約 3,654,175 件
https://w.atwiki.jp/wga0twgj0tj/pages/27.html
岡本信彦 ◆部屋 ▼エントリー 『さ、早くヤろうぜぇ!』 ▼参加 『はいよ……』 ▼挨拶 1『あぁん?』 2『』 3『』 ▼料理 『俺かよ……』 →(料理中) 『オラオラオラァ!』 ▼ラウンジ 『それで誘ってるつもりかよ……?』 ◆戦闘/汎用.ver ▼逃走 『じゃあな』 ▼戦闘終了 1『地獄送りで許してやるよ』 2『ばいにゃあ〜ん』 3『まさか勝てると思ったのかぁ?』 ▼レベルアップ 1『まぁだ強くなれってかぁ?』 2『上がっちまったらしょうがネェよなぁ!』 ◆特殊 ▼対ドラゴン 『』 ▼対帝竜 『』 ▼対ミヅチ 『』 ▼対ラスボス 『二度とその面みせんじゃねェ!』 ▼対人類戦士 『』 (31匹目 468)さんの情報を加えました。
https://w.atwiki.jp/7d2020/pages/90.html
女性H:竹達彩奈 ※以下ネタばれを含みます 女性H:竹達彩奈 汎用台詞 サムライスキル トリックスタースキル デストロイヤースキル サイキックスキル ハッカースキル コメント欄 汎用台詞 上へ キャラクター登録時 「今日からよろしくお願いします!」 逃走時 「ドキドキしましたぁ」 勝利時 「心臓がもちませんよ~」「やりましたぁ!」「わぁ~、バッチリでしたね!」 対ドラゴン戦 「が、がんばりましたぁ~」「次もこの調子でいきましょう!」 対帝竜戦 「私たち、勝ったんですね!」「こんなことしちゃダメなんだからあ!」 イベント勝利時 「あぁあ、すみません」(首都高戦)「総長…ごめんなさい」(人竜戦)「駄目なものは駄目なんです」(真竜戦)「タ、タケハヤさん?」(人類戦士戦) レベルアップ時 「どこが成長したのかなぁ?」「もっともっと強くなります!」 パーティ加入 「頑張ります!」 室内 「こんにちは!」「幸せです」(喜)「どうしたら…」(悲)「わっ、そのぉ…」(照) 料理 「わ、私でよければ!」→「ねりねりねり~」 スカイラウンジ 「すごく…あったかいです…」 サムライスキル 上へ 通常攻撃 「ええいっ!」「やぁっ!」 エグゾースト 「むうぅっ!」 旋風巻き 「とにかく斬ります!」 金翅鳥王旋風 「下がって下さい!」 袈裟斬り 「ごめんなさい!」 力閂オロシ 「行きますよ!」→「痛いですよ!」 トンボ斬り 「当ったれぇー!」 影無し 「先鋒行きます!」 収刀の紡ぎ 「次はこれです!」 崩し払い 「行きますよ!」→「落とします!」 モミジ討ち 「行きますよ!」→「痛いんですよ!」 フブキ討ち 「行きますよ!」→「動いちゃ駄目です!」 不動居 「次、決めます!」 風林重ね 「加勢しますね!」→「そこです!」 十六手詰め 「行きますよ!」→「止められませんから!」 抜刀の紡ぎ 「この手はどうです!?」 修羅の貫付け 「失礼します!」 刃下のリアクト 「どこからでもどうぞ!」 練気手当 「よーし!」 赤化の呼気 「もっと力を!」 黒鋼の呼気 「負けられないから!」 丹田法の訓 「限界突破です!」 乱れ散々桜 「強気で攻めます!」「えぇいっ!」「うりゃあぁぁっ!」「むぅぅっ!」「やぁっ!」「刀の錆になってください……!」 トリックスタースキル 上へ 通常攻撃(短剣) 「えい!」「やあっ!」 通常攻撃(銃) 「だああっ!」「やあっ!」 エグゾースト 「ふうううう!」 タランテラ 「痺れてください!」 スコルピオ 「しんどくなるかも!」 ヴァンパイア 「ちくっとします!」 フルムーンヴァンプ 「私の番!」「ごちそうさまです!」 ベノムアンプリフ 「私の番!」「すみません」 アサシンアイズ 「集中しなきゃ」 ベノムフェティシュ 「まだ終われません!」 ラッシュショット 「私の番!」「へたっぴですけど!」 エイミングショット 「私の番!」「いただきです!」 ダンシングバレット 「ふううう!」「これだけ撃てば!」 ジャンプショット 「ふううう!」「追っかけて!」 ハイディング 「じっと待ちます」 ブッシュトラップ 「私の番!」「駄目ですよう!」 チーターマン 「次は一番乗りで」 アサシンズリアクト 「ノッてきました!」 エスケイプスタンス 「ここは退きましょう」 トリックハンド 「おまじないです」 サクリファイス 「私、役に立ちたいんです!」 狂咲きバッドヘヴン 「全部行きます」「出し惜しみとかしませんから!」「食らえっ!」「ラストは一番とっておき!」」 デストロイヤースキル 上へ 通常攻撃 エグゾースト 正拳突き 「とぉーっ!」「まっすぐ!」 デストロイチャージ 「頑張らなきゃ」 ジャブ 「せいっ!」 ダブルフック 「手加減なしです!轟け!」 スピネイジブロウ 「とぉーっ!」「届いて!」 釣瓶マッハ 「とぉっ!」「とぉっ!」「ボッコボコですよ!」 クインテッタ 「手加減無しです!」「にゃぁーっ!」 ドリルクロウラー 「手加減なしです!」「さん、はい!」 迎撃スタンス 「受けて立ちます!」→「とぉっ!」 迎撃スタンス・重式 「どんと来いです!」→「とぉっ!」 オトシ前上等! 「怒りましたよぉ! そりゃぁ!」 牙折る也 「怖くないもん!」→「そりゃぁ!」 爪砕く也 「盾になります!」→「そりゃぁ!」 吹裂く也 「さぁ、こっちです!」→「そりゃぁ!」 凶転ず也 「イジメちゃ嫌です!」→「そりゃぁ!」 怒りの重爆 「私の怒りだぁ!」 デストロイリアクト 「狙っていきます」 先制デストロイ 「幸先いいです!」 瀕死のド根性 「諦めたりしない!」 パリングシールド 「備えてください!」 スカイハイメテオ 「発射準備 とりゃぁーっ!はぁっ とぉっ地球の皆さん、いいですかーっ!?どりゃぁーっ!」 サイキックスキル 上へ 通常攻撃 エグゾースト 「はぁーっ!」 フレイム 「焼きます!」 イフリートベーン 「はぁーっ!」「最大火力で!」 ヒートボディ 「タッチファイヤー!」 フリーズ 「凍らせます!」 アイシクルエデン 「はぁーっ!」「絶対零度で!」 ゼロ℃ボディ 「タッチアイス!」 エレキ 「ビリっときますよっ!」 ボルトアヴェンジ 「はぁーっ!」「これ以上無理ですーっ!」 プラズマジェイル 「狙い撃ちます!」 デコイミラー 「こちらをどうぞ!」 半径50mの支配者 「もっと有利に!」 マイクロバースト 「発動します!」「お熱があるかな!?」 マナフローター 「いっちゃいましょう!」 コンセントレート 「大丈夫…次は…!」 キュア 「手当てしますね」 リカヴァ 「発動します!」「大丈夫ですか!?」 リザレクション 「発動します!」「お願い、戻ってきて!」 デッドマンズリアクト 「はぁーっ!」「覚悟を決めます!」 魔力の湧水 「ラッキーかもです!」 オートリカヴァ 「」 黒のインヴェイジョン 「悪い子はお仕置きです」「真っ暗闇にしまっちゃえぇっ!」「にゃーん!」「反省して下さいね?」 ハッカースキル 上へ 通常攻撃 「とぉっ!」「しゃっ!」 エグゾースト 「にゃあ~!」 アタックゲイン 「攻めの姿勢で行きますよ!」 ディフェンスゲイン 「守備のことは任せてください!」 リジェネレーター 「足しになるといいですが…」 119ナノマシン 「にゃあ~」「ごめんなさい、頑張って!」 Bデータイレイザー 「にゃあ~」「もうちょっとの我慢です!」 ファイアブレイク 「暑さに勝てるおまじない!」 アイスブレイク 「寒さに勝てるおまじない!」 Aスキルコーラー 「にゃあ~」「いいことたくさんありますように!」 ハッキングワン 「あなたに決めた!」 ハッキングゼム 「み~んなお友達!」 マッドストライフ.x 「ケンカしちゃえ!」 スケイプゴート.x 「少しくださいな!」 ロストパワー.x 「手加減して下さい!」 バッドインバリッド 「にゃあ~」「仕掛けときます!」 スリープオール 「にゃあ~」「おやすみなさい!」 カースオール 「にゃあ~」「呪いのシュート!」 ハッキングリアクト 「にゃあ~」「成功するかなぁ?」 リアクターチアー 「にゃあ~」「応援してます、頑張って!」 クイックハック 「初めまして!」 サバゲーナレッジ 「にゃあ~」「ちょっとだけでも!」 禁断の秘技 「たすけてせがたさーん!」「これさえあればなんだって!」「いっけぇ!」「よーしできた!無敵です!」 コメント欄 あずにゃんやんけ -- 名無しさん (2022-03-11 18 28 30) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/7d2020/pages/88.html
男性N:石田彰 ※以下ネタばれを含みます 男性N:石田彰 汎用台詞 サムライスキル トリックスタースキル デストロイヤースキル サイキックスキル ハッカースキル コメント欄 汎用台詞 上へ キャラクター登録時 「及ばずながら、頑張ります」 勝利時 「どこも怪我していませんか?」「悪さをしてはいけませんよ」「やるときはやりますよ」 退却時 「よかったですねぇ」 対ドラゴン戦 「いやあ、怖かったですねぇ」「無理をせず、着実に」 対帝竜戦 「ああ~寿命が縮みましたよ」「親玉の首、頂きました」 イベント戦勝利時 「ちゃんと話し合いましょう?ね?」(首都高戦)「なんて悲惨な末路でしょう…」(人竜戦)「お引取りを願います」(真竜戦)「やはり、貴方はお強いですね」(人類戦士戦) レベルアップ時 「これでまたお役に立てます」「おやおや、うれしいですねぇ」 パーティー加入 「同行しますね」 室内 「調子はどうです?」(通常)「なんという…」(悲)「よいことですね」(喜)「照れますよぉ」(照) 料理 「料理ですか」→「ま~ぜまぜまぜ」 スカイラウンジ 「困った人ですね」 サムライスキル 上へ 通常攻撃 「いやっ」「せいっ」 エグゾースト 「ふうぅ!」 旋風巻き 「討ち払う!」 金翅鳥王旋風 「振りぬきます!」 袈裟斬り 「危ないですよ!」 力閂オロシ 「それでは」「成敗です!」 トンボ斬り 「撃墜します!」 影無し 「ここですよ!」 収刀の紡ぎ 「任せてください!」 崩し払い 「それでは」「ご愁傷様!」 モミジ討ち 「それでは」「真紅に染まれ!」 フブキ討ち 「それでは」「控えてください!」 不動居 「やってみせます!」 風林重ね 「お願いできますか」→「とりゃっ!」 十六手詰め 「それでは」「縁を断ち切る!」 抜刀の紡ぎ 「把握しました!」 修羅の貫付け 「布石をうちます!」 刃下のリアクト 「何がくるやら」 練気手当 「頑張らなくては」 赤化の呼気 「決着をつけましょう」 黒鋼の呼気 「ひ弱ではいられない…」 丹田法の訓 「無茶は承知です」 乱れ散々桜 「もうやめましょう」「せいっ!」「剣戟の狭間に散りなさい」「ぬぅぅ」「せやっ!」「あなたの運もここまでです」 トリックスタースキル 上へ 通常攻撃(短剣) 「はいっ」「そこ!」 通常攻撃(銃) 「はっ!」「せいっ」 エグゾースト 「ぬぅぅ!」 タランテラ 「活躍はひかえて!」 スコルピオ 「その身を滅ぼせ!」 ヴァンパイア 「頂戴しますね!」 フルムーンヴァンプ 「負けません!」「無駄にはしませんよ!」 ベノムアンプリフ 「負けません!」「すみませんね」 アサシンアイズ 「さて…なんなりと」 ベノムフェティシュ 「畳み掛けます!」 ラッシュショット 「負けません!」「必中です!」 エイミングショット 「負けません!」「あなたを穿つ!」 ダンシングバレット 「ぬぅぅ!」「強烈ですよ!」 ジャンプショット 「ぬぅぅ!」「どこまでも追いかけろ!」 ハイディング 「しばしお別れです」 ブッシュトラップ 「負けません!」→「それはダメですよ」 チーターマン 「勇んでいきましょう」 アサシンズリアクト 「やるだけやりましょう」 エスケイプスタンス 「勇気ある撤退を」 トリックハンド 「お上手ですね」 サクリファイス 「何も心配していませんよ」 狂咲きバッドヘヴン 「燃え尽きなさい!」「咲け、極彩の彼岸花!」「逃がさない!」「三途の向こうへお送りします」 デストロイヤースキル 上へ 通常攻撃 「でぇいっ」「なあぁ!」 エグゾースト 「はあぁ!」 正拳突き 「はあぁ!」「突きます!」 デストロイチャージ 「加減はしません!」 ジャブ 「そこぉっ!」 ダブルフック 「精神統一!」「屈服なさい!」 スピネイジブロウ 「はあぁ!」「くらっとしますよ!」 釣瓶マッハ 「ぬあぁ!」「ぬあぁ!」「力で押し切る!」 クインテッタ 「精神統一!」「はああっ!」 ドリルクロウラー 「精神統一!」「英気を吸い出す!」 迎撃スタンス 「いらっしゃい」→「ぬあぁ!」 迎撃スタンス・重式 「いつでもいいですよ」→「ぬあぁ!」 オトシ前上等! 「罰します!」 牙折る也 「その程度なら」→「だあっ!」 爪砕く也 「要注意です」→「だあっ!」 吹裂く也 「受け入れましょう」→「だあっ!」 凶転ず也 「なんて恐ろしい」→「だあっ!」 怒りの重爆 「はあぁ!」「清算します!」 デストロイリアクト 「全勝しましょう」 先制デストロイ 「スタートダッシュです!」 瀕死のド根性 「決して投げ出さない!」 パリングシールド 「衝撃に備えて!」 スカイハイメテオ 「この身は輝き」「宇宙にまたたく綺羅星となる!」「ふっ」「はああ!」「流れる星に懺悔しなさい!」「だあっ!」 サイキックスキル 上へ 通常攻撃 「てりゃ!」「でゃっ!」 エグゾースト 「うおぉ!」 フレイム 「火天よ来たれ!」 イフリートベーン 「うおぉ!」「焦熱地獄です!」 ヒートボディ 「触っちゃいます?」 フリーズ 「水天よ満たせ!」 アイシクルエデン 「うおぉ!」「極寒地獄です!」 ゼロ℃ボディ 「どうぞどうぞ」 エレキ 「天よ怒れ!」 ボルトアヴェンジ 「うおぉ!」「雷雲より注げ!」 プラズマジェイル 「うってつけです!」 デコイミラー 「怨みはこちらへ」 半径50mの支配者 「制圧します!」 マイクロバースト 「顕現します」「しんどいですよ」 マナフローター 「気楽にいきましょう!」 コンセントレート 「もっと…高める!」 キュア 「治療しますね」 リカヴァ 「顕現します」→「心配無用です」 リザレクション 「顕現します」「見捨てて置けません!」 デッドマンズリアクト 「うおぉ!」