ἤρχετο πρὸς αὐτόν, すると、群衆が皆、彼のもとにやって来た。 καὶ ἐδίδασκεν αὐτούς. それで、彼らを教えた。 2 14 Καὶ παράγων εἶδεν Λευὶν τὸν τοῦ Ἁλφαίου καθήμενον ἐπὶ τὸ τελώνιον, そして、通りかかりに、収税所に座っているアルパヨのレビを見つけた。 καὶ λέγει αὐτῷ· ἀκολούθει μοι. そして、彼に言う、「私について来なさい」。 καὶ ἀναστὰς ἠκολούθησεν αὐτῷ. すると、彼は立ち上がって彼について行った。
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共観福音書 ヨハネ福音書 エルサレムの訪問 1回 4回(うち過越祭が3回、2,6,11章) イエスの活動期間 1年半? 約3年 イエスの活動開始 洗礼者ヨハネの逮捕後 洗礼者ヨハネと同時期 イエスの語り掛け 「わたしは」が100回以上 最後の晩餐 過越祭の食事 通常の食事 イエスの処刑の日付 過越祭の第一日(ニサンの月の15日) 過越祭の前日(ニサンの月の14日) イエスの処刑の開始時刻 午前九時 正午以降(午後) 使徒フィリポ 使徒言行録を除いては名前のみ 何度も出てくる 使徒トマス 名前しか出てこない 「不信のトマス」を印象付けている 使徒ナタナエル 出てこない 何度も出てくる サタン、悪魔、悪魔つきにまつわる話 あり なし 終わりのときの予言 あり なし 倫理的な訓話 あり なし https //ja.wikipedia.org/wiki/ヨハネによる福音書
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ヨブは自宅そばにあった偶像の社を破壊したために、その持ち主であった悪魔により、全財産と子供たちの命まで奪われる。四人の友人が来訪し、ヨブを非難する。神の介入でヨブは救われ、以前の倍の財産を得る。 全体的な流れとしては正典のヨブ記と似ている。
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● 呼び寄せていた兵隊達がオルコットの側近達の襲撃を受けているという報告を聞きながら、ウィリアムはモニカを幾つもの検査機に通していた。 彼女にかけられた封印を解くための施術の前に、数年の間でモニカが成長している部分や、それに伴って変化した部分を精査する必要があるからだ。 ……万全を期したいものだからね。 永取市でモニカが手に入ったのは好都合だったとウィリアムはほくそ笑む。 元々ウィリアムはこの施設をモニカの解析に使う予定だったのだ。保険のために徹心によって日本から撤退させられた時に残してきた他のロッジ跡にも機材は用意していたが、ここほどの設備は整えられてはいなかった。 街は既に徹心によって囲まれてはいるが、それをウィリアムは大した障害だとは認識していない。今現在、船団がオルコットの手の者に襲われている事についてもだ。 ……施設さえあるならば、ワタシはこの街から出る必要は一切ありはしないし、船団の彼等にはこの街の南東にある倉庫街にあるロッジ跡に来るようにとしか言っていないから、すぐに居所がばれる事は無い……が。 それでも急いで事を運ぶにこしたことはない。 なにしろオルコットにはあの探知用都市伝説がある……。 ウィリアムがそう考えながら機械から吐きだされてきたデータを眺めていると、金属製の寝台に拘束されたモニカの怯えたような視線と目が合った。 「そう身構える事は無い。ワタシは君に意味のない危害を加える気は一切ないのだからね」 それでも態度が軟化する気配の無いモニカの様子に、ウィリアムは内心でため息を吐く。 警戒、まあ、そういう反応になるかね……。 自分がまともに抵抗できる状態ではない事を理解しているのか、明らかに反抗的な行動は起こさないが、モニカの様子は決して協力的ではない。 