「憂いなしです!」 魔力の湧水 「隙あらば!」→「今日はツイてそうですよ!」 オートリカヴァ 「顕現します」「早め早めに」 黒のインヴェイジョン 「とびきりですよ!」「136の地獄へ落ちろ!」「パーフェクト!」「しっかり更生してくださいね」 ハッカースキル 上へ 通常攻撃 「とおっ」「ほっ」 エグゾースト 「ぬあぁ!」 アタックゲイン 「釣瓶打ちといきましょうか」 ディフェンスゲイン 「くれぐれも無茶なさらずに」 リジェネレーター 「フォローは任せてください」 119ナノマシン 「ぬあぁ!」「強引ですが、やむなしです」 Bデータイレイザー 「ぬあぁ!」「健やかにいてくださいね」 ファイアブレイク 「炎熱は遮断しますよ」 アイスブレイク 「冷気ならば通しません」 Aスキルコーラー 「ぬあぁ!」「勝手気ままもいいものですよ」 ハッキングワン 「矯正します!」 ハッキングゼム 「そこになおれ!」 マッドストライフ.x 「来ないでください!」 スケイプゴート.x 「優しいですねぇ!」 ロストパワー.x 「ひどいですよぉ」 バッドインバリッド 「ぬあぁ!」「不吉ですね」 スリープオール 「ぬあぁ!」「お休みですか」 カースオール 「ぬあぁ!」「ツイてますよ」 ハッキングリアクト 「ぬあぁ!」「頃合を見ます」 リアクターチアー 「ぬあぁ!」「がんばるあなたは素敵です」 クイックハック 「喝!」 サバゲーナレッジ 「ぬあぁ!」「少しでも楽になるのなら」 禁断の秘技 「こんなのどうですか」「ゲームもバカにはできませんよ!」「グーです!」「今だけ、伝説の勇者です」 コメント欄 ミヅチ戦リザルト 「なんて悲惨な末路でしょう…」 でした。追加お願いします。 -- 名無しさん (2011-12-12 00 37 31) ↑反映。そして完成! -- 名無しさん (2011-12-12 09 15 37) 今作に近いキャラは最遊記の八戒だと思いました。 -- 名無しさん (2013-08-17 02 00 22) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/wga0twgj0tj/pages/16.html
沢城みゆき ◆部屋 ▼エントリー 『私にぜーんぶ任せなさーい!』 ▼参加 『いいわよ?』 ▼挨拶 普『何かしら?』 喜『気分がいいわぁ』 哀『認めない・・・!』 ▼料理 『当番!? まさか……』 →(料理中) 『なんでぇ!? 私が、こんな事っ!』 ▼ラウンジ 『あ、あなたの、事何て……』 ◆戦闘/汎用.ver ▼逃走 『失礼するわぁ♪』 ▼戦闘終了 1『少し……汚してしまったかしら?』 2『お次はどなた?』 3『その程度で勝てると思って?』 ▼レベルアップ 1『どう? 誉めてもいいのよ?』 2『もっと上手くなりたいものね』 ◆特殊 ▼対ドラゴン A『これが私の役目だもの』 B『』 ▼対帝竜 A『』 B『』 ▼対ミヅチ 『』 ▼対ラスボス 『』 ▼対人類戦士 『』 (32匹目 184)さんの情報を加えました。
https://w.atwiki.jp/wga0twgj0tj/pages/18.html
ゆかな ◆部屋 ▼エントリー 『私を呼んだかぁー?』 ▼参加 『仕方ないな……』 ▼挨拶 1『何だ……?』 2『』 3『』 ▼料理 『私にやれだと?』 →(料理中) 『何て面倒な……』 ▼ラウンジ 『私を……かわいがれ……』 ◆戦闘/汎用.ver ▼逃走 『面倒はごめんだよ』 ▼戦闘終了 1『私はそんなに弱く見えるか?』 2『とっとと済まして早く帰ろう』 3『厄介なのは勘弁してくれ……』 ▼レベルアップ 1『そろそろ他を鍛えたらどうだ?』 2『へぇ〜? 悪くは無いな』 ◆特殊 ▼対ドラゴン 『』 ▼対帝竜(四谷で確認) 『迷惑の分は返したぞ』 『これでやっと帰還できる』 (34匹目 856、35匹目 344) ▼対ミヅチ 『』 ▼対ラスボス 『』 ▼対人類戦士 『お休み……タケハヤ』 (33匹目 572)
https://w.atwiki.jp/7d2020/pages/73.html
女性L:加藤英美里 ※以下ネタばれを含みます 女性L:加藤英美里 汎用台詞 サムライスキル トリックスタースキル デストロイヤースキル サイキックスキル ハッカースキル コメント欄 汎用台詞 上へ キャラクター登録時 「世界が僕を呼ぶのなら!」 逃走時 「では、御機嫌よう」 勝利時 「歩みを止めてはいけないね」「えっへん、すごいだろ?」「君では相手にならないよ」 対ドラゴン戦 「君を狩るのが僕の役目さ」「ま、何て事無かったね」 対帝竜戦 「君とは解り合えないよ」「全く、理解に苦しむよ」 イベント勝利時 「はぁ、訳が解らないよ」(首都高戦)「こんな事して…楽しかったかい?」(人竜戦)「この星は‥君を拒絶する!」(真竜戦)「相変わらず規格外だね」(人類戦士戦) レベルアップ時 「僕の可能性は無限だ」「すごい力を感じるよ!」 パーティ加入 「待っていたよ」 室内 「やあ」(通常)「素晴らしいよ」(喜)「ありえない…」(悲)「そうくるか」(ゼロ=ブルー打倒直後) 料理 「僕がかい?」→「まぜまぜ…っと」 スカイラウンジ 「まったく…キミは面白いよ…」 サムライスキル 上へ 通常攻撃 「さっ!」「はっ!」 エグゾースト 「ぬぅぅぅぅっ!」 旋風巻き 「そぉれ!」 金翅鳥王旋風 「一掃するよ!」 袈裟斬り 「消えて貰うよ!」 力閂オロシ 「任せて!ぺっしゃんこだ!」 トンボ斬り 「行っておいで!」 影無し 「聞こえていないよ!」 収刀の紡ぎ 「同化する!」 崩し払い 「任せて!立ち直れるかい?」 モミジ討ち 「任せて!だいぶ痛いよ・・・!」 フブキ討ち 「任せて!動けないかな?」 不動居 「流れを感じる・・・」 風林重ね 「ボクと行こうよ!」→「削ぎ取る!」 十六手詰め 「任せて!ヤスデがこそぐよ!」 抜刀の紡ぎ 「羽化するよ!」 修羅の貫付け 「さっそく消えてよ!」 刃下のリアクト 「刃向う気かな?」 練気手当 「危ないねぇ・・・」 赤化の呼気 「蓄えようか」 黒鋼の呼気 「殻を纏おう」 丹田法の訓 「鼓動を合わせて」 乱れ散々桜 「羽を開こうほっ群がる羽虫が血肉を喰らう!はああああ!ここだ!死骸には集らないよ!」 トリックスタースキル 上へ 通常攻撃(短剣) 「そやっ!」「てぃっ!」 通常攻撃(銃) 「たっ!」「とぅっ!」 エグゾースト 「ぬぅぅぅぅっ!」 タランテラ 「焦らないでよ!」 スコルピオ 「じっくり行こうよ…」 ヴァンパイア 「ボクにおくれよ」 フルムーンヴァンプ 「ご指名かな?」「命の味だね」 ベノムアンプリフ 「ご指名かな?」「可哀想だけど」 アサシンアイズ 「いつでも見てるよ!」 ベノムフェティシュ 「諦めてよ!」 ラッシュショット 「ご指名かな?」「穴だらけだよ!」 エイミングショット 「ご指名かな?」「目玉をいただく!」 ダンシングバレット 「はぁぁぁ!」「さぁ、飲み込んで!」 ジャンプショット 「導きのままに!」 ハイディング 「傍にいるから」 ブッシュトラップ 「ご指名かな?」「愚かな子だねぇ!」 チーターマン 「次もいけそうかい?」 アサシンズリアクト 「決め手がほしいな」 エスケイプスタンス 「お別れのようだね」「では、ご機嫌よう」 トリックハンド 「ボクに倣って!」 サクリファイス 「ボクは流れに委ねるだけさ」 狂咲きバッドヘヴン 「最後のチャンスだ潔く彼方へ散りなよ!くりぬけ!生きていても地獄だよ…」 デストロイヤースキル 上へ 通常攻撃 「せっ!」「たっ!」 エグゾースト 「はぁぁぁぁっ!」 正拳突き 「正攻法さ!」 デストロイチャージ 「脆そうだね!」 ジャブ 「決めるよ!」 ダブルフック 「たあっ!骨はもらったっ!」 スピネイジブロウ 「痛いかい?」 釣瓶マッハ 「たあっ!たあっ!キミは丈夫だねぇ!」 クインテッタ 「集中・・・!ふうぅぅ」 ドリルクロウラー 「抉り取るよ」 迎撃スタンス 「見せておくれよ!」 迎撃スタンス・重式 「戯れようよ」 オトシ前上等! 「困るんだよね」 牙折る也 「怖気づいたのかい?」 爪砕く也 「来て良いんだよ?」 吹裂く也 「受け止めるよ」 凶転ず也 「僕を穢すのかい?」 怒りの重爆 「はぁぁぁっ!」「少し重いよ!」 デストロイリアクト 「引導を渡そうか」 先制デストロイ 「いい具合かもね」 瀕死のド根性 「死のにおいがする・・・」 パリングシールド 「取るに足らないよ!」 スカイハイメテオ 「わかってる中途半端は残酷だからね!では・・・。欠片一つ残さない・・・!これで!」 サイキックスキル 上へ 通常攻撃 「しゃっ!」「やっ!」 エグゾースト 「はぁぁぁぁっ!」 フレイム 「渦巻いて!」 イフリートベーン 「はあぁ!食べてしまって!」 ヒートボディ 「反抗はすすめないよ」 フリーズ 「突き刺して!」 アイシクルエデン 「はあぁ!全部狩りとって!」 ゼロ℃ボディ 「凍りたいのかい」 エレキ 「お気に召すかな」 ボルトアヴェンジ 「はあぁ!根絶やしにして!」 プラズマジェイル 「天から注げ!」 デコイミラー 「代わりがあるんだ」 半径50mの支配者 「引き分けは無いよ!」 マイクロバースト 「放つよ!流れ出せ!」 マナフローター 「効率を上げるべきだよ!」 コンセントレート 「本気でいかないと…」 キュア 「癒しの力さ」 リカヴァ 「放つよ!汚れをはらうよ」 リザレクション 「放つよ!君ならいけるよ!」 デッドマンズリアクト 「はあぁ!僕なら大丈夫!」 魔力の湧水 「おやおや!必要そうだね」 オートリカヴァ 「対処するよ!」 黒のインヴェイジョン 「お腹が空いたこの大穴で君を食らおう!しゃあ! 腹の底が蠢くよ」 ハッカースキル 上へ 通常攻撃 「そこっ!」「はいっ!」 エグゾースト 「おぉぉぉっ!」 アタックゲイン 「僕らには力が必要だよ」 ディフェンスゲイン 「守らないと負けてしまうよ」 リジェネレーター 「加護にすがってみるかい」 119ナノマシン 「まだリタイアさせないよ」 Bデータイレイザー 「おぉぉぉっ!・・・全くややこしいな」 ファイアブレイク 「焼き殺すつもりかい?」 アイスブレイク 「凍え死ぬのはごめんだよ」 Aスキルコーラー 「君の頑張りを見せてよ」 ハッキングワン 「君は僕のだ!」 ハッキングゼム 「みんな僕のだ!」 マッドストライフ.x 「つぶし合いなよ!」 スケイプゴート.x 「命を分けてよ」 ロストパワー.x 「零れおちろ!」 バッドインバリッド 「おぉぉぉっ!・・・蔓延させるよ」 スリープオール 「おぉぉぉっ!・・・さぁ、お休み」 カースオール 「おぉぉぉっ!・・・震えていなよ」 ハッキングリアクト 「おぉぉぉっ!・・・やるときはやるよ」 リアクターチアー 「その勇ましさは買うよ」 クイックハック 「僕に従って」 サバゲーナレッジ 「おぉぉぉっ!・・・少し落ち着いて」 禁断の秘技 「君は知っているかい?この世は不条理であふれているのさ…いいね! たとえば、こんなのとかね!」 コメント欄 デストロイヤーを編集しましたが、クインテッタの最後のあの声、どう表現したものでしょう -- 名無しさん (2011-12-05 19 52 08) トリックスター、分かるものだけ編集しました。短剣型使ってる方、補完よろしくお願いします・・・ -- 名無しさん (2011-12-05 22 11 34) サイキック、半径50mの支配者にて「引き分けは無いよ!」でした -- 名無しさん (2011-12-06 12 35 46) ハッカー、追加しました。「おぉぉっ…」の部分はもっとこうだろという表記があれば修正してください -- 名無しさん (2011-12-06 21 32 48) 室内(5章序盤)→「ありえない…」です。 -- 名無しさん (2011-12-08 11 12 47) 真竜戦後、「この星は…君を拒絶する!」とかそんな感じのことを言っていました。 -- 名無しさん (2011-12-11 11 41 18) トリックスターのヴァンパイアは「僕におくれよ」でしたよー -- 名無しさん (2011-12-15 21 36 44) サムライの修羅の貫付けは「いきなり消えてよ!」じゃなくて「さっそく消えてよ!」では? -- 名無しさん (2011-12-21 17 51 41) >そんな感じのことを言っていました。 ごめん 真竜戦台詞はかなりうろ覚えで書いたので正確な表現わかる人は訂正してください -- 名無しさん (2011-12-22 23 18 28) ↑↑サムライの修羅の貫付け、確認しました。「さっそく消えてよ!」に直しておきました。 -- 名無しさん (2012-01-06 09 18 25) 今日確認したら、ラスボス戦勝利台詞「人類は~」ではなく「この星は~」でした。修正しておきます。 -- 名無しさん (2012-02-02 15 17 30) 半径50mの支配者の台詞は「聞きわけがないよ!」だったような気がするのです -- 名無しさん (2012-09-19 21 42 18) サムライの収刀の紡ぎは「 -- 名無しさん (2013-03-27 22 58 16) ↑ミスしました。「同化」ではなく「蛹化」かと。抜刀の紡ぎが「羽化」なので・・・ -- 名無しさん (2013-03-27 22 59 28) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/wga0twgj0tj/pages/26.html
加藤英美里 ◆部屋 ▼エントリー 『世界が僕を呼ぶのならっ!』 ▼参加 『待っていたよ』 ▼挨拶 喜『やぁ!』 哀『』 楽『』 ▼料理 『僕がかい?』 →(料理中) 『まぜまぜ……っと』 ▼ラウンジ 『全く……君は面白いよ』 ◆戦闘/汎用.ver ▼逃走 『では、ご機嫌よう』 ▼戦闘終了 A『エッヘン! スゴいだろう?』 B『歩みを止めてはイけないね』 C『君では相手にならないよ』 ▼レベルアップ A『僕の可能性は無限だ』 B『凄い力を感じるよ!』 ◆特殊 ▼対SKY 『ふぅ……わけがわからないよ』 ▼対ドラゴン A『』 B『』 ▼対帝竜 A『』 B『』 ▼対ミヅチ 『こんな事して、楽しかったかい?』 ▼対ラスボス 『この星は……君を拒絶する!』 ▼対人類戦士 『』 (31匹目 712)、(31匹目 800)、(34匹目 443)さんの情報を加えました。
https://w.atwiki.jp/wga0twgj0tj/pages/38.html
桑島法子/その他 ◆部屋 ▼エントリー 『楽しそうじゃない♪』 ▼参加 『-』 ▼挨拶 1『元気ぃ?』 2『-』 3『-』 ▼料理 『おナカすいたわぁ…』 →(料理中) 『まぜまぜっと…♪』 ▼ラウンジ 『-』 ◆戦闘/汎用.ver ▼逃走 『See you ♪』 ▼戦闘終了 1『-』 2『-』 3『-』 ▼レベルアップ 1『-』 2『-』 ▼特殊 対ドラゴン 『バイバイ!インベーダー』 対ミヅチ 『-』 対ラスボス 『-』 対人類戦士 『-』
https://w.atwiki.jp/nanadorakari/pages/39.html
「やんのか、ん?」 「……唾を飛ばすんじゃねえよ……」 「おー、やってるやってる」 二階で喧嘩だとお客さんに聞いて、急ぎ足で階段を上る。 その先では、血の気の多そうなお兄さんと凄みのあるおじさんが怖い顔をつき合わせていた。 「「……」」 「はぁ」 日常茶飯事だった。 そう、基本的には静かでのどかな雰囲気漂うこのニギリオの宿。 けどここは一般のお客さんに混じって裏ルートの商品を売ったり買ったりしに来たマフィアや ヤクザやその他諸々の人たちがやってくる場所でもある。そしてそんな中、 仲が悪かったり利害が対立している組織の下っ端同士がうっかり鉢合わせ、 売り言葉に買い言葉からガンの付け合いに発展し、 顔面を平らに押しつぶしながら威嚇しあっているそんな光景は、 悲しいくらいに日常茶飯事なのだった。 (やれやれ、またか) もうすっかり慣れっこになってしまった僕だが、いつまでもため息をついているわけにはいかない。 なぜなら。 こんなとこで怖い人たちがが喧嘩するとお客が逃げる、からだ! 「まったく……」 いい加減他の迷惑も考えずに喧嘩始めるのは自重してもらえないものだろうか。 せめて『ここは堅気の迷惑になるから表へ出ろ』、とか。 それに喧嘩はまだしも刃物を抜くのだけはやめてほしい。 実際に刺し合いになったりすることは実はあまり無いということは知っている。 けど一般のお客さんにはそんなこと分からないんだから。 改めてやれやれと首を振り、モップを一本手にとる。 そして僕は廊下の反対側へちらりと目をやると、度胸試しを続ける二人の元へ歩いていった。 営業スマイルを確認。よし。 「すいません」 「あん?」 斜め後ろから兄さんのほうへと声をかける。 「申し訳ないんですが、ここで言い争いをされると他のお客様の迷惑になるんで 場所を移してもらえませんか?」 「……」 この殺伐とした雰囲気でニコニコ話しかけてくる従業員に、多少気勢を削がれるお兄さん。 沈黙が数秒、できればこれで白けてやめにしてくれないかなと思った。 「……空気読めねえと怪我するぞ、危ねえから下がってろ」 残念ながらやめる気はなく、適当に脅しをかけて追っ払う方針にしたらしい。 お前と話してる暇なんて無いといわんばかりの態度をとる彼に、僕は更に何歩か間合いを詰める。 「まあまあ」 変わらない笑いを浮かべながら、斜め後ろに近付く。 自然な動作を心掛けながら、擦り寄るように。 「そういわず――」 モップの先が彼のかかとに触れる。 「――にっ!!」 「え?」 そして気合い一発。 思いっきり、身体を入れて掬い上げるように振りぬく。 軸足を掬われ、え? という表情で刹那のあいだ宙に浮く怖いお兄さん。 見よ! すくい上げる勢いと反射的に身体を戻そうとする勢いを利用して後頭部から落っことす秘技を! 芸術的な弧を描いて半回転し、彼は落ちた。 凄く痛そうな音を立てて。 「……さて」 心の中でアーメン、と十字を切って(別にクリスチャンではないけどなんとなく)、 もう一人のおじさんに向き直る。 「な……」 突然のことに唖然としている。当然だ。 しかしそれでもどうにか気を取り直し、おじさんは僕を指差して詰問しようとした。 その背後、彼の頭の向こうで丸いものが――廊下の反対側から近寄っていた ニコレットさんの振り上げたタライがきらりと光る。 「お前何しやが」 ごおんっ!! 「はい、お疲れ様」 「お疲れ様です」 タライを脇に抱え、ぱんぱんと手をはたきながらニコレットさんが言った。 僕も一息つきながら答える。 「さて……じゃ、悪いけどこの二人捨ててきてくれる? ヒキエを置いてきたから、あの子一人だと心配だし」 「わかりました。裏に寝かせときますね」 「うん」 軽く手を振り、向こうへ行きかけたニコレットさんがそうそう、というように追加した。 「あ、それとそろそろジェン爺に搾られてるバレッタが解放されるころだから 迎えにいってあげて。ああ見えて色々心細いんだから、気遣ってあげなきゃダメよ?」 「はい、分かりました」 そう返事をすると、今度こそニコレットさんは駆け足で仕事場へ戻っていった。 × × 宿の裏に別々に二人を置いて、僕はバレッタさんの所へ向かっていた。 ふはは! あの二人、のびてるところを自分の組の人に見つかって、 恥を晒した&堅気に迷惑をかけたことで怒られるがいい! 「……しかし、我ながらこのくらいのことじゃ動じなくなったなぁ」 独り言を呟いて、僕は数ヶ月前の自分を思い出す。 あの頃は麻薬で興奮した荒くれ者からバレッタさんを助け出すのにも勇気を振り絞ってたっけ。 ……って、刃物をもった暴漢を相手にするの「にも」って、 どれだけ非常識なんだこの宿は。 あ、誤解の無いように補足すると、ここに限らず使用人というものは戦闘スキルを有していることがある。 例えばハントマンはファイターやメイジといった七つのスタンダード職と、 多数のマイナー職があるんだけど、そのマイナー職の中に『メイド』があるくらいだ。 特にエリートな使用人には家事や料理、仕事の補佐に加えて一番身近なところで主人を守ったり、 とにかく万能さが求められるからね。どこの常識だって、エデンの常識だけど。 で、この宿の場合、言わずもがなの重労働で体力はつくわ、 とにかく時間に追われるせいで器用さも使用人スキルもつくわ、 前述の通り怖い人も多く来るせいで度胸もつくわで、図らずもここで働く人たちは みんなヤクザなんてちょっと扱いの難しい客くらいにしか思ってない胆力の持ち主となるのだ。 『客商売なんだからどんなお客さんでもぞんざいに扱ってはならないと思う』などとほざいていた僕も ここで働くうちすっかり根性を叩き直され、今では 『暴れるお客さんがいたらまずは殴って無力化、話を聞くのはそれから』 を実践できるようになった。だってそうしないと仕事が追いつかないんだもの。 どこの世界にそんな宿があるんだって?僕もそう思ってたけど、エデンにあった。 「でもマンザラやらハンコツは暴れる奴に近付いたりしないわよ? ニコ姉だって積極的には動かないし」 合流したバレッタさんが、僕の話を聞いて言った。 「君子危うきに近寄らずとも言うしね。わざわざ揉め事に首を突っ込むのは利口じゃないし」 「つまり、あんたの場合は利口じゃないわけ」 うっ。 別に僕だって好きであんなことしてるわけじゃないのに…… 「いや、でもさ。利口だろうとそうじゃなかろうと、 誰かがどうにかしなきゃいけないじゃない」 「それもそうなんだけどね」 うーんと唸って、バレッタさんはしゅしゅしゅとシャドーボクシングで空を切りながら言葉を繋いだ。 「ま、確かに誰かが何とかしなくちゃいけないのは確かだわ。 でもね、『誰かがやるべきこと』と『あんたがやるべきこと』は違うのよ。 そういうのはあんたみたいな普通の市民がすることじゃなくて、私みたいな 戦える人間がするべきことなの。そういうときは私を頼っていいのよ、 市民を守るために軍人とかはいるんだから」 「……接近戦はめっぽう弱いくせに」 「うっ……うるさいわねっ!!」 どういうわけか明らかに過剰な完成度のキック技を所持しているバレッタさんだが、 実は形だけ完璧で実戦で使うのは非常に苦手としているところだ。 そんな彼女を怖い人たちの喧嘩に割り込ませられるかというと…… 「でも、やっぱりバレッタさんに守ってもらうことはできないよ」 「あっそ。……ふん」 「だってさ」 「?」 「ここではバレッタさんも一般人でしょ?」 「そうだけど……」 「そして今のバレッタさんは僕の後輩。後輩を助けるのは先輩の努めだもの。 だから、危ないことがあったら本当は僕が君を守らなきゃいけないんだ」 「っ!?」 「まあ、実際はとてもとても情けないんだけどね」 「……」 「?」 「……ま、まったく生意気言うんだからっ!」 「痛っ! ちょ、何するのさ?」 「うるさい!」 なぜかさっきよりもっと顔を赤くして僕に蹴りを入れ、 彼女はずんずんと先に進んでいってしまった。 何が悪かったんだろうか? 「待ってよ、ごめん! 何が悪かったのか分からないけど謝るから」 「……謝ることなんてなにもしてないでしょ」 「じゃなんで怒ってるのさ」 「怒ってなんてないわよ!」 「……えー」 「ああもううるさいって言ってるでしょ! この話は終わり! おしまい! 分かった!?」 「はいはい」 両手を広げて降参のポーズをとる。 彼女はそれでも頬を膨らませて拗ねたようにしていたが、しばらくするとそれも治まった。 バレッタさんは言わなければいけないことはちゃんと言う。 それが何も言わないということは、きっと話題を変えたほうがいいのだろう。 そう思った僕は、前からちょっと気になっていたことを聞いてみた。 「そういえば、知らない間に随分ニコレットさんと仲良くなったよね。ニコ姉とか呼んでるし」 「え?あ、ああ、まあね」 「バレッタさんには、お姉さんがいるんだっけ」 「…………… そうよ」 短く答え、黙って前を向く。 いきなり地雷を踏んだかな、と思ったけど、 ここでまた話題を変えるのもさすがにわざとらしい。 「やっぱり似てるの?そのお姉さんとニコレットさんって」 「別に……似てるわけでもないわ」 「え、そうなの?」 もしかしてまたいらんことを言っただろうかと、 自分の迂闊さを呪いかける。 「姉さんはあんなに気の回る人じゃないし、賢くないし、 ガサツだし、バカみたいに元気しかないし、というかバカだし」 (そこまで言うか) 「……でも、なんでか被るのよね。 ニコ姉を見てると、どうしてか姉さんみたいに思えて……」 遠くを見ながら、彼女はそっと首を傾げて物憂げな息をついた。 その表情に思わず引き込まれて、僕はその横顔をじっと見る。 「て、べ、別にホームシックとかじゃないのよ? ただ被るなって思っただけで、姉さんに会いたくてとかそうじゃなくて、 いや、確かに似てないのに被るのはその……」 「分かったから落ち着いて」 思い出したように慌て始めるバレッタさんを、両手を振って落ち着かせる。 すると彼女は深呼吸をして、それから よく考えるとお姉さんをそんなによく思い出してしまうとか、 ニコレットさんにお姉さんが被って懐いてしまうとか口に出してしまったのは 割と恥ずかしいことだったようで、少し顔を赤くして下を向いてしまった。 「そ、それに……姉さんと被るとか抜きにしても、 ニコ姉は人として立派で、尊敬できるっていうか」 「ああ、経験豊かだもんね」 「それだけじゃなく態度とか物腰に一本筋が通ってる感じがするでしょ?」 「うんうん」 ネバンプレス的な『ルシェの理想』とはかなり違うんだけどね。 ……とはもちろん言わなかった。 ようやく、適切な距離のとり方を覚えたのだ。 前はつまらないことでのいさかいが多すぎたと思う。 突然にまったく違う文化に触れて、拒否反応を起こすように過剰に愛国主義的なことを言ったりした。 僕と彼女両方がそれをやればお互い一歩も引けなくて喧嘩になるのは当然だ。 相手の国のよさを、ひいてはそこに属する相手の事を素直に認められれば あの喧嘩も随分少なくて済んだ。それにもう一つ、荒れそうな話題には迂闊に触れないというのも 消極的ではあるが有効だ。 僕は内心アイゼンを環境のよくない国だと思っているし上級貴族のことも疎んじているけど、 それを指摘されたくはない。バレッタさんだって自分で言っているほどは ネバン・ルシェの思想に染まっているわけじゃないように見える。けどそんなこと言われたくないだろう。 現在のバレッタさんと僕は、あまり自分の国の自慢をしない、されても対抗心で自分の国の事を 持ち出したりしないようにできるようになった。 おかげで前より雰囲気よく話せるようになって、もっと仲良くなりたい僕としてはとても嬉しい。 とりあえず、近況はそんなところだ。 大きな転機となる出来事が迫っていても、僕はいつもどおり気楽に過ごしていた。 × × 「ところでよー、最近仕事きつくなってきてねえか? マンザラ」 「仕事嫌だからそう思うんじゃないか?何事も気の持ちようだって。なあコレル?」 「んー、いつもならそう思うんですけどハンコツさんの言うことも間違ってない気が」 「だよな?」 「そうか……?おーい、ソウジ」 「はいっ!」 元気な返事をして一生懸命床を磨いていた男の子が振り返る。 ここに書くのは初めてだけど、あれがソウジ君。 よく僕たちと一緒のグループで仕事をする、何事にも一生懸命な男の子だ。 「マンザラがまた仕事がきつくなったって言い出したんだけど、ソウジはどう思う?」 「えーと、えーと、僕には難しいことは分からない……です! とにかくジェン爺がここをきれいにしろって言ったから、頑張ってきれいにします!」 「あいよ、参考にはならなかったけど誰かさんに見習わせたい頑張りはよろしい」 「おい、それは誰の……」 「こらー!もうすぐ終わりだってのに何おしゃべりしてんのよ!待ってるんだけど!」 向こうでゴミ袋を広げたバレッタさんから声が飛んできた。 「ああ、ごめん!」 「わかったわかった!ほら、行くぞハンコツ」 「あ、誤魔化し……ちぇっ!」 集めたゴミを詰めた小さな袋を手に、待っているバレッタさんの所へ走る。 全員の袋を一まとめにして、ようやく午後の仕事は終わりになった。 「さて、今日のゴミ捨ては誰だ?」 「俺か……行ってくるけど俺の分の飯も確保しといてくれよ!」 「おうよ。じゃ、お疲れさん!」 「お疲れ様でした!」 軽く挨拶して解散すれば、夕の仕事までつかの間の休み時間だ。 