そして常に緊張しているようで、出てくるデータもモニカの心情を映すように興奮した状態を示すものだった。 種々多様なデータを勘案すれば平常値が出ないわけではないけど……モニカ嬢の中に封印されている都市伝説の事を考えると、もう少し感情が振れた時のデータが欲しいね。 そう思ったウィリアムは、モニカが興味を持ち、その感情を大きく動かすであろう話をする事にした。 「モニカ嬢、君は総長――ユーグや、彼の元契約者で君の祖父でもあるエルマーの過去の事を知っているかね?」 ● 突然の話題に、顔を上げてウィリアムと見開いた目を合わせたモニカは、驚いた調子で訊ねた。 「おじさんはユーグおじさんの事を、知ってるの?」 「ウィリアムだ、モニカ嬢。……そうだね、ワタシは研究班の長だから、君の両親の上役でもあった。それにエルマーやユーグともそれなりに接触もあったのだよ? 何せ≪テンプル騎士団≫はあらゆる秘儀に通じている者達だからね」 「ひぎ?」 「そうだ、秘密のうちに行われる儀式やそこから生まれる結果の事をそう呼ぶ。彼等がそれらに通じているというのは≪テンプル騎士団≫が悪魔崇拝者と蔑まれた折に付属した話ということになるね。 そもそも≪テンプル騎士団≫とは信心を篤くしていた者達がその過程で莫大な資産を築いたがために、時の権力者に弾圧を受け、異端の不名誉を被った騎士達が都市伝説化したものだ。現在では教会の手のひら返しで名誉を回復したとはいえ、それまではなんらかの秘儀体系に通じているとされて、≪フリーメーソン≫や≪東方聖堂騎士団≫、≪薔薇十字団≫のような隠秘的な組織を生み出す根幹として存在した――、まあオカルト的な権威であると同時に、聖職者や世俗の鼻つまみ者だったのだね」 おどけるように言って、ウィリアムは機材をいじる。 「信心を裏切られて悪魔崇拝者であるという烙印を捺され、バフォメットと呼ばれる悪魔の形をした加護を纏う存在としてこの世に形を得たユーグは、麾下の騎士と共に都市伝説として語られる≪テンプル騎士団≫としての絶大な力を持ちながらも、世間からは追われる立場にあらなければならなかった。しかしそんな騎士達と契約しようとした風変わりな男が居たのだな」 ウィリアムは白衣からペンライトを取り出すと、モニカの目に光を当て、碧い瞳の奥を覗き込んだ。 まるで心の底を見透かそうとでもいうかのようにまじまじと瞳を見つめ、淡々と告げる。 「それが君の祖父、エルマー・リデルだ」 モニカの反応を紙に書き留めながら、ウィリアムは続けた。 「≪テンプル騎士団≫は古くから異端として敵視されてきた噂話としての加護と、史実において奮った武勇が相まって、誰も契約を行えない程に強力な都市伝説として存在していた。当然エルマーがそんな≪テンプル騎士団≫相手に契約すれば、一息に呑みこまれてしまうものと周囲の人間は思っていたそうだ。しかしエルマー自身はそのような事は無いと半ば確信していた。何故だか解るかね?」 答えを期待しない問いかけは、ウィリアム自身がその答えを告げる。 「エルマーは、いや、リデル家はテンプル騎士団の血統だったからだ」 モニカが、え? と疑問を零した。 「おじいちゃんも都市伝説……だったの?」 「いいや違う。史実において存在したテンプル騎士団の血筋というだけだ。ただし、都市伝説化した≪テンプル騎士団≫の話に引きずられたのか、エルマー自身は都市伝説に対して非常に稀なレベルでの親和性を持っていた。数ある秘密組織の礎たるテンプル騎士団の血を引く者が持つ特異性だ。故に呑まれる事なく≪テンプル騎士団≫という名高き――悪名だが――都市伝説群と契約できたのだな。200騎と総長1騎、これらと一息に契約したのだ。これは桁外れな事だったのだよ?」 さあ、そろそろ感情を振れさせよう。そう考えてウィリアムは話の流れを目的の場所へと向けて行く。 「――そして、その親和性はエルマーだけではなく、その息子のレニーにも引き継がれていた。モニカ嬢、君の御両親、特に父親の方は研究者としても、そして検体としても、研究班にとって無くてはならない人材だったよ」 祖父から父へと話の中の世代が動いた事にモニカは更に驚愕を深めたようだった。 