バレッタさんがいかにも解放されたというように元気になって僕を呼ぶ。 「よしっ!それじゃコレル、早速今日の訓練よ!」 「OK!」 「昨日教えたことは忘れてないわね?」 「もちろん」 「よろしい。では昨日の復習!」 「うん」 「返事ははい!」 「はいっ!」 「では……COME ON!」 「!」 「……」 「いきます!せやぁ!」 「……脇が甘いっ!」 「ぎゃーっ!」 「……で、あいつは何をしてんだ?」 「叩きのめされに行っているように見える」 「だよなー」 「最近バレッタの暴力が振るわれなくなったと思ったら今度は自分からいくのか……」 「やっぱあいつマゾヒストなんじゃないか?」 外野がなにやら言っているようだが気にしない。 そう、僕は最近、バレッタさんに稽古をつけてもらっている。 技術的なこともそうだが、体力のつけ方やいざというときのための心構え、精神力の鍛錬だ。 訓練が厳しいことで知られるネバン軍にいたバレッタさんは、専門外なりに できる限りのことを僕に教えてくれていた。 何故突然そんなことをしようと思ったのかというと、これまた単純な理由ではある。 僕には常々思っていることがある。 これを言うと男女差別思想だと言われるかもしれないし、封建的だと思われるかもしれないし、 正直反論のしようも無いけど、それでも男として、 好きな女の子よりも弱いというのは情けない! という思いは捨てようがないのだ。 僕には教養も無いし、お金も無いし、最下層だから自由も無いし、 猿と揶揄されるアイゼン人のその中で犬と揶揄される、典型的なアイゼン・ルシェの顔立ちだし、 とにかく無いものばかりだ。 だけど努力すれば手に入るものだってある。だから僕は少しずつでも努力することにした。 その最初のステップがこれだ。健全な精神は健全な肉体に宿る! 当の好きな女の子に稽古をつけてもらっているというのがちょっとアレだけど、 少しでも頼りになる男になるべくできることからコツコツとやることにしたのだ。 「ところでコレル、知ってる?」 縄跳び2千回を跳んでいる途中の僕に、彼女が話しかけてきた。 「何を?」 「ソウジ君ってネバン出身だって」 「えっ!?」 思いも寄らない情報に思わずびっくりして聞き返す。 「回転落ちたわよ! もっと速く!」 「ごめんなさい!」 「……間違いないわよ、本人から聞いたもの。 言葉のイントネーションでもしかしてって思ったんだけど、案の定」 「そうだったんだ……僕より先にここで働いてたから知らなかった。 って、ネバンプレス出身でここにいるってことはやっぱり……」 「ううん、私も最初はそう思ったんだけど」 さらわれて売られてきてしまったんだろうか、と考えたところで 顔の前で手を振って否定し、彼女が続けた。 「えーと、なんだっけ……アイゼンのことわざであるでしょ、ほら」 「?」 「可愛い子は千尋の谷に突き落とせ……だっけ」 「違う違う、微妙に違うからそれ」 それを言うなら『可愛い子には旅をさせよ』か 『獅子はわが子を千尋の谷に突き落とす』だ。 なんとなくニュアンスは伝わったからいいんだけど。 「まあとにかく、そんな感じでどこかへホームステイさせようと親の人が考えて、 それでどうせだからルシェへの迫害で有名なアイゼンに行かせようって……」 「むしろ僕としてはアイゼンをなんだと思ってるんだと」 「でも酷い体験ができそうなのは確かでしょ?」 「っていうかそんな酷いところに子供を放り込んで人格によくない影響を 受けたらどうしようとか考えなかったんだろうか……」 「迫害されたくらいで歪むほどヤワな子じゃない、ってのがネバンの親の一般的な認識よ?」 楽天的というか豪快すぎるというか。 さすがはネバンプレスだ…… 「ところでバレッタさん、ということは同郷の出身同士で話ができたりした?」 「まあね。残念ながら私のことをネバン軍に伝えてもらうのは無理そうだけど…… 色々と懐かしい話ができたわ。自分は両親が高齢になって授かった子で、 それだけに凄く大事にされたとか、だからこそ世の荒波を体験させるためにここに だされたとか、そっちのほうのことも。あとお互いの事情とか」 「バレッタさんがここに来た理由……騙されて置いてけぼりにされたこととかも話したんだ?」 「っ」 ……………。 「バレッタさん、そういえば僕何回跳んだか数えてなかった」 「そうね、終わりにしましょ」 × × その一団がやってきたのは、夕の仕事を始めてしばらくたってからのことだった。 玄関先の庭で、掃いても掃いても際限なく落ちる葉っぱを掃き集める。 いくらきれいにしても次の日にはまた同じことになっているこの掃除が彼女は嫌いなようで、 ため息をつきつきだるそうに落ち葉を集めている。 そんな彼女のグチに付き合いながら仕事を続けていたときのことだ。 「え」 箒を動かしていたバレッタさんの手が不意に止まった。 その声に思わず顔を上げると、驚きを浮かべたその視線は僕の背後、どこか一点に固定されている。 つられてその視線を追って振り返る。そこに、彼らはいた。 「……ハントマン?」 冒険者らしき四人連れの男女。 ハントマンかとも思ったけど何となく装備の雰囲気が違う。 いや、それよりも、何よりも。 全員ルシェ。 しかも風貌が何となくこっちの大陸の人じゃない。 プレロマ、いや、あの武力に長けた表情、雰囲気! ネバンプレス! 思わずバレッタさんのほうを振り向くと、彼女も自分の頬をつねって それが現実であることを飲み込もうとしていた。 「バレッタさん、あの人たち」 「うん……」 もし、あれがネバンプレスの旅行者なら。 あの人たちに手紙か伝言を託すことができるだろう。 国外で行方不明になったバレッタさんに捜索が来ないのは、 どこでいなくなったか、何故いなくなったかがわからないからだ。 ネバンプレス軍やバレッタさんの家族にバレッタさんがここにいることを伝えてもらえれば、 事情を説明して、迎えに来てもらうことができる。 ネバンプレスに帰ることができるのだ。 「バレッタさん!」 僕は以前すでに、彼女が帰れるチャンスがあるなら全力で協力すると決めている。 このチャンスを逃してはいけない。 僕は勢いよく振り向いた。 「……?」 予想に反して、彼女の顔に浮かんでいたのは当惑の色だった。 「……」 「バレッタさん?」 「う、うん」 「あの人たちがネバンプレスの人なら」 「分かってる……分かってる」 そう言いながらも彼女は立ち尽くしている。 すぐにでも接触を図ると思っていた僕は予想外の反応に戸惑った。 どうしたものかと再び冒険者達のほうに目をやると、ちょうど彼らは宿の中に消えていくところだった。 「あ……」 「……」 「……」 「――――――っ」 「バレッタさん!?」 突然駆け出していく音に慌てて振り返る。 裏庭のほうへ逃げるように走り去る彼女の背中を、僕は呆気にとられて見送った。 「って、一応追いかけたほうがいいよね?」 掃除用具を置き、僕は彼女が走り去ったほうに向かおうとした。 と、そのとたん目に入ってきた光景に慌てて足を止める。 わぁお、異様な雰囲気に気付いてジェン爺が様子を見に出てきてる。 × × さすがにジェン爺の見ている中で二人そろって仕事を放り出すのは不可能だ。 釈然としないながらも急いで掃除を終わらせ、僕は宿の中へ戻った。 「おう、コレル」 「ハンコツさん、とマンザラさん」 向こうからやってくる二人に、足を止めて答える。 「聞いたか?珍しい客が来たって」 「見ました。見ただけです。あの四人は」 「ネバンプレス、だ」 ――。 やっぱりか、と思うと同時に、じゃあどうすればいいのか、という疑問も頭をよぎる。 「……バレッタは」 「それが……よく分からないんです」 簡単にかいつまんであの時の彼女の様子を伝えると、二人も僕と同じように首をひねった。 「そいつはまた……よく分からないな」 「こういうのはよ、ニコレットに聞けばいいんじゃねえか?」 「確かにこういうときに力になるのは……」 彼女がらみで問題が起きるたびにニコレットさんに相談するのも 情けない気がしなくは無いが、かといって他にいい手段も思いつかない。 僕はニコレットさんかバレッタさんを探すことにした。 「それとついでに、あいつらが入ったのは二一四号室だとさ」 「分かりました」 「……訳アリなのか、どうも部屋に閉じこもって出て来ないらしい。 食事も布団の準備とかも全部キャンセルしているみたいだぞ」 「そうですか……」 となるとちょっと厄介だ。 そのあたりは追い追い考えることにしよう。 「とりあえず二人のどっちかを探します」 「ああ、またな」 「今回来た奴らみたいな手合いは厄介ごとを抱えてることが多いからな、気をつけろよ」 「どうも、それじゃまた後で」 ハンコツさん達と別れた僕は、宿の主な場所を半分ほど回って休憩室にやってきた。 「二人ともいないな……」 バレッタさんが行きそうなところ、隠れそうなところは大体探したが見つからない。 となればどこかで仕事しているニコレットさんを見つけたいところだけど…… サボっているところをジェン爺に見つかれば命の保証が無いので、注意しながら探す。 と、テーブルが並ぶ向こうに、特徴的な頭飾りをつけた緑色の耳が見える。 アリエッタ姐さんだ。 「すいません、アリエッタ先輩!」 「!」 びくっ! と身を竦ませた様子を見て、急に話しかけてはいけなかったのだと思い至る。 この人は人間関係が奥手で、親しくない人と話すのがもっとも苦手なのだ。 「な……何?」 「驚かせてごめんなさい。ニコレットさんどこにいるか知りません?」 「ニコレット……」 ニコレットさんとアリエッタ姐さんは同じシフトで親友同士だ。 ということはニコレットさんも近くにいるはずなんだけど…… 「ニコレット、連れて行かれたよ」 「連れて行かれた?」 「話があるって、相談に来たみたい。それで、少し行って来るって。 あなたのお友達の、あの、ちょっと怖いネバンの子に……」 「!」 バレッタさんだ。 ニコレットさんに相談事をしに来て、二人でどこか行ったらしい。 こうなると行動パターンが分からない、どうしようか…… 「あの……ごめんね、役に立たなくて」 「い、いえ! こっちこそ。ありがとうございました、それじゃ」 「じゃあね」 さて、本当にどうしよう。 よく考えればバレッタさんを見つけてもどう対応すればいいか分からないわけで。 仕事に戻ろうか…… そんなことを考えていたときだった。 僕は偶然にも、自分が件の二一四号室の近くに来ていることに気付く。 「……」 一瞬、脳裏に魔が差した。 いやいやダメだ。首をぶんぶん振って邪念を追い払う。 ここにいるお客さん……できれば話しておきたい。 ここに同胞が一人取り残されていることを、祖国に伝えてほしいということを。 だけど当事者であるバレッタさんを差し置いて僕がいくのは何か違うし、 それならいつまでここにいるのかだけでも聞いておきたいところだけど…… そんなこと聞いたら気味悪がられるだろう。 しかも部屋から出てこないことには話しかける取っ掛かりも無い。 となると、部屋の中の話し声に聞き耳を立てるくらいしかできない。 ……だけど、使用人たる者お客さんの部屋の様子を盗み聞きなんて許されない! 「……………」 うん、やっぱり盗み聞きはダメだ。 きっぱりと振り切り、その部屋の前を通り過ぎる。 「……」 扉を過ぎたあたりで足を止める。 「……ちょっと足が痛いなあ?」 なんだか歩き疲れた気がする。すこし壁にもたれかかって休もうか。 そっと背中を壁に付けて、なんとなく横にずれる。 背中の当たりが悪い。もうちょっと横へ、もうちょっと…… うん、ぴったり納まった。そこは偶然にも今の扉のすぐ横だ。 「……」 盗み聞きはダメだ。 ……でも、普通に廊下に立っていてたまたま耳に入るのはいいよね? × × 『リーダー、見て見て! なんか面白いのあったよ!』 『あー、タヌキだなそれは』 『えー!? これタヌキ!?』 『デフォルメというか……こっち独特のアレだよ、アレ』 『……遊びに来たんじゃないだろう』 聞こえてくる会話にそっと耳を傾ける。 声は三人分、気がよさそうなのと無口そうな男の人の声がそれぞれ一人ずつ、 元気な女の子の声が一人分だ。 『いーじゃん、ヒマなんだから』 『……』 『あーあ、興が削がれちゃった。いっつもそうやって水差すんだから、根暗男ー』 『うるさいぞチビガキ』 『誰がチビガキだとー!?』 『やめんかお前ら』 『リーダー! だってヤックeが……』 『……抑えなさい』 『むー』 なんか仲よさそうな感じだ。 ハントマン仲間の慰安旅行かな? いや、遊びじゃないとか言ってたからクエストとか…… 『しかし……遅い』 『何がだ?』 『メルクkはまだ戻らないのか?』 『情報収集に手間取ってるんでしょ』 『しばらくたっても有力な情報が手に入らなければ、一旦戻るように言ってある。 そわそわしてないでまずは落ち着け』 『今回の件は速やかに遂行する必要がある。余裕は無いのではないか』 『言いたいことは分かる。だがただでさえ俺達はここでは目立つ』 『……分かった』 『きしし、リーダーに却下されてやんの』 『……』 『ん?』 『……はっ……』 『何だその目はーっ!』 『や・め・ろ』 ……あれ? 速やかに遂行? なんとなく僕まずいこと立ち聞きしてるような? 『……それと、もう一つ。隊長』 『なんだ?』 『そこで立ち聞きしてるネズミのことだが』 がらっ。 突然扉が開く。 「……」 「……」 全身からいやな汗がどっと噴き出した。 「……」 「入れ」 「……はい」 逃げることすらできず、僕は大人しく部屋に入った。 だって……殺られそうだったんだもの。 × × 三人分の視線の中、僕は正座して耐えていた。 やばいやばいこれやばい、どうしよう。 「で、どうするのこれ?」 黄色い髪の、身軽そうな女の子が僕を指差して聞く。 問いかけられた、髪を伸ばした精悍な男性が僕を見て顎をこすった。 「さて……どうしたもんか」 「……消すか?」 僕の横に立っている、片目が髪に隠れた同年代の青年がさらっと物騒な提案をする。 ごめんなさい、勘弁して下さい。 「簡単にそういうことぬかすな。さて……君」 「はい」 「まあ何というか、俺達は別にそんな君をどうこうしようってんじゃ無い。 とりあえず、どうしてそこで俺達の話を聞いていたんだ?」 「えーとですね……」 「ああ」 「……」 「……」 「えーと……」 「やはり消すか?」 