「当時、オルコットは目的の為に必要な都市伝説の捜索に成功していた。後はそれを受け容れる器を用意することができれば目的は達成されるだろうという段階だね。 しかし必要な都市伝説と契約する事が出来、その力を統御する事が出来る存在は見つからなかった。そこで研究班ではオルコットの指示もあって、しかるべき器を作ろうとしていたのだ。そんな時にワタシやエルマーは思いついたのだね。人を攫っては器となるように改造を施してみても器の質が足りない。零から器を作り上げようとしても出来そこないの木偶人形では人以上の成果は出せない。 ――しかし、元から素養のある素材に、まだ人として完成する前から手を加えて調整すれば、完成度の高い器が作れるのではないか、とね。 折良く素材が身近に存在していたのだ。だからこそこの案はすぐに実施された。白羽の矢が立ったのは――」 仮面のように不気味な三日月の笑みを刻んで、ウィリアムは言う。 「その時トリシアの胎内に居た君だ。モニカ・リデル」 ● ウィリアムの刺すような名指しの言葉、それを受けてモニカの顔がこわばった。 ウィリアムはその反応を、何が面白のか嬉しそうに喉を震わせて受ける。 「都市伝説との親和性が異常に高い家系、これ以上の素材は存在しなかった。トリシアもレニーも反対したがね、大義の為と言えば最後には折れてくれたよ。そうして腹の中に居た頃から≪神智学協会≫が持つ全ての技術を注ぎ込まれて都市伝説との親和性が高まるように調整を加えられて生まれたのが、君だ。喜ぶと良い。君を使った実験は成功、あとは二つの都市伝説を契約させてしまえばいい状態にまで漕ぎ着けたのだ」 ウィリアムは機械が吐きだしたデータを見て満足気な笑みを浮かべた。 「そして、覚えているだろうかね? モニカ嬢、君は既にオルコットの目的を果たす為に必要とされている都市伝説の内の一つと契約させられている」 「え?」 虚をつかれた表情でモニカはウィリアムを見返した。意のままに感情が揺さぶられているモニカの様子に満足して、ウィリアムは背を向ける。 「そうか、覚えていないか。……まあじきに知る事になる。今はトリシアとレニーが封印してしまっているが、それもこの精査が終わればワタシが解いてしまうからね。なかなかに強大な都市伝説だよ? もう一つ、オルコットが保持している都市伝説と共に契約させてしまえばオルコットの目的は達成されるのだそうだ」 「その都市伝説って――」 モニカの問いは途中で立ち消えた。ウィリアムは欲しいデータが手に入ったのだからこれ以上話す事は無いとでも言うように、モニカに背を向けたまま機材のコンソールを操作する。すると目の前にモニターが降りてきた。 モニターには氷河に覆われて壊滅していく艦隊が映っていた。 「これ……?」 「オルコットの手の者達にワタシが呼び寄せた兵達が倒されている所だね」 それぞれの船にとりつけられているカメラから送られてくるノイズ混じりの映像は、いくつか場面を変えては次々と沈んでいく船を映し出し、やがてモニカも知る人影を映しだした。 「ユーグおじさん!」 騎士を率いて船を駆けているユーグの映像をモニカへと見せながら、ウィリアムは仲間であるはずの船が沈められていくというのに笑っていた。 彼はコンソールを操作しながらモニカに話す。 「すばらしいね、≪冬将軍≫もユーグ総長もアキヅキも、あの程度の戦力ではまともな応戦すらできはしない。モニカ嬢がオルコットの手に渡ってしまえば彼等が警護につく事になっただろう。それではワタシが自由に手を出せなくなってしまう。それが分かっているから、ワタシはオルコットに弓を引いたのだよ」 「戦って、それであの人達に勝てるの?」 まさか、とウィリアムは手を振った。 「この施設に居る者達には映像の中の者達よりは頑張ってもらうが、それでも彼等に打ち勝つ事など不可能だ。ワタシとしては、モニカ嬢を使って個人的な実験を成し遂げる事ができるだけの時間さえ稼ぐ事が出来ればそれだけで満足なのでね、もとより勝ちは望んでいないのだよ。 