「だからやめろ」 どうしようか。答えたいのは山々なんだけど、前述の理由で バレッタさんの許可無く勝手に事情を話すのははばかられるし、 しかしもしこの人たちがヤバげなことに手を出していた場合ここで答えないと 最悪命の危険が……! そんなことを考えていると、片目の青年がしれっと言った。 「まあ、冗談はともかく」 「冗談だったの?」 「俺達の邪魔をしに来たならあんなバレバレの立ち聞きの仕方はしない」 どっと疲れた。 「まあ、その通りだ。宿屋の従業員が立ち聞きはどうかと思うぞ」 「返す言葉もございません」 長髪の男性の至極まっとうなお言葉。 反論できる要素の全く無い僕は、土下座して謝るしかなかった。 黄色い髪の子がこれが土下座か! と妙なところで感心しているが、 とにかく彼らに僕に対しての敵意はあまりないようだ。 「反省しているならよろしい」 「はい、本当に重ね重ね申し訳ありませんでした」 お許しが出たので顔を上げる。 「君は単に俺達が何を話してるか気になっただけで、誰かに頼まれたとかじゃないだろ?」 「それはもう、天地神明に誓って」 「それならいいんだ。そうだな……あからさまに怪しく見えたかもしれないが、 俺達は別に戦争するからスパイに来たとかじゃないんだ。 ちょっと内密に人探しをしてるだけで」 「人探し?」 思わぬ単語に顔が上がる。もしかしてこれはビンゴの予感? ネバンプレスの人がここで人探しをしているということは……! 少し気の緩んでいた僕は気がはやって食いつくように聞いてしまう。 「その探し人っていうのは?」 「……それは少し言えないな」 しまった。 どう考えても『何にでも首を突っ込みたがる奴だな』としか思われない。 そして否定できない! 「すいません。詮索するようなこと聞いて本当にすいません」 「い、いや、いいんだけどな。君は少し慎重に話したほうがいいかもしれない」 やっぱり思われてる。 違うんです、今回は事情があってなんて言うわけにもいかないので涙を呑んで耐えた。 「で、訳アリだからちょっと警戒しててな。それで君にも過剰に反応した、 すまなかった。まあそんなわけで君もあまり俺達のことを言いふらしたりしないでほしい」 「分かりました」 ちょっと気になるがこれ以上お客の事情に首を突っ込むことはできない。 一も二もなく頷くと、僕は部屋を辞することにした。 もう一度非礼を詫びて退席の許しをもらい、部屋の入り口に向かう。 そんな僕の前に、黄色い髪の子が回り込んだ。 「あ、帰るの? ねえねえ、その前にここで美味しいもの何があるか教えてくれないかな? あたし達この部屋で待機しててあんま出歩けないからさ」 「はあ」 この子もこの子で前後の脈絡を気にしない人だなあ……。 とりあえず名物の饅頭と馴染みの調理師さんのオススメをいくつか教えると、 黄色い髪の子はにひひと笑ってお礼を言った。 「うちの奴にありがとう。さっきも言ったが人探しをしてるのは内密なんで黙っておいてくれよ」 「はい……あの」 「なんだ?」 「もしかするとなんですが、またここへ来てもいいですか?」 「! ……構わないんだが、いつチェックアウトするかわからないからな。 正直なんともいえない」 「そうですか」 とはいえもし彼らの探し人が予想通りなら、チャンスを逃す心配は無い。 不思議そうにする男性に改めて非礼を詫びると、僕はその部屋を後にした。 バレッタさんを探さなきゃ。 × × たくさんの洗濯物が干されている洗い場を歩く。 「あ」 「……ん」 さっきはあれほど走り回っても見つからなかったというのに、 僕はあっさり彼女と出くわした。 「バレッタさん」 「なんだ……コレルか」 「なんだとはひどいな」 肩をすくめながら近付くと、彼女はあいまいな返事をしてつま先で地面を叩いた。 「……」 さて。 どうしてさっきは逃げ出したりしたのか…… そんなことも聞きたいけど、なんだか言い出しづらい。 と、彼女が顔を上げる。 僕はずっとバレッタさんを見ていたので、当然目が合った。 「……何よ」 「何って」 地面をとんとんとつつきながら、目を逸らすように彼女は言う。 「何か言いたいことでもあるんじゃないの」 ――さっきは逃げ出してごめんね! 気恥ずかしいからそっちから話を振ってくれると嬉しいな! そろそろ短くない付き合いなのでこの程度の脳内翻訳は余裕だ。 まあ妄想補正を抜きにしても大体あってる、と思う。 「バレッタさん、これは僕の勝手な考えで大きなお世話かもしれないけど」 「うん」 「さっきここに来た人たちが、ネバンプレスから来たみたいだった。 帰る手助けをしてくれるように相談にいったほうがいいんじゃないかな」 「……そうね」 「……」 「分かってはいるんだけどね」 くしゃりと自分の髪を握って、彼女は言葉を切った。 そうすべきだと分かっているのに、何かそれがはばかられるような事情があるのが窺える。 「行き辛い理由があるんだ?」 「……」 「それでも、行ったほうがいいと思う」 「分かってるってば」 「話してみた限りでは、悪い人たちじゃ無いと思うよ?」 「っ!? ちょっと、話してきたの!?」 「う、うん」 先ほど話してきた彼らのことを言葉の端に乗せた途端、 かみつくように彼女が問いただしてくる。 「何勝手に……!」 「あ、バレッタさんのことは話してないけど」 「……どういうこと?」 「本人の許可なく勝手に相談に行くのはなんか違うと思って。 いつまでここにいるのか聞いてきただけだよ」 「……そう。つまり私のことは向こうは気づいてないのね? で、いつまでいるって?」 「未定だってさ。あと、人探しをしてるとも」 「! 人探し……」 その言葉にバレッタさんが反応した。 そんな彼女にもう一押しを加える方法は無いものか考える。 「その、さ。行きたくないってのは分からないでもないんだ」 「え?」 「ハントマンの……それもカザンじゃなくてネバンプレス。 ところに身の振り方を相談するのは勇気がいるってのは凄くよく分かるんだけど」 「……」 「ただ、何もしなかったせいで、後で悔やむ事になるんじゃないかって心配なんだ。 相談した上で、今回は見送ることにするならそれはそれでいいと思うから」 「……あんた」 「え? ……って、あ! ネバンのハントマンに相談するのが心配ってのは、 ハントマンの方に比重があったのであってネバンプレスの人がって意味じゃないよ!?」 「……………」 どうしたわけだか黙ってしまったバレッタさんは、髪をくしゃくしゃと掻くと 呆れたようにため息を一つついて言った。 「……違うわよ」 「へ?」 「別にハントマンだからとか、 そんなこと心配してたんじゃないわ」 「そう……なの?」 「そうよ。まったくあんたはちょっとずれた所で気を回すんだから」 そうなのか? とじゃあどうして?という二つの疑問がぐるぐると頭の中を回る。 そんな僕の様子を見てとったのか、彼女は 「まあ、そういうわけだから……これは私の問題で、 自分でどうにかしなきゃだめなの。だから放っておいて」 「……でもさ」 「うるさい、わかってる」 「自分で解決したいのはわかったけど、でも、僕たちにできることは」 「わかってるって、言ってるでしょ!? ……あっ」 とうとう声を荒げたられ、僕は驚いて黙りこんだ。 そして彼女は、はっとしたようになって急速に静かになる。 「……ご、ごめん」 「ううん、僕のほうが悪かった」 やってしまった。 いつになったら僕は、彼女の触れてほしくない部分に踏み込まないようになるんだろうか。 バレッタさんは自分の行いを反省しているようだが、今のは確実に僕が悪い。 「本当にごめん。力になりたかったんだ」 「あの、ええと」 「悪かったよ……もう、行くね?」 「ちょ、ちょっと!」 「?」 「今のはその、私も悪かったというか」 「ううん」 「……」 お互いに気まずくなって目をそらしあう。 これ以上いても仕方ないと思い、僕は彼女に背を向けた。 「じゃ、先に仕事に戻ってるよ」 「ちょっと……」 「行くね」 「……うん」 僕は歩きだす。 「……」 「……」 「……」 「――?」 「……」 「……………!」 ――もし。 もう一度彼女に振りかえっていれば、この後の展開は変わっていたかもしれない。 ここで振り返っていれば、あんなことにはならなかったのだ。 ここで。 ――会心の悪戯を思いついた彼女が、にわかにテンション有頂天で舞い上がる様子を見ていたなら。 × × 「待って」 呼び止められて僕は足を止めた。 「……?」 振り向けば、彼女は俯いて思いつめた表情を浮かべている。 「――本当のこと、言うわ」 「……」 気づけば足が勝手に動き、僕はバレッタさんのそばへ戻っていた。 「あのね」 「うん」 「いまここに来ているルシェの人たち。 あれは、ハントマンじゃないの」 「……そうなの?」 じゃああの人たちは何なのか、と それがこの話に何の関係が、という二つの疑問を浮かべて 僕は彼女が次の言葉を言うのを待つ。 「あれは、ネバン軍の特殊部隊」 「特……」 「彼らは、私を探しに来たの。だけど、私は見つかりたくなくて、 逃げ回っているの。ここに隠れている」 「どうして? 探しに来てくれたんだよね?」 「……」 やっと、僕は彼らのあの異様な雰囲気の理由を理解していた。 表面はどこにでもいるハントマンに見えるが、ふとした瞬間に感じたあの雰囲気。 あれは、闇の世界で生きる者の匂いだ。 そんな相手によくすんなり帰ってこられたものだと思いつつ、 僕は不吉な予感を抱く。 彼らはバレッタさんを探しに来たと言った。 それならどうして彼女は隠れている? どうして隠れる必要がある? 「コレル」 彼女は笑っていた。 今にも泣き出しそうな声だった。 「前、私がネバンのソルジャーだってわかった時、こう聞いたよね」 「……」 「人を撃ったことは、あるかって」 「バレッタさ」 「あれは本当は……嘘」 頭をひどく殴られたような衝撃が走った。 彼女の背負っていたものは、それほど大きかった。 その告白の重みに僕がすくんで動けなくなっている間にも、 彼女はぽつぽつと言葉を続けていく。 「本当につまらないことだったの。 皆が耐えていたことに、私だけが耐えなかった。 勘違いして、下らないプライドなんかにとらわれなければよかったのに」 「……」 辛そうに頭を振って、彼女は過去を悔いるように言った。 僕はただ、何も言うことができずにいる。 「撃つつもりなんかじゃなかった。たまたま訓練の終わりで、銃を持ってた。 そんなときにあいつが……」 「バレッタさん」 「口論になって、で、でも、その日私は気が立っていて。 とうとう耐えられなくなって罵倒し返して、言ってはいけないことまで言ってしまって、 あいつは激昂して、そして、そしてあの時、」 「バレッタさん、もういいよ」 「身の危険で頭がいっぱいだった。庇ってくれた友達もあのままやられたら死んでしまうと思って、 あいつがまた私に向かってきたとき、手元にあったものをとっさに私は、私は……………!!」 「バレッタさん!」 思わず肩を掴んで強く揺すると、ようやく彼女は喋るのをやめた。 あまりに痛々しい様子に思わず緊迫感さえ覚えて僕は彼女の様子を窺う。 「……大丈夫」 ほどなく彼女はそう言って顔を上げた。 やっぱり、泣きそうな儚い笑顔だった。 「それで、逃げてきたの。 とにかく逃げだしたくて、気づいたら何も持たずに船に乗ってた。 ……ふふ、あの直後のことは記憶が混乱してて、 心身喪失に近い状態のまま逃げ出したのにどうしてだか 正確なルートを選んでこんな世界の裏側まで来れたんだから不思議なもんね」 自嘲するように彼女は言う。 「……相手のほうは?」 「わからない。命に別条はなかったと聞いたような気がしたけど…… 自分に都合のいいかもしれない」 「そう……」 それ以上僕は何を言えばいいのか分からなかった。 平和に生きてきた僕にはそんな重い話を受け止められる器が無かったからだ。 彼女がこれだけ苦しんでいるのに何も言えない。……僕はなんて情けない男なんだろう。 先に口を開いたのも、やっぱり彼女だった。 「……ありがとう」 「え?」 「逃げ出して、嘘をついたままのうのうと暮らしてて……ずっと重石を背負ったみたいだった。 でも、あんたのおかげで、やっと向き合えた」 「そんな、僕は何も出来なくて……」 「違う。あんたは信用できるわ。国も、信条も、何もかも違うのに分かり合おうとしてくれた。 だから私も、自分のやったことを考えられるようになった……」 僕を制するように、彼女は言った。 「……だから行くわ、彼らのところに」 「!」 「やっと肩の荷が下りた……これで、私は自分がやったことと向き合える」 「そんな、バレッタさん」 「逃げちゃいけないの、分かるでしょ?」 「……」 分かっている。 それが彼女にとって前に進むために必要なのだと言うことも。 だけど。 「……行かないでよ」 たぶん僕はここまでの話でかなり普通ではない状態になっていたのだと思う。 いつもなら心の中で渦巻いてもとても言葉に出せないようなことさえ、 あっさりと僕は口に出してしまった。 「ここはアイゼン領だし……どうしても戻って、償わなくちゃいけないことでも ないじゃないか。ここにいようよ」 彼女は少しだけ驚いたふうをして、そして穏やかに言葉を続ける。 「……あんたでも、そんなことを言うのね。 びっくりしちゃった、……あんた自分にも他人にも、真面目なところがあるもの。 だけど、だめよ。同胞を撃ったということは、とてもとても大きなことだから」 「でも」 「ここに来るまで、私はネバンの中の、さらにその中の狭い部分しか見てなかった。 だけどあんたはまっすぐに自分の考えをぶつけてきて、その上で分かり合うとしてくれた。 お互いの常識をぶつけ合ったり、理解しようとしたり…… そのおかげで、自分の狭さが分かった。今ならネバンの教えも正しく理解できる。 だから、戻らないといけないのよ」 「でも!」 「ね、分かって。 こんなふうに考えを変えられたのはほとんどあんたのおかげなの。 本当に感謝してる。 ……だから、見送って?」 微笑みながらバレッタさんがそう言う。 だけどすぐにその表情は歪んで、俯いて震えだしてしまう。 そして、 「……っ」 「……」 「ぶふっ………! なーんちゃっ「でも僕は、君が好きなんだ!!! ………………えっ?」 へっ?」 ……………。 顔にものすごい量の血液が集まるのが分かった。 そして彼女は、真っ赤になりながら真っ青になるという器用なことをやっている。 そして、 「……えっ?」 「っ……」 疾風のように彼女は逃げ去った。 ……これまで見た中で一番早い逃走だった。 × × 後に残された僕は呆然とするしか出来なかった。 え? え? えーと。 「……どうすんだこれ」 僕はそう呟いた。
https://w.atwiki.jp/nanadorakari/pages/73.html
注意点が幾つか。 ・ほのぼのです。帝竜と仲良しこよしルート。 ・帝竜擬人化してます。 ・ルシェローグが果てしなく紳士です。キャライメージ崩壊注意。 ・けしからん場面はあんまりありません。あってもほんの少しだけ。 もし帝竜達が改心し友好的になったら、という前提でお話が進みます。 登場人物 メルケネンス…ルシェローグ。紳士。 センテラ…赤ヒーラー。殴りと毒のスペシャリスト。突っ込み役。 ポワワ…黄ヒーラー。殴りと毒に染まってきた元支援ヒーラー。100%ボケ成分。 スズリ…ルシェサムライ。無手大好き。「やんす」「ござんす」。 【1.罪状=セクハラ】 ミロスにて。 「来ない」 「そぉだねぇ~」 入り口付近に二人のヒーラーの姿があった。 一人は日向ぼっこを満喫し気持ちよさそうな笑みを浮かべているのに対し。 もう一人は不機嫌そうな表情で、気の強そうな印象を与えるつり目をあちらこちらへ忙しなく動かしている。 彼女達は、人を待っていた。 「ケネくんはともかくスズちゃんまで遅刻なんて珍しいね~」 「集合時間を決めた張本人が日常茶飯事に遅刻してるっていうのがおかしいのに気づいてよポワワ」 「えー? だってケネくんだからねぇ~。のんびり待とうよテラちゃん~」 呑気に笑って見せたヒーラー、ポワワ。 対してこれ見よがしに深くため息をつくヒーラー、センテラ。 「あはは~。ため息付くと幸せ逃げちゃうんだよ~」 「もう幸せなんてとうの昔に逃げ出してるわよ……。ったく、スズリさん探してくるからポワワ、あなたここでリーダー待ってて」 「その必要は無いぜセンテラッ!」 「っ!? リーダー!? どこよ!?」 「ケネくんどこ~?」 町の中へ向けて駆け出そうとしたセンテラに掛かる男の声。 辺りを見回すが、見当たらない。 しかし声だけはしっかりと、青空に響き渡る。 「俺は既に集合時刻10分前にはそこに居たっ!!!」 「居た……って嘘吐くんじゃないわよ!? 居ないじゃない!?」 「いやぁ話せば長くなるんですがねお嬢さん、お前達を待ってる間に、宿の中に入っていくそれはもーかーいらしーお姉さま方の一団を見つけたではあーりませんか。 これはもうギルド『レーハムナザドゥ』マスターのメルケネンスさんとしちゃ自分で自分にリプレイスファースト炸裂★ させなきゃ嘘でありましょうや? 願わくば彼女達には俺のスコルピオで淫らに乱れて頂きそして俺はヴァンパイアでキミ達のハートをゲッチュ! というわけで俺は早速猛烈なアピールをかけた末に――」 二人の騎士に両の腕をがっちり掴まれ、宿屋から連れ出されるルシェ族のローグが一人、二人の目の前に現れた。 「ミロスの風紀を乱す不届きな奴だ」 「つかまっちゃった☆ メンゴー☆」 「何してんのよアホォォォッー!!!???」 全く反省している様子も無く、可愛らしく謝っているルシェ族のローグ、メルケネンスを見てセンテラは思わず叫んでいたのだった。 【2.釈放されました】 「やれやれ、この国は相変らず過保護すぎるんだぜ」 「あんたねぇ……」 センテラが騎士達に頭を下げまくりルシェ族のローグ、メルケネンスは何とか無罪放免となり、無事に合流完了する。 先ほどの事などすっかり忘れたように服についた埃を払いマフラーを直しつつ、メルケネンスは宿屋を恨めしそうに見上げ、そしてポワワとセンテラのほうに視線を戻し言った。 「もっとこの国の美しい花々も温室から旅立ち世界の厳しくもときに優しく暖かい風に当たるべきだと思うんだがどーよ諸君」 「そぉだね~。ちょっとみんな、平等にこだわりすぎだとあたし思っちゃうな~」 「そう! 全てが平等に拘っているんだよ! まるで彼らは平等という名の氷で凍ってしまった可憐な花々……色々勿体無いと思わないかセンテラ!」 「え? ……ま、まぁ。ちょっと他から見ると変かもね」 「これは急務! フロワロ除去やドラゴン退治より大切な事……。外からの人間と彼らが触れ合いそしていずれは芽生えるであろう愛という炎で彼らの氷を溶かすのだよ! ……ってことでちょっと――」 「待て」 【3.遅れた理由】 「やーやー皆の衆、遅れてしまったでやんす~」 再び宿屋に向かおうとしたメルケネンスをセンテラがフレイルでどつきまわして暫くの後、三人のもとにルシェ族のサムライが手を振りながら駆け寄ってきた。 この女性こそ、先ほどセンテラが探しに向かおうとしていた人物、スズリであった。 心なしか顔が少し火照っているように見える。 「スズちゃんおかえり~」 「スズリさん! 何かあったの?」 「いやぁ話せば長くなるんでやんすよ。準備を終えてさぁ集合場所へ、とあたいが急いでいたときでござんす」 「うん」 話せば長くなるという言葉に、少し火照っているようにも見えるスズリの姿、急いでいたのに遅れてしまったという事実。 スズリは笑ってはいるものの、何か良くない事に巻き込まれたのではないかという思いがセンテラの脳裏を過ぎる。 次の言葉を、センテラは呼吸をするのも忘れて待っていた。 「古びた酒屋を見つけたんでやんす」 センテラは先ほどまで自分が抱いていた考えが杞憂だった事に気づく。 酒屋という単語が出た時点で大体何が起こったのか、センテラにも予想できたからだ。 万が一にもその予想が外れているかもしれないので、とりあえず深刻な表情は維持したまま聞いてみる。 「……それで?」 「試飲していいって言ってくれたもんだからちょっと呑んできたんでござんすよ~♪」 やはり万が一は在り得ず予想は外れていなかった。 センテラは大きくため息をつく。 「……スズリさん……」 「美味しかったぁ~?」 「えぇ~えぇ~そりゃーもう絶品でござんしたよ~♪」 一見まともに見えるものの、どこかずれている。 ポワワに味を聞かれ事細かに答えている――酒を飲めないポワワにわかるはずは無いのだが――スズリの声を聞きながら そういえば彼女はそんな人物だったとセンテラは思い出したのだった。 【4.出発】 さらにその後、ミロスからそう離れていない、フロワロが咲き乱れる平原にて。 「というわけでアイゼン目指して出発進行と相成りました、まる」 「ぱちぱちぱち~」 「まぁ諸事情重なり紆余曲折で出発時刻がちと遅れましたので、少々駆け足で進軍し山の麓あたりで本日は野宿! そう言うことで名残惜しいがミロスとはさっぱりとお別れを告げるわけで。……あぁさようなら俺のマイスイートハニー達……」 町の中に向けて投げキッスを行うメルケネンス。 それを呆れ顔で眺めるセンテラは言う。 「よくもまぁ飽きずにやるわね……」 「ふ、俺は愛の伝道士。異性は皆友達、その分別れも辛いものさ……」 「はぁ」 「しかし安心したまえよ諸君。俺が一番好きなのはお前達だ!」 「わぁい、ありがとケネくん~」 メルケネンスはポワワを抱き寄せ、その小さな薄桃色の唇に人差し指をあててにやりと笑う。 ポワワはきょとんとした様子で、彼のやっている事を眺めている。 「うむうむ。そうだな、今日はポワワに夜のマスクドペインを伝授して最後に魅惑のトリプルキスで華麗で淫らなエクス――」 鈍い音が響く。 「さ、馬鹿言ってないで行くわよー」 「出発でやんすねー」 しっかりとポワワの手を繋ぎ歩いていくセンテラ。 スズリも二人の後についていく。 後に残されたのは、一体どうやってそうなったのかわからないが首だけ地面に出した状態ですっかり埋まってしまったメルケネンス。 「はっはー、先に私じゃなきゃ嫌って意思表示と見た! ならお望みどおりセンテラ今日はお前に手取り足取りねっとりと教え込んで……あれ、ちょっと待って。抜けないんだぜ。おぉーい。抜いてー。抜いてー。やーだー、置いてっちゃやーだー」 5.トドワ山岳着きました】 日が暮れあたりも暗闇に包まれだした中、トドワ山岳の麓にて野宿する一行。 「よーやっとトドワ山岳到着ですよ諸君! いやぁ実に辛い道のりだった……!!!」 「フロワロ刈り、楽しかったねぇ~」 「誰かさんの所為で何度も全滅しかけたけどね。……だから今は山岳の到着を優先しようっていったのに」 「でもリーダーが身を盾にしてあたい達を守ってくれたおかげで、全滅自体は一回もなかったでござんすよ」 メルケネンスに鋭い視線を向けたセンテラだが、横からのスズリの言葉に少し戸惑ったような様子を見せて言葉を返した。 「そりゃ、そうだけど……」 「あったりまえだろ。死んでもお前たちは守る」 何時に無く真面目な顔で、メルケネンスは三人の顔をじっと見つめた。 「ふふ、頼もしいでやんす。やっぱり背中任せられるのはリーダーしかいないでやんすよ」 「ケネくんかっこい~」 ポワワとスズリは笑みを返し、センテラは暫く困惑した表情で彼を見ていたものの、やがて小さくため息をついて、薄く笑みを浮かべた。 「もう……。あんただって不死身じゃないんだから、あんまり無茶はしないでよ? ……リーダー」 「あぁ。心配かけて悪いな。……俺はお前達のリーダーだ。 なるべくお前達の経験になるような事もしてやりたい。だからたまには、無茶もする。でも安心して俺に任せてくれ。無茶はしても、危険なことはしないさ」 いつの間にかメルケネンスはスズリの傍に腰を降ろしていた。 そのままスズリの体を抱き寄せている。 「……そうさスズリ、背中といわずお前の身も心も全て俺に任せて……ふふふ今夜は熱い夜になりそ――」 鈍い音が響いた。 「さ、スズリさん、ポワワ。ご飯の準備しよっか」 「は~い」 「リーダーはどうするんでやんす?」 「ご飯できたら勝手に起きるでしょうから、その辺に放っておいて」 【6.トドワ山岳越えましょう】 十分な休息もとり、いよいよトドワ山岳超えを目指す一行。 やがて山頂にたどり着くとそこには、翼を持つ巨大な竜が佇んでいた。 「こいつはっ……!?」 「うーむ、でかいな。この辺のボスだと俺は思うんだぜ」 「あたいも同感でやんす」 「おっきぃ~」 「……じゃ、後は降りるだけだな。あともう一息だ、頑張れよ~」 「はぁ~い」 「まだまだ、竜が来たって平気でやんすよ」 「……え、いいの!? 無視していいの!?」 一行は巨大なその竜を眺めながら横を素通りし、難なくトドワ山岳を再び降っていくのだった。 【7.あるのかないのか】 トドワ山岳を無事に突破し、一行はアイゼンの地、農村サイモンへと辿り着いていた。 「諸君お疲れ! ついに我々はアイゼンの地に足をつける事ができたわけですよ!」 「も~へとへと~」 「あれ無視してよかったのかな本当に……」 「長閑な場所でやんすね~」 宿へ向かって歩く一行。 家畜の囲われた柵、畑と幾つかの家しかないこの村の様子に、一行は先ほどまでの戦いの興奮を忘れる。 「あ、ワンちゃんだ~」 前から走ってくる一匹の犬。 「あはは、こんにちはぁ~」 しゃがみこんで両手を広げ犬を迎え入れたポワワは、純真そのものの笑みを浮かべてみせる。 犬もポワワにじゃれ付き、その様子はセンテラとスズリの疲れを僅かながら吹き飛ばし、温かな気持ちにさせてくれた。 しかしメルケネンスはその様子をじっと眺めて、呟く。 「なぁスズリ」 「なんでござんす?」 「……俺昔から抱いていた疑問があるんだが」 「ふむ?」 「……ルシェの女ってさ……あるのかあれ」 「あれ?」 「おいおいみなまで言わせるなよ、こう、動物が年に1、2回やけに騒ぎ出したりする時期があるじゃないか。……で、どうよ」 「あー、はいはいあれでやんすか! よくわかんないでござんす。あるって人も居るし無いって人も居るしで」 「ほほうそれは興味深いどうかねスズリ戦いの興奮がそのまま身体の疼きに変わったりして苦しいことはないか。 いやきっとあるだろう全て俺に任せてくれその疼きを俺のトリプルキスで解放して――」 数分後。 「おぉー!? 待てっ俺はお前達とちょっと違う! お盛んなのは一緒だNE!? まっまてっあーっ!!!」 家畜の飼われている柵の中に放り込まれ、先ほど言っていた「あれ」の羊に絡まれるメルケネンス。 それを暫く眺めた後、彼を除く三人は宿屋に向かって再び歩き出した。 「さ、行きましょっか」 「いいんでやんす?」 「夜には戻ってくるでしょ」 「ケネくん先に宿屋さんに行ってるからね~」 【8.ゴウガ竹林抜けましょう】 農村サイモンで一泊し、破竹の勢いでアイゼン目指し進む一行。 ゴウガ竹林をもう少しで抜けるという所で彼らの前に現れる巨大な竜。 「くっ……! もう少しで出口だっていうのに!」 「いかにもボスですって風格だな」 「同感でやんす。強そうでやんすね」 「へとへとだよぉ~……」 「……大丈夫だポワワ、さっき手前に泉があったろ? そこでちょっと休憩して……」 数十分後。 「さ~道はもう少し続く、アイゼンまで頑張ろうぜ~」 「お~」 「ポワワどの、疲れたら無理せず言ってほしいでやんす」 「はぁ~い」 「ねぇちょっと!? いいの!? これも無視!?」 巨大な竜の横を素通りし一行は無事にゴウガ竹林を突破したのだった。 【9.愛染服を着てみよう】 ついにアイゼンへとたどり着いた一行。 この国の道行く人々は、あまり他の国では見られない服装で居る。 「ミロスとはまた違った美しさがあるねぇアイゼンってとこは」 「服がなんだか変わってるねぇ~」 「愛染式ってらしいな。……うーむ、道行くお姉さま方も十分セクシーでプリティーだがやはりここはあれだ、お前達が着てるのを俺は見てみたいね」 「買っちゃうのー?」 「はっはー何が欲しいかパパに言ってごらん、お前達のためならなーんだって」 「わぁ~い」 「何かリーダーの趣味も兼ねてることになってアレだけど……興味はあるし」 愛染式の服の購入も兼ねて、一行は武具販売店へ向かい装備を整えた。 「わぁ~」 「へぇ……」 何時も身につけているヒーラーとしての、ハントマン活動をするに最適な服装から開放された二人は、暫し自分やお互いの服を見て笑みを浮かべる。 「テラちゃんかわい~」 「ポワワだって、すっごく似合ってるわよ」 「えへへ~」 「二人ともよく似合ってるでやんすよ」 「感無量。幸せ。