それに、この場の者だけでは無理だろうと踏んで、わざわざあの≪フィラデルフィア計画≫の契約者を生かしておいたのだ。T№――以前ワタシがこの国で行っていた被験体や実験体の収集を邪魔した者達が真に有能ならば、今回も駆けつけるだろう。オルコットの古い敵だという彼等がオルコットの手の者の足止めに役だってくれればワタシとしては万々歳なのだがね」 「それでも辿り着かれたら、どうするの?」 「時間さえ稼げれば、オルコット、テッシン、そのどちらがワタシの所に辿りつこうと構わないよ。ワタシの目的が果たせた後ならば、ワタシは滅されようとも構いはしない」 狂気じみた笑みと共にウィリアムはそう言ってコンソールを叩いた。小型のモニターが天井から追加で降りてくる。ウィリアムはマイクを手に取ると、呼びかけを始めた。 「さあ、研究所に詰めている兵士諸君。諸君らの近くに下りてきたスクリーンの映像を見てくれ」 肉声だけではなく、スピーカーを通したウィリアムの声も聞こえてくる。施設全体に放送しているのだろう。映し出されているのはモニカの眼前にあるモニターが映し出しているものと同じ、オルコットの手の者による戦艦破壊の様子だ。 それらを垂れ流しながら、ウィリアムは嘲るようにマイクに向かって喋る。 「諸君、今回はワタシの為に集まってもらってすまないね。今回君達に相手にしてほしいのは映像にある通り、他でもない。あのオルコットや≪組織≫の鬼神、それにその同胞達だ」 機械を通して伝えた情報を全員が飲みこめるだけの間を置いて、ウィリアムは言葉を再開した。 「皆分かっているだろうが、今回の行動は一度協力体制を築いたオルコットへの裏切りでもある。まあ元々利用し利用されの関係ではあったから、向こうもこうなる事は考えていたのだろうがね。おそらくワタシ達の居場所は今襲われている彼等と同じように、すぐに割れる。ワタシが持っている複製品の探査用都市伝説の原本を向こうが持っているからね。そんなわけで、皆生き残りたいと思うならばせいぜい準備を急いでもらおう。そうしなければ彼等のようにあっさり殺されてしまうよ?」 そう言ってモニターに映っている死体を拡大して表示する。見せつけるようにしてからウィリアムは画面を元に戻した。 「見ての通り、敵は強大。≪ナチス・ドイツの生体実験データ≫や≪731部隊の実験データ≫などで地力をそこそこ上げた程度では敵わない。そこでいくつか装備を供給する事にした。将軍から以前研究用にと供出してもらったものだ、少しは足しになるだろう。各部隊長は後でワタシの部屋に来るように」 そう言ってウィリアムは通信と映像を切る。そうして彼は白衣の部下を呼び寄せて指示を出し、件の装備を持ってこさせた。 「まあ、この装備が彼等にどこまで通用するのかは怪しいがね。せいぜい襲撃してくる彼等が油断している事を祈るしかないね」 喉を震わせる陰湿な笑いを耳にしながら、モニカは得体のしれない不安を抱き、拘束されて不自由な身体で小さく震えた。 前ページ次ページ連載 - Tさん、エピローグに至るまで
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占いであるタロットとはキリスト教にとっては禁忌である。しかしながら、その成立にはキリスト教が関与している。 タロットの構成 大アルカナと小アルカナからなる。 大アルカナ(major arcana) タロットの一組78枚のうち、22枚を構成する、寓意画が描かれたカードを指す。 番号 マルセイユ版 ウェイト版 エッティラ版 0or空白 愚者【THE FOOL】 78.