泣いていい? ってか胸貸してスズリ」 「何言ってんだアンタは。……スズリさんはいいの?」 ぴくりと耳を動かし、きょとんとした表情を見せたスズリは笑って答える。 「あたいはいいでやんすよ。これぐらい身軽な格好じゃないとうまいこと戦えないでござんしょ?」 「そっか……」 メルケネンスのお眼鏡にかなう三人である、スズリもかなりの美人であった。 そんな彼女のお洒落した姿も見てみたいという思いをセンテラが抱くのも無理は無い。 少し表情を暗ませたセンテラに、メルケネンスは言う。 「安心しろセンテラ。既にスズリの分は購入済みだぜ。サイズバッチリ、その魅力的なナイスバディをしっとりと包み込む事を約束するんだぜ」 「何時の間に!?」 「え、あたいの分まで買ってるんでやんすか!?」 驚くセンテラにスズリ。 メルケネンスは親指を立ててにやりと笑い言葉を続ける。 「またカザン帰ったときにでも着てみてくれよ。そしてそのまま俺に乱暴に服を剥がされ淫らな一夜を過ごせ」 「剥がすな」 センテラに小突かれるメルケネンスを暫し眺めてから、スズリはにっこりと笑った。 「……うん、わかったでやんす。ありがとうござんす、リーダー」 【10.冷たい視線】 「しかしなんだ、どうしてこう俺に対してのお姉さま方の視線が刺すように鋭く冷たいんだぜ? 嬉しいけど」 「変態……。……さっき道行く人にちょっかい出したからでしょ」 「いやいやセンテラ、それは違うんだぜ。あれは単なるご挨拶。 言うなればおはようこんにちはこんばんはに当たる類の軽い奴だ。それに俺が挨拶する前から視線は同じなんだぜ」 「あ、そ……」 「スズちゃん、どぉしたの~?」 「うーん……」 見ればスズリも何故か複雑な表情で居る。 彼女もメルケネンスの言う冷たい視線を感じているようだった。 「なんていうか……居心地が悪いでやんす」 「そーかスズリお前もか。 ここは一つ視線に耐え切れない風を装いあの竹林に二人で身を隠しそのまま見えない事をいいことにちょっとイケナイことでもしでかしてみないか」 「やめい。……スズリさんまでそんな目で見られる理由が思い浮かばないんだけど……」 「ま、とりあえずこの国の王様とやらに謁見しますかね。仕事こなさないとメガネに嫌味言われるし」 周りの視線は相変らずだが、一行はアイゼンの王が住まう城へと向かっていった。 【11.ルシェはここでは肩身がセマイ】 「なんかあのおーさま怖かったよ~」 「なんていうかこっちを見下してる感じだったわよね……」 謁見が済み、一行は何気なしにアイゼンの貧民街へと訪れていた。 ここはみすぼらしく汚らしい風景しか目に入ってこない。 しかし貴族街と違って冷たい視線はまるで無かった。 「うーむ、冷たい視線を向けるのが友好の証だとかいうツンデレな国民性なのだろうか」 「なによそれ」 「しかしそれだとここだと全く冷たい視線が無いのが気になるぜ……おっと」 「むむ」 洗濯物を干す棒を固定するのに手間取っているルシェの女性を見て、メルケネンスとスズリはそれが当然だとでもいう風に作業を手伝ってやる。 「ありがとう、助かるわ」 「どこに行ってもルシェは仲間なんだぜ」 「お気になさらずでやんす」 「……ところでつかぬ事を伺うんだが、この国は余所者には冷たいのかい? 貴族街だと随分と白い目で見られたもんだが。嬉しいけど」 ルシェの女性はメルケネンスの問いに表情を暗ませ答えた。 嬉しいけど、のところで一瞬首を傾げたのはきっと気のせいだろう。 「……そうじゃないわ。ルシェだけに冷たいのよ、この国は」 「そりゃまたどうして?」 「この国は階級に酷く拘っていてね。貴族街とここを比べても判るでしょう? ……階級の最下層は亜人……つまりルシェと定められているの。それに、この国はルシェを奴隷として扱っていた過去もあるから」 「奴隷でやんすか!?」 「今は法で禁止されているけど……今でもやっている貴族も多いと聞くわ。だからこの国の人は今でもルシェを下に見て、馬鹿にするの」 「ふむ、なるほどなぁ……」 メルケネンスは辺りを見回した。 まるでこの貧民街の光景を目に焼き付けるように。 「冷たい視線はながーいながい歴史が関係してるってことか。……とてもよくわかったんだぜ」 「ありがとうござんす」 「いえいえ」 話を終え、礼を言うと二人はポワワとセンテラのもとへ戻ってくる。 話は彼女達の耳にも届いており、両者とも複雑な表情で居た。 「ルシェを奴隷として使ってた、か……最低ね」 「みんな同じなんだよぉ~。どれーなんてだめぇ~」 「まぁそういうな。ながーいながい時間を掛けて根付いちまった風習だ。……ま、いずれは無くなって欲しいとこだが」 自らの種族の事だからか、流石のメルケネンスも彼女達と似たような表情で居る。 スズリもやはり、悲しげな表情を浮かべていた。 ポワワがスズリの羽織る法被の裾を引っ張り、声をかけた。 「スズちゃん、元気だして~」 スズリははっとしたような表情を見せ、慌てて笑顔をポワワに向けて言う。 「大丈夫でやんすよ、ポワワどの。ちょっとショックだけどあたいはこれぐらいじゃびくともしない心の持ち主でござんす」 「しかし奴隷か……奴隷……」 【12.妄想です】 メイド服を着たスズリが、食事を終えたメルケネンスの前で不安げに佇んでいる。 「だ、だんなさま、お味は如何でござんしたか……?」 まるでメルケネンスを恐れているかのような態度で、スズリは彼に問うた。 メルケネンスはそんなスズリを見て、にやりと笑う。 「勿論美味かったとも。……さぁそれじゃあ、そろそろデザートといこうか」 「………………」 「さぁどうした、デザートを持ってくるんだ」 「は、はいでやんす……。きょ、今日もあたいを……たべてくだ、さい……」 スズリは顔を真っ赤にして、ゆっくりと自分の服の裾をたくし上げた。 素肌の上に着用している黒タイツに包まれた、無駄な肉のついていない美しい足が露になる。 更に彼女が裾を上に上げていくと、丁度秘所だけを露出させるような形で、タイツに穴が開けられているのが見えた。 メルケネンスはゆっくりと席を立ち、一歩、また一歩とスズリのもとへ歩みを進め――。 「――そしてそのまま俺が優しく抱きしめて甘く危険な、奴隷と主人という禁断の恋の幕が開くわけだねはははー素敵だロマンスだねというわけでスズリ一週間ほど俺の奴隷になって――」 数秒後、そこにはスズリから奪い取った抜き身の刀を今にもメルケネンスに振り下ろさんとするセンテラの姿があった。 「たまには真面目に〆るとかできないのかあんたはぁ……!?」 「ま、まて。調子に乗りすぎた。落ち着けセンテラ。俺は斬られるよりお前のその使い慣れた血染めのフレイルでぶん殴られるほうがす――」 無言でセンテラは刀を地面に投げ捨て、目にも留まらぬ速さで愛用のフレイルを取り出し。 鈍い音が、数え切れないほど響いた。 【13.強さ的にも微妙な奴】 二匹目の帝竜デッドブラックが潜むヒョロン神水洞に訪れた一行。 彼らを迎えてくれたのは見張りの戦士と、この国の重鎮でもあるリッケン公爵だった。 「そうか、君達がかの英雄、レーハムナザドゥか。カザン奪還の報、君達の勇ましき戦いの話はここアイゼンにもしっかりと届いている。お会いできて光栄だ。 この国は見ての通り、まだ経験も浅い戦士ですら体裁を気にする有様だ。 ……王はここに居つく帝竜を侮っておられる。この滝の流れが止まってしまうことは、国にとってよくないことを招くというのに……」 「別に倒さなくていい、って言われたけどね。そういうわけにも行かないわ」 「貧民街じゃここの水が来なくなって大弱りだったでやんす。あそこの人達のためにも帝竜は見逃せないでござんすよ」 「ありがとう。国民に代わってお礼を申し上げる。……帝竜は最深部に潜んでいる。 奴は闇を好む竜のようだ。外の光を奴の場所まで届けることができれば戦いも楽になると思うのだが……」 「つまり今度の帝竜は引きこもりか。……お、この台座なんか使えそうだ。……ほらどうだ」 メルケネンスはリッケン達の奥にあった台座に赤いガラス玉を置く。 それは天井から差し込む光を集め、最深部に向けて――弱弱しいものだが――光を届け始めた。 「きれ~」 「高いお金出して買っちゃったガラス玉がここで役立つなんて……。……引きこもり、ねぇ。なーんか一気にしょぼいイメージになるわね……」 「ひきこもり、ってな~に?」 「うむ。自らの殻の中に篭り、閉鎖的空間の中に閉じ篭ってしまう存在の事をそういうのだ。……王が奴を侮っているのももしかして……?」 「そりゃ侮りたくもなるよなぁ。引きこもりだし」 「あたいはそう言ううじうじしたやつは嫌いでやんす」 「うじうじ~。今度のてーりゅーはうじうじりゅーなんだね~」 「油断はしちゃいけないけどなんか気が楽だわ。カザン奪還の時よりかは」 「よーっし、じゃあちょっくら引きこもりをお日様の下に引っ張り出しに行くとしようか諸君!」 「お~」 「人間共メ……好キ勝手言イオッテ……!!!」 上で自分の事を散々馬鹿にしている言葉を聞き、黒帝竜デッドブラックはさらにその闇の濃さを深めたのだった。 【14.至福の時(メルケネンス曰く)】1/4 フロワロが咲き乱れ薄闇に包まれたヒョロン神水洞最深部。 本来ならば滝があるその場所には、水がどうどうと流れ落ちる音など響いては居なかった。 「奴、だな」 ガラス玉が届ける弱弱しい光が、何かを照らしていた。 「それ」は一行に対して殺気を放っていた。 一行の表情が引き締まる。 「引きこもりでも力はあるみたいでやんすね。……センテラどの、ポワワどの、あたい達の前には出ちゃだめでやんすよ」 「わかったわ。支援だけに専念する」 「ケネくん、スズちゃん、テラちゃん、気をつけてね……」 メルケネンスはスティレットを抜き放ち、スズリは拳を構え「それ」を睨みつける。 「それ」は照らし出す光を飲み込みながら言った。 「コノ程度ノ光デ闇ヲ払エルトデモ思ッタカ、愚カナ!!!」 光を飲み込む「それ」はまるで黒い炎のようで、決まった形を持っていないように見える。 しかし、徐々にそれが、確かな一匹の巨大な竜の姿を取るのを一行は目にした。 黒帝竜デッドブラック。 闇そのものである悪しき存在が、ゆっくりと牙を剥きにたりと笑う。 「凍リツケ!!!」 きらきらと輝く氷の欠片が吐き出され、周りのフロワロも巻き込みつつ一行に襲い掛かる。 「リーダー! あたいが先に仕掛けるでやんす!」 「おー行って来い!」 スズリは両足に力を込め、一気に最大速度まで加速し吹雪の中を突っ切っていく。 氷の欠片が衣服や自分の皮膚を浅く切り裂いていくが、痛みは興奮によって抑えられているためその速度は落ちない。 拳に真っ赤な火炎が纏わりつき、恐らく胴体部分であろう箇所に、スズリは全力で火炎の拳をぶつけた。 確かな手応えと共にデッドブラックの耳障りな叫び声が響く。 「氷を使うだけあってやっぱり火が弱点でやんすね!」 「小癪ナ!!!」 「おっと!」 すぐさまスズリは後ろに飛び退く。 先ほどまで自分が居た場所に、何か鋭いものが通り過ぎていった証拠の細長い傷跡が残された。 さらに追撃として放たれた氷の槍がスズリの身体を捉えようと迫るが、スズリはくるりとバック宙を披露し氷の槍を踏みつけて地面に落とすという曲芸までやってのけてから、にやりと笑って見せた。 吹雪を止めるという目的を達成した嬉しさから来る笑み。 「狐ェ……!!!」 その笑みが気に入らないのか、デッドブラックはすっかりスズリに注意を向けてしまっていた。 その時デッドブラックの前に突如一つの影が躍り出る。 【14.至福の時(メルケネンス曰く)】2/4 「よお」 メルケネンスだった。 短剣には何かが塗りつけられているのが、弱弱しい光に照らされ判る。 叩き落そうとデッドブラックが動く前に、短剣は深々とその身体を抉った。 すぐさまその場を退くメルケネンスに、彼の後を追うように響く叫び声。 「手応えいまいち。効いてないな」 「ベノム!」 「ベノム~!」 間髪いれずセンテラとポワワが毒の花を咲かせ、毒の花粉をデッドブラックに浴びせかける。 しかしそれでも毒を入れることは不可能だったらしい。 メルケネンスやスズリが入れた一撃もまだ致命傷ではないらしく、デッドブラックは怒りに瞳を輝かせている。 「貴様ラァ……!!!」 闇が更に深まっていく。 「光が!?」 「暗くなっちゃうよぉ~!?」 第一層からガラス玉を通して送られる光は、ついにデッドブラックに完全に吸収されてしまった。 「まずいな、引きこもりは真っ暗な場所だと強いんだぜ」 「急いで決着をつけないと危ないでやんす!」 「誰ガ引キコモリダ! 寧ロマダ言ウカ人間!!!」 「あれ、聞こえてたのか。でもこんな暗いじめじめした場所の最深部でじっとして地上に出てこないなんて引きこもり以外の何者でもないんだぜ?」 「グ……!!! ソノ減ラズ口今閉ザシテヤル……!!!」 一寸先も見えない漆黒の帳が一行を包み込む。 「何も見えない……!!! ポワワ!? どこ!?」 「あたしはここだよぉ~!」 センテラは手探りでポワワを探し出し、しっかりと手を握り締めた。 「センテラどの、ポワワどの! 大丈夫でやんすか!?」 「私たちは平気!」 「こう真っ暗だとどこに攻撃していいかわかんねーな。どうすっか」 「何とかしないと! このままじゃあの引きこもりにいいようにやられるだけよ!?」 「だよなぁ」 「マダ言ウカァ!!! 愚カナ人間ヨ……我ノ闇デ身モ……心モ……凍リツカセルガイイ!!!」 「っ!?」 デッドブラックの声が闇の中に響いた。 【14.至福の時(メルケネンス曰く)】3/4 ――何も聞こえない……!? そして唐突に訪れた、無音。 ――……やだ……怖い……!!! 自らの心音すら聞こえない。 今自分が立っているのか、座っているのか。 目を開いているのか、閉じているのか。 生きているのか、死んでいるのか。 何も判らないただ只管に続く暗闇と無音にセンテラは恐怖する。 まるで何十分も、何時間も、何日もその状態が続いているかのような錯覚を覚えた。 ――だめ……耐え、なきゃ……。 意識が朦朧とし、体の力が徐々に抜けていく。 その時。 ――っ!? 誰かが抱きついてくる感触が、センテラの意識と体の力を呼び戻した。 黄色いお下げ髪の頭が、胸元に埋められているのが闇の中に見える。 ――ポワワ……! 彼女も自分と同じような目に遭っているなら、自分が今ここで耐えなくてどうするのか。 そんな思いがセンテラの力を取り戻させる。