狂人【FOLIE】 1 魔術師【THE MAGICIAN】 理想【IDEAL】 2 女教皇【THE HIGH PRIESTESS】 啓蒙【ECLAIRCISSEMENT】 3 女帝【THE EMPRESS】 討論【DISCUSSION】 4 皇帝【THE EMPEROR】 啓示【REVELATION】 5 教皇【THE HIEROPHANT】 航海【VOYAGE】 6 恋人たち【THE LOVERS】 秘密【SECRETS】 7 戦車【THE CHARIOT】 支援【APPUI】 8 正義【JUSTICE】 力【STRENGTH】 執念【TENACITE】 9 隠者【THE HERMIT】 正義【JUSTICE】 10 運命の輪【WHEEL OF FORTUNE】 節制【TEMPERANCE】 11 力【STRENGTH】 正義【JUSTICE】 力【FORCE】 12 吊るされた男【THE HANGED MAN】 慎重【PRAUDENCE】 13 死【DEATH】 結婚【MARIAGE】 14 節制【TEMPERANCE】 暴力【VIOLELNCE】 15 悪魔【THE DEVIL】 悲哀【CHAGRINS】 16 塔【THE TOWER】 意見【OPINION】 17 星【THE STAR】 死【DEATH】 18 月【THE MOON】 裏切り【TRAHISON】 19 太陽【THE SUN】 貧困【MISERE】 20 審判【JUDGEMENT】 幸運【FORTUNE】 21 世界【THE WORLD】 訴訟【PROCES】 小アルカナ タロットの一組78枚のうち、56枚を構成する組を言う。 小アルカナは、以下の四つの組 (スート suits)に分かれる。 棒(杖) wands (batons) 剣 swords 聖杯 cups 硬貨(護符) coins (pentacles) ※エッティラ版では「天体」 さらに各スートは、以下のように分類されて構成される。 数札 pip cards … 1から10までの数字を示す札 人物札 court cards … 4枚の人物を示す札。小姓 page、騎士 knight、女王 queen、王 king タロットから、小アルカナのみを抜き出したのがトランプの原型であるとも、逆にトランプが先にあって、後に大アルカナが加えられて現在のタロットになったとも言われている。タロットとトランプとの関連性は皆無、とする説もある。 歴史 トランプの成立 ここではタロットの小アルカナの起源としてトランプが存在するという説を採用して開設する。 起源は諸説あるが、現在中国説が最も有力であり、また、全て東方に発生したものが欧州に移入されたとする点では一致している。これら東方に発生したものを西アジア方面から復員した十字軍やサラセン人などの手によって欧州に伝えられた可能性が高い。 中国説は、12世紀以前の中国に「葉子」というトランプの一種があったことから、これが欧州に伝わったとする説。ただし古い時代の葉子がどのようなゲームであったかはわかっておらず、明代以降の紙牌と連続性があるかどうかもわかっていない。 アラブのカード トプカピ博物館所蔵の15世紀ごろのマムルーク朝のカードは、偶像崇拝に抵触しないように、絵札には人物は書かれておらず、かわりに文字で説明がされている。このためスート名と絵札の名前が判明している。完全な形で残っているわけではないが、ダラーヒム(=貨幣)、トゥーマーン(=カップ)、スユーフ(=刀剣)、ジャウカーン(=ポロ競技用のスティック)の4つのスートがあり、各スートには1から10までの数札とマリク(=王)、ナーイブ(=総督)、ナーイブ・サーニー(=第二総督)の3種類の絵札があったと考えられている。 カップのスート名「トゥーマーン」はトルコ語で「万」を意味する語であり、中国の紙牌のスートである「万子」との関連性が考えられる。例えば、ウィルキンソンは漢字の「万」を上下逆さまにした形がカップになったと推測した。 欧州への伝来 起源が定まっていないことから欧州への伝来についても諸説あるが、少なくとも14世紀には欧州各地に記録が見られることから相当数広まっていたと考えられる。欧州に最初にトランプが出現したのは14世紀前半のイタリアとされているが、スペイン説も有力。カードの構成は当時のアラブのカードのデザインを襲用している。ただし、スートのうち「ポロ用スティック」は、欧州においてはポロ競技に馴染みがなかったものだから、イタリアでは儀式用の杖、スペインでは棍棒に変化した。 15世紀も後半になると、タロットの小アルカナとトランプが完全に分離したと考えらえる。例えばフランスでは、トランプに分化したものでは、スートがダイヤ(♢)、スペード(♤)、ハート(♡)、クラブ(♧)に変わり、絵札の騎士が女王と差し替えられた。 タロットの成立 タロットは小アルカナと大アルカナを合わせたものであり、以降は主に大アルカナの起源についてみていく。 タロットの起源を古代エジプトや古代ユダヤに求める説もあるが学問的な根拠は無く、発祥は不明である。タロットの起源に関しては諸説が入り乱れているが、ここでは「中世の祭壇画パネルが携帯用にカード化されたもの」という説を採用する。 例えばこれは、フラ・アンジェリコが1451-53年に作成した "Armadio degli Argenti" の一部分であり、外側の円には旧約に登場する十二名の人物が描かれている。上部中央がモーゼ。右回りにソロモン王、エゼキエル、エレミヤ、ミカ、ヨナ、ヨエル、マラキ、エズラ、ダニエル、イザヤ、ダビデ王。内側の円には新約から八名の使徒が選択されている。上部中央がヨハネ。右回りにペテロ、マルコ、ユダ、ルカ、ヤコブ、マタイ、パウロ。円外右側は時の教皇グレゴリウス、左側はエゼキエル。絵自体はエゼキエルが得たヴィジョンを描いたものである。合計22名である。 エゼキエル1 15-16 わたしが生き物を見ていると、四つの顔を持つ生き物の傍らの地に一つの車輪が見えた。それらの車輪の有様と構造は、緑柱石のように輝いていて、四つとも同じような姿をしていた。その有様と構造は車輪の中にもう一つの車輪があるかのようであった。 中世ヨーロッパには遍歴学生ないし偽神父と称される放浪者が存在しており、無資格ミサ等のいかさま稼業で世を渡っていた。こういった者は一箇所に長居できないという事情もあり、祭壇や宗教画といった商売道具も簡素な携帯品に変化したのである。こういった祭壇画パネルが放浪者たちの世界で伝えられるうちに、占術用の小道具としても用いられるようになったと思われる。 記録上辿れる限りでは1392年の「シャルル6世のタロット」が最古であるがこれは現存していない。これはシャルル6世が画家ジャックマン・グランゴヌール(Jacquemin Gringonneur)に作らせたものである。これは現存していないため現在のタロットとどの程度似ていたのか、全然違ったものだったのか、まったく不明である。 現存するもので最古のものは15世紀半ばの北イタリアのミラノで製作された「ヴィスコンティ・スフォルツァ版(Visconti Sforza Tarocchi)」である。この時代のタロット・カードは、占い、あるいは魔術のツールではなく、「ゲーム」のためのツールだった。当時は、貴族や富豪の為に画家が手描きで描いて作製していた。現在の大アルカナ22枚に相当するカードは、欠損していると考えられる悪魔と塔を除き、少なくとも20枚はあったことはわかっている。小アルカナの人物札は現在よりも多く、女中(maid)、小姓(page)、女騎士(horsewoman)、騎士(knight)、女王(queen)、王(king)の6種類から成っていた。 これよりもう少し時代を下った頃のタロットは、まだ枚数や絵柄などもどの程度確定していたのか不明であるが、この時期のデッキの構成から、すでに後世でいう大アルカナと小アルカナが合体したものであることは推察できる。 マルセイユ版の出現 歴史上遡ることのできる範囲において初めて「マルセイユ版タロット」の絵柄が確認されるのは、マルセイユではなく17世紀後半(1650年頃とされている)のパリにおいてである。ジャン・ノブレによって作成されたタロットカードが「マルセイユ版タロット」の絵柄をもつ最も古いデッキとして有力視されている。 これがフランス革命の情勢不安定な頃の占いブームに火が付き、占いカードとしてのタロット誕生に至ったと考えられる。 このデザインが、後にタロットカードのデザインとして一般的なものとなり、これを元にした様々なバリエーションのカードがフランス各地で生産されることとなった。