力を込めて、センテラはポワワを抱きしめた。 その時、センテラの両耳にのしかかっていた重圧は一瞬にして取り払われた。 「……フン、耐エオッタカ」 自分でも信じられないほどの汗を掻いている事にセンテラは気づく。それはポワワも例外ではないようだった。 「テラちゃん……!」 「センテラどの! ポワワどの! リーダー! 平気でやんすか!?」 「へっ……平気!!!」 「大丈夫だよぉ~!」 「リーダー!? ……リーダー! 返事するでやんす!!!」 「ケネくん……!?」 「まさかっ……!!!」 センテラの背筋に寒気が走る。 「ちょっと……返事しなさいよ!? ねぇ!? リーダー!?」 メルケネンスの返事は無かった。 「ケネくんってばぁ!!!」 「リーダー!!!」 ポワワやスズリも必死に大声を出して彼のことを呼ぶ。 しかし、返事は返ってこない。 「ッ……!!! リーダァァァーッ!!!」 センテラは叫んだ。 音程や音量など気にしない絶叫が洞窟に響き渡る。 【14.至福の時(メルケネンス曰く)】4/4 「……ひゃあっ!?」 すると何故かスズリの素っ頓狂な声が返ってきた。 予想もしなかった反応にセンテラは我に返る。 「へ……?」 「ス、スズちゃ~ん……?」 スズリの身に何が起こったのか、闇に遮られわからないセンテラとポワワは、ただ待つしかない。 「両手に収まりきらない大きさ、タイツとさらし越しからでも判るキメ細やかな肌に凄まじい弾力……!!! こ、これはスズリのナイスバディなんだぜ!?」 そして数秒後闇の中から発せられた声は、他でもないメルケネンスのものだった。 「ちょっリーダーッ!?」 「いやぁ悪い悪い、手探りで敵を探していたらうっかり」 「うっかりってレベルじゃないでござんしょ!? そんなにしっかり揉ん……あっ……」 「これはちょっとしたアクシデント? 否! 好機と言うべきだろう! さぁスズリ今こそ俺達の行住坐臥を見せ付けるときだ!!!」 「何言ってるでやん……っす……かぁ!!!」 ぷち、とセンテラは、自分の頭の中で何かが切れた音を、確かに聞いた。 「……ポワワ、悪いけどここで待ってて」 「え?」 「大丈夫、すぐ戻るから」 センテラはにっこりとポワワに笑いかけ、そして――。 「リ・イ・ダ・ア♪」 「っ!!!」 一瞬にしてメルケネンスの居場所を探り当て、その肩にぽんと手を置いたのだった。 びくりと過剰なまでにメルケネンスの体が跳ね、そして彼は錆び付いた機械のようなぎこちない動作でセンテラに顔を向ける。 「よ、よぅセンテラ、こんな暗いのによくわかったな。それだけ夜目が利くならローグにだってなれるぜ、うん」 「……ベノムッ!!!」 「うおぁっ!? おまっ毒は反則だろ!? 死ぬ死ぬ!!! お前の毒はやばい!!!」 「やかましいっ!!!」 「毒はやめて好きなだけ殴ってほしいなぁぁぁぁーっ!!!???」 「ベノムベノムベノムベノムベノムーッ!!!」 精神力が続く限りありったけのベノムを唱えるセンテラ。 辺りには毒の花が、フロワロに負けないぐらいの数咲き乱れていく。 「オ、オイ貴様ラ!!! 黙ッテ見テイレバ好キ勝手……グハッ!? ド、毒ガッ……!!!」 「謝るから! 土下座でも靴舐めでも何でもするぜ!? 寧ろそれご褒美だけど!!!」 「ふっざけんじゃないわよ女の敵めぇぇぇっ!!!」 「グオォッ!?」 闇の中に響く悲鳴と殴打音。 暫しそれは止む事がなかった。 【15.あだ名はラックちゃんに決定(ポワワ命名)】1/2 「ハァッ……ハァッ……!!!」 いつの間にか闇は晴れていた。 すっかりバテて肩で息をするセンテラの目の前には、嬉々とした表情で血まみれになって横たわるメルケネンス。 「セ、センテラどの?」 「スズリ……さんっ……ハァッ……! ごめん、ね……このバカ、が……っ!!!」 「いや、いいでやんすよ。減るもんでもないし」 「あーもうっ……できることならあの滝の中に沈めて……しずめ……て?」 センテラは気づく。 闇が晴れ、滝がどうどうと流れ落ちているのに。 「……帝竜は?」 「センテラどのがやっつけたんじゃないでやんすか? リーダー追い掛け回すついでに」 「へ……? 私が……?」 「そ~だよ~。テラちゃんがやっつけたんだよ~」 「………………」 見れば地面にはデッドブラックの残したと思われる、決まった形を持たない、最初にデッドブラックが見せたような真っ黒な炎のように蠢く物質が落ちている。 そして、その傍にぺたりと座り込んでいる一人の少女の姿。 光を吸い込みそうなほど黒く、赤い瞳を覆い隠し、腰まで届く長い髪の毛、黒いボロボロのローブを着込んだ少女は、明るくなった洞窟内ですっかり怯えてしまっている。 「……あんた」 「くくくくるなっ!!! か、噛むぞ! わ、われは黒帝竜デッドブラック! 強いんだぞ! 人間なんて一ひねりだ!」 「わーこわいでやんすー」 「きゃ~」 「……こわーい」 「あっ!? 馬鹿にしてるな人間共!?」 センテラはとりあえずスズリやポワワに続いて怖がって見せるものの、丁度ポワワぐらいの年恰好の少女に対して何を怖がれるのだろうと思った。 帝竜が人へと変化する、一行にとってこれを見るのは二度目だった。 ギルドハウスで今も読書とお子様ランチを堪能している女性の姿がセンテラの脳裏を過ぎる。 「……で、どうするの」 「連れ帰るに決まってるぜ」 「あ、リーダー。起きたでやんすか」 いつの間にかメルケネンスは復活していた。 あの暗闇の中で起こった騒ぎの最中、デッドブラックにヴァンパイアでも決めて多少なりとも生命力を回復していたのだろうとセンテラは予想する。 メルケネンスは早足でデッドブラックに向けて歩き出した。 「くっくるなっていってるだろー!!! 噛むぞー!!!」 「なんと。それは是非。幼い少女が施す甘噛みとかこれどんな神様のご褒美? ……今日は色々頑張ったし、いいよね……」 「っ……!?」 「さぁさぁ噛んでもらおうかいや噛んで頂戴、是非、是非とも私めにできればこのお耳に一つ! さぁさぁさぁ……!!!」 「ひっ……!?」 鈍い音が響き渡る。 続いて大きなものが水の中に落ちたような音が響いた。 【15.あだ名はラックちゃんに決定(ポワワ命名)】2/2 「……別にもう、あんたを攻撃するつもりなんてないわよ」 「嘘だぁっ!? あっあの男を一度ならず二度までもその凶器で撲殺っ……!!! それでわれも!!!」 「撲殺だなんて人聞きの悪い事言わないでよ!? アレで死ぬんなら苦労しないわよ!」 「その通り! あれは愛の鞭です」 「浮かんでくるなっ!!!」 再び水面に浮かび上がってきたメルケネンスにセンテラが構っている隙に、ポワワとスズリがデッドブラックのもとへ近づいた。 そして、笑みを浮かべて話しかける。 「センテラどのはあぁ見えて凄く優しいでござんすよ。それに、先ほどセンテラどのが言ったように、もうあたいたちは戦うつもりはないでやんす」 「一緒にカザンにいこ~? 一人ぼっちは寂しいでしょ~?」 「ばっバカを言うなっ! 帝竜たるこのわれが人間どもと行動を共にするなんてっ……!!!」 「こんなじめじめした場所で一人ぼっちより、絶対にカザンのほうがいいでやんすよ?」 「そうだよ~」 「ふんっ! われはここを気に入っているのだ! それに一人で居るほうが――」 「ほほう一人でこの人が寄り付かない場所に滞在すると言ったか! それ俺に対しての誘惑、そうに違いないんだぜ。よーし俺さっそく明日からここに通いまくっちゃうぞ~」 「行くなっ!!!」 「くるなっ!!!」 ずぶ濡れの格好のままではしゃいでいるメルケネンスを横目に、センテラは疲れきった表情でデッドブラックに詰め寄る。 「一応敵とはいえあれに襲われるのは可哀想だから言っておくわよ……。頼むから一緒に来て」 「………………!」 デッドブラックはセンテラとメルケネンスの両者に視線を何度も持っていく。 ここに残るか、彼らに付いて行くか、そのどちらを選ぶか悩んでいる様子だった。 しかし結局彼女は――。 「……えぇーいわかった! じゃあわれを連れて行け! どこへでも行ってやる!」 彼らと行動を共にすることを選んだのだった。 【16.お弁当屋さんでバイトもしてます】 デッドブラックの討伐も済み、カザンのギルドハウスへと帰りついた一行。 扉を開けた先には、エプロンをつけてなにやら料理をして居る女性の姿があった。 軽く後ろを振り向いた女性は、入ってきたのが良く知った人物達であることを確認して、僅かに微笑む。 「よお。今日もエプロン姿が決まってるんだぜ」 「お前達か。無事に戻って来れたようで何よりだな」 燃える様に赤いショートヘア、同じ色の瞳を持った細身の女性。 この女性がかつてカザンを征服し、レーハムナザドゥ一行に討伐された赤帝竜キングだと誰が思うだろうか。 センテラはこの家庭的な女性を見て、そんなことを思った。 信じがたいが、事実なのだ。 「グーちゃんただいまぁ~。いい匂い~」 「この匂いはカレーでござんすね?」 「その通りだ。レシピを教わってな、材料もあったし作ってみた。『でぼかれー』というらしい。食べてみるか?」 「うん!」 「グーどのが作る料理はどれも絶品でござんすからねぇ。勿論頂くでござんす」 ポータルを使ってあっという間にカザンに帰り着いたものの、皆空腹を覚えている。 彼女の申し出を一行は喜んで受け入れる事にした。 「そしてその後はデザートとしてお前さんの裸エプロン姿を拝んで」 「はだかえぷろん? 何だそれは?」 「しなくていいし詳細を聞かなくてもいいから。……ほら、何してるの? 早く入って」 「わわ、わかっている……!」 女性相手だとたとえ竜であろうとちょっかいを出し始めるメルケネンスにセンテラはしっかり釘を刺して、先ほどから入り口でもじもじとしているデッドブラックの手を引き、家の中に招き入れる。 「デッドブラック!」 「あ、あねうえ!?」 デッドブラックの姿を見て、キングは嬉しそうな声を上げた。 逆にデッドブラックは、そんなキングの姿を見て目を丸くする。 「ど、どうしてこんな所に……! い、いや、そもそもこの国の制圧にあねうえは当たられていたはず! この現状は一体!?」 「いや……話せば長くなるんだが……」 キングは困ったように頬を掻き、視線を逸らす。 そして少し慌てたような素振りで、言葉を続けた。 「とりあえずお前もどうだ? お腹が空いているだろう? 話はそれからでもできる」 キングはカレーがたっぷり作られた鍋を示す。 匂いだけで美味だと判るそれに、デッドブラックの腹の虫は小さく鳴いたのだった。 【17.竜だって生き物だ】1/2 「……そもそもこの侵略にしても我々帝竜、そして真竜の食糧確保、ただそれだけだ。 だが、この星を見てみろ。結晶化させた人間より遥かに美味な食料が山のようにあるではないか? わざわざフロワロを繁殖させ人間達を根絶やしにし、この星を喰らいつくし滅することなどせずとも我等は飢えずに生きていける。……この侵略に意味があるのだろうか?」 「でも! あの方がその考えに対してなんとおっしゃるか!」 「勿論その通りだ。あの方が私の考えをどう思うかは判らん。……だが私は、人との共存を夢見たくなった。それに、私はもうあの方に進言する権利などないのだよ」 「何故です!?」 食事も終え、空腹も収まった一行。 帝竜同士の討論は既に始まっており、それに対して口出しする理由もなく、センテラ達四人は静かに見守っている。 「最初は私も人間達の敵として……彼らの敵として――」 キングは一度言葉を切り、四人をゆっくりと眺めた。 「――戦った。……だが、負けた。この国を制圧しようとしたときに『あの男』によって付けられた傷が癒えていなかった……いや、それは言い訳だな。 とにかく、私は負けたのだ。その時に私は『死んだ』のだよ。もう赤帝竜キングはこの星に存在しない」 「………………」 「彼らは私を殺さなかった。どころか、友好を結ぼうとまでしてきた。 復讐の対象となっていておかしくない筈なのだが、どうも彼らは、私達に理解できない感情を持っているようだ。 ……敗者は勝者に従うもの。彼らの言う通りに私は人の姿を偽り、人と同じようにここで生活するようになった。 そのおかげで私は飢えずに済むことに気づいたし、人間達が持つ、私の理解できなかった感情、『優しさ』を知ることができた。……だから私は、彼らとの共存を望むようになったんだ」 「ねえさま……」 「気の遠くなるような年月貫いてきた我々竜の思考を、いきなり覆せというのが土台無理な話だというのはわかっている。……だが、すまない。他の姉妹になんと言われようが、私はこの考えを貫き、信じるつもりだ」 きっぱりと言い切るキングに、デッドブラックは暫く悲しげな表情を見せていた。 【17.竜だって生き物だ】2/2 だがやがて、何かを決意したかのように頷き、力強い視線を向ける。 「……敗者は勝者に従うもの。そうねえさまはおっしゃいました。ならばわれも、一匹の敗者です。勝者である彼らの言う事を、享受しようと思います」 「デッドブラック……!」 「ねえさま……!」 キングとデッドブラックの二人は瞳を輝かせ見つめあっている。 感動的な雰囲気を醸し出しているが、デッドブラックの口元にカレーが付着しているため思い切りぶち壊しになっていることは気にしないことにして、センテラは口を開いた。 「話は纏まった?」 「あぁ」 「さぁ、えーっと……レーハムナザドゥとかいったな! われに命じろ!」 相変らずカレーが口元に付着したままなのに気づかず、デッドブラックは偉そうに言い始める。 暫くセンテラたち四人は顔を見合わせ、言った。 「命じろっていわれてもなぁ。俺にご奉仕しろとしか」 「そんなの命じたら外の鉢植えと首を並べて一夜を過ごすことになるわよ」 「いやん、今日のセンテラは激しいんだぜ」 「ん~。それじゃあ~。ラックちゃんはグーちゃんのお手伝いをしっかりすること!」 「ぐ、ぐーちゃん?」 「私のことだ。……そうだな、いい機会だ、末っ子のお前を相手する事も少なかったし」 「あとはそうでやんすね。口の周りにカレーついてるから綺麗にしておくといいでやんすよ」 「っ!? はははやくいわんかそういうことはっ!!!」 「待て、私が拭いてやるから……」 慌てて口元を拭い始めるデッドブラックに、どこからかちり紙を取り出してくるキング。 ギルドハウスがまた一段と、賑やかになった。 → レハナザ珍道中 2