それらがマルセイユ版と呼ばれるようになったのは20世紀に入ってからのことで、ニコラ・コンヴェルという18世紀のマルセイユのカードメイカーの作ったタロットを、1930年代にグリモー社が「マルセイユのタロット」の名で復刻したことに始まる。 タロットと神秘主義の融合 タロットと神秘主義が関連付けられたのは近世のことである。 1781年、フランスの作家ド・ジェブランが『原始世界』なる著作において、いわゆる“タロット=トートの書”説を世に広めている。当時フランスではエジプトが一種の流行と化しており、多様な文物が輸入されていた。ド・ジェブランはタロットこそアレクサンドリア大図書館の焼失すら生き延びた伝説の魔法書であるとホラを吹きまくったのである。もちろん、この種の言辞はシャンポリオンが神聖文字を解読するまでの幕間狂言のようなものであった。 1791年にはやはりフランス人の占い師エッティラが『トートの書の理論と実践』なる書物でタロット=エジプト起源説を披露し、この珍説はますます世に広まった。なお、エッティラは自身でタロットの絵柄を再編し、エッティラ版(Etteilla)が生まれた。 そして近代、タロットはキリスト教神秘主義であるカバラと結びつけられた。 1856年、近世魔術師の筆頭たるエリファス・レヴィ(1810-1875)がその著書『高等魔術の教理と祭儀』においてタロットをカバラと結びつけている。すなわちこのとき、タロットと魔術が出会ったといえよう。レヴィ以前、いかにエッティラ等がタロットをトートの書と結びつけようとしたところで、肝心のトートの書やエジプト古代宗教の実態が不明であるため、ほぼ徒労が約束されている作業でもあった。 タロットとカバラの間にある共通点といえば、発症がキリスト教(ユダヤ教)由来であることの他には、大アルカナが22枚、ヘブライ語のアルファベットも22文字というこの一点のみといってよい。ただしカバラには『形成の書』と称する神秘文献があり、ここに生命の樹とその22の小径の占星術配属が記されている。この文献を土台にタロットにも占星術配属を持ちこんだとき、タロット魔術が生まれたのである。 生命の樹だけでなく、四元素、七惑星、十二宮という伝統的な価値観をも取り込み、タロットはわずか数百年の短い歴史でありながら、伝統的な占いに肩を並べてしまったのである。 ウェイト版(ライダー版)の登場 やがてイギリスへと飛び火したタロットの神秘的解釈は、20世紀初頭の1910年、アーサー・エドワード・ウェイトによるタロットカード、すなわち黄金の夜明け団の教義に基づくカバラ思想・神秘的象徴をふんだんに取り入れた「ウェイト版タロット」として結実し、このデッキがライド社から出版されたのを皮切りに、世界中で神秘的解釈に依拠したタロットカードが製作されることとなった。 http //mamluk.spiorad.net/topkapi.htm http //mamluk.spiorad.net/reconstruction.htm http //cards.old.no/1500-mamluk/ http //www.elfindog.sakura.ne.jp/rota01.htm http //www.unmeinosekai.com/tarot/history.html https //queenoftarot.com/tarot_decks/7
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『新約聖書』「マタイによる福音書」 →バプテスマのヨハネに洗礼を受けた後、イエス・キリストは悪魔に会いに行く。 二つの問答の後、悪魔は高い山の上に連れて行き、世のすべての国々とその繁栄ぶりを見せ、 もしひれ伏して自分を拝むならばこれらを皆与えると誘惑するが、退けられる。 参考文献 『聖書 スタディ版』 聖書スタディ版 改訂版
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